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2017年9月27日 中央社会保険医療協議会 総会 第361回議事録

○日時

平成29年9月27日(水)10:46~12:19


○場所

全国都市会館(2階 大ホール)


○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 中村洋委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 榊原純夫委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
菊池令子専門委員 横地常広委員 丹沢秀樹専門委員 小澤壯治委員長
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○臨床検査の保険適用について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○横断的事項(その3)について
○最適使用推進ガイドラインについて
○最近の医療費の動向について

○議事

○田辺会長

 ただいまより、第361 回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず、委員の出席状況について御報告いたします。

 本日は、間宮委員、岩田専門委員が御欠席でございます。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(カメラ退室)

○田辺会長

 それでは、早速、議事のほうに入らせていただきます。

 初めに、「臨床検査の保険適用について」を議題といたします。

 本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいております。

 小澤委員長より、御説明をお願いいたします。

○小澤委員長

 それでは、説明いたします。

 「中医協 総-1」の資料をごらんください。

 今回の臨床検査の保険適用は、E3 の2件です。

 3ページ目をごらんください。

 販売名は「レミチェックQ」です。

 測定項目は「インフリキシマブ定性」です。

 測定方法は「イムノクロマト法」です。

 4ページ目の製品概要をごらんください。

 本検査は、インフリキシマブ投与中の関節リウマチ患者の血清から、インフリキシマブの血中濃度を測定します。インフリキシマブの血中濃度を測定することで、インフリキシマブ投与量の増量等の判断の補助として用いることができます。

 3ページ目にお戻りください。

 保険点数につきましては、「D007  血液化学検査  55  プロカルシトニン半定量」の場合の 310 点を参考点数としています。

 次に、5ページ目をごらんください。

 販売名は「リノアンプBC 」です。

 測定項目は「サイトケラチン19 KRT19 mRNA 検出」です。

 測定方法は「OSNA One-Step Nucleic Acid Amplification )法」です。

 6ページ目の製品概要をごらんください。

 本検査は、非小細胞肺がん患者のうち、実施対象となる患者から摘出された非小細胞肺がん所属リンパ節のサイトケラチン19mRNA を検出・測定いたします。サイトケラチン 19mRNA を検出することで、非小細胞肺がんにおけるリンパ節転移診断の補助として用いることができます。

 なお、本品を用いた測定項目及び測定方法は、乳がん、胃がん及び大腸がんに対するリンパ節転移の検査法として既に保険適用されており、今回は適用に非小細胞肺がんを追加するものであり、特に術中迅速病理組織診断の代替としての使用が想定されます。

 5ページ目にお戻りください。

 保険点数につきましては、「D006-8  サイトケラチン 19 KRT19 mRNA 」の場合の 2,400 点を参考点数としています。

 今回、御説明いたします内容は以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 事務局から補足があれば、よろしくお願いいたします。

○古元医療課企画官

 特に補足はございません。よろしくお願いします。

○田辺会長

 では、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 では、今村委員、お願いいたします。

今村委員

 専門外の分野のことなので教えていただきたいのですけれども、最初のレミチェックのほうの推定の適用患者数が3,000 人というのは、現在、このレミケードの効果が十分に出ていないという方をこのぐらい想定されている、何か根拠がある数字なのでしょうか。

○田辺会長

 では、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 レミケードにつきましては、本検査では主に新規にレミケードの導入をされる方を対象に、その量を調整していくために用いる。新規にレミケードを導入される患者が年間3,000 名ほどいらっしゃるということで、そういった推計になってございます。

○今村委員

 わかりました。ありがとうございます。

 そうすると、もう既にレミケードを使用している患者さんが対象になるわけではないということなのですか。

○古元医療課企画官

 現在、特にまだ導入から間もない方など、さまざまな段階の方がいらっしゃると思いまして、現時点で投与量を3~6mm にする。そういった調整中の方であれば、この検査の対象になってくるとは思います。

○今村委員

 そういうことがあってはいけないのでしょうけれども、御自分がレミケードを投与している患者さんで、十分な効果が出ていればいいのですが、このぐらいかなみたいな感じで確認したいといった使用方法には、基本的には使えないという理解ですよね。4ページを見ると、条件は効果が不十分ということが大前提になっているのですが。

○小澤委員長

 補足しますけれども、基本的には検査回数が決まっておりますし、担当医が臨床的な有効性がないと判断したときにどうするかということですから、あくまで臨床医の判断が第一で、それの補完をする意味での臨床検査という位置づけです。

○今村委員

 ありがとうございます。

○田辺会長

 では、松本吉郎委員、お願いいたします。

○松本吉郎委員

 確認なのですけれども、この【主な対象】の中に「関節リウマチ患者」と書いてありますが、今回は疾患は関節リウマチ患者に限るといった認識でよろしいのでしょうか。

○小澤委員長

 それでよろしいと思います。

○松本吉郎委員

 ありがとうございます。

○田辺会長

 そのほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺会長

 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。

 次に、報告事項でございますけれども「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。

 本件については、診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところでございますけれども、小委員会でいただいた御意見も含めまして、事務局より説明をお願いいたします

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 今、会長が御説明の中で付言していただきましたけれども、先ほど行われました基本問題小委員会におきまして、お手元の総-2でありますが、基本問題小委の資料「診-1」「診-2」とあわせて御提出させていただいております。

 先ほど、分科会長からも報告させていただきましたので、詳細の説明は省かせていただきますけれども、診-1の表紙にございますが、検討項目1から6まで、急性期入院医療から地域包括ケア、回復期、慢性期、有床診、それから横断的事項ということで、中間的な検討の取りまとめをいただいております。

 審議の中では、委員のほうからさらに追加的な分析でありますとか、検討をということがございましたので、そういったことも含めて、事務局といたしましては、可能な限り対応させていただく所存でございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、お願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 次に、次期診療報酬改定に向けた議論として「横断的事項(その3)について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 それでは、お手元の総-3、それから「総-3 参考」を御用意いただきまして、御審議をお願いしたいと思います。

 総-3でございます。「横断的事項(その3)」となっております。

 「診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応について」ということで、2回目になります。

 1ページの「1.課題」のところに記載がございますけれども、これに先立ちまして、7月12 日の総会で第1回目の審議をお願いいたしました。そのときの内容をまとめてございますけれども、事務の効率化・合理化、それから情報の利活用を見据えた対応につきまして、以下に書いてございますけれども、【課題】をお示ししまして、具体的な検討ということになっております。

 【課題】は大きく2つに分かれておりまして、(1)は「事務の効率化・合理化」という視点でありまして、○1、○2、○3の3つですが、○1施設基準の届出等の手続等の合理化の余地があるといった内容。

 ○2は、各種様式の内容、必要性についての精査。

 ○3が、レセプトの摘要欄に関する事項であります。

 2つ目の内容といたしまして、(2)でございますけれども、「情報の利活用」という趣旨であります。○4、○5、○6、○7とありますが、例えば、居住地の情報がないことでありますとか、実臨床の体系との比較。○6は、選択の基準でありますとか考え方といったものが統一されていない、あるいは国際的な標準化に必ずしも対応できていない。○7は、形式がさまざま。こんなことでございます。

 以上のことをお示しいたしまして、最後の○でございますが、今回につながる話ですけれども、このような課題につきまして、次の30 年度の診療報酬改定、それから1回の改定で解決できるわけではございませんので、その後の改定ということで、以下にお示しする方向性で対応してはどうかという御提案でございます。

 おめくりいただきまして、2ページ以降に順次、御提案の内容を記載させていただいております。

 2ページでありますが、上半分の(1)、これは以下、具体的な対応の御提案をさせていただきますが、総じて全体に連なる基本的な考え方を、2ページの(1)、上半分にお示ししています。

 まず、2つの内容についてですけれども、事務の効率化・合理化は、各項目それぞれございますけれども、本来の趣旨をまず踏まえることが前提でありまして、1)、2)、3)とございますが、まず「内容を必要最小限に簡素化する」、それから「定型的なものは選択肢などを設ける」あるいは「重複しているものは可能な限り省略する」ことを、個別の項目、全体に通じる考え方として対応するということでございます。

 同様に、2つ目の利活用につきましては、まず1)現場、特に医療機関、それから審査支払関係の方々に影響・負担が当然生じますので、十分に配慮することが大前提になりまして、それから、2)診療内容の質の向上に一定の有用性があることと、3)他の情報との連携を可能とすることを、利活用につきましては連なる考え方として整理をさせていただいています。

 もう一つの基本的な考え方といたしましては、これらにつきましては、直ちに全て行えるものではございません。現場の影響もございますので、段階的に対応することを基本的なスタンスとして掲げております。

 以上が基本的な考え方でありまして、(2)以下に、具体的な対応につきまして御提案しております。順次、御説明させていただきますと、2ページの下から半分であります。

 まず、1を四角で囲ってございますけれども、これは基準の届出手続等の合理化の関係であります。

 (現状)のところに2つの がございますけれども、これまでの改定で一定程度の対応はさせていただいてきたということであります。重複の内容を省略するでありますとか、告示・通知の記載につきましても、一定程度、可能な限り迅速にお示しすることをやってまいりました。

 そういったことを前提としつつも、(対応案)として3ページの上部に書いてございますけれども、現在、診療報酬改定に向けた議論を並行して進めておりますので、現行の現場運用がそのままということにはもちろんならないわけですが、この30 改定で対応する具体的な内容を見据えながら、つまり、改定に向けた検討と並行しながらということになりますけれども、施設基準とか届出の項目、こういった手続に関しましては省略、簡素化、合理化を進めていくという基本原則を確認させていただいております。

 これは冒頭にも申し上げましたが、30 改定だけではなく、特に 30 改定以降につきましては、最後にもまとめておりますけれども、さまざまな他の関係の対応もありますので、継続的に合理化あるいは効率化を行っていくということと、オンライン化のようなものを念頭に対応を考えていくことになりますので、そこも含めてやっていきますということを明記いたしております。これがまず○1であります。

 次に、3ページの○2でありますけれども、中ほどからでございます。計画書あるいは各種様式といったものについて精査をということであります。

 (現状)でありますけれども、○が2つございますが、これは算定要件とか施設基準の所定の様式をお示ししております。その記載を行っていただくわけですが、大きく言いますと、ここに記載しているのは例示ではありますけれども、3つパターンがあります。すなわち、治療の方針など、患者さんに御説明して交付するという性質のもの、あるいは患者さんの情報を集約して計画を立てるもの、それから、基準について一定の様式あるいは方法で評価をしてくださいという記載をまとめているものなどさまざまございます。

 これらにつきましては、一定程度現場の負担になっているのはそのとおりでございますので、逆に申し上げますと、内容や必要性について精査が要るということであります。

 (対応案)でありますが、診療を行っていただいた上での診療報酬請求なので、1つ目の は、大前提として、診療録等に既に記載されているものがあるはずであります。そういったことからしますと、可能な限りという趣旨ですが、個別の内容にもよりますけれども、既に診療録等で得られる情報につきましては簡素化可能だということをちゃんと明示するということであります。

 2点目でありますが、同一の手法とか指標で評価する必要があるのか、あるいは評価そのものの頻度を減らしたり、評価に必要な情報をほかのデータから得られるのかということもございますので、そういったもののデータの状況等を把握しながら、そういった評価のための測定の簡略化を可能な限り検討していくという対応案でいかがかということでございます。

 おめくりいただきまして、○3であります。レセプトの摘要欄に関するもの、フリーテキストで現在は記載しているものにつきましての課題でございます。

 現状は既に何度か御紹介あるいは御議論いただいたと思いますが、レセプトにつきましては、診療行為の名称、点数あるいは回数といった基本的事項の記載は必須になっております。それ以外に摘要欄ということで、自由記載で記載を求めているものが、項目数でおおむね350 程度。それから、さらにレセプトに資料添付を求めているものがおおむね 20 程度あります。これらにつきましては、事務負担の御指摘あるいはもう少し効率的な事務処理ができるのではないかといった指摘をいただいております。

 (対応案)といたしまして、摘要欄の話と添付資料に分けてございます。

 4ページのaですが、まず摘要欄であります。これは、先ほど御説明させていただいたとおり、算定要件を満たすか満たさないかを判断するためのものですので、逆に言うと、基本的には算定要件の中身につきましては、留意事項通知等で明らかになっているということであります。その場合の算定要件の明らかになった内容について、具体的な例示なり明示がされているものがございます。

 例えば、ここの四角囲みの例は「C102 」という項目で、「在宅自己腹膜灌流指導管理料」という報酬算定でありますが、ここに記載されているような「『摘要』欄に回数及び必要と認めた理由」ということなのですが、具体的には、留意事項通知でこのような算定要件を定めておりますので、4ページの四角囲みの一番下に「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」とございますが、現実問題としては、こういったものを具体的に該当するかしないかを記載していただく以上、どこかに該当することになります。

 したがいまして、こういったことを選択して記載していただくことが、現実的かつ事務の効率化につながるのではないかということでありまして、4ページの四角の上の○ですけれども、このような例を見ていただきながら、これは「総-3 参考」で、1~2ページにまとめてございますが、現時点で128 の項目の内容につきましては、見直しが可能ではないかと考えておりますので、今回の改定でもともと報酬項目が変わっていく可能性はもちろんあるわけですけれども、こういった改定の内容とあわせて検討を行ってはどうかというものでございます。

 5ページは、今度はb添付資料であります。

 添付資料につきましても、同じような内容の精査を行うということでありますが、算定要件を満たすか否かということでございますので、まず不必要な添付資料がないかをよく精査いたしまして、不必要だと判断できるものは可能な限り廃止するということであります。

 それから、レセプトへの記載をするなどの見直しを行うことで、効率的な事務につながるのではないかということでありますが、これは例示として四角囲みがございます。これは「両室ペーシング機能付き植込型除細動器」という機器に係る留意事項通知でありますけれども、留意事項の中には「診療報酬明細書に症状詳記を添付する」となってございます。

 実際、症状詳記として添付すべき内容は、【見直し案】のところに書いてございますけれども、留意事項の要件を確認できるような具体的な内容として、この NYHA New York Heart Association )のクラス、あるいは左室駆出率、それから QRS 幅等と、これは医学的・技術的な内容でありますけれども、こういったものを具体的にお示ししながら、添付を求めているということでありますので、逆に申し上げますと、先ほどの摘要欄と同じような考え方でありまして、一定の要件があらかじめ設定できるのであれば、そういったことを逆に記載していただければ足りるのではないかという考え方であります。

 5ページの四角囲みの上の○にございますが、これは先ほどの「総-3 参考」と同様に、3ページ目に記載がございますが、現時点で把握しておりますのは11 項目でありますので、これも先ほどと同様で、次の改定に向けて、項目の見直しは当然あり得るわけでございますけれども、並行して精査を行ってはどうかということでございます。

 5ページの一番下の○は今、医科の例で御説明しましたが、同様に歯科、調剤のレセプトもございますので、同じような見直しを行っていくということでございます。

 おめくりいただきまして、6ページ目です。今度は利活用の関係でございますが、○4、○5、○6と続きます。

 まず、○4であります。これは現在、居住地の情報、住所情報等がないということであります。これは現状、確認でありまして、既に御案内だと思いますが、レセプトはこの保険者番号、氏名、生年月日等はあるのですが、居住地に係る住所情報はございません。そうしますと、地域単位のさまざまな検討・分析が難しいという御指摘がございます。

 それから、氏名の記載につきましては医科だけでございますが、医療のレセプトは、漢字または平仮名表記となってございます。一方で、医療の後に創設されました、介護保険の受給者台帳は片仮名表記でありますので、両者をひもづけることが難しいということでございます。

 (対応案)でありますけれども、今、2つお示ししましたことは、基本的に入力していただく側の負担はもちろんございますので、その点については十分配慮しながら、レセプトに患者の住所地、これは具体的には7桁の郵便番号、それから氏名の片仮名記載を求めてはいかがかということであります。

 それから、これは当然でありますが、こういったことを考える上では、システム、現場への影響、負担を十分に考慮する必要がありますので、必要に応じてということでありますけれども、一定の経過措置期間を設けることと当然セットで考えるべきであるという話でございます。

 次に、6ページの真ん中、下でございます。○5、○6でありますけれども、似たような内容でございますのでくくっております。

 ○5で言っておりますのは、診療報酬の告示項目等が、必ずしも実際の実臨床に即した考え方とかコードの体系になっていない。

 ○6は、傷病名とか診療行為の選択は、さまざまな学術的あるいは国際的に標準化されたものと必ずしも一致していないということでございまして、そういったものとの整合が望まれるという話であります。

 6ページの下の(現状)のところに3つございます。これは一番典型的な例ということでございますけれども、手術分類(Kコード)であります。これは、歴史的に改定ごとに追加をしたり見直しをしたりしている関係で、さまざまな枝番も含めて、付加あるいは統合が行われております。これは手術手技を分類するということで見ますと、十分に体系化できていないという御指摘がありますので、今後、技術が進歩していったときに、手術の多様化とか高度化についていけないのではないかということであります。

 これは、隣の7ページの具体例を見ていただいたほうがわかりやすいと思いますので、「参考」というところで書いてございます。

 左側が、診療報酬項目のいわゆるKコードと言われているものでございますが、今、御説明しましたとおり、幾多の改定を経まして、必ずしも整理の仕方が統一されておりません。【例1】と【例2】、左側の「K529 」と「 K657 」は、上のほうは「食道悪性腫瘍手術」でありまして、下が「腹腔鏡下胃全摘術」であります。

 この分類の仕方を見ていただいたらわかるのですけれども、K529 のほうは部位によって報酬の設定をしておりますが、 K657 は手術の術式、どのような手術を行うかという観点で項目、報酬評価が分かれていますので、似たようなといいますか、同じ消化器の手術でありましても、分類なり整理の仕方が違うということであります。

 一方で、この後、御説明することになるのですが、右側は現場の学術的な、臨床的な視点でいう「STEM7 」という体系でありますけれども、これはもともとの整理の仕方をあらかじめ体系化しておりますので、7ページの右側の一番上のセルでありますが、「Q ○○ 」というふうに7桁の数字を使って分類するのですけれども、部位があって、次に基本操作、アプローチ、それからそういったアプローチの補助器械と体系化があらかじめされておりますので、左側と右側とで対比をしていただきますと、右側の真ん中と下の「 Q14 13 0 0 」の食道、それから「 Q21 13 1 1 」にそれぞれKコードに対応するものを書いてございますけれども、言ってみれば、「アプローチの方法」「アプローチの補助器械」のほうが、下の「 Q21 13 1 1 」に相当する分類でありますし、基本手術の操作に係る内容については、真ん中の「 Q14 13 0 0 」となってございます。

 もとの6ページに戻っていただきます。

 (現状)の2つ目の ですが、臨床的な観点から体系的に整理されている手術手技の分類として、今、見ていただいたような試案がありまして、国内では臨床的には活用されています。

 さらに3つ目の ですが、国際的にもそのような動向がございまして、 WHO で医療行為の国際分類、これは International Classification of Health Interventions ICHI と俗に呼ばれておりますが、その検討が進んでいるということでございます。

 (対応案)でございますが、6ページであります。今、御説明しましたような、現場の臨床でむしろ使われやすい基幹コード7桁(STEM7 )といったものを活用して、現在、幾多の改定でなかなか整合がとりにくかったKコードの再編を行うに当たって、活用可能かどうかを検討したいということであります。この問題意識は、もともと手術全般を見直すことになりますし、いきなり改定の時点で急にコードを変更するのは現場の混乱にもつながりますので、少し準備作業をしながらという問題意識であります。

 2つ目の は具体的な内容ですが、平成 30 年度改定では、データ提出加算で提出を求めておりますデータにつきまして、併記をお願いするということであります。以降の改定で、いただいた現場の状況を確認、整理をしながら、引き続き、再編についての具体案を考えていってはどうかということでありまして、今回の改定はその第一歩という趣旨でございます。

 最後の8ページであります。「○7 診療実績データの形式が様々で分析が容易でない」ということであります。それから、急性期の医療のデータが先行して普及した関係で、それ以外の入院医療についての分析は難しいという話であります。

 (現状)のところに書いてございます。今、御説明したことに大体尽きていると思うのですが、先行した急性期の医療、DPC 関係はそうでありますけれども、データは主に収集はできているということでありますが、その一方で、回復期、慢性期といった診療実績データが求められている状況あります。ただ、そういった急性期以外の回復期、慢性期といった病院、病棟につきましては、データの作成に一定の技術を要する職員、マンパワーの問題もございますので、ある程度の規模がないと対応が難しいのではないかという御指摘もいただいております。

 対応といたしましては、まず回復期、慢性期などの入院患者さんの有用なデータの追加を基本的に検討してみてはどうかということであります。それから、既存の提出内容で重複がもしあるのであれば、当然ですけれども、省略をする合理化も合わせてやっていくということでありまして、これは入院医療分科会におけるデータ提出加算に関する議論も踏まえて行っていってはどうかということであります。

 それから、これも具体的な取り組みとしてもし行っていくことになりますと、一定の経過措置が必要だということも記載しております。

 最後でありますが、冒頭から何度か申し上げておりますけれども、最後の8ページの「3.」でありますが、このような取り組みは、基本的に非常に重要だと考えておりますけれども、一方で、単一の改定で全てを行うのは難しいことも背景にございます。

 したがいまして、30 改定だけではなく、その対応で完了できるものもそうですけれども、そうでないものも多々ございます。特に、医療機関、審査支払機関への影響や負担を十分考慮する必要がありますので、 30 改定以降につきましても、ここに「特に」ということで記載してございますけれども、こういったものについて継続的に検討していってはどうかということを、改めて明記させていただいております。

 事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。

 では、松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 全般に見まして、事務の効率化・合理化をするから、利活用のために少し手間をかけてねというように見えます。ただ、その効率化・合理化に関しては、方向性としてはいいのではないかと思います。

 ただ、一つ一つの項目に、7月12 日に総会でいろいろなことが出てきたと記載がありますけれども、例えば、「告示・通知の記載に曖昧な部分」というのは、具体的にはどういうものがあるのかを一度示していただければありがたいと思いますし、入院すると、入院診療計画書を病院などでは当然、書いて患者さんに見せて同意をとってというのはあるわけですけれども、手間がかかるのは当然なのですが、内容や必要性というのが必要ないという御意見があるのか、こんな内容では不備なのだという話でこれが出てきたのか。一つその辺も示していただきたいと思います。ただ、全体として効率化・合理化をされるのは、方向性としてはいいというのは、重ねて申し上げます。

 もう一つ、診療報酬に係る情報の利活用なのですけれども、これは何に使うかが明示されていないです。何に使うかをはっきりさせて使う。ただ、目的外使用は絶対にないのでしょうねというのもお聞きしておかなければいけないですし、レセプトに患者さんの住所情報、郵便番号7桁ということですけれども、基本は一人一人の保険証に住所を入れるのが本来の筋ではないかと思います。医療機関で受診された際にお聞きするのも、それで聞いて記載するのも一つの方法なのでしょうけれども、保険証に記載されていないものを患者さんに聞いて、果たして患者さんがそれに同意してくれるかどうかというのもあります。その辺の影響といいますか、どのように事務局ではお考えなのかを一度、聞かせていただきたいと思います。

 まずは、何のために、何に使うからこういう情報が必要なのかということと、患者さんの住所というのは、例えば、転居した場合の把握は保険者でも非常に難しいことだと思いますし、医療機関にそれを求めるのもどうかなと思います。

 診療報酬は改定のたびにレセコンは改修がございます。この患者さんの住所地を入れる、あるいは郵便番号だけを入れる、あるいは片仮名表記を足すというのは、コンピューターのことは詳しくないからわかりませんけれども、簡単にできることなのかもしれませんが、やはり事務的負担、先ほど、診療報酬に係る事務の効率化・合理化をうたっていながら、ここで負担をかけるのは矛盾しているように思われますので、その辺の合理性のある御説明をお願いしたいと思います。

○田辺会長

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 大変御指摘として重要な点をいただいているように思います。今回、全体的な対応の考え方と、具体的に7つ掲げさせていただきましたが、このまま一気にやってしまおうという趣旨ではございません。7つの事項にはそれぞれさらに具体的な内容がありますので、それぞれのカテゴリーごとに、こういったことが考えられる必要があるということは、さらに検討なり整理をいたしまして御提案させていただきたいと思っております。

 今、いただいたお話につきまして、現時点でお答えできる範囲でお答えさせていただきますと、まず、告示・通知が曖昧というのは、具体的に申し上げますと、医療のバリエーションといいますか、対象の疾患でありますとか状態については、当然のことながらかなり多様性があります。算定要件として一定程度お示しするわけですが、最終的にそれに該当するかしないかの判断が難しいというケースは一般論として多々いただいておりますので、そういったことを可能な限り明確にしていくことをセットで行っていきたいという趣旨であります。

 それから、計画書の記載は、おっしゃるとおり、記載をするあるいはそれを提出する、作成する側にとっての事務負担が非常に大きいわけでありますけれども、一方で、例えば、それを患者さんに差し上げる場合には、一定の情報が必要になりますので、そのバランスということになります。現時点で設定しております様式が、そのバランス上、どちらかに偏っているといいますか、例えば、過剰な負担になっている、逆に必要な情報が欠落していることがあり得ますので、そこを吟味しつつ、可能な限り、内容についてはよりスリムにといいますか、省力化できるものは何かを点検させていただきたいという趣旨であります。

 事務の効率化、負担の軽減というのは、今、お話をしましたとおり、改めまして、こういう改定ごとにある程度は見直しはしているつもりではありますけれども、こういう形で全体を総点検するという取り組みは、これまで総括的にやってきているわけではございませんので、この際なので行わせていただきたいということであります。

 それから、利活用につきましてでございます。これは御説明の中でも何度か触れさせていただいておりますが、おっしゃるとおり、何に使うのか、なぜそれを行って、何の役に立つのかというのは、当然、前提としてなければ行えないということでありますので、一定程度、特に現場の御負担をいただくものについては、そこのあたりを明確にして御理解を得るのは当然だろうと思いますので、個々の御提案をさせていただくときにそこははっきりさせていただきたいと考えております。

 それから、住所地、居住地につきまして、具体的な御指摘をいただきました。これはもともとの御提案の中にも一部記載させていただいておりますけれども、今日、医療資源を有効に活用していく、あるいは必ずしも診療報酬の話ではないかもしれませんけれども、例えば、地域の医療をいかに計画的に体制整備するか、地域医療構想のようなことも含めて、データに基づいて議論していく政策を組み立てていくといった場合に、一番有力な情報の一つがDPC でありますとか、ナショナルデータベースのような情報であります。

 現時点で住所地の情報が得られているものもありますが、少なからぬ部分で居住地の情報が欠落していますので、より精緻な議論をしていくためにはそういったものが必要だという御指摘があるのは事実であります。ですから、そういったものに可能な限り対応させていただきたいという趣旨でありますが、御指摘のとおり、例えば、それをここに手入力していくのか。それとも、今、一定程度、医事会計システムの中には情報としては持っていただいていて、それを改定のタイミングに合わせて行うことで、非常に効率的に対応ができるということなのか。そのあたりもしっかり整理をしていきませんと、現場の御理解が得られないというのはおっしゃるとおりでございますので、具体的にこういったことを行えば、全く手間がかからないということではないのですけれども、一定の許容いただける範囲の中で対応していただけるのではないかという見込みのもとに御提案させていただいております。

 きょうでこれを全て決めてしまうという趣旨ではなく、今、御指摘いただいたことを具体的にもう少し明確にしながら、対応の御提案をさせていただきたいと考えております。

 現時点での事務局のコメントは以上でございます。

○田辺会長

 では、松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 もう一点確認なのですけれども、レセプトにいわゆるフリーで、症状詳記と我々は言っておりますけれども、患者さんの診療をして、レセプトだけでは審査がわかりにくいだろうというときに、患者さんの様子とか、なぜこういう治療をしたかなどをフリーで書くことがあります。そういうものも審査とは別物だと考えてよろしいわけですね。審査もそのような感じで簡単にするように持っていくのか。このレセプト情報に関しては審査とは別ですよね。

○迫井医療課長

 レセプトで診療報酬を請求していただくという、最終的な報酬を実際に医療機関が請求していただく過程では、審査支払のプロセスがありますので、私どもの理解は、請求書というレセプトの段階でいただく必要のある情報がありまして、そこに記載していただくことをまず整理している、というのがこの御提案の趣旨であって、一義的には委員御指摘のとおりであります。

 ただ、その後に結局、審査支払のプロセスがあり、これらは一連のものとして処理されますので、私どもの理解では、これらが全く別物なのか、というとそうではないと思います。

 その上で、これはそもそも審査支払の関係は別途議論していただくことを、先般7月のときの検討項目の中でもございました。今回はそれは触れておりませんけれども、当然ながらこれらは今後の議論に委ねられている部分もありますので、そこまで全部まとめて一括でということではなくて、あくまでこの改定で少なくともできることと、それ以降に審査のあり方で検討することに分けながらも、診療報酬請求に係る情報を整理させていただきたい。

 繰り返しになりますが、審査支払と全く無関係ということには基本的にはならないと理解いたしております。

○田辺会長

 では、松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 結局、事務的に知りたい情報は、例えば、レセプトを紙に打ち出したときに、上の部分にいわゆる氏名と生年月日と保険の番号が出てくる。そこに郵便番号と仮名があればいい。そこから下の部分は診療行為に入って、いわゆる我々の請求に係る部分ですね。何が言いたいかというと、ここにいわゆる「診療報酬にかかる事務の効率化・合理化」と全てにかかっている。だから、医療課長が言われたように、審査支払の部分と別とは言えないことが非常に気になる話で、審査においてももっと効率的に合理化をして、簡単に審査ができるようにしていくともとれるものですから、それとは違いますよねとお聞きしているのですけれども、それでも一緒ですか。

○迫井医療課長

 御質問の趣旨が私の理解ともしかしたら最初違っていたかもしれません。

 改めまして、もう一度お話をさせていただきますと、あくまで診療報酬請求として、こういう情報が必要ということを整理するのがまず主眼であります。そのときに、例えば、自由記載であったものを選択形式にして、より選択しやすくといいますか,記載しやすくしていくのが基本的な主眼です。

 一方で、審査支払の今後のあり方みたいなものは別途議論していただくことになっておりますので、そちらの議論の中でもしかしたら必要な見直しなり、あるいはこのようにしたほうがいいということはあり得ると思います。現時点で、そこの部分については、勘案するようにはなっておりませんので、あくまで現時点で、診療報酬の請求上、必要な事項を効率化・合理化できることについてまとめております。

 ですから、微妙にニュアンスが違うかもしれませんが、その関係性というよりも、現時点での視点はあくまでそういったことですということと、今後、別の場で議論していくことになっておりますけれども、そちらの御指摘なり御意見の中でさらにということはあり得ますが、時間的関係からすると、現時点で30 改定は、もうこの時点である程度の議論を進めていかないといけませんので、特に審査支払関係の見直しについては、時間的なフェーズのずれがありますので、そこについて現時点で勘案しているわけではないということでございます。

 事務局からは以上でございます。

○松本純一委員

 現時点でのことは理解できました。あえて言っておきますけれども、やはりこれは患者の住所情報、氏名の情報であるということで、診療行為に関しては別のところで議論するという理解をいたしました。

○田辺会長

 では、今村委員、お願いいたします。

○今村委員

 総-3について、まず全般的に「事務の効率化・合理化」、そして「現場の負担に配慮する」という表現、それから、有効な診療報酬にかかわる情報を利活用しようという方向性については賛成をいたします。

 それを踏まえた上で、2点申し上げたいことがございます。

 まずは、住所地のお話がございました。レセプトに患者の住所情報が記載されることで、さまざまな分析に活用して、日本の医療の向上につながるという方向性はよく理解できるのですけれども、先ほどもお話があったように、実際に私どもも、患者さんが転居されて、御自分からそれを申し出られないというケースは間々ございます。したがって、もしこれをレセプトの中に入れるとしたときに、住所地が記載されていないからこれはレセプトとして不完全なものだという取り扱いになるのかどうかということと、もしこういうことを進めていくのであれば、今、保険証の中にも住所情報が既に入っている保険証と入っていないものがあって、保険者によってもなかなかどこに住んでおられるかが確認できないという実態はよくわかるのですけれども、お互いに保険者さんと我々の協力がないとなかなか進まない。全て医療機関側の負担でこういうことを進めるのではない形で考えていただければ大変ありがたいと思っているところです。

 最後の7番目の、いわゆる診療実績データについて、回復期、慢性期の入院患者に有用なデータを追加するということで、これも医療の質を高めるために必要なものなのだとはよく理解できます。しかしながら、先ほど基本小委の中でもございましたが、菊池専門委員から、看護師さんの重症度、医療・看護必要度の記載について、現場で一定の負担もあるのだ、DPC データをどうやって活用していくのかという、後でこういうことを検討することに今はなっていると理解しています。そうではなくて、きちんとしたこういう制度設計をするときに、負担が結果的にまたふえて、また負担があるから違うやり方を考えましょうみたいな、屋上屋をどんどん重ねる議論をするのはもうやめたほうがいいのではないかと正直思っています。

 今、医療機関の中の勤務環境の改善が大きなテーマになっていて、医師ばかりでなく看護師さんも非常に過重労働になっている。医師は最も時間外労働時間が長い職種だと言われている中で、新たないろいろな作業は、負担軽減という意味でぜひともそこは配慮していただきたい。つまり、効率化のためによりよいデータが集められる仕組みもあらかじめきちんと議論して設定した上で、こういうデータの提出を求めていただきたいと思っています。

 総-3の参考資料の最後のページに、前回、私がお願いした、今、医療現場でどんなデータベースが構築されているかが表になって出ております。これは「主な」と書いてあるので、少なくとも私が知っているだけでも10 以上は多分、あるのではないかと思っています。この中でも、医療機関側、特に医師であるとかその他の医療関係者が入力するようなデータベースと、上がってきたデータを集めて分析するものが混在しておりますけれども、相当医療の現場の中で、入力しなければいけないデータが非常にふえているという実態もございますので、ぜひともデータの提出を求める際には、そういうことを加味した上で、負担のないきちんとした形での提出ができるものを考えていただきたいということを申し上げておきます。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、松本吉郎委員、お願いいたします。

○松本吉郎委員

 まず、先ほど医療課長がおっしゃりました、2ページにもありますけれども、この利活用の推進については、保険医療機関や審査支払機関等の関係者の影響や負担に十分配慮してということで、基本方針にそうして書かれておられますし、先ほど、課長も審査支払機関等の関係者のことにつきましては、改めて御発言いただきましたことや、配慮していただきまして大変ありがとうございます。

 一方、先ほど、松本純一委員からもお話がありましたけれども、3のレセプトの摘要欄の話でございますが、やはりこれは支払いの意味が、あくまで医療的にしっかりと判断をして行っているシステムでございますので、例えば、それを全て「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」で選ぶとかではなかなか判断できない、非常に複合的に難しい症例もたくさんございますし、審査のあり方におきましても、同じようなコメントがあった場合には、厳しくこれを審査しております。そういったことを踏まえますと、全てフリーテキスト欄を外してしまうのは、なかなか難しい面があると審査の現場では思っております。

 今後、またメリット、デメリットを含めてさらに考えていくということでございますので、もう少しこの辺の審査支払機関等の意見を踏まえながら、また考えさせていただきたいと思います。

 もう一点は、最後の8ページ目にありますけれども、これも何回か出ておりますが、データ提出や届出に関しましては、ここには職員のハード面の話は出ておりますけれども、ソフト面の変更における負担は、特に小規模の医療機関にとっては非常に負担になっております。それを十分に配慮いただきたいと思いますので、これについては要望いたします。

○田辺会長

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 これは先ほど、松本純一先生の御質問とも絡んでいる話でありますが、改めてかもしれません。

 審査支払の現場の状況とか御意見を十分踏まえていただきたいという御指摘でございますので、恐らくそのとおりであろうと思います。松本純一先生のお話とかぶって繰り返しになるかもしれませんけれども、請求していただく形で今回は整理して、いろいろなことを御提案させていただくという趣旨でありますが、あらかじめ私どもが提案する際には、それを審査支払でどう活用するのか、どう査定するのかといった視点での検討事項は含めないという理解であります。

 ただ、それは今後のフェーズとして、別の場で御検討いただく内容そのものでありますので、その場で御検討いただいた内容は、さらに今度は私どものほう、あるいはその現場の議論として活用されていくということでありましょうから、時間的な検討のステップといいますか、組み合わせとして、今回、現場でどのように使われるのかという御意見はもちろんお聞きするといたしましても、別の場での検討が同時並行あるいはおくれて進むと理解しておりますので、そのあたりを少し整理しながら、かつしっかりキャッチボールができるように進めさせていただきたいと考えております。

 事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、吉森委員、お願いいたします。

○吉森委員

 今の議論で、我々保険者の機能としては、審査支払というか、給付業務に基づく基盤的な機能と、もう一つは、この利活用にも絡むデータヘルスと称して、レセプトを中心にデータで分析した加入者の健康増進に資する、戦略的機能と我々は称していますけれども、それを進めるという二つですが、いずれにしてもレセプトが中心であり、そのレセプトが紙媒体から電子媒体に変わってきました。このような経緯の中で次に、今、議論になっていますように、どのように合理的かつ簡素に有効通用できるかに資するようなレセプトをつくっていく必要があります。今回、全体的にお進めいただいている方針は賛成でございますけれども、例えば、この摘要欄のところのフリーも残しておくというのはよく理解できますが、我々審査に資するような、細かく先生たちにお問い合わせするとか、審査支払機関に問い合わせるというところは、こういう項目整理をしていただくと非常にやりやすいと理解はしております。

 その次の添付書類、我々は「読み紙」と称していますが、こういうものがいっぱいついてくると、なかなか審査しにくいということもございますので、そこは合理的に整理していただいて、可能なところでやっていただいて、当然ながら、医療の世界では非常に難しいところがあるのは承知しておりますので、その辺は当然、どうするかというのは次の課題として、方向性としてはこういう形でやっていただくのがいいのだろうと思います。

 そこでお願いでございますけれども、2ページの(1)の2つ目の「利活用の推進」のところに「1)保険医療機関や審査支払機関等の関係者」とあって、この「等の関係者」の中に保険者が入っていると理解はしますけれども、「保険者」ときちんと書いていただきたいというのが一つです。

 それと、8ページの「3.」の○のところでございますけれども、同じく「保険医療機関や審査支払機関等の関係者」も「保険者」と明記していただきたい。

 といいますのは、レセプトを触りますと、当然、我々は今、コンピューターチェックを含めていろいろなシステム構築をしております。このシステムの改修には、当然ながら時間も費用もかかります。そういう意味では、今後の開発工程表の中で、適宜、保険者、医療機関と打ち合わせをしていただいて、どれぐらいの期間で、どれぐらいの容量でどうするのか。どこがなさるのかはわかりませんが、その辺をきちんと御連絡いただけるようにしていただきたいのがお願いでございます。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 今回の診療報酬の事務の効率化・合理化については、非常に賛成いたします。ぜひ進めていただきたいと思っております。

 それで、何点か要望と意見なのですが、利活用について、実は最近のレセコンは、住所等を入れて、平仮名と片仮名を入れる。これは、住所を入れておくと郵便番号が出るとか、それは簡単にできるようになっているそうです。

 ところが、ちょっと前の機械はそういうことがどうもできそうもないとなると、果たしてこれが郵便番号、片仮名を求められたときに、ソフトをどれだけ入れかえたらいいのか。そこは医療機関も費用がかなり発生する可能性があるので、ぜひこれを推し進めるに当たっては、医療機関にもそういう負担をさせないで済む方法を考えていただきたいと思います。

 それから、最後の7番ですが「回復期や慢性期の入院医療に有用なデータの追加を検討する」。これもぜひお願いしたいと思います。といいますのは、どうしても現在のDPC データは、急性期の病院もしくは疾患に関してのデータという色合いが濃いので、回復期、慢性期に必要なものがなかなか入りづらい。これをどういう形で評価するかをもう一回考えていただかないと、これからデータ提出を広げてくるということになりますと、やはりそこはどうしても必要な議論になるだろうと思っております。

 最後に、ちょっと話が飛ぶのですが、マスターの話が出ております。現在、これは電子カルテについてですが、ぜひ日本の仕様の標準マスターと、標準データフォーマットを電子カルテについて定めていただきたい。これを定めることによって、すぐではないですが、機械が入れかわっていくうちに、それが定められれば、互換性は自然に出てきてしまいます。情報の共有化もできます。それから、データの継続性もできますし、各医療機関が今、電子カルテにかけている費用が圧縮できると思います。この際、こういうことをされるときに、このことも視野に入れてやっていただけると、非常に将来的に役に立つのではないかと思いますので、そこは要望とさせていただきます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、安部委員、お願いいたします。

○安部委員

 まず、レセプトの摘要欄の記載については、非常に良い方向性ではないかと思います。5ページのところで、歯科、調剤のレセプトについても同様に見直しを行うということでありますので、具体的な項目等の検討については現場の声を聞いていただいて、丁寧に進めていただければと思っております。

 それから、情報の利活用の件でありますが、6ページのところで、迫井課長から入力の手間等、十分に配慮するというお言葉がありましたが、この対応案を見る限りは「レセプトに患者の住所地の郵便番号(7桁)及び氏名のカタカナ記載を求める」というところで、「考慮しつつ」の部分で経過措置期間を設けることが書いています。これは経過措置期間というだけではなく、郵便番号、片仮名表記は、医療機関でも薬局でも特に業務の質を上げるものではないわけです。データの突合のためにやるものですので、なかなか現場での理解を得にくい。システム上に日々の業務の中で自動転換するような機能があればいいですけれども、人的に郵便番号を調べ、片仮名も入れるということは、建設的な事務作業ではない。それを理解した上でやらなければいけないということでありますので、そこの部分の方法論はさらに知恵を絞らなければいけないのではないかと思います。

 例えば、このデータの利活用というのは、最終的に薬局や医療機関から支払基金や国保連合会に行って、それから出てくるわけでありますので、薬局や医療機関が提供する情報をどこで転換するかというところでも検討ができるのではないか。医療機関や薬局で情報を加工するのは、20 万カ所以上で対応しなければいけませんが、支払基金等でやれば2カ所のシステム改修で済むわけでありますので、そういった最も効率的な分担はどうなのかということも検討していただきたいと思っております。

 それから、質問でありますけれども、片仮名表記に合わせるということで、その理由が介護保険の受給者台帳に合わせるということでありますけれども、これはどちらを合わせたほうが効率的か。受給者台帳の数と医療レセプトの数を比較し、どちらが正確な突合に資するものかについては、なぜ片仮名かという率直な疑問が私はありますので、そこについてもしわかれば御説明いただければと思います。

○田辺会長

 質問がございましたので、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 これは、場合によってはデータ関係、コード関係の部局からの答えが必要になるかもしれませんが、私どもは、介護保険を導入する際にも同様の検討を行い、その結果だろうと理解しておりますけれども、お名前を特定する際に、漢字表記だけでありますと、例えば、同じ文字でも、へんのつくりが若干違うとか、横の画の長さが上と下で違うので別の漢字のコードになるとか、そういったさまざまなデータを処理する上での難しさというものがありまして、漢字名称で持っておりますと、結局、名寄せが極めて困難になるという経験を踏まえて、表音的な文字として仮名、もちろん平仮名でも片仮名でもということなのでしょうけれども、片仮名を採用して、表音文字にコード化をすることで、より名寄せが確実になっていくという経験から、こういった提案につながっているという理解でございます。

○田辺会長

 では、安部委員、お願いいたします。

○安部委員

 その点は理解いたしますが、先ほど申し上げたとおり、いわゆる単純なデータ入力、管理に現場で悲鳴が起きることがないように、方法論についてはしっかり現場の声を聞いていただいて、よりよい方法論がないかどうかを検討していただきたいと思っています。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、平川委員、お願いいたします。

○平川委員

 効率的な業務遂行は大変重要でありますので、その立場で何点か意見を言わせていただきます。

 2ページの(2)の「1 施設基準の届出」等の課題の、(現状)の2つ目の で、告示・通知等の記載についても、その明確化を図ることに努めてきたと書いてありますので、これについては、対応案に書くかどうかは別にして、引き続き推進していくべきだと思っているところであります。

 もう一つは、レセコンなどをつくっている販売会社の問題でもあるのですけれども、ベンダーによっては診療報酬のルールが正確にシステム化できていないという声も聞いておりますので、その辺のチェックもお願いしたいと思います。公費の出力場所や摘要欄などがうまく対応できていないという話も聞いておりますので、どういう形でやるかは別にして、その辺のチェックもお願いしたいと思っているところであります。

 以上、よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、遠藤委員、お願いいたします。

○遠藤委員

 2点ほど要望させていただきたいと思います。

 まず1点は、先ほどから話題になっている、片仮名とかこういった住所地の入力に関して、特に小規模の医療機関で郵便番号等を検索したり、調べて入力するのは大変な手間がかかることだと思います。もしこれをやられるのでされば、保険証の記載事項との整合性という意味で、保険証の記載事項とあわせた形でやっていただかないと、受付でそれを検索するのは非常に手間のかかる問題になりますので、その辺をあわせた検討をお願いしたいというのが1点。

 もう一点は、告示・通知の明確化ということで、わかりやすくということでは賛成いたしますけれども、その明確化の中に、医療の規格化が含まれるのはいかがなものか。というのは、患者さんの病状に応じた柔軟な対応は非常に重要な問題でありまして、それができないことは患者さんの不利益になりますので、明確化の中に医療を規制するというか、そういった要素を十分配慮して、現場の柔軟性は大変重要なことだと思いますので、そういったことが損なわれることのないような明確化ということ。その2点をお願いします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、万代委員、お願いいたします。

○万代委員

 事務の1番目の効率化・合理化については賛成でございますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 データの利活用に関しましては、いろいろな場所での負担が、もちろん現場レベル、事務局レベルあるいは保険者さんであると思いますので、一定程度の負担は応分に応じるつもりではおりますが、作業上の負担あるいはシステム改修上の負担がありますので、それについては十分配慮していただきたいと思っております。

 さらに、先ほど猪口委員が言われた、患者基本情報のデータベースにおける統一化については、ぜひ私もお願いしたいと思っております。

 最後に、片仮名表記ということでございます。もちろん、この利活用に片仮名記載を求めるのは、介護保険との統一性を図るということでは理解いたしますけれども、やはり片仮名は少し読みにくいところもございますし、先ほど、医療課長は必ずしも明確にはお答えいただけなかったかと思いますので、次回、そもそも論として、なぜ平仮名ではなくて片仮名がよいのかということも含めて、これまでの考え方を整理してお示しいただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。では、幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 全体的な方向性には賛成させていただきますが、いくつか確認をさせていただきます。

 レセプトの摘要欄のコード化については、あるべき姿だと思っています。これを進めると、今まで支払基金が目視でチェックしていたものが、全てコンピューターチェックで処理していく方向に変わっていくと思いますが、どのコードが多く選択されているのかといったところを改定後も検証して、適宜必要に応じて見直していくことも必要ではないかと思います。

 郵便番号の記載については長年要望してきた事項でありますが、患者の受療行動を把握するためにも非常に有意義ですが、一方で、先ほどから御意見が出ていますように、システム改修が生じるので、一定の経過措置が必要だと思います。これに関連して、患者氏名のカタカナ記載については、システム改修は必要なのでしょうか。

○猪口委員

 全て調べたわけではありませんけれども、最近の機械はどうにでもできるようです。ただ、ちょっと前のものでは対応ができない。私の知っている範囲ではそうなっております。

○幸野委員

 ありがとうございます。

 では、カタカナ記載は周知徹底をしていただいて、なるべく早期に対応いただきたいと思います。

 それから、資料にはございませんが、平成30 年度改定以降の対応について、長年にわたって行われなかったレセプト様式の見直しが行われるので、ぜひ我々が従来から要望していることへの対応をしていただきたいと思っています。今やレセプトは請求明細書というよりも、医療費の分析ツールになりつつあり、支払基金においても、業務集団から頭脳集団に変わるということで、みずからレセプトを分析・解析して、保険者等のデータヘルス計画に資することを行う組織改革を行っていますので、ぜひ支払基金が分析できる様式に見直していただきたいと思います。具体的に最も必要だと考えていることは、疾病例と医療行為が紐付けできる様式への見直しです。これは簡単なことではないとは思うのですが、1枚のレセプトの中で医療費分解をするのが大変困難ですので、疾病名と投薬等が紐付けできるレセプトに見直していただきたいと思います。これを行うことで、医療費の標準化や効率化に非常に資すると思いますので、これもぜひ検討していただきたいと思います。

○田辺会長

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 松本委員のコメントの前に、幾つか御質問もありましたので、明確にさせていただいた上で議論をお願いしたいと思っておりますが、システム改修につきましては、猪口委員の情報をいただいたということでありますけれども、一方で、先ほど歯科、薬科の話もありました。同じ医事会計システム、いわゆるレセコンも、かなり規模と大きさ、範囲が違いますので、大規模な病院であれば、恐らくさまざまな情報をお持ちなので、付加的に改修することは極めて容易と思われる一方で、小規模の医事会計システムに対して、片仮名表記でありますとか、郵便番号の変換であろうとも、一定の負荷になることは容易に想像できますので、そこは慎重に整理させていただかないと、全体を余り考慮せず、同じ処理にすることにはできないと思っておりますので、そこはしっかり整理をさせていただきたいと思っております。

 それから、確かに吉森委員の御指摘のとおり、そもそも「等」ということで、保険者の名称がなかったことは大変失礼でございました。申しわけありませんでしたということなのですが、保険者からごらんになる視点と、請求書として医療機関からごらんになるものは視点が違いますので、きょうはまずは請求書というレセプトの形式から出発して、こういうことをやらせていただきたいという御提案であります。

 これはまた同じ話の繰り返しになるのですが、最終的には支払い側の視点も含めた審査支払につながっていく共通の情報ですので、そちらの視点での御議論はあろうと思いますが、これは繰り返しになりますけれども、7月のときに御提案させていただいたときも、それは別の場で改めて検討することになっておりますので、最初の段階ではそこの部分はスタート地点には含めないことにさせていただきたいと思っているのが2点目です。

 あと、その関連でいいますと、30 年以降についての御提案、御要望につきましては、もちろん引き続き検討させていただきたいと思っておりますけれども、今の話と似ている部分がありますのは、保険者のほうからごらんになりますと、請求書であると同時に分析のためのフレームワークであることはおっしゃるとおりだろうと思います。ただ、そちらを今度は勘案すると、先ほどお話ししたことになりかねませんので、議論していくプロセスにおきましても、そこは峻別をさせていただきたいと思っております。

 特に、傷病名と診療行為は、基本的には一対一にはなり得ませんので、一定の限界がございます。逆に言いますと、複数の疾患が一度にわかるような、いろいろな技術の革新とか合理化を進めてきておりますので、そこは単純にリンクできることは、むしろ非効率にもなりかねませんので、そのあたりは現場の動向を踏まえて、しっかり整理することが必要だと認識しております。いずれにしましても、それは将来の課題ではないかと考えております。

 以上でございます。

○田辺会長

 では、松本純一委員、お待たせしました。

○松本純一委員

 いろいろ御配慮ありがとうございます。

 きょうの提案ですと、保険者の負担はないと思うのですけれども、それなら、保険証に同じように仮名は振ってありますので、郵便番号ぐらいは入れていただくと、そのまま転記するだけでカルテがつくれる、レセプトもそのまま出せる形になります。それは可能ですよね。どうですか。

○田辺会長

 では、吉森委員、お願いいたします。

○吉森委員

 保険証は限られたスペースでございますから、住所は任意で書いていただくことになっていますけれども、レセプトに対してどうするか。我々の協会サイドで申し上げれば、私どもは保険者の基番号を持っていますから、当然ながらそこにはデータベースとして、個人の住所から何から全部持っています。そこでマッチングはできますので、支払いに対しては余り影響はございませんけれども、いずれにしても、レセプトの様式が変われば、コンピューターチェックをするための形式を変えないといけないという意味でのコスト負担はかかるということで、この変更では全くかからないということではございません。

 ただ、片仮名表記の部分については、余り今のところは踏み込んで意識はしておりませんけれども、将来的に我々のデータベース並びにナショナルデータベース、いろいろなデータベースをドッキングしていくという意味では、マイナンバーは置いておきまして、今の形式でドッキングしていくには必要な行為だと御判断なさったと理解しております。

○松本純一委員

 保険証に住所までは必要ない。これだったら、郵便番号7桁だけ書くのは可能というか、簡単にできる話ですよね。

○吉森委員

 物理的にいえば、可能ではございます。

○松本純一委員

 物理的には可能ということは、できるということでよろしいのですね。

○吉森委員

 それがどういう意味を持たせて、さっきも申しましたけれども、スペースが限られた中でいろいろな情報を入れないといけない。今度はいろいろなことも要請がございますので、その辺もあわせて総合的に検討するということで、単純にそういうことを考慮しないで入れられるかどうかといえば、入れられるということだと思います。

○幸野委員

 被保険者と被扶養者で住所が違うなどがあって、加入者の住所情報を把握できていない状況にありますので、一律に保険証に郵便番号を入れるというのは非常に難しい話だと思います。

○吉森委員

 加えまして、さっきから御指摘いただいていますけれども、郵便番号を入れますと、住所を変更するたびに保険証を発行し直さないといけないことになってしまいますよね。そういうことの負担も考えればどうなのか。今、話がありましたけれども、保険者は1人であっても、被扶養者はあちこちに御在住であれば、そこを全部拾うのかということになれば、非常に困難ではあるということです。

○松本純一委員

 困難というのも、物理的には可能だが余りしないというお答えになるのかなと思います。医療機関も、事務的負担はあることを御理解いただきたいということと、もう一つ、やはり幸野委員のお話の中で、レセプトチェックの効率、いわゆる審査の効率が出てきました。あくまでも、ここは1ページの「1.課題」の(1)にありますように「診療報酬に係る事務の効率化」ということで、これは審査も事務の一つだと言われてしまえばそうですけれども、審査は医学的なチェックが必要ですから、事務と言うにはなじまないと思いますので、改めてそれは指摘しておきます。

○田辺会長

 では、今村委員、お願いいたします。

○今村委員

 今の論点と違うことを事務局にお尋ねしたいのですけれども、今、吉森委員から「マイナンバー」というお言葉が出たようなのですが、今、医療等ID の議論があって、そういうものができれば、いろいろなことがかなり変わってくると思うのです。多分、まだ議論が煮詰まっていないのかもしれないのですけれども、現状の医療等 ID の議論の進展と、どのぐらいの時間にそういうものが実現されるのか。そういうものが実現されれば、またいろいろな仕組みが大きく変わるのではないかと思うのですけれども、それはいかがなのでしょうか。

○田辺会長

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 一旦、私のほうで認識をお答えさせていただきます。もし必要がございましたら、データ、コード化の関係の部局に対応していただこうと思います。

 私どもの理解は、今、今村委員が御指摘のとおり、例えば、次の改定とか、現時点で目の前にそういったものがすぐ稼働できる状況であれば、そういったものを活用することをまず念頭に置くのは当然だろうと思います。もちろん、一定程度、構想は進んでおりますけれども、目の前の改定がある中で、できるだけ早くそういったことを実現していくことも、我々としては必要だという認識のもとで御提案させていただいております。

 繰り返しになりますが、将来的には、いろいろな横串も含めて、データの利活用が政府全体のレベルも含めて進んでいくわけですので、そこを見据えていきますと、大きく物事が変わっていくのは事実だろうと思いますが、努めて具体的な話として御提案させていただいているもので、なるべく早くそういったことに着手すべきではないかという問題意識でございます。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

○今村委員

 おっしゃる御説明はよく理解できました。したがって、逆に言うと、余りがちがちの仕組みをつくって、また今度新しい医療等ID が出たら、今までやってきたことはもう要りませんということにならないように、なるべく簡素で負担の少ない仕組みで御検討いただければと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 次に、報告事項でございますけれども、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。

 事務局から資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。

 では、医薬品審査管理課長、よろしくお願いいたします。

○山本医薬品審査管理課長

 医薬品審査管理課長でございます。

 まず、お手元の総-4-1を使って御説明をさせていただきたいと思います。

 医薬品の「ニボルマブ」(販売名:オプジーボ)につきまして、薬機法に基づきまして、胃がんの効能追加を去る9月22 日に承認いたしました。これに伴いまして、同日付で、胃がんについて最適使用推進ガイドラインを通知・発出いたしましたので、御報告させていただきます。

 全体の構成につきましては、これまでのオプジーボの他のがん種のガイドラインと同様でございます。

 2ページの枠内の中をごらんいただければと思いますが、今回追加された効能・効果は「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」でございます。

 枠のすぐ上にございますが、今回のガイドライン作成に当たりましては、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本胃癌学会の御協力をいただきながら作成をいたしております。

 4ページをごらんいただければと思います。

 有効性について3~4ページに書いておりますが、4ページの【有効性】につきまして、2つ以上の化学療法歴を有する患者さんで実施した治験におきまして、本剤群がプラセボ群を上回る成績が得られたことから、いわゆるサードラインでの使用で承認をいたしております。

 5ページをおめくりいただければと思います。

 続きまして、【安全性】についてでございますが、治験で発現した副作用は、これまでのオプジーボの他のがん種での状況と同様でございました。

 6~7ページに、この承認に当たりましての施設の要件についてお示ししております。

 1は、他のがん種と同様の施設としております。

 1-2におきましては、今回は胃がんでございますので、胃がんの治療に十分な知識・経験を有する医師を責任者とすることとしております。

 そのほか、他のがん種の場合と同様に、「2 医薬品情報管理の体制」、それから、7ページになりますが、「3 副作用への対応」が十分にできる施設で使用していただくことなどをお示ししております。

 8ページは、患者さんの選択要件でございますが、【安全性に関する事項】としては、他のがん種の場合と同様の内容といたしております。

 有効性に関しては、先ほど御説明したとおり、治験で有効性が検証された患者である、2つ以上の化学療法歴のある胃がんの患者さんに使用していただくことといたしております。

 最後に9ページでございますが、これまでの他のがん種と同様の記載としており、最後の4のところでは、定期的に有効性の評価を行っていただきまして、投与を継続するかどうかの御判断をいただくことをお願いしております。

 私からの説明は以上でございます。

○田辺会長

 引き続き、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 それでは、総-4-2は薬剤管理官から説明させていただきます。

 最適使用推進ガイドラインが策定された医薬品につきましては、その内容を踏まえて、保険適用上の留意事項通知を出すことになっております。今回は9月22 日ですけれども、最適使用推進ガイドラインが追加されましたので、それに伴いまして、同日付で保険適用上の留意事項を改正したことになります。

 「3.留意事項の内容」といたしましては、まずは「最適使用推進GL に従って使用する旨を明記」とともに、診療報酬明細書の摘要欄におきまして、医療施設の要件のいずれに該当するのか、2ページ目に行っていただきますけれども、治療責任者の要件のいずれに該当するのかを記載していただくことにしてございます。これは、これまでと同様でございます。

 留意事項通知は9月22 日に発出いたしまして、同日付で適用となっております。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。

 では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 次に、これも報告事項でございますけれども、「最近の医療費の動向について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

 では、調査課長、よろしくお願いいたします。

○山内調査課長

 調査課長です。

 それでは、「中医協 総-5-1」と「中医協 総-5-2」によりまして、最近の医療費の動向について御説明いたします。

 厚生労働省では毎月、診療報酬請求のデータなどに基づきまして、国民医療費の約98 %に相当する医療費について、その動向を取りまとめ、概算医療費として公表しております。9月 15 日に、平成 28 年度分を公表いたしました。

 まず、総-5-1の1枚目の「Press Release 」と書いてあるページをごらんいただけますでしょうか。

 【調査結果のポイント】の1つ目の にありますとおり、平成 28 年度の概算医療費は 41.3 兆円となりまして、前年度に比べて約 0.2 兆円の減少となりました。

 3つ目の でございますが、 0.2 兆円の減に対応する医療費の伸び率はマイナス 0.4 %でありまして、診療種別に見ると、入院が 1.1 %、入院外がマイナス 0.4 %、歯科が 1.5 %、調剤がマイナス 4.8 %となっております。

 医療費は、1日当たり医療費と、受診した延べ患者数に相当する受診延べ日数に分解できます。4つ目と5つ目の でございますけれども、1日当たり医療費の伸び率は 0.3 %、受診延べ日数の伸び率はマイナス 0.7 %になっております。

 最後の○に関連しまして、恐縮ですが、ページをおめくりいただきまして、裏面に【参考1】と【参考2】と【参考3】ということで、図及び表を示しております。

 【参考1】にありますとおり、上から2段目に医療費の伸び率を書いております。医療費の伸び率は、平成24 年度から 26 年度はおおむね2%前後で推移をしておりましたが、平成 27 年度は 3.8 %と高い伸びとなりまして、 28 年度はマイナス 0.4 %になったということでございます。

 この27 年度、 28 年度の比較的大きな変動に関しましては、C型肝炎治療薬が一定程度影響していると考えておりまして、【参考2】は調剤医療費でございますが、その薬効分類の「抗ウイルス剤」、ここにC型肝炎治療薬が含まれますが、その薬剤料の推移を月別に見ております。

 グラフにありますとおり、平成27 年度の9月ごろから薬剤料が上昇しておりまして、これが平成 27 年度の高い伸び率に寄与したものと考えております。

 一方で、平成28 年度になりますと、4月以降に薬剤料が大幅に減少しております。これは 28 年4月の薬価改定の影響に加えまして、その後の動きなどを見ておりますと、毎月の使用料も落ち着いてきていると見ることができると考えております。

 以上のように、全体として見ますと、最近の医療費の動向といたしましては、平成27 年度はC型肝炎治療薬などの「抗ウイルス剤」の薬剤料の大幅な増加などにより高い伸びとなったのに対しまして、平成 28 年度は診療報酬改定における薬価の引き下げのほか、「抗ウイルス剤」の薬剤料の大幅な減少などによりまして、調剤と入院外を中心に低い伸び率となって、一時的にマイナスになったものと考えております。

 なお、平成27 年度と 28 年度の2年間の伸び率を平均してみれば、 1.7 %ということになっておりまして、平成 24 26 年度の動向とそれほど大きくは違わない状況となってございます。また、高齢化の進展と医療の高度化によって医療費が伸びるという基本的な状況には変化はないと考えられますので、引き続き、今後の動きをよく見ていきたいと考えております。

 続きまして、総-5-2によりまして、調剤医療費の動向について御説明したいと思います。

 1ページをごらんいただきますと、調剤医療費の分析対象でございますが、表1がございます。表1の一番上の段が全数の医療費になっておりますが、この調剤の分析対象は、4段目にあります「電算処理分」の調剤医療費となって、5段目にありますとおり、大体99 %程度を分析の対象にしております。

 2ページ目をごらんいただきまして、表2-2に「処方せん1枚当たり調剤医療費の内訳」などを示しております。

 一番右側の欄が、28 年度の「対前年度比」でございますが、処方箋1枚当たりの調剤医療費がマイナス 5.6 %となっております。これは、その下の「技術料」はプラス 0.4 %でありますが、真ん中に「薬剤料」がございまして、これがマイナス 7.4 %ということで、薬剤料のマイナスが顕著ということになっております。

 薬剤料に関しましては、6ページ目の表6-1でございますけれども、内服薬について薬効分類別に薬剤料を見たものがございます。右から3列目が平成28 年度の対前年度比となっておりますけれども、どの薬効分類で見ても、おおむね平成 27 年度の伸び率からすると、大きく伸びが低下しているということでございますが、縦にずっとごらんいただきますと、一番下に「抗ウイルス剤」がございまして、ここがマイナス 34.6 %ということで、この「抗ウイルス剤」の動きは先ほどグラフでごらんいただいたとおりでございます。

 最後に、4ページ目の表4-1でございます。

 表4-1の一番上の段に、現在使っている指標における、数量ベースの後発医薬品割合を示しております。平成28 年度の一番右、平成 29 年度3月でございますが、後発医薬品の割合は 68.6 %ということになりまして、4月の 64.8 %から見ますと4%ポイント弱上昇ということで、これまでのところ、後発品割合は確実に上昇してきていることが言えるかと思います。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。

 では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 本日の議題は以上でございます。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

○迫井医療課長

 会長、恐縮でございますが1点だけ。細かい話ですが、資料の誤植がございました。

 総-3の7ページ目でありますけれども、STEM7 のところで「Q+7桁」と書いてございますが、これは自明なのですけれども、「Q+6桁」でございますので、訂正させていただきます。申しわけございませんでした。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、これにて閉会でございます。どうも御参集をありがとうございました。


(了)
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