ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)> 平成30年度第3回運営委員会議事録(2018年11月28日)

 
 

2018年11月28日 平成30年度第3回血液事業部会運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成30年11月28日(水)
17:00~19:00

 

○場所

厚生労働省3階  共用第6会議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
 

○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英
 

日本赤十字社:

佐竹 正博 遠藤 正浩 平 力造
     

事務局:

石川 直子(血液対策課長) 山本 隆太(血液対策課長補佐)
田井 貴(血液対策課長補佐) 山本 匠(血液対策課長補佐)
三浦 勲(血液対策課需給専門官) 富樫 直之(血液対策課長補佐)
 

○議題

1. 感染症定期報告について
2. 血液製剤に関する感染症報告事例等について
3. 「大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用のガイドライン」を踏まえた「血液製剤の使用指針」の改正について
4. 血液法の改正について
5. 血液法施行規則の改正について
6. その他
 

○議事



○山本(匠)血液対策課課長補佐 それでは、定刻5分前ではありますが、出席者がそろっておりますので、「平成30年度第3回運営委員会」を開催したいと思います。
本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
本日の出席状況ですが、運営委員会委員6名全員に出席いただいていることを御報告いたします。
また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、遠藤正浩技術部次長、平力造技術部安全管理課長、以上3名に御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している御申告をいただいていますので、御報告させていただきます。
次に、審議会資料のペーパーレス化について説明いたします。現在、厚生労働省では審議会等のペーパーレス化に取り組んでおります。本運営委員会においても、今回からテーブルに準備させていただいているタブレットを活用し、ペーパーレスとさせていただいております。
タブレットの使用方法については、事務局から説明させていただきます。
○富樫血液対策課課長補佐 事務局の富樫と申します。私からは、タブレットの使用方法について説明させていただきます。
机上にタブレットと「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」と記載のある用紙を配付しておりますので、こちらの用紙をお手元に御用意いただきまして御確認いただければと思います。
初めに、お手元のタブレット画面上に本日の資料、マル1議事次第からマル14資料5までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。資料が表示されていない場合や資料に不足がある場合には、お近くの職員にお声がけいただければと思います。
続きまして、資料の閲覧方法を御説明いたしますので、例として、マル5資料1-1を指または配付しているタブレット用のペンで軽くタッチしていただければと思います。タッチしていただきますと、画面に資料が表示されます。
資料のページをめくる際には、画面に指を置いていただき、指を上に動かすとページが進みます。下へ動かすとページが戻るようになっております。
また、画面に指を2本置いていただき、2本の指を開いたり閉じたりすることで、表示内容を拡大または縮小することができます。
注意点ですが、今回御使用いただくタブレットは、2つのファイルを同時に開いて閲覧することはできないようになっておりますので、別の資料を閲覧されたい場合につきましては、画面左上に表示されておりますマイプライベートファイルというボタンを押していただきまして、再度資料一覧から閲覧したい資料をタッチしていただければと思います。
その他の操作方法については、配付しております操作説明書に記載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
なお、本運営委員会においては初めてのペーパーレス化となりますので、今回は紙の資料一式も机上に配付しております。こちらも適宜御活用いただければと思います。
会議中、タブレットの使用方法に御不明な点等ございましたら、お近くの職員にお申しつけください。また、使えなくなったタブレットがございましたら予備もありますので、そちらもお申しつけください。
使用方法の説明は以上でございます。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 それでは、カメラ撮りはここまででお願い致します。
以降の進行は、田野崎委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願い致します。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。
それでは、議題1「感染症定期報告について」から始めさせていただきたいと思います。事務局より資料1-1、1-2の説明をお願いいたします。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 それでは、事務局から議題1の資料1-1、1-2について説明させていただきます。資料1-1が感染症定期報告の概要となっております。資料1-2が詳細版となっております。資料については、タブレットの資料1-1を見ていただければと思います。
今回の感染症定期報告に関しては、平成30年5~9月の受理分となっております。
2ページから説明させていただきます。今回は計15の論文が出ておりますが、幾つか重複するものもありますので、あわせて説明させていただきます。
まず、1番のE型肝炎に関しては、60代の免疫抑制患者さんが慢性のHEV感染、E型肝炎の感染状態にあり、肝細胞癌になった可能性があるという症例の報告です。
2番、3番に関しては、ボルナ病ウイルス感染に起因する急性脳炎に関する4例の報告となります。
4番ですが、ジフテリア毒素産生性のコリネバクテリウム・ウルセランスによる窒息死亡症例の報告です。感染源としては猫が想定されていると報告されております。
5番のクロイツフェルト・ヤコブ病に関してです。こちらは1975~2017年まで、本邦で同定された死体硬膜移植後のクロイツフェルト・ヤコブ病のサーベイランスの報告となります。30年の潜伏期間があった症例が3例あったということです。
3ページに移らせていただきます。1番は、E型肝炎に関する報告です。こちらに関しては、2018年4月のInternational Liver Congressで発表されたE型肝炎に関する2つの報告となっています。
1つ目は、150名のHEV RNA陽性者の後方視的な検討となっております。69名の免疫抑制のない方、そのうち37名が入院し、肝疾患の既往のあった2名が慢性肝不全の急性増悪により死亡されております。
2つ目の報告は、E型肝炎に感染している37名の免疫抑制患者に関する検討です。4名で輸血による慢性のE型肝炎感染となっております。
続いて、2番は、オルソブニヤウイルスのカリフォルニア血清型であるKeystone virusによる発熱及び発疹といった臨床症状を呈した症例となっております。
続いて、3番、5番は、脳炎患者による新種のオルソブニヤウイルスが確認されたという報告になります。
4番に関しては、これまで人獣共通感染症でないと考えられていた仮性狂犬病ウイルスがヒトへ感染している事例の報告です。
続いて、6番は、血液及び血液成分によるジカウイルスの伝播のリスク低減のための業界向けガイダンスの改訂についてのFDAの報告になります。ジカウイルススクリーニングについては、ミニプールか個別NATのいずれかが使用できるが、ジカウイルスのリスクが高い地域では個別NATを推奨しているという報告です。
続いて、7番、日本で新規のブルセラ属の菌の感染症が報告されております。
8番に関しては、鳥からによる野兎病の感染報告になります。
続いて、9番は、輸血によるバベシア病伝播のリスク低減に関する勧告事項についての報告です。Donor History Questionnaireへの改訂やスクリーニング検査が推奨されております。
10番に関しては、アルジェリアのヒトコブラクダにおけるプリオン病の報告となっております。プリオン病を示唆する症状を呈するヒトコブラクダは、2015~2016年のOuarglaでは3.1%において見られたという報告となります。
議題1に関しての資料の説明は以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。5カ月分の報告ですけれども、委員の先生方からコメント・質問などをお願いいたします。山口委員どうぞ。
○山口委員 E型肝炎について重要な報告が2つあるように思うのですけれども、後で岡田先生もコメントされるかもしれませんが、E型肝炎で特に7~9月の1番に関して、免疫抑制者に関して非常にリスクが高いということをいろいろ報告されているのです。まだ論文化されたものではないのですが、幾つかわからないところもあるのですが、1点気になるのが、報告されている数よりも、実際の感染している事例がもっと多いのではないかということを発表者たちがコメントしていると。その辺の把握が必ずしも十分できていないのではないかという認識だと思いますので、これは今後も着目するべきところかなと思いました。
あと、E型肝炎で言えば、癌化という話があるのですけれども、確かに論文を見てみますと、腫瘍部位と非腫瘍部位でもかなり高濃度の10の6乗くらいのHEV-RNAが検出されているので、慢性肝炎とE型肝炎というのは非常に密接すると考えられるのですが、どういうメカニズムで癌化に至っているのか、これでは余りよくわかっていないところがあるので、実際にE型肝炎が本当に確実に癌を起こすという証拠には、まだなり得ていないのかなという気がしております。
それから、ジカウイルスに関して、ガイドラインで非常に気になったところは、先ほども事務局から説明がありましたように、検査としてはNATのミニプールないし個別NAT、最終的には個別NATを推奨するとなっているのですけれども、もう一つジカの検査において、渡航歴等に対する重みが余りないのではないかというFDAの見解があります。これは多分、ジカウイルスの感染様式が水平感染というのがかなり大きい要素を占めている可能性があるので、渡航歴だけでリスクを排除できないところが大きいのではないかと彼らは考えているのではないかと思いました。
もう一点ついでに、日本では硬膜でのCJDの発症がすごく多いのですが、その中で先程ちょっと説明がありましたように、30年経ってという症例が3例もあるので、今まで特生の期間を30年にしているとギリギリぐらいの感じになるので、この辺は将来的には少しゆとりを持ったフォローアップ期間が必要になってくるかもしれないなという気がしました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
大平委員どうぞ。
○大平委員 今のはE型肝炎の報告について見解だったのですけれども、これまで運営委員会でE型肝炎の対策についてずっと話し合われてきたと思うのですが、最初は慢性化することについて疑問があったときもありました。また、今後、慢性肝炎の問題、肝細胞癌という癌化するような問題が出てきたところで、E型肝炎に対しては一般的に関心が深くなっていくのではないかと思います。
今年、E型肝炎の死亡者の問題を取り上げた新聞もありましたけれども、そういった面で今後、E型肝炎に対しての対策が重要ではないかと思います。日赤でいろいろ鋭意取り組んでいただいていると思うのですけれども、最近の傾向で、E型肝炎の北海道のいろいろなサンプルについては報告されていますが、全国的にはどういう認識があるのかというのは教えていただけたらと思います。
○田野﨑委員長 日赤の方からは、いかがでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 日赤の北海道以外の地域での全体の考えでしょうか。もともと陽性率は東日本の方が高いことは非常にクリアにわかっていて、近畿、中国、四国、九州の感染率は非常に低いことがわかっています。日赤としては、そういったものは全国全く同じに進んで、食品としては全く同じリスクで考えていますけれども、実際にNATをやっているのは北海道だけです。そういう意味では、現在は4価のNATが計画どおり進んでいますので、それを早く入れるのを待っているところです。待っている間に、できるだけリスクのあるような食べ物を食べた人は献血しないようにという働きかけは全国同一で進めていますので、そういったことを今進めているところです。
○田野﨑委員長 具体的には4価NATのスクリーニングの導入は、いつぐらいになる見通しですか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 あと1年半かと思います。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。
岡田委員どうぞ。
○岡田委員 3番、4番ですけれども、メタゲノム解析によって病原体がわかったということで、感染症の解析において、特に今まで原因がわからなかったような感染症でメタゲノム解析というのは非常に有力な手段になっているのは3番、4番で示されております。
4番の仮性狂犬病ウイルスというのは、血液製剤の不活化の評価にB型肝炎のモデルウイルスとして使われているんですね。本来は豚に感染するのですけれども、まさかヒトに感染するとは思われていないので、ここに出席されている関係者の方も、この仮性狂犬病ウイルスは結構使われていると思うのですけれども、間違うと感染することがあるので、取り扱いはBSL2ですので、きちんとやらないと思わぬことが起こると思いますので、取り扱いは注意するようにお願いします。私は、この報告の半年ぐらい前に、偶然に陰性コントロールに使ったらヒトの癌細胞に本当に感染することに気づきまして、これはまいったなと思ったのですけれども、結構ヒトの癌細胞には簡単に感染して、しかも、ふえがいいので関係者の方は御注意ください。
それと、10番のラクダのプリオン病ですが、中東の人たちにとってはラクダというのは非常に身近な動物です。しかも、このラクダから検出されたプリオンのパターンを見ると、VCJDと羊由来のスクレイピーとは違うタイプなんですね。しかも、リンパ節なども陽性になっているというのが報告されていますので、クラシカルタイプのCJDですと脳の中で起こって疾患になるのですが、脳以外のリンパ節などで検出されておりますので、水平感染とか何らかの感染性を持っていて個体から個体に感染するという可能性もあるので、これがヒトに感染するかどうかはまだわかりませんけれども、注意して今後の対応を見守りたいと思います。
あと、硬膜移植のCJDの件ですけれども、パプアニューギニアのクールーの例が発症するまで50年ぐらいかかっているんです。現在も調査が進んでいまして、患者さんの数は少ないですけれども発症しているんです。ということは、硬膜移植の場合も人によっては時間がたってから発症するということが十分考えられると思います。
以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。先ほどの30年の観察期間でいいのかどうかということにも関連するかなと思います。
他はよろしいでしょうか。
ジカウイルスに関しましては、米国と日本でかなり温度差があるわけですけれども、ジカウイルスは国内ではどの程度の状況かというのは今調べられていたりするのでしょうか。山口委員、御存じですか。
○山口委員 多分、国内では私の知る限りはないと思いますけれども、ただ、1つの説として、日本脳炎とクロスするのではないかという話があります。要するに、なかなか日本人には感染しないかもしれない。ただ、これは確証の全くない話です。
○岡田委員 輸入感染症としてはあるのではないかと思います。
ついでに言いますけれども、デング熱は輸入感染症だけで、ここ2年ぐらい国内感染はないのですけれども、それでもやはり300例ぐらい輸入されていますので、皆さんもう忘れていると思いますけれども、現実的には海外で感染して日本で発症している方はおりますので、注意が必要だと思います。
○田野﨑委員長 佐竹さん、いかがですか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 ジカウイルスの国内での感染例は、媒介蚊の問題が一番大きいのではないかと思います。向こうで起こっているのは、ほとんどがネッタイシマカによるものです。日本にはネッタイシマカはいませんので、一応日本のヤブカも感染するとは言われているのですけれども、感染効率は非常に低いと言われていますので、それは非常に大きなファクターかと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
岡田委員どうぞ。
○岡田委員 ことし日本で流行した中で、A型肝炎と、ここ数年の間梅毒の患者さんがふえているという報告があるのですけれども、これは献血者で梅毒の抗体陽性率が上がったとかそういう影響、コールバックでA型肝炎に発症した人からの連絡とかそういうことはあったのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 まず、A型肝炎ですけれども、欧米で問題になったのはMSMの人の中でのA型肝炎の大きな流行があったということです。それは我々の方でも、これまでのHIV陽性者500検体ぐらい全部HAVについて検討しました。幸いその中に核酸増幅検査で陽性のものは1例もなかったです。抗体陽性率を見ますと10%以下ですけれども、HAVの抗体陽性率があるんです。ということは、一般国民の陽性率が現在、同じ年齢で見ますと1%以下ですので、やはりHIV陽性者の中でHAVの陽性率が高いのは明らかに見てとれると思います。
あと、年次別に見ましても、大体毎年10%以下の陽性率なのですけれども、2016年だけが20%に上がっていまして非常に驚きましたが、2017年はまた10%以下に下がりました。2016年は世界的なHAVの流行に一致していて、その痕跡が日本でもあるのかなという感じがしたのですけれども、昨年は通常レベルでした。
それから、梅毒に関しましては、Treponema pallidumの抗体そのものは陽性率はほとんど変わっていません。わずかに上昇しているぐらいですけれども、RPRの陽性率がちょっと高くなっているのが気になります。ですので、アクティブな感染例がふえている傾向があるということが言えるかと思います。全体の献血者での陽性率はほとんど変わっていません。
○田野﨑委員長 貴重なコメント、どうもありがとうございました。他はよろしいでしょうか。
では、次の議題2「血液製剤に関する感染症報告事例等について」、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 それでは、資料2-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」報告します。
3ページの「供血者から始まる遡及調査実施状況」です。こちらの表の一番右が、平成30年4月1日から9月30日の速報値となっております。
遡及調査の実施内容として、調査の対象となった献血件数が1,062名おります。そのうち、調査の対象とした輸血用血液製剤の本数が1,106本となっております。そのうち、医療機関に情報提供を行った本数が498本となっております。
(2)個別NAT関連情報ですけれども、遡及調査の対象のうち個別NATの結果陽性となった献血件数が2件になります。そのうち、医療機関へ供給された製剤に関する報告件数が2件、使用された本数が2件となっております。そのうち、受血者情報として判明したものとしては、陽性事例としては0件となっております。
続いて、資料2-2に移らせていただきます。「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」になります。
2ページがまとめとなっております。平成30年5~9月に報告のあった感染症報告、疑い事例を含むもので、輸血用血液製剤から25件となっております。HBVが2件、HCVが5件、HIVが0件。その他の感染症報告として、E型肝炎が4件、パルボウイルスが1件、サイトメガロウイルスは0件、細菌等が13件となっております。
「5 その他の感染症報告事例」の(2)ですが、細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液製剤の使用済みバッグを用いた無菌試験が陽性となったものが2件となっております。
この2件ですが、5ページの一番下の日赤番号3-18-00034が1例目となっております。60代の血液腫瘍の患者さんで、採血4日目の血小板から感染が起こっておりまして、G群溶血性レンサ球菌が検出されております。患者及び当該血液製剤で検出された2つの菌株については、遺伝子試験を実施した結果、差異は認められなかったと報告されております。
もう一例ですが、6ページの一番下の症例、日赤番号で3-18-00047になります。10代以下の女児で、血液腫瘍の患者さんとなっております。輸血用血液製剤としては採血2日目の血小板が投与されておりまして、検出された菌としては大腸菌となっております。こちらに関しても、患者及び血小板製剤から検出された菌の遺伝子試験においては差異が認められなかったと報告されておりまして、両患者とも転帰としては回復もしくは軽快となっております。
もう一例ですけれども、8ページの一番上の症例、日赤番号3-18-00051になります。こちらに関しては、70代の女性で血液腫瘍の患者さんです。調査中となっておりますが関連報告が届いておりますので、備考欄に情報を追記しております。採血後3日目の照射血小板を投与された患者さんで、化学療法中の方となっております。輸血後1時間45分後に発熱等の症状があって、その後、血液培養からKlebsiella pneumoniaeが検出されております。輸血後4日目で敗血症にて死亡という転帰となっております。この輸血用血液製剤と同じ献血者からつくられた血小板製剤を投与された患者さんにおいては、何も症状はなかったと聞いております。また、そのバッグは廃棄されておりますので、製剤を用いた検査はできないという報告となっております。
続いて、11ページになります。北海道で行われている「試行的HEV-NATの実施状況について」です。表の下から2番目が、平成30年1~9月の報告となっています。HEV-RNA陽性者が83例、献血者数が18万5675名、陽性率が0.045%となっています。ジェノタイプとしてはG3が76例、G4が7例。検査不能は0件となっております。
事務局からの報告は以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
質問やコメントをお願いいたします。室井委員どうぞ。
○室井委員 今回、細菌感染症が13例と多いので、これは多分、医療機関に細菌感染のリスクが集中されてきて、それでふえたと思うんです。
細かいのですけれども、無菌試験が「陰性」と書いてあるところと、「適合」と書いてあるところがあるのですけれども、これは「適合」も陰性と考えてよろしいのですか。
○日本赤十字社平技術部安全管理課長 そうです。
○室井委員 あと、グラム陰性桿菌の場合はエンドトキシンが上がると思うのですが、細菌培養が陰性でエンドトキシンだけが陽性という場合はあるのでしょうか。今回は出ておりませんけれども、一般論としてそういう場合はあり得るのですか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 理屈上はないと思います。
○室井委員 とすると、2つの検査をやっていても同じことを見ていることになるわけですか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 いえ、同じものではなくて、もちろんグラム陽性菌は出てきませんので、もし、両方調べたら、対処の仕方が恐らく違ってくるかと思います。あと症状の出方も少し違いますので、グラム陰性菌という結果とすると、エンドトキシン陽性という結果が出れば、グラム陰性菌に対する特異的な治療をそこにもう一つ重ねるということは可能になるかと思います。
○室井委員 質問したのは、細菌の抗原が少ない場合培養で出ないかもしれないけれども、エンドトキシンのみ陽性ということがあるかどうかということなのですが。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それはあると思います。培養は、ある程度菌数が出ないことが結構あります。しかし、エンドトキシンは産生されているということですので。理屈から言えば、バクテリアが死ななければエンドトキシンは出てこない形になりますので、検体が菌だらけであれば培養は陰性で、エンドトキシンが陽性ということは出てきます。
○室井委員 あと、このような細菌混入が判明した症例は、多分、日赤では出庫時に見ていると思うのですけれども、それは異常がなかったと考えてよろしいのですか。医療現場も含めてですが。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 はい。
○田野﨑委員長 岡田委員どうぞ。
○岡田委員 先程の点は非常に重要なのですけれども、医療現場の方で輸血部でも、あとは使う直前の診療科においてでも、スワーリングの確認や、輸血を始めたけれども詰まったとかそういう報告はなかったのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 今回の例に関しては、そういう報告は全然ないです。
○田野﨑委員長 よろしいですか。花井委員どうぞ。
○花井委員 細菌感染がふえているということですけれども、実際問題として血小板といのは4日ということになっていますが、平均すると何日目ぐらいに使われているとか、供給の関係でもっと長い国もあると聞いていますけれども、短ければ短いほどいいとすると、現状としては実際に4日となっているけれども、どのくらいが中央値とかそういうデータはあるのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そのデータは以前にここに出したかもしれませんが、医療機関でいつ使われたかというデータは我々は持っていません。ですので、こちらから出庫したときが何日目のものが何パーセントというデータは、こちらとしても大事ですのでやりましたけれども、実際に医療機関でその後置かれて輸血される場合もありますので、現場はちょっとわからないです。ただ、4日目の出庫というのがこちらでもある程度ありますので、それはなるべく少なくしたいと思っています。
○花井委員 参考までに、4日目出庫はどのくらいの率ですか。かなり少ないというイメージですか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 現在20%ぐらいです。
○田野﨑委員長 室井委員どうぞ。
○室井委員 医療現場では、輸血して保管・洗浄されている場合は、通常は非溶血性の反応なので、アレルギー反応と思ってしまうことが多いと思うのですけれども、症状から敗血症の前期症状と区別できないですよね。実際はどうなのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 症状で区別するのは非常に難しいですけれども、一般に細菌の場合は重篤感が強い、それしかないです。
○室井委員 そうすると、それを医療現場で区別して、一旦処置して、良くなったから輸血をまた再開しようかとなるのですけれども、その判断はすごく難しいなとこれを見ていて思ったのですが。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それは難しいと思います。
○田野﨑委員長 山口委員どうぞ。
○山口委員 今回は2回分だから多くなっている気もしているのですけれども、教えていただきたいのは、日赤のホームページの中にこういう感染症事例について年次を追って公開されていますよね。
もう一つは、実際に製造した後、出荷の前にも感染が判明した事例もあるかと思いますけれども、そういうものも含めて、採血により混入する可能性のあるバクテリア、細菌というのは、ある程度分類されたりしてデータはお持ちでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それは全部こちらでそろえてあります。それについてまとめた情報も、近日中に全ての医療機関に出したいと思います。
いずれにしましても、その中ではグラム陰性菌による症状と陽性菌による症状は少し違うところが見えてきていますし、どんな菌が多いかも傾向が大体わかってきていますので、それは全部記載してあります。
○山口委員 あと、質問したかったもう一つの意図としては、そういう情報は非常に大事だと思います。もう一つは、院内感染の可能性も少し考える必要があるかと思って、日赤のそういうデータがあれば、血液製剤に入る可能性のあるものはこういうものがメーンであってという情報提供は重要かなと思った次第です。
○田野﨑委員長 岡田委員どうぞ。
○岡田委員 今、輸血で使ったバッグの回収を一応推奨されていると思うのですけれども、なかなか現場としては難しいのですが、症例として上がってくる多くの製剤が血小板製剤ということで、赤血球というとすごくバッグが多くなるのですけれども、血小板だとかなり少ないので、そういう面では、輸血部のほうで回収しようと思えば可能なのではないかと思うんです。結局、最終的には、先ほど山口委員がおっしゃっておりましたけれども、血小板を使うような方というのは、もともとの状態が悪い方が多いので、もともと敗血症になりかかっていたのが悪化したりする場合もあるので、その鑑別のためにはどうしてもバッグの中の菌と患者さんから分離された菌が一緒かどうかの確認が必要なので、血小板に関してはバッグの回収も考える必要があるかなと思います。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それにつきましては、個人的に知っているある中小病院の検査技師さんは、非常にそこを注意していて、そこの病院で輸血された血小板のバッグは全て一晩は冷蔵保存しておくということをルーチンにしています。本当に小さな病院なのですけれども、そういった方針を立てればやっているところはあるなということはよくわかります。
○岡田委員 私のところもやっています。余計なことで済みません。
○田野﨑委員長 室井委員どうぞ。
○室井委員 たしか以前もこの場で、こういう菌血症を起こしたドナーはどうなのかといったときに、多くの方は余り健康上問題ないという発言があったと思うのですけれども、今回の事例に関しても、ドナーさんは本人が菌血症、細菌感染症を持っているという予兆というか、それは問診等ではわからなかったのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 もう一度来ていただいて状況を聞いたり、あるいは採血して培養したり、情報は全く何もないです。
○田野﨑委員長 私からも。欧米では菌血症で亡くなっている事例というのは毎年数名いるように報告されていて、日本との差がかなりあるなというのは感じていたのですが、これは何日期限かということも影響しているのだと思いますが、アンダーエスティメイトしていないかどうかということ、それから、今、日赤の報告では皆「適合」という形で、同じ菌が出て証明されない限りは、本当に感染したということになっていないと思うのですが、これについては欧米での報告基準と差があるかどうかは御存じでしょうか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 報告あるいは確定例としての基準については、ほとんどどこも同じレベルだと思います。むしろイギリスの報告が我々あるいはアメリカなどで普通に使っている確定の基準よりもさらに厳しいので、むしろイギリスからの報告に対しては、あるペーパーでは物すごくアンダーエスティメイトではないかという非難があったくらいです。ただ、我々自身もアンダーエスティメイトのところは日赤だけではなくて世界中で問題ですので、我々も心していかなければいけないと思っています。
○田野﨑委員長 岡田委員。
○岡田委員 あと、ヨーロッパでは伝統的に全血から血小板製剤をつくることが多いので、そうなると10単位というとドナーが4人とか5人となりますので、菌が入るリスクはそれなりに多くなると思います。
B型肝炎疑いの20歳の男性の例ですけれども、この患者さんはHBC抗体とHBs抗体が消えたり出たりを結構繰り返しているのですが、この症例はBに感染しているのでしょうか。というのは、恐らく血液疾患ですので血小板が使われていますので、移行抗体という可能性はどうなのでしょうか。というのは、患者さんからしてみればBに感染してしまったのか、あとは移行抗体だけなのかというのはすごく差があると思うので、その辺はどうお考えなのか意見をお聞かせください。
○日本赤十字社平技術部安全管理課長 こちらについては、検査の判定基準があって、先生御指摘のとおり、血小板製剤であれば200mLの血漿が入ります。そうすると、移行抗体の可能性は十分高いと考えております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、今後とも遡及調査報告結果、感染症症例の報告をお願いいたします。
それでは、3番目の議題『「大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用のガイドライン」を踏まえた「血液製剤の使用指針」の改正について』に移りたいと思います。資料の御説明をお願いいたします。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 それでは、議題3の資料について説明させていただきます。資料は3-1が改正の概要、3-2が新旧対照表、3-3が改正案、参考資料として「大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用のガイドライン(案)」をつけております。
まずは、資料3-1から説明させていただこうと思います。資料3-1は、概要ですけれども、今回の血液製剤の使用指針の改正については、日本医療研究開発機構の委託事業により、最初の医学的知見に基づいた「大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用ガイドライン」が作成されることを踏まえ、この内容を踏まえた上で「血液製剤の使用指針」を改正することとしております。
今回、運営委員会に提出させていただいている改正案については、平成30年度適正使用調査会に改正案を提出し、その意見を踏まえてこちらで修正させていただいたものを提出しております。
改正の要点としては、ガイドラインで大量出血時は凝固因子の消費や希釈による凝固障害などが起こることから、早期に十分な凝固止血因子の投与が患者の転帰の改善につながるといったことが近年のエビデンスに示されているとされておりますので、これまで大量出血の際は凝固障害のため、赤血球とともに新鮮凍結血漿も一定の比率で投与することを推奨していたところ、血小板製剤についてもエビデンスがあるということなので、血小板濃厚液も含めて投与することを推奨するということが1点。あと、抗線溶薬においても大量出血の際に死亡率を低下させる可能性があるということが示されているもので、これを推奨するとしております。
その他、それにあわせて参考文献の追加と用語の記載整備などをしております。
改正の時期に関しては、平成30年度内を予定しております。
続いて、具体的な記載内容として資料3-2、新旧対照表をごらんください。
まず、先ほどの改正の概要の1つ目についてですけれども、1ページの「Ⅱ 赤血球液の適正使用」の「3 適正使用」の「2)急性出血に対する適応」部分において、大量出血というものは、24時間以内に循環血液量に相当するような出血と記載した上で、5ページと7ページの「大量輸血時」となっている部分を「大量出血時」と記載を変更して、内容としても記載を変えております。
内容としては、大量出血時は凝固因子の消費または喪失で、希釈も含めて凝固障害を生じるということなので、この凝固障害を予防または治療するということが患者の予後改善につながる可能性がある。このため、大量出血時というのは赤血球液を投与するとともに、可能であればすみやかに新鮮凍結血漿及び血小板濃厚液を投与するということを推奨する「1C」というグレードで書いております。投与の比としては1:1:1が望ましいというデータが出ておりますので、1:1:1が望ましいとしております。
また、適正使用調査会で、医療現場はさまざまな状況がありますので、それに配慮した文言をということなので、「可能であれば、すみやかに」という文言を加えている形になっております。
また、次のパラグラフのバイタルサインや臨床症状、検査値も踏まえた上で、血小板濃厚液または新鮮凍結血漿を投与するという記載をしておりますが、こちらに関しては現行2ページの周術期の輸血の項目に関しても同様の内容がありますので、これを大量出血時という部分に変更して記載を整備していることになります。
続いて、概要の要点2になりますけれども、これは1ページ目の赤血球液の急性出血部分に、抗線溶薬が患者の予後を改善させる可能性があるという論文が出ておりますので、これを踏まえて、そういった抗線溶薬を投与することを推奨すると。こちらに関しては資料が間に合いませんでしたけれども、今後、抗線溶薬の効能・効果がある場合にといった記載を追加することを検討しております。
続いて、要点の3つ目になりますが、文献を記載に合わせて追加しております。
あと、4ページの「活動性出血」を「血小板減少による出血時」として内容を少し記載整備しております。
あと、8ページの「クマリン系薬剤の効果の緊急補正」に関しては、現行もプロトロンビン複合体を使用すると書いてありますが、グレードをつけると前々回の改正からしておりますので、それにあわせて記載を整備している状況になります。
以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
この血液製剤の使用指針は、臨床現場ではよく使われているものだと思いますので、かなり重要なところかと思いますが、今の血小板濃厚液、抗線溶薬の使い方、文言の修正などですが、委員の皆様から御意見をお願いします。
室井委員どうぞ。
○室井委員 大量出血時の文言なのですけれども、1ページの改正案の下線ですけれども、これは投与することを「推奨」ではなくて「考慮する」と書かれていますよね。他のところは「推奨する〔1C〕」と入っているのですが、どうしてこの箇所だけ「考慮する」にしたのでしょうか。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 1ページは「赤血球液の適正使用」という項目になりますので、この部分に関しては、出血が起きたときに多くの場合に赤血球液が投与されていることを考慮して、そのときに基本的な考え方として新鮮凍結血漿や血小板濃厚液の投与も考えなさいということを書いて、推奨に関しては各製剤の部分について記載するという形で書いております。
○室井委員 でも、同じ病態を別の項目で説明しているわけですよね。やはりここは「推奨する〔1C〕」にしたほうがいいのではないかという気がしますが。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 では、御指摘の部分に関しては、部会にかけるときに検討させていただければと思います。
○田野﨑委員長 他はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、今のことを参考に御検討いただければと思います。
では、次の議題4「血液法改正について」に移りたいと思います。資料4について、事務局より説明をお願いいたします。
○田井血液対策課課長補佐 それでは、事務局から資料4「血液法改正について」を説明させていただきたいと思います。
こちらの資料につきましては、これまで運営委員会や血液事業部会で御議論いただいた内容をまとめたものとなってございますので、御確認いただければと思います。
まずは、1ページ目をご覧ください。これまでの改正の検討の経緯とテーマについてまとめてさせていただいております。平成25年の改正法の附則で5年後見直しの規定がありましたので、それを踏まえまして、今般、血液法改正の検討を行ってまいりました。
今般の血液法の改正につきましては、薬機法の改正と一緒に改正することとしておりますけれども、薬機法の改正のテーマに合わせまして、今まで御議論いただいた内容について再整理させていただいております。そちらが下のテーママル1、革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実の関係で、採血制限の緩和を位置づけております。
また、テーママル2、医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実の関係で、採血業の許可基準の明確化とガバナンスを強化するための措置を位置づけております。具体的な内容については、次のページから説明いたします。
2ページをご覧ください。科学技術の発展を踏まえた採血等の制限の緩和でございます。現行の血液法では、現在血液から血液製剤と医薬品等のみを製造できることとしております。これらの製造のための採血か、または治療行為や学術研究のための採血に限り採血を認めているところでございます。
一方、国家戦略特別区域法(特区法)におきましては、平成27年から血液由来特定研究用具の製造を認めてございます。具体的には、iPS細胞などの医薬品の試験に用いる研究用具でございます。今後、血液由来iPS細胞を医薬品の試験に活用する企業の増加が見込まれるため、医療の発展に寄与する採血を認めることとするということでございます。
医療の発展に寄与する採血の具体的な内容につきましては、省令で規定することを予定してございますが、具体的には2ページの右下の絵をご覧ください。特区法で認められてございました血液由来特定研究用具を規定することと、そのほかにも医学的検査の標準品などを規定することを想定してございます。
続きまして、3ページ目をごらんください。採血業の許可基準の明確化でございます。現在、許可を受けた採血事業者は日本赤十字社1者のみですけれども、血液製剤の安定供給や血液供給体制の効率化・透明性の観点から、複数の事業者による血液供給体制の必要性が指摘されているところでございます。
現行の許可制度では、右下の「現行の不許可基準」のマル1~マル4に書いてあるような、例えば、マル1血液製剤の供給が既に需要を満たしていると認められるときなどの不許可になる可能性のある場合が列記されてございます。一方、新規参入者が満たすべき積極的な基準は記載されてございません。
そこで、新規参入者の予見可能性の確保や、献血者の健康保護、選択権の確保等のために、今般、右下の「許可基準の追加」のマル1~マル5に記載していますとおり、例えば、マル1適切に健康診断を行うこととか、マル2採血基準に適合した採血を行うことなどの許可基準を明確化していくこととしてございます。
続きまして、4ページをご覧ください。ガバナンスを強化するための措置でございます。現在、薬機法違反の事例の中で、製造販売業者の役員が違反を主導した場合や、それを放置した場合などが散見されることから、例えば、役員の変更命令といった行政措置の追加が検討されてございます。
それに対して、血液法における採血事業者につきましては、これまで重大な血液法違反の事例がないことと、仮に新たな新規参入者が参入した場合であっても、薬機法とは事情が異なり、採血事業者数が少なく既存の行政措置で行政の監督が十分可能であることが見込まれること等を鑑みまして、新たな行政措置は追加しないという方向で検討してございます。
一方で、採血事業者にとってもガバナンスの強化は重要でございますので、マル1とマル2の措置を講ずることとしてございます。マル1につきましては、採血事業者が複数の採血所を現在開設してございますが、その採血事業者の適格性を適切に判断するためには、事業者が各採血所を適切に管理できるかを事業者単位で確認することが必要でございます。そこで、現行の採血所単位で採血業許可を与えるという形ではなく、事業者単位の規制とすることとしてございます。
一方で、マル2につきましては、現場における採血業務をしっかり監督する必要性が高いので、現場における採血統括者、採血責任者を法律上に規定して、その責務を明確化するということでございます。
続きまして、5ページをご覧ください。その他の検討事項に移らせていただきます。1点目は、都道府県献血推進計画の関係でございます。現在も、都道府県には採血事業に関与・支援していただいているところではございますが、より採血事業者への支援措置であることを明確にするために、都道府県献血推進計画の記載事項として、支援のために必要な事項、献血に関する普及啓発等を定めていくこととしてございます。
2点目は、需給計画の関係でございます。現在、採血事業者が同時に原料血漿の製造業者でもあるということですので、需給計画との関係では、採血事業者が毎年度、原料血漿の供給量を届けてございますけれども、今後は、原料血漿の安定供給の責任を誰が負うのかを明確にするために、原料血漿の工場出荷を行う原料血漿の製造業者に原料血漿の供給見込み量の届出をしてもらって、その内容を需給計画に記載していくこととしてございます。
3点目につきましては、複数の採血事業者がいる場合の関係でございますけれども、血液製剤によって保健衛生上の危害の発生・拡大を防止するためには、現行規定では採血事業者は血液製剤の製造販売業者に情報提供をしなければならないということが記述されてございますけれども、複数の採血事業者がいる場合には、他の採血事業者に対しても情報提供を行っていくことが重要であろうということで、そちらを義務化することを予定してございます。
最後になりましたけれども、以前にお話しさせていただいておりましたが、血液事業部会とこちらの運営委員会で御議論いただいた血液法改正の内容につきましては、この秋に厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(制度部会)に報告することとさせていただいておりました。それを受けて、前回の9月の血液事業部会において、制度部会に血液法改正の内容を報告することについて御了承いただいて、11月22日の制度部会で血液事業部会の濱口部会長代理にも参考人として御出席いただいて、血液法の改正のイメージについて御報告させていただきました。
その際に、制度部会の委員からの御意見としましては、法改正の内容について三村委員から、ガバナンスの強化については、この資料の記載の方向性でよいのではないかという御意見をいただいておりますので、この場で紹介させていただきます。
資料4の説明は以上でございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
委員の皆様から、御意見・コメントなどをお願いいたします。山口委員どうぞ。
○山口委員 3点というか2点かもしれませんが、ちょっと教えていただきたいのですけれども、2ページの改正後のところで、これは特区法の関係という説明だったと思いますけれども、主にiPSを想定して許可をしているというところがあるかと思うのですが、iPS以外にも、例えばCAR-Tなどは今、ユニバーサル化というか、同種からつくられようと開発も進んでいると思うのです。そうすると、そういう採血もこの中に含まれてくるのか。
それから、もう一つ標準品という事例が挙っているのですけれども、再生医療などでは血小板抽出物がいわゆる血清のかわりに使われたり、今、再生をやっている人たちは多分みんな海外から輸入して使っていると思うのです。そういうものもこの中に含まれてくるかどうか。
もう1つは、先ほどのiPSとの関連ですけれども、3ページの「許可基準の追加」の中にマル1~マル5まであるのですけれども、マル2~マル5はよくわかるのですが、マル1に関しては、日赤がボランタリーに献血者へのサービスとしてやっている部分がかなりあるかと思います。そう考えたときに、先ほどのiPSの採血などにこれを求めるのかどうか。そういう観点からすると、ユニバーサルに求めるべきものなのか、従来の献血のときに、例えば、今考えている血漿を第2の血漿採血業者が出てきたときはこれを求めてもいいような気がするのですけれども、ケースによって違うところがあるのかなという気がするのですが。
○田井血液対策課課長補佐 事務局から回答いたします。まず、2ページの御質問の件ですけれども、医療の発展に寄与する採血としましては、具体的には省令で必要に応じて規定していくということを想定してございます。なので、御指摘の内容につきましても、法律上はそれが読めるような形で記載していきたいと考えてございます。
2点目の3ページの関係でございますが、採血業の許可基準につきましては、iPS細胞の製造のための採血等にはかかってきません。3ページの採血業というのは、あくまで血液を大量に何回も採取して血液製剤をつくるというようなものを対象に厳重な規制がかかってございまして、その具体的内容は今後マル1~マル5になっていくということでございます。少量で、また医師の指示のもと、又は医師が実際に採血する場合につきましては、マル1~マル5のような規制は今後もかからないということでございます。
○山口委員 わかりました。
○田野﨑委員長 岡田委員どうぞ。
○岡田委員 iPS用の採血という場合に、例えば、ある業者が採血して、それを使う別の企業に売るという対象はどうなのでしょうか。それは採血業者になるのでしょうか。要するに、自分のところで使うために採血したものはいいと思うのですけれども、中にはかわりに採血して、使う業者にそれを売るという業者も出てくる場合が考えられるのですが、その場合は採血業者に当たるのでしょうか。
○田井血液対策課課長補佐 採血業につきましては、あくまで血液製剤を製造する目的で採血する場合に限定してございます。それは今後も変えません。血液製剤を製造する場合のように、何回も大量に採血するような業者につきましては、業許可で規制していくという形になってございます。
一方、iPS細胞を製造するために採血したい場合は、採血する事業者が自ら採血する場合が1つ考えられますし、別のパターンとしましては、病院に委託して病院に採血していただく、もしくは血液製剤の製造目的で採血するノウハウを持っている採血事業者に依頼して採血してもらうというパターンが考えられます。そのような場合に限って認めていくという形を考えてございます。
○田野﨑委員長 室井委員どうぞ。
○室井委員 この血液由来の血液というのは、末梢血に限定されていると考えてよろしいのでしょうか。例えば、骨髄血は入ってこないのでしょうか。
○田井血液対策課課長補佐 骨髄血は入ってきません。
○室井委員 例えば、骨髄血を使っていろいろな細胞をつくるというのはありますよね。
○田井血液対策課課長補佐 それはまた別です。
○田野﨑委員長 他にいかがでしょうか。花井委員どうぞ。
○花井委員 これでよろしいのではないかと思いますが、3ページの新たな採血事業者に許可基準を追加するというのは、新たな参入がある場合に許可基準がなかったものを整備したわけですけれども、15年間それをしなくて今回これをやっている理由は、日本赤十字社が一元的にやってくれている仕事だったのですが、成分採血がふえると血漿のコストがすごく上がると。実際の金額を示されて、あの値段に衝撃を受けたせいで、こういうことを今回やっておかなければいけないという感じになったと思うのですが、一方で、この前EFPIAさんのプレゼンのときに、日本赤十字社はそれでも請け負ってもいいようなニュアンスもあり、あのときの値段は16,000円を超えていたと思うのですけれども、それはいまだに変わらないのか、もしかしたら、あのときはああいう試算だったけれども、今はいろいろ検討しており、もうちょっと安いコストで血漿を集める可能性を見出しているのかというのはどうでしょうか。直接の議題ではないのですけれども。だとすると、私たちが15年間これをやらなかった理由は、日本赤十字社を信頼しているので、全部日本赤十字社がやってくれると思っていたから手をつけなかったわけで、日本赤十字社としては、そういう高コストな部分はもう一つの業者が受け入れた方がいいというようなお考えかなとちょっと思っていたのですけれども、実は全くそうではないのではないかとこの前思ったので、実際、日本赤十字社の立ち位置は今どんな感じなのですか。第2の採血事業者に対して、もしくはこの前試算した金額は、あの時点ではああいう試算をしたけれども、まだまだ営業努力というか、企業努力をして、ある種現実的な価格で一定量を採血できる可能性がある話なのかというのは、何かあれば教えてほしいのですが。
○田野﨑委員長 日本赤十字社、よろしくお願いします。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 コストは下げる努力はできる限りのことをしていきたいと考えています。できるだけ我々でやっていきたいと考えております。
○花井委員 やはり、あのときの試算であって、まだコストダウンの余地があったということでよろしいですか。
○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 確実に言うことはできませんが、そういうことは可能かと思います。
○田野﨑委員長 これからの原料血漿がどのくらい必要になるのかというようなことにも関わってくるかと思いますので、今まで議論してきたことということで、ここに今まとめてきているわけですので、12月14日に血液事業部会で改めて審議することになりますけれども。
大平委員どうぞ。
○大平委員 今、花井委員からも御指摘があったのですけれども、これまでの経緯を踏まえて、本来ならば日赤がきちんと日本の献血者を把握しているわけなので、それに対応して日赤が全てを賄っていただくのが、私個人としてはいい姿勢かなと思っています。なかなかそこで断言していただけないところがあるので、できれば今度の血液事業部会で断言していただいたらと思います。本当に自分たちが引き受けてやっていくよというような言葉を発せられる素地になっているのかどうかは十分検討していただいて、もし必要であれば第2採血事業者が必要なのかもしれないし、今、委員長からもお話がありましたように、今後の推移が結構不透明なところがあるので、そこをどうしていくのかというのは、また改めての議論だと思いますが、今度の事業部会でお考えを示していただけるとありがたいなと思います。
○田野﨑委員長 国民から期待されているというところでございます。日本赤十字社におかれましても御検討いただければと思います。
課長どうぞ。
○石川血液対策課長 今の花井委員、大平委員からの御意見を踏まえまして、場合によっては、今日は技術系の方がいらしていると思いますので、またこちらの場で日赤から御意見をお聞きいただく機会も設けてもいいのかなと思いますので、いかがでしょうか。では、そのように調整させていただきます。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。その方がすっきりするかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、議題5「血液法施行規則の改正について」に移りたいと思います。関連するものでもございますが、資料5について、事務局より御説明をお願いいたします。
○三浦血液対策課需給専門官 議題5「血液法施行規則の改正について」、説明させていただきます。資料5になります。
血漿分画製剤の輸出に関しましては、輸出貿易管理令において、血液製剤の輸出をしようとする者は、経済産業大臣の承認を受けなければならないとされておりまして、昭和41年から国内の需要確保のため承認を停止することとされておりました、
今般、昨年12月15日の血液事業部会で、善意の献血及び余剰の中間原料の有効活用や途上国のアンメットメディカルニーズに対応するため、国内の需要以上に生じた未利用の中間原料から製造される血漿分画製剤の輸出を可能とすることが了解されたことを踏まえまして、輸出貿易管理令を改正し、血漿分画製剤の輸出の承認を不要とすることとなりました。
なお、輸出貿易管理令の改正につきましては、経済産業省で改正の作業が進められまして、11月9日に公布されており、来年4月1日から施行されることとなっております。
また、一方で、輸出が認められることになったとしても、国内の血液製剤の安定供給が確保される必要があります。このため、需給計画の記載事項及び需給計画の作成のための届出事項に、輸出すると見込まれる血液製剤の種類及び量を追加すること。毎月いただいております実績報告に、輸出した血液製剤の種類ごとの量を追加することなど、血液法施行規則について改正を行うこととしております。
血液法施行規則の改正につきましては、改正省令案の概要について11月6日から12月5日までの間、パブリックコメントを実施しております。ですので、まだパブコメを実施している最中ということになります。今後の予定につきましては、パブリックコメント終了後、必要な手続を経まして12月下旬の交付、来年4月1日からの施行を予定しております。
資料5に関しましては、以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。
まだ、パブリックコメント中ということではありますが、今まで議論してきた内容ではありますが、委員の皆様から御意見・コメントをお願いいたします。花井委員どうぞ。
○花井委員 この件もこれでよろしいと思うのですが、結局さっき言った、どのくらい必要かというときに、日本赤十字社から中間原料が十分活用すれば本来足りるのに、メーカーの必要量が必ずしも本当の必要量ではないだろうという指摘があって、その辺を精査しないと本当にどれだけ足りないのかはわからないみたいな議論があったと思います。それに対応して、血液対策課としては各分画事業者の連携について模索していたと思うので、その件が今はどうなっているかわかりませんが、例えば、中間原料輸出報告だけでは配分された製販業者が他に中間原料を渡す場合があるわけですよね。そうすると、報告するのは配分を受けた量の内数ではなくて、他から譲り受けた場合も輸出した人が報告するイメージなのですか。つまり、需給計画では渡してしまえば終わり、売って、はい終わりとなっているので、需給計画ではどこまで統制をかけるかという議論もあるのでしょうけれども、中間原料が行き来するときのイメージとしては、事務局としてはどういうイメージですか。輸出した者が報告がすれば足りるということですか。
○三浦血液対策課需給専門官 こちらの方としては、輸出した量の把握ということで考えています。
○花井委員 まず、配分されたもの以外に他の中間原料を扱って、それを輸出した場合は、それも含めて報告すると。その内数は、一部は国内の他の業者から譲り受けたものだということもあわせて報告を受けるという理解ですか。
○三浦血液対策課需給専門官 今の段階では、そこまでは検討していないです。ただ、各メーカー、分画の工程の違いもあるので、調整をしなければ製剤化に仕向けられないと思っていますし、收率の関係などから、配分量を超えて製造している場合も、こちらで把握できるかなと思っていますので、配分した量以上の製品が供給されているようであれば、当然理由は聞くことになるかと思います。
○花井委員 わかりました。行政としては引き続き、基本的にこれは規制行政なので、中のやりとりは本来は関係ないのですけれども、これまでの経緯からいくと、有効活用という観点から、国内とは限らないですが、原料血漿を譲り受けた製販業者の全体の連携についても、引き続き指導、お手伝いをしていただけたらと思います。
○三浦血液対策課需給専門官 御意見ありがとうございます。
○田野﨑委員長 ちなみに、現時点では、どの程度実際に輸出が行われそうであると見積もっているかというのは、何かございますか。
○三浦血液対策課需給専門官 その件に関しましては、各社のいろいろな戦略があると思いますので、行政からお答えするのは難しいかと思います。
○田野﨑委員長 他に委員の先生方から御意見等ございますか。よろしいでしょうか。
では、本日、委員の方からいただいた意見を踏まえまして、事務局は引き続き御検討いただければと思います。
次に、議題6「その他」に移りますが、何かございますか。よろしいでしょうか。
では、全体を通して何か御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
では、事務局に戻しますので、よろしくお願いいたします。
○山本(匠)血液対策課課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございます。また、委員の皆様、どうもありがとうございました。
本日、議論していただいた議題3~5につきましては、12月開催予定の血液事業部会で改めて報告させていただくようにしたいと思います。
また、次回の運営委員会の日程については、別途連絡を差し上げるようにいたします。
それでは、これで「平成30年度第3回運営委員会」を終了したいと思います。本日は、御議論ありがとうございました。
 

 

 

 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)> 平成30年度第3回運営委員会議事録(2018年11月28日)

ページの先頭へ戻る