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2017年12月5日 生活保護制度に関する国と地方の協議 議事録

社会・援護局

○日時

平成29年12月5日(火) 17:30~18:15


○場所

厚生労働省9階省議室


○出席者

【厚生労働省】

加藤厚生労働大臣

【地方代表】

松井大阪府知事
岡崎高知市長
松井広島市長
吉田広島県坂町長

○議題

・生活保護制度の見直しについて

○議事

○定塚社会・援護局長 それでは、定刻でございますので、ただいまから「生活保護制度に関する国と地方の協議」を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の進行をさせていただきます社会・援護局長の定塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日の出席者を御紹介させていただきます。

 全国知事会から松井大阪府知事です。

 全国市長会から岡崎高知市長です。

 指定都市市長会から松井広島市長です。

 全国町村会から吉田広島県坂町長です。

 加藤厚生労働大臣でございます。

 蒲原事務次官でございます。

 八神大臣官房審議官です。

 鈴木社会・援護局保護課長でございます。

 初めに、加藤大臣より御挨拶を申し上げます。

○加藤厚生労働大臣 厚生労働大臣を務めさせていただいております加藤でございます。

 きょうは12月ということで、年末になった中、それぞれ遠方から「生活保護制度に関する国と地方の協議」のためにお集まりをいただきまして、また、日ごろから、生活保護制度の運用に関しましては御尽力をいただいておりますことに、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 生活保護法については、平成25年に改正がなされ、就労支援事業の法定化や不正受給対策の強化などが行われているところでありますけれども、現在、施行後5年を目途とした見直しの検討を行っております。

 生活保護制度を適正かつ円滑に実施していくためには、国と地方の密接な協力関係の構築が不可欠であります。

 このため、本年2月から6回にわたって課長級の実務者協議において議論がなされ、本年7月に議論の整理がなされたと承知をしております。

 実務者協議においては、健康管理や医療扶助の適正化など、多岐にわたる問題提起をいただいたと承知しております。実務者協議における議論の整理を踏まえ、今後の制度見直しや制度運営に当たっていくことが基本であると考えております。

 本日は大変限られた時間でありますけれども、生活保護受給者の健康管理など6点、特に留意すべき事項として資料の形で整理をさせていただいております。今回、制度の変更が予定されるものであって、制度の円滑な施行に当たって地方自治体の皆さんの意見を十分に確認しながら進める必要があるテーマであるとも考えております。

 これらの点も中心に意見交換を進めさせていただき、共通認識を深めていければと考えております。ぜひ、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をいただきますとともに、この会合の円滑な運営に、また引き続いての生活保護制度の運用に御協力いただきますことをお願い申し上げて、挨拶とさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございます。

○定塚社会・援護局長 それでは、カメラの方はここで御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○定塚社会・援護局長 続きまして、議事に入ります。

 今回の取りまとめ(案)につきまして、担当課長より説明をさせていただきます。

○鈴木社会・援護局保護課長 保護課長でございます。

 お手元の資料1をお願いいたします。生活保護制度に関する国と地方の協議の取りまとめ(案)につきまして、御説明いたします。

 1番の2つ目の●にございますが、先ほど大臣からもございましたように、この取りまとめ(案)におきましては、制度見直しの方向性を取りまとめるに当たっての特に留意すべき点につきまして整理をいたしております。

 具体的には、次の2番にございますけれども「(1)生活保護受給者の健康管理について」でございます。

 生活保護受給者につきまして、データに基づいて生活習慣病の発生予防・重症化予防に取り組んでいくための事業を創設することが必要。

 また、それに当たりまして、国はマニュアルの策定あるいはレセプト分析など、地方公共団体の取り組みを支援すること。

 また、地域の実情に応じて柔軟に事業を実施できるようにすること。保健医療専門職や他の社会資源の活用などを図ること。

 そして、最後の4つ目ですけれども、子供の健康管理支援に取り組むことということを書かせていただいております。

 次の「(2)医療扶助の適正化について」でございます。

 1つ目ですが、頻回受診へのさらなる対策といたしまして、医療機関への同行など、丁寧な指導などに取り組むとしております。

 次の●ですけれども、窓口負担を求めることにつきまして、子供を対象外とするなど、さまざまな工夫により実現可能という意見もございますが、一方で、最低生活保障との関係あるいは医療機関の未収金、ケースワーカーの事務負担などの懸念から、慎重な検討が必要。

 後発医薬品につきましては、医師などが使用可能と認めた場合で、在庫などに問題がない場合につきましては、その使用を原則とするとしております。

 「(3)無料低額宿泊所について」は、いわゆる「貧困ビジネス」を排除するため、無料低額宿泊事業に対して、例えば事前届出制とすることを検討するなど、規制を強化することが必要である。

 また、単身で生活することが困難と認められる方につきましては、支援つきの共同居住という枠組みを検討することが必要。

 そして、その具体的な仕組みを検討するに当たっては、地方公共団体の意見も聞いて検討を進めること。

 4つ目ですけれども、無料低額宿泊所と保護施設の関係整理も検討が必要ということです。

 「(4)生活保護世帯の子どもの大学等進学支援等について」は、貧困の連鎖を断ち切るために、大学などに進学することの支援を早期に実現することが必要。

 また、進路に関して、多様な選択肢を持つことができるように、総合的な支援が必要である。

 続きまして、3ページの「(5)被保護者就労準備支援事業について」は、3つ目の●にございますが、生活困窮者の就労準備支援事業と一体的に取り組むことで、効率的・効果的な実施が期待されるということでございますので、困窮者と一体的に推進を図る。

 また、その際には小規模の地方公共団体でも取り組めるような工夫が必要である。

 「(6)ケースワーク業務等のあり方について」は、ケースワーク業務の重点化、外部委託のあり方あるいは自立支援制度との連携に関して、議論を深めていくことが必要。

 また、専門職種の充実を図ることが必要とさせていただいております。

 以上でございます。

○定塚社会・援護局長 それでは、続きまして、意見交換に移らせていただきます。

 取りまとめ(案)につきまして、地方公共団体の方々に順次、御発言をいただきたいと存じます。

 まず、松井大阪府知事からお願いをいたします。

○松井大阪府知事 全国知事会代表の大阪府知事、松井一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 ただいま厚労省より御説明がありました取りまとめに、大阪府からの提案内容を盛り込んでいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、効果的・効率的なケースワーク業務のあり方について、福祉事務所の体制整備についての2点の提案内容について改めて御説明をさせていただきます。

 大阪府で用意をさせていただきました資料をごらんいただきたいと思います。

 2ページは、大阪府における被保護世帯数、保護人員の状況であります。

 3ページ、世帯類型割合は、高齢者世帯の割合が増加傾向にあり、半数を超えております。

 4ページ、今後の高齢化の進展に伴い、生活保護世帯においてもさらなる高齢者世帯比率の伸びが見込まれます。

 5ページ、提案内容の一つといたしまして、高齢者世帯の増加が見込まれる中、限られた財源でケースワーカーの支援を稼働世帯に重点化する方法について、大阪府といたしましては、これまでに引き続き提案をいたします。

 ケースワーカーは、就労支援などの自立支援、健康管理支援や医療扶助の適正化、不正受給防止などの稼働年齢層のケースワーク業務に重点化を図ります。

 一方、高齢者世帯については、他法・他施策の高齢者サービスの活用を図り、1、訪問や収入申告を最低年2回から1回にします。2、高齢者世帯訪問員(仮称)の配置や訪問の外部委託化により、ケースワーカーの業務を最小限度にしていただきたいと思います。

 6ページは、提案内容Iのイメージをした図になります。

 7ページは、提案内容Iについて、門真市に協力をいただき、シミュレーションを行いました。門真市は、ケースワーカーが標準数に比べまして20名不足しています。

 8ページは、門真市におけるシミュレーションの結果でありますが、ケースワーカー1人当たりの訪問計画数を算出いたしますと、363回になります。そのうち高齢者世帯を年1回の訪問計画にいたしますと、29人のケースワーカーで対応可能となり、7名分の人的資源を稼働世帯層に投入することが可能となります。

 さらに、高齢者世帯訪問員の配置または外部委託した場合には、先ほどの7名と合わせまして14名分の人的資源を投入することが可能となります。

 9ページ、大阪府は保護率が全国で最も高くなっております。

10ページ、政令市を除く大阪府内全体で、ケースワーカーが316名不足している状態であります。

11ページ、監査においてケースワーカーの充足について指導をしていますが、職員定数の抑制や厳しい財政状況の中、限界があります。ケースワーカーの不足により、訪問調査活動や就労指導等が不十分になり、生活保護制度の目的の一つであります自立助長が果たせなくなります。

12ページ、これらの実情から、提案内容のIIとして、福祉事務所の体制整備について提案を行います。全ての地域において被保護者に対し必要な指導が可能となるように、就労支援員や保健師等の専門職種の配置基準の設定や必要な財源措置をお願いしたいということであります。

 以上で、私の説明を終わります。

 どうもありがとうございます。

○定塚社会・援護局長 ありがとうございました。

 次に、岡崎高知市長からお願いをいたします。

○岡崎高知市長 日ごろ、大臣初め厚生労働省の方々に大変お世話になっておりまして、ありがとうございます。

 私はもともと市の職員でございまして、もう随分前ですけれども、若いころにケースワーカーを6年やっていましたので、いろいろな意味で、生活保護の関連は市長会を代表しまして意見を述べさせていただきます。

 まず、生活困窮者の自立支援のほうの特別部会のメンバーでもありますので、その中でも、生活保護と自立支援との切れ目のない支援が非常に議論をされておりまして、生活困窮から生活保護に至った場合に、そこで従前の自立支援が切れてしまうこともありますし、もう一つ大事なところは、生活保護のケースから自立をしていったときに、さまざまな自立支援の団体へつなげておくことが非常に重要でございますので、多くの意見の中で、生活保護を受給中でも、それまで行ってきた支援団体とのかかわりを切らないようにということが強く求められておりますし、そのことは非常に重要だと思います。

 今回、自立支援のほうの議論の中で、町村の部分でそれができるかどうかという議論もありますので、都道府県における、町村への支援も重要になろうかと思います。

 高知県の場合は、いわゆる郡部のほうに福祉事務所はあるのですが、保健所と福祉事務所を一つの組織にしていますので、福祉保健所という名称にして、両方やっています。そういう意味で、バックアップの体制も整えながら、切れ目のない自立支援、生活保護を受給中であっても自立支援ということは非常に重要になると考えます。

 健康管理ですけれども、御承知のとおり、生活保護ケースの健康管理は健康増進法のほうで対応しておりまして、健康増進法で対応することになると、保健所が対応することになるのですが、保健所の保健師は物すごく忙しくて、こちらまでなかなか手が回らないという実情があります。

 生活保護受給者の方々の特定健診とか、先ほどの生活習慣病の予防は非常に重要になりますので、生活保護法の中でそれをきちんとやりますという位置づけをしていただくことが非常に重要になると考えます。

 また、私自身、全国の国保をあずかっていますので、国民健康保険のほうでは、いわゆるレセプトデータからいろいろなヘルスデータを拾い出して、ヘルスデータとしての支援ができるようにシステム化していますが、生活保護のほうのレセプトの支払いは支払基金でやっていますので、支払基金側でどこまで対応が可能かどうかも少し議論をしながら、場合によっては、都道府県の国保の支払いのほうでやることもできるようにという議論も必要ではないかと思います。

 3点目の医療扶助の適正化ですが、後発医薬品につきましては、大体、我々のところも7割ぐらいまでいけるようになっていますが、厚生労働省の目標として、平成30年度に80%という目標があります。実は我々は、なぜジェネリックが使われないかというアンケートをとりました。一番の理由は、在庫を置いていないというのがアンケート結果で51%あります。在庫があれば使うけれども、在庫が置いていないというのは、保管場所の関係とか、ジェネリックもすごく種類が多いですので、物理的に置けないというのが理由の中で結構高いので、そこをクリアしていく考え方をこれからしていくべきではないかと思います。それがあれば、ジェネリックはもうちょっと進むと思います。

 無料低額宿泊所につきましては、当然「貧困ビジネス」とか、いろいろなものを排除していく必要がありますので、事前届出制とともに、無料低額宿泊所でも、例えば抱樸の奥田さんのところのように、啓発機能部分も非常にたくさんございますので、全部がだめだということではなくて、支援がきちんと整っている部分はありますので、そこを実態を見ながら指導監督できる体制を整えていくべきだと思います。

 最後に、子供の支援ですけれども、我々も何とか貧困の連鎖を断ち切りたいということで、高知市内では10カ所、教職員のOBによりましてチャレンジ塾という無料の中学生の塾を高知市が直営でやっています。運営は教職員のOBが全部かかわってくれていまして、生活保護の子供と準困窮者家庭と一般家庭、それぞれ3分の1ぐらいの割合で来ていまして、大体400人超来ています。

 生活保護の中学3年生の進学率ですが、ほぼ100%です。51人中50人が進学できていますので、非常に効果がありますので、こういうものを着実に進めていきたいと思います。

 大学進学の場合に、生活保護の中でも、もう少し支援を拡充したほうがいいと思いますし、具体的な話をしますと、学資保険は今、18歳までしか認められていないです。例えば、学資保険の22歳満期を今後とも運用の中で認めていくとか、そういう支援を広げていかないと、大学進学を諦めてしまうことになりかねないので、ここはもう少し手厚くしたほうがいいと思います。

 最後に、そこには書いていないですが、体制の問題があります。先ほど、松井知事もおっしゃいましたが、例えば高知市の福祉事務所の紹介をしますと、査察指導員が13名おりまして、本体のケースワーカーは84名おります。ただ、ケースワーカーも単純計算すると十数名の不足になるので、別途に非常勤特別職を42名入れています。どのような職種で入れているかというと、例えば就労支援員を10名、先ほどの就学促進員が3名、また高齢者世帯を持っていただく生活保護の支援員が13名おりますので、全体としては42名という非常に多くの非常勤特別職が一緒に働いています。ここの分野に対する財政支援が薄いので、こういうところを支援していただけたら、本体のケースワーカーはもっと純粋に就労指導とかができますので、非常勤特別職への財政の支援もお願いしてまいりたいと考えます。

 以上です。

○定塚社会・援護局長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、広島市長からお願いしたいと思います。

○松井広島市長 ありがとうございます。広島市長の松井でございます。

 きょう、次の制度改正に向けて実務者協議で制度の見直しを取りまとめられるということについて、まず敬意を表したいと思いますし、私自身は、取りまとめが6項目にわたっておりますので、特に留意すべき事項に関しての意見を述べさせていただこうかと思います。

 その前に、我が市の状況を申しますと、現在、我が市における生活保護世帯は、約1万9,000世帯でありまして、20の政令指定都市で9番目です。トップは大阪市で116,000世帯あるといった状況の中でありますし、現下の傾向を申しますと、平成20年のリーマンショックのときにぼんと跳ね上がりまして、24年度までに1.43倍に上がったという状況ですけれども、現在は景気動向が大分よくなってきておりまして、特に就労能力のあるその他世帯が減少傾向にあり、緩やかに回復に向かっているという状況であります。

 そして、生活保護にかかる年間の予算は大体436億円ぐらい出しているということでありまして、市の大きな財政の負担要因というか、そういう問題意識でおります。

 最初の生活保護受給者の健康管理に関しての提言でありますけれども、我が市では、特段の支援は行っておりませんけれども、こういった視点での適正化を図ろうということは、自立支援とか医療扶助の適正化という観点から重要な取組だと思います。ただ、これを実施していくに当たっては、ぜひ国によってマニュアルを策定するとか、情報提供をしっかり自治体にしていただきたい。さらには、実施に伴う財源措置もお願いできればというのが1点目であります。

 2点目の医療扶助の適正化でありますけれども、この医療扶助は、先ほど申し上げた436億円、1万9,000世帯の4割近くの負担を強いておりまして、これが高齢化進展で確実に増加することは不可避であります。したがって、この適正化は取り組まなければいけませんけれども、取りまとめに記載しております頻回受診対策あるいは後発医薬品の使用促進、強化はもとより、重複受診とか重複の処方箋への指導、指定医療機関の個別指導等、さらにしっかり進めていく必要があるのではないかと思います。

 その際には、関係者の共通の認識を醸成する観点から、その方向性について国として明確な方針を出していただく。そして、皆がやらなければいけないなということをしっかり徹底していただければと思います。

 医療費の窓口負担に関しましては、真に必要な医療の受診ということに配慮しつつ、医療扶助のさらなる適正化を進めることができるような議論を引き続きやっていただきたい。

そして当然、後発医薬品の使用の原則化をやっていただくことを望みます。

 次に、無料低額宿泊所に関してでありますけれども、現在、この無料低額宿泊所、届けられた施設は我が市にはありません。ただ、顕在化はしていないものの、広島県を中心に生活保護世帯がふえてきている状況がありますから、いつ、こういった問題が出てくるかという状況の中で、「貧困ビジネス」と言われるような悪質な業者を参入させないための規制を設けるべきという意見は、当然多いと思います。

 そして今回の取りまとめのとおり、法令に基づいて最低基準とか指導権限を設けていくほか、事前届出制など、規制強化について進めていただくことは大いに結構でありますし、その際、自治体の意見を聞きながら、現場の状況を把握した上での取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 次に、生活保護世帯の子供の大学等の進学支援であります。これは、子供の自立のためということを考えたときに、意欲のある子供の大学への進学を阻害することがあってはならないのではないでしょうか。現在、大学等に進学を希望する高校生がいる場合、入学金相当額に関しての貯金は資産判定の対象から除外しておりますけれども、もう少し勉強をしっかりしてもらうために、入学金だけではなくて、大学等の学費にも配慮することができないでしょうか。

 さらに言えば、すぐにはいかないと思いますが、将来的には大学等の進学率とか貧困の連鎖を断ち切る必要性、そして大学等に進学した子供の学業が成果を上げるようにということを考えれば、その子供に就労を求めることは適当ではないのではないか。生活保護対象とすることも視野に入れて、しっかりと勉強できる環境をつくるための議論も必要であると思います。

 被保護者の就労準備支援事業については、実は平成27年度から、我が市では生活保護者と生活困窮者の自立支援の就労支援事業を一体的に実施してきておりまして、一定の成果も出ております。

 そして、就労支援事業については、実は県内で呉とか東広島、大竹等と、一定の地域が実施している。実施していない地域もある。そんなまだらな状況であります。そのような中で、本市とすれば、この事業の一体化を、同一の事業者に委託することで効果的・効率的な運営ができるものとの評価を下しております。したがって、これは生活保護受給者にとっても、生活保護廃止後も継続して支援を受けられる仕組みになるというメリットもありますので、この支援をしっかりしてもらいたい。その中で、長期間就労していなかった方が就労に結びつくといった効果が出るということを見たときに、ぜひ一体的実施を全国的に展開する方向で取り組みを進めていただけないかと思うわけです。

 そしてその際、本市では、広域的な拠点となる都市という立場を踏まえながら、まず近隣市町をこういった取り組みに取り込む。そして、それをもっと広い範囲に広げていくというやり方で広域化、普及を図っていきたいと考えておりますので、そういった取り組みをする際の効果的な支援策を考えていただければありがたいなと思っております。

 最後、ケースワーカーの業務のあり方については、生活保護世帯が抱えている課題は、世帯ごとに多様化あるいは複雑化してきております。したがって、その課題解決の効果的あるいは効率的な業務執行をどうするかということが真に問われている状況にある中で、我が市では、世帯の課題の内容によりまして、支援の投入量を加減することをやる。一方で、専門的な支援は専門家を活用するというように、まず整理いたしまして、家庭訪問を重点化するとか、非常勤職員を配置し、さらに外部委託の活用等々取り組んでいるところでありまして、こういったケースワーク業務の重点化とか外部委託のあり方について議論を行っていただく際には、当然、効率化ということは前提でありますけれども、自立支援のための方策という視点から、どういったことに留意しなければいけないかも考えながら、現場の意見を聞いた検討を深めていただきたいと思うわけであります。

 あとは、記載されておりませんけれども、個別のお願い事であります。生活保護の返還金の取扱いなのですけれども、平成25年の改正で、不正な受給をしたときの返還金は、当人の同意があったら生活保護費から調整できるということは明記されておるのですけれども、不正受給以外の返還金に関しては、その取扱いが不分明であります。この取扱いについて、もし必要であれば法改正を行うなどして、本人と行政それぞれの負担軽減が図れるような措置をお願いしたいということであります。

 以上、よろしくお願いいたします。

○定塚社会・援護局長 ありがとうございました。

 次に、吉田広島県坂町長からお願いをいたします。

○吉田広島県坂町長 いつもお世話になっております。

 特に町村会の場合は、これまで説明された3者とはちょっと立場が違うわけでありまして、そういう観点からお話をさせていただきたいと思います。

 全国には927の町村がまだあるわけでございますけれども、そのうちの43町村が福祉事務所を設置している状況でありまして、884の町村がまだ設置していない状況もございます。

 我が坂町では、平成21年度より広島県から権限移譲を受けまして、この福祉事務所を設置しておるわけでありまして、広島県の場合には9町あるのですけれども、全ての町が権限移譲ということで、広島県から移譲を受けて、福祉事務所を設置しておりますけれども、福祉事務所の業務は大変奥が深いように感じております。9年目を迎えた現在でも、十分な対応ができかねる事案もあると担当からは報告を受けております。

 先ほど、広島市長からもお話がございましたけれども、幸いにして我が町は広島市に隣接をしているということで、広域行政の中で、例えば生活困窮者の世帯へ学習支援事業も実施しておりますし、平成30年度からは一時生活支援事業等も連携をして実施するということで、そういう関係で広島市さんの御支援もいただきながらやっているという、比較的恵まれた状況の場所にある町でありますけれども、全国にある884の町村は、いろいろ地域性もあり状況も違うと私は思っております。ぜひともそういう観点から、それぞれの地域性にも配慮しながら、また884の町村は、これまで各都道府県の指導を受けながらこの事業をやってきているわけでありまして、各都道府県との連携もしっかりできるような仕組みをつくっていただくことが、今、国が示しておられるもろもろの事業がより前進することにもなるのではないかと思っておりますので、このことにつきましても、ぜひとも御高配を賜りたいと思う次第でございます。

 そのほか、これは私たちの持論になるのかもわからないのですけれども、生活困窮者をいつまでも出すようなことがあってはいけないと思うのです。それを防止するためには、今、親御さんに云々、子供さんに云々ということがありますけれども、底辺を考えたときには、保育あるいは義務教育という段階から、全体的に教育現場あるいは文科省と連携をしながら、子供たちの育成の中で、そういうことを防ぐようなことも考えていくことが、将来にわたって重要になってくるのではないかと思っております。

 リポビタンDを飲んで、そのときだけは栄養が効いて元気だけれども、また1、2週間したら元気がなくなるということを防ぐためにも、底辺からしっかりそういう事業を進めていくことがよろしいのではないかと私は思っております。

 また、大学進学支援等につきましても、これは私の町の事例なのですけれども、優秀な子供は高校卒業でも採用するわけです。そして担当課の課長に、その採用した子供が大学に行きたいという希望があれば、昼間の大学には行けないのですけれども、例えば広島大学の夜間主コースに入学したりして、一生懸命頑張っている職員もおります。それはみずからが働いて、みずからが稼いだお金で大学へ行って卒業する。それをしっかり行政、町の中で支えていくことも大切なことだということで実施をしておるわけでございますけれども、できれば企業、自治体も含めて世の中全体、あらゆる働く場でそういう仕組みをつくっていくことも大切なことになるのではないかという気がしています。

 ある程度ハングリーな気持ちを若いときからしっかりと養成していくことも非常に大切なことだと思っておりますので、こういうことにつきましても、ぜひとも検討していただきまして、近い将来、そういうものが実現していただけるようになれば、我々もまた、そういう対応に対して力を入れていくことができると思っておりますので、こういうことにつきましてもよろしくお願いをいたしたいと思います。

 重ねてではございますけれども、884の町村にはまだ福祉事務所がございません。そこをしっかり配慮していただきながら、地域性を勘案していただきながら、都道府県とも連携をできるような仕組みをつくっていただきますように、心からお願いをいたしまして、私からの意見とさせていただきます。

 よろしくお願いいたします。

○定塚社会・援護局長 ありがとうございました。

 ほかに追加で意見あるいは御質問などはございますでしょうか。

○岡崎高知市長 1点だけ済みません。

 窓口負担の議論がいろいろされておりまして、この間、自民党の厚労部会でも意見交換させていただきましたが、窓口負担の問題は、恐らく滞納の問題もありますし、多分払えないと思いますけれども、窓口でケースの方が払うかどうか。そうすると医療機関としては滞納がありますし、それをまたケースワーカーが回収に回らなければいけないので、かなり大きな課題を持っていますので、そこは慎重な議論をお願いしたいと思います。

○定塚社会・援護局長 ありがとうございます。

 本日、さまざまな意見を出していただいて、ありがとうございました。

 いただいた意見の中で特に必要なものについては、追って自治体の皆様と議論の場を設けて、例えばケースワーカーの負担を軽減するためにどうしたらいいかということを幾つかの団体から出していただいたかと思いますので、そういったことについて引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 ほかにございませんでしたら、そろそろ時間も参っておりますので、取りまとめに入らせていただきたいと思います。

 本日の御意見を経まして、本日の協議の取りまとめとしては、配付した取りまとめ(案)のとおりとさせていただきたいと考えておりますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○定塚社会・援護局長 どうもありがとうございました。

 それでは、取りまとめを受けまして、加藤大臣より御挨拶を申し上げます。

○加藤厚生労働大臣 ありがとうございました。

 大変建設的な御意見がありました。特に松井知事初め、ケースワーカーについてご発言がありましたが、この話を聞きながら、ドイツで改革したときに、高齢者という状況と、まだ働く潜在能力を持っている人たちとを切り分けて対応するといった改革がなされていたという記事を読んだことが思い出されたところでありますので、限られた資源を、どう効率的に活用していくのかは、我々のほうも中でしっかり議論をさせていただきたいと思いますし、それ以外についても、まさに現場の皆さん、また市長みずからいろいろ御経験をされているということも踏まえて、的確なお話を頂戴できたと思っております。

 きょう、取りまとめについては御了解をいただいたということでございますから、これを踏まえながら、制度の見直しを進めさせていただきたいと思いますし、また、ここに反映していないものについても、しっかりと我々として受けとめさせていただいて、できるものあるいはさらに検討が必要なもの、いろいろなものがありますけれども、一つ一つ前へ進めさせていただきたいと思います。

 いずれにしても生活保護制度そのものが、その趣旨がしっかりと現実化されていく。また、それを通じて、生活保護によって守られるべき人は守られていくし、不適切な受給は是正されていかなければいけないわけでありまして、今後とも、そうした観点に立って、生活保護行政をそれぞれの現場においてお進めいただきたいと思いますし、また、私どもともしっかりと連携をとらせていただくことをお願い申し上げて、きょうは大変お忙しい中、こうして東京まで足を運んでいただきましたことに改めて御礼申し上げて、私の締めくくりの御挨拶とさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

○定塚社会・援護局長 それでは、以上で本協議を終了させていただきます。

 本日は御多忙の中、大変ありがとうございました。

 

※高知市長名「おかざき」の「さき」のつくりの上部は,一部ブラウザ上で正しく表示されないために,便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので,ご了承ください。

 


(了)

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