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2017年10月5日 第58回先進医療会議

○日時

平成29年10月5日(木)15:58~17:24


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14B(14階)


○出席者

【構成員等】
宮坂座長 石川構成員  柴田構成員 福井構成員
藤原構成員 山口構成員 横井構成員 矢冨技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療迅速評価専門官
保険医療企画調査室長 先進医療専門官 他

○議題

1 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)
 2 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-2)(別紙2)
 3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-3)
 4 先進医療Bの取り下げについて
   (先-4)
 5 先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(案)
   (先-5-1)(参考資料)(別紙)
   (先-5-2)
   (先-5-3)
 6 粒子線治療に係る統一治療方針の修正案の取扱い等について
   (先-6-1)(参考資料1)(参考資料2)(参考資料3)
   (先-6-2)(参考資料1)(参考資料2)

○議事

15:58開会





 

 

○宮坂座長

 多少定刻より早いのですけれども、第58回「先進医療会議」を開催したいと思います。

 それでは、先生方の出欠状況ですけれども、本日は五十嵐座長代理、梅村構成員、福田構成員、山本構成員より御欠席との連絡をいただいております。

 また、事前評価をしていただいた矢冨技術専門委員に御出席いただいております。

 欠席されます4名の構成員からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされています。

 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第、おめくりいただきまして座席表、その次に構成員名簿をおめくりいただきます。

 その後に、先-1「先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について」としている横紙の資料がございます。こちらに別紙1がついてございます。

 続きまして、先-2「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」としている横紙の資料がございます。こちらに別紙2がついてございます。

 次に、先-3「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」としている左上、ホチキスどめの資料がございます。

 次に、先-4「先進医療Bの取下げについて」としている横紙の資料がございます。

 続きまして、「先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(案)」としている資料が先-5-1から先-5-3までございます。先-5-1には、参考資料、別紙がついてございます。

 最後に、「粒子線治療に係る統一治療方針の修正案の取扱い等について」としている資料が先-6-1から先-6-2までございます。先-6-1には、参考資料1から3が、先-6-2には、参考資料1と2がついてございます。

 資料の確認は以上でございます。資料について、不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡ください。

 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思っております。届出書類等については、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料のページ、またはタブレットのページとあらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上、助かりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○宮坂座長

 資料等につきましてはよろしいでしょうか。

 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について、事務局から報告をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、今回検討対象となります技術に関しての利益相反について御報告いたします。

 福井構成員より、先進医療Aとして評価を行う整理番号333の技術について御報告がございました。福井構成員におかれましては、利益相反についてはありませんけれども、自らが所属する保険医療機関からの届出に係る医療技術であるということから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないこととなっております。

 以上でございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 次に、事務局から「先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について」の御説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 資料先-1をごらんください。先ほど御説明いたしましたとおり、整理番号333の技術につきましては、福井構成員が当該技術に関する検討及び事前評価に加わらないこととなっておりますので、大変申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。

(福井構成員 退席)

○医療課長補佐

 今回、御審議いただきます技術は、整理番号333Birt-Hogg-DubeBHD)症候群の遺伝子診断」でございます。

 適応症につきましては、Birt-Hogg-DubeBHD)症候群及びBHD症候群が疑われる気胸・肺嚢胞・皮膚腫瘍・腎腫瘍の患者となっておりまして、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。

 こちらの事前評価は、柴田構成員、及び技術専門委員としまして矢冨先生にお願いしてございます。総評としては、条件付き適の御評価をいただいております。

 続きまして、別紙1の3ページをごらんください。御審議に先立ちまして、当該技術を実施するための医療機関の要件(案)について御説明させていただきます。

 現時点の案といたしましては、実施責任医師の要件としまして、診療科としては泌尿器科を要する。

 資格として、臨床遺伝専門医及び基本領域専門医資格を要する。

 当該診療科の経験年数は、不要。

 当該技術の経験年数は、3年。

 当該技術の経験症例数は、実施者として5例以上が必要。

 その他として、BHD症候群にかかる診断及び治療経験が3年以上を要するとなってございます。

 医療機関の要件といたしましては、診療科として、泌尿器科、病理診断科、呼吸器科、皮膚科及び放射線科を有する。

 実施診療科の医師数としましては、常勤の泌尿器科専門医が2名以上必要。

 他診療科の医師としまして、病理専門医、臨床遺伝専門医が各1名以上必要。ただし、両方を有する場合は1名以上となっております。

 その他の医療従事者の配置としまして、臨床検査技師が必要。

 病床数が200床以上必要。

 看護配置として7対1看護以上が必要。

 当直体制は必要で、1名以上いること。

 緊急手術の実施体制が必要。

 他の医療機関との連携体制は不要。

 院内検査は、24時間実施体制が必要としております。

 また、医療機器の保守管理体制が必要。

 倫理委員会による審査体制としまして、倫理委員会が設置されておりまして、届出後、当該療養を初めて実施するときには、必ず事前に開催することとしております。

 医療安全管理委員会の設置は必要。

 医療機関としての当該技術の実施症例数は10例以上必要となっております。

 その他の要件は不要となっております。

 以上でございます。

○宮坂座長

ありがとうございました。

 これから柴田構成員、矢冨技術専門委員に御説明をいただきますけれども、その前に、この遺伝子診断が本症の診断に絶対的に必要なのかどうかということが1つ問題だと思います。と言いますのは、この疾患は指定難病ではないですけれども、指定難病などに入ってきている疾患では、遺伝子診断を確定診断のために絶対必要としているものと、遺伝子診断がなくても、デフィニットでなくてもプロバブルであれば診断してしまうものもある。

 これに関しては、中身を読むと、遺伝子診断が必要で、それが国際的なコンセンサスだと書いてあるのですけれども、1つ、その点が問題なのかなと。この症候群の診断に遺伝子診断というものが絶対的に必要なのか。もちろん、遺伝子がわかったほうが診断が確定するというのはわかると思いますけれども、遺伝子診断がある場合とない場合で、疾患の感度特異性に違いがあるのかどうかというのは、何か情報をお持ちですか。特にないですか。

 はい。                      

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 申請医療機関から御提出された、柴田構成員からの御指摘事項に対する回答2が8ページにございます。

 こちらの1番におきましては、先行研究の成績から「臨床病理学的にはBHD症候群が疑われる」という条件を満たした場合に、今回の遺伝子診断で陽性となる割合は98%であった。本研究において、この割合が著しく落ちるようであれば、適用基準を見直す余地があるという御回答は頂戴しております。

 ただし、BHD症候群の、先ほどおっしゃっておられたような臨床診断の診断項目に関しましては、論文ごとにかなり異なっておるようでございまして、幾つもの診断基準がある中で、それぞれの臨床診断基準と、今回のような遺伝子診断との一致率に関するデータに関しては、希少疾病でもありまして、申請医療機関からは出されていないというところでもございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 臨床的に診断するのは、16ページに大基準と小基準があって、大基準の3項目のうち1項目、それから小基準の6項目中2項目を満たせば診断して、それで遺伝子診断に持っていくということですね。その辺が少し問題点かなと。従来の先進医療とちょっと趣を異にするのかなという気がしたのですけれども、この点について、何か御意見ございますか。特になければ、それぞれの方から御説明いただこうと思いますけれども、よろしいですか。

 また、それが出てきたらディスカッションすることにして、それでは、この整理番号333でございますけれども、事前評価を担当した柴田構成員より、技術の内容及び評価結果についての御説明をお願いいたします。

○柴田構成員

 お手元の資料、別紙-1の11ページをごらんください。こちらに概要(先進性)の項目がございますが、Birt-Hogg-Dube症候群は、1970年代にBirt-Hogg-Dubeらによって報告・発見された家族性の疾患であるそうですが、それが2002年になって責任遺伝子が特定できたということだそうです。今回は、その遺伝子診断が実施可能になるものとされておりまして、効果として、こちらにマル1からマル5までに挙げられたようなことが期待されるという技術であるとのことでした。

 今、座長の先生から御指摘いただきましたように、遺伝子診断を確定診断に必要とするものである場合か、そうでないかで、今回提出されている研究計画書でどのような項目を調べればこの先進医療のよさが確定したものになるのかというのは、ちょっと変わってきます。もしも既に臨床的な診断のみで判断がついて、それ以外の情報、さらに深い情報、治療選択であるとか今後の予後のフォローアップのために追加で情報をとる場合であれば、別途検討しないといけないことが出てくると思うのですが、ここでは申請者の先生方の御説明のとおり、確定診断に遺伝子診断が必要であるということを前提に議論を進めさせていただいております。

 照会事項として、お手元の別紙-1の4ページから10ページまで、いろいろなことを確認しております。これは、少なくとも臨床的に遺伝子診断を行うために必要であるというところについては、もしそれが前提として正しいのであれば問題ないと思いますので、そのほかのテクニカルな評価項目等について問うたものです。これについて、一定の御回答はいただいておるのですが、細かいところで修正していただいたほうがよいところがあると思いますので、それは書類上の変更が必要になるかと思います。

 最終的な判断ですが、別紙1の1ページに書いております。

 適応症は妥当であるとしております。

 有効性については、後ほど矢冨先生に御専門のお立場から御評価いただきたいと思いますけれども、この申請されている研究計画の内容を拝見するとBとしておりますが、否定されるようなものではないと考えております。

 安全性、技術的成熟度、倫理性等についてもAとしております。

 現時点での普及性に関しては、Cとしておりますが、効率性のところも問題はないと考えております。

 きちんとした評価がなされるのであれば、将来的には保険収載を行うことが妥当であると判断いたしました。

 コメントのところには、先ほど申し上げましたように、評価をする際にどのような項目で評価するべきかという点で、ちょっと曖昧なところがあります。1つ具体的に挙げますと、13ページにロードマップがございます。ロードマップの下のほうに企業として、100%(1616)の診断精度を目標に診断法開発に向け共同研究を行うと書いてございます。この共同研究は非常に重要なものであると考えますが、100%の診断精度とははそもそも何を指しておられるのか、ちょっとわからないところがございますので、この16項目の内容についても特定した上で、何をもって診断精度を議論されておるのかというのを書面上、確認した上で適とすべきかと考えております。

 ただし、その確認については、先進医療Aとしての本質を損ねるようなものではない、臨床的な意義を損ねるものではないと考えておりますので、再審議ということではなく、条件付き適とさせていただきました。

 以上です。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に何か質問あるいはコメントございますでしょうか。

 この13ページを見ると、一番下の「エンドポイント」というところに、BHD症候群診断被験適応基準及び診断法の確立。それがエンドポイントだと書いてあるので、この結果を見て、遺伝子検索をすることが診断に必須なのかどうかを確認するということなのでしょうか。

○柴田構成員

 そこが冒頭、先生から御指摘いただいた御質問が出る背景にあると思います。これを読むと、遺伝子診断の意義というのは、まだ宙ぶらりんであるかのように思えるところもありますが、意図として、確定診断には必要なのだけれども、どこまで対象となる方を広げたらいいのか、狭めたらいいのかということについて、見直しをするということであればリーズナブルだと思います。

○宮坂座長

 最初のほうを読んでいると、この症候群は、もし早く診断できると腎がんのスクリーニングができる。腎がんがひどくならないうちに診断できる可能性がある。だから、これが必要だというロジックなのです。そうだとすると、確定に必要なのかなと思っていると、エンドポイントがちょっと違う書き方で、そこが内容的にずれているのかなという気がするのですけれどもね。

○柴田構成員

 恐らくこの技術を施行されている先生方の臨床的な御判断というのは、そんなにぶれていないのだと思いますが、それを研究計画書に落とし込むときに、先生方のお考えの意図と研究計画書上の表現とに乖離が生じているのではないかと考えておる次第です。言いかえますと、この技術自体が不適切なものであるとか、技術の施行自体が不適切なものであるとは考えていないということです。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、矢冨技術専門委員がいらしていますので、矢冨先生の評価結果について御説明いただいて、また必要であれば討議したいと思います。

 よろしくお願いします。

○矢冨技術専門委員

 よろしくお願いします。

 資料の2ページでございます。

 適応症に関しましては、妥当であると考えました。

 有効性に関しましては、これは遺伝子診断以外の技術を用いた場合と比べると、という観点で有効と考えました。

 安全性に関しては、問題ないと考えられます。

 技術的成熟度に関しましては、当該分野を専門とし、「数多く」というのをあえてつけましたけれども、経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行えると考えました。

 倫理的問題等はないと考えられます。

 現時点での普及性に関しましては、罹患率、有病率から勘案して、普及していないと判断してよろしいかと思います。

 効率性に関しましても、遺伝子診断を行わないときと比べると、効率的に確定診断が得られるのではないかと予想いたしました。

 将来の保険収載の必要性に関しては、妥当と考えました。ただ、皆さん御存じのように、現在、難病の診断に必要な遺伝子検査は保険収載されていますけれども、いわゆる薬事承認されたキットに基づくものは数少ないものであります。このBHD症候群に関しましても、現状では、そういった観点で見ますと、薬事承認されるキットが開発される可能性は余り高くないのではないかと思っております。そういった点で、それにもかかわらず、品質性能の保証が必須ということで、この計画を読ませていただきますと、高い診断精度を目標とした、衛生検査所登録済の研究所と共同研究されているのは適切と判断しております。

 以上です。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に何か御意見、コメントございますでしょうか。

 矢冨先生の2ページのコメントに書いてある、有効性、効率性に関して、遺伝子検査なしでBHD症候群を診断する場合との比較である。だから、前提に遺伝子検査があることで、その遺伝子が同定されることが、この病気の診断のゴールデンスタンダードであるというお考えでよろしいですか。

○矢冨技術専門委員

 そういう印象を持ちました。この症候群は、臨床症状がかなり多彩であると思いますので、経験を蓄積して、それぞれに遺伝子診断による裏づけがあれば、将来的にかなり正確な診断が可能になるかなという判断のもとに書かせていただきました。

○宮坂座長

 ほかに何か御意見、コメントございますか。

 どうぞ。

○山口構成員

 ちょっとよく理解していないのではないかと思いますけれども、15ページには、これが絶対必要という書き方で、それに付随して、いろいろいいことがあると書いてあります。

 施設基準、医療機関の要件ですけれども、これは遺伝子診断するところの要件ですね。ということは、12ページのスキームの真ん中のところの、シーケンス解析、遺伝子変異部位の同定、変異かどうかデータベースから確認のところまでの技術だと思います。そのデータをどういうぐあいに利用していくかということは、こういう要件が要るかと思いますけれども、遺伝子診断をするだけだったら、こんな要件は全然要らないのではないかと思いますが、どうでしょう。

○宮坂座長

 この点に関して、事務局、何か御意見ございますか。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 この施設要件については、申請時より申請医療機関とも話はしているのですけれども、恐らく本技術を実施可能な医療機関は、今回の申請医療機関ともう1医療機関ぐらいだろうと。その2つの医療機関ぐらいで実施することをまず目標にしたいので、こういったやや厳しい施設基準にしたと言われていたのですけれども、実際に遺伝子検査のみを実施するに当たっては、もう少し緩和することは可能かと考えております。

○宮坂座長

 今の点について、ほかに何か御意見ございますか。

 特にないようであれば、今、お二人の評価結果どおりということでよろしいでしょうか。柴田先生のほうで、書類については見直していただく。だけれども、この申請の内容は全体を損ねるようなものではないので、書類の点では多少修正するけれども、これを構成員の評価どおり決定するということに関しては、特に御異議はございませんでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 どうぞ。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 先ほど山口先生から御指摘いただきました施設要件の変更に関しては、このままでよろしいでしょうか。

○宮坂座長

 ちょっとペンディングだったのですけれども、これは診療するほうの要件ですね。検査をするほうの要件ではないですね。だから、本来は診療するほうも、この疾患を的確に診断できるものの基準として、ここに書かれているわけですね。これが厳し過ぎるかどうか。

 はい。

○山口構成員

 例えば、普通のヘマトクリットとか、そういう簡単な検査ではなくて、解釈が非常に重要なので、差し当たってこういう形でやるのも適切かと思います。

○宮坂座長

 わかりました。

 どうぞ。

○石川構成員

 福井先生が入ってきてからでも別に構わないのですけれども、もっと一般論で、こういう遺伝子検査の保険収載まで向かうことについては、これからもっといっぱい出てくると思うのです。それで、座長の先生が最初にそういうふうにおっしゃったのだと思いますけれども、今回の症例においても、私はBHDに対して、そんなに深い経験がないのでわからないですけれども、これだけ多彩な症状があれば臨床的な診断はついて、そういう方は、例えば腎がんの検診を毎年やるとかいうことで、治療とか、そういったものにつながるのです。

 これを保険収載させるかどうかというのは、我々の判断にはならないと思いますけれども、こういうことが実はまだまだいっぱいありまして、それはむしろ保険収載されている疾患よりももっと多数あって、それがこのように出てきたら、もう大変な騒ぎになるのです。ですから、先進医療で出して保険収載まで道を開くのかどうかということについて、きちんと議論しておかないといけないと思います。

○宮坂座長

 おっしゃるとおりで、実は私もその点は非常に心配しております。例えば、指定難病では、さっき申し上げたように、診断のための必須項目として入れてあって保険収載されているものも一部あるのですけれども、その診断の確定には、少なくともデフィニットでなくても指定難病としては認める。プロバブルであれば認める。ポシブルは認めないというのもありますけれどもね。

 ところが、実際にはその費用負担を誰がするか。例えば遺伝子検査とかですね。こういう形にすれば保険収載のところまでつながる可能性というのはあるのですけれども、それ以外に無数の、今、指定難病、330ありますけれども、そのうちのかなりのものは、今、遺伝子検索ができるようになってきているという問題もあります。それから、稀少疾患を入れたら、実は何千とある。3000ぐらいはあるはずなので、そのうちの少なくないものが、こういう形で入ってき得るというので、私も実はそれを心配していて、最初に申し上げたのはそういうことなのですけれどもね。

 はい。

○石川構成員

 私、小児科ですから、こういう遺伝子異常といいますか、子どもたちの奇形とか、そういったものは随分いっぱい経験しています。それが直接的に解明すれば、診断名が解明して、治療とか、そういったものに非常に大きな影響を与えるということであれば、お母さんにも保険収載されていなくても遺伝子診断をお願いする。例えば、今で言えば、QT延長症候群とか、そういうものも確定したほうが治療法がちょっと異なったりしますので、そういうことはあるのです。

 しかし、そういうことがわからなくても、例えば多くのトリソミーといったものは、発達を支援するということが一番大事な治療になるので、診断に余り関係なければ、いつか保険収載されたときに検査しましょうという文言になるわけです。ですから、そういうものはいっぱいありますので、そういう振り分けをしないと、研究者のどなたかが、この病気にはこの診断が絶対必要だと言って、また挑戦してくる、先進医療に持ってくるということがあると大変なことになると思います。そういう点では、線引きをしていただいたほうがいいかなと思います。

○宮坂座長

 ですから、この課題について、私も認めてもいいかなと思ったのは、13ページのエンドポイントのところで、この遺伝子検索の意義をさらに診断確立のために有用であるかを確認するということもあったので、これについてはいいのかなと。ただ、今後、似たようなものが出てきたときには、その扱いはまた別になるかなという気はしているのです。そういうふうにして、今の時点で、これについてはお認めするということなのかなと、私自身、今は考えているのですけれども、何かほかに御意見ございましたら。

○山口構成員

 ゲノムは、議論を聞いていてもまだ明確でないところがたくさんあるのですけれども、私の理解では、遺伝子のデータというのは、その意味をきちんと説明できる人がいて、しかもエキスパートファイルをつくって、それを病院のほうに流すわけです。病院のほうでは、それを適切な形で患者さんにわかりやすいように遺伝子情報を伝えるという役割がある。先ほどちょっと申し上げたように、今までみたいに検査に出して、そのデータを聞いて、はい、これですよというわけにはいかないので、そういう仕組みをつくることが大事だと思います。

11ページの効果の1に、こういう施設を日本に確立することで、安心感をもってやれるということが書かれております。極めて限られた病気で、しかも急速に進歩したことなので、早急にこういう体制をつくってやってみたいということだと思います。経費も大したことはありませんし、数も限られているから、こういうところでモデルになるような形ができたら、私はいいのではないかと思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 ほかに何か御意見ございますか。

 それでは、結論は変わらないということで、この事前評価結果どおりと決定したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、福井先生にお戻りいただきます。

(福井構成員 入室、矢冨技術専門委員 退室)

○宮坂座長

 次に、事務局から「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」の資料が提出されておりますので、御説明をお願いしたいと思います。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 資料先-2をごらんください。

 今回、御審議いただきます技術は、整理番号117「既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対するニボルマブ+ドセタキセル併用療法でございます。

 適応症については、既治療の進行・再発非小細胞肺癌となっており、かかる費用については、資料にお示ししたとおりでございます。

 こちらの事前評価は、横井構成員にお願いしてございまして、総評として適の御評価をいただいております。

 以上でございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、整理番号117の技術について、横井構成員より、技術の内容及び評価結果についての御説明をお願いいたします。

○横井構成員

 出されました臨床試験は、既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対する標準治療は、現在ニボルマブになっておりますが、そのニボルマブにドセタキセルを併用して、殺細胞性抗がん剤による上乗せ効果を期待するというランダム化比較試験で、その有用性が確認できれば有益だと判断いたしました。

 社会的妥当性、倫理的問題は、総評のところにちょっと書きましたけれども、改訂されるということですので、倫理的問題はないといたしました。ただ、現在、ニボルマブに他剤を併用することは基本的には認められておりませんので、罹患率、有病率から勘案して、普及はしておりません。

 それから、効率性としましては、やや効率的と書きましたけれども、パイロットスタディーでニボルマブに抗がん剤を併用された試験がわずかには行われておりますけれども、ドラマチックに変化したという報告は今のところないと思います。もし、有用性が認められれば、それも一つのアームになると思います。

 それから、将来の保険収載の必要性ですけれども、皆様も御存じのように、非常に高価な薬剤に、その上にまた抗がん剤を上乗せしていくということですので、費用対効果は何らかの方法で検討されたほうがよいと思います。

 それで、総評のところで適と書きましたが、私の手元に届いたプロトコルを拝見しましたところ、少し問題があると判断しました。

4ページから7ページに現在の肺がん診療ガイドラインをコピーいたしました。紫色で囲みましたものが本試験の対象症例になります。その中で、赤枠で囲みましたのがニボルマブよりも先行する推奨グレードが高い治療の部分がございます。4ページの一番上に赤枠が2つありますけれども、上の部分はプロトコルに書かれておりますが、下の部分は記載がありませんでした。

 それから、5ページの赤枠も記載がございませんでした。

 それから、6ページは、ALK陽性のがんに対してはアレクチニブを行う等々が書かれておりますが、これもプロトコルには記載がございましたが、7ページのROS1の陽性に関しては記載がございませんでしたので、そういうものについて、ガイドラインに沿って、推奨グレードAのものを、この該当する症例にまずは行ってほしいということで改訂を求めましたところ、最終的に総評の下から4行目ですけれども、「ドライバー遺伝子変異陽性の場合は、ガイドラインで推奨されるTKI治療が先行されていること(遺伝子変異ごとに、それぞれ1次または2次治療まで、具体的に推奨されるTKI治療が終了していること)」という一文を試験実施計画書の適格基準に記載することとなりましたので、適といたしました。

 以上でございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明につきまして、何か御質問ございますでしょうか。

 修正を加えていただいて、抜け落ちているものについて、必要なものは先にやった上で、この治療に取りかかるということですね。よろしいでしょうか。

 あとは、費用対効果を何らかの検討をすることが必要であるということは付記されていますけれども、この申請自体をお認めいただくということでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○藤原構成員

 科学的には全然問題ないと思いますけれども、私、技術審査部会のほうで担当させていただいたときに、当初疑問に思ったのは、このオブジーボを製造しているメーカーの小野薬品が3億円近いお金をアカデミックなグループに入れて、通常の治験ではなくて、先進医療という形でこの試験を組んでいるということでした。十分もうけているのに、治験をやらずにわざわざ先進医療Bでやる意義は何かというのが一番よくわからなかったのです。そこで、入った3億円に近い費用が適正に使われているかどうかというのが一番気になったので、この報告書の別紙2の28頁から31頁のあたりに、費用内訳を精緻に申請者の方々に回答していただきました。

 その内訳を見ますと、非常に適正に、このぐらいのサンプルサイズの臨床試験であればればこのぐらいだろうという額が使われるということで、いいかなと。別に無駄金が入っていて、試験研究者などに余計なお金が入っていないということは理解したので、よいと思ったのですけれども、今後もこういうスタイルの先進医療Bが幾つか出てくると思うのですね。

 その際に、最近私どもの施設であった治験審査委員会マターで、こういう企業からお金が入って、AROといいますか、中間に入っている財団とかNPO法人とかが臨床試験をオーガナイズするところに多額の費用が入っているので、その費用の開示を大学さんに求めたのですけれども、守秘義務があるから出せませんと回答してきたのです。そういうものを見ていると、マネーロンダリングがすごくされていて、適正にお金が使われていない可能性もあるということも懸念して、今回のようなケースは非常に真摯に対応していただいていますけれども、そうでない大学さんも結構あるということを注意喚起したいです。

 今度、来年から臨床研究法が入って、こういうCOIのところが非常に厳しく見られることになると思いますけれども、現状では、間に入っている臨床試験を専門に行う法人がいいかげんな金をもらって、一部搾取して安い金で臨床試験をやっているという実態も多分あると思うので、今後もこういうケースは気をつけていただければと思います。

○宮坂座長

 これは、1つには、こういう形でお金を出しても、企業治験をやるよりは安くて済むということがあるわけですね。ちょっと余談になるかもしれませんけれども、たしか乳がんの治験で「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に出たやつで、ある財団にお金が入っていて、そのお金で治験をしたのだけれども、「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の論文には利益相反の開示はされていないということがありました。関係した施設は明記されていますけれども、この財団に入っていなくて、それをある雑誌がすっぱ抜いて、一部では議論の対象となったということがあると思います。

 ですから、これに似たケースというのは、今、藤原構成員がおっしゃったように、次々と出てくる可能性というのはあるわけです。企業治験はやりにくい。このため、医師主導でやる。そのときに、従来だと医師主導はそれぞれの大学が委任経理金を受けてやっていたのだけれども、昨今ふえてきているのは、AROみたいな組織をつくって、そこにお金を入れて、そこが臨床試験をやるという形で、従来の医師主導治験ともちょっと違う、企業治験とも違う形になってきている。臨床研究法が施行されれば、そういう問題はもしかするとなくなるのかもしれないですけれども、今、過渡期の点ではあるわけですね。

 この点について、御意見、何かほかにございますでしょうか。

 どうぞ。

○石川構成員

 藤原先生のおっしゃることは、本当によくわかるのですけれども、最後に注意するというので、恐らく先生、具体的にどうしたらいいかという提言を持っておられると思います。そこを披露していただくと、もっとわかりやすい。

○藤原構成員

 先ほど言いましたけれども、内訳をきちんと見て、それが通常の臨床試験を行う相場にちゃんと合っているかというところを確認する。これは、先進医療会議でやるのか、むしろ費用の話なので中医協のほうで見ていただくのかというのは、私としてはわかりませんけれども。私が聞くときには、自分たちの病院で同じような臨床試験をやっていますので、そういう中から契約をいろいろなCROとしたりとか、あるいは企業さんと契約する場合もありますので、その中で相場というものが大体決まっているので、その費用に比べて、非常に外れていないかというのは見るようにしています。そこがポイントかなと思います。

○宮坂座長

 どうぞ。

○石川構成員

 そうしましたら、それを今後は、例えばデフォルトみたいな形でやっていく内訳みたいなものを推奨するということですね。

○藤原構成員

 私どもの施設でもっている費用積算表。最近は、どこの臨床研究中核病院も費用積算表は持っていますので、みんな、そんなに違いはないので、それを審査の際に持っていただいて、委員の先生方に見ていただいて、大きく外れないということは十分確認できると思います。

○石川構成員

 わかりました

○宮坂座長

 ほかに何か御意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

○藤原構成員

 さっきの「ニューイングランド・ジャーナル」、私もその法人の学術アドバイザリーボードの委員をやっているので、ちょっとCOIがありますけれども、あれは治験ではなくて臨床試験です。

○宮坂座長

 臨床研究ですね。訂正します。ただ、その財団にお金が入ったこと自体が開示されていなかったという問題はあるわけで、そういったことに余りここが巻き込まれないようにしなければいけませんし、その費用対効果ではなくて、積算も含めて、今回は説明がなされているということで、お認めするという御意見だったと思います。

 今回、構成員の評価結果どおりで決定したいと存じますけれども、それでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、そのようにさせていただきます。

 その次、事務局から「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」の資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 資料先-3をごらんください。

 今回、告示番号62としまして、先進医療Bで実施されておりました「微小肺病変に対する切除支援気管支鏡下肺マーキング法」につきまして、東京大学医学部附属病院から総括報告書の提出がありまして、9月25日に行われました先進医療技術審査部会におきまして評価が行われたところでございます。

 技術の概要でございます。1ページ目の中ほどをごらんください。本試験は、術中に同定困難が予想され、切除マージンの確保に注意を要する微小肺病変を対象にしまして、術前にマーキングを施行することで、適切な切除マージンを確保した切除の成功率を上昇させることを目的とした技術でございます。術前のマーキングは、気管支鏡下にインジゴカルミンによるマーキングを施した上で手術を実施しております。

 主要評価項目は、微小肺病変切除成功率としまして、2cm以上又は腫瘍最大径以上の切除マージンを確保した切除と定義しました。主要評価項目、すなわち微小肺病変切除成功率につきましては、全209病変に対するマーキング及びその支援下の手術におきまして、切除成功率87.7%(95%信頼区間は82.491.9%)でございまして、閾値の90%以上は達成できませんでした。

 主担当の伊藤構成員からの御評価については、4ページ以降をごらんください。

 有効性については、B.従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である。

 安全性については、Bのあまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり)。

 技術的成熟度については、Bの当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できるとの御評価です。

 5ページ目の技術的成熟度のコメント欄をごらんいただきますと、主要評価項目は満たさなかったものの、切除成功病変割合は施設ごとに25%から100%までばらついているとされまして、施設間格差が述べられております。

 6ページ目の総合的なコメント欄におきましては、有効性の項目で述べられております、マッピングなしで正確な切除は困難だったと思われる割合が54.1%あったという結果を引用されまして、マーキング技術が必要な症例は一定程度存在し、本技術が肺部分切除術の支援に有用であることは明らかになったと述べられております。

 副担当の大門構成員からの御評価については、6ページ、中段以降をごらんください。

 有効性については、C.従来の医療技術を用いるのと、同程度である。

 安全性については、Bのあまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり)。

 技術的成熟度については、Bの当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できるとの御評価です。

 6ページ、下段の有効性についてのコメント欄をごらんいただきますと、本医療技術の有効性について、一概に否定的な立場に立つことに対して検討の余地があるかもしれないとされております。その要因としまして、主要評価項目の閾値設定が幾分厳しく設定されていたこと。さらに、成功割合が低かった4施設が、成功割合に負に影響します深部病変または切除縁の長い病変を取り扱った手術が多かったことなどを述べられております。

 御説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 この総括報告書は、残念ながら、当初の閾値の90%は達成できなかった。だけれども、非常にいい施設もあって、施設間格差が大きかったことが一つの理由だろう。その施設間格差は、今、御説明いただいたような理由で格差が生まれたのではないかということですけれども、何かただいまの御説明について御質問ございますでしょうか。

○藤原構成員

 先-3の2ページの総括のところですけれども、臨床試験としてのプライマリーエンドポイントは言えなかったにもかかわらず、総括のところで、本技術が部分切除術の支援に有用であることは明らかになったとか、合併症の懸念やCT室の拘束時間の軽減といった点においても、有用であると思われると記載されてしまうと、これから年末にあります診療報酬改定の際に、こういう先進医療Bの成果をもとに保険収載の議論をする評価委員の先生方が、詳細な先進医療の評価表の、伊藤先生、大門先生の総括表を読まずに、こっちの総括だけ読んで、「明らか」とか「有用」と書かれてしまうと、自動的に保険収載するという判断をされてしまう可能性もあって、そこは表現の仕方は変えたほうがいいかなと思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 これに対して、事務局のほうから何かコメントございますか。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 先進医療技術審査部会の座長でおられる山口先生とも御相談させていただきまして、検討させていただきたいと思います。

○宮坂座長

 どうぞ。

○藤原構成員

 というのは、一度苦い思いをしているというか、抗がん剤の腹腔内投与を先進医療Bでやったときに、サブ解析しかポジティブに出ずに、トータルで見るとネガティブだったのです。実際には、その次に何のを普通はやるかというと、サブ解析で差が出たところを、もう一本新たにプロトコルを立てて検証すべきところなのを、その研究者は、その後、患者申出療養のほうに流れてしまって、患者申出療養でやったら、結局、結果も出ないまま、100例とか、多くの患者さんがそれに参加して、結果の解釈は曖昧なままになって宙ぶらりんになってしまったという、私が見ていて苦い経験があります。

 どこかの段階でちゃんと冷静に書いておいて、その後はもう少し議論するというスタイルにしておいたほうが、我々、先進医療会議も守られるというと表現はおかしいですけれども、注意しないといけないかなと思って申し上げました。

○宮坂座長

 貴重な御指摘ありがとうございました。

 どうぞ。

○石川構成員

 ちょっと教えていただきたいのですけれども、施設の差がかなりあったということですけれども、例えば、今、藤原先生がおっしゃったように、これが保険収載のところまで行ったときに、一般的にこの方法でやれば、ほかの施設でも一定の成果が得られるということとは、この施設のばらつきがあるということは相反することだと思うのです。協力医療機関の選択の仕方というのがあるのかもしれないですけれども、そこのところが十分にちゃんと点検がされたのかどうなのかということと。

 これでいきますと、例えば保険収載に仮になったとして、それでやったときに、25%というところもありますので、そういう施設も出てくるのでは困るわけですね。この辺は、なぜそういう力の差が出てきたのかということの解明なしにしていいのでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思います。

○宮坂座長

 先ほど施設間格差が生まれる一つの理由を事務局は説明されたのですけれども、n数も少ないですから、本当にそれがそのとおりなのか、別の理由で施設間格差が大きいのか。だから、施設間格差を最小化できる、きちんとした、いい方法がわかれば、それをやるという前提で先に進めると思いますけれども、そこのところが私も非常に曖昧だという印象は持っているのですね。プライマリーエンドポイントをとにかく達成していないわけですから、事務局からの報告の仕方をかなり気をつけないと、技術専門委員の方の評価とずれてしまう可能性は確かにあると思います。

 ですから、そこは今、藤原構成員からも言われたように、少し慎重に対応して、また話し合っていただいて、最終的な報告をつくっていただくということでよろしいですかね。

 どうぞ。

○山口構成員

 この技術は、もともと色素でマークして、さらにコイルを利用して、2つ複合して正確に場所を同定してやるということで出てきたのです。全く別の技術なので、最もシンプルな形で確実なものからやりなさいということで、色素法からまず始めた。19ページにありますように、どうということのない技術で、内視鏡でマークして、そのマークに沿って切ったら取りやすいだろうというのがよくわかって、技術的にはそんなに高度なものではないのです。ですから、この研究をされた方も、恐らく当然うまくいくという思い込みがあったと思います。

 ところが、呼吸器外科の先生の中には、切り方のスタンスがちょっと一致していなくて、幾つかの施設では研究者が思うような切り方をしてくれなくて、そこのところでそごがあったということす。この研究を仕切り直しでもしやるとしたら、もう少し技術を一定にして、きちんとお互いに何回もこういうことでやろうということをやってからやらないと、またこのようなことが起きる可能性があります。大変もったいないような技術ですけれども、これは結果が出ましたので、ネガティブということで反省していただいて、もしこのまま出てきても認めるわけにはもちろんいかないということだと思います。

 藤原先生の御指摘、ごもっともで、曖昧なことが書いてあるので、ここは誤解のないようにちょっと直します。

 ありがとうございました。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 例えば9ページを見ても、切除マージンの測定をしてカルテに記載していない施設がある。それは、ちょっとまずいですね。だから、そんな基本的なことができていなくて、結局、プラマイリーエンドポイントが満たされなければ、その結論はおのずと決まってくると思うのです。だから、最後の事務局の御説明とニュアンスがちょっとずれるのですけれども、そこは慎重にしたほうがいいのではないか。ここで出た意見のとおりだと思います。

 何か追加ございますか。よろしいですか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 では、これは報告ですので、今のような意見があったということで、先に行きたいと思います。

 次に、事務局から「先進医療Bの取下げ」の資料が提出されておりますので、その説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 先-4をごらんください。

 今、御確認いただきました総括報告書の技術でございますが、告示番号62の先進医療Bの技術に関しまして、取下げの申請がございました。取下げ理由としましては、試験期間の終了でございます。

 以上でございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 それでは、先に行きたいと思います。次に、事務局から「先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(案)」の資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、先-5-1「先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(案)」をごらんください。

 こちらは、平成30年度診療報酬改定に向けて行われます、先進医療として実施されている技術の保険導入及び施設基準に係る検討方法の案を示した資料になります。

 これまで、診療報酬改定にあわせて、先進医療技術の保険導入も検討されてきたところでございます。具体的な技術としましては、先進医療Aの全技術及び先進医療Bで治験が終了しまして、かつ、総括報告書が提出された薬事承認を得た技術になっておりますが、先進医療会議において医療技術の科学的評価と共に、保険導入の適切性について御評価をいただき、その評価結果を中医協総会へ報告してまいりました。

 一方で、新規医療技術の保険導入に係る評価及び既存技術の再評価につきましては、関連学会等からの提案を踏まえまして、中医協の下部組織であります医療技術評価分科会、いわゆる医技評において検討され、その評価結果について中医協総会へ報告されてまいりました。

 平成28年度診療報酬改定から、先進医療として実施されている技術に係る医療技術評価提案書につきましても、関連学会等から医技評に提出できるとされたために、先進医療として実施されている技術に係る提案書が関連学会等から医技評に提出されました。しかし、前回改定におきましては、医技評の提案書は先進医療会議に提供されまして、先進医療会議において保険導入の適切性については検討されたところでございます。

 先-5-1参考資料をごらんいただきます。こちらは、本年1月に実施されました医技評において示された平成30年度の診療報酬改定に向けた評価方法に関する資料でございます。

 先進医療と医技評の関係性については、3ページ目の最下段の※でお示ししておりますけれども、前回改定と同様、先進医療で実施中の技術については、学会等から医技評に対する提案書の提出を可能にすることに関してはお示ししておりますが、それ以外は書かれておりません。

 先-5-1の2ポツ目をごらんください。

 現状では、新規医療技術の保険導入等に係る検討について、2つの評価主体で別々に評価され得るため、わかりづらいという御指摘がございます。保険導入に関しての検討は中医協において行われ、医技評及び中医協総会において、2年に一度の診療報酬改定を見据えた長期スケジュールに基づいて集約的に検討されております。一方で、先進医療会議では、恒常的・定期的に保険外併用療養としての実施の適切性等についての検討を実施しており、さらに保険導入に関しての検討は、2年に一度の診療報酬改定にあわせて行ってまいりました。

 近年、多分野、多臓器の治療に用いられるような新規医療技術もふえてきておりまして、より分野横断的・網羅的な検討が必要とされているところでございます。

 参考としまして、2ページ目の表と図、及び参考資料の18ページに医技評と先進医療会議で評価を行っております技術数等をお示ししております。

 3ポツ目に対応方針(案)を示してございます。

 以上の課題を踏まえまして、平成30年度診療報酬改定からは新規医療技術の保険導入に係る検討については、分野横断的な観点から評価を行うことのできる医技評に評価主体を一本化してはどうかというのが今回の御提案でございます。この場合、先進医療会議は科学的根拠の評価に、より重点を置きまして御評価いただくこととなります。

 今回、御提案した場合のフローに関しては、先-5-1別紙をごらんください。こちらの図におきましては、先進医療会議で各技術の科学的根拠等の評価を取りまとめていただきまして、その評価を医技評に報告することになります。保険導入の可否の検討につきましては、先進医療会議からの評価を踏まえて、医技評において、ほかの多数の技術とともに検討することとなります。その上で、中医協総会において保険導入に関した審議が行われ、医療技術の保険導入及び先進医療としての継続、取消が決定することとなります。

 次に、先-5-2「先進医療の保険導入等及び施設基準の見直しに係る検討方法について(案)」をごらんください。こちらは、前回診療報酬改定前にお示ししました資料を改編したものになりますけれども、先進医療会議の先生方に具体的にどのように御評価いただくかについての資料でございます。

 まず、先進医療技術の実績報告についてでございますが、こちらは例年どおり、本年も前年7月1日から本年6月30日の先進医療に係る実績について、8月末までに地方厚生(支)局長に報告することとなっておりまして、報告いただいた先進医療技術につきましては評価の対象となります。

 まず、12月までに構成員及び技術委員の先生方3名による書面審査を事前評価として実施していただいております。基本的には、構成員の先生方には主担当、技術委員の先生方に副担当となって評価していただく予定です。事前評価につきましては、主担当をしていただく場合には、科学的評価と施設基準の見直しに係る評価の2つを、副担当をしていただく場合には、科学的評価を実施していただく予定です。

 保険導入等に係る評価表につきましては、資料先-5-3をごらんください。担当される、既に評価されました医療技術につきましては、有効性・安全性等の個別評価項目に関して、それぞれ先生方に御評価いただいた後に、総合判定としてAからDの評価をしていただきたいと考えております。

 評価Aは、十分な科学的根拠を有する。

 評価Bは、一定の科学的根拠を有する。

 評価Cは、科学的根拠が十分でなく、先進医療として継続することが適当。

 評価Dは、先進医療から取り消すことが適当という取り扱いになっております。

 また、A又はB評価とした場合に限り、保険導入された場合の施設基準についても、あわせて御意見をいただくこととなっておりました。

 先-5-2の2ページ目にお戻りください。いただきました書面審査の評価をもとに、既評価対象技術をア、イ、ウの3つに分類させていただく予定です。

 アは、構成員又は技術委員3名全員がA又はB評価。

 ウは、構成員又は技術委員3名がD評価。

 イは、それ以外と分類しております。

12月から1月にかけまして、いただきました評価をまとめさせていただいた後、その結果を1月の先進医療会議で御審議いただく予定です。会議におきましては、当該結果に基づいて、それぞれの評価対象技術について検討を行い、先進医療会議の評価を取りまとめさせていただく予定です。その際の基本方針としましては、前述のアとイに該当する技術につきましては、将来的な保険導入に係る判断に必要な科学的根拠等について検討、ウに該当する技術につきましては、先進医療取り消しの適切性について検討するということになります。

 まとまりました先進医療会議の評価結果につきましては、先進医療から削除が適切と判断されたもの以外については医技評に報告しまして、医技評で保険適用の妥当性を検討した上で、基本小委を経まして中医協総会に御報告させていただく予定です。

 なお、中医協において、先進医療での継続が妥当とされた技術につきましては、事前評価において作成いただきました施設基準を踏まえまして、先進医療会議で検討を行って施設基準を最終決定いただく予定となっております。

 また、6ポツ目になりますけれども、こちらは現在、暫定的に先進医療Aとして実施している技術の取扱いについてでございます。四角の枠組みの中に、本年1月12日の第49回先進医療会議で御審議いただいた内容を抜粋してございます。

 平成29年3月末尾をもって先進医療Bへ移行できなかった暫定Aの技術については、先進医療告示から削除することとしておりました。ただし、現在でも当該治療を継続的に実施中の患者さんがいる場合には、告示からの削除を猶予するものの、新規患者の組み入れは認めないままとしたところでございます。

 現在、暫定Aとして4技術が継続されておりますけれども、平成28年4月以降は新規患者組み入れを中止していること等から、先進医療Aの枠組みでの評価は困難と考えております。このため、上記4技術については、平成30年度診療報酬改定において、保険導入に係る評価は行わないこととしてはどうかと考えております。

 事務局からは以上になります。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に対して、何か御質問ございますでしょうか。

 どうぞ。

○藤原構成員

 中医協関連の評価はよく存じ上げないのですけれども、医技評の評価結果というのは公開されているのですか。よく見られるのでしょうか。というのは、今回の診療報酬改定で注目されるのは、この先進医療技術審査部会、先進医療会議、両方で議論されてきた粒子線、重粒子線とか陽子線とかは多分議論されると思いますけれども、それに関して、先進医療会議のほうでは割とネガティブに評価している結果も多いし、それから現在進行中のものもあるのですけれども、それが医技評に上がって、たくさんの中に埋もれて評価結果が余りはっきりしないまま、僕らが気づいたら収載されていましたというのは嫌なので、そういう内容がちゃんと開示されているかということを知っておきたいのです。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 公開資料になっております。

○宮坂座長

 もう一度。

○医療課長補佐

 医療技術評価分科会、医技評での評価された技術に関しての評価結果に関しては、公開資料になる予定でございます。

○藤原構成員

 その際には、先進医療会議とか先進医療技術審査部会の公開資料は非常に詳細に書いてあって、オブラートに包んだような表現もありますけれども、きっちり書いてあるのですけれども、医技評はたくさんある結果の中で、公開資料が問題なかったという一言で終わるようなものなのか、それとももうちょっと詳しく書いてあるのか、教えてほしいのです。

○医療課長補佐

 詳細性というのは客観的には難しいのですけれども、例年通りですと、かなりシンプルなものになると思います。

○宮坂座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○福井構成員

 私が分科会の会長をしております。例年、700件以上申請されてきた中で、あるクライテリアで仕分けをしながら、最終的に認めるものと認めないものを判断しています。基本的には、先進医療会議で考えられた事柄を踏まえての判断になりますので、論理構成は説得力のあるものになるのと思っていますが、藤原先生がおっしゃったように、件数が多いため、一例一例、先進医療会議でディスカッションされたことをさらに深めること恐らく難しいだろうと思っています。

 最大のメリットは、ほかのものとの比較が可能で、国全体としてどういう方向に持っていったらいいのかということは判断できるのではないかと思っています。曖昧な説明で申しわけありませんが、そういう状況です。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 私の理解が悪いのかもしれないですけれども、先-5-1の2ページ目の下に図がありますね。そうすると、先進医療のほうから行くものと関係学会から来るものとありますね。関係学会から来るもののほうが多いですね。

 ところが、具体的な例を挙げて恐縮ですけれども、例えば和温療法みたいなものは、先進医療会議で評価しているけれども、プライマリーエンドポイントは満たされなかった。だけれども、関係学会も推薦していて、あれは5学会ぐらいが推薦しているのですか。そういうものは結果がバッティングするのですね。そういうものは医技評ではどういうふうに扱われるのですか。

○福井構成員

 評価分科会でも、エビデンスをちゃんと踏まえた判断をするために、申請資料のフォーマットも毎年のように工夫してきております。万が一出版されている論文とコンフリクトを起こすような結論の場合には、それなりの議論を踏まえてということになると思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 今の点、ほかに何か御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 では、これで質疑を終わりにします。ありがとうございました。

 その次は、事務局から「粒子線治療に係る統一治療方針の修正案の取扱い等について(案)」として資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、先-6-1をごらんください。平成28年以降、先進医療Aで実施されております粒子線治療については、統一治療方針に規定された疾患のみで統一治療方針に基づいて治療されております。しかし、誤植等が存在したため、本年6月に開催されました第54回先進医療会議におきまして、日本放射線腫瘍学会から統一治療方針の修正案が提出されたところでございます。

 その御審議の際に、3つの指摘がなされました。

 1つ目としましては、統一治療方針の修正案のうち、肺・縦隔の治療方針について、さらなる修正、追記が必要であること。

 2番目としまして、統一治療方針の策定過程の確認が必要であるということ。

 3つ目としまして、各施設におけるキャンサーボードの設置状況やキャンサーボードにおける議論の概要についての確認が必要ということでございました。

 これらにつきまして学会での対応を求めまして、今回、それぞれ提出されたところでございます。

 参考1としまして、新旧対照表を載せておりますが、こちらに関しましては6月に出させていただいたものと同一でございまして、さらに肺・縦隔については修正を求めております。こちらが参考資料2になっております。このように修正されております。

 こちらは、当該臓器の御専門であられる横井先生に御確認いただいておりまして、何度かやりとりの上、現在の版になっております。

 さらに、粒子線治療の統一治療方針の策定過程、改訂過程につきましての説明が参考資料3として時系列を述べさせていただいております。

 キャンサーボードの各施設における具体的な状況に関しましては、タブレット資料として入れさせていただいておりますけれども、構成員の先生方におかれましては事前に御確認いただいている内容でございます。

 今後の取り扱いに関しての事務局からの御提案でございますけれども、学会から提出されました修正後の肺・縦隔の治療方針、学会における統一治療方針策定の過程、並びに各施設におけるキャンサーボードの現状について、先進医療会議で御確認いただいた上で、修正された統一治療方針にのっとった治療を実施していただいてはどうかと考えております。

 続きまして、先-6-2「学会からの粒子線治療に係る報告について」をごらんください。

 現在、先進医療AとBのいずれにおきましても粒子線が実施されているところではございます。

 平成28年9月に開催しました第45回先進医療会議におきまして、下記のような方針が示されました。破線内に抜粋して記載してございます。その際の資料は、参考資料1として添付してございます。

 まず、先進医療Bについてでございます。比較対象を厳格に設定するなど重点的な評価が必要な適応症については、先進医療Bで実施すること。

 さらに、先進医療Aでも同適応症を実施していた場合には、先進医療Bの患者集積を優先すること。そして、本来は、先進医療Bの対象となる症例が先進医療Aに含まれていないかについて、中央モニタリング及び施設訪問で調査することといたしました。

 一方、先進医療Aについては、各疾患でこれまでどおり実施していくものの、これまでに蓄積された既治療例につきましては、観察研究の結果を論文化していくこととしております。

 これらの方針が確認されまして、現在1年が経過したため、学会より先進医療Aとして実施された粒子線治療、学会による施設訪問等に係る報告書を提出していただきまして、そちらを参考資料2として示してございます。

 こちらは、2016年5月1日から2017年6月30日までに先進医療Aとして粒子線治療を開始した全ての患者さんの具体的内容と有害事象についてと、施設訪問の結果が示されております。施設訪問に関しましては、8ページの7番から始まっておりますけれども、かねがね問題なく先進医療が実施されておりますけれども、一部の施設のキャンサーボードにつきましては、カルテ等の記載内容が不十分であったということが確認されまして、学会からはキャンサーボードについての再指導を行って、現在は改善されているということでございます。

 最後に、今後の案ではございますが、今後も年1回程度、粒子線に係る報告書を学会に取りまとめていただきまして、先進医療会議へ定期的に報告することとしてはどうかと考えております。

 御説明は以上です。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明について、何か御質問ございますか。

 どうぞ。

○藤原構成員

 キャンサーボードの報告書をさっと見させていただいたのですけれども、特に陽子線の前立腺がんのところを見させていただいたのですけれども、キャンサーボードの結果のところで非常に多く認められたのが、医学的適用としては手術はできないけれども、放射線はできるとか、つらつらと書いた後に、特に陽子線が多かったのですけれども、最終的に陽子線を選択した理由が前立腺がんのものは書いていないものが大半でした。理由で一番多かったのは、患者さんが希望したからやったと書いてあるのです。

 肺がんであれば、リニアックとして当てることによって肺機能を落とすから、陽子線、粒子線を選択したとか、肝臓がんの場合だと、予備の肝機能も少ないし、広範に当てるとまずいので線量分布の適正な陽子線とか粒子線を選択したと、割とボードの報告書に書いてあるのですけれども、前立腺がんではそういうものがほとんど書いていない。症例数全体を見ても、相変わらず前立腺がんが61%と、非常に大きな数を占めている。

 一方で海外を見てみると、アメリカでは400例規模のIMRTと陽子線のランダム化比較試験が行われている。ということは、陽子線がIMRTに比べてすぐれているということは、どこにも科学的エビデンスがないのだけれども、患者さんが希望したら先進医療でやっている。あるいは、もう一つ目立ったのが、先進医療特約に入っているからやったというのがボード報告書に書いてあるのです。

 そういうものを見てしまうと、このまま保険収載に行ってしまうのかということを非常に危惧するので、例えばボードのところには、なぜ陽子線を前立腺がんについてやらなければいけなかったかという理由を書くようにJASTROさんに指導していただくとかしたほうがいいと思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 今の点について何か。

 どうぞ。

○山口構成員

 私も全く同意見で、キャンサーボードの体をなしていないですね。患者さんの希望に従うのであれば、キャンサーボードなんかやる必要がないのであって、担当医が、ただ患者さんにあなた、何がいいですかと聞いてやったらいいのです。結論のところに大抵、患者さんの希望でと書いてある。例えば、手術のメリット、デメリット、成績。一方で、ホルモン剤だったらどうだとか放射線だったらどうだという議論が交わされたことが記載されてありません。こういう年齢のこういうリスクの人に対して、我々サイエンティストが集まって、各分野のエキスパートが集まって、第1選択はこれだねという順番が示されていないのです。

 だから、本来は、キャンサーボードは、患者さんの希望は別にして、順位を患者さんに正確に伝えた上で、最終的に患者さんが決めるのです。自己決定権は否定しませんけれども、キャンサーボードは患者さんの希望だけを聞く場ではないと基本的には思います。誰がしているのかわかりませんし、会議の時間も書いていませんし、私は極めてずさんな記録だと思いました。

○宮坂座長

 この報告書の8ページには、JASTROが訪問調査をして、相互監視なのですけれども、その点も非常に甘いということですね。相互に乗り入れて調査しているけれども、出てきた結果としては余りきちんとしたものではないという話ですね。

 はい。

○山口構成員

 これを見ていると、多分、キャンサーボードがどういうものか、よく理解されていないのではないかと思います。こういう報告が堂々と出てくるところを見ると。そこのところからもう少し知っていただいて、議事録をちょっと見るだけではなくて、実際にディスカッションに参加するとか、そのぐらいのことをやらないと本当の立ち入りにはならないのではないかと私は思います。

○宮坂座長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

○福井構成員

 そのことは、粒子線治療だけの話ではなくて、一般的にキャンサーボードのやり方何を話し合って、どういう結論を出すのか、リコメンデーションを出すのかということなどについてコンセンサスが果たしてあるのかどうか。ほかの病院も含めて。このことは粒子線治療だけに偏っているとも言えないのではないかと思います。

○宮坂座長

 でも、がん診療拠点病院を中心として、ある程度の質の管理というのはされているのではないですか。そうではないですか。

○福井構成員

 キャンサーボードの細かいところまでは、余り聞いたことがないですけれども、いかがでしょう。

○宮坂座長

 事務局からお願いします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 がん診療連携拠点病院におきましてのキャンサーボードの設置というのは、要件として定められているのですけれども、多職種におけるがん患者さんの治療方針を個別に検討する会議ということで規定されている文言はございますけれども、その中で誰が実際に参加していなくてはいけないか、もしくはどういった具体的な要件で開催されていなくてはいけないかというところに関しての細かい規定はないところでございます。

JASTROさんに関しては、今回、施設訪問の際に挙がっていた問題点などを踏まえまして、具体的にどういった形でキャンサーボードを行っていくのが望ましいかについて、例えば内科や外科だけではなくて、病理医であったり、緩和ケアの専門医であったり、そういう医師たちが集まって行われる会議が望ましいという、がん診療連携拠点病院の要件に基づいた記載をもとに、複数名の参加者による平場の会議であるというところを具体的に明示されて、全施設に公布されているという状況だと聞いております。

○宮坂座長

 にもかかわらず、今のようなコメントが出てくる。

○医療課長補佐

 申しわけありません、言葉が不足しておりました。今回の施設訪問での問題点を踏まえまして、御指導いただいて、変更したという前提としては、そういった活動があったと聞いております。

○宮坂座長

 それでも報告書には何も書かれていないですね。その報告書に文言として残さないと、その次の改良はあり得ないですね。毎年、年1回、粒子線に係る報告書を学会に取りまとめていただき、定期的に報告してもらうといったって、だんだんクオリティーの高いものにはなっていかないですね。ですから、今回、ここに出た意見を、JASTROも含めて、現場でやっているところにきちんともう一度フィードバックをしていただくことは大切ですし、患者さんが希望したからやる。それは、すごく正直に書いている。うそでも何でもなくて。でも、それが先進医療としてやられてしまうというところには非常に違和感があります。

 どうぞ。

○医療課企画官

 ありがとうございます。

 先ほど御説明申し上げましたとおり、6月の本会議で確認するようにということで確認した結果、こういったことでございます。本日の議論をきっちりお伝えしていきたい。

 また、省内のがんの担当部局にも、こういった議論があったということは伝えてまいりたいと思います。

○宮坂座長

 山口先生。

○山口構成員

 例えば、キャンサーボードで決定されたことが、各診療科の決定よりも上位だということを明確にしないと、集まっても意味がないですね。みんな集まって検討したけれども、結局、診療科に戻ったら部長の言うとおりやるとか、患者さんが言うとおりやるのではだめで。この形式だと、みんな集まったけれども、患者さんの言うとおりでいいよと言われたと患者さんが理解すると思います。そうではなくて、プロから見たら最善はこれですよということを示した上で。

 でも、患者さんがどうしても嫌だということはあると思いますけれども、それはもう一回キャンサーボードに出して、患者さんがこういう事情でこういうことを主張する。何とか認めてもらいたいということを言って、それはみんな認めると思います。そこまでやらないと本当のキャンサーボードではなくて、集まるだけ無駄だと思います。

○宮坂座長

 貴重な御意見ありがとうございました。

 では、そのあたりをきちんと明記して、相手方にフィードバックして、その上でまた報告書を出していただくということにしたいと思います。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 

 それでは、本日の議論は以上としたいと思います。

 次回の開催について、事務局から御説明をお願いします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 次回の開催につきましては、平成2911月2日木曜日、16時からを予定しております。場所については別途御連絡をさせていただきます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、第58回「先進医療会議」を終了したいと思います。御協力ありがとうございました。

 

 

 

 


(了)

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