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2017年9月11日 第2回がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)等の指定要件に関するサブワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年9月11日(月)13:00~15:00


○場所

全国都市会館 3階 第2会議室(東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

(1)小児がんにおけるゲノム医療について
(2)臨床研究中核病院について
(3)がんゲノム医療中核拠点病院(案)等の指定要件について
(4)その他

○議事

○事務局(丸野) それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回「がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)等の指定要件に関するサブワーキンググループ」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、中西構成員より欠席の御連絡をいただいております。

 初めに構成員の追加がありましたので、御紹介をさせていただきます。

 国立成育医療研究センター小児がんセンター移植・細胞治療科医長、加藤元博構成員です。

○加藤構成員 加藤です。よろしくお願いいたします。

○事務局(丸野) それでは、以後の進行は、西田座長にお願いします。

○西田座長 ありがとうございます。

 では、早速始めたいと思います。

 前回は非常に暑い中集まっていただいて、本当に熱いディスカッションをしていただいて、しかもよくまとめていただいたということで、感謝しております。今日は少し涼しくなりましたが、先月に負けずに熱いディスカッションをよろしくお願いします。

 先月のディスカッションで小児がんを入れるべきだということがありましたので、厚生労働省のほうでそれを勘案いただき、本日から加藤構成員に参加していただいております。後ほど現在の小児領域でのがん医療の現況とゲノム医療の現況を御紹介いただけるものと思います。

 まず、資料の確認を事務局からお願いできますでしょうか。

○事務局(丸野) 事務局の丸野でございます。

 では、資料の確認をお願いいたします。

 まず、座席表、議事次第、

 資料1 第1回サブワーキンググループでの主なご意見

 資料2 小児がんにおけるがんゲノム医療(加藤構成員提出資料)

 資料3 臨床研究中核病院について(医政局研究開発振興課)

 資料4 がんゲノム医療提供体制における連携のあり方について

 資料5 がんゲノム医療中核拠点病院(案)等の指定要件(案)

 参考資料1 がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)等の指定要件に関するサブワーキンググループ開催要綱

 参考資料2 がん診療連携拠点病院等の整備について(平成26年1月10日付健発0110第7号厚生労働省健康局長通知)

 参考資料3 小児がん拠点病院等の整備について(平成26年2月5日付健発0205第4号厚生労働省健康局長通知)

 参考資料4 これまでの小児がん拠点病院の指定について(平成29年1月6日 第7回小児がん拠点病院の指定に関する検討会 資料2)

 参考資料5 医療法の一部改正(臨床研究中核病院関係)の施行等について(平成27年3月31日付医政発033169号厚生労働省医政局長通知)

 参考資料6 ワーキンググループの議論の進め方

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○西田座長 よろしいでしょうか。では、議事に入りたいと思います。

 最初に、前回の議事をまとめていただいておりますので、資料1を用いて、事務局からどのような議論がなされたか、一度復習をしながら御確認をいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○事務局(丸野) よろしくお願いします。事務局より丸野でございます。

 それでは、資料1を皆様ご覧ください。前回、第1回サブワーキンググループでの主な御意見としまして、がんゲノム医療提供体制についてと、がんゲノム医療中核拠点病院(案)の指定要件についてまとめております。

 まず、がんゲノム医療提供体制につきましては、がんゲノム医療中核拠点病院及びがんゲノム医療連携病院につきましては、がん診療連携拠点病院等のみではなく、小児がん拠点病院、2017年4月1日現在では434カ所と15カ所となっておりますが、それも含めて指定することを検討すべきではないかという御意見がありました。

 また、がんゲノム医療中核拠点病院の指定要件の考え方について、前回は御議論いただきましたと思いますが、1から8項目につきまして御議論いただきました。

 1番のパネル検査を実施できる体制に関しましては、検査の安全性や精度管理の観点から、外部認定を取得することが要件として必要ではないか。遺伝子検査については、現時点では国内の外部認定が遺伝子検査室には存在しておりませんが、米国の基準をそのまま適用するのは困難ではないか。臨床検査室や病理検査室につきましては、外部認定を取得すべきではないか。外部認定につきましては、申請時に取得できていない施設については段階的に取得することを求めるなど、時限的な措置も考慮してはどうか。外部委託先の検査機関についても、品質保証のためには外部認定を取得していることが必要ではないかといった御議論がありました。

 また、パネル検査結果の医学的解釈可能な専門家集団、エキスパートパネルに関しましては、エキスパートパネルには、診療を担当している医師の参加も必要ではないか。エキスパートパネルの責任者の設置が必要ではないか。構成員については、各学会の専門医などの有資格者を想定すべきではないかといった御議論がありました。もう一点、こちらはサブワーキンググループの議論の本筋ではありませんが、中医協について議論すべき点として、エキスパートパネルについて診療報酬での評価も検討が必要かといった御意見がありました。

 3番の遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能な体制につきましては、遺伝カウンセリングの専門家については、特に腫瘍性疾患の専門家が少ないことから、段階的な要件とすべきではないか。遺伝カウンセリングの専門家の養成についても、がんゲノム医療中核拠点病院で担う必要があるのではないか。二次的所見の対応方針としては、現在作成中のガイドラインを参考としてはどうかといった御意見がありました。

 4番、パネル検査等の対象者について一定数以上の症例数を有しているということに関しては、現在のがん診療連携拠点病院等であれば、十分な症例を有しているのではないかと御理解いただいたところであります。

 5番のパネル検査結果や臨床情報等について、セキュリティーが担保された適切な方法で収集・管理することができることにつきましては「がんゲノム情報管理センター(仮称)」に関しては、国立がん研究センターに設置することが適当ではないか。こちらもサブワーキンググループの本筋とは違いますけれども、そういった御意見が出たところであります。データの管理については、取り扱うデータの範囲や取扱方法について明文化すべきではないかといった御意見もありました。

 6番の手術検体等生体試料を新鮮凍結可能な体制に関しましては、日本病理学会が発行する予定の「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」を参考に、検体の取り扱いの手順を定めることを求めてはどうか。検体取り扱いの講習などを受講した検査技師である認定病理検査技師等の配置を要件とすることを検討してはどうか。バイオバンクの整備について、診療科や講座ごとではなく病院一体とした整備が必要ではないか。こういった御議論があったと思います。

 7番の臨床試験・治験等の実施について適切な体制と一定の実績に関しましては、臨床研究や治験の精度保証が必要ではないか。医療安全の確保などの視点から、臨床研究中核病院あるいは特定機能病院といった安全性が担保された施設であることが妥当ではないか。副作用のリスクに対する対応やデータの信頼性の対応、プロトコル作成ができる体制が必要であるという点では、臨床研究中核病院あるいはそれに準じた体制が必要ではないかといった御意見がありました。

 8番の医療情報の利活用や治験情報の提供に関する患者窓口に関しては、患者の窓口については、ワンストップで解決していくような体制を整備するべきではないかといった御意見がありました。

 その他の事項としましては、がんゲノム医療中核拠点病院については、人材育成の機能が必要ではないか。整備に当たっては、地域性をセカンダリーとして考慮すべきではないか。がんゲノム医療中核拠点病院については、がんゲノム医療連携病院に対する指導あるいは診療支援、研究支援などの役割を担うべきではないか。将来的には中核拠点病院だけではなく、がんゲノム医療拠点病院にも人材育成の役割を広げていくべきではないか。

 こういった御議論があったということで、事務局からはまとめさせていただきます。

○西田座長 ありがとうございました。

 非常によくまとまっているかなと私自身は思います。前回に議論しましたところで、皆さん、がんゲノム医療に関しては、これからつくっていく医療である。したがいまして、当然のことですけれども、患者あるいは御家族の安全をきちんと担保しなければいけない。そういう体制で臨んでいかなければいけないという御理解で議論が進んだかと思います。

 きょうは中西先生がどうしても出なければいけないものがあって、欠席をされていると伺っておりますので、中西先生から、もし追加で御意見とかを先にメール等でいただいていましたら、御紹介いただけたら非常にありがたい。ありますでしょうか。

○事務局(丸野) 中西先生からはメールにて御意見をいただいているところであります。

○西田座長 追加でこのまとめ中以外のものを、中西先生が特にコメントされているようなことはございましたでしょうか。

○事務局(丸野) 中西先生からの御意見としましては、病理検査室といったところに関しては、前回の議論の中で整備できていない病院があるというところで、そういった部分に関しては段階的な整備が必要ではないか。これはもちろん第1回の議論のまとめの中でも書いてあるところであります。

 もう一点は、遺伝カウンセリングの部分で、こちらに関しては、患者にかかわるところでありますので、患者の不安を解消するためにも必要だということですけれども、遺伝カウンセラーの有資格者につきましては数がまだまだ少ないということで、こちらも当初から余り厳しい条件を設定するのは困難ではないかという御意見をいただいております。

 3点目に関しましては、がんゲノム医療中核拠点病院となる病院の役割として、研究開発や人材育成が重要となるということは、コンソーシアム懇談会や第1回の会議でも議論されたところで、研究について主導的に行うことができる病院、連携する他施設への指導が適切に行える施設。こういった施設、また、遺伝カウンセリング体制や検体準備についても人材をどのように育成していくのか。こういったものを指定要件に加えてはどうかという御意見をいただいております。

 以上、3点につき、中西先生から御意見をいただいておりまして、前回の議論でもございましたが、日本全国で患者が等しくがんゲノム医療を受けられるように、がんゲノム医療提供体制については地域性も検討いただければというところで、中西先生よりまとめていただいております。

○西田座長 ありがとうございます。

 おおむねこの中に入っているかと思いますし、考え方の中には全て入っているかなと思いますけれども、そういう解釈でよろしいですね。

 中西先生の意見も踏まえまして、構成員の皆さん方から、前回の主な御意見の中で、これはちょっとというところがもしあれば、追加で発言していただいてもよろしいのですけれども、特にございませんか。

 土原先生、何かございますでしょうか。

○土原構成員 申しわけありません。ちょっと細かいところになってしまうのですが、今ほどの資料の裏面のマル6なのですが、手術検体等生体試料を新鮮凍結可能な体制となっておりまして、1ポツで日本病理学会が発行する予定の「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」となっているのですが、私が伺ったところでは、いわゆるホルマリン固定サンプルに対する扱いを中心に書いていらっしゃると聞いております。ここはいわゆるバイオバンクにおさめる検体の規程ですので、以前、既に病理学会より出されております「ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程」のほうが妥当ではないかと思います。申しわけありません。きょう気がつきましたので、よろしければそれを修正いただければと思います。

○西田座長 佐々木構成員、いかがでしょうか。

 佐々木先生のほうが専門家だと思います。

○佐々木構成員 土原先生から御指摘をいただきました。診療用と書いてあるのですけれども研究用でということだったのですが、ただ、ちょっと考えてみますと、実は、診療用の検体の中にもFFPEという固定検体も扱うことがありますし、今、ISO20387で、バイオバンクということが議論されています。バイオバンクという言葉は、診療用検体を除くという方向性で11月に投票が行われる予定になっていて、そこからは診療用検体を除くという議論もなされています。ですので、バイオバンクという言葉が使われていますけれども、これが果たして適切かどうかということと、今の御発言の中で、もしかしたらゲノム診療用、ゲノム研究用の両方を併記していただいたほうが、少しわかりやすいかなと思いましたので、よろしくお願いいたします。

○西田座長 研究用と診療用と両方を併記。これは一つ重要かなと思いますので、併記という方向でよろしいですね。バイオバンクという言葉に関しては、ある程度決まってからでもよろしいですか。皆さん多分、バイオバンクという理解のほうがわかりやすいかなという部分もございますので、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 ほかに追加の御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 では、診療用に加えて研究用の両方を参考にしていただく。これは中に矛盾があるということはないですね。当然ながら病理学会がつくっていますからね。

○佐々木構成員 大丈夫です。

○西田座長 ありがとうございます。

 まず、本日の議題にこれから進んでいきたいと思います。

 議題(1)「小児がんにおけるがんゲノム医療について」ということで、加藤構成員から小児がんの現況を御説明いただければありがたいと思います。

 加藤先生、よろしくお願いいいたします。

○加藤構成員 よろしくお願いします。国立成育医療研究センターの加藤でございます。

 お手元にあります資料2をごらんください。1枚目が表題ですので、下のほうのスライドから参ります。まず、御指示をいただきましたとおり、小児がん診療の現状について概要をまとめております。絶対数が皆様方に実感としてなかなかないと思いますので、例をお持ちしました。学会登録を参考にしました小児がんの年間の新規診断数です。血液腫瘍が1,000件強、固形腫瘍が1,000件弱ということで、年間に約2,000件。ほぼ9割以上の症例が学会登録されていると大体認識されておりますので、年間の小児がんの新規診断数は2,000から2,500件と推測されております。

 小児がん全体で2,000人強というぐらいですので、全がんの1%未満であります。小児がん全体を合わせても希少がんとなりますが、この表にありますとおり小児がんという言葉でくくられますけれども、実際にはその内容は、多様ながんの集合体であると御理解ください。小児がんは全体で少なくても、さらに多様ながんの集合体であるというのが、小児がん診療の一番大事なポイントなのではないかと思います。

 裏がスライドの3枚目になります。希少な小児がんの診療ですけれども、参考資料にもつけていただきましたが、小児がん拠点病院というものが制定されております。小児がん拠点病院を中心としまして、全国に約150の小児がんを診療している病院があります。ほぼ全ての小児がんが、この150弱の病院の小児科で診療を受けていると御理解ください。その150のうち15施設が小児がん拠点病院という形で指定されております。9施設が大学病院でありますが、一方、6施設は大学病院ではない小児の専門病院であります。

 実際の診療を受けている小児がん患者の数の内訳を左下のグラフに示してありますが、15の小児がん拠点病院で約3分の1のお子さんを診療しております。一方、小児がん拠点病院ではない病院でも、いわゆるハイボリュームセンターがございますので、年間に60症例以上を診るようなハイボリュームセンターで残りの4分の1ぐらい。合わせますと、半数強の小児がんのお子さんたちが比較的多数例の診療をしている病院に集約化されて治療を受けている形になります。一方で、年間30症例未満しか診ていないような病院で診療を受けている小児がんのお子さんも約5分の1、20%いるということも重要なところだと考えております。

 参考までに、小児がん拠点病院の分布を右上の日本地図であらわしておりますが、地域性を考慮されつつも、そのような形で全国に小児がん拠点病院は分布されています。ただ、このような小児がん拠点病院でも、診療数としては多いところでも50から100ぐらい。参考に申し上げますと、昨年度、2015年の院内がん登録の数で言うと、成育医療研究センターが一番多くなっておりますが、それでも、新規診断数は105例という形になりますので、今回、がん診療連携病院の基準を参考にされておりますが、年間に500例以上の小児がんを診ているような病院は、世界中探しても本当に数えるほどしかなくて、例えば単施設で非常に有名な米国のセント・ジュード小児病院でも、年間の新規診断数は400から500と言われておりますので、そのような意味では、小児がんに関しての基準は、また別個の形で制定することが必要なのではないかと考えます。

 スライド4枚目はそのような小児がん診療の現状の続きですが、ここまでお示ししましたように、小児がんは絶対数が少なく、かつ、その中身も多様な希少がんの集合体でありますので、入り口の診断のところからいきなり問題となります。多くの症例を診ている施設であったとしても、年間にこの症例は1例しか診ないとか、この組織分類は3年ぶりだ、みたいな疾患にどうしても出会います。ですので、単施設のみでは正確な診断がなかなか困難ですし、実際にそのような形で、保険診療のみで正確な診断には至れないこともしばしばあります。

 当然治療においても、その施設のみで治療を進歩させようということが難しいということが小児がん診療関係者では以前から共有されておりますので、多施設共同研究グループが古くから整備されておりました。現在はJCCG、日本小児がん研究グループという形で多施設共同研究グループが統合されております。この枠組みの中で、各診療施設が患者を診たら、その診断検体を成育医療研究センターを中心とした中央診断・中央検査施設に送付いたします。中央診断の中で画像検査、病理検査、免疫検査などを行い、この症例に関してはさらにこのような追加のゲノム診断等が望ましいということで、それぞれで協力してゲノム検査も行います。それらの結果を全て統合して、もう一度中央診断施設に返し、結果の解釈とともに各診療施設に返します。診療施設は、中央診断施設から返ってきた結果を参考に、臨床試験登録もしくは治療選択等を行うという形になります。

 このような体制が整備されておりますので、実際の小児がん患者の約90%以上が中央診断・中央検査によって診断されております。この結果、もちろんこれは、本来は臨床研究のための初期診断というようなものを担保するという形で、研究のために行われているのですが、実質的には臨床研究、臨床試験イコール標準治療という形で行われておりますので、全国の小児がん患者の治療の均てん化にも貢献しております。

 5枚目のスライドですが、ここまでで小児がん診療の現状、概要をお伝えいたしました。そのことを踏まえまして、今回のサブワーキングのテーマでありますゲノム医療に関して、小児がんの現状もしくは今後の可能性について、私見ですが御説明申し上げます。

 小児がんの患者に対して、恐らくゲノム医療というものを一番想定する狭義のゲノム医療に限りますと、ゲノム診断、ゲノムプロファイルに基づいて、分子標的療法を使うようなものが最も狭義のゲノム医療ではないかと思います。そのような狭義のゲノム医療の成功例もしくは期待される例も、小児がんにはございます。

 具体的な例はそこにお示ししてありますが、BCR-ABL1陽性の急性リンパ性白血病は予後不良と知られておりました。必ず造血幹細胞移植を行うような症例群でしたが、チロシンキナーゼ阻害剤の併用により生存率が10%以上向上し、結果として造血幹細胞移植を回避しても治癒できるような症例も出ました。ですので、治癒率の向上と晩期合併症の減少が同時に達成されるような非常に成功した例もございます。BCR-ABL以外のチロシンキナーゼ陽性の急性リンパ性白血病も数パーセント程度ですが、いるということもわかりましたので、このような症例に対する分子標的療法を用いた治療は、非常に期待値が高いところではあります。

 ただ、成人がんと非常に大きく小児がんが異なるのは、そこに生存曲線が書いてありますけれども、小児がんの多くは、まずは治癒を目指して治療が行われます。小児がん全体でも、70%以上の治癒率がございますので、基本的には、生存期間の延長ではなく、治癒を目指して行われますが、昨今のいろいろな分子標的療法は成功をおさめておりますが、基本的には単剤での治癒ではなくて、生存期間の延長という成果だと思います。

 ですので、生存期間の延長だけで小児がんがいいかと言われると、そういうものではありませんので、一般的な新規診断の小児がん患者に関して、狭義のゲノム診断に基づいたゲノム治療が必要な患者がどれほどいるかと言われると、実はそれほど、一部の患者に限られると思います。もともとの絶対数が少ない中の一部に限られるということですので、その絶対数のさらに小数ではあります。

 一方で、再発難治例は、全体の中でも一部ではありますがおりますので、それらのごく一部の小児がん患者に対しては、通常のいわゆる多剤併用の抗がん剤が効かなくなっておりますので、そのような患者に対しては狭義のゲノム診断で、もしかしたら分子標的療法が効くのではないかという期待が持たれる患者もいるのは確かです。ただ、そのような患者は非常に小数ですし、多剤併用療法を子供にするかということですと、臨床研究、早期相試験という枠組みが望ましいと思いますので、このようなゲノム医療を行うような病院を想定したときに、例えば小児がん拠点病院のような全体的な小児医療の総合力がそろった病院を対象に考えるのが妥当なところであるとは考えます。

 下のスライドですが、小児がんに対するゲノム医療をゲノム診断という言葉まで含めますと、かなり状況が変わります。小児がんは、例えば肺にできたら肺がん、胃にできたら胃がんという形ではなくて、もともと腫瘍細胞の性質において診断がなされます。神経芽腫、横紋筋肉腫など、部位とは別に腫瘍の性質によって診断がなされることから、もともとゲノム診断が非常に重要であるということが認識されておりました。そのような意味では、狭義のゲノム医療の対象は小児がん患者のごく一部に絞られてしまいますが、ゲノム診断の対象という意味では、ほぼ全ての小児がん患者がゲノム診断の対象になります。

 ただ、それぞれの発症症例数は少ないです。ですので、検査の医療経済的な効率は非常に悪いため、それぞれの診断に至るようなゲノム診断検査が品質管理された商用ベースになっていないのも現状であります。そこで、現状はどうしているかというと、これは先ほどお話しした点になりますが、JCCGによって中央診断体制が成育医療研究センターとしてつくられましたので、そこをハブとして、例えばこのような病理所見であればこのようなゲノム診断が必要なのではないかということを、各LDTを行っている施設に依頼して、その結果を戻して、解釈とともに返却するという体制で行っております。

 ほぼ全てがLDTという形になってしまいますが、これに関しては、将来的なパネル検査もしくはホールゲノムの移行という形で品質管理は担保されるのではないかと思っておりますけれども、例えばLDTの財源は各研究施設の研究費でやっているのが現状ですので、このようなゲノム診断が保険収載されて、子供たちに標準治療を行うために必要な検査が保険収載で行われるというのは、小児がん医療関係者に関しましても、待ち焦がれているところであります。

 残り2枚になります。スライド7は、ここまでの経過を踏まえまして、これもまた私見になりますが、ゲノム医療の観点から小児がんの特性を幾つかまとめてみました。繰り返しになってしまいますが、狭義のゲノム医療(ゲノムプロファイルに基づきました分子標的薬剤)が有効と期待される疾患はやはりあります。実際に使って生存率の向上もしくは晩期合併症の低下をもたらした例もありますが、なかなか単剤だけでは治癒をもたらしにくい性質上、多剤併用化学療法が必要になると思います。ただ、そのような併用療法、さらに、小児に使うということの安全性/有効性に関しては、成人に比べてより慎重に検討する必要があると思います。全国規模での臨床試験につなげる道筋を整備することも必要ではありますが、小児医療での総合力を背景とすることから、小児がん拠点病院の枠組みを上手に使うことが妥当であると思います。

 あとは何より、多くの薬が、小児適応がない状況で使用されているのが現状であります。なので、小児の保険適用をどうやって、ゲノム診療の出口という形をカバーするのは臨床試験であると思いますので、どうやってその部分をカバーするのかということが非常に大きな課題であると思います。

 一方、狭義ではない広義のゲノム医療、ゲノム診断の意義が非常に高いことは既に申し上げました。ただ、絶対数が非常に少ないので、現在、行っているような中央化のシステムが非常にうまくいっている次第であります。

 ここまででは述べておりませんでしたが、先ほども途中、言葉に出ましたが、いわゆる二次性の発見、セカンダリー・ファインディングに関しましては、恐らく小児は成人よりもかなり多く問題になると考えます。実は、小児がん患者の5~8%ぐらいは、生殖細胞系列にOncogeneもしくはTumor Suppressor Geneの変異を持つという報告も出ておりますので、小児がん患者を対象にゲノム診断もしくはゲノム検査を行うことで、セカンダリー・ファインディングがさらに問題になってくると思います。一方、遺伝カウンセリングは年齢に応じてやっていく必要があると思いますので、例えば成人と同じように遺伝カウンセラーが活躍できますかと言われると、小児がんに対応した遺伝カウンセリングという特殊なものも、整備がなかなか進んでいない現状であります。

 最後に、ここまでのお話をまとめました。小児がんにおけるゲノム医療提供体制の構築。ここまでのお話、私の提案の情報を踏まえますと、現実的には数が少ないので、例えば臨床研究中核もしくは連携病院などを、小児がんのみを対象としてゲノム検査を行うということは非効率的であるということは確かであると思います。

 ただ、成人の枠組みを上手に使うのはいいとしても、全く同一では、小児がんのこのような特性になかなか対応できないと考えます。成人は、基本的には大部分がガイドラインによる標準治療を受けており、一部がこのような検査を受けた先進的な臨床試験が行われておりますが、小児は一方で大部分、9割以上の患者が中央診断を受けて、それに基づく治療を標準治療という形で受けております。なので、このような点に対応するために、例えば成人のゲノム医療提供体制と基盤は共有する必要があると思いますが、その疾患の特性もしくは遺伝カウンセリングに合った、子供の特有の課題を考慮して、小児がんの診療の実際に合ったゲノム医療提供体制をどのような枠組みでつくるかという検討が必要であると思います。

 最後になりますが、昨今、このような高額の医療にコストパフォーマンスが求められる時代にもなってきてしまいました。ただ、小児がん患者に関しましては、合併症の少ない治癒をもたらすことで「健康な小児がん克服者」をふやすという非常に大きな利益をもたらす分野ですので、注力する価値があるのではないかと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○西田座長 ありがとうございました。

 まとめますと、大人のがんのように1施設当たりの数は多くない。非常に少ない。成育医療研究センターでさえ年間100ちょっとしかないというのがまずは第1点。

 2番目としましては、ゲノム診断の中に、治療的なパネルのお話があったと思います。プラス、診断的に使う。現実に診断的に使われているということで、診断パネルも重要なカテゴリーを占めるということだと思います。スライドの4番目ですか、JCCGが中央病理をやられているのですけれども、私は希少がんをやっているのですが、希少がんでは本当を言うと入り口のところで診断を正確にしなければいけない。これは重要なポイントで、むしろ大人よりも進んでいるかなと、正直なところ私は感じています。

 ですから、病理診断からきちんとやっていかなければいけないですし、そのときにゲノム診断も非常に重要で、多分、小児の特性というよりは希少性の特殊性というもののほうが高いかなと。大人も、先ほど申し上げましたように肉腫のようなものは診断パネルが必要だと考える方もいらっしゃいますし、そういった部分があるのかなと思いました。

 加藤先生の御発表に関して、構成員の皆様方、御意見、御質問はございますでしょうか。確かめておかなければいけないということはありますでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 大変勉強になって、ありがとうございます。

 3枚目のスライドに、各ブロック協議会参画の142施設の小児がん病院がありますけれども、この中で遺伝カウンセリングが行われている病院はどれぐらいあるのでしょうか。

○加藤構成員 ありがとうございます。結論としましては、厳密な数は把握されていないのが現状です。例えば、誰が行うかということが非常に問題になりまして、小児がんに対して実際に対応可能な遺伝カウンセラーというと、非常に数が限られていますので、現実的には、遺伝科があるような小児科医もしくは小児がん診療医がやっているのが現状であります。そのような意味では、きちんと体制を持った形で行われているところは、むしろ少ないと考えております。

○山口構成員 多分、数が少ないので、それを整備するのは大変だと思うのです。この中で小児のがんの拠点病院がありますけれども、その要件の中にはそういう体制は入っていないわけですか。

○加藤構成員 参考資料4に小児がん拠点の基準がございますが、恐らくは入っていなかったと思います。ただ、小児がん拠点病院として実質的に診療されているような病院には、実際には遺伝科もしくは小児遺伝の専門医、臨床遺伝専門医が多くの場合おりますので、小児がん拠点病院の中では対応できていると考えます。

○西田座長 私の理解では、大人の病院よりも成育、あるいは小児科領域のほうが、遺伝の専門医は多いですね。ただ、がんに関しては詳しくないという理解でいいのかなと思いました。ほかによろしいでしょうか。

 私から、5つ目のスライドでBCR-ABLの話が出ていましたけれども、これなどは大人と一緒に使えるものだと思うのです。それ以外、大人以外の特殊なものもあるという理解で、逆に言えば大人のパネルとか、そういうものをつくったときに、そこに小児に特有なものをつけ加えれば治療的なところに関してはうまくいくだろうという理解でよろしいですか。

○加藤構成員 ありがとうございます。結局治療のところは、ある程度薬を基準に考えていく部分もあると思いますので、そのような意味では、小児なのでこの遺伝子変異は成人と違うというものよりも、やはり遺伝子変異がまずはありきですので、治療のパネルという意味では、成人プラスアルファで基本的には対応できると私も思います。

○西田座長 ありがとうございます。

 問題は診断にどう使うかという話ですね。ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 よろしければ、次に進みたいと思います。次は、議題(2)「臨床研究中核病院について」ということで、中核病院の指定を我々のほうは受けているのですけれども、詳細、どういう経過でどのようになって、最終的にこういうことを重視して考えたということを医政局から御案内いただけると伺っております。よろしくお願いします。

○医政局研究開発振興課 よろしくお願いいたします。私は、厚生労働省研究開発振興課の福田と申します。

 今回、臨床研究中核病院の経緯やその承認要件の中身あるいは現状について、情報提供ということでお時間をいただきましたので、少し御説明させていただきます。

 資料3をお手元に御用意ください。スライドの右下の番号の2でございますけれども、日本における臨床研究の課題でございます。一般に言われてきたことでございますけれども、日本では基礎研究は世界でも最高峰のレベルということはかねて言われていましたが、臨床研究に限ってしまうと、かなり状況が変わるというところで認識されておりました。

 具体的にどのような課題があるか。課題としましては、下の水色の箱をごらんください。1つ目、臨床研究に精通する医師に加え、戦略的に臨床研究を企画・立案・実施するためのマネジメントや被験者ケアを行う人材が不足していること、あるいは臨床研究を実施するために必要なデータ管理システムの設備が不十分であること。また、世界の潮流である多施設共同研究を行う場合の調整事務局の整備が不十分で、規模の大きい臨床研究の実施が困難である。こういったことが課題として考えられておりました。こういったところを改善するためには、十分な人材や設備を有する拠点の整備が必要というところが認識されてきたところでございます。

 次のページ、スライド番号3は、臨床研究中核病院ができる以前に、こういった臨床研究を実施するための体制として整備されていた事業の紹介でございます。1つは早期・探索的臨床試験拠点。もう一つが臨床研究品質確保体制整備病院。この2つでございます。

 簡単に御説明させていただきますけれども、1つ目の早期探索のほうにつきましては、ヒトに初めて新規薬物・機器を投与・使用する臨床研究を世界に先駆けて行う早期・探索的臨床研究拠点を平成23年から5カ所整備いたしました。これはがんや神経・精神疾患の分野を区切りまして、体制を強化したところでございます。

 もう一点目、臨床研究品質確保体制整備事業でございますけれども、これは臨床研究の質を向上させるため、ICH-GCP準拠の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う臨床研究品質確保体制整備病院を平成25年に指定させていただいたところでございます。

 その選定施設については、スライド番号を次に続けまして、4でごらんいただければと思います。これが臨床研究中核病院の制度が発足する前に予算事業として実施されて、臨床研究を整備するための事業として行われてきたものでございます。

 おめくりいただきまして、次の5ページ目は、臨床研究中核病院の法制化に係る経緯でございます。例えば、これは複数の閣議決定される文書なので、法制化が最終的にうたわれるわけですけれども、1つ目として、第26回社会保障審議会医療部会の「医療提供体制の改革に関する意見」より抜粋したものでございます。赤字をごらんください。医療の質の向上につなげていくために拠点として臨床研究中核病院を創設すべきであり、法制上位置づけることなどについて前向きに検討すべきであるということが、社会保障審議会の医療部会において述べられたところでございます。

 次のページからしばらく続きますのは、例えば「日本再興戦略」とか「健康・医療戦略」とか、閣議決定される文書におきましても、日本の国際水準の高い臨床研究を実施するために、臨床研究中核病院を法律に基づいて位置づけるべきということが述べられてきたところでございます。

 細かい内容については飛ばさせていただきますけれども、続きまして、9ページ目をごらんください。こういった日本の現状を踏まえて、また、いろいろな文書での提言を踏まえまして、臨床研究中核病院が医療法に位置づけられることになりました。概要といたしましては、日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院を臨床研究中核病院として医療法に位置づける。これで臨床研究病院を承認するという手続を置いて、法律に位置づけられることになったわけでございます。

 目的としましては、繰り返しになってしまいますので省略させていただきますけれども、いずれにしろ、例えば共同研究を行う場合には中核となること、あるいはほかの医療機関が実施するときにしっかりと支援をすること。みずからがしっかり臨床研究をリードするような研究を行うというようなことを目的としておりまして、こういった臨床研究を推進することで、次世代により良質な医療の提供を可能にすることを目的にしております。

 また、臨床研究中核病院の内容につきましては、一定の基準を満たした病院について、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聞いた上で承認するとしております。ですので、基準を設けまして、それについて病院がおのおので申請して、所定の手続を経た上で臨床研究中核病院として認められるようになってございます。

 その一定の基準でございますけれども、次のスライド番号10、臨床研究中核病院の承認要求についてをごらんください。少し繰り返しになってしまいますけれども、臨床研究を推進していくためには、その機関がまずは臨床研究を実施する主体的な能力を有すること、臨床研究中核病院はみずからがやることだけではなくて、ほかの病院が臨床研究を実施するに当たってしっかり支援をする。適切な支援を提供するということ。この2本柱が大きく求められていることでございます。

 そういったことを評価する要件として、主に3つを掲げております。1つは能力要件、1つは施設要件、1つは人員要件でございます。順に簡単に御説明させていただきます。

 能力要件はそのうち、実施体制と実績に分かれます。実施体制につきましては、不適正事案の防止等のための管理体制がしっかり整備されているということでございます。例えば病院管理者の権限や責任を明記した規程を整備している、あるいは病院管理者を補佐するための会議体を設置するということが、不適正事案の防止のための管理体制として求められているところでございます。臨床研究中核病院は、例えば特定機能病院などと同じように、それなりに特殊な医療を提供することになるわけでございますので、例えば臨床研究支援体制あるいはデータ管理体制、安全管理体制、倫理審査体制などについても、実施体制の中で求められているところでございます。

 研究を実施するに当たっては、その実績が十分にあることを要件として求めております。みずから行う特定臨床研究の実施件数であったり、それに関係する論文数、あるいは主導的して実施する多施設共同の特定臨床研究の実施件数、ほかの医療機関が行う特定臨床研究に対して支援を行った件数。こういったものを能力要件の基準として求めております。

 また、施設要件として診療科の数であったりとか病床数といったものも要件として求めております。

 臨床研究を実施するに当たりましては、マンパワーが必要なところでございます。これはみずからが実施するに当たっても、ほかの病院の支援をするに当たっても、例えば医師や薬剤師だけではなくて、臨床研究をコーディネートする人材あるいはデータマネジャー、生物統計家など、普通の病院に上乗せして求められるような事案がございますので、こういったことを人員要件として求めております。

 次のページは少し細かい内容になりますけれども、能力要件に関する基準値としましては、論文要件や支援の実績の件数などが設定されております。細かい説明につきましては、こちらでは省略させていただきますけれども、具体的な件数につきましては、先ほど申し上げました平成23年以降に実施されておりました臨床研究中核病院制度が発足する前に実施された事業において、それぞれの病院がどのような実績を重ねていたかといったところを参考にしまして、数字を具体的に設定させていただいております。

 最後のスライドでございますけれども、現状の中核病院でございます。平成29年8月現在で、ここに掲げております11病院を承認させていただいております。これらは臨床研究をそれぞれの病院でしっかり適切に実施していただくこと、さらに、ほかの病院が臨床研究を行う場合には、そういった病院に支援をしっかり提供していただくということが求められているわけでございます。

 臨床研究中核病院になることで、それぞれの病院が期待されることでございますけれども、臨床研究中核病院の名称を掲げること。これは名称独占になっておりますので、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う病院として認知されて、より質の高い最先端の臨床研究・治験が実施されるために、そういった被験者がしっかり集まって症例が蓄積される。治験や臨床研究を実施するためにすぐれた研究者の人材が集まってくる。さらに、ほかの施設から相談や研究の依頼が集まっていくことで、臨床研究が推進されるといったところを期待されております。

 少し急いでの説明になってしまいましたけれども、以上で終わらせていただきます。

○西田座長 医政局からの説明をありがとうございました。

 ちょっと遠慮がちに、どちらかというと基礎研究よりも臨床研究が弱いからという説明があったように思いますが、本当を言うと、臨床研究は患者を使った研究なので、患者に害があってはいけない。世界でトップレベルの質の研究をやらなければいけないということで、多分、これがつくられたかなと思います。実際に来年から、御存じのように、侵襲・介入がある臨床研究は新しい法律、臨床研究法に基づいてやらなければいけないようになりますので、そういう基本的な考え方があるかなと私は考えております。

 特にスライド10番に書いてあります、一つは病院全体の管理体制です。それから、その下に書いてあります、左のほうですけれども、臨床研究の支援体制、データ管理体制、安全管理体制、倫理審査体制。倫理審査体制も今度、大分変わりますけれども、これも非常に重要なことだと思います。COIの管理も昨今非常に重視されておりますので、このあたりはぜひ入れておいていい要件ではないかと私自身は考えています。

 何か構成員の先生方で、追加質問とかがありましたらお願いします。特段ないと思うのですけれども、皆さんよく御存じだと思うので、よろしいでしょうか。

 では、御了解いただいた。大体御理解いただいたと理解して、それ以降に進みたいと思います。事務局から、資料4、資料5を用意していただいておりますけれども、順次まとめて説明してもらって総合的に議論したいと思いますが、それでよろしいですか。

 資料4、資料5と事務局から御説明をお願いできますでしょうか。

○事務局(丸野) ありがとうございます。事務局より丸野でございます。

 まず、資料4から説明させていただきたいと思います。資料4「がんゲノム医療の提供体制における連携のあり方について」をごらんください。右下にスライド番号が振ってありますので、そちらを参照しながらお願いします。

 スライド番号2番、がんゲノム医療の提供体制の将来像につきましては、前回の第1回サブワーキンググループでもお示ししたとおりでございますが、今回、議論させていただくのは、左のイメージになります。左のがんゲノム医療中核拠点病院を平成29年度中に厚生労働省が指定しまして、それに対してがんゲノム医療中核拠点病院が指名し連携病院を立てて、全国にがんゲノム医療を提供するという案を提案させていただきました。

 こちらは、改変となっておりますのは、前回の御議論の中で、土台になるものががんゲノム診療連携拠点病院等だけではなく、小児がん拠点病院も含まれるべきだという意見がございましたので、土台となる病院につきましてはそのように記載しております。中核拠点病院に関しましては、前回もお示ししましたように、人材育成機能とか診療支援、研究開発機能と遺伝子パネルを解釈できるという機能が求められると御理解いただければいいかと思います。

 スライド3は遺伝子パネルの検査の流れで、前回に示させていただきました8項目をまとめまして、どの部分にどこが相当するのかをお示ししております。患者の説明から治療に当たるまで、この流れについて、それぞれ指定要件について御議論いただければと思っております。

 スライド番号4につきましても、前回にお示ししたスライドであります。がんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム医療連携病院では、一体どのような機能が求められているのか。がんゲノム医療中核拠点病院に関しましては、先ほどの遺伝子パネル検査の流れにつきまして、一部は外注を可としながらも、基本的には自施設で完了できるということを想定しております。それに対しまして、がんゲノム医療連携病院に関しましては、遺伝子パネル検査の実施及び専門家会議における解釈に関しては中核拠点病院に依頼し、あるいは中核拠点病院の会議にテレビ会議等も含めて参加をしながら行っていく。研究開発に関しましても、がんゲノム医療中核拠点病院と協力しながら行っていくという形で提案させていただきました。

 続きまして、スライド番号5番が、今回新しく出させていただきましたスライドになります。こちらに関しましては、患者がどのような形でがんゲノム医療を享受するのかということでまとめさせていただきます。左のモデルが、患者ががんゲノム医療中核拠点病院を直接受診した場合です。こちらについては、患者が受診した後、がんゲノム医療中核拠点病院で先ほどの8項目の流れに沿いまして、患者説明がありまして、検査を実施され、そちらのほうで専門家会議を通して検査の解釈を行い、治験も含めて治療が行われるというモデルを想定しております。

 それに対しまして、右側のモデルは、がんゲノム医療連携病院を患者が受診した場合のモデルになります。こちらに関しましては、まず、患者はがんゲノム医療連携病院を受診しますと、そちらで検査について説明を受け、検体準備までは連携病院で行う。検体と臨床情報ががんゲノム医療中核拠点病院に送られた後、がんゲノム医療中核拠点病院にてパネル検査が実施され、そこで専門家会議、つまりはエキスパートパネルを通して患者の検査の結果について解釈が行われる。その専門家会議に関しましては、連携病院の医師等も何らかの形で参加していただく形になることを想定しています。実際に患者に説明、治療に当たるのは、連携病院の医師という形を想定しております。

 スライド番号6に関しましては、こちらも前回とほぼ同じスライドになりますが、追加の事項としまして、がんゲノム医療連携病院のあり方に関して、がんゲノム医療中核拠点病院の要件を参考に、一部は簡略化するような形、あるいは一部は同等のものを求めるような形で提案させていただければと思っております。

 スライド7から9に関しましては、前回にお示ししたがんゲノム医療中核拠点病院(案)の指定要件の考え方になります。こちらに前回、御議論いただいた部分について赤字で追加を示しております。先ほどの資料1ともほとんど同じような状況になりますけれども、それぞれ説明しますと、1番に関しましてはパネル検査を実施できる体制の中で外部認定を受けた臨床検査室ですとか、外部認定に準拠した体制を有する遺伝子関連検査室、もしくは外注する場合は外部認定に準拠した体制を有する外部医療機関など、そういった部分について追加しております。

 2番のパネル検査の医学的解釈につきましては、前回の議論でもありましたように、当該患者につきましては主治医あるいは担当医の参加も必要ではないかということで、追加させていただきました。

 3番、遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能な体制に関しましては、遺伝カウンセリングの専門家に加えまして、パネル検査の補助説明を行ったり、必要時に遺伝カウンセリングをつないだりする者が必要ではないかというところで、赤字で追加しています。

 4番、パネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有していることについては、がん診療連携拠点病院に加えまして、小児がん拠点病院についても選定の対象とすることとしております。

 5番、パネル検査結果や臨床情報等について、セキュリティーが担保された適切な方法で収集・管理ができ、必要な情報についてがんゲノム情報管理センターに登録することに関しましては、前回の議論としましては、情報管理センターは国立がん研究センターが適当かという御意見がありましたので、そこに赤字で追加しております。

 6番に関しましては、先ほど御意見もありましたけれども、こちらについてはゲノム研究用とゲノム診療用を併記するような形でまとめさせていただこうと思っております。

 7番に関しましては、前回、臨床研究中核病院水準というものが出ましたので、この後の議論の中でそちらについて議論いただければと思っております。

 その他の事項に関しまして、人材育成機能や連携病院の診療支援機能が必要ではないか、地域性を考慮すべきではないかということも議論として上がりましたので、考え方の中に含ませていただきました。

 資料4については、以上になります。

○西田座長 資料4は多分、何もないと思いますので、引き続きお願いできますでしょうか。重複している部分もございますので、一緒に説明していただいたほうがいいかなと思います。お願いします。

○事務局(丸野) では、続きまして資料5「がんゲノム医療中核拠点病院(案)等の指定要件(案)」をごらんください。

 まず、スライド番号2に関しましては、前回もお示ししましたがんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会の報告書で挙げられました8項目について記載しております。この8項目に沿いまして、今から、がんゲノム医療中核拠点病院並びにがんゲノム医療連携病院の指定要件(案)を示させていただきたいと思います。

 まず、前提として断っておきますのが、今回、実績や人的要件に関しましては、○○件や○○例といった形で、現時点では明記しない形で記載させていただいておりますので、今回の議論の中でそれがどのような数値が適当であるのかを御議論いただければと思っております。

 左側ががんゲノム医療中核拠点病院の指定要件(案)、右側ががんゲノム医療連携病院をがんゲノム医療中核拠点が指名する際に考慮するべき点として記載しております。

 1番の遺伝子パネル検査を適切に実施するための体制では、前回の御議論でもありましたけれども、外部機関による第三者認定について記載させていただいております。遺伝子パネル検査を行うための病理検査室あるいは臨床検査室に関しましては、がんゲノム医療中核拠点では第三者認定を受けていることと記載させていただいております。病理検査室におきましては、病理検体の取り扱いに精通し、かつ、病理診断に携わるその領域で高い専門性を認知された医師と臨床検査技師を配置すること。外注する場合に関しましても、第三者認定を受けた、もしくは第三者認定に準拠した体制を有する外部医療機関、あるいは第三者認定を受けた外部検査機関などの適正な契約のもとパネル検査を実施することとして、要件としてまとめております。

 連携病院に関しましては、第三者認定に関しましては、現時点では「望ましい」と書かせていただいております。パネル検査におきましては、先ほどのモデル案でも出させていただきましたように、基本的には中核病院のほうでパネル検査を実施するということですので、がんゲノム医療中核拠点病院に検体を速やかに送付できる体制を整備していることと記載しています。

 2番のパネル検査結果の医学的解釈可能な専門家集団を有していることに関しましては、遺伝子パネル検査の結果を医学的に解釈するための多職種検討会、以後エキスパートパネルと述べさせていただきますが、こちらに関しましては月1回以上開催すること。エキスパートパネルの構成員に関しましては、次のスライド5番、6番になりますけれども、薬物療法に関する専門的知識を有した医師、遺伝学に関する専門的な知識を有した医師、遺伝医学に関する専門的なカウンセリング技術を有する者、病理診断に携わる医師、分子遺伝学やがんゲノム医療に関する十分な知識を有する専門家、バイオインフォマティクスに関する十分な知識を有する研究者といった形で記載させていただいております。

 エキスパートパネルに関しましては、連携病院に関しては中核拠点病院と連携して会議に参加することというところで、参加の方法に関しましてはテレビ会議等も活用しながら検討することとさせていただいております。解釈された結果に関しましては、連携病院できちんと患者に説明できる体制を有することと記載させていただいております。

 資料をおめくりいただきまして、3番の遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能であること。こちらに関しましては、遺伝カウンセリングが実施できるような部門を設置するというところで、マル2に当該部門の長として、遺伝医学に関する専門的な知識を有する医師を配置すること、当該部門には遺伝医学に関する専門的な知識を有する医師を、何名以上というのはまた御議論いただければと思っております。遺伝カウンセリングの技術を有する者の設置、あるいはそれぞれ遺伝医学に関する者に関してはエキスパートパネルに参加することを要件として書かせていただいております。

 6番、7番に関しましては、実績の要件となっております。6番、7番に関しましては、遺伝性腫瘍を含めた遺伝カウンセリングの実施とか、遺伝学的検査の実施といったものを指定要件として検討してはどうかと提案させていただきます。

 前回もありましたけれども、二次的所見が見つかった場合の対応方針についても、自施設内で明文化された対応方針を定めるということを指定要件として掲げております。先ほども申し上げましたように、専門的なものに加えまして、遺伝子パネルの検査の説明とか、二次的所見が見つかった際にカウンセリングのほうにつないでいく者を配置することも指定要件として中核拠点病院には提案させていただきます。

 連携病院に関しましては、遺伝カウンセリングに関しまして重要となりますのは、ほぼ同等のものを有しておりますが、現時点で遺伝カウンセラーの人数が限られておりますので、遺伝性腫瘍を含めたという部分については、がんゲノム医療連携病院のほうでは落としている状況になります。

 続きまして、4番のパネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有していること。こちらに関しましては、前回に御議論いただきました。ほぼ了承が得られたかと思っておりますが、厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院または小児がん拠点病院であれば対象者は十分いるのではないかと思っております。

 5番に関しましては、がんゲノム情報管理センターに必要な情報を登録することを中核拠点病院には求めておりまして、その際に、データ管理を行う部門の設置あるいはその責任者の設置、がんゲノム医療を受ける患者の臨床情報及びゲノム情報を収集・管理する実務担当者の設置とセキュリティーが担保された体制を求めています。それに対しまして、連携病院に関しましては、情報等をきちんと中核拠点病院に提供できる体制を有していること。ただ、提供する場合には、責任者の設置を連携病院にも求めていくという形を記載しております。

 6番の手術検体等生体試料を新鮮凍結保存可能な体制につきましては、先ほど御指摘がありましたけれども「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」をこちらに記載しておりますが、こちらに関して研究用についても併記するという形で今後は検討していきたいと思います。バイオバンクに関しましては、がんゲノム医療中核拠点におきましては臓器横断的に、病院が一体となって保存する体制を整備していくことを要件として挙げております。連携病院に関しましてもほぼ同等のものですけれども、こちらに関しましては臓器横断的という部分は落としたものとなっております。

 7番に関しましては、まず、臨床研究の実施の要件、実績として当該施設において未承認薬もしくは適応拡大に関するがんの薬物療法の企業治験、医師主導治験、先進医療Bの条件を設置しております。こちらについても症例等がどれぐらい必要なのかは、今回、議論いただければいいかなと思っております。やはり研究開発を主導するという、他施設を指導するという意味でも、当該施設において新規の医師主導治験、先進医療Bを主導的に実施していることを、指定要件として挙げております。

 連携病院に関しましては「主導的に」という部分は落としまして、当該施設において未承認薬もしくは適応拡大におけるがん薬物療法の企業治験、医師主導治験または先進医療Bなどの実績を要件として挙げております。

 続きまして、その体制に関して、当該施設は臨床研究中核病院の水準ということが前回の考え方で挙げられたかと思います。現在、こちらに関しましては、医療安全に関する部分を臨床研究中核病院の指定要件から参考に記載しております。連携病院に関しましても、医療安全の部分は必要かと思いますので、こちらに関しても特定機能病院のものを参考に医療安全に関する体制整備を記載させていただいております。

 8番の医療情報の利活用や治験情報の提供について患者等にわかりやすくアクセスしやすい窓口を有していることに関しましても、臨床研究中核に関しましては既に窓口等が設置されているものと理解しておりますが、当該施設が臨床研究中核ではない場合は、臨床研究中核に準拠した窓口の設置を記載しております。基本的にはがん診療連携拠点病院と小児がん拠点病院ですので、がん相談支援センターにおいて患者家族にわかりやすく情報提供をできる体制を整備することを記載しております。連携病院に関しましては、臨床研究中核ではないことを想定しておりますけれども、こちらに関しましてもやはり相談窓口は必要であろうというところで、当該施設において窓口を設置することを指定要件の案として出しております。また、がんゲノム医療に関しまして、自施設で情報提供ができる体制を整備することを挙げております。

 その他の事項に関しましては、がんゲノム医療中核拠点病院に関しましては、まずは遺伝子パネル検査に関して、外注を含めて実施した実績があることが必要ではないかということが前回は挙げられたかと思います。また、がんゲノム医療を病院一体として行う上で、がんゲノム医療を統括する部門を設置しまして、責任者として医師を配置することを求めております。

 地域性に関しましての記載としまして、地域性も考慮しまして、全国でがんゲノム医療が提供されることと記載しております。連携病院に関しましてもある程度の地域性の考慮が必要だと考えておりますので、こちらについても、中核拠点病院が指名する際は患者のアクセスや情報の共有などの利便性を考慮することとして記載させていただいております。

 最後のスライドになります。診療連携、人材育成につきましてですが、中核拠点病院に関しましては、その他の病院を牽引していくような機能が必要というところで、診療連携に関しては臨床試験や治験等について、そのほかの拠点病院やがん患者に対し情報提供を行うこと。臨床研究などに対して、必要に応じて患者の受け入れを行うこと。エキスパートパネルに関しては、連携する施設に適切に情報提供を行うこと。連携する施設と協力して情報を集約し、集約した情報に関しましては、がんゲノム情報管理センターへの登録や関係する医療機関やがん患者等に対して適切に情報提供を行うこと。連携する施設の医療機関等の診療従事者も参加するような合同カンファレンスを行うことを中核拠点病院の要件として挙げております。

 人材育成に関しましても、必要な研修や講習などの受講について診療従事者に促すこと、あるいはパネル検査に関しても当該施設及び連携する施設のがんゲノム医療に携わる医師等を対象とした検査の意義とか二次的所見の発生の可能性について、総合的な研修を実施することを指定要件に挙げております。

 連携病院に関しましても、診療連携として、もちろん中核拠点との連携も必要なのですが、地域のがん診療連携拠点病院との連携を、がんゲノム医療連携病院には求めていくような形で、地域のがん患者の受け入れを行うことを挙げております。臨床研究、治験に関しましては、必要に応じて連携するがんゲノム医療中核拠点病院に患者を紹介することとして、指定要件に挙げております。

 以上になります。

○西田座長 ありがとうございました。

 4と5を2つ御紹介いただきました。基本的には、4のほうは前回の議論に基づいて変更点を御紹介いただいたのですけれども、これからは順番に、1番からその他のところまで一つ一つ、まずは中核のほうを議論させていただいて、その後に、連携のほうという形をやっていきたいと思うのですが、数値要件も含めて議論するということでよろしいでしょうか。

○小杉構成員 全般的なことなのですけれども、資料4で前回にお話があった、中核拠点のほうは厚生労働省がこの指定要件に基づいて指定されるということで、まず、これは一つでも要件を満たしていないと指定されないというミニマム・リクワイアメントを示しているのか、それとも、ある程度将来的なことを見越して、そこがベストプラクティスになれるようにということを考えられているのかということで、これから考える、検討する要件というものの考え方も変わってくると思うのです。そのあたりはいかがでしょうか。

○西田座長 佐々木課長、お願いします。

○がん・疾病対策課長 結論から申し上げますと、ミニマム・リクワイアメントです。その上で資料5にありますとおり、前回も経過措置の議論がありました。例えば今、直ちにそろうことはできないけれどもn年以内であればということがあれば、それはわかるような書き方をしていただき、中核拠点病院というよりは連携病院のところで書いているのですが、場合によってはミニマム・リクワイアメントなのだけれどももう少し緩い書き方で「望ましい」という表現をすることによって、ミニマム・リクワイアメントの中でも多少の強弱をつける余地を残し、その上で、審査の際、例えば中核拠点病院が連携病院を申請する際に、そこで判断できるような余地を残すというたてつけを考えております。

○小杉構成員 中核拠点病院が連携病院を指定するのですけれども、イメージとしてどれくらいの施設の数をイメージされているのでしょうか。

○西田座長 佐々木課長、お願いします。

○がん・疾病対策課長 連携病院の数ですか。これは要件を満たせば、数に制限をということは考えておりません。もし本当に要件を満たせば、患者の利便性を考えれば、より多いほうが望ましいので、要件を満たしているのに落とすということは想定しておりません。

○西田座長 よろしいでしょうか。基本的には中核のほうは手挙げ方式ですね。この条件を満たした施設が手を挙げられるという形かな。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 今の話とつながるのですけれども、中核拠点病院がなかったら、もう連携病院はあり得ないですね。ということは、そういうものがない地域は連携病院ができないということになるので、そういう意味では、中核拠点を選ぶときにはかなり地域性を考慮されて選ぶわけですか。

○西田座長 したがって、最後のその他のところに地域性を考慮するということが書いてありますので、ある意味地域性で拾い上げられる可能性はあるという理解でよろしいですか。もちろん最初から満たしていないものはだめだけれども、非常にボーダーラインである場合には、そういう方向で検討するという理解でよろしいですね。大体皆さん御理解いただいたかと。

 土原先生、どうぞ。

○土原構成員 連携病院を指定する際には、中核拠点病院の近隣にあるということは、特に今回の議論ではないようなのですが、遠隔地の病院を連携病院にすることは想定されているのですか。

○西田座長 どうぞ。

○がん・疾病対策課長 端的に申しますと、想定しております。例えば検体の搬送とか会議の参加を考えますときに、検体が確実に搬送できる。これは恐らくそんなに我が国の国内であればよほどのことがない限りハンディキャップはないと思いますし、エキスパートパネル、専門家会議の参加につきましても、例えばテレビ会議を活用することによってそこはカバーできると思いますので、同じブロックという言い方になるのでしょうか。東北、関東、中部とか、そういうことに必ずしも限るものではない。だけれども、一方で、さまざまな意味での人的な交流を考えればある程度、結果論としての地域性が、中核拠点病院と連携病院との間で何となく地域が決まるというのはあろうかと思いますが、初めからそれを要件もしくは考え方として求めるということはないと考えております。

○西田座長 ありがとうございます。

 現実に臨床研究中核病院でも、今、中核病院の集まりをやっているのですけれども、連携してやっているところは地域性があって、九州大学は九州の病院、あるいは四国までですか、それぐらいですし、関東を越えて北海道と連携しているというのは余りないです。

 今回は検体が移動するだけなので、患者自身が移動することはないので、できないことはないと思いますけれども、現実的にはそのようなところに落ち込むのではないかと理解しています。ほかによろしいですか。

 加藤先生。

○加藤構成員 今の議論と同じ話で、ということは、要件として地域性を入れるのはなかなか難しいのは事実だと思うのですけれども、今、西田先生もおっしゃったとおり、中核病院の指定だけではなくて連携病院もある程度地域性はカバーする必要があると思うのです。遠隔地もある一方で、やはり近隣の人的な交流、研修も人的な育成も含めて考えますと、地域性をある程度考えて、中核病院は担当のブロックから連携病院も必要最低施設数を幾つにするかは別として必ず指定して、逆に言うとそこの地域の人材育成を中核は担うという形になるのが理想的かなと思います。

○西田座長 適正な御指摘をありがとうございます。

 当然そうなると思いますし、むしろそうなってくれるように中核病院には当局から御指導と言ったらおかしいのですけれども、御説明があるかなと理解しております。よろしいでしょうか。

 順番に1番目から参りましょう。1のパネル検査を実施できる体制がある。特に中核拠点のほうを見ていただいて、まず、基本的には皆さんこの内容は了解だと思います。先ほどありましたように、病理組織検体取扱い規程に関しましては診療と研究の両方を併記するという形で、両方ちゃんとやるということ。

○佐々木構成員 ここは多分、診療用だけでいいのです。

○西田座長 いいのですか。凍結がないですか。わかりました。

 よろしいですか。

○佐々木構成員 もう一つなのですが、専門医という用語。例えば(ウ)で「病理診断に携わり、その領域で高い専門性を認知された医師」を「病理専門医」という言葉で簡単に置きかえるのは難しいのでしょうか。がん診療連携拠点病院の人の要件にも、例えば臨床細胞学会が認定した細胞検査士であることが望ましいような、そういう文章が公的にも出ているのですが、例えば、専門医機構がやがて認定するようになりますが、そういうところで認定された専門医という言葉を、要するに、その分野に通じた医師として簡単に書いてしまうということは難しいのでしょうか。

○西田座長 私自身は、どちらかというと、まだNPOの段階ですね。国家資格にまでなっていないものをここに書き込むのが適切かどうか。国で認められれば、あるいは共通に認められれば書き込んでもいいのかなと思っているのです。ですから、ある程度専門性というもので担保せざるを得ないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。なかなかここは非常に微妙な意見がある。病理のところは多分、1つしかないのですけれども、2つ、3つあるところがありますね。それを全部書き込むのかという話になりますしね。

 ほかに御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。一応こういう形の表現で行きたいと思いますけれども、よろしいですね。

 事務局は何かありますでしょうか。

○がん対策推進官 逆にこういった、例えば専門医とかカウンセラー的な資格があるということであれば、この場で先生方に御発言をいただいて、我々あるいは中核拠点病院が連携病院を新設する際の参考にしたいと思っていますので、御意見をいただければと思っています。

○西田座長 いわゆるここの記録というか、議事録というのはおかしいのですけれども、ここでディスカッションする上では言っていただいても問題ない。それは私も賛成です。むしろちゃんと言っていただく。こういうものがありますというのを認識しておくことは非常に重要ですのでぜひ、この領域では病理学会の専門医ですね。検査技師に関しては、どんなものがございますか。

○佐々木構成員 病理学会と日本臨床検査技師会が認定している、認定病理検査技師というものがございます。認定病理検査技師の場合には、指定講習を受講してもらったりとか、あとは2つの学会、両学会で主催して行う筆記試験を2日間にわたって行いますが、それを受験していただいて、ある程度、普通の臨床検査技師の国家試験よりも、さらにちょっと病理検体などをハンドリングするための難しい問題を対象にした試験などをクリアした人を両学会で認定して、資格を与えているというものがございます。

○西田座長 ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。ほかに特に、この辺の領域で専門医とか認定技師制度はございませんか。大丈夫ですね。

 もう一つは施設認定のところで、外部認定を受けなければいけない。前回、ちょっとディスカッションがあって、3つぐらいありますね。日本だったら取れるのがISOしかないという理解だったと思うのですが、ISO15189が基本という考え方で、もちろんCLIAを取っていてもいいけれどもというぐらいの理解でよろしいでしょうか。

 どうぞ、石川先生。

○石川構成員 臨床研究中核病院は、病理検査室や臨床検査室の第三者認定の基準は何かございますでしょうか。

○西田座長 臨床研究中核に関しては、そこまでの規定はたしかなかったと思いますけれども、ありましたか。検査室はありましたね。病理室はないですね。

○石川構成員 病理検査室の第三者認定と書いてあるのですけれども、実際に病理でとられていないところも幾つかあるという話なのですが、実際、この病理検査室をISOに対応させるということはどれぐらい難しいのでしょうか。

 前回に山口先生から、病理の検査室は結構アバウトに運営されているということがあったのですけれども、実際にこれをISOに適応させるというのは、具体的な運用上の問題点は何かあるのでしょうか。

○西田座長 佐々木先生、どうぞ。

○佐々木構成員 ISO認定施設とISOが認定されていない病理検査室の大きな違いは、クオリティー・マネジメントがISOは非常に厳しい。ですので、いろいろな記録を残して、その記録、例えば検体の取り違えがあったりとか、そういう記録を全て証拠として残しておいたりとか、クオリティー・マネジメントが非常に厳しいのがあります。

 ですので、その点が非常に大きい。ゲノム診療を考えた場合に、そういうクオリティー・マネジメントは非常に重要だと思いますので、病理検査室での、ゲノム検体、体細胞遺伝子検査などは病理検体を扱うと思うのですけれども、その辺のクオリティー・マネジメントが大切ということで、取得していたほうがいいのではないかと考えています。

○石川構成員 では、特にこれに対応させることに、実際に大きな問題はないだろうとお考えですね。

○佐々木構成員 そのとおりでございます。

○西田座長 ただ、例えば遺伝子検査が出てこなかった。要するに、シークエンスできなかったときにトレーサビリティーがないと問題になると思いますので、どこに原因があったかはその次の改善にはぜひ必要になるので、ここのトレーサビリティーは保証する必要があるかなと思います。

 佐々木先生、そういう考え方でよろしいでしょうか。

○佐々木構成員 ありがとうございます。

○西田座長 どうぞ、事務局。

○事務局(丸野) 事務局からです。病理検査室に関しましては、前回の議論でも多かったと思うのですけれども、今回、中西先生からもありましたが、経過措置に関しても前回、言及があったかと思いますが、経過措置については一体どのようにすればいいのかも御議論いただきたいと思います。あとはもちろん、先ほど西田座長もおっしゃろうとしましたけれども、人的要件について、人数なども何かありましたら、御議論いただければと思っております。

○西田座長 経過措置ということは、つまり、途中でもう一回評価する時期がなければ経過措置はできないと思いますので、一回見直す時期はどれぐらいになりますでしょうか。

 佐々木課長。

○がん・疾病対策課長 きょうの資料にはつけておりませんが、コンソーシアム懇談会の6月の最終レポートの中でもありましたけれども、おおむね2年をめどに私どもは考えておりますので、2年を一つの目安にしていただきたいと思います。

○西田座長 そうなりますと、普通に考えればそれに合わせたほうが現実的だと思うのですが、いかがでしょうか。皆さんよろしいですね。

 では、経過措置に関してはそう考える。あとは○○となっている数値要件で、これは佐々木先生の御意見を聞いてからみんな考えたほうがいいかなと思いますので、佐々木先生、御意見をどうぞ。

○佐々木構成員 ありがとうございます。メールでもお知らせしたのですが、病理学会側としては、専門医は5名ぐらい。臨床検査技師も5名以上ということで、ゲノム医療中核拠点病院の場合には、恐らくは7から10カ所というお話もあり、診療報酬の話なのですが、病理診断管理加算2というものが実は診療報酬の中にありまして、そこには複数の常勤の病理医が勤務しているということで、それを取得している病院は全国にかなりあります。

 ですので、5名以上としても7から10の病院を指定するのであれば、漏れるところは恐らくないだろうということで、具体的な数字を入れるとしたら5名以上。もしくはそれが難しいということであれば、複数名とかそういう文言でもいいのかなとは考えます。

○西田座長 それは病理医ですか。両方ですか。

○佐々木構成員 両方ともです。

○西田座長 両方ともですか。

○佐々木構成員 検査技師も両方です。

○西田座長 検査技師も病理医も5名以上。認定検査技師も5名。

○佐々木構成員 もし認定病理検査技師という要件で入れるとすれば、5名いるところは、今のところ全国で1カ所もないのです。

○西田座長 私もそう聞いていました。だから、突然5名が出てきたので、正直言ってびっくりしたのです。

○佐々木構成員 言葉が「臨床検査技師を」ということであれば5名。そのうち1名は認定病理検査技師であることが望ましいとか。先ほど佐々木課長の中に「望ましい」という言葉は、なるべくゲノム医療中核拠点病院からは除くような御発言がありましたので、幾つか「望ましい」という言葉が実は後ろのほうにも出てくるのですが、そういう「望ましい」という言葉が余り適切ではないということであれば「うち1名は認定病理検査技師」と書いてもらうといいかもしれません。

 ただ、実は臨床研究中核病院で認定病理検査技師がいる病院はまだ3つしかなくて、8つの病院にまだ認定病理検査技師がいない状況もありますので、ここで余り強く言ってしまうと臨床研究中核病院が指定要件から外れてしまうということもあります。まだ始まったばかりの認定で、全国で555名しか認定病理検査技師はおりませんので、その辺の要件を鑑みて、臨床検査技師であれば5名。認定病理検査技師であれば、例えば2年以内ですか、そのぐらいのうちに1名は認定病理検査技師の資格を有していることとか、そういう措置を施していただければ、文言として盛り込んでいただくことが可能なのかなと思いました。

○西田座長 ありがとうございます。

 (ウ)ですけれども、この検査技師は専門性が高い、先ほど認定病理検査技師を私はイメージしていたのですが、そうではないのでしょうか。

○事務局(丸野) 事務局になります。

 スライド3の(ウ)になるかと思いますけれども、こちらとして考えていましたのは、病理医に関しましては、領域で高い専門性を認知された医師と臨床検査技師と想定しておりましたので、こちらの部分に関しましては、実をいうと、前回、議論がありました認定病理検査技師とかゲノム標準化の講習を受けた検査技師を想定しておりました。

○佐々木構成員 ありがとうございました。

○西田座長 そうしますと、これは佐々木先生の意見によると、1名以上で経過措置を認めてもいいのではないかと。それぐらい難しいものだという御意見ですね。

○佐々木構成員 今、講習会のお話がありましたが、もともとゲノム病理標準化センターの講習会を受講しているということであれば、全ての臨床研究中核病院に受講した方はいらっしゃいます。

○西田座長 経過措置の中に受講した人が必ずいることというのは入れておかないといけないですね。きちんとやっていただかなければいけないので、そういう形でいかがでしょうか。

 どうぞ。

○山口構成員 先ほどの御説明のような文章にこれは読めないと思うのです。単にこれは臨床検査技師の数を言っているだけで、このままだと専門性が高いとかいうこととは違うように読めると思うのです。そこに何か入れないと、今、言ったような解釈にはならないのではないかと思います。実際、本当にそれが要るのかどうか。ないとできないものかどうかも考えていただかないと、スタートからやたらと厳しくなると、現実性がなくなってしまうのではないでしょうか。

○西田座長 まず、病理のほうから行きましょうか。病理のほうは先ほど5名という意見がございましたけれども、そのあたりでいかがでしょうか。なかなか厳しいところもあるかなと思いながら聞いているのですけれども、5名ぐらい。これは領域を鑑みて5名なのであれば、なぜ5名なのかという説明が必要です。

○佐々木構成員 ゲノム医療中核拠点病院の指定を臨床研究中核病院とかなり重ねて考えると、現在の11カ所の臨床研究中核病院には5名以上の病理医がいるので、その要件で十分かなと考えました。ただ、それが大きく外れるようであると、5名が厳しい病院も出てくる可能性はあるのかなと考えます。

○西田座長 5名というのは結構厳しいと言えば厳しいですね。ぎりぎりの病院も結構あるのではないかと思うのですけれども、山口先生、いかがですか。

○山口構成員 やはり広範な、いろいろな試料を扱いますので、病理医の先生が5人おられたほうが、中核としては適正だと私も思います。

○西田座長 小児の領域で加藤先生、どうですか。

○加藤構成員 ありがとうございます。小児病院で恐らく専門の病理医が複数名いるところが少ないぐらいだと思いますので、小児がん拠点病院ですら1名のところもおりますので、1名プラス非常勤1名みたいな施設もたくさんありますので、小児がん拠点病院に5名を求めると、もともとそんなに定員がいないと言われてしまいます。ですので、どういう形にするか。例えば小児病院を少し別枠で「ただし、小児病院に関しては××」みたいな形にするか、いずれにせよ手挙げをして指定という形ですので、複数名という形にしておいて、実質は選ばれるところには5人、6人いるという形でもいいのかなと私は個人的に思いました。

○西田座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見はございますか。複数名という表現が一番適切かなという気がいたします。病理のほうは複数名。これは多分、専門領域が異なるというのは頭の隅に置きながら複数名にしたいと思います。あとは認定といいますか、専門病理の技師であると。専門性の高い技師であるという表現に変えていただいて、これであれば1名で、経過措置ありで、経過措置の場合には講習を受けている人がいるという前提で経過措置をする。講習を受けた方は、今、500名ぐらいいらっしゃるとおっしゃっていましたね。

○佐々木構成員 認定病理検査技師が555名で、講習を受けている方は700名近くになっていまして、次回、9月23日にある講習で番号が700番を超える予定になっています。

○西田座長 それなりの数があるという理解ですから、1名はあっても不思議はないかな。それは頑張って取りなさいというぐらいのニュアンスかなと思います。

○佐々木構成員 ゲノム病理標準化センターの講習会は「ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程」に従って説明する講習会なのですが、この講習会を受講した方たちは、恐らくはがん診療連携拠点病院の中ではかなり多数いらっしゃいますので、今回のゲノム医療中核拠点病院を指定するときには、さして障害にならないと思います。

 ですので、要件に加えていただいても大丈夫かなとは思いますが、認定病理検査技師というと結構厳しくなるということで、経過措置を加えていただければと思います。

○西田座長 佐々木先生からそういう御意見ですけれども、皆さん方、よろしいですね。ここは検体の品質を保証するところですので、それなりに重要かなと思いますので、今、佐々木先生がおっしゃったような形で、1名あれば1名でそれでいい。ない場合には講習を受けているということでいきたいと思います。経過措置としては、2年以内にちゃんと認定を受けていただくという形です。

 次は、同じところの1で、連携病院のほうをどうしますかということなのですけれども、主には、基本的には中核をベースにして(ア)から(ウ)ができているのですが、ここで議論になるのは、数値要件のところがメインかなと思います。

 佐々木先生、それも含めて全体の連携病院のところで御意見はありますでしょうか。

○佐々木構成員 こちらのほうは、もしかしたら1名しかいないところも出てくる可能性があるので、1名以上専従がいることとか、そういう言葉でもいいかなと思うのですが、そういう言い回しになる可能性があって、複数を求めると厳しい病院が出てくる可能性があります。というのは、病理医が常勤で勤務している病院の45%ぐらいが1人病理医病院であるということで、がん診療連携拠点病院でも1人病理医の病院がたくさんありますので、もしもゲノム医療連携病院のほうはもう少し広くということであれば、ここは2名とかで入れてしまうと厳しい病院が出てくる可能性があると思います。

○西田座長 ありがとうございます。

 病理医は1人。検査技師は、これは通常の臨床検査技師でいいですね。望ましいとすれば講習を受けておいてほしいというぐらいですね。よろしいでしょうか。ある程度これは後の安全のところもかかわってきて、安全のほうでは特定機能病院レベルの医療安全を求めますので、当然病院はその辺の範囲になってきますので、非常に小さい病院は全く想定していないと思います。ここはよろしいですか。

 1番目は、一応コンセンサスを得ました。事務局のほうもこれでよろしいですね。

 2番目、パネル検査結果の医学的解釈が可能な集団を有しているということでございます。まずは中核のほうから議論をしていきたいと思います。スライドの4から6までです。

 この辺は土原構成員が比較的専門の領域かなと思います。いかがですか。東病院の実態を含めて御意見をいただいて、まず、数値要件の前にこれはというものがあれば教えていただきたいのです。

○土原構成員 特に数値要件以外のものは、これまでの議論でもありましたので、項目についてはこれでよろしいのではないかと思います。

○西田座長 皆さん方はそれでよろしいでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 土原先生にお伺いしたいのですけれども、資料4の5枚目のスライドを見たら、1から8までいろいろな手順等で行くわけですが、時間はどれぐらいかかるのでしょうか。つまり、ここでエキスパートパネルの開催を月に1回しかやっていないようだと、物すごく時間がかかってしまって、検査してあちこち行っているうちに進行してしまって、だめになってしまうのではないか。

○土原構成員 月1回以上というのは、これは本当にミニマムのリクワイアメントだと思います。基本的には、検査結果が返ってきてから1週間以内の開催が、今、恐らくルーチンで行っている中央病院とかにおいては実施されているものではないかと思います。

 ですので、1回以上ですけれども、実際には、もちろんここはもっと頻繁にやるべきであるとは思いますが、ミニマム・リクワイアメントとしてという数字かと思います。

○西田座長 中央病院は一応週1回で、東もそうではないですか。

○土原構成員 東もやっているときには、ちょっと以前でしたので2週間に1回を原則としていました。現在はメールベースでもっと頻繁にやるという形です。

○西田座長 多分、検体数に応じてというようになると思うのですけれどもね。

 それとちょっとあったのですけれども、私の誤解だったらごめんなさい。(オ)と(カ)で、論文は要りますかという意見がどこかで、メールか何かで聞いたのですけれども、実は、これは入れたほうがいいかなと私自身は思っています。なぜならば「でもしか」が出てくるとこまります。全く痕跡がないのに私はやっていますと言われると、それは問題になってしまうと思うので、ある程度そういうことはちゃんとやっていましたという証拠として少しあったほうがいいかなと個人的には思っているのですが、土原構成員、よろしいですか。

○土原構成員 私も今回の案を前回から引き続き見たときに、(ア)から(エ)のほうにこうした細かい要件がなくて(オ)と(カ)に急に出てくるのが少しどうかなと思ったのですが、これもむべなるかなと思うところがございまして、(ア)から(エ)までは、いわゆるこれまでも議論に出ていたような学会の認定医であるとか、そのような制度がある程度進んでいるのに対して、(オ)と(カ)の部分はまだ一般的に認められる。特に医療の世界で認められるものが若干少ないのかなというところを反映するとすれば、こういう書きぶりかと思います。

○西田座長 (ア)は大きく分けて日本臨床腫瘍学会でしたか、その辺の専門医がございますし、あとはよく存じ上げないのですけれども、ほかに何かありますか。化学療法の専門医です。

○土原構成員 一般的には日本臨床腫瘍学会の薬物療法専門医が最も認知されているのではないかと思います。

○西田座長 これは小杉先生に聞かなければいけないのですけれども(イ)(ウ)であれば、どういうところの専門性がありますでしょうか。

○小杉構成員 次の3の項目にも出てくるのですけれども、(イ)に関しては、日本人類遺伝学会と遺伝カウンセリング学会が共同で学会認定をしている臨床遺伝専門医がそれに相当します。これは3年間の研修を経て筆記試験及び実技試験を経て認定されるものになっております。

 (ウ)の遺伝カウンセリング技術を有する者に関しては、これも日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で学会認定をしている認定遺伝カウンセラーというものがございまして、基本的には現在、修士課程の2年の年限で教育を受けて、同様の試験に合格した者ということになります。どちらのほうも、横断的な遺伝医療に関する知識及び遺伝カウンセリングに関するスキルの教育を受けて、それの専門性が認められたものという形になっております。

○西田座長 ありがとうございます。

 順番に行きますと、最初の(ア)に関しては複数名。これは複数名でよろしいですね。できたらこれは、領域が異なったほうがいいかなという気がしますので「領域の異なる複数名の」と入れていただきたいです。お願います。土原先生、そういう具合でよろしいですか。

○土原構成員 私も同じ意見です。

○西田座長 (イ)と(ウ)に関しまして、小杉先生、これはなかなか人が少ないと伺っているので、今後の見直しが必要だと思うのですけれども、最初の要件としてのミニマム・リクワイアメントなので、どのぐらいのものなのでしょうか。

○小杉構成員 (イ)に関しては、一応、今、臨床遺伝専門医が1,300名ぐらい人数としてはいるので、できれば複数名と言いたいところなのですけれども、最初は1名でも仕方がないのかなと思っています。

○西田座長 (ウ)は。

○小杉構成員 (ウ)の遺伝カウンセラーのほうに関しては、現在、200名で、ただ、これはいろいろなニーズが今後はふえてくるので、学会等のほうとしては1,000名ぐらいまでふやしたいと考えているのですけれども、専門性を有するのに教育にかなり時間がかかるもので、当初としては1名。複数名とはとても言えないということです。

○西田座長 両方とも1人以上。病理は先ほど複数名でしたから、複数名でよろしいですね。(オ)(カ)に関しては、そんなに専門性が高いものは、特にがんにいないと思いますので、これは土原構成員、1名ずつでよろしいですか。

○土原構成員 いずれも1名が現実的だと思います。

○西田座長 ということで、皆さん方、そういう形でよろしいでしょうか。

 加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 加藤です。内容のほうに関しては全く異存がないのですが、上にある「一部の診療領域について他機関との連携により対応することを含む」とあるのですが、中核拠点とかを単施設ではなくて、例えばコンビネーションを組んだ密接に連携を組んでいるような病院を一つの施設とみなして指定するようなことを想定されているのでしょうか。

○西田座長 佐々木課長、お願いします。

○がん・疾病対策課長 当初の指定の段階では、まだそこまでは想定しておりません。

○西田座長 多分、当初でやると非常に混乱を招く可能性があると思いますので、私もそのほうがいいかなと思います。

 中核病院のほうはこれでよいかと思います。拠点病院のほうはエキスパートパネルに参加するということなので、多分、どなたも異論はないと思います。よろしいですね。

 山口構成員、お願いします。

○山口構成員 「主治医、もしくは主治医にかわる者が参加することが望ましい」とあるのですけれども、主治医、もしくはそれにかわる者がなしでエキスパートパネルを開くということが実際にあるのでしょうか。

○西田座長 土原構成員、どうぞ。

○土原構成員 前回もその議論がありました。基本的には主治医は必ず出て、現場の議論を聞いて、それを診療に役立てるということかと思いますので、そうですね。ここは「望ましい」なのか。本文のマル2ですね。「望ましい」なのか「するべき」なのかという議論だと思います。

○山口構成員 主治医も知識を深めるためには参加して聞かないと、いつまでも上のほうからおりてきたものをそのままうのみにして下に流すだけになるし、患者のことを知っている人がそこにいないとまずいのではないでしょうか。これは必須にしたほうがいい。

○西田座長 なかなか厳しい御指摘がございました。どうしましょうか。

 大体こういうころでの「望ましい」は出席しなさいという意味も含まれているとは思うのですけれども、よろしいですか。

○石川構成員 小児がん拠点病院の話が入ってきましたけれども、小児に関してはかなりこれに似た枠組みで、エキスパートパネルに近いものができているかなと思うのですが、がんゲノムの通常の中核拠点病院のエキスパートパネルは、それなりに小児のがんの場合は小児の専門家も参加が必要なのかなと思うのですが、どういう形で小児がんの場合、こういうエキスパートパネルに参加したらいいのかは、実際にかかわられている先生からも御意見をお聞きしたほうがいいのかなと思っています。

○西田座長 加藤先生、どうぞ。

○加藤構成員 ありがとうございます。小児がんに関しましては、先ほどのいろいろな小児がんというよりは希少がんの特殊性とか、あとは治療とかのことに関してもそうですし、セカンダリー・ファインディングというようなことも全部含めて、小児がんの検査に関しては小児がんの専門医が加わることが望ましいと思います。

 難しいのは、中核の指定がなされた場合に、小児がんの検査、診断をどこでするのかとか、どこと連携するのかというところがなかなか難しいことになっていきますので、実際にはどのような形が適切なのか悩ましいというのが結論です。ただ、少なくとも小児がんの治療に関して小児がん専門医が参加する。それこそ先ほど山口先生がおっしゃったとおり主治医が参加して、そこに対してきちんと把握して、かつ、意見を言ってというようになることがかなり重要だと思います。小児がんの場合には、小児がんの治療医が親御さん本人に説明する場面が非常に多いので、情報はかなりきちんと把握するべきだと思います。

○西田座長 ありがとうございます。

 小児がんの場合、中核にいきなりなれるかどうかは微妙な問題があると思うのですが、幸い拠点病院の中に大学が入っていて、そこが十分要件を満たせば、ある程度飛び地であってもできるかなと考えます。最初はそこからスタートして、要件を満たしてやっていただくのが現実的かなと思います。

○加藤構成員 おっしゃるとおりだと思います。なので、小児がん拠点病院の単独の、いわゆる小児病院が拠点に最初からなることはまずないと思いますので、将来的な展望としては残しつつも、実際には連携でどうするかという形になると思います。連携のほうに関して、小児がんの場合には小児がん専門医が必ずエキスパートに参加するとか、そのような意味では、小児がんの場合、先ほど最初のほうに出た複数の領域というものがもともと存在しなくて小児がんの専門医が1人ですので、小児がんのことを想定すると、連携病院ということをまずは考えることになるのですが、それに関しては複数の主治医というものに関しては余り関係なく、実際にはエキスパートパネルにきちんと参加しなさいという形でいいかなと思います。

○西田座長 多分、そのようにされるでしょうし、もし規制しなくても小児がんの領域の人は必ず参加すると私は思います。よろしいでしょうか。小児がんのところで貴重な意見を伺いました。ありがとうございます。

 確認があるなら、どうぞ言っていただければと。先ほどの「望ましい」とするか、Shouldにするかという話ですね。Shouldにしますか。

○がん・疾病対策課長 スライド5のマル2の「望ましい」は、確かに、先ほどの小杉先生の指摘の言葉の定義をきっちりという意味では、主治医だけだったらもし万が一はあるかもしれませんが、もしくは主治医にかわる者が参加するというところで保険がきいていますので「望ましい」ではなく、確かにShouldだと思います。

○西田座長 Shouldにしましょう。承知しました。「参加する」で切ればいいですね。承知しました。ありがとうございます。

 1ページめくっていただいて、3番目ですけれども、これを見ていただいて、まずは中核の要件ですが、数値要件は先ほどもう既にそこで出ておりますので、よろしいかと思います。全体の中身も既に議論していきましたから、特段先生方から追加があれば。なければよろしいですね。

 小杉先生、よろしいですね。どうぞ。

○小杉構成員 6、7のところの件数。

○西田座長 そうですね。下のほうの件数ですね。これはどうしましょうか。

○小杉構成員 まず、一つこれの参考になるのは、今、遺伝学的検査で保険収載されているものについて、それを実施した場合に遺伝カウンセリング加算が認められるのが、年間20件以上の遺伝カウンセリングを実施しているという施設要件になっております。それは全体での遺伝カウンセリングなので、20件ぐらいあれば非常にいいかと思うのですけれども、最初の時点では10件程度実施している、それから、検査に関しても10件程度実施しているということでよいのではないかと考えています。

○西田座長 10件程度、10人程度ということですね。6が10人程度、7が10件程度。9番のつなぐ人は。

○小杉構成員 これはいわゆる補助説明を行ったりという方で、ここは恐らくある程度の人数が必要になってくると思うのです。それなので、ここは複数名いらっしゃるほうがいいかなと思っています。

○西田座長 下は複数名。私は別に全く異存がございませんけれども、ちょっとハードルが高いかなと思いながらも、がん領域ということになると、まだまだこれからの領域ですので10名程度という言葉でちょっと御了解いただけて、少しハードルを高くするという御意見でございますが、よろしいですか。よろしいですね。

 今度は連携病院のほうですけれども、これは中核ほどのあれは望みにくいと思うのですが、上のほうは先ほど話が出ましたので、それぞれ1名、1名ですね。3番、4番に関しましてはそれでよろしいですか。

○小杉構成員 基本的にはそれでいいと思います。下のほうに関しましては、常勤とは書いていないので、現実的には非常勤等で対応できる病院であれば、それで十分ではないかと考えています。

○西田座長 あとはスライドの下の段に行きまして、カウンセリングの実績。これはもう、がんというのはとってあるので、ちゃんと遺伝カウンセリングの実施体制があるということですね。

○小杉構成員 だから、それをとった条件で10人、10件程度ということでよろしいのではないかと思います。

○西田座長 10人、10件。

○がん・疾病対策課長 連携病院のほうですか。

○西田座長 これは連携病院のことですね。

○小杉構成員 連携のほうです。

○西田座長 連携のほうですね。いろいろな病院がここは入ってくると思うのです。小児領域は逆に結構たくさんあるのではないかと思うのですけれども、大人の領域はそんなにないところもあるのではないかという気がしています。

○小杉構成員 わかりました。実績があるというような形でいいのかなと思います。

○西田座長 ゼロではいけないけれども、ちゃんと年間1件以上あれば、あるいは1人以上ちゃんとやっていればいい。逆に言えばつないでいる人も1人いればいいというぐらいの理解でよろしいですか。

○小杉構成員 そういうことですね。

○西田座長 ありがとうございます。

 何か御意見はございますでしょうか。余りここを厳しくすると、全国区は非常に難しくなるかなと思うので、これから、つくっていくというところで御了解いただきたいと思います。

○加藤構成員 済みません。単純な質問なのですけれども、9番のつないだりする者が何を意味するのか。私が今回からだからなのかもしれませんが、ちょっとよくわからないのです。具体的にどういう人でどういう職種で何をする人のことを想定されているのでしょうか。

○西田座長 事務局のほうから説明できますか。できなければしますけれども、どうぞ。

○事務局(上野) 事務局の上野です。本日はないのですけれども、前回、小杉先生が御発表いただいたスライドにありまして、パネル検査を診療の最初の段階で説明したり、二次的所見が発見される可能性を説明したりする方、実際にパネル検査の結果で二次的所見が出たときに、それを遺伝カウンセラーに伝えるという小杉先生のスライドから拝借させていただきました。職種としてはCRCのようなものです。

○西田座長 CRCですね。具体的に言えば、私もCRCをイメージしているのですけれども、これぐらいのレベルの病院であればCRCが必ず1人はいると思うので、大きな問題はないかなと思います。よろしいでしょうか。

○小杉構成員 こういうCRC等の方が、今、幾つかのプログラムで動いている講習等を受けて、こういった役割をすると考えております。

○西田座長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。問題なければ3はお認めいただいて、次の4番目に移ります。4番目はこの前から出ておりますので、基本的には問題ないかなと考えます。連携病院のほうが、厚生労働大臣が指定するがん拠点病院等、または小児がん拠点病院であることと書いてありますけれども、これもおおむね問題ないかなと思うので、よろしいですね。

 次は5番目に参ります。セキュリティーのところでございます。これに関していかがでしょうか。

 土原構成員、何か追加でございますか。まずは中核病院のほうでお願いします。これも既に大体決まっているので、大きな問題はないかなと思います。

○土原構成員 今回、整理されたもので特に大きな問題はないのではないかと思います。

○西田座長 よろしいでしょうか。ここは多分、前回に大分議論していますので問題ないと思います。連携病院のほうですけれども、連携体制はもちろん1番目につくること。それから、データが非常に重要ですので、データ管理する人はきちんと責任を明確にしておいたほうがいいかなと思いますので、入れていただきました。下の3番目は、セキュリティーが担保された方法で収集・管理する。当然の話ですので、これはよろしいですね。議論の余地はなし。次に進みます。

 どうぞ。

○石川構成員 今の5番なのですけれども、大まかには全く問題ないかと思います。がんゲノム情報管理センターは、実際に国立がんセンターを念頭に置いているということで、これは私もいいと思うのですけれども、実際にデータを置く場所なのですが、がんセンターの中に置くのも一案だと思いますし、最新のセキュリティーとか最新のサーバー設備、こういうものに対応するために、例えば企業が運営するようなクラウドです。こういうところに置くということも、選択肢を含めて柔軟に考えていったらいいのではないかと思いました。特にここに明文化して書く必要はないかと思いますけれども、ちょっと御意見として言わせていただきます。

○西田座長 御意見ありがとうございます。

 そういうセキュリティーもありますので、ぜひ有効に考えていきたいと思います。御指摘ありがとうございます。

 6番目は病理関係のところでございますけれども、佐々木先生、何かありますでしょうか。

○佐々木構成員 先ほど初めに少しわかりにくい説明をしたのですけれども、実は、ISO15189の中で、今までも集められた凍結の病理検体に関して、それをクリニカルバンクという名前で呼んでいきましょうという動きが少しあります。恐らく来年2月ぐらいまでに、今までのレガシーサンプルに関して、クリニカルバンクという言葉で認定していく。それを研究用の検体のバイオバンクと区別するというような議論も進んでいるかと思いますので、その辺を、本当にバイオバンクという言葉でいいのか、クリニカルバンクという言葉を使うのかということを事務局で御確認いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○西田座長 わかりました。ここはちょっと考えましょうか。これを研究と位置づけるか、それとも、臨床と位置づけるかによって大分違ってくるかと思います。中身自体は、ここはよろしいですか。連携病院のほうも、中身は特に問題ございませんね。基本的には同じなのですけれども、よろしいですね。御了解いただいたということで、クリニカルバンクかバイオバンクかはまたちょっと考えましょう。

 次、ここから後、7番目が非常に重要になってくると思います。スライド12はマル1、マル2から行きたいと思います。中核に関しては、こういうものを入れるというので、前回、御議論をいただいてオーケーをとっていますので、結局数値的な要件なのですけれども、1番目は何例、「○○例以上であること」と書いてあるのですが、土原構成員がこのときに、有害事象がどうのこうのという話をされたと思うのです。

○土原構成員 まず、私がこれを見て考える適当な数字だと思うのは、100例だと思います。3年間で100例です。その根拠になりますけれども、一つは、今回はがんの薬物療法にかかわる未承認薬あるいは適応拡大に関するところと限定をしておりますので、現在のがん薬物療法のこうした開発のところは、ほとんどバイオマーカーベースで進んでいることを考えますと、要するに、年に数十例ぐらいこうした治験に入っているところでは、恐らくそれに付随してきちんとしたパネル検査を行うべきであるという実績が恐らくかなり既に進んでいるのではないかと思われますので、それが1点です。

 もう一つ、安全性にも関連しているところでありますけれども、いわゆるまれな有害事象。2~3%ぐらいで起こってくるような有害事象で、こういったものにきちんと対応ができる体制になっている、あるいはきちんとした体制ができていて、実際に対応している実績があるところと考えますと、3年間で1例以上はそうした対応もできているようなところを目標にすると、3年間で100というのは妥当な数字ではないかと考えています。

○西田座長 ありがとうございます。

 確かに妥当ですね。御意見はありますでしょうか。100で行きましょうか。大体そんなもので、区切りもいいですし、いいですね。

 2番目の施設要件は、新しい医療をつくるということなので、ある程度中核病院がちゃんと医師主導治験なり先進医療Bを指導できることが要件になるかと思うのです。臨床中核では3年間で4件となっていたのですけれども、そこまでぎりぎり厳しくしなくていいと思うのですが、1件だけでたまたま偶然で来た所に許していいのかという話が出てきたらいけないかなと思いながら○○件になっているのかなと思っています。何か御意見はございますでしょうか。

 土原先生、どうぞ。

○土原先生 今、西田先生が御説明のとおりである。やはり私もここは複数件というところで許すのではないかと思います。

○西田座長 山口構成員、いかがですか。それでよろしいですか。

 では、大体病院の先生方はご了解。佐々木先生は病理ですけれども、いいですね。複数件という形で行きますけれども、よろしいでしょうか。

 問題は、先に次のページに行く前に、連携病院のほうを、症例数を入れるかどうか。あるだけでいいのか、医師主導治験はちょっと特殊と言えば特殊なのですけれどもね。ここはどうしましょうか。

 土原構成員、余り厳しくしても参加施設が少なくなりますので、どう配慮いただくか。

○土原構成員 基本的には連携ということですので、中核と連携してできている。だけれども、中核と連携している実績のようなものがあるのは非常に大事だと思いますので、多くのこうした試験であれば、恐らくは中核的な病院と連携していることが期待できますから、ここも「実績がある」でよろしいのではないかと思います。

○西田座長 実績があるというぐらいでいい。

 どうぞ、加藤構成員。

○加藤構成員 ありがとうございます。小児がん拠点病院で実績があるというのは、やったけれども患者が登録されなかったというところまで含みますか。

 小児がんに対して治験がそもそも年間に何十件も行われていないということがあって、ただ、通してはいるのです。通して準備だけ整えたけれども、年間に、せっかく整えたのですが一例もエントリーしなかったということもありますので、ただ、全く土原先生がおっしゃるとおりに、やれる体制があるということがすごく大事ですし、治験の特殊性にちゃんと対応できる病院ではないと出口としてすら使えないので、治験をやったというのが、やったけれどもエントリーしなかったことも含むというようにしていただくといいのかなと思いました。

○西田座長 実績があるというのは、症例があるという意味なので、どうしましょうか。2つあると思うのです。確かに小児領域を考えると、大人の領域と同じように議論すると非常に厳しいかなと考えますので「ただし、小児領域に関しては治験に参加した実績がある」と書くかどうかですけれども、どうしましょうか。

○加藤構成員 多分、書き方によって、結局問い合わせが来ると思うのです。うちは参加したのだけれども、結局エントリーできなかったのですがそれでもいいですかということに対して、オーケーという形で答えるような理解でいいのであれば、全然問題ないと思います。実際に、例えば成育医療研究センターでも、過去3年間に治験に登録した患者は5人いないぐらいですので、がんの治療という意味では、小児がん拠点病院の中でゼロというところもあると思います。

 ただ、治験にも全く参加しないというところは逆にないと思いますので、実績がある患者を登録しているということは、実は、小児領域に関しては必須としていません。ただ、治験をやるという体制をきちんと整えるために治験に参加はしてくださいというような、参加した実績は必要ですというようなお答えになればいいのかなと私は思っています。

○西田座長 多分、大人のほうは企業治験があるからバックアップできるのですけれども、子供のほうは企業治験がないから現状があるのかなと理解しているのですが、よろしいですか。そういうことなので、これは事務局のほうでそのように処理するという形で、ここはあくまでも実績があるという書き方でよろしいですか。ありがとうございます。

 次のページに参ります。ここは医療安全のことしか左側に書いていないのですけれども、先ほど臨床中核のところでお話がありましたように、私自身は管理体制と臨床試験の支援体制、データ管理、倫理委員会、COI管理は、一つ重要なのではないかと思っています。安全だけではない。今は安全が主に書いてあります。ですから、その辺も基本的には中核と同じような形でここは書き込んでも差し支えないかなと思っているのですけれども、厳し目の要件なのですが、山口構成員、どうですか。そのように書いてしまって、でも、ある程度しっかり中核はやってほしいというのがあります。

○山口構成員 これは厳しいほうがいいと思います。

○西田座長 よろしいですか。つまり、これは資料3のスライド10の下の段の左端です。そこに先程の要件を入れ込むという形になるかと思います。ここできちんとした管理をやるということは、ある程度重要かなと思いますけれども、よろしいですか。それを求められたら参加施設がなくなるのではないかということがあれば、言っていただければいいのですけれども、よろしいですね。

 佐々木構成員、よろしいですね。

○佐々木構成員 大丈夫です。

○西田座長 山口構成員も賛同されていますので、一応そこを入れ込む。特に知財とか、そんなに要らないというわけではないのですけれども、上のほうのCOI管理ぐらいまでは、きちんとやっていただくというのは重要ではないかと思います。

 御了解いただいたという形で、右側の連携病院は、特定機能病院に準拠した安全体制という形になる。こちら側は多分、安全体制で十分なのではないかと思いますけれども、特定機能病院のレベルで十分ですね。特定機能病院でも以前に比べて結構厳しいと思うのです。ここ2年間で大分見直されました。小児領域でも、これはよろしいですか。連携病院になったときです。

 加藤先生。

○加藤構成員 恐らく大丈夫だと思います。今は西田座長がおっしゃるとおり、むしろ安全に関してはどんどん厳しくなってきていますし、ここは実績というよりは、頑張ればできるところですので、やるためにこれぐらいの要件はしなさいというようなメッセージは、今後、重要だと思います。

○西田座長 皆さん厳し目におっしゃっていますけれども、ここはよろしいですか。

 佐々木課長、何かあればどうぞ。

○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。このときに、例えば7に列挙されているようなもので、何を参照すればよいのかというところで、3年前に臨床研究中核病院が法律で定められたことを受けて省令等で定めたものがあります。例えばそういうものを引っ張る形で申請しようとする病院が迷わないような、そこは運用上のところで示し方についてはきょう、御指摘いただいた医療安全等は厳しくすべきということを、わかりやすいような示し方をもう少し工夫した上で、今の御議論を踏まえて厳しくと考えております。

○西田座長 ここはこのままでは少しわかりにくい、申請書が書きにくいと思いますので、その辺を事務局で考慮いただければ非常にありがたいかなと。よろしいですか。ここで突然厳しくなりましたけれども、でも、大事なところだと思います。患者の、被験者の安全を保つというのは非常に大事なところだと思います。

 ページをめくっていただいて、8番目に行きます。相談窓口の設置です。中核のほうは前回に御議論いただきましたので、基本的には、これは問題ないという理解でよろしいかなと思います。よろしいですね。

 石川構成員、特に問題ないですね。

 あとは連携病院のほうです。これはマル1の「当該施設において、以下に定める」の「以下」がないので、これは「以下に定める」だけを削除していただいて、済みません。

○事務局(丸野) 誤植になりますので、そこは修正します。

○西田座長 誤植ですので、この2つは相談窓口をちゃんと確保してあることというニュアンスなのですけれども、これでよろしいでしょうか。

 山口構成員、何か追加はありますか。よろしいですか。

 小杉構成員もよろしいですか。皆さん特に異論はないようですので、ここは終わります。これはコンセンサス。

 あとはその他で、2ページに分かれていますけれども、御意見をいただければ、基本的には配慮すべきことが書いてあると思うのですが、何かあればお願いします。

 私から1つだけ、その他の最初に書いてある、私が言ったかもわからないのですけれども「遺伝子パネル検査に関して、外注を含めて実施した実績があること」ですが、これを入れると、実は、保険適用ではないことをやっていることが要件になってしまうので「望ましい」ぐらいにしておかないとまずいのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。もちろんこれはまだ保険では承認されていないですね。ですから、これを必須条件にするわけにはいかないと思いますので、これは入れたとしても「望ましい」か、削除してしまうかどちらかのほうがいいかなという気がしました。

 佐々木構成員。

○佐々木構成員 文言がかなりやわらやかくなりますが「遺伝子パネル検査に関して、外注を含めて実施する体制があること」とか、何かそういう言葉を使えば、体制が整備されているということ。

○土原構成員 でも、そこまでできたら全部になってしまう。

○佐々木構成員 全部になってしまう。余り意味がないのかもしれませんが、もしくは遺伝子パネル検査はこれからつくっていくということで、保険適用になったものでもないということですから、これを書いてしまうと、多分、マストにされてしまうと、手を挙げられる病院がない、指定できる病院がないという可能性も出てきますので、その辺を考えると、なくてもいいのかなとも思いますし、2年後に見直しをするのであれば、そのときに要件として組み込むのでもいいのかなと思います。

○西田座長 どうぞ、佐々木課長。

○がん・疾病対策課長 結論から先に申し上げると、ちょっと考えさせてください。と申しますのも、きょうここまでさまざまな御指摘をいただいたものを、それを踏まえて一度修文し、それで全体を並べてみたときにでこぼこ感、難易度を確認していただきたいと思いますので、一旦預からせていただいて、その上でもう一度書面のやり取りの形で御相談したいと思います。全体を通して書面のやり取りをしたいと思います。

○西田座長 今の発言は非常に重要で、特段ここでは厳しくて、ほかのところが緩いというのもおかしな話なので、先ほど言いましたように医療安全のところは結構厳しくなっていますので、そこに合わせるのか、全体感を一定にするのかは非常に重要かなと思います。事務局のおっしゃるとおりかと思います。

 ほかによろしいですか。その他のところで、私も特段追加はないですし、連携病院のほうもこれで十分、本来あるべき姿は書かれているかなと思います。よろしいですか。

 最後のほうは駆け足になってしまいましたが、一応ある程度数値要件を含めて御議論いただいたかなと思います。少し時間を超過してしまいまして、申しわけございませんでした。ここまでで指定要件についての議論は終わりたいと思います。

 (4)「その他」がございますが、構成員の皆様方から、その他で特段これは是非にということがございましたら、お願いします。

 加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 加藤でございます。いただいた資料4のスライド5と6で、私のプレゼンテーションで申し上げましたとおり、小児がんの多くの患者は結構小さい施設で診療されている施設が多くて、小児がん拠点病院ですとかいわゆるハイボリュームセンターで6割をカバーしているということは、逆に言うと4割の患者はそういうところではないところでまずは治療を受けているのですが、狭義のゲノム治療に関してはそれで全然問題ないと思う。このような形で問題ないと思うのですけれども、ゲノム診断までこのようなゲノム医療に含めるとなると、例えばスライド5の右側のように、患者はまず、連携拠点病院でもないところに行く患者がかなり多くて、そこで必要な検査を、今はJCCGという形で中央診断・中央検査をしているという形になります。

 もちろんスライド6にあるように、一方、全国どこにいてもがんゲノム医療を受けられる体制を段階的に構築するというのが、まだ前の段階ですと言われてしまうとそれまでなのですが、現状で私の話で申し上げましたとおり、ほとんどの小児がん患者がゲノム診断を受けられているというようなものを、きちんと保険診療という標準的な治療制度の中でできるようになりたいというのが、私たちが一律思っている願いでありますので、そのいろいろな施設が、例えばこのことですと、がんゲノム医療連携病院を経由して中核に行って検査をしてということが想定されていますが、そのような意味で、逆に小児がん診療の現状からこれに当てはめると、むしろ後退する感じの受けられない患者が出てきてしまう現状がありますので、今、できている希少がんのモデルになると言ってくださったことは、私は非常にうれしくて、そのような希少がんのモデルとして、希少がん、小児がんを、どうやって診断の流れをこの流れに落とし込むのか。例えば中央化したようなところを経由すれば、それは同じように医療連携病院から来たものと考えてきちんと保険診療の流れに乗せられるような形ができるとすごくいいと思いました。

 拠点とか連携の指定要件とは少し違う形で、むしろそれをどうやって医療の保険上で運用するかという話になってくるかと思うのですが、そういうところが漏れないような体制にしていただけると非常にうれしいと思います。

○西田座長 御指摘ありがとうございます。

 診断パネルのほうの話ですね。これは今すぐにパネルが、診断のほうが保険のほうに行くということは余りないと思います。まずは診療のほうから入ると思うのですけれども、2年先の見直しの際にはそういうことも考慮しながら要件を考えていきたいと思います。そういう考え方でよろしいですね。

 ほかにございませんでしょうか。私からは、特にございません。構成員の皆さん方からなければ、事務局のほうに戻したいと思います。

 事務局、よろしくお願いします。

○事務局(丸野) 事務局の丸野でございます。本日は、お忙しい中本サブワーキンググループに御参加いただき、ありがとうございました。

 本日の議論に関しまして簡単にまとめさせていただきますと、本日、がんゲノム医療提供体制として、がんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム医療連携病院のあり方について御議論いただいたかと思います。指定要件に関しまして、細かい点についてはここで述べませんけれども、2年後の見直しに向けてまた議論させていただければと思っております。

 連携病院に関しましても、地域性の考慮等についても、今回、指定要件の中で考えさせていただければと思っております。

 次回のサブワーキンググループの開催に関しましては、事務局より追って御連絡いたしますので、日程の御調整をよろしくお願いいたします。

○西田座長 以上、私の不手際で15分弱過ぎてしまいましたけれども、逆に言えばそれだけきちんと議論ができたかなと私自身は思っています。先ほど佐々木課長から御指摘がありましたように、それぞれの項目ではきれいにディスカッションができた。だけれども、全体としてこれが均一なレベルになっているかということを、事務局のほうで取りまとめいただいて、次回までの間にそれをサーキュレーションしていただいて、もう一度見直して、最終にサブワーキングとワーキングは、次は一緒にやるのでしたか。それはどうなるかまだわからないらしいので、それまでの間に、一応きちんとレベルが合ったところでおさめたいと思います。それまで御協力をよろしくお願いいたします。

 以上、本日はありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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