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2018年1月31日 平成29年度第5回運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成30年1月31日(水)
17:00~19:00


○場所

新橋会議室8階 8E会議室
(港区新橋2-12-15 田中田村町ビル)


○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英

参考人:

溝上 雅史

日本赤十字社:

佐竹 正博 中西 英夫 千葉 広一
前野 節夫 平 力造

欧州製薬団体連合会:

宮川 真琴 楞野 隆志

事務局:

一瀬 篤(血液対策課長) 山本 匠(血液対策課長補佐)
菓子野 慧(血液対策課長補佐) 三浦 勲(血液対策課需給専門官)

○議題

・日本の血液事業における外資系製薬企業の展開方向について欧州製薬団体連合会(EFPIA)からヒアリング
・今後の原料血漿確保への対応について
・原料血漿配分ルール(素案)について
・血液製剤に関する報告事項について
・その他

○議事

 

○山本匠血液対策課長補佐 薬事・食品衛生審議会平成29年度第5回血液事業部会運営委員会を開催いたします。なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況は、運営委員会委員6名全員の委員に御出席いただいていることを報告いたします。

 本日は欧州製薬団体連合会バイオロジクス委員会より宮川真琴副委員長、楞野隆志血液製剤部会長に参加いただいています。また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、中西英夫血液事業経営会議委員、千葉広一経営企画部長、前野節夫経営企画部次長、以上4名に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。

 続いて、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。

 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出していただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。また、本日の議題は利益相反に関係する審議事項はありません。カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。

 以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 議題に入る前に、事務局から資料の確認と前回の議事録に関して御説明をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 まず、1枚目が議事次第です。座席表が2枚あり、委員名簿があります。その次は参考人名簿が1枚あります。それから、薬事分科会血液事業部会運営委員会規程です。

 続いて、資料1-1「日本の血液事業における外資系製薬企業の展開方向について」、資料1-2「血漿分画製剤産業ビジョン 2017」、資料2「今後の原料血漿確保への対応について」、資料3「原料血漿配分ルール(素案)」、資料4-1「輸血用血液製剤でE型肝炎ウイルスに感染した事例について」、資料4-2「輸血用血液製剤のHEV安全対策について」、その参考資料が1枚、資料5「血液製剤産業コンプライアンス・プログラム・ガイドライン(概要)」。資料は以上です。不足がありましたら事務局までお知らせください。

 前回、平成29年度第4回血液事業部会運営委員会の議事録及び第3回血液事業部会運営委員会の議事録並びに非公開部分の議事概要については、委員及び参考人の皆様に御確認いただいた上で、厚生労働省のウェブサイトに公開しております。以上です。

○田野崎委員長 それでは、議題1「日本の血液事業における外資系製薬企業の展開方向について欧州製薬団体連合会(EFPIA)からのヒアリング」ということで、これについてEFPIAより、資料1-1、資料1-2について説明をお願いいたします。

○欧州製薬団体連合会楞野バイオロジクス委員会血液製剤部会長 本日はこのような機会を頂きまして、大変感謝申し上げます。私ども、欧州製薬団体連合会(以下、EFPIAと表現する)は欧州に拠点を置く企業で組織されております。2ページにあるように、その中にバイオロジクス委員会というのがあり、血液製剤とワクチンの部会を持ち、生物学的製剤の課題を常に共有できる委員会となっています。血液製剤部会として、4社がこの部会の中にあり、本日は私から説明させていただきます。

 次に、日本の血液事業におけるEFPIAの立場また貢献について少し触れさせていただきます。4ページにあるように、このグラフは日本の血漿分画製剤市場の推移を示しています。下の青色部分がEFPIA加盟企業です。代替製剤である遺伝子組換え製剤も含んでおりますが、約45%を占めており、日本の医療への貢献度が高いことがお分かりになると思います。

 5ページにあるように、技術面においても私ども加盟企業は、それぞれ当時において先端的な技術の提携をするなど、国内自給に貢献してまいりました。

 6ページは「意見の要約」と書いていますが、日本の血液事業において私どもの意見をまとめております。先に述べたように、EFPIAのメンバー企業は過去から現在に至るまで、日本の血漿分画製剤の安定供給と、技術も含めて国内自給に貢献してきております。これからも更に貢献していきたいと考えております。詳細については資料1-2にあるように、昨年、日本の「血漿分画製剤産業ビジョン 2017」というのを作成し、国内自給と社会貢献に向けた提案をしております。

 次に、国内外の現状ということで、血漿分画製剤事業の現状を御説明いたします。8ページ目です。需給状況を簡単に言えば、海外も国内も需要は拡大し続けているということです。海外はグロブリン、アルブミン、凝固因子のそれぞれが急拡大しています。参考資料の26ページから32ページで、グラフで分かりやすく説明しております。時間の都合で省かせていただきますが、グラフを御覧いただければと思います。国内においても、先の運営委員会で国内企業3社が示されたように、2025年には現在の1.5倍の需要が見込まれているということで、海外、国内ともに需要は伸びていくことが推定されております。

 9ページに移ります。このような中でも、また需要の増加を続けていく中、私どもが認めている新たな治療法やイノベーティブな製剤の開発も進んでおります。例えば欧州ではアルツハイマー病に対してアルブミンを使用した新しい治療法の臨床試験が進んでおり、有用性が証明されれば、欧米などの先進国だけでなく、日本も含めてアルブミンの需要が再び増加に転じることも想定されます。また、日本だけでなく欧米でも再生医療技術によって、人工血小板、又は人工赤血球のような血球成分についても開発が進んでおり、数年先には上市されると言われています。これらが輸血製剤の必要性の減少につながり、血漿分画製剤用の原料血漿の確保という連産構造の中に影響を与えることも危惧されています。このことから、近い将来に向け、需要増という形と、原料血漿の確保という形のバランスを考えた献血体制の再構築が必要ではないかと考えております。

10ページです。そのGlobalの中の一部を示させていただきます。左のグラフに世界の人口比率、右のグラフには遺伝子組換え製剤を含む血液凝固第VIII因子製剤の使用量を示しています。世界の人口の15%を占める欧米諸国が製剤については66%を使用しているという偏りがあります。すなわち、逆にアジア諸国においては、多くの患者が製剤にアクセスできないという状況にもあります。11ページに簡単に示していますが、韓国はアジアで唯一100%の需給を達成している国と聞いていますが、さらに年内に230万Lに分画事業規模を拡大し、アジア諸国の受託生産を請け負うGlobal化を目指しています。中国はまだまだですが、血漿分画製剤としてはアルブミンの輸入を認めており、需要は急拡大しています。タイは韓国のGreen Cross社と契約し、20万L規模の設備を稼働しています。その他のアジアの諸国では、人口5,000万人以下では自国製造が難しいと言われる地域ですが、分画製剤の安定供給体制構築に向け、我々日本がリーダーシップを発揮するべきではないかと考えております。

12ページに移ります。私ども、在日外資企業の懸念ということです。外資系企業が国内自給に更に貢献するには課題があると考えています。下がり続ける薬価、世界的な原料血漿の確保、自給のための国内原料へのアクセス、また将来の事業展開を予見性をもって進めることが難しいという懸念があります。これらを、ここに少し書いております。

13ページに移ります。一方、外資の分画製剤メーカーについては、国内原料血漿へのアクセスに大きな期待を持っております。日本向けに調達された海外原料血漿の由来から作られた製品を国内献血原料に置き換えることが可能になるのではないか。現在輸入している製剤を他の市場に回すことができたり、調達が2チャンネルとなることから、安定的に日本に向けて原料が確保できれば、国内の安定供給確保につながります。また、原料血漿が国内献血原料になることで、献血由来製剤の薬価という収益改善につながることも期待しております。さらに、Global化を推進するために、業務提携等で外資と内資の企業の連携ということで、日本の血液事業政策を支援する形を示すことによって、外資企業への信頼や評価を得られることを期待しております。

14ページに移ります。このような期待があるものの、実現可能かどうかを判断するためには、更に明確にしていただきたいことがあります。すなわち、原料の種類や配分ルール、また採算性の確保ができるかどうかという判断材料、さらに献血原料の確保が複数年先まで担保されるかなど、日本で安定した事業体制の確保の可能性を判断するために、公正かつ透明性の確保を望んでおります。これらが満たされたとしても、実稼働に至るまでは更に時間がかかることから、分画製剤の国内需要の増加予測を考えると、できるだけ早くこれらが明確になることを血液事業部会関係者にお願いしたいと思っております。

 課題の中の1つですが、例えば配分された原料の種類1つを取っても、ソースによって収率が異なるということから利用度が違ってくるということも頭に入れながら検討が必要ということを示しています。

 以上、述べたような現状を基に、私どもの基本的な考え方を述べさせていただきます。先ほど述べたように、分画製剤産業ビジョン2017ということで提案していますが、7つの項目を挙げて基本政策を示していますが、その一部である2番から5番について簡単にお示しいたします。

18ページです。「国内自給力」と表現しています。国内自給力とは、「国内需要を満たす原料血漿量と製造能力を常時保持することを意味し、国内原料血漿で製造された製剤の国内シェアを指すものではない」と我々は定義しています。これは内資企業、外資企業の製造所の区別ではなく、日本の原料血漿を用いた製品で、国内市場を100%賄えるということを目指すことを指しています。これは血液法の国内自給と同じ考え方ではないかと考えております。EFPIAは、この考え方に、日本の患者さんや医療関係者が常に有用性の高い製剤や治療法にアクセスできる環境と、これらを選択する権利を保障することを加えて述べております。

19ページです。少しbusyな図になっております。先ほど申しました国内自給力の確保と国際貢献を可能にするモデルをここに示しています。原料血漿の到達体制、製造供給体制、製造技術の向上と受託生産体制の構築、原料血漿の有効利用と国際貢献を示しています。例えばオレンジの矢印の流れは、国内3社に配分された原料血漿から出た凝固因子などの国内需要のない余剰中間原料を内資企業、外資企業が譲り受け、分画製剤化し、世界の血友病連盟(WFH)を通じ、凝固因子製剤の寄付をするというものです。ただ、このコストについては一部の製剤をGlobalで販売することによって、そのコストを賄うという必要があります。黄色の矢印は、国内自給を満たすために確保された原料血漿から生じた余剰の中間原料又は原料血漿で製剤化された製品を活用し、寄付をする。また、その寄付に係るコストを吸収しながら国内にも戻しますが、やはりGlobalでも販売という位置付けを持って、国際貢献を可能にする事業モデルです。

 原料血漿の確保については、ここでは第2採血組織とお示ししていますが、現在国内唯一の採血事業者である赤十字社が、国内市場を100%賄える原料血漿を確保でき、将来にわたって安定供給できれば、このような施設は必要ありません。いずれにしても、これらの事業体制には柔軟な危機対応可能な原料血漿確保の基盤が必要だと考えております。

 先ほど第2採血組織について少し触れましたが、20ページでもう少しお話させていただきます。日本赤十字社の事業計画が今後方向性を決めることになりますが、これは外資系企業が開設すると述べているのではなく、赤十字社が新たな組織を持つ、又は新たな公益組織が行ってもよいかと考えています。重要なことは、輸血用血液中心の確保の考え方から発想の転換で、血漿分画製剤用の原料を採取する組織が必要であることを指しています。全血などの輸血用原料と異なる検査項目、また採血回数の効率的な管理、現在は確保できていない特殊な原料血漿の確保も含めて、原料血漿の増加を図るとともに、危機管理、リスク分散の観点から基盤強化を考える必要もあります。

31ページに示していますが、世界の需要増については、Source Plasma、すなわちApheresisによる原料血漿が使用されています。Recovered Plasmaではほとんどカバーできていないことが分かります。32ページにも、単一で自給100%を達成しているドイツにおいても同様で、これらは赤十字社の採血量は一定に確保できています。ただ、第2採漿施設によって、その増量をカバーするという形を取っています。このように第2採血組織が成り立ったとしても、日本赤十字社の事業を脅かすというものではなく、逆にカバーするという役目を果たすことが見て取れると思っています。

 以上、述べてきたことから、早期実現に向け、我々の考え方を最後に述べさせていただきます。国内自給力の向上のため、原料血漿を安定的に確保するために方策の具体化をお願いします。第2採血組織も含めた原料の確保のための新たな検討会の設置を提案します。国際貢献の実施に向け、新たな検討会の設置を提案いたします。血液製剤の新たな薬価制度を導入できるように議論の開始を提案いたします。血漿分画製剤の特性に応じた薬事承認制度の在り方についても、検討の開始を提案いたします。以上、早口で申し訳ありませんでしたが、説明を終わらせていただきます。

○田野崎委員長 ありがとうございました。今後、血漿分画製剤の需要が非常に高まってくるということが大前提として、これからの第2採血組織なり、国際貢献なども踏まえた上でプレゼンテーションしていただきました。御質問、御意見などをお願いいたします。

○室井委員 大変分かりやすい説明をありがとうございました。2つほど教えてください。ヨーロッパでは血漿のみを取るような組織というのは、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなど、どの国も普遍的にあるものなのでしょうか。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 赤十字など以外の民間の組織という意味だろうと思うのですが、ドイツ、数年前にハンガリー等があって、ヨーロッパ全部にこういう組織があるということではありません。

○室井委員 11ページの韓国が血漿を倍増するという大きな目標を立てられていて、Green Cross社とSK Plasma社という名前があるのですが、この2つの会社というのは、韓国籍の会社なのでしょうか、Globalな会社なのでしょうか。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 これは韓国の企業なのですが、韓国ではGreen Cross社が血漿分画製剤のパイオニアです。それに加えて、大型資本のサムスンやSK Plasma社といった大企業が医療分野に進出していて、SK Plasma社は血漿分画製剤事業にも参入するということです。あくまでも韓国の企業と御理解いただけたらいいと思います。

○山口委員 今の質問に関係するのですが、ドイツモデルとしては増えてくるという予測なのでしょうけれども、これは有償、無償、献血の区別はどうなっているのでしょうか。それと、我が国に適用したときに、どのような予測を立てられるでしょうか。

 どういうことかと言うと、献血人口そのものが減っていこうとしているのに、採漿施設がこういうドイツモデルで成り立っていくのかどうか。ドイツの場合は、これが増えてきているドナーのモチベーションはどこにあるのかという点を教えていただけますか。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 ヨーロッパモデルが日本でそのまま通じるとは思っていないのですが、日本は日本の文化、国民性、過去の歴史を踏まえながらやっていく必要があるだろうと。ドイツについては、国内需要の2.7倍ぐらいの原料血漿を確保しているという状況で、そこまでは日本でも採る必要はないだろうと思います。

 献血者のモチベーションという観点から見ると、ヨーロッパでの公的な調査だったのですが、加盟20数箇国で調査した結果、赤十字などの献血をするときの動機、それと民間の採血をした献血者の動機を比較した資料があります。これにはほとんど差がなかったということです。これから考えて、日本は日本独自で調べるとしても、これは参考にはなるだろうと思います。

 それと、数年前にチェコだったと思うのですが、国内自給できるだけの原料血漿は足りない状況で、民間の採血センターを国として承認しました。これも無償献血という観点から承認していますが、実態としては一緒です。これで飛躍的に血漿確保量が伸びたというデータがあるので、その辺も参考に、我々も勉強する必要があると思います。

○大平委員 この度は勉強させていただきまして、資料をいろいろと読ませていただいて、こういう見方もあるということも含めて、大変参考になりました。役割としては、かなりEFPIAの皆さん、海外のメーカーの方たちの努力も、私たちの治療、血漿分画製剤の分野でもいろいろと役に立っていると理解しております。そういう点では、大変有り難いと思っています。

 ただ、資料1-2を読ませていただいて、よくもこれだけいろいろと問題点を挙げていただいたなということと、余り日本たたきみたいな感じの書き方をしてあるので、びっくりはしました。

 それと言うのは私たち、特に私から見ると、この30年ぐらいの歴史というのは、そんなには長くも短くもないというところもありますが、その中で薬害エイズの問題というのは大変大きな問題で、これは世界規模で起きた問題でもありますし、日本でも被害者の半分以上は亡くなっているという、血友病の歴史の中でも未曾有の歴史があった事件です。そういったところの加害企業が入った連合会からの御指摘というのは、もう少し遠慮してもいいのてはないかと思います。

 これから、4点ぐらい質問させていただきます。1つは、なぜ日本の献血血液は国民運動として盛んになっている、そして一生懸命国民総出で協力していただいている献血血液にターゲットを絞った原料血漿を、こういうEFPIAの方たちが日本にターゲットを絞ってきたのかというところを率直にお伺いしたいことが1点です。

 もう1点は、国内自給といっても、これは先ほどの歴史の経緯、透明性の問題で、バイエルなどが、これまでの短い歴史の中でも、何回も問題を起こしてきていて、患者にも行政もどうか分かりませんが、全体として目が届かない、正直にいろいろとすぐに迅速に対応していただいていないというところがありました。透明性の問題としては、国内の企業にきちんと作ってもらうことがいろいろな意味での対応が一番早いということも含めて、経緯の中からも国内自給という問題が大切であるし、献血運動で、皇室のいろいろな御協力を頂きながら、国民の献血を推進するという献血推進全国大会というものも毎年開いて、全国の国民が総出で献血をやっていく。これは1つは国策運動なのです。国策はけしからんということを言っていますが、これは日本の国防的な意識もあって、それを踏まえての血液を守っていく、そういうところが重要性を持って、私たちが参加している意義があるのではないかということで、こういった問題から血液法にもいろいろと提案させていただきましたし、今も毎年参加させていただいて、血液の大切さ、その献血運動の大切さを訴えてきました。これについての背景があるということを、十分に理解していただきたいと思っています。

 あと、WFHの問題については、寄付の問題ということで、国際貢献となっていますが、これは一人一人の患者の幸福を考えると、これは定期的にきちんとその国が保障して、国の保障制度の中できちんと提供されるべきであろうと思っています。一時しのぎ的な寄付運動でその国の患者さんの治療を守っていくというのは、私はWFHの会長が訪ねてきてお会いしたときも、そういうファンドを集めて、きちんとその国で自給できるような体制を作る、それが永続的に続くようにしていかないと、一時しのぎの問題になるのではないかということを懸念していることを伝えました。ですから、そういった問題からすると、WFHの問題を日本の原料血漿の問題、何か日本は阻害しているのではないかというようなことで、そのように思われるというのはいかがな問題かと思っています。

 もう1つお聞きしたいのは、透明性の確保です。日本も透明性が確保されていない部分は多々あると思うのですが、これから日本できちんといろいろとおやりになっていくとしたら、今までのような海外の生産地というのは、なかなか目が届かないところがあって、PMDAがやっているということをお聞きするのですが、実際には遅れた対応がここ数年でも起きているという所があるので、そういったところから見ると、透明性の確保というのはどのようにされていくのかということをお聞きしたいと思っています。

○田野崎委員長 時間の関係などがありますので、また御検討いただければと思います。ほかに、花井委員、どうぞ。

○花井委員 150万L水準まで移った場合、どのようにしていくかという論点は、取りあえず今日は置いておいて、現状の輸入製剤のシェアがあって、今、100120万Lベースでずるずると、プラトーに少し右肩上がりぐらいのイメージだとしてその中から現状の輸入分を置き換える形でそちらに配分するという量で、果たして時間を掛ければそれでも対応できるという理解でいいでしょうか。増えるからある程度継続的なビジネスモデルが描けるけれども、そんな少ない量だけだったら、ビジネスモデルは描けなくて、今までどおり海外の血漿を輸入するぐらいのビジネスしかできないのだという理解なのか、100120万Lレベルでも、国内自給にその分をreplaceする形で貢献いただけるのかが1点です。

 それから、今、日赤におられる高橋先生が以前おられたときに、当時、PPTAだったかもしれませんが、少量を外に出してしまうと、つまり製造工程で、それほど少量だったら、ほかの所から混ざったりとかして、本当に献血由来が返ってくるかどうかの保障がないではないかという懸念を高橋孝喜先生がされていたので、つまり少量で可能かと。可能である場合に、高橋先生の懸念というか、少ない量を日本から持っていって、それを日本への供給分としてそちらでオペレートすることの困難性があるのではないかという懸念だと思うのですが、この2点お願いしたいのですが。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 まず量の問題ですが、分画する際の1つの目安として、少ない量で3万L、多ければ1020万Lもあると聞いていますが、1,000Lという小規模ではコスト的な問題が出てくるので、無理かとは思います。例として海外で受託生産をする場合、少ないもので3万Lとか5万Lでやっているケースがありますが、1020万Lの規模で受託生産をするとなると、多分、大手の分画製剤企業しかできないと言われていますので、日本でも国内自給のために何らかの御協力をさせていただくことになれば、このリッター数も非常に参考になるのではないかとは思います。我々が今後の議論の1つとして明確に本日お示しさせていただいていますのは、原料血漿の量だけではなしに、連産で出てきて国内需要が満たされているものをどうするかとか、そういうことも含めた配分ルールの中で議論をしていかないと、外資企業が今の議論に参画できるかどうかは、現時点では答えは出せないと思います。

 それと、これは外資企業がグローバルの本社から日本の血漿にアクセスして、何万リッターだったらできるということではなく、外資企業の日本法人が、日本の血液法の中で配分ルールに則ってどういう事業が描けるかを、日本法人自身が勉強してモデルを書く必要があります。透明性の点なども含めて、今後の配分ルール等もこの議論の中で判断する必要があると考えています。

○花井委員 ありがとうございます。もっと率直なことを聞いてしまってもいいかもしれません。取りあえず、例えばグロブリンベースなのかアルブミンベースなのかとか、そういったことも含めてという理解でよろしいのですね。今は前年度の実績に基づいて配分を決めているので、そういう意味で言えばそういうことという理解ですよね。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 外資企業が国内血漿にグロブリンベースでアクセスすると、国内自給がほぼできているということになりますので、基本的にはグロブリンベースでアクセスすることについては、国内企業も含めて、血液事業関係者もいろいろ議論があるところだと思うので、今の議論の中では、グロブリンベースでこの議論に入るという考えは、今のところ持っていません。

○田野崎委員長 よろしいですか。

○岡田委員 確認ですが、32ページのドイツの例で、民間の組織がドイツのRed Crossの倍ぐらい採漿していると、これが少し驚きなのですが、これは有償、要するにただではなくて、お金を払って集めているという可能性はないのでしょうか。それは結構大きい。本当に無償でこれだけ採漿できたら、すごいなと。逆にそういうシステムを日本に是非導入してみたいなと思って、その現状をお聞きしたいと思って質問をしました。先ほど山口先生からの質問でも、その点の明確な答えがなかったので、これは非常に重要なことなので、是非お答えをお願いします。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 ドイツの民間の部分については、有償という御理解でいいと思います。では、どういう有償かというと、これは主に分画製剤企業の関連小会社の採血センターが担っていると理解していただいたらいいのかと思います。では、その採血センターのシステムは、ヨーロッパでは25ユーロまでは交通費とかそういった支援は無償の献血、特にドイツは国として献血と同じだという考え方を持っていますので、そういう関係で、この血漿については全てそういう考え方で有償で採った量であるという御理解でいいと思います。

○岡田委員 分かりました。

○大平委員 昔から有償採血して、健康を確保できるようなきちっとしたシステムができている所はいいのかもしれませんが、ただ、多くはそういう有償採血ですと、何回も採血に来て、体を壊すとか、それに生活が寄って立つという方たちが増えがちですが、そういうことがないようにして、無償で、例えばEFPIAの方のお考えがあったら教えていただきたいのですが、無償採血でそういう採血量が増える方法とか、また、メカニズム的な問題でも結構ですので、どうしたら採血量を増やすことができるかとか、そういうことは大変重要なテーマになるのではないかと思いますので。

 日本はそういう献血者にせっかく無償でやっていただいているわけですが、そういった問題について、限界ある献血者の採血をどういうふうに誘導していったらいいのか。今は日本赤十字社が一手に引き受けているわけですが、日本赤十字社に応援していただくとか、そういうこともあるかと思いますので、何かいろいろお考えがあったら是非教えていただけたらと思います。

○欧州製薬団体連合会宮川バイオロジクス委員会副委員長 ありがとうございます。有償でお支払いしているのは、Apheresisの採血では、最初の問診から始まって、採血が終わるまで約1時間半、2時間も拘束されると。これは全血採血の献血とは全く違うということが、まず一つあります。それと、バスで献血することができない。採血センターまでわざわざ来ていただく必要があるという考え方から出ているというところを御理解いただきたい。

 我々は過去に日本で3,000人ぐらいのアンケート調査をやったことがあるのですが、その中で1つ見えていたことは、例えば麻疹とか風疹とか、そういった抗体を20代の人たちの一部には持っていないことがあり、妊娠すると、それが問題になりました。ですので、献血で若い人の抗体価があるかないのかを調べることは結構ニーズがあることが分かりました。また、50歳以上の献血者は結構いらっしゃるのですが、この世代は帯状疱疹とか肺炎球菌などへ感染問題が指摘されていますから、そういった意味でワクチン接種と関連付けながら献血を進めていってはどうか。献血者にとっては、そういう意味で、健康管理になりますが、それを献血とともにやることについては、非常にモチベーションもあるだろうということです。

 それと、トレーサビリティーではないですが、自分の血液がどういう病気に使われているか。これはITシステムなどと連結すればできると思います。何月何日のあなたの献血が、いつ、どういう薬として使われています、それはどういう患者に効果的ですということまできちんとフィードバックしていくということができれば、献血に対してそういうモチベーションが出ると思います。我々が20代の日本人を調べてみると特にそういう傾向があるように思います。ですから、そういう意味で、いろいろな民間のマーケティング手法をいかに取り入れてニーズを探り出していくかということを、例としてお話させていただきました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。次に、日本赤十字社からのプレゼンテーションがあって、恐らくまた関連してくる内容になるかと思うのですが、もしよろしければ次に行かせていただきますが、よろしいですか。では、議題2として「今後の原料血漿確保への対応について」、日本赤十字社から資料2について御説明をお願いします。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 本日は、日本赤十字社の原料血漿確保への対応について、お話させていただく機会を頂きましたことに感謝を申し上げます。早速ですが、内容に入らせていただきます。

 資料の1枚目、下のスライドでは、血液法の理念について改めてお示ししました。日本赤十字社の事業は、血液法の基本理念に基づき、実施しているところです。特に2の、国内自給は、原則として国内献血による血液を原料として製造されること、血液製剤は国内自給が確保されることを基本として安定的に供給されること、3では、血液製剤は献血により得られた血液を原料とする貴重なものであることから、適正に使用することを定めております。

 ここで特に申し上げたいのは、献血する国民の意識です。健康な国民が、自らの血液を国内の病気などによって苦しむ人々のために役立てたい、社会のために少しでも役に立ったら嬉しい、あるいは、かつて身内が輸血を受けて命を助けられたから恩返しをしたいという国民の純粋な思いが、この国の血液事業を支えております。

 先ほどEFPIAの方から血漿採血のモチベーションの話がありましたが、ドイツが国内需要の数倍にも上るような血漿を集めていること、やはり有償採血だと思ってお聞きしておりました。私もアメリカでプラズマセンターの状況を拝見し、やはり日本の国の献血とは全く様相の異なる状況で、正しくドナーもプラズマビジネスの中のドナーだと感じて帰ってきたところです。したがって、国内献血を原料とする献血血液製剤は、他の血液製剤と内容成分や製品の安全基準が同じても、その成り立ちを考えれば、全く別物と言わざるを得ないと感じております。この基本理念の文言の中の「貴重な献血血液」という言葉の中には、純粋な社会への奉仕や国民の相互扶助という、国民の崇高な理念と献身的な行為に基づいた血液という趣旨が込められており、こうした日本の血液事業の在り方を、血液法の基本理念として定めていると認識しているところです。

 次のスライドでは、血液法の理念に則り、関係者の責務を定めております。国の責務として、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的かつ総合的な施策を策定し実施すること、国内自給が確保されるよう国民の理解と協力を得るための施策の実施、必要な措置を講ずることを定めております。採血事業者に対しては、献血の受入れを推進し、安全性の向上及び安定供給、さらには献血者などの保護を定めております。血液製剤の製造販売業者に対しては、安全な血液製剤の安定的かつ適切な供給、安全性向上の技術開発や情報の収集と提供を定めております。さらに、医療関係者に対しては、血液製剤の適正な使用と血液製剤の安全性に関する情報の収集と提供に努めることとされております。

 次のスライドです。日本赤十字社は、これまで長年にわたり国民からの負託を受けて、献血血液をお預りして、必要な患者の下にお届けしているところですが、基本方針として血液法の理念と責務に則り、国内自給達成への寄与については、必要血液量の確保と安定供給を、また、献血者確保のための透明性の高い事業については、献血血液の有効利用を踏まえた利用状況の説明を行い、国民からの負託に応えることとしており、今後とも国民のための国内自給に向けて最大限の努力を積み重ねていくこととしております。

 次のスライドは、昨年9月の運営委員会において、日本赤十字社が今後取り組んでいく原料血漿の確保策として提出した資料です。日本赤十字社では、安全で安定的な血液事業の実施に取り組んでまいりましたが、近年は輸血用血液の中長期の需要動向等も踏まえ、安定的な運営を行うために、より効率性の高い事業の展開を進めております。

 原料血漿については、今後の実際の国内需要を踏まえた具体的な量は今現在予測はできませんが、今後の需要に対応するため効率的・安定的に原料血漿を確保し、かつ、適正な価格で配分することが必要だと考えており、資料のとおり今後の日本赤十字社の対応計画を提示させていただきました。具体的な個々の確保策については説明を省きますが、こうした具体的な対策を打つことで、更なる血液製剤の国内自給の促進に寄与できるものと確信しており、日本赤十字社の強い思いを受け止めていただきたく、9月の運営委員会に提示したものです。本日の説明内容である原料血漿確保への対応に対しても、日本赤十字社の基本姿勢を理解していただく表れということで、あえてこの資料とさせていただきました。

 スライド6です。現在の体制でどのぐらいの原料血漿が確保可能かです。資料にあるとおり、輸血用血液から72万L、さらに原料血漿を確保するための血漿成分献血で28万L、この合計量の100万L程度は可能であると考えております。しかし、血漿成分献血は、血液中の血漿だけを採取する装置が必要であり、採取にも時間がかかることから、献血ルームでの採取に限られております。献血ルームは、今現在、全国に146か所ありますが、御存じのとおり土・日・休日は献血ルームは献血者であふれ大変混雑しております。これ以上の献血者を増やすことはなかなか困難な状況にあります。一方、平日は、土・日・休日の約6~7割程度の献血者であり、施設や器材に受入れの余地があります。しかしながら、献血者のライフスタイルとも大きく関わってくる問題で、なかなか平日に足を運んでくださることは難しい現状があり、過去からこの傾向が変わることはありませんでした。今後、100万L相当、あるいはそれ以上の献血者に御協力いただくには、社会や職場において平日に献血しやすい環境づくりが不可欠で、国、地方公共団体の指導や協力が必要であると考えているところです。

 次のスライドでは、血漿分画製剤の国内自給にかかる現状と課題について述べさせていただきます。この表は、原料血漿確保量と分画製剤の自給率を製品ごとにグラフにしたものです。表の下は、過去からの原料血漿の配分価格を示したものです。平成21年度以前は原料血漿価格が高く、分画製剤の内外薬価差が発生し、国内自給が進まないとしておりましたが、これを受けて、国は平成22年度以降、原料血漿の配分価格を引き下げて対応しましたが、結果としては期待される国内自給は進んでおりません。

 次のスライド8です。原料血漿の配分価格以外に考えられる国内自給の停滞の要因と思われるものを示しました。国内自給のために、原料血漿は国民の献血によるものであり、日本赤十字社がお預りし、製薬企業に配分されておりますが、製薬企業のこれまでの取組状況から推察すれば、製薬企業は売上げと利益が見込めるグロブリンの配売拡大を進める一方で、利益の出ないアルブミンの製造には抑制的でした。これは企業利益が国内自給に優先していることを示しており、企業経営は国内自給とともに車輪の両輪のごとくあるべきではないかと指摘をしているところです。

 また、医療機関においても、血漿分画製剤はDPCなどの安い製品を選択せざるを得ない病院の都合による選択が、患者による製品選択に優先しているのが実態ではないでしょうか。これらの現状の背景にあるものとして、隔年で引き下げられる薬価が経営を圧迫していることから、製薬企業が売上げを維持して利益を確保するためにグロブリンの販売計画を拡大せざるを得ない薬価の制度であることや、医療機関のDPCなどによって、国内自給がねじ曲げられ停滞しているとも考えられます。

 このことは、血液事業の入口では国内自給を標榜し献血を国民運動としていながら、出口では国民の献血血液が国民に十分還元されていない仕組みであることを示しております。長年献血に協力してきた国民献血者が血液製剤を使用する立場になったときに、企業や医療機関の都合で、国内献血製剤の選択ができないことがないようにしなければならないと考えております。

 これらの状況を踏まえて、国への要望を次のスライドで示しております。1つは、薬価の取扱いの見直しです。先ほど申し上げたとおり、製薬企業の経営のために献血血液を販売するなどということにならないように、薬価の適切な取扱いをお願いしたいと思っております。

 2つ目は、医療機関での国民・患者の製品選択が最も重要です。献血血液が血液製剤となって適切に国民・患者に還元されるよう、患者による製品選択の機会の確保と、適正なインフォームドコンセントの徹底をお願いしたいと思います。

 3つ目は、患者の製品選択を踏まえて、つまり需要の実態を捉えて、国内自給の到達点を見定めた上で、国民の協力がどこまで必要なのか明らかにする必要があると思います。中長期的な国内自給達成に向けたグランドプランの策定をお願いしたいと考えております。このグランドプランが今後の血液事業の効率性にも大きな影響を及ぼすものであり、大変重要なものと認識しております。

 4つ目は、原料血漿の管理体制の強化です。原料血漿は、採血事業者である日本赤十字社から製薬企業に配分された以降は、その利用は全面的に企業の裁量に委ねられており、利用状況はブラックボックスに近い状況にあります。原料血漿は、善意の献血からなる言わば国民の財産です。この国民の財産を国民に還元するために、製薬企業があり、あるいは医療があるわけですので、こうした状況を管理する必要があると考えております。

 原料血漿の利用状況や今後の献血由来製剤の輸出の問題、あるいは中間原料を含めた献血血液の有効利用を促進するなど、原料血漿を包括的に管理するとともに、国民への説明責任を果たすため、新たな専門的知見を有する公的な組織体制を構築する必要があると考えております。

 最後に、改めて血液法に戻りますが、国、地方公共団体、採血事業者、製薬企業、医療関係者のそれぞれの責務が定められており、日本赤十字社は採血事業者として、基本理念に則り事業運営を行ってまいりました。今後も、血液製剤の国内自給の達成に必要な原料血漿は、献血推進の役割を担う国・地方公共団体と協力し、可能な限りの方策を駆使して全力で対応してまいります。しかし、国民の皆様の協力を得るには、真に必要な血液量や、献血血液の活用状況を説明し、理解を得なければなりません。そのためにも、グランドプランにより関係者がそれぞれの責務を果たすことにより、国内自給が達成されることを望んでおります。以上、日本赤十字社の原料血漿確保への対応について、述べさせていただきました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。先ほどのEFPIAの方からの御説明とかなり相容れない見解もあったかと思いますが、本日は余り深い議論をすることはなかなか難しいと思いますので、今の日本赤十字社からの説明に対して、御質問、コメントなど、簡単にお願いできればと思います。

○山口委員 スライド9、10の国への要望に関してですが、おっしゃるように薬価の取扱いの見直しは、正直、今後検討していく必要があるのかと思いました。ただ、3でグランドプランの策定とあります。今、例えばグロブリン製剤で新しい効能を追加していくとなると、逆に言うと、需要が増えていく可能性もあるわけです。特に、免疫抑制とか、そういうのに使うと。そうすると、そういう需要が増えてきたときに、日赤としてそれに対応できる増産ということが望まれる場合に、そういうことがどこまでできるのか。その場合に、何がハードルになるのか。要するに、よりお金をかけない限りは、前の資料にそういうのがあったかと思いますが、そういうことが必要なのか。その辺についてはいかがですか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 先ほど申し上げましたとおり、日本赤十字社では、今、効率的な事業を進めていくことに力点を置いております。これは私どもの財政状況、収支状況も含めて、今後の血液事業を健全に行っていく、あるいは輸血用の血液なども、場合によっては減ることも可能性としてはあるわけでして、こういったことに対して、きちんと対応していくということで、今、効率的な事業の実施体制を構築しているところです。

 したがいまして、献血者について、ここ数年減っておりますが、献血できる方から適切な量を頂くことを今進めているところであり、そういった意味では、献血者が減っているのは、そういう効率的な事業を進めている一環でもあると御認識していただきたい。今現在、実際には480万人余りの献血者がいらっしゃるわけですが、その中で成分献血で原料血漿を頂いているドナーの数は、大体5060万人です。1人当たり500mL弱ですので、言ってみれば1万L確保するのに2万人ぐらいの献血者が必要だということになるわけですが、そうしたことを考えていって、この先に仮に10万L、20万L必要になるとしても、そういった数は全体の総数、延べ献血者数の480万人からすれば、それほど大きな数ではない。

 それから、献血率についても、実際に各年代層でいろいろ出てまいりますが、大体6%から7%がマックスであって、これが延べ献血者数です。この数字をふまえて、国民に還元するための血液を確保することに協力を求めることは、可能なのではないかと思っているところです。我々は、そういった意味では、まだまだ確保の可能性は十分あると認識しております。

○山口委員 先ほど、献血ルームでないとほとんど原料血漿は集められないというので、しかも稼働しているのが土・日しかほとんどなくてという話で、その辺の運用とか、そういうことによって、私は大学にいるのですが、金沢工業大学は大学を挙げて献血推進をやっていて、学生は結構夕方は空いてる時間が多いのです。そういった時間帯にも献血がしやすいようにしていただければ、もっと利用率があがるのではないかと少し思った次第です。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 利用枠の拡大は、当然、そういう需要に応じて、いわゆる可変的に柔軟に対応することが必要だと思いますので、そういう覚悟はしております。

○大平委員 今回の資料を見せていただくと、どうしても献血者の問題もあると思うのですが、頭打ちというところの図式しか出てこないのです。ですが、ここをもう少し柔軟にいろいろと考えると、どのような形が考えられるのかということは、日赤でも考えていただきたいと思うのです。いつも、結局は説明が、これが限界ですということで終わってしまうのですが、限界を超えるいろいろなことは、掘り下げるとまだまだあるのではないかとは思うのです。

 それから、先ほどEFPIAの方からも、将来的な問題として、アルツハイマーの問題としてのアルブミンの需要みたいなものが、もしかしたら出てくるということも考えると、供給量としてはどういう問題が起きてくるかということも、不安定要素かもしれませんが、そういうものも含めていろいろと考えていただきたいと思っています。今回の資料の中でも課題は結構出ているのですが、反省を踏まえた課題は出ていないので、何かこれまでやってきた取組の中でも、もうちょっとこのようにしたほうがいいという取組がこの中に盛り込まれていると、今後の日赤の前向きな姿勢が評価できるのではないかと思うので、少しもったいないなとは思います。

 それから、原料血漿の管理体制の強化というところでは、企業の裁量に委ねられるとブラックボックスというところがありますが、私たちから見ると日赤も、採血から原料血漿のほうに引き渡すまでの間は、なかなか見えるようで見えていないブラックボックスというような感じがするので、そこはもう少し明確にクリアな形で見えるようにしていただきたいです。

 それから、一番最後に書いてある問題は、貿易管理令の問題としても、今後もし中間製剤などがいろいろと輸出の対象になったとしたら、その後の追跡調査や、どのような形で使われているのかというところは、こういった組織体制の中できちんと管理できるようになれば、献血者への説明責任などもできていくのではないかと思います。もし、日赤、また厚労省で、いろいろなことを話し合える機会があって、きちんとそういうものが運営できるような形になれば、今後の血液事業で、今のEFPIAの方々のいろいろな提案なども飲み込みながらやっていけるような状況になっていくのではないかなと思います。その支援体制、監視体制は、きちんとやっていく中で、日赤からも提案していただければ有り難いと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○菓子野血液対策課長補佐 血液事業のオールジャパンのプレーヤーが参加する協議体は、是非我々も検討したいと思います。

○岡田委員 先ほど、献血ルームが土日に人が集まって、平日は空いているということで、土日に休みを潰してという言葉は悪いかもしれませんが、そうして来てくれる献血者に対しても、例えば平日の仕事帰りに献血ができるようにということで、毎日は大変ですが、例えば週に1回だけは通常の受付け時間を1時間延長するなどして、分散を図るというか、献血者の方の利便性を図ると。それから、今は日本人の男性は、とても体重が増えていて、90kg100kgの方も増えておりますので、そういう方からの原料血漿、成分採血の場合は、800mL採るというような増産も考えてもいいのではないかと思います。

○室井委員  今のこととも関係するのですが、輸血の血液は十分100%足りていますよね。そうすると、原料血漿をどうやって増やすかという問題になると思うのです。先ほど、平日は土日の60%ぐらいしか献血者が来ないという話がありましたが、これは成分献血に関して6割ぐらいと理解してよろしいのですか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 全般にわたって、そのぐらいの人数だと把握しております。

○室井委員  もし、いろいろな努力が報われて、例えば平日も土日並みの成分採血ができた場合は、どのぐらいの血漿がプラスアルファで上積みされるのでしょうか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 基本的には、100万Lを確保するために、そこをかなり増強しなければいけないと今思っております。それにプラスアルファできる部分は、そんなに多くはないと思います。

○室井委員 28万Lという数字がありますが、平日に100%を超えた場合には、それにどのぐらい上乗せされるのですか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 正直申し上げて、土日は献血者の方に非常に長い時間待っていただいて、本当にタイムリーに次から次ぎへと献血者に献血していただいているという状況です。そこまで長時間待っていただくことは、さすがに平日はできませんので、適切な余裕を持ちながらドナーの方に献血していただけるということが、大体100万Lだと思います。もし仮に、土日のような状況がつくれるとすれば、これからまだ10万Lというような数は増えていくのではないかと思っております。現実的にそこまでやるには、今度は逆にきちんとした適切な施設、あるいはそういう受入れ態勢を作るということも必要だと思っております。本当に平日も120%、130%稼働させるという意味で言えば、10万L採れるかもしれません。

○室井委員 採れても、10万L程度と。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 ただ、もう1つは、先ほど9月に示した増量対策で、基本的に20万Lぐらいの増量がこれから見込めるということを考えておりますので、それもプラスアルファだということで、今、射程圏内に入っているのは120万Lだと思っております。

○室井委員 ありがとうございました。

○花井委員 全体に、献血者の理解を得て、今後、この献血体制を持続するためには、やはりきちんと有効に使われているのか、それをはっきりした上で、増量という話であって、まず、現状はまだ無駄があるのではないかという強いメッセージを感じました。具体的には、10ページの一番下には「管理体制」とあります。これは思うに、例えば中間原料の規格が各メーカーで違って、それがどのメーカーにどれだけ留め置かれているか、もしくは捨てられているかというのが分からないというところには、技術的な問題として難しい面もあると思うのですが、血漿の中間原料を含めた管理体制について、テクニカルな意味で、可能な組織というのは、具体的にどうすればそれが可能になると考えておられますか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 基本的には、やはりメーカーの方に協力していただかないと、これはできないと思っております。ある意味では、メーカーの企業努力も当然あるわけですから、そういった意味では、ある程度の幅はどうしても出てくると考えております。そういった専門的な知識を持つ方が、こういう組織の中にいて、年数を経験した上でよりきちんと対応ができる、きちんと事業の実態を監視できるというような体制をつくるのが望ましいのではないかと思っているわけです。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。今までの議論の中で、原料血漿配分などにも話が関係してくるかと思います。そうしましたら、次の議題3「原料血漿配分ルール素案」について、事務局より御説明をお願いいたします。

○菓子野血液対策課長補佐 事務局から、資料3について説明いたします。お手元の「原料血漿配分ルール素案」を御覧ください。時間の関係もありますので、駆け足で説明いたします。まず、原料血漿配分の基本的な考え方です。御承知のとおり、血液法に、基本方針に基づき、毎年度、需給計画を編成する原料血漿は、医療上の必要性が高いと認められる種類の血液製剤の製造に対し、優先的に配分されるよう配慮しなければならないといった規定があります。法律で決まっていますので、当然これを遵守すると。

 2番目に、原料血漿の標準価格は、毎年需給計画でその積算を公表しているとおり、国内自給と安定供給確保の観点から、かなり原価積上げ価格より安く調整した上で、分画メーカーに提供されております。そういった政策的配慮があることはもちろんのことなのですが、それ以前に、原料血漿が国民の善意の献血、御負担も頂いた上で確保されている貴重なものであることを踏まえれば、国内自給と安定供給の確保のために、原料血漿が効率的に活用されるということが基本なわけです。

 それを踏まえてルールを考えていくと、やはり原料血漿の配分に当たっては、供給実績がある企業に対して、優先的に配分すべきではないかと。さらに、供給実績があるということは、その製剤を待っている患者さんがいらっしゃるということで、当然そこを優先すべきではないかと考えております。これについては、配分ルールとして明確化してはどうかということを提案しております。

 続いて、2ページ目の3のパラグラフです。もう一つ基本的な考え方として、この点はクリアにする必要があると思っているのですが、配分申請の可能性です。現に原料血漿が配分されている企業の他に、新たに原料血漿の配分を希望する企業、EFPIA Japan参加企業のように、外国に製造所を有している企業も含めてかと思いますが、原料血漿の配分申請を認めることを明確化するということです。

 続いて、4番目です。新たに原料血漿の配分を希望する企業への配分ルールについては、先ほど述べました基本的な考え方1を踏まえた上で、配分される企業の適性を、需給計画の編成の中で、我々がきちんとチェックするということです。その際、基本的な考え方を踏まえれば、当然、国内自給の確保への寄与も、国でチェックさせていただくということかと思います。例えば、外国血漿由来の血漿分画製剤であってシングルサプライのものを、国内献血由来に置き換えるという提案があれば、それは国内自給の観点から言っても歓迎すべきアイディアなのではないかと考えています。あるいは、国内で未販売の血漿分画製剤の原料に献血血液を用いる企業、例えば、例3では、アルブミンのように、国内献血由来の血漿分画製剤と競合する外国血漿由来血漿分画製剤の輸入量を新たに製造する国内献血由来の血漿分画製剤に置き換え、必ず、自給率が上がるような形の販売方針を有する企業に対して配分するということは、あっていいのではないかと。アルブミンについては、後ほど詳述いたします。

 5番目は、新規参入企業の安定供給責任の担保の仕組みです。これは血液法の規定にありますとおり、当然、需給計画の統制対象になります。ですから、この安定供給というのは、需給計画の法律のスキームを通じて、厚生労働省と新たに配分を受ける企業とが担保するということです。

 3ページ目です。中間原料についての考え方を説明いたします。これまで議論もありましたとおり、免疫グロブリンの製剤需要増に対して、例えばアルブミンの市場は縮小傾向にあります。一方、免疫グロブリンの需要増に対しては確実に応えていく必要があるのですが、一方で正に需給ギャップが生じている未利用の中間原料の活用が重要です。ですから、グロブリンの需要に応えていくと、需給ギャップは当然のごとく発生しますので、未利用の中間原料の活用に対してアイディアを有する企業については、現に今、未利用の中間原料にアクセスできる方向でルールを整備してはどうかと思っております。

 なお、先ほど申し上げたアルブミンについては、前回の運営委員会の議論でも明らかになりましたとおり、相当量の中間原料が保有されているということですので、先ほど、どの製剤をターゲットに原料血漿にアクセスするかという話があったかと思いますが、アルブミンはまずは未利用の中間原料を活用することが第一で、アルブミンの国内自給率向上のために新たに国民に負担を求めるというのは、ちょっと国民の理解を得るのは困難だと考えております。ですので、先ほど4で申し上げたようなシングルサプライの、例えば外国血漿由来の血漿分画製剤を国内献血に切り換えたりといったアイディアが、新たに原料血漿の配分可能性があるようなパターンになってくるのかなと考えております。

 7番目に、配分ルールの位置付けです。国として、責任あるルールを制定したいのですが、当然具体的な原料血漿の配分の姿というのは、その時点での将来の医療需要や国内自給の状況や、配分された企業の経済状況もよくチェックした上で考えていかないといけないので、様々なケースが想定されるわけです。ですから、今回の基本方針の改訂に向けた議論の中においては、基本的なルールを定めてはどうかと考えております。そのルール自体は、血液事業部会決定というような形で、基礎的、一般的なルールをまず位置付け、今後、個別の事案、個別の事案というのは、ここで言う新規参入する、配分を求める企業が出てきた場合に、その年度の医療需要や経済事情に応じて、柔軟に対応してはどうかと考えております。

 一方で、例えば基本方針には、血液事業部会が決定する血液法の規定を踏まえた配分方針に沿って配分するということを位置付ければ、血液事業部会の関与の下、公開による議論を通じて、我々も原料血漿を配分することが可能になりますので、国民的なコンセンサスを得ながら、配分が可能になるというのは、正に事務局としてもそういった体制が整備されることが望ましいと考えております。

 8番目は、新規参入者を想定した場合には、将来の予見性が非常に困難になってくるのではないかと考えております。今は、単年で需給計画を作成しておりますが、やはり当然需要がどんどん伸びていくというのが、ある程度数年スパンで見えないと、採血事業者も今のキャパシティーで本当に適切なのか、あるいは、分画メーカーも本当に自分たちの希望する血漿が配分される可能性があるのか、新規参入者があらわれた場合にどうなるのかというようなことが、単年の需給計画ではなかなか見えにくいのかなと。新規参入があり得るという話が明確化されるのであれば、例えば複数年の採血確保量の見通しや、血漿分画製剤の需要見通しを示した上で、原料血漿配分の複数年契約化を検討してはどうかと考えております。事務局からは以上です。

○田野崎委員長 御質問はいかがでしょうか。基礎的、一般的なルールというのが、1~6となっております。主には、4番目のような考え方でよろしいのでしょうか。

○菓子野血液対策課長補佐 おっしゃるとおり、4番目です。御指摘のように4番目が具体的なルールになりますので、ここは確実に押さえないといけません。正に、配分の具体的な姿の更に背景となる考え方として、1番の基本的な考え方もきちんと書き込み、明文化されるといいなと思っております。

○田野崎委員長 実績を基にはするものの、配分申請は外資系の製薬企業の方からでも可能になるということで、そのときの考え方、どういう条件が必要かということが、ここにある程度記載されているかなと思います。これらに関して、御意見があればお願いいたします。

○花井委員 これは、まだ今日決めるわけではないですよね。こういうものが出てきただけで、特に8などはいいかなと思います。例えば、全体として参入企業が4の条件に合うとしても、先ほど、フル血漿なのかリカバードプラズマなのかによって質が違うとか、いろいろ議論が出ていました。例えば、凝固を作れるフル血漿の配分を受けることも可能なのですか。例えば、連産品だから、免疫グロブリンで配分を受けるとしても、凝固因子を作れるフル血漿であれば、それをまたグローバル市場に出せるわけですよね。そのときに、それによって全体としてコストのバランスがとれるのであれば、だから凝固因子用の原料をくださいということには、対応は可なのですか、不可なのですか。

○菓子野血液対策課長補佐 そこは、いろいろ考えなければいけない点があると思っております。まず、今回は配分の在り方をどうするかという基本的なルールということなので、1歩進んでいる議論なのかなというのがあります。それから、日本赤十字社から伺っているのは、当然、血液センターで凍結する時間が関係してきますので、配送ピッチが大きくなると、やはりコストの面での心配もあるということだと思いますので、仮に、グロブリンの自給を優先するという話であれば、では本当に凝固因子用、C区分でいいのかどうかは、採血事業者の経済状況なども踏まえて、あるいは新たに配分を受け入れるであろう新規参入企業がその凝固因子用の原料血漿を受け入れて、連産される凝固因子製剤を売却しないと、グロブリンの自給に貢献するのが困難なので、配慮する必要があるなど、総合的に勘案する必要があると思っております。

○田野崎委員長 ほかはよろしいですか。

○山口委員 その話に関連するのですが、4の例1などで、シングルサプライで、もう日本で作っていないケースなどは、それを日本で製造して、日本の献血血液で作っていただくのが非常に望ましい姿だと思うのですが、多分、それだけをやったら、原料血漿だけというよりも、むしろ例えば中間原料を使ったほうが意味がある場合があります。それから、そのシングルサプライに対応する以外製品も、できるだけ有効に利用しないといけないので、その辺はきちんとルールを決める必要があるのではないかと思います。

 もう1点は、先ほどEFPIAの方の紹介にもありましたが、新たな製剤というか、今はアルブミンの例でしたが、それ以外に、例えばペグ化したものを作るとか、安定性を考えるといった研究開発の要素も必要だと思うのです。ですから、そういうことも考えて、そういう余力と先見性をやろうと思うと、8番で書いたような複数年のサプライというようなことも、その中に考えていかなければいけないと思います。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

○菓子野血液対策課長補佐 後段の御指摘は、全くそのとおりだと思います。前段の御指摘については、我々もちょっと詰め切れていないところがあります。シングルサプライの製品の有効成分の蛋白質をターゲットに、溶出したりする設備などを、そもそも内資系企業が持っているのかどうかは、我々もしっかり把握しているわけではありませんので、これも更に次の議論になるかと思うのですが、しっかり把握したいと思います。

○田野崎委員長 私からも1点だけ事務局にですが、免疫グロブリンの適正使用がこれまで現場では余り十分に行われていなかった可能性がないかどうかと。今後需要がどんどん増えることが予想はされるものの、例えばアルブミン製剤などは、保険加算ルールを1つ作っただけで現場での使用量がどんどん減っていってしまったと。その間に外資系の製剤が入って、というような過程もあります。保険の仕組みを変えて、それを一元的に輸血部門である程度管理できるようにすると、結果として、それによって変わってしまったというこれまでの経緯があるかと思います。免疫グロブリンに関しては、日本の中では多くの医療機関で薬剤部が管理をしていまして、余り適正使用のところに関して実際には指導されていないのが現実かと思います。ですからもう少しそこのところをstrictにするというのも一つの考え方かなと思いますので、その点についても御検討いただいたらいいかと思います。

○花井委員 基本的ルールということだったのですが、問題なのは、先ほどの日本赤十字社が主張されているような、中間原料も含めて無駄がないかどうか全体を見据えて、例えば配分してほしい企業が、ここでフルのこういうのがこれだけ要ると言ったら、いやいやそれはここの余っている中間でこちらの企業が持っているから、これを渡して、これをまず使ってくれみたいなオペレーションをしないと、日赤の言う有効活用にならないですけれども、これは、そこまでやって、そこも含めてこの配分量を決めるという覚悟でこれを出されているのですか。今までは渡した後のやり取りは、意外と融通で民間ベースで自由にやっていたのですが、そこもかなり国として関与して見ていこうということなのでしょうか、そこはどうなのですか。

○菓子野血液対策課長補佐 現状、免疫グロブリンをベースに内資系企業3社に原料血漿を配分していますので、その後の連産工程で生じる中間原料がうまく使われているか使われていないかで原料血漿の配分量に差をつけることはできないのではないかと思っています。メーカーがそれぞれで適応を取って、3社の製剤で患者さんにきちんと提供しているわけです。原料血漿は免疫グロブリンの供給量で決まってしまうので、必要な原料血漿の高さが決まった後に、未利用の中間原料について、献血者の理解を得るような使い方をしないといけないという形で指導することしか多分できないのではないかなと思っています。ですので、配分は、一番使われている製剤が要求する原料血漿をベースに配分するしかないと思います。正にその製剤を使っている患者の方が供給を待っていらっしゃいますので。

○花井委員 一応、理解を整理しておきますと、国としては、グロブリンベースでそこに統制をかけて、それ以下については、この前から国内何社でやっている企業間の情報共有で、有効活用に対するいろいろな取組に民間ベースで努力していただく、こういう立て付けでやるという理解でよろしいのですね。

○菓子野血液対策課長補佐 はい、おっしゃるとおりです。この前の輸出の議論とも関係するかと思いますけれども、融通する企業同士で製造能力を開陳する形になります。ですから正に中間原料のアクセスの方法について検討してはどうかという提案になっているのですが、方法について関係者の理解が要るということです。ただ、日本赤十字社、EFPIA Japanからも提案があったように、未利用の中間原料というのはきちんと活用しないと献血者の理解を得られないだろうということですので、国内企業ともよく相談をさせていただきまして、内・外資関係なく、アイディアのある企業が未利用の中間原料を活用するような何らかの仕組み、公表できたらそれは一番イージーにアクセスできるとは思うのですが、そうはいかないと考えていますので、関係者の御意見をよく伺いたいと思っています。

○室井委員 4-()に国内自給の確保への寄与に関して、例として3つ挙がっていますけれども、例えば例2は、国内で未販売の血漿分画製剤なので、日本には多分製造工場はないと思うのです。そうすると、手を挙げた企業が外資系の場合に、血漿を輸出して、先方で作ってもらって戻すということを考えている例なのでしょうか。

○菓子野血液対策課長補佐 おっしゃるとおりです。もちろんそういうパターンもありますし、なかなか考えにくいのかもしれませんけれども、内資系企業でどこかに工場を新設して、新規参入するというパターンも一応考えられますので、そこは資本由来を問わず、製造所の所在地を問わずということになると思います。

○室井委員 貿易管理令とも関連しますけれども、やはり血漿の輸出そのものは認めて、それで製剤化したものを国内に入れて自給に貢献することが、これは書いてありませんけれども、そういうことも含まれていると。

○菓子野血液対策課長補佐 ええ、外国製造所に出すことは当然その問題も含みますので、どういうルールが適用されるのか、貿易管理令なのか需給契約で統制するのかというのは、自ずと我々は明確に説明する必要があると思っています。

○田野崎委員長 具体的なルールなどは、もう少しまた詰めていただきまして、これまでの意見を踏まえ、事務局としては関係企業とも調整を進めて、原料血漿配分ルールの検討を進めていただければと思います。以上、次の議題に進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。それでは、参考人の皆さまは席の移動をお願いいたします。どうもありがとうございました。

(座席移動)

○田野崎委員長 議題4「血液製剤に関する報告事項について」に移ります。事務局より、参考人の方の御紹介をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 事務局より、議題4に関して、参考人を紹介いたします。国立研究開発法人国立国際医療研究センターゲノム医科学プロジェクト、プロジェクト長の溝上雅史先生、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、平力造技術部安全管理課長、以上の方々に御出席いただいております。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。事務局より、資料4-1「輸血用血液製剤でE型肝炎ウイルスに感染した事例について」の説明をお願いいたします。その後、資料4-2について日本赤十字社より、引き続き御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○山本匠血液対策課長補佐 資料4-1「輸血用血液製剤でE型肝炎ウイルスに感染した事例について」事務局より説明いたします。まず経緯ですが、平成29117日に日本赤十字社より、照射赤血球液-LRによるHEV(E型肝炎ウイルス)の感染事例が厚生労働省に報告され、その後の調査で、当該患者の転帰が死亡となったことが1219日に報告されました。輸血用血液製剤によるE型肝炎の感染事例はこれまでも報告されてきていますが、死亡事例であることから、今回の運営委員会で報告させていただきます。

 2.事例については、80歳代の女性、多発性骨髄腫の患者さんです。抗がん剤治療中でこの赤血球液の投与を受けていました。ここに記載されている投与日というのが、後日、E型肝炎が混入していたことが判明した赤血球液の投与日となっております。投与後68日目に肝機能値が上昇しており、そのため、抗がん剤を、投与後76日目に中止し、肝庇護剤が投与されております。その後、B型肝炎、C型肝炎について検査をし、共に陰性で、投与後79日目にE型肝炎のRNA検査をして陽性となっております。投与後89日目には肝機能値が軽快しており、ASTが41、ALTが46、総ビリルビン値が3.3となっております。その後、投与後90日目に抗がん剤投与が再開されており、その後、再度、肝機能値が上昇しております。肝性脳症、プロトロンビン時間の低下を認め、劇症肝炎という診断で、投与後106日目に死亡となります。

 その下の括弧の部分の、日本赤十字社の検査で、輸血前の患者検体においては、HEV-RNAは陰性、輸血後の患者検体の検査でHEV-RNAが陽性となっております。また、献血者の保管検体でHEV-RNA陽性者がありまして、この者と患者のHEVの核酸の相同性が一致しております。このGenotypeは3でした。

 3.担当医の見解として、副作用・輸血用血液の因果関係はあるというコメントを頂いております。

 4.に関しては、これまで輸血によるHEVに感染した事例は報告されてきておりますが、劇症肝炎の死亡事例という報告はありませんので、本事例については肝臓専門医の溝上先生より御意見を頂いておりますので、先生よろしくお願いいたします。

○溝上参考人 国立国際医療研究センターの溝上です。よろしくお願いいたします。本事例は、HEV-RNA陽性の照射赤血球液-LRの投与後、約9週間後に肝酵素の上昇を認めております。その時点で患者のHEV-RNAは陽性であったことから、輸血によりE型肝炎に罹患したと考えられます。一般にE型肝炎は軽度な肝炎であり、本症例では投与後89日目に肝酵素は低下しております。肝庇護剤の効果もあり、経過観察で改善したものと思われます。

 劇症肝炎は一般的にウイルス性、薬物性、自己免疫性、成因不明な例があります。本事例において、抗がん剤再投与後に肝障害が増悪しており、薬物性肝障害が疑われます。しかし高齢であること、原疾患を改善するために5か月間抗がん剤を投与しており、その結果、肝予備能が低下していたところにE型肝炎に罹患したことも劇症肝炎に関与していることは間違いないのですが、E型肝炎ウイルスだけによるものではなく、複合的な要因であるものと思われます。一般に薬剤性肝障害は予見することが困難であり、原疾患である多発性骨髄腫の治療のためには抗がん剤投与の必要性があったとするならば、この結果については、原疾患ということを考えれば仕方なかったのかなと思います。以上です。

○山本匠血液対策課長補佐 ありがとうございます。事務局として、資料4-2も踏まえてではありますが、これまで輸血用血液製剤によるE型肝炎の感染の可能性については、添付文書にも記載しており、注意喚起をしてきたところでありますので、この資料4-1にあるとおり医療機関への注意喚起事項として、再度その内容を通知で注意喚起を行おうと思っております。これに関していかがでしょうかというのと、日本赤十字社においては、〈日本赤十字社への依頼事項〉にあるように、献血者への啓発や問診徹底等、輸血用血液製剤のHEV安全対策の速やかな実施を求めてはどうかと思っております。現在、議論にもなっていますが、E型肝炎のスクリーニング検査については、引き続き検討を進めていくことにしたいと思っております。資料4-1に関しては以上となります。

○田野崎委員長 引き続き、日本赤十字社からよろしくお願いします。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 資料4-2に従って、御説明いたします。次のページに参考資料として、E型肝炎ウイルスと日本での輸血後のHEV感染症について取りまとめたものを添付しておりますので、これを御確認いただければと思います。「輸血用血液製剤のHEV安全対策について」、まず経緯です。輸血用血液製剤のHEV安全対策については、本年度の第1回安全技術調査会と本年度の第2回運営委員会の指示を受けて、試行的にHEV NATを実施している北海道で製造した血液を、適応を臓器移植患者に限定して全国に供給すること、またHBV・HCV・HIVに加え、HEVも同時検出する開発試薬、これは「4価NAT試薬」と呼ばせていただきますが、による全数検査を実施することについて検討を進めてきておりました。しかしながら、今般、血液疾患にて抗がん剤治療中に、輸血によってHEVに感染し、肝障害が現れた症例が報告されております。この症例では、抗がん剤の中断と肝庇護療法により、肝障害は一時軽快しておりますが、その後抗がん剤再開後に肝障害が再燃し、まもなく劇症肝炎で死亡しております。これを受けて、輸血用血液製剤のHEV安全対策について改めて検討させていただきました。

 考えられる安全対策として、現時点でできるものとして、まず、HEVスクリーニングと、先ほど山本課長補佐からお話しがありましたが、研究者と医療機関の対応を別表にまとめております。3ページ目を御確認ください。すみません、これは改行が悪くて、一番下のHEV安全対策の献血者と医療機関の対応は、次のページの右端を見ていただければと思います。

 HEVのスクリーニングに関して、まず、検査法を全数検査、献血血液を全てやるとした場合にどのようなことが考えられるか。まず一番最初には4価NAT、新たに試薬を開発してやるということであれば、こちらは全検査施設で実施することが可能です。ただし、こちらの試薬に関しては新たな開発がありますので、今feasibility studyの結果では、ほぼ大丈夫かなという結果を見ていますけれども、この辺では開発と評価というところで検討事項として残る。それと試薬の変更、ウイルスが追加されますので、それに関連してシステムの改修が必要になります。こういうことを加味しますと、この方法をセレクトした場合は、検査機器等の増設などの必要はないということが大きなメリットかなと。そういう中でこの方法を選ぶとすれば、導入準備に1年~2年掛かるとしております。それと全数で、今の北海道がやっている方法を全施設に入れることを考えた場合にどういう問題があるかというと、検討事項としては、検査機器の設置場所の確保、試験は2回繰り返すわけですので、倍の広さのスペースも要るし、検査機器も要る、そういう意味ではその辺が非常に大きな問題です。あと、2種類行いますので、検査体制の見直しが非常に重要になってきます。こういうことを加味すると、導入準備はいつ頃できるのか、なかなか正直にお答えできない、時間が掛かるということです。

 続きまして、前回御提案させていただいた選択的検査で、臓器移植患者は年間約6,000本と記載しておりますが、これをやろうとした場合、今は北海道でやっているものをそういう医療機関にお届けするということですが、こちらはよく考えていく検討事項としては、血小板製剤は有効期間が短いため、非常に対応が困難になることが考えられます。肝臓移植を例に取りますと、日本全国で67の医療機関が移植をしています。そこは配送ルートとか、北海道からどう来るのか、そういうところで非常に問題が出てきますので、そういう意味では現行の供給体制にない新たな配送ルートが必要になります。それと、戻りますが、適応患者を特定させていただくことに対する医療機関の理解がどうかというところが問題になります。あと、陰性という血液を送付したことはいいのですが、それからの製剤の供給のところで、供給過誤防止システムを開発したり、そういうところを検討すれば2年程度の時間が掛かるのではないかと考えております。

 それと選択的検査で、臓器移植患者も含めて、免疫抑制状態の患者全てをやろうとすると、年間150200万本の検査が必要になります。これを現行NAT、北海道式でやった場合を検討すると、検査施設を数箇所、全検体やっていると仮定しますと、これに関しても検査が当然倍になりますので、その設置場所の確保があることと、先ほど上にあったように、NATを2種類行うことによる検査体制の見直しなどが追加されてきます。こういうことを考えると、こちらも導入準備に関してはなかなかすぐお答えできるような状況下ではないと認識しております。

 次が献血者と医療機関の対応です。4ページの、まずは献血者についてです。HEVに感染している可能性がある献血申込者の献血の延期又は自主的な献血の辞退を目的として考えています。方法としては、体調や肝炎にかかる問診の徹底や、献血会場へのポスター等の掲示による、加熱不十分な豚肉等からのHEV感染リスク及び献血血液(輸血を受ける患者)への影響に関わる注意喚起をやっていこうと考えています。課題については特にございませんが、こちらも実施するに当たっては、当然、職員の教育訓練を含めて、ある程度の時間は掛かると思っていますが、こういう対応が可能かと。次に医療機関に関しては、輸血用血液製剤からのHEV感染の周知ということで、こちらは輸血情報等の情報媒体を作って、周知をしたいと考えています。課題としては、E型肝炎の検査や治療については課題の整理が必要と考えています。

 戻っていただきまして、繰り返しになりますけれども、そういう意味で、課題です。4価NAT試薬は1~2年以内に開発される可能性が高いです。HEVスクリーニングのため4価NATを導入する場合、検査機器や試薬の保管設備の増設は不要で、試薬代も今の北海道と同じようなHEV単独の試薬を導入するよりも、はるかに少額となる可能性が高いと考えています。

 HEVスクリーニングを導入することとし、現行NATと別にHEV-NATを行う場合は、もし全数検査を行うとすると、試薬代の増額分が年間約40億円程度と見込まれています。さらに検査機器や試薬の保管設備のためのスペースの確保や検査機器の増設、システムの改修等の検討事項があり、導入に要する期間を特定することは今は困難です。これらの問題は、検査施設を限定した場合でも、検体を一部に限定した場合でも同様です。

 それと北海道で製造したHEV検査済みの輸血用血液製剤を、対象患者を限定し、全国へ供給するためには、適応患者を特定することについて、医療機関の理解と協力が必要であり、また、HEV未検査の血液を検査済みとして供給する過誤を起こさないためには、システムの開発が必須であると考えております。

 次に、先ほども御説明しました、献血者と医療機関の対応です。これまで、問診で肝炎ウイルス感染のおそれのある献血者を排除するため、献血者本人の健康状態や家族等の肝炎の有無について確認してきましたが、「肝炎」にE型肝炎が含まれることや、加熱不十分な豚肉等によりE型肝炎ウイルスに感染する可能性があること、このような肝炎ウイルスは、献血者本人に症状がなくても輸血を受ける患者に影響する可能性があることなどは、献血者に認識されていないという現状があります。

 こういうことをまとめまして「検討結果」として、輸血用血液製剤によるHEV感染の抜本的な再発防止対策は、全ての献血血液に対するHEVスクリーニングの導入であり、4価NATの導入が最も適切だと考えております。本症例の献血者への調査の結果、生の鹿肉を食したとの情報もあることから、4価NAT導入までの期間は、献血者に対するHEV感染リスクの注意喚起による、自主的な献血辞退を促す対策を導入することとしたいということです。注意喚起の方法として、献血会場におけるポスター掲示等によることとし、加熱不十分な豚肉、猪肉、鹿肉、ジビエ等の喫食によるHEV感染リスク及び献血血液(輸血を受ける患者)への影響を周知していきたいと考えております。併せて献血者の体調や肝炎にかかる問診を徹底する。それと最後、医療機関等に対しては、輸血後にE型肝炎が発生することがあることを周知していきたいと考えております。私からの説明は以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。資料4-1、4-2について、御意見などございましたらお願いいたします。

○大平委員 E型肝炎の感染のリスクというのは、輸血者に対して添付文書で、これは医療機関向けですかね、それに添付文書がということが資料に書かれているのですけれども、そういうものは、一般的には患者さんのほうは見ないわけですよね。この添付文書とは、どういう添付文書なのでしょうか。

○山本匠血液対策課長補佐 医薬品に付いている添付文書という意味です。

○大平委員 その添付文書で、患者さんに対してはインフォームドコンセントというのはされているわけではないと考えていいのでしょうか。

○山本匠血液対策課長補佐 輸血用血液製剤を投与する場合は、同意書を取って、そのときに説明もするようになっていますので、場合によっては、そのときに含まれているのかと思いますが、年間多くの方が輸血を受けられますので、その全ての状況は分かりません。○大平委員 改めてもう少し、ここに書いてあるのは、きちんとそれを注意喚起するとなっているのですけれども、グレードアップするというような形にはなるのですか。

○山本匠血液対策課長補佐 医療機関に対して、改めて添付文書の内容を通知して、その内容を確認していただいて、認識していただくということになります。

○田野崎委員長 これに関しましては、例えば、私も医療機関で輸血をする前に、同意説明文書を皆さんにサインしていただいていますが、いろいろな既知の感染症だけでなくて、様々な未知のものもありますということも、皆、伝えてはありますので、明確にはHEVについての説明はなくとも、それに関しては患者さんには必ずお話はしていると考えております。

○大平委員 その点で、この患者さんは、かなり重篤ないろいろな症状が出ていたわけなので、そういう患者さんについて、十分な説明が本当にできたのかどうかというところを追及するわけではなくて、E型肝炎の原因ウイルスが混入していなければ、こういうことが起きなかった可能性も強いと窺われるような感じもするのです。できれば、そういったリスクというのは、やはり避けられる方向ができたらよかったかなと思うのです。

 最近、輸血での事故というのが続いていたので、命が亡くなるということについては、やはり大変ショッキングなお話でもありますし、そういうことがないようにというのが、本来、血液事業の中でも重要視されるところですが、先ほど、参考人の先生からのお話がありましたように、大変難しい患者さんだったので、そこのところの問題というのは、これを言及するという話ではないですけれども、今後の対策としては、日赤のほうで4価の試薬というものの開発が2年ぐらいかかるということもあるので、私個人としては、できれば全面的に早くそういう導入を望むところなのですけれども。

○田野崎委員長 今のコメントに関連して、溝上先生に伺いたいのですが、この患者さんはE型肝炎がベースになった肝機能障害、肝炎がありましたが、これがE型肝炎でなくても、その後、薬剤性肝障害というような最終的な考え方になっていますが、これはE型肝炎感染があるなしに関係なく、同じような転帰になった可能性が高いということでよろしいですか。

○溝上参考人 「一時軽快」と書いてありますけれども、これは治っているわけではないのですよね。「軽快」ですよね。AST、ALTも基準値より高いです。もっと大事なことはビリルビンが3.3あります。これは、もう明らかに肝臓がダメージを受けていまして、機能が、ビリルビン代謝のところがやられていますから、こういうものが一番危ない。肝臓から出てくるものもない。AST、ALT、逸脱酵素ですから、出てくるものもない。しかも肝臓の代謝ができていないという状態で、そこで抗がん剤を使わざるを得なかったのだろうと思います。私が診ているわけではないですから。そういう意味からするなら、これは例えばE型の輸血をしていなくても、予後は非常に不良ではなかったかなとは思います。

○田野崎委員長 例えば、B型肝炎ウイルスの場合には、再活性化というものがありますけれども、そういうものとは全く機序は違っているということでよろしいですね。

○溝上参考人 はい、もう全然、これは再活性化ということではなくて、よく言われるのは、ビリルビンが上がるということは、大体8割ぐらいは肝臓のファンクションとしてはやられている状態なのです。本人はピンピンしているから、なかなか分からないのですけれども、そういう状態のところですから、そういう意味からするならば、これはもう非常に、もともと赤ちゃんぐらいの肝臓の働きしかないところに、抗がん剤をまた入れてしまったというところが一番大きかったのではないかと理解します。

○田野崎委員長 それに関連しまして、もう1点ですが、私もミエローマや骨髄腫の患者さんなどで、同様に治療しないといけないということがたくさんありましたが、これまでは同じ治療をずっとされていて、肝障害がそんなになかった方なのかと。このときに、どうしても治療しないといけない状況だったので、仕方なくしたということがあるとは思うのですが、1つ問題なのは、E型肝炎がベースにあったら問題だというのが、もしあればですが、どこまで改善したら次の治療を再開してもよかったのかどうか、そしてE型肝炎の診断が必須であった方だったのかどうかということですね。

○溝上参考人 まず最初に、先ほど言いましたように、肝臓の働き自体はもう非常に落ちていたというところ。それは長期間、約半年にわたる抗がん剤の使用があったというようなことで。さらに、そこにもしE型肝炎ウイルスがなかったとした場合には、それで抗がん剤を投与したことによってお亡くなりにならなかったかというと、原疾患のほうの状態でなったのだろうと理解します。それが1つです。

 それから、経緯は分かりませんけれども、抗がん剤を変えたりすると、またガクンと来ますので、これはどういう抗がん剤をどのように使われたか、ミエローマの場合でも、いろいろな抗がん剤がありますので、そこのところは見えませんけれども。それから、プロトロンビン時間が、投与後100日後に初めて測っているのです。劇症肝炎の定義は、プロトロンビン時間が40%以下というのが1つの基準になりますので、それとビリルビンが高いというこの2つが一般的なやり方として見ます。そうしたときに、これ以前のプロトロンビン時間がどうだったかというところは、このデータからは、ちょっと見えませんけれども、そういう意味では、ミエローマの先生に、なかなかそこまで求めるのは無理なのかもしれませんが、治そうと思って必死になってやっておられるところだから、そういうことはあったのかと思います。

○田野崎委員長 これは医療機関に対して、情報媒体等を用いた注意喚起という点がありますが、例えば具体的に、輸血後のこういう肝炎の場合に、必ずE型肝炎の診断が必須であるかどうか、すなわちNAT検査をしないといけないのかどうか。そして、どのぐらいまで改善したら、次の治療をやってもいいですよというような、そういうガイドライン的なものを出せるかどうかというのを。

○溝上参考人 まず、そのE型肝炎の頻度というのが、今現在どんどん増えてきていますので、それを作るタイミングを逸したことは間違いないと思います。ただもう一つ言えることは、この病院の先生方がどうなさっているのか分かりませんが、これを肝臓専門医にもし相談していたら、ここの抗がん剤は使わなかったと思います。私が専門医であれば、原疾患とどちらが大事かという基本的な問題がありますが、こういうときには、一応、専門医に相談してもらうということが必要ではなかったかというのが、後から思いました。ただ、今、そこまでどの病院でも専門医がいるわけではないですから。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。

○山口委員 今度は日赤のほうに御質問させてください。検討結果の1つ目の○は、時間を掛けて検討されることであるというのは、よく了解しました。下の4つが、今までも多分、問診で生肉を食べていませんかとか、そういう喫食の話はあるわけですよね。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 問診として、それをルーティンに入れていたわけではありません。

○山口委員 分かりました。では、その辺を強化してという話になると。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そうです。

○山口委員 それから、最後のところで、医療機関への情報提供というか、E型肝炎が特に、これを全体に掛けるのか、それとも特に問題になるこういう今回のケースみたいな話とか、要するに免疫抑制の掛かっている人ですね、これを全体に掛けていくのか、その辺の情報がどれだけ重く伝わるかというところが、ちょっと気になったのですけれども。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 これは全体に掛けるほうです。これまでの輸血後のE型肝炎というものが、特に、ある状態の患者さんに特別起こりやすいということは認められているわけではありませんので、これは全ての患者さんが対象になります。そのような場合で扱って広めるつもりです。

○花井委員 大平委員もそうだと思うのですけれども、こういう場合に、すぐやれというために、実はここに入ったという経緯から言うと、こういう死亡事例が出ると、何でもいいからすぐやれという話をせざるを得ないところはあるのですが、全体として合理的対応というのは、結論から言うと、もしこの症例自体が、E型肝炎のリスクを固有に避けなければいけない状況が、疾病で一定程度分かれば、その人たちにはやはり無理をしてでも陰性血をという話だと思うのですが、どうもこの症例は、必ずしもクリアカットにそうではないとすると、相当数の陰性血液の供給が必要になることからすると、ちょっとそれは難しいだろうなと思いました。

 ですので、山口先生がおっしゃった話なのですが、やはりちょっと問診で、生肉の部分を強化して、それで対応していただき、できるだけ早く、この4価のNATにしていただくということをお願いしたいということです。以上です。

○岡田委員 E型肝炎の対策は10年ぐらい前から行っていて、それで当初、北海道はGenotype4があるということで、試験的なNATを導入して、関東は抗体保有率が多いけれども、その当時はRNAの検出率が少なかったということで、様子を見ていたのですけれども、10年後、去年ですか、再調査をすると、北海道よりかえって高かったと。大体、1,300バッグに1つぐらいの割合でRNAが陽性になるということが分かって、それでこのスクリーニングを導入するという考え方に変わったわけです。確認したいのは、4価のNATのシステムが完成すれば、もう導入すると考えていいのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 はい、バリデーションで安全であるということが分かれば、これは導入するつもりです。

○岡田委員 そうすると、1、2年ということで、できるだけこの期間を短くしてほしいということがあるのですけれども、この期間をどうにか乗り切るということになると、結局、感染した人を早く見付けて、それでリバビリンが効果があるというのは海外の論文などで発表されていますので、ちょっと姑息的と言われて非難されるかもしれませんけれども、輸血後に原因不明の肝機能障害、実際かなりいるのですけれども、そういう方の中で特にこういうリスクを持った人の場合は、臨床のドクターに、今はE型肝炎の抗体の検出試薬が保険適用になっていますので、そういうもので調べてもらって、必要に応じて、特に慢性化するようなリスクを持っているような人に関しては、リバビリンの投与も考えるというような姑息的な方法を取って、一刻も早くスクリーニングが行われるのを待つというのが現実的かなと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 今、岡田先生が言われた姑息的というのは、私としては姑息的ではなくて、非常に重要なことだろうと思います。と言うのは、この症例につきましては、実は病院のほうでも、肝障害がいろいろあった原因が全く分からないので、血液センターに問合せがあったのです。こういったときに、あとは何を調べたらいいでしょうかということだったので、こちらのほうでHAVとHEVを調べたらどうでしょうかというところから、話が始まっております。

 これまでのHEV感染を、多くの文献等で見ましても、HEVの肝炎というものは、今ありましたように免疫抑制剤の減量をするとか、それでかなり改善します。あるいはリバビリン、保険収載にはなっていませんけれども、それで9割ぐらいの方は治ったり軽快したりします。

 ですので、先ほど添付文書のことがありましたが、大平委員が言われましたように、添付文書は患者さんへの説明のためにあるところももちろんありますけれども、それと同じように大事なのは、やはり添付文書というのは、主治医がその薬の使い方、薬の効用等を全部わきまえるためのものでありますので、このことで輸血というものを処方されるドクターが、HEV肝炎というものを知ることによって、何らかの原因不明の肝機能障害等が出た場合に、HEVのことに気が付いていただいて、そこを早く原因を調べる、そこでもって先ほど挙げましたような、免疫抑制剤の減量とかリバビリンのことを考えて、早めの治療をすると、かなり多くの例は、90%以上の方はそれで軽快します。そういうためにも添付文書に載せるということは非常に重要ですし、そのようなことをできるだけ多くの先生方に認識していただくということは、非常に大事なことと考えております。

○田野崎委員長 溝上先生、お願いします。

○溝上参考人 全く同意見であります。ただ、B型肝炎ウイルスの再活性化のことで、免疫抑制下にこういうことが起こるということがかなり分かってきまして、皆さんだんだんとそれをチェックしてくれています。ただ、その中にE型を入れるというのは、一番手っ取り早い方法で、それでNATができるようになるまでの期間、それでやるというのは非常に重要なことだと思います。

 ただ、リバビリンの場合には、副作用が、人によっては結構出ますので、悪い状態のときにリバビリンというのは、ちょっと考えなくてはいけないかと思います。以上です。

○山本匠血液対策課長補佐 2点補足させてください。問診というところで、生肉等の問診に関してですけれども、これを加えるという議論は過去すでに行われていて、そのときの結論としては、有効性に対してはちょっと低いというので、それも踏まえて今回は注意喚起という形で、献血者にHEVについて周知するについという方針で通知を出そうと思っております。 あとは、医療機関での判断においては、溝上先生、佐竹先生ともに指摘のとおり、治療なり検査の適応というのはかなり難しいところがあり、この事例においても、この抗がん剤の投与というのはかなり難しい判断だったのではないかと推察されますので、今回の注意喚起事項においては、()の3つ目のところに「HEVについては、検査方法や治療方針等を、必要に応じて肝臓専門医に相談することも考慮すること」などを加えさせていただいております。

○室井委員 質問です。1つは日赤に関してですが、このドナーはHEVを発症したのでしょうか、それとも無症候性で終わったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 無症候です。

○室井委員 そうすると、先ほど、生肉等ということで取りあえず2年間はしのぐという話があったのですが、肉を食べたら、どのぐらいの期間、献血は駄目だということは、結構重要なことだと思うのですね。例えば、今日か昨日か1週間とか、ちょっとよく分からないのですけれども、これは結構、問診が混乱すると思うのですけれども、妥当な、いつまでということに関しては、何か御意見があるのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 この献血者の場合は、原因となった血液は、7月の末の献血です。実は生の鹿肉を食べていたのを申告いただいたのは5月なのです。ですので。

○室井委員 2か月間。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 2か月半ぐらいで。ちょうど、言われている期間と一致します。大体2か月から3か月ですので。

○室井委員 かなり長い期間、食べた人は献血できなくなってしまうという、2年間はそういうことになりますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そうですね。2、3か月過ぎて、上がるとすれば、バイレミアがその頃、強くなって、その後、バイレミアが大体1か月ぐらい続くとしますと、やはり4か月ぐらいは危ないだろうなという感じになります。

○室井委員 結構、厄介な病気ですね。

○田野崎委員長 溝上先生、何かありますか。

○溝上参考人 北海道で最初に流行りました、これは10年前です。あのときに何かやられたかというと、主治医、それから北海道の先生方が本人さんたちが何を食べたかというのをしつこく聞いて、それでも結局チェックできたのは生肉ということは、出てきたのは僅か3割だったのです。7割は結局分からなかった。多分、今回の場合もしつこく聞かれて、そういえばということで、それが1つ。

 2つ目には、今までE型肝炎というのは、大したことないというのが一つありましたけれども、PCRで感度良くやっていくと、1か月、2か月は軽く引っ掛かってくるということが分かりました。ただ、それが少ない量でも、輸血の場合はたくさん入れますから、それでうつってしまう。針を刺すとか、何か食べたぐらいではうつらないけれど、輸血の場合は違うということでなっているという状況です。更には人畜共通感染症でありまして、これは何も鹿とか豚とかだけではないのです。ほかにもあります。したがって、生肉だけでチェックできるのは、どんなに頑張っても、私は3割ぐらいだろうと思っております。とにかくNATをできるだけ早く導入していただくのが一番かなと思います。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。そうしましたら、事務局及び日本赤十字社におかれましては、ただいまの意見を踏まえまして、医療機関への周知、献血者への啓発や問診の徹底などの安全対策をお願いいたします。日本赤十字社のHEV検査の導入につきましては、引き続き御検討をお願いできればと思います。それでは最後の議題となりますが、議題5「その他」として、資料5の説明を事務局よりお願いいたします。

○菓子野血液対策課長補佐 時間もないので、簡潔に説明させていただきます。昨年に取りまとめました内資系企業の振興施策の一環として、血液製剤産業コンプライアンス・プログラム・ガイドラインの作成を進めていくということで、このプログラム・ガイドラインの作成において幹事を務めています一般社団法人日本血液製剤協会が、本年1月19日にガイドラインを公表いたしました。ガイドラインは化血研の事案を踏まえて、厚生労働省が設置したワクチン・血液製剤産業タスクフォースの顧問からの提言でも、コンプライアンスの強化が提言されたことも踏まえて、今回、ガイドラインの作成に至った次第です。

 製薬業界の中で先進的にコンプライアンス・プログラム・ガイドラインを作成している、日本製薬工業協会にも御教示を仰いで、本ガイドラインは作成されております。その製薬協のガイドラインをベースに、詳細は省略しますけれども、2ページに、様々な血液製剤産業ならではのコンプライアンス遵守に向けて、特筆すべき事項を更に加えて、製薬協のガイドラインに上乗せするような形で作成しております。詳細はホームページに公表されておりますので、御参照いただければと思います。以上です。

○田野崎委員長 こちらに関しまして、何か御質問とかありましたらと思いますが、これにも少し関連することとしまして、ヒアリングでも企業の方からも御説明がありましたように、血漿分画製剤の今後の課題として薬価の問題があります。本年度は薬価改定も控えているということで、これの原料費というのは、相変わらず、いろいろな検査が関わってきますと、安くなるものではありません。ですので、なかなか各企業において大変なところがあるということになります。血漿分画製剤及び代替の医薬品について、血液法に定める安定供給の観点からも、単品単価の契約取引の適正化を図る措置を、事務局に更に検討していただくようにと、委員会としても要請したいと考えておりますが、皆さん、よろしいでしょうか。

○花井委員 これは正に何十年も前からの課題です。日本の商慣例や営業上の自由ということはあるかもしれませんが、やはり日本の医療は公益事業として、そして介護保険制度が公定価格という形で国民の医療を確保していると、極めて公益性が高い運用をされて、それは非常に誇っていいことだと思うのですが、やはりこの血液製剤については、喫緊の課題として、委員長がおっしゃられたような対応をしていただかないと、全体が切羽詰まっているということなので、卸の方とか、また、お買いになる病院の方とか、そういう関係者には特段の理解を得ていただきたいとお願いして、是非、単品で契約するという形にしていただきたいと思います。是非、是非、これはすぐにでもやっていただきたいと思います。

○菓子野血液対策課長補佐 御指摘を踏まえて、何らかの措置を検討したいと思っています。

○田野崎委員長 事務局では、よろしくお願いいたします。そうしましたら、本日の課題は全て終了しましたが、ほかに御意見はありますでしょうか。よろしければ事務局に議事を戻したいと思います。

○山本匠血液対策課長補佐 田野崎委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途、連絡を差し上げたいと思います。本日は長時間にわたり、委員の皆様、本当にありがとうございました。これにて平成29年度第5回血液事業部会運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。

 


(了)

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