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2018年1月15日 第6回医師の働き方改革に関する検討会 議事録

医政局医療経営支援課医療勤務環境改善推進室

○日時

平成30年1月15日
15:00~17:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)12階 専用第15会議室


○議事

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第6回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催します。

 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 初めに、本日の御出欠について御報告いたします。一部、遅れていらっしゃる方がおりますけれども、本日、全員御出席の予定でございます。

 次に、資料の確認をいたします。次第、構成員名簿、座席表。それから、資料1といたしまして、戎構成員のヒアリングの資料「東京ベイ・浦安市川医療センター」と書いてある資料。それから、もう一つ、資料1としまして、磯部国立病院機構東京医療センター統括診療部長の資料。それから、資料2といたしまして「タイムスタディ調査結果(先行報告)」。資料3といたしまして、「前回までにいただいたご指摘に関して」という資料でございます。それから、資料4-1「医師の働き方改革に関する検討会 中間的な論点整理(骨子案)」。資料4-2「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組(骨子案)」。それから、参考資料がついております。

 不足する資料、乱丁、落丁ございましたら、事務局にお申しつけください。

 ここでカメラは退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 以降の議事運営につきましては、座長にお願いをいたします。それでは、岩村座長、よろしくお願いいたします。

○岩村座長 ことし初めての検討会ということでございます。ことしもどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、議事に入りたいと存じます。お手元の議事次第にありますように、本日の議題は、1番目としまして、「タスク・シフティングについて」で、ヒアリングなどを行わせていただくというもの。それから、2番目が「中間論点整理・緊急対策(骨子案)について」ということになっております。

 まず、議題1のタスク・シフティングに関する議論につきまして、参考人といたしまして、独立行政法人国立病院機構東京医療センター統括診療部長の磯部部長にお越しいただいております。お忙しい中をありがとうございます。

 それでは、早速、議題1のヒアリングに入りたいと存じます。戎構成員、そして今、御紹介いたしました磯部部長から、それぞれ15分程度、まずお話をいただくことにいたします。その後、事務局からの資料の説明をお願いいたしまして、あわせて一括して質疑を行うという順序で進めていきたいと存じます。

 それでは、まず戎構成員からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○戎構成員 皆様、こんにちは。このたびは、当院、東京ベイ・浦安市川医療センターの現在の取組について発表の機会をいただき、まことにありがとうございます。15分間でかなり集約してお話ししなければなりませんけれども、概要についてお話させていただこうと思います。よろしくお願いします。

 この15分の内容では、心臓血管外科を中心にどのようなチーム医療を行っているかということと、診療看護師を育成する環境づくりということ、集中治療医が術後のICU患者の診療を担うことで、心臓血管外科医が手術に専念できる体制をつくりましょうということ。あと、診療看護師が日常、どのような行動パターンをとっているかということを、簡単ではございますが、説明させていただきます。

 まず初めに、当院の紹介をさせていただきますが、病床数344床、うちICUCCU18床、HCU12床になります。診療科数は、ごらんいただいたとおりになりますが、平均在院日数が病院全体で10日となっております。全職員数は、事務方、全部含めてですけれども、860名おりまして、医師の割合はごらんのとおりですが、常勤が90名、後期研修医・初期研修医がそれぞれおります。看護師のほうは、常勤が364名で、プラス、非常勤と看護助手を合わせて7対1看護をとっております。

 診療看護師と言われている位置づけにおります者が6名おりますけれども、後に中のほうで説明させていただきますが、今、臨床研修中の者が4名おりまして、この臨床研修を終えた者が2名おりますので、各科に配属されているのは2名ということになります。

 医師事務のほうは、作業補助者として15名おるような環境です。

 今の医師数とか看護師数は、結構充足されているのではないかと見る方もいらっしゃるかと思うのですけれども、東京ベイ浦安・市川医療センターは地域医療振興協会という協会の一つの病院でありまして、日本全国に約70カ所、直営・指定管理を含めまして、診療所から老健施設まで担っております。北は北海道から、南は台湾に近い与那国のほうまで診療所を担っておりまして、それぞれ状況に合わせて地域に派遣しております。

 月平均の派遣者数ですけれども、2016年度と2017年度現在の分を数字としてお示ししております。これは月数になりますので、年間にするとかなりの人数が派遣に行っていることになります。

 それでは、チーム医療の取組について、お話させていただきますが、冒頭に出てきました診療看護師とする位置づけの方々ですけれども、この方々は、臨床経験5年以上の経験を持って、大学院で高度かつ専門的な知識及び技能が必要な診療補助業務等を含め、特定行為の38行為の教育を受けた看護師ということで、日本NP教育大学院協議会主催のNP試験を受けられて合格された方になります。この方を主軸に採用しております。

 院内でこのNP試験を受けて受かった方々には、2年間の各科ローテートによる臨床研修を受ける仕組みをつくっております。一般NPプログラムと言われているものと、心臓血管外科に特化したプログラムの2つを院内でつくっております。これら2つのプログラムは、初期研修医と同様に屋根瓦式による研修が行われていて、各診療科の先生方のグループの中に、チームの一員として診療を研修するという形で入っております。

 ちなみに、米国のNPは今のところ臨床研修はございませんけれども、この間お会いしたときには、今後つくっていく可能性があるとお話されていました。PAのほうは、臨床研修が一定の期間、設けられております。これは、米国のケースでございます。

 次、6ページですけれども、当院の診療看護師の配置ですが、心臓血管外科に1名配属されていますが、ほかに心臓血管外科医が5名おります。救急集中治療科という集中治療部門に診療看護師が1名、集中治療医が5名となっておりますが、この形の中で診療看護師が組織図の中にどういった位置づけをされているかというのが右の図でございます。診療部の中に入っていただいていて、診療看護師室というものを設けております。こちらのほうから各科診療科に配属という形をとっております。ですので、看護部とは違うところの位置づけにしてあるということになります。

 次のページになりますけれども、これは心臓血管外科の指導医だったり、フェローだったり、診療看護師がどのような作業分担をされているかということが、術前、術中、術後で分けて書いてありますけれども、読み上げると細かいですので、ごらんのとおりになります。

 主に診療看護師が担っているのは、術前でしたら術前検査のオーダー、他科コンサルト等です。術中であれば、医師が術中の間の病棟で患者さんの対応をしているといったこと。術後であれば、患者さんに不要になったさまざまなデバイスの抜去等を含め、それに伴ったカルテの記載等、あとは退院に向けての患者さんへの指導等が入っております。

 次に、心臓血管外科医と診療看護師、集中治療医がどのようにして共同して働いているかということを簡単にお話させていただきます。6枚、7枚後のスライドのほうにタイムラインを書いてありますけれども、それとともにごらんいただけるとわかると思うのですが、朝と夜に心臓血管外科医と診療看護師が全員集まって、その日1日の患者さんの治療方針と予定を共有いたします。心臓血管外科医が手術に入ってしまって、病棟が少しあいている間中は、診療看護師がその診療の業務を担うことになります。

 この間に、もちろん診療看護師だけでは判断がつかないものもありますので、術中に主治医のほうにインカムをつけていただいていて、病棟内の診療看護師とオペ中の外科医が直接お話しできるような形にしております。

 また、次のページですけれども、診療看護師の業務内容、これも細かくなりますけれども、診療看護師ということですので、問診も全身診察も全て医師と同じような形で、医師と同じレベルでできるかどうかは別といたしまして、一通り、全身を観察いたしまして、手術に伴う検査等々を必要であればオーダーいたします。もちろん、メーンでオーダーされるのは担当する医師になりますけれども、それをサポートするという形になります。

 外科の先生も内科の先生も、皆さん御存じだと思いますが、入院に伴う入院日や手術日を決めて、それをもとに逆算して何日までに検査を終了させて、何日に入院させる。そして、何日までにいろいろなメデュケーションをコントロールするということをふだんされていると思いますけれども、そういった全体を見通したスケジューリングを診療看護師が行っております。ですので、病棟の看護師としては、そういった者が1人いることで、先生、これが抜けていますということが少ない環境にはなっていると思います。

 今、お話したのが看護部への指示出しやリハビリのオーダー入力と書いてあるところになります。当院の診療看護師の場合は、電子カルテの代行入力を行える院内ルールをつくっております。もちろん、この内容は指導医によってカウンターサインが行われるわけですけれども、そういった意味で医療安全のほうの配慮もしております。

 ほかの細かい作業については、ごらんのとおりになります。

 次のページですが、先ほどお話しましたけれども、医師が主に担当する患者と、診療看護師が主に担当する患者を分けていたりもします。主に診療看護師が入院患者を担当するのが、検査入院の患者さんであったり、術前に細やかな調節が必要な心不全の患者さんだったり、TAVIといった経カテーテル大動脈留置術を行う方について担当させてもらっているようです。

 それから、ICUに滞在中のことについてお話させていただきますけれども、ICUに心臓血管外科の患者がいる場合は、集中治療科が日中・夜間・休日は対応することになっております。当院の場合はクローズドICUの形態をとっておりますので、常在する集中治療医を中心にICUに入院する全ての重症患者の治療を行っております。後ほどお話しますけれども、集中治療医とは、朝の主なカンファレンスのときに治療方針を全て情報共有しております。心臓血管外科医は、必要時コールして報告する体制をとり、またその状況に応じては、心臓血管外科医を呼ぶ形になっております。こちらのほうは、クローズドICUがある施設に勤務の先生方は、同じイメージでいてくださっていると思います。

 集中治療医も、交替制で勤務しております。

 術後管理については、心臓血管外科医の勤務負担軽減に寄与しているのではないかと思います。

 現在のところ、心臓血管外科医は当直を行っておりません。

 一般病棟での管理ですけれども、日中は診療看護師と心臓血管外科の当番が決まっておりまして、その医師とで対応しております。心臓血管外科医1人で対応できない細やかなことも、診療看護師がサポートとして一緒に行える形になっております。

 夜間は、基本的には一般病棟でも心臓血管外科医は当直を行いません。夜間の相談は、心臓血管外科医にコールをしておりまして、心臓血管外科医はみずから診察が必要かどうか、それとも集中治療科に依頼が必要かどうかということをそこで判断し、そのもとに集中治療科がかわって診療を行うという形になります。

 また、当院はRapid Response Systemというものがございまして、患者さんの状態がある一定の基準からずれた場合に、どこの病棟であってもラピッド・レスポンス・チームを呼ぶことができますので、そういった面では、心臓血管外科にかかわらず、全ての病棟をサポートできるシステムがつくられております。

 次に、医師等の勤務時間についてですけれども、心臓血管外科医は朝9時から19時ぐらいまで、10時間から12時間ぐらい勤務しております。集中治療医も同様に7時から19時で、勤務交替制で、夜間は19時から翌日7時まで2交替という形をとっております。これは、私も現在の勤務状況、打刻状況をここ数カ月間、振り返らせていただきましたけれども、時間外・休日労働が月100時間前後で勤務が可能な状況となっております。集中治療医に物すごく負担がかかっているということでもなく、心臓血管外科医の肩にすごく負荷がかかっているということもなさそうでございます。

 診療看護師は、心臓血管外科医の医師と同様の勤務時間で、日中の勤務をしております。

 看護師は、2交替制で勤務しております。

 次のページは、実際の集中治療科と心臓血管外科医がどのようなタイムラインをとっていて、その間に診療看護師がどのようなタイムラインを過ごしているかということを一面にした表でございます。

 上のほうからいきますと、朝7時に皆さん、診療が始まるのですが、この間はそれぞれの科が、集中治療科は集中治療科、心臓血管外科は心臓血管外科の診療看護師とともに、それぞれの患者さんを把握しております。8時前後から心臓血管外科の回診が始まり、集中治療科は2チームに分かれておりますので、朝、外科のオペに合わせて、オペ前に外科系の患者様は全て回診が終わるように努めております。ですので、心臓血管外科だけでなく、脳神経外科、外科といった回診も全て9時までに終わらせる形をとっております。

 その後、集中治療科、内科の回診になりますけれども、日中の患者さんが、例えば脳外の患者さんが夜間、手術していて入ってくれば、それを受け入れるという形をごらんのとおりしています。

 心臓血管外科は、この朝のカンファレンスが終わりますと、すぐに手術に入ることができますので、手術後に関しては、全て集中治療科に患者さんの状態をお任せするという形になっております。もちろん、手術に関するデータの説明は心臓血管外科からも行いますし、集中治療科に入りましたら、集中治療科の先生が直接、家族のほうに、集中治療室にいる間は僕が担当しますと説明もされておりますので、その辺に関する患者さん御家族が何かしら不利益をこうむったということはございません。

 このタイムラインでいきまして、診療看護師のほうは、日中、先生方がオペに入られた間は病棟のほうのサポートに入ります。病棟に1人、病棟担当の心臓血管外科医がいるので、その方と一緒に、患者さんの処置とかオーダー出しを行っていく形になります。

 その他、診療看護師も受け持ちがありますので、受け持ちがいる場合には手術室に入りまして、助手的なサポートで手術につかせていただくこともありますし、手術だけではなく、カテーテルの助手として入ることもあります。

 夕方になりますと、また回診があるのですけれども、この間に患者さんの状態で共有しなければいけない情報があれば、集中治療科から心臓血管外科医に報告が行くという形になっております。19時前までにカンファレンスが行われて、日中勤務は終了になります。

 次の15ページですが、当院の心臓血管外科の診療看護師は、外来の一部を担わせていただいておりまして、先ほどのタイムラインと似た形ですが、これは午前中に外来診療が行われている場合に外来診療の一部を担わせていただいています。

 まず、初診の患者様は医師が診察を行いまして、その後に必要であれば、診療看護師に患者を任せ、必要な補足説明や入院への準備といった調整をおこないます。これらに使われる時間で、医師は新しい患者を診察することができます。この辺は比較的、私よりも先生方のほうが御存じのことが多いかと思いますが、患者さんの待ち時間をできるだけ少なくしましょう、受診時間を効率的・有効に使いましょうということをコンセプトに、診療看護師のほうは、例えば検査に出た患者さんが帰ってくるタイミングで次の説明を行うという形になります。

 この日は、医師が8名、初診を行ったのですけれども、そのうち4名の説明等々を診療看護師にお願いしたいということでしたので、4名の患者について、診療看護師のほうで右にありますような理解状況の確認、問診、身体診察。これは、医師が行うものと余りかぶり過ぎても患者さんにとって負担になりますので、そういったところは、医師の診療がどこまで行えたかというところを確認しつつ行っておりますし、病状について、どれぐらいの認識を持っているのかということを実際、患者さんのほうからお話しいただいて、足りないところを補足説明するといった形になっています。具体的な手術に向けてのスケジュール調整については、この時点で診療看護師が行う形になります。

 実際、この状況を見させていただいたところ、これは看護師がバックグラウンドにある診療看護師だからこそ、病棟の状況を把握して、病棟の空きぐあい、病棟のベッドがどのように空くのかという細かいところを把握しているからこそ調節がつけられると感じております。

 次のページでございますが、こちらは当院の手術件数の表になります。2013年から心臓血管外科が始まりましたので、2016年までの記録が入っておりますけれども、心臓・胸部大動脈手術ですと、弁膜症手術、冠動脈手術、大動脈手術、そのうちMICS手術も入っております。あとは、TAVI、経カテーテル大動脈弁植込み術も、アプローチ方法が2個ありますけれども、そちらの手術件数。そして、ステント。そういったもろもろ加えまして、2016年の実績で4502017年、現在ですと500ぐらいになってきていますので、2017年3月までには550から600件近くまでなるのではないかと見込まれております。

 こういった意味でも、手術を多くこなしていく中で、チーム医療が非常に重要だということが院内でも周知されてきていると思われます。

 実際に診療看護師の位置づけをしたということで、メリットについてです。

 患者さんにとっては、適切なタイミングで処置が可能ということで、これはイメージしにくいかと思いますけれども、例えば、朝、抜きますねと先生に言われたのですけれども、まだ抜けませんかということが一般病棟の中ではありがちなことなのですけれども、診療看護師が病棟にいてくれれば、患者さんのお風呂の時間に合わせて、そういったデバイスを抜きましょうかといった、より患者さん寄りのスケジュール管理の中で処置を一緒に行っていけるということになります。

 外来においては、先ほど説明しましたけれども、医師が聞きにくい点に関して、もともと看護師というバックグラウンドがありますので、患者さんも非常にアクセスしやすい人材になっているかと思います。

 医師について言えば、手術に専念できますし、看護師とのやりとりで、先生、あれも忘れています、これも忘れていますということのストレスも結構多いかと思いますが、そういったストレスも少なく、手術や診療に専念できることになります。

 他職種に関して、看護師で言いますと、先ほど言いましたように、先生がドレーンを抜くまで待っていなければいけないとか、指示がまだ出なくて17時になっても帰れないといった指示待ちの時間を解消できるということに関して言うと、データとしてはないのですけれども、積み重ねていけば時間外が少なくできるのではないかということです。

 医療安全との関係性ですけれども、当院におきましては、医行為に関しては20回以上を実施して、診療科のフェロー以上の医師の承認を得るというタスクをとっております。ですので、診療看護師が1人でその処置を行う前には、こういった先生方のチェック機能を必ず設けているということになります。

 現在、診療看護師が医行為を1人当たりどれぐらいやっているかということは、平成28年度でそこで示してあるとおりになります。結構な件数をこなしております。

 最後に、医療の質との関係性についてですけれども、米国においての人口当たりの外科専門医数は日本の64%ということで、日本よりも少ないです。外科1人当たりの症例数については、ここでは調べられていないのですけれども、外科というのは職人という表現をしたら物すごく言葉が悪いかもしれないですけれども、ある程度の症例数がなくては、恐らくその技術を維持できないのではないかと思っておりますので、そういった点では、病院自体をできる限り集約化していくというのは、少ない医師の働き方改革をする意味では必要な状況になってくるのではないかと思っております。

10年ぐらい前になりますけれども、私、メリーランド州にあるメリーランド大学メディカルセンターに少しだけ研修に行かせてもらったことがあるのですが、そちらはメリーランド州全体にヘリがどのぐらい稼働していて、今、どこを飛んでいるか。救急車がどこの配置になっているか。それぞれ、州の中にある病院のベッドの空きがどれぐらいあるかというのを1カ所で情報を集約しているシステムを持っておりました。ですので、患者がどこから、どこに移動するというのをそこで把握しているというのは、どこの施設に患者さんを送れば、一番適切な医療が受けられるかというのを把握するという面では非常にいいのかなと思いました。

 ここで言いました診療科専門の部分をどんどん集約化するという面に関しては、集約化するだけでは難しくて、患者さんがいかに適切で安全な医療を受けられるためには、医師の改革だけではなくて、そういうシステム的なところも改築していかなければいけないのではないかと、改めて10年前を思い出させてもらいました。

 まとめですけれども、医師と診療看護師の間に入る「診療看護師」というポジションをつくったことは、医師の働き方改革だけでなくて、ほかの職種にも効率的な環境になってくる可能性があるということは言えるのではないかと思います。

 医師の労働時間の削減のみならず、ほかの職種の労働時間の削減等、ひいては外科医の症例数の増加も見込まれるのではないかと思います。

 また、患者さんにとっては、適切なタイミングで処置が可能なため、入院生活にとって窮屈な面を少し改善していけるのではないかと考えて、まとめにさせていただきます。

 以上になります。ありがとうございました。

○岩村座長 戎構成員、ありがとうございました。

 続きまして、きょう、おいでいただいております磯部部長からお話を伺いたいと思います。用意ができましたら、お願いいたします。

○磯部参考人 国立病院機構東京医療センターの磯部と申します。よろしくお願いいたします。

 ただいま戎先生のお話を伺っていまして、内容的にはほとんど同じでございまして、特に改めて申し上げることがないような感じではありますけれども、実を申しますと、東京医療センターでは診療看護師を養成しているということもございます。また、当院で今、13名勤務しておりますので、恐らく全国でも人数的にはかなり多いのではないかと思いますので、その育成と現状がどうかということについて御紹介させていただければ幸いでございます。資料を非常にたくさん持ってまいりましたので、一部ダブるところはどんどん飛ばさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、内容ですけれども、国立病院機構における診療看護師はJNPと称しておりますけれども、どのように育成したかということについて簡単に触れさせていただきます。そして、後に現状について、順にお話をいたします。

 まず、当院の概要ですが、東京都区西南部にございます780床の国立病院機構の基幹病院でございます。救急搬送は年間約7,000台ございまして、臨床研修医が60名勤務しているということで、医療資源としては比較的恵まれている病院でございます。その病院における事例とお考えいただければ結構です。

 これは、医師の働き方改革への取組ということですけれども、当院は当然のこととして、医師の働き方改革に関しては、病院を挙げて、現在、取り組んでまいっております。できることは何でもやろうということでやっておりますけれども、地域医療を維持するためには大幅な業務量の削減というのは非常に困難な状況でございます。また、外科系の診療科を中心に相対的・絶対的医師不足がさらに深刻化する懸念がございます。

 したがいまして、働き方改革と診療機能維持を両立させる現実的な選択肢の一つとして、2010年より養成しておりますJNPへのタスク・シフティングを現在、実施中でございます。

 これが国立病院機構(NHO)における診療看護師ですが、先ほど御紹介がありましたので、飛ばさせていただきます。クリティカル領域に限定しております。臨床経験5年以上の看護師さんが養成の対象でございます。現在、NHOの全国の施設に約85名勤務していると聞いております。

 東京医療保健大学というところで現在、養成しておりますけれども、当初の教育カリキュラムです。1年次、2年次と分けまして、講義、実施、そして研究・論文執筆。2年次には臨床実習がございます。

 実際の大学院での実習ですけれども、このような形で行っております。タスクトレーニング、ロールプレイ、シミュレーション等を中心に行い、座学も行っております。

 そして、2年目になりますと臨床実習を始めます。この臨床実習の場としましては、東京医療センター、そしてNHOの系列であります災害医療センター等で実施しております。実際には、後ほどまたお話しますけれども、初期臨床研修医とほぼ同じようなローテーションを組みまして、限定しておりますけれども、救命センター、外科、総合内科、また希望によりまして循環器科、呼吸器科等をローテーションしております。現在、麻酔科も2週間、行っております。1学年20名でございますので、各科2名ずつ、順にローテーションしております。

 これが2011年、初めて卒前研修が始まったときの研修医の反応でした。自分たちの出番が減る。また、NPの実習があると知っていたら、この病院なんか来るんじゃなかったというのが正直な反応でございました。

 一方、指導する側の診療科スタッフの反応でございますが、患者さんにどうやったら説明したらいいのか。事故が起きたらどうするのか。病院としてやらなくてはいけないことなのか。医長がやってください。また、実習のチャンスは研修医に与えたい。そもそも、研修医と同じような教育など無理ではないかといった議論がございました。ただし、これはほぼ業務命令に近いという形でありましたので、診療科内でどのようにしたら現実的に実現できるかということを検討しました。

 まず、当時200項目以上ございました医行為の候補ですけれども、これを無理せず現実的に可能なものに限定する。安全第一ということと、病棟のチームへ組み入れて、チームの一員として位置づける。責任はしっかりとる。また、直接的な指導は若手のレジデントにやってもらう。こういったプログラムを組みまして、当時は夜間・休日の呼び出しも普通の若い先生たちと同様にやっておりました。現在、これはNGでございます。また、全ての関連のカンファレンスに出席してもらって、研修医教育との整合性をとるプログラムを走らせました。

 実際に始まってみますと、重要性を認識した医長が科内を強力に指導していただいて、粛々と実習スケジュールが消化されていきまして、大学院1期生のモチベーションも非常に高い方たちが多く働いてくれましたので、それが救いにもなりました。そして、医師とともに行動していただくということで、チームの一員としての信頼と理解が深まりまして、結果的には初期研修医がふえたような状況になりました。したがいまして、指導側に余力がある診療科から教育システムが順次整備されてまいりました。

 これが実際の病棟実習の風景でございます。このような形でやっております。

 これは、1つの医行為の象徴といたしまして、皮膚の縫合でございます。手術のときの閉創でございますが、真皮縫合というものをやりますけれども、ちょっとコツが要りますので、ハンズオンセミナー等で研修医と合同で開催しております。現在は別々にやっております。

 このような形でJNPが認定されまして、これも先ほど御紹介があったとおりでございます。

 そして、いよいよ卒業しますと大学院卒後研修が始まります。これは、平成24年度より厚労省の業務試行事業として開始されました。卒業生の多くは、出身のNHOの施設にJNPとして復職いたしまして、当院の第1期生として3名が勤務いたしました。診療部に所属いたしまして、ただし勤務体制は、超過勤務を含めて看護師として管理するという体制でございました。外科、総合内科、救急センター等をローテーションするプログラムで、まさに初期臨床研修医の研修カリキュラムをモデルにいたしました。

 ちょうど1年目のプログラムが修了するころに、NHO全体で9施設に13名のJNPが配属されておりましたので、関連の職員、また担当した患者さん、家族、合わせて約2,000名の大規模なアンケート調査を行いました。その結果を一部御紹介します。

 これがJNPの活動の質、どのようなレベルかということを他者から評価するものでございましたけれども、緑色の線が他者からの評価です。4段階評価になっていまして、ほぼ3点ということで、まあまあのレベルではないかという評価をいただいております。また、赤いラインはJNP自身の評価でございまして、自分に対してはかなり厳しい評価をしていることがわかります。

 一方、患者さんからの評価ですが、これは各施設のそれぞれの評価項目の平均値でございますけれども、驚くべきことにほとんどの施設でほぼ満点という結果でございました。平均値で満点ですので、かなりいい成績だと理解しております。

 そして、卒後研修を終了しましたJNPはチーム医療に参加することになります。現在、外科、脳外科、救急科、麻酔科等では、医師とJNP、看護師等がチームを組んでチーム医療を行っております。特に、外科、脳外科におきましては、術前、術中、術後を通じて、先ほども御紹介がありましたように、手術で外科医が病棟からいなくなる時間帯をカバーするというのが一つの大きなJNPの役割として考えられております。

 一方、救急科におきましては、チーム医療の体制が異なりますので、救急医とJNPが柔軟なチームを組んで、無理のない診療、救急診療のシフト体制を構築することが可能になっております。

 また、麻酔科におきましても、同様に麻酔科医とチームを組むことによりまして、効率的な手術室の稼働体制を目指しております。

 当初は、診療機能の維持・質の向上といったものが目的でございましたけれども、これに加えて、現在は働き方改革の遂行ということも現実的な課題となっています。

 さて、これが当院のJNP、1期生から6期生までの現在でございます。救急科5名、麻酔科3名、外科2名、脳神経外科1名、あと総合内科と研修中が1名、合計13名でございます。

 こちらは、各診療科における人員の配置です。ごらんいただいておわかりかと思いますけれども、人数的にそれほど厳しい状況にはスタッフとしては置かれておりませんけれども、その中でもJNPを配属することによって、これから御紹介しますようないろいろなことが円滑に回るようになっております。

 さて、外科病棟におけるJNPの業務内容ですけれども、スタッフ医師とレジデントと研修医がチームを組んでおりますが、そのチームにJNPが参加します。そして、全ての患者さんをJNPが把握してくれていまして、回診の準備とか、看護師さんに対するいろいろなアドバイス等もやってくれております。

 また、手術等で医師が病棟から不在になる時間帯におきましては、診察、ドレーン抜去、また末梢型中心静脈カテーテルの挿入等、事前に医師と打ち合わせをしておりまして、こういった業務を行ってくれております。また、新入院患者の問診も行っておりますし、実際にオーダーを出す局面もございますけれども、これは電子カルテを利用して代行入力という形で医師に承認してもらっております。

 また、医師から要請があれば、手術、検査等に助手として参加しております。

 また、本来、看護師さんでありますので、病棟看護師とのカンファレンスに参加し、情報を共有する。これも非常に大きな役割になっております。

 これが外科におけるJNPの1日でございますが、当院は朝のスタートを比較的遅くしております。したがいまして、昼間の業務をより集中的に行わなければいけないということになりますので、医師が日中、手術で不在になる時間帯にいろいろな業務を、特に診療補助業務等が中心になりますけれども、JNPが代行してくれております。そして、手術が終わって、医師が病棟に戻ってくるころには、本来、この時間帯から始まるはずであった、いろいろな処置とかオーダー等がほとんど終わっているということで、これが超過勤務の縮減につながっているのではないかと考えております。

 実際の業務の風景でございますけれども、回診の準備ですとか、初期臨床研修医の業務指導。これは、診療内容を指導しているのではなくて、実際のオーダーのやり方といった業務面での指導が中心になっております。

 また、ちょっと細かくて恐縮ですけれども、こちらは電子カルテの記載例になります。これは、担当医の手術中にJNPが患者さんを回診して、経過は非常にいいということで、事前に打ち合わせしておいたとおりにドレーンを抜去し、また食事の量を増量して輸液量を減量するということを、医師が不在の間に医師と連絡をとりながら実際に行い、看護師に指示を与えるということで、日中の業務が非常に円滑に回るようになっています。

 また、こちらのケースですけれども、こちらは本来、順調に退院する予定だった患者さんが、医師が手術中にちょっと状態が悪くなったということで診療の依頼を受けましたけれども、医師が不在だということでJNPがとりあえず診察をいたしまして、そのまま手術室に報告に行って、医師と打ち合わせをして、問題ないだろうということで、予定どおりという指示を出しているといったケースになります。

 細かいのですけれども、カルテを記載して、もう一度更新しております。そして、代行入力の場合には、さらにこれに承認という操作が加わっております。こういったことを電子カルテについて、行っております。

 こちらの写真は症例のディスカッションですけれども、術医を着たレジデントが病棟に戻ってきまして、日中はこんなことがあったということを打ち合わせしております。

 こちらは、検査技師とレジデントとともに検査に実際に立ち会っております。

 こちらの写真は、末梢留置型の中心静脈カテーテル(PICC)と言われているものですけれども、こちらをJNPが挿入している写真でございます。こんなこともしております。

 さて、実際に本当に外科医が足りなくなって、手術自体がその時間帯に組めないということがございます。組めないというのは、夜にならないとできない、昼間の手術が終わらないとできないという場合に、JNPが駆り出されまして、実際に内視鏡の助手を行ったり、傷の閉創を担当する。あるいは、従来、研修医などにやってもらったのですけれども、器械出し、看護師さんの役割もこなしてくれております。

 これは、当院におきましてNPの研修が始まったころ、2012年、ちょうど米国に留学しておりました当院の医師が、アメリカではこんなふうになっているという写真をくれました。大きな病院だったと思いますけれども、突然、レジデント全員がカンファレンスか何かの召集がかかっていなくなってしまった。そういった場合でも、予定手術はスタッフの医師とPAが行って、NPの学生さんも手術に入っているということを教えてくれました。

 これが現在の当院でございますが、常にJNPが手術の助手をしているわけではございません。これは、日中、何件も続く血管外科の小手術のシャント造設でございますが、レジデントが全部助手に入りますと、ほかの仕事ができなくなりますので、レジデントをその間、休ませて、かわりにJNPに入ってもらいます。問題は全くなく、手術は終了しております。

 こちらは、JNP本人が自分の役割は何かということを、カルテの記載からオーダー、いろいろ含めまして聞いてみたところ、自分はこんな動きをしているということを言ってくれましたので、それを図式化したものです。手元の資料ではアニメーションをごらんいただけないので恐縮ですけれども、通常は患者さんを中心にグループが回っているのですけれども、医師が手術でいなくなってしまうと、少し立ち位置を変えて、常にいろいろな職種と連携をとりながら、このような形で業務をこなしている。これが自分の役割だということを申しています。

 当初は、医療のミッドレベル・プロバイダーとしての役割を期待しておりましたけれども、実際にはチーム医療のキーパーソンという位置づけで現在は行っております。

 救急科におきましても、2次救急を中心にチームを組んで診療に当たってもらいます。特に、金曜の夜と土日祝日の救急外来診療は一番人手が足りなくなる時間帯でございますが、そこに交代で参加して、当直医の診療補助をやってもらっております。あと、リハビリなども担当しております。

 これが土曜日の8時45分、勤務が終了する直前の光景でございますけれども、診療看護師がカルテに診療の結果を入力しているところでございます。

 麻酔科におきましては、術前の診療・診察等で、麻酔科医と実際の麻酔方法についてのディスカッションを行うこともありますけれども、麻酔導入時、覚醒時には、手術室内の麻酔科医同席のもと、いろいろな麻酔補助業務を行っております。

 また、麻酔が安定した維持期におきましては、麻酔医からの事前の指示に基づき、あるいは中央監視室でも監視しておりますので、その監視下でいろいろな薬剤の調節等を行っております。

 さて、実際のJNP配属の成果でございます。これも先ほど御紹介されたとおりでございます。当院におきましては、診療科の医師数が大幅に減少した時期がございます。その時期におきましても、診療を維持することが可能でございました。

 また、医師が不在のときには、滞りなく日中の診療を進めることができて、医師の時間外労働が実際に短縮しております。

 また、同じようなことで、病棟の看護師から医師への連絡も、先ほどもありましたけれども、頻回にございますけれども、これも間を取り持ってくれることで医師の負担感が軽減するということで、救急科におきましても実際には同じようなことが起きています。

 一方、看護師あるいはメディカルスタッフ等の他職種から見ますと、医師というのは非常に声をかけづらい存在だということがよく言われまして、その橋渡しをしてもらえるということが第1にあります。

 また、実際に医師の仕事が滞りなく行われるようになったため、看護師の超過勤務が減っているのではないかということが言われております。

 そして、患者さんにとりましては、これが一番大事なことだと思いますけれども、チーム医療が滞ることなく効率的に行われることによりまして、術後患者の早期回復や在院日数の短縮につながっていく可能性があるのではないか。

 また、患者さんへの対応がよりきめ細やかになりますので、医療の安全性や患者さんの満足度が向上していくのではないかということを現在考えております。

 安全性の担保に関しましては、戎さんと同じでございまして、病院で組織をきちんと定めて管理しております。

 電子カルテの代行入力に関しましては、医師ごと、オーダー種別ごとに明確に権限を設定できますので、それに従って行われております。

 さて、卒後教育でございますが、独自の教育プログラムを作成するのは、指導医側にとっても大きな業務負担になります。したがいまして、実際には初期研修医とともに同等の教育を受けていただくということが現在の原則になっています。

 また、医師のチームの一員として行動してもらってOJTをこなしていただく。

 また、医行為実施前には、当然ですけれども、シミュレーション、ハンズオントレーニング等を十分に実施してもらっております。

 また、レジデントの先生たちと同様に、学会活動等にも参加してもらって自己研さんに努めてもらっています。

 これが手術ビデオの検討会ですけれども、自分が手術をするわけではありませんので、一歩下がった感じになっておりますけれども、何が行われているかを知っておくべきということで参加しております。

 また、これは研修医の縫合トレーニング、コンテストでございますけれども、これにJNPも参加しまして挑戦しております。結果的にはJNPが優勝したのではないかと思います。何週間かしか回ってこない研修医に比べて、1年以上、外科の勤務をこなしてくれていますJNPの技術的な実力の差は、この局面においては歴然と出てまいります。

 これは、外科のスタッフのトレーニングの光景でございますけれども、内視鏡の手術のトレーニングに内視鏡医が必要ということで、内視鏡のうまい人に手伝ってもらいたいということでJNPが駆り出されている風景でございます。

 これは学会でございますけれども、昨年末に行われました内視鏡外科学会という大きな全国大会でございますが、ここでJNPがチーム医療のセッションで発表いたしまして、Surgical Forum Awardを受賞しております。これは、実際に外科医と間違えられて、かなり厳しい質問をいろいろ受けておりましたけれども、何とかそれをこなして受賞にこぎつけたということです。彼が優秀だということを言いたいのではなくて、ここまで指導医が十分に指導していた結果だったと考えております。

 最後になりますが、当院における今後の課題です。JNP配属を強く希望する診療科はふえておりまして、調整にちょっと困っております。

 また、JNPを医師不足の安易な解決策とすることをせず、看護師のマインドを持ち、医師と知識・技術を共有して柔軟な働き方ができるチーム医療のキーパーソンと位置づけており、医療の効率化と質の向上を何とか目指していきたいと考えております。

 養成期間が2年ということでありますので、卒後教育の充実により質を担保していくことが必要になっております。

 また、人数がふえてまいりますので、継続して活動できる枠組みを整備して、キャリアパスを提示してあげなくてはいけないかなということを考えております。

 また、日本の診療看護師は米国とは全くコンセプトが違うと理解しておりますけれども、PA的な側面もかなりございますので、これについて、今後どういうふうに考えていったらいいのかということも課題になるかと考えております

 以上、まとめですが、JNPの育成は先行き不透明な状況の中でしたが、志望者たちのモチベーションとNHOの強力な指導により開始されました。このJNPの存在は、卒後研修、OJTを通じて、現在では職員とともに患者さんから支持される存在になっております。

 特定行為の研修が制度化された現在、JNPの存在意義は、特定行為の実施というだけではなくて、チーム医療の効率化のキーパーソンに移行していくのではないか。

 また、疲弊しつつある外科系の診療科にJNPのような職種が参加することによって、手術を含む診療業務がとりあえず維持継続されております。

 そして、現在の医師の働き方改革にも、このJNPへのタスク・シフティングが一つの解決策になるのではないか。

 東京の大病院におけます非常に恵まれた環境にはあると思いますが、そこにおきます事例の報告でございました。以上、御清聴ありがとうございました。

○岩村座長 磯部部長、大変ありがとうございました。

 続きまして、事務局のほうから資料2を用意していただいておりますので、それについての説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○堀岡医師養成等企画調整室長 引き続き、資料2の「タイムスタディ調査結果」という資料をごらんください。時間もあれですので、簡単に御説明いたします。

 1枚おめくりいただきまして、厚生労働行政推進事業費で病院勤務医の実態調査研究班というものを立ち上げさせていただきまして、全国医学部長病院長会議や四病院団体協議会の協力を得てタイムスタディを実施しております。

 内容といたしましては、看護師などの観察者が働いている医師の後ろにずっとついて回って、1分単位で全ての業務内容を記録したというものでございます。調査時間は1日から2日。11月7日から21日の間の任意の期間でやっていただいております。

 下でございますけれども、この先行調査の対象でございます。大学4施設、大学以外6施設ということで、都市部、地方部でそれぞれごらんのとおりの施設数で44名を対象にやっておりまして、診療科、当直のあり、なしの人などのバランスは下に記載しているとおりでございます。

 次の3ページをごらんいただければと思います。これは、全44人の勤務時間のごく大ざっぱな結果でございまして、例えば大学以外/小児科/地方の当直ありの方で一番長い、40時間連続勤務をしている方がいらっしゃいます。当直ありの方は、少ない方で20時間、多い方で40時間、当直なしの方は、多い方で12時間、少ない方だと10時間ちょっとという勤務時間となります。

 その中で、オレンジが診療時間、グレーが診療外時間、青が待機・休憩時間でございまして、これは大学だったり、大学でなかったり、もしくは診療科によってもオレンジの部分の量はかなり大きな違いがございます。

 4ページに詳細な分析をしております。勤務全体、N=44のところですけれども、診療時間は、大学以外の病院では救急外来が3時間28分、大学病院での勤務の医師よりも大幅に長い。一方、診療外時間では、教育・研究の時間などが大学では圧倒的に長くて、教育2時間48分、研究1時間28分。これは、わずか1日のタイムスタディでございますので、その中でも診療外で教育・研究に大学は非常に時間をとっているということがこちらでわかります。

 下の当直勤務帯でも少し特徴がございまして、当直時間中の診療時間は6時間52分ということで大学病院以外の医師のほうが長くて、当直中の診療外時間は大学の医師が3時間52分ということで、非常に長い時間を当直時間帯の診療外時間、教育・研究をやっているという実績が出ております。

 これだけ単純集計してもイメージがわかないと思いますので、1つの例を5ページから先につけております。この方は、地方部市中病院の20代男性の外科の方で、勤務時間は連続で当直をまたいで36時間ぐらいの方でございます。ごく簡単に内容を説明いたしますと、7時57分に出勤いたしまして、8時ぐらいから病棟業務をこなして、6ページ目でございますけれども、9時半ぐらいからオペ室に移動してオペをしているという方です。この方は、このままオペを2件連続でこなして、8ページの2時54分、55分あたりまで手術しておりまして、その後、みずから患者移動をしたりしながら病棟に戻って、3時ごろから手術記録記入などをやっている。

 その後病棟に戻って、4時22分ごろから外科学会の発表の予演会をやって、その後、5時16分から6時半ぐらいまで医局で学会の発表資料を作成している。6時40分ごろから当直室に移動して、しばらく待機が続いたのですけれども、9時9分から救急患者が来て、1046分、また患者が連続で来て、それぞれ入院のオーダーをしているという状況になっています。1246分から当直室へ移動して、しばらく休憩していたのだけれども、また2時半ぐらいから救急患者に呼ばれて、その後、5時18分にも救急患者がもう一人来たというのが目に浮かぶような結果になっております。

 その後、朝7時57分ごろ、最後の救急患者と一緒に当日の通常業務が始まって、朝の8時からずっと連続で病棟の勤務が続いている結果になっております。この日は、病棟と外来業務が主だったようでございまして、大きな手術はなく、1日が過ぎていって、最後の23ページでございますけれども、夜7時58分ごろ帰宅しているという結果が出ております。

 見方といたしましては、1分ごとに後ろから非常に細かく医療行為をやって、例えば何かをやっている途中に電話がかかってきたりしたら、左から2つ目の欄に何をしたかということを全部書くような調査結果になっております。

 これを用いて、今は44人分、また来年3月までに100人程度のデータが収集できる予定でございますので、これらについてさまざまな分析をする予定でございますけれども、どのような分析が可能か、どのような分析が有効かなど、この検討会などで御意見をいただければと思います。

 以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、戎構成員、磯部部長からいただきましたお話、そして今、説明いただきました資料について御質問等がありましたら、お出しいただければと思いますし、またタスク・シフティングに関する御意見などもあれば、お出しいただきたいと思います。

 それでは、猪俣構成員、どうぞ。

○猪俣構成員 戎構成員、磯部部長、すばらしい発表ありがとうございました。

 まず、お二人にお伺いいしたいことが2点ありまして、1つ目が、診療看護師を導入するに当たって、これまでにどのような問題が起きていたかというのが、もしあれば共有していただきたいということと。

 あとは、電子カルテの代行入力を行っているということでしたけれども、これはどのような内容を主にやっているかというのと、もう一つは、システム面というか、どのようなポリシーでやっているか。例えば、承認はどのぐらいの時間内にやらなければいけないとか、それは事後の承認でいいのかとか、そういったところがもし決まっていましたら、教えていただければと思います。

○岩村座長 いかがでしょうか。

 戎構成員、お願いいたします。

○戎構成員 今いただいた2点について、まず診療看護師を配置するに当たり、問題点ですが、当院は2012年開院当初から、このNPという位置づけをしておりますので、さほど現場に何かしら問題があったということではなく、そこからつくり上げていくことの大変さのほうが多かったと思います。

 当院の場合は、米国で医師をされていた方が一定割合おりますので、病院内の医師の中での理解は非常によかったのかなと思いますが、看護師に関して言いますと、初めてその存在を知るという方もいらっしゃいましたので、診療看護師という位置づけの方たちは一体何をするのだろうという、若干引き気味の目で見られていた方も多いかと思いますが、開院当初からその位置づけの人がいますよということで院内にはアナウンスしておりますので、これまで通常どおり行っている中で、そういう存在の人が入るというところよりは問題点が少なかったのではないかなと思われます。認識してもらうところが非常に難しかったところであると思います。

 代行入力の点ですけれども、いつまでにという制限はありませんけれども、例えば薬剤に関して言うと、その場に医師がいなければならないものもありますし、診療看護師がオーダーしてはいけないものも制限をかけておりますし、実際に診療看護師が診察した内容に関しましては書いておいて、医師の報告とともにカウンターサインをいただくという形になっていると思います。至急必要なものなのか、後でいいものなのかというところは、ケース・バイ・ケースで調節させていただいていると思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 磯部部長、いかがでございましょうか。

○磯部参考人 導入に関しまして問題点というのは、先ほども御紹介いたしましたけれども、まず職員の理解を得るということが一番でございました。養成にも非常に手間がかかると言うとちょっと語弊がありますけれども、大変な仕事になるという認識がございましたので、これをどうやってこなしていくかということがございましたが、これは病院としての仕事という位置づけでこなしていった経緯がございます。

 代行入力に関しましては、電子カルテの代行入力のシステムをそのまま使っております。代行する相手の医師と1対1でひもづけをいたしまして、実際にオーダーできる種別、検査のオーダーといったものを代行できる、できないというものを事細かに設定しております。これは、もちろん代行される側の医師の要望が一番の中心になりますので、許容範囲内で代行の設定をしている。ですので、できる場合とできない場合があるということと。

 あと、現実的に一番多いのは、その場のオーダーというよりも、あした以降の検査のオーダーといったものに関して代行してオーダーしてもらうということがあります。また、その場ですぐやらなくてはいけないということに関しましては、原則として指示に基づいて、その範囲内でやるということを徹底しております。

 以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 猪俣構成員、よろしいでしょうか。

○猪俣構成員 1つだけ質問があるのですけれども、導入に当たっての現場の理解が必要だったということですけれども、例えば医療ミスというか、医療を実際にやるに当たっての何か問題というのは余りなかったでしょうか。

○岩村座長 戎構成員、いかがでしょうか。

○戎構成員 当院に関しましては、診療看護師が担いました行為に関しては、今のところ何の問題もございません。

○岩村座長 磯部部長、いかがでしょう。

○磯部参考人 当院におきましても、常にインシデント等のモニターをしておりますけれども、特に大きな問題は起きておりません。

○岩村座長 ありがとうございました。

 では、先ほどお手が挙がっていたのが、こちら側でお三方、それと今、お一方ということですので、先にこちらからということで申しわけありません。赤星構成員から順番にということでお願いします。

○赤星構成員 御発表ありがとうございました。

 発表を聞いていて、救急の現場で働く身としては、診療看護師さんがこういう形でいてくださっていれば、すごく助かりますし、僕も業務負担が大分軽減されるかなと思っていて、導入しない手はないと思うのですが、お二人にお尋ねしたいのは、その導入によって病院の収益が上がったり、少なくとも変わらなければ、病院側は賛成していただけるのかなと単純に私は思うのですが、そういう側面的なところは何かデータがあるのかどうかということと。

 導入に当たって、そういうシステムの整備とか代行入力の電子カルテの整備が必要になると思うのですが、そういう初期導入に係る費用とか課題があるのかどうかというところをお伺いできればと思いました。

○岩村座長 それでは、戎構成員、いかがでしょうか。

○戎構成員 まず、利点に関して2点、収益とかに関してですが、収益のことに関しては私、情報を持ち合わせておらないのですけれども、地域医療振興協会は地方の診療所を担っていますので、現在は診療看護師を育てているという状況で、方向性として、今後、離島とかまでカバーできるような体制が整えばいいのではないかというのは、当初のコンセプトとしてありました。医師を1名そちらに派遣するよりは、そういった高度な技術と診療を行えるような看護師的な立場の人がそちらに出向いて、そこの医療の質を担えればコスト的にはダウンできるのではないかと、単純ですが、私としては思っております。

 あと、初期投資は特にはなかったと思いますが、例えば医療安全に対する取組を決めたり、委員会を開催したり、何かしらの決まりごとを決めるときに人を集めなくてはなりませんので、その人たちを集める時間給に換算しますと、恐らく費用としてかかったと思いますけれども、ハード面で何かプラスアルファ、診療看護師のために与えなければならなかったということはないと思います。

○岩村座長 磯部部長はいかがでございましょうか。

○磯部参考人 まず、収益ということでございますが、これは医師が確保できない状況下におきましては、診療看護師さんがその業務をある程度担っていただくことによって、今までの業務が継続できるということで収益は落ちない。実際にはそういう局面がございました。手術件数が確保できるとか、麻酔の件数が確保できる。今後、さらに生産性が上がって収益が上がってくるかどうかということに関しては、まだ現状では何とも、これから多分考えていかなくてはいけないのかなと考えております。ただし、患者さんの満足度は確実に上がっておりますので、それは質の向上につながっているのではないかと考えております。

 また、カルテに関しましては、電子カルテそのものが診療看護師という職種がもちろんございませんので、ちょっとなじまないところがございまして、そこを調整するのに少し改修を要しました。看護師の権限ですけれども、診療看護師というものが明示できるように画面を変えるとか、あるいは代行設定に関しましても、本来、代行入力は医療事務補助作業者等を念頭に置いている可能性がありますので、少しその範疇を広げたりといった改修を行いました。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、市川構成員、どうぞ。

○市川構成員 磯部参考人にお伺いしたいのですけれども、外科のほうですから、医師にとって一番助かるのは、医師が不在とか多忙の場合です。そのときにいろいろな代行入力とか処置をやっていただく。ここはどういう話し合いというか、特に代行入力は最後に承認するとか、しないとか。それから、ドレーンとかCVの挿入という指示とか、どういう感じで具体的にされるのですか。

○磯部参考人 ドレーンの抜去等に関しましては、これは特定行為で手順書を運用すればいいとなっておりまして、基本的にはその流れに沿って打ち合わせをしてやってもらっているという現状でございます。

 あと、診療看護師、当院のJNPにおきましては、フットワークが非常に軽いですので、直接指示が非常にやりやすい。例えば、病棟で何か起きたときに手術室まで出向いてくれて、そこで指示を直接もらうということが日常的に行われておりますので、そういう意味ではコミュニケーションはかなり円滑にとれると考えております。

○市川構成員 基本的には医師の指示のもとに行われているということですね。了解しました。

○岩村座長 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 お二人の御発表、本当にありがとうございました。将来の日本の医療のあり方に関して、大変参考になる御発表だったと思っております。

 磯部先生から、医師の働き方を目的にするものではないということで、私もまさしくそうなのだろうなと思っているのですけれども、少なくとも、この働き方の検討会の中で医師の労働時間を少しでも減らせる方向ということで、きょう、御発表いただいているのだと思います。これはお二人というよりも、厚労省への質問あるいはお願いだと思うのですけれども、今の2つの病院で先ほどのような1分間スタディで医師の労働時間がある程度減らせているかというものも、ぜひ数例で結構ですけれども、お示しいただければというのと。

 恐らく、全国の医療機関における医師不足対策として、こういった診療看護師を養成というお話になると、どのぐらいの人数が必要で、そして、今、2年間の大学院教育という話になると、医療現場は看護師も不足しているので、その中で看護師をそういったところに勉強に出せるのか。私は、すごく大事なことだと思うのですけれども、現実的な問題として、そういうことがどのぐらい可能か。それがないと、逆に言うと絵に描いた餅になってしまうのではないかと思っていますので、厚労省のほうではそういう試算的なものも、どれぐらいの看護師さん、診療看護師がいれば、医療の現場の医師不足に役立つのだというデータもぜひお示しいただきたいなと思っております。

 もう一点、若干、将来的な、今のところ、極めて限られた看護師さんなので、多分余り問題になっていないのだと思うのですけれども、戎先生のところは、いわゆる看護部でないところに所属している。磯部先生のところは、看護師の中の組織としてという御発表だったと思うのですけれどもね。

○磯部参考人 済みません、勤務管理は看護師が行っておりますが、所属は診療部でございます。診察部と一緒に動いていただいている。

○今村構成員 そうすると、その待遇といいますか、それこそ給与水準であるとか、いろいろな待遇も通常の看護師さんとは違うということで、お二人ともよろしいのでしょうか。

○岩村座長 記録をとる関係で、声に出してお答えいただけるとありがたいです。

○戎構成員 給与形態に関しましては、若干の違いがあると思います。私は、幾らというのはわからないのですけれどもね。

○磯部参考人 当院におきましては、給与体系は看護師と同じのはずでございますが、診療看護師手当というものがございます。それで差別化を図っているということになります。

○岩村座長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

○今村構成員 今、差別化というお話があったので、要するに同じ職種の中にいろいろな階層的なものができることが、将来的にどういう影響があるのかな。つまり、全く別の職種だという、ある意味割り切りが必要なのかもしれないですけれども、その辺もまた課題かなと思います。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、こちらでお手が挙がっていましたので、まず三島構成員、お願いいたします。

○三島構成員 三島です。戎構成員、磯部先生、ありがとうございました。

 私自身も後期研修をしているときに、同じ病院の中でNPの実習の方と一緒に働いた経験があって、そのときに最初の反応は、まさにさっき先生が御発表されたみたいに、自分としての役割は何なのだろうと改めて考え直す、医師として何を一番すべきかというのをすごく考えさせられる非常にいいきっかけになって、このように議論をみんなで進めていかなくてはいけないなと改めて感じているところです。

 私からの質問は2点ありまして、今回は病院の中の病棟での、特に外科とか救急体制の中での皆様のタスク・シフティングの取組ということが主だったかと思いますけれども、外来でありますとかプライマリケアのセッティングの中で、取組とか事例とか、皆様の取組の情報などがありましたら教えていただけたらと思います。

 もう一つは、医師の働き方の改革という中で、NPの皆さんが非常にフレキシブルにその場のニーズに応じて能力高く働いていらっしゃるのは、すごく感激したのですけれども、ほかの職種の業務負担がふえないような工夫とか仕組みみたいなものが、もし皆様の施設の中でありましたら教えていただけますと幸いです。

 個人的に、後期研修のときにオランダと米国でプライマリケアの診療所で研修したことがありまして、そこで医師の管理下で看護師さんが外来をしているという現場におりました。そのとき、医師は15分刻みの予約のスケジュールですけれども、看護師さんの場合は30分ぐらい、長く時間をとっておられて、よりシンプルな症例をじっくりと話をされている。医師は、より複雑な症例に集中するというスタイルを目にしました。

 そのときに、患者さんは両方選ぶことができるのですけれども、長く話をしっかり聞いてもらえる、また細やかなケアをしてもらうということで、満足度も高かったように個人的に感じましたし、チームとして、きめ細やかなケアが必要なときにできるというのは、考えさせられるきっかけになりました。そのような、外来とかプライマリケアの現場で、何か事例の御知見等ありましたら、教えていただければと思いました。

 以上です。

○岩村座長 戎構成員、いかがでしょうか。

○戎構成員 プライマリに関しては、私、情報を持ち合わせていないのですけれども、先ほど私が説明しました心臓血管外科の外来について言いますと、先ほど先生がおっしゃってくださいましたように、医師のほうは10分から15分ぐらいの診察ですけれども、その後に診療看護師は1人当たり30分ぐらい時間をとっておりましたので、患者さんとしては非常に満足度が高い診療を受けて外来から帰られる形になっておりました。

 また、検査から帰ってきた待ち時間も利用してということで、時間的な調節をつけられるということは、外来の待たせ時間というところについても負担は軽減できたのかなと思います。

○岩村座長 磯部部長はいかがでございましょうか。

○磯部参考人 外来でございますが、現在も外科系に人数をとられてしまって、総合内科は1人しかおりませんけれども、総合内科にも配慮しております。恐らく外来診療から入院に橋渡しということもやってくれているのではないかと思います。

 また、救急診療におきましては、外来診療の前面に立って、いろいろな補助的な業務をやってくれております。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 それでは、先に挙がっていたのが馬場構成員だと思いますので、よろしくお願いいたします。

○馬場構成員 戎構成員に質問ですけれども、心臓外科医5名、集中治療医5名、診療看護師2名ということで、本当にうらやましい体制だと思うのです。というのは、診療看護師はもちろんのこと、集中治療医5名というのが普通の民間病院ではなかなか確保しづらい人員体制だなと思って、うらやましいと思っておりました。それでも、超過勤務が月100時間前後ということですけれども、戎構成員の施設は働く医師にとって満足度が高い、働きやすい環境だと思うのです。それは、勤務時間がどうこうというよりも、自分のやりたい専門の仕事に集中できるということが、ストレスを減らして満足度を上げているのではないかなと思っているのですけれどもね。

 質問ですけれども、診療看護師導入によりまして、医師の超過勤務が減ったという事実がありましたか。

○岩村座長 いかがでしょうか。

○戎構成員 御質問ありがとうございます。

 大変申しわけないのですけれども、前後比較としては、私、情報を持ってきておりませんでした。申しわけありません。外科医の人数も開院当初から変わっておりますし、なかなか比べにくいところがありまして、診療看護師も臨床研修2年を終えまして、1スタッフとして勤務しておりますが、まだ勤務の状況を調節している段階なので、ベーシックなところをあわせての勤務の時間外について比べることは、少し困難な状況かなと思っております。申しわけございません。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 今のところお手が挙がっているのが、ハイ構成員、中島構成員、山本構成員だと思います。時間の都合もありますので、山本構成員までというところでテーマの1は終わらせていただければと思います。

 それでは、ハイ構成員、どうぞ。

○ハイ構成員 両先生方、本当にすばらしい発表、ありがとうございます。うらやましいなというのが本当に率直な感想です。

 病院組織におけます教育の波及というのは、私、3つのポイントがあると思います。1つは、トップのコミットメント。まさに、先ほど磯部先生がおっしゃったように、業務命令で最初にトップダウンでやったというのが1つ成功要因と思います。2つ目が素材です。つまり、教わる人です。教わる人が、モチベーションが高い、もしくは既に能力の高い人がいるということ。そして、3つ目がすごく大事なのですけれども、投資余力があることです。つまり、教育に時間をかける、人員が割ける、それだけの資金的な余裕がある。この3つが、恐らくかなり頑張ってそろえられたのかなと思っております。

 恵まれた環境という言葉がありましたけれども、多くの病院は恵まれていない環境で今、頑張っているところと思います。となりますと、このベストプラクティスを横展開する際に、恵まれていない環境にいかに展開していくかが大切になります往々にして余力がない病院はアレルギー反応を起こす場合がございます。例えば、それはそっちの優秀な病院だからできるのでしょう、と聞く耳を持たなくなるのです。今さら、これをやれと言われたら、教育の負担が増えまたしんどくなるのではないかというアレルギー反応もあります。この検討会では、ある意味恵まれていない環境の病院に対して、ベストではなくて、ベタープラクティスにいかに近づけていくのかという論点がこれから必要になってくるのかなと思います。そういった意味では、非常に示唆に富む御紹介かなと思います。

 感想でした。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、中島構成員、どうぞ。

○中島構成員 ありがとうございます。

 お二人の発表を聞いて、NPのすばらしい活躍がよく理解できました。特に、患者さんへのメリットがあって、すばらしいと思いました。

 特に思うのは、NPではなく、特定行為看護師のほうは、ナースの通常業務をこなしながら特定行為を行っていて、処遇等にさまざまな問題が現状でありますので、戎さんの発表を聞いて、NPとして自由に動かれているところ、本来の役割の働きができているところがうらやましいと思いました。今後は、NPのさらなる活躍はもちろんのこと、特定行為修了看護師による小規模の病院や地域における役割及び業務上の処遇についても検討したりロールモデルを示していくなどの対応が必要と考えました。

 御質問ですが、磯部先生に2点お願いします。

NPの教育にかかわる費用はどうされているのか。

 もう一点は、NPを目指すナースは、院内からどんどん希望があるのか。そして、その場合、看護部長はどのような反応なのかというところをお願いします。

○岩村座長 磯部部長、よろしくお願いいたします。

○磯部参考人 御質問ありがとうございます。

 費用でございますけれども、これは出身の母体が同じ大学院生でもいろいろございますけれども、少なくとも当院におきましては、当院の看護師が志望して大学院に入る場合には、たしか研究休職といった形で身分を一応保障して勉強してきてもらう。また戻ってきてもらうというシステムを採用しております。

 もう一つは。

○岩村座長 看護部長の反応。

○磯部参考人 もちろん看護部長も理解を示していただいておりまして、人数の問題はございますけれども、実際には東京医療センターの隣に看護大学がございまして、そこで養成しておりますけれども、1学年に1人か2人、病院から勉強に出向といいますか、出かけているという状況ですので、人数的にはそんなにたくさん行っているわけではございません。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 それでは、山本構成員、お待たせいたしました。

○山本構成員 どちらの病院も特定看護師という仕組みをうまく使って、しかし、それぞれの病院でかなり御苦労されて、今のシステムをつくり上げていらっしゃると思います。それで、先ほど横展開という御意見もありましたけれども、確かに横展開しようとして、一般病院、我々大学病院も含めて、急性期医療にこういう人たちを取り込もうとした場合には、かなり苦労が多いだろうなと予測されます。2つの病院での御経験を通じて、行政にどういう支援なり枠組み、あるいは仕組みを期待するか、御経験からお聞かせいただければと思います。それが1つです。

 もう一つは、先ほどのタイムスタディの件ですけれども、研修医なり、あるいは学生なりの教育をしつつ診療しているという部分がもうちょっと見えるようにできないかということ。それから、先ほどちょっと御意見ありましたけれども、タスク・シフティングなりが可能な部分。例えば、現行のシステム、現行の仕組みの中で看護師にやってもらってもいいところ、あるいは特定看護師にやってもらっていいところというのを、せっかくの機会ですので、少し洗い出していただきたいということです。これは事務局への要望でございます。

○岩村座長 ありがとうございます。

 事務局への要望のほうは、事務局でまたこれを受けとめていただければと思います。

 では、御質問のほうですが、戎構成員、いかがでございましょう。

○戎構成員 行政に期待することに関して言いますと、教育にはお金がかかるということで、教育する現場に対しての何かしらのサポートが必要だと思いますし、大学院に通われている方々はほぼ自費で行っております。私も2年とちょっと渡米するのに、物すごい額のお金を自費で費やしました。看護師は、そういった国としてのサポートが非常に弱かったり、学会ベースでのサポートが弱かったりしますので、留学するにしても、進学するにしても、お金は自費になってしまうケースが多いです。

 そういった面では、米国でありますと、いろいろな奨学金とかを受けられるシステムもありますので、行政的にそういった教育を行っていくというサポートの実績をどんどんつくっていただきたいかなということが1点と。

 あと、こういったシステムを病院の中で率先してやっていくというのは、現場の先生方のパワーもかなり使われるわけで、でも、その使わなければいけないパワーも時間も費やしながらやっているところに関しては、今後、こういうシステムを取り入れる病院に対して、何らかの経済的なサポートや知名度が必要だと思いますし、今、言われている診療看護師ですけれども、アメリカのNPと同等としてお話しするのはちょっとどうかと思うのですけれども、国家資格として認められたり、NPでなければ、PAだったり、米国の中にあるようなシステムで位置づけをしていただくということがいいのかなと思っております。

 責任に関してのことですけれども、医行為については、先生方の指示のもと、判断のもとでやらせていただくことになりますけれども、公的な資格、ライセンスがないということに関して言うと、知名度がなかなか上がっていかない、知られていかない一つの要因になっているかなということもありますので、やっている本人たち、診療看護師たちに責任性を持って、よりスペシャリティのところを突き詰めてもらうためにも、今後、ライセンスという意味での行政の援助が必要かなと私は思っております。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、磯部部長、いかがでございましょうか。

○磯部参考人 今の戎先生の御発言に、特に私からつけ加えることはございませんけれども、あえて追加させていただきますと、横展開に関しましては、我々の施設は教育施設でもございますので、そこでかなりのシステム化を行いまして教育しておりますけれども、一般の病院でそれを行うのは非常に無理があると考えております。むしろ、ある程度能力を身につけた方がそこで働けるような環境、枠組みが提示されていくといいのではないか。それを行政のほうにも期待できればということを考えております。

○岩村座長 ありがとうございました。

 あと、渋谷構成員はよろしいですか。ありがとうございます。

 それでは、時間も大変押してしまって申しわけないのですけれども、お忙しい中、きょう御報告をいただきました戎構成員、それからわざわざお越しいただきました磯部部長に拍手で感謝の意を表したいと思います。(拍手)

 ありがとうございました。

 それでは、議題2に移りたいのですが、その前に前回までに頂戴しました御指摘に関しまして、事務局のほうで資料を御準備いただいておりますので、まず、その説明をいただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、資料3をごらんください。

 3点ございます。

 まず、1つ目、医療のかかり方について、国民・患者の理解が必要ではないかということで、幾つか医療のかかり方に関する事例を紹介させていただきます。

 2ページをごらんください。地域医療を守るための民間の取組は多くありますけれども、医師の働き方に着目した活動ということで、3つの取組を挙げております。いずれも小児科の取組になっております。左側、真ん中の取組については、地域でのお母さん方の取組をもとにする取組でございます。それから、右側の取組につきましては、広く活動をされておりますけれども、小児救急のかかり方に関する講座、勉強会等を開催しているというものでございます。

 3ページをごらんください。こちらも小児医療に関するものでございますけれども、電話相談事業(♯8000)と言われているものでございます。小児患者の保護者向けの電話相談の取組ということで、全国47都道府県で実施されておるというものでございます。

 続きまして、諸外国における制度について、これまでの議論の中でも、参考にすべきではないかという御意見がありました。現在、事務局のほうで把握できた資料に基づきましてまとめたものが5ページ以降の資料になります。未定稿と書かせていただいておりますけれども、これらにつきましては、大使館を通じまして、具体的な規制の内容とか勤務実態といったものについて調査をしておるところでございます。イギリス、米国、フランス、ドイツについての表をまとめさせていただいております。

 一般的な労働時間の規制とは別に、勤務医につきましては別途の規制が設けられているということがうかがわれます。また、そういった規制については、時間外労働の上限が長く設定されていたり、また個別の合意でのオプトアウト、適用除外する仕組みがある。こういった仕組みが設けられておるということでございます。

 それから、7ページ以降が前回、猪俣構成員から御紹介いただきましたアメリカのレジデントに関する仕組みで、ACGMEについての御紹介でございます。

 8ページがこのレジデントの勤務時間制限についての歴史ということで、レジデントが担当した患者さんの死亡事故について、これがレジデントの過労や睡眠不足が引き金になったのではないかという指摘に基づきまして、最終的に2003年にACGMEによる労働時間制限が設けられたということでございます。

 具体的な制限内容につきましては、9ページをごらんください。現在の規制の内容ということで、週当たりの最長労働時間は平均週80時間。また、連続の勤務時間は24時間以内が原則でありますとか、宿直につきましては3日に1回が限度とされているとか、シフト間の最低の休息時間(インターバル)として8時間を設けるといった規制がレジデントに対して求められているということでございます。

 続きまして、認定看護師等の養成数について、どのようになっているかという御要請もございましたので、11ページでございます。認定看護師、専門看護師につきましては、日本看護協会が認定を行っております制度でございます。こちらにつきましては、分野ごとの人数、それから全体の人数ということでお示しさせていただいております。認定看護師につきましては、直近の数字で1万8,542人、専門看護師につきましては2,075人となっております。

 簡単ではございますが、資料の説明は以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 今の資料の説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、議題2に入りたいと思います。前回、これまでお出しいただきました意見を中間的に整理した資料と、緊急的に取り組む必要のある項目の案というものを事務局のほうに準備していただきたいということでお願いしたところであります。緊急的に取り組む必要のある項目につきましては、第4回検討会のプレゼンテーションにおきまして、医療界の構成員の皆様方から、働き方改革にしっかり取り組む必要があるということを御表明いただいたということもありますので、前回、事務局にお願いしたところでございます。

 それでは、まず資料の説明のほうをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 事務局でございます。

 資料4-1から説明させていただきます。「医師の働き方改革に関する検討会 中間的な論点整理(骨子案)」でございます。

 まず、1.なぜ今医師の働き方改革が必要なのかということでございます。こちらの項目におきましては、この中間的な論点整理の趣旨、それから医師の働き方改革に関する、これまでの議論を踏まえた基本認識について、まとめる形とさせていただいております。

 まず、1つ目のでございますが、働き方改革が始まっているという中でございますが、2つ目のにありますように、そうした中、医師につきましては、他の職種と比較して抜きん出た長時間労働の実態にあります。さらに、より質の高い医療に対するニーズの高まりや、診療ガイドラインの改訂、新薬の情報を常にキャッチアップしていかなければならない。また、医療安全にも万全を期さなければならない。時間外の患者に対するより的確な対応もしていく必要がある。それから、患者家族への説明につきましても、診療外・休日での対応を行うこともあるということで、日々の業務量を増加させている要因となっているということでございます。

 また、フリーアクセスとか地域性、また大学病院という医療機関の特性、こうしたさまざまな要素が医師の長時間労働の背景に存在するとしております。

 1ページの一番下でございますが、その一方で、医師は、医師である前に、一人の人間であるということで、長時間労働による健康への影響が懸念されるとしております。

 3行目からでございますが、過労死、健康を損ねる要因につきましては、労働の質と量の両面から評価する必要があるとしても、一人ひとりの健康確保のために長時間労働を是正していかなければならないこと。それから、医療の質・安全といったものを確保していく観点からも、医師が疲弊せずに働けることが重要であるとしております。

 加えて、女性医師の割合の上昇等により、多様で柔軟な働き方を実現していかなければ、医師として働き続けられる人材の確保が困難になる。また、若い世代を中心にワーク・ライフ・バランスへの関心が高まる中で、医師を目指す優秀な若者を逃さないようにしなければならない。

 といったことを踏まえますと、医師の働き方改革は、できるだけ早く着手しなければならないとしております。

 ただし、医師の働き方につきましては、国民の医療ニーズに応ずるものであるという点で、個々の労使間の対応だけでなく「社会全体としてどのように考えるか」という観点が不可欠であるということで、国民的なかかわりによって、この改革を進めていく必要があるとしております。

 こうした基本認識を得まして、具体的論点として論点整理を行ったのが、この中間整理ということで、今後、引き続き、平成30年度末をめどに最終報告をとりまとめるべく、多角的な検討を進めるとしております。

 併せて、直ちに取り組むべき事項を明らかにして、緊急的な取組を別添としてとりまとめる。こうした趣旨をまとめております。

 3ページ以降は、これまでいただいた御意見を論点ごとに整理する形式としております。

 2番目、医師の勤務実態の分析状況と今後の検討に関する論点でございます。

 まず、長時間勤務とその要因ということで、これまでの検討会におきまして分析していた内容を整理したものでございます。若手の医師とか、診療科では、産科、外科、救急科。また、機関種別では大学病院において勤務が長くなっている実態。

 その要因として、急変した患者等への緊急対応等が挙げられているということ。

 また、そうしたものの背景といたしまして、患者数の多さとか応召義務の存在。また、タスク・シフティングが十分に進んでいない現場の勤務環境といったものが挙げられるとしております。また、診療時間外での患者説明といったことがあるのではないかという意見もございました。

 これらの実態につきましては、今後も議論の前提としていくために、勤務実態の詳細を明らかにするデータを分析していく必要があるのではないかという御意見をいただいております。

 また、大学病院における特性というものについても、引き続き分析していく必要があるとしております。

 4ページに参りまして、幾つかの論点について出された意見をまとめております。

 まず、応召義務でございますけれども、応召義務につきましては、定められた当時から社会情勢等が変化している中で、今後の在り方をどのように考えるかといった御意見がありました。

 それから、タスク・シフティングについては、個々の医療機関によって取組がさまざまではございますけれども、医師の長時間労働を構成している業務を明らかにして、推進していくべきという意見がございました。これは後ほど出てきます。

 それから、自己研さんに関しましては、幾つかここに並べられているようなものがございますけれども、こうしたものが労働時間にどのように関係していくのかということについて、関係者間での共通認識がないということから、自己研さんとされているものの労働時間への該当性を判断するための考え方を示す必要があるのではないかという点がございました。

 それから、5ページに参りまして、宿日直許可に関する意見でございます。宿日直に関しましては、医療機関・診療科によって、その実態はさまざまであるという御指摘をいただいておりますけれども、現在の宿日直許可基準に照らすと、そもそもほとんどがこれに該当しない可能性があるということから、基準の見直しが必要ではないかとの意見があったということでございます。

 それから、その他の意見といたしまして、会議や書類といったものへの効率的な対応の仕方について検討してはどうかといった御意見もございました。

 それから、3番、勤務環境改善に関する取組の現状と今後の方向性に関する論点ということでございます。

 現状のところに書いておりますのは、医療法に定められております医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する現行の取組でございます。

 下のでございますけれども、これまでの意見におきましては、改革の実効性を確保するためには、勤務環境改善策をどのように講じていくかが重要であるという意見を多くいただいております。

 6ページ以降、具体的な方向性に関する意見でございます。

 これらを踏まえて具体的な検討を深めていくということでございますが、まず1つ目が健康管理措置の充実ということでございます。産業医による面接指導ですとか衛生委員会における審議、こうした既存の仕組みの着実な実施が必要ではないかということ。それから、勤務時間だけではなく、ストレスチェックの分析が必要ではないかという意見もございました。

 それから、これまでの検討会におきまして、時間をかけて御議論いただいておりますタスク・シフティングでございますが、医療機関や診療科ごとに提供する診療内容が異なるという特性を踏まえまして、医師の行うべき業務とそうでない業務の明確化を踏まえて、導入に向けた検討が必要ではないかといった御意見。

 また、3つ目のポツからでございますが、第4回のヒアリングにおきまして、多くの病院で実施されておりましても、一部では進んでいないといった実態を御報告いただきましたが、医師事務作業補助者を含めた事務職へのタスク・シフティング。

 それから、看護職員による実施率が高い手技のタスク・シフティングの推進が必要ではないかという御意見がございました。

 また、一方で、看護職員にばかり業務が集中しないように、多職種チームでの総合的な検討が必要ではないかという御意見もいただいております。

 また、大学でのタスク・シフティングについての検討。

 それから、特定行為研修を修了した看護師についてのさらなる活用の推進ということについても御意見いただいております。

 また、薬剤師による実施についての御意見。

 それから、一番下のポツでございますが、フィジシャン・アシスタントの導入等の新たな職種の国家資格化の検討が必要ではないかといった御意見もいただいております。

 それから、タスク・シェアリングでございますけれども、複数主治医制への移行等も重要ではないかといった御意見。

 それから、7ページでございますが、シフト制の導入といった御意見。

 それから、そうしたことにあわせまして、地域での診療時間外の救急対応の体制、外来の在り方といったものまで含めて議論すべきではないかといった御意見もございました。

 それから、女性医師等の両立支援でございますけれども、女性医師がキャリア形成できるようにするための支援方策として、短時間勤務等の多様で柔軟な働き方を推進すべきではないかといった御意見ですとか、女性の方の出産・育児期の自己研さんのためのeラーニングを推進すべきでありますとか、病児保育等の保育サービスの充実。また、女性だけではなく、男女双方にとってのワーク・ライフ・バランスの実現が必要不可欠ではないかといった御意見がございました。

 また、ICTの活用につきましては、前回も御議論いただきましたけれども、ICTを活用した勤務環境改善ということで、テレICUの活用ということについても検討すべきではないかという御意見がございました。

 また、勤務環境改善支援センターにつきましては、周知不足とかセンター内の連携不足、地域医療支援センターとの連携不足といった課題の御指摘をいただいておりますので、こうした課題への対応が必要ではないかとしております。また、支援センターの活用についての支援の方向性の提示ということについても記しております。

 それから、8ページの一番上でございますが、そうした勤務環境改善が個々の医療機関の中の取組のみでは解決しない場合には、医療提供体制全体を通じた機能分化・連携といったものを進める検討も必要ではないか。

 それから、4番、経営管理の観点に関する論点ということで、経営管理につきましては、意識改革、財政的支援ということで、意識改革につきましては、経営に責任を持つ方の意識改革が必要不可欠であるといった御意見ですとか、経営上のメリット等についての好事例の普及が必要ではないかといった御意見。

 それから、財政的支援につきましては、こういった勤務環境改善策を進めていくための必要な財源を確保する必要があるといった御意見がありました。

 それから、5番でございますが、時間外労働規制の在り方についての今後の検討に関する論点ということでございます。これにつきましては、どのような時間外労働の上限時間を目指すのかということについて、丁寧に検討していく必要があるのではないかとしております。

 9ページ以降、時間外労働規制に関連しましていただいた意見についてまとめております。

 検討に当たっての基本的な考え方とまとめているところにつきましては、労災認定基準であります時間外労働の水準を超えるような上限時間とすることについては、慎重であるべきではないかという意見。

 また、必要な医療ニーズに対応できる医療提供体制を維持できるような上限時間とすべきではないかという意見がございました。

 それから、そういった議論をするに当たって、医師の特殊性とは何かということの整理の必要性ですとか、一番下にありますけれども、時間給でない制度等の新たな労働時間制度の検討も必要ではないかという意見もございました。

 また、医療安全の観点ということで、医療安全の確保ということから、医師が疲弊しないことが重要なのではないかということ。

 それから、健康確保の観点ということで、先ほども出ましたけれども、産業医、衛生委員会等による既存の産業保健の仕組みを的確に機能させる。

 また、前回御議論いただきました睡眠時間の確保の重要性といった御意見もございました。

10ページに参りまして、諸外国の制度との比較ということで、これは先ほど御報告しましたように、また調査を行ってきましたけれども、諸外国を参考にした検討。

 それから、地域医療提供体制の確保の観点ということで、医療機関の多様性を踏まえた上限時間の設定。

 それから、現状から大きくかけ離れた画一的な上限時間を設定することは、医療提供体制の崩壊を招くおそれがあるのではないかといった御意見がございました。

 また、医師養成への影響の観点ということで、これまでよりも短い時間で研修できるような工夫といったこと。

 それから、自己研さんが短くなると、医療技術の発展等に対する悪影響が生じるのではないかという意見もございました。

 また、国民の理解の観点につきましては、国民の理解が前提ではないかということで、重要性が指摘されております。

 それから、11ページに参りまして、関係者の役割。これは、医療機関への取組を多様な関係者が支援していくべきではないかという御意見がございましたので、そういったものを改めて関係者の役割とともにまとめる形とさせていただいております。

 病院団体等、それから、都道府県、市町村行政等、それから国民のお立場、それから保険者といったものをまとめております。

 それから、特に行政ということで、都道府県と厚生労働省の役割ということをまとめております。都道府県につきましては、医療勤務環境改善支援センターの機能強化等の期待。それから、地域医療提供体制構築、医師偏在対策といったものを挙げております。

 厚生労働省につきましては、関係者の取組の促進が必要ではないかと記しております。

 続きまして、4-2に参りまして、緊急的な取組の骨子案でございます。

 趣旨につきましては、ここに書かれているとおりでございます。項目が6点ございますので、個々に説明させていただきます。

 1番が医師の労働時間管理の適正化に向けた取組ということでございます。まずは、実態把握をすることが重要ということで、医師の在院時間についての客観的な把握を行うとしております。

 2つ目、36協定の自己点検ということで、36協定についての自己点検を行うべきということ。

 3番目でございますが、既存の産業保健の仕組みの活用ということで、先ほどから申し上げているような既存の仕組みの活用を図ることとしております。

 それから、4番、タスク・シフティングの推進ということで、ここに具体的に挙げられておりますことにつきましては、医療安全に留意しつつ、原則、医師以外の職種に、より分担して実施することで、医師の負担を軽減することを行うこと。

 また、特定行為研修を修了した看護師の活用の検討を行うことにしております。

 それから、3ページ、女性医師等に対する支援でございますけれども、短時間勤務等、継続的なキャリア形成が阻害されないようなきめ細やかな対策を進める。

 こうした1から5番の取組につきましては、全ての医療機関において取り組む事項として挙げておりますけれども、6番に挙げておりますような取組につきましては、各医療機関の置かれた状況に応じて取組を進めていただくということでまとめさせていただいております。

 雑駁ではございますが、説明は以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 もう残り時間がそれほどないのですが、もしお許しいただければ、5時10分まで延長させていただいて、きょう、説明いただいた資料4-1と4-2について、恐らく2人か3人に限定されると思いますが、御意見等あるいは御質問があればと存じます。いかがでございましょうか。

 と言ったら、もういっぱい挙がってしまっているので、ちょっとコントロール不能なものですから、申しわけないですが、座長の裁量で3名に限定させていただいて、その他、お手を挙げていただいた方については、いずれにせよ、次回、この議論を続けるということでございますので、そのときに御発言いただければと御理解いただければと思います。

 それでは、岡留構成員、それから村上構成員、あと遠野構成員にお願いいたします。

 では、岡留構成員からお願いいたします。

○岡留構成員 現在までのこの検討会で出た多くの論点が網羅されて、非常にいろいろな意見が出ているのだなということを改めて確認したところですが、現場の病院を預かっていると、網羅するというよりは、むしろ強調したいところが幾つか出てくるのですね。

 例えば、4ページ、これは全くの私見ですが、応召義務に対する考え方、現在の状況です。応召義務、昭和23年医療法で出てきた項目で、約70年前ですね。今と社会情勢が全く違う。そういった時期にできた応召義務の考え方とか。それから、5ページのさっき説明がありました宿日直許可基準も、出たのが昭和24年ですか。こういった時代の労働基準法に現在の社会が合うだろうかと、僕らは非常に不思議に思うのですね。

 その辺のところを強調して、私なりの意見なのですが、少し強弱を持たせながら、この検討会の中間まとめ、一つのターニングポイントでもあるわけですから、その辺を取りまとめていただきたいなという私の希望を述べさせていただきました。

○岩村座長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。

 それでは、村上構成員、どうぞ。

○村上構成員 ありがとうございます。

 細かな点は、また次回ということもあるかと思いますが、大きく3点申し上げたいと思います。

 まず1点、このように案をまとめていただいたこと、感謝申し上げたいと思います。次回、取りまとめが出れば、全国の医療機関や関係者の方はもちろん、社会的にもメッセージが伝わるように、ぜひ発信していただきたいと思います。私たちもそのための努力をしていきたいと考えております。

 意見は3点ございまして、1点は、資料4-1の11ページの6に関係者の役割に関する論点がございますが、ここでは個々の勤務医だけではなくて、病院という職場の問題でございます。医師の組織率はまだまだ低い状況ではございますが、隣接職種も含めた労働組合も重要なプレーヤーであると認識しておりますので、ぜひ位置づけていただきたいと思っております。

 それから、同じ4-1の前のページに戻っていただきまして、10ページに時間外労働規制の在り方についての今後の検討に関する論点、さまざま出されておりますが、ここで地域の医療提供体制の問題についても触れられております。私どもとしては、長時間労働の是正とか時間外労働の上限規制を行うに当たって、どのようにして地域の医療機関を支えられるのか、どんな施策を打てばいいのかといった観点で、ぜひ御議論いただきたいと考えております。

 それから、3点目ですが、8ページには、この問題を考えるに当たって、経営管理の観点に関する論点も必要だということで挙げられておりますが、この中にもし表現していただければと思っているのが、安全配慮義務の問題でございます。経営としてももちろんですけれども、安全配慮義務が問われるということもぜひ触れていただければと思っております。

 以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、遠野構成員、どうぞ。

○遠野構成員 地域医療に関してですが、需給分科会の答申との連動というのが今後は必要だと思います。地域医療における過重労働の最大の原因は医師不足です。今、需給分科会の議論から、地域への医師の配置のインテンシブ提供を提言しています。そういう働き方と関連した会議や需給分科会の議論とも連動して、地域の医師不足・偏在というものを、今後、本検討会でも話し合っていけたらというのを感じます。

 我々も「資料4-2緊急な取組骨子案」の(P2. 4タスクシフティングの推進)のついたようなタスク・シフティングは全て多職種にやっていただいておりますし、ICTの活用ということで地域のネットワークづくりもやっています。また、県立病院では女性医師支援ということで、女性を支えるいろいろな仕組みをつくっていますが(岩手JOYサポートプロジェクト)、それでも医師不足と過重労働の負担が続く状況です。この中間的な論点整理というところでも、医師不足が地域医療においては根本にあるということを念頭に置いていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○岩村座長 ありがとうございます。時間のことを申し上げましたら、皆さん、非常に御協力いただきまして、ありがとうございます。

 これは、あくまでも論点の中間整理ということでございますので、何か具体的な方向性をここで打ち出そうというものではないと私自身は理解しておりますので、この論点整理というものを取りまとめていただいた上で、続いて、どういう方向で具体的な取りまとめを考えていくのかという検討会としての結論をまとめていくということかと思っております。事務局のほうでも、そういうことを前提にこれまでのこの検討会でお出しいただいた意見を取りまとめたものだと理解しているところであります。

 幾つか御意見いただきましたので、それがどういう形でこの論点整理の中に取り込めるかということは、私と事務局のほうでもまた検討させていただければと思います。

 今後の進め方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、きょう、私の時間のコントロールがうまくいかなかったものですから、この中間論点整理と緊急対策について、余り御議論いただく時間がございませんでしたので、次回はまずはこの2つのものにつきまして、取りまとめということでやらせていただければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。ですので、構成員の皆様におかれましては、改めて、きょうの資料について、表現ぶりも含めて御確認いただいて、御意見等をお出しいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今村構成員のお手が挙がりましたので、どうぞ。

○今村構成員 今後の進め方で、ぜひ事務局にお願いしたいことがございます。この検討会の役割というのは、これからの日本の医療がどのようになるかという大変大きなものだと思っています。座長が進行がとおっしゃったときに、そういう問題では私は基本的になくて、そもそも時間の設定が十分ではないと。二十数人の方が言いたいことが多分いっぱいあるのに、みんなそれぞれ我慢して発言していないという状況にあると思います。これは、それぞれの委員が十分に意見を出した上で、1年間かけて、残り1年しかありませんので、ぜひ事務局には時間設定をしっかり考えていただいて、この検討会を運営していただければと思っています。これはお願いです。

○岩村座長 ありがとうございます。

 他の審議会では3時間というのもあるのですが、3時間というのは皆様の日程調整も非常に難しいという状況もありますけれども、今、今村構成員のほうから御指摘いただきまたので、私も事務局と相談させていただいて、どういう進行をすればよいかということについては検討させていただきたいと思います。御意見は非常に重要な御意見だと私も思います。ありがとうございました。

 それでは、大変恐縮ですけれども、できれば次回の議論をスムーズに進めるために、もしきょうの資料2つについて御意見ありましたら、事前にお出しいただければと存じます。大変恐縮ですけれども、お忙しい中、申しわけないのですが、1週間程度をめどに、もし御意見等ありましたら、事務局のほうにお出しいただければと存じます。御協力いただければと思います。

 次回の検討会でございますけれども、どうしましょう、調整の上、事務局のほうから御連絡いただけるということでよろしいでしょうか。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 次回の検討会の日程等につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、また改めて御連絡ということでございます。

 私の運営のまずさがありまして、きょうは時間を超えてしまって大変申しわけございませんでした。

 それでは、きょうの会議はこれで終了とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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