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2018年1月22日 第10回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成30年1月22日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(20階)


○議事

○斎藤会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第10回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大雪の予報もある中、また御多忙中のところ、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日でございますが、現在のところ13名の委員に御参集いただいており、会議の定足数に達していることを御報告申し上げます。

 荒木田委員、今井委員、岡本委員からは、おくれるとの連絡をいただいております。また、田辺委員からは、欠席との連絡をいただいております。

 参考人といたしまして、国立病院機構福岡病院名誉院長の西間三馨先生に御出席いただいております。

 続きまして、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○魚谷課長補佐 資料の確認の前に、本日、福田健康局長は急な公務のため欠席とさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 貸し出し資料といたしまして、初回以降の資料及び「アレルギー総合ガイドライン2016」を配付させていただいております。こちらは会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませぬよう、よろしくお願いいたします。

 今回の第10回アレルギー疾患対策推進協議会資料といたしまして、以下の資料を御用意しております。

 議事次第。

 座席表。

 アレルギー疾患対策推進協議会委員名簿。

 資料1 アレルギー疾患医療提供体制の整備について。

 資料2 平成30年度アレルギー疾患対策予算案の概要。

 資料3 アレルギー疾患対策研究戦略の策定について。

 参考資料1 アレルギー疾患対策基本法。

 参考資料2 アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針。

 参考資料3 「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」報告書。

 参考資料4 「都道府県におけるアレルギー疾患の医療提供体制の整備について」

       (平成29年7月28日厚生労働省健発0728第1号 健康局長通知)

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

○斎藤会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○斎藤会長 これより、本日の議事に入らせていただきます。

 一昨年の12月に、第9回協議会にて「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」に関する議論をとりまとめてから、約1年が経過いたしました。協議会での議論の取りまとめ後、昨年3月に基本指針が大臣告示されております。

 その後、指針策定の議論において宿題となっておりましたアレルギー疾患医療提供体制や研究に関する中長期的な戦略の策定に関しまして、厚生労働省のほうで検討を進めているところでございます。

 本日は、先ごろ、閣議決定されました平成30年度アレルギー疾患対策予算案とともに、医療提供体制及び研究戦略について、事務局のほうから御説明いただきます。

 それでは、事務局よろしくお願いいたします。

○貝沼課長補佐 よろしくお願いします。

 まず、アレルギー疾患医療提供体制の整備について説明いたしますので、お手元の資料1と参考資料3、4をお持ちいただければと思います。

 まず、1枚目の下のほうのスライドになりますが、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会の構成員は、本協議会に入っていただいていなかった病院団体や診療科の代表者にも加わっていただきながら検討を進めました。

 本協議会の委員の皆様からは、50音になりますが荒木田委員、海老澤委員、岡本委員、加藤委員、斎藤会長、西間参考人、松本委員、山口委員に検討会の構成員として入っていただき、さらに小児科医会から大塚構成員、全日本病院協会から織田構成員、日本病院会から黒川構成員、患者会代表としまして田野構成員、衛生部局の自治体のほうから中澤構成員、保健所長会から永野構成員、眼科医会から早川構成員、日本医療法人協会から馬場構成員、国立病院機構から藤澤構成員、日本薬剤師会から村松構成員の御参画をいただきまして、検討を進めさせていただきました。

 1枚おめくりいただければと思います。この1枚に、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会の報告書概要としてまとめさせていただきました。細かい文字になって申しわけないのですが、平成29年3月に「アレルギー疾患対策基本法」に基づき策定されました「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」において、国は、アレルギー疾患医療の提供体制について検討を行い、その検討結果に基づいた体制を整備すること等とされたことを受けまして、平成29年4月に「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」を設置しました。

 この中の協議を踏まえまして、平成29年7月に同検討会報告書がまとまり、都道府県が、住民の居住する地域にかかわらず適切な医療や相談を受けられる体制を整備する上で、参考となる考え方を示しました。なお、同日に、参考資料4にありますように都道府県に対しても局長通知を発出しております。

 主な内容について御紹介したいと思います。右の図とともにお聞きいただければと思いますが、まず、この一番下にございますが、地域において、一般病院、診療所でアレルギー疾患は診療されることが大変多い状況になってございます。その中で、適切な情報が適切に届くように、この医療体制を整備することが必要ではないかと考えられました。

 その中で、そのキーとなっていただくところとしまして、都道府県レベルに都道府県アレルギー疾患医療拠点病院を置くことを考えております。この拠点病院は原則1、2カ所程度、都道府県のほうで選定をしていただき、この都道府県拠点病院を中心に実施されますアレルギー疾患対策の企画、立案を行う都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会を設置することとされています。

 地域レベルでの一般病院や診療所に勤めていただく医療従事者の皆様には、都道府県の拠点病院において研修等を行ったり、情報交換等を行ったりして、医療においては紹介、逆紹介というシステムを回すことで、患者様に適切な医療が届くことを想定しております。

 また、この都道府県拠点病院をまとめていく施設として、国レベルの拠点病院としてとしましては、法の中で国立成育医療研究センターを中心拠点病院と定め、そして基本指針の中で、国立病院機構の代表として相模原病院を中心拠点病院として示させていただきました。

 その都道府県の拠点病院とこれら中心拠点病院の連絡会議も年に1回行うことで、各都道府県における現状を共有できるような場所をつくっていきたい。また都道府県の拠点病院で勤めていただく先生方に、こうした中心拠点病院においての研修等も、これから整備していくこととしてございます。

 次に、下のアレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業は、平成30年度の予算案の中に、新規に組み込ませていただいたものでございますが、このように都道府県の中で拠点病院を整備していくに当たり、アレルギー疾患の都道府県の現状は非常にさまざまであることが一つの問題点として議論されました。その中で、この都道府県の拠点病院を整備していく上でのモデルとなるような事業をすることによって、都道府県での医療の格差が少なくなっていくようなガイドとなるように、この事業を展開していきたいなと考えております。

 その中で、アレルギー疾患対策基本指針が告示され、各都道府県はこれからアレルギー疾患に係る医療提供体制を検討していくことになるが、これらについては各地域での状況がまちまちであり、標準的な体制がどのようなものであるかを示されるものが、現状存在しない。この懸念を払拭するため、モデル事業を実施することで、各都道府県拠点病院が行うアレルギー診療体制構築の一助とするということで、予算が認められまして、3,100万円の予算案が現状で検討されているところでございます。

 モデル事業の中身としましては、拠点病院内や関係する医療圏内での患者相談への対応、アレルギーに関する医療従事者育成のための研修、そして一般病院への診療支援等を実施するために使っていただければと考えております。

 以上でございます。

○斎藤会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局からただいま御説明のありましたアレルギー疾患医療提供体制の整備につきまして御質問等がございましたら、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 川崎市の坂元でございます。

 この予算のほうを見ると3,100万円と、もう一つが1,700万円、この拠点病院の3,100万円というのは、主にどのようなことに使われるのか。もしおわかりになれば、お教えいただければと思います。

○貝沼課長補佐 お答えいたします。

 こちらのモデル事業のほうは、現状考えていますのは、全国に公募をいたしまして、その中で3ないし4カ所程度のモデル事業を構築できればと考えています。

 その中でどのように使っていただくかは、まさにこれからとはなるのですが、中身としましては、先ほど申しました都道府県のアレルギー疾患医療連絡協議会の中で、それぞれの地域に何が必要なのかを検討いただくことになりますので、そういったものの検討を実施していく。また、医療従事者育成のための研修等を行っていく際には、少し事務的な要素が必要になってきますので、そのための経費として使っていただくことを想定してございます。

○斎藤会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 もしなければ、また質問がございましたら後ほどでも結構ですので、先に進めさせていただきます。

 次でございますが、平成30年度のアレルギー疾患対策予算案につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○貝沼課長補佐 ありがとうございます。

 次に平成30年度アレルギー疾患対策予算案につきまして説明いたします。資料2をごらんいただければと思います。

 初めに、平成30年度リウマチ・アレルギー疾患対策予算案についてということで、全体の枠組みを1枚の中で示させていただきました。

 5つの中の細かいものはそれぞれ次に説明いたしますが、アレルギー情報センター事業、そして医療体制の中ではアレルギー疾患医療提供体制整備事業、先ほど申しました都道府県拠点病院モデル事業の2つが今回の医療提供体制の整備を受けた新規の予算案として認めていただいております。また、これまでにも実施してきましたリウマチ・アレルギー特別対策事業までが政策に関する予算になりますが、平成29年度と30年度の予算案を比べていただきますと、総じて29年度の中では2.600万程度だったところが、こうした基本指針や医療提供体制の報告書を取りまとめいただいたこともありまして、そこが大きく増額いただけたということがあります。

 また、研究のほうは、厚生労働科学研究費補助金及び保健衛生医療調査等推進事業費補助金ということで、いわゆる厚労科研とAMEDの実用化研究を合わせまして、6億弱の予算を頂戴してございます。

 以上より、平成29年度、30年度予算を比べますと、全体で9,000万円ほど増額させていただくことができました。

 続きまして、1つずつの予算案につきまして、少し説明を加えさせていただきます。アレルギー情報センター事業について、背景を説明しますと、アレルギー相談事業について従前より補助事業として実施してきましたが、「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針(平成29年3月21日厚生労働省告示第76号)」に基づき、国として必要な対策を行う必要がある。指針の中でどこを抜粋してきたかといいますと、「国は、関係学会等と連携し、アレルギー疾患の病態、診断に必要な検査、薬剤の使用方法、アレルゲン免疫療法(減感作療法)を含む適切な治療方法、重症化予防や症状の軽減の適切な方法並びにアレルギー疾患に配慮した居住環境及び生活の仕方といった生活環境がアレルギー疾患に与える影響等に係る最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウエブサイトの整備等を通じ、情報提供の充実を図る」とさせていただいております。

 事業の内容としましては、本事業は日本アレルギー学会に補助金として提示していきますけれども、その中で、先ほど申しましたウエブサイトの作成のほかに、現在も行っていただいていますリウマチ・アレルギーに関する一般向けの相談窓口の設置でしたり、また、現在10月に行っている、リウマチ・アレルギー疾患を有する者への対応が求められることが多い施設関係者に対する研修会の開催、さらには、アレルギー疾患を有する者への対応が求められることが多い施設関係者向け研修資料の作成を進めていくことになっています。

 次に、アレルギー疾患医療提供体制の整備に関しての予算案について御説明いたします。

 この1枚の表を見ていただきますと、アレルギー疾患医療提供体制のイメージとしましては、国レベルとして中心拠点病院、これは成育医療研究センターと相模原病院を指定させていただいておりますが、臨床、情報提供、研修、研究といった観点で、事務局的な機能も果たしていただくことになり、そのためのアレルギー疾患医療提供体制整備事業としまして、中心拠点2施設を合わせまして1,700万円の予算案とさせていただいております。

 また、その下のモデル事業に関しましては、先ほども説明しましたが、都道府県の拠点病院を整備していく上でのガイドとなるものを、3,100万円の予算で整備していきたいと思います。

 そして、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会の中でも、これの開催経費にもなりますが、リウマチ・アレルギー特別対策費としまして、もともと予算があります。こちらの予算につきましては次に説明させていただきますが、500万円から1,400万円に増額させていただきました。

 おめくりいただきまして、モデル事業のほうは先ほどもありましたので割愛させていただきますが、リウマチ・アレルギー特別対策事業としましては、背景に、リウマチ・アレルギー特別対策事業については、従前より補助事業として実施してきたが、「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針(平成29年3月21日厚生労働省告示第76号)」に基づき、国として地方公共団体が行うアレルギー疾患対策について、必要な支援を行う必要があるとされています。

 事業内容としては、アレルギー疾患医療連絡協議会の開催、医療従事者、保健師・助産師、福祉施設従事者向け研修及びエピペン講習会などの実施、患者カードの配布の促進並びに患者の自己管理等正しい知識の普及啓発事業の実施、地域の喘息患者並びにリウマチ及びアレルギー系疾患患者の実態把握を目的とした分析調査の実施等に使っていただくために、都道府県や政令指定都市や中核市のほうに2分の1補助という形で行うことのできる予算でございます。

 以上でございます。

○斎藤会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から説明のありました平成30年度アレルギー疾患対策予算案につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。

 武川委員、どうぞ。

○武川委員 武川でございます。御説明どうもありがとうございました。

 一つお聞きしたいのですが、アレルギー疾患対策基本指針の中で、アレルギー疾患に対する予防とか、具体的には小学校、保育園といったところでの患児のアレルギー疾患対策がいろいろと記載されています。その辺に関しては、厚生労働省だけではなく、文部科学省等のアレルギー疾患対策関係 予算配分も全体として知って、その上でどのようなことが行われるのかを我々も知りたいと思っていますが、いかがなものでしょうか。

○佐々木課長 がん・疾病対策課長でございます。

 今、御指摘のとおり、法律に基づいての政策でございますので、全省庁を挙げての取り組みということで私どもは進めております。

 本日の資料は、確かに厚生労働省の資料だけではございました。この場ですぐ、手元でほかの省庁のということはございませんが、これから対外的にさまざま発信していく上で、また政策を進めていく上で、他省庁との関係も含め、政府全体で取り組んでいる姿が見せられるように工夫したいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○武川委員 ありがとうございました。

○斎藤会長 ほかはいかがですか。

 本田委員、どうぞ。

○本田委員 ちょっと時間がたったので、皆さん既に承知のことかもしれないのですけれども、確認も込めて2つ質問があるのです。

 資料1と2両方に関係するのですけれども、一つは、相談事業の件なのですが、上の事業内容のアレルギー情報センター事業のところを見ると、ウエブサイトの作成、一般向け相談窓口の設置等とあるのですけれども、一般向けの相談というところに関してなのですが、がんのことがイメージにあったので、拠点病院というのが個々に圏域の、県内とか府内とか都内とか、主にどこの病院でもいいのですけれども、拠点病院がそういうことを担って、より津々浦々の相談を受けるというイメージが私にはあったもので、これは、日本アレルギー学会が一般向けの相談窓口を持って、ホームページを通じた情報発信をするとともに、相談への回答等をするという感じでいいのでしょうか。

 また、殺到した場合、アレルギー学会は大変だと思うのですけれども、できる体制はどうなっているのかというのが一つです。

 もう一つは、今度は施設関係者に対する研修会、提供体制のあり方にもかかわるかと思うのですけれども、中心拠点とか拠点というところはかなりきっちりやられると思うのですけれども、一般の患者さんというのは診療所とかそういうところにまず行くことが多い。私自身も実は大人になって突然、食物アレルギーを発症したのですけれども、一般病院とかにとりあえず行くことがままあると思うのですが、そういうところに研修が広がっていくことを希望したいのですけれども、参加することをどのように促していくのかということをどのように考えていらっしゃるのかというのが一つ。

 それに関連して、一般の市民がそういう研修を受けた診療所とか病院であるということがわかるような情報公開。例えば、研修を受けた病院ですとか、そういう公表みたいなこともお願いしたいと思っているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

 以上です。

○貝沼課長補佐 御質問ありがとうございます。

 まず、1つ目の実際の相談事業に関してなのですが、がん拠点病院のようにそれぞれの都道府県の拠点病院でそういった相談窓口を持つべきではないかという議論も当初、なされたのは事実でございます。

 ですが、先ほど少し申しましたような各都道府県の実情を考えていきますと、なかなか現状でそれを各都道府県の拠点病院の責務として負わせることが現状では少し難しいのではないかという意見の先生方が多くございました。

 そうした中で、当面は、まず全体像としてアレルギー疾患医療に携わる人を育てるということを含めて、それが行えた後に、そういったことに対して取り組んでいけたらいいのではないかということで、まず来年度は、中心拠点病院ないしは日本アレルギー学会のほうで連携しながら取り組んでいきましょうというところで、日本アレルギー学会の中で相談事業を継続していくことになりました。

 現在は、日本アレルギー学会の相談事業の状況といいますと、まず、そこには事務局として常に看護師が配置されておりまして、毎日電話相談を受けていただいているような状況です。その中で、もちろんFQAのような形で、決まった質問に関してはその場でお答えいただくようにはなっていますが、なかなかそれだけでは返答が難しく、医療的なコメントが求められる場合は、協議の上、専門医から返答いただくといったシステムを現在はとっております。

 次に、施設関係者の研修の中で、一般の患者さんはどうかというところなのですが、もしよろしければ、参考資料3の一番後ろに都道府県アレルギー疾患医療拠点病院の役割の具体的内容についての例示ということで別紙2がございますが、その中の➁情報提供のところで、都道府県拠点病院と協議会と連携した中の役割として、患者やその家族に対するアレルギー疾患の講習会等の定期的な実施や、都道府県と協力して地域住民に対する啓発活動を実施するということも明記してございまして、この中で事業として取り組んでいっていただけたらなということを想定しています。

 資料1の裏面にございますアレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会報告書の概要図の中で、地域レベルの中には一般病院だったり診療所だったり薬局だったりといった連携が書いてあるのですが、この中で、4つ目で研修会への積極的な参加を促したり、診療所と一般病院との連携を推進したり、重症及び難治性患者に対して都道府県拠点病院との連携をしたりといったことも説明してございまして、こうした中で、一般の人たちにも届くような体制を整備していきたいと考えています。

○斎藤会長 どうぞ。

○本田委員 御説明ありがとうございます。

 1つ、質問の仕方が悪かったかもしれませんけれども、研修を受けた医療機関がわかるようにするということに関しては、計画の中に入っているということですか。

○魚谷課長補佐 我々の検討会の中で取りまとめた報告書の中には、今のところは入れておりません。

○本田委員 では、意見として、今後、御検討いただきたいと思います。というのは、そういう研修を積極的に受けていただくという意味でも、ここの診療所なりここの病院なりはそういう研修をちゃんと受けた先生方がいらっしゃるもしくは医療関係者がいらっしゃるということはアピールになると思いますし、患者に対しての適切な情報の一つではないかとも考えますので、今後、御検討いただければと思います。

○斎藤会長 栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 さすがはがんのほうでしていらっしゃって、私たちがぼんやり随分いろいろとやってくださっているなと思うところの足りない受け皿を御指摘いただいたと思います。

 私たちは、受けた方々について、あそこの病院にいるあの先生ならばと。どうせ行くのならばあちらに行こうという受診行動に多少影響を与えると思うので、多少の影響を患者に与えるとなれば、受ける側もそれなりのインセンティブを持ってやってくださるということも考えられますので、ぜひ御検討いただきたいと思いました。

○斎藤会長 園部委員、どうぞ。

○園部委員 アレルギーを考える母の会の園部です。

 アレルギー情報センター事業の中の研修会と教材についてですけれども、今まで法律ができる前にも、保育関係者の方や学校関係者の方に向けての研修会はガイドラインもありましたし、しっかりと行われてきました。リウマチ・アレルギー相談員研修ができた当初は、自治体関係者の方々に参加していただくことが想定されてスタートしていたと思うのですが、なかなか現場がお忙しいということもあったでしょうし、あと、業務に位置づけられていなかったということもあって、行政関係者の参加はなかなか少なかったのです。

 この研修の施設関係者という中に、やはり施策を推進する側にいる方々の正しい理解が不可欠だと思いますし、また、母子保健や健康づくりの担当者の方がアレルギー相談に乗っていくのが自治体内では一番自然なことだと思いますので、最初に出会う保健師さんたちが正しい理解を持って、適切なアドバイス ができる力を養う場 と考えて、自治体関係者の参加、専門職の参加をより促していくことになるのかということと、保健関係者の方に向けた、地域によっては専門医がいないということになりますと、学校のガイドラインや保育のアレルギーの指針やガイドラインと同じように、保健指導に当たる方々の現場に役立つ資料が必要かと思うのですけれども、こういうことが入っているという理解でいいのでしょうか。

○斎藤会長 どうぞ。

○貝沼課長補佐 ありがとうございます。

 リウマチ・アレルギーの相談員養成研修会につきましては、おっしゃられますように、まず患者さんやアレルギー疾患に罹患する前段階にいる、そういった方が出会う保健師さん等への参加をこれからも促していただくように取り組んでいきたいとは思っていますし、また、資料の作成に関しましては、おっしゃられましたとおりです。

○斎藤会長 どうぞ。

○園部 委員  やはり今、貝沼さんが言ってくださったように、予防が まさに 保健師さんのお仕事なので、患者になる前にアレルギーのことを知っている、発症予防につながる啓発も含めて、ぜひ力を入れていただければと思います。

○斎藤会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 川崎市の坂元です。

 また予算についてなのですけれども、先ほどの4枚目の30年度のアレルギー疾患医療提供体制の整備に係る予算案に関して、その下の都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会というのがあると思うのですが、その隣を見ると、リウマチ・アレルギー特別対策費の総体1,400万で括弧して500万と書いてあります。これは、この事業が500万ということなのか。

 なぜかというと、リウマチ・アレルギー特別対策事業そのものが2分の1補助で対象が都道府県、政令指定都市、中核市になっております。ただ、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会というのは、都道府県しか開催できないのか。その点がまず1点です。

 それから、このアレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業の中に都道府県地域連絡協議会というのがあって、これは、これと同じものを目指しているのか。つまり、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会というのは、どこが開催主体でも、都道府県の中のいろいろな団体が集まってやればいいという趣旨なのか、アレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業の都道府県地域連絡協議会というのは、あくまでも拠点病院が主体となってやるという、この2つの会議の関係をお教えいただければと思います。

○貝沼課長補佐 誤解を生じさせる資料となってしまって申しわけありません。まず、都道府県の連絡協議会に関しましては、開催主体は都道府県でございます。その中で、特にモデル事業は都道府県の拠点病院が都道府県と一緒に協議会を運営していく。これは必ず参画していってもらうことになりますので、このポンチ絵の中にも入れさせていただいたということで、誤解を生じさせてしまって済みません。

 参考資料4の中に、都道府県におけますアレルギー疾患の医療提供体制の整備の中で、都道府県の役割として、4ページの4ポツに、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会の設置と明記してございますので、あくまでも協議会の設置は都道府県の役割ということで御認識いただければと思います。

 また、予算につきましては、500万というのは平成29年度ということで、それから1,400万増額ということを示したということでございます。

○斎藤会長 ほかはいかがですか。

 どうぞ。

○武川委員 先ほどの本田委員のお話の件に戻りますが、研修を受けた先の公開はどうかというお話がございました件に関してです。最近、私どもの町の開業医の、一部においては、これまで小児科とだけ標榜していた小児科医院が、ある日を境に皮膚科、アレルギー科と、どんどん診療科目を増やしております。私は前から知っているから良いのですが、知らない方は、アレルギー科と書いてあると専門でやっておられると理解するのが常でございまして、それを患者が鵜呑みにして診察を受けますと、満足感には、なかなか到達しにくいような状況となります。アレルギー疾患対策基本指針が成立しておりますので、それに基づいた研修を受けた先であるということを、何らかの形で表明いただければありがたいと考えております。

 以上です。

○斎藤会長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 荒木田委員、どうぞ。

○荒木田委員 今、研修を受けた医療専門職、保健師等も含む保健福祉専門職などの育成について、いろいろとディスカッションがされていたかと思います。

 ぜひお願いしたいのは、保健の者も、各地域レベルにある診療所の看護師だとかも、なかなか研修をどこかでやると言われたら行けないので、ぜひベーシックなところは、eラーニングをつくっていただきたいと思っております。モデル事業等で、中央の機関が教育の資料をつくられると思うのですが、ぜひeラーニングなどでの展開もしていただきたいし、それも認めていただきたいと思います。

 以上です。

○斎藤会長 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、また質問がございましたら、最後にお願いしたいと思います。

 事務局の説明としては最後になりますが、アレルギー疾患対策研究戦略の策定につきまして、御説明をお願いいたします。

○貝沼課長補佐 よろしくお願いします。

 それでは、資料3のアレルギー疾患対策研究戦略の策定について御説明したいと思います。

 こちらに関しましては、まだ現在進行形でございますので、現在の進捗につきまして御報告したいと思います。

 まず、基本指針において研究に関する事項としましては、第四のところにアレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項として明記されてございます。

 今後の取り組みの方針についてとしましては、有病率の高さ等により、社会全体に与える影響の大きさ、そして未解明な課題の多さ、発症・重症化要因の解明、ガイドラインの有効性の評価、薬剤の長期投与の効果や副作用等というところで、疫学調査、基礎病態解明、治療開発、臨床研究の長期的かつ戦略的な推進が必要だろうということが明記されております。

 また、今後取り組みが必要な事項としましては、まず、関係学会等と連携して、継続的、戦略的な疫学研究が必要であろうというところ。また、本態解明に向けた基礎研究が必要だろうというところ。臨床研究としましては、世界に先駆けた革新的なアレルギー疾患の予防、診断及び治療方法の開発等を行う。こうしたことを踏まえまして、研究戦略というものを策定し、国が疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究の中長期的な戦略の策定について検討を行うと明記されてございます。

 そうした中で、基本指針内に研究戦略の策定の必要性について、平成29年3月に明示されましてから、アレルギー疾患を今後、対策していくに向けて、課題としましては診療科の多さというところも一つの側面がある。そういった診療横断的な課題にどうやって取り組んでいくかということを一つ考えなければいけないというところで、今年度は、厚生労働特別研究事業としまして「アレルギー疾患対策に関する研究基盤の構築」という研究課題名で、主任研究者に玉利真由美先生についていただきまして、下に書いてございます日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本皮膚科学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本呼吸器学会、日本眼科学会、日本免疫学会、その他の学会と連携をとりながら、この研究戦略の土台となります研究班の中で、現在どういったところがまずターゲットになるのだろうかという予備検討を進めていただいております。

 その予備検討をもって、平成30年度の春からアレルギー疾患研究戦略検討会(仮)を開催していく中で、アレルギー疾患研究10カ年戦略(仮)を取りまとめていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○斎藤会長 ありがとうございました。

 平成31年度をめどに、アレルギー疾患研究10カ年戦略の戦略を今、立てているというところでございます。

 御質問等ございましたら、お願いいたします。

 どうぞ。

○坂元委員 この予算書のほうを見ると、平成29年度で厚労科研の事業が5億7,400万となって、29年度末というと、もうあと1、2カ月で、5億7,400万で29年度末というのは額的にぴんと来ないような気がするのですけれども、いつから始まって、いつまでの事業で5億7,400万なのでしょうか。

○貝沼課長補佐 まず、資料2のほうの平成29年度の5億7,400万の予算といいますのは、平成29年度内に厚労科研とAMEDの実用化研究の全体で使う研究の総額でございます。その30年度の予算案が5億8,300万にふえたというところでございます。

 また、この特別研究事業というのは、厚生科学課というところが所管しております特別研究事業という平成29年度の特別研究事業の一つとしまして、この特別研究事業が認められるのが迅速性でしたり緊急性が認められた場合という条件をつけた中で認めていただくことのできる、この予算とは別のところから回ってきたものでございます。

○坂元委員 わかりました。

○斎藤会長 ほかはいかがですか。

 園部委員、どうぞ。

園部委員 ぜひ、10カ年戦略の検討を お願いします。 これから続いていく検討会の中で進めていくという理解でいいですね。

 ぜひお願いしたいのは、既に今できる治療が実践段階にあるぐらい、 つまり 完治は難しいにしても、コントロール 良好に寛解して 社会 活躍できるほどの治療が 進歩した にもかかわらず普及していないという大きな課題を解決してい ただきたい。その ためには、AMEDでは予算がつきにくいと思いますので、臨床研究もしっかり 今までにないような 予算をとって いただきたい。 臨床の現場で患者さんが正しい診断、治療が受けられて、どんどん健康回復していきながら、よりよい治療を開発していくという意味で、臨床研究はぜひ力を入れて いただきたい というのが現場の患者の思いです。

 それから、この10カ年戦略の研究が今、スタートしているわけですけれども、こういう研究の中に患者の声はどのように反映させていくのか。委員として反映していくのかということは、どのようになっているのかを教えていただきたいということが一点。

 あと、基本指針が昨年の春に出されましたけれども、着手していただいている事業もありますが、まだまだ手をつけられていないところもありますので、どこを優先してやっていくとか、どの辺までにどういう事業をスタートさせていくとか、各省庁間の連携などと考えますと、検討しなくてはいけない課題がたくさんあるので、ぜひこの後に続く検討会の中で、これから着手するテーマ一つ一つを具体的にどう進めていくかという工程表のようなものをぜひしっかりつくって、地道に着実に対策がとられていくように進めていただけたらありがたいと思います。

 その辺はどうでしょうか。

○貝沼課長補佐 まず、研究の検討会につきましては、患者さんのかかわり方をどうやってしていくかなのですけれども、現状の予備検討の段階でもPatient and public involvementという形で、患者さんがどのようにこういった研究等に参画していくかという観点は非常に大事だという議論は既にされているところでございます。

 ですので、今後この検討会をしていく中で、まだ人選等は全然進んでおりませんので、ここの予備検討をもって、どういったところの人を配慮しなければいけないのかということは今後、考えていきたいと考えています。

 また、今後、我々が基本指針の中で何を取り組んでいくかですが、現状で最初に取り組んでいることはウエブサイトの関係でございます。まず、大きな予算もつけていただきましたし、何にしても国民の皆さんに適切な情報を届けることが第一だと思っていますので、そこに少し傾注してやっているところでございます。

○園部委員 先ほど、研修を受けた医療機関の情報が欲しいということもありましたが、アレルギー対策を取り組んでいる自治体が出てきたときに、取り組んでいる中身を見たりとか、患者さんからよく聞かれるのは、自治体に相談しても、アレルギーの相談に乗ってもらえるところがどこなのかよくわからなかったりとか、自分の県で果たして対策がされているのかどうかわからないという声もありますので、1カ所を見ると、アレルギー対策をやっている窓口がわかるし、その自治体がやっている対策がわかるみたいなことも載せていただけるといいかなと思います。

○斎藤会長 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 この方式は、今、園部委員からあった従来どおりの科研方式で、その科研の研究を募集するときに、その募集の中に例えば患者さんの意向とかそういうものを調査して、適切な医療とは何かということを研究テーマにしたいという研究者を選ぶということと、また、例えば自治体のほうも、自治体がアレルギー対策にどうやって取り組んでいるのかも一つの研究テーマで、そういう研究班ベースで募集するのか、それとも何か戦略会議みたいなものをつくってそこで俯瞰的な議論するのか。どのような方向性を考えられているのかなとお聞きしたいのです。

○貝沼課長補佐 研究戦略を策定していくための検討会ということでよろしいでしょうか。

 そちらのほうは、後者のほうでございます。この医療提供体制を取りまとめた検討会のような検討会をつくって、そこで議論していきたいと思っております。

○坂元委員 そこで、もしある程度の予算をつけたとすると、例えば従来の科研みたいに研究班を募って、こういう研究で誰かやってくれますかというような方向も考えているということですか。

○佐々木課長 坂元委員、園部委員、御指摘ありがとうございます。

 まさにお二人の質問の組み合わせが、この戦略という部分でして、例えば今、坂元委員がおっしゃったのが戦術に当たる部分ですし、また、それをちゃんと工程表と申しますか、順を追って進めていくというのが園部委員の御指摘だと思いますので、まずはこの10カ年でどういうことまで到達しようというところを戦略としてまとめていただいて、それに基づいて、これは平成30年度、2018年度の夏から秋にまとめるわけですから、翌平成31年、2019年度からの例えば研究費の募集などの際に、ことしはまずこういうことが目的の研究なのでということがわかるような形にして、しかるべきタイミングで坂元委員から提案をいただいたような内容を盛り込んでの公募をするという進め方にしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

○斎藤会長 本田委員、どうぞ。

○本田委員 今の御議論に関連して、行政の関係者の皆様は当然御存じだとは思いますけれども、がんのほうでも、がんの研究をどのようにするかという中で、科研の研究テーマを患者さんが選ぶということは日本ではなかなかないのですけれども、がん対策の研究の10カ年戦略を、患者さんの委員も入って、どういうものに力を入れていくかというものをつくって、それに基づいて研究を進めていくという形をとっているので、そういう理解かと思ったのと、一応情報提供として、私もアレルギーもそうあったらいいのかなと思うのですけれども、例えば、NCが持っている予算、がんだったら国立がんセンターが持っている研究予算に対して、どういう研究をやるべきかということを、国立がんセンターは患者さんの委員、行政の委員も含めて、内部委員会を設けて、こういうことにもう少し力を入れてほしいという意見を聞いた上で選ぶという試みをされていますし、AMEDのほうでも、がん患者さんが参加して、どのように選んでいくかということを考えようという段階まで議論されていると聞いていますので、アレルギーのほうでもそういう広がりがあるといいなと感じました。

○斎藤会長 ありがとうございました。

 海老澤委員、どうぞ。

○海老澤委員 先ほどの予算のところで、平成29年度が5億7,400万円で、平成30年が5億8,300万円の内訳で、このうちのどれだけがAMEDに行ってしまって、どれが実際に厚生労働省が研究費として、我々医療関係者に提供していただけるのかという点を、まず一つ教えてください。

○貝沼課長補佐 今、正確な数字が言えないのですが、約9割がAMEDの実用化研究でございます。残りの1割が厚労科研に使う予算になっています。

○海老澤委員 そうすると、政策的な研究をしようとすると、非常に厳しい状況に置かれていると思います。

 例えばAMEDの研究費を私もいただいているのですけれども、基本的に、本来であれば厚生労働省が担当する政策医療的な研究をもAMEDが行うべきと考えるのですが、例えば審査とか、申請とか、いろいろなプロセスを経て経験していくことは、知財を持っているかということとか、あとは創薬につながるかということに全てつなげられてしまうのです。

 ですから、我々がアレルギーの領域で政策的な、例えば患者さんにとっていいことをしていきたいとか、患者さんがアドヒアランスとか、どういう治療を受けていかれたらいいかということを広く研究していこうとすると、はっきり言って、なかなかAMEDの研究班では研究しにくいというのが印象なのです。

 以前にも話したことはあるのですけれども、特にアレルギーの場合に、なかなか創薬につながりにくい領域において、薬、薬というようにAMEDのほうから言われてくると、研究申請とかがなかなか難しくなってきたなというのが率直な感想なのです。

 何らかの方策で、厚生労働省がある程度管轄できるような予算がふやせないものなのかと、私としては考えてしまうのです。

 もう一つは、我々医師が研究していくことにおいて、これは直接的にアレルギーに特化した話ではないです。もちろん、厚生労働省が主導されている臨床研究についての制約が余りにもどんどん厳しくなってしまっていて、我々は普通の国立病院機構の病院に勤務していて、臨床研究していこうかなというときに、研究申請すること自体が本当に一仕事になってしまっていて、日本で臨床研究を促進していくという方向ではなくて、ブレーキがどんどんかかってくるような状況に我々は今、置かれているのです。

 ですから、そういうことも、世界のほかの国々の研究の状況を見ると、研究費のこと一つとってもそうですけれども、研究申請の手続とか、倫理とか、さまざまな点で日本はどんどん研究をしにくい国になってしまっているというのが実情で、これはここでお話しする内容ではないのかもしれないのですけれども、例えばこういう戦略をつくっても、それに乗っていく医師が実際にいなくなってしまうとか、そういう可能性も今後十分発生してくると思うのです。

 厚生労働省の中でも、どうやったら臨床研究をやろうという医師がふえてくるようにできるかということにも目を向けて頂きたいです。製薬会社の不祥事とかいろいろなことがあって、そのように流れていってしまったのだと思うのですけれども、我々は現場にいると、もちろん臨床のデューティも最近は非常に大きいものがありますし、さらにそこに研究をしていこうというときにバリアがものすごく大きくなってしまって、世界から取り残されていってしまうという印象を、私は大変持っています。

 ですから、AMEDの研究費のことも一つとってもそうですけれども、厚生労働省としてトランスレーショナルリサーチとか臨床研究がやりやすい環境をつくっていってもらわないと、幾ら予算をふやしましたと言っても、なかなか厳しい状況があるなと現場では感じています。

○斎藤会長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 海老澤先生のお話を聞いていて、ほとんど外からしか研究班を見ていない立場の者からいってもそうだろうなと、つくづく感じました。研究課題は、患者にとってはより臨床に近いものをしていただけたらと思うことがあります。

 それはそれとして、研究班の中には、患者会の代表者である伊藤たておさんが研究班長になって、多分厚生労働科研で、患者会がどのような患者会になっていったら社会から求められるのかとか、どういう形で医師が主体になっている研究に患者も入って御協力できるか、一緒にやっていけるかという研究をまとめられた事例があると思います。

 先ほどから園部さんもおっしゃっているように、それから本田さんも言ってくださったように、確かに患者が参加すると、患者目線で、研究に違う方向からまた光を当てることができるようになって、より具体的なものに、そして患者にも医療者にも望まれるものに変わっていくのではないかと思うので、患者が入ることにしっかりとした御検討をいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○斎藤会長 ありがとうございます。

 武川委員、どうぞ。

○武川委員 武川でございます。どうもいろいろとありがとうございます。

 アレルギー疾患10カ年戦略の策定についてでございますが、アレルギー疾患領域においてもゲノム研究を、玉利先生が中心となって進められ、素晴らしい成果を出されていると聞いています。その研究の中で、遺伝子多型というのですか、遺伝子そのものが各国、民族によっても変わってくるものがあり、また、それが病気の中でもいろいろ変形してくるということですので、こういったゲノム研究にプラス臨床研究というのが合わさって、一緒になって、初めて患者への成果が出ると思います。また、日本人に対しても、民族特異性の有無や、どのような形のものを対策とすれば、アレルギー疾患治療に繋がるのかということがはっきりしてくるのではと期待しております。そういった中で患者の視点は非常に重要と考えております。また昨年ヨーロッパで、世界の喘息患者さんとお話をさせていただきましたが、標準治療を受けてもなかなか良くなれない患者が10%程度いまして、その治療に各国とも難渋しているということでございます。

 そういった中で各種研究が進められており、日本においても日本アレルギー学会が中心になって研究していただいておりますが、その際にぜひ、患者そのものの実態を十分把握しながら進めていただければと考えております。

 以上でございます。

○斎藤会長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 海老澤委員、どうぞ。

○海老澤委員 私は先ほど文句を言ったように聞こえたかもしれないのですけれども、私は実際に課長に、こういう問題に直面している、我々アレルギーをやっている者にとって、どういう改善策が今後期待できるのかということもお話しいただきたいと思います。

○斎藤会長 佐々木課長、どうぞ。

○佐々木課長 御指摘ありがとうございます。

 先ほどAMEDの話がありましたけれども、思えばこのアレルギー疾患対策基本法ができたのが4年前、平成26年の通常国会でした。

 同じころにAMEDを設立する法案も審議されましたし、また、その前年からの持ち越し的な行政上の課題として、臨床研究のあり方をどうするのか。最終的には臨床研究法もことしの4月から全面施行されるわけでございます。

 また、同じころにあと2つありました。

 1つは、先ほどの本田委員の指摘にもなろうかと思いますけれども、地域医療全体を、例えばかかりつけ医のかかわり方、また、国民の皆さんが医療に臨むに当たり、例えば地域医療の理解とか、受療行動とか、医療機関の選択とか、そういった国民の責務が盛り込まれた医療法改正も、同じ4年前の通常国会のことでした。

 残りの1つは何かというと、医療安全でございます。

 こうした約5年にわたる大きな行政上の課題の中で、現在が当然あるわけでございますが、先ほどの海老澤委員の指摘の中で我々が特に注意しなければと思ったのが、AMEDの研究だから、厚生労働省の研究だから、これが二元論というか二律背反というか、そういうものではなく、政府全体としては本来一つのベクトルの中で、アプローチの仕方としてAMEDのほうがより効果的なものもあれば、厚生労働省の研究費のほうがより効果的、効率的なアプローチもある。

 なので、それは同じ目的を持っての中の研究費で、繰り返しになりますけれども、それをどういう形で進めたほうが、どちらからのファンディング機能のほうがよいのかという話ですので、そこが別々に見えてしまうということは、我々政府内でも、また独立行政法人であるAMEDとの関係でもより話し合わなければということは、問題認識として持っております。

 同様に、最終的には当然ながら国民の皆さん、場合によっては薬、治療法の開発は人類全体に及ぶ話でございますので、最終的に還元する先に、どういう形でプロセスを経たほうがよいのか。もちろん、このプロセスを経るということは、今の時代はスピード感も求められております。

 そうした中で、さまざまな要因がある中で、先ほどの坂元委員の指摘にありますとおり、我々政府としては公募課題設定もありますし、AMEDと厚生労働省の研究費の割合をどうするかということもありますし、実際に研究をする先生方、また、その研究結果を臨床への応用、さらには、その臨床が具体化していった先からのかかりつけ医から、より難易度の高い、より高度なアレルギー疾患医療に結びつける体制づくり。これらがそれぞれの段階で、どういう形でのかかわり方がより望ましいのか。そこの整理を、せっかく今回、昨年の3月に指針をまとめましたし、また年度が明ける平成30年度、2018年度からは、ある意味で道具立てがそろった初年度が来年度ということになりますので、そうした中で海老澤委員、また各委員からの指摘にあったことを踏まえての整理のし方をしていきたいと思いますし、年度が明けると今度はすぐ平成31年度の概算要求、先ほどの研究10カ年戦略の具体的な検討が進みますので、そのプロセスの中で見えるような形で検討なりを進めていきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○斎藤会長 ありがとうございました。

 ほかは御意見いかがでしょうか。

 それでは、最後に30分ほどで皆様に御挨拶と予定していたのですけれども、時間が随分余りましたので、3~4分ぐらい時間があるかと思いますので、御挨拶をお願いしたいと思います。

 最初に新田委員、松本委員が途中退席されるということですので、新田委員のほうから御挨拶をいただき、その後、荒木田委員からこの順番で、私を最後にしていただいて、順番で御挨拶をお願いしたいと思います。

 新田先生、よろしくお願いいたします。

○新田委員 この会議に参加させていただいて、私は環境疫学を専門にしておりますけれども、アレルギー疾患は、環境も含めてですけれども、幅広いリスク要因が関与するということは明白だと思いますが、一方で、きょうの資料にも書いてありますように、未解明の課題が多いということかと思います。

 今、議論がありましたように、研究戦略を立てるにおいても、要因の複雑さというか多様さに対応した、本当の意味でのと言うと何か曖昧かもしれませんけれども、戦略的にやらないと、予算の限りがありますので、資料3の下のほうに疫学研究、基礎研究、臨床研究と3つ柱が上がっておりますが、恐らくそれぞれ何かベストなもの、100%というわけにはいかない。ここもめり張りをつける必要が、この戦略立案の中で必要ではないかと思います。

 今、課長がお話しのように、そこで予算のファンディングをどうするかというのは当然、後でついてくる問題だと思いますけれども、疫学の専門の立場からいくと疫学研究を充実させてくださいと言えば簡単なのですが、そうはいかないのではないかと思っております。

 やはり国民が何を求めているかということ。その求めに応えるために、長期的には基礎情報がかなり不足していると思いますので、そこをきちんととらないと原因究明につながっていかないという面が必ず残ってはいると思うのですけれども、私自身もアレルギー疾患を持っておりますが、治療を求める声のほうが大きいのではないかと感じます。そこを戦略的に議論した上で、その枠組みを決めていただければと思います。

 もう一点、アレルギー情報センター事業の中で、最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウエブサイト。この前半の正しい情報というところも、今のことからすると何が正しいのかという、エビデンスという意味では非常に不確実な中で、正しい情報を提供していくという整理が非常に重要であろうと思います。

 そこをアレルギー疾患の御専門の先生の立場から十分議論して、正しい情報を整理していただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○斎藤会長 申しおくれましたが、本日が現行委員での最後の協議会となりますので、今後の期待を含めて御挨拶をということでお願いします。

 松本先生、どうぞ。

○松本委員 日本医師会の松本でございます。

 この推進協議会に参加させていただきまして、本当に感謝申し上げます。ありがたいと思います。

 この会の医療提供体制のあり方ですけれども、日本医師会としてはかかりつけ医の研修を今、しっかり行っているところでございます。

 自分の専門範囲だけではなくて、他科の領域もしっかり勉強して、かかりつけ医としてまず患者さんを診て、必要であれば専門の先生方あるいは専門の医療機関にかかっていただくことが基本だと思いますので、そういったことをこの整備事業が後押し、底上げをしていただけると思っております。

 その中で、研修会の重要性というものがお話に出ましたけれども、そのとおりだと思います。当然、スキルアップのためには研修会とか勉強会をしっかりと受けていただくということは大切なことで、今、日本医師会もかかりつけ医の研修は非常に重要視しております。

 ただ、地域の中にはいろいろなアレルギーに関して、さまざまな研究会とか勉強会が立ち上げられておりまして、中には非常にレベルの高い研究会もたくさんございます。

 そういった中で、研修会を受講したことをどう評価するかということは、公平性の面から言って、どうやったらいいかというのは非常に大きな課題でもありますので、この辺は慎重に検討をしていただいて、評価のあり方はどうすべきかということはお願いしたいと思います。

 3番目ですけれども、中医協に委員として参加させていただいておりますけれども、その中でやはりアレルギー疾患にかかわる案件が少し出ております。

 私としては、治療が必要となる患者さんが困らないような形で、今後とも安心した治療が受けられるような観点で発言しておりますので、今後もそうさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

○斎藤会長 荒木田委員、お願いします。

○荒木田委員 この検討会に参加させていただきまして、私自身たくさんのことを学ばせていただいたと思っております。

 まず、幾つかのことを感じたのですが、私は看護の立場から出ておりますが、看護研究はアレルギーという形でまとまっていないなということをすごく思いました。

 実を言いますと、アレルギーの研究がないわけではなくて、小児看護にもあり、老年看護にもあり、慢性期の看護にもあるという形で、散在しているというところにあります。そういう意味で、一本化できないというところが看護の弱みでもあるのかなと思いました。

 しかしながら、看護協会とも連携をとりながら、今後さらにアレルギーの研究というところでは強めていこうと思っておりますし、看護協会のほうにもアプローチしております。

 そのほかに、今回の指針だとか研究の戦略等々につきましても、いろいろなところに看護師、保健師という言葉を入れていただいて、こういったところに書きこんでいただいたことによって、それが根拠となり、教育研修が進んでいくと思います。そういった点でも大変ありがたいと思っております。

 ただ、お願いという形にはなるのですけれども、私は保健師の立場から考えますと、都道府県地域連絡協議会というのが、いい働きをしてくれるといいなと思っております。これが今後どのように活動していくのか、モニタリングを厚労省のほうでしていただいて、いい活動事例などもどんどん出していただければとは、希望として思っています。

 それから、先ほど来、ウエブをつくって、そこに正確な情報を提供する。それはすごく大事だと思うのですけれども、ウエブからの情報というのは、アクセスできる人と、それを読んでわかる人と、読んでもわからないという方々もいるということもあるので、それを通訳していくというのが、例えば看護師であったり、保健師であったりという立場になるのかなと思います。

 そういった意味も含めて、患者様に届く医療というか情報という点で、ウエブのあり方、それを専門家にどう提供するかとか、看護師、保健師がそれをどう活用していくかという、サービスが提供できるようなあり方、仕組みもまた研究の一環として入れていただければと思いました。

 以上です。

○斎藤会長 続けてお願いします。

○今井委員 昭和大学小児科の今井です。今回は協議会に参加させていだきまして、非常に勉強させていただきました。

 私は消費者庁推薦で来ておりますけれども、今回もお話しの中に何度か出てきておりますけれども、この法律ができて、指針ができて、この方向でやっていこうということが示された中で、今回、厚労省のおそらく数年のうちの方向性を御紹介していただいたと思うのですけれども、実際のところ指針の中には厚労省外の、消費者庁も文科省も厚労省も、それ以外に関しましても細かく工夫して書かせていただきましたけれども、現状ここ5年、他の省庁のどういうアレルギー疾患対策が進んでいくのかというのは、残念ながら皆目わからないような状況があります。

 また、厚労省に関しましても、研究に関しては10カ年戦略ということで御紹介いただきましたけれども、がんも5カ年とか10カ年と区切って対策を講じていらっしゃいますので、全般的にもぜひそういった、厚労省として、ほかの省庁もそうですけれども、ある程度短期の年度の目標を持って、それを都度評価しつつ、修正しながら、ぜひ長い目で見たときのアレルギー対策が推進できればいいなと考えております。

 また、もともと指針の中にも書かれておりますけれども、他省庁との連携というのも最後のほうに書かれていたと思いますので、そのあたりに関しましてもぜひ継続して、国を挙げてということをおっしゃっていただきましたので、ぜひ国を挙げてアレルギー対策を推進していただければと思います。

 また、国はこのように方向性を定めた上で、実際、実動的には都道府県もしくはその下に市区町村ということになると思いますけれども、私がおります東京都及び品川区でありますと、私がいたりするところもあるのでしょうけれども、その対策、自治体の方々も一生懸命積極的にやっていただいて、この指針が出る中で、変化というものは肌身感じておりますけれども、ほかの市区町村、都道府県がどういう状況なのかというのは、これもお話がありましたけれども、ぜひ定期的にモニタリングをしていただいて、それは厚労省だけではなくて、国として各省庁が継続的に行いながら、この指針の方向性がしっかりと現場で推進されてきているか御確認いただければと思います。

 また、最後に、もちろんですけれども患者のための指針あるいは法でありますので、残念ながら短期的に見たときに、患者さん方を速やかに正しいアレルギー医療につなげられるのか、また、高度なアレルギー医療にアクセスする方法がすぐにできるのかというと、なかなか難しい状況があると思いますので、最初と多少重なりますけれども、やはり計画を短期的な視点で見て、患者の視点で実効性のある、患者さんたちは日々悩んでいらっしゃいますので、そういった方々が救われる戦略を考えていっていただければと思います。

 以上です。

○斎藤会長 海老澤委員、どうぞ。

○海老澤委員 国立病院機構相模原病院の海老澤です。アレルギー疾患対策推進協議会に参加させていただきまして、ありがとうございました。

 まず、先ほど研究に関してはお話しさせていただいたので、医療提供体制についてお話しさせていただきたいと思います。

 我々小児科、あるいは皮膚科の先生もそうかもしれないのですけれども、昨今、医療の経営ということにおいて、二次病院等においてはなかなかベッドを持って運営していくというところが主体になってしまうので、小児科領域は予防医学が発達してきて、入院患者数が減ってきたりとか、皮膚科のほうではベッドがないので、外に診療所だけ出されてしまったりとか、いろいろな変化が起きています。

 その結果として、全国で小児科医あるいは皮膚科医が病院に残ってアレルギーをやっていこうという方は非常に減ってきていると、危機感を持っていました。

 今回、この医療提供体制で地域拠点病院、地方拠点病院とか中心拠点というものが一つ定まってきて、各都道府県にそういうものが本当にうまく配備されていけば、大学病院でしっかりやっていらっしゃるところは、アレルギーに特化した部分が、法律をバックにしてうまく生き長らえていくことができるだろうと思いますし、大学病院がないようなところには、二次病院がそれぞれきちんと都道府県のバックアップを受けて生き残っていけるのではないかと思います。

 ただ、実際には今回、これを国が定めて、今後は地方自治体がこれをどうやって解釈して、運用していっていただけるかというところなので、現状では多分、その地方自治体によって温度差が非常にあって、やれそうなところと、やれないところと、全然興味を示してくれないところがあると思うのです。皆さんからも御意見がありますが、そういったところを定期的にチェックしていくということをしっかりやっていきながら、うまく日本全国にそういう施設を整えていっていただいて、地域の先生方とうまく連携して、そういう先生方が残れる環境がつくれて、さらに、それが中心拠点あるいは研究機関と連携して、質の高い研究ができるようになったら非常にすばらしいものになるなと思います。

 描いた絵は大変すばらしいと思うので、あとはこれをいかに実行していくかということについて、今後ともぜひフォローアップしていただきたいと思いますし、検証して進めていっていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○岡本委員 千葉大学耳鼻咽喉科の岡本です。

 私は耳鼻咽喉科を代表してこの会に参加させていただいたと考えておりますが、耳鼻咽喉科領域の代表的アレルギー疾患であるアレルギー性鼻炎、花粉症の患者さんの数は依然として増加しています。国民の4割が罹患していると言われています。そして、他のアレルギー疾患、特にぜんそくとは密接な関係があり発症の危険因子としてもよく知られています。一方で同じ気道に存在する疾患ではありますが、ぜんそくとは大きな違いがあるのも事実です。そういった点も含めて、耳鼻科のアレルギー疾患の研究を進めていただければと思います。

 耳鼻咽喉科を受診する患者さんの中で、数としてはアレルギー性鼻炎が一番多いのですが、実際にその研究に従事をしている医者の数は減っています。その背景はいろいろなことがあるとは思うのですが、危惧されるところです。

 一方、私の所属する千葉大学病院は地方にある大学病院ですが、地域医療についてもここに参加して、いろいろなことを学ぶことができました。

 千葉県は、特に都市部は医療も発達していますが、一方で地域は医療過疎も進んでいて、医療格差が県の中で大きなところです。そういう中で、今回、医療提供のあり方がよく検討されて、千葉県でもアレルギー診療連絡協議会がつくられました。

 今後格差の是正に向けてどう展開していくのか、そこにかかわって、きちんとした形で検討とフィードバックをしていきたいと思っています。

 提供体制をつくった以上、その評価はぜひきちんとしていく必要があると思います。

 本当にいろいろと勉強になりました。ありがとうございました。

○加藤委員 京都府立医大皮膚科の加藤です。この疾患対策推進協議会に参加させていただきまして、どうもありがとうございました。

 それから、10回にわたりましてのこの会議では、厚労省の方々には、日本全体のアレルギー疾患対策に御尽力いただいたことに、この場をおかりして感謝したいと思います。

 アレルギー疾患対策は10回の会議でゴールかというと、ゴールではなくて、スタートラインにやっと立てたのかなということで、世界トップレベルのアレルギー疾患対策を、地域の一人一人の方々に実践していくにはどうしたらいいか。これから自治体や地域でどのように展開していくかというところについて、厚労省自治体、医師会、アカデミア、医療関係者、教育関係、患者会の方、あるいはメディアとか、企業とか、いろいろな人がオールジャパンでアレルギー疾患の対策に取り組んでいかなければならない。

 今、岡本委員がおっしゃられたように、京都府も京都市内のアレルギー疾患の医療体制と、日本海側のところと随分違いがありまして、私も日本海側の病院で勤務していた経験もありますが、そういうところのアレルギー疾患が都会と同じようにあるいは都会以上にできるようにするにはどうしたらいいかというのは、今後も、自分自身も考えながら実践していければと思っていますし、また機会がありましたら、何かできることがあれば、ぜひさせていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

○岸平委員 千葉市立新宿小学校の岸平でございます。私は学校教育の分野から参加をさせていただきました。本当にたくさんの勉強をさせていただき、ありがとうございました。

 教育委員会の指導主事という立場で9回の協議会に参加させていただいたのですが、昨年4月に異動となりまして、今は小学校で養護教諭をしております。現場に戻らせていただきました。

 千葉市では宿泊学習というのを小学校5年生と6年生でやっておりまして、そこでは食物アレルギーのある子も、その宿泊施設でアレルギーの除去食を出していただいて、昨年、2泊3日、何事もなく無事に、みんなと同じように元気に宿泊学習を終えてくることが本校でもできました。これが当たり前のことだと私は思うのですけれども、地域によっては当たり前ではないというところもまだまだあるようです。

 学校給食においても、食物アレルギーのあるお子さんの保護者が教育委員会、学校に相談に行っても、なかなか話さえも聞いてもらえないという相談を受けることがございます。

 そういったときに、今は法律もできているし、指針もあるし、文部科学省からたくさんの資料も出ています。これは全ての学校、全ての教育委員会にも行っているはずなので、ぜひそのことをもって、もう一度チャレンジしてみてくださいと、その方たちに言うこともあります。

 住む地域によって対応がばらばらあるというのは、あってはいけないことだと思います。まだまだ日本全国全ての学校で同じような対応ができていないというところがあると思いますので、今後そういった不利益がないように、私たちは現場で頑張っていきたいと思いますし、日本全国にそのように広がっていってほしいと思っているところです。

 調布の痛ましい事故は、二度と学校であのような事故があってはいけないと思っております。緊急時にもあってはいけないと思うのですが、適切に対応ができるように、学校現場でも頑張っていきたいと思っております。

 本当にありがとうございました。

○倉本委員 国立研究開発法人森林総合研究所の倉本です。

 私はアレルギー疾患の中で、花粉症が恐らく患者数が最大で、もちろん国民病と言われるぐらい非常に多いと思うのですが、その原因になっているのが主に杉花粉だと思いますが、それは森林から飛来しますので、森林分野のほうで参加させていただいています。

 私自身は医学とかの専門ではございませんので、花粉症の原因である森林の管理とか、林業のほうからということで参加させていただいているのですけれども、専門的なところ全般についていくのが結構、分野が違ってわからないことも多くて、余り有益なコメントも出せなかったと思います。申しわけございません。

 ただ、私はここに出させていただいて、私たちの分野で何ができるかということを、いつも宿題を突きつけられているような感じで捉えております。

 花粉症に関して言えば、主に皆さんは医療の分野で、実際どのように治療するか、症状を抑えるか、あるいはそのための生活ケアという部分で、皆さんそのようなところで頑張っていらっしゃると思うのですけれども、私たちがやるべきこととしては、花粉をいかに減らすか、発生源対策というところも担っておりますので、今後さらにそれを、この委員会の検討の意見も御参考にしながらやらせていただきたいと思っています。

 一つは、林業の分野は、私たちはどうしてもその分野で閉じてしまっているのですけれども、花粉症に関して、国民の皆さんがこのようなことも知りたい、あるいは患者さんそのものも知りたいし、お医者さんも知りたい情報、特に花粉の発生量とか飛散時期の情報は今でも基本的に大事だと思うのですけれども、そういった部分を改めて、今の水準をきちんと維持しながら、効率的な方法をとる体制をつくっていくというところを、私たちはこれからもやっていかなければいけないと思っています。

 もう一つは、やはり花粉を減らしていくということなのですけれども、これは林業が今、突きつけられている問題と、そこの部分は共通です。今、植えて収穫する杉林が切ってももうからない、使い手がないということでこれだけ残ってしまっているのですが、そこを回していかないことには、発生源になる杉林を減らすことはできないのです。

 そこから、私たち特に技術開発の分野の出番なのですけれども、切った後にどうするかというときに、これからはもう花粉が出ない杉を植えるということに尽きるのですけれども、私たちの研究所でもそれを品種改良の分野で一生懸命やっていますが、幾つか品種が出ているのですけれども、地域的に、いろいろなところでそれができるように、苗木の生産も含めた体制を敷くというのがこれからの課題です。

 あと、立っている状態で抑えるということに対しての技術開発も少しずつ進めていますけれども、そういった部分を含めて、基本の林業をしっかりやっていって、活性化するというのがこれから一番大事だと思いますので、それも含めて、これからどんどん研究を進めていきたいと思います。

 ただ、私たちの分野は多岐にわたるのですけれども、花粉症に直接かかわっている意識のある人間は実は少ないのです。いろいろな分野にぽつぽつと散らばって、言ってみれば山の中で、あちらの山に、こちらの山にというところで散らばってやっているような状態なので、舞台裏を明かすとそのような感じです。

 ですので、やはりネットワークをつくって、医療の関係の方とか、気象の関係の方とかとも連携しながらやっていかなければいけないと感じておりますので、今後ともよろしくお願いします。

○栗山委員 アレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」の栗山と申します。このたびは、この検討会、協議会に参加させていただいてありがとうございました。

 私たち「アラジーポット」は、2005年のアレルギー検討会、2011年のアレルギー作業班と、厚生労働省のアレルギー疾患関係の委員会に参加させていただきました。2005年にはぜんそく死ゼロ、2011年にはガイドラインによる治療の普及と、まとめていただきました。

 私たちの子供が治療をする中では、望みながら得られることがなかった、命を守るエピペンの自己注射、それと周りの方々による接種、それから命にかかわる食材の確認をするための食品表示、そして、このたびのアレルギー疾患対策基本法と、本当に数え切れないほどの命を守る施策に取り組んでいただいたことを深く深く感謝申し上げたいと思います。

 まず、人口の半分に何らかのアレルギー疾患がある中、いまだにその原因、発症機序の解明、発症予防と完治の方法がない疾患であり続けているアレルギー疾患ですが、長年の取り組みの結果、まずは症状をコントロールできるようにはなりました。しかし、まだ多くの患者さんが、その科学的根拠による治療に行き当たらずにいるのが現状でもあります。

 根治療法の研究に成功して、社会の一員として、医療を支える側に回れるようになること、そのことに関与し、ともに目指していけるように、私たち患者会も努めたいと思っております。

 その中で、特に開業の先生方に特化してお話しすることになるのかもしれませんが、開業の先生方、特にアレルギー科を標榜してくださる先生方は、私たちが何か変あるいはアレルギーではないかと思ったときに、大きな頼りになる方々です。2011年のアレルギー作業班では、ガイドラインに準拠したぜんそくとアトピー性皮膚炎のミニマムエッセンスを、 作業班のとき の医師会からの委員の先生のご配慮で作成いただき、医師会誌 に挟んでくだ さいました。166,000人の先生方に、開業の先生方、私たちの一番身近で頼りにしている先生方にお届けすることができました。引き続き、またそのような開業の先生方と患者を結ぶ機会をいただけたらと思います。

 その先生方が医師免許を取得したときと大きく異なるアレルギー診療のあれこれは、できるだけ簡単に御理解いただいて、日々の診療に生かしていただけることは、私たち患者にとっても、とても大きな助けになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後になりますが、ここで話し合った数々の取り組みの実現には、ぜひ患者、患者といっても個人というわけではなくて、正しい情報を発信している患者会のメンバーという感じのイメージですが、同じテーブルで企画し、実現に取り組んでいっていただくことをお願いしたいと思います。

 チーム医療では、患者対象者ではなく当事者。してもらうだけの存在ではなく、一緒に考え、一緒に取り組む存在と考えていただければと願っております。

 新しくアレルギー疾患医療提供体制整備の中に、患者、国民への情報提供と並んで、拠点病院の専門医向け研修と地域の医療従事者向けの研修が入ったことは、患者教育の前に医師教育を願ってきた者にとっては大きな前進であり、患者、国民が学ぶ機会、その資材が得られることと同時に、みずから医師を志し、日々、人の命と向き合う職業を選ばれた方々が、日進月歩の医療の中で、新しい知識を得る機会をつくってくださったことは大きな意味があると思って、それもまた大きく感謝しております。

 この体制が軌道に乗り、科学的な根拠を持ったガイドラインに基づく医療がアレルギー疾患に根づくまで、私たち患者会もその役割を、多くのアレルギーをとりまく方々とともに全うしてまいりたいと思います。

 そして、アレルギーの予防あるいは完治が目指せるようになったときに、患者会が要らなくなる日が実現することを、1日も早くその日が来ることを願っております。

 きょうは、協議会をどうもありがとうございました。

○坂元委員 川崎市の坂元でございます。私は恐らく自治体を代表して、この場に選ばれたのかと思います。

 先ほど海老澤先生のほうからお話があったと思うのですけれども、今後自治体がどうやってアレルギー対策を展開していくかというのが大きな課題だと思っています。私は自治体として、自治体の一つの悪い癖は、すぐに国から予算がつかないと言うのが、多分一つの逃げ口上である部分もあって、それは大いに反省しなければならないと思っております。

 このアレルギー対策基本指針が出て、早速川崎市でも議会で医療提供体制をどうするのかという質問が出ました。

 いろいろ病院にも事情があって、病院の医師を派遣してくれる大学から、アレルギーの専門の医者はいないと断られると、なかなか自治体のほうも医療体制構築がかなり難しくなるのです。現在、自治体のほうが一番頭を悩ませているのが地域医療構想です。これは佐々木課長が前々職で一生懸命立ち上げられたものなのですけれども、これは今、自治体が一生懸命取り組んでいるところでございます。

 その中で先ほど海老澤先生が言った、地域医療構想の中で大きな柱がどうしても、入院が必要な患者さんのための医療提供体制、 例えば拠点病院にしても、がんとか認知症とか、ほかにも指定病院として結核とか精神とかありますけれども、あくまでも入院する患者さんの今後の割り振りをどうしていくかということが議論の主体で、今回のアレルギーの新しい拠点病院という概念は、それとは全く違って、いわゆる知識集約・普及型の拠点病院で、新たなアレルギー疾患の知識や技術の普及という形で、病診連携をどう展開していけるかということかと思います。これは今まで余り自治体が手がけてこなかった新しい概念のやり方かと思います。恐らく自治体のほうも、どうやってそういうものをつくっていけばいいのかというのが一つの大きな課題ではあるのかなとは思っております。

 ただ、そういう意味において、自治体も先ほど温度差がいろいろあるということを言われておりますが、本当に私もそう思います。アレルギー指針そのものを余り理解していない自治体もあるかと思うし、もしかしたらそんなものがあるのかという自治体もあるかもしれません。さまざまな中で、どのようにやって地域偏在のない、全国に均てん化した質のいいアレルギー医療を提供しているかという点において、我々自治体も国と一緒になって、単に予算を求めるだけではなくて、自治体みずから汗をかいて、そういう医療体制を、もちろん患者さんの目線に立って、患者さんと一緒になってやっていけたらと思っております。

 1年間、この協議会でいろいろ勉強させていただきまして、どうもありがとうございました。

○園部委員 アレルギーを考える母の会の園部です。大変お世話になりました。

 私のところには、きのうもおとといも、日々、アレルギー疾患のコントロールがつかなくて、心中を考えるような重篤な患者さんたち、孤立している方々からの相談が 寄せられます

 そういう方々に正しい情報が届いてほしい、正しい医療を知ってもらいたいという願いで、このアレルギー対策の推進協議会に参加させていただいて、理想的な指針が発出されたことに、心から感謝しております。

 あとはそこに具体的に動きをつけていくことが大事になります。まず一つ実感したのは、全国共通のガイドラインの重要性です。最近、被災地であります福島県相馬市とか、奈良県五條市に行かせていただいて、専門医がほとんどいないような地域でも、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」や「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づいて、医師会の園医部会とか学校医部会とかの先生方が基幹病院を決めて、専門医資格を取っていただくように促したりとか、またはガイドラインに基づいて関係関と連携して真剣に取り組んでくださっていたのです。

 国が基本の基をつくってくださっているということが、実はとても大切で、どちらの方向を向いて話を進めたらいいのかなというときに、やはり国が発出する 正しい 情報が全国で大事にされて、そこに基づいて動いていく と真に患者は救われていく のだということを実感していますので、これからも、これまでになかった分野の羅針盤を示していただきたいと思 います。

次に、 今後の協議会のときに、他省庁の方々ももっともっと巻き込んで、ほかの省庁の取り組みも、委員の方々が国全体としてどうアレルギー対策を法律に基づいて進めているのかが見えるような会議になっていただきたいと願うと同時に、自治体も、例えば学校や保育所で調査をしたところ、学校や保育の方々は、正しい診断を受けられている人が少ないという思いを持っていますので、自治体内の連携をもっと促していただくことで、現場の声を聞いて、担当となる方が動きがつきやすい、医療関係者の方々と対策を考えやすいのではないかと思っています。

 そして、先ほど申し上げたように、実践段階にあるほどクオリティーの高い治療の方向性も出てきていますので、計画の中に、短期的に、すぐに効果が感じられるような対策、そして中長期的に進めていかなくてはいけないことというように、自治体の中でもモチベーションが上がるには、ベビーのスキンケア実習などがそうかと思っておりますが、まずやってみて、すぐにも効果が感じられて 住民も喜び、専門職もやって あげたいというモチベーションが高まっていくような対策も盛り込みながら、ぜひ長期的に骨太で、具体的に現場が実感できるような対策を進めていただきたいと願っております。

 ありがとうございました。

○武川委員 一般社団法人アレルギー患者の声を届ける会の武川と申します。

 一昨年、2016年2月3日から12月2日の第9回にわたる審議に参加させていただきましてありがとうございました。医療関係者だけではなくて、森林関係、建築関係の専門の方など、多方面の方々が入って検討されていく中で、本当にアレルギー疾患の原因が多岐にわたり、複合的であること。アレルギーの遺伝子多型のことも研究され、かなり幅広い中で検討されている、ということに気がつかされまして、患者にとって非常にありがたいことと感謝しております。

 私ども患者は、何が一番ありがたいか。それは新しい治療法、新しいお薬によって1日も早くよくなりたいことです。治らなくても、今よりよくなりたい、普通の生活がしたいということです。今回、これに向かって、基本指針をこのような形で、きれいにまとめていただきまして、医療提供体制の整備と情報ネットワークを通じて国民に正しい安全な情報を提供する体制が整ったこと。また根治療法に対しても、引き続き研究いただけるということでありますので、非常に感謝しております。 これからは、まさに今後どうするか、これをどのように実行するのかということの正念場になるわけでございまして、私どもとしては、この辺の具体的なことが非常に気がかりでございます。

と申しますのは、御存じのように2025年問題です。私を含めて、2025年に後期高齢者が人口の4分の1を占めるという中で、これまでの医療体制とは違った新たなパラダイムシフトにおける医療提供体制の必要性。医療従事者、と患者との関係性において、患者自身がどのような形で医療を受けとめるのか、どのような形で意思決定して、その治療を受け入れるのかということが大事です。外国でも同じことが起こっているそうですが、インフォームド・コンセントで100ページのもの書類を積み上げられて、ここに印鑑・サインを押さ(し)なければ治療しない、手術しないと言われれば、みんな黙ってそうします。これは、一方的に通知しただけで患者が納得も理解もしていない。これでは問題が起きてしまい、医療者、患者双方とも疲弊してしまいます。欧米ではヘルスリテラシーという概念が広がって来ているそうです。この概念はもともとは医療安全から来ているそうです。時間がないので少しだけお話します。

患者には知的水準が高い方、中程度の方、低い方、がいらっしゃいます。そういった方々に応じて医療提供者側からもできるだけ、患者のレベルに合った、患者が理解できるような言葉で話をする。治療についても、3案程度ご提案をいただく中で患者が意思決定するということ、それに向かって双方が学習していくことが重要だと思っています。

 話しを戻しまして、先ほど申し上げた2025年問題への対応策として2018年度、第7次医療法改正と、診療報酬、介護報酬、福祉サービスの改定年度に当たります。そういった中において、このアレルギー疾患対策基本指針に対する対策はどう行われるのか。各自治体は、あれもこれもやれという中で、どう計画し実施されるのかということを、私は非常に危惧しています。

 特にアレルギー疾患対策に対して、先ほど海老澤委員からもいろいろと自治体の対応が心配と。そのほかの先生方も心配だと言っておられました。

 私はそういった中で、これは実態問題としてどうなるのかということが非常に気になっておりますので、私ども一般社団アレルギー患者の声を届ける会の中に、患者から見たアレルギー疾患対策推進研究会というものを昨年7月に設立いたしました。

 そこで、ロジックモデルを作成しました。アレルギー疾患患者が、最終的には先ほど申し上げたような、アレルギーがあってもきちんとした生活ができる、どこにいてもエビデンスの有る質の高い医療が受けられるという中で、やはり幸せに生活を送りたいということが最終目的でございます。

 そのロジックモデルの中で、全国の自治体が作成中の地域医療計画におけるアレルギー疾患対策の実態はどうなっているかを調査しました。あくまで1月18日時点のものです。今日は時間的に無理でしたので、集計をお手元にお出しできなくて、各委員の方々には、事務方よりメールでお送りしていただいております。その一部を御紹介させていただきます。

 「第10回アレルギー疾患対策推進協議会」委員 武川篤之 提出資料より、各都道府県医療計画(案)におけるアレルギー疾患対策記載への一考察と要望です。現在、各都道府県では医療計画のパブリックコメントを実施している段階にあることから、各医療計画案のアレルギー疾患対策記載部分を確認、検討し、以下の点を指摘する。

 確認日:2018年1月18日。

 確認状況。公開中16件、公開終了5件、未公開26件。公開中16件のうち、2件はアレルギー対策の記載なし。公開終了している5件について、うち4件はリンク外れ。1件リンクがあるも、アレルギー記載なし。未公開26、多くは2月までにパブコメ募集と考えられます。

 指摘事項:・各都道府県により、記載の有無、項目立て、記載内容に大きな隔たりがあることが、判明した。平成30年度以降のアレルギー疾患対策の推進・実施の取り組みに、各自治体間のバラツキが拡大することが懸念される。 医療計画においては、アウトカム指標の数値目標を掲げることにより、各施策の到達度合いが測られるべきであるので、アウトカム指標の数値目標の設定を含め、記載が不十分な都道府県には、より具体的な記載となるよう指導をお願いしたい。

 次に各都道府県におけるアレルギー疾患医療拠点病院及びアレルギー疾患対策連絡協議会の両方の設置を謳う都道府県は、公開中及び公開終了の21都道府県中7都道府県にとどまる。

 アレルギー疾患医療拠点病院及びアレルギー疾患対策連絡協議会の設置は、アレルギー疾患対策基本指針における医療提供体制整備の根幹を為すものであることから、両者の設置を国として再度強く指導をお願いしたい。

 ・アレルギー疾患の疾患啓発及び社会課題としての認知獲得に向けて、患者とその家族だけでなく、一般の都道府県民への情報発信は極めて重要であることから、都道府県内関係者と協力し、その内容を充実させるとともに、情報発信の手段・手法により、一層の工夫を加えていただくよう指導をお願いしたい。

 次に、各県におけるアレルギー疾患対策が、患者とその家族の生活の質の向上と、治療に対する患者納得度・満足度の向上につながるには、当事者の声の反映が重要であることから、アレルギー疾患対策連絡協議会及び情報発信内容決定の場に、患者代表の出席を求めるよう強く要望する。国からも指導をお願いしたい。

 以上でありますが、都道府県別のまとめはお手元のメール資料で確認いただきたいのですけれども、各都道府県の中に、静岡、岐阜のように進んでおられるところとか、記載は有るが、内容的に問題があるところ、具体的に言って非常に恐縮ですが、一切触れていないような埼玉とかがございます。自治体間のバラつきが大きいです。

 従いまして、今後ともウオッチングしながら、また、各自治体等の医療計画を開きながら、なぜおたくの県は行っていないのか。基本指針にこう書いてありますよ、ということを具体的に提示しながら、アレルギー疾患対策の総合的な推進を患者の立場から注視し、提言していきたいと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○本田委員 本田です。

 私はメディア、特に医療、福祉、介護を中心とした社会保障政策をずっと取材してきた記者として参加させていただいていて、ただ、アレルギーの問題に関して、全然詳しいわけではなかったので、本当に勉強させていただきました。

 そういう中で、今回、一つの区切りということで2点だけ申し上げたいことがあるのですけれども、一つはさまざまな対策とか予算事項とかが決まってきましたけれども、私としては実感として、きちんとした診断、既に確立している治療がきちんと適切に提供されれば、現状でももっと救われる人がたくさんいらっしゃるということを再認識させていただきました。

 そういうものをどのように普及していくか。特にプライマリーケアの段階で、専門の先生方はもちろんきっちり向上していただけるものと信じておりますけれども、さまざまな疾患、さまざま患者さんを診ていらっしゃるプライマリーの先生方に、より最新の知識を持っていただいて、必要な人をちゃんと専門につなげるかということにもっと力を入れていただきたいということを実感しました。

 そういうことで研究という意味でも、どうしても研究者も、行政関係者も、私たちメディアも、新しい治療法の開発だとか、新しい事業だとかに目が行ってしまいがちなのですけれども、実際に今、どのように適切な治療、今ある標準的な治療が提供されているのかという政策的な研究をきっちりやっていただく必要があると思います。

 そういう視点からも、研究をどのように進めていくかということに関して、研究者や医療者だけではなくて、患者さんや社会学者のような方々にもちゃんと参加していただいて、国のアレルギー対策を全方位で進めていっていただければと感じています。

 もう一つは今回、指針とか政策目標とかがある程度決まってきましたけれども、まさに皆さんがおっしゃっていましたようにスタート段階であって、この先、これをプランに沿って実施していく。その中で一定の期限をもって評価、チェックしていって見直す。こういうことをきっちりやっていくことが一番大事だと思いますし、日本の政策の中で、そういうことが一番弱いところではないかと感じています。

 今回の協議会はそのスタート時点をつくったということで、次の協議会の方々にこの議論をしっかりやっていただいて、私たちメディアとしても注視していきたいと思っています。

 以上、ありがとうございました。

○山口委員 帝京大学内科学講座呼吸器アレルギーの山口です。内科の立場でコメントをさせていただきたいと思います。内科で臓器別の再編成が進んで徹底されてくる中で、全身を診てアレルギーを診療していくという姿勢がだんだんと薄まるあるいは弱まっているのではないかと日ごろから感じておりました。呼吸器アレルギー科という標榜では、実際にはがんの比率がかなり高まっています。

 職場や環境の中で、何がアレルゲンとして隠れているか見つけていく場面では、我々は何とか発見してみようという気持ちを持って臨床で立ち向かっていますが、若い人に理解してもらえないということも感じていまして、将来に関して大変不安に思っていました。

 内科に関しては、内科だけのアレルギー学会がないということが、ほかの領域と比べて、足腰が弱くなる要因であろうと思っております。

 内科の中でアレルギーを診療していくことが、孤軍奮闘の様相を呈していると感じていましたので、今回協議会に参加させていただきまして、アレルギーの診療をきちんと、元気にやっていくという姿勢に向けて、内科医を強く後押ししてくれる制度だと感じております。

 国民の中でぜんそくなどさまざまなアレルギー疾患が多い中で、きちんと内科の責任を果たしていくために、この制度は極めて重要だと考えます。本当に皆様にお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。

○斎藤会長 西間先生、どうぞ。

○西間参考人 この法律の生みの親の一人として、ずっと見守ってまいりました。ちょうど、人で言えばいわば頸坐した、首がすわって歩きだしたところだと思います。これからきっちりと成長していってもらわなければなりません。

 それから、先ほどの電話相談、情報提供とかAMEDに関しましては私が担当しておりますので、その説明、釈明がしたいのですけれども、ちょうど時間となりましたので、またの機会にと思います。

 以上です。ぴったり3時です。

○斎藤会長 よろしいですか。

○西間参考人 言いたいことはたくさんありますが、十分です。

○斎藤会長 時間になってしまったのですけれども、最後に私からということで、少し。

 協議会の議長を務めさせていただきまして、議事次第に尽力したせいで、なかなか私の意見を言う機会が与えられなかったので、少し私見を述べさせていただきたいと思います。

 私自身はアレルギー学会の代表として指名されたわけでございますが、アレルギー学会の理事長でありまして、昨年の7月で退きましたので、次の協議会には恐らく選ばれないと考えております。また、ことしの3月で現役を引退いたしますので、そういうこともあって、次の協議会の方々にぜひ私見を述べたいと思っております。

 研究ということなのですけれども、よく、やりたい研究と必要な研究というように、くくって言われることがあると思うのですけれども、皆さんやりたい研究だけやって、必要でない研究をやっている人などいないと思うのです。ただ、必要な研究というのは、誰が必要と思っているかです。要するに、自分が必要と思っていても、多くの人が必要と思っていない研究というのは、これからの時代はなかなか、世界的な傾向としてもできませんし、そもそもアレルギー疾患対策基本法は、国民の声で研究者にやってほしいような研究の道筋を示したのだと思います。

 この基本的指針にのっとったものを達成するための研究を、ぜひ次の研究者の方々にはお願いしたいと思っています。すなわち、正確な情報といいますか、何をもって正確と言うかはなかなか難しいです。確率の高い情報です。例えば、10年後のアウトカムとして、AIでオプションとして3つぐらい出してもらって、それをお医者さんと相談しながら決めるとか、そういうのも基本法の流れに沿った、基本法が示しているやってほしい、必要な研究だと思っております。

 とはいえ、この予算です。なかなか皆さんはっきり発言される方はいなかったわけですが、がん対策と比べると非常に少ないわけですね。

 ただ、それでもゼロからのスタートではありますので、一歩一歩、研究も医療も情報発信も全部シームレスでこれから一体化していく世の中でございますので、そういうことで一歩一歩、実績を積み重ねていって、官公庁だけではなくて民間団体も、この研究に寄付してみようかということが引き金となるような、そういうことをぜひ進めていっていただきたいと思っております。

 3分過ぎました。

 それでは、最後に事務局の課長から御挨拶をお願いいたします。

○佐々木課長 本日は現行の委員の皆様方で開催する最後の協議会となりますので、一言御挨拶をさせていただきます。

 このアレルギー対策につきましては、平成26年、2014年6月の法律成立を起点といたしますと、今まで5つのステップを踏んでまいりました。

 1つ目のステップが、翌平成2712月の法律の施行であります。

 2つ目のステップが、まさにこの協議会、平成28年2月にアレルギー疾患対策推進協議会の設置がありました。

 3つ目のステップが、昨年3月にアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針、基本指針を大臣告示させていただくことができました。

 4つ目のステップが、本年度に入ってからですが、アレルギー疾患医療提供体制のあり方に関する検討会の設置。

 5つ目のステップが、同じく昨年7月に報告書の取りまとめがありました。

 こうした今までのステップを踏まえ、きょうはこれから研究戦略も踏まえて、医療提供体制の整備、情報発信、相談事業など、これからどうしていくのかということについて御審議いただいたところでございます。

 そして、これまでいただいたさまざまな御指摘、御意見をもとに、今後もアレルギー疾患対策をどう進めていくのかという道しるべとなります基本指針に基づいて、着実にアレルギー疾患対策を進めてまいります。また、メンバー改選もありますけれども、定期的にこの協議会で取り組みを報告させていただきたいと思います。

 ここにお集まりの委員の皆様におかれましては、アレルギー疾患対策の一層の推進のために、引き続き御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 重ねて今まで、そして本日のさまざまな御指導に厚くお礼を申し上げ、私からの最後の挨拶とさせていただきます。

 今まで本当にありがとうございました。

○斎藤会長 どうもありがとうございました。

 それでは、本日の協議会を終わりにしたいと思います。

 皆様、本当にありがとうございました。


(了)

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