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2017年12月18日 第75回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成29年12月18日(月)16:00~18:00


○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)


○出席者

菊池部会長、佐々木部会長代理、浅野委員、猪熊委員、翁委員、駒村委員、関委員、田中委員、野上委員

○議題

(1)平成28年度財政状況について-厚生年金保険(第1号)-
(2)平成28年度財政状況について-国民年金・基礎年金制度-
(3)その他

○議事

○真鍋首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまより第75回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 前回の部会開催以降に、事務局で異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。

 年金局長の木下でございます。

 年金局総務課長の岩井でございます。

 年金局年金課長の伊澤でございます。

 年金局資金運用課長の宮崎でございます。

 それでは、審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席図のほか、資料1「平成28年度財政状況-厚生年金保険(第1号)-」。

 資料2は「平成28年度財政状況-国民年金・基礎年金制度-」です。

  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、猪熊委員、野上委員が30分ほど遅れて御出席との連絡を受けております。

 それでは、以後の進行につきましては菊池部会長にお願いいたします。

○菊池部会長 委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 社会保障審議会年金数理部会では、被用者年金制度の安定性、公平性の確保に関し、毎年度の報告を求めることとされていることから、毎年度、財政状況の報告を受けております。本日は、厚生年金保険(第1号)及び国民年金・基礎年金制度の平成28年度財政状況について報告を聴取いたします。

 カメラはございませんね。

 それでは、説明者の皆様、どうぞ説明者席へお移りください。

(厚生労働省年金局 武藤数理課長、同 村田調査室長 説明者席へ移動)

○菊池部会長 本日はお忙しい中、年金局数理課の武藤課長と年金局事業管理課調査室の村田室長にお越しいただいております。どうもありがとうございます。

 まず、厚生年金保険(第1号)の報告を聴取いたします。

 それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○武藤数理課長 数理課長でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まず、平成28年度の厚生年金保険の財政状況でございますけれども、年金財政の関係につきましては私、武藤から、受給者・被保険者の実績の統計の関係につきましては、隣におります事業管理課調査室長の村田から御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。

 なお、これは昨年度と同様ですけれども、本日の御報告につきましては、基本的に旧厚生年金の範囲での御報告となっておりますことを冒頭申し上げておきたいと思います。

 それでは、早速ですけれども、お手元にございます資料1「平成28年度財政状況-厚生年金保険(第1号)-」をおめくりいただきまして、まず1ページ目、「1.収支状況」でございます。

 ここに左から右、平成24年度から28年度まで時系列で数字が並んでおりまして、右の平成28年度の欄をご覧いただきたいと思います。最初に上の収入総額でございますけれども、基本的に積立金の運用に関しましては、時価ベースで整理してございますので、ここで括弧つきの時価ベースの数字を見ていただきますと、収入総額が561,627億円、平成28年度につきましては時価運用収入がプラスでございましたので、時価運用収入がマイナスであった前年度との比較で見た収入総額も大きくプラスとなっているところが特徴でございます。

 収入の内訳を主なところで申し上げますと、まず保険料ですが、294,754億円で、前年度と比べまして1兆6,392億円、5.9%の増でございます。この増加の要因といたしましては、被保険者数の増加による影響が大きくて、5.9%のうち3.1%相当が被保険者の増加による影響でございます。あと、保険料率の毎年度の0.354%の引上げがございまして、それによる寄与が2.0%分ぐらいと分析しているところでございます。

 次に、国庫負担でございますが、9兆2,458億円ということで、194億円の増になっているところでございます。

 また、運用収入ですが、基本的に時価で考えることとしておりまして、括弧のついた時価ベースで見ていただきますと、7兆4,076億円ということで、前年度は時価運用収入がマイナスだったわけですけれども、それと比べまして124,157億円の増となっているところでございます。

 あと、基礎年金交付金が7,388億円でございます。

 また、その2つ下の段に厚生年金拠出金収入4兆6,391億円があります。これは平成2710月の被用者年金の一元化によりまして、各実施機関が1・2階の積立金や標準報酬などの負担能力に応じて厚生年金勘定に拠出することとなったものでございますが、前年度は半年分でありました27年度と比べまして、今年度については1年分となったことにより、規模がおおむね2倍となっているところでございます。

 支出の欄の2つ下に行っていただきまして、解散厚生年金基金等徴収金の額が4兆3,844億円と昨年度と同様大きくなってございます。これは平成26年4月から厚生年金基金制度が見直されたことの影響によるものと考えてございます。

 また、積立金より受入が平成26年度以降同様のことですが、平成28年度もございません。これは資金繰りのために積立金から受け入れるものでございますけれども、平成28年度についても、保険料収入がふえたことや、先ほど申し上げた解散厚生年金基金等徴収金がふえたことなどを受けたものでございます。

 続きまして、支出の総額でございますが、456,595億円でございまして、2兆7,587億円の増になっているというところでございます。このうち給付費が234,814億円でございまして、対前年度で416億円の増、基礎年金拠出金が172,624億円でございまして、対前年度で3,129億円の増になっているところでございます。

 また、基礎年金拠出金につきましては、これも御案内のとおりですけれども、被用者年金の一元化におきまして、いわゆる妻積みが、つまり基礎年金制度が導入された際に国民年金勘定にあった積立金のうち、それまで任意加入だったが第3号に移った被用者の妻の保険料分が基礎年金勘定の積立金として置かれていましたが、それに対応する分が基礎年金拠出金に充てられることとなりました。その充てる額、約1,300億円を控除してこの基礎年金拠出金の数字になっているところでございます。さらに、被用者年金一元化による平成27年度からの項目である厚生年金交付金は、各実施機関が行う厚生年金の保険給付に要する費用のために交付されるものですけれども、4兆7,855億円、平成27年度の約2倍となっているところでございます。

 全体をトータルいたしましての収支残は、時価ベースで見ていただきますと、105,031億円で、前年度に比べまして132,480億円の増になっているわけでございます。

 これらの点を踏まえて、年度末積立金の時価ベースの額がどれだけになっているかを見ていただきますと、1444,462億円となっておりまして、これは前の年に比べまして105,151億円の増となってございます。この数字、先ほど時価ベースの収支差引残で述べました数字がベースになっておりますけれども、これに加えまして、あと、業務勘定から積立金への繰入という欄が収支残のすぐ下にございますが、この120億円を足したものとちょうど一致しているということでございまして、これが実質的な収支残と申しますか、積立金の変化をあらわす額になっているわけでございます。

 収支状況、最後に積立金の運用利回りですが、時価ベースの数字で、これが一番下の欄にございます5.47%になっているところでございます。

 まずは、収支状況は以上でございます。

○村田調査室長 事業管理課調査室長の村田でございます。よろしくお願いいたします。

 私からは、受給権者数、それから被保険者の実績統計に関して御説明させていただきます。

 まず、2ページをご覧ください。こちらは給付状況に関する資料になります。平成2710月より、被用者年金制度が一元化されておりますけれども、この給付状況の資料では、厚生年金保険の第1号に係る数値を計上しておりまして、一元化により新たに厚生年金に含まれることとなりました国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団の情報は含んでいないことに御留意いただければと思います。

 まず、厚生年金の受給権者数でございますけれども、平成29年3月末の欄、こちらが平成28年度末の数値になりますが、この一番上の段をご覧いただきますと、受給権者数は全体で3,6257,000人となっております。前年度と比べまして258,000人、0.7%の増加となってございます。このうち老齢相当が1,5688,000人で前年度とほぼ同水準、それから通老相当が1,4202,000人で1.1%の増加という状況でございます。

 続きまして、年金総額でございますけれども、これは1つ下の2段目のところになりますが、受給権者全体で268,132億円、これは前年度と比べまして0.9%の減少となってございます。このうち老齢相当が182,442億円で1.6%の減少ということでございます。この年金総額が減少した要因でございますけれども、こちらは男性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が本年度、61歳から62歳に引き上げられましたので、そのことの影響と考えております。

 続きまして、3ページをご覧ください。こちらは減額・繰上げ支給及び繰下げ支給の状況でございます。まず、減額・繰上げ支給についてですけれども、平成25年度から、男性の特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げがあったわけでございますが、これに伴いまして、繰上げ支給を選択することができるようになってございます。ですので、この統計は平成25年3月末の欄は旧3共済及び旧農林年金の減額年金のみのデータとなっておりますけれども、平成26年3月末以降は、この減額年金に加えまして、繰上げ支給を含めた数値になってございます。

 数字を見ていきますと、平成29年3月末では減額・繰上げ支給の受給権者数は157,000人となってございます。一方、下の段になりますけれども、繰下げ支給の受給権者数は29年3月末で279,000人ということでございます。

 次に、4ページは、老齢年金受給権者の平均年金月額等についてでございます。男女合計の老齢相当の老齢年金の平均年金月額は、一番上の段にありますように平成29年3月末で9万6,912円となっておりまして、前年度に比べて1.7%の減少となってございます。

 こちらは基礎年金分を含んでいない厚生年金だけの額でございますので、この額に老齢基礎年金月額を加算した平均年金月額をご覧いただきますと、3段下の欄になりますけれども、145,638円となっております。こちらが基礎年金まで含めた平均年金月額でございまして、前年度に比べて0.2%の増加ということでございます。

 厚生年金分の平均年金月額が1.7%減少した理由としましては、主に高齢層を中心とした比較的年金額の高い方が抜けていく一方で、60歳代前半の比較的年金額が低い方が入ってくるという人の入れ替わりと考えております。

 続きまして、5ページは、新規裁定者に関する資料でございます。新規裁定者の年金は、基本的には特別支給の老齢厚生年金ということになりますので、定額部分のない報酬比例部分のみの年金となってございます。平成28年度の加入期間が20年以上の新規裁定者の平均年金月額は7万3,148円となってございます。前年度と比べて11.4%の減少となっておりますが、これは新規裁定者の男女構成割合の変化によるものでございます。平成28年度は、先ほど申しましたように男性の支給開始年齢が引き上げられましたので、このことによりまして、男性の新規裁定者数が大幅に減少しております。したがいまして、相対的に女性の比率が高まったということで、その結果、男女計の平均が押し下げられたと思っております。

 続きまして、6ページから8ページは、老齢相当の老齢年金につきまして、給付状況を詳細に見たものになっております。特に60代前半につきましては、各歳別のデータとなっておりますので、支給開始年齢の引上げの状況を見てとれる形でお示ししております。

 厚生年金の支給開始年齢の引上げは、男性と女性でスケジュールがずれておりますので、男女合計ではなくて、男女別の資料をご覧いただきたいのですけれども、まずは7ページ、男性についての状況でございます。一番左の平成25年3月末の列をご覧いただきますと、特別支給の定額部分の支給開始年齢がまだ64歳だったということで、63歳と64歳の平均年金月額の間に段差があります。それから、25年度以降は定額部分の支給開始年齢が引き上がりまして、65歳未満の全ての年齢で特別支給の定額部分がなくなっておりまして、そういった状況が見てとれるかと思います。

 今度は60歳の欄を横に見ていただきたいのですけれども、25年3月末と26年3月末の間で受給権者数が大幅に減ってございます。こちらは平成25年度に報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられたことの影響です。さらに、61歳の欄を横に見ていただきますと、28年3月末と今年度、29年3月末の間でやはり同じように受給権者数が大幅に減っておりまして、こちらは28年度に報酬比例部分の支給開始年齢が62歳に引き上げられたことによるものでございます。

 次に、8ページは、女性についての状況でございます。先ほど申しましたように、女性の場合は支給開始年齢の引上げが男性よりも5年遅れのスケジュールとなっております。左のほうから見ていきますと、24年度から26年度までの3カ年につきましては、定額部分の支給開始年齢が63歳であったということで、62歳と63歳の間で段差がございます。それから、平成27年度には定額部分の支給開始年齢が64歳に引き上げられましたので、63歳と64歳の間に段差があるという状況でございます。

 次に、9ページは、老齢相当の老齢年金受給権者の年齢構成でございます。平成28年度末は、いわゆる団塊の世代、昭和22年から24年に生まれた方が67歳から69歳になっているということでございまして、そうしたこともあって、65歳から70歳のところの構成割合が27.6%と最も大きくなっている状況でございます。前年度と比較しますと、支給開始年齢の引上げの影響もありまして、60歳から65歳のところの割合が落ちている状況でございます。

 次に、10ページからは、被保険者の状況でございます。被保険者の統計につきましては、被用者年金一元化後は、第1号厚生年金被保険者、いわゆるもとからの厚生年金の部分に係る数値を計上しております。

まず、被保険者数ですけれども、平成29年3月末、28年度末でございますが、こちらは3,8218,000人となっておりまして、前年度と比べて大きく伸びまして1354,000人、3.7%の増加となってございます。男女別で見ますと特に女性の伸びが大きく、5.6%の増加ということでございます。

 被保険者の平均年齢ですが、男性が44.2歳、女性が42.2歳、男女計で43.5歳となっております。前年度に比べて0.2歳から0.3歳上昇したという状況でございます。

 下の囲みの中段ぐらいのところですけれども、標準報酬総額〈総報酬ベース〉(年度累計)の数値を見ていただきますと、こちらにつきましては1659,457億円となっておりまして、3.0%の増加ということでございます。

 一人当たりの標準報酬額の総報酬ベースの月額ですけれども、こちらは一番下の段でございますが、男性が417,694円、女性が274,335円、男女計で364,587円となっておりまして、前年度に比べて0.1%の減少となってございます。

 また、平成2810月から厚生年金保険の適用拡大が行われまして、一定の要件を満たす短時間労働者の方も加入対象となっております。これに伴いまして、今回から、平成29年3月末の列のところに短時間労働者の被保険者数などを再掲させていただいております。こちらを見ていただきますと、29年3月末におきましては、短時間労働者の被保険者数が291,000人、平均年齢が49.8歳と、そういった状況になってございます。

 続きまして、11ページからは被保険者の分布でございます。こちらにつきましても、先ほど申しました2810月からの適用拡大に伴いまして、短時間労働者に関するデータを新たに追加させていただいております。上段が従来お示ししてきました被保険者全体の分布、下段が今回の資料から新たに追加しました短時間労働者の分布になっております。

 こちらも男性、女性別にご覧いただきたいのですけれども、まず、12ページの男性につきましては、上段の分布を見ていただきますと、40歳以上45歳未満のところの人数が最も多くなっておりまして14.5%でございます。ここをピークとした山の形になっております。一方で、下段の短時間労働者の再掲を見ていただきますと、60歳以上65歳未満のところ、それから65歳以上のところ、ここら辺の高齢の層の人数が多くなっておりまして、ピークがこちらにあるということがわかるかと思います。

 続いて、女性の分布でございますが、こちらは13ページでございますけれども、まず上段の全体の分布を見ていただきますと、女性の場合はピークになる場所が2カ所ございまして、1つは25歳以上30歳未満のところの12.3%、もう一つが40歳以上45歳未満のところの13.4%となっておりまして、いわゆるM字カーブの形で、山が2つあるという状況になっています。こちらの傾向につきましては、従来と変わりないということでございます。一方で、下段の短時間労働者の再掲を見ていただきますと、45歳以上50歳未満のところが最も多くなっておりまして、ここをピークとした山の形になっております。平均年齢とかを見ていただきますと、短時間労働者の方のほうが若干年齢層が高いのかなというような状況でございます。

14ページは標準報酬月額別の被保険者の分布でございます。左側が被保険者全体の分布、右側が短時間労働者の再掲になっております。まず、男性について全体の分布を見ていただきますと、一番多いのが62万円の等級でございまして、こちらが全体の9.4%を占めています。次に多いのが26万円、28万円、30万円あたりのところでございまして、それぞれ6.6%、6.2%、6.5%と6%台となってございます。

 女性につきましては、その右隣の列のところでございますけれども、22万円のところが最も多くて9.6%、その前後が8%台ということで多くなっています。

 右側に行きまして、短時間労働者の標準報酬月額の分布を見ていただきますと、男性の場合はピークが11万円、女性の場合はピークが9.8万円ということで、等級の低いところに山ができていることが見てとれます。

 私からは以上です。

○武藤数理課長 続きまして、15ページ、積立金の運用状況についてでございます。このページは、昨年度までと見た目が若干変わっておりますけれども、昨年度までは特記事項欄に掲載しておりました厚生年金と国民年金の資産区分別の内訳が下の表の形式になってございます。

 まずは上の表、年度末積立金1444,462億円の資産構成割合でございますが、預託金が5.7%、市場運用分が93.3%、財投債が1.1%となっているところでございます。

 下の表にございます資産区分別の内訳ですが、GPIFにおきましては、厚生年金、国民年金をあわせて一体として運用しているところでございまして、年金特別会計も加えた全体の資産運用の平成28年度末の時価総額は151935億円、その内訳の割合につきましては、国内債券が31.7%、国内株式が23.3%、外国債券が13.0%、外国株式が23.1%、短期資産が8.9%ということでございます。

 続きまして、16ページ、こちらは財政検証における将来見通しと実績との比較ということでございます。なお、平成26年財政検証自体は被用者年金一元化がありましたので、それを踏まえて足下から共済分も含んだ財政見通しをお示ししているところでございますけれども、本日冒頭にも申し上げましたように、ここでは平成28年度の旧厚生年金の実績と比較するということで、共済分を含まない数値を掲載してございます。

 また、平成26年財政検証につきましては、幅の広い経済前提を設定して、複数の財政見通しを作成しているところでございますけれども、ケースC、E、Gの3つの数値を掲載しているところでございます。ただ、以降の御説明につきましては、一例としてのケースEの数値を参照しながら比較してお話をさせていただきたいと存じます。

 表の一番上の段に、厚生年金基金の代行が除かれたものの特会の実績を掲げてございます。これが、1ページ目でも御説明させていただきました、いわゆる特別会計の実績ということになりますけれども、将来見通しは基金代行分を含んだ形で行われていることになりますので、将来見通しと比較するためにベースをそろえるということで、実績の欄の1つ下に実績推計の欄を設けてございます。例年どおりではございますが、これと将来見通しを比較するということで御説明申し上げたいと思います。

 まず、実績推計の欄ですが、どのようにこの数値を作成するかということについて、下の特記事項の欄を見ていただきますと、若干字が小さくなって恐縮ではございますけれども、基礎年金交付金を収入支出の両面から控除するということ。それから、保険料に厚生年金基金に係る免除保険料を加え、給付費には基金代行分を加えるということ。その他幾つか細かい控除をしたほうが適切な費目を控除するということなどをやりまして、あと、大きいところといたしましては、積立金に厚生年金基金の最低責任準備金等を加えるということでございまして、これが11.5兆円。それから、国庫負担繰り延べ分3.7兆円を加えるということ。あと、運用収入に基金分の運用収入を加えるなど、このような補正を行いまして、将来見通しと比較できる数字にしているところでございます。

 上の表に戻っていただきまして、まず保険料収入の比較ですけれども、平成26年財政検証のケースEの将来見通しの数値は28.3兆円と見込んでいたところでございますが、この実績推計の数値で申し上げますと、29.6兆円ということで、1兆円以上実績推計のほうが多いということになるわけでございます。この差の主な要因としましては、下に書いているとおりですけれども、被保険者数の増加ということで、見通しでは3,505万人だったものが実績では3,793万人で、増加しているということでございます。これを大きな要因として保険料収入に差が生じているという状況です。

 次に、国庫負担でございますけれども、実績推計が9.2兆円、将来見通しでは9.0兆円だったので、これは将来見通しよりやや多くなっているところでございます。

 次に、被用者年金一元化に伴って導入されました厚生年金拠出金収入につきましては、将来見通しでは4.7兆円と見込んでいたところですが、実績推計では4.6兆円ということでございます。

 一方、運用収入につきましては、将来見通しは3.1兆円と見込んでいたところが、時価ベースの数値で8.2兆円ということでございます。要因として書いてございますのは、見通しでは2.17%という運用利回りの見込みだったものが、実績では5.47%だったということでございます。

 支出の欄で、まず合計でございますけれども、将来見通し46.9兆円に対して、実績推計は46.1兆円です。これは給付費が将来見通し24.8兆円に対して、実績推計が23.8兆円、また、基礎年金拠出金は将来見通しが17.2兆円に対して、実績推計が17.4兆円という状況になっているところでございます。さらに、被用者年金一元化に伴い導入された厚生年金交付金につきましては、将来見通し4.8兆円に対して実績推計も4.8兆円でございます。

 結果、収支残を見ていただきますと、将来見通しではマイナス1.5兆円と見込んでおりましたが、実績推計は5.8兆円になっており、大半は運用収入の収益の差によるところでございます。

 年度末積立金も財政検証ベースですので、基金代行分を含んでいるということでございますが、142.1兆円という見込みだったものが、159.7兆円ということです。これはこれまでの運用実績がプラスであったことを受けて、実績推計のほうが上回った姿になっているところでございます。

 続きまして、17ページ、被保険者数及び受給者数の将来見通しとの比較というところでございます。この表の結果を見ていただきますと、右の受給者数は近い数値になっておりまして、被保険者数については実績のほうが大きい数値になっているところでございます。

 次に18ページ、財政指標の比較ということでございますが、まず、こちらのページは年金扶養比率でございます。何人で1人の受給者を支えるかという比率でございますけれども、平成28年度の欄では、上の表の左下にありますように2.54ということでございますが、財政検証の見通しでは、下の表ですけれども、平成28年度は2.3であったということで、実績のほうが大きくなってございます。これは前のページでも確認したところですけれども、財政検証の見込みと実績との間で被保険者の実績が多いことによるものでございます。

 最後、19ページ、積立比率です。こちらに関しましては、28年度の数値、上の表の注1に書いてございますけれども、厚生年金基金の代行部分等を補正した率で見るということですが、上の表の左下の数字、4.8という数値でございまして、これが実績でございます。

26年財政検証における28年度の数値は表の下のほうですけれども、4.3でございましたので、それを実績が上回っておりますが、これまでの運用収益のプラスを受けてこのような結果になっているところでございます。

 厚生年金の御説明は以上です。

○菊池部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして、委員の皆様から御質問をお願いいたします。

 田中委員からお願いします。

○田中委員 2点ほど御質問があります。

 1つは、11ページから13ページの被保険者の分布のところですが、このたび短時間労働者についての統計が出てきておりまして、それを見ると合計で291,000人、その内訳は男性が8万6,000人、女性が204,000人という数字になっております。内訳を見ると男女でかなり違っておりまして、男性は60歳から65歳以上のゾーンが非常に多い。まだ全体としては数は非常に少ないのですけれども、おそらくこれは定年になった後、再雇用かどうかわかりませんが、いわゆるパートタイムで出ているような方かと想像します。まず御質問としては、そういう傾向があるのかどうかということです。

 また女性については、M字カーブのお話がありましたが、従来からパートで流通業、スーパーとかで働いていた主婦の方が中心であって、逆に高齢のところは余り変化がないというか、男性のように60歳以上が多いとかそういう傾向はないということで、これはそのような私の解釈でいいのかというのが確認の質問です。

 もう一つは、全然違う内容ですが、15ページの預託金と財投債です。時価ベースと書いてありますが、財投債については償却原価法ということで、時価ベースではないということらしいのですが、まず1点は、資産構成の上と下は、国民年金と厚生年金の合計が下の数字で、上のほうは按分基準で厚生年金分をとったものなのかどうか。按分された変動だったのかということです。

 それから、財投債はいいのですが、預託金についても時価評価をしているという話も聞いているのですが、この欄では預託金はどのような評価をされているかという、この欄で預託金の評価ですね。時価評価はされていないのか、されているとすればどのような方法でやっているかという2点です。

 前半と後半は全然違う質問ですが、お願いいたします。

○村田調査室長 まず1点目でございますけれども、短時間労働者の分布に関しまして、男性について高齢者が多くなっているのは、定年後の再雇用などではないかということでございますけれども、これは先生のおっしゃるとおりだと認識しております。近年、65歳以上とか60歳以上のところで、どんどん被保険者数が増えていっているような状況でございますので、今後も見守っていきたいと思っております。

 それから、女性に関しての短時間労働者のところでございますが、こちらも先生がおっしゃるように、パートの方が短時間で働いていらっしゃいまして、そういった方が今回、適用対象になったということで、先生のおっしゃるとおりだと認識しております。

○武藤数理課長 2点目の積立金の時価・簿価評価の関係ですけれども、確認して後でお答えさせていただきたいと思いますが、国内債券の下にある再掲の財投債は、GPIFで時価運用しているものだとすれば時価の可能性があるということなのですけれども、一番下の欄の再掲で書いてある預託金は、特会での資金繰りの観点で持っている預託金だと思われますので、評価については後ほど確認して御回答させていただきたいと思います。

○田中委員 ありがとうございました。結構です。

○菊池部会長 翁委員、お願いします。

○翁委員 収支状況のところで、保険料の増加は、1つが被保険者数の増加と料率引上げということで最初に御説明いただいたのですが、5.9%でほかに説明し切れていない要因があるとしたら教えていただきたいというのが、まず1つ目です。

 2つ目は、解散厚生年金徴収金というのが今回、前年より少し低くなって、若干小さくなっているわけですね。今後の推移はどのようになると見ておけばいいのかというか、ちょっとイメージを教えていただければということです。

 3点目は、10ページで、賃金が上昇しているので総報酬ベースでの標準報酬総額は増加しているわけですけれども、最後のその下の下の欄の一人当たり月額で見ると少しマイナスになっている。ちょっと説明を聞きそびれたかもしれないのですが、これは被保険者数がそれぞれふえていて、それでこういう形になっているのか。ここの御説明、男女も少し差がありますので、ちょっと解説していただければと思います。

○武藤数理課長 まず1点目の保険料収入と、3点目の10ページの賃金の伸びとは関係がありますので、私からあわせて回答させていただきたいと思います。

 翁委員がおっしゃるとおり、保険料収入総額の伸びは5.9%で、自分が先ほど説明したのは被保険者数の増加が一番大きくて3.1%と、保険料率の引上げは2.0%ということですので、足して5.1%ということですから、5.9%と5.1%の差、残り0.8%ぐらいがあるということになります。普通に考えると、あと影響を与えそうなものとしては、一人当たりの賃金が伸びていれば保険料収入は伸びるということになるのですけれども、一人当たりの賃金につきましては、まさに今おっしゃった10ページの表で見てみますと、年間の財政収支を考えるときに、ここに書いてある数字のどれで見るのが一番適切かということでいきますと、一番下の総報酬ベースでの標準報酬総額の一人当たりの増減額ということなので、これだと男女計でマイナス0.1%になります。それが、やや横ばいよりはちょっとマイナスになっているということでは、増減に影響をそれほど大きく与えるものではないということです。

 他に何の要因があるかということなのですけれども、厚生年金基金の解散の影響があるということです。つまり、今まで特別会計の外で厚生年金基金が代行していたものを、特会でやる分がふえるということになりますので、免除保険料が減少して特会の保険料がふえるということになりまして、その影響が0.9%ぐらいあって、その差の影響の大層はそれで説明がつくということになります。

 解散厚生年金基金等徴収金の今後の状況がどうかというところにつきましては、ふだん本体の数字を見ている者として、今後どういう状況になるかというのは詳細にはふだんは見ていないのですけれども、年度末の基金数自体で見てみますと、27年度から28年度にかけてかなり減っておりますので、今後、もしかしたら減っていくのかもしれないと思います。そこは今後しっかり数字を注視していきたいと思っております。

○翁委員 わかりました。

○菊池部会長 それでは、浅野委員どうぞお願いいたします。

○浅野委員 まず、10ページの短時間労働者の欄で賞与総額、その他一人当たりの数字とかがバーになっているのですけれども、ざっくりでいいのですが、オーダーベースでこのあたりはどうなのかというのがもしわかれば教えていただきたいと思います。

16ページ以降、財政検証における将来見通しの比較ということで、これがある意味、大変大切ではないかと思うのですけれども、この実績と財政検証時の将来数値の見通しを見て、これをまとめられた事務局としては、現在どのような評価をされているのかというのをお教えいただきたいと思います。

 とりわけ最後の19ページの経済前提を見ますと、28年度の数値だけ見ると、実績のほうがよく見えるのですけれども、一方、経済前提を見ますと、例えば賃金上昇率とか物価上昇率は実際の財政検証時の数値より大きく下回っているという乖離があるのです。これが今後、将来続くとなると、どういう影響があって、そのあたりは財政上どのように評価をされているのかということであります。

 最後は、これはちょっとつまらないことなのですけれども、1ページ目の運用収支とか収支残のところでマイナスとプラスの割り算をしているのですが、この出ている数字は余り意味がないのではないかというか、誤解を招くのではないかと思うので、むしろバーのほうがいいのではないかと思います。つまらない話で済みません。

 以上です。

○菊池部会長 お願いします。

○村田調査室長 短時間労働者の賞与に関するお尋ねでございますけれども、短時間労働者につきましては、2810月から入ってきているのでございますが、システムで統計を本格的にとれるようになったのが29年3月分からでございまして、賞与に関しては、まだ3月分のデータしかない状況でございます。ですので、来年度、29年度からは、きちんとここの今、点になっているところをお答えできるかと思います。

 ちなみに、企業とかでは賞与を出す月や額がかなり月によって変動しているので、3月分を見てもほとんど全体の傾向を見るということにはならないのですが、29年3月分の短時間労働者の賞与ということで一応御紹介だけさせていただきますと、8,338人の方に平均で3万4,199円の賞与が出たということで、簡単に掛け算しますと3億円ぐらいの規模でございました。

 ただ、3月ということですので、一般的に一番賞与が出るのは12月ですとか6月だと思いますので、ほとんど参考にはならないかと思います。来年度はきちんと出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○武藤数理課長 実績と財政検証の比較でそれをどう評価しているかということですけれども、浅野委員がおっしゃったとおりで、運用の状況については比較的プラスになっているのかなと見ています。前提よりも運用の結果はいいということになっています。

 あと、賃金、物価の伸びが低いというのもおっしゃるとおりでして、賃金、物価の伸びが低いことによってマクロ経済スライドの発動がおくれたりすることにもなりますので、そういう要素がある。

 おっしゃっていない話として1個あるのは、被保険者数がかなり増加しているというところがありまして、これは厚生年金を支える被保険者がふえているということでかなりプラスになっているかなと思っています。

 以上を相殺して、次の31年財政検証でどうなるかということですけれども、こういう毎年の実績との比較等を通じながら、数字をしっかり注視して、次の財政検証に取り組んでいきたいと考えているということでございます。

 なお、1ページ目のプラス・マイナスが入れかわる評価数字の表記の方法につきましては、来年に向けてどういうふうに書いたらいいのか、よく検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 あと、田中委員から先ほどありました積立金の時価・簿価の関係ですけれども、再掲の財投債と再掲の預託金につきましては、いずれもここの部分については簿価で評価しているということでございます。

 以上です。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。

 野上委員、お願いします。

○野上委員 おくれて来て質問するのもちょっと気恥ずかしいのですが、よろしくお願いします。

15ページ、16ページに関して御質問したいのですが、運用結果が非常によかったということで、現在、次の29年度も今のところ結構好調ということで、大変喜ばしいことだと思うのですが、多分これでどのぐらい安心していいかという議論をしないと数理部会としてはちょっと足らないのではないかと思っておりまして、去年もお願いした件なのですけれども、実際問題としてリスクはどのぐらいあって、例えばバリュー・アット・リスクで言うと現在どのぐらいのポジションにいるかというようなことが、もし把握できれば、例えば全体として集計という形で難しいのであれば、数理部会のほうで推計計算みたいな形でできないものかどうかということについて、御見解をお聞きしたいということでございます。

 もう一つは、被保険者数がふえているということなのですが、これは単純にお聞きしたいのですが、財政検証のときにオプション試算で参加率がふえた場合というのをされていたと思うのです。そのときの試算は、多分、60歳から64歳の人がふえるというのは余り入っていなかったような記憶があるのですが、その点について、もしそうであれば、あのときのオプション試算がそのまま参考としてできるのかどうなのかという点について、お教えいただきたい。

 2点でございます。よろしくお願いします。

○武藤数理課長 2点目の労働力率の話ですけれども、労働力率を財政検証でどう捉えるかというのは2通りあるのですが、まず、労働力率推計で労働参加が進むケースと進まないケースを2ケース設けているということがございます。例えば、男性、女性、2通りあるのですけれども、男性でいくと、一言で言うと60歳代の労働力はかなり将来に向かって進むケースだと上がっていく、進まないケースだと現状固定だということで見ていまして、例えば60歳代前半の労働力率ですと、進まないケース、現状だと7割台半ばぐらいのものが、進むケースだと9割ぐらいになる。あるいは、60歳代後半でいくと、今の進まないケースだと5割弱なのですけれども、それが3人に2人ぐらいは働くようになるということで、一応、進まないケースと進むケースで2通りやるということで高齢者雇用のことは考えているということが1点ございます。

 あと、オプション試算につきましては、適用拡大を一定の前提を置いて仮定したケースがございますので、短時間のパート労働者に今よりも拡大した220万人のケースと、さらには今、非適用事業所になっているような事業所の被用者の方まで1,200万人ベースで拡大するというケースがありまして、それぞれに応じて被保険者数を仮定しているということになります。

○野上委員 そのときの試算が役に立つということでよろしいのですね。

○武藤数理課長 最近の被保険者数の増加につきましては、年金財政に与える影響としては、そのときのオプション試算みたいな効果はありますので、その効果を見ながら、増加の程度もありますけれども、一定程度は似たような効果が確認できるのではないかと思います。

○野上委員 ありがとうございました。

○菊池部会長 1点目に関してはよろしいのですか。

○野上委員 去年お願いしたように、そういうリスクケースといいますか、数字で捉えられないかなと思っておりまして、個々の年金ファンドごとにはつかまえておられるというところまでは去年わかったのですが、あとはそれを集計するといいますか、一緒にできて参考数値として出せれば非常に参考になるのではないかと思ってございます。その点について、いかがでしょうかということでございます。

○宮崎資金運用課長 去年も野上委員から御指摘がございましたけれども、まず、各年度の運用結果についてどのように評価するかというのは、それぞれで評価の仕組みがあり、3共済も含めた厚生年金全体としての評価というものも定期的に行っています。それはきちんと公表させていただくこととしており、28年度につきましても、現在、作業を進めているところでございます。

 また、現在抱えている基本ポートフォリオ自体のリスクがどうなっているのか、それが現在の経済情勢を織り込んだときにどう評価されるのかにつきましては、例えば、GPIFにつきましては、業務概況書の中でそういうものを公表しております。それを4つあわせてというのは、なかなか難しいと思っているのですが、厚生年金の大宗を占めるGPIFに関しては、かなり詳細なリスク分析を毎年度検証して、公表しておりますので、その中でまた少し議論もしていきたいと思っております。

○野上委員 ありがとうございます。

○菊池部会長 ほかには。

 佐々木委員、お願いします。

○佐々木部会長代理 まず、先ほど浅野委員からありましたように、賃金上昇とか物価上昇というのは、現役とか年金受給者、それから年金財政にも非常に大きな影響を与える。ただ、平成28年度で見ても実績と推計の乖離が相当あるということで、これについては引き続き注視していきたいと思います。

 1点、参考になるコメントをいただければと思うのですが、年金運用の実績が非常に好調ということなのですが、これは内外の株式が非常に好調であるということに支えられていると思っているのです。15ページにもありますように、内外株式が半分ぐらいを占めているわけですね。株価の水準はわからないのですが、例えば、GDPで見ても相当高い水準にあるという指摘もあるのです。これについて参考になるコメントをいただければありがたいのです。

○宮崎資金運用課長 私が担当する分野だと思いますが、法人の、あるいは厚生労働省としてのマーケットビューというものを申し上げるのは、基本的にマーケットへの影響などもありますので、していないというのが現状でございます。その点は御理解いただきたいと思います。ただ、そうした状況などを見ながら、今、株式、債券等の分散、また、なかなかボラティリティーが高い状況もありますので、分散投資としてオルタナティブ投資への投資も、0.1%程度ですからほとんど基本ポートフォリオに影響するレベルではございませんけれども、そういうことも徐々に取り組みながら、これは長期の運用でございますので、長期的に見て大きな問題のないように、難しい運用環境だとは思いますけれども、取り組んでいるというのが状況でございます。

 個々のマーケットビューについては、御容赦いただければと思います。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。

 翁委員、どうぞ。

○翁委員 老齢年金受給権者の平均年齢は大体7374歳という御説明を9ページでいただいたのですけれども、後から御説明いただく国民年金基礎年金というのは、2歳ぐらいそれよりも高いですね。この差はどのように理解すればいいのでしょうか。

○村田調査室長 厚生年金は特別支給がございますので、特に女性でしたら60歳から出ておりますし、男性でも今は62歳から出ておりますので、そういうことで平均年齢は厚生年金のほうが前に引っ張られるということではないかと思います。

○菊池部会長 ほかには。

 関委員、どうぞ。

○関委員 12ページの、先ほど定年後の再雇用が多いという話があったのですけれども、もうちょっと細かく伺わせていただきたいのですが、年齢階級の被保険者期間が5年未満というところで、60歳から65歳がちょこっとふえているというのがある。特に短時間労働のほうでふえていますし、そうでないほうであってもふえているわけですけれども、これはどういう人たちをイメージしたらいいのかを男性のほうで教えていただければと思います。

○村田調査室長 60歳以上のところの期間が短い方が増えているということでございますけれども、これは、例えばそれまで共済組合とかに入っていた方がやめられて会社に勤めたりすると、厚生年金の期間としては短くなる。これは第1号の期間しか入っておりませんので。そういったものが多いのではないかと思います。余り確たることは申し上げられません。

○菊池部会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、以上で厚生年金保険第1号の財政状況についての報告の徴取を終了いたします。

 引き続き、国民年金・基礎年金制度の報告を徴取いたします。

 それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○武藤数理課長 それでは、続きまして、御説明申し上げます。

 お手元の資料2「平成28年度財政状況-国民年金・基礎年金制度-」をご覧ください。

 おめくりいただきまして、まず、基礎年金勘定の収支状況でございます。平成28年度の収入総額が2455億円で、前年度に比べまして7,125億円の増でございます。一方、支出の総額につきましては、231,726億円で、前年度に比べまして7,098億円の増でございます。その結果、収支残が8,329億円出ているということでございます。この収支残でございますが、従来、過去、具体的には一番左の欄の平成24年度まではかなり大きな額が計上され続けてございました。24年度で見ますと約2兆7,000億円ということですけれども、それと比べると今年度は2兆円弱小さくなっているという状況でございます。

 これは別の欄ですけれども、収入の項目別に見たその他の収入の欄の数字も減少していることと連動しているところですが、これには被用者年金一元化による見直しが行われたことが背景にございます。つまり、平成24年8月に成立いたしました被用者年金一元化法に伴う整理によりまして、基本的にはこの収支残は積立金に繰り入れて、かつ必要なときに積立金から受け入れて収入のほうに入れていくという仕組みに変更されたところでございます。一元化法の成立に伴いまして、特会法もあわせて改正されたところですけれども、この積立金についても全体で整理することになりまして、平成27年度から10年間にわたって、積立金の一部は基礎年金拠出金の軽減のために充てられていくことになったところでございます。

 この積立金の一部と申しますのは、先ほど申し上げました、いわゆる妻積み、つまり基礎年金制度が導入された際に国民年金勘定にあった積立金のうち、それまで任意加入だったが第3号に移った被用者の妻の保険料分が基礎年金勘定の積立金として置かれていましたが、その元本とその運用収入を合わせたものですけれども、一元化直前で見ますと約1.6兆円の規模になっていたところでございますが、それが10年かけて基礎年金拠出金の軽減のために充てられていくことになったところでございます。

 その基礎年金拠出金の軽減のために、積立金より受け入れられて充てられる分、先ほど申し上げました総額の1.6兆円の10分の1ということになりますと約1,600億円になりますが、その額はこの収支表では、積立金より受入という欄に8,585億円の数字が書かれておりますけれども、その中に含められておりまして、その分、基礎年金拠出金の欄の数字が控除されているという整理になってございます。

 支出欄に行きますと、基礎年金給付費の本来分というところで支出総額の下の欄にございますけれども、これが216,833億円ということでございまして、前年度に比べて7,484億円、3.6%の伸びというところです。

 下から3段目の拠出金算定対象者数の欄をご覧いただきますと、5,4239,000人ということで、前年度に比べまして15万人、0.3%の増ということで、ほぼ横ばいになっているところでございます。

 この欄の数字につきましては、年によって多少のでこぼこはございますけれども、基礎年金拠出金算定対象者ということですので、基本的には20歳から59歳の人口で考えてみますと人口減少の傾向があって、それに伴って減少していくという趨勢の中ではございますが、近年は、主に被用者化の進展に伴って第1号被保険者が減少して、第2号被保険者が増加するという内訳の変化がございますが、その結果、横ばいに近いということになっているところでございます。

 続きまして、2ページ目でございますが、基礎年金の負担状況ということで、これは平成28年度の確定値でございます。この表は確定値の数字ですので、先ほど申し上げた基礎年金拠出金軽減のために積立金より受け入れられている分につきましては、控除する前の数値となっておりまして、その控除の軽減額は、ここでは括弧書きの数値として再掲させていただいているところでございます。基礎年金給付費の本来分が216,809億円、旧法分の交付金として算定される額が1兆3,561億円で、その両者を合計した分が右の欄にございます23370億円となっているところでございます。

 この中で下の欄の右のほうに特別国庫負担がありますけれども、これが3,414億円ありまして、それを差し引いた残りが拠出金ということになります。これが各制度に分担されるということでございます。下の表の左の欄にありますけれども、それは226,956億円になっているところでございまして、それを各制度の下の欄にございます拠出金算定対象者数の比で按分して、各制度に割り振るということになります。割り振った額がこちらにある額でございまして、拠出金算定対象者数の内訳については表の下になっているところでございます。

 続きまして、3ページに参りますが、今度は国民年金勘定の財政状況でございます。右の平成28年度の欄を見ていただきますと、時価ベースの収入総額が4兆6,225億円でございます。このうち保険料が1兆5,069億円でして、前年度に比べて69億円、0.5%の減少となってございます。この数字の動きですけれども、保険料月額は引き上げられておりますし、納付率も上昇しているなどの保険料増加要因がある一方、第1号被保険者そのものが減少していることなどの要因が大きくて、結果的にやや減少となったものと考えております。

 次に、国庫負担につきましては1兆9,966億円で、1,872億円、10.3%の増になっているわけでございます。これにつきましては、下の支出の欄にあります基礎年金拠出金が平成28年度では3兆5,935億円ということで、前年度に比べて3,535億円、10.9%の増ということでございますが、基礎年金拠出金のおおむね半分が国庫負担ということになりますので、これが国庫負担の増につながって、同じような伸び率という構造になっているところでございます。

 上の収入に戻っていただきますと、時価ベースの運用収入が4,854億円ということで、前年度に比べて8,271億円の増加でございます。

 また、積立金より受入は、これは資金繰りのために積立金から受け入れるものでございますが、650億円でございます。

 結局の収支残のところでございますけれども、時価ベースで下の欄を見ていただきますと、2,440億円となっているわけでございます。これは積立金より受入の額の650億円を上回っておりますので、それを控除して、さらにその下にある業務勘定から積立金への繰り入れ110億円を足したものが、前年度との比較で書いてある積立金の欄、ここの右の数字を見ると1,900億円ということですけれども、これが積立金の増、実質的な意味での収支残に当たるものでして、積立金は8兆9,668億円、時価ベースということで前年に比べて1,900億円増加している状況になってございます。

 最後に、運用利回りですが、5.63%という状況でございます。

 とりあえず以上です。

○村田調査室長 続きまして、4ページをご覧ください。こちらは給付状況についての資料でございます。掲載しております数値は、新法の基礎年金と旧法の国民年金を合計したものとなっておりまして、被用者年金のいわゆるみなし基礎年金に係る分は含まれてございません。

 まず、受給権者数でございますが、平成29年3月末は合計で3,447万人となっておりまして、前年度に比べて639,000人、1.9%の増加となってございます。このうち老齢年金は3,1657,000人となっておりまして、2.2%の増加でございます。通算老齢年金につきましては、こちらは旧法の年金でございますので年々減少しておりまして、29年3月末で542,000人、前年度に比べ13.2%の減少となってございます。

 年金総額につきましては、1つ下の段のところになりますけれども、29年3月末で23966億円となっておりまして、前年度に比べて5,465億円、2.4%の増加となっております。この大部分を占めております老齢年金について見ますと、29年3月末で21352億円、前年度に比べ2.6%の増加ということでございます。

 続きまして、5ページでございます。上段と下段に分かれてございますけれども、上段のほうには、繰上げ支給・繰下げ支給の状況を書いてございます。まず、繰上げ支給の受給権者数ですけれども、平成29年3月末で4663,000人となっておりまして、前年度に比べ174,000人、3.6%の減少となってございます。近年の状況を見ますと減少傾向で推移しております。

 一方で、繰下げ支給の受給権者数ですが、こちらは平成29年3月末で401,000人となっておりまして、前年度に比べ2万人、5.2%の増加となってございます。繰下げ支給につきましては近年、増加傾向で推移しているという状況でございます。

 下段の老齢年金受給権者の平均年金月額の欄をご覧ください。男女合計の老齢相当の平均年金月額は、29年3月末で5万5,373円となっておりまして、前年度に比べて216円、0.4%の増加となってございます。この増加の要因でございますけれども、平成28年度は、年金額の改定が0.0%で据え置きであったわけでございますけれども、それとは別に平均加入期間が延びておりまして、こちらの影響で平均年金月額が増加したということでございます。

 続きまして、6ページは、新規裁定者についての資料でございます。こちらにつきましては、資料をご覧いただくということで説明は割愛させていただきます。

 7ページは、老齢年金受給権者の年齢構成です。男女合計で見ますと、割合が最も多いのが65歳以上70歳未満の28.7%、次いで70歳以上75歳未満の22.0%となっています。平均年齢は、男性が74.7歳、女性が76.3歳、男女計で75.6歳となっております。前年度末は男女計で75.3歳でしたので、プラス0.3歳の上昇ということで、若干ではございますけれども、年齢構成は高いほうにシフトしている状況でございます。

 8ページは被保険者の状況でございます。まず、被保険者数でございますが、第1号被保険者数は引き続き減少傾向が続いておりまして、平成29年3月末で1,5754,000人となっており、前年度に比べ925,000人、5.5%の減少ということでございます。また、第3号被保険者数につきましても、29年3月末で889万人となっておりまして、前年度に比べ261,000人、2.9%の減少ということでございます。

 平均年齢につきましては、29年3月末で第1号被保険者が39.3歳、第3号被保険者が44.1歳となってございます。

 下のほうに免除等の状況についてお示しさせていただいております。平成29年3月末におけます免除者数につきましては、前年度に比べまして、まず法定免除者が0.1%の増加となっておりますけれども、申請全額免除者、申請4分の3免除者、申請半額免除者は人数が減少している状況でございます。

 それから、特記事項にも記載しているのですけれども、納付猶予者数につきましては、納付猶予者が平成27年度までは30歳未満が対象となっていたところ、28年度から50歳未満まで対象範囲を拡大しておりまして、その影響で足下で数値が増えているという状況でございます。

 続きまして、9ページは、第1号被保険者の分布でございます。一番右の割合の欄をご覧いただきますと、最も多いのが20歳以上25歳未満のところの21.5%となっています。こちらですが、国民年金の第1号被保険者には、自営業の方、無職の方などいろいろな方がいらっしゃいますけれども、この年齢層は学生の方が多く、そういったことでウエートが大きくなっているということでございます。

 次に多いのが55歳から60歳未満のところで13.1%になってございます。こちらの年齢層では、被用者の方が退職されて第1号被保険者に移ってくる、あるいは配偶者の方が退職されたので第3号被保険者から第1号被保険者に女性の方を中心に移ってくる。そういったことで割合が大きくなっているものと考えられます。

10ページと11ページは、今見ました第1号被保険者の分布を男女別に見たものでございますので、説明は割愛させていただきます。

12ページは、第3号被保険者の分布でございます。第3号被保険者につきましては、最も多いのが40歳以上45歳未満のところでして、19.5%となってございます。ここをピークとして山のような形となってございます。

13ページと14ページは、今見た分布の男女別でございますので、説明は割愛させていただきます。

○武藤数理課長 続きまして、15ページ、積立金の運用状況でございます。

 資産の構成割合といたしましては、国民年金の場合は預託金が3.7%、市場運用分が95.0%、財投債が1.3%でございまして、運用利回りは5.63%でございます。

 また、下の表は厚生年金の説明の際と同様の数値でございます。

 次に、16ページに移りまして、財政検証における将来見通しとの比較でございます。厚生年金同様、国民年金に関しましても、将来見通しとベースをそろえる必要がございますので、実績推計という欄をつくっております。こちらを将来見通しと比べるということで見ていただきますと、保険料収入は将来見通しで1.6兆円と見込んでいたものが1.5兆円、やや小さくなっております。なお、将来見通しの数値につきましては、厚生年金同様、以降の御説明ではケースEを一例の比較の数値としてお話をさせていただきたいと存じます。

 次に、国庫負担でございますけれども、将来見通しで2.2兆円と見込んでいたものが、2.0兆円と少なくなっております。これは右側に支出の基礎年金拠出金という欄がございますけれども、3.9兆円と見込んでいたものが、拠出金按分率の低下などの影響で3.6兆円という支出になってございまして、少なくなっております。これを反映して2分の1国庫負担につきましても、見通しより実績のほうが低くなっているところでございます。

 運用収入でございますけれども、将来見通し上0.2兆円と見込んでいたものが、0.5兆円の運用実績だったというところでございます。

 給付費につきましては、将来見通しで0.1兆円と見ているものが実績推計でも0.1兆円ということで、ほぼ同じ数値になっているところでございます。

 合計しましての収支差引残、将来見通しの上ではマイナス0.1兆円だったところでございますけれども、実績推計は0.2兆円でございます。

 年度末積立金は、将来見通し上10.6兆円だったものが11.3兆円という数字になっているところで、これまでの運用収益が多かったということで、結果的に多くなっている状況は厚生年金と同様でございます。

 続きまして、17ページ、基礎年金の被保険者数及び受給者数についてでございます。実績と将来見通しを見ていただきますと、被保険者数のほうはやや大きくなっておりますが、大きな乖離はないのではないかと見ているところでございます。老齢年金の受給者数の実績につきましても例年同様で、将来見通しとの大きな乖離はないところでございます。

18ページ、財政指標の比較で、まず年金扶養比率でございます。28年度の実績数値につきましては、上が2.03、下の財政検証の見通しが2.0とほぼ同じとなっているところです。

 続きまして、19ページ、保険料比率でございます。上の実績、平成28年度は89.8という数字で、下の財政検証では85.9という数字でやや乖離が見えるわけでございますけれども、これは基礎年金拠出金等の支出、分母のほうが減少したことによる影響と考えてございます。

 次に、20ページでございます。収支比率ですけれども、こちらは括弧の中の時価ベースで見ていただくということでございますが、28年度は84.2という数字でございまして、財政検証の数字は下、101.7、これよりは上の実績のほうがよくなっているということでございます。これは分子が支出で、分母が収入の収支比率でございますので、数値が低いほうが財政状況はよいということでございますけれども、こちらは運用収入がプラスであったことを要因として、分母が大きくなって、このようになっているところでございます。

 最後、21ページ、積立比率でございますけれども、財政検証ベースで補正したということで、繰り延べ分を積立金に加えて算定したものでございますけれども、28年度の欄、上の表の左下の数字になりますが、積立比率は括弧の中の数字6.6ということでございます。これに対して財政検証では下の表の数字5.8でございまして、実績のほうが高くなっているところでございます。これは右のほうに要因分解してございますけれども、前年度末の積立金が財政検証の見込みよりも大きかったことに加えて、実績の支出が小さくなって、分母が小さくなっていることの影響などと考えているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○菊池部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様から御質問をお受けしたいと思いますが、翁委員が先にお出になられるということで、何かございましたら。

○翁委員 16ページのところで、基礎年金拠出金の見通しというのが、按分率が0.1531から0.1374に減少したと、こういうのはどういうことから起こるのかを教えてください。

○武藤数理課長 この表は財政検証の将来見通しと実績との比較ということになりますので、財政検証のときに比べて按分率が下がったということです。これは厚生年金のところでも御説明したとおりなのですけれども、厚生年金の被保険者がふえているということになりますので、その裏返しとして第1号被保険者の方の按分率が下がっているという状況でございます。

○翁委員 では、構成率が変わったということですね。

○武藤数理課長 はい。

○翁委員 済みません。わかりました。失礼いたしました。

○菊池部会長 それでは、ほかの皆様から、いかがでしょうか。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 まず、3ページの国民年金勘定の収支状況なのですが、保険料の伸び率がマイナス0.5ということで、先ほど要因は項目で説明していただいたのですけれども、厚生年金基金では具体的なこの影響はこのぐらいですという数値でお話があったと思うので、そこを教えていただければと思います。

 それから、収支残が時価ベースで2,440億で、業務勘定からの積立金への繰り入れが110億なのですけれども、先ほどの厚生年金の説明ですと、これを足した数値が時価ベースの年金、年度末積立金の差額、ここで言いますと1,900億と一致するというお話だったように記憶しているのですが、これが一致しないのです。それの理由は何でしょうかということが2つ目です。

 3つ目が、16ページ目以降の将来見通しとの比較なのですが、国民年金勘定について言うと、これは厚生年金へ移っている方がいらっしゃるので人数は減っていると思うのですけれども、それでも全体としては運用収支がいいので、財政検証時のシミュレーションよりはいい結果が出ているのですけれども、実際に人数が減っていることによるネガティブなほうへの影響は、この見通しとの関係ですとどういう影響があるのかを教えていただければと思います。

 以上です。

○武藤数理課長 それでは、保険料収入の減少の定量的な伸び率等についてということですけれども、まずは保険料収入がふえる要素のほうです。保険料月額がふえることによって4.3%ふえると見ております。納付率につきましても、平成27年度の63.4%から平成28年度は65%と伸び率が上がっておりますので、それによる寄与がプラス2.5%となりまして、4.3%と2.5%を足して6.8%、プラスの寄与がこれだけあるかと思っています。

 マイナスのほうが被保険者の減少等ということなのですけれども、普通とる統計は年度末の被保険者数になってきたりするのですが、年央ベースで見ますと被保険者の減少による分がマイナス6.6%で、それらほぼ相殺して横ばいになっている。実際にはちょっと減っているということなのですけれども、その他の要因も若干ありまして、そういった結果になっているのかなと思っています。

 続きまして、3ページ目の収支残と業務勘定からの積立金への繰入の合計が積立金のふえと厚生年金のほうは一致しているのだけれども、国民年金では一致していないのではないかということです。ちょっとここは見方が難しいところなのですけれども、国民年金勘定の収入のほうに積立金より受入という項目がございまして、国民年金のほうで平成28年度は650億円となっておりまして、厚生年金にはこの数字はございませんでした。これは資金繰りの観点で積立金より受け入れる額ということになるわけですけれども、国民年金のほうでは650億円受け入れることとなっておりまして、結果、収支差引残が時価ベースで2,440億円ということで、それがなくても時価ベースの収支残はプラスとなるような状況ですので、積立金の時価ベースのふえということになります。つまり、2,440億円から積立金より受入の650億円を控除して考える必要がある。厚生年金には650億円に当たるものがなかったということなので、これはやらなかったのですけれども、つまり、2,440億円から650億円を引いて、それに110億円を足したものが1,900億円ちょうどになるということで、ここで書いている積立金の増加額とぴったり一致するということになります。

○浅野委員 それが合ったことはわかったのですけれども、実際には650億はお金が入っているのですね。それは積立金には反映されないのですか。

○武藤数理課長 結局、650億円を受け入れて、受け入れた結果、収支残が2,440億円あるということになりますので、それは結局、受け入れた分はその収支差引残の中に入っているということになります。

○浅野委員 わかりました。ありがとうございます。もう一点は、済みません。被保険者の減りを。将来シミュレーションとの関係ではどのようになっているか。

○武藤数理課長 おっしゃるとおり、第1号被保険者は減少しているところで、先ほどの保険料収入の増減の中でも人が減るということで保険料収入が減少する要素になっているわけですけれども、一方で、国民年金勘定から見た支出の大宗は基礎年金拠出金ということになりますけれども、基礎年金拠出金は結局、被保険者数で按分することになりますので、人が減ると支出が減るという要素がございます。そういう意味で、収入も減るし、連動して支出も減るという中で財政運営が行われるということになりますので、それはプラスマイナス、両方の要素があるということになります。

○浅野委員 わかりました。ありがとうございます。

○菊池部会長 それでは、田中委員、お願いします。

○田中委員 大きい質問が1つと、あとは細かい質問を2つお願いします。まず大きい質問から行きますが、1号の国民年金の話です。基本的には、先ほど被用者化が進んでいるという話があり、それから、前にお聞きした話だと、実は1号被保険者というのは従来の自営業とか自由業という方だけではなく、かなり非正規雇用とか、あるいは短時間というか派遣の方とかがふえていて、大体2つの要素になっている。景気が回復して、基本的には被用者化になる方もいるのですが、一方では正社員化という流れもある。

 ということは、自営業者等はこれから余りふえるというか、むしろ減少傾向であるとすると、国民年金の1号被保険者はこれからどちらかというとどんどん減っていく。景気がこのまま続くとすれば、減っていく方向になるのですが、そうすると1号被保険者の存在意義がだんだんなくなってくるような気もするのですが、その点については、財政的な影響はほとんどないのかもしれないですが、これから財政検証等をしていく中でいろいろ問題が出てくるような気もしますが、その辺はどのように、まずその見通しについてどのように考えているか。存在感がなくなっていくことについて、どのようにお考えかということです。

○武藤数理課長 財政検証でも大きな流れとしましては、被保険者数の見通しを立てる中で第1号被保険者が減ることとなっております。これもやはり労働力率が上がって被用者化が進んだりして、第1号被保険者数は減っていくと見ているのですけれども、1号被保険者が減った場合、国民年金勘定にどういう影響があるかということですが、これは先ほど来、話が出ていますように、保険料収入も減るけれども、基礎年金拠出金の支出も減って、それはプラス・マイナス両方の要素があって相殺するということになってきます。一方で、残った国民年金第1号被保険者から見ると、積立金の一人当たりの額は多くなりますので、それでプラス効果もあるということになります。

 実際に26年財政検証であわせてやったオプション試算によりますと、被用者保険の適用拡大で220万人ベース、あるいは1,200万人ベース、いずれにしても国民年金の財政状況が改善して基礎年金の給付水準が上がるという結果が出ていますので、第1号被保険者が減る方向で行ったときには、ややプラスになるのかなと思っていますが、制度のあり方自体をどう考えるかということにつきましては、今後の日本の社会経済状況の変化に合わせて年金制度も検討をしていくことになるかと思っております。

○田中委員 今説明で良くわかりました。

 あと2点は非常に単純な質問で、5ページと6ページなのですが、受給権者の平均年金月額ですが、上が全体ですね。下が新規裁定者だけということなのですが、全体の平均年金月額のほうが高いのですね。期間が長くなっていて月額が減っているというのは、マクロ経済スライドか、別の何かの影響かわからないので、それを聞きたいというのが1点です。

 もう一つは、17ページですが、平成28年度実績の障害年金の欄がバーになっているのです。厚生年金では数字が入っていたのですが、これはゼロという意味なのか、どういうことだろうかという、これは単純な質問です。

○武藤数理課長 後者のほうからですけれども、これは障害基礎年金の受給者数を計上するために、共済のデータを一部もらわなければならないところがあって、今、作業中ですので、いずれ数理部会の報告書を検討されるころには準備できると思っております。

○村田調査室長 1点目です。御質問は、受給権者ですと期間が381月で5万5,373円、新規裁定者ですと加入期間が405月に増えたのに5万2,336円で金額が減っているということですね。これは基礎年金の制度もそうなのですけれども、生年月日に応じて、昔の方は制度に加入できる期間が短かったのです。そうしますと、例えば今ですと480月あって満額が出ますけれども、古い方ですともっと短い期間で満額が出るということで、いわば1月に対する単価が昔のほうが高かったということがございます。そういうこともあって、新規裁定者の方は期間は長いけれども、この程度の平均年金月額ですが、受給権者ですと古い方もいるということで金額が高い。そういうことではないかと思います。

○菊池部会長 野上委員、お願いします。

○野上委員 ちょっと細かいところも含めて2つほどございます。

 1つは、国民年金といいますか基礎年金と厚生年金を比べての話なのですが、3ページを見ますと、給付額が基礎年金のほうはかなり伸びているのですけれども、一方で厚生年金の給付額はそんなに伸びていないということもあって、いわゆる基礎部分の給付のウエートがかなり高まりつつあるのかなと見受けたのですが、その点について見解をお聞きしたいというのが1点です。

 2点目は、ちょっと細かい質問になるのですが、4ページの受給権者の人数です。これを見ますと、29年3月末ですと前年に比べて60万人余りふえているのですが、過去のトレンドを見ますと大体90万とか100万ずつふえているのですが、ここでがくっとふえ方が減っているように思いますが、この辺は単純に人口構成が変わったからということでよろしいのでしょうか。2点です。よろしくお願いします。

○武藤数理課長 1点目のほうですけれども、基礎年金拠出金の伸びのほうが高いではないかということなのですが、きょうの国民年金の資料2の3ページで見ていただきますと、例えば支出欄の基礎年金拠出金の伸びが10.9%となっていまして、かなり高くなっているということなのですけれども、これは年によって多少でこぼこがありまして、御案内のとおりの基礎年金制度、拠出金交付金を概算精算の仕組みでやっていますので、それによってでこぼこになることがありますので、国民年金はそうであるということです。

 厚生年金のほうで見ても、基礎年金拠出金と給付費の部分を見ると、給付費の伸びのほうが低いではないかというお話があったと思いますけれども、これは統計のところの説明でもありましたが、男性の支給開始年齢が61歳から62歳になったということで、給付費が従来の伸びよりも伸びないという要素がある。ただ、支給開始年齢が上がったとしても受給者数自体は増加しておりまして、受給者数が増加する中で、一人当たりの平均年金額が下がっているという要素があるのですけれども、これはやはり年齢の高い人と比較的新しく年金を受けられ始める方と比べてみますと、過去の人のほうが給付乗率が高かったということがありますので、そういう人たちが入れかわることによって平均年金額の伸びが低くなっているというような要素があって、それらを相殺してこういう数値の動きになっているということです。

○野上委員 ありがとうございます。

○村田調査室長 4ページのところで受給権者数の伸び方が前に比べて鈍化しているということでございますが、これは先生がおっしゃるように人口構成の影響でございまして、左のほうを見ますと、25年3月末、26年3月末、27年3月末あたりはちょうど団塊の世代がどんどん65歳以降のほうに入ってくるころでございまして、それで伸びが高かったのですけれども、この2年間につきましては、もう団塊の世代の方が65歳以上になってしまっているので、伸びが減っているということではないかと思います。

○菊池部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 説明があったかもしれないのですが、18ページで平成28年の被保険者が6,500万人で、経済再生ケースの平成28年が6,440万人ということで、20歳から59歳までの国民は1から3号のどれかに入っているわけなので、2号がふえて1号が減っているというのはわかるのですけれども、合計額が100万人違うというのは、この人たちはどこからやってきたのでしたでしょうかというのが質問です。

 あと、先ほどまでの議論で確認なのですけれども、給付単価は報酬比例部分も基礎部分も85年以降見直した影響が多分出ていると思うのですが、この下がり方は比例部分と基礎部分とどんな感じでしたでしょうか。同じような落ち方をしていたのですか。その2点です。

○武藤数理課長 まず、前半のほうの被保険者数ですけれども、確かに基礎年金拠出金算定の方が20歳から59歳までのベースでできているというのはそうなのですが、ここの被保険者数は60歳代の方も入っておりまして、高齢者雇用が進んだりすることによって見通しよりもふえているという要素がございます。

 あとは、昭和60年改正の給付乗率なり定額単価の適正化というところにつきましては、いずれにしても報酬比例部分についても定額部分についてもございますので、それが定量的にどういう影響を与えているかというところは、今、ぱっとはお答えできないのですけれども、同じように年齢が高いほうが高く、比較的若く裁定される方のほうが低いということは定額部分にも報酬比例部分にも両方あるということでございます。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。

 猪熊委員、お願いします。

○猪熊委員 5ページの繰上げ、繰下げのところで教えてください。先ほど繰上げが減少傾向で繰下げが増加傾向とありましたけれども、その理由があれば教えていただきたいと思います。

 それと、厚生年金のほうですと、受給権者数ですけれども、繰下げも繰上げもふえているようなので、こちらも何か理由があれば教えてください。

○村田調査室長 なぜ繰上げが少なくなっていて繰下げが増えているかということですが、これはある意味、意識の問題でございますが、何故あなたは繰り下げたのですかというような調査をしていないものでございますから、確たることは申せません。ただ、傾向としましては、年齢が高い方のほうが繰り上げている方が多くて、だんだん繰り上げる人は減ってきている状況ではございますので、人生、長い期間を生きられるようになったということもあって、減額の期間が長くなるなどということも考えているのかもしれませんけれども、統計的に何も証拠になるものがございません。

○菊池部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 その繰上げ、繰下げは、男女別には出せないのでしょうか。

○菊池部会長 いかがですか。すぐには出てきませんか。

○村田調査室長 すみません。手持ちがないものですから、後で男女別につきましてはお答えさせていただきたいと思います。

○駒村委員 平均寿命でおそらく割り引いて設定していると思うので、女性と男性ではもしかしたら行動が違うかもしれないということなので、もしかしたら今後は分けたほうがいいのかもしれないと思います。ほかの資料は男女別が出ているので。

○村田調査室長 年報とかでは男女別で出しておりまして、まだちょっと細かい集計が間に合っていないということもありますので、後ほどまたお答えしたいと思います。

○菊池部会長 今のデータは、もしあればほかの委員の方も御関心がおありだと思いますので、この場で御報告いただければと思いますので、よろしくお願いします。

○村田調査室長 わかりました。

○菊池部会長 佐々木委員、お願いします。

○佐々木部会長代理 1点だけ教えていただきたいのですが、前にお聞きしたかもわからないですけれども、1ページ目の収入のその他で24年度、25年度は非常に大きな金額で、以降はほぼゼロになっているのですが、これは積立金より受入の仕組みが変わっているのか。ちょっとそれを教えていただけますか。

○武藤数理課長 本日も簡単に御説明させていただきまして、ちょっとわかりにくかったかもしれませんけれども、被用者年金一元化に伴って基礎年金勘定の積立金の取り扱いが整理されたということがございます。従来は、いわゆる妻積みの元本分の七千数百億円というのが積立金と整理されておりまして、収支差引残については、収支差引残のまま翌年のその他の収入に繰り越されるという構造があったのですけれども、収支差引残は、基礎年金の妻積みに関する運用収益なども含めて積立金化することになりましたので、それでがくっとその他収入の欄が減ったということです。

 本日も簡単には説明させていただいたのですけれども、被用者年金一元化における取り扱いでそこが変わったということを受けたものでございます。

○佐々木部会長代理 以降はこれのとおりになるということですね。

○武藤数理課長 はい。今、書いているような水準の数値でいくことになると思っています。

○村田調査室長 すみません。先ほどの繰上げ、繰下げですけれども、データがございました。平成29年3月末で、こちらの資料では繰上げ支給の受給権者が、老齢年金のところが4452,000人ということになっておりますが、このうち男性が136万人、女性が309万人ということで、女性のほうが多いという状況です。

 繰下げにつきましては、老齢年金全体で401,000人ということでしたけれども、男性が21万人、女性が19万人ということで、大体同数という状況でございます。

○猪熊委員 先ほど質問した件ですが、厚生年金のほうの繰上げは受給権者がふえていることの理由は。済みません。厚年のときにいなかったので。それも理由というのはなかなか言いがたいでしょうか。

○村田調査室長 厚生年金のほうの資料の3ページでございますね。繰上げにつきましては、もともと繰上げの制度が厚生年金にはなかった時代がありまして、支給開始年齢の引上げに合わせて平成25年度から入ったわけです。ということで、最初の年度ですと繰上げをされる方が1世代分なのですが、2年目になりますと2世代分で、どんどん3世代、4世代というふうに対象となる方が増えていっているので、増加が大きいということでございます。

○菊池部会長  あとはよろしいでしょうか。

 それでは、以上で国民年金・基礎年金制度の財政状況についての報告の徴取を終了いたします。御説明いただいた皆様には、大変お忙しい中をどうもありがとうございました。それでは、席のほうにお戻りください。

(厚生労働省年金局 武藤数理課長、同 村田調査室長 関係者席へ移動)

○菊池部会長 最後に、今後の日程等について、事務局から御説明をお願いいたします。

○真鍋首席年金数理官 次回の第76回「年金数理部会」は、1225日月曜日、来週の月曜日ですけれども、午後1時から、本日と同じこの全国都市会館第1会議室で開催いたします。

○菊池部会長 それでは、本日はこれまでにさせていただきます。年末押し迫っていますが、来週ももう一回ございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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