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2017年11月10日 第55回医療部会

医政局総務課

○日時

平成29年11月10日(金)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 大会議室


○議事

○医療政策企画官 それでは、時間になりましたので、ただいまより、第55回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきましてまことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数は24名、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、永井部会長、安部委員、猪口委員、遠藤委員、菊池委員、楠岡委員、平川委員、山口委員、山崎委員から御欠席との御連絡をいただいております。15名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。

 なお、久喜委員はおくれていらっしゃいます。

 また、医療介護連携政策課長は所用によりおくれて参加いたします。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1~5及び委員提出資料をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 なお、カメラの撮影はここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行を田中部会長代理にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田中部会長代理 おはようございます。

 初めに、欠席の安部委員の代理として森参考人、猪口委員の代理として神野参考人、菊池委員の代理として吉川参考人、平川委員の代理として伊藤参考人の御出席をお認めいただきたいと存じます。よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 早速、議事に移ります。

 今回は、「医療提供体制に関する現状と課題について」を前後半に分けて議論を行います。

 まずは、事務局より資料2までの説明をお願いします。

○総務課長 総務課長でございます。

 お手元の資料1及び資料2に沿いまして、御説明を申し上げたいと思います。

 本日は「医療提供体制に関する現状と課題について」ということで、全般的な御議論をお願いしたいと思っております。

 9月にも御報告申し上げましたが、現在、検討会をさまざまな場でお願いいたしまして進めているところでございます。そういった場において、いろいろな御意見を頂戴しておりますが、この医療部会におきましてもかねてより先生方から、折に触れてさまざまな御意見を頂戴しております。そういった御意見を検討にも今後反映するということで、本日は幅広く御意見を頂戴したく、この場を設定させていただいているところでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 時間が限られておりますので、大変駆け足になって恐縮でございますが、簡潔に御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1でございます。

 おめくりいただきますと「1.総論」というものがございます。

 2ページ目は「医療提供体制の概要」で、「制度の基本構造」「基礎データ」そして「我が国の医療提供体制の主な特徴」ということで、国民皆保険のもとに、フリーアクセスによって、世界の中でも非常に高い保健医療水準を実現していること。そして、実際の提供に当たりましては、民間中心の医療提供体制となっていることをお示ししております。

 3ページは「社会保障給付費の推移」でございますが、これまでの給付費の推移を見ております。医療費につきましては、2017年の予算ベースでございますけれども、38.9兆円という数字になっているところでございます。

 4~5ページでは「医療提供体制の現状」ということで、診療所の数の推移をまずごらんいただいております。100,500ほどの数となっております。

 5ページになりますと、病院数につきましては、実は平成2年をピークといたしまして、現在は若干減少して8,500になっております。

 これを開設主体別に見ますと、7ページに飛ばしていただいて恐縮でございますが、各開設主体別の状況を見ております。

 これをごらんいただきますと、紫色の「医療法人」が5,700以上ということで、中心的になっていることがおわかりいただけるかと思います。

 8ページ以降は、近年の社会保障改革の流れを追っております。

 まず8ページでは、社会保障改革国民会議の報告書から抜粋しております。

 こういった流れの背景といたしましては、9~10ページにございますように、日本の人口の変化が大きく影響してきております。特に2025年には、いわゆる団塊の世代の方々が全員75歳を迎える時代になるということでございます。

11ページになりますと、これの将来推計を行っておりますが、医療費につきましても、2025年段階で54兆円になるのではないかといった推計をこれまで社会保障・税一体改革の中でお示ししているところでございます。

 その結果、13ページでは、これは前回提出しておりますが、消費税5%の引き上げということで、その使途をそれぞれ整理されているところでございます。

14ページでは、こういった社会保障・税一体改革の中で今後、社会保障全般についての改革を進めるということで、プログラムも策定されております。これの中で、真ん中あたりにございますが「病床機能報告制度の創設・地域の医療提供体制の構想の策定等による病床機能の分化及び連携」といった方針が定められたところでございます。

 これを受けまして、次の15ページになりますが、平成26年度に制度改正を大きく行いまして、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築するといったことを大きな狙いとして、特に医療の世界におきましては、病床の医療機能等を報告して、都道府県が地域医療構想を医療計画の中で策定するといった制度改正がなされたところでございます。

16ページにございますように、イメージとしましては、こういった取り組みは医療だけではなく、介護とも合わせて一体として行うことで、計画の枠組み、また報酬についても同時改定ということで今後対応することになっております。

1718ページでは、平成27年度の医療法の改正ということで、「1.地域医療連携推進法人制度の創設」と「2.医療法人制度の見直し」を行っているということでございます。

20ページに参りますと、これは今年の通常国会でございますが、医療法の改正を行いまして、「安全で適切な医療提供の確保を推進する」ということで「検体検査の精度の確保、特定機能病院におけるガバナンス体制の強化、医療に関する広告規制の見直し、持分なし医療法人への移行計画認定制度の延長」といった措置を講じたところでございます。

 続きまして、21ページ以降は平成26年度以降の法改正の中で設けられた枠組みである、地域医療構想の話を御説明させていただきたいと思います。

 まず、21ページは医療計画でございますが、これは「医療資源の地域的偏在の是正と医療施設との連携を推進する」ということで、各都道府県ごとに二次医療圏を設定し、病院の整備目標、医療従事者の確保あるいは5疾病・5事業や在宅医療に関する事項といったことを記載するということで、この流れの中で地域医療構想についても今後、位置づけることになったところでございます。

 では、その地域医療構想は何をするのかということでございますが、22ページでございます。

 「地域医療構想」は、2025年の医療需要と病床の必要量を推計するということで、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能ごとに必要量を推計するということでございます。これは二次医療圏単位で策定することにしております。

 一方で、各医療機関の皆様には、病床機能の報告を定期的に行っていただくということで、その報告を活用しながらこの構想を策定し、さらに機能分化を推進することにしているところでございます。

23ページが「地域医療構想の実現プロセス」でございますけれども、まずは医療機関の皆様に「地域医療構想調整会議」において協議を進めていただいて、機能分化・連携を進めることにしております。

 その上で、都道府県はそういった取り組みを、平成29年度の制度改正によって設けた地域医療介護総合確保基金を活用して支援を行うことにしております。

 また、そういった自主的な取り組みが基本でございますけれども、それだけでは機能分化・連携が進まない場合には「医療法に定められた都道府県知事の役割を適切に発揮」するということで推進することになっております。

24ページでは、そういった「地域医療構想調整会議の進め方のサイクル」をお示ししております。

 年間のスケジュールをお示しして、こういったサイクルを繰り返しながら、地域医療構想の達成を目指すことにしております。

25ページでは「地域医療構想調整会議の議論の状況」をお示ししております。

 「現状分析に関する取組の状況」ということでは、調整会議は136構想区域がございますが、これまで150回開催されている状況でございます。

 また「具体的な医療機関名挙げた議論の状況」ということで、公立病院については、既に135病院の議論は開始された状況でございます。これを各都道府県ごとに見ましたのが26ページでございます。

 それから、公立病院改革あるいは公的医療機関の取り組みも今後重要でございます。そういったところでしっかりと取り組みを進めていただくことも重要でございますので、新公立病院改革プランの策定といったことを、新公立病院改革ガイドラインのほうで要請しております。

 また、公的医療機関につきましても「公的医療機関等2025プラン」の作成をお願いしまして、それぞれ地域医療構想調整会議でその役割の議論をお願いしているところでございます。その議論の状況は29ページにあるとおりでございます。

3032ページのほうでは、その具体例をお示ししております。奈良県さんにも具体例を提供していただいているところでございます。

33ページは「医療機能の選択に当たっての基本的な考え方」ということでございます。

 病床機能報告の中では、病棟が担う病棟機能のいずれかを御報告いただくということになりますが、実際にはいろいろな病態の患者さんが入院しておられることがございますので、病棟の中で最も多くの割合の患者さんがおられるものを報告することを基本にしております。

 これに関連して、34ページでは、今年の9月に事務連絡を出させていただいておりますけれども、実際の病棟にさまざまな病気の患者さんが入院しておられることを踏まえて報告をいただくということで、ともすると、その病床機能報告の集計結果と将来の病床の必要量の単純な比較で、回復期機能の病床が足りないなどの誤解が生じていることもございますので、今後、各医療機関の皆様には、病棟や診療の実態に即した適切な医療機能の報告をするといったことなどをお願いさせていただいているところでございます。

3637ページでは、これは以前もお出ししました「今後の主要な検討テーマ」ということで、現在、検討会でいろいろと議論もしておりますが、取りまとまったところで、また改めて御報告させていただきたいところでございます。

 それでは、資料2に移らせていただきます。「2.医師偏在対策」ということでございます。

 おめくりいただきまして、まず「(1)医師偏在をとりまく現状」ということでございます。

 人口10万対の医師数につきましては、2ページにございますように、年々増加してきているところでございます。

 また、都道府県別が次の3ページにございますけれども、平成14年と26年を比較しますと、各県におきましても伸びてきている状況でございます。

10万対のところについては、4ページにございますように、二次医療圏ごとでいきましても差があらわれている状況でございます。

 5ページで、診療科別に見てまいりますと、麻酔科につきましては、平成6年を1としますと、1.8を超えて伸びておりますが、一方で産科・産婦人科については、余り伸びていない実態になっているところでございます。

 6ページでは、週当たりの勤務時間の状況を見ております。

 それで見ますと、診療科の間でも大きな差が生じていることが見てとれるところでございます。

 7ページでは「専門医資格の取得希望」を見ております。

 特に、診療領域別に見てまいりますと、内科領域の専門医資格を取りたい人が群を抜いて非常に多い状況になっております。

 8ページでは、女性医師の状況を見ております。

 全体のお医者さんの中で女性医師が占める割合は増加傾向になっておりまして、平成26年時点で20.4%という状況になっておりますし、医学部に入学される女性も3分の1を占めるということになってきているところでございます。

 一方で、9ページにございますように、診療科別に見ますと、女性の選択している割合はばらつきがあるということで、皮膚科、眼科、麻酔科といったところが高い状況になっております。

10ページでは「医籍登録後年数別の就業率」を見ますと、女性についてはいわゆるM字カーブを描く状態になっていることが見てとれるところでございます。

 続きまして、14ページ以降の「(2)これまでの医師確保対策等」についてざっと御説明させていただきたいと思います。

 まず、おめくりいただきまして、「(2)-(1) 医学部定員の臨時増」ということでございます。

15ページにございますように、医学部入学定員につきましては、これまで定員の拡大が図られておりまして、特に20年度以降は医学部入学定員が過去最大規模まで増員しているところでございます。

 一方で、地域医療に従事する医師を養成することを主たる目的とした、学生選抜枠としての「地域枠」というものも近年、設定が進んできておりまして、増加してきているところでございます。

17ページにございますように、この地域枠で入って、臨床研修を終えて、地域医療に従事する方々も近年出始めてきているということで、今後、その医師がさらに増加していくのではないかと思われるところでございます。

 続きまして、18ページ以降の「(2)-(2)都道府県における医師確保対策」について御説明申し上げます。

19ページは、医療計画の関係でございます。

 先ほど御説明申し上げましたが、医療計画の中におきましては「医療従事者の確保に関する事項」について定めることを求めているところでございます。

 ただ、20ページにございますように、記載されている内容につきましては、

(1) 現状の把握と分析

(2) 課題の抽出と目標の設定

(3) 目標を達成するための施策

といったことの記載がなされておりますけれども、都道府県の中でもその記載の内容にはばらつきが見られるところでございます。

 そして、22ページにもございますように、「地域医療対策協議会」というものを、各地域において「医療従事者全体の確保(及びこれに必要な医療の確保)を図るための方策(=地域医療対策)について議論する場」ということで、各都道府県にその設置をお願いしているところでございます。

 ただ、その開催状況が22ページにございますように、そもそも開催されていない県もある。これは看板を変えて別の形で開催しているところも含まれておりますが、必ずしも十分に活用されていない面もあるのではないかというところがございます。

23ページにございますように、この地域医療対策の策定状況も、なお未策定のところも地域によってはあるという状況でございます。また、その見直し頻度においても差があるところでございます。

 各都道府県におきましては、地域偏在に対応するために、24ページにございますように、地域医療支援センターというものを運営していただいているところでございます。

 こういった地域医療支援センターにつきましては、次の25ページにございますように、大学の医局との連携も重要でございます。ただ、県によってはその連携が十分に図られていないところがあるのも現状でございます。

 実際、地域の医療に従事していただきます医師のキャリア形成の不安がございます。27ページにございますように、その不安解消あるいは医師不足地域や診療科の解消を目指しまして「医師の就業に係るキャリア形成プログラム」の策定を各都道府県にお願いしているところでございます。

 こういった取り組みとしては、28ページにございますように、徳島県の例などもお示ししているところでございます。

30ページの「キャリア形成プログラム策定状況」にございますように、策定いただいているところが多いわけでございますが、なお未策定という都道府県もございます。そういったところの取り組みも進める必要がございます。

31ページにございますが、特に僻地における医療の確保が大きな課題になっております。このため、各都道府県では「へき地医療支援機構」というものを設置していただきまして、僻地医療支援の具体的な企画・調整や支援の推進をお願いしているところでございます。

 こういった「へき地医療支援機構」につきましては、32ページにございますように、地域医療支援センターとよく連携することが望ましいところでございますけれども、それが実質的にはまだ十分行われていないケースもあるということでございます。

33ページに参りますが、医療従事者の勤務環境の改善も現在は大きな課題になってきているところでございます。そのため、各都道府県には「医療勤務環境改善支援センター」というものの設置をお願いして、現在全県で設置を進めていただいて、アドバイスなどをお願いしているところでございますが、34ページにございますように、これも地域医療支援センターとの連携が重要でございますけれども、必ずしも連携がまだ進んでいないところがあるという状況でございます。

 続きまして、「(2)-(3) 医師養成課程における医師確保対策」ということでございます。

 まず、38ページ以降で、医学部の状況でございます。

 医学部におきましては、先ほども御説明申し上げましたように、地域枠の確保ということでお願いしております。地域枠の入学者と、地域枠以外の地元出身者の臨床研修終了後の定着割合を見てまいりますと、地域枠と地域枠以外の地元出身者の方々の定着が大きいことが見てとれるところでございます。

40ページには、各医学部ごとに地元出身者の割合をお示ししております。

 続きまして、卒業いたしますと、今度は臨床研修に移ってまいります。臨床研修につきましては、42ページにございますように、必修化を行いました後、各研修医を医療機関ごとに募集いたしまして、研修に努めていただいておりますが、これまでは都市部に集中する傾向があったことがございます。

 このため、臨床研修の研修医の募集定員の上限を設定して、応募の状況と募集の乖離をできるだけ縮小していくことを目指しております。

 そういった中で、43ページにございますように、特に大都市部の採用実績については、近年は減少傾向が見られる状況になっているところでございます。

44ページでは、その募集定員の上限の都道府県別の設定の仕方をお示ししております。

 採用実績については45ページにあるとおりでございます。

 また、46ページにございますけれども、初期臨床研修も出身大学と同じ都道府県で実施した場合には、定着の割合が高いことが見てとれるところでございます。

47ページにも、出身地の大学に進学した場合につきましても、お示ししたように、効果は高いことが見てとれるところでございます。

 続きまして、専門研修の関係でございます。

 専門研修につきましては、51ページにございますが「専門医の在り方に関する検討会」の報告を踏まえまして、現在「中立的な第三者機関を設立し、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行う」ということで、その作業を進めていただいているところでございます。

 ただ、50ページに戻りますが、この表に書いてございますけれども、地域医療の関係者から医師偏在の懸念が示されたということで、さまざまな御要望を頂戴しているところでございます。

 具体的には、54ページ以降に関係者の日医や四病協の要望などを初めとして、さまざまな関係者の皆様から御要望を頂戴していることを資料でおつけしております。

 こういった状況を踏まえまして、56ページにございますが、本年4月に「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」を立ち上げまして、ここにおいて今後の医師養成のあり方、地域医療について検討するということで、現在は議論を進めていただいているところでございます。

57ページにございますように、専門医の養成につきましては、この検討会から4点対応を求めております。これに対して、それぞれ日本専門医機構から、対応するといった方向が示されてきているところでございます。

58ページにございますが、こういった流れの中で、この8月に厚生労働大臣談話ということでお示ししておりまして、厚生労働省といたしましても、下線を引いたところにございますが、学会ごとの応募状況や専攻医の配属状況について厚労省に報告いただく。そして、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、厚生労働省としても専門医機構、学会に対して実効ある対応を求めるといったことを表明しているところでございます。

60ページでは、こういった専門医の仕組みについて、各都道府県で協議をする場ということで、都道府県協議会の設置をこの場で現在、検討を進めていただいているところでございます。

63ページになりますけれども、こういった医師偏在に対する一つのインセンティブということで、これは平成26年の法改正で設けられたものでございますが、「地域医療介護総合確保基金」というものを設けまして、これによってそういった支援を行っているところでございます。

66ページ以降は「(3)最近の検討経緯等」を次に御紹介したいと思います。

67ページにございますように、医師偏在対策につきましては、これまで骨太2015におきまして、地域医療構想との整合性の確保、そして地域間偏在の是正などの観点を踏まえて「医師・看護職員の需給について、検討する」といったことが求められております。

 これを受けまして、平成28年6月には「医師需給分科会中間取りまとめ」において、医学部定員の増員によっても、医師の偏在対策が十分に図られなければ、地域の医師不足の解消にはつながらないといったことで、さまざまな検討課題を取りまとめいただいているところでございます。

 その後、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」というところで、働き方実態調査を踏まえると「地方での勤務を希望する」という趣旨で回答した方が相当程度存在するといった中で「敢えて医師数を増やす必要がない環境を作り上げていくことが重要」といった御意見をいただいているところでございます。

69ページは、そういう議論をまず 28 のクラス に取りまとめていただきまして、医師需給分科会の構成をお示ししております。

70ページでは、当面の医学部定員のあり方についても、医師需給分科会の中で御議論いただきまして、さまざまな臨時定員があるわけでございますけれども、特に黄色の枠の部分については、当面29年度までの暫定増だったわけですが、当面延長することになっています。

 今後、31年度までの追加増員のところをどうするかを慎重に検討していくことになっているところでございます。

72ページになりますが、医師需給分科会の中間取りまとめの中では、こういった医師偏在対策ということで、対策の検討の方向性の幾つかのメニューをお示しいただいております。現在、医師需給分科会の中で順次、それぞれのあり方について検討を進めさせていただいている状況でございます。

 そういったところで、78ページ以降にございますが、これまでも各関係団体の皆様から「都道府県主体の医師確保対策」でありますとか「管理者要件等による医師偏在対策」でありますとか、あるいは養成課程の中での対策といったことで、いろいろな御意見をいただいているところでございます。

81ページ以降にございますけれども、「(4)論点」ということで、医師需給分科会の中で幾つかお示しをしている事項について議論をいただいているところでございます。

 一つが、医療計画の位置づけでございますけれども「医療従事者の確保に関する事項」を定めることをお願いしておりますが、現段階ではその取り組みがばらばらということもございますので、今後、医師の多寡を把握できるような指標の導入を考えたらどうか。

 そして、「医師養成に都道府県が関与できる仕組み」が必要ではないかといった方向で検討してはどうかということで議論をいただいております。

82ページにございますが、都道府県では、地域医療対策協議会というところで議論をいただいておりますけれども、そこの議論が十分に活用されていないことがございますので「主体的に役割分担・協議する体制」が必要ではないかといったことを議論いただいております。

83ページになりますけれども、医学部の入学の関連では、医学部定員をこれまで増員してきておりますが、地元出身者の入学生が増えるような仕組みが必要ではないかといったこと。

 そして、医学部を卒業した次の主体になりますけれども、臨床研修病院のあり方についても、その指定・定員に対して都道府県が今後は主体的に関わって、格差是正を求めるといったことが必要ではないか。

 そして、臨床研究が修了したら、今度は専門研修になりますけれども、そういった専門研修についても、法律上も地方自治体の意見を踏まえる仕組みとしていくことが必要ではないかといったことなどを御議論いただいている状況でございます。

 非常に駆け足でございますが、最近の議論の関係の基礎的な資料と方向性などについて、簡略に御説明させていただきました。

 十分説明できていない点等もございますので、また御質疑などをいただきながら、先生方の御議論を頂戴できればありがたいと思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田中部会長代理 説明ありがとうございました。

 なお、本日御欠席の山口委員からも資料の提出があります。医師偏在対策についての意見のようなので、審議の際の参考資料としてごらんください。

 では、ここまでの資料1、資料2に関する議論に入ります。御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

 加納委員、どうぞ。

○加納委員 まず、現在の地域医療構想調整会議において、いろいろな推移が出てきているかなと思います。

 資料1でいきますと、25ページに具体的な医療機関名を挙げた議論の状況ということで、公立病院、特定機能病院、公的病院等々について、今は議論が進んでいるという内容かと思います。

 ただ、この地域医療構想調整会議のいろいろな推移に関しましては、ぜひとも民間病院についての議論、意見もしっかりと入れていただきたいということです。このように、あくまでもこれは現時点でこういう状況で議論しているという話であって、別にこれが枠取りとか変な形で推移していかないようにぜひともお願いしたいと思います。

 というのは、その後の例として出てきているところの件の内容というのは、公的病院の振り分けについて実際にもう議論が始まっているだけであって、この中には民間病院が入っていません。

 そういうことも含めて、こういった推移がないようにということで、ひとまずお願いしたいということです。次が資料2「2.医師偏在対策」の21ページの最後のところにも、いろいろ議論する中で出てくる「地域医療対策協議会について」というところで、この構成メンバーの中に「社会医療法人」という形で民間医療機関も入っています。しかし、多くは公的病院のメンバーが明記されていることから、これでいきますと、都道府県によっては、地域医療対策協議会がこういうメンバーで構成される中で、先ほどから申しております、民間医療団体等、病院団体等の意見が入らない可能性が出てきますので、ここにぜひともメンバーの中に「民間病院団体」を明記していただきたいという意見でございます。よろしくお願いします。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 どうぞ。

○加納委員 ということで、ここには明記をお願いできるのでしょうか。それをお答えいただきたいと思います。

○田中部会長代理 では、お答えください。

○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。

 地域医療対策協議会の件でございますが、こちらは医師確保を行うための施策を協議する場ということで、医師を派遣する立場になることが想定されるメンバー中心に構成しているところでございます。

 実態を申し上げますと、医師会であったりとか、病院の団体が参加されております。

 なお、どこか特定の都道府県で、メンバー構成に偏りがあるとか、そういう具体例がありましたら、ぜひお知らせいただいて、関係都道府県のほうに状況を確認するということをさせていただきたいと思います。

○田中部会長代理 どうぞ。

○加納委員 それであるならば、最初から民間病院団体とか、そのように明記していただいたほうが確実ではないでしょうか。確実に入るという御意見を今いただいたと思いますので、それならば明記は必要ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

○田中部会長代理 関連ですか。では、中川委員、どうぞ。

○中川委員 今の加納委員の意見ですが、資料2の21ページに「地域の医療関係団体」と書いてありますけれども、これは病院団体のことではないですか。

○田中部会長代理 計画課長、どうぞ。

○地域医療計画課長 ここのイメージとしては、医師会、病院団体とかが入っていると思います。

○中川委員 違います。構成メンバーの左側の下から2番目の「診療に関する学識経験者の団体」が医師会です。右側の「地域の医療関係団体」は病院団体を含む団体だと理解していいですね。

○地域医療計画課長 失礼しました。そのとおりでございます。

○中川委員 加納先生、だからこれは明記されているのです。だから、それは余りこだわる必要はないと思うのです。

○田中部会長代理 どうぞ。

○加納委員 こだわる必要はないとおっしゃるのですが、都道府県によっては、今までの経緯からしますと、非常に民間医療機関が省かれている場合があります。先ほど、課長がおっしゃっていただいたように、それがあれば知らせるようにという御意見であったのですが、ここはしっかりと明記していただいたほうがはっきりするのではないかと私は思っているのです。

○地域医療計画課長 繰り返しになりますが、実例があれば、そこに助言といいますか、関与したほうがより具体的だと思われますし、これは通例的にこういう書き方でございます。今回の議論も議事録に残っておりますので、委員のお考えというか、目的は達成されていると思っています。

○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。

○中川委員 それと加納先生、資料1の25ページに関して御意見を述べられましたけれども、これは先に公立病院と公的医療機関等について議論が進んでいて、民間は進んでいないのではないかというのは、それは逆ですよ。資料2の今言った地域医療対策協議会に参加すると医療法の第30条の23に書かれている「公的医療機関等」は公立病院も含めてです。それに対して、新改革プランを公立病院に対しては策定しなさい。それ以外の公的医療機関等には、ことし中に2025プランをつくりなさい。それを、地域医療構想調整会議に出して、その構想区域の調整会議の方向性と齟齬がないかどうかをチェックしてもらいなさいという意味なのです。ここで民間医療機関の個別の医療機関のことについて、調整会議で云々かんぬん議論することはむしろ逆の方向で、民間の医療機関の自主性を損なうおそれがあるので、これは逆ですよ。そのように御理解いただけませんか。

○加納委員 先生がおっしゃるように、そういう意味で理解させていただきたいと思うのですが、経過として、例に出ていますいろいろな構想区域での結果が、そこで病院をこのようにしていくという議論の結果として発表されていることが少し懸念されると思うのです。先生がおっしゃっているとおりであれば私はいいと思うのですけれども、実際に現実的には今申し上げた形でどんどん地域医療構想が、各都道府県で、結果としてこういう仕分けをし始めていることが少しどうかということの意見です。

○田中部会長代理 どうぞ。

○中川委員 語弊を恐れずに言うと、公立病院であるとか、公的医療機関が勝手に地域医療構想区域内で好き勝手なことをしてはいけないという意味なのです。ですから、先にこういうところが新改革プランや2025プランを出すということは、逆の意味で慎重にやってくださいということでいいのです。

 それと、地域医療構想調整会議の機能がというか、権限が非常に強いことは、全国の構想区域の当事者がよく理解していないのです。それが一番の今の懸念事項です。地域医療構想調整会議がノーと言えば、その構想区域の地域医療構想は進まないのです。

 だから、そういう意味では、地域医療構想調整会議でみんなそれぞれに意見を頑張って主張していただければと思います。

○田中部会長代理 ほかのテーマでも結構です。邉見委員、どうぞ。

○邉見委員 やはり一番ここで議論しなくてはいけないのは、医師の偏在対策だと私は思っております。山口委員のこの意見書にもありますように、ほとんど有効な策が30年間全く打たれてこなかったということで、資料2の72ページの、せっかく昨年6月に「医療従事者の需給に関する検討会」でできた10項目と、下の働き方の改善の計14項目を一つ一つ、特に私は「(8)管理者の要件」が、日本医師会とか医学部長、大学病院長会議でも認められておりますので、ここを中心に進めないと、いつまでたっても机上の空論みたいに実効性のないことをずっとこの何年間続けてしまう。地域医療支援センターなどは、私はPDCAでやれば、もう存続している都道府県はほとんど少ない、一部しかないのではないか。ちゃんとPDCAが動いていないのではないかとも思います。

 言い過ぎかもわかりませんが、よろしくお願いします。

○田中部会長代理 そのほか、資料1、資料2について御意見、御質問はございませんか。中川委員、どうぞ。

○中川委員 先ほど議論のところで、新改革プランと2025プランが地域医療構想調整会議に提出されているかどうかをリアルタイムに把握する機能をつくってほしいと申し上げてきましたが、進捗はどのようになっていますか。

○田中部会長代理 お答えください。

○地域医療計画課長 御指摘も踏まえまして、各調整会議でどのように議論が進んでいるかにつきましては、24ページの資料にありますとおり、少なくとも年4回は状況を把握するとしているところでございます。

 今回、25ページから26ページにかけましてつけております資料に関しましては、直近のものでございますけれども、このデータだけでなく、各構想区域でより詳細に議論の状況が把握できるよう、この次の調査から少し細かいデータもとっていこうということで考えております。

 次回以降は、もう少々詳しい進捗状況がわかりやすい資料にさせていただくということでございまして、既に着手している状況でございます。

○中川委員 ありがとうございます。

 それと、調整会議の議長はどういう方がなっているかというリストはないですか。

○地域医療計画課長 構成メンバー等につきましては、各都道府県から報告をいただいておりますので、誰が議長かというところまでわかるかどうかですけれども、少なくとも構成メンバーは把握しているところでございます。

○中川委員 何か違いますか。追加はないのですか。

○地域医療計画課長 特段ございません。

○田中部会長代理 木戸委員、お願いします。

○木戸委員 資料2の偏在対策のところなのですけれども、ページ5に「診療科別医師数の推移」というグラフがございます。「減少傾向にあった産婦人科・外科においても増加傾向に転じている」とございますけれども、平成6年と26年の20年間でようやく1.0に近づいてはおりますが、ほかの科もそうでしょうけれども、数のみではなくて、医師も同様に高齢化していったりとか、あとは性別の分布も変わっております。

 以下のページにありますように、特に産婦人科は女性医師も多くて、20年前と比べまして、当直ができる方が減っていたりしています。その影響で、その次の6ページにありますように、半数以上の者が産婦人科で過重労働になっている状態です。

 ですから、数のみだけではなくて、年齢分布とか性別とか、そういったことも含めて精緻に分析をしていただきまして、医療ニーズに合った医師養成数を考えていただきたいと思います。

 以上です。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 伊藤参考人、釜萢委員の順でお願いします。

○伊藤参考人 ありがとうございます。

 今回、資料2の医師偏在対策について、最後の81ページ、82ページに論点が幾つか示されておりますが、これに特に異論はございません。ただ、思うところは、医療はなくてはならない社会インフラでありますし、公共財だと思っています。少子高齢化が進む中、さらに重要性が増しているので、その中でいまだに地域的に見ると無医地区もあったり、診療科を含め、医療アクセスのばらつきが大きいという現状があります。患者側の立場から言いますと、世界に誇れる国民皆保険が、制度あって医療なしの単なる集金システムみたいになってしまったら、納得感が得られないと思っています。

 国民皆保険という財産を国民全体で守るという意識を高めていくためにも、医師偏在対策は強力に進めていく必要があるのではないかと思っております。

 診療科のことで言えば、専門医の需要の明確化とか、自治体意見の反映ということまで最後のほうに出ていますが、重要だと思います。

 あと、医師養成の都道府県の関与を進めようということも、理解はできるのですけれども、現状を見ますと、23ページと24ページにありますが、地域医療対策協議会の開催状況だとか、地域医療対策の策定状況など、かなり取り組みにばらつきがある。だからこそ、都道府県に対し制度的にも枠をはめて頑張ってもらおうという提起かなとは思うのですけれども、先ほど言った、皆保険を守るという観点から言えば、国の役割もぜひ一層発揮してもらいたいと思っております。

 細かいことを言いますと、地域医療の担い手を確保していくという点でいうと、家族を含めた生活環境とか、教育環境とか、学会出席の際の自己研さんの機会の確保とか、代替要員の確保とか、こういうバックアップ体制は当然必要だろうと思っています。

 以上です。

○田中部会長代理 お待たせいたしました。釜萢委員、どうぞ。

○釜萢委員 ありがとうございます。

 資料2の36ページに「医師養成過程の概要」が出ております。

 国民に良質な医療を安定して提供するために、医師をどのように養成し確保するかは、非常に重要な課題です。医学部におけるCBTOSCEの大学間格差が解消され、評価の統一が担保されました。その上で、医学部における診療参加型臨床実習、卒後臨床研修、専門医の研修が一貫した方針の下で緊密に連携して効率的に実施されることが必要です。一方、臨床研修部会において臨床研修における必修科目の見直しが議論されていますが、これだけが特出しで議論されると、前後の段階との整合が取れるのかどうか大いに懸念があり、くれぐれも整合が取れる形で検討が進むように、厚労省に要望いたします。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 神野参考人、お願いします。

○神野参考人 参考人ですけれども、一言。

 私は医師需給分科会の委員ですので、きょうの資料2の議論はずっと参加して、いろいろ話しております。

 この医療部会でも一つ確認させていただきたいことがございます。

26ページにありますように、これから地域枠の学生が卒業して、これからもふえてくるということですので、まだ発展の初めと思っておりますけれども、ここで地域枠の学生がどこへ行っているかという話を見ますと、公立、公的、民間ということで、明らかな差異がございます。大都会の民間病院によこせという話ではなくて、地域において、僻地医療とか地域貢献という、病院の貢献度は民間、公的、公立にかかわらず評価すべきで、その上で、この地域枠の学生を病院に派遣していただきたい。

 そういった意味では、先ほど加納委員がおっしゃった、地域医療対策協議会のところに民間も含めた病院団体が入っていないところに、もしかしたら分け方の問題があるとするならば、そこは改善していただきたいと思います。

 医師需給の分科会の資料では、今後、公私問わずやることを明記されていたと思うのですけれども、今回のこの医療部会の資料では明記されておりませんので、その辺を厚労省に確認したいと思います。

○田中部会長代理 確認の御質問です。お答えください。

○地域医療計画課長 今の御指摘についてでございます。

 この資料26ページは、実績について記載したところでございます。

 ただし、御指摘の他の資料でもありますとおり、地域枠の学生さんが医師になられた後、どういう場で活躍いただくかということについては、地域枠創設の趣旨を考えますと、設置主体ということではなく、どういう地域か、どういう役割を果たしていくところかというところで選ばれるべきだと思っているところでございます。

 今後は、そういった点についてもわかりやすい資料としてまいりたいと思っております。

○田中部会長代理 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  迂遠な意見になるかもしれませんが、我が国の医療産業はいろいろ問題は残っておりますけれども、いろいろな対策を考えていただいて、着実に進んでいるように思いますし、その体系化もなされてきていると思いますので、厚生労働省を初め、関係者の皆様には敬意を払いたいと思います。

 一方、医療産業組織は、規制と助成のジャングルのように思いますので、その体系化が必要な気がします。これだけデータがそろっておりますので、必要な面もあるのかなという立場の意見でございます。

 産業組織論という学問がございますが、よい産業に育てるための市場での規制や助成等の公的関与のあり方を包括的に検証する学問でございます。医療産業はそのような学問の対象として大変ふさわしいと従来から思っておりました。

 具体的には、病床規制や公的、民的の主体などの参入・脱退規制のあり方。診療報酬や認可料金などの価格規制のあり方。労働基準や安全基準、応招義務などの行動規制のあり方。また、医師免許や専門医制度など、プレーヤーの資格に係る資格規制のあり方。保険などの強制加入の義務づけなどの環境規制のあり方など、体系的に分野が分かれてきております。そういう体系的、包括的にあり方を検討していただきますと、国際比較が可能であるという面と、規制・助成の効果とか、規制・助成のバランスとか、規制・助成の主体論とか、規制・助成のプロセスなどの体系的な目が届く面がございます。

 そのような面を勉強して、論を張っていただくと、見通しがよくなる、体系的な目が見えるという意味で、御検討をお願い申し上げたいと思います。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 相澤委員、どうぞ。

○相澤委員 基本的な厚生労働省の考え方を私は聞きたいのですが、医療提供体制を二次医療圏で整備しようとしておられますよね。

 例えば、資料2の4ページを見ると、それに呼応したように、「二次医療圏ごとの人口10万対医師数」を見て、足りないあるいは足りていると言っているような気がするのですが、考え方として、二次医療圏を中心にやっていくのか、あるいはもう少し広い範囲、例えば都道府県です。あるいは医療提供体制の範囲に応じて、医師の偏在あるいは過不足を論じていくのか。その中心的な考え方はどこにあるのでしょうか。都道府県中心なのでしょうか。

○田中部会長代理 お答えください。お願いします。

○地域医療計画課長 今、御指摘の資料2の4ページに書いてありますのは「二次医療圏ごとの人口10万対医師数」の図であります。一方、例えば3ページでありますと、これは都道府県別ということであります。

 今後、どういう基準、視点で考えていくのかということもきょうは御議論いただきたいと思っております。

 ですが、都道府県単位とした場合は、同一県内でも相当差がある地域もありますので、どの段階で偏在を是正するという視点もあり得ると思いますが、きょうの時点で決めているということではありませんけれども、医療政策の一つの単位である医療圏で見た場合は、4ページのようになりますということで今回、御提示しているところでございます。

○田中部会長代理 局長、お願いします。

○医政局長 追加というわけではありませんが、基本的な認識に係る御意見が幾つかございましたので、少し発言をさせていただきたいと思います。

 まず、医師偏在対策、医師養成に係る御意見もございましたけれども、私どもはいろいろな検討会を動かしておりまして、臨床研修でありますとか、養成でありますとか、医師偏在、働き方の問題です。

 それで、適宜こちらに御報告をしておりますが、きょうはかなり包括的な資料を出させていただきました。これは、全体像を御議論していただく場としても必要だろうと思いましたので、そういう意味できょうは基礎的な資料からお出しをさせていただいております。

 私は、医療提供体制全般の議論をする場はこの医療部会だと思いますので、そういう意味できょうもいい御議論をいただいていると思いますし、私はぜひ相対的に見て、各論だけではなく、日本の医療のあり方を議論する場として、ぜひ引き続き、さまざまな御意見をこの場でいただきたいと思います。

 そのときに、出た御意見の中で少し申し上げますと、荒井知事からお話がありました、産業組織論ということで、研究させますけれども、医療を産業として考えることは、人によっては非常に抵抗感があったり、産業ではないという御意見もありましたけれども、日本の医療はかなり民間団体が主体でもございますので、産業的な視点は非常に大事だと思います。

 したがって、例えば規制もあれば助成もありますけれども、よかれと思ってやったことが、また別の副作用が出ることがございますので、よく全体を見ながら、メリット、デメリットを見ながら考えていくことは非常に大事な視点だと思いますし、我々もぜひよく研究させていただきたいです。また、可能であればいろいろな資料もこの場に出していきたいと思います。

 医療圏についても相澤先生からお話がありましたけれども、医師偏在対策について言いますと、地域から非常に医師不足の声がございます。医師不足の御意見につきましては、県の中でも大分温度差があるということでございますので、今の我々の考え方としては、二次医療圏単位で医師不足なのかどうかを考えていったほうがいいのではないか。

 医療介護総合確保法の中でも、医療介護の総合確保というのは、地域医療総合確保区域を二次医療圏単位で考えていくという方向でございますけれども、それでは全ての医療機能が二次医療圏で議論されればいいのかということになりますと、かなり高度な専門的なものについては、より広い圏域で考えるべきものが実際ございますし、各都道府県の医療計画の中でも、そういった議論、計画をつくっていただいている都道府県もございますので、我々はそのように考えていくべきではないかと思います。

 神野先生からの民間、公的の話は、ほかの加納先生や中川先生からもございました。

 公的医療機関につきましては、医療法上、明確に規定が分かれておりまして、責務でありますとか、我々の都道府県の監督規定もございますので、違うジャンルではございますけれども、機能に着目した場合につきましては、公的、民間は変わることのないものでございますので、機能面に関しましては、民間医療機関についても、しっかりした機能が果たされているところについては、それ相応の役割を私どもも期待し、地域でもそのようなことを前提に議論していただいたほうがいいのではないかと思います。

 そして、冒頭の加納先生の発言は、中川先生が全部答えてしまったので余りないのですけれども、あえてつけ加えるとすれば、地域医療構想調整会議での議論は枠取りのような形ではなく、それぞれの病院が地域の中でどういう機能を果たし、ほかの病院との関係において、どのように地域医療を担っていくのか。そういう議論をぜひやっていただきたいと私どもは思っております。

 長くなりましたが、以上でございます。

○田中部会長代理 先ほどの続きでいいですか。

○相澤委員 基本的には二次医療圏ごとに、あるいは構想区域ごとにと言ってもいいと思うのですが、医療提供体制をそこでつくっていくということなのですけれども、いまだに二次医療圏ごとの医療提供体制がしっかりとしていない。それが本当に地域に合ったものかどうかも決まっていない間に、医師の過不足を余りきっちりとやり過ぎると、大変なことに私はなるのではないかと心配しているわけでございます。

 なぜかといいますと、医師の偏在とか過不足というのは、医療提供体制に合っていないから、マッチしていないから初めて生まれてくるわけで、地域医療体制をどうするかが決まっていないうちに、余りしっかりと議論し過ぎてしまうと、私はまずいのではないかと思っていまして、議論するならば、都道府県でどうするのかということに今はとどめておいたほうが、私は将来を考えたときには安全ではないのかという考え方があって、御質問をさせていただいたわけであります。

 今、医政局長の話もあったように、これまで日本は、民間病院を中心に地域の医療の需要を見ながら、比較的自由に動いてきて、今はそれなりに少しずつ、あるべき姿に落ち着く方向に行っていると思うのですが、これを余りがんじがらめに規制をしてしまうと、これまでの日本のいいところが消えてしまうような気もするのです。

 ただ、余り野放図にしておくと、今度は過剰になってしまいますから、その辺のバランスがすごく大事で、今、余りきちっと決めてしまうよりは、少し大まかにふわっとしておいていただいて、今後のことに対応していくほうが、私はよりよいのではないかということで発言をさせていただきました。

 以上です。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 荒井知事の発言を受けて、医政局長が厚労省としての見解をいろいろおっしゃりましたけれども、医療が産業かどうかという話は、田中先生が前からおっしゃっているように、産業であることは間違いないのです。ただ、営利産業ではないというくくりなのです。その辺のところを明確にしておいたほうが議論がしやすいと思います。

 関連で、先ほどの議論で、資料2の2526ページなのですが、これを整理したいと思うのですけれども、地域枠の学生で、修学資金貸与者の割合はどのぐらいになっているのですか。これは「地域医療支援センターによる修学資金貸与者の派遣調整の実績について」とありますけれども、地域医療支援センターは修学資金貸与者だけの派遣調整をしているわけではないですよね。

○田中部会長代理 お答えください。

○医師養成等企画調整室長 医師養成等企画調整室長でございます。

 地域医療支援センターの中で修学資金を貸与している人の割合は手元にはございませんけれども、今、中川先生がおっしゃるとおり、地域医療支援センターは修学資金を貸与している医師の派遣先の調整だけが機能というではないのは確かでございます。

○中川委員 割合が全くわからない。どちらが多いのですか。それがわからないと議論にならないと思いますよ。

○医師養成等企画調整室長 医師養成等企画調整室長でございます。

 ここはことしのデータでございまして、地域枠は平成19年、平成20年から始まったものでございますので、現時点でのデータではまだ、この下の26ページのデータでも25ページでも、修学資金を貸与している者の割合は少なくございます。ただし、今年度以降、後ほど資料にも出させていただいておりますけれども、地域枠の修学資金を貸与している学生はどんどんふえていって、近年では1,900人ぐらいに貸与しておりますので、大幅にふえていることは言えると思います。

○中川委員 地域医療支援センターの機能としては、修学資金貸与者だけでなくて、地域枠全体の調整をする機能が本来はあるのですね。では、26ページのこのパワーポイントは、修学資金貸与者の派遣調整の実績なのですが、例えば公立、公的、民間で「人口10万人対医師数200人未満医療圏への派遣」と皆限定していますけれども、下のこのグラフのところで、赤の点線で囲ったのは、200人未満の医療圏に行ったのが結果としてこれだけという意味ですか。支援センターがここに行きなさい、ここの公立病院に行きなさいとか、ここの公的医療機関に行きなさいと指示して行かせているのですか。それとも、複数のところから地域枠の卒業生が選んで行っているのですか。どっちですか。

○田中部会長代理 どうぞ。

○医師養成等企画調整室長 医師養成等企画調整室長でございます。

 地域医療支援センターは各県によってさまざまでございまして、大学が医局の派遣の中で決めているところもありますし、地域枠を古くからつくっている都道府県などもございます。また、自治医大の卒業生なども地域医療支援センターのほうで派遣調整している例もございますので、現時点ではこの中にはさまざまな例があるということしか整理できていません。

○中川委員 「制約」という言葉がいいかどうかは別にして、地域枠で入学して、卒業して医師になった場合の制約としては、その県内で一定程度勤務することが義務なのです。そこにおいては、選択することに関しては公立も公的も民間も差があるのですか、ないのですか。

○医師養成等企画調整室長 それはもちろんないです。

○中川委員 ないのですか。神野先生は首を振っていますよ。本当にないのですか。

○医師養成等企画調整室長 つけ加えますと、都道府県の実態として、公立病院中心に地域医療支援センターで調整している例は、今、神野先生、加納先生に指摘いただいているとおりで、そういう例もあるとは聞いております。ただし、国としてもちろん公立、公的に送るべきという考え方を持っているわけでは全くございません。

 先ほど、地域医療計画課長からも御説明したとおり、機能に着目して、そういう機能がある民間病院であれば、もちろん地域医療支援センターの調整の対象にするべきだと考えております。

○中川委員 そこで大事になってくるのは、先ほどの公立病院の新改革プランと、公的病院の2025プランにも関係するのですが、税金が多額に投入されていて、税金を払っていない公立病院と、税金は投入されていないけれども、税制優遇措置がある公的病院と、税金も投入されず、多額の税金を払っている民間医療機関と、どのように公平に地域医療提供体制をつくっていくかということに関しては、慎重に考え直すべきなのです。公立病院と公的病院がプランをつくって、地域医療調整会議に早く提出しなさいというのは、そういう意味で大事なのです。

 ですから、地域枠の医師の派遣機能も、そういう面も考慮した上で選ばせる。基本的には地域枠の学生が卒業して医師になったときには、自主的に県内の医療機関を選んでもらうという仕組みをつくることが大事だと思いますよ。都道府県独自だから国は余り口出しできないということでもないのではと思いますが、いかがですか。

○田中部会長代理 室長、どうぞ。

○医師養成等企画調整室長 医師需給分科会のほうでまだ御議論中でございまして、年内をめどに取りまとめる方向性の中に、見直しの方向性として厚労省が出させていただいているのですけれども、今後、地域枠の医師などの派遣については、地域医療対策協議会での協議を経て、都道府県主体で派遣方針を決定することになっておりまして、その際に、厚労省からの見直しの方向性として、理由なく公立病院や公的病院などに派遣先が偏らないようにするという方向性を打ち出しているところでございます。

○田中部会長代理 神野参考人、どうぞ。

○神野参考人 ぜひ「理由なく」のところを、法律ないしは省令等で明記いただきたいと思います。

○田中部会長代理 相澤委員、どうぞ。

○相澤委員 ちょっと記憶がないのですが、公立病院、公的病院は政策的医療を担っているので、そちらにまず派遣するというようにどこかに書かれていた気がします。それはお調べいただいて、また、御報告いただいたほうが私はいいのではないかと思います。

○田中部会長代理 室長、お願いします。

○医師養成等企画調整室長 何度も答えて申しわけないのですけれども、確かに事実上、修学資金の貸与条件で、一定期間、条例などで修学免除の条件は決めておりますので、公立のみになっている都道府県は確かに一部ございます。ただし、それが結果としてなのか、本当に公立病院に偏っているのかは、現時点ですぐには答えられないところでございますけれども、いずれにせよ、公立に偏らないように、きちんと機能に応じた派遣をするべきということは打ち出させていただいておりますので、その旨を注意して政策等取りまとめなどに臨んでまいりたいと思います。

○田中部会長代理 邉見委員、どうぞ。

○邉見委員 やり玉に上がっている公立病院の者ですが、医師不足で困っている僻地、離島、山村の医療は、ほとんど公立病院が逃げおくれて残っているのです。採算が取れない人口減の僻地、離島、山村ですから、民間病院はなかなか来られない。そういうことで、兵庫県の場合は但馬地区とか西播磨とかです。

 ただ、岡山県を見ていますと、真庭地区の金田病院、落合病院なんかも行っているようですし、神野先生なんかも恐らくそのうち行ってもいいのではないかと私は思っていますし、一生懸命やっているところはみんな来ているようです。だから、佐久とか、酒田の日本海病院とか、ああいうところは来ていますので、今後、余り公、民とか言わなくてもいいのではないか。

 ただ、話を元に戻しますけれども、地域医療構想の中で、青森県とか、どちらかというと公的な、今度の鹿嶋と神栖ですか。あれは茨城と千葉の境の辺ですけれども、あの辺なんかも公的とかがだんだんと機能縮小しないといけない。民間病院の合併とか縮小はなかなか難しいのです。金田病院と落合病院の話がホールディングまで行ったのですけれども、金田先生はきのうもお話しして講演してくれましたが、過去の歴史とかいろいろなことがあって、なかなか民間同士はできにくいのです。だから、公的なほうが、例えば県立病院と日赤と済生会などというのは、県知事がみんな管理者ですから、割とやりやすいとか、そういう点もあるのではないかと思います。

○田中部会長代理 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  今の論点は、地域枠の配分の偏在があるのではないか。とりわけ公的病院と民間病院で差別をしているのではないかといういつもの議論でございますけれども、その背景は、医師偏在の実態がどこにあるのかということから来るべきで、公的な病院に偏在、要は医師が少ないとなればたまたま公的に行くだけで、公的だから配分するという理屈は地方でもないわけで、それは原理として当然であります。国でも地方でもない。実態を反映して枠を配分する。

 偏在の実態の把握の仕方ということになるわけですが、それを見える化、透明化して客観性を保つのが正論だと思います。たまたま地域の偏在から診療科の偏在等があって、それが公的病院に顕在化しているといったものがまあまあ多いとは見受けられますが、民間病院の医師不足がどのように解消されているか。大学の病院の系列化があって、地域枠を当てにするよりも、恩師を当てにしようとか、後輩の先生を当てにしようというのが実態で、民間病院の偏在解消、不足医師の補充ということで行われているのではないでしょうか。

 偏在の認証、確認というのは、皆で何が偏在かを検証しようと地域医療構想の中でやっているわけでございます。その中で、供給のほうは民間も含めて供給しなさい。例えば、県立医大がありますけれども、民間もあれば供給しなさいということは言っているのですが、感覚だけですけれども、地域枠に余り期待されていない感じが残っているのですが、だから行かないというわけではないのです。偏在がどこにあるかを見きわめながらやらないと、これは地方自治体の利益相反になりますので、自分の病院があるからそこに送るなんてことは言えませんし、議会で必ず追及されます。そういう監視の目はあるのですけれども、今の議論を踏まえた地域対応を心がけるようにしていかないといけないと感じました。

○田中部会長代理 よいまとめをありがとうございます。

 加納委員、どうぞ。

○加納委員 ありがとうございます。

 中川先生が整理していただいて、この地域医療支援センターのあり方は、きょうの議論でかなり煮詰まったかなと思います。

 ただ、某県なのですが、今までは地域医療支援センターが税金、奨学金等でやっているものを、なぜ民間にやらなければいけないのだということを平気でおっしゃっていた地域医療支援センターの管理者も存じています。そういうことは今回の医療部会の議論の中で、必要に応じて公も民もなくちゃんと手配するということで、きょうは結論が出たと認識させていただきました。それでよろしいのでしょうか。

○田中部会長代理 きょうの議論の中ではそうなっていますね。

 久喜委員、どうぞ。

○久喜委員 市長会のほうから推薦されて来たのですけれども、私も公立病院を立場の中で管理しているところで見て、地域医療支援センターが一つのキーポイントになっているのはよくわかっております。ただ、そこが確かに派遣はいろいろなところでしていただいておりますけれども、例えば自治医大とか、そのような大学に偏ったところの派遣が現状という感じはして、もっと幅広く派遣をお願いしたい。大学として幅広い派遣をお願いしたいことと、科目の派遣ですよね。さまざまな科目、例えば産科のほうの問題も確かにありますし、そのようなところが地方の病院を預かって感じるところでもあります。

 そのためには、何といっても大学の医局頼りのところが今、地域の病院ではあるわけですから、医局との連携のところで、26ページに書いてあるのですけれども、医局と連携しているということもあるのですが、そこは科目の偏在がそこにあって、確かに医局から送ってもらっているのもそうなのですけれども、産科とかそういうところの派遣は全くないのが現状です。

 ですから、医局との連携はもちろん強固にしてもらわなければいけないわけですけれども、科目のきちんとしたところの割り当て等々を、きちんとした仕組みとしてつくってもらいたいと思います。

 2つ目としては、産科ということで申し上げますと、今、この資料のとおり、女性の産科の先生が3割強ふえてきている。でも、結局そういう産科の先生が、一定期間に出産等々を終えて医者にまた戻られるときの研修的なカリキュラムをきちんと強化しなければ、なかなか難しいのではないかと思いますし、産科ですから、夜に呼び出されたとか、そういうことがあるわけですから、その辺に対する支援体制を、きちんとしたシステマライズをしたものをつくらなければいけないのではないかということが2つ目です。

 もう一つは、これとは全く関係ない話なのですけれども、私の所感として、前回のときもお話ししたのですが、基礎医学の立場は今後どうなるのかという、その辺のところを医政局長あたりの方がどのようにお考えになっているのか。私も基礎をやって、臨床をやって、外科医になって、こういう立場になったわけですけれども、基礎医学は本当に大切なことなのです。この辺のところをきちんとした立場の中で、基礎医学のあり方を持つべきではないかと思います。この3点です。

○田中部会長代理 文科省に問い合わせたほうがいいかもしれませんが、一応、医政局長の指名です。何かございますか。

○地域医療計画課長  基礎医学に関しましては、臨床研修制度が始まりまして以降、様々なご意見が出た分野であると認識しております。その中で、各大学でもいろいろ取り組みをしていただいておりまして、初期臨床研修のカリキュラムの中に、基礎医学系の大学院のカリキュラムを組み込んだ仕組みを、いろいろな大学から相談いただいたいてきたところであります。

 それ以外にも、これは文科省や医学部長・病院長会議とも相談していかなければいけませんけれども、基礎医学という基盤があって、臨床ということだと思っておりますので、そういう意味では、基礎医学分野でやっていただける方をどのように確保していくかということも、いろいろ考えていかなければいけないという認識ではございます。

○田中部会長代理 議論が尽きないかもしれませんが、そろそろ次に移ります。その前に、最後に医政局長、お願いします。

○医政局長 せっかくの御指名でございますので。

 私どもも、平成16年から始まりました臨床研修必修化以来、臨床能力といいますか、臨床教育といいますか、そういうものの重視を政策的にはやってまいりましたけれども、これは恐らく今、計画課長が申しましたように、基礎医学の上に臨床医学がある。そして、基礎と臨床がバランスをとって、大学教育でも行われ、その研究面でもどちらに偏ることなくバランスをとってやっていくということだと思います。それは厚生労働省だけの問題でもございませんし、その制度だけの問題でもないと思いますので、今、佐々木課長からお話がありましたように、大学の関係者とか、医学会、医療に関する学識団体とともに、我が国の日本の医療をどうやっていくのかを考える中で議論していくべき大きなテーマかと思いました。

○久喜委員 あと、女性のことと、支援センターの科目の偏在についての御回答を。

○田中部会長代理 お答えください。

○医師養成等企画調整室長 医師養成等企画調整室長でございますけれども、女性医師支援の問題については、別の医療部会のもとになるのですが、働き方検討委員会などでもかなり話題になっておりまして、女性医師だけの問題でもなくて、医師全体の働き方を変えていかないと根本的には解決しない問題でもございますので、そういう中で医師全体の長時間労働をどうしていくのかという議論の中でも議論になっているものでございます。

 個別のことだけ一つ申しますと、女性医師支援センターなどの事業も、多額のものができているわけではないのですが、厚生労働省がやっておりまして、その中で実は女性医師の仕事に復帰する際の研修といったものも一応やってございます。結局、そういうことも含めて働き方検討委員会全体で議論していることかと思っております。

 もう一つ、診療科の偏在というか、そういう方向性でございますけれども、これもまた医師需給分科会で今も御議論中で、年内取りまとめがございましたら、また御報告するものでございますけれども、診療科別の医師数の目安を厚生労働省で示すという方向性が示されております。非常に中長期的な診療科の偏在の是正という形になるのかもしれませんけれども、そういう動きがあることを御報告させていただければと思います。

○田中部会長代理 後半に移らなければなりませんので、荒井委員で最後にいたします。

○荒井委員  済みません、1点だけ追加で意見を言わせてください。

 医師偏在是正の送り出しの点の議論が集約したのですけれども、一応、勤務されても定着するかどうかは別問題であります。すぐ離職される医師あるいは看護師もおられる。奨学金を出したら義務があるのですけれども、そのときに職場の定着率が病院によって違う。これは公的病院、民間病院の差がなく病院によって違う感じがあるように思いますので、資料でもありますが、医療勤務環境改善支援センターと医療支援センターとはツインの関係であるべきだと思います。

 定着率が良いケースをよく見てみますと、給与はお医者さんは立派な方が多いので、給与よりも働きがいのある病院で志向される。それは、どうも病院の経営の理念というか、働きがいをつくり出している病院が人気が高いように思いますので、そういうミニマムの環境改善と、働きがいのある病院をつくるというのは、地域の大きな課題でありますので、そのようなセンスで大事な医師を処遇することを続けていけば、必ずうまくいくのではないかということを、申し添えさせていただきたいと思いました。

○田中部会長代理 おまとめとして大変結構です。ありがとうございました。

 事務局においては、本日のさまざまな委員からの議論を踏まえて、必要な対応をとっていくようお願いいたします。

 では、後半のパートに移ります。

 資料3~5について、事務局から説明をお願いします。

○医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、資料3をごらんください。医師・看護師等働き方改革推進官でございます。

 「3.医師の働き方改革」についてでございます。

 1ページをごらんいただきまして、「働き方改革実行計画」は、この3月に、総理が議長を務めておられます「働き方改革実現会議」で決定されたものでございまして、その中の一つといたしまして、長時間労働是正のために、時間外労働の上限規制についての見直しを行うということでございます。

 下線に書いておりますけれども、「週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度」について、現在は厚生労働大臣の告示で定められておりまして、罰則による強制力がないところでございますけれども、これを原則月45時間、年360時間にして、違反した場合には罰則を科すということで強制力を設けるという仕組みを、この基準法の中に設けるという方向性が示されてございます。

 一方、下のほうになりますけれども、幾つかの職種については適用除外ということがこちらで示されておりまして、その中に医師についても位置づけられております。

 医師につきましては「応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要である」ということで、時間外労働規制の対象とはしますけれども、特殊性を踏まえた対応を考えるということで、具体的には改正法の施行期日の5年後をめどに規制を適用するとされておりまして、その規制の具体的なあり方ですとか、労働時間の短縮策については、新たな検討の場を設けて、2年後をめどに結論を得るとされております。

 2ページでございます。

 今、申し上げました計画を踏まえまして、検討会を設けております。「医師の働き方改革に関する検討会」を設置して、現在は議論を進めております。

 先ほど申し上げましたような、時間外労働規制の具体的なあり方、そもそもの労働時間を短縮することを含めまして、医師の勤務環境改善策について検討するということでございます。

 現在、8月に設置いたしまして、ごらんのようなテーマで3回検討を進めておりまして、第4回については本日開催の予定としてございます。

 「検討のスケジュール」のところの※にありますけれども「平成30年の年明けを目途に中間整理を行う予定」としております。さらに検討を進めまして、2年後をめどに結論というスケジュール感で進めております。

 3ページでございます。

 検討会におきまして、主な論点案ということでお示しをさせていただいております。

 ごらんのような大きく4つに分けておりますけれども、1つ目が「1.医師の勤務実態の正確な把握と労働時間の捉え方」ということで、労働時間をまず把握した上で、どのような勤務が労働時間に該当するか。特に、宿直業務ですとか自己研さん、研究活動についての扱いをどうするかということが論点となっております。

 2つ目は「2.勤務環境改善策」で、まず効率化を行うということで、他職種への業務の移管とか共同化といったことをどのように推進していくか。また、AIICTなどを活用した効率化が論点となっております。

 そうした勤務環境改善策について、どのように確保・推進していくかということで、経営管理のあり方ですとか、経営者の意識改革をどのように進めるか。

 また、先ほども御議論がありました、勤務環境改善支援センターの機能強化、地域医療支援センターとの有機的な連携をどのようにしていくか、女性の医師の活躍をどのように支援していくかといったことが論点となっております。

 「3.関連して整理が必要な事項」ということで、先ほど出ました、応招義務のあり方ですとか、地域医療提供体制との関係についても十分留意が必要であるということ。

 また、働き方の見直しに当たっては、国民の理解も必要ではないかということで、そうしたことについても御議論いただいているところでございます。

 最後に、具体的な上限のあり方、また、健康確保措置も一つの長時間労働是正に当たって重要ですので、医療安全との関係の観点からも、健康確保をどのようにしていくかについて論点に挙げまして、現在議論を進めているところでございます。

 以降は、勤務実態等につきましての参考資料になりますので、御参照いただければと思います。

 説明は以上でございます。

○総務課長 総務課長でございます。

 続きまして、資料4、資料5につきまして御説明を申し上げます。

 資料4につきましては「4.有床診療所の現状と課題」でございます。

 おめくりいただきますと、1ページにポイントを書かせていただいておりますが、有床診療所は「医療法上、19人以下の患者を入院させるための施設」という位置づけでございますので、病床を有しています。

 参考資料の3ページにもございますが、現在、その病床は約10万床ということで、20年前と比較いたしますと、半分以下に減少している状況にございます。

 これが地域で果たしている役割を見てまいりますと、参考資料の6ページにございますけれども、「専門医療」の51%、「緊急時対応」が46%、「在宅・介護施設への受け渡し」が37%という状況でございまして、主に専門医療を担う診療科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科といったものと、主に地域医療を担う診療科ということで内科、外科を標榜するところ、そして、双方の機能をあわせ持つ診療科であります、整形外科に大別されるところでございます。

 また、そういった入院の状況を見てみますと、入院基本料の算定回数ベースで見ますと、8割以上が「14日以内」ということでございます。専門医療になる診療科においてはそうでございますけれども、地域医療を担う診療科におきましては、半数以上が「15日以上30日以内」または「31日以上」ということで、有床診の入院基本料算定状況では、約6割が75歳以上の患者といったところも情報としてございます。

 こういった状況の中で、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科といった専門領域に特化した医療を提供していただいている有床診療所につきましては、少ない人員体制の中で専門医療を効率的に提供可能な形態ということで今後も期待されるのではないかと考えられます。

 一方で、地域医療を担う診療所につきましては、周辺にそういった医療・介護資源が乏しいような地域においての役割は引き続き重要であると考えておりますが、近い将来、医療ニーズが減少するといったことを踏まえますと「医療から医療・介護の併用モデルへの転換も選択肢として考えられるのではないか」といったことが論点としてあるのではないかと考えております。

 この有床診のあり方を今後、どのように描くべきか。そういったところについて、先生方の御意見を頂戴できればと考えているところでございます。

 続きまして、資料5の「5.療養病床の現状と課題」ということでございます。

 療養病床につきましては、1ページにございますように、患者の方々の適切な処遇を図るということで、平成13年の医療法改正によって、「主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床」と位置づけられまして、これまで長期入院の患者さんに対するサービス提供において、一定の役割を果たしていただいてきているところでございます。

 病床数につきましては、資料の3ページにございますが、年々、療養病床は増加してきております。ただ、介護療養病床につきましては、この療養病床の再編成の影響ということで、平成18年以降の10年間で約6万2,000床減少してきているのが現状でございます。

 また、入っておられる方の状況につきましては、後ろの9~13ページあたりにございますが、これはまた後ほどごらんいただければと思っております。

 この療養病床のあり方につきましては、先般の通常国会におきまして、介護保険法等の一部改正法が成立したところでございます。

 その中で、この介護療養病床をどのように整理していくのか。7ページ、8ページにございますように、これまで「療養病床の在り方等に関する特別部会」でも御議論いただきまして、8ページにございますように、一定の方向性の議論の整理をさせていただいているところでございます。

 そういったことを踏まえて、この介護保険法等の一部改正法の中で、16ページにも簡単に書かせていただいておりますけれども、介護医療院を創設することで、その介護医療院というのは「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナル」などの機能と、「生活施設」としての機能の両方を兼ね備えた、新たな介護保険施設として位置づけるということで方向性が法的に整理されたところでございます。

 あわせて、この議論のときには、介護療養病床の転換期限についても、6年間延長するということで、平成35年度末までの転換になっているところでございます。

 こういった介護療養病床、また、人員配置の特例の対象となっている医療療養病床につきましては、より入院医療の必要性が高い慢性期の患者さんに対して適切な医療を提供するという観点から、入院医療の必要性に応じて、介護施設や在宅医療などにおける対応への移行を促進することが重要ではないかと考えられるところでございます。

 また、この移行に向けての期間、6年後ということになってまいりますが、それを一つの基準としながら、人員配置基準の特例の経過措置の取り扱いなども含めて検討する必要があると考えているところでございます。

 この後段の人員配置基準の特例のあり方につきましては、次回、私どもで事務的に整理をいたしまして、先生方に御相談させていただくように資料の準備を進めていきたいと考えているところでございます。

 こういった点につきましても、本日、先生方のいろいろな御議論を賜ればありがたいと思っているところでございます。

 大変駆け足でございますが、資料の紹介は以上でございます。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 先ほどと同じく、山口委員提出資料の中でも、有床診療所の現状と課題について意見があります。御審議の際はこちらも参考にしてください。

15分程度しかございませんが、ただいまの説明に関する質問、御意見を伺います。

 阿真委員、お願いします。

○阿真委員 「3.医師の働き方改革」のところなのですけれども、「医師の働き方改革に関する検討会」でも十分検討していただいている点だと思うのですが、女性医師の働き方に非常に問題があると思っております。

 今、働き方改革がこれだけ世間でいろいろ言われている。平成2911月であっても、妊娠した時点で当直できないなら無理だよと言われたという先生が実際にまだいらっしゃっていて、女性の医師ですけれども、産科や小児科という小さな子供に関する科であるので、そういうところに理解が欲しいところなのですけれども、企業などではかなり進んでいると思うのですが、なかなかそうはいっていないことがあると聞きます。

 9時から5時とか、子育て中で10年、15年はそのぐらいの働き方を望む女性医師は多いと思うのです。確かに当直が、ほかの年代ですとか、今そちらにいらっしゃる方々には負担になるかとは思うのですけれども、こちらの資料にもあるように、タスクシェアリングなどをしながら、どの先生方にとっても働きやすい、みずからも病気をしたりですとか、子育ては10年、15年で皆成長していくことがほとんどですけれども、介護とかであればもっと長い期間がかかったりもしますので、順番に負担はめぐってくるということで、そういった働き方をしやすい環境をつくっていくことが大切で、そういったことを後押ししてくださる施策が出てくるといいと思っております。

 以上です。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 加納委員、どうぞ。

○加納委員 同じく医師の働き方なのですが、3ページのところに、主な論点案という形で項目を分けて書かれている中で、「3.関連して整理が必要な事項」の2つ目の●として「病院の機能」等々という形で関連して整理が必要な事項ということが書いてあるのですけれども、医師の働き方のあり方を議論する中で、これは大事なところではないかと思います。社会的にも大事な問題になってくる可能性があるところで、特に小児周産期、救急に関しては、議論の内容によっては、現状が維持できないどころか崩壊する可能性まであるところだと認識しておりますので、ここは大きな大項目として、論点として挙げていただきたいと思うのです。一応、必要な事項の中には入っているのですけれども、ここは議論としては大論点として、この検討会の中でも議論をお願いしたいと思います。

○田中部会長代理 相澤委員、どうぞ。

○相澤委員 確かに、今の医師の働き方がこのままでいいとは思っていませんが、現状として、病院経営は非常に厳しくて、赤字の病院がかなり多くございます。その中で、これを急速に実行されますと、ほとんどの病院は経営が難しいのではないかという不安を皆さんが持っておりまして、お金もない、診療報酬でも手当てをされない。だけれども、人もふやし、勤務環境を理想的なものにしなさいというのは非常に難しいということで、余り拙速にやらないでいただきたいということだけお願いをしたいということが一つあります。

 もう一つ、厚生労働省の考え方をお聞きしたいのですが、先ほどの有床診療所の今後のあり方に、医療もできて、生活もできて、介護も提供できる場に今後はなっていったらどうかというのがあったと思うのですが、これからの日本の高齢化、少子化のあり方を考えますと、住まいと医療と介護が同じところで提供できるというのは、私は非常に大事なことだと思っているのですが、考え方として、これを将来ある程度はふやしていくおつもりで今のように書かれているのか。その辺のお考えをお聞きしたいのですが、どうでしょうか。

○田中部会長代理 総務課長、どうぞ。

○総務課長 総務課長でございます。

 今の相澤委員の御質問の件でございますけれども、まさに今、先生に御指摘いただいたとおり、今後、将来に向けて高齢化の山というのはしばらく続くことが予想されるところでございます。そういった中で、できるだけ身近な住みやすい地域を作っていく。そういったところで、今、御指摘いただいた住まいとか医療とか介護と、それにとどまらずその周辺のサービスも含めて提供されるような体制を作っていく、まさに地域包括ケアの体制を作ることは非常に重要な課題であると思っております。

 このため、こういった取り組みについては、基本的に介護サイドのほうからいろいろな取り組みがなされているのが中心のところでございますけれども、一方で、実際にそういった場を担っていくという意味では、医療の役割は全く欠かせないものであると思っております。そういう意味で、特に有床診療所の身近な地域で果たす役割は非常に大きいものがあるのではないかと考えまして、そういったことも視野に置きながら検討を進めていただいたらどうだろうかということで、御提案させていただいているものでございます。よろしくお願いいたします。

○田中部会長代理 介護側の議論では、有床診療所あるいは無床診療所と小規模多機能型居宅介護ないし看護小規模多機能との組み合わせも地域にとって重要な選択肢ではないかといった議論が行われております。

 どうぞ。

○邉見委員 これからの有床診療所は、恐らく町立病院クラスの病院がダウンサイジングで有床診療所になることが多いと思うのです。夕張市立病院が、かなり大きい市民病院ですが有床診療所になりましたね。だから、今までのように、診療所から大きくなって有床診、無床から有床になるよりも、病院からなるほうが多いと思いますので、この辺のところも今までと少し変わった観点から、行政のほうがお考えいただきたいというのが一つです。

 もう一つは、働き方改革の3ページの1にありますように「医師の勤務時間の精緻な把握」と労働時間の捉え方が、厚生省と労働省が2001年に一緒になったときに、この問題をやってくれるとずっと期待していたのです。せっかく厚生省と労働省が一緒になったのだから、医師の労働と働き方はずっと、時々太陽の黒点運動みたいに出てくるのです。だから、私はそのときに期待していたのですけれども、残念ながら、17年間ほったらかしにされてきたわけです。

 今はほかの分野の電通の話とか、我々の仲間である新潟市民病院の37歳の外科の研修医の先生の不幸な事件でまたわき上がってきているわけですけれども、我々としては、行政のほうにだけお任せしないで、医師の労働というものの定義を医療側からしていかなければいけないのではないかと思って今、検討しています。こういうものを医師の労働としてほしい。まだ定義がはっきりしていないと思うのです。自己研さんなのか、労働なのか。

 労働時間の捉え方も、タイムカードの打刻でやるのか、電子カルテのログイン、ログオフでやるのか、自己申告でやるのか、上司の命令書でもってやるのか。そういうふうなことが全くばらばらですので、それもいいことかもわかりませんけれども、これはプロフェッショナル・オートノミーではないと思いますので、ちゃんとした定義が必要なのではないかと思います。

 先ほど、相澤委員がおっしゃったように、拙速というのはやめてほしい。今度の厚労省の概算要求で、11億の労基の予算が20億になっていますね。労基の職員を100人ふやすと言っている。それはほかの産業も含めてでしょうけれども、ほかのブラック産業と同じような感じで医療を捉えていただいたら、田舎の人もいない、お金もないという中小の病院は、ほとんどが救急とか三次医療機関に全部送ることになってしまいます。そうすると、三次救急が今度は潰れることになると思いますので、労基署は謙抑的にやってほしいと思います。

○田中部会長代理 神野参考人、どうぞ。

○神野参考人 働き方の話と、先ほどの診療所の話をします。

 働き方の話は、実際、私どもの病院でストレスチェックを全職員にやると、一番ストレスが低いのは医師だという事例もございますけれども、恐らくこれと先ほどの医師需給の話は対になっていて、今の医師需給の話は偏在対策を何とかしてという話なのですけれども、今度は働き方の視点で、御承知のとおり、労働生産性は目いっぱいだと思いますので、時短ということになれば、今度は医師需給のほうで医師の供給をじゃばじゃばふやさなければいけないという議論になります。どうか今後の議論の中で、医療部会の先生方にはその辺の働き方と医師需給を対で考えていただかなければいけないと思います。

 診療所の話で、先ほど田中先生からお話がありましたけれども、恐らく我々が、特に地方に行きますと、広い面積のところに過疎化によってぽつぽつと高齢者が住んでいらっしゃる。そこでは、いわゆる在宅というのはなかなか難しいわけであります。そうなると、集めることになってきます。何らかの集住の施設ないしはアパートメントに対しての診療所が行くということになりますと、今は診療報酬の議論かもしれませんけれども、いわゆる集合住宅減算となります。これは恐らく医療のほうも介護のほうも問題になってくると思います。この減算を余りやりますと、集めたけれども誰も診てくれないということになると思いますので、将来的には集めて、その近くで診療所が集めたところをきちんと管理するという姿が、医療・介護において美しい姿なのかなと思っています。

 以上です。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 久喜委員、どうぞ。

○久喜委員 地方の病院を預かっている者として、今の「3.医師の働き方改革」の1ページ目の内容をそのまま当てますと、地域の医療は崩壊すると思います。ですから、ある程度適用外という枠をきちんと確保していただいて、医師の働き方を考えていただきたいというのが、地方の公立病院を預かる者としては基本だと思っています。

 そういう中で、私はいろいろ考えているのですけれども、恐らく外国、例えばアメリカがどうか、フランスがどうか、ドイツがどうかとか、その辺のところの検証を十分にしていただいて、特に介護保険を始めるときにはドイツを参考にされた経緯等々がありますので、その辺のところで外国の情報を十分に仕入れて、「3.医師の働き方改革」の「現行の適用除外等の取扱」というところに割り当てていっていただきたいと思います。

 有床診療所の報告というのは、私は全くそのとおりだと思いまして、整形外科が介護関係であり、耳鼻科・眼科が専門という形。今後、そういう方向性で特化していって、一般の従来からある有床診療所はこれからはなくなっていくと私は考えていると思います。私自身が有床診療所を持って10年間経営してきた人間として、特に地域の中では特殊な科目のみ生き残っていけるのではないかと思います。

○田中部会長代理 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  働き方改革の最初の論点は、勤務時間の中で超過勤務の報奨、時間外割り増しか手当かという点に大きな課題がございます。

 県立奈良病院では、産婦人科の病院宿直で時間外割り増しを払うべきという訴訟が起こって、最高裁まで行って負けてしまったので払ったのですけれども、全部2割5分の時間外割り増しを払うと、全ての病院が破産して、破綻してしまうという過程にあります。最高裁判断の解釈は、それは個別に訴訟が起こったらそれに適用しただけだということですので、まだ県立病院に残っておられます産婦人科医にはその手当を払いました。今は残業されていませんので払わないわけでありますけれども、同じ訴訟が各病院で起こると必ず負けるという最高裁判例の実態があるということでありますので、我々の病院の経営に関係するものについては瀬戸際の実態にある。

 なぜ負けたかというのは、一つは、労働基準局通達が裁判で重く解釈されたという実態でありますので、労基局通達はおかしいではないかと言って陳情もしたのですけれども、取り合っていただけなかったのです。このような検討を踏まえて、余り個別の通達は労働基準法ではないのです。トラックの運転手と今度の医師だけでありますので、労基局通達の是非も含めて議論していただきたいということが論点です。

 もう一つは、時間外割り増しか手当かとも関係するのですが、応招義務の実態と、どういう場合に断ることができるのかということになります。応招義務が厳しくかかると、とても厳しい勤務実態になるわけでございますが、どういう場合に断るのかという判例に任されているのですけれども、これはもう少し我々行政的な立場での研究が要るのではないかと思います。これは病院ですけれども、救急病院の看板を掲げて、年間一度も救急患者を受け入れなかった病院が奈良にあるのです。これは看板の話なのですけれども、医者の話かもしれない。判例では、私の専門外だからと言って断ることができるのかどうか、往々にあるのですけれども、それはチャレンジされていないのです。断ってはいけないという判例はまだ出ていないのですけれども、資料の12にありますように、医師がいないですと言ったり、病気ですからと言って断れることは確立しているのですが、専門の医師がいませんと言うと、おなかが痛いという病気の専門医はいないというので断ることがしょっちゅうあるわけなのですけれども、断ることができるのと勤務の実態は裏腹でございます。

 支配の実態が先ほども出ました。勤務者ですから、労働の時間支配があることが前提になりますけれども、医者に対する時間支配というのはどのようにあったほうがいいのかという実態研究が要るように思います。

 最後にポイントだけですけれども、病院勤務医の働き方改革中心でございますが、奈良県ではセクター別の働き方改革の実証データを集めていますけれども、その中には看護師と在宅医師も入れております。看護師も働き方改革にここで取り上げることができるのかどうかはわかりませんが、看護師も視野に入れてというのは、看護師の働き方がうまくマッチすると、病院経営がすごくよくなってくることがわかっております。お医者さんがうまく周りの看護師を働かせることができれば、すごく看護師の効率がよくなることがわかってきておりますので、看護師、在宅医療医師も視野に入れた働き方改革の検討を進めていただければというお願いでございます。

 以上でございます。

○田中部会長代理 御提案ありがとうございました。

 あと1人ぐらいでしょうか。では、お二人。財界と労働側ですか。そこで終わりにしましょう。

井上委員  ありがとうございます。

 働き方改革について、産業界でもいろいろな議論が進んでおります。

 単純に産業界と医療分野とを比較できないのは当たり前の話なのですけれども、我々は現在、働き方改革を機に、生産性を抜本的に上げていこう。世界で日本の生産性は低いと言われていますけれども、これをいいチャンスと捉えて、生産性を上げていこうという取り組みを行っております。これまでに考えられないような、非常に抜本的な設備投資であるとか、BPRであるとかBPOあるいは個社で対応できないものは業界単位で対応するとか、M&Aをしていくとか、そういった動きが、この働き方改革を機に産業界の中でも起ころうとしていると思います。

 単純に医療分野にこれが適用できるとは思いませんけれども、今後、医療サービスの需要自体が当面は高齢化に伴ってふえていくわけですから、いずれにしても全体の効率化とか、生産性の向上はどうしても求められていくことだと思いますので、ぜひ医療界におかれましても、働き方改革を機に全体の生産性を向上するという観点での改革にチャレンジしていただきたいと思います。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 では、最後に伊藤参考人、どうぞ。

○伊藤参考人 ありがとうございます。

 私も医師の働き方のところなのですが、従来からずっと言われていることですけれども、地域医療の崩壊につながりかねないという点はとても心配ですが、逆に医師が崩壊しては絶対いけないのだと思っています。自己犠牲の上に成り立っているような業務は、持続可能性に課題があると言わざるを得ないと思っていますので、それは改めて対応を考えていかないといけないと思っています。

 論点が3ページに出ていますけれども、応招義務に関連して、地域医療を含めたオンコール体制の社会的な要請に対する問題とか、時代に合わせた応招義務のあり方の検討とか、医療アクセスに対する患者や国民の理解といったことも、医師の働き方改革に関する検討会で議論されているというのは非常に重要な論点だと思っています。

 医師の勤務環境というのは、先ほど議論した、医師の診療科間の偏在ですとか、勤務する医療機関の選択ですとか、医師のキャリアパスとか、医療の質などにもかかわってくる問題と思っています。

 前段の議論で荒井知事がおっしゃっていた、離職しない、定着するためにも、この働き方改革はとても重要だと思っていますので、井上委員がおっしゃっていた生産性の向上も含めて、ぜひ医療の現場でも取り組んでいってもらいたいと思っています。連合も検討会の議論に参加しておりますので、そういった議論をしていきたいと思っています。

 療養病床ですけれども、機能に応じて、生活の場としての役割を重視して、介護保険制度のほうに移行していく部分は必要だと思っています。6年後という期限が介護療養病床については決まっているわけですので、それと同じペースで検討を進めていかないといけないと思っています。

 一方で、療養病床は、25対1のところでは、療養病床入院基本料2が、どうしても患者要件で減算になってしまうところも実態としてあるようですので、患者が困らない形で、介護保険財政への影響も考えながら、ぜひ限られた期限の中で結論を出していきたいと思っています。

 以上です。

○田中部会長代理 御議論ありがとうございました。

 事務局においては、本日の貴重な御意見を踏まえて、必要な対応をとるようお願いいたします。

 最後に、事務局から連絡事項はありますか。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、1124日金曜日を予定しております。詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○田中部会長代理 では、本日はこれまでといたします。大変お忙しいところお集まりいただき、どうもありがとうございました。


(了)

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