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2017年9月13日 第32回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成29年9月13日(水)14:00~16:45


○場所

全国都市会館3階 第2会議室
東京都千代田区平河町 2-4-2


○出席者

増田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、齋藤(衛)委員、椎野委員、西沢委員、原委員、藤井委員、松山委員、安井委員

○議事

○藤原参与 定刻になりましたので、ただいまより、第32回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、委員の出席状況ですが、本日は、金田委員、喜田村委員、斎藤(聖)委員、西村委員及び山口委員が御欠席でございます。

 また、原委員におかれましては、遅れて御出席されるとの御連絡を頂戴しております。

 議事に入る前に、厚生労働省と日本年金機構に人事異動がありましたので、御紹介いたします。

 高橋年金管理審議官でございます。

 宮本事業企画課長でございます。

 竹林事業管理課長でございます。

 黛年金事業運営推進室長でございます。

 山田給付事業室長でございます。

 日原事業企画部門担当理事でございます。

 それでは、議事進行につきましては、部会長よりお願いしたいと存じます。

 恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでで御退室をお願いいたします。

(報道関係者退出)


○増田部会長 それでは、議事の方を進めてまいりたいと思います。

 議事次第に従って、「日本年金機構の平成28年度業務実績の評価について」を議題といたしたいと思います。

 なお、本日は、一度予定を内々にしておりました日程を、ちょうど人事異動等がございましたので、飛ばしたというか、今日の方に送っておりますので、案件がかなり盛りだくさんになっておりますので、できるだけ効率的に進めていきたいと思いますが、ぜひ御協力の方、よろしくお願いしたいと思います。

 初めに、業務改善計画にある取組等が着実に実施されているか検証するために、当部会から派遣されました検証作業班の中間報告について御説明をいただきまして、続けて、私から事務局に作成を指示した「機構の平成28年度業務実績の評価結果(案)」ですが、こちらについて説明をお願いしたいと思います。

 なお、本日付で、厚生労働大臣から「日本年金機構の平成28年度の業務実績の評価」について、社会保障審議会の西村会長宛てに諮問がなされております。このことを御報告しておきます。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


○黛年金事業運営推進室長 年金事業運営推進室長の黛でございます。

 私の方から、資料1と2、機構の評価、それから検証作業班の中間報告につきまして一括で御説明させていただきます。資料の順番が逆になってしまうのですけれども、まず最初に、検証作業班の中間報告の方から御説明させていただきます。

 資料2でございますが、最初、文章が書いてあるものが10ページほどございまして、こちらが本文、その後ろに参考資料という体裁のものでございます。それからあと、机上配布で委員限りということで、監査の結果通知、それから地域マネージャーの活動報告というものが付けてございます。こちらの方も適宜御参照いただければと存じます。

 早速、資料2の「業務改善計画の実施状況等の検証作業班」による検証について(中間報告)でございます。既に皆さん御承知のこととは思いますが、平成29年1月の部会において、この検証作業班というものを設置いたしまして、実際の機構の業務改善計画、2712月に策定し、今まさに取り組んでいるものでございますが、こちらについてどのような取組状況になっているか検証するということで、実際に3月、6月、7月の3回ほど検証作業班でお集まりいただきまして検証作業を行っていただきました。それについての結果の中間報告という形でのとりまとめということでございます。今申し上げたような経緯を、1ページ目の「1.はじめに」という部分で書いてございます。

 1枚おめくりいただきまして、「2.機構の基本理念と組織・業務改革の経緯」でございますが、ここは、これまで機構が取り組んできた業務の改革につきましてどのような考え方に基づいて行われているのかをまとめさせていただいたところですけれども、特に重要といいますか、まず、この後ろ、実際に検証いただいた内容が書かれている部分を整理するといいますか、理解する上でどのような考え方で改革が行われたかというところ、3つほどの柱を挙げてございます。

 それが2.(1)の、マルで言うと2つ目のところでございますが、組織全体として年金事業を適正に運営するためには、まず、本部における適切なルール設定が重要であろうということ。それから2つ目として、ルールを現場に周知・徹底するということが重要であろうということ。それから3つ目として、現場での課題を本部の方にフィードバックしていく、そしてさらにそれらの情報が本部内で共有されていくという、この3つの点が重要ではないかというところをまとめておりますけれども、このような考え方に沿ってこれまで改革の取組が行われてきたということで、実際、特に業務改善計画についてどのようなことが行われたかを検証作業班の先生方に見ていただきました。その内容が3ページの真ん中下から10ページの最後のところまで書かれてございます。それをかいつまんで見ていければと思っております。

 「3.現場に対するルールの徹底や、現場と本部の情報の共有が図られているか等について、検証作業班における検証結果等」ということで、まずそのルール設定という部分で、こちらに関する取組ということで、1番目、統一業務マニュアルというものを見ていただきました。こちらにつきましては、それまで、事細かに、現場の職員の方々が迷うことなく作業することのできるマニュアルで全国統一のものは実はなかった、地域ごとにばらつきもあったということで、これに関して地域差というものを調べた上で、統一されたマニュアルを作ったという取組がなされてございます。

 これにつきまして御覧いただいた上で、実地検証、事務所・事務センターにも行っていただいて、職員からお話を聞いていただきました。

 それで、4ページ目の真ん中よりちょっと上のところですが、ここについてコメントということで、「統一業務マニュアルは、今後の制度改正等や業務改善を踏まえて改定をしていく他、現場からの改善意見や、運用する中で現場がわかりにくい表現をフォローアップして改善していく必要があり、マニュアルの継続的なメンテナンスが確実に実施されるよう措置することが重要である」。「また」ということで、統一業務マニュアルというのは非常に分量が膨大、この上のところにありますが、1万8,780ページほどあるということですので、これをどれだけ見やすくするか、検索性を高めるかということですけれども、そのような取組を行って、それを実現していくことが急務であるということを指摘ということで書かせていただいているところでございます。

 その次に、マル2「『指示・依頼』発出ルールの見直し」ということで、ここでは平成26年の数字を挙げているのですけれども、それまで、機構本部と、それから、今はなくなっているのですけれども、ブロック本部というところから出された指示とか依頼というものが年間4,300件ほどあったということで、このような数が出ておりますので、これを実際、事務所、事務センターにおいて理解し、実施していくというのは非常に負担がかかっていた実態があったということで、これを見直して指示・依頼を指示とお知らせというものに関しては事務連絡という類型になるのですけれども、それに分けて、それらが的確に出されているか審査するような部署も設けて、その上で出すという形で、ルールの設定の仕方というところで改革の取組が行われたということ。

 それで、実際に、下から2つ目のマルのところですが、平成28年度に出された「指示」、それから「事務連絡」の件数というのは、26年度に比べて約3分の1になっているという改善があったということで、こちらについて検証していただいたということでございます。

 続きまして5ページ、「(2)ルールの現場への周知・徹底」という部分でございます。こちらの方の具体的な取組でございますが、マル1「ルール徹底責任者・ルール徹底担当者」ということで、このような役目の方を各拠点、事務所・事務センターに置いて、それぞれの拠点においてルールの徹底を、役割を持ってやっていただいたと。実際のやり方がマルの2つ目に書いてございますが、このようなことをやっているということで、実際それを見ていただいたということでございます。

 2番目に「理解度チェック」ということで、28年度から、制度改正や業務手順の変更などの重要なルールの設定や変更について、担当職員に対する理解度チェックというものが行われているということで、先ほどお話ししました統一業務マニュアルに関しては、そのうちお客様の対応に影響がある35項目について理解度チェックを行ったという取組がされております。そちらの状況についても見ていただいたということでございます。

 それから、6ページの真ん中ほどのところでございますが、マル3「事業推進役(地域マネージャー)」ということで、それまで本部と現場である各拠点、事務所・事務センターとの間にブロック本部というものがあったのですけれども、これを廃止しまして、そのかわり、本部に地域部という各地域を担当する部、それから、その地域ごとに各1名、計15名になりますけれども、事業推進役(地域マネージャー)というものを配置したということ。この地域マネージャーというのがまさに現場と本部のつなぎ役ということで、本部と現場の各拠点を行ったり来たりしてやっていただいているということで、その状況について見ていただいて、実際、地域マネージャーの方からヒアリングなどを行ったということでございます。

 続きまして、7ページのマル4「内部監査の実施」ということで、この内部監査が有効に機能するということが、当然、組織、業務管理の中で重要なことですけれども、どのような状況なのか、どういうことをやっているのか見ていただいたということでございます。実際、それに関してヒアリング、聴取などを行ったり、それから、実地に事務所・事務センターといったところでも結果を見ていただいて話をしていただいたということでございます。

 それで、委員限りということでお配りした資料の中に監査結果通知というものを付けてございます。これは本当にその監査が行われた結果通知そのものでございます。これは対外的に公表するような類いのものではございませんので、一応机上配布、委員限りということでお付けしておりますが、実際にこのようなものを見ていただいたということを検証作業班でやってございます。

 続きまして8ページ目でございます。今度は(3)ということで、現場の課題のフィードバック、それから本部での情報共有という部分でございます。今、御説明いたしました地域マネージャーというもの、これがルールの周知徹底という場面では本部で決められたことを各拠点の方に周知していくつなぎ役ということで、現場で見たもの、現場の状況については本部の方に上げていく、つないでいくということがもう一つの地域マネージャーのお仕事ということで、その状況について検証していただきました。それで、地域マネージャーの活動報告というのは、また委員限りの資料の後ろの方に付けてございますが、こういう取組をやっているということを見ていただいたということでございます。

 実際、この点に関して、8ページ目の下のマルのところで、地方の拠点に行っていただいた際にその現場の職員に話を聞いていただいて、本部がそれまでに比べると近くなったと感じたという職員の声も聞けたというところでございます。

 おめくりいただきまして9ページ目、今度はマル2「機構本部内の情報共有」という部分でございます。こちらにつきましては、マルの1つ目で、計画されているような組織の再編が行われたということで、常勤役員会の設置とか情報セキュリティ対策を推進するための情報管理対策本部の設置が行われたということ、これは認められるというところではございますが、その下のマル、いわゆる会計検査院事案と呼んでいるものでございますが、昨年度発生したことでございますが、検査院から調査依頼があったことに対して、機構の組織として十分な対応ができなかったという事案でございます。

 こちらにつきまして、このようなことがなぜ生じたのかという経緯を確認しているということで、この9ページのマルの2つ目のところでその状況について書いてございます。

 こちらにつきまして、問題としては、情報共有というところでいきますと、的確に、適時に理事長等幹部に報告がなかったということでございますが、9ページの一番下のマルのところですが、事案が発生した時期に担当部署に業務が集中していたこと等が背景にあるという御説明だったのですけれども、そもそも組織・業務の管理が不十分であったと言わざるを得ないのではないかということ。それで、遺憾な事案であるということでございます。このような問題につきましては、担当だけの問題ということではなく、組織全体の問題として捉えた上で、機構の意思決定のあり方を見直すことが求められるというコメントをいただいております。

 さらに10ページ目ですが、「このため」以降で、組織・業務管理においては、責任部署を明確化するということ、それから業務の進行の管理を徹底すること、それから、理事等幹部のリーダーシップがより発揮されることが重要であるということで、業務改善計画の取組を進化させる必要があるというコメントを頂戴しているということでございます。

 それから、「(4)予算の執行状況等」ということで、こちらの説明資料の後ろについている参考資料のところで、予算の策定から執行段階の流れについて資料を付けてございますが、こちらにあるようなことを御確認いただいたところでございます。

 以上が検証作業班で実際に見ていただいたことを、非常にかいつまんでの御説明ですけれども、このような形でまとめているということでございます。

 最後の4番目の「まとめ」ということで、業務改善計画の取組は28年度から3か年で取り組まれているということで、マルの2つ目のところで非常に端的に今御説明したようなことをまとめているのですけれども、そのような取組はまだまだ進行中であるということ、取組の中身が組織全体に浸透し生きたものになるには一層努力を要するということで、年金事業管理部会として引き続きその進捗確認をしていく必要があるということで、この中間報告のまとめということにしてございます。このような報告を検証作業班の4名の先生方におまとめいただいたということでございます。

 まず、こちらの方、中間報告の御説明でございました。

 引き続きまして、機構の評価の資料1の方を説明させていただきたいと存じます。機構の評価について仕組み的なお話をしますと、日本年金機構法に基づきまして毎年厚生労働大臣が行うものでありまして、この評価に当たっては、社会保障審議会に諮問がなされるということで、この年金事業管理部会で御議論いただくことになってございます。

 28年度の業務実績につきましては、前回、前々回のこちらの部会で既に御議論いただいているものでございますが、その議論の内容を踏まえまして、機構の方から提出された業務実績報告書の内容について、これが28年度の年度計画に照らしてどういう達成状況になっているか評価するという形で、今回のこの評価が行われるということでございます。

 評価の基準ですけれども、資料1の表紙をおめくりいただきましてその裏の下のところに「判定基準」とありまして、この考え方に基づいて評価、評語が付けられているということでございます。年度計画を基準にして、年度計画を概ね達成している項目につきましてはBという評語がつきまして、その計画を上回っている場合はA又はSがつきまして、逆に計画を下回っている場合はC又はDという評語になるということでございます。

 この一覧表ですけれども、こちらの方に評語をまとめて記載しているところでございますが、御覧いただきましてわかるとおり、まず、全般的な傾向としては、年度計画を概ね達成している。そのとおりやられているのではないかということで、Bが大半のものに付いています。24の項目中19がBという案になってございます。

 一方で、5つほど、Bではないものがございますが、特に数値目標というのが年度計画等に書かれておりまして、それを超えていることが見えるような項目につきましては、3つほどありますが、Aという評価を付けてございます。逆に、計画を下回っていると考えられる項目2つにつきましてはCということになってございます。

 1点お断りですけれども、本日お配りした評価案、今週に入ってから改めて先生方に送付させていただいたところではございますが、事前の説明の際に先生方からいただいた御意見も踏まえまして修正が行われたということがございますので、その点は御了承いただければと存じます。

 そして個別の評価のところの御説明ですが、非常に大部で、これを逐一説明していく時間はございませんので、今回、Bの項目については基本的に説明を省略させていただきまして、AとCがついているものについて御説明させていただければと存じます。

 まず最初にAが付いているものですけれども、3ページのところでございます。「国民年金保険料収納対策」の方は評価がAということですが、こちらにつきましてはAが続いているのですけれども、数値目標というのが年度計画に定められておりまして、それを上回っているという状況が見えました。具体的には、この表、5列ほどありますが、一番左のところが28年度の年度計画で、真ん中のところに実績がありまして、右側のところに評価の視点、評語、評価の理由という形になっております。年度計画のところに数値目標がありますが、それを評価に当たっての視点のところで抜粋して記載して、それに照らしてどうかということです。

 例えば、平成28年度分保険料の現年度納付率が、目標では前年度の実績から1.0ポイント以上の伸び幅を確保となっているのですけれども、実績ではプラスの1.7ポイントとなっている。同様に、今度は27年度保険料の平成28年度末における納付率が、27年度末から4.0ポイント程度伸び幅を確保となっているのですけれども、実績で6.5ポイントということ。

 この下にも幾つか項目があるのですけれども、同じように、数値目標を上回っているということでございます。それ以外のことも年度計画に書かれているのですけれども、この辺、概ね計画どおり行われているということがありますので、計画を上回っており、Aという評価でどうかということで案を作ってございます。

 続きまして、9ページ目です。「厚生年金保険・健康保険等の適用・徴収対策」ということで、こちらにつきましても数値目標を上回っているところがありますのでAということで案を作ってございますが、それにつきましては、年度計画では数値目標という形ではないですけれども、年度計画で策定することとされた行動計画に数値目標がございまして、そこで例えば加入指導による新規適用事業所数9万3,000事業所とありますけれども、実績としては約115,000事業所となっているということ。

 それから、総合調査及び定時決定時調査等の実施件数ということで、事業所の調査ですけれども、そちらの目標は、平成28年2月末における適用事業所数の4分の1相当ということで、これが数で言うと485,000事業所となりますが、実績では565,000事業所ということがございますので、こちらについてもAという評価でどうかということでございます。

 続きまして14ページ、「厚生年金保険・健康保険等の徴収対策」でございます。これも同じように数値目標というのが定められておりまして、こちらについては上回っているところと、下回っているといいますか、数値目標が前年度と同等以上の水準を確保という書き方になっているところで、細かいところで見ると、前年度数字をちょっと上回っていたりちょっと下回っていたりという部分がございますが、目標をクリアしているのではないか。それ以外の計画の部分も含めて、ここのところはAという評価でいいのではないかということで、Aになってございます。

 それ以外の部分は、ほとんどBということでずっとありますけれども、C評価になっているものが2つほどございます。資料の56ページのところです。「業務運営における公正性及び透明性の確保その他業務運営に関する重要事項」という大きな括りの1番目の「内部統制システムの有効性確保」という部分でございます。

 こちらにつきまして、措置としては計画に沿った措置が行われているというのは実績報告にあるとおりですけれども、先ほどの検証作業班の中間報告でも御説明させていただきましたが、56ページの右側の下で指摘しているところでありますが、いわゆる会計検査院事案ということで、機構本部での情報共有等がしっかり行われてなかった事案があったということ。こういうことが認められますので、なかなか計画どおりの効果が発揮されなかったのではないかということで、この部分については計画を下回ったということで、Cという評価でどうかということで案を作ってございます。

 それから、78ページ、「個人情報の保護に関する事項」というところでございます。こちらにつきましても、年度計画との比較ということであれば、年度計画にある取組を実施していただいたというところではございますが、79ページの右上、(個人情報の保護)に関する事項の技術面のところでの指摘ではございますが、「年金個人情報等専用共有フォルダのある領域から記録媒体に情報を書き出す場合には、全て暗号化措置を講じており、また、生体認証によるアクセス制御を実施している」とあった後に、「しかしながら」ということで、「(元)職員による年金個人情報の不正な閲覧・持ち出し等の事案」というのが、実際これは新聞でも報道された事案ではございますが、そういうものが依然として発生しているということですので、技術面の話だけではなく、紙ベースでやっているようなものも含めて、業務運営面も含めて、お客様の個人情報の保護を確実に行われたいという指摘を書いているということがございます。

 このようなことがございまして、個人情報の保護の取組として、計画に沿ってやられているのですけれども、まだ実際そのような事案が起きているという状況でございますので、Cという案になってございます。

 今、御説明したところが、24ある項目のうちB以外の評価になっているところでございます。

 説明が長くなって恐縮ですけれども、資料1と2についての御説明は以上で終わりにします。


○増田部会長 ありがとうございました。大きく2つに分かれておりまして、石井委員と岩瀬委員にお願いいたしました業務改善計画の実施状況の検証作業班による検証の中間報告に係る部分、そして、あと資料1の方の、少し大部になりますが、28年度の業務実績全般についての評価、この2つであります。

 これから、委員の皆様方から御意見、御質問がございましたらお受けしたいと思いますけれども、どちらの方でも結構でございますが、場所を明示して、それで御意見や御質問いただければと思います。


○椎野委員 こちらの業務の統一、作業班の中間報告というところで御質問をさせていただきます。年金事務所の健康保険についての対応が、事務所によって全く違っているのが現実です。ある事務所においては、保険証をすぐに発行していただきたいというときに、資格申請書というものを提出すると、すぐに仮の証明を出していただける年金事務所もあれば、資格申請書を提出しても当日すぐに発行できないという年金事務所もあり、ばらつきが大変目立っています。この辺はどのような対応をお考えになっていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。


○増田部会長 ありがとうございました。今のは現場での運用といいますか、業務の執行の実態の話ですけれども、機構の方で今の御質問について答えられる方、どなたかに答えていただいて、さらに調査が必要であれば、また次回にしていただければと思います。


○事務局(菅野事業推進統括部長) 事業推進統括部長の菅野でございます。よろしくお願いします。

 御指摘の点につきましては、基本的に日数を定めて発行するように、その場でお申し出があれば発行するというような手続になっておるのですが、現場の状況、例えば窓口の混雑時とかそういったことがあって、後日にという実態があるのかもしれませんが、それについては改めて調査をしまして御回答させていただきたいと思います。よろしくお願いします。


○増田部会長 椎野委員、よろしいですか。次回の調査の方で。


○椎野委員 報告の上で、また質問させていただきたいと思います。


○増田部会長 わかりました。それでは、次回までに調査していただいて、それで報告していただけますかね。その上で、椎野委員から、必要であればまた聞いていただくということにしたいと思いますので。

 他にいかがですか。


○藤井委員 実績の評価の方ですけれども、表紙の裏側を見ますと、Aの項目というのが上の方に3つ載っておりまして、これは昨年も一昨年も大体良い評価の傾向の部分であると。これはいずれも保険料等の納付に関わる項目ではないかと思うのですね。これらはいずれも目標が数値になっていて、それを上回っていると。これに関しては、たしか税務署との連携などの手段を講じた結果良くなったということかと思いますけれども、目標の立て方をどうするかというところかと思うのですが、税務署との連携を図れば、図ったこと自体が評価の対象であって、その結果、毎年予定よりも良くなったというのは、そもそも税務署との連携を図ったことを前提とする予定とする。要するに、数値というのであればそうするべきだし、それから、税務署との連携を図ったということは、それは1つでかしたということだと思うのですけれども、その後、毎年率がよいということで、毎年Aというのもいかがなものかと思うのですが、要するにこれは何を言っているかといいますと2つありまして、目標の立て方というのはそもそもどうあるべきか、という点と、さらには、ここでAが付きCが付くわけですけれども、そのようなことをした結果、どのような効果があるのかということについてお伺いしたいと思います。


○増田部会長 数値目標の設定の方は機構の方にお願いしますので、先に厚生労働省の方からお願いします。


○竹林事業管理課長 藤井委員、御意見いただき、ありがとうございました。

 一応今回の目標そのものは機構の方で設定しているものに照らしてどうかとしましたけれども、もちろん、目標を作る段階で、どういう目標が適当なのかというのは常に毎年毎年、よく機構と意見交換をしながら考えていかなければいけないと思っております。1つは、そういう定量的な目標の方がある意味評価がしやすいという部分、定性的なものですと、それに対する評価がしづらいという部分もありますし、一方で、御指摘のように、数字だけまた追うのでもいいかどうかという御意見もよくわかりますので、引き続きよく検討してまいりたいと思っております。


○高橋年金管理審議官 確かに、委員御指摘のとおり、その評価の基となる年度計画、この審議会でも御議論いただきまして、毎年策定をしております。この年度計画の下に行動計画がありまして、これは機構で定めておりますけれども、元々の評価の軸となります計画は、ここで御議論いただいて、厚生労働省で定めているというものでございます。

 この評価の軸として、数字があるものは、比較的その数字によって達成したかどうかで計りやすい。数字のないものは、一生懸命やった、計画どおりでしたなど、定性的なものは評価しにくい。確かに御指摘の点は非常に悩ましい点でございます。一方、数字があるものにつきましても、数字さえ達成すればいいというのではなくて、そのさらに中があるのではないかという御指摘。今回、私ども、この原案を部会長にも相談しながら作るに当たりまして、そこのところはなかなか難しいと思いながら、悩みながら、また次回に向けて、元々の計画の策定時、その数字の設定のあり方等々につきまして、またよく委員の先生方にも御相談しながら設定してまいりたいと思います。


○増田部会長 それでは、理事長さんの方でお願いします。


○水島日本年金機構理事長 目標の立て方でございますけれども、従来は前年実績をベースにして、それを上回るというのが基本的な考え方だったと思います。しかしながら、今、藤井先生が仰いましたとおり、マーケットはわかったわけですね。対象が確定したと。厚生年金、適用の場合はですね。その対象に対して、例えば10人以上従業員がいると考えられるところについてはここまでにやりましょう。それ以下のところは、例えば2年間なら2年間でやりましょうというような計画を立てるわけです。

 それに対して、そのマーケット、その対象が個々の事務所別にございますので、それに対してどういう計画を立てるかということを、マクロとしては従来9万程度であったものが115,000円ぐらいに実績としてはなったわけですね。そのマクロ計画としては従来実績をベースにいたしますけれども、その対象はマーケットを踏まえて個別にターゲットを決めてやるということになります。これは国民年金も全く同じでございまして、マーケットを踏まえた目標設定方法に大きく変更しているということでございます。

 評価は私どもの方ではございませんが、私どもとしては、マンパワーにも限りはありますので、そういう意味で、従来実績を少なくとも上回って、かつ、そのマーケットに対して一定の期間内に達成されるという計画を立てて目標を作っているということでございます。


○増田部会長 藤井委員、今の御回答に対して追ってありますか。


○藤井委員 正直言って余りよく覚えてないのですけれども、ここで目標についても議論しただろうと思いますけれども、大変申しわけないところですけれども、その際に、今お話があったようなところまで考えて、果たして、我々、この部会として目標を設定したのであったかどうかという思いはあります。


○増田部会長 どうぞ、大山委員。


○大山部会長代理 今の議論、重要だと私も思うのですけれども、ただ、評価している内容の性質というのをちょっと考えてみると、Aが付いているというのは、ずっと付いていくというはずはないのですよね。上限があるので。したがって、その意味では、Aが付くというのは、それだけまだ不十分だったからAが付けられるという言い方もできるわけなので、その観点から見ると、ここはそう遠くないうちにちゃんとBになってくれるのではないかなと、逆にそれが本当の評価なのではないかと思います。その意味で、もちろん議論として数値が出るものとそうでないものがありますから、その辺の議論はもう一回、来年度含めてしっかりやる必要があると思いますけれども、ここの3つに関してはそういう性質のものではないかなと思います。


○増田部会長 ありがとうございました。今の点について、他の委員からも何かございますかね。

 このAとBと、それから、必ず対前年の形で比較するのと、それから、そもそも目標、数値に表わされるものは、それを含めて年度計画のその計画が一体いかほどのものかというのは毎回毎回その中身とともに問いただされるべき話かと思うのですが。ですから、評価となると、何がしかの基準を作らなくてはいけないのですが、それが大幅にそれを上回っているというそのそもそもの基準がいいのかというのは、我々もそれを見ていることになっているのですが、見た上で今の評価ということになっているのだと思います。恐らく私も、大山委員が最後に御指摘されたように、ずっとAが付くということはあり得なくて、必ずそれがBに収斂していくことだろうと思います。もう既に年度計画、昨年度の場合にはでき上がって、それの評価の段階に来ているので、余り議論を前に戻しても意味ないと思いますが、今のような議論、これからに向けてつながりますので、他の方から何か御意見ありますか。

 岩瀬委員、どうぞ。


○岩瀬委員 今の議論でなくて、別のやつでもよろしいですか。


○増田部会長 では、今の関係、それでよろしければ、また戻っていただいても結構ですが。

 それでは、岩瀬委員、他の点について、結構です。


○岩瀬委員 31ページの「分かりやすい情報提供の推進」というところのB評価についてお尋ねをしたいのですけれども、評価に当たっての視点として、「ねんきん定期便による情報提供など、より分かりやすく効果的な情報提供を行ったか」というのが基準になっていて、概ね達成ということの評価をされているようですが、果たして本当にそうなのかなという疑問を持っています。

 この「など」というのは、パンフレットを作ったりホームページを改善したりというだけでなくて、この部会での議論も含まれるはずだと思うのです。ところが、今まで私、部会にいろいろ質問してきましたけれども、それに対して的確な答えというのがいただけなかったケースがかなり多い。今日は、具体的にいつどういう質問をして、どういう回答だったかというのは用意していませんので、必要であれば用意しますけれども、機構側の説明としては、検討しますとか、隠していないとか、本来、説明責任を果たさないといけないはずなのに、その場をやり過ごすような対応がままあったかなと思うのですね。

 隠していないというような発言というのは、我々に藁の山の中からピンを探せというのと似ているという気がして、この部会での議論というのは公表されているわけですから、ここでの議論をやはり尽くす努力を機構がしてなかったのではないかなと。これに対してB評価というのはちょっと間違っているのではないかなと思うのですね。その点についてちょっと意見を言いたいのですけれども、何かあったら言っていただけますか。


○増田部会長 それでは、評価側の厚生労働省の方から。審議官、どうぞ。


○高橋年金管理審議官 年金管理審議官です。

 いろいろお求めいただきました資料について、まだ不十分だった点、お詫び申し上げます。委員御指摘のとおり、この部会で御指摘いただいたことをきっかけに、しっかり公表して説明していくことは重要だと思っています。これは年金局側の運営の問題でもありますので、そこのところにつきましてはしっかりやっていきたいと思います。

 一方、この評価におきましては、わかりやすい年金の仕組みですとか、そこのところにつきましてのいろんな説明ツールですとか、そこのところの説明、あるいはホームページでの解説、そこのところを機構に努力をいただいておりまして、そこのところの計画に基づいていろいろやっていただいているということで、計画の水準ということでのBということにさせていただいておりますが、今後とも、委員の御指摘に基づきまして、しっかりとより向上させていくということを機構と一体となってやってまいりたいと思います。


○増田部会長 岩瀬委員、よろしいですか。

 他にはいかがですか。


○安井委員 評価の方の59ページの内部統制システムの有効性についてですけれども、これについては相変わらず評価の部分が良くないわけですけれども、この評価についての目標を前提にしてということになると、ガバナンスとか内部統制というのはハードの側面とソフトの側面が混在していまして、それをどう評価していくかということになると、非常に混乱してくる。そこで、その効果とかその実効性について、以前、改善命令の中で、機構風土についての積極的な検証であるとか、あるいは解明であるとか分析といったことができれば、専門家の御助言をいただきながら検討する体制を設けていただきたいなと、そんな感じでおります。


○増田部会長 この点、理事長さん、お願いします。


○水島日本年金機構理事長 たびたび安井先生からは同様の御指摘をいただいておりまして、特に最近起きておる問題、あるいは改善すべきテーマと考えますと、本部で起きている問題が多いと認識いたしております。業務改善計画そのものは現場を中心に変えていこうということにしているわけでありますが、本部がいかに現場に近い存在になっていくか、あるいは現場に頼られる存在になるかということに関してはまだまだだと思います。

 本部の中に若手のプロジェクトチームを作りました。そこのプロジェクトチームの中で、折に触れて外部の専門家の先生の御意見を承るというようなことを進めてまいりたいと考えておりまして、その実現に向けて今検討を進めているところでございます。その検討を進めまして、また御報告を申し上げたいと思います。


○増田部会長 よろしいですか。

 それでは、理事長さんの方で、今の委員の指摘については実現に向けて検討を進めていくというお話でしたので、また、体制と、それからその内容について適宜御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


○安井委員 よろしくお願いいたします。


○増田部会長 他にはいかがですか。

 それでは、今大きく2つございましたが、特に資料1の厚生労働省の方で行われました日本年金機構の平成28年度の業務実績の評価結果(案)については諮問事項でありますので、この場で、この内容でよろしいかどうか決めさせていただきたいと思います。各委員からいろいろ御意見等もございましたが、この資料1にございますような業務実績の評価結果(案)に関して、これで了承してよろしいでしょうか。皆さん方から、了承してよろしいということであれば御賛同の御意見をいただきたいと思います。こちらでよろしゅうございますか。


(「異議なし」と声あり)


○増田部会長 それでは、皆様方から御賛同を得られましたので、こちらで了承ということにさせていただきます。これを私から西村会長の方に御報告させていただきたいと思います。あと、手続的には、その報告を受けて西村会長から厚生労働大臣宛ての諮問に対しての答申が行われるということでございますので、その旨御了承いただければと思います。

 それでは、議事の全体の中では「その他」ということになっておりますが、実はこの「その他」は、かなり内容が多岐にわたっておりますので、幾つか区切ってこちらの方の説明と質疑を行っていきたいと思います。

 最初に、「日本年金機構の文書保管ルールの見直しについて」ということで、資料3がありますが、こちらについて事務局から説明の方をお願いします。


○佐々木会計室長 事業企画課会計室長の佐々木でございます。資料3について私の方から御説明させていただきます。

 この日本年金機構の文書保管ルールの見直しについてでございますが、こちらも検証作業班において御検証いただいた事案でございます。資料に沿って、日本年金機構の文書保管の現状及び今回の見直しの基本的考え方について御説明させていただきます。

 資料を1ページおめくりいただきまして2ページでございますが、まず、現状でございます。日本年金機構の文書保管については、国と同様、公文書の管理に関する法律に基づきまして、日本年金機構文書管理規程等を制定して、法人文書を管理しております。

 しかしながら、平成2110月、年金記録問題等を考慮いたしまして、当時の厚生労働大臣から旧社会保険庁に対しまして、年金記録問題に関する文書はもとより、「年金記録問題に関係しない資料であっても一切廃棄しないこと及び廃棄するときは必ず大臣の許可を得ること」との指示が出されました。

 そのため、日本年金機構発足時に制定されました当該文書管理規程等におきまして、ポスターや旧様式の帳票等、これら一部の文書を除きましては、当面、保存期間を超えても廃棄しないこととして規定されたということでございます。

 その後、平成2510月に、さらに年金記録や年金額に直接関係しない一部の文書について、これを廃棄可能とする旨の大臣の了承が得られましたので、当該細則を改めたというところでございます。

 なお、資料には記載してございませんけれども、この大臣の許可を得るに当たっては、当時の社会保障審議会年金記録問題に関する特別委員会にお諮りし、大臣の許可を得て廃棄可能とすることについて御了承いただいております。

 しかしながら、いまだほとんどの文書が保存期間を超えても廃棄しないということになってございまして、現在、保管文書が恒常的に増大していくという状況になっているところでございます。

 この枠囲いの中にちょっと書いてございますが、平成28年度における外部倉庫等におきます文書の保管量が約110万箱、その費用でございますけれども、約10億円ということになってございます。

 今般、平成28年でございますが、会計検査院の指摘で、日本年金機構の文書保管の経費節減ということについて指摘を受けたところでございまして、これを踏まえまして、今回改めて年金機構の文書保管ルールの見直しを進めることとしたいと思います。

 また、平成25年に年金記録問題に関する特別委員会にお諮りしたという過去の経緯を踏まえまして、今回、当年金事業管理部会へお諮りしたいというものでございます。

 なお、参考でございますが、本年6月には、昨年の会計検査院の指摘に関連しまして、行政事業レビューの公開プロセスにおきまして、外部委員の先生方から、文書保管ルールの見直しを行い、これを踏まえたさらなる効率化を図るべきとのコメントもいただいているところでございます。

 3ページ目でございますが、「今回の文書保管ルールの見直しの基本的な考え方」でございます。まず、日本年金機構が保有する全ての法人文書を洗い出しまして、年金額や年金記録に直接関係する文書とそれ以外の文書に分類しまして、「年金額や年金記録に直接関係する文書」につきましては、引き続き、当面、当該文書の保存期間を超えても廃棄しない文書といたしまして、それ以外の文書については保存期間満了後には速やかに廃棄する取扱いとしたいというものでございます。

 (2)でございますが、年金額や年金記録に直接関係する文書の基準といたしまして、「被保険者の年金権に係る資格の取得、喪失、標準報酬・賞与、保険料の納付状況等について、原簿への収録又はその訂正を行う元となる文書」、また、「お客様から年金記録の確認を依頼された際に用いた文書や、お客様へ送付した年金記録に係る照会等に対するお客様からの回答文書」と「届出内容(請求日、配偶者・子の有無、繰上請求の希望等)が年金額や受給資格といった年金決定及び年金決定の訂正の元となる文書」といたしまして、今回全ての文書について個々に確認をさせていただきました。

 4ページ目でございますが、その結果といたしまして、年金額や年金記録に直接関係する文書といたしまして、654種類を特定できました。それ以外の文書につきまして、今回、大臣の許可を得て、保存期間満了後に速やかに廃棄する文書として規定を改めたいと考えております。

 この4ページの図でございますが、これはあくまでも現行の文書保存期間の例を示したものであり、今回、網かけの部分でございますが、これが大臣の許可を得て、廃棄を可能としたいというものでございます。

 今回の見直しにより見込まれる効果でございますが、サンプル調査による試算ではございますが、廃棄可能な文書数といたしまして約50万箱、それに伴いまして外部倉庫等に要する費用として、約3億円が節減できると見込んでございます。

 今般、当面、当該文書保存期間を超えても廃棄しないと分類された文書については、その保存方法としての画像化の問題、または現行の保存期間の妥当性等、こういったことについては今後の検討課題として認識しております。

 しかしながら、今回の見直しの趣旨につきましては、まずは年金額や年金記録に直接関係しない文書について廃棄可能とする大臣の許可を得たうえで、経費の節減を図りたいというものでございます。

 実際の文書の選定作業等に当たりましては、私ども年金局及び年金機構によるPTを立ち上げまして作業をいたしたものではございますが、先ほど申し上げました基本的な考え方、年金額や年金記録に直接関係する文書の基準及び作業手順等につきましては検証作業班の御了承をいただいているという認識でございますので、当年金事業管理部会において本事案につきまして御了承いただきたいということをお願いするものでございます。よろしくお願いいたします。


○増田部会長 それでは、ただいまの説明内容について、委員の皆さん方から御意見や御質問があればまたお願いします。

 藤井委員、どうぞ。


○藤井委員 大きく2つあります。

 1つは、例えば4ページ、5ページでもいいですけれども、そもそも、現在、1年、3年、5年、10年、30年という保存期間を定めた上で、一部のものについてはそれを超えても破棄しないとされているとのことですけれども、元々この1年とか3年とか5年の年数を決めていることが不適切ではないかというような予感がします。

 なぜかと申しますと、これは私の予想ですが、例えば1年、3年のものは、例えば標準報酬月額などがあるのですけれども、恐らくですが、保険料等の徴収に着目して保存期限を定めたのではないかと思うのですが、それは完全に誤りであって、これはそういう側面もある一方、年金額という受給権に関わる問題の両面があるわけですけれども、受給権の方は忘れ去った上で、保険料の徴収のみ着目をして、この保存期限を定めているのではないかと思うのですね。

 それは確認ですけれども、恐らくそうなので、そうであれば、これは完全に間違いであって、本人が知らぬところで書類が提出されて、知らぬところで廃棄されてしまって、後になってそれを確認しようと思っても、もうありませんと、こうなると思うのですね。現状では、ねんきん定期便ができたことから、本人が確認をしていると言えなくもないのですけれども、それが果たして時効の中断としての意味を持っているのかどうかというあたりについても検討が必要ではないかと思います。

 そのことが1つある中で、したがって、そこの検討をする必要があるとした上で、当面はとにかく捨てないというのは正しい判断だと思うのですが、今回捨ててもいいよというものの中に、ちょっと見てみますと、4ページの中で、住所変更とか氏名の変更があります。果たしてこれは大丈夫かなと思うのです。これを捨ててしまいますと、かつて別な名前だった人が果たして本人だったかどうかについてわかりにくくなりはしないかと思うのですが、こういう受給権に関係しそうなものに関しては、受給権という観点から、保存期限を改めて全面的に見直したらいいのではないかと思うのですね。受給権というのは遺族の受給にも関係することですから、考えてみれば、非常に長い間保存しておく必要があるのではないか、概ね200年ぐらいの保存が必要ではないかと思います。


○増田部会長 今、大きく言うと2つあって、1年、3年、5年等々でそういう保存期限決められているのはそもそもどういう形で、どういう考え方でそれを決めているのかということと、それから、年金受給権との関係で、それが存続する間はずっと保管しておくべきではないかと。大きく言うとこんなことではないか。これについては、機構というよりはむしろ厚生労働省の問題だと思うのですが、そちらの方で考え方をお願いします。


○佐々木会計室長 今、藤井委員の御指摘のとおりでございまして、この保存期間を決めたのは、確かに厚生年金法とか国民年金法のいわゆる給付だとか徴収の時効をベースに、旧社会保険庁時代に決められたものでございまして、それは先生御指摘のとおりでございます。

 最初に答えから申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げたのですが、これの今回保存期限を残しておくということで、基本的には、この期間がもう切れていると、消えていると理解しておりますので、この保存を、画像化という問題もございまして、その辺も今後検討課題と思っております。それとあわせて、その保存期間のことについては検討していきたいと考えてございます。


○増田部会長 今の答えだと、廃棄しないで、もう一回検討するということ?


○佐々木会計室長 今回、引き続き当面保存期間を超えても廃棄しないというものについては、今、切れてございますので、保存期間を超えても廃棄してない状態でございますので、これはまた画像化の問題とあわせて検討すると。


○藤井委員 その点に関してですけれども、今お答えいただいた点について、私の指摘どおりだということであれば、1年、3年というのは、保険料徴収に関わる時効にのみ着目したものであって、給付受給権に関して着目を怠っていたということだと思うのですけれども、そうであれば、当面の間保存するということではなくて、そもそも原則のところの保存期限の修正をするべきだと思います。そうしないと、多分、将来の世代が勘違いをする、あるいは世間の人が勘違いをする恐れがあるのではないかと思います。

 質問の2つ目はそれとは別です。住所、氏名等に関するところですね。


○増田部会長 今の関係、私も、今の答えからすると、1年、3年、5年のところのそもそもの基本的なルールそのものを見直さなければいけないようなことになるのですけれども、本当にそういうことを求めているのですか。


○藤井委員 このルールは、現状では機構が決めているにすぎないので、機構が変えればいいことだと思います。


○増田部会長 ただ、大臣というか、厚生労働省が絡んでいるわけでしょう。それを了承している。だから、厚生労働省の方だよね。最終的にそれでよしとしているわけだから。


○高橋年金管理審議官 確かに御指摘のように、今、全面的に年金額や年金記録に関連する文書は捨てないと、このようにしてあります。これを仮に直す、解除するときには、この年数をどうするかというところは当然考えなければいけませんし、それから、そもそも、これからできる限り、電子媒体、電子請求の電子で来るような時代にして、紙にしない。紙にして電子記録としてずっととっておく。紙なのですごく量が増えていくという問題がございますから、そういうことも踏まえながら考えていったときには、どれを何年にしたらいいのかというのは、そういう意味で、現時点で直ちにその後の答えのところまで数字の結論というのは得にくいので、現状、こういう当面という形にしたいと思っておりますけれども、これを解除する、あるいはこれを変更するときになれば、その本質的な議論をしなければいけないと思ってございます。


○増田部会長 デジタル化というか、画像化というのかな、それについて検討すると。もしそれをやるのであれば期間を区切らないと。だって保管料ずっとかかっているわけで、会計検査院からも指摘受けているわけだから、やるのだったらやるとか、いついつまでにそれを答え出すとかやっておかなくてはいけないのですけれども、実際にどのようにやるのかは機構の方でいろいろ判断することがあると思いますけれども、ただ、今の問題は、会計検査院も厚生労働省に対して指摘しているわけでしょう。これについて、無駄ではないかということ。だから、厚生労働省として考え方をきちんとまとめなくてはいけないのではないですかね。


○高橋年金管理審議官 御指摘のように、これは画像化をするとなると、今度はするためのコストがまたかかったりいたしまして、例えばCD-ROMのような媒体で来たものは媒体で保存しております。そういう意味で、どのようにしていくかというところはなかなか課題が大きいことだと思っておりまして、そういう意味で、まずは検査院から指摘をして、その保存の仕方、保存が必要だということは検査院もわかってくれております。ただ、保存のあり方についてもう少し検討をしたらいかがかという御指摘につきまして、現時点における検討として、まずは、第一段、年金額や年金記録に関係しない部分について、今回の、1つ、まず結論としたいと。今後につきましては、なかなか難しい課題もございまして、今後よく検討してまいりたいと思います。


○増田部会長 ちょっと私も聞きたいことありますが、藤井委員の方でも、今の関係で何かございますか。


○藤井委員 手続とか実務の問題と思想の問題は違うと思うのですね。原則として、1年、3年、5年を残したまま手続とか実務の検討を進めるというのはいかがなものかと思いますね。根本的に間違っているところをまず直した上で、それに見合う手続を検討するべきだし、いずれにしても、捨てないのであれば当面実務は変わらないので、この原則として保存すべき年数について正しく検討する。その際には、受給権の関係、考え落としがあったという面だと思うので、非常に重大な事項だと思いますので、当面の間ということではなくて、これは本質に関わる問題なので、この原則の見直しを第一優先にするべきではないかと思います。


○増田部会長 それで、今の関係、西沢委員の方から。


○西沢委員 この問題は年金記録の問題ですね。年金記録問題が起きたときは、問題の大きさが大きくて、年金記録解明につながり得るだろう書類というのはとにかくとっておこうと。ところが、事態は進捗して、年金記録解明も進んできて、年金記録解明のツールも整ってきた中で、4ページの網がけのところは、これは、私、費用が税金や保険料で賄われていることを考えると、その費用の出し手は国民や被保険者ですので、関係しないのであれば廃棄すべきであると思います。

 下の654種類のところは、関係すると書いてあるので、そこからどれぐらいの記録が出てくるのか、解明が進むのかちょっとわからないですけれども、どれぐらい出てくるのか、皆さんちょっと見積もりがあると思いますので、それと、マイクロ化するのにもコストかかると思いますから、そのコストの関係で、こういうコストですということを示して、費用対効果で検証して、110万箱、年間10億円ってとてつもない額ですから、そこはやはり納税者と被保険者のお金を使っているという観点で整理していくべきだと思いますし、あと、廃棄するのは、年金記録解明の状況を客観的に提示することが重要だと思いますので、それは淡々と進めればいいのではないかなと思います。

 以上です。


○増田部会長 藤井委員。


○藤井委員 消えた問題というのは過去の、昔話題になった出来事だと思うのですけれども、そのことも1つ問題ですけれども、原則を考える場合にはそれでは足りなくて、必ず間違い、ミスは起こるものだと。これからも起こると。その場合に何を証拠にどのように救済されるのかが問題で、それができるのであれば大丈夫だと思いますけれども、だから、原則を考える場合には、過去の大きな、話題になった出来事は1つ参考にはなりますけれども、それはそれとした上で、原則として今後も起こるであろうミスに対して証拠をどう残していくのかという問題。それから本人の確認、それから時効はどこで法的に確定するのかということ、これらを総合的に検討するべきだと思います。

 もちろん、要らないものは捨てればいいと思います。ただ、その場合、さっきから言っているように、住所と氏名について大丈夫かという疑問は持ちます。


○高橋年金管理審議官 最後に御指摘いただいた住所、氏名のところでございますけれども、これは、今、マイナンバー連携、去年、住民票連携ができておりまして、このところにつきましての連動関係でのことをまずきっちりやっていくということで、そういう意味で、その都度のものがとっていくということではなくて、しっかりと真正なものとの連動を図っていくことで正確性が担保されるとは思っております。


○増田部会長 今の関係で、他の委員の皆さん方、御意見ございますか。

 安井委員、どうぞ。


○安井委員 この文書の管理について、機構の文書管理の基本的な考え方ですけれども、それと国の文書管理の考え方の差というのは一体どこにあるのですかね。


○増田部会長 国の文書管理の一般的なという意味?


○安井委員 一般的な。


○増田部会長 では、審議官どうぞ。


○高橋年金管理審議官 一般論的には、国も機構も、これは法律で定められた仕事を実施するという国から委任して、機構で事務をやっていただいていますので、そういう意味で、考え方は同じだろうと思います。その中で必要なものは、行政コストも考えながらですけれども、しっかりと実務をやっていく中でどうあるべきかという議論かと思います。


○安井委員 文書管理について、過去ちょっと辛酸をなめた覚えがあるので過剰に用心深くなっているかもしれませんけれども、年金額や年金記録に直接関係する文書と言っておりまして、極めてこれは限定しているわけで、実は現場に行きますと、個別にはそういう文書は残すようにと書いてあるのに、ある場所では、直接関係なかったからこの文書は捨てたのだというような回答を何回かもらったことがあるのですね。そうすると、ここは、総論としての直接関係するということと、それから個別の文書の管理との間にダブルスタンダードになっているのではないか。

 さらに残念なことに、古い文書の話ですので、その文書ありませんかと聞くと、その人はもう退任しました、あるいは席が変わりましたというような回答で、もう廃棄されてしまった文書というのは復活できないわけですね。そうすると、注意すべきは、ここに直接にとある部分がダブルスタンダードを実は作っていくのではないか、そんな心配があるのですね。


○増田部会長 今の関係は、厚生労働省でなくて機構の方の話ではあるのですが、ただ、個別の具体案だったら答えやすいかもしれませんが、一般論でしたけれども、理事長さんから。


○水島日本年金機構理事長 機構の立場から申し上げますと、大量の書類の中に埋もれておりまして、余りにも書類が多くて見つけることもできない、見つけるのにも非常にコストがかかると。こういう状況で、毎年毎年、倉庫が1つずつ増えていく。こういう状況を放置しておくわけにいかないというのが基本的な考え方でございます。

 藤井先生が仰ることは極めてよくわかります。時効特例で時効が撤廃されておりますので、本来、そのような書類についてはとっておかなければならないと思いますが、とっておかなければならない書類があると思いますが、ただし、例えば月額変更届とかそういうものに関しては、藤井先生も仰いましたけれども、定期便もありますし、毎月、事業主には結果をお知らせしているわけです。そして、もちろん審査請求もございますし、いろいろな制度が用意されているわけです。その中でどれだけのコストを、日本年金機構のやることに関して非常に信用できないというそのお気持ちはわからないわけではないですが、毎年何億枚という書類があるわけですね。それをどう管理するかということについては、一定の制度的な担保による割り切りは必要だと思います。

 ただし、保存期限に関して、時効を保険料時効だけでやっていいかどうかということについては議論があると思います。ただ、それもどこかによりどころを求めなくてはいけませんから、それは保険料時効をベースにして考えていくというのも一つの考え方だと思います。ただし、今後の問題を考えますと、基本的には、電子媒体化といいますか、電子化といいますか、それを今刷新で進めているのは全て画像にいたしますので、その画像を取っておくということについてはやっていく必要があると思っています。ただし、既存のものについては、聞くところによると1枚15円ぐらいかかると聞いておりますので、今やろうとすると数百億のコストがかかります。それでもやるのかということに関しては、やはり一定の制度があると、救済する制度があるという前提で、それは前と比べれば随分いろいろな制度が整備されてきているわけでありますから、その前提で一定の割り切りは必要だと思います。

 どこを基準にするかということについてはいろいろ議論があると思いますので、これは年金局できちっと議論を詰めていただきたいと思いますが、機構の立場から申し上げますと、大量の書類の中に埋もれて探すこともできないという状況で、毎年倉庫を箱単位の契約に変えていますけれども、基本的には、事務所のどこかが空いたらみんな倉庫にしなければいけない、こういう状況というのは極めて異常で、これを放置しておいていいとは私は思っておりません。


○増田部会長 安井委員、今、ダブルスタンダードの話をされたのですけれども、ルール自体はここで書いているとおりであって、しかし、実際に直接関係する文書なのかどうかというところで、どうも実際はダブルスタンダードだと、こういう御意見と理解してよろしいですか。


○安井委員 そうですね。


○増田部会長 わかりました。あと、藤井委員。


○藤井委員 今、理事長の御発言は非常に重要な点が幾つか入っていると思います。機構の実態とか、御苦労されていることだとか、非常に矛盾をはらんでいるとかいうのはそうだろうと思いますね。一方で、理事長が言われたように、法的には、私、藤井の言っていることはよくわかると多分仰ったのだと思います。さらに、一定の割り切りの中では、保険料徴収の時効に着目して書類の保管を考える必要がありはしないかということですけれども、そこは全く賛成できなくて、これは元々考え違いだと思うのですけれども、受給権との関係は考えるべきだと思います。

 ところで、仰っているように、ねんきん定期便ができたり何だりで、いろいろ他の方策も立てられていると。それもそうだと思います。それならば、法律を変えるかルールを変えるか、何かしないと、一定の割り切り、割り切りと仰っても、それが法的に疑問がある場合には、それはそうだねとはなかなか言えないだろうと思うのですね。誰がそれをそうだねと言うのかという問題もあるし。


○水島日本年金機構理事長 その御指摘については、少なくとも裁定請求の時点においては、裁定請求書が出てきて、記録を確認して、これでいいと言って裁定をするのです。


○藤井委員 それならば、その時とか、いろいろ考察をするべきですね。それは、そうしたら、1年ではないはずですね。


○水島日本年金機構理事長 ですから、いろいろ議論はあるでしょう。しかし、給付だから遺族まで考えなければならないということでないと思います。そこでは一定、切れるのではないかと思います。これは年金局の問題ですから、そういう議論を進める必要はあると思いますが、いずれにしても、効率化を図らなければならないということについては御理解をいただきたいと思います。


○藤井委員 それはそのとおりだと思いますね。法律でできる範囲、権利が確保される範囲で効率化するというのは、それはもっともなことだと思いますし、実情を踏まえて、よりいいようにしていくためには何をするべきかを考察するということ、これも当然だと思います。


○増田部会長 それでは、部会長代理さん、お願いします。


○大山部会長代理 議論が今までの状況に縛られ過ぎているように思えるので、ちょっと参考の意見を申し上げたいと思います。

 先ほど来お話が出ているように、ものすごい数の書類があって、それの中から必要なものを探すというのは大変だというのはごもっともな話だと思います。こういったこと、あるいは保存年限についても、扱いについて、そもそもその人の権利とかいうような議論までいくのであれば、それは当然、できる限り残しておきたいというのが皆異論のないところだと思うのですね。

 具体的な手段をやはり考えなければいけなくて、具体的な手段から考えれば、今や電子化されていくのは見えているわけですから、その意味では、保存年限の議論自体が余り価値がもうなくて、電子化したときにどうやって長くそれを維持するのかということとか、あるいは、元々紙が出てきてしまうから最初からおかしな話になるというのは今まで言っているとおりで、思い返してみると、たしか年金機構になるころに、最初の目標のときに電子化の推進というのは外れていたのを、無理やり、絶対だめと言って入れた記憶があるのですが、今ここまで進んできて、これをさらに進めると。その観点から保存とか情報の扱い方について、今ここでは保存年限みたいに書いてありますが、抜本的なそういう次の将来に向けた考え方を作った上で、では紙の場合どうなるのと言ったら、絶対に嫌になるはずなのですよ。紙だったらできない。電子的にはすっとできることができなくなりますから、そこをちゃんと明らかにしていくのがこの次のステップではないかなと思います。

 その観点から、今や1テラでもほんの小さいものに入るぐらいですから、その意味では確実に電子化を進めるというのが大事なことではないかなと。と同時に、機構さんが持っているだけではなくて、利用者、被保険者本人が自分の情報をちゃんと持てる。それも、それこそ契約書なんかは必ず両方が署名しますよね。同じものを持ちますよね。だから安心するわけで、同じことをやはりやるべきで、全ての管理は機構側のコンピュータに入っているからそれですというのも、もう今や時代としてはちょっとずれてきているのではないかなあと。

 ですから、利用者にも渡せるような形で、すなわち、電子媒体にどこかのコンピュータに入っているからこれは正しいではなくて、そのドキュメント自体がちゃんと完備になって、完全性を持ったものである。もしそこを変更すればそれがわかるという仕掛けが技術的にあるので、そういう意味で、少し抜本的なところでもう一回考え直してというか、それを僕としてはお勧めしたいなと思います。その時期に来ているのではないかと思いますね。


○増田部会長 ありがとうございました。

 この関係について、私、先ほど、画像化というか、デジタル化というか、期限を決めないとと言ったのは、今の部会長代理のお話にもあるとおりで、当然のことながら、今までの蓄積は紙ベースできているのでそこはどうしようもないのですけれども、それが10年、20年続きっこないので、会計検査院みたいな指摘も当然出てくるわけですから、当然利便性等々も考えてデジタル化を図るということで、それをずっとぐずぐずしているともう次から次にこの問題が出てきて、それでまた次は20億とか30億とかそういう話になってくるから、そっちの方をきちんと、今ここでこのようにしますというふうに、今ここでと言うか、厚生労働省の中ですぐには決められないかもしれませんが、いついつまでに全部そちらの検討を終えますということにしておいて、一方で、ところで紙ベースで残っているものについてはこう処理をさせていただきますと。やはりこれがないとなかなか先が見えないという感じがします。ですから、そこの検討、先ほど、検討、検討と仰るけれども、誰しもがそう思うのですけれども、それは期限区切っていついつまでに結論出すというのがすごく大事ではないかなと思います。

 それと同時に、あと一方で、翻って、会計検査院から指摘されて、先ほど西沢委員からも話があった、保険料等から払われて、年々そちらの方に出ていってしまっていると。言葉悪いけれども、そこを業者だけもうかるような事態というのはやはり異常ではないかと。これはこれでまた、国民的な視点から言うと当然のことだろうと思うので、それについては答えを出さなくてはいけないと思いますが、それで、当面この部会で意見を求められているのは、この文書保管ルールの見直しについてという、この資料3で言うと3ページのような形でルールを変更させてくださいということで先ほど説明があったわけです。

 それについて、答えを部会として出さなくてはいけないので、他の委員の皆さん方から御意見あればここで承りますが、特に御意見なければ、どちらにするかというか、これで了承ということにするかどうか決めさせていただきたいと思いますが、他の委員から何かございますか。よろしいですか。

 それでは、こちらに書いておりますような今回の文書保管ルールの見直し、こういう形で進めていくと。すなわち、直接関係する文書とそれ以外の文書に分類して、それで、関係する文書については引き続き廃棄しない文書として、それ以外については、原則として、今決められている1、3、5とかございますけれども、その保管、保存期間満了後は廃棄すると、こういう処理にするという考え方ですが、それでよろしいですか。


○藤井委員 安井委員の指摘というのは非常にごもっともだと思うのですけれども、5ページ、これは改正後の案が示されているのですかね。


○増田部会長 これは現状ですね。


○藤井委員 現状ですよね。規則、細則の改正の内容として、例えば直接関係するものは捨てないけれども、直接関係しないものは捨てるなどと書いてしまうと、安井委員の御指摘、御懸念のことが現実のものになるのではないかと思いますね。では何が関係する、何が関係しないのかということが現場で若干の混乱をしかねないし、勝手な判断が生じかねないし、一回捨てたものはもう元に戻らないということがあるので、具体的に何をどう変えるのかという案はついてないのではないかと思います。3ページの文言のようにルールを変えるということですか。


○増田部会長 というふうに私は理解しています。


○藤井委員 それだったら、どれがそれに該当するかがよくわからない。


○増田部会長 もう一回そこ、室長さん、どうぞ。


○佐々木会計室長 今考えておりますのは、5ページ目で申し上げますと、一番最後の附則の第2条でございますが、別表3と別表第3-1というのは、これは今、廃棄できる文書を指定しているところでございますが、ここ以外の文書となっておりますので、ここのところに、先ほど申し上げました654種類を要は列記する。それを廃棄できないとするのが今考えている案でございます。

 すみません。先ほどちょっとそこまで申し上げませんでした。


○増田部会長 654種類というのをそこのところで書いていくと。わかりました。それで、今のような形で、具体的な文書管理規程については、規程だから、厚生労働省令で定めるわけね。


○佐々木会計室長 規程そのものは年金機構の方で作成することになっております。


○増田部会長 では手続的には厚生労働省はどのように。それは厚生労働省で何か大臣の了解、了解とか先ほど言っていたけれども、それは事実行為だけなのか。


○佐々木会計室長 はい。廃棄するという行為については大臣の了解をいただくのですが、この規則の変更自体は年金機構の方で変更するということになっています。


○増田部会長 ちょっと勘違いしているかもしれませんが、年金機構でいろいろ規則を決めるとき、包括的に厚生労働省の方で何かしてなかったでしたか。報告か。


○水島日本年金機構理事長 報告して、問題があれば御指摘いただくということです。


○増田部会長 規程ぐらいになるから、報告事項という形になっているのですかね。


○水島日本年金機構理事長 規程に関しては、変更については全て報告という形に。


○増田部会長 いずれにしても、厚生労働省としてそれについて異議言わないということで、事実上認めていると、こういう形ですか。


○高橋年金管理審議官 実行上の問題として、ものをいただいて、これでよろしいかといただいて、了解と、こういうことをやっております。


○増田部会長 わかりました。それは手続的な話ですけれども。

 それでは、これには直接ついていませんけれども、先ほど口頭でお話になったような形で5ページのところを直されると。こういう文書保管ルールについて見直しをされるということであります。それをぜひ了承してくれと、こういう部会に対しての議案と理解しましたけれども、これで、各委員の皆さん方、よろしいですかね。

(「異議なし」と声あり)


○増田部会長 それでは、こういう形で変更していただくということ。こういう形というのは、先ほど室長さんの方から説明があったとおりで、654種類についていろいろ書いて、それでやられるということですが、あと、最後に念のため申し上げておきますけれども、こういう機構の方でいろいろ作られている文書についてのいわゆる画像化というか、デジタル化というか、それによって、物理的に文書を保管する、量的にという、これは本当に早急に解消しなければいけないことだと思うので、それについては早急に検討していただいて、期限を切ってやっていただくということと、それからあと、実際に個別の案件で大分御指摘もございましたけれども、後で、一旦廃棄したことによって不都合が生じないように、そこについての個々の文書についての吟味というか、判断についてもまた厳正に行っていただくようによろしくお願いしたいと思います。

 それでは続いて、「情報セキュリティ・システム専門委員会の検討状況について」でありますが、こちらについては大山部会長代理の方から御説明をお願いします。


○大山部会長代理 それでは、私の方から情報セキュリティ・システム専門委員会の検討状況について報告させていただきます。使う資料は資料4と5になっています。

 説明に入る前に、一言で申し上げると、今回のシステムの刷新、記録システムでありますが、記録システムにこだわっていることは、別にもう一個、給付のシステムがあるということでございますが、2つのうちの1つの刷新になります。このシステムの刷新は、我々専門家の目から見ますと、大規模で、かつ、複雑なシステムを短期間で開発するという、ある意味、非常に難しいシステム刷新になるということだけ十分心した上で、この今日の報告を説明させていただきたいと思います。

 まず、資料4を御覧ください。本専門委員会は、本年1月23日のこの部会において、2に記載する構成員により設置することとされたものであります。本年3月8日には第1回が開催され、その後、8月31日の第4回までの間に、主として社会保険オンラインシステムに関する情報セキュリティ対策、これは給付、記録、両方ですね。それから、システム刷新に関する調達・開発の手法、これが記録システムの刷新の方であります。これら2つについて検討しましたが、刷新のフェーズ2、我々、フェーズ2と呼んでおりますが、これは記録システムの残された一番大きなデータベースを含めた刷新になるわけでありますが、この開発に向けた基本方針を中心に議論をいたしまして、この度、その基本方針をまとめたというもので、ここで報告させていただきます。

 専門委員の皆様方には、非常に多くの時間をお使いいただきましたことについてお礼を申し上げたいと思います。

 なお、情報セキュリティ対策については次回の事業管理部会で報告させていただく予定になってございます。

 それでは、次に資料5を御覧ください。ポイントを絞って説明いたします。まずは、1の開発に当たっての基本的な考え方でございます。1ページの下の方の(2)以降、「フェーズ2開発に当たって配慮すべきポイント」として、発注者側のガバナンスの強化、厚生労働省及び機構が主導してプロジェクトを推進すべきこと。それから2ページの中段あたりのマル2、特定の事業者への過度な依存からの脱却を目指すべきこと、3ページの上段のマル3、情報セキュリティ対策について、開発の段階から十分な対策を講じるべきこと、といったことを指摘させていただいております。

 次に、3ページの「(4)フェーズ2の開発の進め方」としまして、しっかりと現在行っておりますフェーズ1の結果を整理・評価して推進すべきこと、改善すべきことを明確にするとともに、ベンダー側の意見やベンダーから提供された情報も踏まえた上で開発を進める。一度総括をして、何がまずかったかをもう一回洗い出してから次のことをちゃんと進めてくださいということを申し上げています。

 その具体策については、4ページ以降の2から8に記載させていただいております。

 次に、具体的なポイントを説明させていただきます。4ページの上段マル1を御覧ください。フェーズ2は大規模開発であることに鑑み、本格的な調達に先立ち、まずは現在の基本設計から一歩進めた開発準備工程、我々、開発に本格的に入る前の準備工程と呼んでおりますが、これを先行させることでリスク回避の観点からも、見積もりの精度を上げることからも有効であると指摘させていただいております。逆に、今のままでは不十分なので、これをちゃんとやってくださいという意味でございます。

 その上で、4つ目のマルにありますとおり、アプリケーションプログラムのプロトタイプを先行開発して検証することが望ましいと指摘させていただきました。

 次に、5ページの上段を御覧ください。開発準備工程の後に具体的なシステム開発工程につきましては、フェーズ2は大規模開発ということから、開発対象を複数に分割することが望ましいと。別の言い方をすると短期間でやるにはこれしかないということでありまして、その分難しさが増します。ただ、期間を考えますと、こういうやり方を積極的に考えるべきということでございます。

 その上で、5ページのマル4として具体的な検討すべき点について、技術的な観点から幾つか指摘させていただきます。詳細な説明はここでは省かせていただきます。

 次に6ページを御覧ください。(2)として「開発工期」についてですが、現行のメインフレームの稼働限界期間、保守ができる期限でありますが、これを念頭に置きますと、35年1月までの完全実施を目指すべきこと、リスク低減の観点から、一括稼働ではなく段階的な稼働を目指すべきということを指摘させていただいております。

 次に、6ページの3として「厚生労働省・機構が対応すべき事項」を記載しています。フェーズ2は大規模プロジェクトですので、特に質・量の両面での開発体制の強化が不可欠になります。プロジェクト管理体制の強化はもちろんのこと、外部からの専門の経験を持った人材及び要員を確保すること、それから、システム担当職員のスキルアップ、執務環境などを含めた開発環境等の整備など総合的な対策について提言させていただいております。

 技術面での指摘が中心の8ページから9ページの説明はここでは省略させていただきますが、最後に、10ページの中段にあります7を御覧いただきたいと思います。フェーズ2においては今後様々な対応が求められることが想定されることから、概ね1カ月、隔月で進捗状況について専門委員会にフォローアップ報告をすべきということを求めさせていただいております。特に開発準備工程における方針の策定など、私ども専門委員会としても、今後ともこのフェーズ2開発にしっかり関わっていこうということで同意いただいておりますので、そのようにさせていただきたいということでございます。最後のところでその旨の求めをさせていただきました。

 以上が、簡単ですけれども、フェーズ2開発の基本方針についての報告でございます。以上です。

 

○増田部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの部会長代理の御説明について、御意見、御質問ありましたらお願いします。

 どうぞ、岩瀬委員。


○岩瀬委員 非常にわかりやすく、よくまとめていただきまして、ありがとうございます。素人でも何となく理解できました。

 最後の10ページの7で、最後に大山先生からお話しいただいた、概ね隔月程度でこのセキュリティ専門委員会に報告するということですけれども、これはいつからこの体制を組んで、いつから報告が始まるのか教えていただけますか。


○大山部会長代理 基本的な準備は入っていると思いますけれども、そこは中野さんに回答をもらった方がいいのではないかな。そちらで今準備中だと思いますので。


○中野参事官 刷新担当の参事官の中野でございます。

 この御指摘を踏まえまして、9月以降、いろいろ関係ベンダーとの協議等を始めたいと思います。その後の状況を踏まえまして、動きが出た段階から御報告するという形にしたいと思ってございます。


○大山部会長代理 すみません。補足ですが、したがって、今日の時点から正式に動き始めるので、隔月というと遅くとも11月ぐらいというのがスタート、第1回目になるのではないか。あるいは、スタートの時点で報告があれば、逐次、我々、聞くようにはしたいと思います。


○増田部会長 他には、皆さん、何かございますか。

 松山委員、どうぞ。


○松山委員 詳細な御報告、どうもありがとうございました。こちらの中でも本当に指摘されているとおりですけれども、開発対象を複数に分割して実施するということなので、これはかなり難易度が上がるというか、結局、難しいところがどんどん先送りになって、最後の段階で結局みたいなシステムトラブルもよく聞きますので、そういったところをぜひ注意していただきたいというのと、あと、この中ですごく強調していただいているように、いわゆる機構や厚生労働省側の体制ですね。ここが専門的なレベル、人員体制も含めて手厚くないと、結局システムの開発がうまくいかないというのは、システムトラブルの関係の訴訟案件とか扱っていると、ほとんどのケースがそういったケースで、ベンダー側からすると、結局、実務の中身についての情報提供が足りなかったとか、いわゆる協力が十分に得られなかったというのがトラブルの基本になっていますので、機構と厚生労働省側のスキルアップも含めた体制の強化というところをかなり念入りにぜひやっていただきたいなと報告書を拝見しても思いましたので、よろしくお願いいたします。


○増田部会長 他には何かございますか。

 よろしいですか。

 それでは、あと残りの案件がございまして、こちらについては一括で御説明をいただき審議したいと思いますが、「受給資格期間の短縮」「被保険者保険の適用拡大」「振替加算の総点検とその対応」、そして「日本年金機構の資産管理の見直し」ということになっておりますが、まとめて、事務局と機構の方から説明をお願いします。


○竹林事業管理課長 それでは、まず最初に、私、事業管理課長の竹林でございますが、私からは資料6及び資料7について御説明させていただきます。

 最初に、資料6「受給資格期間短縮の施行に向けた対応状況等について」でございます。おめくりいただきまして2ページになりますけれども、上に枠囲いがございますが、ご案内のとおり、昨年11月に成立いたしました年金機能強化法の改正によりまして、本年の8月1日より老齢年金等の受給資格期間が従前の25年から10年に短縮されております。日本年金機構では、本年2月末から7月上旬にかけまして、保険料納付済み等の期間が10年以上25年未満の方に対して、年金請求書の入った封筒を順次送付しております。これは約67.6万人分になります。

 その後、この送った年金請求書を、年金事務所、あるいは市区町村に提出していただく必要があるため、様々な取組をやっております。下に表の形で様々な取組を書いてございますけれども、一番上の枠囲い、「年金請求書の提出勧奨」という点では、例えばマル3にありますように、請求書を送って、一定期間手続に来られない方に対して文書での勧奨を行ったり、あるいは電話での勧奨を行ったりしておりますし、また、マル6にありますように、7月には、毎週土曜日の休日相談も実施しております。また、一番下の枠囲いにありますように、「関係機関等への協力要請」ということで、例えば民生委員や社協への協力要請をしたり、あるいは介護保険の施設に入所されている方については、施設職員から手続を促していただくような応援も、老健局の協力も得てやっております。また、マル3にございますように、一定数の方が生活保護を受給していると思われますので、ケースワーカーの方にもそういった提出の働きかけをお願いしたいということで、こちら、社会・援護局と協力をいただいてやっておるところでございます。

 また上の枠囲いに戻っていただきたいと思いますけれども、3つ目のチェックでございます、本年7月中にこの請求の手続をしていただいた方、完了した方につきましては、本年1013日の支払日に支払うべく準備を進めております。

 ただ、どうしても7月中に間に合わずに8月以降になる方についても、10月の支払日には間に合わないかもしれませんが、11月以降は順次お支払いできますし、その場合は遡ってお支払いすることになりますので、そういう意味では、支給できる額という意味では遅れた方についても同じ額がお支払いできるということでございます。

 ただ、手続の時効は5年とございますので、私どもとしては、なるべく早い手続をお願いしたいとは思っております。

 おめくりいただきまして3ページでございますけれども、請求書入りの封筒の送付数等につきまして、いろいろ数字がございますので、ここに関係を整理しております。法案の審議時にはよく64万人という数字を申し上げましたが、これはこの図で言えば上の段のオレンジの矢印でございます。これはデータ抽出条件と書いてございますけれども、平成2712月時点で日本年金機構が保有していたデータ、そして住基ネットと情報が一致している方、こういった方の中で、もう既に障害年金や遺族年金を受給されている方を除いた、つまり、今回の期間短縮によって新たに年金が発生すると見込まれる方、そういう方として64万人という数字を法案審議のときには述べておりました。

 また、本年1月の本部会におきましては、10年以上25年未満で既に障害年金、遺族年金を要件とした年金を受けている方、こういった方々が約9.5万人という数字もお示ししております。

 年金の場合は、1年金選択になりますし、特に基礎年金同士で比べますと、通常、老齢基礎年金よりも障害や遺族の方が金額が高いので、そういう意味では、今すぐに、障害、遺族を受けていらっしゃる方については、期間が短縮して、新たに老齢年金の受給権が発生しても、そちらの方が有利でないとすると、権利は発生しても手続はしないという方も相当数いらっしゃると思いますので、このオレンジと水色に分けて、64万人、9.5万人という数字をお示ししたところです。

 しかし、現実に請求書をお送りする際には、送付前の最新の日本年金機構が保有するデータを用いております。中には、このタイムラグの間に自力で保険料納付を続けられて25年を突破したという方もいらっしゃいますので、実際に請求書入り封筒を送った人数としましては、遺族、障害を受けてない方が59.8万人、受けている方が7.8万人、合わせまして67.6万人という方に封筒をお送りしたわけでございます。

 その下、「その他の方への対応」として少し小さな字で書いてございますが、保険料納付済等期間が10年以上25年未満で、住基台帳と情報が一致しない方、この中には相当数亡くなった方が混じっていらっしゃると思いますけれども、約12.7万人いらっしゃいまして、こういった方々にも、7月の下旬に機構が把握している住所の方にお知らせはがきを送付しております。

 また、保険料納付済等期間が10年未満の方でも、例えば海外に居住していたような期間、カラ期間ということで、年金額にはつながらないけれども受給権には算入される、そういう期間がある可能性がございますので、念のため、本年中から順次お知らせはがきを、今後送っていく予定でございます。

 おめくりいただきまして4ページ、参考でございます。年齢の高いから順に、7月上旬にかけて送っていたというスケジュールでございます。

 また、5ページは、送付している封筒と請求書のイメージでございます。左側にありますような黄色い目立つ封筒で送っておりまして、年金を受け取るためのお知らせですということを表紙に書かせていただいています。また、右側が請求書で、いろんな情報はあらかじめ書き込んで送っている部分もございます。

 それから、おめくりいただきまして6ページでございますけれども、住基ネットと一致しない方につきましては、お知らせのはがきを送っております。右側にありますように、裏面には「年金を受け取れる可能性があります!」という形で、年金事務所への予約などについてお願いする内容になっております。

 おめくりいただきまして7ページでございますが、この請求書を送った後の請求手続の状況につきまして整理をさせていただきました。棒グラフにございますように、10月の支払いを目指しております。7月末までに年金事務所等で受け付けた請求書の数は約37.4万人となっております。その後、直近、8月末では44.9万人まで伸びてきているところでございます。

 この10月のお支払いを目指して、37.4万人につきましてもう少し分析しましたのが下の枠囲いの中でございます。まず、7月末に受け付けた37.4万人の中を3つに分けておりますが、1つは、私どもから請求書入りの封筒を送った方の中で遺族や障害年金を受けていらっしゃらない方、新たに年金受給権が発生すると思われる方、こういった方が約31.2万人いらっしゃいます。また、請求書をお送りした方の中で遺族や障害を受けている方でも、もしかしたら老齢の方が有利だったり、あるいは念のためということで手続をされている方、こういった方が2.6万人いらっしゃいます。また、請求書入りの封筒を送っていない方、例えば10年未満の方ですけれども、そういう一般的な周知広報の中で、もしかしたら自分は、海外居住期間なんかがあるので10年以上になるかもしれないなということで、自力で年金事務所に来られて、そして10年以上カラ期間などがあって確認された方、こういう方も3.6万人いらっしゃいます。

 また、ローマ数字の2にありますように、この他に請求書入り封筒を送った結果、機構の方で把握してないカラ期間が確認されて、実は25年以上であったという方、つまり、今回の期間短縮の対象ではなかった方、元々の制度でも受給権があった方が約4.3万人いらっしゃるということでございます。

 その下の矢印の部分ですが、私どもといたしまして、この請求書を送ったことによる進捗度というのを考えたときに、ローマ数字1のマル1、請求書入りの封筒を送って、そして遺族・障害の対象外だった方と、それからローマ数字の2、請求書を送ったことで25年以上ということがわかった方、この2つを合わせたもの35.5万人を分子にとり、請求書を送った方の中で遺族・障害以外の方59.8万人、これを分母にとりまして、そのように考えますと、現在約6割ぐらいが来ている、8月末にはそれがもっと伸びているという状況でございます。

 先ほど申し上げましたように、8月以降に手続をした方につきましても、11月以降に順次遡って年金をお支払いすることになりますので、引き続き、年金請求の手続の漏れがないように、機構と協力いたしまして周知広報を継続してまいりたいと考えております。

 それから、資料7、「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の実施状況について」でございます。裏面を見ていただきたいと思いますけれども、パート労働者につきましては、まず平成2810月から強制適用の適用拡大がございました。また、本年の4月からは、500人以下の企業についても、労使合意に基づき任意でパート適用ができるという制度が施行されているところでございます。

 これに向けまして、枠囲いの中にありますように、日本年金機構においては様々な周知・広報を行ってまいりました。その結果、速報値でございますけれども、6月末時点の状況といたしまして、表の方でございますが、適用事業所数にしまして1,270、短時間労働者数にしまして1,742人の新たな適用を見たところでございます。

 ちなみに、下には(参考)ということで、強制適用の方の501人以上の企業の実績につきまして、事業所数約3万、被保険者数約34万という数も載せております。これらはいずれも速報値でございますので、今後若干の数字の変動があり得ることを御承知おきいただければと思っております。

 私どもといたしましては、引き続き機構と協力いたしまして、この制度の適用拡大の促進のために周知広報に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。


○山田給付事業室長 続きまして、資料8について説明させていただきます。給付事業室長の山田です。よろしくお願いいたします。

 資料8の1ページ目は、目次を兼ねた概要となっております。「(1)振替加算とは」。これは複雑な制度でありまして、後ほど改めて詳細に説明させていただきますが、配偶者の老齢厚生年金が、被保険者期間が240月以上などの要件を満たしたときに加給年金というものが配偶者側に加算されます。その場合に、妻が65歳に達したときに夫の加給年金の支給が終わりまして、妻の老齢基礎年金に振替加算という形で加算されるものであります。

 (2)でございますが、その支給漏れがありました。正しく加算がされていない事案が従来から散見されておりまして、近年、増加しております。2710月に被用者年金の一元化がありまして、それに伴いまして、機構が共済情報連携システムを活用できるようになりました。そのこともありまして、今般、日本年金機構におきまして配偶者の加給年金が終了している一方で、振替加算が開始されていない夫婦の事例を総点検しております。

 (3)でありますが、「点検結果の概要」です。点検の結果、4つの類型に分類しております。マル1「機構と共済組合との間の情報連携不足」5万2,908人、260億円。マル2「システム処理に起因するもの」3万5,685人、122億円、マル3「機構における事務処理誤り」5,332人、89億円、マル4「お客様からの届出漏れ」1万2,038人、128億円。これはそれぞれにつきまして、後ほど、より詳細に説明させていただきます。

 このマル1からマル4のうち、夫婦の一方が共済の年金を受給している方が全体の96%でありました。

 (4)、その支給漏れが判明した方へは、概ね11月を目途にお支払いをする予定であります。

 (5)としまして、あわせて、今後の発生防止のための事務処理の改善を図ることとしております。

 ページをめくっていただきまして2ページは、先ほどの1ページを視覚的にあらわしたもので、内容としては被っておりますので飛ばさせていただきまして、3ページをお願いいたします。

 3ページは、加給年金、また振替加算とは一体どういうものか、また、その振替加算を支給する典型的な事務フローとはどうなっているのか説明させていただいている資料であります。

 上段、加給年金でありますが、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、定額部分支給開始年齢に到達した時点、かつては60歳、段階的に引き上がっておりまして、現在では65歳になっております。その方に、生計を維持されている配偶者又は子がいるときに加算されます。

 加給年金額の対象者になっている妻(夫)が65歳になりますと、加給年金額が打ち切られます。このとき、妻自身の老齢基礎年金の額に振替加算がなされます。

 この資料全てにおいて、便宜上、本人を妻、配偶者を夫と記載していますけれども、男女の区別は特になく、反対でも一緒であります。

 典型的な事務フローを説明させていただきたいと思います。このページの左下の図を見ていただきたいと思います。妻が年下のケースを記載しておりますけれども、マル1で夫の部分ですけれども、共済組合又は機構は、夫の加給年金支給時に生計維持の確認を行い、加給年金が支給されることを夫の方の年金原簿に収録いたします。

 マル2でございますが、妻が60歳、妻の特老厚裁定時でありますけれども、機構は夫に加給年金が支給されているかどうかを妻の年金原簿の方に収録いたします。

 マル3妻65歳時に機構は、夫婦双方の情報をチェックしまして、振替加算を支給いたします。

 これが振替加算の典型的な事務フローでありますけれども、右側に、その事務フローが少し煩雑になるケースとして2つ書かせていただいております。

 1つ目のマルは、被用者年金一元化前の話でありますけれども、夫に共済年金の加給年金が支給されている場合には、事務が比較的煩雑になっております。左の図で見ていただきますと、妻と夫それぞれに原簿があるわけですが、妻、夫ともに厚生年金であれば機構の方で一元的に情報を見ることができますが、夫が共済年金の場合には、そことの連携が必要となってくる。

 2つ目に事務処理が煩雑になるケースとしまして、妻の裁定時に夫に加給年金が支給されていない場合に、事務が比較的煩雑になります。左の図で見ていただきますと、妻60歳時に夫の加給年金の支給情報を妻の原簿の方に記載するわけでありますが、その60歳時に夫の方に加給年金が出ていれば、出ているという情報をそのまま収録できるのですけれども、出ていない場合には、その時点では加給年金が支給されていないという情報を収録して、後ほどそれを改める必要がある。こういう事務になっております。

 4ページは、そもそもその振替加算というものはどうして必要だったのか、どういう趣旨で設けられたのかというのを説明させていただいております。旧国民年金法から新国民年金法への移行措置としての振替加算でありまして、昭和60年改正前は被扶養配偶者につきましては、本人が希望した場合のみの任意加入でありました。ただ、昭和61年4月以降に、これらのものが現行国民年金制度の被保険者となった場合でありましても、その当時既に一定の年齢に達していた方は国民年金の加入期間が短くなってしまいまして、老齢基礎年金の額が低額となってしまいます。

 それらの方につきましては、昭和61年4月以降60歳に達するまでの期間を考慮して、加算を行うこととしております。60年改正前に、夫分とされている報酬比例部分、定額部分、そして加給年金、これが全て夫分の年金だったわけですけれども、40年かけて、その一部を妻分の老齢基礎年金に移していく。いわば40年間の移行措置としてこの振替加算というものは作られたわけであります。

 めくっていただきまして、5ページからは今回の点検の結果把握しました事案の説明をさせていただいております。先ほど4つに分類したと言いましたけれども、その中の1つ目、事例1が機構と共済組合との間の情報連携不足であります。夫が受けている年金が共済年金の場合、機構は、機構が管理する共済データベースを活用して、妻の65歳からの年金に振替加算をシステム的に処理することとしていました。

 図を見ていただきますと、機構の中に共済データベースと青い枠で書かせていただいております。これは共済データベースという名前ですけれども、機構が保持・管理しているデータベースでありまして、ここに各共済組合からデータを入れていただく。

 Aは、夫の加給年金開始情報は収録されていないために、振替加算が支給できない事例。Bは、夫の加給年金が終了したという情報がデータの不備によって共済データベースに収録されていない事例。Cは、収録はされているのですけれども、情報が誤っている。こういったことにより、振替加算の支給漏れが生じております。5万2,908人、260億円。

事例2はシステム処理に起因するものでありますけれども、2-1と2-2に分けて記載させていただいております。事例2-1でありますが、機構が妻の年金原簿に夫に加給年金が支給されていないと収録された場合であって、その後に共済組合から夫に加給年金が支給された場合でも、妻の方の年金原簿の情報は自動的には変更されないことになっていました。

 図で見ていただきますとマル1ですが、妻60歳の時点で、夫の状態を見てみますと、この時点では加給年金が出ていません。このため、機構は夫に加給年金が支給されていないという情報を妻の年金原簿の方に収録します。

 その後、マル2でありますけれども、妻を対象に夫に加給年金が支給開始されたという情報を共済データベースに収録します。しかし、妻の年金原簿の情報は、先ほど言いましたように、自動的には変更されません。といいますのも、夫婦とも厚生年金の場合は自動的に変更されるのですが、共済組合は機構から見ますと別の事務主体ですので、直ちに自動的に変更するのではなくて、機構でも確認することが必要であるとしまして、自動的には変更しない。そのかわり、マル3でありますけれども、リストを出力して確認することとしておりました。

 ただし、このリストが多くの不要な情報が混在し、個別確認できる仕様でなかったため、振替加算の支給漏れが生じたという事例でありまして、2万3,136人、85億円でございます。

 めくっていただきまして、事例2-2の「システム処理に起因するもの」の2つ目であります。機構では、夫が厚生年金の場合は夫に加給年金が支給されていることを確認しまして、振替加算を行うシステムとしていました。その際、厚生年金の他に加給年金が支給されている場合には、リストを出力し、職員が確認する事務としていましたが、先ほどと同じように、リストには多くの不要な情報が混在しまして、個別確認に対応できる仕様でなかったため、振替加算の支給漏れが生じた事例であります。1万2,549人、37億円。

 事例3が事務処理誤りでありまして、事例1は情報連携、事例2はシステムに起因するものとさせていただきまして、事例3が事務処理誤りであります。夫が年上の場合には、夫の年金が決定した後に妻の年金を決定するのが一般的ではありますが、夫の特別支給の老齢厚生年金が遅れて請求されることもあります。その場合には、遡って夫の年金が決定されます。

 この図を見ていただきますと、妻60歳の時点で夫は遡って決定するので、実際には、この時点では夫の方は決定していないということでありまして、妻の年金原簿には夫に加給年金が支給されている旨の記載がされません。その後、夫の年金が遡って決定したときに、リストを出力して職員が確認することとなっていましたが、その職員の確認漏れが生じております。それが1,727人、13億円。

 右側に「この他の事務処理誤り」と書かせていただいております。1,727人の外数でありますが、事務処理誤りを記載しております。「夫に加給年金が支給されている」と入力すべきところを、「支給されていない」と入力したもの、2,370人、58億円。平成2410月以前は、夫に共済年金の加給年金が支給されている場合には、目視にて支給要件を確認していたが、目視であるために誤ったもの、461人、4億円。平成17年以前は、社会保険事務所、今の年金事務所から社会保険業務センター、今の機構本部への進達事務がありましたが、その進達に漏れがあったもの、402人、6億円。

 夫の加給年金終了情報が処理される前に、妻から65歳時裁定はがきが提出された場合には、リストに出力して処理することとしていましたが、その処理が漏れたもの、356人、7億円などがございます。

 めくっていただきまして、9ページが事例4であります。4番目の類型は、お客様からの届出漏れということであります。基本的には、お客様からの届出を必要とせずに処理する事務フローでありますが、夫が共済であって、妻が年上のケースに限って届出義務がございました。

 図で見ていただきますと、妻60歳の時点では、妻が年上ですので、夫の共済年金は決定していないわけであります。ですから、この時点では、機構では夫に加給年金が支給されていることが妻の年金原簿に収録されない。かつ、夫が共済組合の場合は、機構としましては、その振替加算対象者であることを把握できませんので、妻65歳時に妻から届出をしていただくことになっていました。妻であること、生計維持関係があることの届出が必要とされていました。

 ただ、この届出がされず、機構では、妻が振替加算の対象者であると認識できず、振替加算の支給漏れが生じたものが、1万2,038人、128億円でございます。

 次のページが、(参考)と書かせていただいておりますが、近年、個別に機構において訂正してきた振替加算の件数を表にしております。平成22年2件、2534件、28832件、このように近年増加しております。これは男子の定額部分開始年齢の引き上げが近年の件数増加に影響を与えていると考えています。

 中段ですが、平成6年の制度改正によりまして、生年月日に応じて特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられました。右側の表でありますが、例えば引き上げ実施年、平成13年には、男性の定額部分の支給開始年齢が60歳から61歳に、その後、3年ごとに1歳ずつ引き上げまして、平成25年には、男性は定額部分の支給開始年齢が65歳になっております。

 左下の図を見ていただきますと、夫の部分に書いてある白い矢印が引き上げを意味しているのですけれども、平成13年以前であれば、このパターン、妻が60歳時に夫に加給年金がついているかどうかを確認しにいくと、13年以前であれば支給されていますということが確認できたわけですが。


○増田部会長 すみません。全体15分予定していたので、もうちょっと簡潔に説明してくれますか。


○山田給付事業室長 わかりました。

 それが引き上げられますと、この時点で確認できないことになります。

 11ページですが、支給漏れが判明した方への対応ですが、対象の方には、11月上旬にお知らせをした上で、概ね本年1115日に支払うことができるよう事務を進めます。また、時効の援用は行いません。

 (その他)で書かせていただきました10万人とは外枠の数字でありますけれども、夫に加給年金が支給されていながらも、妻御本人から機構に対しては「生計維持関係がない」と申告されている事例があります。妻御本人からの申告が正しければ未払いではありませんが、念のため、御本人に対してお知らせをします。妻御本人の申請どおり生計維持関係がない場合には、振替加算の支給はしませんが、生計維持関係が確認できた場合には振替加算の支給を行います。この場合でも、妻御本人からの申出を受けて行った処理でありまして、この場合には5年の時効を適用させていただきます。それぞれ、夫に、共済組合の場合が2万人、厚生年金の場合が2.6万人でございます。

 最後のページですが、「今後の発生防止のための事務処理の改善」であります。従来の機構が管理する共済データベースには情報の収録漏れがございましたが、平成2710月から活用できるようになりました共済情報連携システムによりまして、機構が、共済組合が保有する原簿情報を直接確認できることになりましたことから、業務フローの見直しを行います。

 既に本年7月1日から実施しておりますが、現在の事務処理を基本としつつ、配偶者の加給年金が終了している一方で、振替加算が開始されていない夫婦の事例については、妻が65歳になった時点で抽出して確認いたします。夫に共済年金の加給年金が支給されている場合でも、夫の記録を共済情報連携システムで照会しまして、仮に機構と共済組合のデータに不整合がある場合にも、個別に共済組合に事実関係を照会して、妻65歳時点で振替加算の受給要件を確認することを徹底いたします。

 今、7月1日よりは手作業で確認していますが、今後速やかに、システム改修により機械的に共済情報連携システムに照会できるようにいたします。

 あわせまして、届出を不要化するための省令改正も予定しております。妻の特老厚請求時に夫の共済年金が決定されていない場合のみに必要となっている届けにつきましては、今般の事務処理改善とあわせまして、この事務を廃止する予定としております。

 私からは以上でございます。


○高橋年金管理審議官 私からも一言。今回の振替加算の事案につきまして、日本年金機構で総点検をいたしまして、判明いたしました。支払うべき年金が適正にお支払いされなかったことにつきましては、まことに残念なことでございまして、該当の皆様方には御迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。

 今後、日本年金機構におきまして、11月の支払いに向けまして事務を鋭意進めていただいておりますが、またしっかりと再発防止に取り組んでまいります。


○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 人事・会計部門担当の木谷でございます。私からは、資料9について御説明したいと思います。

 この案件につきましては、外部有識者を含めた機構の資産管理のあり方に関する会議を設置して検討を進めてきたところでございますが、今般、その報告書がとりまとめられたので御説明をするものでございます。

 3枚目以降に別紙でその報告書がございますが、おめくりいただいて、2枚もので概要を御説明したいと思います。

 まず、「宿舎の見直し方針」でございますが、機構は全国異動を前提とした組織でございまして、転居を伴う広域異動者が常に存在することから、恒久的な住居対策が必要であること。また、住居対策としては、住居手当の支給、宿舎又は借上宿舎の提供が選択肢であること。こういったことを踏まえまして、賃貸物件の供給数、家賃相場等の地域の事情を踏まえ、経済的合理性に基づき判断し、広域異動者の将来推計、10年後、20年後を行っていますが、これに基づく宿舎需要が見込めない宿舎及びコスト比較による経済的合理性が見込めない宿舎については廃止することといたしました。

 次にコスト比較等により199宿舎を以下のとおり分類したということで、表に書いてありますが、まず、現在、10年後、20年後の宿舎需要予測がいずれもゼロとなる見込みについては、需要無としております。それから、一方で、需要はありますが、現在の充足率の見込みが損益分岐入居率を下回って、かつ、将来にわたり宿舎保有コストが、広域住居手当コスト、借上宿舎コストよりも上回る宿舎、これについては速やかに廃止することが適当といたしました。

 それから、2つ目のところでございますが、10年後まで、あるいは20年後までのコストが高くなる場合、それから、コスト比較の結果、保有コストが高くなる場合で賃貸物件の供給が少ない場合については今後廃止することが適当と見込まれるということといたしました。

 この結果、廃止候補宿舎としては71宿舎、全体の約36%となっています。将来需要が見込まれる、さらにコスト面で優位なものについては当面存続する宿舎として整理したところでございます。

 2ページ目でございますが、「判定結果ごとの今後の宿舎管理方針」についてはここに記載のとおりでございまして、もう一つの※印でございますが、「老朽化等により使用できない状態になった宿舎の取扱い」について、将来にわたり宿舎の需要が見込まれる地域において、建替の方がコスト面で有利な場合については建替の検討を行うこととしております。

 その建替に当たっては、PPP/PFI手法を含め、多様な手法等を活用、その検討に当たっては、外部有識者の意見を聞きながら、個々の宿舎ごとに最適な方法を選択することとしております。

 次に、「年金事務所の見直し方針」でございますが、賃貸物件に仮移転中の年金事務所を例に、賃貸コストと建替コストについて、一定の前提の下粗い試算を行ったところでございます。長期、約50年でやりましたが、賃貸コストが高いということで建替が有利という結果になりました。建替に当たっては、宿舎の建替と同様に、PPP/PFIの手法を検討、その検討に当たっては、外部有識者の意見を聞きながら、最適な整備方法を策定することとしています。

 今後、機構といたしましては、会議でとりまとめた見直し方針に従い、適切な施設管理を実行していくことになりますが、この方針については、一定期間ごとに妥当性と効果を検証していく必要があると考えております。

 説明は以上でございます。


○増田部会長 ありがとうございました。

 それでは、これまでの関係について、御意見やご質問がありましたらお願いいたします。

 藤井委員、どうぞお願いします。


○藤井委員 ちょっと遡る点が1点と今の点が1点で、しつこいようですけれども、文書保管の件で、もしかして部会長がちょっと勘違いされるといけないので、念のために、資料3の5ページを御覧いただきますと、今回の変更は、この一番下の附則第2条がリファーしている別表第3-1に定める文書、この別表3-1を変更するという案だろうと思います。そのこと自体は先ほど当部会にて了承しただろうと思うのですね。

 その点はそれで別に悪くはないのですけれども、私の意見は、31条のこの各年数、これが根拠が間違っているので修正するべきだということです。それは何故かというと、これ、直さなくたって別に、附則で保存しているのだから、物理的な影響はないではないかと。それはそのとおりです。しかしながら、31条というのは原則を書いていることなので、それはあらゆることに関係して、先ほどのシステムの開発や何かでも、本来どうあるべきかというのがまずあって、それを実現するために、紙ではだめだから、マイクロフィルムにしようとかいうことがあり得る話だと思うのですね。

 だけど、この書き方だと、当面、便宜的に保存しているだけであって、本来は、例えば第5類に分類する書類を1年で廃棄するのが原則であって、この原則は間違いでないと、このように読めてしまうのだけれども、それが間違いですよねというのが私の意見です。


○増田部会長 私に対してのあれだと思いますけれども、ここの部会に諮られているのは、この文書管理細則についてこういう格好で直したいということは、これで了承したと。


○藤井委員 それはそうです。


○増田部会長 それからあと、藤井さんの御意見は、上の文書管理規程についての御意見ですので、これは今後トータルを考えるときに、委員の御意見として考えておいていただきたいと、こういうことですね。


○藤井委員 そうです。それで、先ほどこれに関する部会長のとりまとめのときに、その点がお言葉なかったので、少し気になったと。


○増田部会長 そういう趣旨でとりまとめたいと思います。それからあともう一つは。


○藤井委員 それから、もう一点は宿舎の関係ですけれども、何回か前の議論の中では、不要となった宿舎は国庫に戻すということだったかと思います。国庫というのは、この場合、厚生労働省の所轄のものではないかと思うのですが、その場合、その後速やかに売却するということが何回か前のこのミーティングでお話があったかと思うのですけれども、そのあたりの経緯と状況についてお話しいただければと思います。


○増田部会長 これは、室長さん、お願いします。


○佐々木会計室長 会計室長、佐々木でございます。

 国庫納付につきましては、一度、会計検査院の指摘を受けたものがありまして、宿舎で8つ、年金事務所で4つございます。これは昨年、機構法の中で国庫納付の規定ができまして、今年の1月に国庫納付が実際済んでおります。今、売り払いの作業をしておりますが、原則、売り払いにつきましては、財務省の財務事務所の方に事務委任をするという手続になってございまして、今その手続を進めているというところでございます。

 既に事務委任したものも、宿舎については2カ所ほど、もう事務委任が終わっておりますが、今、事務委任について、財務事務所の方と具体的な、いろいろ境界確定のことだとか、意思だとか、そういったものの確認作業を進めているということで、一応手続は順調に進んでいると我々は思っています。

 ただ、売り払いに関しては、実際には公共要望をかけて、その後一般入札ということになりますので、実際に売るということに関しては少しお時間がかかっているという状況でございます。


○増田部会長 よろしいですか。

 他には。どうぞ、お願いします。


○原委員 短時間労働者の適用拡大で、先ほど御説明いただいた1,270事業所、1,742労働者数というのはまだ明らかに相当少ないということだと思いますが、これは想定されている目標の数字とかありませんでしょうか。


○増田部会長 どうぞ、課長さんの方で。


○竹林事業管理課長 御質問ありがとうございます。事業管理課長でございます。

 これは制度的に任意加入ということですので、ある意味、この数を適用しなければいけないという意味での厳密な目標はございません。法案審議の際には、500人以下の企業にお勤めのパートの労働者全体で大体50万人ぐらいと見込んでいて、その中の5%ぐらい、これは現在厚生年金の任意の適用の制度があって、ここに5%ぐらいの方が任意で手挙げされているので、それぐらいまでいったら望ましいなということで、そうすると数字的には2万人ぐらいになるわけですけれども、そういった数字を少し御紹介しておりますけれども、いずれにしても、これはまだ制度が始まったばかりでございますので、全然そこに届いてないのも確かでございます。

 制度を既に適用されたところに個別にヒアリングに伺いますと、当然、事業主の負担は発生しているわけですけれども、優秀なパート労働者の人材確保という意味で、社会保険適用だということは、そこは非常にウリになって、いい人材確保ができたという前向きな評価もたくさん聞いておりますので、今後そういったことをちゃんとホームページに載せるとか周知をしっかりしていって、こういう制度の趣旨に賛同して、労使合意の下入っていただく方がどんどん増えていくように、機構と協力して頑張っていきたいと思っております。


○増田部会長 原委員、何か追ってありますか。よろしいですか。

 それでは、他に何かございますか。

 どうぞ、西沢委員、お願いします。


○西沢委員 2つありまして、1つは振替加算の方で、振替加算の御説明については大体わかりました。元々の原因は、被用者年金を一元化するとしつつ、事務組織をそのまま分立して残していることに起因していると思うのですけれども、私は、これは事務組織一緒にすべきだったと思うのですけれども、それは今から言っても仕方ないので、事務組織を分立していることによって、この振替加算について、今回、基礎年金を給付されるのは日本年金機構なので、わかったと思うのですけれども、例えば公務員OBの方が民間企業に勤めていて、厚生年金の被保険者になって、一定の給料を得ていると、在職老齢年金になってくると思うのですけれども、一定の給料だと、共済の給付を一部支給停止するのか、全額支給停止するのか、共済の方にかかっているので、共済の事務組織の方で、その人、OBの厚生年金被保険者としての実態をきちんと把握して、給料も把握していないと、一部支給停止、全額支給停止ができないと思うのですね。

 それが共済データベースのときだと、日本年金機構に情報があるということなので、日本年金機構は一方的に共済から情報をもらっているだけであって、共済はどうしていたのか。それが共済情報連携システムになるとできているのか、今どういう事務フローになっているのか。

 ですから、在職老齢年金の例で今申し上げましたけれども、共済と旧民間の厚生年金の事務組織が一体となっていないことによって生じている問題を、今回これを契機に何か他にないのかと洗い出して、それは共済側の方にも聞かないとわからないと思うのですけれども、というのがちょっと調べていただきたいのが1つ。

 あともう一つは、短時間労働という言葉に関してですけれども、年金徴収のシステムってやはりものすごく時代遅れだと思うのですね。制度として。年金局に申し上げたいですけれども、事業所を単位として、その事業所で何時間働いているから短時間と言っているだけであって、でも、今は、マルチジョブホルダーのように、複数事業所で働いている人にしてみれば、各事業所では短時間労働者であっても、自分自身はフルタイム労働者なので、むしろそういった多様な働き方を今後想定していくというのが今の働き方改革だし、むしろ副業、兼業とかも推奨しようとしている中において、事業所単位で把握、その人を厚生年金適用加入しない、するというのはやはり時代遅れなので、今の働き方改革の議論と平仄を合わせてというか、むしろそれをリードする形で、これは一朝一夕にできないのですけれども、見直していかないと、今の働き方改革の議論と合ってないような気がしますので、ちょっとこれは考えていただきたいと思います。

 以上です。


○増田部会長 どうぞ、課長さん。


○竹林事業管理課長 まず、西沢委員の御指摘の1点目でございますけれども、この振替加算以外にも、在職老齢年金のお話を例示に挙げられて、事務処理組織が分かれたままで大丈夫なのかという御指摘だったと思います。

 まさに先ほど室長の方から振替加算の御説明のときに、被用者年金一元化に伴って、共済情報連携システムというものができましたと。実はこれはまさに、その在老を初めとする一元化によって制度が1本になって、そういう公務員OBの方なんかが共済年金をもらいながら民間の事業所に勤めている場合でもしっかり在職支給停止をかけていく、こういう制度が変わったので、それに対応してしっかりリアルタイムで、相手のと言ったら変ですけれども、事務処理組織が分かれていても、それぞれの情報が見に行けるようにする。これは機構から共済組合の情報を見に行けますし、共済組合から機構の方の情報も見に行けるようになるのですね。従来は、それぞれ分かれていたときに、相手が情報をくれるのを受け身で待っていたわけですけれども、2710月以降から、こちらから見に行ける。実は振替加算のためにできた制度ではなくて、むしろそういう一元化によって大きく制度が変わったところを事務的に可能にするためにこの共済情報連携システムができたわけでございます。

 制度が2710月にスタートいたしまして、それで、少し情報の持ち方などを変えたりする必要もありますので、最初の頃には少しトラブルもあったようでございますけれども、そういったものも気づき次第、すぐ第一報とかを流す共済組合と機構の間の情報連携のやり方自体も大きく変えまして、それを一つ一つ原因を突きとめて、ちゃんと制度が想定したとおりの支給なり支給停止ができるように、今順次進めているところでございます。そこはまさにその制度的な担保ができるようにシステムの方も大きく変わったと、相手の情報が見に行けるようになったということでございます。

 それから2点目でございますけれども、2点目のお話はどちらかというと年金の制度論のお話でございますので、私どもの立場といたしましては、今ある制度をどう適切に運用していくかということになりますけれども、ただ、今、先生が御指摘のような問題意識ですね。多様な働き方に対して、今のそういう社会保険の適用のあり方が少し時代遅れになっているのではないかという御指摘は各方面からされていると承知しておりまして、制度部門の方でも問題意識は持っていると思います。今日の事業管理部会でもそのような御指摘をいただいたことにつきましては、制度の企画部局についても私の方からきっちりお伝えしたいと思っております。

 以上です。


○増田部会長 今の関係、1番目のはよろしいですか。


○西沢委員 1番目は、今進めているということ。それとも完全にできているのでしょうか。


○竹林事業管理課長 基本的には、もう2710月から完全に相手の情報を見に行けるシステムができているので、措置済みでございます。措置済みなのですけれども、制度をスタートした直後は若干のそういうトラブルもあったように聞いていますが、それも全部対応してきているというところでございます。なので、もう措置済みで、ちゃんと動いていると。


○増田部会長 共済年金からOBで、もう一回また民間の方に、厚生年金の方に行っている人についても、お互いで全部できていると。


○竹林事業管理課長 共済組合の方が支払っている年金の中で、現状では厚生年金の適用事業所に勤めている方の場合、その標準報酬の情報などを共済組合の方で見に行けると。それを基に、共済年金のうち幾らを止めなければいけないという、制度はもう既にそうなっていますし、システム的にも、この共済情報連携システムを使ってできるようになっております。


○増田部会長 西沢委員の問題提起は、本来事務局まで一元化しておくべきだったのだけれども、事実上分かれていた。それを情報連携システムで補うということで、支障がないようにできているのですが、ですから、それができたことによって、どんなケースでもお互いにチェックできるようになっていると。今回の支給漏れで、その連携システムが動いたことによって明らかになった案件なわけですけれども、ですから、これで一応全てのケースが手当てできているということだと理解したのですが。今のお話だと。西沢委員は、いずれにしても、まだ漏れているケースがあるかもしれないから、よくそのあたりについても点検してくださいねという御提案だったと思うのですが、一応情報連携システムが動いていることによって全部手当てできているはずだということですが、実際にはどうなの? これで相当わかったわけですよね。そのこと自身は、審議官仰ったように、いずれにしても、機構の方のシステムが動いて、機構の方からわかったということですから、御承知のとおり、支給漏れがあったら大変遺憾なことですし、そのこと自身は非常にマイナス要因なのですが、それにしても、きちんと動いていると。それ以外のところはもう全部点検済みと考えていいのですか。


○事務局(田中年金給付部長) ちょっと補足でございますけれども、2710月からその被用者年金一元化がございました。この場合に、先ほどの在職支給停止ですと、制度が変わりまして、機構の方の年金と共済組合の年金の総額を出しまして、総額からその支給停止総額を算出すると。それをそれぞれの年金額について按分するという仕組みになりました。この仕組みに対応するためには、それぞれ年金額を幾らに決定して、それをお互いに共有して、総額からどうやって在職老齢支給停止額をそれぞれ幾らにするかということを決めなければいけません。そのためにお互いに情報交換する必要がありますので、この2710月の被用者年金一元化に合わせてこの共済情報連携システムというのを作って、お互いの年金の記録を見に行くことができるようにしているということで、仕組みとしてはできているということです。

 ただ、当初、例えばうまくそのデータの使用ができなくて正しいデータが送れなかった、そういうトラブルがあったことは事実です。事実ですが、それについては、先ほど課長の方から申し上げたとおり、きちんと原因を突きとめて、直すべきは直してということでやっていまして、これは時間、2年経ちまして、相当落ちついてきたのではないかと認識しております。


○増田部会長 どうぞ、西沢委員。


○西沢委員 すみません。その支給すべき額が把握できていると言って、例えば公務員OBの方のリアルタイムの標準報酬月額とかも共済の方はリアルタイムでわかっているということですね。


○事務局(田中年金給付部長) はい。この人について、このデータを見に行きますと照会をしますと、そのデータがわかると、標準報酬も含めてわかるという仕組みになっております。


○西沢委員 わかりました。


○増田部会長 先ほどの御説明の8ページの事例3で、事務処理誤りで典型的な例が書いてあって、この他の事務処理誤りと右側の方に幾つか代表的な例示が書いてあるのですけれども、パターンがいろいろ、事務処理誤りですからあると思いますので、これが当然ゼロであることが望ましいわけですので、ぜひその実現に向けて一層努力していただきたいということを申し上げておきます。

 他に委員の皆さん方から何かございますか。

 石井委員、どうぞ。


○石井委員 とても基本的なことで申し訳ありません。この支給漏れ、足すと600億ほどになるのですけれども、この600億というのは、すみません、誰が負担するのですか。共済年金というものと年金機構の年金資産というものは一元的に一つのアカウントで管理されているのであればいいのですが、もしそうでないとすると、一体誰がどんな基準で負担するのかというのがよくわからない。


○増田部会長 その点、課長さん、どうぞ。


○竹林事業管理課長 この600億円というのは、本来、正しくシステムが機能していたり事務処理をしていたら、老齢基礎年金に加算されているもので、それがついていなかった分を今から払おうということですから、通常の老齢基礎年金の負担ルールに従って、最近の給付であれば、2分の1が国庫負担、2分の1が保険料。少し古い時代のものであれば、3分の1が国庫負担で3分の2が保険料というふうに、期間に応じて、通常の老齢基礎年金の負担ルールに従って費用負担をした上でお支払いをするものでございます。これは元々ついているはずだったものでございますので。


○増田部会長 わかりました。よろしゅうございますか。


○石井委員 共済でなくて、基礎年金部分と。


○増田部会長 基礎年金のところで、その発生時点のルールに従って、それで本来支払うべきだったルールでお互いに負担し合うと。


○竹林事業管理課長 ちなみに、その保険料というときには共済組合からの拠出金も当然入っています。


○増田部会長 わかりました。他に委員の皆さん方、よろしいですかね。

 それでは、大変案件が多かったのですけれども、今日の審議はこれで全体終わりましたので、各委員の方から今後に向けていろいろ意見等もございましたので、これらを踏まえて適切な対応をお願いしたいと思います。機構、それから厚生労働省の方でもございましたので、よろしくお願いします。

 本日の議事は全て終了しました。次回の日程については事務局の方から御連絡することにいたします。

 以上で本日の会議、終了いたします。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。

 

 


(了)

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