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2017年10月5日 第54回医療部会

医政局総務課

○日時

10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議事

○医療政策企画官 ただいまより、第54回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数が24名、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、遠藤委員、久喜委員、楠岡委員、田中委員、平川委員、邉見委員、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。17名の委員の皆様が御出席でございますので、定足数に達しておりますことをまず御報告申し上げます。

 また、経済課長は所用によりおくれて参加いたします。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4及び委員提出資料をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 なお、カメラの方はここまででお願いいたします。

 以降の進行は永井部会長にお願いしたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 それでは、議事に入ります。

 まず、次期診療報酬改定の基本方針について、事務局より御説明をお願いいたします。

○医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。

 資料1に即しまして御説明を申し上げます。資料1をおめくりください。この資料は、前回、医療部会で御議論いただきましたが、その中では改革の基本的視点や方向性についての前に置かれます「改定に当たっての基本認識について」を中心に先生方の御意見を幅広く頂戴したところでございますので、今回の資料では、この基本認識の部分については文章にさせていただいた上でごらんいただきたいということで御用意しております。

 その後ろの基本的視点等々については、まだ例示の段階ということでございますので、あわせてごらんいただければと存じます。

 1ページ目でございます。基本認識につきましては、黒い三角の印で3つのポイントをお示しした上で、その中に白い丸の細目が入るという構成で御用意をしてございます。

 まず1点目「人生100年時代を見据えた社会の実現」ということでございます。

 こちらについては、1つ目の丸にございますように、国民皆保険、すぐれた保健・医療システムの成果によりまして、世界最高水準の平均寿命を達成して、超高齢社会が到来している。100歳以上人口も増加している。こういったことを踏まえまして、人生100年時代を見据えた社会の実現が求められているのではないかという点が1点目でございます。

 2点目といたしましては、2025年、2040年といったさまざまな節目の中で、人口の高齢化が急速に進展してまいりますので、活力ある社会の実現が重要ではないかということ。そのためにも、国民一人一人の予防・健康づくりの意識を涵養しまして、健康寿命の延伸によって長寿を実現するということ。国民皆保険の持続可能性を確保しながら、国民一人一人が状態に応じた安全・安心で効率的・効果的な質の高い医療を受けられることが重要だという点。

 3つ目の丸といたしまして、あわせて、我が国の医療制度が直面しているさまざまな課題がございますので、こういった課題についても総合的な対応が必要ではないかという点を置かせていただいております。

 2つ目のポイントといたしましては、「どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会の実現」、地域包括ケアの関係を置かせていただいております。

 1つ目の丸といたしましては、地域の実情に応じて、可能な限り住みなれた地域でその有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムの構築が求められているということでございます。

 2つ目の丸ですが、特に、平成30年度は同時改定という節目の年でもございますし、2025年を見据えたポイントとなる時期でもあるということでございますので、医療機能の分化・強化・連携、それから医療・介護の役割分担と切れ目ない連携が重要ではないかということを置かせていただいております。

 3つ目のポイントは「制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方の推進」という点でございます。この点につきましては、前回の医療部会の中でも、制度を取り巻く厳しい環境というものもきちんと留意すべきだという話がございましたので、タイトルの表記を改めた上で、これからごらんいただきます書きぶりについても加筆をしてございます。

 1つ目の丸ですが、制度の安定性・持続可能性を確保しつつ、国民皆保険を堅持するためには、国民皆保険を支える国民各層の制度に対する納得感を高めることが不可欠であるという点。そのためにも、いわゆる骨太2017、未来投資戦略等を踏まえつつ、保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等に留意するとともに、無駄の排除、医療資源の効率的な配分を図ることが必要ではないかという点を置かせていただいております。

 2点目ですが、今後の医療ニーズの変化、生産年齢人口の減少、医療技術の進歩等を踏まえますと、人材確保、働き方改革の推進が重要であるという点。

 3つ目の丸ですが、制度が直面する課題に対応するためには、報酬のみならず、医療法、医療保険各法の制度的な枠組み、予算措置など、総合的な政策の構築が必要ではないかとい点を書かせていただいております。

 続きまして、2ページ目でございます。改定の基本的な視点についてということです。前回の資料でも4点置かせていただいておりまして、この部分は基本的に変更はございませんが、前回にも御指摘ございましたが、重点課題をどれにするのかという話がございました。これは事柄の性質上、一番上ではないかということで、視点1「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」を重点課題として置かせていただいております。

 おめくりいただきまして、3ページ目でございます。具体的な方向性についてということですが、まず視点1「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」でございます。

 下にあります「考えられる具体的方向性の例」は、前回の資料に置かせていただいた項目をベースにしまして若干の加筆をしておりますが、このタイトルの内容に即した順番に上と下を入れかえるというようなことをやっております。まず一番上にありますのが、地域包括ケアシステムの構築のための取り組みの強化ということで、入退院支援、医療機関間連携、医科歯科連携、病診薬連携、栄養指導、医療介護連携等の多職種連携による取り組み等の推進。下にありますのが、いわゆる介護との連携の部分ということでございます。

 2点目のポイントといたしまして、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価という点でございまして、包括ケアの真ん中に、こういった先生方がいらっしゃるということで、これを2番目に置かせていただいております。

 4ページに参りまして、3点目は、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価ということで、下にございますような点を置かせていただいております。

 その次に、外来医療の機能分化、重症化予防の取り組みの推進ということで置かせていただいておりますし、その次に、質の高い在宅医療・訪問看護の確保、最後に国民の希望に応じた看取りの推進ということで、これらはいずれも例でございますが、順番を入れかえながら置かせていただいているところでございます。

 次に、5ページに参ります。視点2「新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療の実現・充実」でございます。

 この部分は、前回の資料をおおむねなぞった形で考えておりますが、下にあります「考えられる具体的な方向性の例」として挙げられておりますのは、これまでも中医協を初めさまざまな場で、それぞれ分野ごとに必要な視点が関係者の方々のお知恵を集める形で行われておりますので、その中から必要と思われるキーワードといいますか、分野といいますか、その言葉を置かせていただいております。一つ一つの御紹介は文章に代えさせていただきたいと思います。

 続きまして、6ページ、視点3「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」でございます。

 この部分は前回もいろいろな御意見を頂戴いたしました。「考えられる具体的な方向性の例」といたしまして、チーム医療等の推進、勤務環境の改善。業務の効率化・合理化。ICT等の有効活用。地域包括ケアシステム構築のための多職種連携による取り組みの強化。外来医療の機能分化ということを、まずは置かせていただいております。

 最後に7ページ、視点4「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。

 この部分についても前回置かせていただいておりますが、諮問会議等々での御議論も踏まえまして、薬価制度の抜本改革の推進。後発医薬品の使用促進。費用対効果の評価。医薬品の適正使用の推進。薬局の機能に応じた評価の推進。医薬品、医療機器、検査等について、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を置かせていただいておりまして、こういった点については御議論を頂戴したいということで、用意をさせていただいております。

 なお、前回の御議論を踏まえまして、参考資料3でこれらを御議論いただく際の資料を添えておりますが、前回、制度を取り巻く環境等々についての御議論が多かったことを踏まえまして、若干シートを追加させていただいておりますので、御紹介申し上げます。

 参考資料3の9ページからでございますが、まずは平成29年度の政府予算、この中でいわゆるプライマリーバランスに対して29年度の予算がどういう構造になっているのかということをお示しした図が9ページでございます。

 それを分野別に歳入と歳出に分けたシートが10ページ目でございます。

11ページは、消費税を5%から10%に上げるという判断がなされたときの社会保障の充実と安定化に関する役割分担のシートでございます。社会保障の充実に1%程度、社会保障の安定化に4%程度ということが大きなフレームとしてあるということ。

12ページ、13ページで、29年度に係る充実・安定化のシートを添えさせていただいております。

14ページ以降では、一般会計歳出や公債残高の推移等を添えさせていただいていますので、以上、御参考でございます。

 事務局からは以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、御議論をいただきたいと思いますが、前回も申し上げましたように、この医療部会では個別の報酬項目への要望ではなくて、大局的な視点からの議論をぜひお願いしたいと思います。

 また、本日御欠席の平川委員と山口委員から、委員提出資料として資料が出ておりますので、御審議の際、御参考にしていただければと思います。

 では、御質問、御意見をお願いいたします。

 木戸委員からどうぞ。

○木戸委員 6ページの視点3のところですけれども、これまでの改定でも、勤務医や医療従事者の負担軽減に関しては繰り返し重点項目とされて、いろいろこれまで診療報酬の配慮などの取り組みがなされてきています。しかし、地域偏在、診療科偏在がなかなか改善しないで、過労死による労災認定の報道も相次いでいます。

 この具体的方向性の1項目めにチーム医療の推進、勤務環境の改善とありますが、私はこの順序は逆だと思います。やはり勤務環境の改善がまず先にあるべきで、新たな働き方のビジョン検討会の報告書にフィジシャンアシスタントという新しい資格創設を含むタスクシフトなども提案されていますけれども、それでここに記載されたのかもしれませんが、やはりタスクシフトというのはあくまでも次善の策にすぎません。ですから、チーム医療でタスクシフトといえば一見よさそうに見えますけれども、医療従事者には女性も多く、家庭の事情などでやめざるを得ない人も結構おられます。過重労働で男女とも耐えかねて現場を離れざるを得ない方も少なくありません。

 少子高齢化でこれから財源も人材も限られていく中で、こういった方がやめられるのは大変もったいないことで、現場によい人材をきちんと定着させる取り組みが先決です。例えば週30時間とか20時間でもしっかり働ける職員を短時間勤務枠で雇用して、昼間の業務を担当してもらえば、当直明けの人は早く帰ることもできますし、時間外労働の削減にもなります。ですから、タスクシフトではなくて、同じ職種同士のタスクシェアをまず考えるべきで、せっかく資格を持っている専門職が本来の業務をきちんと行えるように、勤務環境を改善することが医療の安全・質の確保に大切だと思います。

 以上です。

○永井部会長 今の点、事務局、いかがでしょうか。順番、どちらが先かということですが、表裏一体と言えるのですが。

○医療介護連携政策課長 ありがとうございます。

 先生のお話はごもっともと思ってお伺いしておりますし、この部分はまさに表裏一体ということではないかと。特にどちらかというよりは、どちらもということなのかと思いますが、この部分は現場のことをよく御案内の先生方がいらっしゃいますので、幅広くお話しいただきながら、事務局としても文案は考えていきたいと思います。ありがとうございます。

○永井部会長 井上委員、どうぞ。

井上委員  ありがとうございます。

 1ページ目の基本認識のところで、3つ目の柱立てで制度の安定性・持続可能性の中で、保険財政や国の財政に係る状況等に留意するという文言を盛り込んでいただきまして、この辺は前回も申し上げたように、我々としては非常に重要な項目だと思っております。この点、前回の改定の基本方針のときに、経済成長や財政健全化との調和という柱が1本立っていたので、ますます経済に対する影響が大きくなっていく中で、今回もやはり前回の柱立てのようなものが立てられないものかどうかということをもう一度御検討いただければ幸いでございます。

 あと、7ページに飛びまして、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保というところでございます。まず、具体的な項目として、どうしても医薬品関係に偏っているという印象を受けます。効率化・適正化につきましては、前のほうで視点1から3の中に掲げられています、例えば医療機能の分化・強化、連携の推進であるとか、外来医療の機能分化、こういったことも効率化・適正化の観点からも検討すべき項目で、再掲という形になりますけれども、例として掲げてはどうかという御提案でございます。

 2つ目ですけれども、7ページ目の最初の三角のところで「薬価制度改革の抜本改革に向けた基本方針」とありますが、この基本方針の中にイノベーションの推進ということがかなり明示されており、このような考え方も議論に含めていくべきではないかと考えております。

 以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員 ありがとうございます。

 私からは1点、最初の1ページ目の改定に当たっての基本認識のところですが、一番下から2つ目の丸で、生産人口の減少とか、制度を支える医療現場の人材確保、これは非常に重要で、これから若い人がだんだん減っていく中で、どうやって医療従事者として人材を確保するかということはとても重要な問題だと思っています。

 6ページ目にも、その医療従事者の負担軽減のことが書かれているのですが、現在、例えば病院で言いますと、人件費比率は実はもう6割ぐらい行っています。世の中の景気もよくなって、給与が上がるという世の中で、今、6割の人件費で毎年給与を上げるということはとても難しくなっている。ということは、診療報酬改定で少しでも人に対する評価、物から人に評価を変えていかないと、とても医療界に若い人材を確保することが難しいであろうということが考えられますので、ぜひそういう視点を基本的に入れていただきたいと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員 ありがとうございます。

 基本認識についての1ページの2つ目の同時改定ということで、その2つ目の丸ですけれども、最後のところで、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携という、この文章がはっきりわからないのですが、医療と介護をはっきり線引きするということなのでしょうか。現場ではやはり医療と介護のまじったというか、ファジーな部分があるので、そのあたりをちゃんと認識していただいての同時改定ということで、連携できるようなところをつくっていただきたいということでございます。

 もう一つ、平川委員から出ております文書の「レセプト電子請求のさらなる推進と全ての医療機関における診療明細書の無料発行の推進を盛り込むべきである」ということに関しましては、歯科も電子化に向けては努力しているわけですけれども、やはり高齢で小規模な方々が歯科で医院を開業しているという段階で、結局、猶予ではなくて免除を受けた方々。それから僻地とか、そういうところでやっておられる方にも、100%オンラインにしろとか明細書を出せというのは、ちょっと無理なところがあるので、通知としては結構厳しいものが出ていますから、そのあたりは配慮いただきたいと思います。

○永井部会長 事務局、どうぞ。

○医療介護連携政策課長 御発言の中で、両制度の役割分担と連携の関係でお尋ねがありましたので、お答えさせていただきます。

 現場で特に高齢の方がふえてきた中で、両者の接点の部分が非常に多くなっているというのは先生のお話のとおりだと思います。その上で、一応それぞれの制度のたてつけはありますので、そこを足場にした上で、現場の先生方に御不便がないように連携を深めていくということでございまして、そこを何かばしっと切って接続しないような形にしようとかいう意味ではなくて、それぞれの分野の持ち分をまずはっきりさせた上で連携させていく。そういう発想でございます。

○永井部会長 ほかに。

 加納委員、どうぞ。

○加納委員 まず視点1、3ページ目以降のところなのですが、地域包括ケアシステムにおける医療のかかわりとすれば、ここに書いてあるようなかかりつけ医、在宅等々もあるのですけれども、やはりもう一点、一つのキーワードではないかと思われるのが、以前は書かれていたと思います、救急医療体制の充実とか、そういったところもぜひともこの中の具体例に書いていただけないかと思います。もちろん高齢者救急だけではなくて、これには小児、周産期を含めた救急体制の充実ということも加えていただけないかということであります。視点2のほうには一部、救急医療の充実というのは書かれているのですが、地域包括ケアのところにもやはりこれは大事なキーワードとして入れていただきたいと思います。

 視点3ですが、6ページ目、医療従事者の激しい勤務環境が指摘されている中、いろいろな負担軽減の話があるのですが、これも1行目の「されている中」の後ろあたりに、地域医療を考慮しつつという、やはり現状において地域医療も守らなければいけないという現実もありますので、その文言をぜひともこの中に入れていただいて、文章をつくっていただきたいというのが2つ目のお願いでございます。

 以上です。

○永井部会長 安部委員、どうぞ。

○安部委員 「診療報酬改定に向けた基本認識、視点、方向性等について」の資料については、私はおおむね良いのではないかと考えています。その中で、恐縮ですが、次期の改定に限定しないことでありますが、意見を申し上げたいと思います。

 1ページの2つ目の黒三角の2つ目の丸に、6年に1度の同時改定を見据え、医療の分化・強化・連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進めることが重要と書いてございます。まさに医療・介護の役割分担と切れ目のない連携を進めることは重要でありますが、現在は診療報酬、介護報酬の改定時期が2年、3年でありますので、6年に1回のチャンスとなるということでございます。御承知のように医療計画、介護保険事業計画の時期は調整したわけでありますので、6年に1度の同時で見直すのか、それともほかに医療と介護が連携して、その役割分担でありますとか連携をより進める方法論はないのか、今後議論すべきではないかと考えています。

 それから、委員提出資料で山口委員から、かかりつけ薬剤師については2年前に制度ができたものの、なかなか理解が進んでいないのではないかという点に関しては、私たち薬剤師は直接の当事者でございますので、フリーアクセスの中でもしっかりと患者さんたちに理解を得て、適切にその制度を使っていただけるようなアプローチをこれから積極的にする。そういったことが必要かと考えております。

○永井部会長 ありがとうございます。

 菊池委員、どうぞ。

○菊地委員 2ページの改定の基本的視点について、4つの視点に賛成ですし、また、介護報酬との同時改定でもありますので、地域包括ケアシステム構築の推進に重点を置くことにも賛同します。

 視点1の「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」について、これから患者さんに切れ目のないサービスを提供し、安心して在宅療養を継続できるようにするために、今後は入院前からの入退院支援の充実が不可欠と思います。前回の改定の基本方針において、地域包括ケアシステム推進のための取り組みの強化として、患者が安心、納得して退院し、早期に住みなれた地域で療養や生活を継続できるように、退院支援の重要性が指摘されて、加算が充実いたしました。

 退院支援を充実させてきている病院においては、既に病院の外来の段階から支援を開始しております。手術前の外来通院時から在宅での生活状況、療養上の課題、入院治療、手術後に予測される問題について、情報収集・整理して看護計画等を立て、退院後必要となる家族への支援、社会的支援について、入院前から準備を進めているところがふえております。服薬状況、栄養・口腔ケア、経済的困窮、独居など、問題に応じて多くの職種と連携して、入院前から準備をすることにより、入退院がよりスムーズになります。患者・家族にとっては、入院前に治療や手術に対する不安や疑問、退院後の療養上の問題に対して医療従事者が説明し、支援が必要であれば解決策を提示して一緒に考えますので、患者・家族の方にとっては安心感がありますし、退院後の準備がしやすくなるという効果があります。

 病棟の看護師にとっても、入院前に情報収集が終わっていて、今回の入院目的ではない、持っている疾患についてのリスクだとか、転倒・転落、アレルギー情報などは事前に把握されておりますので、インシデント防止に役立ちますし、術前から術後のリハビリの練習をすることなど、合併症予防についても術後のリハビリがスムーズにいくということなどがあります。

 また、病棟においても、退院後の生活を視野に入れた適切なケアや支援を早期から意識しながら行うことができます。進んでいる病院では、入退院支援センターとか患者サポートセンターのような形で病院全体の入退院支援部門として独立させ、多くの職種・人員を配置して、入退院支援を行う病院も出てきております。このような形態をとりますと、退院後の在宅医療機関、訪問看護ステーション、ケアマネジャーなど、受け入れ先機関との連携も効率的に行えるようになります。

 最近は高齢の患者さんが多く、複数の疾患を持っている方も多いですので、退院後も継続して医療が必要であり、また、生活上の障害があって介護サービスが必要な患者さんがふえていますので、退院時の患者さんの状態に合わせて医療と介護サービスを組み立てることがますます必要となりますので、入院前からの退院支援も促進する方向で医療と介護の連携が構築できていくとよいと考えます。

 以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  次期診療報酬の点数の増減についての心得とか願いが書かれているように思いますが、それについては余り、そのこと自身について異議はございません。このような公定価格がどのように医療市場のプレーヤーに反映されるのかというプロセスについて、実は前回、2年前にも質問したのですけれども、余りこの議論のスタイルが変わっていないように思いますので、改めて申し述べさせていただきたいと思いますが、診療報酬を改定するときに我々の願いがどのように反映されるという道筋が見えるのですかというようなことでございます。

 診療報酬を改定し、供給に影響を与えようということだと思いますが、そうすると、供給の価格弾力性はどれだけ敏感に反応するのか。点数を1点上げたときに大きくはねるのか、そんなにはねないのか。供給の過去のトレースが必要だと思うのですけれども、トレースの数字の資料がこの場に出てきたことがないような気がするのです。次の基準を決めるときに過去の基準から、その効果はどうだったのかという数字で示して次の基準、願いを決めてもらうというのが普通のやり方ではないかと。これはちょっとクレームっぽいのですけれども、そのように改めてお願いしたいと思います。

 過去のトレースを中医協の検証部会でされているということなのですけれども、それを我々の議論に参考資料として提出してほしいというのが具体的な願いです。ここで言う、医療部会で願いを確立したときに、価格形成過程、価格の展開を通じてどれだけ実現しているのかということが、件数の増減でわかるのではないか。地域包括ケアをふやして、その医療の分野がふえてきたのか、あるいは働き方。人件費を適正化するということになると、診療所と同じような診療をされているときに、診療所の件数増減と病院の診療科の件数増減に違いがあるのかどうかということはトレースできると思いますので、供給の影響、分野別、地域別のトレースをしていただくと、次の基準の効果を判定するときにわかりやすいと思います。

 2年前にそのようなことを申し上げたつもりでありまして、効果検証のPDCAのCの部分の結果をこの場にも出して、議論にしてほしいというのが一つ。公定価格決定のプロセスについての話です。

 もう一つは、価格決定の哲学的な話でございますが、このような診療報酬の価格は負担者がいるわけでございます。患者さんと保険者と納税者で制度のステークホルダーになるわけでございますが、公定価格だけで良い診療体制の構築には限界があるのではないかという感じがいたします。診療報酬は大事でございますが、一本足打法と言われてきた中で、都道府県単位に地域医療構想とか国保の県単位化、介護の総合化、健康増進とか、診療報酬に直接関係のない部分もあわせて医療費適正化に向かえと。こういう国のメッセージが来ているわけでございますので、このような国での一律の公定価格形成が都道府県の責任にどのように影響を与えられて、あるいはどのように心得ればいいのかというようなガイドラインの議論が、私の立場からは必要かと思っております。

 もう一つは、価格だけでマーケットがよくなるというのはちょっと難しくなってきているというような見方で、国の立場からいえば、その他の手段、補助金だとかいろいろな非診療報酬のテクニックがあわせて出される必要があるのか。それが最初の医療現場の人件費をもう少し上げていく、働き方を改革しようということの役に立つのではないかと思いますので、その全体の厚労省の体系ですね。診療報酬の分野、そのほかの分野の体系を全体としてバランスのとれた哲学を打ち出していただきたい。公定価格の決定原理のプロセスの話と、他の分野も含めた位置づけということを、ぜひこの場でも出していただきたいと、改めてお願いするものでございます。

○永井部会長 いかがでしょうか。事務局からお答えいただきたいと思いますが、公定価格に関するあり方、プロセスについてです。どうぞ。

○医療介護連携政策課長 まず、今回の指針との関係で先ほどの荒井委員のお話を申し上げますと、前回の資料でもお出ししましたとおり、ここの場は個別の点数づけの話ではなくて、全体のウエートのかけ方を議論する場だということがございます。その前提の中で、これまでの議論のやり方をベースにしながら、今、基本方針の議論をいただいていると思いますので、何か具体的にこういう話という話がありましたら、先ほど申し上げた役割分担のお話等をベースにして事務局で検討したいと思いますが、やはり中医協とこの場との役割分担というものには、一つ留意が必要かなと考えます。

 1点目は以上です。

○荒井委員  2年前に言ったけれども、全く改まっていないと、改めて言いたいと思いますが、私は全体の話をしているので、個別の点数を出せというのではなしに、この願いが聞かれたかどうか、全体として判断する場がないではないかということを言っているので、全然とり方が足りないですよ。また噴き出しますから。ここで噴き出すと邪魔になるから言わないけれども、全然2年前と変わっていない。全然検証効果が出されていない。

 それは中医協でやっていますから結構なのですと、そんなのではこの医療部会は何のために議論しているかわからない。ブラックボックスの包装紙を決めているだけではないですか。包装紙を決めて、中でブラックボックスでやっていますと、その検証はどこがやっているのか知らないけれども、そんなのではだめだと言っている。叫んでいるのだから。

○永井部会長 いかがですか。

○医療介護連携政策課長 ありがとうございます。

 委員の御意見を酌み取れていない点はおわびしたいと思います。

 こういうものがあれば資するのだというようなお話にブレークダウンしていく必要があるのだろうと思いますので、そこは問題意識を私どもがうまく酌み取れていないとすれば、こういうものがというお話をいただきながら検討したいと思いますので、お聞かせいただければと思います。

○荒井委員  今、この願いとして幾つかの診療報酬の分野がある、その件数の増減を出してくれということを具体的に言ったではないですか。具体的に言えというから改めて言いますが、聞いていないのではないかと思う。ちゃんと聞いて、必ず反映してください。

○医療介護連携政策課長 委員の今のお話の中に挙げられたものは、私どもも確かにこの場で承っておりますので、そのお話で何か形にできるものがあれば、それは御用意したいと思いますし、私が申し上げたのは、委員の問題意識を十分私どもが酌み取れていないのではないかという話がありましたので、その部分はより詳細にお聞かせいただきながら、次回の資料は準備したいと思います。ありがとうございます。

○永井部会長 包装紙ではなくて中身のプロセスですね。できるだけ情報を提供していただきたいということだと思いますので、よろしくお願いします。

 山崎委員、それから中川委員。

山崎委員 先日の医療部会で、社会保障財源の現状についての資料を 提出して 欲しいということで、きょうの参考資料3に入っているのです 、その資料の14ページです。グラフが入っているのです 、平成2年のときに税収が大体60兆円あったのです。平成29年の税収は57.7兆円ということで、平成2年の税収よりも少ないわけでして、それに加えて今度、社会保障財源を含めてどんどんふえて、一般会計歳出が70兆円だったのが100兆円を超しているということで、そこの補塡をするために40兆円ぐらいを4条公債と特例公債、赤字国債を出して補塡しているという国の財政状況にありまして、その次の15ページに、建設公債と特例公債がどんどんふえているという図があります。

 それと、18ページです 、平成2年、1990年のときは医療費が20兆円だったのですがここ30年近くで、これが2016年のデータに入っていて42.2兆円ということで倍ぐらいにふえているのに、税収が全然ふえていないのです。そうすると、今、我々の医療保険とか介護保険の財源は、国の赤字国債に頼ってやっているわけです。こういう仕組みでずっとやって いて 、医療保険、介護保険がもつわけがないのです。

 したがって、制度の抜本改正とか、給付制度をどのように変えるかというのを根本的に変えていかなければいけないと思うのです。ところが、そういう議論は全然出ないで、何に何点つけるとか、こちらを削ってこちらにつけるという財政中立の総論的な話ばかりをしているのですけれども、もうちょっと根本に戻った制度改革の議論をどこかでしなければいけないのではないかと思っています。

○永井部会長 今の点、いかがですか。事務局から先に、今の御指摘について。

○総務課長 今の山崎委員の御意見は、非常に根本にわたる議論になっているかと思います。我が国の社会保障財政は非常に厳しい状況で、国家財政そのものが大変厳しい状況の中で、一方で社会保障の費用が非常に増えてきている中で、それをどうファイナンスするのかというのは非常に大きな課題だと思います。そういった中で、以前の税・社会保障一体改革で消費税の引き上げを行う中で、社会保障に対する一定の財源の措置をするということが一つの方向として整理されてきたと理解しておるところでございます。

 今般、解散の際に総理から消費税の使途についていろいろと御意見があったところでございますけれども、私どもとしては今後の選挙結果も踏まえつつ、政府・与党内での今後の議論が恐らく出てくるかと思いますが、そういった中で省を挙げて対応していくことになっていくのではないかと考えているところでございます。

山崎委員 追加でいいですか。同じ資料の19ページなのです 、直近の医療費の動向ということで入っていて驚いたのは、歯科診療費が2008年から2016年までの8年間、ほとんどふえていない。一方で、グリーンの線の調剤のところが2兆円近くふえている。こういう伸び方は非常に不自然だと思うのです これは事務局にお聞きしたいのですが、どうしてこんなに調剤がふえているのですか。

○医療介護連携政策課長 資料を整理しまして、次回、説明資料を出させていただきたいと思います。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 今の山崎先生の御意見の一部か大部分かと思いますが、診療報酬改定の基本方針を決める社会保障審議会の議論としては、やはり財源についての言及が極めて少ない。私は診療報酬改定は5回目ですけれども、ほとんど空回りというか、必要な財源を確保する当局には何の力も発揮できないような、何となくうちわで風を送っているような感じのものに見えて仕方がないわけです。今回、この基本方針をしっかり加筆修正していただきたいと思います。

 資料1の1ページ、一番下の黒矢羽根「制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方の推進」という項目がありますね。そこで最初の行が非常に気になります。制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持するためには、国民皆保険を支える国民各層の制度に対する納得感を高めることが不可欠ではないかと。納得感を高めたら何かいいことがあるのですかということが1つ。

 それから、国民は今の公的医療保険制度、国民皆保険に納得していないのですか。これはどういう意味か説明していただけますか。

医療介護連携政策課長 ありがとうございます。

 納得感が重要だという話は、諮問会議を初め、いろいろな場で社会保障の議論をするときに用いられている言葉ではございます。現在の給付や負担に対する御意見、これは年齢層によって、受けられるサービスと負担、年代によっても受けとめが違うわけですが、そういったバックグラウンドの違う方々がトータルで制度を支えてくださっているということだろうと思います。それが今後、高齢化が進んでいく中で、このままで大丈夫なのかという御心配もあるということがありますので、そういった中でもきちんと納得感を確保していく。みんなに支えていただいている仕組みなので、その支えていただいているそれぞれの方々が、これでよいのだという形に給付も負担も両面から考えていく必要がある。そういう意味合いでございます。

○中川委員 それだったら、国民各層の制度に対する理解を深めるとかという表現でしょう。納得感を高めるというのは全然違うと思いますよ。

 その次、同じところの段落ですが、ずっと来て2行目の最後、保険料などの国民負担、物価・賃金、医療機関収入や経営状況、国の財政に係る状況等に留意するとともに、無駄の排除、医療資源の効率的な配分を図ることが必要ではないかと。この前の文章を全て無駄の排除、医療資源の効率的な配分を図ることが必要でないかでおさめるのですか。受けているのですか、これは。

○医療介護連携政策課長 言葉のくくり方の点だけ説明させていただきます。後段、今、先生御指摘の下から3つ目の丸の下から2行目の無駄の排除云々というのは、前段とは切れておりまして、そういう意味では、この文章は3つの固まりからできています。1つ目が骨太のグループ。それから、保険料、国民負担、賃金の動向、収入、経営状況、財政等という、これが2つ目の固まり。無駄の排除、効率的なものが3つ目の固まり。一応そういう作文になってございます。

○中川委員 時間があるようですから、ちょっと詳しく聞かせてもらいます。保険料などの国民負担を踏まえるとは、保険料はもうこれ以上、上げられないよという意味なのですか。どうなのですか。もう少し上げるべきだという意味なのですか。どちらですか。

○医療介護連携政策課長 ここで保険料のあり方を決めるということではございません。

○中川委員 わからなかったら無理に答えなくていいです。

○医療介護連携政策課長 留意すべき事項として。

○中川委員 もういいです。

 次ですが、医療機関の収入や経営状況。これは医療経済実態調査でそんなに悪くなければ下げるとか、そういうことですか。これは何を言いたいのですか。これは何気なく書いてあるけれども、よくよく読むと非常に危険な文章なのですよ。

○医療介護連携政策課長 この部分につきましては、かくあるべしということではなくて、留意事項を並べたものでございますが、このフレーズは、私どもで閣議決定をしております骨太2017のフレーズも参考にしながら、このようにしたものです。

○中川委員 それでは、ここの最初の丸は、ほかにあったところのコピペをしたということですね。それならそうと言ってください。

○医療介護連携政策課長 ここで財政フレームについて等々、ほかの場所で決まることについて、何か新しい決めごとをしようというような意味合いでこの文章ができているということではなく、別の場所で合意形成等々がされていくであろうということ、あるいは政府の決めごとをこの場所に反映したということです。

○中川委員 社会保障審議会医療部会としては、コピペではなくて独自の文章を新たにつくり直す、書き直すべきだと思います。

 その上で、参考資料3をお願いします。まずお聞きしますが、いい悪いではないですよ。政府は2020年のプライマリーバランス黒字化の旗はおろしたのですか。どうですか。微妙な政治的な問題なので答えにくいとは思いますが、大事なことなので現状を教えてください。

○永井部会長 いかがでしょうか。

○医療介護連携政策課長 私ども、記者会見等々で公に表明されたものしか知る由はございませんが、その見直しに総理は記者会見で言及をされたというふうに承知しております。

○中川委員 見直しに何ですか。

○医療介護連携政策課長 見直しに言及されたということ。

○中川委員 では、旗を一度おろしたのですね。

○医療介護連携政策課長 ちょっと評価は。総理のお言葉以上のものはないです。

○中川委員 見直すということは、おろしたのですか。違うのですか。

○医療介護連携政策課長 それは私どもも発せられた言葉で察するしかないということでして、その事情は御賢察いただきたいと思います。

○中川委員 基礎的財政収支の対象経費の最も大きな社会保障関係費を所管している厚労省が、そのことをはっきり認識していないということはないでしょう。誰も答えられないのですか。医療介護連携政策課長だけしか答弁しないというのもおかしな話です。

 総務課長、お願いします。

○総務課長 医政局総務課長でございます。

 この辺は、今、医療介護連携政策課長が申し上げましたように、私どもとしては、総理が記者会見の場でおっしゃった話以上の情報はなかなかないところでございますが、総理は、その場におきましては、今回、2兆円規模の新たな政策を実施するということを言明されつつ、その財源については、そのツケを未来の世代に回すようなことがあってはならないといったようなこともあわせておっしゃっているところでございます。これをどう評価するかというのは、正直なかなか難しいところではございますが、私どもとしても、また今後の選挙の結果なども踏まえながら対応していく必要があるのではないかと考えているところでございます。

○中川委員 その程度が限度のお答えだと思いますが、私は、総理は非常に勇敢な決断をされていると評価しています。

 今の参考資料3の11ページをごらんください。なかなかこれは一般には知られていないのですよ。皆さんはよく熟知していますけれども、消費税の5%引き上げによる増収財源を1対4に分けて、5%上げたときの10%時、今は5分の3と財源を考えればいいのですが、1%程度を社会保障の充実、4%程度を社会保障の安定化と分けていますね。そのうちの4%のほうの2つ目の丸、後代への負担のつけ回しの軽減で、そのポツのところに、高齢化等に伴う自然増を含む安定財源が確保できていない既存の社会保障費と書いてあるのです。これを素直に読むと、この7.3兆円程度、現在は3.3兆円ですが、自然増を年5,000億円に抑えるということをしなくても、このとおりに使えばいけるのではないですかというのが1つの疑問です。無理だと思うからお答えは要りません。

 実際には、報道でもあるように、この3.3兆円、将来7.3兆円を、借金の穴埋めに使っていると報道されていますが、それは事実ですか。

○永井部会長 では、今の点。

○総務課長 済みません。これも総理の会見のときの御発言を御紹介する形になるかと思いますけれども、総理の会見の中におきましては、現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金の返済に使うこととなっていますといったような形で御紹介しておられるところでございます。

○中川委員 それなら新聞記事と同じではないですか。この11ページの将来7.3兆円、今3.3兆円の財源を、自然増を含む安定財源が確保できない既存の社会保障費に使うと書いてあるのに、借金の穴埋めに使うということは、一体改革をつくったときの3党合意でそのように借金の穴埋めに使うと決まったのでしょうか。

○総務課長 今、先生に御言及いただきました3党合意につきましては、今、先生から御紹介のあった11ページの配分の方法で整理がされていると理解しているところでございます。

○中川委員 ちょっと困りました。余りにも答えが貧弱です。穴埋めに使うと3党合意で決まっていたのですか。社会保障に使っていないという批判がありましたね。自然増を含む安定財源が確保できていない既存の社会保障費に使うということだったら、国民は納得しますよ。そもそも消費税を引き上げたのは、社会保障給付費の国庫負担財源が足りないということで引き上げたのですから、それを気がついたら借金の穴埋めに使っていたということは、国民はほとんど知らなかったはずです。

 いいです。次に移ります。

 それでは、同じく参考資料3の13ページです。今、11ページで申し上げた消費税増収財源を1対4に分けたときの1の部分、社会保障の充実分の財源で1.35兆円分の使い方です。平成29年度予算案では、医療・介護の上から2つ目、診療報酬改定における消費税財源等の活用分というところがあります。29年度は予算案として442億円となっています。これは国保組合の国庫補助の見直し30億円等を含んで422億円になっていますが、実際には正確に言うと392億円です。29年度予算案で392億円というのは、これはなぜここにあるのですか。診療報酬改定における消費税財源等の活用分というのは計上されているのですか。29年度予算で診療報酬改定はしていないではないですか。

○永井部会長 どうぞ。

○医療介護連携政策課長 先生の御指摘の点ですが、経緯だけ申し上げますと、先生御案内のことと思いますが、26年度改定のときに消費税財源を一部活用して改定財源に充てていたと、その内容がおおむねフラットに推移して現在に至っているというのが、非常に大ざっぱに申し上げると経緯です。

○中川委員 そのとおりです。そのとおりというのが大問題で、2014年度予算でこの同じ行のところに、このタイトルがそもそも2014年度診療報酬改定における消費税財源等の活用分と書かなければいけないのですよ。2014年度予算案が353億円、2015年度がスライドしますから満年度で392億円、2016年度が392億円、同じく2017年度、今年度も392億円とスライドしているのです。これは2014年度改定だけ社会保障の充実分予算を使っているのですよ。そして、2016年度改定では充実分の財源はゼロなのです。わかりやすく言うと、消費税率を引き上げた年でないと、改定財源に消費税増税財源のうちの充実分は充てないと決めているのです、主計局は。ここを見直さなければだめなのですよ。

 何を言いたいかというと、2014年度予算で353億円を計上したら、2015年度はその分は1対4に分けた先ほどの11ページの3.3兆円、最終的には7.3兆円になる、高齢化等に伴う自然増を含む安定財源を確保できていない既存の社会保障費のところのランニングコストにつけかえなければならないのですよ。そのようにしていかないと永久に、消費税率を上げたときしか診療報酬改定財源にこの充実分を充てないということになるのです。実際にもうなっているのです。

 総理は、このことも含めて見直すとおっしゃっていると私は理解しています。そういうことも含めて、基本方針のところに書き込んでいただきたいと思います。

 同じく参考資料3の12ージの右下の絵をごらんください。今、充実分のことを言いましたが、(1)が充実分です。29年度が1.35兆円、それから10%にして満年度にしたときは2.8兆円です。この2.8兆円の使い方が、今までのように診療報酬改定の消費税率引き上げのときだけ改定財源にするなどということではなくて、一体改革で合意された使い方をきちんと守っていただきたいと思います。

 それから、(2)の借金の穴埋めに使った3.3兆円の財源は、7.3兆円になります。このうちの4兆円程度を、これは軽減税率が導入されますから少し目減りしますが、この中から2兆円程度、少子化対策とか教育に使いたいと総理がおっしゃっていますが、それには我々も賛成です。しかし、そういう財源も含めて、せっかくのかけがえのない消費税増収財源ですから、社会保障を守るためにしっかりと厚労省も声を上げていってほしい。財務省の指示どおりにただ与えられた金額だけを使うのではなくて、しっかり声を上げて財源を確保していただきたいと思います。

 今まで申し上げたことを踏まえて、基本方針をぜひ修文していただきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 では、最後に荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  ちょっとだけ事務局に激励の言葉を贈りたいと思います。中川さんのおっしゃることはごもっともなことだと思うのですけれども、よくわかっておっしゃっているようにも思うのですが、最初の借金の問題は、今までは社会保障は同時代、その時代で負担を分かち合うという同世代扶助を大原則にしています。後世代扶助は保険制度として成り立たないから、税金で後世代、借金してやるよと。こういうことであれば、どんどん借金をふやして、あとは我々が長生きするのは孫が払えよということですけれども、今、そういうことをしてはいけない。

 地方での制度を、先ほど、いろいろな制度を一緒に見ろよと言われることになって、改めて制度を見ると、日本の制度はとてもいいと思いますけれども、これを持続するのに本当に一生懸命にならないといけないと思います。国だけでは出来ないから、地方も持続するのに協力してやらないといけないということを強く強く思い始めております。

 その中での政治の動きということでございますが、今回の選挙の争点は消費税の増税の条件として使途拡大ということを総理が言われて、これは社会保障がどうなるかわからないのだけれども、教育をふやすと、どうも財源の内容を聞いていると、10%になってもほとんど使途は埋まっている。そうすると、社会保障から取って教育に回そうということになるのかどうか。ほかを減らすのかどうかというのは大きな政治的な争点になります。

 中川さんがおっしゃるのは、教育に譲れとは直接は言えないから、これは文科省対厚労省という両大臣の争いになると思いますが、社会保障は大事だから消費税増税の枠は確保しろよと言っておられるので、我々の立場はそれでいいのですけれども、大きな政治の枠組みの中での使途拡大を今度の選挙でアピールされると、教育の分野がふえたときに、さて、厚労大臣はどうされるかというのが大問題であろうかと思います。

 中川さんはみんなわかって激励をされているように思うのですけれども、だから、反論ということではなしに、事務局がそこまで言えないのではないかと思って、ちょっと激励のつもりで、社会保障の財源確保のために頑張ってくださいというぐらいのことは私からも言わせていただきたいと思います。

○永井部会長 では、最後にまとめてください。

○中川委員 荒井知事、ありがとうございます。

 私は、借金がふえてもいいなどというのはもちろんさらさら思っていませんし、やはり何とかしなければいけないというのは十分思っています。

 ただ、決められたルールは守っていただきたいなと、途中で変更してはいけないと思うのです。そういうことを強く言えるのは厚生労働省が省庁の中では唯一だと思うのです。なかなか声が小さいので、荒井知事と同じように、私の言い方は攻めているように聞こえるかもしれませんが、厚生労働省を激励しまくっているのです。頑張っていただきたいと思います。

 それから、医療保険制度については、若干知事とは見解が異なりますが、今は公費と保険料と、医療で言えば患者一部負担の中の公費の議論だけをしているので、その点はお忘れなく。

 日本の公的医療保険制度の持続性を高めるためには、まだまだ打つ手はたくさんあるのです。制度改革もやることはいっぱいあるし、まだまだ打つ手はいっぱいあるので、諦めないで厚労省は頑張ってほしいと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 いろいろ御議論はおありかと思いますが、事務局におかれましては、ただいまの議論を踏まえて必要な対応をお願いしたいと思います。

 では、議題の2に参ります。今年度成立しました改正介護保険法の施行に関して、医療機関から介護医療院に転換する場合の名称の特例について、前回の議論を踏まえて説明をお願いいたします。

○総務課長 医政局総務課長でございます。

 資料2によりまして、御説明申し上げたいと思います。

 介護医療院が今回新たに創設されることになりまして、その名称の中で病院・診療所という名称をどう取り扱っていくのかということが、一応法律の中では大原則は決まったわけでございますが、前回もこの場で御紹介いたしましたとおり、それを具体的にどうしていくのかというところを整理してまいりたいと思っております。

 あわせて、前回の議論の中では、法律上の施設の名称だけではなく、実際にそれを表示するときにどうなるのかといったところについて、いろいろと御質問、御意見がございましたので、そういった御意見なども踏まえまして、対応の方針を私どもで案として整理させていただいたところでございます。

 今回、整理に当たりましては、前回の議論のときに転換というものが、丸々転換するのか、それとも一部の転換にとどめるのかという場合に応じて考え方を整理するべき点があるかと思っておりまして、まず1ページをごらんいただきますと、一部転換の場合、これは病院の病床を転換して外来機能だけを残すといったケースも含めてでございますが、そういった場合について、まず整理をさせていただきたいと思っております。

 まず、法律上の名称についてでございます。これにつきましては、前回、私どもから御説明申し上げました案と変わっているものではございませんが、手続的なところを1番目の丸で整理させていただいております。病院・診療所がその一部を介護医療院に転換いただく場合、もちろん外来機能のみを残す場合も含めておりますが、その場合には、都道府県に対して介護医療院の開設の許可を申請していただく手続が必要となってまいります。その際に、その介護医療院の名称をどうするかということを決めていただいて、それを含めて申請していただく必要があるということになってまいります。

 この介護医療院の名称の中で、従前の病院・診療所の名称を継続して使用したいといったときには、「介護医療院」というのは今回新しく区分として出てまいりますけれども、その文字を併記などしていただければ、介護医療院の名称の中で従前の病院や診療所の名称を継続して使用できるということが、先般の改正介護保険法の附則第14条の中で決まっておるところでございます。

 その際、実態に合わない名称の使用を認めることは適当ではないと考えておりますが、一方で、従前の病院・診療所と新しくつくります介護医療院、それら両方が併存するケースが一部転換の場合だと思います。そういった場合には、患者の皆様に事実誤認を生じさせる可能性は低いと考えられますので、従前の病院・診療所の名称につきましては、特段の制約なく継続して使用できるようにしたらどうだろうかと考えているものでございます。

 それから、今申し上げたのはあくまでも法律上の施設の名称の話でございますが、これを具体的に表示するときにどうするのかということでございます。前回、私は、イメージとして2枚看板といいますか、病院と介護医療院の看板をそれぞれ掲げるのではないかというイメージで考えていますということを申し上げましたが、その際に皆様からいただいた御意見を改めて整理させていただきますと、この表示のあり方を考えるに当たっては、3点留意が必要ではないかと思っております。

 1つは、患者さんや利用者の方々に誤認を生じさせないようにするということ。2つ目は、転換する前の病院・診療所からの継続性があるのだということを明確にすること。もう一つは、医療機関から介護医療院に転換するときに、それを阻害しないような仕組みにしていくということでございます。この3点を今回の検討に当たって留意する必要があると思っております。

 実はこういった転換の実例といたしましては、医療機関の一部を転換して老健施設になるといった場合の取り扱いについて以前、通知を出しております。この通知の中におきまして具体的にどういうことを求めていたかと申しますと、表示等によりまして、病院・診療所と新しく併設する老健施設との区分を可能な限り明確にするということをお願いしていたところでございます。

 今回、介護医療院に転換するといったケースにおきましては、やはりこの取り扱いを踏まえつつ考える必要があるだろうと考えまして、その下の枠にございますけれども、同じような考え方で整理をするということで、医療機関の一部を転換して介護医療院を併設するといったケースにおきましては、表示等によって医療機関と介護医療院との区分を可能な限り明確にしていただくということをお願いしたいと思います。

 ただ、具体的な方法につきましては、幾つか例示をしておりますけれども、フロアマップのような感じで館内表示をしていただく、あるいはもちろん看板で病院と介護医療院を並べて書いていただくというのもあると思います。あるいは張り紙の中で、この部分が介護医療院なのだといったような御案内を示していただく。これは別に、このどれかを必ずやれということではございませんが、それぞれの実態に応じて適切なやり方で明示していただくことでどうだろうかということでございます。

 以上が一部転換の場合でございますが、次の2ページは、今度は全部を転換するケースでございます。入院機能もなくして、また、外来の機能も残さないといった場合の取り扱いがどうなるかということでございます。

 まず、法律上の名称をどうするかというところでございますが、1番目の丸、2番目の丸に書いておりますことは、基本的に先ほどの一部転換のケースと同じようなことでございます。全部転換の場合においても、当然、都道府県に対して介護医療院の開設の許可の申請は必要になりますので、そのときに介護医療院の名称をお決めいただくことが必要になってまいります。その名称の中で、従前の病院・診療所の名称を使いたい場合には、「介護医療院」といった文字を付記していただければ、継続して使用できることに附則上なっているところでございます。

 ただ、その際に、この場合には全部転換でございますので、従前の病院・診療所の機能が一切なくなるということになってまいります。そうなりますと、従前の病院・診療所の名称の中で、例えば地域医療支援病院といったような実態に合わない文字がある場合には、患者さんに事実誤認を生じさせる可能性がございます。これは循環器病院といったような名称もそうであろうかと思いますが、実態がない場合には、事実誤認を生じさせるような文字については使用を認めないという運用で対応させていただいたらどうだろうかと考えているところでございます。

 あわせて、名称の表示をどうするかということでございますけれども、これも一部転換のケースとは違いまして、従前の病院・診療所の機能が一切なくなるということでございますので、表示におきましては、虚偽の広告にならないような配慮が恐らく求められることになるのではないかと思っております。つまり、従前の病院・診療所の名称のままというのは場合によっては不適当なケースが出てくるのではないか。例えば、外来だけ残して循環器病院といったような名称でいるのも違和感がございますので、そういったところにつきましては、ぜひ虚偽表示にならないような御配慮をいただけるといいのではないかということでございます。

 非常に簡潔でございますが、前回の御議論を踏まえまして、私どもで案として整理させていただきました考え方でございます。これにつきまして、また先生方の御意見をいただければありがたいと思っております。

○永井部会長 ありがとうございました。

 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員 前回の御説明いただいたものよりも、一部転換についてはかなりわかりやすくなっていいかなと思うのですが、問題は全部転換です。今、例えば介護療養だけの病院が介護医療院に行ったとします。もしくは老健型に、1の2というのですかね、行ったとします。その場合に、ここに2回も出てくる「従前の病院・診療所の機能は一切なくなる」というのは、これは表現が間違っているのではないでしょうか。つまり、介護医療院に行ったとしても、それは医療提供施設であることには変わりなく、医療の機能がなくなるわけではないわけです。ましてや介護療養は今、病院ですから、それが介護医療院に行ったときにはほぼ同じ形が踏襲されて、機能が移っていくわけです。名前が変わるだけなのです。ですから、このような表現はまず間違っていると思います。

 それから、そのような場合も、今までが介護療養のみの病院は病院と呼ばれていたわけで、介護医療院と言ったとしても、その病院の機能は残っていますので、また病院という名前で存続したとしても、それは問題ないのではないかと考えます。いかがでしょうか。

○総務課長 ありがとうございます。

 全部転換のケースを想定して、今、委員からお話があったと思いますけれども、今回この整理の中でちょっと表現として厳しいと受けとめられたのかもしれません。従前の病院・診療所の機能がなくなるということを書いておりますが、これは今の猪口委員の御指摘のとおり、介護医療院自体は医療を提供する施設であるという点においては変わらないのではないかと、実態においてはそうだというのは、おっしゃるとおりだと思っております。ただ、例えば今までの病院として、いろいろな診療科目を掲げてそういった機能を提供していたということが、今後さらに新しい介護医療院に転換したときに、例えば患者さんを受け入れて医療保険で診るかというと、そこは今度は仕組みとしては、介護医療院としての入院患者さんに対するサービス、入院といいますか、まさに介護医療院に入院されておられる方々へのサービスということを展開してまいります。ですので、そういう意味においては病院の外来機能はなくなってくるわけでございますので、そういった面の誤解をどうやって生じないようにしていくべきかを考える必要があるのではないかということで、ちょっと表現の仕方がきつかったかもしれませんけれども、書かせていただいているところでございます。

○永井部会長 どうぞ。

○猪口委員 基本的には、どれぐらいの数になるかわかりませんが、今、介護療養だけの病院は結構数があるわけですね。そこは外来をやっている、やっていないにかかわらず、入院機能としては介護療養型なわけです。そこがやむなく介護医療院に行ったときに、そこの入院している患者様に提供している医療は継続するわけです。したがって、医療機能は継続するというのが正しいのです。ですから、その場合も従来と同じ、要するに看板だけ変えて中身が変わるのではなくて、中身が変わらないのだったら看板も変わらないほうが理論的ではないかと考えます。

○永井部会長 中川委員。

○中川委員 総務課長、ここは例えば循環器病院とか、そういう名前がついたところのことを言っているのでしょう。

○総務課長 はい。

○中川委員 猪口先生、そうなのですよ。だから、これは修文してもらいましょう。

 それと、全転換する場合は一切なくなるというのはお気に召さないというのは、そう思います。「一切」を取ったらいいではないですか。要するに、これは循環器病院とかとついたところが一切なくなるという意味なのです。

 弁護するわけではないですけれども、確認しますよ、総務課長。○循環器病院というところが全面的に介護医療院になった場合には、「循環器」という名前をつけるのはよくないということですね。

○総務課長 はい。

○中川委員 外来のみを残して循環器病院とするのは、特例としていいということですか。

○総務課長 今、中川委員御指摘のとおり、○循環器病院といったところが全面的に転換をして、外来もなくなるといったケースにおいては、「循環器」というのは、患者さんの目から見ますと、それが引き続きあると思われる可能性が非常に高いので、「循環器」という名称を残すのは好ましくないのではないかということでございます。

 外来の機能が残っている場合には、これは今、委員から御指摘がありましたとおり、従前の病院・診療所としての機能が横に同じようにあるということを念頭に置きまして、そういった場合には特例的に継続した使用を認めるようにしたらどうだろうかと考えたものでございます。

○中川委員 ありがとうございます。

○永井部会長 加納委員、どうぞ。

○加納委員 一部転換の場合のお話なのですが、一部転換の場合、療養病床を持っている病院が日本の病院の半分近くあり、かつ病棟を一部療養型にしている病院が八十数%ということを考えますと、これはかなりの割合で高いことだと思っております。これの名称において、法律的に改正介護保険法の附則第14条で決められてしまったから、絶対に、○○病院、介護医療院と書かなければいけないという話を前回お聞きしたわけです。正式名ですね。表示は今回、看板とかそういったものは一時的にこうやっていいよという話なのですが、これは絶対的なものかどうかということを再度お聞きしたいと思います。今までどおり、○○病院の一部の介護の病棟が、今度、療養棟という形になるわけなのです。病棟から療養棟という名前になるわけなのですが、本当に一部の病棟でそのような病院を持っていたとき、病院の名称に正式名としては必ず介護医療院をつけなければいけないということなのでしょうか。

○総務課長 改めて御説明申し上げますと、今の加納委員の御指摘の点でございますが、一部転換のケースを想定してということであろうかと思います。病院本体の名称についてどうこうしろということを申し上げているわけではないということを1つ、まず確認させていただきたいと思っております。

 その上で、介護医療に転換した病棟の部分が、きょうお示ししたフロアマップのイメージで、例えば3階のところを介護医療院に転換したというケースがあるかと思いますけれども、介護医療院については、法律上は病院からは切り離されて、一つの介護保険法上の施設ということになってまいります。法律上の名称を定める必要がございますので、その名称の中に病院・診療所という文字を使うことが想定されるわけですけれども、そういったものを使いたいと希望される場合には、介護医療院○○と、従前の○○病院といったような名称をつけていただく必要がある。要は「介護医療院」を頭につけるなり、あるいは最後につけるなり、それは御判断によるのですけれども、何がしか「介護医療院」という文字を名称の中のどこかに入れていただいた上で、従前の病院・診療所の名称をつけていただくことが可能になっているというのが現在の法律の附則上の定めということでございます。

○永井部会長 はい。

○加納委員 このことは前回もお聞きしたのですが、やはり今まで○病院、○○総合病院とかいろいろな病院が、一部を療養病棟としてやってきたわけなのですけれども、今の話ですと、明らかに今回からは、やはりどこかに介護医療院という名称を正式名としてつけなければいけない。例えば、看板はしばらくこの表現では変えなくていいとか、そういう話であるのかどうかということの確認と、やはりそれは私が前も申しましたように、病院名のところに「介護医療院」を書くのが、いい形で評価になればこぞって書くようになるかもしれませんけれども、今の段階で非常に「介護医療院」と書くのに抵抗があるような状況下では、余りこれをすぐに変えなければいけないということを絶対的としてやられると、なかなかこれは高いハードルになるのではないかと思います。

 前回も申したとおりなのですが、例えばしばらくの間は猶予するとか、何かそのような法的な形での緩和的な対応はできないのでしょうか。

○総務課長 総務課長でございます。

 今、委員御指摘のとおり、法律上の名称と表示の上の対応という点については分けて整理する必要があるかと考えております。法律上の名称につきましては、今ほど申し上げましたとおり、法律の附則の中で従前の病院・診療所の名前を介護医療院の名称の中に使いたいといった場合には、何がしかの箇所に「介護医療院」という文字を入れていただく必要はございますが、看板の上でどう整理をするかということにつきましては、先ほどの資料の1ページでも御説明申し上げましたように、要は区分を可能な限り明確にすることをお願いするということでございまして、看板の上でこれを必ず併記しなければいけないということを申し上げているのではございません。

 もちろん、その医療機関の御判断によって、それぞれ掲げるというのも選択肢としてあるわけでございますけれども、医療機関の判断としては、フロアマップなり張り紙で対応するといったようなことであれば、それはそれでよいという整理をさせていただこうと考えているものでございます。

○加納委員 例えば、看板は直ちに変えなくていいよという判断でいいわけなのですか。また、名刺等のような印刷物や、ホームページ等の名称も、今の段階では急いで変えなくていいよという解釈でもいいわけなのでしょうか。

○総務課長 あくまでも今回お願いしておりますのは、法律上の名称の取り扱いは「介護医療院」という文字をどこかに入れていただきたいと書いているということでございまして、区分をどう明示するかというやり方については、それぞれの医療機関の御判断で取り組んでいただければいいのではないか。ただ、その際には、当然患者さんなり地域の方々がそこをどう判断されるかということも織り込みながら、恐らく御判断されるのではないかと思っております。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 加納先生、知事に介護医療院の開設許可を申請するときには、○○病院介護医療院という名前が必要だというだけですよ。看板は、今は変えなくてもいいのではなくて、永久に変えなくていいということを答えているのです。それで納得しましょうよ。

○加納委員 了解しました。そういう意味で、書類上の話という形で今、理解している形で十分理解しました。ありがとうございました。それの確認をしたかったもので、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 本多委員。

○本多委員 今の表示についてですが、入所する方の立場からすると、きっちり表示していただくべきだと思います。提供されるサービスが入所する方に不明瞭な形は、避けるべきだと思います。

○釜萢委員 今、本多委員からお話がありましたけれども、現状においては、新たな介護医療院への移行が円滑に進むということが大事でありまして、病院の名称というのはその地域に非常になじんでいて、住民の方々がよくわかっているという思いを病院の経営者の方は大変強く持っておられるわけです。ですから、そのことも踏まえて、先ほど総務課長からお示しいただいたような案が、私は現時点において非常に妥当であると思いますので、あえてこれ以上に表示までという今の本多委員の御意見には、私は反対をいたします。

○本多委員 円滑に転換を進めなければいけないということは十分理解しますが、一方で、入所される方の立場としては、支払方法等も違いますし、報酬の形も違います。やはり明確にすべき部分はしていただきたいということです。当面は、例示のような形をとるということでやむを得ないと思いますが、病院でも診療科等を見て患者は受診しますので、表記は、患者側にとっては非常に大事なことだと思います。医療側のご事情も十分理解いたしますが、やはり入所する方に配慮していただきたいと思います。

○加納委員 今の本多委員がおっしゃっていることはよく理解しますし、その表示については、一例としてフロアマップ等の表示や、また、支払い請求に関しては恐らくきっちりと形として出てくると思います。私がこだわっているのは、名称という意味で、療養病棟を一部分として持っている多くの病院がもし転換する場合、本体の部分のほうが大きければ、いろいろな意味で考えての名称変更はあるかと思うので、そういうことでの確認だったわけです。御理解いただきたいと思います。

○永井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 また事務局におきましては、ただいまの議論を踏まえて必要な対応をお願いしたいと思います。

 少し時間が余っておりますので、全般的なことで御発言がおありでしたら、お願いいたします。

 どうぞ。

○中川委員 前回の医療部会で、地域医療構想に関して各構想区域で回復期病床が必ずしも不足しているわけではないという何らかの紙を出していただきたいと申し上げましたが、迅速に地域医療計画課から事務連絡を出していただきまして、感謝しております。ありがとうございました。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 本多委員。

○本多委員 基本認識に関係するところで、診療報酬を支払う財源は患者負担、保険料負担、税負担ですので、国民負担についてしっかりと触れていただきたいと思います。また、1ページ目の基本認識の2つ目の丸に、高齢化が急速に進展するという、どこにでもあるような簡単な表現で触れられています。前回も申し上げましたが、一番危惧することは、支え手が減ることによって一人当たりの負担が増えるということです。

 税負担、保険料負担、患者負担のいずれにしても全部国民が負担しているわけです。基本認識の中で無駄の排除、医療資源の効率的な配分を図ることが必要ではないかという文言もありますが、そういうことも踏まえた上で、負担増に対する危機感について強調していただきたい。

 最初に井上委員がおっしゃったとおり、活力ある社会という観点からも、経済成長や財政健全化との調和は非常に大事だと思いますので、こうした観点を基本認識に書き加えていただければと思います。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。

 以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 では、本日は以上とさせていただきます。お忙しいところをありがとうございました。


(了)

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