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2017年10月11日 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第21回) 議事要旨

○日時

平成29年10月11日(水)13:00~15:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室(20階)


○出席者

指定難病検討委員会委員

大澤委員、千葉委員、宮坂委員、飯野委員、水澤委員

参考人

石橋参考人

事務局

川野難病対策課長、大比良課長補佐、田中課長補佐、福井課長補佐、片倉課長補佐

○議題

(1)疾病ごとの個別検討について
(2)その他

○議事

議題(1)について、研究班や関係学会から情報提供のあった 61 疾病について、個々の疾病ごとに、指定難病の各要件を満たすかどうか検討を行った(※)。

  ※ 指定難病の要件は、次の A から E までの5つである。

A :発病の機構が明らかでない(当該要件を満たしていないと考えられる疾病には、他の施策体系が樹立している疾病を含む)

B :治療法が確立していない

C :長期の療養を必要とする

D :患者数が本邦において一定の人数(人口の 0.1 %程度)に達しない

E :客観的な診断基準等が確立している

 

・ 検討の結果、指定難病のすべての要件を満たすと判断することが妥当とされた疾病は、以下の6疾病であった。

   ■ ジュベール症候群関連疾患

   ■  A20 ハプロ不全症

   ■ 関節型若年性特発性関節炎

   ■ 特発性多中心性キャッスルマン病

   ■ 自己免疫性後天性凝固第V /5 因子( F5 )欠乏症

   ■ 先天性声門下狭窄症

 

・ その他の 55 疾病については、それぞれ次の表のとおり指定難病の要件を満たしていないと判断することが妥当となった。

 

疾患群候補

疾病名

満たしていないと判断することが妥当とされる要件

主な意見

神経・筋疾患

CDKL5 遺伝子関連てんかん

C, E

・ 研究班の報告によれば、てんかん発作は成人になるまでに約半数で消失するとあり、長期の療養を必要とする重症患者がどの程度いるのか判断することが困難。

・ 研究班の報告によれば、成人患者数が不明とあることから、現時点では、客観的な診断基準が確立しているとは言えないのではないか。

神経・筋疾患

異形成性腫瘍

A

・ 研究班の報告によれば、中枢神経系に発生した腫瘍とされており、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

神経・筋疾患

欠神を伴う眼瞼ミオクローヌス

A, C

・ 研究班の報告によれば、本疾病の症状は短いてんかん発作による眼瞼ミオクローヌスからなるとされており、この症状は重症度が高いとまでは言えないため、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

・ 精神症状が出た場合は、障害者総合支援法による障害者支援区分に該当するため、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

神経・筋疾患

自己免疫介在性脳炎・脳症

A, C

・ 研究班の報告によれば、主に傍腫瘍性が原因と考えられる疾患であるため、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

・ 急性・亜急性の疾病であるため、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

神経・筋疾患

視床下部過誤腫症候群

A

・ 本疾病は中枢神経系に発生した腫瘍と考えられ、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

神経・筋疾患

多発性海綿状血管奇形に由来するてんかん

A, C

・ 研究班の報告によれば、中枢神経系の血管奇形(血管腫)とされているが、中枢神経系に発生した腫瘍と考えられ、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

・ 研究班の報告によれば、手術で改善することも多く、無症候のものも多いとされており、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

神経・筋疾患

特発性正常圧水頭症

C, D

・ 研究班の報告によれば、シャント術後の治療効果が高いとされており、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

・ 研究班の報告によれば、患者数が人口の約0.4%とされており、「本邦において一定の人数に達していない」を満たさないと考えられる。

神経・筋疾患

脳クレアチン欠乏症候群

C

・ 研究班の報告によれば、対象となる疾患のうちGAMT欠損症とAGAT欠損症はクレアチン補充療法で改善するとあり、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

・ 予後に関するデータが不十分であるため、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

視覚系疾患

膠様滴状角膜ジストロフィ

C

・ 研究班の報告によれば、本疾患の治療法として角膜移植がある程度奏功するとされており、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

・ 重症者の割合が不明であり、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

皮膚・結合組織疾患

ウェーバー・クリスチャン症候群

C

・ 研究班の報告によれば、治療が行われた場合の予後は良好とあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

皮膚・結合組織疾患

家族性化膿性汗腺炎

C

・ 研究班の報告によれば、重症では日常生活に障害をきたすとあるが、重症者の割合や予後の情報が不十分であるため、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

皮膚・結合組織疾患

( セキ ) 角化症症候群

C

・ 研究班の報告によれば、疾患別の症例数や重症例の割合が不明であるため、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

皮膚・結合組織疾患

( セン ) 性関節炎

E

・ 研究班の報告では、「乾( セン ) 」という疾病の一部を、「乾( セン ) 性関節炎」として提出されているが、現時点では、「乾( セン ) 性関節炎」としての客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

皮膚・結合組織疾患

限局性強皮症

C

・ 研究班の報告によれば、予後は良好とあることに加えて、重症患者の割合も全患者の約20%とあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

皮膚・結合組織疾患

硬化性萎縮性苔 ( セン )

C

・ 研究班の報告にあるように、ステロイド外用剤が有効と考えられることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

皮膚・結合組織疾患

好酸球性筋膜炎

C

・ 研究班の報告によれば、ステロイドへの治療反応がよいとあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

皮膚・結合組織疾患

無汗 ( 低汗 ) 性外胚葉形成不全症

C

・ 研究班の報告によれば、うつ熱対策により予後は一般的に悪くないとされており、通常の生活が送れると考えられることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

免疫系疾患

慢性活動性 EB ウイルス感染症

A

・ 研究班の報告によれば、感染したEBウイルスの再活性化が病態とあることから、「他の施策体系が樹立している疾病」であると考えられる。

循環器系疾患

カテコラミン誘発多形性心室頻拍 (CPVT)

E

・ 研究班の報告によれば、診断基準、重症度分類の整理が不十分であるため、客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

循環器系疾患

催不整脈性右室心筋症 (ARVC)

E

・ 研究班の報告によれば、診断基準、重症度分類の整理が不十分であるため、客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

血液系疾患

エルドハイム・チェスター病

A

・ 研究班の報告によれば、組織球細胞の異常増殖をきたす疾患とされ、腫瘍性疾患と考えられるため、「他の施策体系が樹立している疾病」であると考えられる。

血液系疾患

TAFRO 症候群

E

・ 研究班の報告によれば、診断基準、重症度分類の整理が不十分であるため、客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

血液系疾患

グルコース -6- リン酸脱水素酵素 (G6PD) 異常症

C

・ 研究班の報告によれば、治療法として輸血と脾摘とされていることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

血液系疾患

口唇赤血球症

C

・ 研究班の報告によれば、治療法として輸血と除鉄とされていることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

血液系疾患

ピルビン酸キナーゼ (PK) 欠乏性貧血

C

・ 研究班の報告によれば、治療法として輸血と脾摘とされていることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

血液系疾患

不安定ヘモグロビン症

C

・ 研究班の報告によれば、治療法として輸血と除鉄とされていることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

腎疾患

先天性腎尿路異常 (CAKUT)

E

・ 研究班の報告によれば、腎尿路系の形態異常の総称とされており、現時点では、「先天性腎尿路異常」としての客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

腎疾患

ネフロン ( ロウ )

E

・ 疾患概念の確立が不十分であり、病理診断や尿検査所見の特異性が高くはないと考えられることから、 現時点では、客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

腎疾患

バーター症候群 / ギッテルマン症候群

C

・ 研究班の報告によれば、重症化の頻度や予後の情報が不十分であるため、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

骨・関節系疾患

ラーセン症候群

C

・ 研究班の報告によれば、手術による変形性関節症等の治療が主体とあり、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

内分泌系疾患

インスリン抵抗症 ( インスリン受容体異常症 )A

E

・ 研究班の報告によれば、インスリン受容体の遺伝子異常により糖尿病を発症するとあるが、肥満等を伴わない高インスリン血症の診断基準が不十分であるため、現時点では、本疾病としての客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

内分泌系疾患

ターナー症候群

C

・ 研究班の報告によれば、症状は低身長と性分化障害とあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

内分泌系疾患

多嚢胞性卵巣症候群

C

・ 研究班の報告によれば、症状は肥満と月経異常とされており、ホルモン療法が有効と考えられることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

内分泌系疾患

マッキュ-ン・オルブライト症候群

A, C

・ 本疾病は腫瘍性疾患であり、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

・ 研究班の報告によれば、症状は思春期早発症や身体の左右差、顔面の変形であり、性腺腫瘍や重度合併症がなければ、長期予後に問題ないとあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

高メチオニン血症

C

・ 研究班の報告によれば、新生児マススクリーニングで発見された症例の約80%は無治療で経過観察可能とあり、メチオニン制限食や薬物療法の早期介入が可能となることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

極長鎖アシル CoA 脱水素酵素欠損症

C

・ 研究班の報告によれば、新生児マススクリーニングで早期治療介入が可能で、その治療方法はL-カルニチンや中鎖脂肪酸、非加熱コーンスターチなどの投与とあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

3- ヒドロキシ -3 メチルグルタリル CoA リアーゼ欠損症

C

・ 研究班の報告によれば、新生児マススクリーニングで早期治療介入し、発症予防や正常な発達が見込まれるとあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

シスチン尿症

C

・ 研究班の報告によれば、本疾病の症状は尿路結石とされており、治療方法として水分摂取と薬物療法による尿路結石の予防が有効と考えられることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

中鎖アシル CoA 脱水素酵素欠損症

C

・ 研究班の報告によれば、新生児マススクリーニングで早期治療介入が可能で、治療方法として飢餓に伴う低血糖の防止や食事療法とあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

ホモシスチン尿症

C

・ 研究班の報告によれば、新生児マススクリーニングで早期治療介入が可能で、 治療方法として食事療法やビタミンB6投与とあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

代謝性疾患

メチルクロトニル CoA カルボキシラーゼ欠損症

C

・ 研究班の報告によれば、新生児マススクリーニングで早期治療介入により健常な発達が見込まれるとあることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

呼吸器系疾患

先天性嚢胞性肺疾患 (CPAM)

C

 

・ 研究班の報告によれば、胎児死亡例が多く、生後診断例の多くは生命予後が良好とされており、それに加えて、成人期の重症例等の情報が不十分であることから、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

消化器系疾患

Cowden 症候群

A

・ 研究班の報告によれば、本疾病は過誤腫性病変が多発し、乳癌や甲状腺癌、子宮内膜癌を発症する腫瘍性疾患であるため、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

消化器系疾患

Peutz-Jeghers 症候群

A

・ 研究班の報告によれば、本疾病は腫瘍性疾患であるため、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

消化器系疾患

家族性腺腫性ポリポーシス

A

・ 研究班の報告によれば、本疾病は食道を除く全消化管に過誤腫性ポリポーシスを発症する腫瘍性疾患であるため、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

消化器系疾患

若年性ポリポーシス

A

・ 研究班の報告によれば、本疾病は消化管に若年性ポリープが多発する腫瘍性疾患であるため、「他の施策体系が樹立している疾病」と考えられる。

消化器系疾患

カロリ病

E

・ 研究班の報告によれば、各症状に対する対症療法が行われるとあるが、多くの場合、手術等で改善すると考えられるため、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

消化器系疾患

肝外門脈閉塞症

E

・ 研究班の報告によれば、小児期は先天異常だが、成人期では二次的な疾患が含まれており、 現時点では、本疾病としての客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

消化器系疾患

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症

C

・ 研究班の報告によれば、ほとんどが小児期で発症し肝移植が必要で、移植後の予後は良好とされているが、成人症例の情報が不十分であり、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

消化器系疾患

先天性胆道拡張症

C

・ 研究班の報告によれば、症状の有無にかかわらず、診断されれば手術が必要とされており、手術後の予後は良好と考えられることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

消化器系疾患

クリグラー・ナジャー症候群

C

・ 研究班の報告によれば、1型は重症であるが肝移植で予後良好となり、2型は軽症であることから、長期の療養の必要性が高いとは必ずしも言えないのではないか。

消化器系疾患

周期性嘔吐症候群

E

・ 研究班の報告では、様々な疾患が含まれ得る診断基準であるため、現時点では、本疾病としての客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

消化器系疾患

先天性胆汁酸代謝異常症

C

・ 研究班の報告によれば、内科的治療により予後は良好で、肝硬変に進展した場合も肝移植で予後は改善するとされており、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

消化器系疾患

短腸症

A, E

・ 研究班の報告によれば、手術による二次性の症例が大半とあることから、発病の機構は明らかであると考えられる。

・ 先天性の症状に関しては、研究班の報告には診断基準の記載が乏しいことから、 現時点では、本疾病としての客観的な診断基準が確立していないと考えられるのではないか。

平衡機能系疾患

メニエール病

C

・ 研究班の報告によれば、重症例等の情報が不十分であるため、「長期の療養を必要とする」かどうかについて判断することが困難。

 


 

 


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