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2017年8月4日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成29年8月4日(金)10:00~


○場所

厚生労働省専用第15会議室


○出席者

出席委員(20名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、
  梅 津 光 生、 北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、  小 西 郁 生、
  齋 藤 知 行、 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、  田 島 優 子、
  寺 崎 浩 子、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、  濱 口    功、
  菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、 桃 井 保 子、  渡 邉 和 久
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(2名)五十音順

塩 川 芳 昭、 配 島 由 二

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
中 井 清 人 (医療機器審査管理課長)
山  本   史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津   忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
木 下 勝 美 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。お忙しいところ、どうもありがとうございます。本日、田島先生は遅れて御参加いただけるかと思いますが、本部会委員の22名のうち現在19名の先生に御出席を頂いております。定足数に達していることを御報告します。先月の人事異動に関して、局長を紹介いたします。新たに医薬・生活衛生局長に就任した宮本真司です。

○医薬・生活衛生局長 7月11日付けの厚生労働省の人事によりまして、この度、医薬・生活衛生局長になりました宮本です。よろしくお願いいたします。

 この部会におきましては、医療機器・体外診断薬の御審議をお願いしておりますが、技術の進歩が割と医療分野に導入されることが多い分野で、なかなか難しい問題を御審議賜っていると思いますが、是非とも忌憚のない意見交換などをしていただきまして、御指導を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 続きまして、本部会を開始する前に事務局から1点報告があります。当日配布資料1、7月31日のプレスリリースについて御覧ください。前回の部会時に千葉敏雄先生の案件について御報告しました。その際も報告いたしましたが、薬事分科会の全ての委員を対象に、改めて規程への適合状況を確認させていただいておりましたが、その結果、新たに臨時委員2名が薬事に関する企業から、定期的に報酬を得る顧問に就任していることが判明したため、当該臨時委員2名に辞任いただいた上で、7月31日付けで本事案を公表しております。これも既に御報告したとおり、本部会においては千葉先生以外に規程に抵触する委員はいらっしゃいませんでした。今後の再発防止のための具体的な方法については、決定次第、改めて御連絡いたしますので、引き続き御協力をお願いします。

○事務局 次に本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明します。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。机の上に二つ山がありまして、片方は議事次第から始まる山で、配布資料一覧、座席表の下に資料1~4まで御確認いただけますか。今回、資料4に関して、資料4-1から資料4-3まで3部あります。また、当日配布資料があります。先ほどと説明が前後してしまい申し訳ありませんでした。今回、当日配布資料一覧の後ろに全てホチキス留めしましたので、とじてあるものが一つあることを御確認ください。それでは以降の進行について荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 おはようございます。資料はよろしいですか。よろしければ、これより議事に入ります。議題1、「医療機器の承認基準及び認証基準の改正について」に入ります。事務局から御説明をお願いします。

○事務局 事務局より議題1について、まず承認基準の改正から御説明します。資料1を御覧ください。こちらは眼内レンズ承認基準の改正案になります。今回の改正では、眼内レンズの評価に関する国際規格の最新版に基づいて、評価方法の修正等を行っております。

 次に、認証基準の改正については、資料1の9ページにある資料1-2を御覧ください。こちらは短期的使用胆管・膵管用カテーテル等認証基準の改正案になります。従来は経十二指腸乳頭的、又は経皮経肝的に挿入するカテーテルを認証の対象としていましたが、開腹手術に使用するカテーテルについても従来の技術基準で評価可能なことから、開腹手術に使用するものも認証の対象とする改正を行っております。説明は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明について御質問、御意見等ありますか。よろしいですか。よろしければ、これで議題1を終了させていただきます。

〇事務局 それでは、以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様につきましては御退席をお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始いたします。

               (傍聴者退席)

○医療機器審査管理課長 それでは準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開します。

○事務局 次に本日の審議事項に関する競合企業として、当日配布資料、ホチキス留めの5番目の資料に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況を伺ったところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上御報告いたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの説明はよろしいでしょうか。よろしければ、議題2に入ります。議題2「「NeuRx横隔膜ペーシングシステム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」を始めます。本議題の審議に当たりましては、参考人として、東京女子医科大学東医療センター新生児科教授の長谷川久弥先生にお越しいただいております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。まず、事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題2について、事務局から御説明します。お手元の紐でとじてあるタグが付いてある資料2を御用意ください。よろしいですか。1枚目が諮問書となります。本議題では、医療機器NeuRx横隔膜ペーシングシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。審議品目及び審査の概要については、機構担当者より、よろしくお願いいたします。

○機構 それでは、機構より御説明します。お手元に資料2、当日配布資料一覧の二つを御用意ください。まず、当日配布資料4を御覧ください。7ページです。本審査に当たり、こちらの資料にお示しする6名の専門委員の御意見を頂きました。また、当日配布資料2を御覧ください。事前に配布した審査報告書に修正がありますので、こちらの正誤表にてお示しします。お詫び申し上げます。

 次に、本品の概要について御説明します。資料2を御覧ください。資料2の中で、一番初めのタグ、1.審査報告書の7ページを御覧ください。7ページの図1に本品の概観をお示しします。本品は、横隔膜機能不全により、呼吸不全を呈した患者に対して、横隔神経を電気刺激することにより、横隔膜の呼吸運動を補助する横隔神経電気刺激装置です。図1の向かって左側にお示しするように、パーマロック電極と呼ばれる電極を、腹腔鏡下に患者の横隔膜の横隔神経周囲に植え込み、体外式パルス発生器から発生した電気信号により、横隔神経を刺激し、横隔膜を動かすことで呼吸補助を行います。

 次に主な使用方法について御説明します。当日配布資料一覧に戻って、5ページ、当日配布資料3を御覧ください。図が付いているページになります。本品を理解していただくために、簡単にこの資料について御説明します。

 上段、本品の使用方法を御覧ください。図の2、3のように、腹腔鏡の手術下にパーマロック電極を横隔膜に植え込み、末端を体外に引き出した上で、適切な刺激パラメーターを設定し、体外式パルス発生器に接続します。ただし、本品の対象となる脊髄損傷などの患者さんの横隔膜は長期にわたり使用されておらず、萎縮していることから、植込み後すぐに本品による呼吸補助が可能となるわけではなく、コンディショニングと呼ばれる横隔膜を動かす訓練を一定期間行わなければ、ペーシングによる十分な換気量は得られません。

 下段の基本的なコンディショニングの方法を御覧ください。具体的には、人工呼吸器の使用を一時的に中止し、血中酸素濃度、1回換気量の測定を行いながら、本品による刺激を行います。当初は15分~30分という短時間から開始し、1週間ごとに刺激時間を徐々に延ばし、目標とする時間での連続使用が可能となるまで、コンディショニングを続けることになりますが、この際に、必要となるコンディショニングの期間には個人差があります。

 続きまして、開発の経緯を御説明します。まず、脊髄損傷(SCI)について御説明します。資料2のタグの1.審査報告書、8ページのイ、起原又は発見の経緯の()脊髄損傷における経緯を御覧ください。脊髄損傷は、主に外傷等により、中枢神経からの電気信号が末梢に伝達できなくなる病態ですが、第5頚椎レベル以上での頚椎損傷では呼吸筋の麻痺が起こり、人工呼吸器による呼吸補助が必要となる場合があります。この場合、気管切開を介した人工呼吸器が標準治療ですが、終日にわたる人工呼吸器の使用は、移動や食事が困難になるといった社会的な制約が大きいことと、肺炎などの人工呼吸器関連の合併症が課題とされております。

 次に中枢性低換気症候群(CHS)について御説明します。審査報告書の同じ8ページの()中枢性低換気症候群における経緯を御覧ください。CHSは、延髄の呼吸中枢の障害により、就寝時など無意識下で自律的な呼吸ができず、低換気を呈する疾患です。通常は無意識状態では、延髄の呼吸中枢が血中の酸素濃度の低下や、二酸化炭素濃度の上昇を感知することで、自律的な呼吸が保たれますが、CHSにおいては、呼吸中枢の障害のために自分の意思での呼吸はできるにもかかわらず、夜間など、無意識下において呼吸が停止してしまいます。CHSのうち、先天性のCHSは、先天的な障害により、今御説明した呼吸不全を呈する疾患で、全世界で約1,000例、国内で100例前後の希少疾患です。また、脳血管障害、脳炎、外傷、腫瘍等を原因として、二次的に延髄の呼吸中枢が障害を受けることにより、同様の呼吸障害を発症する二次性のCHSが知られておりますが、報告数が限られており、症例数は明らかではありません。

 CHSにおいて、呼吸中枢の障害に対する根治的な治療法は見つかっていないため、呼吸不全が起きる場面において、人工呼吸器による呼吸補助が必要となります。脊髄損傷と同様に、気管切開を介した人工呼吸器が標準的治療ですが、移動や食事といった社会的な制約が課題とされております。特に先天性のCHSの患者の多くは小児であり、人工呼吸器の回路トラブルへの対応など、両親等の介護者の負担は大きいことが課題とされております。

 以上の脊髄損傷及びCHSに対して、本品は人工呼吸器の使用に伴う患者及び介護者における社会的な制約を改善し、QOLを向上させることを目的として開発が進められました。本品を使用することによるメリットとしては、人工呼吸器から離脱することで、食事・会話が可能となり、移動範囲が広がるといった使用者のQOLの向上や、人工呼吸器の回路トラブルが減少することによる介護者のQOLの向上が挙げられます。また、本品とは別の製品ですが、横隔神経を刺激する類似品が、平成20年7月に医療ニーズの高い医療機器として指定されておりますが、国内開発はいまだ進んでおらず、脊髄損傷やCHSの呼吸補助において、横隔膜ペーシングを行う医療機器が求められている状況です。

 最後に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)について御説明します。審査報告書9ページの()筋萎縮性側索硬化症における経緯を御覧ください。ALSは、原因が不明の進行性の神経変性疾患で、神経変性に伴う呼吸筋萎縮から、呼吸不全を発症し、侵襲的人工呼吸を導入しない場合は死に至る疾患です。本品は、ALS患者に早期に導入して、横隔膜の機能を維持することで、呼吸不全の進行を抑制し、予後を延長することを目的として開発が進められました。

 続いて、本品の海外での使用状況について御説明します。審査報告書10ページを御覧ください。欧州においては、横隔膜機能不全患者における換気補助としてCEマークを取得しております。また、米国においては、希少疾患の医療機器が対象となる承認制度、人道機器適用免除(HDE)に基づき、2008年に脊髄損傷に対して、2010年にALSに対してそれぞれ認可を得ております。2017年5月末時点で、全世界で約□□□台の販売実績があります。

 本品の適応として審査された疾患は、脊髄損傷、ALS、中枢性低換気症候群(CHS)の三つが挙げられるため、それぞれ疾患別に御説明します。説明の順番としては、まず、ALSの適応について御説明した後で、脊髄損傷の適応について、続いてCHSへの適応について御説明します。説明の際は審査報告書を少し前後していただくことになりますが御了承いただければと思います。

 まず、本品のALSへの適応について御説明します。審査報告書26ページを御覧ください。図2DiPALS試験におけるALS患者の生存期間を御覧ください。ALSに関する評価資料として、ALS臨床試験が提出されておりましたが、こちらの臨床試験は、単群の試験で事後解析により有効性が評価されていたため、機構はALSへの適応を評価したほかの試験成績があれば提出するよう申請者に求めました。この結果、201112月から201312月まで、英国においてALS患者74名を対象として実施された非侵襲的換気(NIV)に本品を併用することで、生存期間の延長などを評価したランダム化比較試験(DiPALS試験)の結果が提出されました。図2の赤に示すNIV単独の治療が行われた患者群に対し、青に示すNIVと本品を併用した患者群において、むしろ生存期間が短縮する結果となりました。機構は、専門協議での議論も踏まえ、提出された臨床試験成績及びDiPALS試験の結果から、現時点で本品の適応疾患としてALSを含めることは困難であると判断しました。

 次に脊髄損傷の適応について御説明します。審査報告書19ページを御覧ください。()SCI臨床試験を御覧ください。本品の脊髄損傷に関する臨床試験成績として、米国及びカナダで実施されたSCI臨床試験が主要臨床試験の試験成績として提出されました。SCI臨床試験は、4施設で合計54症例を対象に実施された多施設共同非盲検の単群試験です。対象患者は、病態が安定しており、人工呼吸器に依存する脊髄損傷の患者とされ、主要評価項目は、「本品の使用により最低4時間連続で十分な一回換気量が確保できる患者の割合」と設定されました。ここで「十分な一回換気量」とは、人工呼吸器における一回換気量の設定を参考に、男性で体重1kg当たり7mL、女性で6mLと設定されました。試験結果について御説明します。審査報告書21ページを御覧ください。1)有効性についてを御覧ください。54例中52例、96%の患者で主要評価項目が達成されました。また、患者のQOLの向上に関する評価について、審査報告書22ページを御覧ください。表9の一番上の行にある回答の数字のうち、1、2は質問項目に同意する。3は中立、4、5が同意しないことを意味します。この調査結果より、患者、介護者、それぞれのQOLが向上したとの回答が得られております。以上の結果より、脊髄損傷患者における本品の有効性は十分に示されたと判断しました。

 次に安全性について御説明します。審査報告書23ページを御覧ください。表10、SCI臨床試験における有害事象の一覧を御覧ください。最も発生率の高い有害事象は、二酸化炭素気胸38.9%、54例中21例。次いで、パーマロック電極の破損14.8%、54例中8例。そして、体外式パルス発生器の故障13%、54例中7例でした。安全性に関する機構の見解について御説明します。審査報告書33ページを御覧ください。5)安全性についてのマル1二酸化炭素気胸についてを御覧ください。SCI臨床試験において、二酸化炭素気胸を高い発生率38.9%で認めております。二酸化炭素気胸は横隔膜にパーマロック電極を植え込む際に、患者の横隔膜が萎縮していたことが一因となり、気腹に使用した二酸化炭素が胸腔に流入して発生したと考えられております。電極の植込み手技に慣れることにより、発生率の低減を期待することはできますが、横隔膜に電極を植え込むという手技の性質上、一定確率で二酸化炭素気胸が発生することは避けられないと考えられます。このため、本品の植込み手技後には、胸部レントゲンやCTなどで二酸化炭素気胸の確認を十分に行う必要があると考えます。

 一方、SCI臨床試験で確認された二酸化炭素気胸は、重症度に応じて適切に対処され、いずれの症例も回復したことから、二酸化炭素気胸は臨床的に許容可能なリスクであると判断しました。

 審査報告書34ページを御覧ください。マル2パーマロック電極、体外式パルス発生器等の機器の破損又は故障についてを御覧ください。発生した不具合の多くは、体外に位置する部位での破損でした。市販後においても、体外に位置する部位の破損が多く報告されており、在宅で本品を使う中での移動など、患者の使用方法に関連するものでした。本品の使用によりQOLが向上し、活動範囲が広がることを踏まえると、日常生活での本品の使用において、体外に留置された部位の破損は一定の確率で起きると考えられます。不具合が起きた際には、予備の部品を使用する、又は適切な修理対応をするなどの対応策が取られ、臨床試験では機器の不具合によって重篤な有害事象に至った症例はありません。体外に留置した部位の破損には留意が必要であるため、過度な運動は控える必要がある旨、医療従事者及び患者に注意喚起するよう申請者に指示をしております。

 以上の試験結果を踏まえた本品の脊髄損傷における臨床的な位置づけについて御説明します。審査報告書26ページを御覧ください。()臨床的位置づけについて、1)SCIに対する本品の適応についてを御覧ください。SCI臨床試験において評価されたのは、連続的な使用ではなく、4時間以上という限定された使用時間における本品の有効性でした。また、本品の不具合発生時には、患者の呼吸を確保するため、バッグバルブマスクだけではなく、もともと使用していた人工呼吸器が必要となる場合があると考えられます。一方、時間を限定した使用であっても、本品の使用により人工呼吸器からの一時的な離脱をすることで、患者及び介護者のQOLの向上が期待できます。以上より、本品の脊髄損傷における臨床的位置づけは、人工呼吸器を完全に代替する呼吸補助手段ではなく、一時的な離脱を目的とした呼吸補助手段とすることが妥当と判断しました。脊髄損傷の適応については以上です。

 次に中枢性低換気症候群(CHS)の適応について御説明します。まず、CHSの公表文献による評価について御説明します。審査報告書25ページを御覧ください。()CHSへの適応に関する臨床評価を御覧ください。15報の公表文献が提出され、CHS患者に対して本品及び類似品が使用された59例が評価されました。このうち54例は日本人症例1例を含む先天性のCHSであり、残る5例は二次性に発症したCHSでした。有効性の評価として、59例中56例の症例で横隔膜ペーシングによる呼吸補助が可能だったことが報告され、会話、睡眠の質、屋外活動性の上昇といったQOLの改善も報告されました。また、報告された有害事象にCHSに特有のものはありませんでした。

 以上の文献評価に対して、CHSの適応に関する臨床評価の妥当性について御説明します。審査報告書29ページを御覧ください。3)CHS適応に関する臨床評価の妥当性についてを御覧ください。先ほどお示しした公表文献による評価をなぜ妥当と判断したかについてですが、CHSは希少疾患であるため患者数が限られており、臨床試験の実施は困難と考えられます。一方、CHSにおいては、中枢神経である延髄の障害が呼吸不全の原因となっており、本品が刺激を行う横隔神経の機能は保たれております。そのため本品の作用機序を踏まえると、脊髄損傷と同様に本品が有効に機能すると考えられます。これを踏まえ、SCI臨床試験成績をCHSの有効性・安全性の評価に用いることが可能と判断しました。また、症例報告レベルでは、CHSに対する横隔膜ペーシングの報告があることから、公表文献における評価を補足的に行うこととしました。このような考え方から、CHSの適応について脊髄損傷の臨床試験成績と、先ほど御説明した公表文献を併せて評価し、CHS患者における本品の有効性及び安全性は示されたと判断しました。

 最後にCHSにおける臨床的位置づけについて御説明します。審査報告書28ページを御覧ください。1行目、人工呼吸器に依存するCHSの患者においては、脊髄損傷の患者と同様に社会的な制約が大きく、先天性のCHSなど、小児の症例において介護者の負担が大きいことが課題とされております。一方、脊髄損傷と同様に、本品の不具合発生時には、もともと使用していた人工呼吸器が必要となる場合があると考えられます。以上のことから、本品のCHSにおける臨床的な位置づけは、脊髄損傷と同様に人工呼吸器からの一時的な離脱を目的とした呼吸補助手段とすることが妥当と判断しました。

 最後に、製造販売後安全対策についてです。審査報告書36ページを御覧ください。()製造販売後の安全対策についてを御覧ください。本品の本邦への導入に当たり、様々な留意点が存在します。具体的には、横隔膜にパーマロック電極を植え込む手技の新規性が高いこと。植込み後は、在宅や施設での使用が想定されること。不具合の発生時には、本品に関する専門的な知識が必要となることなどです。植込み手技については、一般外科等の腹腔鏡手術に関する専門知識が十分にある医師が、適切なトレーニングを受講した上で実施することが重要と判断しました。また適切な対象患者の選択に当たっては、関連学会で策定する適正使用指針において規定する必要があると判断しました。植込み後のコンディショニングについては、リハビリテーションに関する専門知識が必要であり、実施方法については関連学会で策定する適正使用指針において規定する必要があると判断しました。審査報告書40ページを御覧ください。こちらの承認条件を御覧ください。以上のことから、ここにお示しする医師要件及び施設要件に関する承認条件1を付す必要があると判断しました。また本品は在宅で用いることが想定されることから、在宅管理における必要な支援体制の構築が必要と判断しました。以上のことから、在宅管理の支援体制の構築に関する承認条件2を付す必要があると判断しました。

 使用成績評価について、審査報告書38ページを御覧ください。表15、調査は本品が使用される全症例を対象とし、重点調査項目は安全性として有害事象(二酸化炭素気胸)の発生率及びパーマロック電極及び体外式パルス発生器の不具合。有効性として、本品により確保された一回換気量と連続使用及び長期使用の実態などです。調査期間は4年で、その内訳は準備期間に6か月、症例登録期間に2年、追跡期間に1年、解析に6か月と設定されております。なお、コンディショニングに要する期間が、臨床試験で確認されたデータよりも長いことが判明した場合には、追跡期間を延長することも検討しております。審査報告書40ページを御覧ください。こちらの承認条件を御覧ください。以上のことから、ここにお示しする全例調査に関する承認条件3を付す必要があると判断しました。

 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。

○荒井部会長 それでは初めに、参考人としてお越し頂いている長谷川先生より、追加の御発言を頂きたいと思います。

○長谷川参考人 東京女子医科大学東医療センター新生児科の長谷川と申します。厚労省の先天性中枢性肺胞低換気症候群研究班の代表研究者を務めております。

 CCHSと略させていただきますが、CCHSは欧米では約5万から10万出生に1例、日本では約20万出生に1例と言われている非常にまれな疾患です。ですから、日本の今の出生数を考えると年間約5~6人ぐらい、診断が付く症例があるという状況です。

2003年にこれが遺伝子病であることが分かり、日本では山形大学の小児科を中心に遺伝子診断が可能になりました。今現在では血液を山形に送ることで、2003年以降、診断可能になっています。それ以前はこの病気、知られていたのですが、正式な診断を付けるためには呼吸中枢の生理学的な検査をしなければいけないために、その検査ができる施設にたどり着いた症例は診断が付きましたが、それ以外の症例は原因不明の突然死など、診断が付かないまま亡くなっていた、そういった症例が数多くあると思われます。

 今現在、約120名前後いるとされていて、実際にはこの疾患は呼吸管理が全てで、呼吸管理をしっかりしてあげられれば生命予後も改善しますし、中枢の予後も改善するという格好になります。この疾患ですごく難しいのは、もともと呼吸中枢の異常なので、例えば炭酸ガスが溜まったり低酸素になっていっても、本人が全く呼吸苦を感じないので、周りからそれをサポートしてあげる、若しくは周りからそれをモニターして、きちんと認知してあげないといけない。例えば元気がよさそうだとそのまま放っておくことで、その子が低酸素高炭酸ガス血症を繰り返す、そのことで生命的な予後を悪くしたり、場合によっては中枢性の障害を残すということが数多く報告されています。

 この疾患はかなり幅の広い疾患で、軽症例では夜間睡眠時のみ、場合によっては風邪を引いたり体調が悪いときだけ、著明な低換気になるという症例もあります。重症例では、お昼に起きているときもずっと低換気で、24時間の呼吸管理を必要とする形になります。この疾患の場合、特に生まれてからの先天性の疾患で、しかも永続的な疾患であり、今は治療法はありません。そのために生まれて診断が付くと、できるだけ早い時期に呼吸管理、可能であれば気管切開による呼吸管理を始めて、将来的にある程度、自分でマスクを外さなくなるとか、大体小学校に上がるぐらいなのですが、それをめどにNPPV、マスク型の換気に切り替えていくというのが一般的な管理法になっております。

 今回、御提案されている横隔膜ペーシングに関しては、日本ではまだ本品に類似する未承認医療機器を使用した1例だけになります。12歳のときにアメリカに渡られて植込みをされて、今、8年間使われているという症例が1例あるだけで、ほかはありません。この症例は8年間、一応大きなトラブルなく過ごせているということになります。

 この横隔膜ペーシングを使う一番のメリットは、特にお昼にも人工呼吸が必要なお子さんに対してこれを使うことで、お昼の人工呼吸からの離脱が可能になるということです。夜間に関しては、特に小さいお子様で難しいのは、例えばこの横隔膜ペーシングだけで換気を取ろうとした場合、小さいお子様は寝ると、上気道がもともと脆弱なものですから、横隔膜だけ収縮させても上気道閉塞を起こして、うまく換気ができないというトラブルが起きます。このために、やるとしても気管切開をおいて上気道閉塞を防いだ状態でやらないといけなくなります。

 もう一つ大きな問題が、この横隔膜ペーシングは横隔膜を動かしてはくれるのですが、呼吸ができているかどうかに関するアラーム機構がないのです。そのために普通でしたら呼吸できていなければ苦しくて目が覚めて、自分で苦しいと言えるのがほとんどなのですが、このCCHSのときは、それを苦しくないと思うのが病気の本態ですので、横隔膜が動いていても、例えば上気道が塞がっているとか何らかの形で換気ができていないとしますと、一切アラームが鳴りませんので、誰も気が付くことができません。

 なおかつ機械のトラブルが起こった場合、当然これも気が付くことができないので、夜間に関して、特に6歳未満のお子さんに関しては、気管切開による人工呼吸を主体とするのが、より安全性が高いと思います。人工呼吸器の場合、外れると人工呼吸器のアラームが鳴りますので、それによって確実に、夜間そのお子さんの呼吸が担保されているかということが分かります。

 位置づけとしては、夜間は人工呼吸器による呼吸管理、お昼の呼吸器からの離脱ができるということで、QOLを上げてあげる、行動範囲を広くしてあげる、家族の負担を減らす、そういう位置づけではないかと考えています。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から御意見、御質問等いかがでしょうか。

○小西委員 私、先天性のものを初めて知ったのですが、出生直後はどのような状況でしたか。

○長谷川参考人 第一啼泣はあって、普通は泣くのですが、重症例では泣いて、その後にすぐに無呼吸になります。無呼吸になって人工呼吸をして、人工呼吸をすると肺はすごくいいものですから、普通の施設は「もう抜管できるね」と管を抜きにいくと、また無呼吸を繰り返して、それを何回かやっているうちに、これは呼吸中枢の問題ではないかということで、血液検査を行って、診断が付くというのが、最近の傾向になっています。

 あと、軽症例においては比較的目立たない。お母さんが「何となく、この子は寝ていると顔色が悪くなる」と気が付いていても、そこまで具合が悪くないものですから、風邪を引いたのをきっかけに非常に具合が悪くなって、それから診断が付くというケースもあります。ですから、重症例は生まれてすぐ、軽症例は少したってから気が付かれるというケースが多くなっています。

○小西委員 ALSが臨床試験で良くなかったというのは、すごく気になったのですが、まずNIVとはどういうものか、御説明いただけませんでしょうか。具体的にNIVとはどういうことをやっていて、それにこの機械を加えるというのはどういう状況だったのか。臨床試験の具体的なところを知りたいのですが。

 もう一点は、実物を見せていただいて、体外のパルス発生器はものすごく大きいので、通常はもっと普通のスモールぐらいの大きさにできるのかと思ったのですが、あえて大きくしているのか、この機器の大きさに関してどういう議論があったのか。普通はもっと小さくできて、その大きさによって不具合が生じたということがなかったのか、すごく大きくてびっくりしたと思うのです。ですから、その辺も後で説明を頂きたい。

○機構 御質問ありがとうございます。まずNIVについてですが、今、参考人の長谷川先生から、小児において6歳以降で使うという御説明がありましたマスク換気と同じものになります。非侵襲的な換気ということになりますが、密閉式のマスクを使う陽圧呼吸になります。

 ALSにおいては、比較的早期からNIVを導入することは、現在、標準治療とされております。ですから、この標準治療で使っているNIVのみを使用している群、それからNIVに加えて本品を併用するという群、その2群で生存期間を比較することが行われておりました。以上が一点目です。

 それから二点目の御質問、本品の大きさに関してですが、確かに御指摘いただいたように、本品は体外留置されている部分がある程度あり、本品の大きさもある程度あります。実際に日常生活で使用する中で発生している不具合の比較的多くが、体外式パルス発生器であるとか、あるいはケーブル類の破損に伴うものでした。確かに体外に留置する部分があり、かつ、このもののコンセプトがQOLを上げ、活動性を上げるものですから、本体を取り落とすことなどによる破損は実際に起きています。したがって、現状は確かに大きさがある程度ありますので、米国のマニュアル上にもあるように、体には必ず密着させて使うことという指導はされております。

 一方で、この大きさに関する課題ですが、現状確かにある程度の大きさはあり、これは例えば心臓ペースメーカーに比べると大きいという印象を持たれると思うのですが、このものの刺激をするのに必要な電圧がかなり大きくて、そのために、ある程度の電池の大きさは必要ということはあるようです。今後、開発の中で、本体の小型化ということは出てくるのかもしれないのですが、現時点ではそういったことは出てきておりません。

○小西委員 本当に真面目に作ったのかという気がして、今の技術だったらもっと小さくできて、もっと持ち運びができるのではないかと。このまま認めていいのかというぐらいの大きさという気がしました。そこのランダム化比較試験の解析、どういう理由で有意にするようになったかという解釈はどうなっているのでしょうか。

○機構 ALSのランダム化比較の解釈ですが、もともと申請時に提出されていたものは、ランダム化比較試験ではなく単群の試験でした。こちらが治験のデータとして提出されたもので、単群試験を外部のヒストリカルコントロールを用いて比較したという後付け解析が実施されたものでした。このときに用いられたヒストリカルコントロールというのは、公表論文からNIV、非侵襲的換気を使った群の生存期間を用いました。そして、この治験の患者で本品を植え込んだ症例が106例いるのですが、その106例のうち43例を、この背景情報を合わせることで取り出して、その43例と、この治験の患者を比較することで、対照群が11.9か月、本品群が20か月と生存期間が延長したという結果が示されておりました。

○荒井部会長 いや、小西委員のご質問は、なぜこのRCTが逆に負けた結果になったのかの理由についてです。

○機構 失礼いたしました。

○小西委員 ALSだけではなくて、ほかの疾患でも、これを使ったために悪くなる可能性というのを秘めているわけですね。なので、これは極めて重要な、本当にこれで大丈夫なのかということを言っているのだと思うのです。

○機構 まず、一つ大事な点としては、ALSとその他二つの疾患、脊髄損傷とCHSに関してはコンセプトが大きく異なります。ALSに関しては生存期間を延長する、もともと予後は限られている疾患で、予後に関してが課題となっておりますので、これを解決するものとして本品の開発は進められました。

 一方で脊髄損傷に関しては生存期間に特に課題はなく、病態としてはステーブルなのですが、呼吸の補助、人工呼吸器によるQOLの制限が課題になっております。ですから、このものを使うことにおける位置づけが、脊髄損傷それからCHSとALSにおいては異なります。

 ALSに関して、そういった開発のコンセプトから生存期間の延長ができるのかということをランダム化比較試験で実施したところ、かえって短縮してしまったということに関してですが、こちらは現時点でどういった原因であるといったところまで、アカデミアの方で結論が出ているわけではありません。こちらの機構の方で実施した専門協議における、専門委員の神経内科の先生方からの御意見としては、ALSの基本的な病態として、そもそも筋肉が比較的疲労しやすいということでした。ですから、通常の健康な方に比べて、やはり電気刺激をして横隔膜を刺激することで、より疲れやすくなってしまっているのではないかという可能性は御意見として頂きました。しかし、実際にどういった原因であったかというところまでは、分かっていないというのが実情です。

○小西委員 この論文にはどう書かれてあったかということ、Lancet Neurologyという、その論文内容のディスカッションをちょっと知りたいのですけれども。

○機構 論文の結果としても、やはり原因の考察というところまでは至っていないのですが、この横隔膜ペーシングをALSに使うということは、予後に関して余り良くないかもしれないというディスカッションであって、その病態、原因に関しての考察というところまでは至っておりませんでした。

○荒井部会長 なぜ予想と違う、逆の結果が出たかということの原因については、言及されていないということですね。

○機構 言及できていないです。

○荒井部会長 そのほか、どうぞ。

○後藤委員 今のところと関係あるのですが、ALSの場合、運動ニューロンの病気であるということがありますので、刺激を加えることによってその運動ニューロンそのものの病状が進行する可能性もあると思うのです。そのように考えていくと、これから使おうとしているほかの疾患に関しても、刺激を加えることによって末梢神経そのものが何か障害を受けるとか、長期に使うことによって末梢神経そのものに影響がある、そうすると、先にいったときに何か問題が起こってくる可能性があるかもしれません。

 先ほど長谷川先生のお話で、8年間使って大丈夫とおっしゃっていたので、そのぐらいの期間は大丈夫なのかという気もするのですけれども、長期使用に関する知見などはあるのですか。

○機構 御指摘ありがとうございます。まず、長期使用に関してですが、本品に関して最も長く使っている症例、14年1か月という使用経験はあります。それからALSと異なり、脊髄損傷、CHSに関しては、運動神経が進行的に侵されていくという疾患ではありませんので、その点に関してはALSのような懸念は少ないものと考えております。

○荒井部会長 そのほかよろしいですか。

○正田委員 これはものを植え込むという第1段階と、その後、使っていくという第2段階があるわけですね。第1段階に関しては「学会が」とか書いてありますね。ですから、使うという段階の当初、講演で教育するなど医療者向けにやるとか、学会が参加してやると書いてあるのですが、その後、40ページの承認条件の2に書いてある患者及びその介護者、在宅に行くとき、それに対してどのような教育をするのでしょうか。これは実際、在宅で使う期間がものすごく長くなる可能性があるものであって、医療者ではない人たちがこれを面倒見なければいけなくなるわけですね。それをどのように使ってもらうか。

 先ほど長谷川先生がおっしゃったように、人工呼吸器の回路外れというのは大変なのだけれど、外れたらアラームが鳴ったり、外れたらつなげばいいのですが、この機械は動かなくなったときに、医療者ではない人たちだけが周りにいて、どうやってそれに対応するという教育を、きちんとしておくのかというのがとても気になります。家族の負担を減らすと言いながら、家族の負担が増えないかどうか。もちろんこれは大切な機械で良いと思うのですが、その辺りはきちんとしておかないと、うまく使われないのではないかということが心配なのです。その点はどうなっているのか確認したいと思います。

○機構 御指摘ありがとうございます。まず、患者、家族、それから介護者への教育は、非常に重要な点と考えております。最初の方でおっしゃっておられた植込みの時点、それからコンディショニングという使用のトレーニングがあるのですが、実は介護者に対する教育というのは、このコンディショニングの部分から始まっております。

 コンディショニングというのは、初めは定期的に病院に入院して、この内容をチェックするという期間を踏まえながら、基本的には自宅で行っていくというものになります。したがって、このコンディショニングの方法に関しても、御家族にトレーニングをして、人工呼吸器から一時的に下ろして、このものを使っていくというのを、患者自身それから家族で行っているというのが実情になります。

 それから使用方法に関して、どういった講習やトレーニング、指導をしていくかということになります。先ほど少し御説明したように、まずこのものの使用を日常生活でしていく中で、どこかに引っ掛けてしまったり、取り落としてしまうという危険があるので、どういったことに気を付けるべきであるか。しっかり体にくっ付けて移動するようにであるとか、あるいは水が掛かる状況、お風呂、水泳といった状況は避けるようにとか、お風呂は本品の使用を一旦中断して、しっかり被せものをすることになるのですが、そういった指導も含みます。

 それから、何か不具合が発生したときに、このもののアラームが鳴りますので、その場合にどういった対応をするべきか。刺激電極は4極植え込まれますので、1本の刺激電極が破損した場合にも刺激は続くことになります。しかし、例えば不関電極というアースがあるのですが、それが破損した場合には確かに本品が使えなくなる、呼吸補助が行われなくなります。その状況においては、もともと使っていた人工呼吸器に戻していただくことになります。ですので、バックアップとしてもともと使っていた人工呼吸器は、やはり必要だと考えております。

○荒井部会長 よろしいですか。これはもう皆さんお気付きと思いますが、今回の品目は、SCI(脊髄損傷)、CHSという中枢性のもの、そしてALSという三つの疾患を対象にしています。患者さんの数はALSがかなり多い訳ですが、ALSに関しては、先ほどのRCTで、原因は分からないけれども生存期間で負けているからやめましょうということで、企業側が申請を取り下げた訳です。

 それは構わないのですが、もう一つ着目すべき点は、SCIの結果を根拠として、その結果を非常に稀な中枢性のものにも外挿し、いいことにしましょうとした点です。私はこれはかなり大きな判断だと思います。この部会として、必ずしもきちんとしたデータが揃っている訳ではないが、類似した疾患が非常にレアで、かつ、実際にデータを集めることも難しいので、その結果を外挿しようという判断を、今回下そうとしているわけです。私は、個人的には賛成で、決して反対ではないのですが、この部会としてそういう判断を下そうとしているという点を認識して頂く必要があると思います。

 反面、それではSCIとかCHSなど、今回は承認しましょうといった品目に関して、RCTがあるかというと、ありません。そうすると、片方はQOLの改善その他で大事そうという印象を受けるわけですが、一方で否定された方の理由は、実はRCTをたまたま見ていたら生存期間が勝てなかったから、これは除外しておきましょうということです。物差しの基準が随分と違うものを使って、片方はやめておいて、こちらはいいことにしましょうという話です。

 このような点を委員の方々にも御認識いただいた上で、このものの本当の、介護をする方などの社会的な重要性という観点も踏まえ、RCTはないけれども、あるいは外挿のデータだけれども、いいと判断するんだという認識を持って、今回は議決しなくてはならないと思うわけです。私はそのような捉え方をしております。

○中谷委員 座長に先に言われてしまったのですが、私もこの機械の位置づけ、適応とする対象、そして求める成果というものがはっきりしていないことが、今回の審議の混乱を招いているような気がして仕方ないです。この機械のコンセプトは単純だと思うのです。刺激がないから動かない筋肉を刺激して動かすようにしよう。それがきちんと簡便に手術できて、機器もある。そうしたら、単純にその機械を先天性の疾患などに適用するしかないだろう。それがずっと作動すれば一番いいという話になると思いますし、脊髄損傷の場合も、どちらかと言えばそれに近いと思うのです。

 ところが、ALSの場合は横隔膜の筋肉そのものがおかしくなるという状態なのですから、それは全く話が変わるだろうと考えます。ずっと説明を聞いていても、全く同じレベルで話をされているから、すごく混乱してしまいます。極端な言い方をしますと、何か売れたらいいかという感じでやってみたけれど、駄目だったというぐらいの感じがします。

 もう一つは、QOLをよくするためにという観点から言えば、用いている間の生活に楽しみがあるのだったら、必ずしも悪いとは言えないのではないか。そこの判断する基準がごっちゃになっています。もし、観点を変えていくのだったらALSでも構わない、使ってみるという形にしてもいいのではないか、それも十分あり得るのではないかと思うのです。

 そういう論点が全然ないのに、これを通すのは、今後問題になってくるのではないかと思います。通すこと自体はいいと思います。ですから、今座長が言われたようなことを、もう少し明確にまとめて、その上で認めるという形にした方が良いと思うのです。

○荒井部会長 何かいかがですか。

○機構 御指摘ありがとうございます。ALSに関して、確かに生存期間のお話をメインにさせていただいたのですが、御指摘いただいたようにALSにおいて、もちろんQOLの改善も期待できるという側面はあると思います。

 ただ、これは専門協議でもディスカッションになった部分ではあるのですが、仮にこのものに、もともとのコンセプトであった生存期間の延長が実際に期待できず、例えばランダム化比較試験の結果が非劣性であって、差が付いていない、つまり生存期間には悪さをしないけれども、延長もしないという結果であれば、QOLを向上するというところを主なメリットとして、このものを承認していくという道はあると考えました。ただ、実際に示された結果は非劣性ではなく、むしろ生存期間が短縮するという結果でした。

 もちろん、こちらに現在報告されているランダム化比較試験は、このLancet74症例の一報だけになりますので、これでもうエビデンスが完全に確立したとまでは言い切れないと考えております。実際このときに並行してフランスとアメリカで1本ずつ、ランダム化比較試験が動いておりました。ただ、こちらの二つのランダム化比較試験に関しても、イギリスのランダム化比較試験の結果を受けて、患者登録等は中止してしまっている状況です。

 今後エビデンスが蓄積され、こちらのイギリスのランダム化比較試験がなぜ生存期間を短縮したのか、それから実はその結果が大きく違ったであるとか、あるいはALSの中で絞り込みをより行って、こういったALSの症例であれば、この機械が適切であるとか、新たな知見が出てきた場合には、この機械が承認を受けていく道はあると考えております。ですから、完全に今後も承認する道がないという判断をしたというよりは、現時点でのこのデータをもって承認するのは難しいという判断をしているという状況です。

○中谷委員 多分それがしたかったのだと思うのですけれども、それが全然、提示されなかったので、あえて質問させてもらいました。

 それでしたら最初のALSと分けて話をして、その後で、ALSに関してはこうであるというようにする。それから先天性のもの以外のものに関して、検討するとか、そこの論理の立て方が何か混乱しているように思うのです。

 ですから、今も言ったように、ALSに関しては単に生存期間で検討したと。ほかの疾病に関しては、QOLも含めた形であったとか、何か比較のレベルが全然違う形でやっているから混乱します。まず機械の説明をして、どうなるかということを言って、それを用いることでこの疾病に対してこうであり、他の疾病に対してはこうであったので、今回この機械を認めますというような形の今の段階での結論にしておけば、今、言われたように、もし新たなデータがあれば使えるという道が開けるということが分かります。今回の提示では完全にアウトという感じで取れるのです。今、機構が言われたようなことなどは、多分この答えでは読めないと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。今、中谷委員から論旨の展開の御指摘があったと思います。基本的に先ほど申し上げたように、まずは脊髄損傷の方に対してのQOLが主体、あるいは外出その他ありますけれども。それで、そのデータを外挿して中枢性のものにもいいだろうというところまでは、多分、大きな反対の御意見はないようです。ただ、その論旨の展開の中で、いきなり側索硬化症のALSの話が、ランダム化比較試験でというところに飛んでしまったものですから、混乱を招いたように思います。

 いずれにしても、これは実際、承認を与えた場合にも、その後のフォローをかなり多角的な面で行っていかなければいけないと思います。長いといってもまだ十何年程度のデータしかないのが現状ですので。今後の適応が本当にALS、ほかの疾患もあるのか私には分かりませんが、ほかにも展開が出る可能性があるという認識をもって、慎重に追い掛ける必要があるかと思います。そのほか御意見いかがでしょうか。

○中島委員 これの審議に関しては、荒井部会長がお話されたような内容で、私もこれは重要なデバイスだと思いますので、認めていく方向でいくべきだと考えています。先ほど正田先生がお話された内容は、とても重要だと私自身も思っていて、機械に不具合が出たときは、何かアラームが出るのですね。でも、実際に患者さんの酸素飽和度が下がったとか、そういうときにはアラームが出ない。長谷川先生も先ほどその辺を指摘されていましたが。今は生体モニターもものすごく進化しつつあると思いますので、何かそういう開発も含めて、やはりこれを装着する方には何らかの生体モニターシステムみたいなものも同時に付けて。やはり家族がいつもいつも心配で寝られないみたいになったら、結局は何の役にも立たないと思いますので、その辺は今後、発売されて、そういうところまで視野に入れて、開発が進められるような示唆をした方がいいと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。幾つか宿題と申しますか、仮に承認するにしても、そういった形のことまで展開を含めて対応していただこうということで、これはお願いしてよろしいですね。そのほか、よろしいですか。

○村上委員 今回は在宅で管理をされるデバイスということなのですけれども、いわゆる刺激系、電気系のトラブルがあったときに、介護の人などが一緒におられるときはいいのですが、その患者さん本人だけのときにトラブルが起こった場合は、御本人が対処できるという、そういうことは検討されているのでしょうか。

○機構 御指摘ありがとうございます。疾患に少しよってくるかと思います。CHSの場合は、特に先天性の場合は小児例になりますので、やはり親御さんがずっと付いているという状況になりますので、小さいうちは御自身でというのは難しいと思います。

 脊髄損傷に関しては、障害の程度によって全く自分で動けない方、それからある程度自力で動ける方と分かれると思いますので、ほぼ全面介助が必要な方に関しては、やはり介護者が見てということになると思います。御自分で動ける方に関しては、ある程度、アラームに対してどう対応するかということを御指導することは可能かと思います。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。

○鈴木委員 この機械を使える有効な時間は4時間までなのですか。どれぐらいまでは可能だというデータをもう少し教えていただけますか。それははっきりと示されているのでしょうか。

○機構 御指摘ありがとうございます。こちらの臨床試験で主要評価項目に設定されたのは、確かに4時間という時間だったのですが、実際には、この4時間を超えて使用している方が多くいます。この54名の臨床試験の中においても、連続して24時間使っているという方が約半数おります。また、24時間以内の使用時間の方もいますし、あとは人によっては、夜間はやはり心配なので、人工呼吸器を使うという判断を御家族がされているという方もおります。

 つまり、使用時間が24時間以内とされている方の中にはコンディショニングというトレーニングの期間中は、24時間使えることが確認されているものの、実際の使用状況はそれよりは短いという方も含まれておりますので、実際はより長時間使えると考えられます。また、このものを使えば使うほど、使用時間は基本的に延びていくことは確認されておりますので、4時間に限定するというものではないです。

○鈴木委員 QOLの拡大という意味があるとすれば、人工呼吸器を外すだけではなくて、脊髄損傷や頸椎損傷の方がどこかへ出掛けられたりするようなことがないと、室内にずっといるだけでは、余り意味がないのではないかという気がするのですけれども、そうした行動範囲が拡大したというようなデータはないのですか。皆さんはどうされているのですか。24時間以上外して、どんなことをされているのか、そういうデータはあるのですか。

○機構 やはり、この機械を使う大きな利点が、食事、会話、それから今、おっしゃられたような移動の三つについて、助けになる事です。ですので、もちろん室内で食事、会話ということもできるようになるのですが、外出もしやすくなりますので、この機械を持って外出をしていくという方もいらっしゃいます。

○荒井部会長 よろしいですか。それでは特に御意見がありませんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。医療機器「NeuRx横隔膜ペーシングシステム」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価には期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行う予定です。これで議題2を終了いたします。長谷川先生、どうもありがとうございました。

 それでは、よろしければ引き続いて議題3に移らせていただきます。議題3、医療機器「IN.PACT Admiral薬剤コーティングバルーンカテーテル」の使用成績評価の指定の要否についてに進ませていただきます。まずは、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○事務局 議題3、医療機器IN.PACT Admiral薬剤コーティングバルーンカテーテルの使用成績評価の指定について御説明いたします。資料3を御用意ください。表紙のページが諮問書になります。3ページが今回、使用成績評価の指定について御審議いただく品目の概要となります。申請者は、日本メドトロニック株式会社です。品目の概要欄を御覧ください。本品は下肢動脈の狭窄又は閉塞病変に対して、再狭窄低減を目的に使用される、薬剤塗布型バルーンカテーテルです。バルーン表面には、パクリタキセルが塗布されております。塗布されたパクリタキセルの含量は異なりますが、7月部会で御審議いただいた、Lutonixドラッグコーティングバルーンカテーテルと類似の品目となります。

 その下に、今回の申請に添付された臨床試験の概要をまとめております。海外臨床試験は180mm以下の病変を有する症例に対して、薬剤なしのバルーンカテーテルを対照群として実施されました。

 次のページの左上に海外臨床試験の結果をまとめております。有効性については、12か月目の血管の開存性を維持した症例の割合になりますが、本品群の優越性が示されております。また安全性については、機器関連の死亡や下肢切断等を回避した症例の割合ですが、非劣性が示されております。国内臨床試験においては診療ガイドラインの更新に伴い、対象病変長を200mm以下として実施されましたが、有効性及び安全性に特段の問題はなく、本邦特有の有害事象は確認されませんでした。対象病変長に180mm超を含めることについては、国内臨床試験における病変長180mm超の成績についても特段の問題がなく、診療ガイドラインにおいて200mmまでを同様の扱いにしていることを踏まえ、承認に含めることは妥当であると判断しております。

 市販後安全対策としては、先発品における審査経緯を踏まえ、適切な症例選択が重要と考えられることから、関連学会により策定された適正使用指針が徹底されていることを確認する必要があると判断しております。そのため、調査期間を4年とする使用成績評価を求めることが妥当であると考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 委員の皆様から御質問、御意見等ございますでしょうか。

○一色部会長代理 Lutonixのときにさんざん議論をしたので、2品目があっさりと通ってしまうのはどうなのかという気もちょっとないわけではないですけれども、この結果が前の製品とどのように、理由があってあちらとこちらのデータの違いがあったのかについては、機構の御見解はどうだったのかお知らせいただければと思います。

○機構 御質問ありがとうございます。前回の部会審議でもお話させていただきましたように、Lutonixの場合、前回の品目の場合には、成績が悪かった一因としては、本品群に治療困難例、逸脱症例が多く入ってしまったというところがやはり大きかったと思います。それで我々もいろいろ調査をさせていただき、Lutonixが本当に悪かったのかどうか、文献等をいろいろ調べてみたのですが、海外の市販後のレジストリーとか、単施設のレトロスペクティブな調査等では、成績はそれほど変わらないという報告があります。ですので、Lutonixと同じように本品に関しても市販後調査を掛けせていただいて、しっかり適正使用指針が守られて遵守されて、試験のときと同じような成績が出るかを確かめさせていただければと思います。

○医療機器審査第二部長 あと、少し補足させていただきますけれども、前回のLutonixは国内成績が非常にバルーン群と差がなかったということで、我々もこれはどこに原因があるのだということで、一応確認したのですが、御存じのとおりLutonixではバルーン群で3例、DCB群で11例の計14例の逸脱症例が入っていたということが、大きな有意な差がつかなかった原因だと思っています。一方でこのIN.PACTのほうは、治験の依頼者の質もすごく高かったのか、逸脱症例がもう1例のみということで、きちんとした症例が選択されて治験が実施されたということで、成績も海外同様の結果を出していると思っております。ただ、今申し上げましたとおり、世界的にも今現在、LutonixIN.PACTもほぼ同じシェアということと、あと成績も市販後レジストリーの結果も、ほぼ同じということで、今後国内の成績はフォローアップしていきたいと思っています。

○荒井部会長 恐らくこの報告に関して、前回御指摘いただいた委員の方が皆さん共通に思っておられるところに対しての御説明かと思います。そのほかよろしいですか。

○中島委員 前回は本質的なところの議論だったのですけれども、ちょっと末梢的なことかもしれませんが、少し気になったのが、6ページの添付文書の禁忌・禁止の所の1)の「本品は、冠血管、腎動脈、上部大動脈、頭蓋内の脳血管」の、この上部大動脈という記載はどういう意味でしょう。解剖学的にもそういうものはないですし、これはLutonixをそのままというわけではないですけれども。上行大動脈なのでしょうか、それともどういう意味でしょうか。

○機構 恐らく上行大動脈のことだと思います。それで今現状、審査の最終段階にきておりまして、添付文書につきましては、改訂を進めております。ですので、承認のときにはしっかりまとめさせていただいて、変な記載がないかどうかを確認させていただきます。

○中島委員 分かりました。

○荒井部会長 そのほか。

○鈴木委員 そうするとこれからは治験をするときに、症例選択が駄目で結果が駄目な場合は駄目と言っていいわけですね。それをきちんとやればきちんとできたということは、今回結局は屁理屈を付けて通したわけですけれど、これからは駄目ということでよろしいのですね。もう一回やり直してくださいということでよろしいわけですね。

○機構 はい、そのつもりというか、そうですね。我々としても対面助言等をしっかりと、こういうプロトコールでやれば白黒付けられるという形で、しっかりとそこら辺を助言させていただきつつ、企業にも求めていきたいと思います。

○荒井部会長 そのほかよろしいですか。

○渡邉委員 前回のとき、パクリタキセルは、2μgでしたね。今回は3.5μgですけれども、その差は何かデータとして現れているのでしょうか。

○機構 動物試験や臨床試験の、先ほど数字上は差があると、国内試験の成績としては差があるように見えるということはありましたけれども、特に具体的な差というものは見られておりません。動物試験でも例えばバルーンを拡張した血管組織中の濃度でも特に差は見られておりませんので、特に差はないかと考えております。

○荒井部会長 そのほかよろしいですか。先ほど鈴木委員から御指摘のあった点で、基本的にはああいうことを繰り返したくないというのは共通の認識と思います。一方、少し懸念しますのは、今、既に一定の指導の下で走っている試験がある訳で、そういったものに関して、今後同じような事態が生じる可能性はあるわけです。そういうことは避けたいし、同じような議論を繰り返したくないとも思います。ですから、もし必要があれば適宜見直し等を進めていただければと思います。お願いいたします。

 そのほか御意見はよろしいでしょうか。よろしければ議決に入らせていただきます。「医療機器IN.PACT Admiral薬剤コーティングバルーンカテーテル」の使用成績評価は、期間を4年として、指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会にて報告させていただきます。これで議題3を終了いたします。

 続きまして、議題4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題4につきましては、資料4-14-24-3に基づいて御説明いたします。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、又はその保守管理に専門的な知識を要するものとして特定保守管理医療機器に指定するか否かについて、御審議いただいております。今回は医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが3品目ございます。

 まず、資料4-1を1枚おめくりいただいて、新設する一般的名称()についてを御覧ください。新設予定の一般的名称は「甲状軟骨固定用器具」で、声帯機能不全患者の喉頭形成手術時に使用され、切開した甲状軟骨の開大維持を目的とした固定用器具です。次のページに新一般的名称が付される予定の品目概要がございます。この品目は右の図にお示ししていますとおり、中央部にブリッジ部を有する蝶番型のチタン製ブリッジであり、正中切開した甲状軟骨前交連部を甲状軟骨ごと開大し、本品を持いて固定し、声門の過閉鎖を防止することで内転型痙攣性発声障害の症状を改善させるものです。

 当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することとなりました。本品は高度管理医療機器、クラスIIIに指定されるべきものと考えております。また特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。

 続いて資料4-2の3ページの新設する一般的名称()についてを御覧ください。新設する一般的名称は「中耳加圧装置」です。対象となる機器は、中耳を加圧することで内耳に蓄積された内リンパ液の排出を促し、メニエール病や遅発性内リンパ水腫に起因するめまい発作を抑制することを意図した機器です。4ページに新一般的名称が付される予定の品目概要がございます。本品は下の図にお示ししますとおり、空気圧の発生装置と、耳栓付チューブからなっており、この耳栓を通して中耳を加圧します。本機器と類似の品目であるMeniettという機械がニーズ検討会において、ニーズの高い機器として選定されているため、本品に対するニーズも高いものであると考えております。

 3ページに戻りまして、下の参考に示しますように、類似の医療機器を表す一般的名称として、鼓膜按摩器がありますが、この一般的名称に該当する機器は、メニエール病や遅発性内リンパ水腫に起因するめまい発作の抑制を目的としていないため、本機器は該当しないと考えます。このほかにも、類似の一般的名称は存在しないため、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断しました。本一般的名称に該当する機器のクラス分類は、管理医療機器、クラスIIとし、特定保守管理医療機器への指定は不要と考えます。

 最後に資料4-3の3ページの新設する一般的名称()についてを御覧ください。新設する名称は「病理ホールスライド画像診断補助装置」です。病理スライド全体の画像を取り込み、表示等を通しての病理診断の補助を目的とした装置となります。

 次に、9ページを御覧ください。新一般的名称が付される予定の品目概要がございます。本品は病理スライドを読み取ってデジタル画像化するスキャナ及びデジタル画像の管理を行うマネジメントシステムから構成される品目となります。本品は病理検体全体をデジタルデータ化する機器であり、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断いたしました。クラス分類は管理医療機器、クラスIIとし、特定保守管理医療機器に指定することとしております。

 また、データの取込み、保存を主眼としたものに関しましては、「病理ホールスライド画像保存表示装置」として、一般医療機器、クラスIとして整理したいと思います。こちらも特定保守管理医療機器に指定することとしております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 三つの医療機器です。甲状軟骨の固定用器具、並びに中耳の加圧装置、そして最後の病理ホールスライド画像診断補助装置ですけれども、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問はいかがでしょうか。

○梅津委員 これは単独の話ではなくて、一般的な話ですけれども、私は実は大学で機械工学を教えているのですが、写真が出てきたときに、中にバースケールが入っていると、パッと見たときにどのくらいの大きさなのかが分かりやすいと思うのです。例えば2cmとか1cmとか。今日の申請書を見てもどれもそういうものがないので、みんな直接見れば分かるのですが、可能な範囲でいいと思いますが、何かそういうものがあるとより分かりやすいのではないかという気がいたしました。

○荒井部会長 ありがとうございます。これは是非御検討ください。御指摘のとおりですね。そのほかいかがですか。御質問とかよろしいでしょうか。よろしければ、議決に入らせていただきます。三つ順番にいきますので、よろしくお願いいたします。まず、「甲状軟骨固定用器具」を、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 次の、「中耳加圧装置」を、管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。

 三番目の「病理ホールスライド画像診断補助装置」を、管理医療機器、また「病理ホールスライド画像保存表示装置」を、一般医療機器として指定し、ともに特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会にて、文書にて御報告を行う予定としております。これで議題4を終了いたします。

 本日予定されておりました議題は全て終了いたしました。事務局より連絡等ございますでしょうか。

○医療機器審査管理課長 二点ございます。4月と6月の本部会で御議論いただきました、単回使用医療機器の再製造について、それから革新的医療機器の早期承認についてということで、両方とも7月31日付けで通知を発出してございます。どうもありがとうございました。

 それから次回の部会は、9月29日金曜日の10時~12時を予定しております。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 今日はいつもよりも早めですけれども、これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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