ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 全国在宅医療会議ワーキンググループ> 第5回全国在宅医療会議ワーキンググループ(2017年12月8日)




2017年12月8日 第5回全国在宅医療会議ワーキンググループ

医政局

○日時

平成29年12月8日(金)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 講堂


○議事

○堤室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第5回「全国在宅医療会議ワーキンググループ」を開催いたします。

 皆様、お忙しい中御参集いただき、ありがとうございます。

 本日は、柴口構成員、増住構成員から欠席の御連絡をいただいております。

 濱田参考人はおくれての御参加となります。また、辻構成員は途中で中座を予定されております。

 なお、局長の武田は欠席となっております。榎本はおくれての参加を予定しております。

 今回、神戸市垂水区医師会副会長の中村治正氏、神戸市垂水区健康福祉課長の小寺孝治氏を参考人としてお呼びしております。

 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1-1から3まで、参考資料1から4までをお配りしております。不足がございましたらお知らせください。

 もし報道の方で、冒頭カメラ撮り等をされていらっしゃる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。

 それでは、以後の進行は新田座長にお願いいたします。

○新田座長 おはようございます。

 それでは議事に入らせていただきますが、議事に入らせていただく前に、団体を代表して参加していただいている構成員の方が欠席の際は、代理で出席される方について、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることにより参考人として参加し発言していただくことを認めることにしております。

 それで、本日の会議におきましては、欠席の柴口構成員の代理として、日本介護支援専門員協会副会長の濱田和則参考人、そして、増住構成員の代理として、藤井裕久参考人の代理出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○新田座長 ありがとうございます。

 それでは、議事に入りたいと思います。重点分野に関する取組について、本日は、鈴木構成員、佐藤構成員の提出資料に基づき議論を行いたいと思います。

 それでは、鈴木構成員から、資料1-1について説明をよろしくお願いいたします。

○鈴木構成員 それでは、資料1-1に基づいてお話をさせていただきます。

 「地域包括ケアシステムにおけるかかりつけ医の役割」としてまとめさせていただきました。

 右下2ページをごらんください。2025年と言われますが、この年は団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者になる年でありますので、我が国が本格的な超高齢社会の入り口に立つ年ということで、この年までに超高齢社会を乗り切る体制を構築するという目的で改革が進行しているところであります。

 中身としては大きく2つ。「医療提供体制」、これは地域医療構想に基づいて、在宅医療の推進ということも含まれているわけであります。もう一つは「地域包括ケアシステムの構築」ということで、今回の同時改定の大きな柱を見ても、両方とも地域包括ケアシステム1番目に書かれておりますので、メインの目標になっていると思います。

 日本医師会としては、これに加えて、生涯現役社会の構築を通じて健康寿命を延伸して、結果的に医療費の節約も図る必要があると考えております。この目的を達成するために、来年度の診療報酬・介護報酬同時改定は大きな一つの節目になると考えております。

 次、3ページをごらんいただきます。日本医師会としては、この医療提供体制を構築していくために、1.にありますように、「国民の安全な医療に資するものか」「公的医療保険による国民皆保険が堅持できるものか」ということを判断基準にしております、2.としては「地域連携の『主役』は、医師会」であると考えており、地域包括ケアシステムを構築していく上では、行政と医師会が車の両輪になる必要があると主張しています。

 それと、「医療機関の自主的な選択が基本」ということですが、日本は民間医療機関が中心でございますので、強制的ではなく、自主的、自律的な機能分化と連携が必要であると考えております。

 右下4ページでありますが、高齢化による影響は、全国一律ではなく、都市部と地方では大きく異なっておりまして、4ページは東京都でありますが、ここは高齢化がこれから最も進む都道府県でございますけれども、医療の需要も、2040年に向けて116%ふえます。

 一方、5ページの秋田県、ここは過疎化が進んでいる代表的な県の一つでありますが、介護需要はわずかにふえますけれども、医療需要は既に減少し始め、需要が減れば、医療、介護と、提供体制を縮小していかねばならないということで、これからそうした課題への対応が必要になってまいります。

 6ページを見ていただくと、これから医療と介護の連携が重要になりますが、医療機関も、今までのように競争ではなく、協調、役割分担と連携が必要になります。地域医療構想調整会議が各都道府県、各二次医療圏毎に開かれているわけですが、そこで関係者が協議をしながら必要な医療提供体制を築くことができるかどうかが大きなテーマになっているわけであります。

 これは強制的ではなく、データに基づいて、将来の需要をみながら、自院が担える機能を考えて互いに調整するという仕組みでありますが、ポイントとしては、公的、公立の急性期の大病院のダウンサイジングができるかどうかが大きなポイントになるのではないかと考えております。

 右下7ページをごらんいただきますと、「次期医療計画」、これも来年度からスタートいたしますが、「介護保険との連携強化、地域包括ケアの視点」が入りますので、医療計画が6年になって、3年ごとに在宅医療に関する部分は評価を実施し、必要な場合には見直して、介護保険事業計画との整合性をとることになっております。また、医療と介護の協議の場を設けて、両方の関係者が参加して調整をしていくということですので、都道府県医師会や郡市区医師会の役割が重要になると考えております。

 こうしたことを考えていきますと、右下8ページにありますように、「規模別に見た病院の方向性」としては、500床以上の大病院は高度急性期~急性期に特化していただき、200床未満の中小病院は単科専門病院になるか、地域包括ケアを支える病院になっていただく。その中間の病院はどちらに行くか決めていただくということで、いずれも平均在院日数の短縮や在宅医療の推進等で病床の数は今までよりも少なくてもいいと考えられますが、特に500床以上の大病院の病床は地域によっては大幅にダウンサイジングをする必要があるのではないかと考えております。

 一方、その次の右下9ページに相当するところでありますが、「医療提供体制のあり方」として、これは日医と四病協、きょう、西澤先生も出席いただいておりますけれども、我々が中医協委員のときの、平成25年8月8日に、これは社会保障制度改革国民会議の報告書が出て2日後でございますけれども、合同提言をしました。この中で、病院類型3として、地域急性期病院を位置付けております。

 その年の1118日に、その下の図でありますが、四病協に追加提言をして頂き、病院機能を付加して、地域医療介護支援病院を提言しております。

 そして、おめくりいただきまして次のページの上でございますが、20151028日、このときにも、日医と四病協で緊急提言をしました。この日は、私が中医協委員の最後の日で、ぜひこれを遺言として残したいということで、地域の医療・介護連携を支援する病院を、先ほどの地域医療介護支援病院と同じ内容でございますけれども、これを改めて提言して次につなげたわけでございます。

 一方、地域では、その下の図にありますように、地域医療構想に基づいて病床の機能分化が進められているわけですが、実際には、これは奈良県の医療政策部長の林修一郎さんがまとめたもので、彼は平成28年度診療報酬改定時の医療課筆頭課長補佐でございましたが、急性期を重症急性期と軽症急性期に分けて、軽症急性期と回復期を足すと、2025年の回復期の数にほとんど一致するという提案を出しております。

 それとともに、右にありますように、これから必要な病院は総合的な機能を有する病院、医療と介護の融合した面倒見のよい病院、機能を絞った単科専門病院であるという提言もしておりますが、これは我々の考えに近いものです。

 その次でございますが、この面倒見のいい病院というものに相当するものが地域密着型中小病院であり、一部有床診療所も入ると思いますが、こういうものを地域に整備していく必要があるということであります。これは急性期の大病院との連携だけではなくて、行政との連携、介護との連携、そして、そのマンパワーを中に閉じ込めておくのではなくて、医師会や地域に派遣していく、そして診療所の在宅支援、まちづくりも行っていくことが必要だと考えています。すなわち、地域包括ケアシステムの医療の三点セットとしては、かかりつけ医、郡市区医師会、そして中小病院、有床診療所、これはマンパワーを地域に出す中小病院、有床診療所と考えています。

 次に、15ページですが、「今後わが国に必要な医療」は高度急性期医療と地域に密着した医療の2つでございますが、高度急性期医療は高齢化・人口減少、若年層の減少でニーズが減っていくのに対し、地域に密着した医療は超高齢社会の進行に伴ってますますニーズが増加してまいります。

 これにどのように対応していくかということでありますが、我々は、後でお話ししますが、日医かかりつけ医機能研修制度を始めましたが、これでかかりつけ医を自ら再教育した上で、施設も在宅も活用し、そして中小病院、有床診療所、日本型の専門医が関する診療所という既存資源を活用して対応していくのがいいと考えております。

 次の右下16ページでありますが、超高齢社会が進みますと、高齢者医療と介護が一体化してまいります。これがすなわち地域包括ケアということだと思います。この担い手はかかりつけ医であり、それを育成するのが日医かかりつけ医機能研修制度、そして、それを担当する医療機関としては、かかりつけ医機能を持つ中小病院、有床診療所、診療所であると考えております。

17ページでございますが、高齢者の医療と介護の一体化が進みますとかかりつけ医の役割が拡大してまいりまして、今までのように、医療だけではなくて、介護はもちろんですが、福祉、保健、リハビリ、栄養というようなものにも取り組む必要があります。さらに、まちづくりも必要です。元気高齢者の就労・社会参加から子育て支援、次世代の育成までのまちづくりまで視野を広げる必要があるということで、今、私どものほうでは、かかりつけ医の先生方にもっと地域や社会に目を向けましょうというお話をさせていただいております。

 次に、右下18ページですが、かかりつけ医の定義であります。これは従来からあるものでございます。

 おめくりいただきますと、これは日医・四病協の合同提言、2013年、平成25年8月8日に、「かかりつけ医機能」をさらに詳しく定義したものでありますが、真ん中の2つ目の○にありますように、「かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する」としております。

 次にありますのが「日医・かかりつけ医機能研修制度」で、昨年4月1日から開始ししたが、プロフェッショナル、オートノミーを発揮して日医が、自らかかりつけ医の再教育、研修をするものでございます。

21ページにこの内容がございますが、基本研修、応用研修、実地研修と3つの研修からなっておりまして、3年間で一定の要件を満たした場合、都道府県医師会から修了証書、または認定証が発行されることになっております。

 その下の図でありますが、昨年度、初年度ですが、全国で延べ9,391名の先生が受講を開始されました。今年度は、5月28日の中央研修会に6,601名の方が受講されましたので、それ以降に開催される都道府県の研修を合わせますと、延べ1万名を超える先生が受講されるのではないかと考えております。要件を既に満たした先生方も約1,200名いらっしゃいます。

 続きまして、「かかりつけ医をお持ちですか?」というポスターのところでございます。これは日医ニュースに挟んで全会員に配付したもので、医療機関の待合室等に掲示していただいておりますが、そのほか医師会のホームページやいろいろな方法でかかりつけ医機能研修制度を終えた先生方をお知らせできるようにしたいと考えております。

 次の図は「超高齢社会に適した日本型医療システム」ということでございますが、このように、中小病院、有床診療所が多いということは身近なところでいつでも入院もできる在宅支援システムの構築が可能であること。そして、専門医が開業するので質が高く設備が充実しているということは、高齢者に便利なワンストップサービスが可能であるということであります。検査・診断・治療・時に投薬・健診ができて、高齢者にとって非常に便利だとして、むしろ海外で注目されている存在でございます。

 次をごらんいただきますと、これまでは医療中心の急性期の大病院を頂点として、かかりつけ医が一番下の垂直の連携が中心だったのですが、これからは、かかりつけ医にぜひリーダーになっていただけるように研修を開始しているわけでございますが、地域の訪問看護師や地域包括支援センター、ケアマネジャーや、他のいろいろな社会資源も含めて連携をしていただいて、同じ目線で行う水平の連携が中心になるということで、急性期の大病院はその外側で、二次医療圏の最後のとりでになっていただく必要があると考えております。

 その次でありますが、そうした既存資源を活用して、郡市区医師会のもとで、かかりつけ医機能を持つ中小病院、有床診療所、診療所がそれぞれ可能な範囲でできるだけ総合的に在宅支援を行うことがよろしいのではないかと考えております。

 その次の、「日本型在宅支援システム」の図でございます。かかりつけ医の先生には在宅医療に取り組んでいただくように働きかけているわけですが、全ての先生が24時間365日対応することは難しいので、個々の先生が可能な範囲で在宅医療をしていただいて、その足りない部分を日常生活圏域、あるいは在宅医療圏の中の有床、無床の在支診や在支病と患者さんごとに緩やかなグループないしチームをつくって対応していただければよろしいのではないかと考えております。

 いずれにしましても、日本型の高齢者介護の体制を確立していく上で、少なくとも都市型と地方型に分かれると考えております。都市部では、地価も高いですが、所得も高い方が多いので、より在宅中心で診やすい。地方では過疎も進んでおり所得も低いので、より施設を活用する必要があるということで、重度者は施設も活用しながら、軽度や中度の方は在宅中心で診る必要があるということでございます。

 次の「イギリスのGPの機能」というものでございますが、これは国立長寿医療研究センターの三浦先生の図でございます。GPの機能が5つあるとのことですが、そのうち多職種連携の司令塔が日本では明確な担当が不在とありましたので、これこそ、郡市区医師会の役割だろうと考えております。

 その次の図でございますが、地域包括ケアシステムを構築していくためには、行政と医師会が車の両輪になる必要があります。行政には地域包括支援センターがあり、地域ケア会議を開催し、医師会は多職種連携のまとめ役になり、在宅医療連携拠点を担うことが考えられます。全国で地域包括ケアシステムが進んでいるところは例外なく、行政と医師会の関係がいいところでございます。

 次、31ページでありますが、地域包括ケアシステムおよび地域医療構想における郡市区医師会の役割であります。郡市区医師会にはぜひ事務局となる地域包括ケア委員会のような名称の委員会をつくっていただき、そこで多職種連携会議を開催していただくとともにこれは医師会内の医療機関でもよろしいと思いますが、在宅医療連携拠点を担っていただいて、総合事業や介護予防も医療と切り離された形で行われないように、かかりつけ医や医師会の関与をしっかりしていただきたいと考えております。さらに、地域構想調整会議を主導していただいて、公的医療機関等の地域での役割の検討もしていただきたいと考えております。

 次の32ページの図でございます。郡市区医師会は、全国で900くらいあるのですが、規模が違いますので、自治体の規模と同様に、人口が20万人以上、あるいは10万人ぐらいでも、1自治体、1医師会であれば自立型ということでやりやすいと思いますが、小さな医師会、5万人以下のような医師会の場合は、大体そういうところは、周辺の医師会も小さい場合が多いので、連携して、それを都道府県医師会が強力に支援する連携型、あるいは大きな医師会の周辺にある小さな医師会はその大きな医師会が支援する支援型が考えられると思います。

 また、「三師会および日本看護協会在宅担当理事定期打合せ会」を開催しておりまして、これまで2回開催しております。本来在宅医療職能団体を中心として取り組んでいく必要があることから、定期的に開催するようにいたしました。今年度については、同時改定の内容が固まった後に、年度内に再度開催したいと考えております。

 このように、地域包括ケアは進化しておりまして、人口減少社会から全世代・全対象型地域包括ケアで、地域共生社会とも言われておりますが、再生を目指す社会づくりへということで、国民に対して明るい未来を示すことが必要であると考えております。

 最後のページでございますが、かかりつけ医はこのような研修を自ら積んだ上で、ぜひ地域包括ケアシステムにおける多職種連携のリーダーになっていただきたい。そして、既存資源である診療所、有床診療所、中小病院を活用して、在宅医療を含めた地域の医療・介護体制を構築して地域包括ケアシステムを確立していきたいと考えております。

 御清聴ありがとうございました。

○新田座長 ありがとうございました。

 それでは、引き続いて佐藤構成員より資料説明をよろしくお願いいたします。

○佐藤構成員 それでは、資料1-2にて説明させていただきたいと思います。

 開いていただきますと、2ページ目に「在宅歯科医療への日歯取り組みの概要」、本日の重点分野につきまして具体的な取組を示せというオーダーでございましたので、今までの取組を羅列的に書かせていただきました。

 先ほど鈴木委員のほうからもお話がございましたが、基本的に、今は、三師会、そしてあとは看護協会を含めた現場の職務団体が連携していくという作業の中で、私ども、親会議でかつて、例えば看取りについて日本歯科医師会はどう考えるかということを発言したときがございました。その際に私どもが申し上げたのは、看取りを行う医科医療機関と連携しながら、最後の最後まで口から食べることを支援し、社会的な生活をより充実したものにしていきたい。そして、誤嚥性肺炎等の発症も防いでいきたいという基本的なスタンスを示させていただきました。

 今回、この重点項目につきまして大きく以前と変わってきたこと、今回、同時改定、2回目の経験として非常に強く感じているのは、歯、口腔の介護サービスゆえの評価、それから口腔健康管理、いわゆる口腔ケアに対しての医療的な、医療上の評価、これが非常に上がってきて、有用なサービスであるとの評価が高まっていると本当に肌で感じています。6年前の際には、口腔ケアの担い手であります歯科衛生士に対する評価も今ほど十分であったかということを考えますと、今後の在宅歯科医療の取組の中では具体的な取組に、この口腔ケアの問題は、介護上も、それから医療上も欠かせないのであるという基本的な考え方を持っております。

 なお、(2)のエビデンスの蓄積でございますが、今現在、日本歯科医師会では、日本歯科医学会にどういうエビデンスが蓄積可能かという諮問、答申をつい先日いただいて、まだ分析は不十分でございますので、今後、ワーキング、もしくは親会議等でも示してまいりたいと思っています。

 3ページ以降、「多職連携推進の事例」として取り上げさせていただきました。少し古い資料ではございますが、実はこれは平成21年度の取組からのことを示しております。今まで日本歯科医師会が取り組んできたことについては2ページ目に集約的に書かせていただきましたが、3ページ目以降の資料につきましては、ケアマネージャーの協会のほうから医療的な連携を取り組むに当たってテキストをつくるという際に私どもが参加したものを紹介させていただきました。言い方を変えれば、こう取り組んでいきたいという歯科医師会の取組とは違って、こういう要請を受けた歯科医師会はこう取り組んできたという事例の紹介に位置づけられるかと思います。

 開いて4ページ目でございます。今回用いますものは、平成21年度の老健事業の中から、実施主体は介護支援専門員協会がこの事業をお受けになって、日本医師会がこの監修を、そして中段に、実施主体と協力体制として日本医師会、日本歯科医師会、理学療法士会等々の団体が入って、きょうの紹介の資料につきましては、この分担で行いました「ケアマネジメントと口腔機能向上・栄養改善」のテキストづくりの内容でございます。

 この経過といたしましては、右側に記載させていただきましたけれども、食べることを支えるという意味合いでは、これは栄養士会、管理栄養士、まさしくその仕事を担っておりますし、言語聴覚士も同様に担っているという、ある意味で専門職として共通するものが何かというところに特化した分担、三者が共有できるものを共通項として示していきたい。

 それから、実はこれはさらにまたつながりをその後持っていくという過去の経緯がございまして、つまり、職能団体、専門団体が一つの事業を展開していくと、それぞれのまた役割を広げていくということが示唆されました。

 実際の中身についてお話をさせていただきます。途中何度か繰り返しますが、これはあくまで栄養士会、そして言語聴覚士会、そして歯科医師会がお互いに合議をしながら、そして共通項であるという認識のもとに出されたという立場でお目通しいただければと思います。

 「口腔機能向上・栄養改善における連携図」でございますが、専門職が介護支援専門員を通じてその利用者を支援する際に、右肩にございます口腔機能の維持・増進、摂食嚥下機能を維持・向上させること、そして栄養を確保するというこの3点の中でどういう役割を果たしていくかということでございます。

 これは21年の事業でございますが、今回の介護保険、それから中医協の双方の議論の中で、特に介護給付費分科会で示された中では、キーパーソンとしてのケアマネージャーの役割というものが必要な情報伝達であるとか、平時からの医療機関との連携の促進というものが示されました。ですが、これはもう21年の段階でも同様にあったものが再度、今回の同時改定の際に、介護保険給付費分科会の中で意見が交わされたということは、まだまだこれを推進する必要性があるということを逆に示しているかもしれません。

 6ページでございます。多少古い資料もあるわけですが、いわゆる口腔衛生管理、口腔健康管理に関しては、1つ言われていたことは、インフルエンザの予防であるとか、認知症の低下予防であるとか、肺炎予防であるとか、今現在であれば多く示されていたものが当時も3者の中では確認したいということでございました。

 7ページには、具体的にどういうことを挙げればお互いの共通指標になるかという点を検討したものでございます。例えば医療がもう既に必要である場合、今回は日本医師会の方にも監修いただきましたが、この場合は経口摂取であるとか栄養摂取であるというような視点でございますので、医療というのはここでは歯科医療と限定はされていますが、歯、入れ歯等々、こういう点が実は医療と一致させて、医療と同期に進めていかないとなかなか困難である項目が幾つかありますよということをケアマネージャーの方々に気づいていただきたい点と、具体的にこれをチェックする場合に何があるか。これらの項目の中で幾つか、その後の介護予防の項目にもつながってまいります。口臭がある等は、その後介護予防のチェック項目にもなっている等、これは誰でもが気づく問題であるという視点を挙げております。

 8ページでございますが、それでは、もっと視覚的に、もっと感覚的に、もっとわかりやすい項目は何なのかと。これはまさに説明のない絵で、これで理解できますでしょうか。汚れがついている。虫歯がある。口の中がぱかぱかしている。何となく舌が荒れている様子がある。それらを見る、嗅ぐ、そしてそして聞くというふうな、通常誰でもできるようなものをもう少し考えていただければ。

 そして、「摂食場面の留意点」ということで9ページに示したものは、まさに栄養士の立場で示されているもの、そしてSTの立場から示されているもの、そして歯科医師自身が示しているものが融合した形の中で、留意点というような記載をしております。

 以上の9ページまでの概要が、介護支援専門員協会のほうから、どういうテキストがふさわしいのかということで、栄養士会、そして言語聴覚士会、歯科医師会の3者が取り組んできた資料の一部でございます。

 最後に、全体の今後の推進ということに向けての我々の取組と課題をまとめさせていただきました。地域での医療連携、冒頭申し上げました、まさに地域でかかりつけ医として担っていただいている医科医療機関と、我々、歯科医療機関はかかりつけ歯科医としてそこで連携しながら、そしてお互いの役割を果たしていきたい。そうなりますと、当然大事なのが郡市区歯科医師会、郡市区医師会のつながりでございますし、さらにそれをサポートする都道府県医師会、都道府県歯科医師会、そして日本医師会、日本歯科医師会との連携というのが、そこは3つの構造でつながっていると考えております。

 「病院歯科の推進と地域歯科診療所との連携」。残念ながら、歯科診療所に対しまして病院歯科の割合はわずかでございます。そして、実際に在宅を支えていただけるような病院歯科の役割が十分なのかという点では、まだまだ不足しているという点がございます。

 そういう点で、ここはかなり大きな課題ではありますが、今できることから始めるということでは、地域での連携から始めていきたい。

 そして、在宅医療支援歯科診療所、これは、当初少なかった数が今は8,000、そして1万の数になろうとしています。ただ、この数の充実に関しましては、今後間違いなく、市町村、それから都道府県から報告される在宅医療における需要調査、予想調査が出てまいりますので、それに本当に合致しているのか、それに対してニーズとディマンドが調整されているのかという視点がより具体的になってくると思っています。学会と連携したガイドラインの作成とエビデンスにつきましては、今までも行っているところでございますが、そのようなアキュラシーが高まれば高まるほど、また地域での連携の必要性の事実が出てくればくるほど、この見直しは常に必要であると考えております。

 あとは、在宅医療連携室は、今、順調に進行しているものの、二次医療機関ごとではなかなかまだ整備が十分だとは言えない。また、先ほど御紹介申し上げました多職種が連携して実践して研修するためのさまざまなテキストというのは、やはりこれも見直しが今後も必要であると思っております。その充実が必要ではないか。

 そして最後に、連携のためのさまざまな手法、特に退院時であるとか、それから入院する際なカンファレンスにおける役割というものが、今の体制の中で十分関係者がそこに集まって議論できるかという点では、今後工夫が必要ではないかという7つのポイントを挙げさせていただきました。

 以上でございます。

○新田座長 ありがとうございました。

 ただいま、資料1-1と1-2について御説明がありましたが、皆様、御質問、御意見等がありましたらここで承りたいと思います。

 山口構成員。

○山口構成員 御紹介ありがとうございました。お二人に少しずつ質問がございます。

 まず鈴木構成員に、資料1-1の25ページのところに垂直連携から水平連携へと書いてございまして、私もこれまで、医療・介護を切れ目なく使うということを考えるときに、この水平に連携していくということがとても大事ではないかなということをずっと感じてきました。ただ、残念ながら、患者の立場から見ると、医療と介護というのがちょっとまだ上下関係にあるような、そのように見受けられる場面というのが多々ございます。それが上下になっているとなかなか水平の連携ができないのではないかなと思う中で、この水平連携を実現していくために何か日本医師会として考えておられることとか、実際に具体的に実行されていることがあればご紹介いただけますか。

 それから、33ページに三師会及び日本看護協会在宅担当理事との打合せ会、既に2回行われたという御紹介がございましたけれども、具体的にどのような話し合いをこの2回で行われたのかを具体的に御紹介いただければと思いました。

 質問、続けてよろしいでしょうか。

○新田座長 ここで分けましょうか。

 では、鈴木構成員、今の2点について、よろしくお願いいたします。

○鈴木構成員 我々としては、医療が上で介護が下という意識は、少なくとも私はないのですけれども、どうしてもそのように思われがちな部分もありますので、かかりつけ医の目線を低くして、同じ目線で連携できるようにしようと、かかりつけ医機能研修制度でも強調しておりますし、私もいろいろなところでお話しさせていただくときにはその話をさせていただいておりますので、徐々に意識が変わってくるのではないかと考えております。今回の同時改定の内容、診療報酬側、介護報酬側を見ましても、かなりかかりつけ医とケアマネの連携は進むのではないかと考えております。その中で、看取りの時期に、今までと同じやり方では無理な部分もありましたが医療が前面に出てくる必要がある場合には、それがやれるようにな現実的な形になってきていますので、連携がこれまでよりも、報酬面から見ても進むのではないかと思います。このように水平連携に向けて少しずつ改善されて、患者さんや国民の方にも理解しやすい形になっていくと考えております。

 それから、三師会と日看協の定期打合せ会ですが、これは始まったばかりでございます。今回の同時改定では在宅医療や医療・介護の連携の推進がかなり入って来ていますので、それをしっかり確認しながら具体的な協議に入っていけるように、年度内にもう一回開催し、その辺を詰めていきたいと考えております。

○山口構成員 かかりつけ医研修の中で、何か、座学だけではなくて、具体的に気づきを得るような研修みたいなものもあるのでしょうか。ワークショップのような。

○鈴木構成員 受講者が多く、都道府県医師会でも開催するので、そうしたグループワークはなかなかやりにくいのですが、できるだけそれに近い手法を取り入れて、症例検討や、在宅医療と緩和医療のところでは実際の事例を通して学んでいくスタイルをとって、医療と介護を分けないで、必要な場合には同時に提供できるような研修を進めております。3年が1クールですけれども、次の第2クールは再来年度から始まるので、項目や内容の検討を開始しました。そこではさらに具体的に医療と介護の連携や、一体的に提供していくことについて内容を強化する予定にしております。

○新田座長 山口構成員どうぞ。

○山口構成員 では、佐藤構成員、お願いいたします。

 資料1-2の最後の10ページのところで「在宅療養支援歯科診療所の充実」とございますけれども、これは歯科診療所の何%ぐらいがこの在宅療養支援診療所となっているのかということと、その2つ下にある在宅歯科医療連携室は設立主体というか、どういうところがこの室を置いていらっしゃるのかということをちょっと御紹介いただければと思います。

○佐藤構成員 在宅医療支援歯科診療所は、初年度3000ほどからスタートして、直近では1万を超えるほどになっており、歯科診療所69千のうち、7分の1を越えるほどという感触を持っております。これは今後ふえる傾向にはあるのですが、基本的に、先ほど申し上げました、例えば都道府県でどれほどの在宅の患者さんがいるかということに関しては、前回の親会議のほうで医療計画課長のほうから、今後、市町村の実態を示していくのだと。あれは非常に貴重な数字になってくるのだろうと。それに対して、今現在では、都道府県単位でどれほどの療養者がいて、そしてどれほどの歯科医師がいるか。特に在宅を担えるという装備と、それから研修を受けた歯科医師がいるかまでは、日本歯科医師会、示しておりますが、本来は、特に医療・介護、そこを確保する構想区域の中でどれくらいの数がというのはもう少し実態的な数が必要になってくると思っていますので、今後この検証の中で、また市町村の報告があれば、その対応をもう少し示しながら、地域でどういう取組が必要かということをやっていきたいと思っています。

 それから、在宅歯科連携室ですが、基本的には都道府県単位でつくっていて県のほうに設置している場合、それを歯科医師会のほうに委託する場合、幾つかのパターンがあるのですが、先ほど申し上げましたように、実際その連携室を実施する場はどこかといった場合には、今現在、構想区域が二次医療圏を中心にした動きになっておりますので、そこまで目配りがされているかどうか。例えば場所によっては非常に広い圏土を持っているところもありますし、場合によっては市町村の人口格差が多いところもありますので、そういうものがいかにバランスよく配置されているかというところまではいっていない。むしろコアとなるような連携室の設置状況ということで理解しておりますが、具体的な要望がどう必要かというのも、先ほど、いわゆる構想区域の情報がもうちょっと明確になってきた段階で示されていくのではないか。特に、今、地域医療計画が各都道府県で進んでいますので、それらの進捗状況と合わせて見ていく必要があるのではないかと考えています。

○山口構成員 今、各都道府県が出している医療機関の検索システムの中で在宅をやっている診療所を検索することができる都道府県、ふえてきているのですけれども、在宅療養支援歯科診療所を患者側が知る手段というのはどのように探すことができるのでしょう。

○佐藤構成員 多分、都道府県で少し違いがあるかと思います。山口構成員がごらんになったものでも、検索システムで見ても非常にわかりづらい検索システムで、虫眼鏡が要るようなシステムもありますし、それから、ワードを入れてヒットするところもあるようです。ですから、全国を見渡してみて、一概にこうですということは言えませんが、基本的には在宅の療養支援歯科診療所というのは施設要件になっていますので、行政的にはこれはわかるということになります。ただ、行政でそれが全部記載されているかというと、それはそういう実態にはないという理解でおります。

○新田座長 ありがとうございました。ほかに御意見ありますか。

○飯島構成員 これは佐藤先生への御質問というよりはコメントであります。

 今後の在宅歯科医療の取組を聞かせていただいた上で、なかでも特に地域での医療連携の推進ということを強調していただきました。実は、この会議とは別に、私自身が責任者として推し進めながら、日本歯科医師会様にも絶大なるサポートをいただいている、あるプロジェクトがございます。内容としては「地域における多職種連携・多職種協働として取り組む食支援」というプロジェクトを今動かしております。今年度から立ち上げた取り組みなのですが、「食・栄養管理」という視点で、多職種全員で本当に食支援というものにこだわり、しかも地域内の食支援システム(もしくは食支援パス)として取り組んでいける方向性を狙いとしております。全国への調査を済ませ、全国にはすでに先進的に取り組んでおられる地域もかなり存在するようです。よって、そこから何を学ぶのか、そのようなシステムをどのように立ち上げ、その構築してきたプロセスがどうであったのか等の情報を今学んでいる最中なのです。

 ですので、これは歯科の先生方からの発信も当然必要ですけれども、我々のような歯科でない他の職種メンバーたちがいかに最期までの栄養管理、それこそ最期までどうにか口で食べられるようにという部分を今改めて意識し直し、そして個々の職種の強みを生かしながら、連携のスクラムを組んでいくことが重要かなと思っております。さらに付け加えるならば、この在宅医療の分野だけではなくて、いわゆる要介護の前段階である「フレイル」の状態からも積極的に栄養管理を強化していくことが一番重要であるということは明白です。現在、「リハビリテーション栄養」と言われている言葉があり、非常に注目されております。すなわち、単にリハビリをやるのではなくて、しっかり栄養面も底上げした上でリハビリをやらなければいけないという意味です。現在の医学会の流れとして、このリハビリテーション栄養に関してもしっかりとしたエビデンスが出てきております。この視点も全部の職種が栄養管理(食と口腔機能)というものをどのように改めて再認識するのかが大きく問われていると思います。それを再認識し直しながら、その上で歯科の先生方に司令塔になって頂きたいと思っているところであります。

 

 以上です。

○新田座長 飯島構成員、ありがとうございました。食というのは、単に医学的要因だけでなくて、倫理的要因も含めて在宅療養を最後までということでとても重要な話だと思っています。佐藤構成員、何か御意見ありますでしょうか。

○佐藤構成員 さまざまな御意見、ありがとうございました。私ども、先ほどの三師会の御質問、加わっているメンバーとして思っていますのは、地域での在宅を含めたさまざまな連携というのは、先ほど申し上げたとおり、看取りについては申し上げたとおりでございますが、医科診療所でいかに有効に、そして有機的につながっていくかということは、我々、在宅歯科医療を進める上で最も重要だと思っておりますので、先ほどの三師会の取組というのはもとより具体性を持っていくのだろうと思っていますし、きょうは日本医師会、歯科医師会という立場ですが、これを全国の都道府県歯科医師会のレベル、そして郡市区歯科医師会のレベルまで最終的にさまざまな連携、特に食支援の連携というのは、在宅と食支援ということは切っても切れない問題ですし、また医科側からも要望の強い部分だと私ども理解しておりますので、今後、より地域で具体的な密着した取組を進めていきたいと思っております。

○新田座長 鈴木構成員、日本医師会かかりつけ医研修の中においても、摂食嚥下評価等も含め重要な項目で講義が入っていたと思っておりますが、どうぞ。

○鈴木構成員 そうですね。第1クールでも摂食嚥下の項目を入れましたし、3年目に栄養の項目を入れました。第2クールではさらにそれらを総合的に取り込んで研修していこうという予定にしております。我々にとっても重要なテーマだと考えております。

○新田座長 ありがとうございます。

 西澤構成員どうぞ。

○西澤構成員 鈴木先生にお願いですが、この日医のかかりつけ医機能研修はいい研修だと思いますし、非常に多くの方々がこの研修を受けているということは結構なことだと思いますが、研修を、受けた先生がどのように在宅医療に関して変わったかというあたりを、今後、アンケートとか、あるいは何かで調べていただきたい。すなわち、この研修を受けて、今まで在宅医療をほとんどやっていなかったけれども、在宅医療をするようになった、あるいはしていて、さらに充実したとか、そのようなデータ、研修のアウトカムがあると非常にいいし、また日医としても非常にアピールできるのではないかと思います。ぜひそのような研修修了者に対するアンケートやデータ、それから、できれば地域でもし変わっている例があればすばらしいことなので、調査していただければと思います。

 以上です。

○鈴木構成員 ありがとうございます。今年度から研修の後にアンケート調査を行うことにしておりますので、そうしたデータも収集したいと思いますし、それとは別に行った日医の診療所調査では、内科の先生の45%、外科の先生の40%が、この研修を既に受けたか、今後受けたいと答えています。その他の診療科の先生は2割前後でございますが、多くの先生方がこの研修について強い関心をもたれ、あるいは既に受講されているというデータは出ております。

○新田座長 恐らく西澤構成員の言われたのは、在宅医療の基本をかかりつけ医とする以上は、そこにきちっと評価、アウトカムがどうなのかという、そんなことを含めてというふうな御意見だと思っております。よろしくお願いいたします。

 そのほか御意見ありますでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。御意見があれば、また後ほど伺いますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日、在宅医療の普及啓発に関する取組について、中村参考人、小寺参考人をお呼びし、事例紹介をいただきたいと思います。中村参考人、小寺参考人、よろしくお願いいたします。

○中村参考人 よろしくお願いします。

 「多職種協働による演劇を通した在宅医療、地域包括ケアの普及啓発」ということで、神戸市の垂水区では、数年前から継続的にこういう市民フォーラムの中で演劇をしています。手づくりの劇ですね。私たちが伝えたいいろんなメッセージをわかりやすい形で、市民の皆様、区民の皆様にということで行っております。

 2ページ目をお開きください。神戸市は9区あります。垂水区というのは、西区とともに一番西にあります。隣は明石市です。明石海峡大橋というのがありますけれども、実際は垂水にかかっている橋でございます。このように、面積としては小さいほうから3番目ということで、3ページ目ですね。

 神戸市の人口が9区合わせて154万人ですけれども、垂水区の人口が9区中2番目の22万人、年齢別の人口としては、65歳以上の人口が6万3,000人ということで、神戸市9区の中で一番高齢者が多い。ただ、要介護認定率は他の区に比べて低いということで、元気な高齢者が多いということで自慢しております。

 次、4ページです。垂水区は比較的早くから多職種の連携の事業を進めております。これは2009年ですか、8年ぐらい前に、県の事業で在宅ケアチームづくり支援事業というのがありましたので、それで、私、手挙げをして、いつもお世話になっています先生やナース、ケアマネの方、薬剤師の方等にお声がけして、十数名だったと思いますが、こういう会をつくりまして、毎月勉強会。

 次の5ページ目ですが、このように、病院の会議室をお借りして、毎月、事例検討会だとか、いろんなテーマで、いろんな職種、皆さんと一緒に考えようという意見交換ですね。各職種の役割を理解するには一番いいツールだったと思いますけれども、こういうことを始めました。

 ただ、こういう会ではいつも愚痴になってしまって、何でこういう仕組みができないのかなとか、そういうことが多かったもので、次の6ページ目ですね。翌年に、垂水区医師会が行政と一緒になって、垂水区在宅医療介護福祉連携委員会、今現在は地域ケア推進検討委員会になっていますけれども、これを2カ月ごとに行いまして、このように、参加団体は、三師会とか、ほとんど全ての職能団体の方に入ってもらっていまして、それから行政の方ですね。社会福祉協議会も含めて。このような形で隔月開催して、それぞれ抱えている課題をみんなで共有しようという会を持ちました。この中でいろんな事業を進めましたけれども、ケアマネ対象の勉強会だとか事例検討会だとか、グループワークも含めて。

 その中の一つの事業として、次の7ページ目。市民フォーラムというのを行うようになりました。最初にテーマとして挙げたのが退院ということです。昔の退院は、この絵のように、非常におめでたいことで、極端な話、死ぬまで入院させてくれていた時代もありました。したがって退院というのは本当におめでたいことだったのですけれども、現在は早期退院を迫られる。

 急性期病院だと10日とか2週間で退院ということで、次の8ページにあるように、いろんな不安を持って、本人、家族の方、おうちに帰られる。お風呂はどうしたらいいのか、トイレに連れていけるのかなあ、おむつ交換は一人でできるだろうか、リハビリをもっと続けたいんだけどなあ、いろんな管が入っているけど大丈夫かな、急に容体が変わったらどうしよう、お薬をちゃんと間違えずに飲めるかなあなどなど。2000年に介護保険制度が始まりましたけれども、かかわる職種はふえたけれども、それぞれ本当に連携しているのかなと。紙一枚の連携になってないのかなということもありまして、こういうことで、それぞれの職種がどんなことができるのかということで、第1回目、これは2012年ですけれども、講義でやりました。これはいろんな方、行政の方も出ていただいて、病院連携室、ケアマネージャー、介護施設、訪看ステーション、歯科医師、薬剤師さんに話をしてもらいました。

 ところが、ちょっと手応えがどうなのかな、もう一つ理解力がどうなのかなあということが皆さんの印象としてありましたので、第2回目、10ページ目ですね。劇を始めました。これは、石原裕次郎ではないです、石ヶ原裕次郎さんという架空の方を主役にさせていただいて、シナリオ書きから、役者、裏方、音楽、照明とか、その他全てみんなで、専門職でつくりました。こういう劇を始めました。これは動画があると思うので、ちょっとお願いします。

(動画)

 これは「退院を告げられて」ということで、ここでちょっとストップしてください。ここは病院での、地域連携室で退院を告げられるシーンということでつくりました。ここは、病院の先生、それから地域連携室の看護師長がもうすぐあらわれます。それから、あそこにいますのが看護師長さんです。これは実際の病院の連携室の師長です。それから、立っているのが奥さん役で、これはケアマネさんです。それから、ここに車椅子に座っていらっしゃるのが長田区の医師会の会長さん。この方が石ヶ原裕次郎さんなのですけれども、ということで、ちょっと進めてください。

(動画)

 こういうシーンから始まる劇をつくりまして、この後、家に帰った裕次郎さんをいろんな職種の人がおうちに訪問して、私はこういうことができますよ、私はこういうこともできますよというようなことを、こういう1時間ちょっとの劇としてお示ししました。

 その後、この手応えが非常によかったもので、みんなその気になりまして、では次やろうということになって、次は11ページ目をお開きください。

 現場では認知症の方をどう支えるかというので、非常に大きな問題だということで、認知症の人たちも私たちが支えますということで、「裕次郎さん 認知症サポーターになる!」という劇をしました。

 その次に12ページですが、これが好評だったので、今度、神戸市のほうからやってくれということで、神戸市の認知症市民フォーラムで同じような劇を上演しました。これには、このように、垂水区の当時の区長さんも出ていただきました。

 それから、13ページ目ですね。これは第5回目の市民フォーラムの劇ですけれども、201511月、これは「幸せな人生を送るために」。いわゆるリビングウィルとかも含めて、人間、生まれてきた以上死ぬのだから、必ず訪れる、必要なときに必要なことを大事な人に伝えるべきではないかということを、なかなか話ではしにくいところを、劇を使ってこういう伝えにくいテーマ、笑いを交えながらということで行いました。これも1分ぐらいの動画がありますので。

(動画)

 ちょっととめてください。これは在宅で、おじいちゃんが亡くなるというシーンですけれども、おばあちゃんがいて、その娘ですね。この娘さんが垂水区の保健福祉部の行政の方なのです。それから私がいて、訪看がいて、その隣にいるのは遠くから来た親戚。これが厄介なのです。家で見ようと最後まで決めていたのに、わいわいがやがや言って、こんなのほうっておいていいのかというようなシーンですね。お願いします。

(動画)

 親戚の方の役は歯科医師会の会長です。

 ということで、こういう劇をやりました。

 次に14ページ目。「幸せに最後を迎えるための5か条」ということで、わかりやすいような形で、「今を充実して生きましょう!」「何でも話せるかかりつけの先生を持ちましょう!」「あんしんシートを書きましょう!」「家族で話し合う時間を持ちましょう!」「医療の意思表示を書いてみましょう!」ということを区民の方々に5か条として伝えたというようなことをしました。

15ページ目ですね。何で劇かということですけれども、まずは市民への理解と啓発ということで、デリケートで深刻な内容も笑いを交えて大事なことをわかりやすい形で伝えることができる。

 それから、その証拠ですけれども、16ページ目ですね。第1回目の講義のとき、皆さんにアンケートをして、理解度をちょっと見てみたいなということで。そうすると、このような形で、「在宅で受けられる支援がわかった」「職種それぞれの役割がわかった」「退院について安心感が増した」「退院について理解が深まった」「退院時のイメージができた」。このぐらいの理解率だったのが、劇にするとこのようにすごい理解度が上がったということで、これでますます皆さん気をよくしてしまいまして、またやろうということになったのですけれども、実際の市民の方のアンケートの内容ですけれども、かいつまんでちょっと御報告します。

17ページです。「終活の大事さを痛感しました。子供たちと話し合っておきたい」「社会全体がこのような終活の意義を理解できれば幸せな最後を迎えられます」「デリケートな問題ですが、劇にすることで理解しやすくてよかったです」というアンケート。

 その次の18ページです。「自分も母を看取ったけれども、最後、ああすればこうすればよかったとの思いがずっと続いていました。きょうの後半になってようやく心の曇りが晴れたように思います。きょうは本当によかった」「自身も主人を在宅医療で看取りました」。自分の体験に合わせていろんな思いを皆さん感じていただいたようでした。

 それから19ページです。これは2016年、去年ですが、市民フォーラム第6回目ということで、在宅、在宅といっても、自宅で最後を迎えることはなかなか厳しく、多くの方が介護施設だとか高齢者住宅のほうで最後を迎えることが多いということで、介護施設、高齢者住宅に関して、今度はわかりやすく皆さんに伝えられないか。いろんな施設があるけれども、たくさん施設があり過ぎてわからない。どういう人が入れるのか、認知症だったら入れるのか、認知症だったら入れないのか、最後までここに入れるのか、医者はいるのか、看護師はいるのか、お金は幾らかかるのだとか、そういうことをいろいろリサーチしまして、いろんな専門職がいるから、シナリオの中に入れ込めるので、高齢者住宅・介護施設はということで行いました。

 このときには、歌手で俳優の佐川満男さん、垂水区の在住の方で、うちのすぐ近くに住んでいらっしゃるのですけれども、ノーギャラで、ボランティアで出ていただきました。本物の消防隊が出たり、いろんな方々が出演していただきまして、次の20ページ目ですね。今の久元市長も応援に駆けつけていただきましたし、現在の山田区長も、垂水のキャラクター、ごしきまろと一緒に出演していただいたり。

 これも最後に動画、1分ほどですけれども。

(動画)

 これは認知症役で当時の垂水区長がこういう形で出ていただきました。隣の方は保健センターのドクターです。

21ページをお開きください。何で劇かということですけれども、もう一つは、見ている市民にとって身近な職種が出演している劇を見ることによって親近感と安心感が出てくるということで、これも市民のアンケート、22ページですけれども、「地域でこんなに多くの方々が頑張ってくれていると思うと感謝でいっぱいです」とか、「自分の親がまさしくこのステージ。なんか涙して見ていました」「たどたどしい感じがよかった。先生、最高!」とか、「5条のことを前向きに考えてみたいです。在宅医療でお世話になり心強かったです」というようなアンケートをいただきました。

 最後に23ページ目です。何で劇かということですけれども、もう1つは、この劇づくりをするのにかなりみんなで集まります。何回も何回も、夜遅くまで、いろんなことを言い合いながら、いろんな練習をしながら、みんなが集まると自然にみんながつながっていくのです。これはふだんの仕事ではなかなか見えないようなことが見えてきますし、このつながりのほうが地域にとって財産になっているのかなと思います。

 それで、「劇作りに参加した専門職の声」が24ページにありますけれども、ふだんお会いする機会のない介護にかかわる方々とお話ができたり、多方面の方々と直接相談できるようになって、地域の一体感を実感したとか、顔の見える連携ができた。それから、この劇づくりの練習自体が多職種による地域包括ケアのモデルではないかと思ったとか、そういう意見をいただきました。

25ページ目、第1回目の、これは劇づくりにかかわった職種の数とその推移をあらわした表ですけれども、第1回目は23名、このときは10職種でした。これは毎年やっていまして、この間やった劇では20職種70名の方がこの劇づくりにかかわるということで、皆さん集まっていただきまして、26ページにありますように、このような形で、「皆様の地域で私たちが支えます」ということで。

 ホチキスどめの2枚もので、「裕次郎さんのまちづくり宣言」というのがあります。これに全ての職種の人がどんな役割をしているのか、キャスティングですね、これがあります。これを見ていただければ、いかに多くの専門職の方がこの劇づくりに加わっていただけたかということがわかると思います。

 それから、27ページ、「劇作りの実際」ですけれども、何人かのメンバーで、最初、テーマについて考えて、そのテーマについていろいろ意見交換をして、劇の練習をしながら、せりふの読み合わせをしながら、みんながそれぞれの、いや、こんなところでこんなことは言わないよとか、いや、これは違うでしょうとか、いろんな専門職の人がいろんな意見を出してきてシナリオをつくっていく、で、劇も一緒に練習するというようなやり方をしています。

28ページですけれども、「市民啓発」という観点からは、劇の完成度というのは余り重要ではないのです。素人ですから、滑ったり、せりふを間違えたりしたほうが区民の人も喜んでくれたり、親近感を持っていただける。ただ、言葉だけでなくて、ビジュアルとかストーリーと組み合わせることで非常に強くインパクトがあるのではないかと思っています。多職種連携の観点からもいろんな人のいろんなことが見えてくるから、より強い連携関係が生まれるのではないか。終了後の一体感というのは、ほかでは決して得られない体験であるということも言えるかなと思います。

 この劇ですけれども、神戸のほうではいろんなところに広がっていまして、神戸市の北区でも同じような劇を、垂水区のスタッフを応援で派遣しまして、それから、海を越えて淡路島でも同じ劇をやりました。それから、灘区、兵庫区、それから宝塚からもオファーが来ていまして、これをやると、1つは、わかりやすく市民の方に伝えることができるというのと、やはり連携づくりが進むという一石二鳥というところではないかと思います。30ページですが、全国各地で取り組むためには、やはり行政と医師会が協働するということが大事でそうするとたくさんの職種の人に集まっていただけます。

 それから、医療介護連携事業の「市民啓発」に位置づけて、連携拠点、医療介護サポートセンターが全国にできてきています。そういうところを拠点、窓口として取組を進めていかれたらどうかということと、あとは、やはり劇をつくるノウハウを見える化してということも大事かなと思っています。

 あとは、行政との連携に関して、小寺課長のほうからよろしくお願いします。

○小寺参考人 それでは、劇に関しての「行政との連携」について、神戸市垂水区の保健福祉部健康福祉課長の小寺と申しますが、ちょっと説明させていただきます。

31ページのほうをごらんください。先ほど説明がありましたとおり、もともとは患者の地域ケア等を検討する医療介護関係者のネットワークのほうからこの劇は始まりました。民間主体での活動でした。その劇に、多職種連携の目的のもと、行政の関係者も出演するようになりまして、劇の広報面では行政から積極的に協力しておりますし、それからさらに、劇を支えるためには、人的な、あるいは財政的なサポートも必要であるということで、現在は、医療介護サポートセンター、在宅医療介護連携支援センター、こちらの実施事業に位置づけております。

 次の32ページをごらんください。「行政関係者の出演」ですけれども、垂水区の区長とか部長、それから保健師などが出演しています。神戸市長にも登場いただきました。私も、今の現職、3年目になるのですけれども、毎年、主人公の家族の役ということで出演させていただいております。行政の立場でも、この劇に参加することで、医療・介護関係者との顔の見える関係づくりということで非常に役立っております。行政実施の事業で地域ケア会議、それから高齢者虐待のネットワーク会議、その他認知症のライフサポート研修など、いろいろと事業があります。また、ふだんの高齢者虐待とか障害者なんかの個別のケース対応においても、この関係を通してスムーズな依頼とか意思疎通、活発な意見交換につながっていると実際に実感しております。

 神戸市のほかの区からも、こういった取組というのは非常にうらやまれておりまして、地域包括ケアを支える関係者間のネットワークが非常に密であって、垂水区は安心の医療・介護で暮らせるまちと誇れる地域であると私も感じております。

 次のページをごらんください。「広報の支援」ですけれども、行政が積極的に広報を行うことで多くの市民の方に周知し、事業に関心を寄せてもらうことができます。全世帯に毎月配布しております区の広報紙に掲載したり、フェイスブックページでの発信、それから市政記者への資料提供、その他、自治会とか民生委員、地域包括支援センターなど、地域に行き届くようなチラシの配布ということで積極的に広報させていただいております。

 それから次、「市の委託事業に位置づけ」ということですけれども、これまで民間主体のネットワーク会議が主体で運営しておりましたけれども、さらに継続充実させていくためには限界もあります。そのために、行政からの人的な、財政的なサポートが求められるところですけれども、神戸市の垂水区では、昨年度平成28年度に、垂水区の医療介護サポートセンター、在宅医療・介護連携支援センターが立ち上がっております。神戸市より、神戸市の医師会が委託を受けて運営しております。

 このセンターでは医療・介護の連携のためにさまざまな事業を行っておりますけれども、今回の劇による在宅医療・介護の地域住民への啓発であるとか、劇の制作を通じた専門職間の意見交換というのがこういった目指すべき目的と合致しているということで、現在はセンターの実施事業に位置づけまして、コーディネーターが事務局的な役割を果たしております。今後も、このセンターが中心になりながら、多職種間のネットワーク構築を継続していくことを期待しております。

 先ほどの説明にもありましたとおり、医師会が積極的にこの活動に参画していただいて、行政のほうも支援して、お互いにタッグを組んで協働していくことがこの劇づくりを成功させるポイントであるかなと思います。そのことで、ほかのさまざまな職種も一緒に参画しまして、市民に行き届くような充実した劇をつくり上げていくことができるのではないかと思います。

 それでは最後。

○中村参考人 35ページですね。これは10日ほど前に、パート7ということで、「認知症の人たちも…私たちが支えます」ということで、これは実はG7保健大臣会合が去年の9月に神戸でありまして、神戸宣言、認知症まちづくり、その一つの柱として、「認知症にやさしいまちづくり宣言」というのを行いました。そういうこともあって、今度、認知症の人たちも私たちが支えますということで、「裕次郎さんのまちづくり宣言」どういうまちにしたらいいのかということを各職種の方がそれぞれ考えて、この劇の中に盛り込んでつくらせていただきました。これもご好評をいただいております。

 最後ですけれども、36ページです。「まとめ」ですけれども、一から始めるのはなかなか難しいかなということですけれども、サポートがあれば可能だと思います。それ相応の労力が必要ですけれども、そういったツールをうまく使えば、かけた労力以上の成果が必ず生まれると思います。その結果、他の方法では得られないような「市民啓発」と「多職種連携」が可能になるのではないかと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

○新田座長 ありがとうございました。医療介護センターというのは地域包括センターと同じですか。

○中村参考人 いや、地域包括支援センターではなくて。

○新田座長 別にあるのですか。

○中村参考人 はい。

○新田座長 わかりました。了解しました。

 では、御質問をよろしくお願いいたします。

 山口構成員。

○山口構成員 どうもありがとうございました。劇づくりという専門外のことを医療、介護の専門家の方たちが集まってされることで、多職種連携とコミュニケーションにつながっているという、とてもすばらしい取組ではないかなと思いました。

 3つほど質問があります。今回DVDをお配りいただいていますけれども、これはこの劇に参加できなかった方がどこかで集まってこういうものをごらんになって、区民の方たちが、さらに多くの方が知る機会があるのかどうかということ。それから、多職種連携ということの実際の効果が上がってきているということと、患者さんのアンケートによっての理解度が飛躍的にふえたということはわかりましたけれども、実際に垂水区内で在宅医療に取り組むような、例えば診療所がふえるとかか、7回重ねてこられた中で患者さんや住民の方の行動の具体的な変化がそろそろ出てきたなということを実感されているものがあれば教えていただきたいということが2つ目。

 そして3つ目として、元気な高齢者が多いというお話が最初にございましたけれども、もともと何かそういう取組とか素地みたいなものが垂水区にあったのかどうか、その元気なお年寄りが多いという理由が何かということを教えていただきたいと思います。

○新田座長 よろしくお願いいたします。

○中村参考人 DVDに関しては、十分ではないのですけれども、それなりの関係職種の方には一応お配りしております。まだ一般の市民の方まで配布したり販売したりということはしておりません。ただ、予算の関係もありまして、今後はどんどんそういった関係職種の方にも広く配布していこうと思っております。

 それから、2番、その効果というのは、例えば在宅医療を見て、ドクターもかかわりがだんだん多くなってきているのです。今、垂水区の医師会、160名いる先生方の中で10名ほど参加していただいているのですけれども、そのほかの先生方が実際見にきてくれるかというと、なかなか少ない。参加された先生は、皆さん、いろんなことが、医療介護連携、職種との連携がスムーズにいったということは言われています。それ以上に、連携で困っているのは、多分、医師でなくて、ほかの職種の方が困っていると思うのです。いろいろお話を聞くと、そのほかの介護関係の方、ケアマネの方とかが、本当に垂水区は連携しやすくなったと言われていました。医師からはあまりそういうコメントを聞いたことありません。元々連携に困難を感じていないということです。

 それから、最後の質問は行政のほうから。

○小寺参考人 垂水区のほうにどんな素地があったのかということだと思うのですけれども、最初に説明させていただいたような、多職種の勉強会をしていたというのがありますけれども、実際、垂水区って、住民、人口、それから高齢者が多いというまちでもありまして、在宅医療ということにも関心をお持ちの医師、それから専門職がたくさんいるまちだったと思います。

 その中で、こちらの中村先生がリーダーになっていただきながら勉強会をしていただく、その中で劇をやることが非常に有効であるという気づきがあった中でやってまいりました。その辺の気づきが非常に早かったのではないかと思います。そういったことが地盤になりながら今の形にどんどん発展していったのかなということで、行政もそれとタッグを組みながら一緒にさせていただいているところです。

○新田座長 山口構成員。

○山口構成員 提案ですけれども、予算の関係があって、こういうのを販売したりたくさんつくるというのは無理だと思うのですが、持っていらっしゃる専門家の方が貸し出しなされば、例えば診療所であるとしたら、患者さんに貸し出しますというようなことをいろんなところでされると、実際に見に行けない方もたくさん啓発につながるのではないかと思いますので、そういう貸し出しということをされてはどうかなと、今、お聞きしていて思いました。

○中村参考人 ありがとうございます。

○鈴木構成員 具体的に医師会と行政の連携の非常にいい例を見させていただいて、私もうれしく思いました。山口構成員が心配されていた医療と介護の上下関係も、こういう取組を通じてなくなっていくと考えられますから、逆に医師以外の方のほうが連携がしやすくなることは大きな成果だと思いますし、市民の方々への啓発にも非常に有効だと思います。

 それにしても、関西の方は劇がお好きですね。長尾和宏先生も、近隣の尼崎市ですが、当時劇団死期って、死ぬ時期の死期ですよ。地域によっては不謹慎だという話が出るかもしれないようなことを平気でやって笑いをとってしまうことは関西のすごさだと思うので、全国で同じやり方が通用するかどうかはわからないけれども、地域性に応じた取り組み方という意味では一つの非常に有効な方法だろうと思いました。ありがとうございました。

○新田座長 ありがとうございます。劇をつくるというのは、一つ一つ言葉が大変で、皆さんで議論するというのは、地域ケア会議よりもさらに進む議論ができるような気がしてちょっと聞いておったのですが、どうでしょうかね。

○中村参考人 ありがとうございます。まさしくそのとおりで、ただ、皆さん対人職種で、いろんなことをうまく伝えたいとか、話したり説明したりというのは、もともとそういうスキルがある方なので、一緒に話しているといろんなことが展開されていって、それぞれの役割をそれぞれ、この方はこういうことをやって、こんなことを考えてはるんやなあということが本当に手にとるようにわかるので、そういう意味ではすごくつながりが深くなるし、いろんなことで連携が進んでいくように思います。

○新田座長 鈴木構成員。

○鈴木構成員 先ほど座長が、これは地域包括支援センターですかとお聞きになったけれども、それは違うわけで、いわゆる在宅医療連携拠点のことですね。これが初めて有効に機能しているという非常にいい例だと私は思います。地域包括支援センターと在宅医療連携拠点の両方が活躍しないと地域包括ケアは進んでいかないと思います。

○新田座長 ありがとうございます。さらにこの中に病院医師を入れるといいですね。つくり上げるのに。どうなのですかね。

○中村参考人 今年度、先日行った分でも、病院の院長先生も出ていただきましたし、中央市民病院の連携室の看護師長はずうっと前から出ていただいておりますので、そういう意味での病診連携にもつながるのかなあと考えています。

○新田座長 ありがとうございます。そのほか御意見等ありますでしょうか。

○齋藤構成員 大変ユニークな取組の御紹介をありがとうございました。一通り聞いておりますと、手段は劇ということでございましたけれども、実施していくプロセスが非常に重要なのだろうなと思いました。恐らくこの劇の脚本をつくっていく中で、何度か定例会議を開きお互いの考えを口角泡飛ばして議論を展開し、そしてこれに至っていると思われます。うまい下手ではなくて、そのプロセスが非常に重要なのだろうなと感じておりました。

 私ども日本看護協会でも、地域の単位で、多職種連携での住民参加型のイベントを企画、実施しながら地域の中でネットワークをつくろうという事業を3年がかりでやっていて、今、60箇所ができて、どんどん広がっています。やはり同じように、そのプロセスの中で、ふだん顔の見えなかった人たちと関係性が持てるようになって、その後、実務上でも非常に連携がうまくいくようになったという声は聞いております。こういったことを行政もバックアップするということも非常に大きいと思っておりまして、これは恐らく地域支援事業の一環での医介連携の部分だと思うのですけれども、そこの広がりを今後期待したいと思っております。

 それで、1つ質問なのですが、これは郡市区医師会等の非常に強力なリーダーシップが功を奏していると思うのですけれども、先ほど中村参考人がおっしゃったように、医師の中でも参加する方とそうでない方がいらっしゃるということでしたが、これから医師の参加を広げてるときに、方法としてはどういったお考えがあるのか、それを1つお聞かせいただければと思います。

○新田座長 中村参考人、どうぞ。

○中村参考人 確かに、地域包括ケアで多職種連携事業というのを進めていく上で一番、どこの地区でも恐らくそうだと思いますけれども、やはり医師が問題だと思うのです。医師の参画が少ない。いろんな多職種連携のイベントをしても、一番出てこないのは医師です。出てきていただくドクターは、もう来ていらないぐらいの先生で、本当は来ない先生をいかに引っ張りだすかということが我々のいつも思っている悩みですけれども、医療介護サポートセンターもできました。その中でいろんな事業をやっています。例えば認知症のことだとか、看取りの委員会をつくったり、要援護者支援をどうするかとか、在宅勉強会の委員会、小委員会をいっぱいつくっているのですけれども、その中に先生たちを入れ込むのです。で、事業を一緒にする。いわゆる場づくりが大事かなと。場を設定してあげることが僕らがやるべきことかなと。そういうドクターといろんな職種の人が一緒に集まるような、こういう場をつくって参加してもらうということが一番手っ取り早くというか、それをまずやるのが大事。そうすると、やはり意識の高い先生方はどんどん入っていってくださるかなと思いますし、ほかの職種の方も盛り上げてくれると思うので、そのように考えております。

○新田座長 齋藤構成員。

○齋藤構成員 今のお話、私も大変参考になりました。ぜひ鈴木構成員にもお願いしたいところですけれども、先ほどご説明のあったかかりつけ医研修ですが、医師を対象とした研修ですけれども、先ほど山口構成員から、水平の関係をつくっていくときにどういう工夫があるのかという御質問があったかと思います。そこで、今のような場をつくっていくこととか、それから、かかりつけ医の研修にぜひ多職種を交えたカンファレンスや事例検討、困難事例などを積極的に取り組んでいただけると、医師への相談のハードルというのがぐっと下がるということだと思います。また、医師の側でも、医療従事者ではない人たちとの協力関係の構築や同じ医療職の中でも非常に信用が高くなることもあると思いますので、かかりつけ医の研修に多職種での事例検討、それから、今のような場づくり、ぜひ入れていただき広げていただければと期待しています。

○新田座長 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 ありがとうございます。ぜひ今度開きます三師会と日看協の意見交換の中で具体的に話を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○吉田構成員 まずはきっかけが研修会ということで、その中に薬剤師も参加していたようでよかったなと思います。連携に関連して薬剤師や薬局は、日ごろは処方箋を通じて薬の中で医師やほかの職種とかかわり合いがあるのですけれども、地域の中ではつながりがなかなか持てないのが現状でありますので、ぜひいろいろな連携をするときでもお声がけしていただいた上で、栄養の問題もそうですけれども、患者になる前の段階で、ファーストアクセスで薬局というものがありますので、ぜひ協力させていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

○中村参考人 私、個人的にも薬剤師さんとすごく古くから連携しております。確かに薬剤師さんはドクターと比べて真面目な人が多くて、いろんな知識はあるのだけれども、地域の中でなかなか薬剤師さんの顔が見えてこないというか、在宅医療チームの一員になっていただきたいのですけれども、そのような感じがあるので、とにかく薬剤師さんを引っ張り出していろんな場に来ていただいて、いろんな話を聞いていただいて、それから薬剤師さんのアピールもしていただきたいということで、そういう場にどんどん参加していただくようにはしております。

○新田座長 鈴木構成員。

○鈴木構成員 薬剤師の方にも参加していただきたいと思うのですけれども、実際、在宅医療をする上で、ほかの職種、少なくとも薬剤師以外の三師会や看護師の方々は医療機関で臨床を経験されてから在宅医療されている方が多いと思うのですけれども、薬剤師の場合最初から調剤薬局やドラッグストアに就職すると、臨床を知らないまま過ごしてしまい、それで在宅医療に尻込みされる方が多いのではないかと思いますので、私はぜひ医療機関で研修を受けていただけたらと考えております。

○新田座長 吉田構成員。

○吉田構成員 今の薬学生も多くが六年制になりまして、病院での実習も11週間という短い機会ですが経験しており、今後はやはり薬局だけでなく、病院との連携をしながら現場に入っていくというところも考えております。研修だけではなく、例えば医療機関等に薬剤師になってから、ほかの職場の人間も入っていけるような関係づくりをこれから考えております。

○新田座長 ありがとうございます。

 それでは、中村参考人、小寺参考人、どうもありがとうございました。

 その次の議論に行きたいと思います。資料3の説明の前に、前回、このワーキンググループで、さらに議論を深めるために小グループをつくって議論するということを承認いただいたわけですが、これは固定されているメンバーでありませんが、前回集まっていただいた飯島構成員から、その小グループの内容についてよろしくお願いいたします。

○飯島構成員 では、参考資料3を見ていただきたいと思います。全国在宅医療会議のこのワーキンググループでの議論をさらにどんどん推進していくための、まずは小グループということで、新田座長からちょっとお声かかりまして、暫定的ではありますけれども、4名が1回集まって議論してみました。ここに書いてありますように、新田議長、そして鈴木邦彦先生、そして私、そして松岡さんも同席していただきました。

1、2、3とありますけれども、まず1からお話いたします。前回の全体会議におきまして、「在宅医療の概念とは」というコメントがございました。この「概念」という表現はやはり固い印象があるために、むしろ「全ての職種を通じて『共通認識』を持つ」という方向がいいのではないかという意見が出ました。

 この「共通認識」とは、以前から討議の中に出ております「水平連携」ということではないかと思います。※印がありますが、今までは、病院側から在宅医療側へという、ある意味では垂直連携を意識してしまうような印象が確かに強かった現実はあります。とはいいましても、いかに安心ある在宅療養を守っていくのかという視点に改めて立ち、病院側及び在宅医療の実践側(これもかかりつけ医を中心として、在宅医療専門でやられている先生方も含めて)も、そして多職種協働を通じてみんなでサポートしていくという、いわゆる「水平連携」という共通認識を持つべきではないかと。

 エビデンス蓄積という言葉も言われておりますけれども、必然的に在宅医療を軸とした研究というものを推し進めていく中でも、この水平連携というものを意識した研究デザインも必要になってくるのではないかということは恐らく間違いないであろうと思います。

 2番目の点ですが、「在宅医療のエビデンス」に関してです。今までの流れを踏まえまして、従来の「エビデンス」という言葉には、1対1に対応するようなイメージがありました。例えば、病院を中心として展開されてきた従来の研究から生み出される一定方向の学術的知見等のイメージです。しかし、実際の在宅療養にはさまざまな背景をもとにいろんなゴールがあります。しかも、既に会議でコメントが出ていますように、いわゆるQOL(例えば生活の質、生活の満足度、ひいては人生の満足度などを含む)といった視点が成果物に色濃く入って意識するべきではないか。従いまして、従来のエビデンスというイメージで使用すると、ちょっと言葉としてはそぐわない点があるのかなあということであります。

 上記の在宅医療の概念にも関連しますが、在宅療養が長期化するほど、そして、病状がさらに厳しい状態になっていけばいくほど、我々専門職として携わる者は、疾患の管理を基盤とするという考え方よりも、先ほど来お話ししましたQOL、生活、人生の満足度などをいかに強く意識しながらサポートできるのかというのが大きな鍵になることは間違いありません。

 研究を推進していく方向性を考える上では、さきに述べましたように、水平連携を意識した研究デザインというものを考える必要があります。すなわち、患者様の流れとして、病院から在宅へ、逆に在宅から病院へという両方向の流れがありますので、その一連の流れを横断的に見ていくというデザインをしっかりやっていく必要があるのではないかという意見がありました。

 おめくりいただいて裏であります。最後、3番目の「在宅医療の標準化」です。「標準化」という言葉もよく会議で出てきます。この在宅医療におけるエビデンス蓄積という言葉は、言いかえれば在宅医療の標準化というものにもつながる話ではないかと思います。ここでのエビデンスという言葉の意味は、従来の病院側が中心に推し進めてきたイメージのものではないという前提であり、それが重要になります。

 従いまして、安心ある在宅療養を推進・継続していくための「多様性に対応できるモデル」の構築を行う、それをどうにか目指していこうではないかということで、いろいろな議論が話し合われました。 

 

 以上であります。

○新田座長 飯島構成員、ありがとうございました。

 引き続いて事務局から、資料3について説明をよろしくお願いいたします。

○松岡在宅医療推進室長 それでは、資料3に基づきまして説明させていただきます。

 前回、このワーキンググループの中で中長期目標を設定するということを皆様にお認めいただいたかと思っております。その中で、各団体で共通の中長期目標というものをワーキンググループにおいて具体的に議論しようということで、こちらのワーキンググループのほうにリレーションされているわけでございますが、ちょっと復習みたいになってしまうのですけれども、裏側に返していただきまして、(目標設定のイメージ)というのがありますが、長期目標と中期目標に分けまして、長期目標は3つの柱に分けてつくると。長期目標の3つの分け方は重点分野に関する共通の目標ということになりますので、医療連携モデル、普及啓発モデル、そしてエビデンスの構築というこの3本柱に中期目標がぶら下がるのだと。その中期目標は、各団体がある程度まとまって合意できるような中期目標を複数置き、それに対して各団体の取組がぶら下がっていくというこの階層構造をつくるというようになっていたと思います。

 この中期目標をつくるに当たってどのようにやっていくかというところが今回の論点になろうかと思います。私どもといたしましては、事務局からの提案でございますけれども、まずは、重点目標を推進するに当たり対応すべき課題というものを各団体からも出していただきまして、それをまずはまとめる。それを出していただくときには、3つの柱にぶら下げる形で出していただく。余りここに関係ないものは出していただかないということを基本にして出していただく。

 例えばこの1-(1)医療連携モデルの構築なんかの場合でしたら、在宅医療の資源が乏しい地域や都市部での提供体制整備をどうやっていくのかということが多分課題になると思いますし、普及啓発モデルの場合には、例えば国民の在宅医療についての理解度の差とか在宅医療に対する不安をどうやって吸収していくのかなどなどといった話が課題になるだろうと思っています。多分、各団体で思っておられることというのはすごくたくさんあると思いますので、こういったことを集めていく。エビデンスにつきましては、在宅医療に必要なエビデンスは何か整理されていないというような課題もございます。

 このような課題を団体からいただきまして、それをこのワーキンググループ、もしくはその下の小会議のようなもので整理しながら、3月の全体会に向けまして中期目標を立てていくというようなことを考えたいと考えています。

 ただし、その中長期目標を設定するに当たりまして幾つか留意するべき点がやはりないと、わーっと広がっていろんなものが入ってくる可能性があるということと、余りこの会議でやっている意義がないということも考えられますので、私どものほうで留意するべき点として2つ例示しております。

 1つは、在宅医療の対象者というものに留意しないといけないということでございます。前回の全体会でも、小児を忘れないでくださいというメッセージがございました。私ども、2025年問題というような話をよくしますと、どうしても高齢者に寄ったような議論になってしまうのですけれども、当然、若年者とか、障害者とか、そういった方々にも在宅医療というものは供給されるべきものであり、当然それが対象になるということを忘れてはいけないということはやはり確認しておかないといけないのかなと。

 もう一つは、各団体同士で連携して取り組むことということです。つまり、一つの団体とか一つの職域、職種で済む話なのだったら別にここでやる必要は余りない。いろんな皆さんが集まってきていただいている中で取り組んでいくということを考えますと、各団体同士で連携して取り組めるような課題というものを挙げていただくことが必要なのではないかと考えております。

 このような形で課題の整理などを行った上で中期目標につなげていきたいというのが事務局側からの提案でございます。この提案につきまして皆様の御意見をいただければ幸いでございます。

 以上です。

○新田座長 ただいま、飯島構成員と事務局から参考資料と資料3について説明がありました。何か御意見、御質問があれば。

 山口構成員、よろしくお願いします。

○山口構成員 以前からずっと私が発言している中に、国民に対してもう少し啓発を進めていく、周知していかなければいけないということがあるのですけれども、これがやはり一番人数が多くて、一番時間がかかって、一番難しい部分ではないかと思っています。今、御提案のあった中の1-(2)「在宅医療に関する普及啓発モデルの構築」と書いてあるのですけれども、これは各団体がこのことについてもそれぞれ出し合って連携するということなのでしょうか。

 というのも、先ほど垂水区の例にございましたように、多職種連携した結果の産物として国民への理解ということにつながることはあると思うのですけれども、今までの動きを見ていますと、各種団体はそれぞれ在宅医療についてこういうことをやっています、こんなことに取り組んでいきますと。そういったことを目標として掲げられていて、国民にこういう内容、このように周知していく必要があるのではないかという中心にいるのは、私は厚生労働省ではないかなと思っていて、旗を振っていかないといけないのではないかなと思っているのですけれども、そのあたりの国民への周知ということ、啓発についてはどのようにここで整理、考えたらよろしいでしょうか。

○新田座長 松岡室長、よろしくお願いします。

○松岡在宅医療推進室長 おっしゃるとおりでございまして、私どもが旗を振れと。確かに旗を振らないといけないのは私どもだと思っております。今回皆様からいただきたい課題というのは、実際、各団体が今取り組んでおられる普及啓発の中で、ここが乗り越えられないとか、ここができないからうまくいかないとか、あとはほかの団体とこういうところで連携していけばもっとうまくいくのにというような課題がもしあれば、それはやっていただきたいと思います。

 ただ、私どもといたしましては、この会議を通じて、国民への普及啓発というものをうまく、国民運動と言うと非常に変な言葉になるのかもしれませんけれども、そんなものに何とかまとめ上げることができればありがたいかなとは思っております。

 以上です。

○新田座長 山口構成員。

○山口構成員 最初に重点課題をまとめたときに、一番に国民の役割ということがあって、ここできちんと知らせなければいけないのだということが位置づけられているわけですので、これはやはり進めていかないと始まらないというか、どこも始めようがないと思っています。ですので、具体的に私も提案は以前もしていますけれども、改めて提案したいと思いますが、ぜひちょっと前向きに考えていただきたいと思います。

○新田座長 たしか参考資料1の2.で「国民の役割」をトップに持ってきておりますね。これは順番の話でございますが、松岡室長、どうでしょうか。そこの点もまた議論したところではあるなと思っておりますが。

○松岡在宅医療推進室長 このワーキンググループを通じて、私どものほうから何か考え方を出せればいいかなと思っておりますので、きょうはちょっと持っておりませんけれども、また報告させていただきたいと思います。

○新田座長 山口構成員、これは全国在宅医療会議の参考資料1の2.の重点分野への対応に向けた関係者の役割等々で、1番に「国民の役割」と。この順番がもうここで出ておりますので、これはこれでどうでしょうか。この資料と整合性をとるということでしょうかね。

○山口構成員 位置づけられてはいるのですけれども、その具体的な対応ということがまだ何も出てきてない。そこをちょっと具体化していく必要があるのではないかと思っております。

○新田座長 鈴木構成員。

○鈴木構成員 目標設定はいいのですけれども、余り緻密に立てても、2025年まで、それぞれの団体が独自に活動をしていて、1年ごとに年度目標を立てますが、その中に織り込んでいかなければならず、了承がとれなければ実際には実行できないということになります。細かく決めても、実際には進まないということになりかねないので、その辺は、この会議の位置づけとも絡みますけれども、2025年は一連の改革の目標になっているので、それに沿った形でやるということであれば、取り組まなければならないのですが、それとこの会議との関係はどうなのか。地域医療構想が進んでいくわけですがそれはまた別なところで議論が行われていますし、実際に地域での取組がこれから進んでいくわけです。ですから、それとの整合性もあるし、余り先の細かいことを決めても実効性が担保できないということにもなりかねないので、その辺のバランスをぜひ踏まえて検討していく必要があるのではないかと思います。

○新田座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 どうぞ、松岡室長。

○松岡在宅医療推進室長 2025年を意識するというのは当然でございまして、今回も2025年が長期目標の一旦のゴールになっております。そういった意味では、2025年に対応するということでこの会議は今進んでいるということだと思います。ただ、忘れてはいけないということで、小児とか、そういうのも入れないといけませんよという話を先ほどしていただいたということです。

 もう一つは、おっしゃっていますように、粒度といいますか、粒の大きさといいますか、中期目標をどれぐらいのフレキシビリティを持ってつくるかとか、そういったことにつきましては、少しまた御相談させていただきながらつくっていきたいと思います。

○新田座長 ありがとうございます。ほかに御意見。

 川越構成員。

○川越構成員 まず連携のところですが、連携を考える場合、連携の対象によって議論を分ける必要があると思います。医療職とケア職といった専門職同士の連携の話をしているのか、行政と地区医師会といった組織間連携の話をしているのかによって、連携の方法論や課題が異なるからです。後者の行政と地区医師会の連携というのは、地域包括ケア構築において非常に重要な要素の1つですが、両者の連携の進め方の一例として、ご報告いただいた垂水区医師会の取り組みは非常に参考になるのではないかと思います。いずれにしろ、連携の対象によって分けた議論をすべきかと思います。これが1点目です。

 もう一つは看取りの件です。人生の最終段階における医療やケアのことを考えていくと、意思決定の支援のあり方、関係者間での合意形成のあり方が重要なポイントになってくると思います。また、意思決定支援のあり方を考える場合、どのような情報を提供するのかといった情報の内容に関することや、誰がどのように情報を伝えていくのかといった情報伝達方法に関することなど、テーマに応じた検討が必要と思います。なお、こうした検討を進めていく場合、相手にどう伝えるかといった情報提供側の論理で議論を展開するのではなく、相手にきちんと情報が伝わるためにはどうすべきかといった「誰のための連携か」を意識した上で検討を進めるといった姿勢が必要だと思います。

 また、住民への普及啓発の件ですが、専門職の視点で「きっと住民はこの辺りに困っているのだろう」と考えて方法論を検討するのではなく、住民の人が実際どこに困っているかをきちっと把握した上で、どのような対策をとるべきか、どんな仕組みが必要か、あるいは専門職はどのような関わり方をすべきかを検討するといった流れで課題を整理していったほうが良いと思います。こうした検討プロセスを経ることが、国民の役割の具体化や国民へのメッセージ性向上につながると思います。

 

 以上です。

○新田座長 ありがとうございました。

 井原構成員。

○井原構成員 在宅医療の概念という話ではないのですけれども、先ほど飯島先生のほうから「水平連携」という共通認識を持って今後考えていこうというお話がありました。重点分野でいろいろ挙げておられた事項ですね、在宅医療に関するエビデンスの構築というところで、実際、私も、三浦先生とお話しした中で、このエビデンスというのを集めていくに当たって、在宅医療の外縁がはっきりしないまま、エビデンスの構築を進めているというような認識がありまして、ここでは「水平連携」というのをキーワードに、ある程度緩やかにエビデンスを構築していく、あるいは、ここでいう普及啓発モデルを考えていく、キーワードは「水平連携」ということで目標なりを考えていくという理解でよろしいのですか。

○新田座長 これは飯島構成員からのほうがよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○飯島構成員 重要なキーワードの最たるものとして、水平連携というものを意識してデザインしていくことは必要であろうと思います。例えば、現場の専門職の方々に加え、我々のような研究者達もしっかりと関わることができる中で、それは意識してやっていくべきだと思います。水平連携というものの定義ということになってしまいますが、仰る通り、多くの方がその水平連携というイメージをふわっとした緩い感じでもいいので意識をして欲しいと思います。その上で、先ほどのエビデンスの件だけではなくて、その手前のモデル構築という部分も、国民に向けて実を伴う形でどのように具現化して提示するのか、などを意識すべきではないかなと、先日話し合ったばかりでございます。

○新田座長 本日、水平という言葉が出ました。それで、水平という中に、医療だけの水平ではなくて、たしか山口構成員と、今、川越構成員からもありました医療と介護の話、そしてさらに国民という。水平っていろんな取り上げ方が恐らくあるでしょうから、それは整理しなければいけないだろうなと思っておりますけれども、よろしいでしょうか。

 私たちはもちろん、例えばもう一度基本をやりますから、対病院対在宅というものではないよねというまず基本認識があって、そこの国民が病院、そして地域、在宅、それが連携のもとに、そこの居場所がいい場所で、そこで過ごせるということをきちっとつくっていくという話でございますよね。そのためには、今までの縦軸の、先ほど鈴木構成員から話しました垂直という概念よりもむしろ水平という概念のほうがそこでは見やすいだろうなというような感じがいたします。その水平線の中に、介護職、市民、国民も含めた水平というようなイメージワークがさらにできるかどうかも含めて皆さんに議論していただきたいなと思っておりますが。

 どうぞ。

○鈴木構成員 この間の話では、大きく言えばそうですけれども、それは少し広過ぎるので、ある程度在宅医療という視点で深掘りをしたらどうですかという話をしたのではないかと思いますけれども。

○新田座長 西澤構成員。

○西澤構成員 この垂直、水平というのは、当然今までも水平であるべきだったものがどうもそうでないところがあり誤解もあるということで、今回改めて水平連携という言葉を使った。これはいいと思います。それと、今、鈴木先生が言いましたが在宅医療の概念と書いていますが、在宅医療の定義ということになると、厚労省も地域医療計画の中とか、あるいは診療報酬では違った意味で使われている。更に、在宅医療と在宅医療「等」がつくとまた全く違う。そのあたりはどのようになっているか一回事務局から資料を出してもらったほうがいいと思います。

 もしかすると、このWGで捉えている在宅医療とはイメージが違うかなと。在宅医療というと、医療だけだろうと。ところが、今議論していることは介護も含めてであり、ここでは違った意味で使われているのではないかという気もします。そのあたりの整理も一回していただくと、今回の提案等がもっとすっきりすると思っております。

○新田座長 わかりました。ありがとうございます。あえてきょう飯島構成員の概念という話をしたのはそこのあたりの違いも含めてという話だと思います。

 齋藤構成員。

○齋藤構成員 ちょっと別なというか、論点1-(2)のところで、このモデルの構築につきましては、私はやはり幾つかターゲットがあるだろうなと思っています。1つは、当然、国民や市民や住民という方々ですが一方で、病院で働いている医療従事者の方々に対しても、ここにも書いてあるように、在宅医療については十分理解できてないという指摘があります。よく聞こえてくるのは、それは施設相当も入るのかもしれないのですけれども、御自宅というところで、病気を持って療養するということのイメージがつかないと。それは国民側も、例えば家で亡くなりたいといっても、最後、本当にそういうイメージがついているのかというと疑問です。在宅医療は、使っている言葉も、認識も多様に使われていると思っています。なので、この普及啓発モデルの構築については、ぜひ幾つかターゲットを分けてモデルは考えていかなければならないと考えています。

○新田座長 ありがとうございます。

 平原構成員。

○平原構成員 先ほどの水平のところですけれども、そういう意味で、地域の後方支援の病院がやはり水平の立場でというのは全く異論ないのですけれども、ここの研究のところで、水平連携を意識した研究デザインを考える必要がある。患者の流れとしては病院から在宅と書いてございますけれども、もともとの水平という地域包括ケアの定義の中であれば、多分、フェーズの違いを意識した言葉の定義だったように思うのですね。つまり、急性期だったり回復期だったり。ここでそういう使い方をすると混乱を生じる可能性があるなというのは1つ懸念いたします。

 つまり、恐らく最もエビデンスのところで言いたいのは、同じ患者さんが急性期に入ったり、また回復期に入ったりする。そこで見る医療者とか介護職が同じ視点で、同じエビデンスに基づいて医療行為だったり介護の行為を、あるいはリハビリテーションできるというふうなことを推進するためのエビデンス。つまり、医療者や医療関係者の行動を変えるためのエビデンスが必要だという意味合いと私はとったのですけれども、だとすると、この言葉の定義のところはちょっとひっかかるかなと思いました。

○新田座長 ありがとうございました。

○川越構成員 今のお二人の構成員の発言に関係するので、追加発言させていただきます。例えば、入退院時連携を考えた場合、病院と訪問看護ステーションの看看連携と同様、病院で働くリハ職と在宅で働くリハ職の、同一職種間の縦の連携の強化は非常に重要だと思います。リハ職の場合、多くの方は病院からキャリアをスタートされ、その後、一部のリハ職は老健施設や在宅で勤務される形となります。したがって、病院リハ職は在宅の世界をまだ経験していない状況下で仕事をされている訳です。こうした状況下で入退院時連携の質を高めようとするのであれば、リハ職においても、いろいろな職場や急性期、回復期、生活期といった異なる時期での介入のあり方を経験するためのローテーションは有効だと思います。また、入院中と退院後のリハ計画の整合性、連続性を如何に担保するのか、急性期のリハ職が持っている情報を在宅のリハ職にどのように伝えていくのかなど、連携場面にはさまざまな課題が残っています。したがって、病院および在宅で勤務する同一職種間の連携強化は非常に重要なテーマの1つだと思います。

 

○新田座長 齋藤構成員。

○齋藤構成員 追加でございますが、私ども看護職というのは非常に人数が多くて、今は83%が診療所と病院に勤務をしております。患者あるいはサービスを利用する方々が療養の場を移っていくときに、それぞれの療養の場で必要となる情報の優先度というのがかなり違うはずです。しかし、そこのところがなかなか整理されていない状況があります。

 私どもの事業で、病院の看護師が、病院に在籍しながら、一定期間、訪問看護ステーションで働くという出向事業を実施した際に効果として出てきたのは、主呼応した急性期病院の看護師が、医療機関と訪問看護では情報の違いがあるのだということや、どんな病気を持っていても、地域のサービスを使えば家で暮らせるのだということをわかっていく、このプロセスがすばらしいのです。それで、在宅医療を諦めているのは医療従事者だとその出向した看護師が言ったぐらいでした。これから労働力がぐっと小さくなっていきますから、先ほど川越先生がおっしゃったように、地域でのいろんな体験、経験をどう培って、そして地域医療をどのように守っていくのかということは当然考えていかなければいけないだろうなと思っております。

○新田座長 ありがとうございます。そろそろ12時で時間になりますので、恐らく皆さんお忙しいと思いますが、まだ御意見あると思いますが、どうでしょうか。

 最後にこれだけはまず言っておきたいという方。

 どうぞ、鈴木構成員。

○鈴木構成員 在宅医療というタイトルで行う会議においてどこまで扱うか。話が地域包括ケアまで広がるのであれば、地域包括ケアをどうするかという会議にしなければならない。そのときは、厚労省の中で保険局や老健局との関係はどうなるのかということになってくるし、我々ももっと広いスタンスで考えないといけなくなります。そうすると、在宅医療という枠組みにおさまらなくなるのではないかと思いますが、それも考えながらこの会議をやっていかないと、範囲が広がってしまって、取組が薄くなってしまいかねないのではないかと思いますので、事務局で御検討ください。

○新田座長 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 それでは、時間がなくなりましたので、本日の議論はこれで終了したいと思いますが、本日は、さまざまな議論、ありがとうございました。事務局は、本日の皆様の発言を踏まえて意見を整理するというのがまず1つ。もう一つは、今の構成員皆様の意見をさらに進める、あるいは検討する、もうちょっと中身を充実させるためも含めて、座長預かりの、前回認めていただきましたが、小グループ、これはまたそれぞれ皆様に、皆さん忙しいのでなかなか集まる機会ないと思いますが、整理して検討もしたいと思いますので、それを参考にしながら事務局は進めていただきたいと思っています。

 次回のワーキンググループでの課題を整理し、次回の予定も含めて、事務局にマイクを渡したいと思います。よろしくお願いいたします。

○松岡在宅医療推進室長 それでは、参考資料4だけ。

○新田座長 最後に少し報告事項がありましたね。よろしくお願いいたします。

○松岡在宅医療推進室長 参考資料4は、全体会のときに辻構成員からお話があったと思いますけれども、介護の側と医療の側できちんと市町村、都道府県のレベルでの連携が行われているのかというような問いがあったと思っております。事前協議を、医療計画と介護保険計画をつくるに当たりまして協議の場をやらないといけないのですけれども、その協議の場の開催状況について各都道府県に問い合わせた結果といたしまして、今回この一枚紙を出させていただいております。

 市町村との事前協議の実施状況としては全ての都道府県でやっておりますということでございました。全ての市町村と協議を実施したと言っております。また、有識者を含めた協議の場の開催状況といたしましては、全てとやったところは27、残りは一部、もしくは全くやれてないということでございます。この一部もしくは全くやれてないという20都道府県におきましては、今後、1月、2月の間に全て終了する予定であると聞いております。

 報告は以上でございます。

 先ほどさせていただいた説明でございますけれども、前回の会議で親会のみ参加されている各団体にヒアリングしてほしいというようなお話もたしかありました。なかなかヒアリングするような時間もございませんので、今回、中期目標を考えるための課題の提出というのをもってヒアリングのような形でしたいなと思っております。その上で、この課題、提出していただいたものを、事務局、それから小グループで整理させていただいた上で、次回のワーキングに整理した形で提出させていただいて、中期目標の策定につなげたいと思っております。

 以上でございます。ありがとうございます。

○堤室長補佐 次回の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。

 それでは、以上をもちまして第5回「全国在宅医療会議ワーキンググループ」を終了いたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課在宅医療推進室
TEL03-5253-1111(内線2662)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 全国在宅医療会議ワーキンググループ> 第5回全国在宅医療会議ワーキンググループ(2017年12月8日)

ページの先頭へ戻る