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2017年12月22日 第5回医師の働き方改革に関する検討会 議事録

医政局医療経営支援課医療勤務環境改善推進室

○日時

平成29年12月22日
15:00~17:00


○場所

全国都市会館 2階 大ホール
(東京都千代田区平河町2丁目4-2)


○議事

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第5回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催します。

 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 初めに、本日の御出欠について報告いたします。

 島田構成員から所用により御欠席との御連絡をいただいております。赤星構成員、工藤構成員が途中からの御参加、荒木構成員、黒澤構成員が途中で御退席されます。

 次に、資料の確認をいたします。

 クリップどめをしておる束でございますけれども、追加でお配りしておりますが、開催要綱と構成員名簿。

 資料1、ヒアリング資料と参考資料。

 資料2、「壊れない医師・壊さない社会」を目指して。

 資料3、医師の労働時間を取り巻く状況について。

 参考資料1、参考資料2を添付しております。

 それから、資料番号を付しておりませんけれども、猪俣構成員の提出資料ということで英文の資料をお配りしております。加えまして、メーンテーブルの方のみでございますが、中原様のヒアリング参考資料を2点お手元にお配りしておるかと思います。不足する資料、乱丁、落丁等がございましたら、事務局にお申しつけください。

 ここでカメラは退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。

 座長、よろしくお願いいたします。

○岩村座長 皆様、こんにちは。

 それでは、議事に入りたいと存じます。

 お手元の議事次第をごらんいただければと思います。本日の議題としては3つございまして、「1.勤務医の健康確保について(ヒアリング等)」、「2.若手医師・医学生からの提言の紹介」、「3.残る論点について」になっております。

 議題に入ります前に、この検討会では副座長を決めておりませんでした。そこで、副座長の選任についてお諮りしたいと存じます。きょう配付されました検討会開催要綱をごらんいただきたいと思いますが、「4.運営等」の(5)に基づきまして、運営に関し必要な事項は会議において定めることとされております。座長といたしましては、渋谷構成員に副座長をお願いしたいと考えておりますけれども、構成員の皆様方、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○渋谷構成員 どうもありがとうございます。

 座長を支えながら、この検討会がうまくまとまるように努力していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩村座長 渋谷構成員、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議題1に入りたいと思いますけれども、このヒアリングに関しましては、参考人の方にお越しいただいております。

 東京過労死を考える遺族の会代表の中原のり子様。

 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所産業疫学研究グループ部長の高橋正也部長。

 中原様、高橋部長、お忙しいところをありがとうございます。

 それでは、準備ができましたら、早速ヒアリングに入りたいと存じます。順番といたしましては、中原様、続いて高橋部長ということで、それぞれ15分程度お話しいただくことにしたいと思います。その後に一括してお2人のお話についての質疑を行うことにさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、中原様、準備ができましたらお願いいたします。

○中原参考人 私は、東京過労死を考える遺族の会、中原のり子と申します。

 本日は、私の家族に起きたこと、今、私が皆様にお訴えしたいことをまとめてお話しさせていただきたいと思います。

PP

18年前になります。1999年、夏の暑い日でした。中原利郎は、都内に勤務する民間病院の小児科医師でした。部長になって半年後ですけれども、自分の勤務する病院の屋上から、新しい白衣に着がえて投身自殺しました。享年44歳でした。彼は、小学校高学年ごろから小学校の教員か小児科医になりたい、一生子供とつき合えるような職業につきたいということで、私は彼が学生のときに知り合ったのですけれども、小児科医になると同時に結婚いたしました。開成学園から千葉大の小児科で研さんしてまいりました。

 彼が亡くなったときに、彼の部長室の机の上に3枚のレポートがありました。本日、皆様に本資料は検討会終了後に回収いたしますということでまとめてございますので、こちらをごらんいただけますように、事務局と委員の皆様だけで限定して配付させていただいております。申しわけございません。

PP

 この「少子化と経営効率のはざまで」という文章を読んだときに、こんなことのために人は死んでしまうのかと思いました。悲しみと、それを通り越した怒りとともに、彼がこんなに死ぬほどに人生をかけて訴えたいことであれば、私が彼のメッセンジャーになると決めました。

PP

 この「少子化と経営効率のはざまで」の中では、医療費抑制政策、病院経営が逼迫する経営効率が悪い小児科の閉鎖、診療報酬制度の問題点、小児科の構造的不採算、これなどはこの3枚のレポートをお読みいただけましたら皆様も腑に落ちるところかと思います。それから、多数回の当直による疲労蓄積が医療ミスにつながるのではないか。女性医師の増加。夫が勤務する病院では6人のスタッフがおりましたが、5人が女性医師でした。こちらの検討会でもさまざまな女性医師の活躍する、再雇用というか、そういうさまざまなことが話し合われていらっしゃいますので、これに関しては18年前にせめて社会的に女性医師の支援のこういったシステムを早くつくっていただけたらよかったのにということは感じております。

PP

 私の夫のこの死に対して、この夫のメッセージを多くの人たちに読んでもらうためには業務上の死であると言うことが大切だと思って、すぐに労働基準監督署に行ったのですけれども、労基署では医者の当直は労働ではないということで不支給決定を受けました。これは18年前の話で、今は少しずつ変わっていると聞いておりますけれども、この労働法規の言葉が、今も、労働がない宿泊、電話番や郵便物を受け取る軽微なこういった労働を「当直」という言葉が使われているのは、現場の実態とはちょっと違っているのではないかと思います。EUの最高裁の判例でも待機時間は労働時間であるということで、当直及び待機時間も労働性があることをきちんと医政局の皆様には御通達いただければと思っております。

PP

 さまざまな睡眠不足が引き起こす問題などは、私の後、高橋先生から詳しいお話があるかと思いますけれども、医療過誤や夫のような労働災害、当直明けに交通事故で亡くなっているケースもございますので、この睡眠の問題は非常に大切なことかと思っております。

PP

 今、岩波ブックレットNo.718「壊れゆく医師たち」を持っているのですが、これは10年前に出された統計というか、2007から2017年までの10年分は間が抜けているのですが、来年、過労死等防止対策白書で医療者の労働の調査研究が行われますので、まず、私が御提示できるのはこのブックレットの資料だけですので、こちらの資料をごらんいただきたいと思います。この年齢集計では、過労死に遭ってしまう年齢の方たちは、20代、30代、40代、特に昨今は若年者の過労死が多いと言われています。ことし過労死に認定された方も、皆さんは御存じかと思いますけれども、37歳の後期研修医、30代前半の産婦人科の後期研修医と聞いております。昨年、過労死は4人認定されたと聞いておりますので、年代、科別のこともありますけれども、研修医、小児科、外科などは比較的こういう負担が大きいのかなと思います。

PP

 これもブックレットの資料です。これは63年に亡くなった方から何件か御提示してございますけれども、今、公務上の認定や労災認定などさまざまに年数がばらけておりますけれども、この私が御提示できていない10年の間にも多くの医療者が数多く亡くなっているということです。

PP

 こういったこともぜひお知りおきいただきたいと思っております。

PP

 これは、このブックレットにも書いてある、ある研修医のメールですけれども、「子供達を手術で救いたい」と小児心臓外科を目指していた研修医が、「朝はだるくて毎日ブルーなんだけど、みんな親切でやっぱ外科はいいな~ってかんじ」、そんなメールも最初のころは送っていたようです。でも、「一日でいいから休みが欲しいです。コレが一生続くのかな・・・。つらいな~」、「なんか医者以外に生きる道はないかと思うから続けているだけで、早くこの苦痛から解放されることだけを願っています。もうつかれたよ。頑張れるだけは続けるけど、長くない気がします」、こんなメールが届いていて、自殺する数日前に母親に「精神的にとても追い詰められているような感じで、余裕がないのがつらい。最近は患者さんに対してもイライラしてしまって、怒鳴りたくなることもあったし・・・」。この方も亡くなってしまいました。

PP

 それから、2007年に過労死された方は、当直、宿直回数が77回ということなのですけれども、お姉さんに「信じられる?寝ているときに起こされるんだよ。しかもたいした病気じゃないのに来るんだよ」と、こんなことを語っていたそうです。この方は、12日間休職をもらったようなのですけれども、復帰する予定の日に自死されました。

PP

 これは夫が常々言っていた言葉だったのですが、もちろん小児科医になったときは、夢も希望も本当に誇りを持って働いていた人が、亡くなる半年前ぐらいの間に言っていた言葉です。「馬車馬の様に働かされている」、「病院に搾取されている」、「病院に殺される」、最後には「小児科医師なんて誰にも感謝されない職業だ」、こんな言葉を残していました。私は、やめたほうがいい、退職したほうがいいという話はしたのですけれども、僕がやめてしまってこの地域の小児科が崩壊してしまうといけない、そんなことを言っていました。ただ、彼は本当に誇りを持って、自分は小児科医が天職だ、そんなことを言いながら生き生きと働いていた人が、みずから命を絶ってしまったということです。この資料も皆様の持ち帰りできない回収させていただく資料の中にも入っていますけれども、過労死してしまう医療者、その当事者の声ですので、ぜひ皆様にお届けしたいと思って紹介させていただきます。「愚行です 不眠・不整脈・視力の衰え 精神的にも、身体的にも限界を超えてしまいました」、こんな言葉を残して夫は亡くなりました。

 このように亡くなった人たちのこの声を誰が皆様のところに届けるかといっても、遺族は突然の悲劇の中でなかなか立ち直ることも難しい状況です。今、私は2014年に過労死等防止対策推進法、労働者が死んでは遅過ぎる、死んだ後から労災支給とか、そういうことで救済されても、命は戻ってこない。人が死ぬ前にこの社会がきちんとシステムをつくるべきだと思いました。過労死は人災です。そして、システムエラーです。

 こちらにいらっしゃる医療者の方々は、難病や病気に対する姿勢はすばらしい研究成果があるかとは思うのですが、実際に働いていらっしゃると、御自身の先輩や同僚、お仲間、あるいは後輩が、命をなくす、健康を壊す、あるいは離職される、そんなお話も多々聞いていらっしゃるのではないかと思います。患者だけを治せばいいというものが医療者ではなく、今まさにこの仲間のシステムをつくるという場ですので、こういった亡くなっていった者たちの声もぜひ聞いていただきたいと思います。

 私は、この過労死防止法ができまして、さまざまなところで派遣授業ということで厚生労働省の働きかけがございまして、高校や大学で過労死のお話の授業を受け持たせていただいております。某私立大学では、5年連続で私は医師の過労死についてお話ししているのですけれども、その感想文の中に、実は自分の父親も過労死した、まだ1歳のときの話なので父の顔などは覚えていませんということだったのですけれども、彼女はそれでも医者になると。実は私の娘も、今、父親と同じ小児科医師をしておりますが、私たち家族会の中にも、父親が倒れた後、その後、医学部に進学して医者を目指す。そういう若者が数多くおります。山梨のほうの産婦人科の先生のところもそうです。3姉妹、皆さん医学部に行っていらっしゃると聞いておりますので、この若者たちが自分の親が倒れてもまだなおその誇りを持って働ける場所は、今、ここにいらっしゃる皆様こそが提供できるのではないかと思っております。

PP

 これは、新潟市民病院の研修医でことし7月に認定された方です。

PP

 この方なども、もともと看護助手をしていて、でも、私は一生医者を続けるのだということで、そこから国立の医学部に年齢をとってから入り直して、トップの成績で卒業されて、本当に誇りを持って働き始めていたこの女性研修医が、「医者になんか、なるんじゃなかった」、「気力がない」、「病院に行きたくない」とか、そういうことでみずから命を絶ってしまった。過労死する人たちが「医者になんか、なるんじゃなかった」と社会に絶望して亡くなってしまっているという現実をきょうは皆様にお伝えしたく、伺わせていただきました。

PP

 昨日、みころも霊堂というところで、高尾に産業労働者の慰霊碑があるのですけれども、私は10年ぶりにそこにお参りに行ってまいりました。その霊堂には何百という医療者が祭られているということで、私は、きょう、皆様に私が発言すると云うよりも、声なき声、亡き夫たちと一緒に発言させていただけていると思っております。

 海外では、こういったさまざまな職種、日本でも必ず実効性のある医療職種の導入、増員の話題についても、既に何人かの方々から御提示がございます。

PP

 限られた人材、限られた経費の中で、みころも霊堂、殉職者の霊堂などに誰も送らない、そういったシステムをつくっていただきたいと思いまして、きょうは私の拙い話をさせていただきました。

 本日は、どうもありがとうございました。

○岩村座長 中原様、どうもありがとうございました。

 引き続きまして、高橋様にお話しいただきたいと思います。

 用意ができましたら、お願いいたします。

○高橋参考人 皆様、こんにちは。労働安全衛生総合研究所の高橋と申します。

 私の研究所は、厚生労働省所管の研究所でして、日ごろは働く人の安全と健康に関して調査研究を行ってきております。私は、その中でも働く人の睡眠の問題について調べてきております。今日はこの検討会の中で睡眠と疲労について御紹介させていただきます。

PP

 医療者だけではないのですが、働く人全般にとってしっかりぐっすり眠ることが大事ということは明らかです。それによって健康に働けますし、安全に働けますし、なおかつ、真っ当な人間として倫理観を持って働けるということが働きがいにつながります。最終的には、長い時間を労働に充てるわけで、その方の人生の質の向上にもつながることになります。

PP

 それでは、それを脅かす疲労とはどういうものかということですが、たくさんの定義がありますが、働くに伴った疲労ということではこの4つの原因が大きいのではないかと言われています。1つは、まさに睡眠がそもそも物理的にとれないとか、とれても非常に短いというものがあります。それから、起きているあるいは働いている時間が非常に長いということです。働く時間帯に関しては、普通我々が眠る時間帯に働く、深夜から明け方にかけて働くという状況、さらに精神的・肉体的に受ける負荷が非常に大きいという状態でありますと、私たちの心身の働きが低下してきます。そうなると、医師であれ、看護師であれ、運転手であれ、ほかの職種の方であれ、しっかりと目覚めた状態で働くことができず、作業能力、生産性が落ちていくことになります。

PP

 いわゆる徹夜といいますか、睡眠をスキップしてしまうことは職種によってはあります。これは30時間ぐらいずっと起こしておくという非常に厳しい実験でして、参加した人には、検査を1~2時間置きにやっていただいて、その成績を記録しますとこのグラフのようになります。得点が高いと成績がいいわけですが、ある時点からぐっと成績が悪くなって、また少し回復するという結果でした。この実験のみそは、アルコールを飲んだとき、私たちの心身の機能が悪くなるわけですが、それと比べて、長く起きているということはどういう影響があるかを調べたことです。

 ここの血中アルコール濃度が0.03%もしくは呼気で0.15mg/Lの線は、今の道交法で規定される酒気帯び運転となるアルコールのレベルです。これと比べてみますと、当然しばらくはこのレベルよりも上ですが、ある時点からこの酒気帯び運転のレベルよりも下がってくる時間帯があります。このように大体16時間ずっと起きっ放しでいると、お酒を飲んでいないのだけれども、飲んだのと同じぐらいに私たちの頭の機能が下がってきてしまう。さらに徹夜などをすると、酒気帯び運転どころか酒酔いレベルまでどんどん悪くなってしまうということです。御承知のとおり、飲酒運転に対して我が国はすごく厳しい処罰をしいていますが、体の中では同じ意味を持つ、睡眠をきちんととらない、あるいは長過ぎる覚醒時間に関しては、まだ社会的な認識が薄いように思います。

PP

 さて、このようないわゆる急性の断眠、徹夜はそれほどしばしば起きるわけではないですが、私たちは本当は7時間とか8時間眠りたいのだけれども、いろいろな事情で5時間や6時間しか眠れない。つまり、1日当たり2~3時間の小さな睡眠不足を月曜日から金曜日もしくは土曜日まで繰り返して行っているというのが我々の日常生活だと思います。

 これも一つの実験ですが、睡眠の時間が1日当たり9時間、7時間、5時間、3時間しか眠れない条件を設けまして、1週間を過ごしていただきます。この縦軸は「反応の誤り」とあります。ランプが見えたらボタンを押すという誰でもできるような非常に簡単な課題ですが、疲れがたまってきますとそんな簡単な課題すらできなくなってきます。その誤りの数がこの縦軸です。

 9時間たっぷり眠れるとほとんど誤りは出ませんが、3時間睡眠などというのは、2日目、3日目で10回ぐらい間違ってしまう。これはある意味で想像がつく部分ですが、緑が5時間、青が7時間ですが、これは私たちの働いている世代が多くとる睡眠時間かと思いますけれども、少しずつ時がたつにつれて誤りがふえていることがわかるかと思います。もし7時間睡眠で足りているのであれば、前日より誤りの数は増えるはずはないですね。それにもかかわらずわずかながら増えているということは、私たちの心身の回復がこの睡眠時間では足りていない。小さな睡眠不足が慢性的に貯まることによって、私たちの頭の働きが悪くなってくる。あたかも睡眠をきちんととらないことに伴う借金が体の中にたまっていって最終的には首が回らなくなるみたいなことで、「睡眠負債」と言ったりしますが、こういう現象が起きます。

PP

 この実験では、1週間が終わった後、どの条件も8時間たっぷり寝てくださいと指示しました。実際に3日寝かせたにもかかわらず、1週間ぐらい短い睡眠でいた群は相変わらず5回ぐらいミスをし続けるということは、体の中で回復が行われていない。つまり、借金は返済し切れていないということが分かりました。結局、私たちは毎日毎日一定量の睡眠をとっていかないと大変な事態になることが、この実験で示されています。これはあくまで実験結果でして、ボタンを押し間違えたからといって別に怒られるわけではないですが、こういうサインが出たらこういう処置をしましょうということは、私たちの仕事の基本の部分です。ですから、ここの実験結果からはやはり日々の睡眠が大事ということが言えるかと思います。

PP

 ヨーロッパのほうでは、睡眠とその人の健康に関して非常に注目がされています。この研究では、ある時点で、例えば、よく眠れないとか、朝早く目が覚めてしまうとか、そういう睡眠の問題がない群に比べて、少しある群、重度のたくさんある群という3群に分けて比べますと、7~8年後には、この睡眠の問題が多い群は、健康上の理由で体を壊して早期退職、要するに前線から離れなければいけないという確率が2倍くらい高くなることが示されています。

 その健康上の理由の上位二つが筋骨格系障害と精神障害です。腰が痛いとか、膝が痛いとか、そういう体の問題、メンタルの問題、それぞれ別々に見ても、眠りの問題を抱えておられる方は最終的には早期で退職しなければいけない。これは、一旦就職したからには私たちは職業生活を全うして退職したいわけです。それがかなわないということは非常に残念なことで、逆に言えば、睡眠の問題をきちんとケアしていくことが健康にその方の職業生活を全うすることにつながると言えるかと思います。

PP

 以上のような健康とか安全だけではなくて、疲労がたまっていきますと、倫理観が薄くなっていくといいますか、本来やってはいけないことをやらざるを得ない、やってしまうということが諸外国で非常に注目されています。米国の経営学では、前夜の睡眠が短かったり、あるいはよくなかったりすると、非倫理的になると言うのでしょうか、逆に言うと、きちんと寝ていると倫理的意識は高い、決められたルールをよく守れる、それから、冷静な判断ができるということが示されています。対人商売であれ、ほかのどんな職種であれ、安全に健康に働くだけではなくて、職業人として真っ当に働くということも、疲労がたまってしまうと、危うくなると言えます。

PP

 対策として何が重要かということはこれからの議論かと思いますが、これは十数年前にアメリカのハーバード大学で行われた介入研究です。対象はICUで働くインターンでした。インターンは、朝に病院に来てずっと働きまして、ここで深夜です。深夜もやりまして、当直が入って、病院を出るのが翌朝の昼過ぎ。30数時間連続勤務をしています。この黒い棒が睡眠ですが、この辺でちょっと仮眠をとったりしています。これを1日か2日おきに行っています。またここでも7時ぐらいに病院に来てずっと勤務して、病院を出るのは午後2時か3時ぐらいです。

 こうした状況を直すために、勤務は最長でも16時間にしようとなりました。朝に来ても、16時間ですから、夜までにはあける。2日ぐらいあけまして、またここから16時間以内。この効果をさまざまに検証したところ、睡眠時間は長くなりました。さらに、注意力不足度は、目にモニターをつけまして、眠くなると目がとろんとなる度合いを示したもので、短縮勤務をするとその値が半分ぐらいになることが分かりました。

PP

 さらに、いろいろなレベルの医療過誤を調べると、この短縮勤務のほうが医療過誤は少なかったということも示されています。

PP

 最後のスライドになりますが、働く人全体、特に医師、非常に高度な判断と専門性でもって行う仕事にとっても十分な睡眠が必要で、それは疲労回復を完全なものにし、しっかり働くために不可欠と言えます。逆に言いますと、睡眠を確保できるような労働環境あるいは労働条件をどうたてつけていくかということがこれからの課題になっていくと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○岩村座長 高橋様、大変ありがとうございました。

 それでは、お2人のお話が終わりましたので、ここから、中原様、高橋様、お2人への御質問や勤務医の健康確保に関する御意見等があれば、お願いをしたいと思います。

 それでは、村上構成員、どうぞ。

○村上構成員 本日は、お二方にお話しいただきまして、ありがとうございました。

 私は、医療については詳しくございませんが、働く者の立場からこの検討会に参加しております。その中で繰り返し述べてきたのは、医師だけが人間として特別強くできているわけではなくて、24時間の中で働く時間と休養の時間をとらなければ心も体も壊してしまいかねないのだということ、ですから、長時間労働の是正が必要だということを述べてきたつもりでありまして、本日のお話は、その述べてきたことはやはりそのとおりだなと感じたところでございます。

 そこで、中原さんに2点御質問したいのですが、この検討会でもさまざまな視点から議論しているところでございますが、中原さんのお立場から、どのような視点で今後議論していくことを望んでいられるか、こんなことをぜひ議論してほしいということがあれば教えていただきたいと思います。

 もう一点は、この検討会は、医師の勤務環境の改善策なども議論しておりますが、一方で、患者の側、社会の側の意識の改革も必要ではないかということも述べられております。そういった意識や行動の改革のために、呼びかけたいこと、中原さんのお立場からぜひメッセージなどがあれば教えていただければと思います。

 以上です。

○岩村座長 それでは、中原さん、どうぞ。

○中原参考人 御質問をありがとうございます。

 最初の御質問、どういった視点でということで、私は夫のことを通してしかお話はできないので、もっと多岐にわたるかとは思いますけれども、夫が亡くなってから、この間、いろいろこの状況を鑑みてまいりますと、医師不足、人材が少ないということです。それから、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、「当直」という言葉、長時間過重労働の当直、交代制勤務がないということです。この2点が非常に大きく医療者の心身をむしばんでいるのではないかと思います。日本医師会とかでも、勤務医のメンタルヘルスを病む、一度ならず医者をやめたいと思ってしまう、そのきっかけになるのは長時間過重労働というアンケート調査の結果もあるかと思います。こちらの検討会では、そういった交代制勤務のない長時間過重労働の当直ということと、医師不足、圧倒的に数が少ない、でも、この限られた人材の中でどうするかということを、きょう私からも御提示させていただいた医療現場の労務管理に関する研究といったところをぜひ活用していただきたいと思っております。

 第2の御質問で、患者さん側からの意識という御質問だったかと思いますけれども、「お医者様」という言葉は使いたくないのですけれども、こういう医療者の方たちは、非常に勉強熱心で、自分の与えられた仕事はとてもすばらしいお仕事をされるのですけれども、それを余り外にうまく発信していらっしゃらないのかなと思います。別に自慢するとか、そういうことではなくて、本当にきちんとやっていることをアピールしていただきたいと思います。私も、ことしになってからも、さまざまな高校、大学、10校以上の派遣授業で、医師の過労死、この働き方についてお話しさせていただくと、高校生、大学生は、お医者さんはそんなに大変なのか、私も小児科医にお世話になったと、驚きとともに、理解、賛同という感想文がたくさん寄せられています。ですから、非常に誇り高く、聖職者とか言われている職業ではありますけれども、今の大変な現状を患者側に伝えるような、広告というか、そういう運動、活動も大切なことではないかと思います。

 以上です。

○岩村座長 渋谷構成員。

○渋谷構成員 中原さんのプレゼンには本当に心を打たれました。我々有識者がここに座ってするコメントよりも本当に説得力があるご意見をいただいて、本当にありがとうございました。

 私はビジョン検討会というものの座長をしていたのですけれども、そこでも、中原さん御指摘のように、医療従事者の自己犠牲を伴う負担とモラルに過度に依存したシステムであってはならないということを訴えました。

 今、我々は働き方というものを検討していますけれども、同時に検討されている需給偏在の問題とか、あるいは医師の育成に関する問題とか、そうしたもの全てが働き方と表裏一体の関係にあると私は思っております。そうした中で、きょう、中原さんが、システムエラー、要するに医療のシステムとしてのフェイリアという御発言をされて、まさにその考え方に賛同するものです。働き方は単に時間制限だけではなくて、医療のあり方そのもの、その構造がどう変わるかという話だと思っております。その中で、今、中原さんからコメントがありました、医師をすぐにふやすことは難しい、それでは、今ある限られた資源の中でどう生産性を上げて、みんなが負担を分かち合って、どのように患者さんに安心・安全で価値のあるものを提供するか。

 プレゼンの最後のページにMGHのさまざまな職種がいる例があります。いわゆるタスクシフト、タスクシェアだと思うのですけれども、働き方改革は医療のあり方そのものの変化であって、医者側が、例えば、フィジシャンアシスタントとか、そうしたものの導入に反対することは、私は自分たちが自分の首を絞めているという印象がすごくあります。中原さんから、現場の先生方の声とか、そうした海外の事例とかを参考にして、そうしたフィジシャンアシスタントとかタスクシフトの推進に関して、少し御意見をいただけたらありがたいのですけれども。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、今の渋谷構成員のお話についてコメントがありましたらお願いします。

○中原参考人 そちらに関しては、本当に非常に難しい問題で、さまざまなところで、先ほど私が御提示させていただいた社会保険労務士連合会とか、本当に各部署でこういった研究は進んでいらっしゃるかと思います。こういう研究結果をぜひ早急に取り入れて、きちんとしたシステムを構築していただきたいと思っております。先ほどもちょっと触れましたけれども、次回の過労死防止の白書でも医療者の労働環境についての研究がなされると私は伺っておりますので、こういった、なぜこの医療者の過労死がとまらないのかということを、まずは調査研究というところでそういうものを反映させていただいて、しっかりとしたシステムづくりを皆様方にお願いしたいと思っております。

○岩村座長 それでは、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 中原様、本当にありがとうございました。同じ医師として、こういう不幸なことが起こらないようにしなければいけないという思いを改めて持ったところです。

 以前からこの場でも産業保健から最も取り残されているのが医療現場でないかということを申し上げているのですけれども、きょうの回収用の資料を拝見しても全くその産業保健のにおいはなくて、どちらかというと先生1人が孤立した状態で悩まれているということが非常に切実によくわかっております。恐らくなかったのだと思うのですけれども、恐らく労災を認定するに当たってさまざまに取り組まれて、現場がどういう状況だったかということは確認されていると思うのですけれども、例えば、36協定をきちんと結んでおられたのかとか、労働時間管理をしっかりとされていたのかとか、あるいは何か面談を経営者側とされていたのか、そういうことについていかがかと。

 そもそも私どもは、今ある仕組みの中でやるべきことがきっちりとできて、それで、病院経営者の方たちに、働く先生あるいは医療関係者に対して、自分たちにとって大切な財産なのだということでしっかりと取り組みをしていただくという意識をどこまで持っていただくかというのも非常に重要なことだと思っていますので、教えていただければと思います。

○中原参考人 ありがとうございます。

 私も、自分の夫のことがなければ、「36協定」という言葉も知りませんでしたし、産業保健の重要性なども全く自分の周りでは気がつかなかったことではありましたけれども、夫の過労死の労災認定においては、最初の段階からこの病院では労働組合もございませんので、36協定ほか、面談ほか、産業医の指導などもございませんでした。産業医は特に同じ病院の内科の先生が一緒に行っているような状況でしたけれども、年に1度、誕生月の健康診断も多忙を極めてできなかったという実情もございますので、こういった産業保健、こういった衛生指導、そういったところを、全ての医者が労働者だという原点に立ち戻っていただいて、しっかりと労働者の命と健康を守るということでお願いしたいと思っております。

 以上です。

○岩村座長 それでは、市川構成員、どうぞ。

○市川構成員 中原さんに大変つらいことをお聞きするわけなのですけれども、例えば、かなり中原さんが頑張っていらっしゃって、御自分できょう病院に休暇をとりたいとか、または御家族の方が見ていて行くのをとめさせるということは、大変つらい質問をして申しわけないのですけれども、いかがだったでしょうか。

○中原参考人 途中でちょっと申し上げましたけれども、私もやめてほしいということは言いました。退職したらいいじゃないと言ったときにも、僕がいないと小児医療が崩壊するということとともに、やはり小児科医は僕の天職なんだという言葉を言われたら、その後、とめることができなくなってしまったということです。

○市川構成員 今、確かに、病院にしても、医療のシステムにしても、大変我々も含めて医師に過重を強いていることは重々承知なのですけれども、私が申したいのは、自分で自分を守る努力が必要、そして、病院にも勤務医を守る努力が必要だということです。そこのところは、病院側となかなか話し合うチャンスがなかったということでしょうか。

○中原参考人 夫が小児科部長に昇進して半年後に投身自殺したのですけれども、彼の昇進と共に、ほかの5人の女性スタッフが定年退職と育児と個人的な理由ということで3人がやめられてしまったので、6人いたスタッフが3人に半減したこと、そういう人員不足が一番大きかったものではありますけれども、その中で病院側は、同じように経営効率を上げてほしい、ベッドの稼働率も上げてほしいということで、その部長会議ではたびたび小児科の先生たちにもっとしっかりやってほしいよねというハッパをかけられていると言っていたのも事実です。

 ですから、それでなくても総合病院の中で一番不採算部門と言われている小児科に経営を上げてほしいという病院側の要望と、残った2人、3人の先生たちから、先生、これ以上はできませんというような悲鳴が上がって、彼はちょうど本当にそこの板挟みになって非常に苦しんでいたという事実はございます。

○市川構成員 ありがとうございました。

○岩村座長 ほかにいかがでございましょうか。

 黒澤構成員、どうぞ。

○黒澤構成員 感想だけなのですけれども、今のプレゼンテーションをお聞きしていまして、バックグラウンドにあるのは、経営のこともありますけれども、患者さんが来たら断れないというような状況、これは突き詰めると医師の応召義務があって、病院もそれを盾にというわけではないと思うのですけれども、先生、お願いしますみたいな感じでやりますし、応召義務が決められた時代と今の時代のシステムが大変違っているような状況ですので、今、検討会で話されているといういい機会なので、応召義務についてもう一度ちゃんと考えるべきではないかと思いました。

○岩村座長 ありがとうございます。

 私から1点、高橋部長様にお伺いしたいのですが、現在の過労死基準でも、もともとは睡眠時間というところにかなり着目をして構築されていたと私も理解しているところですが、現在の、今のさまざまな知見で、仕事をする上で最も適正と考えられる必要な睡眠時間は、大体1日何時間ぐらいと考えられているのでしょうか。

○高橋参考人 欧米の基準ですと、成人は最低でも7時間と言われています。もちろん個人差が大きいのですけれども、個人差を意識し過ぎている部分があります。

○岩村座長 日本では何かその手の研究はあるのでしょうか。

○高橋参考人 日本では、もう少し緩いような感じを受けます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、今村構成員、その後、福島構成員。

○今村構成員 今の睡眠のことで確認ですが、これの7時間というのは連続した睡眠でないと意味がないのでしょうか。それとも、例えば、3時間・3時間・1時間みたいな、それで7時間では。

○高橋参考人 原則は連続したものです。

○今村構成員 ありがとうございます。

○岩村座長 それでは、福島構成員、どうぞ。

○福島構成員 中原様、ありがとうございました。

 資料として出していただいた社労士総研の医療現場の労務管理に関する研究報告書は、私も筆者として参加しておりまして、2章と4章を書いております。最後のところの、結びにかえてという部分に5年前に私どもは書かせていただいておりますが、医師1人の知識や技量に頼ることがあってはならないということです。中原様の御主人の、「私がいなくなったら云々」という話がありましたが、まさに、医師1人がいないことで医療が滞るようなそういう環境であってはならないということを書いています。

 それから、チーム医療の構築には全体的な十分な人員が欠かせないということも書いております。医師不足ということで医師の増員が早急には難しいということであれば、ほかの医療職を含めて、十分な人員を確保する必要があるだろうということも5年前に書いています。それから、人員削減について、中原先生の書かれたレポートの中にもあるのですが、中原先生が部長になられてから収益が上がったという言葉に深く傷ついたということがありました。医師が減って人件費が少なくなるのは当然です。人員削減が合理化の手段に使われるということはあってはならないと思っています。そういったことがこの調査研究の報告書に書かれていますので、ぜひ皆様方には御一読いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 高橋さんにお伺いしたいのですけれども、睡眠ということで、7時間はわかりますけれども、さらに、今、言われたように、勤務のインターバルという観点で言うと、寝るだけではなくて、それ以外にやることもあるし、例えば、リラックスする時間とか、そういうところを含めると、どう考えていけばいいのかということを、お考えがあれば教えていただけますか。勤務のインターバルです。

○高橋参考人 ありがとうございます。

 まさにそこは今いろいろな働き方改革の中でもキーワードの一つかと思いますけれども、いわゆるオフというか、インターバルの中で一番長く過ごす時間は睡眠かと思います。先生がおっしゃるように、それ以外の時間も実は私たちにとって非常に重要な時間で、まず、自分の心と体をリフレッシュ、回復させるということもありますし、御家族がいれば、御家族との時間を過ごすということは私たちにとって非常に重要なこと。パートナーにとっても重要なこと。子供さんにとっても重要なこと。そこでリフレッシュした上でまた次に元気に仕事ができるということなので、その時間をどう据えつけるかということをこれから議論していくところかと思いますが、睡眠、いわゆる働く時間も大事ですが、働いていない時間も非常に重要ということをこれから私たちは認識していくべきだと思います。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 時間の配分もありますので、あとお一方。今、赤星構成員が手を挙げましたので、どうぞ。

○赤星参考人 まず、中原さん、プレゼンテーションをありがとうございました。お伺いしたいのは、大分前から過労死の研究というか、患者さんのお話、過労死をされる方のお話を聞いてこられたと思うのですが、そのときの経過に沿って過労死をされる方の原因だとか、そういうものが変わってきているのかどうか。国もいろいろな対策をされてきたと思うので、それに応じて、数とか原因、そういうものが変わってきているかどうかということをお伺いしたい。

 高橋さんには、7時間以上というものは今お伺いしたのですけれども、それが時間帯に応じて、例えば、夜間7時間と日中7時間で大分変わってくると思うのですが、夜勤だけなら夜勤だけにして、日中7時間を寝れば済む問題なのか、それとも夜寝る時間をつくらなければいけないのかということを、それぞれの方にお伺いできればと思いました。

○岩村座長 よろしくお願いいたします。

○中原参考人 御質問をありがとうございます。

 私も、先ほどから申し上げましたとおり、この「壊れゆく医師たち」という岩波ブックレットの最終ページに、医師の過労死、過労自殺、労災認定、労災補償事例ということで、10年前の記録までしかないので、細かい事例について全く詳細は不明です。ただ、この労災補償はふえています。労働災害がふえているのか減っているのかというのはわからないのです。最初に声を上げたというか、実名で声を上げてくださったのは関西医大の森さんという方が最初に声を上げられたのですけれども、その方は1998年に被災されて、お父さんが社会労務士だったということで研修医の労働性などもきちんと最高裁で確定していただけたということで、時の流れによって、声を出すことによって、いろいろなことが変わっていっているというのは事実です。過労死される方々が、時間管理ができていないとか、いろいろな指導不足とか、そういった理由はいろいろ事例で異なるかとは思いますが、ほぼ多くは長時間過重労働、この言葉に尽きるのではないかと思っております。数はまた来年の過労死白書の医療者の調査研究を待ちたいとは思いますけれども、こうやって私たちが発言する、声を出すことによって、少しずつですが、被災された方たちが声を出せるようになったということが、この18年間、同じことを私が言い続けて声を上げ続けていることによって、少しずつ変わってきたのかなと思っています。

 過労死、特に自殺に対する偏見もあるし、私の夫が亡くなったときには、戦死だねということを言われました。殉職だからよかったじゃないというようなことを仲間から言われました。でも、私は、それは許せなかったので、そうではないということでずっと立ち上がって活動することによって、今、さすがに殉職でよかったねなんて口が裂けても言ってはいけない言葉だと思うので、少しずつでも変わっていっているのではないかとは思うのですけれども、私のもとには、声に出せない医師・医療者の過労死はもっともっとたくさんの量があるので、この実態は厚生労働省に調査研究ということでお任せしたいと思っております。

 以上です。

○高橋参考人 睡眠をいつとるかによる違いですが、全然違います。昼はそもそも7時間もぐっすり眠れませんが、私たちの体の中には時計がありまして、昼間にはしっかり働いて夜に休むということが据えつけられてしまっています。ですので、昼間にぐっすり眠ろうと思っても無理です。逆に言えば、どうしても夜に働かなければいけない、ドクターもそうですし、運転手やパイロットもそうですけれども、そういう職種であっても、夜の睡眠ができるだけ確保できるような勤務制のとり方が重要になってくるかと思います。

○岩村座長 まだいろいろお伺いしたいことは構成員の方にもあろうかと思いますけれども、時間の都合もありますので、議題1はここまでとさせていただきたいと思います。

 お忙しい中、きょうのヒアリングに御協力をいただきまして、お越しいただきました中原様、高橋部長、本当にありがとうございました。拍手で感謝の意を表したいと思います。(拍手)

(中原参考人、高橋参考人退室)

○岩村座長 続きまして、議題2に入りたいと存じます。

 三島構成員から、若手医師・医学生で取りまとめた提言の御紹介をいただけるということでございます。具体的には、本日、参考人として東京大学大学院公衆衛生学博士課程の阿部計大様に来ていただいておりますので、阿部様から御紹介をいただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部参考人 東京大学大学院生の阿部計大と申します。

 本日は、お時間を賜りまして、まことにありがとうございました。今回、私たちは、医師の長時間労働の法規制に関する若手医師と医学生の意見を主体的に調査し、提言書をまとめました。この場で、調査結果と提言内容を御説明させていただきます。

 まず、調査と提言書を作成するに至ったきっかけですけれども、2つございます。一つは、議論の中で若手の率直な意見が議論に反映されているのかという疑問がございました。例えば、若手だけで働き方の議論をするときに出てくる意見と指導医の先生方と一緒に議論するときに出てくる意見とでは、本音と建て前で違ってきます。そういった本音の部分が議論に反映されているのかということが一つ。もう一つは、最も長時間労働を行っている年代である若手医師の一般的な集団の意見が議論に反映されているのか。この2点でございます。例えば、本検討会でも非常に優秀な若手の医師の先生のヒアリングがなされておりますが、それが果たして一般的な意見であるのかということが疑問に上がりました。これによって、調査と提言書を今回主体的にまとめようということを考えました。

 お手元の資料をごらんください。「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」という提言書ですが、まず、提言書の全体構成を御説明させていただきます。1ページ目から3ページに提言の要旨が書いてございます。4~5ページに序文、6~15ページに本文が書いております。後ろのほうに添付文書が2つついておりまして、添付文書1がアンケート調査の概要と基本属性、添付文書2がアンケート調査で得られました自由記載の全回答を載せております。いわゆる若手医師や医学生の生の声といったものです。

 まず、添付文書1をごらんください。こちらでアンケート調査の概要を御説明させていただきます。

 今回、「医師の働き方改革で進む長時間労働の法規制に関する若手医師と医学生の意見を明らかにすること」という目的で行いました。

 方法ですが、先月11月に10日間ほどグーグルフォームを用いたオンラインアンケート調査を実施しました。対象は、大学卒業後10年以下の若手医師と医学生です。さまざまな団体にアンケート配布を依頼しました。

 質問項目としましては、基本属性に加えまして、次のページにあります医師の長時間労働の法規制についての質問を行っています。

 回答数は、821名から回答を得まして、若手医師が533名、医学生が288名含まれておりました。

 基本属性につきましては、この後のページに、表で3ページにわたって書いております。

 それでは、メーンの調査の結果と提言の内容について御説明させていただきます。

 提言書の6ページに、提言の1として四角で囲んでいる部分がございます。まず、「私たちは、医師が原則として国の定める労働時間の上限規制と労使協定を遵守する必要があると考えている」と書きました。こちらは、医師は労働基準を守ったほうがよいかという質問に対して、医学生・若手医師ともに77%が守るべきであると答えています。添付文書2にも生の声が書いてございますが、その理由として主に多かったのは、医師も人間であり、家族がいて、病気にもなる、医師も労働者なのだという意見が多くを占めました。また、同時に患者の医療安全のためと答える意見も非常に多く聞かれました。以上より、これを提言の1としております。

 7ページをごらんください。2番として四角で囲んでおります。こちらでは、若手医師が現在労働基準を遵守できているかということを直接聞いておりますが、71%は守れていないと回答しております。その理由につきましても、添付文書2に書いてございますが、主に3つ挙げられました。業務量の多さ。2つ目は、医療提供体制の問題。これは主治医制や医局の問題といったさまざまな問題を包含しております。3つ目は、長時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮を指摘するものが多くございました。特に8ページ、真ん中の段落では、医師の慣習や風潮についてフォーカスを当てて提言をしております。2015年に「医師の安寧に関する世界医師会声明」が採択されましたが、その中で医師は患者への責任感と外部からの期待に応えようとする思い、自身の体調不良を患者や同僚に知られることへの懸念から、長時間労働に身を投じ、体調を崩しても対応がおくれてしまうということが指摘されています。また、若手医師や医学生はこれらに加えて学習者かつ被雇用者でもあることから、組織内で相対的に弱者という立場になり得ます。上級医から無意識に出た言葉であったり態度から察して、長時間労働を行わざるを得ない状況にあることが回答者の自由記載の生の声から伝わってきました。したがって、これらのメカニズムを考慮に入れた対策がなされなければ、若手の実質的な労働時間や労働環境は変わらないだろうと考えました。したがって、私たちは、これらのメカニズムを考慮して対策を提言2で求めています。

 提言書の9ページをごらんください。四角で囲っています3番のところですが、ここでは多くの若手医師と医学生が現行の労働基準について理解していないことがわかりました。若手医師の59%、医学生の68%が理解していないと答えています。したがいまして、卒前後の医学教育にて、労働基準を理解し、それを遵守する必要性を学ぶ機会を設けることをお願いしたいと思います。また、先ほど申し上げましたように、メカニズムを考慮に入れますと私たちだけでは長時間労働を改善していくことができません。ぜひとも指導医や雇用主の皆様に職場を挙げて取り組んでいただき、また、政府の皆様には、医師が労働基準を遵守できるような医療提供体制の構築をお願い申し上げます。

 最後、提言の4番、9ページの下のほうにございますが、とはいえ、現状ですぐに医師が労働基準を厳格に適用すると国民の皆様の医療へのアクセスや医療の質に打撃を与えることは、私たち若手も理解しています。多くの検討しなければならない事項は、簡単ではございますが、10ページ以降に各項目について私たちの考えを記しております。特に10ページ、11ページに書いております4つの項目、1つ目が医師の健康診断や休息の確保、2つ目が医師の抑鬱やバーンアウト、自殺を予防する対策、3つ目が医師の子育て支援とキャリア支援、4つ目が研修の質の確保、この4点については、若手医師と医学生がともに90%以上が必要であると答えています。長時間労働の是正に当たり、これらの4点については、若手医師や医学生にとって切実な問題であり、対策をお願いしたいと思っています。

 最後に、これらの多くの課題に関して、国民や行政、立法、医師会、コメディカル、アカデミアなどが協力して、包括的かつ長期的な目標を設定し、実質的に医師が労働基準法を守れるような労働環境を、段階的にでも長期間がかかっても構いませんので、実現していっていただけるようにお願い申し上げます。たとえ改革に時間がかかったとしても、これまでのように医師にとって労働基準法があってないようなものということになってはいけないと考えています。そして、私たちもこれまでのように無関心であってはいけないと思っています。私たち若手は、皆様と一丸となって「壊れない医師・壊さない医療」を目指して改革を進めていきたいと考えています。

 以上です。

○岩村座長 

 阿部様、大変ありがとうございました。

 それでは、今の御説明につきまして、御意見あるいは御質問等がありましたら、お出しいただきたいと思います。

 それでは、遠野構成員、どうぞ。

○遠野構成員 大変貴重な調査の報告をありがとうございます。

 これはオンラインで、全く無記名で回答を得られたという調査でしょうか。

○阿部参考人 はい。無記名でやっております。

○遠野構成員 ふだん若い先生と(労働時間、環境に関する)話をする際、こちらに気をつかい、発言とか行動とかが遠慮した状況になっているように感じます。自分が聞き逃したかもしれませんが、回答の中で上級医への気遣いが結構自分の行動を律しているとか、上級医によって自分の勤務環境が決まってしまうというような内容はありましたでしょうか。(病院のシステムより)上級医により、働き方が決まるという意見はどうでしょうか。

○阿部参考人 これは私の経験からになってしまいますが、例えば、医学生や若手医師対象のキャリアデザインセミナーとか、働き方を考えようというワークショップなどを内々でやるときには、率直なこういった今回聞かれたような意見が出るのですけれども、院長先生であったり上級医の先生方がいますと、今の現場をいかに続けていくのか、その中でできること、労働環境を改善できることは何なのかという議論になってしまって、理想として最終的にどこに向かっていきたいのかという本質的な議論ができないのかなと、私の実感ですが、感じました。

○遠野構成員 ありがとうございます。

○岩村座長 それでは、三島構成員、どうぞ。

○三島構成員 三島です。今回、阿部先生と一緒にこのアンケートの呼びかけ、提言作成をさせていただきました。

 全体を通しても若手が何をこれで言いたいのかというところで、私が思うのは、やはり患者さんや国民に対して安心で安全な医療を提供するのに必要な自身の健康や環境を保つための仕組みです。限られた自分の勤務の時間の中で、学ぶ者として、技術を高める者としていかに研修の質を確保していくか。私の中では、その2点が特に大きいのではないかと思いました。その2つに関しては、これまでの議論にもあったように、一人一人の努力では難しくて、それをマネジメントする仕組みが本当に早急に必要ではないかと思います。

 これは個人的な意見になりますが、例えば、提言書の中にも書いてございますが、労働時間、生産性向上のためのタスクシフティングやチーム医療、主治医制からチーム医療という働き方の改善を見える化して、見える化するだけではなく、そのモニタリングの結果を、国民の皆様、社会の皆様に見ていただいて、それを改善させるような仕組みが必須ではないかと思います。

 もう一つ、研修の質というところに関しては、労働時間が短くなり、研修や自己研さんの時間に影響が出て、医師として本当に研さんできるのかという疑問はあると思うのですけれども、そもそも今の仕組み自体研修の質が維持できているのかという問題もあると思います。先輩医師の見よう見まねで雑用から全部やるといった伝統的な方法だけではなくて、コンピテンシーに基づいた研修の質の維持、そうした医学教育の工夫も、もっと推進していくことが必要ではないかと思っております。

 その2つをつけ加えさせていただきます。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、渋谷構成員。

○渋谷構成員 若手の皆さんの御意見を伺うことは本当に貴重なことだと思います。ありがとうございました。

 その中に医師の慣習や封建的な風潮というものがありましたけれども、どの世代でもそういうものはあると思うのです。私が聞きたかったのは、例えば、今、三島構成員がおっしゃったタスクシフティング、タスクシェアリングに関する、チーム医療とか医師の裁量に関して、特に若手の間でどういう感覚を持っているのか。要は、自分たちの裁量を守るというよりは、本当にチームとしてやって、裁量で任せられるなら任せられるような方向性で、みんなが納得するような形でフラットな関係性を構築できる要素が若手の皆さんの中に傾向としてあるのか。

 2つ目が、今、お願いという言葉を最後に使いましたけれども、お願いしても変わらないので、若手の人たち、自分たちが、働き方を変えていくために実際にどういう取り組みをしているか、そういう実例があれば教えてほしい。

 2つ、意見を伺えればと思いました。

○岩村座長 お願いいたします。

○阿部参考人 まず、1つ目のタスクシェアリングについて、本調査の中では、長時間労働の法規制についてメーンの目的は、長時間労働の法規制についてどう考えているかという率直な意見を聞きたいということでしたので、一つ一つの項目、対策項目についてどう考えているかということには触れてはいません。ただ、添付文書2にあります、さまざまな対策に関する皆さん個人に自由に書いていただいた対策案について見てみますと、業務量が多い、そして、効率が悪いから、なるべくタスクシェアリングをしてほしいという声も多々聞かれています。また、チーム制をしいてほしいということも、長時間労働の原因として主治医制を挙げて、チーム制をぜひ導入してほしいという書き方もかなり見られておりますので、その割合がどれぐらいかということまでは言えませんけれども、多くの若手はそう考えているのではないかと私は考えております。

 もう一つは。

○渋谷構成員 もし自主的な取り組みで始めていることがあれば教えていただきたいと思いますし、むしろ私は統計をやっている人間で、逆説的でこう言うのも変なのですけれども、添付文書にある回答者の自由な個別の提案、こういう声を一つ一つ取り上げるというのは非常に大事です。その中に非常にいい知恵が多分あると思うので、もし自主的にこういう動きを始めるとか、そうした方法だけではなくて、ぱらっと読んだのですけれども、実際の現場、医療提供体制の問題はかなり出てきているので、そういうものを皆さんで議論を深めてまた提案していただければと思います。

 ありがとうございました。

○阿部参考人 ありがとうございます。検討します。

○岩村座長 それでは、市川構成員、お手を挙げておられますので、お願いします。

○市川構成員 渋谷構成員の質問と関係しているのですけれども、先生方、三島構成員も阿部参考人もそうでしょうが、研修などは研修プログラムが決まっていますね。そのところはある程度考慮しながら選択されていると思うのですけれども、今、言われたタスクシェアリングやそういうこととはちょっと違うかもしれませんが、研修プログラムに沿った研修を今はしているわけで、そこのところが働き方とどのようにかかわってくるのか。そこをちょっと教えていただきたいのです。特に研修医に関して。

○岩村座長 それでは、三島構成員からお答えいただくということでよろしいでしょうか。

 お願いします。

○三島構成員 ありがとうございます。

 これは私自身の研修医のころの経験でもあるのですけれども、たまたま私は勤務していた内科の研修、一つの研修先の病院の研修医の中で複数の子育てをしながら働いている研修医あるいは指導医を含めておりまして、その中で我々が病棟の中で学ばなくてはいけない疾患だったり技術はもともときちんと研修プログラムの中でリスト化されていまして、その中で負担が1人に偏ることなく、チーム制をしきながら、その求められた目標をみんなで協力しながら何とか達成できるようにやっていったという経験があったので、いろいろなバックグラウンド、いろいろな時間制限がある研修医もいると思うので、働き方というものと研修医の間の研修のあり方は密接にかかわっているのではないかと思っております。

 お答えになっておりますでしょうか。

○岩村座長 市川構成員、どうぞ。

○市川構成員 追加で、働き方の部分は各病院で違うと思うのですけれども、結局、研修プログラムがしっかりしていない病院が、悪いと言うと語弊があまりすけれども、問題があるという考え方でよろしいでしょうか。

○岩村座長 それでは、阿部参考人、どうぞ。

○阿部参考人 提言書の中で言っている研修の質は、長時間労働の規制をしたときに、研修にかけられる時間が恐らく減るだろうということです。今、若手の医師、研修医も含めて、長いこと長時間労働をしている。その中で研修しているわけですけれども、多くの医学生や若手医師は、その研修時間が短くなってしまう。いわゆるその分密度を高くして研修できるような医学教育の方法の工夫みたいなものが欲しいのではないかというお話だったのです。

○岩村座長 時間の関係もありますので、なるべく簡潔にお願いいたします。

○市川構成員 研修プログラムというのは、勤務全体を通して研修をされているわけですね。その中で、研修の部分と働き方の部分と分けるという考え方があるわけですか。それとも、2年間という研修をもっと短くしようという意味ですか。

○岩村座長 どうぞ。お願いします。

○阿部参考人 研修プログラム自体は専門医だったり臨床研修プログラムとして組んでありますので、その期間のことではなくて、1日の労働時間が、実質労働時間というか、それが短くなる中でのいわゆるベッドサイドティーチングだとか、臨床的な教育であったり、カンファレンスであったり、そういうところに使う時間が、長時間労働を是正すれば、その分、効率よくやらないと、医学教育、研修項目をちゃんと全て習得できないのではないか。そういう危惧があるということです。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 申しわけありませんが、もう一つ議題がございますので、短くお願いいたします。

 片岡構成員。

○片岡構成員 研修の質の担保と勤務時間に関しましては、例えば、きょうの猪俣構成員提出資料に添付がありますので、ここで御説明があるかもしれないのですが、米国では、週80時間に研修時間を絞って、結局そのアウトカムがどうだったかという研究もたくさんなされていて、研修の習得ぐあいは余り変わっていないという結果も多く出ているかと思いますので、そういったことは我が国でも参考になるのではないかと考えます。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、大変申しわけないのですが、この議題についてはここまでとさせていただきたいと思います。

 きょうは、阿部参考人、ありがとうございました。また、三島構成員も、阿部参考人とともに、独自にこうしたアンケートの実施、提言の取りまとめをしていただきまして、この検討会にとりましても大変参考になるものだと思っております。皆様からも拍手で感謝の意をお願いいたします。(拍手)

(阿部参考人退室)

○岩村座長 それでは、最後の3番目の議題であります「残る論点について」に移りたいと思います。

 これにつきましては、事務局で資料を用意していただいておりますので、まず、その説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○堀岡医師養成等企画調整室長 よろしくお願いいたします。時間もあれですので、手短に御説明させていただきます。

 資料3「医師の労働時間を取り巻く状況について」という資料をごらんください。

 「『医師の働き方改革に関する検討会』における主な論点案」を1枚おめくりいただきまして、特にこの勤務環境改善策の中のタスクシフティングや、AIICTIoTを活用した効率化、また、病院の機能との関係などについて、関連して必要な事項を整理いたしました。

 次のページ、3ページ、4ページは、基礎的なものとして、医師の業務独占、医師法の「医師でなければ、医業をなしてはならない」という規定や、先ほど話題になりましたけれども、今、医師法にある応召義務の規定について、法律上の条文を整理しております。

 5ページ目でございますけれども、医師の養成過程でございます。医師は、皆様も御承知だと思いますけれども、6年間の医学部の教育の後、2年間、法に基づく臨床研修がありまして、その後、ほとんどの医師が新たな専門医の養成という形で進んで、専門医をとったからといって完全に一人前になっているとはとてもあれですけれども、取り急ぎいわゆる専門医の資格というところまででも11年という歳月がかかって、しかも以前の自己研さんの回にまとめましたけれども、ガイドラインやそういったものの更新などが非常に頻繁にあって、生涯学習やトレーニングを行わなければならない仕事であるということでございます。下の部分にも、日本医師会や四病協の要望の中でも、10年以上の自己研さんを必要とする職業であることが書かれております。

 次のページ、今、専門医制度は少し変わっておりますので、ちょっとだけ御紹介いたします。専門医制度の基本領域という形で19領域をとることになっていて、その後、さらに希望する方はサブスペシャルティという状況で、さらに生涯学習を続けるという仕組みになっております。

 次のページからが、医師の数が今どうなっているかという整理の表でございます。昭和57年から平成28年にかけて、医師の数は、赤が医師数の全体の数でございますけれども、人口当たり医師数が一貫してふえておりまして、今、医師数は約31.9万人、10万人当たり医師数としては251.7人でございます。

 それでは、医学部の養成はどうなっているかということで、次の8ページでございますけれども、昭和48年ごろ、一県一医大構想というもので大幅に医師数をふやしてきております。一度、昭和57年ごろに医師数を減らすということがなされて、その後ずっと一定の医師数だったのですけれども、平成19年、20年ごろから医師の増員に転じておりまして、現在、医学部は9,420人の定員ということで増加しております。この増加は、このオレンジの部分の地域枠、いわゆる地域医療に従事する医師を養成するという医師の枠でほとんどが増加しているところでございます。現在、地域枠の割合は17.8%でございます。

 9ページが、日本の人口とその年代分布がどのように今後変化していくかという表でございます。大体2010年と2025年の間に今はあるわけでございますけれども、今、75歳以上は11%、6574歳は12%というところの、さらに75歳以上が18%までふえていくという過程にあるところでございます。

 もっとわかりやすい表が10ページにございまして、大体日本の人口は、今、ピークをだんだん過ぎてきておりまして、この点線の部分でございますけれども、だんだん減少傾向に来ております。医療需要の多くである65歳以上人口も今後は減っていくという状況にございます。

11ページ、昨年の3月30日に医師需給分科会で仮の需給推計を一度やっております。これについては、来年度医師需給分科会においてさらに精緻な需給推計をやる予定でございます。あくまでも仮の参考として見ていただければと思いますけれども、青、緑、紫の線が需要でございます。需要は、青が上位推計でございますけれども、高度急性期で従事する医師の労働時間の平均が、他の病院と同じレベルの45時間ぐらいまで改善すると見込んだ場合の推計でございます。中位推計と下位推計は、それぞれその差が50%、25%縮小するという推計をしているものでございます。赤が供給の推計でございますけれども、供給の推計でそれぞれ中位推計と上位推計で2024年、2033年で医師の需給は、これはマクロの問題でございますけれども、均衡するという推計を一度しております。

12ページに、今までまとめたようなことをまとめておりますけれども、2025年には団塊の世代が全員75歳を迎え、2030年ごろには75歳以上人口がピークを迎えます。一方、医師の養成は、一般的には十数年以上という非常に長期間を有するものでございます。また、医師の養成数はずっと増加しておりまして、現在、過去最大の人数となっておりまして、医師数全体は毎年4,000人程度増加し続けております。さらなる医学部定員のあり方については、来年から医師需給分科会などで専門的観点から正確に推計して議論を行う予定であります。ただし、医師の時間外労働規制が適用される時期に対して、具体的には2年で検討して5年であれしますから7年になるわけでございますけれども、仮にさらに医学部定員の増員をしたとしても、その効果があらわれるのは医師の養成に時間がかかる観点で少し先になってしまうことを踏まえて、働き方改革の議論を行う必要があると考えております。

 もう一つ、需給と同時に偏在対策も非常に重要な論点でございますので、簡単にまとめております。13ページ、14ページは、今の医師数を、人口当たり医師数という非常に単純な指標でございますけれども、分布を塗ったものでございます。最も多いのは徳島県、最も少ないのは都道府県で言うと埼玉県で、2倍の差がございます。二次医療圏ごとの人口10万人医師数は、日本地図に色塗りをしておりますけれども、赤が非常に多い地域、青が非常に少ない地域でございます。赤になっているのは非常に西日本に多くて、青が東日本に多いというところでございます。東日本で赤の部分は、黄色が県庁所在地で、事実上、医学部もここにほとんどあるわけでございますけれども、大学があるところがほとんど赤くて、ほかはそうでもないというのが実態でございます。

15ページ、16ページは、診療科のある程度の偏在の実態でございます。これは平成6年を1といたしまして、要は平成28年までの倍数をとっているものでございますけれども、平成6年から、麻酔科、精神科、放射線科といった数は非常に大きくふえております。この赤が総数でございますので、医師数全体は1.4倍になっているわけでございますけれども、特に外科や産婦人科といった科はほぼ1倍、ぎりぎり1倍といったところを推移しているところでございます。

 下が、診療科別の勤務時間、週60時間以上の病院勤務医の診療科別の割合でございますけれども、そういったふえていない診療科は外科と産婦人科の2つ、左から2番目と3番目にございますけれども、それらが60時間以上病院で勤務している割合として非常に高い診療科であるというところでございます。

 そういった現状を踏まえまして、次のページが医師偏在対策を検討しているまとめのスライドの1枚でございますけれども、1、2は今、御説明したようなものでございますので、3でございます。「医師偏在解消に向けた課題」といたしまして、6点挙げられております。ここで細かいことを御説明するのは避けますけれども、偏在対策については、現在、まさにきょう、午前中に医療部会でも議論されたところでございます。取りまとめをしているところでございます。

 まとめでございますけれども、19ページでございます。偏在というのは、地域偏在と診療科偏在がございます。地域偏在については、我が国の医療提供体制は民間主体でもありますし、国がその意に反して医師をどこかの地域に強制的に配置するようなことは困難でありますし、現状において一定の地域偏在が偏在することを前提に考える必要がございます。また、診療科でも同じことでございまして、任意の診療科を無理やり選択させることは困難でございますので、ある程度、診療科の医師で当該診療科の医療需要を満たすという必要はございます。なお、地域偏在と診療科偏在については、今、実効性のある偏在対策をまさに取りまとめているところでございますが、その偏在対策だけで結論を得ているものではないというところをまとめさせていただいております。

 次からがまさに論点となるところでございまして、他職種への業務移管等についてでございます。

21ページから数ページは、今回、この検討会の中で病院団体及びAJMCの先生方に御協力いただいてやった調査をまとめております。現在のタスクシフトの状況でございますけれども、まず、これは四病協の病院団体の調査で、いわゆる民間病院主体の調査でございます。左は特定看護師のいない病院、右は特定看護師のいる病院でございます。代表的なものだけを申し上げますけれども、例えば、初めて救急とかで来る患者さんに予診を実施している割合、これは青が原則医師でない看護師なりほかの職種がやっている割合、黄色が一部でもそういう役割分担をしている割合でございますけれども、初療時に予診を実施している割合は約47.9%、特定看護師がいるところは64.8%でございます。採血になると、91.1%が通常の特定看護師がいない病院でもタスクシフティングをされているわけでございますけれども、特定看護師がいるところは94.4%でございます。一方、血液培養などは少しタスクシフティングが少なくて、いない病院は35.4%、いる病院は44%でございます。

 次の22ページが、特定行為を限定して医療行為の中で抜き出した表でございますけれども、特定看護師がいない医療機関は左、いる医療機関は右でございます。当たり前でございますけれども、全体的に特定看護師がいる病院は特定行為を看護師にできるだけタスクシフティングをしているという現状がありまして、例えば、特に直接動脈穿刺法による採血というところを見ていただきますと、特定看護師がいない病院では5.3%しか一部でもタスクシフティングをしていないにもかかわらず、特定看護師がいる病院は約27.8%、30%近くが一部だけでも特定看護師にタスクシフティングが進んでいるという現状がございます。

23ページでございますけれども、これは医行為ではなくて診断書の代筆などの事務作業でございます。左と右は、医師事務作業補助者がいるかいないかでございますけれども、特に右側の医師事務作業補助者がいる病院に関しては、診断書の代筆や民間保険会社からの診断書などがほとんど医師事務作業補助者に一部なりともタスクシフティングをしている現状が見て取れます。

24ページ以降は大学病院のものでございますけれども、おおむね同じような傾向が見られます。例えば、点滴の実施という医療行為がございますけれども、左で見ると、点滴の実施を原則看護師がやっているのは、大学病院では63%。特定看護師のいる大学病院がむしろなぜか下がって58%ですけれども、21ページの病院団体と比べますと、点滴の実施は、民間病院は84%がタスクシフティングを完全に看護師にしている状況でございますので、大学病院のほうがタスクシフティングという観点では進んでいない現状が見られます。

25ページでございますけれども、大学病院のみの特定看護師がいる大学病院と特定看護師のいない大学病院での比較でございます。民間病院との大きな違いは、特定看護師がいてもいなくてもタスクシフティングの頻度が余り変わらないところでございます。

 一方、26ページでございますけれども、23ページの四病協の調査と比べますと、診断書の代筆などの割合に関しては、大学病院はかなり進んでおりまして、非常にタスクシフティングが進んでいる現状が見られます。

 それでは、今、どれぐらい医師の労働の中でタスクシフティングが可能なのか、今ある調査を御紹介しているのが27ページ、28ページでございます。これは医師の勤務実態の働き方の意向に関する調査、いわゆる10万人調査でございまして、この5つ、患者への説明や合意形成、血圧など基本的なバイタルの測定、医療記録、医療事務、患者の移送といったできるだけ医行為から離れているようなものでどれぐらい時間が費やされていて、どれぐらいが他職種に分担可能かというものを大体医師1万6,000人ぐらいに聞いた調査でございますけれども、大体そういうもので240分の時間が費やされていて、そのうちの20%、47分は他業種に分担可能だという調査結果が出ております。

 次のページが、現状ある特定看護師の研修制度の概要と状況でございます。

30ページをごらんください。今、特定行為の看護師を進めようとしておりますけれども、まだ46都道府県583人にとどまっている現状でございます。

31ページ、あくまでもアメリカでの制度でございますけれども、先ほど中原さんからのプレゼンにもございましたPAという資格がアメリカにはございます。この左に「Profile of a PA」とございますけれども、今、約10万人の人がアメリカではPAとして働いていて、医師の監督のもと診察などの医療行為を行っているという職種でございます。かなり教育としては時間をかけておりまして、3年間の修士プログラムの後、2,000時間以上臨床ローテーションをするというもので、養成にはかなり時間はかかるところでございますけれども、こういう職種がアメリカにはあるという御紹介をさせていただきます。

32ページは、先ほどもあった業務独占のものでございます。

33ページは、今のまとめでございますが、現状として必ずしも医師のみがやる必要のない業務を行っていることも多いことから、医師の業務を他の職種等に移管することで大幅な労働時間削減の効果が期待できる可能性があると言えると考えております。議論を深めていただきたい点としてまとめておりますけれども、業務移管等は労働時間削減等の効果が期待できるものの、タスクシフティングなどを段階的に進めていくことを前提に議論を進めるべきではないか。また、なぜタスクシフティングが進まないのか、それぞれの立場から議論するべきではないかという議論を深めていただきたい点を挙げさせていただいております。

 最後、生産性の向上についてでございます。ここはばっと御説明いたします。

ICTAIといったもので生産性が向上するのではないかという議論はかなりございます。例えば、35ページで、ビッグデータを活用したり、患者の医療がよくなるのではないかというICT懇談会の提言などがございます。

 また、遠隔医療として、36ページ、遠隔病理診断、画像診断、その他いろいろなものがどんどんビジネスとして実際に出てきております。

37ページ、38ページ、39ページというところで、実際にどのようなものがあるかという御紹介をさせていただいておりますので、ちらっとごらんいただければと思います。

 最後、AIでございますけれども、AIの懇談会というものを厚生労働省でも開催しておりまして、その中から資料で抜粋したものでございますけれども、AIの開発が今はどんどん進んでおりまして、今、機械学習とは次元の異なるようなことが進んではいるところでございます。

 最後のページでございますけれども、現在、急速な発展を遂げているAIICT等の技術を用いて、医師の生産性を向上させる取り組みが進んでおりますけれども、その他、AIICTも結構でございますけれども、どのような生産性向上の取り組みが考えられて、その効果はどの程度かということを議論を深めていただきたい点として挙げさせていただいております。

 駆け足になりましたけれども、以上でございます。

○岩村座長 大変ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました資料3につきまして、御質問あるいは御意見があれば、お願いしたいと思います。

 それでは、たくさん手が挙がっていらっしゃいますので、まずはこちらサイドから、戎構成員、今村構成員、猪俣構成員、その順番でお願いいたします。

○戎構成員 幾つか看護師の立場から今の資料に基づきまして御意見させていただきたいと思います。

 まず、資料にありました21ページから26ページにありました現状の看護師等が行っている業務に関して、特定看護師の制度が始まりましたのがここ数年ですので、そういった点でこちらに記載してあるのは特定看護師の勤務している病院に限定して「看護師等が行っている業務」と題目がされていると思うのですが、救急医療等におけるトリアージ、初療時の予診の実施等に関しましては、それ以前から救急看護認定看護師を中心とした救急部の看護師、救急医学会の先生方のコラボレーションもあって、随分前からこれに関しては進んでいると思いますし、人工呼吸器等の設定条件の変更や人工呼吸器管理中の患者に関する鎮静薬の投与調節等も、集中ケア認定看護師を中心とした集中治療部の看護師や集中治療科の先生方の御尽力がありまして、こういったものは通常の教育の過程の中で行えている病院があることと、施設によってはそういったものがまだ行えない施設、また、何かしらのことはあるのだとは思っております。

 シフティング、シェアリングの件に関して言いますと、医師の方々がどういった人材が実際に現場に欲しいのかというところがポイントで、本当に欲しいと思っているのかという疑問点も少しあったりするのですけれども、どのようなことをシフトシェアしたいのかということで、この資料の中にも幾つかどういうことをほかの職種に移行したいのかと書いてありますが、これに関しては、血圧などの基本的なバイタル測定・データ取得というものは、特定行為だったり先生方が御懸念されている医行為という部分には全然関係しないところでありまして、現在、特定看護師が行っている特定行為の医行為という部分に関しまして、例えば、先生方がどのような学習をした者にその医行為の一部を任せたいと思うのかというところと、医行為の一部を担うために医学教育の中のどの部分を学習していれば安心してその人材にその行為を任せられるのかという点を明らかにしていったほうがいいのではないかと思います。その上で、シフトやシェアができるという人材だったり資格だったりというものを厳選していけるのではないかと考えております。

 シフティング、シェアリングの件に関しましては、薬剤師の件についても意見させていただきたいのですけれども、現在、日本の中にいる薬剤師の人数は相当数がいるものと思っております。2014年、厚生労働省が出してくださったこの資料の中にもありますけれども、日本には人口10万人当たり160名ほどいらっしゃるのですが、大体先進国の中の33カ国の平均ですと80名ぐらいということで、かなり薬剤師の方々もいらっしゃる。アメリカだと臨床薬剤師という者がおりまして、より患者さんに近い状況で薬剤師の方も働いていただいていますし、その薬剤師がいるということで看護師の負担も医師の負担も少しずつ軽減されるということになりますので、そういった労働基準法にある3つの資格、医師、歯科医師、薬剤師という立ち位置から、もう少しこの方々の業務拡大といいますか、地位向上といいますか、福利厚生、給与形態も含めまして改善していけば、よりよく現場が変わっていくのではないかと思います。ちなみに、この臨床薬剤師の方々が担うのは、薬歴管理であったり、服薬管理、効果予測だったり、投与の設計だったり、服薬指導だったり、より患者さんに対して薬を安全に使えるという意味では、非常に効果的に今ある職種で頑張って臨床に出ていただけるのではないかと思います。

 あと、女性医師で出産・子育てのために環境改善といろいろなところでお話しいただいていますけれども、男性が子育てをしてもいいわけで、その男性の方々が子育てをする、できるようなキャリアを積めるような環境にすることが重要だと思いますから、女性医師に特化するのではなく、全員で子育てすればいいわけですので、男性が子育てをする、女性が子育てをしなくてはならないという認識のずれといいますか、男性でも女性でも誰でもやれる人がやってもキャリアを維持できるという環境をつくっていくのが将来性として大事ではないかと思います。

 最後に、国民の皆様も安心して安全でアクセスのよい医療を受けるために、病院の環境だったり医療職種の拡大だったりということが必要になることの認識を持っていただくことが大事かと私は思いました。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 2点、ございます。

 まず、タスクシフティング、シェアのお話ですけれども、言葉がちょっとひとり歩きしているところがあって、医師が本来行う必要のないような事務作業の話はしっかりと医師以外の方にやっていただく環境を整備していただくことが大事だ、医師が行っている医療行為の中でどこまでをシフトしていくのかというお話だと思います。従来は保助看法で医師の具体的な指示があれば看護師さんはそういうことができるということにはなっていますけれども、それは質の問題とかさまざまに外部的にそれをどう見ていくのかということがあるので、特定行為を行うような看護師さんの研修事業とか、あるいは看護師さんが認定看護師、専門看護師さんを養成されてきたということがあると思いますけれども、そもそも日本の医師全体の業務を軽減するだけのタスクシフトを行えるだけの人数が養成されているのかという問題もございますので、それぞれにさまざまな認定看護師さんがいらっしゃると思うのですけれども、次回でも、ぜひ事務局にその人数と、先ほど特定看護師については583人ということですけれども、どのぐらいいらっしゃるのかというのは改めてお示しいただきたいと思っています。

 もう一点、病院によって、特に大学病院でせっかく特定看護師さんという研修をやっているのに、それが活用されていないようなデータの出され方をしています。現場がわからないので私も何とも言えませんけれども、そこが一つ、きちんとそういった方たちを活用していく仕組みをどうつくっていくのかということが大事だと思っています。

 最後、戎構成員がおっしゃったように、国民の理解がない限り、ここはあくまで医療提供者側がどのように働き方を変えていくかと議論していますけれども、医療を利用する方たちの利用の仕方によって全くこれは変わってくる。国民の理解は大事だと言うのはいいのですけれども、一体どうやって国民に理解していただくのかという方法がないと、幾ら言っていても変わらないです。これは厚生労働省に何か具体的なお考えがあるのかどうか。私も中医協の中で保険者の方にきちんと被保険者に対して説明してほしいということを申し上げているのですけれども、全てのこういう関係者が同じ方向を向いて国民の方に訴えていかない限り、これはなかなか変わらないし、理解も進まないと思っていますので、厚労省にもし何か考えがあれば、次回でも結構ですけれども、御説明いただければと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、猪俣構成員、どうぞ。

○猪俣構成員 私自身も、医師の労働時間を取り巻く状況において考える上で、参考になるのではないかと思いまして、きょうは提出資料を準備させていただきました。手元にあります英語の資料になりますけれども、こちらが米国で使われているもので、きょうもお話に途中でありましたように、中原参考人、渋谷構成員、三島構成員がおっしゃっていたように、私自身も仕組みやシステムは非常に大切になってくると考えています。

 その中でも、医療の質を保ちながらも医師の労働環境をどのように改善していけばいいかということで、今回は米国のACGMEといいまして、米国卒後医学教育認定評議会が決めている、医師のレジデントもしくはフェローシップですから、専門医になるまでの課程に当たる医師に対する専門教育基準を設定していますので、そちらを供覧できればと思います。

 まず、こちらの米国におけるレジデントの勤務時間制限の歴史を簡単に説明いたしますと、84年にレジデントの過労や睡眠不足などの問題が起きて亡くなったという事件が引き金になりまして、2011年にこのACGMEによる労働時間制限基準の改定が行われました。こちらは英語の論文になりますので、時間もないですので簡単に説明いたしますと、例えば、週当たりの最長労働時間は平均週80時間までにしましょう。4週間平均でこれをモニタリングしてくださいとか、最長時間は最高でも24時間以内で働いてくださいとか、あとはシフト間の最低の休憩時間を8時間は守ってくださいというものが既に明示されています。非常にすばらしいところは、例えば、80時間以上勤務した場合には、人的事故が起きたり、傷害とか、スタッフ間の衝突がふえるとか、そういったデータや論文をもとにこういった時間が定められているということです。

 このように具体的な労働時間や休憩時間が米国では定められておりまして、例えば、慣例とか封建制に捕らわれない、こういった標準化されたシステムの構築は、私たちの医師の働き方を考える上でも非常に参考に値するのではないかということで、きょうは御用意させていただきました。

 以上になります。

○岩村座長 貴重な資料をありがとうございました。

 それでは、今度はこちら側で順番に、恐縮ですけれども、中島構成員、ハイ構成員、馬場構成員ということで、お願いいたします。

○中島構成員 ありがとうございます。

 看護師の特定行為について、なぜ進まないのかというところを少しお話しします。

 現在、特定行為について病院の看護師や看護部長、病院の医師等の周知と理解の不足が一つあるかと思っています。そのほかに、医師との信頼関係がないと絶対にできない行為ですので、そこら辺の問題と、今までよりもリスキーなことを行う特定行為修了看護師への処遇と、例えば、事故が起こったときにどうするのか等の仕組みもまだきちんとできていないところが多いことが原因かと思いました。

 実際に地域の先生方と一緒に特定行為をやっている私たちとしては、実際にやっているのですけれども、例えば、施設、病院であったら、医師の不足状況や医師の負担、看護師の現場の負担等の状況をきちんと把握して、一番大事なことが、患者さんにどんな特定行為のニーズがあるのかをきちん探った上で、病院の組織全体で合意のもとに実施されていくことが一番いいシェアリングだと思いました。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 ハイ構成員、どうぞ。

○ハイ構成員 ありがとうございます。

 働き方改革は、ある意味、私は働く場改革かと思っております。その働く場はまさに病院、医療機関ですけれども、その働く場をオーガナイズするのが病院経営者であり、医療機関の管理者である。そのいろいろな病院経営者とお話ししたり、また、病院をいろいろ回っていますと、大きく分けて2通りの経営者が出てきます。

 1つは、働き方改革に取り組んでいる、既に動いている経営者と、動いていない経営者、これらになると思います。なぜ取り組まないのかということをもう少しセグメンテーションをしていきますと、まず、働き方改革、働く場改革に関して意識がない、しなくてもいいではないか、俺らの若いころはそうではなかったという、非常に意識が低いと言ったら言葉は悪いのですけれども、そういった経営者は少なからずおられます。一方、意識はある、ただ、どうしたらいいのかわからない、つまりノウハウがわからない経営者も意外に多いです。つまり、ノウハウ、それにはお金がない、教える人材がいない、そういう技術、テクニックがないという、ノウハウがないということでお困りの経営者もおられます。

 ですから、病院に対して、全方位的なアプローチではなくて、セグメンテーションをして、こういったところの病院にはこういった対策という形で、ある程度、実効性がある形にこの働き方改革のゴールを持っていかないと、のべつ幕なしに頑張りましょうではなくて、意識が高い人にはさらに頑張っていただく形または意識が低い人に対してはそれなりのアプローチがあるかと思います。

 効果が出やすいのは、意識はある、つまり、やる気はあるのだけれども、ノウハウがわからないまたはそういうところにサポートしてほしいというような、できるだけ早い段階のフィージビリティーが出るような病院と思います。それら病院のサポートは直近で一番効果的かと思っております。ですから、今後の残る論点に関して、そういった視点で見ていただけるとうれしいと思います。

 以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、馬場構成員、お願いいたします。

○馬場構成員 タスクシェアリング、タスクシフティングについて、効果はある程度あると思いますので、病院団体としても積極的に今後推進していきたいと思っております。

 ただ、実際に効果をあらわすまでにはすごく時間がかかるということは理解していただかないといけないですし、風土とかマインドといったものを変えるには本当に時間がかかります。うちの病院でも、昔、ナースキャップをしているものを外すという、こんなつまらないこと一つでも、それを理解してもらうのに数年かかるということがありました。まして医療行為ですから、ここには非常に時間がかかる。そして、特定看護師などの養成というのも時間がかかりますし、そういった意味では、取りまとめ後の5年間という時間内に、効果があらわれるまでできるかどうかということについては、疑問を感じます。

 これを進めていくことにお金がかかるということも本当ですから、ここの支援も必要ですし、あとは国民とか患者さんの理解に関しては、例えば、ドレーンを抜去するときに何かトラブルがあったとしても、ドクターがそれを行った場合とナースが行った場合とで患者様側の受け取り方が違う可能性があるということで、その辺の理解もしていただかないといけないし、あるいは今度はナースにばかり仕事が集中しては困るということもありますから、多職種チームで仕事のあり方を総合的に考えるといった視点も要るのではないかと思っています。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 先ほど大学で特定看護師が活用されていないではないかというお話があって、養成されている数が圧倒的に少ない。500数十名ということは、どんなに大学病院は多くたって数名しかない。1,000名いる看護師の中に2~3名特定看護師が入ったところで、これは業務内容が変わらないのは仕方がないのかなとも思います。

 もう一つ、大きな問題は、恐らく各病院の勤務する医者の数そのものが足りないということではないか。シフト制を組もうにも、それだけの数がいない。例えば、日赤の産婦人科のように数が20数名とかがいれば、シフトが組めて問題がないわけです。逆に言うと、小規模の病院が日本は多過ぎるのではないか。ここで議論することかどうかわかりませんけれども、医者がそのように働けるような形での病院の集約化も同時に議論していかないと、地域医療構想では、単なる需給、患者の医療需要の問題だけで議論されていますけれども、医療資源の効率的な活用という点からは、地域医療構想とも絡めて病院の集約化ということを議論していかないと、これはどうやっても、時間制限をすれば今度は医療の提供ができなくなるというぐるぐる回りが解決できないのではないかと私は考えます。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、片岡構成員、どうぞ。

○片岡構成員 なぜ過重労働になるかあるいはタスクシェアが進まないかという点に関して、医師数がある程度潤っているところとそうでないところでまったく事情が違うと思います。地域の医療を守るために、本当に過重労働、長時間勤務をせざるを得ない、守るために自分が盾にならざるを得ないといった状況でぎりぎりで頑張っておられる医療機関の先生は本当に多くいらっしゃると思います。きょう、中原様の御発言がありましたように、自分が頑張らないと医療全体が崩壊するといった状況の方は、現在でもかなりいらっしゃるのではないかと思っています。そういった地域ですと、シェアをしようにも看護師さんの確保にもかなり苦労されている状況もあると思うので、そういう意味では、なかなか画一的な議論は難しい面もあるかと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、豊田構成員。

○豊田構成員 先ほど中原参考人のときに発言したかったのですけれども、私は実は中原さんとは2004年ごろに当事者として一緒に声を上げる活動をしていました。中原さんは医師である御主人を亡くし、私は息子を小児救急の現場で亡くすという経験をしました。私たちは反対側といいますか、対極的な立場に見えますけれども、一緒に話し合いをしていくと、そうではないことがすぐにわかりました。先ほど高橋先生から睡眠不足から非倫理的になってしまうというお話がありましたけれども、そのときの当直医師が睡眠不足だったことが原因かどうかはわかりませんけれども、少なくとも夜間帯のそういった環境の中で、息子をきちんと診察することができずに、助けられた命を助けられなかったということがありました。ですが、これは、患者側からすると、だから仕方がなかったよねとはならないわけです。ですから、両方とも救う仕組み、支える仕組みが必要だということを当時から私と中原さんは実感していて、声を上げてきました。それが今、それぞれ互いにやるべきことをやってきた中で、結局はまたもとに戻ってきたことを感じています。国民の理解というところでは、私もいろいろな事情がわかったから、ぜひ医療者、医師を応援したいと心から思えるようになりましたので、まずは国民にこのような実情を伝えることが大切で、その方法をともに考えさせていただきたいと思っています。私もいろいろ考えてみますので、皆さんからもぜひよろしくお願いいたします。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、渋谷構成員、それから、村上構成員ということでお願いします。

○渋谷構成員 タスクシフティングに関して事務局にお願いしたいのですけれども、今、医行為においてどこまでタスクシフト可能かというタイムスタディーをしていると聞いております。それに関してはいつごろそうしたデータが出るのかということと、今、タスクシフティング導入へのいろいろ阻害要因が出てきましたけれども、そういう研究は過去にたくさんあると思うので、諸外国でも構わないので、阻害要因に関するものとその対策案を簡単にまとめていただけたらありがたい。

 それから、タスクシフトをすることによって、いわゆるコスパですね。要するに、患者の安全を担保できるのか、医療職と比べてどうなのかという研究も多々あるので、もし可能なら簡単にまとめていただくことができればありがたい。特に、先ほど山本構成員がおっしゃっていた、大学病院でなぜタスクシフトを進まないか。1つは特定看護師が少ないということもあると思うのですが、データを見ると特定以外でも普通のタスクシフトが進んでいないという状況があると思います。そうした阻害要因に関してもこれまでの研究や知見から学ぶこともあるかと思います。

 いろいろな阻害要因が出ましたが、先ほど最初の中原さんのプレゼンのPA等も含めて、今こそ進めなければいけないという決意はちゃんとしなければいけないと考えます。阻害要因を挙げて、やはりできないよねということではなくて、少しでもいいからこの場で前に進めていただければと思っております。

○岩村座長 ありがとうございます。

 事務局、お願いします。

○堀岡医師養成等企画調整室長 今、渋谷構成員に御指摘いただいたとおり、幾つかの病院と大学病院に御協力をいただいて、医師の1分間タイムスタディーをまさにやっております。数十人分のデータがまとまりつつあるのですけれども、そちらは来年できるだけ早い時期にまとまりますので、一部先行調査分だけでもここで御報告させていただければと思います。もう一つの論文のほうもできるだけ早くいろいろまとめてみます。

 ありがとうございます。

○岩村座長 よろしくお願いします。

 それでは、村上構成員、どうぞ。

○村上構成員 ありがとうございます。時間がない中、申しわけありません。

 1つは、本日、ヒアリングもございましたし、その附属の資料として、参考資料2では現在の労災認定基準について示されております。労災認定基準は、御案内のとおり、労働時間については1カ月100時間、また、2~6カ月平均で月80時間を超えると、発症との関連性が強いということで、これがいわゆる労災認定基準と言われているところでございまして、医師だけがこれを特別扱いするということにはならないという前提でこの議論を進めていただきたいということを繰り返し申し上げたいと思います。

 また、先ほどから今村構成員や豊田構成員からもございましたが、国民に対するメッセージということで、前も申し上げたかもしれませんけれども、学校における働き方改革につきましては、中教審の初等中等教育分科会の中に学校における働き方改革特別部会ができておりまして、ことしの8月末には緊急提言を行っております。まだこの検討会の中で緊急提言と言えるほど中身が詰まっているものではないのかもしれませんけれども、少なくとも現状こんな問題が起きているのだということとかを、もう少しわかりやすく象徴的に伝えていくことは必要かと思っておりますので、年明け早い時期に何らかのメッセージを出すことをぜひ御検討いただければと思っております。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。

 中島構成員、どうぞ。

○中島構成員 インフォメーションですが、在宅で特定行為をしている様子を1224BS日テレで15時半から16時の間で実際に放送されますので、もし特定行為の件について余りよくわかっていらっしゃらない方がいらっしゃいましたら、ぜひ見ていただけるとわかるかと思います。

○岩村座長 事務局、どうぞ。

○堀岡医師養成等企画調整室長 1点だけ、大変申しわけございません。AIICTも少しだけ皆様に御議論いただけるとありがたいのですけれども。

○岩村座長 事務局の御要望もありますし、時間を過ぎているのですが、もう少し延長していただくことをお許しいただければと思います。

 いかがでございましょうか。

 猪俣構成員、どうぞ。

○猪俣構成員 私自身、今、AIICTを用いた研究などは既に開始しておりまして、病院内でもどのように実地でできるかということは既に検証し始めていますけれども、恐らくAIが医師に取ってかわるというよりは、医師を補助する形で業務が改善できるのではないかと今のところは考えております。そういった意味で、あとは国としてどのようにこういった研究やアカデミアが創出するものもしくは企業が創出するものを応援してくれるかということを検討していただくことと、あとはこういったものが本当にアウトカムにどのように影響するのかということも、私たちも今後検証が必要になると思いますので、そういったことを取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。

 以上です。

○岩村座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 今回の資料の遠隔診断で放射線とか病理の診断が書かれておりますけれども、最近、アメリカでは今度はテレICUといって、現場ではなくて数カ所のICUを一括で1カ所で集中管理をして、そこにICUのドクターがいて、そこから現場にいる、恐らくPAに指示を出して管理するということが大分行われてきて、最近、アメリカのICUで、アメリカが夜の時間はオーストラリアでそれをコントロールするということも始まっていると聞いています。こういうところは、特にICUみたいに、かなり重症患者を診て、なおかつ手間もかかる。それから、各病院がばらばらに持っているものを、それぞれにICUの専門医の張りつけはとても大変なことですから、例えば、千葉県だったらどこか1カ所でやるとか、そういうことは実際問題として可能ではないかと思います。あとは現場が、誰がそこを管理する、実際に運用するのかというところを、例えば、PAを入れるとかとしてやると、かなり重症な症例に対する管理が効率化されるのではないかと思います。

○岩村座長 渋谷構成員、どうぞ。

○渋谷構成員 AIICT等のビジョン検討会でもかなり議論したのですけれども、プロセスがよくなる部分と逆に時間がかかる部分もあって、そのプラマイ効果の検証をきちんとしていかないと、今、ビジネスモデルの提案ばかりで、エビデンスというもの、先ほど猪俣構成員がおっしゃったアウトカムとかコスパの話がなかなか出てこないので、そうしたものをきちんと整理した上で活用を進めていく。AIだけが進行というよりも、今、その前に提案された、経営改善とか環境改善とかの当たり前のことをきちんとやっていくことなりをまずはやった上で、AIICTのプロセスの効率化も少しやっていくという方向性がすごく大事だと思います。特に、戎構成員がおっしゃったように、薬剤師とか、歯科医、かかりつけ制度など、もう少し権限移譲とか、規制緩和とか、そうしたものも議論していただくことで、こうしたものに相乗効果が生まれるのではないかと思っています。特に生産性という観点からは、そうした方向性も入れていただければと思います。

○岩村座長 ありがとうございました。

AIに限らず、もしほかにございましたらと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、ヒアリングも含めていろいろ御議論いただきまして、まことにありがとうございました。きょうはここまでとさせていただきたいと思います。

 最後に、次回の日程等について、事務局からお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 次回の検討会につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。

○岩村座長 この検討会のスケジュールといたしましては、当初お示ししたように、年明けに中間整理をするということで進めてきたところでございます。きょうの御議論等を伺いますと、緊急的な取り組みも必要かという気もいたします。おおむね議論も一巡したということでございますので、次回は、事務局におかれましては、これまで出た意見を中間的に整理した資料と緊急的に取り組む必要がある項目の案を御準備いただくようお願いいたします。それをもとに、また議論をしていただければと存じます。

 それでは、本日の会議は、これで終了とさせていただきます。

 お忙しい中、皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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