ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第20回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録(2017年12月8日)




2017年12月8日 第20回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録

○議事

○大林予防接種室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第20回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催します。本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。

 続いて、出欠状況について御報告いたします。中野委員、宮崎委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員10名のうち8名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 本日は、市役所及び区役所の予防接種担当の方から御発表いただくことから、市役所及び区役所の方に参考人として御出席いただいております。秋田市保健所健康管理課武藤智真貴参考人、つくば市健康増進課小野村順子参考人、足立区保健予防課福田直人参考人、名古屋市健康福祉局健康部保健医療課西口淳参考人、神戸市保健福祉局保健所予防衛生課谷杏奈参考人でございます。

 それでは、議事に先立ちまして、配布資料の確認をいたします。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席表、資料1から資料9まで、資料77-17-2があります。参考資料12、また、委員の方のみ机上配布で名古屋市が作成された冊子をお配りしております。それから、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配布資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら事務局にお知らせください。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。それでは、ここからの進行は倉根部会長にお願いいたします。

○倉根部会長 それでは、よろしくお願いいたします。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等についての報告をお願いいたします。

○大林予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員から予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、申請資料への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので御確認いただければと思います。本日の出席委員の申出状況及び本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員及び参考人がおりませんことを御報告いたします。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。それでは、議題に入ります。まず、議題1、予防接種に関する基本的な計画におけるPDCAサイクルに係るヒアリングに入りたいと思います。予防接種に関する基本的な計画については、各事項についてヒアリングを実施していくことになっておりますが、本日は前回の会議に引き続き、予防接種の実施主体である市区町村から、市区町村における実施状況について御発表をお願いいたします。まずはその前提として、事務局から基本計画についての御説明をお願いします。

○大林予防接種室長補佐 資料1については、前回お配りしたものと同じものですので、説明は割愛いたしますが、予防接種基本的計画に規定されている各事項について、実際どのように実施されているかという視点から、本日の市区町村様からの発表を聞いていただき、議論していただければと思います。事務局からは以上です。

○倉根部会長 それでは、市区町村から御発表をお願いいたします。参考人の先生方、本日は本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。今日は秋田市、つくば市、足立区、名古屋市、神戸市の順にお願いしたいと思います。5人の方々から続けて発表いただいた後に、まとめて質疑応答に入りたいと思っております。それではまず、秋田市の武藤参考人から御発表をお願いいたします。よろしくお願いします。

○武藤参考人 秋田市保健所健康管理課の武藤と鈴木です。本日は予防接種基本方針部会に参加させていただき、ありがとうございます。秋田市の予防接種事業について御説明いたします。よろしくお願いいたします。はじめに、秋田市の概要についてです。平成29101日時点の人口は約311,000人で、65歳以上の高齢者は約89,000人です。高齢化率28%を超えています。対して、生まれた子供が約2,100人でした。平成52年になると推計人口が235,000人までに減少し、高齢化率も42%を超える予測となっています。

 次に、予防接種の実績についてです。過去5年間に接種した人数です。平成25年度には9万人弱まで落ち込みましたが、毎年10万人を少し超える接種人数です。平成28年度からはB型肝炎が定期接種に加わり、当年度の実績はやや上向きに推移、106,000人を超えました。

 平成28年度の実績で106,272人の内訳についてです。A類疾病の詳細については表のとおりです。MRに関して第1期が2,150人の接種者でした。表にはありませんが、平成28101日現在の1歳人口が2,029人でしたので、接種率106%という結果になりました。同じく第2期は2,258人の接種者でした。接種対象者が2,331人でしたので、接種率97%弱という結果でした。B類疾病は計52,915人となっています。

 秋田市の独自制度による予防接種についてです。MR2期を接種していない子供を救済するための制度で、接種した人数は21人でした。これは平成2741日から実施した事業です。日本脳炎は平成25年度、市の接種勧奨不足のため、当時の18歳に対応した制度で、接種した人数は448人でした。この事業は平成281031日で終了しています。いずれも独自の制度であるため、定期の接種者数には含んでいないものです。このほかにB型肝炎の独自制度を実施しました。後ほど御説明いたします。

 次に、接種記録の管理についてです。秋田市では、予防接種情報システムという独自システムで定期接種を受けた方の情報を管理しています。医療機関からは毎月10日までに約5,000件の予診票と請求書が提出されます。提出を受け、職員が直接システムに入力しています。

 予防接種事業の委託契約についてです。定期接種の実施に当たり、県内の医師や医療機関を秋田県医師会が取りまとめ、同医師会と委託を締結しております。県内医療機関は約600件、うち210件が秋田市医師会会員の医療機関です。母子健康手帳を持参いただくと秋田県内の医療機関であれば、必要とする接種を受けることができる体制としています。

 定期の予防接種とは別に、特別予防接種の業務委託を秋田大学医学部附属病院と締結しています。これは基礎疾患を有するなど、健康上の理由から通常の定期として接種が困難な子供を対象とした予防接種事業です。県外の医療機関において市民が予防接種を受けた場合の手続等を次のスライドで御説明いたします。本市では、諸事情により滞在先の医療機関で予防接種を希望される方に対し、接種費用の全部または一部を助成金として交付しています。1接種を希望する保護者には接種を受けようとする前に、実施依頼書発行の申請書を当方に提出していただきます。当方では医療機関長宛の予防接種実施依頼書と予診票を保護者に交付します。2保護者は滞在先の医療機関において、実施依頼書に基づく予防接種を子供に受けさせます。このときの接種費用は全額保護者負担です。3保護者には領収書と予診票()、助成金交付申請書を当方に提出していただきます。頂いた書類の記載内容や金額等を確認した上で、基準限度額内の助成金を交付します。平成28年度はA類疾病が221件、B類疾病が9件という結果でした。この助成金制度は、平成2341日から実施している事業です。

 次にワクチンについてです。市内で実施するA類疾病の定期接種に限っては、民間業者とワクチンごとに単価契約を締結し、医療機関が使用するワクチンの受注・発送納品までを委託しています。B類疾病の定期接種については、医療機関が各々、業者からワクチンを仕入れている状況です。

 なお、県内の他市において秋田市民が予防接種を受ける場合、A類疾病、B類疾病とも医療機関が業者からワクチンを直接仕入れています。補足ですが、市内の医療機関で実施するA類疾病のワクチンについては、過剰な発注やストックがないよう、毎年4月と10月の2回ワクチン在庫等調査を実施しています。これまで、各医療機関には適正にワクチンを管理していただいている状況です。

 母子健康手帳は全国的なものですので、御説明を割愛いたします。母子健康手帳別冊について御説明いたします。本市では、出生届が提出されたときや転入されたときに、同別冊を保護者に交付しています。内容としては、本市の定期予防接種の受け方などが記載されています。生後2か月になるお子さんが、ヒブ・小児用肺炎球菌等、最初の予防接種を受けるために、保護者がこの別冊を医療機関に持って行くと、医師や看護師などが以後の接種スケジュールについて助言している状況です。助言を受け、保護者が日程等を記入できるページを設けております。

 市民への周知1です。生後2か月となるお子さんを対象に、2か月に1回、職員が通知しています。この表には記載していませんが、平成292月からは四種混合、BCG、ヒブ、小児用肺炎球菌のほか、定期接種となったB型肝炎を追加した通知を保護者宛てに送っています。MR2期は4月下旬に、MR1期は6月下旬に通知しています。日本脳炎について平成28年度からは18歳、9歳、3歳になるお子さんを対象に通知しています。

 本市では、就学時の健康診断を実施する際、四種混合・日本脳炎・MR2期の定期接種について、小学校の協力を得て保護者へお知らせを配布しています。MR2期については保育施設など90施設にリーフレットの掲示依頼をしております。このリーフレットについては別途御説明いたします。ほかには秋田市の広報誌を活用し、各種予防接種について周知しております。

 次に、B型肝炎ワクチンについてです。平成28年度実施のB型肝炎の定期接種については、制度実施前にホームページや本市の広報誌を活用したほか、こんにちは赤ちゃん訪問事業時に、市の助産師や保健師からリーフレットを配布していただきました。市独自の助成制度も実施しました。定期接種開始前に既に接種したお子さんを対象に、領収書を提出していただき、接種費用を助成金として交付しています。結果、申請者が7名、計14件交付しました。

 また、平成2841日から731日までに生まれたお子さんに対しても、81日以降に生まれたお子さんと同じ接種期間を確保することを目的とし、その接種費用を市が負担し、25件の申請がありました。

 次に、市民への周知2の補足も含めてお話いたします。月4回実施している16か月児健康診査時に、参加いただいた保護者へ「麻しん風しんワクチンを受けましょう」のお知らせを保健師が配布しています。接種率が良好な背景としては、当方からの個別通知のほか、市内の小児科で実施している10か月児健康診査時においても、医師や看護師などから接種勧奨を頂いている状況にあります。

 また、MR2期に関しては「秋田市子ども・子育て未来プラン」という計画において、平成31年度末までに接種率100%という目標を掲げ、個別通知、広報誌等での周知、未接種者への勧奨通知を行っているほか、市内の保育所、幼稚園、保育施設などに「麻しん風しん2回目の予防接種を受けましょう」のリーフレットを掲示していただいていることが、接種率良好な要因ではないかと考えています。

 このほか、本市では民間が発行しているフリーペーパーや子育て情報誌なども活用し、各種予防接種に関して周知しています。こちらは生まれてから2歳になるまでの間の接種スケジュールや予防接種の受け方などが示されています。

 次に、予防接種間違い報告・副反応疑い報告についてです。A類疾病では接種間隔の間違いが12件、有効期限切れワクチン接種が1件の計13件です。B類疾病の5件は全て高齢者用肺炎球菌感染症の予防接種でした。間違い報告については平成28年度中に全て秋田県へ報告しています。副反応疑い報告2件は、いずれも高齢者用肺炎球菌感染症の予防接種です。

 次に、マイナンバー制度への対応についてです。現行の予防接種情報システムは、マイナンバー制度が非対応となっています。当システムは市が独自に開発したものであり、外部接続ができません。このため、平成31年度からの本格稼動を目指し、平成30年度中に新システムを構築する予定です。情報連携については外部接続となっていないため、今年の7月からは他都市からの照会の都度、手入力で登録している状況です。新システム移行と同時に、自動応答の対応を予定しています。

 本市では毎年2回、秋田市医師会会員の医師4名と同医師会事務局員1名を委員とする予防接種事業協議会を開催し、医学的見知からの御意見や御助言を頂きながら、定期の予防接種を実施しているところです。今後も同医師会をはじめとする関係機関と連携を図りながら、法令、規則等の規定に基づき、適正な事業実施に努めたいと考えております。本日はありがとうございました。

○倉根部会長 ありがとうございました。それでは次に、つくば市の小野村参考人から御発表をお願いいたします。

○小野村参考人 今日はこういう機会を頂き、大変うれしく思っております。では早速、つくば市における予防接種事業について説明いたします。まず、つくば市の状況です。つくば市は茨城県の県南に属しており、年間に2,0003,000人の人口増があります。全体の人口は、平成2841日時点で223,771人、出生は2,322人、高齢化率は18.6%ということで、若い市になっています。

 私たちは、予防接種事業の目的として、より多くの方々に安全に予防接種の機会を提供することを目標にして行っております。つくば市の定期接種の実施状況は、毎年少しずつ多くなっており、平成28年度には81,930人の方に定期接種を受けていただきました。そして、麻しん・風しんの接種率の推移をここに表しており、第1期はほぼ100%受診、第2期に関しては96%を達成しております。

 私どもの予防接種率向上に向けた取組として、最初に個人通知をしております。この中で一番気を付けているところなのですが、毎月の所の下から2段目です。実は、つくば市は非常に転入が多い市ですので、転入者に対して通知を行っております。ですので、5歳児未満のお子様に対して転入者の方には通知をする。そして、65歳から5歳刻みの高齢者肺炎球菌に該当する方にも、転入時に必ず通知をするようにしております。

4月、5月、7月、9月、10月、1月ということで、未受診者対策もあるので小刻みに送っております。この中で、5月、7月、10月、1月は、2種混合の接種率が80%台ということになっており、小まめに未受診者の方には通知を送っておりますが、なかなかここの接種率が上がらずに困っているところです。

 麻しん・風しんは、1月に学校宛ての通知を送ると同時に、学校に訪問して接種率向上に向けた取組をしております。私たちの市は小学校が31か所あり、今年はそのうちの27か所へ訪問させていただき、お一人、お一人診察の前に、担当者が保護者から母子健康手帳をお預かりし、接種していないところを御指導しております。ここに麻しんの予診票を持っていき、もし受けていらっしゃらないという方には、一人ずつ丁寧に説明をしております。

 取組の3です。医療機関にもいろいろお願いしております。ポスターの掲示、あるいは医療機関説明会を毎年3月に行っておりますので、こちらで接種を呼び掛けております。例えば、インフルエンザに来たときには、是非、高齢者肺炎球菌の該当者には接種を勧めていただきたいという旨をお伝えしております。また、そのほかのPRということで、つくば市版の健診・予防接種予定表に載せたり、広報紙、ホームページ、様々なものを使い広報をしております。

 また、今年の7月生まれの方から始まったものなのですが、乳児健診票と予診票のつづりをお送りすることにいたしました。生後1か月を迎えるお子様のいる家庭に住所・氏名・生年月日等を印字した予診票を個別にお送りしております。また、この内容は予防接種の受け方と接種に当たっての注意点、そして、小学校就学前の定期予防接種の予診票がつづられているものです。こちらは、まだ始まったばかりですが、皆さん上手に使って受けていただいております。

 そして、今日お伝えしたいもう1つは、安全に予防接種を実施するというところです。私どもの委託医療機関は、つくば市医師会で約100医療機関、県内の広域契約医療機関1,300医療機関、そして、こちらは要注意者委託医療機関ということになりますが、予防接種を受けるときに注意を要すると判断された方に対して、要注意医療委託機関と契約して安全に受けていただいております。つくば市では、昨年度こちらを利用した方が80人おりました。そして、そのほかに委託医療機関ということで独自に委託を結んで接種をお願いしております。

 こちらは、つくば市における予防接種の間違い報告で、平成28年度は20件ありました。予防接種の間隔の誤り、あるいは月齢外の接種、予定外の予防接種、接種量の間違い等、20件ほどありました。少し下のほうですが、母子健康手帳の記載の誤りプラス不必要な接種という所です。こちらは御兄妹で見えられた方で、妹さんとお兄ちゃんで一緒にいらして、妹さんは日本脳炎のみを接種したかったのですが、母子健康手帳がお兄ちゃんと逆になってしまって誤ってしまったというものです。あるいは、……エキが入っていない注射器で打ってしまったという御報告を頂きました。

 こういうことがあったものですから、実は県から、つくば市は非常に間違いが多いのではないですかという御指摘を頂き、つくば市の医師会長に相談しましたところ、「小野村さん、すごく件数が多いのですが、予防接種事故のない医療機関に尋ねて、とにかくヒアリングをしてどのようにやっているのか、そして、まとめて医師会の先生方が集まる機会に言ってはどうか」という医師会長の御指導があり、2に書いてある保健予防全体会はお医者さんが集まる場なのですが、そこで予防接種の手順をまとめたものを報告いたしました。今年の6月、製薬会社の取材だったのですが、誤接種ゼロを目指してということで、私たちの取組も発表いたしました。あと、医師会との情報共有ということで、厚生労働省や県からの通知は必ずお送りして、確かに見たという受取の確認をしていただいております。

 そこで説明した予防接種の手順を紹介いたします。事故のない医療機関は、予約、当日の受付もお一人お一人の接種予定を確認し予診票を確認、母子健康手帳の履歴もきちんと確認していらっしゃいます。予防接種の実施なのですが、先ほどの予防接種間違いの1つに、インフルエンザの予防接種をするときに、20人分を一度に……ってしまい、ロット番号を書こうと思ったときに分からなくなったという御報告もありました。やはり、事故のない先生方は、お一人お一人に対して、きちんと準備、接種、そして、すぐに母子健康手帳と予診票へ記載するという形をなさっていると思いました。また、ワクチン管理もしっかりしていて、棚を仕切りワクチンごとに収納し、頻度の少ないものは使用期限をきちんと書いて記録しておく。古いものは手前にし新しいものを後ろに置くという細かいことまで私たちもきちんと聞くことができて、やはり先生からお話を伺うというのは、とてもいいと思いました。

 私どもも先生方に実際にお願いすることばかりですので、私たちにできないことはないかということで、予防接種間違いの予防対策にということで、予診票も工夫をしてみました。スライド15の右上ですが、対象年齢を明記しました。そのことによって、先生方や保護者に間違いないなと確認していただける。そして、住所・氏名・生年月日を印字しましたので、兄弟で間違うということはないのではないか。そして、今までは予防接種履歴を記載していただく欄が右上の小さい所だったのですが、きちんとここに配置して、必ず予防接種履歴も書いていただけるように工夫いたしました。また、麻しん・風しんの予診票の年齢の確認の質問を入れたり、一番下の所にロット番号を書く所、予防接種の接種方法、接種量を記載して、接種するときには必ずここを見て確認して接種するという形のお願いをいたしました。さらに、チェックリストの作成ということで、実際に市の職員が、誤って予診票をお配りしてしまうということもないとは言えないので、肺炎球菌の予防接種のチェックリストも作り、必ずチェックするようにしています。

 つくば市の状況として、転入者が非常に多いということがあるので、転入の場合にはバラ券を配布するわけですが、そのときには必ず表紙に、何の予防接種の予診票を何枚お配りしたというものも付けながら配布しております。昨年度は20件の間違い報告を得られ、昨年の今の時期は16件ほどありました。しかし、本年度に限っては6件ということで、先生方とつくば市で一緒にやった結果が、このように結び付いているのかと思っております。

 私たちが考えた今後の課題です。まず、予診票、母子健康手帳の統一化です。これがあれば誤接種も随分減るのではないかと思っております。先生方にお伺いすると、実は予診票の色が市町村によって結構まちまちで、先生方としては非常にやりにくいというお話を頂きましたので、県にお伝えして、是非、色は統一していただきたいということでお願いしております。

 あと、母子健康手帳の間違いの中の1つに、同じ予防接種でもあちらこちらに行ったりということがあります。今の予防接種の欄は特に広くなり書きやすくなっておりますが、やはり、母子健康手帳の統一や書く欄の拡大等が誤接種を防ぐ1つであろうと考えております。そして、2つ目は小児インフルエンザの広域化です。これは茨城県に限ったことかもしれませんが、まだまだ市町村契約が多く皆様に御不便をお掛けしておりますので、こちらも県に要望している段階です。

3番目はワクチン不足時の対応です。先ほど発表したように、つくば市内でも100医療機関があるので、実際、今のインフルエンザの不足に関して、どこに余裕があるのか、どこがないのかという辺りが日々変化しているということもあり、把握しにくいということがあります。その把握の仕方が課題であると思っております。

4番目は予防接種歴の管理です。つくば市では医療機関からお預かりした予診票を、目で接種間隔を1枚ずつチェックします。その後、職員が入力するのですが、入力するときに1枚ずつチェックしながら、本当に間隔は大丈夫なのか、年齢も間違いないのか、更に、入力した後にも、もう一度チェックして間違いがないようにしておりますが、やはり、件数が増えると職員の目や手だけではなかなか難しいということで、次年度からは委託していく形を予定しております。

 予防接種事業となると財政面、突発的な事故があるということで、私どもも非常に緊張感を持って行っている事業の1つです。今後も医療機関の先生方と協力しながら、多くの皆さんにとって安全な予防接種事業を実施していきたいと考えております。今日はありがとうございました。

○倉根部会長 どうもありがとうございました。それでは、次に、足立区の福田参考人に御発表をお願いいたします。

○福田参考人 足立区役所保健予防課の福田と申します。まずは、今回このような貴重な機会を設けていただき、ありがとうございます。早速、足立区の予防接種事業の取組について紹介いたします。こちらは、今回お話させていただく流れです。まず、最初に足立区の概要、2番目に実施状況、3番目に接種率向上の取組、4番目に間違い防止の取組、5番目に国への要望ということでお話を進めます。

 まず、東京都足立区の概要ということで記載しておりますが、時間に限りがあるので、人口と出生数について限定して述べます。まず、人口については、681,281人と23区中5つ目に多い自治体です。左下の棒線グラフを見ていただくとお分かりかと思うのですが、ずっと右肩上がりで人口数が伸びております。最近、比較的ニュース等でも北千住駅などが取り上げられていますように、そういう影響が少なからずあると思います。

 また、右下の表は05歳児の人口数です。こちらも足立区は23区中5番目に多い自治体となり、人数で言うと31,054人おります。具体的に毎月の予防接種の接種者数は、全て合わせると約11,00012,000件ほど、費用で言うと約12,000万~13,000万円ほど支出している状況です。また、左上の出生者数については5,290人と記載しておりますが、こちらも、ほぼ毎年横ばいになっており約5,0005,500人です。

3ページが平成28年度の予防接種の実施率と接種者数のグラフです。一部、実施率で100%を超えている所があるのですが、平成28年度の41日時点の人口を母数にしていることが理由となります。こちらでは、具体的に2点述べさせていただきます。

1点目は、青色で丸をしている箇所で、具体的にはBCGです。平成28年度については、実施率が89.1%、実施者数で言うと4,914人でした。こちら、平成28年度から完全個別接種に変更と記載しているのですが、平成26年までは集団接種のみ、平成27年度は集団接種と個別接種を並行して行っており、平成28年度からは個別化に変更いたしました。ちなみに平成27年度のデータで言うと、接種者数は約5,500人ほどで接種率も95%ほどでした。こちらについては現状で少し低くなってしまったので、接種率向上の取組を、現在検討中です。また、右側の赤い丸印は、2種混合と日本脳炎についてです。こちらは、例年、接種率が余りよろしくない部分になっておりますので、毎年、足立区の広報にて接種勧奨を実施しております。

4ページは返戻状況のグラフです。いわゆる、予防接種法や予防接種実施規則などにのっとっていないものです。ほかの自治体に比べて、もしかしたら多いかもしれません。左側のグラフは返戻内容別割合です。計235件のうち約77%が接種間隔の間違いになっておりました。また、右側のワクチン別割合で見ると、ワクチンによってほとんど差はないのですが、やはり、ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、4種混合と、生後間もなく打っていただく4つのワクチンを合わせると72%あり、非常に多くなっていることが分かります。これらのグラフから、生後間もなく打っていただくワクチンの接種間隔間違いをいかにして減らしていくのかが、現状としての問題なのかと思っております。

5ページからは、接種率向上の取組について幾つか取り上げましたのでお話いたします。まず、MR2期未接種者に対しての勧奨についてです。足立区では、10月末時点で未接種者の方のデータを抽出しており、平成28年度は2,080名に対して勧奨を行いました。また、昨日データが確定したのですが、今年度も約2,070名に対して送付を行う予定になっております。時期を12月末と記載しておりますが、10月の接種者数の確定する時期がどうしても12月になってしまうので、毎年この時期に行っております。

 また、右下に勧奨のはがきの内容を挙げております。簡単に3点申し上げます。1つ目は有効期限の記載、2つ目は、もし紛失等している場合には申請をしていただく必要があるので申請方法、3つ目は問合せ窓口として管轄している保健センター等の電話番号を記載しております。具体的な効果については、左下のグラフを見ていただくと分かると思います。やはり、4月に一番接種率が多いのですが、その後、段々と下降傾向にありまして、赤い丸印の所ですが、1月以降上昇傾向ということで記載しております。接種勧奨を行った後については右肩上がりになっておりますので、こちらの勧奨はがきについても効果は高いものと考えております。また、費用についても記載しております。作成は業者に依頼しており、郵送料は別途掛かりますが、1通当たり約10円の作成料と比較的安価なものになっているので、こちらは今後も続けていきたいと考えております。

 続いて、MR任意公費制度について紹介いたします。平成29年度より対象者の拡大ということで記載しております。足立区では平成23年度から、この公費制度自体は行っております。ただ、今年度から一部対象者を拡大いたしましたので、要綱を抜粋して記載しておりますので、まず、このまま読み上げます。

 平成28年度の要綱については、これまで1度も対象のワクチン予防接種をしたことがない、かつ麻しん又は風しんに罹患したことがない者としておりました。そのため、1期は接種したが2期は接種し忘れてしまった方に対しては、以前の要綱では救うことができない状況で、どうしても区民の方の実費での接種、あるいは接種をやめていただくというところの相談になっておりました。しかし、こちらを平成29年度の要綱からは、これまで対象ワクチンを1度も接種したことがない者又は1度しか接種したことがない者であって、かつ麻しん又は風しんに罹患したことがない者と変更いたしました。このことで、今まで1期は接種したが2期を接種し忘れた方に対しても、任意公費制度を使用することで接種していただけるようになりました。

 具体的に、今年度から変更した背景として3点挙げております。1点目は区民の方からの要望、2つ目は他自治体のMR任意公費制度、23区で言うとほとんどの自治体が、もう2回の助成を行っておりましたので、足立区もそれに追随する形で今年度から始めました。3点目は平成28年度におけるMRワクチンの偏在化です。これらの影響により今年度から始めました。これらのことに伴い、多くの方にMRの任意公費制度を使っていただきたかったので、今年度からになるのですが、お知らせを送付するようにいたしました。時期としては4月の上旬頃、対象者は区内公立小学校69校の1年生のクラスに対してお送りしており、今年度で言うと5,500名に対してお送りしております。勧奨内容としては右記参照と記載しているのですが、簡単に麻しんや風しんに罹患してしまうとこういう注意点があるということや、申請方法について記載しております。

7ページは、昨年度と今年度の実際のMR任意公費制度の接種者数の推移です。まず、青い折れ線グラフを見ていただきたいのですが、こちらは、平成28年度の折れ線グラフになっており、年間を通じて113件の接種者がおりました。今年度、要綱の拡大に伴い、作成した段階で7月までしか確定していなかったのですが65件、現在は9月まで確定して105件ほど既に接種していただいております。そのため、現状のまま3月までいくと約200300件ほど接種いただけるのではないかという見込みになっております。

 また、下の表は平成29年度の利用状況ということで、MR任意の総件数です。今回は47月に65件打っていただいており、うち新しい要綱、拡大した部分に当てはまる人がどれくらいいるのかということで確認したところ、41件で約60%の方が新制度の該当者になっており、こちらも制度を拡大したことで、大分、効果があったものかと思います。

8ページ、骨髄移植手術等に伴う任意公費制度です。こちらは、ほかの自治体でも余りやられていないかと思いますので御紹介いたします。まず、1番目の骨髄移植手術等に伴う任意公費助成制度とはという所で、目的の部分です。このまま読み上げます。骨髄移植手術等により既に接種済みの定期予防接種の予防効果が期待できないと医師に判断された者が、再度、予防接種をする際に、接種費用を助成することにより、被接種者の経済的負担を軽減し、感染及び発病防止を図ることを目的とする。簡単に言うと、骨髄移植手術等を行ったことによって抗体がなくなってしまった方について、再度接種する費用を助成しますというものです。開始時期、上限額、申請期限、利用者数については記載のとおりです。

 助成制度がないとどうなるかという所で大袈裟に記載しておりますが、感染症の蔓延につながる可能性がと記載しております。1そもそも接種費用が全額自己負担になってしまうと、経済的負担が大変大きくなってしまいます。そのため、2もし接種していない場合、感染及び発病の防止ができない、金額は単価で言うと1本当たり1万円ほどかと思いますので、もし、それが10本となると10万円で、親御さんなどがそれを敬遠してなかなか接種しないとなった場合、感染の恐れがあるので、そういうことでこういう制度を利用していただければと思います。3地域のカバー率が低下し、感染症の蔓延の可能性ということになっております。

3番目の実際の手続の流れの部分については、どちらかというと少し事務的な手続の流れになっておりますので、今回は割愛させていただきます。

 続いて、里帰り出産に伴う定期予防接種公費制度についてです。1ポツ、足立区依頼書による定期予防接種助成制度とはという所に記載してある目的を読み上げます。区が指定する医療機関以外の医療機関で予防接種を受けた場合の費用の全部又は一部を助成することにより、予防接種の費用の負担の軽減を図り、もって疾病の予防及び健康増進に寄与することを目的とする。足立区の場合、23区が相互乗り入れをしているので、23区内の予防接種であれば予診票を提示すると無料にて接種していただけるのですが、それ以外、例えば、神奈川で打ちたいとなった場合には、今まで助成することができなかったのですけれど、こちらの制度を御利用していただくことで、その費用についても助成しますという内容です。対象者、開始時期、上限額、申請期限、利用者数については記載のとおりです。

2、依頼書の発行意義についてです。右側の平成28年度までは、この制度を行っておりませんでしたので、全ての依頼書を発行する意義が、何か健康被害が起きてしまったときのために発行を行っておりました。それが、平成28年度の41日から、この制度を始めたことで、いわゆる里帰り出産に伴う依頼書の発行の場合には、健康被害のためと還付手続をしていただくための1つの条件が依頼書の申請になり、そこで少し分かれてきますので、担当としても、この方は還付できるのかどうかというところで、1つの審査基準が新たに加わりましたので、そこは区民の方に確認しながら当てはまるのかどうかということは常に説明させていただいております。

3の実際の手続の流れについては、割愛させていただければと思いますが、1つだけ、3番に注意点を記載しております。依頼書記載の予防接種のみ還付と有効期限内の予防接種のみ還付ということです。例えば、区民の方がヒブと肺炎球菌とB型肝炎の1回目のみを依頼書で申請しているにもかかわらず、ヒブの2回目等も打ってしまったのでそれも助成してくださいということは還付しておりませんし、依頼書は有効期限を3か月として発行しているのですが、例えば、3か月を超えて4か月目で打っているもの等についても還付はしておりません。

10ページ、接種率向上の取組の予防接種ナビについてです。区が行っている予防接種に関する情報提供のサービスについて説明いたします。まず、水色の枠の所で予防接種ナビとはと記載しております。大きく分けると3つの機能があります。1つ目は予防接種スケジュールの自動作成、2つ目は接種日前にメールにて勧奨を行うこと、3つ目は予防接種に関する最新情報の提供です。平成2510月に予防接種ナビを導入しまして、4種混合の追加の折れ線グラフを挙げておりますが、導入してから右肩上がりに上がっておりますので、1つの指標として予防接種ナビも接種率向上に貢献しているのではないかと考えて取り上げました。

11ページからは、間違い防止の取組について説明いたします。まず、区内指定医療機関に対しての働きかけということで3点挙げております。1点目は、区内指定医療機関との委託契約内容の変更です。こちらは平成29年度、本年度から委託契約内容を一部変更して、恐らく、ほかの自治体では余りやられていないかと思いますので御紹介いたします。具体的に仕様書の内容を読み上げます。足立区医師会は、前年度に足立区医師会が指定した予防接種に関する研修(講演会など)を受講した医師が所属する医療機関を予防接種実施医療機関として区に推薦するものとする。簡単に言うと、医師会で講演会を開いていただいているのですが、それに出席しなければ、次年度に予防接種の指定医療機関としてやりませんという内容です。

 背景としては、12ということで2点記載しております。1点目は、予防接種従事者は正しい予防接種に関する知識を持つことができるようにということで、先ほどのページなどで返戻状況について記載があったと思うのですが、若干誤りが多い状況になっておりますので、正しい情報を身に付けていただくために、このような縛りを設けました。2点目は、他自治体において定期接種実施要領によらない重大な事故が発生したからです。これらを鑑みて、こちらの保健予防課や医師会と協議を行った上で、このように仕様書を変更いたしました。

2点目、毎年度指定医療機関に対して、予防接種の状況についてフィードバックを行っております。時期としては3月中旬から下旬に行っており、対象機関は約240の医療機関に対して医師会を通じて郵送を行っております。具体例として、間違いやすい接種間隔等を書面にて送付ということで記載しております。1年分の中でどのような間違いが多かったのかというものをデータとしてまとめて、今後についてはこういうところを注意してくださいということを医療機関に対してお送りしております。

3点目は、毎年度指定医療機関に対して下記参考書類を配布ということで、予防接種ガイドライン(インフルエンザ・肺炎球菌感染症を含む)ということになっており、こういう予防接種に関する冊子類や情報提供できることについては、常に医師会を通じて医療機関に対して提供しております。

12ページは、間違い防止としての予防接種ナビの取組についてです。先ほど、2ページ前でも説明したのですが、なぜ、この予防接種ナビが間違い防止の取組になっているのかというと、左下に記載している期待できる効果はということになってきます。予防接種ナビを利用することで、適正なスケジュールで予防接種を受けることが可能になります。2つ目は、接種漏れを防ぐことが可能になります。というのも、区民の方が予防接種ナビに御登録いただくと、自動的にシステムにて適正な予防接種のスケジュールを作成して、そのとおりに打っていただくことで接種間隔の間違いを防ぐことができ、また、接種漏れの部分で言うと、前日、当日、翌日等にメールにてきちんと打ちましたかということでメール勧奨を行っておりますので、そういう部分で接種漏れを防ぐことができると考えております。

 そのため、多くの方に登録していただきたい部分になっておりますので、上の部分の広告方法という所で3点挙げております。1つ目は、予防接種の穴空き封筒にQRコードを掲載、こちらは予防接種の封筒に掲載のQRコードを読み取っていただくと、予防接種ナビの登録ページに飛ぶようになっているものです。2つ目は、足立区内の産科医院に対して予防接種ナビのお知らせを配布、こちらも、もしかしたらほかの自治体でやられていない所があるかと思います。区内の産科医院、出産前の方たちにも登録いただきたいものになっておりますので、区内の産科医院に対してチラシを配っております。3番目に、予診票を区民の方に送付するときに必ず予防接種ナビのお知らせを同封しております。

13ページが、具体的な予防接種ナビの現在の登録状況です。3歳までの登録状況を抜粋したものです。まず、緑色の折れ線グラフを見ていただくと分かると思うのですが、0歳児の登録率になっており、ほとんど毎年度50%を推移している状況です。また、棒グラフは登録者の数です。合わせると0歳児が約2,500人、13歳が約7,000人と、こちらもほとんど同様の数字を維持している状況ですので、今後、より登録者数などを増やしていくために、現在、広報活動などを検討中です。

 最後に、国への要望ということで記載しております。現状、足立区の総予防接種の事業費と、うち個別勧奨、再勧奨費用の金額です。平成28年度の金額で言うと、総予防接種事業費が約16億円、うち個別勧奨の費用が約800万円となっております。これらは補助金などがない区の全額負担になっており、お金としては大変厳しい状況です。

 そのため、具体的な内容として3点挙げております。15ページの上から申し上げます。1つ目は、定期予防接種事業費の国庫負担金化又は国庫補助金化又は国庫委託金化、いわゆる国の事業として位置付けをしていただければと思います。2つ目として、定期予防接種の個別勧奨、再勧奨費用など接種率向上の取組を国による特別促進事業として位置付ける。1が難しいようであれば、再勧奨の部分だけでも特別促進事業として100%、10分の10出していただけると、再勧奨などの取組が非常にしやすいのかと思います。3点目は、定期予防接種委託費用の標準金額の提示、あるいは全国統一料金化し全自治体相互乗り入れということで記載しております。23区については、東京都特別区と東京都の医師会の協議会を基に単価を定めているのですが、若干高めなのかというところもありますので、全国統一料金化して、全自治体相互乗り入れすれば、ある程度の接種率なども望めるのではないかと思い、具体的な内容として挙げております。以上です。ありがとうございました。

○倉根部会長 どうもありがとうございました。次は、名古屋市の西口参考人に発表をお願いいたします。この後、委員の方から御質問を受けたりディスカッションもありますので、10分くらいでお願いいたしたいと思います。

○西口参考人 ただいま御紹介いただきました名古屋市健康福祉局の西口と申します。よろしくお願いいたします。10分ほどということですので、早速始めさせていただきます。話をさせていただくことはここに載っているような中身です。5点ほどです。

 まずはじめに、名古屋市の人口規模は230万人です。その中で0歳児の人口は約2万人、65歳以上が56万人といったような規模でございます。

3ページ、予防接種業務の担当部署として、私どもの保健医療課という所に感染症係という係があります。政令指定都市ということで、感染症の関係をやっている中で予防接種も一緒にやっています。やはり、人口規模がかなりすごいことになっていますので、今、予防接種担当3名ということでして、加えて私、係長とあと主幹という形はあるのですが、この3名がかなり頑張ってやっている状況で、実は非常につらい状況でやっております。

 市役所のほうで制度設計や契約、支払い、資材作成といったものをやっております。各区に保健所がありまして、実は来年度、1保健所、16の保健センターということになっているのですが、そういった区の窓口が各区にあり、そちらのほうできめ細やかな市民への対応をやっている状況です。

4ページ、接種場所です。これはBCG以外ということですが、今、予算要求しておりまして、来年度以降はBCGもこういった形にしていこうかと考えています。まず概要ですが、接種場所は市内の指定医療機関約1,500の医療機関と市の医師会の委託契約をやっております。医師会のほうが指定をしているという状況で、1,500の医療機関で接種が可能ということになっています。愛知県内の協力医療機関ということで、愛知県の医師会が主導的にやって、広域予防接種ということで、県内乗入れという形で、県内の市外の場合は医師会の協力医療機関という所で接種が可能となっております。

 それ以外、主なものでいくと、県外医療機関の償還払い制度ということになります。こちらを今年度の5月から開始しております。ただし、これは子育て支援の観点というか、かなり膨大な費用がA類の定期予防接種にはかかってまいりますので、そちらのみの償還払い制度ということで、取りあえずスタートしているという状況です。BCGは、市内については集団接種を実施しております。

6ページです。平成28年度における接種率は御覧のような状況です。色で分けてあるのですが、緑色が定期予防接種、黄色のところが名古屋市の助成をしているような任意予防接種、平成22年から始めている事業です。

7ページ、接種件数の推移は、先ほど言ったような平成22年度から任意予防接種という形で助成を開始しているのが、そこに載っているような水痘、おたふく、高齢者肺炎球菌、子宮頸がん、ヒブ、小児肺炎球菌です。定期予防接種化したものが出てきたりとか、あとロタウイルスが入ったりとかで、大体毎年80万~85万の接種です。平成23年度、始まった当初は90万を超えておりますけれども、今は大体80万~85万の間で推移しています。

 本市が実施してきた任意予防接種ということで、これは先ほど申し上げたように平成22年度から始めているものなのですが、定期化が行われているものが出てきておりまして、今現在は4種類、おたふくとロタと風しん、それから高齢者肺炎球菌をずっとやっているものですから、実は定点の5歳刻み以外のところの方の部分の枠を入れていこうということで、しばらくまだ残っています。また、国が5年後、平成31年からまたちょっと変わってくるということで、その辺でまた変わってくることになるかと考えております。

 平成29年度の任意予防接種事業としては9ページですが、うちが助成している先ほどの4種類になっております。風しんは無料なのですが、実際、接種前の抗体検査が自費ということで、県内の市町村と若干違う制度になっています。抗体の検査を自費でやっていただいて、その代わり抗体が低ければ風しんを無料で受けられますよという制度になっております。

 ほかのワクチンについては、形としてはワクチン代と手技料の大体半額を助成するというようなスタイルで名古屋市はやっております。

10ページ、広報の関係です。A類は公式Webサイト、広報紙「広報なごや」でやっております。それから個別通知ですが、小児の定期予防接種の関係ですと数が多い、是非これは打っていただかなければいけない、積極的な接種勧奨をやるということで、個別通知をやっております。健診時や小学校での勧奨と書いてありますが、そういったことで、保健所でやっている3か月、16か月、3歳児での勧奨を行います。それから、先ほど前の自治体でも御紹介があったと思うのですがMRの第2期のときに小学校就学時健診のときにチラシを入れる。それから、入学説明会では保健所の職員が直接出向いて説明を行っているということをやっております。B類、任意についても、このような形でやっております。

11ページです。個別通知についてはこのようなパンフレットを入れて、シール式接種券というものを皆様方のお手元にお届けするような形で実施させていただいています。通知の年齢区分ですが、やはり人口が多いこともあり0歳児は週1回で送らせていただいてます。生後1か月前後で送るという形です。1歳児の部分は月1回で送っている状況です。

13ページのシール式接種券の使い方です。予診票の下の部分に貼り付けて、QRコードを付けて読み込めるようにしているのですが、実は今のところフル活用していないような状況にはなっております。

 予防接種の例、こちらは割愛します。

16ページです。名古屋市の場合、ワクチンの供給のやり方が少し変わっておりますので御紹介します。名古屋市供給ワクチンと医療機関調達ワクチンということで、小児の予防接種につきまして、B型肝炎は医療機関で調達してもらっているのですが、それ以外の定期予防接種については、名古屋市で一括の調達をしております。

17ページですが、このような形で、大体同じ人口になるような感じの区をブロック化して、4ブロックとしています。1ブロックでやると、それはなかなか困難ということもあります。ワクチンごとで予定数量を示して、ワクチン代の総額で落札しているという形です。1年分のワクチンを確保できて、安定的にワクチン供給が行えるということで、医師会さんのほうには非常に好評を得ているような状況です。

18ページ、今年度発覚した事例なのですが、予防接種の間違いということで714日に公表させていただいております。ちょっと考えられないような使用期限、68か月も経過したワクチンを打ってしまったものです。これ、なぜ判明したかというと、私どもに書類が上がってきて「期限切れだね」ということで分かったと。医療機関のほうは、実は前の年の12月に接種をしていた。大体、予診票などが上がってくるのが医療機関でのタイムラグがあって、発覚したのが実は5月下旬ぐらいだったでしょうか。いろいろ調査や指導などやって、健康被害がないかなどをしっかりやった上で公表したので、若干公表が遅れているという状況です。

 間違い防止の取組ということで、年複数回、医師会主催で研修を開催しております。各医療機関にはこちらの黄色い個別接種の手引きも配布して間違い防止に努めていただくような形をやっております。それから、今年から1年分という形で、間違いの数を公表していくということで、つい先月の末ぐらいに上半期分を公表させていただいているところです。ざっと走ってしまいました。ありがとうございました。

○倉根部会長 どうもありがとうございました、次に神戸市の谷参考人に御発表をお願いいたします。

○谷参考人 神戸市保健所予防衛生課の谷と申します。本日はよろしくお願いいたします。

 今回、神戸市の予防接種の実施状況について発表させていただきます。神戸市は兵庫県南部に位置し、海・山・田園、そして魅力ある町並みに恵まれた9区から構成される政令指定都市です。古くから港町として栄え、今年開港150年を迎えました。人口は154万人、出生数12,000人、世帯数75万世帯、65歳以上の高齢者の人口は42万人となっており高齢化率は27.3%となっています。

 まず、予防接種の実施状況について御説明します。こちらは平成28年度の定期予防接種の実施人数の表です。本市では定期接種だけで年間約52万回の予防接種が行われています。接種率については麻しん、風しんワクチンを例に見ると、1期が96.7%、2期が95%でした。

 医療機関別で見ると、3ページにある5通りの契約形態があります。基本的には、1の市内に約1,300か所ある契約医療機関で接種をしていただいています。しかし、産後の里帰りや御病気などの事情により、市内契約医療機関で接種ができない方もいらっしゃいますので、その場合は事前に手続をしていただくことで、予防接種実施依頼書などの必要な書類を保健所から発行し予防接種をしていただいています。平成28年度、本市では事前に手続をしてから予防接種をされた件数は5,023件でした。

4ページは本市における予防接種の接種料の推移のグラフです。接種料のみの総額になりますので、例えば広報や健康被害の救済にかかる費用といったその他の費用は含まれていません。棒グラフの青い部分が定期接種、赤い部分が行政措置接種にかかった接種料です。行政措置接種の中で、本市で費用助成を実施した内容は、スライドの下部に赤字で示したとおりになります。平成231月から平成24年度末まではヒブ、小児肺炎球菌、子宮頸がん予防ワクチンの費用助成を実施しましたので、グラフの赤い部分である行政措置接種にかかった費用が大きくなっています。

 また、青いグラフのとおり、定期予防接種費用はここ数年の定期接種の種類の増加に伴い、年々増加しています。平成28年度接種料の総額は33.5億円でした。その内訳としてA類、いわゆる小児の定期予防接種にかかった費用は22.9億円、B類の高齢者の定期予防接種にかかった費用が9.8億円、行政措置接種は8,000万円でした。

5ページ、医療機関への接種料の支払いの流れについて御説明します。こちらの図は医師会加入医療機関で予防接種が実施された場合の支払いの流れです。まず、医療機関で実施された予防接種料の請求については、接種日翌月10日までに1か月分まとめて本市に請求をしていただいています。その後、本市で接種内容に間違いがないか、予防接種券を基に審査を行い、疑義がある場合は医療機関に照会をかけます。その後、接種日翌月下旬ごろには、医師会を通じて医療機関に接種料をお支払いしています。同時に、審査が終わった予防接種券は、予防接種台帳に接種歴を取り込むために委託会社に依頼をしてデータ化してもらっています。約1か月後にデータを本市に提出していただき、そのデータを基に本市で住基と突合、エラーチェックを行って予防接種台帳に接種歴を取り込みます。審査件数は1か月当たり約25,000件~205,000件となっており、秋冬のインフルエンザの実施時期については審査件数がかなり増加します。

6ページ、広報について御説明します。こちらは月齢、年齢に応じた勧奨方法と配布物の表です。本市では主に赤色で示している個別通知、緑色の訪問や乳児健診の機会を活用した保健師からの勧奨、青の保育園や幼稚園等の所属集団を通じたチラシやポスター等の配布を行っています。平成27年度の予防接種台帳導入後、未接種者に対して個別通知が可能になりましたので、特に接種率の低い学童期以降の予防接種については、順次個別通知を実施しています。また、広報紙KOBEや市ホームページに情報提供を行い、希望者には子育て応援メールでタイムリーに携帯電話に情報発信をしています。高齢者に対しては制度の複雑な肺炎球菌については個別通知、インフルエンザは広報紙や市ホームページ、医療機関へのポスターの掲示で案内をしています。

8ページ、接種の間違い状況について御説明します。こちらが平成28年度、医療機関からの接種の間違い報告と本市の支払審査で判明した接種の間違いの合計264件の内訳のグラフです。グラフのとおり、ヒブと肺炎球菌は青色の接種間隔の間違いが多く、日本脳炎では黄色の対象年齢の間違いが多く見られました。日本脳炎では特に特例制度、実施規則附則第4条の対象の方が、生後90か月~9歳の間に定期接種として予防接種をした事例が多く見られました。本市で把握している接種の間違いは、重大な健康被害につながる可能性の少ないものがほとんどですが、接種間隔の数日の間違いであっても、被接種者にとっては規定外の接種すなわち事故として捉えられ、健康被害の有無にかかわらず大きな不安と医療機関への不信につながりますので、できる限り間違いは減らしていきたいと考えています。

 しかし、人数や時間が限られた予防接種の現場では、間違いがない接種をすることは容易ではありません。予防接種時には医療機関での確認はもちろん、被接種者自身も積極的に予防接種の確認をしてほしいという思いから、本市では接種の間違い防止の取組として、市民への啓発、医療機関への啓発、そして予防接種券や予診票の工夫を行っています。予防接種券は本市で保護者が予防接種を受ける際に医療機関に提出するものです。ワクチンカラーで作成しており、接種に行く前に保護者自身がスケジュールを確認できるように、図表の活用や身近な言葉で規定を記載するなどの工夫を行っています。予診票も予防接種券同様、ワクチンカラーで作成をしています。11ページの写真はヒブの予診票です。接種直前に保護者と医療機関が一緒になって、接種年齢やスケジュールなどの必要項目を確認できるような内容にしています。

 次に、本市で実施している独自助成について御説明します。今年度は小児インフルエンザ、風しん、B型肝炎について実施をしています。小児インフルエンザは平成21年度から、風しんは平成25年度から継続して実施をしています。B型肝炎については、昨年度10月からの定期接種化に伴い、平成2841日~930日生まれの方を対象に上半期のみ助成を実施しました。

 最後に、マイナンバー制度への対応状況について御説明します。予防接種台帳システムは、情報提供ネットワークへの直接の接続はありません。住基システムと連動はしていますが、個人番号の参照はできません。中間サーバーへの副本登録を日次のバッチ処理により行っており、他都市からの照会に対しては自動応答で行っています。

 情報連携については、統合宛名システムで3か月前の転入者を対象にして、週次のバッチ処理により行っています。また、予防接種台帳システムへの取り込みは自動で行っています。以上で神戸市の発表を終わります。ありがとうございました。

○倉根部会長 どうもありがとうございました。各自治体の参考人の方々、ありがとうございました。

 今、発表いただいたことに関し、各委員からの御質問あるいは御意見を頂ければと思います。どうぞ、何かございますでしょうか。

○伊藤委員 名古屋市の取組が大変面白いと思いました。名古屋市のようなやり方をされて、例えばMRのように供給が偏在化するとか、なかなか来ないという話はなかったのかどうか。またほかの自治体でも同様の取組をされているのかどうかと、個別の医療機関ではなくて、行政サイドで不足があったかどうか聞いているのかどうか教えていただけますでしょうか。

○倉根部会長 名古屋市の方からどうぞ。

○西口参考人 実際、最初に当初契約として本数を大体見込んでやっておりますので、偏在というか、足りなくなるということは余りないような状況です。結局、卸しさんのほうに一生懸命に頑張って入れていただいているという状況で、名古屋市のほうで不足しているという状況は今のところございません。

○倉根部会長 ほかの自治体はいかがでしょうか、今の伊藤委員からの御質問に関して、何かございますか。

○伊藤委員 個別の医療機関がワクチンの納入を手配しなければいけないという話になると、どうしても足りるとか足りないという騒ぎが起きてしまうのです。今の名古屋のように、行政がサポートされると、地区での不足はないのかなと思ったのですが。ほかの自治体の方々は、個別の医療機関で個別のワクチンの納入依頼をしているという理解でよろしいのでしょうか。

○倉根部会長 何かございますか、自治体として。

○福田参考人 自治体としては特にサポートはせずに、飽くまでも医療機関さんのほうで卸し業者さんから仕入れていただいている状況になります。

○小野村参考人 つくば市も同様になります。

○武藤参考人 秋田市においては、業者とワクチンの単価契約を結んでおりますので、業者が医療機関と直接やり取りしてワクチンを供給している状況です。

○倉根部会長 神戸市はいかがですか。

○谷参考人 神戸市も基本的には足立区さんとつくば市さんと同じです。ただ、余りにも足りないというお声が医療機関からあった場合については、神戸市が間に入って、卸しさんと調整をさせていただくということは、今年度何例かはありました。しかし、基本的には、医療機関と卸しさんとでやり取りしていただいています。

○倉根部会長 ありがとうございます、ほかにございますか。

○坂元委員 幾つかあるのですが、秋田市さんの民間業者とワクチンの単価契約というのは、端的に言えば卸しさんのことかと思います。そうすると、この単価契約というのは、例えば卸しさんによって扱っているメーカーが違う場合、例えば同じワクチンでもメーカーが違う場合、それは全てのメーカーのワクチンに対応ができるという形の契約になっているのでしょうか。

○倉根部会長 武藤参考人、どうぞ。

○武藤参考人 そうです。全ての定期接種に使用するワクチンを単価契約しているところです。

○坂元委員 足立区さんにお伺いします。東京都の場合、ワクチンの23区内の乗り入れというのは、多分かなり相互に転出入等あるので、その辺がどうなっているかということが1点です。足立区さんが最後におっしゃった、いわゆる国庫負担の問題は、多くの自治体がそう考えているところがあると思いますが、国の説明では、90%相当を地方交付税で見ているとされています。地方交付税の中身が分からないので余り信用していない自治体も多いとは思いますが、足立区さんの場合は、今の要望を国にそれを求めると、90%相当を地方交付税で見ていますよという回答になってくると思いますが、足立区さんの場合の国庫負担というのは、地方交付税ではなくて、いわゆるその予防接種に特化した補助が望ましいと考えているのですか。この2点をお願いします。

○福田参考人 1点目の質問の23区内での転入・転出等の部分で言うと、予診票を利用できるかどうかというところですか。例えば、葛飾区から足立区に転入した場合には、葛飾のほうで発行した予診票は御利用いただけないものになるので、あくまでも足立区のものを再度申請していただいてお渡しをするという状況が、1点目の回答です。

2点目の御質問については、自分自身もなかなか勉強不足の部分はあるのですが、特化した部分でお願いができないかというところが意見としてはあります。以上です。

○倉根部会長 坂元委員、よろしいですか。

○坂元委員 まだほかにもあるのですが。ほかの委員をまず優先してください。

○倉根部会長 ありがとうございます。ほかの委員からどうぞ。

○山中委員 足立区さんのお話をお伺いします。いわゆる接種の間違いに関して、医師会と仕様書できちんと受診をしていただくということを入れていただいたのは、むしろ医師会側からの話なのですか。なかなかそういうことは、市町村では割とハードルが高いと思っているのではないかと思うのですが。

○福田参考人 医師会からというよりは、こちら側から医師会に掛け寄って、医師会の方と足立区の医師の方たちと話合いをした上で、来年度以降は、間隔間違いが多いので、仕様書を変更していこうかということになったので、どちらかというと、足立区からの発信です。

○多屋委員 どの自治体も素晴らしい対応をしてくださっていて、本当に有り難いなと思いました。幾つか質問があるのですが、足立区さんに質問です。予防接種ナビを用いて、いろいろな間違いを防ぐのにも活用されているということで、これはほかの自治体も簡単に導入することができるような仕組みなのかというのが1つ目です。2つ目は、もし予防接種の制度が変わったときに、既に持っている人はどうやって新しいものを導入することができるのか、2つ教えていただきたいと思いました。

○倉根部会長 まず、福田参考人いかがですか。

○福田参考人 13ページの部分で、一部記載しておりますが、業者さんで株式会社ミラボさんという所に、サービスのいわゆるシステムの問題についてはお願いをしているのですが、比較的23区で言うと、半分以上の自治体がミラボさんのサービスを利用している上で行っているサービスになっておりますので、ほかの自治体もスムーズに取組などはできるかと思います。

 また、制度上の問題、例えば昨年度の10月、B型肝炎が定期化になったと思いますが、そういった部分についても定期のものになっておりますので、問題なくスムーズにシステムは変更していただいております。無料で保守としてやっていただいている部分になります。

○多屋委員 ありがとうございます。こういうものがあると、間違い予防にもつながるかなと思います。あともう1つですが、名古屋市さんの風しんの任意予防接種事業の件で、抗体検査は自費ですが、予防接種に助成をしているという件、とても素晴らしいなと思いながら聞いていたのです。抗体費用は、例えば、健診とかでできるようになっているのか、抗体はやはり自分自身で測定をしに行く方が多いのか、教えていただければと思います。

○西口参考人 実際、抗体検査は各自の自費ということになっております。ただ、過去に1度でも抗体価を測っていれば、それをお持ちいただいて低ければ、それで打っていただくということもやっておりますので、既に抗体価が分かっている方であれば、本当にサラっと無料でできるという感じになっております。

○多屋委員 ありがとうございます。抗体検査をしても、結局、陰性である方が受けなければ、抗体を持っている人が増えないものですから、こういう取組が増えると風しん対策につながると思って大変有り難く思いました。

○倉根部会長 ほかの委員からありますか。

○池田委員 2点あります。1点は、足立区の御説明で、前年度に研修等を受講した医師の所属医療機関を区に推薦するということで、質を確保するには大変良いことだと思います。これは、医療機関ごとに指定をするということですので、その医療機関で例えば非常勤で来ている医師や、この研修を受けていない方も、これは医療機関の中の医師としては打ってよいということなのか、これは確認です。

○倉根部会長 福田参考人、どうぞ。

○福田参考人 そうですね、おっしゃるとおりです。1名受けていただければ、その方がほかの医師の方にも情報共有をしていただくということを考えておりますので、1名でも参加していただければ、その医療機関は指定医療機関として載せていただくようにしております。

○池田委員 2点目は、これはお答えにくかったらあれですが、足立区以外の自治体の方に関して、足立区からの国への要望は3つ出ておりますが、これに関しては御異論はないかどうか。あるいはもう少し違う御意見もあるのかということで、もしあれば伺えればと思います。

○倉根部会長 足立区以外からおいでになっている参考人の方いかがですか。同意ということですか、それとも、違う御意見をお持ちだということですか。特に、今御意見はないということですか。

○池田委員 分かりました。ありがとうございます。

○倉根部会長 それでは、最後の質問として、坂元委員お願いします。

○坂元委員 名古屋市さんは入札によってワクチンを決められているようですが、これは4ブロックに分けられているということですが、これは入札でもいろいろあると思うのです。ワクチンの場合、問屋を限定すると、問屋が扱っていない、欲しいメーカーのワクチンだと入らないということも起きるので、どういう形での入札形態なのか。そうすると、もし問屋別にやるとなると、区ごとに供給できるワクチンの種類が違ってくる可能性がある事態が生じるのではないかということで、この入札購入のやり方がどうなっているかということをお教えいただきたいのが1点です。

 あと神戸市さんに、情報システムについて私の理解不足もあると思いますが、転入者が来た場合に、転出先に問合せというのは、例えば1か月に1回とか、定期的に相手方につまり転出先に発信して、向こうから情報が取れるシステムになっているのかどうかということです。転入者に関してのワクチン歴の情報収集の実際について教えていただければと思います。この2点です。

○倉根部会長 まず、名古屋の西口参考人、お願いします。

○西口参考人 先ほど委員さんから頂いた質問ですが、実はワクチンごと、メーカーごとに全部入れてくださいという形ではお願いはしております。要するに、どこの卸しであっても、どのメーカーも扱うという形の入札でやっております。ただ、卸しさんによって、得手、不得手というか、付き合いといったものがあるものですから、確かに偏った形で入荷されると。これについてはこのメーカーがここのブロックは多いなという声は確かに上がっておりますが、扱えないわけではないという形で、全てのメーカーを扱っていただくということで契約はしております。

○倉根部会長 ありがとうございます。それでは、神戸市の谷参考人、お願いします。

○谷参考人 転入者の接種歴の取り込みについて、神戸市もそうですが、自治体によっては接種をされた後、各自治体の台帳に接種歴を取り込むまでに大体3か月ぐらいかかる自治体もあるかと思いますので、神戸市では、年齢を25歳までの方と60歳以上の方に限定しているのですが、毎週1回、自動で3か月前の転入者の分を、転入前の住民登録のあった自治体に自動で照会を掛ける形にしています。

○倉根部会長 簡潔にお願いします。

○坂元委員 必ず全部返事が返ってくるのですか。

○谷参考人 数が多いので、全部返ってくるかどうか。ただ、基本的には返ってきています。一部DVなどで、自動応答できない方については、電話であったりとか、手動で自治体とやり取りするなど、必要に応じて対応しているケースはあります。

○倉根部会長 ありがとうございました。まだ御質問はあるだろうと思いますが、まずはここでひとまず終わりたいと思います。自治体からおいでいただきました参考人の皆様には、本当にありがとうございます。また本日頂いた意見については、事務局でまとめていただければと思います。お願いします。

 次は議題2、風しんに関する特定感染症予防指針の改正について、事務局から御説明をお願いします。

○高倉結核感染症課長補佐 資料7-1と資料7-2を御用意ください。まず、資料7-1から御説明します。風しんに関する特定感染症予防指針の改正についてです。この改正の経緯と概要についてですが、予防指針は、感染症法の第11条第1項に基づきまして、風しんの発生予防及びまん延の防止等を目的に策定されたものでして、この指針の中で、平成32年度までの風しんの排除が目標とされております。そのためには、風しんを診断した後、速やかに早期に適切な対応を取ることが必要になってきます。

 今般、風しんの発生報告は、風しん全例に対して疫学調査等の実施が可能と考えられるような件数まで減少してきましたので、風しんの排除状態を達成するために、感染症法施行規則を改正し、届出について、現行の診断から「7日以内」の所を「直ちに」と変更することが、本年6月に開催されました第21回の感染症部会で了承されて、この作業が進み、この12月中に告示予定となっております。

 それと同じく、改正の必要な内容が予防指針に規定されております。この改正内容を審議するために、第22回の感染症部会及び第19回の予防接種基本方針部会におきまして、麻しん・風しんに関する小委員会を設置し、予防指針の改正について検討することが了承されました。

1019日に開催された第1回の小委員会におきまして、サーベイランスと疫学調査に係る記載について、別添の改正案、資料7-2でして、これは後ほど御説明しますが、こちらの改正案が了承されました。これに基づき改正を行って、今回の改正案についてはサーベイランスと疫学調査に係る部分のみの改正にとどまっておりますので、それ以外の全体的な項目に関しては、平成30年度中をめどに、更に風しん対策を総覧して、再度の改正を行うこととされました。

 今回お諮りしたい風しん改正案のポイントは3点あります。第1点目は、資料7-2の新旧対照案の5ページ、第2章原因の究明の第3項目の「届出」の所です。こちらは先ほど申し上げたとおり、風しんを診断した医師の届出は、現行では「7日以内」になっておりましたが、施行規則を改正して「直ちに」届出すると改正しました。その他、必要な文言を修正しております。

2番目のポイントは、6ページの5項目「風しん及び先天性風しん症候群の発生時の迅速な対応」についてです。こちらは、風しんの患者さんが発生したときの積極的な疫学調査についての記載です。現行では、地域で風しんの流行がない状態において、集団発生をした場合等に行うという規定になっております。今回の改正案では、「風しんの患者が1例でも発生した場合に」行うと改正するものです。

 第3番目のポイントは、7ページの6項目「ウイルス遺伝子検査等の実施について」です。こちらは現行の指針では「可能な限りウイルス遺伝子検査等を実施する」となっておりますが、「原則として全例にウイルス遺伝子検査等を実施する」と改正するものです。この3つのポイントの改正によりまして、風しんの届出時に速やかに遺伝子診断がされ、なおかつ疫学調査がなされることによって、風しんの国内における迅速な対応、集団発生の防止、まん延の防止、さらにウイルス遺伝子等の分析が進みまして、排除状態が達成できると考えて、この3つの点について改正を審議したということです。

 したがいまして、今回は小委員会で了承を頂いた新旧風しん予防指針の改正案について、こちらの基本方針部会でお諮りしたいということです。事務局からは以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。今、事務局からも御説明を頂きましたが、まずは今日は改正案を小委員会で了承されている3点について、委員の方にお諮りすることになります。何か御質問はありますか。よろしいですか。

○坂元委員 質問というよりは、この風しんの検体の検査ができる根拠ができたことは、私は非常に進歩だと思っております。川崎市でも積極的にするにはなかなか根拠がなくて、御協力いただけない場合があるのですが、ここに「限りなく」ということがあったので、これは自治体としても非常に歓迎する改正だと思っております。以上です。

○倉根部会長 ほかに御意見はありませんか。質問もよろしいですか。そうしますと、この委員会として、委員の皆様からは今回御提示している3点は、風しん及び症候群の届出についての話、発生時の迅速な対応、原則として全例にウイルス検査の実施については、今回御提示したような変更でよろしいということですか。ありがとうございます。それでは、この委員会として、今回御提示のあった3点については了承することにしたいと思います。この内容で、まずは事務局には改正の作業を進めていただくということになります。

 もう1点は、先ほど事務局からもお話がありましたが、平成30年度を目途に、小委員会でもまた議論を進めていくということですので、ここについては小委員会での議論が進み、小委員会で了承されたものが、この委員会にも上がってくるということで、また委員の先生方にはそこを御審議いただくということになりますので、それについてもよろしくお願いします。

○多屋委員 1つ忘れていました。こういう対策が取られるようになったのは、本当に大きな進歩だと思います。1人発生したときに、すぐ対応することが1つ目の改正の中に入っていると思います。その「すぐ対応」という部分では、どうしても回りにいる感受性者の人に急いで予防接種を受けていただくということにつながってしまうと思いますので、ワクチンが足りなくならないようなことも少し考えていただければと思います。

○倉根部会長 先生の御意見というか、要望を御意見として頂くということですね。

○多屋委員 はい、対応という意味です。

○倉根部会長 何か事務局のほうで、今の御意見について特にありますか。いかがですか。それでは、事務局お願いします。

○江浪予防接種室長 ワクチンの安定供給に関しては、非常に大事な課題だと考えております。その際に、定期接種分ももちろんそうですが、任意接種分も含めた十分な確保という観点でしっかり取り組んでいきたいと思います。

○倉根部会長 ほかになければ、この事案については御承認を頂いたということ。それから、今の御意見が出されているということで、次に移りたいと思います。続いて、報告事項になります。事務局から資料8及び資料9について、続けて御説明を頂きます。よろしくお願いします。

○黒崎予防接種室長補佐 事務局より定期接種化を検討しているワクチンの審議内容について御説明します。お手元に資料8と参考資料2を御用意ください。今回、10月に開催された第12回予防接種ワクチン分科会におきまして、定期接種化を検討しているワクチンについて、現在の検討状況を整理、報告していただきたいという御意見を受けて、今回このような時間を頂きました。この御意見を受けて、基本方針部会におきまして定期接種化を検討しているワクチンの審議内容について御報告させていただきます。

 資料8をご覧下さい。。現在定期接種化を検討しているワクチンとして6つのワクチンがあります。それぞれについて、直近の審議会での審議内容と検討方針を示しております。上から順番に、おたふくかぜワクチンについては、第3回予防接種基本方針部会におきまして、仮に広く接種をするに当たっては、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であり、新たなMMRワクチンの開発が望まれるとされております。また、ここには記載されておりませんが、MMRワクチンの開発状況については、研究開発及び生産流通部会において、各メーカーの方々より数次にわたりヒアリングを行っております。

 なお、参考資料2として、本年9月に日本耳鼻咽喉科学会より公表されたムンプス難聴調査の結果をお配りしておりますので御覧ください。2015年、2016年にかけて、全国の耳鼻咽喉科医療機関に対してムンプス難聴症例の調査が行われ、2年間で348名の方が難聴となられて、うち16例の方が両耳難聴となったということが示されております。耳鼻咽喉科学会の調査結果については、今後おたふくかぜワクチンの接種の在り方、検討において、どのように考えるべきか、関係の先生方とも相談させていただきながら検討していきたいと考えております。

 次に不活化ポリオワクチンの審議状況については、昨年12月に開催された第12回ワクチン評価に関する小委員会でも御報告させていただいております。第3回研究開発及び生産流通部会におきまして、不活化ポリオワクチンの5回目の接種の必要性が議論され、改めて抗体保有率の経年変化について調査を継続し、その結果に基づき5回目の接種の必要性を検討することとされております。

 沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンについては、前回のワクチン評価に関する小委員会で御報告させていただいておりますが、第2回ワクチン評価に関する小委員会におきまして、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種として使用する是非について議論され、13価ワクチンの評価に必要となる科的知見をできるだけ早期に研究班等で収集した上で、実施する可能性のある施策について、費用対効果等の分析評価を実施することとされております。

 ロタウイルスワクチンについては、第5回ワクチン評価に関する小委員会におきまして、それまでに収集されていた科学的知見が報告されて、定期接種化の検討には依然課題が残っていることから、引き続き研究班のデータや知見等を収集した上で、一定の整理ができた段階で審議会に報告することとされております。

 次に帯状疱疹ワクチンです。帯状疱疹ワクチンに関しては、前回の小委員会においても御審議いただいておりますので、そちらの報告も兼ねて御説明します。帯状疱疹ワクチンについては、帯状疱疹の疾病負荷や帯状疱疹ワクチンの効果について議論が行われまして、論点を整理した上で、課題とされたデータが出てきた段階で、再度検討することとされております。

 また、最後のDPTワクチンについても前回の小委員会で御議論いただいておりますが、DTに変わり、DTaPを用いることで見込まれるリスクとベネフィットに関して議論が行われまして、再度論点を整理した上で、議論可能となった段階で引き続き検討することとなりました。資料8についての説明は以上です。

 次に資料9について御説明します。資料9は長期療養特例の実施状況について御報告します。長期療養特例と申しますのは、長期にわたり療養を必要とする疾患等により、接種対象年齢の間に定期接種を受けられなかった方が、当該事由が消滅してから一定期間にわたり、残りの接種を定期接種として受けることができるという制度です。そういった方に対して接種を行う際には、被接種者の年齢や疾病、行った予防接種ワクチンの種類、接種回数等を厚生労働省に報告していただくというような規定が定期接種実施要領にあります。

 今回、資料9でお示ししているのは、平成28年度に御報告いただいた実施状況についてまとめた内容です。この1年間で1,352件の報告を頂いております。特令の要因となった疾病については、膠原病、悪性新生物、慢性心疾患、神経・筋疾患、慢性呼吸器疾患という順で並んでおります。また、右の表においては、その対象となったワクチンの種類ということですが、このテーブルにあるとおり、MRワクチンが最も多かったという状況でした。資料9については以上です。

○倉根部会長 今、資料8と資料9について事務局から報告を頂きましたが、何か御質問、御意見はありますか。特にありませんか。特にないということで、それについてはここで終わりたいと思います。それでは、今日の議事は以上ですが、事務局から何かありますか。

○大林予防接種室長補佐 次回の開催については、追って連絡させていただきます。本日は5つの自治体の参考人の方と随行の方におかれましては、御多忙の中おいでいただき誠にありがとうございました。事務局からは以上です。

○倉根部会長 本日も非常に活発な御議論を頂きましてありがとうございました。改めまして、5自治体からおいでいただきまして参考人の方々にはお礼を申し上げます。ありがとうございました。それでは、本日の第20回の予防接種基本方針部会を終了します。


(了)

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