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2017年10月16日 第67回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

○日時

平成29年10月16日(月)15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第21会議室(17階)


○出席者

公益代表委員

内藤部会長、小野委員、関委員、山本委員

労働者代表委員

大久保委員、小川委員、花井委員、宮嵜委員

使用者代表委員

久保委員、白土委員、須永委員、友利委員、新田委員

(事務局)

宮川雇用環境・均等局長、成田大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当)、平嶋勤労者生活課長、外山勤労者福祉事業室長、加藤勤労者生活課長補佐

○議題

(1)部会長及び部会長代理の選任について
(2)確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)要綱等について(諮問)
(3)中小企業退職金共済制度の現況及び平成28事業年度決算について
(4)一般の中小企業退職金共済制度の財政検証について
(5)その他

○議事

○平嶋勤労者生活課長 ただいまから「第67回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。私は勤労者生活課の平嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は委員の皆様の改選後、初めての部会ですので、部会長が選出されるまでの間、私が議事進行役を務めさせていただきます。まず、事務局を代表いたしまして雇用環境・均等局長の宮川より御挨拶を申し上げます。

○宮川雇用環境・均等局長 本年7月より中小企業退職金共済制度などを担当することになりました雇用環境・均等局長の宮川でございます。本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 中小企業退職金共済制度ですが、独力では退職金制度を設けることができない中小・零細企業のための相互扶助の仕組みとして、昭和34年に国が法律で設けた制度です。以来、時々の社会経済情勢を踏まえた制度改正を経つつ、中小企業の従業員の福祉の増進、更にはそれを通じた中小企業の振興に寄与してまいりました。

 後ほど課長より御説明申し上げますが、本日は確定拠出年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う中小企業退職金共済法関係政省令の改正案の要綱についての諮問、答申、それと一般の中小企業退職金共済制度の財政検証などをさせていただきたいと思っております。中小企業退職金共済制度の安定的な運営のため、本日は忌憚のない御意見等を頂けますようよろしくお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 続きまして委員の方々を御紹介いたします。資料1として委員名簿をお付けしておりますのでこの名簿順に御紹介いたします。

 まず、本日御出席いただいている委員の方々です。公益代表委員としてみずほ信託銀行株式会社年金研究所主席研究員の小野正昭委員です。横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、関ふ佐子委員です。慶應義塾大学法学部教授、内藤恵委員です。名古屋市立大学大学院経済学研究科教授、山本陽子委員です。

 次に労働者代表委員として、日本労働組合総連合会総合労働局労働条件・中小労働対策局長の大久保暁子委員です。全国建設労働組合総連合賃金対策部長の小川拓也委員です。労働者福祉中央協議会事務局長の花井圭子委員です。日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会中央執行委員長の宮嵜孝文委員です。

 使用者代表委員として、株式会社淺沼組安全環境管理本部安全環境管理部長の久保久典委員です。株式会社シラド化学代表取締役の白土博子委員です。税理士法人丸の内ビジネスコンサルティング代表社員の須永明美委員です。株式会社OBSジャパン代表取締役の友利秀則委員です。一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部上席主幹、新田秀司委員です。新田委員につきましては後ほど御出席の予定です。

 また、本日は御欠席ですが、公益代表の専修大学商学部教授、鹿住委員、労働者代表のJAM副書記長、川野英樹委員がいらっしゃいます。

 続いて事務局ですが、大臣官房審議官、雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当の成田です。勤労者福祉事業室長の外山です。勤労者生活課課長補佐の加藤です。

 議題に入る前に、本日の資料の参考4として添付しております、勤労者生活分科会の運営規程の改正について御報告いたします。参考45ページを御覧ください。厚生労働省は711日付けで組織再編があり、勤労者生活分科会及び当部会の事務局を担当しております勤労者生活課は、労働基準局から雇用環境・均等局に移管されました。この組織再編に伴い、参考45ページの傍線の箇所のとおり、組織再編を反映させた形式的な改正をいたしましたので御報告いたします。

 議事に入ります。本日は議題が5件ございます。まず議題1、部会長の選任を行いたいと存じます。部会長については労働政策審議会令第7条第4項の規定により、部会に属する公益を代表する本審の委員から、当該部会に所属する本審の委員が選挙することとされております。当部会におきまして、公益を代表する本審の委員でいらっしゃるのは内藤恵委員お一人ですので、審議会令の規定により内藤委員に部会長をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○平嶋勤労者生活課長 それでは、以後の議事進行につきましては内藤部会長にお願いいたします。

○内藤部会長 承りました。ただいま、部会長ということで御指名賜りました内藤恵でございます。初めての経験でいろいろ至りませんが、労使双方の委員の皆様から様々御教授いただき、進めてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして部会長代理の指名を行いたいと存じます。部会長代理の選出につきましては、労働政策審議会令第7条第6項に、部会長に事故があるときは、当該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するという規定がございます。この審議会令の規定に基づき、本日は御欠席でいらっしゃいますが、今回の委員改選前から当部会の委員をされ、御尽力くださいました鹿住委員を御指名申し上げたく存じます。いかがでしょうか。

(異議なし)

○内藤部会長 ありがとうございます。それでは部会長代理は鹿住委員にお願い申し上げたいと存じます。

 それでは、議事次第に従って議事を進めてまいります。まずは議題2、確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱等についての諮問です。この件につきましては、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問がなされております。事務局の方から御説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 資料2を御覧ください。1ページ目、法律の概要です。確定拠出年金法等の一部を改正する法律が昨年524日に成立、63日に公布されております。この資料の中でDCというのは確定拠出年金、DBというのは確定給付企業年金を表しています。この法律はいろいろな方面にわたっておりますが、当部会で関係するのは概要2の○2、DCからDB等、DB等の中には中小企業退職金共済制度が含まれておりますが、ポータビリティを拡充するという内容です。これについては、施行を平成3051日にしたいと考えております。

2ページ目がポータビリティの内容です。真ん中の灰色の部分が、合併等を行った後の企業を表しております。合併後においてDBDCと中退共が併存する場合があり得る。こうした場合、どちらかに揃えることができる、揃えるに当たっては労使で判断し、従業員ごとに同意を得るという前提です。

 赤の線がDBDCから中退共へ移換する場合です。DBDCの実施団体に資産移換の申出をして、この実施団体から勤退機構に資産を移換してもらうということです。逆の場合は青の線になります。

3ページは政令の主な改正内容です。資産移換について、掛金納付月数への通算方法、退職金額の算定方法について定めております。DBDCから資産移換された後、中退共制度においては月数で管理するとしておりますので、まず○1が何か月分に相当するかという計算をいたします。そこできっちり割り切れないことが多いわけですから、残余の額については予定運用利回りと付加退職金も付与しながら別途管理をして、退職の際に合算した額をお支払いするというスキームです。

4ページは省令の主な改正内容です。まず、DBDCから中退共制度への資産移換についてです。資産移換した場合の退職金額は、移換時から通算した掛金納付月数分、遡った月に退職金共済契約の効力が生じたものとして算定する。(1)です。これは税制優遇措置に関連するもので月数管理が必要となってきます。

 資産移換の際の手続ですが、まずDBDCと中退共との間で、移換額は一括して移換すること等を約する資産移換契約を結んでいただきます。○2の所、資産喪失手続をDBDCにしていただくと同時に中退共に加入手続をしていただく。併せて○3の所、資産移換の申出を中退共にしていただきます。その際は従業員ごとの移換額を記載した移換申出書、それから従業員の同意を証する書類を提出していただきます。その後、○4ですが、機構が口座指定してから60日以内に実際に資産を移換していただくという流れになります。

5ページは中退共制度からDBDCに出ていく場合です。まず、今回、合併に伴ってのポータビリティということですが、合併の範囲については後ほど御説明いたします。

(2)ですが、資産移換の申出を行うことができる期限は「合併等」から1年以内、それから資産移換をする際の手続について定めております。資産移換の手続については、共済契約者にDBDCに加入していただくことと同時に中退共契約を解除していただく、それから資産移換の申出をしていただいて実際に移換をするということです。この際、共済契約者の下の吹出しですが、移換に関して必要な事項について、被共済者への説明義務があると記載しております。

6ページが先ほどの「合併等」の範囲についてです。まず、合併として、A社がB社を吸収してA社になるような吸収合併、A社とB社がC社になるような新設合併、分割として、B社の一部がA社に吸収されるような吸収分割、A社とB社の一部がC社になるような新設分割、それからこのような組織上の変化はないのですが、B社の事業の一部をA社がもらい受けるような事業譲渡、これらについて「合併等」の範囲として定めたいと思っております。

 資料3は、今御説明した内容を縦書きにしたものと諮問文になります。

○外山勤労者福祉事業室長 それでは、諮問文を読み上げさせていただきます。厚生労働省発雇均10161号、平成291016日、労働政策審議会会長、樋口美雄殿。厚生労働大臣、加藤勝信。

 下記の事項について、貴会の意見を求める。記、1.確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)(別紙1)2.確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)(別紙2)

 別紙1、確定拠出年金法等の一部を改定する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)

 第一、中小企業退職金共済法施行令の一部改正。一、資産管理運用機関等からの移換額の移換等。1、確定給付企業年金法第30条第3項に規定する資産管理運用機関等(以下「資産管理運用機関等」という)又は確定拠出年金法第2条第7項第1号ロに規定する資産管理機関(以下「資産管理機関」という)から独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下「機構」という)が資産の移換を受けた場合において、当該移換を受けた資産の額(以下「移換額」という)の算定の基礎となった期間の月数を上限とする各月数のうち、当該移換額及び当該移換額に係る被共済者の中小企業退職金共済制度における掛金月額等により算定される最大のものを、当該移換額に係る被共済者の掛金納付月数に通算すること。21の移換額から掛金納付月数への通算に係る額を控除した残余の額に対しては、年1パーセントの利率を付与すること。二、その他所要の規定の整備を行うこと。

 第二、施行期日等。一、施行期日。この政令は、確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第60)附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日(平成3051(予定))から施行すること。二、その他。関係政令について所要の改正を行うこと。

 別紙2、確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)。第一、中小企業退職金共済法施行規則の一部改正。一、資産管理運用機関等からの積立金等の移換等。1、資産管理運用機関等に関する事項。()中小企業退職金共済法(以下「法」という)31条の31項の規定により機構と資産管理運用機関等又は資産管理機関が締結する契約において約する事項は、事業主が移換額の移換の申出をした場合において、資産管理運用機関等又は資産管理機関は、移換額の総額を一括して機構に移換することとすること。()資産管理運用機関等又は資産管理機関は、機構が振込先の預金口座を指定した日から起算して60日以内に資産の移換を行わなければならないものとすること。2、事業主に関する事項。()法第31条の31項の規定により事業主が機構に行う申出(以下「資産移換申出」という)は、従業員ごとの移換額及び移換額の算定の基礎となった期間の月数等を記載した移換申出書に、当該従業員が移換額の移換に同意したことを証する書類等を添付して行わなければならないものとすること。()資産移換申出を行った事業主に対しては、加入促進のための掛金負担軽減措置は適用しないこととすること。3、被共済者の退職金の額に関する事項。資産の移換に伴い掛金納付月数が通算された場合の退職金の額の算定は、共済契約の効力が生じた日の属する月から当該通算する月数分遡った月に共済契約の効力が生じたものとしてみなして行うこととすること。

 二、資産管理運用機関等への解約手当金に相当する額の移換等。1、法第31条の41項の会社法その他の法律の規定による合併、会社分割その他の行為(以下「合併等」という)に関する事項。法第31条の41項の規定により共済契約者が資産管理運用機関等への解約手当金に相当する額の移換を機構に申し出ることができることとされている、共済契約者が合併等をした場合とは、共済契約者が確定給付企業年金法第4条第1号に定める実施事業所又は確定拠出年金法第3条第3項第2号に定める実施事業所を相手方として、会社法第2条第27号に規定する吸収合併、同条第28号に規定する新設合併、同条第29号に規定する吸収分割、同条第30号に規定する新設分割及び同法第468条第1項に規定する事業譲渡等とすること。

2、共済契約者に関する事項。()法第31条の41項の規定により共済契約者が機構に行う申出は、合併等をした日から起算して1年以内で法第8条第3項第1号の規定により共済契約が解除された日の翌日から起算して3月以内に、移換を行う被共済者の氏名等を記載した移換申出書に、当該被共済者が解約手当金に相当する額の移換に同意したことを証する書類を添付して行わなければならないものとすること。()法第31条の41項の申出を行う共済契約者は、共約契約を解除するときは、同項の規定による移換に関して必要な事項について、被共済者に説明しなければならないものとすること。()法第31条の41項の申出を行う共済契約者は、機構に共済契約を解除する旨を通知するときは、合併等をしたことを証する書類等をあわせて提出しなければならないものとすること。

3、確定給付企業年金法第2条第1項に規定する確定給付企業年金(以下「確定給付企業年金」という)及び確定拠出年金法第2条第2項に規定する企業型年金(以下「企業型年金」という)に関する事項。()法第31条の41項の規定により機構から移換を行うことができる確定給付企業年金は、同項の規定により機構から移換する金額が同項の申出をする共済契約者が負担する掛金として一括して払い込まれるものであること等に該当するものであること。()法第31条の41項の規定により機構から移換を行うことができる企業型年金は、同項の規定により機構から移換する額の全額が、同項の申出に係る被共済者に係る個人別管理資産に充てられる資産として一括して払い込まれるものであること等に該当するものであること。

 三、その他所要の規定の整備を行うこと。

 第二、施行期日等。一、施行期日。確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第60)附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日(平成3051(予定))から施行すること。二、加入促進のための掛金負担軽減措置に関する経過措置。施行日以後に資産管理運用機関等から資産移換を行った事業主が施行日前に退職金共済契約の申込みを行っていた場合は、加入促進のための掛金負担軽減措置が適用されるものとすること。三、その他。関係省令について所要の改正を行うこと。以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました、お疲れ様でした。ただいまの御説明につきまして御意見、あるいは御質問等ございましたらお願いいたします。

○須永委員 今回示された要綱につきまして、おおむね妥当であると思います。制度のポータビリティを高めることは大変良いことですので、政府におかれては、中小企業への周知・啓発に力を入れていただくようお願いいたします。その際、中退共制度の魅力についても併せてPRをしていただき、加入者の一層の増加を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○内藤部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○大久保委員 こちらの説明資料22ページにあります、合併等を行った後で「どちらの制度を引き続き継続するか、労使で判断し、資産移換について従業員ごとに同意を得る」、この部分について確認をお願いしたいと存じます。どちらの制度を継続するかは労使で判断する、つまりこれは労働者代表および企業代表で集団的に判断をするということだと思います。その後に「従業員ごとに同意を得る」とございます。つまり労使で合意をして、どちらか一方の制度を継続するとなった場合でも、従業員のお一人でも、例えば中退共に残りたいという御意見、そのような判断があれば、中退共に個人として残ることができるという解釈でよろしいのでしょうか。その点、御確認をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 御理解のとおりです。労使で協議いただき、どちらかの制度を選ぶと。それから、中退共からDCに、あるいはDBに行くと決まった場合であっても、中退共制度は従業員の同意がなければ移換ができないことになっておりますので、お一人でもそういう方がいらっしゃれば、その方は中退共制度に残るということです。

○大久保委員 今、確認を頂いた上で2つお願いがございます。まず1つは、多分、企業にとっては1つの会社の中に2つ以上の退職金の制度があるという状態は、決して望ましいことではないと考えます。とは言いましても、従業員のお一人でも中退共に残りたいという方がいらっしゃる場合、決して強要して中退共からDBDCへの移換をするようなことがないよう、その点は是非周知をお願いしたいと思います。

 もう一点、中退共から特にDCに移る場合、DCというのは従業員一人一人が自分の退職金の資産を管理しなければならないということで、それまで中退共に、言わばお任せきりだった労働者にとっては非常にハードルが高いと思います。会社側に既に説明義務があることは承知をしておりますが、とりわけ中退共から移る労働者、従業員に対してはしっかりと説明、解説、それから訓練、学習の機会がしっかりと与えられるよう、その点も周知をお願いしたいと存じます。

○内藤部会長 いかがでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 ありがとうございます。移換についてこれから周知していくわけですが、その際にはそういった強要が行われないように、しっかり周知していきたいと思います。御懸念の点、特にDCに加入した場合の従業員への投資教育については、DC法令上措置されており、事業主や受託金融機関は加入者の運用指図に資する必要な措置や情報提供を行うこととされております。この点、しっかり履行されるよう周知してまいりたいと思っております。

○内藤部会長 いかがでございましょうか。ほかの委員の方々から御意見はございませんでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、部会として厚生労働大臣からの諮問を妥当と認め、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛て報告することにいたしたいと存じます。よろしゅうございますか。

(異議なし)

○内藤部会長 それでは、諮問どおり妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛て報告をすることにいたしたいと存じます。事務局から報告()を御用意いただきますので、読み上げていただきたいと存じます。

○外山勤労者福祉事業室長 報告()を読み上げさせていただきます。平成291016日。勤労者生活分科会分科会長、内藤恵殿。中小企業退職金共済部会部会長、内藤恵。

 「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)」及び「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)」について。

 平成291026日付け、厚生労働省発雇均10161号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。

 記、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)」及び「確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)」について、厚生労働省案は、妥当と認める。

 なお、労働政策審議会令第7条第7項の規定により、この部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項によりまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。

 このことから、御承認いただければ、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されるということになります。以上です。

○内藤部会長 ありがとうございます。事務局の御説明のとおり、実質的にはこの内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申されることになります。ただいま、朗読していただきました文案でよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

○内藤部会長 ありがとうございました。それでは、諮問どおり妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛てに、私なのですが、報告したいと思います。この内容で厚生労働大臣宛てに答申することにいたしたいと思います。

 続いて議題3、中小企業退職金共済制度の現況及び平成28年の事業年度決算についてに入ります。事務局から御説明をお願い申し上げます。

○平嶋勤労者生活課長 それでは、資料4を御覧ください。中退共制度の現況です。まず、新規加入状況です。共済契約者数、事業主ですが、新規で19,870人の加入がありました。特に一般の中退で増加しております。被共済者数、労働者数ですが、488,274人ということで、こちらも特に一般の中退で増加しております。

 在籍状況についてですが、ストックで共済契約者数が539,000人、被共済者数が562万人ということで被共済者数が減少しておりますが、これは建設業の所で少し統計の見直しを行い、10年以上加入しているのに受給資格がない方、具体的には12月以上の支払いがない方については、統計上除いた結果、96万人の方が除かれたということで、221万人になっております。ただし、今後、その方々が12月を超えて納付されれば、もちろん、受給資格が生じるということです。

2ページです。退職金の支給状況です。支給件数の合計は316,000件です。1件当たりの支給金額は約127万円です。これについても建設業で支給件数が大きく増加しております。それから、1件当たりの支給金額が減少しておりますが、これは昨年度から不支給期間を24か月から12か月に短縮したことが大きく寄与しており、その結果、件数が増加して支払期間が短い1224月の方も対象になり、1件当たりの支給金額が減少したということです。

3ページです。平均掛金月額は9,363円ということで、少しずつ増加傾向です。掛金日額は、27年度に林業で10円引き上げており、ほかは変わっておりません。運用資産残高は、合計で57,000億円、一般で47,000億円、建設業で1兆円弱です。4ページです。利回りの状況です。まず、中退ですが、自家運用が0.67%のプラスで、こちらは徐々に低下してきております。一方で、委託運用は4.38%のプラスで、前年度はマイナス運用となりましたが、28年度はプラスに転じており合計で2.3%のプラスです。

5ページです。上が建退共の給付経理、中小用のもので合計が1.46%のプラス、6ページ、清酒も1.24%のプラスです。7ページです。林退共は合計で2.1%のプラスで、こちらは平成28年度から委託費用を節約するために中退共と合同運用を始めておりますが、結果的に2.1%のプラスでした。後ほど説明しますが、中退共で少しリスクを抑えるような運用に変更しており、平成29年度以降は、林退も少し利回りを取る確率が低くなってくるかと思っております。

 資料5です。決算の概要です。1ページは全体です。下の表が損益計算書です。平成28年度の純利益が583億円で、上の貸借対照表の利益剰余金の所を御覧いただくと5,028億円の利益剰余が出ております。2ページです。一般の中退です。下の表ですが、平成28年度の純利益が684億円で、上の表の利益剰余金は3,814億円まで増加しております。3ページです。建退共です。建退共は下の表で当期純損失が121億円出ております。この要因ですが、この表の上のほうに責任準備金繰入とあります。これも先ほど説明した不支給期間を24月から12月に短縮したこと、利回りを2.7%から3.0%に引き上げたことから、その分、準備金を積んだということです。こうしたことで120億円の単年度赤字でしたが、利益剰余金としては上の表の下の所で1,063億円、まだあるということです。

4ページです。清酒です。当期純利益は7,900万円です。利益剰余金の合計は26億円です。少し上の所に責任準備金とあり、これは約20億円ですので、責任準備金に対して大幅に利益剰余金が生じております。5ページです。林退です。当期純利益が先ほどの2800万円で、ただ、繰越欠損金が、依然、78,000万円あります。説明は以上です。

○内藤部会長 ただいま事務局から議題3について説明がありましたが、何か御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

○山本委員 御説明ありがとうございました。資料4の現況について質問が2点あります。1ページの新規加入状況と在籍状況を拝見すると、毎年、新規の共済契約者数が2万者ほどあるのですが、在籍状況のストックを見ると、それほど増えていないということなのです。これは、毎年辞める方もそれなりにいるということでしょうか、その理由は、例えば廃業なのか、あるいは制度から脱退されるのか、その辺りをどのように捉えていらっしゃるのか教えていただきたいということが1点目です。

2点目は、一般の所の業種や産業の分布がどのようになっているのか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。やはり、制度を安定的に運用するためには、加入率が高いほうがいいかと思います。こういう産業や業種で何か違いがあって、加入にどういう障害や足かせみたいなものがあるのか、もし分かりましたら教えてください。

○加藤勤労者生活課長補佐 まず、2つの御質問のうちの2つ目です。この中で大きく分けて、例えば、サービス業、製造業、商業等があります。平成7年度と平成28年度を比較すると、サービス業は28.5%の割合だったものが、平成28年度では40.8%になっている。商業は23.8%の割合だったものが、平成28年度では16.7%になっている。製造業は16.9%だったものが、11.4%になっている。追加ですが、建設業は23.4%だったものが、20.9%と、産業構造の変化に合ったような割合の変化が見て取れるという状況です。

 それから、1点目の被共済契約者数の推移と被共済者の在籍状況です。やはり、年齢構成の変化によって退職者数は増えてきている傾向です。一方で、新規加入の促進の取組もあり、退職される方の割合よりも、新規に加入していただく方のほうが少し増えているという状況です。そのお陰で在籍の状況は年々増えてきております。

○内藤部会長 山本委員、いかがでしょうか。

○山本委員 ありがとうございます。では、産業別で余り特徴があるわけではなくて、産業構成の配分に割と比例して加入率も決まっているということですね。

○加藤勤労者生活課長補佐 はい、そのとおりです。

○山本委員 ありがとうございます。

○内藤部会長 ほかに何か御意見等ございますか。

○平嶋勤労者生活課長 1点目の御質問は共済契約者数のほうのことだったと思いますので、その辞めた理由については調べてまたお届けいたします。

○内藤部会長 よろしくお願いします。ほかに何か御意見等ございますか。

○宮嵜委員 質問というより要望ということになると思いますが、先ほど資産運用残高や利回り状況の報告がありました。この部会の中でもずっと論議になってきているように、貴重な退職金ということですので、安全かつ安定的な運用が必須だと思いますので、引き続き安全かつ効率的な運用をお願いしたいと思います。以上です。

○内藤部会長 よろしくお願いします。ほかに何か御意見等ございますか。

○小野委員 資料5に関して2点ほど質問します。まず、1ページの損益計算書の中に厚生年金基金代行返上益が23億ほど立っておりますが、これに関して経緯等がありましたら御説明いただきたいということが1つです。もう1つは、これから御説明があると思いますが、今年度は財政検証ということで、いろいろ基礎率を見直したりするという作業が行われるということなのですけれど、これに伴って責任準備金は、若干、変動するのではないかと思います。その変動分は、この決算期ではなくて次の事業年度に計上されるのかという、その辺りの扱いについて質問させていただきたいと思います。以上です。

○平嶋勤労者生活課長 1つ目の御質問については、厚生年金基金をやっておりましたが、それを解散したということで、その代行返上益が一時的に計上されております。

○小野委員 これは機構の職員の方ということなのですか。

○平嶋勤労者生活課長 そうです、機構の職員の。2つ目の御質問ですが、責任準備金は、その年々の加入や脱退を踏まえて年度末の段階で、一旦、計算しておりますが、毎年度変わっていくものです。傾向を見ると、徐々に責任準備金は増えていっている状況です。財政検証が今年の決算に影響するのかという意味では、財政検証は来年度からのルールを定めるものですので、来年度以降にその影響が生じるということです。

○小野委員 はい、承知しました。

○内藤部会長 ただいまの事務局からの説明等に関して、あるいは、それ以外に何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、議題3については、これでひとまず説明を賜ったということで、次に議題4の一般の中小企業退職金共済制度の財政検証について、事務局から説明をお願いします。

○平嶋勤労者生活課長 それでは、資料6の財政検証の資料に沿って説明します。3ページです。この財政検証は、中退法において少なくとも5年ごとに実施するようにということになっております。前回の財政検証を平成24年度に行っておりますので、今年度は財政検証を行わなければならない年に当たっています。なおということで、下のほうに書いておりますが、今回の財政検証は、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」によって、機構が実効性あるリスク管理体制の整備を求められることになってから、初めてということになります。

4ページです。これまでの対応の整理です。平成に入ってからの予定運用利回りは当初6.6%でしたが、その後、5.54.53.01.0と、逐次、引下げが実施されております。付加退職金については6.6%から5.5%に引き下げる際に導入されましたが、平成14年度のときは、当時、累損が2,029億円ありましたが、当年度利益の半分を付加退職金支給に回して半分を累損解消に回すということで2分の1ルールが導入されました。その後、平成17年度は、2分の1の大きな形の中で180億円を先充てする、平成24年度には、1年だけでしたが付加退職金を全く支給しないゼロルール、その後、株価の回復を受けて累損が減ったということで、600億円先充てルールを導入して現在に至っております。

5ページです。これまでの計画とその実績です。平成24年度に現在のルールを作ったときは539億円の累積黒字があり、これを5年間で3,000億円増やし、3,500億円にしようということで600億円の先充てルールを導入して、現在その目標が達成された状態になっております。

6ページです。現在の付加退職金ルールです。基本的には2分の1を支給して2分の1を積み立てるということですが、1,200億円を下回る部分については、まず、600億円は積立てに充てて、その後、1,200億円までの間は全て付加退職金に充てる、1,200億円を超えた部分は半々にするという形の600億円先充てルールを採用しております。

7ページです。運用状況です。上のグラフは赤の線が予定運用利回り、青の折れ線が運用実績です。これを御覧いただくと、平成15年の時価会計の適用を境に、非常にアップダウンが激しくなっております。それ以前は簿価会計なので、例えば、株を保有していても、それを売らない限りは簿価で管理するというやり方でしたので、年々の動きは非常に少なかったわけですが、その後、時価会計が導入されてからは5%、あるいは、それを超えるようなプラス、マイナスが生じているということです。下のグラフは、赤の棒グラフは単年度の損益、青の折れ線が累積の損益です。現在は3,813億円ということで過去最高水準にあります。

8ページです。今回の基本的な方向性としては、「基本退職金の予定運用利回り」と「付加退職金の支給ルール」についてセットで御審議いただいてはどうか、それから、これからの5年間は、直近の5年間で積み上げられた剰余金を安定的に確保し、健全な財政運営を堅持していくことを基本的な方向性に据えてはどうかと考えております。下に我々が作成したイメージ()を付けております。前々回、平成20年~24年度は、1920年度に金融ショック、サブプライムとリーマンショックが発生し、累積欠損金が拡大して、それを解消する段階であったと。日経平均等は下の表に付けております。それから前回、これまでの5年間については、剰余金を積み立てる段階であったと。この間、長期の景気拡大があり、株価の上昇・円安というプラス要因がある一方、金利の低下により国債の利回りが大きく低下したということです。それを受けて、これからは剰余金を安定的に確保して健全な財政運営を堅持する段階にしてはどうかと思っております。

 これを御覧いただいて、現在、株価、NYダウ、円ドル相場、いずれもこれまでと比べて発射台が上がっているということには留意が必要かと思っております。それから、先週、G20財務大臣・中央銀行総裁会議がありましたが、その中で、短期的なリスクはそれほど大きくないだろうとしながら、先行きについては、これから金融を締めていく中で、下振れリスクがあるのではないかという指摘がなされております。

10ページです。財政検証に当たって考慮すべき事項です。まず、中退共のポートフォリオの見直しが行われております。今年の2月に基本ポートフォリオの見直しが行われております。従来は期待収益率が1.41%、リスクが±3.53%であったものが、リスクを減らして期待収益率が1.10%、リスクが1.88%ということになっております。右端の想定損失額は、サブプライムやリーマン級、同じようなことが発生したときに、どれだけの損失が出るのかということです。それを当てはめると、従来は3,500億円程度であったものが、見直し後は2,100億円程度まで減少したということです。ただ、なお1.88%のリスクが存在するということです。

11ページです。足下の運用環境です。10年国債については紫の実線ですが、ほぼ0%近辺で推移しているということです。20年ものについてもこの点線ですが、0.5%近辺で推移しているということです。2月のポートフォリオの見直しの際には、従来、10年国債までを購入しておりましたが、こういう環境の中で、ある程度利回りを取るということも考えて20年ものも入れるようにしているということです。

 今後については、過去の高い金利であった頃の国債が、順次、償還されていきますので、仮に低金利が長期化していくと、更に自家運用利回りは下がっていきます。自家運用利回りでは足りない部分をリスク性資産で補うという構造上、もしそうなった場合には、更にリスクを増やさなければいけない局面も生じ得るということです。

12ページです。これは日経平均とNYダウを並べたものです。2000年頃までは余り日本の株価とアメリカの株価には相関がないような状態でしたが、IT化の進展等もあり、その後、非常に似通った動きをしていると、これは株だけの話ですが、以前に比べて、ほかの債券等についても相関が高まっているということで、分散効果が弱まってきているということが生じております。この面でも少しリスクが高まっているということが言えると思います。

 情報セキュリティのためのシステム増強の必要性です。機構のシステム投資でありますが、これまでの水準は日本の銀行と比べて、大体、10分の1ぐらいであったということです。銀行は日々決済が行われており、支店もたくさんあります。その銀行並みのシステムまでは必要ないと思いますが、最近、サイバー攻撃の危険が大変高まっており、一定程度増やしていかなければいけないだろうと。10倍になるとすると0.2%ということで、そこまでいかなくてもいいと思いますが、ある程度のところまでは増やさなければいけないのではないかということです。

14ページです。付加退職金の「非対称性」です。付加退職金は利益が出たときは支給して、損失が出たときに何か補填するという仕組みはないものですから、そういう面で「非対称性」があり、資産が減っていくということがあります。特に各年の変動幅が大きければ資産額は大きく減少する。下の折れ線グラフは現在の付加退ルールに基づいて試算されておりますが、緑は±0.5ぐらいの動きをずっと続けていく、0.5%というのは、大体、200億円くらいなので、600億円の先充てルールの下では、もうかっているときでも支給されないということで、少しずつたまっていくわけですが、これが2%のプラスマイナスになると800億円になり、600億円の先充てルールの中で200億円が支払われて、もうかるときは600億円増えて損をするときは800億円損するということで、そういうことを繰り返す中で減っていきます。5%になると2,000億円のプラスマイナスということですので、もう付加退ルールは関係なくなり、損したときには2,000億円減って、もうかったときには1,000億円を支給して1,000億円貯金に回すということなので、半分が戻ってサイクルごとに1,000億円ずつ減っていくということを示しております。上下動が多くなると「非対称性」の影響が顕在してくるということです。先ほど御覧いただいたように平成15年の時価会計導入後は、5%ぐらいのプラスマイナスが生じているということで、今回、付加退職ルールを考えていただく上では、平成2年の導入当時とは少し環境が変わっているということを意識して、検討いただければと思っております。

15ページです。剰余金の必要水準です。現在の考え方、リーマンショックに備えるという場合、先ほど説明したように必要水準は2,100億円ということになります。ただ、その2年間の金融ショックの間にも利回りを払わなければいけませんし、業務経費も掛かるということで、そういうものが別途1,000億円は掛かるということです。 それから、この当時の考え方はリーマンショックと同じものが起こったらということでしたが、資産運用委員会で望ましい剰余金水準は何かという検討を行っていただきました。その中では、リーマンショックという株が何パーセント下がって債券が何パーセント下がってと、全く同じことが起こるわけではないですよねと、一定の確率でそれぞれの資産が上がったり下がったりするということを、きちんとシミュレーションすべきではないかというような御意見があり、モンテカルロ・シミュレーションという、過去の上がり下がりを基に5年間どのように推移していくのかというシミュレーションが行われました。

 この中で、剰余金がマイナスになるということは責任準備金に食い込むということで、責任準備金に食い込むということはあってはならないことだろうという考え方からすると、100回に1回発生するようなショックに備えておけばひとまず安心ではないかということで、4,300億円程度という水準が示されております。これは昨年度の試算ですが、3,150億円から1tileの損失が発生した場合は、-1,200億円までいくということで、差引き4,300億円の損失が生じるという計算になります。

16ページです。ほかの制度の状況です。中退とパラレルな事業主向けの退職金制度である小規模企業共済については予定利率1%、それから地域ごと業種ごとにいろいろな特退制度がありますが、1.0%のものが3つ、0.750.650.60.5というものが見つかっております。これは、それぞれの財務状況などは調べが付きませんでしたので、参考として御覧いただければと思います。

18ページ以降は対応案です。まず、3,500億円という目標を達成したということで、単純に毎年の利益金の半額を支給するという考え方もあろうかと思いますが、その場合、剰余金は「非対称性」により3,000億円程度まで減少するということになります。それから、現行の予定運用利回りを確保するためには、リスクに応じた剰余金を積み立てておく必要がありますが、予定運用利回りを維持するという案の場合は、おおむねこの2つが考えられるのではないかと思っております。予定運用利回りを1%で維持した上で、A案は、先ほどの4,300億円を下回らない範囲で利益金の半額を付加退職金として支給する。B案は、利益が生じても付加退職金を支給しない。

 それから、予定運用利回りを引き下げてリスク性資産をほぼなくすということも考えられるかと思います。予定運用利回りを足下の20年国債利回りと同程度の0.5%まで引き下げる、付加退職金は単純に毎年の利益金の半額を支給するというものがC案です。

 それぞれについて、19ページ以降でシミュレーションを回しております。まず、利回り1%を維持した上で単純に利益金の半額を支給する場合は、一番平均的な結果で3,800億円の剰余金が3,075億円まで下がるということです。この場合、4,300億円を超える確率は20%です。A案の1%を維持して4,300億円以上で付加退を半額支給する場合は、中位点は3,529億円ということで300億円程度のマイナスに抑えられるということです。剰余金が4,300億円以上となる確率は31%、枯渇する確率は2.3%ということです。このメリットは、付加退支給ルールが従来と整合的、基本退職金の水準が維持されるということです。デメリットは、先ほどの中位点が、若干、低下するということです。

21ページです。1%を維持した上で付加退職金を支給しない場合です。中位点は3,874億円ということで、平行移動できることがメリットかと思います。ただ、デメリットとして、3,800億円たまっている段階で付加退職金を支給しないということが受け入れられるのかどうか。また、これはうれしい悩みのようなことになりますが、もうかった場合、剰余金水準を大きく上回る可能性があるということです。

C案は、利回りを0.5%、付加退職金を半額支給の場合です。中位点は3,443億円、0.5%に利回りを下げるということは機構でも、当然、ポートフォリオを下げるということになりますので、2017年度については、もうかったり損をしたりということはあると思いますが、2018年度以降については基本的に横ばいで運営できると、このようにリスクが大きく低下するということがメリットかと思います。ただ、デメリットとしては、剰余金が3,800億円ある中で基本退職金の水準を引き下げることが受け入れられるかどうか。それから、リスクがほぼなくなる中で、この剰余金は何のためかということが問題になる可能性があります。以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました。ただいま、事務局のほうから議題4についての御説明がありましたが、御意見あるいは御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。

○須永委員 本日の局長の開会の御挨拶にもありましたように、中退共制度は、相互扶助の精神と国の援助によって、単独で退職金制度を持つことが困難な、中小零細企業に対して設けられた共済制度です。そのため、経済の動向や金融情勢の変化に対応して、安定的かつ長期的に運営されることが前提となります。一方で、ほかの類似制度との比較におきまして、中退共制度が選ばれるためには、利回りや付加退職金といった特徴についても、魅力のあるものにするべきです。

 今回、事務局から示された3つの案について見てみますと、まず、利回りにつきましては、他の制度との比較や、現在の金利動向を踏まえますと、1%は堅持すべきと思います。また付加退職金については、制度の魅力の1つであると思いますので、現在の仕組みを維持するべきと思います。付加退職金を過剰に支払うことで、今後、1%の利回りを下回ることのないように、事務局が示す望ましい剰余金の水準である4,300億円を超える場合に限り、付加退職金を支給するというルールが適切と考えます。

 結論といたしまして、制度の安定的な運営と、中退共制度の魅力の維持に資するA案が、最もバランスの取れた妥当な案と考えます。以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました。ほかの御意見、御質問はありませんでしょうか。

○新田委員 まず確認ですけれども、今日の部会の着地点というか、今、A案、B案、C案とお示しいただいて、今日、でき得れば、これを結論までもっていくというイメージなのか、それとも本日は意見を伺った上で、次回以降に結論を出していくのか、その辺のイメージというのは、どのような感じですか。

○平嶋勤労者生活課長 時間感覚を申し上げますと、これは来年度の付加退職金ルールでありますとか、今後の利回りを考えるものですので、遅くても今年度末までに決定しておく必要があるものだということです。これは議論の動向次第ですが、議論が一方向でまとまれば、もちろん決定いただくということですし、いろいろな意見があれば、引き続き検討いただくということだと思っております。

○新田委員 今の返答を踏まえた上で、感想めいたことと意見を申し上げさせていただくと、先ほど平嶋課長から御説明があった基本的な方向性で私はいいと思います。やはり一番大事なのは、安定的に制度を運営していくということ。「基本退職金の予定運用利回り」と「付加退職金の支給ルール」はセットで考えていくべきだろうと私も考えております。したがいまして、今回、お示しいただいたA案、B案、C案の中で言うと、少なくとも、他の制度との魅力ということも考え、1%というところは、やはり堅持すべきだろうと思います。一方で、安定的にと考えたときに、4,300億円をきちんと担保していくことは、極めて大事でありますので、そのために、基本的にはA案、B案のうちのいずれかがよいと思います。

 制度の安定性ということで言えば、正直、B案というのも非常に魅力的ではあるのですが、ただ、一方で、やはり付加退職金という制度の部分もありますし、これまでの剰余金積立てルールとの整合性の問題、あるいは付加退職金の支給ルールの継続性あるいは整合性ということに鑑みますと、この提案していただいている案の中ですと、A案が妥当ではないかと考えております。私からは以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ありませんでしょうか。

○大久保委員 制度の安全、それから継続性、これが重要なことは論を待ちません。特に退職金、しかも中小企業において、単独ではなかなか準備ができない、そういう企業で働く方々のための退職金であることを考えれば、その原資がなくなるということは、決してあってはならない。それには賛成いたします。

 ただ1つ、もう少し御説明していただきたいのが、こちらの資料66ページ、この「現行の付加退職金支給ルール」というところで、これまで600億円先充てルール、まずは何よりも、この剰余金をちゃんと積み上げなければならない、その目標は3,500億円だということで、付加退職金をできるだけ、かなり絞る形で3,500億円を目指して剰余金を積み立ててきたと理解しております。しかし、今回、この御提案を頂いた資料では、この3,500億円という目標が、いつの間にか4,300億円に変わってしまったというのが正直な印象です。

 これまで3,500億円を目指してきました、でも一旦達成したら今度は4,300億円で、また伸びましたというところを、とりわけ被共済者の方々にしっかり説明できなければならないと思います。なぜ3,500億円から4,300億円に増えたのか、そこの部分をもう少し詳しく、特に被共済者の方々には分かりやすく、なぜ4,300億円なければならないのかというところ、もう少し御説明いただければと思います。

○内藤部会長 かしこまりました。事務局、いかがでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 ありがとうございます。従来の3,500億円という数字ですが、この変更前のポートフォリオにおいて、10ページになりますが、この国内債券を76.9%それ以外の資産を7.7%ずつ保有している状況において、リーマンショックと全く同じ経済変動が起こったときに、そのショックを想定、計算しますと3,500億円が必要になるので、これをためましょうという合意だったと思います。しかしながら、この2月にポートフォリオを見直したことにより、同じリーマンショックということを考えると、2,100億円ということになりますので、この3,500億円をためておくという根拠はなくなってしまったということです。

 では、どうしようかということなのですが、資産運用委員会のほうでは、リーマンショックに備えるというのは、当時、1つの判断だったと思うのですが、これと全く同じことが、また二度起こる可能性のほうが、むしろ低いと。また、株価の下がり方とか債券の下がり方とか、別の形で起こるのだろうということで、そういういろいろな起こり方を総合的に計算して、シミュレーションすべきではないかという御議論がありました。

 それで、この5年間の推移を計算したものが15ページになります。株価は大体、過去の傾向から何%から何%の範囲で、どういう割合で変動するか、債券はどういう割合で変動するかというのを11つ当てはめて、10万回のシミュレーションを行って、下の1%の損失が出るケース、これを持っておけば、100回に1回の損失に備えておけば、ひとまず安心と言えるのではないかというような御指摘がありまして、今回の4,300億円というものを、1つの案として御提示しているところです。

○花井委員 今、大久保委員が話したことですが、制度の安定的運営というのはそのとおりで、経済的な危機は、いつ、どういう状況で起こるかというのは、どんなシミュレーションをやっても確実性はなかなか担保されないという意味で、慎重にも慎重を期すというのは非常に理解できます。しかし、中小企業の労働者の付加給付が、この間ずっとゼロできていたわけです、それで3,500億円までいったら出るのかなという、そういう制度に対する信頼性も非常に重要ではないかと思うのです。

 制度に対する不信が高まっていくと、制度自体が危うくなるというのはよくあることなので、そこからすると、今、御説明がありましたが、やはり普通の中小企業で働く労働者からすれば、なぜ突然800億円増えているのか、モンテカルロ・シミュレーションというものがありますが、なかなか理解し難いというのが、正直な気持ちではないかと思います。したがいまして、私も非常に唐突な印象があって、これで中小企業の労働者は納得するのかなという思いですので、もう少し何らかの知恵を出すことはできないのかなということを、意見として述べさせていただきたいです。絶対反対ということではなくて、中小企業労働者の期待を裏切らない制度の維持という観点から、少し意見を述べさせていただきました。以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました。何か事務局のほうからいかがでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 これまでは600億円先充てということで、3,000億円をためるために600億円ずつ積んでということだったのですが、今回は3,800億円から4,300億円なので、毎年100億円積むということはどうかと思って実は計算してみました。100億円というのが資産規模に対しては0.2%ぐらいなので、この激しい値動きの中では、19ページの単純半額支給と、ほとんど同じような結果になってしまうということが分かり、これはちょっと難しかろうと思ったわけです。この場では、こうしてはどうかというのはありませんが、何か工夫する余地があるのかどうか、少し検討させていただきたいと思います。

○花井委員 質問ですが、ポートフォリオを見直されて、この数値になったという説明ですが、ポートフォリオは5年に1回見直すのですよね。その辺は基本的なお話なのかもしれませんが、そうしますと、5年先にもう一回違うポートフォリオになったときに、また4,300億円が4,800億円とか、そのようになる可能性が出てこないかなという心配も出てくるものですから、その辺の確実性みたいなものを、どのように考えたらいいかを教えていただければと思います。

○内藤部会長 よろしくお願いします。

○平嶋勤労者生活課長 機構に対しては中期目標の中で、予定運用利回りを前提に運用するようにという指示がされております。その中で、従来は累損も解消すること、それから予定運用利回りを前提することなどがあったわけです。その2つのうちの累損がなくなったということで、残っているのは予定運用利回りを前提に運用することという状態になったものですから、機構のほうでは予定運用利回りは、現在1%、それから業務経費は0.1%ぐらい掛かっていますので、それを採算利回りと呼んでいますけれども、それに合わせて1.1%にしているということです。こちらのほうは5年に1回と決まっているわけではなくて、予定運用利回りを前提にするという条件の中で、随時、機構が見直すものとなっております。

 後段の質問についてですが、おっしゃるとおり、今のリスクが1.88%ですが、仮に今後、資産間の相関が上がって、更にリスクが増えるですとか、もっと事務経費が掛かってしまうから、もっとリスクを増やさなければいけないというようなことなどが生じた場合には、そのときに計算して、また新しい数字ということになろうかと思います。ただし、現時点ではそれがどうなるか、見通せない状況です。

○内藤部会長 いかがでしょうか、ほかの御意見はありませんでしょうか。

○山本委員 いろいろと分からないので教えてください。多分A案、B案、C案で決めていくことになると思うのですが、どの案もいつでもやはり剰余金4,300億円を確保というのが前提になっているということで、恐らく4,300億円を確保するというところに、どれだけ、まず説得性を持たせられるかというところだと思うのです。

 多分、この値が出てきたのは、15ページの「100回に1回発生しうる損失額」ということからですが、そのリスクに対する姿勢として、「100回に1回」に備えなければいけないのかなというところが素人なりに疑問なのです。その辺り、資産運用委員会で、どこまでをリスク管理として備える妥当な値とか基準として議論されていたのか、それが多分あると、これからの制度変更のときに説明がしやすいのかなと思います。

 それからもう一点教えてほしいのですが、議論の前提として利回りを1%にするか、付加退職金を支給するかとか、その辺りのバリエーションで決まってくるのですが、これまでのいろいろな制度変更で、かなり利回りが急激に下がったりしていると思うのです。実際に利回りとかが変わったり、退職金の給付が変わったりしたことで、どれぐらい加入者の行動に影響があったのか、敏感にどれぐらい反応するのかというのを、議論の前提として教えていただきたいと思います。

○平嶋勤労者生活課長 ありがとうございます。4,300億円の前提となっている1tileが妥当かどうかという御質問ですが、これは正直に言いまして防犯ですとか国防などと同じように、どのレベルまで持っておけば完全に安心というところはないわけですが、責任準備金に食い込むことはあってはならないと。あってはならないというのは、「100回に1回」ではなかろうかということです。それが80回に1回では駄目なのか、あるいは50回に1回では駄目なのかということはあろうと思いますが、「100回に1回」ならひとまずは安心だろうということです。

 利回りと加入者の感応性についてですが、これはちょっと今データがありませんので、また準備したいと思います。

○内藤部会長 いかがでしょうか、山本先生。

○山本委員 それでは、最低限、最悪の事態に備えることを前提に、制度を考えるという姿勢でいくということですね。

○平嶋勤労者生活課長 100回に1回起こることに備えておけば、ひとまず備えができたと言えるのではないかと。いろいろな災害ですとかの備え方を考えてもということです。

○内藤部会長 ほかにいかがでしょうか。

○大久保委員 何度も申し訳ありません。2点教えていただきたいのですが、まず1点目、10ページの中退共のポートフォリオの見直しで、前回までは期待収益率1.41%で、想定損失額が3,524億円、見直し後では、同じ想定損失額が2,100億円、これはどのような計算に基づいて、この想定損失額が出てきているのか。恐らくこの15ページの示し方とは全然違うので、モンテカルロ・シミュレーションなどを使ったのではないと考えます。これまではずっと、想定損失額に基づいて余剰金を積み立てなければいけないという目標額を見てきたのに、いきなり今回は、我々にとってはいきなりという印象なのですが、モンテカルロ・シミュレーションというやり方が導入されて、これまでとは全く違う数値が示されたところに、正直なかなか飲み込みづらいなというのがあります。

 そしてもう1つ、このモンテカルロ・シミュレーションというものが、このような場合のリスクの計算方法として一般的なものなのか、その辺、資産運用委員会の専門家の先生方が、そのように考えられたのであろうと思いますが、この5年後の見直しの際にも、やはり同じ方法を取るというのが妥当であると見通されるのか、という辺りを教えていただきたいということです。

 もう一点、この4,300億円が必要であるということですが、この4,300億円まで積み立てなければならない、これはある程度時間軸を置いてやっていけばいいのか、それとも直ちに、この4,300億円が必要になるのか。前回に3,500億円が必要だというときには、この5年間の時間を掛けて、毎年600億円を積み立てるというやり方をやってきましたけれども、それと同じような方法を、今回、この4,300億円まで積み立てるに当たって、取ることはできないのか、そこも教えていただきたいと思います。

○内藤部会長 ありがとうございます。事務局のほうからお願いできますか。

○平嶋勤労者生活課長 まず、3,500億円の出し方ですが、10ページの見直し前のポートフォリオの段階において、リーマンショックのときの株の下がり方、外国債券の下がり方、これを単純に代入していって、そうすると全体に8.47%下がると、それは3,500億円だという出し方になっております。それが見直し後はこのようになったということです。

 それから、モンテカルロ・シミュレーションについては、私も前から知っていたわけではありませんが、専門家の皆さんからは一般的な方法であると。小野先生がお詳しいかもしれませんが、そのように伺っております。

 最後の時間軸につきましては、先ほど少し御説明しましたが、少しずつ積み立てていくことも一旦考えたわけですが、やはりこれからの増え幅の500億円というのが、余りにも小さいといいますか、今年の運用でも既に数百億円のプラスが出ておりますが、それを細切れにしていくほどの大きさではないのではないかと思います。前回は3,000億円増やすということで、5で割っても600というある程度のまとまりが出たわけですが、500を刻んでも余り実効性がないのかなと思ったところです。

○内藤部会長 いかがでしょうか、もしよろしければ小野委員のほうから。

○小野委員 そうですね、モンテカルロ・シミュレーションというのは、私たちの仕事でも使っていますし、いろいろな資産運用方針などを立てるときのツールとしては、かなり標準的に使われるということだと思います。私の知っている限りですと、例えば保険のソルベンシー・マージン規制とかありますよね。あとは年金でもヨーロッパでは、やはりバッファーを積まなければいけないという話があるわけです。その辺、保険と年金とどれぐらい違うのかという話があるのですけれども、保険のほうはかなり厳しいです。年金はそれと比べると、やや緩いですが、こちらの計算と比べて、そんなに著しく緩いということはないと思います。ただし、保険も年金もヨーロッパなどで言っているのは、恐らく単年度のショートフォールといいますか、不足金の発生に関してということで想定されているのではないかと思います。

 私も質問があったのですが、よろしいでしょうか。

○内藤部会長 是非、お願いいたします。

○小野委員 同じ15ページですけれども、2,100億円というのを拝見していますと、リーマンショックのときの相場に当てはめた場合の運用損失ということで表記されております。それ以外に、債務のほうは、予定利率でもって膨らんでいきますので、そこが入っていないということで、下のほうに1,000億円と書かれているのではないかと思うのです。

 そもそも3,500億円を設定したときの3,500億円というのは、リーマンショックのときに発生した不足金に耐えられる金額としてということで認識しております。その意味で言うと、ここでは2,100億円と1,000億円の合算の3,100億円ぐらいに相当する金額が3,500億円だったのかなと。3,500億円というのは、ただ単に運用損失だけではなかったように理解していたのですけれども、その辺りの理解は違っていましたでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 精査して次回ご報告したいと思います。

○小野委員 分かりました。それともう1つ、これは感想なのですけれども、この4,300億円の根拠というのが、つまり現行の付加退職金の支給ルールに基づいて計算すると4,300億円ということなのですが、今度、新しく付加退職金のルールを決めるということですよね。そうすると、そもそも4,300億円とは何だったのですかと言ったときに、「いや、それは変える前の付加退職金のルールです」ということになり、そうしますと、何となく説得力がなくなってしまうのではないかと。

 具体的には20ページにA案がありますが、この付加退職金のルールでいきますと、3,800億円から約600億円のマイナスになるわけで、そうすると、ここでは4,400億円ですよね。そういうことを考えると、この4,300億円の決め方というのも、やはり難しいなという気がいたしました。以上です。

○内藤部会長 ありがとうございます。何か事務局のほうからありますか。

○平嶋勤労者生活課長 15ページの4,300億円の根拠になった出し方は、御指摘のとおり、今の600億円先充てルールに従って出しておりますので、大きな違いはないと思っておりますが、改めて提案しているようなやり方に合わせた場合にどうなるかというのを、再度計算してみたいと思います。

○内藤部会長 いかがでしょうか、ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。もしなければ、幸いにまだ3月までに議論を詰めればよろしいとのお話もありましたので、ただいま、委員の方々から頂いた様々な御意見等を踏まえ、事務局のほうで再度、案を検討していただき、今後、改めて御説明いただくというのではいかがでしょうか。

(異議なし)

○内藤部会長 では、そのような形で進めさせていただきます。事務局におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後の議題5、その他ということになりますが、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 それでは、資料7、機構の業務及び組織の全般にわたる検討の結果講ずる措置の内容についてです。1ページ、機構は今年度が5年間の中期目標期間の最終年に当たっております。次の5年間の中期目標の策定に向けて、今、この見込評価をしたり、それに基づき見直し内容について点検しているというところです。

1ページの下に、「見込評価・見直し内容について点検」とありますが、これはちょうど本日、総務省のほうでこの委員会が開かれておりまして、この内容が点検されているということです。この意見を踏まえまして、今後、中期目標案を策定していくということで、これは年度末までに次期中期目標案を作るという流れになっております。

2ページ目はコピーが少し小さくて恐縮ですが、これの法律上の位置付けになっております。

3ページ目が措置の内容についてです。これまでと違う新しい部分について、下線を引いております。まず1の1の所ですが、被共済者の便益に留意しつつ、社会的に優良な企業に優先的に投資を行うことで、労働環境の改善、雇用の安定に寄与する仕組みについて検討するということです。最近、ESG投資というような動きも出ておりますが、ホワイト企業のような所に投資を促進することで、そういう企業を伸ばしていって、ひいては社会全体の労働環境を良くすることができないかということです。ただ、留意しなければいけないのは、ちゃんとリスクに見合ったリターンが取れるかということですので、そこをきちんとチェックしてほしいと思っております。

 それから2番の林退共制度については、累積欠損金を平成34年度までに解消ということでしたが、最近の金利の低下などで、少し達成が困難になっております。この計画を見直して、着実な解消を図るということです。

 それから3番は、退職金の未請求の話ですが、平成18年度には、未請求率は2.8%あったのですが、その後、機構でも頑張りまして、今、半分ぐらいまで下げてきているというところです。ただ、残っているのは、非常に額が小さいものが多くなっております。この対策を進めるに当たっても、何か予算が付くわけではありませんので、ほかの加入者の退職金原資を使って、そういう対策をするということになりますので、その費用対効果には留意した上で、取組を推進してほしいということを言っております。

 それから5番ですが、機構のプログラミング言語が、やや古いものを使っておりますので、この再構築を行うということです。それから建設業、特退全般ですが、掛金納付の方法が、現在、手帳に証紙を貼るという形でやっております。これがいろいろな事務の煩雑さなど、いろいろな問題を生んでおりますので、電子申請方式の導入の可否について検討すると。これは後ほど、資料8のほうで御説明いたします。

 それから財形については、この調達のルールが平成11年に作られておりますが、具体的には8割を国債並みの金利、2割を短プラの金利でということですが、現在、短プラと国債の金利差が大きくなってきておりますので、これが現在の状況に適合しているのかという検証を行ってもらおうと思っております。それから財形の中では、子育て世代ですとか中小企業にお勤めの方に特例の金利を導入しております。これをしっかりやってほしいと思っています。

 一番最後になりますが、サイバー攻撃の脅威が非常に高まっていると認識しております。このサイバーセキュリティ基本法に沿って、きちんと内部の体制を整備するように求めたいと思っております。これが資料7です。

 それから資料8が建退共の電子申請方式です。1ページ目に電子申請方式と証紙貼付方式というものが並んでおります。まず現在はどういうことをやっているか。これは右側の証紙のほうですが、共済証紙を元請が買って、その掛金収納書をもらって、それから下請から、○3の所ですが、就労実績報告をもらって、それに合わせた共済証紙を配ると。下請のほうではこの共済証紙を手帳に貼って、250日分たまった段階で、機構に送付するということをやっております。電子申請方式のほうでは、掛金をネットバンキングやATMなどで払いながら、この就労実績報告もろもろの手続を全て電子的に行っていくということで、事務手続が大幅に軽減できるのではないかと思っております。労働者の退職金が250日たまらない段階でも、ちゃんとカウントできる、その担当者が金融機関の窓口に行く必要がない、それから証紙を貼ったり消印を押したりという事務作業がなくなるというメリットがあると思っております。

 この検討の経過につきましては、去年の4月にこの検討会ができまして、その後、6回の検討をやって、11月に報告書がまとまっております。2つ目の○ですが、今後、講ずべき方策ということで、就労実績の電子申請、その実績に基づく口座振込・振替の導入。それからその関係の業界の中には、電子申請に移行したいというグループと、今のままでもいいのではないかというグループがありますので、これを併存させるということが提言されております。それから、これをやるに当たっては実証実験をしっかりやるようにということで、この結論が機構の運営委員会に報告されて、今、ワーキンググループを立ち上げているところです。

3ページ、実証実験についてということで、2番の概要の所ですが、実証実験については来年の1月から半年程度をかけてやりたいと思っております。機構が選定する複数の工事現場を対象としてやっていきます。そこにおいて電子システムを立ち上げて、この環境を再現していくということです。

 この証紙を手帳に貼るという方法は、実は中退法の法律事項になっております。中退法の44条に「手帳に証紙を貼付して行う」となっており、実際に電子申請方式を導入するためには、法律の改正が必要になるということですので、今後の状況を見ながら、また御相談させていただきたいと思っております。

 それから、最後の御報告ですが、参考3に資産運用委員会議事要旨等というのがありますが、その一番最後の31ページです。資産運用委員会は2年前に立ち上がりましたが、2年経過したということで任期の更新を迎えております。村上委員長と徳島委員には再度引き受けていただくことになりましたが、3人の委員の方が交代されまして、稲垣委員、小枝委員、中島委員という新しい委員をお迎えして、この10月から新体制で議論を行っていくことになっておりますので、御報告いたします。以上です。

○内藤部会長 ただいま事務局のほうから議題5についての御説明がありましたが、御意見あるいは御質問がありますならば、よろしくお願いいたします。

○小川委員 建退共の電子申請方式に向けての実証実験のお話がありましたけれども、建退共制度の更なる普及と、確実で効率的な貼付という面で、大変期待しているところです。実証実験の結果を受けて、法律改正、関係の省令等も改正になるのでしょうが、そういったものを速やかに実施していただけるように期待しているところです。今後とも、よろしくお願いいたします。

○内藤部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか、ほかに御意見等あるでしょうか。それでは、御意見が出尽くした御様子ですので、本日の部会はこれにて終了とさせていただきたいと思います。本日の議事録の署名委員としては、小川委員と友利委員にお願いいたしたいと存じます。では、事務局から最後に何かありましたら、よろしくお願いいたします。

○成田大臣官房審議官 審議官の成田です。本日はそれぞれの議題につきまして御審議を頂きまして、ありがとうございました。本日妥当との御答申頂きましたDC法関連の政省令案要綱につきましては、政省令の策定作業を行いますとともに、中退共の財政検証につきましては、本日頂いた御意見を踏まえ、改めて事務局で資料を御用意して御審議頂きたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○内藤部会長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。では、本日はこれにて散会といたします。御協力ありがとうございました。


(了)

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