ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)> 第26回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(2017年12月27日)




2017年12月27日 第26回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会

○日時

平成29年12月27日(水) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室


○議事

○田中難病対策課長補佐 ただ今より「第26回社会保障審議会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」を開会いたします。委員の皆様には師走のお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 本日は参考人といたしまして愛媛大学の檜垣高史先生に御出席をいただいております。

また、オブザーバーとして途中からになりますが、文部科学省初等教育局特別支援教育課の磯谷企画調査係長に御出席をいただく予定です。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきます、傍聴される皆様におかれましては傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 議事進行につきましては、視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、御発言等をされる場合には1.発言者は必ず挙手をすること、2.挙手をした発言者に対し委員長から指名をすること、3.指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言することという形で進めていただきますようお願いいたします。

 議事に移りたいと思います、以降の議事進行につきましては五十嵐委員長にお願いをいたします。

○五十嵐委員長 皆さん、おはようございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。始めに、お手元の資料につきまして事務局から確認をお願いいたします。

○田中難病対策課長補佐 資料の確認をさせていただきます。まず1枚目が議事次第、2枚目に委員名簿、3枚目に参考人名簿、4枚目に座席表です。そのあとに資料1、パブリックコメントで寄せられた御意見とそれに対する考え方()について、資料2-1、本委員会で小児慢性特定疾病の要件を満たすと判断することが妥当とされた疾病の名称、区分名及びそれらの疾病の状態の程度()、資料2-2、小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)の追加に伴い、既存の小児慢性特定疾病について疾病の名称を変更するもの()、資料2-3、新規に追加する疾患群と当該疾患群に含まれる疾病名及び区分名()、資料2-4、「児童福祉法第6条の2、第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める小児慢性特定疾病及び同条第2項の規定に基づき当該小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度(平成26年厚生労働省告示第475)の改正()(疾病追加以外に係る修正点)」、資料3といたしまして小児慢性特定疾患児童等自立支援事業について、最後に参考資料といたしまして小児慢性特定疾病対策における新規追加疾病等に係るパブリックコメントへの提出意見に関する意見書、最後のページになりますが小児科学会からの意見書を添付しております。資料の不足等ございましたら事務局までお知らせください、以上になります。

○五十嵐委員長 よろしいでしょうか。それでは議事に入りたいと思います。今日はこれまで3回検討を加え、一定の整理が付いていると思います。それにパブリックコメントをいただいていますので、それらを踏まえ2つの議事に対応したいと思います。議事1はパブリックコメントに寄せられた御意見について議論をしていただき、この委員会でこれまでの検討結果を含めて総括したいと考えています。

 議事2では、去年も議論いただきました小児慢性特定疾病児童等自立支援事業につきまして、研究班から御報告をいただきます。そのために、今日は檜垣先生に愛媛からおい出いただいています、どうぞよろしくお願いいたします。それを踏まえまして、議論したいと考えております。

 それでは、議事1につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○遠藤難病対策課長補佐 よろしくお願いいたします。議事1につきまして資料1、資料2-12-4を用いて御説明させていただきます。

 パブリックコメントに寄せられた御意見につきましては、行政手続法第43条第1項の規定によりその結果を公示することとされております。具体的には来年度実施分の疾病追加の告示の交付に合わせ、御意見に対する考え方をホームページでお示しすることになっております。

 資料1はホームページ上でお示しする案を事務局で作成したものになります。本日の委員会で御了承いただけましたら、それに基づいて結果の公示の手続を進めたいと考えております。

 内容について御説明させていただきます。まず、審議事項に関連したパブリックコメントでは大きく5つの御意見をいただきました。資料11番の事項は今回直接の検討範囲ではありませんでしたが、本日の参考資料にありますように、小児科学会からも御意見が来ている事項になります。前回の委員会でも少し御意見のありました既存の疾患群の重症患者認定基準についての修正の要望になります。赤字の部分が具体的な修正事項の要望になります。

 この御意見に対する考え方()に移ります。これに関しましては、もともと今回の検討の対象とはなっていなかったこと、また現在の医療費助成の対象患者さんに関わる事項でもあることから、今後、もう少し詳細に検討してから本委員会で検討させていただきたいと思います。したがって、今回はこれに関しての変更はしないという考えになります。

2番の事項に移ります、2番の事項も小児科学会からいただいた御意見になります。前回の委員会のあと、「ヌーナン症候群」に係る成長ホルモン治療が保険収載となっており、小児慢性特定疾病における成長ホルモン治療について、定められている告示の修正をしてはどうかという御意見です。

 具体的には資料2-4を御覧ください、資料2-4は疾病追加以外の告示の記載の修正事項の資料になります。赤字の部分が前回委員会で御了承いただいた修正箇所になります。青字二重線の箇所が今回、パブリックコメントで御指摘いただいた修正箇所になります。1ページ目上段の表2、ヌーナン症候群とその疾病の状態の程度が記載されております。現在、疾病の状態の程度は「治療で補充療法、機能抑制療法、その他の薬物療法を行っている場合」となっております。小児慢性特定疾病では、成長ホルモン治療に関しては特に下の備考にありますように、治療基準について特別に記載をしているため、ヌーナン症候群に対する成長ホルモン治療も小児慢性特定疾病の助成の対象とするのであれば、この青字の修正が必要になります。併せて2ページ、3ページ目にある青字二重線で記載している追記が必要となります。本日、小児科学会から御提案いただいた修正案について御了承いただけるか御検討・御議論いただければと思います。

 資料1に戻り、続きましてパブリックコメント3番の事項になります。区分名についての修正要望を小児科学会の小児慢性疾病委員会よりいただいております。小児慢性特定疾病では疾病名以外に、学術的に分かりやすくするために類似した疾病を区分名としてまとめております。具体的には資料2-1を御覧ください。資料2-1に今回追加となる疾病の一覧を記載しております。例えば、中ほどの神経・筋疾患にあるスタージ・ウェーバー症候群については疾病名のほか、一番左側の区分名を神経皮膚症候群とすることで、既に小児慢性特定疾病となっている結節性硬化症やポリポーシス症候群などとまとめることができます。

 それ以外に、資料2-1の下のほう、カウデン症候群、若年性ポリポーシス、ポイツ・ジェガース症候群は既存の家族性腺腫性ポリポーシスと合わせて、区分名を「ポリポーシス」に修正することでまとめることができ、自己免疫性膵炎は既存の遺伝性膵炎と統合し、区分名を「難治性膵炎」としてまとめることができます。こう修正してはどうかと御意見をいただいております。

 また、痙攣重積型(二相性)急性脳症は区分名としてはやや冗長であるため、二相性の部分を削除してはどうかという案をパブリックコメントでいただいております。事務局で資料を修正しておりますが、これについて御了承いただけるか御議論いただければと思います。

 資料2-3にも区分名の修正があります。資料2-3は新規に追加する疾患群と当該疾患群に含まれる疾病及び区分名()になります。新規に追加する骨系統疾患の疾患群の中で結合組織異常症、骨形成不全症、軟骨異栄養症の区分名は、骨系統疾患に修正してほかと統合してはどうかという御意見もいただいております。赤字で記載した箇所になります、御確認いただければと思います。

 資料1に戻りパブリックコメント4番の御意見は、「軟骨低形成症」、「軟骨無形成症」が、今回骨系統疾患群に移ることに伴い、疾病の状態の程度に外科的治療を行う場合が追加になりましたが、それ以外にも本疾病では脊柱変形に対する治療や無呼吸での呼吸管理が必要となることが多いため、パブリックコメントでは「疾病名に該当する場合」にしてはどうかという御意見をいただいております。これに関しては、「疾病名に該当する場合」という疾病の状態の程度は一般に予防的な治療などが存在する場合などに用いられている広い範囲の状態の程度の記載になるため、本疾病で用いるにはほかとの整合性からやや難しいかと判断いたします。ただ、小児科学会の小児慢性疾病委員会の専門家の先生などからも、御指摘の脊柱変形に対する治療や無呼吸での治療・呼吸管理が必要な患者さんは一定程度存在するので、この部分を追加したほうが好ましいのではないかといった御意見もいただいております。

 したがって、この御意見に対する考え方()は右側にありますように、もともとこの疾病はアだけでしたが、疾患群の移動に伴って前回はイを加える案、それに追加してウ、脊柱変形に対して治療が必要な場合、エ、呼吸管理(人工呼吸器、器官切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう)又は酸素療法を行う場合を、加えた修正をしてはどうかを事務局で提案させていただきますので、この案に対して御了承いただけるか御議論いただければと思います。

5番の事項になります。「痙攣重積型(二相性)急性脳症」は急性疾患であり、継続的治療の対象にならないのではないかといった御意見をいただいております。これに関しましては本委員会の中でも御議論いただきましたが、近年では一つの疾病概念と捉えられるようになってきたことから慢性に経過する疾病と判断し、またその他の要件も満たすことから小児慢性特定疾病として追加することが妥当と判断しましたという考え方()になります。

 御意見に対する考え方()を事務局で提示させていただきましたが、御了承いただけるか、御議論いただけますと幸いです。事務局からの説明は以上です。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。資料11から5までの御意見に対しての対応をここに記載して説明していただきました。先生方の御意見をいただきたいと思います。

○岡委員 東京大学の岡です。この5つのうち、まず2番のヌーナン症候群に関してはもう保険診療として、有効性も含めて既に認められているもので、それに合わせて修正していただくのが適切かと思いました。

 あと、4番ですけれども、確かに軟骨無形成症の場合、外科的治療というのは特に骨の延長術であるとか、あとは扁桃の肥大を手術したりすることがあります。扁桃の肥大というのは上気道の閉塞、要するに呼吸障害に対する治療で、必ずしも外科治療だけではなくて陽圧の呼吸器を鼻マスクで使ったりというような治療も適応になりますし、酸素療法も場合によっては行うことで、確かに御指摘のように呼吸管理という項目を入れるのも妥当かと思います。

 脊柱変形に対しては手術療法ももちろんありますが、手術療法に至る前に装具を使って後彎を修正、それによる機能障害を防ぐといったようなことも必要になる場合がありますので、外科手術に相当するということでは脊柱変形に対する治療ということで、非外科的な手術も適用にすることが適切かと思いました。以上です。

○五十嵐委員長 御意見、どうもありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。現場の御意見をいただいて、それに対して合理的なものに対しては対応したいということでこのように、どちらかというと適用が拡大する方向で認めるという形を今日示していただきました。これでよろしいでしょうか。

○井田委員 慈恵医大の井田と申します。1番から5番まで大きな問題はないと思います。1番の重症度認定基準に関してコメントがあります。これからこの委員会で更に検討するということですが、重症度認定の公平性は今後の大きな課題なので慎重に行っていただきたいと思います。

 現在、病名は大きな括りの病名と、非常に細かい病名が混在しています。3番目については、ポリポーシスでまとめるということですが、大きな括りの表示と細かい病名の表示が混在している点をどのようにしていくかを、今後この委員会で検討することが必要と思います。

○五十嵐委員長 貴重な御意見、ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

○小幡委員 全く外在的なことで一点だけですが。今回、このようにパブリックコメントで非常に専門技術的な見地から御意見をいただいて、改めて検討して採用すべきものは採用するということでした。この点、行政手続法のパブリックコメントの在り方として大変望ましいものと思いましたので一言だけ発言いたしました。

○五十嵐委員長 大所高所からの御意見をいただきました、ありがとうございました。それでは、皆様の御意見としては、パブリックコメントで寄せられた御意見に対する対応については、厚生労働省の案でよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。これを承認することにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 資料2-1から2-4までもこれまでの議論に基づいて整理されたものでして、これについても特段の御意見がないようです。最終確認という意味で、何か改めて御意見はございますか。よろしいですか、これも御承認いただけますでしょうか。小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)の検討結果としてこれを提出したいと思います、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。平成30年度実施分の小児慢性特定疾病の追加の検討につきましては、今日を含め4回御議論をいただきました。御陰様でこのような形でまとめることができました。委員の先生方の御協力をいただき本当にありがとうございました。

 それでは、この委員会における検討の結果については、これから親の会議である児童部会へ報告をすることになります。つきましては、児童部会への報告()と今後のスケジュールについて事務局から説明をしていただきたいと思います。机上配布されておりますけれども、これをもとに御説明いただきたいと思います。

○遠藤難病対策課長補佐 事務局で読み上げさせていただきます。まず縦長の机上配布資料、小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)に係る検討結果について、児童部会への報告案)です。

1.はじめに、本委員会は、平成30年度に新たに小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象として追加する疾病(以下「小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)と言う」について、平成291018日より4回に渡り検討を行い、本日その結果を取りまとめた。

2.検討の対象・方法、小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)の検討においては、平成297月末時点で小児慢性特定疾病の要件に関する情報収集がなされた疾病を対象とした。具体的には、厚生労働科学研究費補助金事業における研究班及び関係学会で小児慢性特定疾病に関する基礎的な情報を収集、整理し、その上で、小児慢性特定疾病の検討に資する情報が整理されたと研究班及び関係学会が判断し、平成297月末時点までに提出された36疾病を検討対象とした。

 この36疾病について、個々の疾病ごとに、小児慢性特定疾病の各要件を満たすかどうか検討を行うとともに、小児慢性特定疾病の要件を満たすと考えられる疾病については、当該疾病の認定に係る状態の程度についても、併せて検討を行った。

 各要件とは「慢性に経過する疾病であること」、「生命を長期にわたって脅かす疾病であること」、「症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾患であること」、「長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾患であること」の4要件をいう。

3.検討の結果、検討の結果、36疾病のうち35疾病について、小児慢性特定疾病の各要件を満たすと判断した。このうち34疾病については、新規の小児慢性特定疾病として追加し、(別添1(資料2-1)、残りの1疾病については類似する既存の小児慢性特定疾病との統合により再整理することが妥当と判断した。(別添2(資料2-2)

 この他、36疾病のうち1疾病については、小児慢性特定疾病の各要件を満たすかどうか判断するに足る情報が十分にないため、現時点においては、小児慢性特定疾病に該当しないとすることが妥当と判断した。

 今回の新規疾病の追加に伴い、また、研究班、学会からの情報提供を踏まえ、疾患群の見直しについても、併せて検討した結果、別添3(資料2-3)のとおり「骨系統疾患」と「脈管系疾患」を新たに追加し、現行の14疾患群から16疾患群とすることが妥当と判断した。さらに、最近の学術的知見や学会等からの要望を踏まえ、疾病追加以外にも、別添4(資料2-4)のとおり告示の記載事項の修正を行うことが妥当と判断した。

4.今後の検討について、研究班及び関連学会からの情報提供がなく、今回の検討の対象とならなかった疾病(現状において組織的・体系的に研究が行われていない疾病など)や、検討はなされたが要件を満たしていないと判断された疾病については、今後、必要に応じて、厚生労働科学研究費補助金事業難治性疾患政策研究事業等で研究を支援することとし、小児慢性特定疾病として検討を行うための要件に関する情報が得られた段階で、改めて小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会において議論することが適当と考える。

 その際には、検討対象となる疾病について小児慢性特定疾病の各要件に該当するか等の検討を行うことに併せて、既に小児慢性特定疾病に指定されている疾病の支給認定に係る基準等についても、医学の進歩に合わせ、必要に応じて見直しを行うことが適当と考える。

 また、今回の検討の過程で、委員より、今後の小児慢性特定疾病の追加の検討に当たっては、医学的な見地からより詳細な検討を行うため、ワーキンググループの設置を検討してはどうかとの意見があり、今後事務局において一定の整理を行った上で本委員会において検討していくこととしているので、その旨申し添える。

 続きまして横長の机上配布資料、小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)に係る今後のスケジュールを説明させていただきます。本日、第26回の本委員会で小児慢性特定疾病の選定に係る検討結果を取りまとめさせていただきました。このあと年明け、平成301月を予定しておりますが、第45回児童部会において、本委員会における検討結果を報告し審議、了承していただく予定です。その後、平成303月中、予算成立後、速やかに小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)に係る改正告示の公布、平成304月に小児慢性特定疾患(平成30年度実施分)医療費助成の適用開始となる予定であります。事務局からの説明は以上になります。

○五十嵐委員長 このような答申案を親委員会のほうに出したいと考えております。何か御意見はございますか、よろしいですか。

○石川委員 この答申案ですが、一番最後の今後の検討についての4ポツ、非常に大事な内容があると思います。特に一番上、4ポツの一番最初の○、まだ十分に認定されていないような疾病についても、今後含みを持たせるというのは非常に大事なことだと思います。

 今回、私は何も言わなかったのですが、急性脳症の話については十分、1つの疾病の概念というよりは、そういう急性脳症みたいな、あとの状態を言っているのであって、そうしますとほかの同じような、痙攣重積や外傷などといったものと同じような状態になるお子さんが取り残されていることは事実なのです。ですから、ちょっと複雑な心境だったのですが、一応、今回はこれで通していただいてと思っています。ですが、世の中にはやはり同じような状況で、子どもも親も大変苦労していることがあるのでこういう含みを持たせることは大事だと思っています。これは意見です。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございます、そのほかよろしいでしょうか。

 それでは、この案で児童部会へ報告をしたいと思います。事務局におきましてはこれから必要な手続を取るようお願いしたいと思います、よろしくお願いいたします。

 議題2に移りたいと思います。議題2は小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業について検討したいと思っております。この自立支援事業というのは、新しく小児慢性特定疾病事業の中に加わったことでして、実際、疾病の治療やその後のケアを支援するだけではいろいろ不十分なことがある。特に、患者さんが社会に出ていって自立するための支援をしようという画期的な事業かと思います。

 これにつきましては、昨年度もこの委員会で御議論を既にいただいており、御指摘もいただきました。そのあと、厚生労働科学研究で研究が今行われております。今日はこの研究班の代表でいらっしゃる愛媛大学の檜垣先生から、これまでの取組と今後の議題をまとめていただきました。来年度もこの事業に関する研究が公募されると伺っております。まだ今年度は終わっていないのですが、あと3か月ありますけれども、今年度の御報告を伺った上で、皆様から今後の研究の方向性等につきまして御意見をいただきたいと考えています。

 檜垣先生、今日は遠いところをありがとうございます。御説明、どうぞよろしくお願いいたします。

○檜垣参考人 皆さんおはようございます。ただいま御紹介いただきました愛媛大学小児科の檜垣と申します。この度はこういう機会をいただきまして本当ありがとうございました。私から発表させていただいて、またいろいろ御指導いただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業について」ということで、厚労科研で勉強をした内容を含めまして御説明させていただこうと思います。資料32ページです。平成27年からこの事業は始まっているわけですが、実際にはまだまだ摸索している現状もあり、この研究班の研究を通して情報を提供することによって、積極的な実施や内容の充実に向かっていくことができるように取り組んでおります。

 実際に研究班の中ではそこに示した4つのテーマを研究しております。1つは厚生労働省から出ている全国調査を、成育医療研究センターの掛江先生を中心にまとめていただいています。そのアンケートの結果を解析し、現状を把握することです。それから右側の赤い枠ですが、全国の自立支援事業の好事例を収集し、その好事例集を作成することによって、この自立支援事業の目安を示していくというのがもう1つです。下の2つが自立支援計画の立て方も含め、自立支援員の研修の指導要領を作成して、プログラムを提案していくということで、この4つの取組を中心に進めていっているのが現状です。

2ページ、この好事例集の作成に当たり、実際にはアンケートを取ったり、ヒアリングをさせていただいたり、場所によっては視察をさせていただき、実効的な支援に必要な要素を抽出することを試みました。4つの項目について調査し、1つは支援をしている団体の背景の情報。2つめは相談支援事業、必須事業はどこも行われていますが、その実施状況、3つめは任意事業はどれぐらいできているか、それから4つめはこの事業をうまく進めていくためのコツのようなものを協力団体から教えていただきました。これは今、好事例集として作成中で、234日に成果報告をさせていただこうと思っています。実際には、ほかの自治体でも積極的に取り組まれているところはあると思われますが、今回は御協力いただいた13団体について資料に出しております。必須事業に関してはどこもいろいろ工夫をして取り組まれていて、任意事業の中では、相互交流等はいろいろな事業所で実施されていますが、なかなかレスパイトを含める療養生活支援は、この自立支援事業の中で実施するのは難しくて、これができている施設は余り多くはありませんでした。そのほか、就労支援や学習支援はもともとの機能も活かしながら、いろいろなところで工夫して取り組んでいるというのが現状でした。

3ページ、自立支援事業の概要で、よく見かける図なのですが、実際にこの事業も大分広がってきたのではないかと思います。委託先の事業形態によって運用に少し特徴があります。3つに分けて考えられると思います。NPO法人が主体に実施している所、医療機関が主体に実施している所、あとは保健所のような地方公共団体が主体に取り組んでいる所がありますので、愛媛県、静岡県、京都府の3つの例を出させていただいて、御説明したいと思います。

4ページ、これは私たちの愛媛県のNPO法人の取組ですが、ラ・ファミリエというNPO法人で取り組んでいます。これは昨年も愛媛県の担当者から少し御発表させていただいたものです。5ページには支援体系の概要を示しています。ラ・ファミリエというNPO法人に相談支援事業を委託していただいて、いろいろな所と連携を取ってこの事業を進めております。1つは愛媛大学病院に、そこから自立支援員が出向いて来ていただいていて、私の外来のすぐ横で相談事業を始めていただいたのがきっかけです。小児科の外来で診察が終わった後に、もし困りごととか相談ごとがあればすぐに面談をしていただけるように、外来の横の面談室を使って、相談の窓口を設けたのが最初のスタートです。病院の外来の横にすぐ相談窓口があるのはやはり大きなことで、すごく助かっています。ニーズも増えてきて月2回からはじまり、現在は月4回に増やして、そういう相談事業を進めています。ほかの病院にもニーズがあれば出向いて行って相談を受けたり、保健所からの相談があったり、法人の窓口に直接来られたりということで、相談窓口をできるだけ開いて、事業につないでいくという形で取り組んでいます。

6ページ、実際にこの自立支援事業をどのように進めていくか検討するときに、地域協議会を各自治体に設けるようになっているのですが、それだけではなくて、プロジェクト委員会を設けており、この構成メンバーがとても重要かと考えています。相談の窓口でいただいたニーズとか相談ごと、困りごとをこのプロジェクト委員会に持ち帰って共有し、そこでいろいろ相談をします。ここのメンバーには医療者、自立支援員、患者会や家族会の方や患者本人、学校教育関連、行政の人も一緒に参加していただいて、就労に関しては支援企業の代表者さんなどにも来ていただいて、そこでみんなで検討するような機会を設けています。こういうメンバーで検討できることにより、実効的な支援ができるという状況になっております。

 次の7ページは実際の様子です。愛媛県それから松山市の担当者も来ていただいて委員会を行っています。NPO法人ラ・ファミリエに、愛媛県も松山市も一緒に本事業を委託していただいていることが、この事業が愛媛県内ではうまく取り組むことが可能になっている1つの理由であると思うのですが、そこでうまく連携を取って、同じ方向性をもって進んでいくことができております。昨年よりも今年度、特に力を入れた内容としては、学校教育関連のニーズが非常に多いので、支援教育の先生や教育学部の先生にもプロジェクト委員会に一緒に入っていただき、教育関連のことを教えていただいたり、家族会も心臓や小児がん、それからダウン症候群の方にも積極的に入っていただき、市議、県議にも来ていただいて、問題点を知っていただくということで広げていっております。好事例としては、このプロジェクト委員会に、実際に障害者雇用の募集があるので、適合する人はいませんかというような御紹介をいただいて、雇用がすぐに決まったというような事例もあり、大分認知されてきているような状況になっています。

8ページからは実例です。これは相互交流支援として毎年行っているキャンプの様子ですが、今年は120人ぐらいで行って来ました。患児とか兄弟、御家族いろいろな職種の方が一緒に、みんなでキャンプに行ってまいりました。ここでバーベキューやゲームをしたり、ミッションをしたりと、楽しむこともいっぱいあります。9ページ、この中でいろいろ自立に向けた勉強会をさせていただいております。企業の社長さんからは、15歳を過ぎたぐらいの患児に直接に「仕事とは」というお話をしていただいたり、御家族にも勉強会をしていただいたりしています。

10ページです。教育関連の勉強会や、あと「きょうだい支援」について勉強をしたりということも進めております。

11ページは今年新たに取り組んだことですが、このキャンプの間に「自分の病気を知ろう」というテーマで、自分の病名や、どんな病気か、どのような注意点があるのかなどをこの2日間で、誰に聞いてもいいから自分の病気についてまとめてくださいという課題を設けて、自分の病気をちゃんと言えるということを、閉会式にみんなで発表して自立に向けていくための準備というような取組もさせていただきました。このような内容でキャンプを通して自立支援を進めていっております。

12ページ、先ほど少し述べましたが、就学とか学習支援のニーズが多いので、「重い病気を抱える子どもたちの学び支援活動」として、今年度新たに取り組んでいます。教育学部、それからその支援教育の方々にご協力いただいて、実際に教育学部の学生さんや医学部の学生さん、看護学校の学生さんもボランティアとして支援教育の養成講座を受けていただき、直接的に病棟に行って学習支援をしたり、タブレットを使って遠隔の学習支援をしています。これは非常にニーズが多くて、今どんどん進んでいっているところです。このような形でNPOを中心に連携をして取り組んでいるのが愛媛の形態という状況です。

13ページからは、静岡県の取組で、医療機関が中心となっている取組です。静岡県立こども病院や、東北大学が医療機関を中心に取り組んでおられます。14ページに体系図が載っています。静岡県立こども病院の中の地域医療連携室に自立支援員が配置されており、その方を中心に県内に連携を取って進めていっておられます。病院の中に連携室がありますので、すぐに診療の後に相談ができるという意味では、この形態もとても大事な形態ではないかと感じております。後ほど少し説明しますが、静岡の取組の中ではハローワークと学習支援が特徴的で、連携をされて頑張られております。

15ページが実際の相談風景の写真です。患者さんの御家族と実際に使える社会資源についても情報提供をここでされておられて、社会資源との連携はとても大事ですので、このような情報提供はとても重要と思われます。

16ページ、学習支援の様子です。静岡県立こども病院の場合は静岡大学と学習支援を連携されています。愛媛の例もそうなのですが、地元の大学や教育学部と連携するというのは、1つのモデルとしてとても大事なのではないかと感じております。その下の左側の写真ですが、こども病院ならではと思いますが、病院の中に外来自習スペースを作られていて、これはすごい取組だなと思って、是非見習いたいなと考えました。これが学習支援の様子です。

17ページは社会福祉制度や年金や難病などのことを相談する窓口もあり、経済的な相談も多いので、重要な取組であると考えています。

18ページ、静岡の就労支援の取組は特徴的で、この研究班の中でもみんなで学んだ、共有した大事なことです。県の労働局と連携して、就労ニーズがあると、労働局と県内の病院と、就労を支援しているいろいろな団体とも全体で相談できるような連携を取られており、これは素晴らしい取組だと感じました。このように地域資源との連携をうまく使って自立支援事業を進められており、これは重要な取組と考えております。

19ページからは3つ目の事業形態です。保健所が中心となっている、地方自治体が中心となっている場合です。京都府の乙訓保健所がとても素晴らしい取組をされておられます。これは保健所が窓口になることのメリットを最大限使われていて、保健所長さんを筆頭にすごく頑張られているのですが、保健師さんもすごく活躍しておられます。

20ページは体系図です。21ページ、ここの特徴は小慢申請時の保健師の面談のときに、直接保健師が全員に面談を行っており、新規申請の場合には全員にこのニーズや困まりごとなどを、全部窓口で聞かれています。継続申請のときにも、希望があれば何でも相談できるようにしていて、相談できる環境が常にあるという素晴らしい取組です。これにより正確なニーズを汲み上げることができ、その結果必要な支援によりつながっていくと思います。これは保健師・保健所主導で進めていく1つの大切な形態だと思いました。

 一番下にもコメントで書かれていますが、保健所・保健師が窓口となることにより、必要な支援や機関につなげる力量というのを有しているということで、この方法の1つの強みだろうということを書かれています。ただ、保健師は保健所のなかで自立支援員としては兼任ですので、いろいろ作業量も多いのが問題点であることと、小慢の研修機会が少ないので、研修機会を増やしてほしいというようなニーズが出てきておりました。

22ページは京都のアンケート調査結果ですが、これは全体的にも共通していて、将来のこと、生活のこと、就園、就学、学校のことが出てきております。

23ページ、医療的ケアのことに関してもまとめていただいています。これもまた大きな課題で、小慢の中でできること、制度的にはその外になることもありますが、実際に慢性疾患を抱えて、医療的ケアを必要としながら学校に通う、生活するということもありますので、これも考えていかないといけない重要な課題であろうと思っております。

24ページ、教育・学校に関して、これはもともと京都府の事業の中にリンクしています。ここの注目すべき点は、高校生が入院したときに、院内学級に高校はほとんどないのですが、学習サポーターを派遣するシステムを持たれていて、高校生の長期入院に関してこのような取組をされておられました。2ページは、保健所と21町、3市町の良好な連携が示されています。保健師の力は自立支援事業を進めていくにはとても大事だということを示されています。

3つのパターンを示してきましたが、いずれも重要なモデルだと考えています。実際にこの自立支援事業を進めていく上でのコツということで、いろいろな施設からいただいた御意見の中では、この相談事業というのは、相談に来るのを待っているだけではニーズはなかなか把握できないので、ニーズを把握する必要があるという視点を持って、アプローチすることが大事だということが、ほぼ共通していただいた御意見であったのと、先ほどからも出てきていますが、連携が必要ということでした。地域で、地域の事情に合わせた顔が見える体制づくりというのがとても大事ですというのが、全体の御意見で代表的なものでした。

27ページからは、自立支援員の教育、研修のことになるのですが、これらの取組を踏まえ、指導要領を考えているところです。プリントの下の所に「小慢自立支援員の意見」がありますが、3項目ありまして、体系的な研修会を是非開催してほしいということがひとつめです。今もいろいろな研修会はあるのですが、これに特化した研修会の要望がありました。複数箇所で複数回あればいいという御意見と、実際に「こういう場合はどうするのか」という事例の演習も研修に取り入れてほしいという御意見がございました。

28ページ、このニーズを踏まえて研修内容の骨子を現在作成中です。実際には自立支援員の役割について学んでいく基礎編と、それからケーススタディとかを含めた応用編とこの二段構えの研修システムの必要性を感じており、プログラムを提案する形で、現在成育医療センターと難病ネットワークで行われている研修会に、盛り込んでいくことを考えているのが現状です。今作成中で、これも何とか成果物として出していきたいというように考えております。

 どういうニーズがあるかというのを改めて見ていくと、これは愛媛県、松山市全体のアンケートをまとめたものですが、相談窓口がほしい、相談支援が必要だということ、学校等での悩みが多い、経済的なこと、就労支援という悩みが多いという結果になりました。どの地域も同様な傾向になり、これらの項目の支援をより必要としているということがニーズとしてあると感じております。

 最後に、平成28年後半からですが、2829年度とこの研究をさせていただいて見えてきた今後の課題です。ニーズを踏まえて地域における自立支援事業を、より一層内容を充実させていくためにこの研究班から提案できるように、研究を進めていく必要があります。経年的アンケート結果をみると、量的には去年から今年にかけて少しずつ増えてきていますが、質的な向上を目指していくには、好事例など取組事例の情報を共有して、各自治体においてできる取組を増やしていくということがとても大事なのだろうと思いました。

 ニーズを把握して対応していく必要があるのですが、先ほどから出ていましたように、ニーズとしては教育関連、それから自立就労関連が多く、相談窓口の充実、その他きょうだい支援などのニーズもありますので、これらの課題にフォーカスをより当てていくことも必要と思いました。教育関連に関しましては、慢性疾患を持っているお子さんもやはり成長していきますので、必ず就園、就学、それから学習ということに直面してまいります。実際に支援計画を立てるにおいて、いわゆる自立支援計画を立てたり、その他の相談支援の計画を立てたり、教育現場でも支援計画を立てていると思うのですが、対象となる患児は1人ですので、うまく情報とか方向性を共有していくことができたら、支援事業はうまく進んでいくのではないかなと、実際に取り組んでいて感じました。医療と福祉と教育の連携というのは、今後の大きな課題の1つだろうと感じております。

 一番下の所に自立支援員の支援と書きましたが、この支援者支援の必要性が見えてきました。各自治体でこの自立支援員はお一人のことが多いので、なかなか相談する対象がなかったり、共有していく機会も少ないので、研修会や、研究班での検討内容や、意見交換をできるようなところも設けたり、支援員のメンターも必要と思われます。重い相談もいっぱいありますので、支援者支援というのもとても大事と感じております。また、実際に教育現場に行ったりとかいろいろな所で相談事業を進めていく上で、自立支援員が活躍しやすくするためには、自立支援員の身分や立場も確保していくことも大切だと感じており、これからの課題と思います。本当にこの制度はいろいろな取組ができる可能性のある、ポテンシャルの高い制度だと思いますので、この自立支援事業をきっかけにして、子どもたちが本当に必要とする支援が受けれるように進んでいく、1つのブレイクスルーとして取り組んでいけたら有り難いと思っております。私からは以上です。ありがとうございました。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。自立支援事業における具体的なニーズや、本事業の将来あるべき方向性等が具体的に分かりやすく御説明いただけたと思います。2年間の研究でここまで方向性を示していただきまして、本当にありがとうございました。委員の先生方から御意見、あるいは御質問はありますか。

○賀藤委員 国立成育医療研究センターの賀藤です。檜垣先生、どうもありがとうございました。やはり小児慢性特定疾病は30年前と比べて、亡くなる方は3分の1に減ってきていると。そろそろ小児慢性特定疾病事業としても、今は医療費助成という所にお金の大部分がいっていますが、やはり亡くならなくても病気の治療をしつつ、それで成人になっていく子どもたちが段々多くなってきている。多分国の責任としては、慢性の病気を持ったお子さんたちが、きちんと社会の一員として成人になっていくということをサポートするのが、やはり私は国の役目だろうと思っています。今後、小慢の事業としての役目として、医療費助成も大切ですが、そろそろきちんと、今、先生が御発表になった内容の社会の一員として成人にきちんとサポートして育てていくことに、少し今後シフトしていくべき事業ではないかと、今感じました。そのためには、就労支援とともに教育も必要だろうと。やはり子どもは教育されるべき人たちですので、そこは教育支援、そろそろ病気を持った高校生がきちんと教育の場が、入院しているとそういう場が与えられないことも現実としてあります。この教育の支援、あとはやはり就労の支援、そこら辺に持っていくものの1つとして小慢事業をどうもっていくか、今後の大きな指標をいただいたような感じをもちました。大変ありがとうございました。

 そこでもう1つ、ちょっと教えてほしいことがあって、私は気になったのですが、京都の保健所のほうで、小児慢性特定疾病のことをもっと知りたいというのが少しありましたけれども、そこがちょっと、何をどのように私たちが足りないのか、どういうところを保健所の方々に知っていただきたいのか、何をもっと勉強したいのか、具体的なことが分かりましたら教えていただきたいと思います。

○檜垣参考人 コメントも頂き、ありがとうございました。実際には個々の事例をどのようにして取り組んでいくのか、演習や研修や、ゲースタディーなどで、こういったときにはどのように取り組んだらうまくいったかとか、そのような具体的な事例を知りたいというのもあるのだと思います。またこの自立支援事業全体の枠組みはぼんやりしていて分かりにくい部分もありますので、具体的に知りたいということなのではないかと思います。京都の場合、京都府と京都市と取組の中で少し差がありますので、御意見の差はもしかしたらあるのかもしれないなと思いました。

○賀藤委員 21ページの、保健師の面談・アンケートのページの右下にあります、「保健所保健師にとって、小慢は研修等の機会が乏しい」という記載があるのですが、主に自立支援のことと理解してよろしいですか。

○檜垣参考人 と思います。実際には保健師の仕事はたくさんありますので、ここでもう少し細かく書かれているのは、例えばほかの成人のこととか、結核のこととかいろいろな予防の事業がある中で、小慢に特化した勉強会というのは多くはないので、病気のこととかも含めて、もう少し詳しく知りたいという御意見だと思います。

○五十嵐委員長 そういう御要望に応えるためにも、先生が今お考えになっていらっしゃる、研修内容骨子案というのができますと、1つの大きな参考にはなりますね。

○檜垣参考人 はい、ありがとうございます。

○五十嵐委員長 大変役に立つものができることを期待しております。ありがとうございました。そのほか、小林さんはどうですか、何か。

○小林委員 難病ネットの小林です。大変素晴らしい発表していただいてありがとうございます。2年前でしたか、自治体の皆さんがここで取組状況をお話いただいたときのお話、それぞれの自治体から必ず出てきたのは、対象者が少ないからというような言葉だったので、それがとても残念だったのですけれど、今回はもう全然違って、実際に取り組んでいるお話、有意義なお話を聞かせていただいてよかったなと思いました。

 幾つか質問というか、いいなあなんて思ったのがありまして、先生が先ほどお話しました病院の外来のすぐ横に相談窓口があるというようなお話でした。

 私たちもピアカウンセリング、ピアサポートの活動を五十嵐先生、賀藤先生の病院でも協力していただいたり、あちこちの小児専門病院で協力していただいているのですが、なかなか周知が十分でないので、病院と連携しながらやりたいなと思って。もともと私、アメリカで勉強してきたのは今から1516年前のことですが、実際にサンフランスシスコの大学病院でそういうことをやっていまして、お医者さんは患者を診て病気の説明をすると、次の相談はあそこの部屋に行きなさいというように紹介をしてくれるというようなことで、病院とピアサポートの連携がすごく取れていて、いいなというように思っておりましたけれども、それで1つ質問は、どのようにして外来の横にそういう窓口が設けられるようになったのか、ちょっと教えていただきたいというのが1点です。

 あと子どもたちの学び支援ということで、教育学部の学生さんとか医学部の学生さんと連携されて、タブレットを使っておやりになっているということですけれども、これはやはりかなりいろいろな費用とかいう点があると思います。学生さんたちが協力してくれるのはとてもいいなと思いながら伺っておりましたけれども、その費用の点とかいうようなことをまた1つお教えいただければと思います。

 今、五十嵐先生からも御指摘がありましたけれども研修ですね、この会議の席で五十嵐先生といろいろな話の中で、こういう研修が必要だねということで始めさせていただいて、もう4年になりますか、やってきているのですけれども、やはりそろそろ今御指摘のように、基礎編とか応用編とか変えて、これまでと違ったものを作っていきたいと思っております。是非そういう面でも、何か協力を一緒にできたらいいなと思いながら伺っていました。

 もう1点、これはちょっと細かいことですが、スライドの2ページ目で、私たちの難病とか相談支援事業と相互交流事業をやっているのですが、学習支援その他の事業という所が×になっているのですけれども、これは実は家庭訪問を、遊びのボランティアですが、就学前の子どもさんたちが主な対象ですけれども、家庭訪問をやっているのです。これはかなりニーズが高い仕事がございますけれども、そういったこともやっていますのでちょっとお話したことを付け加えさせていただきました。

○檜垣参考人 失礼しました。これは後で修正させていただきます。ありがとうございます。いろいろ御質問頂きましてありがとうございました。11つ答えていこううと思います。まず、外来の窓口のことですが、その中で教えていただいたアメリカでは診察が終わったらそちらに行くシステムがあるのですね、これはやはりすごくいいなと逆に思ったのですが。実際にはどのようにしているかというと、最初は、ずうっと私も思っていたことなのですが、私も小児科医になって30年になるのですが、診察をして終わった後に、学校に行くのが行けなかったとか、就職が決まらなかったのですよというような外来の患者さんを経験するごとに、実は私も外来の横に、檜垣就職あっせん所みたいなところがほしかったのですが、そのような思いがあって、ちょうど思っているところにこの自立支援員さんが月2回外来の横の面談室に来てくれて、そこで待機していただいていました。これが最初のスタートなのですが、相談があってもなくても来てくれていて、何か気になることがあったらそこへ寄って帰ってくださいということで、それがスタートして、今はそれが月に4回来ていただいているというのが現状です。外来と同じフロアの横に面談室を1つ借りてというか、そこを使ってさせていただいているのが現状です。

  学生に関しては、学生さんのやる気とかボランティアをしてくれる能力というのはとても高いので、このシステムはとても大事かなと、本当に感じております。これは教育学部の支援教育の先生が中心になって入って来ていただいていて、とてもいい方向に進んでいます。費用に関しては、ベネッセから助成を頂いていて、展開しております。

 研修に関してはおっしゃられたとおりで、成育のほうと難病ネットのほうでされているところに習っていかないといけないので、是非これは教えていただきながら一緒に進めていかせていただけたら有り難いと思います。

○小林委員 以上です。

○檜垣参考人 ありがとうございました。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。そのほか、では尾花先生どうぞ。

○尾花委員 愛育病院小児外科の尾花と申します。すばらしい取組ありがとうございました。各学会、分科会とかでも、今、自立支援ですとか、あと移行期の問題とかについてはかなり興味がありまして、病態別とか疾患別に実際に取り組んでいる所が幾つかあると思うのです。私たちが所属しているような小児外科学会ですとか、あるいは小児血液がん学会などでも、移行期支援に関するメディカルスタッフも含めた研修会などもやっているのですが、そういった研修会の情報とかが、保健所ですとか、あるいは各地方自治体に届いているかどうかということ。それから、そういう所とタイアップをしていくにはどうしたらいいかについて教えていただきたいのです。

 病態別に自立支援とか移行期を考えますと、どうしても病気に偏ってしまって、この病気だからこうしていかなければいけないということがあるのですが、実際に多分、保健所などで扱っている事例についてはそういう疾患の方は本当に数名で、ほかの疾患をたくさん扱っていらっしゃると思うので、個々の疾患に対する対応は難しいと思うのです。ですから、分科会にもそれを返していただいて、共通のことでこういったことは研修してほしいとかという情報が頂ければと思います。あるいは、そういう研修会にも行政からも参加していただければ、お互いの情報共有にもなるかと思うので、その辺りの展望も教えていただければと思います。

○檜垣参考人 ありがとうございます。やはり情報の共有というのはとても大切で、そこは難しいところだと思うのです。情報はいっぱいありますが、全部に参加できるわけでもないですし、その情報をできるだけ集めたりとか、そういう研修会があったら自立支援員も積極的に参加したりとか、そういう機会をより設けていく必要があるのだろうと思います。いろいろなところの専門分野とか、サブスペシャリティで出てきているいろいろな情報を持ち寄ってみんなで勉強していかないと、なかなかそれは一遍にはかなわないかと思います。すみません、最後の御質問は。

○尾花委員 どのようにしたらそういうお互いの情報が共有できるかと思います。例えば、掲示板みたいなものを作って、そういったところに、こういう研修会がありますよということを出していいとか、あるいは、何かそういったサイトなり、もう今、ほとんどネットでできますので、そういったものができればすごく有り難いかな、あるいはそういうのを使えれば情報になるかなというのが1つの。今、多分、掛江先生たちがされているモデル事業のほうでは、疾患別のガイドブックとかのことをまとめようとされておりますので、疾患別とかではなくて、研修会に関して、あるいは医療者だけではないものに関しても、小児慢性ですとか、難病の子に関して、何か情報を1つにまとめるのがあればすごく有り難いかなと。こういう取組をされているのも、ここで改めて聞きますと分かるのですが、なかなか一般の方には届きにくいところがありますので。

○檜垣参考人 そうですね。

○尾花委員 そういったところの御提案も頂ければ有り難いと思います。

○檜垣参考人 ありがとうございます。本当にありがとうございます。そういうのはとても大事で、やはりここを見に行ったらこういう情報がいっぱい見られますよというサイトとか、そういうのがあったらいいのかもしれません。実際には、現時点では、ここへ行ったら全部分かるというのはやはりないと思います。

 先ほどの移行期に関しても、やはりいろいろ疾患によって支援する内容も大分違いますが、先生がおっしゃるように共有の部分があると思いますので、疾患特性のものと共有のものと、それを分けて支援していくのが大事だと思います。ありがとうごさいました。

○五十嵐委員長 どうぞ、では小幡先生。

○小幡委員 小児慢性特定疾病について、もちろん医療というのが大変重要なのは当然のことですが、今回、御報告いただきました学習、教育、就労支援等、やはりそこも非常に大事な段階になったということが、このような御研究で全国的に周知されるのはとても大事だと思います。特に、小児慢性特定疾病の場合に特徴的なのは、年齢にもよりますが、患者さんの年が小さい、若いということなので、何とか学習教育支援をしてあげなければいけないというのは、正にここだけがと言いますか、ここが中心になって議論しなければいけないところだと思いますので、文科省さんとも連絡しながら、是非、いろいろな形で作っていただきたいと思っております。学校に行けない場合ももちろんありますので、家庭訪問とか、遠隔の学習支援とかそういうことも含めて、いろいろな段階、いろいろな状態の患者さんに対してきめの細かい支援ができるようにするというのがとても大事だと思います。

 また、就労と言うか就職支援のことですが。今の教育の話は正に小児に特徴的というところなのですが、難病などでも、就労支援の必要性というのは当然あるわけなのですが、その辺りとの何か連携があるのかというのを少し考える必要があると思います。もちろん、成人の難病の方とは違う面は多分にあると思います。例えばこの資料の22ページで、お子さんについて心配なことというと、一番に将来のこととなっております。恐らく親御さんにとってみれば、一体、将来就職等ができるのであろうかとかそういうことが心配になるので、これを早い段階から相談などの形で支援していくのは非常に大事だと思うのです。実際にハローワークの紹介とかそういうレベルになると、難病のほうでもいろいろ考えているので重なるところもありますが、他方で、やはり早い段階でどうなっていくかという相談に乗るところは、ここの特徴として必要かと思います。何歳ぐらいから実際に就労という形になるのかというのも含めて、全体、難病、それから移行の場合、二十歳過ぎたらどうなるかとかいうのもありますので、そこら辺は難病と相通ずるところがあるのかと思っております。

○檜垣参考人 ありがとうございます。実際に大人を迎える時期が来て、さあ就労と思って悩んだのではちょっと間に合わないので、どの分野も、もう少し若い時期から取り組みましょうという考え方になってきていると思うのですが、先生のおっしゃるとおりだと思います。特に子供の就労支援で大きく違うのは就活なのです。そこはやはり大きく違って、今から仕事を見つけないといけない状況なので、これはやはり大きく違う就労支援かと感じております。

○五十嵐委員長 どうぞ及川委員。

○及川委員 及川です。質問としては、まず1つは、本当にお子さんたちが身近に相談できる人がいるのはすごく大事なことだと、今回の発表も聞かせていただきました。その中で、愛媛の先生のところにいらっしゃっている自立支援員さんであるとか、静岡県のこども病院で行っています自立支援員さんというのは、どういう立場の方が先生の所にいらしているのかを、まず1つお聞きしたいのです。

○檜垣参考人 ありがとうございます。本当に身近に相談していただける人がやはり必要です。今日は、愛媛からも自立支援員さんが傍聴に来てくれています。自立支援事業にずっと携わってきていた人たちが自立支援員さんとして任命されていたり、社会福祉士とか看護師とか、いろいろな職種を持っている、いろいろな能力を持っている人が自立支援員としてこのラ・ファミリエというNPOの中のメンバーで、チームを組んで担当していただいているというのが愛媛の場合です。静岡は、ここの体系図の中の真ん中にありますように、地域医療連携室におられたその方が自立支援員として任命されて、お一人では自立支援事業も中の事業も全部するのは大変なので、もう1人事務員さんが付いて自立支援事業を実際に行っているのが現状のようです。ですから、背景は地域医療センターの方が背景という状況でした。

○及川委員 そうしますと、やはりいろいろな方々がそういう役割を担いながら相談事業を展開しているということだと理解してよろしいですか。

○檜垣参考人 そうだと思います。

○及川委員 そうしますと、やはり支援員さんたちをこれから増やしていくときに、先生方も考えていらっしゃる研修会はすごく大事だと思うのです。今後この研修会は、回数が、例えば今、成育の先生方が中心になってやっているようなものが、全国的にもう少し広がっていく可能性があるのかどうかとか、それから、実際どのくらいの人数を増やしていくことで、ある程度全国に波及するような効果になっていくのかとか、そういう辺りはどうお考えでしょうか。

○檜垣参考人 そうですね、研修会はやはり、これは小林先生にお聞きするのが必要だと思います。ニーズとしては、年に複数回で、1か所では、そこまで行けないという声もあるので、いろいろな地域で分科会のようなものがあればもっと参加しやすくなるので、今後の検討課題ではないかと思います。

 人数に関しては、1人でされている所が多いですが、これは任命形態がいろいろあって、例えば、そこに保健所の保育士さんを全部自立支援員さんとして任命しているような自治体もあれば、お一人を担当してとか、複数人を担当してとかいう形でされているところもあります。実際には1人でできる事業ではありませんので、チームを作ることが必要になってくるのだろうと思います。担当していく人の雇用という意味では、各自治体は御苦労されているのではないかと思います。ボランティアではやはりできませんので、自立支援員を雇用をするための費用や、後ろ盾がある程度必要になってきますから、人数を確保していく上での大きな課題だと思います。

○及川委員 私もそのように思います。特に、やはり質をきちんと担保して、きちんと研修を受けながら行っていくためには、きちんとした費用と言うか、インセンティブがないとやはり難しいかと思っています。その辺を是非、よろしくお願いしたいと思います。

○檜垣参考人 ありがとうございます。

○笹井委員 先進的な取組ということで御紹介ありがとうございました。委託先が医療機関であったり、民間機関であったり、地域の実情に応じて都道府県、自治体が取り組んでいらっしゃるのかと理解いたしました。1点、都道府県の立場でお聞きします。なかなか委託先が決まらなかったりで、1か所程度設置するのがやっとかというのが実際なのかと思っているのですが医療機関に設置した場合は、そこに通っていらっしゃる患者さんには便利でも、県全体から見るとカバーできているのかどうか教えてください。あるいは、県全体をカバーするためにはどういう工夫をされているのか、そういったことがあったら教えていただきたいと思います。

 あと、今、移行支援のお話も少し出ていましたが、これから取り組んでいくのかと思うのですが、移行支援については、この自立支援事業の中に位置付けるという捉え方でよろしいのかどうかいかがでしょうか。以上です。

○檜垣参考人 ありがとうございます。県全体を網羅していくのはとても大変で、現実的にはそこまでできているわけではございません。ただ愛媛県の場合は、松山市と愛媛県が1つのNPO法人に委託していだいているので、今は連携をして県内をできるだけ網羅しようという形では動いています。ただやはり松山市内と地域では距離の差もありますので、課題です。ただニーズがあれば出向いて行って、できるだけニーズに応えようという動きは最近少しずつできるようにはなってまいりました。医療機関に設置した場合のデメリットと言うか、難しい点はおっしゃられたとおりで、その中に配置された自立支援員さんがフリーに県内を飛び回れるような立場で雇用されていれば動けると思うのですが、これは問題点の一つではないかと思います。学内のサポートセンターの中でされている所もありますし、実際には、県内を移動されている自立支援員さんもおられますが、確かに病院の中だけということになると県内を網羅するのは難しいのではないかと思います。移行期支援に関しては、どなたかにコメントを頂いたほうがいいと思います。

○遠藤難病対策課長補佐 事務局から回答させていただきます。本委員会でも御議論いただいた移行期医療支援のほうは、成人のほうまで含めた形での支援を考えております。そのため、この自立支援事業の中での位置付けはちょっと難しいのですが、実際的にはやはり重なる部分はたくさんあると思いますので、効率的な連携を図っていきたいと考えております。

○益子委員 川崎市宮前保健福祉センターの益子です。小児慢性特定疾患の児に特化したこういう自立支援事業のすばらしい取組をありがとうございます。一方で川崎市は、国が打ち出した地域包括ケアシステムを、高齢者に特化することなく住民全ての、子供からお年よりまで全ての人たちを対象とした地域包括ケアシステムの構築を目指して動いておりまして、やはり地域に住む人たち全てが、社会的マイノリティの人の認知も上げてみんなで支え合っていくのだという運動を、これから一生懸命進めているところです。そういうボトムアップのものと相まって、進めていかなければいけないものなのではないかと思いましたので、ちょっと発言させていただきました。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。どうぞ。

○安達委員 どうもありがとうございます。私は、教育関係の立場で出席させていただいております。教育関係では、今、先生がお話ししたような内容についてパイロット的に先行している事例もあります。例えば、障害が有るなしに関わらず就学前から卒業まで切れ目のない支援、多様な学びの場の保障、高等学校になりますが、来年度から通級指導による制度の運用が始まります。あるいは、就労支援コーディネート、早期支援コーディネート等文科省で予算化されております。是非、行政の壁を越えてお互いに連携していくとよりすばらしいもの、皆で支えていくことが今、求められているのかと感じました。教育の力というのもあります。各学校には特別支援教育のコーディネータが選任されており、連携を取り、力をあわせながら行うと、素晴らしい自立支援事業になると考えます。

 また、個別支援計画の所で是非お願いしたいのが、保護者あるいは子供の参画を教育関係では求めています。子供のことを一番よく知っているのが保護者です。個別支援計画を作成する際、是非、保護者あるいは本人の参画もご検討いただければと思います。

 個人的なのですが、毎年、アレルギー児のサマーキャンプに参加しております。発達障害のある子供も参加するようになりました。従来とは違った難しさが出てきております。発達障害を併せ持つ子供への支援も視野に入れながら、是非進めていただければと思います。よろしくお願いします。

○檜垣参考人 ありがとうございました。本当に是非連携をしていけるように、いろいろ教えていただけたらと思います。それが一番、実際には医療と福祉と教育のいい連携ができたら一番いいと本当に感じております。よろしくお願いします。

○五十嵐委員長 自立支援事業は教育が非常に重要なわけです。今日は文科省からも御出席戴いております。何かありますでしょうか。

○磯谷企画調査係長 文部科学省特別支援教育課の磯谷と申します。檜垣先生、今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。それから安達先生におかれましては、文部科学省の取組を紹介していただきまして誠にありがとうございます。一部安達先生のお話と被る点もありますが、私からは3点ほど紹介させていただければと思っております。まず1つ目です。入院しているお子さんの支援体制の整備という観点では、文科省では、入院児童生徒等への教育保証体制整備事業を実施しております。こちらを通じて、例えば、入院しているお子さんへのタブレットの配布を行ったり、どういう形で連携をしていくのが有効かといった調査研究を実施したりしておりますので、是非、御活用いただきたいと思います。この事業は平成26年の児童福祉法一部改正のときの参議院の附帯決議が1つの契機となっているものです。非常に小児慢性特定疾病と関係が深い事業ですので、是非、活用していただきたいと考えております。

2点目です。切れ目のない体制整備の支援ということで、文部科学省としては、子供が進学していく際の縦の連携、そして教育、福祉、医療といった横の連携のなかで、例えば個別の教育支援計画などの共有・引継ぎがしっかりとなされるような体制整備を行うための補助事業を行っていますので、是非活用していただきたいと思っております。

 それから3点目、一部先生方からお話が出ました遠隔教育です。遠隔教育については、平成27年に高等学校段階で一部要件の下で実施ができるようになっております。ただ、この制度改正についても、なかなか使い勝手が悪い部分もあるという御指摘を頂いているところがありますので、今後、どのような形で遠隔教育の制度が活用されるかを我々もしっかり検討していきたいと考えております。以上です。ありがとうございます。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。では就労のことも関係ありますので、春名委員からお願いします。

○春名委員 ご発表で「就労や教育との連携や顔の見える関係が大切だ」という声を紹介いただきました。これについてより具体的なものがあればぜひ、お聞きしたいと思います。

例えば、ハローワークも連携の重要性は認識していても、具体的に何をしたらいいか分からないことが結構あります。小慢の方の厚労省の基本的な方針の中でも、就労支援について、例えば、先輩の方との交流支援によって、将来の就労のイメージが湧くとか、、自己管理の支援なども就労に結び付いてくるだとか、あとは、子供のときから病気の方で、大人になって安定した仕事に就いている方は、専門職の資格を取っている方が結構いらっしゃいますので、子供のときからきちんと資格を取れるような教育をしていくとか、具体的な内容が示されていますが、現場の実際の取組はどうでしょうか。子供の時から、ちょっと情報提供していけばビジョンなど広がってくるだろうとか。例えば、障害者雇用支援についても、重度な方に対しては、テレワークだとか、支援機器だとか、そういう可能性もありますし、例えば透析をしていても普通に働いている人はたくさんいるだとか、の情報提供のようなことです。

 先ほどお話しいただいた中にも、そういう交流支援だとか、医療の支援だとか就労支援だとかのご紹介をいただきましたが、実際の現場での関係で

、医療分野と就労分野などが有機的に関連した形で何か成果が上がっているだとか、いい取組があるかということがありましたら、すごく参考になるのではないかと思います。

○檜垣参考人 ありがとうございます。実際に就労支援を行ってみて、仕事が見つかっていくのは簡単なことではありません。実際には、まず交流のお話が出ましたが、キャンプとかでは、やはり病気があってもなくてもみんな大人になっていくので、仕事というものは大きくなっていったらするものだとか、仕事とはどういうものかとかいうのは、やはり小さいときから聞いていくのは1つ効果があると思っています。そのようなことを企業の人にお話をしていただいたりする機会は何か役に立っていくのではないかとは思っております。

 でも実際に、就労につながっていく事例とかケースを見ていますと、ある事例があって、こういうお子さん、こういう方がいるのだけれど、どういう仕事ができそうかという具体的な例があって初めて就労支援がはじまり、どういった就労形態がかなうかというのを考えていくのが現実で、こういう支援が要る人、こういう得意な分野がある人、こういうことができない人、こういう配慮が要る人という、こういう人がいるのだけれど働けるかという提案があれば、そこから企業側も考えてくれるというのが実際の現実だと思うのです。

 ここで総論的に、こういう団体はいるけれど、こういう団体に対して就労支援ができるかというと、現実的にはすごく難しいので、うまく情報を共有して、こういうことに配慮ができたらこういうことができるのだけれどということが、もっと具体的に何か連携が取れることが実際にかなえば、皆働けないわけではないので、恐らく一定のチャンスがあれば働ける人たちがいっぱいいると思うので、そういうところにうまくつながればと考えております。

 私たちの中にも、実際に就労につながっていったのは、個別につながっていったりとか、支援員さんがいろいろな所と交渉してつながっていったりとか、たまたまこういう障害者雇用が空いているからというので来たらそれにマッチする人がいたとか、そういったことで窓口があってつながっていってるケースはありますが、おっしゃられるように、個別に対応していくのが現実としてはやはり多いような気がします。いろいろ方法論とか教えていただきたいと思います。

○坂上委員 読売新聞の坂上です。発表ありがとうございました。自立支援事業というと、先ほどの就労もあり教育もありという、やはり多業種の方々が連携する、そして力を合わせていくことが大切だと思うのです。愛媛では、多業種の連携という点で御苦労されていることはありますか。うまくいっていない自治体は、きっと、他業種連携がクリアされていないのではないでしょうか。先ほどの京都のケースでは保健所所長さんが熱心だからうまくいっているようです。1人が頑張らないとうまくいかないのか。お金が足りないのか。研修をすれば解決されるのか。御自身の体験でもいいですし、ほかの自治体から聞かれた話でもいいですので、自立支援事業をうまく行う秘訣をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○檜垣参考人 非常に難しいところですが、愛媛は本当に、これは先ほどもお話しした愛媛モデルと書きましたこのメンバー、やはりこれは宝物だと思うのです。子供たちの周りにみんなが集まってきてくれて、そこでこういうことがあるのですよと言ったら、みんなが意見を出し合えるような環境があるので、すごく有り難い環境でアイデアが出せる状況なのです。すべての事例が解決していくわけではないですが、このようなシステムでみんなで考える体制があります。京都の話にも出ましたが、やはり推進力のある人は必ずどの事業をしても多分きっと必要なのだろうと思います。情熱がある人がいて、そこに何かいいシステムができてきたら、何かちょっとかなっていくのではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。

○五十嵐委員長 均てん化という点から考えてみましても、この自立支援事業を一生懸命やっているのは東京からやはり西のほうが多いのです。北のほうはなかなかこれをやりたくても資源がないとか、いろいろな理由で活発ではないというのが今の状況です。ですから、本当に予算も限られていますし、それからするべき研修の内容とか方向性とかというのも、文章として提示されているものは檜垣先生が今回お作りになったものが初めてになるのではないかと思います。小林委員と成育医療研究センターとで一緒に行っている自立支援講習会では、独自に考えた内容をこれまで行ってきました。今後は、検証も必要ですし、檜垣先生と一緒にあるべき方向性を考えて行きたいと思っております。

 これまでに、講習会を4回開催しましたが、東京と大阪と京都でしかやっていないのです。しかも年1回の開催です。他の地域でも開催することが必要と考えております。この問題はまだまだたくさん検討すべき議題があると思うのですが、そろそろ時間になりましたので、議論はここでひとまず終了したいと思います。今後、より良い方向を目指して皆さんからの御意見を頂きながら方向性を決めていきたいと思っておりますので、是非とも御協力をお願いしたいと思います。以上で本日の議事は終了したいと思います。事務局から何かございますでしょうか。

○田中難病対策課長補佐 委員の皆様、本日はどうもありがとうございました。次回の開催日程につきましては改めて事務局から御連絡をさせていただきます。最後に、委員会の閉会に際しまして、福田健康局長より御挨拶を申し上げます。

○福田健康局長 健康局長でございます。委員の皆様、本日は大変、年末のお忙しい中、本当に熱心な御議論を頂きまして誠にありがとうごさいました。また日頃より、小児慢性特定疾病対策のみならず、先ほどもお話がありましたが、教育の話や、それから就労の話も含め、健康行政全般にわたり御支援、また御指導いただいておりますことを厚く御礼申し上げたいと思います。

 今日の委員会の主な目的でありますところの、平成30年度から追加を予定しております小児慢性特定疾病の検討につきましては、本年9月から議論を開始していただいて以来、委員会におきまして都合4回にわたって、計36疾病について精力的に御議論を頂いたことにつきまして、委員の皆様に厚く御礼を申し上げます。先ほどスケジュールもお示しいたしましたが、検討結果につきましては、今後、児童部会の御意見をお聞きし、平成30年度から医療費助成を開始できますようしっかりと準備を進めていきたいと考えております。

 また、先ほど檜垣参考人からもお話がございました小児慢性特定疾病の児童等、自立支援事業につきましても、研究班の取組を御発表いただいたところであります。厚生労働省といたしましても、このような取組を全国に情報発信するなど、未実施の自治体の取組に必要な支援も併せて行ってまいりたいと思っておりますので、委員の先生方におかれましても、引き続きのお力添えと御指導をお願いしたいと思います。

 また、4回にわたりまして、今後の検討すべき課題でございますとか、それから、今日も含めましてこの分野、そして関連する分野につきまして、非常に貴重で様々な御示唆を頂いたところでございます。改めまして、委員の皆様方に御礼を申し上げまして御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

○五十嵐委員長 それでは、委員会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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