ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会)> 第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録(2017年11月16日)




2017年11月16日 第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局健康課

○日時

平成29年11月16日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用15会議室(12階)


○議事

○大林室長補佐 定刻になりましたので、第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会を開催いたします。

 本日は、御多忙のところ御出席を頂き、誠にありがとうございます。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。近藤委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員8名のうち7名に御出席いただいていますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 なお、本日は参考人として、まずファクトシートの作成の関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳参考人、国立感染症研究所ウイルス第一部部長の西條政幸参考人、国立感染症研究所細菌第二部長の柴山恵吾参考人に御出席いただいております。また予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡看護大学基礎・基礎看護部門基礎・専門基礎分野教授の岡田賢司参考人、ヴァクセムヒブワクチンに関する報告事項の関係で、武田薬品工業日本ワクチン事業部副事業部長・開発統括部長の松田秀康参考人に御出席いただいております。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 議事に先立ちまして、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席表、資料1、資料1の別添1、別添2、資料2-12-1の別添、資料2-2、資料3、参考資料が1から6まであります。また、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を用意しております。配布資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。ここからの進行は、脇田委員長にお願いいたします。

○脇田委員長 委員の皆様、御出席をありがとうございます。私は、国立感染症研究所副所長の脇田と申します。今回、基本方針部会の倉根部会長より、当小委員会の委員長に指名されましたので、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

 それでは、まず事務局から審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。

○大林室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料への関与について申告を頂きました。各委員・参考人からの申告内容については机上に配布しておりますので、御確認ください。

 本日の審議事項は、帯状疱疹ワクチン、一般財団法人阪大微生物病研究会、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、一般財団法人阪大微生物病研究会を予定しております。本日の出席委員の申し出状況及び本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員及び参考人はおりませんことを御報告いたします。以上です。

○脇田委員長 ありがとうございました。それでは早速、議題1に入ります。まず帯状疱疹ワクチンについてです。阪大微研が製造いたします水痘ワクチンについて、50歳以上に対する帯状疱疹の効能が追加されたということで、国立感染症研究所においてファクトシートを作成していただき、前回のワクチン評価小委員会においてファクトシートの説明をしていただきました。その際に議論された内容を基にして論点を整理し、再度検討を行うこととなっていましたので、事務局から論点を示していただき、各委員から御意見を頂きたいと考えております。まず、事務局から資料1について説明をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 事務局より御説明いたします。資料1をご覧下さい。帯状疱疹ワクチンについて、これまでの経緯をまとめています。平成292月の第6回ワクチン評価に関する小委員会において、国立感染症研究所より帯状疱疹ワクチンファクトシートが報告され、ファクトシートに基づき、帯状疱疹の疾病負荷や、帯状疱疹ワクチンを定期の予防接種で用いる場合に期待される効果や安全性について御議論いただきました。なお、ファクトシートにつきましては、参考資料1として配布させていただいています。

 第6回のワクチン評価に関する小委員会での議論における論点ごとの概容を別添1にまとめてありますので、御覧ください。前回の小委員会では6つの論点について御議論いただきましたが、論点ごとに、ファクトシートに記載されている知見や各委員、参考人の先生方の御意見をまとめております。論点1.帯状疱疹の疾病の特徴や帯状疱疹後神経痛やその他の合併症等をどのように考えるかについてです。1つ目の印にあるように、加齢は帯状疱疹の重要なリスク因子とされ、50歳以上で発生頻度が高まるとの記載があります。帯状疱疹後神経痛につきましては、皮疹消失後3か月以上にわたって疼痛が持続する場合を指し、帯状疱疹症例の1050%で帯状疱疹後神経痛を生じると報告されています。次ページの前回の小委員会で出された意見を御紹介いたします。帯状疱疹後神経痛が長期間にわたって継続する場合が一定数あり、それが問題であるといった意見や、ペインクリニックでの治療実態についても明らかにしていくべきとの意見を頂きました。

 論点2.国内の帯状疱疹の疫学状況について、帯状疱疹の罹患、帯状疱疹後神経痛、重症例、入院例、死亡症例の疾病負荷が十分に明らかとなっているかです。ファクトシートの知見としては、国内の疫学状況として宮崎県で行われた宮崎スタディと、香川県小豆郡で行われたSHEZスタディで実施された疫学調査の結果が記載されており、一部を表にして抜粋しています。帯状疱疹後神経痛の罹患率については、SHEZスタディにおいて全体で人口1,000人・年当たり2.1と報告されております。次ページの前回の小委員会で出された意見ですが、年余にわたる疼痛がある方の率を下げることもワクチンに期待される効果であるといった意見や、帯状疱疹はサーベイランスでカバーされておらず、施策の導入に当たり、疾病を適切に把握できるようにしておくことが必要ではないかといった意見を頂戴いたしました。

 論点3.帯状疱疹ワクチンの有効性について、帯状疱疹の罹患や帯状疱疹後神経痛へ期待される効果が十分に明らかとなっているか、論点4.年齢依存的な罹患率やワクチンの有効性を踏まえた場合に、導入に最適な対象年齢が明らかとなっているかについてです。ファクトシートの知見では、ZOSTAVAXの報告において、接種後3.12年間のサーベイランスにおいて帯状疱疹の発症が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛が66.5%減少したという報告が記載されています。持続性については、ZOSTAVAX接種後47年で帯状疱疹の発症、帯状疱疹後神経痛の発症がそれぞれ39.6%、60.1%減少し、接種後711年で帯状疱疹の発症、帯状疱疹後神経痛の発症がそれぞれ21.1%、35.4%減少すると記載されております。次ページの前回の小委員会で出された意見ですが、ファクトシートの記載からは、10年後の発症阻止効果は減弱していると考えられるのではないかといった意見や、まずは発症頻度を減らすことが目的であり、10年、20年といった持続期間については結論が出ていないのではないかといった意見を頂戴いたしました。

 次に論点5.帯状疱疹ワクチンの安全性について、特に留意すべき点はあるかについてです。ファクトシートの知見では、表にあるとおり、そのほとんどが注射部位に関わる事象となっており、重篤な全身反応の報告は認めなかったのではないかとの意見を頂きました。

 最後に論点6.国内で帯状疱疹ワクチンを導入した場合の医療経済学的評価について、十分に明らかとなっているかです。ファクトシートの知見では、海外の報告が記載されており、QOLを改善するほうを主眼に置き、費用対効果はおおむね良好と判断されておりますが、ワクチンの効果の持続期間をより短期間とした場合には、費用対効果が悪化することに留意する必要があるとも記載されています。前回の小委員会の意見といたしまして、費用や罹患率などのデータを組み入れ、接種率を変えた場合のシナリオ分析や感度分析を行うことで、日本での導入効果を見ることができればよいのではないかといった意見を頂戴しておりました。

 資料1に戻り、前回の論点を踏まえた対応として、引き続き議論すべき論点を「帯状疱疹の疾病負荷」と「帯状疱疹ワクチンの効果」の大きく2つに大別いたしました。上記の論点に対する知見を得るべく、平成29年度厚生労働科学特別研究事業において、「診療情報データベースを用いた帯状疱疹の疫学等に関わる研究」を池田委員に立ち上げていただき、診療報酬データベース(NDB)等を用いて、帯状疱疹による疾病負荷の推計や、費用対効果の試算等を開始していただいています。研究の概容につきましては、池田委員に御用意いただいた資料を別添2として配布しておりますので、後ほど池田委員より御説明いただきたいと思います。以上を踏まえまして、以下の論点について御検討いただきたいと存じます。

 論点1.の帯状疱疹の疾病負荷ですが、国内の帯状疱疹の疫学状況について、帯状疱疹の罹患、帯状疱疹後神経痛、重症例、入院例、死亡症例の疾病負荷が十分に明らかになっているかについて。論点2.の帯状疱疹ワクチンの効果ですが、帯状疱疹ワクチンの有効性について、帯状疱疹の罹患や帯状疱疹後神経痛へ期待される効果が十分に明らかとなっているか、年齢依存的な罹患率やワクチンの有効性を踏まえた場合に、導入に最適な対象年齢が明らかとなっているか、国内で帯状疱疹ワクチンを導入した場合の医療経済学的評価について十分に明らかとなっているかの大きく3点を挙げさせていただきました。

 以上の御検討をよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○脇田委員長 ありがとうございました。ただいま事務局より、前回の委員会における論点と、それに対する現状の整理、そして今回の委員会で議論すべき論点についてまとめていただいたところです。議論に入る前に、池田委員から資料1の別添2について御説明を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○池田委員 ただいま、厚生労働科学研究特別研究事業におきまして、先ほど御紹介いただきました研究に着手しているところですので、その概容を簡単に御報告させていただきます。

 別添2を御覧ください。この研究は、先ほどの論点の中にありましたように、日本における帯状疱疹の治療の現状や診療にかかる費用、そもそも罹患率等が必ずしも十分に把握されていないという現状がありますので、ナショナルデータベース(NDB)、これはレセプトのデータベースですが、こちらを使用して帯状疱疹に関する診療情報の分析を行うということで今、着手しているところです。まず、いわゆるサンプリングデータ、入院外につきましては1%の抽出、入院につきましては10%の抽出をしたデータの利用許可を頂き、これを解析しております。2012年から2015年の3か月ごとのレセプトで、月としては16の月があるわけですけれども、こちらを分析し、基本的には帯状疱疹という病名で新たに受診された患者さんの数等について、既に集計は終わっているところです。先生方も御存じのように、レセプトというのは病名の正確性や、あるいは同じ患者さんが2か所にかかるとそこでまた新しい病名が付くなど、いろいろなレセプトの情報としての正確性の問題もありますので、この辺りを例えば薬剤名と併せて解析をしたりということで、より正確な情報を得るべく様々な分析を行っているところです。こちらに関してある程度、どういう抽出のロジックで数が出そうだということが判明しましたら、サンプリングデータではなくてフルセットのデータのほうから集計表の作成を依頼いたしまして、これによって、今年度の研究の中でより正確性の高い数値を得られるように進めているところです。

 これはまだデータとして確定したわけではないのですが、この4年間を見ますと、例えば患者数としては増加傾向にある、あるいは帯状疱疹の合併症、特に神経痛に関しては医療費をかなり要しているというようなことが分かってきています。以上です。

○脇田委員長 ありがとうございました、それでは、事務局におまとめいただきましたが、このような論点に添って、御意見、御質問をお願いします。いかがですか。

○福島委員 池田先生、御説明ありがとうございました。帯状疱疹の疾病負荷をNDBで評価するのは一案ではないかという意見は、前回の審議会で私から提案させていただいたのですが、それを迅速に酌み取っていただいた事務局の皆様と、この大変なお仕事をお引き受けいただいた池田先生に、本当に感謝申し上げます。

 現状のサーベイランスでは把握できないものであることと、過去には、あるワクチンが定期接種化された後に、サーベイランスの対象疾病として新たに指定されたケースなどもあったのですが、ワクチンを定期接種化に向けて議論する前から、その疾病負荷を把握して、そのワクチンが上市された後にどうなっていくかを見るのは、非常に基本的なことだと思っています。基本を忠実に守っていただく方法で詳細に検討いただいているということで、本当に感謝の気持ちを改めて申し上げたいと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。

○大石参考人 同じく池田先生に教えていただきたいのですが、これは全体レセプトの1%を抽出するということでしたか。そして、入院が10%とおっしゃったと思うのです。福島委員がおっしゃったように、事前にワクチンの効果を評価するわけですが、事後の評価も有り得るわけで、今後、継続的にサーベイランスを考えることが必要かと考えます。現状では帯状疱疹は発生動向調査として評価されていないですということは、以前にも議論されています。

 質問は、全数として1年間に大体どのぐらいの発生があるのかというのは、概数が分かりますか。

○池田委員 まだ現状、病名の問題とか、解析中です。同じ患者さんを2回数えられたりという問題もありそうなので、そこは精査しているところですが、1%抽出したデータで1か月大体1,000名前後の新たな帯状疱疹の病名の付いている患者さん、それで受診している患者さんがいらっしゃるようです。ただし、これはいろいろなレセプトの病名とかの正確性はありますので、今、そこは精査しているところです。

 もう1点補足しますと、本来は帯状疱疹で重症化された方とか、入院された方の数も、今、把握しようと努力をしようとおりますが、病名からは、この方が重症化したのかどうかは、なかなか分かりにくいことや、あと、入院についてはかなり症例が少ないので、今回のサンプリングデータでは月ごとの数が安定して出てきませんので、これはフルセットのデータの集計表の依頼ということで対応したいと考えております。

○大石参考人 ありがとうございます。全数でいくと、月で10万ぐらいということでしたでしょうか。入院だとかなり少ないということですか。

○池田委員 複数の病名が付いているときに、本当に帯状疱疹で入院したのかといったあたりは、今、使用している薬剤等で精査をしているところですが、なかなか数が少ないので、これは全数で再集計をしたいと思います。

○大石参考人 あと、申し訳ないのですが、前の小委員会の議論の中でも、ペインクリニックの受診とか、そういったところの疾病負荷、費用負担がどのぐらいになっているのか分からないという話でしたが、そういった情報も得られそうですか。

○池田委員 はい、この新患の数、つまり新たに病名の付いた患者ではなくて、いわゆる受診している数、帯状疱疹という病名が付いた患者さんが何人受診しているかという有病率に近いもの、これも検討していますが、それはその月にたまたまかかっている人しか出てこないので、これも月単位で頂いているデータではなくて、1人の患者さんを経年的に追えるようなフルセットのデータで解析をする必要があると思います。

○大石委員 質問は、ペインクリニックに特化した費用がどのぐらいかかっているのかとかいうことは、分かりますか。要は受診科を含めた診療情報が得られるのか。

○池田委員 診療科については、それでは検討したいと思います。あと、例えば、基本的に内服薬で治療されている患者さんなのか、そうでない治療なのかという、治療の内容で分けることは簡単にできるのですが、診療科については少し検討します。

○大石委員 ありがとうございました。

○脇田委員長 今のレセプト情報で、診療科はもちろん内科・外科とかあるのですが、ペインクリニックというのは、情報としてはあるのですか。

○大石参考人 情報、いや、分からないからお聞きしているのです。麻酔科の先生方からそういう帯状疱疹に関するPHNに対しての治療をする診療があるというのは、お聞きしているところですので、情報が欲しいと思ったところです。

○脇田委員長 分かりました。もしデータがあれば、是非お願いしたいと思います。

○池田委員 検討させていただきます。ありがとうございました。

○福島委員 大石先生がおっしゃいましたように、NDBからどこまでのデータが得られるかは、本当に興味ある、そして重要なところだと思うのです。私が前回、NDB1つのオプションとして挙げさせていただいた理由は、帯状疱疹は発症時の症状が非常に分かりやすい病気だということです。それに対して使う薬剤もほとんど決まっていることから、今、NDBが広く使えるようになったこの状況で、疾病負荷をこのデータを使ってモニタリングしていくのが、1つのモデルケースになり得るのではないかということで御提案させていただいたという経緯があります。

 ただ、NDBは、もともと研究のために集められたデータではないので、そこから本当に必要なものにたどり着くために、どれだけのものを削ぎ落としていかなければいけないかというのは、私も分かっております。例えば、帯状疱疹の罹患はつかめるかもしれませんが、帯状疱疹後神経痛といった疾病負荷も今重要と言われている中で、これがどこまでつかめるかは、本当に池田先生が実際されてみないと分からないところもあると思います。したがって、どこまでは分かるけれども、ここからは分からないというのも、はっきり忌憚なくお示しいただければ、それでよろしいのかと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。池田委員、お願いします。

○池田委員 いろいろ悩んでいる点もありますので、先生には個別に相談させていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは多屋委員、お願いします。

○多屋委員 今から10年ぐらい前になるのですが、帯状疱疹で入院した患者さんがどれぐらいいるかについては、厚生科学研究班(岡部班)で調査を実施したことがあります。そのときは入院した水痘の患者さん、入院した流行性耳下腺炎の患者さん、入院した帯状疱疹の患者さんを同時に調べた研究で、回収率は40%ぐらいでしたが、水痘の約8倍の入院患者さんがいることがわかっていました。研究班ですから、どうしてもアドホックで、その時の結果しかないものですから、継続的なデータが取りにくいので、そこには問題点があると思うのですが、それぐらいの疾病負荷が10年前にはありました。

NDBのデータについて調査をしてくださっていて、感謝を申し上げます。ただ、福島委員もおっしゃいましたように、ワクチンを導入する前から、導入後、定期接種化された後について、継続的に同じ基準で報告する体制をつくっておくことはとても大事なので、NDBの良いところ、NDBのデメリットを補完する形で、例えば感染症発生動向調査の中でサーベイランスを導入することが有り得るのかどうか、検討もしていったほうがいいのではないかと思いましたので、意見を述べさせていただきました。

○大石参考人 関連して、多屋先生、確認をさせてください。水痘の入院例の約8倍ぐらいということでしたが、現在、全数は水痘全数を発生動向調査で見ていますが、そうすると、どのぐらいの帯状疱疹の入院だと推測されますか。

○脇田委員長 まず水痘はどの程度あるかということ。

○多屋委員 数字は覚えていませんが、今、水痘に関しては、小児科定点からのサーベイランスと入院全数サーベイランスが両方動いています。ときどき播種性帯状疱疹ではないかと思うような入院例が入院水痘の中に届けられていて、区別がなかなか難しいものがありますので、同時に調査してみることは可能ではないかと思います。入院水痘よりも数倍は多いと思います。

○脇田委員長 ありがとうございました。そのほか、御意見ありますか。

○原委員 池田先生、ありがとうございました。質問ですが、冒頭に帯状疱疹が増えてきているようだというように印象を述べていただいていたと思うのですが、これは宮崎県とか香川県のデータに比べてという意味でしょうか、それともこの3年間の中で増えてきているという意味でしょうか。

○池田委員 これは、今回得られたデータを経年的に見たときに、病名として付いている患者さんの数として増加傾向があるということです。例えば、レセプトの電子化率あるいは病名の正確性の問題もありますし、あと、新たな薬剤が開発されると、これに応じて病名が付いたりという影響もあるので、精査をして、また報告をさせていただきたいと思います。

○原委員 ありがとうございます。

○西條参考人 感染研の西條です。今の質問とも少し関連するのですが、これはアメリカでも分かっているのですが、小児での水痘ワクチンの接種率が高まると、子供の間での水痘が流行しなくなるので、それに合わせてブーストがかからないので高齢者の方が増えることから、帯状疱疹が増えることが分かっているので、今回、帯状疱疹の患者数とかが増えてきているとすれば、多分、小児でのコントロールが良くなっていることが原因だろうと。そうすると、今後も成人における帯状疱疹対策が重要になってくるという視点は、重要なことだと思います。

 もう1つは、ワクチン接種で帯状疱疹後神経痛や帯状疱疹の発生率を100%予防できるということではなくて、50%であったり60%なので、ワクチンを広める中でも、抗ウイルス薬の治療を早期に行うといったメッセージの重要性は変わらないことも考えていく必要があるだろうと。この2点だけコメントをしたいと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。今、西條参考人から、疾病負荷の点だけでなくて、ワクチンの効果についてのお話もありましたが、その論点についても御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○多屋委員 西條先生と同じ意見で、水痘の患者さんが減ると、自然感染のブースター効果が働かなくなり、帯状疱疹が増えるのは、海外でも言われていることです。水痘ワクチンを受けた子供たちが将来、高齢になったときは、帯状疱疹は少なくなるということが推定されていますので、今から5060年の間、水痘と帯状疱疹という両輪で予防を進めていくことが必要ではないかと思います。

 もう1つ、私は、ファクトシートを完成した翌週に自分自身が帯状疱疹を発症してしまい、痛みが初期から大変強かったのです。比較的軽く治まったのですが、その理由としては、帯状疱疹ワクチンに関する知識から、早期に受診できたということもあったのです。ある程度の知識を持っていても、早期受診が非常に難しいです。受診したときに、どうしてこれが帯状疱疹だと分かったのですかと逆にドクターに質問される状況でしたので、早期に受診して、早期に抗ウイルス剤を飲むことがPHNの予防に重要だということは分かっているのですが、なかなか難しい部分もあるので、発症する前の予防が重要ではないかと身をもって体験しました。

○脇田委員長 体験談をありがとうございました。そのほか、意見のある委員の方々、いかがですか。ワクチンの有効性に関しては、今、西條参考人からお話があったように、必ずしも全ての人がプロテクトされるわけではないこと、それから、接種してからある程度の期間がたつと有効性が下がってくるというところは、データとしては挙げられているというところです。あとは、接種する年齢をどのように設定するかということも、論点になってくるかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

○原委員 海外の報告等を見ますと、水痘や神経痛などの発症が70歳ぐらいでピークになるとかいいますが、結局、ワクチンの有効率自体がそこでは低めになるとか、あるいは有効の継続期間が12年で短いということが、今まで挙がっていますので、どこにターゲットを持ってくるかは、とても議論が難しいと思っております。

○脇田委員長 ありがとうございます。

○大石参考人 先ほど私がした質問ですが、確認しますと、水痘の入院全数は、2015年、2016年が年間300ぐらいで推移しているので、その数倍というと、全数でも把握できる範囲だというのが結論かと思います。以上です。

○脇田委員長 ありがとうございました。あと、ワクチンの効果について、ワクチンを導入した場合に、医療経済的な評価についても、十分明らかになってくるかという論点もありますが、その点については、いかがですか。特に、ここも更なる検討が必要ということですかね。

○池田委員 今、イギリスのJCVI(Joint Committee on Vaccination Immunization)で正に帯状疱疹の罹患あるいは費用対効果に関する検討を行っていることが分かりましたので、今月末にパルケス・イングランドで分析を行っている研究者にお会いして、例えば、いろいろ分かっていない部分のデータの前提条件をどのように置いているかといったところも含めて、情報収集してくる予定です。

○脇田委員長 ありがとうございます。また、是非、そちらも情報を収集していただいて、御提供いただければと考えます。

○原委員 医療経済の部分が私も余り専門ではなくて、分からないので、池田委員に教えていただきたいと思います。例えば、海外では、これぐらいまでであれば費用対効果があるという基準がありますが、それは日本でも同じ基準で考えていいのですか。例えば、何万ドルだったら良い効果があるということになったものを、そのまま日本円に換算して直して考えてもいいものなのでしょうか、という素朴な質問で申し訳ないのですが。

○池田委員 例えば、イギリスでは1QALY、つまり1年分の健康な命の価値が増える医療技術に対しては、国として23万ポンドまで支出することは、費用対効果の点で許容できるけれども、それを超えた場合には、ケース・バイ・ケースで判断するということで、一定の数字を示しております。

 今、日本でも中医協で高額薬剤の価格設定のときに、一定の基準をどう設定するかという議論が進んでいるところです。ワクチンの場合には、イギリスのように明示的に基準値を示している国はむしろ少数で、例えば接種法が複数あるときに、どれで打ったものが一番費用対効果は良いのかとか、あるいは、類似の疾患とかワクチンの中で、財政的な制約がある中で優先順位をどう付けるかというときに、相対的にその数字を参考にするというような使い方が多いようです。少なくとも日本では、1年分の命を伸ばす、あるいは、QOL0から1まで改善するのに幾らという明確な基準の設定はされておりませんし、それは当面なかなか難しいと考えています。

○脇田委員長 ありがとうございました。そのほか御意見はありますか。

○金川委員 最近、ほかのことでも言っているのですが、肺炎球菌とかいうのも、710価、後から出てきたものをどうするかという議論もいつも出てくるので、定期予防接種になった場合には、今度、10価の話はよく出ているのですが、帯状疱疹もワクチンは何種類かあると思うので、先ほど言ったように、ワクチンを打つ年齢とか打つ基準、どのワクチンを使っていても、今後、そういうことを検討しなくてはいけなくなる可能性はあるのです。そういうことについても情報があったほうがいいと思いました。今、1つのワクチンで費用対効果を出すということで、ある程度基本はできるとは思うのですが、情報としては、ほかのワクチンがある場合には、今から同時にやっておいたほうが、今後のためにはいいと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。現在、日本では承認されているのが、1種類の生ワクチンということになりますが、海外でも使われているワクチンがあるというふうに承知しております。

○福島委員 多屋先生に以前まとめていただいた帯状疱疹ファクトシートを見ていたのですが、参考資料140ページになります。今、金川委員が言われましたように、諸外国ではほかのワクチンも導入されているということでした。ただ、今回のファクトシートは、日本で使えるワクチンがZOSTAVAXということでまとめていただいていると思います。前回の小委員会が9か月ぐらい前になりますので、私も若干議論を忘れてしまったため、多屋先生にお尋ねしたいのですが、海外では、生ワクチンについてどの年齢で公的な補助をするかを考える場合に、もちろん一番疾病負荷が高い年齢ということも考えられているのでしょうが、持続期間を考えて、余り若い年齢からの補助はしないといったこともあるのでしょうか。幾つかの国を見ると、60歳は基本的に自分で打っていただいて、70歳以上は補助をするといった国もあるようですが、先生がまとめられた中で何か印象があるようでしたら教えていただきたいと思います。

○多屋委員 ありがとうございます。ファクトシートの42ページの表14に、当時の情報を基にまとめたものがあります。例えば、米国ですと、60歳以上の人に推奨がなされていて、公費補助については有り、このようにカナダ、オーストラリア、英国、フランス等では、推奨者の年齢、そして公費補助があるとなっております。

 一方、オーストラリア、チェコ、韓国、ギリシャ、スウェーデン、ドイツ、イスラエルでは、推奨者の年齢が50歳以上あるいは60歳以上で、当時、公費補助はないという情報でした。情報は新しく更新されているかもしれないのですが、当時の現状はこのようになっているようです。

○脇田委員長 ありがとうございました。

○金川委員 今のところでお聞きしたいのですが、推奨者が50歳以上で、公費補助はなしということは、日本でいう任意で50歳以上には推奨しますというものですが、例えば40歳の人には打ってはいけないのかとか、そういう情報はあるのですか。

○多屋委員 例えば、日本の場合ですと、製造販売承認されたのが50歳以上という年齢基準があるので、40歳で帯状疱疹予防に接種することは、日本ではできないのだと思います。50歳以上になるのではないかと思います。海外がほかの年齢でできないかどうかは、すぐに情報は持ち合わせておりませんが、日本で考えるとなると、承認された年齢でいかなければいけないのではないかと思います。

○金川委員 いわゆるオフラベルで打つしかないということなのですかね。

○多屋委員 もしも40歳の方に接種を、帯状疱疹を目的にするのであればですね。ただ、水痘の予防として40歳の人に接種するのは可能だと思うので、そこはできるとは思いますが。

○金川委員 ほかのワクチンでも、肺炎球菌ですが、基準で65歳以上だけれども、60歳以上では、こういう疾患があったら打ってもいいという場合があるのです。免疫不全があって、リンパ腫の治療をしていて、安定している人は、打てるのかと来たのですが、書いてあるのは、呼吸器疾患、心疾患としか書いていないのですね。そうすると、その方は定期にはならなくてという形で、肺炎球菌は任意で打てますから打ったのですが、任意として認められていない年齢だと、今後は、それは打てないというか、補償制度はないということになってしまう可能性はありますね。

○多屋委員 私が回答することかどうか分からないのですが、現在、日本で使える水痘ワクチンを帯状疱疹予防に使う場合は、残念ながら免疫不全の方は接種不適当者に入ってしまっていまして、接種できないと思います。

○金川委員 それはまた別の話なので、免疫不全は水痘は全然打てないというのは、明らかなのです。肺炎球菌の場合はそういうふうに規定されると、それ以外では打てなくなるという話です。

○大石参考人 それは成人のPCV13の話だと思うのですが、今、6歳から64歳までの年齢の方々には接種ができない状況にあります。これについては、予防接種推進専門協議会から厚労省に対して提言を提出し、また、PMDAとも相談をして、子供にも接種できるPCV13の年齢幅が可能になるように、現在調整しているところです。個々のワクチンで状況は違いますが、PCV13についてはそのような形で動いています。

○金川委員 実際の現場としてよく言うのは、年齢がいった方に、打ち方としてはこういうのは打てますと。ところが、添付能書には書いていない打ち方なので、補償制度が適用されない可能性がありますと、そういう説明をして、合意を得て打つという作業をしているのです。それが非常に大変なので、本来であれば、それは相談の上で打てるというふうになれば、なおいいと思うのですが、書かれていないと、どうしても駄目というふうになってしまうので、その辺はどうなるのかなとは思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。

○西條参考人 先ほど委員長から、ほかのワクチンもあるという発言があったのですが、もし記憶が間違いでなければ、ZOSTAVAXとか生ワクチンだけが今使われていて、開発中のものがあって、もう少しで承認される、そういったワクチンはあるということで、今現在、世界中で使われているのはこの生ワクチンだけかと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。ほかにありますか。それでは、ここらあたりでまとめをしたいと思います。今回の御議論をまとめてみますと、論点の1、帯状疱疹の疾病負荷についてはいろいろな面がありますが、まだ明らかになっていない部分も多いことが言えるかと思います。ワクチンの有効性があることはもちろんはっきりしているのですが、有効性と医療経済的な評価についても、更なる検討が必要だということになろうかと思います。

 ですので、これらの点について、池田先生の研究結果も今年度中に出るということですから、次回の委員会で更に議論をしていくことが、まとめになるかと考えております。皆さんに頂いた御意見、議論、これを踏まえて、また、厚生労働省で論点を更に整理していただいて、本日、課題とされたデータが出てきたときに、改めて小委員会で審議を行うと、本日はこのような方針で取りまとめたいと思いますが、いかがですか。

(異議なし)

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、議題1については、事務局で論点、データを整理・収集していただき、再度、議論可能となった段階で、改めて議題としていただきますように、よろしくお願いします。ありがとうございました。

 議題2に入ります。議題2は、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについてです。こちらも阪大微研が製造するDPTについて、1113歳で接種が可能となる用法の追加がされたところから、感染症研究所においてファクトシートを作成していただき、前回の当委員会においてファクトシートの御説明をしていただきました。その際に議論された内容をもとに論点を整理して、次回以降に再度検討を行うということになっておりました。今回は、事務局資料のほかに、岡田参考人から、百日咳に関する研究結果のデータ等について御報告を頂けると伺っております。それでは、事務局から、資料2-1について説明をお願いします。

○佐々木係長 それでは、事務局より御説明させていただきます。資料2-1と別添をお手元に御用意ください。まず、資料2-11ページ目に、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについて、これまでの議論の経緯を簡単にまとめていますので、御説明させていただきます。

 平成282月に、阪大微研が製造いたします「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)」につきまして、1113歳のDT2期における接種が可能となる用法・用量の変更が承認されまして、第4回ワクチン評価に関する小委員会におきまして、百日咳ファクトシートが作成されることとなりました。その後、本年2月に開催されました第6会小委員会におきまして、同ファクトシートを御報告いただき、DTの代わりにDTaPを用いる場合に期待される効果や安全性等について議論を行っていただいております。

 その議論における論点ごとの内容を別添にまとめていますので、別添を御覧ください。前回の小委員会では、百日咳について、3つの論点から御議論を頂いておりました。ここでは論点ごとにファクトシートの知見と、各委員・参考人の先生方の意見をまとめております。

 論点1.日本の百日咳の疫学状況です。ファクトシートの知見といたしまして、1ページの1つ目の印にありますように、百日咳は、感染症発生動向調査の定点把握疾患として、小児科定点から患者数が報告されております。そのため、3つ目の印にありますように、成人の患者数は正確には把握できておりませんが、年齢別割合では20歳以上の割合が2010年には48%と増大し、その後減少して、2016年には25%となっております。また下段で、臨床診断による届出のため、百日咳以外の病原体による患者が含まれている可能性が指摘されております。

 次のページには、前回の小委員会で頂いた御意見を記載しております。現状のサーベイランスは、臨床診断に基づくものであり、病原体診断が必要ではないか、小児科定点であるため、成人の実態の把握が困難ではないか、また、定点医療機関以外での百日咳の発生が見つかりにくいのではないかといった御意見を頂きました。

 次に論点2.諸外国での疫学状況と百日咳ワクチンの使用状況について、どのように考えるか、についてですが、ファクトシートの知見では、世界の状況として、2つ目の印にありますように、多くの先進国で青年・成人患者の増加が認められていること、また、米国の状況といたしまして、青年・成人層における百日咳患者の増加に対して、ACIP1118歳へのDTaPの接種を推奨したことや、ハイリスク者である0歳児を守るため、成人、医療従事者へのDTaPを推奨したことが示されております。

 最後に、3ページの論点3.DTに代わりDTaPを用いる場合に、期待される効果や安全性についてどのように考えるかを御覧ください。ファクトシートの知見では、DTaPの有効性として、予想より早く免疫力が減衰することが示唆されており、接種後24年で有効性が34%まで低下することが報告されております。また、乳幼児への感染源として、3つ目の印にありますように、年長児・青年・成人の百日咳が指摘されており、年長児から成人における百日咳含有ワクチンの必要性が指摘されています。DTに代わりDTaPを用いる場合の有効性、安全性につきましては、1つ目の印にありますように、年長児から成年の百日咳予防につながることが期待される一方で、DTaP0.5mL接種群ではDT0.1mL接種群より、高度な局所反応が多く認められたことが示されております。

 次ページで、前回の小委員会で頂いた御意見を記載しております。中学生も感染例として一定数含まれており、DTaP導入により中学生の症例を減らすことが期待できるため、意義があるのではないかといった御意見や、2つ目、3つ目の印にありますように、45歳で乳幼児に接触する可能性があり、また、抗体価も一番落ち込んでいる中で、DTに代わりDTaPを入れる意義を考えなくてはいけないのではないかといった御意見、また、サーベイランスをより病原体診断に基づいて走らせながら、接種年齢をもう一度考えてはどうかという御意見をいただいております。前回の論点整理につきましては以上です

 資料2-1にお戻りください。1ページおめくりいただきまして、前回の論点を踏まえたこれまでの対応を示しています。1つ目の○の通り、前回の小委員会で、百日咳に係る届出基準の課題が議論されたことを踏まえ、本年6月に開催された第21回感染症部会において、百日咳に係る届出基準等の改正案が報告され了承されています。具体的には2つ目の○にありますように、小児科定点医療機関による届出から全数把握への変更と、臨床診断から検査診断への変更が予定されており、来年1月より同改正に基づいた百日咳の届出を行うこととなります。

 以上の議論と対応を踏まえた検討事項としまして、事務局より以下の2つを論点として記載させていただいております。その内容につきまして、御議論いただければと考えております。

 四角で囲んでおりますが、就学期前に一定数の感受性者がいると考えられる中で、DT2期接種対象者に対して、DTaPの接種を検討することについて、以下の観点からどのように考えるか。

1.として、DTに代わりDTaPを用いることで見込まれるベネフィットについて、2.として、DTに代わりDTaPを用ることで見込まれるリスクについて。

以上について、御検討をよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○脇田委員長 それでは、続きまして、岡田参考人から、資料2-2につきまして、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○岡田参考人 岡田と申します。どうぞよろしくお願いします。資料2-2に沿って説明させていただきます。前回の議論を受けて、DTDPTに変えるメリットとデメリットなどを、幾つか私どもがやってきました研究班の成績を基にまとめましたので、説明させていただきます。

1枚めくっていただいて、まず第6回までの小委員会における検討事項です。疫学状況は、先ほど事務局から御説明がありましたように、成人が増えている。そのために発生動向調査を、5類の定点把握から全数把握に来年から変えていただくということで、ありがとうございます。これで百日咳の小児から大人、高齢者まで全体像が把握できる状況になることが期待されます。諸外国での疫学状況と百日咳ワクチンの状況に関しては、先ほど事務局から説明がありました。それを受けて、1.2.の検討を踏まえて、DTに代わってDTaPを用いる場合の期待される効果や安全性についてまとめました。

2ページです。これは、感染症疫学センターがまとめている週報から、1982年以降の百日咳の累積患者数を作図したものです。このように発生動向調査では、患者数は1982年に比べると、最近は10分の1程度まで随分減ってきています。ただ、先ほどから御指摘がありましたように、百日咳は小児科の定点医療機関からの臨床診断に基づく患者数の報告であるという制限が少し目立ってきました。3ページ目にありますのは百日咳の患者数の年齢群別の報告数の推移です。1997年から2006年までは、赤ポツの0歳と四角の14歳が年齢群別で一番多かったのですが、2007年から現在までは、15歳以上の患者数が一番多く報告されています。これは小児科定点医療機関からの報告です。小児科定点からの報告にもかかわらず、15歳以上が増えているということで、患者数の把握に関して全数把握にしないと、なかなか全体像が理解できないということは御理解をいただけると思います。

4ページ目からは、主に感染症疫学センターが45年に1回出している、流行予測調査の2013年度で、国民の年齢群別の百日咳の抗体保有状況です。ここでは、10歳以上の青の丸ポツの推移をご覧ください。括弧で囲んでいる5歳の所が、一番抗体価が低くなっています。これは、主に百日咳ワクチンを受けて、乳児期に最も高い抗体価がだんだん下がってきて、就学前の5歳が最も低くなっている状況を示しています。そして、6歳以降は、このように右肩上がりになっていて、10歳から19歳のところが再び右肩上がりになっています。更に20歳代は少し落ちてきますけれども、30歳代、子育て世代の父親母親の世代がまた増えてきているというように、3つの年齢群で百日咳対策を今から打っていかないといけないということも御理解をいただけると思います。

5ページで、これは私の研究班とAMEDの研究班でやらせていただいております、百日咳の入院例調査です。10県での全数調査で行いました。百日咳の入院例調査で推定された感染源がどのような方々かということの結果です。2016年は、ご覧いただきますように、一番多いのは同胞で42%でした。次いで御両親が25%、それと祖父母などで、家族が全体の6割から7割を占めています。2017年の上半期もほぼ同様の状況で、百日咳の入院患者さんの周りの方々が感染源になっている可能性を御理解いただけると思います。

6ページ目は、感染源と推定された家族の年齢群です。これは先ほど流行予測調査で申し上げました世代とほぼ同じです。0歳から9歳が一番多くて、続いて30歳から39歳、10歳から19歳というこの3群が百日咳入院例で感染源と推定された家族の年齢群です。

7ページ目は、15歳以下だけを取り出したものです。これで御覧いただきますと、1歳から9歳で多いのは、36歳の就学前が入院例の感染源になっていると推定されます。それからもう1つですが、正にDT世代の11歳から12歳の所にも、小さな山があることも、ご注意ください。就学前と1112歳の2つの世代に対して、百日咳ワクチンの施策を打っていただければと思います。

 先ほどの別添の第6回小委員会での主な意見のまとめの所で、抗体価について、就学前で一番落ち込んでいる現状の中、1113歳に対して接種する場合にも非常に有効なのだという議論を十分にしておくことが必要ではないかということと、接種年齢が1113歳で良いかについて、サーベイランスをより病原体診断に基づいて走らせながら、接種年齢はもう1回考えていくという方針で検討してはどうかということが、第6回の議論で問われました。

 そこで本日の資料を見ていただいて、11歳から13歳という世代、就学前という世代、成人の世代、3つの世代が今から対策を打っていかないといけない世代だと考えます。ただ、ワクチンが今準備できているのが、先ほどから事務局の御説明がありましたように、11歳から13歳のところのDTaPです。多くの関係者の長年の努力で、やっとこの世代へ接種できるワクチンが準備できましたから、もちろん他の世代も大切だとは思いますけれども、まずワクチンが準備できた1113歳のDTからDPTへの検討をお願いしたいと思います。次いであるいは並行して、ワクチンの費用対効果も含めて、就学前のDPTあるいはDPT-IPV、更に成人のTdapの議論にも重きを置いて検討いただきたいと考えています。

以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、議論に入ります。ただいま事務局と、岡田参考人から御説明がありました論点について、委員の皆様から御意見や御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○柴山参考人 国立感染研の柴山です。岡田先生に確認させていただきたいのですが、非常に貴重なデータだと思います。5ページ以降の、推定された感染源ということで、御家族や兄弟が非常に多いということで、これは推定されたということで、これは検査診断で確定したものではなく、臨床診断で、あるいは聞き取りでということなのでしょうか。

○岡田参考人 入院した患者さんの聞き取り調査の中で、感染源と推定された方々に、どういう方なのか、あるいは、年齢が分かれば年齢を書いていただいているもので、あくまでも主治医が、感染源と推定されたということだと思います。

○柴山参考人 入院された患者さんについては、検査診断をされたということですか。

○岡田参考人 最初の後方視的調査のときは検査診断が6割ぐらいでしたが、前方視的調査になってくると、78割ぐらいが検査で確定されています。特にLAMP法などで病原体をしっかり取っていただいている協力施設が増えてきたと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。今回、論点としては就学前に一定の感染者がいるというところでDT2期の接種対象者に対してDTaPの接種を検討するということで、DTに代わってDTaPを用いることでのベネフィット、あるいはそのリスクというところの御意見、御質問等を頂ければと思います。いかがでしょうか。

○多屋委員 1112歳の所のDTDTaPに変えるというベネフィットの部分ですが、昨年は就学前から小学校の低学年での集団発生もありましたが、それ以前はやはり中学生、高校生、大学生、そして職場等、そういう思春期から成人世代での集団発生が幾つも報告されています。その部分が結局、地域に広がっていって、低年齢の子供たちの感染源となっているということを考えると、まずこの部分を抑制するということが必要ではないかと思います。そのためには、現在のDTに「P」の成分を入れるということは意義があるのではないかと思います。

 岡田先生がおっしゃられたように、5歳のところで抗体保有率が底になっているというのは事実ですので、そこへの追加接種というのはどうしても考えていかなければならない点だと思いますし、あと、米国のように、妊娠・出産する妊婦の付き添いをする方は、皆さん百日咳を含むワクチンを受けてきてくださいということも言われていますので、将来的にはその世代へのワクチンというのも必要になってくると思いますので、岡田先生の意見に、全く賛成です。

○脇田委員長 岡田参考人が示していただいた、様々な年齢層で必要性はあるのだけれども、まず、DT2期のところをDTaPに変えていくということを賛成すると。一方で、そのワクチンを変更することで見込まれる副反応やリスクについて、多屋先生はどのようにお考えでしょうか。

○多屋委員 DT0.1mLが現在の定期接種ですが、確かにDTaP0.5mL接種するということで、局所の反応が明らかに増えるということは分かっていることですので、その点は理解をしていただいた上で、感染症の数を減らすというメリットの分をどう考えるかといった議論になるのではないかと思います。ただし、重症の全身性の副反応といったものはそれほど多く報告されていませんので、そういう意味では、十分に可能な範囲ではないかなと考えております。

○脇田委員長 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 直近の積極的疫学調査、木曽地域で昨年あったアウトブレイクの中でも、小学生もあったのですが、中学生にもかなりの数の患者さんが出ていたということは確認しています。やはり今現在DTaPDT2期の対象者に接種できるワクチンがあるということであれば、やはりそこの接種は進めていくべきではないかと思います。

 一方、デメリットとしての副反応については、文書では高度な紅斑、腫脹、硬結とありますが、これは、あくまで全身的な副反応ではなく、5cm以上ということを「高度」と書いているので、ちょっと日本語で読むとすごく激しく見えるのですが、5cmを超えているということがその意味であるので、大きな問題ではないのではないかと私は考えています。以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます。柴山参考人、お願いいたします。

○柴山参考人 リスクについてですが、DTだとこれまで0.1mLDTaPだと0.5mLということで、単純に5倍量が接種されるということで、これまで0.1だったというのは、副反応のことも考えて、10歳以上だと少なくするということでやられたと思うのです。昨年の委員会で、そのメーカーのほうの資料で、副反応はDTaPのほうが若干多いですが、許容範囲だというような資料があったと思います。ただ、外国のワクチンなどではDの抗原を減らしたワクチンを使っている所もありますし、あるいは、今回の阪大微研の臨床試験、昨年の委員会で出された臨床試験も、「複数のロットを使っていますか」ということを私は質問させていただいたと思います。そのときは、ちょっとはっきりした回答を得られなかったのですが、ワクチンというのは、結構そのロットによってどうしても品質がばらつきますので、たまたま臨床試験をやったロットが、抗体Dの力価が割と低いもので、副反応が低めに出たといった可能性も、一応考えておかないといけないと思いますので、副反応についてはもうちょっと慎重に検討したほうがいいと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。

○岡田参考人 副反応に関しては、海外はDTaP0.5mLDT0.5mLで、なおかつ筋注での比較です。日本では御存じのようにDPT0.5mLと、DTはその5分の一の0.1mLで、なおかつ皮下注でやっていますから、海外と比べてもDPT0.5mL皮下注は局所反応が多いとの報告は出てくると思いますが、DPTはもともと小児に0.5mLをやっていたものですから、それを10歳代に0.5mLをやることに関しては、それほど今までも大きな問題はないというように思っています。

○脇田委員長 金川委員、お願いいたします。

○金川委員 海外に行かれる方や受診された方の母子手帳とかの全例を調べて、記録を残しているのですが、やはり3種混合は4回打つという基礎接種が十分できていない人というのはかなりいるのです。キャッチアップとして打っていって、今度、DTをどうするかというような相談をずっと受けているのですが、それで考えると、どうしても5歳ぐらいで1回打たないと、十分なベーシックができないという可能性がある人も結構いるのです。それで見ると、10歳、10何歳で罹患する人たちというのは、もしかして、十分な基礎免疫がない人たちかもしれない可能性は、調べないと分からないのですが、4回打っていない人というのはかなりの数に上ります。12歳で打つというのも分かるのですが、5歳とどちらを先にするのかというのは、私もはっきりしたデータがないので言えないのですが、5歳ぐらいで1回打つという必要は、やはりあるのかなと考えています。

○脇田委員長 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 今の御意見については、岡田参考人から示された感染症流行予測事業の百日咳抗体保有調査でもそうですが、AMED予防接種班の中で中山哲夫先生も小学生1年生でやはり抗体価が低下しているということも確認しています。また、同研究班では岡田参考人もDPT-IPV接種後の小児の抗体価が就学前に低下する所見を示されているので、そこは明らかであります。これについては、今現在、小児の4回のDPT-IPV接種を就学前にもう一回追加することを検討すべきと考えております。このため、今年度立ち上がった神谷先生が代表を務める厚生労働省の研究班の中でDPT-IPVの追加接種を可能とする体制の準備を進めております。これから3年あれば研究結果が得られると思いますので、そこからエビデンスが蓄積されて、就学前の接種が定期接種として必要かということが判断できるのではないかと思います。どちらが先かというよりは、どちらも進めるということが大事だと思っております。

○脇田委員長 ありがとうございます。岡田参考人、お願いいたします。

○岡田参考人 金川先生の御指摘はもっともです。私もそう思っています。ただ、今できることは、11から12歳のところで、その優先順位とは言いませんけれども、できるところから実施していただきたいとの思いです。先ほどの就学前のところももちろん必要ですし、今ここで使えるワクチンは厳密にはトリビックは打てますけれども、就学前のこの世代に接種したことが臨床研究も含めてこれまでありませんので、この世代に5回目の接種を定期にするのは少し時間がかかると思います。DTのところをDPTというのが、まずそこを定期として、この世代の対策をまず打ってから就学前に議論を集中していただければという思いです。

○金川委員 そのことは重々分かっているのですが、余りにも受診される方が十分打っていない場合があったので、12歳で打つということはあるのですが、キャッチアップということを考えると、大石参考人が言われたように、5歳、就学前というのは非常に重要なところなので、今後そこも是非入れていかなければいけないという意見です。

○脇田委員長 ありがとうございます。もう1つのところで、流行予測事業で全数把握になるというところで、今の大石参考人が言われた研究班で3年ぐらいで結果が出ると、5歳における接種において。もう1つの、疾病負荷をもう少し明らかにしていく必要があるというところで、全数把握による届出が行われて、ある程度、全年齢における百日咳の疾病負荷というのが徐々に、すぐに明らかになるかは少しあれですけれども、その辺は、大石参考人、どうでしょうか。

○大石参考人 神谷先生が代表する厚労省の科学研究費の中で、来年からスタートする全数把握をしっかり調査をし、先行データを作るということは来年には可能になってくると思います。よろしいでしょうか。

○脇田委員長 ありがとうございます。というような、非常に必要性というか、就学前からDT2期、それから、成人期においてももちろんあるかもしれませんが、そういったところで追加接種をしていく必要性というのは共通認識としてはあるということです。一方で、どういったところに優先していくのかというところも、1つの論点であろうかと考えます。ほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。

○菅沼委員 今度、新しい基準で来年からスタートするということなのですが、かなり広く臨床医が関わるところで届けるということになったときに、多分、余りそれに慣れていないというか、要は、果たして、うまく出してもらえるのか、全数をきちんと届けてもらえるのかというのがあります。それがうまくいかないと、せっかく作ったものが実際に有効に活用できないというのが、実地の中でそういうことのギャップが起こってこないか。ある意味、学会などでこういった新しい基準ができた、あるいは、こういう診断の技術というか、届出の方針などが新しくなったということを、広く周知させるのが非常に重要かなと思いました。

○脇田委員長 ありがとうございます。大石参考人、お願いいたします。

○大石参考人 貴重な御意見だと思います。とりわけ、岡田参考人が示された各年ごとの疫学情報で、小児科定点ながら、15歳以上の百日咳症例が一定の期間増えていること、また現在はそれは少し下がってきています。この疫学情報は何だったのかについて、呼吸器内科、感染症内科といった領域の先生方に、是非しっかりした全数データを出していただくことが必要です。私自身も呼吸器内科医でありながら、成人領域の百日咳の実態は分からないままなので、近く、米国CDCにも相談し、どのように国内の臨床医にアプローチしていけば成人の百日咳症例が検出できるのかということについては検討を進めたいと考えています。また、成人領域の疫学的知見について周知を徹底していきたいと思っています。以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。なかなか議論も尽きないところではありますけれども、今回出てきた御意見をまとめさせていただきたいと思います。百日咳ワクチンの必要性というのは、就学前、DT2期が行われている時期、それぞれの議論がありました。就学前については、新規ワクチン導入の必要性について注視して議論をする必要があると。それから、DT2期が行われている時期については、既存のDTからDPTへ置き換えることによるリスク・ベネフィットという観点があります。さらに、百日咳の疾病負荷が現状、十分には明らかではなく、来年1月から検査診断、全数把握による届出が行われることから、その結果を追いながら定期接種化の是非について議論する必要があるということでまとめさせていただきたいと思います。

 このような御意見や議論を踏まえつつ、また厚生労働省のほうでは論点を整理していただきまして、引き続き、この委員会で審議を行うということにまたさせていただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、この議題2についても、事務局のほうで論点及びデータを整理していただき、次回の議題としていただくように、またよろしくお願いいたします。

 それでは続いて、報告事項に入ります。高齢者肺炎球菌ワクチンの接種対象者について、事務局から説明をお願いします。

○佐々木係長 事務局から、肺炎球菌感染症の接種対象者について御説明させていただきます。資料3をお手元に御用意ください。資料3については、本年9月に開催された第19回予防接種基本方針部会において、高齢者がかかる肺炎球菌感染症の接種対象者について御議論いただいた際の資料です。その内容と、了承事項について御報告させていただきます。

 資料の上段に、高齢者がかかる肺炎球菌感染症の定期接種について、これまでの背景をまとめております。高齢者がかかる肺炎球菌感染症については、平成227月に「肺炎球菌ポリサッカライドワクチンに関するファクトシート」、また、平成233月に「肺炎球菌ポリサッカライドワクチン作業チーム報告書」及び「ワクチン評価に関する小委員会報告書」が、それぞれ報告されております。これらファクトシート等を基に予防接種基本方針部会等において、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種化に係る検討が行われております。平成265月に、「平成31年度以降の接種対象者については、経過措置対象者の接種状況や接種記録の保管体制の状況等を踏まえ、改めて検討する」とされた上で、平成2610月に高齢者の肺炎球菌感染症が定期の予防接種のB類疾病に追加されております。

 次に、資料中段に、平成30年度までの接種対象者を記載しております。平成30年度までの高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種の対象者については、65歳の者及び60歳以上65歳未満であって、基礎疾患等により日常生活が極度に制限される程度の障害を有する者、としております。また、平成30年度までの経過措置として、65歳から100歳までを、5歳年齢刻みで毎年度の接種対象者としております。

 資料下段、平成31年度以降の接種対象者の検討を御覧ください。先ほど申し上げましたが、接種対象者の経過措置については、平成30年度までとなっておりまして、平成31年度以降の接種対象者については、経過措置対象者の接種状況や接種記録の保管体制の状況等を踏まえ、改めて検討することとされております。これらを踏まえて、平成31年度以降の接種対象者の検討方針について、9月の予防接種基本方針部会において御議論いただき、以下、2つの検討方針が了承されております。

 まず、1.の平成31年度以降の定期接種の対象者については、技術的な観点から、ワクチン評価に関する小委員会において検討を行う。また、2.の小委員会での検討を行うに当たり、国立感染症研究所に、改めて肺炎球菌ポリサッカライドワクチンに関するファクトシートを作成いただく。なお、ファクトシートの作成については、基本方針部会の御議論の中で、13価肺炎球菌ワクチンと、肺炎球菌ポリサッカライドワクチンとの連続接種等の知見についても盛り込むべきとの御意見を頂いておりまして、国立感染症研究所と相談の上、それらの知見も含めた形で、本年10月より国立感染症研究所にファクトシートの作成を開始いただいております。また、高齢者における13価肺炎球菌ワクチンの定期接種化の検討の現状についても、ここで簡単に御報告させていただきます。参考資料4をお手元に御用意ください。

 背景として、平成266月に、13価肺炎球菌ワクチンについて、65歳以上での接種が可能となる用法・用量の変更が承認されたことを受けまして、平成2712月に開催された第2回小委員会において、13価肺炎球菌ワクチンを、高齢者がかかる肺炎球菌感染症の定期接種として使用する是非について議論されております。その中で、13価肺炎球菌ワクチンの評価に必要となる科学的知見をできるだけ早期に研究班等で収集すること、とされております。

 資料中段1ポツ目に、13価肺炎球菌ワクチンの評価に必要とされている4つの科学的知見を記載しております。これらの知見については、資料下段、2ポツ目に記載しておりますように、以下の研究班において、知見の収集を継続していただいております。

1つ目が、大石参考人を代表とした「ワクチンによって予防可能な疾病のサーベイランス強化と新規ワクチンの創出等に関する研究」。また、2つ目は、池田委員を代表とした「肺炎球菌ワクチンの費用対効果等についての社会の立場からの評価研究」です。これらの研究班等において、知見を収集し、実施する可能性のある施策について分析・評価が可能となった段階で、13価肺炎球菌ワクチンの定期接種化について改めて検討することとなっております。事務局からの御報告は、以上でございます。

○脇田委員長 それでは、ただいまの報告について、皆様から御質問や追加等はありますでしょうか。

○原委員 議論の進め方というか、スケジュール感についての質問ですが、平成31年度から新たに何らかの体制になる際に、13価のワクチンをどうするかの検討も一緒に話し合っていくというほうが分かりやすいのかなとも思ったのですが、この辺り、どのようなスケジュール感になっているのでしょうか。

○脇田委員長 事務局、いかがですか。

○佐々木係長 お答えさせていただきます。まず、肺炎球菌ポリサッカライドワクチンの定期接種の対象者については、現状、平成26年度から平成30年度までの接種対象者については定まっているところです。そして、平成31年度以降の接種対象者については、平成31年度が始まる前に接種対象者を決める必要があることから、議論を開始させていただければと考えております。

 また、13価肺炎球菌ワクチンについては、また別途、現状検討しているところです。先ほど資料で御説明させていただいたように、評価に必要となる知見がそろってから検討を開始するという状況になっております。

○脇田委員長 ということですが、原委員、それでよろしいでしょうか。もう少し早くやりたいということですか。

○原委員 先ほどの帯状疱疹のときもちょっとありましたけれども、同じ疾患のときに、いろいろなワクチンがある際に検討するときに、疾病負荷などは同じものであるので、できれば一緒に評価するのがいいのかと思って申し上げました。

○脇田委員長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問、追加等はありますでしょうか。

 それでは、肺炎球菌感染症について、前回の基本方針部会で了承されていますとおり、国立感染症研究所で作成いただいているファクトシートをもとにこの小委員会において検討を行うことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、報告事項(4)のヴァクセムヒブについて事務局から説明をお願いします。

○黒崎室長補佐 事務局から御説明させていただきます。ヴァクセムヒブについては、昨年12月に開催された小委員会において、感染研よりファクトシートを御報告いただいておりましたが、その後、販売元である武田薬品工業株式会社より当該製剤の供給について調整中であるという連絡を受けたため、本年2月に開催された前回の小委員会において、供給の見通しが立った場合に検討を再開する旨、事務局より御報告させていただいたところです。しかしながら、本年5月に武田薬品工業より、ヴァクセムヒブが発売中止となる御連絡を頂き、その旨、プレスリリースがありました。これにより、ヴァクセムヒブについては、定期接種に関する検討を中止せざるを得ないということを御報告申し上げます。また、この度の発売中止について、武田薬品工業より御説明いただく予定です。事務局からは以上でございます。

○脇田委員長 こちらについて、御説明をお願いいたします。

○松田参考人 武田薬品工業株式会社の松田でございます。よろしくお願いします。本ヴァクセムヒブに関しては、供給元であるGSK社のほうが、グローバルの製造体制の見直しを行ったときに、全世界の製造若しくは供給を中止するということで連絡を受けました。それに伴いまして、GSK社より販売契約も解消したいということで、販売中止に至るということになりました。当社としては、予定どおり発売できるようにGSK社といろいろなオプションについて検討し、ディスカッションさせていただいたのですが、非常に残念ながら、このような結果になりました。この会、それから事務局、ヴァクセムヒブの定期化に向けて御努力いただきました皆様に、感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

○脇田委員長 松田参考人、ありがとうございました。報告事項は以上ですが、何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、本日の予定した議事は全て終了いたしました。そのほか事務局から何かありますか。

○大林室長補佐 次回の開催については、追って御連絡させていただきます。事務局からは、以上でございます。

○脇田委員長 それでは、本日の第7回ワクチン評価に関する小委員会を終了させていただきます。本日も活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会)> 第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録(2017年11月16日)

ページの先頭へ戻る