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2017年8月9日 第4回今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会

○日時

平成29年8月9日(水)
14:30~16:30


○議事

○堀岡医師養成等企画調整室長 定刻になりましたので、ただいまから第4回「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 荒井正吾構成員、新井一構成員、南学構成員及び森構成員は、本日、所用により御欠席との連絡をいただいております。

 また、渋谷構成員は御連絡ございませんが、御出席との御連絡をいただいておりますので、もうすぐいらっしゃると思っております。

 参考人といたしまして、日本専門医機構から松原副理事長、山形大学蔵王協議会から嘉山会長、島根県から児玉医師確保対策室長に御参加いただいております。

 厚生労働省及び文部科学省に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。

 厚生労働省医政局長の武田でございます。

 厚生労働省医政局総務課長の榎本でございます。

 厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室長の岡部でございます。

 文部科学省高等教育局医学教育課企画官の眞鍋でございます。

 また、本日の会議には文部科学省医学教育課の森課長及び今、御紹介させていただきました眞鍋企画官にも御参加いただいております。

 以降の議事運営につきましては座長にお願いいたします。遠藤先生、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 それでは、早速議事を進めていきたいと思います。

 まず事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。

○堀岡医師養成等企画調整室長 資料の確認をお願いいたします。

 上から議事次第、座席表、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3-1、資料3-2、参考資料1~5となります。

 その下の参考資料6は、資料2-1、資料2-2、資料2-3に関係いたしますが、医行為にかかわる臨床実習のあり方等について検討を行った平成3年の報告書でございます。

 また、参考資料7は、第2回検討会で御説明をいたしました都道府県協議会について6月27日付で発出した通知です。この通知の内容を6月29日及び7月4日の都道府県向け説明会で開催し、各都道府県で説明しております。

 また、これらのほか構成員限りの机上配付資料が一部机上に配付されております。

 不足している資料が何かございましたら事務局にお申しつけください。

 なお、マスコミの方々の撮影はここまでとさせていただきます。

 それでは、遠藤座長、引き続きお願いいたします。

○遠藤座長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。

 本日用意されました議題は3つございます。

 第1が「これまでの議論を踏まえた日本専門医機構・各学会の対応等」、2が「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」、3が「各都道府県における医師養成に関する取組事例」、以上3つでございます。

 まずは吉村構成員から、これまでの議論を踏まえた日本専門医機構・各学会の対応について御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉村構成員 専門医機構の理事長の吉村でございます。

 資料1-1をごらんいただきたいと思います。6月22日付で厚生労働省の医政局医事課長より私宛てに事務連絡がございました。「地域医療に求められる専門医制度の在り方についてのご意見等について」ということで、6月12日に開催された表記検討会において、地域医療に求められる専門医制度の在り方について各構成員から意見が示されたので、専門医制度新整備指針運用細則の修正も含めた対応について御検討いただきたい。なお、検討に当たっては別紙を参照されたいということでございます。

 めくっていただきまして別添の要望がございました。地域医療の配慮と都道府県協議会についての2点でございます。

 これにつきまして、めくっていただいて3枚目になります。平成29年6月29日付で私より医事課長宛てにお返事を申し上げました。「地域医療に求められる専門医制度の在り方についてのご意見等について」ということで、6月22日付でいただきました事務連絡により、当法人で対応について検討した結果を別紙のとおりお知らせいたします。なお、別紙の内容を踏まえて、7月7日の理事会で専門医制度新整備指針運用細則の改正を行う予定です。これは6月29日付でございますが、実際には7月7日の理事会で、この予定のとおり改正案が理事会で承認されたことをつけ加えさせていただきます。

 めくっていただきまして最後のページでございます。「専門医制度新整備指針運用細則の改訂の主な内容について」ということで、「1.地域医療従事者や女性医師等への配慮について」ということで、改訂の方向性はカリキュラム制に柔軟な対応を行うというだけではきちんと対応されない場合が考えられるので、具体的な手順等を明示するということであります。

 改訂案の要点でございます。これは運用細則のとおりでございますが、基幹施設等は専攻医からの相談窓口を設け、有効な研修が行えるように配慮する。専攻医は、相談窓口への相談後も有効な研修が行えないと判断した場合には、機構に相談することができる。これを運用細則にそのまま入れております。

 「2.都道府県協議会について」。改訂の方向性でございます。地域の実情に応じた協議を協議会で実施するためには、連携施設への医師配置に関して迅速にきめ細かく情報提供いただく必要があり、基幹施設は協議会の求めに協力するという方向性でございます。

 改訂の要点、これが運用細則でございます。協議会は、基幹施設に対し、ローテート内容の情報の提供を求めることができる。基幹施設は、機構に連絡した上で協議会に情報を提供し、その際、遅滞なく機構にも協議会に提出した資料を報告するものとする。機構は、地域医療への配慮や専門研修レベルを改善するための必要性に応じて、基本領域学会、基幹施設と共同して協議会の求めに協力するものとする。この案文のとおり7月7日の理事会において運用細則を変更したことを御報告申し上げます。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 関連いたしまして、事務局から新たな専門医制度に対する厚生労働大臣談話について御説明をお願いしたいと思います。

○武井医事課長 医事課長でございます。

 私から資料1-2に基づきまして説明をさせていただければと思います。

 タイトルが「『新たな専門医制度』に対する厚生労働大臣談話」平成29年8月2日付となっている資料でございます。既に公表されておりますので御存じの方も多いと思いますので、要点のみ説明させていただきます。

 冒頭でございますけれども、国民の求める医療ニーズが変わってきている。特に質に対する重視ということが言われる中で、こうした医療の質の向上を図るためには国際的な水準を担保するということですとか、世界にも評価される専門医を養成する制度の確立、運営という点からの議論が今、行なわれているわけでございます。

 こうした中、昨年6月ですけれども、一旦、立ちどまるということで1年、開始が延期されておりますが、その後、日本専門医機構におかれては地域医療関係者ですとか、地方自治体を加えた体制を整備するなど、大きく地域医療に関しても改善が図られてました。

 また、厚生労働省においては、本年4月に今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会、本日のこの検討会が設置をされまして、専門医制度のあり方ですとか、全国知事会、全国市長会、病院団体など、地域医療関係者の方々からさまざまな意見をいただいて検討を進めてきたわけでございます。

 こうした中、1ページの一番下になりますけれども、専門医の取得は義務ではないということですとか、研修については症例の豊富な地域の中核病院で行うような内容ですとか、女性医師等の多様な働き方に配慮したカリキュラム制の設置などが議論され、また、必要な整備指針などに盛り込まれてきたという経緯の説明がございます。

 ページをめくっていただきますと、こうした状況ではあるのですけれども、地域医療への懸念ですとか、専攻医が望んでいる地域で、その内容で研修を行えなくなるのではないかという懸念を完全に払拭するには至っていないという点が書かれています。

 こうした中、都道府県協議会、地域医療関係者と十分に協議が行われた上で、今後、運用の中で問題があれば速やかに是正が行われる必要があるということですとか、厚生労働省においては新たな専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、領域ごとに確認をすることとしたいという点、それから、万が一ですけれども、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、厚生労働省の持つ国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保する医療法上の国の責務に基づいて、実行性のある対応を求めることとしたいという点が書かれてございます。

 今後、新たな専門医制度が地域医療や医師のキャリアプランに配慮したものとなるということを強く期待しているという内容になっております。

 説明は以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御報告のありました2件に関連しまして御意見、御質問等あればいただきたいと思います。

 立谷構成員、どうぞ。

○立谷構成員 前回の会議の際、いろいろと確認をさせていただいたこと。今日まで我々全国市長会の主張といいますか、懸念を皆さんにいろいろ御協議いただいてまいりましたけれども、前回の会議の際に、来年から始めるということを明確に決めたわけではなかったと思うのです。「問題が解決された場合に」というただし書きがついたと思うのですが、昨今、10月から募集するということが専門医機構から発表されまして、非常に違和感を感じていたわけです。ですが、そのことにこだわってもしようがないので、しっかり議論をする必要があるのではないかと思うのです。

 したがって、きょうは専門医機構から吉村先生、松原先生もおいでですので若干質問をさせていただきたい。

 これはもともと申し上げたことなのですが、地域医療で頑張っている専攻医がいるのです。具体的に申します。東大医学部時代に相馬地方に震災の支援に入ってきた学生が、その後、南相馬市立病院で初期研修が終わりまして、今、専攻医といいますか、彼はOBの先生について、つまり指導医の先生について内視鏡の技術の習得をしながら地域医療に従事しています。非常に志の高い人間なのです。そういう医者なのですけれども、こういう地域で頑張っているような人が専門医制度ががちがちになってきますと、彼が一生懸命内視鏡をやっても専門医の資格を持っていないと相手にされなくなってしまう。ですから資格というのはちょっと変だと思うのです。称号でいいと思うのです。そういう称号を得ることができるようにというのが前に私がした問題提起だったのですが、果たして可能かどうかという問題です。

 それから、これは非常に典型的なことになるのですが、今、専門医制度がまだ始まっていない段階で、初期研修が終わった人たちは専攻医という立場にいるわけです。この専攻医が積み重ねてきた今までの実績はどのように反映されるのか。このことをしっかりやらないと、カリキュラム制と幾ら言っても私は実例としてそういうことではないかと思うのです。ここをしっかりやらないといけない。ある程度地域の病院によっても症例をしっかり積み重ねることによって受験資格を得ることができるが出るという形を明確にしておかないと、いろいろな不都合が出てきます。これは前に申し上げましたけれども、専攻医が専門医を目指す人が大学の医局に入局して、そこの教授の指導を受けたとする。ですが、途中でそれが継続できなくなる場合があるのです。1つは女性医師の出産の問題がありましょう。あるいは表現が不適切かもしれませんが、大学教授が100人のうち100人、10人のうち10人が立派な方とは限りません。そうすると教授と合わなくなったから私は研修先を変えましょうとか、そういう自由があっていいと思うのです。そこはしっかり専攻医の方々の立場というもの、つまり若い医者の育成という形で、これはたしか山口構成員からだと思いますが、で、この会で提案されたことがあったと思うのです。そこのところをちゃんと担保できるかという問題。

 それから、厚労省に聞きたいのですけれども、前回の議論の中で私は、機構がどうせ始まるのだったらしっかりとした体制で、例えば認証する機関というだけではなくて、機構がノミネートを受け付けるような機関でないと何のためにやるのかよくわからないところがあって、学会が独自にやるのとどう違うんだということを申し上げました。それは認証というところである程度のスタンダードができるというメリットはあるかもしれませんが、しかしながら、カリキュラム制というか症例の積み上げでもって地方の病院にいても専門医に到達できるようにという目的も考えた場合、私は先ほどの話もありましたけれども、専攻医が機構に物を申すことができるというようなこともありましたので、私は機構そのものが受付の組織にならないといけないのではないかということを前に申し上げました。しかし、機構にはそのために人もいないし金もない。だったら厚生省である程度支援をして、しっかりしたものにしていく必要があるのではないか。単なる一社団法人の仕事としては、私は適切でないような気がするのです。これは厚労省にお答えいただきたいと思うのです。

 それから、私は以前、専門医取得の条件として論文とか学会での発表というのは、私は要らないだろうということを申し上げました。地方の医者にとって、先ほど言った南相馬市立病院の内視鏡の専攻医にとっては、非常にハードルが高いということになるのです。ですからこの点どうなっているのかということです。

 もう一つ、これは私から提案なのですけれども、地域のローカルな病院で頑張っているようなドクターには、専門医をとるときにポイントを差し上げたらいかがでしょうか。それを加点するとか、そのようにしないと、これは逆に言うとこの制度でもって地域医療にプラスになるようなことも考えていかないといけないと思うのです。そういうことも十分検討してもいいのではないかと思いますので、1つ御提案申し上げたいと思います。厚労省としての考えを聞きたいと思います。

 それから、市長会では、総合診療専門医というのは変だろうという意見が出てきています。総合診療というのは後から出てくる初期研修の話と重複してくるところがあるのですが、今日は松原先生おいでですけれども、私は医師会が総合診療医を認めればいいのではないかと思うのです。その上で総合診療専門医があればいいのですが、ただ、その総合診療専門医という存在だけだと我々市長会の間では何だと。専門医とすることによって、普通の病院で外科の先生が当直していたら、あるいは内科の先生が当直していたら、それは総合診療医ではないので、診療できなくなるのではないか。そういう懸念が出てきています。

 もう一点、べらべらしゃべって申しわけないのですが、地域協議会のことは今回、機構さんからお答えとして出てまいりましたけれども、先日、私は福島県の地域協議会に出席しました。とてもでないですが、機構さんに対して物を申し上げるような組織ではありませんでした。そういう会でもありませんでした。しっかり機能しているところもあると思います。しかし、そうでないところのほうが多いのではないかということが想像されるのです。

 したがいまして、これも御提案ですけれども、私は専門医制度が走り出すというか、そういう表現が適切ではないかもしれませんが、こういう形で医師の養成がなされていくにおいて、私はこの検討会が継続していく必要があるのではないかと考えています。この検討会には、私の場合は全国市長会を代表して参加していますが、地域の声を、各県の地域医療協議会だけで反映させていくというのは若干無理があるのではないか。そういう気がするのです。その点について、これは厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。

 私からは以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 幾つかありました。最後の問題以外は機構の考えをお聞きするのがいいのかなということですが、それ以外に機構そのものの機能について厚労省としてどのように考えているかということが御質問でありましたので、それに関連してもし何かお考えがあればお答えしていただく。そして、既にローカルな病院で働いている場合にはポイントを課したらどうかという御提案について、これは機構にもお聞きしたいと思いますけれども、厚労省にということもありましたので、厚労省がどうこう言うことかどうか微妙なところでありますが、何かコメントがあればいただきたいと思います。

 それでは、機構としていかがでしょうか。たくさんありましたので確認を常にしていただいて結構でございますので、よろしくお願いします。

 松原参考人、お願いします。

○松原参考人 参考人として出席させていただきましたので、実務をやっている立場から少し御説明を申し上げたいと思います。

 立谷先生おっしゃるとおりで、特に市長さんたちは最前線にいらっしゃいます。市民にとってどのような医療をしていくかということに全体的な一番大きな責任を負っておられますので、先生がおっしゃることはよく理解できます。その市長さんたちが医療において住民の方々に十分なことができるようにという立場は、私ども全く一緒でございます。それと同時に県知事さんたちもそれを大変心配されていますので、こういった地方の首長さんたちの意見を、私ども物すごく重く受けとめて対応してまいりたいと思っているところでございます。

 ただ、今回始めるに当たって随分内部でも議論をしたのですが、一番心配しているのは実は専攻医たちでありまして、去年、流れてしまって、ことしどうするんだということで大変不安に思っているということを横倉会長も大変心配されているところでございます。そのような事情もありながら、走りながらでもきちんとしたものに変えていこう。御指摘を受ければそこのところを今回の指針を変えましたように変えてまいりますので、御指導いただきながら進めてまいりたいと思っているところでございます。

 もともとこれがつくられたときにダブルボードはいけない。つまり1人の医者は1つの専門医でなければいけないというような考え方が前の執行部にはございましたので、それは違うだろう、大きな間違いだと。ですから一番最初に決めたのが、ダブルボードを認めるということであります。学術的にきちんとしたものを研修したという証明書みたいなものであるという捉え方をしましたが、立谷先生おっしゃいましたように、地域で頑張っている先生たちがこういったことがとれなければ私は意味がないと思っておりますので、そのあたりはまた後でお話したいと思います。

 ダブルボードによって1人の医師が1つの分野にかかわるということはないように。そこのところで内視鏡専門医の話がありましたが、内視鏡は今、内科の上にも立ちますし、外科の上にも立ちますので、内視鏡の学会と鋭意調整中であります。どのような形にするのが実際に地域で内視鏡をしている先生たちにとって一番よい方向なのかを最終的に結論にしたいと思っております。

 3番目は、女医さんは大変ふえております。ある日結婚されて出産されるというのは当然のことでありますし、現在、日本国は人口が減少しておりますので、そんなことも踏まえながら女性が働きやすい社会をつくっていかねばならないと私どもも思っております。その中で御指摘をいただきましたので、カリキュラム制とプログラム制の中で特に事情がある場合には、そのときからカリキュラム制に移行できるような仕組みを学会につくっていただきたいということで、かなり申し上げているところであります。

 今、学会の中で鋭意、例えばプログラムで始めていても、もし出産して続けられないような状態になったり、介護が必要になったり、留学したりする方、また、地域枠がございます。地域枠の場合には各都道府県において人事的配置をされて、専門医の指定のないような病院に行かなければならないこともあるやに聞いています。そのようなことがあるから内科の専門医がとれないので、自治医大の先生たちは大変苦労をしているということを高久前医学会長からお聞きしたことがあります。

 つまり、現場で頑張っている人たちがきちんとキャリアをとれるようにするために、一部カリキュラム制を導入しながら、あるいは柔軟な対応をして、そこで頑張っている人たちが専門医をとれるようにということを常々議論しながら今、進行中でございます。頑張っている先生がとれて当たり前の話でありますので、国が決めたり大学が決めたり、そんなことで全て決められて一番大事であるところの住民をちゃんと診ている地方の先生たちがキャリアをとれないということのないように、そこのところが私たちは一番大事なことだと思っています。

 さらに、現在プログラムにつきましては1次と2次とに分かれています。前回までは機構が1次も2次も行っておりましたが、ここのところは学問的に十分に評価ができる。学会に1次はお願いいたしますが、しかし、2次のところにおいて機構がそれを認めなければプログラムとして作動できないようにしてあります。つまり1次と2次の間に協議会で議論していただき、どうもこれでは偏る、あるいはこれでは十分に地域の医療が回らないということでございますれば、私ども機構が責任を持って修正させます。これは私ども学会とかなりいろいろな議論をしておりますので、学会にお願いをして、そこのところを修正していただいて、適切なプログラムになるようにということは責任を持って行いたいと思います。

 さらに専攻医の先生が困ったときに何か相談相手はということで、私ども機構が入り口をつくりまして、機構のほうに言ってくださいますれば、例えば研修をしていて出産して、これが続かなくなった。ところが、学会にカリキュラム制がきちんとできていないということであれば、私どもから学会に、これは最初の指針にあるものでございますので守ってください、あるいは速やかにそれを対応してくださいということを申し上げるつもりであります。

 そして、地域医療に頑張っている先生方が点数をプラスしろという意見、これは大変私も今、聞いて感激しているところであります。それぐらいのことをして当然だと思いますが、これは学会の先生方とよく議論しながら、地域医療に貢献していることを何らかの評価をしなければ、地域で働く先生たちが少なくなるのは当たり前ですので、そこのところは改善するように努力してまいります。これにつきましては厚生労働省さんともよく話をしながら、そして、学会の先生とも話をしながら考えてまいりたいと思います。

 また、県の協議会の力が弱いのではないかということでございますが、県の協議会は実際に通知が出たのが6月末、その前にも出ておりますけれども、構成人員をどのような形にするとか、あるいはどのようなときに集めるとかいう話を通知にしたのは6月末の27日でございますので、今その担当者に対して厚生労働省、2回にわたって集めていただいてお話をしております。十分に地域において医師が活躍できるような形にしていただくように、これも私ども責任を持って見届けるつもりであります。

 最後に、総合医はもっと日本医師会が頑張れということを言っていただきまして、大変エールを送っていただきましてありがとうございます。私ども今回、総合診療医の専門医というのは、あくまでも学術上で十分ですね、多科にわたって研修をして、ある程度の診方がありますよということをやるところまででございます。ただ、私どもが地域でやっておりますかかりつけ医機能こそが地域において医療を支え、そして住民を支えている大きな力です。この中には眼科の先生も耳鼻科の先生もいらっしゃいますし、内科も外科も産婦人科も皆参加をしております。皆で力を合わせて地域を守っているという仕組みを日本医師会はさらに進めてまいりたいと思います。

 そこのところに何か称号という意見も確かに私たちも中にございますが、今、かかりつけ医の機能を認定することでまず第1段階を踏んでおります。将来にわたっては先生がおっしゃるような方向も十分に検討しつつあるところでございます。なるべく地域で頑張っている先生に対してきちんとした、その仕事に対しての重みづけと評価をしていきたいと思っております。総合診療医につきましても、総合診療専門医につきましても、そういった地域できちんと研修していただいて、多科にわたって力をつけていただいて、そして、そういった専門医としての学術的な評価を出すということを現在は主眼にしておりますので、これも責任を持ってそこまではやります。ただ、その後、医師会がやれとおっしゃるのであれば、よく厚生労働省と相談をします。

 最後ですけれども、機構の財務状況について随分御心配をいただいているところでございます。本来であればこういった機構をつくるときには基本金というものを積んで、基本金をもとに運営していって、その後、運転していくという形になるのが本来でありますが、前執行部が基本金を積むと未来永劫その学会に支配されるのが嫌だったのかどうだったのか私もわかりませんが、基本金という形ではなくて政策投資銀行、銀行から全部で1億円近い金をお借りしています。そのお金について利子が3%でございますので、私ども見まして余りにも高いと。普通預金が0.01%のときに、あるいは0.01%のときに3%も払うというのは、むしろ行っていること自体が間違っておりますので、そこでそのお金をお返ししまして、医師会から5,000万、学会から合計で8,000万、さらに医師会から運転資金として短期の借り入れで3,000万ほどお借りしています。今、短期のお金はもう一年待っていただくことになりましたし、長期のお金は全部で3年間の約束で0.01%の利息であります。これを返しますれば学会に借金はなくなります。その学会に借金がなくなった時点で、私どもかなりの収入があるように言われていますけれども、そんなに現在収入があるわけでもございませんが、ある程度の更新のところでの収入はあります。現在、金額にして8,000万ぐらいの預貯金がございます。ですから解散してもそれほど大きな痛手にはならないところになっておりますが、しかし、もしもこれで30万人から1万ずついただきますと最低3億です。そのようなお金が余ってきたら最初の理事会で全てお返しするという約束になっております。その形でお返しして、機構のほうに余りお金がたまらないようにすることを理事者間で了解をしておりますので、肥大化しないように、そして、使うお金をなるべく使わないように、先ほど申しましたように1次プログラムを機構でやりましたので、その旅費は大変なものでございました。現在、1次プログラムは各学会にお願いしております。それをどこが正しいか、あるいはこの基準に整合性があるかどうかをチェックするのが機構の2次プログラム審査でございます。そこにおいてもし外れるようなものがあれば、私どもは認定しませんので、そういった形で地域に混乱が起きることのないようにしていきます。

 さらに私どもは今、東京のど真ん中の一番いいところに事務所があるわけでございますが、これはお聞きになったと思いますが、廊下をお借りしているので上まで壁がなくて、7割までしか壁がございません。ある意味では中でしゃべっていることが外に漏れるのですけれども、私どもしか通りませんので、その廊下を一部お借りして各先生方が一番集まりやすいところに今、設置しております。大体坪単価が3万でございます。普通のところで3万というと東京では考えられないような金額が、しかもど真ん中でございますので、これで少しでも先生方の時間を節約できればと思って今、運営しておりますので、そこのところは御理解いただければ幸いでございます。

 そのようにいろいろな出費も抑え、もちろん役員は全部無報酬でございますし、遠くから来られる先生方の旅費は支払うような形にしておりますけれども、無駄使いなく始末してやっておりますので、今のところすぐに私ども始めなければ倒産するような状況にはございませんが、先ほど申しましたように専攻医の先生たち、大変心待ちにしております。また、現在、この仕組みに入っていない専攻医の先生方は、それまでの実績については前のプログラム、つまり内科であれば内科の9プログラム、カリキュラムでできるような状態になっておりますので、その方たちの今、頑張っているところが無駄になることのないように、記録としてなくなることのないように十分配慮しておりますので、御理解いただければと思います。

 長くなりましたけれども、質問に対して全部答えたかどうかわかりませんが、たった1つだけ、先生方がおっしゃって地域で危惧されていることは、全て指針の中に盛り込んで対応していっております。また今後とも何かございましたら、そのように変えてまいります。そのことは私どもお約束いたしますので、御理解いただければ幸いでございます。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 次に、厚労省としてコメントいただいて、その後また立谷構成員にコメントをいただきたいと思います。

○武井医事課長 厚労省の医事課長からお答えさせていただきます。

 まず1点目、御指摘いただきましたのが、専門医機構に対する支援に関する御質問でございますので、実はこれは既に今までも支援を行っております。今後につきましても御指摘がありましたように認証ですとか、システムの向上ですとか、こういった点も含めてさまざまな支援があるかと思いますので、そうした支援を強化できるように厚生労働省としても引き続き努力してまいりたいと考えております。

 2点目、地域のポイントのお話がございました。これは地域医療の配慮ですとか、広く言いますと、例えば地域偏在に関する評価にもつながる点も考えられますので、今後、秋以降、実は医師需給分科会で地域偏在を検討しますので、原則、専門研修については専門医機構と相談させていただきながらではございますけれども、そういった点について検討していくことを考えております。

 3点目に、都道府県協議会と、この検討会の将来の役割について御質問があったと思うのですけれども、既に大臣談話の中でも書かれている部分が多いのですが、単独の都道府県で調整が困難であるというような場合には、日本専門医機構に意見を提出していただき、調整を行っていただくことになろうかと思います。そうした場合でも状況が改善しない場合には、厚生労働省にも御報告いただき、厚生労働省が支援を行うこともあろうかと思いますし、それでも改善しない場合はこの検討会で意見を集約し、日本専門医機構ですとか学会ともしっかり調整を図っていくというプロセスになるかと思います。いずれにしましても大臣談話に基づきまして、この検討会も活用しながらしっかりと対応してまいりたいと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 では立谷構成員、お願いします。

○立谷構成員 松原先生から大変誠意のあるお答えをいただきまして、尊敬申し上げます。

 今のお話の中で、私はこの協議を始めてからの全体的な流れだと思うのですけれども、プログラム制に拘泥しないことが大事だと思うのです。例えば現在の専攻医がどうなるのかとか、あるいはプログラム制に乗っかって始まった専攻医が途中から変えなければいけない。場所が変わるということはよくあると思います。例えば、女性の医師が結婚して違う場所に引っ越す、これはよくあると思うのです。ですから社会的な状況、その他でもって変わるということになると、私はむしろカリキュラム制が本旨ではないか。その中にプログラムと言いますけれども、要するにこういうコースがある、例えば登山で登り口が10ある、20あるという問題ですから、ですから全体のカリキュラムというか症例積み上げ、経験数の中の一部でしかないと思うのです。プログラムという考え方は。ですからそこは柔軟に考えていかないと、本旨を誤るような気がするのです。そこのところを1つきちんとしていただきたい。ですから論文発表とかそういうことに拘泥するのではなくて、むしろ私はこのことによって例えば外科の専門医なんかを大いに養成するという考え方に立たないと、日本はこの前も言ったのですけれども、緊急手術ができない非常に不安な社会に突入することになりますから、そういうことも考えないといけないのではないかと思うのです。それが1点。

 もう一つ、かかりつけ医の話をしましたけれども、今回、市長会が危機感を持った一番の点は、専門医の資格というか、これは厚労省が認めるわけではないのだから称号だと思うのです。この称号がないと医療現場で働けないのではないかという心配があったわけです。単純な心配です。ですから専門医を集めた病院でないと運営できないのではないか。みんな専門医になることによって、専門医がより集まっている病院に医師が集中して、地方がからからになるのではないかというのが市長会のそもそもの心配だったわけです。私はその心配はそう外れていないと思ってきたのです。ですから専門医という称号に拘泥してはいけないということを考えたときに、これは医師会の問題なのですけれども、私はかかりつけ医という称号を目指そうとする若い医者はいないと思います。やはり医者のプライドもあるし、世間の評価もあるし、医師会の中ではかかりつけ医という表現なのですが、一般の社会から見たらこれが総合診療医だったらよほど納得するでしょうね。そういうものがあれば、専門医でなければ仕事ができないのではないかという我々市長会の懸念が払拭されると思うのです。これは解決への1つの出口になると思う。ぜひ強力に御検討いただきたいと思うのです。

 もう一つ、財務の話はよくわからなかったのですが、それは大した問題ではないと思うのです。今、国民医療を議論しているわけです。機構の財務のことは、厚労省にお金を支援したらいいのではないかと言ったのは、機構がもっと仕事をするためにであって、現在、機構の入っているところの壁の厚さは、さほど国民医療にとっては大きな問題ではないと思うのです。

 今日資料を1つ用意いたしました。これは私からの参考資料ということで、この現場だけにしていただきたいと思うのですけれども、私のところに懸念の声が寄せられるのです。地域医療がどうなるのかとか、機構が暴走するのではないかとか、そういう懸念の声が非常に多く寄せられています。レポートのような形で出ていますが、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思うのです。こういう懸念もあるんだということをしっかりと認識する必要があると思うのです。

 このほかにもいっぱい私のところに来ます。ドクターたちの反対署名の報告も私のところに来ます。ですからそういうことも含めて、そういう懸念も非常に強いんだと。その反対署名を私はここで皆さんに配るつもりはありませんけれども、そういう懸念もドクターの中でも強いんだということを1つしっかりと御認識していただきたい。

 その上でお金のこともいろいろ言われていますね。ネット上なんかで金がないんだとか、金がないから早くやらなければいけないんだとか、それは国民医療の立場からすればどうでもいいことです。機構が借金しているとか借金していないとか、私はどうでもいいことだと思う。むしろ借金しようが何しようが、機構がどのような仕事をしてくれるのかということが大きな問題であって、適切な、そして有効な、なおかつ地域医療にとってプラスになるような仕事をしていただかなければいけないわけですから、金がないから早くやらなければならない等とはおっしゃらないでください。それよりも厚労省のほうでしっかりと御支援いただいて、我々が望むような、求められるような仕事をしっかりしてもらうことのほうが大事だと思っておりますので、済みませんけれども、コメントになっているかどうかわかりませんが、そんなことを踏まえてやっていただきたいと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ただいまのお話は、要するに機構と厚労省に対する御意見ということでよろしゅうございますね。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 この問題に対して疑問や懸念が多々残っているということは、立谷構成員と私も同感でございます。ただ、始めてみないと本当に今おっしゃっていることが実現していくかどうかということは、わからないというところまで来ているのかなと思いながらお聞きしていました。

 ただ、1点、地域で頑張っているドクターを専門医の加点にするという立谷構成員のご意見ですけれども、これは何らかの配慮や、評価することはあってもいいと思いますけれども、患者の立場からすると専門性というところに加点することについては疑問があります。専門は専門でしっかりと積み上げて構成していただきたいなと思いました。

 それから、きょうは4回目ということで、これまでずっといろいろな基本領域からの御発表があったわけですけれども、今回の専門医制度の目玉と言われている総合診療専門医のことについては、進捗状況が今まで一度も御説明がなかったように思っています。専門医機構のホームページを見てみますと、総合診療専門医のことが7月7日付で概要が出ていまして、そして7月11日付で近日中に申請を受け付けると書いてあるのですが、約1カ月たった今、実際にホームページのプログラムの申請受付を見ますと準備中になっていますし、Q&Aを見ても準備中になっていました。今どういう状況になっているのか御説明いただければと思います。

○遠藤座長 それでは、機構からお願いいたします。

○松原参考人 私が担当でございますので、お答えしたいと思います。

 大変御心配をおかけしてまことに申しわけなく思っていますし、専攻医の先生方にも大変心配をかけているところでございます。いろいろな議論をしている中で、かなり総合専門医については合意ができて、かなりきれいといいますか、皆さんの了解が得られるところまで来て、そして指針をつくりました。その後、早く始めたかったのですが、ほかの学会のところは学会がお始めになることは学会の決めることですけれども、私ども機構はこれまでずっと厚生労働省さんといろいろな議論をして、納得できて最終的に回答が出て、また、先ほどの立谷先生からの御指導にもありましたように、まだまだいろいろな声があるのも存じております。その声をなるべく反映しながら対応するのに、一応それを希望している方々にはアナウンスメントを出しているつもりではございますが、本日この会が終わりましたらぜひお許しいただければ、総合専門医についても申請用紙をホームページにアップする用意をいつでもできるようにしておりますので、そういった形で先ほどもお話がありましたけれども、私ども鋭意努力しております。それから、立谷先生おっしゃられたように金の話ではないということも十分に理解しておりますが、始末するところは始末して、きちんと人が必要なところは人を使って、かなりのことができておりますので、御心配をおかけしておりますけれども、少し他の学会よりもおくれておりますが、確実にスタートができるような準備態勢ができておりますので、そのようにして始めさせていただけたら幸いでございます。

○遠藤座長 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 医療現場の方から、例えばへき地だとか被災地だとか、そういうところに行くプログラムをつくらないといけないという概要になっていて、それを短期間でプログラムの中に盛り込めるのかというような懸念もあるようですので、現場の方たちが不安にならないような発表をしていただければと思っています。

○遠藤座長 よろしくお願いいたします。

 お待たせしました。渋谷構成員、どうぞ。

○渋谷構成員 立谷先生の御懸念とコメントに少し補足したいのですけれども、基本的には来年からとめるとかそういう話ではなくて、多分、皆さんの懸念を机上に出した上で対応を検討して、前に進めようということだと理解しております。

 先ほど武井課長から言及のありました大臣談話に書かれていることをもう一回読み上げますと、「新たな仕組みの開始に当たっては懸念に真摯に向き合い」、懸念というのは例えばプログラム制中心で大学に戻るのではないかとか、専攻医がその意思に反して望んでいる地域内での研修が行えなくなるのではないかとかいうことですが、そうした「懸念に真摯に向き合い地域、都道府県協議会等の関係者と十分に協議が行われた上で、運用の中で問題があれば速やかに是正を行う必要がある。それに対して具体的に、日本専門医機構及び各関係学会に対し、学会ごとの応募状況及び専攻医の配置状況を厚生労働省に御報告いただく。厚労省においては新たな専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、領域ごとに確認をすることとしたい」と考えておると述べております。

 それに対して8月4日に機構から声明が出されていると思うのですけれども、松原参考人おっしゃったように、「機構として十分に検討の上、真摯に対応」したいというメッセージがありますが、その次の次のパラグラフで、機構としては「万が一、専門医制度によって地域医療への影響や専門研修レベルについて改善する必要が生じた場合には、機構の整備指針運用細則、補足説明に鑑みて各委員会、検討委員会での理事会の審議などを経た上で、学会を通して修正を依頼する」とあります。これは機構の内部でやるのか、それとも先ほど大臣談話の中にあったように、厚労省などと検討した上で機構が総合的にリーダーシップを発揮された上で各学会と調整するのか、その辺の具体的な内容を伺いたい。先ほど松原参考人から非常に力強く、きちんとやるとおっしゃいましたし、私は先生の性格を知っているので、やるやる詐欺は絶対にやらないと思うのですけれども、ただ、この中で厚労省との関係、それから、総合的にこれは国民医療の問題なので、機構はこうした懸案事項の解決にどういうふうにリーダーシップを出すのかということを具体的に教えていただきたい。

 もう一つ、先ほど最後に立谷市長がおっしゃっていましたけれども、地域のニーズとか、地域の財政リソース、大学との関係というものが地域によってさまざまなので、ある地域のベストプラクティスをあたかもほかに当てはめられるようなというのは違うと思うのです。ですからこれからもこうした検討会で地域ごとの状況、それから、厚労省のほうでもさまざまなアナウンスもしていると思いますので、それを抽出することが大事なのかなと思っております。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 これは特段、機構からのコメントは必要でないと考えてよろしゅうございますか。

○渋谷構成員 必要です。

○遠藤座長 わかりました。それでは、松原参考人、お願いします。

○松原参考人 最後におっしゃった地域ごとに日本の国も違いますので、その地域地域の住民にとって一番いい医療ができるような仕組みを医療者としてやっていかねばならないと思っています。ですからそこに立った上でいろいろな判断をしながら、問題が起きてきましたら真摯に対応したいというのが私のトータルの回答でございます。

 ただ、厚生労働省さんも医療に対しては国の中で行政法の中で一番責任を持たねばならない省庁でございますので、よくよく相談しながら、それと同時に学会の先生方、学問的には大変立派な方たちでありますので、よくよくそこも相談しながら中間点として私ども機構が努力していく1つの仕組みであると了解しておりますので、先生がおっしゃったことを全て実行しながらやってまいります。

○遠藤座長 渋谷構成員、よろしいですか。

 では順番で加納構成員、その後、立谷構成員、お願いします。

○加納構成員 先ほどから立谷構成員、山口構成員、渋谷構成員の意見で、それに対して松原参考人が非常に明確にお答えになっていただきましたので、大分明瞭化されたとは思うのですが、幾つかの点で少し確認をさせていただきたいと思うのです。研修、認定というのはプログラム制、カリキュラム制を使ってやっていくという形ですが、前々回から申し上げていますように、専門医の方々が専門医の技量をしっかりと地域医療で発揮していただくというのが一番大事なことです。そうすると、その点に関しましてかかわってくるのが、実は専門医にとっては更新ができるかどうかという大きな問題があります。

 これは前回、学会の先生方にお聞きしますと、各学会がちゃんと考慮しているよということでした。そうであれば専門医制度の新整備指針の運用細則等々で、しっかりとこれは更新に関しても地域医療で頑張っている、つまり孤軍奮闘している専門医も含めて更新できることが確信できる内容でプログラムが成り立っていると認識してよろしいのかどうか、ということの確認が1つであります。

 もう一つは、総合診療専門医のあり方なのですが、これは先生がいつでも発表できるよということまで今おっしゃったので、懸念することはないのかもしれませんが、これに関しましてもプログラムの内容とか、そういったものをもう一度この場で再確認はできるのかどうかということです。総合診療専門医というものがどういうものかというのがなかなかまだ実態としてわかっていないところがありますので、そこらを含めて一度また御説明いただけたらというのがもう1つであります。

 最後に、これは先ほどの回答でありました、都道府県の協議会等々でもなかなか今、議論が平等にという言い方はおかしいですが、それぞれの立場で議論できる場になっているところが本当にあるのかどうかということも含めて、まだまだしばらく懸念するところが多いのではないですか。そこから専門医機構に対して、いろいろな意見を申し上げていくのですが、やはりいろいろな問題が起こってきたときに、この検討会というものが先ほど立谷構成員がおっしゃったように非常に大事であるということで、先ほどの課長のお答えであれば、これは確認なのですが、この検討会で必要であれば議論していくことができる、ということで認識していいのかどうかということ。3つになりましたけれども、御回答いただければと思います。

○遠藤座長 専門医機構からまずお答えをお願いいたします。

○松原参考人 先生御懸念のことは、ちゃんとできるようにしております。私どもの今、総合診療医の指針はホームページでアップして、皆さんから御意見をいただきながらやっていますが、内科やほかの先生方にも大都市に集中しないようにということを大分お願いしているところでございます。これで全部総合医も大都市に集中してしまいますと、何をやっていたかわからなくなりますので、この前の理事会でそこのところは十分に気をつけて対応してくださいということでございます。多科にわたってきちんとした診療ができる人を育てる。そういった人たちが活躍できる場を広げていくことについては、私も鋭意努力してまいります。

 また、この問題についてプログラムが出ましたら、これも都道府県の協議会にお諮りしていただくように出して、そこで十分な御意見をいただきながら2次審査において、1次、2次とも機構で行いますけれども、それをまた表に出しながら皆さんの御意見を賜りながらやっていきたいと思っているところであります。

 以上です。

○遠藤座長 加納構成員、よろしいですか。あとは事務局でよろしいですね。では、事務局お願いします。

○武井医事課長 今、加納構成員から御指摘いただいたとおりでございまして、御意見、問題点等ございましたら、この検討会で議論できると考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 お待たせしました、立谷構成員、どうぞ。

○立谷構成員 総合診療医、総合診療専門医、これは1つの経過として全ての医師が専門医になるべきだという背景があったのだと思うのです。この全ての医師が専門医になるべきだということは義務ではない。目指せばいいでしょうということで少し方向転換されています。だとしたら、どこの科にも相当しないところに総合診療専門医という位置づけ、それだけではなかったですけれども、そういうところもあったわけです。

 総合診療専門医は焦ってつくるものではないような気がするのです。先ほど言いましたように総合診療医があって、その上にあるのだったらいい。だけれども、総合診療専門医という大体言い方がよくわからないです。専門医さんが総合診療というのもよくわからない。これは市長会の率直な意見です。そのことによって一般の医者が総合診療できないことになったら、これは医師不足に拍車がかかるのではないかというのが市長会の懸念なのです。ですからこの点については1つ焦らないでいただきたいと思います。十分時間をかけて議論をしていただいて、すぐにでも出せますと言われると市長会としてはそれは困るよと。コンセンサスが得られていないのではないかと申し上げざるを得ないです。その点は1つ御留意をいただきたいと思います。

○遠藤座長 どうぞ。

○松原参考人 先生の御懸念はごもっともでございます。随分議論してこられたところでありますが、しかし、日本の国で一体この仕組みがどういう意味を持つのかという最終的なところの目標が、恐らく同じ単語を使っていても皆さんばらばらであると私は最初、感じました。そこのところで集約しつつ、今ところまで来ているところでありますが、これによって医者が偏ったりすることがないようにしなければなりませんし、私は先ほど立谷先生がおっしゃったように、日本の国は外科がなければ医療はやっていけませんので、外科と産婦人科が激減していることを何とかしなければならないと思っています。そういったことも含めまして、さらに外科の先生は一時、診療実績がないと専門医を取り上げられるという仕組みを導入されていたように聞いています。そのようなことのないように安心して地域医療ができるようにということに十分配慮しながら来ているところでありますが、そういった称号というものについては、あくまでも学術的にきちんとした医療ができますよということを評価するものでありますので、これを持っているから偉いんだとか、これを持たないからだめだということではなくて、この専門医というのはあくまでも個人の医師がどのような分野において自分がある程度の達成したレベルまで行ったかどうかを確認するためのものだと私は思っています。

 したがって、全員がとらねばならないということは、もともと前の執行部の暴論であります。ですからそこのところは先ほど申し上げましたように、ダブルボードを認めるということと、全員がとる必要はないということについては理事長も何度もおっしゃっているところでございますので、そのような方向で、この制度によって医者の偏りが起きることのないように、住民にとっての医療が保てるように鋭意努力してまいりたいので、ぜひそのあたり、専攻医の人たちの気持ちもございますので、少しずつ仕事をさせていただければ、見ていてどうもおかしいということでありましたら言っていただけましたら、私ども真摯に対応しますのでお許しいただけたらと思うのですが。

○遠藤座長 今村構成員、お願いします。

○今村構成員 前回、この会で申し上げ、本日も話題になっていました都道府県協議会の役割につきまして、6月27日付で厚労省が参考資料7のように非常に詳細なアンケート調査を出されています。これは非常に意味があって、ある意味、啓発的に県にこういうことをしてほしい、こういう考え方で開催してほしいというものが含まれている内容だと思っておりますけれども、現状どうなっているのかという御報告を一旦どこかでこの会の中でいただきたいと思っております。このように周知をしましたということだけではなくて、その結果についてもぜひお知らせをいただきたい。

 もう一点、これはあくまでお願いベースで開催をしてくださいということになっているように見えます。県にとってみると、県の中の医療をしっかりと守っていくためには、当然のこととしてこういう会を設けていただいて、検討していただくことが大前提ではあろうと思いますけれども、現状やはり県によって相当差があるということがあるとすれば、この会の位置づけをこのままお願いベースでやってくださいということでよいのかどうか。こういう会について何か厚労省として位置づけを考えておられるのかどうかということを教えていただければと思います。

○遠藤座長 1つは現状報告の依頼、次に位置づけについて厚労省はどう考えているか。厚労省、どうぞ。

○堀岡医師養成等企画調整室長 まず1つ目の調査の件でございますけれども、6月27日付でこのような通知を出して、さらにかなり複数回にわたって都道府県担当者と少人数で説明会をしたり、繰り返してこの意義づけとか重要性を御説明しております。今までのところ開催するつもりがなかったといった都道府県は聞いていなくて、万が一そういう意図が我々のところによく伝わっていないところがあれば、我々からもう一度御説明したいと思います。

 調査のことでございますけれども、この調査票をお示しさせていただいておりますが、今、8月、9月などで集中的に都道府県協議会を開いていただくことを求めておりますので、それが一段落した段階でこの調査票を回収して、この検討会なりどこかの場できちんと協議会の実績についての御報告をさせていただきたいと考えております。

 また、協議会の位置づけでございますけれども、確かに今、明確に地域医療確保協議会とか、医療審議会のように、法的にこういう協議会が位置づけられているわけではございませんので、今後、秋以降、医師需給検討会などでの議論を踏まえながら、位置づけについては検討してまいりたいと思っております。

○遠藤座長 今村構成員、よろしいですか。

 ではお待たせしました。尾身構成員、山内構成員、どうぞ。

○尾身構成員 立谷構成員から総合専門医は急がないほうがいいのではないかという懸念、私自身も総合診療医に対しては我々医療界の中でこの数年、さまざまな議論が出てきて、総合診療医に対するイメージというものも、その立場によって違うので、そういう立谷構成員の御懸念について私は十分理解しています。

 その上でぜひ市長会にお伝え願えればと思うのは、言葉はどのような言葉でも私は余り大事ではないと思うのです。なぜいわゆる総合専門診療医みたいなものが出てきたかというのを、少し背景についてぜひ市長会なんかでも御理解いただきたいのは、実は今、医療の現場、これは釈迦に説法ですけれども、日本の場合にはほとんどの病院がベッド数100200の中小病院が支えているという現場がありますね。そこではほとんどのファーストコンタクトといいますか、そのときには診断もつけていない人がほとんど来るわけで、今までは自分の呼吸器ができない、神経内科ができないという人が日本の医療界は、そういう人を基本的に育ててきて、それはそれで非常に意味があって、これからもいわゆる臓器別の専門医に対するニーズは高まると思います。

 それと同時に、国民のニーズというのはそういう専門性がしっかりしたと同時に、最初のファーストコンタクトで自分のこの臓器しか見られないということではなくて、ある程度実はアメリカなんかのデータでもほとんどコモンディジーズ、90%近くは普通の病気。これを最初に診られるという人が地方に、現場にいないと全てのところに専門医を派遣するというのはなかなか難しいですよね。そういうことで、しかもこれはまた釈迦に説法ですけれども、高齢化社会になれば同じ人がいろいろな病気を持って、一番よく総合診療医の中で出てくるのはいわゆるポリファーマシーということで、高齢者がいろいろな病気になると、薬がいっぱい。薬がある程度ふえてくると、薬の相互作用がまた新しい副作用をやるということで、これは私は日本の医療にとってはいわゆる縦型の専門医です。いわゆる今までの専門医と横型の幅の広い、この人たちをうまく織りなすことで日本の地域医療全体の質が上がるということが、実はこれが背景なので、そのことが少し市長会なんかでも、だから専門医と競合するのではなくて、お互いに補完するものだということで、そのことによって地域の医療の質も上がるということがあるので、ぜひその辺は共有していただければと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 山内構成員、どうぞ。

○山内構成員 非常に細則や機構のほうで指針を変えていただいたり、いろいろと考慮いただいているのですけれども、私が思うのは、1つずっと残されている問題として、先ほど立谷構成員もおっしゃっていたのですが、専門医のときの更新の要件なのですけれども、新しく出された指針の21ページの専門医の更新のところでも、先ほど来おっしゃっていますように学術業績とか診療以外の活動実績というものが、まだここにしっかりと明記されているのです。

 先ほど来おっしゃっていますように、例えば本当に地域で頑張っていらっしゃる方が専門医の更新をしたいときに、論文とかいろいろな意味で学会での仕事とか、そういったことがなかなかできないという可能性はずっと議論されてきておりまして、専門医の認定のときには研修医が論文を1つとか、研修医が学会発表するものはやったほうがいいのではないかということで、それはいいのではないかという議論に落ち着いたと思うのですけれども、その後、各学会から御発表いただいて、専門医の認定に関してはいろいろと具体的な案があったと思うのですけれども、更新に関しては本当に学会が独自でこの幅を持ってやると、そういった案件を決められていくような形で、これがこのまま指針に残されていくと、例えば専門医は頑張って大学とかでとったけれども、地域でずっと地域医療を支えている先生方が更新をしたいときに、先ほど立谷構成員の指摘のように、そういったときにできないということが起こってしまうのではないかと思うのですけれども、ここの部分に関する見直しというのは検討されたのでしょうか。吉村構成員か松原参考人にお願いできたらと思います。

○遠藤座長 それでは、更新条件についてということでどなたか。松原参考人、お願いします。

○松原参考人 21ページなのですけれども、ここに連続して数回の更新を経た専門医の更新についてというところ、これが前の機構のときはございませんでした。これはある程度は仕方がないけれども、10年ぐらいたてばもう一人前だから診療実績を求める必要はないのではないかということで、外科医学会にもお願いをして、これを採用していただくように言っているところでございます。

 つまり最初、専門医になってから10年弱、3回更新まではある程度の診療実績がないといけないけれども、それを超えたら指導をする先生もたくさん出てまいりますので、そういったことで解除することになっております。また、論文が条件ではございませんで、更新の認定基準は勤務実績、実態、専門医の共通講習を受けること、さらに領域の講習を受けることと、学術業績・診療以外の活動実績、必ずしも論文という形ではございません。そういった地域で活躍したり、あるいはさまざまに医療として貢献していることを十分に配慮しようということで、こういう形になっておりますので、論文が書いていなければ専門医が剥奪されることはございませんので、御安心ください。これは私ども最初に大分気をつけて修正したところの1つでございます。

○遠藤座長 山内構成員いかがですか。よろしゅうございますか。

 ほかにも御意見あるかと思いますが、かなり時間が押していますので簡潔にお願いします。

○立谷構成員 総合診療専門医のことは随分議論された。ただ、ネーミングが問題だと思います。このネーミングによって一般の医者が委縮することになってはいけないというのが市長会の意見ですので、考えはわかります。ネーミングを考えていただければいい。

 もう一つ、先ほどプログラムを都道府県協議会がチェックするという話がありましたが、具体的にかなり困難だと思います。福島県では絶対に無理とは言いませんけれども、かなり困難。できる県もあると思います。このプログラムに対してチェックして、申し上げる先は機構ですから。

○松原参考人 チェックした結果が出ますれば、機構のほうに教えていただけますればと思います。

○立谷構成員 ですが、余りこれは当てにしてはいけないと思います。そこは厚労省にも申し上げたいのですけれども、都道府県にこのように言ったから大丈夫だという皆さんの発想と現場の隔たりが相当あると思いますので、余り当てにしないというか、別な方法を考えないといけないと思いますので、御指摘させていただきます。

○松原参考人 ありがとうございます。1次審査のところでも、かなり地域の実態に合わせるように私ども努力して判断してまいりたいと思っておりますので、御指摘はそのとおりでございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、まだ議題がありますので先に進ませていただこうかと思います。

 2番でございますが、3番がただいまの話と関連がありますので、3番を先にさせていただきたいと思います。すなわち各都道府県における医師養成に関する取り組み事例について、山形県及び島根県から資料が出されておりますので御説明をいただいて、その後、皆様からまた御意見をいただきたいと思います。

 それでは、嘉山参考人、児玉参考人、前へどうぞお座りください。

 まず嘉山参考人より山形県の事例について御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○嘉山参考人 山形大学の嘉山でございます。

 本来であれば、基本診療科の脳神経外科の理事長としても説明をさせていただきたかったのですけれども、きょうは地元のということで蔵王協議会のお話をさせていただきます。

 資料3-1をごらんください。蔵王協議会は今から15年くらい前に、卒後臨床研修体制とか医療事故等々、そういうものを県内全体で話し合おうということで、県内のほとんどの組織が入ってつくられたものでございます。ですから行政、大学、医師会、歯科医師会、看護協会、薬剤師会、助産師会等々、こういう方々が入って右側に書いてございますような内容の議論をしようと。当時は新聞紙上では医師不足あるいは医療崩壊等々が取り上げられておりまして、お産ができなくなった地域があるとか、小児科の子供が行く病院がないということが随分取り上げられていたのです。したがって、大学の権力ということではなくて、大学が中心になってインテグレーションしてあげましょうということでこの会をつくったわけであります。

 下の2枚目は当時の構成の内容でございますが、まず最初にやった仕事は医師の適正配置ということでございました。派遣と言うと派遣業になってしまうので、大学は派遣業はできませんので、みんなで議論をしてやりましょうということです。

 1枚めくっていただきますと、これが配置委員会で、きょう先ほどから医師不足というものが、私は先ほど山口構成員がおっしゃっていただいたような患者の目線から医師不足を徹底しなければならないと思いました。例えば県ですと県立病院しか見ていないことが多くて、市は市立病院のことしか見ていないというようなことがございましたので、データをきちんと使って、患者さんの目線で医師が足りているのか足りていないのかというのをやりましょうということを始めたわけです。

 次の下のスライドは、あるときの申し込みです。例えば寒河江市立病院に医師の派遣でこういう状況であるという依頼がまいりますと、これは大学の地域医療医師適正配置委員会に回りまして、そして次のページです。適正配置委員会委員と書いてありますけれども、そのときに寒河江市立病院の内科の診療状況とか、医師数とか、患者数の動向を全て数値化、可視化するわけです。これを10年前からやっておりますが、これに基づいて、これではやはり医師が参ってしまうだろう。ぎりぎりである。もちろん山形も医師が多いわけではございませんが、ただ、全国平均よりは山形市内は多いです。

 あと、適正配置委員会の委員は、左側に書いてございますように最初は大学だけでやっておりましたので大学が多いのですけれども、県民の代表が下から2番目にあります。行政も入っていますし、全く関係のない県民代表というのは山形新聞の社長さんで、山形県内の医療状況をよくわかっているということで入っていただきましたが、それで答えなのですが、答えとしてはその下にありますように数値を見て判断をいたしまして、神経内科の派遣を支援する。日当直が非常に疲弊が激しいということで、日当直可能な常勤内科医を派遣するというような、一つ一つの地域に合わせた先ほど立谷構成員がおっしゃいましたように地域によって違いますので、その数字を使っていわゆる感想ではなくて、みんなが説得されるのではなくて、納得するような決定をするということでございます。

 そのときに動く若い医師がいるわけですが、その若い医師の同意も得なければなりませんので、ですからこのときに教授の権限というのはいわゆる人事権ではないのです。教授が決めるのではなくて、この委員会で派遣を決めますので、ただ、教授は何を意見を言えるかというと、将来の若い医師の研究とか、これから研究していくだろう。ただし、能力の評価ができるのです。例えば内科の教授ですと、内科医としてどうか。今、行っている例えば寒河江の市立病院の上司とうまくいくとか、こういうのも大事ですので、コミュニケーションのバランスがうまくとれてチームがつくれるか等々の判断をするわけです。

 このときにエビデンスに基づいた医師適正配置というスライドがここにありますが、先ほどもお話しましたように住民レベルで数値化をするためには、患者動向をとらなければいけません。私は中医協の委員になる前は自分で全部やっておったのですが、中医協の委員になったために時間がないということで、財務省、厚生省というふうにその分野をよく知っている村上先生に教授になっていただきまして、実際にフィールドワークを山形でやっております。

 ずっとめくっていただきますと数字が、村山二次医療圏の入院とか、外来別推計患者数等々書いてありますが、これで2011年の患者数とか2025年の増減率。村上先生は私どもの教授でもあるのですが、日本医師会の日医総研の委員でもございますので、きちんとした正確なデータだと思います。ここにございますように、外来の患者数あるいは最上の、山形は4つの二次医療圏に分かれますが、それを全て数値化して我々は持っているわけです。そして、医師の適正配置をしておりますので、幸いなことに、もちろん医師が足りないところはまだまだあるのですけれども、お産ができないとか、小児医療ができないといういわゆる医療崩壊は、現在のところ目立っては起きていません。もっと医師がいたら、それはそれに越したことはないのですが、隣の宮城県のことを言って申しわけないのですけれども、北のほうはほとんどお産ができないとか、そういうゾーンがありますが、こういう細かい手当てをすると、そういうことは防げるのではないかと思います。

 今度の専門医制度ですが、蔵王協議会の中にできておりましたので、今回は機構の御指導のとおりに行政、自治体、病院会の代表、県医師会の代表。医学部は外科系、内科系と教育と、この数字を持っている医療政策の村上教授に入っていただきまして、あとは関連病院の学会の代表3人、つまり大学が4人で6人が外の人ということで組んだわけです。そのメンバーがここに出ております。ですから健康福祉部の県の行政官、それから、市町村の代表ということで市町村長の方がお入りになるというよりは、これは県の指導だったと思うのですが、市立病院の院長さんが入って市町村の代理をする。県医師会のほうは副会長が入って、関連病院はここに書いてあるとおりでございます。

 あと、私どもはもう少し医療人の確保をやっておりますので紹介させていただきますと、これは第1次安倍政権のころにつくったものです。例えば離職した女性医師をどうするかというと、一番困るのはもちろん知識とか技術の進歩がありますから、あるいは機械の進歩です。そういうものを勉強したいというところで開いたわけです。これは文部科学省のお金をいただきまして開きました。表がいっぱい出ていると思うのですが、医師リフレッシュ研修後の勤務状況です。山形県は人口が100万ちょっとですので、100倍すると日本全体になるとお考えください。

 例えば一番上の平成19年に38歳の外科医、大学病院、これは岡山大学病院ですけれども、そこから一般内科医になりたいということで私どものところにまいりまして、要するに一人一人、ほかの転科もそうなのです。実はこの方は心臓外科なのですけれども、心臓外科の専門医をやめて、先ほど立谷先生おっしゃったような総合的な内科医になりたいということで、国保の院長先生とかそういう先生方に何ができたら公立病院でやっていけるか。例えば内視鏡はできたほうがいいとか、メニューを全部聞いて教育をするということでやっておりまして、全部でここに書いてありますように、10倍すると全国ですと17人になりますから、1,700人の医師が地域に行ったわけです。日本全国でです。山形ですと国保病院でも全部で5つか6つしかありませんので、これだけリフレッシュしますと大体埋まってしまうのです。ですから各都道府県が大学でもいいのですけれども、大学は教育機関ですから、そこでこのような緻密なことをやればかなりのことができるのではないかと思っております。

 看護師もそうなのですが、現在、潜在看護師は約40万から50万おります。そうした方々が子育てとか結婚あるいは何かの理由で1回職を離れるのですが、そのときもリフレッシュを、看護師は後からつくったのですが、看護師さんに合うメニューをつくりまして、これは給与があります。給与があって、医師の場合は申しわけないのですけれども、30万の教育費はもらっておりますが、看護師さんの場合は病院から給与を出してもらって、そこの病院に努めるというふうにしておりますが、現在で一番最後のページですが、64名の人が受けて、そのうちで大学以外も16人ということで、これは全部で復職なしの9名を引きますと55名ですから、5,500人の看護師が全国でこういうことをやればまた復職できることになるので、全国でやっていただきたいなと。これも文科省からいただいたお金でやっております。

 最後、医療安全もなかなか医療安全機構が言っても協議会をつくっていないのですが、一番きちんとやっているのは山形と東京都、埼玉県、福島も全部ではないらしいですけれども、かなりできているという話を聞いております。あと、大阪の一部です。山形も県医師会が24時間体制の初動を全部敷いておりまして、県医師会の副会長が委員長で組織をつくっておりまして、初動体制、初期報告、画像解剖、調査委員会の設立、中小の病院ですと調査委員会を立てられませんので、私どもが応援する。最後の報告書の書き方も、どうやって書いていいかわからないという委員会がありますので、そこも援助する。これにも県内の行政から全部が入って協力してやっているところでございます。

 きょうのこういう専門医の問題は、どこで研修したらいいかということなのですが、ベッド数が欧米と全く日本と違うのです。この前もメイヨークリニックに行ってきましたけれども、3,000です。ソウル大学も3,000です。アメリカは例えば脳外科ですとその病院だけでほとんど研修が終わってしまうのです。ただし、そのアメリカの病院も3,000の病院に脳外科が全部で52しかありません。要するに訓練場所は。ですからそこで3,000もあるから全部の症例があるのですけれども、レベルの高いものからすごい幅があるのですが、日本ですとそういう規模の違いがありまして、いろいろなところを回らないとなかなか脳外科なんかではトレーニングできない。東大でも多分50ぐらいしか脳外科はベッドがありませんので、脳外科のことを全部東大だけでいてやることは不可能だと考えています。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 引き続きまして、児玉参考人より御説明をお願いします。

○児玉参考人 島根県医療政策課医師確保対策室の児玉です。よろしくお願いいたします。

 島根県の医師確保対策と、その中での地域医療支援センターの取り組みについて、県の立場から話をということでございましたので、現時点の状況ということで報告させていただきます。

 まず1ページ目、島根県の状況でございますが、県人口69万人で全国46位、高齢化率33%で3位ということでございます。

 2ページ目、グラフは医師数でございます。赤い棒グラフで島根県の医師数は右肩上がりで少しずつふえてきましたけれども、18年以降、1,900人で今、横ばいの状況にあります。水色の棒グラフは病院勤務の医師数で、これについても同様の傾向でございまして、近年1,200人前後で推移しております。

 折れ線グラフが人口10万人ということでございますが、右肩上がりでこれは推移しておりますが、県人口が減るということで割合だけはふえている。そのような形になっております。

 3ページ、県内7つの医療圏別の状況です。大学のある出雲圏、県庁所在地の松江圏、この県東部の2つに医師が集中しておりまして、残りの5つの圏で医師が少ない状況でございます。1,900人の7割が松江、出雲の県東部に集まっております。

 4ページ、人口10万人当たりで見ますと、県全体として全国平均よりも少し多いほうでございますが、5つの医療圏ではいずれも下回ってございます。受療率も少し勘案していく必要があるのではないかと思っておりますが、そういう状況でございます。

 5ページ、面積的に見るとその差はもっと広がるということで、一定の距離、範囲で救急医療などの体制が必要になってまいりますので、人口当たりという視点ではかれない難しさがあると感じております。

 6ページ、島根県では平成18年度に医師確保対策室を新しく設置しまして、医師を呼ぶ、育てる、助けるの医師確保対策に取り組んでまいりました。平成16年の臨床研修の開始や国立大学の法人化などにより、医師不足は顕在化して、離島や中山間地の医師不足から地域の圏域病院の医師不足も顕在化しておりまして、文面制限とか救急告示の維持が難しくなるなど、非常に大きな影響が生じていることが設置の背景にあります。

 この取組の中で、特に最も大きな柱になってきておりますのが学生奨学金制度でございまして、最初のころは5名程度でスタートいたしましたが、18年度に島根大学医学部に独自の地域枠制度を創設いただきまして、県のほうでも貸与枠を大幅に拡充いたしまして、現在32名で行っております。

 7ページ目、奨学金貸与だけではなくて、平成22年に寄附講座、地域医療支援学講座を設置いたしまして、講義や実習、医学生の相談に取り組んでいただいております。23年度から医師のキャリア形成支援を行う地域医療支援センターを島根大学と県庁内に開設いたしまして、さらに平成25年3月に大学と県の組織を一本化しまして、一般社団法人化しました。県医師会、市町村、病院など関係機関が組織の会員となって、連携してオール島根の体制で医師を養成していこうということでございます。全国的に見ても法人化というのは他に余りないと思いますが、理由といたしましては、病院や市町村が会員として情報を共有して、主体的に参画いただけること。それと法人化によって予算など機動的に、あるいは弾力的に現場に合わせて事業運営ができる。そういうことから一般社団法人化しております。

 8ページ目、会員は大学、医師会に加えまして県内19市町村、県内32病院等の54団体で構成しております。専任医師としましては島根大学から6名、県立等の病院から3名、県庁から1名ということで、10名の先生が非常勤で御協力いただいておりまして、また、事務局職員は県と市町村、派遣で構成しております。

10ページ、取り組みの概要ということで大きく5点ございますが、若手医師のキャリア形成を中心にいたしまして、地域の研修体制の充実支援あるいは研修機会の提供、研修医確保のための県内外への情報発信、ワーク・ライフ・バランスの推進あるいは調査等を行っております。

11ページ目は、横軸に対象者ごとに事業をまとめたものでございます。

12ページ目は、大学の入学枠と島根県の奨学金制度の概要であります。地元島根大学向けに22名、隣の鳥取大学に5名、それと全国大学向け、これは公募になりますけれども、5名の枠を設けて32名の枠を持っております。緊急医師確保対策枠を除いて、12年のうちに県内で6年勤務するというような比較的緩やかな制度で運用しておりますが、来年度からは一部を除いて県内勤務9年という形に変更する予定にしております。

13ページ目が、そうした奨学金の貸与状況でございます。医学生と医師ということでそれぞれございますが、特に右側にあります丸をしております卒後6年目のところですが、18年度から島根大学独自の地域枠、この1期生がちょうど卒後6年目に当たる。3名おりますけれども、今後こうした先生方を先頭にしながら地域の勤務が徐々に増加していく、そのように見込んでおります。

14ページ目がセンターの登録から支援の流れでございますが、地域枠や奨学金貸与の学生の方についてはセンターに登録いただきまして、医学部6年生時から自分が考えるキャリアプランを提出してもらって、毎年1回以上、専任医師の方と支援センター職員が一緒になってキャリア面談を実施して、本人の希望をもとに必要に応じセンターが大学や医療機関と調整を行いまして、キャリアプランを作成してまいります。という流れで研修状況など現在の状況を把握いたしまして、義務や将来のキャリア等について確認を行っております。2年目以降の先生についても、その後の状況変化がございますので、同様に毎年面談させていただいて、プランの修正などを行ってございます。

15ページ目がキャリアプランの様式でございます。私のキャリアプラン、自分が考える勤務計画、こういうものを提出してもらって行っております。

16ページ目は、キャリア形成基本方針です。大学、医療機関、市町村など関係者が共通認識を持って支援を進めていくために、平成27年度に策定した基本方針であります。島根大学が独自に創設されました地域枠については、これは奨学金、当時は必須でなくて借りない方もいらっしゃることや、入試要件として出身の市町村長の面接、推薦を必須としていることから、地域からの期待を受けて入っている方、あるいは入学後も地域の関係者が継続して医学生とのつながりを持って期待を伝えているところもありますが、入試の要件、奨学金の義務などについて、本人の希望と地域の関係者との認識に差がないように県全体で共通認識を持って、あるいは相互理解が必要ではないかということで、こういう基本方針を策定したものでございます。

17ページがキャリアプラン作成のための3つのアクションプランということでございますが、会員であります市町村や医療機関を出向いて、支援センターから出向いて情報交換しまして、地域の思いや希望、また、若手医師を地域でどのように受け入れることができるのかということを伺いまして、次にキャリア面談では本人の希望や今後のキャリアにいての相談を受け、また、地域の思いや希望を逆に伝えまして、今後いかに地域貢献を果たしていくのかということを話し合いながら進めて、最終的に大学医局責任者あるいは所属医療機関の責任者とも面談いたしまして、本人の希望や地域の要望、受け入れ体制について意見交換しまして、個別のキャリアプランを作成してということです。

18ページは毎年10月1日現在で県内51病院、全ての病院と公立診療所を対象に初期研修医を除く勤務医師の実態調査を実施しております。医師不足の状況について18年度から行っておりますが、その基礎データとしておるところです。

19ページ目でございますが、先ほどの調査における卒後3年目以上の常勤医の10年間の推移です。一番下3行を見ていただきたいのですが、松江圏、出雲圏以外の地域は18年以前から減少もあったと思いますけれども、このデータを見る限りは前半期で大きく減少しまして、近年、わずかな減少で下げどまりつつありますが、現時点まだ体制の回復まで至っていない厳しい状況にあるということでございます。

20ページ、法人化しまして4年が経過しまして、これまでの成果をまとめたものでございますが、平成26から29年度までの4年間の勤務を棒グラフにあらわしています。青色が初期研修医の数ということで徐々に各圏域ふえておりますし、赤色のところが卒後3年目以降の医師の数ということで、これも少しずつふえているという状況になります。特に地域のほうで徐々にふえつつあるということでございますが、一方、県外で勤務する医師というのは横ばいという状況で、徐々に支援センターの取り組みの成果が出つつあると書いております。

21ページ、奨学金貸与医師の136名の卒後年数別の勤務地のことし4月の状況でございます。グレーの色が県外の勤務、これはどの年数でも大体2割程度存在するところですが、残りの県内勤務について、特にピンク色のところが医師不足地域での勤務となっておりますが、初期研修で3割程度、その後も3年間というところが卒後3年から5年というところですが、これが一旦、1割程度に低下しますけれども、また卒後6年目から3割程度にふえていく。このような動きになっております。

22ページ目が、過去5年間の県内で後期研修を始めた先生の数の推移ということで、全体としては徐々に増加傾向にあります。特に地域枠と先生の数、割合は増加してきている状態にございます。

 以上でございますが、今後の方向性としまして県の医師確保、養成について10年かけて徐々に成果が出つつあるというところで、引き続き若手の医師が専門医取得を含めて安心して県内で勤務、研修できる体制の構築に努めてまいります。また、地域医療構想にも関連しますが、病院間の連携強化について取り組みます。引き続きになりますが、住民、市町村を初め、関係者が地域を支えていく考え方で関係者が研修、勤務しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと思います。

 終わりに、依然として厳しい状況にありますけれども、地域医療の充実に向けて関係の皆様方と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、何か御意見、御質問があれば承りたいと思います。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 御説明ありがとうございました。

 蔵王協議会のことで1つ質問がございます。エビデンスに基づいた適正配置というのは、誰が見てもとても納得のいくものだと思うのですけれども、ただ、配置が必要になったときに、誰がどうやって選ばれて、選ばれた方というのは従うことになっているのか。なかなか配置したくても行ってくれる人がいないという状況もあると思うのですが、そのあたりのことを教えていただけますでしょうか。

○嘉山参考人 異動は県内全体の医師が対象になります。ですからその地区だけで異動して大学から行くとか行かないとかではなくて、例えばこういう事例がこの前ありました。米沢市立病院の精神科が夜当直できない。そうなった場合に、ほかの科の先生方は精神科だけ当直しないのはということで問題になってしまったのです。ですから、そのときには大学から内科の先生方が当直だけしに行って、ほかの医師がそこをやめないという手当てもしたことがあります。そのときに本人が行くか行かないかはわかりにくかったですけれども、カラーの上にあるように本人も納得したという、本人の納得の一筆がないと動かせないのです。ですから若い人も、私たちはもう少し勉強したいとか、そんな当直は嫌だということもあれば、ですからみんなが納得した形、病院長も、教授も、本人も納得した形で異動する。それも大学にいる医者だけではなくて、県内にどういう医者がいるというのは我々は全部わかっていますから、全体をそれこそ循環型で動かしていくというやり方です。

○遠藤座長 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 この納得したというのが提出される割合は、どのぐらいになるのですか。

○嘉山参考人 今まで嫌だと言った人はいないです。多分、医局長とかそういう人が嫌だという人は指名しないのです。やはり大丈夫そうだなと。その辺が内部を知っているからなのですけれども、これは強制的にやると命令になってしまうのですが、彼だったらこれを受けてくれるだろうとか、そういうことを見て指名しています。

○遠藤座長 お手を挙げた順番で、立谷構成員、加納構成員、押淵構成員の順番でお願いします。

○立谷構成員 嘉山先生から大変いい話をお聞きいたしました。

 もう一つつけ加えますと、市長さんたちの大学病院に対する満足度は山形県が群を抜いています。全国市長会の山形の市長たちは、みんなこの制度に非常にありがたいという気持ちを持っていますから、これは御紹介させていただきます。

 その上でお聞きしたいのですが、病院が系列化されているわけですね。そうすると例えば山形中央病院は山形大学の系列病院はないですね。米沢市立も違ったような気がします。そういうところとの連携をどのように行っているのかというのと、福島県とか宮城県との違いは配属を命じられた場合の対応です。これはやはり相当、先生の後ろに後光が差しているからできるのかもしれないけれども、これはなかなか難しいのです。なかなかうまくいかない今の世の中ですから、そこのところが他県と違うところなのではないかと思うのですけれども、理想ではあるのです。

 こういうことを言ったら問題があるかもしれませんが、山形大学と系列化されているところとないところの問題があると思うのです。ですから例えば院長が山形大学の御出身でない、あるいは山形大学の医局と関係ないような方が院長をなさっているようなケースもあると思うのです。そういうところからのヘルプの要請に対しては、どのような形をとっていらっしゃるのですか。

○嘉山参考人 後から配ったこれを見ていただきたいのですが、先生がおっしゃった東北中央病院とか米沢市立病院は、確かに東北大学の先生が修行された東北大学の関連病院なのですけれども、今は例えばある大学だけで全ての医師を派遣できる時代ではないので、例えば東北中央病院でも病院長の田中君は私の後輩ですが、米沢の市立病院の病院長は東北大学で前の参議院議員だった渡邊さんなのですけれども、ほかの先ほどお話しました精神科は山形大学から行っているとか、全く関係ないというところはないのです。

 ですからこれにありますように、例えば石巻日赤も入っているのです。ですから私がこれをつくったとき怖かったのです。実は先生おっしゃるように、生の言葉で言えば、おまえのところと関係ないよと言われたらどうしようかと思ったのですが、みんな院長先生方が入ってくれまして、山形県内あるいはそれこそ被災地の石巻日赤、そういうところまでみんなきちんと入ってくれて、我々からも循環で回しているところでございますので、関連というか実病院でないといっても3分の1ぐらい山形大学の若い人が入っていますから、そういうことで院長先生が例えば東北大学でも新潟大学でも弘前大学でも福島医大でもこちらに入ってくる。今はそのようになっています。

○立谷構成員 調整機能だと思うのです。ただ、これは嘉山先生だからできることだと思います。

○嘉山参考人 そんなことはないです。これは数値化しているので、システムというのは特殊ではいけないので、村上先生がフィールドで病院を歩いて、全ての現場を歩いていますから、そのデータがあるので院長先生たちも本当はうちに欲しいなと思っても、隣の病院にいるから我慢しようとか、そういうことを言ってくれて、病院間も結構仲がいいのです。

 あと、山形の医師が言うことを聞かないというのも、私が行ったころは70%は東京に帰ってしまっていたのです。ですから本当に30人ぐらいしか残らない医学校だったのです。最後に配られた資料3は協議会だよりです。山形大学はマッチ数では東北地方では図抜けて学内で残る。それで、このマッチ数を見たらだめで、例えば山形県の77というのはほとんど山形大学なのです。ところが、岩手県というのは東北大学からも行っているし、このマッチ数だけ見て医師が足りている足りていないというと数字が違うところがありますから、どこの大学でトレーニングしているのかなというのを見たほうがいいのではないかと思う。例えば宮城県なんて東北大学の数より多いですから、ということはほかから来ているのです。

○立谷構成員 系列化されていない病院からのヘルプに対してはどうですか。

○嘉山参考人 系列化されていないというか、入っていただければ。先週も岩手県の県立病院から入れてくれということで入りました。もしも対象になれば、我々に余裕があれば配置することになります。

○立谷構成員 ことし初めに、福島県の原発被災地の高野病院の院長さんが亡くなるという事態が起きたのです。高野病院はたしか杏林大学との関連だった。福島医大にヘルプ要請を行ったのです。福島県のほうからも、社会からも行ったのですけれども、福島医大からは派遣できませんでした。結局、ネットで集まった先生がやってくれているのですが、そのような場合は対応できますでしょうか。

○嘉山参考人 それは山形県ですから。

○立谷構成員 山形県でそういうことが起きた場合。

○嘉山参考人 山形県で起きればやります。今回この専門医のところから大学をとりました。したがって、この名前は山形蔵王協議会になりました。大学をとって、みんなでやっていこうという意思一致を今度は専門医機構の制度をきっかけに、私は大学をとりましたので、そのようになっています。これは古い印刷なのですけれども。

○立谷構成員 わかりました。

○遠藤座長 では、加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 嘉山先生、さすがに蔵王協議会、すばらしい内容だと思っております。

 島根のほうもきっちりなさっているなということがわかるのですが、島根県の救急車による搬送をみると、公的病院が88%を受け入れており、島根は日本で2番目に公的病院が頑張っていらっしゃるエリアで、逆に言うと民間がなかなか厳しくなっているところかなと思います。また、山形県は83%を公的病院が受け入れをしているということで、民間が17%しか救急車による搬送の受け入れをしていない。急性期に至ってはそういう体制かなと思うのですが、ただ、山形県においても病院数でいきますと56%ぐらいが民間医療機関であり、ベッド数でいきましても50%近くが民間だと思っております。今、いただきました加盟病院という形では、蔵王の便りを見ましても、民間病院が非常にたくさん入っているかなという感じがするのですが、先生、この点、民間病院の意見という意味からすると、例えば委員などでは民間病院の方は入っていらっしゃらないみたいな感じがするのですが、どういう形で民間病院の意見を取り上げて、またその対応をしていただいているのか教えていただければと思います。

○嘉山参考人 民間病院の先生方は、私に直接いろいろな意見を言ってきていただけています。あと、関連病院長会の日本海病院は、ことしいい病院運営をしたというので表彰されたらしいのですけれども、日本海病院の栗谷院長が取りまとめて私どもに持ってくるというふうになっています。

○加納構成員 地方独立行政法人である日本海病院等もあるのですが、他に社会医療法人等も山形ではあるかと思いますので、今後この協議会を中心に、例えば先ほどの専門医の協議会等も成り立つのであれば、数で言えばまだ確かに山形は民間のほうが多いかと思うので、先生、その点は御配慮をいただいて、意見が言える場をつくっていただけたらと思うのですが。

○嘉山参考人 総会を年に何回かやっておりまして、そのときに100人ぐらい出ていらっしゃいますから、多分ほとんどの先生方は出てきていらっしゃるのではないかと思います。民間の先生方もです。そこで意見をくみ上げるようにしております。もう少し細かい配慮をしたいと思います。ありがとうございました。

○遠藤座長 お待たせしました。押淵構成員、どうぞ。

○押淵構成員 かねがねから蔵王協議会の評判を聞いておりまして、ますます認識を新たにさせていただきまして、ありがとうございました。

 そこできょうのこの会の集まりの趣旨でありますけれども、医学教育のあり方に関して例えば今後、学生の臨床実習等もこの協議会の中で協議されていきながら配置を決めていかれるとか、あるいはもう一つ聞きたいことは、聞き漏らしたことかもしれませんが、地域枠の学生だとか、あるいは自治医科大の卒業生の皆さんたちのキャリアプランをここで協議しながら進められているのでしょうか。そこをお教えください。

○嘉山参考人 私どもは先生も御存じかどうかわかりませんが、地域枠をやらなかった帝大以外では唯一の国立です。それは教授会の信念なのですけれども、国税でやっている学校が地域枠をやるのはいかがなものかという意見がありまして、ただ、そのかわり地域に残す努力はすごくしたのですけれども、ただ、最近の医師不足で市町村長の皆さんから、首長さんから言われますので、昨年から地域枠をやりました。

 あと自治医科大学の山形県のを調べたのですけれども、10年ぐらいたってしまうと仙台と東京に3分の1、3分の1行っていて、3分の1しか自治医科大学を出た方が残っていないのです。そういうエビデンスがありましたので、地域枠をやってもそれだけしか残らないのであれば、本当に残ってくれる地域をやる人を残そうということで、別の観点でやりました。ただ、今、県のほうには専門医がとれないということがありますので、なかなか難しい。ですから大学と一緒に研修をして、どんな専門医でも自治医科大学出身あるいは地域枠の方々もとれるようなシステムを今つくりました。ですから特に問題はないのではないかと思っております。

○遠藤座長 尾身構成員、どうぞ。

○尾身構成員 今、某大学の名前が出たので、1つだけ、大事な席ですので非常に先生の意見が重要なので補足ですけれども、確かに山形大学では私の母校の大学の卒業生、これは県によってさまざまで、実はこれは1つ非常にはっきりした特徴があるのです。例えば岩手県なんかが非常に逆ですね。県が9年間の地域に貢献した人、その9年間の後に言ってみれば大切に扱う県。例えばそれは県立病院の院長にするとか、こういうところはほとんど残るということで、岩手県なんかは多くのほとんどの病院は自治医大の卒業生が院長になっています。これはだから私はいい悪いではなくて、そういう状況の中で決まってくることで、就職先がない人は東京に来るということで、これはこれからの地域枠の人とか自治医大の卒業生をどう扱うかということが非常に重要なので、参考までに、情報提供です。

○嘉山参考人 ありがとうございました。

○遠藤座長 桐野構成員、どうぞ。

○桐野構成員 少し関連するのですけれども、先ほど立谷市長も少しおっしゃったことですが、1県1医大構想から40年ぐらいになって、それぞれの医科大学は地域で力をつけてきていることは間違いないと思うのです。それぞれの圏域が、それぞれ例えば山形大学は山形県、島根大学は島根県というふうに1つの県をエクスクルーシブに全部担当しているということであれば話はすっきりするのですが、今、言われたように入り組んでいます。それから、自治医大の卒業生がやってきたりなんかしていろいろなことがあるので、実際はそう単純ではないだろうと思うのですが、現実にはこういうことをやっていかないと地域医療の問題は解決しないので、非常によくやっておられると思います。

 地域枠の問題に関して、地域枠を余りふやさないというのも1つの見識だったのだろうと思いますけれども、既に地域枠の卒業生が4回か5回ぐらい出ていて、全国的にこれがどういう効果を持ったかということがある程度評価できるような時期にだんだんなってきたのではないかと思うのですが、島根県は地域枠を育てるという活動をかなり大きくやっておられるように見えるし、山形はやっておらないと思わないけれども、その辺のところはどのようにお考えでしょうか。地域枠のそれぞれの県における評価です。

○嘉山参考人 私どもが地域枠をやり出したのは去年からなのですけれども、ですからまだ様子を見る。ただし、住民からの御意見がございまして、来年また2人ふやすことになっております。ただ、やはり5~10年見ないとこれはなかなかわからないので、それ以上のコメントはできません。

○児玉参考人 島根県ですけれども、支援センターを中心にしながら市町村、病院、皆で取り組んできたところで、どの診療科に行かれるのかというのも地域の実習とかいろいろな場面で地域の病院長さんとかから期待を受けて、その方向に行って地域に帰っていく。その後輩も第1期生などをロールモデルにしながら今、動きつつあって、市町村によって若干濃淡もございますけれども、うまくいっている地域は1期生の先生方の後ろを追っていくような形で、流れができつつあるようなところがございます。

○嘉山参考人 ありがとうございました。

 山内構成員、どうぞ。

○山内構成員 すばらしい2つの県での取り組みを御紹介いただきました。ありがとうございます。特に蔵王協議会のリフレッシュ医学教育というものに関して非常に女性医師、現場を離れてしまって、戻るときにそういう研修が必要なので、30万かかるということで非常にそれは大きいですけれども、でもそういった取り組みはすばらしいと思ったのですが、こちらの中で外科医をやっていたけれども、子育て後に戻って内科医で地域に貢献するかと思う方もいらっしゃると思うのです。実際にここで外科医から研修後に内科医に変わられた方がいるのですが、今後の専門医機構においてリフレッシュ研修をして内科医として地域でずっと貢献できるのか、それともこの専門医、これができたときにはこの人はもう一度内科の専攻医研修を受けなければいけないのか。そういったことが非常に懸念されると思うのですけれども、山形のほうの蔵王協議会としてはどのようにお考えなのかということと、専門医機構でもどういった御意見か教えていただけますでしょうか。

○遠藤座長 まず嘉山参考人、お願いします。

○嘉山参考人 ダブルボードの問題だと思うのですが、先生がおっしゃっているのは、1回例えば脳外科やって、あるいは産婦人科をやって、乳腺外科をやって一般の内科医になりたい。それに関してダブルボードは機構のほうでも、私は基本問題委員会の委員なので非常に重要だと思っています。ダブルボードの場合には基本診療科同士で、例えば乳腺外科の先生がどういう項目を習得しているのかということと互換性を持たせてダブルで乗せれば、余り私どもがやっているリフレッシュ教育の内容とさほど相違なく、次の内科の専門的な制度に入っていけるのではないかと思います。

○遠藤座長 機構はほぼよろしいですか。何かあればコメントを。

○吉村構成員 総合診療専門医につきましては、例えば技官の先生が終わってから入れるコースとか考えています。ただ、脳神経外科が終わった後にすぐ内科をとれるか。ただ、初期研修が終わって1つ目の研修については立谷先生御反対かもしれませんが、原則としてプログラム制でやっていただく。2つ目のダブルボードについてはもちろんカリキュラム制でよろしいということでございますので、それなりの診療実績が積まれれば当然とれるということになろうかと思います。

 プログラム制は立谷先生、なしがいいのではないかとおっしゃっているのですが、これは先生の御意見で大変貴重なものだと思いますけれども、グローバルに考えてプログラムのないような専門研修は多分ほかの国ではないかと思います。原則はプログラムで必要に応じてカリキュラムをとれる。また、2つ目のダブルボードとか、一旦ほかをとってからというときはもちろんプログラムは無理だと思いますので、カリキュラムでやるという方向になっております。まだ具体的に脳神経外科が終わってすぐ内科がとれるかどうかということで、これからまた検討したいと思います。

○遠藤座長 山内構成員、よろしいですか。

○山内構成員 ダブルボードという言い方をすると、非常に専門医をたくさんとりたいみたいなところになると思うのですけれども、実際問題、例えば山形県の38歳のリフレッシュ研修を受けられた方とか、例えば本当に外科医としてやりたいけれども、子供が生まれてできなくて内科医として地域に貢献したいといった場合に、多分そうすると外科医の専門医は持っていても内科医として地域でずっとやっていくためには、内科の専門医をとるということは義務づけられるというか、そういったプレッシャーがかかってくることにはなると思うのですけれども、その場合に今おっしゃっていただいたことは、外科の専門医を持っているということを考慮したカリキュラムでとらせていただくような配慮をしていただけるということで、わかりました。

○遠藤座長 立谷構成員、どうぞ。

○立谷構成員 吉村先生の話はまたちょっと突っかかるのですけれども、原則としてプログラムという言い方は非常にひっかかるのです。ずっとやってきた議論はそういうことではなくて、地域医療に配慮したらカリキュラムでもいい。実際、今の山内構成員の話ですけれども、内視鏡専門医をとるのにまず内科専門医をとらなければいけないのです。これが非常にハードルが高いのです。したがって、その上で内視鏡専門医というとまたハードルが高いのです。こうやっていると大学病院にいないとなかなか難しくなるのです。ですからそういうことはやめてちょうだいよというのが市長会の意見だったので、原則としてプログラムというのは今回の流れとして、私はグローバルスタンダードとかそういう問題ではなくて、日本の国民医療という観点で考えていただきたくてこういう発言をしてきているわけですから、そこのところは重々お間違えのないように。プログラム制に拘泥するようだったら市長会は反対いたしますから、その点は重々お気をつけていただきたいと思います。

○吉村構成員 ありがとうございました。地域で頑張っていらっしゃる方々がとれないことにならないように、十分考えてまいりたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。予定していた時間をオーバーいたしまして、実はもう一つ、予定がありましたけれども、それは卒前・卒後の一貫した医師養成のあり方でございますが、これはこれで非常に大きなテーマでございますので、これは次回回しにさせていただきたいと思います。

 まずは嘉山参考人、児玉参考人に対してお礼を申し上げたいと思います。大変貴重な御報告をいただき、どうもありがとうございました。

 それから、きょう前半におきましては御意見が出まして、専門医制度についての御意見だったわけでありますけれども、専門医機構あるいは各学会におかれましては本日の議論の内容を十分踏まえまして、厚労省とも相談をして、もし必要があれば修正等を行っていただければと思います。また、当然、専門医制度については今後も引き続き議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、後半におきましては非常に重要な事例について御紹介をいただきました。これにつきましては厚労省におかれましては、必要に応じて厚労省から都道府県にこの内容について周知をしていただく等々の御対応をいただければと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で本日の議事は全て終了いたしましたけれども、次回以降の日程について事務局から何かございますか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 本検討会の今後の進め方につきましては、また御相談差し上げたいと思います。今回、資料2が時間の関係で難しかったので、次回以降で事務局の調整の上、やらせていただければと思っております。

 また、次回の日程は事務局で調整の上、改めて委員の皆様方に御連絡させていただこうと思います。

○遠藤座長 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。


(了)

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