ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会)> 第110回社会保障審議会医療保険部会議事録(2017年12月7日)




2017年12月7日 第110回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成29年12月7日(木)16:30~17:37


○場所

ベルサール半蔵門 ホールA


○議題

1.平成30年度診療報酬改定の基本方針(案)
2.骨太2017、経済・財政再生計画改革工程表の指摘事項等に係る議論の整理(案)

○議事

○遠藤部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第110回「医療保険部会」を開催いたしたいと思います。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりをいただきましてありがとうございます。

 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は、岩村部会長代理、岡崎委員、樋口委員、福田委員、望月委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをしたいと思います。

 福田委員の代理として小竹参考人、望月委員の代理として岩村参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 本日は「 平成30年度診療報酬改定の基本方針(案) 」「 改革工程表の指摘事項等に係る議論の整理(案) 」の2つを議題といたします。

 まず「 平成30年度診療報酬改定の基本方針(案) 」を議題といたします。

 本日は、これまでの議論を踏まえた基本方針の取りまとめ案を事務局に提出していただいております。

 そろそろ、当部会としましても取りまとめができればと考えておりますので、御協力のほど、よろしくお願いします。

 それでは、事務局より、資料1-1、1-2、1-3の3つについて説明をお願いしたいと思います。

○黒田課長

 医療介護連携政策課長でございます。お手元の資料1-1から1-3に即しまして、前回との変更点等々も含めて御説明を申し上げます。

 これまで3回にわたり議論をいただいておりまして、今回が4回目でございます。これまでの先生方のお話を踏まえた、取りまとめに向けた議論を頂戴したいと存じます。

 まず、資料1-1でございます。これは柱立てを示した資料で、この部分については前回の資料と変更はございません。

 「改定に当たっての基本認識」として3点。それから「改定の基本的視点と具体的方向性」として4点を固まりとして提示した上で、その下に具体的な方向性の例を付したものでございます。

 こちらを御参照いただきながら、次に申し上げます資料1-2、1-3について御確認をいただければと存じます。

 資料1-2は変更点を溶け込ませたものでございますが、前回の資料との変更点をごらんいただくために、資料1-3で御説明を申し上げたいと思います。変更点は赤字で付しております。

 まず、資料1-3「 平成30年度診療報酬改定の基本方針(案) 」の1ページから「1.改定に当たっての基本認識」でございます。

 この部分については、前回お示しした案文からの変更点はございません。人生100年時代を見据えた社会の実現、地域包括ケアシステムの構築、それから、1ページから2ページにかけましてですが、制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方の推進に関する記載がございます。

 2ページに参ります。2ページの一番上ので、この部分については前回の御意見を踏まえて修文をしております。これからの留意点を記載した文章でございます。「骨太の方針」「未来投資戦略2017」等を踏まえつつというくだりの後に「保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等に留意する」というフレーズになっておりましたが、これを「骨太の方針2017」のフレーズに合わせて「を踏まえる」という書きぶりにしたほうがよいという御意見が前回ございましたので、その御指摘を踏まえて修正したものでございます。

 その2ページの下で「2.改定の基本的視点と具体的方向性」でございます。

 「(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」で、2ページの部分については変更はございません。

 3ページに参りまして、一番上の部分の1つ目のポツでございます。この部分は、これは医療部会での御意見を踏まえたものですが、包括ケアの重要なパートとして「患者が安心・納得して入退院し、住み慣れた地域での療養や生活を継続できるようにするための取組を推進」というくだりがございました。この中で、人の命を救うという意味で救急が起点になるということから「救急時の対応を含めて」というフレーズを足したらどうかという意見が前回ございましたので、医療部会の御指摘を踏まえて、この部分は修正をしたというものでございます。

 それ以外につきましては、この3ページの変更点はございません。

 4ページに参ります。「(2)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」でございます。この部分につきましては、前回と変わっている部分はありません。このような形でというお話だったように記憶しております。

 5ページの「(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」でございます。この部分につきましても、特に前回からの変更点はございません。

 6ページで「(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。この部分につきましては、6ページは前回の資料からの変更点はございません。

 続きまして、7ページで、2つ目ののところですが「効率性等に応じた薬局の評価の推進」というくだりがございます。この部分につきましては、薬局が果たす機能、それから、医薬分業の趣旨といったものも書き加えるべきではないかという指摘が医療部会ではございました。それを踏まえまして、冒頭にフレーズを追加しております。「服薬情報の一元的・継続的な把握等の本来的役割が期待される中、薬局の収益状況、医薬品の備蓄等の効率性も踏まえ、いわゆる門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進」というフレーズにしております。

 最後に「3.将来を見据えた課題」でございます。この部分につきましては3点修正をしてございます。

 まず1つ目のですが、3行目からですが「医療ニーズの変化や生産年齢人口の減少に対し、将来にわたって対応可能な医療提供体制を構築していく」というフレーズがございました。この部分につきまして「持続可能」というフレーズも入れるべきではないかという御指摘をいただいております。持続可能なのは、どちらかというと医療保険制度のほうでございますので「将来にわたって対応可能な医療提供体制」という文言の後に「と持続可能な医療保険制度」というフレーズを追加いたしまして、御意見を反映させたらどうかということで提案させていただいているものでございます。

 また、7ページの一番下ので、この部分は、患者にとって安心・納得できる医療を提供していくということと、診療報酬制度をわかりやすくしていくということが書いてある部分でございます。ちょっと構文がわかりにくいという御指摘がありましたのと、あとは明細書の無料発行がここの中に含まれているということを示してほしいという御意見をいただいておりましたので、その部分を加筆したものでございます。この部分につきましては、修正後は「患者が安心・納得できる医療を受けられるようにするためには、診療報酬制度を分かりやすくするとともに、受けた医療を分かりやすくする明細書無料発行等の取組を進めることが求められる」という文章になります。

 8ページで、最後の○でございます。ここは予防・健康づくりの推進に関する文章でございます。この部分につきましては、幾つか御指摘がありました。まずは、ここで用いられている外来語の定義をはっきりさせたほうがいいということ。それから、国民一人一人に対する働きかけが書かれているわけですが、国民一人一人に丸投げしているのではないかという御指摘が医療部会ではございました。

 ちょっとごちゃごちゃしておりますので、資料1-2のほうの最後のページをごらんいただきますと、それが修正後の案文でございますので、御確認いただければと存じます。資料1-2の8ページにございますが「予防・健康づくりやセルフケア等の推進が図られるよう、医療関係者、保険者、地方公共団体、企業など関係主体が一体となって国民一人一人を支援するとともに、国はこうした取組に向けた環境整備を行うことが期待される」という文章に改めてございます。

 事務局からの資料の説明は以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 このような修文が行われました。これにつきまして、何か御意見があれば承りたいと思います。

 横尾委員、どうぞ。

○横尾委員

 ありがとうございます。

 今回いただいた基本方針、今は案の段階でございますが、1ページ目にありますように、「国民一人一人が状態に応じた安心・安全で質が高く効果的・効率的な医療を受けることができるようにするということが繰り返し出ています。まさにそういったビジョンを目指していくべき」ということで、大きく異論があるわけではございませんが、前回も発言したことについて、ちょっと確認を込めて意見と質問をしたいと思っています。

 3ページ目で、重症化予防の取り組みというところが上から3つ目のにございます。先般、私が発言したのは、糖尿病等の予防あるいは治療にかかわって、カウンセリングの時間が大変かかる。そこへの評価が高まれば、もっと自覚を高めて行動変容を起こして、治療や健康回復ができるという事情や事例を、実際に現場のドクターの方からも聞いておりまして、ここで言う「重症化予防の取り組みや質の高い医学管理」というものはそういったことも含むのかということを確認させていただきたいのが1点目です。

 もう一つは、2回ほど過去に御指摘のあった後期高齢者医療広域連合が所管する、後期高齢者の皆さんのジェネリック医薬品の活用のことについてお触れがありまして、6ページ目に「後発医薬品の使用促進」という項目がございます。この記述に特に異論はございませんけれども、可能でありますならば、政府のあらゆる広報において、例えばジェネリック医薬品の効果や科学的な根拠とか、「やはり有効です」ということを、おじいちゃん、おばあちゃんにも「安心してジェネリック医薬品使用は大丈夫です」ということをお示しいただきたい、伝えていただきたいということは要望も含めた意見を先般申し上げたのです。ぜひそういったこともお願いする必要があると感じているところです。

 3点目でございまして「3.将来を見据えた課題」のところです。実は今、各地方自治体は、都道府県化・広域化する国民健康保険の運営に向けて、いろんな対応をしています。私ども自治体でも今、国保運営協議会を開催しています。その中で、医療費の構造や疾病の状況をデータに基づく分析もしながら検討しています。これはやや佐賀県の事例で全国も余り傾向は変わらないと思うのですが、次のようなことがわかってきました。それは、40代で体調異常の症状が出ていて、健診で注意を受けているのですが、忙しさと、自覚症状は大したことがないものですから、そのうちにということで年齢を重ねていって、60代の後半とか中盤ぐらいになっていよいよ大変な状況になって、治療に進むというケースが間々見受けられます。例えば透析、あるいは糖尿病もそのようです。こういったものが一人、二人と出てきますと、御本人負担は所得の基準等によって軽減されておりますので、そう大きな負担はございませんが、一人当たり約500万円程度が医療費としてかかるという現実があります。こういったケースがふえていきますと、それが原因となって小さい自治体の場合の国民健康保険の財政は今、大変苦しい状況に直面をしています。これを解決するためにも、生活習慣病をもっと重要なことだとして取り上げていただく必要があると強く感じています。

 例えば、この後段の部分、最後のまとめのところか、あるいは冒頭部分で次のようなメッセージを入れていただけないかなという希望があります。それは、まず「自分の健康は自分で守る」ということが極めて大切なこと。次に、「健康は自分を救うのみならず、この国の医療財政も助ける」ということを、メッセージを出していただけないか。言い方を変えれば、治療怠慢をするということは自らを滅ぼし、国の財政や医療財政を崩壊させ、ひいてはそもそも、みんなが頼りにしている「保険制度も怪しい状況に揺るがしていく」。そんな危険性もあるということを、少しワサビが効き過ぎかもしれませんが、お伝えをして、本当に重要なことなのですと。あなたの血液検査のデータ、人間ドックや検査のデータ、早く気づいて、早く動かないと、あなたも大変だけれども、日本全国、この制度自体も大変になる。そんなことも含めたメッセージもぜひ出していただきたい。診療報酬にかかわる議論とは少し違うかもしれませんが、でも、そういった意識を喚起しないと、そもそもの医療費財政の適正化とか、あるいは医療費財政のよりよい方向へシフトするとかということが大変厳しい状況ですので、そういったことも対応できるように、これは要望といいますか、期待をして、発言をさせていただきました。

 冒頭の部分、ちょっと教えていただければありがたいと思います。

○遠藤部会長

 事務局、お願いします。

○黒田課長

 ありがとうございます。いずれも大変重要で、私どもにとっても、まさに非常に対応しなければいけない事柄ばかりであったと思います。

 冒頭の重症化予防の関係でございますが、重症化予防という、このフレーズは淡々と表現はしておりますが、その典型はまさに委員がお話しくださった、糖尿病の重症化予防のことを念頭に置いたものです。

 それで、個々の評価につきましては中医協で行われる報酬の議論に委ねられますが、あわせて、後のほうにいただいたお話と重なりますが、今回の基本方針は、冒頭にも末尾にも予防・健康づくりが重要であるというメッセージを強く出した内容とさせていただいています。そのためにも、後ろに出てまいりますが「セルフケア」という表現をしていますけれども、お一人お一人の意識を高く持っていただいて、それを地域にいらっしゃる先生方も自治体の方々も含めて意識を高めていって、国民一人一人の健康を高めていくというメッセージを今回の方針の中では出せないだろうかということで御用意させていただいています。

 お話は、広報のお話も含めて、いずれも非常に大切なテーマだと思いますし、担当部局も私どもも複数にわたることはございますが、できるだけ委員のお話を受けとめて、形にしていく方向で努力を重ねたいと思います。どうもありがとうございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 横尾委員、よろしゅうございますか。

○横尾委員

 あと、3つ目に申し上げました、少しパンチの効いたというか、メッセージ性のあるものを冒頭部分か、まとめ部分とかに加えていただくのはいかがでございますでしょうか。

○遠藤部会長

 事務局、どうぞ。

○黒田課長

 ありがとうございます。

 この部分は昨日、審議を行いました医療部会でも議論がございました。それで「セルフケア」という言葉の中に、自分の健康状態について、予防も含めて的確に管理をしていただくということ。それはもちろん、専門家の方々のお力がなければできないわけですが、そういうことがありまして、この定義も医療部会では議論いたしました。

WHOの定義の中にお話しくださった要素は入っているのかなと思っていますけれども、そういったメッセージがきちんと伝わりやすいような広報の仕方等々については工夫させていただきたいと思います。

○横尾委員

 ありがとうございました。

○遠藤部会長

 ほかにいかがでしょうか。

 松原委員、どうぞ。

○松原委員

 前回も発言したところですけれども、資料1-2の「()新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」という4ページのところでございます。基本的視点のところに「国民の安心・安全を確保する観点から、今後の医療技術の進展や疾病構造」という文章がございまして「第三者による評価やアウトカム評価など」と書いてあるにもかかわらず具体的なところ、5ページの上にアウトカム評価については書いてございますが「第三者による評価の推進」というものが具体的事項に抜けております。

 これはやはり医療の安全を保つためには、誰か外の人が見なければ医療というものは間違った方向に行って隠蔽されてしまうこともあり得ますので、ぜひ、「アウトカムに着目した評価の推進」とある以上は「第三者による評価の推進」という項目を入れていただき、また、案の概要のところ、1枚物の資料1-1でございますが「アウトカムに着目した評価の推進」の上に「第三者による評価の推進」という文章を入れていただきたく思います。

 大学病院並びにいろいろな病院で大きな問題が起きているのは、内部だけの目しか通らないというところがございます。やはり外から見て適切であるということに常にさらされないと医療の安全は推進しませんので、具体的事項に入れていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 これは御意見ということでよろしゅうございますか。

○松原委員

 そうでございます。

○遠藤部会長

 それと、もう一点、確認ですが、これはあくまでも診療報酬の基本方針を決めることの議論の中で第三者評価を推進するというお話が出たわけですけれども、つまり、第三者評価と診療報酬との関連をさせるべきだという理解でよろしいわけですか。

○松原委員

 そのとおりです。これまでいろんな加算をとるときに、第三者の評価を受けていることが条件に幾つか入っております。それをなるべくふやしていただかないと、やはり評価を受けるときに費用がどこで受けてもかかりますので、それに対する対価がなければ推進できません。診療報酬でもそれを条件にして手当てしていただきたい。それを加点としてつくっていただきたいと思います。

○遠藤部会長

 御意見として承りました。

 それに関連してでも結構ですが、何かございますか。

 それでは、安藤委員、お願いいたします。

○安藤委員

 ありがとうございます。

 資料1-1の基本認識のところなのですけれども、2番目の「どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる」というところ。ここにつきましては全然、実現を否定するところではないのですが、今後、地域包括ケアシステムの実現に当たっては、その下の制度の安定性であるとか、持続可能性の確保ということとの両立が不可欠であると考えております。ですから、サービス提供の効率性の観点も忘れてはいけないかなと感じております。

 例えば今回、同時改定におきます経営実態調査が発表されました。そこでは多くの店舗を持つ薬局であるとか、大規模な通所介護事業所などが、収支差率が高く出ておりまして、一定のスケールメリットが出るということは確実であると見られておりますので、そこの部分で現在、現役世代に過度な負担を強いております厳しい医療保険、介護保険の財政状況を踏まえれば、この辺のサービスの提供にも一定程度、大規模集約化していくことについて検討していくべきであると思っております。

 それに伴って、コンパクトシティーであるとか、住まい確保のあり方も含めた、これは厚生労働省だけでは考えられないと思いますけれども、政府全体でそういうことも考えていく必要が将来的にはあるかなと。あとは、もちろん、診療報酬だけでは手当てできない部分があるというのはよく承知しておるところなのですが、基本認識としましては、その観点も含んだ上で、この診療報酬でどこまでカバーできるのかというところについても検討していくべきかなと考えております。

 もう一点、資料1-3の7ページの「3.将来を見据えた課題」のところの最初ので「持続可能な医療保険制度」と追加してあるのですけれども、ここに「介護保険制度」と入らなくてもいいのかなというふうにちょっと疑問を持ちましたので、一応、意見ということで。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。

 岩村参考人、お願いいたします。

○岩村参考人

 ありがとうございます。

 これまでも本部会で望月委員から指摘をさせていただいていたかと思うのですけれども、経済財政状況を勘案した改定としていくことが重要と考えています。

 加えて、医療保険制度の持続可能性の確保、そして、国民負担の軽減という視点を常に念頭に置くべきだと思っています。

 とりわけ、2025年に向けてしっかりとした道筋を示す上で、今次、診療報酬と介護報酬の同時改定は、極めて重要な節目になると認識していますので、十分に踏み込んだ改定をぜひ実現していただきたいと思っています。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 では、武久委員、お願いします。

○武久委員

 2.の「()地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」というところで、地域医療計画において、かつて地域における4つの機能の病床の数が大体決められて、それを目的に2025年に地域医療といいますか、地域包括ケアシステムを完成するという部分でございますが、地方では既に二次医療圏においても急性期病床とか慢性期病床が多くありまして、もちろん、都道府県担当者はどちらかというと削減一方という動きがございます。

 ところが、病院の合併とか統合とか、地域によって住民が少なくなるということで、前にあった病院の場所が移るということもありまして、それから、古くなった病院が改築するときに地域が変わってしまうということが起こりますと、病床自身は減るのですけれども、ある小さな中学校の2つの地域ぐらいのところにエアポケットのように今まで病床がいっぱいあったところがまるっきりなくなってしまうという、二次医療圏の中での異常なアンバランスが起こっているところが地方に散見されます。

 また、二次医療圏の境界のところで、当該の医療圏の人が隣の医療圏の病院に行ったほうが便利な場所は結構ございまして、その辺のところで、地域の連携というところで二次医療圏ごとの各機能病床の数及び連携をやるということで、住みなれた地域で療養や生活を継続できるようにということが基本ですので、むしろ病床が減って、医療機関が少なくなって住めなくなるということではいけないわけですので、このような場合に、病床を減らす一方ではなく、エアポケットのように一時的にベッドが急激になくなったり、医療機関がなくなったようなときには、その辺の補正をできやすくするように、都道府県のほうで、ある程度全体で減らせばいいのです。

 何か都道府県は減らす一方という方向に動いておりますので、地域住民が2.の(1)のような地域包括ケアシステムの構築と連携で住みやすい医療圏ということをするためには、都道府県の担当者にある程度の采配、裁量を任せるというところがないと、非常に地域の中で濃淡ができてしまう可能性もあります。この辺のところをよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 松原委員、どうぞ。

○松原委員

 今のお話と同じように、改定の基本方針の2.の(1)の地域包括ケアシステムの件でございます。医療資源の乏しいところはともかくとして、都会においては、地域医療を包括的に見るときに、病診の連携も大事でありますけれども、むしろ忘れられていたのは診診の連携であります。

 いろんな科において、眼科や耳鼻科や皮膚科や泌尿器科、いろいろな科の連携を伴わなければ、その患者さんにとって一番いい医療ができません。1人の医者に全てのことをさせて24時間365日診るのは無理であります。大都会においてはそのルールがきちんと確立されていませんでしたので、ぜひ診診連携が保険点数上も適切に行われるように御配慮いただきたい。

 そのことによって、都市に住んでいる人たちがより包括的なケアを診診のチームで受けられるようにしていただきたいのが希望でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかにはございますか。よろしゅうございますか。

 ただいまのお話、さまざまな視点からお話を承りました。中には診療報酬の改定の基本方針というよりももう少し幅広目の御意見をおっしゃっているものもあるかなと思いましたし、かなり診療報酬の改定の基本方針として具体性のあることもおっしゃったものもあるかなと思います。

 それぞれ、いろいろ傾聴に値するお話だと思いますけれども、例えば診療報酬の改定の基本方針といいながらも、今回の改定ですぐ議論するような話かどうか、もう少し検討を要するようなものもあり得るかなと思います。

 そんなことも考えながら、ただいまのさまざまな御発言をベースに、どういう形で修文をしようか、あるいはしないかということについて、少し考えさせていただきたいと思いますので、内容の修正につきましては、部会長預かりという形で対応させていただくことでよろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○遠藤部会長

 では、そのようにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

 それでは、次は「 骨太2017、経済・財政再生計画改革工程表の指摘事項等に係る議論の整理(案) 」を議題といたします。

 事務局から、資料2について説明をお願いします。

○依田課長

 総務課長でございます。お手元の資料2の「議論の整理(案)」について御説明申し上げたいと思います。

 まず、前書きのところで、この議論の整理でございますが、基本方針2017、「骨太の方針」です。それから、改革工程表の指摘事項等を中心に、4月以降、この場で審議をいただいたところでございます。

 今回の「議論の整理(案)」で、この改革工程表で指摘されている事項の中で、平成29年度中に結論を得ることとされている事項について、この間の議論を整理させていただきました。

 なお、平成30年度中に結論を得ることとされている事項につきましても、本年度からこの場で御議論いただいたところでございます。具体的には、書いておりますような4つの事項で、これらの事項につきましては、本年の議論での意見等を踏まえつつ、引き続き検討を進めるということで整理をさせていただいたところでございます。

 本文のところで、まず「1.先発医薬品価格のうち後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方」でございます。

 3つ目ので、これにつきましては、当部会で2つの考え方について議論を行っていただきました。1つは「先発品と後発品の差額を患者負担とする考え方」でございます。それから(2)といたしまして「患者負担にはせず、先発品の薬価を後発品まで引き下げる考え方」でございます。

 まず(1)の考え方につきましては、先発医薬品・後発医薬品の選択は、治療にかかわるものであり、選定療養になじまない。また、負担能力によって医療が制限されるおそれがあるなど慎重な意見が多かったということで整理をさせていただいております。

 2ページ目の方にわたっておりますが、続きまして(2)の患者負担にはせず、先発品の薬価を後発品まで引き下げる考え方でございますが、これにつきましては、製薬会社への影響や後発医薬品の使用促進への影響等も踏まえつつ、長期収載品や後発品の薬価のあり方とセットで議論を進めるべきとの方向性については、異論はなかったという形で整理させていただいております。

 続きまして「2.病院への外来受診時の定額負担」でございます。

 これにつきましては、平成27年の国保法等改正によりまして、平成28年4月から、特定機能病院、それから、一般病床500床以上の地域医療支援病院につきまして、選定療養によって紹介状なしで受診する患者から定額負担を徴収することが義務化されているところでございます。

 これにつきましては、中医協の検証結果をこの場でも御紹介させていただきましたけれども、平成2810月と平成2710月を比較いたしますと、紹介状なしの患者比率が減少。具体的には42.6%から39.7%ということで、2.9%減少ということでございます。定額負担の義務化について一定の効果が見られるということでございました。こうした検証結果も踏まえつつ、当部会で議論を行っていただいたところでございます。

 下から3つ目の○で、1つには、外来の機能分化・連携を推進する観点から、定額負担の徴収義務の対象となる医療機関を拡大するという方向性については、異論がなかった。

 ただ、次の○でございますが、選定療養による定額負担については、再診での効果や徴収義務の対象外である患者等の受診行動も含め、実施状況の検証を引き続き行う必要があるとの意見。また、定額負担だけでなく、国民への啓発など、他の誘因も含めて検討すべきとの意見があったという整理をさせていただいております。

 また、制度面につきまして、医療保険財政の負担軽減に資するよう、具体的な検討を行うべきといった意見があるとともに、定額負担を選定療養でなく一部負担金として徴収することにつきましては、平成14年改正法附則第2条に反するものであり反対との意見もあったという意見もあわせて付記させていただいているところでございます。

 続きまして3ページ目で「3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策」でございます。

 1つ目のに、この条文の規定の内容について書かせていただいておりますが、当部会におきましては、こうした法律上の枠組み等を踏まえまして、運用の考え方の案といたしまして事務局からお示しして、議論していただいたところでございます。

 具体的には、その次にポツが3つございますけれども、医療費適正化計画の枠組みにおける第14条の規定については、都道府県において医療費適正化計画の目標の達成に向けて保険者・医療関係者等の協力を得ながら取組みを行い、その取組み状況の評価の結果を踏まえて、都道府県と協議した上で、厚生労働大臣が判断するプロセスとなっているということでございまして、このため、各都道府県においても、こうした計画における取組みの実績を分析して、これを評価した上で、既存の診療報酬や施策、取組みの予定等を踏まえて、適用の必要性について、まず検討していく必要があるということでございます。

 その際、各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論を踏まえて、この規定の適用の必要性について検討していく必要がある。

 それから、厚生労働省においては、こうした都道府県の意見を踏まえて、中医協の諮問・答申を経て、診療報酬全体の体系との整合性を図りながら、医療費の適正化や適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められるかを議論した上で最終的な判断をしていくということで、ステップを踏んだプロセスについて留意事項を書かせていただいておりまして、こうしたプロセスに留意する必要があるという点については、異論はなかったというふうに整理させていただいております。

 ただ、当該規定そのものにつきましては、国民皆保険の趣旨から診療報酬の地域格差の導入には慎重に検討すべきとの御意見でありますとか、国において都道府県や市町村の意見を出発点に地方自治体との協議を進めるべきとの御意見、また、他県への受診などの影響を考慮する必要があるとの意見があったところで、そうした意見も付記させていただいているところでございます。

 最後の4ページで、結びで、これもこれまでのこの議論の整理と同様で、こうした議論は以上のとおりで、厚生労働省においては、上記各項目について、当部会における種々の意見を十分に踏まえて、見直し等を進められたいということで結ばさせていただいております。

 それから、別添のほうでございますが「医療保険部会における主なご意見」ということで、これは項目ごとに個別にいただいた御意見を整理させていただいているところでございます。

 その他、本日、これまでのこの項目ごとの審議に使わせていただきました資料は参考資料ということでお手元に置かせていただいておりますので、御参照いただければということでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、御意見を承りたいと思います。いかがでしょう。

 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員

 これまで出た意見をまとめていただいているので同じような意見になるのですけれども、意見を2点申し上げたいと思います。

 「2.病院への外来受診時の定額負担」についてですが、外来の機能分化・連携を進めるということにはもちろん賛成ですけれども、かかりつけ医の定義や普及はこれからですし、受診行動の変容を促す方法として定額負担の拡大が妥当な方策なのかはもう少し検証も必要ではないかと思います。

 紹介状なしの患者比率が42.6%から39.7%に2.9%減少したというデータが示されておりますけれども、この2.9%で成果が上がっているという見方もあるかもしれませんが、お金がかかるにもかかわらず2.9%しか減っていないという見方もあるかと思います。

 それで、2ページの下から2つ目の○にありますように、定額負担だけでなく、国民への啓発などの他の誘因も含めて検討すべきという意見がございますけれども、私も同じ意見です。外来の機能分化を進める上で、国民が医療の利用法について納得し、そのような行動をとれるようにするには、国民に外来受診時の大病院の定額負担の導入の趣旨がそもそも正しく伝わっているのかという検証も重要かと思います。

 さらに、お金を払ってでも大病院にかかりたいという患者の受診行動の背景にあるものをもっと分析・検討する必要があるのではないかと思います。その上で外来の機能分化の促進策を検討することが重要ではないかと思っております。

 もう一点は、3ページの「3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策」について、真ん中のあたりに、その運用については、以下のプロセスに留意する必要があるということがまとめてございまして、こういう慎重なプロセスが非常に大事だと考えています。

 都道府県ごとの診療単価の変更が仮に引き下げの方向でなされることになりますと、患者はもちろん、医療機関の経営にも影響を与えることになります。その結果、人員削減が行われますと、医療や看護の質の低下など、大きな影響を与えかねません。

 皆保険の堅持ということは当然願っていますので、そのためのいろいろな検討や対策は必要と考えていますけれども、この14条の特例の活用方策については、現在、各都道府県で進められている地域医療構想などの医療提供体制の見直しの進捗を見つつ、慎重に検討する必要があると思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 それでは、小竹参考人、それから、松原委員の順番でお願いします。

○小竹参考人

 ありがとうございます。

 私のほうから、3ページの「高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策」のところですけれども、一番下の○の部分ですが、これまで、私どものほうからも発言させていただいた中にもあったのですが、「慎重に検討すべきとの意見」ということで、短くまとめていただいているのですけれども、趣旨といたしますと、後ろにあります「主な意見」の中の8ページの真ん中あたりにあります意見のところで述べておりますように、効果や妥当性も十分検討していただきたいということを申し上げておりますので、慎重にということだけではなくて、その部分をぜひ記載いただいて、その慎重さについての気持ちを入れていただきたいなと思っています。

 あと、この部分なのですけれども、適正な手続が慎重な対応につながるという意味でたくさん書いていただいているのだと思います。1つ目の○から4つ目の○ですけれども、ただ、最後の部分がなお書きで「なお」と書いてあるのですが、より慎重な対応を求めていただきたいということで考えておりますので「なお」ではなくて、なお書きそのものは削除いただけないかと考えているところです。

 それから、5つ目の○の2行目で「国において都道府県や市町村の意見を出発点に地方自治体との協議を進めるべき」ということで書いていただいておりまして、これ自体はこの項目においても当てはまるものではあるのですけれども、これはこの議論そのものに限らず、後ろの「主な意見」でいきますと6ページから7ページにかけましての、都道府県ガバナンスの強化そのものについての都道府県、それから、市町村との協議という位置づけで発言をさせていただいたということもあります。そのあたりでいきますと、7ページの真ん中、1行空いている部分がありますけれども、その下あたりの「都道府県のガバナンスについては」というくだりの中の趣旨で発言をしたものでございますので、そのくだりを7ページにも入れていただきたいなと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 では、お待たせしました。松原委員、どうぞ。

○松原委員

 2ページの「2.病院への外来受診時の定額負担」で、先ほどこれについて御意見を賜ったところでございますが、○の1番目でございます。これは初診5,000円、再診2,500円と、義務化したということにはなっていますが、実際に初診で取っているところが多くても、再診のところは通知の問題で、ほとんどこれが取れていません。紹介状を書いて、安定したら来たところに戻す、あるいは地域の病院に戻すということです。戻すための紹介状を書くことが十分にできていません。再診の2,500円が取れていないということでそのまま大病院に残っている現状が続いています。ここのところを実効性があるように配慮しない限り、絵に描いた餅に終わってしまいます。再診料のところが機能していないからこそ病診の連携、あるいは病病の連携が進んでいないと私は考えております。そういったことも含めまして、ここのところの通知・省令を実効性のあるものに十分に御議論いただいて決めていただかないと再診療の負担が作動しませんので、そこのところをよろしくお願いしたいと思います。

 一番の問題は、都市の病院あるいは大病院に余りにも患者さんが集まり過ぎて、重症でもないにもかかわらず、また病気的にも安定しているにもかかわらず、地域の病院に戻していないという点であったと思います。そのために、そこの勤務医の先生たちが、病棟も診なければならないし、外来も診なければならないという大変な負担を負っていたわけでございます。それを改善するためのものであり、初診料だけでは効果がありませんので、実効性のある再診料の徴収をきちんとやっていただくシステムを構築していただかないと有効に作動しません。そこのところを診療報酬でも手当てしていただきたいと思います。これは通知でできると思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

○松原委員

 これは、医療課長あるいは総務課長から御意見を聞きたいのですが。

○遠藤部会長

 では、事務局、何かコメントはございますか。

 では、医療課長、お願いします。

○迫井課長

 医療課長でございます。

 御指名でございますので、御指摘のとおり、ここの初診・再診に係る受診の定額部分、これはもともと、給付の関係との整理も含めて、基本診療料の取り扱いでありますので、御指摘の点につきましてはしっかり受けとめさせていただいた上で、今回の改定においてもそうですし、どのような取り扱いができるか、しっかり検討させていただきたいと思っております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、白川委員、どうぞ。

○白川委員

 ちょっと質問を2つさせていただきたいのです。

 1つは、医療保険部会での今後の議論の進め方に関するものでございますけれども、本日3つの項目が提示されておりますが、1点目と2点目については既に中医協でかなり議論が進んでいる段階というふうに聞き及びますけれども、医療保険部会では1番、2番、ともに中医協で薬価制度あるいは大病院の拡大といいますか、それについて賛成する意見が多かったという書きぶりになっております。今回、これで、中医協で決着がつけば、医療保険部会としては、これ以上は議論しないということでよろしいのかどうかというのが1点目でございます。

 2点目の質問は、きょうの項目の3点目の高齢者医療確保法14条の話で、下から10行目ぐらいに運用プロセスについて書いた部分がありまして「その際、各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論も踏まえて」と書いていただいておりまして、保険者としてはありがたいのですけれども、一方で地域医療構想とか医療計画は主として都道府県の医療審議会で議論されているケースが普通だと認識をしているのです。

 それから、保険者協議会は医療関係者をなるべく入れるようにということでやっておりますけれども、あくまで保険者が中心の協議会なものですから、医療関係者が委員として入っていらっしゃるところもあれば、オブザーバー的な位置づけで入っていらっしゃるところもあると認識をしております。私が言うのもなんですけれども、医療審議会の位置づけみたいなものを少しはっきりさせたらどうか、という感じがしておりますが、その辺について、どういうお考えなのかをお聞かせいただきたいのが2点目でございます。

○遠藤部会長

 わかりました。

 2つの御質問でありますけれども、どなたがお答えになりますか。

 それでは、総務課長、どうぞ。

○依田課長

 総務課長でございます。

 1点目、白川委員の方からこの部会での進め方等々の御意見をいただいたところでございますが、この場でも、今回、この議論の整理にない事項も含めまして、いろんな課題について御議論いただいたところで、とりわけ、この改革工程表の議論、30年度の課題も含めまして議論いただいたところでございます。そうした中で、29年度の課題は、一旦、結論を出すというふうに宿題を仰せつかっているわけでございます。

 そうしたことから、関係審議会等で検討し、結論を出すということで、今回、議論の整理ということで、もう今年も時間が限られておりますけれども、区切りとしてこうした形でこれまでの、何回も議論いただいたところを整理させていただいているということで、基本的には、この場としては、おおむね、このような方向性ではなかったかなと事務局としては思っております。

 そういたしますと、今、白川委員がおっしゃったように、1.や2.については、むしろこういう医療保険部会での御議論も踏まえて、中医協でさらに具体の議論がなされているという流れで進んでいると考えております。

○高木室長

 2点目の保険者協議会の関係でございますけれども、保険者協議会の位置づけにつきましては、もともと法律上も2つの位置づけがあると思っています。

 1つは保険者としての役割でございます。地域、県内での保険者に対しての支援等です。もう一つは現行法の高齢者医療確保法に基づく医療費適正化計画の実施の中での保険者協議会での位置づけでございます。こちらにつきましては、都道府県は医療費適正化計画の作成に当たって協議しなければならないとか、医療計画についても医療法においてそうした位置づけがございます。

 そうした意味では、もともと法律上も2つの位置づけがある中で、医療費適正化計画の実施に当たっては、都道府県は保険者・医療関係者に協力を求めることができる。また、それは保険者協議会を通じて都道府県は協力を求めることができると法律上、規定されております。

 こうした中で、都道府県が医療費適正化計画を実施するに当たっては、保険者・医療関係者との協力が欠かせないものでございますので、保険者協議会についても、今回の都道府県ガバナンスの議論ではそうした位置づけについてお示しさせていただきました。

 具体的な運用につきましては、この保険者協議会の位置づけや運用についての課長通知がございますけれども、こうしたものについても、またもう少しわかりやすく、保険者・関係者の皆様と御協議させていただきながらお示しさせていただきたいと考えております。

○遠藤部会長

 白川委員、いかがでしょうか。

○白川委員

 総務課長に重ねて質問なのですけれども、要は、医療保険部会は出た意見を取りまとめたという形の文書になっているものですから、確認したかったのは、中医協で結論が出たら、医療保険部会としてはこれ以上議論しないということでよろしいのですかということをお答えいただきたいということです。

 それから、高木室長の御回答、私はよくわかっているのですけれども、先ほど菊池委員からも医療機関に対する経営の影響もありますねという御指摘がありましたが、そのとおりだと思うのです。ですから、医療費適正化計画ということであれば保険者を中心にやるということはそのとおりだと思いますけれども、診療報酬の点数を例えば下げるなどという話を保険者だけで決められるかというと、それはそんなことはないわけで、医療側も参画した正式機関みたいなところで審議をしていただくというぐらいのことは、この中に入れるべきではないかということです。2番目については意見として申し上げさせていただければと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。御意見として承りました。

 それでは、先ほどお手を挙げられた南部委員、どうぞ。

○南部委員

 ありがとうございます。

 私のほうからは、2ページの「2.病院への外来受診時の定額負担」について御意見を申し上げたいと思います。

 これにつきましては、10月4日に欠席ということで意見書を出させていただいておりまして、意見書では、2002年の改正法の附則について反するものであり、外来受診時の定額負担については反対としております。

 さらに今回、2点の指摘をしておきたいと思っております。

 1つは、外来受診時の定額負担のところを徴収義務の対象となる医療機関を拡大する方向については少し懸念を持っております。現状でもほかに医療機関の選択肢がないなどの正当な理由がある場合には、医療機関は患者に対して定額負担を求めないことができます。しかし、あくまで医療機関側の選択肢ということになっておりますので、患者の視点で見れば、受診の選択肢が制限されていくのではないかということが1点。

 また、この間、徴収義務化によって一定の効果が見られたということが2ページに書かれておりますが、仮に定額負担の徴収義務範囲を拡大し、例えば200床以上ということになったならば、一般的に患者の側から見ると、同じ初診の5,000円、再診の2,500円を払うのであれば、やはり大きな病院に行きたいという気持ちが動くのではないかということも考えられますので、結果として本末転倒になっていく懸念もあります。そうしたことも鑑み、ここはさらに慎重に進めていただきたいと思っております。

 したがって、2ページ目の下から3つ目のところに「異論がなかった」という表現がなされておりますが、これについてはぜひ再考、工夫をしていただけたらと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、松原委員、どうぞ。

○松原委員

 今の御意見ですけれども、これは紹介状なしで来られたときに義務化になっただけで、病診連携、診診連携、病病連携で紹介状を持ってこられたら、これについて義務はないわけです。

 つまり、一番大事なことは、右も左もわからないまま、さっき言われたように、お金をたくさん払うからいい病院だとか、あるいは有名だからいい病院だとかとして、そこにダイレクトに行くと、そこの先生たちが専門的に診なければいけない、いろいろと工夫されているところに一度に多くの患者さんが来られると困るので、どこに行ったらいいのかということを一旦はかかりつけ医に相談していただきたいのが一つの大きな趣旨だったと思います。そのことによって、勤務医の先生たちが過重な負担にならないようにということが一番のポイントですので、今、おっしゃっているのはちょっと違うように思います。

 そういう意味で、これをぜひ推進していただきたいのですけれども、これを一遍にやりますと大変なので、200床以上であっても、とりあえずは地域医療支援病院ぐらいから対応するのが本来のあり方ではないか。全ての病院に一遍にしますと、今、おっしゃっていましたように、そこしか病院がないような地域がございますし、幾らそこを外すという条件があっても、やはり制限がかかり過ぎるのはよくないと思います。ただ、右も左もわからないときに、とにかく大病院に行くのはやめてくださいということをメッセージとして出していることだと思います。

 それから、今回、これは中医協でまた議論していただくわけですけれども、中医協というものは、財政的ないろんなことを勘案して対応しなければならないので、そこでの御意見が出ると思いますが、ここの社会保障審議会としては、国民のためにどうあるべきか、あるいは医療提供体制がどうあるべきかということを中心にして検討していくのが筋だと思います。もし十分でなければ再び検討するのは当たり前の話ではないかと思っています。

 それから、医療審議会が各都道府県にございますけれども、これは医療提供体制、つまり医療を給付する体制をどう整えるかということが主題であります。保険者さんが行っておられるのは、いろんな財政的な面も含めまして考えると同時に、今、一番やらねばならない、どうやったら病気にならないように予防できるかということです。保険者さんは大変エネルギーを使っていただいているところです。

 各地で医療機関の代表者ともあわせて協議していただいて、糖尿病などは大変よい結果を出しているところは幾つもございます。予防をどのようにしていくのかということを議論するためでありますから、ぜひ保険者さんと医療の代表者さんとあわせて、都道府県においての一番、その県にふさわしいような実効のあるやり方を工夫してやっていただくための仕組みだと私どもは思っております。ぜひ一緒に頑張っていただきたいと思います。

○遠藤部会長

 南部委員、どうぞ。

○南部委員

 御指摘ありがとうございます。言いたかったのは、2ページ目の下から3つ目の○には「異論がなかった」とすぱっと書かれておりますが、先ほど先生もおっしゃったように、再診の徴収がきっちりできていないとか、課題もいろいろ残っていると思います。そういったことへの対応をまずはした上で、拡大が必要かどうかを慎重に検討していただきたいという趣旨でございますので、決して何が何でも行うべきでないということではないことはまずご理解いただきたいと思います。

 また、例えば徴収義務の対象が200床以上と拡大された場合、患者の意識としては、それならば大きな病院のほうがと気持ちが動くのは事実でございますので、それについてはもちろん、二者選択できる状況の環境にある患者であれば、恐らく同じ条件であれば、そちらのほうが増えるのではないかという、これは予想的な懸念でございますので、そこも御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。

 それでは、岩村参考人、どうぞ。

○岩村参考人

 ありがとうございます。

 2点申し上げたいと思います。

 1点目は、平成29年末までに結論を得る事項の中で、2ページの「2.病院への外来受診時の定額負担」の下から1つ目の○についてです。両論併記ということになっていますが、ぜひ、制度の持続可能性の確保という観点から、医療保険財政の負担軽減に資する制度面の見直しについて具体的な検討を行っていただきたいと考えています。

 2点目は、平成30年度の検討事項についてです。この中で資料2の1ページ目に4点挙げられておりますけれども、特に後期高齢者の窓口負担のあり方が大変重要だと考えてございます。

 別添資料の8~9ページに記載された後期高齢者の窓口負担に関する意見にもございますけれども、平成31年度から後期高齢者医療制度の被保険者となる方から2割負担への引き上げを行うべきと考えてございます。ぜひスピード感を持って当部会での検討が進むよう、準備を進めていただくようお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかに、大体御意見は承ったということでよろしゅうございますか。

 ありがとうございました。

 さまざまな御意見がございまして、中には修文を要望される方もいらっしゃいました。したがいまして、この修文につきましては、診療報酬の基本方針同様に、部会長預かりという形に、一任という形にさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、実は先ほど、診療報酬の改定の基本方針について、部会長預かりということにさせていただきましたけれども、一言言い忘れたことがございまして、ここでの議論を私がまとめるということだけではなく、これは医療部会でも同じ議論がされておりますので、医療部会での議論も含めて、最終的な案を部会長預かりにさせていただきたい。こういうことでございますので、よろしくお願いします。

 それと、ここでの議論をどういう形でまとめるのかというときの私の視点は、先ほどちょっと申し上げましたけれども、繰り返して申し上げますと、非常に傾聴に値するさまざまな御意見でしたが、あくまでも来年度の診療報酬改定の基本方針という、その枠組みの中にふさわしいかどうかという点が1つでございます。

 もう一点は、より具体的な診療報酬の内容でありましても、今のことと同じかもしれませんけれども、診療報酬の改定というものは、御案内のとおり、非常にエビデンスを積み重ねながら慎重に進めているということがありますので、方向性としての御発言内容は非常によくても、これを拙速に来年度入れるかどうかというのはまた別問題でございますので、そういう視点からも考えさせていただきたいということで御理解いただければと思います。

 それでは、本日御用意いたしました議題は2つとも終了いたしました。事務局、次回の開催について何かありますか。

○依田課長

 ありがとうございました。基本方針、それから、議論の整理(案)、本当に活発な議論をいただきまして。本年につきましてはこれまでと思っておりますけれども、今後の日程等につきましては、追って、別途、御連絡申し上げたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

○遠藤部会長

 では、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日はこれまでとしたいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会)> 第110回社会保障審議会医療保険部会議事録(2017年12月7日)

ページの先頭へ戻る