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2017年9月15日 第40回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成29年9月15日(金) 15:30~17:30


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

公益代表委員

樋口会長、阿部委員、荒木委員、奥宮委員、小畑委員、鎌田委員、小杉委員、土橋委員、内藤委員、守島委員

労働者代表委員

相原委員、逢見委員、岸本委員、永井委員、中川委員、野田委員、畠山委員、松谷委員、宮本委員、山本委員

使用者代表委員

市瀬委員、伊藤委員、鵜浦委員、浦野委員、岡田委員、中野委員、椋田委員、渡辺委員

事務局

加藤厚生労働大臣、宮野厚生労働審議官、坂口総括審議官(国会担当)、土屋大臣官房議官(労働条件政策担当)、小川職業安定局長、宮川雇用環境・均等局長、安藤人材開発統括官、藤澤政策統括官(総合政策担当)、本多総合政策・政策評価審議官、奈尾労働政策担当参事官

○議題

(1)働き方に関する政策決定プロセス有識者会議報告及び労働政策基本部会の設置について
(2)労働政策審議会運営規程の改正について
(3)平成30年度労働政策の重点事項(案)並びに予算概算要求の概要
(4)その他

○議事

○奈尾労働政策担当参事官 定刻になりましたので、ただいまから第40回「労働政策審議会」を開催いたします。

 私は、当審議会の事務局を担当しております労働政策担当参事官の奈尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 審議会の開会に際しまして、加藤厚生労働大臣より御挨拶を申し上げます。

○加藤大臣 8月から厚生労働大臣を務めさせていただいております加藤勝信でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日は大変お忙しい中、労働政策審議会を開催しましたところ、今回は第9期の委員の皆さんによる最初の会合だということでございます。一言御挨拶をさせていただきたいと思います。

 最近の雇用情勢は、もう数字を言うまでもなく、着実な改善を見せているわけでありますけれども、一方で、中長期的には、我が国の少子高齢化、また生産年齢人口の減少という中で、むしろ労働供給の制約という構造的な課題を抱えていると言ってもいいのだろうと思います。

 そうした状況の中、実は直前、私は働き方改革担当大臣をしておりましたけれども、樋口会長に大変お世話になりまして、この3月には「働き方改革実行計画」を取りまとめさせていただきました。この基本は、一人一人の方の意思・能力、そして個々に置かれた状況・事情に対応して、多様で柔軟な働き方が選択できる社会を実現していきたい。そして、それは働く方一人一人が、より将来に向けて、しっかりとした、また明るい展望を持ち得ることにもつながっていく。こうした思いで、この計画を着実に実行していきたいと考えております。

 この実行計画を踏まえた対応につきましては、労働政策審議会の各分科会・部会で精力的に御議論いただきまして、6月に3つの建議をいただきました。そして、今般、建議などを踏まえた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」を労働政策審議会に諮問させていただき、各分科会・部会にて精力的に御審議いただいた結果、先ほど答申をいただいたところであります。厚生労働省としまして、いただきました答申を十二分に尊重し、今後、速やかに法律案を国会に提出していきたいと考えております。

 ただ、この法律をつくれば働き方改革ができるというほど、生易しいものではありません。この実効性を担保していくためにも、さまざまな取り組みをしていく必要があるということで、来年度予算の柱として、生産性の向上や人材投資の強化を掲げさせていただいておりまして、8月末の概算要求においては、総額約2,800億円の働き方改革関連予算を要求させていただいたところでございます。

 雇用労働政策については、現場を十二分に熟知した当事者である労使の参画を得て十分に議論を尽くしていくべきものでありまして、本日、これからの雇用労働政策について、公労使の三者で構成されている本審議会でしっかりと御議論いただけると承知しているところであります。

 最後になりますが、本審議会の委員の皆さん方におかれましても、どうかこの重要な労働政策の方向性について、それぞれの皆さん方の幅広い御見識と、また豊かな御経験に基づいて有意義な御議論を重ねていただきますように、心からお願い申し上げて、私からの御挨拶とさせていただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○奈尾労働政策担当参事官 加藤厚生労働大臣は、所用のためここで退席いたします。ありがとうございました。

(大臣退席)

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力方、よろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、議事に入ります前に、事務局より報告事項がございます。

 会長につきましては、書面による選挙の結果、5月17日付、全会一致で樋口美雄委員が選ばれております。また、会長代理につきましては、樋口会長より鎌田耕一委員にお願いしたいとの御指名がございまして、御本人に御快諾を得て、御就任いただきましたことを御報告申し上げます。

 以後の議事の進行につきましては、樋口会長にお願いいたします。

○樋口会長 樋口でございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 現在、特に働き方改革につきまして、労働政策への関心が世間からも高まっているところでございます。この労働政策審議会が担う役割も大きくなっていると思っております。

 委員の皆様の御知見をおかりしながら、また公益を考えながら議事を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですが、議事に入ります前に、この第9期から新たに委員に就任された方を御紹介させていただきます。お手元に資料1「第9期労働政策審議会委員名簿」をお配りしておりますので、御参照いただきたいと思います。

 まず、公益代表委員でございますが、田辺総合法律事務所弁護士の奥宮委員です。

○奥宮委員 奥宮でございます。よろしくお願いいたします。雇用環境・均等分科会の委員を務めております。

○樋口会長 京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小畑委員です。

○小畑委員 小畑でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○樋口会長 慶應義塾大学法学部教授の内藤委員でございます。

○内藤委員 内藤でございます。どうぞよろしゅうお願いいたします。

○樋口会長 続きまして、労働者代表委員でございますが、UAゼンセン常任中央執行委員の永井委員でございます。

○永井委員 永井でございます。よろしくお願いいたします。

○樋口会長 日本労働組合総連合会宮崎県連合会事務局長の中川委員でございます。

○中川委員 宮崎県から参りました中川です。どうぞよろしくお願いいたします。

○樋口会長 次に、使用者代表委員でございますが、広島県中小企業団体中央会会長の伊藤委員でございます。

○伊藤委員 伊藤と申します。よろしくどうぞお願いいたします。

○樋口会長 よろしくお願いします。

 続きまして、事務局にも異動がございましたので、報告をお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 本年7月11日付で事務局に異動がございましたので、御報告いたします。

 厚生労働審議官の宮野です。

○宮野厚生労働審議官 宮野でございます。よろしくお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 総括審議官の坂口です。

○坂口総括審議官(国会担当) 坂口でございます。よろしくお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 職業安定局長の小川です。

○小川職業安定局長 小川でございます。お願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 雇用環境・均等局長の宮川です。

○宮川雇用環境・均等局長 宮川でございます。よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 人材開発統括官の安藤です。

○安藤人材開発統括官 安藤でございます。よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 政策統括官の藤澤です。

○藤澤政策統括官(総合政策担当) 藤澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 総合政策・政策評価審議官の本多です。

○本多総合政策・政策評価審議官 本多です。よろしくお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 また、本日、労働基準局長の山越が所用のため出席できませんので、土屋大臣官房審議官が代理で出席しております。

○土屋大臣官房審議官 土屋でございます。よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 以上でございます。

○樋口会長 それでは、議題に移ります。

 議題1「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議報告及び労働政策基本部会の設置について」、また議題2「労働政策審議会運営規程の改正」につきまして、事務局からまとめて説明をお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、資料の左側をダブルクリップでとじているかと思いますけれども、恐縮ですが、それを外していただきまして、資料2から資料7までに基づきまして、私のほうから労働政策基本部会の設置等について御説明申し上げたいと思います。

 まず、資料2をごらんください。

 労働政策審議会のあり方につきまして、一昨年の規制改革実施計画におきまして、資料の左側でございますけれども、多様な働き方の実現ということで、「従来の主要関係者のみならず、様々な立場の声を吸収し、それらを政策に反映するための検討を行う」ということで決定されておるところでございます。

 これを受けまして、一番右下ですが、今後の予定といたしまして、労政審の在り方について検討するということでございます。

 これを受けまして、資料3でございますけれども、働き方に関する政策決定プロセス有識者会議という会議を、真ん中あたりに書かれてありますメンバーで検討を行いまして、昨年7月から12月までにかけまして御議論いただいたところでございます。

 その結果が次の資料4ですが、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議報告書」というものを昨年1214日付でいただいたところでございます。

 この主な点でございますけれども、資料4の4ページをごらんいただきたいと思います。改革案のポイントを申し上げますと、(1)議論する政策課題と議論の場といたしまして、現場を熟知した労使が法律の制定・改正等の議論に参画することは、当事者である労使の合意形成が図られるということで、実効性のある法制度となり、遵守もされるという意義があるということをまず書いた上で、例えばILOで要請されている事項とか、中央レベルの労使交渉的側面がある労働条件等のルールの設定・改正については、従来どおり公労使同数の三者構成で議論すべきである。一方で、旧来の労使の枠組みに当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行ったほうがよい、ということが書かれてございます。

 このために、新たな部会、これを労働政策基本部会と称しておりますが、これを本審の下に設置し議論することとするということで書いてございます。

 次、5ページですが、その他の要点だけ申し上げますと、データやエビデンスを十分収集・整理して、それを踏まえて議論すべきであること、あるいは多様な意見を反映すること。これは、委員につきましても、労使団体の代表以外の臨時委員あるいは専門委員を臨時的に任命する。また、テレビ会議等を活用しつつ、地方人材の登用を図るといった話が書いてございます。

 これを踏まえまして、次の資料5ですが、「労働政策審議会労働政策基本部会の設置について」ということで、7月31日に第1回の労働政策基本部会というものを開催させていただいたところでございます。

 真ん中あたりの2番ですけれども、審議事項が書いてありまして、基本部会におきましては、各分科会・部会を横断する中長期的課題、就業構造に関する課題、旧来の労使の枠組みに当てはまらないような課題について審議を行うといったことで、若干例示を書かせていただいているところでございます。

 7月時点の委員名簿につきましては、次の資料6で書かせていただいてございます。

 これらを前提といたしまして、資料7ですけれども、労働政策審議会運営規程の改正について、お諮りしたいと思ってございます。

 1ページ目、第3条をまずごらんいただければと思います。この傍線を引いた部分が、今回、改正しよう、付け加えようとする部分でございます。第3条は何を書いているかと申しますと、委員の出席がテレビ会議システムを活用する方法でできるということを書いておりまして、これはこの本審のみならず、分科会・部会についても同様としたいということでございます。テレビ会議システムの概要については、後ろのほうの参考5でつけてございますので、後ほどごらんいただければと思います。

 それから、資料7の裏面をごらんいただきますと、第8条、第9条に線が引いてございます。

 第8条ですが、線を引いております部分は、複数の分科会の所掌事務に属する事項であって、一の部会において審議することが適切と考えられるものを調査審議するということで部会が置ける。これが先ほどの労働政策基本部会を念頭に置いた改正案でございます。

 第9条は、その改正を前提といたしまして、分科会や部会の決定が審議会の議決、審議会というのは本審でありますけれども、本審の議決となるための要件を書いてございます。基本部会につきましては、横断的事項を審議するということで、他の分科会等の所掌事務に属するものを審議するケースがあり得ますので、そこは複数の部会・分科会の意思を統一する必要があるということで、本審の議決を経て審議会の議決にするとしたいということで8条、9条を改正するものでございます。

 この改正は、これをお認めいただきました場合には、9月15日から施行するということを考えてございます。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願いしたいと思います。

○樋口会長 ただいまの説明につきまして御質問等がございましたら、発言をお願いいたします。

 どうぞ。

○渡辺委員 それでは、労働政策基本部会に関して、一言申し上げたいと思います。

 労働政策の中長期的な課題につきまして、各分科会・部会の枠を超えて横断的に議論する場が設けられるということは評価したいと思います。本日御説明にあった審議事項(案)にありますように、今後は、技術革新、働き方の多様化、人口減少等といった、将来の我が国の社会構造・産業構造の変化を見据えた労働政策のあり方を検討していただきたいと思います。

IT化を例にとりますと、近い将来、技術革新によりまして、単純労働を中心に失われる仕事が増えると言われております。そこに従事している方々がより付加価値の高い仕事につけるように労働移動を円滑化し、人材育成・能力開発を強力に推進していく必要があります。このような喫緊の課題に対し、労働政策の全般像とあわせて、政府がいつまでに、何を、どのように取り組んでいくか、課題解決の道筋やスケジュールを国民にわかりやすく示していただきたいと思います。

 最後に、我が国がグローバル化の進展の中で国際競争力を維持・向上するためには、企業の99.7%を占める中小企業の生産性向上、活力強化が不可欠です。したがって、労働政策を決定する際には、中小企業の特性や業種・業態による違いなどに十分配慮した、きめ細かい検討がなされるようにお願いしたいと思います。

 私からは以上でございます。

○樋口会長 渡辺委員でございました。

 では、岡田委員。

○岡田委員 私から、新たに設置しました労働政策基本部会に関して御意見を申し上げたいと思います。

 従来、労働政策審議会の分科会・部会は公労使の三者で構成され、企業の現場を熟知する労使の意見を政策や法改正に反映させる形で諸課題の対応策を検討してまいりました。最近では、ことし3月に策定された「働き方改革実行計画」を踏まえまして、時間外労働の上限規制の導入であるとか、同一労働同一賃金の実現に関する法改正に向けて、密度の高い議論がスピーディーに進められたと考えております。これも分科会・部会に参画されている公労使委員の高い御見識があって、可能であったと考えております。

 他方、分科会・部会にはそれぞれ所掌する分野があり、また目下の課題に迅速に対応する必要があることなどから、分野横断的な課題、中長期的な課題について議論を進めにくいという限界がございました。これに対応する観点から設置されたのが労働政策基本部会であるというのは、皆さんがおっしゃったとおりでございます。

 現在、我が国は総人口の本格的な減少期に入りまして、労働力不足の問題が顕在化しております。また、AIIoTなど革新的技術の発展を見据えた取り組みも求められています。昨年8月、厚労省において、中長期的なビジョンとして「働き方の未来2035」が取りまとめられました。労働政策基本部会では、こうした成果を踏まえて、我が国の今後の働き方について御検討いただき、御示唆を賜りたいと思っております。

 最後に、労働政策や労働法制の改正に実際の対応が求められるのは、企業労使になりますが、労使が置かれている実態は、企業規模であるとか業種・業態によって実に多様でございます。基本部会での御議論に当たっては、各種データや調査結果などを踏まえつつ、企業労使の実態を念頭に置いた御議論をお願いしたいと思っております。

 私からは以上でございます。

○樋口会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○野田委員 ありがとうございます。

 私からも意見を申し上げたいと思います。

 「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の提案を受けまして、労政審の委員の構成見直し、さらには部会の新設が行われたところでございますけれども、労働政策の検討において大事なことは、責任ある労使が職場実態を踏まえて論議を尽くし、その上で合意形成を図るということだと思います。この枠組み、プロセスを経て策定されたルールこそ職場において遵守される。そして、実効性のある制度の確立につながると考えるものでございます。この点、冒頭の大臣の御挨拶でもおっしゃったとおりだと思っております。

 そのような観点で、昨今の労政審の運営、さらには論議について申し上げておきたいと思いますけれども、昨今の労政審は、官邸の会議などで決定されました大方針に基づく個別政策の落とし込みというのが中心になっているのではないかという感じがいたしており、戦略的な論議が不足しているのではないかと若干思っているところです。本審も実は昨年8月開催以来の1年ぶりの開催でございますが、本審の活性化も含めまして、労政審におけるあるべき政策論議の必要性を強く感じているところでございますので、その点、指摘させていただきたいと思います。

 以上です。

○樋口会長 野田委員でした。

 岸本委員。

○岸本委員 会長、ありがとうございます。

 労働政策基本部会につきまして、私のほうから発言申し上げます。

 最初に、耳ざわりがよくない話となることを御容赦賜りたいと思います。先ほど事務局より説明がありましたが、労働政策基本部会の第1回会合が7月31日に開催されていますが、出席状況は委員過半数ぎりぎり、そして3名が人選未了の中で開催されるなど、当日の委員会の状況を伺う限り、どたばた感が否めない性急な開催であったと受けとめています。今後、労働政策基本部会が「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の議論を踏まえ、各委員が設置の趣旨を共通理解のもとで腰を据えて実りのある議論ができるような運営に心がけていただきたいと思います。

 また、個別の労働政策の立案あるいは立法化に向けた議論については、既に労政審の既存の分科会あるいは部会で議論が行われていますので、労働政策基本部会は既存の分科会・部会のはざまでカバーし切れないようなテーマを取り扱うことが求められていると認識いたしています。今日の労働環境の変化を踏まえた中長期的な視点での議論、あるいはフォーカスを広げて、議論の方法としても現行の労働関係法規では保護のメッシュがかからないような弱い立場にある人の声をしっかり吸い上げていただいて、働く現場の実態に即した地に足のついた議論がぜひ行われるようお願い申し上げます。

 以上です。

○樋口会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、当審議会の運営規程を、資料7の改正部分を反映させた形で改正したいと思っておりますが、どうぞ。

○藤澤政策統括官(総合政策担当) ただいま4名の委員の方から御意見を頂戴いたしましたので、事務局として回答なりを申し上げたいと思います。政策統括官の藤澤でございます。今、渡辺委員、岡田委員、野田委員、岸本委員から、労政審のあり方、もしくは労働政策基本部会につきまして御意見を頂戴いたしました。事務局としての考え方を回答申し上げたいと思います。御発言の順番どおりではないかもしれませんが、そこはお許しをいただきたいと思います。

 初めに、労政審のあり方でございますけれども、冒頭に加藤大臣からも御挨拶の中で申し上げましたように、現場の実態を熟知した労使が審議に参加することが、さまざまな労働制度の実効性を担保するものと認識してございます。今後も引き続き、労働政策に関する重要事項について、充実した調査審議が行われるように、この本審を含めた審議会の運営に事務局として努力していきたいと考えているところでございます。

 それから、労働政策基本部会についてでございますが、基本的にいただきました御意見につきましては、この後、基本部会の各委員の皆様にもお伝えしたいと思っております。それで、以下、順次申し上げますと、経済社会の変化に迅速に対応できますように、労政審において適時適切に議論し、その結果について、わかりやすく、いろいろな方々にお示ししていきたいと思いますし、中小企業の特性などを踏まえた上で検討を行うことは重要だと認識しております。

 また、御指摘のとおり、企業、労使の実態を念頭に置いた議論が行われるように、企業、労働者の実情を熟知された委員の皆様の御知見をおかりしながら、事務局としても可能な限り、現場のデータやエビデンスに基づくような資料などの提供に努めていきたいと考えているところでございます。

 それから、基本部会では、各分科会及び部会を横断する中長期的な課題や就業構造に関する課題、あるいは旧来の労使の枠組みに当てはまらないような課題について審議していただくことを想定しているところでございます。

 また、御指摘を踏まえて、次回以降は、例えば、可能な限り多くの委員の方々が出席できるような日程で調整していきたいと考えておりますし、繰り返しになりますが、具体的な審議事項につきましては、基本部会でこの後、御議論いただく予定でございますけれども、ここで頂戴いたしました御意見につきましては、基本部会の各委員の方々にもお伝えしていきたいと考えております。

 以上でございます。

○樋口会長 それでは、改めて問いたいと思います。当審議会の運営規程を、資料7の改正部分を反映させた形で改正していきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○樋口会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 なお、皆様からも意見が出ておりましたが、この労働政策基本部会はあくまでも労働政策審議会の一部でございますので、ぜひとも政策につながるようなフィージビリティ、特に実効性、実現の可能性の高いものをまとめていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、続きまして、議題3「平成30年度労働政策の重点事項(案)並びに予算概算要求の概要」、議題4「その他」について事務局からまとめて説明をお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、まず資料8をごらんいただきたいと思います。「平成30年度労働政策の重点事項(案)」でございます。これは、資料9で「30年度の予算概算要求の主要事項」と書いてございますけれども、そのうち、特に政策のうち重要なものを8で書いておりますので、資料9については後ほどごらんいただければと思っております。

 資料8ですが、1ページをごらんいただきますと、下のほうに1番から10番まで書いてございます。これが平成30年度の具体策、重点事項の柱ですが、「働き方改革実行計画」の項目にかなり即したものであるということがお気づきいただけるのではないかと思います。

 内容は2ページ以降でございます。時間の都合上、要点のみ申し上げますが、1番が同一労働同一賃金などの非正規雇用の処遇改善でございます。

 これにつきましては、現在、関係法令の整備に向けて詰めを行っているところですけれども、あわせて、この周知が必要であるということで、(1)の2つ目のポツの2つ目のハイフンの3行目に「働き方改革推進支援センター(仮称)」と書いているかと思います。これは、同一労働同一賃金の関係でありますとか、時間外労働の上限規制の対応に向けて、きめ細かくアウトリーチを含めて周知を行うということで、こういったセンターを全県に設けようと考えているものでございます。

 その他、(2)ですが、キャリアアップの推進でありますとか、30年度からの無期転換ルールの円滑な運用といったことが書いてございます。

 次に、3ページの2番、賃上げと労働生産性向上でございます。

 (1)は、最低賃金の引上げ関係です。

 (2)は、生産性向上を働き方改革とあわせて実施していく必要があるというものでございます。

 新規のものを中心に申し上げますと、労働関係の各助成金につきまして、あらかじめ助成金ごとに目標を設定して、生産性向上計画というものを各企業でつくるわけでございますが、その達成状況等を踏まえて、結果に応じて助成金の支給額を割り増しする仕組みを導入してはどうかといったことでありますとか。

 あるいは、2つ目のポツでございますけれども、企業の生産性向上に資する設備投資を促進するといった観点で、金融機関とも連携しながら、各企業で生産性の計画を作っていただいて、雇用の安定等の観点を踏まえましてその達成状況を踏まえて、段階的に支給するといったことを考えてございます。

 次に、4ページ、長時間労働の是正や安全、健康面の話でございます。

 (1)は、時間外労働の上限規制の導入等の話でありまして、このあたりは法改正に向けて検討を行っているところでございます。

 3つ目のポツでございますが、6月の関係分科会の建議におきましても、一定の事業・業種につきましては、にわかにこの規制が難しい業種が幾つかあるということで、例えば、自動車運送事業、トラック運送事業につきましては、荷主の協力が非常に重要である。それから、建設業については発注者の理解が非常に大事だということで、このあたりは、荷主とか発注者の協力を得ながら対策を考えていくという話が書いてございます。IT業界や医療従事者等についても、その特性に応じた対応を考えるものでございます。

 それから、5ページの(2)健康に働くことができる職場環境の整備ですが、このあたりは労働安全衛生法の改正をにらんだ対応でありますとか、メンタルヘルス、パワハラ防止対策をやっていくということとあわせまして、一番下のポツでございますけれども、企業本社への監督指導等の強化、いわゆる過特による厳正な対応、それから、36協定未締結事業所に対する監督指導の徹底ということでございます。36協定未届けの事業所で労働者数10人以上の事業所につきましては、まずは自主点検から入りまして、段階を踏んで法令遵守を図っていただくという取組でございます。

 6ページの(3)でございますが、安全の話が書いてありまして、1つ目のポツの2つ目のハイフンでございますけれども、2020年にオリンピック・パラリンピックが予定されておりますので、その建設の安全という観点から、例えば安全のプロが出前講座をするとか、現場に従事する場合の支援を行うということであります。

 あるいは、一番下のポツですけれども、化学物質対策、石綿関係の対策を強化するということを考えてございます。

 7ページでございますが、柔軟な働き方がしやすい環境整備が書かれております。

 (1)、(2)はテレワークの話が書いてありまして、それぞれガイドラインを守っていくことでありますとか、あるいは非雇用型につきましては、仲介事業者が守るべきルールの明確化等の環境整備を考えていきたいと思います。

 それから、(5)国際労働分野でございますが、説明は、時間の都合上、省略いたしますけれども、一番最後の資料の参考7におきまして、ことし6月のILO総会の状況等をつけております。

 8ページですけれども、女性・若者等の環境整備でございます。

 (1)、(2)については、主に女性の活躍の話でございますが、リカレント教育等の充実、それから、(2)、女性活躍推進法は300人以下については努力義務になってございますので、所要の支援策を講じるとか、セクハラの対策等の話がございます。

 9ページの(3)、若者等のお話です。

 1つ目のポツは、地元就職支援コラボ、文科省とのコラボでございますけれども、コラボプロジェクトの推進です。2つ目のポツですが、地域若者サポートステーションにおけるモデル事業の実施。これは、キャリコンとか職場体験・職場定着支援を一体としてやろうと考えてございます。

 それから、いろいろありますけれども、次の10ページ、能力開発を含めた支援でして、2行目にハイフンがございます。若年無業者等の対策といたしまして、基礎レベルから実習等の訓練を、これは協力企業を募りまして、原則3年なら3年という有期で採用した上で、1年目、2年目、3年目ということでステップアップしていただく。もし可能であれば無期転換を目指すといった事業を考えてございます。

 (4)、いろいろありますけれども、1つ目に「ハローITトレーニング集中実施プラン」と書いてございます。離職者全般につきまして、基礎的なITリテラシーが全分野、共通で要るのではないかという問題意識で、こういったことをやろうと思っているものです。

 それから、11ページ、6番、治療と仕事の両立です。このあたりは、「働き方改革実行計画」におきましても力を入れてやっていくべき分野ということで書いてございますけれども、例えば(1)の一番下のポツをごらんいただきますと、傷病手当金の支給要件等の検討と書いてございます。この中身は、現在、傷病手当金は支給開始してから1年6カ月までが支給期間になっております。この1年6カ月は、職場から離れる期間と職場に復帰した期間を合わせて1年6カ月となっております。対して、公務員の共済につきましては、休業している期間のみを通算して1年6カ月まで支給できるということで、制度の違いがありますので、そのあたりの違いを踏まえて必要な法改正について検討を行うというものでございます。

 (2)トライアングル支援につきましては、がん、難病患者の方等について支援を強化するということでございます。

12ページ、7番、子育て・介護等と仕事の両立、障害者・高齢者等の就労促進であります。

 (1)の一番最初のハイフンに「子育て安心プラン」の話があります。これは既にできているものでございますけれども、平成30年度から5年間、34年度には女性就業率80%に対応できる保育の受け皿を整備していく。現在73%弱ですので、保育の受け皿整備等を図った上で、女性の職業率を上げていくというのが1つ目でございます。

 (2)、障害者等の就労支援。柱が非常にたくさんありますが、新規を中心に御説明申し上げます。

 1つ目のポツの1つ目のハイフンですけれども、障害者雇用ゼロ企業がいまだにございますけれども、企業向けチーム支援をやるのは当然ですが、障害者雇用に知見のある企業OB等、非常に詳しい方がいらっしゃいますので、企業OBの方をゼロ人雇用企業に紹介・派遣していくという取組をやろうというものでございます。

 1つ飛びまして3つ目のハイフンですけれども、精神障害者等に対する就労支援を強化するために、トライアル雇用を現在、原則3カ月でやっておりますけれども、精神障害者の方等については6カ月間ということで、支援期間を強化するものでございます。

 主なものを申し上げますと、次、13ページの1つ目のポツの5つ目のハイフンにおきまして、ICT等を活用したサテライトオフィス勤務を推進するためのモデル事業ということで書いてございます。ICTを活用した在宅のモデル事業は現在ありまして、在宅の次はサテライトということで、少し考えてみたいというものでございます。

 同じページの(3)高齢者の就業促進でございます。

 これもいろいろ項目がありますけれども、例えば1つ目のハイフンのハローワークの「生涯現役支援窓口」は現在、全国で110カ所ですけれども、こちらの増設。こちらにおきまして、仕事と年金等を含めた生活支援、生活相談を一体的にやっていくもので、これを強化するというものでございます。

13ページの一番下ですが、生活困窮されている方について、自治体と連携して、シルバーの求人も含めて対応していきたいというものでございます。

 それから、15ページの8番、雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職等の支援でございます。

 (1)、1つ目のハイフンでございますけれども、年齢にかかわりない多様な選考・採用機会の拡大に向けて、指針を策定していくということが1つ。

 (2)の1つ目のハイフンでございますが、例えばユースエール認定を受けているとか、くるみん認定を受けているとか、そういった企業情報ですが、これをばらばらではなくて、学生さんとか求職者が全部統一的に見られるようにするためのサイトの運営を開始していきたい。そのための準備をするということです。

 次の2つ目のポツに日本版0-NETと書いておりますけれども、アメリカのO-NETを少し参考にいたしまして、この職業につくためにはこんな能力が必要だといった情報を、一般向けに広く周知していくためのサイトの創設を考えていきたいというものでございます。

16ページですが、外国人材の受入れということで、(1)の2つ目のポツですけれども、例えばインドの高度IT人材等の意味でございますけれども、海外のIT人材等の確保のために、現地における日本の求人情報を活用したマッチング支援という話などになります。

 (2)ですが、増加している留学生向けの早期からのサマージョブ、インターンシップ等の活用による支援の強化に努めていくというものでございます。

 最後、17ページですが、人手不足対策、地方創生ということで引き続きやっていきたいと思っているものになります。

 非常に駆け足で恐縮でございますけれども、重点事項でございます。

 続きまして、資料9は後ほどごらんいただければと思っております。

 資料10ですけれども、本審議会の各分科会・部会の審議状況というものでございます。このうち、資料10-1をご覧いただきますと、昨年8月31日以後の分科会・部会の開催状況をまとめてございます。10-1が「働き方改革実行計画」に関するものを一括して書いたものでして、資料10-2以後が各局別の審議状況を書いてございます。

 資料10-1、「働き方改革実行計画」に関するものといたしまして、労働条件分科会、4月から9月に至るまで実績を書いた上で、6月5日には建議をいただいているものです。以後、働き方実行計画に関して開催した議題を書いてございます。

 安全衛生分科会も、同様に6月6日に取りまとめを行ったということでございます。

 それから、4ページ、裏面ですけれども、職業安定分科会、9月1日。そこに書かれている議題で開催いたしております。

 最後に、同一労働同一賃金部会につきましては、3分科会の下に置かれてございますけれども、開催実績と6月9日の取りまとめについて、書かれてございます。

 それでは、引き続きまして、資料10-2以降、各分科会・部会の審議状況について、各局より御説明申し上げます。

○土屋大臣官房審議官 基準局の土屋でございます。

 それでは、7ページをごらんください。労働基準局所管の分科会等の審議状況でございます。

 まず、今、奈尾参事官のほうから説明申し上げましたように、「働き方改革実行計画」に基づきまして、2つの建議をいただいております。

 1つ目にございますように、時間外労働の上限規制の導入、勤務間インターバルの普及促進あるいは長時間労働に対する健康確保措置の強化といったものを内容といたしました建議を6月5日に労働条件分科会からいただき、また労働者の健康確保のための産業医・産業保健機能の強化につきまして、安全衛生分科会から6月6日に建議をいただいております。

 両分科会のそれぞれの建議を踏まえました内容を法律案の要綱の形にしたものにつきまして、全体をまとめた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」という形で、先般、9月8日に審議会に御諮問申し上げ、各分科会で御議論いただいた結果、先ほど大臣の挨拶にもございましたように、本日、答申をいただいたところでございます。

 次に、3つ目の○からでございますが、政省令事項に関しましての改正について諮問し、答申いただいたものが5点ございます。

 まず、労働条件分科会では、電子申請を行う場合に社労士さんが代行する場合についての手続の簡素化について、7月に御議論いただきました。

 また、労災保険部会では、次の2つの○にございますように、通勤災害保護制度の対象となる介護の対象家族の範囲について。それから、職場意識改善助成金に「勤務間インターバル導入コース」を新設することについて、12月に御議論いただき、また、次の○にございますように、介護料の最高限度額及び最低保障額の増額について。それから、個人番号、マイナンバーを利用することで書類の提出を省略していただくことについて、3月に御議論いただき、いずれも答申をいただいているところでございます。

 また、安全衛生分科会では2つございまして、1つは、福井県の化学工場における膀胱がんの発症事案を踏まえまして、オルト-トルイジンについての規制強化を10月に答申いただき、また次の○にございますように、産業医の位置づけや役割等について検討した「産業医制度の在り方に関する検討会」報告書を踏まえた必要な省令改正について、2月に諮問し、3月に答申をいただいているところでございます。

 以上が政省令事項ですが、このほか12次労働災害防止計画の評価について御議論いただき、現在、13次防の策定に向けての議論を始めていただいているということと、2016年度の目標について、労働条件分科会、安全衛生分科会、それぞれにおいて評価を行っていただいたところでございます。

 以上でございます。

○小川職業安定局長 職業安定局長の小川でございます。職業安定局関係分野につきましては、資料10-3をごらんください。

 1つ目の○は、雇用保険法等の見直しに関する検討についてです。こちらは、就業促進及び雇用継続を通じた職業の安定を図るため、雇用保険の失業等給付の拡充、失業等給付に係る保険料率の引き下げ等を行うとともに、職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化等の措置を講ずるため、雇用保険法等の一部を改正したものです。雇用保険部会、労働力需給調整部会及び職業安定分科会にて審議の結果、「おおむね妥当」との結論に至り、答申されました。これに基づき、当該法律案については、第193回通常国会に提出され、成立しました。また、同法の成立を踏まえ、関係する政省令等の改正を行っております。

 2つ目の○は、雇用対策における国と地方の連携強化に関する検討についてです。第6次分権一括法の関係で、地方公共団体の長が厚生労働大臣に対し、労働者の職業の安定に関し必要な措置の実施を要請できることとなりました。これを踏まえ、職業安定分科会運営規程を改正し、有識者の意見を聞く場として「地方連携部会」を設置しました。

 また、雇用対策協定及び雇用施策実施方針について、雇用対策協定に一本化することを内容とする雇用対策法施行規則の一部改正を行いました。

 3つ目の○は、障害者雇用対策の検討です。平成30年4月から精神障害者の雇用が義務化されることに伴い、5月30日の障害者雇用分科会において、平成30年4月1日より、民間事業者の障害者雇用率を段階的に2.3%とすることなどを盛り込んだ諮問がなされ、おおむね妥当との結論に至り、答申がされました。これを受け、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令」が6月27日に閣議決定されました。

 4つ目の○は、2016年度の年度評価及び2017年度の目標設定についてです。職業安定分科会については、別紙4-1に具体の数値状況、評価の動向が記されておりますので、こちらを御参照いただきたいと思います。

 障害者雇用分科会については、今後、審議を行う予定です。

 最後の○、その他につきましては、こちらに記載のとおりですので、説明は割愛させていただきます。

 なお、資料10-1等において一部記載しておりますが、9月8日の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の諮問を受け、昨日14日の第127回職業安定分科会にて審議を行いました。審議の結果、当分科会所管関係については「おおむね妥当」、同一労働同一賃金部会の所管分野については、部会報告のとおりとの報告をいただいておりますので、御報告いたします。

 職業安定局からは以上でございます。

○宮川雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局関係につきまして、局長の宮川でございます。雇用環境・均等局におきましては、2つの分科会と3つの部会を所掌しております。資料10-4の69ページをおあけいただきたいと思います。主な内容を御説明いたします。

69ページの1つ目の○、育児・介護休業法の一部改正でございますが、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の育児・介護休業法部分につきまして、審議の結果、「おおむね妥当」との答申が出され、育児休業期間の2歳までの延長等を内容とする改正法案を第193回通常国会に提出いたしました。同法の成立を受け、関係省令等の改正を行いました。

 続きまして、70ページをお開きいただきたいと思います。

 2つ目の○でございますが、「労働時間等設定改善指針の一部を改正する告示」、及び3つ目の「育児・介護休業法指針の一部を改正する告示」につきましては、規制改革会議の指摘を受けた年次有給休暇付与の早期化を検討することなどに係る告示案要綱について諮問がなされ、「おおむね妥当」との結論に至り、9月11日に答申がなされました。これを受け、今月下旬に改正告示の公布を行う予定でございます。

71ページをごらんください。2つ目の○でございますが、2015年度の年度評価及び2016年度の目標設定について、雇用環境・均等分科会につきましては、別紙10に具体の数値状況、評価の動向が記されておりますが、2016年度の年度評価及び2017年度の目標設定について審議がなされたところでございます。

 次に、同一労働同一賃金部会についてでございます。71ページの一番下の○でございます。同一労働同一賃金に関する法整備につきましては、「働き方改革実行計画」を踏まえ、本年4月から同部会において検討を行い、6月に報告を取りまとめ、16日に建議が行われております。これを受け、9月8日の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」が諮問され、当部会所管関係については、後ろの別紙14につけておりますが、「おおむね妥当」との結論に至り、部会報告がされ、昨日14日の雇用環境・均等分科会においても報告がなされているところでございます。

 審議の結果、雇用環境・均等分科会所管関係については「おおむね妥当」、同一労働同一賃金部会の所管部分については、部会報告のとおり「おおむね妥当」との報告をいただいておりますので、御報告いたします。

 以上でございます。

○安藤人材開発統括官 次に、人材開発統括官所管の分科会における審議の状況についての御説明を申し上げます。資料10-5、137ページになります。ごらんください。

 まず、専門実践教育訓練の指定基準の見直しについてでございます。ことしの3月28日の職業能力開発分科会におきまして、専門実践教育訓練の対象として、特に高度なIT資格の取得を目指す講座の拡充に向けて、訓練時間の下限を引き下げるなどの見直しを行いました。

 また、経済産業省で新たに創設されました「第4次産業革命スキル習得講座認定制度」により認定された教育訓練講座につきましても、専門実践教育訓練の指定の対象とするということにつきまして、この資料の中に記載はございませんが、一昨日9月13日に行われました人材開発分科会において答申をいただいたところでございます。

 次に、人材開発支援助成金につきまして、中小企業等の生産性向上のための訓練を助成対象に追加すること、助成金の名称等の変更につきまして御審議をいただき、「妥当」と認めていただいております。

 次の○ですが、2016年度の実績評価及び2017度の目標につきまして、7月31日の第1回人材開発分科会において審議され、了承されたところでございます。

138ページに参りまして、その他として、まず技能検定職種に「接客販売職種」及び「フィットネスクラブ・マネジメント職種」を追加することにつきまして、7月31日の分科会において御答申をいただきました。

 また、技能実習法のもと行われます監理団体の許可につきまして審査するための部会として、監理団体審査部会を設置することについて、分科会の運営規程を改正いたしまして、第1回を8月29日に開催したところでございます。

 以上でございます。

○奈尾労働政策担当参事官 厚生労働省におきましては、労働政策審議会における各分科会・部会の審議を十分に踏まえまして、労働行政を推進してまいります。

 続きまして、資料11でございますけれども、第191回臨時国会から193回通常国会までの法案審議結果を御報告申し上げます。

 まず、外国人技能実習法でございますけれども、昨年11月に成立いたしまして、本年11月から施行予定でございます。

 それから、労働基準法につきましては継続審議でございます。

 雇用保険法につきましては、3月31日に成立してございます。

 最後に、資料12でございますけれども、組織改編が本年7月11日付でございまして、それに伴います労働政策審議会の所掌事務の変更等について簡潔に御報告申し上げます。

 資料12の1ページでございますけれども、7月11日付の趣旨は上の囲みで書いたとおりでございます。

 各論につきましては、(1)医務技監の新設でございますけれども、これは次官級の医療担当、保健担当の職をつくるものでございますが、例えば災害時に官邸で災害対策本部などが置かれた場合を考えますと、総理に医学的・専門的知識を持ったアドバイスができる人がいたほうがいいのではないかという問題意識で、イギリスのチーフ・メディカル・オフィサーを参考にしながら、こういったものをつくったということでございます。

 (2)以後につきましては、裏面で御説明申し上げます。おめくりいただきますと、上のほうに矢印を書いた図がございまして、その右のページと対比していただきながら御説明申し上げたいと思います。

 左のページでございますけれども、現行と再編後がございます。現行のほうの労働基準局が一番上にございますけれども、この中で一部の業務、右側の労働条件分科会と上の囲みに書いてございますけれども、労働条件分科会の業務の中で、例えば個別労働関係紛争処理促進法等の一部の事項。それから、労働時間設定改善法の一部を除く事項。それから、テレワーク、パワハラ、ハラスメント防止等の事項といったことを労働基準局から雇用環境・均等局に移管いたしまして、その関係で労働条件分科会の所掌事務も一部が移管されるということが書いてございます。時間の都合上、全部御紹介できませんが、後ほどごらんいただければと思います。

 それから、左側のページの上から2つ目に職業安定局から矢印が分かれておりまして、一部の事項が雇用環境・均等局、それから一部が人材開発統括官に移ってございます。

 右側のページをごらんいただきますと、上から2つ目、職業安定分科会というところでございますが、以下の事項を雇用環境・均等分科会に移管ということで、非正規労働者の均等・均衡待遇に関する事項、同一部会の事項が移管される。

 それから、若者就労支援については、職業安定局から、原則として人材開発統括官に移管するということで、安定分科会から人材開発分科会に移管するというものでございます。

 それから、左ページの上から3つ目でございますけれども、雇用均等・児童家庭局は雇用環境・均等局と子ども家庭局の2つに分かれてございます。御案内のとおり、昔の橋本行革の中で女性局と児童家庭局を統合したということでございますが、1人の局長が諸課題に対応するのは限界もあるということでございまして、両局の事務になっているところでございます。

 それから、職業能力開発局につきましては人材開発統括官に変更されてございまして、これに伴いまして、右側のページの一番右下でございますけれども、人材開発分科会という名称に変わってございます。一部、若者関係の事務が追加されるというものでございます。

 その他ございますけれども、詳細は後ほどごらんいただければと思います。

 資料12の一番最後のページには、審議会全体の構成図、新旧でつけてございます。これは、7月11日付の組織改正時点のものでございます。

 私から、ちょっと長くなりましたが、説明は以上でございます。

○樋口会長 どうもありがとうございました。

 それでは、皆様方の御質問、御意見をいただきたいと思います。多分、たくさん出てくるのではないかと思いますので、三つ四ついただいてから事務局に回答いただくという方式で進めていこうと思います。

 まず、全般的なことで何かございますでしょうか。

 逢見委員。

○逢見委員 全般といいますか、働き方改革関連のことについて発言したいのですが、よろしいでしょうか。

○樋口会長 結構です。

○逢見委員 8月30日以降、労働政策審議会の各分科会・部会におきまして、「働き方改革実行計画」及び労働政策審議会建議を踏まえまして、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」についての審議が行われたことについては、ただいま報告があったとおりでございます。

 本日、労働条件分科会が開催され、法案要綱が答申されました。長時間労働の是正に向けた罰則付き時間外労働の上限規制の導入など、評価すべき点が多く盛り込まれた一方、連合が法案から落とすべきと主張してきました企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大、及び高度プロフェッショナル制度の創設が含まれた形での答申となったことは、非常に残念であります。

 連合は、雇用・労働政策に関しては、公益委員と労使委員の三者構成による労働政策審議会において立法・決定されるプロセスを今後とも大事にしたいと考えております。労使間には、立場や意見の相違があったとしても、現場の実情を知り、現場に責任を持つ労使が向き合って議論することが重要です。閣議決定した枠組みに基づいて労働政策審議会が下請的に議論するというやり方は望ましくないと思っております。議論に多少時間がかかったとしても、公労使の三者でよりよい働き方のルールを求めていく姿勢は、今後も三者で共有していきたいと思います。

 今後、法案要綱に基づいて国会に法案が提出され、その後、国会で審議されることになると思います。厚生労働省におかれては、この間の分科会・部会で法案要綱に対して、労働者側委員から出された意見を重く受けとめていただくようにお願いしたいと思います。

 以上です。

○樋口会長 ほかにいかがでしょうか。

 市瀬委員。

○市瀬委員 市瀬でございます。

 私からは、2点申し上げさせていただきます。

 1点目は、最低賃金についてです。昨年のこの場において、「来年の中央最低賃金審議会の審議に当たっては、企業の実態を踏まえた根拠の明確な目安が示されること」を強く要望させていただきました。しかしながら、今年も例年並みの高い引き上げにもかかわらず、根拠は不明確なままでした。最低賃金の審議に当たっては合理的な根拠に裏打ちされた目安を提示していただくよう、改めてお願い申し上げます。

 2点目は、働き方改革関連法案の施行時期についてです。時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金を含む働き方改革関連法案については、商工会議所として、その趣旨に賛同しているところであり、今後、多くの企業が法律に違反しないように注意を払いながら対応を進めると思います。しかしながら、特に規模の小さい企業においては、マンパワーやノウハウが不足し、施行までに対応したくてもできないといった事態が起こるのではないか、とりわけ同一労働同一賃金について、実務上、整備が整わないのではないかと懸念しております。

 働き方改革は、人手不足解消と生産性向上の実現に資する重要な政策課題です。企業が混乱なく施行日を迎えられるよう、政府におきましては、相談機能の強化や支援策の拡充を強力に進めていただきたいと思います。

 私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○樋口会長 ありがとうございます。

 それでは、鵜浦委員。

○鵜浦委員 ありがとうございます。

 私から、労働基準法の改正に関して意見を申し上げます。

2015年4月に国会に提出され、継続審議扱いとなっている労働基準法改正法案、それから時間外労働の上限規制の導入などに関する改正、いずれの審議に当たっても、使用者側は長時間労働・過重労働を抑制し、労働者の健康を確保すること。そして、過労死を決して起こさないことが重要との立場から議論に臨んでまいりました。言うまでもありませんが、我が国企業の経営環境が厳しさを増す中、企業競争力を維持・向上させることも重要な課題であります。ソサエティ5.0を目指す過程で、産業構造や就労スタイルの変革が進んでまいります。多様な人材がライフステージの変化の中で多様な働き方を選択できる、こういった社会を目指していくべきであると考えているところであります。

 先ほど、労働者側委員から御意見もありましたが、高度プロフェッショナル制度の創設と企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大は、労働者が柔軟に働くことができる選択肢をふやし、かつ生産性向上の一助となるものであり、必要不可欠であると考えております。

 労働条件分科会において、労働者側委員から両制度に対する御懸念が示されたことを踏まえ、本日開催された同分科会では、対象労働者の健康確保措置の強化などの修正が加えられた形で法律案要綱が答申されたと伺っております。労働基準法改正法案は、労働者の健康確保と生産性向上の双方を実現できるものであり、使用者側といたしましては、法案の内容での早期成立をお願いしたいと思います。

 私からは以上です。

○樋口会長 ありがとうございます。

 伊藤委員。

○伊藤委員 市瀬委員から中小企業を代表した意見がございましたので、同じく中小企業を代表いたしまして、伊藤から2点ほど申し上げたいと思います。

 まず、資料8の2ページ目にあります同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善と、4ページ目の長時間労働の是正や安全で健康に働くことができる職場づくりについてでございます。

 4月以降、労働政策審議会の各分科会・部会において、制度の整備等について議論され、法律案要綱が取りまとめられ、次の国会へ提出されると聞いております。厚生労働省におかれましては、全国約380万の中小企業・小規模事業者に対して、関係法令の改正内容の確実な周知並びに十分な対応期間を設けた施行時期としていただくことをお願いいたします。

 例えばでございますけれども、私は菓子業界と深くかかわってまいりました。おまんじゅう1つ包むにしても、ベテランが生地の真ん中にきれいに包んでいくのと、アルバイトの人間が包んだものとでは、見た目も全然違うし、なおかつ味も違う。また、洋菓子屋さんでイチゴのショートケーキをつくりますけれども、スポンジケーキに生クリームを塗るにしろ、技能が全く違えば、それなりに違うものができ上がってきます。その技能差について、外から見れば同一労働同一賃金にするのか、技能差をどう評価するのか。同一労働同一賃金という規定をもっと明確にしていただいて、それらの周知徹底をお願いしたいと思うわけでございます。

 また、時間外労働の上限規制への対応、同一労働同一賃金の実現に当たっては、その対応に苦慮する中小企業に対して、個別相談に応じられるような相談窓口の設置を始め、相談体制の万全の整備をお願いいたします。

 もう一つは、3ページ目でございますけれども、雇用関係助成金の整理等についてでございます。雇用関係助成金について、常に整理・見直しがされていると伺っておりますけれども、極めて数が多く、なおかつ分かりにくいという意見を聞きます。利用者である事業主等に分かりやすい助成金になるような、さらなる見直しをお願いいたします。

 また、申請手続等についても、申請書類の簡素化をより一層推進していただきますよう、お願いいたすところでございます。他の省庁でございますけれども、消費税の軽減税率導入について、来年1月末をもって打ち切りになるという補助金がございますけれども、このようなことは厚生労働省では決してないと思いますが、よくよく見直していただいて、的確なる助成をいただくよう、ひとつよろしくお願いいたすところでございます。

 以上です。

○樋口会長 それでは、ここでひとまず事務局からの答えをお願いします。

○土屋大臣官房審議官 基準局の土屋でございます。私から、働き方改革の法案に関する御意見について、逢見委員、鵜浦委員、伊藤委員からお話があった点について御回答申し上げたいと思います。

 働き方改革の法案に関しましては、3月の働き方改革実現会議で策定された実行計画を踏まえまして、その後、各分科会で建議をいただき、また先ほど法案要綱について答申いただいたということで、大変短い期間ではございましたけれども、集中的に真摯な御議論を労使の皆様方にいただいたと思っております。先ほどの答申につきましては、労働側の委員からの御意見も付記しつつの「おおむね妥当」というものをいただいたわけでございますけれども、これまでの審議の経過の中でいただいた労使の皆様方の御意見につきましては、これからも十分踏まえつつ、今後の対応を図ってまいりたいと考えております。

 また、いただいた答申を踏まえて、私どもは早期に法律案を国会に提出できるように準備を進めてまいりますとともに、法案が成立した際につきましては、法律あるいは指針の内容といったものを、特に中小企業に関する御意見を頂戴いたしました。相談体制の整備を含めて、しっかりと周知、あるいは中小企業の皆さんへの支援といったことを含めて対応させていただきたいと思っております。

 それから、もう一点、最低賃金について市瀬委員から御意見を頂戴いたしました。今年度の最賃の目安の審議についても大変集中した御議論をいただいたわけでございますけれども、その際、中央最低賃金審議会におきましては、いわゆる全員協議会でも御議論いただき合意された各種の統計資料に基づいて御議論いただき、また先ほどの実行計画についても配慮して御議論いただくということで、その内容も御説明させていただきながら審議を行っていただいたと考えております。今後とも、最低賃金審議会でのそういったさまざまな資料等に基づいた、十分な、かつ円滑な審議が図られるように努力していきたいと思っております。

 以上でございます。

○樋口会長 宮川局長。

○宮川雇用環境・均等局長 市瀬委員及び伊藤委員から、とりわけ同一労働同一賃金の関係で御質問、御意見等もございましたので、私のほうからお答えさせていただきます。

 同一労働同一賃金につきましては、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇を解消していくという形の中で、既に同一労働同一賃金ガイドライン案を公表した形で今回の法改正に臨んでいるわけでございますが、6月の建議におきましても、この法律の施行に当たりましては、十分な施行準備期間を設けることが必要である旨の建議がなされているところでございます。

 今回の法律におきまして、特に同一労働同一賃金につきましては、賃金表の改定等、さまざまな作業が企業にとって必要なことになろうと思われるわけでございまして、中小企業におきましては、担当者の不足とさまざまな事情等を考慮いたしまして、全体の法律の施行が平成31年4月とされているところでございますが、同一労働同一賃金の部分につきまして、パート労働法、労働契約法の関係の適用につきましては、1年間猶予するという形で対応させていただいております。

 また、ガイドライン案につきましては、法律が成立した暁には、それまでの国会審議等を踏まえ、労働政策審議会、具体的には同一労働同一賃金部会におきまして審議させていただいた上で内容を確定し、それを踏まえた形で企業における処遇改善、あわせて時間外労働の上限規制の対応という形で、先ほど重点事項で御説明させていただきました、全国47カ所に働き方改革推進支援センターを設けまして、関係機関とも連携を図りつつ、個別相談援助あるいは電話相談など丁寧にやっていくとともに、商工会議所などにおきますセミナー、出張相談会の実施ということもあわせて考えているところでございます。

 このような形で、中小企業・小規模事業者等各事業主の実情も踏まえて、労使双方に丁寧に対応していこうと考えているところでございます。

 以上でございます。

○樋口会長 はい。

○小川職業安定局長 それでは、私のほうから、伊藤委員から御指摘がございました雇用関係助成金について、お答え申し上げます。

 助成金がわかりにくいとか使いにくいという御批判につきましては、時々お伺いするところでございます。我々としても、何年かに1回、助成金の整理・統合などを行っているのですけれども、新しい課題ができてくると、それに対応するような助成金ができてくるということで、増えたり、減ったりしているというのが正直なところでございますけれども、今後も、助成金の執行状況を見ながら、事業主にとってわかりやすく、使いやすいものになるように引き続き整理統合を行っております。ちなみに、平成28年度に36助成金72コースありましたけれども、今年度につきましては、17助成金62コースに統合するという整理を行っております。

 また、申請手続とか申請書の簡素化につきましても、引き続き検討してまいりたいと考えております。

○樋口会長 よろしいでしょうか。

 それでは、引き続き、御質問。

 相原委員。

○相原委員 ありがとうございます。

 資料8の3ページに、「生産性向上に取り組む企業等への支援」という記載があります。いずれも新規の項目として挙がっておりますので、その点について意見を申し上げたいと思います。

 申し上げるまでもなく、生産性向上は、分母を減らすか分子を大きくするかで決まりますが、これだけ人手不足が強まっている中では、分子たる付加価値、いわゆるアウトプットをいかに高め、最大化していくかという観点が重要であり、そのために働き方改革や投資のあり方を見直していくということだと思っています。今回の助成金支給額の割り増しの要件を見ても、生産性の要件の算定式で事業主都合による離職者を発生させないことが条件となっている点は非常に重要で、分母を動かすのではなくて、分子を最大化するということとなっています。これを企業行動の改善に定着の要件として備えていくことは、大変重要だと思います。

 その上で4点申し上げますと、助成金が割り増しで上積みされることになりますが、個々の助成金の性格も踏まえて、丁寧な検証が必要であると思います。これが1つ目です。

 2つ目は、企業ごとの取り組み状況を十分に考慮して判断すべきということです。各企業が生産性向上の目標を定め、結果を出すと思いますが、結果までのプロセスを見ることも大事です。この点が働き方改革の根底だと思います。

 3つ目としては、「仕組みの試行的導入を検討する」という記載がありますが、これは大変ポイントだと思っております。というのも、政策効果を測定する。要は、持続可能性ある企業の実力が本当に高まっているのかどうか、働き方が改まっているのかどうかということを測定、点検、サンプリング、モニタリングを行ってPDCAサイクルを回すというのも大変大事だと思っております。

 最後ですが、間違っても、今回の生産性要件を入れたことで、企業間の格差が助長されたり、本来、持続可能性がないところに助成が行っているということがないように、きめ細やかな対応を求めたいと思います。

 以上です。

○樋口会長 ほかに。

 そうしましたら、こちらからお願いします。

○永井委員 ありがとうございます。

 資料8、5ページのパワーハラスメント防止対策について意見を申し上げたいと思います。

 職場におけるハラスメントは、労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、休職や退職に至る原因にもなっていると思っております。連合のなんでも相談ダイヤルという相談ダイヤルにおいても、2016年、1年間で1万5,000件ほどの相談電話があった中でパワーハラスメント等を含む差別などの相談は15%に上っており、労働局への相談件数もふえていると認識しております。また、厚生労働省の調査でも、3割を超える人たちがパワーハラスメントを受けたことがあると答えていると聞いています。パワーハラスメントを撲滅し、労働者が安心して働くことのできる職場環境の構築が重要だと考えております。

 パワーハラスメント防止対策を実効性あるものにするためには、男女雇用機会均等法のセクシュアルハラスメント防止の措置義務を参考にしつつ、パワーハラスメント防止につきましても法制化し、事業主に防止措置を義務づけるとともに、事業主が講ずべき措置を指針などに定めることが必要と考えております。加えて、職場におけるハラスメントの形態が非常に多様化しているということから、パワーハラスメントのみならず、職場におけるいじめ、嫌がらせ全般の防止に向けた措置を講ずることが必要と考えております。被害者・行為者ともに、職場内に限らず、広く対象とするといったことも必要であると思います。

 労使の取り組みを加速させる実効性ある法整備をお願いしたいと思っております。

 以上です。

○樋口会長 永井委員でした。

 では、続けてお願いします。宮本委員。

○宮本委員 ありがとうございます。

 私からは、資料8の4ページから6ページの上段に記載されている、長時間労働の関係と36協定について意見を申し上げたいと思います。

 まず、厚生労働省調べでは、平成28年度の過労死と過労自殺の労災認定件数は191件と、200件に迫る数になっています。過労死や過労自殺が1件でも発生する職場というのは、その職場で働く全ての労働者にその危険性があるということであり、その職場には極めて重大なインシデントがあると言っても過言ではないと思います。全ての働く者が過労死や過労自殺に追い込まれるということがないように、事業主に対して労働時間を適正に把握するよう指導徹底するなど、実効性のある対策を望むところであります。

 あわせて、時間外労働の上限規制を着実に実施するためには、適正な内容と手続きで36協定が締結されることと、労使ともに36協定を遵守しなければならないことは言うまでもありません。しかし、連合が今年6月に実施したインターネット調査によると、36協定の認知度は55%程度にとどまっている実態が浮かび上がってきました。また、2割弱の職場では36協定を締結していないこと、4割弱の職場では締結しているかどうかさえわからないという回答が寄せられました。

 罰則付き時間外労働の上限規制などの法改正に先立ちまして、36協定の未締結企業に対する協定締結の周知と指導強化は当然のことでありますけれども、過半数労働組合が無い場合に36協定の締結主体となる過半数代表者について、適正な方法によって選出されるように指導や周知徹底することも重要です。不適切な選出方法によって選ばれた過半数代表者と36協定を締結した場合、その協定は無効となりますが、労働基準監督署が精査せずに受理してしまいかねないケースもこれまでもあったのではないかと思います。

 労働基準監督署に提出される36協定の中には、使用者が恣意的に締結したものも含まれているという可能性があることを前提に、協定内容はもとより、過半数代表者の適正性を精査していただいて、無効と判断したものは受理しないだけではなく、違法残業に対する指導強化もぜひ徹底してもらいたいと思います。

 なお、6ページに、協定未締結事業所などへの相談指導に民間事業者を活用することが記載されておりますけれども、36協定関係の民間委託については慎重な対応をお願いしたいと思います。

 以上です。

○樋口会長 浦野委員。

○浦野委員 ありがとうございます。浦野でございます。

 私から、資料8の12ページにございます、障害者等の希望や能力を活かした就労支援の推進について意見を述べさせていただきたいと思います。

 先ほど御説明いただきましたように、民間企業の障害者雇用率は、2018年4月より2.2%に、その後、2021年3月末までに2.3%へと段階的に引き上げられるようになっております。これにつきましては、2013年度の法律改正に伴いまして、障害者雇用率の算定基礎に精神障害者を加えるという制度変更の影響であることは理解しております。しかしながら、最終的な引き上げ幅といたしましては、過去最大のものとなりまして、雇用率達成に向けて取り組んでいる企業にとって、採用がますます厳しくなっている中、大変厳しいと言わざるを得ない状況でございます。

 対象企業の下限が下がりまして、新たに6,000社以上の小規模企業に雇用義務が課せられるということも大きな課題でございますが、影響は大企業になるほど深刻かと考えております。例えば、従業員1万人規模で実雇用率が2%である企業の場合、30人以上の新規の雇用が求められる状態になります。その上、離職者の発生を想定すれば、それ以上の採用が必要となる状況でございます。

 また、昨今は障害者の高齢化への対応が喫緊の課題となっており、従来からある短期間での離職の問題なども重なりまして、課題は山積と考えております。

 例えば、弊社では、現在、グループで2.25%の雇用率となっております。そのうち60%が身体、28%が知的障害の方です。知的障害の方につきましては、2008年度に人事部内に専門部署を設置しまして、現在、9事業所で指導員を専任で二十数名置きまして、就労支援センターの多大な御協力を得ながら採用・定着を図っております。少しずつ業務内容自体は広がっておりまして、元気に働いていただいていることは大変うれしく思っております。そのためには、採用前の就業体験が必須でして、支援センター、また御家族の理解と協力がないと推進できないこともたしかでございます。

 一方で、知的障害者の平均年齢が25歳であるのに対しまして、身体障害者は既に46歳に達しております。これからリタイアされる方々が年々ふえていく状況で、実際、残念ながら年齢とともに就業が難しくなり、やむなく退職されている方がふえていることも実態でございます。

 企業全体を見た場合、精神障害者の雇用が増大していることから、当面の制度上の対応といたしまして、現在、ハーフカウントされております精神障害者の短時間労働をシングルカウント扱いとし、例えば体調変化に応じて、フルタイムとパートタイム勤務を柔軟に行き来することができることが必要かと考えております。関係審議会での早期導入に向けた検討を求めたいと思います。

 また、中期的には障害者雇用の量的な拡大だけでなく、質的な充実の観点から、例えば一定年齢以上で短時間労働に移行しましても、シングルカウントのままで働き続けることが可能になれば、高齢期における働き方の選択肢が広がることになると考えております。

 今般、厚生労働省内に設置される有識者研究会では、企業努力を一層促す仕組みづくりを中心に、障害者雇用促進制度の見直しについて精力的な検討をお願いしたいと存じます。

 私からは以上でございます。

○樋口会長 それでは、ここまでで事務局からお願いします。

○小川職業安定局長 それでは、私のほうから。

 まず、相原委員のほうから、今回、生産性による割り増しの導入についての御質問がございました。助成金の生産性要件による割り増しにつきましては、今年度から本格的に実施したものでございまして、まだそれほど実績が出ているものではございません。助成金全般、そうではございますが、PDCAサイクルをしっかり回して、施行状況を踏まえ、もしも十分に使われていないものであれば、それは取りやめるとか。それから、ちゃんと付加価値をふやす、その分子をふやしていくという方向で使われたかどうかについても、しっかり検証した上で、雇用関係の生産性割り増しの助成が付加価値をふやすという方向で使われるようにしていきたいと考えております。

 それから、浦野委員のほうから障害者雇用についての御質問がございました。確かに今回、法定雇用率が引き上がっていくということがございます。近年、精神障害者の求職者や雇用数が大幅に増加しているということでございますけれども、同時に、職場に課題がある場合が多く見られることがございます。したがいまして、来年4月からの法定雇用率の引き上げに向けては、ハローワークとか地域の就労支援機関などが着実に連携して、こうした方々の就労に取り組んでいく必要があると考えております。

 また、お尋ねがございました短時間労働者のカウントの件につきましては、雇用されているような現在の身体障害者、精神障害者の状況を十分把握した上で検討していきたいと考えております。

○樋口会長 はい。

○宮川雇用環境・均等局長 永井委員からパワーハラスメント防止対策についての御意見がございました。

 職場のパワーハラスメントにつきましては、平成23年度に厚生労働省に設置されました、いわゆる円卓会議におきまして、職場のパワーハラスメントの予防解決に向けた提言を取りまとめていただき、企業、労働組合、労働者の一人一人に対して、この問題に取り組む重要性を広く呼びかけ、行政としても、この提言を踏まえた周知・啓発、及び労使の取り組みの支援を行ってきたところでございます。

 ポータルサイトの設置ですとか企業向けセミナーなどを通じましたパワハラ防止対策の周知・広報、取り組み促進、取り組みを指導できる人材の養成などに努めてきたところでございますが、「働き方改革実行計画」におきまして、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行うとされているところでございまして、それを受けた形で、現在、検討会におきまして、有識者・労使関係者の御意見を伺っているところであり、年度末までに一定の取りまとめを行うことを目指して、実効性のある対策のあり方について議論を重ねていく予定でございます。

 また、セクシュアルハラスメントあるいは妊娠・出産、育児休業、介護休業等に関するハラスメントについても、引き続き、改正法等の履行確保に努めていきたいと考えております。

○樋口会長 はい。

○土屋大臣官房審議官 それでは、基準局から、宮本委員から御意見がございました過労死の関係、それから36協定の関係をお答え申し上げます。

 まず、過労死の関係につきましては、私どもも過労死あるいは過労自殺というのはあってはならないものだと考えておりまして、対策に取り組んでいるところでございます。昨年末には、「過労死等ゼロ」緊急対策ということで、さらに運用を強めるという取り組みを行っておりますが、この中には労働時間の適切な把握に関するガイドラインの策定ということを織り込んでおりまして、これを踏まえての指導を現場で今、やっておるところでございますし、また今般の、先ほど来申し上げております働き方改革の法案の中には、上限規制の導入も入っております。

 そういったことを踏まえながら、あるいはメンタルヘルス対策の強化なども含みながら、今後とも過労死ゼロに向けた実効ある対策の実施を図ってまいりたいと考えております。

 それから、36協定につきましては、長時間労働の是正を図っていくためにも、適法な36協定の締結・届け出をしていただくことが大変重要なことだと思っております。36協定の未締結事業場についてのお話ございましたけれども、私どもとしても、この未締結という状況に着目しながら、周知あるいは監督・指導を徹底してまいりたいと考えております。

 また、過半数代表のお話ございましたけれども、これについては、労働条件分科会からいただいている報告書の中にも、過半数代表の使用者の意向による選出は手続違反に当たるということを、労働基準法の施行規則にきちんと規定するという建議をいただいているところでございますので、そういった対応を含めて、適切な選出について引き続き対応していきたいと思っております。

 なお、資料の中にありました民間事業者の活用について慎重にというお話ございました。私どもとしては、36協定未締結の事業場へのアプローチという意味では、まずはルールを知っていただく。それによって対応していただくというところからという意味で、民間事業者の方にもお手伝いいただける部分があるのではないかということで、こういった事業を考えているところでございますが、一方で、十分に御理解いただけない事業主の皆さんや、それから違法な状況にあるような事業主の方への監督・指導というのは、これはしっかりやっていくべきものだと思っておりますので、そういった中で、先ほど来申し上げております36協定全体についての対応を強めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○樋口会長 それでは、引き続き、御質問、御意見いただきたいと思います。

 どちらからでも結構です。

○畠山委員 ありがとうございます。畠山でございます。

 私のほうからは、資料8ページの(2)女性活躍推進法の実効性確保に向けた施策の展開についてでございます。

 女性活躍推進法制定後の取り組みについて見てみますと、女性活躍の指標でもあります男女間賃金格差については、男性100に対して女性が73と、前年より大きな変化・改善は見られないということもありますし、各指標を見ましても変化がないといった状況がございます。

 また、中小企業は、女性活躍推進法に基づく計画策定をしている企業が、昨年末の実績で見ますと2,155社という状況であります。そもそも施策を行っていないというところも多いかと思います。全体を見まして、余り進んでいないのではないかとも感じております。

 今回、重点項目に掲げられている施策については、必要な取り組みではありますけれども、状況を加速化させる抜本的な取り組みとは言いがたいのではないかとも考えております。法施行後の効果の検証を行うとともに、より強力な取り組みが必要ではないかと考えております。

 また、女性活躍推進法を見直す際には、均等法の見直しも同時に行うとなっておりますが、均等法に関する積み残しでもありますポジティブアクションの規定等、女性活躍推進法の関係整理、同一労働同一賃金に関係するコース別雇用管理制度、間接差別といった課題も、もとより法の履行確保について抜本的な改善が必要であると考えております。より詳細な現状・実態把握を早期に行っていただきまして、202030に向けて取り組みを進めていただきたいと考えております。

 私からは以上でございます。

○樋口会長 畠山委員でした。

 では、松谷委員。

○松谷委員 ありがとうございます。

 資料7ページに記載のある、雇用類似の就業者の法的保護に関する件で意見を申し上げたいと思います。

 雇用類似の就業者につきましては、昨年、イギリスにおきまして、ウーバー社のドライバーに対する最賃適用などの権利を保障すべきという判決が出されております。契約上は請負などであっても実際の働き方は雇用労働に近いという、雇用類似の就業者の法的保護の検討は今後の労働政策のメーンテーマの一つであると考えております。そういった意味で、7ページに記載のある、「非雇用型テレワークの就業環境の整備等」の中で、「雇用類似の働き方に関して、平成29年度に設置する有識者による検討会での検討結果を踏まえ、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討する」という事項が新規項目で記載されたことはまことに重要であると考えています。

 雇用類似の働き方に対する法的保護の検討に当たりましては、1つ目としては、就労実態を見て労働者性があるものは当然労働者として保護していく。2つ目としては、労働者性が認められない方についても、最低報酬、災害補償、契約ルールなどについて法的保護を補償する。こうした2段階の視点が必要ではないかと考えております。

 以上です。○樋口会長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、中野委員。

○中野委員 ありがとうございます。

 同一労働同一賃金の実現に向けた法改正に関して申し上げたいと思います。私は、同一労働同一賃金部会の使用者側委員を拝命しておりますので、改正法案成立後の政省令の審議のあり方について意見を申し上げたいと思います。

 今後、改正法案が国会で成立し、施行していきますと、人事労務管理や処遇制度のあり方、先ほど賃金表というお話もありましたが、人事制度そのものを大きく見直す企業が多く出てくると思います。その場合、大企業でも経営内での議論、労働組合との十分な話し合いなどに大変な労力と時間が必要になります。先ほど中小企業からの御発言もございましたが、政府におかれましては、企業規模にかかわらず、十分な情報提供と実務対応への支援を重ねてお願いしたいと思います。

 また、改正法案成立後の政省令審議の検討に当たりましては、建議にもありますとおり、労働者保護の観点を踏まえつつ、企業の実務に過度な負担とならないよう、十分に実態を踏まえた検討が必要だと考えております。他方で、政省令等を早く示すことが、無駄な重複をなくして、働き方改革にも直結していくと思いますので、審議を効率的に行う必要があります。とりわけガイドライン案につきましては、従来は行政指導等の対象としなかった均衡規定について、明らかに問題となるケースはその対象とするということから、極めて慎重な検討が求められると思います。

 特に、労働者派遣に関しましては、パートや有期雇用労働者とは異なりまして、企業が直接雇用していない労働者に対し、従来とは全く異なるアプローチで均等・均衡処遇の実現を図るものです。派遣元のみならず、派遣先においても、何を、どこまで対応すればよいのかわからず、混乱が生じるおそれが懸念されます。

 論点はさまざまありますけれども、中でも派遣先の義務となる待遇に関する情報提供のあり方ですとか、労使協定実施のための3要件につきましては、派遣元、派遣先、派遣労働者、それぞれが理解でき、実務上も対応可能な内容としなければ、労働者派遣制度そのものの存続が危うくなり、結果的に派遣労働者の処遇改善どころか、雇用そのものを失わせることにもなりかねないと思っております。弊社グループも労働者派遣事業がございますが、東京オリンピック後の不透明な労働市場と経営環境を見据えつつ、今後、派遣事業をどのようにしていくか、慎重に検討しているところであります。

 厚生労働省におかれましては、ただいま申し上げた点等々を踏まえていただきまして、効率的な審議会運営や効果的な企業支援に力を注いでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

○樋口会長 それでは、3人の方について。

○宮川雇用環境・均等局長 私からお答えさせていただきます。

 まず、畠山委員からございました女性活躍推進でございます。御承知のように、女性活躍推進法に基づく義務規定となります300人超の大企業の計画策定ということにつきましては、ほぼ全数の大企業がそれに取り組んでいらっしゃるわけですが、同法に基づく努力義務規定でございます300人以下の中小企業につきましては、先ほど畠山委員からお話のあったとおりでございます。

 これらの中小企業につきましては、相談支援あるいは助成金の活用などにより、行動計画策定やえるぼし認定取得に向けた支援を行っているところでございますが、そのような形の中で、今後とも中小企業に対しましては、説明会、相談会あるいは助成金の周知を図りまして、行動計画の策定あるいは取り組みの促進を引き続き進めてまいりたいと思います。

 また、「働き方改革実行計画」に基づきまして、2018年度までに女性活躍推進法の情報公表制度の強化策などについての必要な検討を行うこととしておりますが、今後は、その女性活躍のさらなる推進に向けて、関係する法令に基づく取り組みも含めまして、必要な検証などは進めていきたいと考えているところでございます。

 松谷委員からお話がございました雇用類似の働き方に関してでございます。雇用類似の働き方につきましては、現行におきましても、当然のことながら、契約形態にかかわらず、実態として労働者性が認められる方につきまして、労働関係法令に基づく保護を行っているところでございまして、引き続き、その点については適切に実施していく所存でございます。

 一方、雇用類似の働き方につきましては、「働き方改革実行計画」におきまして、順次、実態を把握し、雇用類似の働き方に関する保護等のあり方について、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討していくとされているところでございまして、近々、そのための検討会を設置いたしまして、その検討を始めたいと考えているところでございます。

 それから、中野委員からございました同一労働同一賃金でございます。内容的なものは重なる部分がございますので、中野委員から御指摘のありました点を含めまして、法案が成立した後の省令、ガイドラインの検討に当たりましては、建議を踏まえまして、同一労働同一賃金部会において効率的に議論を進めていきたいと考えておりますし、また、企業規模にかかわらず、企業に対しましてのきめ細やかな支援は行ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○樋口会長 それでは、続きまして、山本委員。

○山本委員 ありがとうございます。山本でございます。

 私からは、子育て・介護と仕事の両立について意見を述べさせていただければと思います。

 雇用均等分科会でも繰り返し申し述べてきましたが、妊娠・出産・育児期に離職することなく働き続けたい。そんなことが、最近、若い方々と話していてもよく聞かれるところでありますが、その環境整備には、保育の受け皿整備は勿論、安心して子供を預けられる保育の質というのも確保が重要であると考えています。この保育の質と量の確保には、保育現場で働く者の処遇改善と働き続けられる環境整備が大変重要です。保育にかかわる人がもう働き続けられないような劣悪な環境の中では、妊娠・出産・育児期に離職することなく働き続けることができるという環境整備は実現しません。このことは、介護の受け皿整備についても同様であると思います。

 早期の待機児童解消、そして介護離職ゼロへの着実な実効性ある施策をお願いしたいと思います。

 また、有期契約労働者の育児休業の取得についても意見を申し上げます。連合が行った有期契約労働者に関する調査によりますと、一定の条件を満たせば、有期契約の人でも育児休業を取得できるということを知っているかという設問に対する回答を見ると、残念ながら4年前に行った調査は39.7%、今回行った調査でも45.7%ということで、大きく変わっていないという実態が浮かび上がってきました。有期契約労働者の育児休業の取得に向けて、効果的な周知活動をぜひお願いしたいと思っております。

 関連ですが、今年10月から育児休業等の対象者への個別周知が努力義務化されましたが、男性が育児・介護参加がスムーズにいくような促進をお願いしたいと思います。それとともに、対象者への周知徹底もお願いしたいと存じます。さらに、男性の育児休業取得促進施策について、現在研究会で検討が行われておりますけれども、パパ・クオータなど抜本的な施策の検討をお願いしたいと思います。

 以上です。よろしくお願いいたします。

○樋口会長 椋田委員。

○椋田委員 私のほうからは、労働安全衛生の関係で2点申し上げたいと思います。

 まず1つは、資料8の11ページにあります治療と仕事の両立についてです。特に、労働力不足が今、深刻になっている中で、企業においても多様な人材が活躍できる職場環境を整備していくことが重要だということは言うまでもないと思っております。一方で、事業者による労働契約法上の労働者への安全配慮義務、あるいは労働安全衛生法上の病者の就業禁止も課されています。そういった既存の法律と矛盾が生じて、企業の中に混乱が生じることのないよう、現場の実態に即した配慮・施策をお願いしたいと思っております。

 それから、もう一点は、資料10の別紙9、25ページになります。真ん中あたりから、現在、稼働しております第12次労働災害防止計画の目標の動向について書かれております。ここにありますように、死亡災害につきましては、関係者の努力と取り組みの成果によって目標に届く見込みですけれども、死傷災害につきましては、残念ながら目標の達成が難しいという状況になっています。死傷災害を減少させられなかった背景につきましては、特に第3次産業での転倒災害あるいは腰痛災害などへの対策が不十分であったことが考えられますので、今後、第3次産業を中心に、さらに一歩進んだ対策が必要になると思われます。

 ただ、安全衛生といいますのは一朝一夕にできるものではありませんので、これから第13次労働災害防止計画の策定の議論が本格化すると思いますけれども、ぜひ事業場の現状を十二分に加味した内容にしていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 私からは以上です。

○樋口会長 ほかに。

 中川委員。

○中川委員 ありがとうございます。中川でございます。

17ページの人手確保対策、地方創生の推進について意見を述べさせていただきたいと思います。

 大臣の御挨拶もありましたけれども、数値上、雇用情勢は着実な改善が進んでおり、正社員の有効求人倍率は1.1倍、完全失業率の数値も改善が続いています。私が住んでいる九州も宮崎も人手不足が顕著であり、9月5日に公表された帝国データバンクの調査では、正社員が足りないと回答した企業が47.1%と、過去最高だった3月公表時より1.2ポイント増えています。

 最近では、2020年東京オリンピックに向けた開発事業で人材が首都圏に流れているほか、熊本地震からの復興需要によって特に建設業で作業員の確保が困難になっています。また、パート・非正規社員が足りないと回答した企業の割合も31.6%となっており、人手不足が慢性化しつつあります。人材不足を補う取り組みということでは、宮崎県が経営団体にアンケートをとったのですが、その中では、業務の効率化や既存従業員の方々の能力向上、女性の社会進出の後押し、高齢者・外国人活用、パート・アルバイトの採用といった回答が寄せられています。

 以上のような地方の現状を踏まえ、17ページにありますように、ハローワークにおける人材確保支援の充実と拡充をぜひともお願いしたいと思います。

 また、地方創生の推進につきましては、若者が進学や就職を機に地域から都会に出て、地元になかなか戻ってこられないという問題が指摘されますが、この理由としては、若者の都会志向だけではなく、地域に帰って働く場があるのだろうかという不安もあるかと思います。安定した雇用の場を地域に確保することは、若者を地域に呼び戻すためにも大変重要な施策です。そのため、9ページにある地元就活支援コラボプロジェクトの推進にあたっては是非実効性のある施策となるように、文部科学省などと連携しながら、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 以上です。

○樋口会長 ほかにありますか。

 では、よろしければ事務局からお願いします。

○宮川雇用環境・均等局長 山本委員から子育て・介護と仕事の両立、あるいは育児・介護休業法などについて御質問がございました。

 まず、待機児童解消あるいは介護離職ゼロという関係でございますが、待機児童解消に向けましては、現行の待機児童解消加速化プラン、及び来年度から子育て安心プランに取り組むとともに、介護人材の確保のため、生産性向上を通じた労働負担の軽減などに総合的に取り組むこととしてございます。これらの施策と連携しながら、仕事と家庭が両立できる環境整備を推進してまいりたいと考えております。

 それから、本年1月の育児・介護休業法改正法の施行の周知の関係でございますが、この改正内容につきましては、政府広報オンラインでの周知に加えまして、新聞広告あるいは雑誌とのタイアップ、インターネット広告などによる積極的な周知を行ってきたところでございますが、改正内容が対象者に行き渡るよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。

 また、あわせまして、本年10月の改正内容につきまして、現在、労働局における企業向けの説明会などにより周知を図っているところでございます。

 あわせまして、男性の育児参加の問題につきましては、これを進めていくための、そのあり方を含めた両立支援策について、現在、研究会を5回開催し、検討しているところでございますが、この研究会における議論を引き続き行ってまいりたいと考えております。

 以上です。

○樋口会長 基準局。

○土屋大臣官房審議官 基準局でございます。椋田委員から2点について御意見がありました点をお答え申し上げます。

 まず、治療と仕事の両立についてでございますが、私どもとしても、働き方改革の趣旨、働く方のさまざまな事情に応じて多様な働き方を実現していくという意味においても、この環境整備を図っていくことは大変重要であると考えておりまして、今回の重点事項にも盛り込ませていただいているところでございます。その際に、事業場において適切に取り組みが講じていただけるようにしていくことが大切であると思っておりますので、御指摘の点も踏まえまして、現場の実態を考慮しながら、支援ないしは取り組みの促進を図ってまいりたいと考えております。

 それから、もう一点、災害防止計画について御意見がございました。ここ5年の第12次労働災害防止計画における状況について、御指摘のとおり、私どもも第3次産業に課題があったと認識しているところでございます。したがいまして、次の第13次の計画、既に御議論を始めていただいておりますけれども、就業構造の変化とか高齢化の影響などを考慮しながら、第3次産業の特性・現状といったものも踏まえながら、全体として実効性のある内容となるように検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○樋口会長 安藤さん。

○安藤人材開発統括官 人材開発統括官でございます。中川委員から、地域における雇用、特に若者の雇用についての御指摘、御要望をいただきました。

 地域における人手不足の状況は深刻なものがあるということについては、そのように認識しているところでございます。御指摘の地元就活支援コラボプロジェクトでございますけれども、地元で働きたいと希望する大学生などを、文部科学省や大学などの取り組みと、労働局、ハローワークが連携をとりながら支援していくというものでございます。この中には、「働き方改革実行計画」を受けて、若者雇用促進法に基づく指針を改正して、地元での多様な雇用の受け皿を用意するための社会的機運を醸成するといったことであるとか、早期からの就職ガイダンスの実施、また地元の新卒応援ハローワークと連携したUIJターン就職の支援などが盛り込まれているところであります。

 御指摘のとおり、若年者が良好な雇用機会を得て地元に定着できるように、関係機関と連携しながら、きめ細かなサポート、また効果的な施策の推進を図ってまいりたいと考えております。

樋口会長 どうもありがとうございました。

 委員の皆様から多数、御意見をいただきました。厚生労働省におきましては、年末の予算編成に向けまして、この意見を反映させた形で、ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。

 予定した時刻が参っておりますが、最後に何か御意見等がございましたら、お聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、本日はこのあたりで閉会させていただきたいと思います。

 本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程によりまして、私のほか2人の委員に署名をいただくことになっております。

 つきましては、労働者代表の山本委員、使用者代表の鵜浦委員に署名人になっていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議は、以上で終了いたします。

 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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調整第二係 内線(7728、7749)
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