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2017年11月21日 歯科医師の資質向上等に関する検討会(第8回)

医政局歯科保健課

○日時

平成29年11月21日(火)14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

○歯科医師の資質向上等に関する事項について

○議事

 ○古殿係長 定刻となりましたので、ただいまより歯科医師の資質向上等に関する検討会 ( 8 ) を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。まず、構成員の出席状況ですが、井上構成員は所用により遅れての御出席、羽鳥構成員は所用により御欠席、南構成員は、所用により中座されるとの御連絡を頂戴いたしております。また、今回の検討会では、オブザーバーとして、文部科学省医学教育課の森課長に御出席いただいております。今回の検討会については公開となっておりますが、カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 続いて、配布資料の確認をお願いいたします。お手元に議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料 1 、参考資料 1 、参考資料 2 もお配りしております。乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

 それでは、以降の進行については、江藤座長、よろしくお願いいたします。

○江藤座長 それでは、議事を進めさせていただきます。今回と、それから、 12 13 日に行われる次回でもって、歯科保健医療ビジョンについては、一応、決着を付けたいということですので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 最初に、お話を申し上げておきたいことは、中間報告という形で出すと最初に申し上げました。このビジョンと WG で議論した需給、女性歯科医師の活躍、専門医の問題、これを含めて中間まとめということであったのですが、需給等の各論のほうが先にあって、ビジョンのほうが後にきたわけです。これは順序が逆ではないかということです。まず総論ありきで各論ということであれば、今回の中間まとめは、総論に当るこのビジョンのみを中間まとめにして、このビジョンに基づいて、引き続き需給問題、女性歯科医師の活躍、専門医と議論をしていくという形にさせていただこうと思います。その辺のところを御理解のほど、よろしくお願いいたします。

 前回も時間が押したために、最後のほうの、医科歯科連携方策及び歯科疾患の予防のところの議論が不十分でした。本日はこの前半の部分を 15 時までとして、 15 時から、医科歯科連携と歯科疾患の予防というところで御意見を賜るという形にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 先ほど申し上げましたが、今回の会議でもって、いわゆる項目、要素といった洗い出しは終わりにしたいと思います。その点を含めて、事務局から簡単に資料の説明をお願いします。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。資料 1 を御覧ください。これまでの議論等を踏まえた「歯科保健医療ビジョン」に盛り込む要素です。この資料自体は前回と少し体裁を変えております。趣旨を変えずに文言や表現を整理したもの、あるいは幾つかの項目で重複している内容や、ほかの場所に移したほうがいい内容など事務的に整理を行わさせていただきました。また、前回、第 7 回目のときに、各構成員から御頂戴した御意見も、可能な範囲で修正、反映をしております。時間の関係もありますので、新たに追加された内容、また、項目を移動した内容について簡単に御説明させていただきます。

1 ページ目です。全体の構成は、特に変わっていません。まず、はじめに、概要がありまして、 (1) 「歯科保健医療ビジョン」の必要性、 (2) 今後の歯科保健医療の需要に分けております。 (2) の上から 3 つ目の○の部分ですが、「高齢者の歯科保健医療においては、日常生活自立度や疾患等による全身状態、加齢に伴う口腔内変化の状況等について、小児や成人と比較して個人差が大きいため、歯科医療を受ける場所や治療内容等が多様である」、という内容を追加しております。また、所々分かりにくい用語について、解説を脚注として記載しておりますので、御確認いただければと思います。

2 ページ目、中ほどから大きな 2 番目として、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割について記載をしております。この項目自体は、 (1) 全体、 (2) 歯科診療所、 (3) 病院の 3 つに分けて整理しています。

2 ページ目の (1) 全体の上から 2 つ目の○ですが、「各地域における歯及び口腔に関する健康格差は依然として大きく、歯科保健医療の提供体制を構築するに当たっては、地域性なども可能な範囲で考慮する」という文言を追加しております。

3 ページ目、 (2) 歯科診療所の 1 つ目の○です。「しかしながら、診療形態や人員等の課題から、訪問歯科診療の提供が困難な歯科診療所は、歯科医療機関内の役割分担、外来診療時間の集約化、訪問歯科診療を実施している他の歯科診療所との連携を図ること等が考えられる」という表現を追加しています。

4 ページ目、大きな 3 番として、あるべき歯科医師像とかかりつけ歯科医の機能・役割、こちらについては、 (1) あるべき歯科医師像、 (2) かかりつけ歯科医の機能・役割、この 2 つに分けて整理しています。 (1) あるべき歯科医師像の上から 4 つ目の○になります。「日常生活自立度や疾患等による全身状態の様々な患者に対応する機会が増加することが考えられることから、歯科医師は、より高度な知識や技術が求められる。さらに、訪問歯科診療等の機材等が限られた診療環境の下で歯科診療を行う場合のスキル、ひいては、専門性の向上を図ることが必要である」。これ、もともとは地域包括ケアシステムの中での歯科診療所の部分で記載されていましたが、内容的に、歯科医師に係る部分が大きいところがありましたので、こちらの項目に移させていただきました。

 また、その下になりますが、「歯科医療の信頼性を高め、国民・患者の情報リテラシー向上にも寄与することから、歯科医師は、国民に対する健康教育や患者に対する診療等において、歯科医療に関する正確かつ適切な情報を積極的に発信すること等により、国民・患者の歯科医療機関や治療等の選択に資することが求められる」、こういった内容を追加しております。

5 ページ目、特に大きな修正点はありませんが、 5 ページ下段から、大きな 4 として、具体的な医科歯科連携方策と歯科疾患予防策です。この項目は、 (1) 医科歯科連携方策、 (2) 歯科疾患予防策、この 2 つに分けて整理しております。前回、この内容について、余り御意見を頂かなかったのですが、現時点で追加した部分としては、 6 ページ目になります。一番上の○ですが、「各地域の医科歯科連携状況を評価するための方法や、連携を進めるために歯科診療情報等の活用方法を検討する」。これは、もともと地域包括ケアシステムの全体に係る部分で記載されていましたが、こちらもどちらかというと、連携に係る内容が主になっていますので、こちらの項目に移動しています。その下ですが、「学会は、口腔と全身の関係について、近年明らかになっている歯周病と全身疾患との関係も含め、国民に対して、シンポジウム等を通じて啓発を図る」、この内容を追加しています。

 最後、 7 ページ目です。「「 8020 運動」等の先進的に行われている我が国の歯科保健医療の取組については、アジア諸国を含めた諸外国に対して積極的に情報発信する等、国際展開を図る」。この内容を追加しております。細かい修正点は幾つかありますが、新しく追加された内容、また、項目を移動した内容については、以上でございます。

○江藤座長 それでは、 1 ページ目の概要から御意見を頂きたいと思います。先ほど説明があったように、概要の 5 つ目の○が新しく加わった所です。高齢者の歯科保健医療において、日常生活自立度や、疾患等による全身状況うんぬんです。概要は 2 ページ目の上段まで出ていますが、これについては何か御意見、御追加等がありましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。

 次は、 2 ページ目の真ん中の所ですが、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割です。 (1) 全体の 2 つ目の○が新しく加えられた所です。何かありますでしょうか。

○川添構成員 この 2 ページ目の (1) 全体の最後の 4 つ目の印の所が、非常によくコンパクトにまとめられてあると思います。実際にやるとなると、この特に印から 3 行目、一番下段にありますように、「歯科医療機関とその他関係機関との調整を行う人材の養成が必要である」というところは、総論としては確かにそのとおりなのですが、実際に我々の近辺でモデルとなる所に見に行っても、ほとんど医師側から誘いがかかって、我々の医科歯科連携が構築されるとか、特に「多職種連携」の場合には、地域包括支援センターといった所で、あるいは、昭和大学のように 1 つの学部に 4 つの学科があるといった所なら、割合まとめて同時に多職種連携ができるのですけれども、多職種連携にしろ、他職種連携にしろ、歯科の場合には、ややもすると、飛び越えられてしまって、医科から看護師のほうにいって、それから薬のほうにいってというようになりがちで、昔に比べたらかなり歯科のほうも誘ってもらえるようになったのですが、これは歯科医師会などは必ず入れてくれているようですが、大学などの場合は、なかなかそこへ入り込むためには、一歩を踏み出せないので、全体として進捗が遅れているような気がいたします。以上です。

○江藤座長 ただいまの御意見について、何かありますでしょうか。誰が調整するのだと、ないしは歯科医師がどのように関与できるのかという問題で、これは前々回に御意見が出たと思いますが、地域ごとでかなり事情が違うようです。できた背景等が異なりますので、マネージメントする人が、いろいろなところから出てきているために、画一的にこういう形で作るないしは認定することは難しいようですが。

○川添構成員 何かカタカナでもいいですから、何とかコーディネーターとか、何か名前を付けていただければ、これは歯科の側から提案して、働き掛けた人材だな、その人を雇用したり、その人材を集めるのはこちらでやるにしても、この役の人が、果たして、積極的に活動するにはいろいろな所の門戸をたたいて、あなた、どういう役割なのですかというところから説明しなければいけないので、かなり、関門がハードなような気がするので、何かそれにふさわしい名前を付けていただいたらいかがなものかなと。

○江藤座長 名前を付けますか。

○山口構成員 もしかしたら以前、これ、どういう人を想定していますかと聞いた記憶があるのですが、今のお話だと、歯科側の方が調整役になるというイメージでここに書かれているのでしょうか。

○和田歯科保健課課長補佐 市町村が主体ですので、保健師や他の職種である可能性は十分に考えられます。

○川添構成員 歯科は少ないと思います。誘ってくれれば出掛けて行くのですけれども。

○山口構成員 誘ってもらわなくても、出て行っていただいたほうがいいと思いますが。

○川添構成員 そうするためには、何か資格かネーミングを付けてもらわないと、なかなか行きにくいと思います。

○江藤座長 次の 3 ページの (2) 歯科診療所の○の 2 つ目に、歯科診療所のグループ化と、規模の確保を検討して、この機能分化を図るとあります。そうすると、地域包括ケアの中で、歯科側の世話役がいて、それから地域包括ケア全体のコーディネーターがいるといった図式になるのだろうとこの書きぶりは思われます。ただ、誰だというように特定はされておりませんし、誰だということで、誰が認定するのだという、そこには至っておりません。柳川構成員、どうぞ。

○柳川構成員 歯科医師会の柳川です。以前にもこのお話が出たと思いますが、現在、都道府県の医療計画が見直されて、 30 年から新しく始まります。同じように市町の介護保険の事業計画とか、県がつくる介護保険事業支援計画も見直されていて、問題は、医療から介護に移るところ、これは線引きがはっきりできるわけではなくて、移行していくわけなので、そこで歯科医師や歯科衛生士ができるだけ関わっていくということがとても重要だと思います。その中でやはり、 1 つは、在宅訪問診療と訪問歯科衛生指導に関わる歯科医師や、歯科衛生士をできるだけその養成をしていくことです。これは歯学部や衛生士養成校の教育も当然必要ですし、また、介護保険などはなかなか仕組みがややこしい部分がありますから、システム自体も教育をしていかないといけないと思いました。

 それから、実際にもしできればですが、地域包括ケアセンターに必須の職種というのは、現在、主任ケアマネや看護師と社会福祉士ですから、そこに非常勤でもいいですから、歯科衛生士が必ずいるといいですね。このままで問題があったら、歯科衛生士に相談できるというようなことができれば、もうちょっと連携が進むように思います。以上でございます。

○江藤座長 先生、今、歯科衛生士とおっしゃいましたか。

○柳川構成員 はい。

○江藤座長 歯科医師ではなくて。

○柳川構成員 非常勤でも歯科医師はなかなか難しいと思うので、地域の歯科医療機関から派遣した歯科衛生士というイメージです。

○江藤座長 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 先ほどの話を考えたときに、間が抜けているのではないかと気がしたのです。地域包括ケアシステムの中に歯科医療機関が積極的に参画していくということが大事だということからすると、まず、その役割を十分果たすことができるよう、地域包括支援センターが行う地域ケア会議や、医療機関や介護保険施設が行うカンファレンス等において、歯科も加わる必要性を伝えるということが何か抜けているように思います。歯科が参加する認識を広めなければいけないということが、まずあったほうがいいのではないでしょうか。その後、歯科医療機関と、その他関係機関との調整を行う人材の養成という、ここで「人材の養成」と書くので、歯科が養成するのだと読めてしまうのですけれども、先ほどの事務局のお話だと、いろいろな立場の方がいらっしゃるということなので、ちょっとその辺を整理したほうがいいのではないかと思いました。やはり歯科が加わることの必要性を十分、地域包括ケアシステムの中で認識してもらうということがまずあって、そこから実際に参加していくということの順番にならないと、飛び越えて養成すると書いてあるので、何となく違和感があるのではないでしょうか。

○川添構成員 この 2 行の前段のほうに脚注が、スモール 4 の脚注が入った所ですが、地域包括支援センター、この下の 3 行を読むと、こういう組織が地域包括支援センターですから、ここではケアマネとか、そういうコーディネーター的な人材は、おのずと代表から送られてくるのです。すぐ用意されているような気がするのです。ところが、そういった地域ケア会議や」の後のほうには人材の養成が必要と思います。どこがそれを養成して送り出すのか、あるいは、提案する資格があるのかという点が前段と後段とでは、ちょっと後段のほうが遅れているような気がするのです。以上です。

○江藤座長 和田課長補佐、どうぞ。

○和田歯科保健課課長補佐 先ほど山口構成員、川添構成員から御発言があった内容に関して、文章を少し整理したほうがいい部分がありますので、頂いた御意見をきちんと修文させていただいて、その趣旨に合致するように書き直したいと思っております。

○江藤座長 ここの書きぶりですが、人材の養成が必要であると。これはあくまで、あるべき論ですので、これは制度の設計とか、そういうところには踏み込まない。ただ、山口構成員がおっしゃったように、もうちょっと歯科側の認識、歯科の必要性の認識をきちんと記述すべきであると思われます。ほかにありますでしょうか。

○柳川構成員 これは質問です。 3 ページ目の一番上の○の最後の所の「入所者のみならず施設職員等の歯科保健医療ニーズも適切に把握した上で」、この文はよく分からないのですが、施設の職員の方も対象という意味なのでしょうか。これを追加された意図、追加というか、この意味をお願いいたします。

○和田歯科保健課課長補佐 入所者とその家族のニーズを把握するということは当然のことながら重要ですが、施設職員の方々がどういう歯科保健医療ニーズを求めていて、何が足りていないのか現状を把握することも重要ではないかとの問題意識を持っておりますので、この部分に関しては入所者に加えて、施設職員等の歯科保健医療ニーズの適切に把握した上で実施すべきであるという表現にしております。

○江藤座長 よろしゅうございますか。

○柳川構成員 分かりました。

○江藤座長 水田構成員、どうぞ。

○水田構成員 家族とおっしゃいましたけれども、施設のこの職員たちが、歯科医療ニーズの必要性を理解してほしいと思いますよ。

○山口構成員 ここの部分は、施設職員の歯の健康ということですか。私は、これは入所者の歯科医療ニーズを職員が把握しているという意味だと捉えたのですが、職員の歯の健康を何かしましょうということではなくて、施設職員が把握している入所者の問題点ということを、職員からも情報を得ていきましょうということではないのでしょうか。

○和田歯科保健課課長補佐 そういう趣旨でございます。

○山口構成員 そうは読めないんではないですか。

○江藤座長 水田構成員がおっしゃったように誤解されますので、今、山口構成員がおっしゃったような形に訂正しましょう。ほかにありますでしょうか。

3 ページ目の (2) の歯科診療所の最初の○の後半ですが、「しかしながら、診療形態や人員等の課題から、訪問歯科診療の提供が困難な歯科診療所は、歯科医療機関内の役割分担、外来診療時間の集約化、訪問歯科診療を実施している他の歯科診療所との連携を図ること等が考えられる」、歯科医師会の先生方、これでよろしゅうございますか。では、 4 ページ目の最初の所まで。柳川構成員、どうぞ。

○柳川構成員 今、座長が御指摘になった次の○ですが、歯科診療所の 2 つ目の○の所で、まず、下段の、私は前にも発言させていただきましたが、「地域医療連携推進法人制度」というのが歯科診療所レベルの制度設計に合っていないので、できたら、ビジネスモデルのようなものが示されるといいのかなと思います。その前の行の「複数の歯科診療所のグループ化」、これも場合により、今、座長が説明されたように、自分の所が訪問診療できなかったら他の方に訪問してもらうということも含めて必要だと思うので、これも了解なのですが、やはりそこには基盤がしっかりした地域との連携が取れている地域歯科医師会の存在が必要だと思うのです。したがって、「複数の歯科診療所のグループ化」の前辺りに「地域歯科医師会との連携によるグループ化」であるといった記載があったほうが分かりやすいのではないかと、現実的ではないかと思いました。

○江藤座長 ということです。では、これを検討させていただきますが、グループ化ないしは歯科診療所の規模の確保等は、これは次のかかりつけのところで役割が、一般診療所と入院と在宅とありまして、一院長では 3 つは無理だと、もう 2 度ほど伊東先生が御指摘されております。そこのところで、それに対応するためにこういったグループ化といったことが考えられるというように読めます。読める箇所です。よろしいですか。伊東先生、何かありましたら。

○伊東構成員 伊東でございます。グループ化というのは、ちょっとぼやっとした表現で、何といったらいいか、私も迷うところですが、 1 1 個の歯科医院が、誰かの指図でグループ化するというのは難しいだろうと思います。やはりそれぞれ一国一城のあるじですから、グループ化することは現実的に非常に難しい。ただ、共同経営とか、そのような言葉だったら少しは理解できるかなと思います。

 それから、地域医療連携推進法人のほうは、私の聞いた範囲内では、大規模法人が更に合併するというようなことを想定して作ってあるような制度だと聞いています。ですから、その小さな歯科医院にそれを適用できるかどうか、また、それを適用した例があるかどうかは私は聞いたことがないのですが、あれば教えていただきたいと思います。グループ化という言葉は、ちょっとぼうっとした言葉で、私、申し訳ないのですが、今、知っている限りの言葉ではグループ化かなと思って出した次第です。

○江藤座長 ありがとうございます。このビジョンの踏み込むところがグループ化ぐらいまで。では、誰がこのグループ化するのか、どういう形でするのか。民間でやるのかといった話がありますが、そこはこのビジョンが踏み込むところではありません。だけれども、具体的にもうちょっとはっきりしろという御意見がありましたらお願いいたします。

 先ほど、柳川構成員がおっしゃったように、歯科医師会主導ということでもありうるし、民間レベルで伊東先生の所のような歯科病院という形でグループが起こるかもしれませんし、そこら辺のところは、いろいろな様式が生じてくるだろうと思われるところです。ただ、経営論理としてこのグループ化が行われるのか、それとも、かかりつけ歯科医のこういった 3 つの役割を全部集約化できる形でこのグループができるのか、これもケース・バイ・ケースになりうるのだろうという形での書きぶりにしています。

 ほかの箇所で何かありましたらお願いいたします。今日、早く終わってもいいと言われておりますから、では、先に進めさせていただきます。

 それでは、 4 ページ目、上段のほうに、 3 のあるべき歯科医師像とかかりつけ歯科医の機能・役割です。先ほど事務局から説明がありましたが、 (1) の○の 4 つ目と、 5 つ目が新たに加えられたものです。 5 ページ目については、 4 の医科歯科連携の前までは特段の追加はありません。山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 追加のところ以外でもよろしいですか。

○江藤座長 はい、どうぞ。

○山口構成員  4 ページの 3 (1) 2 つ目のプロフェッショナリズムの中に、括弧して「インフォームド・コンセントを含む」と、何かちょっと唐突に出てきたような感じがございまして、確かに新しいコア・カリの中で、プロフェッショナリズムの中に、項目としてはインフォームド・コンセントというのが並んでいたかと思いますが、ちょっとここをインフォームド・コンセントだけにしてしまうと、「プロフェッショナリズム」=「インフォームド・コンセント」みたいに見えてしまうので、例えば技術にとどまらず、インフォームド・コンセントや倫理等を含むとか、もう少し幅を持たせたほうがいいのではないでしょうか。

○江藤座長 事務局よろしいですか。

○和田歯科保健課課長補佐 モデル・コア・カリキュラムの中の項目をそのまま記載している関係で、ちょっと分かりにくくなっておりますが、今、ご発言があったように訂正させていただきます。

○江藤座長 高梨先生、どうぞ。

○高梨構成員 それに関係して、上から 2 番目の○のところに関わる話だと思うのですけれども、何回かいろいろなところでお話はさせていただいていると思うのですが、外部から見ていて、現在の歯科医療の問題の一つは、カルテの記載の仕方の問題があります。普通は医科は SOAP システムで、ちゃんと主訴があって、検査結果があって、どういう所見があって、どういうプランを立てたかが分かりますが、裁判官が、歯科のカルテを証拠として提出すると、「これ、カルテなんですか」とおっしゃることがあります。これに対して「これは請求書みたいなもんですけどね」と私がフォローしているわけですが、結局なぜ SOAP システムではないと困るかというと、レビューしたときに、改善点とか問題点を浮かび上がらせるのが大変なのです。

 あともう 1 個が、これは厚生労働省が平成 17 年に出した診療記録等の開示に対する指針の中に書いてありますが、カルテは、要するに、患者と医師のコミュニケーション・ツールなのだと書いてある。ということは、医療者の備忘録ではないわけで、それは一般の方が読めるように作らなければいけない。それはレビューして、改善点や問題点を摘出できるようにしなければいけないというのが、現在のカルテが有すべき機能のはずなのですが、そうなっていない。それは将来的に、今すぐ全部変えるというのは難しいと思いますので、少なくとも大学教育の場でそういうことを、 SOAP システムに基づくカルテ記載を心懸けていただくということが必要なのではないかと思っています。それらをできれば強調して書いていただけると非常に有り難いなと思います。

○江藤座長 非常に歯科の弱点を御指摘いただきましたけれども、歯科と医科の決定的な違いは、これは山口さんが前にもおっしゃったのですが、歯科に行ったら余り話をしないで、いきなり歯を削り始めるのですよねと。歯科は、疾患数が少ないせいもあるのですが、治療の箇所が分かるから、いきなり治療を始めると。ところが医科の場合には、診察・検査・診断とあるわけです。その間に臨床推論があって、それで診断が下るわけです。今の御指摘のとおり、そこのところを、要するに患者さんとのコミュニケーション抜きに、いきなり歯科は治療を始めるのではないかと。その辺のところは大学教育のレベル、特にコア・カリのレベルでも、今後の検討課題だと思っております。

○高梨構成員 書いていただけると有り難いです。

○江藤座長 高梨構成員のお立場からすると、きちんとそこを書かないと、裁判にならないということですね。

○高梨構成員 裁判にならないというより、何が問題だったのかを検出することすら困難な状況になるということです。医科のカルテだったら、患者がここで主訴を言ったのに、座長からもお話された、臨床推論のためにこういう検査をしなかったとか、そういうことが問題ではないかという、法的責任の追及にかかわらず、再発防止とか改善のためのレビューができるのです。しかし、カルテにそれが書いていないと淡々と診療が進んでいくかたちになって、、ここで咬合調整してやって、カルテ記載上やることは全部やりましたよという話になって、では、どこが問題だったのかということが分かりにくくなってしまうという問題が 1 つあります。

 すみません、これも厳しいことをもう 1 個申し上げますが、歯科のトラブルは十年一日、似たようなトラブルが常に持ち込まれるのですね。矯正が長期化してうまくいっていないとか、先に印象採得をちゃんとしないで、歯型模型作らないで、補綴やって、咬合不全になってトラブルになるとか。それはやはりカルテに適切に診療経過を書けば、こういう診療経過はおかしい、だから改善するという方向で、もっと働くと思うのですけれども、それがないのが、 1 つの歯科のカルテが抱えている問題点ではないかと思っています。別に、法的責任は追及できるかどうかとか、それだけの話ではないと思っています。

○江藤座長 おっしゃるようにカルテだけの問題ではなくて、カルテの背後にある「診察・検査・診断」という手順を、これは教育の問題なのですが、森課長、何か一言ございますか。

○文部科学省森医学教育課長 御指摘を頂いたどのようにカルテを記載するのか、診療の基本的な手順とも関係する問題ですが、他の医科分野に比べて、歯科において課題があるということでございますので、関係の先生方にも御意見を聞きながら方策を考えてまいりたいと思っております。

○江藤座長 ありがとうございました。では水田構成員、お願いします。

○水田構成員 この○に書いてあること、ちょっと言い過ぎではないですか。「歯科医師の基本的な資質・能力として求められている。こうした資質・能力を確保するため、歯科大学は、入学定員の削減や厳正な入学者の選抜基準を運用することで、国家試験合格率等の格差に象徴される現状を是正することが必要である」というのは、これは何かここに書いてあるほかのところよりは、ちょっと何かえらく強く言ってありますが、ここまで言う必要はあるのですか。言う権利があるのかなと思って。それと、国家試験、国家試験で、それは国家試験を通らないと歯科医師にはなれないけれども、そこのところはどうかなと。

○江藤座長 この箇所は、需給のワーキングがありましたが、そのワーキングの報告等を受けて、こういう形になっております。

 

○高梨構成員 需給のワーキンググループで議論したときのことを補足して、御説明させていただきますと、法科大学院については、これは座長もおっしゃっていただいたと思うのですが、教育機関として十分に機能を果たしているかを多角的に評価した上で、翌年の補助金が決定されるというシステムがあって、それによって事実上、改善を促しているのです。そもそも教育機関としての適正規模はどの程度のものであるのかとか、そもそも教育機関として維持することが適切な法科大学院なのかということを検討することを、補助金を介して促すことによって、流れを作っていって、適正規模を目指すとか、適正な教育機関の数を確保するということをやっていく。それを参考にすべきではないのかということを、私どもが御意見を出させていただいたことだと理解しています。

 これに対し、歯科大学、歯学部では、一律に入学者を減らすとか、そのような個別評価を抜きにした対応になっているのはおかしいのではないか、そのようにきちんと教育機関としての評価をした上で、それに応じた行政上のサポートないしをした上で、適正規模を目指していくのではないかというのを、需給のワーキンググループで御議論させていただきました。

 その上で、それが最終的にこういう文言になったことが、適切かどうかは、あるとは思いますが、そういう流れがあった上で、この文言があると理解していますので、そういう趣旨で御理解いただければと、水田委員にはお願いしたいところなのですが。

○江藤座長 法科大学の場合は法律がありますので、それに基づいての議論であったかと思います。高梨構成員がおっしゃったように、多角的な評価による質の保証をともなった教育機関の適正規模については国民への説明責任があります。それと同じ意味あいから言うと、国家試験合格率等の格差に象徴される現状を是正して、更に資質、能力の向上に努めるということなのだろうと思います。そういったことを付け加える必要があると思います。

○川添構成員 先ほどのカルテの問題ですけれども、高梨委員が言われたのは、従来の歯科だったら歯科だけのカルテ、あるいは医科だと医科だけのカルテ、あるいは薬剤師の書くのみのカルテだったらと、そういうきらいがあったのですが、最近のものは 1960 年代に、カナダのマスター大学の Weed という人が、提唱して世界に拡がったものです。カルテというか、従来のカルテは「 Doctor Oriented System 」ということで、動物実験で病名と診断が決まっているのです。その型にはめてしまうようになっていました。

 最近のものは「 Problem Oriented System 」、「 POS カルテ」というもので、ほとんど病名を先に付けないで、症状から入っていって、それで病名を浮き彫りにしていく。ですから、診断という言葉がずっと後になるというか、消えてしまった感じで、アセスメントという言葉を使うという。それと歯科では診査診断とかいう、診査というのは、口腔外科でよく使われた視診・触診から来ているので、現在は「検査、診察」になっているのです。

 それでこれはもう国家試験にも出ておりますし、検査の項目もできていて、各大学でも実施しているので、若い歯科医師は、そういう POS カルテの書き方、これはたくさんの看護師さん用の医学書には膨大な本が出ておりますし、特に医科歯科連携だとか、多職種が連携するときには、この POS でやらないと、全部の病名の理解ができないのです。

 ですから、これを看護師さんでも分かるし、衛生士さんでも分かるし、メディカルドクターでも、デンティストでも分かるというものです。 POS というのは、「 Patient Oriented System 」という言葉もありますが、そうではなくて、「 Problem Oriented System 」という、日本では日野原重明先生が紹介されたということで有名になっております。それを早い所では 10 年ほど前から実施しているのですが、なかなか浸透するのは歯科の場合、若干おくれているようで、従来のようなカルテ記載になっております。

○江藤座長 ありがとうございました。歯科医師自身のカルテの問題と多職種におけるカルテの問題とあります。これは少し事務局に整理していただきたいと思います。

○西原構成員 先ほど来の、 4 番目の日常生活自立の行での 4 行ですけれども、書かれていることはもっともなことなのですが、では実際、 6 年の歯学教育、 4 年の口腔保健学科教育で、どこまでできるかということを考えたときに、ここの読み込みだと方略が出てこない。そういうことで、もう 1 つ厚生労働省ということを考えると、その後の卒後研修に踏み込んで、トータルでこのようなことができるような歯科医師を増やしていくという書きぶりが現実に即しているのではないかと思っています。

 例えば、「それに向けて臨床研修の改善等が求められる」、これは厚労にフィードバックが掛かってくることではあるのですけれども、 1 行足すと全体的にまとまりが付くという印象を持ちました。

                               ( 井上構成員、到着 )

○江藤座長 ありがとうございました。事務局、いいですか。

○和田歯科保健課課長補佐 反映させていただきます。

○江藤座長 ほかにありますか。どうぞ。

○村岡構成員 ただいまのところで小さなことではありますが、どうもその最後のところの「スキルひいては専門性の向上を行うことが必要」の「行う」という言葉が何か違和感が大変ありまして、ここは「向上を」とするのであれば、「図る」とか、そういうことになろうかと思いますけれども、ちょっと修文をお願いしたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。ほかにありますか。ありませんでしたら、 5 ページ目の一番下のほうに、「具体的な医科歯科連携方策と歯科疾患予防策」とありますが、ここについては新しく入ったところは 6 ページ目の上の○と、その次の○ということですので、一番上の「各地域の医科歯科連携うんぬん」と、それから「学会は」とあります。それから、 7 ページの最後の「 8020 運動等」です。ここまでで御意見ありましたら、お願いいたします。

○三浦構成員  2 番目の○の「学会は」というところなのですけれども、その次の「教育分野での連携について」というところと、実はちょっと表記を整理したほうがいいのではないかと思います。例えば学会の大きな役割とすると、エビデンスを集積していくということなので、教育分野での連携についての事例として挙がっている、歯科疾患と関わりの深い医科の基礎疾患について、エビデンスを集積した上で、ガイドラインに載せるとか、そういったようなところは、正しく学会の責務かと思いますので、この項目の書きぶりを整理していただくと、より分かりやすい文章になるのではないかと思いました。

 あとは、学会の働きのところで、「国民に対して、シンポジウム等を通じて啓発を図る」で、特出ししてシンポジウムだけ挙がっていて、あとは「など」ということになっているのですけれども、これ以外にも啓発書とか、そういったパンフレットとか、いろいろあるかと思いますので、この辺りももうちょっと幅を広げたほうが、より国民に発信していくという姿勢が打ち出されると思います。その辺りをちょっと文章を修正していただけると、大変有り難いと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。学会のところは研究ベースで、次のところは教育ですから、これの仕分けをしてほしいということです。

○山口構成員 全く同じところが私も引っ掛かったのですけれども、この 2 つ目、「学会は、国民に対して」と書いてあって、学会が国民に対して開くシンポジウムといったら、ものすごく限定的になるのではないかと思いました。下の教育分野でということになって、学会間の連携で、医科歯科の学会で共同のシンポジウムを行うということは、これは分かるのですけれども、国民に対して行うときに、今、おっしゃったように、シンポジウムを特出しするのであれば、やはり、もう少し広く情報提供できるということを、並べたほうがいいと思います。例えば、「国民に対して、情報提供のための広報やシンポジウム等を通じて」とか、何かそういうものを入れないと、ちょっと違和感があるかなと思いました。以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

○三浦構成員 同じく 6 ページで、 5 番目の○です。「病院での連携について」のところなのですけれども、この中の 2 番目の項目で「入院患者の ADL QOL の向上に資するため」での ADL ですが、以前の論議では、対象者は国民に発信するということも、非常にこのビジョンでは重きを置いているということでしたので、 ADL は、やはり他の箇所でやられているみたいに脚注を付けたほうがよいかと思います。多分、 ADL と言って分からない方も多いかと思いますので、その点、追記をお願いしたいと思います。

○江藤座長  ADL 脚注、お願いします。ほかにありますか。

○柳川構成員  6 ページの一番上の○ですが、「各地域の医科歯科連携状況を評価するための方法」、これが大変大事で、例えば現在、病床機能報告制度があって、その中に周術期の口腔機能管理が初めてカウントされるようになったのですが、実際に各病院ごとに公表されている数字を見ても、なかなか分かりづらいのです。ですから、是非やはり、ここは「評価するための方法」と書いてありますが、医科歯科連携が具体的に進んでいる事例が評価されやすいような評価指標が求められると思います。

 もう 1 つ、歯科の病診連携、歯科診療所と病院歯科の連携状況、これは例えば、診療所では手に負えない患者さんを、短期入院で集中治療してもらったとか、障害を持った方、あるいは在宅診療をするのだけれども、なかなか治療が難しくて、外科処置を病院歯科で後方支援してもらったとか、そのようなケースも数字で出ると、評価されやすいと思いますので、できたらそれをしっかり進める方向でお願いしたいと思います。

 それから、座長、 7 ページの最後までで、今はよろしいのですか。

○江藤座長 どうぞ。

○柳川構成員  7 ページの○の検診の部分ですが、これはいろいろ評価をした上でうんぬんと書いてありますが、現在、御承知のように学校健診の後の検診には成人の法定歯科検診はないのです。確か労働安全衛生法の酸蝕症のところで、特殊な職種の方だけあるのですが、それ以外、成人歯科検診、歯周歯科検診は、健康増進法上の努力義務にとどまっていますから、最終的には成人期以降の検診が法制化されるということが、極めて望ましいと思いますので、そこまで踏み込んだ書き方をしていただけると有り難いと思います。

○江藤座長 事務局、よろしいですか。もうちょっと踏み込んでという。

○和田歯科保健課課長補佐 文言については調整させていただきます。

○井上構成員 遅参しまして申し訳ございません。 6 ページの 2 つ目の○ですが、「口腔と全身の関係について、近年明らかになっている歯周病」と書いてありますけれども、口腔内細菌全てを多分含ませたほうがいいであろうということで、歯周病のみならず、最近では虫歯菌と脳出血との関係とか、誤嚥性肺炎等も含めてですが、変えたほうがよろしいと思います。また、全身疾患というよりは、やはり下に書いてありますような「基礎疾患」という言葉のほうが、より明確なのかなと思います。以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

○水田構成員 やはりここにも、医科と歯科で一緒にやったときの費用の取り方について、この間もお願いしたのですが、どのようにしたらいいのか、あるいは、こういうことも考えなくてはいけないということを言っておかないと、いまだにうちは費用が取れておりません。訪問歯科センターを作っても、一生懸命、病院にお医者さんと歯科医師と衛生士が行っているのですが、いざ収益が上がるのかと思うと、全然患者さんは払ってくれないのです。

 そして大きな病院の所も、自分たちは歯科の診療科がないから、取るわけにいかないとおっしゃるので、やはりそれをお宅でしなさいと言われるけれども、最初はちゃんとインフォームド・コンセントを渡して、費用が掛かりますと言うのですが、やはり払ってくれないのです。ですから、そういうのはどのようにしたらいいかなと思って、ちょっと知恵を皆さんに貸していただけたらなと思っております。

○江藤座長 前回、水田構成員が御質問されて、確か田口課長がお答えされたところなのですが、要するに患者側からしますと、患者さんが払いやすい、ないしは払うべきところは当然払うような、しかも簡潔な払い方ができるような方法、これはいろいろな規則、法律等があるから、この辺はどうなのでしょうか。スパッといかないかもしれませんけれども。

○田口歯科保健課長 なぜ、歯科の治療が必要なのかという、その重要性をきちんと御説明した上で納得していただいて、歯科の治療をやるというのが、まず大前提としてある部分だと思います。

○水田構成員 ですから、新しいやり方になったときに、新しい問題が出てくるわけですよね。今まで医科歯科連携なんて余り一緒にはやっていない。それが出たのだから、やはり点数とかも考えてもらわなくてはいけないわけですよね。そこのところをお願いしたいなと。

 せっかく医科歯科連携をやろうとしているときに、やはり費用は負担してもらわないと、ボランティアというわけにもいかないから、そういうことは少し考えていただきたいなと思います。

○江藤座長 医科歯科連携を更に促進するための、治療費の取り方、払い方とかそういう問題です。事務局、これは重要な問題ですので検討いたしましょう。なかなか微妙な問題なのですが。ありがとうございました。ほかにありますか。

○三浦構成員  6 ページの (2) 歯科疾患予防策の最初の○のところなのですけれども、フッ化物局所応用の後、歯磨き指導となっていますが、非常に限局した響きがありますので、もうちょっと広げたほうが、この趣旨に合うのではないかということで、例えば「口腔衛生指導」とか、そのような表現に変えたほうが、前後のつながりもいいのではないかと思いますので、御検討をお願いします。

 あともう一点は、歯科疾患予防策を進める上で、モニタリングと評価というのが、非常に重要になってまいります。その視点がちょっと抜けているような印象を与えますので、 1 つ項目を起こす等などで記載を追加していただけないでしょうか。「地域の歯科保健対策を推進するために、地域の状況を継続的にモニタリング評価する」といったような内容の文言を、是非、この歯科疾患予防策のところに入れていただきたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。よろしくお願いします。ほかにありますか。どうぞ。

○伊東構成員 医科歯科連携医療あるいは介護との連携もそうですが、実際問題として言葉の問題があって、ナース、医師、歯科医師、歯科衛生士で話している中で、言葉が通じなくて頓挫するということがあるわけです。例えば DM と言っても、パッと思い付く衛生士というのはまだまだたくさんはいないということです。あるいは浸潤麻酔のことを「しんま」と言うと、ナースは心臓マッサージを想像してしまうという、本当にびっくりするような言葉の壁があるわけです。

 ですから、連携の方策の最初に、そういう共通する言葉とか清潔、不潔などの、いわゆる行動といったものの理解を深めるとか、そういうことがまず最初にないといけないと思います。現在うまくいっていない最大の理由はそこなのです。清潔、不潔の鑑別で怒られるとか、あるいは言葉が分からずに誤解してしまう。そういうところが、医科歯科連携が頓挫する一番大きな理由だと思います。その付近の理解を深めるとか、あるいは研修するということがあって、それから先の話ではないかと思います。ここに入れていいかどうかは分かりませんが。

○江藤座長 大変重要な御指摘で、地域によっては、内科医のカルテと歯科医のカルテを共通にして、今おっしゃった共通の言語で共有しようというところがございます。

 ですから、まずそういう共通の言語によるコミュニケーションができる形にしてもらいたいということで、おっしゃるとおりだと思います。どこに入れるかは検討させていただきます。ほかにございますか。

○村岡構成員  6 ページの (2) の最初の○です。ここで歯科疾患の予防策ということで、「メンテナンス等の予防歯科を更に推進し」ということで、そこに先ほど来話のあるフッ化物うんぬんというところです。非常に大きな問題と個々の問題が混在していることと、全く病気でない人を病気でない状態を続けるための予防なのか、重症化を予防するのかという観点が少し交索しているような気もいたしますので、そこについては整理をするほうがよろしいと思いますので御検討願います。

○江藤座長  2 つ目の○ですね。

○村岡構成員  1 番目の○です。

○江藤座長 検討させていただきます。

 この医科歯科連携を進めるに当たって、ここに書かれていることはどれも必要なことなのですが、どういう切り口、どういう切っ掛けにするかというのは、前回から議論になっています。前回、南構成員が「今、一番頻度が高いと思われる誤嚥性の肺炎等に絞って、医科歯科連携を展開するというのはいかがか」という御意見を頂きました。そういったことも、この中に含めていきたいと思っております。何かございますか。

○南構成員 ただ、全体を書いているビジョンですから、あくまでもそれは一例ということで、それが分かるような書き振りにしたらいいと思います。

○水田構成員  (2) 2 番目の○に、「歯科疾患予防策を各地方自治体で積極的に進めるため、各地方自治体は、歯科医師や歯科衛生士等の歯科専門職の配置を進める」とありますが、これはどのようにするのですか。例えば保健所に歯科医師を配置するというつもりだったら、歯科医師が余っているのを削減と言っていることと全然逆になってしまいますが。

 これは大事なことだと思います。私は地方自治体が各保健所に医師の常勤とともに、歯科医師の常勤を認めることは大変大事だと思うのですが、そうしていくと、やはり歯科医師を減らせという理論には合わないのです。歯科医師は足りなくなります。ここも考えたほうがいいと思います。配置を進めるといっても、どうやって進めるのですか。開業医をやめさせることはできませんし。

○高梨構成員 専門職と自治体の連携というのは、歯科医療に限らずいろいろなところで進んでおりまして、弁護士などでも任期付き公務員ということで募集すると、場所にもよりますが応募はあるので、歯科医師の流動性がどこまで高いかは存じ上げないので何とも言えませんが、キャリアを全部保健所で終わらせるというわけにもいかないと思うので、任期付きの募集という形にはなると思うのですが、そういう形でやれば、専門職の配置を進めるということは十分に可能なのではないかと私は思います。

○水田構成員 開業している人が閉めて来るわけにはいかないし、大学から派遣するというのは可能かもしれないけれども、それだと腰掛け的になってしまいます。これの言い方が、歯科医師が足りなくなるということを言っておかないと、本当に高齢者などのことをしようと思ったら、絶対に足りなくなります。

○村岡構成員 一例ですが、私の住んでいる隣の市では、開業を閉じて行政歯科医師になった者がおります。

 それはそれとしまして、私は卒業して歯科医師になった者の、キャリアの多様性というのが大事だろうと思います。だから、今はほぼ皆さん開業という形を取っているかと思いますが、そういった中で、自分の業務の選択性というものが広がることによって、現状でも一応今までの論拠から言うと、余り数のことは申し上げたくないのですが、過剰気味であることの皆様方の現状認識はあることから、新しく歯科医師になる者がいろいろな仕事のバリエーションというか、職種を広げるという意味では、こういった考え方もあろうかと思っています。

○江藤座長 具体の需給については需給問題のときに議論させていただきます。ほかにございますか。

○山口構成員 「減ってくる」とおっしゃったのですが、どれぐらいの人数を見込んでここに書かれているのでしょうか。どれぐらいの人数が必要になってくるというか、その辺りの試算のようなものはあるのでしょうか。

○和田歯科保健課課長補佐 具体的に各自治体において何人必要だという数までは試算しておりません。ただ、現状で各自治体において未配置の所があることについて、 1 人でも多くの歯科医師あるいは衛生士を配置していくことは必要であろうと、そういう考え方に基づいて記載しているものです。

○山口構成員 例えば結婚や子育てで一旦現場から降りた人で、なかなか治療の現場に戻るのは難しいけれども、こういう勤務形態であればというような方も視野に入れられているのですか。

○和田歯科保健課課長補佐 具体的には、今、先生がおっしゃられた部分までは議論は進んでいないのですが、そのような形もあり得るのではないかと思います。

 ビジョンはあくまでも総論ですので、それぞれの提言を踏まえて、これまで議論した女性歯科医師の活躍について、今後更に議論を深めていければいいなと思っております。

○柳川構成員 先ほど少し触れた医療計画なのですが、大体二次医療圏ごとに計画を立てていくのですが、そこに行政職の歯科医師や歯科衛生士がいると全く書き振りが良くなったり、実効性が高い計画になるという経験をしています。現状で言うと、二次医療圏単位で歯科衛生士がいない所もありますし、当然歯科医師はいない地域が多いと思うのです。県に 1 人しか行政職の歯科医師がいない県もありますので、そういう意味ではここに書いてあるように行政歯科医師の配置を増やしていくということは、皆さん合意だと思うのですが、どのぐらい増やすかというのは今後の議論だと思います。

 確か、保健所長までいかれた歯科医師も、滋賀県と大阪府ではありましたので、現状はいらっしゃらないのかもしれませんが、そこまで上り詰めたというか、キャリアがあった歯科医師もいるということです。実際に欠員ができると、ほとんど歯科大学の教室から出向という形ではなくて、大学をお辞めになって行って、そこでもう職を全うするということも多いのではないかと思います。

○三浦構成員 保健所長になるためのコースを国立保健医療科学院で開催しているところですが、歯科医師として行政職に長く携わってキャリアアップを目指している方たちは相当数いらっしゃいます。

 あと、若手の歯科医師のキャリアパスとしても行政歯科医師を選ぶニーズというのは、確実に育ってきているというところで、そういった意味でも、ここのビジョンとしてこの文言を置くのは非常に意義があると考えています。

○江藤座長  6 ページの (2) の歯科疾患予防策の○の 2 つ目の「各地方自治体は、歯科医師や歯科衛生士等の歯科専門職の配置を進める」ということはよろしいですね、方向性として。というのは、この歯科専門職の配置を進めるというのは、水田構成員がおっしゃったように、余っているのではなくてますます足りなくなるのではないかと。

 その上の医科歯科連携の所の病院での連携というのが、歯科疾患予防策の上にあります。ここでも、医科歯科連携部門の窓口を設置とか、リハビリ部門等の機能回復部門に歯科を位置付けと。ご存じのように、大体 8,000 の医科病院のうちの病院歯科があるのは 1,300 ですから。

○柳川構成員 私どもの研究機構の一番新しい調査ですと、 21 %ということでしたので、もう少し総数は多いのかもしれません。

○江藤座長 ありがとうございます。 21 %で 1,600 で、これを 5,000 に増やすと、 3,500 の増になりますから歯科医師 3 人を配置すると、大体 1 万人の雇用ができるという話もあります。

 ですから、この病院での連携、自治体における歯科専門職の配置というのは、需給にかなり大きな影響を及ぼす箇所です。

○西原構成員 各地域の医科歯科連携の実態を余りに把握できていないということもあって、 5 ページの最下段の○に「把握を行う」と書いてあるのですが、誰が、どこで、どう行うかというような議論になってきます。

 今は余りにしていないから、「把握が必要である」ではないでしょうか、現状は。医科や他分野から歯科医師や歯科保健に対するニーズの把握が喫緊の課題として必要なのではないでしょうか。 5 ページの下段は「把握が必要である」変えられたほうがいいと思います。

○江藤座長 ほかにございますか。

○田口課長  6 ページの歯科疾患予防策の所で、先ほど村岡構成員からもお話がありましたが、この全体的な書き振りとして、いわゆる重症化予防なのか予防そのものなのかという文言の整理も当然必要になってくると思いますし、例えば 6 ページの一番下に書かれているような、歯科健診の充実であるとか、入所者の口腔機能管理の推進という話になると、予防の概念という話からいうと、ここは二次予防を主体に書かれているような部分もありますので、これから大事になってくるのは一次予防も当然大事になってくるでしょうし、最後の所に国際展開という話があると、歯科医師としての資質も含めてですが、パブリックな歯科医師あるいはグローバルな視点を持った歯科医師という見方も当然必要になってくるのだろうと思いますので、一次予防とか二次予防というところも念頭に置いた書き振りに整理させていただこうかと思いますが、よろしいでしょうか。

○江藤座長 よろしいですか。では、お願いいたします。

 ほかにございませんでしょうか。

○柳川構成員  5 ページの四角が 3 つあって、かかりつけ歯科医の機能の所です。おおむねよろしいと思うのですが、 2 つ目の「切れ目ない提供体制の確保」という所の病院とか病院歯科との連携というところは、切れ目のない提供体制という意味では大事だと思うので、下のほうに「他職種との連携」で「医師」と書いてあるので、こちらに移していいのかなと思うのです。気になったのは、例えば 2 つ目の「切れ目ない提供体制の確保」の下の部分で「休日・夜間等の対応困難なケース」と書いてありますが、これを見ると、かかりつけ歯科医間の連携でカバーしていくと読み取れるのですが、休日・夜間の場合は急性症状が出たり、非常に全身的に心配なケースも当然あるということで、そうなると病院への搬送とか病院との連携ということが必要だと思います。また、休日救急診療は地域の歯科医師会が主体で、新しい調査でも口腔保健センターが全国に 360 数箇所あって、そのうちの約 230 か所で、地域の歯科医師会が輪番制で休日救急診療をしているのです。

 そういった所もありますので、そういった 1.5 次とか二次的な医療機関との連携をしっかり取れるというところが、この切れ目のない提供体制の確保の中でも重要な部分なので、少し追加があればいいかなと思いました。御検討願いたいと思います。

○江藤座長 ほかにいかがでしょうか。

○三浦構成員 今、御説明のあった 5 ページの I II III の次の○の「各歯科医療機関は、歯科医療の需要の多様化に合わせて」という文言について、この文言自体は大変意義のある文言で必要だと思うのですが、置かれている場所が (2) のかかりつけ歯科医の機能・役割なので、少し違和感があります。主語がほかのセンテンスと違って、ほかの所は「かかりつけ歯科医は」といった主語なのですが、ここだけ「各歯科医療機関は」ということで、より広い見地からの書き振りになっているので、記載場所を移した方が良いかと思いましたので、御検討していただければ幸いです。

○江藤座長 どこに入れるかは検討させていただきます。全体を見渡して、疑問な箇所、不都合な箇所がございますか。

○高梨構成員  2 ページの一番上の○に、「各ライフステージにおける歯科医療の需要に応じた、効果的な歯科医療を提供するため、信頼性の高いエビデンスに基づいた治療技術を確立し、現場へ普及・定着させていくことが重要である」とありますが、「確立し、現場へ普及・定着させていくこと」の間に、文言としてなくても足りるとは思うのですが、「ガイドラインの策定等により」という言葉を入れていただくと、より具体的になると思います。医科との比較ばかりして申し訳ないのですが、ガイドラインが少ないということが 1 EBM の普及の妨げになっているところがあるように思います。

 これは私の経験で申し上げるのですが、例えば抜歯のときに、口腔外科では「ウインターズの公式」という抜歯の難易度の指標があるのですが、そういうことが余り知られていない、せっかくそういう知見があるのにそういうことが知られていなかったり、そういうことを前提にインフォームド・コンセントをきちんとやれば、抜歯をめぐるトラブルもかなり減らせると思うのです。

 それについてガイドラインが有効だというのは、口腔外科学会が作ったインプラントのガイドラインが出てから、トラブルが劇的に減ったのです。要するに、こういうやり方をしないとインプラントをやってはいけないのだということが、メーカーに言われたとおりにやったらトラブルになってできないと。ガイドラインどおりにやらなければいけないのは初めて分かった、スタディグループはこのようなものではなかったといってトラブルが減ったと。そういういい流れがガイドラインの機能にあるので、「ガイドラインの策定等により」という言葉を一言入れていただくと、かなりいいかなと思うのです。

○江藤座長 極めて重要な問題です。ありがとうございます。

○西原構成員 先ほど井上委員からの発言の付言にもなるのですが、 6 ページの上から 2 番目の「学会は」という所で、確かに歯周病と全身疾患というのはよく言われていることなので書きやすいのですが、今回のこの提言が全体をビジョンに盛り込む要素ということを考えると、先ほどの「全身疾患は基礎疾患」という言葉は、私も細菌感染症学をやっていて正しいと思いますし、歯周病ではなくて口腔環境という形で置き換えると、バクテリアだけではなく、様々な口腔環境が要因となって起きてくる基礎疾患との関係という括りになるのではないかと思います。 1 つの言葉の提案ですが、御検討ください。

○南構成員 お先に失礼するので、全体的なことだけを申し上げます。例えば今のような口腔環境とか、基礎疾患とか、それぞれ言葉を説明すれば入れてもいいと思うのですが、そうなると、ますますこれをどなたに読んでいただくかという話になってきて、一般の国民に分かりということだとすると、やはり基礎疾患とか口腔環境といった言葉は分かりにくいと思うのです。

 ですから、対象をある程度想定しないと言葉づかいは決められない。私ども新聞では、難しいことを正確に書こうとする。すると、どうしても難しい言葉を使わざるを得なくなります。分かりやすく、と思うと、多少なりと丸めないといけないという話になって、それはときとして、不正確なメッセージになってしまうことがある。そういう板挟みにいつも遭っているわけですから、言葉の問題はいつも、痛感しています。

 脚注でいろいろ説明を付けるという方法で逃れられる部分はあると思いますが、ある程度はどういう人を想定するのか決めてビジョンにしないと、どなたに対してもメッセージ性がはっきりしなくなってしまってももったいないのではないかという気がします。

○江藤座長 これは原点で、国民目線で通用する言葉にするという方向で整理をさせていただきます。ほかにございますか。項目の問題、表現の問題等、全体的に御覧いただいて、何かお気付きの点がありましたらお願いいたします。

○山口構成員  3 ページの先ほどの施設職員からのニーズの把握という問題の所で、指摘だけして提案をしなかったので、 1 つ提案をさせていただきたいと思います。「入所者のみならず施設職員等の歯科保健医療ニーズも適切に把握した上で」とあるのですが、「から」を入れて、「入所者からのみならず、施設職員等から得られる入所者の歯科保健医療ニーズも適切に把握した上で」とすれば、明確になるのではないかと思いましたので、そこだけ提案したいと思います。

○江藤座長 今おっしゃったような形であれば、明確に伝わると思われます。表現については、事務局にお任せいただきたいと思います。ほかにございますか。

 それでは、大体御意見も出尽くした形です。この歯科保健医療ビジョンに盛り込む要素については今回で終了とさせていただきたいと思います。次回の検討会は 12 13 日ですが、事務局はこの要素で過不足がないか、今一度確認させていただきます。次回は執りまとめる方向で座長と事務局で相談し、提示させていただきます。本日は長時間ありがとうございました。これで終わりにさせていただきます。


(了)

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