ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会> 第1回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会 議事録(2017年9月25日)




2017年9月25日 第1回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会 議事録

医薬・生活衛生局食品基準審査課

○日時

平成29年9月25日(月)14:00~16:00


○場所

航空会館 5階 501+502会議室


○議題

1.座長及び座長代理の選出
2.検討会の開催趣旨について
3.ポジティブリスト制度の対象範囲及び具体的な仕組み
 (1)ポジティブリスト制度の対象となる材質
 (2)事業者における製造管理基準の導入
 (3)事業者間の適正な情報伝達
 (4)適切に事業者を把握するための仕組み等
 (5)円滑な基準策定に向けた第三者機関の活用

○議事

○近藤課長補佐(事務局) ほぼ定刻となりますので、第1回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会を開始いたします。構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ本技術検討会に御出席を頂き、誠にありがとうございます。本日は、全構成員に出席を頂いていることを御報告いたします。

 まず開催に当たり、生活衛生・食品安全審議官の宇都宮より御挨拶申し上げます。

○宇都宮生活衛生・食品安全審議官 本年7月 11 日付けで生活衛生・食品安全審議官を拝命いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。本日は皆様大変お忙しいところ、暑い中お集まりいただき、ありがとうございます。また、日頃より食品衛生行政の推進に御協力を頂いておりますことを、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 さて御存知のように、厚生労働省では6月 26 日と9月 21 日に食品衛生分科会を開き、また9月 14 日と 20 日には食品衛生法改正に向けた懇談会を開催し、食品衛生規制全般に関する御議論を頂いているところです。食品用器具及び容器包装に関しては、その一つの要素であるわけですが、これまで食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会を開催し、まずは合成樹脂についてポジティブリスト制度を導入すべきであるというような御意見の取りまとめを頂いたところです。この検討会では、制度の基本的な骨格について御議論いただいたところであり、今後更に技術的な内容について御検討いただきたいということで、本日の技術検討会の開催に至りましたので、その趣旨に鑑み、是非忌憚のない御意見を頂ければと思っております。今後、国会もどうなるかとかいろいろありますが、そういうことにとらわれず、構成員の方々には是非忌憚のない御意見を頂き、よりよい食品衛生制度へ向けて前進できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○近藤課長補佐(事務局) 続いて、本技術検討会の構成員の御紹介をいたします。資料1「食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会開催要領」の裏面の構成員名簿を御覧ください。五十音順に御紹介いたします。慶応義塾大学の大前名誉教授です。埼玉県保健医療部食品安全課の西川課長です。日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進室の早川様です。国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター安全性予測評価部の広瀬部長です。国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第三室の六鹿室長です。最後に一般社団法人 FOOD COMMUNICATION COMPASS の森田代表です。

 また、本日は参考人として、ポリオレフィン等衛生協議会の重倉専務理事、塩ビ食品衛生協議会の石動常務理事、塩化ビニリデン衛生協議会の渡邊専務理事に御出席を頂いております。

 引き続き、事務局を紹介いたします。生活衛生・食品安全審議官の宇都宮です。大臣官房審議官の吉永です。医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課長の大西です。食品基準審査課長の関野です。食品監視安全課長の道野です。食品基準審査課残留農薬等基準審査室長の黒羽です。食品監視安全課輸入食品安全対策室長の梅田です。その他の事務局については、座席表のとおりとなっております。

 次に、本技術検討会の座長の選出を行います。構成員の互選による選出となりますので、構成員より御推薦をお願いいたします。

○六鹿構成員 推薦ですが、この検討会の前身となりました食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会でも座長を務めていただきました大前構成員を推薦したいと思います。

○近藤課長補佐(事務局) ただいま六鹿構成員より、大前構成員の推薦がありましたが、特段の御意見はありますでしょうか。

それでは、大前構成員に座長をお願いしたいと思います。大前構成員は、座長席への移動をお願いいたします。また、以後の進行については、大前座長にお願いいたします。

○大前座長 大前です。前回の検討会の座長も務めさせていただきました。今回の技術検討会も推薦で務めますので、皆様御協力をよろしくお願いいたします。前回の検討会でも1回あったのですが、私自身の所用で検討会に参加できない場合があります。そのことを考えて、技術検討会開催要領に基づき、座長代理を決めておきたいと思います。座長代理は、広瀬構成員にお願いしたいと思います。広瀬構成員、よろしくお願いいたします。

 それでは、今日の議事に入ります。まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

○近藤課長補佐(事務局) 本日お配りしております資料ですが、まず議事次第と座席表がございます。続いて資料1「食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会開催要領」、資料2「検討会における主な論点」、資料3-1から3-5として順に「ポジティブリスト制度の対象となる材質」、「事業者における製造管理基準の導入」、「事業者間の適正な情報伝達」、「適切に事業者を把握するための仕組み等」、最後に、「円滑な基準策定に向けた第三者機関の活用」がございます。また参考資料として、参考資料1「食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会取りまとめ」、参考資料2「食品用器具及び容器包装の製造等における安全性確保に関する指針(ガイドライン)について」を配付しております。不足している資料や落丁等がございましたら、事務局まで連絡をお願いいたします。

○大前座長 それでは本日の議事次第に従って、検討を進めます。まず、資料1と2を用いて、検討会の開催の趣旨及びこの検討会の主な論点について、事務局より説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐(事務局) お手持ちの資料1を御覧ください。こちらが検討会の開催要領となっております。「1.趣旨」に示しておりますが、昨年の8月から本年の5月まで公開で検討が行われました規制に関する検討会において、趣旨の第2パラグラフになりますが、ポジティブリスト制度の導入について提言されているところです。制度を導入するに当たっては、更に技術的な事項を検討する必要があるとされております。このため、技術的事項の検討を目的として、今回の検討会を開催するものです。検討事項については2.、検討会の運営等については3.に記載をしております。また裏面には、構成員の名簿を添付しておりますので、御確認を頂ければと思います。

 次に資料2です。こちらでは、検討会における主な論点を、論点1から論点3まで取りまとめております。論点1と2については、前回の検討会の取りまとめにおいて検討課題とされたものを二段落構成にしているものです。また論点3は、検討会取りまとめの中で今後の課題として区分されたものとなっております。本日は、この論点1に示しております1から5まで、内容については先ほどご説明いたしましたが、この部分について御検討いただくものです。また論点2以降については、今後の検討会において更に詳細な技術的事項について御検討いただくことを予定しております。事務局からの説明は以上です。

○大前座長 今の御説明にありましたように、本日の検討会では資料2の論点1に示す法律的な事項についての方向性を御議論いただきます。その結果を、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会へ報告する予定ですので、よろしくお願いいたします。その後、各論点の詳細については、論点2、3ですが、食品衛生分科会報告以降の御議論となる予定ですので、構成員各員におかれましては、今日は主として論点1について御確認を頂きたいと思います。

 次に各論点について、事務局から順番に説明をお願いいたします。議論は論点ごとに行います。まず、ポジティブリスト制度の対象となる材質について、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐(事務局) お手持ちの資料の3-1を御覧ください。1として、「ポジティブリスト制度の対象となる材質」を取りまとめております。構成としては、1.から3.まで番号を付しております。1.が前検討会における取りまとめの内容の抜粋となっております。2.は、本日皆様方に御検討をお願いしたい点です。3.は、次回以降に詳細な技術的事項として更に御検討をお願いしたいと考えている事項です。まず1.、最初に合成樹脂を対象としてポジティブリスト制度を導入するべきという取りまとめの意見がございました。また、合成樹脂は熱硬化と熱可塑という樹脂がありますが、熱硬化については諸外国の状況や業界団体における管理の状況等を踏まえて、導入の時期、又はその方策に配慮するべきであるという御意見がございました。また3番目としては、合成樹脂と他の素材を組み合わせた製品についても、制度の対象とする必要があるという御意見。4番目は、金属や紙、印刷インキ、接着剤等の合成樹脂以外の材質については、引き続き必要性や優先度の検討を行うべきとされたところです。

 本日御検討いただく部分は2.となります。こちらでは、合成樹脂のうち熱可塑性樹脂を対象として、ポジティブリスト制度を先行導入することについて、御検討をお願いできればと考えております。3.は、その他の材質等について、どのような必要性又は優先度等を検討するべきか、ということですが、こちらは次回以降の検討課題とさせていただきます。さらに資料の構成ですが、資料3-1(参考)として、前検討会の取りまとめの抜粋、更に裏側には御参考となるパワーポイントの資料を添付しております。こちらも御参考いただき、御検討をお願いいたします。以上です。

○大前座長 本日は、まず制度の対象としては合成樹脂の検討を最初に行い、合成樹脂の中でも熱可塑性にポジティブリスト制度を先行導入するということです。参考資料1には、前検討会の取りまとめがあります。それから、参考資料3-1の3、4ページには、前検討会の取りまとめの抜粋があります。多分3、4ページは、取りまとめの中で間違いないと思いますが、先ほど申し上げましたように合成樹脂、しかも熱可塑性樹脂を対象としてポジティブリスト制度を先行導入することに関して、構成員の方々から何か御意見はありますか。前回の議論の再確認になりますが。

○早川構成員 熱可塑性樹脂を対象としてポジティブリスト制度を先行導入することについては、前検討会の取りまとめの趣旨にも合っていますので、その点について私は賛成です。ただ、例えば方向性の中で、他の材質を組み合わせた製品についてもポジティブリスト制度の対象とする必要があるというような意見が出ていますが、こちらについては、今回確認するべき事項なのか、それとも次回以降引き続き検討するものに入るのかを確認させていただきたいのですが。

○大前座長 事務局、いかがですか。

○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。以前の検討会でも議論があったところですが、合成樹脂とそれ以外、例えば紙などを組み合わせたものについても、食品接触面が合成樹脂であるならば、このようなものは化学物質の食品への移行を踏まえ、対象とすべきであると考えております。

○大前座長 よろしいですか。食品接触面が今回の対象であれば、対象であると。そのほかはよろしいですか。特にないようでしたら、次の「事業者における製造管理基準の導入」について、説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐(事務局) お手持ちの資料3-2を御覧ください。2として、「事業者における製造管理基準の導入」です。こちらも、資料構成は同じです。1.の 1 番目は、前回の検討会の取りまとめとして、制度の対象材質の製造者に対しては、製造管理を制度として位置付ける必要があるという御意見です。 2 番目は、中小規模事業者に十分配慮すべきという御意見です。 3 番目は、「食品用器具及び容器包装の製造等における安全性確保に関する指針(ガイドライン)」、本日の参考資料2で添付しておりますが、これを活用して業界団体と連携して支援を行うなどの環境整備を行うべきという御意見です。最後に、 ISO などの民間認証を活用して取組を推進することも可能ではないかという御意見です。

 2.は、本日御検討いただく点となります。 1 番目は、ポジティブリスト制度の対象となる材質を製造する器具・容器包装の事業者については、制度の適切な実行を確保するために、製造管理基準、この中には、一般衛生管理、適正製造規範、情報伝達という要素を含みますが、この遵守を義務付けることについて御検討をお願いできればと思います。 2 番目は、ポジティブリスト制度の対象とならない材質を使用する器具・容器包装の製造事業者については、従来、製造管理基準が明示されていなかったことを踏まえ、まずは一般衛生管理基準の遵守を義務付けることについて御検討をお願いできればと考えております。

 3.は、今後の検討課題として、製造管理基準の具体的な項目と、他の制度であります GFSI のような団体で実施されている製造基準の把握。又は、中小企業に対するフィージビリティスタディの実施。さらには、各団体等で実施されております製造管理基準やガイドラインを踏まえた、いわゆる導入に対する手引書の作成。さらには、参照可能とする ISO 基準の確認や、 GFSI 、業界団体基準の同等性の比較といったようなことが、次回以降の検討課題であると考えているところです。

 先ほどの資料3-1と同様、資料3-2(参考)、及びその後ろにはパワーポイントの資料を添付しております。資料の説明は以上でございます。

○大前座長 製造管理基準の導入が二つ目のポイントですが、取りまとめにもこのようなことが書いてありましたが、いかがでしょうか。

1 点ですが、製造管理基準の義務付けになりますが、これは中小企業に十分配慮すべきというのが方向性としてありました。これについては何か事務局から補足はありますか。

○近藤課長補佐(事務局) 先ほど説明いたしました資料3-2の2.「本検討会における当面の検討事項」の最初のバレットでお示しておりますが、製造管理基準の内容構成としては、一般衛生管理、適正製造規範、そして情報伝達を考えているところです。このうち、まず一般衛生管理については、製造管理を行う上での基礎となる部分ですので、ここを考慮するということはなかなか難しいと考えています。さらに、情報伝達は、ポジティブリスト制度を運用する上で非常に重要であることが確認されております。ですので、この情報伝達の部分も中小であるという理由で考慮することは、なかなか難しいのではないかと考えております。このため、中小企業対策としては、適正製造規範の内容をどのように取り扱うのかという点で、検討する余地があるのではないかと考えているところです。

○大前座長 いかがでしょうか。今、中小企業対策について、一般衛生管理と情報伝達は共通でしょうが、適正製造規範については少し考慮する可能性はあるだろうということで、よろしいですか。

○石動参考人 今お話がありましたように、中小は、中小にも限らないとは思うのですが、やはりこれまでの実績からしますと、記録が中心となるような業務についてはある程度の状況にあるのではないかと思うのですが、今回非常に幅広の項目が挙がっております。こういったところについて、確実にどこまでできるかを考えますと、適正製造規範の中でも更に記録を中心とする取り組みやすいものを明確に示していただくことが望ましいのではないかと思います。

 また、情報伝達について少し申し上げます。サプライチェーンの川上から川下、川下から川上には、このガイドラインにあるように、適切な情報の伝達が今後義務化される方向にあるわけです。これは確かに必要なことではありますが、実際川上の立場からしますと、サプライチェーンでは自ら作った配合処方などをできるだけ自らのビジネスとして守りたいということから、情報伝達については非常に慎重になります。一方川下の立場ですと、全ての要因が最終的に自分たちにかかってくるわけですから、その適合性を検証するためには川上から多くの情報が欲しいという立場になります。常にサプライチェーンの間である種の緊張関係という状況がありますので、次の検討会でお話していただければいいかと思うのですが、いろいろなケーススタディなどを具体化した形で、どこまでを目標とするのかを明確にしていただく方向で御検討をお願いしたいと思います。

○大前座長 次の資料3-3にも関わってくると思いますが、川上の立場に関してはそのような利害がどうしても出てきて、当然企業秘密は必ずあるわけです。製造管理基準の導入に関しては、そのほか御意見はいかがですか。重倉参考人、あるいは渡邊参考人、これは、現実的にはできそうな感じはしますか。何をどのように作るかにもよるのでしょうが。

○重倉参考人 具体的内容次第だと考えますが、今事務局から話がありましたとおり、ある一定のラインは守らないと、ポジティブリスト制度そのものの運営に影響するだろうなということは、全くそのとおりと考えております。もともと私どもの協議会も、比較的川上側から始めたところもありますし、こうした情報がきちんと伝わることは希望するところでもありますので、具体的なところでまた御相談させていただくということかと思っております。

○森田構成員 質問ですが、先ほどの御説明にもあったように、フィージビリティスタディの実施が3.にありますが、中小企業の方々がどんなケースでどのような問題があってということが大事になってくるかと思います。この場合に、前の検討会では、中小企業を把握していない、一部の自治体では届出をしているけれども、というところもあったかと思います。それを把握していないで、どのようにしてフィージビリティスタディをするのかが分からないので、そこの順番というか、どのようにこれをしていく予定なのかも含めて、スケジュールも含めて教えていただければと思います。

○大前座長 いかがでしょうか。案が頭の中にあるのかどうかということだと思いますが。

○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。確かに森田構成員御指摘のとおり、今までの調査の中で、製造者を把握している自治体は全国に4分の1程度であるという報告をさせていただいております。この4分の1の自治体は、逆に言えば事業者が分かっているということになりますので、まずは分かっている範囲からその情報を使い、中小の方にアクセスをするという方法が一つあろうかと思います。また、様々な関係者の方にヒアリングを行っているところですが、その中で折々耳に入ってくるお話しとしては、中小といわれている世界はお菓子などを製造されている分野がかなり多いのではないかとの御指摘も頂いております。ですので、まずお菓子を統括されている団体等にアクセスをし、そこからどのような容器包装等が納品されているのかという流通の実態をつかみながら、その川上にあります容器包装提供事業者にアクセスを行い、実際どこまで私どもが求めているものが受入れ可能であるのか等を含めて、意見交換や確認をさせていただければと考えているところです。

○森田構成員 分かりました。ありがとうございます。

○関野課長(事務局) 今申し上げたことに加えて、当然今後、資料の3.に書いてありますように、引き続き検討する事項の中にも入っていますので、この場でもフィージビリティスタディのやり方を含めて、様々な御意見を頂ければ、それに応じて具体的に考えていくということになろうかと思います。

○大前座長 この GFSI というのは、前回の検討会では出てこなかった用語だと思うのですが、これはどういう団体なのでしょうか。「世界食品安全イニシアティブ」と書いてありますが、これはどのようなメンバーが何をやっているのかを教えてください。

○近藤課長補佐(事務局)  GFSI は、資料3-2の末尾に※で記載しておりますが、「 Global Food Safety Initiative 」の略になります。日本語に直すと、「世界食品安全イニシアティブ」という言葉です。

2000 年5月に、国際的な業界ネットワークで設立された非営利団体でありますので、もちろん公的なものではありません。日本で言うと、例えば、イオンと言われているようなグループがあると思いますが、そのようなグループが参画しまして、世界的に食品を流通する上で、どのようなベースとなる基準が必要であるかということ等を民間団体の取組として議論を行い、それを取りまとめているものです。

○大前座長 今のイオンですと、消費者に近いほうですけれども、容器包装に関する団体も、これに入っているわけですか。

○重倉参考人 私の知っている限りの話ですが、 GFSI は、基本的には食品を含む小売の事業者による団体だと考えてよろしいかと思います。その意味で、加工食品を中心に小売店でよく販売されている食品の衛生等について、できる限り世界的に統一的なルールを作ろうという方向にあるかと考えております。

GFSI を私どものほうから見ると、器具・容器包装の分野に関しての活動は、まだそれほど大きくはなくて、基本的には食品そのものについて、そして現在、食品の原材料、言うなれば、農水産物のほうへ進出しているというところですが、そのターゲットとしては、器具についても、容器包装についても、一応スコープとしては入っているという状況です。

 その中で、国際的な様々なルールが現在、既にあるというのを彼らも認識し、できることならば統一したいという方針を持っておられます。そうしたものの中には、典型的には、オランダの FSSC とか、イギリスの PAS と呼ばれるような基準、こうしたものについて GFSI でも評価をし、それは一定の使い方ができるといった設定になっているところです。これらの FSSC PAS の中には、器具・容器包装の製造管理に関するルールがある程度入っている。ただ、成分の溶出に関して、どこまで入っているかというと、 FSSC の中に少しだけ入っているかという程度のところかと思います。今回、我々が成分、溶出という視点でのポジティブリスト整備の中で考え始めると、むしろ、 GFSI にとっても、すごい領域を日本は始めたとみなされるのではないかと思います。そのような取組をなされている団体と承知しています。

○大前座長 ありがとうございます。そのような団体だそうです。むしろ、小売のほうがメインの業界であるということです。ほかに構成員の方々から何かありますでしょうか。

○広瀬構成員 ちょっと境目は難しいのかもしれませんが、遵守を義務付けるのは容器包装事業者ですが、情報伝達の資料3-3に入っていくと、そうではない業者まで遡るサプライチェーンのところは遵守の対象になるのでしょうか。1社で全部最初から作っている所もあれば、本当のプラスチックの原料しか作っていない会社もある。そこから情報が来ないと川下は分からないので、情報伝達はどこからというか、遵守されるべきはどこからなのかというか。フィージビリティスタディをやってから、多分、明らかにしていくのだと思いますが、そういうところを注意してスタディをやっていただければと思います。

○大前座長 それは引き続き検討する事項の中に、今のことを十分考慮してくださいということですね。ほかはよろしいでしょうか。

○早川構成員 衛生管理のことで言うと、現在、厚生労働省のほうで HACCP の義務化というのがテーマになっていると思いますが、その件と、器具・容器包装の衛生管理については、特に、関連付けて議論しなくていいのか。これはこれとして HACCP は全く関係なく、我々で議論してよいのかということを確認させていただきたいのです。

○大前座長 いかがでしょうか。 HACCP との関連。

○道野課長(事務局)  HACCP そのものは、もちろん食品に使用する原材料のチェック、工程管理ということで入ってくるわけですので、無関係というわけにはいかないと思います。ただ、情報伝達については、食品メーカーから見ると、情報がきちんと伝達されてくるのであれば、情報の記録を残すとか、書面そのものを残すとか、確認と記録の保存というのは可能ではないかと思っています。そこは HACCP の一部に、こういった制度が仮にできた場合に組み込まれ、それぞれの事業者の HACCP プランの中、若しくはそのような衛生管理のプログラムの中に落とし込まれるのではないかと思います。

○早川構成員 そうすると、器具・容器包装の製造者側からは、特に関係ないというと言いすぎかもしれませんが、余り関わってこないという理解でよろしいわけですか。

○道野課長(事務局) 私もそういう理解です。食品、それから一応、今、業界団体と調整しているのは添加物の範囲で、現在議論しているところです。

○大前座長 石動参考人、どうぞ。

○石動参考人 この話題がよく出てくるわけですけれども、この制度を大きく分けると、上市前の認可という部分と、上市後の実際に世の中に出て行った生産品の認証という、二つに分けることができるわけです。前者の上市前認可という段階のアウトプットが、ポジティブリストということになるわけです。この検討会はそういう意味で、ポジティブリストをどう作っていくかということをメインに議論するわけですから、上市前認可のフィールドの中でまず結論を出すと。その結果として、それに基づいて生産され、出荷されていく生産品がその制度に準拠して使われていく中で、実際にどのような実態になっているのかということをきちんと見ていくというのは、 HACCP の仕事として出てくるのではないかと私は思います。

○大前座長 今の石動参考人の御発言に対して何かありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、ほかになければ次に移ります。事業者間の適正な情報伝達、先ほども少し情報伝達の話が出てきましたが、これについて御説明をお願いします。

○近藤課長補佐(事務局) お手持ちの資料3-3を御覧ください。3として「事業者間の適正な情報伝達」となります。こちらの内容について、先ほど広瀬構成員からのお問い合わせの回答が含まれていると理解しております。まず、1.です。こちらが前回の検討会における方向性です。まず、製造事業者から販売事業者等に対して必要な情報を提供する仕組みであるべきということ。次に、器具・容器包装の原材料の製造事業者が、器具・容器包装の製造事業者の求めに応じて適切な情報を提供できる仕組みであるべきということ。さらに、その際においては、企業秘密にも配慮しつつ、事業者間での取決めや、第三者機関による証明等の既存の枠組みの活用を促していくことが重要ではないかということが、前回の検討会における取りまとめの方向性です。

 本日御議論いただく点が2.です。まず、器具及び容器包装の製造事業者について、その製造する器具及び容器包装がポジティブリストを含む規格基準に適合することを、販売先の事業者が確認するために必要な情報提供を義務付けること。2番目、原材料の製造事業者については、器具・容器包装の製造事業者からの求めに応じまして、必要な情報を提供することを努力義務とすることについてです。

 3.今後の検討課題です。具体的な情報の伝達方法、また、産業界で運用する確認証明制度の仕組みと有効性の更なる検証、 EU における適合宣言との比較、適合性を確認するために伝達する必要がある情報の明確化、最後に原材料の製造事業者から器具・容器包装の製造事業者への情報伝達方法の検討。このようなことを次回以降の検討課題と考えております。説明については、以上でございます。

○大前座長 取りまとめの方向性の1.の所に二つありますが、この検討会での検討事項、2.の所ですが、製造事業者については義務付けとする。原材料の製造事業者については、求めがあれば開示をするという努力義務にするというような方向性でいかがかということですが、御意見はいかがですか。よろしいでしょうか。

○広瀬構成員 先走って先ほど質問してしまいましたが、これでいいと思います。

○大前座長 六鹿構成員、どうぞ。

○六鹿構成員 二つ目の所で努力義務というのがありますけれども、これはあくまでもポジティブリストに適合しているかどうか、適合しているということは必須の条件として情報提供されるという考えでいるのでしょうか。

○大前座長 事務局、いかがでしょうか。

○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。原材料、例えばシートとか、フィルムといった物を製造している事業者が提供するものとなりますので、まずはポジティブリストに適合しているということを証明するのは当然であると思っておりますし、検討課題にもあるのですが、企業秘密に配慮しつつという部分もあります。ですから、業者間取引において、どこまで情報共有が可能であるのかということも、多分に影響するのではないかと思いますが、最低限やはり必要な項目というものはポジティブリストに適合しているということであろうと、我々は考えているところです。

○大前座長 森田構成員、どうぞ。

○森田構成員 確認です。ここを努力義務とされると、資料3-3(参考)の5ページの全体のイメージの所の、原料メーカー A B の情報伝達が努力義務というようになるのかと思うのですが、努力義務ということになると、情報伝達の一番川上の所がきちんと本当に伝わるのかということに、やはり不安があります。先ほどおっしゃっていたポジティブリストの適合はほぼ当たり前ということであれば、そこは努力義務ではなくて、義務ということではないかと思います。全てを努力義務としていいのかという、原料メーカーもいろいろあると思いますので、そこのところを、もう少しきめ細やかに立てられないのかなと思うのですが。

○大前座長 構成員の方々いかがでしょうか。この場合は、製造事業者の求めに応じて情報提供をすることを努力義務ということで、製造事業者が求めなければ、当然ですけれども、情報は伝わらないということになります。重倉参考人、どうぞ。

○重倉参考人 事務局からきっと御説明のあることだと思いますが、この記述については、先ほど森田構成員からもお話があった全体イメージで見たときに、原材料の製造事業者というのが、食品衛生法の規制の対象になっているところの外側にあるというところが恐らくポイントで、それを越えて、この情報を伝えるために「努力義務」という言葉を使ってらっしゃるのではないかと私は理解しています。私どもとしては、できる限り協力したいと考えていて、「努力」という言葉の後ろの「義務」というのが、どれほど法的に意味を持つのかというところは、これは法制の方にお任せしたいと思います。森田構成員の考えられることに関しては、私どもの中でも、どこまでそれを守れるかという点に関して言うと、悩ましいところがあるなと思います。できる限り協力したいと思っていて、その言葉をうまく実現、文章にしていただければ有り難いと思っております。

○大前座長 石動参考人、どうぞ。

○石動参考人 ちょっと補足させていただくと、川上の事業者は、いろいろな原材料を製造していくわけですが、その段階においては、多くのものが一般的な化学品として作られておりまして、食品用というグレードで作られているわけではないものが相当あるわけです。そういったものが一定の目的を意図して、その後、いろいろな添加剤などを使って、成形されていく段階において食品用というものに明確化していくという、そういう現状があるわけです。したがって、ここで原材料メーカーと加工品メーカーの責務をある程度区分して、今言われたように、きめ細かい表現で責務の在り方を書き分けていただくということは、是非、お願いしたいと思います。

○大前座長 森田構成員、よろしゅうございますか。

○森田構成員 はい。

○大前座長 ありがとうございます。5ページのパワーポイントの原料メーカー A 、材料メーカー B 、この部分は原材料の製造事業者ということで、食品衛生法の範囲の外の事業者ということなので、今回は食品衛生法の中の話なので、こういう形になっているということです。ほかにありますでしょうか。

○渡邊参考人 今の御質問に関連した話ですが、現在、三衛協で、いわゆる確認証明という制度があります。これはある意味、企業の秘密情報を加味しながらきちんと安全に使われていますということを証明するような自主基準ではあるのですが、その様な証明制度があります。こういったものをうまく利用しながらやっていくことによって、川上から川下へ安全ですというのをきちんと伝えるような仕組みというのができると考えております。是非、このような仕組みが現状ありますので、うまく利用していただく、これも一つの手かと考えております。

○大前座長 ありがとうございます。今の5ページの図で、食品衛生法の対象外に消費者があるのですが、消費者に関しては、今のポジティブリスト適合かどうかという情報の伝達について、これは何か考えがありますか。

○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。物の流れで書くなら、原料メーカーから始まりまして、最終的にはエンドユーザーである消費者というところにつながるのではないかということで書き表しているものです。

 消費者が、そもそも情報を得る必要があるかないかについては、現在でも自主的な取組の中で例えば「 PL 適合マーク」を商品に印字するなり、いろいろな形で情報提供がなされています。あくまでこれは民間の活動として行われていると我々は理解しておりますけれども、そもそも消費者の方が、衛生的な器具・容器包装というものを手に入れるという意味では、その 1 つ川上になる販売等の事業者の方々がしっかりと情報を確認し、その結果に基づいて衛生的な器具・容器包装を販売いただくということも大事ではないかと考えております。

○大前座長 六鹿構成員、どうぞ。

○六鹿構成員 一つ意見です。先ほどのような消費者の方への説明のために、器具・容器包装の事業者の方に食品製造業者・販売業者が情報をどうしても求めがちになってしまう。一方、原料メーカーのほうでは努力義務ということで、必要以上の、企業秘密的な情報は出したくないと言われるところがあって、そういった結果、真ん中の器具・容器包装の事業者が板挟みになってしまうような感じも生じると思いますので、その辺りのところは気を付けながら作っていかなければいけないのかと感じました。

○大前座長 ありがとうございます。板挟みになる可能性はあるということですね。特になければ、4にいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、4の適切に事業者を把握するための仕組み等について、事務局から説明をお願いします。

○近藤課長補佐(事務局) お手持ちの資料3-4を御覧ください。「適切に事業者を把握するための仕組み等」という表題です。まず、前回の検討会における方向性ですが、最初に、地方自治体が器具・容器包装の製造事業者を把握するための届出等の仕組みが必要ではないかということ。次に、地方自治体の監視指導に当たっては、製造管理の状況の把握等を行うことを通じて、監視指導を行うことが必要ではないか。最後に、製品検査などによる監視指導に当たっては、現行の規制、検査技術、人員等も考慮して、重金属等の毒性が顕著な物質等の検査を優先して行うなど、優先順位を付した検査が必要ではないかということです。

 本日御検討いただく点、2.です。まず、本規制の実効性を確保するためには、地方自治体がポジティブリスト制度の対象となる材質の器具及び容器包装の製造事業者を把握する必要があることから、一部の自治体では既に条例で届出業種とされている実態を踏まえ、届出業種とすることについて御検討をお願いしたいと思います。また、食品衛生法第 18 条に規定されている現行の規格基準は、器具・容器包装の材質及び使用方法に応じた個別の衛生管理項目であることから、これらの規格基準はポジティブリスト制度と併行して維持することが必要ではないか、この 2 点について御検討をお願いできればと考えております。

 また、将来的な課題となる3.ですが、自治体に対する届出事項の検討。許可・届出業種のシステムの構築。そして、製造事業者等の把握に向けた制度の周知方法の検討。最後に、ポジティブリスト制度の導入に伴う新たな監視指導指針の検討、このようなことを次回以降の検討課題と考えております。

 その後ろには、同様に資料3-4 ( 参考 ) 及びパワーポイントの資料を添付しております。説明は以上でございます。

○大前座長 適切に事業者を把握するための仕組みについて、構成員方から何か御意見はありますでしょうか。このような今の方向性でいいかどうかということです。

○森田構成員 こちらの枠組みの質問ですが、「一部の自治体では条例により届出業種とされている実態を踏まえて、届出業種とすることについて」というのは、現在ある一部の地方自治体、そこから届出業種を全てに拡大していくことだと思うのですが、食衛法の見直しの中の営業届出の創設と、許可制度の見直しというところに関わってくるお話なのかと思っています。その中に、届出業種に容器包装の製造事業者を入れるというところでの手続ということで考えてよろしいのでしょうか。

○大前座長 いかがでしょうか。

○道野課長(事務局) もともと食品営業の届出の新設と、許可の見直しの項目については、 HACCP による衛生管理を全ての食品等事業者に導入するという話から始まっていまして、今現在、制度上は、要許可業種 34 業種については、すべからく全国の自治体が把握しているわけですが、その他の事業者については、自治体によって異なると。そういう観点から許可以外、要許可業種以外についても、届出の対象にしましょうという文脈の中で入ってきまして、現状は食品と添加物について原案を検討しているところですけれども、もちろん器具・容器包装のポジティブリスト化ということに伴って把握する必要があるということであれば、当然その中に器具・容器も入れていくということになると思います。

○大前座長 ほかにいかがでしょうか。

○西川構成員 事業者を把握する仕組みですが、前に私が構成員をやっているときに、届出とかではなくて、営業許可のような制度にして、きちんとやっていない所は、できないようにしたらどうだというように個人的に聞かれたこともあるのですが、やはり営業許可ということではなくて、製造管理がきちんとされているという前提で届出制度並の、強い規制ではないようにしていただきたいと思っております。届出、報告とか、今後、ボジティブリスト制ができてくると、保健所などが指導に当たるわけですが、こういった製造者の方と保健所とも、ふだんからのコミュニケーションが取れていない状態ですので、やはり簡便な手続方法、ネット上での届出といったことも御検討いただければ有り難い。要望ですが、お願いいたします。

○大前座長 埼玉県でも既に届出制度をやっていらっしゃるわけですよね。

○西川構成員 はい。

○大前座長 届出制度をやられたことによって、何かメリットというか、良いことがあったかどうか。

○西川構成員 良いことがあったかということではないのですが、以前、食肉製品で非常に異臭がするということがあって、製品そのものではなくて、結局、包んでいる容器包装、フィルムの部分に異常があったということから、やはり容器包装の営業者も把握しておかなければ、食の安全全体が保てないということから届出制度にしたものです。プラスチックのメーカーとか、印刷工場の方、お菓子の製造業者の方に届出をしていただいております。

○大前座長 森田構成員、どうぞ。

○森田構成員 そこで届出している県と、していない都道府県があるというところで、消費者の先ほどのフローの図から見ると、結局、システムがきちんと管理されているかどうかということだと思います。例えば、何か異臭があるとか、変な溶け方をしたとか、臭いを嗅いで気持ちが悪くなったといったときに、保健所などに聞くときに、そこが HACCP の中できちんとシステムとして成り立っていて、器具・容器包装も、きちんとできていますというところが管理されていること。そこで、届出という形で事業者を把握していただいていると、何らかの情報がきちんと上流に流れていくと思います。今の状況でやっている所と、やっていない所があって、分断されているような状態というのがよくないので、この届出制度というのは、やはり進めていただきたいと思います。

○大前座長 ほかにいかがですか。

○六鹿構成員 容器包装は食品と違って、当然寿命も長いので、遠い県から仕入れるケースもかなり多いと思います。そういった面から考えると、ある一部の所だけがやっているのではなくて、やはり全国的にやっていただかないと、全体の把握もできないのではないかと感じます。届出制など、どういう形にするか分かりませんが、全国的に行うということに賛成いたします。

○大前座長 重倉参考人、どうぞ。

○重倉参考人 今、六鹿先生から、有り難い御意見を頂いたと思い、大変うれしく思っております。私どもとしても、これは自治体ごとの、ある意味独自性も持ちながら動かなければいけないことだというのも承知するのですが、全国的に統一的に動いてほしいという面があるのも事実かと思います。

 事業を把握するというのは、輸入のところで何とか管理をしますということだと思いますが、実は、全世界で様々なサプライチェーンの一部は伸びているというところがありますので、本来は全世界の事業者を把握してほしいと思うぐらいのことですが、それはなかなかできることではない。その意味において、この検討の結果、出てくる新しい制度については、全世界へ向けて発信し、協力の要請、各国の政府といった所とのシンクロ、そのようなことまで伸ばしていっていただいて、少しこのテーマから外れてしまうので恐縮ですが、そういう一般化を是非進めていただけると、事業者にとっても事業しやすくなるかと思います。物そのものというのを監視するという手段だけではやはり限界がある。どういう取引をしているのかということに、できるだけ事業者も協力していきたいと思いますが、そうした商流を考えるということは、結構、日本のこの制度の中では重要な部分になってくると思いますので、個別に 1 1 品を審査するということではなくて、事業者がいかにうまくやっているかというのを、納得いく形で動けるかどうかというのが重要なところになると思います。そこら辺を事業者把握という中で意識していただければ有り難いと思います。

○大前座長 関野課長、どうぞ。

○関野課長(事務局) 少し脇にそれてしまうかもしれませんが、把握することは非常に大事という御意見を頂きました。そうしますと実は、現在あるいは今後、器具・容器包装に関する製造なり、販売を担う方に対して、制度に係る議論を、今、現在のこういった議論の動きも含めて、どうやって周知していくか、伝えていくかということも大事だと思っております。事業者を把握する議論の手前と後、両方の問題かと思いますが、いかにこういった我々の動きを含めた情報なりを、実際の制度ができた後もそうなのですが、そういった内容についてきちんとお伝えしていくかといった方法論についても、また大所高所から御意見を頂き、十分浸透するようにしていければと思っております。何とぞお願いしたいと思います。

○大前座長 ほかに何かありますでしょうか。4の事業者を把握するための仕組み等について、特になければ、5に進みたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、5円滑な基準策定に向けた第三者機関の活用について、事務局から説明をお願いします。

○近藤課長補佐(事務局) 資料3-5を御覧ください。「円滑な基準策定に向けた第三者機関の活用」です。1.の前回の検討会における方向性ですが、1番目として、アメリカでは個別製品ごとに届出者に限定して使用を可能とする「上市前届出制度 (FCN Food Contact Notification) 」という制度がありますが、このような仕組みについてどのように考えるか、このことに整理が必要であるということ。また、前回の検討会では提示されなかった部分で、本年 6 26 日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会で御報告させていただいたものですが、一定溶出量未満である等の低リスクの物質について、国が定めた評価基準に従い、第三者機関による安全性の確認により使用可能とする、このような仕組みを検討することも必要ではないかという点を新たに提案させていただいております。

 本日御検討いただく部分ですが、2.の1番目、 Food Contact Notification FCN 制度は、新規添加剤の迅速な承認等を目的に作られた制度であり事前相談の時間を除き、申請後 120 日で承認する仕組みとなっております。現在、日本には事前相談を行う機関は存在しない状況下にあることを踏まえ、ポジティブリストへの登録事務を円滑に行うための事前の相談が行える組織が必要ではないかという点が 1 つです。

 次に、特にポジティブリストへの新規登録に当たっては、内閣府の食品安全委員会のリスク評価が必要となっております。リスク評価に必要なデータパッケージの準備、その点検については、円滑な行政事務、新規の物質の登録の事務に不可欠ですので、厚生労働省が本来行うべき登録申請に関する相談、登録申請の資料の点検といった事務を第三者機関が行うことについて御意見を賜れればと思っております。

 この制度の仕組みについては、次のページに参考資料のパワーポイントを添付しています。ツーアップになっておりますが、下半分の図に今お話した内容の流れ図が示されておりますのでこの図を使い御説明します。まず、ポジティブリスト収載等の申請者が一番左にあり、この申請者が第三者機関にいろいろな相談を行ったり、データセット、これはリスク評価を行うためのデータの束ですが、これらのデータセットの確認を行い、その結果これであれば十分であるという判断がなされた上で、厚生労働省に申請を行っていただき、内閣府食品安全委員会のリスク評価を経て、最終的には PL リストに収載するという結果を告示でお示していくということです。その一連の流れの中で、第三者機関において現在我々が想定している作業は、この申請の手前になる部分の相談、また内容の確認です。さらに、第三者機関で取り扱うべき業務の範囲を考えた場合に、申請の全てを行うのか、一部に限定するのかという考え方もあります。一部に限定するのであれば、収載等の申請者が厚生労働省に直接する申請、いわゆる第三者機関に相談することなく、直接厚生労働省に申請を行うという流れも存在し得るのではないかと考えております。

 3.は次回以降の検討会において検討をお願いしたいと考えているものです。登録申請に関する相談及び資料の点検を行う事務について、どのような機能・要件が求められるのかということは整理しなければならないので、この点については次回以降の検討会で詳細を御検討いただければと考えております。以上です。

○大前座長 「検討会取りまとめ」等の方向性の2番目は、検討会の取りまとめの報告書にあるわけではなくて、本年6月 26 日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会で提案されたものということです。2.の本検討会の検討事項ですが、日本には事前相談機関がないので、どうしたら円滑に登録できるかをこれから考えるという意味で議題になっております。また、 2 つ目は、厚生労働省が本来行う登録申請に関する相談及び登録申請資料の点検等の事務を第三者機関が代行するという御提案ですが、いかがでしょうか。

○森田構成員 資料3-5の3ページ。下の図は今回初めてというか、検討会では見たことがない図だと思います。この中で少し懸念されるのは、食品安全の世界ではリスクアナリシスがベースにあって、厚労省と食品安全委員会が全く分離されて、それぞれやってきたところがある中で、第三者機関が登録や点検といった事務もして、厚労省に報告するという流れ、これは今まで添加物や農薬でも余り見たことのない図だと思います。恐らく図中の赤字のほうの流れのものが多くなって、直接の青字のものがどのぐらいになるのかはよく分からないのですが、赤字のものが多くなると、大枠で言うリスクアナリシスに対して消費者は信頼しているわけですが、それが崩れるのではないかという漠とする懸念があるのです。どのように中立性や公正性を保つか、第三者登録機関を入れることでもどうやったら保てるのかということは、十分に検討しなければいけないのではないかと考えております。

○近藤課長補佐(事務局) 多分、私どもの資料の作り方が悪かったのかなという反省もございます。まず、ツーアップの下半分に示している資料ですが、第三者機関から厚生労働省に対して「報告」という赤い矢印が伸びております。これは、あくまで事前相談等をやったとか、資料の要件をチェックしたということの報告で、第三者機関が確認を行った事実関係だけをもって厚生労働省が告示を出すというものではありません。ですので、報告というのは、予めチェックを頂いたことを、例えば 1 つの物質に対して紐付け等を行って、その紐付けの情報を厚労省に御連絡いただくということです。厚労省は、正式に申請者から申請があった際には、その情報を基に既に相談と確認がなされていることを踏まえ、事務手続を円滑に、迅速に進めていくというものです。この報告だけをもって告示を出すということではありませんので、その点は御説明しておきたいと思います。

○大前座長 第三者機関が「いいですよ」と言ったものを、そのまま受け取るわけではないということですね。あくまでも形式なり必要資料等々に関してそろっているということの報告を受けるようなイメージでいいわけですね。ほかにはいかがですか。

○重倉参考人 この絵については、規制に関する検討会の際にも私から民間の関与が必要だということを発言させていただいて、そういう影響もある程度あってこの形が出てきたと、大変嬉しく思っております。今回書いていただいておりますが、当面の検討事項の所に FCN 制度との比較もあって、民間の立場で言うと、収載してほしいというものが現れた後、いかに速やかにそれが実現するかが重要なポイントかと考えますので、こうした視点で検討していただけるのは大変有り難いと思っております。

 一方で、この制度を拝見すると、私も世界各国の様子をそれほど詳しく知っているわけではありませんが、民間が申請をして、それが収載されていくという流れは、世界的にはかなり珍しい。民間活用という意味においては大変画期的だと思うのですが、そういう制度を御提案いただいたということで、嬉しく思うと同時に、いかに工夫したものかというところを悩ましく感じております。アメリカの FCN 制度はこのように民間の申請、厳密には先ほどどこかの資料にありましたように届出で始まりますが、欧州の制度も申請ではありません。日本の食衛法の食品添加物に関しても、改正の要請を出すわけですが、このように修正してほしいということでは必ずしもない。法的な事項とはずれているかなと思っております。そのような意味で、ポジティブリストに民間が提出したものが収載されるか否かという吟味を経て収載させるということで、民間活用という意味において大変いいと思うのですが、これを実行するためにはいろいろと工夫が必要だろうと予想しております。

 そういう意味で、この第三者機関が、これはどのように載せるといいといったことについて、随分考えなければいけなくなるだろうと考えております。特に、それに近い業務を行っている経験から申し上げると、ある 1 つの添加物について、それはこの条文でもう読めているという解釈とか、同一性判定のような領域は結構無駄な時間をつぶすことが多いので、そうした意味での効率化などは民間の中に第三者機関のようなものを作ることでできるのかなと予想しながら、この制度はこれから厚労省にできるだけ私どもの知見を提供して、作り上げなければいけないだろうと考えております。

○大前座長 1つ疑問です。今の3ページの絵の第三者機関の「報告」という矢印は、申請者が第三者機関にチェックをしてもらって、それを報告するという矢印に見えますが、本来この第三者機関というのは、この絵で言うと左側になっているのではないか。左側で申請者と第三者機関の間でしっかりやり取りをして、それを厚労省に申請するというイメージでいいのではないかという気がするのですが、いかがですか。

○関野課長(事務局) 先ほど説明したように、この絵そのものを見ると「報告」という矢印が下を向いていますが、今、座長がおっしゃったように、一番左の青いボックスのポジティブリスト収載等の申請者と第三者機関を結んでいる赤い矢印の双方向の所で、相談事項を左から右に持ち掛けて、それに対して先ほど重倉参考人からありましたように、解釈も含めた第三者機関が行える範囲での返事といったもの。双方向に動き回るという意味での「報告」という言葉がここにもあっていいのだろうと思います。

 加えて、第三者機関から厚労省のほうに伸びている「報告」に関しては、申請者と第三者機関との間で様々な事前の資料の点検や相談を持ち掛けられた際に、多分、応用問題もあろうかと思いますので、そういったものに関しては、第三者機関が独自に判断するのが難しければ、その際に無理なく返事をするためには、厚労省と適宜相談できるような関係を我々との間で持つといったやり取りという意味での相談ないし報告ということもあろうかと思います。今後の議論の際にはこの絵をそのように少し修正したほうがいいかもしれませんが、そのような意味合いで捉えていただければよろしいかと思います。

 また、重倉参考人からお話のあった具体化していく際の様々な御指摘についてですが、1ページの3.にあるような事前相談や点検を行う機関に求められる機能や要件に関して、当然、第三者機関を有効に活用していただけるように、申請者から見て相談しやすい機関でなければいけないという意味で、様々なルール作りも具体化していく必要があろうかと思っております。

○大前座長 そのほか、何か御意見はありますか。方向性としては、この第三者機関に何らかの形で代行させる方向で、2.にあるような形で持っていくということでよろしいでしょうか。

○森田構成員 先ほど御質問した青い字の、直接申請者が申請をして、厚労省から行って食品安全委員会がリスク評価するという流れは、全体的に見てどのぐらいの割合になっていくのでしょうか。

○六鹿構成員 恐らく、ヨーロッパやアメリカ等で申請されたものをそのまま日本でも申請しようとするような場合には、大体同じような資料が必要とされる可能性が高いので、こういったケースもあるのかなと考えます。

○重倉参考人 第三者機関、私どもを含め、これまである程度この手の業務をやってきたセクションが、そのままそのノウハウを使えるところであれば、大変失礼を申し上げますが、第三者機関でやったほうが早いところがあるかと思います。

 一方で、この前の検討会でも将来検討課題として、また今回の検討会においても将来課題として出ている領域、新しい考え方をしなければいけないものについては、第三者機関ではどうしようもない領域が出てくるかと思います。そういうところについては第三者機関に御相談いただいてもいいと思いますが、その際に、それはここで判断することではないということで直接御相談いただいて、リサイクルの問題やアクティブマテリアルの問題等がこの前の検討会では出ました。今回のセットアップでどこが取り残し領域になるか分かりませんが、そういう領域については第三者機関を経由しないで、直接御相談で始めるのがいいのではないかと思います。

○石動参考人 これはお願いですが、3ページの図における第三者機関の仕事の内容に関わりますが、1ページの1.の2番目の内容は、審議会の分科会で資料として出た文言であることは承知しております。その内容の「一定溶出量未満であるなど低リスクの物質について」という文章については、もう一度この技術検討会でも確認をお願いできたらと思います。

 すなわち、現在はリスク評価をベースにして物事を考えているわけです。その中で、この分野については溶出量に従って安全情報の勾配を付けて層別管理を行っているということで、これは非常に有効なアプローチだと私は思います。しかし、一定溶出量未満というのはパラメータとしては変異原性試験に限定されているのに対して、一定溶出量以上になると亜慢性毒性試験や長期の毒性試験が課せられていくという構造になってくることを考えると、むしろ多くの安全情報は溶出量の大きいものこそ完備されていくという構造になっていることも、この分野の特徴なわけです。もちろん、リスクを考えるに当たっても、リソースの節約といった社会的ファクターも考えないといけません。ですので、私はフルデータが全て必要だということを申し上げるわけではありませんが、少なくとも日本でこのような新たな、世界初の第三者機関の業務を確定するに当たっては、もう一度何らかの層別管理という一般的な言い方を設定して、その中身についてもう一度御議論いただければ非常に有り難いと思います。

○大前座長 今の御意見について、何かコメントはありますか。

○関野課長(事務局) 御意見ありがとうございます。今回資料3-5の3ページの下側の現時点での第三者機関の活用イメージ素案に関しては、今御指摘のあった薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会での報告及び資料の1ページの1.の2番目の部分との関係で申し上げると、一定溶出量未満である等の低リスクの物質か如何にかかわらず、できるだけ第三者機関を活用していただけたらよろしいかなと考えておりまして、分科会時点から少し方向転換している部分もありますので、3ページ下のスキームのイメージの素案に関しては、先ほどの御懸念のようなものはないかと思います。一方で、一定溶出量未満、以上というところでどういったデータセットが必要かに関しては、今後具体化していく中で様々な御意見を頂ければと思います。

○石動参考人 今のコメントは非常に有り難く感じております。第三者機関は、先ほど座長もおっしゃったように、ポジティブリスト収載の申請者よりも前にあるのではないかというお話にもつながるのではないかと思います。

○大前座長 そのほかに、第三者機関の活用に関して御意見はいかがですか。

○早川構成員 これも確認なのですが、今のお話を伺っていると、低リスクの物質についても必ず食品安全委員会が評価に関与すると理解したのですが、それでよろしいでしょうか。

○大前座長 今の解釈でよろしいでしょうか。

○近藤課長補佐(事務局) 御指摘のとおりです。

○大前座長 そのほかになければ、これで1から5まで論点を御議論いただきました。全体を通して何か御意見等ありますか。

○重倉参考人 本来、1の論点のときに申し上げなければならなかったことかもしれませんが、合成樹脂を対象としてポジティブリスト制度を導入すべきだとなっていて、これは前の検討会において設定された方向ですし、むしろこれは我々にとって負担というよりも、この領域に関して民間による自主管理による方法がうまく普及し、それを国の制度に持っていくことができそうな領域になっているからと受け止めたいと思っております。こうした領域についての管理をやったほうが規制を受けることになるのだという考え方にはなりたくないと。そういう意味において、これから他の分野に対しても広げていかなければなりませんので、この領域を自主で取り組み、このような制度化をしていくのだということで、特にここには合成樹脂を対象とするということしか書かれていませんが、その理由は何かというと、しっかりやってきたからということかなと、そう解釈させていただければ有り難いと思っております。

○大前座長 直接文章には書き込めませんが、三衛協のシステムは非常にいい状態で今までやってきているということですので、それがベースになっているということは当然ですね。そのほかにはいかがですか。

 今、1から5まで構成員の方、参考人の方からいろいろ御意見を頂きましたが、基本的にはこの方向でいいだろうということでよろしいかと思います。様々な意見に関しては、事務局と私で取りまとめ、構成員の皆様に見ていただいて、最終チェックをしていただく形で確認したいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。最後に、事務局から何か連絡事項がありましたらお願いします。

○近藤課長補佐(事務局) ただいま座長からお話のありました本日の取りまとめにつきましては、今後、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会へ報告を行う予定です。また、今後の検討会の開催につきましては、現在のところ未定となっておりますので、開催の折には改めて構成員の皆様に御連絡をさせていただきます。なお、構成員の皆様に配付している「構成員必要事項連絡票」については、終了後に事務局の者が回収しますので、そのままでお願いします。

○大前座長 次回はいつになるか分からないということですので、忘れた頃に会議をやるかもしれません。それでは、今日は 30 分ぐらい早いですが、議論が終了しましたので終わりにいたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会> 第1回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会 議事録(2017年9月25日)

ページの先頭へ戻る