ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第17回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2017年12月27日)




2017年12月27日 第17回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成29年12月27日(水) 13時00分 ~ 14時30分(目途)


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 新田秀樹 永野仁美 釜萢敏 清水恵一郎
高橋直人 幸野庄司 飯山幸雄 村岡晃 宮澤誠也 後藤邦正
中村聡 往田和章 小谷田作夫 竹下義樹
<事務局>
伊原審議官 迫井医療課長 矢田貝保険医療企画調査室長 他

○議題

あはき療養費の不正対策(案)

○議事

13時00分 開会

○遠藤座長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第17回「社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 年末の大変お忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。

 本日は、全員の委員の皆様に御出席をいただいております。

 また、本日は「あはき療養費の不正対策」につきまして、前回の専門委員会の御議論を踏まえて専門委員以外の団体からヒアリングを行うため、参考人として日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会より吉田孝雄様にお越しいただいております。

 それでは、議事に移らせていただきます。本日は、「あはき療養費の不正対策(案)」を議題といたします。まずは、事務局から提出資料について説明をしていただいた後に、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会吉田参考人から提出資料について御説明をいただき、その後、それについての質疑を行いたいと思います。

 それでは、まず事務局より資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

○保険医療企画調査室長

 それでは、あ-1、あ-2の資料をお手元に御用意ください。あ-1が「あはき療養費の不正対策(案)」でございます。括弧で「(赤字が前回からの修正部分)」となってございますので、特にその部分を中心に御説明をさせていただきます。

 まず、不正対策1番目、1ページ目でございますが、「患者本人による請求内容の確認」、前回の提案といたしまして1ページ目の2つ目の「○」、施術者は毎月、支給申請書の「写し」、または施術日数や内容のわかる明細書、あ-2のほうの別紙の様式でございますけれども、患者に交付することとする。これをしないで、患者や家族が請求内容を確認しないで支給申請書に署名、押印を求めることは認めない取り扱いにするという御提案でございます。

 2ページ目でございますが、さらに論点といたしましてこれに加えまして、施術ごとに毎回毎回患者さんから署名をもらうようにすることについてどう考えるかという論点につきまして、前回はそれぞれ賛成、反対の意見がございました。

 それで、2ページ目の一番下、「⇒」になってございますが、こちらが事務局としての提案というか、論点でございますが、「高齢や体の不自由な患者への負担、患者に高齢者が多く月末等に家族に請求している場合があることや視力障害のある施術者への配慮から、月末等に、施術回数を含め、患者や家族による請求内容の確認を徹底することにより対応することについて、どう考えるか」というふうにしてございます。

 続きまして3ページ目、不正対策の大きな2つ目でございます「医師の同意・再同意」についてでございます。まず前回提案といたしましては3ページの2つ目の「○」、施術者が一定期間ごとに施術内容・頻度、患者の状態・経過を記載した「施術報告書」、あ-2のほうでいきますと3ページがその様式案でございますけれども、このような「施術報告書」というものを施術者の方に一定期間ごとにつくっていただいて、それをお医者さんに渡す。それで、お医者さんがこれと直近の診察に基づいて再同意をする。これまでは、3カ月ごとにお医者さんがずっと再同意をしていくのみのやりとりだったのですけれども、施術者の側からこういう施術の報告というものを新たにするようにする。それを受けてプラス直近の診察で再同意をしていただくというふうに、コミュニケーションの中で施術を行っていくという仕組みにしてはどうかという御提案でございます。

 論点につきまして5ページ目でございますが、これまで医師の再同意につきましては口頭で3カ月ごとに再同意ということでございましたが、これについて文書によることとすることについてどう考えるかということです。前回意見といたしましてはそれぞれ両意見ありましたけれども、一番下の今回の論点といたしましては「一定期間ごとに医師の再同意について文書で行うこととすることについて、どう考えるか。文書による同意の場合には、次ページのとおり、保険での負担と自己負担が生じることについて、どう考えるか」という論点立てにしてございます。

 6ページは、この同意につきましての診療報酬のほうの点数で、療養費同意書交付料100点というものがつくようになってございます。

 7ページにその留意事項を書いてございますが、この100点というのは(1)のところであん摩・はり・きゅうの同意書を交付した場合に算定する。(2)で、あん摩・マッサージ・指圧については医療上マッサージを必要とする症例が支給対象となります。

 8ページの(3)には、はり、きゅうについては慢性病であって医師による適当な治療手段がないものについて、主に神経痛・リウマチ等々6疾病あって、それについて同意書が出せるということになってございます。

 (5)のところで、初療の日から3カ月、変形徒手矯正術に係るものについては1カ月を経過して、さらに再度交付する場合で口頭によらない場合にも算定できるというふうに診療報酬のほうはなっているものでございます。

 9ページ目、同意・再同意に係る2つ目の論点でございますが、再同意の期間を3カ月から6カ月とすることについてどう考えるか。下の「⇒」のところでも、それについて論点立てしてございます。介護保険については、例えば初回が6カ月で更新時は12カ月、訪問看護の指示書も6カ月以内というふうな期間になってございます。

10ページ目からが(2)で「主治の医師による同意」ということでございます。

 2つ目の「○」の後段、いわゆる無診察同意が行われないように徹底する。

 3つ目の「○」で、このため同意書の様式に「保険医が、当該疾病について診察の上で同意する必要があります。保険医氏名は、診察した医師の氏名を記載して下さい。」ということを書く。

 通知等により、同意書を書く医師に対して、これらとともに同意書の必要性や意義の理解の浸透を図るということで、厚労省としても同意書というのはこういう場合に書くのだ、こういうふうに書いてくださいというようなことの周知を改めてしていきたいという御提案でございます。

11ページの論点でございますが、同意できる医師の診療科を制限することについてどう考えるかということでございます。11ページ下段の「⇒」のところでございますが、診療科によって医師の診察を制限することは難しいのではないか。「保険医が施術の原因となる疾病について、診察をした上で、同意することについて、同意書の様式の変更や通知等により徹底することにより対応することとしてはどうか」という提案にしてございます。

 さらに12ページ、診療明細書を療養費の申請書につける。医師が診察していることを確認するために、診療明細書を療養費の申請書に添付させることについてどう考えるかということでございます。今回の提案としましては、同意書に「診察日」を記載することとすれば、保険者において診療報酬の請求と突合することで医師の診察が確認できるようになるのではないか。診療明細書ですと、さまざまなプライバシーにかかわることも書かれてございますので、それを療養費の申請書に添付させるというのは難しい。

 一方で、診察日がわかれば保険者のほうでどのような診察をしたかの確認ができるようになるので、そういうものを新たに同意書に書くようにしたらどうかという御提案でございます。

13ページ、同意・再同意について、前回意見の一番上の「○」でございますが、はりきゅうの同意書にも往療の同意欄を設けたらどうかという御提案でございます。

13ページ一番下の「⇒」でございますが、はりきゅうの場合には痛みの程度によって往療が必要かどうか変化しますので、最初に往療が必要だとしてしまいますと、痛みが治まっても往療するということも行われかねないのではないかということを書いてございます。

14ページ以下で、この同意・再同意のあり方の検討に資するようなデータを幾つかつけてございます。14ページが年齢の分布、15ページがそれのはり・きゅう、16ページはあん摩マッサージ指圧療養費のどのような症状・疾病の方かということでございます。右側の傷病名別を見ていただきますと、4分の1が脳血管疾患というような状況でございます。次いで、左側の症状別は筋麻痺、関節拘縮の方が多いということでございます。

17ページは、はり・きゅうの方の疾病の分布、神経痛や腰痛、頚腕症候群などが多い。

18ページが、「月当たりの施術回数の分布」になってございます。

19ページからが、どのくらいの期間、施術を受けていらっしゃるかという方の分布でございます。19ページが、あん摩マッサージでございます。6カ月以内という方が22%で、以降6カ月ごとに区分してございますが、1年以上ないしは2年以上という方もそれなりにいらっしゃる。やはり慢性期のものでございますので、長く受けている方もいらっしゃるということでございます。

20ページは、それと同じはり・きゅうのものでございます。

21ページは、先ほどのものをさらに3カ月ごとに区切って、どのようになっているかということでございます。やはり最初は3カ月いう方が多くいますけれども、症状が治まれば受けなくなってくるということで、以降どんどん減っていっているということでございますが、やはり長い方は1年以上、2年以上という方も一定数いらっしゃるという状況でございます。

22ページは、初検月から1年以下と3年以上の場合で、何か傾向が強いかということを見るためにとってみたのですけれども、あまり変わらないという結果でございます。

23ページも、1年以下の場合と3年以上の場合で施術回数に違いがあるかというのを見ますと、どちらもやはり4回と8回、12回、つまり週1回、2回、3回というところに山があるということで、余り変わりがなかったということでございます。

24ページから大きな3つ目、「長期・頻回の施術等」でございます。

24ページの(1)でございますが、初療日から1年以上かつ月16回以上の施術については、支給申請書に施術継続理由と患者の状態を記載するということを29年、今年の7月から施行をしてございます。

 おめくりいただきまして25ページで、これにつきましては1年分、今の状況を集めるという調査結果を収集し、分析することとしてございます。

26ページでございますが、過剰な給付となっていないかを確認するために償還払いに戻せる仕組み、具体的には30年7月以降、1年分のデータを集めまして分析を行い、その結果を踏まえまして、保険者が施術の必要性について個々の患者ごとに確認する必要があると合理的に認められた場合について、患者の施術について償還払いに戻せる仕組みについて検討することとしております。

27ページからが大きな4番目でございまして、「往療」についてでございます。

 まず、見直しの1つ目といたしまして支給申請書を見直すということで、あ-2のほうの6ページでございますが、「往療内訳表」ということで、支給申請書に往療を行った場合には、いつ、これは同一日・同一建物かどうか、誰がどこからどこに行ったか、往療が必要な理由、要介護度がわかれば要介護度も記載するというものを新たに設けることと提案してございます。

28ページ、「往療」の(2)で「往療料の見直し」でございます。30年改定において、施術料よりも往療料が多い現状を見直す改定を検討する。また、施術料と往療料の包括化について検討するということで、検討事項を4点掲げてございます。

 今回、この往療料の見直しにつきまして29ページ、前回もさまざまな意見をいただいてございますが、往療料に関する資料について30ページ以降につけてございます。要点だけ申し上げますと、30ページは往療の割合、あん摩マッサージは件数ベースで9割、金額ベースで6割が往療になっている。はり・きゅうのほうは件数だと2割弱、金額だと3割弱というものになってございます。

31ページを見ていただきますと、割合はこれを経年で見てございますが、1回当たりの距離についてはどちらも大体4キロ強、5キロ弱というのが平均で、1カ月当たりの往療回数は7.6回、7.9回となってございます。

32ページは都道府県別の往療の距離加算の状況でございまして、これは下の青いほうが短い距離で、上のほうの紫のほうが長い距離を行っているということでございます。都道府県別で示してはございますけれども、例えば東京と北海道などを比べていただいても、特に北海道が長いということではないというような状況でございます。

33ページは、それのはり・きゅうでございます。

34ページは、1件当たりの往療料と施術料の都道府県別の分布でございます。青が往療料になってございます。赤の部分が施術料になってございます。これも、例えば東京なり神奈川と北海道、青森などを比べていただいても、特に往療料については違いがないというような状況になってございます。

35ページはそのはり・きゅう版で、36ページは往療料の占める割合を都道府県別に見たもの、37ページはそのはり・きゅう版でございます。

38ページ、あはきの不正請求の事例で、これは今年の1月の専門委員会にお出ししたものと同様でございますが、やはり不正の中で多いものは1番の往療料の距離の水増し、3番の同一建物に複数患者を往療したのにそれぞれ算定している。4番目に、歩行可能者に対する往療料の算定ということで、やはり往療にかかわる不正というのが多くあるという状況でございます。このようなデータを踏まえまして、往療料の見直しをどのように考えるかということで御議論いただければと思っております。

41ページ、42ページは、参考までに医科のほうがどうなっていたかというものでございます。42ページでございますと、医科のほうも距離加算等が平成4年まではあったのですけれども、平成4年の改定で往診料に包括化されたというような経緯がございます。訪問看護については、創設当初より特に距離加算というものはなかったということになってございます。

43ページは距離加算、往療料のこれまでの改定の経緯でございます。18年6月に距離加算は8キロの区分を上限とし、25年改定で往療料1,860円を1,800円にし、前回改定で距離加算を30円引き下げたという改定をしてございます。

44ページで過去からの変化を見てございますが、支給申請書1件当たりの平均金額というのは特に変化はしてございませんし、44ページで往療料・マッサージ料・変形徒手矯正術の割合も、この10年以上で見ましても大きく変化はしていないという状況にございます。

45ページは往療料の距離の分布を見てございますが、これについては2キロ以下というのが減ってきていて、紫と青の6キロ以下とか8キロ以下というものがふえてきているという傾向がございます。

46ページは、前回もございました往療専門というものについて分析したものでございます。左側でございますが、施術所と往療専門というものを見ますと、15%のところが出張専門という届け出になってございます。

 ただ、46ページを見ていただきますと、これは施術所と出張専門のところでそれぞれ往療の状況がどうなっているかということでございますが、施術所のほうでも78%は全部往療ということでございます。施術の全体の9割が往療でございますので、施術所の支給申請書においても78%は全部往療というような状況、つまり出張専門と変わらないような状況になっているということでございます。出張専門のほうでも一部往療とか、往療なしというのが含まれるのは、これは往療の要件に当たらない方については御自宅まで行っても往療料は取らないでやっているというものだというふうに理解してございます。

47ページからが、大きな5つ目でございます。「療養費の審査体制」ということで、(1)で「審査会の設置」、審査会を設置できることにする。厚労省は要綱を定めるということで、前回もこれについては具体的な検討材料が必要などの御意見をいただいてございます。

48ページ、「審査基準の明確化」をしていくというものでございます。

49ページは、請求の電子化についても柔整のほうのモデル事業の状況を見ながら検討する。その上で、審査のシステム化、保険者を超えた審査などについて検討するということで、その際、請求の電子化、審査基準の明確化などの状況も踏まえながら、審査支払機関での統一的な審査などについても検討していくことについてどう考えるかということで、前回も50ページのとおり、これについては御意見をいただいてございます。

 最後に、51ページからが大きな「その他」ということで、(1)が「支給申請書の様式の統一」、(2)が「施術録の整備義務等」、52ページで(3)が「療養費についての患者への説明義務」、(4)で「不適正な広告の是正」ということでございます。

 広告の是正につきましては、大まかなスケジュールといたしまして、現在、都道府県に対してこの件についての実態調査を集計しているところでございます。年度内には、ガイドラインの作成を含む広告に関する検討会というものを立ち上げて開催することを予定しているものでございます。

 事務局からの説明は以上でございますので、特に赤字部分につきまして今回、後ほど御議論いただければと思いますが、その前に前回御説明しましたとおりヒアリングを行うということでございますので、その後にこれについては御議論をしていただければと思ってございます。以上でございます。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 それでは、次に吉田参考人から提出資料が出されておりますので、吉田参考人から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○吉田参考人

 初めまして、吉田でございます。よろしくお願いいたします。

 初めに、私ども連合会は全国で7,600の所属組合員が厚生労働大臣、または都道府県知事から認可を得て、組合員のための各種保険の取り扱いを主な事業としているものであります。

 まず、私どもの不正対策としましては、各厚生局長及び都道府県知事との「受領委任払い」の契約締結があります。このことにより、「受領委任払い」の取り扱いになりますと、あん摩・マッサージ指圧師の施術に係る療養費の指導監査、監督ではなくて監査を行うことができるようになります。

 そこで、社会保障審議会医療保険部会に置かれている「あん摩・マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」におかれましてヒアリングが実施されるということで、私どもの主張は既に提出してあります。あ-1、平成291120日の「あはき療養費不正対策(案)」、これをもとに参考人提出資料-1として提出してありますが、ここでさらに補足をさせていただきます。

 1つ目は、「患者本人による請求内容の確認について」でありますが、既に提出してあります参考人資料-1においては毎回の署名、あるいは毎月の申請書の写しの添付については、その必要性を感じないということで意見を統一していました。

 しかし、医療機関、または薬局において明細書が交付されている今日、私どもも一部負担金の明細書、別紙様式案1でありますが、これを交付する必要があるという結論に達しました。一部負担金は施術の内容や往療の距離数によって変わりますので、毎回施術ごとに交付する必要があると考えます。このことによって、患者さん本人が請求内容がわからない、またはいつ施術を受けたかわからないということがなくなり、架空・水増しの請求が防げると考えております。さらに、先ほど申し上げた毎月の申請書の写しや、施術のときに毎回患者さんから署名をもらうということも必要がなくなるというふうに考えます。

 2番目に、医師の同意、または再同意でありますが、参考人資料-1として提出してありますのは施術報告書、様式案の2ですが、これを添付した場合には6カ月、それから口頭での医師の同意確認においては3カ月ということで述べさせていただいております。

 しかしながら、現場で実際に今、施術を行っているものは、再同意の際に医師から患者の症状の経過、または治療効果などについて尋ねられることが多々あります。現場において、施術者はこれに依頼状というような形で実際には書類で報告をしているという実態があります。

 さらに、同意書の交付は口頭では応じられませんというお医者さんもいらっしゃいます。加えて、口頭同意は療養費同意書交付料が算定できないということなどから、患者または医師の負担を軽減する目的からも、施術報告書を交付することによって6カ月ごとの同意・再同意でよいというふうに意見を修正、整理いたしました。

 3番目の「長期・頻回の施術等について」でありますが、償還払いに戻せる仕組みについては罰則規定の導入、それから受領委任払いの中止措置並びに行政処分による業務停止処分で対応するべきであり、受領委任払いから償還払いに戻す仕組みの導入については反対であります。

 それから、4番目の「往療について」でありますが、現在も申請書の摘要欄に必要事項等は記載している実態がありますが、この度、様式案4、往療内訳についてこういう現実がありますのでやむを得ないことかと考えております。

 それから、往療料の見直しについてでありますが、施術所を持たないで「出張専門」でやっている者には原則として往療料を算定しない。私どもの組合員にも、施術所を持たないで「出張専門」で業務を行っている者もいますが、しかしながら、施術者の陰に隠れて実際には経営者である別の者が実権を握っている実態、これに歯どめをかけなければならないと考えております。

 一方では、真面目に業務を行っている組合員が経営不振、そして廃業に追い込まれている実態があります。これを見るときに、今日のヒアリングに当たり、苦渋の選択をいたしました。趣旨については、別添の趣旨説明書を読んでいただけると幸いであります。

 残余の項目につきましては、提出資料-1のとおりであります。

 終わりに、受領委任払い制度に移行することにより、監督当局より指導監督がなされると思います。この指導監督において我々施術者、または施術管理者に対し、倫理を含めた十分な指導、教育を実施していただけるよう希望いたします。柔道整復師の施術管理者に勝るとも劣らぬ教育体制がつくれるよう、私どもも期待しております。

 以上を申し上げまして、私の意見といたします。ありがとうございました。

○遠藤座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、まずはただいまの吉田参考人の御説明につきまして、何か御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 吉田理事長に教えていただきたいのですが、1「患者本人による請求内容の確認について」で、「一部負担金明細書」を毎回患者に交付すると書かれていますが、これは施術ごとに交付されているということでよろしいのでしょうか。

○遠藤座長

 吉田参考人、どうぞ。

○吉田参考人

 お答えいたします。施術内容によって、施術者の判断で、例えば電気光線機具を使用する、しないとかで変わること、それから往療距離数によっても料金が変わることで、私どもとしましては施術ごとに毎回交付する必要があると考えております。

○幸野委員

 それは、往療を行った場合も毎回交付されているということでしょうか。

○吉田参考人

 往療を行った場合にも、もちろん毎日同じルートで毎回同じパターンではありませんので、その都度やはり明細書を交付する必要があると考えております。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 わかりました。毎回交付されているということですが、事務局の提案は月ごとに患者に渡す仕組みになっているので、吉田理事長がおっしゃっていることと事務局の提案が違いますが、月ごとに「一部負担金明細書」を渡すことでは患者が施術日と回数を把握することはできないと思います。

 吉田理事長が行っている毎回患者に明細書を交付するやり方であればよいと思うのですが、事務局が提案しているのは月に1回確認すればよいとなっているのでそれでは認められないと思います。

○遠藤座長

 吉田参考人、どうぞ。

○吉田参考人

 私は、正確を期するのであれば毎回施術ごとに明細書を出す必要があると考えております。技術的には可能でありまして、複写の明細書を持っていくとか、それからもしそこでわからなければ後日届けるということもできます。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 事務局の提案ではだめだということですよね。

○吉田参考人

 だめとは申し上げておりません。我々のほうが一歩進んだのです。

○遠藤座長

 では、関連で中村委員どうぞ。

○中村委員

 中村です。今のお話で、なかなか現実的でないと思います点は、治療院でありますとその場で治療のみですので金額というのは明確に出せ、また領収証をその場で発行すればよろしいかと思うんです。その領収証が治療した一つの担保になるわけですから、保険者様のほうで来たか、来ないかの確認は、その領収を患者さんが説明すればできることでいいと思うのですが、往療の場合に実際は今、先生のお考えですと、一人一人治療院から患者さん宅に行ったという場合は可能かもしれませんが、今の往療の全国で見る動きというのは、A宅、B宅、C宅というふうに回っていくわけです。

 したがって、A宅、B宅、C宅と決まったパターンであれば、それは毎回同じ領収を発行できるかもしれませんが、風邪でお休みとか、ショートステイを利用されたとか、こういう場合というのは当然日々変化する。ですから、帰ってきた時点で必ずしも5名ならば5名と同じパターンであるわけではなくて、これは3名になる場合もあるし、2名になる場合もある。そうなりますと、当然往療料は変化するわけです。したがって、同日中に出すことというのはやはり難しいことなのではないのかなと思っているのです。

 私どもというのは、帰ってきて記録をし、その記録の中で変化したなりに往療料の計算をその都度していくわけですから、その都度というのは慢性疾患でもあり、月の終わりに申請書、もしくは明細書の中でしっかりと、または保険者様には行程表を出していくわけですので、そういう中で確認がとれることだと思うんです。

 そう考えると、施術者にも非常に負担をかけるということと、それから患者様もその領収証を毎回取っておくということを当然してもらわなければいけないことなのですけれども、その手間と言ったらおかしいのですが、非常に負担が多いと思うんですね。

 だから、書面がどんどんふえていくというのはやはり減らすべきではないかというふうに個人的には思うのですが、もう一回言いますが、お休みが出た場合にその日のうちにお渡しすることができないので、また後日ということであれば1カ月に1回でも構わないのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

○吉田参考人

 基本的には、一部負担金というのは1カ月分まとめていただいている、そういう地区もあるのでしょうけれども、私どもが考えているのは日々、一部負担金をいただいて領収証、または施術明細書を患者さんに渡すというのが当然だと考えております。これを1カ月まとめると、そこには何らかの不正が入り込むすきがあります。ですから、公費を扱う以上は、きちんとそこで一対一で患者さんとの間できょうの施術料金、もちろん施術者が往療料の計算とか全部しなければならないですけれども、それぐらいのことをやらなければ、やはり立派な施術をしていることにならないのだというのが私どもの考えです。

○遠藤座長

 竹下委員、どうぞ。

○竹下委員

 質問なのですけれども、吉田参考人のお話を聞いていると、不正請求を防ぐために今でも毎回ごとの明細の発行をしているとおっしゃっているのですが、それでは具体的に保険請求をするときに水増ししているかどうかというのは患者には確認できないのではないでしょうか。

○吉田参考人

 要するに、施術証明書をもらっていても申請書の内容と突き合わせる機会がないということをおっしゃりたいのですね。だから、確認できないのではないかということをおっしゃっているのですか。

○遠藤座長

 竹下委員、どうぞ。

○竹下委員

 そうではなくて、患者さんは吉田参考人のやり方でやったのでは、幾ら請求しているか、あるいは何回分のどういう治療内容で保険請求しているか確認できないということになりませんかという質問です。

○吉田参考人

 そこを確認していただくために、一部負担金明細書を毎回渡すわけですから、それを保管しておいていただくということで確認できると思いますが。

○遠藤座長

 では、往田委員どうぞ。

○往田委員

 往田です。私も、実際に往療も含めた患者さんの施術に日ごろ当たっておりまして、この支給申請書に関しても、私の施術所では私を含めて複数名の施術者が毎月数十名の患者さんの往療に当たっております。それで、必ずその月が終わった後に、支給申請書を患者さんのお手元にお持ちをして御捺印をいただくわけなのですけれども、私が対象としている患者さんは今、内容を確認しないで印鑑を押すということは、うちに関しては100%あり得ない。印鑑を押すという行為がありますので、必ず患者様は実日数、施術の内容と、あとその施術に行った日にちの部分を確認した上で御捺印いただいています。

 患者さんが御判断できない場合は、御家族が必ずその内容を確認していただくということが一般的なので、今回この問題に関しては、そもそも架空請求や水増し請求をどう抑止していくかというところがスタートになっておりました。考えるに、そういう扱いをしていると、架空請求や水増し請求というのが、果たしてどういうふうに行われるのかということを想像すると、考えられる不正の方法としては2つだと思っております。

 1つ目は支給申請書自体を患者さんが見ていない場合、2つ目はその療養費の請求者と患者さんが申し合わせてやっている場合の2通りだと思います。

 それで、1番目の患者さんがそもそも支給申請書を見ていないケースにおいては捺印自体、患者さんが行っていない。患者さん以外の誰かが捺印を行っているということになるかと思いますので、この場合、施術ごとに署名を求めるとか、毎回毎回、吉田委員がおっしゃるように明細書をお渡しすることによって、この問題はそもそも架空請求、水増し請求の抑制にはつながらないのではないかと思っています。

 そればかりか、患者、家族、または施術者の負担が増すだけであろうと思っておりますので、ここに関してはやはり事務局案にあるように、毎月毎月、内容をきちんと徹底していただくということに尽きるのではないか。

 また、もう一つとしては吉田参考人が最初の資料のほうでも出されておりますけれども、やはり架空や水増し請求が明らかになる手法というのは、医科でも、歯科でも、調剤でも、柔整でも見てもわかるように、支払い側からあなたに対して幾ら払いましたよということが明らかになるということが最もこれを抑止する効果になると思いますので、受領委任の制度の中で、その双方をきちんとやっていくことが本来の架空、水増し請求を抑止するということにつながっていくのではないかと私は思っております。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 私は、吉田理事長の団体が行っていることを否定するものではありません。これは、不正対策につながるものと考えています。我々は施術ごとに患者が署名するという考え方は変えていませんが、高齢者の方が署名するのが難しいというのも事実ですので、一部負担金明細書を毎回渡して、申請書にその明細書を添付して保険者に請求することもできると考えます。

 施術ごとに毎回明細書を渡さなければ、本人が、いつ施術を受けたのかをどのように確認するのか、お聞きしたいと思います。

○遠藤座長

 これは、施術側に対してということですね。どなたかございますか。

 では、往田委員どうぞ。

○往田委員

 全ての往療にかかわっている方がそうであるとは申し上げられないところはありますが、少なくとも私がかかわっている患者さんに関しては、基本的にはケアマネージャーや訪問医の先生と連携をとって、患者さんとも何曜日の何時にお伺いするという約束をした上で訪問をしております。

 ですので、基本的にはどの日に施術を受けたというベースがあって、患者さんのほうはそこで休んだときに関して覚えていれば、そこの部分は削っていくという形になっていくので、患者さん自身がいつ施術を受けたか覚えていないということ自体、私が臨床でやっていく中ではほぼ見当たらないというところでございます。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 それは、正確には覚えていないと思うので、吉田理事長が行っているように、施術ごとに毎回明細書を渡すことによって一部負担金を幾ら支払ったか、どのような施術が行われたかもわかるので、事務局案が提案した月ごとに患者に渡すものよりこちらの方法を取り入れるべきだと思います。以上、意見です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 関連ですか。

 では、飯山委員、お願いいたします。

○飯山委員

 私も吉田理事長のお話を伺って、本当にそれが普通の常識的な方法なのではないかと感じました。今、幸野委員がおっしゃったとおりのお話で、例えば私どもが医療費通知を保険者からいただいても、お医者さんに言えば明細書も必ずその都度いただいています。領収証と、それから診療明細書ですね。ですから、それを突き合わせれば必ず確認できるわけですから、自分の手元に証拠書類が残っているというのは非常に大事なことなのではないかと思います。

○遠藤座長

 小谷田委員、どうぞ。

○小谷田委員

 私は後期高齢者の方を多くやっておりますが、患者さんにその月の計画を出して全部コピーしてお渡ししています。それをその日ごとに確認して、きょうやりましたねということを全ての後期高齢者の方にコピーしたものをお渡しして確認しております。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 この後は、事務局から提案されたものの中にただいまの議論は入ってまいりますので、今は吉田参考人がいらっしゃるということを前提に聞いておいたほうがいいということに質問を絞らせていただきたいと思います。

 では、幸野委員どうぞ。

○幸野委員

 4往療について、具体例を聞きたいのですが、「施術所を持たないで施術を行っている一部の実態は、営利のみを目的に」ということですが、これはどのような実態があるのか、具体的な例を紹介していただきたいと思います。

○遠藤座長

 吉田参考人、どうぞ。

○吉田参考人

 いろいろございますが、実態で私どもが一番やはり困ると思っているのは、定年になって、例えば退職金の一部を出資して名義を買って、その取り扱い高の1割を上納するということで、全然関係ない、またはサラリーマンで定年になってその対策というか、老後の仕事として入ってきている方が非常に多いんです。

 マッサージさんというのは実は数が限られていますから、そのマッサージさんの足りない分はほかの人を雇用してやっているのかもしれませんけれども、そのことによって、それが普通に仕事をして成り立っていればいいのですけれども、例えば学校を出てきたばかりのあん摩マッサージ指圧師を雇用してドアからドア、要するにあなたは視力障害だから玄関まで迎えに行って、終わったら玄関まで送り返しますよというようなことで、朝から晩まで毎日連れ回されてしまうと、鬱病を発症して働けなくなっている若者も実はいるのです。

 逆に経営基盤がしっかりしていないものですから、お金が払えなくて賃金の不払いというようなことでトラブルも起きているという中で、我々としてはやはりそういう弱者を何とか守らなければならないだろうということで、一角でありますけれども、少なくとも一番弱い人たちが入っている出張専門というところに、まずそういう人たちが入ってきてもおいしくないよ、魅力がないよという形にしたほうがいいのだろうと考えております。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 詳しくお聞きしたいのですが、患家は施術を依頼されて、依頼された方と違う方が、違う住所地から往療に行っているという実態があるということですか。

○吉田参考人

 私は、そのように捉えています。行く人間は、基本的にはその有資格者です。でも、その人はほかの者に雇われているという形です。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 これは、患家が依頼した方と違う方が、違う住所地から往療に行って往療料を算定しているということですよね。

○吉田参考人

 そういうこともあるかもしれません。

○幸野委員

 事務局、これが実態です。往療の抜本的な見直しを実施する必要があるということです。

○遠藤座長

 調査室長、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 ですので、今回、あ-2の往療内訳表のように、どこからどこに行ったかということを書かせるという御提案をしているということでございます。まさに今のことはあってはならないことだと私も思っていますし、そういうことも含めて今回こういう不正対策の案を御提案させていただいているところでございますので、引き続きここは御議論をいただければと思っているということでございます。

○遠藤座長

 では、施術側の意見で中村委員、往田委員の順番でお願いします。

○中村委員

 往療のところについて、特に不正が多いんだという発言になられているように思うんですけれども、もちろん往療の中で今の業者さんの件が問題視されていて、私どももそういうことが一部にあるように及んでいることというのは厚生労働省とも十分お話はしていて、その対策の中で今、室長がお話をされたように一つ一つの具体策をつくっているところはありますが、今回、私どもの提案で一番はっきりさせなくちゃいけないのは、償還払いであったがために患者さんと保険者さんとの関係であり、保険の取り扱いを患者さんがよく理解していない。保険者さんについても全てが同一の考え方に基づいていませんから、窓口の担当者によって考え方に誤差がある。そういうことからいいますと、受領委任制度にすることによって一つの統一した見解を全国で持てる。これは、患者にとっていいことであると思うんです。

 それでもう一つ、ここの中で私どもは研修制度について提案をさせてもらっています。これは誰に研修するのかというと、施術者にです。受領委任制度になりますと、施術者と保険者さんの関係になってくるわけですから、施術者はその療養費の取り扱いについてしっかりと学ばなかったらやはり使ってはいけないでしょう。ここが今までなかったわけですので、今の民間の何も知らない業者さんによって間違いが起こってしまった。それで、それはある意味、管理者によって指示をされたことを施術者がただ実行するだけの関係になってしまったのではないでしょうか。

 したがって、研修制度を行い、療養費の取り扱いを受領委任で行うというのはどういうことなのか。そして、ペナルティーとしてあなたにこういう罰則がくるんですよということが周知されれば、施術者自身がその経営者に対して、それは違法な取り扱いであり、間違いなんだから私はできませんと言えるようになると思うんです。

 ですから、十分その中でできることだと思いますので、あえて往療を専門とする人間が間違いを起こすんだということではないとは考えるんです。したがって、それは施術所があろうとも、施術所がなかろうとも、そこに利用者さんは介在するわけですから、しっかり施術者が中身を理解する。そういう制度には、今回私ども4団体とも、または厚生労働省の方ともお話をし、そういう方向で今、進めているわけですので、今おっしゃっているところについてはクリアできるかと考えています。

○遠藤座長

 それでは、往田委員、それから竹下委員の順番でお願いします。

○往田委員

 恐らく吉田先生の御認識は、幾つかの問題を混同されていらっしゃると思っています。私はこの問題に非常に取り組んできておりますので、吉田さんがおっしゃっている往療の出張専業の方が云々という話は、過去の社会保障審議会の場で私は請求代行業者という呼び方で問題提起をさせていただきました。

 彼らは、保険の請求上は患者さんにかわって療養費の請求を行うということをされているのですが、実態としては患者さんを集めてそれぞれ出張専業で開業されている先生に委託という形で出しているケースです。これに関しては、私もかねがねここは制限されるべきだというお話をしてきたところです。

 ただ、賃金の不払いとか、鬱病に云々みたいなお話がありましたが、これは出張専業の届け出で誰かに雇用されているということはあり得ませんので、資格を持っていない方が施術所の開設者となって、そこで雇用された有資格者を車で患家まで送り迎えをする。こういうシステムで、2つの問題がそれぞれ別個の問題になっているかと思います。

 それを一緒くたに考えてしまうと、あたかもひどい業界だというような印象になってしまうんですけれども、まずそれが別個の問題であるというのが1点です。

 あとは、確かに請求代行業者、委託契約をやるような業者さんというのは過去には多数いらっしゃったわけではありますけれども、やはり地域医療の中で誰が責任を持って施術をするのかというのは、同意書を書いていただくドクターも、その依頼をかけてくる患者さんとの接点になっているケアマネージャーも、非常にその辺は昔に比べてきちんと見てくるようになってきているので、少なくとも私が施術を行っている地域においては、そういう請求代行業者さんというのはほぼなくなってきているというのが実態でございます。

 ですので、それがすなわち吉田参考人の主張されるように出張専業の届け出でやられている施術者に往療料を支給しないことの一点をもって全てが解決するというふうにはちょっと思えないんですけれども、いかがでしょうか。

○遠藤座長

 吉田参考人、何かコメントはございますか。

○吉田参考人

 実は、私も30年前からこの療養費の問題に取り組ませていただいております。それで、当初は保険者、患者、それから我々との信頼関係で今日までに至ったのですが、いつの時点からか信頼関係が壊れてしまった。それは、私どもの取り組み方の甘さ、または外から我々とは違う価値観の人たちが入ってきて、金もうけのためだけに入ってくる人たちがふえた。そのことは、要するにはり・きゅう・マッサージの往療をやると今は不景気だけれども、何かいいみたいだと映ったのかもしれません。

 でも、そのときに先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、我々のほうから、我々は少なくとも医療保険を扱うんだから、そういうところにはくみしませんよというふうにきちんと跳ね返すだけの教育、または制度ができていないんです。ですから、ついついドアからドア、要するに弱い者に手を差し伸べますよと言われたら、お願いしますという形で、そこにいろいろな人たちが入ってくる隙をつくってしまっている。

 ここを、やはり直さなければならない。そういうことによって患者さん、または保険者の皆さんとの信頼関係を回復する。そのことが、我々の将来の発展の道だというふうに考えております。

○遠藤座長

 先ほど竹下委員が先に手を挙げておられましたので、竹下委員からお願いします。

○竹下委員

 先ほどの吉田参考人のお話を聞いていてちょっと不思議だったんですけれども、そういう実態があるというのはどういう調査から出てきたのか教えていただきたいんです。

 といいますのは、例えば吉田理事長のもとの組合員、またはもとの組合員にそういう実態があったという意味なのか。それとも、何か外部に調査をした結果、そういう実態が見えてきたというのか、教えていただきたい。もし調査したのであれば、資料の提出が可能なのかと思うんですけれども、そういうものがあるのでしょうか。

○遠藤座長

 吉田参考人、お願いします。

○吉田参考人

 別に調査するとか、そういう問題ではなくて、先生のところの会員さんにしましても、そういうお話というのは出てこないんですか。私どもは組合員、または組合員でなくてもそういう実態というのは訴えてきます。

 それを、やはり聞く。例えばもっとわかりやすく言うと、ハローワークから有資格者が紹介されてきた。では、どうしてそちらのほうをやめてきたのか聞くと、先ほどから申し上げているような経緯を語る人がいるんです。それで、これは調査とか、そういうところまでいけばいいのかもしれないですけれども、もしそれをやるのであれば先生のところの会でやっていただければと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 中村委員、どうぞ。

○中村委員

 では、吉田参考人の最後の部分のお話について、少し私は意見を述べさせていただきます。

 だからこそ、今回あはき療養費について受領委任制度を入れることを、これだけの大きな時間とエネルギーを使ってきたと私は考えています。もう一回確認ですが、施術者が請求する受領委任になるわけですので、今までは患者さんと保険者さんの償還払い、これは患者さんはよく保険のことがわからないけれども、言われるままにやっていた。でも、非常に手間がかかる。そのことから、現行の方法ですが、簡素化をし、代理受領になった。代理受領ということで、その代理受領をする人は誰か。これは隣のおじさんだろうと、請求代行業者だろうと、私どもだろうと、あったわけです。

 ですから、ここの中で私ども治療家としての思いではない方々が、営利を目的に使われた事実はあると思います。だからこそ、施術者自身と患者さんとの間での信頼関係をつくるために施術者が、または治療者たる治療院が請求を行う。それで、甘んじてそこで意図的にやられる場合はしっかりと罰則を受けるという制度づくりをしたわけですし、その思いについては私ども4団体も同じであると思いますので、その方法ができれば今のところは直ってくるのではないかと思っています。

○遠藤座長

 これは、御意見として承りました。

 では、新田委員どうぞ。

○新田委員

 1点だけ確認ですが、提出資料の医師の同意・再同意のところで、施術報告書の添付で6カ月ごとの再同意でよいのではないかと考えるとおっしゃっていたのですが、ここの再同意というのは同意内容に変更がない場合も文書によるという意味の再同意なのか。その趣旨まで含んでいるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

○遠藤座長

 吉田参考人、どうぞ。

○吉田参考人

 私の考えとしては、同意書の内容に変更がなくても6カ月ごとに文書で報告をして再同意をいただくということがいいんだろうと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、事務局提案の資料につきまして議論をしていきたいと思います。少し量が多いので、前半と後半に分けさせていただきまして、前半では1~3までの項目について御議論いただきたいと思います。

 その前に、それに関連いたしまして後藤委員より資料が提出されておりますので、まずは後藤委員から資料の内容について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員

 本日、お手元にお配りをいただいた提出資料、「同意書(あんま・マッサージ・指圧療養費用)」の様式でございますが、こちらは宮崎県後期高齢者医療広域連合が使用しているものでございまして、宮崎県下の幾つかの市町村の国保においても同様に使用されているものと聞いてございます。

 実は、先日、この専門委員会の前委員でおられた愛媛県の相原先生とお会いする機会がございまして、後期高齢者のあはきについていろいろとお話をさせていただき、また先生からさまざまな情報を頂戴しました。

 何がいいたいかといいますと、東京広域のあはきにかかる療養費は110億円を超えてございまして、全ての保険給付の1%にほぼ当たってございます。それで、この給付は漸増状況にあるということをお伝えしたいということでございまして、後期高齢者医療広域連合は他の保険者さんに比較して、あはきを受ける被保険者の割合が多いこと、またこの国の後期高齢者が同じように増えていく状況にあるということ、それから持続可能な社会保障制度の実現にかかる適正な保険給付のあり方等々に鑑みまして、今回必要な事項の記載にかかる様式を使用している宮崎県広域連合の了解を得まして提出させていただいたものでございます。

 私どもは、何でもかんでも不支給にするですとか、療養費を抑制しなくてはならないという立場ではございません。しかし、私どもに多額の御負担をされていらっしゃる、物言わぬ多くの現役世代の方々がこの仕組みを知ったときに、少なくとも不審な気持ちを抱かないような制度であることがとても重要なことと考えてございます。

 同意をする医師と保険者が正しい知識のもと、適切な判断をすることは費用の負担をされている現役世代、もちろん保険料をお払いになっていらっしゃる被保険者にとっても当然のことと考えます。

 療養費の支給となるマッサージは筋麻痺、関節拘縮等の症例であって、マッサージを医療上必要とする症例に対して認められているものと承知してございますが、保険者として一律に診断名により支給の可否を判断することできないゆえに、真にマッサージを医療上必要とする症例か否かを判断する材料についていま一度お考えいただく機会をいただければと存じます。そのため、施術のスタートとなる同意書は医師による医学的所見や症状、経緯等から判断して作成されるべきものと考えてございます。

 申し訳ございません。現行の厚生労働省通知による基準様式では、その症状の程度について示す欄がなく、マッサージ施術の必要性の高さを保険者が同意書のみをもって検証することがなかなか困難といえる状態ではないかと思ってございます。

 また、医師の再同意においても、そもそも再同意が必要なのか、施術を受けている被保険者への施術効果の確認という観点から、医師による同意書を検証可能なものとすることは有意なものと考えてございます。

 医師こそが、施術を受ける被保険者や御家族の希望と療養費の制度をきちんと御理解いただき、適切な同意書を書くべきものと考えます。もちろん、多くの医師はそのように御対応なさっていらっしゃいますが、被保険者や事業者等から頼まれて気軽に同意書を書いたり、特定の事業者と結びついて同意書を安易に作成する医師が皆無であるかというと、ここは否と言うべきだろうと考えます。

 症状の改善を目的とする施術についてのみ保険適用とする療養費の趣旨からすれば、同意書発行時における患者の状態を医師により詳しく記入していただくことは、支給の可否を判断する上でとてもありがたいことであり、重大なことでございます。

 繰り返しになりますが、医療上必要な施術の判断について、前回の議論に少し戻るかもしれませんが、いま一度お考えいただければと考えてきょう提出させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 これは、ただいま申し上げました1、2、3の中に既に入っている内容でございますので、その中でもぜひ御意見を承りたいと思います。

 それでは、1、2、3の範囲でどこの視点でも結構でございますので、御意見、御質問をいただきたいと思います。

 中村委員、どうぞ。

○中村委員

 まず、前回も言わせていただいたのですが、はり・きゅう・マッサージとも同意というのは指示書ではないというふうにお伝えしたつもりでして、今まで長い経緯の中では鍼灸師にも、またはマッサージ師にも、その中の裁量権が私はあると思っています。それで、同意というのはあくまでも病気なのか、病気でないのかというのを保険医、医師に確認をするということが一番大事であって、これは保養だということであればこれは保険に値しないということで医師は同意を書かないということでいいんじゃないかと思っています。

 それから先につきましては、施術者がどういう形で施術の内容をするのかというのは、施術者がその方の状況と、お気持ちと、生活されている環境を確認しながら施術の内容を組み立てていくのかと思っています。

 それで、その組み立てていったことについて、今後同意をお願いするときに、施術者がどのような状況なのでどんな治療をすると考えているということをつけて同意を今後お願いしていくわけですので、そこで判断していただければいいことであり、ここまで細かくするというのは逆に言うと医師は非常に忙しいわけですから、一個一個その項目にマルをつけていく作業だけでも大変なことなのかなとは思っていますので、まず病気であるのか否かを医師として判断していただいた後に、今度私どもはその次の報告書の中でしっかりと何をやっていくのかを伝えてまいりますので、ここまでは要らないのかなと考えています。

○遠藤座長

 それは、事務局提案ですか。それとも、宮崎県の広域連合が提出したものについてですか。どちらについておっしゃっているのですか。

○中村委員

 宮崎県についてです。

○遠藤座長

 わかりました。ほかにいかがですか。

 それでは、後藤委員、何かあればお願いします。

○後藤委員

 繰り返しになりますが、症状の改善を目的とする施術についてのみ保険適用とする療養費の趣旨を考えますと、私ども保険者としては医師の同意書がより詳しく書かれているということはとても判断に役立つものと考えてございまして、こういったものに基づいて保険給付がなされているというのは、公でもある私どもとしては費用を負担いただいている方にとっても説明ができるという観点から、こういった形のより詳しいものを標準的なものとしてお使いいただくようにしていただければというところでございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、往田委員、竹下委員、小谷田委員の順番でお願いします。

○往田委員

 こちらの宮崎の同意書の件です。後藤委員がおっしゃることは非常に私どもも真摯に受けとめるというか、療養費においてもやはりその適正化をきちんと図っていって、貴重な社会資源を患者様の利益のためにのみ、きちんと使っていくということに関しては当然のことだと思っております。

 ただ、その一方で、あはきの療養費における同意は先ほど中村委員からもお話が出ましたけれども、これは施術そのものに関する同意ではなくて、療養費の支給を受けることについての同意というところになっています。

 ですので、現行の厚生労働省が指し示す参考様式の同意書は、療養費の支給申請に必要な項目のみが求められているということが前提としてあります。患者負担や施術者、医師との連携の部分も考慮した場合に、同意書の詳細化によって適正化を図っていくということに関しては、例えば先ほど後藤委員がおっしゃったように、医師とひもづいている施術者等々に関しては、幾ら詳細化を図っても、それに対応した同意書が出てくるだけということになっております。

 ですから、なかなかこれを出せば解決ということにはつながらないかもしれないのですが、事務局案にあるとおり、まず通知等により同意書を書く医師に対しての同意書の必要性の意義や理解の浸透をもっともっと図っていっていただくということが1点と、我々4団体が繰り返し申し述べているように、受領委任制度における指定更新制と、指定更新研修の受講義務化といった施術者に対する教育の強化を通じて、こういった適正化を図っていくということが、他の不正対策においても抜本的な解決策となっていくのではないかと私は考えております。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 竹下委員、どうぞ。

○竹下委員

 先ほど後藤委員のおっしゃっていることは、なるほどと思うんですけれども、2つ理解できなかった、あるいは気になりました。

 まず1点は、症状の程度を記載するということになると、その程度の記載方法であったり、あるいはその基準であったり、それが医師によって異なることになったりすると余計まずいのかなと思います。

 2番目に、そのことによって例えば症状の程度、重度とか軽度とか、そのことと、はり・きゅう・マッサージの施術、治療内容とが結びついているようにあるいは誤解されるという心配はないのだろうかということが気になります。

 それから、それ以外のことについても、例えば詳細な経緯だとか、そういうところについて、ではどこまでの記載が例えば保険者にとって参考になるのかということが、その症状によって、あるいは患者の経緯によって全部多分パターンが違うのだろうと思うんですけれども、そうなってくるとどういう記載を求めるのかということが医師によって悩ましい問題になってくるのかなと思ったりするわけです。

 そういうお医者さんの同意のあり方ということそのものをおっしゃっていること自身は非常によくわかるのですけれども、医師の負担ということも考えると、そこは少し慎重に議論したほうがいいのかなと思いました。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 後藤委員、どうぞ。

○後藤委員

 まず最初の、仮に詳しくしたとしても事業者とひもづいて行う医師は、それはそれでまたやるだろうという話につきましては、確かにおっしゃるとおりなのかもしれませんが、より詳しくすることによって、言葉がいいどうかはわかりませんが、そういったものを抑止する効果というのは増すものというふうに考えるのが通常だと考えます。

 それから、今ございました医師の判断によって内容が変わったときにどうするかという観点でございますが、そのために医師であって、医師は一定の条件下で公平・公正な判断ができるからこそ医師だというふうに私どもは考えてございますので、今おっしゃられたことにつきましては杞憂かなと考えるところでございますが、ドクターにもちょっとお話を聞きたい部分でもございます。

○釜萢委員

 今の議論の中で中村委員から言われたところでありますが、医師は病気の判断、病気かどうかを判断すればよいというお話があって、ちょっとその内容はよくわからなかったのですが、往田委員から補われたのである程度理解をしたつもりですが、医師が施術を受ける方の状況について医学的に判断をして、そして施術を行うことによって状況が改善するというふうに期待されるかどうか。そこをまずしっかり判断するということが医師の役目だろうと思います。

 それで、この同意書を受けて施術される方が施術の判断があるわけでありまして、必ずしも医師の見立てと施術の判断が変わっても、これはやむを得ないところかと思います。そういうものだろうと思っております。ですから、医師はあくまでも医師の立場で施術が必要かどうかを判断してこの同意書を書くということで、それを施術する方に見ていただく。それで、だんだん連携がうまくとれてくれば、さらにうまくいくだろうと思います。

 そして、書く内容が余り細か過ぎて医師の負担が多いかどうかという御懸念がありましたが、やはりこの同意書を医師が作成するというのは大きな責任を持っているわけでありまして、限られた医療財源の中で施術の費用を捻出していくことに対して、医師としてしっかり責任を担う必要がありますから、私はこの宮崎県で採用されている内容についてはこのように医師が書くのは十分必要なことだし、同意を得られるものというふうに考えます。これが、仕事量が増えていかんということでは決してないというふうに思って、後藤委員から提出されたような様式が、より望ましいのではないかと考えております。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、往田委員どうぞ。

○往田委員

 私どもが実は一番懸念しているのは、現行の参考様式の同意書の書式が定まったのが恐らく平成15年とか16年に示されまして、それ以前は割と地域の保険者さんによってまちまちな同意書の書式が用いられていました。

 それで、私の今、開業している地域では、やはりかなり細かい同意書が保険者さんから示されて、その記載内容によって療養費の支給がされたり、されなかったりということが多々あったという問題が続発しておりました。

 そのこともあって、ある程度共通した同意書の書式でやりましょうということにつながっていったわけですけれども、同意書が詳細化していくにつれ、もちろん適正な医学的な判断の中で御記載いただくということは当然必要だと思っているのですが、書かれている内容によって、事後にこれを払いませんというようなことがまた繰り返されるのではないかということを我々は一番懸念しているところでございまして、同意書の内容を見ると療養費の対象として認められない、認められるというのが、今のところ保険者さんによってかなり審査基準にばらつきがあるものですから、また同じような形になってしまうと、事後にかかった費用の全額を患者さんに御負担いただかなければいけないという経済的な問題にもつながってくるところもありまして、同意書の詳細化については極力、後藤委員がおっしゃっている趣旨を何とか満たしながらも、詳細化については慎重に取り扱っていただくようにお願いをしたいというのが、私どもの別の観点からの意見でございます。

○遠藤座長

 小谷田委員、どうぞ。

○小谷田委員

 今、往田委員からも申されましたけれども、私もここで少し原点に戻って、今までの経緯もあるということで、平成15年、16年に療養費の支給基準ということで、厚生労働省の専門官等によりましてQ&Aもつくられております。

 その中で、同意書の様式について保険者の判断により項目を追加することは可能ですかという質問に対して厚生労働省のお答えは、必要に応じて保険者において基準として掲げた項目以外の項目を追加することは差し支えないが、あくまでも支給の可否を判断する上で必要な項目にとどめるべきであり、また医師が回答できる範囲とすべきであるというQ&Aの記述を明記されております。

 こういったことも含めて、ここにお集まりの皆さんは療養費に関して非常に理解、造詣が深い方が多いと思いますけれども、現実には地域のお医者さんの同意書は私から見るとまちまちの面もありますので、往田委員の言ったこととあわせてこの辺の経緯も含めて考えていただきたいと思います。以上です。

○遠藤座長

 後藤委員、どうぞ。

○後藤委員

 今のお話を踏まえて、保険者で必要な事項について加えることは可能というふうになってございまして、それに基づいて宮崎県さんもこのようなものをおつくりになっているんだと思うのですが、今のQ&Aの中に、例えば厚労省基準以外のものを使っているところで厚労省基準のものを出してきた場合、受け取りを拒否することはできないというようなQ&Aも私の記憶するところではございますので、必ずしも全ての事項についてはこの中で議論をいただきたいと思いますが、いわゆるスタンダードな最低限満たす部分についてこの宮崎県の同意書について参考として取り入れられるものについて取り入れていただきたいというのが私の意図するところでございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 私も同意書について意見をさせていただきます。

 同意書を書く医師の方から御賛同いただいたのは非常に重い御発言だと思っています。同意書を書く医師の方が取り入れるべきだとおっしゃっているので、その方向で考えていただきたいと思います。

 この同意書についてですが、同意書の中に欠けているのは、健康保険法施行規則の第66条において、給付を受けるときに被保険者が報告しなければならない事項ということで、傷病名及びその原因、発症または負傷の年月日及び傷病の経過ありますが、現行の同意書には傷病の経過等が記載する欄がなく、後藤委員が出された宮崎県都城市の様式にはそういった記載欄もあるので、宮崎県都城市の様式を参考に、詳細な同意書様式を取り入れてるべきだと思います。それから宮崎県の様式には診察日の記載欄がないので、診察日の記載欄を設けたほうがよいんじゃないかと思います。 文書による同意についてですが、医師から同意をもらっていないにも関わらず、あたかも同意をもらったような形で、施術者が施術を継続している不正が起きています。そのため再同意についても文書で行うことが不正対策なるので、必ず文書で行うべきだと思います。

 それから、再同意の期間について、不正対策を議論しているときに、3カ月から6カ月に緩和する提案がされていますが、介護保険の要介護認定や訪問看護指示書と比べること自体が妥当性に欠けると思います。例えば医療保険の訪問リハは指示書から1カ月を経過すると算定できないことになっています。介護保険のリハも3カ月ごとの指示が必要となっていることを踏まえると、再同意の期間は3カ月でよろしいと思います。

 同意書については、後藤委員からご提案がありましたように様式を見直すとともに、再同意についても必ず文書で残すという方向でまとめていただきたいと思います。

○遠藤座長

 釜萢委員、どうぞ。

○釜萢委員

 先ほどの件で施術側からぜひ教えていただきたいのですが、医師の同意書が出されても不支給になることがあるというお話で、それは例えば今回この新たな宮崎県の同意書、この前のも部位が書いてありますけれども、例えば部位にマルがついていないところを施術する場合に不支給になるというような例が考えられるということでしょうか。それ以外にありましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。

○遠藤座長

 では、往田委員どうぞ。

○往田委員

 実際には、同意書を書いていただく先生が必要な部位にマルをつけていただいていても、いただいていないところに関してはそもそも請求はできないので、請求自体行わないのですけれども、マルがついているところに関しても、療養費は査定というものがないので、基本的に返戻か不支給しかないものですから、返戻か不支給という形をとられることがかなりあります。

 それで、往療の必要な理由に関しても、先生が往療が必要というふうに記載をしていただいていたとしても、例えば月に1回ないしは私が担当した例でいうと、人工透析を受けている患者さんは御家族が車でその透析まで送り迎えをしているので、通院が可能だということで往療料は不支給と出る。そういった医師の同意書に書かれているものに関して、不支給であるとか返戻ということがあるということは非常によくあるパターンです。

○釜萢委員

 それは、やはり保険者の判断ということになると、それ以上医師の側は何もそれに異を挟むことはできないように思うのですが、いかがでしょうか。

○遠藤座長

 往田委員、どうぞ。

○往田委員

 不支給の決定がなされれば、それは患者さんみずから審査請求を出して、そこと争っていくという形になろうかと思いますし、その審査請求の中で改めて同意書を書いていただいた先生に追加の何か資料みたいなものをいただいて、審査請求にかけるということはございます。

 返戻に関しては、継続的に返戻となってくるので、結局ほとんどのケースがその部位を削減した状態で改めて提出せざるを得ないということで、そこの減額された部分に関しては患者さんないしは施術者が全額負担をしていくということが実態であります。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 それでは、飯山委員どうぞ。

○飯山委員

 この件につきまして、私も基本的に幸野委員のおっしゃったことに賛成をしております。それで、同意書に関しまして宮崎県のものはなかなかよくできていると思うのですが、たまたま山形県の広域連合の同意書を見たことがあるのですけれども、それには往療の点についてもかなり詳しいチェックが入るようになっておりまして、先ほどから往療がいろいろ問題になっておりますので、事務局には申しわけないのですけれども、山形県の広域連合さんの同意書も参考に取り寄せていただいて、そこの往療の部分が使えるかどうか、できたらあのようにしていただければと思いますので、御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 それからもう一点、先ほど資料説明の中で12ページでしたか、「同意書の様式について、「診察日」を記入する仕組みを設けるべき」と、先ほど幸野委員もおっしゃっていましたけれども、これを入れることによって説明でも、請求書と実際にその日に診療が行われたかどうかを突き合わせることができるということになっておりますので、私ども、もし仮にこの受領委任という制度がきちんと動いて審査という話になったときには、これは審査上必ず診療診察があればレセプトが出るわけですから、そこで必ず先生に診ていただいたということが確認できるという大きなメルクマールになりますので、ぜひ診察日は加えていただきたいと思います。

○遠藤座長

 わかりました。ありがとうございます。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

 議論の前提をもう一回確認したいのですが、事務局にお伺いしますけれども、今日のあ-1の資料は、受領委任を仮に導入した場合の制度としての話をしているのですか。それとも、今の償還払いの制度を前提にしてもこういうことをやろうという資料なのですか。どちらなのですか。

○遠藤座長

 事務局、お願いします。

○保険医療企画調査室長

 一つのこれを検討する契機といたしましては、まさに受領委任制度を入れると、柔道整復師のほうでは受領委任制度で不正が多いということで、そのような不正をどのようにしたら防げるのかということをきっかけにこの不正対策を検討しているという契機でございます。

 その中で、やはりあん摩・はり・きゅう・マッサージにつきましては、医師の同意というのが柔整の骨折、脱臼とは違ってそれが契機になっているということで、ここのあり方ということを特に今、御議論いただいているものと理解してございます。

 これを仮にやる場合に、受領委任の場合だけにするのか、それともそうではない償還払いで残るところにもこれを適用するのかというところは選択の問題かなというふうに我々としては思っています。

 中には、やはり受領委任とセットでなければできないもの、例えば先ほどの研修みたいな話というのは受領委任で、施術管理者があって、それで研修というのは、受領委任のものでなければできないというものもあるでしょうし、この医師の様式については、例えば受領委任による場合も、そうでない場合もこのやり方でやるということは議論の結果としてはあり得るものなのかなと認識してございます。

○遠藤座長

 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

 今の健康保険法上の建前は、療養費は、療養の給付ができない場合に保険者がやむを得ざると認めた場合に支給するという話ですね。ですから、その制度の建前からいって、そこを何も変えない場合、今までそれで動いているわけです。つまり、償還払いの場合には同意書の様式は保険者が自分で好きなように指定していいはずですよね。

 一方、今度同意書の形式を統一するというのは、今までの法体系、制度体系と違うから、ということですよね。

 それで、今、机の上に配付されている同意書の様式の話ですが、私が今ここで議論をしているのは、受領委任の制度にするにはどうしたらいいかという、そちらのほうの議論をむしろどちらかと言えばやっているのだと思います。

柔道整復師のほうの受領委任でいろんな問題が起きている。そういうことにならないように、仮に受領委任にするとしたらどういうふうにしたらいいのかという議論をしているわけですから、そういった意味では今までのようなラフな同意書では私はだめだと思いますし、改めて先ほど幸野委員が御指摘になったように、健康保険法の施行規則で規定されたものがきちんと入っていないと同意書の条件にならないわけですね。ですから、そういった意味では後藤委員が提案されたような宮崎県のこういうもの、あるいはほかのものもあるわけですから、そういうものをベースにしてきちんとしたものをつくっていただきたいということを一つお願いしたいと思います。

 それからもう一つが、資料の1ページです。前回、私はいなかったので申しわけないのですが、1ページの「○」の2つ目の2行目で、1行目の終わりから言います。「施術者は、毎月、支給申請書の「写し」又は施術日数や施術内容のわかる明細書」、それで「(別紙様式案1)」と書いてありますけれども、これは「又は」ですから、「支給申請書の「写し」又は」と言われると、支給申請書の写しは患者さんには見せなくてもいいということですね。

 そうすると、別紙様式の1を患者さんに見せて、それを患者さんに交付する。これでも請求の場合、足りるという話になるのでしょうけれども、別紙様式の1を拝見しますと、施術日数が何日、あとは月でマッサージ施術が幾らとざっくりしたもので、ちょっとこれではだめですよね。

 ですから、施術日数何日ではなくて、何月何日にやったという記載がまずあって、それでトータル施術日数何日、それから各施術は毎回のものを書けとは言いませんけれども、先ほど明細書を出すかどうかの議論がありましたが、それを別にすれば、仮にこの様式の議論をすれば、まずいつやったかということと、施術については幾らのざっくりとした領収証ではなくて、何を何回やって、単価は幾らで、合計で幾らというものが出てこないと、全然明細書にはなりませんので、そこはきちんと申し上げたいと思います。以上です。

○遠藤座長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 高橋委員がおっしゃったとおり、この様式案1では施術を行った日付、1回の施術ごとの金額が何も確認できないということです。

 あ-1の2ページの論点に、高齢者や体が不自由な患者への負担についてどう考えるか。という投げかけがありますが、これは吉田理事長のヒアリングで明らかになったことで、毎回の施術ごとに明細書を交付されているのですから、これは実施できるということです。

 署名ができない患者の方には毎回明細書を渡して、その明細書を申請書に添付して申請すれば保険者も確認ができます。

 まさに吉田理事長の団体がやられているようなことをやって、それを申請書に添付することが不正対策なので、ぜひ御検討いただきたいと思います。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。ほかに1~3まで何かありますか。

 中村委員、どうぞ。

○中村委員

 吉田委員にお伺いしたのですが。

○保険医療企画調査室長

 すみません。それはもう終わっています。

○遠藤座長

 ほかに、1~3までありますか。

 では、往田委員どうぞ。

○往田委員

 患者さんがいつ施術をしたか覚えていないし、控えも取っていないというのは、先ほど申し上げたとおり、私は現場でやっていて非常に違和感があります。

 もっと具体的に言うと、私は毎月レセプトを患者さんのところに持って行って、今月は8回施術しましたねと言います。そうすると、患者さんのほうから、先月よりも1回少ないですねとか、多いですねとか、必ず発言があって、これはこの日休んだからですよとカレンダーを指し示して見て、内容を必ず確認していただいて御捺印いただいている。それができない方は、御家族にきちんとそれを説明してやっているということがあるので、毎回明細書を添付して、それをレセプトに添付して出す。

 明細書というのはお渡しするものですから、それを支給申請書に添付して出すということは償還払いのことをおっしゃっているかと思うんです。それで、本質的に架空請求や水増し請求を防ぐため、ないしは患者や請求の代行を患者さんにかわって行う施術者の負担をどうするかというバランスを見ながら、より実効性のあることを議論していくべきではないかと思います。

 繰り返しになりますが、私自身はやっていく中で、患者さんはほぼ100%請求内容に関しては確認をした上で御捺印をいただいておりますので、ここでされている議論を聞いていると、現場をやっている身としては違和感があるということでございます。以上です。

○遠藤座長

 では、幸野委員お願いいたします。

○幸野委員

 明細書を患者に渡すときは写しをとられて、その写しは保管されていますよね。

○往田委員

 支給申請書のことですか。

○幸野委員

 患者に領収証や明細書を渡すときは写しをとられて保管されていますよね。

○往田委員

 それは、もちろんです。

○幸野委員

 受領委任であっても、患者に請求内容を確認してもらった上で申請書に明細書を添付することは可能だと思います。

○往田委員

 それは、支給申請書の日付をちゃんと確認してもらっているのと同じことではないのですか。

○幸野委員

 患者は施術日や施術内容を正確に記憶しているわけではないので施術ごとに明細書を患者に交付することによって、患者は正確に把握することができ、その上で月末に申請書の内容を確認すれば、不正対策になると考えます。

○遠藤座長

 では、飯山委員、村岡委員の順番でお願いします。

○飯山委員

 請求書に証拠書類を添付するということは、ごくごく真っ当な普通の話だと思うのですけれども。

○遠藤座長

 中村委員、どうぞ。

○中村委員

 現実的ではないという話をしているんです。治療院で治療した場合はできるのですが、往療の場合、先ほどもお話ししたように、A宅、B宅という途中が抜けたときに往療の距離が変わりますから往療料は当然変化するので、その日のうちにつくることというのは難しいことなんです。ですので、そこは難しいのではないかというお話をさせてもらったのですが。

○遠藤座長

 飯山委員、どうぞ。

○飯山委員

 なぜ難しいのか、具体的にわからないんです。吉田先生のところではされているというお話ですから、されているところがあるのにできないという、その論拠というのがよくわからないのですけれども。

○中村委員

 マルメの場合の施術であれば、それは金額が定額ですからいいのですけれども、往療料は距離数によって変化があるわけですので、その日のうちに領収証といいますか、明細書といいますか、次の用意をしておくわけです。

 しかし、往療料に変化が出るということは、その用意した明細書といいますか、これは使えないことになってしまうので、現実的ではないというふうに考えているということです。

○遠藤座長

 飯山委員、どうぞ。

○飯山委員

 それでしたら、きちんと訂正すればよろしいのではないでしょうか。

○中村委員

 といいますのは、後日ということでよろしいですか。

○遠藤座長

 飯山委員、どうぞ。

○飯山委員

 その場で、多少時間がかかっても計算できるのでしたらきちんと計算し直して、会計処理で行われているような提出をすれば問題ないと思いますけれども。

○中村委員

 施術者によりけりですけれども、1つはパソコン上、距離がきっちり出てくるものと、もう一つは施術者が地図を持って定規で距離をはかっているという実態がありまして、それをその場で行うことが果たして毎回可能かというと、やや疑問がある。それも、また信頼性には欠けるかなと思います。

 その場で地図を持っているということと、定規を持っていて、はかって距離の計算を変えていくという作業をするので、不安はあります。

○遠藤座長

 それでは、村岡委員お願いいたします。

○村岡委員

 あはきのいわゆる不正のところでは、やはり往療料というのが基本になっていますので、本市の場合も今年1カ所、あはきで不正がありまして、基本的には往療には実際に行っているのですけれども、加算の部分をシステム的に水増しを図るということで、結果的に本市と後期高齢者をあわせると600万円近くの不正というのが発覚をいたしまして、最終的には廃業したのですけれども、やはり往療料に対してきちんとした規制がかかる仕組みを考えていかないといけないだろうと思います。

 そういう意味でいきますと、事後になってしまうと結果的にはシステム的に加算で水増しをされる可能性もありますから、その場できちんと幾ら患者さんが自己負担を払っていただくのかがわかるようにしていくというのが基本ではないかと思いますので、そのあたりというのは施術者の皆さんも十分また検討していただきたいと思っています。

 それと、同意書の件に関しては、やはり医師の同意というのは重要なポイントですので、そういった意味ではできるだけ詳細にしていくということと、診察日は確実に記載をしていくことが必要ではないかと思っています。

 ただ、その場合、医師の同意があったときに最終的に療養費として請求できるかどうかということについてはしっかりと基準を設ける。当然、医師の同意があるという以上は、ある意味、詳細な記載があれば、どちらかというと保険者側の立場からすれば、それに対して支払いをするということも必要なことではないかと思いますので、そういった保険者の裁量というのがどこまで認められるのかということについてはしっかりとした基準づくりをした上で、療養費として必要な方に対しては適正に支給がされるということも重要ではないかと思っています。

 それと、同意書の期間ですけれども、3カ月という御意見もありますが、一方では高齢の方が多いということもありますし、費用的な負担というのも出てくるということと、基本的には慢性的な傷病、疾患に対して施術を行うということが基本ですから、具体的にこういった形での同意書を得られるのであれば、6カ月という期間でも適正に判断ができるのではないかというふうに私は思っています。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、同じような意見であれば議論をしても並行線をたどることはわかっておりますので、その辺は一応考えて御発言いただきたいと思います。その上で、御発言したいというのであればお願いします。

 清水委員、どうぞ。

○清水委員

 私は公益の立場から訪問診療をしながら、実際に同意書を書いている立場から発言いたします。

 後藤委員から出された宮崎県の同意書は、私は非常にすばらしいと思っております。なぜかといいますと、これを見た瞬間、10年前を思い出しました。それこそ介護保険が始まったときに指示医意見書をきちんと書ける先生はいなかったのです。それがいろいろ勉強しながら、ドクターに対してこういうふうに書きましょうとか、この辺に問題がありますということを、実はこの後ろに「同意書を作成いただく先生方へ」という文章がついています。こういうものを、我々は今まで一回も見たことがないんですね。こういうものがなしで今までずるずるといっていたものですから、そういう意味では頻回、あるいは長期、これがチェックされずにいっているということがあります。

 ですから、これは非常にすばらしい項目なのですが、ちょっと文量が多かったり、書き足りないところがあるので、これはこれできちんともう一度チェックをして、できれば全国で使っていただきたいと思います。

 それから、もう一つは同意書の作成なのですが、これに関してはやはり保険者のところと医師会を含めて、もう一度わかりやすい内容を記載したものを全先生方に配布する。あるいは、講習会をやってもいいのでしょうけれども、そういうような姿勢でこれからぜひさせていただきたいと思います。

 私は、この形は大賛成です。ただ、ちょっとでこぼこがありますので、多少修正ありということでさせていただきます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 それでは、小谷田委員、往田委員の順番でお願いします。

○小谷田委員

 今の同意書の件ですが、事務局の不正対策案の10ページで一番下の「○」ですが、「通知等により、同意書を書く医師に対して、上記とともに、同意書の必要性や意義の理解の浸透を図る」というふうに書かれております。

 今後、具体的にどのように何をしていくのかということをお聞かせいただきたい。例えば、課長通達等をマニュアル化して医師会のほうに提出するとか、今、清水先生がおっしゃったようなちぐはぐみたいなものがあれば、それらの周知徹底をしていただきたいと思います。

 そして、我々は以前より何度も意見を述べてまいりましたけれども、あはきは柔整と違って医師の同意書により不正防止の関所となっていると考えておりますので、そういったことを含めて患者さんの切実な要望に応えていただけるような仕組みづくりをぜひお願いしたいと思います。以上です。

○遠藤座長

 では、往田委員どうぞ。

○往田委員

 医師の同意・再同意の部分に関してでございます。まず、先ほどどなたかが、施術者が再同意をとっていないにもかかわらず、同意をとったかのように云々という御発言がありました。ちょっと前提として整理をしていきたいと思うのですが、そもそも医師の同意というものは訪問看護の指示書と違って、同意はだれに対して出されているかというと、医師から患者さんに対して出されているというところが大前提としてあります。それが訪問看護の指示書等々と大きく異なるところであって、その患者さん自体に同意が与えられているということで、その患者負担を抑制するということを趣旨として昭和57年に老健法の附帯決議の中で口頭同意が認められる。

 ここは、私どもとしては堅守していくべきだと思うのですが、その一方で、施術者が患者さんにかわって同意をとること自体も認められておりますし、そのときとは時代も大きく変わっているので、そこの部分をきちんとやっていくための一つとして、同意医師に対しての施術報告書の義務化というものを御提案させていただいたところであります。

 それと、さらに同意の書面化ということであれば、これは今回の同意医師に対しての報告書の義務化というところに重ねて、患者の負担がふえるということになりますので、私どもとしてはこの事務局案にあるように受領委任制度の中で施術者が同意をしていただいたドクターに対して、一定期間ごとに施術報告書というものを提出をすることを義務として、現行の口頭同意の仕組みは堅守をしていただきたいという意見でございます。以上です。

○遠藤座長

 それでは、まだ御発言がなかったので宮澤委員どうぞ。

○宮澤委員

 宮澤です。私ども町村国保ということで、非常に小規模の保険者という立場から発言させていただきます。

 実際、このあはきの療養費の請求につきましては、月に2~3件ぐらいの請求しかございません。そういう少ない申請件数でありますから、これも全て代理事業ということで請求事業は事業者さんが行っているケースでございます。

 その中で、この往療料というあたりが少し問題になっているところでございまして、資料にもついておりますが、費用請求の60%から70%ぐらいがこの往療料の請求に占められております。そういった中で、真に往療が必要な患者さんかどうかということは、申請件数が少ないということで、その辺の確認については全てできる状態でございます。

 ただ、この中で確認がとれないというのは、例えば施設に入所をしている。ショートステイで入所している。その施設で治療を受けた場合について同一日、同一場所の往療の算定ということで、果たして同一日、同一場所のときにほかの保険者の方も診療をされているかどうか。そこが今チェックがとれていない部分になりますが、今後は4月から国保の広域化ということで都道府県も保険者になるということでございますが、その中でこの辺についてはさらにチェック体制が向上するのかなと私は思っております。

 それからもう一つ、今ほどの同意書の件についてでございます。再同意については私どもも申請書の中で確認させていただいておりますが、初めての同意日の欄に再同意の記載がされているというところでございますので、その辺は施術者さんの理解の不足もあるかと思いますけれども、その辺については私どものほうから確認をさせていただきたいと思いますが、やはりこの再同意についてはきちんと申請を受けた保険者が迷いなく、これは確実に再同意されているのだという証拠が残れば一番よろしいのかなと考えております。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 まだ1~3に関しては御意見もあるかと思いますけれども、かなり予定が押しておりますので、4以降について御意見、御質問があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

 往田委員、どうぞ。

○往田委員

 先ほどヒアリングの場でも申し述べましたが、出張専業の施術者に関して、その往療料をどうするかという問題でございます。

 私の母も実はそうだったのですけれども、全盲で公団みたいなところに入居している方というのは、なかなかそこが施術所として認められないということがございまして、やむを得ず出張専業の届け出で施術を行っている視覚障害者の方というのはまだ多数いらっしゃいます。

 それで、もともと、あはきに関しては歴史的に施術所を持たずに患者さんのところに出向いてやっていくという施術スタイルが一般的に行われていたというところが、あはきに関しては出張専業の届け出の業が行えるというところの一つの大きな特徴となっております。

 その中で、患者さんのところに往療に行って、そこが医療費の支給対象になるか、ならないかというところは、その開業のスタイルではなくて、やはり患者さんのところに出向く。そこの費用弁償の意味合いが往療料には附帯されておりますので、現行どおり往療料に関しても、出張専業であってもきちんと医師の同意があり、患者さんが歩行困難であるということが担保される場合においては支給の対象として支給していただくような形を堅持していただければということを要望申し上げます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。ほかに何かございますか。

 では、幸野委員どうぞ。

○幸野委員

 往療について意見を申し上げます。

 この資料でもわかりましたように、不正の6割が往療料関係ということなので、往療料の抜本的な見直しなくして受領委任の検討には入れないということをまず申し上げておきます。

 都道府県別の距離加算の算定状況を見ても、地方と都市部で有意な差はありませんし、そもそも療養費の往療料の距離加算というのは医科に準じてできたものですが、医科の距離加算は既に平成4年に廃止されているという現状がある中で、医科との整合の観点を図る観点からも、あはきの距離加算についても廃止すべきだと思います。

 訪問専門の施術所については、往療を必要としない患者へも往療料を算定している等の不正が多いという事実もありますし、往療専門の施術所については算定できないということを求めます。

 また、在宅医療を専門に実施する医療機関非常に厳格な基準が示されているのですが、あはきの場合は基準が全くありません。先ほどの吉田理事長からのヒアリングにもありましたように、依頼された方とは違う方が施術に行くという不適切な運用がされていることもありますので、往療を専門とする施術者に対しても厳格な基準を設けるべきだと思います。

 そして、療養費全体に占める往療料の割合が非常に高くなっているという現状もありまして、往療料の適正化のためには最終的には往療料と施術料は包括料金とすべきということを提案いたします。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。

 往田委員、どうぞ。

○往田委員

 先ほどの事務局からの資料の中に、不正請求の事例がさまざま載っておりました。これは過去にも申し上げたことがございますが、我々あはき師はその療養費の取り扱いそのものについて学ぶ機会というものがほぼございません。私自身も施術団体に入って、そこの中で療養費というのはこういうものだ、療養の給付とどう違うのかということも含めて徐々に学んでいくということで、いわゆる教育を受ける仕組み自体が存在しない。

 それで、不正で処分をされた施術所に勤務していた施術者の方と直接お話をしたこともありますが、彼らもまた療養費の取り扱いに関しての知識が全くない中でそういうことに手を染めてしまっているという現状がございます。

 ですので、私ども4団体として重ねてお願いをしているように、受領委任の制度の導入に当たっては、これは指定更新制の導入と指定更新研修の受講の義務化、この一定期間ごとの施術者に対する教育の義務化によって適正化を長期的に図っていくべきだと考えておりますので、ぜひそういったことに関しても御検討いただければと思います。以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。大体意見は出尽くしたということでございますね。

 ありがとうございます。では、ただいま非常にいろいろな御意見が出ましたので、事務局におかれましては次回以降の資料につきまして本日いただきました御意見を踏まえた形で整理して、今後の議論に資するような形の資料を準備していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議題は以上でございます。

 次回の日程について、事務局から何かございますか。

○保険医療企画調査室長

 御議論ありがとうございました。

 次回の日程につきましては、日程調整の上、後日連絡させていただければと思います。

○遠藤座長

 どうぞよろしくお願いします。

 それでは、これをもちまして第17回「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。

 長時間、どうもありがとうございました。


(了)

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