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2017年8月24日 第61回先進医療技術審査部会

(了)


第61回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成29年8月24日(木)16:00~18:05

(2) 場所:TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A(2階)

(3)出席者:
山口座長、一色座長代理、石川構成員、伊藤構成員、
上村構成員、掛江構成員、真田構成員、柴田構成員、
関原構成員、手良向構成員、大門構成員、田島構成員、
田代構成員、藤原構成員、山中構成員、山本構成員、
笹子技術専門委員、高橋技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 課長補佐

議 題
1.新規申請技術の評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.試験実施計画の変更について
4.先進医療の継続の可否について
5.先進医療におけるがんゲノム医療技術の取扱い等に係る検討について
6.協力医療機関の追加について
7.先進医療の取下げについて
8.その他

議事録
〇山口座長 それでは、定刻となりましたので、第61回「先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。
 本日は、御多忙の折お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 本日は、松山構成員より御欠席の連絡をいただいております。
 それから、石川構成員からは、おくれる旨の御連絡をいただいております。掛江構成員もまだお着きではないようですけれども、現在のところ17名の構成員のうち、14名の構成員がおられますので、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配付資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
〇医政局研究開発振興課専門官 はい。事務局でございます。よろしくお願いいたします。
 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 配付資料につきまして、確認させていただきます。
 議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。
 次に【新規申請技術の評価結果について】資料1-1~1-5。
 【総括報告書の評価について】資料2-1~2-5。
 【試験実施計画の変更について】資料3-1~3-4。
 【先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について】資料4。
 【がん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目および基本的な要件の案】資料5。
 【協力医療機関の追加について】資料6-1、6-2。
 【協力医療機関の取下げについて】資料7。
 会議資料の最終ページは108ページとなります。
 また、直前の作成でとじ込みが間に合わなかったため、机上配付資料とさせていただいております【有害事象報告とそれに伴う対応について(杏林大学医学部附属病院)】がございます。こちらは、最後のほうで審議いただきたいと思っております。
 以上の資料につきましては、会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。
 また、2014年12月の第24回「先進技術審査部会」で配付されましたda Vinciサージカルシステムを使用する先進医療の整理表のアップデート版を机上資料として配付させていただきました。
 本日の資料は以上でございます。乱丁・落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1、15ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報をごらんください。
 申請医療機関との関係、対象となる企業または競合企業につきまして、事務局から事前確認させていただいております。今回、いずれの先生からも利益相反の御報告はございませんでした。
 事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 該当なしということで承知いたしました。
 また、今回もタブレット資料を使用いたします。届出書類等につきましては、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は「会議資料の何ページ」または「タブレット資料何番の何ページ」とあらかじめ御発言をいただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
〇山口座長 では、議事に入りたいと思います。
 今回は案件が多いので、なるべくてきぱきやりたいと思います。御協力よろしくお願いします。
 それでは、まず、新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 御説明させていただきます。資料1-1、15ページをごらんください。
 今回、新規に御評価をいただく技術は、整理番号81「切除およびラジオ波治療困難な難治性肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法治療」です。
 申請医療機関は、東京医科大学病院です。
 審査担当構成員は、主担当が山本構成員、副担当は田代構成員、手良向構成員、技術専門委員として高橋委員、以上となっております。
 資料1-5、41ページをごらんください。
 審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。
 まず、「実施責任医師の要件」ですが、診療科は消化器内科または放射線科。
 資格は、日本消化器病学会または日本IVR学会専門医。
 当該診療科の経験年数は、5年以上が必要です。
 当該技術の経験年数は要件ございません。
 当該技術の経験症例数は要件ございません。
 その他の要件といたしまして、広く肝がんを対象としたIREの治療経験を実施者(術者)として5例以上を有することとございます。
 次に、「医療機関の要件」です。
 診療科の要件は、消化器内科または放射線科が必要です。
 実施診療科の医師数は、日本消化器病学会専門医の常勤医師1名以上ないしIVR学会専門医の常勤医師1名以上でございます。
 他診療科の医師数は、麻酔科常勤医師が1名以上。
 その他医療従事者の配置は、常勤臨床工学技士1名以上が必要です。
 病床数に要件はございません。
 看護配置は10対1看護以上。
 当直体制は、常勤当直医1名以上、科は問わないということです。
 緊急手術の実施体制は要件が必要です。
 院内検査は24時間実施体制が必要です。
 他の医療機関との連携体制は不要です。
 医療機器の保守管理体制は、要件が必要です。
 倫理審査委員会による審査体制は、毎月を原則とします。迅速審査も含めます。
 医療安全管理委員会の設置は必要です。
 医療機関としての当該技術の実施症例数は、要件はございません。
 その他の要件はございません。
 以上です。
〇山口座長 ありがとうございました。
 これらの要件について、何か御意見はありますか。
 医療機関の要件のところで、この技術は切除不能という対象になっていますけれども、その判断というのは消化器外科医がいないとまずいと思います。ですから、消化器外科がないと、やはりまずいのではないでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 承知いたしました。
○山口座長 いかがでしょうか。大事なポイントだと思うので、放射線科の先生と消化器内科の先生だけで集まって決めてしまうのは、なかなか難しい点もあると思います。よろしいでしょうか。
 ほかにございませんか。
 高橋先生いかがですか。
○高橋技術専門委員 消化器外科につきましては、一部中で書いてありまして、消化器内科医、放射線科医、消化器外科医との協議とされているということでございます。
 私はこれを拝見しまして、4つの点で疑問がございます。
 まず、最初は、タブレットの30ページ、一番最初の実施届出表の30ページをごらんいただきたいと思います。ここに出ているとおりでございますけれども、まず、実施体制が非常に弱いのではないかと思っております。実施責任者は、17年目の杉本医師でございますが、この方は20例を持っておられますけれども、その他の方は全て0件ということでございまして、1人でこれをやっているという状況でございます。この特別な機械は今日本では数台ございますが、実際に使っているところは日本で2カ所、そのうちの1カ所は東京医大ということでございまして、実施する体制が少し弱いと思っております。特に実施者には、技術的にもう少し成熟していただきたいと思っております。0件、0件ということでございますので。
 それから、あと3点は、資料1-3の35ページをごらんいただきたいと思います。今まで我々が使っておりますラジオ波焼灼療法、それから、肝切除術が不適当な患者さんを絞るということでございますけれども、対象の患者さんの選択法、それから、途中で再発した場合の再発の診断法、最後に、判定基準が一番大事でございますが、この研究の効果の判定について、少し不明確な点がございます。まず、対象の組み込みの方法について私が問い合わせたところ、回答6にございますが、まとめますと、合議により対象の組み込み方法を決めるということでございますが、合議により決定するというのは普通、科学的な研究ではあり得ません。客観的な基準が必要でございます。例えば、胆嚢に接している、あるいは大血管に接している肝細胞がん、または、そこから何ミリ離れている肝細胞がんというような、客観的な組み込みの症例を対象とする症例の組み込み法に問題があると思います。
 次に、効果判定につきましても、私はそこに疑問点として示していただきたいと述べましたけれども、十分な回答が来ておりません。ここにおきましても、効果判定は合議により決定するということで、科学的なものではございません。客観的な基準が必要であろうと思います。それから、特に合議の中に担当医が入っております。担当医と放射線科医の2人で合議により効果判定をするということで、担当医を入れるというのはバイアスがかかってしまいますので、大変まずいことだと思います。
 それから、中央判定におきましても、放射線科医2名の中央判定とございますが、これは偶数でございますので、意見が分かれた場合どのようにして決めればいいのかということがございます。この辺も少し弱いところでございます。
 最後に、先行研究についてでございますが、杉本医師らのペーパーが2つ出ておりまして、それによって非常に効果があったということでございますが、症例数が5症例6結節ということでございまして、まだ少し未熟な技術ではないかと私は考えております。
 以上でございます。
○山口座長 ありがとうございました。施設要件にかかわるところでは、実施者の体制のところで少しコメントがあったということで、ありがとうございました。
 まず、実施体制に絞って何かほかにございますか。ありがとうございました。
 それでは、先に進みたいと思います。それでは、山本構成員より概要の説明と実施体制の評価について、御説明をお願いします。
○山本構成員 資料1-2をごらんください。本技術の実施計画等の評価表でございます。主担当が山本、副担当が田代先生、手良向先生、技術専門委員が高橋先生でございます。
 先進医療の名称は、そこに書かれておりますように、切除およびラジオ波治療困難な難治性肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法治療。東京医科大学病院からです。
 医療技術概要は、そこに書いてございますが、従来のラジオ波焼灼療法に代表される熱アブレーション治療と似ているのですけれども、原理的には全く違うということで、既存の組織構築を温存しながら細胞を死滅させることが可能と。熱が発生しないので、熱に脆弱な組織が近傍にある肝細胞がんに対して安全に治療ができるということで、本研究ではがん切除及びラジオ波焼灼が困難な難治性肝細胞がんを対象としたIREの有効性に関して、過去のTACEの治療成績をコントロールとして評価するということになっております。
 主要評価項目は、治療後12カ月における肝細胞がんの完全奏効率。副次評価項目は、全生存期間、無再発生存期間、治療1年、2年、3年後の肝機能、再発形式、再発時の肝機能、重篤な有害事象の発現率。予定試験期間は6年、予定症例数が45例です。
 実施体制の評価を私と高橋先生にしていただいております。
 先ほど高橋先生からも御意見がございましたが、当初、研究事務局体制が1名のみということでしたので、そこに問題があるのではないかということで、実施医療機関の体制には「不適」とつけさせていただいております。実は、この直前まで申請者とのやりとりがございまして、研究事務局体制については、もう1名追加をするということをお聞きしております。
 そのほかは、担当された委員に御説明いただくほうがよろしいかと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
 続いて、高橋先生から先ほど実施体制のことを幾つか問題点を挙げてまとめていただきましたので、さらに追加することがございましたら、何かコメントはありますか。
○高橋技術専門委員 先ほど述べたとおりでございます。
○山口座長 ありがとうございました。
 続いて、田代構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いします。
○田代構成員 倫理的観点からの評価を担当いたしました。
 最終的な同意にかかわる手続、同意文書については「適」、補償内容についても「適」という判断にしております。
 幾つか事前に質問させていただきましたが、詳細についてはお手元の資料の30ページをご覧ください。基本的には未承認の医療機器について、この後どのような承認に至る道筋があるのかということなど、この研究の意義を少しはっきりさせていただき、それを説明文書に書いていただければと考えましたので、そのあたりを幾つか聞いたことと、あとは研究資金源や組織体制について幾つか質問しています。
 その後回答頂きましたが、もう少し追加で説明していただいたほうが良いかなと思い、お手元資料の37ページから、基本的には実施条件に書いてあることについて再度お尋ねしました。先ほど山本先生からもお話があったのですが、特に実施体制についてはお一人で全部やるということだったのですが、若手の先生を1人、研究事務局として用意するということになり、一通り回答はいただいたのかなと思っています。このあたりはむしろ実施体制の話かと思いますので、私のほうでは特に回答を待たずに「適」という判断をしています。
 以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 続いて、手良向構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
○手良向構成員 私のほうは、主に資料1-3の21~26ページまで、事前に照会事項を出しましたけれども、内容としては、まず、主要評価項目の解析を行うときに結節単位で適格基準を分けなくていいのかということ。目標被験者数と目標結節数の関係がどうなっているかということ。目標被験者数の計算が間違えているのではないかということ。あとは、評価項目に全生存期間等を含める必要はないかということなどを質問しました。さらに追加の質問も25ページからいくつかいたしましたが、主に統計学的な観点からは、適切な修正がなされたと考えまして、全て「適」という評価をしております。
 以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 それでは、山本構成員より事前のまとめと総合評価について御説明をお願いします。
○山本構成員 直前までやりとりが続いておりまして、「不適」が幾つか残っている状態でございます。ただし、今回の担当の中で問題となったのは、患者の選択と効果判定のあり方、それから、治療効果判定の体制・手順、研究実施体制の整備ということでございましたので、これらについては、ほぼこのようにしていただければいいというめどはついている状況で、そこをきちんとプロトコール、その他に書き込んでいただくことが必要ではないかということで、条件つき「適」ということで、今回の担当の中では総合評価とさせていただいております。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、御討議をお願いいたします。
 実施体制の中で、先ほどから議論がありますけれども、中身のほうでは消化器外科医の参加とか書いてあるのですけれども、参加するのであれば消化器外科医は消化器外科専門医資格が必要と書いてあるだけで、必ずしも消化器内科医と放射線科の専門医と消化器外科医が必ず集まるという書きぶりにはなっていません。ですから、そのあたりをきちんとしてもらったほうがいいのではないかと思いますが。
○山本構成員 もちろんそうだと思います。ですので、高橋先生からもございましたように、患者のエントリーのときの判定、それから、効果判定の体制を、中央といってもどの中央でやるのかと。私は最初、安全性評価の委員につきましても、当初は委員のメンバーが書かれていない状況で、置くということしか書いておりませんでしたので、独立の委員会についてはメンバーも全てそろえて、手順も示していただいて、それをプロトコールに記載していただくべきだと思いますので、それは全て体制整備というものに含まれていると考えます。
○山口座長 ほかに何か御意見ございませんか。
 あと、最初の5例、安全性評価のところでは、全て安全にできたということなのですけれども、この施設では22例ぐらいやっていて、1例そこから出血して中止になったというのがあります。22例の詳細についてのリポートが見当たらなかったので、できれば22例がどういう形で行われて、どういう評価がされているのかということも追加して問い合わせていただけるとありがたいと思うのですが。
 笹子委員どうぞ。
○笹子技術専門委員 この技術そのものが、余り人体でほかのところでも使われたことがないものですよね。そうしたら、狭いところで適用するよりも、この技術がちゃんと本当に肝細胞がんを治すということと、そのときに周りのそれなりの大血管でなくても小さな血管といったものに対する影響が安全であることがわかって、これがずば抜けて高い技術であれば今のラジオ波に取ってかわるということはないかもしれないけれども、そういう視野で臨床研究として最初その辺を固めて、がんが治るかどうかも20例でデータがちゃんと出ていなくていいのかなという気がちょっとします。
○山口座長 どうぞ。
○山本構成員 ネット情報ですけれども、今は国内でも大体膵がんに使われているみたいです。肝がんは余りやられていない。肝がんをメーンにやっているのは東京医大だけで、あとは大体自費診療で進行膵がんに使われているということのようです。ネット情報で今調べただけなのですけれども、アメリカで通っていて、ちょっと古いと思いますが、アメリカで50台ぐらい動いている、ヨーロッパで20台ぐらい、日本で5台。今も全世界で治療している半分くらいは、どうも膵臓がんが対象になっているということなので、当初は肝がんを目当てにつくったみたいなのですけれども、臨床上での使い方が膵がんに傾いているという状況のようです。
○山口座長 私もちょっと調べてみたのですが、そうではなくて、膵がんの症例報告が1例あります。それで物すごくよかったということで、将来的には膵臓がんにもいいのではないかというスタンスの報告で、この技術は決して膵臓がんでスタンダードにはなっていないものだと理解していますが。
○山本構成員 自費診療の世界に入っているので、恐らく症例報告は出てきていないのではないでしょうか。
○山口座長 私は、症例数もほとんど行われていないように理解しています。アメリカのリポートも肝臓がんの症例は実はその中の10例だけで、対象も違います。また、ラパロでやっていたり、いろいろやり方も違っています。確かに笹子委員がおっしゃるように、本法の肝細胞がんに対する有効性の検証は、まだ十分にやれていないのではないかという気もちょっといたしますけれども、いかがですか。
○高橋技術専門委員 膵がんについては先生と同じ考えで、森安先生が1件膵がんについてペーパーを書かれています。これは安全性を考えて、今後飛躍的にそれが日本で進むということはあり得ないと思います。
 笹子先生の御指摘のとおり、今はラジオ波焼灼療法でも十分で、これが標準法でございまして、これでやると。ただ、血管に近いところとか、心臓に近いところ、大腸がきているとか胆嚢があるという場合は、熱の影響があって非常に危険なのでやめて、動脈塞栓術でやると。ところが動脈塞栓術の場合は、余計なところまで障害を受けてしまうということで、こういうことを考えたのですが、非常に対象となるものが少ないというところがございます。
 以上です。
○山口座長 ほかにございませんか。どうぞ。
○関原構成員 この同意書で、アメリカでは2,500例、ヨーロッパでは1,000例あると書いてある。ならば結果はどうだったか、その評価を何行か書いていないと、患者がこの同意書を見て自分もやってみようかとはなかなかならない。日本でほとんど行われていないというのは、やや違和感を感じます。
○山口座長 ありがとうございました。
 おっしゃるとおりで、実はこの根拠が書かれていません。1,000例だとかいろいろな数字が出ているのですけれども、その内容が確認できないので、そのあたりも確認したほうがいいのではないかと思います。御指摘のとおりだと思います。この数字だけで見ると一般化されていて、すごく有望に思ってしまうのですけれども、対象も恐らく違いますし、数字的な根拠もはっきり示されていない。
 ほかに何か御意見ありますか。
 それでは、よろしいでしょうか。今、御意見をいろいろいただきましたけれども、条件つき「適」でもいいかもしれませんが、幾つかかなりメジャーな疑問が出てきたので、一応お返しして、引き続き継続審議したほうがよろしいのではないでしょうか。
○山本構成員 文献情報、今までの20例全部を確認するということでしたら、継続審議のほうがよろしいかと思います。
○山口座長 ありがとうございます。
 山本構成員からもそうおっしゃっていただきましたので、継続審議ということでいかがでしょうか。では、継続審議とさせていただきます。
 続きまして、総括報告書の評価を事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1、43ページをごらんください。今回、総括報告書に関する評価をいただくのは、告示番号35「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術」です。
 申請医療機関は、藤田保健衛生大学病院です。
 審査担当構成員は、一色構成員、副担当が山中構成員、技術専門委員が笹子委員でございます。
 試験の概要ついて御説明させていただきます。
 本技術は、術前診断でD1+またはD2郭清を伴う噴門側胃切除、幽門側胃切除または胃全摘で根治手術が可能なstage1または2の胃がん330例を対象に、多施設共同臨床試験として行われたda Vinciサージカルシスムを用いた試験です。有効性と安全性、経済性を評価する目的で行われました。
 主要評価項目として、Grade3以上の全合併症の発生率を比較しております。今回ここまでの解析で総括報告書が提出されました。
 また、副次評価項目には、無再発生存期間なども含まれておりますが、これは最終解析時に評価と書いてございますが、3年後に評価が固まりますので、再度最終の総括報告書が出る予定となっております。
 また、その運用につきまして103ページに説明がございます。先進医療Bにおきましては、このように主要評価項目を主たる解析とし、その他全てを含めた全データを最終解析とする試験を認めておりまして、主たる解析が終了した時点で総括報告書を提出してもよいということになっているので、今回提出されたということでございます。
 また、試験終了あるいは中止までの全データに係る最終解析が終了した時点で、全データを含めた総括報告書を提出しなければならないとございますので、それも3年後に行われることが決まってございます。
 以上でございます。
○山口座長 ありがとうございます。
 では、本技術の評価について、主担当の一色構成員から説明をお願いいたします。
○一色座長代理 今、御説明がありましたように、da Vinciで行う胃全摘手術、幽門側胃切除の成績でございます。330例を対象として、326例の30日までの時点での中間報告という形でございました。
 基本的には、主要評価項目であるロボット支援下胃切除術のGrade3以上の術後合併症の発症率は2.45%ということで、ヒストリカルデータの腹腔鏡下胃切除術の6.4%に比して有意に低く、安全性の評価としては有意差が示されたということになります。
 しかしながら、いわゆる有効性イベントと思われる評価項目については、長期療法含めて有効なデータはまだ出ていない段階での報告でございます。
 とりあえず私からはそこまでの御紹介をしておきまして、山中構成員と笹子委員から御意見をいただいた上で最終的な評価をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山口座長 ありがとうございました。
 続いて、山中構成員から評価をお願いいたします。
○山中構成員 お手元の資料の45ページに私の評価を記載してございます。
 まず、有効性ですけれども「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」と評価しております。というのは、全生存期間や無再発生存期間のデータが出てこないと、そこの評価が難しいものですから、「その他」のEでもよかったのですが、今のところは同程度と評価しております。
 本研究はシングルアームの研究ですので、QOLの評価などは一部評価が難しいところがあるのですけれども、例えば、QOLの評価もオペした後は一時的に下がって、その後は回復するというデータになっているのですが、例えば、ロボット手術以外でも同様の経過をたどるのだと思います。対照群がないとQOLの評価は一部難しいところはあるのですが、重篤合併症の発症率や手術時間、出血量に関しまして、限定された施設ではありますが、きちんと試験を行って、それらの正確な数字が推定できたということが、この試験の成果だろうと思います。
 それから、1施設、2施設ではなくて、ある程度の施設にまたがって満遍なく入っていますので、そういう意味では、結果の一般化可能性もそこそこあるかなとは思います。主要評価項目である合併症の割合に関しては問題ないことが示されましたので、あとは今後、副次評価項目である無再発生存期間の成績を確認して、医療経済的な解析を含めまして、最終的なリスクとベネフィット、コストのバランスを評価していくことになるのだろうと思います。以上が有効性です。
 安全性に関しましては、予想された範囲内で軽い合併症などが起こっていますので、Bの「あまり問題なし」と評価してございます。
 最後の技術的成熟度に関しましては、ちょっと専門医を持っていれば誰でもできるというわけでもありませんので、数多くの経験を積んだ医師であれば実施できると判断しまして、Bとしてございます。
 私の評価は以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 では、続いて笹子委員から御評価をお願いします。
○笹子技術専門委員 最初のコメントのところに書いたのですけれども、この試験がプライマリーエンドポイントを短期的な合併症の発生率で試験をしたこと自体が、これでは有効性が基本的に言えない。
 しかも、この症例数で安全性に関する検証力は担保されると思いますが、生存に関して、このステージの患者さんを幾らフォローアップしても、330例でイベントはごく少数しか起こらないので、幾ら待っても同じくらいですという話しか出てこないし、検証力そのものがもともとないんです。
 ただ、こういう試験をやってくださいとこの会が言ったという責任、私はそれに入っていないから責任はないのだけれども、そういうことを認めてしまったというのであれば、彼らはそれを信じてやって、試験としてはポジティブです。
 ただ、この試験の設定の中にもおかしいところがあって、私は今までのものを全部送っていただいて詳しく見たのですけれども、コントロールアームの有害事象の発生率というのはレジデントとか場合によっては研修医がやった症例まで全部入って計算されています。こういう技術というのは、経験値によって合併症の発生率が明らかに変わりますので、片一方は初心者から全部入れた事故率、片一方は車のレーサーの事故率、そんなものを比べようとしてやっているようなものですから、その時点での議論が不十分と言えます。それで試験は走ってしまったので、これをどうするかというのはここでまた皆さんでお考えいただければいいと思うけれども、試験としてはこれで科学的かと言われれば、試験そのものがこれで何か言えますかという感じが私はしております。ただ、これでいいとしたのだったら、発生率が減っているからやや有効。それから、安全性は問題なくて、成熟度に関してはBという判定をしております。
 あと、もう一点は、合併症が減ったときに医療経済的にコストがどれくらい、入院日数がどれくらい下がるのが何パーセントあって、そういったものをちゃんと計算してDa Vinciのコストに見合うのかというのは押さえないと、ほかの技術でも十分できることをこれでしようとしているので、そういう検証は必要でしょうね。
○山口座長 貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、一色構成員から何か追加のコメントがございましたら。
○一色座長代理 専門家からの厳しい御意見がありますので、総括するのはなかなか難しいのですけれども、経験豊富な施設が多く参加された試験でのデータとして、合併症が非常に少なかったという事実からは安全性について十分評価ができたのでなはいかと思っております。
 ただし、有効性のエンドポイントについては基本的に設定されていないということと、長期評価においてもヒストリカルコントロールとの比較が条件になっておりませんので、文献的には有意差はないということが前提のようでございますけれども、この段階での評価としては、有効性は「その他」とさせていただきました。
 なお、報告書の中に「有効性が示された」との記載がありますが、有効性の評価はまだできていないと私は考えておりますので、これについては修正していだきたいと思っております。
 安全性については余り問題なし。技術的成熟度については「B」とさせていただきました。
 私からは以上でございます。
○山口座長 ありがとうございました。
 何か御意見あるいは御質問ございますか。山本構成員どうぞ。
○山本構成員 そもそもこれは試験を割と中途半端な形でさせてしまったという笹子先生の御指摘もございましたが、薬事的には承認をとっているものを先進医療Bでやらせていると。では、これは一体何を目的にやらせていたのかというのが、つまりゴールは何なのかと。薬事承認をとっていて保険償還されていないものを先進医療Bでやって、その次にだれが保険償還に持っていくのかといったら、保険償還に持っていくのは企業しかあり得ないので、薬事承認はとれているけれども保険償還はとれていないから、仕方がないから先進医療Bでやってしまわなければならないという状況に研究者を置いていて、それで仕方なく臨床試験を組んでやるけれども、薬事承認のほうで一応一定の有効性と安全性を見ていると。承認されたものですから、また問題があれば、それは医薬局の安全対策課ないしはPMDAが当然見るのでしょうと。もう添付文書には載っていますので、添付文書は恐らく書きかわっていきますけれども、では、先進医療Bでやらせたゴールは一体何なのですかということを聞きたいです。そもそも何のためにこれをやらせているのか。
 例えば先進医療Aであれば、ある程度データをとって2年間やったところで評価して、保険償還に進めるかどうかを決めるというのがありますけれども、これはBでやったということは、総括報告書を出しましたけれども、この先はありませんので、どうするのですか。
○山口座長 最初の議論の中で、もともと企業が試験としてやるべきではないかという意見もありました。
○山本構成員 ですから、企業は一定の治験をやって薬事承認をとってしまっているので、逆に言うと、それ以上やる責任を日本では特に置いておりません。だから、保険償還を断った保険局がどういうゴールを指し示したのかという問題です。それは保険局としては、どこに落としどころをつけるつもりで先進医療Bをやらせているのでしょうか。
○山口座長 ちょうど保険局の方がおられるので、どうぞ。
○保険局医療課課長補佐 保険局医療課でございます。当時、薬事承認はとられている胃の手術でございますが、保険償還をしていない状況で、今回の先進医療も実際に始まっている理由として、その当時の議論もありますが、有効性及び安全性に関して、本当に全国的に実施していただいて安全性も含めて大丈夫であるかという疑義の部分が、専門家の方々の御意見の中では一致していなかった部分があると思ってございます。それも含めて、先進医療で検討していただくものとして、今回の先進医療が実施されているところがあると思うのですけれども、今回の先進医療の総括報告書をいただいた後に今後どういった形で保険償還を目指していくかという点におきましては、総括報告書に今回挙がっているものに関しては、次回の診療報酬改定におきまして、保険適用するのに資するかどうかを御検討させていただくことになります。
 あと、もう一つ別の考え方としては、医療技術評価分科会のほうで、学会からの御要望も含めて御検討させていただくという道もございまして、今回のda Vinciの技術を使った胃の手術に関しても、学会からのご要望が挙がっていれば、保険適用に関して次回の改定においても検討させていただくことになると思います。
○山本構成員 da Vinciの発している、今、机上にはいただいておりますけれども、いろいろ並べていただいておりますが、動いているものの中に保険償還、つまり薬事承認をとっている適用と、とっていない適用が混在していて、それを平場で同じように臨床試験の計画としてつくって、それを評価しているのですけれども、薬事承認をとっているかとっていないかというのはかなり大きな問題があって、薬事承認をとっているということは、厚生労働大臣がこの機器については一定の有効性と安全性を認めたということに薬機法上はなっていますので、厚生労働大臣が承認しているものについて、もう一回ここで有効性と安全性を調べろというのは、厚生労働省としてはおかしいのではないかと思います。では、薬事承認をとっている機器については何を主要な評価としてさせるのかをはっきりさせておいてあげないと、出してくる研究者もかわいそうだと思うんですよね。
○柴田構成員 高度医療評価制度のときは対象がまだ薬事法上未承認・適応外と絞られていたので、その話が出なかった。先進医療Bの制度が2012年にできたときに、薬事法上承認されているもの、薬事法上未承認・適応外のものに絞らずに、da Vinciであるとか、そのほか細胞免疫療法なども当時挙がりました。けれども、それを挙げたときの議論としては、薬事法上の承認を取得するための最低限のデータはあるけれども、保険収載に至るために必要なデータが十分でないために保険収載されていない、そういうものを評価する必要があるのではないかという議論であったと思います。
 つまり、薬事法上は有効性・安全性は最低限確認されているけれども、その時点で保険収載に至るだけの十分な臨床的有用性が示されていないと判断されてここに挙がってきているわけで、それを示すための、つまり薬で例えると、プラセボには勝ちました、薬であることは証明できました、でも、既存の薬と比べて保険収載する価値が十分かどうかわかりません、みたいな話があれば、当然既存のものと比べたときのメリットを提示する必要があるでしょうという話になるというのが、ここでも議論されたことだと思います。
 それに対して、今回、安全性のエンドポイントを主たるエンドポイントにして出てきた結果が、胃がんを治療される先生方にとって魅力的かどうかというのは、臨床的有用性の実質的な評価をしていただく必要があって、それが不十分であれば保険収載のためのハードルは越えていないであろうし、一方でそれが十分であれば、薬事承認された後の次の、先ほど補佐が言われたような話のステップを踏むという根拠になるという話で、そのためにこの場でデータをとっていただいたという話だったと理解しています。
 つまり、薬事承認を取得するためのデータとしてここで臨床試験をやっているのではなくて、保険収載までの道を縮めるためのステップとしてのデータをとりにいったと理解しているのですが。
○山本構成員 そうですけれども、そもそも医薬品と医療機器の保険収載のステップが違うので、そもそも医薬品であれば薬事承認をとったら自動的に保険がつきますけれども、機器については保険償還のところが非常にあいまいになっていて、薬事承認の場合は、このハードルをクリアーすれば通るということがある程度わかっているのですけれども、保険収載のハードルが明確でないというところに問題があって、明確でないものをここでやらせて、この場で研究者がこれを出したら保険収載してくれるんじゃないかなというところをつけているわけですよね。
 結果的に、これについては笹子先生の目で見ると、これでいいのという話になっていますけれども、薬事承認をとるときと保険収載をやるときは、当然見るところが変わってくると思いますので、例えば、一定の有効性が出たものを薬事承認を出しているのに保険収載しないというのは、厚生労働省の中でダブルスタンダードがあるという話ですよね。事実上ダブルスタンダードになっているのであれば、そこは近づけていただくことをしていかなければならないし、少なくとも別のスタンダードが要るということを出すのであれば、今の専門家の意見が合致しなかったから先進医療だという曖昧なことではなくて、どこの点をクリアーすれば保険収載にいくのかということをある程度示してあげないと、ますますやりにくくなると思うんですよ。
 ここの場としては、基本的に臨床試験をやるときには有効性と安全性を主要評価項目に置かなければならないし、その場合にどういうものをするかといったら、でき得るフィージビリティの範囲で決めると思いますけれども、それで保険収載のハードルを越えているかどうかというのは、結局、薬事承認と違って保険収載の場合はハードルが示されていないので、今これをやって今度はそれを専門家がどう判断するかによりますということですよね。結局、これを学会が見て、これをもって学会が要望をかけるかどうかというところで決まるという話ですよね。
○笹子技術専門委員 そもそも薬事承認をとっているときに有効性とか示せないでしょう。要するに、手術の道具としての有効性というのは示せたかもしれないけれども、がんの治療機器としての有効性なんて示せない。そういう意味では、コストが5割くらい高くなるのに見合うサバイバルのベネフィットがあるというのは検証しないといけないというスタンスをちゃんと持って、最初のハードルをそこへ持っていかないと、こういう中途半端な臨床試験をやって、あたかもそれでいいですよみたいにしてしまうから、薬事承認の基準がぐちゃぐちゃになるのだと思います。
○関原構成員 ですから、これで費用対効果評価が必要です。保険収載の申請が出たら費用対効果評価にかかりますよ。そうすると、技術的には問題なく、ある程度は安全で有効の評価になると思います。ただ、値段がこれでは全然合いませんという、要するに費用対効果評価がこれまでなかったわけですから、新しい条件をクリアーできるかどうかというのは、今度はメーカーにとっても課題だし、保険局にとってもこれが一番大きな問題で、そこさえクリアーになれば、ほとんど値段が変わらない限り、多分保険収載でもいいということだろうけれども、そんなことではメーカーは全然商売にならないから、結局そこが最後の決め手だと思いますが。
○山口座長 まだ御意見があるかもしれませんが、ちょっとここの議題から少しずれますので引き取りたいと思います。
 これが最初にここで行われた理由の1つは、この技術で死亡例もありましたし、必ずしも安全ではないよという疑惑をみんなから持たれていたということもあったのではないかと思います。この議論はどんどんやらなくてはいけないですけれども、今のところはここでストップしたいと思います。
 ほかにございませんか。
○一色座長代理 追加でよろしいですか。結局、最初からこのプロトコールで有効性のエンドポイントが出てこないという条件で行われているので、有効性を最終的に判定しろということ自体が非常に難しい。そうすると、評価表にある有効性の項目は、臨床的有用性という表現を外挿すればもう少しレベルの高い評価ができるように感じています。
○山口座長 どうぞ。
○真田構成員 これはda Vinci、それも薬事承認が下りたda Vinciについては、平成24年に重点観察項目が決められたときに幾つかの項目の中にロボットを用いた技術が挙げられていて、恐らく先進Bに入ってきたという経緯だと認識していて、そこは山本先生が御指摘のとおり、あの当時、重点観察項目において何を重点的に観察し、結論を出すべきなのかについて、十分に議論が成熟していなかったというところは恐らくあるのだろうと思います。ただ、そこから何年か経過していると思いますが、その間にもいろいろとこの部会で御議論いただいた結果、例えば、臨床的有効性の同等性をどう考えるかということや、費用対効果をどう考えるかということなどについて、いろいろなところで議論が出てきて、徐々にそういう土台が形成されてきて、先ほど一色先生がおっしゃったような臨床的有用性について総合的に勘案するというコンセンサスのようなものができ上がってきたのだろうと考えています。
 そこは、まさに先ほどの山本構成員や柴田構成員の御議論のように、未承認のものが薬事承認に至るまでの評価の仕方と、既に薬事承認に至ってそのままでも保険償還できるものが、次に先進医療で保険収載のために何を証明してこの結果とするのかについては、そもそも判断の項目が全く違うと思われます。それをこの試験に当てはめたときにどう考えるかということについて、臨床試験の立てつけとしては、笹子委員から厳しい御指摘をいただいたとおりだろうと思いますが、少なくとも安全性についてのデータはとれ、それから、有効性については数が少ないけれども恐らく同等であるか、推定はできるくらいのデータはとれるだろうと思われます。あと、探索的エンドポイントとして、医療コストのところもとってもらっていますので、恐らくそういう比較の対象になるデータも何らか出てくるだろうというところで、ミニマムリクワイアメントとしては、そのデータがそろえばこの試験も保険収載に資するかどうか、どのくらいのインパクトが医療保険上にあるかを判定するという意味においては、全くできないという試験ではないのだろうけれども、そこは今そろっているデータだけをもって判断しろと言われると、なかなか難しいかもしれないなというのが私が考えたところでございます。
○山口座長 藤原構成員どうぞ。
○藤原構成員 笹子委員の臨床試験のきれいさを指摘される御意見はわかるのですけれども、そういうことを言っていると先進医療にかかわってくる大半の臨床試験はピカピカにきれいな臨床試験は少ないし、治験とは全然違うレベルの話なので、それは言われても困るなというところはあると思います。
 実際に2014年当時に、今、山本構成員はいろいろ言っていますけれども、彼女もこの審査のときにはそれは言っていないのですから、今さら言われてもしようがないなというのはあります。おっしゃったように、当時はすごく問題で、そのときに山口座長などのお話を聞いていると、腹腔鏡下(鏡視下)手術のほうがよほど安くてしっかりしているのではないかという話があって、それを高いロボットの手術をさせることに本当に意味があるのだろうかということは、多分そのときに聞いていた構成員の人たちはみんな同じような認識で見ていたと思います。それができる中で、多分出血量が少ないとか、合併症が少ないとかがわかってくれば保険に載せるのもいいのかなというぐらいの相場観で、優等生でピカピカに勝つというところは余り想定されていないように思いますけれども、当時の14回と19回の技術審査部会と、22回の先進医療会議でやっているのですけれども、そこでの議論をもう一度見直して、その当時のレベルでもう一遍考え直す必要があるかなと思います。
 次に、プロセスとしては12月くらいですか、この先進医療技術審査部会が親会議で、次の平成30年度改定に乗せるかどうかというのは、ここでの議論をいつもしますよね。ですから、そこで再判定するときにそういう継続性も考えながら、そこは先ほど一色先生がおっしゃったように、総括報告書の有効性ありとは言えないよというところはちゃんと修文していただいて、もう一度そのときに当時の議事録とかを見て、保険局などの考え方を整理していただいた上で議論するというところがきょうは限界ではないですか。
○山口座長 どうぞ。
○保険局医療課課長補佐 山本構成員のおっしゃっておられるダブルスタンダードではないかと、薬事は認めているのに保険適用は認めていないというところは、まさに今回のda Vinciも含めて、この長い経過の中で我々も内部担当者の中では評価のありかたを検討しているところでございます。今は医薬局やPMDAとそういった臨床的な意義も薬事承認される際に、より密に相談はするようになってきているという変化もございます。今回da Vinciに関しても、今、藤原構成員におっしゃっていただいたように、保険適用に向けて再検討していくことになろうかと思います。
○山口座長 笹子委員どうぞ。
○笹子技術専門委員 今あるデータからどれくらい合併症が減って、手術のコストとしてどれくらいまでの値段を乗せたらイーブンあるいはまあまあですよというところで考えて、お値段設定というか、それで企業が納得すれば落としどころになると思います。しかし、実際に先進医療で承認された途端に、安く設定され過ぎてだれもやらなくなったという技術もありますよね。その辺がちょっと難しいけれども、日本でもロボットはどんどん開発される方向にあるから、もっと安くなればという話はあると思うのですが。
○山口座長 ありがとうございました。
 今回とにかくプライマリーエンドポイントは出て、安全性に関しては有用だったという評価になると思いますので、この技術ががんの治療の上で有効かどうかということはまだ先になるかと思いますけれども、そのことについては、先進医療会議に御報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、活発な御意見どうもありがとうございました。
 それでは、もう1件の総括報告書の評価について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-3、51ページをごらんください。告示番号41「内視鏡下手術用ロボットを用いた内視鏡下咽喉頭切除術」です。
 申請医療機関は、京都大学医学部附属病院です。
 審査担当構成員は、主担当が伊藤構成員、副担当が大門構成員でございます。
 この試験はda Vinciサージカルシスムを用いた多施設共同試験で、対象は中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がんの単群試験で、予定症例数は20例でしたが、先月報告させていただきましたが、17例で終了しております。
 以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 それでは、本技術の評価について、主担当の伊藤構成員、説明をお願いいたします。
○伊藤構成員 da Vinciを用いた中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がんの手術です。これは机上資料を見ると、薬事上の承認はとられていない領域の試験だということです。
 この領域は、手術だけではなくて、化学放射線療法も標準的な治療として行われていますので、どちらがいいのかという点も比較の対象になると思っています。
 この試験の評価指標は、短期間の有効性として、手術病理標本の断端が陽性であるかどうかになっていて、もう一つの主要評価指標として、胃管や胃瘻の利用割合が少なくなることになっています。
 この試験をくまなく見ました。このとき何か変だなと思ったところが回答2なのですけれども、59ページをごらんいただくとわかりますが、具体的にはタブレットだと15.09のA2表が3ページにあるのですが、断端は全部きれいでしたという評価が当初は出ていたのですけれども、生のデータを見ましたら17例のうち2例ほど「U」と書いてあるものがあるのです。その「U」とは何かと聞いたら、実は判定が不能でしたという結果が出ました。最終的には、統計の大門構成員とも相談させていただいた上で、保守的な評価をさせていただきました。
 あと、もう一つは、このデザインは単群試験ですので、従来から報告がある断端の陽性割合が28%を下回るという指標や、胃管の利用割合の点推定に比べて、信頼区間が下回るというデザインを組まれていたのですけれども、残念ながら点推定の、例えば28%を統計的には下回ることはなかったということで、有効だ、有効だという話にしたかったところが、下回ることがないという結果になってしまったというのが評価の全体像でございます。
 したがって、当初計画をされていたものに比べると「ほぼ同じ」という形の評価しかできないのではないかと思いますので、有効性としては「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」。安全性の部分も詳細を見せていただきましたが、重篤な有害事象が2件発現しておりましたが、従来の手術に伴っても起き得るものだろうと思いますので、余り問題なしということにさせていただいております。
 統計的な詳細については、大門構成員から御説明をいただければと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
 つづいて、大門構成員から御評価をお願いいたします。
○大門構成員 資料2-3の54ページのコメント欄で統計的な詳細を述べさせていただいております。そこに書いておりますように、目標症例数を20例として、主要評価項目の断端陽性、胃管・胃瘻利用の被験者数が、それぞれ、これまでの外科手術、化学療法の成績を踏まえた結果として、3例以下、言い換えれば、断端陽性、胃管・胃瘻利用の割合の90%信頼区間,95%信頼区間の上限がそれぞれ30.4%、34.4%を下回れば、当該技術は臨床的に劣らないと判断すると実施計画書上で規定されていました。
 一方で、本試験は、症例集積が困難である等の理由により17例で中止となっております。この17例の断端陽性割合の点推定値と区間推定値は、それぞれ、0%、90%信頼区間の上限は12.67%、95%の信頼区間の上限が16.16%ということになっております。また、伊藤構成員の御指摘にありましたように、この17例には判定不能例2例が含まれておりまして、この2例を保守的に断端陽性として扱った場合には、点推定値は11.7%、90%信頼区間の上限は28%、95%信頼区間の上限は32%でした。当該2例を除外して扱った場合の成績は、それぞれ0%、14%、18%でした。これら信頼区間の上限で判断しますと、断端陽性割合の信頼区間の上限の閾値は超えていないということになります。
 次に、胃管・胃瘻利用割合は、1例の方に胃管・胃瘻利用がありまして、点推定値は5.9%、90%信頼区間の上限は21.02%、95%信頼区間は25.02%で、計画時に規定された胃管・胃瘻利用割合の信頼区間の上限の閾値は超えていませんでした。
 これらの結果を踏まえますと、早期中止された17例の成績ではありますけれども、従来の医療技術よりも劣っていないということは言えると思います。
 一方で、ごらんのとおり私は有効性を「C」とさせていただいたものの、実は逡巡しているところがございます。といいますのは、この結果は研究者が適切な評価ができると考えた目標症例数20例に満たない中での17例に基づく評価結果ですので、例えば、仮に18~20例目が登録されて評価が行われた場合、この結果の判断自体が変わり得ることにも留意する必要があると考えます。この意味では「その他」と評価すべきかと思ってはおります。具体的に申し上げますと、例えば、17例目までの成績が与えられたもとで、18~20例目の被験者の方々が全員断端陽性だったということですと、それは閾値を超える方向の話になっていきますし、一方で、例えば、胃管・胃瘻利用で18~20例目の被験者の方々全員が胃管・胃瘻利用なしということであれば、主要評価項目は満たされるといった結果になりますので、どちらの可能性もあったということになります。この点は注意が必要と考えます。
 以上でございます。
○山口座長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤構成員から何か追加のコメントなどがありましたら、お願いします。
○伊藤構成員 多少厳し目には説明させていただきましたけれども、20例という大変少ない症例数の中での評価なので、症例数がもう少し増える状態であれば、当然のこととして信頼区間は小さくなるのでしょうし、有効であるという当初の予定どおりの結果が出たのかとも思いますので、この評価については限界がある中での評価だと思っております。ただ、試験としての評価は、残念ながら従来の治療法と同じであるという評価しかしにくいと思っています。
 以上でございます。
○山口座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、何か御質問ございませんか。
 断端の判定が不能というのは、通常臨床的には陽性として取り扱います。少しでも正常な組織があれば当然陰性と返ってくるわけですから、ひいき目に見てはいけないので、やはり陽性だと臨床的には思います。それでも一応、達成できているわけですね。
○伊藤構成員 判定不能を陽性と見ると信頼区間の上限が28%の点推定の上にいってしまいますので、予定されたハードルは越えなかったということかと思います。
○山口座長 ほかに何か御意見なりコメントはありませんか。
 それでは、ただいま御審議いただいた結果をとりまとめて、告示番号41については先進医療会議に御報告したいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、先進医療Bの試験実施計画の変更につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 今回は、試験実施計画の変更が4件ございました。順に御説明させていただきます。
 まず、資料3-1、65ページをごらんください。横浜市立市民病院からの申請で、整理番号78番「既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対するニボルマブ+ドセタキセル併用療法」です。
 山中構成員におかれましては、御自身の所属の関連病院との御申告がございましたので、本技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。
(山中構成員退席)
○医政局研究開発振興課専門官 本件は、予定症例数は350症例で、先日の先進医療部会で審議を経て「適」となった後、先進医療会議での審議前ですが、申請者から計画書変更の依頼がございまして、現時点では症例登録はございません。
 御審議いただく主な内容ですが、肺癌取扱い規約の7版から8版への変更に伴いまして、T3N2M0という最も進行していない集団が試験対象集団に新たに加わることとなりました。そこで、これに伴う予定症例数、その他試験デザインの修正の必要性の有無等につき、御審議いただきたく存じます。
 以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 本変更内容について御意見ございませんでしょうか。比較的予後のよいものが入るので、このままのデザインでいけるかどうかということですよね。どなたか御意見ございませんか。症例的には余り変わらないと読んでよろしいのでしょうか。
 手良向構成員、お願いします。
○手良向構成員 予後が少し良くなる可能性があるのですけれども、それは計算してみましたが、サンプルサイズについては中央生存期間を標準治療で10.5カ月、それが少し良くなって12カ月とか14カ月になったとしても、検出力は3%くらいしか落ちないという計算結果ですので、おそらく大丈夫だと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございませんか。少ししか変わらなくて余り影響がないということですので。
 それでは、整理番号78の変更については認めることといたします。
 では、山中構成員にお戻りいただきます。
(山中構成員着席)
○山口座長 続きまして、次の議題について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 2点目です。資料3-2、71ページをごらんください。富山大学附属病院からの申請で、告示番号50「ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術」です。
 本試験は、再発翼状片を対象として、切除した部位にハイパードライヒト乾燥羊膜を添付し、再発を抑制するという単群試験です。
 予定症例数は40症例で、現時点で7症例です。
 主な内容変更だけ申します。緊急時の対応体制の変更を求めておられまして、73ページの下です。眼科医が毎日当直する体制から、30分程度で病院に到着できるオンコール体制に変更していただきたいということで、73ページの上に事情が書いてございます。
 御意見をお願いいたします。
○山口座長 本変更内容について、何か御意見ございませんか。当直はなかなか大変だと思いますし、オンコール体制を整えれば確かに問題ないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。眼科の先生は少ないので、当直は大変だと思います。よろしいですか。
 ありがとうございました。そのほかの点も特に何か御意見がなければ、お認めしたいと思いますが。
 それでは、ないようですので、告示番号50の変更について認めることといたします。
 次の議題について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 3件目、資料3-3、75ページをごらんください。東京大学医学部附属病院からの申請で、告示番号64番「ゲムシタビン静脈内投与、ナブ-パクリタキセル静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」です。
 本試験は、腹膜播種を伴う膵臓がんを対象としております。
 予定症例は、導入相試験が6~18症例、探索相試験が35症例です。現時点の登録はまだございません。
 御審議いただく主な変更内容は、76ページに図がございますが、導入相試験における先進医療技術審査部会への報告のタイミングを初めの3例を登録した時点に早めるということです。そのかわり、変更前の報告タイミングであったところでは「必要に応じて先進医療技術審査部会に報告することに変更する」とございました。そこで「必要に応じて」とはどのような場合か照会しましたところ、77ページに理由を御報告いただきました。効果安全性委員会の手順に従った有害事象の発現状況確認以外に、ほかの重要な事象が発現した場合に報告するということのようでございます。その他の内容は記載整備でございます。
 御意見をお願いいたします。
○山口座長 本変更内容について、何か御質問ございませんでしょうか。
 「必要に応じて」ということでは困るので、きちんと明確にしてもらったものが77ページに書いてあるとおりですけれども、いかがでしょうか。
 それでは、特にないようですので、告示番号64の変更についても「必要に応じて」を削除することで認めることといたします。
 続きまして、次の議題について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 4つ目、資料3-4、79ページをごらんください。慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号68「水素ガス吸入療法」です。
 本試験は、心停止後症候群を対象として、ICUで18時間2%水素添加酸素を人工呼吸器下に吸入する治療の有効性を検討とする試験です。
 予定症例360症例で、現在3症例です。
 御審議いただく主な内容は、血液採取量がふえることや、記載内容の変更を82ページの添付という形で御説明いただきました。
 また、採血量は10mLが20mLにふえるということです。また、SOFAスコアをガス吸入開始前のどの時点で評価するか定義していなかったということで、救急外来時と定義したいということでございます。
 御意見をお願いいたします。
○山口座長 本変更内容について、何か御意見ありませんでしょうか。
 特にございませんか。ないようですので、それでは、告示番号68の変更について認めることといたします。
 続きまして、資料4の説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4は83ページでございます。「先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について」でございます。告示番号71「トラスツズマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法」です。
 申請医療機関は、慶應義塾大学病院です。
 本技術は、本申請医療機関が臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認・告示されたものです。
 適応症は、乳房外パジェット病です。
 本試験は、前述の治療の有効性と安全性を評価する単群オープン試験で、予定症例数は13例です。最初の3例が4週間経過した時点で御報告いただき、申請時に御担当いただきました藤原構成員、大門構成員に安全性について御評価をいただきました。その結果、安全性に問題は認めなかったとの御判断をいただき、試験を再開・継続いただきました。本件はその御報告でございます。
 以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 安全性に問題なくて、試験が継続されるという御報告で、藤原構成員と大門構成員に御確認いただいたということです。
 それでは、次に進みたいと思います。資料5について、事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5、87ページをごらんください。がん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目及び基本的な要件の案について御提示させていただきます。
 6月より、検討を続けておりましたが、経緯はここに書いてあるとおりです。
 今回、次のページにございます要件案を提示させていただきますが、まず、事務局より今回の検討事項として申請に向けてのスケジュールを簡単に御説明させていただきたいと思います。申請に関するスケジュールは、4枚目にございますので、イメージ図を見ながらお聞きください。
 まず、申請書類の審査の開始がスケジュールによりますと、がん医療中核拠点病院(仮称)の要件の決定以後、おおむね11月以降になるものと現在想定されております。そこで、1つのパネルについて、1つのパネルプロトコールが承認されることを想定しておりますので、同一のパネルに対して複数の医療機関からの御相談があった場合に、事務局から各医療機関にその旨をお伝えし、医療機関相互の御相談によってパネルプロトコールの内容及び申請医療機関を決定していただくこととしてはどうかと御提案しております。
 そこで、現在、申請医療機関の指定要件が決定していない状況でございますが、申請を希望している医療機関は、使用するパネルの種類を9月中をめどに事務局まで御連絡いただくこととしてはどうかとご提案いたします。これは、11月ごろに一斉に審査を開始することになるための限定的な措置と考えております。こちらに事務局への連絡方法も示させていただきました。
 続きまして、検討を進めておりました、がん遺伝子パネル検査のプロトコールが満たすべき必須項目及びその基本的な要件についての案を御報告させていただきます。これらの内容につきまして御審議をいただきたいです。
 以上です。
○山口座長 ありがとうございました。
 ただいまのスケジュールや御説明について、何か御質問はありますか。この後、内容につきましては藤原構成員から御説明いただきますが、今のスケジュールについては特にございませんか。
 それでは、先にプロトコールの必須項目及び基本的な要件の案について、事前に検討に加わっていただきました藤原構成員から御説明をお願いいたします。
○藤原構成員 お手元の資料5の2ページ目、「2017年度におけるがん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目および基本的な要件(案)」をごらんください。
 この中で、がん遺伝子パネルをどういう共通プロトコールのもとで行うかということをまとめてあります。アイテムとしてはマル1~マル8までの大項目が必須要件としてあると整理しております。マル1は患者の選択基準、マル2は遺伝子パネルの基本条件、マル3は有効性の評価の内容、マル4は検査の実施、マル5は施設の要件、マル6は患者への説明・同意、結果返却内容、マル7は先進医療実施組織外への情報提供について、マル8が情報管理という項目になっております。
 マル1では、対象は固形がん、しかも標準治療後に再発・進行したPS1という元気な、外来通院が十分できる方を対象にするか、原発不明がん、さらには血液腫瘍については治療の最適化を認めるものと限定しておりますけれども、このがん遺伝子パネル検査が将来的に保険収載していく中で、臨床的有用性を早く示さないといけないという領域の疾患群を共通プロトコールでは対象にしましょうということにしております。
 マル2は、パネルの中身ですけれども、先ほど事務局からも説明がありましたが、早く保険の中で使えるようにするためには、1つは、数年以内に薬事承認が見込めるようなパネルであることが大事かなと思っております。数年以内に薬事承認を見込めるということは、*がついていますけれども、ページの一番下をごらんください。どういうことが数年以内に薬事承認を見込めるかという定義が書いてございます。薬事承認を目指す企業との契約が締結されて、PMDAとの相談も終了し、対面助言や事前面談の議事メモ等、対面助言の場合は議事録をちゃんとフィックスしますけれども、そういうものがちゃんと用意されているということが数年以内に薬事承認が見込めるという意味であるというただし書きにしております。
 さらに、マル2の3行目、薬事承認に資するデータを収集するために、1種類のパネルあたりのプロトコール数は1つで先進医療Bへ申請してくださいということになっております。
 同じパネルであっても、対象疾患が異なってきた場合は、パネルプロトコール部分は同じとして、ここでは余りバラバラとしたものがプロトコールとして出てこないようにしております。
 もう一つ、同時に試験が行えるのは、原則として1申請医療機関当たり1種のパネルで、異なるパネルを新たに申請する場合は、対象遺伝子や対象集団が異なるものであることを前提として、その意義や実施体制について合理的に説明できるものであるか否かについて、個別に審査をする。申請医療機関という大きな医療機関が1個のパネルに傾注して先進医療Bをやってくださいというのが趣旨です。
 マル3、有効性の評価ですけれども、これはちゃんと有効性を評価できることが大事なのですが、下の2行をごらんいただければと思いますが、パネル検査結果を返却された患者の経過について、保険診療で認められた治療手段がない例に関しても、可能な限り同意を得てフォローアップを行い、臨床情報を蓄積することとしております。というのは、有効性の評価で恐らくドラッガブルとかアクショナブルという、薬があるとか、治療法があるような遺伝子異常の割合が、このパネル検査でどのくらいわかるかというのが主要評価項目になることが多いと思うのですけれども、薬が使えなという判定になる患者さんもいらっしゃいますので、そういう人たちについては経過を追わないのではなくて、薬がなかったような人たちの経過も追っていただくということを要求したいということで、この2行が加わっています。
 マル4、パネル検査の実施要件については、パネル検査の検体準備から解析まで標準的な手順を設定して、品質の確保された検査を実施すること。パネル検査の解析部分については、当該施設・検査手順が一定の質を満たしていることが説明可能であれば、外部機関への委託も可能とする。これがポイントですけれども、これまで先進医療だと同一医療機関内での検査の完結を求めることが多かったのですが、がん遺伝子パネルについては外部機関への委託も可能とするということにしてはどうかと考えています。
 ただし、これに関しては、パネル検査というのは海外でやることも多いので、マル8の一番下に書いてありますけれども、絶対国内でやれとは書いていませんけれども、検査を国内で完結することが望ましいという言葉が入っているのが関連事項としてあります。
 マル5、施設の要件につきましては、がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会報告書というのが、たしかことしの6月ぐらいに出ているのですけれども、その中でこれから数年のうちに、国内にはゲノム医療の中核拠点やあるいは協力医療機関を設定するということが述べられておりまして、それぞれ10月下旬あるいは11月ぐらいに内容が決まってきますので、それに沿った申請医療機関が大事ですよということを考えています。
 もう一つ大事なのは、パネル検査は既に全国の大学病院等で自由診療として行っているところもありまして、それを野放図に放っておくと、先進医療でやらずに自由診療だけが続いていくという事態になりますので、申請医療機関が遺伝子パネル検査を自由診療で並行して行っている場合には、先進医療Bに申請してきても、それは承認しませんよと、なるべくこのパネル検査は先進医療Bでやってくださいと誘導する項目が入っております。
 マル6は倫理的な話で、患者への説明・同意、結果返却の内容について、どういう結果を患者さんにお話しするか。例えば、生殖細胞系列の結果が出てきたりすると、それを患者さんに返すときは非常にデリケートな問題になりますので、そこに十分注意する遺伝カウンセリングの充実を求めていたり、あるいは何でもかんでも患者さんにお返ししなければいけないので、今、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会合同で、がん遺伝子パネル検査の診療ガイダンスを作成中ですので、そういうものを参考にしたり、血液腫瘍でも日本血液学会がそういうガイドラインをつくる予定と聞いておりますので、説明の仕方をそのガイドラインなどを参照にしながらやりなさいということ。
 それから、ポイントは下の5行ぐらいですけれども、このゲノム検査を受ける際に2段階の同意を求めています。1つは参加の同意です。患者さんがこの検査を受けられて、自身の診察にかかわるところまではしっかり同意してくださいねということと、今、国で考えられているのは、ゲノム情報はなるべく1カ所に集めて、レポジトリーといますけれども、そういうところで将来的に日本国民の遺伝子検査結果が幅広く把握できるようにしましょうという流れがありますので、そこまでは1回目の同意でちゃんととりましょうと。ただ、レポジトリーに入った後、将来いろいろなところでそのデータが使われることになりますので、そこは野放図に使うのではなくて、もし、そのデータを将来的に利活用しましょうという二次利用がされる場合には、改めて同意をとってくださいということにしてあります。
 マル7の情報提供は、先ほどのマル6と関連して、がんゲノム情報レポジトリー(仮称)に必ず登録するということ。今、国内でやられている自由診療などで海外製品を使っていると、全部海外の遺伝子検査のレポジトリーに入ってしまって、日本人の特異性が余り把握できない状況になっていますので、その是正という意味もあると思います。
 マル8の情報管理は、ことしから個人情報保護法改正もありますので、そういう情報セキュリティーの管理はしっかりしましょうという要件です。
 細かい要件がざっと並んでいますけれども、少し早口になりましたが、説明させていただきました。
○山口座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、何か御質問ございませんか。非常に細かくて、目がチラチラするかと思いますけれども、つくった人はもっと大変だったと思います。
 どうぞ。
○手良向構成員 マル3の2行目にあります試験的治療というのは、どういうものでしょうか。ちょっと意味がわからなかったのですが。
○藤原構成員 これは、資料5の3ページ目を見ていただいたらわかりますけれども、パネルプロトコールというものがあって、その中で遺伝子変異がいろいろ見つかってきます。そうすると、遺伝子変異に対して治療薬、適応外薬かもしれませんし、未承認薬かもしれませんけれども、いろいろなものが出てくれば、それを使った先進医療であったり、企業治験であったり、医師の治験がやられるという、そこの試験的治療という意味でございます。
○山口座長 よろしいですか。
 ほかにございませんか。
○伊藤構成員 教えていただきたいのですけれども、がんゲノム情報レポジトリーというのは、もう具体的にできている代物なのですか。例えば、がん研究センターのがん情報センターにできるということはわかっているものなのでしょうか。
○藤原構成員 今週、施設要件などを検討するサブワーキングが始まったばかりですので、まだ具体的にどこに置くとか、内容はどうなのか、あと、厚労省の予算も決まっていないので、年度末にならないと予算がつくかどうかもわかりませんので、ここで「仮称」と書いているところですけれども、AMEDの研究費で臨ゲノというものがあるのですけれども、それでは日本人の遺伝子変異はちゃんと集約しましょうというのは、いろいろな研究費がついていますので、それを国がさらにオーソライズしてどうするかというのは、年度末まで見てみないとちょっとわからないところがあります。
○山口座長 昨日、そのサブワーキンググループの会議に私も出たのですが、そういうレジストレーションができるのは、今は国立がんセンターしかないのではないかということです。1つは、予算的なことで一般の病院が突然構築しろというのは無理だということと、そういうことを予想して着々と準備していますというお話でした。
 ただ、その中で議論があったのは、そうやって中央管理にした場合に、そのデータをどのように使うかというのはきっちり明文化しておかないとまずいのではないかという議論は出ました。これはまだ最終決定ではありませんけれども、サブワーキングでは一応、国立がん研究センター中央病院で預かるような形になりそうな感じです。
 ほかにございませんか。どうぞ。
○石川構成員 6番目のところですけれども、ここは今のお話のレポジトリーで再利活用ということですけれども、国がんがおやりになっていろいろとお考えになっていると思うのですけれども、二次利用についてはかなりいろいろな申請が出てくるに違いないんですよ。最初の運用について、例えば、日本のいろいろなビッグデータといったものの二次利用の出発の仕方はあるので、かなり慎重にやっていただきたいということを要望したいと思います。例えば、MID-NETというのもつい先ごろ二次利用の道が開けたりして、それは試行からやったりいろいろ慎重にやっています。特に、ゲノムの問題については、私たちも細心の注意でお願いしたいということを強く言いたいと思います。
○山口座長 何かございますか。
○藤原構成員 石川構成員のおっしゃるとおりで、そのためにこれは二段階同意にしてあって、利活用のところはもう一度ちゃんと研究計画などを審議していただいて、その上で本当にやるのかを患者さんにもう一度同意をとるというプロセスを経るという、念には念を押すというスタイルにしておりますので、これはどこの施設がやるにしても、ここは非常に気をつけないといけないところだと思います。
○山口座長 どうぞ。
○真田構成員 ちょっと確認です。実際にいろいろなパネルが出てくると思いますけれども、2番の「異なるパネルを新たに申請」という下りですが、「異なるパネル」というのが、一部重複しているとか、遺伝子の数が少ないだけだとか、メーカーが違うだけだとか、いろいろなパネルが出てくると思いますが、どこからが異なるパネルなのかをどなたか御説明いただければ。事務局さんでも結構ですけれども、お願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 現在海外などでもさまざまなパネルが開発されていることを聞き及んでおります。要件案の1番で対象疾患として重要なものとして、原発不明がん、固形がんで再発・進行したPS1のもの、血液腫瘍が例示されておりますけれども、疾患ごとにそれぞれ対象となる遺伝子が異なるということも伺っておりますので、そういった対象遺伝子がかなり異なるパネルが出てくることが想定されます。具体的には血液腫瘍や、あるいは遺伝子変異ではなく、各遺伝子の発現量を調べるといったパネルも存在するようですので、さまざまな対象疾患に対応したパネルが個別に出てくることを想定しております。どこからが異なるパネルなのかという点につきましては、薬事承認を目指すという観点からは、数遺伝子でも異なれば、別のパネルという判断になるかと思います。ただそのような類似性の高いパネルの試験が後から申請された際には、その試験を新たに行う意義についてご審議いただくことになるかと思います。
○山口座長 よろしいでしょうか。ほかにございませんか。
 なければ、この案のとおりで進めるということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。では、この案のとおり進めることといたします。
 次に、協力医療機関の追加について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6-1、91ページをごらんください。これまでに大臣告示されている、7つの技術につきまして、協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2、93~99ページをごらんください。
 こちらは事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御承認いただきたく存じます。
 特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 よろしいでしょうか。
 では、次に、先進医療Bの取り下げについて、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料7、101ページをごらんください。告示番号2及び告示番号39の技術につきまして、先進医療Bの取り下げ申請がございました。
 取り下げ理由は、告示番号2につきましては、同一の内容の企業治験が開始となったための取り下げでございまして、総括報告書を現在作成中とのことでございます。
 また、告示番号39につきましては、予定症例の登録観察が全て終了したためということで、総括報告書の作成準備中とのことでございます。
 特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 何か御意見ございませんか。
 それでは、手続を進めていただくことにしたいと思います。
 次に、机上配付の有害事象報告と、それに伴う対応について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 それでは「申請医療機関からの報告について(杏林大学医学部附属病院)〔有害事象報告とそれに伴う対応〕」という机上配付資料をごらんください。
 まず「1.事実関係」ですが、詳細は現在確認中ですが、告示番号60番「アキシチニブ単剤投与療法」。対象は胆道がんで、切除が不能と判断されたもの、または術後に再発したものであって、ゲムシタビンによる治療に対して抵抗性を有するものに限る、という試験です。この試験におきまして、アキシチニブ投与終了30日以内の早期死亡が合計5症例認められたと。うち2~5例目の4症例については、平成29年8月16日付で第一報が事務局宛てに報告されました。最初の1例目は、平成28年7月26日に既に報告されています。
 この試験は、目標32症例で、本日現在で19症例登録されてございます。現在、症例組み入れは一時停止中でございます。
 5症例の死亡時の症状は以下のとおりで、1例目は、昨年、局所再発して消化管に浸潤した腫瘍からの出血ということです。2例、3例、5例目は、腹水の急激な増加があったということです。4例目は、本資料作成時点で詳細不明でしたが、昨夜、効果安全性委員会の議事録をいただきまして、そちらはタブレット資料としております。この4例目は、明らかな腹部膨満はなかったと記載がございました。
 経緯ですが、申請医療機関は当初、これらが現病の増悪で死亡したという判断でしたが、先ほどのように、腹水の増加が3症例続いたということで、今年の8月11日に効果安全性委員会から症例登録を中止して、因果関係の有無について検討するように指示されたことから、今回の報告に至ったということでございます。倫理審査委員会には、いずれの症例も報告されておりませんでした。
 2例目以降の4症例は、いずれも今年の5~7月に死亡されておりまして、発生を知った日から7日以内に届け出ることを定めた課長通知に違反している可能性がございます。また、試験計画書に「治療関連死が3名となった時点で、即刻登録を一時中止して試験中止の是非を検討する」とされていることから、現在その検討の必要のある状況です。しかしながら、申請者によりますと、アキシチニブの中止によって腹水のリバウンドを引き起こしている可能性も考慮されますので、新規症例の登録の一時中止は適当であるものの、現在プロトコールに基づいて治療中の患者について、適切なリバウンド防止策の検討のないまま、内服を急に中断することは危険である可能性が考えられます。
 そこで、「2.現時点での対応状況」ですが、現時点で最も重要なのは、プロトコール治療を継続中の患者への今後の対応と考えまして、治療の継続の可否や中止する場合には中止に伴うリバウンドを適切に管理する方法等が重要であると考え、できる限り早急に倫理審査委員会を開催し、中止基準の再検討や、中止基準が厳密に守られているか、また、中止時の慎重な観察の必要性なども含め、迅速に検討するよう8月17日に指示したところでございます。
 申請医療機関からは、倫理審査委員会は8月28日開催予定と返答がありました。より迅速に判断し対応する必要があると考え、部会の先生方に事前に御相談させていただくとともに、今回このような形で御報告させていただきました。
 また、同様の有害事象が発生していないか、市販後の安全性情報との総合的な検討も必要になる可能性がありますので、現在アキシチニブの提供元のファイザー株式会社にも情報を求めながら、対応を継続しております。
 5症例の投与終了から死亡までの日数ですが、順に2日後、30日後、7日後、17日後、30日後となっております。
 また、現在19症例ですので、ほかの14症例について状況を照会したところ、まだ調査は終了していないものの、1症例が投与終了後37日後に死亡されているとのことでございます。
 ここまでは公開資料でございますが、具体的な日付が入っておりますので非公開としております資料に、何日から何日まで投与されたか、死亡日も記載してございます。第4症例の経過概要も書いてございます。
 また、事前に部会構成員の先生方に御相談して疑問点をいただきまして、それに対して申請者に回答をいただいた内容も、次につけてございます。
 また、現在調査中でございますが、ほかの14症例が現在どういう状況であるか、わかっている範囲で報告いただいたエクセルファイルを添付してございます。
 以上でございます。
○山口座長 非常に重要な有害事象報告だと思います。経緯と今行っている対応について御報告しましたが、何か御意見ございますか。
 山中構成員どうぞ。
○山中構成員 事務局に質問です。倫理審査委員会というのは、杏林大学の倫理審査委員会でいろいろ判断してもらうという趣旨ですか。
○医政局研究開発振興課専門官 そうです。ここで8月28日開催予定というのは、杏林大学の倫理審査委員会です。
○山中構成員 指針上、こういう状況でIRBに周知するというのは必要だと思うのですけれども、こういう案件の審議は基本的には効果安全性評価委員会により評価されるべきだと思います。7月にいろいろバタバタと問題が起こりましたが、効果安全性評価委員会が8月上旬に早々と登録一時中止を決めているのはよかったと思います。こういう状況であったら、この後は対面で集まって、画像等も見ながら、効果安全性評価委員会のメンバーは皆さん肝胆膵がんの専門家ですから、そこで審議してもらうというのがいいのではないかと思います。
○山口座長 山本構成員どうぞ。
○山本構成員 私も全く同意見で、恐らく今まではメール審議で、各症例の画像等を送って症例ごとに判断していると思うのですけれども、今我々にも出していただいているエクセルの表にもございますように、今は止めているということなので今度は19例の症例全体を効果安全性評価委員会で詳細に確認して、その上で継続中の方の投与終了をどうしていくかとか、そこは倫理委員会ではなくて効果安全性評価委員会でやるべきだと思います。そのほうが、より専門家が独立の立場で、しかも、個々の症例の詳細な臨床データに基づいて判断するということですので、そちらのほうがより適切だと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
 机上資料の4ページの上にある今回の向こうからの報告を見ると、メールでやりとりしているだけで、今言ったようなきちんとした調査が行われていないように見えます。
○山本構成員 効果安全性評価委員会は迅速に議論しようと思うと、どうしてもメール審議になってしまうところがあって、独立性ということで自施設ではない人を選びますし、専門性が高い人になるとどうしてもバラバラになってしまうので、毎回毎回集まるのはなかなか難しいので、症例ごとの審査をメールで審議することについては通常やられていることだと思います。ただ、今回は、一旦メールで登録中止と言ったわけですから、今からは対面でとにかく開くべきだと思います。
 それともう一つは、この技術部会でもそこまではいつも出してもらっていませんけれども、本当は効果安全性評価委員会の開催の手順書がつくられているべきなんですね。恐らく慣れた方たちはちゃんとつくっていると思いますけれども、つくっていないところもある可能性はあって、今回は杏林大学の事務局さんが、その手順書までつくっていなかった可能性があると思います。本来はメール審議であっても議事録として作成して、それを残すべきなのですが、今回はそこまでやっていらっしゃったかどうかわからないので、このタイミングで、もし、ないのだったらきちんとつくっていただいて、それを出していただくのもいいのではないかと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
 山中構成員どうぞ。
○山中構成員 いい機会なので申し上げますが、一般論として、先進医療に上がってくる案件では、効果安全性評価委員会ないし別名独立データモニタリング委員会に対する考え方が結構甘い場合があります。効安委員会というのは御承知のとおり、試験の早期中止に係る重要な判断をするところですので、きちんとした意識が必要だと思うんです。ただ、技術評価部会の先生たち、よく指摘されていると思いますけれども、委員は同じ医局の方はやめてくださいとか、そのぐらいのレベルから指摘しているわけなので、独立データモニタリング委員会に関する意識というのは、もうちょっと上げていかないといけないかなと思います。先進医療だけではなくて、日本の医師主導臨床試験全般の問題になりますが。
○山本構成員 そこは私も言いたくて、よく上がってくるもので効果安全性評価委員会のメンバーが確定していないのに上がっているものがたくさんあるので、私が見たときは必ずそれは絶対入れてくださいと。本当は入れた形で承認すべきなので、常にそれは言っているのですけれども、そこについて各研究者の見識が余り高くない部分もあるのかもしれません。
 ただ、今回は一応、急激に2例、3例と死亡が続いて、症例の登録はとにかくそこで中止していただいているので、効果安全性評価委員会としては機能しているのだろうと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
 最初の2例ぐらいまではパラパラと出てきたので開かれて、これは特に重篤なものではないという判断で継続になったのですけれども、次々と出たときにも、相変わらずメールのやりとりになってしまっています。何例か連続して出てきたときには、その際の手順を決めるのは非常に重要だと確かに思いました。
○山本構成員 ただ、有害事象はどういうふうに出てくるかわからないので、その場その場の対応にはなると思うのですが、今、死亡例が続いたことで、とにかく一旦中止していただいているので、次の手順としては、対面の効果安全性評価委員会を早急に開いていただいて、我々一連のものを見せていただいた場合に、どうも継続中ではなくて中止後の死亡というふうに中止後に偏っているので、これは症例登録を中止するだけではなくて、投与中止のプロトコールをもう一回考え直すということも必要になってくるのかもしれないと思いますので、そのあたりは専門の先生方に集まっていただいて、どうするかということを検討していただく必要はあると思います。
○山口座長 どうぞ。
○柴田構成員 事務局に事実関係の確認ですけれども、まず、2例目、3例目、5例目の3例については、2例目、3例目が報告された当初は因果関係はなかろうと担当医は判断していたけれども、5例目が報告されたときに効安の先生の判断で、これは否定できないだろうと。それでさかのぼって2例目、3例目も因果関係が否定できないと最終的に判断されたという経緯で正しいですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、そのように報告を受けています。
○柴田構成員 そうであれば、やはりプロトコールの試験実施計画書の規定に従って、先ほど事務局からも御説明があったように、登録は中止して、試験の中止を検討するというフェーズに入っていると思います。現状は、一番大事なのは登録を中止することと、現在投与されている方には今後どのような対応をするかが最優先だと思いますが、それが落ち着いたとき登録を再開するかどうかという話を中間解析の結果に基づいて判断すると書いておられますが、これは多分よほどのことがない限り再開できないと思います。
 理由は、プロトコールの70ページ、タブレットの70ページになるのですが、本試験においては、治療関連死割合に関しては点推定値が5%を超えないという仮定を設けている。つまり、予想される有効性に関してリスク・ベネフィットバランスの観点から、治療関連死が5%を超えるようであれば、やはり治療として不適切であろうという考えから、このような閾値が設けられているのですが、現時点でそれを明らかに超えている。中間解析の結果、よほど効いているとか、リスク・ベネフィットバランスが非常に良くリスクが高くても治療する価値があるぐらい劇的に効いているというのであれば判断は変わるかもしれませんが、とはいっても、この治療関連死割合に見合うようなベネフィットが出ているようでもないので、よほどのことがない限り、それはないのではないかというのは一言申し上げておきたいと思います。その点については、適切にプロトコールどおりに対応されているので、まず投与中の患者さんに対する対応が落ち着いた後は、どのような形でこれを閉じていくかということを検討していただくというのはお願いしたいと思います。
○山口座長 どうぞ。
○山中構成員 多分、継続中がざっと見る限り10人ぐらいいます。むやみにアキシチニブを切れないという状況があります。一方で、胆道がんなので胆管炎とか普通に起こると思うんですが、今回の死亡が起こった施設だったら気をつけるかもしれないですけれども、そうではない施設も情報共有はされているかもしれませんが、意識は多少落ちると思うので、アキシチニブを切ってしまおうということはあり得ると思うんです。だから、今後どうするのかは至急検討してもらったほうがいいです。
 胆管炎だった場合、徐々に減量していった症例がいれば、例えばそれの腹水のたまり方とか、そういうことも検討したほうがいいのかもしれません。
○山口座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。田代構成員どうぞ。
○田代構成員 1点確認なのですけれども、こういう事例の場合に効安が非常に重要な役割を果たすということは理解しているつもりですが、倫理審査委員会の話に一回戻したいのですが、第1例は昨年7月ですよね。この事例についても倫理審査委員会に報告されていないという理解でよろしいのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 第1例目に対しては、効果安全性評価委員会にはかかっていたのですが、倫理審査委員会についてはすみません、確認できていません。消化管出血があったので、組み入れ基準を変更して、それを除くという形で再開になっております。この1例目に関しては、報告も7日以内にされております。倫理審査委員会に関しては確認させていただきます。
○田代構成員 わかりました。ことし8月の事例に関してはどうですか。倫理審査委員会に有害事象が上がるタイミングが少しおくれるということはもちろんあると思うのですけれども、おくれるタイミングがもし1年という話になると、さすがにちょっとという感じがいたします。
 あと済みません、私もプロトコールをちゃんと見られていないのですが、プロトコールの中に、そもそも有害事象の倫理審査委員会への報告の規定があるのかないのかがよくわからないところもあります。もともとどういう手順で進んでいて、恐らく今の指針上は、まず研究機関の長に報告が行って、長から倫理審査委員会に行くという仕組みになっているはずなのですが、この中にも病院長報告というか、病院の中での取り扱いがどうなっているのかもよくわからないところがあります。そこもあわせてぜひ事実関係を教えていただければと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 確認いたします。
○山口座長 ほかにございませんか。
 まだ御意見あるかもしれませんが、今わかっているのはこういうところです。早急に対応するのではなくて至急ということで、進めさせていただくようにしたいと思いますが、特に何か御発言がありましたらどうぞ。
 伊藤構成員どうぞ。
○伊藤構成員 最初のプロトコールを評価させていただきましたので、このような事態になるとは思っていませんでした。ただ、もともと生存期間が2カ月とか3カ月というぐらい重篤な方々なので、そういう意味で原病死という評価がずっと続いていて、このような形になったのだと思いますが、もともとアキシチニブという薬は腎臓がんの薬で腹水がこんなに出てくるというのは、誰も予想していなかったと思っています。それがわかってきたという意味では、1つのサイエンスなのだろうと思います。
 ただ、逆に、中止後に出ているので、中止に関してはよほど慎重にやっていただきたいと思いますし、具体的な症例を見て気になりましたのは、プロトコール治療中断後の被験者のフォローが大変甘く診ていて、その結果、腹水などの判断がおくれていたような気がしますので、プロトコール治療中止後のフォローに関しては、もう少しきめ細かくやっていただきたいと思いました。
○山口座長 ありがとうございました。御指摘のとおりだと思います。
 ほかにございませんか。
 それでは、至急進めるようにいたします。特に御意見がなければ、これは終わりたいと思います。
 本日の議題は以上でございます。特に何か今のこと以外で御発言ありますか。
 なければ、次回の日程を事務局からお願いします。
〇医政局研究開発振興課専門官 次回9月の開催につきましては、9月14日(木)16時から18時までの予定とさせていただきます。場所については、別途御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、あわせてよろしくお願いいたします。
〇山口座長 それでは、大変活発な御議論をありがとうございました。5分ほど超過しましたけれども、第61回「先進医療技術審査部会」を終了いたします。ありがとうございました。

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