ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)> 平成29年度第2回運営委員会議事録(2017年9月6日)




2017年9月6日 平成29年度第2回運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成29年9月6日(水)
17:00~19:00


○場所

厚生労働省18階 専用第22会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎5号館)


○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英

日本赤十字社:

佐竹 正博 豊田 九朗 平 力造 前野 節夫
前野 節夫 井上 慎吾

日本血液製剤機構:

辰田 武司

日本製薬株式会社:

洪 苑起

化学及血清療法研究所:

羽室 勉

事務局:

森 和彦(大臣官房審議官) 山本 匠(血液対策課長補佐)
菓子野 慧(血液対策課長補佐) 三浦 勲(血液対策課需給専門官)

○議題

・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・安全技術調査会における審議結果について
・血液製剤産業のあり方について
・原料血漿の追加配分について
・血漿分画製剤の最終製品における血清学的試験について
・その他

○議事

○山本匠血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「平成29年度第2回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出席状況ですが、運営委員会委員6名全員に御出席いただいていることを御報告いたします。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、豊田九朗技術部参事監、平力造技術部安全管理課長、以上3名に御参加いただいています。

 続いて、事務局の紹介をさせていただきます。

 医薬担当審議官の森でございます。

 血液対策課長の一瀬は所用により欠席させていただいております。

 カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。

(報道関係者退室)

○山本匠血液対策課長補佐 それでは、以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 皆さん、こんにちは。

 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について御報告をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 本日出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金等の受け取り状況を報告いたします。

 本日の検討事項に関して「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題6に関して、岡田委員、室井委員から関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受け取りの申告がなされております。岡田委員、室井委員におかれましては、議題6の検討に当たっては、意見を述べることはできますが、議決の際には参加いただけないこととなります。

○田野崎委員長 ただいまの説明について、御意見・御質問などございますか。

 特になければ、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解いただいたものとさせていただきます。

 それでは、議題に入る前に、事務局から資料の確認及び前回の議事録に関して御説明をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 事務局から資料の確認をさせていただきます。資料は今回1~8まであります。

 資料1-1、感染症定期報告(研究報告概要一覧表及び個別症例報告概要)です。9ページあります。

 資料1-2、感染症定期報告(詳細版)です。こちらは126ページあります。

 資料2-1、供血者からの遡及調査の進捗状況についてです。

 資料2-2、血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等についてです。こちらは11ページあります。

 資料2-3、献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数です。6ページあります。

 資料3-1、平成28年度血液事業への取り組みについてです。18ページあります。

 資料3-2、平成28年度事業計画と事業実績です。こちらは3ページあります。

 資料3-3、原料血漿確保対策についてです。こちらは7ページあります。

 資料4-1、輸血用血液製剤等の遡及調査に関するガイドラインの見直しについてです。12ページあります。

 資料4-2、E型肝炎対策に対する安全対策についてです。

 資料5、血液製剤産業の在り方についてです。

 資料6、原料血漿の追加配分に関する事案についてです。

 資料7、血漿分画製剤の最終製品における血清学的試験の廃止についてです。こちらは1ページとなっています。

 資料8、化学及血清療法研究所の血液製剤についてです。

 なお、議題1、4、7に関して、それぞれ1つずつ机上配付資料があります。議題1、7に関する机上配付資料は会議後に回収させていただきます。机上配付資料の1と4になります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。不足がありましたら、事務局までお知らせください。

 前回、平成29年度の第1回血液事業部会運営委員会の議事録につきましては、委員の皆様に御確認いただいた上で、厚生労働省のウェブサイトで公開しております。

 それでは、議題1「感染症定期報告について」、事務局から説明をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 それでは、資料1-1、資料1-2をごらんください。平成29年4~7月までの研究報告です。全部で19件の報告がされております。

 文献1に関しましては、輸血と食事によるE型肝炎ウイルスの感染リスクを推定した文献になります。イギリスからの報告となっておりまして、輸血による感染は一定以上のタイターを持つHEV陽性血で起こっており、陽性血の検出頻度と陽性血でのタイターの相関関係から、13名以上の供血者に由来する血液製剤を投与された場合に、食事からの感染リスクを上回るとの推定が報告されております。

 文献2は、E型肝炎ウイルススクリーニング検査の費用対効果についてです。オランダからの報告となります。全数のHEVスクリーニング検査を24プールで実施することにより、4.94例中4.52例の発生が防止され、1例当たりのコストは31万ユーロになる。ロジスティクスで可能であれば、選択的な検査はそれより85%削減できると報告されております。ただ、この推定には不確かさがありまして、それはHEVの陽性血の感染性の不確かさなどによると考察されております。

 文献3は、北米、欧州、中東及びアジアにおいて血漿分画製剤の製造用プールについて、HEV-RNAについて調査した報告です。484プールを検査して、北米、欧州、アジアでHEV-RNAが検出されております。中東では検出されなかったと報告されております。

 文献4は、HTLV-1に関する報告です。日本における複数回献血者3375,821名を中央値4.5年で観察し、HTLV-1抗体が陽転した献血者数が532名であったという報告がされております。

 文献5は、ジカウイルスの無症候期間とウイルス血症についての報告です。マルティニーク島における4,129名より供血された血液へジカウイルスの検査を行い、76名がNAT陽性となっております。14日間の経過を終えて75名より回答を得たところ、34名は無症候性であり、41名は発熱、結膜炎、筋肉痛、関節痛、発疹といった症状がありました。感染数累計シミュレーションでは、ウイルス血症の無症候期間は約6日であると推定されたと報告されております。

 文献6は、蚊におけるジカウイルスの伝播実験についての報告です。Culex属とAedes属をジカウイルスに感染させて飼育した際、Culex属はジカウイルスのベクターとしての能力はなかった。Aedes属はジカウイルスの伝播能力があったと報告されております。

 文献7は、全血中と血漿中のジカウイルスの検出の持続期間についての報告です。5例の患者で報告されており、全血中は平均22日、血漿中は10日間ジカウイルスの検出がされたと報告されております。

 文献8は、体液中におけるジカウイルスの検出期間についての報告です。ジカウイルスが血清中から検出されなくなるまでは中央値で14日と報告されております。

 文献9は、CDCよりの報告で、ジカ感染の可能性がある妊婦において、特定の先天性欠損が20倍増加したと推定されたと報告されております。

 文献10は、ジカウイルス関連の先天異常に関する報告です。ジカウイルス感染の可能性を示す臨床結果を有する胎児・乳児972例のうち51名で先天性の異常が報告されております。

 文献11は、血漿分画製剤の製造工程でのジカウイルスの不活化除去について検証した報告です。ジカウイルスは熱処理、SD処理、低pHインキュベーションにより不活化されやすく、20nmの除去フィルターによって除去されることが確認されております。

 文献1213は、米国のアラスカで新規のオルソポックスウイルス感染症1例についての報告です。

 文献14は、げっ歯類が媒介するハンタウイルスの一種であるソウルウイルスによるアウトブレイクについての報告です。ペット用のラットを介した感染で、8名が感染したと報告されております。

 文献15は、中国での鳥インフルエンザA(H7N9)の感染状況についての報告です。5度目の流行でヒト感染は460例報告されております。これまでの流行より増加しておりますが、持続的なヒト-ヒト伝播は確認されておりません。

 文献16は、血小板の保存液による細菌感染のリスクについての報告です。バフィーコート由来の631,347の血液製剤において、14例の輸血細菌感染症がありました。血小板添加液で保存した血小板は、血漿で保存した血小板より細菌感染の発生率が4倍であったと報告されております。

 文献17は、150万人のカルテを調査して、アルツハイマー病とパーキンソン病が輸血による伝播をする根拠はないと報告されております。

 文献18は、英国における変異型クロイツフェルト・ヤコブ病についての報告です。これまでのプリオン蛋白遺伝子のコドン129の遺伝型はメチオニン-メチオニン(MM)型でありましたが、今回はメチオニン-バリン(MV)型のものが報告されております。

 文献19は、孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病の2症例についての報告です。症例は血友病Bで、もう一症例はフォンヴィルブランド病の方です。血漿製剤による治療歴はありますが、クロイツフェルト・ヤコブ病との因果関係は確立されていないと報告されております。

 資料1-1、資料1-2は以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、委員の先生方から御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。E型肝炎などありますが、山口委員どうぞ。

○山口委員 E型肝炎は後で議論することになるのですけれども、1つ目の文献でE型肝炎の感染リスクを実際のタイターを感染したものと感染していなかった症例について分類しているのですが、患者のバックグラウンドとかそういうものもございますが、非常にハイタイターでも感染が成立していないケースもあります。また感染性を示す最低限のタイターの推定もされてはいるのですが、推定の確かさという意味では、そんなに簡単な話ではないなという気がいたします。

 もう一つちょっと気になったのですが、クロイツフェルト・ヤコブのコドンがメチオニン-バリンのヘテロのタイプですが、メチオニンホモの型より発症がすごくおくれると言われていて、今回初めて出てきたので、第2波になるかというリスクが一応考えられるのですけれども、1例だけですので、まだ何とも言えないとは思いました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 ほかの委員の先生方。岡田委員どうぞ。

○岡田委員 先ほどのvCJD絡みで、これまで報告されたvCJDの患者さんは全てMM型だったんですね。今回は初めてメチオニン-バリンのヘテロの患者さんが出たということで、イギリスでMM型のプリオン蛋白を持っている方というのは人口の50%なんです。残りの方がMV型なんです。そう考えると、MM型が非常に感受性が高かったということで、感染から大分時間がたってきたので、次の発症しにくいと言われているMV型の患者さんが出てきたということで、今後MV型の感染している人は大体数万人ぐらい推定でいると思うのですが、そうすると、その感染者から実際に発症する人が出るかどうかというのが今後の問題だと思います。

 日本人は全てMM型なので、牛が原因で感染しているとすれば、もう発症していると思うので、日本では直接影響はないと思います。

 それと、次のスポラディックのCJDなのですけれども、これは今まで輸血によってスポラディックCJDが発症するかどうか、いろいろ調査されていたのですけれども、今までの報告では輸血で感染はしないと言われていました。今回一応、血液疾患の方でスポラディックCJDが出たということですけれども、スポラディックCJDを発症した患者さんの末梢血に異常なプリオンが存在するというのは、2~3年前にレポートがあったのですが、こういう血漿分画製剤の原料となる血漿は一応発症している人からとるはずがないので、そうなると、vCJDと同様に、発症する前にスポラディックCJDに感染している人が本当に感染性のプリオンが末梢血にあるかどうかということは、まだわかっていません。血漿分画製剤の場合は、多くの血漿を混ぜますので大分希釈されてしまうということで、発症する可能性は極めて低いのではないかと考えます。

 あと、15番の鳥インフルエンザですけれども、この論文を見ると一部、インフルエンザは感染するときにプロテアーゼによってHIが開裂して初めて感染が成立するのですけれども、通常のインフルエンザは気管支や気道に存在するプロテアーゼで開裂するので、感染が呼吸器で起こります。ですけれども、このインフルエンザの一部から、いろいろな組織に存在するプロテアーゼで開裂するような遺伝子配列を持った鳥インフルエンザが検出されているんです。これが広がってしまうと全身感染を起こすようになります。通常、普通のインフルエンザはたとえ血液中に入っていても、プロテアーゼの関係で感染することができないのですけれども、いろいろな体に存在するプロテアーゼで開裂するようなインフルエンザになって輸血の中に入ってしまうと、その輸血によって感染するようになるということです。ですので、これから流行がどうなるかということで、これからもフォローする必要があると思います。

 あとは、ジカウイルス、7番、8番ですけれども、この前にもレポートがあったと思いますが、血漿よりもホールブラッドを使ったほうが検出しやすいというのが今回もありましたので、それは事実だろうと考えます。

 4番の日本赤十字社からの報告は、献血者のデータを使って、しかも長時間フォローして、こういう結論を得たということで、非常に力作で、いい論文だと思います。

 以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 4番は佐竹先生がいらっしゃいますので、何かコメントがあればと思いますが、よろしいですか。

 室井委員どうぞ。

○室井委員 置換血小板で細菌感染症が4倍になるというのは結構衝撃的な論文だと思うのですけれども、今後、日赤で置換血小板をつくっていこうという戦略が出されますよね。この論文に関する日赤の御意見を伺いたいと思います。

○田野崎委員長 よろしくお願いします。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 もちろんこれは我々もショッキングでして、十分注意していきたいと思います。置換された血小板の供給というのはヨーロッパではかなり古くからされていますので、今こういうものが初めて出るのもちょっと不思議な感じがするのですけれども、これが本当にこのとおりの確率でありましたら、今までも相当ふえていただろうという感じはしますが、そういった話は聞いていませんので、もう少しこのデータがほかのところでどうなのか注意して見ていきたいと思います。我々もいろいろな実験も試しております。本当にこういうことが起こるのかも確認していきたいと思っています。導入に関しては、これに対する対策もあるのかどうかを含めて考えていきたいと思います。

○室井委員 これは保存期間も関係あるのでしょうか。製造してから多分向こうは長いと思うのです。日本は4日間ですけれども、長いことが置換した場合に細菌がふえてくるという一つの原因になると考えられますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 実はこの論文に関しては不思議なところがありまして、期間もそうですけれども、ここでPASで置換された血小板に見られたバクテリアが全てグラム陽性菌なんです。これは我々の予想と全く違うところで、あと、我々のやってきた実験と全く逆の結果で、グラム陰性菌がふえてくることが実験上でも、ほかの研究者のものでも示されています。全部グラム陽性菌ですので、そこが少し違うかなと。もちろんこれは動かせない事実ですけれども、そのメカニズムを考えていく必要があると思います。

○田野崎委員長 あとはよろしいでしょうか。

 貴重な御意見どうもありがとうございました。血小板に関しては、後ほども少し似たような関連のことが議論されると思います。

 それでは、今後とも厚生労働省は引き続き、感染症定期報告の収集等をお願いいたします。

 次、議題2ですが「血液製剤に関する報告事項について」になります。遡及調査の進捗状況や、副作用・感染症報告の状況、これまで報告された事例、その後の対応等について、事務局から御説明をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 それでは、資料2-1~2-3について説明させていただきます。

 資料2-1は、供血者から始まる遡及調査の進捗状況です。3ページをごらんください。

 右端の表が平成29年4月1日から6月30日までの速報値となっております。

 調査対象となった献血件数が713件あります。

 輸血用の血液製剤がそこから776本つくられており、医療機関への情報提供を行ったものが359件あります。

 続きまして、「()個別NAT関連情報」ですけれども、平成26年8月からは献血血液のスクリーニングで個別NATを行っておりますが、遡及調査の調査対象となった検体がプールNATでスクリーニングされたものであった場合は、その検体に個別NATを行っております。その献血件数は3件でありまして、医療機関に供給された製剤の本数は4本となっています。そのうち1名の受血者でHBVが陽転となっております。この陽転事例については資料2-2で報告いたします。

 続いて、資料2-2の1ページをごらんください。平成29年4~7月の感染症報告事例のまとめとなっております。輸血用血液製剤で22件の報告がありました。HBVに関して6件、HCVに関して7件、HIVについて0件、その他で9件ありまして、HEVが3件、サイトメガロウイルスが3件、細菌等が3件となっております。HBVの陽転事例が1例ありまして、死亡事例はありません。

 このHBVの陽転事例ですけれども、3ページ目の一番下の症例となります。識別番号でAA-17000028です。

 献血者は2017年5月の献血の際、HBVの個別NATが陰性でした。もう一度来られた6月の献血の際に、HBVの個別NATが陽転化しておりまして、遡及調査を行った結果、5月の献血より製造された濃厚血小板10単位製剤の受血者を調べたところ、70代の血液腫瘍の方でした。

 その投与から1カ月半のときに検査をして、この受血者にHBVの検査をしたところ、HBV-DNAが陽性となっておりました。献血者と受血者のHBV-DNAの配列を調べたところ一致しておりまして、輸血による感染と考えられております。6月の献血時のHBV-DNA量は26.1IU/mLとなっておりました。

 これがHBVの陽転事例となります。

 そのほか、輸血用血液製剤の保管検体と患者検体の塩基配列が一致したものは、E型肝炎で2件ありました。

 続いて、10ページの北海道で行っている試行的HEV-NATの実施状況について説明いたします。

 表の一番下に平成29年1~7月が記載されております。献血件数は142,425名となっており、HEV-RNA63件で陽性となっております。陽性率が0.044%となっており、ジェノタイプ3が40件、ジェノタイプ4が19件、検査不能が4件となっております。

 資料2-2については以上です。

 続いて、資料2-3です。こちらは献血件数及びHIV抗体核酸増幅検査陽性件数についてです。

 表の一番下の欄に平成29年4~6月の速報値があります。献血件数は2404,606件で、HIV陽性数は26名。そのうち女性は0名でした。核酸増幅検査が陽性のものもありませんでした。

10万件当たりのHIV陽性数は1.081となっております。

 3ページに、都道府県別のHIV検査陽性数が示されております。ブロック別に見ますと、北海道・東北ブロックで2名、関東ブロックで11名、北陸・甲信越ブロックで1名、東海ブロックで4名、近畿ブロックで6名、中国ブロックで1名、四国ブロックで0名、九州・沖縄ブロックで1名となっております。

 以上となります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、資料2-1~2-3までについて、委員の先生方から御意見・コメントなどをお願いいたします。

 B型肝炎で個別NATですり抜けた事例が1例あった。以前より御報告されていたかと思います。あとはE型で一致しているものが2例あったということですね。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 ずっと北海道で調べてきて、ジェノタイプ4も何となくふえてきている様子がうかがえ、先ほどの定期報告でもコストベネフィットの話が、オランダの報告でも出ていまして、そういう状況の中でそろそろコストベネフィットという話がなじむかどうかもあるのですけれども、ある程度検査の導入ということは検討に入る時期が来たのではないかと思いますが、日赤としてはいかがでしょうか。リーズナブルな導入ができる準備をされているとか、そういうことはありますか。

○田野崎委員長 よろしくお願いします。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 このことは安全技術調査会で議題になっておりまして、そちらの報告がこれからあると思いますので、そこはお話ししたいと思います。

○田野崎委員長 後ほど、E型肝炎に対する安全対策についてまた議論がありますので、そのときによろしくお願いします。

○岡田委員 近年、北海道でジェノタイプ4がふえているんです。この献血者の方はみんな経口で感染しているのですけれども、例えば、ジェノタイプ4がふえているので、飲食店関係で感染を予防するような通達みたいなものを出すと効果があるのではと思いますけれども、そういうことは血液対策課から食品の安全性のほうに情報を流すことはできるのでしょうか。

○田野崎委員長 事務局いかがでしょうか。

○山本匠血液対策課長補佐 関連の課に報告して情報共有していくことはできると思います。

○岡田委員 やはり、こういうふうにふえている、今まで大体10対1ぐらいだったものが、ここにきて2対1ぐらいになっているので、ジェノタイプ4を持った感染源となったものがふえているか、あとは特定の食べ物が人気があって食べるようになったとか、そういうものもあるので、これは血液の分野だから制御できないので、食べ物のほうからの啓発が必要ではないかと思います。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 関連してなのですけれども、一応ドナーの方には陽性ですとは口頭で言われているんですよね。つまり何が言いたいかというと、そのときに一応何か食べたものがあるかというのは聞いているのだとすると、なかなか難しいとは思うのですけれども、そのデータが、肉の種類というか、動物の種類みたいなものが把握されているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 陽性になった方はできるだけインタビューをするようにしています。どんなものを食べたかもできる限り調査しています。その結果もここでお話ししたことがあったかもしれないですが、こちらでも詳細なデータはとっていますけれども、そこでスペシフィックにこれだとはなかなかいかないもので、こちらはそれを問診のスクリーニングに入れられないかということでやったわけですけれども、全然特異的にはつかめられないというのが明らかでしたので、問診そのものも非常に非効率だということがわかりましたので、問診には入れられないという結論になっています。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 今のことに関連してですけれども、フランスなどでは加工肉の中にもE型肝炎が生き残っているのではないかというレポートもあるようなのですが、もともとは生肉のリスクを想定して問診などがつくられていたような気がするのですが、加工肉を喫食されたかどうかというものもやられているのかどうかという話と、あったほうがいいのかどうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 加工肉までは聞いていなかったかと思います。加工肉となりますとサラミも可能性がありますので、かなりのものになります。

○山口委員 余り個別に挙げるとよくないでしょうけれども、レバーペーストとかそういうものも含めて、そういうリスクを言われるレポートもあるみたいなので。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 フランスでは特に生の豚のソーセージがありまして、これは本当に感染性が強いと思われて、病院食として出すことは禁止するといった地方も出るくらいですが、日本ではそこまではなっていないかと思います。

○山口委員 あと、1つだけ、E型肝炎に関連して。確かにふえているのですけれども、個別NATになったからふえた部分もあると思うのです。ただ、もう一つ気になるのは、タイターが高いものが出ているのかどうか。感染症定期報告でもハイタイターのものもあると、今回の定期報告の2番目の文献にもそういったことが触れられており、これまでの北海道での試行的検査でHEVタイターの調査でそのような高タイターがみられているのか、どういう傾向があるのか教えていただけると。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 全体の傾向としましては、プールNATから個別NATになりまして、タイターは一様に下がっています。ほとんどがロータイターのものをつかまえています。ただ、本当に例外的に1つ、2つ高いものがつかまるのは確かですが、ほとんどはこれまでよりロータイターのものになっています。

○田野崎委員長 とりあえずよろしいでしょうか。E型肝炎は後ほど話に出ることになります。

 それでは、今後も遡及調査、感染症の報告をお願いしたいと思います。

 次に、感染のことで机上配付されている資料について、日本赤十字社から御説明をお願いいたします。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 私のほうから御報告させていただきます。内容は血小板製剤の輸血による細菌感染が疑われた事例についてでございます。

 まず、経緯でございます。平成29年8月15日に医療機関から、照射濃厚血小板-LRによる輸血副作用または細菌感染が疑われる症例が報告されております。

 その後、患者の血液培養の結果、大腸菌(E.coli)が検出されたと報告されております。極めて重篤な症状を呈していることから、今回、運営委員会で現状を報告することとさせていただきました。

 事例でございます。患者様は10歳未満の女児です。体重12kgの方でございます。

 急性骨髄性白血病の再発に対し、同種骨髄移植を実施しております。当該、血小板製剤は投与3日前に、移植後感染予防のための抗生剤の投与が開始されておりますが、輸血当日は15時半、血小板製剤の輸血を開始して、15分後に悪寒・顔色不良あり。そこで一旦、輸血を中断し、その後バイタル確認後、血小板輸血の再開をされております。

 その15分後、16時に嘔吐・下痢・頻脈が症状として起こり、血小板輸血を中止された。

 その翌日も発熱が持続し、炎症反応があって、エンドトキシンが5.1pg/mLで陽性ということで、抗生剤の変更をされております。このときの血液培養の検査結果は陰性でございました。

 4日後にショック状態となり、患者さんはICUに入室されて、エンドトキシンが64pg/mL。このときに血液培養用の検体の採取をされております。

 その後の経過といたしましては、下痢、呼吸困難、肺出血、ショック症状があり、心停止も一時あったということでございます。

 投与4日後の採血の血液培養の結果より、E.coliを検出したということでございます。

 輸血された血液製剤についてでございますが、当該患者には1本の照射濃厚血小板、これは採血後4日目の製剤を輸血されております。輸血量は20mL以下であろうと推測しております。

 当該製剤と同一供血者から製造された1本の原料血漿については、確保しております。こちらの血小板製剤の製造工程中における問題等を確認しましたが、製造記録等には異常はございませんでした。それと、血液センターの供給部門から医療機関へ出庫する際の概観試験についても異常はありませんでした。

 次が、検体検査等の状況でございます。投与を中止した当該製剤、こちらは医療機関において2週間程度冷蔵保存されたものの試験をやらせていただきました。当該製剤からE.coliが同定されております。エンドトキシンの定量試験では、2,000pg/mL以上ということになっております。

 続いて、同じ製剤のセグメントチューブについても同じで、医療機関において2週間冷蔵保存されておりますが、試験をさせていただきました。その結果、エンドトキシンの定量試験で2.3pg/mL、カットオフが1ですので、陽性という結果が出ております。

 今現在、当該製剤から検出された菌株と患者様から検出されている菌株の相同性試験を実施中でございます。

 それと、確保された同一採血番号の原料血漿について、今、細菌分離・同定試験は検査中で、エンドトキシン試験は検査が終わり0.8pg/mL以下ということで陰性という結果を得ております。

 こちらの供血者でございますが、献血歴が23回の複数回献血者でございました。当該の献血以降にも1回の献血がございまして、こちらの次回献血からは血小板製剤と原料血漿を製造しておりました。こちらについては、いずれも確保して医療機関等に出庫されないような手続をとっております。

 現在、確保された血小板製剤については、無菌試験を検査中です。それと、エンドトキシン試験は検査が終了しておりますけれども、0.8pg/mL以下ということで陰性という結果を得ております。

 こちらに担当医の見解ということで記載しておりますが、これはあくまでも副作用報告時のコメントでございます。副作用の程度は重篤であり、本剤と非溶血性副作用との関連性は可能性が大きく、細菌感染との関連性は不明である。投与中の嘔吐・下痢、投与中止後の発熱・浮腫については、血小板投与によるものと考えられる。投与翌日に血中エンドトキシンが5.1pg/mLと陽性であり、抗生剤変更などを行った。また、肝酵素上昇については自然軽快をした。投与4日後にショックを来たしICU入室となったが、因果関係は不明であるというコメントをいただいております。

 こちらについて、今現在の調査時点の状況について御報告させていただきました。私からは以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 この事例については、まだ調査中ということで、あと、同一ドナーからほかの方に使われているものなどに関しては、どういう状況かというのは。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 一応、次回の献血につきましては出荷しないということで確保しております。1回前の血液も血小板製剤を製造して医療機関に供給しておりますけれども、医療機関から感染症の疑いが上がっている事例ではないという状況でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。

 委員の先生方から御質問ございますか。室井委員どうぞ。

○室井委員 ちょっと細かいことなのですけれども、これはA・Bは同型の輸血でしょうか、患者様と製剤に関しましては。多分、移植をやっているので異型ということもあると思うのですけれども、わからなければ結構ですが。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 済みません、今はわかりません。

○室井委員 もう一点は、これは10単位製剤でよろしいのですか。ということは200ccぐらい入っていますよね。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 バッグ自体はですね。

○室井委員 それを通常の輸血セットにつないで輸血したところ、すぐに副作用が出たと。トータルは20ccぐらいだったということですよね。少量しか輸血されなくてやめましたと。そうすると、いわゆる分割はしていないということですか。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 はい、してございません。

○室井委員 向こう側が医療手技とか何かをしたというわけではなくて、製剤の中にと。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 全体的に調査を継続しておりますので、そういうところから明確になってくるのではないかと考えております。

○室井委員 もう一点は、血小板を採取して製剤化する過程で、何か人為的に汚くなると言うとちょっと語弊がありますけれども、そういうことはあるのでしょうか。

○日本赤十字社平血液事業本部技術部安全管理課長 製剤の製造工程中に関しては、そういうことは基本的にはないと。もともとクローズドシステムで採血されたものを、クローズドの中で製造していきますのであり得ないと考えています。

○室井委員 わかりました。

○田野崎委員長 ほかはよろしいですか。

 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 今、当該製剤の細菌検査をしたのが2週間保存されていたものを検査したということになると、この医療機関は当初、細菌感染は余り考えていなかったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 その辺についてはわかりません。担当医の見解にしか書いてございません。

○岡田委員 例えば、疑っていればきっとすぐ製剤を調べたのではないかと思うのですけれども、2週間とちょっとたっているので、違う原因でこうなったのかとちょっと考えたので。わかりました。

○田野崎委員長 ほかはいかがですか。山口委員どうぞ。

○山口委員 セグメントのほうは、エンドトキシンのカットオフ値を超えているのですけれども、細菌培養はこの中では見られなかったのですけれども、それはやられていないのですか。それとも今やられているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 量的に無理だったということです。ただ、エンドトキシンは陽性は陽性です。

○田野崎委員長 室井委員どうぞ。

○室井委員 多分今までの細菌感染症のコンタミネーションは大体グラム陽性菌だと思うので、こういうE.coli由来ということは今まであったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 E.coli由来の感染例は1例報告がございます。それは、患者さんはリカバーしています。それは製剤からも出ていまして、きちんと輸血による感染症であることが確立された例です。

○室井委員 そうすると、ドナーさんが菌血症になっていたけど症状がなくて、問診でもOKで、採血して製剤化されて入ってしまったという事例ですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そう考えております。

○田野崎委員長 ほかはいかがですか。大平委員どうぞ。

○大平委員 ここの運営委員会としては、血液の安全性の問題が肝心だと思うのですけれども、ただ、医療環境の問題などもあると思います。早急に調査していただいて、早く結論を導いていただいて、安全確保、また背景も明確にしておいていただきたいと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 その点につきましても、我々と連絡をとっています当該医療機関のほうでは、あらゆる手を尽くしてその辺を今検討していると聞いております。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、この事例に関しましては、まだ同一の菌であるかというのも調査中ということを伺っていますし、また情報が入り次第ということではありますが、この事例以外に感染の拡大は一応ないだろうということは確認されているということでよろしいでしょうか。

 調査中の事例でもありますので、今後調査の結果を報告していただくようにお願いいたします。

 それでは、議題3に入りたいと思います。日本赤十字社からの報告事項について、よろしくお願いします。参考人の皆さんに席をかわっていただきます。

(日本赤十字社参考人 席移動)

○田野崎委員長 事務局から参考人の方の御紹介をお願いいたします。

○山本匠血液対策課長補佐 事務局より参考人の紹介をさせていただきます。

 佐竹正博血液事業経営会議委員、千葉広一経営企画部長、前野節夫経営企画部次長、井上慎吾経営企画部次長、以上4名に参加していただいております。よろしくお願いいたします。

○田野崎委員長 では、資料3-1、3-2について、日本赤十字社より御説明をお願いいたします。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 それでは、資料3-1「平成28年度血液事業への取り組みについて」を御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。少しボリュームがございますので、足早に説明させていただくことになりますので、御了承のほどお願いいたします。

 まず、2ページからでございますが、昨年度の事業概要でございます。平成28年度におきましては、事業所や献血ルームなどで483万人に献血の御協力をいただいてございます。いただいた血液につきましては、血液センターで検査・製造を行いまして、200mL1単位を1本と換算いたしまして、1,866万本の血液製剤として医療機関にお届けさせていただいたところでございます。

 このほか、血漿分画製剤用といたしまして、97万リットルの原料血漿を国の需給計画に基づきまして製薬メーカーさんに送付させていただいているところでございます。

 3ページ、輸血用血液の需要動向でございます。輸血用血液の需要につきましては、医療技術の向上や適正使用の推進などによりまして、減少する要因が勝っている状況でございます。その結果、この数年間は供給量が漸減傾向にございまして、平成28年度は前年度から0.6%減少いたしました1,866万本の供給となっているところでございます。

 4ページは、献血協力の状況を5カ年の推移で示したグラフでございます。平成28年度おきましては、483万人と前年度から率にいたしまして1.1%の減ということでございます。献血者人数では5万人ほど減少していることになります。人数は減っておりますが、400mL献血、成分献血を中心に需要に見合う血液量を確保してございまして、血液量では196万リットルと前年度から横ばい状態でございまして、しっかりと安定供給を実施させていただいているところでございます。

 5ページは「2.各施策について」ということでございまして、何点か御説明させていただきます。

 まずは、事業改革の推進でございますが、必要な血液量を少ない献血者と費用で安定的に確保することに主眼を置きまして、基盤強化を図ってきたところでございます。受付・採血部門と検査・製造部門の取り組みを示してございますが、全体のあらゆる部門において取り組んできているところでございます。

 幾つかの取り組みを紹介させていただきます。6ページです。こちらは改善の取り組みの1つといたしまして、400mL献血率の向上でございます。医療機関からの赤血球製剤の受注割合に基づいた95%を目標といたしまして、取り組んでまいりました。平成26年度以降、その取り組みを強化いたしまして、平成28年度には95.4%と目標を達成することができているところでございます。今後も医療機関の需要に基づいた400mL献血の推進を進めてまいるところでございます。

 7ページは、改善の取り組みの2番目でございます。血小板成分献血の分割製造の増加ということでございます。血小板成分献血の分割製造では、血小板成分献血お一人様の献血者から血小板製剤2本を分割製造することができております。平成28年度の分画製造本数は16万本と前年度から180%増加いたしまして、製造コストを抑制しているところでございます。

 次に、取り組み3といたしまして8ページになります。肝機能検査の基準値の見直しということでございます。血液に対する検査項目のうち肝機能検査の基準値は、他の高感度検査の導入によりまして、変更しても輸血用の血液の安全性に影響がないということを国の審議会で確認していただきましたことから、昨年4月から変更させていただきました。これによりまして、輸血の安全性を下げることなく、これまで輸血に使用できなかった11万人の献血血液を製品化させていただきまして、有効に利用することができているところでございます。

 次に9ページですが、健全な財政の確立でございます。輸血用血液の需要が減少傾向にございますので、経費、材料費、人件費についてごらんのような取り組みを進めまして、費用の低減を図ってまいりました。その結果の収支状況につきましては、後ほど御説明させていただきます。

 次に10ページですが、献血者の安定的確保でございまして、ごらんのとおり現在の献血の中心層は4050代でございます。また、人口動態の影響もございまして、この10年で若年層の協力が減少しているという状況にございます。このため、将来の基盤となる若年層の普及啓発に努めてきているところでございます。

11ページ、若年層献血者確保への取り組みにつきましては、10代であれば小・中・高校などに血液センターの職員が出向きまして、献血セミナーを実施しているところでございます。20代では大学・専門学校の献血の実施回数をふやしており、30代では、企業献血における社内広報による情報提供を実施しているところでございます。これらの取り組みによりまして、若年層の献血率の向上をさらに図りたいと考えているところでございまして、各団体、行政、都道府県の皆様にも、どうぞ御協力をお願いして、お力添えをいただければと思ってございます。

12ページ、血液製剤の安全性の向上ということでございます。昨年度、新たに国内発生が懸念されております新興・再興ウイルスへの対策を進めてまいりました。こちらに紹介したジカウイルス、シャーガス病につきましては、海外で感染した方が国内で献血することによる輸血感染を防ぐ対策を実施してきたところでございます。

13ページは、先ほど御報告申し上げました事業の改善結果の状況となります。血液事業特別会計歳入歳出決算概要といたしまして、まずは収益的収入の大半を占める輸血用血液製剤の供給収益でございますけれども、5億円の減少にとどまりましたが、原料血漿の確保量が増加してございますので、原料血漿供給収益が7億円ほど増加してございます。事業収益合計では前年度より2億円の増加となってございます。しかしながら、収益的収入全体では1,611億円と、前年度に比べまして2億円、0.1%の減少となっているところでございます。

14ページの支出の状況でございます。全体といたしましては、一番下の枠の上段にございます収益的支出全体で1,585億円と昨年度に対しまして46億円、2.8%の大幅な減少とさせていただいております。人件費、材料費、経費がいずれも大きく減少しておりまして、一番下に表記している平成28年度の収支差引額でございますけれども、こちらは前年度の17億円の赤字から25億円の黒字と改善をしたところでございます。この収支の改善状況については、次のスライドで御説明させていただきます。

15ページですが、収支改善の主な要因ということでございます。こちらはごらんのとおりでございますので、収入全体といたしましては2億円減少。費用削減については46億円の減少ということで、いろいろ改善してきた結果ということになってございます。

16ページでございますが、資本的収支の状況でございます。固定資産支出では血液センターの移転・新築等のほか、成分採血装置、移動採血車、血液事業情報システムのソフトウェアなど70.5億円を整備いたしております。借入金の償還として12.9億円と合わせまして、総額で83.4億円となってございます。これらの整備財源といたしましては、資本的収入、補助金7.1億円と自己資金76.3億円を充当して整備してきたところでございます。

17ページは、これまでの収支状況の推移について簡単に御説明させていただきます。過去5年間の収支状況の推移となってございます。平成28年度は25億円の黒字決算となりましたが、前年度からの収支改善を図ることができております。今後、収益がふえる環境にはないと思ってございますので、支出の削減を継続して安定的な経営を進めていきたいと思ってございます。

 最後になりますが、今後の方向性・課題ということで御説明させていただきますと、事業改善の推進でございますが、こちらは改善活動の風土化、あらゆる業務の棚卸と見直しを進めてまいります。

 次に、健全な財政の確立でございますけれども、現在、収支改善のための施設整備を一時的に凍結しております。長期的ビジョンを作成し、必要となる施設整備の計画を計画的に進めていくところでございます。

 次に、献血者の安定的確保でございますが、若年層の協力を強化するために献血者管理システムの導入、将来どれだけの血液量が見込まれるかの需要推計を実施してまいることとしてございます。

 血液製剤の安全性につきましては、医療ニーズにこたえる新規製剤の導入、海外の感染症動向を踏まえた新たな検査項目追加検討を進めていきたいと考えているところでございます。

 日本赤十字社血液事業本部では、今後とも業務の内容や体制を見直しまして改善活動を積極的にとり進め、事業の安定的継続・発展に努めてまいります。

 以上、血液事業の平成28年度の取り組みについて御報告させていただきました。ありがとうございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 資料3-2についてはよろしいですか。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 資料3-2につきましては、事業計画と事業実績につきまして記載してございますので、時間のこともございますので、後ほどごらんいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 ここまでのところで委員の先生方から何か御質問やコメントなどがあれば、よろしくお願いいたします。

 室井委員どうぞ。

○室井委員 置換血小板は大変期待しているのですけれども、洗浄血小板は残念ながら後発品扱いで、新しい製剤にならなかったんですね。この置換血小板に関してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 財政的に考えますと、コストがもちろんかかってまいりますので、それに見合った形の財源が必要だろうと思ってございます。

○室井委員 そうすると、新しい製品として出したいという意向と考えてよろしいのですか。新製品というのでしょうか。

○日本赤十字社豊田血液事業本部技術部参事監 置換血小板につきましては、製剤規格とか製造方法がまだ確立しておりませんので、ある程度お話しできるようになりましたら、血液対策課を通して全体で検討に入らせていただきたいと思っております。

○田野崎委員長 ほかはいかがでしょうか。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 3ページの輸血用血液の需要動向というところです。今後も減少傾向ということで、そういう方向でとらえられていると思うのですけれども、この傾向はどの程度まで下がっていくのか、あと平成28年度の報告ですが、今後5年ぐらいとかそういうところで、近い将来の課題としてはどういう傾向になっていくのか、また、いろいろ人工血液の問題とか出てくるので、そういうものと競合していくと思うのですけれども、それを合わせると国内需給の問題として、供血者が減っていく方向と、この輸血用血液製剤の減少傾向との将来的な予想みたいなものは、近い将来の予想でも結構ですので、少しお示ししていただけたらと思います。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 需要予測につきましては先般、日本赤十字社の中で調査いたしまして、赤血球製剤と血漿製剤と血小板製剤それぞれ少しずつ違ってまいりますけれども、恐らくというところで申し上げますと、5年後でございますけれども、1%ほど伸びるのではないかということがありまして、その後、また5年後の今から10年先になりますと、さらにふえるのではなくて減少していくという傾向がございまして、将来的には10年後には現状よりも減っていくという状況として予測を今させていただいているところでございます。

 それから、それに基づいて今、需要が下がっているということにあわせまして、しっかり安定供給するための採血計画を立ててございまして、その採血計画も可能な限り効率のいい採血をしまして、コストに対しても財政的にも安定した運営をするための努力をしているということでございますので、献血者が先ほど5万人減ったというお話を申し上げましたが、需要も減ってございますけれども、採血の仕組みも変えてきているということでございますので、なお一層効率のいい事業展開にしてきているところでございます。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 私から。献血ドナーの方がだんだん減っていって、400mL献血をふやすということはもう達成してしまいつつありますので、ここで効率化というのはかなりされてきているところで、費用の削減努力は今後どういう形で実際に達成できると考えられていますか。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 需要は減少するという見込みで考えてございますので、それに対しまして、事業は当然ながらコストを抑制していかざるを得ないという状況にございますので、次の議題でもお話しさせていただきますけれども、いろいろな新しい技術も導入いたしまして努力していくと思ってございますし、現状の改善活動をさらに進めて、これを風土化していくところでございます。全体的にできることはしっかりやっていくということで考えてございます。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、資料3-3について、御説明をお願いいたします。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 続けて御説明させていただきます。資料3-3です。原料血漿確保と安定的な献血者確保等についてということで、説明させていただきます。

 まず、1ページおめくりいただきまして、これまで日本赤十字社では国が作成していただきました需給計画に基づきまして、毎年、原料血漿確保に必要となる献血者を受け入れてまいりました。しかしながら、将来見込まれる原料血漿必要量が増加する状況におきましては、安定的かつ効率的に事業を運営するために新たな原料血漿確保策の段階的な導入と、貯留、保管、在庫の取り崩しをあわせまして実行することで、現在の原料血漿については1万3,800円ほどかかっているのですけれども、原料血漿確保のための原価が今1万1,000円というところでございますので、ここまで下げることを目指してまいりたいと考えているところでございまして、きょうは日本赤十字社として考えております原料血漿の献血者の確保にかかるシミュレーションを御説明させていただきたいと思ってございます。

 3ページにつきましては、4つほど新たな原料血漿の確保方策について御説明をさせていただきたいと思ってございます。

 1つ目の方策につきましては、血小板採血の上限血漿採取量の見直しでございます。御存じのとおり、成分採血は血漿採血と血小板採血がございます。血漿採血につきましては、これまでも個々の献血者の循環血液量に応じまして、最大600mLまでの血漿を採取してまいりました。血小板製剤につきましては400mLまでという基準がございましたが、昨年度、男性の血小板における血漿採取量を600mLに引き上げることについて、献血者の安全性に問題ないという報告がございましたので、厚生労働省からの指示書に基づきまして、本年5月から北海道地域で試行的に男性の血小板献血者の血漿採取量を600mLまで引き上げているところでございます。将来的には、全国的に展開することで、年間約3万リットル程度の血漿量をふやすことが可能であると考えているところでございます。

 2つ目でございます。自動遠心分離装置の導入についてでございます。献血いただきました200mL400mLの全血献血につきましては、遠心分離をして赤血球と血漿に分けられております。現在は遠心する機械と分離する機械が別々にございまして、別々の工程となっております。2つの工程を1つの工程として行える新たな機器を導入することによりまして、わずかではありますけれども、現在よりも得られる血漿量が増加することがわかってございますので、全体で約1万リットル程度の増加を見込んでいるところでございます。

 ただ、機器の価格と整備コストとの問題もございますので、今現在については導入に向けて検討を行っているところでございます。

 4ページですが、3つ目は、成分採血由来の血漿製剤を製造する工程での原料血漿の分離についてでございます。血漿献血につきましては、循環血液量に応じて最大600mLまで採血できることは先ほども御説明させていただきましたけれども、輸血用の血漿製剤であるFFPLR480、新鮮凍結血漿でございますけれども、こちらを製造するための採血につきましては最大600mLまで採取できるわけですが、現在は480500mL前後の採血を行っているところでございます。今後は循環血液量に応じまして、血漿を採取させていただきまして、血漿製剤の製品に必要な量は製品に用いまして、残りの血漿につきましては、分離して原料血漿として活用させていただくことを検討しております。こちらにおきましては、約3.3万リットルの確保を見込んでいるということでございます。

 4つ目につきましては、先ほど来お話が出ております置換血小板製剤の導入でございます。現在の血小板製剤につきましては、血小板を浮遊させるために相当量の血漿を含んでおりますが、この分の血漿を人工的な浮遊液に置きかえることで、血漿を原料に回すことができると思ってございます。現実には装置の整備、製品中の凝集塊の除去などの課題がございますので、5年をめどに導入を実現したいと考えてございまして、こちらによる血漿量の確保・増量につきましては、12.6万リットルを可能と見込んでいるところでございます。

 以上4つの新たな原料血漿確保策を検討しているところでございますが、これは輸血用血液製剤の需要や対応できる装置の開発によって確保できる量が増減することがございますので、計画、需要見込み、需要推計、実績によっては少しずつ変化することだろうと思ってございます。

 5ページは、今申し上げた新たな4つの方法、技術導入と原料血漿の貯留在庫の払い出しをあわせて行っていくためのシミュレーションのグラフでございます。原料血漿、輸血用血液製剤の製造のための採血から得られる、この棒グラフでは一番下と、初めから原料血漿確保を目的として採血する成分血漿採血から得られるものが、この棒グラフの下から2番目でございます。グラフの平成29年度をごらんいただきますと、輸血用血液製剤を採血して製造したものから得られる量は68.5万リットルでございます。先ほど申し上げました成分血漿採血からは25万リットルでございます。これを確保する見込みとしてございます。

 さらに、先ほど来説明申し上げました新たな原料血漿確保を段階的に導入していくことで、グラフの平成30年度の部分は下から3番目でございまして、1.5万リットルと記載してございます。それから、平成31年度では3.9万リットル、平成32年、平成33年度には7.3万リットル、平成34年度は13.6万リットル。最終的に置換血小板の全面導入を予定しておりまして、平成35年度には全面導入できますと19.9万リットルまで輸血用血液製剤からの確保量のさらに上乗せをすることを見込んでいるところでございます。

 今、年度ごとに申し上げましたのは、下の矢印がございますとおり、それぞれの技術の導入については年度ごとに勘案したグラフとさせていただいています。

 一方、昨年9月の本委員会で御承認いただきました貯留保管在庫量を減少させるための在庫の取り崩しにつきましては、グラフの一番上の黒い部分でございます。献血者の安定的な御協力をいただくためにも、段階的に計画的に取り崩しを進めていきたいと思ってございまして、平成29年度は黒い部分ですと6万リットルの在庫減少となってございます。そして、平成30年度以降につきましては、平成30年度は8万リットル、その後7.5万リットル、平成32年度も7.5万リットル、平成33年度で9.5万リットル、平成34年度で5万リットルを順次取り崩していくこととして計画しているところでございます。

 今、御説明申し上げましたように、新たな確保方策と貯留在庫の取り崩しを組み合わせて実行していくことと、グラフの下から2番目にあります血漿採血からの確保量を平成30年度から20万リットル、平成32年度から18.7万リットル、平成34年度からは17.9万リットル、平成35年度からは16.6万リットルと成分血漿採血を下げていくことができます。その結果、原料血漿価格原価を引き下げる要因でもあります血漿採血の本数を抑制できていくと考えているところでございます。

 ただ、今回も示している原料血漿の配分量は、我々日本赤十字社が独自に想定している量でございまして、仮にこれよりも多い原料血漿が必要となりますと、在庫の取り崩し量を調整するなど、または成分血漿採血を増加させていくことになりますので、コストがかかってくることになると思ってございます。

 6ページでは、先ほど説明いたしました原料血漿の貯留在庫量の取り崩しを実施した場合の貯留在庫の推移について表記させていただいたものでございます。資料のグラフでは、下の白い部分が原料配分量の2カ月分を表してございます。下から2番目が2カ月分相当分を超える現在の在庫量ということでございます。平成28年度現在末では、61万リットルの在庫を保持してございますので、これは送付量の7カ月分に相当してございます。これを先ほどの資料でも説明いたしましたとおり、徐々に在庫を取り崩していきまして、最終的には2カ月相当量までの在庫としていくことを検討してございます。

 配分量によって適正在庫量は変動しますので、それについては年度の取り崩し量を調整していくこととなりますが、いずれにしても採血本数とのバランスをかんがみながら在庫量は調整していきたいと考えているところでございます。基本的には平成2934年度までを見て、徐々に段階的に献血者の確保を安定させながら減少させていくという考え方でございます。

 最後7ページでございます。まとめといたしまして、日本赤十字社といたしまして新たな原料血漿確保策の導入と貯留在庫の取り崩しを実行させていただくことで、原料血漿価格を1L1万1,000円程度まで下げつつ、国内需給に必要な原料血漿を安定的に確保してまいりたいと考えているところでございます。

 どうぞ委員の皆様には御理解をいただきまして、御協力をいただければと思ってございます。

 なお、本日御説明させていただきました以上の原料血漿が必要となった場合、先ほど申し上げましたのは105万というところでございましたけれども、それを超える原料血漿が必要となった場合には、血漿献血者数をふやさないといけないということになりますので、そのコストについて原料血漿価格に反映する必要が生じてくるということもございます。つきましては、今後の原料血漿の配分量の決定におきましては、十分協議をさせていただきながら事業運営を行っていきたいと考えております。こちらにつきましても、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと長くなってしまいました、申しわけございません。以上で御説明を終了とさせていただきます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。長期にわたる対策について御説明いただきましたが、委員の先生方から御意見・御質問をよろしくお願いいたします。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 日赤におかれましては、割と中長期的なストラテジーがこういう形で出てきたということは非常にいいことだと思います。

 一方で、5ページを見ますと、量の上乗せはいわゆる置換血小板といったもので賄うと。コストダウンはPPPを減らして賄うという構図になっていますよね。1つの懸念は、このスピードで最終的に105万という形でやられているのですが、どれだけの需要があるかというのはまだ読めないところがあって、そこの検討が必要かと。それに先だってPPP自体のコストをある程度圧縮できる何かがないと、ちょっとふえただけでコストにいきなり反映するという対策になるので、そういうことはちょっと検討されているのでしょうか。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 先ほど来からお話しさせていただいていますのは、PPP採血のところで体重別増量等の対策はずっととってきてございまして、今まで平成2628年度までの実績でいきますと、平均で今490mLを若干切るぐらいなのですけれども、そこまで上がってきていますので、そうするとコストというよりは成分採血自体を減少させて抑制させているのですけれども、4万人程度減少しているという結果も出させていただいています。

 それと、増量ということとかかるコストでございますけれども、これは材料費、経費といったものについては、我々はいろいろ交渉させていただいて削減に努めているところでございますけれども、それも限界はございますので、引き続きコスト削減については努力していきたいと思ってございます。

○花井委員 参考までに伺いたいのですけれども、例えばPPPの基準ですが、原料血漿と血小板と異なるレギュレーション、今は採血基準というのはまだいろいろあると思うのですが、レギュレーションがちょっと変わればコストダウンできる要素はあるのですか。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 考え方としてないとは言い切れないと思いますし、可能かもしれませんけれども、手順と仕分けということを考えますと、それがコスト減になるかどうかは少し検証してみないといけないと思っております。

○花井委員 ということで、これ以上ふやす方向は成分採血をふやすしかないということを踏まえた上で事務方に確認したいのですけれども、結局、必要量のトレンドを昔は日本で見ていて大体使用抑制によって量をという適正使用という言葉なのですけれども、今回重要なのは、有効活用で民間に渡して、この前数字が出ていて、あの数字をうのみにすると全然足りないのですけれども、実際問題として民間のほうで本当に必要な、最終製品として必要な量をつくるのに適正な民間同士のやりとりも含めて、どのくらいの量が実際問題として必要なのかということはある程度事務方でも調べていただいて、それともう一つは、グロブリン市場の今後のトレンド曲線というのがあるわけで、そのトレンド曲線が国内でどう動くかを事務局で検討いただき、そのトレンド曲線とこの表を比較して初めてこれでいけるかどうかがわかるということなので、ぜひ事務局にはそれをお願いしたいと思います。

○田野崎委員長 あとはよろしいでしょうか。

 室井委員どうぞ。

○室井委員 原料血漿確保策の1番と3番に関して質問したいのですが、ドナー安全という観点からです。1番に関しましては男性ドナーに限って行うと。しかし、3番に関しては男女別が書かれていないのですが、この差は何でしょうか。1番は男性のみで行われていて、3番に関しては多分、性別にかかわらずマックス600mLまでとれたらとるということですよね。

○日本赤十字社豊田血液事業本部技術部参事監 1番に書いてあります男性を対象というのは、北海道で試行的にやる場合に男性に限っているということでございまして、今後の話でございますけれども、基準自体は男性に限らないということになると思います。

○室井委員 では、女性であっても基準を満たせばマックス600mLまでとるということですね。

 あと、循環血液量の600mLというのはどのくらいの割合になるのでしょうか。体重によるでしょうけれども。600ccというのはマックスで循環血液量の何パーセントぐらいになるのでしょうか。ざっくりで結構ですが。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 これはマックスで12%だったと思います。

○室井委員 あともう一点は、採取量をふやすとVVRがふえるのではないかという危惧があるのですけれども、それに関する懸念というのはいかがでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 もちろんそれは十分注意していかなければならないと思います。本当に現場で注意を徹底するしかないかと思います。

 あと、考え方としては、低体重の人に非常に多いですので、体重の基準をこれからどう考えていくか、そこを同時に考えていく必要もあるかなと思っています。

○室井委員 ぜひ、配慮をお願いいたします。

○田野崎委員長 大平委員どうぞ。

○大平委員 ちょっと前に戻るのですけれども輸血用血液製剤のほうで、資料3-1の13ページの血液事業特別会計歳入歳出決算概要で、輸血用血液製剤の収益と収支が出ていないと何かわからないというところがあるのと、原料血漿供給収益が103億円になっているのですけれども、その収支はきちんと出ているのでしょうか。それともひとくくりになっているのか、そこを教えていただきたいと思います。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 原料血漿ですが、今回7億円ほど収入が増収したというのは、リッター数、送付数がふえたということがございまして、それに原料血漿価格を掛けた、1万1,110円分のリッターがふえた。簡単に言うと7万リットルぐらいふえたということになりますし、それにかかるコストについては、現実は1万3,800円くらいかかっておりまして、それを1万1,100円でやっておりますので、その差が逆に言うと収支赤となります。

 それから、済みません、最初の御質問をもう一度お願いします。

○大平委員 全体としては、輸血用血液製剤の供給がだんだん減っていくとなると、日赤自体の収益としてのメリットはだんだんなくなっていく。その反面、原料血漿の供給をふやしていくことによって収益は上がっていくわけなので、それをいろいろ考えていくと、そこの収支・収益をちゃんと出していかないと費用対効果みたいなものも出てこないし、原料血漿の売渡価格というのも、最終的に資料3-3の7ページに「これ以上の確保量の増加は、献血者数を増加させる必要が生じ、原料血漿価格へのコストの反映が必要となります」となっているのですが、それが本当に正確なのかどうかがわからない。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 今、申し上げますのは、成分由来のFFP(新鮮凍結血漿)については、採血して薬価額で供給させていただくという状況でございますけれども、原料血漿につきましては先ほど申し上げましたように、1L1万3,800円ほどかかっているところを1万1,100円ちょっとでお引き渡しさせていただいていますので、原料血漿を成分採血で採血を確保していけばいくほど、ふやせばふやすほどコストがかかり、収支は悪くなるということは計算してございますので、これはどうしてもそういう構造になってしまいますので、それはここで御説明するべきと思っていまして、お話しさせていただいたということでございます。

○大平委員 あと、資料3-3の原料血漿確保対策の3番で、北海道から運用試行開始というので、最大600ccの血漿採取を行うということで、これについてはもう北海道で始めているわけですけれども、この安全性と課題みたいなものは現状としては出ているのでしょうか。

○日本赤十字社千葉血液事業本部経営企画部長 北海道はちょっと置いておきまして、これまで600mLの採血をしている状況というのが約5%ございまして、その中でもきちんと今までそういう実績がございますので、我々としては安全性には問題ないと思ってございまして、国からいただいている採血指示書に基づいて600mLまでの採血を実施しているということでございます。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。まだ議論しないといけない課題が結構ありますので、いろいろな対策を実際にやられてきているということは十分評価できるところではないかと思いますが、とりあえず議題4の「安全性技術調査会における審議結果について」に移りたいと思います。事務局から資料4-1の説明をお願いいたします。

○山本血液対策課課長補佐 それでは、資料4-1について説明させていただきます。

こらちは輸血用血液製剤等の遡及調査に関するガイドラインの改正についてです。

平成29年第1回安全技術調査会で話された内容についてです。

 輸血用血液製剤等の遡及調査については、供血者の検査結果から過去の供血血液に病原体の混入が疑われた場合に実施するものです。厚生労働省の血液製剤等の遡及調査ガイドライン及び日本赤十字社の輸血用血液製剤等の遡及調査に関するガイドラインに基づいて行われております。

 平成29年度第1回安全技術調査会において、日本赤十字社より遡及調査期間の設定方法の改正と医療機関への情報提供の対象の見直しが提案されましたので、ここで報告させていただきます。

 遡及調査期間については、ウインドウ期の2倍としておりますが、現在、日本赤十字社で採用している個別NATと血清学的検査はウインドウ期の設定の根拠としたSchreiber論文での検査法より大幅に精度が向上しております。現在の検査法の精度によるウインドウ期を反映したKleiman論文によるウインドウ期への改正を行いたいという趣旨で報告されております。

 具体的には、2ページの「ウ 改正(案)」の表1、2となります。こちらに示しているとおり、ウインドウ期の改正とそれに伴う遡及調査期間の変更をしたいという案となっております。

 安全技術調査会においては、これまで検査感度が変わったときに遡及調査期間を変更してきていないので、検査にあわせて適切に変更することには賛成するという意見がありました。特に反対意見はありませんでした。

 もう一つの提案に関しては、3ページの「()医療機関への情報提供対象の見直し」についてです。現在、日本赤十字社は、血液製剤等の遡及調査ガイドラインに基づき、医療機関へ情報提供を行っております。その情報はリスク1「ウイルス等混入血液由来」、リスク2「ウインドウ期血液由来」、リスク3「ウインドウ期の可能性がある血液由来」と、日本赤十字社ではリスク4として、HBVの既往感染者であるHBc抗体陽性者についても追加して情報提供を行っております。

 これに関しては、別添2の医療機関への情報提供数及び輸血後感染症事例の11ページに表がございます。こちらに平成24年8月から平成28年7月のリスク評価の結果についてまとめられております。リスク3及びリスク4により情報提供した2万9,059件について、輸血後感染事例は確認されておりません。

HBV感染既往者のHBc抗体の判定基準の強化をして、HBV既往献血者を除外していることより、また個別NATスクリーニングを導入したことにより、医療機関へのリスク3及び4の情報提供を終了することを提案されました。

 安全技術調査会では、リスク4の情報提供の終了については特に反対意見はありませんでした。リスク3については、もう数年様子を見てから結論を出すようにしてくださいということになりました。

 資料4-1については、以上となります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 以上について、委員の先生方から御意見・御質問よろしいでしょうか。

 では、日本赤十字社におかれましては、安全技術調査会で決定されましたように、ウインドウピリオドの変更、リスク4の情報提供の廃止を進めるとともに、リスク3については引き続き検討をお願いいたします。

 続いて、資料4-2について事務局から御説明をお願いします。

○山本匠血液対策課長補佐 資料4-2に関してでございます。机上配付資料3に、安全技術調査会での委員の意見をまとめております。

 輸血用血液製剤のHEV安全対策についてです。こちらは平成28年第1回安全技術調査会において、選択的なHEV検査導入について検討するよう委員から日本赤十字社に提案されたことにより、日本赤十字社より選択的なHEV検査導入についての案が示されました。

 2ページ目の2に、選択的検査の対象となる適応患者の製剤別輸血用血液製剤等の使用の予測が載っております。臓器移植患者では、脳死移植では1万2,750本、生体移植では6,600本。悪性腫瘍(白血病及び悪性リンパ腫)と血液・造血器系患者では165万本。新生児・小児輸血患者では2万本程度が必要となると試算されております。

 この3つを合わせて全ての患者に必要なHEV陰性の輸血用血液製剤を提供する場合は、献血本数で150万本の検査が必要だと試算されております。この試算は、血液型は加味しない試算となっております。

 3で、現在使用されているHEV-NAT用の試薬について記載されております。現在、北海道で試行的に行っているHEVの検査の試薬は、HEV単独試薬となっております。

 開発可能試薬としては、HBV/HCV/HIV同時検出試薬にHEV用の抽出プローブ、検出用プローブを追加する4価のウイルス同時検出試薬、こちらは開発メーカーにより開発は可能ではないかと回答を受けていると報告されております。

 3ページ目の4ですが、現行試薬、HEV単独試薬でございますが、こちらで選択的検査を導入する場合の課題として、検査機器の増設、検査エリアの拡張、試薬保冷用の冷蔵庫や冷凍設備の追加、職員の増員、試薬費用の増大、取り違い防止対策、血液事業情報システムの改修などが必要になると報告されております。

 5でまとめまして、今後の対策案として提案されております。当面の間は、北海道で試行的に行っているHEV-NATで陰性となった輸血用血液製剤を臓器移植患者を優先して供給することを検討しますが、対象患者の限定には医療機関、関連学会等への周知及び了解が必須となり、対象でない患者にはHEVに関する早期発見・早期治療の促進も必要である。

 また、選択的と同時に4ウイルス同時検出用開発試薬による全数検査についても、輸血用血液製剤の安全性や初期投資を含む費用的観点等から検討を進めたいと報告されております。

 この報告を安全技術調査会で議論した結果、座長のまとめとして、北海道での試行的NATでのHEV検査済みの輸血用血液製剤をリスクが高い患者、例えば、臓器移植患者等に選択的に提供できるのであれば、その対応をお願いしたい。4ウイルス同時検出のNAT試薬についても、同時並行で検討していただきたいとなりました。

 資料4-2は、以上となります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。かなり具体的な方策が提示されたかなと思いますが、委員の先生方、御意見・御質問をお願いいたします。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 基本的に、日本では選択的に供給するという方向にかじを切るという理解でよろしいですか。

○山本血液対策課課長補佐 今回の提案に関しては検討するという段階になりまして、選択的にするという場合、今回提示されているように設備の増大、試薬の管理等でかなりコストがかかるということを報告されておりますので、そこに含めても検討という段階になります。

○花井委員 前提の確認なのですが、イギリスは煩瑣だからお金はかかっても全部やってしまおうという判断ですか。ちょっとわからないのですが。お金はかかるけれども、オペレーション上に問題があるから、コスト高でも全部のほうがいいのだという判断だったのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 一番の理由は煩雑だから、とてもやれないからということです。つまり、医療機関からうちはこちらが欲しい、うちはこちらでいい、それから、血液センターなどの仕分け等も膨大な労力を要しますので、それが一番の理由と聞いています。

○花井委員 わかりました。海外でこういう対応をされているということなので、日本でもなるべく速やかに前向きな対応を検討していただきたいと思います。

○田野崎委員長 大平委員どうぞ。

○大平委員 最初の資料1-1でも報告がされていたのですけれども、E型肝炎のところで番号1、食事よりリスクを上回ったという報告が出ていますけれども、今回の安全技術調査会の報告を見まして、臓器移植というのは日本でもどんどん進んでいくと思うんです。腎臓の人工透析をしている人たちも、透析から移植のほうに進んでいくという海外と同じような方向に向かっていくと言われているところもありますし、これからの臓器移植というのはふえていく傾向と、また、悪性腫瘍の人たちへの対応がふえていくというところでは、E型肝炎の問題についてきちんとスクリーニングされた血液がどういうふうに供給されるかというのは現段階でこういう提言が出ているとしたら、早急に対応していくということが必要なのではないかと思います。これは、国の責任でもあるし、それに対応して日赤のほうで頑張っていただきたいというところもあるわけですけれども、後々こういう問題が出ていて、課題が提案されていて、それが実行されないまま感染がふえていくとなると、やはり患者にとっては大変不幸なことになるので、そういうことがないようにできるだけ早く進めていただきたいと思います。その点は、事務局としてもいかがでしょうか。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。そうしましたら、具体的に方策を検討していただいて、何らかの目に見える形でお願いできればと思います。

 室井委員どうぞ。

○室井委員 「5 今後の対策(案)」では、HEV感染後の遷延化頻度が高い臓器移植患者を優先すると書かれていますけれども、この意味は、免疫抑制剤を長期に使うからと考えてつくられたことなのでしょうか。つまり、免疫抑制剤を長期に使うことによって、患者さんが免疫不全が長くなっているから、この患者さんを優先的に使うということで出たものなのでしょうか。

○田野崎委員長 私のイメージとしては、サイトメガロウイルスの陰性血を供給してくださいと医療機関から言われたときに、そういうものが供給されるのと同じように、どういう患者さんがリスクが高いかというのは、まだ十分にわかっていないところがあるのではないかと思いますので、多分NAT検査なども今後よりやりやすくなると診断が適確につくケースもふえるかもしれませんし、そういうもので適応が徐々に見直しながら変わっていく余地もあるのではないかと考えますが。

○室井委員 本邦では、うつって遷延化した症例というのが前にB細胞性リンパ腫の感染があったと思うのですけれども、どういう例があったかはわかっているのですか。輸血で遷延化した症例の内訳というのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 日本では、遷延化した例が4例これまで知られております。それは、この会でも出していたかとは思います。

○室井委員 その4例というのは臓器移植患者さんだったのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 いえ、そうとは限りません。血液疾患の患者さんも入っています。

○山口委員 私は、臓器移植の研究班で評価委員をやっているのですけれども、臓器移植のほうでは移植をされた方の感染症を起こさないための日々のガイダンスみたいなもの、要するに、食べ物からでももちろん感染を引き起こすわけで、別に輸血だけではないのですけれども、そういう意味では、臓器移植で免疫抑制剤を使っている人たちがそういう感染症に非常に暴露されやすいという前提が多分あるのだろうと思っています。もし、日赤のほうで追加がありましたら。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そういった状況もありますけれども、大きなファクターは主治医の先生が気づかないでいて、随分おくれて診た場合がひとつの大きなファクターになっているかと思います。

○田野崎委員長 私どもの大学でも、最近もE型肝炎、軽度の肝臓の基礎疾患があったときに、食肉から入って肝不全になって肝移植を待っているケースがお二人ぐらいいましたので、重症例というのはまだ十分把握されていないところもあるのではないかとちょっと懸念するところでございますので、今後とも動向を見ていくのがいいのではないかと考えます。

 岡田委員何かございますか。

○岡田委員 やはり診断薬が出たのと、免疫抑制剤を使っている方にEが結構あるということが浸透すると、症例としては上がってくると思います。臓器移植の方とか、あとは骨髄移植を受けた方が感染した後にどうなるかというデータがそろってくれれば、本当に臓器移植の人だけ対象にしているのがいいかどうかということがわかってくると思います。

 あと、コスト等を考えると、一刻も早く4つのウイルスを同時に検出するシステムの開発を急いで、これが一番の解決になるのではないかと思います。そういうことで、開発しているメーカー等に無理をさせてはいけませんけれども、本当に早期に診断薬をつくっていただくことを切に願っております。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 では、まだ議論は尽きないとは思いますが、次の議題に進ませていただきたいと思います。議題5「血液製剤産業のあり方について」に移りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いいたします。

(日本赤十字社参考人 退席)

○菓子野血液対策課長補佐 お手元の資料5をお願いいたします。血液製剤産業のあり方について、引き続き議論をさせていただきたいと思っております。今回はワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言を踏まえた具体策を事務局から提示させていただきまして、御議論をちょうだいしたいと考えております。

 1ページ目をごらんください。まず初めに、マル1でございますけれども、内資系製薬企業3社による業務提携の推進を進めてまいりたいと考えております。内資系3社をメンバーとする検討会議を開催し、献血血液の有効利用、自給率の向上を目的に、3社の未利用の中間原料の相互融通を行うことで、各社の得意とする製剤での国内マーケットの深掘りなどによる医療需要への対応や、献血血液の有効利用の実現に向けて具体的な検討を行っていきたいと考えております。

 ほかにもさまざまなアイデアが検討されると伺っておりますが、ただ、そのアイデアがそもそも実現可能性があるのかどうかも検討されますので、事務局からは現時点では詳細を説明することは差し控えたいと思います。ただ、この取り組みは、我が国の血液事業にとって大変重要なものと事務局でも認識しておりますので、御紹介させていただきました。

 続きましてマル2、輸出貿易管理令の緩和による輸出可能性の検討でございます。事務局でヒアリングを行いまして、内資系血漿分画製剤メーカーからは、まずは国内自給の達成に向けて経営資源を振り向けるべきとの意見もありましたが、一方で、将来輸出可能性のある未利用原料の存在についても報告がございました。他方、外資系血漿分画製剤メーカーからは、国際間の在庫移動もできないとの声もございます。改めて輸出貿易管理令の存在意義を検証して、適切な規制体制を構築する必要があると考えております。次ページ以降で詳しい説明をさせていただきます。

 マル3、血液製剤関係企業によるコンプライアンス・プログラム・ガイドラインの策定を進めていきたいと考えております。タスクフォースの提言にもありますとおり、コンプライアンス、すなわち法令遵守を確立するためのガバナンス体制構築のために、各企業で何ができるかを議論する会議体が立ち上がる動きが出てきております。ガバナンスについては、会社法等の関係法令に加えて、医薬品医療機器等法でも品質部門の設置や総括販売責任者等の設置が義務づけられておりますが、例えば、化血研さんの事案では理事会評議員がOBで占められたなど、法律で各社の私的自治に任せされた部分で法令遵守が発揮されるような設計がなされていなかったことが問題として指摘があったと理解していますので、このような法律による規制ではないソフトロー的な取り組みの部分で、化血研様の事案を対岸の火事とせずに、業界として何ができるかという議論が始まっていることは事務局としても大変歓迎すべきものだと考えております。

 なお、既に製薬協様のほうで先行してガイドラインの策定がなされておりますので、こういったものもよく参考にしたいと考えているとのことでございます。

 続きまして、2ページでございます。まず、現行の輸出貿易管理令による規制について、政策的観点から仮に輸出を行う場合に血液法の理念と整合的であって、製薬企業、献血者にとっても意義のある輸出のあり方について、事務局の考え方をお示しさせていただきました。

 まずは、現状を説明いたしますと、血漿由来の血漿分画製剤では、免疫グロブリンによる医療需要の伸びが想定されておりまして、当該疾患に適応を持つ国内献血由来の免疫グロブリン製剤による安定供給が必要な課題になっていると考えております。

 また、アルブミン製剤は国内自給率が56.4%でございまして、これも過去供給のあり方検討会で引き続き議論されている課題だと認識しておりますので、国内自給に取り組む必要があるのではないかと。

 ただ、供給量をふやすとコストが増加するという原料血漿の確保量にも配慮が必要であって、輸出によって原料血漿の確保量が増大するということは、むしろ逆に分画構造全体のコストがふえることで好ましくないと考えております。これは先ほど日本赤十字社様の説明のとおりなのかなと考えております。

 したがって、原料血漿の確保量を決定する免疫グロブリンまたは自給率が足りていないアルブミン以外の連産品による輸出が、献血血液の有効利用であったり、コスト構造の改善に寄与すると我々は考えております。

 輸出により従来、十分に活用されていなかった血漿中の有効成分が利用されることとなりますから、献血者の理解を得られるものと考えておりまして、献血血液の用途についても献血者に周知する必要があるのかなと考えております。

 続きまして、マル2倫理的観点からの輸出に関する考え方でございますけれども、我が国は国内自給を進めておりますが、これは血液製剤を輸入することによる倫理性及び国際的公平性の観点から進めているところでございますけれども、我が国からの血液製剤の輸出によって、輸出先国が我が国の倫理性、国際的公平性を阻害するとのおそれがありますが、そもそも我が国は血液法に基づいて採血規制を行っておりますので、輸出することによって我が国によって有償採血を助長するといった倫理的な問題は発生しない。

 国内自給の基本原則のもと、需給計画でコントロールされた需給調整を行っておりますので、供血はしたけれども製剤の利益を享受できないといった問題は生じないのではないかと考えております。なお、輸出先国の分画能力では国内医療の需要を満たさない場合においては、我が国による輸出は国際貢献に資するものではないかと考えております。

 続きまして、3ページでございますけれども、マル3法制的観点からの輸出に対する考え方ということでございまして、昭和41年に国内需要を確保するために輸出規制物質として統制が始まっております。当時の採血業法では、ドナー様の健康確保ということで立法されておりまして、血液製剤の国内需給調整について規定がなく、輸出貿易管理令による水際規制で対応することとなったと理解しております。

 一方で、輸出貿易管理令に規定する国内需要の確保、要は安定供給するということは、国内自給の達成とはノットイコールなのではないかと考えております。さらに言えば、国内需要の確保というのは、毎年度の需給計画の策定と適正在庫の確保により達成されております。ですので、輸出貿易管理令が目的とする国内需要の確保というのは、今の血液法のスキームで達成されているのではないかという理解でございます。ただ、もちろん国内自給という観点も加味して、さらに安定供給を確保するためにはどういったスキームが適切かと申しますと、これについても血液法に基づく需給計画によって統制されているのではないかと考えております。

 すなわち、需給計画の策定時における段階で各企業の製造輸入計画をしっかりコントロールします。国内自給を定めた基本方針に基づいて原料血漿の配分を国の責任で行いますので、例えば、アルブミンの国内自給に協力できない場合には、配分量について何らかの考慮があるといった可能性もないことはないということでございます。

 マル2ですけれども、計画ができて実際に製品を流通させた後にどういう規制があるかを申し上げると、各企業には需給計画の尊重義務が発生しております。当該義務に反する企業には、国による需給計画尊重のための勧告がなされます。勧告に従わない場合には、業務停止命令がかかり、さらにこの停止命令を無視すれば罰則がかかるという仕組みになっておりまして、きちんとした血液法による規制が十分機能していると。我々厚生労働省の所管する血液法できちんとコントロールできれば、輸出貿易管理令による統制は必要ないのではないかと考えております。

 マル4検討の方向性でございますけれども、以上の考え方を踏まえて、今後改定案をお示ししたいと考えております。

 それによって外国血漿由来の血漿分画製剤の在庫移動や、将来の課題としての国内献血由来の血漿分画製剤の輸出の円滑な実施に貢献するのではないかと考えております。

 加えまして、これは今後の議論になってくると考えておりますけれども、内資系製薬企業メーカーの原料血漿の予測需要が前回の献血調査会で示されておりまして、これは単純に各企業の要望を足し上げただけではあるのですが、参考資料1としてつけております。先ほど花井委員からも事務局でこの数字についてはきちんと精査するようにという御指摘もございましたので、引き続きこれは関係企業とも議論していくわけではございますけれども、ただ、一方で、グロブリンの需要なり血漿の調達事情は、グローバルのほうでも伸びているという理解でおりまして、数字の正確性は別としてトレンド感という意味では、事務局としてもこのような動きになってくるのではないかと考えております。

 そうすると、内資系製薬企業メーカーの原料血漿の予測需要と、日赤様から先ほど御説明がありました安定的かつ効率的な経営のもとでの原料血漿の供給力とが逼迫してくることになると思います。そうすると、内外資問わず第4の原料血漿の需要者が現れた場合の原料血漿の配分ルールについて明確化する必要があるのではないかと考えておりますので、これは委員の皆様とよく相談させていただきまして、今後議論させていただきたいと考えております。

 引き続きまして、参考資料3について御紹介させていただきたいと思っております。

 これは田野崎委員長宛ての要望書でございますが、一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワーク、この法人成立が2012年でございまして、代表理事長が松本様でございます。大阪に事務所を構えておりまして、設立目的として血友病者及びその関係者相互の連携強化を図る事業を行い、血友病を取り巻く諸問題に関して、よりよい方向性を形づくることに寄与することということで、血液事業に大変協力いただいている一般社団法人でございます。

 私から簡潔に要望書の内容について御紹介させていただきますと、世界の血友病患者の方々のために日本の献血血漿を余すことなく活用する形で人道的な提供ができないかということで、厚生労働省または日本赤十字社と協議に取り組んでこられたということですが、輸出貿易管理令の存在を理由に議論が全く進まなかったということであり、本委員会で輸出規制のあり方について議論が進むことを期待するという趣旨の御要望書でございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 少し長かったですが、内資系の血漿分画製剤メーカー、国内3社での検討会が8月31日に開催されたということ。それから、輸出貿易管理令の緩和による輸出可能性の検討が一番メインではございますが、あとは、産業関係企業によるコンプライアンス・プログラム・ガイドラインの策定ということで、参考資料3も含めまして、委員の先生方から御質問あるいは御意見をお願いいたします。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 きょうは資料5や参考資料が出てきましたけれども、関係企業からの聴取をされたようですが、本来前の運営委員会で、グランドデザインをどうしていくかを検討するということで、各内資系の製薬会社及び日赤に非公式でもいいからいろいろ聞くということを約束していただいたわけですけれども、それをなしにこういう状況の中で資料が出てきたわけです。

 まず第一に、私自身直接、関係企業から今後の血液事業についての問題と、貿易管理令の問題、また、これからのコンプライアンスの問題も含めて十分お聞きしてから、いろいろと議論を進めていくとしていただきたいということで、先般の運営委員会ではそういう方向で持っていくという話でお聞きしていたわけですけれども、今回それをやらずにグランドデザインもなく、現在問題になっている化血研の自給体制の問題も含めて、きちんと資料として出されないまま、その議論を進めていくことは私としては合点がいかないところがあります。

 また、もうちょっと時間をかけてきちんと企業の考えのあり方を聞いて、部会や運営委員会で、グランドデザインはこういうものがあったらいいねというものがきちんと共通認識できるような形に持っていって部会に上げられるのが、本来の運営委員会のやり方ではないかと思います。最近は、運営委員会の開催も少なくなりましたし、定期的な開催の中で進めていくわけですけれども、きょう大切な議題について十分時間がかけられないまま進んでいくことについては、私としては承諾できないです。

○田野崎委員長 貴重な御意見ありがとうございます。確かに、前回の委員会のときにはグランドデザインの話、国内3社に意見を聞いてということがあったと思いますが、今回は3社で検討会を開催してというのと、全体の大まかなものとしては提示されているようにも思わなくはないのですが、これに関しまして事務局からお願いいたします。

○菓子野血液対策課課長補佐 まず、ヒアリングの段取りの件に関しましては、大変申しわけございません。手続が間に合わなくて、後でアナウンスするつもりではあったのですけれども、次の部会で、まずは血漿分画製剤メーカー3社から御意見を伺う機会を設けたいと考えております。

 前回の運営委員会でも分画製剤の輸出については、議論を進めてもいいのではないかという他の委員からの御意見もちょうだいしておりますので、まずは分画からやって、次に原料血漿の問題がありますので、次のターム以降になるとは思うのですけれども、大平委員の御指示に従って段取りを進めているところでございまして、日本赤十字社様からはその次のタームのタイミングで御意見をちょうだいできたらなと思っているのですけれども、これはまだ調整を始めておりませんので、今後段取りが整いましたら、改めて御相談させていただきたいと思っております。

 グランドプランなのですけれども、タスクフォースの顧問からもそういう意味では産業の新しいあり方について、いろいろとお知恵をいただいたところでございますので、これにこたえることもグランドプランの1つなのかなと思っておりまして、今回提示させていただいたということでございます。

 今後グランドプランになってくるのであろうなと思っていることがもう一つございまして、今回、日本赤十字社から大変な判断だったと思うのですけれども、原料血漿確保の推移の見込みを出していただきました。これによって今度は、血漿を受け入れる血漿分画製剤メーカーがこの価格をもとにどういうふうに将来像を描いていくか、コストの問題をどうクリアーしていくかという議論が初めて数字の裏打ちがあって進められるのかなと思っておりまして、これは調整を始めれば非常に時間のかかる問題ですし、105万リットル以上欲しいという数字が出ていますので、仮にそれに見合ったコストで売られた場合に経営が成り立つのかとか、それに対する対処策は何があるのかという問題は、近々に結論を出さなければいけないのですけれども、処方箋を書くのはなかなか難しいので、引き続きこちらで対応策を練らせていただいた上で、グランドプラン第2弾ではないですけれども、お示しさせていただくという形でやっていきたいと思っています。ですので、決して何か勝手に物事を進めようとしているわけではございませんので、そこは御理解をいただければと思います。

○田野崎委員長 大平委員どうぞ。

○大平委員 時間がかかるとかそういう話というのは、実際にこちらの委員と企業側といろいろなお話し合いをさせていただいて、そこでこちらの見解とかそういうものも反映して、運営委員会としてこういう課題がある、また、進めていいのではないかという提案をしていくのが筋なのではないかと思います。事務局の中でずっと調整をされているという話ですけれども、調整の中で実際には、余りよくない言葉ですけれども、化血研の問題とかいろいろな形で信頼を失っているところもあるわけですよ。2年ぐらい化血研の問題は放置されているという形で、提供されるべき血液製剤がきちんとした形で提供できないまま過ごされていると。それについて行政には大きな課題があると思います。ですから、そういうことも含めて、過渡期の問題かもしれませんけれども、そういうものを一応運営委員会で話し合ったり、意見を交わして、どういう方向に持っていったらいいのかというのは、運営委員会が設立されたひとつの経緯の中でもそういうところが大事なのではないかと考えています。全体を俯瞰する意味で血液事業部会の中に運営委員会をつくって、そして、今後の血液事業のあり方やグランドデザインはそういうところでぜひ考えていきたいと。貿易管理令がどうのこうのと反対しているわけではなくて、そこはどうやったらスムーズにいくのか、そしてまた、国内自給とどういう矛盾が解決できるのかというのも企業側のいろいろな考え方も聞かないと、日本は日赤だけで動いているところでもないので、そこをきちんと本当は運営委員会の委員としての立場で聞くということが大事ではないかと思います。

 そういう点で、運営委員会の一委員として信頼を置いていないのではないかとこちらは思うわけなので、本来運営委員会というのは血液事業部会の中でも特殊な形で、国と一緒に責任を分担して、国の血液事業の運営のかじ取りに参加していこうということで始まった委員会なので、そこは忘れずにいていただきたいと思います。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 先ほど日本赤十字社のスライド5に言及したときにちょっと触れたのですが、参考資料1があったのは知っていたのですけれども、そこでそれを言わなかった理由は、今回、事務局が3ページの「法制的観点からの輸出に対する考え方」というところで、輸出貿易管理令と血液法のコンセプトと機能を実は明確に説明しているんです。これは、もともと法整備自体も含意はされていたけれども、実はその機能とコンセプトは必ずしもパフォーマンスをそんなに発揮していなかったというのがある。それは雑に言えば、要するに需給計画と言っても前年実績を見て大体値段を決めているだけでしょうと理解している。逆に言えば、矮小化されてそういう機能しか血液法は持っていなかったと言えると思うんです。

 もし、そういう考え方だったら、私は5の日赤のペーパーと、メーカーはこれだけ欲しいと言っているのだから、平成30年度で直接比較しましょうねと。98万リットルと120万リットルだから、明らかに22万リットル足りないではないかと、こんなのはだめでしょうという議論にするのですけれども、そうしなかった理由は、まさに配分して終わりですと、あとは知りませんと、民間同士ですという話ではなくて、血液法のコンセプトは、その下についても国が責任を持っていくんだという説明だと思うんです。なので、先ほど民間メーカーと打ち合わせをしたというお話もされていましたけれども、単に欲しいからあげるのではないのだと。つまり、有効利用するということを最大限日本の血液事業のパフォーマンスを出して、どれだけ要るのかと。

 さっきの寄附は、クリオは端的にどうせ余剰になっているというので、雑にクリオの話題が出ていますけれども、クリオだけの問題ではなくて、全体の血漿をちゃんと配分された側も最大限のパフォーマンスで日本国内自給の供給に寄与しているかどうかもチェックは必要ですよねという話になったと思うんです。なので、ここに来て初めて血液法の積極的な機能を発揮させて、どう構想できるかというスタートラインに立ったと理解しています。その意味で言えば、輸出貿易管理令と血液法の関係の説明は、スタートラインでやっと私たちは考える足がかりを得たというか、これまでは構想する足がかりがなかったという理解です。

 その制度的なたてつけを理解した上で、先ほどまさに大平委員が指摘したとおり、外資も含めて民間企業はどうなのだというところをこちらで十分認識して、もちろん日本赤十字社のお話もさらに聞いて、先ほど大平委員が言ったとおり、運営委員会としてはこういう方向ではないかということをやると理解しました。したがって、きょう決めるという話ではないのだろうなと。私が言いたかったのは、資料のマル3の一連のテキストは、これが逆に言えば、国もっと言えば血液対策課が積極的にやるのだという宣言のようにも受け止められるので、ぜひ、その期待にこたえていただきたいと思います。

 以上です。

○田野崎委員長 ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。

 室井委員どうぞ。

○室井委員 今の花井委員とも関係があるのですけれども、貿易管理令の最後のマル3の読み方なのですが、国内需給確保のための輸出規制物質として製剤はあったのですが、それは国内自給達成のイコールではなくて、あくまでも安定供給がされていればいいと読みかえるということですよね。これは私は専門家ではないからわからないですが、こういう法律の文言の解釈は、どなたがどういう場で決定されるものなのでしょうか。

○菓子野血液対策課課長補佐 これは、当時の国会の議論で残っている議事録があるのですけれども、当時まだ売血から献血に移行しているところで、国民向けの血液の確保が足りていないという説明が国会であったところでございます。要は、国民が献血なり売血から製造された血液製剤の利益を享受できていないから、全面的に国内にある製剤は絶対輸出させないと、国内に仕向けるという形になっております。

 御質問にこたえると、経産省も含めてきちんと政府のほうでこういった解釈をしているということでございます。

○室井委員 この委員会でこの解釈をして決定することはまずくないのですか。

○菓子野血液対策課長補佐 そこは、政府内で調整は当然やっておりまして、経済産業省とも調整した上で、一義的には輸出貿易管理令の有権解釈は経済産業省にあって、彼らが改正する権限を持っているわけですけれども、当然それは関係省庁と協議して決めるということでございます。それは、我々が経産省と調整して、これは非常に血液事業にとっても重要な話なので、改正権限はあるのですけれども、そういった方向性は正しいですかということで血液事業の重要政策として、運営委員会なり血液事業部会に御相談させているということでございます。

○室井委員 これに関して、厚労省と経産省が話し合いをして、その結果がこうですということを公表されるようなものではないですか、どこかに出るようなものとして考えていいのですか。

○菓子野血液対策課長補佐 もちろんです。最終的にもし改正するという話になれば、政令を改正して改正案を公布することになりますし、その前にパブリックコメントもやりますので、規制当局の考え方というのはそこできちんと開陳されるということでございます。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 多分、今回示されたものが割とすぐに手を打てそうなものについて出されたというか、ただ、大平委員がおっしゃるように、前回の運営委員会でグランドデザインを議論したいということ、それは一応委員の合意を得ていることになっていると思います。だから、先にやれることだけを明示されると、どうしてもグランドデザインの議論はどこに行ったのだという話になってしまうので、グランドデザインの話は話でやっていかないといけないので、それを並行して出していただいて、事務局としてはどう考えてディスカッションをどう続けていくかという話を提案いただければと思います。確かに、貿易管理令の話とか海外のアンメットニーズにこたえるというのは割と早くしたほうがいいし、海外への貢献というか、今回の要望書に出てきているような本当にやるべき、しかも、直近でできそうな議論はもちろん議論として私は早めてもいいと思うのだけれども、先にできることだけ先にやってしまうということだと、せっかくのグランドデザインというか、タスクフォースの答えが出てこないというところもあるのかもしれないけれども、ここでグランドデザインの議論を並行してやるというのは事務局に示していただいて、その中でも特に早くできるものについてはこういう議論をするとしたほうがいいのではないかという気がします。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。

 山口委員にまとめていただきましたが、決して全部反対というわけではなくて、ただ賛否云々というよりも、その前のまずヒアリングの段取りがというのではなくて、国内3社がうまく連携がとれるのかどうかというのは、私たちの場でも見させていただいて議論していく必要があると思いますし、まだスタートラインに立ったばかりであるということでもあると思います。

 山口委員どうぞ。

○山口委員 1点。前から連産品の中で使われないものを融通し合うという議論ももちろんあったのですけれども、正直申しまして、それぞれ製法が違うところの全然別の承認申請書の中で立っているものを融通し合うというのは、そう簡単な話ではないと思うのです。そこのところは場合によっては一変までちゃんとやらないといけないところもあって、そういうことを実際にどういう意見を聞きながら議論していくかということを議論しないといけないのだろうと思います。

○田野崎委員長 事務局におかれましては、今の貴重な議論を踏まえて、また検討を進めていただければと思います。よろしいでしょうか。

 森審議官どうぞ。

○森審議官 ただいまの御議論、山口委員にまとめていただき、本当にありがとうございます。本日の資料5についても、担当が一生懸命関係する部署等とさまざまな調整をし、現状として考えられるアイデアとして整理したものをお出ししたということで、少し踏み込んだ内容になっているかと思います。ただ、これが全てではないし、しかも、これはまだ案ということで御理解いただければと思いますし、加えて、全体としてグランドデザインを議論するために、いろいろな情報をこの場でもっとシェアしないといけないということは、当然のことです。

 それから、大平委員がおっしゃった、例えば化血研についても、最近どういう状況になっているのかについて、既に御存じのことかと思いますけれども、経営トップが交代して、そのもとで今どんなふうにやっているのかという話を御紹介することも必要ではないかと思っています。長々膠着状態だったものが、一歩一歩正常化に向かってそれぞれ努力しているということも、こういう場できちんと御紹介することも必要ではないかと思いますので、本日いただいた御指摘・御意見をきちんと踏まえて、できるだけ早いうちにまたお答えを返したいと事務局のほうでも考えておりますので、よろしくお願いします。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

○菓子野血液対策課課長補佐 事務的な手続についてアナウンスさせていただきますけれども、先ほど御説明しましたとおり、9月20日の血液事業部会では、内資系血漿分画製剤メーカーから委員御所望の輸出に関するヒアリングをやりたいと思っております。

 あわせてEFPIA Japanのほうからグローバルにおける原料血漿の需給状況と我が国における国内自給の協力の可能性についてヒアリングを行いたいと思っておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 続きまして、議題6「原料血漿の追加配分について」に移りたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。

○三浦血液対策課需給専門官 資料6について説明させていただきます。

 平成27年6月に判明しました化血研問題及び平成28年4月の熊本地震の影響により、国内製造販売業者に対し血液製剤の増産等を要請していたところです。その後、平成28年6月に日本製薬より、増産に対応するため約10万リットルの原料血漿の追加配分要望があり、平成28年6月に血液事業部会委員等から意見をちょうだいした上で、化血研に配分予定であった6万リットルを日本製薬に配分しておりました。

 さらに、平成29年1月に日本製薬より、増産により中間体及び原料血漿が適正在庫を下回っている状態になっており、その適正在庫補充分のために平成28年6月に追加配分要望のあった約10万リットルのうちの未配分相当として約4万リットルの追加配分要請がございました。これを受けて日本赤十字社と調整した結果、貯留在庫分から3万リットルの追加配分が可能となりましたので、日本製薬に対しその他用原料血漿3万リットルを追加配分することとし、これに伴い平成29年度の需給計画を変更・公示したいと考えております。

 今後のスケジュールとしましては、この運営委員会で御審議いただいた後、了解をいただければ9月開催予定の血液事業部会に上程いたします。血液事業部会で御了承いただければ、10月上旬の改正公示の公布を予定しております。

 原料血漿の追加配分につきましては以上になります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 御質問・御意見ございましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、原料血漿の追加配分につきましては、事務局の提案どおりとするということで議決をと思いますが、これに関しましては室井委員と岡田委員を除いたほかの3名の方ということで、何か反対があればと思いますが、よろしいですか。

 それでは、原案どおりということで、事務局におかれましては原料血漿の追加配分のための対応をお願いいたします。

 次に、議題7「血漿分画製剤の最終製品における血清学的試験について」に移りたいと思います。JB、日本製薬、化血研の方々に御着席いただきたいと思います。

JB、日本製薬、化学及血清療法研究所参考人 着席)

○田野崎委員長 本議題につきまして、事務局より参考人の御紹介をお願いいたします。

○山本血液対策課課長補佐 事務局より参考人の紹介をさせていただきます。

 一般社団法人日本血液製剤機構より、辰田武司信頼性保証本部市販後調査部長。日本製薬株式会社より、洪苑起成田工場品質管理部部長。一般財団法人化学及血清療法研究所より、羽室強生産本部技術推進部部長。

 以上3名に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

○田野崎委員長 資料7につきまして、3社を代表いたしまして、一般社団法人日本血液製剤機構より御説明をお願いいたします。

○日本血液製剤機構辰田信頼性保証本部市販後調査部長 それでは、血漿分画製剤の最終製品における血清学的試験の廃止につきまして、国内3社より御報告させていただきます。

 まず、概要です。献血由来血漿分画製剤の最終製品の試験内容についての見直しを行いました結果、一部の製剤で自社試験として実施している4つの血清学的試験(HCV抗体、HIV-1/2抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原試験)これらにつきましては、廃止しても製剤の安全性に影響を与えないと判断いたしました。つきましては、平成29年度の下期から順次廃止する予定にしております。

 以下、理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、抗体試験の廃止について。最終製品におけるHCV抗体、HIV-1/2抗体、HTLV-1抗体は、それぞれのドナースクリーニング試験が導入された80年代後半から90年代前半にかけまして、当時実施し得るウイルスマーカー試験として導入されたものと考えられます。しかしながら、その後の分画製剤のウイルスに対する安全確保対策は、スクリーニング技術の向上やウイルス不活化/除去工程の導入等によりまして大きく変化し、これらHCV及びHIVにつきましては核酸増幅検査(以下NATと略す)によって高いレベルでの安全性の確認が行われております。これらのことを背景といたしまして、本抗体試験がガイドライン等に規定された試験ではなく、また、各社独自の考え方で会社間の整合性も特になく実施されている試験であることから、国内3社で協議を行いまして下記に示すような理由から、一部品目につきましては承認書に基づきまして実施継続いたしますが、廃止することが妥当という結論に至りました。

HIVHCVにつきましては、ドナースクリーニングにおいて抗体試験に加えてNATによる試験が追加され、また、さらに最終製剤でもNATにより高感度にウイルスの存在を否定しているため、最終製剤での抗体試験を廃止しても安全性に影響は与えないと考えております。

HTLV-1は、血液中の細胞成分によりまして輸血感染が引き起こされるものですので、細胞成分を含まない血漿によっては感染しないことが明らかにされております。したがいまして、血漿分画製剤ではHTLV-1は感染リスクとしては問題にされておりませず、日本におきましては生物由来原料基準の血漿分画製剤総則においてもこの試験は要求されておりませんし、欧米におきましても分画製剤の原料血漿にはHTLV-1スクリーニングは要求されておりません。なお、国内献血への抗HTLV-1抗体のスクリーニング導入後につきましては、細胞成分を含みまして、全ての輸血用血液製剤において輸血感染は認められていない状況です。

 続きまして、抗HBs人免疫グロブリン製剤におけるHBs抗原試験の廃止についてです。一部の抗HBs人免疫グロブリン製剤の最終製品におきましては、HBs抗原試験を実施しております。しかしながら、製剤の有効成分である抗HBs抗体がHBs抗原を中和してしまいますために検出感度は非常に低いということで、安全性確保のための試験としては要求される水準からかけ離れているという現状です。

HBVにつきましては、感度の高いNATを採血時、プール血漿さらには最終製品において実施しておりますので、HBs抗原試験を最終製剤で実施する意義は極めて低いということで、この試験は全ての抗HBsグロブリン製剤において廃止することといたしましたということです。

 以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 委員の先生方から御質問やコメント、よろしいでしょうか。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 素人なのですけれども、これをやっているのを知らなかったんです。結局、薄めてからこれをやるというのは素人考えでもよくわからないのですけれども、最後のものはもっとわからないのですが、血液は採血基準があって、特に承認書というのが薬機法上あって、例えば、採血基準などであれば安全技術調査会でやったりとか、場合によっては日赤が勝手に何かやったり医薬品の中でも特殊なもので、薬機法の中の増設部分みたいな感じですよね。今回は化血研さんも来ているのですけれども、これは当局へのお願いなのですが、承認書のあり方もこの機会に見直してもらって、血液製剤はもうちょっとシンプルにちゃんとレギュレートされている形にしたほうがいいのではないかと。

 一部は承認書の中に入っていたということですよね。それは国が指導したのか、自主的に入れてそうしたのかよくわからないのですけれども、素人なのでこれ以上はあれですが、要は、今後そういう整理をして、輸血用血液についてもこの前、日赤が安全技術調査会に事後報告したりしていて、普通はあれも承認書に入っていたら薬機法違反ではないですか。でも、血液は特殊でそういう扱いはしていないということだと思いますけれども、分画のほうがより薬品っぽくはあるのだけれども、私たちにちょっと理解しにくい部分もあるし、メーカーにおいてもそれによって一変が要る、要らないみたいなところで、またいろいろな不祥事になっても困るので、そこのところは国のほうで整理していただけたらと思います。

 参考までに聞いていいですか。承認書に入った経緯というのはわかりますか。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部部長 実際、承認書に入っている商品というのは化血研の製品の一部ですけれども、これは最初からうちがつくっているわけではございませんで、国内で輸入していたものがなくなって、その代理としてうちがつくり始めたものでございますので、そのタイミングで輸入したものがやっていたから、その試験を承継したと思うのですけれども、その辺の背景はよくわからない状況でございます。ただ、承認書に書いてありますので、これは引き続き実施する義務が当然ありますけれども、今回の試験の必要性を議論していただいた上で不要だという結論になれば、次回以降の一変申請のときに消していくという形を考えております。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 これは私、随分前にこの試験はほとんど意味がないというので、安全技術調査会でも言ったし、一応そういう結論になったはずなのですが、いまだにやっていたというのが非常に不思議で、原料で出ないものが最終製剤で出るわけが絶対にないので、いまだにこういうものが残っているというのは不思議ではありました。もちろん私はこれで結構だと思います。

○田野崎委員長 ほかによろしいでしょうか。

 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 最終製品の抗体検査はこれで全く問題ないと思うのですけれども、原料血漿を日赤からもらうときの受け入れ試験は、例えば脱クリオの血漿でもらう場合と、個別のバッグでもらう場合があるのですけれども、そういうときの受け入れ試験はどうなっているのでしょうか。

○日本血液製剤機構辰田信頼性保証本部市販後調査部長 今、脱クリオ化はJBでやっておりますので、脱クリオで受け入れるということは今はございません。血漿につきましては、プール血漿を作成した段階でHBs抗原試験ですとか、抗体試験もやっておりますし、NATもやっているという状況です。

○日本製薬株式会社洪成田工場品質管理部長 弊社でも全く同じでして、原料血漿に関してはプールした状態での当該4試験とNAT試験を実施しております。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 化血研も同じでございまして、現状では受け入れは日赤様の成績書をもって確認するとともに、プールでもやってはいるのですが、先ほどお話がありましたように、プールの時点で希釈されますので、そもそもプール時点での試験もやる意義が本当にあるのかというところも、今社内で議論しているところでございます。

○田野崎委員長 この検査に関しては、国で決めた1つの基準というのではなく、それぞれのところで基準を決めてやられているという解釈でよろしいのでしょうか。その辺については、本来は国が決めてということでやっていくのがいいのではないかと思いますが。

 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 プールで確かに陽性になることはまずないと思うのですけれども、まず原料の段階で陰性であることはメーカーとして確認するのは必要ではないかと思います。

 過去にバッグの取り間違いがあって、プールでHBs抗原が陽性になった事例もありますので、それは確認ということで必要ではないかと思います。

○田野崎委員長 ちなみに、最終製品でというのはロットごとにやっているということでよろしいわけですね。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 せっかく議論が出たので聞きますけれども、通常は血漿をバッグでもらうときに、普通の医薬品であればいろいろな企業から受け入れるときに、スペックが承認書に書いてあって、こういうスペックのものを入れていますと。ところが、例えば今、検査があって全部シングルにちゃんとかけています、それをバッグでもらっているというのが承認書に書いてあるわけではないですよね。逆に言えば、岡田委員はミスの話をおっしゃっていましたけれども、普通に考えたらシングルでかけたものを希釈してかけるというのは不合理なのですけれども、逆にそれは上流のいろいろなところから来るときに、これは全部シングルNATがかかったものが入っていますというのが承認書でそれで受け入れていますというのがあれば、逆に言えばメーカーの受け入れ責任という形になると。要するに薬機法上の整理なのですけれども、そこまで書いていないとなると、まさに岡田委員がおっしゃるとおりで、受け入れる段階で製造メーカーの責任だから、何らかの確認は必要と。そうなると逆に言えば、まぜる前にすべきだという議論にもなるかしもしれない。今それに踏み込むつもりはないのですが、その辺の整理がわかりにくいかなと思いました。

○田野崎委員長 この辺は一律に決めていただくべきではないかと思います。

 ちなみに海外から例えばアルブミンが入ってきたり、そういうところに関しての基準というものは何かございますか。外から入ってくるものに対する製造の基準が、国内のメーカーのものと違っているようでは、またあれかなと思うのですが。

○山口委員 少なくとも原料基準の中で輸血用血液製剤と血漿分画製剤の求めるべき試験というのは一応書かれております。ただ、全てが書かれているわけではなくて、一番重要なウイルスの試験とかそういうものをやるべきと、それは国内でも海外でもかかっているということになります。

○岡田委員 それと、最終製品ですけれども、一応生物基準に適合したものが求められていますので、それは大きなところに差はないと思います。

○田野崎委員長 今の議論の中では、特に海外だろうが、国産だろうが問題はないということでよろしいですか。

 どうもありがとうございました。三社の代表の方々、どうもありがとうございました。

JB、日本製薬、化学及血清療法研究所参考人 退席)

○田野崎委員長 続きまして、最後の議題となります。議題8「その他」ですが、事務局より説明をお願いいたします。

○三浦血液対策課需給専門官 資料8につきまして、御説明申し上げます。

 化血研の製造しておりますバイクロットにつきましては、平成27年6月に判明した問題以降、代替品がない製品以外は出荷自粛をしていただいているところですが、代替品のない製品につきましては、品質、安全性等に問題がないことを確認した上で、運営委員会で検討し、随時出荷を認めていただいているところでございます。

 その中でインヒビター製剤でもあるバイクロットにつきましては、医療ニーズの高い製剤として平成27年7月21日開催の第2回運営委員会において、例外的出荷が認められておりました。その後、平成27年7月の第2回運営委員会で認められたロットにつきましては、在庫が枯渇するおそれが生じたことから、平成281214日の第4回運営委員会において、バイクロットのロット番号BY007の出荷について検討いただき、BY007の例外的出荷を了承いただいていたところでございます。

 なお、BY007の出荷に関しまして、医療機関への出荷が確認された場合には、速やかに運営委員会に報告することと言われておりまして、このたび医療機関への出荷が確認されたことから、今回の運営委員会においてその状況について御報告するものでございます。

 まず、BY007につきましては、平成29年6月19日に化血研から化血研の東京配送センターに出庫されまして、7月10日に化血研東京配送センターから四国4県を営業エリアとする卸に対して現物の出庫がされております。

 その後、平成29年8月4日、卸から徳島県内の医療機関に対して納入が確認されております。このときは納入が3本されておりまして、その後同じ月内に何本かに分けて納入され、計23本納入されております。こちらの徳島県内の医療機関につきましては、これまでもバイクロットを継続的に購入している病院でございます。

 その後、8月7日に兵庫県内の医療機関に対して5本の納入が確認されております。こちらはバイクロットの購入は初めての医療機関なのですが、ほかの病院で治療中の患者さんが近くの病院で処方してほしいということで、こちらの病院に納入されたということになります。

 続きまして、8月18日に福岡県内の医療機関に対して12本の納入が確認されております。こちらも新規の医療機関でございますが、遺伝子組換え第VIII因子製剤使用中の血友病Aの患者さんに対して、インヒビターが出現したために、バイクロットを購入したということになってございます。

 その後、8月25日に福岡県内の医療機関に対して11本。

 8月28日に埼玉県内の医療機関に対して1本。

 8月30日に青森県内の医療機関に対して4本、同じく8月30日に兵庫県内の医療機関に対して8本の納入が確認されております。これらの病院につきましては、これまでも継続的にバイクロットを購入している医療機関でございます。

 なお、BY007につきましては、残数は8月31日現在で4,095本、在庫がなくなる見込みなのが平成30年1月ということになってございます。

 厚生労働省としましては、引き続きバイクロットの納入状況には注視してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 バイクロットロット番号BY007の状況ですが、御質問・御意見はよろしいでしょうか。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 大変いい製剤だと思うのですけれども、これが適正に供給されていくようになるには、いつぐらいになるのかがよくわからないですけれども、できるだけ希望される患者さんに早く必要量が供給されるようにということで、いろいろな段階があるのでしょうけれども、これが承認されて、例外的な措置で供給されるというよりは正常に戻していただいて、こんなことを言ってはよくないかもしれないけれども、化血研もきれいにしてもらって、早く正常な形でいろいろ患者さんたちが待っている製剤を早急に供給していただきたいなと思います。そこは、ぜひ国のほうも力を入れてやっていただければと切に希望するところです。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 ちなみに正規に出庫できるのは大体見込みとしてはいつぐらいというのはございますか。

○森審議官 最も関心の高い極めてクリティカルな御質問なので即答はなかなか難しい状況ではあります。化血研の組織全体のガバナンス、GMPへのシステマティックな対応状況を一つ一つ全部確認して、それが適切に行われているという状態を押さえて、個別の品目の承認内容も是正するということを順次やっていくという、かなり長大な作業になっている状況です。現在は、そのために化血研、厚生労働省、PMDAそれぞれが一致協力して取り組んでいるという状況になってきており、できるだけ早く正常化させるという目線合わせがようやく出来つつあるというのが今の状況です。

 個別の品目がいつごろという話を見通せるようになるには、もう少し時間を要するのが現状でございますが、できるだけ見通しを御説明できるように、我々としても今、鋭意努力をしている状況です。

 化血研経営トップの交代が6月に行われ、その後、新しい体制のもとで実際に事態の正常化に向けての取り組みを進めている状況で、その中で、私ども厚生労働省もPMDAと一緒に査察を実施しております。化血研で実際に確認したいろいろな問題点を具体的に指摘し、それに対する改善プラン、そして実際にどこまで改善しているのかを都度都度確認するということで進めてきています。

 こうしたプロセスがどうしても必要なものですから、時間がかなりかかっているということです。ただ、この状況にようやくこの夏からなったということでございまして、これに基づいてできるだけ速やかに正規の、普通に安心して信頼できる製品として供給できるようにしていくということで動いているという状況です。

本日この時点で具体的な見込みを申し上げられないのは大変申しわけないのですけれども、やっとその方向が見えてきたということです。できるだけ早いうちに、このくらいの時期にこういう段階でということを、化血研も御説明できるようにしたいと考えていると思いますし、私どものほうでもできるだけ固い線で確実性のある格好で確認し御説明させていただきたいと思っております。御要望は本当にしっかり受け止めさせていただきたいと考えております。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 大変おくれてしまいましたけれども、本日の議題はようやく全て終了いたしましたが、ほかに何か御意見等ございますか。

 よろしければ、事務局におかれましては、本日出ました貴重な御意見に基づいて適正に今後とも血液事業を進めていただければと思います。

 それでは、事務局に議事を戻したいと思います。

○山本匠血液対策課長補佐 田野崎委員長ありがとうございました。

 次回の運営委員会の日程は別途、御連絡さしあげたいと思います。

 本日は、長時間にわたり委員の皆様、本当にありがとうございました。

 これにて「平成29年度第2回血液事業部会運営委員会」を終了いたします。

 


(了)

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