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2023年6月26日 第34回医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会議事録

医政局医薬産業振興・医療情報企画課

○日時

令和5年6月26日(月)14:00~16:00

 

○場所

AP新橋 Aルーム

○議事

○木本流通指導官
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第34回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」を開催いたします。
 今回は、オンラインも活用した開催とさせていただいております。オンラインで御参加の委員は、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、御発言の際には挙手により合図をしていただき、三村座長からの指名を受けた後に御発言いただきますようお願いいたします。会場の委員におかれましては、御発言内容がマイクを通じてオンライン参加の委員に伝わりますので、御発言の際はマイクを使用いただきますようお願いいたします。
 初めに、委員に交代がありましたので、新たに委員に加わりました5名の方を御紹介させていただきます。
 日本歯科医師会 宇佐美委員に代わりまして小野寺委員、日本精神科病院協会 長瀬委員に代わりまして平川委員、日本ジェネリック製薬協会 村岡委員に代わりまして中沢委員、日本ジェネリック医薬品販社協会 三浦委員に代わりまして長嶋委員、全国自治体病院協議会 平川委員に代わりまして貞広委員。よろしくお願いいたします。
 続きまして、先生方の御出欠について報告いたします。本日、17名の委員が会場での御参加、小野寺委員、関委員がオンラインでの御出席との連絡をいただいております。また、同志社大学 冨田委員、日本精神科病院協会 平川委員、中央大学 三浦座長代理から御欠席との御連絡をいただいております。
 続きまして、本日の資料についてですが、本日は、ペーパーレス会議としており、お配りしておりますタブレットに資料を用意しております。
 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。
 「座席図」「議事次第」「委員名簿」
 資料1「流通改善の課題と進捗状況」
 資料2「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会関係資料」
 参考資料1から参考資料7が入っております。
 不備や御不明点がございましたらお声がけいただければと存じます。よろしいでしょうか。
 それでは、開催に当たりまして城審議官より御挨拶申し上げます。

○城医薬産業振興・医療情報審議官
 医薬産業振興・医療情報審議官の城でございます。
 委員の皆様方におかれましては、日頃より医療・医薬品行政の推進、医療用医薬品の流通改善、また安定供給に御尽力いただきまして、誠にありがとうございます。
 厚生労働省におきましては、昨年9月以降、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催いたしております。これにおきまして、近年、発生しております医薬品の供給不安や、ドラッグラグ・ドラッグロスの懸念といった課題に対しまして、革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市でありますとか、医薬品の安定供給を目的としまして、これまで13回にわたりまして検討会を開催しまして、流通や薬価制度、産業構造の検証など、幅広い検討を行ってまいりました。
 検討会におきましては、6月9日に報告書を取りまとめております。本日の資料でも、参考資料として配付させていただいております。後ほど事務局から詳細を説明させていただきます。
 報告書におきましては、諸課題への対応の方向性、それに至るまでのいろいろなロジックといったものを記載いたしております。それを受けてでありますが、今後、関係する会議体でそれぞれ詳細な専門的な検討を行っていただきたいと考えております。医薬品の流通に関する諸課題につきましては、この流改懇の委員の皆様方におきまして詳細な御検討を行っていただければと考えております。
 この流通の関係につきましては、これまでも長い間、御議論いただいておりますし、実際、徐々に改善しておると認識しておりますが、なかなか抜本的な解決に至らないといいますか、1つ解決すると、また次の課題が出てくるといった状況だったと認識しております。これの改善に向けまして、皆様方におかれましては、忌憚のない有益な御意見をいただきますよう、本日もよろしくお願い申し上げます。よろしくお願いします。

○木本流通指導官
 それでは、これより議事に入りますので、撮影はここまでとさせていただきます。
 以降の議事進行につきましては、三村座長にお願いいたします。

○三村座長
 それでは、本日の議事を進行したいと思います。
 本日の議題は「1.流通改善の課題と進捗状況について」「2.医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の報告」「3.その他」となっております。
 まず、議題1「流通改善の課題と進捗状況」につきまして事務局から資料が提出されておりますので、その内容につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。

○信沢首席流通指導官・流通指導室長
 それでは、資料1「流通改善の課題と進捗状況等」について説明します。
 「1.一次売差マイナスの解消、適切な仕切価・割戻し等の設定」について、川上の取引の状況について説明いたします。
 2ページですが、四角に囲ってある枠内は、流通改善ガイドラインの該当部分の抜粋となっております。
 その下に、これまでの取組について記載させていただいております。
 3ページですが、こちらの折れ線グラフは、メーカーが卸売業者に販売する価格である仕切価、それと卸売業者が医療機関・薬局に販売する価格である納入価、そしてメーカーから卸売業者に支払われる割戻しについて、それぞれ薬価を100としたときの割合とその推移を表したものです。データは、グラフの下に記載のとおり、5社の卸売業者の取扱い全品目についての加重平均を算出した後に、それらを平均したものとなっております。仕切価率・納入価率、共に上昇傾向にあり、割戻し率については5.9%で推移しております。
 続いて、4ページから7ページまでは、医薬品のカテゴリーごとに仕切価の見直し状況をメーカーにお聞きしたものです。それぞれのカテゴリーについて、旧薬価に対する仕切価の率と新薬価に対する仕切価の率について、旧薬価の際よりも新薬価になった際の率のほうが上がったものを上昇、下がったものを低下としております。新薬創出等加算品、特許品に関しましては、右側のグラフの示すとおり、過去2回も含め、ほとんどが同水準となっております。
 5ページ、長期収載品と後発品ですが、過去2回を含め、上昇の割合が増加しております。特に後発品に関しては上昇の割合が多く、2517品目が上昇ということになっております。主な理由についても記載させていただいております。
 6ページ、不採算品再算定品、その他について比較したものです。不採算品再算定品につきましては、今回初めて載せたのですが、こちらも上昇の割合がほかと比較して大きくなっております。
 7ページは、全体の状況についてですが、こちらで見ますと、過去2回の調査とほぼ同率の構成比となっております。
 8ページは、割戻しリベートの運用基準の変更状況についてです。メーカー各社に調査を行ったものです。
 左側の円グラフは、2023年4月の薬価改定を受けて割戻しを見直した結果、変更を行った企業の数を示しておりまして、今回は89社中38社に変更があったということでございます。
 右側の円グラフは、これまで行った調査の累計となっております。2019年4月からこれまでに変更を行ったことがある企業が76社という結果になっております。
 変更の内容としましては、円グラフの下の表にございますが、最も多いのは下から2つ目の割戻しの算定率を調整・変更というもので、次に多いのが割戻し項目の新設ということです。割戻しを縮小し、相当分を仕切価に反映というケースも、少ないながらございました。
 次、9ページですが、仕切価・割戻しのメーカーから卸売への提示時期についての調査結果です。左側が仕切価、右側が割戻しです。
 左側、最も多いのが告示後3日以内のグレーの部分で、前回と比較して、ほぼ同様の状況となっております。
 右側の割戻しの提示時期につきましては、青と緑が若干増加しております。青が告示後14日以内、緑が告示後15日以上ということになっております。
 10ページからは「早期妥結・単品単価契約の推進、頻繁な価格交渉の改善」について、川下取引に関する状況になります。
 11ページは、ガイドラインの該当部分の抜粋をさせていただいております。
 次に、12ページですが、平成30年度以降の妥結率の推移を折れ線グラフで表したものでございます。コロナ禍の影響で調査ができなかった令和2年6月を除きまして、3か月ごとに調査をしております。未妥結減算が導入されて以降、多くは9月末に一度は妥結されていますが、その後、12月には一旦妥結率が下がっております。これは10月以降に価格の再交渉・再契約が行われているものと推定されます。
 13ページは、単品単価契約の状況についての記載でございます。調査は、卸連加盟の皆様に御協力いただきまして実施しておりますが、調査に当たりまして、取引類型を以下のマル1からマル5に分けて実施しております。大きく分けると、マル5の単品単価取引以外は総価取引の分類になっております。
 調査結果ですが、14ページは、取引先別の取引の類型を薬価金額ベースでまとめたものです。マル5の単品単価取引の欄の20店舗以上の調剤薬局チェーンのところを見ますと21.4%ということで、ほかと比較すると割合が少し低くなっております。
 この表の見方ですが、その下の「うち価格交渉代行を行う者との交渉を経た取引」の割合、この場合でいくと12.7%となっておりますが、これは21.4%のうちの12.7%が単品単価取引であったという見方をします。
 合計のところで見ますと、200床以上を有する病院が23.8%、20店舗未満の調剤チェーン又は個店のところで20.7%と、価格交渉代行を行う者との交渉割合がほかと比較すると多くなっているということが分かります。
 15ページですが、これは今回初めて提出しますが、軒数ベースでまとめたものです。傾向としましては、先ほどの金額ベースとほぼ同じような形になっております。今回の調査では、価格交渉代行に関する調査は、これ以外、特別なものは実施しておりませんが、令和5年2月にガイドライン改定から1年が経過したことを踏まえまして、関係者の皆様にガイドラインの遵守について再周知を行っております。その際に、医療コンサルタント、共同購買を含む価格交渉を代行する者に対しても、ガイドラインを送付・周知いたしまして、ガイドラインを大きく逸脱するような取引を行う場合には、厚労省でも指導を行う旨の通知をしております。
 続きまして、16ページですが、総価取引の中でも除外して取引を行っている医薬品があるかどうかということを卸にアンケートした結果です。どの取引先においても、新薬創出等加算品や特許品が多くなっております。前回も調査しておりますが、ほぼ同じような状況でございました。
 17ページが単品単価交渉を困難なものとしている主な理由は何かを聞いた結果ですが、これも前回同様、購入側が総価での交渉にしか応じないためという回答が一番多くございました。その他、自由記載があった主なものについて記載させていただいております。
 18ページは、総価から除外するとしたら、どのような医薬品が考えられるかについて卸にお聞きしたところ、オーファンドラッグ、安定確保医薬品(カテゴリーA)、基礎的医薬品、不採算品再算定品といった回答が多くございました。理由については、下段に記載させていただいております。
 19ページは、頻繁な価格交渉の改善についてですが、200床以上の病院との契約状況、20店舗以上のチェーン薬局との契約状況について調査しておりますが、左側、200床以上の病院について、軒数ベースで年間契約の割合が増加しておりますが、それ以外のところでは、前回の調査とほぼ同様の割合という結果となっております。なお、前回の流改懇で御指摘いただいておりました1社流通の関係につきましては、現在、調査の集計を行っているところでございまして、次回以降、準備が整ったところで御報告、御議論いただきたいと思っております。
 資料の説明は以上になります。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、今の事務局からの御説明に対して、御意見、御質問等、お願いいたします。挙手いただければ、私のほうから指名させていただきます。
 それでは、森委員、お願いいたします。

○森(昌)委員
 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
 まず、流通・薬価制度、産業構造の検証など、多岐にわたり大変な議論を踏まえて有識者検討会の報告書をまとめられた三村先生、三浦先生をはじめとする委員の先生、そして事務局の皆様、お疲れさまでした。有識者検討会から流改懇にバトンが渡された部分があると思っております。将来にわたり良質な医薬品が安定的に供給され、国民が必要なときに必要な医薬品にアクセスできるように、しっかりと議論していきたいと思っております。
 そのためには、サプライチェーンの強靱化、流通機能の安定性の確保が不可欠となりますが、薬価制度の抜本改革が示された平成28年以降、新型コロナウイルス感染症の流行、医薬品の供給問題、6年連続の薬価改定、物価・賃金高騰など、医療を取り巻く環境は大きく変化し、関係者は非常に厳しい状況にあります。こうした視点も踏まえて議論していく必要があると考えます。また、短期的・中長期的事項に分けて、これまでと制度、仕組みが変わることにより、大きな影響を及ぼすことになるので、影響を見極めながら慎重に検討していく必要があると考えております。
 その上で、今のご説明の中でいくつかコメントさせていただきたいと思っております。
 資料1の3ページ、仕切価率、納入価率、割戻し率の推移ですけれども、まずは全体像を考える上で、この推移が非常に重要になると考えております。これがあるべき姿に向かっているのか、仕切価がどうなっているのか、割戻しがどうなっているのか、納入価がどうなっているのか、しっかり確認する必要があると思っております。21年度から22年度に向かって仕切価率と納入価率の差は3.3%から2.7%になっていますけれども、割戻し率が変わらない中、仕切価率の上昇分を納入価率の上昇分が上回っただけのようにも見えますが、これは縮まってよかったと理解してよいのでしょうか。ここは私、非常に悩ましいところだったので、事務局からのコメントをお願いしたいと思っております。
 あとは、特に気になるところをお話しさせていただきますと、8ページ目の割戻しの運用基準の変更状況について、右側に4年間の見直し状況をお示しいただいています。2022年4月の資料では、変更したところが46%で、変更していないところが54%であったのですけれども、これは去年と比べられるものなのかどうかというのは非常に難しいところだと思います。ある意味、運用基準を見直すという方向にある中で、伸びていないと捉えていいのか。それとも、見直しを行っているところは、既に一定程度見直しを終えており、残ったところの数字が出ているのかということが分かれば教えていただければと思います。
 もう一つは、15ページの取引類型の状況のところで、今回、総価取引に焦点を当てています。総価取引に関しては、結果的に総価に合わせるため、取引品目全体で調整することになって、個々の医薬品の価値に見合った価格とはならず、適正な市場実勢価格の把握に逆行するものと思っています。また、予期しない薬価の下落が起こり、医薬品のライフサイクルを壊すことになり、結果として国民が良質な医薬品にアクセスできなくなってしまいます。有識者検討会の報告書の中でも、総価取引の改善については記載があります。
 以前からこの場で何回も発言していますけれども、現在は総価取引でも、妥結した扱いとなっていますが、適切な市場実勢価格の把握となっていないことから、例えば未妥結として扱うことも考えてよいのではないかと思っています。
 取りあえず、私のほうから以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。
 では、今のことで。

○信沢首席流通指導官・流通指導室長
 まず、3ページのところですけれども、当然、2.7%に縮小しているということは、よい傾向であるということです。と申し上げますのは、こちらも既に一次売差マイナスという問題、仕切価というのは、メーカーから卸さんへ支払う価格で、納入価というのは、卸さんから医療機関・薬局へ販売する価格ですので、本来の取引であれば、これが反対じゃなければいけないのですね。それが今、一次売差マイナスの解消ということで、1つの課題となっております。ですので、こちらの差が2.7に減少してきているというのは、よい傾向ではあるのですけれども、最終的な目標としては、この一次売差マイナスの解消ということになります。
 関連しまして、8ページの資料につきましても、そのように考えますと、運用基準の変更についてメーカーのほうでよい方向に行っていただいているというところですが、最終的なところでいけば、割戻しというのが縮小され、その相当分を仕切価に反映するといったような理由での変更が今後増えていくと、好ましい状況に移るのではないかと考えております。
 それから、15ページの総価取引につきましても、森委員おっしゃったとおり、有識者検討会でも総価取引につきましては課題として取り上げられております。一方で、品目数が多くて、全体を単品単価取引で行うことは、卸のほうにとっても、医療機関・薬局にとっても非常な負担となっている状況があることも承知しておりますが、一応、ガイドラインでは、基本、単品単価契約を進めていくことになっておりますので、こちらを改善していくという方向で考えております。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。総価取引の問題は大きいので、また後で御議論いただきたいと思います。
 どうぞ。

○森(昌)委員
 ありがとうございます。
 3ページ目ですが、3つをどう見るかはあるのですけれども、割戻し率と仕切価率だけを考えれば、本来、割戻し率のところが下がり、仕切価が下がるというのが理想だと思うのですけれども、納入率があるので、どう見るかは難しいのですけれども、ここがまず解決しないと第一歩に進まないように感じています。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。
 それでは、宮川委員、どうぞ。

○宮川委員
 まず初めにお願いしたいのは、この流通に関して長年ずっと議論されてきたわけですね。もちろん、一方で安定供給の問題というのは、それが果たされたとしても、流通の流れを直接見ていくところの議論というのは、非常に重要になってきます。患者・国民にとって望まれる医薬品が確かな形で届くように、そういう意味では、関係者の方にお願いしたいのは、川上から川の流れ、川下まで、もう少し腹を割って話してもらいたいなと考えます。いいかげん、相手を見たりとか、自分の業界の中を見て、それですくんだ形でやるのではなくて、腹を割った形でしっかりやらないと問題は解決しません。
 今、日薬の森先生がお話しになったように、一次売差マイナスは、この前、小山先生といろいろな話をして、それはありきで、差があるということは百も承知でやっていかないと考え、これをプラスにするということじゃなくて、マイナスが当たり前とするのか。はなからなしとして、そのような形の中で議論していかないと、これが解決しない問題になると、前に1回に提起したことがありました。そういうダイナミックな流れの中の問題です。卸の問題が直接関わってくるのですけれども、それとともに、川上からうみを出していただきたい。積極的に話してくださいと、(製薬協の)森委員に僕が前にお願いしたことがあったので、相当切り込んでいただかないと、ただ上滑りの話がこの流改懇ではずっと続いて、長年全然解決されない。
 結局は国民に良質な薬が届かないという事実だけが残ってしまうという形なので、これは直接患者さんに接している者として、先ほどの日薬の森委員も、日本医師会の者としても、お願いですから、切り込んで腹を割って、ぜひしっかりと話をしていただきたい。その前提がなければ、この流改懇は成り立たないと私は思っているので、具体的なことなど、言いたいところはいっぱいあるのですが、先にお話ししたいと言って三村座長にお願いしました。すみません、ありがとうございます。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、小山委員、どうぞ。

○小山委員
 すみません、名前が出ましたので。
 前回お話ししたのは、10年やっていても、この差がほとんど変わらない。多いところで3%ぐらい、低くなると2点何%ぐらいになるということでずっと来ているのですけれども、これがゼロになるということを、今後、未来永劫求めていくのかということになると、今、宮川先生がおっしゃったみたいに、構造を全部変えなければ駄目なことなので、ありきで議論するのか。これがありきで議論するのだったら、一番下の割戻しもあり得ると思うのです。でも、割戻しもゼロにするのだぞと、病院もある意味で求められているところですね。
 そうすると、今、先生が腹を割ってというお話しをされましたけれども、根本的にこの流通の仕方を変えないと無理だと思うし、無理だと言うのだったらば、これは必要悪という言い方はあれかもしれませんが、必要悪として、この一次売差マイナスはしようがないのだと。価格を下げる手段として、これを使うのだという理解の下で動くのだったらば、このままでいくのかなと思うのですけれども、事務局のお考えはいかがでしょうか。

○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長
 では、私のほうから一言。
 今の御質問に対して、必要悪という言葉が出ましたけれども、正直、私は前提とするのはまだ早いのではないかと思っていて、先ほど宮川先生から腹を割ってというお言葉でしたが、長らくこの流改懇の中でもまさに課題として取り上げられてきました。そろそろ、どこまで出来るかというところはありますけれども、実際問題として、例えば3ページのお話であれば、割戻しはなぜ横ばいなのか、消えないのかというところの根本原因について、正面から議論すべき時なのではないかと私は思っております。これは別に一次売差の問題だけではなくて、およそこれまで流通慣行として言われてきた問題全てについてだと思うのですけれども、そろそろ真正面から、宮川先生のお言葉を借りれば、腹を割って議論すべきタイミングなのではないか。
 これは次回以降ということになりますけれども、まさにその点について、省内でも言われているところがありまして、流通の問題は非常に重要なので、どこまでできるかというところの最後の結論は、これはやってみての世界だから現時点では何とも申し上げられませんが、少なくともそういった議論を是非この流改懇でやっていければと私としては考えているところでございます。

○三村座長
 眞鍋委員、どうぞ。

○眞鍋委員
 流通の当事者として現状の認識でございまして、今、先生方からお話しのありましたとおり、3ページの仕切価の率が上がっていくということですけれども、翻って資料2の15ページを御覧いただきたいのですが、こちらについては、報告書の第1章 1.3医薬品流通における課題というところにおいて、上から○の3つ目、現状の取引の中で「競合する品目が少ない新薬の価格は比較的維持されているものの、汎用性が高く競合品目が多い長期収載品や後発品は」ということで、総価取引が消えない中で、こちらにありますように、競合品が少なくて仕切価率の高いものの構成比が増えてきているということが理由として挙げられるのだろうと思います。
 資料1のほうに戻っていただいて、四角い枠、流通改善ガイドラインからの抜粋でありますけれども、○の3つ目、「仕切価・割戻し・アローアンスについては、メーカーと卸売業者との間で十分に協議の上、なるべく早期に設定を行うこと」となっています。では、十分に協議が行われているのか。宮川先生からお話、出ましたとおり、この部分、本当に腹を割ってやれているかということについては、非常に心もとなく、「十分」な「協議」という観点から流通改善ガイドラインが遵守されているのだろうか、当事者としても問題意識を持っているところでございます。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。
 では、製薬協、森委員、どうぞ。

○森(英)委員
 流通適正化委員会の森でございます。
 資料の3ページ目で御指摘いただきましたので、ちょっとお話しさせていただきたいと思います。そもそもこの3ページ目の資料は、トータルの医薬品の仕切価の加重でございますので、個々の製品が上がったり下がったりということを反映しているものではないと思っているということが前提で、これが上がっているのは、皆様も御承知のとおり、新創品・特許品の売上げのウエートが上がっているからということになると思います。
 加えて、ここで腹を割ってというお話をいただいておりますので、お話しをさせていただきますと、この流改懇は制度の話を議論する場ではないと承知した上で、とはいえ、制度と流通というのは密接に関係していると思います。そんな中で、制度を今まで変えずに、ただ仕切価が上がっているとか下がっているというだけの議論をするというのは、非常にバランスに欠けているのではないかと考えております。新創品・特許品については、特許の期間中に開発費を回収して、次の投資に向けなければいけない。そのための仕切価を引いているわけでございます。ということになりますと、我々としましては、現行制度の中で精いっぱいやっていると私は個人的に思っております。
 もう一つ、制度のことで申し上げれば、特許を有する医薬品の薬価とか仕切価につきましては、日本市場の魅力とかドラッグ・ロス/ドラッグ・ラグの話、あるいは創薬力の強化というところにもつながってくると考えております。その中で、特許期間中における医薬品の薬価をシンプルに維持する制度が必要ではないか。それが前提でいろいろなことが議論されていかないと、いわゆる本音の議論という話にはなかなかなっていかないのではないかと考えているところでございます。
 私のほうは以上です。ありがとうございました。

○三村座長
 では、小山委員、どうぞ。

○小山委員
 森委員、すみません。加重平均で細かく見えていないということですけれども、どうするかというと、こういうのをカテゴリー別に分けたほうが見えてくるという意味でも取れるのですか。特許品とか、いろいろ言いましたけれども、そういう分類でこれを出してくるともう少し見えてくるというイメージに取ったのですけれども、それは違うのですか。

○三村座長
 はい。

○森(英)委員
 御指摘ありがとうございます。今、小山委員のほうから御指摘いただきました件につきましては、資料の4、5を御覧いただきますと、新創品・特許品でいわゆる仕切価を下げたもの、あるいは下げていないもの、上げたものの率が記載してございます。ここが今、御指摘いただいたものに近いのではないかと個人的には思っております。

○三村座長
 長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員
 今のお話で有識者検討会の議論でもありましたが、この10年、20年で、オーファンドラッグをはじめ、対象患者の非常に少ない薬で価値が高く価格の高いものが増えたことと、後発医薬品がこれだけ市場浸透したことで、製品構成が随分変わってきています。これからは再生医療医薬品、細胞医薬品等々が増えてきますので、ますます医薬品のモダリティが多様化してきて、今まで以上に一律の制度でということは難しくなってくると思います。
もう一つ、先ほど眞鍋委員から話がありましたとおり、競争あるなしということが結構はっきりしてきている。
以上を勘案しますと、小山先生がおっしゃるようなカテゴリーで分けるという考え方が非常に重要になってくるのではないかと思います。

○三村座長
 では、折本委員、どうぞ。

○折本委員
 卸連の折本です。
 今のお話で、卸連合会としていろいろ悩みながら今日を迎えて、1つの御提案という形でお話しをしたいと思います。資料1の18ページを御覧いただけますでしょうか。今回、除外という言葉を使うということは、総価を容認しているということなので、それはそれとして、除外すべきと考える医薬品ということでアンケートをしていただいた結果が出ました。2番目の安定確保医薬品(カテゴリーA)と最低薬価品、基礎的医薬品、不採算品再算定対象品ということがノミネートされましたので、民間の調査会社さんに至急お願いして、22年度データでどれぐらいあるのだろうかと、概略ですが、集計いただきましたら、7800億円という調査結果が出ました。
 当然、後発品も入ったり、基礎的が混じったりするので、それも急ぎ調整いただきましたら、重複しているものは1300億円あるということでございますので、これらの4つで約6500億円あるのではないかというのが出ました。
 昨今の安定供給・需給調整の問題からいくと、今の御議論、単品単価・総価という前に、これらの分類を何とかしないと、医療機関・保険薬局の皆さんにも大変な問題になるのではないか。今のところ、加重平均値でどうしても下がる仕組みに日本の薬価制度がなっているので、何とかこれを一定期間、薬価がとどまるような仕組み。基礎的医薬品というカテゴリーが該当するのかどうかも含めて議論を始めないと、まずいのではないかという危機感を感じております。
 もう一方、今回、オーファンドラッグという言い方でノミネートいただきまして、御承知ですが、代替薬がない、治療法がない、5万人未満のお薬ということで認定いただいて、今、550品目あるようでございますが、これらが22年度で、私もびっくりしたのですが、1兆6000億もある。ドラッグ・ラグの解消も随分進んだなという気がいたしました。すなわち、これらも含めて、薬価が落ちていいのか。一定期間、ある程度意味をなすような形でないと安定供給が伴わないのではないかという形で、これら2兆円ぐらいのものを何とか別途に議論を始める時期じゃないかなというのが、今のところ、卸連としては1つの提言として御検討いただきたいということであります。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。では、宮川委員、どうぞ。

○宮川委員
 従前より三村座長が、製品特性、カテゴリーに分けて議論しないと、これは無理だというお話がずっとあったのです。だから、そういうところをしっかりと分けて考えていくということが重要です。今、折本委員からありましたように、オーファンというのは私たちにとってはすごく大事な、誰もが守らなければいけないものです。次には、多くの人が守らなければいけないとか、そういうある程度の患者の立場というか、そういう治療の立場のほうから入ったカテゴリーというのをしっかりつくっていかないと、流通そのものに関して議論がしにくくなってきてしまいました。
 そういう中で、先ほど言ったような話が、一次売差マイナスのような話があって当然なのかどうか。ずっといろいろな話をしているわけだけれども、必要悪というのがあってもいいということも考えなければなりません。つまり、そういうものを守らなければ患者さんの生命、人間の安全保障が守れない。そういうところが私たちの考えの中で、守るべきは守るという考えの中で流通を話していかないといけない。だからこそ腹を割って話さないと、とんでもない、時間ばかりが過ぎてしまう。だから、座長が昔から言われているようなカテゴリー、特性に合わせた議論というのを厚労省がきちんと整理していただいて、この流通を話さないと駄目なのだということをみんなで決意しながら議論していく必要があります。
 今度からは、オーファンとか、そういうものは切り離してしまうと考える。だけれども、今、問題になっているような普通の流通の中で多くの患者さんが使うという中では、どうすればいいのか。大規模なチェーンドラッグストアとか、価格代行卸が跋扈(ばっこ)してしまうことによって、いろいろな流通の流れを阻害してしまいます。そうならば、それをどうやって整理していくのかという話になっていきます。だから、カテゴリーを分けないともう無理だろうと思います。

○三村座長
 眞鍋委員、どうぞ。

○眞鍋委員
 今の宮川先生の御意見も踏まえて、卸連としても意見を補足いたします。また資料2の15ページに戻るのですけれども、今のオーファンドラッグを含め、安定確保医薬品、基礎的医薬品、不採算品再算定医薬品までもが総価取引の中で価格の調整弁に使われてしまっているということは、大変に憂慮すべきことだと我々も考えていますので、今、宮川先生の御意見にありましたように、こういったカテゴリーのものは、できれば制度も別にしていただきたいですし、最低限、ガイドラインの中で総価取引とは別枠の切り離した交渉をすべきという指針をきちんと示していただくべきかなと思います。
 宮川先生おっしゃるように、そろそろカテゴリーに分けて、制度論も含めてお話いただかないと、一体、何十年、同じことをやっているのだとおっしゃられるのはそのとおりだと思いました。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。
 ちょっとよろしいでしょうか。今のお話については、これまでこの流改懇の場では制度そのものを扱わないという趣旨で来たのですけれども、実はそろそろそうではなくて、先ほどいろいろ御意見がございましたように、安定確保医薬品とか基礎的医薬品、あるいは欠品問題が生じている後発薬をどうするかという非常に重大な問題を考えていく上では、制度についても改善が必要だし、それに対する提案も必要であろうと。ただし、制度を議論する場と流通改善を議論する場は必ずしも一緒ではありませんが、流通側からも問題点を整理し、議論してもいいのではないか、検討してもいいのではないかということではないかと思います。
 例えば宮川先生、小山先生あるいは卸連のほうからもいろいろ御提案ありましたように、カテゴリーベースあるいは商品特性ベースで整理し、きちんとそれぞれに合う取引体系に変えていったほうが、はるかにすっきりするし、全体として供給安定につながるのではないかということでございました。この考え方は、実は今回の有識者検討会で随分出されてまいりましたので、まず、その検討会での議論を紹介していただいた上で、今の議論を重ねて続けていただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、議題2のほうに入ります。これは、今の皆様の議論と連動しているということなのですが、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告について事務局から説明をお願いいたします。

○信沢首席流通指導官・流通指導室長
 それでは、資料2「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 関係資料」について御説明します。
 まず、この有識者検討会の設置、検討経緯等についてですが、3ページを御覧ください。令和2年末に発覚しました後発医薬品企業の品質管理等の不祥事等から発生した、一連の医薬品の供給不安。それから、新薬の関係で言えば、日本で新薬が上市されない、新薬の開発がされないなどといったドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスが顕在化し、国民に必要な医薬品が届かないという保健衛生上の問題が生じています。
 こうした事象の背景には、日本の医薬品産業を取り巻く環境及び制度、これらを起因とする産業全体における課題が大きく影響しているものと考えられるため、令和4年9月、医療経済、薬価制度、流通実態及び産業構造等に詳しい学識経験者を構成員とした有識者検討会を設置し、これまで13回にわたり検討会を開催して、医薬品の安定的な供給と革新的新薬の日本への早期上市を図る観点から幅広い検討を行い、6月9日に検討会の報告書を取りまとめました。
 報告書全文については、本日の参考資料1として添付しております。また、厚労省のホームページに掲載しておりますので、医薬品関係者にとどまらず、多くの方々に御覧いただきたいと思っております。
 4ページ目、構成員の名簿。
 5ページ目に、これまでの検討経緯を掲載しております。
 報告書では、第1章に「医薬品産業を取り巻く現下の諸課題」として現状と課題を、第2章で「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた対策の方向性」について記載しております。内容につきましては、医薬品の安定供給として、後発品の産業構造の見直し、薬価基準制度、サプライチェーン、創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、そして流通関係となっておりまして、本日、資料としては配付できませんでしたが、それぞれ専門の会議体において詳細な議論を行っていくこととしております。
 流通に関しましては、この流改懇で議論を行っていくこととなります。
 6ページ、主な課題としまして、3つ。過度な薬価差の偏在、調整幅、総価取引が挙げられております。
 7ページですが、報告書の第1章から抜粋したものです。
 医薬分業の進展とともに、卸の売上げシェアは、医療機関から薬局へと移行し、医療機関における薬価差は減り、薬局の薬価差が増えています。一部の取引においては、総価取引による一括値引きなど、過去の商習慣に基づいた取引が行われています。
 また、近年では、チェーン薬局や価格交渉を代行する業者が大規模化し、価格交渉力を強めるとともに、全国の取引価格をデータ化しベンチマークを用いた価格交渉が行われ、一部の医療機関や薬局では薬価差を得ることを目的とした取引が増えた結果、過度な薬価差の偏在が生じていると記載されております。
 8ページ以降は、有識者検討会において既に公表された資料でございます。参考に添付しております。
 まず、8ページですが、こちらにつきましては、医薬分業率が黄色の線で示されておりまして、赤い部分が薬局との取引額の割合、緑の部分が医療機関との取引額の割合となっております。医薬分業の進展とともに、薬局との取引額の割合が多くなっているのが分かります。
 次、9ページですが、左側は薬局数の推移でございます。年々増加しております。
 右は、同一法人の薬局店舗数の割合ですが、赤枠で囲んだ20店舗以上の割合というのが年々増加していることが分かります。
 10ページですが、各年度の全販売先の乖離率を100とした場合の販売先別の乖離率を指数として表して推移を出したものです。2003年度には指数としては診療所が一番高かったのですが、近年では薬局の指数が上昇し、医療機関・診療所の指数は低下しています。
 11ページは、薬価差額についてです。全体の取引のうち、薬価と納入価の差額の全額を100とした場合の、それぞれの販売先別の薬価差額の割合を示しております。グレーの薬局の薬価差額の割合が大きくなっておりますが、これは施設数や取引高の違いがあることや、施設によっても差があるであろうことには留意する必要があります。
 12ページにつきましては、卸連に御協力いただきまして、先ほどの取引先をもう少し詳細に調査した結果となっております。
 左側の乖離指数は、乖離率が一番低かった200床未満の病院・診療所を100とした場合の、販売先別の乖離率を指数化したものです。グレーの20店舗以上の調剤チェーンが184、200床未満の病院・診療所の1.8倍の乖離率が発生しているということを示しております。
 右側は、全体の薬価差額を100とした場合の、それぞれの販売先の薬価差額の割合を示したものです。今回の調査では、ここまでが限界でございましたが、今後に向けては、さらに詳細な調査等が必要ということで、有識者検討会の報告書に記載されております。
 13ページは、2つ目の課題でございます調整幅についてです。こちらも報告書からの抜粋となっております。
 調整幅につきましては、これまでも「薬剤流通安定のため」に必要なものとされてきましたが、その根拠については明示されていません。今回、報告書では、価格のばらつきを吸収しているものと考えられるとしております。しかし、調整幅が導入されてから20年以上が経過しており、その間、医薬品のカテゴリーにも相当の変化があったことを踏まえると、一律2%とされる調整幅は実態と整合性が取れなくなってきているのではないかと指摘されております。
 14ページは、第3回の有識者検討会に提出した資料です。
 右下のグラフは、卸連に御協力いただきまして調査した、都道府県別の売上高に占める販売管理費の比率です。このグラフでは、全国平均が一番右の赤い棒グラフ、3.8%に対して、東京、神奈川、埼玉、愛知などの大都市では低く、離島や山間部が多い県では高くなっているという1つの傾向が示されております。ただし、全国にあるグループ店舗等の医薬品購入を全部一括で契約するような場合等について、配送効率の地域差によるばらつきがどのように考慮されているのか、されていないのかといった問題もございます。
 15ページは、3つ目の課題でございまして、総価取引についてです。こちらも報告書からの抜粋となっております。先ほどもお話がございました新薬、長期収載品、後発品など、製品の特性によって乖離率に差が出ていること。長期収載品や後発品においては、医薬品の品目数が極めて多いことから、個別の品目について価格を交渉することが実務的な負担につながるため、前回改定時の値引き率をベースに総額での一律値下げを求める総価取引が行われることが多くなっていること。
 そして、このような取引では、競合する品目が少ない新薬の価格は比較的維持されているものの、長期収載品や後発品は、医療上の必要性に関わりなく、総価値引きの目標金額の調整に使用されている傾向があり、薬価の下落幅が大きくなっていること。
 その中には、安定確保医薬品の中でも、薬価調査のたびに高い乖離率を示している品目があるということ。価格交渉における負担について考えると、令和3年度から実施された毎年薬価改定により、薬価改定頻度が増加したことから、流通関係者において価格交渉の機会が増え、負担が増加しているといったことを記載させていただいております。
 16ページからは、参考資料です。こちらは、医薬品の全カテゴリーの合計乖離率を100とした場合の販売先別・カテゴリー別の乖離指数の推移でございます。どの販売先においても、グレーの後発品の乖離指数が高いことを示しております。また、だいだい色の長期収載品においては、乖離指数が年々上昇傾向にあることが示されております。
 17ページ、資料1にもございましたが、価格交渉の状況でございます。この資料は、先ほどの資料の1年前の資料となっております。
 18ページにつきましては、最低薬価の乖離率です。こちらは、薬価調査の結果ですので、乖離率で示しています。表は、最低薬価の中の安定確保医薬品においても大きな乖離率が出ていることを示しております。
 19ページは、安定確保医薬品についてですが、内用薬の乖離率が大きくなっています。恐らく、これも医薬品の価値を考慮しない総価取引による影響が出ているものと考えられます。
 21ページに飛んでいただきますが、有識者検討会報告書の第2章としまして、これまでの現状と課題を受けて、今後、どのような方向性で検討・対応していくかということをまとめております。こちらも報告書の抜粋です。
 過度な薬価差の偏在、総価取引について、まず、流通関係者全員が、流通改善ガイドラインを遵守し、医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差、薬価差の偏在の是正を図り、適切な流通取引が行われる環境を整備していくべきとしています。その際は、医薬品の特性により、取引体系の違いがあることを考慮する必要があるとしております。
 総価取引を改善するための措置としましては、医療上必要性の高い医薬品については、安定供給に支障を生じさせるおそれがあるため、従来の取引とは別枠とするなど、流改懇で検討の上、流通改善ガイドラインを改訂して対処していくことが必要であるとしております。
 また、購入主体別やカテゴリー別に大きく異なる取引価格の状況や、過度な値引き要求等の詳細を調査した上で、海外でクローバックや公定マージンが導入されていることも踏まえ、流通の改善など、過度な薬価差の偏在の是正に向けた方策を検討すべきであるとしております。
 調整幅につきましても、種々の状況を調査し、どのような対応がとり得るかを検討すべきとしております。
 報告書の内容については以上でございます。
 23ページを御覧ください。
 本日は、こうした報告書の内容を踏まえまして、医薬品の流通取引の改善に向けた今後の論点、論点の議論に必要な追加資料につきまして、先生方に御意見、御提案をいただきまして、次回以降、事務局でそれらを整理した上で論点とスケジュールをお示しし、検討してまいりたいと考えております。
 資料の説明は以上になります。

○三村座長
 ありがとうございました。それでは、引き続き御意見をお願いいたします。はい。

○小山委員
 資料、ありがとうございます。
 これを見て考えなければいけないのは、8ページ目を見ますと、処方を出しているのは医者なんだけれども、使って患者さんに実際にというのは、半分以上が薬局だということが分かりました。さらに、10ページ目を見ていただきますと、その乖離率というところで調剤薬局のほうが大きいのだと。さらに、12ページを見ると、20店舗以上の調剤薬局の値下げ率というのですか、値引き率というのですか、非常に大きいということを意味しているのだと思うのですけれども、それは当然だと思うのです。1000錠買うのと10万錠買うのでは、値段は当然違うのだけれども、そこに一切メスを入れないで、この話が進んできていますね。そこにそろそろメスを入れないといけない時期に来ているのではないかと思うのです。
 どういう形があるか、いろいろ考えているのですけれども、経済学は全く素人ですので分かりませんけれども、ある意味、メガ調剤薬局の値引き交渉が全体を大きく変えてしまっていることがあるので、そこに何しろメスを入れないと、この問題。調整幅もそうですね。今まで調整幅でよかったのですけれども、そういう形のところが出てきてしまうと、さらに意味合いが違ってくるということで、ここも根本的にぜひ目を当てて、どうするのか。それをよしとすると、いわゆるボランタリーチェーンと言われている地域の薬局を10店舗、20店舗集めると大きくなって、それでまた価格交渉する。ますます病院は置いてけぼりにされているような感じになってしまって、非常に危機感を持っておりますので、ここをぜひ事務局としても方向性を定めていただきたいと思います。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。それでは、薬剤師会の森委員。

○森(昌)委員
 ありがとうございます。
 今、薬価差について話がありましたので、日薬の考え方を改めて御説明させていただきたいと思います。これまでも日本薬剤師会としては「薬価差は追求しない」「過度な薬価差は求めない」という方針で来ましたし、その方針は現在も変わっておりません。薬価差は何のためにあるのかというと、医薬品の備蓄・管理コストと廃棄・損耗コストと捉えています。
 ただ、中小の薬局に関しては、今、小山委員が言われたように、バイイングパワー等がなく、正直価格交渉ができない中で価格が決まっています。近年、価格交渉力が強いところの影響で、年々、より厳しい購入価となっています。そのため、薬価差で管理コスト等を賄えていないのが現状です。「過度な薬価差」「薬価差の偏在」が問題であり、中小の薬局に影響が及ばないように対応をお願いしたいと思っています。
 それから、「調整幅がなぜ必要か」という指摘が有識者会議の中でもあったと思うのですけれども、2%に設定されたときと比べて高額な薬剤が多くなってきたり、厳格な冷所保存品の増加であったり、備蓄品目数、備蓄数量・金額が増して管理コストが非常に大きくなっています。
 また現在、安定供給にも大きく支障を来している中で、調整幅は必要であり、見直すのであれば、現在のサプライチェーンの状況を踏まえて、さらなる配慮が必要なのではないかと思います。
 また、調整幅の変更の仕方次第では、薬価差のない中小の薬局が一番大きな影響を受けることになるので、そこは極めて慎重に議論していっていただきたいと思っています。
 以上です。

○三村座長
 分かりました。それでは、製薬協の森委員。

○森(英)委員
 発言の機会をありがとうございます。製薬協の森でございます。
 我々は、医療機関と価格交渉を行うことは許されていないということなのですけれども、妥結した価格が次回の薬価に反映されるという点で非常に強い関心を持っております。その中で、過大な薬価差及び偏在によりまして、製品の価値が本当に正しく次の薬価に反映されるのだろうかという懸念を抱いております。
 あと、もう2つほどですけれども、これは事務局の方にお聞きしたいのですけれども、目指すべき単品単価交渉の方向に向かっていく中で、ベンチマークを用いた単品単価交渉というのが、果たして本当に当局が目指す単品単価交渉になっているのかというところが1つ。
 もう一つは、14ページの右側のグラフにもありますけれども、都道府県別の販売管理費がここには記載されているわけでございますけれども、加えまして山間部とか島しょ地域等での流通コストあるいは卸の販売管理費のことを考えて、全国一律を前提とした価格交渉というのが、このガイドラインの考え方からすれば、我々としてはちょっと違和感があるところでございます。
 あと、調整幅につきましては、全体的には中医協でも議論されるところだと思いますので、中医協の議論とこの流改懇の議論を整理していただけると、議論がしやすいかなと考えています。
 もう一点、ここに記載されている希少医薬品、オーファンとかは、患者さんが限定されているということで、配置のばらつきが少ないと記載されてございますけれども、これにつきましては、こういうところも調査していきながら、この議論を進めていくと私は理解しているのですが、それでよろしいかというところで、この辺をお聞きしたいなと思っています。

○三村座長
 もう一人。宮内委員。

○宮内委員
 薬価の形成とはあまり関係ない歯科の立場から述べさせていただきますと、20店舗以上の保険薬局チェーンの値引きが非常に大きい。三村先生も思い出してもらうと、十数年前に未妥結減算を導入するときに一番抵抗したのが法人薬局チェーンの会長さんだったと記憶しております。また、10年くらい前か、過剰値引き交渉人のベンチマーク導入にも、医師会の先生からどういうものが過剰値引きだと言われたときに、私ども歯科界ではおりませんけれども価格交渉して下げた分の何割かを成功報酬として取るという業者がいるのですよと言ったら、そんなのがいるのかいと言われましたけれども、友人の薬剤師に聞くと、その声がリアルに入ってきましたので、そういうものに介在されると非常にまずいというのが、今になってベンチマークを用いた価格交渉代理人の存在が顕著に数字に出てきてしまいました。
 こういう面にも、この流改懇の英知を集めて、前回は1社流通の問題にメスを入れてもらいたいとお願いしましたが、この2つの問題に、ぜひ皆さんの英知を集めて対応してもらいたいなと。小山先生は昔から本当に尊敬して、宮川先生には税制の面までいろいろ教えてもらっている立場でございますが、適正な医療制度の確保のために皆さんもどうぞよろしく御配慮をお願いいたします。

○三村座長
 それでは、事務局から。

○信沢首席流通指導官・流通指導室長
 まず、小山先生からお話のあった、メガ薬局というお話でしたけれども、今回、我々のほうで調査できたのはこれが限界でした。今後、薬価差の偏在とか過度な薬価差というものを調査していく上では、もう少し踏み込んだ詳細な調査が必要だと考えておりますので、今後も我々のほうで調査していく予定でございます。その際には、関係団体の皆様方にも調査の御協力等、お願いすることもございますので、何とぞよろしくお願いしたいと考えております。
 それから、製薬協の森委員のほうからお話があった、目指すべき単品単価の中でベンチマークが使用されていることはいかがなものかということですが、実際、価格交渉なりをする場合には、必ず前例とか、全国で今、どういう取引がされているのかとか、ある程度の指標がなければ、皆さん、多分取引ができないのではないかと考えております。価格交渉代行とか医療コンサルといった方々の中には、価格交渉だけを行っているというわけではなくて、医療機関や薬局の経営効率化の支援とか販売促進、人材育成等を行う中で価格交渉を行っている場合もあるということなので、私どもとしては、これを一概に問題であるとは言えないという状況でございます。
 ただし、共同購入の仕組みを利用することについて、医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を行っている場合には、これはガイドラインに抵触することもありますので、我々としても必要に応じてガイドラインを遵守するように指導していきたいと考えております。
 ここで言う過度な薬価差という「過度」につきましても、今後、詳細な調査を行った上で決めていくものかと思っておりまして、今、我々のほうでも、過度とはどういったものかと言われても、まだお答えできる状況にはございません。
 以上でよろしかったでしょうか。

○三村座長
 それでは、一応、ここまでということで。
 原委員、どうぞ。

○原委員
 保険薬局協会の原でございます。メガチェーンが結構多い団体でございますので、今の中のお話しをさせていただきます。
 まず最初に、今、聞いていると、問題になっているのは総価取引であったり、あるいはベンチマークであったり、ガイドラインに書いてあることが徹底されていないということからいろいろなことが起きていると。「過度」については、過度な薬価差とは何だろうというのが我々の中にもあるのですけれども、乖離の大きいものを毎年改定で落とすときに、平均乖離より小さくても落とされることがあるので、過度といってとんでもないところに落ち着くのも怖いなと思いながら聞いていました。
 大事なことは、まずガイドラインをちゃんと遵守しなさいということで、ガイドラインを遵守しなかったところは、一体どうなっているのかということを考えなければいけないですし、実際、乖離の大きいところは、ガイドラインを守っていて、そうなっているのか、ガイドラインを守らずにそうなっているのか。ガイドラインを守っていて、そうなった場合はガイドライン自体の問題なのですけれども、ガイドラインを守らずに過度と言われるような大きな薬価差が偏在しているのが見受けられた場合には、ガイドラインを守らせることが基本、重要じゃないのかなと思います。
 資料1の15ページ、16ページに赤枠で囲ってあるところがありますけれども、ここがいわゆる総価取引ということであって、これはどこの病院や薬局のカテゴリーでもそれぞれ一定数あるわけですから、これを全て何とかガイドラインどおりやらせなければいけないでしょうし、ボランタリーが問題と言うのなら、ここにそういう業者がどれぐらい扱っているかという割合があるので、この表の中にいろいろなものが凝縮されているのではないかなと思っております。
 また、先ほど第2部でということでペンディングになっているカテゴリーについてですが、もともとカテゴリーに抵抗があったのは、新創品をひとつのカテゴリーとした場合、そこにカテゴリー総価が起きるのはいかがなものかということが過去に話題に上がったはずです。カテゴリーの中でも商品価値が違うのではないか。カテゴリー総価をしてしまうと、新創品が次の改定のときに全部平均乖離以下になって持ち越されるということで、その辺が問題になったのですけれども、ここでカテゴリーにするのであれば、もう一度カテゴリーの中で、カテゴリー総価でいいのかどうか、それともカテゴリーの中である程度のレンジの中で考えるべきなのか考える必要があると思います。
 例えば先ほど話がありましたけれども、基礎的医薬品でありながら麻薬であるものとか両カテゴリーに入るものとか。あるいは、ジェネリックの場合同じ成分で、この会社さんは入っているけれども、この会社は入っていないのではないかとか、いろいろなことが起き得ますので、それについてもどのように捉えるべきなのかということを考えた上で、ガイドラインで指標として書いていって、みんなでガイドラインを守るようにする。ガイドラインを守らないと、未妥結減算的なペナルティを入れるのもいいのか悪いのか。
 先ほど未妥結減算について話がありましたけれども、片方だけにペナルティがあるというのはいかがなものかなと思って見ていますけれども、ちゃんとガイドラインを守らなければこうなるぞという、何かペナルティを課すべきなのか、それともちゃんとやっているところにはインセンティブを与えるべきなのか、以前、松谷高顕元構成員がこのようなことを発言していましたけれども、何かやり方を考えないと多分、堂々巡りになるのではないかと思っておりますので、そういうところも協議すべきじゃないか、そういう観点で考えるべきじゃないかと思っております。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。それでは、岩下委員。

○岩下委員
 ありがとうございます。製薬協の岩下です。
 2点ございまして、1点目は、21ページで先ほど御説明いただいた有識者検討会の報告書に関して、上のほうの囲みの3点目ですけれども、ここに明示的に、太字ではないものの、クローバックや公定マージンという制度が記載されていることを踏まえて、制度そのものの議論は別の場面が妥当なのかもしれませんが、流改懇では医薬品流通の観点から、これらの制度についてどう考えるかを議論していってはいかがかなと思うのが1点です。
 それから、もう一つは、先ほどございましたカテゴライズの話と、それから、21ページのもう一つ上の項目に総価取引についても記載がございますが、銘柄別に償還価格が決まっていることから、むしろ本音ベースで全製品がそれぞれ交渉されるのが理想であろうと思います。ただ、それでは現実的ではないという先ほどからの話もそのとおりかなと思いますので、カテゴライズすることについては、それはやむを得ないのかなと。議論を先に進めるという意味では、それはそれでいいのかなと思います。ただ、その両面で考えると、カテゴライズしたときに、単品単価の取引あるいは新制度の対象があまりに限定的だと、それはそれで意味がないのかなと考えている次第です。
 以上です。

○三村座長
 では、森委員、どうぞ。

○森(昌)委員
 ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。
 医薬品のカテゴリー別に様々なことを集計・検討していく必要性に関しましては、私もそのとおりだと思っております。
 もう一点、そのような視点で言えば、資料2の12ページの販売先別の乖離率の比較に関して、これまで長年にわたり、例えば薬局であれば20店舗未満、それから20店舗以上という分類をしてきています。多分分類を始めた頃は、20店舗は「物すごく大きいな」という感覚であり、私としては今も大きいと感じますけれども、20店舗どころではないところも出てきておりますので、果たしてこの分類でよいのか、もう少し細かく分類して見ていかないと分からない部分があるのではないか。これは医療機関も同様で、今の4区分ではちょっとどうなのかなという感じがします。
 それから、総価取引に関し、資料1の15ページをご覧いただければと思います。表の一番右側を見ますと現在、軒数ベースで76%の医療機関・薬局が単品単価取引をしており、卸のほうからは「大変だ」という声もあったのですけれども、「多くのところが単品単価でやっている」と思います。先ほど卸の方から、「価格の調整弁に使われてしまっている」というご発言がありましたけれども、そこは卸としてぜひ「使わないように」していただきたいと思います。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。
 では。

○眞鍋委員
 先ほど原委員のほうから、ガイドラインそのものにきちんと明示すべき事柄があって、その上でガイドラインを守らないということは、それ自体が非常に好ましくないということから、今、森先生がおっしゃったように、これらの調整弁に使ってはいけないような種類の医薬品に関しては、ガイドラインで明示して、これを流通当事者全員で遵守していかなければいけないだろうと思います。
 2点目で、先ほど岩下委員のほうからございました、21ページのクローバックや公定マージンが海外で導入されているということで、これも検討すべきじゃないか。おっしゃるとおりだと思いますので、海外の薬価基準制度がどのような制度になっていて、薬剤費の給付や保険償還のあり方も国ごとでも違いますので、その中でどういったものが日本の薬価基準制度にふさわしいのかということを詳細に調査していただければと思います。
 以上です。

○三村座長
 貞弘委員。

○貞弘委員
 全自協の貞弘です。初めて質問させていただきます。少し別の観点から提議させていただきたいと思います。
 10ページの資料、本当に貴重な資料だと思います。病院側とすれば、別の観点の問題は薬剤師の偏在の問題があります。病院薬剤師の新規採用者の確保に難渋している一方で、大手調剤に新卒者がどんどん吸収されているという問題がありまして、それの理由を分析すると初任給が物すごく違います。恐らく倍以上、違います。その初任給の原資の違いがどこかなということは、まだ分析されていないですが、今日、御指摘いただきました乖離率のこれだけの差というのも1つ関係があるのかなと思っています。これが大手薬局チェーンにどのぐらいの収益に繋がっているかどうかというのはこの資料では分かりませんけれども、多額の薬剤師初任給の原資となっていることは推測できます。今、病院はかなり厳格に単品単価もやっていますし、当然、薬価差の利鞘はどんどん少なくなって、経営上、非常に厳しい状況になっています。
 薬剤師の確保については、今、医療介護総合確保基金というのをお願いしまして、薬剤師の採用に当たっては奨学金支払いを支援するとか、薬剤師への特別手当てをなど懸命に努力していますが、根本的にこのような大手調剤薬局の利鞘が大きいかどうか、これだけでは分かりませんけれども、乖離率が大きい仕組みを残しておいては、大手調剤薬局側に薬剤師がどんどん流れているということを、とても防ぎ切れない根本的な状況が、ここに少し関係するのかなということを痛感いたしました。
 ですので、そういう意味でも、先ほど言いましたガイドラインをきちんと守っていただきたいということだけでなくて、乖離率に差があることが原資となる仕組みが、薬剤師の偏在の問題と直結するのではないかということを痛感いたしましたので、御意見させていただきました。

○三村座長
 ありがとうございました。 はい。

○森(昌)委員
 少々関連で誤解がないように、薬剤師の従事先の偏在というのは確かに存在し、とりわけ病院薬剤師の確保は喫緊の課題だと考えております。ただ、薬局の中でも従事先の偏在というものと、薬剤師全体での地域偏在という問題があり、それを解決するために医療計画に位置づけ、地域医療介護総合確保基金の活用も含めて取り組んでいきたいと考えております。
 また、薬剤師の初任給に関してですが、言われているように確かに大きく差があるところはあるのですけれども、実は生涯年収を比べてみると、病院薬剤師と薬局薬剤師に大きな差異はありません。薬局勤務薬剤師も、中医協の調査が出ましたけれども、確か平均年収は法人、個人平均して約420万円ですので、そこも「偏在」があるということだけご理解いただければと思います。
 以上です。

○小山委員
 いいですか。ここで議論になってしまうと大変になってしまうのだけれども、初任給でこんなに差があるものだから、10年か15年たつと、確かにおっしゃるとおりなのです。初任給でなぜ利くかというと、奨学金を抱えているのです。奨学金を返すためには、この金がないと返せないのです。ということで病院に来ないということで、ぜひ御理解のほどを。

○三村座長
 別の場所で御議論いただいてもいいのでは。

○貞弘委員
 薬剤師教育は6年になって、私立が多いのです。非常に学費が高くて、卒業後は、早く償還したいという心が働く様です。初任給というのは物すごく大きなアピールなのです。そういうことで発言させていただきました。

○三村座長
 ありがとうございます。
 ジェネリック関係で何かありますか。

○中沢委員
 特に今のところはございません。

○長嶋委員
 ジェネリック協会ですが、最近、2年に1回の薬価改正から1年に1回ということで、ジェネリック、全国の販社協会の会員の休・廃が多くありまして、いろいろなものが値上がりしていまして、物によっては配送が早めに届けなければならない仕事なものですから、赤字が出てしまう部分が少し出てきておりまして、その辺、何かいい案がありましたら教えていただきたいなと思っております。よろしくお願いします。

○三村座長
 では、原委員、どうぞ。

○原委員
 ジェネリックは本当に我々薬局はお世話になっていまして、大手が安く買うからおかしいのだと言われても実際に医薬品が入手できずに困っており、今年に入って顕著なのは、メーカーさんと卸さんの関係であまりうまくいっていないのか、卸さんから、ここのメーカーとここのメーカーは納入をやめたいのですという話を聞くことがあります。それに対して、替わりにどこのメーカーを使ったらいいですかと聞いたときに、代替メーカーは特にないと言われる、替わりを見つけることが大変な状況が現場で起きている。そこで使わざるを得ないということで使っていると、納入価格の提示価格を見ると薬価以上の価格という、とんでもない逆ざやになっている。
 過度な値引きと言われるが、過度な値増しみたいなことが起きているのが現状で、できればそういうものも踏まえて流通をちゃんと見える化してほしいなというのが、我々大手であっても思っていますし、また、6月の今になって、これとこれはやめたいのですと卸に言われて、価格は遡ってこの逆ザヤ価格でと言われても、ちょっと困るなという状況が起きています。これは安定確保のほうの検討会でも話をしていて、今後、市場の見える化をしていこうという話もありますので、ぜひ流改懇のほうでも、流通ですから、そういうところについても感度を上げてやっていただければと思っております。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。どうぞ。

○中沢委員
 分かりました。私どもでもできるだけのことはしているつもりなのですけれども、それが末端までなかなか伝わっていないというのが現状かと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

○三村座長
 では、折本委員。

○折本委員
 ジェネリックメーカーさんの卸の傾向は、今、原委員の御指摘のとおり、少し顕在化してきたなと思います。ただ、今年の中間年改定で、ほとんどのジェネリックメーカーさんの最低価格が大幅に上がったというのは、我々もかなり厳しい状況になっています。逆ざやになっているというのは、現場まで私、よく分かりませんけれども、そういう状況の中で、たしか20円未満が数量ベース、80%目標で7割あるということですから、有識者会議でも議論になったカプセルと錠剤の最低薬価5円40銭と局方品が10円10銭ですが、それのエビデンスがたしか議論されないままに終了されたというのは、再検討願いたいと思います。
 最低薬価というのは、どこでどう決まったのかというのがちょっと分からないままにここに至りまして、今、諸経費が上がったとか、今回の1100品目値上げしていただいたというのがあるのですが、先ほど私どもが御提案申し上げた、それらを別にしないと無理だというところは、その辺にもあって、流改懇で中間年反対という意見具申はないはずなのですけれども、どうやらそこにジェネリックも含めて行き着くのが大変厳しい状況の中で、そういう値上がりが生じている。これは本当に大きな問題ではないかなという気がいたしております。
 以上です。

○三村座長
 よろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ、中沢委員。

○中沢委員
 ジェネリックの仕切価がかなり上がったというのはたしかだと思います。原材料費の高騰等、その辺のところが非常に大きい。安いものですから、ちょっと上がってもすごく大きくなってくるのだと思います。その辺のところは、申し訳ございませんけれども、ちょっと御理解いただきたいなというのがございます。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。
 オンラインで御参加の関委員、小野寺委員、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。

○森(英)委員
 すみません、製薬協の森でございます。
 ちょっと話が元に戻って大変申し訳ないのですけれども、私、御質問させていただいて、事務局のほうからお話いただいたのですけれども、ちょっと気になることが、ベンチマークのことについて、一部容認するようにも聞こえたものですから、ここも併せて議論させていただきたいなというところと。
 あと、コンサルということにつきましても、我々が知らないこともたくさんあると思いますので、その辺のところにつきましては、価格代行業者あるいはコンサルタントの会社も含めて、いろいろな形のことをこの中で調査しながら、議論を前に進めていければなと思っています。想像とか、そういうもので議論できないと思いますので、事実に基づいて、調査結果を基に、調査報告も含めてですけれども、いろいろな議論がそこでなされていくべきであると我々は考えています。ありがとうございました。

○三村座長
 では、小山委員、どうぞ。

○小山委員
 まさにそのとおりで、先ほど原委員はそんなことないと言われましたけれども、僕は調剤薬局のあの値引き率を見ると、あれがいいのだと許可されているわけです。ガイドラインに全然抵触しないわけです。そうすれば、小さな薬局、全部集まってでかくして価格交渉するという形で、また違ってしまうので、もう予断を許せない状況まで来ているので、先ほどのいろいろな海外の取組の話も出ておりましたけれども、そこを考慮しながら早急にやらないと、どんどん薬価がおかしくなってしまうような気がするので、漸次前に進みますじゃなくて、ぜひ一歩でも前に進んでいただきたいということで、よろしくお願いします。
 以上です。

○三村座長
 関委員、どうぞ。

○関委員
 もうちょっと前に発言すればよかったのですが、調剤薬局の薬剤師、新卒をたくさん入れるというのは、一種の青田刈りじゃないかと思います。それが現実で、病院薬剤師を募集してもなかなか来ないということで非常に苦労しています。そのことと調剤薬局の薬価の在り方と関係があるのかどうなのか。薬価差があって資金も潤沢になれば、当然、給与も上げることができるわけで、その辺の構造は現実にあると思うのです。問題意識を常に持っていないといけないかなと思います。愚痴っぽい話になったわけですが、そういう現実も認識していただきたいと思います。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。
 宮川委員、どうぞ。

○宮川委員
 今、お話があったことは、薬剤師の資質向上の検討会でしっかりと検討しておりますし、私もそこに出ていますので、しっかり結論を出していきたいと思います。諸問題はよく分かっております。
 それとは別に、それが原資になっているということはたしかだと思います。それは事実だと私も思っています。
 それは置いておいて、今、(日薬の)森委員、小山委員からあったように、私はすごく賛同します。バイイングパワーの問題というのは非常に大きな問題で、それが薬価のところに大きく響いていることは事実なので、そこをしっかり見ていかなければいけない。先ほど厚労省のほうからお話があったように、コンサルの会社は本来の業務だけやっていればいいわけですけれども、余計なところに手を出して、それが価格代行業をやっている。本業をちゃんとやっているからいいじゃないかといっても、そうじゃないわけですよ。価格代行をやっていることが、ボランタリーチェーンをやっていることが、小さなところに大きなパワーを生んでしまう。それが今、こういう大きな問題を起こしているという事実が存在するのだということを私たちは認識しなければならない。
 それが価格の不透明さになっている。これを透明化しなければいけないとすれば、そこに数だけではなくて総量も含めて、掛け算になるわけですね。その辺が問題だろうと私たちは理解して対策を練らなければいけないので、あまり時間的な余裕はないのだと考えないといけません。厚労省はある程度調査をしていて、いろいろなことをおっしゃるけれども、壊れ始めたら加速度的に動きますから、早急にある程度の方策は立てていただきたいと思っています。

○三村座長
 では、眞鍋委員。

○眞鍋委員
 宮川先生のお話のとおりだと思っていまして、先ほど岩下委員のほうから、諸外国で導入されているクローバックや公定マージンといったものも検討すべきであると。私も本当にそう思っているのは、では諸外国ではどのような保険で償還しているのか。もしくは、イギリスのように税で償還しているのかということ。市場実勢価を調査して、毎年のようにそれに保険償還価格を合わせていくということが、本当にG7のような先進諸外国で行われているのかどうか。その背景の中で、公定マージンやクローバックというものがどういった位置づけになっているのか。
 これはいよいよ制度に踏み込むというところであれば、我々、流通のほうでもきちんと整理しておかなければ、何だかよく分からないクローバック、何だかよく分からない公定マージンという言葉が一人歩きすることはないように、事務局と私ども団体ともきちんと連携しながら、お話が見えるようにしていきたいと思います。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。原委員、どうぞ。

○原委員
 メガ薬局が薬価差を取っていないとは私、申しておりません。その傾向が出ているということは、その可能性は高いと思っていますが、その中身について、どのような取り方をしているのだろうというのが非常に問題で、ガイドラインを守らないでがんがんやっているのか、それともガイドラインを守っていてもそうなるのかが、非常に大きな問題で、そこの違いは非常に大きいのだろうなと思っているということを先ほど申しました。
 今、クローバックの話になりましたけれども、薬局の世界では、300店舗以上とか、ある枚数以上の薬局のチェーンに関しては、基本料を下げるということが行われています。経済実態調査によって、薬局さん、もうかっているなら、そんなに基本料、要らないでしょうということで下げられているのでしょうが、これはクローバックになるのかなと。実際の利益の源泉が薬価差益であるのであればそうでしょうし、あるいは効率化によって行われているのかもしれませんが、今、この資料を見ていると、薬価差が大きいからそういうことになっているだろうなということが類推されるわけで、ここについてももう少し掘らなければいけないのかもしれません。
 そうなると、安く買ってしまい薬価を下げているというものをクローバックしているので、そのお金が全部どこに行っているのか分からないのではなくて、これはメーカーさん・薬価に返さなければいけない話ではないか。それがクローバック上、考えなければいけないことなのかなと思っています。
 鶏か卵か分かりませんけれども、薬価差が経営原資になっていることが非常に問題だということであれば、過度に経営原資を取っているということであれば問題になるでしょうし、これが全く取り上げられてしまうと、今度は経営ができなくなる可能性もありますので、薬価だけじゃなくて、病院さんですと診療報酬でありますでしょうし、薬局では調剤報酬でありますでしょうし、全体のバランスの中でも考える必要があるのではないかと思っておりますので、御意見を申し上げました。
 以上です。

○三村座長
 では、小山委員、どうぞ。

○小山委員
 そのバランスが崩れているから問題だと言っているのです。違いますか。だって、病院の収益率は今、2~3%ですよ。調剤薬局、どうですか。我々の給料は下がるばかりです。だから、そのくらい差が出てしまっているという根幹のところ。僕は素人だからよく分からないのですけれども、先ほど話が出たように、1000錠買うのと10万錠買うんだったら値段が違うのは当たり前なのです。ガイドラインは絶対守っているはずです。守っていないとは全然思っていないですよ。
 でも、普通の商取引を考えたら、当然、10万錠買ったほうが安いに決まっている。そこですごく収益が上がっているねと思っているのです。それがもし違うのだったら違うと教えていただきたいし、いや、そんなことないというのだったら、お示しいただけたらと思います。すみません、決してけんかは売っていませんから。

○三村座長
 すみません、なるべく根拠のある討論をお願いします。

○原委員
 根拠はなかなか難しいのですけれども、ちょっと前までは流改懇でも経済合理性に基づく交渉ということがあったので、その経済合理性とは何だろう。卸さんも、100錠持っていくのと10万錠持っていくのと、1回で10万錠はなかなか運べないかもしれませんけれど、コスト的にどうなのだろう。コストの問題になってくる。そうなってくると、コストとは何だろうというと、流通のコストであったり、あるいは発注の仕方によっても全然違ったり。電話で発注されたら卸さんも大変ですし、ちゃんとオンラインでつないでやるとか、あるいはなるべく急配しないとか、いろいろなことがあって起きていると思うのです。
 ただ、それをどうしたらいいのかというのが非常に問題で、ただ過度だと言われても非常に難しい。では、線を引いてしまって本当にいいのだろうかというところもあるのですけれども、行儀の悪いところは見直さなければいけないと私は思っておりますし、そのようにやっていこうと思っています。そういう面では、卸さんから見ると病院さんもという声をよくお聞きしますので、卸さんは多分、病院さんには薬局と言って、我々には病院さんと言うかもしれませんけれども、それは分かりませんけれどもね。
 根拠を持ってと言われると、流改懇に出ている資料に関しても片方から聞いているだけで、我々、薬局の薬剤師としても科学者として、n数も分からなければ、シェアも分からなくて、どのような調査をしたか分からない資料の傾向で話しているのには抵抗があるので、今、ここで根拠があるかと言われても非常に厳しい。首席のほうから先ほどあったように、こちらから調べていくということなので、それを期待して、またそのときに対応しようと思っています。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。
 この議論はなかなか収まりがつかないところがありますので、最後にしたいのですが。

○宮川委員
 厚労省にお願いしたいのは、先ほど(日薬の)森委員がお話しになったように、資料を出すのであれば、どのくらいの規模の病院、医療か、それから薬局もどのくらい、もう少し分けてやっていただきたいと思います。病院もいろいろな地方自治体もありますし、大きなチェーンでやっているところもあるので、その辺の規模感をちゃんと出していただかないと、今、三村座長が言ったように根拠のある議論にならないと思うので、今後、それを出すことができるのであれば、ぜひやっていただきたいと思います。

○三村座長
 ありがとうございました。森委員、どうぞ。

○森(昌)委員
 少々違う視点で、クローバックと公定マージンの話なのですけれども、私としましては、諸外国のものを見ながら、日本でどのようなものが導入できるのかという検討だと捉えています。クローバックにしても、例えばイギリスは、仮に卸から薬局に入るのが薬価の75%としますと、25%が薬局の報酬となっています。あくまでも国で決めた、その25%を超えた分を薬局が得ているときに、「超えた分を返す」という仕組みです。
 個人的にクローバックのようなものが日本でも導入されていると思うのは、中間年改定だと思います。過度な薬価差に関しては、それを下げるということなので、ある意味で既に導入されているのかなと私は感じています。それが1点目です。
 あと、保険制度ですと、イギリスの場合はいわゆる箱出し調剤ということで、30錠、60錠、100錠という包装単位で交付していますので、流通上の問題と薬局でのロスの問題がかなり異なり、薬局に在庫があっても薬価を下げるのが容易です。ただ、日薬の調査では、毎年の薬価改定で1回に50万円ほど薬局の備蓄品目の価値が下がっているということもありますので、そのような点も見ながら慎重に議論しなければいけないのではないかと思います。
 関連で1点だけお願いです。これは薬価差にも関係することなのですけれども、現在、抗がん剤をはじめ、高額な医薬品が上市されてきました。一般的にがんの治療はガイドラインに従って行われます。例えば、1回に2週間分、28錠投与されるのですけれども、実は包装が30錠となっており、1回の処方・調剤毎に2錠ずつ余っていくことになります。この2錠が、ともすると薬局の調剤技術料の何十倍になるものがあって、これは非常に大きな負担になっています。
 それだけではなくて、そのようなことがあるとどうしても薬価差を求めたくなります。ですから今後、できればそのようなガイドラインに従って使用する薬剤に関しては、投与形態と合わせた包装単位での販売をメーカーにはお願いしたいと思います。
 それから、どのような形で処方するのか、調剤するのかということを考えていかないと、サプライチェーン全体、ある意味では医療保険制度全体でロスが出てくると思いますので、ぜひこれはお願いしたいと思います。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、この問題はお話が尽きないと思いますけれども、クローバックとかはまだまだ先の議論でございます。ですから、今はとにかく今年度中に何をするべきか。例えば短期的・中長期的なことを踏まえながら、一方で中医協の場で薬価制度全体を見直すとか、もっと大きな視点として、例えば創薬をどういうふうにやっていくかという大きな議論がございます。ですから、いろいろな論点があることはたしかなのですけれども、少し時間軸があるということを前提として今後の議論を進めていただければありがたいと思います。ただ、今日は皆様から非常に率直な御意見いただきましたので、ある意味で本音がぶつかり合ったのではないかという感じがいたします。
 ここで安藤課長からコメントをお願いします。

○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長
 すみません、水を差してしまうような形になってしまって申し訳ないです。
 それこそ冒頭に宮川先生がおっしゃったように、腹を割った御意見ありがとうございました。今日、様々いただいた非常に建設的な御意見とか御提案について事務局のほうでしっかり整理させていただきたいと思います。私の頭としては、冒頭、皆さん方のほうからもございましたように、これまでもそもそも流通課題というのが言われているのですけれども、これをもう少し様々な観点で深掘りをさせていただきたい。これは事務局のほうで、今日いただいた意見を踏まえて整理させていただきたいと思います。特性の話とかカテゴリー別の話もありましたし、私も全くそう思っていたのですけれども、川上の透明性の話もございました。
 まずは、そういった今の流通実態、課題というものについて、もう少し深掘りした整理というものをさせていただいた上で、特に医療上の必要性、患者さんとの関わりの中で、別の言い方をすれば、いわゆる医療安全保障上、安定供給をどう確保していくかというところが我々の一番のミッションでありますし、皆様方のミッションであると思いますので、そういったことを踏まえて、どうあるべきかというこの次の議論をさせていただければ。それを手段として、1つは制度と今日の流通というのは極めて密着に歴史的に動いてきた経緯がありますから、制度をこうすべきじゃないかという御提言もあると思っております。
 これは最終的にはここで議論するものではないかもしれませんが、今の流通実態・課題を踏まえたときに、制度としてこうあるべきだというものについては、しかるべき検討の場に我々のほうでしっかりつながなければいけないと思っております。
 さらに、それを前提として、これは先ほども御意見ありましたけれども、そもそも流通のガイドラインの中でどうあるべきかということについても、これはまさに流改懇で決めていただく話として考えていただく必要があると思っておりますので、宮川先生からありましたように、決してだらだらやるつもりはなくて、時間軸をしっかりと踏まえて議論していきたいと思っております。そうは言っても、ちょっと長くなりますけれども、議論について引き続きよろしくお願いいたします。
 今日はありがとうございました。

○三村座長
 いかがでしょうか。まだ御意見ございましたら。
 原委員、どうぞ。

○原委員
 後発品の供給不安が一番困っていることで、こういう会議があると、現場の薬剤師やお医者さんもそうだと思うし、看護師さんもそうだと思いますけれども、すごく期待して、プラスの話題が出ないかなと思っている人もいっぱいいると思いますし、供給不安は後発品のみならず先発品にも飛んでいる。患者さんに後発品が悪いという意識が刷り込まれて、後発品推進」が立ち直れないかもしれないぐらいの状況になっているのを非常に危惧しております。
 その中で、後発品の有識者会議の中では、共同開発の問題が出たり、AGの問題が出たり、いろいろなことをしていますので、公取も出てきてなかなか難しいのかもしれませんけれども、計画生産を各社さんができるようになっていただきたいですし、少量多品種は後発品メーカーではしようがないことですし、それぞれ持っているラインも違ったり、バリデーションとかでスケールアップも大変なのかもしれませんが、効率的に生産できるためにどうしたらいいかという話が業界の中でも盛り上がってくれたらいいなというのは思っております。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございます。どうぞ。

○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長
 後発品を中心としてという言い方が正確でしょうか。まさに安定供給の問題が今、流通においても様々な課題が生じているということについては、我々も十分承知しております。
 今回、後発品については、産業構造についても根本から見直すという前提で、これからになりますけれども、有識者会議でも方向性については一定程度、示させていただきましたが、その具体的なところについて、これから同時に議論を進めさせていただきたいと思っております。そうはいっても、縦割りでやっても横のつながりは必ずあると思いますから、その辺については、適宜、それぞれの進捗状況の中で御報告させていただき、横のつながりが持てるような形で議論を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○三村座長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 どうぞ。

○宮川委員
 今、後発品の話がありましたけれども、後発品メーカーと言って全部を一緒くたにしてしまっては、私たちはいけないのだろうと考えます。つまり、一生懸命頑張っているところが私たちを支えてくれている。しかしながら、脱落するとか薬が出せなくなったようなところがいけなかったのですね。ちゃんとやっていなかった。だから、今やっているところがいかにきちんと生産を維持できるのか。そして、私たち医療者にとっても、なるべく無駄な使い方をしないようにしなければいけません。
 つまり、それはあまりにも長期に薬を出すようなことをしないように、90日とか60日とか出さないようにして、なるべく患者さんに寄り添いながら、そういうことに対して備えをしながらやっていくということをやっていかなければいけない。私たちは後発品メーカーをある程度責めていかなければいけないので、おしかりするところもあるかもしれませんが、とにかく何とか頑張っていただいて、いいところがそのまま残っていただきたいと考えます。
 それから、少量多品種を悪いという言い方をする人がいるのですが、そんなことを言ったら街のケーキ屋さんは怒ります。街のケーキ屋さんを見てください。いろいろなケーキがあって、子供たちが行って、私、これとこれ、お母さんはこっちを食べるね。おじいちゃんにはこれを買っていこうねと、みんな少量多品種でやっているケーキ屋さん、一生懸命やっていますよ。
 つまり、それが悪いのではなくて、一生懸命できないところが多かったと考えます。それがジェネリックメーカーというか、後発品メーカーの中にたくさんあった。それは共同開発の問題とか委受託の問題とかあって、本来からすると参加してはいけないような企業が参加していたことがいけないので、それを私たちは見抜きながら業界を見なければいけない。その中で流通を考えないといけない。
 そして、先ほど日薬の森委員が言いましたけれども、大きな病院の先生たちは、何曜日と決まっています。水曜日、私が外来だから、また来てねといって30日分出したり、60日分出したら、1週間の7日で考えた計算ができていないわけですよ。その医者が本当は悪いわけです。つまり、曜日で来させるのなら7掛けなのです。28日だったり、そういう形でやっていかなければいけないのに、それは薬を造るほうのメーカーの人たちもウィークリーをちゃんとやるべき。ウィークリーをしっかり使いながら、そのことが無駄を少なくするのだといったらば、なるべくその方向に私たちは舵を切ることも必要です。
 そして、現場で出す医師も、曜日で来ているのだったら、水曜日の先生が次の水曜日に来なさいというのだったら7掛けだよということをしっかり言いながらやっていかないと、無理・無駄が起こってくるということをみんなが理解しながら医療を支えていくという考え方をしなければならないかな。これはまさしく流改懇でそういうことも全部含めながら議論しながら進めていければいいのかなと思っております。
 以上です。

○三村座長
 ありがとうございました。中沢委員、どうぞ。

○中沢委員
 宮川委員、ありがとうございます。そのように言っていただけると、一生懸命頑張っている後発品企業はうれしく思います。当然のことながら、我々は一生懸命造って供給しているわけですけれども、たまたま個社で問題を起こしたために、今回の安定供給に支障が生じたものと思っております。これについては申し訳ございません。申し訳ないとしか言いようがないです。
 今、宮川委員がおっしゃったように、ジェネリックメーカーも一生懸命造って、見える化、どれだけのものが造れるのか。それから、今回のような安定供給に支障を来したときのバックアップ体制のようなものもいろいろ考えて取り組んでおりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、大体お時間ということでございます。今日は、非常に積極的な御議論いただきまして、大変ありがとうございました。
 それで、今後に向けてということですけれども、先ほど安藤課長からも御説明ありましたように、問題は非常に多面的・総合的である。しかしながら、流通で問題解決できるところから手をつけていくべきではないか。まず、全体の薬価制度をどうするかという議論をここでやってみてもしようがありませんので、むしろ、今、流通ができること、流通がやるべきことから手をつけて、少しずつ進めていったらどうかと思います。それが結果として新しい薬価制度に結びついていくのではないかという感じがいたします。
 それで、恐らく1つの観点からしますと、透明化ということが非常に重要である。価格交渉の透明化ということについて、ガイドラインをもう少ししっかりしたものをつくっていくということが必要であろうと思います。先ほど、これは折本委員のほうからも御提案がございましたけれども、今回の有識者検討会の一番大きなテーマは、医薬品の供給安定、これに対して流通側としてもしっかり取り組んでいくべきだということでございました。それに向けての卸連からの御提案であったと思います。これを含めて、これをガイドラインに具体化していくときに、どういったルールが必要か、どういった決め事をしておけばいいかということについても、皆様からも御意見いただきながら進めていくことが必要ではないかと思います。
 ただ、先ほど事務局からも御説明ございましたけれども、まだまだ情報が足りないところがございます。例えば調整幅の議論とか流通コストの議論があります。それから、先ほど小山先生がおっしゃったように、大量に購入することで明らかに価格が下がるべき医薬品と、必ずしもそうではない医薬品がある。それが全部一緒に共同購入されていること自体が不透明ではないかという感じがいたします。その辺りも基本的に整理していく必要があると思います。
 まずは、中長期に、全体としての流通が透明化し、改善していくということを1つ目標としながら、まずできることを、実態をきちんと踏まえながら、この場で御提案し、皆様から議論していただきながら、今年度、まずはガイドラインをしっかりしたものにする。これは原委員が何度も強調されていましたように、ガイドラインを守ることが基本前提であるということを踏まえた中で進めていただければいいのではないかと思います。
 これにつきまして、事務局のほうとも相談しながら進めていきたいと思います。また何度か議論する場、皆様に集まっていただいて検討をお願いする場もあるようでございますので、その点について御協力いただければと思っております。
 大体、以上でよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。
 では、本日の議題は全て終了いたしました。本日の議事録につきましては、事務局で作成し、委員の皆様に適宜御確認いただくことにいたします。
 次回以降の開催予定につきましては、事務局から御案内をお願いいたします。

○木本流通指導官
 事務局でございます。
 次回以降の開催については、座長と相談させていただきまして、その上で決定して御連絡させていただきたいと思います。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、これまででございます。オンラインで御参加の委員の先生方もどうありがとうございました。
 では、本日はこれまでといたします。どうもありがとうございました。

(了)
 
 
<照会先>
 医政局医薬産業振興・医療情報企画課
 大島、木本(代表電話) 03 (5253) 1111(内線2536)

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