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2017年9月21日 第2回医師の働き方改革に関する検討会 議事録

医政局

○日時

平成29年9月21日
10:00~12:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)9階 省議室


○議題

(1) 今後の進め方、主な論点について
(2) 労働時間法制について
(3) 医師の勤務実態について
(4) その他

○議事

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第2回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催します。

 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、冒頭御報告ですが、岩村座長でございますが、20分ほど到着が遅れるとの御連絡をいただいております。

 今日の進行につきましては、当初の予定より少し変更させていただきますので、御了承いただければと思います。

 本日の御出欠について報告いたします。荒木構成員、三島構成員から所用により御欠席との御連絡をいただいております。渋谷構成員につきましては、御連絡いただいておりませんので、後ほどいらっしゃることと思います。

 次に、資料の確認をいたします。次第、座席表、資料1は今後の進め方、主な論点。縦置きの資料でございます。資料2「労働基準法の労働時間法制について」。横置きの資料でございます。資料3「医師の勤務実態について」。横置きの資料でございます。

 参考資料として、参考資料1「医師の働き方改革に関する検討会 開催要綱」。縦の資料。参考資料2「第1回検討会における主な意見」。縦置きの資料でございます。参考資料3「『働き方改革を推進するための関係法津の整備に関する法律案要綱』の概要」ということで、横置きの資料でございます。参考資料4「『医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査』調査票」ということで、横置きの資料でございます。

 不足資料、乱丁、落丁等ございましたら、事務局にお申しつけください。

 それでは、ここでカメラの方には御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、前回第1回といたしまして自由討議を行わせていただきました。この自由討議を踏まえまして、今回より女性医師支援、都道府県行政関係の構成員を追加させていただいておりますので、御紹介申し上げます。

 日本医師会女性医師支援センター長、今村聡構成員でございます。

○今村構成員 今村でございます。よろしくお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 全国衛生部長会会長、鶴田憲一構成員でございます。

○鶴田構成員 鶴田でございます。よろしくお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日、議題につきましては、「今後の進め方、主な論点について」「労働時間法制について」「医師の勤務実態について」「その他」ということで、4点としております。先ほど御報告しましたとおり、座長の到着が遅れておりますので、議題の順番について変えさせていただきまして、まず労働時間法制につきまして、事務局の説明を先に行わせていただきたいと思います。

○花咲医療勤務環境改善推進室長 それでは、私のほうから資料2について御説明させていただきます。資料2「労働基準法上の労働時間法制について」という資料でございます。

 おめくりいただきまして、第1、労働基準法上の労働者性についてということで、労働基準法で労働者というものがどのように定義されているか、また、どのように解釈されているかについて、以下御説明いたします。

 2ページ目、労働者性についてということで、まず基準法の法律上の定義を御紹介いたします。労働基準法9条におきまして「この法律で『労働者』とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定されております。これを踏まえまして、実務での判断基準につきましては、以下ございますように、1つ目の○、基本的には、事業に使用され、その対償として賃金が支払われているかどうかによって判断されております。

 具体的な判断基準につきましては、(1)にございますように、使用従属性があるかどうかを判断していくに当たりまして、1指揮監督下の労働にあるかどうか。その具体的な基準といたしましては、イ、仕事の依頼や業務従事の指示に対して諾否の自由があるかどうか。それを拒否できるのであれば、指揮監督関係は否定されやすくなるということでございます。

 ロ、業務遂行上の指揮監督の有無。業務の内容や遂行方法について具体的な指示を受けているということは、指揮監督関係の基本的かつ重要な要素であるというふうにされております。

 ハ、拘束性の有無。勤務場所や勤務時間が指定されて管理されていることは、指揮監督関係の基本的な要素であるとされております。ただ、以下にもございますように、業務の性質、安全確保の必要上、一般的に指定される場合もあるので、そこは留意すべきとされています。

 ニ、代替性の有無。その御本人ではなくて、都合によって他者がかわって労務提供を行えるような場合、また、補助者を勝手に使うことが認められているような場合のように労務提供の代替性があることは指揮監督関係を否定するための要素の一つとなり得るというふうにされております。

 3ページ目でございます。先ほど「賃金が支払われる者」と申し上げましたが、その報酬がまず払われており、その性格を見た場合に、使用者の指揮監督のもとに一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合は、使用従属性が補強されるとされております。具体的に申し上げますと、報酬が時間を単位として計算されているとか、欠勤した場合に控除があるとか、残業した場合には手当が支払われている、そういった場合が使用従属性を補強する要素とされています。

 (1)のような基準で判断をしていくのですが、それではなかなか難しい場合もございますので、さらに補強する要素として(2)がございます。1事業者性の有無。労働者ではなくて、御本人自体が事業者としての性格があるかどうかというのを判断していくためのものが1でございます。ロとして報酬の額。同じ企業で同様の業務に従事している正規の従業員に比べて著しく高額であるという場合は、同じような労働者としてではなくて、事業者に対する代金支払いというふうに見られがちということでございます。

 2といたしまして、専属性の程度についても判断要素とされています。特定企業への専属性の有無は使用従属性の有無を左右するものではないけれども、判断の補強的要素の一つであるとされています。

 その他といたしまして、次のような要素につきましては、使用者がその者を労働者として認識していると推認されることから、労働者性を肯定する判断の補強事由とするとしている裁判例があります。具体的な要素につきましては、例えば採用の選考過程が正規従業員とほとんど同様である。また、報酬について源泉徴収を行っている。その事業所内で適用されている服務規律を適用している。また、退職金制度、福利厚生をその方に対して適用していることなどが挙げられております。

 以下、裁判例について御紹介していきます。

 4ページ目でございます。関西医科大学研修医に関する最賃法違反の事件でございます。こちらは最高裁の判決になります。関西の大学病院の耳鼻咽喉科で長時間の臨床研修を受けていた研修医の方が、研修開始後約2カ月半後に残念ながら死亡してしまったという事案において、研修医の方の御両親が、研修期間中に最低賃金に満たない金額しか支払われていなかったのは、基準法なり最賃法に違反するということで訴えられた事案でございます。

 最高裁では、2つ目のポツにございますように、臨床研修については医師の資質向上を目的とした教育的側面を有しているが、指導医の指導のもと、研修医は医療行為等に従事することを予定しており、研修医が医療行為等に従事する場合には、病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督のもとにこれを行ったと評価することができる限り、上記研修医は労働基準法でいう労働者に当たるというふうに判示しております。

 それを受けまして、本件につきましても、この臨床研修プログラムは、研修医が医療行為等に従事することが予定されており、休診日等を除きまして、病院が定めた時間及び場所において、指導医の指示に従って医療行為等に従事しており、また、病院はAに対して奨学金等という名目で金員を支払い、それが給与に当たるものとして源泉徴収までしていたということを考慮すると、この研修医の方は、労働基準法・最低賃金法で言う労働者に当たるとされております。

 おめくりいただきまして、裁判例の中で労働者に当たるかどうかという点が争点になっているわけではないですが、労働基準法上の労働者であるということを前提として判断が行われている裁判例についても御紹介いたします。

 まず、1点目、医療法人康心会事件。つい先日出た判決でございますが、年俸制で医療法人と契約していた医師が解雇されたことで、その解雇の有効性や解雇される前に時間外労働の割増賃金が未払いだったのではないかということで争われた事案です。具体的な年俸制の定め方といたしまして、4行目にありますように、月額給与のうち割増賃金に当たる部分が判別できないような形の年俸制の支払い、設定がされていた事案なのですけれども、これにつきまして、原審は、医師としての業務の特質に照らして合理性があって、当該医師が労務の提供についてもみずからの裁量で律することができたことや、給与額が相当高額であったことなどからしても、別にそれで問題はない、不都合はないとしておりました。

 最高裁ではその部分を否定いたしまして、労働基準法に基づく割増賃金の支払い方、医師に対して支払われた賃金のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額が確定していないのはおかしいということで、この年俸の支払いで労働基準法上の規定が満たされているとは判断できないのでとして、原審を破棄して差し戻しております。そこに書かれておりますように、当然に労働基準法上の労働者であるということを前提に、労基法37条について判断を行った裁判例となっております。

 2点目は奈良県立病院産科医師事件ということで、産科医の宿日直勤務につきまして、通常の労働時間内勤務と同等の労働が行われているので、そこに対して割増賃金の支払いが必要ではないかと訴えられた例でございます。こちらにつきましても、当該医師が労働基準法上の労働者であることを前提にいたしまして、労基法上の37条などを適用して判断を行っているということでございます。

 続きまして、6ページをごらんください。私ども厚生労働省で医師・歯科医師・薬剤師調査を定期的に行っております。それに基づきます医師の分類でございます。診療所、病院など勤務先と勤務形態で分類したときに、具体的な実態によってはきますが、色かけしております青色の部分は、一般的には労働者に該当し得るのではないかと考えられる範囲でございます。

 おめくりいただきまして、第2、労働時間について御説明してまいります。8ページ目は、労働時間規制に関する労働基準法上の主な規定について御説明している資料でございます。まず、使用者は、1週間に40時間を超えて労働させてはならない。また、1日単位で見ますと、8時間を超えて労働させてはならないという規定がございます。それを超える場合、36条に基づいて労使協定を締結し、労働基準監督署に届けた場合は、この協定で定めるところにより、時間外または休日に労働させることができると規定されております。

 この規定によりまして、時間外及び休日労働した場合の割増賃金に関する規定が37条でございます。使用者は、時間外または深夜に労働させた場合は、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなければならないとされております。

 ※にございますように、1カ月60時間を超えるような時間外労働につきましては、通常の賃金の5割以上の支払いが必要等々、細かい規定がございます。

 最後に、労働時間規制の例外。41条について御紹介いたします。こういった一般の法定労働時間等の規定がございますけれども、次の各号のいずれかに該当する労働者につきましては、労働時間や割増賃金、休日等に関する規定を適用しないとされております。

 2点目が、いわゆる管理監督者と呼ばれている監督もしくは管理の地位にある方に関する規定でございます。

 3点目が、監視または断続的労働に従事される方で、使用者が行政官庁の許可を受けた場合には例外となりますという規定でございます。

 以下、詳細に御説明させていただきます。

 続きまして、9ページをごらんください。そもそも労働基準法でいう労働時間についてはどういった考え方になっているかということで、裁判例を御紹介しております。

 1つ目のポツ、労働基準法の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を言い、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれているものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであるということで、労働契約等の私的な定めのいかんにより決定されるべきものではないと判示されております。

 2点目、労働者が就業を命じられた業務の準備行為等、例えば必要なユニホームへの着がえ等を事業所内において行うことを使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされたときには、当該行為を所定労働時間外に置いて行うものとされている場合であっても、当該行為は特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は労働基準法の労働時間に該当すると解されると判示されております。

 以上が裁判例ですが、次に行政の示している判断基準について御紹介いたします。10ページをごらんください。「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を29年1月20日に厚生労働省で策定しております。その中で、1つ目の○にございますように、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを言うとした上で、3つ例を挙げております。

 1つ目、使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為や業務終了後の業務に関連した後始末を事業場内において行った時間は労働時間である。

 2点目、イといたしまして、使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間。いわゆる手待時間については労働時間であるとしております。

 3点目、ウといたしまして、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間につきましては、労働時間であるとしております。

 2つ目の○といたしまして、ただし、これら以外の時間につきましても、使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間につきましては労働時間として取り扱うとされております。

 次のページをごらんください。宿直についての規定を御紹介しております。

 先ほど裁判例等でもお示ししたように、使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間は、手待時間として労働時間とみなされるのが原則でございます。

 ただし、その時間帯の労働密度がまばらであり、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者の保護に欠けることのない一定の断続的労働に従事するものについては、先ほど41条について御紹介したように、労働基準監督署長の許可を受けた場合に時間規制の適用が除外されることとなっております。

 その許可基準につきましては、破線に書いておりますように、まず勤務の態様といたしまして、常態としてほとんど労働する必要のない勤務であること。原則として、通常の労働がそのまま続くような形では許可がされません。

 (2)といたしまして宿日直手当。1日または1回につき、その勤務を行う者に対して賃金の1日平均額の3分の1以上の手当が払われること。

 3点目といたしまして、宿日直の回数につきましては、宿直については週1回、日直については月1回を限度としております。

 (4)その他といたしまして、宿直の場合には相当の睡眠設備の設置が求められております。

 おめくりいただきまして、12ページ、医師の宿直についてということです。医療法16条では、「医業を行う病院の管理者は、宿直させなければならない」とされております。宿直は、一般的に外来診療を行っていない時間帯に、医師等が入院患者の病状の急変に対処するため医療機関内に拘束され待機している状態でございまして、このような待機時間も一般的には労働時間となるということでございます。

 ただし、許可が得られた場合には、断続的業務として労働時間等に関する規制の適用が外れることとなっており、医師に関しましては先ほどご紹介した許可基準に加えて、別途基準が示されております。

 1つ目といたしまして、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

 2つ目、夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外に、病院の定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温等、特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務に限ることとされております。括弧にございますが、このため、昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなものについては許可はされないということでございます。

 (3)といたしまして、夜間に十分睡眠がとり得ること。

 (4)といたしまして、許可を得て宿直を行う場合に、(2)の括弧内、先ほど申し上げた昼間と同態様の労働に従事することがまれにあっても、一般的に見て睡眠が十分にとり得るものである限り許可は取り消さないけれども、その時間帯については当然必要な36協定を締結する等の手続を行って、割増賃金を支払うということでございます。

 続きまして、13ページでございます。宿直に関する裁判例を御紹介いたします。まず、大星ビル管理事件。ビル管理会社の労働者に関しまして、泊まり勤務中の仮眠時間内に警報や電話が鳴ったときには必要な対応をとるよう求められていた事案です。このような時間について、2点目の下線部分ですが、実作業に従事していない仮眠時間が労基法上の労働時間に該当するか否かは、その時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきであり、この時間において実作業に従事していないというだけでは指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて、初めて労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないと評価することができると判示の上、本事案については労働時間だとされたものでございます。

 続きまして、14ページをごらんください。奈良県立病院産科医医師事件。先ほども御紹介しましたが、産科医の宿日直勤務につきまして、通常の労働時間内勤務と同様の労働が行われているため、41条3号でいう許可を受けられるような断続的な労働には該当しないため、宿日直勤務全体が労働時間に当たるとされた事例でございます。

 時間の関係で少し飛ばして、次を御説明させていただきます。

15ページでございます。医療界でよく自己研さんが大事であるという御意見を承ると思います。その自己研さんの時間についてまとめたものでございます。自己研さんの時間につきましては、使用者の指示や就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる強制がなく、あくまで研修医が自主的に取り組むものであるなど、使用者の指揮命令下に置かれていると評価されない時間であれば、労働時間には該当しないと考えられております。

 おめくりいただきまして、自己研さんに関する裁判例を幾つか御紹介いたします。

 まず、NTT西日本事件でございます。こちらも時間外手当と書いておりますが、労基法37条の割増賃金の不払いについて争われた事案でございます。ウェブ学習をしていたのですが、そのウェブ学習について、教材が会社の業務と密接に関連して、従業員にもその知識習得の必要性があり、上司が明示的にスキルアップを求めていること等からすると、このウェブ学習の時間は労働時間とされております。

 2点目は美容師に関する事案でございます。美容院側が営業時間開始の1時間半前から店舗を開放して、スタッフに自主的な練習の場を提供していたところ、その自主練習の時間が時間外労働に当たるかというのが争点の一つとなったものでございます。本件では、営業時間開始前に出勤していたとしても、開始時刻までの時間は完全に自主的な練習時間とされていたので、労働時間と認定することはできないとされております。

 おめくりいただきまして、17ページは、先ほども出てまいりました年俸制の関係の事案でございます。この事案の医師に関しては、単孔式腹腔鏡術というものの研究、そういった私的な活動のために院内に滞在していたので、これは時間外労働には当たらないと病院側が主張したのですけれども、本件の場合は、時間外労働の多くをその研究に費やしていたとは認められず、また、当該研究は病院における治療技術の向上など、病院の利益にもなり、業務に関連するものと言うことができるということで、この主張については採用されないと高裁時点ではされております。

 おめくりいただきまして、18ページでございます。労働基準法上の労働時間の概念とは少しずれてまいりますが、使用者の安全配慮義務に関する裁判例を幾つか御紹介したいと思います。

 1点目の事案は、臨床検査技師の方が自殺されたことについて、業務との関連性で安全配慮義務違反の有無について争われたものでございます。亡くなられた方の上司が業務以外にも自習することが重要だからと御本人に勧めたところ、担当業務終了後にも頻繁に専門書を読んだり、レクチャーを受けたり、実践練習を行っていたと。ただ、強制はなかったという事案でございます。それにつきまして、3点目にありますように、時間外労働と同視されるべき自習をしていたことを使用者たる医療法人は認識し得たというべきであって、安全配慮義務違反があったと判断しております。

 2点目、大阪府立病院事件では、論文執筆や学会への出席も多くこなしていらっしゃった麻酔医の方の死亡と業務の因果関係について争われたものでございます。これにつきましても、当該研究活動は業務命令に基づいて行われていたものではないが、単に麻酔医個人の業績として有益であるにとどまらず、府立病院の医療界における地位の維持向上にとっても有益なものと言えるため、因果関係があるとされております。

 続きまして、19ページ、20ページです。医師につきましては、前回、市川構成員からも御紹介がありましたけれども、自己研さんなり適切な医療を提供すべきであるという医の倫理に関して、古くはヒポクラテスの時代から、例えば19ページの一番下、ジュネーブ宣言、世界医師会総会での宣言等いろいろな文書等がございます。 20ページの医師憲章で、プロフェッショナルとしての能力に関して責任を持つ。医療の質を向上させていく。プロフェッショナルとしての責任をしっかり使い果たしていくべきであるということがうたわれております。

 その下、日本医師会でまとめていらっしゃるものに関しましても、生涯学習の精神を持って、常に医学の知識と技術の習得に努めるというふうにされているところでございます。

 おめくりいただきまして、21ページでございます。41条で管理監督者に関して適用の除外の規定があると御紹介しましたが、管理監督者の判断基準について御紹介いたします。管理監督者とは、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものという意味であって、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものであるとされております。

 具体的な判断につきましては、(3)にございますように、管理監督者の範囲を決めるに当たっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任の権限、勤務態様等に着目していく。

 (4)にございますように、その判定に当たっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないということが示されております。

 おめくりいただきまして、22ページ、裁判例についても御紹介してまいります。

 1点目、大阪徳洲会事件は、事務部門の人事二課長、看護婦の募集業務に従事していた方ですが、3点目、職務権限の内容から考慮すると、経営者と一体的な立場にある。タイムカードで出勤時刻等を打刻してるが、それは出退勤を厳格に管理するためではなく、拘束時間の長さを示す程度の意味しか持たず、その間の労働時間は自由裁量に任されていたということ、また、特別な手当が支給されていたということから、管理監督者と判断されております。

 以下、康心会事件につきましては、時間外労働手当の定めがあって、外来診療や手術等の担当日を医療法人側が決めていたということから労働時間の裁量が広範に認められていたとは言えないため、管理監督者には当たらないと判示さています。

 続きまして、23ページ以下、いろいろな労働時間制度がございます。そちらを御紹介した資料でございます。大変申しわけございませんが、時間の関係で説明は割愛させていただきますので、何か御質問等あれば、後ほど承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岩村座長 ありがとうございました。

 今朝、東海道線が遅れたために遅参いたしまして、大変失礼いたしました。申しわけございません。

 議題の順番を入れかえまして、お手元にある議事次第の議題2から始めさせていただいているということと理解しております。今、事務局から資料2について御説明をいただいたところでありますが、それにつきまして御質問あるいは御意見などがございましたら、お出しいただきたいと思います。遠野構成員、どうぞ。

○遠野構成員 この資料の中に「医の倫理」が出てきた意図はなにか。この資料全体の中で、医師の自己研鑽と労働との関連なのか。「医の倫理」から、医師は自己研鑽すべき立場だけれども、労働といえるか否かという議題の資料ということなのでしょうか。

○岩村座長 事務局のほう、いかがでしょうか。

○花咲医療勤務環境改善推進室長 前回の議論でも医師として自己研さんが非常に重要であるといった御意見等ありましたことから、今回自己研さんの労働時間制についての資料をまとめるに当たりまして、医師の皆様方に関する倫理の規定も御紹介しようと思って入れさせていただいた次第でございます。

○岩村座長 遠野構成員、どうぞ。

○遠野構成員 わかりました。ありがとうございます。

○岩村座長 ほかにいかがでございましょうか。では、馬場構成員、どうぞ。

○馬場構成員 24ページの「労働時間制度の概況」というところに、今、幾つか議論が出ているような高度プロフェッショナル制というか、ホワイトカラーエグゼンプションのような、出す時間給の制度についての記述がなくて、たしかこれらは裁量労働制とは違うと思っているのですけれども、そういったことはここで議論する必要はないのでしょうか。

○岩村座長 まず第一に、私のほうからお答えしますが、高度プロフェッショナル制についてはまだ法律になっていないということがございます。したがって、そういう意味で、事務局のほうでこのペーパーの中には取り上げていないということかなと思っております。

○馬場構成員 ですから、議論の余地はあると考えてよろしいのでしょうか。

○岩村座長 私の理解では、医師については議論の対象にはならないだろうと思っています。

○馬場構成員 それは何でなのでしょう。

○岩村座長 高度プロフェッショナル制というのは、ある意味専門業務裁量制と似たところがあると思います。高度プロフェッショナル制というのはどういうものかというと、その職務の特質のゆえに、働く時間を自分で決められるというところに着目をした制度であると理解しております。したがいまして、今、ここで私たちが検討の対象としている一般の勤務医の方々というのは、もともと診療時間等の決まりがあり、そして、勤務時間が使用者である病院側によって決定されている。それに従って診療行為等の業務を提供する必要があるということになりますので、高度プロフェッショナル制といったものとはそもそもなじまないと私は理解しております。

○馬場構成員 わかりました。ただ、医師に対してホワイトカラーエグゼンプションが適用されないとしても、それとはちょっと違う制度について今後検討する余地があればと思っております。

○岩村座長 ありがとうございます。

 関連して御説明しますが、私も医師の方々のお仕事が非常に高度のプロフェッショナルなお仕事であるということは十分に理解しております。これは当然のことだと思いますし、診療の実際の行為そのもの、中身については、医師の方々の専門的な知見に基づいて決定される。そういう意味で医師の先生方が裁量を診療行為そのものについてお持ちであるというのは、私自身は当然のことだと思います。ただ、それと労働時間の制度をどうするかというのはまた別の話であると御理解をいただければと思います。

 例えば私ども大学の教員というのは一応専門型の裁量労働制の適用を受けているわけですけれども、これはなぜかというと、授業等はありますが、基本的に、きょうは原稿を書けない、研究できないと思ったら、大学に来ないとかお昼から出てくるということがあってもそれは別に構いませんという、そういう仕組みの中で裁量労働制というのが成り立っています。病院の勤務医の方は、きょうはやる気がないというので、きょうの私の診療時間はお昼からにしましょうということはできないのだと思うのです。そういう意味で、医師の方々が非常に高度の専門性を持ってお仕事をされていらっしゃるということと、労働時間のあり方をどうするかというのとは一応別の問題と考えざるを得ないかなと思います。

 ただ、今、馬場構成員がおっしゃったように、立法のあり方として、今、申し上げたような勤務医ということを前提にして考えたときの勤務実態というものを勘案して、それに適した労働時間の制度というものがもし考えられるのであれば、それは当然ここでの検討対象にはなると思いますが、裁量労働とか高度プロフェッショナルということになると、これは非常に難しいだろうと私自身は考えているところです。

 長くなって申しわけございません。

 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 今のことに関して、まさしく岩村座長のおっしゃったとおり全体の医師に裁量労働制を当てはめるということはなかなか難しいのだと思います。ただし、例えば、臨床の現場で極めて特殊な技術を持っていらっしゃる先生がいて、その先生しか手術ができませんといった場合に、かなりの専門性とある程度時間の裁量というものを発揮できるような立場の方もまれにはいらっしゃると思います。全体に勤務医の裁量労働制ということをかけることは難しいと思うのですけれども、立場としては勤務医なのだけれども、ある程度御自分の裁量が発揮できるという方については、それを例外として認めるということは制度として難しいのかどうか、座長に教えていただければと思ってお聞きしました。

○岩村座長 ありがとうございます。

 私の見解が別に公式見解になるわけではないので、あくまでも個人的見解ということだと思いますが、観念論としてはあるかもしれません。ただ、実際にどういう制度の枠組みをつくって、それを適用するかということになると、今おっしゃったのは、直感的にはそう容易ではないなという気がいたします。

 あと、市川構成員もお手をお挙げになったと思います。

○市川構成員 労働時間というのは今後いろいろと問題になると思いますけれども、18ページの医療配慮義務の部分で、基本的に勤務医の労働時間を含めて、いわゆる健康管理が一番の問題となると思います。そうしますと、この委員会で安全配慮義務に対してどのようなスタンスというか、あり方についてお考えがあれば、事務局のほうからお知らせいただきたいのですけれども。要するに、使用者の安全配慮義務をここに挙げたということは、どういうスタンスで今後議論していくか。なかなか難しいと思いますが、いかがでしょうか。18ページです。

○岩村座長 事務局、いかがでしょうか。

○榎本総務課長 総務課長です。

 今の市川構成員のお話について答えさせていただきたいと思います。今、御指摘がありました18ページの判例は、使用者の安全配慮義務に関して、自己研さんの時間がどうカウントされるのかということを御参考までに御紹介した判例でございましたが、むしろ今、先生から御指摘いただいたお話というのは、先ほど議題の順番が入れかわった関係で、論点の資料、資料1の4番のほうに、今後ドクターの方々の健康確保をどう進めていくのかという観点で「適切な健康確保措置の在り方」ということを書かせていただいているところでございます。おっしゃるとおり、勤務医の皆様の健康管理を確保するということは非常に重要な課題だと思っておりますので、そういった課題も含めてこの場で御議論いただければありがたいと思っているところでございます。

○市川構成員 この点に関しましては、日本医師会も今まで調査等をしておりまして、それなりのデータも集積しておりますものですから、できましたらその辺のところも発表させていただければと思っております。

○岩村座長 それでは、お手が挙がっていた渋谷構成員、どうぞ。

○渋谷構成員 馬場構成員と今村構成員の件をちょっとフォローアップしたいのですけれども、おっしゃるように、例えば高度プロフェッショナル制度等は乗らないのかもしれないですが、今、まさにここで議論しているのは、将来の医師の働き方とか、これから議論になると思いますけれども、現場を見ると、医師においても非常に多様な働き方、多様な時間の使い方というのがあると思うのです。ですから、今の制度から少し上がるというよりは、少し観念的かもしれないですが、今村構成員がおっしゃったようなことも鑑みながら、新たな制度をつくる余地、そういう議論の余地は残すべきかなと個人的には思っております。いかがでしょうか。

○岩村座長 事務局のほう、いかがでしょうか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 今、座長のほうから検討いただいたのは現行の制度等の解釈というところでございますので、この検討会でどのような議論をいただくのかというのは、前回もお示ししましたとおり、働き方実行計画の中でも医師は特殊性というものを言われておりますので、この検討会で新たな制度も含め、御議論いただければと考えております。

○岩村座長 では、藤枝課長、お願いします。

○藤枝労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。事実関係の補足も含めまして御説明させていただきます。

 参考資料3のほうにお配りさせていただいておりますけれども、働き方改革に関連する法律案でございます。これは厚生労働省の労働政策審議会で先週15日に法案要綱という形で政府がお示しした内容について、おおむね妥当という答申をいただきまして、今、国会に提出すべく準備しているものでございます。

 国会情勢は流動的でございますけれども、速やかに提出できるよう、準備をしている状況でございます。速やかに提出を図ってまいりたいと思っております。

 参考資料3をめくっていただきまして4ページ、(2)多様で柔軟な働き方の実現でございます。その中の2が企画業務型裁量労働制の見直しということで、業務を追加するというもの。3が先ほど来お話があった高度プロフェッショナル制度でございます。裁量労働制でありますとか高度プロフェッショナル制度の対象となる働き方については、岩村座長から御説明いただいたとおりでございますけれども、特に3の高度プロフェッショナル制度は、まさにこれから新しくつくっていこうという制度でございまして、現時点ではこういう制度はありませんので、今後の国会審議を経てということでございます。

 一つ御説明させていただきたいのは、労働時間規制は、今回高度プロフェッショナル制度の方は適用を除外するのですが、それは全く規制がなくなるわけではありませんで、労働時間を残業で抑制するという考え方ではなくて、別途新しい健康確保措置を入れて、そこで健康確保を図った上で、自由な、集中的に働けるようなやり方、本人の時間とか仕事の配分を十分に本人の裁量でできるような仕組みにしようというのもであります。

 その健康確保措置としましては、破線で囲ってありますように、年間104日。これは週休2日制見合いの数字でございますが、年間104日の休日を確保ということを義務化しておりますので、104日の休日は絶対的な休日、「絶対休日」と呼んでいますけれども、この休日を確保するということが前提になっております。ですので、この休日が確保できないとこの制度は使えないという仕組みになってございます。

 あと、どういった労働時間制度、あるいは医師の働き方に対応する制度がいいかということは、まさにこの検討会でも御議論いただければと思っておりますが、裁量労働制につきましては、今、裁量労働制が対象になっている方についても、実態として例えば労働時間、勤務時間を、朝何時に来なさいとか、具体的な指揮命令を受けたり、本来の裁量労働制の対象とならないはずの働き方が裁量労働制として悪用されているのではないかという指摘を再三受けておりまして、この点は労働政策審議会でも御意見をいただいているところでございまして、今ある裁量労働制についても、労働時間の配分とか業務の進め方について本人に裁量があることが大前提だということは、今後も厳しく我々としても指導していかなければいけないという状況にございます。

 以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 では、島田構成員、どうぞ。

○島田構成員 これからの議論の進め方のところになろうかと思うのですが、今いろいろな議論の中で考えておかなければいけないのは、現行の仕組みが厳然としてある中で、医師の具体的な実態との関連でどうなのか。それぞれの実態というのをぜひ。きょうも御報告があるようですが、具体的な場面で一つ一つ明らかにしていくことが必要なのではないか。

 働き方改革全体としては、医師ということだけでなくて、日本のこれまでの、特に正社員の長時間労働のあり方を変えていくということが前提ですので、働き方自体を変えていくのだという視点で考えていかなければならないとすれば、医師のありようというのもメスを入れていかなければいけないのかもしれない。ただ、医師という専門性とか、あるいは国民に対する医療体制の確保という点で、それでは現実的に対応できないという部分がどこにあらわれてくるのかということについて、この委員会で医師の方々、関連する方々から具体的な事実を明らかにしていただいて、それは法制度の枠組みの中で考えるべき問題なのか、やはり法制度について少し検討を加えないとならないのか、課題を整理していくというのがこれから必要なのではないかと思います。

 よろしくお願いいたします。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、福島構成員、どうぞ。

○福島構成員 今、医師の特殊性を考えながらも、この検討会では時短等の対策を前提として議論すべきだと思うのです。裁量労働か否かというところからスタートしてしまうと、働き方改革という意味では、今、何とか負担軽減をしようとしているわけですから、本来の趣旨、原則論としての議論からずれていってしまうという気がしています。

 今おっしゃったように、大事なのは、どういうものが労働時間で、どういうものが労働時間ではないのかという区分をしていくということだと思うのです。例えばいろんな自己研鑽と業務の線引きをするというのは現実には難しいかもしれませんけれども、基準をつくるとかそういったところからスタートして、できるだけ労働時間とされるものを明確にしていかないと、やはり改革にはならないのだろうと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 では、村上構成員、どうぞ。

○村上構成員 島田構成員、福島構成員の御意見と重なりますが、そもそも本検討会は、開催要綱を見ましても、今回の働き方改革の議論において、医師については応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要であることから、時間外労働規制の対象とするものの、改正法施行期日の5年後をめどに規制を適用するとして、その間2年かけて具体策について検討しようということで設置されているというころです。いろいろ御指摘されている実態や現実を無視することはできないということは重々承知しております。しかし、現状の働き方に法律や制度を合わせるということではなく、やはり現状の働き方を変えていくことや、長時間労働を抑制していくという方向に向かうことを前提として議論を進めていくべきだと思います。

○岩村座長 今後の議論の進め方ともかかわるお話でありますけれども、もう一度話を少し巻き戻しまして、資料2につきまして、また御意見、御質問等がありましたらお伺いしたいと思います。では、岡留構成員、どうぞ。

○岡留構成員 資料2の5ページを見ますと、これは判例ということになりますけれども、常に同じような表現が使われているのです。康心会事件の3ポツのところです。「当該医師が労基法上の労働者であることを前提に」という表現です。その下の奈良県立病院の一番最後のところに「当該医師が労基法上の労働者であることを前提に」。こういう表現をするということは、その前提というものの根拠があるのでしょうか。その辺のところが非常に曖昧ではないかなと思うのですが。

○岩村座長 では、島田構成員、お願いします。

○島田構成員 これは、要するに、両当事者、病院側も争う側もこの方が労働者であるということについては争っていないということです。

○岡留構成員 労働者性についてはない。

○島田構成員 争っていないです。ですから、労働者であることを前提、労働基準法の適用があるということを前提にした裁判だから、きょう御紹介があった。だから、勤務医の方の労働者性について、病院自身も全く疑いを持っていないというのが具体的なあらわれだということです。

○岡留構成員 病院団体ではこの辺のところが非常に曖昧なのです。各現場に意見を求めると、はっきりと答えられるドクターは1人もいないです。

○島田構成員 先ほど座長がおっしゃったと思うのですけれども、勤務医の労働者性ということについては、基本的に勤務時間があって、病院の診療行為を行っているわけで、これをきょう御紹介のあった判断基準の枠組みとの関連で考えたときに、労働基準法の労働者でないという結論はおよそ出てこないので、この検討会でもこれ以上勤務医が労働者かどうかという議論は、もうそろそろ閉めていただいて。

○岡留構成員 展開できないということですか。

○島田構成員 ええ。それは無理だと思います。

○岩村座長 私からも申し上げますが、一般の病院の勤務医の方は、全く間違いなく労働基準法上の労働者です。これは疑う余地がありません。ですので、病院側の弁護士さんもそこは争わないのです。そこで争っても勝つ見込みはない。つまり、労働基準法上の労働者である。したがって、労働基準法の適用があるということの前提で病院側の弁護士さんも訴訟で対応されているというふうにお考えいただくのが適切だろうと思います。

○岡留構成員 よろしいですか。

○岩村座長 どうぞ。

○岡留構成員 その前の判例の真ん中ぐらいにありますけれども、勤務医の諸君は、病院の開設者のための労務の遂行というような意識は全くないのですね。地域住民のためにやっているわけです。この辺の解釈ですね。

○岩村座長 個人的にどういう認識をしているかというのは問題になりません。

○岡留構成員 ならないですか。

○岩村座長 単純に誰に対して労務を提供しているかということだけが決め手ですので、病院に対して労務を提供しているということは間違いがありませんし、病院がそれに対して報酬を支払っているということも全く間違いがありません。したがって、どうやっても病院の勤務医については労働基準法上の労働者であるという結論は動かないというふうにお考えいただくのが適切だと思います。

○岡留構成員 労働基準法の親法は労働基本法ですね。そういう位置づけではないのですか。

○島田構成員 労働基準法というのは単独した法律で。

○岡留構成員 労働基本法はどういう立場にある。

○島田構成員 労働基本法という法律はないですから。

○岡留構成員 ないのですか。

○島田構成員 はい。憲法27条のもとに労働基準法という労働条件の最低基準を決じめる法律があるというのが我が国の仕組みなので。

○岡留構成員 ありがとうございます。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 ほかにいかがでございましょうか。

 資料2についてはこの辺でよろしいでしょうか。

 全体の議論を行う上での基本的な理解にかかわる部分でありますので、もし御疑問があればとは思いますが、よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。

 それでは、次に、議事次第にありますように、3番目「医師の勤務実態について」を議題としたいと思います。これにつきまして、事務局のほうで資料を用意していただいておりますので、まずその御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○堀岡医師養成等企画調整室長 医政局医師養成等企画調整室長の堀岡でございます。

 資料3「医師の勤務実態について」を御説明させていただきます。

 2ページ目は、総務省の調査でございますが、正規職員の職種別の1週間の労働時間の分布をあらわしております。青が看護師、グレーが全職業総数、赤が医師でございます。60時間以上のところに点線をつけておりますが、例えば6574時間でも10%、75時間以上でも15%以上の医師が60時間以上労働しているという実態がわかります。

 次に3ページでございます。さらに詳細な調査といたしまして、昨年「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」を実施しております。これは昨年の12月8日から1214日の1週間、どのような勤務状況だったかということを自記式、自分で書いていただいて、それを返送していただいたというものでございます。全国の医師の3分の1に当たる10万人に調査対象を広げて実施しておりまして、1万6,000件の回収があったものでございます。

 次のページ、この調査についても詳細な分析について御説明いたしましたので、まず初めに定義を書かせていただいております。この調査では診療時間、診療外時間、待機時間というものがわかるものとなっておりまして、診療時間といたしましては、外来診療、入院診療、在宅診療に従事した時間。診療外時間といたしましては、教育、研究・自己研修、会議・管理業務等に従事した時間。待機時間といたしましては、例えば当直の時間の間に、当直時間の中で診療した時間、また、診療外の時間というものを別途書いていただいておりますので、それら以外の時間で待機をしたという時間で計算しております。

 勤務時間という言葉がございますけれども、これはいわゆる労働基準法上の労働時間とは異なる側面がございます。診療時間、診療外時間、待機時間を単純に合計したというものでございます。

 なお、当直の時間中に診療で急に呼ばれたり、もしくは診療外時間で何らかのカンファレンスがあったり、自己研修した時間は全て診療時間のほうで集計をしているというものでございます。

 5ページでございます。こちらの調査でも60時間以上は4割ぐらいということで、総務省の調査と一致した結果になっております。週当たりの勤務時間60時間以上の常勤者は39%でございますが、38%は病院の常勤の勤務医だということでございます。

 6ページは、それら長時間労働している医師がどのような労働時間となっているかという調査でございます。左から4050時間、5060時間、また、右は80時間以上という労働時間で、その内訳を青が診療時間、赤が診療外時間、緑が待機時間として集計しております。勤務時間が長くなりますと、診療時間、診療外時間、待機時間、当たり前ですが、いずれも長くなりますけれども、長時間労働の人は、待機時間の占める割合が大きくなるという傾向が見られます。

 7ページでございます。全ての診療科を1枚のグラフに表現してしまいましたので、ちょっと見づらい面がございますが、診療科によってさまざまな労働時間の分布をしているという傾向が見られます。

 次のページでございます。診療科ごとの働き方をわかりやすく、今、申し上げた3要素に分解したものでございます。勤務時間は診療科によってかなりの差がございます。例えば産婦人科ですと61時間という時間。放射線科や精神科だと51時間や53時間といった時間がございまして、診療外時間と待機時間の合計というのは、いずれの診療科においても週10時間以上ございますが、特に産婦人科などは待機時間が長いといった傾向が見られます。このあたりは現場の先生方の実感とも非常に合うのではないかと思っております。

 9ページでございます。それでは、週当たり勤務60時間以上ということで仮に集計してみましたけれども、病院勤務医師の診療科別の医師の中で何%ぐらいが週当たり勤務時間60時間働いているかという図でございます。産婦人科や外科では53.3%、46.6%、臨床研修医では48%ということで、半数程度がこの調査で言う勤務時間の定義の60時間以上という結果となっております。

 次のページでございます。医師の働き方という中では当直というものが非常に重要なファクターを占めておりますので、当直の回数別にその勤務の中身の内訳を分析しております。全体の医師として、当直をやっていない医師というのは46%おります。月1~4回の当直をしている人が42%。5~8回の人が10%。9回以上という人が2%でございます。

 多分1~4回というのは、若手の医師が非常に多いと思いますけれども、そういった医師だと、診療時間は44時間ぐらい、待機時間は6時間ぐらい。月9回以上当直した医師を見ますと、診療時間や診療外時間というのは余り差がございませんが、待機時間は大幅に伸びるという実態が分析できております。

11ページは、男女別、年代別の週当たり勤務時間60時間以上の病院常勤医師の割合を示しております。赤い点線で囲っておりますけれども、30代、40代、50代の医師になると、男女の60時間以上、長時間勤務している医師の割合というのは大幅に差が出てきまして、60時間以上だとほとんど差はないという結果になっております。

 この結果をわかりやすく労働時間でお示ししたのが次のページでございます。紫の線が男性の子供がいない医師、黄緑が男性で子供がある医師、赤が女性で子供がいない医師、青が女性で子供がいる医師でございます。ごらんのとおり顕著でございますが、20代から40代の子供のいる女性医師の勤務時間というのは、ほかと比較して短くなっておりますが、50代になりますと、ほかの医師と変わらない。男性は、子供ができても子供がいなくても余り勤務時間が変わらないといった傾向が見られます。

 次のページでございます。医師の方は、働いている箱、病院によって非常に働き方が違うという実感があると思います。この調査では診療時間、診療外時間、待機時間という非常に大ざっぱなくくりでしか分析できないのですが、医療機関全体。救急病院。これは二次救急、三次救急両方をとっております。また、大学病院。大学は、分院も含めて大学病院をとっておりますけれども、それらで勤務時間の内容を分析しております。週当たり勤務時間は、大学病院が64時間ということで、ほかに比較してかなり長い勤務時間になりますが、診療時間になりますと、大学はわずかに短くなります。大学は何が長いかと申しますと、診療外時間が非常に長いという結果がありまして、右に割合を示しておりますが、全体の病院だと19%程度の診療外時間が27%と非常に多いという結果が見られます。

14ページは、医師の働く地理的な場所での勤務時間を分析しております。年代別に都市部、地方部。都市部の定義としましては、東京都23区、政令指定都市、県庁所在地に病院が存在する医師。地方部はそれ以外の医師で分析しておりますけれども、診療時間、診療外時間、待機時間の割合は余り変わりありませんが、週当たり勤務時間というのは、地方部のほうが少ない傾向にある。どの年代でも少ない傾向にあるという傾向が見られたところでございます。

 事務局からの資料説明は以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から御説明いただきました資料3につきまして、御質問あるいは御意見がありましたらお出しいただきたいと思います。ハイ構成員、どうぞ。

○ハイ構成員 御説明ありがとうございます。

 今後の進め方にもかかわることだと思うのですけれども、住民、患者さんからの医療ニーズに対応するための医療提供体制として、労働時間と医者の人数と医者1人当たりの診療の質の掛け算でその医療ニーズに対応できるかなと思います。今、この議論で仮に労働時間を何らかの縛りを入れる、または制限を設けるとなると、人数をふやすのか、それとも1人当たりの診療の質を上げるのか、そういうことをしないと、今、この医療提供体制を維持している医療ニーズを満たすことはできない。となりますと、医療ニーズそのものを何らか抑制すると言ったら言葉が悪いのですけれども、そういったことは、私、医者の立場としてやりたくない。そうすると、今、御説明いただいた資料の9ページにございますように、産婦人科の先生方は本当に60時間以上の割合が多い。となると、診療科別の人数の議論もここですべきなのか、それともほかの分科会または検討会でされていることをあわせて検討すべきなのか。時間だけでコントロールするというのはなかなか難しいと感じております。ぜひ今後の方向性、進め方に関してそこの議論も進めていただきたいなと思っております。

○岩村座長 ありがとうございます。

 私の理解では、この後、議題1に戻って今後の議論の進め方のところでその点は話題になると思いますので、また何かありましたらおっしゃっていただければと思います。

 では、鶴田構成員、どうぞ。

○鶴田構成員 診療時間と診療外時間、待機時間を合わせて勤務時間となっていますけれども、合計の時間としては、いろんな調査も大体こんな時間だろうと思います。労働基準法上では例えば8時半から5時までを勤務時間とすれば、それは全部勤務時間になっているはずなのだけれども、このアンケートの中では、例えば2時ぐらいに外来が終わって、あと自分で研修すれば、それはいわゆる労働基準法で言う勤務時間ではなくて、研修期間になるとか、そういう問題もあるのではないかということだけ指摘したいと思います。

 もう一つは、9ページに産婦人科の勤務実態がありますけれども、日本産婦人科学会が出しているデータも含めて提示していただけると、産婦人科の勤務実態がもっと厳しいというのが明確になると思います。

○岩村座長 それでは、お二方から今、手が挙がっていますので、遠いほうからの順番で、市川構成員、その後、今村構成員ということでお願いいたします。

○市川構成員 10ページの当直の件なのですが、ブルーの診療時間の中には当直のときに診療した時間というのは入ってはいませんか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 含まれております。

○市川構成員 大丈夫ですね。ということは、当直していても実際には待機している部分がほとんどだという解釈でよろしいですか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 実際には診療科の個別票を見て、例えば当直時間中、救急病院でずっとやられている医師もいますし、一般的な医師で言ういわゆる寝当直ばかりの医師もあると思いますが、平均するとこういう結果になるという結果でございます。

○市川構成員 なかなか分析は難しいのでしょうけれども、見方としては、今の僕の印象というのはあながち間違っていると思えないのですが、この表だと、当直そのもののあり方が待機という考え方をせざるを得ないかなと。よろしいでしょうか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 事務局のほうである程度解析というか、分析をしておりますけれども、当直回数が増加すると診療時間と診療外時間というのは大きな変化はない。もう一度申し上げますと、当直時間中とかに実際に診療した時間は全部青の診療時間で再集計しておりますので、待機時間の伸びが非常に顕著だということでございます。

○市川構成員 ありがとうございました。

○岩村座長 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 今後の進め方にかかわるお話だとは思いますが、これは直近に調べられた10万人調査という非常に大きなデータで、きょう示されたものはその中のごく一部なのだと思います。

 先ほど福島構成員からもお話しになった時間の区分とか、もう少し細かくきちんと分析をした上で労働時間というものを定義したほうがいいというお話があったと思います。これは事務局に確認したいのですけれども、この10万人の調査で全てこれから議論をしていくという前提で出されたのか、それとも現在はこういう調査がありますということでの御紹介であったのか。今後の進め方の中でさらにこういう細かい調査をすべきだというお考えがあるのかどうか、お示しいただければと思います。

○岩村座長 事務局、いかがでしょうか。お願いします。

○堀岡医師養成等企画調整室長 今村構成員に今、御指摘いただいたとおり、この調査は非常に母数が大きくとれている一方で、自記式でございますので限界があって、診療時間、診療外時間、待機時間という非常に大きなくくりでしかとれていなくて、かつ院長の指揮命令下にあったかどうかとか、例えば診療外時間などは非常に多くのものが含まれておりますが、そういうものまでは分析し切れない調査となっておりますので、この検討会等の議論を踏まえて追加の調査の必要があれば検討してまいりたいと考えております。

○岩村座長 時間的問題があるので、もし御要望があれば、なるべく早くおっしゃっていただかないと間に合わなくなるかという気はいたします。もし追加の御要望とかそういうものがあれば。

○今村構成員 ぜひ今、事務局からお話しいただいたような論点でお願いします。恐らくこの調査をしたときには働き方改革という大きな視点の中ではなかったと理解しておりますので、数ではなくて、精緻の議論ができるような調査をぜひ早急にしていただければとお願いしたいと思います。

○岩村座長 ありがとうございます。

 では、複数からお手が挙がっていますので、まず山本構成員、それから森本構成員ということでお願いいたします。

○山本構成員 今回の医師の働き方改革をめぐっては、特に地方病院を中心に救急医療あるいは産科医療の崩壊というのが現場では非常に懸念されているところなのです。ただ、実際のところ時間短縮を行った場合、どうなるかというのは見えていないのです。そうしますと、10万人の調査を通して、例えば地方の救急医療あるいは産科医療がどれくらい医師の時間外勤務に依存しているのかとか、そういうことが数字として見えてくると、客観性が出てくるのかなと一つ思います。そこは事務局で御検討いただきたいと思います。

 もう一つ申し上げたいのは、13ページのところで大学病院の勤務時間が突出しているという御指摘がございました。なぜ突出しているかというと、診療外という部分が伸びている。これはとりもなおさず、大学病院の特殊性でございまして、教育、医学部の学生、初期研修医などへの教育、研究という活動で伸びているということであります。これは大学病院としては絶対やらなければいけない部分でございますから、逆に考えると、いかにして診療内容を効率化して、あるいは今後の議論の展開にもよると思いますけれども、タスク・シフティングなどをより効率的に進めてこの診療の部分の負担を減らす。高度な医療をやらなければいけない部分もございますが、より効率化を進める必要があるのではないかと思いますから、ここはぜひ今後の検討課題としていただきたいと思います。

○岩村座長 御意見として承りたいと思います。

 では、お待たせしました。森本構成員、どうぞ。

○森本構成員 先ほど若干同じような意見がありましたが、資料3の4ページに、診療時間、診療外時間、待機時間の合計を「勤務時間」と見なすことが定義されています。しかし、本日配布されている調査票を見ますと、2ページ目の注意事項に、始業時間と終業時間も調査対象に入れられているので、これらも含めた拘束時間や実態の時間などもデータで示していただきたいというのが一点目です。

 もう一点が資料3、11ページに関連することです。女性医師の活躍促進の議論をしていくこと自体は賛成ですが、このデータはいわゆる過労死ラインである週60時間を超えて労働をしている割合が示されており、女性の長時間労働者の比率が男性並に増えれば、男性の業務負担軽減に繋がるという議論は少し発想が違うのではないかと思いますので、そういう視点での検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、遠野構成員、そして渋谷構成員ということでお願いいたします。

○遠野構成員 この調査は10万人ということで、大変な調査だったと思いますが、9ページに関して、週当たり勤務時間60時間以上ということは、超勤にすれば週20時間から30時間だと思うのです。この中で臨床研修医も外科医も回答者の半数しか20時間、30時間を超えていないという結果になっています。けれども、私の勤務経験の県立病院においては研修医や外科医であれば、100%近く、このぐらい働いているので、ちょっと違和感のある数字でした。細かい分析が難しくてこのような結果なのかもしれませんが、私が感じる現場の実態と違うのではないかなとふと思ったので、意見を言わせてもらいました。

○岩村座長 今の点について、事務局、何かありますか。よろしいですか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 コメントは何とも難しいのですが、10万人調査で、恐らく日本の今までのあれで最大の調査ではございますので、これが今、示せる事務局の精いっぱいのエビデンスではあるというふうにお答えだけさせていただきます。

○岩村座長 多分病院ごとによる格差が存在していて、それを最終的に値にして全国で並べるとこういう形になるということかと想像はいたします。

 申しわけありません。それでは、渋谷構成員、お願いします。

○渋谷構成員 この実態調査を確認させていただきますと、医師・看護師等の働き方に関するビジョン検討会というものの一環として行われて、僕が座長をしたのですけれども、これはあくまでも時間をはかるというよりは、例えば働き方だけでなくて、医師の需給偏在、それから医療と介護の深化とか、女性の働き方の多様化とか、時間だけではないということをまず確認したいです。さらに、10万人規模の調査をして、三師調査とも分布が一緒ということで、ある程度一般化できるということで活用しています。ですから、個別の医療機関に関して合わないかもしれませんが、これが今、得られる最良のエビデンスであると僕は考えております。

 質問票をよく見ていただきたいのですけれども、これはあくまでも時間だけでなくて、その内容とか、医師がどこに働いて、どういう行動をその次にしていくとか、どこにどういう希望を持っているとか、プロファイリングもかなりとっております。ですから、先ほどのハイ構成員の議論に少し戻りたいのですけれども、次に論点として出てくると思いますが、あくまでも時短というのは大事だと思うのですけれども、時短だけではなくて、結局、このビジョン検討会は何をやったかというと、あくまでも改革の結果として時短が起こるべきだと。ビジョン検討会では、働き方改革というのは必ずしも時間そのものだけでなくて、生産性とか、時間の質とか、さらに言うと医師の需給偏在、医療と介護の連携とか、需要側の意識を含めた、そうした包括的なビジョンを出さないと、時間だけを議論すると誤る。

 つまり、我々のメッセージとしては、自己犠牲のシステムからの脱却、疲弊しない持続可能なシステムということで、どうしたらいいかということを真剣に議論しました。そのためにこの実態調査を非常に活用しました。ですから、今まで皆さんがおっしゃったことは、まだまだこの実態調査を深掘りすれば出てくる情報だと思っております。

 同時に、その中でも医師に多様な働き方、特に女性医師にとって多様な働き方の確保とか、地域でリソースを配分するとか、タスク・シフト、タスク・シェアを進めるとか、あるいはテクノロジーの活用というものを出して、あくまでも時間に対するアウトプット、生産性を高めるためにはどうしたらいいかということをきちんと示して、そうしたものが論点に出てくると思うので、そうしたものもこの実態調査を活動できるのかなと。

 それから、時間の量だけでなくて、質という観点から、例えば苦痛の会議に1時間座っているのと、きょうみたいな非常にライブリーな会議で1時間過ごすというのは、全然価値が違うわけです。例えばルーチンを1時間繰り返すよりも、例えば心臓外科医の中で、縦4列で1日やりたいという人もいるわけで、単位時間当たりの仕事の満足度とかストレスというものも、次にタイムスタディーをやる場合にはぜひはかっていただきたい。

 例えば改正労働安全衛生法では職員の簡易職業ストレスチェックとかをしていると思うのです。ですから、そうしたものとリンクしながら、ほかの職業に比べて単位時間当たりどれだけのストレスがあるのかとか、あるいは科によっても全然ストレスレベルが違いますし、それから仕事への満足度とか、そうしたものをぜひはかっていただいて、量と質の両方から議論して。

 働き方改革イコール日本の医療の構造改革というものを位置づけながら、将来に向けたメッセージを出していただきたいということを、ビジョン検討会をやった者としては希望する次第であります。

 ありがとうございます。

○岩村座長 大変貴重な御意見をありがとうございます。

 それでは、お手が挙がっております猪俣構成員、工藤構成員ということでお願いいたします。

○猪俣構成員 私も渋谷構成員と同じような考えなのですけれども、13ページにありますように、このようなサブグループ解析をしていただいて、例えば大学病院であったり、救急病院、もしくは地域性であったり、疾患性などもそれぞれの病院で違いますので、一概に議論するのではなくて、そこから出た問題点や、もしくはタスク・シェアリングすることで改善できる点も病院の質によっても違うと思いますから、そういうところも検討に入れながら、質と効率の改善に使えればいいのではないかと考えております。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、お待たせしました。工藤構成員。

○工藤構成員 ありがとうございます。

 今回10万人が対象という調査の結果が出されていますが、労働基準監督署では、ここ数年、医療施設に対しての臨検・監督等も行っていて、できれば最近の監督・指導結果などのデータも次回以降に出していただければ、医療施設での労働実態や労働時間管理がわかってくるかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

○岩村座長 事務局、いかがでしょうか。

○増田監督課長 御意見を踏まえまして、私どもで把握しているデータ等を調べてみたいと思います。

○岩村座長 よろしくお願いします。

 ほかにはいかがでしょうか。では、片岡構成員、どうぞ。

○片岡構成員 ありがとうございます。

 このたび大変貴重なデータを出していただいて、ありがとうございます。この資料の2ページに平成24年の総務省のグラフがありますけれども、これですと、労働時間のピーク、山が2つあるように見えて、3542時間のところと4959時間のところ。プラス60時間以上が多いという非常にざっとしたデータですし、かなり労働時間が短いところにも山があるように見えてしまいます。7ページの今回の10万人の調査で言いますと、ピークが5060時間のあたりに一番多いように見えますし、80時間以上のかなり長時間労働といえるところにどれぐらいの分布があるかということもわかるので、大変貴重なデータではないかと思いました。

 先ほどの遠野構成員からの御意見、それでも現実と乖離しているように見えるという御意見に関してです。質問票を見ると居住地を書くところもあるので、医師不足地域とそうでないところとの違いとかももしかするとあるかもしれないので、そういったサブ解析をもししてあるようであれば、また御提示いただければありがたいと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 先ほど女性医師の勤務時間、特に11ページのところで60時間を超える数が少ない多いというお話がございましたが、むしろ12ページを見ていただいたほうがよろしいかと思うのですが、ここで子供ありの女性の勤務時間がほかの方よりも20時間ぐらい少ない。これが20代、30代という子育ての時期にずっと続いているということでございます。これは勤務時間、時間だけを見たら、確かに短くていいという話になるかもしれないのですが、実はこの時期というのは、医者としてはスキルを上げる、医者としての能力を向上する上で、OJTの一番重要な時期に勤務時間を抑制されるということで、例えば外科系であれば、手術が同年代の男性に比べると遅れる、あるいは研究で言えば、研究に使う時間も減る。そうすると、プロモーションもおくれるというハンディキャップにつながっているのです。

 ですから、ここは、ただ時間が少ないからいいよ、ここにみんな合わせればいいよということではなくて、そういう仕事しかできない社会環境、子供を預けて、自分の思いどおりに仕事ができないという社会環境の問題もありますし、一方で、男から見ると、長い時間やらないと手術がうまくならないとか、長い時間やらないと論文が書けないというところにも問題はあるかなと思いますので、先ほどの渋谷構成員のお話にもあったように、時間だけに着目するのではなくて、効率性とかいかにして実を上げるかというところも注目していく必要があるかなと思います。

○岩村座長 ありがとうございます。

 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 これも後ほどの議論の進め方になろうかと思いますけれども、今、山本先生がおっしゃったこと、また、渋谷先生からも先ほど触れていただいたのですが、女性医師の40時間、少ないということについて、ここは医師として働く労働時間のことだけを言っていて、子育てしているときの女性の医師というのは、勤務以外のところで物すごく疲弊している部分が当然あるわけです。重要なのは、医師の健康確保ということが物すごく大事だと思います。

 もともと産業保健という仕組みが日本の中にありながら、最も産業保健の仕組みが機能していないのが医療機関だと思っています。本来的にあるべき仕組みがきちんと使われていないことが問題で、たまたま不幸な事件が起こったときに、本当に産業医がきちんと介入していたのか、安全衛生委員会が開かれていて議論されていたのか。根本的な今ある仕組みの中でそういったことが行われていないということが一つ大きな問題だと思っていて、これからの論点としても、そのことについても踏み込んでというか、議論をしていただいたらいいのかなと思っております。

○岩村座長 貴重な御意見、ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。データに関してはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、私がきょう遅参したためにすっ飛ばしてしまいました一番最初の議題1に戻りたいと思います。

 まず、事務局のほうから資料も用意していただいておりますので、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、資料1を御覧ください。まず、この検討会におきます今後の進め方(案)でございます。第1回、第2回については、御覧のとおりでございます。

 それから、10月から12月にかけまして議論する必要があると考えられる事項といたしまして挙げております。1つ目、医師の勤務実態について。本日も御議論いただいておりますが、働き方の改革の議論を進める前提といたしまして、勤務実態についてしっかりと把握する必要がある、また、長時間労働の原因の分析をする必要があるということで、こういった医師の勤務実態につきましてヒアリング等を行う、また、データについて解析、収集を行う。こうしたことによりまして議論を深めていく必要があると考えてございます。

 勤務環境改善策についてということで、他の業種に移管可能業務があるか、そういった業務の効率化の方策の検討、それから、前回の御議論でもありましたが、医療機関における労働時間の管理等、経営管理も含めた勤務環境改善策についての確保策、推進策についても御議論が必要ではないかと考えております。また、本日も議論が出ておりますけれども、医療の質や安全性、健康確保の観点からの議論ということも働き方の関係では議論が必要であると考えられます。こうした議論などを10月から12月にかけて、具体的な日程については調整中でございますが、検討を行っていく必要があるのではないかと考えてございます。

 年明け、30年1月のところに「中間整理」と書かせていただいてございます。これは「医師需給分科会の議論に反映」とさせていただいておりますが、医師の需給につきましては、平成32年度以降の医学部の定員数について検討する必要があるということで、年明けから医師需給分科会において議論を行っていくこととしております。働き方につきましても需給の議論に関連してきますので、その前提といたしまして、この検討会においてそれまでの議論の中間的な整理を行ってはどうかということで、スケジュールを置かせていただいております。

 以降、引き続き具体的な検討を進めまして、働き方改革実行計画におきます検討期限でございます平成31年3月めどに報告書を取りまとめるというスケジュールを考えてございます。

 1枚目おめくりいただきまして、この検討会におきます主な論点案についてでございます。この論点案につきましては、第1回の自由討議も踏まえまして、現時点で論点として考えられるものを事務局として挙げさせていただいたものでございます。当然今後の議論によって新たに検討する論点というものも生じてこようかと思いますが、現時点におきまして最終的な取りまとめに向けまして必要な論点というものを挙げさせていただいたものでございます。

 1といたしまして医師の勤務実態の正確な把握と労働時間の捉え方ということで、本日もさまざまな御意見を頂戴しておりますけれども、まずは勤務実態を精緻に把握していく必要があるということでございます。そうしたさまざまな勤務実態の中で、労働時間に該当するのか、しないのかという議論も必要になってこようかと思います。特に宿直ですとか自己研さん、研究活動の扱い、こういったことが一つの論点になってこようかと思います。

 勤務環境改善策といたしまして、タスク・シフティング、タスク・シェアリング、業務の移管、業務の共同化をいかに推進していくか。また、AIICTIoTを活用した効率化について、どのように進めていくか。その他、勤務環境改善策についての検討も必要であるということ。それらの勤務環境改善策を確保していくために医療機関の経営管理をどのようにしていくか。また、これも前回御意見を頂戴しましたけれども、勤務環境改善支援センター、こうした仕組みについて、いかに機能を強化していくかということ。また、女性の医師の活躍の支援ということも本日御議論をいただいております。

 その他の支援のあり方ということで、これも現行の仕組みにおきまして診療報酬等での支援等も行っておりますが、そういったものを含めまして、支援のあり方として何が有効かということについても議論をしていただく必要があるのではないかと考えております。

 3番目、関連して整理が必要な事項といたしまして、医師の特殊性として挙げられております応召義務について、どのように考えるか。病院の機能のあり方、医師偏在とか僻地医療のあり方、こういった適切な医療提供体制の確保との関係についても、この議論において当然考慮する必要があると考えられます。

 また、第1回の議論にも出ましたが、こうした働き方の見直しに関して国民の理解を得ていく必要があるのではないかということについても整理が必要ではないかと考えております。

 4番目、時間外時間規制等のあり方ということで、本検討会の目的であります労働時間法制のあり方ですが、時間外労働規制の上限のあり方というものをまず1番目に持ってきておりますが、そうした議論をしていく中でも、質や安全性を確保する観点からどういった働き方が適当かということも御検討いただく必要があるのかなと考えております。

 また、こうしたこととあわせまして、医師については長時間の連続勤務についての指摘もございますので、健康保持のために必要な措置、休息、健康診断等のあり方、こういったものについて、既に御議論いただいておりますが、そのような観点からの議論も必要ではないかと考えております。

 説明は以上でございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明をいただきました資料1に関しまして御質問あるいは御意見があれば、お出しいただきたいと思います。では、たくさんお手が挙がりましたので、渋谷構成員、それから工藤構成員、岡留構成員の順番でお願いします。

○渋谷構成員 短く3点。今の論点ですけれども、ビジョン検討会では働き改革というのは、まさに医師の需給偏在にかかわるし、医療と介護の連携の深化にもかかわるし、需要側の意識を含めたさまざまなものにかかわるということで、今回提示された論点を非常に歓迎したいと思います。

 もう一つは、私、医師の需給分科会でもこの前発表したのですけれども、ほかの検討会との論点の共有をぜひ事務局にしてほしいと。つまり、需給分科会でも働き方とかタスク・シフティングに関するコメントがたくさん出たので、それぞれの会議体がそれぞれの焦点、ミッションに絞って提言を出すのはわかるのですが、結局、それらは関連しているということなので、ビジョン検討会の提案とほかの検討会での議論の動向や論点というものの関連する検討会で常にサマリーをアップデートして議論に反映していただいて、総合的に関連する検討会での整合性並びに情報の共有を行って、個別対応、部分最適でなくて、全体としてシナジーを生むような形で事務局が対応していただければと思います。

 もう一つ、応召義務というのが繰り返し出ているのですけれども、これは昭和23年(1948年)、まだGHQがいて、帝銀事件、昭和電工疑惑があって、NHKのど自慢、美空ひばりデビューとか、調べたらいろいろ出てきたのですが、まさに戦後の混乱とこれからの新しい日本という時期につくられた法律であって、でも、時代は変わったし、社会懸案も変わったし、働き方もテクノロジーも変わっているわけです。

 事務局にお願いしたいのは、応召義務というのは日本独自の法律なのか。ほかの諸外国ではどういう適用を行っているのか。その比較を行ってほしいなと。それから、時代に合った適用の仕方があると思うので、そうしたものも論点としてぜひ挙げていただければと思っております。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、工藤構成員、どうぞ。

○工藤構成員 ありがとうございます。

 論点案に出ていること全てを議論するのは大変だなという気がしないでもないですけれども、ぜひ検討していただければと思うのが、論点として挙げられている「宿直業務の扱い」について、救急を標榜している医療機関か否かによって、当直のあり方や実態というものは異なると思うので、それぞれ分けて考える必要があるのかなと思います。

 また、「自己研鑽の扱い」も課題として挙げられておりますが、医療は自己研鑽が重要ということを踏まえ、その中身を十分精査する必要があると思います。例えば自己研さんと言いながら、それが診療報酬上評価されるのであれば、果たして自己研さんと言えるのかという観点からも考えていく必要があります。また、「論文執筆や学会発表等」と書かれていますけれども、医師だけではなく、ほかの分野でも当然ある項目ということからすると、ここで医師の特殊性というものをどこまで言えるのか、他業種との比較をし、考えるべきだろうと思います。

 2番目の勤務環境改善策の部分として、タスクシフティングが挙げられていますが、先ほど高度プロフェッショナル制度の話もありましたように、現在の医療は、技術が高度になればなるほど医師一人で対応できるものではありません。看護師を初め、ほかの職種との協働で行うことを前提としていけば、全体としての働き方、また労働時間という視点からもぜひ検討していく必要があるのではないかということを申し述べておきたいと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、岡留構成員、どうぞ。

○岡留構成員 少し各論に入るかもしれませんけれども、今、病院団体が喫緊の課題としているのは救急と産科の時間外の問題なのです。時間外労働について、病院団体が非常にナーバスな状態にいるのですが、3番目「関連して整理が必要な事項」の2ポツのところに病院の機能、特に救急・産科とか、その辺を入れていただいて、その辺のいろんな御意見をまたお伺いすればいいかなと思っているのですが。よろしくお願いいたします。

○岩村座長 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 個別の論点を2点申し上げます。一つは勤務環境のところで、勤務環境改善支援センターのお話が出たということですけれども、「等」というのは、それ以外の関連する地域医療支援センターであるとか、ナースセンターだというふうに理解しています。ばらばらにそれぞれに機能するのでなくて、有機的に活動しない限り効果が出ない仕組みでありますし、勤務環境改善支援センターの予算の出どころが、労働基準局と医政局から出てきて、社会保険労務士の事業と経営コンサルタントさんの事業というようなばらばらな仕組みになっているので、「連携」という言葉が重要だと思います。「等」をもう少し具体的に書いて、世の中に今ある仕組みがきちんと有機的に働くことが大事だというメッセージを送らなくてはいけないと思っています。ぜひともそういう論点で1回書いていただければと思います。

 もう一点、国民の理解というのは物すごく大事だと思っていて、結局、医療提供者側がどうあるべきかという議論だけをずっとしていても、やはり国民の医療に対するニーズというもの、必要なニーズには適切に応えなければいけません。我々の調査でも患者さんの暴言や暴力で医師がストレスを受けるということもありますので、具体的に国民に対して医療の利用の仕方というものをどう考えるかというメッセージをしっかり出せるようにしていただければと思っています。

 最後はお願いですけれども、最近、いわゆる院内の会議が物すごく多いということです。これは診療報酬上にも位置づけられていて、どうしても出なければいけない。会議のあり方、運営の仕方というのは、その病院自体でいろいろ工夫ができるものだと思いますが、医療の安全とか質の保証のために会議が必要だということでどんどんできてくる。いろんな文書を書かなければいけないということがあって、そういうことも相当医師の負担になっているという声もよく聞きます。民間の医療保険の診断書を何通も書かなければいけないという話も聞きます。そういったことについては、厚労省も省としてできることをいろいろお考えいただければありがたいと思っています。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、鶴田構成員、それからハイ構成員、どうぞ。

○鶴田構成員 私は、先ほどの今村先生の発言と重なりますが、3のポツ3のところ「国民の理解」ということに関してですけれども、私が静岡がんセンター医監の立場で職員の皆さんの意見を聞いたら、医療提供者だけではなくて、医療を受ける人に対して理解を深める行動が必要であろうとの意見がありました。具体的に言うと、例えば定時手術において患者さんの説明をする時に、家族が会社を休めないから土日にしてくれとか、時間外にしてくれとか言われると、そういう対応をせざるを得ないということがあるので、そういう問題とか、例えば亡くなるときに、担当医は必ずいないといけないのか、当直医で対応すればいいではないかとか、あと、産婦人科関係について言えば、お産は総合周産期センターでは医師1人当たり年間60名前後。診療所、開業している先生のところでは230名とか240名扱っています。だから、そういうかかり方とか機能分担をすれば働き方も変わると思います。

 したがって、この部分の議論を少し深めてもらって、医療に対するかかり方の議論も少ししていただければいいのかなと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、ハイ構成員、どうぞ。

○ハイ構成員 ありがとうございます。

 方向性の一つとして入れていただきたいのが、働き方改革なのですが、働く場というところ、病院であり、診療所であり、いろんな施設、そこの経営者に対しての意識改革というのがマストだと思います。

 もう一つ、いろんな病院経営者とお話をしておりますと、渋谷構成員がおっしゃったように、医者の自己犠牲でこれまで頑張ってきたと。自己犠牲を仮に残業代や労働時間の対価として払うとなると、病院経営としては非常に厳しいというお声を聞いております。

 当然ながら経営者の自助努力は必要だと思います。ただ、適正な労働時間、残業時間等に対して何らかの価値、対価を支払われるというのは、労働者としては当たり前のことでございます。その原資の話。例えば病院経営者が自助努力でその原資をひねり出すのか、それとも国、厚労省を挙げての働き方改革に対して、診療報酬を絡めてでしょうか、そういったところも理想論だけではなくて、現実性の高いところまで持っていかないと、働き方改革は現場ではなかなか進まないと思います。

 労働時間を考えること、医者の健康、当然さまざまな論点があると思いますけれども、実際に病院、診療所、医療機関が前に進むためには、ある程度エンジン、ガソリンとなるようなものの議論も必要かなと思っております。その点を入れていただけると助かります。

○岩村座長 ありがとうございます。

 では、馬場構成員、それから村上構成員ということでお願いいたします。

○馬場構成員 私自身は、ここに書いてある論点は全て正しいと思っておりますが、3の「関連して整理が必要な事項」の2つ目に「病院の機能、医師の偏在、へき地医療等、適切な地域医療提供体制の確保との関係」と1行すっと書いてありますが、ここで法的に正しい、あるいは倫理的に正しい改革がなされても、地域医療提供体制が壊れてしまったということになれば、もう身もふたもないということになりますので、ぜひ3番の2つ目の項目は非常に大事なのだということを理解していただきたいと思いますし、「病院の機能、医師の偏在、へき地医療等」と書かれてありますと、あたかも僻地とか過疎地域のみすごく大変なこと、医療提供体制が崩壊する可能性があるかのようなミスリードを受けますけれども、先ほど岡留構成員が言われたように、救急とかそういった分野においては、例えば年の救急においても一歩間違えれば救急崩壊、医療崩壊につながりかねないということをぜひ理解しておいていただきたいと思います。

○岩村座長 ありがとうございます。

 では、村上構成員、どうぞ。

○村上構成員 今後の進め方について、要望を3点申し上げます。

 1点目は、前回も申し上げましたが、医師の勤務実態の把握に関しまして、本日資料を出していただいておりますが、厳しい勤務実態を把握するためにも、ぜひ過労死、過労自殺事案の関係者のヒアリングも行っていただきたいと思います。

 2点目は、先ほど工藤構成員からも関連して発言がありましたが、2の勤務環境改善策を議論する際には労働時間管理等も重要であり、実際に病院でどのように労働時間管理や把握が行われているのかということについて、何か実態を示すデータなどがあればお示しいただけないかと思っております。

 また、労働時間法制に関する資料2の10ページに、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が抜粋で示されておりますが、このガイドラインの中では労働時間は客観的に把握されるべきということも書かれております。そういうことが、病院ではなされているのかどうかということについても、ぜひ実態把握をしたいと考えております。

 3点目は、先ほど御意見がありましたように、衛生委員会などが開催されているか、恐らく労働安全衛生関係の調査にデータはあるのではないかと思いますので、既存のものでもよいので、お示しいただけないかと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 時間が迫っているので、今、三方がお手を挙げていらっしゃるので、そのお三人で終わりということにさせていただきたいと思いますし、なるべく簡潔によろしくお願いいたします。それでは、中島構成員、福島構成員、赤星構成員ということでお願いいたします。

○中島構成員 ありがとうございます。

 私のほうは3番の○3つのところで、先ほども意見が出ましたが、地域医療提供体制のところで診療所医師のフォロー。最近重症な患者さんがそのままぽんと在宅に帰ってくるような場合が多いですので、ここの医師間の連携をもうちょっと柔軟にできるような制度を考えていただけるといいかなと思いました。

 あと、タスク・シフティングについてですけれども、今、医師にどれだけ負荷がかかっているのかというのを看護管理者も少し可視化して見て、ナースから積極的にタスク・シェアリングができるような働きかけができるといいかなと思っています。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 では、福島構成員、どうぞ。

○福島構成員 医師の勤務実態の精緻な把握ということですが、今から新たに大規模なアンケートというのはなかなか難しいと思うので、今、いろんなところでほかのさまざまなアンケート調査が出ておりますので、そういったものも参考に考えてはどうかと思います。

 勤務環境改善支援センター等の機能強化ということに関しては、先ほどの連携の内容を明確にして、皆さんにメッセージをということには賛成です。

 それから、勤務環境改善支援センター、ほかのセンターもそうですが、今、センター自体がどんなことをしていったらいいのかというのがわからない状況なので、これをセンターごとの自主的なやり方に任せるだけではなくて、ある程度の方向性を示してあげるとよろしいのではないかと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、赤星構成員、どうぞ。

○赤星構成員 私から2点申し上げさせていただきたいのですが、先ほどハイ構成員のほうからもあったのですけれども、70時間以上勤務とかそういうのを望まれている現場のお医者さんというのはほとんどいないと思うのですが、それを実際実現できていない実態があるということを考えると、経営する病院側の資金繰りとかそういうところにも問題があると思いますので、そういうところからも調査ができていければなと思っています。

 働いている側としては、特に若手で救急科だと、文書作成とかそういうものに割かれている時間が実際は物すごく多くて、タスク・シェアリングとかそういうので前から言われていると思うのですけれども、何でそういうのができないのかというのは、医師の専門的な判断が必要なのかどうか、あるいは人が雇えないのかとか、そういうところまで踏み込んでいければ議論がもっとできるのではないかなと思っていますので、よろしくお願いします。

○岩村座長 それでは、豊田構成員、どうぞ。

○豊田構成員 私は、患者サポートに関する業務を病院の中でずっと担ってきたのですが、今回の論点案は患者サポートの観点からしても全て必要だと思っています。その中で、先ほどから先生方からのご発言に出ていますように、患者さんが頼んだ書類が遅いという苦情であったり、患者さんが不満を持つという実態が多くあると思います。休みのときにも出てきてほしいという要望や、無謀に見えることが実際にあって、でもそれは、患者さんからすると事情があり、何かしらの手だてを講じてほしいと思う中で、それを医師が一人で対応するということではなく、環境改善として、皆さんがおっしゃっているようにタスク・シフティング、タスク・シェアリングの活用が必要だと思います。できれば医師の業務はどのような内容があるのかということを具体的に示して、そこでほかの職種の人たちがどうかかわれるのかというところまで見ていただかないと、なかなか実際の現場で実践できない気がしますので、業務内容を示していただけるようなことをお願いしたいと思います。

○岩村座長 ありがとうございました。

 資料1の論点案につきまして、いろいろ御意見、追加案等もありましたので、きょう出た御意見も踏まえて、論点案についても事務局のほうで御検討いただければと思います。

 開催要綱、参考資料1にもありますように、この検討会の課題というのは、働き方改革の中で、時間外の労働規制が強化されるというのが医療機関にも適用があるということを前提としつつ、規制の具体的なあり方とか、労働時間の短縮等について検討するというものであります。しかしながら、きょう何人かの構成員の方々からも御意見がありましたように、単に時間の問題だけを考えればいいという話ではなく、病院の勤務体制そのもの、あるいは医師の皆さんの働き方のあり方、その他さまざまなものを視野に入れつつ、実効的なものを考えていくということでございまして、そういう意味では、限られた時間の中でこの検討会で結論を出すというのはなかなかハードだなという実感がございます。

 そこでお願いでございますけれども、きょういろいろ御示唆いただいたり、あるいはこういうデータがあるのではないかということで御示唆いただいたりしておりますので、可能でありましたら、もしそういう資料等がお手持ちのなかにあれば、直接事務局のほうに御提供いただけますと時間の節約にもなるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次回以降、きょういただいた御意見も参考としつつ、議論を進めてまいりたいと思います。

 最後に、次回の日程等につきまして、事務局のほうからお願いいたします。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 次回検討会の日程につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、きょうの検討会はこれで終了させていただきます。きょうは遅れまして大変申しわけございませんでした。

 ありがとうございました。


(了)

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