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2018年3月12日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具容器包装・乳肉水産食品合同部会議事録

医薬・生活衛生局食品基準審査課

○日時

平成30年3月12日(月)
14:30~16:30


○場所

労働委員会会館 講堂
(東京都港区芝公園1-5-32)


○出席者

器具・容器包装部会委員

大前委員(部会長)、浦郷委員、尾崎委員、魏委員、竹内委員、前田委員、松岡委員、六鹿委員

乳肉水産食品部会委員

五十君委員(部会長)、浦郷委員、木村委員、黒木委員、鈴木委員、寺嶋委員、西渕委員、野田委員、前田委員、松田委員、松本委員、丸山委員、山下委員、横山委員、渡辺委員    

事務局

宇都宮生活衛生・食品安全審議官、関野食品基準審査課長、道野食品監視安全課長、黒羽室長、近藤課長補佐、東良課長補佐、吉原専門官、森吉係長

○議題

(1)審議事項
 ・乳幼児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定について
(2)その他
 ・生菌末を含む調製粉乳の厚生労働大臣の承認手続について

○議事

 

 

○近藤課長補佐 それでは、定刻となりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具容器包装・乳肉水産食品合同部会」を開催させていただきます。

 本日は、年度末の御多忙の中、御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、有薗委員、広瀬委員、堀端委員より、御欠席される旨の御連絡を受けており、松本委員及び渡辺委員からは、少々遅れての参加となる旨の御連絡を受けております。

 現時点で、器具容器包装部会委員10名中8名の御出席、乳肉水産食品部会委員16名中15名の御出席をいただいており、本日の部会が成立していることを御報告申し上げます。

 また、本日は、参考人といたしまして、一般社団法人日本乳業協会より、田村専務理事、藤原常務理事、坂口常任理事・生産技術部長に御出席をいただいております。

 それでは、本部会の開催に当たりまして、宇都宮生活衛生・食品安全審議官より、御挨拶を申し上げます。

○宇都宮生活衛生・食品安全審議官 皆さん、こんにちは。

 生活衛生・食品安全審議官の宇都宮と申します。

 厚生労働省では、昨年の夏に組織改編がございまして、生活衛生・食品安全部が変わりまして、生活衛生・食品安全審議官というポストになりまして、私が着任いたしました。

 ただ、ほかの組織は、ほとんど変わっておらず、内容も変わってございませんので、引き続き、よろしくお願いいたします。

 本日は、年度末の非常に御多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろより、皆様方におかれましては、食品衛生行政の推進に御理解、御協力をいただいておりますこと、この場をおかりしまして、厚く御礼申し上げます。

 さて、食品衛生行政を取り巻く状況でございますが、既に御存じのとおり、前回、食品衛生法が改正されてから、今年でちょうど15年目に当たります。その間に、食品衛生をめぐる状況というのは、非常に大きく変わりまして、課題もかなりいろいろと出てきたところでございます。

 特にオリンピック・パラリンピックを2年後に控えまして、できるだけ国際整合的な制度にしようということで、今回、通常国会に食品衛生法改正法案を15年ぶりに提出させていただいて、御審議いただこうという準備を進めているところでございます。

 内容といたしましては、国際整合としては、HACCPの制度化、あるいは食品に用いる器具容器包装のポジティブリスト化などがございます。その他、食中毒対策、健康食品対策、いろいろございますけれども、大きな制度改正となっているところでございまして、今後とも、ぜひ皆様方の御協力をいただきたいと思ってございます。

 本日は、乳幼児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定について、御審議いただきますとともに、生菌末を含む調製粉乳の厚生労働大臣の承認手続について、報告をさせていただくことになってございます。

 いわゆる乳児用液体ミルクにつきましては、災害対策、あるいは家庭における負担軽減ということで、非常に注目を浴びているところでございますが、昨年の3月に乳肉水産食品部会を開催いたしまして、この規格基準の設定に必要なデータについて、御議論いただいたところでございます。

 それを踏まえまして、このたび事業者団体の皆様から科学的データを御提出いただいたということで、本日の合同部会になったということでございます。

 それぞれ専門の御見地から、忌憚のない御意見を交わしていただいて、実りある会になればと思ってございますので、よろしくお願いいたします。

○近藤課長補佐 ありがとうございました。

 続きまして、薬事・食品衛生審議会の委員の改選につきまして、御報告をさせていただきます。

 昨年1月の改選によりまして、器具容器包装部会につきまして、前部会長の大野委員に変わりまして、大前委員に部会長に御就任をいただいております。

 また、浦郷委員、魏委員、広瀬委員も、改選により、新たに御就任をいただいているところでございます。

 それでは、審議に移りたいと思いますので、冒頭のカメラ撮影はここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

(報道関係者退室)

○近藤課長補佐 なお、宇都宮生活衛生・食品安全審議官におかれましては、本日、公務のため、この時間をもちまして退席させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 本日は、合同部会ですので、両部会長に御参席をいただいているところでございますが、御相談いたしました上で、本日の議事進行は乳肉水産食品部会の五十君部会長にお願いしたいと思います。

 五十君部会長、よろしくお願い申し上げます。

○五十君部会長 それでは、最初に配付資料の確認を、事務局よりお願いいたします。

○近藤課長補佐 配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元に議事次第がございます。

 1枚おめくりいただきますと、配付資料、参考資料、参照文献と書かれている資料の御紹介をした紙が2枚ございます。

 さらに本日の部会の構成員の名簿、こちらが2枚ございます。配席表、最後に本日の参考人の方々の名簿でございます。

 また、本日、お配りをしております配付資料につきましては、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2となっております。

 参考資料でございますが、参考1につきましては、枝番で1番から6番まで、参考2につきましては、枝番の1番から9番までを配付してございます。

 さらに委員のみの配付でございますけれども、参照文献といたしまして、参照文献2-1から参照文献2-6までお配りをしております。

 若干の印刷のミスがございまして、お手元にお配りをしている参照文献につきましては、参考文献と印字されていますけれども、参照文献として御覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 資料の説明につきましては、以上でございます。

○五十君部会長 皆さん、資料を御確認いただきまして、乱丁等がございませんでしょうか。過不足等もございませんでしょうか。

 よろしいようですので、それでは、審議に入る前に、事務局から本日の部会の審議案件に関する利益相反の確認結果について、御報告をお願いしたいと思います。

○近藤課長補佐 本日の部会では、乳幼児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定について、御議論をいただいた後に、その他といたしまして、生菌末を含む調製粉乳の厚生労働大臣の承認手続についての説明を行い、各委員から御意見を伺いたいと考えているところでございます。

 なお、最初の議題につきましては、事業者団体等の申請に基づくことから、利益相反の確認の対象となっております。

 食品衛生分科会審議参加規定に基づきまして、要望団体及び関係団体や関係企業等につきまして、過去3年間における寄附金等の受け取り等について、各委員より御報告をいただきました結果、退室が必要な委員はおりませんでしたが、松田委員におかれましては、審議に御意見を述べていただくことは可能でございますが、最終的な議決には参加いただくことができませんので、御報告いたします。

 以上でございます。

○五十君部会長 それでは、早速、乳幼児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定についての議題に入りたいと思います。

 調製液状乳について、これまでの経緯や前回の乳肉水産食品部会における議論などを、事務局から御説明いただきたいと思います。

 また、事業者団体からは、現在までに得られたデータなどについて、御説明をいただきたいと思います。

 その後、各委員より御意見、御質問をいただいた後、規格基準案や今後の進め方などについて、議論を行いたいと考えております。

 それでは、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、事務局より御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料1-1に沿って、御説明させていただきます。

 1.経緯ですけれども、乳及び乳製品は、乳製品の成分規格等に関する省令、いわゆる乳等省令によって、成分規格や製造基準などの規格基準が定められております。

 乳及び乳製品に使用する添加物及び容器包装については、乳等省令に定めるもののほか、食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の定めるところによるものとなっております。すなわち、告示370号に上乗せをする形で、乳等省令が規定されております。

 この乳等省令には、乳幼児を対象とする食品として、調製粉乳として、定義や成分規格が定められております。これは、いわゆる乳幼児用の粉ミルクであり、性状は、粉末のものとなっております。

 一方で、乳幼児を対象とする液体状の乳製品、これを今後、調製液状乳と呼ばせていただきますが、調製液状乳は、国内で一般的に流通されておりませんが、海外では流通しており、粉ミルクと調製液状乳を選択できるような状況となっております。

 調製液状乳は、乳等省令上、製造や流通を禁止するものではございません。乳を主要原料とする飲料、いわゆる乳飲料の規格基準やそれに使用する添加物や、容器包装が基準に適合していれば、乳飲料として、製造、販売等が可能となっております。

 この調製液状乳については、19ページの参考1-1を御覧になってください。

○五十君部会長 資料1-1ですか。

○事務局 参考1-1です。19ページでございます。

 本日、参考人として出席されている、日本乳業協会様より、平成21年に消費者の利便性を考慮した調製液状乳の規格基準を、調製粉乳と同様に個別に設定してほしい旨、要望書が提出されております。

 当時、提出された要望書ですが、調製液状乳を含めて、5つ挙げられておりまして、調製液状乳については、こちらの資料の裏面で、ちょうど20ページになりますけれども、5番目の乳幼児のための調製液状乳についてということで、要望書を提出されております。

 この要望書の中にも、冷蔵保存及び常温保存で流通するものをいただきたいということで、2種類の保存の温度によって、要望書が上げられているものになっております。

 恐れ入りますが、もう一度、資料1-1の経緯のところにお戻りください。

 要望書の提出後、平成21年の4月と8月に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の乳肉水産食品部会を実施しておりまして、その中で議論を行い、その結果、規格基準の設定に必要となる微生物増殖や保存試験に関するデータの提供をもって、検討することとしておりました。

 その後、東日本大震災や熊本地震の経験から、社会的に調製液状乳の要望が高まる中、厚生労働省から直接事業者の方々に、開発状況について、ヒアリングを行いましたところ、日本乳業協会様より、常温で流通し、長期保存が可能な製品について、まずは開発を進める意向が示されたところでございます。

 このため、事業者のデータの取得をより加速するためにも、昨年の3月31日、乳肉水産食品部会を開催させていただき、常温で保存が可能な製品に絞った場合の規格基準の方向性と、規格基準の検討に必要なデータの明確化を行ってまいりました。

 また、今般、日本乳業協会様から、規格基準を検討するために必要なデータの提出が、本年2月28日にございました。こちらの内容については、後ほど日本乳業協会様から御説明させていただくこととしております。

 その結果を踏まえまして、調製液状乳に設定すべき規格基準について、本部会において、議論をいたしたく、本日、開催させていただきました。

 なお、乳幼児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定につきましては、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長あてに、3月7日付で諮問がなされているものでございます。

 続きまして、2.乳等省令上の定義・規格基準等について、御説明をさせていただきます。

 ページをめくっていただきまして、表のページについて、御説明をさせていただきます。

 前回の乳肉水産食品部会でも、議論させていただきましたが、常温で長期間保存が可能な乳幼児を対象とした調製液状乳の議論を行う上で、既に乳等省令上に規格基準等が設定されております、関連深い乳製品がございます。それは、乳飲料と調製粉乳の2種でございます。

 調製液状乳は、従来から乳飲料に含まれるとされておりましたので、まず資料の右側にございます、乳飲料について、御確認いただければと思います。

 乳飲料は、乳等省令上の定義では、生乳、牛乳、もしくは特別牛乳、または、これらを牛乳として製造した食品を主要原料とした飲料という定義となってございます。簡単に申し上げますと、乳飲料は、コーヒー牛乳とか、フルーツ牛乳などがございます。

 乳飲料は、一般的には、10度以下の保存が必要になっておりますが、この乳飲料の中でも、常温で保存することが可能なものとして、製造方法の違いによって、2つございます。

 1つ目は、資料1-1の中央部分にございます、保存基準のところを見ていただくとわかりますが、こちらは、保存性のある容器に入れ、かつ120度で4分間加熱殺菌、または、それと同等以上の加熱殺菌をされたものというのは、10度以下の保存の対象ではございません。これは、いわゆるレトルト殺菌と呼ばれておりまして、特にレトルトカレーのようなレトルトパウチや、缶詰のようなものが、こちらの製品と同様の殺菌を行っているものでございます。

 2つ目といたしましては、資料1-1の乳飲料の右側にある常温保存可能品のところについて、御確認ください。こちらは、連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した後、あらかじめ殺菌した容器包装に、無菌的に充填したものであって、食品衛生法上の10度以下で保存することを要しない、厚生労働大臣が認めたものということになってございます。すなわち、こちらは、殺菌してから無菌的に充填したものとなっておりまして、さらには厚生労働大臣に承認されたものに限られてございます。こちらは、いわゆるロングライフ牛乳やLL牛乳というものが、既に国内にも流通しております。。

 これらの2種類の方法により、製品の商業的無菌の確保が可能となっているものでございます。

 続いて、調製粉乳について、御説明させていただきます。

 調製粉乳につきましては、乳等省令上の定義では、生乳、牛乳、もしくは特別牛乳、または、これらを原料として製造した食品を加工し、主要原料とし、これに乳幼児に必要な栄養素を加え、粉末状にしたものとなってございます。

 資料1-1にもございますが、調製粉乳には、成分規格、製品品質や微生物規格が定められております。

 製造基準は、定められておりませんが、原材料や混合割合、製造方法等について、厚生労働大臣の承認手続を必要としているものでございます。そのため、現在、流通されているいわゆる調製粉乳、粉ミルクは、その製品ごとに、承認手続が厚生労働省で確認が行われたものとなっています。。

 容器包装につきましては、こちらの調製液状乳は、まさに生乳、牛乳、もしくは特別牛乳、これらを原料として製造した食品を、主要原料とした飲料でございます。また、乳幼児に必要な栄養素を加えたもの、さらにそれを常温で、長期間保存することが可能であるということを踏まえまして、従来から採用しておりました乳飲料の規格基準を、容器包装に採用していくことが望ましいと考えております。

 資料中の点線部を囲んだ部分を包含する規格基準が、いわゆる調製液状乳の規格基準として、必要な要件として、事務局としては考えております。

 以上で終わります。

○五十君部会長 ありがとうございました。

 事務局からこれまでの経緯と現状の乳等省令の規制の説明があったと思います。

 それでは、事業者団体であります日本乳業協会から、製品開発の現状や得られたデータについて、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○藤原参考人 日本乳業協会でございます。

 本日は、当協会の要望事項であります、調製液状乳の規格基準設定に関する説明にお招きをいただき、大変ありがとうございます。

 日ごろから当協会の活動に御協力、御支援をいただき、大変感謝をしております。

 それでは、資料に沿って、説明させていただきます。

 座らせていただきます。

○事務局 ここで、1点、追加させてください。

 今回、乳業協会様を通じて御報告のある、製品開発のイメージのサンプルを御説明中に回させていただこうかと思います。よろしくお願いいたします。

○藤原参考人 それでは、お手元の資料1-2でございますけれども、乳児用液体ミルク(仮称)検討データについて、概略を説明させていただきます。

 8ページでございます。

 製品の仕様でございますけれども、関係会員からの報告をもとに、当協会において、取りまとめたものでございまして、特定の製品を示すものではございません。

 原材料及び添加物は、国内で調製粉乳に使用するものを基本としたものでございます。

 容器包装でございますけれども、8ページの下ですが、(1)缶、(2)レトルトパウチ、(3)紙パックであり、使用した材質について、記載をさせていただいております。

 9ページでございますけれども、殺菌条件、製品の規格、賞味期限及び保存の方法のほか、喫食、利用の方法、対象者を記載しています。

 製造工程でございますけれども、10ページから11ページです。

 御承知のことと思いますが、(1)缶、(2)レトルトパウチ、いわゆる加圧加熱殺菌でございます。

(3)紙パックでございますけれども、これは、先ほども御説明のありました常温保存可能品でございまして、そのフローを記載しております。

12ページでございます。微生物管理のデータについては、(1)缶、(2)レトルトパウチ、(3)紙パックごとに、原材料との調合後、製造直後、その後の経過に伴う、表に記載のある微生物の検査結果を記載し、製造直後以降は、発育し得る微生物は陰性となっております。

13ページですけれども、紙パックにおける製造時の微生物管理、製品への過酸化水素残存なしについて、記載をしております。

 栄養成分に関してでございますけれども、13ページの真ん中ぐらいで(1)製造に伴う減衰について、(1)缶、(2)レトルトパウチは、ビタミンCで減衰率を確認し、これに保存中の減衰率を考慮して、配合量を設定しております。

(3)紙パックも、製造工程で一部減衰することから、保存中の減衰率を考慮して、配合量を設定しております。

14ページでございます。(2)保存中の栄養素の減衰について、これも同様に(1)缶、(2)レトルトパウチ、(3)紙パックについて、記載しまして、それぞれ栄養成分の確保について、確認をしております。

17ページでございます。容器包装につきましては、それぞれ乳等省令に規定される乳飲料の販売用の規格基準に適合していることを確認しております。

 製品の沈殿等に関してでございますけれども、17ページの真ん中ぐらい、色調については、(1)(2)につきましては、製造直後、わずかに茶褐色、保存中にその程度が高くなるが、問題となるレベルではなく、(3)紙パックですけれども、調製粉乳と比べて、色調が濃くなり、保存中もその進行が見られたとのことでございます。

 風味については、特に問題なく、さらに保存中の沈殿につきましては、開封前に振とうすることで、容易に分散するとのことです。

 外観は異常ありませんでした。

18ページ、最後に開封後の微生物増殖について、黄色ブドウ球菌、大腸菌を接種して、25℃での汚染菌増殖の動態を確認した結果を記載しております。いずれも、増殖は確認されております。

 文献等の調査においては、エンテロバクター・サカザキとサルモネラ属菌を調製粉乳の調製後に接種した報告を確認しております。

 サカザキ菌については、平成20年萩原らの論文、サルモネラは、Combaseのデータによると、その増殖について、報告をされております。

 以上でございます。

○五十君部会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局からこれまでの経緯、日本乳業協会様の御説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。特にございませんか。

 大前部会長、お願いします。

○大前部会長 ありがとうございます。

 今、お示しいただきましたデータを見ていて、少し不思議に思ったのですが、15ページ、16ページの減衰のところでございますけれども、一番下にセレンとありますが、缶とレトルトパウチで、2~3割ふえているのですが、セレンは金属ですから、容器からしみ出てきたという解釈でよろしいのですか。調製粉乳の成分の中で、セレンが2~3割ふえるはずがないと思います。

○坂口参考人 今の御質問について、お答えさせていただきたいと思います。

 セレンについては、この表を見ている限りは、製造直後6カ月後、133%、120%と増加しているように見えますが、基本的には、微量元素ですので、測定の誤差、あるいは人による測定の差異が出てきまして、そういった面で、それから、長期間にわたっての検査ですから、検査のやり方に多少差がありまして、こういった数字が出ているものと思われます。

○五十君部会長 よろしいですか。どうぞ。

○大前部会長 このチェックは、検体幾つぐらいでやって、最大値はどれぐらいだったのですか。セレンの増加の数値です。

○坂口参考人 特に最大値は持っていません。

○大前部会長 減衰は、何検体ぐらいでやられたのですか。

○坂口参考人 そこまでは、こちらでもわかりません。

○大前部会長 133とか、120など、これは平均値を書いてあると思いますが、ここに書いてあるのは平均値ですか。

○藤原参考人 恐縮です。このデータにつきましては、関係各社が検査をしておりまして、その結果だけを私どもがいただいているものですから、詳細については、私どもも報告を受けていないところでございます。

○大前部会長 これがもし容器から出ているとすると、容器包装でセレンが出るようなものはまずいのではないかと思ったものですから、質問いたしました。

○五十君部会長 科学的データとして、これから扱う場合に、n数等々のデータはわかるようにしていただけると、データの精度の確認ができると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 本件について、事務局で何かありますでしょうか。

○近藤課長補佐 申しわけございません。大前部会長からの御質問でございます。

 お手元の資料1-2の8ページを御覧いただきますと、今回、日本乳業協会様に御検討いただきました製品の仕様が載っております。

 この中の左側の欄でいいますと、主な原料等の名称等という欄がございまして、この中に食品原材料と食品添加物がございます。今回の製品につきましては、食品添加物の中の下から2行目でございますが、亜セレン酸ナトリウムを添加しております。ですので、当然ながら、試験結果の中にも、セレンが出てまいりますし、ただ、添加量が微量であるということがございまして、試験結果のばらつきが多少出やすいものではないのかと、事務局でも考えております。

○五十君部会長 大前部会長、よろしいですか。

○大前部会長 はい。

○五十君部会長 それでは、丸山委員の質問に移りたいと思います。

○丸山委員 14ページから16ページのところのデータについて、教えていただきたいのですけれども、いわゆる賞味期限とか、消費期限というのでしょうか、それぞれ想定されていると思うのですけれども、容器での賞味期限、あるいは消費期限というのは、例えば缶で言えば15カ月とか、レトルトパウチで言えば12カ月とか、紙パックで言えば7.5カ月、これを想定されていらっしゃるのでしょうか。それを教えていただければと思います。

○坂口参考人 賞味期限については、それぞれの容器形態によって、変わってきますので、それぞれのメーカーさんが、容器で保存された期間のデータとなっています。ですから、賞味期限としては、大体1.5倍ぐらいの期限を見ています。

○五十君部会長 よろしいですか。

 例えばこの表の16ページの紙パックですと、賞味期限が6カ月と見ていけばよろしいということですか。それで、その後のしばらく置いた状況が、このようなデータということでよろしいでしょうか。

○坂口参考人 はい。

○五十君部会長 丸山委員、よろしいでしょうか。

○丸山委員 聞いた理由というのは、例えば紙パックのビタミンCとか、継時的にパーセンテージが減っているようなものもあるので、その辺をある程度考慮して、添加していかれるのかどうなのかというところが、どうされるのかと思ったものですから、お聞きしました。

○五十君部会長 どうぞ。

○坂口参考人 この辺は、減衰率を見ての初期段階で、製品にその分を上乗せして、添加しておく形になります。

○五十君部会長 よろしいでしょうか。

○丸山委員 はい。

○五十君部会長 ほかにございますか。大前部会長、どうぞ。

○大前部会長 この製品は、災害時にも使われるということで、非常に重要な製品だと思うのですけれども、災害現場ですと、保存条件というのは、必ずしも常温とは限らない、多少条件が悪いと思うのです。そこら辺の検討はされているのでしょうか。

○田村参考人 少し聞こえづらかったのです。

○大前部会長 もう一度、この製品は、災害時にも使われる非常にいい製品なので、ぜひ必要だと思うのですけれども、災害時の場合ですと、常温と保存条件が書いてありますが、必ずしもいい条件で保存されないと思いますので、そこら辺の災害時における温度管理とか、そこに関しては、何らかの検討はされているのでしょうか。

○田村参考人 御指摘の件ですけれども、一つ一つ全ての管理に目が届くわけではないのですが、私どもは、注意書き等々に書いて、しっかりと常温の温度のところに保管くださいという形で、啓発をしていくしかないと思うのです。

○五十君部会長 そのあたりはよろしいですか。

 賞味期限まで、ある程度加速試験的なこともやられているデータも、そのうち出てくると思うのですが、今回は、賞味期限を過ぎた状態まで観察されているところで、確認するという意味でよろしいでしょうか。そういうことではないですか。

○田村参考人 今後、加速テストをしていくかどうかについては、各メーカーへの聞き取りは、現時点ではやっておりません。

○五十君部会長 わかりました。

 ほかに御質問等はございますか。どうぞ。

○六鹿委員 こちらの容器包装を見せていただくと、使い切りのタイプのように見えるのですけれども、そういったものの開発、製造を進めていくということでよろしいのでしょうか。

○田村参考人 衛生的に見ましても、大容量というニーズもあるのかもしれませんけれども、飲んでいただく対象が赤ちゃんですから、可能な限り、使い切りの容量で、商品化すべきとのお考えのメーカーが圧倒的に多くございます。

○五十君部会長 よろしいですか。

 ほかに御質問、御意見等はございますか。

 それでは、これまでの経緯等とデータにつきましては、以上とさせていただきます。

 今後の設定する規格基準の議論に移りたいと思います。

 事務局より、御説明をお願いしたいと思います。

○事務局 ありがとうございます。

 今までの議論を踏まえまして、今回、特に4番のところでございます。

 こちらの調製液状乳につきましては、常温で長期保存が可能であること、さらには製品が商業的無菌性を確保されていること、使用される原材料や添加物の安全性確保が可能となること、それを保存するために、もちろん栄養素も含めてなのですけれども、賞味期限内保持するということで、必要な容器包装の規格基準等を設定していくことが重要だと考えております。

 その中で、4の表に示しました内容を、今後、調製液状乳の規格基準の格として、考えております。

 成分規格といたしましては、今回のこちらの調製液状乳が商業的無菌であることから、製造工程の違いにより、2つの成分規格を設定させていただきたいと考えております。

 いわゆるLL牛乳などと同じような、連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した後、あらかじめ殺菌した容器包装に無菌的に充填したものについては、従来の乳飲料の常温保存可能品と同様に、細菌数ゼロを規定したい。

 さらには保存性のある容器に入れ、かつ摂氏120度で4分間加熱殺菌したものにつきましては、従来からレトルト食品で設定されております、発育し得る微生物の陰性を、成分規格として設定していきたいと考えております。

 製造基準ですが、保存性のある容器に入れ、かつ120度で4分間加熱殺菌する方法、または、これと同等以上の殺菌効果を有する方法と、先ほどのLL牛乳などと同様の連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した後、あらかじめ殺菌した容器包装に無菌的に充填したものであって、いわゆる厚生労働大臣が認めたものにあっては、この限りではないという2つを、製造基準に設定していきたいと考えております。

 さらには保存基準ですけれども、従来から常温保存可能品には、常温を超えない温度で保存するという保存基準が設定されておりまして、今回は、いずれも両方の製造工程に基づいて製造されたものを、同様に常温を超えない温度で保存することということで、設定していきたいと考えてございます。

 原材料の管理につきましては、従来の調製粉乳と同様に、原材料をその種類及び混合割合について、厚生労働大臣の承認を受けなければいけないという、大臣承認の仕組みを規定してきたいと考えてございます。

 さらには容器包装についてですけれども、調製液状乳は、従来まで乳飲料の規格基準が設定されておりましたので、今回の調製液状乳にも、そのまま乳飲料と同じ容器包装の規格基準を設定してきたいと考えております。

 こちらの4番で御説明させていただいたものを、5番の今後の乳等省令の主な改正案といたしまして、調製液状乳の定義づけをしていきたいと考えております。

 この定義は、乳等省令上の定義、第2条の中に規定されておりまして、この省令において、調製液状乳とはというものを設けまして、生乳、牛乳、もしくは特別牛乳、または、これらを原料として製造した食品を加工し、または、主要原料とし、これに乳幼児に必要な栄養素を加え、液状にしたものでございます。

 この定義を設けた上で、4の以下の表に示したものになるのですけれども、先ほどの御説明を核とした場合に、恐れ入りますが、対応方針の5ページ目の下の段の(三)(24)調製液状乳を、今回、1つ設けまして、成分規格の中に発育し得る微生物が陰性でなければならないという規定を設けます。

 ここに常温保存可能品にあっては、この限りではないという成分規格がございますが、そこから少し下の段にも、御確認をいただくとわかるのですけれども(五)(1)2、調製液状乳及び乳飲料、ここはいわゆる常温保存可能品の規定でございますが、こちらに調製液状乳を追加いたしまして、細菌数ゼロとしたいと考えてございます。

 製造基準でございますけれども、6ページ目の上段の2、製造の方法の基準でございます。こちらに保存性のある容器に入れ、かつ120度で4分間加熱する方法、または、これと同等以上の殺菌効果を有する方法という形で、記載をさせていただきます。

 さらには常温保存可能品にあっては、この限りではないという規定がございますが、1つページを戻っていただきたいと思います。こちらにつきましては、常温保存可能品に関する記述は、既に牛乳のカテゴリーの中に記載されております。この牛乳のカテゴリーの中の常温保存可能品がございますけれども、いわゆる乳飲料から出しまして、ここの下線部分、調製液状乳、または、乳飲料という形で、製造基準を設定していきたいと考えてございます。

 保存の方法の基準でございますけれども、こちらについては、常温を超えない温度で保存することということで、規定していきたいと思います。

 先ほどの原材料の管理のところでございますが、6ページ目の(五)(6)で、こちら調製粉乳のいわゆる大臣承認に関する規定がございますけれども、こちらに調製液状乳も同様に管理が必要ということで、記述をさせていきたいと考えてございます。

 最後でございますけれども、四で、こちら器具、もしくは容器包装、または、これらの原材料の規格及び製造方法の基準ですが、こちらの(二)(1)で、今まで乳飲料の容器包装、または、これらの原材料の規格となっていたところを、今回、調製液状乳が定義としてできますので、それに伴って、調製液状乳を追加させていただきたいと考えております。

 さらには下の2でございますが、こちらの発酵乳、乳酸菌飲料に、調製液状乳という規定を設けさせていただき、今までこちらは、発酵乳と乳酸菌飲料と乳飲料だけだったのですが、こちらに追加をしたいと考えてございます。

 以上が規格基準の案の御説明となっております。

 今後ですけれども、こちらの部会で了承が得られれば、規格基準を設定することについて、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼して、評価を受けた後、特段、問題がなければ、乳等省令改正のために、必要な手続を進めてまいりたいと考えてございます。

 以上で、事務局からの御説明は終わります。ありがとうございました。

○五十君部会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局の基準案の説明につきまして、御意見等がございましたら、お願いしたいと思います。ございませんか。

 どうぞ。

○鈴木委員 常温について、1点、確認をさせていただきたいのですけれども、これは定義上、上限と下限があるのでしょうか。

○事務局 御説明させていただきます。

 こちらは、従前から、もちろん常温を超えない温度がございますが、これは夏の車の中とか、そういう非常に高い温度にならない範囲の中で、常識の範囲の中での温度設定となっておりますので、特段、上限、下限というものは、現時点では設けておりません。

 以上でございます。

○五十君部会長 よろしいでしょうか。

 ほかに御質問、御意見等はございますか。

 特にないようです。一通り、御審議いただいたと思いますので、調製液状乳につきましては、事務局において、今後の方針に従い、食品安全委員会に評価依頼をして、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の改正に向けた必要な手続を進めるということで、よろしいでしょうか。

 大前部会長、どうぞ。

○大前部会長 これは部会長に確認していただくだけで結構なのですけれども、先ほどの減衰のデータは、nもわからない、SDも、最大値も、最小値もわからない、あれが平均値かどうかもわからないという御回答は、とてもサイエンティフィックとはいえないので、もとのデータを部会長に見ていただいて、それで特に問題なければ、よろしいと思いますが、ぜひそのチェックはお願いしたいと思います。

○五十君部会長 御指摘ありがとうございました。

 そのほか、何か追加コメント等はございますか。よろしいでしょうか。どうぞ。

○浦郷委員 ありがとうございます。

 今回、調製液状乳ということで、これは、この先、いつ、どこで起こるかわからない災害に備えて、また、今、働くお母さん、そして、お父さんの育児負担が少しでも軽くなるようにということで、消費者のニーズは大変あるものだと思います。海外では、普通に流通しているということなので、今回、こうやって基準が設けられて、日本でも流通に向けて進められているということで、とても期待したいと思います。

 1点だけ、気になるところは、先ほど事業者さんから出ていたデータで、17ページのところで、安全性などには全く関係ないところなのですけれども、色のところです。液状のミルクというのは、少し茶褐色になるということで、紙パックのほうは、保存中にも色が変わる進行が見られたということです。粉末のミルクは真っ白なミルクなので、消費者はミルクと言えば白を想像すると思います。実際、色がどの程度になるのかというのは、今、ここではわからないのですが、この先、発売するときには、これはこういう色だということをきちんと情報提供していただかないと、色が違うから、これはおかしいのではないかという誤解を生むこともあるかと思いますので、そこら辺は、お願いしたいと思います。

 以上です。

○五十君部会長 コメントありがとうございました。

 そのほか、御意見、確認事項はございませんでしょうか。

 事務局案で必要な手続を続けていくということで、よろしいでしょうか。御確認ありがとうございました。どうもありがとうございました。

 それでは、事務局において、引き続き、手続を進めていただきたいと思います。

 ただ、データにつきましては、確認という御意見で出ましたので、私と事務局で先ほどのデータの確認をさせていただきたいと思います。

 次に、その他の生菌末を含む調製粉乳の厚生労働大臣の承認手続についてですが、この議題につきましては、乳肉水産食品部会の議題になりますことを、あらかじめ、お伝えいたします。もちろんコメント、質問等を出していただいても構いません。

 事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○東良課長補佐 それでは、事務局より御説明いたします。

 資料につきましては、資料2-1、資料2-2、参考2-1、先ほど資料名の修正がありましたけれども、参照文献2-1に従って、御説明させていだきます。

 便宜上、資料は全て通し番号でお配りしておりまして、資料2-1が1ページ目、参照文献の一番最後のページが、ちょうど100ページとなっておりますので、それに従って、御説明いたします。

 それでは、資料2-1をお手元に御用意ください。

 経緯から御説明いたします。先ほどの調製液状乳でなされた説明と、制度の部分は重なる部分がございますので、一部重複がございますけれども、あらかじめ、御了承いただければと思います。

 それでは、経緯についてですけれども、これについては、先ほど調製液状乳の説明と重複しておりますが、乳、乳製品につきましては、食品衛生法第11条第1項に基づきまして、乳等省令において、規格基準が定められております。

 定義については、先ほど御説明したとおり、生乳、牛乳、特別牛乳、これらを原料として製造した食品を加工し、主原料とし、乳幼児に必要な栄養素を加え、粉末状にしたものと定義しておりまして、成分規格が定められております。

 調製粉乳に使われる原材料でございますけれども、乳、乳製品以外のものにつきまして、その種類、混合割合について、厚生労働大臣の承認を受けて使用するもの以外については、使用しないことと規定されております。

 この部分の条文の規定については、お手元の参考2-1に示させていただいておりますので、適宜、御確認いただければと思います。

 続きまして、乳等省令に係る承認の規定がございます。具体的には、平成9年1月29日付の通知に基づいて、厚生労働省が承認審査を行う際、必要な申請書に添付をするべき資料・文書について、下記のとおり、規定しております。

 これは参考2-2になります。通し番号でいいますと、9ページからなります。

 具体的に何を必要としているかということにつきましては、下記のとおりでございますけれども、製造所の名称及び所在地から始まりまして、商品名、承認を受けようとする理由、そして、特に安全性に関する審査事項になりますが、当該製品の製造に用いる原材料、混合割合、乳、乳製品以外の種類、成分、混合割合、乳、乳製品以外に使用するものについての製造者ですとか、製造方法、当該製品の製造方法、当該製品の成分分析表、こういった事項に関する情報、資料、データにつきまして、申請者から提出を受けまして、厚生労働省で審査をしております。

 こういった成分につきましては、乳、乳製品のほか、添加物ですとか、一般食品に用いられているような脂肪ですとか、調製脂肪とかが含まれておりますので、こういった部分について、混合割合、製造方法について、確認をいたしております。

 続きまして、今回、御意見を伺う内容に移ってまいりますけれども、今般、国内事業者からビフィズス菌ですとか、乳酸菌の生菌末を添加した調製粉乳の承認申請の相談がございました。ただ、従前の承認品目、承認プロセスにおきまして、ビフィズス菌、乳酸菌の生菌末を承認した事例がございません。ですので、今回、平成9年の通知に加えまして、新たに厚生労働省において規定すべき手続の案について、取りまとめましたので、今般、その概要について、御報告させていただくといったものでございます。

 2に移らせていただきます。生菌末を含む調製粉乳について、全般的な海外の情報等も含めて、御説明させていただきます。

 参照文献、参考を引用しておりますので、適宜、お手元の参考、参照文献を広げながら、聞いていただければと思います。

 (1)ビフィズス菌・乳酸菌の生菌についてでございますけれども、こういった菌の生菌については、プロバイオティクスと呼ばれることもございます。ビフィズス菌にはBifidobacteriumですとか、乳酸菌にはLactobacillus等が、細菌学上、含まれているということでございまして、ここら辺の分類学上の引用については、参照文献2-1、56ページ、参照文献2-2、68ページに引用されているものを、適宜、使用させていただいております。

 説明を続けます。プロバイオティクスの起源につきましては、ヒトや動物の腸管に生息する菌であるともされておりますけれども、通常、腸管に生息しない菌でも、プロバイオティクスの範疇に入れられているものもあるとのことです。

 また、Bifidobacteriumですとか、Lactobacillus等につきましては、母乳に存在するということが報告されております。これにつきましては、参照文献2-3、参照文献2-4、これは両方とも英語の文献ではございますけれども、海外の母乳に含まれる菌を分析した結果、Bifidobacteriumですとか、Lactobacillusも含まれている。もちろんそれ以外の菌もございますけれども、BifidobacteriumLactobacillus等が含まれているといった報告がなされております。

 続きまして、海外の規制に移らせていただきます。(2)になります。CODEXにおけます調製粉乳のプロバイオティクスにおける規定でございますけれども、これはFAO/WHO合同食品規格計画が作成した調製粉乳の基準におきましては、12カ月齢までの乳児向け調製粉乳の基準が示されております。その中には、微生物ですとか、汚染物質の基準のほか、乳児の必要栄養素及び含有量が示されております。プロバイオティクスにつきましては、特に含めなければならないといった規定はございません。ですが、こういったオプショナルなイングレディエントにつきましては、通常、母乳に存在し、その使用が母乳栄養児の効果と同様の利点が確保されていること、及びその安全性について、科学的に証明されていること等の記載がございます。

(2)に入りますけれども、ここにつきましては、調製粉乳ではないのですが、食品のプロバイオティクスにおける安全性等評価ガイドラインが国際的に示されております。食品の安全性評価につきましては、FAO/WHO合同ワーキンググループが作成したガイドライン、Guideline for the Evaluation of Probiotics in Foodにより示されております。参考2-4につけさせていただいております。

 安全性評価につきましては、参考2-4の通し番号39をごらんください。3.3Safety considerationsという英語の記載がございますけれども、これ以降、次の40ページに至るまで、安全性に関する記載がございます。

 食品に使われるプロバイオティクスについて、少なくとも安全性が証明されなければいけない事項について、記載がされておりまして、40ページにおきましては、英語で示しております。

 それを日本語訳したものは、本資料の2ページに戻っていただければ、日本語で記載しておりますとおり、例えば抗生物質における耐性パターンの決定ですとか、特定の代謝活性の評価、ヒトの試験での副作用の評価等々、食品に用いるプロバイオティクスの安全性評価の事項が記載されております。

 続きまして、日本以外、外国政府のプロバイオティクスを含む調製粉乳の規制について、御説明いたします。

(3)に移りまして、米国における規制でございますけれども、連邦規則がございますが、この中で、乳児用調製粉乳に使用される物質、FDAに従って使用される物質については、食品添加物が含まれますけれども、こういった物質、そして、2番目、その使用がGenerally recognized as safe、いわゆるGRASと呼ばれているカテゴリーでございますが、GRASで認められている物質、または事前許可によって使用が認められた物質であるということが、求められております。GRASについては、この後、若干詳細に御説明させていただきます。

 こういった食品に用いられるビフィズス菌、乳酸菌につきましては、現状、調べたところ、食品添加物としては指定されておらず、GRASとして、個別に使用が認められているようでございます。

 また、新規に調製粉乳を製造・販売する際には、事業者はその90日前にFDAに登録を行わなければならないと規定されております。FDAの登録に当たりましては、調製粉乳の成分量、製造方法に関する情報、臨床試験によって得られた品質に関する情報等を示す必要があります。

FDA、米国の規定につきましては、参考2-5で、関係条例についてのみ、お示ししております。通し番号のページ数でいうと、46ページ、47ページとなりますので、御確認いただければと思います。

 米国の制度の続きといたしまして、GRAS制度について、御説明いたします。GRAS制度につきましては、申請者が特定物質をGRASであることについて、必要な書類を添えてFDAに届け出を行う制度となっております。FDAは、この届け出に基づき、科学的審査を行い、同意、保留、もしくは却下、3種類の評価をいたします。FDAが異議申し立てをしない場合、その物質は、GRAS物質として、FDAが管理する『GRAS Notice Inventory』に掲載されます。

 こういった手続については、参考2-6、FDAウエブサイトの引用となりますが、こちらに制度の概要を示しております。

 続きまして、GRASの届け出における申請書類の取り扱いでございますけれども、これについては、申請者がGRASと判断した際の根拠、comprehensive discussion of the basis for the determination of GRAS statusが求められております。

 これにつきましては、参考2-7をごらんください。ページ番号50ページから52ページにわたる資料でございますけれども、この部分については、52ページに黒線で囲んでおります。こういった情報が、FDAGRAS申請の届け出を行う際に必要だとされておりまして、具体的には、申請者がGRASと考え得る科学的根拠、具体的には、安全性に関する必要なデータ等々、文献ですとか、データが含まれているものでございます。

 続きまして、欧州における取り扱いについて、御説明いたします。参考2-8、53ページ、54ページを手元に御用意ください。

EU指令におきまして、乳幼児に必要な適切なビタミン、ミネラル、アミノ酸等の添加については、先ほどの米国と同じように、添加物として物質別に定められております。一方で、ビフィズス菌、乳酸菌、こういったプロバイオティクスの添加は、禁止されておりません。そのかわりに、製造者のほうで、それらの物質が適切な実験等により得られたデータの体系的なレビューにより、乳幼児に与えることが適切だと示されたものである必要がございます。つまりFDAのように、これらの物質、プロバイオティクスについて、調製粉乳に使用することについて、事前に管轄当局、EU当局による審査承認は、基本的にEU指令上は求められていないということがわかっております。

 ただ、一方、こういった調製粉乳を製造し、販売する際には、この製品について、監視指導ができるように、販売したことについて、管轄当局に届け出を行う必要があるという規定がございます。

 こういった規定については、参考2-8において、抜粋の条文を示させていただいております。

 続きまして、プロバイオティクスの食品への使用について、御説明いたします。

 (1)になりますけれども、我が国のプロバイオティクスの食品への利用につきましては、乳酸菌、ビフィズス菌を使用した食品には、一般的にヨーグルト、乳酸菌飲料、サプリメントが挙げられます。使用される菌株については、単独のものから、複数の菌株による種々の組み合わせが登場していると承知しております。

 また、これらの一般販売されている食品の中においては、消費者庁の許認可制度を受けて販売されている、特定保健用食品として、食品の有効性、安全性の審査を受け、表示についての許可を受けているものも含まれております。

 特定保健用食品の中で、プロバイオティクスが使われている例につきましては、参考2-9、通し番号55ページで、当課で調べて、資料を作成し、お手元にお配りしておりますので、御参考にしてください。

 海外でのプロバイオティクスの調製粉乳等食品への使用でございますけれども、海外においても、こういったプロバイオティクスについては、禁止されておらず、使用されているところでございます。

 一例といたしまして、欧州における報告、参照文献2-6の98ページ、99ページをごらんください。これは英語の論文でございますけれども、この中におきましても、日本語で要約したところによりますと、こういった欧州における報告では、食品に多く使用されている菌種は、Bifidobacterium、あるいはLactobacillusであります。こういった菌について、食品に使用されている対象食品についてですが、その多くは、日本と同じくヨーグルトであるとか、乳酸菌飲料が挙げられるということでございまして、また、先ほど一部、規制の関係上、御説明いたしましたけれども、調製粉乳においても使用があり、そういった利用については、比較的新しいといった報告がございましたので、引用文献をつけさせていただきました。

 海外等々の状況ですとか、これまでの国内のプロセス等を踏まえまして、今後、考え得る方向性を取りまとめたのが4となります。生菌末を含む調製粉乳の厚生労働大臣承認手続の方向性でございます。

 長年、食品に利用されているビフィズス菌、乳酸菌については、現行、具体的な健康への影響は報告されておりません。ただ、今後、新たに調製粉乳への使用が申請される生菌末については、乳幼児の食経験が乏しいものですとか、あるいは安全性の検証が十分でない菌の使用も想定されるところでございます。

 そこで、今後、生菌末を含む調製粉乳につきましては、厚生労働大臣が承認審査する事項、先ほど平成9年通知と御説明いたしましたけれども、その中で示されている事項に加えまして、申請事業者から菌自体の安全性ですとか、当該菌を含む調製粉乳の安全性に係る文書等の提出を求めることが適当と考えております。

 この手続につきましては、先ほどのCODEXですとか、FAO/WHO合同ガイドライン、あるいは欧米の状況も参考にしつつ、その安全性に係る確認事項について、別添のとおり、作成したところでございます。

 別添、当該確認事項案については、通し番号5ページ、6ページでお示しさせていただいております。確認事項案につきましては、原則、FAO/WHO合同ワーキンググループの食品におけるプロバイオティクスの安全性評価で必要とされている事項に従って、取りまとめたものでございます。

 中身につきましては、菌に関する事項として、菌が菌株として同定されていること、あるいは菌が一定の食経験を有するビフィズス菌、乳酸菌であること、そして、プロバイオティクス評価ガイドラインで規定されている安全性評価の試験が菌株ごとに実施され、その結果について、米国、FDAGRAS認定等の科学的評価が既に実施されていることが適当だろうと考えております。

 具体的な項目につきましては、先ほど説明した中にもありましたけれども、合同ガイドラインであるような、抗生物質耐性ですとか、代謝活性ですとか、毒素、溶血性の有無について調べること、書類の中に含めることを考えております。

 また、菌を含む調製粉乳に関する事項としまして、菌株を含む調製粉乳を用い、FAO/WHOガイドラインに従った臨床試験において、副作用がないことが調べられており、これがGRASによって評価されていることを規定することを考えております。

 その他の事項といたしまして、菌の製造方法、食品における使用状況、菌の添加量、その根拠、生菌の推定体内摂取量及びその根拠について、必要な情報を取りまとめて、申請資料の中に加えていただくことを考えております。

 今後、確認事項案に基づいて審査される生菌末を含む調製粉乳の安全性について、食品安全委員会の意見も聞きながら、取り扱いについて検討し、まだ先の話になるかもしれませんけれども、最終的にはパブリックコメント等を踏まえて、関係事業者に対して通知して、その運用を図っていきたいと考えております。

 説明は、以上となります。どうもありがとうございました。

○五十君部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見等がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがですか。

 西渕先生、どうぞ。

○西渕委員 いろいろと御説明ありがとうございました。

 生菌末という言葉から始まって、次にプロバイオティクスと、話が展開しているわけですけれども、使用される用語について、きちっと定義されたほうがいいような気がします。例えばプロバイオティクスについても、参照文献の2-1の最初のページの下の囲い枠の中にあるように、人によって定義が随分違うことがあります。

 今回、問題になっているのは、生菌末ということで、ビフィズス菌と乳酸菌、すなわち、 Bifidobacterium spp. Lactobacillus spp.を意味するのか、あるいはそれ以外の菌であっても、プロバイオティクスの範疇に入るのかどうか、その辺をはっきりされたほうが、今後、複雑な問題が起こることが想定されますので、お考えいただいたらよろしいかと思います。

○五十君部会長 対象とする菌の概念を決めてもらったほうがいいのではないかということです。

 事務局、検討していただけますでしょうか。

○道野食品監視安全課長 生菌末とかなり一般的に書いてしまったのですけれども、実際に、今、検討しようとしているものは、西渕先生が御指摘のとおりのものであります。例えば母乳に含まれているものを検討対象に想定していますので、その辺の定義は、明確に整理をしたいと思います。

○五十君部会長 ほかにはございますか。木村委員、どうぞ。

○木村委員 この問題については、リスクを考えていくときに、2つに分けて考えたほうがいいと思っています。

 1つは、添加するプロバイオティクスの乳酸菌そのもののことということで、これはサイエンスのデータがたくさんありますので、比較的データで整理できると思いますけれども、私が気になるのは、添加していくときの技術的な問題です。先ほど机上で回されていたレトルトとか、あるいはパウチみたいなものは、包装してから加熱するので、菌を入れるすべはないと思うのですが、やるとしたら、LL牛乳のようなアセプティックでつくっていくどこかのラインで、生菌を入れていく。私は勝手にそう解釈しています。

 2つ目のリスクというのは、乳酸菌そのものではなくて、コンタミネーションの問題です。この問題は、先ほどのLLの技術を使えば、問題ないといえば、問題ないのかもしれませんけれども、乳酸菌を培養するという工程が入ってきますので、そこは専門ではないのですが、確実にコンタミネーションがないのかという、そこが、今後、データとしては必要になってくると思います。

 特に牛乳に入れるということは、多くのプロバイオティクスの場合、ヨーグルト、pHが低いわけです。仮にそこに何か雑菌が入ったとしても、もともとpHが低いということで、リスクも低いと考えられる。理解がまだはっきりしていないのですが、これは中性付近のミルクに菌を入れる。入れている間に、品質が変化するのかわからないのですけれども、少なくとも中性付近であると、仮に雑菌が混入した場合には、かなりリスクが高いことになりますから、完全なアセプティックを担保するという部分がしっかりできていれば、問題ないと思います。技術的には余り詳しくないので、それが業界として問題ないということであれば、いいのですけれども、将来的にはそこのデータをぜひ見せていただきたいと思います。

○五十君部会長 事務局、何かありますでしょうか。

○道野食品監視安全課長 乳児用の調製粉乳の場合、製法自体は、スプレードライで缶に入れて封をするというやり方なわけでして、おっしゃっているとおり、包装後、殺菌するわけではありません。また、易熱性成分もありますから、そういったものも含めて、完成品の粉末をつくるのに、多少まぜ合わせていく工程があると理解しています。

 ちなみに、こういった生菌末について、具体的にどのところで加えるかということ、今後、どういうふうに製造されるかということは、まだはっきりしていないところではありますけれども、御指摘のような微生物管理自体は、調製粉乳の製造工程全体として、十分に注意しなければいけない事項だと考えていますので、よくチェックをしていきたいと思います。

○五十君部会長 資料の55ページ、参考2-9に、これは幼児用ではないとは思うのですが、実際に特定保健用食品として、こういった菌が入れられた製品が、市中に出回っているという、先ほどの御説明だったかと思うのですが、今、木村委員から御質問のpHとか、そういった情報は何かありましたでしょうか。

○道野食品監視安全課長 これは全部飲料になっております。

○五十君部会長 飲料ですね。

○道野食品監視安全課長 そういった意味で、製造管理の手法が変わってくると思います。

○五十君部会長 管理が違うということになるわけですね。

○道野食品監視安全課長 はい。

○五十君部会長 わかりました。

 大前部会長、どうぞ。

○大前部会長 私自身は、これを何で入れるのだろうかという、そこに疑問がありまして、入れる必要があるとしたら、入れることによってメリットがなければ、入れても仕方がないと思います。確認事項の中で、先ほど2の(1)の臨床試験の実施に当たっては、対象月齢の健康な乳幼児を対象として行うという、臨床試験はしっかりやってあって、確かに意義がある、あるいは何かを予防できるという結果が出れば、入れることはいいと思うのですけれども、そうでなければ、なぜ入れるのか、そこが理解できないというのが1つです。

 2つ目は、私の認識では、母乳中に菌はいないはずなので、もしいるとしたら、それは乳管であるか、あるいは乳頭のところで出てくるのだろうと思います。母乳の中に菌がいるということは、あり得ないと思います。

 3つ目は、調製粉乳ですから、70度以上というルールになっていますので、70度以上でもこの生菌は生きているのですか。よく知らないので、教えていただきたい。

 次は、粉ミルクの中にこれが入っていても、粉ミルクをあければ、湿度がありますから、湿ってきます。これは生きている菌なので、その中で、調製粉乳の変質が起こらないかということも、お伺いしたいと思います。

○五十君部会長 幾つかありましたが、よろしいですか。

○道野食品監視安全課長 順々にお答えいたします。

 1点目の目的というところに関しては、個別の製品ごとによくチェックしていく必要があると思います。一方で、乳等省令の規定をごらんいただくと、参考2-1の8ページでありますが、基本的には食品衛生法の世界の中なので、メリットというところぐらいまではいいのかもしれないですけれども、効果とか、そういったところまでの確認、それに対して、情報を出せというのは、難しい部分もあると思っています。

 ただ、一方で、乳児用の食品ですから、ある程度保守的に考えるべきという考え方もあると思います。安全性に関しては、食品安全委員会でもよく議論してやっていけばいいとは思うのですけれども、そういった観点からも、むしろ御意見をいただければ、非常にありがたいと思っています。

 必要性については、もちろん一定のデータとチェックは可能だと思いますけれども、例えば新たに試験等をやってまで、持ってこいというと、なかなか難しい部分があると思っています。

 それから、母乳の中に菌はいないというのは、御指摘のとおりだと思いますが、結果として、採取、サンプリングされた母乳の中から検出されているということですので、取り扱いの問題も含めて、実際に赤ちゃんが飲んでいる母乳から検出されたという意味でありますので、申しわけありません。

 あと、70度以上で生存するかどうかというのは、菌種にもよると思います。70度以上というのは、例のサカザキ菌の問題があって、調乳の温度について、一定の目安を設けているわけであります。菌種によって異なってくると思います。もちろん70度以上で壊れたら困るわけなので、一定量残る必要は当然あるわけでありますけれども、そういったことは見ていく必要があると思います。

 粉ミルクは、水分活性が非常に低いので、その中でふえることは、通常は想定されないのではないかと思います。

○五十君部会長 どうもありがとうございました。

 私のところでも、赤ちゃん用の粉ミルクの安全性で、サカザキ菌の検討をやったことがございまして、この資料にもついておりますが、調乳したミルクを室温で置いた場合、どのぐらいふえるとか、そういったデータを出しました。70℃調乳に関しましては、ある程度、菌数の低い評価でございまして、コンタミした菌を調乳で十分コントロールできるレベルは、例えば10の4乗、5乗ぐらいの範囲だったと思います。この場合、積極的に生菌を入れるということになりますと、菌数の問題も関係してくるので、ご指摘の内容に関する考察は、今後されていくと思います。コメントを追加させていただきました。

 ほかにございますか。黒木委員、どうぞ。

○黒木委員 微生物汚染の基準があるわけですけれども、乳酸菌等を加える菌種がよくわからないので、あれですが、加えた菌が、微生物汚染の検査法に与える影響があるかどうかは、そのデータをそろえておいたほうがいいという気がします。

○五十君部会長 コメントありがとうございました。

 そのほか、御意見はありますでしょうか。

○木村委員 先ほどの私の発言は、勘違いのもとで発言していたということに気づきましたので、訂正させていただきます。前半の議題の調製液状乳に入れると勘違いしました。申しわけございません。粉末なので、そこのリスクは全く違うと思います。そこは訂正させていただきます。済みませんでした。

○五十君部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 資料2-1の別添の確認事項案のところで、質問させていただきたいのですけれども、イにD乳酸の産生性とあるのですが、これは例えばD乳酸が代謝されにくいとか、何らかの毒性があるとか、そういうものとして扱われているのか、あるいは何か別の毒をリスクのある菌、指標として扱われているのか、それはどちらなのでしょうか。

○東良課長補佐 これにつきましては、FAO/WHOのガイドラインのページでいいますと、通し番号の40ページになりまして、黒線で囲んだところに1~6の項目がございまして、この中で、Assessment of certain metabolic activitiesの例えとして、D乳酸の産生性について規定をしているということでございます。

 もう一つ、参考となる情報といたしまして、D乳酸につきまして、乳酸の光学異性体L型、D型、DL型というものがあるということでございまして、この中でも、D型については、特に新生児のほうが、D乳酸として、代謝するときに利用することが困難であるといった知見が、JECFAにおいても示されているところでありまして、そういった知見を踏まえて、調製粉乳のCODEX基準におきましても、D乳酸を使用しないということが定められています。

 これについては、お配りしている、通し番号23ページですけれども、3.2.4Only L+lactic acid producing culture may usedと規定されております。こういったところから、確認事項案に含めさせていただきました。

○鈴木委員 わかりました。ありがとうございました。

 そういうネガティブな化合物であるのであれば、許容量とか、そういうものがあると思って、そうした中で、ほかの菌種と同等であるという、何となく漠然とした記述が気になったのですけれども、それはこれでも問題ないという認識ですね。

○東良課長補佐 特にGRASの評価におきましては、必ずしもD乳酸がゼロでなければならないといった評価ではなくて、あくまでも、菌種の中で、ほかの菌と比べて、使用される菌株が、D乳酸の産生量が多いというものでなければ、GRAS評価上、安全としているといった評価がなされております。

○鈴木委員 わかりました。ありがとうございます。

○五十君部会長 ほかに御質問はございますか。大前部会長、どうぞ。

○大前部会長 今のFAO/WHOの資料の37ページを見ると、Food Useがあります。これに至るまでの経路がずっと書いてありまして、3段目のところで、Double blind randomized placebo-controlled phase 2 human trialということで、十分な数をやれと書いてありますので、普通の臨床試験と同じようなイメージでとりなさいと、ここに書いてありますから、これにのっとって、安全なり、あるいは左下はPhase 3になっていますけれども、これは有効性です。有効性は考えなくてもいいというイメージだと思うのですが、そこまでしっかりデータが出てくれば、これは十分だと思います。

○五十君部会長 コメントありがとうございました。

 ほかにございますか。

 ちなみに、資料2-2は、もう説明が終わりましたでしょうか。

○東良課長補佐 大変失礼いたしました。

 資料2-2について、御説明いたします。

 資料2-2につきましては、今回、生菌末の調製粉乳の使用に係り直接問題提起する資料ではございません。あくまでも、現状、調製粉乳に関係する申請手続きについて、委員の先生方の整理のために、提示させていただいた資料でございます。

 本日、御説明した部分につきましては、安全性に関する部分でございますので、左側の項目をごらんになると、おわかりいただけますとおり、厚生労働省が関係する部分としての安全性評価に関する手続がございます。

 一方で、消費者庁で、特別用途食品としての表示の許可に関する手続が、別途あるということを、端的にお示しした資料でございます。

 以上です。

○五十君部会長 御確認ありがとうございました。

 そのほか、委員の皆様から、御質問、御意見等はございますか。

 特段ないようでしたら、一通り、御意見をいただきましたので、事務局において、今後の方針に従いまして、食品安全委員会の意見を聴取するなど、必要な作業を進めていただくことで、御了解いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

 それでは、次回の予定について、事務局より御説明をいただけますか。

○近藤課長補佐 本合同部会につきましては、今後、御審議いただくべき事項が確認された場合には、改めて日程等について、調整をさせていただきたいと思います。

 事務局からは、以上でございます。

○五十君部会長 どうもありがとうございました。

 委員の先生等から、何かございますか。よろしいですか。

 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。熱心な御議論、ありがとうございました。

 


(了)

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