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2017年9月6日 第7回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会

雇用環境・均等局

○日時

平成29年9月6日(水) 9時00分~11時00分


○場所

東京都港区芝公園1-5-32
中央労働委員会6階612会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、武田委員、中窪委員、松浦委員、守島委員、山田委員

【労働者代表委員】

梅田委員、矢木代理人(小原委員)、冨田委員、宮原委員、村上委員

【使用者代表委員】

秋田委員、及川委員、小林委員、高橋委員、田代委員

○議題

・同一労働同一賃金に関する法整備について

○議事

○守島部会長 それでは定刻になりましたので、ただ今から第7回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金分科会を開催したいと思います。

まずは、今回委員の改選について、改選後の名簿は皆様方のお手元の参考資料1にございますけれども、あらたに本部会の委員になられた方がいらっしゃいますのでご紹介をしたいと思います。

まず、使用者側委員として、全国中小企業団体中央会事務局次長・総務企画部長の及川委員が就任されました。

○及川委員 及川でございます。宜しくお願いします。

○守島部会長 はい、ありがとうございます。また、本日の出欠状況につきましては、労働者代表の松井委員、使用者代表の中野委員がご欠席でございます。労働者代表の小原委員は、電機連合総合労働政策部門書記次長の矢木様が代理出席されております。

○矢木代理人(小原委員) 宜しくお願いします。

○守島部会長 武田委員が少々遅れられるということで、まだお待ちしているのですけれども、開始をしたいと思っております。

それでは、事務局から定足数のご報告を頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

○松永有期・短時間労働課長 有期・短時間労働課長の松永と申します。どうぞ宜しくお願い致します。

定足数についてご報告いたします。労働政策審議会令第9条で定めております、委員全体の三分の二以上の出席又は公労使各側委員の三分の一以上の出席が必要とされておりますけれども、定足数は満たされておりますことをご報告申し上げます。

○守島部会長 はい、ありがとうございました。カメラ撮りはではここまでとさせていただきますのでご協力をお願いしたいと思います。

まずは、本日の議題に入る前に厚生労働省の組織改編による事務局に人事異動がありましたのでご紹介をお願いしたいと思います。

○松永有期・短時間労働課長 はい、それでは事務局の方をご紹介いたします。

まず、宮川雇用環境・均等局長でございます。

○宮川雇用環境・均等局長 宮川でございます。宜しくお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 次に、岸本総務課長でございます。

○岸本総務課長 岸本でございます。宜しくお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 それから、私、有期・短時間労働課長でございます。宜しくお願いします。

宇野多様な働き方推進室長でございます。

○宇野多様な働き方推進室長 宇野でございます。宜しくお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 また、今回、職業安定局需給調整事業課の牛島課長も出席をしております。なお、成田審議官は所用により遅れて出席をいたします。

では、事務局を代表いたしまして局長の宮川よりご挨拶を申し上げます。

○宮川雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局長の宮川でございます。この7月11日の組織再編で新しく雇用環境・均等局が設けられました。従来、雇用均等・児童家庭局という形で行ってきたものにつきまして、雇用均等部分と児童家庭部分を分けまして児童家庭部分は子ども家庭局という形になり、雇用均等部分、男女雇用機会均等あるいは女性活躍それから両立支援などを行っていた部門に合わせまして、従来、安定局で主として行っておりました同一労働同一賃金の検討ですとか、勤労者生活など様々な部門につきまして、新しくこの雇用環境・均等局という形でやらせていただくこととなりました。従いまして、この労働政策審議会同一労働同一賃金部会につきましても、私ども雇用環境・均等局で担当させていただくこととなりました。大変重い課題ではございますが、今までの審議を踏まえまして、この同一労働同一賃金の課題を的確に進めて参りたいと思っておりますのでよろしくご指導の程お願い致します。

○守島部会長 はい、ありがとうございました。続いて、組織改編に伴い、同一労働同一賃金部会運営規定の改正がございましたので、事務局からご説明をお願いいたします。

○松永有期・短時間労働課長 それでは、本部会の運営規定の改正についてご説明をいたします。お配りをしております資料の参考資料の2-1、それから2-2をご覧いただければと思います。本部会は職業安定分科会それから雇用均等分科会のもとに設置されておりましたけれども、組織名称の変更に伴いまして雇用環境・均等分科会と名称変更するとともに、部会の庶務を有期・短時間労働課が行うということになりました。説明は以上でございます。

○守島部会長 ありがとうございました。それでは、議事に移りたいと思います。

議事次第にございます本日の議題、「同一労働同一賃金に関する法整備について」ということでございます。それでは、資料について事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○松永有期・短時間労働課長 それでは、説明をいたします。今般、ご議論を頂きたいと思っておりますのは、お手元の資料にあります通り、パートタイム労働法、それから労働契約法、それから労働者派遣法の改正についてでございます。本年6月に同一労働同一賃金部会を踏まえ、労政審の方から建議を頂きまして、その建議を踏まえて事務局でたたき台として作成したものでございます。働き方改革の実現に向けましては、他の法改正について調整中のものもございますけれども、労働政策審議会の諮問としては一つのものとなりますため、現時点において諮問がなされていないわけですけれども、本日は関係する部分につきまして法案要綱の諮問に先立ちまして事前に概要をご説明してご審議を頂きたいと思っております。調整が整い次第、後日正式に法案要綱を労働政策審議会に諮問して正式にご審議いただくという段取りで考えておるところでございます。

それでは、お配りしております資料1で説明をさせていただきます。今、改正法案要綱のイメージというもので示させていただいておりまして、左側にそのイメージ、それから右側にその対応する6月の建議の該当部分を載せてございます。それを対比しながらご説明をさせていただきます。

まず、一つ目の改正が短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律でございます。まず、一つ目の改正は題名の改正でございまして、題名を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に改めるというものでございます。それから次が定義規定のところでございます。まず、短時間労働者の定義については、従来、同一の事業所をということでございましたけれども、今回の建議を踏まえまして同一の事業主ということで企業単位で見る旨の改正をするものでございます。2では有期雇用労働者ということで、期間の定めのある労働契約を締結している労働者と、それから短時間・有期雇用労働者については、短時間労働者と有期雇用労働者を言うというもので定義づけをしております。次2ページです。三として基本的理念の改正でございます。右側にありますけれども、建議の基本的な考え方の中で、法律で明記する事項の中の線を引いてあるところの二つ目のポツになりますけれども、「多様な働き方の選択が可能となるとともに、非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し」というようなところの部分を反映させたものとしております。左側の条文でございますけれども、短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者は、生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することが出来る機会が確保され、職業生活の充実が図られるように配慮されるものとすることというふうにしております。なお、建議の基本的な考え方のところでは、他にも法へ明記していくことが適当とされている事項もございますけれども、これらについては、今般の働き方改革に関連して行います雇用対策法の改正におきまして、働き方改革の基本的な考え方や進め方を明記することとしておりまして、その中で対応することを考えております。

次が四で、不合理な待遇の相違の禁止ということでございまして、これは現行のパート法八条のいわゆる均衡規定でございます。こちらも右側の建議の線の引いてあるところでございますけれども、建議の中で「個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき旨を明確化する」ということを言われておりまして、それを踏まえた改正ということでございます。左側になりますけれども、事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該待遇の性質及び当該待遇を付与する目的に照らし、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないとしております。なお、この条文に関しましては、建議においてもう一つ提言を受けておりまして、それは3ページになりますけれども、考慮要素として、「その他の事情」の中から、新たに「職務の成果」「能力」「経験」を例示として明記するとされたところでございます。この部分につきましては、一方でパートタイム労働法の他の規定のところで考慮要素として職務の内容、職務の成果、能力、意欲、経験というものが規定されておりまして、他の規定にあるものを均衡規定については「意欲」だけを除いて盛り込むとすることにつきまして、中々法制的な整理が出来なかったということもございまして、今回の改正では新たな例示を盛り込むということについては見送ることにいたしました。建議の通りにできなくなりまして大変申し訳ないのですけれども、今後策定するガイドライン等でその他の事情の中には建議で頂きました職務の成果、能力、経験というものが含まれるものであるということを明確にしたいと考えております。

それから次、3ページの方に行きまして、五の通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取り扱いの禁止ということで、これは現行パート法第九条のいわゆる均等規定に関してでございます。こちら通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取り扱いの禁止につきまして、有期雇用労働者についてもこの対象とすることが適当というような建議を頂いたことを踏まえた改正ということでございます。要綱でございますけれども、事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置に変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いをしてはならないものとすることというふうにしてございます。

次4ページをお願い出来ればと思います。六の賃金でございます。これは現行パート法の十条の規定でございます。現行のこの賃金の規定につきましては、今、四の方で見ていただきました均衡規定によりまして、不合理な相違ではないとされた場合でありましても、短時間労働者については職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等を勘案して賃金を決定するように努めるという旨の規定でございます。ここの部分につきましては、有期雇用労働者というものを加えるという改正をしておりますのと、あともう1点ございまして、下から2行目になりますけれども、賃金のところで、「(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)」というところの部分で改正をしておりまして、現行ではここのカッコの中で例示しているものとしては、通勤手当に加えまして退職手当も例示でしておったところですけれども、今回の改正ではこの退職手当を削除するということにしております。退職手当につきましては、勤続年数いわゆる経験というものですとか、例示の中の考慮要素が勘案される場合もあり得るのではないかということで法律上の例示からは削除するということで、その旨の改正をしてございます。

次が七の福利厚生施設でございます。現行パート法の十二条に対応するものでございます。こちらは施策の対象に有期雇用労働者を加えるということと、福利厚生施設について利用の機会を与えることに関する配慮義務を義務にする改正をしてございます。この福利厚生施設につきまして、その配慮義務から義務に格上げすることにつきましては、建議には明記されていなかったわけですけれども、今般、四の均衡規定の改正をする中で、個々の待遇ごとに当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断して不合理と認められる相違を設けてはならないといった旨の規定を設けることにしておりますけれども、こちらのその規定との整合性を図るということを考えますと、配慮義務ではなく義務としなければならないのではないかということでその旨の改正をするものでございます。

次が八でございまして、事業主が講ずる措置の内容等の説明義務でございます。これも現行パート法十四条の事業主の説明義務に関するものでございます。まず1は、雇入れ時の説明義務ということでございまして、事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、四から七まで等々のこの法律で規定により措置を講ずべきこととされている事項に関して講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないものとするというふうにしております。それから2については、労働者から求めがあった場合の待遇差等の説明義務でございます。事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに四から七まで等々のこの法律の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないものとすることというふうにしております。3は、今申し上げました2の説明を求めた労働者に対しまして、不利益な取り扱いをしてはならないという旨の規定でございます。

次が九の指針でございます。事業主が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための指針の対象に四から八までということで、この中に均衡規定と均等規定が含まれるのですけれども、その他、この法律の規定による措置を追加するということでございます。建議におきましてもガイドラインの策定の根拠となる規定を設けるということで、今後、この同一労働同一賃金ガイドライン案の内容を確定させていくことになりますけれども、そのガイドラインの法的根拠となる規定をここで設けるというものでございます。

それから次、十が紛争の解決でございます。この法律に規定する紛争の解決の対象に四ということで均衡規定に関する苦情及び紛争を追加するというものでございます。

次に6ページでございます。十一としてその他でございます。四から八までに掲げるもののほか、この法律の規定の対象に有期雇用労働者を追加するもの、それから、その他所要の規定の整備を行うという改正でございます。

二つ目の改正が労働契約法の一部改正でございます。こちらは建議の方におきまして、有期雇用労働者についても短時間労働者とあわせてパートタイム労働法に諸規定を移行し新設するということが規定されておりまして、それに対応した改正を行うものでございます。期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止に関する規定は削除することと、それから、所要の規定の整備をおこなうものという改正でございます。

次7ページにいきまして、次は三つめの改正で労働者派遣法の一部改正でございます。まず最初は待遇に関する情報の提供等でございます。こちら建議におきまして、派遣先に対して派遣先の労働者の賃金等の待遇に関する情報提供義務を課す。それから、変更があった場合も同様とする。それから、派遣先から情報提供がない場合は派遣契約を締結してはならないこととするということを受けた改正になります。まず1は派遣先、ここでは派遣契約の締結前でございますので、法令上は労働者派遣の役務の提供を受けようとするものというふうになりますけれども、そちらから派遣元への待遇情報の提供義務に関する規定ということでございます。労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約を締結するに当たっては、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定める情報を提供しなければならないとしております。2ではこの1に出てきました比較対象労働者の定義を入れております。まずここで最初にひとつ例示をするわけですけれども、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとするものに雇用される通常の労働者であって、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度並びに当該職務の内容及び配置の変更範囲が、派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省で定めるものいうと定義しております。それから3が1の待遇情報に関する情報の提供がないときは派遣契約を締結してはならないものとするという改正でございます。それから4が待遇情報に変更があったときは遅滞なく派遣元に対して変更の内容に関する情報を提供しなければならいという改正でございます。それから5が派遣料金に関する配慮義務でございます。建議におきまして、派遣先に対しまして派遣料金の設定に際して派遣元事業主が派遣先均衡均等法式、労使協定方式を遵守できるよう必要な配慮義務を設けるということを受けた改正でございます。

次は8ページになりまして、二の不合理な待遇の相違の禁止等に関するものでございます。こちらは建議でございました派遣労働者の均等均衡法式、それから労使協定方式に関する規定でございます。最初のこの二の1と2が派遣先均等均衡方式に関する規定ということでございます。まず1は、派遣先の均衡に関する規定でございます。これは先ほど見ていただきましたパート有期法の8条の部分とパラレルの関係になるものでございます。派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給との待遇のそれぞれについて、派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該待遇の性質及び当該待遇を付与する目的に照らし、派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理と認められる相違を設けてはならないものとすることとしております。2が派遣先の均等に関する規定でございまして、パート法の第9条とパラレルの関係になるものでございます。派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務内容及び配置の変更範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならないものとすることとしております。なお、この条文の規定ぶりにつきましては、先ほど見ていただいたパート法の方での第9条に相当するところと一部異なるところがありまして、それのご説明をしたいと思います。まず、今見ていただいた規定の語尾のところでありますけれども、「不利なものとしてはならない」という規定をしております。これはパート有期法は「差別的に取り扱ってはならない」と書いてあるのですけれども、この規定ぶりの違いにつきましては、比較対象となりますその派遣先の通常の労働者の待遇というものは、派遣元にとっては所与のもの、すなわち派遣元で待遇の内容を決めたり変えたりということができないものでございまして、そういった所与のものである待遇との比較においては、差別的に取り扱うとは言わないというような整理のもとで「不利なものとしてはならない」という規定をしております。規定ぶりは異なるわけですけれども、意味としましてはパート有期法の第9条でいうところの差別的に取り扱ってはならないというものと同義であるというふうに解しておるところでございます。また、「正当な理由がなく」というのが、そのひとつ前の行にございますけれども、こちらもこのような規定ぶりとなることにつきましても同様な考え方でございまして、派遣元が待遇を決定できると派遣労働者についてのみでありますところ、「派遣労働者であることを理由として」と書くのは、理由にならいというようなことで「正当な理由がなく」という規定をしたものでございます。こちらも規定ぶりが異なるわけですけれども、意味としてはパート有期法9条でいうところの短時間有期雇用労働者であることを理由としてと、すなわち雇用形態、就業形態の違いを理由としてというものと同義、同じ範疇であると解しておるところでございます。このように同じ解釈になるということにつきましては、今後ガイドライン等で明確にしていきたいというふうに考えておるところでございます。

次、3が労使協定に関する規定でございます。派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、過半数の労働組合がある場合はその組合、ない場合については労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その雇用する派遣労働者の待遇について、次の事項を定めたときは1及び2は、後で出てきます(一)の範囲に属する派遣労働者の待遇については適用しないというものでございます。具体的に労使協定の要件となるものが(一)から(六)のところで記載をしてございます。

まず(一)でございますけれども、これは協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲を書くことが一つ目、それから、二つ目が派遣労働者の昇給その他の賃金の決定方法ということでございまして、これは賃金の制度設計に関する規定を書くというものでございます。具体的にはそのイ及びロに該当するものに限るとしておりますけれども、まずイにつきましては、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであることとしておりまして、これは、右側の方であります建議でいただいているところの労使協定の要件のマル1の要件に該当するものでございます。それから、次のロでございますけれども、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験等を勘案するものであることとしております。これは建議でありますところのマル2の要件のうちの賃金の制度設計の部分に相当するところを書いているとういうものでございます。それから、次の(三)でございまして、こちらがその賃金制度に基づいて行われる個々の派遣労働者へのあてはめに関するものでございます。派遣元事業主が賃金を決定するに当たっては、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を公正に評価してその賃金を決定することしておりまして、こちらも建議の方にありましたマル2の要件を反映させたものでございます。(四)は賃金以外の待遇の決定方法でございます。派遣労働者の賃金以外の待遇のそれぞれについて通常の労働者と不合理と認められる相違が生じることとならないものに限るということにしておりまして、これが建議でいうところのマル3に要件に該当するものでございます。それから(五)でございますけれども、派遣元事業主は第三十条の二第一項の規定に基づく教育訓練を実施することということでございまして、建議のマル2の要件の中の段階的体系的な教育訓練というところをここで要件として入れているということでございます。最後(六)がその他厚生労働省令で定める事項というふうにしておりまして、その様な形で労使協定の規定を設けております。それから、4でございますけれども、こちらは労使協定の労働者への周知に関する規定でございまして、こちらも建議を踏まえたものでございます。

それから9ページからの最後のところですけれども、三とその次の四につきましては、建議も今出てきましたパート有期法にある規定について派遣法にもパラレルで規定を置くというものでございます。まず最初の三の方が職務の内容等を勘案した賃金の決定ということでございまして、先ほど見ていただきましたけれども、パート有期法の方の規定と並べて入れているものでございます。派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めなければならないとしております。

それから、四が就業規則の作成手続でございます。こちらもパート法にございます規定とパラレルのものでございまして、現行のパート法7条でございます。派遣元事業主は、派遣労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、当該事業所において雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならないというふうにしております。

次が五でございまして、待遇に関する事項等の説明ということでございます。こちらは建議で派遣元の派遣労働者に対する説明義務に関する規定というものを反映させたものでございます。まず1は、雇い入れ時の説明義務でございまして、派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、労働条件に関する事項のうち厚生労働省で定めるものならびに均等均衡ですとか賃金の決定の努力義務等により措置を講ずべきこととされている事項に関して講ずることとしている措置の内容を説明しなければならないとしております。あと2につきましては、労働者派遣をしようとするときに関する説明義務でございます。派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対して1で説明すべきこととされている事項及び労働条件に関する事項であって省令でも説明しなければならないものとするとしております。それから、3は派遣労働者から説明を求められた場合の待遇差の内容及び理由の説明に関する規定でございます。派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、当該派遣労働者に対し、当該派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由等について説明しなければならないとしております。あと4は、こういった説明を求めたことを理由とした不利益な取り扱いを禁止するというものでございます。

次は、六と七でございますけれども、こちらは建議で派遣労働者が派遣先均等均衡法式か労使協定方式かについて派遣先が知り得るようにすることなどについても必要な措置を講ずることが適当ということを踏まえた規定でございます。六は派遣先への通知事項に協定対象労働者であるか否かを通知化すると、七の派遣元管理台帳の記載にも同様の追加をするというものでございます。

次は八の適正な派遣就業の確保等ということでございます。こちらは右側の建議にもありますけれども、その他派遣先の措置ということで、教育訓練、それから福利厚生施設の利用、就業環境の整備等の規定を強化するとされたことを踏まえた改正でございます。まず1は、派遣先による教育訓練に関する規定でございます。現行の配慮義務から語尾のところになりますけれども、実施する等必要な措置を講じなければならないものとすることというふうにして義務に格上げするというものでございます。2が福利厚生施設の利用に関する規定でございます。こちらも現行は配慮義務になっておりますけれども、利用の機会を与えなければならないものとすることということで義務に格上げするという改正をしてございます。それから、3が就業環境の整備ということで、診療所等の利用に関する規定でございます。こちらも現行の努力義務から配慮しなければならないものとすることということで努力義務から配慮義務に格上げするという改正をしてございます。それから、4は、派遣先は派遣元事業主が実施しなければならないこととされている段階的体系的な教育訓練、それから二の1から3まででございまして、これは派遣先均等均衡方式、それから労使協定方式及び五の3とありますので、これは待遇差の内容と理由の説明でございますけれども、その措置が適切に講じられるようにするため、派遣元事業主の求めの応じ当該派遣先に雇用されている労働者に関する情報、それから当該派遣労働者の業務の遂行の状況、その他の情報であって当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように配慮しなければならないものとすることということにしていまして、これも努力義務から配慮義務に格上げをしております。この配慮義務への格上げにつきましても、建議には明記されていなかったわけでありますけれども、今回の改正におきまして、その派遣元事業主に対して派遣先均等均衡方式あるいは労使協定方式というものが義務付けられまして、また、待遇差の内容、理由の説明義務が課せられたということを踏まえますと、その義務を果たしていただくためには派遣先にも必要な協力というのが求められますことから、努力義務から配慮義務への格上げをしたというものでございます。

それから、九が派遣先管理台帳でございます。派遣先管理台帳に記載しなければならない事項に、協定対象派遣労働者であるか否かを追加するというものでございます。

それから、十は紛争の解決でございます。こちらは建議におきまして派遣労働者についても労働局長による紛争解決援助や調停といった行政ADRを利用できるようにすることが適当であるとされたことを踏まえまして、現行のパート法にもあります紛争解決の規定と同様の規定を派遣法にも規定するというものでございます。まず、1が苦情の自主的解決でございまして、派遣元事業主は二及び五とありますけれども、派遣先均等均衡方式、それから労使協定方式、それから説明義務の事項に関しまして派遣労働者から苦情の申し出を受けたとき、あるいは派遣先に対して申し出た苦情の内容が派遣先から通知された時は、その自主的な解決を図るように努めなければならないとしております。また、()といたしましては、派遣先は、八の1及び2とありますけれども、教育訓練それから福利厚生施設の利用に関して、派遣労働者からの苦情の申し出を受けたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならないとしております。それから、2が紛争の解決の促進に関する特例ということで、今申し上げました派遣労働者と派遣元あるいは派遣先との間の紛争につきましては、個別労働関係紛争法の規定は適用せずに、これから申し上げます3それから4に定めるところによるというものでございます。まず、3が紛争解決の援助ということでございまして、()は都道府県労働局長は、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、必要な助言、指導又は勧告をすることができるとしております。()は派遣労働者がこの援助を求めたことを理由として不利益な取り扱いをしてはならないという規定をおいております。それから、4が調停に関する規定でございまして、都道府県労働局長は、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調停委員会に調停を行わせるとしております。()は先ほどもありました不利益取り扱いの禁止の準用でございます。それから、()の調停の手続きにつきましては、均等法の規定を準用して必要な読替えを行うものとしております。

それから、あと十一として、公表等でございまして、これは派遣先に対する行政指導に関する規定の改正ということでございまして、一の1でございまして、これは待遇情報の提供八の1と2というのは、派遣先の教育訓練、福利厚生施設の利用、それから4とありますのは、待遇の変更があった場合の情報提供に関する規定について厚生労働大臣の勧告、それから公表の対象となるということでございます。このほか法律の改正事項ではないのですけれども、今般の改正で派遣元派遣先に関する義務となったものについては、行政指導の対象になる旨を注として記載させていただいているところでございます。

あと、十二として、その他所要に規定の整備を行うものとすることでございます。

最後、附則で施行期日とありますけれども、こちらはまだ現在検討中ということでございます。以上駆け足になりましたけれども、私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。

○守島部会長 はい、ありがとうございました。それでは、ただ今の説明についてご質問ご意見等がありましたら是非お願いをしたいと思います。

○秋田委員 ありがとうございます。いくつか内容と用語の確認をもう一回したいと思います。まず、何か所か出てくる言い回しで、基本給、賞与その他の待遇という部分ですが、これの内容についてです。たとえば、ガイドライン等では退職手当、家族手当等は列挙されていません。先ほど退職手当について、なんらかの言及はあったと思いますが、ここで言う待遇の中身というのはどういう範囲のものなのかということと、さらに休暇休日まで含むものなのかということの確認がひとつです。もう一つはご説明の中でもあったのですが、資料1の3ページの建議の部分にある「その他の事情」の中の職務の成果、能力、経験等の例示ですが、条文に書き込めなかったというお話は分かったのですが、どのレベルでこれが分かるようになるのか。ガイドラインになるのか、もう一回説明をお願いします。それと最後が、福利厚生施設の利用のところについて、12ページですけれども、福利厚生施設でよく健康保険組合が設置をして実施をしているところに事業主がなんらかの補助をするような制度もあると思うのですが、そもそも健康保険の組合員ではない派遣労働者の場合に、そういった部分はどうなっていくのかというのを確認させて下さい。お願いします。

○守島部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 質問について答えたいと思います。まず1つ目、基本給、賞与その他のところですけれども、ここで言っているところの待遇の範囲というのはどこまでのものを指すかということでございますけれども、例示はこの二つでありますけれども、範囲としてはすべての待遇というものがここに入るものでございまして、先ほどの休暇とか休日も含むのかというようなお尋ねがありますけれども、それも含めてすべての待遇というのがここで入るというものでございます。それから、その他の事情のところで、今回例示に盛り込まないことにしたものについて、今後、明確にするということでありますけれども、これはどういうレベルで明確にしていくかというのは、今後、施行に向けてこの場でご議論いただきたいと思いますけど、何らかの形で明確にしていきたいと考えてございます。

○岸本総務課長 3点目の健康組合が実施主体となっている福利厚生についてでございますが、法律上その均等均衡を確保する義務の主体は事業主でございますので、健保組合が実施主体になっていて組合員の保険料を財源にして運営されているという場合、その健保組合の加入資格があるかどうかは、その事業主の裁量判断ではなくて健康保険法によって決まっていることでございますので、その法律に従って組合員になるかならないかが決まっていて、組合員の保険料で運営していく福利厚生だという場合は、これは、そもそも事業主が行っている待遇あるいは事業主がつけている待遇差ということに当たらないというふうに思っております。

○守島部会長 ありがとうございます。それでは他の方どなたか。はい、では冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。私からもいま秋田委員が確認された点に関連して教えていただきたい点があります。確認として3点お願いできればと思います。

まず、今回の要綱イメージでは、均等均衡待遇規定の対象となる待遇の例示として「基本給、賞与」が明示されました。先ほどの答弁では「基本給、賞与」などは例示であって、規定の対象はすべての待遇ということでしたが、そもそも建議には書かれていなかったにもかかわらずなぜ例示したのかを改めてお伺いしたいのが1点です。

2 点目は、例示した場合に、例示されている「基本給、賞与」だけ均等や均衡をはかればよいのかというような、逆に狭議に解釈されることがないかとことを懸念しているのです。そうしたことがないように検討していただきたいことが2点目です。

もう1点、先ほど均等待遇規定のところで、労働者派遣法については、パート・有期法の「短時間・有期雇用労働者であることを理由として・・・差別的取扱をしてはならない」を踏まえて、「正当な理由がなく・・・不利なものとしてはならない」としたとの説明がありました。改めてこの部分の法的解釈ですが、先ほど「正当な理由なく」は「就業形態を理由とする」ということと同義語であると仰られましたが、パート・有期法では「短時間・有期雇用労働者であることを理由として」であれば「派遣労働者であることを理由として」となると思います。この点、「正当な理由なく」とした場合でも、仮に裁判等になった場合の立証の範囲は変わらないのかということを確認しておきたいと思います。

○守島部会長 ありがとうございます。松永さんお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 いま2点いただきましたけれども、まず1点目の例示の部分でございますけれども、今回のその建議の中でも個々の待遇ごとに当該待遇の性質、目的に対応する考慮要素で判断されるべき旨を明確化するというようなことであります。個々の待遇ごと、今例示もありますが、基本給であったりとか、○○手当とかそういったものの個々の待遇で見ていこうというようなのが今回の改正の哲学だと思うのですけれども、そのイメージというものを持ってもらうところで、ここの例示としてはその基本給とか賞与というものを一例として載せたというものでございます。先ほどもご指摘いただいたように、それだけではないかと誤解されるのではないかということでございましたけれども、これはあくまでも例示でありまして、先ほどの秋田委員のご質問にもお答えしましたけれども、ここでいう待遇というのは、すべての待遇を指すものでございまして、そういった旨であることはしっかりと示していきたいというふうに考えております。それから、あともうひとつ派遣法の規定ぶりとの関係でございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、正当な理由がなくと規定ぶりが変わってしまうことにつきましては、比較対象となります派遣先の通常の労働者との待遇というのは派遣元にとっては所与のもので、派遣元が待遇を決定できるのは派遣労働者についてのみというところであるところを、それで派遣労働者あることを理由としてと書いてもそれは理由になってないということもありまして、「正当な理由がなく」と規定することとしたものでございます。この規定の意味としましては、さっきも申しあげましたけれども、パート・有期法第9条でいうところの短時間・有期雇用労働者であることを理由としてと、すなわち雇用形態、就業形態の違いを理由としてというものと同義であると考えておりまして、正当な理由なくというふうにしたことを以て立証の範囲が変わるということはないと考えているところでございます。

○守島部会長 はい、ありがとうございます。松浦委員お願いします。

○松浦委員 先ほどのご質問に関連して補足的にお伺いしたいのですが、2ページの不合理な待遇の相違の禁止について、先ほどご指摘があった通り、現行の条文では、待遇について特に基本給、賞与という例示が入っていないということなのですけれども、何故入れられたのか、何かご議論の経緯があったら補足的にご説明いただければと思います。

○守島部会長 はい、じゃあ宜しくお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 今回の議論の中で個々の待遇で考慮要素に照らして見ていこうというような考え方をしている中で、個々の待遇というものの単位と言いますか括りというものをある程度例示で示した方がいいのではないかというようなことでここに例示を入れたというのが経緯でございます。

○松浦委員 ありがとうございます。

○守島部会長 はい、じゃあ他にどなたか。はい、村上委員。

○村上委員 まず、いま議論になっている2ページの四の不合理な待遇の相違の禁止のところについてです。いくつかあるのですが、一つは今回、労働契約法20条の規定をパートタイム労働法に移すことになりますが、移管することによって現行の労働契約法20条からは規定ぶりが変わってまいります。現行の労働契約法20条は、「労働条件の相違は・・・不合理と認められるものであってはならない」という規定ですが、パート・有期法に改正し、現行のパート法のような規定にすることで、「事業主」が主語となり、「不合理と認められる相違を設けてはならない」という規定ぶりにするということです。この場合、現行の労働契約法20条の持つ私法的効力について、移管後の私法的効力は変わらないのか。私法的効力が後退することがないのかということについてまず確認をしたいと思います。

もう1点ございまして、3行目の「当該待遇の性質及び当該待遇を付与する目的に照らし」という部分ですが、建議では「当該待遇の性質・目的に対応する」とされていました。建議から表現を変えることで、意味合いが変わることはないのかということをまず確認したいと思います。加えて、待遇毎に性質と目的に照らして、待遇差が不合理であるかどうかということが判断されるかと思いますが、本当にその性質が待遇に見合ったものなのかとか、目的が本当に妥当なのかということ自体が司法審査されると理解しております。つまり、「こういう目的で払っているのだから」ということで何でも許容されるのではなく、目的や性質も司法審査されるということでよいかを確認しておきたいと思います。以上です。

○守島部会長 はい、ありがとうございます。

○松永有期・短時間労働課長 まず1点目の契約法20条を移してきたことによる民事的な効力についての話でありますけれども、今回設けております規定につきましては、現行のパート法8条の対象に有期雇用労働者を追加いたしまして、短時間雇用労働者と有期雇用労働者に対する不合理な待遇の相違というものを禁止するというものでございます。現行法の契約法第20条については、施行通達におきまして、「法第20条は民事的効力のある規定であることと、第20条により不合理とされた労働条件の定めは無効となり、故意、過失による権利侵害すなわち不法行為として損害賠償が認められ得ると解されるものであること」というようなことが示されているところでございます。本規定はこの労働契約法20条の施行通達で示された解釈と同様の効果があるというふうに認識しているところでございます。

それから、今の規定についてもう1点いただいた、性質及び目的というところの規定が今、当該待遇の性質及び当該待遇を付与する目的というような形で書いておりますけれども、ここの意味するところというものは、建議で頂いたものを条文に反映させたものとしてここで表記しているというように私どもは解しておりまして、そういった性質、目的に照らして、その後に出てくる色々な考慮要素というのを考慮するというところは、またその性質、目的に対応した考慮要素というものを考慮するという意味合いでここでこう表記しているところでございます。

○岸本総務課長 さらにちょっと補足を申し上げますと、じゃあその目的というのが司法判断されるのかどうかという点でございますが、例えばこれは全く頭の体操として、ある会社が正社員を優遇するためですという目的を以て正社員手当というのを支給しているとしますと、おそらく結論的にはそれは認められないと思っております。認められないロジックとしては、一つは「性質目的に照らし」と書くのか「対応し」と書くのか文章上の法律上の表現はあるのですけれども、そういった目的の場合には、職務内容、職務内容・配置変更範囲、それからこの8条で許容されるその他の事情の中に対応する考慮要素が見つけられないはずであると思います。目的はその会社によって、あるいは労使の話し合いによって各種手当いろんな目的を持ち得ると思いますが、さはさりながら、正社員を優遇するためにとか正社員であるからというような目的を主張したとしても、それはその考慮要素が対応できないという意味で結局不合理と判断されるということになるのではないかと思っております。

○守島部会長 じゃあ、岩村委員お願いします。

○岩村委員 若干今の議論にコメントしますと、たぶん待遇の性質とか目的がどういうものかというのは、裁判の場に行くと事実認定の問題になって、したがって例えば使用者がこの手当の目的或いは性格というのはAですというふうに主張して、しかし裁判所は、証拠を見ると、いや、この手当の性質目的は使用者が主張するAじゃなくてBだよね、当然あり得るのですね。その場合裁判所はその事実認定として出てきたBに照らして今度は職務内容その他の事情との関係でB手当を正社員だけに支給するというのが不合理かどうかというのを今度は規範的要件の問題として判断する。そういう構造だというふうに理解はしていいんじゃないかと思います。

○守島部会長 ありがとうございます。はい、村上委員。

○村上委員 ありがとうございます。今のご説明で大変理解が進みました。現在法制局との調整中ということですが、「当該待遇の性質及び当該待遇を付与する目的」のところで、もう1点要望を申し上げますと、「付与する」という部分に違和感があります。労働条件は労使の対等決定が基本でして、一方的に与えられるという話ではございません。この点是非再検討いただきたいと考えているところです。

○守島部会長 はい、他にどなたか。はい、宮原委員。

○宮原委員 不合理な待遇の相違の禁止の部分についての確認です。有期・パート法部分と労働者派遣法改正部分の違いについての確認ですが、有期・パート法では「当該事業主と雇用関係が終了するまでの全期間において」という書き方になっておりますけれども、8ページでの労働者派遣法改正の部分においては、「当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その中でその職務の内容及び配置が当該派遣先と雇用関係が終了するまでの全期間における・・・」と、全期間が二重の記載となる条文構成がとられています。この記載の読み方についてご説明を頂ければと思います。派遣労働者の均等待遇について、要件が過重に設定しているのではないということを確認したいと思います。

○守島部会長 じゃあ、松永さんお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 この規定をご理解いただくときに、パートで言うところの有期雇用労働者、有期のパートの方というのをイメージしていただければと思うのですけれども、パートの方につきましては、どちらも雇用期間というもので見ますので、雇用期間の定めがあればその期間で、更新する見込みがある場合は更新することを前提として見ていくというようなところの期間と、それから通常の労働者の雇用期間というもので比較するということで見るというのがこのパート法の比較の構造になります。一方で派遣労働者につきましては、そこの雇用期間に相当するものが派遣期間というような形で見ますので、派遣期間としての見込まれる期間というものと通常の労働者の雇用期間というものを比較する中で、その中で職務内容、配置の変更範囲というものが同一かどうかを見ていくというところの比較をしていくというのがこの均等規定の考え方になっておりまして、派遣労働者については、派遣期間で見ていくということになりますので、条文の構造としては派遣期間と雇用期間というのがそれぞれ出てくるということなのですが、パート法につきましては、それがどちらも雇用期間という表現になるので1回で終わるというようなそういう条文の違いということでご理解いただければと思います。

○守島部会長 はい、ありがとうございました。他にどなたか。はい、高橋委員。

○高橋委員 派遣関係で2点あるのですが、8ページ、9ページにまたがるところで、今回労使協定方式に関して法律案要綱ではいくつか複数に分かれて記載をされて分かりにくいのですが、9ページの(二)で、(一)の範囲に属する派遣労働者の昇給その他の賃金の決定の方法という表現がありますが、(二)というのは賃金の決定の方法、すなわち先ほどご説明があった通り賃金の制度設計を規定するというところだと思いますけれども、そこの賃金の前に昇給その他のというのが入っていることにすごく違和感があります。賃金制度の設計にあたって、最初に昇給を考えるということは有り得なくて、どのような要素に着目しながら賃金の支払いをしていくのかというようなところからスタートしていって、昇給というのはそうしたものの結果として出てくる話であって、なぜここに昇給その他のというのが付いているのか非常に違和感があります。むしろ建議通りということであるならば、この(二)のロのところに、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等の向上を公正に評価し、その結果を勘案するものであることというふうにするのが建議通りなのではないかと思っています。建議のマル2のところをあらためて読めば、その成果、能力等の向上をまず公正に評価し、その結果を勘案した賃金決定を行うということを求めているのであって、昇給することを求めているわけではないというふうに解されますので、どうしても(二)の条文には違和感があると申せざるを得ないということであります。

それから11ページの漢数字の八の1のところなのですが、これは現行の40条の第2項の部分の改正ですが、この3行目の終わりの所からですね、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練についてはの後に、現行法にはない当該派遣労働者が当該業務に必要な能力を習得することが出来るようにするためという文章が挿入されています。現在の法律の建て付けでも、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練であるということが明記されているにもかかわらず、また当該業務に必要な能力を習得することが出来るようにするためというものが入って、重畳的な感じがします。なぜこうしたような文章を新たに挿入しなければならないのか大変違和感がありますが、それについてもご説明いただきたいと思います。以上です。

○守島部会長 はい、じゃあ宜しくお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 今1点目の指摘で昇給というようなところの要望でございますけれども、こちらにつきましては建議におきまして、労使協定の要件として段階的体系的な教育訓練等による派遣労働者の職務の内容、職務の成果、能力、経験等の「向上」を公正に評価しその結果を勘案した賃金決定を行うことというのがありまして、「向上」というところの主旨を反映させようとして昇給という言葉を入れたところでございます。また、昇給というものはあくまでも例示でございまして、賃金制度というのは企業によって様々でございますので、例えば基本給ではなくて別途能力の向上とか成果の高まりに応じて支給する手当というのを設けるというような制度を定めていればこの要件は満たされるのかなというようなことも考えているところでございます。それから、もう1点、教育訓練に関する規定について、何回も同じようなことが規定されているというようなご指摘を頂いたところであります。ここで今回の改正でこの部分を入れたのは、今回配慮義務を義務に格上げするというようなことをする中で、要綱にもありますが、「実施する等必要な措置を講じなければならない」ということで、「実施する等」の「等」というのは直接派遣先が実施する場合もありますし、派遣先が持っているノウハウを派遣元なり他に提供するなどして同じようなクオリティの訓練が出来るようにというように、「等」というのを入れているのですが、その「等」で取り組む内容の目的を法律で規定する必要があるのではないかと、ちょっとテクニカルな理由がありまして、そういった目的というものを表記するためにここに当該派遣労働者が当該業務に必要な能力を習得することが出来るようにするためというのを入れているというのが、用語を入れた理由でございます。

○守島部会長 はい、山田委員お願いします。

○山田委員 先ほどの1点目、私も若干違和感を感じてたので同じところですので、意見というか感想を申し上げたいのですけれども。要は派遣労働者の賃金を協約によって決めていくというところなのですが、建議の方はですね、構造がどうなっているかというと、まず同種の職業に従事する一般の労働者の賃金水準同等以上であるというような形で比較して決めるというふうにして、そのあとですね、二つ目の8ページのですね建議の方のところで言いますと、二つ目のところで、「段階的・体系的な教育訓練等による派遣労働者の職務の内容、職務の成果・能力・経験等の向上を公平に評価し、その結果を勘案した賃金決定を行うこと」というふうになっている。これを見ると、例えば具体的なイメージで言いますとですね、派遣の機能については、私自身はこれまでの議論の中でも申し上げましたけれども、重要な機能として、なかなかその仕事が得られない人がですね、まず仕事の機会を得てですね、その人が教育訓練を受けるとかあるいは仕事をしていく中で徐々に処遇がその程度に応じて上がっていく、というのは極めて重要な派遣の機能だと思うのですけれども。こういう状況を考えると、色々なケースがあると思うのですけれども、比較的最初は低めの給料で賃金で雇われて、そのあと段階的に上がっていくという、そういうケースというのは結構重要だと思うのですね。それを今回の条文案の方で考えてみると、たしかに昇給のイメージというか段階的に上がっていくというのは、一番最初の9ページの(二)の(一)のところで「昇給」というふうに書いていると言えばそうなのですけど、ちょっと荒いというかですね。現実にその後の方の条文の方を見ると、その能力の向上に応じて決まるというふうな部分が書かれてないので、考え方によったらですね、これ解釈のやり方によっては、その時その時の通常の労働者との比較において決めていけばいいということになってくるので、これって結構どういう数字を持ってくるのかって実務的に結構難しいところでですが、かなり恣意的に考えると非常に昇給が大きいような形にも持っていくことができるし、逆にですねほとんど昇給が出来ないような形にも持っていくことは可能なんじゃないかなと思うのですね。企業にとってあまり高い水準になると派遣労働者を雇うというインセンティブがなくなってしまいますし、一方でほとんど昇給がないということになると、やっぱりこれは本来おかしな話になってしまいますのでね。そういうふうに考えますと、高橋委員がさっきおっしゃったようなかたちで、ロのところにそういうその文章を入れ込んでいくっていうふうなことの方が、私も適切なんじゃないかという印象を持ちます。もちろん最終的にはですねおそらくガイドラインなり、これからの細かいところで具体的にどういう仕様を取っていくのかというところで詰めていく議論なんだと思うのですけれども、ちょっとそこのところ、私もですね、結構重要な論点でややそのへんが不明瞭なような印象を受けましたので、一応そのコメントをさせていただきたいと思います。

○守島部会長 はい、ありがとうございます。梅田委員お願いします。

○梅田委員 今の高橋委員や山田委員のやりとりの関連ですけれども、今、派遣労働者の職務内容、職務成果、能力、経験等の向上を公正に評価して賃金決定することが重要ということで色々と話がありました。そういう状況の中、建議で想定していたのは、段階的な教育訓練等によって派遣労働者の働く能力が向上し、その能力の向上が公正に評価されて賃金に反映される。つまり、経験等に応じて右肩上がりの賃金になっていくものです。この点、要綱イメージでは「向上」という文言が入っていませんが、建議の主旨が正しく反映されているのかということを確認させていただければと思います。

 また、もう1点ですが、建議では、派遣に係る労使協定は三つの要件を満たすものとされていましたが、要綱イメージではこの要件が細分化されて非常にわかりにくい印象です。結局どのような労使協定を結べば、適法なのかわかりません。皆がイメージがつかないのが現状であると思いますので、労使協定の様式例、ひな形などを提示していただきたいと思います。以上でございます。

○守島部会長 はい、ありがとうございます。

○松永有期・短時間労働課長 1点目のご指摘ですけれども、たしかにマル2の要件が何カ所かに分かれてきているというところは、法制的な整備をする中でそういうような書き方になったわけですけれども、マル2の要件で申し上げようとしていたところは、こういった段階的体系的な教育訓練というのを行うことによってスキルが高まり、それによって職務内容、職務の成果、能力、経験等の上がっていくそれがそういったもののスキルアップしていくものがちゃんと評価されて、それを勘案して賃金が決まるということを正にここで言おうとしていたこと、建議の主旨ではそういうことだったのだろうというふうに思っているところでございます。

それからまた、労使協定のどういうものかというようなところは、今回法律の議論でありますけれども、また今後、施行の段階においてご議論いただきたいというふうに思っているところでございます。

○守島部会長 では、小原委員。

○矢木代理人(小原委員) 小原の代理で出席しております、矢木です。

9ページの(二)の部分に、「通勤手当その他厚生労働省省令で定めるものにあっては、イ」とあります。そもそも通勤手当については建議での記述がございませんが、その決定に当たって、職務の内容や成果などの「ロ」を考慮しないということは当然ですが、一般労働者の平均的な賃金額と同等以上という「イ」の要件を課すことが馴染むのでしょうか。そもそも一般的に通勤費は実費支給であることが通例であり、実費支給が通例の通勤費に平均という概念が使用されるのかどうかが分かりませんので、ご説明を頂ければと思います。

○松永有期・短時間労働課長 今のご質問ですけれども、ここはそもそも(二)のところで賃金の制度がこういうものであるということを規定したうえで、その賃金の制度というのはイとロの要件を満たさなければいけない。そういったものを労使協定に定めてくださいというのを書いてあるわけですけれども、ここで通勤手当その他厚生労働省令で定めるものというところにつきましては、先ほどパート有期法のところで、賃金の関係の努力義務の規定をご覧になっていただいたかと思うのですけれども、そこの中で見ますと通勤手当のようなものは必ずしも職務の内容とか成果とか意欲、能力、経験といったものを勘案してやるというよりは、むしろ実際にかかった経費をそのまま手当として払うというような性格のものでありますので、ここのロの中にはこういった通勤手当というのはそういう性格のものではないだろうということで、ここはロの要件から外しているということでありまして、そういったところでロの要件には入らないということで、イの要件だけ課しているというようなことで、賃金の全体としての要件としてイとロを満たさなければいけないわけですけれども、通勤手当についてはロの要素は入ってこないからロの部分を除いたというのがここの考え方でございます。

○守島部会長 はい、矢木さん。

○矢木代理人(小原委員) 「ロ」は考慮しないことは理解しており、私も先ほど発言し、答弁もいただきました。今後どういうふうに規定するのかというのは、厚生労働省令その他によって変わってくると思いますが、確認を頂きたいのは、通勤手当の「一般の労働者の平均的な賃金の額」をどうやって考えていくかということです。法案要綱を変えろということは申し上げませんが、現段階でこういうことを考えているとか、厚生労働省令でこういうことを考えているということのご説明を頂ければと思います。

○松永有期・短時間労働課長 こちら厚生労働省令を定めるものということになりますので、これはまた施行段階のところでご議論を頂くというようなことを考えておりますけれども、これまでの議論にもありましたように、統計のデータで国のデータでも賃金構造基本統計調査というものがありますけれども、そういったものですとかハローワークの求人の関係の統計とかの中から参考となるような値というのは出せるのではないかということの議論があったかと思いますけれども、そういったものも含めまして、また今後施行の段階でどういったものをここに規定していくかということについてはご議論を頂きたいというふうに考えているところでございます。

○岸本総務課長 今の答えの補足だけちょっと先に。建議の段階でも、建議の時には一般労働者の賃金水準と同等以上という表現でございましたが、この時にもこれは具体的にはどんなものかという議論がございました。その時には、まず一つには公的統計でとれるものとして賃金構造統計基本調査というのがあり、これは都道府県別で職種別で賃金がとれる、更には勤続年数別でもとれるというのを申し上げました。ただ、賃構は賃金統計の制度としては非常に優れたものですけれども、職種のカバーが完全ではなく、対象職種の限定があるという限界があると。一方、職業安定業務統計は職種が全部をカバーしているというメリットがあって、しかも都道府県別にとれるという意味合いがあります。ただ、職安の求人賃金の平均ですので対象が職安利用企業ということになってそこにちょっとバイアスが生じているところである。ということで、公的統計を使うとするとその二つが考えられるのではないかということを申し上げたことと、それから、やはりその派遣就業の個々に従事する業務の割り方が賃構なり職業安定業務統計の職業区分とぴったり一致しているかどうか、そこは保証の限りではないものですから、場合によっては公的統計を使ってそこから目安を出していくやり方の他に例えば業界の独自データだとか、そういうものを許容する必要もあるのではないかと、そこはあるかもしれない。そこについては、公的統計の他にどんなものを認め得るか、認め得ないのかといったことも含めて、施行段階でこの一般労働者の賃金水準同等以上というのをどう具体化するかを議論させていただきたいというお願いを申し上げていたところでありまして、法制局審査の過程で条文は少し細かくなりましたけれども、このデータをどうとるかということに関する事務局としての考えは建議時点と変わっておりません。

○守島部会長 はい、高橋委員お願いします。

○高橋委員 ただ今の労働側のご質問はもっともで、ご質問の主旨は、ロが該当しないというのはいいのだけれども、イの一般の労働者の平均的な賃金の額という概念に通勤手当はなじまないのではないかというご主旨の発言だと思います。それに対する答えがなかったような気がするのですが、説明していただけないでしょうか。

○岸本総務課長 通勤手当の場合には確かに私どもも平均額という概念になじむかどうかという疑問はなくはなかったのですけれども、ただ通勤手当の場合にも完全に実費というケースと、実費だけれども上限額を設けるというケースと企業によってあると思います。そう考えますと、上限額がどれくらいかという相場を平均額として採って参照するということはなおあり得るのではないかと思いまして、別にこう書いても後は厚生労働省令の定め方で実態に合った処理が出来るのではないかということで、このような条文で今考えております。いずれにせよ、通勤手当につきまして、今両委員からご指摘がありました基本実費であって実費の平均額を採っても仕方がないのではないかということは仰るとおりであり、平均を採るとすれば何を採るか、上限額の平均を採るのかというような考え方になるのではないかというふうに思っておりますけれども、そこも厚生労働省令の内容のご議論を頂く中でさらに詰めて参りたいと思います。

○守島部会長 秋田委員お願いします。

○秋田委員 今の関連で、実務的に言うと一番金額がばらつくのはマイカー通勤手当です。これは公共交通機関相当で払っている場合と一定のガソリン代を換算して払っている場合とありますので、平均でということで本当にいいのかどうかすらも良く分からない。なので省令でやる時には、多角的な検討が必要であろうというふうに思います。

○守島部会長 小林委員お願いします。

○小林委員 現在、検討中になっております施行期日について申し上げます。私どもは以前から、施行期日についてはかなりの準備期間を設けていただきたいということを申し上げてまいりました。とくに同一労働同一賃金については今もかなりの質問が出ておりますように、定義が明確になっていない部分があるとか、ガイドラインのグレーゾーンが広いということも申し上げてまいりました。とくに実務上、企業の皆さんからいただいている意見としては、何を、どのように、いつから手を付けていいのかわからないという意見が多く寄せられております。企業の方から必要な作業の例をお聞きしたところ挙がってきたのが、省令が交付されてからまず理解するという作業が必要になります。その後にパート・派遣・有期契約の待遇を見直すという作業があります。続いて、多分この同一労働同一賃金という話であれば、経費がアップするのでその経費を試算しなければいけません。その上で、アップした経費をどのように経営の中で吸収していくかの検討が要ります。それが解決した後に組合との交渉があります。そして規定規則の整備、社内体制の変更、もしくはこれに伴って、システムを使っているようであればシステムとか福利厚生設備も変更しなければなりません。その上で、社内周知をして一定期間を経過したうちに実施するということが考えられるとのことです。そのような状況の中で、相当の準備期間を求める意見が多いということです。商工会議所として申し上げたいことといたしましては、こうした状況を勘案し、さらに、今別途、議論されております時間外の上限規制への対応もありとなりますと、大企業でも相当の時間が掛かるものであり、少なくとも本件の施行までには時間外の上限規制より後ろ倒しする形で、十分な準備期間を確保していただきたいということです。以上でございます。

○守島部会長 ありがとうございました。他に、及川委員お願いします。

○及川委員 ありがとうございます。中央会の及川でございます。私ども中央会では3月にまとめられました働き方改革実行計画を受けまして、全国中央会及び都道府県中央会一体となって長時間労働の是正、同一労働同一賃金の対応に向けて実行計画について周知を行っているところでございます。各地の都道府県中央会からの意見、現場の声を聞いてみますと、まさに就業規則、賃金規程などの賃金の見直しと、賃金制度、賃金の問題だと捉えておりましてこれをどうやっていいのか、あるいは職場改善をどのようにやったらいいのか、具体的にわからないという声が強く出ています。賃金体系をどうするのかというところに大きな懸念を示す声を聞いております。従いまして、賃金の問題、原資をどうするのかというのもございますし、それの配分をどうするのかという根本的な経営の問題でもございますので、是非、十分な時間を頂きたいと存じます。とくに法が成立してガイドラインが示された時に、経営者は色々なことを考えていくと思いますので、是非、中小企業の実態に応じた施行を採っていただくようお願い申し上げたいと思います。今回人手不足ということもございますので、かなり中小企業の中では人手不足の対応の中で改善を図っていこうという意欲のある中小企業が見られます。こういった意欲のある中小企業が対応できる時間を頂きたいと思っております。中小企業の中でも資本金で3億円、従業員で300人ということもありますけれども、取り分け私どもが心配しておりますのは、中小企業基本法にも書いてございますけれども、常時使用する従業員が20人以下のいわゆる小規模事業者です。こちらについて、やはり手当ということを一つとっても、何とか賃金は、基本給を上げたいのだけれどもなかなか20年来上げてこられなかったと。従業員のために是非年功的に上げてみたいのだけれども調整手当という形で上げてきたというような小規模企業もかなりいらっしゃいます。こういった経営者一人一人の悩みを解決するためにも時間を頂きたいと思っております。もう1点、中小企業が対応するためには環境整備が是非必要だと思っております。私からの意見2点目でございますけれども、是非支援策の強化をして頂きたいと思います。これまでも下請取引でかなり改善をしましたという声は直接聞いておりますが、生産性向上に向けた設備投資の支援や今でもやっていただいておりますけれども、色々な省庁が連携し、政府が一体となって、課題に取り組んでいただいております。是非これを引き続きやっていただきますようお願いを申し上げます。都道府県中央会を集めた会議において各地の意見を聞くと、地域ごとに、あるいは業種ごとに、あるいは雇用形態ごとに様々な問題が寄せられております。私どもは業種別団体を会員としておりますので、解決する一つの方法としましては、業種別の同一労働同一賃金のマニュアルに対する支援を是非頂きたいと思います。中小企業は従業員が少ないものですから、従業員同士を比較するのも、待遇差を説明するのもなかなか難しいという声を聞いております。同業種で同じような職務内容で働き方が同じような、なおかつ取引形態が同じである同業種内の勤続、5年後、勤続10年後の人がいればそのマニュアルを参考に比較するというのは大変効果的な支援だと思っておりますので、是非お願いを申し上げたいと思います。以上です。

○守島部会長 ありがとうございました。田代委員お願いします。

○田代委員 ありがとうございます。先ほどの小林委員の発言と一部重なる部分もございますが、実務の立場から今回の要綱案についてご意見を申し上げます。昨年の12月のガイドライン案の公表を受けまして、今年の春に商工会議所で会員企業にアンケートを実施しておりますが、その中で約4割の企業が「ガイドライン案について知らなかった」と回答しております。また、ガイドラインの内容が現時点ではまだ不明確だということもありまして、「自社の賃金制度や就業規則をいつまでにどのように変えていけばよいのかわからない」という意見が41%、「グレーゾーン、つまり、裁判でしか判断できない部分が広すぎるのではないか」という意見が35%、「人件費が極めて大きく増加し、事業の継続が難しくなるのではないか」という意見が32%など今後の影響を懸念する意見が多数挙がっております。企業の実務担当者は今回の法改正にどのように対応したら良いか不安に感じているのが実情だと思います。先ほど来、各委員からご意見がありますように、施行まで十分な準備期間を取っていただくということは当然ですが、その間企業の対応が進みますように取組みの優先順位を明らかにしていただきまして、労使紛争の未然防止、早期の解決に資するような対応マニュアルや手順書のようなものを作成いただければと思います。私からは以上です。

○守島部会長 はい、ありがとうございました。他に、村上委員お願いします。

○村上委員 中身の話に戻るのですが、いくつか確認したい点がございます。法案要綱イメージの8ページから9ページにかけて記載のある、派遣労働者の労使協定方式の部分です。

建議や部会での議論もありました通り、原則は派遣先均等・均衡としつつ、一定の要件を満たす労使協定を締結した場合は派遣先均等・均衡ではないことが出来るということとしましたが、8ページの下では「次の事項を定めたときは・・・適用しないものとする」となっています。この部分について、派遣先均等・均衡が原則であるということを前提としていくつか労使協定の法的効果について確認したいと思います。

3点お伺いしたいと思いますが、まず、9ページの(一)から(五)に関わるその要件を満たした労使協定は締結されていたけれども、実際は労使協定で定めたものを下回る労働条件で働かされていたり、教育訓練がなされていなかった場合の法的効果です。この場合、労使協定は違法無効になるのかも確認したいのですが、法的効果としては、原則の派遣先均等・均衡に戻るという理解で良いか、というのが1点です。

2点目は、同じように適正な内容での労使協定は締結されていたけれども、締結の相手方の過半数代表者の選出手続きなどが民主的でなかったといった場合です。この場合は、労使協定が違法無効となって、派遣先均等・均衡の規定が適用されるという議論であったと考えていますがそれで良いのかということです。

3点目は、労使協定は締結されていたけれども協定の内容が適切でない場合、例えば派遣労働者の賃金が一般労働者の賃金額として厚生労働省が定めるものと同等以上でなかった場合などです。この場合も、労使協定が違法無効となって派遣先均等・均衡の規定に戻るという理解で良いのかということを教えていただきたいと思います。

○松永有期・短時間労働課長 まず1点目で、労使協定自体はちゃんと法定の要件を満たしていました、それから法定の手続きも満たしていました。ただ実際に協定通りに運用がされていない場合にどうなのかということなのですけれども、労使協定の内容に反するような運用がなされていた場合は、その協定の内容に反した運用がなされている労働者、運用通りになっていない労働者との関係でその協定の効力は及ばないということになりまして、その労働者についてはその原則と言いますか、派遣先均等均衡方式というのになるということでございます。それから、あと二つ目と三つ目のご質問かと思いますけど、協定は定めたけれどもそもそも協定の選出手続き、過半数代表の選出手続きが適正に成されていなかったりですとか、それとも定めたのだけれども定めている内容自体がそもそもこの法定の要件を満たしていなかった場合というのはどうなるかということについては、この規定は労使協定により次の事項を定めたときに前二項の規定は適用しないという規定でありますので、その労使協定がそういった法定の要件と手続きを満たしていない場合はこの協定自体が効力を発しないということで、派遣先均等均衡方式の規定に基づく義務が派遣元にかかるというような整理になるということでございます。

○守島部会長 はい、では村上委員。

○村上委員 ありがとうございます。ではそれ以外の点でお伺いしたいのですが、要綱イメージの8ページの最後に、「(五)の措置を派遣元事業主が講じていない場合は、この限りではないものとすること」とありますけれども、「この限りではない」というのはどういう法的効果があるのかということについて教えていただきたいと思います。

もう1点ですが、9ページの4では、派遣元事業主は、労使協定を「その雇用する労働者に周知しなければならないものとすること」とありますけれども、この周知を怠った場合、労使協定の法的効果はどうなるのかということを確認したいと思います。労働基準法では、36協定などについても106条で周知義務が定められており、周知義務の違反については120条の罰則がかかるということになっています。派遣の労使協定については、どうなるのかということについて教えていただければと思います。

○松永有期・短時間労働課長 まず1点目の三項の柱書きである但し書きですけれども、これは(五)の教育訓練についてこういうような規定を設けましたのは、これは(五)の30条の2第1項の規定に基づく教育訓練というのは派遣元事業主に課せられた義務でございます。その義務を果たしていないということになりますとこれはその派遣法の30条の2違反になりますので、そういったものについてはそもそも協定の効力は認めずに派遣先均等・均衡方式になるというような整理でこうしております。それからもう1点あります、9ページの方の4にありますその周知義務違反についての取り扱いですけれども、こちらも労働基準法のさっきご指摘になった考え方と同じで、その労使協定の周知義務を履行していない場合は当然当該周知義務の違反にはなります。ただ、その協定自体が適正に締結されていればその協定自体の効力には影響しないというふうに考えるところでございます。

○守島部会長 村上委員お願いします。

○村上委員 再度確認したいのですが、30条の2の教育訓練が行われていなかった場合に、労使協定の効力が及ばないというのは、その教育訓練を行っていなかった労働者について効力が及ばないということでしょうか。それとも労使協定の対象全員に効力が及ばないということでしょうか。

もう1点ですが、周知義務違反の場合は労基法106条違反同様であるという答弁がありましたが、派遣元事業主には何かサンクションはあるのでしょうか。

○松永有期・短時間労働課長 1点目の指摘は、そもそも訓練を適正にやっていなかったということであれば、その訓練を実際に受けている人も協定自体が無効になりますので、全員について派遣先均等・均衡になるというものでございます。それから、あと周知義務の義務違反につきましては、これは派遣法に基づく様々な行政指導の対象になるということでございます。

○守島部会長 宮川局長とそれから岸本課長、宇野室長はそろそろ退出をされる、まだ大丈夫ですか。では、そちらからお声かけください。

○秋田委員 今の論議の関連で確認したいのですが、協定に忌引きの項目が入っていないという事象が起きたときに、派遣労働者はどういう規定によってそれが権利行使できるのか、あるいは基本的なものは派遣先に合わせるのだけれども、退職手当だけは常用型で派遣元の規定でやるとかそういうことが可能なのかその2点について説明をお願いします。

○岸本総務課長 まず1点目、忌引きでございますが、忌引きはこの今の要綱の8ページ、9ページで行きますと(四)の賃金以外の待遇の中に含まれると考えております。ですので、忌引きについては、ガイドライン案においては慶弔休暇について一定の記述をしておりますが、これは案ですので正式に案を取る議論をする時にどうなるかというのはございますが、いずれにしろ慶弔休暇について正規雇用と非正規雇用の間の不合理な待遇差とはこういうものだということについて一定の整理がなされた場合に、最終的には司法の判断になりますが、不合理な待遇差が設けられていると。忌引きについて不合理な待遇差を定めている労使協定であると判断されれば労使協定全体の効力は失われるということになると思います。

 それでですね、言及されていない場合には、労使協定において以下の要件を満たす書面による労使協定を締結した場合にその派遣先均等・均衡ではなくて労使協定によるという効力が発生しますので、そこはもれなく記載していただかないといけないと思います。なお、その司法上の判断としてはそういうことになると思いますが、行政に例えば派遣労働者の方から相談があって、派遣労働者が相談される主旨がちゃんと忌引きを労使協定に入れさせてほしいというような、別にその派遣先均等・均衡にしたいのではなくて、労使協定であること自体はいいのだけれども、その協定に不備があるところを直させてほしいという相談であるケースもあり得ると思います。その場合には行政的にどういうふうに是正を図っていくかは個々の対応に応じて判断するということになると思います。

退職手当ですが、退職手当は賃金の一種でございますのでこの号建てでいうと(二)に該当いたします。これについてやはり厚生労働省令で定めるという中でどういうふうに取り扱っていくかという問題になりますので、これについては施行段階で省令案等をお諮りする中でまたご意見を頂戴したいと思います。

○守島部会長 はい、高橋委員。

○高橋委員 先ほど村上委員が質問されていたことに関連することなのですが、協定を結んでいたもののそれに反した運用がされていたり、あるいはその協定そのものが手続が不備だったというようなことの事例を挙げてご質問されていらっしゃいましたけど、これ実際に派遣契約を締結する際に派遣先の立場として、派遣元から当社は労使協定を締結しておりますということでそれに基づいて労働者派遣契約を締結し、労働者派遣を受け入れていて、受け入れている期間の途中に、先ほど村上委員がご質問されていたようなことが発覚するというか、そういう事態が生じたという場合の事についてお尋ねしたいのですけれども、それは派遣先としては瑕疵がなければ、その当初締結した派遣契約に基づいて契約期間終了まで受け入れすることが出来るという理解でよろしいかどうかを確認したいと思います。

○松永有期・短時間労働課長 すみません、先ほどの法律的な説明として申し上げたのですけれども、実際事案があってそういう実際運用通りされていないと言った場合に、ちゃんとその協定通りにやってほしいというご相談ががあればちゃんとその協定通りに先ずやるといった取り扱いを行政としては求めていくことになりますので、そういったところの中で現場のニーズに合った形での解決と言いますか指導を行っていくということになろうかと思います。

○守島部会長 他にどなたか、村上委員お願いします。

○村上委員 今の行政救済のあり方などの部分は施行段階でも議論しなければならないと思いますが、様々なケースが考えられると思います。

別で7ページの情報提供の規定の部分について、分からない部分がありましたのでご質問します。7ページの一の3で、「情報の提供がない時は、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務に係る労働者派遣契約を締結してはならないものとすること」とありますが、結局、情報提供がなく労働者派遣契約を締結してはならないということの帰結はどうなるのかということです。正しい情報提供がされていない場合でも労働者派遣契約が締結されていれば、その契約自体は有効だと思うのですが、派遣労働者がどうなるのかというのを大変心配しております。派遣契約も無効となって解除されると、労働契約も解除されてしまうのか。情報提供なく労働者派遣契約を締結していた場合について、労働者がどのような救済を訴えることが出来るのかということは非常に重要です。また、派遣先から正しく情報提供がされておらず、派遣先均等・均衡の処遇に実際はなっていなかった時について、派遣労働者がどこに対して何を求めていくことができるのかということを明らかにしておく必要があると思います。この点についてお考えを教えていただければと思います。

○松永有期・短時間労働課長 まずこの情報の提供がなかったからと言っても直ちに派遣契約自体が無効になるということにはならないと思っています。実際じゃあどういう形でということだと思いますけれども、派遣労働者の方には待遇差の説明求めるということが出来ますのでその中で説明を求めていく。十分な説明をしてもらえないということであれば行政が指導に行ってちゃんと提供がなされていないことがわかることになると思いますが、そこで提供義務などを履行していただいて派遣先均等均衡を確保するというような形の指導をするという形が一つの解決策としてはあるかと思います。

○守島部会長 ありがとうございます。他に。じゃあ岩村委員。

○岩村委員 2点ですが、1点はちょっとご検討のお願いですけれども、8ページの先ほどのところの協定方式をめぐる村上委員とのやりとりのところについてです。協定が形式的にも内容的にも適法に締結されていたけれども、しかし実際の運用においてはそれに沿った処遇が与えられていないといった事例、例えば協定では「何とか手当」を払うとなっているのだけれどもその手当を払ってもらっていないというような事例の場合には、先ほどの事務局のお答えですと、その場合は結局もう一度派遣先均等均衡に戻るというお答えだったような気がします。しかし今日の素案の8ページの3を見ますと、協定で次の事項を定めたときは要するに均等均衡は適用しないとなっているので、実体的にも手続的にも適法に定められていると1と2はもう適用ないということになるのではないでしょうか。したがって派遣先均等均衡に戻るということにはならないんじゃないかという気がしますので、ちょっとそこはまたご検討いただければというように思います。実体法的に要はその手当を支払うという請求原因が立てば請求できるので、したがって協定がどういう効果を持つかということとも関係しますけれども、解釈テクニックを使って実体法的な請求権が立てば、別に協定通りの要求をすればいいだけの話ではないかという気もするので、ちょっとそこどうなのでしょうというのが1点です。

○岸本総務課長 裁判所に駆け込んだ時にどう評価されるかという法律論と、それから行政が救済を求められた場合にどうするかという問題もあるとは思っています。例えば類似の例として思いましたのは、裁量労働制の協定制度、労基法にございますけれども、そこで裁量労働制というのは基本的にその労働時間配分をいちいち使用者が指図をしないということが要件になるわけですが、それでその裁量労働制労働者が10人いるとして会社がAさんに対しては実は指図をしていたということがあった場合、協定は指図をしないとちゃんと書いてあるので法律上の要件を満たしますが、実際に指図をしていたとするとその場合にはそのAさんは週40時間制の世界に戻ってしまうというのが労基法の解釈であろうと考えると、今回法適用においては手当が払われていないとか協定不遵守のことがAさんに行われていればAさんは派遣先均等・均衡に戻ってしまうだろうというのは、労基法にも別にそのこの協定通りに行われていない場合には40時間制に戻ると書いてあるわけではないのですけれども、そこは解釈でそうなっているので同等ではないかと考えた次第です。ただ、その時に一つは行政の救済としてはそういうことを求めているのではなくてちゃんと手当て払ってほしいという相談の方が実は一般的だろうと思いますし、それは派遣会社と派遣労働者双方が望む解決でもあろうと思います。さらには派遣先も望む解決だろうと思いますので、それで円満に解決出来ればそれに越したことはないしそれのお手伝いをさせていただくつもりであります。また、当事者間の話し合いでもそうやって解決すればその方がいいのだろうと思います。さらに言えば、裁判でも、労使協定があって手当が払われていないので、労使協定が無効であり、派遣先均等・均衡のはずなのでそれに見合う賃金がという請求の他に、労使協定がありますからその労使協定で貰えることになっている手当の不払いを争うということも可能ではないかと思いまして、そこは労働者がどっちで争いたいかということによるのではないかと。ちょっと後者の方は解釈かもしれませんけれども、そういうふうに考えておりますが、いずれにしろもうちょっとご指摘踏まえてよく専門家にも意見を聞いて整理したいと思います。

○岩村委員 ありがとうございます。大分お考えは分かりましたけれども、たぶ

ん裁量労働の場合は当該労働者そもそも裁量労働者じゃないということになるので、ちょっと違うんじゃないかという気がしますが、ちょっとご検討いただければと思います。もう1点はさっきちょっと冨田委員との間で前半の方で議論になっていた同じ8ページの2項のところですが、法制的な検討のところで事務局から、比較対象となる通常の労働者の待遇は派遣元にとっては所与の要件なので、だから差別という事にはならない、差別という捉え方は出来ないというご説明がありましたけれども、ちょっと本当にそうかという気もしなくもないのですがそこは横においておいて、いずれにせよ正当な理由がなくというのは、とどのつまり派遣労働者であることを理由としてということに帰着すると思いますので、そういう意味では有期パートとそこはあまりかかわらないというふうに考えて良いんじゃないかというようには思います。以上です。

○守島部会長 はい、ありがとうございました。松浦委員。

○松浦委員 今ご回答いただかなくても結構なのですが、派遣のところで確認させていただきたいと思います。省令やガイドラインの検討の際に詳しくご議論いただく話なのかもしれませんが、9ページのところで建議の中ではマル3として「賃金以外の待遇についても派遣元の正規雇用労働者の待遇と比較して不合理でないこと」が3つ目の要件が定義されていて、これに対応する条文が、左の(四)に当たるのだと思われます。ここで(一)の範囲に属する派遣労働者の待遇(賃金を除く)は、賃金については同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準と同等以上と定められているので、おそらくここは賃金を除くと整理されたのだと理解しました。一方で、派遣法の中ではこのように整理されたとしても、結局のところ派遣労働者が短時間労働者もしくは有期契約労働者にも該当する場合に派遣元との均等・均衡処遇が適用されるのであれば、やはりどこかで優先順位を整理しておかないと、どの比較対象に合わせたらいいのかわからなくなってしまうのではないかと懸念されるところがございます。現時点では短時間労働者、有期契約労働者、派遣労働者についてそれぞれ定められているわけですが、派遣労働者の場合は重複して該当してくるケースがございますので、派遣法の中だけでの整理では実務的な対応は難しくなるのではないかとうことを、懸念事項として申し添えたいと思います。以上です。

○守島部会長 はい、武田委員。

○武田委員 ありがとうございます。私は基本的理念について1点意見を申し上げたいと思います。右側の建議で書かれていることと、左側の基本的理念のところで書かれている文言を比較しますと大分建議で書かれていたことと異なっております。法律という事でそれを踏まえた表現になっているのだとは思いますが、そもそも建議を策定する時にこの委員会でも大分ご議論させていただいたということと、そもそも働き方改革実現会議、こちらにも私参加させていただいたのですけれども、そこでも考え方として示されていた内容になります。従って省令やガイドラインでの話になろうかとは思いますが、建議の議論はしっかり示して頂いた方が、なぜ今、何を目的に行うのか、より明確に伝わるのではないかと考えます。どうぞ宜しくお願い致します。

○守島部会長 ありがとうございました。そろそろ時間・・・。はい、中窪委員。

○中窪委員 先ほどから議論になっています8ページから9ページの3の協定ですけれども、やはり建議では非常にわかりやすいのに、これが分割され、しかもさっき高橋委員が仰ったように、「昇給」で始まっているのはおかしいとか、梅田委員からありましたような、「向上」が入っていないのではないかといった疑問が、どうしても残ってしまいます。これは事務局で色々ご検討をした結果こうならざるを得ないという事で出されたというのはわかるのですけど、もう少し検討の余地はないのかを、今いちど探っていただければと思います。これは感想且つお願いでございます。

○守島部会長 はい、ありがとうございます。じゃあ村上委員。

○村上委員 先ほど施行期日について使用者側委員の皆様からご意見がございましたが、労働側としては出来るだけ早期にということを申し上げるほかありません。ただし、法律は整備されたけれども守られないという事も避けなければならないと考えております。中小企業においては、労働組合がある職場では労働組合との協議を早めに開始していただきたいと思っております。また、労働組合がない職場でも、今回の法整備を機に、労働条件の問題を労使で話し合うという土壌を作っていただき、施行に備えていただきたいと要望いたします。

○守島部会長 ありがとうございます。よろしいですかね、他にございますでしょうか。

それではですね、そろそろ時間となりましたので本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。最後に事務局から次回の日程等についてご連絡をお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 次回の同一労働同一賃金部会の日程についてはまた追って連絡いたします。

○守島部会長 ありがとうございます。それではこれを持ちまして第7回同一労働同一賃金部会を終了いたします。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表は冨田委員、使用者代表は小林委員にお願いしたいというふうに思います。本日はお忙しい中皆様ありがとうございました。これで終了します。


(了)

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