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2017年7月19日 歯科情報の利活用及び標準化普及に関する検討会(第1回)議事録

医政局 歯科保健課

○日時

平成29年7月19日(水) 15時~17時


○場所

中央合同庁舎4号館12階 共用1211会議室


○議題

(1)歯科情報の利活用及び標準化普及に関する事項について
(2)その他

○議事

○和田課長補佐 それでは、委員の先生方がお揃いですので、ただいまより第 1 回歯科情報の利活用及び標準化普及に関する検討会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 第 1 回目の会議ですので、まず会議に先立ちまして、委員の御紹介をさせていただきます。東北大学副学長の青木委員です。福島県歯科医師会常務理事の工藤委員です。日本大学教授の小室委員です。日本歯科医学会連合理事長の住友委員です。日本弁護士連合会の関口委員です。日本歯科コンピュータ協会の多貝委員です。大阪大学歯学部附属病院医療情報室准教授の玉川委員です。静岡県歯科医師会会長の柳川委員です。また参考人として日本歯科医師会常務理事の瀬古口先生に御出席をいただいております。なお、本検討会ではオブザーバとして警察庁刑事局にも御参画いただくこととしておりますが、本日は御欠席の連絡をいただいております。

 なお、今回の検討会につきましては、公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。それでは、歯科保健課長の田口より御挨拶申し上げます。

○田口歯科保健課長 歯科保健課長の田口です。お忙しい中、本日は本検討会に御出席を賜り誠にありがとうございます。また、日頃より厚生労働行政に御理解、御協力を賜りまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。

 さて、平成 25 年から昨年度まで 4 年間にわたりまして、歯科診療情報の標準化を目的といたしました歯科診療情報の標準化に関する実証事業を実施してまいりました。この事業におきましては、皆様方の御協力の下、歯科診療情報の形式を統一化するための口腔診査情報コード仕様を策定いたしまして、一定の成果をあげられたものと考えています。本年度からは、これまでの経緯を踏まえまして、新たな事業といたしまして歯科情報の利活用及び標準化普及事業を実施することとしております。この事業におきましては、標準化の普及拡大、あるいは歯科情報の利活用につきまして事業化を図っていく予定としています。

 本日の検討会では事務局よりこの新しい事業の概要とその実施体制につきまして簡単に御説明をさせていただくとともに、後ほど事業の受託者であります日本歯科医師会のほうから今年度の事業内容等について御説明をいただく予定となっています。歯科の診療情報の標準化に加えまして、利活用あるいは普及につきましても、先生方の幅広い見地からの御議論をいただければという考えです。これまでの事業に引き続きまして、また様々な場面で御協力いただくことがあろうかと存じますけれども、どうぞよろしくお願いします。簡単ではありますが御挨拶に代えさせていただきます。

○和田課長補佐 なお、進行につきましては、座長選出の間事務局で行います。本検討会は昨年度までに行われていた「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」の後継事業「歯科情報の利活用及び標準化普及事業」に基づき実施をする検討会です。本検討会の設置要綱に基づきまして、座長の選出を行いたいと思います。どなたか御推薦をいただけますか。

○柳川委員 これまで、歯科診療情報の標準化に関する検討会でも座長をお努めいただいた日本歯科医学会連合理事長の住友先生にお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。

○和田課長補佐 柳川委員より御推薦がありましたように、住友委員を座長として選出ということでございましたが、御異議ございませんでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○和田課長補佐 では、住友委員に座長をお願いしたいと思いますので、座長席まで移動をお願いします。では、以降の進行につきまして住友座長よろしくお願いいたします。

○住友座長 この後継事業につきまして座長ということでございます。これまでは、日本歯科医学会の会長としての座長を努めてまいりましたが、この後継事業に関しましては、一般社団法人日本歯科医学会連合理事長としての立場で座長を努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日の議事次第にありますように、これから平成 29 年度の歯科情報の利活用及び標準化普及事業、これにつきまして暑い中、熱い御意見をいただきたいと、斯様に思っております。どうぞよろしくお願いいたします。一応 17 時までの予定ですが、できるだけスムーズに進行ができればと思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは、皆様方のお手元にございます本日の資料の確認を事務局、お願いいたします。

○和田課長補佐 本日配布しております資料について確認をお願いいたします。本日の配布物ですが、まず、議事次第、委員名簿、座席表があります。続きまして資料 1 として、歯科情報の利活用及び標準化普及事業概要等、資料 2 、参考人から御提出いただいておりますパワーポイント形式の資料で、「平成 29 年度厚生労働省委託事業歯科情報の利活用及び標準化普及事業です。参考資料といたしまして、参考資料 1 、「歯科情報の利活用及び標準化普及に関する検討会」設置要綱、参考資料 2 、「平成 29 年度歯科情報の利活用及び標準化普及事業」仕様書、参考資料 3 、今年 3 月に行われましたこの前身の歯科診療情報の標準化に関する検討会 ( 11 ) 議事録となっています。乱丁、落丁などございましたら事務局までお知らせください。

○住友座長 各委員の手元には資料が全部いってますでしょうか。それでは、早速議事に入りたいと思います。事務局から資料 1 、歯科情報の利活用及び標準化普及事業の概要等、及び参考資料 1 、歯科情報の利活用及び標準化普及に関する検討会設置要綱について、説明をお願いします。

○山口専門官 まず参考資料の 1 、「歯科情報の利活用及び標準化普普及に関する検討会」設置要綱から説明をいたします。 1. の目的です。東日本大震災における身元不明遺体の身元確認において、身元不明遺体が有する歯科所見と歯科医療機関が所有する生前の歯科診療情報を照合・鑑定することによる身元確認の有効性が改めて示されました。これまで「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」を実施し、試作的ではあるものの歯科診療情報の標準化が可能となりました。今後は、さらなる身元確認作業の効率化・迅速化に向けての体制整備や事業に対する国民及び医療従事者の理解と周知の必要性などを検討するため、今年度より後継事業として「歯科情報の利活用及び標準化普及事業」を実施し、本検討会を開催します。

2. 想定される主な検討内容については、前事業「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」のまとめ、今年度からの後継事業「歯科情報の利活用及び標準化普及事業」の内容の再確認 ( 身元確認作業の効率化・迅速化に向けての体制整備、事業に対する国民及び医療従事者の理解と周知の必要性など ) と、その他としております。

3. 構成については、座長は検討会委員の中から互選により決定するということになっておりますので、先ほど柳川委員の御推薦により、住友先生に決定したところです。また、委員は座長の意見を踏まえて、追加することができるものとします。

4. 検討会の運営等については、 (1) 検討会の審議の必要に応じ、適当と認める有識者を参考人として招致することができます。 (2) 検討会の議事は公開としますが、特段の事情がある場合には、座長の判断により、会議、議事録及び資料を非公開とすることができます。 (3) 検討会の庶務は、医政局歯科保健課において総括し、及び処理します。

 続きまして資料 1 「歯科情報の利活用及び標準化普及事業概要」をご覧ください。まず、平成 25 年度~ 28 年度にかけての歯科診療情報の標準化に関する実証事業の成果について、簡潔に申し上げますと、1.「口腔診査情報標準コード仕様」の策定をし、2.レセプトコンピューター用のプログラムの開発を行いました。3.歯科診療情報の保存方法を分類し、それらの方法について、利点・欠点・解決すべき点等を明らかにしました。4.歯科診療情報の利活用方法を考案し、その実現に際し、検討すべき点や課題を明らかにしました。これらについての詳細は、このあと、瀬古口先生からも御説明があるかと思いますが、この事業の中で1、2に特に多くの時間を費やし、関係者の方々に御尽力いただいたところです。まだ課題としては多少残っているものの、標準化において実証段階にまでは、前年度までにほぼ完了した状態であり、これからは、いよいよ実用化に向けた発展的事業展開に重点を置いて、歯科情報の利活用及び標準化普及事業がスタートします。

 具体的に申し上げますと、平成 29 年度の1.歯科情報の標準化普及事業においては、前事業の未完了部分を実施するとともに、 2 地域程度をモデル地区として選出し、「口腔診査情報標準コード仕様」に準拠した電子カルテ等の実証を行い、「口腔診査情報標準コード仕様」の修正及び電子カルテ等の改良を行います。

 2.の標準化歯科情報の利活用については、歯科医療機関における身元確認作業の効率化・迅速化を行うための体制を整備すること及び国民や医療従事者にとって歯科情報の有益な利活用方法の検討を行う予定です。

 その結果、標準化の部分については、「口腔診査情報標準コード仕様」に準拠した、電子カルテ等のモニタリングにより、仕様及び電子カルテ等の課題が明らかとなり、その改良が行われることを見込んでおります。利活用の部分については、歯科医療機関で使用可能な身元確認アプリケーションが開発され、国民・医療従事者にとって有益な歯科情報が明らかとなります。

 平成 30 年度は、前年度とは異なる地域を選択して、モデル事業を行い、更に「口腔診査情報標準コード仕様」に準拠した電子カルテ等の実証を行うことを予定しています。

 平成 31 年度は、国民や医療従事者にとって有益な歯科情報の利活用に関する理解が深まり、全国普及へと繋がっていくことと、「口腔診査情報標準コード仕様」の医療分野における標準規格取得を考えております。

 次に事業の実施体制の確認ですが、資料 1 の裏を御覧ください。実施体制としては、本検討会を歯科診療情報の標準化に関する検討会の後継会議体として設置し、庶務に関しては同じように医政局歯科保健課が担当いたします。委員に関しては、現委員の先生方に引き続きお願いしております。この会議体の下に、歯科情報の利活用に関するワーキンンググループを設置して、厚生労働省内で国民や医療従事者に向けて、利活用についての検討を行っていきたいと思います。

 そのワーキンググループについて、具体的に何を検討するのか、またどのような方を有識者としてお招きするかは、これから検討していくことになりますが、恐らく歯科だけではなく、医学や看護学、患者さんの代表や法律家など、幅広い分野から御意見を頂くことが必要かと思います。これまでの事業成果を基本としつつ、本ワーキンググループでさらに歯科情報が活用できる場面がないか等について、議論を進めたいと思います。

 一方、身元確認に関しては、事業受託者を公募して、現在は日本歯科医師会にワーキンググループを持っていただき、事業の実施、管理、運営のほかに、身元確認作業の効率化・迅速化に関わる部分と、「口腔診査情報標準コード仕様」の完成及び標準化規格取得に関わる部分を担っていただくということになります。また、実際にモデル地区を選定し、事業の実施を行っていただくとともに、結果を分析します。新たに生じた課題は、検討会やワーキンググループで情報を共有し、連携を図っていきたいと思っています。事務局からは以上です。

○住友座長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。私のほうから、平成 31 年度というふうにここに書いてある資料 1 ですけれども、赤で 3 つの項目が挙がっている、その医療分野の標準規格、前回も議論になっておりましたが、取得にいくのはいいのだけれども、この医療分野の標準規格をここでどこまで検討するというものか、またはすでに決まったものがあって、決まったものに対して取りにいくというか、頂くかということになるのではないかと思うのですが、どのようになっているか説明をお願いできますでしょうか。

○山口専門官 先生のおっしゃったように、これは標準規格の取得に向けての前段階の検討という場がどこかで必要になってくるとは思っております。こちらとして、具体的にどういうスタイルでやっていくかということは、まだ具体的な構想というのはないのですが、どこかでそれについての議論が必要になってくるのかなと考えております。

○住友座長 こちらサイドではなくて、すでに何か標準規格というものが提示されていれば、この事業を行うに当たっては、それを取得する必要があるのではないかという質問です。

○柳川委員  28 年度、日本歯科医師会が受託をして、技術的なことを深めていく協議会、ワーキンググループが立ち上がって、そこで継続的な議論がされました。後ほど補足をしていただきたいと思うのですが、そんな中で、規格が厚労省公認というか、 HELICS という協議会に申請するという手順があるようです。既に技術的には申請する段階まできているという認識がありまして、ここには 31 年度と書いてありますが、私はむしろ早くてもいいのだろうと思っています。それは、取りも直さず、歯科医療機関が使っているレセコンに機能として搭載をするという意味で規格が取得されたほうが、普及しやすいと思いますので、そのような認識でおります。多貝先生、玉川先生、補足があればお願いします。

○住友座長 既にある規格に合わせるのではなくて、こちらが提示したものを HELICS に申請して標準規格にしていただくということですね。

○柳川委員 既にそれを協議するというか、扱う機関があるというふうに聞いています。

○住友座長 そこに持っていけばそれが取得できる可能性があるという意味ですね。今、これをなぜお聞きしたかというと、平成 30 年度の事業の内容を見るに当たって、それがないと、ある意味、モデル事業ばかりではなくて、具体的な動きができないのではないか。今、柳川委員が言われたように、 30 年度にもここの検討をしておく必要がある。取得までいかないまでも、検討項目として必要なのか、それともこの中に、それが含まれているというように考えればいいのかということですが、事務局お願いします。

○和田課長補佐 後ほど恐らく参考人の先生からも御説明があると思うのですが、検討に関してはもう早く始めたいと思っておりますし、可能な範囲で今年度から着手したいと思っています。ここにお示しをしたのは、 31 年度までに標準規格が取得できるようなプロセスをお示ししているので、 31 年度から検討を始めるということではなくて、早い段階で検討を始めていくという認識でございます。

○住友座長 この中に包含されていると考えていいですね、1、2の事業の中に。

○和田課長補佐 はい、そうです。

○住友座長 分かりました。ほかに何かございますか。玉川委員、今のところ何か追加することがあれば。

○玉川委員 医療分野の標準化規格そのものは、既に 12 3 ございまして、病名の標準コードですとか、看護のコードですとか、あるいは地域医療の情報交換のコードですとかありますので、歯科の標準病名も既に入っています。その中に、我々が申請をして、入れてほしいと、そういうことになると思います。

○住友座長 こちらから作ったものが標準コードになるという認識ですね。はい、分かりました。

 ほかにございますか。多貝委員、どうですか。それでは、ほかになければ、本日、事業委託先であります参考人の日本歯科医師会の瀬古口先生より、今年度の事業について御説明を頂きます。

○瀬古口参考人 それでは、資料 2 に基づきまして、日本歯科医師会が厚生労働省より受託しました、平成 29 年度の歯科情報の利活用及び標準化普及事業につきまして、これまでの経緯と合わせて御説明いたします。パワーポイントですが、右下に番号が書いてありますので、それを参照しながらお願いいたします。

 スライドの 2 枚目です。はじめに、本事業の前身である歯科診療情報の標準化に関する実証事業につきましては、平成 25 年度より開始しました。御存じのように、本事業は東日本大震災時の教訓を基に、歯科診療情報の標準化及び保存を目的として行われてきました。それは、東日本大震災における身元確認において、身元確認を行うための歯科診療情報の標準化が図られておらず、身元確認に混乱を来しました。また、津波等による歯科医療機関の被災により、歯科診療情報の収集に困難を来した。この 2 つの大きな課題が浮き彫りになったということに起因をしております。

 これを受けまして、初年度はオプテック社と新潟県歯科医師会の 2 者が実施をいたしまして、引き続き 26 年度、 27 年度と、新潟県歯科医師会が本事業を実施しております。新潟県歯科医師会では、会員の協力の下、来院患者の歯科情報をマークシート様式に、デンタルチャートに記録し、レセコン中に存在する歯科情報との比較・照合の実験を行いました。これにより、 26 項目の情報量を保持すれば、極めて高精度に身元の絞り込みが可能であるということを実証いたしました。翌 26 年度は、広範にわたる意見聴取を基に、これを階層構造に整理し、どのような照会にも対応可能であり、かつ拡張性を備えたデータ形式を定義いたしました。

 続きましてスライド 3 枚目を御覧ください。平成 27 年度は、歯科情報の保全という観点から、このデータセットを拡張し、更に現在、 ISO で検討中のデータセットについても、意見交換を行いながら、我が国の保険診療を基に、かつ海外との歯科情報の整合性、互換性を考慮した「口腔状態の標準データセット」が策定されました。データセットは記述子と呼ばれる 896 の項目からなり、これらはそのごく一部になりますが、ここで定義されたデータセットを基に、事業が実施されました。以上が 27 年度までの経緯になります。

 続いてスライド 4 枚目です。平成 28 年度は日本歯科医師会が受託して実証事業を行いました。 28 年度は平成 27 年度事業において作成された歯科診療情報の標準様式、いわゆる「口腔状態の標準データセット」を踏まえまして、電子カルテ等から統一された基準に準じた歯科診療情報をデジタルデータとして出力するため、歯科診療情報のデジタル出力、即ち標準化を行う必要がありました。また、災害等で歯科医療機関が損壊した際に、歯科診療情報の保全を図る標準化された歯科情報の保存方法を検討し、身元確認を筆頭に、歯科診療情報の利活用方法を検討する必要がありました。したがいまして、本事業において、これらの課題を解決することを目的に事業を行いました。

 続きまして、スライドの 5 です。本事業の概要を示しております。本事業において、現在ベンダー各社において異なっている歯科情報を統一化する基盤となる「口腔診査情報標準コード仕様」を策定し、これを機に、ベンダー各社にて、 CSV ファイル出力プログラムに開発いたしました。その後、「 CSV 形式ファイル」を、「 HL7 形式ファイル」に変換するコンバータを開発いたしました。ここまでが標準化に関わる部分となります。歯科診療情報の保存や利活用に関しては、どのような方法でやるのか、それらの利点、欠点や課題について検討いたしました。具体的内容は以下にてスライドで説明をいたします。

6 枚目です。歯科診療情報の標準化に関する成果をお示しします。歯科診療情報の標準化に関する実証事業実行委員会において、「口腔診査情報標準コード仕様」を策定いたしました。次に、それに基づいた CSV 出力プログラムの開発を、ベンダー 3 社に依頼し、出力プログラムの開発をいたしました。更に、「口腔診査情報 CSV 形式データから HL7 への変換仕様」を策定し、それに基づいたコンバータをベンダー代表 1 社に依頼し、開発いたしました。これらにより、電子カルテ等に保存されている歯科診療情報を試作的ではありますが、 HL7 形式に変換することが可能となりました。

 続きまして、スライド 7 です。歯科診療情報の標準化に関する今後の課題です。 CSV 出力プログラムの開発に際しても、「口腔診査情報標準コード仕様」の問題点等が明らかとなり、細部の修正が行われましたが、まだ完全とは言えません。例えば検討が必要な項目として、同じ歯が複数の属性を持つ場合や、歯の属性がない場合の表記方法等があります。更に今後、「口腔診査情報標準コード仕様」が修正された場合、それに伴う CSV 出力プログラム及びコンバータの修正が必要となります。また、ベンダーにより、電子カルテ等の表示形式や、対応可能な範囲が異なるため、本事業に携わっていないベンダーからの要望に対応する必要があります。これらの課題に対しては、平成 29 年度以降の対応となります。

 続きましてスライド 8 です。歯科診療情報の保存方法を示しています。現在の保存方法としては、変換された HL7 形式のファイルを SS-MIX のフォルダ構造に準じて、歯科医療機関内に保存すること。若しくはこれらのデータに歯科医療機関外のストレージに保存することが可能です。ただし、医療機関外の保存は、バックアップしとしての利用に限られます。なお、歯科医療機関の外部のストレージのデータセンターとしては、既存の地域医療ネットワークが使用しているところを使う。社会保険診療報酬支払基金のデータベース機能を増強する。また、市町村や歯科医師会等での保存などが考えられます。

 続きましてスライド 9 です。歯科診療情報の保存に関する今後の課題です。歯科診療情報管理者である歯科医療機関の院長が災害等により行方不明、若しくは死亡した際に、その医療機関にある歯科情報をどのように扱うか、つまり歯科診療情報の所有権をどのように担保していくか、これが問題になります。同じように閉院に際しても、歯科診療諸情報の取扱いを整理しておく必要があります。また、大規模災害時に備え国や地方公共団体等の一定の機関が歯科情報を保存し、身元検索に使用できる仕組みの構築や、都道府県知事の指示に基づく検索を可能にするなどといった、法的整備も含めて考えていく必要があります。これらに関しては、個人情報保護を踏まえ、検討する必要があると考えます。

 続きましてスライド 10 をお願いします。歯科診療情報の利活用に関しましては、身元確認が最も重要であると考えています。本事業で目指すべき身元確認は、警察からの照会に対し、歯科医療機関が個別に対応を行う際に、標準化された生前及び死後の歯科情報を用いることにより、身本確認作業の効率化・迅速化を図ることです。これにより従来の身元確認をした歯科医師、警察双方の負担を大幅に軽減することが可能です。多数の身元不明者が存在する場合にも有効な方法となります。

 スライド 11 です。歯科診療情報の利活用の今後に関する課題です。身元確認に係る利活用に関しては、身元不明者の生前歯科診療情報が入手困難な際の対応を検討しなければならないことや、その社会的意義の国民や医療従事者への理解及び周知が未だ十分とは言えず、普及啓発を行う必要があります。また、身元確認を含め、それ以外の利活用を考える際には、国民や医療従事者にとって必要とされる歯科情報や、個人情報の取扱いを検討する必要があります。これらに関しては、今後詳細に検討を行う必要があります。

 続いてスライド 12 をお願いします。これにより、平成 28 年度に引き続き、日本歯科医師会が受託しました平成 29 年度の歯科情報の利活用及び標準化普及事業の概要について説明をいたします。平成 29 年度は、平成 28 年度歯科診療情報の標準化に関する実証事業における未完了部分の実施、診療情報共有を目指したモデル地区展開、モデル地区展開を踏まえた「口腔診査情報標準コード仕様」と出力プログラムの検証、厚生労働省標準規格の取得に向けた検討を行うことを検討しています。

 具体的には次のスライド 13 以降で説明をいたします。スライド 13 です。まず、事業 (1) 平成 28 年度歯科診療情報の標準化に関する実証事業における未完了部分の実施です。平成 28 年度までの実証事業を継続し、平成 28 年度の積み残しの課題である「口腔診査情報標準コード仕様」の修正、「口腔診査情報標準コード仕様」のビジュアル化を進めたいと考えています。

 続いてスライド 14 です。事業 (2) 標準化電子カルテ等のモデル地区展開です。事業 (1) を踏まえまして、「口腔診査情報標準コード仕様」に準拠した、診療情報共有環境の構築及びモニタリング、地区の選定に当たりましては、おおむね 200 名が参加できる地区とすることを検討をしております。

 続きましてスライド 15 です。事業 (3) モデル地区展開を踏まえた、「口腔診査情報標準コード仕様」と出力プログラムの検証です。事業 (2) を踏まえまして、問題点を抽出するなど結果を検証するとともに、適宜、「口腔診査情報標準コード仕様」と、出力プログラムの修正等を行います。また、身元確認作業の効率化や迅速化に向けて、歯科情報の保管場所について、法律との整合性を含めて改めて検証するほか、歯科医療機関の普及策についても検討していきたいと考えています。

 スライド 16 です。事業 (4) 厚生労働省標準規格の取得に向けた検討です。これまで説明をいたしました事業 (1) から (3) と並行しまして、厚生労働省標準規格の取得に向けて、 HELICS 協議会に提案する準備を進めていきたいと思っています。併せて国民及び医療従事者への理解・協力を促すための啓発方法等についても、検討していきたいと考えています。

 スライド 17 です。以上が平成 29 年度の歯科情報の利活用及び標準化普及事業に係る受託事業の概要ですが、平成 29 年度は、歯科情報の標準化普及事業ワーキンググループを設置するとともに、そのタスクフォースを設置して、各事業内容の検討、検証を行うこととしております。ワーキンググループは歯科医師会関係者や医療情報分野の専門家に加え、本事業のある意味での目的である、厚生労働省標準規格の取得を円滑に進めるべく保健医療福祉情報システム工業会 (JAHIS) や、医療情報システム開発センター (MEDIS) の方々を交えるとともに、モデル地区展開に基づくレセコンの実証等に向けて、システム開発者を、更に個人情報保護法との整合性を担保すべき、弁護士等を交えて構成いたします。タスクフォースにつきましては、ワーキンググループのメンバーの中から選定したメンバーを中心に構成いたします。検討に際しましては、基本的にはメール会議で、タスクフォースにて検討した上で、ワーキンググループで検討を深めるという形で進めていきたいと考えています。以上で平成 29 年度の歯科情報の利活用及び標準化事業の概要説明を終わります。ありがとうございます。

○住友座長 ありがとうございました。では、瀬古口参考人の今年の事業の説明につきまして、御意見や御質問がありましたら、挙手をしてお願いいたします。ありませんか。先ほど私が確認したかったことがここにしっかりと書いてあって、要するに厚生労働省の標準規格の取得というものを、現在、作っているもので行うために、 HELICS 協議会という所に審査をお願いすることになるわけですよね。そこは審査の機関であることがまず 1 つ。

 それと、もう 1 つはやはり問題で、今のところ、ここでは議論できない法的整備のところがありますね。この時点では、これがまた別の部署で議論されると理解しておいていいのですね。そういうことでよろしいですか。

○瀬古口参考人 はい。

○住友座長 分かりました。それでは、いつもはじめに発言していただく青木委員、何か追加で、若しくは分かりやすく説明を頂いたのですが、もう少し追加するものがあれば、お願いしたいと思います。

○青木委員 今回のものがうまくレセコンの機能の中に実装できますと、非常にすばらしいと思います。実際の東日本大震災の身元確認の実務を行った経験から、非常に有効ではないかと、その点だけ申し上げておきたいと思います。ただ、そのときに関連団体、特にベンダーさんのモチベーションに配慮が必要です。これに参画して、歯科医師の先生方にとっては自分たちの社会貢献という観点で、非常に参画しやすい雰囲気が醸成されているのですけれども、実際のベンダーさんの所に、どのようにお願いをしていくとか、啓発していくかとか、そういった部分はかなり重要ではないかと思いました。

 例えば多貝委員のところとか、新潟県歯科医師会などでは十分対応できると思うのですけれども、そのほかのたくさんの業界団体において、いかにこういうものをお願いしていくか、啓発していくかというのは非常に重要なポイントかなと感じます。以上です。

○工藤委員 そうですね、かなり専門的なというか、パソコンのコンピュータ用語になってきているので、なかなか難しい部分があるのですけれども、 1 つの実装の段階がもう目の前ということで、かなり期待はしているのですが、どうしても医院が個別に対応を行うというところに、医院の中では大分ハードルがあるような気がするのですね。ですから、ある程度データセンターの中でやれないかということが、どうしても今後の大きな課題の 1 つになってくるので、法的な問題がどのようにクリアできるのかということを整理していただけると助かると思います。

○住友座長 これは前々から出ていた法的なところは、ちょっと難しいところでもあるが、これが議論されていかないと、実際には活用しにくいですよね。活用できないこともあるかもしれない。関口委員、この点についてはどのように考えますか。

○関口委員 前身の検討会でも繰り返し申し上げていたとおり、データベース的なものになってくるのであれば、これは新たな法的根拠は必要であろうと。現状、今回の資料の中でもありましたように、個々の医療機関が個別に保管し、それを警察からの照会に個別に対応するということに関しては、現在も大丈夫だとは思うのですが、そこから更に効率化を進めていくために広げていくというところでは、様々な法的検討が必要になるのではないかと考えています。

 それとも関係するのですが、今回そのモデル事業の御説明を頂いた中で、モデル地区展開のところで診療情報の共有環境の構築ということがあるのですが、ここでいう診療情報の共有というのは、どういったことを指すのでしょうか。正に歯科医療機関相互に、個人の診療情報を共有するという趣旨なのでしょうか。

○住友座長 瀬古口参考人、若しくは柳川委員、玉川委員、お答えできますか。では、よろしくお願いします。

○玉川委員  5 ページの上に SS-MIX 仕様というものがありますが、この SS-MIX 仕様自体が既に各種の医療情報を含んでおります。例えば検査の情報や処方の情報など、その形式で今回、歯式を含めた口腔診査の情報も出力することができましたので、 SS-MIX を既にお使いの地域医療ネットワークなどに、もしもデータをお預けすることができれば、その SS-MIX に参加しておられる患者さんは、自分の医療情報をそこに置くことを同意しておられますので、そういう形で始めることができるのではないかと思っています。

 そういう意味では、医療情報というのは文字どおり、その患者さんの飲んでおられる薬や検査、あるいは口の中の情報など、そういうものを全部含んでいると考えていますが、いかがでしょうか。

○関口委員 分かりました。

○住友座長 小室委員、今回からはっきりと歯科診療情報の利活用というテーマが挙がりました。それと標準化普及事業、前から最初の展開は標準化の問題を中心に進めていって、やはりこの利活用といいますか、生前情報等の活用を含めて、前回の検討会では議論されていたわけです。これがかなり具体的な形で示されたというところについて、何か御意見ありますでしょうか。

○小室委員 何度も話が出ておりますが、実際これを使うに当たりましては、いわゆる国民の目線から言いますと、個人情報をいかに使われるかということになりますから、やはり丁寧な説明が必要になると思います。いかに身元確認のために必要だということがありましても、きちんとした説明なり法的な整備なりをしておきませんと、やはり様々な問題が出てきて拒否される可能性が高いことが予想されますので、各方面への、そして各方面からの積極的な対応に期待したいと思いますし、私たちのそのような体制作りを目指して議論しなければならないと思っています。

 確認ごとで申し訳ないのですが、 13 ページの積み残した部分の中に、「口腔診査情報標準コード仕様」の修正で、「解釈が異なる点の統一」とあるのですが、これは何のことでしたでしょうか。例えば解釈が異なる点があるとすれば、解決がつかせるためにはどうすればよいのかということもありますし、解決がつかないものもあるのかもしれません。これについては、歯科所見の名称の違いということでしょうか。それとも何か特別に異なる点があって、統一を図らなければならないとする点について、玉川先生、何か考えておられるのでしょうか。

○玉川委員 現在このコード仕様自体は、 3 つのベンダーさんの持っておられるデータを出力することをやってみたわけですけれども、そこで例えば同じ歯が分割してあるとか、片方は抜歯してあるとか、片方は根充してあるが、片方は根充していないとか、そういう細かい部分でのデータをどう出せばよいかという御質問がありました。 3 社の中でも、およそは合意ができたのですが、それ以外のベンダーさんも同じようなことをきっと抱えておられると思いますので、ベンダーさんのいわゆる疑義解釈といいますか、こういうケースではどのコードを出せばよいのかと、実際に調べることを事業 (1) としてやろうと考えております。

○小室委員 これは前からも申し上げておいたところなのですが、コード仕様の修正の中に、いわゆる所見だけですと、やはり一致、不一致だけの問題になってしまいますので、身元の確認という最終的な目標に進めるためには、やはり映像があったほうがよろしいですから、その点についてもう一度考えていただければ有り難いと思っております。大まかで良いと思います。レントゲン写真を見たときの状況で、 3 つぐらいのパターンに分類するなどでも良いですし、何か映像上の解釈が加えられていれば、より良いと思いますので、是非これを組み入れてもらいたいと思います。

○住友座長 画像ですね。今回のモデル地区では、そういうものは考慮していないですか。

○玉川委員 一応、レントゲンを撮影した情報は入ると思いますので。 100 人の中からこの 5 人の可能性があると分かったときに、あと、撮影情報から元に戻って、 5 枚のパノラマを引っ張ってきて、この人と決める、そういうステップは残っていると思います。それができるかどうかは、まだちょっと分かりません。

 それからもう 1 つは、パノラマ情報を扱う DICOM という規格があるのですが、その DICOM 規格の中に、標準仕様のコードをどこで持っているかという情報も埋め込んでしまったらどうかという話もありました。今回の事業の中でそこまでできるかどうか、ちょっと分かりませんが、そうしますと、このコードと画像とが、ほぼ 1 1 で引っ付きますので、今、お話したパノラマを呼んでくる作業がもっと効率よく回ると考えています。

○小室委員 そうですね、せっかくモデル地区を設定していただくことですし、その際には賛同されている医療機関が入ってくるはずですので、その医療機関には少し無理を承知で、是非お願いしたいものです。よりスピーディーにを進めるためにもです。その数を先ほど 200 名とおっしゃいましたが、この 200 名というのは医療機関の数のことでしょうか。

○柳川委員 いや、 200 とは申し上げていないと思うのですが。

○小室委員 何か 200 名と先ほどはおっしゃったように伺いましたが。瀬古口先生でしたか。

○瀬古口参考人 おおむね、一応、 200 名程度を、ということになっていますが。

○小室委員 それは 200 医療機関ということですね。

○瀬古口参考人  200 医療機関を 2 地区でということで。

○小室委員 そうですよね。対象者数が 200 名ですとえらく少ないように思ったものですから。理解しました。

○柳川委員 まだ想定ですので、 200 医療機関かどうかは未定と思います。

○住友座長 モデル地区でトライアルすることによって、また具体的ないろいろな問題点が出てきて、それは改善されるという方向になるのだろうという理解です。ですから、このモデル地区での実証事業をする、具体的に使ってみるということは、やはり非常に意味のあることであろうと。これは平成 29 年度の事業内容としては、やはり必要なものであろうという皆さんの合意いただければと思います。

 それから利活用に関しては小室委員もおっしゃっておられますが、資料 1 の予想される結果というところですが、ここの2.に書いてあるように、歯科医療機関で使用可能な身元確認アプリケーションが開発されると、医療従事者もそうなのですが、国民にとって有益な歯科情報で本当の利活用ができるかという、そこの売りをどのようにもっていくかというところ、それとやはり前々から言っている法的整備というのがどうしても出てくるので、その議論はここでこういう法的な問題が起きるのではないかということは、今回の事業の中で議論はできますかね。

○玉川委員 多分できると思います。ふだんの診療のバックアップのために、データセンターに持っておくこと自体は問題ないと思うのですが、いざというとき、あるいは警察からの指示で、身元検索のために使うこと自体が本来の目的なのか、目的外利用になるのか、その辺りがポイントではないかと思うのです。

 その辺りを現行の個人情報保護法の範囲内で、いざというとき探してもいいのですよという解釈が成り立つのであれば、そんなに大きなハードルではなくなると思うのです。いや、そうではなくて、これは本来バックアップのためだけなので、有事の検索のときも、何がしかの手順が必要ですということになると、それはそれなりのルールを決めなければいけないと思っています。その議論は多分できると思います。

○住友座長 この仕様書の中にも、その部分をうたっているので、これが実施されると思います。それから 17 のスライドの中で、このワーキングの中に弁護士の方が入っていただくということにもなっていますが、こちらだけで決められるものではもちろんないのですが、ここでの問題点を、例えば行政など然るべき所で検討が必要になる。そのときの資料としては非常に有効ではないかという想いがあるのです。そういう解釈でよろしいですか。

○玉川委員 多分、そうできると思いますが。

○柳川委員 今回、福岡でも豪雨があって、御遺体が上がって、地元の福岡県警の要請に基づいて地元の歯科医師会が出動しております。けれども、このモデル事業はやはり地区でやりますので、実際にデータの外部保存までは現状でもいいわけで、そういったデータ保存してあるものを身元確認に使うということは、今、これだけ各地で災害が起きている中で、地域でやる事業のほうが、住民や県民の方の理解が得られるいい機会になるのではないかと期待しています。

○多貝委員 質問になるかと思うのですが、事業の中でのモデル地区の展開ということで、先ほど 2 地区で 200 という数が出ていましたけれども、それだけの数になりますと、昨年度までに 3 社で CSV 出力するプログラムを開発しましたけれども、ベンダーを更に増やしていく必要があるのかなと思うのですけれども、その辺をどのようにお考えかという点と、もう 1 つは、歯科医院の中で出力して、そこで保管しているだけでなくて、地域医療情報連携のデータセンターのような所にアップしてという辺りについても、想定されているのかどうかという辺りをお聞きできますでしょうか。

○玉川委員 ベンダーを増やすかどうかという点に関しては、これは増やすと考えております。それから後半の地域医療ネットワークに関しましては、 SS-MIX の形式にコンバートしたファイルが出来上がっているわけですので、何がしかの形でそのファイルを送ると。地域医療ネットワークに参加しておられる方は、既にデータをそこに置くことに同意しておられると思います。その方のファイルを転送して置いておくことには問題はないと思っていますので、想定しています。

○住友座長 よろしいですか。

○多貝委員 はい、分かりました。

○小室委員 玉川先生がおっしゃったのですが、法的な整備ですけれども、議論はもちろんしておかなければいけませんが、制度化のために、改めて法律を 1 つ作るとなりますと、大変な苦労と時間を要します。恐らく数年は掛かるでしょうか。

 議論した中で、この部分については、この法律のこの条文のなかに入れ込んでもらおうとか、そういうところまで議論をしておいて、行政側へお願いした場合は、結構、行政側でも動きやすくて、立法化しやすいということはあるのでしょうか。この辺りまで議論しておきませんと、机上の空論になってしまいます。本事業は 3 年後には本稼働したいでしょう。改めて法律を作るとなると、恐らく 3 年なんてあっという間に過ぎますから、もっと迅速化が求められますね。

○住友座長 今回の平成 29 年度の事業で、今言った法的な問題点を列挙して、それを行政側にこういう問題点が出てきたということに対して、行政側でそれについての検討会などができて、そしてその法的整備がなされていくというか、そういうものが期待できるかということなのだろうと理解しております。

○小室委員 それこそ、法整備のためのワーキンググループがあってもいいかもしれませんね。

○住友座長 それは、これとは別の話ですが、そういう検討はなされる可能性があるかどうかですね。

○和田課長補佐 事務局です。今、小室先生がおっしゃったように、これは前の事業からずっと懸案事項になっておりましたし、新しい法律が必要なのか、あるいは現行の法律の中での解釈でいけるのかというのは、ある程度ケースによっても随分変わってくることがあります。一度この検討会なのか、あるいはその下に設置するワーキンググループなのかというところはありますけれども、一度、事務局のほうで少し問題点を整理させていただいた上で、更に議論を深めていこうかなと考えております。

○住友座長 この検討会には結果的なものは出てくると思いますが、この目的からいくと、ワーキングの場がふさわしいものであろうと思っています。先ほど玉川委員にはそのことの検討をお願いしたいと言ったのですけれども、それでよろしいですか。

○和田課長補佐 歯科情報の利活用という観点で捉えれば、今の身元確認だけではなくて、この情報をもう少し有効的かつ発展的に使えないかと考えたとき、法的な部分をどのように整備していくのかというのは付いて回る話なので、先生がおっしゃったように、ワーキングの中で一回きちんと議論していただく必要があるのではないかと思っています。

○住友座長 これは平成 29 年度の予算が付いていて、そしてそこで一旦、報告書が提出される。そこにそのことが書き込まれていれば、またそれが平成 30 年度に続くとした場合、それが検討課題になって、それからまた別の所での議論にも活用できるだろうという、そういう流れを小室先生に提案していただいているのだと思いますが。そこがないと、今後の発展性というのがやはりどうしても。

○小室委員 止まってしまいますよね。

○住友座長 ありがとうございました。ほかに何かありますでしょうか。

○多貝委員 もう 1 つ質問ですが、資料 1 の平成 29 年度の予想される結果の中に、「身元確認アプリケーションが開発される」とあるのですけれども、資料 2 13 ページにビジュアル化とは記載されているのですが、確認あるいは検索のアプリケーションについては書かれていないようなのですが、その辺いかがかなと思いました。

 先ほどベンダーを増やすというお話がありましたけれども、やはり各ベンダーさんに我々、開発をお勧めしていくに当たっては、医療機関で有効に使われるという、お勧めする理由が必要になりますので、そのためにはやはり歯科医院の中で検索ができるような機能が必要ではないかと考えます。その辺いかがでしょうか。

○住友座長 玉川委員。

○玉川委員 蓄積されたデータは、テキスト形式と呼ばれるシンプルなものですので、 1 つのパソコンの中の文字検索と同じ仕組みです。どの程度、簡略に検索ができるかはさて置き、蓄積したものを検索する機能自体はそれほど難しくはないと思います。

 それから、ビジュアル化に関しても検索しにいこうと思うと、歯科関係者がよくなじんでいる歯列の絵がありますが、ああいう絵を通してデータを検索しにいく方法にするのか。あるいはそうではなくて、直接、文字列を検索しにいくのか。青木先生が作られたような 26 分類のデータを検索しにいくソフトを使うのか。その辺りは、まだはっきりとは決めておりませんが、ビジュアル化そのものは SS-MIX のビュアーには必要ですので、何らかの形でデータを見せる部分は必要だと思っています。

 そういう意味で検索そのものは、いわゆるフリーのソフトでもできなくはないので、それを少しモディファイしたアプリケーションが必要。それから、歯科医院同士でデータを検索する場合には、歯科の関係者の慣れた形式の歯式表示が必要と考えています。

○小室委員 大規模災害での身元確認ということになりますと、まずは文字列で検索を掛けまして、最終的には歯形図で判断するということになります。

○玉川委員 そうですね。

○小室委員 ですから、これは両方要りますよね。

○玉川委員 そうですね。

○小室委員 どちらかではなくて、両方組み入れたものがあったほうが望ましい感じはします。

○玉川委員 できるだけそうしたいと。

○小室委員 よろしくお願いします。文字列だけですと最終的な鑑定までは到達しまませんし、最終判断は歯形図として見ることができるようになっていたほうが、鑑定結果の信頼性はより強固になりますから、是非、お願いしたいと思います。

○青木委員 今、玉川先生がおっしゃった「検索」の機能のお話を踏まえ、それから多貝委員がおっしゃっていたのが、先ほどのベンダーのモチベーションの話とも関係して、やはり院内で何かレセコンに検索機能が付くというような状況だと、参画しやすいという意味合いがあったのではないかと理解しました。

 そういう意味で言うと、玉川先生がおっしゃるとおり、いろいろな検索方法がありますので、そこで例えば今まで我々の生体認証の領域で研究してきた内容は、相当程度、かなり技術移転でも何でもできるようになっていると思います。ですから必要であれば我々もお手伝い申し上げますし、本年度事業で、そういう機能まで本当に実装するということになれば、御支援申し上げることは十分可能です。

○住友座長 ありがとうございました。瀬古口参考人、今、いろいろ意見が出てまいりました。もし、それを取り込んでいただいて、先ほど御紹介いただいた本事業、少しモディファイするところ、それから追加するところがあったり、少し見直すとこともあるかもしれません。今の皆様方の御意見を参考にしてやっていただければと思います。

○瀬古口参考人 頂いた意見を少し検討して、また少し考えていきたいと思います。

○住友座長 そういうことですので、平成 29 年度の事業につきまして、皆様方の御賛同が頂ける場合は、瀬古口先生以外で柳川先生、玉川先生は、一応この「決」から外れておいていただいて、御賛同いただけるようであれば、挙手をお願いいたします。

                                   ( 異議なし )

○住友座長 全会一致ということで、この平成 29 年度の事業を遂行してまいりたい。そこには平成 30 年、 31 年を見据えながら進めていくということも、やはり必要なのであろうとも思います。

 それでは、一応、事業方針に対する考えがまとまりましたので、少し調整するところは事務局また事業受託者の日本歯科医師会、そして私のほうにお任せいただくということで、終わりにしたいと思います。時間はまだたっぷりありますが、一応、議論は尽くされました。今後のことにつきましては、もう一回事務局とよく相談して、皆様方に情報を提供するということで進めたいと思います。これは今後のスケジュールにも関係することです。事務局から次のスケジュールについて、お話を頂けますか。

○和田課長補佐 次回の検討会につきましては、未定となっておりますので、決まり次第、御連絡をしたいと思います。併せましてワーキングにつきましては、先ほど座長のほうから御発言があったように、これから座長と少し御相談させていただいた上で、具体的に何を検討するのか、どういった方に御参画を頂くのか、等々に関して詰めさせていただきたいと思っております。事務局からは以上です。

○住友座長 それでは、今日は大勢の傍聴者も来ていただきまして、第 1 回の平成 29 年度歯科情報の利活用及び標準化普及事業につきましての検討会を、これをもちまして閉会といたします。どうも御協力ありがとうございました。

 


(了)

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