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2017年10月4日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成29年10月4日(水)9:57~10:41


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 野口晴子委員 松原由美委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
五嶋規夫専門委員 日色保専門委員 昌子久仁子専門委員 上出厚志専門委員
加茂谷佳明専門委員 吉村恭彰専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○試行的導入にかかる費用対効果評価の価格調整のあり方について

○議事

○荒井費用対効果評価専門部会長

 ただいまより、第1回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会」を開催いたします。

 合同部会の議事の進行につきましては、費用対効果評価専門部会の部会長である私が務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。

 本日は、榊原委員、中村委員が御欠席です。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○荒井費用対効果評価専門部会長

 それでは、議事に入ります。

 本日は「試行的導入にかかる費用対効果評価の価格調整のあり方について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○古元医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 資料「中医協 費薬材-1」について御説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、1ページ目でございます。平成29年8月23日の中医協費用対効果評価専門部会において、費用対効果評価の試行的導入に当たって検討することとされた項目が図1のとおりでございます。このうち5番、価格調整方法については合同部会を開催して検討するとされており、この方針に基づき、本日、この合同部会において価格調整方法について検討したいと考えてございます。

 図2は試行的導入全体の流れを示したもので、御参考でございます。

 2ページ目をごらんください。総合的評価(アプレイザル)の結果に応じた価格調整方法についてということでございます。

 検討の視点ですが、価格調整には大きく2通りございます。まず1つ目の○ですが、総合的評価の結果、比較対照品目と比べて費用、効果ともに増加する品目の場合には、ICERを算出することが可能でございます。そのICERにより費用対効果を評価することが可能でございます。

 2つ目の○、「一方」以下の記述があります、これが2つ目の類型でございますが、比較対照品目と比べて効果が増加もしくは同等であり、同時に費用が削減される品目、こうしたものについてはICERが算出できないため、価格調整の方法を別途検討する必要がございます。

 まず、そのうち1つ目。比較対照品目に対し費用、効果ともに増加する場合。すなわち、ICERが算出される場合について御説明をしたいと思います。i)のところですが、まず、ICERに応じた価格調整につきましては、総合的評価について先ほどの費用対効果評価専門部会においても議論いたしましたが、5段階ではなく各品目のICERにより連続的な価格調整をすることが望ましいのではないかということでございます。

 その際、図3をごらんください。3つの領域を設けてはどうか。すなわち、ICERに応じて1番、価格調整を行わない領域。2番、ICERに応じて価格を変動させる領域。そして3番、一定の引き下げ幅で価格調整を行う領域ということでございます。こうした3つの領域を設定する場合、1番、2番、3番の境界となる値を定めなくてはなりません。

 3ページ目をごらんください。その境界となる値、基準値については費用対効果評価専門部会での議論を踏まえ、過去に国内で行われた支払い意思額に関する調査、並びに英国における評価基準。以下、まとめて「参照情報」と申し上げますが、そうしたものを活用して設定してはどうか。

 その、過去の調査並びに英国の情報については次のページ、4ページから5ページの上にかけて参考で情報をお示ししてございます。図4が過去調査における受諾確率曲線。表2、表3が英国の状況でございます。

 お戻りいただきまして、3ページでございます。上から2つ目の○です。こうした参照情報を用いて基準値を設定するに当たり、2つ案がございます。案1は、2つの基準値、ともに参照情報を用いて定めるという方法。また、案2としましては、1番と2番の境界線のみをまず参照情報を用いて定め、もう一つ、2番と3番の境界については1番と2番の境界となる値に一定の倍率、例えば2倍などを乗じて定める。こうした方法が考えられるということでございます。

 そこで、試行的導入においては、使用できる参照情報が限られていることから、これらの直接的な活用は可能な限り限定的に行うこととして、案2、すなわち1番と2番の境界のみを参照情報を用いて定め、2番と3番の境界については一定の倍率を乗じて定めるという形の基準値の設定をしてはどうかという御提案でございます。

 続きまして、3ページの中ほど、ii)ですが、比較対照品目に比べて費用が削減される品目について、つまりICERが算出できない品目についてでございます。比較対照品目と比べて効果が増加し、または同等であり、同時に費用が削減される品目についてはICERが算出できないため、価格調整の方法を別途検討する必要がございます。これらの品目は費用対効果の観点からは望ましい品目であることから、一定の条件を満たすものについては価格調整における配慮を検討してはどうかという御提案でございます。

 続きまして(2)に参ります。倫理的・社会的影響等に関する観点から考慮すべき要素に該当する品目についてということで、先ほどの費用対効果評価専門部会でも御議論いただきました総合的評価においては、倫理的・社会的考慮要素を考慮するということでございます。価格調整においてもこうしたものについては一定の配慮を行うことが必要ではないか。具体的には、倫理的・社会的考慮要素に1項目該当するごとに、ICERの値を一定率割り引いた値、ここでは仮に「価格調整係数」と記載しておりますが、それを算出し、当該係数を用いて価格調整を行うこととしてはどうかという御提案でございます。

 以上、総合的評価の結果に応じた価格調整方法についての御説明をさせていただきました。

 続きまして、5ページ目をごらんください。大きな2番、その他の検討課題でございます。5ページ目の表4、及び6ページ目の表5のとおり、これまで価格調整についての議論をしてまいりました。こうした議論を踏まえ、試行的導入における費用対効果評価による価格調整の対象となる薬価及び保険医療材料価格の範囲についてどう考えるか。

 参考として、7ページに薬価、そして8ページに医療材料の価格算定の概要をお示ししてございます。

 本資料の説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して御質問等がありましたら、お願いします。

 松本純一委員、お願いします。

○松本純一委員

 先ほどの費用対効果評価専門部会での最後の発言にもつながるのですが、2ページの図3の直上にある1番、2番、3番の3領域を設定してはどうかということについて。この図を見ても1の長さと2の長さが同じで3が限りなく長くて、2の部分の傾斜が非常に緩やかに見えるのは、何か意図するものがあるのかなという気がしますが、それはそれとして、この1、2、3を踏まえて価格調整をしたときに、例えば7ページ、8ページの参考の図ですが、一番上の図、類似薬効比較方式の図で「比較薬の薬価分(一日薬価あわせ)」と書いてあって、加算部分が横に出ている。価格調整をするときに、この加算部分だけを行うのか、それともこの比較薬の薬価分のところまで入り込むような薬価調整をするのか。そうなりますと、ここの、どの部分にイノベーションの評価が入っているのかということがあるのですが、それまでへこませてしまうのかということになると、先ほどの議論で、最初に十分評価していると言うから、しなくていいでしょうというのが、ちょっと違ってくるのではないかと思うのです。

 同様に、原価計算方式もちょっと違うのですが、このときは製品総原価というところまでは入り込めないのか。この辺のイメージは、どのようにイメージしたらいいのか。これは参考人の方々にお聞きしたほうがいいでしょうか、それとも事務局のほうがいいのでしょうか。そこはありますが、それぞれに聞いてみたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 それでは、まずは事務局からお願いします。

○中山薬剤管理官

 薬剤管理官から、考え方としてお答えをさせていただきたいと思います。

 今回、費用対効果評価の試行的導入におきましては、先ほど安部委員からも御指摘のあったとおり、革新性や有用性の評価の妥当性を検証する意味合いがあるということですので、そういった点を踏まえて価格調整を検討する必要があるということ。また、さらに言いますと、費用対効果評価に基づいて薬価を引き下げる場合ですが、薬価基準上、比較薬や既存治療よりも臨床的有用性などがあるとされて薬価が算定されているということを踏まえて、その整合性を踏まえるということも必要であろうと考えているわけであります。

 松本純一委員から御指摘のあったような点、例えば比較薬の薬価まで食い込むのかとか、あるいは製品総原価まで食い込むのかというような話については、今申し上げたような原則の部分を踏まえて検討しなければならないのではないかと考えているというのが、今の事務局の立場でございます。

○松本純一委員

 どうも御説明がすとんと入ってこないのですが、一度、参考人の先生方からも何か御意見があれば教えていただけますか。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 参考人、どうぞ。

○福田参考人

 価格に関しては私の基準になってしまうかもしれませんが、まず、類似薬効で比較されているものに関しては、費用対効果評価との関連で言いますと、比較薬としているものが必ずしも費用対効果の比較対照とは限らないということが課題として一つあるかと思います。

 もう一点が、仮に同じものだとしても、既存の13品目を今やっておりますので、その後、改定を受けているはずです。それによって、例えば比較薬の値段も変わっているのではないかと思いますから、その加算部分がどこにあるかというのは、どうするのかというのは本質的には疑問です。原価計算方式に関しても、確かに実際に供給されないのは困ると思いますので、本当にかかる原価のところを割っているのはいかがなものかなとは思いますけれども、ただ、実際に供給するのにどのくらいかかっているかというものが、どこまで正確に把握できるのかということが課題かなとは思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 今村委員、お願いします。

○今村委員

 2号側で唯一費用対効果にかかわって、今、初めて薬価専門部会として参加をさせていただいていて、今までの議論を聞いていて、極めてテクニカルな話と総論的な話に終始していて、具体的に価格調整をどうするかというのは今の薬剤管理官のお話を聞いてもよくわからないなと思っています。

 試行的な導入で、具体的に、相当にきっちりと早く決めなければいけないのに、どうやって薬価調整するかというイメージがつかめていない。

 松本純一委員から今お話のあった、加算部分のところはとりあえず基本的にこの仕組みを使って見直すというお話があって、さらにそれ以外のところまでこの仕組みを使うのかどうかという、こういう議論だと思うのですが、今回選ばれている商品の中で、具体的な名前を出していいかどうかわかりませんが、例えばソバルディは加算が100%されている。これが費用対効果で、仮にですけれども、効果がよくないから80%にしましょうかとか、こういう議論はあるのかもしれません。ダクルインザが40%の加算だと。だけれどもハーボニーの補正加算は0になっているわけです。そもそも今回選ばれている品目の中に加算が0%のものがある。100%加算されているものと40%加算されているものを組み合わせて、その加算を下げるといったときに、では、0%のものはどうするのだという議論が必ず起こってきて、そうすると、これは加算でないところの部分もある程度見直すのだという議論になるのかどうか。これは結構大事な論点だと思っていて、どういうやり方をするかが明確にわかっていないと、どうやって価格調整するかということが見えないだろうと思っています。ぜひ、そこは事務局から明確に、どのような形でこれを使うのかということを改めて御説明いただきたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 今回お示しした価格調整の方法については、まずは決め打ちすることなく、薬価算定なり材料価格算定の方法に基づいて、どうあるべきかというところの御意見をまずは拝聴したいということで、今回、御提示させていただいております。

 しかしながら、それを踏まえて、当然のことながら、今、御指摘のあるような、加算がないようなものも今回は対象になっているわけですから、そこについて、どこの部分を対象とすべきか。そういった場合には、基本的には比較薬があるわけなので、その比較薬の扱いをどうするのかということで検討するしかないと思っていますけれども、そういったことも踏まえ、事務局としては検討した上で御提示し、御議論いただくという段階まで持っていきたいと考えているのが現状でございます。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 松本吉郎委員、お願いします。

○松本吉郎委員

 流れとしては、最後の評価のところ以外は確かにある程度わかってきたかもしれませんが、今、今村委員がおっしゃったとおり、全体像が見えないと、なかなかわからない。例えば2ページ目ですけれども、1番と2番の基準の境界線は、これまでの議論で言えば4ページ目と5ページ目の表1、2、3である程度決めていく。表1の場合でしたら、50%以下ということはないでしょうから、50%以上のところで、どこかで決める。表3であれば、5万ポンドということはちょっとないでしょうから3万ポンドか2万ポンドのあたりで、この辺で考えていくということになろうかと思いますし、また、境界線の2と3のところですけれども、これも一定の倍率ということであれば、その根拠は何かということも考えていかなければいけません。3のところがフラットになっているのも、この辺も妥当なのかどうかも考えていかなければいけません。それから、3ページの下の価格調整係数をどの程度のパーセントにするのかということも考えていかなければいけないし、まだまだ、いろいろな課題があって、その中でこの加算部分の取り扱い等も含めて、やはり一体的にある程度出していただかないと、これを一つ一つやっていても、なかなか難しいだろうという感じがします。ぜひ、今のような問題点として残ったところを一体的にお示しいただいた上で議論をしていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 今、御指摘いただいた点を十分踏まえまして、一体的にお示しした上で御議論いただくという形にしたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 今村委員、お願いします。

○今村委員

 前向きに、次回以降、具体的にお示しをいただけるということで、その示していただいたものをどうするかという議論に任せたいと思いますが、お願いとして、2ページにあります価格調整のイメージで1番、2番、3番というところについて。これは先ほどありましたように、どこに切れ目を入れるかとか、そういう議論もあるかと思いますが、お願いは、この1の起点の、破線の始まるところは何を意味しているのか。先ほど私が申し上げたことにも関係するのですが、つまり加算ということだけで考えるのだったら、これは加算の率が、例えば20%だったら20で始まるのか、あるいは20100と置くのかということに多分なると思います。そうではなくて、全体的なものを見直すというのだったら、この点線の始まりが何かということ、そこを具体的に、一緒にお示しいただければありがたいと思っています。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 ありがとうございました。

 吉森委員、どうぞ。

○吉森委員

 全体的に、今の診療側の先生たちの意見と同等で、より具体的にということですけれども、先ほどの部会であった「こととする」というのが、今回また「どうか」となっているので、その辺の姿勢が一歩後退しているのかなと思います。全体的には異論はありませんけれども、まず、資料の3ページの参照情報の活用部分。ここについては4ページの図4にあるように、例えば仮に50パーセンタイルの人が支払いを許容する額、485万ですが、これを一つの基準とした場合、案2であれば2倍だと言えば970万ですけれども、2と3の境界を同じ調査で33パーセンタイル。そうすると、金額は905万ですけれども、970万と905万、違うといえば違うのですが、近似値といえば近似値だろうと思っています。どちらがどうと論理的に説明できるかどうかというと、それも余りできないのではないかと思います。言いたいのは、ある意味、決めとして、事務局が判断をいただいて、きちんと御提案いただいて、我々がどう判断するかというようなお示しの仕方をしていただくと、ありがたいのかなと思います。

 この点では倫理的・社会的考慮要素に該当した場合の価格調整係数、この値も同様だと思います。何%がどうだというのは、なかなか理屈立てができないのではないかと思いますので、事務局には追って具体的な選択肢を速やかに御提案いただければありがたいと思っています。

 また、2番のその他の検討課題のところです。試行的導入においては価格調整の対象になる薬価、材料価格の範囲についてどう考えるかということですが、そもそもこれは薬価制度の抜本的改革とも深く関係する範囲でありますので、試行的導入の場合では、類似薬効比較方式、原価方式、それぞれ今、御意見がありましたように、その加算部分とか補正部分でやるのか、それを除いた本体でやるのか。その辺はぜひ、具体的に個別の品目でどうなのか。こういう場合はこうだとか、そういうことの差異やメリット・デメリット、そういうものをシミュレーションをし把握していれば、お示しいただければいいし、していなければ、次回、そういうシミュレーションも御提示いただくとありがたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 ありがとうございました。

 では、万代委員、どうぞ。

○万代委員

 これまで委員の方がおっしゃったことは、そのとおりだと思いますので、総論的あるいは逆に必要な詳細な点を盛り込んだ上での今後の議論をできるように、事務局からの提案をお願いしたいと思います。

 その中で、2点だけ追加させていただきたいと思います。3ページの(2)倫理的・社会的影響等に関する観点から考慮すべき要素に該当する品目についての○の2つ目でございます。価格調整係数を設けるということですが、ちょっと細かくなって申しわけないのですが、この価格調整係数を適用する場合に、項目が複数あった場合に、元値にかけるのか、順次、複利的にかけていくのか。そのようなことも議論していく必要があるかと思っております。

 最後の7ページあるいは8ページの、これまでの類似薬効比較方式等における費用対効果の適用の考え方については、恐らく予想としては加算部分に大きい額がついているものが費用対効果の議論に乗ってくるとは思いますが、ただ、やはりそれですと議論が限定的になると考えますので、私はやはり全体の薬価について、どのような考え方を適用するのかということも考えながらやっていくべきかなと思いますので、やはり全体を対象とするというような議論をしていくべきかなと思っております。

 以上です。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 何点か確認と意見を言わせていただきます。

 まず、費用対効果評価専門部会で発言したことになりますが、もう一度確認したいと思います。3ページのii)の2つ目の○の、ICERが算出できない品目については、価格調整における配慮を検討してはどうかという投げかけがあります。価格を引き上げるという選択肢も考えているのかを改めてお伺いしたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 企画官、お願いします。

○古元医療課企画官

 3ページの御指摘いただいた部分、「一定の条件を満たすものについては、価格調整における配慮を検討してはどうか」という記載でございます。これは比較削減項目であるということだけをもって配慮するのではないという意味合いも含めて記載しておりますが、価格引き上げ、また、その対象の範囲を含めまして、こちらの合同部会で引き続き議論をさせていただきたいと考えてございます。

 よろしくお願いいたします。

○幸野委員

 そもそも、試行的導入で費用対効果評価という仕組みが入った経緯は、薬価等の価格の加算率が高くて高額であり、保険財政に影響を与える品目に対して真の価値を見極めようということで導入されたと理解しております。費用対効果評価の結果、一定の価値があると認められるものは、その価格は正しかったとして維持され、価値が低いと判断されたものは価格を引き下げるかのいずれかであると理解しているので、評価がよかったからといって、価格を引き上げるという選択肢はないと私は考えています。

 次に2点目ですが、同じページの(2)の倫理的・社会的影響をどう調整するかというところについてです。これはあくまで補完的な評価だと思っていますので、考慮要素に該当したとしても、評価は限定的なものにすべきだと思います。例えば図3の○3にあった品目が○2に上がってしまうということがあってはならないと思います。

 また、評価結果を価格のどの範囲に反映させるかということについてですが、各委員の御意見や事務局の見解を聞いていて思ったのは、消費税の議論と似ているということです。薬価は、類似薬効比較方式か原価計算方式によって算定の仕方は異なりますが、数次の薬価改定を経ていますので、薬価を分解するということは不可能なため、加算部分だけに対して評価結果を反映するということはできないのではないかと思います。それを踏まえれば、私は薬価全体に評価結果を反映するべきだと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 今村委員、どうぞ。

○今村委員

 今の幸野委員の御意見を伺っていて、1点目の、引き上げということに関してはそもそもないのではないかという御発言について、私も基本的にはそこには非常に同意をするものです。そもそも、さまざまな加算をつけたときには専門家がこの薬にはこういう価値があるということを、きちんと分析して、とりあえずはその加算率を決めたという経緯がある中で、今回の費用対効果の議論を聞いていても、まだまだ科学的に本当に確立した手法とまでは、日本では言えない中で、試行的にそれを実施しましょうと言っている。どちらがより精緻な議論をしているのかという話だと思うのですけれども、基本的な、さまざまな価値を分析して加算率をとりあえず決めたわけですから、それをさらに、まだ確立されていない手法で引き上げるというような形を何かルールの中に入れるというのは、いかがなものかとは思っています。その点で幸野委員の意見に賛同させていただきたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 価格調整の範囲について、いろいろ御議論をいただいているところでありますが、専門委員の意見として一言述べさせていただきたいと思います。

 今、いろいろ御議論をいただきましたように、試行対象品目の選定のあり方、選定方法ですとか、あるいは現行の薬価の算定ルールとの整合性を考えますと、今、御議論されている価格調整の範囲については、私ども専門委員の立場ではやはり加算の評価の範囲内とすべきであろうと認識しているところでありますし、それを大きく超えて逸脱するということは、今回の試行ということに関して言えば、あり得ないのではないかと認識をしているということを述べさせていただきたいと思います。

 それから、試行品目であっても、価格を実際に動かすと申しましょうか、引き下げるというようなことに関しては、当該品目にとっては本格的な実施と基本的には変わらないということですので、どのように薬価を動かすのかということについて、今後の議論だと思いますが、結果としてイノベーションの評価が阻害されたり、あるいは従前起きていたようなドラッグラグがまた生じかねないというような懸念も持っているということもあわせて付言させていただきたいと思っております。

○今村委員

 専門委員に御質問したいのですが、冒頭、先ほど申し上げたように、もしも加算の部分を見直すということであれば、今回の試行についての具体的な品目についての例示を挙げさせていただいたのですけれども、ソバルディが100%加算だということ。そしてダクルインザが40%加算だということ。そして、それの合剤であるハーボニーは補正加算が0%だということになると、一体どのような考え方で整理をすればよろしいのか、専門委員としての御意見をお聞かせください。

○加茂谷専門委員

 具体的な話は先ほど管理官のほうからお話があったように、今後の調整だと思いますが、個人的な見解になるかもしれませんけれども、やはりハーボニーがダクルインザとソバルディを比較薬としてつけているという状況を含めますと、どのような結果になるのかはわかりませんが、ソバルディの100%、ダクルインザの40%の加算の修正部分がハーボニーに適用されるのかなということを認識してはおります。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 松本吉郎委員、お願いします。

○松本吉郎委員

 これまでも何回かお話をしたところですけれども、試行的導入で、やはり薬価に反映する効果が十分に得られないときは、これまでのこの費用と労力を考えれば、まさに費用対効果を問われかねないと思います。したがって、先ほど1号側、2号側から意見がいろいろありましたけれども、やはり全体的にもうちょっと把握をして、しっかりと検証して、本格的導入に際しては、その検証が行われた後にやっていくべきだということでお話をしたいと思います。意見でございます。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 薬剤管理官、どうぞ。

○中山薬剤管理官

 先ほど幸野委員からいただいた御意見につきましては、十分それを踏まえて検討させていただきたいという前提ですけれども、一言申し上げさせていただくと、まず、費用対効果評価結果に基づいて価格を引き上げる場合というのは、御存じのとおりですけれども、昨年の薬価の抜本改革の基本方針の中でも、そういったことも含めて検討するということが方針として位置づけられているという状況もありますので、もちろん幸野委員からの御指摘も踏まえて検討をさせていただきたいと考えているということがまず一点。

 もう一点は、累次の改定を経て、いろいろと価格が変わっている状況であるということは確かにおっしゃるとおりでありますが、それについて、その加算分をどう考えるかということを検討するということも一つあり得ると考えておりますので、そういったことも踏まえて、いろいろ検討させていただきたいということは一言つけ加えさせていただきたいと思っております。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 昨年示された薬価の抜本改革に対する政府基本方針には、「費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることも含めて」という文言は確かに入っていますが、その前段に書いてあることも含めて考える必要があると思います。その前段に何が書いてあるかというと、新薬創出等加算制度をゼロベースで抜本的に見直した上で薬価の引き上げもという表現になっていたと私は記憶しています。新薬創出等加算の検討状況を見ると、医薬品の要件と企業要件の厳格化にとどまっていて、ゼロベースで見直されているとは理解しておりません。したがって、薬価を引き上げるという文言だけを捉えて、基本方針にあるから価格は引き上げるというような説明をされるのは違うのではないかと思います。新薬創出等加算のゼロベースでの見直しとセットで検討すべきです。

○中山薬剤管理官

 基本方針としては、まず、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度をゼロベースで抜本的に見直すこととし」とあります。そして、「これとあわせて」という形で、「費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることも含め費用対効果評価を本格的に導入すること等により」という文章になっているということで、それぞれ、あわせて検討するという意味合いでありまして、まず、新薬創出加算のあり方については、それはそれとして、ゼロベースで抜本的にという形での見直しをしっかりとやりたい。しっかりと理屈を立てて、新薬創出加算のあるべき姿というものを御提示したいと考えているということであります。

○幸野委員

 今の検討状況を見て、新薬創出等加算はゼロベースで見直していると理解されていますか。

○中山薬剤管理官

 6月でしたでしょうか、新薬創出加算については、まずは新薬創出加算の対象なども含め、全ての項目について一通り御議論をいただいたと。論点を挙げて議論をいただいたということでありまして、まずはゼロベースでという形でどうあるべきかということについて御意見をいただいたという状況かと承知しております。そこについては、しっかりと理屈を立てて、どうあるべきか、なぜこうあるべきなのかということは理屈を立てて御提示させていただきたいと思っているところであります。

○幸野委員

 これ以上は申し上げませんが、政府基本方針では、新薬創出等加算を少し見直しただけで、費用対効果評価の結果によっては薬価を引き上げるということが書かれているのではないと私は理解しています。これ以上は議論の趣旨に反すると思いますので、別途、新薬創出等加算の議論の際に申し上げたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 万代委員、どうぞ。

○万代委員

 今の3ページの比較対照品目に対して費用が削減される品目についてということに議論がある程度集中しているかと思いますが、そもそも、ここの会議は薬価だけでなく、保険医療材料についても費用対効果を考えようという場だろうと考えております。したがって、もちろん薬価抜本改革の議論は議論として当然ベースにあるとは思いますけれども、むしろ費用対効果について特化して議論したほうが話がわかりやすいかと思っております。ちょうど幸野委員が薬価、薬価とおっしゃるものですから、薬剤管理官が答える格好で、薬価にばかり集中しておりますが、先ほど申し上げた本部会が議論する範囲のベースで、すなわち保険医療材料についても同時に考えていくべきかと思います。

 その意味では、今村委員が幸野委員の意見に賛成とはおっしゃいましたけれども、私自身はii)の2つ目の○に、価格調整における配慮をすると書いていないので、配慮を検討してはどうかということでございます。やはりイノベーションというのは一定程度、薬剤についても保険材料についても評価すべきかと考えていますので、ここの配慮を検討するということ自体は、私はぜひしていくべきと思っております。今後、具体的な13品目について、薬と材料と2つ出てくるわけですので、それを見ながらどうしていくかということを検討していくということも必要かと思っております。ですから、あらかじめ費用対効果というものは、費用対効果がいいものは当然だという議論は議論として、もう少し幅広く、もしもそういうものが出た場合には、何らかの配慮をするのかどうかということを検討するということも必要と思います。

 以上です。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 どうでしょうか。ほかには特にありませんか。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 今後検討を重ねていく上で、情報をどこまで公開するのかというところが重要になると思います。ICERの値は非公開だと思うのですが、どの領域に当てはまったのかということや、それを踏まえて価格を見直したといった情報まで公開するのか、それとも、価格調整を終えた結果だけを公開するのか、事務局の考えをお聞かせいただきたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 企画官、お願いします。

○古元医療課企画官

 今後、制度化も見据えまして、この中で議論をしていく中では、やはり必要な情報は開示していきたい。ただ、機密情報や個別品目の情報をどこまで提示できるかについては、対応を検討しながら、また御相談をしながら進めていきたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。

○幸野委員

 どういう経緯で薬価が引き下げられた、あるいは維持されたというところは、患者が納得できるような形で示していただきたいと思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 安部委員、どうぞ。

○安部委員

 薬価の調整の範囲を加算部分でやるか全体でやるかという議論があり、消費税対応説明も含め、何回かの改定を経るとどの部分が加算かというところがわかりづらいことになる。確かにそういう点はあると思うのですが、13品目の中で、薬価改定が何度か行われた際の影響は、例えば加算分を案分していけば、13品目ぐらいの数であれば、どの程度加算分が残っているかというのは個別に計算できると思うのですが、これはいかがでしょうか。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 理論的にはあり得ると思います。

○安部委員

 そうすると、加算部分での評価の見直しという方法は、ないわけではないということで理解してよろしいでしょうか。

○中山薬剤管理官

 そういった選択肢も含め、検討した上で御提示させていただくということになると思います。

○荒井費用対効果評価専門部会長

 ほかに、特にないでしょうか。

 ほかに御意見等がないようでしたら、本件については本日の御意見を踏まえ、御提案いただいた方向で事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○荒井費用対効果評価専門部会長

 ありがとうございました。

 それでは、そのようにしたいと存じます。

 本日の議題は以上です。

 次回の日程については追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の合同部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

○古元医療課企画官

 ありがとうございました。

 続きまして、中医協総会でございますが、5分後、1046分をめどに開催したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 


(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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