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2017年11月17日 第5回 厚生科学審議会 臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成29年11月17日(金)
13:00~15:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議事

○森光研究開発振興課長 定刻となりましたので、ただいまから第5回厚生科学審議会臨床研究部会を開催いたします。本日は、部会の定数14名に対し、現在10名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められている定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、川西部会長代理、鹿野委員、清水委員におかれましては、欠席されるとの御連絡を頂いております。また、羽鳥委員については10分ほど遅れるという御連絡を頂いております。
 続いて、本日の会議資料の確認をいたします。まず、議事次第、座席表、委員名簿、資料1「臨床研究実施基準等について」、資料2「臨床研究審査委員会について」の資料です。資料の過不足等がありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以後の進行については、楠岡部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 議事に入ります。議事1、臨床研究実施基準等についてです。事務局より、資料1の説明をお願いいたします。
○吉高研究開発課長補佐 本資料は、これまでの部会の中で御議論いただいた臨床研究実施基準の全体案をお示ししたものです。今後予定しているパブリックコメントや省令の内容を見据えていますので、少し細かい内容になっていますが、省内の法令審査中ですので、変更があり得ることについて、あらかじめ御承知おきいただければと思います。また、資料の18ページ、19ページに用語の定義をまとめていますので、適宜御参照ください。
 まず、1ページは臨床研究法の条項と規定事項について掲載しています。本資料は、第3条第2項各号の実施基準の規定事項を具体化したものです。
 2ページは臨床研究の実施体制ということで、まず倫理指針を参考に、臨床研究の基本理念として1対象者の生命・健康及び人権の尊重、2社会的及び学術的意義を有する研究の実施、3科学的合理性の確保、4不利益と利益の比較考量、5認定臨床研究審査委員会における独立・公正な意見業務、6対象者への事前の十分な説明と自由意思に基づく同意、7社会的に特別な配慮を必要とする者への必要かつ適切な処置、8個人情報の適正な管理、9臨床研究の質及び透明性の確保、以上について定めております。
 3ページは、研究責任医師、それから研究分担医師の責務ということで、1つ目の■ですが、十分な科学的知見と医療に関する経験・知識を有しており、十分な教育・訓練を受けていなければならないこと。2つ目の■ですが、研究の安全性・妥当性について、関連する情報又は十分な実験の結果に基づき、倫理的及び科学的観点から十分に検討すること。3つ目の■ですが、この省令と研究計画書に基づき研究を行うこと。4つ目の■ですが、研究が適正に実施されていることを随時確認し、必要に応じて適正な実施を確保するために必要な措置を講じること。それから最後の■ですが、業務委託をする場合には必要かつ適切な監督を行うこと。以上について定めています。
 4ページは、まず実施医療機関の管理者等の責務として、1つ目の■のとおり、臨床研究が適正に実施されていることを随時確認し、適正な実施を確保するために必要な措置を取らなければならず、そのためにということで、2つ目の■のとおり、必要な協力を求めることができること。それから3つ目の■、実施医療機関の管理者からの求めを受けた研究責任医師の責務になりますが、管理者が求める資料の提出その他の必要な協力を行うことについて規定しております。また、多施設共同研究については、1つ目の■ですが、研究責任医師の中から研究代表医師を選任すること。2つ目の■ですが、研究責任医師間で必要な情報を共有しなければならないことについて規定しています。それから、疾病等の発生時に備え、手順書の作成を求めています。
 5ページです。これまでの御説明でも触れましたが、研究計画書の作成について規定したものです。それぞれの項目については第2回の部会等でお示しさせていただいたとおり、J-GCPにおいて記載が求められている事項と概ね整合性を取っていますが、資料の真ん中あたりにある、原資料の直接閲覧に関する事項、下線部になりますが、第3回の部会の中でも、企業との契約内容の回答拒否事例があったという御指摘も踏まえ、そのような契約の内容の閲覧についても含むことを明示させていただきました。それから、下から2つ目のポツの、対象者の説明及び同意に関する事項についても、この研究計画書を構成するものと捉えておりますが、こちららについては6ページで補足させていただきます。
 6ページです。これまでに申し上げた研究計画書と、法第5条において厚生労働大臣への提出が義務付けられている実施計画、それからこの実施基準の関係について、図でお示ししたものです。まず、左下の「研究責任医師」の部分になりますが、※書にあるとおり、研究計画書の中からエッセンスや管理に必要な情報を絞り込んだものを実施計画と位置付けています。これは厚生労働大臣への届出が必要となる実施計画の記載事項が多すぎることで変更時の手続が増え、研究が硬直化してしまうことを防ぎつつ、実施計画と研究計画書が内容面で整合性の取れたものとし、それぞれを遵守して研究を行っていただくことを趣旨としております。その上で1のとおり、研究責任医師が実施計画と研究計画書を委員会に諮っていただき、2のとおり、委員会が実施基準への適合性を審査し、3で出てきた委員会の意見を反映した上で、4のとおり、実施計画を厚生労働大臣へ提出いただくといった流れで進めていただくことを考えております。
 先ほどのページで触れた研究計画書の記載事項である、対象者の説明及び同意に関する事項については、ここでいう厚生労働大臣に提出する実施計画への記載事項として提出いただくことを想定しており、委員会においても研究計画書の内容と整合性の取れたものかどうかを比較していただく必要があることから、追加させていただいた次第です。
 7ページは、省令や研究計画書への不適合が発覚した場合における手続に関するものです。1つ目の■のとおり、実施医療機関の管理者に報告すること。また、2つ目の■のとおり、研究分担医師が知ったときは研究責任医師に報告すること。3つ目の■のとおり、特に重大なものについては委員会の意見を聴くこと。最後の■にありますとおり、多施設共同研究の場合は、研究代表医師が他の研究責任医師と共有し、他の研究責任医師は実施医療機関の管理者に報告すること。以上について定めております。
 8ページは実施医療機関の構造設備に関するもので、救急医療に必要な施設又は設備を有していることを確認すること。また、「ただし」ということで、他の医療機関との連携は確保されている場合にはこの限りでないことを規定しております。
 9ページはモニタリングに関するもので、1つ目の■ですが、手順書を作成し、これと研究計画書に基づき実施すること。2つ目の■ですが、研究に従事する者に直接担当する業務のモニタリングを行わせてはならないこと。なお、こちらの趣旨について※書に補足しておりますが、ダブルチェックしていただくのが趣旨ですので、例えば研究分担医師が作成した症例報告書について、その本人がモニタリングを行うことを制限するものであり、同一医療機関の別の研究分担医師が作成した症例報告書をモニタリングすることを制限するものではありません。それから3つ目の■ですが、モニタリングの従事者はその結果を研究責任医師に報告すること。最後の■のとおり、多施設共同研究の場合は、モニタリングの結果を研究代表医師に通知し、研究代表医師は必要に応じて他の研究責任医師と共有すること。以上について定めております。
 10ページです。まずは監査に関するもので、モニタリングとほぼ同様になります。1つ目の■ですが、監査は必要に応じて行うこと。それから2つ目の■ですが、研究に携わる者やモニタリングに従事する者に行わせてはならないこと、としています。それから、下の枠になりますが、研究責任医師のモニタリングや監査に従事する者に対する指導・管理の責務も定めています。
 11ページは、研究対象者についての補償ということで、臨床研究の実施に当たり、あらかじめ保険への加入、医療を提供する体制の確保その他の必要な措置を講じておくことを規定しております。なお、第2回の部会でも触れましたが、現状で補償金の保険加入が難しい抗がん剤などの臨床研究においても、今後は何らかの保険に入っていただきたいと考えております。ただ、その一方で多額の加入資金を要することで事実上研究が不可能になってしまうことは避けなければならないので、現在、保険会社とは未知の副作用、具体的には同意説明文書の中に記載されたもの以外の副作用を想定しておりますが、これに対する医療費、医療手当の保険商品を1つの選択肢として設定してはどうかということで調整を行っているところです。このような保険商品の新設が前提となりますが、今後通知等の中で、原則として何らかの補償保険への加入をお願いさせていただくことを考えております。
 12ページは、臨床研究の実施に当たっての利益相反管理に関してです。まず、こちらの資料がフロー図になりますが、第2回の部会でお示しした資料から文言のみに修正を加えたもので、基本的な流れに変更はありません。こちらの図の流れを文言にしたのが13ページにありますので、13ページで御説明いたしますが、12ページの図と合わせて御確認ください。
 まず、1つ目の■ですが、研究責任医師は、特定臨床研究そのものと、それに従事する者、こちらは研究責任医師・研究分担医師・統計解析責任者に限定しております。それから、研究には直接携わらないものの、研究計画書に記載されている者であって研究の実施により利益を得ることが明白な者。※書の2のとおり、研究に用いる医薬品等の特許権を有する者などを想定しておりますが、これらに対する医薬品等製造販売業者等による研究資金等、寄附金、講師謝金、執筆料の提供その他の関与について、適切な取扱いの基準を定めた利益相反管理基準を作成しなければならないこととしております。なお、※書の1のとおり、この基準については、1つの研究において1つであることを想定しています。
 それから2つ目の■ですが、実施医療機関の管理者等は、この利益相反管理基準と先ほどの関与の事実関係を確認した上で、その結果や、必要に応じて助言・勧告等について記載した報告書を研究責任者に提出しなければならないこととしております。そして、3つ目の■ですが、研究責任医師は、この実施医療機関の管理者等からの報告書と利益相反管理基準を踏まえ、関与の適切な取扱いの方法を定めた利益相反管理計画を作成し、4つ目の■ですが、利益相反管理基準と利益相反管理計画について委員会の意見を聴く。以上の流れを定めております。
 なお、具体的な流れや利益相反管理基準等について、国として凡例をお示しできるよう、現在、作業班で検討していただいておりますので、次回の部会でお示しさせていただければと考えております。
 14ページ以降は、その他臨床研究の実施に必要な事項に関してです。まず、委員会から意見があった場合の手続などに関してです。1つ目の■のとおり、実施医療機関の管理者に報告すること。2つ目の■のとおり、多施設共同研究の場合は、研究代表医師が実施医療機関の管理者と他の研究責任医師に情報提供し、3つ目の■のとおり、他の研究責任医師は実施医療機関の管理者に報告すること。それから最後の■のとおり、研究責任医師は委員会の意見を尊重して必要な措置を取らなければならないこと。このようなことについて定めております。
 15ページは、第2回の部会においてもお示しした公的データベースを活用した臨床研究に関する情報の公表等に関するものです。1つ目の■ですが、臨床研究を実施する場合には、あらかじめ、WHOのPrimary Registryへの登録項目などを厚生労働省のデータベースに記録することで公表しなければならないこと。「ただし」ということで、2つ目の■ですが、実施計画を厚生労働省に提出した場合は、それをもって登録ができることを想定しているので、公表の義務を免除すること。それから3つ目の■のとおり、多施設共同研究で公表した場合は、研究代表医師は他の研究責任医師と共有し、他の研究責任医師は実施医療機関の管理者に報告することについて定めております。
 16ページは、臨床研究の報告書に関してです。1つ目の■のとおり、臨床研究を終了・中止したときは結果等を取りまとめた総括報告書を作成すること。2つ目の■のとおり、その総括報告書と概要について、委員会の意見を聴いた上で実施医療機関の管理者に報告し、概要については先ほども触れた厚生労働省のデータベースで公表すること。ただし、3つ目の■になりますが、こちらも厚生労働大臣に総括報告書の概要を提出したときは、公表の義務を免除すること。それから最後の■のとおり、多施設共同研究の場合は研究代表医師が他の研究責任医師と共有し、他の研究責任医師は実施医療機関の管理者にも報告すること。以上について定めております。なお、1つ目の■の※書にあるとおり、長期にわたる研究もありますので、主要評価項目、つまりプライマリーエンドポイントの結果が先に得られた場合には、その結果についても同様に報告いただくことを考えております。
 17ページです。まず、苦情・問合せの対応に関して、窓口の設置、対応の手順の策定その他の必要な体制を整備しなければならないこととしております。また、個人情報に関する事項についても、個人情報保護法に準拠した形で必要な規定を設けていきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。
○楠岡部会長 ただいまの御説明について、御意見や御質問等はございますか。
○山口委員 確認と意見です。まず、9ページの2つ目の■にモニタリングのことがあって、「臨床研究の業務に従事する者に、当該者が直接担当する業務のモニタリングを行わせてはならない」とあって、その下に※書きがあるわけです。ブルーの2行目の「同一医療機関の別の研究分担医師が作成した症例報告書をモニタリングすることを制限することを意図しない」と書いてあります。このように読むのだということが、ブルーの3行がないと分からないと思うのですが、このことは省令や通知の中に盛り込まれるのでしょうか。具体的に判断できるのかということが、まず質問の1つ目です。
 2つ目として先に質問を申し上げますと、13ページの利益相反の所です。1つ目の■の上から3行目で、「当該特定臨床研究を実施することによって利益を得ることが明白な者」ということで、この説明書きとして、「当該臨床研究に用いる医薬品等の特許権を有する者等を想定」とあるのですが、このただし書きだけで判断可能なのかどうかが気になりましたので、そこを確認したいと思います。
 意見としては、11ページの「研究対象者に対する補償」の所で、ここには具体的なことが書いていませんが、今の御説明の中で、抗がん剤についての保険というのは、副作用が出ることが多いということもあって従来から難しいが、それでも何らかの保険ということを今回考えるという話があった中で、「未知の副作用」ということと、「説明文書に記載されていないもの」というような表現で御説明があったと思います。私のイメージですと、未知の副作用というときと、あらかじめ提示されているもの以外というのとでは、大きくイメージが異なる気がします。つまり、未知のものというと、本当に全く想像できないようなもので、このようなことが起こり得るのだなと将来的に出てくるようなものというイメージがありますので、余り「未知の」と言ってしまうよりは、できれば「説明文書に書いてある以外のもの」としたほうが明確になるのではないかと思いました。これは意見です。
○井本治験推進室長 事務局から順次御説明させていただきます。9ページの※からですが、基本的には省令で書けるところはどこまでかというのは、前例などもあるので制限があります。通知あるいはQ&Aなど、とにかく現場で分かるように示していくことを考えていますので、そういう点については省令、通知、その他Q&A、どのようになるか分かりませんが、お示しさせていただこうと思っております。
 13ページのことについては、こちらも省令等で前例を探していて制限があるので、あるいは通知、Q&A等で、どういったものなのかというのが分かるように補足説明を追加していきたいと思っております。
 最後に11ページですが、実は保険商品については金融庁が所管ですので、基本的に私たちが認可する立場にはないのですが、臨床研究指針のときにもそういった商品のお願いをして作っていただいた経緯もあるので、こちらの御議論等も踏まえて、商品の設計、チューニングを行っていただいているところです。御指摘いただいた未知・未提示の話については、最終的には提示させていただいた内容をベースに金融庁の認可商品を作っていくものと思います。御指摘を参考にさせていただきたいと思いますが、基本的には事務局の見解も同じであると思います。保険会社も判定基準としては明確なほうがいいということを言われています。基本的に既存の医薬品であれば添付文書に記載されたものということで理解が得られていると思っています。患者さんが御覧になったときには、それをベースに提示された説明同意文書に書かれると思いますので、プロトコールや説明同意文書に書かれることを想定してお話をしております。最終的な文言についても誤解のないように調整していきたいと思います。
○楠岡部会長 ほかにいかがですか、藤原委員どうぞ。
○藤原委員 3つあります。1つ目はお願いで、2ページ目です。臨床研究の基本理念は、きちんとエマニュエルの7原則とか8原則を反映していただいたのですが、1の臨床研究の対象者の生命・健康及び人権を尊重して臨床研究を実施することは、2以下の全ての基本になってくることなので、1とするのではなく、例えば最初の「臨床研究は、次に掲げる事項を基本理念として」という所に、「臨床研究は1に書いてあることを基本理念として、以下のようなことを実施しなければいけない」と書いたほうが自然かなと思います。これはGCP省令もそのような書きぶりになっていると思いますので、1だけは特出しにしていただきたいというのが1つお願いです。
 もう1つは、7ページ目、「不適合の管理」の所です。これは後の認定臨床研究審査委員会との兼ね合いもあるかもしれません。私どもの施設で医学系指針がスタートしてもう1年以上たつのですが、最近とんでもない申請があって、相変わらずプロトコールもIC文書も医学系指針に全然沿っていない内容の申請が他機関からあったのです。そういう場合は、誰にこういうのをやめたほうがいいですよと言えば、実効が上がる可能性が高くなるのか。今、これを読んでいると、研究責任者は自分のIC文書について不適合な状態が発生したら、実施医療機関の管理者には報告する義務はあるのですが、臨床研究法になると厚労省がいろいろな管理をすることになるので、認定臨床研究審査委員会や研究責任者、実施医療機関の長というのは厚生局に、こういうのがあるので注意してもらえませんかとか、そういう流れが見えないのです。我々審査委員会のメンバーが、わざわざ厚生局に、あそこの施設はおかしいですよとたれ込むのも変な気もするのです。全体像として見えないので、そういう不適合の場合、最終的に厚労大臣が指導するようなコメントを出すときの流れが、今日でなくてもいいので、見せていただければと思いました。
 最後は、15ページの2行目です。臨床研究を実施するに当たり、WHOが公表を求めている事項というようにWHOを非常に大事にしているのですが、これはWHOのプライマリ・レジストリを意識した記載だと思います。WHOのレジストリの基準も少しずつ変わるかもしれないですし、学術団体ではWHOと並んでICMJEとかもありますし、余りこの省令の中にWHOと特出ししてしまうと大変かなと思いまして、もう少しぼやっと書くとか、通知の中で書いたほうがいいのかなとは感じました。以上の3点です。
○井本治験推進室長 まず、柱書きの所ですが、ここは持ち帰らせていただきたいと思います。冒頭お話させていただいたように、法令審査等の都合がありますので、できるだけ御趣旨に沿うように考えていきたいと思います。
 2つ目、7ページの不適合関係の話ですが、基本的には臨床研究実施基準の適合性を認定臨床研究審査委員会で見ることになっております。これは第23条の4号業務となりますが、そこで意見を述べた場合には、その意見を付された人は意見を尊重しなければいけませんし、意見については厚生局に報告することになっております。そういう観点で我々も把握することができますので、一応、法律の中ではルーチンが回るような形になっております。もし見にくいようでしたら、次回、そういった関係がわかるようなポンチ絵というか、どういうフローになるか、少し整理したもので一度御説明するような形を考えたいと思います。
 基本的には、認定臨床研究審査委員会は自分がOKを出した研究については、ずっと面倒を見てもらう設計になっております。そちらについては、当然ながら窓口もできますので、自発的にその窓口の門戸を叩いていただいて、「少しおかしいのですが」というお話を認定臨床研究審査委員会にインプットすることもできるということで、かなり透明性が確保された認定臨床研究審査委員会となると考えています。また、意見を付したものはちゃんとフィードバックする機能が法的に担保されていると理解しておりますので、その点は分かりやすいような図で、次回はお示しすることを考えたいと思います。
 WHOについての省令の案文については、書きぶりも含めて検討中ですので、意見を承ったということで御回答にさせてください。
○楠岡部会長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 1つは、13ページの利益相反管理計画のことです。これは、この制度として、臨床研究に関わる全ての人の事情で全部利益相反をチェックするとはなっておらず、管理計画である程度責任医師と限定したところで利益相反委員会があり、そして利益相反管理計画で研究全体の利益相反を見ていこうということだと思います。現場の被験者からすると、まず最初に問題になるのはリクルーティングの所だと思います。「あなたは、この臨床研究に参加しないか」と誘うときに、バイアスがないかと。
 救済等々の関係もあるのですが、よく現場の医療であるのは、「この薬はちょっと、このせいだ」と言っても、そこで、「いや、関係ないよ」と言って、結局、余りそこで相手にされないみたいな、そういうバイアスはあるのか、それが医学的なのかよく分かりませんが、そういうトラブルはままある話です。そういう点から言って、現場一人一人というか、臨床研究に関わる一人一人の利益相反というのは重要になると思います。そうすると、管理計画の妥当性というのは、判断としてどの辺で見るか結構難しい問題だと思います。それは何か基準というか、今回新しく法律を作るのに当たって、指針というか、ガイドを示すおつもりがあるのかどうかお聞きしたいのが1点です。
 もう1つは、先ほどの救済の話ですが、いろいろな立て付け、保険とか、いわゆる既存の医薬品であれば副作用被害救済基金とかいろいろあるわけです。分かりにくいのは、救済基金の運用でも、これは絶対副作用だと言っているのに却下されたとか、トラブルは絶えないわけです。要はこの臨床研究をするに当たって、どういうものがサポートされているのかという説明を、具体的に言えば医療費ではないですか。いや、もう何かあったら、その医療機関で責任を持って見てあげますよと言って、見てもらったら請求が回ってきて、いや、これは原疾患の治療ですから関係ありませんと。あくまで臨床研究に関わるものだけですよとか。えっ、そんなみたいな、そういうトラブルはありそうではないですか。そこは起こらないように、やはり補償の範囲はもう少し平易に分かりやすく、医療費でもこういう感じで見ますよとか、これは見ませんよというのを、今、交渉している保険の契約内容とも関わりますが、その内容があったら、こういうことですよと、被験者に説明をちゃんとしていただけたらと思います。2点です。
○森光研究開発振興課長 まず利益相反の管理の関係ですが、今、利益相反の管理の在り方というか、基準というものは非常にまちまちな状態である、それぞれの施設にお任せされているという状態であると思っております。ですから、今回、臨床研究法施行に当たって、できれば次回には、研究班に今いろいろな作成をお願いしておりますので、大体、こういうところが基準ではないかという推奨のようなものをお示しさせていただきたいと思います。ただ、この利益相反の管理の基準の視点としては、やはり、臨床研究法の趣旨であるデータの信頼性確保などを趣旨としております。
 お話の点のリクルートで、今回、恐らく直接患者さんと接するCRCや、そういう利益相反の部分に関しては、対象が非常に広いというところと、実際はデータのリクルートに関わるかもしれませんが、最終的には改竄とか、そういうところについてはいろいろな意味でチェックを入れていくというところもありますので、実際は、まず研究の管理、責任のある方、今回のディオバン等を考えますと、解析の担当者の方に今回は限定した形で利益相反の、いわゆる個別の利益を企業からもらっている可能性があることを更に確認して、それがデータを弱める可能性があるかどうかと。その場合はどういうふうにそれをカバーしていくのか、管理していくのかというところについての計画になるかと思います。
 2番目の救済の話ですが、確かにおっしゃるとおりに、非常に分かりにくい。被験者の方にとっても分かりにくいのは非常に問題があると思いますので、今回、保険を導入という話があったとしても、分かりやすい言葉でということと、こういう場合はこうであるという形を含めて、Q&Aや通知なりで分かりやすく説明をするようにということを、具体的に入れていきたいと思います。ありがとうございます。
○花井委員 前者については、コンセプトについては一定程度理解します。そうでしょう。例えば、利益相反というのは難しい問題で、どんな人間でも社会生活をしている限りは何らかの利害関係があって、問題はそれによって、何らかのバイアスがあって、研究自体歪められないかどうかというのを、いかにコントロールするかという立て付けだということだと思います。ただ、そうは言っても、患者のインターフェースの部分で、もちろんCRCや、そういう人たちはそもそもたとえ利益相反があっても、そこで患者の説明にバイアスをかけることがないという訓練された専門家集団であるから、そういう問題はないのだというところは前提としてあると思います。やはり、そこの部分の信頼性が、国民一般からすると、必ずしもまだ十分ではないところがあるのです。例えば利益相反管理計画の中で、そういうことが起こらないようにとか、コンセプトの部分はそこに記述するとか、そういうことを工夫していただけたらと思います。以上です。
○楠岡部会長 今の花井委員の御意見は、本当に大事なところで、臨床研究を実施するほうは少しでもたくさんの患者さんに参加していただきたいということがあるので、最初におっしゃったように、公平を努めてもメリットは少し強めに、デメリットは少なめに言ってしまうところもあります。また患者さんが参加される治験等を見ていても、この先生がおっしゃるからという、個人的な信頼関係に基づいて参加するとか、どうもこの先生はあんまりという場合は、はっきりお断りするとかあるので、人間関係がベースにあるので、利益相反とそういうところが渾然一体としているところで、そこの切り分けはなかなか難しいかもしれません。参加された方がメリットをしっかり受けられて、デメリットを受けないような形として、システムとして利益相反を今回出ているような所で管理していくということで、そこを分けるのはなかなか難しいような気がしますが。個人的な意見ですが。
○花井委員 ありがとうございます。そもそも研究をしている段階でバイアスが、研究をしたいという動機付けが、もう既にコンフリクトしているので、それを相反だと言ったら、研究というのは原理的に不可能になってしまいますので、その難しさはよく存じているのですが、いわば国民の信頼という部分で、何かそこがやはり明示的になる形があればいいかなと思います。
○羽鳥委員 今の13ページの3行目の「利益を得る」の※の2つ目、特許権を有する者だけが特出しされていますが、ディオバン事件を見ても、5つの大学で特許権に関与した所はないです。そうすると、全国の医学部のある大学は、教室に奨学金として入る名誉、研究成功の賞賛など別の形での利益を得るということがあったと思いますので、もう少し思い切って具体的な事例を書いた方がよいのではないでしょうか。
 もう1つは、患者さんの立場に立ってみると、リクルートされた患者さんは、主治医の先生に言いにくい面もあります。CRCの人も主治医の先生の側にいますので、第三者的に訴えることができるような仕組みもあったほうがいいのではないかと思います。消費者庁に訴えるとか、という方法もありますが、厚労省の中でもそういう窓口を作っていただけると、患者さんも安心して参加できるかと思います。どうしても、副作用が出た、あるいは不利益が出たと思っても、うまく伝えられない患者さんもおられるのではないかと思いますので、その辺は御配慮願いたいと思います。
○井本治験推進室長 ありがとうございます。今回は被験者の方々からの駆け込み寺というか、意見を述べられる窓口のチャンネルはかなり重厚に整備することを考えております。例えば、今御指摘の点で、まず実施機関からすると、17ページ、苦情・問合せの窓口の対応を正式に位置付けしたことが1つ挙げられるかと思います。
 認定臨床研究審査委員会自身も、御自身で認定した研究についてのフォローをずっとやっていただく過程において、苦情相談窓口を設けることを想定しております。これはどういうことかと言うと、海外、特にアメリカのIRBでも見られるようですが、実際に直接の先生に言いにくいことについては、少し離れた所で言うという傾向も見られているようです。それは逆に言うと、チェック機能である認定臨床研究審査委員会の窓口の中でインプットをされて、当然ながら、自分たちが審査した内容は、どういうふうに運用されているのかも含めて、年に1回の定期報告を行うときにもそれも含めて審査する、継続の可否に反映されることもあります。運用管理についても反映していくというスキームになっていますので、まずはその実施施設における改善施策を促す意味では、窓口の設置が設けられていること。それから、フィードバック機能としては、それを見ている第三者機関である認定臨床研究審査委員会からも、それがちゃんと行われていることを確認することができるような設計になっていること。また、先ほど藤原委員から御指摘もありましたが、認定臨床研究審査委員会や実施機関のルーチンが回るときに、意見を言ったときにどういうふうに厚労省にフィードバックがかかるのか。そういったルーチンも、大きな枠組として作ってあるので、そういった中のサイクルの中で適切にワークされるようなセーフティネットを構築していると理解しています。患者様が何か気になるというものは、拾い取れるようなシステムを、より今回は手厚く装置として制度設計に入れていると考えているつもりです。
○楠岡部会長 ほかにありますか。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 先ほど花井委員が非常に大事な点を御指摘されたと思います。被験者のリクルートが利益相反とどう関わりがあるかということを考えたときに、ある程度その判断をするときに、臨床研究のデザインについて疫学的な知識がやはりないと判断でないところはあるかと思います。
 例えば、リクルートメントにある程度バイアスがかかっていても、それが無作為化試験であれば、無作為化という処置によってそのバイアスは外れます。ただ、研究結果の一般的な妥当性が、一般の患者さんにその結果が返せるかどうかというところで問題はありますが、それはバイアスとは言えません。それはほとんどの無作為試験には実験的な試験ではかかってくるもので、科学的に評価しますが、しようがないものとして議論されるべきものであると。ある程度、疫学的な知識があれば、その辺は理解は可能です。
 例えば、無作為化が行われていないようなものであれば、作為的に良い結果が出るような患者さんを介入群に入れたりとか、それはやはりいけませんということになります。利益相反管理委員会の委員にそういう知識があるかないかというところで、現状を踏まえるとない。大半は専門家が不足しているという背景からない、そういう見解のない委員も多いと。ということを踏まえて、利益相反管理委員会で仮にOKと言われても、やはり、その内容を認定臨床研究審査委員会の方でもう一度確認するようなステップが必要かと思います。
 ですから、その辺は統計家などが評価書を提出しますので、利益相反の管理も疫学研究のデザインの観点からもう一度委員会のほうで確認するようになどということを通知か何かに入れていただければ、一定のルールを皆さんが守っていただけるようになるかと思いますが、いかがですか。
○森光研究開発振興課長 実はこの利益相反管理計画を作成する途中で、それぞれの施設で事実確認をしていただきますが、その際に当然その施設の利益相反管理委員会があれば、そちらで一旦審査をしていただくこともあると思います。その際、例えばこういうアドバイスを入れた上で、研究責任医師は利益相反管理計画を作成します。この利益相反管理計画を、先生がおっしゃるとおり、認定臨床研究審査委員会にかけて、この計画の中にはこれ以上の金額をもらっている人がいるため、その方についてはこういう業務には携わらせませんとか、こういう配慮をしますという文章が書かれております。それが適切かどうかについては、認定臨床研究審査委員会に見てもらうというスキームを私どもも考えておりまして、非常に大事な点だと思います。それについては併せて、そういう仕組みということについて理解をしていただきたいと思っております。
○楠岡部会長 藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 13ページのCOI関係に絡めて実務的な話ですが、今回、臨床研究法の第33条で、企業はいろいろな資金提供に関しての公表義務は義務付けられているのですが、アメリカのサンシャインアクトは、企業が公表したことと研究者側が公表した側の齟齬が結構あって、どちらが正しいかという話になってしまうことが多いと思います。
 それに当たって、今回の臨床研究法で企業が公表された内容と、利益相反管理委員会に各研究者が申告されている内容の整合性のチェックはされるのですか。一番楽なのは、企業から出してもらったものが全部正しいと言って、各研究者が細かい話を学会に報告をし、学術雑誌にも報告し、認定臨床研究審査委員会にも報告し、様々な書式でいろいろなタイミングで出されると、みんなすごく大変な思いを今でもしているのに、ますます混乱に拍車がかかると思います。これだけをどこかに登録すれば全てOKとか、医学会と整合性を取らせるとか、ICMJEのCOIのフォームで全世界の学術雑誌はやっているわけですから、それでいいですとか、何かできないのですかね。
○井本治験推進室長 残念ながらできないです。申し訳ありません。端的に言って、いろいろな技術的な障害があります。将来的にはそれができればいいとは思いますが、先行事例であるアメリカもサンシャインアクトの運用に相当苦労していて、特に先生はよく御存じだと思いますが、膨大な人と予算をかけて、その成果が非常にチープだとアメリカは苦しんでいる状況です。精緻にやればやるほど、そのワークロードの割には成果が少ない。
 かつ、企業活動には会計年度がありますので、会計年度が少なくとも4月、12月といろいろなパターンがある中で、企業は財務に関する法律に基づいて決算報告書をちゃんと監査を受けて出していて、経理報告書を作って公表するので、まず端的に言って一番大きな歪みとしては、会計年度の違いと、年度の違いみたいなものもあります。費目等のまたぎみたいなものを全部マッチングすることは恐らく不可能に近い状況なので、現時点では残念ながら申し訳ないですが、これは不可能に近い状況かと思います。
 ただ、おっしゃるように、全世界でそういった無駄なことに多くの時間と労力を割いているので、将来的にはそういったフォームにシュリンクしていく方向を考えていかなければいけないという問題意識は持っているのですが、日本においてはまず利益相反管理と公開を初めて法的にやるところについたばかりなので、最初からハードルを思い切り上げてしまうと、ほとんど運用が不可能になることを御理解いただいて、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。
○渡部委員 6ページの研究計画書についてお伺いします。今回は、「いわゆるプロトコール」と書いてありますが、今、プロトコールと言っているものと、説明文書、同意文書を一体化させたものを研究計画書というお考えという御説明だったかと思います。これはなぜ一体としなければいけないのかということと、もし、一体化した場合、それぞれの施設で作られたものを、それぞれ審議しないといけないのか。それとも、共通版を審議すればいいのかというのが分かりにくかったので教えていただければと思います。
○井本治験推進室長 一体化した趣旨というのはいろいろあります。今回の法施行で一番大事なのは、患者目線ということを最初の会議でも申し上げましたが、患者同意説明文書というものは非常に大事だということを、今回の法施行に向けて一番中核に据えて整備を行っているところです。実際にこの認定臨床研究審査委員会が実施基準に基づいてその妥当性を評価するときに、プロトコールの中にも同意説明文書がないといけませんし、また相方である実施計画にもないといけないという意味で、両方に相対するものの概念を埋め込むというフレームとしてあります。
 次に、フィージビリティとして現場感覚からすると、研究計画書と同意説明文書が一体化されているところが、必ずしも文書を一分冊にしてくれという意味ではなく、法律上、この範囲内をいわゆる研究計画書と呼ばせてくださいというカテゴリーとして、これをこの範囲でくくっていますということです。ですから、研究計画書の中にも入ってきますし、実施計画の中にも入ってくる。共通した部分のコアと考えていただきたいと思います。次に、医療機関ごとに違うものがあるではないかという御指摘の部分です。これは当然ながら、インフォームドコンセントするときの窓口であるとか、担当の連絡先であるとか、それは医療機関によって全員違うに決まっているので、その部分は当然違いがあることは想定しております。
 ところが、一番恐れているのは医療機関ごとの裁量という名の下に、全然違う同意説明文書で研究が実施された日には、何のための認定臨床研究審査委員会で、統一的に集中的に評価したのか分からなくなるので、我々が考えているのはコアな部分、同意説明文書でこの部分は外しては困りますと言う部分を確定する。これは変えては駄目ですというところの、ある意味でコアな部分を一括ピン止めしたいということです。ここの欄には医療機関の連絡先が入ります、この部分には担当者の連絡先が入ります、この部分には資料の情報が入りますというような枠を決めてもらって、そこは医療機関で実際のデータに基づいて該当する欄に同様にはめ込み印刷のように記載することを想定しています。はめ込むフレームを全部登録いただくというイメージで今作業をしているところです。
○渡部委員 大変よく分かりました。そうすると、今後そういう変えてもいい部分が、また明らかにお示ししていただけるという理解でよろしいですか。
○井本治験推進室長 基本的には、何でも変えてもいいわけではなくて、当然ながら、医療機関ごとに違うべきものですよね。人は当然違います。部署も違う、連絡先も違う、体制も違うので、そういった医療機関に帰着した部分は、変えて当然というか、当然違うはずなので、その情報を正確に入れてもらうことを前提にしていますが、完全に同じ文章にはならないとしても、少なくとも同じプロトコールで参加する患者さんについては、同じ内容の同意説明文書で同意説明がなされるべきなので、医療機関毎に当然に異なる部分を除き、共通文書としてピン止めしようということになります。
○渡部委員 大変よく分かりました。ありがとうございました。
○楠岡部会長 具体的にセントラルIRBで使っている様式では、例えば、ここに施設名が入るというところが明示されていて、実際に示される施設名はそのリストがあって、それがいわば差し込み印刷されるようなイメージです。そうでないと、施設名が入りますと言いながら、実際に施設名が提示されていないと、誤った表示の仕方や誤解を与えるような表示の仕方になっていると困りますので、そこは別紙の形でリストアップしておくなどの対応が必要です。
 施設追加等があれば、添付の表に追加するような形でやっていく。あとはバージョン管理をどうやっていくかというところで、業務量としてはそんなに増えずに済むと思います。よくあるのは、患者さんへ示す定型文みたいなものを各施設で持っていて、それでないと困るという場合は、今の範疇から外れてしまうので、そこのところは各施設で認定臨床研究審査委員会の指示どおりにやっていただかざるを得ないかと思います。ほかにありますか。
○新谷委員 5ページで、研究計画書について次に掲げる事項を記載しなければならないと書いてありますが、これは例えば統計的な解析に関する事項ですと、どの程度まで含むべきかという詳細は、通知か何かに出てくるのですか。出てくる場合は、ICH-GCPに書かれているような内容がほぼ全部出てくるのか、どの辺りまで出てくるのかお知らせいただけますか。
○井本治験推進室長 まず、5ページの説明をもう一度繰り返させていただきます。この項目は、先生方から御指摘を頂いた、できるだけカテゴリーの違いによって、現場の混乱を避けてくれと、できるだけ基準は1つにしてくれといったものに呼応したもので、J-GCPとしてICHで合意した治験でのフォーマット、プロトコールの表題、骨格のものをできるだけ盛り込んだものです。つまり、プロトコールを作るときに、項番を作るとき、表題を作るときにどこに何を書くのか、どの順番で書くのかというのは、ICH-GCPで基本的には統一されているものですのでそれと整合させるものです。それを外した形で我々が臨床研究法を始めますと、臨床研究法のときにはこういう立てにしなければいけない、治験のときにはこういう目次にしなければいけないということになり、非常に現場が混乱をするので、そういうことを避けるために、ICH-GCPを取り入れたJ-GCPの項番をできるだけ忠実に再現した形の順番、内容にさせていただいております。当然ながら、治験と臨床研究は違いますので、「臨床研究の」という用語が付いていますが、基本的には骨格を全てできるだけ維持しようという努力をなされているものと理解してください。説明する際に、アンダーラインを引いた原資料の所や、先ほど申し上げた同意説明文書を法的の中にバイディングする観点から、込み込みとして最後に付けています。そういう意味からすると、現場の混乱を最小限に抑えて、できるだけ標準を統一書式に持っていけるようなことを配慮しています。当然、各欄の運用も臨床研究法と薬事法は違う観点から、整合できないものは残るかもしれませんが、原則としては現場をできるだけ混乱させないためにできるだけ統一基準に持っていけるような形での折り込み方を考えています。また、粒度や規制の濃淡については、法律の特性上ICH-GCPと同じものをフルに付けることは難しいと思いますが、どの欄にどういったものを書いていくのか、どういう治験にはどういったものかというのは分かるようにガイドは考えていきたいと思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。よろしいですか。特に御質問がなければ、本日提示いただきました臨床研究実施基準等の事項に関しては、この内容で本部会としては了承ということにさせていただきます。よろしいですか。それでは、次の議題に移ります。議事2は、認定臨床研究審査委員会に関してです。資料2についての説明をお願いします。
○吉高研究開発振興課長補佐 それでは資料2に基づき、法第3章に規定がございます認定臨床研究審査委員会について御説明いたします。本資料の位置付けにつきましては、先ほど御説明しました資料1と同様ですので、割愛させていただきます。
 1ページ目に、資料1と同様、これから御説明する内容に関係する臨床研究法の各条項と規定事項について掲載しています。
 2ページ、認定臨床研究審査委員会の認定の手続に関してです。まず第1項関係、委員会を設置できる団体につきましては、法に定めのある病院・診療所の開設者のほか、1つ目の■の医療機関を有する学校法人等、2つ目の■の医療の提供又は臨床研究・治験を支援する独立行政法人、3つ目の■の医学医術に関する学術団体、一般社団法人等を対象としております。
 次に、認定の申請についてになりますが、法に定めのある委員会の名称、委員の氏名や体制に関する事項のほかに、委員会の所在地や連絡先などを記載した申請書を提出いただき、その下になりますが、申請書に添付する書類として、■のとおり、業務規程、設置者に関する証明書類、委員の略歴を想定しておりまして、申請者に応じて、追加的に委員会を設置することを定めた定款や財産的基礎を有する証明書などを頂くことを考えております。
 3ページについては、御参考までに、先ほど触れました申請書の現時点でのイメージになります。なお、赤枠の部分については、後ほどの御説明にも関係しますが、認定後に内容の変更が生じた場合には変更の認定の申請が必要な項目となります。
 4ページ、委員会の具体的な認定要件に関してです。まず、委員の構成につきましては、医学・医療の専門家、研究の対象者の保護及び医学・医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する者、そして一般の立場の者から構成されるものであり、5名以上であること、男性・女性がそれぞれ1名以上含まれていること、それから、同一の医療機関など、医療機関と密接な関係を有する機関に所属している者が半数未満であって、設置者の所属機関に属さない者が2名以上であることを要件としております。
 続いて実施体制につきましては、1つ目の■のとおり、継続的に行うことができる体制を有すること、2つ目の■のとおり、苦情・問合せの受付窓口を設置していること、3つ目の■のとおり、事務局の職員が4名以上であることとしております。なお、※書きで補足させていただいたとおり、事務局職員4名のうち2名につきましては、委員会等の事務局業務について1年以上の経験を有する専従者であることを想定しております。
 5ページ、こちらは、御参考までに事務局が考えている構成委員の具体的な要件をお示ししたものです。医学・医療の専門家につきましては、医療機関又は医学・医療に関する研究機関等で5年以上診療等を行った経験を有する者、また、研究対象者の保護及び医学・医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家につきましては、このような業務を行った経験を有し、法律に関する専門的知識に基づいて教育等を行っている者を想定しております。それから、生命倫理に関する識見を有する者につきましては、括弧書きの部分にあるとおり、研究対象者の保護及び医学・医療分野における人権の尊重に関して理解を要する業務に従事している者を想定しており、例えばということで、医療機関において10年以上CRCの経験を有する者を例示しております。その下の一般の立場の者につきましては、主に、医学・歯学・薬学等の自然科学に関する専門的知識に基づいて教育等を行っている者以外の者であって、研究対象者の立場から意見を述べることができる者を想定しております。なお、例えばということで、下の※書にありますとおり、委員会設置者の医療機関の現役職員や元職員につきましては、適任とは言えないのではないかと考えております。
 6ページ、引き続き認定要件に関するものです。こちらは、法において整備を求めている委員会の業務規程について、具体的に整備していただきたい事項を列記したものです。まず、1ですが、審査意見業務の実施方法に関する事項として、審査手数料や、業務を依頼する研究責任医師、それから業務の対象になる研究に関与する医薬品等製造販売業者等と密接な関係を有している委員の参加の制限に関する事項、疾病等の報告を受けた場合の手続に関する事項、また、後ほど御説明します内容にも関係する緊急・簡便に審査を行う場合の手続に関する事項、それから、2議事録等の審査意見業務に関する記録の作成、保存方法や秘密の保護に関する事項、3情報の公表に関する事項、4委員会廃止時の手続に関する事項、5苦情・問合せに対応するための手順等の体制整備に関する事項、6委員等の教育や研修に関する事項、以上の事項について整備していただくことを考えております。
 7ページ、これまでの御説明のほか、委員会の認定要件として求められている基準についてお示ししたものです。1つ目の■のとおり、業務の順及び内容について依頼者にかかわらず公正な運営を行うこと、2つ目の■のとおり、活動の自由及び独立が保障されていること、3つ目の■のとおり、業務規程、委員名簿等の認定に関する事項と審査意見業務の過程に関する記録を厚生労働省のデータベースで公表すること。なお、下の※書にありますとおり、認定申請書に記載された事項は厚生局を通じて公表することを想定しておりますので、義務を免除することとしております。それから4つ目の■になりますが、年12回以上定期的に開催する予定があること。こちらも下の※書の部分になりますが、更新の際は、上記予定に加え、年11回以上の開催実績を求めていきたいと考えております。 
8ページ、委員会の申請事項の変更に関するものです。枠の中にあるとおり、法において、厚生労働大臣による変更の認定を受ける必要のある委員の氏名の変更、審査意見業務を行う体制の変更に関する事項のうち、厚生労働省令に定める軽微な変更として届出でよいものとする事項を以下のとおりとしてはどうかということで、1つ目の■のとおり、委員の氏名の変更であって、委員自体の変更を伴わないもの、それから2つ目の■の委員の職業であったり3つ目の■にあります委員の減員に関するものであって、構成要件を満たさなくなるもの以外のものを定めております。
 9ページ、先ほどと同様、委員会の申請事項の変更に関するものです。こちらは枠の中にあるとおり、法において、厚生労働大臣への変更の届出が求められている設置者の氏名・名称・住所等の変更、委員会の名称の変更、その他厚生労働省令で定める事項の変更、それから、申請書に添付する書類の変更のうち、軽微な変更として届出不要としてよい事項を以下のとおりとしてはどうかということです。1つ目の■のとおり、地域の名称・地番の変更に伴う設置者の住所・委員会の所在地の変更や委員の略歴の追加に関する事項、それから2つ目の■のとおり、添付書類として提出いただいた定款等の変更であって、法令の改廃に伴い当然必要とされる規定の整理等の形式的変更に関する事項について定めております。
 10ページ、委員会の廃止に関してです。枠の中になりますが、法において委員会を廃止するときは、あらかじめ、実施計画を提出していた研究責任医師への通知と厚生労働大臣への届出が義務付けられているところです。これに加え、1つ目の■、廃止後も研究責任医師に通知すること、それから2つ目の■、研究責任医師に他の委員会を紹介するなど適切な措置を講じなければならないことといった手続を追加で設けております。
 11ページ、委員会の審査意見業務の進め方に関してです。まずは確認を含めて、法第23条第1項の各号に規定されている委員会の業務についてまとめております。第1号が、実施計画の新規申請・変更申請があった場合において、臨床研究実施基準に照らして審査を行い、実施の適否や留意事項について意見を述べる業務。第2号が、疾病等報告を受けた場合において、必要に応じ原因の究明や再発防止のために講ずべき措置について意見を述べる業務。第3号が、定期報告を受けた場合において、必要に応じ留意事項や改善事項について意見を述べる業務。それから、これら以外の業務ということで、第4号が、必要に応じ実施基準に適合させるための改善事項や、疾病等の発生の防止のために講ずべき措置について意見を述べる業務とされております。
 12ページ、先ほど御説明した委員会の審査意見業務の具体的な進め方につきまして、まずは技術専門員の関与についてです。この技術専門員の位置付けですが、枠の中にありますとおり、1の審査意見業務の対象となる疾患領域の専門家と、2の臨床薬理学の専門家、生物統計家その他の臨床研究の特色に応じた専門家としております。その上で、1つ目の■ですが、実施計画の新規審査・変更審査、つまり、先ほどの第1号業務を行うに当たっては、技術専門員からの評価書を確認しなければならないこととしており、※書きにありますとおり、1の疾患領域の専門家の評価書は必須、2の研究の特色に応じた専門家の評価書については、必要に応じて確認していただくこととしております。その一方で、それ以外の審査業務につきましては、2つ目の■のとおり、必要に応じ意見を聴くこととしております。なお、下の補足になりますが、1つ目の○のとおり、技術専門員は委員ではないので、委員会の認定申請の際に名簿の提出は不要であり、必ずしも委嘱を要するものではないと考えております。また、2つ目の○のとおり、委員会への出席までは要するものではありませんが、求めに応じて意見を述べることを妨げてはおりません。3つ目の○になりますが、委員が技術専門員を兼任して評価書を提出することも可能と考えております。
 13ページ、こちらは御参考までに、事務局が考えている技術専門員の具体的な要件を示しております。疾患領域の専門家につきましては、専門的知識や経験に基づき診療等を行っている者。また、臨床薬理学の専門家につきましては、1つ目の■ですが、大学において5年以上臨床薬理学の教育又は研究を行っている教員や、2つ目の■ですが、医師・歯科医師・薬剤師等として5年以上診療等を行っていること、大学院修士クラス相当の専門教育を受けていること、査読のある学術雑誌への論文発表が1編以上あることのいずれも満たす者や、3つ目の■ですが、日米欧の規制当局において2年以上の審査業務を行った者を想定しております。それから生物統計家につきましては、■の部分になりますが、1大学院修士クラス以上の専門教育を受けるか、統計検定2級相当以上の能力を有すること、2数件程度の臨床研究の実務経験を有することのいずれも満たす者、また、その他の研究の特色に応じた専門家につきましては、例えばということで、■の部分ですが、医療機器に関する臨床研究の場合は医療機器、臨床工学、材料工学の専門家、再生医療等製品の臨床研究の場合は再生医療等の専門家などを想定しております。
 14ページ、委員会の審査意見業務の結論を出す方法に関してです。■にあるとおり、出席委員の全員から意見を聴いていただいた上で、原則として、出席委員の全員一致をもって行うよう努めていただき、意見が一致しないときは、出席委員の過半数の同意を得た意見を結論とすることができることとしております。なお、補足にありますとおり、結論を得た際には結論とその理由を、また、出席委員の過半数の同意を結論とする場合には賛成・反対・棄権の数について、審査意見業務の過程に関する記録に残していただきたいと考えております。
 15ページ、委員会の業務規程に定める方法による審査意見業務です。これまでに御説明いたしました審査意見業務や結論を出す方法の例外として、迅速的あるいは緊急的に審査意見業務を行うための取扱いに関するものです。1つ目の■ですが、臨床研究の実施に重要な影響を与えないものである場合であって、委員会の意見に従って対応するものである場合は、業務規程に定める方法による審査意見業務を可能としております。それから2つ目の■ですが、2号業務である疾病等報告を受けた場合や、4号業務であるその他必要な場合であって、対象者保護の観点から緊急に中止等の措置を講ずる必要がある場合は、業務規程に定めるところにより、委員長と委員長が指名する委員で審査意見業務を行い、結論を得ることを可能としております。ただし、この場合においては、後日、通常の方法で審査意見業務と結論の取りまとめを行っていただきたいと考えております。
 16ページ、委員と技術専門員の利益相反に関するものです。審査意見業務に当たり参加してはならない者として、1研究責任医師や研究分担医師である者、2研究責任医師と同一の医療機関の診療科に属する者や、過去1年以内に多施設共同研究、こちらは医師主導治験と特定臨床研究に該当するものに限定しておりますが、それを治験責任医師、治験調整医師又は研究責任医師として行っていた者、それから3の研究責任医師が属する医療機関の管理者である者、4その他研究責任医師や審査意見業務の対象となる特定臨床研究に関与する医薬品等製造販売業者等と密接な関係を有している者であって、審査意見業務に参加することが適切でない者を規定しております。なお、2と3の者については、委員会の求めに応じて意見を述べることは妨げておりません。また、下の補足にありますとおり、案件ごとの利益相反の管理状況であったり、上記2と3の者が委員会の求めに応じて意見を述べた事実やその理由につきましては、審査意見業務の過程に関する記録に残していただきたいと考えております。
 17ページ、委員会設置者の責務に関してです。まず、審査意見業務に関する事項を記録するための帳簿を備え付け、最終の記載日から5年間保存すること。また、審査意見業務の過程に関する記録を作成し、これと業務対象となった実施計画を研究終了日から5年間保存することとしております。それから、運営に関する情報の公表ということで、審査意見業務の依頼主である研究責任医師の予見性を高めてもらう観点から、委員会の審査手数料や開催日程、受付状況を公表していただくことや、年に1回以上、委員等の教育・研修を行っていただくことについて規定をしております。事務局からの御説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に、何か御質問等ございますでしょうか。
○国忠委員 1つ確認させていただきたいのです。4ページ目の認定の要件の所で、同一の医療機関というのがありますが、この間、ある大学の先生とお話ししていて、同一の医療機関という意味は、例えば総合大学の場合に、医学部でない学部の先生は参加されてもいいということなのでしょうか。それと、「密接な関係を有する者を含む」と書かれてありますと、例えば薬学の先生は外すとか、何かそういう細かな規定というのはあるのでしょうか。教えていただければ有り難いと思います。
○井本治験推進室長 まず最初の同一の医療機関なのですが、大学については、地方の大学の議論があって、その場合には同じ学部でない、それは当然ながら地方大学には倫理の専門家はそこしかないとなったときに、病院とか医学部に全部集めてしまうとまずいですが、同じ大学だけど文学部ならいいということはありだという意味で、解釈の議論をしていたと思います。それからあと、密接な関係の代表例というのは、医学部と病院みたいな関係は典型例だと思います。ここでまた医療機関と書いてありますが、医療機関と医学部みたいなのは駄目ですよというのは典型例ではないかと思います。具体的に何か御心配な例とかあれば、また随時お聞きしたいと思います。
○楠岡部会長 そのほかございますか。
○藤原委員 今のに関連して、具体例として、私どもがんセンターは、築地のキャンパスの中に中央病院と研究所とあるのですが、中央病院と研究所は密接な関係を有するものと言われてしまうと委員の確保が大変なのですが、そういう具体的な事例が出てくるのです。
○森光研究開発振興課長 大変申し訳ないのですが、密接な関係があると考えます。
○楠岡部会長 ほかにございますか。
○井本治験推進室長 今のに補足します。現時点において、まだ省令とか通知を確定しない段階で確定的な話をするのは余りよくないので、私の質問がよくなかったのかもしれません。要するに概念として捉えていただきたいのは、密接な関係というのは、同一法人内において、医療機関と財政的な関係を有するようなイメージで捉えなければいけないのではないかという認識でおります。ですから、個別の判定については、今日、お答えするのは避けたいと思いますが、イメージとして捉えていただくときに、財政的な関係を有するかどうかというのが1つの着目点になるのではないかということを基軸に考えているところではございます。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。
○藤原委員 そこは置いておいて他の質問に移ります。全部で3つほどあります。1つ目は5ページ目です。生命倫理に関する識見を有する者で、例えばの事項として、「10年以上の臨床研究コーディネーターの経験を有する者」という記載があって、ここは非常に違和感があります。別に臨床研究コーディネーターの方は生命倫理を専門にしているのではなくて、臨床研究の推進とか実施に関して非常に識見を持っていらっしゃる方なので、これはCRCの方にも失礼だし、生命倫理を専門にしていらっしゃる方々にも、こういうのが入ると何かおかしな感じがするので、もう少し別の、生命倫理を人文科学、社会学として勉強している人とか、私は、ここは別の記載にしたほうが例示としては適切かと思います。
 それから7ページ目、認定の要件の3で、1つ目の■です。「審査意見業務を依頼する者にかかわらず公正な運営をすること」という基準が1つ入っているのです。以前、森光課長にも聞いたと思いますが、この認定臨床研究審査委員会を維持するためには、医療機関は膨大な資金と人材を確保しないといけないという懸念があって、財政審が来年の診療報酬改定、マイナス改定などを言っている中で、ますます病院は赤ぎりぎりで運営することになるので、そういう医療機関が新たにこういう認定臨床研究審査委員会を設けるとなると、破格の審査手数料を取らないといけなくなると思っています。その中で、外から受ける審査料と、中から申請して来られる方々の審査手数料に、当然私どもとしては、差は付けたいと思うのですが、そのときに、この公正な運営の規定を持ち出されて内外格差をなしにしてくれと言われると、恐らく実務的には回らないと思うので、その辺の御意見を聴きたいというところが2つ目。
 それから、このページの一番下の■の青字のほうです。「更新の場合、年11回以上の開催をしていることを確認」と書いてあるのですが、ここの数は結構クリティカルで、認定臨床研究審査委員会が動き始めると、多分、かなり臨床研究数はシュリンクすると思うのです。日本全体の特定臨床研究は全然なくなる、あるいは医師主導治験のほうに流れるということを私は予想しています。そうなると、11回開催ではなくて、10回ぐらいとか、年何回かは休会せざるを得ない、要するに審査がかからない委員会が結構出てくると思うのです。今の指針などの運用のいろいろな多施設の審査をしていると、2か月に1回以上とか、例えば先進医療などもそうですが、2か月に1回以上の審査がよく出てくるというのを見てみると、多くの医療機関が年6回ぐらいは開催しているのかと思います。それが認定臨床研究審査委員会になるともう少し格上になると思いますが、11回とされるとちょっと大変で、10回ぐらいにしておいたほうが無難か、あるいは余り明示しないほうがもしかしたらいいのかと思うところです。
 最後は16ページの2審査業務意見への関与の度合いのところです。下線が引いてある「過去1年以内に多施設共同研究を治験責任医師、治験調整医師又は研究責任医師として行っていた者」という記載が今回加わっているのです。同一診療科に属する者というのは密接と割と考えやすいのですが、この下線部の所を解釈するとなると、非常に幅広に思う人もいれば狭く考える人もいて、実際の省令の文書、あるいは通知の中では、その辺の書きぶりはとても難しくなるので、ちょっと工夫が要るかと思います。これは意見です。
○森光研究開発振興課長 それではよろしいでしょうか。まずCRCの生命倫理の関係なのです。「生命倫理に識見を有する者」という部分なのですが、これについては、私ども事務局としても相当中身の議論をいたしました。CRCさんの業務は、確かに促進という意味で導入されてきたところもありますし、数を増やしてきたというのがあると思うのです。実際、CRCさんの研修とか、それから本来の中身としてはアクセルとブレーキ、ブレーキというか被験者の保護をしっかり守りつつ促進するところが本当に業務として重要なところということで、正に日常的にいろいろなケースで被験者の保護を考えながら促進することをやってこられた人で、数年ではなく10年以上もやってらっしゃる方においては、それなりの識見を有されているのではないかと考えて書いている次第です。CRCさんのキャリアパスとかをどう活用していくのかということでは、それなりの経験と、いわゆる知識、経験を有する方については、こういうところでしっかり発言をしていただくことが必要ではないかということで、事務局としてはここに記載しているところです。
 それから、内外価格差については、実は実際問題として、通常、競争的資金という形で研究費を取られている場合に、間接経費と直接経費があります。間接経費というのは、基本的に、例えばその機関において、いわゆる研究を支援する倫理審査委員会とか、そういうものの運営に充てるべき費用と私も考えております。そういう運用をなされていると思います。ですから、その施設で研究をされている場合においては、例えば外部から間接経費が3割、研究費のおよそ3割は研究機関に入って、このような審査の費用として出されることが想定されているわけですので、内外の価格差については、通常、余り極端でなく、きちんとある程度考えられるものであれば、価格差というものについて否定するものではありませんし、あって構わないと思っています。ただ、極端な、10万円とか1,000万円とかそういう話は、ちょっと正に公正ではないだろうと思っております。
 それから回数ですが、確かにおっしゃる部分は分かりますが、私どもとしては、ある程度の重症、いわゆるこれは介入試験の研究が多いということからすると、ある程度の回数を求めたいと思っていますし、認定倫理審査委員会、今の認定事業のものに関してもかなりの回数を求めておりまして、それなりに開催されているということですので、基本的には大体このくらいかと。ただ、先生がおっしゃるとおり、10回だったらどうするかとか、そういうことに関しては少し検討させてもらいますが、基本的には一定以上の回数を求めたいと思っております。あとは意見でしたか。
○楠岡部会長 意見です。何かございますか。
○藤原委員 やはりCRCさんのところが全然腑に落ちなくて、これはCRCさんの渡部さんとかに聞いてもらったほうがいいかもしれないです。自分たちが生命倫理の専門とは多分思っていないと思うのですよ。私は、前回申し上げたようなキャリアトラックの維持というのは、認定臨床研究審査委員会の委員になることが彼女たちの、彼らのキャリアトラックではなくて、組織として医療機関の中でどういうキャリアトラックを作るかというところが問題だと申し上げたので、ここに入れていることで彼女、彼らのキャリアがアップするとはとても思えません。
 それから、先ほど前半で花井委員が質問されていた、CRCさんでも内部の人ですよねという御意見を聴いていることを思うと、生命倫理の方というのは、別に一緒になってやる側の人ではなくて、もう少し客観的に、外から俯瞰的に、生命の根源とか生命の倫理のこういうものからという判断をする人であるわけで、もしここにCRCさんを入れるとなると、ではCRCさんは第三者的に何でも判断できるという人と見てあげないといけなくなるので、そういう内部的な矛盾も生じると思うので、別のところでCRCさんの処遇を述べるにしても、ここに入れるのは変かと思います。
○森光研究開発振興課長 そこについては、いろいろ立場というのはあると思いますが、基本的には、意見を述べるときに関しての利益相反とか、そういうのは同じようにかかりますので、関わられた研究とか、同じ施設の支援の部分で使っているようなものについては、意見を述べる立場でなくなると考えます。また、正直申し上げて、生命倫理、その中でも特に、通常の本当の生命倫理ではなくて、研究だとか治験においての被験者保護というところにどう生命倫理の専門性をいかすかという研修をしっかり業務として受けてきている人というのは、日本の中においてどれぐらいいるのかということを考えたところで、これを出しております。先生のおっしゃることについては少し検討させていただきたいと思いますが、通常の業務の中でそのような研修をしっかり受けてきた人というのは、日本の中に、一体ほかにどれぐらいいるのかというのは、正直私どもとしては疑問に思うところです。
○楠岡部会長 では、この点に関して渡部委員、花井委員。掛江委員も、もし何か御意見があればお願いします。
○渡部委員 すみません、名前が出たので意見を言わねばと思ったのです。私もちょっと違和感は生じたのですが、生命倫理、被験者さんを保護する立ち位置ではあるので、例えば、他施設の倫理委員とかそういうことになるのはあり得るのかなと思ったのですが、やはり自施設の倫理委員というのはなかなか難しいと感じています。もともとはそのステップアップという御意見もあって入れていただいたという御説明があったのですが、やはり他施設の支援ですと、仕事が増えるだけ、兼業が増えるだけですので、ステップアップにはつながらないかと思いますので、また別な視点からも是非御検討いただければと感じました。以上です。
○花井委員 結論から言うと、やはりこれは、本当はまずいのではないかと思います。生命倫理とこの臨床の倫理とは結構議論がありまして、生命倫理領域で思弁的領域と非常に実務的倫理が分かれているという議論があります。ここで求められているのは、ある種実務的倫理だと、事務局案はそうだと思うのです。実は、この生命倫理の指揮権を有する者の役割はそれだけではなくて、最初のペーパーの臨床研究の基本理念の部分の2、3、4に関与するのです。つまり、こんな研究は行うこと自体、人に対して行うこと自体、倫理はどうなのだというような倫理判断はやはりちょっと実務的倫理ではなくて、日本における、社会における医学系研究の有りようとかその倫理性という場合、ちょっとそこは思弁的なものの足場があるのです。
 今度、足場がありつつ、実務をできる人がそんなにいるのかと、そう言われると、それは、名前は挙がるけれども、ではこの倫理委員会に対応する数いるのかと言われれば、それはなかなか少ないのかもしれないと思います。こういう整理の仕方をすると、これまでの生命倫理の領域で積み重ねられてきた専門家たちの、ここに生命倫理学会でずっとという倫理の先生がおられるのか分かりませんが、結構長い議論でやっている話です。こうやられてしまうと多分ちょっと、というのは思うかなと思います。実務上ここだけとなるかどうかというのはやはり疑問がありまして、もちろんこの中に10年以上のCRCさんを入れるということ自体は実務上できるでしょうと。この委員会自体も必ずしもファンクションを全部全うしているとは思わないですね。現にこれは望まない意見ですが、そもそもの法律はorではなくて、andであると私は言っていると思うのですが、これはどうやらかなわないということなので。恐らく必要な機能の委員を全部配置することを法律で強制しないということを、そちらがおっしゃるのでしょう、とすれば、妥協の産物だということは言えると思うのです。だから、法律の専門家の守備範囲と、この生命倫理に関する守備範囲を考えると、今事務局で考えられているのは余りに実務に偏ったお話だと思います。だから、この書きぶりが賛成か反対かと言われれば、反対になってしまうかと思いますので、何とかいい方法はないのかなという感じです。
○掛江委員 一応生命倫理を専門にしてきているので発言させて頂きます。最初にこの案を伺ったときには極めて斬新な案だということで、こういう例なのですか、と事務局に尋ねさせていただいて、今と同じ御説明を頂きました。確かに10年以上もの長い間、被験者保護の知識を持ちながらCRCの業務に当たってこられた方の中に、生命倫理に関する識見を有していると言える方はおられるだろうとは思います。ただ、CRC以外の方でも、生命倫理に関しても非常に勤勉に情報を収集されて、ときに学ばれているような医師や倫理委員の先生方もおられますので、そういう方々にも当然同じことが言えるのではないだろうかと思い、若干の違和感がありました。
 そういう意味では、倫理委員長を長年務めていたので、生命倫理の識見を有する者であるというような解釈について、以前指針等の倫理委員会の委員の議論のときに、それは余り適切な解釈ではないだろうというような議論があったと思うのです。その議論との関係からも今回の例示には、若干の引っ掛かりを持ちます。ただ、生命倫理に関する識見を有する者というカテゴリーがどのくらいの役割を委員会の中で求められているのかというところで考えたときに、私個人としては花井委員や藤原委員が言ってくださったように、生命倫理という視座から努めて発言をしてきたつもりではあるのですが、事務局の印象としてはそれほどの役割を求められてはいないということなのかと、若干淋しい思いをしながらご説明を聞いたところです。ただ、自分が専門としている立場ですので、自分を過大評価するつもりもないですし、ここで積極的に意見をというわけでもございません。
 もう1つは、生命倫理学会であるとか、医学哲学倫理学会ですとか、そういった専門家集団において、今までこういう「生命倫理に関する識見を有する者」、「生命倫理を専門とする者」の在り方についての議論もありましたし、そういった意味では、少し今回この具体例を書いていただくのは、手続的にというか、プロセスとして、かなり一足飛びな印象がございます。
○羽鳥委員 今のことに関して、日本医師会でも、医師職業倫理、生命倫理懇談会を私が担当しておりますが、その医師職業倫理第8版を作るときにも基本的に法学、哲学、それから倫理学の先生を呼んでいます。倫理、法学の先生を選ぶのには苦労していません。大学にはばたくさんの専門家がおられますが、生命倫理懇談会で人生の最終段階のにおける医療のあり方をまとめていますが、宗教家、哲学者、法学者、外交官(大使)の方にも参加してもらっています。やはりこのCRCの経験を有する方というよりも、もっと高い見地で意見を述べてくれる人が必要だと思います。
○楠岡部会長 再生医療新法の認定委員会でも、生命倫理の専門家というのはかなり厳しい要件を課していて、それに比べるとこちらのほうが少し。CRC、10年を必ずしも駄目とかいう話ではなくて、その例示としては多少アンバランス的な感があります。また、技術専門員では、臨床薬理とか生物統計学には既にある程度資格等の制度があるので、そこに基づいてかなり厳しく縛っている割に、委員についてはそれほどでもない。確かに委員はいろいろな立場から意見を述べなくてはいけないので、余りぎりぎりに縛る必要はないと思います。生命倫理に関する意見を述べる役割としても、余りにも極端すぎる。花井委員がおっしゃるような実務的な問題と、少し哲学的な問題との間の距離に余りにも差がありすぎるのです。CRCを10年経験した人を疎外するという話ではなく、当然それができる人もいらっしゃるとは思うのですが、例示的なものとして妥当かどうかというのは、今も各委員からも御意見があったようなところかと思います。ほかに、何かこの点に関して御意見ありますか。よろしいですか。
 ただ、10年以上CRCをやっている方というのは何名か、思い浮かぶ方はそれなりの方がいらっしゃるので、決してそれを駄目とか、そういう意味ではないということを申し上げておきたいと思います。ほかの点に関して御意見はありますか。
○羽鳥委員 14ページの「審査意見業務関係」ですが、原則として出席委員の全員一致、ただし意見がまとまらないときは出席委員の過半数と、何か落差が大きいような感じがするのです。出席委員の3分の2とか、もうちょっと近付けたほうがいいのではないかと感じたのですが、例えば7名でやっている委員会ですと3名で、9名でやっていても9名のうち5名が出席すれば委員会成立で、そのうちの3名で通るということは9名中3名の同意で通ってしまうのではいかがなものでしょうか。○井本治験推進室長 ありがとうございます。海外とかの運用状況も調べたのですが、一番メジャーなコモンルールを見ると、基本的にはボーティングという意志決定手段を採用しているようです。日本だけが全会一致、和の原則になっていて、どんなことでも全会一致を旨としてきたものと思われます。論理的にどうしても立場上反対し続けなくてはいけない立場の人も中にはいたりといろいろなことがあるのですが、やはり実務を考えたときに全会一致を必須要件にするのはちょっと無理があるのかなと思います。ただ、全会一致、先生のおっしゃるように、本来であれば全員が納得してそうだよねと思って、決論とするのがいいということは間違いないので、原則としては全会一致を目指すようにお願いしたいとは思っています。
 ただ、実際に全会一致を最後まで求めると意思決定が遅くなったり、責任が不明確になったりする可能性があるので、基本的にはそこは補足で書いておりますが、原則としては全会一致なのだけれども、過半数の同意でも結論できるとした上で、その内容には賛成、反対、棄権の数もしっかり議事録に留めてもらうべきだろうと思います。この案件はどのくらい伯仲したものなのか。物事には決めなくてはいけない、一定期間で決めなくてはいけないというものがありますので、基本的にはその議論の中で、全会一致の原則を旨とするけれども、どうしても全会一致が無理な場合には、せめて過半数で決めるということを明記すべきだと考えます。もちろん賛成者が多ければ多いのに越したことはないのですが、そのときのボーティングの結果には必ず数字を記録に残してほしいということを、そこでフォローしているつもりです。
○楠岡部会長 この中に成立要件が書かれてないのですが、成立要件は構成要件を満たすことということで、よろしいわけですか。
○井本治験推進室長 途中ですが、山口委員が退席されたときに「途中で、もし意見の隙間があったら意見を取り扱ってください」というメモを頂いております。今御覧のページで5ページになります。一番下の欄かと思いますが、「一般の立場の者」という所があります。その中の※で、結局ここは一般の立場の人ということなので、中立公正な立場の人を代表する意味で、かつ、理系ではないという観点で置かれた条項なのですが、実際に前回の議論のときにも、元看護部長とか、元事務部長とか、その医療機関とぴったりくっ付いているような者はどうなのかという御議論があったかと思います。今回の話については、委員会設置者の医療機関の現職員と元職員は別の観点での利益相反で除くという形で、御用意させていただいております。このことについて、山口委員より、委員会の設置者の医療機関だけではなくて、どの医療機関でもそうなのでしょうが、元医療機関の職員も除いたほうがいいのではないかというコメントを頂いております。
 事務局からの答えとしては、基本的には前段の部分、医学、歯学、薬学その他自然科学の専門知識をなりわいにする、業務を行っている者は抜くということになっておりますので、ここは医療職種関係であれば自動的に除外されるだろうと思っています。一方、事務系というか、単にどこかの医療機関に勤務経験があるだけで、設置者と全く関係のないところの勤務実績をもとに、職業の自由の観点からそこまで縛るのはちょっとどうなのかと現時点では解釈しているところです。これについて御議論いただければと思います。
○楠岡部会長 医療機関の職員と言っても関わり方もいろいろですので、それを言い出すと業務委託とかまで含めて限りなく広がりかねないところもあるので、一応元職員に限定する。もちろん非常に密接な関係のある医療機関ならば、同一法人内での他の病院に勤めていた方とかいうのは、まずいかもしれないけれどもというところはあるかと思います。医療機関関係者を一切排除するというのは、少し難しいかもしれない。いかがですか。
 では、取りあえずこの今の形でということで。認定を受ける委員会は、この設置者が複数設置した場合も一つ一つが認定を受けというのは、現在の厚労省事業では同一のSOPに基づいて設置されている複数の委員会も一体として認定をされているのですが、今回は個別に認定を受けるという。
○森光研究開発振興課長 はい、そのように考えています。
○楠岡部会長 そうしますと、ある設置者が3つ置いていたけれども、更新時に2つは更新できたけれど、3つ目は駄目になる可能性というのはあり得るということで。
○森光研究開発振興課長 はい、あり得ます。
○楠岡部会長 ほかに御意見はありませんか。
○新谷委員 委員会の認定要件に実績は問わないというのを前に伺ったと思うのですが、それでよろしいですか。例えば、現時点で倫理委員会を持っていない施設でも、応募することは可能と。
○森光研究開発振興課長 はい、そのとおりです。
○新谷委員 内容を見させていただきますと、実質その場合は実績がないのに、例えばここに書いてあるものを全部やります、やります、やります、計画しています、年12回もやりますというふうに、やりますと言うのはかなり楽に言えるのではないかなと思うのですね。ここで評価委員のほうも名簿は要らないと。実際に委員の名簿だけが求められているということなので、例えば技術専門員、評価委員に関しても当てもないのだけれども、取りあえずやりますと手を挙げることも可能かと思います。そうすると、非常に多くの委員会が認定を受けてしまうのではないかという懸念がございます。その点についてはどうお考えになりますか。
○森光研究開発振興課長 基本的には全く正直言って、新しく作りたいという所を排除するというのはあり得ないと思いますので、最初に実績を求めないということでないと難しいと思います。実際全て新しく手を挙げていただくということに、基本的にはなりますので。ですので先ほど更新の際には一定の開催の件数を求めるとさせていただいています。ですから、逆に言うと、手を挙げる、できます、できますではなくて、基本的には3年更新になりますから、3年後にこれだけの実績を有していないと、次は更新できませんよという意味で、それを確保した上でやってください。それがある程度見込みがなければできませんので。確かにそういう空手形だけという所はあるかもしれませんが、基本的には、一番最初にありましたように、医療機関若しくはそれなりの独立行政法人や学校法人の方が手を挙げてこられますので、将来にある程度の見通し、それから、そこにありますように、財政基盤の書類も出していただきますので、責任をもって運営される所は手を挙げていただくと考えています。
○新谷委員 仮に、それが理想的だと思うのですが、体力のないだろうと思われる所が手を挙げた場合に、認定をせざるを得なかったと。やります、全部チェックリストではOKだったと。その場合は3年間そういう委員会は野放しにされて、3年の時点で、継続はできないと。3年以降はできないのですが、3年間はそういう委員会も存在するというところで、質の担保が懸念されるのですが、そこはいかがですか。これは言ってもしょうがないかなと思うのですが。
○井本治験推進室長 まず、その空手形という話が本当に実在するのかどうかなのですが、今回の要件は今ある実務実績を問わないと言っているだけで、例えば委員の構成であるとか、事務局人数の専従とかそういったものは少なくとも示していただく予定です。自由競争社会ですので、研究者がどこの認定臨床研究審査委員会に評価を頼むかも自由なわけです。ですから、良い意味でのIRBショッピングが行われるので、あそこなら信用できると思うところにお願いするでしょうし、あそこに依頼したら最終的に自分の研究が邪魔されると思ったら、そのような審査委員会には恐らく行かないので、逆に、開設者のほうは自分の審査がいかにしっかりしているか、いかに信頼できるかというのはアピールするところでもあると思っているのです。
 ですから、構成要件を満たしたものについては、基本的に我々は拒否義務がなくて、厚労大臣は認めなくてはいけないと書いてあるので、これは拒否できません。ただし、自由競争の中で実績も示していただく形になるので、自ずとサービスの多寡であるとか、値段の多寡であるとかそういったものが、自由な研究者の中でセレクトされるのではないかと思います。途中で大きな問題を起こすようであれば、当然ながら取消はできますので、空手形のものは3年間野放しということはあり得ない。ということなので、当然義務は履行すると認識しています。認定臨床研究審査委員会は事前に登録いただきます。その活動記録も定期的に報告を頂く形になりますので、何を空手形といわれるかはわかりませんが、仮にあったとしても少なくともそんなに長く続くことはあり得ないということだけは安心していただいていいと思います。
○新谷委員 非常によく分かりました。議事録に是非ここは残していただきたいと思って、あえて質問させていただきました。ありがとうございます。
 最後にもう一点だけあるのですけれども、生物統計家の基準についてです。13ページです。「大学院修士クラス以上の統計の専門教育を受けるか」というところで、これは読み方によっては、統計と関係のない大学院の修士コースに入って、数クラスの統計の授業を受けたというだけでも、読みようによっては取れるかなと思います。ですので、示唆されている意図としては、統計教育を目的とした修士クラスというような理解でよろしいですか。
 もう一点、その下です。「数件程度の臨床研究の実務経験を有すること」という所で、これもDMですとか、統計解析の実務経験と書いていただかないと、かなり広く解釈される懸念がございまして、そこも考慮していただきたいと思いますが、いかがですか。
○井本治験推進室長 基本的には生物統計ができるということを考えていますので、当然、検定2級程度の学力であれば恐らく修士2年、それを目的としたというのはどこまで入るか分かりませんが、生物統計をいじれるというか、十分理解できる教育を施されたというところだと思います。ただ、修士の学位の出し方は、まだ学校教育の中で生物統計学という形でしっかり講座が設定できる所も必ずしも多くはなくて、いろいろな学部、学科における講座の中で構成されているので、学位論文とか、学士・修士のそのタイトルの中で生物統計という言葉が必ず入っているかどうかというのは保証しきれないと思っております。実務的には生物統計学的な評価業務ができることを期待していますので細かいところについては詰めていきたいと思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。
○藤原委員 同じく13ページで、2つ目のカラムに「毒性学、薬力学、薬物動態学」と非常に細かく書いていただいているのですが、3つ目の■で「日米欧の規制当局において毒性学、薬力学、薬物動態学の担当として2年以上の医薬品の承認の審査業務を行った経験を有すること」に加えて、獣医師さんが昔から毒性学をやっていますが非常に少ないですし、毒性病理をやっている人はもっと少なくなっていると思うので、余り規制当局だけに制限するのではなくて、民間企業にも毒性学の専門の方、薬力学、薬物動態学の専門の方がたくさんいらっしゃいますし、彼ら彼女らも非常に優秀だと思うので、わざわざ規制当局に限る必要は、私はないと思うのですが。人材の有効活用からという点からしてですね。
○井本治験推進室長 御趣旨はよく理解させていただいています。人材の確保も大切なことなので。ただ、実際に外形的な基準で決めると、運用する際に認定臨床研究審査委員会からこの人は適格者かどうかの証明をしなくてはいけないのですが、この手の、少なくとも上のものについては、一応証明する文章等を想定して今作り込んでいるので、大体準備できるのです。民間企業さんの場合、毒性担当だというものの証明書がなかなか難しいかというのもあるので、御趣旨はよく分かるのですが、資格要件の挙証のの観点でどうやって具現化するか、にわかには首肯し難い状況にはなっています。
○藤原委員 毒性病理学会か何か、毒性をやっている専門の先生たちの学会が多分あったと記憶しているのですが、そういう方々の御意見を聴いたらどうなのですか。衛研にも毒性の専門の先生がいらっしゃるから、そういう方々が、毒性の方々のクオリフィケーションをどうやっているかというのを聞かれるといいと思いますが。
○森光研究開発振興課長 はい、そこは少し聞いてみたいというふうに思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、認定臨床研究審査委員会の事項については、ただいまいろいろな御議論がございましたが、それを反映させていただくということで、本部会としては了承したいと思います。よろしいですか。ありがとうございました。以上で、本日予定されている議事が全て終了いたしましたが、事務局から何か追加はありますか。
○森光研究開発振興課長 次回の開催については11月30日を予定しております。開催時間、場所については、改めて御連絡を申し上げたいと思います。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 では、本日の研究部会をこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

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