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2017年10月20日 平成29年度 第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年10月20日(金)15:00~16:52


○場所

労働委員会会館講堂(7階)


○議事

○平川化学物質評価室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより平成29年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。

 委員の出席状況について御報告いたします。保利委員から遅刻の連絡を頂いておりますが、全員出席の予定です。また、特別参集者として、これまでも櫻井委員、圓藤委員、清水委員に御出席いただいておりますが、本日は清水委員から欠席との御連絡を頂いております。さらに、本日は参考人として、日本酸化チタン工業会、印刷インキ工業連合会に順に席に加わっていただく予定です。以下の議事進行については、小野座長にお願いいたします。

○小野座長 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 委員配布資料は、ステイプル留めのものが1部、紙ファイルを用意しています。傍聴者用資料は、ステイプル留めの資料を用意しています。資料の表紙は本日の議事次第です。本日は、酸化チタン(ローマ数字の4)に係る健康障害防止措置の団体ヒアリングを行います。まず、日本酸化チタン工業会にヒアリングを行い、次に印刷インキ工業連合会にヒアリングを行います。

 続いて、表紙の裏面にいきまして、配布資料一覧です。資料と参考資料に分かれております。資料1、日本酸化チタン工業会提出資料で、131ページの資料です。資料2-1、印刷インキ工業連合会提出資料で、3349ページの資料です。資料2-2は当方からの指定様式に基づいて印刷インキ工業連合会から提出された調査票で、5171ページまでの資料です。資料3は今後の予定で、73ページです。

 次に、参考資料です。委員には紙ファイルで配付しており、傍聴者には資料とともに綴じております。参考資料1は化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会開催要綱、参集者名簿、参考資料2は健康障害防止対策の検討手順、参考資料3-1はリスク評価書 酸化チタン(ナノ粒子)、参考資料3-2はばく露実態調査結果 酸化チタン(ナノ粒子)、参考資料4-1はリスク評価書 酸化チタン(ローマ数字の4)(ナノ粒子を除く)、参考資料4-2はばく露実態調査結果 酸化チタン(ナノ粒子)、参考資料5は特定化学物質予防規則及び粉じん障害防止規則(抜粋)、参考資料6は前回の第6回で資料1として付けていた検討シートです。傍聴者の方の参考資料につきましては、参考資料3-1の抜粋が7584ページ、参考資料4-1の抜粋が8593ページ、参考資料695103ページとなっています。資料に不備がありましたら、事務局にお知らせください。

○小野座長 よろしいでしょうか。本日の議題に移ります。酸化チタン(ローマ数字の4)に係る健康障害防止措置の検討について議論を進めるに当たり、前回合意いただいた進め方を踏まえ、各団体からのヒアリングを行うことといたします。ヒアリングについては、希望のあった各団体から実施することといたします。本日の検討会では、日本酸化チタン工業会と印刷インキ工業連合会から、順にヒアリングを実施することといたします。まず、日本酸化チタン工業会からは、総括的に酸化チタンの一般特性及び用途ほかに関する御説明をいただくこととし、後日のヒアリングで、調査票記載事項や団体独自の調査などを含めてヒアリングを行う予定です。それでは、日本酸化チタン工業会から御説明をお願いいたします。

○日本酸化チタン工業会 本日御説明並びに委員の皆様からの質問に対応するのは、技術環境委員長の岡田、ナノ酸化チタン小委員会から真柄と奥田の3名となります。よろしくお願いいたします。

 まず、今、御説明があったように、酸化チタン工業会には2回のヒアリングの機会を頂いております。1回目は、酸化チタンに関する御理解を深めていただくということで、一般特性及び用途に関しての御説明をさせていただきます。2回のヒアリングの機会を頂きましたことを、厚生労働省並びに委員の皆様方に感謝申し上げます。

 特に、ヒアリングの機会をもう1回プラスしてお願いいたしましたのは、酸化チタンは、今まで措置検討会で対象になっていたアンチモン、リフラクトリーセラミックファイバーという単品とは全く異なっており、一言で「酸化チタン」と言いましても、むしろ表面処理している製品のほうが多くございます。そこの酸化チタンの結晶形の違い、また表面処理したときの表面特性の違いの実態を広く御説明しておきたいということで、この機会を頂いております。順を追って御説明いたします。本日御説明するのは、1.酸化チタン工業会の紹介、2.酸化チタンの製造プロセスと代表銘柄、3.酸化チタンの表面処理、4.酸化チタンの使途と公定書、5.酸化チタンの市場規模、6.まとめです。

 酸化チタン工業会は、当初は日本無機薬品協会の中で活動していましたが、昨今の激しい社会・経済情勢に対処するため、それを発展的に解消し、1982年に今の日本酸化チタン工業会を設立し、現在に至っています。

(2)に主な事業内容を書いています。ア、酸化チタン工業に関する調査と研究、イ、技術情報収集、その3つを当工業会のホームページで公開しています。酸化チタンの発がん性に関するGHS分類区分の変更について、酸化チタン(ナノ酸化チタンを含む)の安全性等について、酸化チタンのハザード分類に関する見解などを意見発信しています。そして、ウ、環境保全に関する研究、エ、その他本会の目的達成のために必要な事項を主な事業内容としています。

 会員数及び組織図です。会員は製造メーカー6社からなっています。組織図は、技術環境委員会、ナノ酸化チタン小委員会、業務委員会、JIS改正委員会などからなっています。

2.酸化チタンの製造プロセスと代表銘柄の御説明をいたします。酸化チタンは白い粉であるということは御存じかと思います。その基をたどると、左のイルメナイトの鉱石、またルチル鉱の鉱石といった砂状のものです。ここを出発原料として、最終的に製品として白い酸化チタンを製造しています。ですから、左にある黒い砂状の出発原料から白いパウダーに仕上がっております。

 酸化チタンの製法は、大きく塩素法と硫酸法の2つがあります。まず硫酸法です。左上、原料を乾燥させ、反応しやすい粒度に揃えます。そこに濃硫酸を混合します。ここで、イルメナイトに含まれるチタン分と鉄分を抽出します。次に、残渣を採ります。次に脱晶で余計な鉄分を落とします。右の加水分解と書いてある所で、硫酸で抽出した硫酸チタニル溶液から酸化チタン水和物を加水分解工程で得ます。それまでは真っ黒な溶液なのですが、ここの加水分解の所で白い溶液になってきます。次に、それを洗浄いたします。焼成です。ここの焼成の所で、含水チタンの水分を飛ばして酸化チタンに仕上がってきます。それを粉砕・分級し、表面処理を行います。ここの表面処理で、アルミ、シリカ、ジルコニア、チタニアなど、いろいろな無機処理を行っています。そして、水洗い・洗浄し、粉砕、包装に至って製品化しています。これら一連の工程は非常に長い時間がかかり、原料投入から製品までは約2週間程度がかかります。

 次に塩素法です。これはルチル鉱をベースにして、これを塩素化します。塩素化して、分離/凝縮、蒸留/精製して、得られた四塩化チタンを酸化することによって酸化チタンを得ます。あとは硫酸法同様、粉砕・分級して、表面処理をします。この表面処理もアルミやシリカ、ジルコニアといったものを処理しています。そして、水洗い、洗浄し、乾燥、粉砕して製品化しています。

 今ご説明したのはナノ以外の酸化チタンの製造プロセスです。私たちは「顔料酸化チタン」と申しています。今回、(3)ではナノ酸化チタンの製造プロセスを記しています。左上に出発原料の含水酸化チタンとあります。これは、硫酸法の製造プロセスの上段の右の加水分解で得られたケーキを出発原料としています。ですから、ここから原料を抜き取って、ナノ酸化チタンの原料にしています。それを前処理して、中和いたします。もともと硫酸法ですから、硫酸が入っていて非常にPhが低いので中和します。そして、ろ過・洗浄、乾燥・焼成です。あとは同様に粉砕した後、アルミ、シリカ、金属石鹸などで表面処理し、ろ過・洗浄、乾燥・粉砕し、製品化しています。このプロセスは硫酸法も塩素法も、ほとんどクローズのシステムでやっております。ただ、最後の包装のところは人が包装している部分があります。

 このような酸化チタンの製造プロセスを取っていますが、そこで得られる製品を(4)でお示ししています。左から、「酸化チタン」と一言で言いましても、結晶形がありまして、ルチル形、アナタース形、もう1つブルカイト形というのもありますが、商業的にはルチルとアナタースです。そして、ルチル形も、いわゆるナノ酸化チタンとナノ以外の酸化チタンの2つに分かれます。そして、それぞれに対して表面処理のありと無しがあります。ルチル形と全く同様に、アナタース形に対してもナノとナノ以外、そして表面処理のありと無しとあります。ですから、最終的な製品の形態とし、一番右の列に8種類ありますが、少なく見て8種類あります。表面処理はシリカ、アルミ、金属石鹸など、非常に多岐にわたっております。ですから、一言に「酸化チタン」と言いましても、左の酸化チタンではなくて、右の列の様に各種の酸化チタンに対して表面処理の有無あり、また表面処理も多くのバリエーションがあるということから、一括りにするには慎重な議論が要ると思っています。

 その一方、2010年にIARCから酸化チタンのMonographsが出ています。その中では、酸化チタンの発がん性の区分は2Bとなっています。その区分2Bとなった根拠の論文がありまして、顔料酸化チタンとナノ酸化チタンが使われています。先ほどお示しした全体像の中のどこに該当するかを次にお示ししています。

 顔料酸化チタンについて、こういうラットの肺の写真は何度も御覧になったかもしれません。ここで使われたサンプルは、DuPont社のルチル形のサンプルです。気中の平均粒径は1.51.7μm13μm以下の粒子が84%程度となっています。これは分類の中の酸化チタン、ルチル形のナノ以外の表面処理無しという所に該当します。ただ、これだけの情報しかありませんので、素性が明らかでありません。ルチル形99%ということは、恐らく表面処理はないだろうというように推測しております。

 もう1つはP-25です。これは、AEROSIL社です。特徴としては、Ph3.54.5の酸性です。通常私どもの製品では中性に仕上げています。このP-25は非常に活性が強いということで有名で、触媒の世界ではデファクトになっています。また、いろいろな有害性試験でもポジティブコントロールとして使われるやに聞いております。これはどこに該当するかというと先ほどの一覧の中にはありません。私どもはルチル形とアナタース形を製造していますが、P-25はルチル形とアナタース形の混晶です。ですから、1つの結晶系の中で8割がアナターゼ、2割がルチルのような形になっています。それのナノの表面処理無しです。ですから、P-25も入れると、9通りの酸化チタンに大きく分類できるということです。

 次の2ページでは酸化チタン製品の1例をお示しします。これは顔料酸化チタンの石原産業の例です。左に銘柄、結晶形、平均粒子径で約200300ナノ、表面処理剤を記しています。御覧いただいたように、非常に多くの種類の表面処理剤を使っています。これだけたくさんの銘柄があるのは、いろいろな用途に応じてこれらを推奨しています。AlZr、ポリオール、シリコーンなどが御覧いただけると思います。Alは含水アルミナ、Siはシリカ、Zrは含水ジルコニアという形です。これらで表面処理をしますので、酸化チタンの含量としては、酸化チタンの含有量としては8895%ということになっています。

 次は、ナノの酸化チタンの1例です。ここも表面処理剤を赤で囲っています。金属石鹸、ステアリン酸、Al。イソステアリン酸、AlSiAl、アルギン酸ナトリウム、いろいろな処理をしています。このいろいろな処理をしているのは、酸化チタンの特性はそのままにして、お使いいただく用途、媒体の中でいかに酸化チタンの特性を発揮させるか。例えば樹脂の中では酸化チタンがダマにならずにきれいに分散させるには、どういった表面処理が適切か。ですから、表面処理を施すことで酸化チタン表面の特性を変えております。中の酸化チタンの特性はそのまま残すということで、表面だけを改質しているというところです。

 これは簡単な分類又は用途の簡易なまとめです。左の列は、酸化チタンの原料、種類、製品中の酸化チタンの含有率、目的・用途に分類しています。横軸は、左から2つ目と3つ目はナノ、4つ目と5つ目は顔料酸化チタンに関しての記述です。

 まず、ナノに関してです。原料は冒頭に御覧いただいたように、鉱石を持ってきています。鉱石の中の酸化チタンの含有率は5095%です。あとは鉄分などが入っています。表面処理は先ほど御覧いただいたように、含水アルミナ、シリカ、また脂肪酸、シリコーンなどを1種だけではなくて、用途に応じて2種以上、処理しています。表面処理した後はもう製品です。表面処理でここに書いている6099%というのは酸化チタン分です。ですから、100からこれを引くと表面処理剤の含量になります。用途は書いているように、化粧品、トナー、塗料です。

 顔料も同様で、出発原料は先ほど御説明したものと同様で鉱石です。表面処理に関しても同様の処理材を用いています。ただ、ここは用途がナノと違うのは、顔料酸化チタンは白色顔料ですから、塗料では白い塗料また単色系の塗料に使用されており、塗料の他はインキ、プラスチック、ゴムなど、非常に幅広く使用されています。ですから、量的には圧倒的に、この顔料酸化チタンの方が多く使われております。特性に関しては後ほどもう少し見やすくまとめていますので、そちらで御紹介いたします。

 ここまで御説明しましたように、酸化チタンは硫酸法、塩素法、顔料の酸化チタン、ナノの酸化チタン、それぞれ製法が異なります。また、一連の製法プロセスの中でも、表面処理が非常に多岐にわたります。そういった意味で、ここで全てを御紹介するのは難しいかもしれません。もしチャンスがあれば、理解促進の一助として、工場の御視察にお越しいただけたらと思っております。

 これは1例です。酸化チタンに表面処理したらどうなっているのか。顔料酸化チタンでの例示です。左が未処理、表面処理する前の酸化チタンで、右がシリカ、含水アルミナで処理した酸化チタンです。未処理の酸化チタンは非常にエッジがクリアです。それに対して、表面処理すると表面処理層であるシリカ、アルミなどが、もやもやっと表面を覆っている様子を御覧いただけると思います。これはこの粒子だけではなくて、ほかの粒子も同様に表面を均一に覆っていることをお示ししています。

 もう少し詳しく見ると、例えば酸化チタンの格子が出るぐらい高倍率で見ているのですが、左が酸化チタンの未処理の表面です。それに対して、右側がシリカ、アルミナで表面処理を施した後の酸化チタンの表面です。こちらの左がシリカとアルミの層になります。ですから、こういった層が先ほど御説明した、表面のもやもやっとした所で、これをもう少し詳しく見ると、このような形で表面処理した層が酸化チタンの表面を覆っているということです。

 今はそのようなことはありませんが、何十年も前、例えば白い車でも古い車を手でこすると手に白い粉が付いていましたが、あれは酸化チタンの耐候性が不十分な場合です。それは、もちろん表面処理の技術が未熟だったということもあったと思います。今はそのようなことはありませんで、そのようなものでしたら車の価値はなくなります。10年以上が経っても、白い車をこすっても手に白い粉が付くことはありません。ですから、それだけ酸化チタンの表面処理の技術が上がって、きちんと均一に処理されているということです。

 これは表面処理をしている材料です。まず、アルミの場合はナトリウム/アルミ化合物です。これは塩基性ですから硫酸で中和して、アルミの含水物を酸化チタンの表面に沈着させます。ですから、よく製造プロセス水洗とか水洗いとありますのは、こういった不純物を洗っています。シリカも同様です。シリカ/ナトリウムはアルカリ性ですから、この化合物を硫酸で中和することによって、シリカを表面に沈着させます。そして、後は水で洗うということです。チタニア、ジルコニアの場合は、こういった硫酸チタニル又は硫酸ジルコニアは酸性ですから、塩基で中和することにより、チタンやジルコニアの水和物を酸化チタン表面に沈積させるという手法で、表面処理を行っています。あと脂肪酸とかシリコーンも同様で、湿式又は乾式で表面処理いたします。

 先ほど写真を御覧いただきましたから、同じ説明をしてもいけませんが、これが表面処理のイメージです。真ん中の白い所が酸化チタンで、その表面はシリカとかアルミナなどでこういった処理をしています。この処理も、絵では「まる」で書いていますが、こういったぎざぎざの多孔質な状態でのコーティングの形もあります。一概に「処理」と言いましても、均一に処理している場合、また多孔質的に処理している場合と、いろいろな表面処理の形態があります。

 こういった処理をすることにより、これは1例ですが、塗料、インキでの分散性が変わります。これが一番大きな目的です。酸化チタンの表面処理をうまくしないと、塗料、インキの中でダマになってしまいます。それでは酸化チタンの本来の特性は出ません。塗料やインキで使われる樹脂などの媒体中で、きれいに分散するような形で酸化チタンの表面を改質しているということです。その表面を改質して分散性を付与します。皆さん御存じのように酸化チタンというのは紫外線照射でラジカルを発生いたします。しかしその表面処理層がラジカルをキャッチ、またバリアー効果で、ラジカルを表面処理より外に出さない。ですから、外の樹脂に影響を及ぼさないという効果があります。結果的に光触媒活性を抑制します。

 これは酸化チタンを塗料に配合したときの耐候性を見ています。ですから、新車でしたら表面はツルッと非常に光沢のある状態ですが、年月が経つと光沢がなくなっていきます。未処理の酸化チタンを配合すると、これは促進試験ですが、このような速いカーブで光沢はなくなっていきます。実用的には、70%程度を切ると大変見苦しい塗膜になってしまいます。それに対して、アルミを2%処理すると△のカーブです。チタンとアルミの2種類で処理すると、一番右のカーブで、光沢保持率が非常に長くなります。ですから、1種類の表面処理を施すだけでも、塗料の特性は変わってきます。

 例えば、酸化チタン、チタニアの等電点はほぼ中性で6です。これをアルミとかシリカで処理すると、等電点がシフトします。特に水系の塗料の場合に顕著なのですが、こういった電荷の反発を付与させて、顔料の分散を助けるということをしています。こういったシリカ、アルミナを処理して、等電点をずらすというのも、大きな改質の考え方ではあります。例えばアルミナで処理すると、等電点はアルカリのほうにいきます。

 表面処理のことをまとめますと、表面処理のあり・無しで、分散性、耐候性は非常に変わってきます。また、アルミナを処理することにより、表面特性、親油性、塩基性、表面の電位はプラスチャージを帯びます。また、シリカで処理すると、親水性が出て、マイナスチャージを帯びるという形になります。ですから、表面処理を施すことにより酸化チタンの表面特性も変化しますし、表面チャージも変わってきます。

4.酸化チタンの使途と公定書です。酸化チタンは先ほどの白い粉のままで、そのまま使われて最終製品になっているわけではありません。塗料の場合だと、標準的な塗料の製造方法が左です。これは色材協会誌から引用しています。まず顔料と樹脂液を混合しています。右の粉体塗料も顔料と樹脂を混合しています。必ず樹脂と混合します。樹脂はアルキッド、エポキシ、ウレタンといろいろな種類があります。我々はそれぞれの樹脂中で、酸化チタンの分散性を上げるため、適した表面処理剤を選定しています。繰り返しになりますが、塗料の場合は間違いなく樹脂と併用されます。インキも同様です。

 この後に御発表なさいますインキ工業連合会のホームページから引用しました。ここでも樹脂と顔料が混合されています。まず樹脂と溶剤のスラリーを作って、次に顔料を混合します。ですから、必ず樹脂と併用されております。

 プラスチックも同様です。まず、顔料と樹脂を混合します。そして、溶融して、こういった糸状に押し出します。そして、それを冷却カットして、右上のペレットを作ります。このペレットを溶融して、インフレーション、下から空気で吹き上げることにより、フィルムを作ったりしています。この場合も、酸化チタンは表面処理品を使っています。

 繊維も同様です。まず、樹脂と顔料を混合します。それから、それぞれに応じて糸を引っ張って、適当な長さでカットします。この場合は未処理及び表面処理品が使われています。

 次に公定書です。酸化チタンは工業用途では塗料、インキ、プラスチックなどに使われています。また、食品、医薬品、化粧品でも、酸化チタンは認可されております。ですから、食品の添加物、薬の白い錠剤の白、日焼け止め化粧品など、非常に幅広くお使いいただいております。これは日本だけではなくて、アメリカや欧州においても同様です。アメリカはFDAUSP、そしてOTC monograph、欧州はEFSAEuropean PharmacopoeiaCosmetic Regulationなどで、使用できる酸化チタンは規定されております。また酸化チタンは非常に長い年月にわたって、安全に使われております。

 先ほど、ナノの酸化チタンまたナノ以外の酸化チタンの用途を御説明いたしました。ここで一覧があるほうが分かりやすいと思います。ナノ以外の酸化チタンが真ん中で、顔料酸化チタンです。粒径は200300ナノです。その大きさというのが、可視光線を散乱するのに一番適した大きさです。ですから、可視光を散乱するから白くなります。その白いがゆえに、白色顔料として、塗料、インキ、プラスチックなどに配合されて、白い塗料として、。また、ほかの色と混ぜて単色系の塗色になったり、青色や赤色の塗料にも配合されます。

 そして、ナノの酸化チタンは左です。これは約1050ナノ程度ですが、これぐらいの大きさになると基本的に可視光線を通します。そして、紫外光だけを反射します。透明感があってUVをカットするということから、主に日焼止め、また酸化チタンの特性を生かしてトナー外添剤などでお使いいただいております。

 もっと1,000ナノを超える酸化チタンというのもありまして、これは赤外線を遮蔽いたします。これからオリンピックに向けて道路の上に赤外線反射の酸化チタンを配合した塗料を塗って、遮熱効果を出しています。白い道路がそれです。ですから、一言に酸化チタンと言っても同じTiO2 ですが、その粒径によって、どこの光を反射するかによって、それぞれ用途が異なってきます。

 酸化チタンが工業化されて100年で、白色顔料としては酸化チタンが非常に優れた性質を持っていますので、先ほど御説明した塗料インキ、プラスチック、繊維、コンデンサなど、あらゆるものに使われています。そして、これは身の周りで酸化チタンが使われているというものを示しています。医薬品、衣料品のワイシャツの白もそうです。食品、塗料、化粧品、身の周りの白又は単色系のものには、ほぼ間違いなく酸化チタンは入っています。

 酸化チタンの国内需要と生産量です。国内生産は顔料酸化チタンが約18t、ナノ酸化チタンは約5,000t強です。国内需要もそれに近くて、国内メーカーだけの生産ではなくて輸入品もあります。輸入品を合わせて国内需要は約185,000tとなっています。これは経済産業省又は財務省の統計資料から持ってきています。

 その使われ方も、塗料、インキ、樹脂の3分野で、数量ベースで約85%を占めます。これらが一番大きな用途です。それぞれの用途でも、先ほどプロセスを御説明したように、表面処理品が使われています。また、その表面処理品も、どういう樹脂で、どういう効果を出すのかによって、そのバリエーションが多岐に亘ります。

 長くなりましたが、まとめです。酸化チタンには表面処理品が多々あり、それぞれで表面特性が異なりますから、「酸化チタン」ということで一括りにできるものではないと思っています。また、川下ユーザーのほとんどは酸化チタンを単独で使用することはありません。樹脂、オイルなどに酸化チタンを分散・混練して製品化しています。ですから、アンチモンが適用除外になったのと同様、こういった樹脂に混練して、マトリックスに取り込まれたものは出ることはないだろうと思っています。そして、医薬品、食品、化粧品をはじめ、国民生活に広く安全に浸透しています。また、一番大きな問題として、酸化チタンの特性を持つ代替物質は現在ありません。多々御説明しましたが、こうした酸化チタンへの理解促進の一助として、是非とも工場視察にお越しいただけたらと思っております。以上です。御静聴ありがとうございました。

○小野座長 ありがとうございます。今の御説明について御質問等ありますか。

○圓藤委員 最初の方で、酸化チタンは大きく分けて8つないし9つに分類できるということですが、まとめの所で、それらのタイプは表面特性が異なることから、酸化チタンで一括りにできないということにされていますよね。そういうことで見ていくとしたら、例えば詳細リスク評価書の酸化チタンは「ナノ粒子を除く」ですから、4つぐらいの分類になるでしょうか。この評価書に書かれているものはそのどれに相当するのか、4つのものに分けられるでしょうか。

○日本酸化チタン工業会 詳細リスク評価書の中で、二次評価値を超えているのは粉体塗料のところです。その粉体塗料に用いられる酸化チタンというのは、ルチル形のナノ以外の表面処理になります。

○圓藤委員 そこだけでなく、いろいろなデータを引用されて書かれておりますので、できればどれを使っての研究をなされているのかを区分していただけると、評価がしやすいのではないかと思います。

○日本酸化チタン工業会 詳細評価書の中にあるばく露データで、それぞれで使われているであろう酸化チタンをこの区分で分けたらどれになるかということですね。

○圓藤委員 そうです。そういう作業をしていただけると助かると思います。同じことが、例えば公定書で酸化チタンが規定されている、あるいは欧米において酸化チタンが規定されている、その規定されている酸化チタンとはその区分において何を指しているのか、それも明らかにしていただけると助かると思います。

○日本酸化チタン工業会 承知しました。後日、整理して事務局に出させていただきます。

○小野座長 よろしくお願いします。ほかに何かありますか。

○大前委員 表面処理があり・なしで分かれていますが、実際の労働現場で表面処理がない酸化チタンにばく露する職場というのはどういう所になりますか。

○日本酸化チタン工業会 もちろん、未処理の酸化チタンも製造しております。先の製造プロセスでご説明しましたように、表面処理をしない場合はここの工程がありません。ですから、焼いたものを水洗、ろ過、乾燥・粉砕して包装されます。

○大前委員 そうしますと、酸化チタンの製造メーカーの表面処理の前のところまでの労働者は、表面処理がない酸化チタンにばく露する可能性があると。

○日本酸化チタン工業会 はい。

○大前委員 もう1つ、ユーザーのほうは、どのようなユーザーの労働者が表面処理のない酸化チタンにばく露する可能性のある職場になるのでしょうか。

○日本酸化チタン工業会 ほとんどクローズ、最後の包装のところはオープンになっておりますが、顔料酸化チタンの場合、包装工程も自動の場合と人がやる場合と2つあります。未処理の酸化チタンは、もちろん製造して販売を一部しております。それをお使いのお客様は、例えばそれを投入する所はばく露の可能性もあるかと思います。

○小野座長 今のに関連するのですが、特に未処理のものを使用する製品というのは、そういう分類みたいなものはあるのでしょうか。

○日本酸化チタン工業会 例えば、アナターゼの未処理品では、医薬品のカプセルや調剤のコーティングや、賦形剤といったものに使われたり、ゴム製品などですね。未処理ということであれば、ナノ、ナノ以外問わず、純度が規定されている化粧品といったものにも使われますし、電子材料などにも使われます。

○小野座長 ありがとうございます。ほかの委員の皆様からはいかがでしょうか。

○櫻井委員 教えていただきたいのですが、ナノ酸化チタン製造プロセスの図で、粉砕して、表面処理して、また粉砕するのですね。2度粉砕することによって小さくするということですか。表面処理した後で、また乾燥・粉砕と。

○日本酸化チタン工業会 ナノの場合の粉砕は1回です。

○櫻井委員 3番目のナノです。一番右上に粉砕と書いてあります。

○日本酸化チタン工業会 私どものプロセスなのですが、焼成しますと焼き絞まります。ですから、次に表面処理しやすい形に粗くほぐす粉砕をしております。2つ目の粉砕は最終製品として、なかなか一次粒子まではいきませんが、可能な限り粉砕しております。上は少し粗めに粉砕して、次はきちんと粉砕するという格好です。

○櫻井委員 素朴な疑問なのですが、表面処理したものを更に最後粉砕すると、表面処理されていない面がたくさん出ると思うのですが。

○日本酸化チタン工業会 それはありません。これは表面処理した後の写真ですが、それぞれが表面処理された状態です。ですから、粉砕した段階で粒子にそれぞれ表面処理しておりますから、決して割れて未処理のものが出ることはありません。

○櫻井委員 割るのではなくて、ばらばらにするということですか。

○日本酸化チタン工業会 解砕、ほぐすという格好です。

○櫻井委員 最後の乾燥・粉砕の「粉砕」という言葉は、余り適切ではないですね。

○日本酸化チタン工業会 そうですね。「解砕」のほうがいいかもしれません。

○櫻井委員 分散させるというか、ばらばらにするということですね。

○日本酸化チタン工業会 そうですね。御指摘ありがとうございます。

○圓藤委員 確認ですが、ナノの大きさになるのはどの工程ですか。

○日本酸化チタン工業会 ナノの大きさになるのは、加水分解のところでナノになります。ナノの酸化チタンは、これを出発原料として持ってきた後、加工します。中和して加水分解するときに小さい結晶が出来ます。酸化チタンはその小さい結晶を基に、温度や時間をかけてどれだけの大きさに成長させるかということですから、初めの段階はここで決まります。顔料酸化チタンは1,200℃ぐらいで焼きますから、大きく成長します。ナノは1,000℃以下で焼いておりますから、そこまで成長しません。出発は加水分解ケーキ、ここで出来た含水酸化チタン種をベースに温度と時間をかけて粒子を成長させております。ですから、大きいものを潰しているわけではありません。

○櫻井委員 こちらはむしろ小さいものを大きくするわけですね。

○日本酸化チタン工業会 そうです。

○圓藤委員 何か雪の結晶を作っているみたいですね。

○日本酸化チタン工業会 小さい状態で処理した後ほぐしていますから、大きいものを潰すのなら未処理の面が出ますが、逆です。

○大前委員 酸化チタンの場合は、合成酸化チタンみたいな作り方ではないのですか。みんな今、お示しいただいた作り方だけで、よくトナーなどでは、合成トナーで途中微粒子を作るために、合成微粒子を作るのですが、そういう作り方ではない。

○日本酸化チタン工業会 工業的にはこれですね。また、御指摘のようにチタンのアルコキシドから実験的に作るといったことはありますが、量的にはどれだけあるかなどは把握しておりません。物理的には可能だと思います。

○唐沢委員 確認です。今の図の一番左下に「粉砕」と書いてありますが、その前に表面処理をして、その後で粉砕があるわけですが、その粉砕の加工によって表面処理が剥離したりするようなことはないのですか。

○日本酸化チタン工業会 はい、それはありません。

○藤間委員 資料の2ポツの(6)の銘柄例に、チタンの重量パーセントが記載されているかと思いますが、実際この表面処理剤のウェイトは何%ぐらいのものなのでしょうか。

○日本酸化チタン工業会 表面処理は用途によっていろいろ異なってきますので、2%ぐらいのものから10数%。

○藤間委員 ナノでどれぐらいになるのですか。

○日本酸化チタン工業会 最も高い場合ですと、20とか30とか、そういうところまでいきます。

○藤間委員 そうしますと、表面処理層の膜厚とか、コアになるチタンの径に対してどのぐらいの比率の膜厚層になっているものとか、重量が違ってくれば当然バリエーションがあるでしょうけれども、どのぐらいの膜厚のものが使われているのでしょうか。

○日本酸化チタン工業会 写真でお示ししているケースでいくと、数ナノ程度です。

○藤間委員 それで、ウェイトとして2%ぐらいになるということですか。

○日本酸化チタン工業会 そこは詳しく検査しないといけませんが、粒子は球状と仮定して、その体積から計算しておりますので、それは計算しないといけません。大体数ナノ程度です。

○藤間委員 数ナノ。ありがとうございます。

○圓藤委員 先ほどのパーセントというのは重量パーセントという形になろうかと思いますが、表面処理するナノ粒子は表面積が非常に大きいと思うのです。それにコーティングされたものを面積で見た場合、何%コーティングされていると見てよろしいのでしょうか。表面積の面積比で考えて。100%コーティングされていると見ていいのか、90%コーティングされていると見ていいのか、面積で見た場合。

○日本酸化チタン工業会 おっしゃっているのは、微粒子酸化チタンは表面積が大きいから、ここに書かれている表面処理のウェイトパーセントで理論的に100%カバーできているのかという御質問ですね。

 大体、粒子の小さいものについては重量パーセントでいくと少し多めに表面処理します。例えば顔料級酸化チタンで、300ナノぐらいのもので2%とか3%ぐらいあるのが普通ですが、ナノの酸化チタンの場合は、例えばそれが10%になったり、用途によっていろいろ違いますが、微粒子になればなるほど表面処理剤に使う重量パーセントを多くしております。完全にカバーできるような形にしております。

○圓藤委員 それは当然だと思いますが、あと電顕等で表面処理の状態の確認をされていると思うのです。それで何%表面処理できているか確認できるのではないかと思いますので、露出されている酸化チタンは表面積で考えたらどのぐらいあるのかなというのが気になったのです。

○日本酸化チタン工業会 電子顕微鏡でこのような確認は非常に難しいというか、全部の状態を見るのは非常に難しいかなと思っております。完全に覆われているのかどうかを間接的な評価、先ほど塗料のばく露試験結果がありましたが、仮に覆われていない部分があった場合には、無処理の酸化チタンのほうが早く酸化チタンの影響が出るとか、そういう間接的な評価で見るというのが、我々が通常やっていることになると思います。なかなか電子顕微鏡で全て見るのは。

○圓藤委員 全てではなくて、1つの製品を開発する場合は確認されているのではないかと思いまして。○日本酸化チタン工業会 資料を持ち帰って探します。ナノ酸化チタンでこういう例があるかということですね。

○圓藤委員 そうですね。この場合でしたら、右側の楕円形の酸化チタンには全周にわたってコーティングされていると。そのように見ていくと、率は分かるのではないかと思います。

○日本酸化チタン工業会 ナノ酸化チタンのこのタイプの電顕写真ですね。持ち帰って探します。

○小野座長 それでは、この点については整理していただくというか、(8)の全体をまとめた表を見ると、ナノの場合には重量比で言うと多めにコート剤が入っているということになっていますが、石原産業とテイカの表では両方混っているのか、石原産業の方がコート量が少なくて、テイカのほうが大きいように見えます。ナノのほうでも十分にコート剤が入っていて、例えば一次粒子径に対してコートの厚みがこのぐらいあるとか、資料にある電子顕微鏡写真のように分かりやすく整理していただけると、私どもの理解の助けになるかと思います。お手数ですが、よろしくお願いします。

○日本酸化チタン工業会 分かりました。

○日本酸化チタン工業会 御参考までに、このページの弊社の酸化チタンは全て顔料級ですので、必然的に表面処理量が小さいという状況です。

○小野座長 そうですね。テイカのほうがナノが多い形かと思いますが、それで私どもも混乱している部分があるかと思いますので、お手数ですが、よろしくお願いします。

○櫻井委員 もう1つ疑問なのですが、ジルコニアとかアルミナを混ぜているわけですが、先ほどそれが層をなしているという図がありましたね。そのように逐次的に層を作るということですか。それとも、混合してということですか。

○日本酸化チタン工業会 方法によります。シリカを処理してアルミ、シリカとアルミ同時、ケース・バイ・ケースです。

○櫻井委員 何か1種類だけが主として表面に出ている場合と、混合している場合があるわけですね。

○日本酸化チタン工業会 はい。

○大前委員 リスク評価書を作ったときの情報は、ほとんど表面処理していない酸化チタンで、P25といったものが結構多かったと思いますが、表面処理した場合、これが生体内に入った場合に、表面処理されたジルコニアやアルミが剥がれるかどうか、その辺りの情報はありますか。

○日本酸化チタン工業会 この表面処理物は、吸入したときに肺胞液の中で本当に剥がれないかという御指摘に関して、今データを取っているところです。これも出ましたら事務局を通じて御説明します。

○名古屋委員 剥がれにくいと思います。定量分析したときに、表面にコーティングされているので、リスク評価を行う場合は、結果的には酸化チタンで評価しなければいけません。酸化チタンで評価しているのですが、表面がコーティングされているので、フッ素処理しないとコーティングが取れないということになることから、かなりしっかりコーティングはされていると思います。剥がれるようなことはないと思います。

○大前委員 でも、フッ素処理はシリカのコーティングだけですよね。

○小野座長 今のような追加情報については、今、日本酸化チタン工業会がいろいろデータ取りをしてくださっているということですので、その辺りの結果も含めて、日本酸化チタン工業会はもう一度ヒアリングがありますので、そのときにそのデータも含めてディスカッションできればよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。

 大体、持ち時間の1時間になりましたが、特に御質問の追加がなければ、ここで日本酸化チタン工業会の御説明は終了させていただきます。

○日本酸化チタン工業会 ありがとうございました。

○小野座長 続きまして印刷インキ工業連合会から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○印刷インキ工業連合会 印刷インキ工業連合会でございます、本日は説明の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 私どもから今日は3名来ております。私は事務局の小松原と申します、隣が技術委員会の西山委員長です。ここにいますのが技術委員会の中の製品安全専門委員会の伊藤委員長です。

 最初に私から、連合会の概要並びにインキ業界の概要について若干御説明をしたいと思っております。私ども印刷インキ工業連合会は昭和23年、東京を中心に、関東圏に拠点を置きますインキメーカーで印刷インキ工業会、それから大阪を中心に近畿圏に拠点を持ちますインキメーカーで、印刷インキワニス工業会がそれぞれ設立をされました。

4年後の昭和27年、両工業会で連合会を組織いたしまして、情報交換、それから共通する課題に対する対策を検討して、今日まで来ているということでございます。会員数はここに書いてありますように東京29社、大阪28社となっておりますけれども、実数で言いますと両方に入っております会員がおりますので、50社ほどということです。

 インキの種類ということで申しますと、平版インキ、新聞インキ、樹脂凸版インキ、グラビアインキ、金属印刷インキというようにここに表示していますが、これは経済産業省の化学工業統計での分類です。化学工業統計は毎月この分類で発表されており、大体インキ業界の市場規模で言いますと、生産量で直近の平成28年の数字で生産量が約35t、出荷量が約40tです。出荷額にしますと約3,000億円がインキ業界の現状です。私ども連合会の会員50社の生産量、出荷量、出荷額を見ますと大体生産量と出荷量で全体の92%、出荷額で言いますと約90%が連合会の会員会社の生産出荷の状況です。そういう意味で、ほとんどのインキの生産出荷を連合会の会員でしているのかなという状況です。

 生産出荷のインキの量のうち、単独で10tを超えますのは平版インキとグラビアインキです。この2つのインキで全体の約7割を占めます。今日のヒアリングの中で酸化チタンの問題はありますが、酸化チタンをたくさん使用しているという意味ではグラビアインキ、次いで平版インキということになっております。

 インキの用途という意味で申し上げますと、化学工業統計上は平版インキと呼んでおりますけれども、私どもの業界ではオフセットインキと呼んでおります。オフセットインキは出版物やチラ紙、ポスター、どちらかと言いますと紙媒体に使われるインキです。グラビアインキにつきましては、皆さん日常御覧になっております食品用のパッケージ、フィルムを主体としたパッケージに、主に使用されているとお考えいただければよろしいかと思います。樹脂凸版インキと言いますのは、通称フレキソインキという呼び方をしておりまして、これは段ボールの印刷に主に使用されるものです。

それから、金属印刷インキにつきましては代表的なものは缶ビール、あるいはコーヒーであったり、ジュースであったりいたしますけれども、使われております。新聞インキにつきましては文字どおり、新聞の印刷に使用するインキということです。

 以上が私どもの連合会とインキ業界の概要です。説明資料4で私どもの連合会がどのような取組をこれまでしてきたのかということで、商標登録しております3つのマークをここに掲載させていただきました。一番上のNL規制と申しますのは、有害性の高い化学物質をできるだけ使わないようにしましょうという考え方から、昭和48年に「印刷インキに関する自主規制」で、当初は食品パッケージ用に使用します印刷インキのNL規制としてスタートしております。現在では740物質を超える原材料を使用禁止にしているところです。なお、このNL規制の準拠マークとして、平成15年からはマークをインキ製品に表示することを実施しております。

 その下、植物油インキマークとインキグリーンマークにつきましては、平成に入ってからのマークです。環境に対する負荷軽減を図るという意味で、できるだけ石油系の溶剤等を他の植物油等に置き換えていこうという活動の中で作った制度です。そういう意味で、NL規制はインキの安全性をできるだけ高めていこうという意味で始まっておりまして、下の植物油インキマーク、インキグリーンマーク制度につきましては、環境負荷への低減活動の一環として取り組んでいる状況です。以上が概要です。この後は西山委員長から、酸化チタンがどのように使われているのか説明をいたします。

○印刷インキ工業連合会 委員長の西山です。印刷インキにおける酸化チタンの使用用途と種類について御説明いたします。

 表に表している各種の使用インキの原料として酸化チタンが使われていますが、中でも使用量の多いものに赤色を付けています。グラビアインキ、金属印刷インキが挙げられます。具体的な使用例は後ほどのスライドで御説明いたします。

 印刷インキの白インキに使用している酸化チタンの種類はルチル形・非ナノ・表面処理ありというものを使っております。

 印刷インキの酸化チタンの使用量は年間42,000tであり、グラビアインキがこのうち約半数、50%を使っています。そのほかにも金属インキ、スクリーンインキ、平版インキ、業界ではオフセットインキというように呼んでいます。一般によく見る印刷物としては、例えば食品包装としてのポテトチップス等の袋の印刷や飲料用のPETボトルのラベルの所、それからコーラやコーヒーなどの飲料缶に使われております。

 印刷インキにおける酸化チタンの使用用途と種類ということで、使う目的は第一に意匠性です。印刷には原稿となるデザインがあり、そのデザインの色を忠実に再現する必要があります。本日、見本をお持ちしました。アルミホイルの紙の上に黄色を印刷しますとこのような色になります。また薄い茶色を印刷するとこのような形になり、金色にも見えます。そのアルミホイル紙の下に白インキを印刷して、それぞれの色を印刷しますと黄色と薄茶になります。このように、原稿では黄色や薄茶を表現したい時、アルミの上では表現できないので、白インキが重要になってきます。

 またフィルムの見本、これは赤色を印刷しているのですが、白色がないと透明で向こう側が透けてよく分からないので、後から白インキを印刷します。そうすると、赤がちゃんとよく分かるようになるという形で、このようにグラビアの場合は裏から白を印刷して、表面はフィルムです。そういうような印刷をします。これが意匠性のために使われます。

 先ほどのアルミですが、アルミホイルのメタリックの下地を隠すという意味で隠蔽性が必要です。余り多くはないのですが、パッケージの内容物を保護するために光をさえ切るということで遮光性が必要となっています。この主な3つについて酸化チタンを使用しております。

 次に、グラビアインキの組成例をここに示しております。その組成は酸化チタン、樹脂、溶剤、助剤が重量比でこのような割合になっています。状態としては溶液状態、液体です。これを印刷した後に温風乾燥して、溶剤を除去、飛ばします。そして、樹脂で固められた形の酸化チタンの被膜として白インキが乾くというような形になります。

 酸化チタンを使用した印刷インキの印刷事例を示しました。先ほどのようなフィルムや透明なシート、それに白インキを印刷して絵柄が分かるようにする。それから、PETボトルのラベルに白インキを印刷してその後に文字を書くというような形、飲料缶はこのようなアルミの表面を大体していますので、その表面を白で隠した後に印刷するという形で使われております。

 そのほかに白インキの例で、先ほどのPETボトルの外装フィルムの印刷では、酸化チタンが重要な役目を持っていますが、それ以外にも重要な役目を持っています。外装フィルムの構成です。フィルムの内側と言うか、そこに緑色を印刷して、押えで白を印刷するという形でラベルができあがります。表面には傷つき防止のためのトップコートニスを印刷する場合が多いです。それをフィルムとして貼るという形です。買物する時に使用するバーコードなのですが、読取の原理は、読取機が赤外線を発光して、背景の白色とバーコードの黒色の反射の差を読み取って判定します。したがって、白インキがない状態では赤外線が反射されないため、読み取ることができなくなります。白以外の他のインキは光の透化が大きく、十分な反射ができないということなので、白インキが非常に重要な役目を持っています。

 次に、酸化チタンを使用するインキの製造工程の一例として、代表的なグラビアインキの製造工程を示しました。最初の「配合・混合」、この工程は樹脂と溶剤を混ぜて液状にしたものに酸化チタンを投入するという混合過程になっております。これ以降の工程は全て液体になっています。その後に「分散」をして、分散については次のスライドで御説明いたします。分散が十分できたインキを「希釈・調整」します。樹脂・溶剤・添加剤等を加えて粘度調整をします。グラビアインキの場合、30100Pasほどの粘度です。かなりシャバシャバな液体状態です。それを製品にするには異物除去のために「ろ過」する。ろ過したものを「容器充填、出荷」するという工程になっています。もちろん工程ごとの検査がありますが、それについては割愛させていただきました。

 グラビアインキの分散工程を説明いたします。このような横型ミルというものを使って分散させます。原理的には、この横型のミルの中にローターと呼ばれるものが回転して、中にあるビーズをかき混ぜるという形になっています。その中を先ほど混合したインキを通していくと、ビーズとビーズのぶつかり合いによって凝集していた顔料、酸化チタン等がビーズの剪断力を使いましてバラバラにほぐれていくという形になります。ぼくした酸化チタンの一次粒子に近いものに樹脂により表面が十分覆われるような形になって、酸化チタンがまた凝集しないようにしているということになります。それが十分行われますと、水よりちょっと粘度が高いぐらいの液体なのですが沈殿しなく、ちゃんと分散していないと酸化チタンが沈降します。ですから、この分散工程で十分分散するような形にします。

 次に、会員会社7社における酸化チタンの投入工程の作業現場における総粉じん量測定結果を示しました。一部表記ミスがあります。幾何標準偏差平均値というところで「幾何」を忘れました、赤で訂正させていただきます。

 酸化チタンの投入工程での総粉じん量は幾何平均A測定で、最大で0.11mg/m3 B測定で最大0.2mg/m3 でした。会員会社での吸入性粉じんの測定実績はないものの総粉じん量の測定結果から、吸入性粉じんは1mg/m3 を超えないものと推測されます。

 昨年度の酸化チタン(ローマ数字の4)のリスク評価書No.52における酸化チタン(レスピラブル)の個人ばく露測定結果表から、私どものインキの酸化チタン投入と同様の作業を探しましてレスピラブルのばく露状況を調べてみました。j3:投入・混合作業(60)、この値は十分低いものだと思います。それからj4:投入・混合(44)b5:原料(酸化チタン)の投入作業(25)l1:原料秤量、投入作業(60)e1:チタン入作業(30分間)、大体私どもに多分そっくりだと思う工程なのですが、それは全て低いほうにありますので、いずれも1mg/m3 を大幅に下回っているということになります。

 まとめです。印刷インキ製造における酸化チタン(ルチル形・非ナノ・表面処理あり)の粉体での取扱作業は酸化チタンの投入工程のみである。これ以降の工程では、溶液状態となり、吸入ばく露はほとんどない。

 それから、投入工程における粉体ばく露の測定結果ということで、印刷インキ製造の酸化チタン投入工程における粉体ばく露の可能性は、吸入性粉じんの測定実績はないものの総粉じん量の測定結果から、吸入性粉じんは1mg/m3 を超えないものと推測される。

3番目として、酸化チタンの印刷インキの原料としての重要性ですが、酸化チタンの効果として、食品包装用・医療品・化粧品用パッケージなどの印刷物に「品質名(隠蔽性・意匠性・遮光性)」で優れた効果・機能性を付与することができる。これらの効果・機能性を得るには酸化チタン以外の原料では不可能な状況にあります。また、印刷後は樹脂等で固着されるため、吸入ばく露はないということでございます。

 最後に要望事項です。酸化チタンを取り扱う作業の規制に関しては、リスク評価検討会での酸化チタン(総粉じん)の個人ばく露測定結果を基に、高ばく露量でリスクの高い工程・作業に限定することを要望いたします。

2番目として、印刷インキ製造における酸化チタン(ルチル形・非ナノ・表面処理あり)は樹脂等に分散した状態(液体)であるため、規制対象外が妥当と考えております。印刷インキ製品が規制対象とされた場合に、印刷会社が予防措置(局所排気の設置)の負担が大きくなるため、酸化チタンを含む印刷インキ等の製品は、規制対象外としていただきたいと考えております。

 最後に酸化チタンが措置対象とされた場合、食品用途を始めとした包装品及び食品に関して、消費者に悪い印象(特に特化物が含有されており、有害性が高いという印象)を持たれ、関連業界への風評被害による影響も出ることが考えられますので、ナノの酸化チタンの規制に関する情報の発信には細心の配慮をお願いしたいと思っております。

 私どものアンケートの表なのですが、私どもの会員の中で印刷インキ以外のものも作っておられる会社も多くあります。印刷インキでないものに酸化チタン等を使っている場合もあります。どのようなところに使っているかは、私どももまだ把握しておりませんがそういうところで使われているものと考えております。以上で終わります、ありがとうございました。

○小野座長 ありがとうございました。今の御説明に関して御質問等はありますか。

○大前委員 印刷されたものから酸化チタンの粒子が出てくることはないのですか。例えば、これはグラビア印刷にしてもオフセットにしても、高速回転で印刷していますよね。そうすると随分気流ができますし、水なんかも出ると思うのですが、そういう印刷物から出ることはないですか。

○印刷インキ工業連合会 御質問の意味は、印刷物から。

○大前委員 そうです、実際に印刷工場にインキを卸されているわけですよね。

○印刷インキ工業連合会 はい。

○大前委員 当然、その印刷工場で印刷して、溶剤が飛ぶわけですよね。

○印刷インキ工業連合会 はい。

○大前委員 飛ぶだけ減って、酸化した場合は増えるのですが、この印刷したものから酸化した粉じんが発生することはないですか。

○印刷インキ工業連合会 基本的に樹脂でコーティングされており、また、普通、グラビアの場合、これは表がフィルムになっていまして、アルミ蒸着フィルムに貼合せという形になります。ですから、グラビアの場合は表に余り出てこないと。こういうラベルの場合は裏側になっていますので、その場合は通常でこすっても、普通は取れない状況です。ですから、酸化チタンだけが飛ぶという形ではなくて、フィルムによりますが、十分接着していない場合は、そのフィルムごとのインキ層として剥がれます。そういうことはあり得ることはありますが、通常の場合はありません。

○小野座長 ほかにはいかがですか。

○名古屋委員 教えてもらっていいですか。例えば、レーザープリンターなどは、トナーを使いますよね。トナーというのは、この印刷インキの中には入ってこないのですか。別のものですか。

○印刷インキ工業連合会 トナーは違う分野にあります。

○名古屋委員 違うのですか。ありがとうございました。

○藤間委員 酸化チタン以外のもので性能を出すことは不可能という記載がありますが、今まで酸化チタンの代替として何か御検討なさったとか、その結果、こういうところが駄目だったとか、今までそういうトライアルはなされているものなのでしょうか。

○印刷インキ工業連合会 昔の白の顔料は、大昔、確か危険な鉛系のものは使っていた時期がありますが、今のところそれ以外のものとして代替えできるものはありません。

○藤間委員 例えば炭カルとか。

○印刷インキ工業連合会 炭カルでは白くなりません。透明なものになります。数ミクロンの厚みで印刷しますので、とてもではないですが、炭カルは入れても透明です。

○藤間委員 ありがとうございます。

○圓藤委員 グラビアインキの分散工程でビーズの剪断応力によって凝集している顔料を分ける、細かくするとありますが、コーティングはこれでは壊れないと見ていますか。

○印刷インキ工業連合会 壊れないです。グラビアインキを練る場合は、ガラスビーズを使っています。ですから、それほど固いビーズではありませんので、コーティングは取れない。逆に鉄とかそういうものを使ってしまうと色が付いてしまいますので、そういうものは使いません。

○櫻井委員 インキ用のを使用する場合に、表面処理は何かこういうものを使うというような、要するに先ほど伺いますと表面処理はいろいろありますよね、その中のこういう表面処理のものをよく使うとかいうことがあったら教えてください。

○印刷インキ工業連合会 アンケートの中では、シリカ、アルミナ等、多く返事が来ておりました。そのほかにもあったかとは思いますが、そちらの資料を参考にしていただければと。

○櫻井委員 つまり、どれが適切かというお考えで選んでいらっしゃるわけですか。

○印刷インキ工業連合会 それは印刷インキの流動性とか、粘度に関わることなので、余り適切でないものはチタンが沈んでしまいます。チタンは比重が大きいものですので、30100mPasの粘度ですので、その中ではすぐ沈降してしまいます。

○櫻井委員 そうなので、適切なものを選んで。

○印刷インキ工業連合会 適切なものを選んでと。

○櫻井委員 適切なものをお使いなわけですが、その際、表面処理の違いで何か違ってくるということですか。

○印刷インキ工業連合会 表面処理の違いというのは、私どもはメーカー様からそれほど詳しく教えられておりませんので、そういう意味でそこまではよく分かっていないところがあります。

○櫻井委員 表面処理の種類によって、万が一、生体への影響に違いがあるか、ないかも私どもは考えてしまいますので、若干そのあたり、実際どういうものが多く使われているのかとか、どうせなら影響の少ないものを選択してもらいたいとか、そういう気持ちがあるものですから。分かりました。では、今は結構です。

○小野座長 その点については、毒性については、酸化チタン工業会で、溶解の仕方とか、毒性につながる評価をなさっていますので、そのデータは後日出てくると思います。あと、どういうものを選択しているかについては、先ほどアンケートである程度はお答えいただいているということでしたので、そのアンケートの結果を検討するときに、そのデータで足りるのか、足りなければ追加でお願いするのかということで、今回は多分まとまったデータはお持ちではないと思いますので、その際ということで、今回は御意見を頂いたというところで、その件については一旦御了承いただければと思います。

○櫻井委員 分かりました

○大前委員 今、スライドを見ているので気が付いたのですが、2で「分散顔料粒子の表面が樹脂により置換される」とありますが、この場合、分散顔料粒子のコーティングされた酸化チタンということだと思うのですが、それが樹脂によって置換されるということは、酸化チタンの表面にコーティングされた物質が外れて樹脂がくっ付くと、そういう意味ですか。

○印刷インキ工業連合会 そういう意味ではありません。私どものこういう書き方は悪いのですが、顔料とか酸化チタンの表面に空気の層があります。その空気の層を取り除いて、十分に樹脂が周りに着くというイメージです。

○大前委員 ということは、置換ではなくて、コーティングされるといういう意味ですね。

○印刷インキ工業連合会 置換ではなくて、コーティングという感じです。

○圓藤委員 食品の包装紙に用いられるということですが、食品というのは、普通、包装紙の外側でしたら、それほど問題なく使われると思うのですが、最近の使われ方として、電子レンジに使ったり、あるいは油のあるものに入れたりするということで、溶けたりはしないのかという懸念があるのですが、それはインクが溶けるということはありませんか。油で溶けるとか、電子レンジで加熱したときでの変化とか、そういう問題には御検討はされているのですか。

○印刷インキ工業連合会 グラビア印刷の場合は、フィルム関係ですので、基本的に食品と接触する分には使うことは、私どもは御説明していないというか、使ってはいけないという形でお願いしておりますので、外側に使う分には、先ほど言いましたように、基本的に印刷面が大体裏面、内面になりますので、それは食品の場合は、普通、溶けたりしないことになります。

 それと、電子レンジでよく外側のパッケージごとにやる場合ですが、印刷するインキを普通の平版インキの、先ほどベジタブルインキとか言っていましたが、それは食物油を使っているインキなのです。それですと臭いとかが出てしまいますので、違う種類のUV硬化型のインキを使うことが多いです。そうしますと、UVで硬化しているインキは、耐熱性が強うございますので、溶けることはありません。ですから、用途によってインキの種類も大きく違って使われます。

○小野座長 ありがとうございます。今の件については、作業者の労働ばく露というよりは、消費者ばく露に若干近くなるかと思いますので、もしそういう使い方をしている、工業的にお使いになっている方が多いというときには、課題になるかと思いますが、情報をありがとうございました。

○保利委員 今の顔料、最初は凝集したものを入れて分解するということですが、顔料の粒径度はどのぐらいですか。

○印刷インキ工業連合会 私どもは、分散する前にどのぐらいの粒径かをグラインドメーターで引きますと、大体5020μm、それをこのような分散のものを通して5μm以下の数字になる形で分散状態を確認しています。

○保利委員 分散したものの粒径は、大体どのぐらいになるのですか。分散した後の分は。

○印刷インキ工業連合会 余りにもの分散させ過ぎますと、今度、透明に、隠蔽力が落ちてきますので。

○保利委員 5μmぐらい程度で。

○印刷インキ工業連合会 そのちょうどいいところで止めてしまいます。

○保利委員 投入のときには、特に発散のことはないのですか、配合のところでは。

○印刷インキ工業連合会 その質問する意味ですが、酸化チタンを投入するときに。

○保利委員 発散することはないかということですが。

○印刷インキ工業連合会 ばく露ですか。

○保利委員 はい。

○印刷インキ工業連合会 それが一番心配するところで。

○保利委員 その問題ですね。分かりました。

○印刷インキ工業連合会 ですから、私どもは総紛じん量でしかデータはありませんので、今回、そのデータで御説明させていただいたということです。

○保利委員 分かりました。

○小野座長 投入のときは、作業者が袋とか、ドラム缶とかから、人が入れる形になりますか。

○印刷インキ工業連合会 小さいものは人が入れる形になります。また、大きい場合は、フレコンから投入口に入れる形です。

○小野座長 フレコンから投入口に入れると。人が粉に直接触れるのは、そこの部分だけですか。

○印刷インキ工業連合会 そこだけです。

○小野座長 あとは、その辺りの清掃とかに入るとか、そういうことぐらいですか。

○印刷インキ工業連合会 そうです。

○小野座長 分かりました。

○圓藤委員 先ほどの要望書の3)は、余り適切な表現ではないのではないかと思います。特化物、特化則に掲載されたから有害であるというのは誤解ですので、その誤解を解いていただく形のほうがいいのではないかと思います。また、食品用途として包装品及び食品に関して懸念があるとするならば、食品安全委員会とか、他の機関がありますので、また、包装紙とかのも取り扱っていますので、そちらに要望されるほうが適切ではないかと思いますが、いかがですか。

○印刷インキ工業連合会 なかなか難しい問題、御説明しても理解していただけない方が多くございまして、特に化学的知識を持たない人はなかなか理解していただけないことがありますので。

○圓藤委員 皆様方もやはり化学的知識を持っていただくように御努力していただかないことには、特化則に入ったから有害であるとか、特化則でなければ安全であるというのは誤解ですので、それを改めていただかないことには、この議論といいますか、この検討会も成り立たないのではないかと思います。

○印刷インキ工業連合会 十分承知しております。ですから、私どもはそれを分かっておりますが、なかなか御理解いただけないということでお願いしている次第です。

○小野座長 ほかにはよろしいですか。では、委員からの質問はないようですので、今日はどうもありがとうございました。これで印刷インキ工業連合会からのヒアリングを終了とします。ありがとうございました。

 今後の予定について、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 今後の予定について、説明をさせていただきます。73ページの資料3を御覧ください。本日、第1回の検討会において、第1回のヒアリングを行いました。第23回についても、引き続き関係事業者、団体等に対してのヒアリングを実施いたします。第2回は、平成29112()10:0012:00、本日と同じ場所での開催を予定しております。第3回については、平成291113()、労働委員会会館612会議室でのヒアリングです。

 今後のヒアリングですが、第2回は、日本工業塗装協同組合連合会、日本パウダーコーティング協同組合、一般社団法人日本塗料工業会を予定しております。第3回は、一般社団法人日本溶接協会、日本化粧品工業連合会、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会を予定しております。以上です。

○小野座長 ありがとうございました。ほかに何もありませんでしたら、以上で第1回健康障害防止措置検討会を閉会します。ありがとうございました。

 


(了)

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