ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 歯科医師の資質向上等に関する検討会> 歯科医師の資質向上等に関する検討会(第4回)(2017年5月22日)




2017年5月22日 歯科医師の資質向上等に関する検討会(第4回)

医政局歯科保健課

○日時

平成29年5月22日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(中央合同庁舎5号館18階)
 (東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

○歯科医師の資質向上等に関する事項について

○議事

○古殿歯科衛生係長 定刻となりましたので、ただいまより「歯科医師の資質向上等に関する検討会」第4回を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 まず、構成員の出席状況ですが、井上構成員、羽鳥構成員は所用により欠席との連絡を頂戴しています。

 また、本検討会では、オブザーバーとして文部科学省医学教育課の森課長に御出席いただいております。

 また、本年4月1日付で事務局に異動がございましたので、御報告いたします。

 歯科口腔保健専門官の本田です。

○本田歯科口腔保健専門官 本田でございます。

○古殿歯科衛生係長 なお、本日は、大臣官房審議官の椎葉審議官が後ほどおくれて出席いたします。

 今回の検討会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。

 続いて、配付資料の確認をよろしくお願いいたします。お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料は1~3、参考資料も1~3をお配りしております。乱丁や落丁等ございましたら、お知らせいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきまして、江藤座長、よろしくお願いいたします。

○江藤座長 皆様、おはようございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。最初に簡単に今までの経緯をお話申し上げます。この会議は半年ぶりの開催でございます。といいますのは、参考資料2にございます働き方ビジョンの報告書が3月に出ました。それを踏まえて、改めてこの検討会で議論を進めてまいりたい、そういったことで少し間隔があいてございます。

 この検討会の課題でございますが、1つは需給問題、2つ目が女性歯科医師の活躍、3つ目が歯科医療の専門性でございます。ただ、今回この働き方を踏まえて、医科との並びを考えますと、需給問題が優先されると考えられます。需給問題につきましては、既にワーキングから報告書が上がっております。この検討会では人口問題の御専門でいらっしゃいます森田先生にワーキングの座長になっていただいております。今までの需給問題がいわばステークホルダーによる検討であったのが、人口問題という視点から、国民目線での需給問題にフェーズが変わったという認識です。歯科保健医療ビジョンをにらんでの需給問題でございますけれども、この歯科保健医療ビジョンはあくまで厚労省の政策、例えば地域包括ケア等の政策をにらんでの実現可能な歯科保健医療ビジョンを検討していく予定です。それゆえ、需給問題は、歯科保健医療ビジョン達成のための非常に重要な施策であるという位置づけと思っております。

 それから、需給問題につきましては、数の問題よりも、むしろ質の問題になってきているという認識でございます。そういった方向で今後この検討会の議論を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料について説明をお願いいたします。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。それでは、資料1~3をまとめて御説明させていただきたいと思います。

 お手元の右上、資料1、1枚紙をごらんいただきたいと思います。先ほど江藤座長から御説明があった内容とも一部重複いたしますけれども、これまでの経緯と今後の議論の進め方についてまとめたものでございます。本検討会につきましては、平成27年1月に設置させていただきまして、主に歯科医師の需給問題を中心に議論を重ねてきたところでございます。前回、第3回目の検討会におきまして、それぞれ需給問題、女性歯科医師の活躍、歯科医療の専門性、この3つのワーキンググループに関する議論に関して整理をさせていたいだいたところでございます。

 他方、医師・看護師におきましては、平成2810月3日より、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」において、今年の4月6日に報告書が取りまとめられたところでございます。

 3つ目の○になりますけれども、歯科医療の提供につきましては、御存じのように歯科診療所が中心でございまして、多くは小規模事業所で勤務する歯科医師が多いということで、必ずしも医科の状況とは一致しませんけれども、働き方ビジョン検討会報告書に基づき議論が必要な内容、ここには歯科の内容も含まれていること、また、高齢化の進展、歯科保健医療を取り巻く環境の変化に伴いまして、既に歯科保健医療の需要にも変化を生じてきております。提供体制につきましては、外来中心であった提供体制が、在宅歯科医療あるいは医科の入院患者に対する歯科医療の提供が必要とされているということから、歯科保健医療の提供体制については、さらに議論を掘り下げていく必要があるのではないかと考えてございます。

 こうした視点を踏まえまして、本検討会では、これまでの議論に加えまして、下記の課題を中心に、今後の歯科保健医療の需要を踏まえたあるべき歯科保健医療の提供体制、いわゆる歯科保健医療ビジョンを示すこととしたいと思います。

 主な検討課題でございますけれども、大きく2つございまして、今後の歯科保健医療の需要。ここは各ライフステージ(小児、成人、高齢者)における需要と、各医療提供施設(歯科診療所、病院、居宅等)における需要がどうなっていくのか。

 また、それに対してあるべき歯科保健医療提供体制について3点挙げさせていただいておりますが、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割、また、かかりつけ歯科医の役割・機能、さらには具体的な医科歯科連携方策や歯科疾患予防策、この3点に関しまして、議論を掘り下げていきたいと思います。

 主な検討スケジュールでございますが、きょう、第4回目の検討会を開催させていただいた後、数回程度開催をさせていただきまして、本年の秋ごろを目途に、このビジョンに関して取りまとめをさせていただくのと同時に、歯科医師の需給問題などのこれまで議論してきた内容を中心に、検討会の中間報告として一度取りまとめたいと考えているところでございます。

 続きまして、資料2、横形式の資料をごらんいただきたいと思います。この資料は、歯科保健医療の需要や提供体制に係る、これまで本検討会で出された論点及び働き方ビジョン検討会の報告書で出されたものを表にしたものでございます。

 まず、1ページの上でございますが「人口構成」につきましては、本検討会においても、増加している高齢者人口自体も約30年後に減少していること等を勘案すれば、各ライフステージの需要等をより詳細に予測する必要がある。

 他方で、働き方ビジョン検討会、2ポツ目になりますけれども、ここでも日本の高齢人口は2040年ごろにピークを過ぎ、それ以降、高齢化は進むものの、全体として医療・介護ニーズの総量は減少する可能性があると述べられてございます。

 また、2つ目でございますが「歯科疾患や歯科保健医療の需要」でございます。2ポツ目になりますけれども、若年層は、齲蝕罹患率の減少に比較して受診率が大きく減少していないものの、大きな需要の量的変化は見出せないことから、今後は、疾患の軽症化に伴う予防や管理の充実、あるいは食べることなどを含めた口腔機能の発育を中心に、将来を担う世代の健康を乳幼児期から支えていく転換が必要とされる。他方、高齢者に関しては、保有する歯の本数がふえ受診率も向上しているため、当分の間、需要は高目に推移すると予想されるということでございます。

 他方、ビジョン検討会の中でも、歯科疾患の予防の推進ということがうたわれてございます。

 また、中ほどになりますが「国民や患者の需要」ということでございまして、2行目からになりますが、歯科医療機関や歯科医師がどの程度の経験、専門的能力があるのか、高齢者患者の歯科治療の難度や歯科治療の偶発的リスクにどの程度対応できるのか、受診医療機関の医療安全対策の取り組み状況はどうなっているのか等の情報が必要になってきているということでございます。

 その下でございますが「歯科医療の提供体制」でございまして、歯科診療所のほとんどが無床診療所でかつ小規模経営の事業所であるが、医療機関として治療はもとより、その前提として医療安全や医療倫理等の全てを担う義務がある。このため、例えば地域医療連携推進法人制度を活用するなど、地区歯科医師会が中心となり、複数の歯科診療所がグループ化することで、個々の負担を軽減しつつ、一定程度の事業規模や機能分担が確保されると考えるとされております。

 また、中ほど「かかりつけ歯科医」でございますが、歯科診療所の受診患者の中で高齢者の割合が増加していることは、全身の既往歴等を踏まえたきめ細やかな歯科医療が必要とされることを意味し、これまで以上に歯科診療所のかかりつけ歯科医機能が重要とされてくるとされております。

 最後になりますけれども「医科歯科連携の推進」でございまして、4ページ目をごらんいただきたいと思います。2行目からになりますが、特に基礎疾患に関連して口腔内に問題を抱えた患者に対して口腔機能の管理を進めるために、歯科のみならず医科からもアプローチが可能となる周術期口腔機能管理センター等の医科歯科連携部門の窓口を病院内につくることが選択の一つであるという具体的な内容が記載されております。

 他方、働き方ビジョン検討会の報告書の中でも、例えば入院・在宅における誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア、歯周病が重症化しやすい糖尿病患者に対する歯科受診の勧奨などにより、医科歯科連携をさらに推進していく必要があると述べられているところでございます。

 続きまして、資料3について御説明いたします。これまでの検討会において出された資料もございますが、若干、前回の会議から期間があいておりますので、少し詳し目に御説明をいたします。本資料は、今後策定する歯科保健医療ビジョンの議論の材料として御提供させていただいているものでございます。

 1枚おめくりいただきまして、右下のスライド3をごらんいただきたいと思います。「歯科保健を取り巻く状況について」、各ライフステージの状況を5つのグラフでまとめたものでございます。左から右側に行くにつれて年齢を重ねてございまして、また、上段につきましては口腔内の状況、下段は歯科受診の状況を示してございます。

 特徴的なのは一番左上のデータになりますが、先ほど申し上げたように、子供の虫歯が劇的に減少しているということ。また、一番右上のグラフになりますけれども、特に高齢者の方で歯が残っている方がふえてきているという状況でございます。

 また、右下の円柱のグラフになりますけれども、高齢者の歯科受診患者が増加しているということでございます。3年に1回実施しております患者調査におきまして、65歳以上の受診患者は約4割となってございます。

 その下のスライド4でございますが、「医科・歯科外来受療率」をお示ししております。医科の診療所、病院につきましては、後期高齢者につきましては受療率が増加しておりますが、赤の折れ線グラフ、歯科診療所では、後期高齢者では低下しているということでございます。今後増加する後期高齢者に対して歯科医療がどうかかわっていくのかは、大事な視点であると考えてございます。

 また、右側に疾患別それぞれ、齲蝕、歯肉炎及び歯周疾患、歯の補綴という3つの疾患に分けて受療率をお示ししてございます。齲蝕につきましては1~4歳、歯肉炎及び歯周疾患、歯の補綴につきましては6569歳がピークになってございます。

 続いて、スライド5「訪問歯科診療を実施している歯科診療所の割合」でございます。上の折れ線グラフをごらんいただきたいと思います。訪問歯科診療を実施している歯科診療所は、近年横ばいでございまして、約2割で推移してございます。訪問歯科診療が必要とされている者に対して十分に歯科医療が提供されているのかという点につきましては、この1つ前の受療率などとも関連して分析をしていくことが必要ではないかと考えています。

 また、スライド6「歯科治療の需要の将来予想」でございまして、左上の青の実線で囲まれた部分が、従来の虫歯を削って、虫歯がひどければかぶせもの、入れ歯等の治療をしていくという形式でございます。一方で、右下の点線の部分でございますが、高齢者型と称して、歯科治療の難度あるいはリスクが増加していく患者が今後相対的に増えていくことをイメージとして示したものでございます。

 続きまして、スライド7「歯科医療サービスの提供体制の変化と今後の展望」でございます。一番左の1980年ごろは、齲蝕等の歯科疾患に対する齲蝕処置などの歯の形態回復というものが中心であり、かつ、歯科医療機関の中で完結していく歯科医療の提供が主体でございましたけれども、一番右側の2025年に向けて、今後より一層高齢化が進展する中で、住民のニーズに応えるために、医科の医療機関あるいは地域包括支援センター等との連携を含めた地域完結型医療の中での歯科医療の提供体制の構築が予想されるということをお示ししてございます。

 その下のスライド8でございます。スライド6とスライド7の2つの資料を一つにまとめて少し修正したものでございます。これまで掘り下げて検討が余りなされていなかった視点といたしまして、需要部分に関しましては、右上のオレンジの囲みになりますが、今後増加する予防、重症化予防、機能回復を通じた具体的な口腔機能の管理の視点。一方で、提供体制につきましては、地域包括ケアシステムにおける個々の歯科診療所の役割、あるいはかかりつけ歯科医の役割・機能についても、このたたき台をベースに議論がさらに深められればと思っております。

 スライド9をごらんいただきたいと思います。本年4月に取りまとめられました「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の中で、歯科に関連する記述の抜粋でございます。この検討会では、医科歯科連携の推進、歯科疾患予防の推進、この2点に関して具体的に触れられてございます。今後、歯科保健医療の需要あるいは提供体制を考える際に、この点も検討していくことが必要であると考えてございます。

 続きまして、医科歯科連携に係る具体的な取り組みに関して、2つほど御説明をしたいと思います。

 まず、スライドの10でございますけれども、1つは診療報酬による評価でございます。ここでは、歯科医療機関連携加算という加算を例として挙げてございます。口腔内管理が必要な患者に対して、医科の保険医療機関から歯科の保険医療機関に紹介があった場合の医科の診療報酬上の評価を平成26年の診療報酬改定時に創設したところでございます。

 おめくりいただきまして、スライド11でございます。本検討会の中でも資料として御提供させていただきましたが、病院の中に医科歯科連携の窓口部門を設置しているケースで、岡山大学病院の事例でございます。そのほか具体的な医科歯科連携の取り組みを進める方策がないのか、また、各構成員の方々の御意見をお聞かせいただければと思っております。

 少し話は変わりますが、スライド12以降につきましては、歯科疾患予防の推進に関連する資料を幾つか御用意してございます。

 まずは「主な歯科保健施策ならびに動向」でございます。この中で一番大きな出来事につきましては、平成23年に成立した歯科口腔保健の推進に関する法律ではないかと考えてございます。このことによりまして、国のみならず、各自治体などにおいても歯科技術職員の配置あるいは歯科保健に関する取り組みというものが一層進んだのではないかと考えてございます。

 続きまして、スライド13でございます。歯科口腔保健の推進に関する法律と基本的事項に関して概要をまとめたものでございます。上段が法律の概要で、下が基本的事項の概要となってございます。

 続いて、その下のスライド14でございますけれども、健康寿命の延伸という観点で、これまで縦割りでございました歯科保健に関する政策を横串にして、横断的に進めていく観点から、中ほどにお示ししておりますが、平成23年に歯科口腔保健推進室を設置いたしました。これが一昨年10月に訓練室に昇格され、今では部局横断的に議論を進めているところでございます。

 続きまして、おめくりいただきまして、スライド15でございます。歯科口腔保健に関する基本的事項における目標値をお示ししております。今年度、基本的事項が策定されてから丸5年になりますので、中間評価を行うことになってございます。昨年度実施をしました歯科疾患実態調査などの結果を踏まえて、現状値の評価を行うことにしてございます。

 続きまして、スライドの16以降につきましては、かかりつけ歯科医に関する資料を御用意させていただいております。

 スライド17をごらんいただきたいと思いますが、これはかかりつけ医に関する議論の資料でございます。本年2月の中医協で出された資料でございます。外来、入院、在宅において、それぞれどういう役割が考えられるのかというものをお示ししてございまして、17ページ目はポンチ絵としてお示しして、18ページ目はそれを箇条書きにしたものでございます。

 おめくりいただきまして、スライド19でございます。かかりつけ医に望む医療や体制に関するアンケートでございます。最も多かった回答でございますが、「必要なときはすぐに専門医や専門施設に紹介する」という回答が一番多かったところでございます。

 その下のスライド20でございます。こちらは、一昨年に出された患者のための薬局ビジョンの資料の中の、かかりつけ薬剤師・薬局に関する資料を抜粋したものでございます。ここでは、服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関等との連携という3つの機能をお示ししてございます。

 続いて、スライドの21をごらんいただきたいと思います。ここからは、かかりつけ歯科医に関する資料を幾つか御用意しております。上の囲みになりますけれども、かかりつけ歯科医に関しましては、これまで平成8年、当時、厚生省の検討会の中でも提言がなされてございます。

 また、その下のスライド22でございますが、平成28年度の診療報酬改定において、下ほどになりますが、施設基準を満たした歯科診療所において、ここに掲げる3つの重症化予防に関する行為をした場合については、診療報酬上での評価が上乗せされる。このような仕組みがつくられてございます。

 おめくりいただきまして、スライド23でございます。こちらは2016年、日本歯科医師会が行った調査でございますが、歯科医師に求めることということでございまして、ごらんいただくと、「治療技術が高い」など、治療に係る内容が上位を占めてございます。

 その下のスライド24をごらんいただきたいと思います。本検討会あるいは各方面での議論を踏まえた現時点でのかかりつけ歯科医のイメージでございます。大きな考え方として、囲みに示してございますが、2つあるのではないかと考えております。1つは、歯科保健医療サービスを提供する時間帯、場所、年齢が変わっても、切れ目なく同等のサービスを提供するための機能を有する。また、患者が求めるニーズにきめ細やかに対し、安心・安全な歯科保健医療サービスを提供する機能を有するということではないかと思ってございます。

 また、先ほどの医科に倣って、それぞれ予防・外来、病院、在宅でのそれぞれの役割をお示ししております。予防・外来におきましては、健康教育あるいは歯科検診などの予防活動を通じた地域住民の口腔の健康管理。また、外来時におきましては、外来患者の口腔機能管理として継続的な口腔機能管理を重視した歯科診療を実施し、歯科診療後におきましては、定期的なフォローアップの実施というものが求められているのではないか。医療機関の体制としては、医療安全体制などの情報提供が必要ではないかと思ってございます。なお、休日・夜間あるいは特殊な症例などの対応できないケースも想定されますので、こうした症例に対応できる医療機関とも常日ごろ連携をとっていただく必要があるのではないかと思ってございます。

 また、真ん中の病院、右側の在宅、これはほぼ同じ図式になってございますけれども、医師などの多職種との連携を図りながら、訪問歯科診療を実施していくことが重要ではないかと思ってございます。

 一方で、先ほどグラフでごらんいただいたように、訪問歯科診療を実施している歯科診療所は約2割で、伸びていないということになっておりますので、長期的に見ましても、全ての歯科医療機関が訪問診療に対応していくことはなかなか難しいのではないかと思っております。この場合であっても、訪問歯科診療を実際に実施している歯科医療機関と連携して、例えば外来に来られていた患者さんが入院あるいは居宅で通院できなくなった場合に、歯科医療が継続して提供される環境をつくっていくということも、かかりつけ歯科医に求められていくのではないかと思っております。

 続いて、最後のスライドになりますが、スライド25でございます。先ほど御説明したかかりつけ歯科医の役割のイメージ図を表形式にまとめたものでございます。あくまでたたき台でございますので、今後、本検討会での議論を通じまして、加筆修正をしていく予定にしてございます。

 事務局からは以上でございます。

○江藤座長 ありがとうございました。

 それでは、資料1の今後の議論の進め方、まずはこれについて何か御質問等はございますか。

 どうぞ。

○山口構成員 山口でございます。

 先ほど江藤座長から、国民目線での需給ということで、考え方が少し変わってきたのではないかというお話がございました。今、需給問題、親会と3つの分科会がございまして、一応私は全部そこに委員として加わらせていただいているのですけれども、資料1の中で、10月3日より新たなビジョン検討会が開催されたこと紹介されてございます。実はこれは、医師需給分科会の中で一度も話し合われていない内容が、中間取りまとめの最後の段階になって、ビジョン検討会を設置することが必要だということを委員が了解していないところで書き込まれて、その後、中断したという経緯があります。半年間中断していた間も、なぜ中断しているのかということの説明も全くなされないままに、実は構成員みんな納得いかないということで、出てきたビジョン検討会の報告についても、みんなが納得して受け入れているわけではないということを、まず前提としてお伝えしたいと思います。

 その上で、ビジョン検の内容を受けてということなのですけれども、歯科については、報告書を見ていますと、さほど多くのことが具体的に語られているわけではなくて、むしろ漠然としたことが出てきているのではないかと私は思っていまして、資料2の比較した内容を見ましても、資質向上等に関する検討会での論点整理のほうが、より具体的な内容になっていると思っています。ですので、ビジョン検の報告書の中で、こういったことは話し合う必要があるのではないかということをピックアップすることについては何の異論もございませんけれども、できるだけ、これだけ歯科の専門家の方がお集まりになっているこの検討会の中で、本当に必要な問題点にポイントを絞って議論を進めていくことのほうが私は大事ではないかと思いますので、この進め方については、そのことを一言述べたいと思いました。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 進め方について、いかがでございますか。今、山口構成員のおっしゃったことは、参考資料2の働き方ビジョン検討会についてのコメントを踏まえて、歯科ではもうちょっと歯科独自のことでやったほうがいいのではないかということでございます。

 どうぞ。

○山口構成員 また新たに検討会をつくってくださいという意味で申し上げたのではなくて、こういう場でしっかり話し合っていくことが大事ではないかという意味ですので、ビジョンをつくるための検討会をつくってくださいという要望ではございません。

○江藤座長 歯科医療のビジョンにつきましては、この検討会で進めていくという理解でございます。よろしゅうございますか。

 どうぞ。

○柳川構成員 日本歯科医師会の柳川です。

 今、山口構成員がおっしゃったことと私も全く同じ感覚です。実際に座長からも御紹介があったように、その影響で、この会の議論も半年とまっていたわけですから、らもう課題がかなり具体的になっていた対策が少しおくれたという認識もあるのではないかと思います。

 ただ一方で、歯科と共通する課題もあったと思います。例えば多職種との連携であるとか女性の働き方、あるいはキャリアパスの問題というのは歯科と共通ですので、そこも参考にしながらということはあるだろうと思います。ただ、今まで何も議論してこなかったわけではないので、ビジョン報告書を読みますと、これを出発点としてとかという表現があるので、そうではなくて、既にかなり議論が進んでいるわけですから、この報告書があったから、ゼロからまた始めましょうということではないだろうと思います。

 以上でございます。

○江藤座長 ありがとうございました。

 参考資料2の働き方ビジョン検討会の報告書につきましては、あまりこちらから踏み込むことはないと考えております。一応、国の政策としてこういう方向が打ち出されたと。ただ、歯科については、今、御発言がありましたように、それほど広く深く言及しているわけではないという認識でございます。

 ほかにございますか。どうぞ。

○水田構成員 確かに歯科のことは余り書いていないのですけれども、でも、今までは医師等で片づけられていたのですね。歯科医師という名前を入れなさいと私は何回も言っているけれども、医師と書いてあるからいいのだ、医師等の中に歯科医師も含まれるのだというふうに、いつも厚労省から言われていましたので、ここにわざわざ歯科医師のことも書いてあるので、やっと少し近づいて、わかってきたのかなと、きのう読みながら私は思っていました。それだから何ということはないのですけれども、やはりもう少し歯科側からもきちんと言ったほうがいいのではないかと思っております。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 進め方につきましては、先ほど事務局から説明がありました資料2、今までの論点の整理と、資料3の歯科医療の現状分析があります。これらが歯科保健医療ビジョンの検討に際しての関連資料となります。これを踏まえて、歯科医療の現実に対応するための人材の需要供給をどうするかという方向に論点を絞っていく予定です。

 ただ、その需給につきましては、冒頭申し上げましたように、数合わせではなくて質の保証という視点です。需給を議論しながら歯科保健医療ビジョンを策定していくわけでございます。この歯科保健医療ビジョンの策定という方向も、あくまで2025年をにらんだ国の医療政策、例えば地域包括ケア等、医療政策と合致する方向、いわば実現可能なビジョンとして議論を進めていくということで、よろしゅうございますか。御意見がございましたらお願いいたします。

 どうぞ。

○伊東構成員 これまで歯科医師の資質向上ということでしたので、余り目立たなかったのですけれども、歯科保健医療ビジョンとなってくると、歯科医師だけではなくて、歯科の中の連携をとる意味で、技工士あるいは歯科衛生士のことをどこかで話し合わなくてはいけないかと思うのです。現実に臨床の現場では、歯科衛生士が足りないと。歯科衛生士学校の定員はほとんどの学校で定員割れしている。技工学校の半分は閉校に追い込まれるかもしれないというような、外に向けての医科歯科連携とか多職種連携の前に、歯科の中での連携を達成するためにも、歯科技工士、歯科衛生士の需給問題も、保健医療ビジョンを語るのであれば必要になっていくのではないかと。

 今まではほとんど歯科医師の需給問題だけで終わっていましたので、保健医療ビジョンとなると、やはりそこまで含まれはしないかなと思います。あるいはほかの部署でどこかそういうことが十分討議されているのであれば、そこからまた結論を持ってくればいいかと思いますけれども、以上、ちょっとそのあたりを危惧します。

○江藤座長 ほかの部署で議論されているかという御質問に対して事務局いかがですか。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。

 現状においては、歯科衛生士、歯科技工士の需給問題に関して議論されている場はございません。この検討会自体は、当初、歯科医師の資質向上という視点で議論が始まりましたので、当然中心は歯科医師個人の問題であろうと考えてございます。ただ、先生から御指摘がございましたように、歯科保健医療ビジョンを考える際に、歯科衛生士と歯科技工士の役割も当然必要だと思っていますし、そこは必要に応じて加えていきたいと思っております。

 ただ、この検討会において歯科衛生士、歯科技工士の需要と供給の問題まで踏み込んでしまうとかなり内容が多岐にわたってしまうものですから、その点に関しては、少し検討させていただいて、別途しかるべき議論の場があれば、その中で検討していきたいと思っております。

○伊東構成員 よろしくお願いします。

○江藤座長 ただいま御指摘のように、歯科保健医療ビジョンというからには、歯科医療に係る人材、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、そういった人材養成も含んでの検討であろうという御指摘でございます。その辺につきましては、今、事務局で検討するとおっしゃいましたので、そういうことでよろしゅうございますか。それで歯科保健医療ビジョンの中に包含していくという方向でございます。

 ほかに何かございますか。どうぞ。

○三浦構成員 2点ございまして、1点は確認でございます。

 需給問題ですと供給の問題も出てきてしまうのですが、先にニーズのほう、需要から検討するという理解でいいかどうかということと、もう一つは、先ほどの御発言にあったとおり、地域包括ケアシステムにおける歯科保健を考える上で、やはり歯科衛生士などの活用というのは非常に大きなところがあります。主な検討課題の2点のうち、最初の需要の部分に関しては歯科医師中心で検討していくというところで構わないかと思いますが、あるべき歯科保健医療の提供体制においては、ぜひ歯科衛生士も包含する形で議論したほうがいいのではないかと思います。

 以上でございます。

○江藤座長 歯科衛生士ではなくて、歯科技工士と両方ということでよろしいですか。

○三浦構成員 両方です。歯科専門職全体としての連携の考え方ですね。

○江藤座長 歯科の中での連携、特に地域包括ケアという政策の中での位置づけをきちんとした方がいいいうことですね。

○三浦構成員 そうですね。特にいろいろな職種が連携し合うのが地域包括ケアの醍醐味というか、一番大きなところなので、いろいろな職種との連携の中に当然、歯科の関連職種も包含されるので、そこら辺をしっかりと書き込むというのが非常に重要ではないかと思います。

○和田歯科保健課課長補佐 先ほどの三浦先生からの御質問の件ですけれども、1点目に関しましては、需要と供給というものは基本的に相互に関連しているものなので、需要だけを議論していくというのはなかなか現実的に難しい部分があるのではないかと思っています。なので、基本的には一緒に考えていくべきものだと思っております。

 また、2点目の歯科技工士あるいは歯科衛生士を含めてという話でございますが、検討会の報告書を取りまとめるに当たっては、歯科衛生士、歯科技工士に関しても触れていくことになると思いますし、医科歯科連携を含めた多職種連携に関しても、ある程度この報告書の中に盛り込んでいくべきものだと考えてございますので、その点は取りまとめの段階で少し御相談をさせていただければと思っています。

○江藤座長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

○西原構成員 事前資料で参考資料2を拝見して、きょうのこの検討会の取り組むべき姿勢は十分理解いたしまして、それで良いとした上で、お手元の参考資料2の45ページで「提言の実現に向けて」という2枚紙があるのですけれども、私ども歯学教育を担っている者としてお話します。まさにここに書かれている総論は極めて大事な部分を包含しておりまして、「特に」の真ん中あたりから出てきておりますけれども、文部科学省と厚生労働省の連携を求めている点、あるいは私どものように公立大学の場合、福岡県との関係を考えたときに、さらにこの中でも地方との連携ということが書かれています。したがいまして、今後、地方創生あるいは地域の格差という問題も、歯科医療のあるべき方向性を考えるときには極めて大事な要件になってくると思っております。そのうえで、1点は、歯学教育にどう反映させるかというような議論にも深掘りできないかという点。2点目は、地方というものを勘案して少し議論ができないかということを、私の立場から少しつけ加えさせていただけたらなということで発言させていただきます。

○江藤座長 ありがとうございます。

 歯学教育にどのように反映させるか、具体策はいかがでございますか。

○西原構成員 例えばビジョンを確定するということは、いわゆる教育の仕方で言うとアウトカム、出口をどうするかということを明確にする一つの方向づけにもなってまいります。今、教育が医療系の場合、医学部は全てアウトカム基盤型になっている中で、歯学部がそこまでまだついていっていないという状況を踏まえて、大学との連携を医学部教育の中でこの検討会が考えていることを開示することで広げていけるのではないかと思っている次第です。

○江藤座長 それから、地方というのは具体策はいかがでございますか。

○西原構成員 地方の場合は、無歯科医村がかなりふえているという現状の中で、もちろん新たな医療、歯科医療の在り方ビジョンを考えたときに、都市型と地方型はやはり丁寧に国民のことを考えるということであれば、すみ分けを考えながら議論を進めていく必要があるのではないかと、まだ総論ではございますが、おとりいただけたらと思います。

○江藤座長 需給のときに、地方のそういった状況を踏まえて議論すべしと、そういうことでございますね。

○西原構成員 そういうことです。

○江藤座長 どうぞ。

○川添構成員 これまで医科側あるいは歯科側からも、医科歯科連携という言葉から、このごろでは多職種連携、さらには多職種協働という言葉まで、だんだん広がってきているように思うのです。多職種協働でも、連携でもいいのですけれども、どこまでを、入れるべきか、伊東構成員からも三浦構成員からも、歯科衛生士あるいは技工士もどこかに盛り込んでほしいということが出ましたが、同時に、現場ではこのごろ歯科側から、例えばSTという言語聴覚士の資格を持った歯科衛生士というか、言語聴覚士と歯科衛生士とが協働して、随分効果が上がり、必須ではないかと言う方もおります。

 それから、資格としてはリハビリというのは余りないですけれども、理学療法士だとか、だんだん医科のほうに行くかもわかりませんけれども、せめてSTなど、どのあたりをするかということをぜひ、本当に歯科衛生士と歯科技工士と医師と歯科医師と、それで十分なのかどうかということもお願いしたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○高梨構成員 済みません、手短に。高梨でございます。

 かかりつけ歯科医の役割・機能の中に入ることだとは思うのですけれども、私が患者側で見ていて思うのは、歯科内の役割分担というものが、医科に比べると必ずしもうまくいっていない印象を受けています。医科というのは、私ないしは法律家の理解としては、診療所があって、地域の基幹病院があって、さらにその上の高次医療機関で大学病院等があって、その中で紹介や診療情報の提供で、患者が適切な、どこに行けば自分に必要な医療を受けられるかということの連携が比較的うまくとれているように思います。

 法的にも、平成13年、最高裁が、命にかかわる状態で適切な医療をほかのところに転院させなければ、それは責任が生じるという判断を示していて、ここら辺はうまくいっていると思うのですけれども、歯科の場合は、私の理解では、かかりつけ医。かかりつけ医ではこなせない、例えば矯正とかインプラントとかスペシャリティーのあるクリニックレベルの医療、さらに大学の口腔外科、非常に難易度の高い抜歯等、そういうものの振り分けが多分必要だと思うのですけれども、その振り分けの必要性というのは、医療資源が有限である以上、適切に行われなければ無駄な医療資源の提供になってしまうし、患者側からしても効果のないことをやることになって、決して望ましいことではないと私は考えています。

 ただ、どうも歯科の場合は、ちょっとこれを言うと、皆さんがそうだという趣旨ではなくて、トラブルを起こしているケースがあるという意味で御理解いただきたいのですけれども、診療所が抱え込み過ぎて、できないことをやろうとして事故が起きているケースが散見されるので、歯科内でどうしたら患者が必要な歯科医療にアクセスできるか、逆に言うと、歯科医療側からするとそれを提供できるのかということも含めてお考えいただけるとありがたいなと思います。

○江藤座長 供給体制に問題があるということですね。

○高梨構成員 そうですね。かかりつけ医でどこまでできるのか。できないことが患者のニーズとしてあるのであれば、それは適切にその患者をほかの歯科医療が提供できる場に速やかに紹介するという制度がないと、結局、医療資源の無駄遣いないし患者としては効果のない歯科医療を受け続ける結果になるということが私の目から見ると散見されるので、そういうことをお考えいただきたいということです。

○江藤座長 柳川先生、いかがですか。

○柳川構成員 ただいまの御指摘からすると、2番目のあるべき歯科保健医療の提供体制の中で、特にこれからハイリスクの患者さん、有病者もふえて多いわけですから、さらに在宅医療もある。またその後方支援として、やはり病院歯科の役割というのが極めて、今まで以上に大事になってくるだろう。その意味では、急性期病院で、全体の中で2割ぐらいしか病院歯科がない。しかも、病院歯科の体制の中で、1人とか2人の歯科医師でやっているところも多いので、あるところは歯科医師の増強、ないところは新たに歯科の設置をすることによって、先生が御指摘のような円滑な歯科医療、安心・安全な歯科医療の提供につながると思います。

 以上でございます。

○高梨構成員 ありがとうございました。

○江藤座長 どうぞ。

○村岡構成員 日本歯科医師会の村岡でございます。

 今、議論の、この検討会の進め方ということでお話が始められたと思いますけれども、個々の話も出てきておりますので、少し発言をさせていただきたいと思います。

 今、高梨構成員からもお話がありましたけれども、それはかかりつけ医というより、資質の問題につながると思うのですが、こういった地域包括システムをこれからしっかりやっていこうという中で、歯科医療機関の機能を歯科かかりつけ医機能として評価が行われたわけですから、こういったところで歯科医療機関のそれぞれの役割をしっかりと明示していくことが必要だろうと思います。さらにそれを踏まえれば、今後、かかりつけ歯科医としてどうあるべきかというまさに資質向上という意味では、一貫した歯科医の研修というところにつながってくると思いますので、歯科医学を学ぶ大学から国家試験を経て、そして生涯にわたる研修を受けるということで、我々もそれを考えております。そういった流れの中で、この歯科医学あるいは歯科研修をより充実させる方向性が必要だと思いますので、それにコミットできるように検討会の協議ができればと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○江藤座長 どうぞ。

○山口構成員 流れから、もう個別のことに入ってもよろしいのでしょうか。今のことに関連して。

○江藤座長 ちょっと待ってください。

○山口構成員 待ちます。

○江藤座長 今までの御発言を簡単にまとめますと、まず、この歯科保健医療ビジョン策定に当たって連携体制も医科歯科連携もさることながら、衛生士、歯科技工士、言語聴覚士等の内部の連携体制の構築が必要という御発言がございました。

 それから、高梨構成員の御意見にありましたように、提供体制についても医療資源をもうちょっと合理的・効率的に使う必要があると。これは連携体制にしましても、提供体制にしましても、地域包括ケア等の医療政策の中にどのように位置づけていくかという問題になるかと思います。

 具体に需給の議題に入りたいと思います。まず最初に、ワーキンググループの座長をされました森田先生に、総括的・総論的に御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○森田構成員 森田でございますが、参考資料1に今までの経緯が出ていますけれども、これは事務局のほうで御説明いただけるのですか。予定していないですか。わかりました。

 総括的に言いますと、需給調整で需要がどのように変わってくるかということについて、いろいろと検討いたしました。これにつきましては、将来的なことにかかわりますので、何を係数に置くかによって、ある程度の幅があるというのはやむを得ないところかと思います。しかしながら、いろいろな係数を置いたとしても、いずれにしましてもベースにありますのは人口になりますし、人口が減少してくるということの中で、需要の動向はそれほど伸びることは予測できないであろうと。ただ、それをどう考えるかということにつきまして、いろいろ幅を出した中でどうするかということを検討いたしました。

 これは参考資料1の最初から6ページぐらいまでの内容になろうかと思います。詳細は省略いたしますけれども、今、申し上げましたような形で、需要量が減ってくるとしたときに、まさに歯科大学のあり方、定員についても、それを考慮した形での調整が必要になるであろうと思われます。それと同時に、内容のほうについても、教育の内容を変えていくであるとか、これは今、ビジョンのところで触れられたところとかかわってくるかと思います。

 さらに言いますと、国家試験等のあり方、研修のあり方、そのようなことについても議論したところでございますけれども、需給に関して言いますと、4ページ以下で、どのように推計したかということに触れております。この中で1つ論点になりましたのは、どれくらい供給量が必要であるかということにつきましては、歯科医師1人の方が1日当たりどれくらいの患者を診るかということによって、当然のことながら需要に対する供給のあり方が決まってくるだろう。これが一体どのように決まるかということで、5ページの上にありますような形での数字が出てまいりました。これは1日当たり非常に少ないとしますと、一部では、さらに歯科医師の増員も考えるべきではないかということもありましたけれども、下のB、Cの数を置きますと、これは過剰になるであろうということになったわけでございます。

 この点につきまして、これは私の個人的な発言というふうに受けとめていただきたいと思いますが、今のビジョンをめぐる議論でも出ておりませんでしたけれども、基本的に医療保険財政がどうなるかということによってかなり決まってくるかと思います。したがって、現在の診療報酬制度の場合には、患者さん1人を診て、その症状その他によって幾らという形の出来高がベースになっておりますので、それがどうなるかということによって、1日何人ぐらいの患者を診れば医療機関としての経営が成り立つかどうかという話になってくる。このことは、多分供給の問題で大変重要な論点かと思います。

 私自身は中医協にもかかわってきたことがありまして、医療といいますと、この保険財政をどう考えていくかということが非常に重要ではないかと思っておりますけれども、これも余計なことを申し上げますと、先ほどの参考資料2にありました検討会のほうのビジョンでも、余り財政の話は触れられておりません。これはむしろ例の2035のほうで論じられているために、ここでは触れられていないのかもしれませんけれども、これからの需給を考える場合には、それはかなりベースになるであろうと思います。したがって、ビジョンの場合も、それをベースにして考えていく必要があるのではないかと思っております。

 そうした保険財政がどうなるかということと、もう一つは、人口動態からいいますと、これは急速に減ってくるという中で、相当長期的に需給のことを考えなければならないだろうと。国家試験に合格して実際に診療に当たるまで、大学に入学してからかなりの時間がかかりますし、それから、それぞれの方がまさに歯科医師として40年とか、それくらいの期間働くことになりますと、それも含めた意味での将来的なことを考えなければならないというような議論であったかと思います。

 さらに、結論的なことを言いますと、それについて、ちょっと私も責任あることが言えないので、和田さんのほうから補足をお願いできればと思います。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。

 先ほど需給ワーキングの座長の森田先生から詳しい御説明がございました。基本的には、需給問題のワーキンググループは、歯科医師の需給あるいは推計に関して中心に議論を行ったところでございます。ワーキンググループでは需給推計にあたって幾つかのパターンを設定させていただいた上で、最終的に歯科医師が多くなるのか、少なくなるのか、現状の推計方法を基に御説明させていただいたところでございます。

 これはさまざまな議論がございますけれども、これまで行った需給の推計方法自体が本当に適切だったかどうか。あるいは歯科の本来の需要を実際に勘案できているか、についてはまだ議論の余地があったものですから、あくまでもこれまでの推計方法に基づいて、歯科医師の需要と供給の関係に関して結論を出させていただいたところでございます。したがって、今後の議論の中で、秋ごろにお示しさせていただく中間報告、また、それ以降、予定している再推計を行う中で、結論づけさせていただきたいと思っております。

○江藤座長 ありがとうございます。

 ただいま森田先生から、需給を考えるときに、まずは医療保険財政の問題、それから長期的な視野での人口問題、この2つの要因を考えて需給を議論せよということでございます。この需給につきまして、今の森田先生の御発言について御意見がございましたら、どうぞ。

○伊東構成員 人口減に対してもう一つ考えなくてはいけないのは、8004の時代から8020に、今、人口の何割かはそうなっていますので、そうしますと、単純に計算しても、1人について4本の歯を治療すればよかったのが、20本近くの歯を治療しなくてはいけなくなった。ですから、医療の需要ということから考えた場合に、やはり何倍かになる可能性がある。しかも、それは非常に難しい状況になっている人が多いということです。そこのところが需給問題のところに考えられていないのではないかという気がしました。また、年をとっていけば神経の治療は難しくなるし、抜歯も難しいということで、一つ一つも時間がかかって、専門家が診ないといけないのもあるし、そういう意味では二次的な医療もふえてくるということを、どうやって入れたらいいかわかりませんけれども、需給問題のファクターの中にぜひ入れていただきたいなと思います。

○森田構成員 これまでのところは、そうした要素までは考慮しておりません。といいますのは、当然のことですけれども、いろいろな要素を入れれば入れるほど複雑になってまいります。したがいまして、基本的に人口と、ある程度年齢構成ぐらいでございますけれども、ただ、私自身の印象といたしましては、例えば日本で一番人口減少が進む県の場合は、2010年から40年の間に人口がほぼ3分の2に減ります。高齢化が進みますが、それは要するに若い人たちが減る話であって、高齢者自体も減り始めます。仮にその需要がふえたとしても、それが将来的にずっとその数を維持できるかというと、そういうものではないと思っておりまして、そうした長期的なトレンドで見たときに、正直申し上げまして、需要はかなり厳しい方向に向かうのではないかと思います。

 もう一つは、この議論ですけれども、中医協でもそうでしたけれども、将来のことに関しましては、どういう係数を置くかということによって非常に幅が振れてまいります。これは将来の場合の政策決定のときの一種の計画論みたいな話になりますけれども、要するに長期的に見てだんだん縮小、需要が減ってくる場合には、かなり堅めに係数を置くというのは一つのあり方。これはどういうことかといいますと、上振れして需要がふえた場合の対応と、減って供給が過剰になった場合と、社会的に見てどういう形でコストが発生するかというようなことを考慮して、考えなければいけないということです。

 いずれにしましても、これは需要のときに随分議論したところですけれども、これが絶対的な需要の数値ということはまず無理なわけでして、幾らでも議論できるわけですから、確率分布の中でどのあたりをとっていくかという方向で考えていかなければならないと思います。ちょっと余計なことを申しました。

○江藤座長 基本的には森田先生の人口論ですが、先生がおっしゃったように、残存歯数を考えろと、そういうことですね。

○伊東構成員 歯数だけではなくて状態ですね。例えば訪問しなくてはいけないというと、それだけでも需要としては、外来で診ているものの何倍もかかることになるし。

○森田構成員 そこでさらに、先ほど申し上げましたように、今度は保険財政のほうでございまして、人口が減ってくる中で医療費が増加してくる。特に生産年齢人口の減少が非常に激しいものですから、当然のことながら、保険料を払う人が減ってくるわけでして、そのパイをどのように分けるのか。これは中医協で議論されているところですけれども、必要であり、これだけのサービス、需要が確かに発生するかもしれませんけれども、それに見合うだけの価格設定ができるかどうかというのはこれまた別の話になるかと思います。

○江藤座長 保険料を払う人が減るというのは、これは医療の根幹にかかわる話ですので、人口の問題、それから人口の問題ということは保険料を払う人の減少という問題、そういったことを含めて議論をしていくということでございます。

 ただいまの御意見について何か追加等はございますか。

 歯科医師会さんのほうで柳川先生、村岡先生、今の森田先生の御意見について何かございますか。

○柳川構成員 よろしいでしょうか。柳川です。

 いろいろ皆さんの御意見を伺うと、やはり精緻に需要を推計すべきだが、一つ一つをやっていくのはなかなか難しいということがあると思います。

 それから、森田先生がおっしゃった、まさに財政と直結しているわけですので、歯科医師会としては、従来より、歯がしっかりしている、口腔機能がしっかりしている方の医療費は、そうでない方より2~3割低いということを常々発信しているところでございますので、これはここの検討会での議論ではないと思いますが、申し上げておきたいと思います。

○江藤座長 森田先生のおっしゃった基本的な問題は、ビジョンというと何となくイメージとしてはバラ色になるのですが、むしろそういうことではなくて現実を直視せよということだと思います。人口にしましても、人口に直結した財政にしましても、そういったことでございます。

 それでは、需給につきまして、さらに御意見をお聞きしていきたいと思います。伊東先生、需給問題につきまして、先ほど残存歯数を含めて考えろということをおっしゃいましたが、歯科医師の需要供給全体につきまして、御意見ございますか。

○伊東構成員 結論から言うと、供給体制が、このビジョンの絵にも描いてありますけれども、かかりつけ医と大学病院等という2つにしか分かれていないのですね。柳川構成員からもありましたけれども、現実にはもっと病院歯科とか、あるいは医科大学の病院、今は地域歯科診療支援病院という枠もありますので、地域歯科診療支援病院という枠とか、もう少し供給体制を多層化することが必要だろうと思います。例えば、去年改正のあった、か強診、かかりつけ歯科医強化型歯科診療所も歯科医師が複数いることとか、あるいはほかのいろいろな施設基準でも歯科医師が2人いるとか、どうしてもだめなときは衛生士でもいいと書いてあるわけですけれども、そういった施設基準、人的基準を少し明確にして、かかりつけ医の中でも、やはりそれをやれる人、やれない人がいるわけですから、少しそこに人的基準、施設基準をつくって、やれる人はどうぞやりなさいというような、二極構造ではなくて、多層化するということを工夫していかないといけないのではないかと思います。訪問診療が全然伸びないのはそこにあると思うのです。

○江藤座長 ありがとうございました。少し話がそれますけれども、訪問診療が20%からふえないのはどういうことでしょうか。

○伊東構成員 訪問診療するためには、やはりそれだけスタッフがいないといけないということがあります。衛生士もいないといけない、技工士もいないといけない、歯科医師も1人では、自分が行っている間に自分の本院が留守になるわけですから、それでは困るというので、複数の歯科医師がいないとなかなか訪問診療ができない。

 その背景は、昔は私も土曜日の午後とか、どうかしたら日曜日とか、夕方遅くなってから行くのです。そうすると、向こうの老健施設にしても、病院にしても、いい迷惑なのですよ。自分たちが働いている時間帯に一緒に来ていただいて働くのが協働でしょうと。先生たちは、こっそり来て、こっそり帰って、何ですかこのざまはということを言われたことがあるのです。ですから、私たちが訪問診療を本当に業務としてやろうと思うならば、向こうの勤務時間にちゃんと合わせてやっていかないといけないという大前提があると思うのです。それができないから訪問診療は伸びていない。それをやれるところが何年か前からせいぜい20%ぐらいあるから、その先生たちが続けてやっているか、入れかわりがあっても基本的にはそこが母体になっているのではないかと。

 ですから、その20%の施設がどういう施設であるか、一回統計をとって調べてみたら、そういう施設が訪問診療をやれるのだなと。そうすれば、そこを何か方策として進めれば、もっと伸びるのではないかという気がします。

○江藤座長 お尋ねしたのは、地域包括ケア、これは歯科保健医療ビジョンに非常に重要な要因ですが、この地域包括ケアについて、今のかかりつけ歯科医ないしは訪問診療、それから先生のところのような歯科病院、特に先生のところの歯科病院の御経験で、地域包括ケアはこうあるべしと、そういった御意見がございましたらお願い致します。

○伊東構成員 そこまで大それたことは考えていませんけれども、地域包括ケアに出ていくためには、やはり訪問診療がきっかけになると思うのです。訪問診療がやれないと、地域包括ケアに入り込むのがなかなか難しいのではないかと。やはりいろいろな会議に出なくてはいけない。いろいろな協働のためにミーティングするとか、そういうものに出られるだけの施設でないと、自分が暇なときに行きましょうということでは包括ケアをやれないと思います。そこの地域に合わせないといけないということだと思います。合わせられるだけの施設でないと、なかなか入り込めないと思います。

○江藤座長 ただいまの御発言はいろいろな問題を含んでおります。今後、この地域包括ケア、歯科保健医療ビジョンを検討する上で非常に重要な御意見でございます。

 では、順番に川添先生、大学側ということで需給問題について。

○川添構成員 医科側が必ずしもそういった話を持ちかけたときに受け入れがいいのかどうか。日本医師会の先生がいらしたらよろしいのですけれども、医師会の方と老健などに勤務されている医師、MD、内科医が多いのですが、その方との受け入れ体制、協力体制が必ずしも一致していない。私は老健のほうの歯科医師側として理事で関与しているものがあるのですけれども、双方が、歯科でこういうふうにして参画しようというのと同等に、医科のほうからもそういうものを求めてくれているのでしょうかと、私にはよく分からないので、そちらと同時にならないと、これは伊東構成員が言ったのとはまた別の観点ですが。

○江藤座長 医科側との問題ですね。

○川添構成員 そうですね。それで、二、三、私どものほうに、医科病院のほうで、ほとんどの科が全部ある中規模の病院で、歯科だけがないのですということで、歯科大学から送ってほしいというものが大分進み出したのですけれども、これだけ報酬が少なければ、向こうはそういうモチベーションが起こらないといって、その話はとまってしまって、従来のような形で半ばボランティア的に行うより仕方がない。そういう現状があるので、需給連携は難しいと思います。そこがちょっとネックになっていると思います。

○江藤座長 ありがとうございました。

 水田先生。

○水田構成員 一つは、今の医科側の意見というのは私も非常に感じています。といいますのは、うちは医科と歯科の科があるのですけれども、それでも医科の人は、やってもいいなというぐらいの、やりたいならやるよという感じなのです。歯科のほうは結構盛り上がって、あっちに行ってこうしてとやっているのですけれども、医科はてれんと見ているという感じで、なぜ一緒にしないのだと言っても、ううんという感じなのです。

 報酬が低いというのも事実ですし、それから、よその病院に、大きな病院とかで歯科がないので、ではといっていろいろ話しに行くのですけれども、来たいなら来てもいいというような言い方で、そうするとまさにボランティアになるのですね。最初はボランティアでもしようがないけれども、やはり収益を上げたいと思っているのです。そこの病院も、私たちのほうもしたいと思っているので、そういうところをもう少しきちんと話し合ってシステムを決めていくことが大事ですし、もう一つ、医学教育のほうで今、いろいろな医科歯科のことが言われていますけれども、教育はどうなっているのだろう。私も医学部の教授をしていましたから、教育は歯学部に行って、ぱっと2回か3回話してくるだけで終わっていたのではないかなと。今はどれぐらい、どうなっているのだろうと。

 医科のことを歯科大学でもやるのなら、必ず歯科学のことも医科大学で教育をきちんとしてほしいと私は思う。何なら実習に来られてもいいのですよ。そうしないと、がんのときのいろいろなことがあったときにどういう状況なのか。それから、嚥下のいろいろなことを歯科のほうがうまくやれるのです。だから、そういうのはきちんと見に来てほしいと思いますし、実習もさせたほうがいいのではないかと思っています。

 もう一つは、かかりつけ歯科医の資格というのが決まっているのかどうかということ。ある程度、手を挙げた人だけがやるのか。どのようなことをきちんとすべきだということの決まりはつくっておくべきではないかと思うのです。そして、それをつくるときに、住民の人たちの登録制にするのか、それは本人が選ぶのか、あるいはきちんと国が決めていくのか。イギリスとかはきちんと決めていくのですけれども、それによってお金が入ってくるのですが、そこをどうするのか。

 でも、医科の場合のかかりつけ医に関しては、相性があるから好きな人が登録するというような言い方をされたことがあるので、どこまでいっているのかわかりませんけれども、そういうこともすべきではないかと思っております。

○江藤座長 ありがとうございました。

 この検討会、MDは水田先生と羽鳥先生だけで、きょうは水田先生だけなのですが、医科歯科連携ということについて、医科歯科連携と言っているのは歯科側からだけではないかと。医科側が余り関心を示さないというのはいろいろなところで聞くことでございます。非常に大事な御指摘でございまして、医科歯科連携をするには、歯科側から医科のほうに歯科医療の実情をもう少し理解してもらう方策が必要になってくるだろうと。これはこの歯科保健医療ビジョンの中でも非常に大きな要因であろうと思われます。

 それから、かかりつけ医の資格は、事務局、何かありますか。

○和田歯科保健課課長補佐 制度あるいは公的に何か資格を付与しているということはございませんが、各地域で歯科医師会の先生方や各自治体において何か事業をしているケースはあるのではないかと思います。申し上げました、国において何か登録システムとか制度に乗っけているということはございません。

○水田構成員 はっきり申し上げて、各地区でというと甘くなるのですね。だから、やはりある程度の基準は国として出しておくべきではないですかね。

○和田歯科保健課課長補佐 今、先生から御指摘があった点も踏まえて、私どもとしては、かかりつけ歯科医やその機能がどうあるべきかをまだお示ししていないものですから、先ほど資料でも出させていただいたたたき台をベースに、かかりつけ歯科医の役割や機能を、この検討会の中できちんと明確にしていければいいと思います。

○江藤座長 歯科医師会、何か一言、御意見ございますか。

○村岡構成員 日本歯科医師会の村岡でございますけれども、今、事務局からも話がありましたが、きょうもこの資料1に主な検討課題として、今後あるべき歯科保健医療の提供体制についてということで書かれて、歯科医の役割・機能のことも検討したいということも書いてございますけれども、まさにそういった形だろうと思います。

 先ほど私もちょっと触れましたけれども、歯科医師になるときとなってからの教育というものが非常に大事であろうと思っておりますので、先ほど来、お話がありますけれども、すぐ先のことも大変大事だと思いますが、資料2にも出ておりますけれども、この先10年、20年たったときには、絶対的に人口が減るということも含めて、森田構成員からもお話がございましたが、少し視野を広くして大局的に検討することも大事だろうと思っておりますので、そういった形でこの問題も考えていけばと思っております。

○江藤座長 歯科医師会とされては、会員の中でかかりつけ歯科医とそうではない歯科医との差別化を図っても、全然問題はないということでございますか。

○柳川構成員 柳川です。

 お答えになるかどうかわかりませんが、水田先生から御心配いただいた件も含めてでよろしいでしょうか。先ほど事務局から説明があった、かかりつけ歯科医強化型歯科診療所というのは診療報酬で評価されています。そこは、例えば在宅医療もしっかりやりますとか、こういう機械を置いていなければいけないとか、歯科衛生士がいますとか、そういった厚労省がお決めになった要件がございます。実際に、取得をしているところは10%台の前半です。だから、そう低いハードルではなくて、なかなか高いハードルです。ここでこれから議論していくのは、もうちょっと幅広の、かかりつけ歯科医とはどういうものかということの議論ではないかと思います。

 差別化については非常に悩ましい問題で、そんなつもりではございませんので、御理解いただきたいと思います。

○江藤座長 どうぞ。

○水田構成員 かかりつけの人をするときに、患者さんには何か手帳とかを渡しているのですか。例えば、私は小児関係ですから、できれば胎児期というか、お母さんのおなかの中、妊娠中のお母さんのことからきちんと歯の健診を。歯はどうでもいいというふうに、まだ今の人は思うのですね。赤ちゃんを産んだ後でいいや、どうせこれはCaが赤ちゃんから取られているのだなんて言いながら勝手にしているけれども、そうではなくて、きちんと治療もできるということ。そして、母子手帳の中に入るとか、そのようなこと言いながら、そうすると、生まれた赤ちゃんのときからちゃんとしていけばいいのではないかなと。それで、ずっと大人になるまでそれを持っていけるようなシステムにする。

 それから、脳性麻痺とかの子供が生まれた場合、どうしても口がこうかたまって歯を使わないから非常に歯の発育が悪くなります。そういうことも歯科医師がずっと診ていけば、もう少し早くきちんとした治療をしてあげられるのではないかと思いますので、ずっと一生続けられるのではないかと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。

 あるべきかかりつけ医でございます。

 高梨先生。

○高梨構成員 済みません。2点だけ。

 今、弁護士のほうは人数の問題があって、司法の国際化というのを政府・自民党、弁護士会とも、私はこの後、弁護士会でその会議をやらないといけないのですけれども、そういう方向に行っているのですが、多分、歯科医療に関してはそれはないので、森田先生がおっしゃるとおり、ドメスティックな事情を十分考慮して、需要というものを考えていかなければいけないのだと思いますというのが1つです。

 他方、変動係数をふやすのはよくないと私も思うのですけれども、先ほどから私も申し上げた、提供体制の多層化の必要性から考えると、患者と歯科医の関係は、一人の歯科医が全ての歯科医療を提供できるわけではない以上、マン・ツー・マン、ワン・オン・ワンの関係にはならないので、患者何人に対して歯科医が一定の人数いればいいということでもないので、それを適切に議論していくために役割分担とか、役割分担を担う歯科医がそれぞれどのようなスキルを身につけていくのか。かつ、そのスキルはどのように修得していくのかということの議論を適切に行うことが必要なのではないかと考えております。

 以上です。

○江藤座長 特に地域包括ケアの中での歯科医師の分業体制を考えろという話でございます。ありがとうございました。

 では、西原先生、どうぞ。

○西原構成員 きょうの働き方ビジョンのことを少し教育で考えますと、受験生年齢が減るということを考えますと、受験生及び学生に歯科医療人のキャリアパスの見える化につながっていくものだと思っています。そのときに今までどおり、29年度に歯科医師とモデルコアの改訂があって、ここ5年の教育の方向性は固まったわけですけれども、その先を見据えたときにどうかということを、またこの働き方ビジョンですごく影響してくるかなと思っています。

 先ほど来、医科歯科連携についていろいろな御意見があったところですけれども、私ども、先ほど申し上げたように、地方の公立大学としてCOCプラス授業でCCRCという観点からの事業を福岡県知事が重点施策に取り上げるという環境の中で、口腔保健健康長寿センターというものを立ち上げました。て、教育でのメリットは、実習を附属病院だけの実習から、病院での実習をふやす。つまり、70から30というモデルコアの制限をうまく活用しながら、オフホスピタル・オンコミュニティーという形で3つの総合病院と包括教育協定を結ばせていただいて、周術期と急性期、回復期の口腔ケアと機能管理という観点で、歯科医師と歯科衛生士の実習をふやしているという現状で動いています。

 これが今、市長には北九州市モデル、県知事には福岡県モデルとしての医療のCCRCということで売りにしているところですけれども、29大学が恐らくさまざまな形で今回の働き方ビジョンが明確になれば、教育に反映させていくすべも考えながら、需給問題も全て同じような歯科医師を育てるという視点から少しパラダイムシフトをして、どこに力点を置く教育をするのかというのを各大学が考える時代に入っていくのだろうな、入っていかなければいけないのだろうなと、私の立場からは、きょう参加して思っているところでございます。

 以上です。

○江藤座長 いわば多様性のある歯科医師養成をしろということであります。ありがとうございました。

 三浦先生、女性のほうもございますので、女性歯科医師も含めまして、お願いいたします。

○三浦構成員 女性歯科医師をどのように活用していくか、活躍の場を広げていくかというところは、まさしくこの働き方ビジョンにかかわってくるところなので、その辺のところの落とし込みというのは、総論としては賛同がえられやすいところかと思うのですけれども、各論で具体的にどのように推進策を打ち出せるかが課題かというところが1点目でございます。

 あと数点ございまして、先ほどより、役割分担、業務分担のお話が出てきています。女性歯科医師ワーキングの中でも、歯科診療所で多様な働き方を推進していくためには、やはり小さい規模だとなかなか難しいので、ある程度のスケールアップが必要であろうというところで、地域医療連携推進法人制度の活用等をお示ししていたところでございます。これが動いておりますので、まだ制度が動いたばかりですので、どれぐらい利用しているかというところはちょっとわかりかねるところですが、利用されているところについて何か情報提供いただくと、今後、地域医療連携推進法人制度を歯科医療で活用していく方策が少し見えてくるのではないかと思います。

 それから、地域包括ケアにおける歯科医療の位置づけですけれども、地域包括ケアにおいては、地域ケア会議をどのように活用していくかという点も重要です。歯科医師が地域ケア会議に主要なメンバーとして位置づけられているのですが、その参画の度合いが、地域包括ケアに大きく影響を与えるところなので、このあたりも重要なところかなと思います。

 あと、医師側の歯科医療・口腔保健に関する関心の増大というところは、もう少し手前のところからアプローチするというのも有効かと思っているところで、学会や研究会で一緒にシンポジウムを行うのも有効かと思います。実際にそういった取り組みをしている学会も徐々に出始めていて、それなりに効果を上げているような気がしているところです。具体例を言うと、日本老年医学会と老年歯科医学会の連携等が挙げられます。そういったものを経ると、比較的重要性を認識してくださるみたいなので、そのようなアプローチも折り込んでいただけると非常にありがたいなと思います。

 以上でございます。

○江藤座長 ありがとうございました。

 まず、地域医療連携推進法人制度、これは非常に重要な事項でございます。今後、このビジョンを構築していくときに、この制度における歯科医師の役割分担、業務分担を十分に検討していくべきであろうと思われます。

 それから、医科歯科連携につきましては学会も引っ張り込めということでございます。ありがとうございました。

 続きまして、山口さん。

○山口構成員 幾つか意見がございます。きょう、資料3でずっと御説明をお聞きしながら、かなり時代の変化の中で子供の虫歯が減っているとか、あるいは地域包括システムに歯科もというようなことが変わってきているなという気がする中で、一般の人の歯科治療に対する考え方も、もう少しこういう変化をしているのだと伝えていかないといけないなということを改めて感じながらお聞きしていました。

 そういうことを考えますと、かかりつけ歯科医ということについて、一般の方にかかりつけ歯科医ということの認識がもう少し広まってくると、需給の問題にも実は影響してくるのではないかということを感じながらお聞きしていたのです。ずっと資料を拝見していますと、本来かかりつけ歯科医という以上は、かかりつけを患者側が選ぶという視点が大切で、主体的に選ぶということが大事ではないかと思うのですけれども、資料を拝見していても、患者が主体的に選ぶためのかかりつけ歯科医の視点というものが資料の中でなかなか感じられないなと思いました。例えば施設基準にしましても、こういうところでかかりつけ歯科医としてプラスアルファの点数が得られますよというのも、あくまで提供する側の視点になっていますので、ぜひ今後のこのビジョンを考えていく中で、国民が選ぶことを視点にしたかかりつけ医ということを入れていただきたいと思います。先ほどからかかりつけ歯科医とは何ぞやという話が出ていますけれども、やはりそのあたりの定義であったり、どんな役割を担っているか、何を期待できるかということが周知されていません。私は歯の治療はあの歯科医院に行きますと決めていても、それが必ずしも、ここで言われているかかりつけ歯科医と近いかというと、単に行くところを決めているぐらいのことではないかと思うのです。ですので、どこまでのことをしてくれるのがかかりつけ歯科医なのかということをしっかりここで話し合った上で、多くの方にそれを知っていただく努力が必要かなと思っています。

 そういうことを考えると、まさしく今回のこの検討会のテーマである資質向上ということ、いかに歯科医の資質を上げていくかということが一方で問われてくるのかなと思っています。私も歯科に関すること、医科に関すること、いろいろな検討会に出させていただいている中で、例えば半年前に行われたこの検討会、実は欠席だったので、意見だけを事務局にお預けしました。そこで、議事録を改めて見てみますと、医科ではもう当たり前になっている共用試験の合格者に対して、スチューデントドクターという一定の水準のものを与えているということを、歯科の中でも明確にやっていくべきではないかということを前回のときに意見をお預けして、発表していただいたところであります。そういうことを考えますと、特にいろいろな検討会に出ていて、余り私もこの歯科の世界というのは、検討会に出ることで初めていろいろなことを知ることがありました。

 その中で、例えば歯科の教育ということについて、かなりレベルの格差が生じてきているのではないかということも、資質ということを考えるときに懸念を感じています。例えば歯科医師国家試験の合格率を見ていましても幅がある。その幅がある中で、全員が受験して合格しての合格率かというと、受験する人たちを絞った上での合格率ということで、数字だけでは一概に比較できないということもあるということが、実際こういうことに関係してくる中で見えてきました。

 そうすると、かかりつけ歯科医もそうですけれども、やはり国民にとって歯科医師の資質ということを明示していくときに、安心して選ぶというところまで、今ではそういうところにならないのではないかということを考えると、ぜひとも教育の段階でもう少し、歯科教育のあり方ということについて、これは教育なので隣にいらっしゃる森課長の分野だと思うのですけれども、そこも含めて考えていただきたいなと思っています。

 実は、長らくずっと開かれていないので、私は委員であることをすっかり忘れていたのですが、今、調べて見ますと、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議というものが文部科学省の中で設置されていて、ここ数年開かれていないような気がするのですけれども、ぜひそういったところで、歯科教育のあり方をいま一度見直すというような、再開するようなこともあってはいいのではないかと思っていますので、お隣にいらっしゃるので、ぜひお願いしたいなと思って、そのことも意見としてお伝えしたいと思います。

 もう一つ、先ほど女性の歯科医師という話があったのですけれども、診療所が大半を占めているからか、医科に比べてかなり女性歯科医師の労働に対する環境整備がおくれているように伺っています。例えば結婚・出産後について、復帰できるかというと、なかなか復帰がかなうような、ちゃんと働けるところがないということも聞き及んでいますので、そういったことも改めて、実態がどうなのかということと、見直すべきことは何なのかということを明確にしていく必要がこの中ではあると思っています。

 以上です。

○江藤座長 大変多岐にわたる御指摘でありがとうございます。

 最初のかかりつけ歯科医については、患者が主体的に選ぶという視点がないではないか、提供側がマル適マークをつけるのはおかしいのではないかという御指摘でございます。

 2つ目の資質向上につきましては、医科のほうがスチューデントドクターの認定をしております。これは臨床実習に入るときの認定でございます。歯科のほうはまだその制度がスタートしておりませんから、これは速やかにスタートせよと。

 それから、国試の格差が拡大していることについて、文科側の対応を検討していただきたいということでございます。森課長、何かコメントがございましたら、よろしくお願いいたします。

○文部科学省森医学教育課長 失礼いたします。

 本日の御議論では、歯学教育のあり方にも関わる様々な御指摘を頂戴しました。今、山口構成員から御指摘があった歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議につきましては、これまで報告書をとりまとめた上で、報告書を踏まえたフォローアップ調査をするという形で検討を進めてまいりましたが、その中で、需要を見据えた定員のあり方も含め、歯学教育の改善充実方策や資質の高い歯科医師養成の在り方など、さまざまな課題について検討をしてきております。

 今回歯科医師の資質向上等に関する検討会が再開をされて、歯科医師に対する需要や供給のあり方等について御議論が深まっていくと思いますので、そうしたことも踏まえて、厚労省とも連携をとりながら検討のあり方について考えてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○江藤座長 ありがとうございました。

 厚労、文科で連携をとりながら対応していきたいということでございます。

 それでは、柳川先生、全般的に何かございますか。

○柳川構成員 先ほど需要の推計は難しいと申し上げましたが、ただ、これはここで従前以上に、そもそも歯科の医療需要がありながら十分に応え切れていないという状況があるとしたら、その原因はちゃんと調べて検討すべきだと思います。

 かかりつけにつきましては、医師会、薬剤師会、歯科医師会と一緒になって、かかりつけ手帳、まだ電子化されていませんが、そういったものはつくっておりますし、また従前より、母子健康手帳にも歯の欄がございます。ただ、水田先生御指摘のイギリスとは制度が違いますので、フリーアクセスですから、特定の医院しかかかれないということも、国民の皆様から見れば別の視点があるのかなという感じもします。

 それから、機能分化がなかなか進んでおりませんが、やはりこれは専門性の議論とも重なってくるところなのかなと思います。

 繰り返しになりますが、病院歯科が歯科と医科をつなぐ一つのキーでもあるので、病院歯科をもっと充実させていき、なおかつそれが評価されて、社会のインフラとして認められるような医療制度の中で息づくようなものをしないと、ここはちょっと難しくなってきます。そこに歯科医師が例えば相当数必要だということになれば、需給にも大きく影響するのだろうと思います。

 もう一点、済みません。地域包括ケアの中で在宅訪問診療はとても大事なのですが、やはり歯科の場合は機械を持っていって、移動時間以外にも機械を組み立てるのに15分から30分かかったりしますので、なかなか一人歯科診療所が多いので難しい。また、とても手に負えない方が当然いらっしゃるので、そういう意味でも病院歯科へうまくスムーズに搬送するようなことができるといいのではないかと考えております。

○江藤座長 ありがとうございました。

 森田先生、最初に総括的に御意見をいただきましたが、皆様方の御意見を踏まえまして、御意見をお願いします。

○森田構成員 私、医科のほうもやっておりますので、そちらのほうでどういうことが議論されたか。山口構成員もそうですけれども、申し上げると参考になろうと思っております。

 医科のほうは、やはり人口が将来的に減ってくるときに、患者さんはしばらくはふえるかもしれませんけれども、それから減ってくると言われておりますが、他方におきましては、現状、地域では医師不足が相当深刻になっております。また、都市部におきましても、勤務医の先生方の労働条件が非常に厳しいということから、マクロ的に見れば医師の供給は抑制すべきではないかという意見がある一方で、医師不足が相当深刻であるから、もっと医師を増員すべきである。これまでもそのために地域枠等で医学部の定員をふやしてきたところはあるわけですけれども、その観点から、ふやすべき、減らすべきという根本的なところからの議論が始まりました。これはちょっと歯科と事情が違うかと思います。

 ただ、結論的に見ますと、昨年生まれた赤ちゃんが100万人を切りまして、98万何千人でございます。彼らが18歳で大学に入るとしますと、今までの定員増でいきますと、100人に1人が医学部に入ることになる。これは医師の数としてどうなのかというのが、少なくとも医師のほうの検討部会では議論されたところでございます。

 一方では、そうはいっても、地域で医師が足りないところがある。また、診療科における偏在もかなり大きい。それをどう調整するかというのが議論になりまして、これはなかなか難しいところです。ただし、それは偏在の問題として考えるべきであって、総数をふやすかどうかとは別ではないかというような議論にもなりました。その段階でストップがかかって、ビジョン検討会のほうで、そうした現状の医師の働き方とか役割分担も前提にして議論している限りはなかなか結論は出ないのではないかと。そこで、医師の働き方あるいは役割とかそうしたものを再検討して、その中から、その結果に基づいて、また需給の話をきちんとすべきではないか。そのときには、何となく医師のほうの検討会にいた人間としましては、これはバイアスがかかっているかもしれませんけれども、医師の増員の方向でお考えなのかなという気もしておりました。ただ、ビジョン検討会のほうの報告は、ここの資料にございますように、ふやせとも減らせとも必ずしも言っていないということでございまして、これをどう考えていくのか。

 ここから出てくる一つの結論としましては、本当に現在の医師の配置あるいは医師がやらなければならない役割、そうしたものについても見直す必要があるのではないか。そして、単に医師も臨床で診療にかかわるだけではなくて、先ほど弁護士さんも国際的なとおっしゃいましたけれども、国際的な分野で活躍される人を養成していく、あるいは創薬その他の企業その他で活躍されるような医師資格を持った人もどんどんふやしていったらいいのではないかという考え方もあったようです。ただ、これを踏まえて需給のことを再度考えるということになっているところでございます。

 ここからは私の個人的な印象ですけれども、先ほどのかかりつけ医の問題、あるいは地域包括ケアのもとにおける医科歯科連携の話もそうですが、中医協にかかわってきた観点からいいますと、やはりこれはどういう形で診療報酬の仕組みをつくるかということとかなり密接にかかわっていると思います。踏み込んでこの議論をするのは、ここではタブーなのかどうか存じません。ですから、私の個人的な印象で言いますと、例えば水田先生がおっしゃいましたように、かかりつけ医の形、ヨーロッパはほとんどそうだと思いますけれども、その場合には、いわゆる人頭割りの包括化が行われているわけでございまして、それも一長一短はございます。ただ、今の日本のように、いわゆるフリーアクセス、自由開業で出来高の場合は、またちょっと違う話になるであろうと思いますし、さらに言いますと、その仕組みのもとで連携を行うことはなかなか難しい。連携することによって、どういう形で診療報酬を配分するかというのは悩ましいところです。ですから、いろいろな形で加算の仕組みが設けられておりますけれども、十分に連携を推進するだけのインセンティブにはなっていない。ただ、そうするためには保険医療財源のことを考えると難しい。難しい、難しい、どうしようもないという印象でございます。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 地域包括ケアにおける医科歯科連携をどう形で診療報酬の仕組みとしてつくるかという、非常に重要な御指摘でございます。冒頭、森田先生がおっしゃった財源の問題、人口の問題、それから現実の政策としての地域包括ケアと診療報酬の問題、こういったことを踏まえてビジョンを検討せよということでございます。ありがとうございました。

 では、村岡先生。

○村岡構成員 今、重いお話を森田先生からいただきましたけれども、ここで歯科保健医療のビジョンを検討するということでございますので、いわゆる保険的なものに関して、先に制約があるとなかなか自由闊達な議論が難しくなるかもしれませんので、まずはあるべき姿を少し描きたいと思っておるところでございます。

 そのように考えたときに、地域包括ケアというものをどう捉えるか。逆に言えば、在宅患者さん側の気持ちをどのように考えるかということ。先ほど山口構成員からもありましたけれども、何が求められるかかりつけ歯科医なのかということが大事なことだろうと思います。1点、専門性ということも確かにあるのですが、果たして専門性が高いからいいかかりつけ歯科医であるかどうか、人と人とのかかわりの中で生まれてくる歯科医師像というのがあるのかもしれません。そこに踏み込むとなかなか難しいところはあるかと思いますが、そういったことも含めて、あるべき姿を少し描きたいというのが、ここの議論で検討していくことが出来れば大変ありがたいと思っております。

 また、やはりある程度、少し長い視点できちんと考えなければいけないなとも思いますし、医科と歯科の問題でもかかりつけ医、あるいはもう少し言えば、かかりつけ医となるには、医科でも例えば眼科とか皮膚科というのは、そういった形で機能しているかということに対しては、疑問もあるかもしれません。我々歯科医は、歯科一般という形でやっているものが診療形態でございますので、そういった中でかかりつけ歯科医という機能を果たしやすいことも事実ではございます。全部含めて、これから議論が進めばと思っておりますので、期待しているところでございます。

○江藤座長 ありがとうございました。

○南構成員 もう皆様がいろいろなことをおっしゃったので、何を申し上げたらいいか、ちょっととりとめのないことになるかもしれませんけれども、お許しください。

 専門性のワーキングの中でも何度か申し上げてきたのですが、私は、歯科医師にしても、医師にしても、研究者でもあり、歯科医学者、医学者でもあるわけで、研究をきわめるとか、専門性をきわめるということは常になければならない姿勢であるし、それは非常に重要なことだと基本的には考えております。しかしながら、社会に求められる歯科医師ということで考えたときには、世の中にあるいわゆる専門的な歯科医よりは、今、歯科一般という言葉で言われましたけれども、一般というのか、標準的というのか、かかりつけと呼ぶのか、何と呼ぶかはこれからの議論でしょうけれども、これは専門性のワーキングの中で山口構成員も何度もおっしゃいましたが、ごく当たり前の歯科保健及び医療、日常的な生活の医療と言われるような歯科医療を歯科医師として実行でき、なおかつ抱え切れないものは大学病院なり高度歯科医療を担当する施設に送る。そういう歯科医師が求められているわけです。医科で言えば今は総合医と専門医と言われるものの中で総合医に当たるところが非常に社会から求められているということで、これはどなたも否定される方はないのだろうと思うのです。それがこれからの人口動態などを考えたときに、どの程度必要なのかということは全く途方もない難しい話ではなくて、ある程度ははじき出せる数字なのではないかと思います。

 もちろん保険財政の中で賄っていくことができないと、歯科医の先生方も、せっかく勉強をきわめられても、それでは食べていけないということでも困る。やはりある程度このような社会の求めに対応した歯科医師の活躍が一般の人の希望なのだろうと思うのです。そこで、水田先生がおっしゃったようなかかりつけ歯科医の基準というのか、いわばマル適マークというのでしょうか。この歯医者さんは一般的歯科医療を実施する歯科医として質が保証できるという指標みたいなものが国民としては何らかの形で欲しいというのが率直なところだと思います。

 ただ、また繰り返しになりますが、そういう歯科医が保険医療上必要かによっては、なかなかそれだけでは食べていかれない、やりがいのない仕事になってしまうでしょうからこそ、現状の専門歯科の乱立ということになるわけです。必ずしも当たり前のことをしているだけではなかなか食べていかれないから、何か非常に難しいことをやる。あと、一般の人の目を引くような自由診療の聞いたこともないような専門性のことをやる、みたいなことに流れている傾向がある。これが社会的には非常に大きな問題ではないかと思われます。こういうことは私が過去十数年、歯科関係の会議に出て何度となく聞いてきた議論なのです。ですから、そろそろこのあたりで、当たり前の歯科医療を供給していただける歯科医の先生というものの何らかの指標を、にじむ程度でもいいので、この報告書の中で打ち出していただけないかなというのが大きな希望でございます。

 それは教育と医療、つまり歯科医学と歯科医療の一連の話にどうしてもなるので、その辺は教育のほうとも連携をとりながら、文部科学省と厚生労働省の両方で、ぜひそのあたりを集中的に検討していただきたいのです。

 その上での話ですが歯科医師が患者を訪問するのか、自分の医院で診療するのか、グループで働くのか、など働き方は多様であっていいと思うのです。ただ最低限のクオリティーを、ぜひこの機会にきちんと決めていただきたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。

 かかりつけ医にしましても、専門医にしましても、それから総合医、総合歯科専門医とするかどうかも議論の分かれるところでございますが、あくまでそれは国民目線で見た形でわかるようにしてほしいと、そういったことでございます。これはこの検討会の大事な課題であると思っております。

 もうそろそろ時間でございますが、どうぞ。

○南構成員 済みません。1点だけ言い忘れました。その際、当然のことではあるのですけれども、新たな感染症が次々出てきたり、感染症対策や医療安全というのは、もう今は医科の中ではコアカリキュラムの中の当たり前のことにもなっています。歯科のコアカリキュラムの中でも当たり前のことになっているのですけれども、これはむしろこれから育つ歯科医というよりは、一定の年齢に達している方々の再教育というか生涯教育、そういったところも含めての話になりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○江藤座長 これは学部教育、卒後教育の問題でございます。これは厚労省だけではなくて文科省の課題でもあると思っております。

 もう時間がそろそろでございますが、何か一言どうしても言っておきたいという方がございましたら、どうぞ。

○伊東構成員 伊東ですけれども、かかりつけ歯科医に対しての期待が大きいのはいいのですが、今の日本の現状では一人で開業している人が多い。一人で今の医療安全から学校歯科検診あるいは訪問診療、自分の院の中で歯周病の長期経過を診なくてはいけないとか、補綴物の維持管理をしなくてはいけない、とにかくかかりつけ歯科医に今すごく過剰な期待というかデューティーがあるのです。

 それを役割分担というか機能分担していかなくてはいけないと思うのですが、余りにも歯科保健医療ビジョンでかかりつけ歯科医に大きな期待をかけ過ぎてしまうと、ちょっとこれは無理だなということにもなりかねないと思います。それが1つ。

 それを除くためには、どうしても今の病院歯科をつくるとか、これももう20年も30年も前から病院歯科を充実しなくてはいけないということがあるのですが、今から多分20年から30年前になると思いますけれども、病院歯科加算というものができて、あれで病院歯科というものが非常に注目を浴びた時期があったのです。やはりそのくらいの大きな改訂をしないと、病院歯科は恐らく今のまま横ばいではないかと思うのです。ですから、何かそういう制度的なてこ入れをしないと難しいのではないかという気がします。

 もう一つは、いわゆるかかりつけ医と言われる一般のGPがたくさんおられるわけですけれども、その中での機能分化を図らなくてはいけないのではないか。一人院長ではやっていけないようなデューティーが入ってきています。ですから、それを2人でやるとか、3人でやるとか、機能別にやるとか、いろいろな形でかかりつけ歯科医の中も機能分化していくというようなことを思い切って考えないと、結局現状維持になってしまうということではないかと思います。ビジョンをつくるのだったらそのぐらい考えないとと思います。

○江藤座長 今の歯科の診療形態を1人院長から複数の歯科医による役割分担、機能分化の方向へ変えていくべきではないかとの御指摘でございます。

○伊東構成員 それから、先ほど柳川構成員が言われましたように、かかりつけ歯科医強化型歯科診療所とか、いろいろな項目の中で人的基準、施設基準が今、ある程度出てきていますので、そういうものとかみ合わせれば、できないことはないと思うのです。

○江藤座長 ありがとうございました。

○柳川構成員 1点だけよろしいですか。時間がないのに済みません。何人かの構成員の皆さんから地域医療連携推進法人の話が出ましたが、私から申し上げますと、今伺うと全国で4カ所できたと。これは医科も含めて全部ですから、もともとがそもそも病床の機能分化とか再編ができやすいような制度だと思うのです。そこに小規模の歯科診療所とか郡市の歯科医師会を乗せるというのは、私は現状ではかなり難しいと思います。したがいまして、もうちょっと背中を押していただけるような対応だとか、具体的なビジネスモデルが示されるとか、そういうことがないと活用しにくいのではないかと、1点それだけ申し上げておきたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。

 大体御意見は以上でございますが、2025年問題ということで地域包括ケア、いわば多死社会になるので、病院に収容し切れないから地域で協力して面倒を見ようという話でございます。ですから、余り時間がないのでございます。そういった意味で、歯科保健医療ビジョンをつくるだけではなくて、その施策を医療政策に反映するような形に持っていくというのが筋だろうと思っております。そういった形でこの検討会の議論を進めてまいりたいと思います。

 以上をもちまして、本日の検討会を終わらせていただきます。長時間ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 歯科医師の資質向上等に関する検討会> 歯科医師の資質向上等に関する検討会(第4回)(2017年5月22日)

ページの先頭へ戻る