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2017年11月24日 第56回医療部会

医政局総務課

○日時

平成29年11月24日(金)10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議事

○医療政策企画官 定刻より若干早いですが、ただいまより第56回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 医療部会総委員数が24名、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、安部委員、荒井委員、猪口委員、菊池委員、久喜委員、楠岡委員、平川委員から御欠席との御連絡をいただいております。17名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達しておりますことを、まず御報告申し上げます。

 また、田中部会長代理におかれましては、所用により、途中で御退席されるとの御連絡をいただいております。また、医政局長が所用でおくれる見込みです。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1、2、3、4-1、4-2、参考資料1、2、3-1、3-2、3-3、3-4をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 カメラの方は、ここまででお願いいたします。

(報道関係者退室)

○医療政策企画官 それでは、以降の進行を永井部会長にお願いしたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 最初に、欠席の安部委員の代理として森参考人、荒井委員の代理として林参考人、猪口委員の代理として神野参考人、菊池委員の代理として吉川参考人、平川委員の代理として伊藤参考人、以上の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、議題に移ります。

 まず、今年度成立した改正介護保険法の施行に関して、療養病床における看護配置の経過措置について、事務局から説明をお願いいたします。

○総務課長 総務課長でございます。

 お手元の資料1によりまして御説明申し上げたいと思います。

 今回、療養病床の関係につきましては、前回までは名称の関係で御議論をお願いしておりましたけれども、本日は、1ページの6番にございます看護配置の経過措置の延長を中心に御議論をお願いできればと思っております。

 2ページをごらんいただきますと、現在、療養病床にかかる医療法上の経過措置につきまして御説明させていただいております。もともと医療法におきましては、療養病床の入院患者数4人に対して1人、4対1で看護師及び准看護師の配置を標準としてお願いしております。ただ、療養病床から転換などを予定している病院などにつきましては、経過措置ということで、平成29年度末までの間、いわゆる6対1で配置することを認めているところでございます。これが平成29年度末をもって経過措置の期限を迎えることになってまいりますので、30年度以降の取り扱いを検討する必要があるということで、本日お諮りするものでございます。具体的には、この下の表にございますように、病院と診療所と分かれておりますけれども、病院の場合には、(1)にございますように、24年3月末まで届け出いただいた医療機関、病院において、療養病床等を老健施設等へ転換する予定であるといったものについて6対1を認めております。また、これは病院・診療所共通でございますが、介護療養型医療施設の指定を受けている病院につきましては、引き続き6対1で経過措置を設けております。また、看護配置4対1が本則でございますけれども、この本則に満たない病院・診療所については、(3)、(5)にございますように6対1で経過措置を認めている。これが現状でございます。

 3ページは、現在の経過措置の対象となっている医療機関の数でございます。全都道府県に対して照会をしておりますが、なお未提出が3件、山梨医師会、福井といったところからは御回答をいただいておりませんけれども、それ以外のところについて照会した結果をこちらの表に載せているところでございます。

 4ページでございますが、この29年度末で期限を迎える医療法の施行規則上の経過措置でございます。中には施設基準ということで廊下幅などを規定しているものもございますが、医師、看護師、准看護師、看護補助者といったところで経過措置をそれぞれ規定しているものがあるところでございます。このうち、本日は看護師・准看護師の配置ということで御相談をさせていただくものでございます。

 5ページは、一般病床・療養病床の医療従事者の配置標準のこれまでの改正の経緯を簡単にまとめているものでございますので、ごらんいただければと思います。

 6ページ、7ページでございますが、療養病床の在り方につきましては、これまで社会保障審議会の中で療養病床の在り方等に関する特別部会で特に集中的に御議論いただきまして、昨年1220日に議論の取りまとめをいただいております。

 このうち、人の配置に関する部分について取りまとめから抜粋をしておりますのが7ページでございます。7ページの4(1)をごらんいただきますと、一番上の○にございますが、新たな施設類型を創設するということで議論をいただいておりますけれども、介護療養病床につきましては、期限を設けつつも、転換に係る準備のための経過期間を十分に設けるべきということが一つ言われております。3つ目の○にございますけれども、医療療養病床に係る医療法施行規則に基づく人員配置標準の経過措置につきましては、原則として29年度末で終了いたしますが、必要な準備期間に限り、延長を認めるべきということが言われております。なお、有床診療所で言及がございまして、過疎地域を含む、地域で果たす役割に鑑み、経過措置の延長を検討することが適当と言われておるところでございます。

 これをまとめましたものが、8ページでございます。

 9ページは、これを踏まえまして、ことしの通常国会において介護保険法等の一部を改正する法律が成立しておりますけれども、その中でも一定の措置がされたということでございます。具体的には、1の2(1)にございますけれども、新たな介護医療院というものが創設をされ、※にございますように、現行の介護療養病床の経過措置期間については、6年間延長することが決まったところでございます。

10ページ、11ページは、療養病床数のこれまでの推移と診療報酬上の区分ごとの数字を載せております。

 論点につきましては、12ページ、13ページになります。こういった経過措置を検討するに当たって考慮すべき事項ということで、上の枠の中に幾つか入れております。今、御紹介申し上げましたように、介護保険法の一部改正がございまして、介護医療院が創設され、6年間介護療養病床については転換期限が延長されております。特別部会におきましてこの経過措置について整理がされているということで、先ほど御紹介した2点を載せております。さらに、診療報酬においても、現在、療養病棟入院基本料2でその取り扱いが整理をされるということがございます。また、地域医療構想、医療計画・介護保険事業計画との関係といったことも考慮する必要があるということになってまいります。こういったことを踏まえますと、矢印の下でございますが、2点ございまして、1つはこの介護療養病床・医療療養病床につきましては、より入院医療の必要性が高い慢性期の患者さんに対して適切な医療を提供するという観点から、介護医療院等あるいは在宅医療等への転換を促していくことが重要ではないかというのが1点。2点目としては、経過措置の今後の在り方につきましても、そうした転換促進に資するものである必要があるということがあるのではないかということがございます。

 具体的には13ページに論点ということで挙げておりますけれども、先ほど御紹介した現在ございます経過措置の取り扱いになりますが、まず、1番目として、医療療養病床にかかる人員配置基準の経過措置につきましては、病院については基本的には終了いたしますけれども、転換に必要な準備期間を考慮して、転換が完了するまでの最大6年間延長することにしたらどうだろうか。診療所につきましては、地域で果たす役割に鑑みて6年間延長するということで対応してはどうだろうかというのが1点目です。2点目は、介護療養病床が現在はございますけれども、6年間転換期限が延長されたことを踏まえまして、医療法上の人員配置基準の経過措置も同様に6年間延長することとしてはどうだろうかということでございます。3番目でございますけれども、従来からの経過措置の延長という性格に鑑みて、30年度からその経過措置の対象とするものにつきましては、平成24年の所定期日までに届け出を行っていただいた医療機関に限ることとしてはどうだろうかということが3点目です。4点目でございますが、地域医療構想は現在その推進をお願いしているところでございますけれども、その着実な実施を図る観点から次の対応をしたらどうだろうかということで、まず、1点目は第8期介護保険事業計画期間の開始をする時期を一つのめどとして、現在あります地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う。2点目としては、平成32年度末までに、地域医療構想調整会議におきまして、療養病床の転換についてもあわせて協議を行っていただいて、地域医療構想の方向性との整合性を図ることにしたらどうだろうかということでございます。こういったところを本日は先生方の御意見を頂戴しながら整理させていただきたいと考えております。

15ページからは、関係条文や療養病床の比較などを載せておりますので、これはまた後ほどごらんいただければと思います。

 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

 どうぞ、井上委員。

○井上委員 ありがとうございます。

 論点に関しまして、2点申し上げます。

 1点目でございますけれども、この6年間という方向性につきましては賛同いたします。ただ、この6年間の中で確実に病院・診療所とも転換を図っていただきたいと考えております。

 2点目でございますけれども、これは質問でございます。13ページの(4)の地域医療構想の着実な実施を図るために以下の措置を講じてはどうかというところで、1つ目のポツで「地域医療介護総合確保基金等を活用した転換支援を行う」と書いてございますけれども、ここの「等」にどういうものが含まれるのかという点と、その転換支援は具体的にどういうことを考えられているのかということについて質問をしたいと思います。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 事務局、お願いします。

○総務課長 今、御質問いただいた点でございますが、13ページの地域医療構想の着実な実施を図るということでございますけれども、主たるものとしては、今、御指摘いただいたように、この地域医療介護総合確保基金が中心となるかと思いますけれども、そういったものとあわせて、地域でのいろいろな取り組みも今後は考えられるのではないか、いろいろなものを組み合わせながら転換支援を行うことが必要ではないかというイメージで、ここのところは書かせていただいているところでございます。

○永井部会長 井上委員、よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○本多委員 同じく13ページについて、点線囲みにあるような医療・介護の同時改定や、医療計画・介護保険事業計画の改定のタイミングで経営判断をする必要性は十分理解します。また、先ほども説明がありましたが、介護療養病床の廃止に伴う介護医療院の創設がある中で、医療療養病床についても提案のような経過措置は必要だと思います。

 ただ、2025年が控えていることを考えると、(3)、(4)に記されているような、転換支援はもちろんですが、地域医療構想調整会議で転換協議が円滑に進むようなデータや協議の進め方を示すなど、都道府県に対して国の支援をしっかりしていただきたいと思います。

○永井部会長 よろしいですか。

 加納委員、どうぞ。

○加納委員 13ページの一番下のところなのですが、「遅くとも平成32年度末までに」という言葉になっています。「遅くとも」は絶対という意味になってしまう感じがするので、ここはほかの言葉に変えていただきたい。期限を区切ること自身、療養病床の転換についての議論の期限をつくってしまうことに違和感があるのですが、どうでしょうか。

○永井部会長 事務局、お願いします。

○総務課長 今、加納委員から御指摘のあったところでございますけれども、地域医療構想の推進につきましては、当面2年間は集中的に実施する期間になっております。そういった中で集中的に御議論いただくということもございまして、平成32年度末までという書きぶりをさせていただいているというところで御理解を賜れればありがたいと思っております。

○加納委員 その件はよくわかるのですが、その「遅くとも」というのは、わざわざつける必要があるのでしょうか。「原則として」など、ほかの言葉に変える必要があるのではないかと思いました。あくまでもこの32年度末までには療養病床の協議を絶対に始めなければいけないというニュアンスにとられるかと思うのです。

○地域医療計画課長 ほぼ同じような答えになりますけれども、地域医療構想の地域の議論におきましては今後2年間で集中的に検討することを政府でも閣議決定させていただいております。これは、主として高度急性期・急性期・回復期のあたりの議論を中心に念頭に置かれることが多いですが、当然慢性期の部分も地域医療構想の議論をすべき対象になっております。そういう意味では、地域で全体的にしっかりと議論していただきたいということでありますので、かつ、この33年というところでまた介護の計画や医療計画の中間見直しもやってまいりますので、この32年度のところまでに一通り議論をしっかりしていただく必要があると考えておるところでございます。

○永井部会長 山口委員。

○山口委員 私が読み取れていないだけかもしれませんけれども、13ページのところで医療療養病床で6年間延長する対象となるのが平成24年までに届け出を行っていたところと書いてありますけれども、実際、今、医療療養病床の中で届け出を行っている医療機関は、どれぐらいの数があるのでしょうか。対象となる数がわからなかったので、教えてください。

○総務課長 3ページをごらんいただきたいのですけれども、先ほどは詳細に数字は御説明申し上げておりませんでしたが、一番右の欄に、これは2910月1日時点になっておりますが、これは、今回、各県を私どものほうで調査して、現在経過措置の対象となっているところとしてまだ残っているところと理解しております。これで御理解いただければありがたいと思います。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 伊藤参考人。

○伊藤参考人 私も、13ページのところです。

 6年間の経過措置は円滑な転換という意味ではやむを得ないと思っておりますが、より早期に転換するという意味では、促進するような仕組みが必要だと思っています。診療所について他と書きぶりが違っていて、こちらについても6年間延長するということで、地域で果たす役割ということで考えるということも一定の理解はできるのですけれども、再延長を前提としたような考え方ではなく、診療所においても機能に応じた転換を進めていくように厚労省で取り組んでいただきたいと思います。

 (2)の現存する介護療養病床について6年間、人員配置基準の延長ということなのですが、こちらが診療所と同じような書きぶりで6年間延長としているようで、字面を見ると全く同じものですから、こちらはどうしてこういう書きぶりになったのかということを教えていただきたいと思っています。

○総務課長 今、伊藤参考人から御指摘がございましたけれども、13ページの(2)の書きぶりが6年間の延長となっておりますが、基本的に(1)の書きぶりについては先ほどの療養病床の在り方に関する特別部会での議論の報告を踏まえつつ整理をしているところでございます。一方で、介護療養病床の在り方は、その転換期限の在り方については、一定の議論があった中で、3年と6年ということが当時の議論としてはあったところ、結果的に6年ということになりましたので、それを踏まえてここのところは書かせていただいたということで御理解いただければありがたいと思っているところでございます。

○伊藤参考人 確認させていただきたいのですが、こちらの(2)についての6年間延長というのは、その先はないという意味で書いているということでよろしいのでしょうか。

○総務課長 ここはむしろ我々としては当然特別部会の議論の中で整理をされた方針を前提としてこの6年は設定していると御理解いただければありがたいと思っております。特段これにさらに対応案を加えている、この中でさらに我々として新たな意思を加えているという話ではなくて、あくまでも特別部会で御議論いただいた結果など、法律で出されたものを踏まえてこちらは書かせていただいているということで御理解いただければありがたいと思っております。

○伊藤参考人 最後にします。

 介護療養病床について、法律上も6年間転換期限が定められたわけですので、今度こそ延期ということは絶対にない形で、超高齢化の時代を乗り切っていけるように取り組んでいっていただきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 今の伊藤参考人の御意見ですが、今度こそ6年以上の延長がないようにというのはどうも理解できないです。経過措置の延長をすることが余りよくないことだと聞こえるのですが、地域医療を混乱させないなど、そういう観点から考えると、決して延長することは悪いことではないのです。だから、これは6年間の延長の言葉以上でも以下でもないです。それだけのことでいいです。ぜひ事務局にはそのようにしてください。

○伊藤参考人 地域医療が必要だということは当然に患者の立場から考えているわけなのですけれども、介護療養病床についての一定の議論が国会で確認されたということをふまえて進めていく必要があると思っております。

 以上です。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 まだいろいろ御議論はあるかと思いますが、とりあえず本日の議論を踏まえて、事務局におかれましては必要な対応をお願いしたいと思います。

 続いて、臨床研究法の施行に伴う「臨床研究中核病院の承認要件」の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。

○治験推進室長 それでは、資料2及び参考資料1を用いて御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料2をごらんください。

 めくっていただきまして、来年4月に臨床研究法が施行されることになっております。臨床研究中核病院におきましては、これに関連する諸般の手続をする必要があると考えておりますので、順次説明させていただきたいと思います。まず、現行の位置づけでございますが、医療法第4条の3に臨床研究中核病院の行う特定臨床研究の定義がございます。具体的には資料中ほどでございますが、医療法施行規則第6条の5の3の第1号と第2号に列記されたものが、ここでいいます特定臨床研究の定義になっております。具体的には、1号でありますが、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令等々とありますが、いわゆる治験というものになります。2号が人を対象とする医学系研究に関する倫理指針で、いわゆる医学系研究指針です。これまで、臨床研究につきましては法律がなかったものですから、大臣の定める指針に基づいてやっていただくという整理で、この2つを含めて「特定臨床研究」と定義してきたところでございます。(現行)の横に書いてありますが、治験+人を対象とした医学系研究に関する倫理指針に適合する侵襲及び介入を伴う臨床研究が中核病院の承認要件の一部として運用されてきたところでございます。下の対応案でございますが、今般、臨床研究法が制定されまして、その中で新たな枠組みができたということで、この枠組みの見直しをする必要があるだろうと考えております。

 参考資料1の裏面を見ていただきたいと思います。模式図がございます。「医療における規制の区分について」と題して、区分の箱があります。

 一番左側の治験が、今、申し上げました薬機法、いわゆる医薬品・医療機器は承認されたものしか流通させないといったことを定める法律ですが、この法律に基づく臨床試験は、既に薬機法、医薬品医療機器等法の中で規定されたもので、この部分については変更がございません。

 一方、一番右の一般の医療を除いたそれ以外の部分です。医薬品等の臨床研究及び手術・手技の臨床研究につきましては、先ほど申し上げた指針に基づいて研究が行われてきたわけでございますが、緑の点線で囲っておりますけれども、そのうち「臨床研究法」と書いているところが来年4月から臨床研究法の枠組みとして運用されるに至ったということでございますので、ほとんどの臨床研究はここに属するということで、今回の読みかえにおきましては、資料2の2ページの下の段になりますが、治験と臨床研究法に基づく臨床研究に置きかえる方向で整理を進めていきたいと思っております。特定臨床研究に該当しない臨床研究についても、努力義務ではありますが、一応法律の遵守義務はかかっておりますし、そこにつきまして同等の基準や手順に従ってやっていただいた場合においては臨床研究法の特定臨床研究と同じように取り扱ったらどうかということで、治験+臨床研究法に基づく臨床研究と置きかえてはどうかということを考えてございます。

 これに付随しまして2つほど影響するところがございますので、引き続き御説明させていただきたいと思います。承認要件につきましては、「特定臨床研究」を新たに実施した件数、要するに、質の担保された臨床研究を何個実施しているかということが承認要件になってございます。

 資料2の3ページをごらんいただきたいと思います。当然ながら今までは指針に基づいた臨床研究と治験のどちらかということで数量規定がございましたけれども、そこについて今回定義が変わるということでございますので、そこについての対応を考えているものでございます。こちらにつきましては過去3年の実績でございますので、来年4月に臨床研究法が施行された後のカウントですが、平成30年度においては、当然ながら前年度以前ということで、29年度、28年度、27年度となります。法律の施行前のカテゴリーでカウントすればいいということで、平成30年度においては直接的な影響はすぐには出てこないと考えているところでございます。

 4ページをごらんいただきたいと思いますが、今度は論文でございます。新規に研究を始める以外に、実際に実施した臨床研究に基づいて論文投稿をするというところも業績カウントをしているところでございますが、こちらにつきましては時間的にずれが生じてきます。研究を実施して研究を終了し、さらに論文を投稿して受理されるということになりますので、定義変更の適用日がどこに入ってくるかで若干数字が動くところがございまして、事務局としては精緻な調査をした上で基準値を設定したいと考えているところでございます。対応案の中ほどに書いておりますが、現在11の臨床研究中核病院がございますけれども、夏頃予備調査をかけたのですけれども、臨床研究法の具体的な位置づけが明確にならないこともあって、現時点で正確な数値を把握することがいま一つ心もとない状況でございます。今回こちらでの御議論を踏まえてお認めいただきましたら、医療法に基づく特定臨床研究の定義尾を改正した上で、現行の論文に関する規定がございますけれども、その数字については現状の運用と同じような等価の閾値になるように、実態調査した上で設定していきたいと考えているところでございます。対応案の2つ目の○の矢印のところでございますが、30年度中に再調査を行って、より正確な数値を調べた上で、実績がどのくらいになるのか、新しい定義で幾つにカウントするものが現状の実績要件と同程度となるのかを慎重に調査させていただいて設定していきたいと思っております。なお、30年度中に臨床研究中核病院として新たに申請されてくる医療機関もあろうかと思います。そのような場合につきましては、30年度中の申請に限り暫定運用として過去の定義をそのまま踏襲することも視野に入れて、現場に混乱がないように進めてはどうかと思っております。

 5ページでございます。特定臨床研究の定義以外にもう一つ影響が出てくるものがございます。こちらにつきましては、医療法施行規則第9条の25、第5号にございますが、適切に研究を進める上で特定臨床研究が倫理的及び科学的に妥当であるかについて審査するための委員会を設置することとしている点でございます。これは、改正前でございますと、指針に基づいて研究がちゃんとできるように倫理審査委員会を持っていなさいという規定になるのでございますが、今回の特定臨床研究の変更に伴って、この特定臨床研究をちゃんと評価できる委員会を持っていなければいけないということを意味します。そうしますと、下のほうのフレームアウトしているところにございますが、臨床研究法では認定臨床研究審査委員会で審査しなければいけない形になってございますので、今までの指針に基づく委員会の設置から、「臨床研究法」に基づく認定臨床研究審査委員会の設置に切りかえていきたいと考えているところでございます。

 6ページをごらんください。具体的な運用についてでございます。こちらにつきましては、論点のところにございますけれども、臨床研究中核病院は自分の施設だけではなくて、他の施設が実施する、医療法に基づく特定臨床研究についても適切に評価することができる倫理審査委員会が求められてございますし、また、施行に伴い定義の見直しが行われることでございますので、それに伴った委員会を具備する必要がございます。また、この認定臨床研究審査委員会につきましては、法施行前に実際には整備・認定することができるような附則が書いてございまして、そういう意味では、今年度中、来年にかかってしまいますが、そのときから実際には認定手続を始めて、実際に業務を始めていただこうと思っているところでございます。具体的な対応案でございますが、既に認定されている11の医療機関につきましては、既にこの情報については夏頃からお話しさせていただいて御相談させていただいているところでございますので、周知も十二分にできていると考えているところから、4月の法施行と同時に適用するようにお願いしていきたいと思っています。なお、まだ臨床研究中核病院については随時受け付け可能になりますので、当然ながら、今年度中にも申請があった場合には、来年の1、2、3月ぐらいに指定される可能性も残されているものでございますので、制度としては、この間に指定された、29年度中に指定されるような臨床研究中核病院があった場合には、「なお従前の例」ということで、医学系指針に基づく倫理審査委員会を設置していただいた上で、1年間の間に新しい基準に移行していただく方向で整備していきたいと考えているところでございます。

 説明は以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 ただいまの御説明に御質問はいかがでしょうか。

 伊藤参考人、どうぞ。

○伊藤参考人 これは既にたくさん検討がされてきている話だと思いますので、問題はないのだろうとは思うのですが、ちょっとわからないことがありまして、資料2の3ページ、「従前の例」とすることになるような定義変更前の研究がどれぐらいあり得るのかということについて、数的なボリューム感を教えていただけますでしょうか。

○治験推進室長 参考資料1の3ページをごらんください。

 実際の臨床研究中核病院の承認要件には、2ページにあります能力要件、施設要件、人員要件がございまして、今回主に論点になっているところは、この能力要件のうちの実績、中ほどの欄が3ページにあるところでございます。特に特定臨床研究の新規実施件数、中ほどに四角で囲っておりますけれども、この辺が現行の基準でございますので、特定臨床研究の場合には、医師主導治験であれば4件、そうでなければ80件を閾値にしていただくということになろうかと思います。ですから、新しい法律で新しい定義ができないうちは、この枠組みの数でカウントをして、至っているかどうかを選定しているところになります。

 そういうお答えでよろしいでしょうか。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 前から指摘されていただいているところなのですが、実施件数や論文数が主体になって、ファーストオーサーでないと実績として認められません。実際は数千人・数万人を対象とし、100を超える施設の共同研究でそれぞれが役割分担をする研究もあります。例えば、ステアリングコミッティーや研究代表者などの実績が全く評価されないのですね。実績の定義についてもぜひ改めていただきたいと思います。

○治験推進室長 ありがとうございます。

 臨床研究中核病院も施行されてから数年たっておるところでございますので、今後、その役割や実績などについても見直しが必要な時期を迎えるかもしれないと思っているところでございますが、御指摘いただいたところについては、論文についてもファーストオーサーだけでなくコレスポンディングオーサーをどうするかといった議論もいただているところではございます。ただ、臨床研究法が施行される来年までのわずかな短い時間で承認要件の抜本的な見直しをするというのはなかなか難しいところでございますので、基本的には今回は法律の施行に伴う最小限の修正・見直しにとどめて、今後の宿題にさせていただきたいと今回は考えております。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 ただ、今の点は急な話ではなくて今までも指摘していることなのです。コレスポンディングだけではなくて、研究代表者や、ステアリングコミッティーや、統計の担当者など、そういうことが全然評価されない仕組みになっている。そうすると、小さな研究だけを対象とすることになって大きな研究はこの評価の対象外になりますので、ぜひそこは御考慮いただきたい。例えば、最近我々が行った研究では、一番沢山の症例を登録した方を筆頭著者にしますという約束で始めています。でも、実際の研究の運営や分析はまた別の人たちが担当するという実態がありますので、その点を御考慮いただきたい。

 いかがでしょうか。

 それでは、事務局におきましては、ぜひただいまの議論を踏まえて対応をお願いしたいと思います。

 次の議題にまいります。医師偏在対策に関しまして、医師需給分科会における議論の経過について事務局から説明をお願いいたします。

○総務課長 総務課長でございます。

 お手元の資料3によりまして、制度改正に向けたこれまでの医師偏在対策の議論につきまして申し上げたいと思います。

 1ページのところに、今回御報告いたします概要を載せております。これまで医師需給分科会で御議論いただいている中で、一定の合意が得られたと考えられる対策をまとめているところでございます。1つは、都道府県におけます医師確保対策の実施体制の強化。2つ目として、医師養成課程、それぞれ幾つかの段階がございますけれども、それらを通じた地域における医師確保対策をすること。3つ目として、地域における外来医療機能の不足・偏在等に対応するといったこと。こういった3点の方向とその他ということで、これまで御議論いただいてきたところでございます。詳細を次のページ以降で御説明したいと思います。

 まず、「1.都道府県における医師確保対策の実施体制の強化」でございます。

 これにつきましては、最初に「医師確保計画」の策定がございます。

 4ページをごらんいただきますと、現在、医師確保対策につきましては、各都道府県の医療計画において「医療従事者の確保に関する事項」で一定の記載をお願いしているところでございますけれども、これをより定量的に現状分析を行い、また、実効的に進めていただくという観点から、制度改正案にも書いてありますけれども、医療計画の中で、都道府県内における医師の確保方針、医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標、目標の達成に向けた施策内容といった一連の方策を記載することを明確に法律上位置づけてはどうだろうかということになっております。こういった一連の医師確保に関する事項を、運用上「医師確保計画」と呼称することにしております。この医師確保計画につきましては、今後、医師偏在対策とあわせて記載をすることになってまいりますので、地域医療対策ということでこれもこれまで進めてきていただいておりますけれども、これを医師確保計画の中に組み込むということで発展的に解消することとしたらどうだろうかとしております。

 5ページをごらんいただきますとイメージを書いているところでございますが、医師確保計画の中身ということでは、一つは都道府県内での医師の確保方針でございます。これは圏域別に医師が少ないか多いかということを整理しながら、それぞれの圏域の課題に応じて、例えば、医学生向けの地域医療実習を実施する、指導医・臨床研修医に対する研修会、指導体制を強化する、大学からの優先的な医師の派遣を実施するといったことを盛り込んでいただくというイメージでございます。

 6ページでございますが、医師確保計画の2点目でございます。都道府県内において確保すべき医師数の目標を設定することとしてはどうだろうかということにしております。3点目でございますが、この目標の達成に向けた医師の派遣その他の医師の確保に関する施策ということで、そういった目標を達成するための対策をそれぞれの地域ごとに御検討いただいて、対策として定めていくということでございます。この計画期間でございますけれども、医師確保計画につきましては、状況の変化に応じて柔軟な対応をする必要があること、また、その対策は偏在の状況の応じて見直していく必要があるといったことで、計画の期間は3年ということで、3年でPDCAを回すことにしているところでございます。

 7ページでございますが、こういった医師偏在の度合いにつきましては、一定の指標が必要であるということで、これを全国ベースで客観的に比較・評価可能な度合いを示す指標を設定することとしてはどうだろうかということにしております。その際には、医療ニーズや将来の人口・人口構成の変化、また、医師偏在の単位ということで、これは区域や診療科や入院/外来といったものも含めてということでございます。また、患者の流出入の状況や、医師の性別・年齢といったもの、へき地や離島等の地域的条件といったものも考慮するようにしてはどうだろうかとなっております。

 こういったことを踏まえますと、今度は医師の多い地域、少ない地域ということが出てまいりますので、この医師偏在の度合いに応じて、8ページにございますように、これは仮称でございますが、「医師少数区域」と「医師多数区域」を都道府県知事がその偏在の度合いに応じて指定いたしまして、具体的な対策を実行するということでございます。こういったことを整備するということでございます。

 9ページ以降、今度はこういったものをどうやって進めていくかということになってまいりますが、「地域医療対策協議会」の実効性を確保するということでございます。

 現在、既に地域医療対策協議会を各都道府県に設置いただいているところでございますけれども、これを今回新たに策定いたします医師確保計画において定められる各種対策を具体的に実施するための関係者の協議・調整を行う協議機関と位置づけることにしております。これに伴いまして、協議会の構成員についても見直しを行って、具体的な医師確保対策の実施を担っていただく医療機関を中心とした構成といったことを目指していくことにしております。また、この医師確保の関係につきましては、次のページにもございますように、いろいろな関連する会議体が各都道府県にもございます。こういった関係する会議体との重複を避けるといったことも必要でございますので、機能を中心的には地域医療対策協議会に移管するということで整理をしてはどうだろうかということでございます。

11ページにございますのは、今、申し上げたことをイメージとして整理しているところでございます。

 また、12ページには、こういった協議会での協議事項のイメージを具体的に書かせていただいております。具体的に調整を行うことをそれぞれの側面から考えていくということで想定しているものでございます。

13ページからは、今度はこういった効果的な医師派遣などの地域医療支援を行うための都道府県事務の見直しでございます。

14ページには「地域医療支援事務の見直し」ということで書いておりますが、現在、地域医療支援センターを各都道府県に設置していただいております。また、一方で、各大学医学部・大学病院も実際にはその地域において中核的な役割を果たしていただいているところでございます。こういったところをより地域医療支援事務が実効性を強化できるように見直しをする必要があるのではないかということで、制度改正案の2番目の○にございますように見直しを行うことにしております。1つは、こういった都道府県が地域医療支援事務を行う際には、必ず大学医学部・大学病院との連携のもとに行われるように、この地域医療対策協議会における協議に基づいて実施することにしております。特にその医師の派遣先の決定に当たってはこの協議会との協議を経ることにしておりまして、その医師派遣の方針を整理・明確化していきたいとしております。さらに、今後増加する地域枠の医師もございますので、こういったものについては、その協議会の協議を経た上で、都道府県主体で派遣方針を決定することを明確にしたいと考えております。あわせて、全ての都道府県でキャリア形成プログラムを策定することで派遣される医師の方を支援することを徹底したいと考えております。また、派遣医師の負担軽減のためにも、いろいろな支援・援助が必要となってまいりますので、それをこの地域医療支援事務の中で行うことを明確にしてはどうだろうかと考えております。

 こういったものを行う際に、あわせていろいろ関係するところもございます。15ページのところでは、医療勤務環境改善支援事務との連携ということを書いておりまして、現在、各都道府県では医療勤務環境改善支援センターというものの設置をお願いしているところでございますけれども、これと地域医療支援センターとの連携もこれからは重要であるということで、それを明確にしていきたいと考えているところでございます。

 続きまして、「2.医師養成課程を通じた地域における医師確保」です。

 まず、第1ステージが医学部でございます。

 医学部につきましては、18ページにございますように、地域枠が現在既に設けられているところでございます。これのより積極的な活用・拡充を図っていくことが必要であるということで、制度改正案にございますように、医師偏在の度合いに応じて医師が少ない都道府県と判断された場合には、協議会の意見をお聞きした上で、知事が大学に対して入学枠に地元出身者枠の設定・増員を要請するという仕組みを設けることにしてはどうだろうかとしております。また、地域枠ではない地元出身者枠の方につきましても、地域医療支援センターが働きかけて、キャリア形成プログラムを積極的に策定するといった支援を行うことにしたらどうだろうかということにしております。

19ページをおめくりいただきますと、医師の多寡に応じた都道府県をまたいだ地域枠の特例でございまして、地元出身者枠だけでは十分な医師確保ができない可能性もございますので、医師偏在の度合いに応じて医師が多いと判断された都道府県の地域枠につきましては、その一部を医師が少ない都道府県の地域枠として活用することとしてはどうだろうかとしております。

 続きまして、第2段階として臨床研修の段階でございます。

22ページをごらんください。臨床研修の中での対応でございますが、研修医の方々が臨床研修を修了した後に、できるだけ出身地や出身大学の都道府県に定着していただくということを促していきたいということで、こういった地域枠の医師あるいは地元出身者の方についての臨床研修の選考に当たりましては、地域枠の一定割合を上限としながら、一般のマッチングとは分けて実施したらどうだろうかとしております。また、その選考枠の在り方につきましては、この協議会の意見をお聞きして個別に判断することとしてはどうだろうかとしております。

23ページでは、一方で臨床研修病院の指定もございます。現在、臨床研修病院の指定につきましては国が主体的にやっておりますけれども、これを都道府県が管内の臨床研修病院の指定・募集定員の設定に主体的にかかわるようにして進めるようにしてはどうだろうかということで書いているものでございます。

25ページは飛ばさせていただきます。

 臨床研修病院の募集定員でございますけれども、現在募集定員の倍率につきまして1.1倍となっておりますけれども、これにつきまして37年度には1.05倍となるようにさらに圧縮させるといったこと、特に大都市圏の都府県につきましては募集定員をより圧縮することにしてはどうだろうかということでございます。

 この臨床研修の募集定員の上限の計算式でございますけれども、計算式は28ページにございますような計算式でお示ししているところです。

27ページにございますように、都道府県別の募集定員上限の計算式については、特に医学部入学定員による募集定員の増加について一定の上限を設けること、また、医師が少ない地域に配慮するという観点で地理的な条件の加算を増加させることを考えてはどうかとしております。

 養成課程の第3ステップとして、専門研修がございます。

 現在、新専門医制度の構築に向けていろいろな地域医療への影響といった御議論がございましたので、制度開始を1年延期して、国の検討会や都道府県の協議会での検討を行ってきていただいているところでございます。こういった状況を踏まえまして、次のような内容を法定化してはどうだろうかと考えております。1つは、医師に対する研修の機会確保が十分でないような場合には、国が審議会の意見を踏まえまして必要な措置の実施について日本専門医機構等に対して要請をすることができるようにする。それから、研修プログラム認定の前に、国・都道府県がそれぞれ審議会や協議会の御意見を踏まえて、日本専門医機構に対しまして、地域医療の観点から必要な措置の実施について意見を述べることとしてはどうだろうかということでございます。3点目としては、専門医機構としては、正当な理由があれば、これらの要請への対応が免除されることになりますが、正当な理由がなければ、それでちゃんとやらなければいけないことになってくるということでございます。

32ページでは、将来の診療科ごとの医師の需要の明確化でございます。現在、医師の数は継続的に増加してきているのですけれども、特定の診療科に集中している傾向がございます。こういった状況を踏まえまして、将来の診療科ごとの医師のニーズを都道府県ごとに明確化をして国が情報提供をすることとしてはどうだろうかということを御提案申し上げているところでございます。

 続きまして、「3.地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応」ということで御説明申し上げます。

35ページをごらんください。外来医療につきましては、開設が都市部に偏ったり、専門分化が進んだり、自主的にそれぞれで進めていただいているような状況でございます。こういった状況の中で今般御提案申し上げておりますのは、その地域ごとの外来医療機能の情報を可視化することが今後は必要ではないだろうかということでございます。こういった可視化する情報につきましては、地域の医療関係者等の方々と事前に協議などを行うことが必要でございますので、そういった形で進める。加えて、地域の救急医療提供体制の構築やグループ診療の推進といった方針につきましても、あわせて協議を行っていくようにしてはどうだろうかとしているところでございます。

 あとは「4.その他」でございます。

37ページをごらんください。病院との2カ所管理でございますが、医療法上、病院あるいは診療所の管理者につきましては、知事の許可を受けた場合を除いて、他の病院・診療所を管理しない者でなければいけないことになっているところでございます。現在、Q&Aの中でその都道府県知事の許可できる場合を定めておりまして、1つには、(1)にございますように無医地区など医療施設が少ない地区に開設する病院等の兼任管理が具体的な例とお示ししているところでございます。こういった状況を踏まえまして、少数区域での医師偏在を是正するために、2カ所管理が可能である場合として「医師少数区域に開設する病院等の兼任管理」等ということで、従来Q&Aでお示ししておりましたものを明確に法令上整理してはどうだろうかということで考えているものでございます。

 以上、大変駆け足でございましたが、現在、医師需給分科会でこれまでお諮りをして、ある程度の合意が形成されてきていると考えております事項を御報告させていただきました。また先生方の忌憚のない御意見を頂戴できればありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。

 山口委員。

○山口委員 ありがとうございます。

 私は医師需給分科会の構成員の一人ですけれども、この医師偏在問題については、もう何年も前から話し合われてきているにもかかわらず解決していない、大きな問題だと思っています。

 今回、この分科会で話し合う中で、実効性のある対策をとっていかないといけないということで、どうすれば効果的な医師派遣ができるだろうかという話をしています。ただその中で、先ほど出てきました医師少数区域がどの地域でどれぐらいあるのかという数字を出す準備をしていると聞いているのですけれども、12月にまとめをするという段階になってきていて、そのデータがない中で話し合いをしていることが非常に心もとない気がしております。具体的な話になるようにそういうデータをできるだけ早く出していただきたいということを、この場でもお願いしたいと思って発言いたしました。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 そこはいかがでしょうか。データは出てくるのでしょうか。

○医事課長 今の御指摘は大変重要な御指摘でございまして、我々のほうも鋭意やっておりますけれども、議論に、最終的なところには十分に間に合うように、何とか準備をしていきたいと思っております。きちんとしたデータをできるだけ出していかなければいけないというところもありますので、今の御指摘を重く受けとめております。

○山口委員 最終日ではない前の段階で出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○永井部会長 邉見委員。

○邉見委員 今のことにも関係いたしますけれども、私はもう30年ぐらい前から医師の偏在にかかわっておりまして、いつまでたったらできるのかな、私の生きているうちにできるのかなとずっと思っております。

 データですけれども、割と簡単にとれると思います。DPCデータなどのいろいろなもの、レセプトでも何でもです。ただ、この間の新しい医師・看護師の働き方ビジョン検討会みたいに、東京23区以外は地方など、一番住みよい調布市や国分寺市や国立市などがみんな地方になっておるのです。あのようなばかげた調査はやめていただきたいと思います。

 それから、PDCAサイクルですけれども、C、チェックは誰がするのですか。地域医療支援センターや地域医療対策協議会を私がチェックしたら、ほとんどの都道府県はだめです。回せません。誰がチェックするかということは大変大事だと思います。日産や神戸製鋼と同じように、自分で自分をチェックしたらめちゃくちゃになります。それが2つ目。

 3つ目は、3年でPDCAを回すと言っていますけれども、私は1年でやってほしい。真ん中をとっても2年。何で3年も待つのですか。今、この国は違憲状態ですよ。国民皆保険があって、国民皆医療がないのですよ。憲法25条の国民はあまねく文化的で健康な生活ができるということができていないのですよ。もうちょっと急いでください。

 コメントになりますけれども、総花的ですが、少しは進んだと思いますが、逆に3年間おくれるかもわかりません。ちゃんとやってほしいと思います。

○永井部会長 遠藤委員。

○遠藤委員 ただいま各委員の話を聞きながら、町村長の立場として申し上げます。

 中山間地域や離島などでは、医療機関自体が限られている中で、医師の派遣を受けながら何とか地域の医療を維持しているという実態がございます。医師偏在の背景には、中山間地域などといった地理的な問題だけではなく、地域の医療ニーズ、1人の医師にかかる負担の大きさ、キャリア形成や医師の御家族の暮らしの問題など、さまざまな要因があろうかと思います。

 本日、医師需給分科会での議論の経過をお示しいただいたわけでありますが、さまざまな角度から医師偏在の解消に向けた対策を講じていただけるように、今後も前向きな検討をお願いしたいと思います。

 意見になりますが、よろしくお願いします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 この医師の確保なのですけれども、資料3の11ページに、地域医療対策協議会を各都道府県でつくることを規定して、そこで全てが解決するような話になってしまっているのですが、都道府県の地域医療対策協議会は全く機能していません。何でしていないかというと、医師が不足しているからです。いわゆる兵隊さんが全然いない、派遣する兵隊さんがいないのに、回るわけがないではないですか。

 先週、群馬県の病院協会の理事会がありまして、そこで群馬県の西部地区を担当しているへき地医療の病院があります。そこの土日の当直の先生がいないということで、隣の県のへき地医療をしている大学病院にお願いしたのだそうです。そうしたら、時給2万円だったら出していいという話で、びっくりしたと。土曜日の午後6時から病院に入って、月曜日の午前8時までいたら38時間です。38時間を時給2万円など払えますか。何とか1万円で勘弁してくれないかということでそこで交渉しているという話題が上がるほど、へき地の医療はとんでもないお金との競争になってしまっています。医の倫理も吹っ飛んでしまって、全部吹っ飛んでしまって、地域のへき地を守っている先生が高齢化してしまっていて、週のうち3日ぐらい院長が当直しているのです。それが土日も当直しろなどとそんな酷なことは言えないし、新しい若い先生に来てくれと言えばとんでもないお金でないと来てくれない。したがって、ここの社会保障審議会医療部会でこうやって先生方が議論していることと実態が全く乖離してしまっている。ただきょうはここで会議が終わって、それで帰れば、きょうの社会保障審議会医療部会は終わったなではなくて、今晩の当直医に現場は困っているのです。

 もう一つ、私が言いたいのは、教育制度の問題です。今、臨床医が足りないというので、確かに足りないので騒いでいるのですが、もう一つ、大学の基礎医学の教員は本当に足りているのでしょうか。卒業生のほとんどが基礎医学に入らないで臨床に行ってしまっているわけです。したがって、基礎医学を担当している講座の担当者の医師の占める率が減ってきてしまっているのです。物すごく減ってきて、ほかの科を卒業した人が基礎医学の教官として入ってきているというのが現実です。したがって、事務局にそれを一回きちんと調査してほしいと思います。基礎医学に何人ぐらいの医師が教官として勤務をしているのか。それをどうして言うかというと、今、医学部は1年の留年率が非常に上がってきています。生徒の質が悪いのか、あるいは教官の数が生徒の教育に追いついていないのかという議論が全然行われないのです。アメリカのメディカルスクールの例ですと、基礎系に行く先生と臨床系の先生の定員は別々にやっています。基礎系に行く先生は授業料も大幅に免除されて生活費もくれると、優遇をされているわけです。したがって、この医学部の定員の数も、臨床の数ばかりで言わないで、基礎の教官数は別枠できちんとつくっていかないと、教育が壊れます。そういうことをきちんとしていただきたい。

 3点目、医学部の定員をさんざんふやしました。ふやしたときに、教官は何人ふやしたのですか。当然生徒がふえたら教員の数はふえなければ、教育の平均化はできないはずです。したがって、学生がふえた年から、定員がふえたときから、どれぐらいふえた学生に対して教官数をふやしたかというデータを次回までに出してください。

 以上です。

○永井部会長 事務局、今の3点、いかがでしょうか。

○医事課長 医事課長でございます。

 最後のほうに出ました研究と定員数に関してなのですけれども、最後にあった3点目は、きょうはデータを持ち合わせていないので確認をさせていただければと思います。

 基礎系の医師をどう養成・確保していくかという点なのですけれども、実際のデータを見ますと、今、山崎先生が御指摘のように、平成20年度までは、大学院進学者における基礎系の医師の割合はどんどん減っております。これは実感として皆さんもお持ちのところだと思います。20年度から直近までを見ますと、この割合は横ばいもしくは微増で、直近年だけを見るとややふえている年もあるということが実態かと思います。そういった状況に対して今どういう対応をしているかですが、まず、枠の話が出ました。枠については、医学部の臨床系が地域枠であるとすると、研究についても研究枠を既に設置しているところでございます。それから、これも確認したところ、文科省においては基礎研究医養成活性化プログラム事業として、基礎研究医のさらなる確保や基礎研究の強化を図ることを目的に、キャリアパスの構築までを見据えた体系的な教育を実施する大学のすぐれた取り組みへの支援に係る経費を措置していると伺っているところです。今後ともこの基礎系医師の養成・確保につきましては文科省ともしっかり連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

○永井部会長 相澤委員。

○相澤委員 医師の偏在というのは、日本全体で医師が余っていれば偏在を解消することは楽なのです。ところが、日本全体で医師が少ない中でやりくりするのは非常に難しい。この偏在の議論は、それを規制とか規定でがっちりやろうとしている。そうするならば、偏在というものは何をもってどう判断して、どれだけ足りないのか、誰もが納得できるような科学的で合理的な計算をしてやらない限り、これは納得が得られないのではないかと思います。その際の基本的な考え方として、その考える範囲を狭くすればするほど非常に外れ値が多くなっていって、運用が難しくなります。少しその範囲を広くすれば、その中で少し自由に動かすことができます。要するに、医師をどうためるかということと配置をどうしていくのかということは全く違う問題であって、2つを同時に議論すると非常に難しいことになるのではないかという危惧をしております。ましてや、今、二次医療圏単位で考えようとしていますが、患者さんは移動します。ある人は、そこの地域に医療がないから移動するのだといいます。ある人は、それは当然今あるべき医療の提供の体制をそのまま維持しようとすれば、患者さんは当然移動し続けるだろう。これを不便と言って移動をとめるのか。移動はしようがないとするのか。これも日本の医療提供をどうしていくのかという基本的な大きな問題にかかわっていて、これを解決しない限り、医師がどれだけ不足するのか、あるいはあり余っているのかということは、しっかりと判断することは難しいような気がいたします。

 もう一点。今、議論は入院医療を行う医者が足りないのか。外来を行う医者が足りないのか。もう一つ言えば、救急をしっかりと守っていく医師が足りないのか。そういう論点でしっかりとどこがどう足りないのかということをやっていかないと、専門医をどうしていくのかという判断もできないことになっていって、なぜこれまで医師偏在を解決しようとしてこれだけ時間がかかっているかということは、それだけ非常に大きな難しい問題を抱えているからだということだと思います。それを短期間で一気に12月までに何とかしろと言うからやるというのは、日本の医療に対して大きな禍根を残すのではないかと私は非常に危惧しております。ですから、これは医療人がもっとみんなでしっかりじっくりと考えようということを、私は強く内閣府に言うべきであると思っています。

 以上です。

○永井部会長 邉見委員。

○邉見委員 山崎委員の関連ですけれども、まず、林参考人のような奈良県や鶴田さんみたいな厚労省から行っているところはまだいいと思いますけれども、地域医療対策協議会は、本当にほとんどのところは病院長と言っても大体現役の病院長ですから、私みたいなロートルであったら言いたいことを言いますが、現職の人はしっぺ返しが怖いから大学医学部に忖度します。だから、ほとんど何も言いません。だから、大学の言うとおりのスケジュールで進んでしまいます。だから、余り機能していないです。現場を皆さんは御存じない。

 もう一つの当直の問題ですけれども、これが今度の働き方改革と一緒に絡んできます。5人以下の病院は地方にはいっぱいあるのです。中小の病院というところはみんな管理職にして、時間外をないようにしていますからわかりませんけれども、先生のおっしゃるように、週2回や3回、みんな当直しないとしようがないのです。だから、そのような現状が、今、日本の津々浦々にあることを、ここの人たち、東京の人は余り知らないのです。首都圏ぼけしているというか、そういう感じですので、私はそのことを現場に行って現物を見て現実的な解決策を考えてほしい。三現主義です。これが私の母校の物の考え方です。ぜひそれをやってほしい。

 基礎医学に関しましては、新設医大ができました昭和40年前後に、私の友達もたくさん新設医大の講師とかに出ました。そこへ行きますと、解剖の教授は2人おれば1人は農学部か理学部です。医学部の出身者はいない。生理もそうです。そういう状況ですから、教える人が、1年目はもう一人の教授のところで授業を受けて2年目から教えているわけです。そういうレベルですから、友達のところへ夏休みで1週間行って、非常に情けないなと私は思いました。全てにおいて、だんだん日本の医療は落ちていると思います。もう少し考えてほしいと思います。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 いろいろな委員の先生方の御意見はいろいろ難しいという御意見が多くて、それはそうなのですけれども、難しい中で、まずは何をするべきか、できることから始めるということが非常に大事だと思います。余りネガティブな方向性でなく、前向きにどんどん進めようと考えるべきかと思います。

 資料3の全般について、この資料は全部「制度改正案」と書いてあるのだけれども、総務課長、これは医療法を改正するという意味ですか。

○総務課長 医療法においていろいろと所要の規定の整理ということも今後は恐らく必要になってくるだろうと考えておりますので、議論が整理されれば、できれば私どもとしては来年の通常国会に必要な法案を提出することも念頭に置きながら作業していきたいと思っております。

○中川委員 資料3の10ページ、11ページですけれども、地域医療対策協議会をもっと実効性のあるものにしようという考えは、今は機能していないところが多いと認識しているわけですね。

○地域医療計画課長 地域医療対策協議会ですが、医師需給分科会でも資料を出しておりますが、実際に開催されていない都道府県があったり、議論する内容についても、先ほど山崎委員の御指摘にもありましたとおり、具体的な議論がされているところもあれば、形式的にやられているということで十分に機能されていないという場合もございます。今回の制度改正の中で位置づけを明確化し、活性化して役割を果たしていただきたいということでございます。

○中川委員 そうなると、11ページの都道府県医療審議会と地域医療対策協議会の関係は、上下関係になるのですか。

○地域医療計画課長 11ページの図を見ていただきますと、医療審議会では、医療計画の中に医師確保計画というものを位置付けていくことにしておりますので、その策定などの役割がある。先ほどPDCAサイクルというお話もありましたが、その策定された計画の進行管理や具体的な施策を検討していく場が地域医療対策協議会ということで、上下関係というか、計画を作るところと実際の検討を行うところという関係と理解しております。

○中川委員 考え方としては、いわゆる医療審議会のワーキンググループみたいなものですか。イメージとして。

○地域医療計画課長 ワーキングという位置付けが適切かどうかは別としまして、医師確保計画を策定する審議会と、作った計画を具現化していく協議会という関係です。上下関係とまでは言えないかもしれませんが、イメージとしては実行部隊でございます。

○中川委員 そうではなくて、11ページを見ると、御提案は、具体的に医師確保対策の議論は医療審議会ではしにくいから地域医療対策協議会にその役割を充てるのだ、その出た結論を親審議会としての医療審議会に上げる、最終的には医療審議会で承認されるという仕組みではないのですか。

○地域医療計画課長 そのとおりでございます。中川委員がご指摘のようなイメージであれば、ワーキングという関係にあるかと。

○中川委員 地域医療対策協議会にこれだけのことを見直せということは、都道府県に自主的にいろいろな対策を促してきたけれども、都道府県にだけ自主的にやらせるのは限界だと。国として、ある程度方向性を示す、法改正で支援するという意味ですね。

○地域医療計画課長 都道府県によって取組が様々であることは御指摘の点もあるかと思います。現状も医療審議会と地域医療対策協議会もあり、他に様々な会議がありまして役割がはっきりしていないという指摘もありましたので、今回、こういう形で整理をして、より分かりやすくした上で都道府県での取組を進めていきたいということでございます。

○中川委員 この提案に私は賛成ですが、このように法改正したからうまくいくというものではないのですよ。全国の都道府県医療審議会を例にとっても、温度差がすごいのです。例えば、持ち回りで済ましているところもあります。それから、医療審議会に事務方の提案がそのままほとんど修正されることなく全部通ってしまうという、それが慣例になっているところもあります。逆に、医療審議会が事務方の提案を全面的に修正したり、これを否決したり、そういうところもあります。ですから、そうならないように、活性化するような医療審議会であり地対協であるということを目指す何か、法改正だけではなくて何かをしなければならないのです。先ほど邉見先生が言ったように、近い人同士の議論はなかなか言いづらいです。近い人でも言いづらくても言う人もいますけれどもね。ですから、法改正のときもそういう一工夫が要ります。ぜひそれをやってください。いいことをしようとしている。私はこれに賛成です。

○永井部会長 手短に。

○中川委員 済みません。ここは大事なところですから。

 その上で、14ページをごらんください。制度改正案の2つ目の○の1つ目のポツですけれども、都道府県が地域医療支援事務を行うに当たって、必ず大学医学部と大学病院との連携のもとに行われるよう、地対協における協議に基づいて実施とありますが、私はこれが非常に大事なことだと思います。大学医学部や大学病院の連携は余りよくないことだというイメージをつくった時代があります。そうではなくて、ここがしっかり連携することによって医師確保対策が進んでいくのだろうと思いますので、ぜひそれは頑張っていただきたいと思います。

32ページ、これは専門医のところの続きに書いてありますが、人口動態や疾病構造の変化に考慮して、将来の診療科ごとの医師のニーズを都道府県ごとに明確化し、国が情報提供することとするというのも賛成です。

35ページの「外来医療機能の偏在・不足等への対応」と書いてありますが、これは入院でも同じだと思います。これは、専門医に限らず、医師不足という観点からぜひ早急に頑張ってデータをそろえる努力をしてください。各診療科ごとにどれだけの医療需要、患者さんがいるのか、その患者さんに対応した診療科の医師がどれだけいるのかを早く示すこと、これが医師確保対策、偏在解消対策に直接的につながると思います。しかし、キーワードは、こういうデータをどんどん行政が出すと、強制しているなど、そういう見方をする人がいますが、決してこれはそんなことはないと思います。これは若い医師が自主的に自分が何科の医師になるのか、何科を選択するのかの最も重要なデータになりますので、厚生労働省を挙げてぜひ早急にそのデータの整備をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○永井部会長 田中部会長代理。

○田中部会長代理 先ほど山崎委員も言われた、地域医療を担う医師の高齢化について一言申し上げます。特に外来です。具体的に言うと、診療所医師の高齢化です。昨日、全国の在宅医療の研究会がございました。そこで、結構頑張っていらっしゃる在宅医療が行われている地域で、内科医の平均年齢が、5年前は60歳、ことしは65歳だった。つまり、誰一人新しい開業がない状態である。今はまだ大丈夫だけれども、地域医療のニーズのピークを迎えるであろう2025-40年ごろには担当医師がいなくなってしまう。これは都道府県別のデータを見ても、医師の年齢別構成を見ると、現在医師が多く見える県でも、30代、40代は少ない県があります。医師偏在も大切ですが、地域医療を担う開業医も重要です。高度急性期のニーズは減るかもしれませんが、地域医療のニーズは一番死亡が多い2040年ごろにピークになります。それにあわせて医師の年齢別の統計をしっかりとって若手に示したり、単に統計を示すだけではなく、若手が地域に出られるような研修体系なども必要であると考えます。

○永井部会長 伊藤参考人。

○伊藤参考人 医師の偏在については、診療科と地域と両方強力に進めるべきと、前回も申し上げたとおりですが、今回こういう都道府県内の偏在を是正するような仕組みという提案がありました。これも資源配分を適正に進めていくという一つの取り組みとして理解はするところです。

 ただ、絶対的な数が足りているのかという指摘は従来からずっとあるわけでして、一つ心配しているのは、7ページの医師偏在の度合いを示す指標の設定というところで、2つ目の○の4つ目のポツで患者の流出入を一つの考慮要素に入れることになっていることです。考慮要素に入れるというのは、これもあり得ることだとは思うのですが、身近に医療機関がなくてあえて遠方まで足を運ばなくてはいけないという現状を追認するというか、前提とした指標ということになると、そこは余り適当ではないということになると思いますので、こういった指標の設定に当たっては十分検討していただきたいと思います。

 この中で、今、見ていただいている7ページの要素は、後の診療科別の偏在のところ、33ページの考慮要素とも重なっておりますが、唯一違うのが診療科ごとのところには性というものが入っていません。この点について、どういう意味でそこは入れていないのかということを教えていただければと思います。

 以上です。

○永井部会長 今の点、いかがですか。手短に御回答をお願いします。

 医事課長。

○医事課長 医事課長でございます。

 性・年齢階級別は非常に重要ですので、性を入れたいと思います。

○永井部会長 林参考人。

○林参考人 都道府県について話題になっておりますので、一言だけと思います。

 今回、非常に精力的な御検討をいただいていることはありがたいと思っております。ただ、都道府県にとって非常に荷の重い内容が含まれておりますので、知事会の中でも意見を確認して、こういったことができるのかどうか、あるいはやるためにどうしていったらいいのかということを国のほうとも協議させていただければありがたいと思っております。

 今も意見が出ておりましたけれども、こういった対策がなされることはありがたいことだと思いますが、その上で、医師不足感は一部の医師不足地域だけのものではないということが実情だと思います。それはこの次の話として、医師不足地域ではないけれども医師不足感がある地域にどう対策をとっていくのかということがすぐに出てくると思います。

 地域によっての実情は違うと思いますけれども、本県の実情、実例としては、前回の医療部会でも資料が既に出ておりましたとおり、ある程度一定の人口、少し広い地域で一定の人口規模のところで急性期の医療機関を集約することで、相当この医師の働き方や医療の提供が効率化されて、余り変わらない医師数でも医療の提供がよくなったりという例もございます。そういう点から考えると、医師確保計画を医師の数だけで考えるということではなくて、地域医療構想や医療提供体制との間でどのような関係を持たせていくのかということが次の課題になってくるのではないかと思います。

 医師の数自体はもちろんもっといたらいいと思う面もありますけれども、向こう1020年でそう簡単にふやせるものではないわけですから、今の医師数でどのような効率的なあるいは効果的な医療提供体制を立てていくかということが重要になってくると思います。その点から、国のほうでもぜひいろいろなケーススタディーをしていただいて、都道府県が活用しやすいようなやり方をお示しいただけると、都道府県としても非常に参考になると思います。

○永井部会長 神野参考人。

○神野参考人 医師需給分科会の構成員でありますけれども、ちょっと意見を言わせていただきます。

 地方で病院をやっておりますので、医師が足りない、しかも必要な診療科の医師が足りないというところが大きな問題です。きのう地元医師会の会合があったのですけれども、診療所の廃業が後を絶たない、そして、先ほど田中先生がおっしゃったような診療所医師の高齢化ということで、在宅と言われても在宅が既にできないというところの悩み節で会合が終わってしまったということでございました。

 その中で、これはかねてから申し上げておりますけれども、もちろん情報提供は必要だと思いますが、強力な偏在対策をやらないと、なかなか情報提供だけで偏在対策をドライブできるかということは考える必要がある。診療科の偏在、地域の偏在、入院・外来の偏在というものがあって、その中で、今まで規制的な偏在対策がなかったものだから今の状況に陥っているということを考える必要があるかと思います。すなわち、偏在対策を強力にやらない限りは、医師をじゃぶじゃぶつくらないと、津々浦々、不足地域あるいは不足の診療科に回っていかないと強く思います。なので、情報提供だけではなくて強力な偏在対策の議論も忘れずにお願いしたいと思います。

○永井部会長 島崎委員。

○島崎委員 いろいろ申し上げたいことはあるのですけれども、時間が限られておりますので、手短に申し上げます。

 5ページを見ると、医師数の過不足は二次医療圏単位でお考えになっているようですけれども、この二次医療圏という圏域は、もともと1985年に医療計画をつくったときに、当時の市町村の行政範囲、保健所等の管轄区域、地区医師会の区域などを考慮し決められたもので、必ずしも患者や医療の実態に合っておりません。さらに、人口の増減や交通事情の変化、例えば高速道路ができて患者の移動が変わっても、圏域の線引きがそのままになっているケースが多々あります。何を申し上げたいかというと、いろいろ医師数の過不足の分析を精緻化したとしても、根っこの二次医療圏という圏域の範囲が妥当なのかという問題があるということです。

 それから、この5ページのところで「大学からの優先的な医師派遣」とありますが、これも簡単な話ではありません。私はかつて、ある県において、基幹的な県立病院や地域医療支援病院を使って医師をある程度ストックしてへき地の病院・診療所に派遣していく構想を考え当該県と話をしたことがあるのですが、うまくいかなかった。なぜかというと、一番大きな問題は、その県立病院の医局が地元の大学ではなく他県の医学部の医局であったことです。1件1医大構想でできた医学部の県ではそういうケースも結構あるわけで、ことほど左様に、都道府県ごとのいろいろな事情によって解決の方法の仕方も違ってくるわけです。それに加えて、各都道府県がそういう難しい調整をやっていく際に、先ほど林さんもおっしゃったのですけれども、それを担う人材がいるかどうか、これも非常に大きな課題です。

 全体として申し上げたいことは、一連の資料を拝見しますと、「可視化する、計画をつくる、実施する」という一連のプロセスなのですけれども、医師の過不足の問題は積年の課題で、それほど簡単に解決できる問題ではない。なおかつ、今、申し上げたように、個別の事情をいろいろ斟酌していかなければいけません。そういうことを考えますと、全国一律的にやらなければいけない部分と、都道府県ごとにいろいろ考慮していかなければいけない部分があり、それをうまく組み合わせていかないと「絵に描いた餅」になるという危惧を強く抱きます。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 まだ御意見はおありかと思いますが、ちょっと時間が押しておりますので、事務局におかれましては、今の御意見を踏まえて、必要な対応をお願いします。

 続いて、次期診療報酬改定の基本方針の骨子案について、説明をお願いいたします。

○医療介護連携政策課長 連携課長でございます。

 資料4-1、4-2に即しまして、基本方針の御審議をお願いしたいと存じます。

 前回10月5日に2回目の審議をお願いしておりまして、今回が3回目になってまいります。前回は、基本認識の部分まで文章にしたもの、それ以降については項目という形での資料のお示しになっておりましたが、今回は骨子案という体裁にしておりまして、全体を文章化したものを4-2で、全体の構成と項目を資料4-1でお示しする形になっておりますので、順次御紹介申し上げます。

 まず、資料4-1でございます。

 これはスケルトンでございますが、基本認識が冒頭にございまして、人生100年時代を見据えた社会の実現、地域包括ケア、制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方を推進ということでございまして、この部分は前回お示したものと同じでございます。

 また、その下にございますが、改定の基本的な視点と具体的な方向性ということで、視点については4点ございますが、この4点につきましても前回の資料に付させていただいたものと同様でございます。また、その下にございます具体的な方向性の例につきましても前回の構成とおおむね変えてもおりませんが、1つの項目が複数の項目に該当する事項がございましたので、前回の御指摘も踏まえて、そういったものも含めて構成は整理させていただいたということが全体の構成でございます。

 続きまして、資料4-2でございます。

 この資料は、全体で8ページにわたる資料になっておりますが、まず、最初の基本認識の部分が1ページから2ページの真ん中までにかけて文章で記載してございます。この部分につきましては、前回の資料の中でも文章の形でお示ししておりますので、基本的に構成は踏襲してございます。なお、皆保険を今後に向けて堅持していくという観点から、財政に関するお話もございましたので、そういった点は加筆させていただいておりますが、おおむね前回どおりでございます。

 続きまして、2ページ、真ん中のところに「2.改定の基本的視点と具体的方向性」でございます。ここから先が、前は、箇条書き、項目をお示ししておりましたところでございます。

 まず、重点課題として「(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」でございます。基本的な視点のところにございますように、患者の状態等に応じて質の高い医療が適切に受けられるとともに、必要に応じて介護サービスと連携・協働するなど、切れ目のない医療・介護提供体制が確保されることが重要。このためには、医療機能の分化・強化、連携を進め、効果的・効率的で質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築していくことが必要と書かせていただいております。また、その下の具体的な方向性の例といたしまして、まず、冒頭に地域包括ケアシステム構築のための取り組みの強化ということを置かせていただいております。その下に、ポツが3つございます。1点目が、医療機関間の連携、病診薬連携、栄養指導などでございますが、患者・利用者の状態に応じて真に必要なサービスを適時適切に提供するための地域の関係者間の多職種連携の取り組みの推進といったことを置かせていただいております。また、2点目といたしまして、患者が安心・納得をして入退院をして、住み慣れた地域での継続できるための取り組み。3点目といたしまして、介護施設入所者に対する適切な医療提供など、適切な役割分担に基づく医療・介護サービスの提供の推進を置かせていただいております。2つ目の○といたしまして、かかりつけ医の関係で置かせていただいております。かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価でございます。その下に3点置かせていただいておりますが、これらの項目については、前回お示しした資料の中で箇条書記載させていただいているものを文章化したものでございますので、文案について御確認いただきたいと思います。○の3つ目、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価でございます。この部分につきましても、前回の資料でもお示ししておりますが、人口構造や疾病構造の変化に伴って、入院医療ニーズも多様化する中で、地域において必要な入院医療が効果的・効率的に提供されるよう、医療機能や患者の状態に応じた評価を行い、医療機能の分化・強化、連携を推進すると置かせていただいております。○の4つ目、外来医療の機能分化、重症化予防の取り組みの推進でございます。ポツを2つ置かせていただいておりますが、まず、1つ目が大病院と中小病院・診療所の機能分化の推進、2つ目にございますのがICTの活用・重症化予防の取り組みなどについての記載を置かせていただいております。3ページの一番下の○ですが、質の高い在宅医療・訪問看護の確保でございます。この部分につきましては、前回の基本方針の中でも記載させていただいております内容を、4ページにかけまして踏襲する形で置かせていただいているところでございます。また、(1)の最後になりますが、国民の希望に応じた看取りの推進ということで、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の普及を初め、患者本人の意思を尊重したサービスの提供のための取り組みの推進ということで置かせていただいております。

 4ページ、上のところにございますのは「(2)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」でございます。基本的な視点のところにございますが、国民の安心・安全を確保する観点から、第三者による評価・アウトカム評価など客観的な評価を進めながら、患者自身が主体的に医療を選択できるようにしていくこと、また、新たなニーズにも対応できる医療の実現、重点的な対応が求められる分野の実現といったことを書かせていただいております。具体的な方向性の例でございますが、まず、1つ目、重点的な対応が求められる医療分野の充実ということで、緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価、認知症の関係、地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価、難病の関係、小児・周産期・救急の関係、歯科医療の関係、先進的な医療技術の関係を記載としては置かせていただいております。4ページの下のほうの○ですが、ICTなどの将来の医療を担う新たな技術の着実な導入、データの収集・利活用の推進ということで1つポツを置かせていただいております。この部分は、遠隔診療の適切な活用、医療連携を含めたICT等の有効活用の推進、データの収集・利活用、エビデンスに基づく評価といった記載を置かせていただいております。5ページにまいります。アウトカムに着目した評価の推進ということで、前回の資料にも付させていただいておりますが、リハビリテーションの関係を含めまして、アウトカムに着目した評価の推進の記述を置かせていただいております。

 5ページ、「(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」でございます。基本的な視点のところにございますが、医療従事者の厳しい勤務環境が指摘されている中、医療の安全の確保や地域医療の確保にも留意しつつ、医療従事者の負担の軽減を図り、あわせて、各々の専門性を発揮でき、柔軟な働き方ができるよう、環境の整備、働き方改革の推進ということで置かせていただいております。具体的な方向性の例といたしましては、1つ目にチーム医療等の推進などの勤務環境の改善。2点目といたしまして、業務の効率化・合理化の関係。3点目といたしまして、ICT等の将来の医療の担う新たな技術の着実な導入、ここは再掲でございます。4点目、包括ケアシステム構築のための多職種連携による取り組みの強化、ここも再掲でございます。5ページの一番下の行から6ページにかけまして、外来医療の機能の分化でございますが、この部分も再掲という形で置かせていただいております。

 6ページにまいりますが、「(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。基本的視点といたしまして、国民皆保険を維持するためには、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取り組みが求められ、医療関係者が共同して、医療サービスの維持・向上と同時に、医療の効率化・適正化を図ることが必要と置かせていただきました上で、具体的な方向性の例といたしましては、まず、薬価制度の抜本改革の推進。続きまして、後発医薬品の使用促進。それから、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価、この部分は再掲でございます。その下にまいりますが、外来医療の機能分化、重症化予防の取り組みの推進、この部分も再掲でございます。また、費用対効果の関係もここに置かせていただいております。7ページにまいります。医薬品の適正使用の推進。効率性等に応じた薬局の評価の推進。医薬品、医療機器、検査等の適正な評価として置かせていただいております。

 また、7ページ、「3.将来を見据えた課題」で、前回の指針を踏襲する形で置かせていただいております。まず、1つ目の○ですが、これから、2025年、2040年と高齢化の節目を迎えていくに当たりまして、将来にわたって対応可能な医療提供体制の構築、総合的な取り組みの必要性が1点目でございます。2点目は、包括ケアシステムの構築に向けまして、質の高い在宅医療・訪問看護の普及、ICTの活用による医療連携・医薬連携等についての検討。3点目といたしまして、患者にとって安心・納得できる医療を提供していくための取り組みの推進。4点目といたしまして、国民が主体的にサービスを選択して活動していくということから、セルフメディケーション、予防・健康づくりに関する記述として置かせていただいております。

 まずは、3回目の御審議のための資料としてそのようにさせていただいております。なお、医療保険部会におきましては、本日の夕方、同じ資料に基づきまして審議を予定しておりますことをあわせて御報告させていただきます。

 以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、先に田中部会長代理。

○田中部会長代理 間もなく退室しなければなりませんので、全体としての流れは結構だと思いますが、1点だけ。

 一番最後がやや間が抜けている、尻すぼみな感じがいたします。予防はまさにこれから超高齢化社会にとってとても大切です。現在の予防をめぐる公衆衛生など、学問の世界では、個人の責任だけではなくて環境要因や地域要因は同じぐらいのウエートがあると研究が進んできています。原案だと個人に責任を求めて終わっているのですね。これは文章としては逆で、一人一人が健康づくりやセルフケアを行うために、地域の環境づくりや体制づくりを進めるべきと書いてほしい。環境をつくるために個人が頑張れという文章になっているので、論理が逆転していると思います。

(田中部会長代理退室)

○永井部会長 加納委員。

○加納委員 1点、2ページ目以降の2(1)のところに、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進というところで、いろいろ明記されているわけなのですが、実際に地域包括ケアで私が一番大事だと考えることは、前回も申し上げたと思うのですが、しっかりとした救急体制があるかないかということです。へき地の状況だけでなく、いろいろなところでも体制が必要だということで、これから高齢者がふえてきます。そうすると高齢者救急の中でも地域包括ケアシステムで24時間365日しっかりとした救急体制があるかないかということがキーワードだと思うのですが、これが全然明記されていないというのはどうかということは前にも申し上げたとおりです。例えば、患者の安心・納得という形で3ページの一番上のほうに書いてあるのですが、こういったところにしっかりと救急の状況を明記していただきたいということです。

 それから平成30年度の診療報酬改定の基本方針ということなのですが、この前から出ています実調のデータ、また、福祉医療機構等のデータを見ますと、急性期を担っている一般病院が非常に悪い状況になっていまして、例えば、WAMのデータでは0.7%の収益率しかなくなっています。平成19年にゼロになったことがあります。そのときは、今日も来られている奈良県から、大阪府へと「どんどんとたらい回し」という言葉を使われましたけれども、救急車が受け入れをできなくなって地域医療は崩壊だと言われました。その時代の直前までデータ的には数字が悪化していますので、しっかりとその救急を担っている、急性期を担っている一般病院の保障という形をぜひとも考えていただきたいと思いますし、先ほど申しましたように、地域包括ケアの24時間365日守っている救急について、明記していただきたいということでお願いしたいと思っております。

○永井部会長 島崎委員。

○島崎委員 働き方改革の関係で伺います。今回の診療報酬での対応については異論がないのですけれども、医師の時間外労働の上限規制の問題については、将来の問題だけではなくて足元の問題もある。具体的に言うと、この部会でも複数の委員が指摘されたように、労働基準監督署が病院に立入調査を行い是正指導・勧告を行っており、医療現場に非常に大きな影響を与えていますが、この足元の問題への対応について、何か具体的に現時点で考えられていることがあるのでしょうか。

○総務課長 総務課長です。

 今、島崎委員から御指摘がありました医師の働き方改革につきましては、別途医師の働き方改革に関する検討会を立ち上げて御議論いただいているところです。まだ現段階ではそれぞれのお立場の方々のいろいろな御意見をお伺いしている段階ではございますけれども、1月の段階で一定の中間まとめはさせていただきたいと思っております。そういった中で、具体的にどういったことを整理できるかといったところをまたこれから御議論いただいた上で、その上でまたこの部会にも御報告をしながら御意見を頂戴するようにしていきたいと思っております。

○島崎委員 その経緯・事情はわかっています。また、足元の問題について全体的な方針を示すのが難しいことも理解できます。しかし、私は全ての事案をつまびらかにしたわけではないのですけれども、率直に申し上げると、監督官によってかなり指摘にばらつきがあるように思います。また、これまで裁判例がいろいろあるわけですが、その結論だけを形式的に当てはめているきらいも見受けられます。何を申し上げたいかというと、例えば、先ほどおっしゃった検討会の中でも、個々の裁判例が個々の事案に即した事例判決なのか、そうでないのか。法律用語で言えばその判決の射程がどこまで及んでいるかということについて、是非きちんと議論していただきたいと思います。

 医師の働き方改革に関する検討会の主眼が将来に向けてのことにあるのはわかりますけれども、足元でいろいろな問題が起きているのは、この医療部会で再三指摘のあったとおりです。検討会が中間報告を出されるときには、先ほど申し上げたことも含めてですけれども、足元で現実に起きている問題について、多少なりとも対応の方向性を打ち出していただければと思います。

○永井部会長 牧野委員、お願いします。

○牧野委員 ありがとうございます。

 5ページのアウトカムに着目にした評価の推進でございます。

 これは28年のときにもこの「アウトカム」という言葉は出ておりますし、そのときには質の高いリハビリテーションということが出ている。ただ「はじめとして」ということなので全ての診療行為に対してだと思うのですが、今はアウトカムを求める時代だからとか、改定の検証ということ、これも非常に大事なことだとは思うのでありますが、そのスパンが私は短いのではないかと思うのです。改定でここを評価したから、2年後または4年後の改定のときにこういうような結果が出ているということを必要とするということを言われます。しかし、医学管理というものはそんなに簡単に急に結果が出るものかというと、そうでもないものだと。私たちの歯科では30年かけて8020ということで80歳で20本を持つ人が半分以上になったとか、虫歯がどれだけ減ったかということは、今、田中部会長代理がおっしゃったような予防のことをずっと訴えてきたからだと思います。

 ただ、それが全然診療報酬上で評価にならないということがありますので、アウトカムということを言うのは大事なことだと思いますが、短期に結果を出さないといけないという感覚というか、それで評価を決めるというのは、この文章では難しいかもしれないけれども、そういうスタンスで臨んでいただきたいと思います。

○永井部会長 伊藤参考人。

○伊藤参考人 7ページの将来を見据えた課題の3つ目のところに「患者にとって安心・納得できる医療を提供するためには」というくだりがあります。わかりやすくしていくということはとても重要だと思っておりまして、その観点から言いますと、診療明細書について公費負担医療を含めた全ての医療機関における無料発行を進めていく必要があると思っています。そういうことがあらわれるような形にしていただきたいと思います。

 連合で調査をしてみましたら、この明細書を4割程度が病気の記録として保存しているということで活用されている。今、発行免除をされているところで、常勤医師が高齢の場合でも例外なく発行すべきというのが5割程度ある。また、システム改修が必要な場合でも無料発行をすべきというのは4割程度。こういう受けとめがありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 提案の書きぶりを見ても、「受けた医療や診療報酬制度を分かりやすくしていくため」と、受けた医療をわかりやすくしていくというのはやや表現的にもわかりにくいかと思いますので、そういう意味でも直していただければと思います。

 あと、将来を見据えたというよりは、これは今ある制度ですので、むしろ4ページの(2)というところに「安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」とありますので、こういったところにあるのが適切かと思います。

 以上です。

○永井部会長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 総論と各論と1つずつ話したいのですけれども、診療報酬というのは当然財務省と内閣官房と最終的に折衝する話なのですが、平成291025日に財務省が財政制度等審議会に提出した社会保障の書類の中で、医療機関の費用構造という欄があります。医師等の費用構造というものが、人件費として21兆円、46.5%ということで、人件費が半分以下ということを財務省に報告しているのですが、これは平成26年度の国民医療費の概況という厚生労働省が出した資料に基づいています。その一方で、この前、経済実態調査の結果で出た人件費は、一般病院で55%、精神科病院では65%なのです。それだけ人件費が乖離しているのに、このようなミスリードをするようなデータを出して診療報酬改定に臨んでいるというのはおかしいと思います。

 もう一つは、調剤薬局のお話をさせていただきます。これは幾つもの資料に出ているのですが、院内調剤と院外調剤で3.3倍違うのです。3.3倍違うということは、3.3倍分だけ国民に負担を押しつけているし、保険者団体にも押しつけているわけです。3.3倍の違いを払うだけのきちんとした医療行為や指導行為をしているのかどうかというのが、今回の基本方針のところで全然読めません。

 もう一つ、後発医薬品の使用促進ということで、後発に誘導するという政策はわかります。一方で、後発の医薬品というのは、海外では、メーカー品から後発になるとメーカー品の15%ぐらいの値段なのです。それを、日本では50%、前は60%だった。それを50%で、ABCランクでくっつけて若干幅はあるのですが、後発の医薬品の薬価のつけ方が高過ぎると思うのです。したがって、もう少しそこのところをここにきちんと書いていただきたい。

 調剤薬局の話、あとは後発医薬品の価格調査を書いていただきたいと思います。

○永井部会長 中川委員。

○中川委員 7ページの先ほど田中先生が指摘されたところなのですけれども、「セルフケア・セルフメディケーション」とは何ですか。「・」ということはほとんど同じという意味と。誰か説明をお願いします。

○医療介護連携政策課長 この部分は、前回の28年の改定の基本方針でも同様の書きぶりにしております。先生のおっしゃるように、2つの概念の中には重なり合っているところと重ならないところがあると思いますので、もう少し適切な表現にできるかどうか、考えていきたいと思います。

○中川委員 セルフメディケーションという定義は相変わらずしっかりしていないのです。軽い病気を自分でOTCを買って治しなさいというものも含まれるのですよ。これは削除してください。明確に申し上げます。

○医療介護連携政策課長 今日のお話と前回の改定基本方針との関係を含めて整理させていただきたいと思います。

○永井部会長 森参考人。

○森参考人 調剤の話が出ましたので、医薬分業ですけれども、1つは、医療安全を確保すること、それから、その結果、医療費の削減にも貢献することです。医療安全に関しては、日薬でも定期的に疑義照会の実態調査をやっております。ほぼ3%の処方箋、100枚のうちの3枚の処方箋で疑義照会を行って、その75%で処方変更になっています。医療費の削減という点では、後発品の使用促進であったり、残薬に関しては、国のほうもしっかりと数字をつかんでいると思いますので、そういうところをきちんと見ていただきたいと思います。

 院内・院外の格差ですけれども、これはそもそも病院の中での調剤と薬局での調剤は別ということで分けてきたと思います。そこは御理解いただければと思います。

 以上です。

○永井部会長 阿真委員。

○阿真委員 7ページ、3の3つ目の○ですけれども、ここは大事だと思うのですが、いつも基本方針の最後にはこうして国民に対する説明が必要だという文章は入れていただいているのですけれども、目に見える形で取り組みが進んでいると感じられることは余りないので、最後におまけにならないようにということを望んでいるのと、文章が「患者にとって安心・納得できる医療を提供していくためには」は「患者が安心・納得できる医療を受けるためには」で普通にいいのではないか、それから「受けた医療」というのも少しわかりにくいと思います。

 以上です。

○永井部会長 井上委員。

○井上委員 前回、基本認識のところで経済財政との調和というものを1本柱立てできないかという意見を申し上げました。それ自体はできなかったわけですけれども、その趣旨につきましてはいろいろと御配慮いただきましたので、一定の評価をさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、経済財政と医療制度の持続可能性は表裏ですので、引き続き十分な配慮をお願いしたいと思います。

 その上で、ちょっと細かいのですけれども、2ページ目の1個目の○のところで骨太方針2017の記載があるのですけれども、きょうの参考資料の中にもこれは出ていますけれども、ここの表現で「保険財政や国の財政に係る状況等に留意する」と書いてありますけれども、骨太のほうは「状況等を踏まえつつ」とありますので、表現を合わせていただければと思います。

 最後の「3.将来を見据えた課題」で、ぜひ「制度の持続可能性」というキーワードをどこかに入れていただきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 お願いします。

○森参考人 調剤に関してですけれども、安全な薬物治療を提供するためには、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学管理指導の充実が必要になります。そのこととかかりつけ薬剤師・薬局が進むような形の評価をお願いしたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 最後に、加納委員、どうぞ。

○加納委員 調剤の話が出ましたので。

 先ほど山崎先生が3倍とおっしゃったのは、処方料も入れての話なのです。実際に薬剤師さんがやる調剤の業務に関しての差は十数倍つけられているということです。果たして十数倍つける必要があるのかということと、かかりつけ薬剤師としてちゃんと地域に根づいた薬局さんの評価は非常に大事だと思うのですが、チェーン店形式で病院の前にある調剤薬局がそういう形で十数倍の利益を上げているというのはどうかという感じがします。そこをぜひとも御検討いただけるような内容を書いていただきたいということが山崎先生の御意見かと思っております。

○永井部会長 簡単に。どうぞ手短に。

○森参考人 今まで中医協で、調剤報酬に関しても医療経済実態調査で薬局の経営を見ながら議論してきたと思います。そのことをきちんと御理解いただければと思います。

○永井部会長 事務局、特にありませんか。

 わかりました。ぜひただいまの議論を踏まえて必要な対応をお願いしたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、12月6日、水曜日を予定しております。詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。

 以上でございます。

○永井部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。


(了)

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