ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> (独)国立のぞみの園の在り方検討会> (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第4回)議事録(2017年12月18日)




2017年12月18日 (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第4回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成29年12月18日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)


○出席者

佐藤座長
大塚構成員
北岡構成員
千葉構成員
太田参考人
遠藤オブザーバー

○議題

(1)現状・課題及び論点(案)について
(2)その他

○議事

 

 ○佐藤座長 皆さん、おはようございます。定刻前ですが、予定の方々は皆さんお揃いのようですので、少し早いですが、第4回(独)国立のぞみの園の在り方検討会を始めさせていただきます。本日は皆さんお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、最初に事務局から出席状況及び資料の確認をお願いします。
○渥美施設管理室長補佐 おはようございます。構成員の本日の出席状況ですが、石渡構成員、菊地構成員、小林構成員、佐々木構成員の4名が御都合により欠席との御連絡を頂いております。なお、菊地構成員の代理として、太田参考人に御参加いただいております。また、事務局のほうの宮嵜障害保健福祉部長ですが、所用によりまして、10時半頃から11時半頃までの出席となります。あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 続いて、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元に独立行政法人国立のぞみの園の在り方の見直しについて、「現状・課題及び論点(案)」という資料があります。この資料がお手元にありますでしょうか。過不足がなければ、これでやらせていただきます。以上でございます。
○佐藤座長 それでは、議題に入ります。本日の資料で提出されている現状・課題及び論点(案)ですが、これまで出された構成員の皆さんからの意見を踏まえて、事務局で作成していただきました。ただ、この作成に当たっては、座長である私と事務局とで協議を行いました。直接話し合ったこともありますし、あるいは、電話やメールでやり取りもして、本日、取りまとめに至ったものであります。
 それでは、本日の議題の現状・課題及び論点(案)について、事務局から説明していただきます。では、よろしくお願いします。
○朝川企画課長 企画課長です。それでは、お手元の資料の1ページ目を御覧ください。まず、資料の見方ですが、1ページ目で見ていただくと、左上に現状が書いてありまして、右側の上のほうに意見等と書いてあります。これは、この検討会でこれまで出していただいた意見等、エッセンスをまとめております。右下に、このページだけですが、第2回検討会の事例発表の概要を入れています。これらを受けまして、左側の上から2つ目、これまで出された課題ということで、課題を整理し、左下に、今回、論点(案)ということで、それぞれのテーマごとにお示ししている構成です。
 1ページ目です。「1.基本的な在り方」、(1)のぞみの園の役割についてです。左上の現状は法律に書いてあることですが、のぞみの園というのは、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供などが役割として規定されております。
 右下を見ていただくと、第2回検討会で事例発表をしていただきましたけれども、その中で、1つ目、社会福祉事業団を民営化した事例、2つ目、県立施設の民間移譲の事例、3つ目、グループホームで著しい行動障害を有する者の支援に取り組む先駆的な事例などの事例発表をしていただいたところです。
 左の上から2つ目、これまで出された課題ですが、1つ目の○、障害者の高齢化、重度化や、地域生活への移行を希望する障害者の増加、そういった障害保健福祉施設を取り巻く環境の変化がありますので、それらを見据えながら役割を考える必要がある。2つ目、著しい行動障害を有する者をグループホームで適切にケアする先駆的事例や、自治体等から民間へ実施主体を移行した先駆的事例が存在することを考慮する必要がある。3つ目、旧法人時代からの入所利用者については、利用者本人や家族の不安が生じないよう、最後まで責任を持って支援する。4つ目、先駆的な、先導的な取組というのは、支援方法もそうですけれども、人材、職員配置、お金等も含めた経営のモデルとなる必要があるというのが出された課題です。
 これらを踏まえて、論点(案)、一番左下ですが、1つ目、全国の施設での取組状況を勘案し、国として実施すべき事業に重点を絞って役割を担うべきではないか。2つ目、障害者の高齢化や重度化が進行する中、地域移行という視点を重視しつつ、需要に応えていくべきではないか。3つ目、今後、従来の実施方法を検証し、支援方法、職員配置、資金等について、全国の施設で実践可能となるようにすべきではないかとしております。
 2ページ目、(2)として、運営主体についてです。現状は、平成15年から独立行政法人に移行しております。これまで出された課題としては、運営主体について、独立行政法人がよいのかを検討する必要があるというものです。
 左下の論点(案)ですが、後で見ていただきます「2.事業内容」で検討した結果、実施すべきとされた事業を担うにふさわしい主体となるように見直しを行うべきではないか。その際、障害者総合支援法の施行により障害福祉サービスが全国的に普及している状況も踏まえた検討を行うべきではないかとしております。
 3ページ目、ここからは「2.事業内容」について、それぞれ事業類型ごとに見ております。(1)は、旧法人時代からの入所利用者に係る支援です。現状については、平成15年に独法に移行した以降ですけれども、現在、新たな入所者は受け入れていないということ。もう1つは、前回までに見ていただきましたけれども、地域移行の数が鈍化している状況があります。これまで出された課題としては、旧法人時代からの入所利用者については、今後も更に地域移行を推進する必要があるという課題が出されております。
 これを踏まえて、論点(案)ですが、現在、来年度の議論をしております「障害福祉サービス等報酬改定」で新設が予定されている「重度障害者を対象としたグループホーム、あるいは、特別養護老人ホームなど」、これまで移行先としてこなかった選択肢を提示しながら、引き続き地域移行を推進していくべきではないか。2つ目、地域移行を大きく進めていく中で、社会福祉法人等が役割を担えるか検討すべきではないか。3つ目、高齢化が進み、常時、医療的ケアが必要な者については、別途、検討するべきではないか。4つ目、サービスを担う主体については、上記の考え方を踏まえ、具体的に考えていくべきではないかとしております。
 4ページ目、(2)有期入所利用者に係る支援についてです。現状は2つの類型、著しい行動障害を有する者。2つ目、矯正施設を退所した知的障害者、これらについて有期入所支援を実施しています。2つ目は、1つ目の著しい行動障害を有する者については待機者がおりまして、矯正施設退所者については、待機とまではなっておりませんが、入所の要望・相談があるというのが現状です。また、3つ目、民間においても、これらの著しい行動障害を有する者を受け入れる施設はありますが、全国的に少ない状況にあるというのが現状です。
 これまで出された課題としては、1つ目、待機者、要望等があるということで、著しい行動障害を有する者など、引き続き支援する必要があるということ。2つ目、今まで行ってきた有期の施設入所機能をセーフティネット機能と位置付けるべきかを検討する必要があるということ。
 これらを踏まえて、論点(案)です。1つ目、地域では支援が難しい者に対象を限定して支援を実施すべきではないか。2つ目、これまで有期で支援してきた著しい行動障害を有する者や矯正施設退所者については、引き続き機能を担うことが適当ではないか。3つ目、セーフティネット機能については、調査・研究等により実態の把握に努めていくべきではないかとしております。
 5ページ目、(3)調査・研究、養成・研修及び援助・助言についてです。現状は、のぞみの園のフィールドを活かした実践成果をまとめた調査・研究が実施されております。2つ目、このほか、知的障害者関係施設等の職員に対する養成・研修の実施や、地域移行やサービス支援技術等に関する援助・助言を実施しております。
 これまで出された課題としては、1つ目、のぞみの園のフィールドを活かした実践成果を全国に発信していくため、引き続き研究する必要があるという課題です。2つ目、有期入所者の入所前の調整や退所後の処遇について、アウトリーチで支える手法について実践・研究し、更に全国で実施している研修をサポートする必要がある。3つ目、盲ろう者、あるいは高次脳機能障害者への情報提供や、ケアの在り方を検討する必要があるのではないかというのが課題として出されています。
 これらを踏まえて、論点としては、1つ目、のぞみの園のフィールドを活かした支援の実践成果を引き続き全国に発信すべきではないか。2つ目、盲ろう者等への支援など、新たな課題としてあげられた事項については、具体的なニーズの把握に努めていくべきではないか。3つ目、調査・研究の方法として、自らフィールドを持って行うということのほか、全国の先駆的実践を集約し、ネットワーク化を図ることも考えるべきではないかとしております。
 6ページ目、(4)附帯事業についてです。附帯事業の現状は1から12まで書いてありますが、診療所、就労関係の事業、グループホーム、生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスなどを実施しております。
 これまで出された課題としては、今後、事業の効率化を図る上で、現行の附帯事業の廃止等を含めた棲み分けが必要ではないかというものです。
 論点(案)としては、1つ目、本体事業との関連の薄い附帯事業については、国で行うべき事業との関係から縮小や廃止、及び移譲を含めて抜本的に検討するべきではないか。2つ目、のぞみの園の診療所については、入所者に必要な医療を提供し、支援の質を高めていることから、これまで見た「2.事業内容」の(1)及び(2)と密接に関連すべき機能として捉えるべきではないか。3つ目、引き続き、国として役割を果たすべき事業について、具体的なニーズの把握に努めていくべきではないかとしております。
 7ページ目です。ここからは、「3.業務運営」として、(1)経営改善についてです。まず、現状です。独立行政法人として運営していますが、入所者が減少する中で、事業収入の確保が難しく、運営を維持することが困難になりつつある状況にあります。
 これまで出されてきた課題としては、入所者が減少する中、事業の見直し、運営体制等の見直しは必要ではないか。経営改善については、新しい給与制度の導入等により、人件費率を抑制することが必要ではないかというものです。
 論点(案)としては、1つ目、重度知的障害者への対応は、全国の知的障害者施設に共通する普遍的な課題であり、そうしたことを踏まえて、経営の効率化を具体的に検討すべきではないか。2つ目、運営部門別の収支項目についての分析を行いつつ、人員体制や、給与体系も含めた検討をすべきではないかとしております。
 次に、(2)実施場所についてです。のぞみの園は、開園当初から、現在の高崎市に位置しております。課題としては、現在地のままでよいのかを検討する必要があるということで、論点(案)としては、地域移行の理念や共生社会の実現といったことを踏まえて、現在よりも、より身近な地域で運営すべきではないかとしております。
 9ページ目、(3)老朽化した建物についてです。建築年数によって建て替えの必要度は異なっていますが、既に耐用年数が超過しているもののほか、耐用年数が近づいているものが多いという現状です。
 課題としては、多くの建物が老朽化している中で、入所者の処遇にふさわしい整備や未使用の建物の処分、これらを計画的に策定する必要があるというものです。
 論点(案)としては、建物については、利用者数の見込み、処遇などを踏まえ、総合的に勘案した上で計画を策定すべきではないかとしております。
 最後、「4.スケジュール」についてです。現状は、今、進んでいる第3期の中期目標、今年度末までに基づいて運営をしております。来年度から始まる第4期の中期目標については、独立行政法人評価制度委員会等の意見を踏まえて、来年2月頃に策定予定です。一方で、中長期的な将来を見据えた工程表は、現在、策定されていないという状況です。
 これまで出されてきた課題としては、将来を見据えた工程表を示す必要があるというものです。論点(案)としては、1つ目、中長期的なあるべき姿を示した上で、第4期、次の5年間で行うべき見直しについての具体的な工程を考えていくべきではないか。2つ目、その具体的な内容については、第4期において、以下の事項を行うということで、1つ目、地域移行の更なる推進。2つ目、運営費交付金の削減としています。3つ目、以下については、第4期の早期に着手するということで、収支分析を行いつつ、人員体制、給与体系、事業内容の検討。2つ目、運営主体、実施場所等、中長期的な在り方について具体化を図る。資料の説明は、以上でございます。
○佐藤座長 それから、加えて、本日、急遽欠席された石渡構成員から、意見書が提出されています。これについて、渥美補佐から説明をお願いします。
○渥美施設管理室長補佐 まず、お手元に追加資料として、石渡構成員からの意見書はありますでしょうか。それでは、説明させていただきます。
 資料は、大きく4つの項目になっております。まず、最初は、のぞみの園の役割について、これは、国として実施すべき事業に絞り、日本の障害者福祉をリードすることが今後も求められる。入所施設、診療所など、実践・臨床の場を踏まえた施策の検討、調査・研究などを実施できたこと、のぞみの園の強みであり、今後も求められる役割であると考える。
 次に、2つ目の項目は、国として実施すべき事業の絞り込みについてです。これについては、大きく2つに分かれています。(1)として、引き続き継続すべき事業ということで、これは最低限、次の事業が、国が責任を持って継続することが必要と考える。具体的には、1.調査・研究。これについては、実践・臨床を踏まえた研究成果を上げていることは、のぞみの園ならではの強みである。規模は縮小しても、このような形態を維持した調査・研究を継続することは必要と考える。2つ目、養成・研修及び援助・助言。調査・研究の成果があるからこそ福祉従事者の養成・研修につながると考える。障害者の高齢化・重度化、医療的ケア、ターミナルケアについては、全国の実践をリードし、ネットワーク化を図ることなども求められる。3つ目、セーフティネットについてです。第3回で提案されたセーフティネットの役割は、国として今後の方向性を明確にすることが求められると考える。研究部門と連携し、施策の確立や具体的な支援方法などの検討は、のぞみの園に期待される事業と考える。
 次に、(2)当面の課題です。現在、入所を継続している方について、重度障害者のグループホーム、特別養護老人ホームなどへの地域移行、ターミナルケアの実践などは責任を持って実施すべきと考える。
 次に大きな項目の3.です。民間や地域に移管すべき事業。附帯事業は、原則として身近な高崎市などに移管してよいのではないか。ただ、のぞみの園の診療所が果たしてきた役割は、独自の蓄積があると考える。どう引き継ぐかは、研究部門との役割と合わせて、国に求められる課題と考える。
 最後、運営主体、業務運営などです。事業によって切り分け、国がやるべきこと、自治体や民間に委ねることを整理することが必要になると考える。その役割分担で実施場所も整理されてはどうか。以上でございます。
○佐藤座長 それでは、今、朝川企画課長から説明があった本日の資料と、渥美補佐から説明があった石渡構成員の、本日の検討会に対する意見、これを踏まえて議論を進めてまいりたいと思います。具体的には、論点(案)を中心に議論を進めていくわけですが、この論点については、今までの何回かの検討会で様々出された意見を整理しながら、しかし、基本的にはいろいろな角度から出た意見を論点として並べてありますので、この段階でもう一度整理して、報告書にきちんと書いていくということが必要ということで、そのための議論を、今日はさせていただきたいと思っております。丁寧にやるために、各項目ごとに区切って議論を進めていきたいと思います。まず最初に、大きな1.の(1)(2)の最初の2枚です。まず、これを議論していきたいと思います。
 ここで1点訂正をさせていただきたいのですが、私は、第3回目の検討会のときに、今後の運営主体の在り方について、指定管理者方式の切替えというものも選択肢にあるのではないかと発言をいたしました。不勉強、不見識で、指定管理者方式というのは、地方自治法に基づく制度なので、国の場合には該当しないということで、この発言については私自身、取り消して、撤回させていただきたいと思います。
 では、基本的な在り方の中の、のぞみの園の役割、あるいは運営主体について、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○大塚構成員 まず、1ページの論点の所ですが、のぞみの園の役割ということで、論点の一番はじめに、全国の施設での取組状況を勘案し、国として実施すべき事業に重点を絞って役割を担うべきではないかということです。ある意味で、今までが入所施設をもって調査・研究も含めてモデル的な、先駆的な事業をやっていると。そういう所が役割であったということで理解しております。そうすると、今後は、引き続き入所機能をどうするかということが1つの大きな課題かと思います。
 先回出させていただいた調査結果ということにおいては、入所機能はしばらくは残すということはもちろん、入所されている方がいらっしゃるので、ということはあるかもしれません。それで、地域移行を進めるとともに、新しい考え方、新しいパラダイム、考え方の枠組みを作る必要があるのではないか。国がやるべき機能として、それの1つとしてセーフティネット機能、これは適切な言葉かどうか分かりませんが、今後は入所機能から全国の知的障害の方などのためのセーフティ機能として、役割を果たすということを出させていただいたところです。もうちょっとセーフティ機能というのをどのようなものか、内容も含めて深く考えていく必要があるかと。自分自身でも、まだはっきりと決めてはいないのですが、強度行動障害、あるいは触法など、非常に支援の必要な方たちに対する支援という意味でセーフティネット機能というのを出させていただいたところです。以上です。
○佐藤座長 ほかにいかがでしょうか。今日はできるだけしゃべりすぎないようにと思っていますけれども、私も意見を付け加えさせていただきたいと思います。
 今、大塚構成員から、これは、この間、のぞみの園の現状の評価や、あるいはこの先の在り方を考えるときの1つのキーワードとして、モデル的、先駆的な取組を行ってきた、あるいは行っているということなのですが、何をもってモデル的、先駆的というかということも吟味しなければいけないと思っていて、私は公平に見て、必ずしも先駆的、開拓的な事業が、正に全国のモデルとなるようなものが行われてきたというように言ってよいのかどうかということについて、少し疑問があります。確かに、様々難しい利用者の方々のニーズに応えて、丁寧に仕事をされてきたことは承知していますし、それから、基本的な地域移行という大きな命題に対しても、独法化以降、確実に結果を出してきたという面も十分に承知しています。
 しかし、それはある意味では、もっと進んだ、もっと質的にも量的にも取り組んでいるところがないわけではないというように考えたときに、従来の機能は、この現状の、一番最初ののぞみの園の設立当時の目的を非常に恵まれたバックアップで、つまり財政的にも、人員的にも望まれたバックアップの下でやってきたということなので、その意味で、モデル的というのは。では、これを同じようにするために、全国同じようなレベルが必要なのか。つまり財政的な、人員的な制度が、というところで、そもそもイコールでない状況の中で、優勢を保ってきたのだということが評価されるとすれば、今後も、その体制をそのまま維持することが重要になってくる。
 あるいは、そうしなければ、モデル的、先駆的には取組が進まないということにも、言い換えればつながってしまうのではないかというように思っています。私は、国として実施すべき事業の重点を絞るということ、ここでも何回か議論されてきましたけれども、刑務所や少年院から退所した方々に対する支援、あるいは重い行動障害を持つ方々に対する支援、それはそれで取り組んでこられたと思いますが、実際には、例えば、矯正施設を退所・退院された人たちの中の知的障害がある方は、2割とも、3割とも言われて、何万人という規模だと思います。
 だから、全くこれは、その緒に就いたばかりなので、これをきちんと取り組むというのは、独りののぞみの園の問題ではなくて、この国の大きな、今、抱えている問題だというように考えたときに、そういう方向性できちんとしたビジョンを持って計画を立てていく。それは独りののぞみの園が加わるべきではない、全国的にこのような仕組みを作っていく中で、取りあえず我々は、その先頭を走って行きたいというようなことは、かなり納得ができる方向性かと思いますし、今後の役割として議論すべきということ。
 つまり、今までやってきたことがいろいろあるわけですが、流行の言葉で言うと、余り流行ってていないかもしれませんが、いわゆる選択と集中を明確にして、と同時に、その事業の普遍性を訴求しながら全国的に普及を図っていく。そのときに特別なバックアップがあるから、これができるということ、そのようには陥らないように、どこでも工夫によっては、取り組んでいけるということをモデルとして提出していくというようなことが必要ではないかと思います。長くなって恐縮ですが、そのようなことで、論点の整理を進められればいいかと私自身は考えております。
 それから、もう1つは、ここに出てくる課題の中で、「最後まで責任を持って支援する」という意味も、もうちょっと吟味したい。これは、地域移行というミッションの中で利用者の皆さんを最後まで責任を持つということを前提としつつ、しかし、道半ばにして亡くなられる方もあるかもしれない。その方々も看取るということも、一部には含まれるという理解ではないと、うっかりすると、死ぬまで面倒を見るということが最後まで責任を持つということにすり替わってしまう。現実にはそういうことが、今も起きているし、これからも起きるでしょうけれども、基本的なミッションは、高齢になっていろいろと何重にも手厚いケアが必要な人の基本として地域で普通のと言ったらおかしいですが、障害者としてではなく、地域のお年寄りとして一生を送っていくということを目指してほしい。それこそ、ならではと言われるような取組になるかもしれないということを付け加えたいと思います。
○遠藤オブザーバー 今の座長の御意見に法人の立場で申し上げます。恐らく、座長の言ったことと私どもが実践していることというのは、そう違いはないと思っています。それで、独立行政法人ということで、障害福祉行政の大きな課題を、全国の関係施設、事業所の現場でうまく対応できるようにという方向で、独立行政法人としての業務を進めていくということがとても大事だと考えてきたわけです。
 したがって、例えば矯正施設退所者の例を挙げられましたが、私どもとしては、そのような正に浮かび上がってきた政策課題、それに対して、のぞみだけで対応するということではなくて、全国に多数いる対象者の受入れを全国の関係施設、事業所で積極的に受け入れることができるように、そのハードルが高いところをいかに下げていくかということを、私どもはモデル的な実践という言葉が適当かどうか分かりませんが、実際に受け入れて、どのようなアプローチをして、どのような支援をしていったらいいのかということを、取り組んで事例を積み重ねてきましたし、調査研究でその支援の方法なり、あるいは支援の成果を全国に普及するための行政研修の事業をどのように展開していったらいいのかということに、一体的に取り組んできたわけです。
 そういう意味で、恐らく座長が言われていることというのは、私どももそういうことに対してかなり実践してきていると考えております。ただ、座長から見るとまだまだ不十分というのは、当然あるかと思います。
 また、先駆的といっても、民間で質量ともに、これまで実績を積み重ねてきている所もあるというのも事実だと思いますし、この場でこういうことを申し上げても何ですが、座長の関係の事業所、北岡構成員の関係の法人も、障害福祉の歴史の中で画期的な業績を上げているということも確かだと思いますが、のぞみの園としてはそういうことを目標にということもありますし、他方で、全国の多数ある施設事業所が障害福祉行政の政策課題の解決のために、どのように取り組んでほしいかということを発信しながら、事業に取り組んでいるということは、御理解いただきたいと思います。
 もう1つですが、「最後まで責任をもって」というのは、当然私どもは施設の中で最後までということではなくて、できるだけ地域移行ということで、ずっと施設生活で最後に亡くなるということは決して望ましいことではない。できるだけ地域移行ということで取り組んでいるわけですが、保護者との関係で言うと、保護者から、かつて国立コロニーとして受け入れるときに、終の住処として最後まで責任をもってくれるという約束だったではないか、国としての約束があったのではないかといった発言、意見あるいは要望もあるわけです。
 私どもの最後までの責任というのは、最後まで施設ということではなくて、あくまでも、できるだけ地域生活、そういうことを目標にということで取り組んでいるということも御理解いただけたらと思います。
○佐藤座長 矯正施設からの退所した方々の支援については、北岡構成員から、全国的な現状を教えていただけますか。
○北岡構成員 具体的にどういう受皿がどのようにあるかは承知していないのですが、全国の地域生活定着支援センターというものが、まだ受刑中のところからかかわって、福祉につなぐという取組が始まったということです。
○佐藤座長 さっきの遠藤理事長のお話を踏まえて、それをもっと突出した形で、ある意味で言えば、本当に需要に応えられているのは0.0何パーセントというような現状だと思いますから、急速に今後解決していかないと、一生刑務所を行ったり来たりという人が余りにも多い。これは本人にとっても社会にとっても不幸だと思いますので、例えばそういうところを今後の、のぞみの園の売りとして位置付けるということで、将来の在り方を考える。これは運営主体うんぬんという話とは別に、そういうことを考えていただければいいのではないかという気持ちで、先ほど申し上げたわけで、むしろ激励だと思っていただければ有り難いです。
 それから、運営主体について、いろいろこの間も議論されてきましたが、ここも踏まえて御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。議論をしやすいように申しますが、先ほど遠藤理事長が最後に言われた言葉を受けてですが、のぞみの園ができた頃、保護者の皆さんは「ここは終の住処として約束していただいたはずだ」とおっしゃった。しかし、その当時に国はそう約束したかもしれませんが、今は基本的にスタンスが違っていて、障害福祉の考え方については、45年間かかって、その当時とは全く違う立ち位置で、当然行政施策も進めていくことになっているわけです。だから、親御さんの気持ちは分かるし、とても不安な気持ちでおられるかもしれないけれども、それはそういう親御さんが安心できるようなことを地域の中に作り出していくということだと思うのです。
 同じように、国立コロニーのぞみの園、その前身である心身障害者福祉協会を作ったときの社会的な背景も、障害者自身、あるいはその家族の方々のニーズも、全く違うものになってきている中で、似たような体質を今後ともずっと続けていくことがいいのかどうかということも、議論の対象になると思います。
 当初は特殊法人であり、あるいはそこから独法でなければならない理由はあったかもしれないし、あったのだろうと思いますが、今後そのことはこのままあり続けることが社会の要求かどうかというところを踏まえて、議論を進めることが必要ではないかと思っています。
○大塚構成員 運営主体をどう考えるか、特殊法人から独立行政法人ということで、これは今後ののぞみの園の機能と関係すると思っています。のぞみの園の機能がどのようなものとなり、それを実現すべき一番効率的あるいはやりやすい運営主体とすべきで、反対に、今の独立行政法人等において、いろいろな事業はやりづらいとか、制限が掛かる、縛られるということを含めて、あるいは交付金の出し方ということもあるのでしょうけれども、そういうことも踏まえて、そこから出発すべきことなのかなと考えています。
○千葉構成員 運営主体は、今までの議論はここに書いてあるとおりのことだと思うので賛同の意を表します。もともと独立行政法人というそのものを考えたときに、市場に任せていては供給が十分に期待できないような事業、又は国が自らやるほどではないというようなものを、独立行政法人として見直すべしというのが、もともとこの独立行政法人制度というものの立て付けだったと思っています。
 そういう意味では、その立て付けと今回の今後のビジョンを考えなければいけない。また、今、大塚構成員がおっしゃったような機能というものを踏まえながら、そこに当てはまるなら独立行政法人のままだろうし、そうでなければ、例えばここに書いてあるような社会福祉法人とか、ほかのものに移管するなど、いろいろな考え方もあると思うのですが、それは前提として「2.事業内容」に書いてあることの中身との関係で、どのような主体になるべきかが決まるのだろうということで、私はこの考え方に賛同します。
○北岡構成員 少しずれるのかもしれないのですが、この間ののぞみの園の在り方を考えて、国は何をやるべきなのかという議論になると思うのです。同様に国立の秩父学園という施設があります。こういうものとセットというか、お互いにどういう役割を担うのかという中で、このことは議論すべきだったと最近思います。
 というのが、のぞみの園の議論が、このように運営主体に及ぶところまで議論していき、一方は国立の秩父学園ということで、この国立の秩父学園の果たしている役割は何なのかということと併せて、のぞみの園の議論。のぞみの園の部分だけをテーブルに出してどういう役割を担うかとやるのは、非常にバランスが悪いような感じがします。
 確かに独立行政法人です、国立ですということで、行政的には整理された議論なのかもしれませんが、現場の感覚から言うとというか、私たちから言うと、のぞみの園も秩父学園も国立だという中において、どういう役割分担が行われていて、これからこれはこういう役割を持つから、のぞみの園はどういう役割を持つのだという議論も併せてやるべきだったと、このように議論が深まれば深まるほど思うのです。
 今、ここで議論されていることは秩父学園でもやる話なのかなと思ったり、秩父学園はこういうことはしないからここで議論しているのかなと思ったり、秩父1つではボリュームが足りるのか、足りないのかということもあるのかなと。
 これは私は正しい数字は知りませんが、聞くところによると秩父学園の在園児は40名程度ということです。もともとの定員は何人なのかという話からいって、もし現在の子供が40人だとして、恐らくその子供たちは障害が重度で、ケアの量がかかるので40人で精一杯なのだという議論が、現場的にあるのではないかと思ったときに、重度、強度行動障害の人たちは、これまでのぞみの園でモデル的、先駆的にやってきたという話と、秩父学園はそういうこともやってきたのではないでしょうかという話や、人材育成も秩父学園は以前にいろいろと研修されて、うちの法人にも秩父学園の養成所を出た職員が今もいるわけですが、そういうことで、どのように整理していくのかということ。
 うまく言えませんが、のぞみの園だけの議論では不十分な議論になってくるのではないかということを、この間の議論の中で感じているということが1つです。この会議の場で、だからどうしろということではないのでしょうけれども、それは1つあります。
 運営主体についてはいろいろな可能性があると思うので、これからどういう役割をのぞみの園が持つかによって、運営主体はそれに見合った形になるのだろうということを思います。以上です。すみません、混乱させるような。
○佐藤座長 御指摘のとおりで、秩父学園のことですが、お役所的には、所管が違うから一緒には議論できないという話だろうと思います。
 ただ、あえて申し上げると、業界的には、のぞみの園はよく分からないけれども、秩父学園はもっと分からないと。あそこは、まだ国の直営なのだよねと。先ほど北岡構成員も言いましたが、子供も選んでしか入れないらしいとか、職員はたくさんいるのに何で定員どおり、それこそ受け皿がなくて困っている子供や少年がたくさんいるのにという意見があるのは、業界的には常識なので、のぞみの園ばかりいろいろ言われるのは、ちょっとお気の毒という感じもあります。
 私もそこは、今、北岡構成員が言ってくれたから、本来はそうだと。障害福祉施策のパッケージとして国が直接関わるものがこれだけあって、これをどのように整理するかという議論をすべきであったけれども、私も薄々感じつつ、まあいいかと。取りあえずここから始まって、次の段階でまた何かあるかなというぐらいは思っていましたが、言われればそのとおりです。
○北岡構成員 だから、のぞみの園でこれからこういうことをやろうということを、実は秩父学園でもやろうとしていたときに、やはり違うことをやったほうがいいと思うのです。そこの前提が非常に。
○太田参考人 少しだけ時間を頂いいてよろしいですか。
○佐藤座長 どうぞ。
○太田参考人 前職で秩父学園の園長をさせていただいておりました。ただ、5年前に着任をして、2年前に離れております。
 具体的な数は記憶が定かでないところありますが、着任したときには60人弱の在所者がおられ、仮に60名だったとして、年齢超過の人が50名ぐらいおられました。最高齢は、当時、私より1つ下の方ですので、秩父学園で40数年生活されていた方を筆頭に、50名近い方がおられました。
 まず、児童福祉施設として、年齢超過の方を出身地域の施設に移っていただくことに取り組みまして、3年間で25、26人に地域に移っていただきました。年齢超過の方が移られて、その部分に受入可能な枠ができましたので、そこに新たに児童が入ってきています。それは過渡期であり、秩父学園の形が様変わりする段階です。今は多分40名ちょっとに回復してきていると思うのですが、御議論されているような、知的障害を伴う発達障害で虐待を受けたお子さんたちです。他の施設で生活していたけれども、そこに不適応を起こしたという方を何人も措置変更で受けています。
 ただ、従来の重度という概念ではなくて、知的には、IQで言うと60前後の方で、行動障害を伴うということで、かなり過去とは対応の仕方が変わってきています。職員は、新たな知的障害児の方のニーズに対応すべく、勉強しながら対応しているというような状況が続いていると思います。
 秩父学園はリ国立障害者ハビリテーションセンターの一組織に入っており、組織統合がされて、平成24年から現状になっております。職員の養成も、リハビリテーションの中に「学院」という組織がありますので、そこで一元的にされるということで、秩父学園の中からは、その研修部門は切り離されています。北岡構成員がおっしゃったように、全体的な議論も必要になってくると思いますし、切り取って言うならば、秩父学園は子供の部門を担っていくという方向性の中で、6年前から取り組んできているという状況はあります。
○佐藤座長 自分が結構時間を取ってしゃべりながら時間のことを言うのは大変申し訳ありませんが、運営主体の件に関しては、ここで「こうすべきだ」ということを決めるわけではなくて、それは設置者である国がどのように考えるかという話でしょうから、ここの議論としては、必ずしも独立行政法人がよくて、今後もずっとそのように維持すべきであるという意見よりも、むしろ現状を踏まえた上でよりよい運営方法、運営主体を考えていくということで、幾つかの選択肢があるだろうということが議論されたということで、そういう中身でいいでしょうか。独立行政法人をそのまま続けるべきだという強い御意見はありますか。よろしいですか。
 それでは、次のテーマに移ります。次は、3ページ、4ページの事業内容の(1)及び(2)の部分について議論を進めていきます。1つは、旧法人以来、入所施設としてののぞみの園を利用されている方の支援を今後どのように考えていくか、もう1つは、この間、現にのぞみの園でも取り組んでいて、全体的にも大きな課題である矯正施設の退所者や著しい行動障害のある人たちに関わる、有期の入所利用者の問題に関してどう対応するか。この2点について御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○大塚構成員 先ほど佐藤座長がおっしゃった、入所であれ強度行動障害などの方たちであれ、全国のほんの少ししか受け入れられないということでやってきた、それは必然性があって、何もなかった昭和46年に作ったということもあったのだと思います。そこと関係していることかもしれません。
 そこで、3ページの右側が「意見等」ということで、のぞみの園でなければできないような施設入所支援というのもあるはずである。新規入所はゼロでなければいけないのかという疑問が出ていて、これをどう考えるかということです。今は新規の入所はないということです。
 私は入所機能は必要ないと思っています。1つは、国の方策として地域での生活を確立していく、あるいは地域移行を進めていく、障害者基本計画あるいは障害福祉計画、障害者計画にも盛り込みながらやっていると。この状況の中では、国としては入所機能をもう一度再開することは考えづらいということが理由です。
 もう1つは、結局国がやるということは全国から受け入れるということで、ほんの数パーセントかもしれませんが、何もなかったとき、昭和46年には意味があったのでしょうけれども、今は反対に地域の基盤が整ったということもあるし、何もなかったとき、この50年間というのは、本人や御家族にとっても非常にきついものがあったと思っています。北海道から、九州、鹿児島までいらしたか、例えば夏休みに面会に来る、あるいは帰省する負担を考えたら、非常に大きなものがあります。そして、親御さんが高齢になれば面会にも来られない。こういうことを、もしかしたら国は強いてきたのではないかという気がします。
 そういう、何もなかったから施設入所が必要だったという必然性はあったにしろ、それをずっと続けてきて、今の状況は関東近圏なのでしょうか、状況は異なったかもしれませんが、非常に厳しい負担を強いてきたと。この負担を、もう一度全国規模で行うということはあり得ないと思っています。
 そうすると関東近圏、あるいは県内ということになると、国としての役割はないわけです。より一部の人たちを受け入れるということなので、それは一社会福祉法人がやるべきことです。そうすると、入所機能そのものが成り立たないような状況があると思っています。
 もう1点は、今年の3月に長野県の西駒郷あり方検討会があって、座長として報告書をまとめさせていただきました。入所機能も含めて、県立施設と国立は少し異なるところもあり、あるいは同じような状況があると思っています。その中で1つ出ていた意見は、例えばだんだん地域の基盤が整ってくると、例えば長野県では県立施設のような西駒郷が強度行動障害や、そういう難しい人を受け入れるということは余り意味がなくなってくると。反対に、地域の基盤が整ってくると、県立施設がそういう所の機能を持つと、市町村が「あそこに送ればいいではないか」ということで、地域の基盤が整わない。反対に地域の基盤を阻害してしまうというような御意見があって、必要最低限の機能ということを書かせていただきました。そういう意味では、国が何でもやるという機能を大きく打ち出すと、50年前の何もなかったときはしようがなかったのですが、今の状況においては、国の機能によって反対に地域の基盤を整えることを阻害するような状況があるのではないか。今は発展段階にある強度行動障害や触法は必要かもしれませんが、この辺はよく考える必要があると思っています。以上です。
○佐藤座長 ありがとうございます。
○北岡構成員 今、大塚構成員から入所施設は不要だというお話があったのですが、私はある一定、やはり要るのではないかという立場です。それは、私は例えば高次脳機能障害の社会的行動障害を伴う人の支援を法人でやっておりまして、今の福祉の在宅やサービスではなかなかたどりつけなくて、結果として精神科病院の社会的入院という選択ばかりです。家族の方のことやいろいろなことを考えてなかなか在宅で受け止める、それはもうすごいお金をかければ何とかなるのかもしれませんが、現状としては非常に難しいと率直に思っています。
 入所はもちろんなるべくなくなったほうがいいと思いますけれども、完全になくなったときに、そういう人たちの行き場所が、精神科病院の社会的入院の長期的な入院につながっていくことは、一方で現実的な問題でありまして、こんな意見を申し上げると御注意を受けるかもしれませんが、どういう対象の方にどの期間、どのように過ごしてもらうのかを考えていくことも必要なのではないかと。そのことと、のぞみの園が何か役割として担えることがクロスオーバーであれば、そういうことにもチャレンジしていただくことは必要なことではないだろうかと思います。
 あと、冒頭、佐藤座長から刑務所の出所者の問題をお話になりましたが、確かにきずなをなくした人たちが刑務所から出所してきますので、こういう人たちにもう一度福祉的なきずなをつなぎ止める一定の場所としての在り方も、一方、議論があってもいいのではないかと思います。もちろん最初からグループホームで受け止めている実践もたくさんありますけれども、そういうことできずなをもう一度作り直して、社会に出て行っていただく場としての活用も避けないで議論されてもいいのではないかと思います。
○太田参考人 菊池から発言するようにと言われておりますことを伝えさせていただきます。北岡構成員の発言にもありましたように、地域の法人でどうしても受け止めることが難しい人たちも一定程度いらっしゃる中で、そうした人たちの受皿となって、何年間の有期的な受皿となっていただいて、そのあといわゆる処方箋のような形で、支援計画をしっかり作っていただいて、地域に戻すような役割を担っていただく必要もあるのではないかということです。個別の事例を、名前を挙げなければお許しいただけるかと思うのですが、前の職場で利用されていた方の中に、恐らくインフルエンザ脳症の後遺症として高次脳機能障害を発症された方がおられて、年齢が20歳になるということで、18歳の高等部卒業した後から、埼玉県内の幾つもの施設にショートステイで体験入所とさせていただいて、ずっと移行調整をしてきました。やはり最終段階になって施設のほうが、この状態では難しいとのことで、埼玉出身の方が年齢超過になるということで福井の国立病院に移行されました。それは有期的な対応ですけれども、彼であれば、病院ではなくても福祉施設と医療が密接に結びついていれば生活ができる状態までよくなってきていましたので、残念です。なかなか民間の法人では受けづらかったというケースも具体的にはありました。
○北岡構成員 例えば強度行動障害と言われている人たちやそういう人たちの支援技術については、かなり現場にも浸透してきていることもあり、そのことを積極的に取り組んでいる社会福祉法人が、施設に頼らず地域での暮らしのチャレンジを今たくさんしているという現実はあるので、先ほど私は入所が必要だと言ったそういう人たちを、どういう障害のある人たちが施設を利用するのかというイメージについて、私は強度行動障害の人たちはかなり地域でできる状況が出てきているというように理解を一方でしているのですが、先ほど申し上げた、高次脳機能障害の社会的行動障害を強く伴う人たちのケアはなかなか在宅やグループホームでは難しいだろうという立場、現状としてそういうことから申し上げました。
○大塚構成員 今の話は、のぞみが持っている入所施設、3ページの、旧法人時代からの入所利用者に関わる支援という議案ですね。この議案の中においてはもう一度再開するかどうかという議論だと思っています。また国が入所をもって550人あるいはもっと大きくするかということの議論だと思っています。そういう意味ではこの入所機能は、私は国の今の福祉の方向性から見て、余り考えられないのではないかということを言ったまでです。ところが、4ページの入所利用者のことについては、引き続き強度行動障害や触法の方、非常に丹念な支援が必要だと。あるいは専門的な支援が必要だと、この部分については残っているわけですので、有期等において、のぞみが新しい機能としてセーフティーネットとして持つべき機能だということを主張しているということです。
○佐藤座長 この論点では、大塚構成員が言われたように、2つの問題が混ざるような話にはしないで、現在ストップしている新規の入所についてはこのままだと。新しい取組として、この有期利用者のことについてはそれはそれで検討しようということが基本的な整理の立場ということをお互いに確認できるかと思います。先ほど申し上げたように、最後まで責任を持つことを、もう一度きちんと、現にいる人たちの話としても確認しておく必要があるのではないかと。恐らく利用者の方々の保護者も代替わりをして、親御さんは亡くなっておられるような、利用者の平均年齢が既に65歳となると当然そういうことで、兄弟の責任とか、のぞみが辞めてしまったら私が見るのかというようなそういう意味で言えばますます保護者との関係は難しくなると思いますので、しかしなお、利用者の方々が今後何年かの生活をどこでどのように送っていくかを、できれば今行ってきた地域移行を、もう一段階ハードもソフトもグレードアップして対応できるように進めていただくことが必要ではないかと思います。
 のぞみには現在のところ、診療所もあって、密なバックアップが、敷地内にいる人にはできるけれど敷地外にいる人にはなかなかできませんということはないと思いますので、旧法人からの入所利用者に関しての対応を考えていくべきではないかと。
 それからもう1つは、この有期利用者の問題ですけれども、先ほど大塚構成員が、長野の西駒郷の話のことで、地域の基盤を逆に弱めてしまうようなことになってはいけないという御指摘があって、非常に重要だと思います。論点整理の中で、地域では支援が難しいものを対象にして支援を実施すべきではないかという。この支援が難しいというのは、この人の障害がとても重くて複雑でということと関係があるのかもしれませんけれども、でもやはりサービス提供側の心意気も含めて、姿勢が支援を難しいとさせてしまって、結局先ほどのお話にもあったけれども、福井の病院まで行ってしまう。
 でも、これは支援が難しい人ってどういう人と聞いたときに、その人が今支援を受けている、あるいは居住している地域の総合的な対応力と無関係にこれは在り得ないと思うので、やはり特に強度行動障害とか言われる人たちを、一概にうちの地域では無理ですと、分かりました、ではうちでというのはもっと慎重にやるべきだろうと。そういう前提を付けながら、今後当面向こう5年間の第4期の中で、どういう事業をどのようにやっていくか。これは運用主体がどうあるということとは、ある意味では無関係に現状の施設としてどのように機能していくかを考えていただくという辺りが、このような合意ではないかと思っています。
○遠藤オブザーバー 今、座長からお話があった点について、のぞみとしてどのような受入れをしているか説明させていただきます。確かに支援が難しいことをどのような基準で見分けるかは、これは一概には言えないのですが、私どもとしてはまず、いろいろと入所の要請があった事例について、これまでどのような支援をしてきたか、それは事業所、地元自治体を含めて、その取組状況を十分に吟味してその上で実際にその対象者の所に面会に行ったり、あるいは現にサービス提供を受けている施設に出向いてその状況を確認したりしております。
 そして最近の事例としては、すぐに入所ということではなくて、ショートステイで1か月なり2か月なり、その状況を私どもが実際に確認し、アセスメントして、その上でのぞみとしての入所が必要かどうかを判断しております。その判断する場合に、いわゆる退所後、私どもとしては、1年、2年の有期として受け入れるわけですから、退所する場合にまた地元の自治体なり事業所が責任を持って引き継いでくれるかどうか、そこもある程度確認するというか、約束した上での受入れとなっております。そういう意味で、支援が難しいことをなかなかこういう障害の場合ということで表現することは難しいのですが、むしろそれまでの支援の経緯、取組状況、そしてその人の行動障害の特性や程度、そういうことを十分に確認した上での受入れで、現在、矯正施設を除きますと10名弱の受入れをしているということです。
○佐藤座長 これは別に言いがかりをつけるつもりはないのですが、私の拙い経験から、その場所ではうまく適応できるようになって、あたかも問題行動が相当解決されたということで、違う場所と違う人間に囲まれると、やはりそこからゼロから始まるということで、比較的、有期でいろいろ治療的なアプローチをして成果が上がったように思えるケースもあるけれども、逆にその後、さっき地元で引き取ってもらえますかということを前提にして、受け入れるというお話がありましたけれども、現実にはそういうことは相当頻繁に起きるし、私の実際の体験も、それから文言上のこともあれですので、なかなか本当は難しいということも踏まえつつですが、積極的な役割の1つとしてそういうことを今後検討していきたいと。それは施設機能の強化充実という文脈で何にでもきちんと考えていただきたいということになるかと思います。
 では、半分以上きましたので、次の課題(3)と(4)について、すなわち調査・研究、養成・研修及び援助・助言についてと、附帯事業について、この2つの問題に関して御意見をいただきたいと思います。
○大塚構成員 これも座長がおっしゃった、強度行動障害に関して、環境要因が強いわけですので、その場においては適応したとしても、また戻るということで、果たしてよい状態になるかと。それをいろいろ考えると一時的な、家庭やあるいは施設の中の負担も大きいということなので、有期で1回受けることはあるのでしょうけれども、その後帰すことも含めて、戻ったところにおいてアウトリーチにおいて支援をしていく、これが一番、あるいは家庭の中において生活できるように支援していく、これが一番常道だと思いますし、そういう仕組みを取っていかなければならないと。
 そうすると今までそういう仕組みはやってこなかったわけですので、今の研究、養成、例えばのぞみがやった強度行動障害の研修やテキストを作ったり、国の研修としたこととしてはすごく画期的なことですばらしいことであったと。その後各都道府県でやる研修とかあるいは直接それぞれの施設に出向いて行って困っている人、強度行動障害のためにこういう支援をするというノウハウを伝えるところまではいかなかったと。
 ここまでやって本当にのぞみがやるべき支援ということなので、そのためには今の人員体制や研修システム、あるいは調査・研究に基づいた体制、研修も含めて人員も含めて非常に貧しいものなので、大がかりな仕組みを作る必要があるかなと思っています。その際に、なかなか人材は集まらないので、今現場で活躍している人たちを一時的に、のぞみの職員として何か分からないですが、そういうこととして雇って、全国にアウトリーチで支援していただける、そういう仕組み作りが必要かと思っています。
○佐藤座長 それはのぞみで雇う必要がありますか。もっと全国的なネットワーク、つまりのぞみでやったことを、全国何箇所かで研修会もやっておられるし、課題によっては高崎で研修会もやっておられるしというのがあるけれど、ここでの検討会でもいわゆる先進として紹介された実践が幾つかあります。そういうのを少なくても丁寧に探して日常的なネットワークを作って、情報を相互に交流し合いながらというようなネットワーク型でないと、のぞみに集めると言ってもたかだか数が知れていると思うし、そのようなネットワークの中心になることによって、調査・研究、養成・研修の仕組みを現状とは大幅に変えていこうというようなことのほうが生産的なように思うのですけれども。
○大塚構成員 全くおっしゃるとおりで、人を集めるなどは全然考えていません。どういう人がどういう活躍できるかを、人材登用とネットワーク、それを企画運営する仕組みとしてののぞみ、中核的機能としてのという意味です。どこかやはりネットワーク機能を制御しないと駄目なので、マネジメントしなければいけない。そういうことで人を集めてあそこで全部ということは全然考えていませんし、地元にいていいと思っています。
○佐藤座長 まあ、厚労省がそういう事業を始めればいいですよね。
○遠藤オブザーバー 若干補足させてください。今、アウトリーチのお話がありましたけれども、現にのぞみの園としては、関係の施設、事業所あるいは自治体あるいは教育関係もありますが、講師派遣みたいなそういう要請があれば、どんどん派遣しているということです。そういう意味ではアウトリーチとまではいきませんけれども、一応全国のそういう要請があれば、積極的に専門性をもった職員が出掛けて行って、講演なりあるいは研修会講師ということで、活動しているところです。
 また、のぞみの園のフィールドを利用して現任研修の制度を作っておりまして、コースとしては発達障害、強度行動障害、高齢者支援、矯正施設退所者支援、このようなコースを作って、それぞれ希望する時期に1週間程度、のぞみの園の現場に入っていただいて、研修を受けていただく。そして、のぞみの園で研修を受けた内容について、持ち帰っていただき、それぞれの施設、事業所でそれを活用していただく。それを来年度からはどのような活用をしているのか逐一確認して、私どもの実施しているこういう研修が効果を上げているのかどうかというところまで確認したいと思っております。また全国の有力な施設事業所がそれぞれあります、そういうところと私どもの実施している事業について、いろいろ意見交換するような場を作ろうということで、例えば強度行動障害であれば、大阪府の施設に出掛けて行って、私どもが実践している強度行動障害の支援と、府立の施設で実施している支援について、いろいろ意見交換しながら更にいい支援につながるようにという取組をしております。
 そしてもう1つ追加させていただきますと、先ほど秩父学園との関係が出ましたが、正に現場としては当然同じような問題意識を持っておりまして、年齢でもって秩父とのぞみが断絶しているというのは全くおかしいと。それぞれやはり連携して切れ目のない支援、あるいはそれぞれの得意なところ、不得意なところをお互いに学習して、それぞれの事業に活かしていこうと、今年度から事例検討会みたいなものを開始しております。これは国立障害者リハビリテーションセンターとの連携という、大きな枠組みの中で、秩父学園についてもということで、御指摘いただいたように、私どもも問題意識を持って取り組んでいるということを御理解いただけたらと思います。
○大塚構成員 北岡構成員から秩父学園のお話が出て、遠藤オブザーバーも、のぞみの園と秩父学園との関係ということで、調査・研究、養成のところとも関係しているので、ここも例えば今秩父は国立障害者リハビリテーションセンターの下にあるということなので、私は連携のイメージで考えてはいたのですが、国立秩父学園との関係は知的障害という関係の中においてどういう連携を取っていくかと。それから国リハには発達障害の情報センターもあって、ここについても連携をしていくことが必要だと思っています。次のICD-10、ICD-11になると多分発達障害の中に知的障害が入ってきますので、発達障害者支援法に知的障害と書かれると思いますので、そういう意味では発達障害が上位概念になりますので、関係があると思っています。
 それからほかには、国立精神・神経医療研究センターがあります。ここには知的の部門あるいは発達障害と非常に関係の深い思春期の部門があります。あとは板橋に心身障害児総合医療療育センターがあります。ここも知的障害や発達障害の方などの支援を行っています。こういう国の機関はそれぞれどんな役割をしながら連携していくかは非常に大きな課題だと思っています。先ほどおっしゃっていた国立秩父学園との機能をどう考えるかがあるのですが、役割はやはり一定整理しないと駄目かなと思っています。ここにあります意見の中に、盲ろう者や高次脳機能障害の支援も、今、3障害統合の時代において、非常に意味があると思っておりますので、こういうことも必要ですけれども、これについては一方、国立障害者リハビリテーションセンターの研究の部門ですので、そことの整理において、きちんと行わないとなかなか難しい課題かなと思っています。
○佐藤座長 よろしいですか。それでは、(4)の附帯事業についての項目に関して、議論を進めたいと思います。現状、数で挙げると12の事業を取り組んでいるということです。これらをどう位置付け、さらに言うとどう今後整理していくか。本来地元の自治体に任せるべきところは、そのようにすることも含め、あるいは場合によっては移管がかなわないものに関して廃止をする、のぞみとしては廃止をする。事業所として独立させるというような選択肢もあろうかと思うし、そんなことを含めて、現行の附帯事業を今後どのようにしていくか。縮小、廃止、委譲を含めて検討をすべきではないかということが論点になっています。いかがでしょうか。
○大塚構成員 これもどのような機能を持つことになるかで決まってくることだと思っています。多分、今の独立行政法人においても自主運営的なところですので、収益を増やすことによって安定的な運営をすると。そういう意味では交付金だけに頼らず、様々な事業をすることによって、ある意味では独立行政法人としての赤字を黒字にするというイメージなのですが、収益のこともそして安定的な運営をするということなのでしょうけれども、今の実際の状況においてはかなり交付金が入って初めて成り立っている世界だということなので、なかなかこれをそのまま続けることは本当に、それも一部の高崎市に住んでいる人たちのほとんどのことなので、これは全国の人たちのために還元されていることではないので、このお金をどう考えるかということだと思っています。
○千葉構成員 私も大塚先生と同じ考え方です。組織体としてということの経営になると、この次のところに経営が出てくるのですが、むしろそちらの話になってしまうかもしれないのですが、本来の国でなければできないことということで運営交付金を突っ込んでやる事業ということは一方である。それが多分、1つ前のページにあった有期入所をどうするのかと、こういう話になってくるのだろうと思うのですが、ただそれだけでやっていくと、昨今の国の財政状況からいったときの、運営交付金の縮減要請には到底応えきれないだろうということもあって、自主努力として自主財源の収入を確保していくことはあってもいいのではないかと。ある意味その附帯事業という言葉ですから、そのように整理されるものというのは本体事業ではないという意味では、ここはちょっと大塚先生と意見が違うのかもしれませんが、オールジャパンを考える必要はないと思います。結果としてお金がくればいいというだけで。
 ただそのときに問われるべきは何かというと、ここに書いてあるようなものがその屋台骨を支えるに担えるほどの収益を上げているかどうかのところになってしまうのかもしれません。いずれにしてもそういうものを勘案しながら、これが要るのか要らないのかはちょっと、本来の機能は別次元で、経営を支えるものとしての、役割として捉えておく点も必要ではないかという気がしています。
○佐藤座長 ほかに、いかがでしょうか。私は、この一覧表を見るとますますその感を強くするのですが、既存の事業ばかりですよね。何か制度があるもの、言い換えればお金が付いてくるもので、それは結果として、どれぐらい自主財源として財政的に貢献しているのか分かりませんけれども。言わば盛んに使われるモデル的、先駆的ということであれば、本当はこの地域にこんなものがあったらいいけど、何の制度もない。しかし、それこそ独立行政法人として1つのモデルを、この地域で実験的にやってみようと。それは立派な調査でもあるし研究でもあると思いますが、逆に言えば、誰でも少し頑張ればどこでもできる。幸か不幸か、これらの事業は収益性もそんなに悪くないものが多いですよね。保育所等訪問なんかは、それだけを単体でとてもやれる話ではないけれども、就労Bとか放課後等デイサービスとか児童発達支援センターは、今や民間事業者が喜んで参入して来るぐらいに、老人の事業より収益性は良いですよというのが売りになって、フランチャイズまで次々にできているような話ですから、こういうものは本当にいろいろな意味での整理の対象として十分にいいのではないかと思います。
○太田参考人 協会としてお手伝いさせていただいたことがあるのですが、診療所の関係です。診療所を中心として知的障害のある方の健康診断、在宅の方の健康診断を積極的に受けるということで、埼玉と群馬の地方協会には広報したのですが、そういった形で健診という観点から積極的に取組をされていると伺っていますので、そういうところは存続なども含めて検討されると良いのではないかなと思っています。
○佐藤座長 診療所についての論点も出ていますが、今、お話があったように、そういう診療所の機能を活用して地域貢献もすべきだとしているというお話ですけれども、診療所の問題について、どうぞ。
○大塚構成員 診療所について、もし新たな入所がないということであれば、これからますます高齢化していく人たちの医療的ケアも必要になってくるということですから、その人たちの生活の質を高めるという意味で、医療も必要だということでやっていく。ただ、これは時間限定的なものだと思っています。残るのは強度行動障害や触法の方たちへの支援で、多くの場合、医療的な診断あるいは適切な医療も必要な方が多いわけですから、ここの部分については、児童精神医学あるいは精神医学の分野かもしれませんけれども、そういう方を中心に、きちんとした医療的基盤を作っていく必要があると考えています。
○遠藤オブザーバー よろしいですか。
○佐藤座長 ちょっと待ってください。問題を提起したい。私、のぞみの園の診療所というか、敷地内の医療機関を一度見学したことがあって、あとはこの会議で出てきた書面上の職員の数などを見ていると、率直に言って大変な重装備、過剰なほどの重装備で、それはあそこの内部に置く診療所としてという意味ですが、あんなに重装備にしたら、これを生かすためにどうしよう、ああしようという話になるんだなと思いました。
 私、かつて自分が役員をしていた法人で診療所を開設し、今年で丸18年になったのですが、今、日々、外来患者が約80人で、そのうち8割は障害のある子供、それから、その兄弟や家族も含めて半分以上は障害のある人たち、子どもたちです。在宅の人たちの在宅酸素もしていますし、もちろん、てんかんの治療とかもいろいろしています。18年間で累積したカルテ数は正確には覚えていませんが、とにかく何年か前に1万を超えた。
 我々の目標は、これ以上患者さんは来てほしくない。地域の小児科でやってほしい。うちにいるドクターは専門医ですから、障害のある子供がどんなふうに来てもOKだけど、なかなか町の小児科の人はそうはいかない。本当はただの風邪とか、お腹をこわしたぐらいの話でも、子供が寝たきりで、ましてやいろいろな不随意運動が起きたり、あるいは奇声を発したり走り回ったりというと、そっちばかりで本当は大したことのない病気なのに、もう診れませんという文化がある。それが、だんだん地域の中で面的に少しずつ変わってきたのです。なぜかと言うと、うちの診療所に来て、「お母さん、これ普通の風邪だから、誰だって風邪引くのだから」と言うのですが、1日80人も来て、今、常勤の医師が2人いますけれども、待ち時間が長いのです。そんなに待つより地域の病院に行ってみなさいと言って、行ってみたら、困った顔をしながらでも、徐々に世の中は変わってきているから少しずつ受け入れてくれる。そういう役割があるので、専門の医師が2人いて患者がこんなに多いけれども、役割として地域と手を携えてやっていこうと。
 そのことで日常的に障害児や障害者本人、あるいはその家族の健康の維持を地域ぐるみで進めていこうということで、いろいろな幸運に恵まれてそれができたわけだから、よかったなと思うのです。そのことから見ると、のぞみの診療所はもっとできるし、もったいないと率直に思います。
 もう1つは、医療があるからといって発達障害に万能では全然ないわけで、どういう経験を積んだ医師がいるかということは、逆に言うと再生産していかなければいけない。未来永劫、医師はいるけど、しかし、財産が継承されていくということが保証されていなければ、医師がいるということが、すなわち障害のある人たちの問題の解決に大きく貢献するということを必ずしも担保しないと思っていて、せっかくのマンパワーとハードを、あの中だけに置かないようにする工夫というのは必要ではないか。そんなことを思っています。どうぞ。
○遠藤オブザーバー この附帯事業全般ということで御説明させていただきます。まず診療所についてはいろいろ御意見がございますし、実際、果たすべき役割とか経営面を改めて見直して、改革が必要であるというのは当然認識しています。そのようなことで、これから改革について検討してまいります。
 あと、この附帯事業をいろいろやっていまして、何でこんなのをいろいろやり出したんだと、ほかの事業所だってやっているから、あえてやる必要はないのではないか。このような御意見も当然あるかと思います。私としてこのように事業の種類を増やしてきたことについて、どういう考え方であったかというのを申し上げたいと思います。1つは、地域の住民の方々とか地元自治体との関係で、国の施設だからといって、社会資源として大いに期待されているのに何もしないということでは、地域との関係というのがうまくできませんので、ある程度地域に貢献していく。地域の障害のある人たちに貢献していくということはやるべきだと考えた次第です。
 地元自治体も、のぞみの園のためにということで、例えば市内の循環バスですね、赤字の循環バスをあえてのぞみの園の敷地内まで延伸して停留所を作って、1日20便を超えるようなバスを運行していただいています。このバスがあることによって、地域との関係というのが非常に開かれた関係にもなります。そういう意味で今のアクセスの悪いところを、そういうことで補っていただいている。そういう高崎市に対して、例えばこういうことを委託でやってくれと言われたときに、国の施設だからできませんということは言えないわけです。
 したがって、問題としては、こういう附帯事業でいろいろやっていることについて、運営費交付金を使うべきかどうかということだと思います。その点については、これまで運営費交付金のやり繰りという中で、あまり採算を厳密に考えないでやってきたということも事実ですので、第4期の中期目標期間においては、そういう採算面も十分に考慮しながら実施していく必要があるかと思います。
 もう1つ、のぞみの本来の役割として行動障害など困難事例に取り組んでいくということですが、こういった困難事例に取り組む職員で疲弊していく職員が少なからずいます。そういった職員について、一旦、こういったB型とかで勤務していただいて英気を養い、また、そういう困難事例の現場に戻って行く。このようなことにしていかないと職員が疲弊するだけで、非常にきつい職場だということで新しい職員もなかなか採用できないことになってしまいます。そのような意味でも、人事のやり繰りで元気のいい職員を困難事例の現場に投入できるようにする。そのような必要性もあるかと考えています。そういった意味で改めて申し上げますが、事業としてやるべきでないという意見と、こういう事業に運営費交付金を使うべきでないということは、ちょっと区別して御検討なりしていただけたらと思います。
○佐藤座長 5ページ、6ページの附帯事業と調査研究に関することは、よろしいでしょうか。次の議題に移ります。7、8、9ページ、すなわち業務の運営について、1つは経営改善、事業の実施場所、老朽化した建物、現実に起きていることについて、差し当たって次のタームでどういうふうに進めていくかということです。いかがでしょうか。
 差し当たっていろいろな事業をどういうふうにするか、どう進めていくかと、かなり密接に経営の部分が絡まっているところと、別途、それはそれとして考えるという整理がまだ付いていませんけれども、取りあえず現状でどんな方向性を考えるかについて御意見を頂ければと思います。
○千葉構成員 大したことも言えないかなと思いますが、1つは、先ほど申し上げたように運営費交付金を投ずべき事業と、それを支える附帯事業と、私が先ほど勝手に決め付けたのですが、そういう形で財政を補助する事業をまず選別した上で、それぞれについて、どこに無駄があるのかというのは見ていかなければいけないだろうと思うし、7ページの所に書いてあるように、問題の所在として、いきなり人件費だけに焦点をフォーカシングしているのは、ちょっと違和感を感じました。経営を改善するときは全般的にいろいろなものがありますし、単に出だけでなく、入りの問題というのも、当然、あるだろうと思います。
 そういう意味で入りのほうでは、本体事業について、これまでの事業内容の話の中でも旧法人自体の入所者より、有期入所という形でのシフトが図られていくという意味で、劇的に収入が増えることはないだろうと思います。ただ、それなりの先駆的なものをやれとか、それが売りなんだとする以上、人というのが基本をなしていると思っていて、単にそこの値引きをすることが、果たして法人経営として正しいのかどうかは、ちょっと疑問を感じたところです。
 ですから、今いる人たちを食わせるだけの収入を、どう確保するかという観点も当然要るだろうし、できないのだったらそれをどうするのかということは、その次の段階として考えるべきで、人件費というのにいきなり切り込むことが全てかというのは、ちょっと違うのではないかという感じがしました。以上です。
○佐藤座長 経営改善については、今もいろいろ御意見がありましたけれども、この現状の中に書いてあるように、入所者が今後、どういうテンポになるか分からないけれども、減少していくと。いろいろなことをやってもトータル的にそうなっていくのは当然のことで、そのために事業収入の確保が難しい。そういう状況でありながら、なお、独立行政法人問題が議論され、独法としても運営費交付金が少しずつ低減されるというのは、例えば国立大学法人なども年に1%ずつ減って、大学の規模にもよりますけれども、10年前から全体のトータルで見ると15%ぐらい減ってきている。そもそも独法を作ったというのは行革の一環でしょうから、そういうことで言えば少しずつ切り下げられていく。その上、更にダブルパンチで独立行政法人という制度そのものも、今後、検討していかなければならない。そういうことを前向きに受け止めて議論していくか。それとも、この状況だと何とか現状をいろいろ補填しながら生き延びていくか。極論すればそういう話だろうと思います。
 具体的な提案としては、事業の見直しをする。運営体制の見直しをする。取り分け運営体制の一部として、経営改善のために新しい給付制度の導入なども検討すべきではないか。それらを含めて、そういうことを意識しながら経営の効率化を具体的に検討する。さらに合理的な経営を考えるために、いろいろな全体の体制や給与体系を含めて抜本的に検討しようというのが、論点として挙げられている。これは、おおむねそうだろうと思いますけれども、あくまで論点としてこういうことを議論していこうと。
 それは、ここで議論するような問題ではなくて、恐らく厚生労働省の担当部局と、のぞみの園がきちんと議論をして結論を求めていくことになろうかと思いますが、いかがでしょうか。場所の問題とか建物の問題に関しては何か御意見はありますか。
○大塚構成員 これも、どんな機能を目指して、どんな実施主体がやるかによって異なってくると思いますので、どこかの時点で例えば実施主体が社会福祉法人となれば、その社会福祉法人がどこで行いたいかも含めて、考えなければならないことだと思っています。ただ、入所施設そのものは新たな入所者は入らないということであれば、そこは小さくなるし、残っている有期限の専門的な支援が必要な人たちについては、そこでなくても山を下りてもいいかもしれません。確かに高崎駅から15分ということで、それはそれで近いものではありますけれども、山の中にあること自体を考えると、これからの施設としてそこがいいということもあるのかもしれませんが、やまゆり事件以降はあまり考えられないのではないか。ほかの選択肢もあるのではないかと思っています。
○佐藤座長 ほかに、いかがですか。建物の問題はいろいろあって、あと5年は耐震というか、みんな耐震テストはされたのですね。大丈夫なものと、もう壊さなければいけないものと区別は付いているのですか。
○遠藤オブザーバー 生活寮は全部平屋でございまして、耐震もチェックし、それぞれ基準を満たしているということです。老朽化については、それぞれ建築して長いものですと30年ぐらい経っていますので雨漏りとかしたりしていますが、こういったものは、それぞれ修繕なり必要なリフォームなりをして、あと少なくとも10年ぐらいは今の建物のまま使用することはできると考えています。むしろ地域移行とか、あるいは入所者の減で空いてきた生活寮が閉鎖状態になっていますので、一部は日中活動の場として活用していますけれども、こういった空いている生活寮といった資源を、有効活用する方法も考えていかなければいけないのですが、他方で、こういった新規の通常の受入れはもうやめる。そういう状態がずっと続いていますので、そういう意味では事業的に、そういった空いた生活寮を活用して収益につなげていく方法というのは、なかなか見出せないのかなと思っています。
○北岡構成員 いいですか。場所の問題は先ほど大塚構成員がおっしゃったとおりだと思いますが、これは実際に物件があるかないか。そういう極めて現実的なラインでの判断になってくるので、今後、方針が決まった中で、実際にそういう規模の土地の確保ができるのかどうかみたいなことと密接な関係があるので、方向感は言えても、具体的にはなかなか難しい課題もあるなと思います。
○佐藤座長 ですね。それでは、10ページの今後のスケジュールについて、これも今までいろいろ議論してきたことを踏まえた上で、どちらかというと厚生労働省の考え方を整理したものと言っていいと思いますが、今後、こういうスケジュールで進めていきたいということです。いかがでしょうか。すなわち、私の読み取り方は次の中期目標期間中、第4期の期間中に突っ込んだ検討を行いながら、次のステップに行く準備の5年間にすると理解していますが、厚労省もそういう考え方だということで、よろしいですか。
○朝川企画課長 そういう趣旨で書いております。
○佐藤座長 では、具体的な我々の作業は、次にもう1回やるのですかね。報告書の最終案を議論し、それを踏まえた上で厚生労働省とのぞみの園が、来年度から議論に入るということを期待したいと思います。時間もちょうど12時になりましたので、今日はこれで終わりたいと思いますが、次回の日程等、事務局のほうで御説明いただきたいと思います。
○渥美施設管理室長補佐 本日は、御多忙の中、御議論いただきまして大変ありがとうございました。次回についてですが、本日の皆様方の御意見を踏まえ、報告書(案)という形でお諮りする予定でございます。開催日程につきましては調整の上、追って御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○佐藤座長 おおむね、いつ頃になるでしょうか。
○渥美施設管理室長補佐 おおむね2月頃を考えております。
○佐藤座長 2月のできるだけ早い時期に、上・中旬ぐらいでお願いします。それでは皆さん、どうもありがとうございました。本日はこれで終わります。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> (独)国立のぞみの園の在り方検討会> (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第4回)議事録(2017年12月18日)

ページの先頭へ戻る