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2017年9月27日 第47回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成29年9月27日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)


○議題

1 日本臓器移植ネットワークにおけるシステム改修について
2 移植施設の選定に関する事項について
3 意思確認の早期化について
4 平成30年度予算概算要求について
5 その他

○議事

○磯部委員長 定刻になりましたので、ただいまから、第47回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。まず、事務局から出席状況、資料の確認をお願いします。

○蔵満室長補佐 本日の委員の皆様の出席状況ですが、市川委員、奥山委員、小野委員、木下委員、山本委員、加藤委員から欠席との御連絡を頂いております。また、事務局に異動がありましたのでお知らせいたします。厚生労働省大臣官房審議官吉永和生です。ここで、一言、御挨拶させていただきます。

○吉永審議官 健康局審議官の吉永です。本日は委員の皆様、御多用の中、臓器移植委員会に御参集いただき、ありがとうございます。また、日頃より移植医療行政の推進に当たり御支援、御協力を賜っておりますことをこの場をお借りして御礼申し上げます。

 本日の臓器移植委員会ですが、本年1月に日本臓器移植ネットワークにおいて、あっせん誤りが明らかになっております。それ以降ネットワークにおいてシステムの見直し等が行われておりますので、この状況について報告させていただければと考えております。脳死下での臓器提供件数はまだまだ少ないのが現状ですが、今後、移植数が増加することが見込まれており、このようなあっせん誤りが二度とない形で対応していく必要があると思っております。また、併せて厚生労働省において情報システム作業班を設置して、あっせん誤りの防止に努めていきたいと考えており、この辺りについても御審議いただければと考えているところです。

 また、昨年の委員会で決定されていまだ実行されていないものとして、意思確認の早期化についての今後の対応や、移植施設の選定についても御報告させていただければと考えております。本日、御審議いただく内容については、御家族の崇高な意思により提供される臓器が、より適切にあっせんされることにつながりますので、委員の皆様におかれましては忌憚のない御意見を頂ければと考えているところです。それでは、限られた時間ですが、何とぞよろしくお願い申し上げます。

○蔵満室長補佐 本日の審議会においては、厚生労働省として取り組んでいる審議会等のペーパーレス化の一環として、前回同様タブレットを使用し、議事を進行いたします。お手元に配布しているペーパーレス審議会等タブレット操作説明書に操作方法が記載されておりますが、御不明な点がある場合は、手を挙げていただければ事務局がお伺いいたします。また、机の上に現行の法令・ガイドライン等をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際に参考にしてください。なお、ファイルは会議終了後に持ち帰らず机の上に置いたままとしていただきますようお願いいたします。

 それでは、頭撮りはここまでといたします。これより、議事の進行に移ります。では、今後の議事進行を磯部委員長にお願いいたします。

○磯部委員長 それでは、議題に沿って議事に入っていきたいと思います。本日は、4件と「その他」ということで議題が用意されております。1つ目は「日本臓器移植ネットワークにおけるシステム改修について」、2つ目は「移植施設の選定に関する事項について」、3つ目は「意思確認の早期化について」、4つ目は「平成30年度予算概算要求について」です。

 では、最初の議題である、「日本臓器移植ネットワークにおけるシステム改修について」、事務局から説明をお願いします。

○井内移植医療対策推進室長 それでは、資料に沿って説明します。資料1を御覧ください。「日本臓器移植ネットワークにおけるシステム改修について」という議題です。本来、今までであれば、こういうシステム改修等については臓器移植ネットワークに一任し、臓器移植委員会で取り上げることはありませんでした。今回あっせんミスがあったということで、今後二度と出ないようにしなければならないということで、我々としても、臓器移植ネットワークと密接な連携を図り、こういうことが起きないようにするという体制を取ってまいりたいという思いでおります。そういう中で、システムの改修についても、この臓器移植委員会で御議論いただきたいということで、今回、議題として上げさせていただいております。

 まず、資料に従って説明します。あっせん誤り後の対応から説明します。126日に心臓のあっせん誤りが判明したということで、それを受けて、第三者調査チームが臓器移植ネットワークの中に設置され、再発防止のために報告書をまとめられました。その報告書を受けて、臓器移植ネットワークが再発防止策を作り、厚生労働省の移植医療対策室に提出があったというものです。タブレットで見にくくて申し訳ないのですが、参考資料1-1に再発防止策を付けております。

 再発防止策は425日にまとめられ、かい摘んでその対応等を申し上げます。平成2951日より、レシピエント選定時の優先順位付け及びこれに関連する業務に特化した部門が臓器移植ネットワークの中に設置されました。ここに選定に係る専任の責任者を置いて、選定人員の適正配置を行ったというものです。これについては、実際、臓器移植ネットワークにはたくさんのコーディネーターが働いている中でも、ここの部門を特化するということで、二度と間違えないようにという1つの対策になっております。

 更に、平成2971日より、より精度の高い移植希望者検索システムの構築をするために、情報システムの管理運営に十分な責任と権限を持つための、情報統括部門を新たに設置し、外部より招聘した最高情報責任者、CIOを迎えて、システム責任者やあっせん業務責任者、患者情報管理責任者等によるPMOを設置して、新たな体制ということで、二度と起きないような体制作りということに取り組んでいただいているところです。

 これと並行して、(2)ですが、昨年度、この委員会の中において、レシピエント選択基準の改正が決定されたという経緯があります。1つ目は、腎臓レシピエント選択基準の改正、2つ目は、肝臓レシピエント選択基準の改正ということで、いずれも、平成281031日の臓器移植委員会において変更するということが決められたというものです。

 臓器移植ネットワークにおいて、鋭意、この対応を進めていただいていたのですが、あっせん誤りがあったということで、これも全てシステムに関わることですので、一旦、この作業を凍結し、あっせん誤りのリカバーということで、二度とそういうことが起きないようにということを優先してやっていただいていたという経緯があります。

 その次です。JOTにおけるシステム運用の現状です。レシピエント選定の順位付け作業ということで説明します。先ほどの、選定する部門を専門特化することと合わせて、今、システムで各臓器ごとにあっせんされるべき人が順位として上から出てくるということで、これが新しいシステムで間違ったということもありましたので、現在は3本の、いわゆる3つのやり方で違いがないかということを確認してやっているというものです。

1つ目は、手作業でExcel上で対象となる登録者を抽出し順位付けのリストを作る、もう1つは、改修を行い間違わなくなったという前提の新しいレシピエント選定システムを使う、もう1つは、新システムが去年の10月から動き始めたということですが、旧システムでもこの順位付けを行い、この3つのリストを職員が手分けして確認しているという現状です。腎臓レシピエント選択基準及び肝臓レシピエント選択基準の改正については、現在、反映されていない現状です。

3番目に移ります。今後の対応についてです。臓器移植ネットワーク案ということで、今こういうことをやっているというものです。上述のあっせん誤り以降、920日までの間に、76例のレシピエント選定の順位付けをしております。この中で、先ほどの3つのやり方で結果が一致しているということを確認しつつやっているというものです。ただ、1点だけ、新システムと旧システムで違いがあるということが分かったということで、それについては、1にあるように、各臓器の待機期間の計算の仕方について、従来は日数の差のみで算出していたが、新しいシステムでは時間数も含めた差で計算しており、ここの所で、若干、差異が生まれるということでした。現在、新システムのほうを、今までやっていた旧システムの日数計算にするという改修を行うということで、その改修をしていただいているところです。

 次のページの(2)です。腎臓レシピエント選択基準の改正も、いまだルールには反映されておりませんが、臓器移植ネットワークではこういう対応をしているというものです。腎臓のレシピエント選択基準の改正を反映した新プログラムの検証をやっているということで、1~4の対応をしているということで、87日より、この検証を開始して9月末に完了する予定で進められているものです。

 肝臓のレシピエント選択基準も、この臓器移植委員会の中では同時に決められたのですが、これについては今のところシステム変更について、まだ手が付いていないという状況だということです。

4.厚生労働省における対応についてです。こういう現状を踏まえ、今後、あっせん誤りの再発防止に向けてということで、以下のような対応を考えてみてはどうかということで提案しております。今回、あっせん誤りのときに、報告書の中で、システムが難解ということで、やはり専門家が見ないと間違いをなかなか指摘し難いし、やり方についてもかなり緻密に見ていかないといけない。

 そういう中で、臓器移植ネットワークに一任で、その中でゴーサインを出すのではなくて、システム改修に関する情報システム作業班を設置してはどうかと考えております。これについては、臓器移植委員会の下の作業班が各臓器ごとにあり、現在、小児の移植に関しての作業班をやっているところですが、それと並列する形で、システム改修に関しても行ってはどうかというものです。これについては、臓器移植ネットワークのあっせん誤りがあったときに入っていただいた情報システム系の有識者の方に入っていただき、専門的な観点から検討を行うようにしてはどうかと考えております。

 このシステムについては、臓器移植される方が変わってくるということで、非常に大きな影響があり、移植を行う以上、公平、公正なあっせんは必ず守らなければならないというところですので、慎重にやるということでこういうことを考えて御提案しております。

JOTにおける選択基準の変更に伴うシステム改修の妥当性、こういう作業をやってきた、こういう人員でこういうようにやっているという、プロセス自体が正しいのかどうか、そのプロセスが正しく行われたのかどうかということを、システムの専門家に見ていただくことを考えております。

 その次の(2)で、レシピエント選択基準の改正の手順を提案したいと思っております。今までは、レシピエント選択基準に関しては、学会から上がってきたタイミングで、この委員会で検討していただき改正を行っております。これについては、今まで移植数が少なかったということもあり、システム自体がかなり手作業によるところが多かったということで、そういう柔軟な対応が可能であったのですが、こういう形でシステムを改修する、そのシステムの改修を失敗するとあっせん誤りにつながるという現状を踏まえ、システム改修にも一定の時期のルールを作ったほうがいいのではないかという提案です。

 システム改修には一定の期間を要する、また、今後、臓器移植が増えてきている現状なので、更に移植数が増えるという前提に立つと、コーディネーターもどんどん増えてくるという中で、コーディネーターへの周知を徹底するという観点からも、一定期間を取って、臓器移植ネットワークの中で、そういう教育等に取り組んでいただく必要があるのではないかと考えております。

 ここで素案として示したものが、例えば、9月に移植学会等で受付を締切り、12月に厚生労働省の受付を締め切るということで、ここで厚生労働省の受付を一旦切り、レシピエント選択基準については、この委員会においての決定事項なので、4月を目途に臓器移植委員会で決定する。次の9月に移植学会やほかの学会等にも周知するということですが、実際の運用自体は、恐らく、4月、9月から1年ぐらい掛けて、ここにあるようにシステム変更、受入れテストの実施、また、コーディネーターへの周知、移植施設への周知等々をやっていき、新選択基準の運用をやるということで、一定の時期においてのルールを決めることで、今回、臓器移植ネットワークのあっせん誤りの所でも、そういうルールの周知、徹底がなされていないという御指摘があったことを踏まえ、我々としても、この委員会を含めて、こういう対応をするということで、臓器移植ネットワークにおいて混乱が生まれないようにという形で、運用してはどうかということを提案しております。資料1の説明は以上です。

○磯部委員長 システム改修について説明していただきました。二重、三重のシステムのチェック機構を作られたということですが、この件に関して、御意見、御質問をお願いいたします。

○小笠原委員 JOTが作る情報統括部門は外部から招聘すると、それから、もう1つは、厚労省の中でシステム改修の情報統括部門、これも外部から招聘する。これは、当然、同一な人でかぶらないという前提と考えてよろしいでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 まず、JOTのほうはもう既に職員として雇っていただいております。それは、外部の方で、実際に今までシステム運用やシステムの構築をされていた方を、臓器移植ネットワークが雇っています。

 今回、我々がシステムの改修の情報システム作業班でイメージしている委員は、少し説明が飛んでしまったのですが、参考資料1-4にあります。今、この委員は4名の案で作成しております。小尾先生、川島先生、佐藤先生については、臓器移植ネットワークのあっせん誤りが起きたときに検証をやっていただいた先生、最後の徳武先生は、検証誤りを受けて、現在の臓器移植ネットワークで働いているCIOの方が入る前に、臓器移植ネットワーク内のシステムについてどういうところが問題なのかという検証をしていただいた方で、我々としては、この4名の方を推薦しております。先生から御質問があったように、臓器移植ネットワークで、現在、CIOをされている方とこの4人はかぶらないということです。

○小笠原委員 あと、2ページに、新システムを11月末に完了してということで、今度は「主」として新システムをやると書かれています。ということは、現在やっている手の作業と旧システムは、ここではもう使わないという意図ですか。

○井内移植医療対策推進室長 現在、我々が聞いているのは、手作業は残して、旧システムは止めるという形で、3本立てから2本立てにしたいということがメインの提案だと考えております。ただ、我々として、システムの作業班でやっていただきたいのは、実際に3本立てから2本立てにしてリスクがないのかということで、考え方、やり方が、システムの専門家から見て常識から逸脱していないのかどうかということを、検証していただきたい、そういう中身についてシステム作業班で検証していただきたいという趣旨です。

○小笠原委員 分かりました。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。私からお伺いします。システムのことはよく分かりましたが、JOTはもとから移植の件数が増えてきて人手不足ということを伺っております。今回、新しいシステムを作られて、また、人員をそちらに割かれるということで、その辺りは十分に対応できるのでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 今回、特化した部門を作ったということで、あっせん誤りを防ぐという意味では、我々は非常に効果的だと考えております。ただ、実際にコーディネーターのやり繰りは非常に苦しいと聞いております。ですので、臓器移植ネットワークも含めて、コーディネーターの人員体制の強化については、我々も協力しながら取り組んでまいりたいと考えております。

○相川委員 前回のJOTで理事をしていた関係で発言を申し上げます。今、井内室長からお話があったようにネットワークの人員不足は非常に深刻で、実は昨年の12月から4月までにかなり多数のコーディネーターが離職しており、離職率が非常に高いのです。これは、もちろん、結婚退職もありますが、かなり多数の方が退職されているということで、何とか離職率を下げないと、実際に臓器提供も増えておりますので、ネットワークの運営ができなくなってしまうというおそれがあります。どうして離職率が多いのかということを、きちんと検証すべきだと私は考えます。

○上本委員 この新しい小児優先の腎臓と肝臓は、いつぐらいから始まりそうなのでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 現在、臓器移植ネットワークでも幾つか案があります。厚生労働省の移植室としては、もう二度とあっせん誤りを起こさないことを最優先事項としています。それと併せて、腎臓、肝臓の新ルールの適用もできるだけ迅速にやっていただきたいという希望があります。

 実際、作業班の中で、いつからスタートできるのかという案も出していただいた上で、その案を運用すること自体が、システムの専門家からして無理をしているとか、あっせん誤りにつながるリスクを背負った上で早めにスタートしているのか、それとも、きちんとした手順を踏んでスタートしているのかというところも評価していただいた上で、運用していただきたいという思いがありますので、そういうところも、システムの作業班の中で検証を進めていただきたい。

 本日、どういうタイミングでスタートできそうなのかということは、我々も内々には聞いているのですが、オープンで、きちんとこういうスタートでというのは、この作業班の検証が終わってからということにさせていただきたいと思います。

○上本委員 JOTの中では腎臓は9月末で終わるので、その後、この作業班で検証してということですか。

○井内移植医療対策推進室長 はい、本日はもう9月末ですので、本日この委員会で了承を頂けましたら、早急にその作業班を招集して、実際に検証を行っていただきたいと思っております。ただ、臓器移植ネットワークが9月に終わったということを、そのまま鵜呑みにするのではなくて、実際、どういうプロセスで何が行われたのかということを専門家に見ていただいて、その作業工程、若しくは、やり方が不十分という御意見を頂けば、差し戻して、もう一度システムの検証をしていただくということになると思っております。

○磯部委員長 ほかに何かございますか。

○横田委員 待機日数の計算のときに、EVASは待機時間の差であったのが、旧システムの待機日数の差に戻すということなのですが、そこで待機リストの順番が逆転してしまうということが計算上あり得ますね。そこの不公平さは議論されたのでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 そこの部分に関しては、ここの臓器移植委員会でも、いわゆる待機日数というルールは決まっていますが、その日数をどのようにカウントするのかということは、実際、運用に任されている部分です。今回、旧システムに戻していただいたというのは、今までやってきたルールに従ってやる、先生がおっしゃるように時間が少しのことで入れ換わることもありますが、それが今までのルールと同じようにするということで、新システムを旧システムの日数カウントに戻していただいたと理解しております。

○磯部委員長 よろしいでしょうか。

○横田委員 はい。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。腎臓、肝臓の年齢の問題は非常に重要な問題で、もう1年たっており、前回も指摘させていただきましたが、このシステムそのものの信頼性ももちろん大事なのですけれど、喫緊の課題だと思いますので、この委員会としても、是非、早急に、決まったことを励行していただきたいと申し上げておきます。

 ほかに何かございますか。では、これは御了承いただいたということで、先に進みます。次の議題は「移植施設の選定に関する事項について」です。事務局より説明をお願いします。

○井内移植医療対策推進室長 資料2に沿って説明いたします。現在、移植施設の選定に関する事項ですが、臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)において、脳死した者の身体から摘出された臓器の移植の実施については、移植関係学会合同委員会において選定された施設に限定することという運用で、基本的にはされています。

 ただ、現在、腎臓に関しては、臓器移植ネットワークの中で選定されており、これは過去からの慣例として決められていたというのがあります。これを踏まえ、臓器移植ネットワークの中の議論も踏まえての御提案ですが、腎臓の選定について、現在、臓器移植ネットワークの中の組織である臓器移植施設資格審査部会での選定というのを、他の臓器と同列に、いわゆる腎臓学会の臓器移植委員会、これはまだ仮称で、できていないということですが、こうした所でやっていただいて、決定をして頂いてはどうかという提案です。これは腎臓学会でも、臓器移植ネットワークのほうでも、準備がありますので、10月を目途に両方の態勢が整えば完了し、そこに移行をしていくことで進めていきたいということで、今回ここへ出させていただきました。以上です。

○磯部委員長 御説明に対して御議論はありますか。

○相川委員 説明を少し補足させていただきます。臓器移植ネットワークができる前から、腎移植ネットワークというのがあって、そこでは腎移植の施設の認定作業も、臓器移植ネットワークが設立する前から実はやっていたわけで、それがそのまま慣用的に残ってしまいました。

 前々回のJOTの理事会で、監事の方から脳死からの移植に関して、ネットワークの中の施設委員会でその施設の認定をするのは問題があるのではないかという御指摘がありました。正にその御指摘のとおりですけれども、歴史上、腎移植の施設が多いということと、今までの慣例上、もう20年以上、30年近くやっているわけですから、そのままになっていたということです。

 ただし、ほかの臓器移植は全てネットワーク外で基幹学会が中心になり決めておりますので、これはやはりまずいのではないかという議論が起こって、腎臓も統一にしようということで、今回、日本腎臓学会にお願いをして、日本腎臓学会が施設認定を行う学会となっていただいて、腎移植に関連する学会、例えば日本泌尿器科学会、日本外科学会、日本臨床腎移植学会、日本透析医学会、日本小児腎臓病学会、これらの推薦委員の中で、他学会と同じように施設の認定をすべきだということで、今、調整を続けております。以上です。

○磯部委員長 この件につきまして御意見、御質問はありますか。

○猪股委員 移植施設の認定を行う組織のことですが、各移植臓器の専門領域に属す方は概ね知っておられることかとは思いますが、一般に誰でも知ることができるかどうか。例えばうちの施設がこれから認定を受けたいとして、では、認定申請の資料をどこに出すか、そういったことを含めてこの認定担当組織や手続きが全部がきちんとオープンにされているかどうかという点。それから、例えば小腸移植施設認定に関して、この前ある施設から聞かれて、どこにどういう資料を出したらいいか、あるいはそういう認定を募集しているのかどうかと、そのようなことも聞かれたことがあります。例えば肝臓では、少し間隔を開けて認定申請の受付をまたしようとかそういうことがあるわけですけれども、そういう細かいことも含めて、情報の提供というのはこれからどのようにやっていくかという方針がもしあれば、お伺いしたいと思います。

○井内移植医療対策推進室長 今のところ、やはり臓器移植は、腎臓以外はかなり絞られた施設でやっているというのもあるので、余り一般にそうした情報が公開されるということは正直ないのかなと。ただ、ホームページなどではあると聞いていますが、なかなか分かりにくいのかもしれないというのはあります。実際にこれから移植施設の選定をどういう形で進めていくのかということを踏まえて、その辺り、いわゆる一般の医療者の方に見ていただく必要があるかどうか。実際に見ていただく必要があるというのであれば、どのような形がいいのかということは、本日のお話も踏まえて、少し各学会にもお伺いしてみたいと思います

○磯部委員長 心臓は、日本循環器学会のホームページの心臓移植委員会の所にそういう規定を書いていると思います。ほかに御意見はありますか。よろしければ、この選定に関する事項につきましても御了承を頂いたということで進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

3番目の議題「意思確認の早期化について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○井内移植医療対策推進室長 資料3に沿って、意思確認の早期化について、御説明いたします。まず、これまでの経緯です。昨年度10月に開催されました臓器移植関連学会協議会の臓器提供施設体制整備委員会において提言があり、平成27114日に開催された本委員会において、「レシピエント候補者への意思確認の早期化」について、了承が得られました。これの書き方については、ここにありますように、「開始して差し支えない」という書き方でした。これを受けまして、平成272月に、移植医療対策推進室長名で、臓器移植ネットワークをはじめ、関係機関に上記の通知を発出したということです。今回、これも臓器移植ネットワークから、こうした方法でやったらどうかという御提案を頂きました。

 まず、2の所で、現在行われている意思確認の手順が、このフロー図を見ていただきますと、左から右に時間軸ですが、脳死下の臓器提供の承諾があり、第一回法的脳死判定、第二回法的脳死判定と順次進めていく中で、移植施設への連絡というのは第二回の法的脳死判定が終わった後に行われるという段取りです。

 これについて、今後、次のページの3のフロー図のように、第一回法的脳死判定と第二回法的脳死判定の間、つまり第一回法的脳死判定が終わった後に移植施設に連絡をするということです。この委員会で決まって以降、臓器移植ネットワークの中でも鋭意このやり方について検証いただき、この提供病院でのコーディネーターの作業等々かなりありますので、なかなか簡単にここへ移すことはできなかったということですが、この委員会で決めていただいたということもあり、臓器移植ネットワークでは、こうした形で運用できるという段取りを取り付けたというように聞いております。

 これについては、今後10月に各移植施設の実務担当者への通知を行った後、121日を目途に運用を開始する予定で、鋭意、準備を進めていただいていると聞いております。我々といたしましても、本日この委員会においてこの内容を御了承を頂きましたら、全国の提供病院及び移植施設に関して、我々のほうから御連絡をするということも併せて行いたいと考えております。資料3については以上です。

○磯部委員長 現場にとりましては大きな変更になると思いますけれども、この点について御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○小笠原委員 ちょっと話を戻すようで申し訳ないのですが、これをやることによって何がよくなるのか、多分前にディスカッションがあったと思うのですが、この第二回脳死判定が終わってからの、レシピエント意思確認までの時間が短くなると、そうすると自動的に摘出も早くなるという理解でよろしいでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 このときの議論については2点あると聞いております。まず、提供病院とドナー家族への負担、先生がおっしゃったように、摘出が早くなるということで、提供施設及びドナー家族への負荷が減るということと、あともう1点が、移植側でも、一報が早く入ることで、その後の体制をどうつくっていくのかも迅速な対応ができるという2点で、こういった議論がされて、こういう形で進めるということで決定をされていると理解しております。

○小笠原委員 もう1つ、そうすると、ドナー側の脳死判定をやる施設は、この第二回脳死判定までは、このようなことが行われても、負担というか、やることは何も変わらないと理解していいですか。要するに、我々みたいな脳外科医が実際に患者さんの主治医になって、かつ、その施設の脳死判定チームが脳死判定をするという作業に関しては、何も変える必要がないという理解でいいですか。

○井内移植医療対策推進室長 我々の理解も、いわゆる臓器医植ネットワークのコーディネーター側の作業工程は変わるという認識ですけれども、提供病院でそれにちょっと協力していただくとかいうことはあるかもしれませんが、基本的には変わらないと認識をしております。

○小笠原委員 はい、分かりました。ありがとうございました。

○磯部委員長 よろしいですか、ほかにいかがでしょうか。

○今村委員 第一回脳死判定と、第二回脳死判定の結果が異なったというのはどれぐらいあるのか教えていただきたい。

○井内移植医療対策推進室長 特にないです。

○今村委員 分かりました。

○横田委員 今の今村委員の質問ですが、我々、臓移移植関連学会協議会で、法的脳死判定で一回目と二回目の脳死判定が覆ったことがあるかないかを調べたことがあります。室長が言われたように、覆ったことはないということが明らかになって、それで移植関連学会協議会からも、そのドナー家族の負担、それから提供側の負担の軽減につながるということで、一回目の判定の後にレシピエントの意思確認をということをお願いしてきたと、そういう経緯があります。追加です。

○今村委員 ありがとうございます。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。

○有賀委員 横田先生と一緒に本件をいろいろと議論してきた中で、一回目と二回目が翻ったという話はないのですが、一回目をしくじったので一回目をやり直すというのはありましたよね。

○横田委員 それはありました。その過程というか、脳死とされ得る状態も更にその前にありますので、一回目の法的脳死判定が終わってから、それが二回目で覆ったケースはないということです。

○有賀委員 それはないですね。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。

○猪股委員 移植施設に情報を提供するとありますけれども、これはどの範囲の移植施設ということになるのでしょうか。

○蔵満室長補佐 私から答えさせていただきます。今現在調整をさせていただいているのですが、例えば上位何名までとか、何施設までというように限定させてやらせていただく予定にしております。こちらに関しましては、移植施設側に対して、JOTから、うちのほうから通知を打った後にお答えさせていただこうかと思っております。

○猪股委員 分かりました。非常にボーダーラインにあるドナーであれば、ずんずんと順位が下がっていく可能性があるので、結局、前と余り変わらないということが起こるかもしれないということだと思います。ありがとうございました。

○磯部委員長 今、MCが入っていいのはどの段階ですか、この二回目が終わってからですか、それは変更はないわけですね。

○井内移植医療対策推進室長 はい、変更ありません。

○磯部委員長 ほかに御意見はありますか。

○相川委員 移植施設への連絡ですけれども、これはやはり注意書きで1つ注意をしていただきたいのは、分かっている移植施設はいいのですが、連絡を受けたとたんに、提供の病院に駆け付けてしまうというようなことが起こったら、結構大変なことになりますので、やはり第二回の脳死判定が終わった時点で病院には行かなくてはいけないと注意書きを付け加えたほうが良いように思います。

○有賀委員 詳しい統計学的なことについてはよく分かりませんが、基本的にどの臓器に関して連絡を申し上げるかという話でいけば、御家族がOKをしている、その臓器ですよね。だけど、メディカルコンサルタントがOKかなと思っても、やはり第二回目の判定後に、この臓器は駄目だったねという話がありますよね。そこら辺は今のルールと基本的には同じですよね。

○井内移植医療対策推進室長 はい。恐らく今回のは、できるところはこうして早目にするということで、まずやっていくことだと理解しています。

○磯部委員長 よろしいですか。

○水野委員 ご家族の意思ということでは、改正臓器移植法以来気になっているのが、親族優先提供の問題です。つまり脳死とされ得る状態になった患者を診ていたドナーの主治医が、脳死の臓器提供手続きをとらず、延命に努めていて、そのまま心臓死に至るということはままあることだと思うのです。そのときに、後になって一時は脳死状態であったことを、通常はレシピエントは知りようがないわけですけれども、親族優先提供の意思を残していた場合には、ドナーのそばにご家族であるそのレシピエントがいますから、レシピエントが主治医が速やかに脳死提供の手続きをとれば自分がもらえる状態だったことを後で知り得る可能性が出てきます。

 本来、ドナーとレシピエントが臓器移植については完全に遮断されていることが臓器提供制度設計の一番の基礎だと思うのですが、優先提供を入れてしまったがために、そこがつながってしまった問題があり、私は改正立法のときからずっと心配しております。脳死とされ得る状態から脳死下の臓器提供に運ばなかったときに、その親族で優先提供を受けるレシピエント候補者からのクレームが、ドナーの主治医に対して行われることを危惧しているのですが、今までそのような例はないでしょうか。例がなかったとしても安心していられるものではないと思うのですが、その点について御教示を頂ければと思います。

○井内移植医療対策推進室長 すみません、そうしたことで特に問題になった事例はないのですが、ちょっと正確に今お答えできないので、少し調べさせてください。

○水野委員 自分が優先提供を受けるレシピエントだという人が複数出てきたり、遺言と同様に偽造変造の可能性もあったり、親族優先提供は問題が多いと思いますが、本日のテーマからずれますので、控えます。すみません、ありがとうございました。

○磯部委員長 ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、この意思確認の早期化につきましても御了承頂いたということで進めさせていただきます。ありがとうございました。

4つ目の議題「平成30年度予算概算要求について」、事務局より御説明をお願いします。

○井内移植医療対策推進室長 それでは、資料4に従って御説明いたします。これは平成298月、移植医療対策推進室ということで、平成30年度の概算要求の段階です。6.2億円から6.4億円ということで、臓器移植関係概算要求は増額で、今、要求をさせていただいております。実際、その中身は、日本臓器移植ネットワークの運営費というのが大部分を占めるということですが、その中で、今、臓器移植ネットワークの中でも精力的に取り組んでいただいておりますが、院内体制整備の推進ということで、これについて14,500万円から16,000万円の増額要求ということで、各提供施設での院内体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

3つ目のところで、情報システムの専門家の設置ということで、先ほどお話にもありましたが、臓器移植ネットワークの中に情報システムの専門家を配置するという予算要求です。あとは普及啓発事業ということで、なかなかこれは取れないというのが実情です。こういった形で現在要求をさせていただいております。以上です。

○磯部委員長 御議論はありますか。

○今村委員 専門家の配置の1,600万円というのは何人分ですか。2人ですか。

○井内移植医療対策推進室長 2人です。

○今村委員 分かりました。

○見目委員 患者団体の見目です。少し前のお話で、相川委員から、コーディネーターの方の離職率が高いというお話があったと思います。私ども患者団体から見れば、コーディネーターというのは質の高さがキープされることが大事だと思うのです。そういう方々が抜けていくということは大変大きな問題ではないかと思います。そういうことに対して、今回のこの予算というのが、そういうことをカバーできるような手が打たれているのかどうか。そこを少し教えていただきたいと思います。

○磯部委員長 井内室長どうぞ。

○井内移植医療対策推進室長 これはまた違う機会に臓器移植ネットワークとも相談していくことですが、この金額で日本臓器移植ネットワークの運営費全てが出ているわけではなくて、実際、医療機関から臓器あっせんがあるごとに収入もあるというような収支構造になっていますので、我々のほうとしても、年間数例のときからほぼ同じ予算が入っているということで、体制整備については、これで100%全て人件費も含めて出るかというと、出ておりませんので、そこについては、いろいろお金が入るルートは別にもあるので、臓器移植ネットワークの中でのトータルの運用だと思っております。今、言われた御懸念に関しては、我々も十分承知をし、大切なことだと思っておりますので、そういったことが今後続かないように、何か対策は打てるかということはまた別途考えさせていただきたいと思います。

○磯部委員長 離職率が高い理由は分析されているのですか。

○井内移植医療対策推進室長 まだ我々のほうでは、こういった理由で多いというところはないのですが、そういったことを食い止めるための努力は、今、臓器移植ネットワークでもやっていただいているという認識ですので、その成果を待ちたいと考えております。

○磯部委員長 ほかにこの予算に関して御質問、御討議はありますか。よろしいですか。それでは、この予算の案についても御承認いただいたということです。順調に進みまして、予定した議題は以上です。委員から何か御意見、御提言はありますか。

○小笠原委員 私は実はJOTの副理事長になったのですが、これまで出ていなかったので分からなかったのですが、今の離職の話は、真剣に臓器移植ネットワークでは話されているという理解でよろしいですか。私が言うのもすごく変な話ですが。すみません、この前出なかったもので。これが本当にそうであれば、多分一番やらなければならない課題だと思いながら私は聞いていたのですが。人がいなくなったらできませんから。そういう理解でよろしいですか。

○井内移植医療対策推進室長 我々も同じように理解しております。

○小笠原委員 分かりました。共通の責任としてやらせていただきます。すみません、変な質問で。

○見目委員 1つ教えていただきたいのですが、横田先生が中心になられて小児の委員会をやられていると思いますが、それがどういうふうに進行されているのか教えていただければと思います。

○井内移植医療対策推進室長 今まで2回開催をさせていただきました。1回目は、各委員のほうから、実際どういったことを調べればいいのか、どういった課題がありそうかのフリーディスカッションがメインです。2回目は、専門家をお呼びして、小児科の専門家であったりとか、1例目の臓器移植を提供された病院の先生であったりとか、あと中学校の先生なども、今精力的に教えていただいている先生もおられますので、そういった方々に来ていただきまして、今後、我々として考えていかなければいけない課題を、現場で働いておられる方々からの問題提起という形で頂いたというものです。我々としては、今後そういったものを幾つかに集約して、どういった対策が取り得るのかという分析、検証をやっていきたいと思っております。まだ2回やって、今論点をたくさん出しているという現状です。

○磯部委員長 よろしいですか。少し時間があるから私も伺いますが、ちょうど来月で立法から20年の節目になると思いますが、それに関して何か企画されていることや、予定があればお教えいただけますか。

○井内移植医療対策推進室長 まずは国民大会として、これは例年やっているものですが、東京のイイノホールで1015日に行うのが1つあります。その他、いろいろな団体で全国各地で、これに賛同していただいた方、特に学会などでもいろいろなブースを作っていただいたりとか、そういった連携をしながら臓器移植について考える機会をたくさん作っていただいているという認識です。今、手持ちにまとめたものがないので、我々が講演を打つなり主催なりをしているものでも、6つ、7つありますので、そういった形でやらせていただいております。

○相川委員 私はネットワークの20周年記念事業のメンバーでもありますので補足説明をします。前回行われた日本移植学会総会でも、やはり20周年記念事業ということで、ここにいらっしゃる先生方も出席していただいて御講演も頂きました。移植関連学会の今後の研究会、来年の3月まで、ほとんどがこの20周年記念事業に参画を頂けるということになっております。

 もう1つは、10月は移植推進月間ですので、このときに各地で行われる公開講座が、なるべく20周年記念事業の一環としてなっていただきたいということで、広報をしてなるべく参画していただくように、20周年の記念バッジ、うちわ、ポスター等々、今配布している最中です。

○磯部委員長 私も日本医師会雑誌の企画委員をしておりますが、20周年の特集を組ませていただいて、12月になりますが、雑誌として扱うことにしております。ほかにありますか。

○小笠原委員 この前、私は移植学会に出て直接お話したのですが、今、いろいろな会で20周年をやっているのですが、20周年という認識は実は脳外科学会では全くなかったのです。私も実は移植学会の依頼があって、初めて分かったのですが、こういうのは直接厚労省、あるいはJOTから学会にやってくれと要望すべきだと。今年の脳外科学会は再来週あるのですが、全く脳死のセッションもない。去年、一昨年はきちんとあったのですが、それはもちろん会長権限ですが、脳外科の各自は、はっきり言ってそういう認識です。これは提供側ですから、やはり、本当に重要性を言うのであれば、是非、提供側にそういう情報をちんと伝えて、やっていただきたいというものを厚労省、JOTからやっていただければ、きちんと検討はさせていただきます。それは今回痛感しましたので、よろしくお願いします。

○木幡委員 本当に臓器移植法施行20年ということで、こういう切っ掛けでないとメディアはなかなか移植医療のことを今伝えなくなっています。現実、今、少しずつではありますが、新聞やテレビ等で10月に向けて、こうした企画が増えてきます。そうなりますと、やはり、提供も僅かながら増えていくのではないかと。実際、併社の「コードブルー」というドラマが放送された期間中、臓器移植ネットワークへの問合せ等も少し増えていると聞いておりますので、本当はそういうときに、先ほどの1年前に決まっていた腎臓や肝臓の小児への優先提供が実行されてほしかったのですが、残念ながら、それができていないというのは非常に残念に思っております。

 グリーンリボン、ライトアップに関して、私どものフジテレビの社屋を一面グリーンにライトアップするというのは3年前からやっているのですが、今回、臨海副都心全体でゲートブリッジやレインボーブリッジ、東京ビッグサイト、更には自由の女神があるのですが、それもグリーンにライトアップすることになりましたので、そういったことでも少し普及啓発にお役に立てればと思っております。

○磯部委員長 それはいつになりますか。

○木幡委員 1016日当日です。

○磯部委員長 ほかに何か取り組みがありましたら。ほかの話題、御提案等ありますか。

○相川委員 この対策事業費の「若年層への普及啓発支援体制の充実」が100万円というのは少額ですが、具体的にはこれはどういう取組ですか。ここには書いてあるのですが、今までそういう事業をしていなかったところを対象にするのか、または事業をしているところを応援するのか。その点についていかがですか。

○林室長補佐 こちらの予算は、学校の現場の先生は授業で取り上げたいと思っている先生も多数おられると聞いているのですが、実際には臓器移植の問題というのは複雑で難しいと受けとめられているものですから、先生の理解が大切だということで、先生に対するセミナーを開催して、先生の理解を深めるためのセミナーの費用として100万円程度を要求させていただいております。

○相川委員 これは医師が対象ではないですよね。普通の中学校、高校の教員ということですね。

○林室長補佐 はい、そうです。先生というのは、中学校の先生を想定しています。

○小笠原委員 これはやはり派遣する人たちの交通費等として、現場の今の教員に、こんなに世の中の教員の負担が騒がれておりますので、私は基本的には非現実的だと思います。やはりこれは現場の人間が行ってやらないと絶対に切実感はないと思いますので、是非そういう予算立てをしていただいて、そんなにお金はかからない話ですから、謝金はなくても個人的にはいいと思っているので、交通費だけでもいいですから、もう少し予算を上げて派遣するようなシステムを是非作っていただきたいです。そうでないと響かないと思います。

○井内移植医療対策推進室長 予算は少額ですが、今、文部科学省とも相談をさせていただいて、実際、どういう取組をしたら学校の教員の方によく分かっていただけるか。いろいろなケースがあって、どんなやり方がいいのかも含めて、鋭意、相談をしているところです。また、そういった形が決まってきたときには、ここにおられる委員の先生方、関係学会の先生方にも御協力を頂く可能性は非常に高いと思っておりますので、またそういった方針が立ちましたら、ここでも御報告させていただきますし、各学会にもお願いさせていただきたいと思います。

○猪股委員 78年前になりますが、そういうことをやろうということで、中学校の先生と話をして、先生個人個人は、是非、やろうという気持ちになるのですが、やはり、教頭先生、校長先生、教育委員会という所に行くと、なかなかハードルが高いということを、少し昔ですが、実際に感じたことがあります。もうやっておられるのかもしれませんが、厚生労働省から各自治体の教育委員会等に、お金が掛からないことだと思いますので、それをリコメンドするような形がまずあったほうが、現場では動きやすいのかとは思います。

○有賀委員 「そもそも論」的な話になって、この厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会という、この委員会は、脳死臓器移植だけではないのですよね。心停止下の臓器移植についても議論の対象であるという認識でいいのですよね。

○井内移植医療対策推進室長 そうです。

○有賀委員 何でこんなことを言うかというと、冒頭に井内室長が「増えている」とおっしゃったので、確かに絶対数そのものは少し上向き加減でいいとは思うのですが、心停止下が減っていますよね。そういう意味では、やはり、心停止下の歴史はそこそこあるので、どこをどういうふうにするとどうなるのかということは、もしここがその対象の委員会であれば、作戦は練ってもいいのではないかと思いました。「ですよね」ということなので、ここで、ああせい、こうせいとは言いませんが。

○井内移植医療対策推進室長 実際、心停止の所は一時減って、また徐々にではありますが増えてきているという経緯もあります。脳死での臓器提供と併せて、どういった対策を打っていくかということも当然鋭意考えていかなければいけないことですので、また、本日の御意見も踏まえて、我々もどうするか考えさせていただきたいと思います。

○有賀委員 いわゆる救急医療における終末期の部分に多分どちらも含まれますよね。教科書的には、こうなった場合には心停止下に、こうなった場合には脳死下にということで、体系的に論じている教科書もないわけではないので、患者さんの御家族による最終的な理解の上で抜管をするということで心停止を迎える。そういう丁寧な究極的な局面での作法を、ある程度標準的な形として持っていかないといけないのかなというのが、脳死下の作法を一生懸命やってきた立場から、今更思う次第です。よろしくお願いします。

○磯部委員長 ほかによろしいですか。

○見目委員 1つ御提案というか、12か月ぐらい前にJOTの方が、どこかの寄付金を頂くときにお話をされていたのですが、今、提供数がまだ伸びてきているとは言っても、ほかの国からすればはるかに少ないと。それを年間1,000例を目指すとそのときにお話をされていたのです。

 私は、そういう目標がはっきりあることが大事ではないかと思っています。確かに臓器提供は伸びてきていますが、相変わらず海外に迷惑をかけている状態であることには変わりないし、多くの方がまだ亡くなっている現状を考えれば、やはりターゲットをはっきりさせて、そこへ向かって皆が協力をしていくという姿がないと、確かに少しずつ細かい改良はしていて良くはなってきていますが、しかし、どうなのと言ったときに全然見えないのです。

 そういう目標を国なり、ネットワークなりで共有してやるということの大切さを思いますので、その辺はどう考えていらっしゃるのか。若しくはそういうことの意思をお持ちかどうか教えてもらいたいと思います。

○井内移植医療対策推進室長 まず目標数の設定ですが、これは今まで国は1度もやったことがないと思っております。それにつきましては、やはり臓器移植を受ける権利を含めて4つの権利をどうするかということで、あくまでもニュートラルにということで目標数の設定はなしで、国民が希望したものをいかすという形で進めてきたので、目標数の設定は現状の考え方では非常に難しいと思っております。

 ただ先ほど臓器移植ネットワークでというお話も出ましたが、我々としては、諸外国と比べればまだまだ少ないですが、徐々に増えてきているということもありますので、それにつきまして、今後、提供病院の枠がどんどん広がっていくという前提もあり、その提供病院等の、今、横田先生の所の研究班でもいろいろ検証していただいたり、そういった形で将来的に5001,000に増えるということは、我々としても予想して対応を練っていかなければいけないと考えております。ただ、現時点で何年度までに何例という目標はないですが、今の数が脳死でいけば昨年度は64ですが、これが徐々に増えるだけで止まるというのではなくて、将来的には増えるという予想の下で、体制整備を図っていくというものです。

○磯部委員長 今のに関連して申し上げますと、私も見目委員の意見に賛成で、私は循環器学会の心臓移植のレシピエント側のシステムに関わっていますが、現在の心臓移植の施設が成人で9施設、年間10例くらいから、今50件ぐらいまで来ておりますが、これが本当に100件だったら耐えられるかもしれませんが、200件、300件になると、とても現状の移植施設数と、日本循環器学会が行っている適応検討システムは耐えられません。人的にも、費用的にも、時間的にも到底耐えられない状況です。ある程度将来的な目算を頂いて、それをもってレシピエントの施設数をどうするのか、あるいはシステムを支えるのかという方策を国として考えていただかないと困るというのが現状です。ですから、ここで500例、1,000例とおっしゃるのはもちろんいいのですが、その辺を懸念しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○井内移植医療対策推進室長 今、横田先生の所の研究班で、移植学会とも連動して、レシピエントのほう、恐らく臓器移植が増えて困るのは提供施設と、負荷が更にかかるのはレシピエント側が非常に大きいと思っております。実際、臓器の摘出に行くのも、各臓器2人という形で行って、10名以上行くような体制にもなっており、これが今の5倍、10倍になったときに、本当に今と同じ体制でできるのかという問題意識は既に学会等とも共有をしていて、それに対しての対応もあります。

 臓器提供の提供病院の負荷が増えてくることもあるので、できるだけそういった、特に新しい所が始めるときに過重な負荷にならないような体制も、今研究をしていただいているところですので、我々としてもしっかりそれをフォローした上で、体制対応をしてまいりたいと思います。

○渡邊委員 脳死下も心停止下もそうですが、現場のナースが患者さんを診ながら、御家族への対応をやっているのが現状です。

 今、日本の状態を見ていると、院内コーディネーターを持っている病院と、持っていない病院が結構あるようです。ですから、今後、離職も多いということから、JOTのコーディネーターの負担を軽減するという意味合いにおいても、国として院内コーディネーターの設置も少し考えていただけるといいのかなと普段思っているところなので、よろしくお願いします。

○横田委員 先ほどの追加で発言させていただきます。今、脳死下で限りますと、いわゆる5類型の施設は約800施設あります。その800施設の中で、脳死下臓器提供ができる体制がある施設は約半分の400施設です。そのような意味で、4つの権利、臓器提供をしたいという権利は、まだまだ十分に対応できていないところがあるのだと思います。先ほど小児の作業班でも、家族からの申し出にもかかわらず、施設の体制の問題で判定ができなかったと答えた施設が複数施設あります。ですから、様々な支援体制を作って、4つの権利をきちんと対応できるようにしていくことも重要かと思います。我々、救急医、脳外科医は、臓器提供を増やす立場ではありませんが、4つの権利の中の提供したいという権利はしっかりとサポートしていかなければいけないと思います。以上です。

○磯部委員長 よろしいですか。大分、議論も盛り上がりましたが、よろしければこの辺で終わりにさせていただきたいと思います。それでは、最後に事務局からお願いいたします。

○蔵満室長補佐 本日は活発な御議論を頂きましてありがとうございました。事務局におきましては、本日頂いた御意見を踏まえ、引き続き、臓器移植の課題の解決に向けて取り組んでまいります。また、次回以降の開催については、別途調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。タブレット、タッチペン及びファイルについては、そのまま机の上に置いておいてください。

○磯部委員長 それでは、本日の委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局難病対策課移植医療対策推進室
 代表: 03(5253)1111
 内線:2365

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