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2017年12月20日 第3回検体検査の精度管理等に関する検討会議事録

○日時

平成29年12月20日(水)13:00~15:00


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13B


○議事

 

○野坂医療情報管理専門官 定刻になりましたので、ただいまから第3回「検体検査の精度管理等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

 なお、本日は全構成員に出席いただく予定でございますが、佐々木構成員はいささか遅れているようでございます。

 また、本日は検体検査の分類の見直しについて、慶應義塾大学医学部の西原先生に参考人として御参加いただく予定でございます。

 続きまして、お手元の資料を確認させていただきます。

 まず議事次第、座席表のほか、資料1「医療機関における検体検査の品質・精度の確保について」。

 資料2「臨床検査における品質・精度の確保のための精度管理実態調査中間報告」。

 資料3「歯科医療機関または助産所における検体検査の品質・精度の確保について」。

 資料4は佐々木構成員提出資料ということで、要望書の形になっている資料がございます。

 あとは参考資料として、前回検討会における主な御意見ということで配付させていただいております。

 構成員の皆様の席のところには、机上配付資料としてゲノム診療用病理組織検体取扱い規程、これは日本病理学会さんが提出した資料でございますが、配付させていただいております。

 資料の欠落等ございましたら事務局にお申し付けください。よろしいでしょうか。

 冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 それでは、議事に移りたいと思います。以降の議事運営は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○楠岡座長 座長の楠岡でございます。

12月、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず最初、資料1「医療機関における検体検査の品質・精度の確保について」に関しまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。資料1をお手元に御用意ください。

 医療機関におけます検体検査の品質・精度の確保につきましては、前回、第2回の本検討会におきまして御議論いただいたところでございます。その内容を踏まえまして今回、医療機関における基準等に関しまして具体的な基準を御検討いただきたく、資料を用意しているところでございます。

 2ページをお開きください。2ページ、3ページは前回と同じ資料をお付けしているところでございますが、まず現行の確認でございますけれども、医療機関におきましては現行の規制のところにありますように、品質・精度管理の基準については特段、法律上の規定がなかったということを受けまして、本年6月の医療法の改正の中で、改正内容といたしまして一番下になりますが、医療機関が自ら実施する検体検査について品質・精度管理に係る基準を定めるための根拠規定を新設いただきまして、それを受けて今般、この検討会におきまして具体的な基準について現在、御検討いただいているところでございます。

 3ページになりますが、昨年度の矢冨先生の研究班におきまして医療機関が自ら検査を実施する場合の基準に関しまして、研究班の中で御検討いただいた内容がまとめてあるのが3ページになります。研究班の報告書におきましては、医療機関が自ら検査を実施する場合に設定する一律の基準として採用するものとして今、下に掲げられているものが挙げられております。大きく3つに分けられていまして、構造設備関係、管理組織関係、その他の事項(精度管理等)として大きく3つのカテゴリーに分けて整理いただいたところでございます。

 4ページにおきましては、現行のブランチラボ・衛生検査所と先ほど紹介しました研究班におけます医療機関における基準を表にしてまとめている内容でございます。これらにつきましてもその基準の項目につきましては大きく構造設備、管理組織、制度の確保に関するものという大きく3つのカテゴリーに分けて整理をさせていただいているものでございます。

 5ページ以降は、具体的な基準の御検討をいただいている資料になります。まず1つ目の大きな柱としまして、構造設備に関する内容でございます。これにつきましては大きく3つに分けまして、1つ目、面積に関する基準。2つ目、面積以外の構造設備に関する基準。3つ目、機械器具に関する基準という大きく3つのカテゴリーにおいて御議論いただいているところでございます。

 6ページ、前回の本検討会におけます各構成員からの御指摘をまとめた内容になっております。面積に関する基準と機械器具に関するいわゆる論点1と3の関係につきましては、特段設定する必要はないということで御意見をいただいたところでございます。一方、論点2に関しまして面積以外の構造設備に関する基準につきましては、そちらにありますようにバイオセーフティーの規制など、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律との関係を整理することという宿題をいただいたところでございます。また、医療機関における微生物学的検査で扱う微生物の安全管理についても、それなりの封じ込め、安全装置が必要ではないかという御指摘をいただいたところでございます。

 本日御確認いただきたい内容といたしまして、臨床検体について感染症法における取扱いとの関係をどう考えるかというところでございます。7ページをご覧ください。7ページはいわゆる感染症法におけます病原体の管理と施設基準との関係を模式化したイメージになっております。横軸にありますのがまず病原体を同定したところをゼロと置きまして、その後、届け出、滅菌、譲渡というプロセスに移るところでございます。この中で病原体を同定したところを0日といたしまして、その後、さまざまな考え方が整理されておりまして、滅菌、譲渡までの間に適切な保管の期間が規定されております。大きく分けまして、そういった同定をされた後に、病原体を所持する場合と所持しない場合と大きく分かれております。所持しない場合であっては、その病原体の種類に応じまして何日以内に届け出を行う、もしくは何日以内に滅菌の対応をするというような規定が設けられております。所持する場合におきましては一番下になりますが、施設基準でありますとか保管等の基準が設けられているところでございます。

 一方で今、御検討いただいております臨床検体の取扱いにつきましては、左になりますが、感染症法の規制の対象外となっているところでございます。これがまず現状の整理というところになります。

 6ページにお戻りいただきたいのですけれども、真ん中の2のところにあります面積以外の構造設備に関する基準の案というものを整理させていただいております。ここに関しましては医療機関におきましては、衛生検査所と異なり院内における感染対策を行っているため、特段の基準を設定しないということで事務局案を整理させていただいております。ただ、※に書いてありますように、検体検査を実施した後に感染症法に基づき滅菌処理をする必要がありますので、そういった場合、もしくは病原体を所持する場合におきましては、感染症法における取扱いに準じた取扱いを遵守していただくことに関しましては、医療機関の取扱いの中でも守っていただきたいと考えているところでございます。

 続きまして8ページにお進みください。大きな柱の2つであります管理組織(配置人員等)の基準に関する項目でございます。ここにおきましては大きく2つ論点がございまして、責任者の職種をどうするのか、また、配置人員数をどうするのかという2つの論点がございます。

 9ページ、前回の本検討会におけます各構成員からの指摘になります。まず責任者の職種ということに関しましては、責任者の職種について臨床検査技師が配置されていない病院、診療所があるため、医師以外の職種は臨床検査技師に限定すべきではないという御意見があった一方で、責任者の職種につきましてはカリキュラム等を学び、それに基づく国家試験を受けた職種としては、臨床検査技師だけであるという御意見をいただいております。

 また、医療機関においては医師の指示のもとに検査が依頼され、医師と臨床検査技師が直に議論する環境にあるため、指導監督医に類するものは必要ないのではないかという御意見でありますとか、検査データがクリニカルに正しいのかどうか、最終的な責任は医師がとるということなので、そことどう考えるのかという御指摘をいただいております。

 論点2の配置人員数の基準につきましては、特段不要ということの御意見があったと考えております。

 本日、御確認いただきたい内容といたしましては、10ページをお開きください。医療機関もしくは業務を委託した先の受託機関におけます各種責任者の状況というものを改めて事務局で整理させていただいたものが10ページになります。上の段と下の段、何が違うかといいますと、上の段につきましては院内で実施される業務。一方で下の半分以下につきましては委託先の受託されている業務ということで、それぞれの責任者の職種、さらにはそれを指導監督もしくは助言等をする人がいるかどうかという観点で整理させていただいております。

 現行の医療法におきまして医薬品の安全管理責任者でありますとか、医療機器の安全管理責任者におきましては、職種がそこに列挙されているものでございますが、いずれにおきましても指導、監督、助言といったものを別途定めるという規定は設けられてございません。

 一方で下半分になりますが、業務を委託するような場合におきましては、それぞれにおきまして責任者の職種を設けているのに加えまして、上の3つ、検体検査の受託、医療機器の滅菌消毒の受託、調理業務の受託ということに関しましては、それぞれ指導、監督、助言等を行う者を設けることとしているものもある一方で、下の4つ、患者さんの搬送でありますとか医療機器の保守点検、医療用ガスの供給設備、施設の清掃業務に関しましては、責任者を設けるだけで、それをさらに指導、監督、助言するという方はいないという整理になっております。

 こういった現行の他の責任者の職種でありますとか、指導、助言者の有無を踏まえまして、9ページにお戻りください。今回の検体検査におけます責任者の職種に関する基準としまして、左下の箱になりますが、今回、事務局の御提案としましては、職種としましては医師または臨床検査技師というのを御提案させていただいております。また、括弧書きになりますが、臨床検査技師が責任者になる場合は、その業務を確認する医師を特段置くということはしないということで、事務局案として整理させていただいているところでございます。また、右の配置人員に関する基準は前回、御提案したとおり不要ということで整理させていただいているところでございます。

11ページが最後の柱の精度の確保の方法等になります。こちらにつきましては11ページに研究班報告書の概要をお付けしているところでございます。論点として大きく5つほど挙げさせていただいているところでございます。

12ページは前回御提案している内容でございますが、具体的にどういった案内書でありますとか作業書、台帳というものを残すかというところを現行のブランチラボまたは衛生検査所における作業書、日誌等と比較して整理をさせていただいているのが12ページでございます。

13ページ、この3つ目の柱におきましていただいた御意見としましては、前回の中で作業日誌の保存期間が2年でよいのかどうか。2つ目としまして内部精度管理の実施でありますとか、外部精度管理調査の受検につきましては、特定機能病院や臨床研究中核病院に関しましては努力義務ではなく、義務にすべきではないかという2つぐらいの御意見をいただいたと認識をしておりまして、それらに対してどう考えるかというのが中段にございますが、標準作業書の作成、作業日誌の作成、保存をどの項目まで基準に含めるべきか。特に測定作業日誌の分量はどのようにすべきかということがあろうかと思います。

 2つ目としまして、内部精度管理、外部精度管理の受検に関しましては、一律努力義務とする一方で、特定機能病院でありますとか臨床研究中核病院というような一定の役割を担う医療機関における義務化についてはどう考えるかというところが、御確認いただきたい事項と考えております。

 最下段になりますが、具体的な基準案として今回、事務局から御提案させていただいている内容をここに掲げておりますが、まず作成をお願いするものといたしましては、試薬の管理台帳、検査機器の保守管理の標準作業書及び作業日誌、測定の標準作業書と測定の作業日誌、内部精度管理を行った場合の統計学的精度管理台帳、外部精度管理調査を受検した場合の台帳、こういったものにつきましては2年間の保存をお願いできればと思っております。

 一方で右の箱になりますが、医療機関の管理者に対しましては内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、研修の実施につきましては努力義務としてお願いしたいと思っております。

14ページ、医療機関が自ら検査を実施した場合の医療機関で保管いただきたいと考えている測定作業日誌のイメージをお付けしております。こちらには縦にどういう検査を行ったのかというのを掲げていただきまして、それぞれ件数、さらには今回の精度管理の観点から見た場合に、検査の不具合等の件数がどの程度あるかといったものをこちらに記載いただきまして、医療機関として保管をいただくことをイメージしているところで、こちらをお付けしているところでございます。

 事務局の説明は以上になります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 それでは、御議論をいただきたいと思いますが、内容的に幾つか分かれておりますので、先ほどの御説明の順でまず最初、資料の6ページの面積以外の構造設備に関する基準の要否、この点に関しまして何か御意見ございますでしょうか。

○宮地構成員 事務局の宿題の原因となった発言をした宮地でございますが、御検討ありがとうございます。感染症法との関係でよく整理されていると思います。しかしながら、感染症に関する7ページです。これは第4種までの特定の病原体というのは病原性が非常に高いものでございまして、実際の検査室で日常扱うものは第4種までに含まれない病原体がほとんどでございます。95%以上はこれに含まれない。しかしながら、バイオセーフティーの観点からは前回、御指摘したとおりでございまして、WHOの分類、BSLレベルに基づいて各国でそのローカルの事情を勘案して、地域または国で国内の基準を設けているということでございまして、日本の基準は前回も申し上げましたが、国立感染症研究所の安全管理規程というものがございますが、これに従って各医療機関、恐らく衛生検査所もそうですけれども、同様にBSLのバイオセーフティーレベル2の基準で運用している実態があるかと思います。

 従いまして、今回、感染症法との兼ね合いで保持または処理ということよりも、感染症法の外にある日常検査で同定される、または検査の対象となる病原体に関する規定が必要でございまして、これに関しては内部精度管理をやる上で特に重要となります。既知の検体等を使って再現性を見るとか、陽性コントロールに使うということはありますので、多くは保持しております。しかし、4種までの特定の病原体に入らないというものについては、バイオセーフティーレベルに従った管理が必要だと思います。ただし、省令に取り入れるというところでは、検査室の基準としてつくるというところは事務局としては考えていないということだと今お伺いしましたが、一般的に検査室で検査される大腸菌や緑膿菌などの一般細菌、それから、広くウイルス検査、病原体を検査するノロとかインフルエンザなどのウイルスや、それほど多くありませんけれども、梅毒などの病原体を扱うときには感染症の規定のいかんによらず、バイオセーフティーレベルでの安全管理が必要と考えられますので、そこのメッセージは誤解のないような形で通知等のときに御配慮いただければと思います。

○木下保健医療技術調整官 御指摘ありがとうございます。感染症法の規制の対象外であります大腸菌とか緑膿菌といった微生物に関しましては、御指摘いただきましたように、医療機関で日常的に取り扱うことが多いと考えております。その際に医療機関が現行の取扱いとしまして御紹介いただきました、国立感染症研究所の規定でありますとか、WHOの取扱いといったものに準じた取扱いをすることは、当然ながらバイオセーフティーの観点から重要と考えておりますので、今後その医療機関におきまして取り組みが前よりも後退することがないようにということは、御指摘のとおりと考えておりますので、医療機関に対する周知ということはやっていきたいと考えております。

○宮地構成員 よろしくお願いします。

○楠岡座長 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。

 そうしましたら、この面積以外の構造設備に関する基準は案どおりということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。

 次の論点でありますが、先ほどの資料でいくと9ページのところ、責任者の職種に関する基準、配置人員に関する基準の責任者の職種に関する基準というところでありますけれども、これに関しまして御意見いかがでしょうか。

○矢冨構成員 責任者の職種に関する基準についてですが、現状を踏まえますと、これは妥当な案かと理解いたします。しかし、括弧書きのところ、つまり、「臨床検査技師が責任者になる場合、業務を確認する医師は特段置かない」の箇所に関してですが、臨床検査を専門とする医師が、つまり、臨床検査に精通している医師が責任者になるのが望ましいというあるべき姿の方向性だけはコメントさせていただきたいと思います。

 以上です。

○楠岡座長 ほかに御意見ございますか。

○宮地構成員 追加させていただくと、今回、検体検査の品質確保ということですので、検査医のみならず、病理の先生方も関係するところと思っていますので、病理の先生からの御意見もお伺いしたいところでございます。法律になりますと非常に重いものでございますので、ある程度実態を踏まえてということになると、検査を専門としている医師、病理の専門の医師の数からすると、検査室の数にどうしても及ばないのです。

 外部精度管理調査で見る限りは4,000近くの病院が参加しておりますので、病院においてはそのぐらいの検体検査室は少なくともあって、参加していない施設が何割かありますので、5,000以上は検体検査室があると想定すると、そこをカバーするには、検査専門医が約700ですが、実際にアクティブなのが検査医の場合200300とも言われております。したがって、実際にコンピテンスを持った検体検査を管理できる医師がまだまだ不足しているというのが実態で、そこを補っているのが検査技師の方だと思うのです。

 そういうことで、実態を踏まえるとこの案は現実的でよろしいのですけれども、ただし、法律というのは現状追認だけでありますと前進がないので、ここは矢冨構成員のおっしゃるとおりで、方向性はしっかり踏まえた上であるべき姿を確認すべきではないかと思うのです。あるべき姿というのは、日本においてはこのゲノムタスクフォースの議論が法改正、検討会につながっているわけですが、国際的な水準を確保するというのが大きな目標でもあったわけです。では国際的な面で見ますとISOCAPという検査室の認定におきましては、医師というものが非常に強く押し出されておりまして、ISOですとISO 15189要求事項におきまして、検査の選択サービスの利用、結果の解釈に関する臨床的アドバイスの提供を確実にするということで、解釈の部分までしっかり盛り込まれています。これはやはり臨床的な経験を持った、素養を持った医師の存在を国際的には求めているわけです。

 一方、CAPです。アメリカで検査室の認定を取るための施設基準ですけれども、ここでは医師というだけではなくて病理学または臨床検査学における専門性が必須条件になっております。したがって、国際水準という意味においても、それなりの機能を持った検査室においては医師が必要だろうということは認識して、この法改正に臨む必要があります。検査がますます、プロセスが複雑化して、新しい分類の改定も技術が進歩して追いつかなくなったから見直ししているわけですけれども、技術が進歩すればするほどプロセスが非常に複雑で、結果の解釈も非常に難しくなっていて、その検査のプロセスと精度管理の状況を理解した人でないと解釈が困難になってきています。そういう専門の医師が検査室にいるということが必要で、当然、病理の検査室では病理医がそうですし、白血病等の血液疾患の形態診断は検査室で検査医がやっていますし、今後、広がっていくゲノムは検査データをそのまま返したら臨床医は全く理解できないので、国際的に求められているのは、一般の医師が受け取ってわかるような形で報告書を出しなさいということが検査室に要求されております。したがって、それなりの機能を持った検査室においては医師がいることがあるべき姿ではないかと考えております。

 そういう観点からすると、検査室で働ける、精度管理も理解し、クリニカルな素養を持った医師を育てていくということが重要ですし、一般診療所の多くでは医師が責任者になりますので、一般の医師の検査の精度管理に関する素養の醸成が今後必要だということを申し上げておきたいと思います。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 基本的には専門のトレーニングを受けた病理や臨床検査のドクターがいるべきなのでしょうけれども、現状は難しい。実際、病理の専門医は2,600人ぐらいですし、臨床検査は600人ぐらいだったと思いますので、それでは到底足りない、通常の中小病院はなかなか難しいです。ただ、それでも医師の指導のもとにという表現にすべきではないかと思っています。理想的には病理や検査を専門にする医者が管理すべきですけれども、将来的にはそれが望ましいが、少なくとも特段に必要がないと言い切らずに、医師の指導のもとにの表現にしておくべきではないかと思います。

○楠岡座長 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 私も同様の意見ですけれども、患者にとっても安全安心というのは非常に大事ですから、わざわざここに業務を確認する医師は特段置かないと書かなければならなかった理由が1つわからない。もしも書くのだとすれば、そういう専門医を置くことが望ましいと書くほうが常識的かなという感じがしたのですが。

○木下保健医療技術調整官 今回のこの記載をした背景としましては8ページをご覧いただきますと、前回の御説明の際に上段の研究班報告書を踏まえた形で、臨床検査技師を責任者にする場合に指導監督医をどうするのかということを、研究班報告書を踏まえまして御提示させていただいたところでございます。また、下の論点の1つ目の○の2行目になりますが、臨床検査技師の業務を確認する医師を別途選任することでよいかという形で事務局から御提案をさせていただいたところでございます。

 この観点を整理するというところで、今回、先ほどの10ページの資料でお示ししましたように、他の業務との関係を見た場合にどうかというところで、医薬品の安全管理でありますとか、医療機器の安全管理というものを整理させていただいたことを踏まえまして、まずは今回の業務の監督をする者はどうするのかというところの整理としましては、括弧書きの整理をさせていただいたところでございますが、先ほど各構成員からいただきました、本来どうあるべきか、将来どのようにあるべきかということは、最終的に本検討会の御意見という形でまとめていただくことは可能かと思っております。

○楠岡座長 省令として望ましいというような書き方はなかなか。かといって努力義務として書いてしまいますと、ではいつまでにしなければいけないのか、猶予期間はどれだけかという議論になりかねないところがあるので、書きぶりとしては医師または臨床検査技師ですけれども、その中で別途何らかの形で本来望ましいが、現状として全ての医療機関に求めるのは困難であると、菅間先生もおっしゃったような状況ですので、その辺のところをどのように表現するか。

○菅間構成員 専門の病理とか臨床検査の医師で限ろうとすると困難ですけれども、一般の医者が監督することで可能なわけですよね。

○宮地構成員 医療機関には医師がいることが前提で、現状で検査技師が検査を行うのも、法的に以前は監督のもとだったのですが、今は指導のもととなっておるのです。ですからそこでもう既に法的に縛りがあるので、改めてここで縛ると、ある意味、重複になってしまうということなのです。

○丸田構成員 臨床検査技師会からですけれども、先ほどから議論がありましたように、検査室に臨床検査の先生あるいは病理の先生がいらっしゃる場合は、臨床検査技師と協働させていただきながら、非常にクオリティーの高い検査が提供できているかと思います。いかんせん臨床検査専門医あるいは管理医、病理の専門医は十分な方がまだ市中の病院にはいらっしゃらない状況ですので、その中では臨床検査技師がしっかりと精度を担保しながらやっているという現状でございます。

 法的な部分におきましても、医師あるいは歯科医師の指示のもとに臨床検査を実施するという法律のもとに業務をやっておりますので、宮地先生がおっしゃいますように二重構造というのもいかがなものかと考えている次第でございます。

 以上です。

○難波構成員 今の議論も全くそのとおりだと思うのですが、臨床検査、病理という名前の医師だけが出ているのですが、現状としまして例えば遺伝の検査は遺伝の専門家が必要。これは臨床遺伝専門医を初め小児科、内科等が非常に多くて、いわゆる病理、臨床検査にそれほどいないということです。現状、これらの検査を担保しているのは多くは一般の内科であり、外科であり、小児科等々の医師であるという現状を踏まえますと、あまり病理あるいは臨床検査だけに特化するのではなくて、その専門の医師がきちんとマネジメントするという形で推奨していただいたほうがいいのではないかと感じました。

 以上です。

○宮地構成員 難波先生の御意見も非常に適切だと思うのです。実際に海外の状況はどうなっているかというと、検査室の総括責任者はやはり検査の素養を持った人で、そこに臨床コンサルタントという形で入ってくるのです。血液とか感染とか遺伝学とか各分野の専門家です。例えばミネソタ大学で言うと8人そういう先生方がいて、各分野2人ずつ検査室の中で仕事をされている。しかし、精度管理を勉強しているということが重要で、いわゆる検査のコンピテンスがしっかり担保できていれば、その検査室の中で仕事をしていただく。全体の総括責任という意味では国際的には検査をしっかりトレーニングした、また、資格を持った方ということなっております。日本の現状はよく理解できます。

 もう一つ、資料の10なのですけれども、ここが今回の修正です。医師の関与は要らないというような結論に至った院内で実施される業務と委託される業務に関する資料に関してです。これは参考になりますが、全く同列に考えていいのかどうかなのです。これらの資料を参考とした場合、要は責任者というのは精度管理の責任者と検査室の責任者を分けて考えていかなければいけなくなります。この医薬品安全管理責任者を例に出すのだとすれば、検査室全体の責任者ではなくて、精度管理の責任者という意味で論点とするならば、これは参考資料となります。

 それから、参考の委託される業務、これは政令8業種、委託できるものということになっておりますが、中身を見ておわかりのとおり、検査というのは医療の本質、本体でございます。今、検査結果が治療とコンパニオン等で直結する時代でございまして、その他の政令8業種と一緒に扱っていいかどうかなのです。医学的判断の7割は検体検査で決定されると言われております。治療に直結する時代にそのほかの衣食住に関わる業種と、患者医療の質を担保するための検体検査は同列に議論すべきではないと思います。

○矢冨構成員 難波構成員の御意見に関しても、私も全くそのとおりと思います。もし私が専門医という言葉を出してしまったので誤解を招いたようでしたらおわび申し上げます。

○木下保健医療技術調整官 前回との対比ということで今回こういう記載をさせていただいているところでございます。明記することは必要ないということであれば、書かないということになろうかと思います。

○矢冨構成員 前回の議論や、前年度の班研究の報告書を受けてわかりやすくという意味ではもちろん理解できますが、最終的な基準の文言には残す必要はないかなと思いましたので、ぜひお願いいたします。

○楠岡座長 ほかよろしいでしょうか。どうぞ。

○田澤構成員 今の矢冨先生の御意見についてなのですけれども、書かないということにした場合、臨床検査技師が責任者になる場合の解釈というのが少し曖昧になるのではないかと思うのです。(臨床検査技師が責任者となる場合、業務を確認する医師は特段置かない)を完全に削除する、もしくは先ほどのご議論の様に置くことが望ましいという書き方、あるいは条件として医師または臨床検査技師を括弧内条件付きで書くということがベースではあるものの、臨床検査技師が責任者になる場合はということを別途書く事で書くとしても、全く削除ということになると今度、医師または臨床検査技師としておきながら、臨床検査技師を責任者とする場合の基準というのが医療機関側でわからないということなると思うのですが、そこはいかがなのでしょうか。今ここの括弧書きの、臨床検査技師が責任者になる場合は、医師は特段置かない、は暗黙の了解として基本的には医療機関の中に医師がいて、当然のことながら指導しているというからという解釈だと思うのですけれども、責任者という観点で臨床検査技師が責任者になる場合というのは、そのまま何の制約もなしということでよろしいということでしょうか。

○宮地構成員 田澤構成員の補足をすると、3ページです。臨床検査技師を責任者とする場合には、業務経験を求めるというものまで外れてしまったということがポイントです。検査技師は国家試験を取ったばかりの方が精度管理に精通しているというのは無理があるのです。学生時代に精度管理を机上の学問として勉強していますが、いきなり国家資格だけで責任者になれるというのは非常に飛躍をしております。医師の場合はそれなりに国家試験の後、初期研修もあり、臨床を勉強しているので相当クリニカルのところがしっかりしているのです。検査も当然、勉強してきています。一方、検査技師についてある程度業務経験を求めるとか何かないと。先ほどもう一つの論点は、精度管理の責任者なのか、検査室の管理組織の責任者か、そこを明確化しておいたほうがいいと思います。

○木下保健医療技術調整官 2つ論点をいただいたかと思います。業務経験の考え方というところで、業務経験を求めるかどうか、また、医師ではなくて臨床検査技師のみ業務経験を求めるかというところかと思います。宮地構成員の御意見は、医師であれば臨床研修等さまざまな業務を経ているということであり、その分、いわゆる業務経験に当たるという考え方もできようかと思いますので、あえて臨床検査技師の場合だけ業務経験を求めるというのもいささかバランスが悪いような気もするところではあるのですけれども、各構成員の御意見をお伺いしたいと思います。

○楠岡座長 いかがでしょう。業務経験を求める。もしそうすると医師または業務経験のある臨床検査技師というような書きぶりになる。

○木下保健医療技術調整官 書き分けるのであれば臨床検査技師にのみ業務経験を求めるのか、もしくはご意見があったように医師であっても、臨床研修を終えた医師という記載ぶりになっていませんので、医師であっても臨床検査技師でも一定の業務経験を求めるという記載にし、どう運用するかというお話かと思います。

○宮地構成員 ここの構造設備は努力義務ではなくて義務のところでいいでしょうか。そうすると診療所も含まれますので、医療機関の数として、やはり診療所が大半です。病院と比べれば診療所の数は1桁多いわけですので、そういうところでインフルエンザとかの簡易の検査が非常に浸透しておりますので、そこに新たな業務経験というのは、初期研修を回っている中でも既に診療所で働いている先生方というのは既に一定の研修を踏まえていますので、医師については要らないと思うのです。この義務とする省令の一番高いところの文面に関しては要らないと思うのです。

○木下保健医療技術調整官 宮地構成員がおっしゃることは重々よく理解できるのですけれども、ここで医師と書いた場合に臨床研修を終えている終えていないということは明確になりませんので、おっしゃるように臨床研修を終えていないと診療所の開設者になれないということはございますけれども、必ずしも診療所であっても開設者でなくて雇用されている医師という方もいらっしゃいます。その場合、極論すると臨床研修を受けていなくても医療機関で雇用されるということはあり得る話でございますので、ここで業務というものの経験を求めるのであれば、医師だからいいというのはなかなか法令上の整理として難しいかなと思っております。仮に求めるのであれば医師であっても臨床検査技師であっても一定の業務経験を求めるというのが1つの整理かなと思っております。

○矢冨構成員 よくわかりました。ありがとうございます。

○日高構成員 確認ですが、現在、初期臨床研修が義務化されていて、2年の初期臨床研修を終えないと人を診られないとなっていると思うのです。患者さんの相手をすることができないと思うのですが、管理責任だけですか。

○楠岡座長 法律上は管理責任のみで開設者になれないというだけで、ただ、実際、初期臨床研修を修了していない医師を病院とか診療所で雇用するというのは、現実はあまりないと思いますけれども、臨床研修を実施しないと臨床行為はできません。

○日高構成員 論点が別の話ですので、これは後ほど確認させていただきます。

○佐々木構成員 少し伺いたいのですが、うちの大学でも初期臨床研修が進まないのが大体毎年卒業生の数名、多いときで10名近くいるのですが、その方たちは普通に診療ということは初期研修をやらなくてもできるということなのでしょうか。

○楠岡座長 その点はどうですか。

○佐々木構成員 研究者として基礎の道に行く。その先生たちがいきなり患者さんの診察を初期臨床研修をやっていなくてもできるのでしょうか。診療所の開設者になれないだけで、診療所の中で働いて患者さんを診ることが可能なのかどうか、よくわからないので教えていただきたいのですが。

○木下保健医療技術調整官 普通の診療というものと、法令上求めているできるできないというところの整理かと思いますけれども、担当課が医事課になりますので、もし改めて整理がということであれば、次回、御提示したいと思いますが、法令上の取扱いに関しましては先ほど御説明したとおりとなっております。

○楠岡座長 保健所の実地調査の場合は、卒後3年目以上の場合、病院で雇用している医師に関しては臨床研修の修了証を出せと必ず言われますので、そこのところは確認をお願いいたします。

 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 初期臨床研修は話が別だと思いますけれども、検査の精度管理をするに当たっての、医師だろうと検査技師だろうと、能力の話になると話は複雑です。実際の医療行為のための適切なデータを出すのが検査で、その責任は最終的には医師なわけですけれども、こういう形で全部臨床検査技師が責任をとる表現にすると、検査で間違った場合は医者ではなくて検査技師が全責任を問われることになると思われます。その誤解を防ぐためには医師の指導の下にという表現は二重になるかもしれませんが、入れておくべきなのではないかと思います。

○丸田構成員 医療機関において最終的には病院長という方が責任を持たれると私ども認識しておりますし、もちろん検査に明らかな非があるのであれば私どもが受けるというのは理解できるのですけれども、医療機関の事柄については病院長が責任を持つという認識でおりますが、いかがでしょうか。

○楠岡座長 最終的に責任者の責務として今回の法改正で求められているのは精度管理という点であって、先ほどからありますような解釈等を求めているものではないという理解でよろしいでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 そのとおりでございます。

○楠岡座長 そうしますと、責任者に関して医師もしくは臨床検査技師という中で、臨床検査技師に関しては精度管理に関する経験を求めるというものを省令レベルで書くのか、通知レベルで書くのかという話になってくると思うのですけれども、それを入れるとしたら事務局案としてはどのような形になるのでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 恐らく要件とするという場合には、それが望ましい規定ということであれば、恐らく通知のレベルでそういうことを記載することになろうかと思います。

○楠岡座長 精度管理の責任者を現状においては届け出という形ではないわけですけれども、当然これが医療法にあるということは、先ほどありますような保健所等の実地調査において責任者は誰ですかという話になり、その方が臨床検査技師の場合には経験を証明するものを出してくださいというような流れになるという、そのような感じがよろしいわけですか。

○市川構成員 ですから先ほどの話になるのですけれども、臨床検査技師を責任者にする場合は業務経験を求めるという研究班を変えた意味合いはどういうことか。

○木下保健医療技術調整官 変えた意味合いというのは、他の類するものとの関係でありますとか、実態を踏まえた場合にはこういう形でいかがかという御提案でございます。

○市川構成員 他の類するものとは具体的には。

○木下保健医療技術調整官 先ほど宮地構成員から御意見がありましたように、10ページで想定しているものを掲げているところでございます。参考にはなるけれども、これでいいのかというところは御意見があるところかと思いますが、こういったものと考えた場合に勘案してどうかということで、今回、事務局案としては改めて案を御提示させていただいてございます。

○市川構成員 ということは、これはあえて参考にしなくてもいいというのが先ほど宮地さんがおっしゃった部分ですので、もとに戻されたほうがよろしいのではないかと思うのです。研究班の文言をそのまま持ってくるということではいけないのでしょうか。

○楠岡座長 先生の御意見は、医師または臨床検査技師としておいて、臨床検査技師を責任者にする場合は業務経験を求めるという、その2段構えという立場。事務局いかがですか。

○木下保健医療技術調整官 御提案いただいたように医師または臨床検査技師とした上で、臨床検査技師の業務経験に関しましては通知等で明記するという方向で御対応させていただければと思います。

○楠岡座長 いかがでしょうか。それでよろしいですか。それでは、今の形でお願いしたいと思います。

 引き続き先ほど来のところで資料の13ページのところになると思いますけれども、まず論点1、2に関しましていかがでしょうか。すなわち業務日誌等のところでございます。

 今回、資料の14ページに出していただいたのは、前回の資料からすると少し簡素化させたものという考え方でよろしいでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 前回、この作業日誌のイメージというものが医療機関の場合、今回新規ということでなかったものでございますので、衛生検査所でどのようなものを利用しているか前回の資料でお付けしたところでございます。

 お手元のファイルをお開きいただきますと、前回の資料1の9ページに測定の作業日誌の例示というもので、現行、衛生検査所で活用いただいているものの例と、イメージのものをお付けしているところでございますが、これは受託、委託の関係にあります衛生検査所でこういったものを正確にお付けいただいていることを想定して、こういうものが今、運用されているところでございます。

 一方で今回、医療機関で御提案するに当たりましては、多くの医療機関がございます中で、恐らく診療所も含めて最低限この程度はつくっていただきたいということのイメージとして、これをお付けしているところでございます。極論これよりハードルの高いものを各医療機関の実際の検査の状況等を踏まえて作成いただくのはよろしいかと思いますけれども、少なくとも診療所も含めてこれぐらいの件数とどれぐらい不具合があったかというものを、こういった台帳で管理できるということを求めてはどうかということで、このイメージをお付けしているところでございます。

○楠岡座長 いかがでしょうか。

○宮地構成員 1つは今回、新しい基準ということで、実際の実態です。診療所も含めて初めての試みということで最低限必要なというところで絞る。その基本方針には非常に賛成いたします。

一方で例えば国際的な基準を何度も出して申しわけないのですが、アメリカにおいては実は70%以上の検査室が規制対象外になっております。つまり努力義務に近いようなものなのです。つまり強制的なものではないのですが、規制を免除していくことによってどんどんルーズになってきていて、それによる過誤が問題になっているのです。そのために最近CDCが診療所等で行う簡易の検査においてもしっかりとした手順書をつくって、それから精度管理と日誌を準備しなさいということでひな形が公表されております。それは個別の患者さんの名前や検査結果にはじまり誰が検査を行ったかとか、冷蔵庫の温度管理、それから、検査キットの管理です。例えばインフルエンザ検査キットの新しいロットになったときに、必ず陽性と陰性のコントロールを入れて、しっかり陽性、陰性が出るかどうかのチェック。こういうものが求められてはいます。

 しかし、これはあくまで参考としてそういうものがあるということは踏まえて、将来的なあり方としてはそれが望ましいのだろうと思います。参考となるサンプルを国として出すならば、幾つか選択できるような形にしておいたほうがいいのではないかとは思います。医療機関も非常に幅が広いので、提案資料のものだけですと到底及ばない。国際的な水準に達している医療機関もたくさんあるわけですので、そういう選択肢があったほうがいいのではないか。それによって、例えばインフルエンザの検査キットの中にしっかりと陽性コントロールと陰性コントロールが必要だという、製造販売企業にもそういうメッセージにつながるのです。日本ではそういうルールがなかったものですから、同じ検査キットでも、海外で売っている製品と日本では違うわけです。精度管理のチェックが義務化されていないということで、そういう製品が日本で使われているということになりますので、国があるべき姿に近いものを示すことがいろいろな意味で現場だけではなく、製造販売企業にもメッセージにつながると思います。

○市川構成員 確認ですけれども、13ページの下の左の欄にございます試薬管理台帳から外部精度管理台帳までを、この1枚でということですか。

○楠岡座長 前回の議論のときに、測定標準作業書に関しては診療所等であれば添付文書をファイルするのでいいという話になっていましたし、ここは測定作業日誌としての部分。それ以外のところに関しては、何か今後サンプル等が示されるのかどうかということになるかと思うのですが。

○木下保健医療技術調整官 宮地構成員、市川構成員からサンプルというお話をいだいたところで、今後整理する省令や通知におきましては、こういう項目は必須です、という項目を整理させていただくことになろうかと思います。その上でどういうところを目指していくのか、さらにどういうものを今後求めるのかというところにつきましては、どのような形で御提示するかいろいろあると思います。例えば、研究の成果とか、海外の事例という形の情報提供という形で、何らかの形で提示することはできるかと思います。それらを省令や通知の基準に盛り込むのはなかなか難しいかなと思いますので、要件としてこういうものを求めるというものを省令や通知に盛り込むものと、あるべき姿として目指すべき方向性としてどうあるべきかということに関する情報発信ということについては、分けて対応させていただければと思っております。

○市川構成員 そうしますと13ページの案にまた戻るのですけれども、全部で5項目ありますよね。先ほど座長言いましたように、測定作業日誌とかそういうものは機械の説明書で代用できるということなのですが、外部精度管理台帳という、これは外部精度管理をやったというのが前提になるわけですか。あと、統計学的精度管理台帳というのもあります。これも例えば内部精度管理をやって、その台帳というふうになるわけなのでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 今、御指摘いただきました統計学的精度管理台帳は、内部精度管理の実施と紐付いているものです。外部精度管理台帳につきましても、表の右にありますように、外部精度管理調査の受検に紐付いているものになります。ですので市川構成員から御指摘がありましたように、内部精度管理、外部精度管理につきましても努力義務という形で整理させていただきますので、それらを実施した場合には医療機関において、それを台帳として管理いただくという整理になると考えております。

○市川構成員 了解です。それもまたわかるようにしていただきたいということです。

 あと、そうしますと測定標準作業書というイメージが裏のページに相当するということでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 14ページのイメージの話ですが、測定作業日誌のイメージとして御提案しているところでございます。

○市川構成員 先ほどの部分に関しまして、班会議のほうでカルテを代用することを提案されておるのですけれども、それをここに変えて持ってきたという意味合いは。

○木下保健医療技術調整官 カルテに関しましては、患者さん個人の測定結果が記載されているところで、通常カルテにここで今、想定していましたのは検査の不具合の件数をカルテに記載することは、なかなか想定しがたいということでございます。今回はあくまで検査を行った場合に、どのようなことが起こっているかというものを医療機関として把握いただくという趣旨で今回は整理させていただいたということです。医療機関、件数の特に少ないところでは御負担かという気もいたしますが、医療機関として何件検査をやって、どういうことが起こっているのかということは、カルテとは別にこういった作業日誌、今回はこういうイメージをお付けしていますけれども、これらで検査ができているのか、機器がちゃんと動いているのかということは把握いただくことが必要あろうと考えておりまして、改めて整理をさせていただきたいと思います。

○市川構成員 よく意味はわかりました。検査全体としてつかむにはこれがいいと思うわけなのですけれども、例えば機械の不具合でどの症例が10例やって1個あったとなった場合に、逆に1日1,000人やって1個だと、どの症例かわかりにくい。逆にカルテのほうが個人名とかすぐ結びつくことが多いと思うのです。異常値が出た場合において特に。だからどちらをとるかというのはそれぞれの長所、短所があるものですから、現実的に精度管理も例えばカルテでも結構十分にできるのではないかと思っているのです。

○木下保健医療技術調整官 御検討いただいているのは、患者さんにどういうことが起こっているのかということではなくて、検査として精度管理はどうあるべきかということですので、検査結果を集めたようなこういった台帳で管理いただくほうがいいと思っているところでございます。個々の患者さんにどういうことが起こっているかというのは、当然ながら主治医の方が検査結果と患者さんの状況でありますとか、症状等をあわせて確認いただくことが通常でございますので、検査がどのように行われているかということの中における不具合につきましては、こういった台帳で管理いただくほうがいいのではないかと考えております。

○市川構成員 ただ、機械の不具合なんて逆に言うと本当にほとんどないし、あればすぐその日のうちに問題になる事項だと思うのです。ですからあえてここで例えばどういう、項目がイメージ的に、このイメージは多分あまりにもアバウトなのですけれども、生化学的検査、総たんぱくを1個出したので、本当は何十項目あるわけですね。現実的には。そうなってくるとかなりの作業量、手間が、免疫学にしても代表を挙げてあるのでしょうけれども、血液にしても項目は相当増える。これは多分全部で数百項目が1日に一覧として出てくる可能性があると思うので、そうなってくると果たしてそれが本当につくって、機械の異常をチェックすることがどれだけの意味合いがあるかなという疑問は若干あるのです。

○菅間構成員 今の話は病院の規模や、診療所を含めるとなかなか難しいところがあるということが背景にあるわけですけれども、いずれにしても内部精度管理、外部精度管理は努力義務です。この検査の不具合はどちらかというと、実施記録としての日誌よりは、精度管理の記録の中です。実数だけ書けばいいのであって、そのイメージとして出されているサンプルの中に、検査の不具合まで項目を入れることが問題なのでなはいかという気がいたしました。

○田澤構成員 13ページは極めて重要だと思っているのですが、前回の議論のときに座長の楠岡先生からも、プロセス評価とアウトカム評価のお話をされたと思うのですが、左側の台帳だとか作業書、いわゆるこれがプロセス評価の心臓部で、右のほうがアウトカム評価ということで内部精度管理、外部精度管理の両方を含めてアウトカム評価になると思うのです。

 そういう意味でプロセスの評価をする上で今ここに5つの作業書が明記されており、そのうちの統計学的精度管理と外部精度管理については、努力義務ですからそれらの精度管理をやった場合に書くということになるのですが、その残りの3つというのは試薬管理台帳と、機器の点検の標準作業書、測定標準作業書というまず大きなプロセス評価の基準を決めたものがあって、それに基づいて作業日誌があるというイメージでいるのですけれども、そういう観点で確認させていただきたいのは、少なくともこれらの3つの試薬の管理台帳と機器の管理の作業書、測定標準作業書については基本的には絶対に必要であると思いますが、そういう御理解でよろしいでしょうかというのが1点と、それらの作業書の中で作成された個々の医療機関の基準に基づいて作業日誌がつくられている場合、これは先ほどの14ページはあくまでもイメージということで、理解をたやすくするためにこういう表現をされているということで理解しているのですけれども、別にこれにこだわる必要はなく、少なくとも項目ごとに標準作業書の中で定義された基準や内容に対して異常があったかないかどうか、件数がどうかだとか記載されればいいと理解しているのですが、それでよろしいでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 今、2点御確認があったかと思います。

13ページの試薬管理台帳でありますとか標準作業書、策定標準作業書につきましては、全ての医療機関においてお願いする内容と考えております。作業日誌につきましてはあくまでイメージということで、各医療機関の中で趣旨目的を踏まえて、各精度管理をするに当たってどういうことが起こっているのかというのをカルテではなくて、こういったもので管理いただくことが趣旨で、事務局から御提案させていただいております。

○市川構成員 確かに試薬管理台帳、2番目の機器のはいいと思うのですけれども、最後のどうしても測定作業日誌のイメージが、これは私がかなり読み過ぎだということを田澤構成員がおっしゃったのですが、ここのところをもう少し例えば実際に検査を1日に10とか20とかの少ない医療機関もあれば、何千とやっているところもあるものですから、そのところのイメージとしてもう少し少ない医療機関がやる必要があるかどうか。あと、かなり大きな病院がやった場合にもう少し具体的な、医師会として会員にお知らせするときに、このようなことですと言えるものを次回でもいいですから御提示いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○丸田構成員 実際の現場では大きな施設、大規模施設では恐らく機械であるとか、検査システムであるとか、そういったところで管理がされていて、それとは別個いろいろなトラブルがあったときにはトラブルのリストがあり、それらが紐付くような仕組みが多くの医療機関でなされているかと思います。

 小規模の施設ではそういったことが十分にできていない場合が想定されますので、こういった一覧表の中に今日はここに不具合があったということがメモできるようなというイメージをされているのだろうと思いますので、あえてこれを1つのものにする必要は全くないと思いますし、紐付けがちゃんとできればよろしいかと思います。

○楠岡座長 時間が大分過ぎていますので、まず確認として先ほどの13ページ、左の5つのものに関して上3つは必須で、残り2つは努力義務なので、それを行った場合には2年間の保存。この2年間に関しては御異議ないでしょうか。では、その通りとします。それから、今の3つ必須のものに関しては、実際に省令をつくった後に、通知等でそれぞれの例えば試薬管理台帳にはどういう項目を記載すべきかということを出すと思うのですが、イメージとしてこういう14ページの表のようなものにしてしまうとかえって混乱があるので、そこに記載すべき内容のリストを、実際に通知はそういう形になると思うので、その案を一度示していただいて、それを含んでいればどのような形でもいいという話になるかと思います。そういうものを次回までに用意いただくということで、とりあえずこの点に関しては以上でよろしいでしょうか。

○日高構成員 確認なのですけれども、日誌に関してはまさに日報的なものなのか、それとも1週間単位でまとめてもいいものかというところを確認させてください。

○木下保健医療技術調整官 14ページの資料にイメージをお付けしておりますように、実際の検査をどのようにやっているか、件数を多少加味する必要があろうかと思っておりますので、特段少ない場合には毎日でなくても例えば1週間単位ということもあろうかと考えております。表現は日誌となっていますけれども、一定期間ごとにつけることを趣旨とさせていただければと思っています。

○日高構成員 基本的には一定期間というのは何か通知等で少なくとも1週間単位、例えば年に1回だったらあまりにも長い期間になってしまうわけですので、そのあたりは確認としておっしゃってください。

○木下保健医療技術調整官 常識的な範囲で定めたいと思っていますが、1年を想定していることはないというところでございます。1週間か1カ月単位だろうとは思っていますが、ここでこの範囲で決めますということではなくて、そういう範囲を想定しているところでございます。

○田澤構成員 私は日誌は日誌だと思うのですけれども、少なくともやった日には書かないと何もならないのではないかと思います。今の御説明で先生方が御納得いただけるのであればあれですが、日誌は日誌と言う事をご理解いただき実施したものについてはその日に書くというのが原点だと思いますので、意見として述べさせていただきます。

○楠岡座長 診療所等であれば、何件みたいなものを週ごとにまとめるというようないろいろな体裁が考えられると思いますので、必須事項をまず決めていただいてと次をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 そうしましたら、次が精度管理の話、先ほどの努力義務の点になりますが、これに関しましては矢冨構成員から資料2「臨床検査における品質・精度の確保のための精度管理実態調査中間報告」を御報告いただいて議論したいと思います。よろしくお願いいたします。

○矢冨構成員 

これは内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検の論点に関する調査の中間報告でございます。

 1ページめくっていただきまして、この調査の目的を説明させていただきます。検体検査における品質・精度の確保・維持のために内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検は重要です。しかし、基準の策定に当たっては我が国の医療機関等の現状を踏まえたものにする必要があります。

 そこで、医療機関における新たな基準設定や衛生検査所における基準の見直しなどのための基礎資料として今回、精度管理面を中心とする実態調査を実施しました。その中間報告でございます。

 次ページに調査の概要を示しております。10月2日から11月3日にかけて調査いたしました。無作為抽出いたしました病院1,300施設、診療所1,386施設を対象としまして、検体検査管理加算の取得ありなしにより分けて、資料に記載の通り、調査しております。基本的にはアンケート調査であり、記入済み用紙の送付または電子ファイルへの入力により回答いただくという形で、有効回答数は資料に書いてあるとおりでございます。有効回答率は、病院全体では25%、診療所は20%であります。加算を取得している施設のほうが回答率が高いです。

 次、1ページめくっていただきまして結果のまとめ1でございます。ここでは、特定機能病院・臨床研究中核病院・地域医療支援病院・臨床研修指定病院とそれ以外のところと分けております。実際の数としましては、この4つの機能を有する病院の回答数は110台でございました。当初、特定機能病院、臨床研究中核病院だけでまとめようとしましたが、これは実数が16で少数でしたので、この4つでまとめて評価したほうがいいと考えました。ただ、特定機能病院・臨床研究中核病院だけの場合と4つにまとめた場合とを比べて、結果自体は大きく変わっておりませんでした。

 それぞれの検査項目、つまり、微生物学的検査、血清学的検査など旧分類に準じた分類に関して、自施設で実施している比率、内部精度管理を実施している比率、外部精度管理を受検している比率を示しています。外部精度管理の受検に関しましては、前回の検討会では医師会と技師会の外部精度管理の説明をいただきましたけれども、他のものも含め、年間何件を受検しているかという数字の平均をお示ししております。また、赤が90%以上、オレンジ色が80%以上ということで色分けしております。

 次のページ、結果のまとめ2は病院と診療所で分けた場合であります。評価項目に関しては先ほど申し上げたとおりでございます。

 最後のページにこの結果をまとめております。病院の中でも、特定機能病院、臨床研究中核病院、地域医療支援病院、臨床研修指定病院においては、血清学的検査、血液学的検査、生化学的検査に関して、自施設での検査の実施率が7割以上で、精度管理の実施率も9割以上である。これらの病院群においては内部精度管理の実施及び外部精度管理の受検が高率に普及していると考えられます。

 上記の機能を有する病院群の外部精度管理の受検数は年間3.0±1.9件、メーカーサーベイを含めるとさらに多少増えますが、複数の外部精度管理の受検が一般的と思われます。ほとんどの施設は先ほども申し上げましたが、医師会と技師会の外部精度管理を受検されておられます。

 それから、診療所に関しても、自施設実施率は低いものの、血球算定、生化学的検査を中心に精度管理の実施が普及していると思われます。これは結果のまとめ2を踏まえたものであります。確かに自施設の実施率は低いものでありますけれども、実施しているところに関しましては内部精度管理、外部精度管理の実施率は悪くはありません。病院だけでなく、診療所に関しても、血液学的検査等を中心に精度管理が実施されている実態が明らかとなりました。

 以上がまとめでございます。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 ただいまの御説明に何か御質問はございますか。

 そうしましたら、ただいまの御報告も踏まえて、論点としましては内部精度管理の実施、外部精度管理の受検等については、一律努力義務とする。これは先ほども既に御議論をいただいた点でありますが、後半部分、特定機能病院や臨床研究中核病院のような一定の役割を担う医療機関における義務化という点が残っているところかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。臨床研究中核病院に関しましてはISOもしくはCAPの認証取得を要件にしておりますので、臨床研究中核病院にしては既にクリアされていると思いますので、先ほどの調査にありましたような特定機能病院、そして地域医療支援病院とか臨床研修指定病院に関してどうするかということかと思いますが、いかがでしょうか。

○市川構成員 かなり要求されているものが高い部分は当然、精度管理はやってしかるべきだと考えています。

○楠岡座長 ほかにいかがでしょうか。臨床研修指定病院になってくると、市民病院とかも入っているところもありますので、それなりの体制はあると思うのですが、義務化というところまで含めるかというのは難しいかもしれません。地域医療支援病院に関しては別途検討が始まっているところでもあるので、今後どのような要件になるかということはありますけれども、その辺はいかがでしょうか。菅間構成員からもその辺に関して御意見があればお願いしたいと思います。

 まず市川構成員。

○市川構成員 当然、臨床研修医が来るわけですから相当高度な医療をするのは当然ですので、精度管理はきちんとやっていただきたいと思います。

○菅間構成員 ただ、臨床研修指定病院はいろいろレベルがあって、大学と病院全体がタイアップしてやっているところばかりでなく、特定の科だけ関連で回ってくる臨床研修連携病院的なところもあるわけですけれども、どこまで広げるか。臨床研修指定病院も、今後、医学部の授業のカリキュラムも変わってくるに従い、臨床研修指定病院に小さな病院も入ってくることも、考慮いただければと思います。

○楠岡座長 御意見としては、基幹型は必須だけれども、連携型の場合は少し緩めてもいいのではないかという。

○菅間構成員 そのとおりです。

○楠岡座長 事務局はその辺、何か御意見ございますか。

○木下保健医療技術調整官 事務局から意見を述べるのは恐縮なところでございますが、今回御提案させていただいておりますように、それぞれの高度な医療を提供するでありますとか、臨床研究の開発に取り組むでありますとか、それぞれの位置づけでありますとか役割が異なっておりますので、それぞれの担うべき機能を踏まえた場合に精度管理がどうあるべきかというものにつきましては、本検討会からはそれぞれの条件等を検討する場合において検討するべきということを求めることにしており、制度、役割というものは例えば特定機能病院であれば特定機能病院がどういう役割を担うべきかという観点の中で御議論いただくほうがよろしいかと思っております。本検討会からはそれぞれの場にどうやるべきかということをちゃんと検討すべしということを求めるという形でいかがかと思っています。

○楠岡座長 いかがでしょうか。

○矢冨構成員 私も今の御意見に賛成です。厚労省の班研究の報告書では、特定機能病院と臨床研究中核病院だけに分けて議論しました。今回のアンケート調査では、この両者の合計が16と少なかったものですから、地域医療支援病院、臨床研修指定病院を合わせて合計110台となり、この結果を示したわけであります。ですから、趣旨としては、今、事務局がおっしゃったようなお考えでいいのではないかと私は思っております。

○楠岡座長 そうしましたら、こちらの検討会としましては、臨床研究中核病院は別ですけれども、特定機能病院等に関しては努力義務のままで置いておくけれども、今、検討が加わっておりますので、そこの場では精度管理に関しても御議論いただくということで事務局のほうから申し送るということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。

 そうしましたら、今のところ、先ほどの試薬管理台帳等に関しては次回また案を示していだくというところで、それ以外の点に関しましては今、御議論いただいた形で結論というふうにさせていただきたいと思います。

 それでは、次に資料3「歯科医療機関または助産所における検体検査の品質・精度の確保について」事務局から御説明をお願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 資料3を御用意ください。資料3におきまして、今、医療機関におけます精度管理・品質の確保に関しまして一定の御検討をいただきまして、一定の結論をいただいたことを踏まえまして、歯科医療機関または助産所における品質・精度の確保についてどう考えるかということを御審議いただきたいと思っております。

 1枚おめくりください。歯科医療機関または助産所におけます基準をどう考えるかというところで、基本的には医療機関におけます品質・精度の確保につきましての論点と同じ考え方で、歯科医療機関・助産所につきましても原則といたしましては医療機関における基準と同等の基準を求めることとしてはどうかということを考えているところでございます。

 3ページには歯科の診療所もしくは助産所で実施されています主な検査を例示として挙げさせていただいております。歯科診療所におきましては細菌の簡易培養の検査でありますとか、抜歯等の際に観血的処置を行いますので、それに当たりまして血液凝固能をちゃんと有しているかというところの検査が行われているということがございます。

 また、助産所におきましては、右のほうにおきましては妊娠の糖尿病でありますとか、高血圧というものの早期発見を目的とした尿検査でありますとか、左におきましては低出生体重児の方の血糖の確認を目的としました血糖検査がキット化されているものなどがよく行われている検査と伺っております。

 4ページになりまして、最終的な結論をこちらでお示ししているところでございますが、原則としまして医療機関と同等のものを求めてどうかというふうに考えております。差を設けているところといたしましては中段にありますが、管理組織に関する基準におきまして医療機関、歯科医療機関に関しましては医師、歯科医師または臨床検査技師ということを責任者の職種に挙げておりますが、助産所におきましてはその責任者の職種を助産師のみとしているところでございます。その他の基準等に関しましては医療機関と同等の要件としてはどうかということを、案として整理させていただいているところでございます。

 簡単でございますが、以上となります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 それでは、まず三井構成員、安達構成員から御意見をいただきたいと思います。

○三井構成員 歯科医師会の三井ですけれども、まず論点整理のところですが、原則医療機関における基準と同じ。歯科医療機関も医療機関でございますので、ここを分けているということ自体が本来、論点が違うのではないかというところであります。

 それと4ページ目のところです。そこの部分での責任者の職種に対する基準。ここにおきましても初めて医師、歯科医師という項目が出てきた。ここも分かれていたところが論点が非常に不思議だなと考えているところです。

 それから、一番のポイントなのですけれども、先ほどから出ています作業日誌なのですが、日誌だから毎日という御意見が出ておりましたが、我々は最近のバイオ検査とかでも常時やる検査、常時やる診療所もあれば、月に1件とかいう診療所もありますので、できましたらそういうことで先ほどから言われていますように、ある程度の単位でまとめて記載していけるという方向で取りまとめをしていただければありがたいと考えております。

 以上であります。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 安達構成員、お願いします。

○安達構成員 助産師会でございます。御提案いただいたとおりで特に異議等はございません。先ほどの日誌に関しては今、先生から御発言があったように、助産所の中には分娩の取扱が年間に2~3件のところもございますので、そういった場合には先ほど来のお話にありますように記載すべき項目だけを提示していただいて、あとは各助産所の状況に応じて管理することでさせていただければと思います。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 他の委員から、どうぞ。

○田澤構成員 補足でございますけれども、私が申し上げた日誌はあくまでも日誌であるというのは、今おっしゃられた年間3件の実施であればその3日だけ書けばいいという意味での日誌ということで申し上げたのであり、毎日毎日やっていないにもかかわらず書くということではございません。蛇足でございますけれども、あとはそれを1週間単位で書くのか、月単位で書くのかというのはいろいろ御議論があると思うのですが、あくまでも検査をやった日はその日に書きましょうということでございます。

○楠岡座長 ほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。

 そうしましたら、この点に関しましては今、御意見のあったところを配慮した上で提案どおりということで御承認いただいたということにしたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、次に議題2の検体検査の分類の見直しについて御議論いただければと思います。これは第1回目のときにいろいろ御意見が出まして、特に病理学会からの御意見をもう一度きっちり伺った上で分類をもう一度議論しようということになった経緯もございます。

 本日は、日本病理学会から慶應大学医学部の西原先生に参考人として出席いただいております。佐々木構成員と西原先生から資料4、その他の資料につきましてまず御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐々木構成員 最初、佐々木のほうから資料について説明申し上げたいと思います。

 資料4をお手元に御用意ください。資料4は要望書として楠岡先生、座長に宛てたものでございまして、日本病理学会の理事長名でこのような要望書を提出させていただきました。

 楠岡先生におきましては、実際に理事長と私と国立がん研究センターの落合先生と3目で相談に行かせていただきまして、この分類について病理学会の意見を楠岡先生のほうにお伝え申し上げた。そのときにいろいろ楠岡先生からアドバイスをいただきまして、資料4にあるように少し変更したものを今回新たに要望書として付けさせていただきました。この要望書の中で私のほうからは代読の形で、下段に1、2、3と数字を振ったところがございますので、そこを読ませていただきます。

 1.遺伝子検査は従来の検査項目に並列するものではなく、これから独立したものとして分けて分類すべきである。

 2.がんゲノム医療のための遺伝子検査において、検体取扱いのプロセス、遺伝子検査そのものの質、方法など検査に当たっては特別な精度管理が必要になる。このため、遺伝子検査の種類については用いる目的、対象(検体)の種類を明示しておく必要がある。

 3.ゲノム医療のための遺伝子検査において病理検体(組織、及び体腔液由来)を使用する場合、遺伝子検査の知識を有する病理専門医の指示のもとで検体の選定、切片の作製並びに病理形態学的評価が行われるべきである。また、遺伝子検査の解析結果(遺伝子検査報告書)をもとにした最終診断報告書(遺伝子診断報告書)の作製に当たって病理形態学的診断との整合性について分子病理専門医の確認が必須である。これらの点を明記した付帯条項を設けるべきであるということを、新たな要望書として楠岡先生宛てに出させていただきました。

 1枚おめくりいただきして、もう一つ、別表1、別表2と書いた資料でございます。こちらは実は日本病理学会として第1回の検討会のときに矢冨班から出されていました案2つがございました。

 案1というのは、病理学的検査の中から体細胞遺伝子検査(血液細胞によらない場合)というのを外に出して、全部遺伝子関連検査、染色体関連検査としてまとめたものでしたけれども、矢冨班から出された案2としましては、病理学的検査の中に体細胞遺伝子検査を残すべきだという案でございました。

 病理学会としては案2を推していたわけですが、実際の意見の調整、それから、第1回の議論の内容を受けまして、病理学的検査の中から体細胞遺伝子検査という言葉を除いた形になっているのが別表1というものになります。ただし、別表2とした遺伝子関連検査、染色体関連検査なのですが、こちらは恐らく別表1と同じ平面に並ぶものではなくて、別表2の遺伝子関連検査及び染色体検査というのは、実は別表1にある検査のいろいろな項目を含んでいるもの。つまり次元が異なるものであるという認識を病理学会としては持っております。そこでこの別表1、別表2というふうに分類をして、さらに高い精度管理が必要なものとして分けるべきであるというものを、折衷案として今回出させていただきました。

 この別表2に実は赤文字で書かせていただきましたが、例えば体細胞遺伝子検査の場合には実は血液検体によるもの、病理検体によるものなどが含まれますので、これはしっかりと病理というものがわかるように明記をしていただきたいという要望と、下に赤文字で書かせていただきましたが、病理検体を用いた検査の各工程は分子病理専門医が管理すること。また、pre-analytical processにおける病理検体の選定、標本作製、腫瘍細胞判定は、一連の病理診断行為として実施されることに留意することという文言をどこかに書き入れていただくことを、新たな病理学会の要望として検討会で御検討いただきたいということで提案させていただきました。

 さらに次の資料に関しましては、本日、西原先生に来ていただきましたので、西原先生から御説明願いたいと思います。

○西原参考人 慶應大学の西原でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございました。

 今、佐々木先生から御紹介がありました別表2に関して簡単に説明させていただきたいと思いますが、私が北海道大学のときから今260例以上のがんの体細胞変異、クリニカルシーケンスを実施してまいりました経験から、実際にどのようなプロセスで行われるかということをまとめたものになります。

 大きくは3段階、特にこのがん体細胞変異に関してはありまして、pre-analysisanalytical process、そしてpost-analysisというふうになっております。ですから入り口があって、真ん中があって、出口があるというイメージになっておりまして、特に病理検体を使った場合には、入り口のところで左下から病理検体を用いた体細胞遺伝子変異検査となってきていますが、ここで検体の準備というところがございまして、ここのところは事実上の病理診断行為とほぼ同等のことをしなければならない。つまりがん細胞が本当にいるのか。がん細胞の種類、量、これが最終的な診断プロセスにおいて必須のものになりますので、それを後で実例でお示ししたいと思います。

 その後、DNAの抽出が行われて拡散解析、これは次世代シーケンスを想定したものとしておりますが、仮に次世代シーケンサーでないものであっても基本的には同じことになるのですが、解析のところ。ここのところは入ってくる検体というのは実は血液検体であったり、微生物検体であったり、いわゆる病理学的なpre-analysisが必要ないものは、この途中のところから入ってくるようなイメージになります。ただし、実は次世代シーケンサーの取扱いについては、読み込み深度というような機械の設定がありまして、これは実は検査の目的、サンプルの状態によって調整をしなければならない。これは検査を行うときの病理医の意見や検査の種類によって調整をしなければなりませんので、ここで病理あるいはこういう病理学的検査を行う人間の意見が反映されなければ正しくいかないことになります。

 最後のpost-analysisのところは、報告書の作成に至る部分、診断行為に直結する検査でございますので、ここのところの判断の上ではバイオインフォマティクスと言われている遺伝学的な検査の報告書を作成する上での1つの考え方、プロセスと同時に病理学的な形態学の評価と最終的に整合性をとった上で診断を作成しないと、間違った結果になる場合がある。このように非常に複雑なプロセスになっておりまして、いろいろな人員が絡んでまいります。

 別に添付しております組織が載っておりますものをご覧いただきたいのですが、ここに2つの例が載っておりますが、これはどういう部分かといいますと、実際にがんの組織を使ったクリニカルシーケンスを実施した場合に、細胞がここに見えておりますが、入っているがん細胞の量と、上に赤の枠で囲ってあります数値、これががん細胞由来の遺伝子異常を持つリードの数でございまして、これの整合性がとれないと実はシーケンスノイズと言われているような間違ったデータを拾ってくる可能性がありますので、ここの整合性をとるという作業が必要になります。

 実はその次のページをめくっていただきますと、さらにもっと恐ろしいことが起こるという実例をお見せしたいと思いますが、これは本当に最近あった症例なのですが、このように組織像がありまして、実際に160遺伝子の解析をこれで実施いたしました。

 この次のページに解析報告書という小さな文字になっているものがございますが、こちらに出てきた遺伝子変異が一連出てきております。これは実はぱっと見ると何ら問題のない、遺伝子変異がたくさんあるタイプのがんだなと見えるわけでありまして、このまま普通にバイオインフォマティクスの解析報告書が出てしまいますと、これは遺伝子変異が多いタイプで、いわゆる免疫チェックポイント阻害剤が有効であるという判断になります。しかし、ここで見てみると、右側にある枠の数値と左側に列挙されている遺伝子変異の数が実は合わないのです。合わないということに気づいたバイオインフォマティクスの専門家が我々病理医にフィードバックをかけてきまして、この合わない部分に関しての理由を探してほしいということで、実は次のページにありますようなデータの解析、詳細解析を実施いたしましたところ、他人の遺伝子が入っている可能性が高い。つまり患者さんの血液検体とがんの組織、2つのサンプルで我々は解析しているのですが、それ以外に別の人のSNPが入っていますということがわかりました。

 それで最終のページのところにまた組織の絵がありますが、もう一度病理医がこれを検証いたしましたところ、一番大きなミミズのようになっているもの、これががんの組織でありますが、これ以外に、実はその下に小さなピースが2個あったのです。これは当初、病理医が判断したときには腫瘍細胞の一部だろうと見えたのですが、どうやらこれが拡大してよく見てみますとリンパ球の集積でありまして、これはどうやら病理標本作製の過程で他人の組織が混入していたということでありまして、これは正直、病理医がぱっと見たからといって、これで混入だということは普通わかりません。遺伝子レベルで調べたことと相関をとった結果、混入であるということがわかった実例になります。これが要するにわからないような状態になってしまうと、間違った遺伝子診断報告書が出ていく。これは私たち260例ほどやっておりますが、これに近い事例が3例ぐらい出てきます。これはバイオインフォマティクスと病理医がコラボレーションすることで最終診断に行く。何回かバック・アンド・フォースで行ったり来たりしなければいけない。

 こういうプロセスというのは今までの検証検査の中にはまずほとんどなかったことでありまして、通常の病理学的な診断プロセスにおいてもあまりないことであります。そういうことを考えますと、遺伝子検査においては通常の今までのコンセプトよりもう一段階上の管理をすべきではないかと考えて、このような別表1と2に分けて記載をしていくことが、この次のステップの精度管理ですとか法的な基準にむしろ合致するものではないかということで、このような意見書をつくらせていただきました。

 以上になります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ただいまの点に関しまして御意見ございますでしょうか。病理学会からの御意見としては、今、ここで議論をしている分類に関しましては図1にあるような別表1、別表2という形。前の場合はこれが縦につながっていたのを切り分けるということ。別表2の中に体細胞遺伝子検査に関して血液検体によるものと病理検体によるものを分けて追加で記載し、それに関して下に赤字であるような病理検体を用いた場合には注意点としてこういうものを付け加えるという形を希望されるという理解でよろしゅうございますか。

 あとは西原先生の御説明の図2ですけれども、この中で今回、分類表に関するのは真ん中にある核酸解析の部分ということになるかと思うのですが、御説明の趣旨はよく理解しているつもりなのですが、DNA抽出とか、あるいはそれらより先の検体準備のところまで精度管理に含める必要があるという御意見なのか、そこは別途注意すべきところで今回の精度管理に関してはこの核酸解析のところに重点があるという、そういう解釈でいいのか、その点に関していかがでしょうか。できれば最初から最後まで全部ということなのですけれども、そうしますと当初こちらが見ている分類表の範疇からかなりかけ離れてしまうところなので、病理における遺伝子検査あるいはパネル検査においての注意点というのは、ここに含めるか、別のところになるかですけれども、この点に関しましてもう少し追加していただければと思います。

○西原参考人 この枠の中で議論する上では、楠岡先生おっしゃったように拡散解析のところが主体になると思います。ただ、今、申し上げたような事象がありますために、今後恐らくpre-analysisのところ、あるいはpost-analysisのところがしっかりした検査、新たなものになっていく。あるいはここの部分と一緒に議論しなければいけない。そういうことを考えますと、ここを別のもの、別表2という形で分離しておくと、この別表2だけを成長させていくようなことができるのではないかということがありますので、今回はanalysisの真ん中のところの議論になるかと考えております。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 菅間先生、どうぞ。

○菅間構成員 なかなか技術的に複雑で難しい話で、理解されている人がどのくらいいるのか疑問ですが、先生がおっしゃりたいことはpre-analysisの検体を採取する段階から最終的な判断の段階まで、病理医が行う最終的な診断に向けての医療行為であって、切り分けるべきではないというニュアンスで受けとってよろしいですか。その点とは別に、私は第1回目、分類のところは中座いたしまして議論に加われなかったので、別の観点から少し意見を述べさせていただければと思います。この遺伝子検査さらには今後拡大する遺伝子治療諸々は、今後の医療におけるイノベーションの一番のポイントであろうと思います。それは多分誰も異議がないところだと思うのですが、そのための精度管理は絶対に必要です。これまでの議論の中で遺伝子関連検査を他の検査から切り分けて独立した分類にせざるを得ないというのは理解できます。ただ、その時に今の話のように技術的に、あるいは医学的に、医療行為から切り分けられた検査として行われると、いろいろ問題がある。

 あわせて医療経済的な観点で、第1回目の最初に、本検討会の趣旨と違うという話がありましたが、検査の分類は直接その費用に関係します。参考に聞いていただければと思います。具体的には、いろいろな検体、例えば出産直後に娩出された胎盤の臍帯から、その児の恐らく将来を決めるであろう遺伝子の検査が可能な時代になっています。難病も含まれ、そのためにも精度管理諸々が必要です。あわせて理解しておかねばいけなとこととして、アメリカでは、遺伝子検査は先ほどのバイオインフォマティクス、ある意味で、コンピューター・IT産業とくっついて、市場規模としてかなり大きく広がる可能性がある、あるいは現実に広がっていることです。この観点を考慮すると、遺伝子検査だけがひとり歩きして、外部の検査センターだけに流れてしまうような枠組み、たてつけにならないように考えておかないといけないと考えます。

 もっと具体的に言いますと、今、検体検査の7~8割方は、中小病院だけでなくて、大病院も含めて、既に外に出ているのが事実だと思います。完全に遺伝子検査が一検体検査として分離すると、ほぼ全てが外注検査になる可能性があると思うのです。そうすると、今後、遺伝子検査にかかわる費用が保険から、あるいは税金から出ることになります。自由診療の部分も入ってくるかと思いますけれども、遺伝子検査にかかわる費用のほとんどが医療機関の外に出てしまう可能性がある。この点を踏まえた上で、遺伝子検査の分類項目は精度管理の点から必要だと思いますが、遺伝子検査、遺伝子診断は最終的な医療行為であり、医師の指導のもとに行う行為であるということを、分類にきちんと明示しておかないといけないと、医療経済的にも考えられる。そうしないと、今後、たくさん医療費が使われる遺伝子検査の収益は、病院、医療機関ではなくて、全て外のIT企業と結びついた検査センターに流れてしまうことになってしまうのではと危惧します。以上です。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 西原先生、佐々木先生の御存知の範囲あるいは事務局も医政局なので健康局マターのことをお伺いするかもしれないのですけれども、がんは今パネル検査を中心にしているところです。これに関して病理学会のゲノム診療用の取扱い規程を出されていますが、今後そういうものを一般医療とか、パネル検査に関しては特定の遺伝子検査拠点に絞ろうという話もあると聞いております。そういうところでの先ほど西原先生が示されたような一連の流れに関しては、何かガイドラインみたいなものが示す方向性があるのかどうか。あるいはそこで示されないけれども、例えばこの病理学会のものに準じて行うようにというような方向性があるのかどうかというところを少し。

 言うならば今、我々が論じている遺伝子検索を含めた精度管理が縦糸とすると、西原先生がおっしゃっているようなパネル検査というのはある意味、横糸で、今、我々はちょうどクロスするところを論じているような形になると思うのですけれども、そういうガイドラインがもしきっちり示されるとか、あるいはそれに準ずるものがあるならば、縦と横をある程度分離させた上で交点の議論ができてきますし、当然横糸部分は今、菅間先生がおっしゃったような将来的に胎盤レベルからの遺伝子検索とかいうようなところに係ってくるところもある。もともと社会保障審議会医療部会で最初にこの話を聞いたときには、遺伝子検査のほうでは将来どんな生活習慣病が発症するかというようなことを有料で行っているような分析機関みたいなものがあって、そこの精度が結構いいかげんであったりとか、解釈がいいかげんであったりしてそこに規制がないので、そこを規制することも含めて今回の臨床検査全体の精度管理に結びつけたと御説明を受けています。今、申し上げたような特にがんに関しては、そのようなガイドラインがあるのかとか、あるいはその辺が将来的にどうなるかのところ、それから、今、私が申し上げている縦糸、横糸の関係に関しまして、もしわかる範囲で御説明いただければと。

 あと、事務局のほうでもし何か追加があればお願いしたいと思います。

○佐々木構成員 私は厚生労働省のがんゲノム医療中核拠点病院の施設要件を決めるためのサブワーキングのメンバーをやっていまして、その中で議論として出されていたのが、パネル検査を実施できる体制があることという中に、そのパネル検査をやるためのいわゆるpre-analysisの部分が非常に重要であるということが議論されまして、その中に日本病理学会が発行しているゲノム研究用病理組織検体取扱い規程及びゲノム診療用、今、皆様のお手元にあるこれですが、この取扱い規程に準じた精度管理を行いなさいということが、施設基準の中には明記される予定になっております。

 また、いわゆるクリニカルバンクに当たる部分だと思うのですが、そういう検体の保管にあってもきっちりとこのようなプロセスを守ってやりなさいということで、規定のほうを2種類、研究用と診療用の病理組織検体取扱い規程を参考にして手順書をつくれというようなことが要求されているところでございます。

○西原参考人 pre-analysisのところはそういうことで、病理学会としてきちんと対応できているわけですが、実はこの後のanalysisのプロセス、どういうパネルなのか、パネルの解釈、方法論というところは、実はそれを特定に管理できるような学会というのは今ない状態でありまして、私が知っている範囲では、そういうガイドライン的なものをつくるような動きというのは実はないと思います。むしろ西尾先生が今日はいらっしゃっているので、西尾先生のほうが御存知だと思います。

○西尾構成員 タスクフォースでもいわゆるpost-analysisの段階については各専門家、病理の先生も含めてエキスパートパネルでもってレポートを書く。それが先ほどおっしゃっていたような医療行為に当たるという認識ではありますけれども、その運営についての精度管理も含めまして健康局マターかなという感じもします。

 別の論点なのですが、赤字で書いてある部分についてお聞きします。分子病理専門医というのが存在するのかということです。

○佐々木構成員 非常に細かい御指摘で、しかも的を得ている御指摘なのですが、実は分子病理専門医の認定を病理学会として今年度中に始めようということで準備中でございます。ただし、現在はまだ認定はありません。もちろん病理学会だけではなくて、例えばいろいろなほかの学会と連携をして認定を始めていこうということで現在、準備をしているところでございます。

○西尾構成員 それは機構とかが認めているような専門医の制度ということですか。

○佐々木構成員 まだそこの段階には至っていません。立ち上げて専門医制度ということで、専門医という名前を使わせていただこうということで、専門医機構に申請を出して認めていただいた専門医とか、そういうことではないです。

○西尾構成員 それを今、検討されているということですか。

○佐々木構成員 はい。現在検討して、今年度中には100名ぐらい認定できないかということで、国立がんセンター東病院の落合先生を中心に進めているところでございます。

○菅間構成員 最初の精度管理の話と同じだと思うのですが、実際は専門の分子病理専門医ができても十分な数にならず、現状でなかなか難しい。しかし、遺伝子診断、遺伝子治療は、今後莫大に広がっていく。その中で、一般の中小病院でも、ドクターがいる場所では一般に患者さんが、遺伝子診断治療を受けられる体制を作ることをまず考えるべきではないかともちろん思うのです。その体制構築を病理医中心に考えることも、あるいは臨床検査医を中心考えることも必要だと思われます。精度管理のために遺伝子検査を別枠にするとしても、遺伝子診断はあくまでも医療行為として、検体採取の最初と最終判断の最後のところは必ず医者の介在があるような形の枠組み、検査分類と矛盾しないようにきちんと残すということが大事です。そうすれば通常の一般の中小病院でも、病理医がいないところでも、担当の臨床医ができれば、そういった遺伝子診断、遺伝子治療が可能で、今後、日本国民の医療にとって大きなメリットになるような気がいたします。感想ですみません。

○佐々木構成員 今の御意見なのですが、実はがんゲノム医療中核拠点病院の話し合いの中では、西尾先生がおっしゃったようにエキスパートパネルによる出てきた結果の解析などは、がんゲノム医療中核拠点病院は大体11カ所とか12カ所とか言われていますけれども、そこでエキスパートパネルを開催する。さらにがんゲノム医療中核拠点病院が自分たちの病院にさらにひもづいたがんゲノム医療連携病院というものを指定して、それが大体全国に、まだわかりませんけれども、1病院10ぐらいと大体の概算をしていまして、100カ所ぐらいできる。ですので先ほど100名と言いましたのは、そういう病院に1名程度そういう医師が配置できるということで、100名程度という数字を出させていただきました。

 さらにこの後、がんゲノム医療に関しましては、どんどん拠点となる病院がふえていくということを健康局のほうでは話し合っておりますので、まずは拠点となって、しかもエキスパートパネルをやるようながんゲノム医療中核拠点病院にそういう医師がちゃんと配置できるようにということで現在、進めている最中になります。すぐに全部の病院に行き渡ればいいのでしょうけれども、それはかなり難しい問題になりますので、まずはエキスパートパネルを開催するようなところにちゃんとそういう医師を配置することが目的ということで、認定を始めようということを検討しております。

○伊藤構成員 2点ほどお伺いしたいと思います。

 1つはコンタミネーションの原因が特定されたということのようですけれども、これはどういうことだったのか。そういう事例をたくさん集めないと今後のゲノム編集なんかにも大きな影響があるのかなと思って、ちょっと考えさせられましたので、そこのところも教えていただきたい。

 もう一点は、解析報告書を見ますと問題ありとか問題なしというのも自動的に出るようになっているのですけれども、本当に専門の先生が見なければわからないのか、あるいはAIをきちんと利用すれば自動的に出てくるものなのか、今後もたくさんそういう事例が出てくるでしょうから、そこあたりの見通しとか中身を教えてください。

○西原参考人 まずコンタミの原因なのですけれども、これは実は病理のブロックというパラフィンの中に組織を埋め込む作業のときに、これは本当は起こってはならないことではあるのですが、小さな組織片が例えば浮遊していたりすると、技師は前の人の検体の破片が残っていても、それがわからずに埋めてしまうということがどうしても発生します。ただ、通常の形態学的な病理診断においてはそういうところは見ないのです。意識的にそこは違うなということで見ない。メーンのところだけを見るということで検査は正確に行われています。

 しかし、こういう遺伝子検査になってしまいますと全部がとられてくることになりますので、そこが区別できない。そうすると形態学的な診断と遺伝子診断が常に表裏一体でやっていかないと正しい答えにいかない。そういうことでありますので、今後こういう遺伝子診断がどんどん一般化していくと、多分、作業工程において技師たちもどういうことに気を付けなければいけないかということが徐々に浸透していくと思いますので、そこはだんだん減っていくとは思っております。

 あとは報告書の作成におけるAIの活用というのは当然、我々もそこは目指してやっておりまして、実際こういう報告書をつくるのは今、バイオインフォマティクスの会社が事実上のAIに近いようなシステムをもうつくっておりまして、ほとんど全自動に近い形でこういう報告書が出てきます。ただ、残念ながらデータベースの更新ですとか解釈という部分に関しては、まだまだAIで全部カバーできる状態ではないというのが正直なところでありまして、マニュアルの作業がかなり入ってまいります。見通しという意味では何年後にそれがAIで全部できるようになるかというのはなかなか難しいのですが、恐らく3年とか5年ぐらいの間には相当自動化が進むと考えております。

○宮地構成員 時間が限られている中でがんゲノムにシフトし過ぎた感じがします。そもそもここでの議題は検体検査分類の見直しなので、分類について議論させていただければと思います。御提案の図1の分類ですけれども、体細胞遺伝子検査を血液検体と病理検体にサブグループに分けるということなのですが、この背景は西原先生のがんゲノムまたは次世代シークエンサーを使った測定前、測定、測定後のプロセスのことを勘案してという背景もよくわかりました。

 しかしながら、もともと臨床検査の検査過誤による医療過誤の大半は統計上、測定前にあるのです。それは遺伝子になっても、次世代シークエンサーになっても変わらないのです。ただ、遺伝子関連検査や次世代シークエンサーについては、より特段の注意が必要なのは間違いありませんが、本質は変わらないので、分類に当たってこういう事例があったから分類に影響するというのは、説得力が弱いと思います。

 それから、体細胞に限らず、例えば病原体核酸検査もこれは病理検体で例えばEpstein-Barr virusだとかin situで見ているわけです。その観点でみれば、これもサブグループに分けなければいけない。それから、染色体検査も既に事例に書いてあります。固形腫瘍と血液疾患も分けなければいけなくなる。そうすると複雑化していって本来のシンプルな分類でいきましょうという前提が覆るのと、もう一つ、この分類はあくまで衛生検査所の登録のための分類です。したがって、分類のご提案は衛生検査所に病理の医者を置くようにという意味なのか、大きな提言になります。

 西原先生からの図の文面でも一番上にISO 15189承認、精度管理された臨床検査センターでの受託解析または院内検査ということで、外部委託を前提としています。それでよろしいのでしょうか。外部委託を前提とした議論で、これもISO 15189承認というのは正式な言葉ではなくて、認証も実は間違っていて、正しくは認定なのです。よく混同されるのですが、認証と認定は全く違う概念です。認定は技術的要求事項を満たした能力のある検査室で、認証というのは仕組みを持っているかですので、例えばISO 9001は認証でいいですけれども、ISO 15189は認定です。

 それから、臨床検査センターが登録衛生検査所を前提としているならば、この分類案を前提とした反映したものにする場合、登録衛生検査所に分子病理医を置くようにというメッセージでよろしいのですか。つまり、分類の前提は登録衛生検査所の登録をどの分類でやりますか。今まで一次分類に遺伝子がなかったのですが、遺伝子のラボ、登録衛生検査所がふえてきたので、そのために分類の見直しが必要になりました。今後、質量分析とか新しい技術が出てきたときに、そういうラボが登録衛生検査所登録したいときに登録できないことを回避するための分類案の取り扱いです。医療機関で使うための分類ではないので、そこを前提として議論しなければいけないと思います。

○佐々木構成員 逆にそれを言うならば、例えば体細胞遺伝子検査で病理検体を使うところの登録衛生検査所に全く医師がいなくて大丈夫のでしょうか。

○宮地構成員 いたほうがいいと思います。

○佐々木構成員 そういう意味では、登録衛生検査所の体細胞遺伝子検査を扱うところに病理医がいるべきであろう、関係するべきだろうということで、このように体細胞遺伝子検査のところに特に病理という言葉を入れてほしいと言ったのはそういう意味合いです。

○宮地構成員 そういう意味ですね。つまり医療機関は別に置いておいて、登録衛生検査所には病理医または分子病理医を置くべきということですね。

○佐々木構成員 はい。そこは恐らく田澤構成員の実際に登録衛生検査所にかかわってきた方の意見も伺いたいと思うのですが、逆にこの体細胞遺伝子検査の精度管理を考えたときに、そこに病理医が関係していないというのは考えづらくて、そういう意味で重々医療機関ではなくて登録衛生検査所の分類ですよというのがわかった上でこのような分類。

○宮地構成員 それは大きな前進だと思うのは、登録衛生検査所では最終診断レポートを出してはいけないというのが今までの病理学会の見解だったと理解しています。その点で、大変大きな意味を持っていると思います。

 あと一点、精度管理の話ですけれども、精度というのは海外ではクオリティー、品質と呼ばれていて、精度管理というのは西原先生おっしゃるとおり、測定前プロセスから測定後プロセスまでを含めた品質保証というものが国際的な考え方で、検査室で責任を持って行うのは測定前から測定後までで、測定だけではないということでございます。その点のメッセージは非常によかったと思いますし、遺伝子においては特に重要だと確かに思いますので、その登録衛生検査所で最終診断レポートを出すということは、画期的なメッセージです。ぜひ田澤構成員から。

○佐々木構成員 すみません、ちょっと言わせてもらうのですが、3段階、入り口、出口、真ん中と分けたときに、真ん中の部分に病理医の関与というものが必要なのであって、私は一番最後の出口のところで病理診断レポートを書けとは一言も言っていないです。必要なのは真ん中のプロセスで、例えば腫瘍細胞比率がきちんとしたものでなければ、今般ありましたけれども、白血病の患者さんの遺伝子検査で実は腫瘍細胞が入っていないために検査結果がネガティブに出ていて、治療が中断されたという事例が衛生検査所でありましが、そこの部分から要するに診断ということではなくて検査の中の真ん中のプロセスにも遺伝子検査をやるならば、病理医がかかわるべきであるということを言っているのであって、病理診断報告書を出すとか、遺伝子診断報告書を出すということは、一言もこの場では言っていないという認識でいただければと思います。

○宮地構成員 そうすると、西原先生の図は意図と不整合になるということですね。

○佐々木構成員 西原先生のこの図は、恐らくは衛生検査所にというだけではなくて、全体に関わったようなこととして医療機関も含めてということだと思うのですが。

○宮地構成員 図では、報告書作成に病理学的評価との整合性、最終診断というところで病理医が最終報告書を出すとなっています。

○西原参考人 もし分子病理専門医という資格の人が出てくれば、恐らくそこで最終報告書をサインアウトすることになると思います。なので正直今、現場でやっておりまして、そこが一番自分の中では不安といいますか、誰がこの遺伝子診断報告書の責任をとるのだろうと。サインアウトする人が今いないのです。そこは誰かがやらなければいけないというところです。

○宮地構成員 それが国際的な基準で遺伝子に限らないのですけれども、遺伝子はより治療に直結したり、人の将来を左右することがありまして、最終的に医師が責任をもってサインするというのが最低必要です。レポートにも解釈をしっかり書いて、一般の医師が受けとってわかる形で報告書を出しなさいというのが国際的または日本版ベストプラクティスガイドラインでの要求水準でございます。

○田澤構成員 今の佐々木先生の御説明の中で、1回目の検討会の議事録にも書いてあると思うのですが、第一回目の検討会で私が説明をさせていただいたときに衛生検査所で常勤されている医師若しくは病理医、委託契約ベースの医師、この方々に最初の病理標本の評価をしていただく事は十分可能だと申し上げました。

 そのときに基本的には現時点の解釈として(これは保険と絡めてはいけないのですけれども)、病理検査の外部委託については保険医療機関間の出し側と受け側の1つの流れがあって、衛生検査所の中でやるべき内容というのは病理の標本をつくることと言うのが前提にあります。その流れの中で今のようなソマティックな遺伝子検査をやるときに、作成した病理標本のマイクロダイセクションをその様に行うかいったときに病理医に依頼すればいいのではないでしょうか。病理医が今いる衛生検査所もありますし、それから、委託契約ベースで存在しているところもある。菅間先生からもみんな衛生検査所に流れるというお話があったのですが、病理検体を用いた体細胞遺伝子検査ができる衛生検査所は基本的には本当に5つか6つしか無く、基本的には分析機械が高いとか、特別な検査室環境をつくらないといけない、あるいは人員も特別な技能を保有する人を用意しなければいけないということが理由です。ですから今日の御説明で、病理標本を用いた体細胞遺伝子検査を行う衛生検査所に病理医が必要と言う事であれば、今自身もそれは実現することができると考えておりますが、それでよろしいのでしょうか。

○佐々木構成員 逆に体細胞遺伝子検査で病理検体を使うものというのが、衛生検査所の分類を今やっていますけれども、その中でも病理医のいわゆるアナリティックな部分への関与が必要になってくるので、田澤構成員が今おっしゃったように非常に限定された施設であるというのであれば、なおさら衛生検査所の分類の基準として少し遺伝子関連検査、染色体関連検査の部分は打診してはっきり分けておくべきではないかと思いますし、精度管理に関しては別とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、この検討会自体が検体検査の精度管理等に関する検討会とついていますので、そういう意味も含めて、あとは矢冨先生の矢冨班でも議論されていましたが、遺伝子検査については施設基準や施設基準なんかも認定を取って、なおかつ高い精度管理を求めるというような議論が恐らく昨年なされていたと思いますので、例えば血液学的検査だとか、病理学的検査という並びとは別なのかなということで、病理学会の意見として出させていただいた次第です。

○楠岡座長 大分時間が過ぎておりますし、なかなかここで結論が出ないような状況でございますけれども、病理学会から御提案をいただきましたので、まず座長預かりとして事務局と検討いたしまして、次回の検討会に案という形で示させていただき、そこで最終的なものにさせていきたいと思います。その形でよろしゅうございますか。もしそれまでに何か御意見あるようでしたら、事務局のほうに御提出をよろしくお願いしたいと思います。

 そうしたら事務局から、ほかに何かございますか。

○野坂医療情報管理専門官 次回開催については、1月頃を予定しております。詳細については改めて御連絡させていただきます。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 それでは、これで閉会にいたします。時間が延長して申し訳ございませんでした。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 


(了)

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