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2017年9月14日 第1回食品衛生法改正懇談会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

○日時

平成29年9月14日(木)13:00~15:00


○場所

航空会館 5階 501—502号室
(東京都港区新橋 1-18-1)


○出席者

食品衛生法改正懇談会構成員(敬称略)

浦郷 由季 片野 緑 川西 徹
桑崎 俊昭 中村 重信 花澤 達夫
平沢 裕子 森田 満樹 横田 明美

オブザーバー

鋤柄 卓夫 (農林水産省 消費・安全局 食品安全政策課 課長 )
吉田 易範 (内閣府 食品安全委員会事務局評価第一課長)
井河 和仁 (消費者庁消費者安全課政策企画専門職)

事務局(9月14日時点)

宇都宮 啓 (生活衛生・食品安全審議官) 吉永 和生 (大臣官房審議官) 大西 友弘 (生活衛生・食品安全企画課長)
関野 秀人 (食品基準審査課長) 道野 英司  (食品監視安全課長) 黒羽 真吾 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
森田 剛史 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長・食品監視安全課食中毒被害情報管理室長) 梅田 浩史 (食品監視安全課輸入食品安全対策室長) 蟹江 誠 (食品監視安全課HACCP企画推進室長)
一戸 和成 (生活衛生・食品安全企画課長補佐)

○議題

(1)懇談会の進め方について
(2)食品衛生法を取り巻く現状と課題について

○議事

○大西生活衛生・食品安全企画課長 それでは、定刻となりましたので、これより第1回「食品衛生法改正懇談会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多用の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 私は、生活衛生・食品安全企画課長の大西と申します。座長にお譲りするまで進行役を務めさせていただきます。

 まず、第1回目の懇談会でございますので、開催に当たりまして、生活衛生・食品安全審議官の宇都宮より御挨拶申し上げます。

○宇都宮生活衛生・食品安全審議官 生活衛生・食品安全審議官の宇都宮でございます。よろしくお願いいたします。

 構成員の皆様方には、日ごろより食品安全行政に御尽力、御協力いただきまして、この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。また、非常に暑くて、お忙しい中、本日はお集まりいただきまして、改めて御礼申し上げます。

 さて、食品衛生法につきましては、御存じのように、平成15年に改正が行われて以来、もう14年ほど改正が行われていないという状況でございます。後ほど説明があるかと思いますけれども、本日の開催の趣旨にもございますように、この間、人口構造の変化、高齢単身世帯あるいは共働き世帯が増えてきたということで、いわゆる中食が非常に増えてきたということ、あるいはオリンピック・パラリンピックを目前に控えまして、食品衛生の国際的な水準というものが求められているなど、非常に大きな変化が起きているところでございます。このような変化を踏まえまして、食品安全のさらなる確保を進めるために、この法律の見直しの検討というものを進めてまいりたいと思っているところでございます。

 これまで個別の改正項目としまして、HACCPによる衛生管理につきましては、食品衛生管理の国際標準化に関する検討会で、また、食品用器具及び容器包装につきましては、食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会で検討を行いまして、その結果を踏まえて、6月の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会で検討状況を報告して、御議論いただいたところでございます。

 本日の懇談会におきましては、こういったこれまでの経緯も踏まえながら、今まで検討したことに限らず、その他のさまざまな課題があると思いますけれども、幅広く御検討いただければと思ってございます。

 我々としても食品衛生法改正を目指しまして検討を進めたいと思ってございますが、非常にタイトなスケジュールで御検討いただくことになると思いますけれども、その辺につきましては、何とぞ御容赦いただければと思います。

 最後になりますが、ぜひ構成員の皆様方からは忌憚のない御意見をいただきまして、さらなる食品安全の確保につながるようになればということを切にお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

 よろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 それでは、ここまででカメラによる頭撮りは終了とさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(カメラ撮影終了)

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、懇談会の構成員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。

 お手元の資料1の名簿も御参照いただきながら、席次の順番に御紹介をさせていただきます。

 まず、今回座長をお願いいたしました川西構成員でございます。

○川西構成員 川西と申します。国立医薬品食品衛生研究所で働いております。よろしくお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 それから、会場側から見て右手のほうに移りまして、平沢構成員でございます。

○平沢構成員 産経新聞で文化部の記者をしております平沢と申します。食の安全やリスクコミュニケーションに関しての記事を書くことが多くて、今回こういう機会をいただきました。忌憚のない意見を述べさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、森田構成員でございます。

○森田構成員 一般社団法人FOOD COMMUNICATION COMPASSの森田と申します。私は、消費者団体として食の安全ですとか食品表示についての情報発信を行っております。本日はこのような機会をいただきまして、14年ぶりの食品衛生法改正ということですので、主要な課題はあると思いますが、ほかにもいろいろなことについて意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、横田構成員でございます。

○横田構成員 千葉大学の社会科学研究院の法政経学部等で行政法を教えております横田と申します。いろいろな情報の取り扱いであるとか、基本的な行政として国民の安全を守る大切な法律だと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、片野構成員でございます。

○片野構成員 日本生協連の片野です。私は、組合員活動部というところに所属しております。全国の生協での学習活動の支援などを行っております。食品の安全については全国の生協も大変関心の高いところですので、精いっぱい務めさせていただきます。よろしくお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、会場から向かって左手のほうに移りまして、花澤構成員でございます。

○花澤構成員 食品産業センターの花澤と申します。食品産業センターというのは、食品業界、いろんなメーカー団体がありますけれども、例えばハム・ソーセージから始まって、製粉とか調理冷凍食品、いろいろありますが、そういった食品製造業全体をカバーしているメーカー団体ですので、よろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、中村構成員でございます。

○中村構成員 東京都福祉保健局食品監視課の中村と申します。食品衛生に関しましては、保健所を初めとします現場を抱える者の一人としてこの議論に参加させていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、浦郷構成員でございます。

○浦郷構成員 全国消費者団体連絡会の浦郷と申します。ことしの5月に前事務局長の河野の後を引き継ぎまして事務局長となりました。消費者目線で意見を申し上げられればと思います。よろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 続きまして、今回座長代理をお願いしております桑崎構成員でございます。

○桑崎座長代理 公益社団法人日本食品衛生協会の桑崎でございます。食品衛生協会は食品衛生の自主管理を推進している団体で、きょうの構成員の方の中には、ふだんお世話になっている先生もいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 以上で構成員の皆様の紹介を終わらせていただきます。

 事務局側につきましては、本日の座席図を配付させていただいておりますので、こちらをもって紹介にかえさせていただきたいと思います。

 続きまして、議事次第の第1、懇談会の進め方ということで、資料1、開催要綱を改めてお開きください。「1 趣旨」につきましては、先ほど宇都宮審議官からの挨拶にもありましたとおり、有識者の皆様に御参集いただいて、幅広い観点から中長期的に取り組むべき事項も含め食品衛生法改正の方向性等について御検討いただくものです。

 「2 検討事項」につきましては、食品安全をめぐる環境変化などを踏まえた食品衛生法の改正の方向性ということでございます。

 「3 運営」につきましては、当懇談会は生活衛生・食品安全審議官が参集するものであり、懇談会には座長を置くとしています。座長は川西構成員にお願いしております。また、座長代理は桑崎構成員にお願いしております。

懇談会の庶務は、厚生労働省の担当課が行うということにしております。

会議は、原則として公開でございます。会議の資料・議事録は、後日ホームページで公表させていただきます。ただ、議事内容によって非公開とする必要があると座長が認めたときには、非公開にすることも可能としております。

その他、会議の開催に必要な事項につきましては、座長が構成員の皆様の御了承を得て決めるということにしております。

 では、以降の議事の進行につきましては、川西座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○川西座長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。

 まず議事次第の2番目「食品衛生法を取り巻く現状と課題について」を議論したいと思います。本日は、この関係の資料は資料2ですけれども、これは非常に大部な資料ですので、きょうは、「食に対する国民のニーズの多様性・高度化」から「リスクコミュニケーションについて」というところまで議論する予定にしております。そこまでについて御意見、御議論をいただきたいと思います。

 つきましては、まず事務局からこの資料に関して説明をお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 お手元の資料3につきましては、6月26日の食品衛生分科会において食品衛生規制の見直しについて、「HACCPによる衛生管理の制度化」「営業届出の創設及び許可制度の見直し」「容器包装のポジティブリスト制度の導入」「食品リコール情報を把握する仕組みの構築」といった4項目について御議論いただいた際の資料ですが、当懇談会では、資料2に沿って、食品衛生法を取り巻く現状と課題の全般について御議論いただくこととしております。今、座長から御紹介いただきましたとおり、本日は「リスクコミュニケーションについて」までを御説明し、御議論いただきたいと思います。

まず「食に対する国民のニーズの多様化・高度化」ということで、4ページ目以降ですが、人口が高齢化するとともに、単身世帯、一人世帯が増加し、専業主婦世帯を共働き世帯のほうが上回り、働く女性が増加している状況があります。そうした中で、8ページにありますが、調理食品や外食に対する支出の割合が増えていて、特に単身世帯などでは多くなっている実情がうかがわれるということです。それにあわせて、10ページ以降ですが、外食産業や料理品小売業の市場規模も拡大しています。

13 ページ以降、国民の食に対する志向の変化を見てございますけれども、野菜の摂取や減塩などの健康のための食生活の意識を高めていただかなければいけませんし、健康志向とか安全志向について、それぞれ年齢別に一定の傾向が現れています。

15 ページですが、輸入食品については、安全性に不安があるという声が多く聞かれるという状況です。16ページですが、健康食品については、かなりの消費者が健康食品を利用していらっしゃって、50代~70代の層では利用頻度が多いわけですが、17ページのように、相談の件数も増加しています。

18ページから「食品産業のグローバル化と産業構造変化」ですが、19ページで我が国の食料消費の現状を見ますと、米の消費が減って、畜産物や油脂類の消費が増加し、それに伴って食品輸入が増えてきています。21ページのとおり食料自給率は最近概ね横ばいですが、22ページのとおり、輸出件数は増加傾向が見られます。その内訳は23ページ以降のとおりですが、食品ごとにそれぞれアメリカ、オーストラリア、アジアの国々などから輸入されています。

26ページ以降ですが、食品については、輸出・輸入両面で国際的なつながりが強まってきており、政策的にも輸出促進などに取り組んでいる中で、29ページのとおり、例えばHACCPの導入状況を見ても日本は先進各国に比べて対応が遅れている実情があり、30ページのとおり、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開かれる中で、国際的な整合性を図る必要性が高まっています。

31ページから「食品安全の現況」です。32ページのとおり、食中毒は近年下げ止まりの傾向にありますが、近年では34ページのとおりノロウイルスやカンピロバクターによる食中毒が高い値で発生しています。

35ページ以降ですが、施設別患者数や事件数で見ると飲食店での食中毒発生が多くなっており、患者の年齢別で見ると外食等が多くなっていますが、O157では重症化するのは高齢者や小さいお子さんが多いという状況です。

38ページは、厚生労働省のほうで把握している届出があった食中毒以外にもその数百~数千倍の食中毒患者がいるとの研究報告もあるという資料です。そういうものに対応するために、自治体におきましては39ページのような監視指導を行っていただいています。40ページですが、輸入食品の食品衛生法違反内容については、食品の添加物の基準及び規格違反、あるいは販売禁止の食品添加物等が多くを占めている実態を示しています。

 食品の事故の現況については、41ページのとおり2013488件から2016839件まで増加傾向にあります。

42ページから「食品衛生行政の全体像」です。食品衛生行政につきましては、43ページのとおり厚生労働省は都道府県、保健所設置市、特別区と連携して食品衛生法を実施しているということでございますが、そのほかにも食品安全委員会におけるリスク評価ですとか、農林水産省、消費者庁といった関係省庁とも連携しながら、食品の安全確保に取り組んでいます。

44ページ以降が食品衛生法の概要になりますが、食品衛生法では、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止のために、食品の販売禁止措置ですとか、規格基準の策定、あるいはそれらを担保するための監視指導のあり方、体制などについての規定をしています。

46ページ以降ですが、食品衛生法は平成7年、14年、15年の改正を経て今日に至っており、平成15年以降は改正をしておりません。

51ページ以降から食品衛生行政における個別の論点について、資料をまとめています。まず「食中毒について」です。食中毒につきましては、食品衛生法上は、第5条におきまして、清潔で衛生的に行われなければならないということを規定し、54ページにありますように、医師からの届出等に基づきまして保健所で調査の実施、対策に取り組んでいますが、必要に応じて都道府県等や厚生労働省も連携しているということです。

55ページは厚生労働省の食中毒対策ですが、ガイドライン、マニュアル、衛生規範といったものを策定して、その遵守を図っています。56ページ以降、サルモネラ、腸炎ビブリオ、ノロウイルス、カンピロバクター、O157、乳児ボツリヌス菌の各類型ごとに資料をまとめていますが、サルモネラのように対策が功を奏して減少傾向にあるものもある一方、ノロウイルスのように依然としてなかなか減らせないものもあり、対策強化が必要となっています。

62 ページに食中毒対策に関する課。事務局としての食中毒対策における課題をお示ししておりますが、消費者、事業者への適切な注意喚起や監視指導等、あるいはフードチェーン全体を通じた衛生管理の向上が必要であるとしています。

63ページ以降が「農薬について」です。農薬については、食品に残留していると人の健康や環境に悪影響を及ぼすということでリスク管理が必要となります。

67ページですが農薬に関するリスク管理は、生産段階、流通段階、一般消費者へのリスクコミュニケーションという各段階でリスク管理の措置が講じられています。68ページのとおり、厚生労働省では農薬の残留基準値を設定います。69ページですが、平成15年の改正以来、ポジティブリスト制度ということで、リストに掲げられている品目については残留基準を設定し、リストに個別の残留基準が定められていない食品については一律に0.01ppm以下という非常に厳しい基準を設けています。

71ページですが、ポジティブリスト制度に移行した当時に暫定的な基準を設定した農薬が758品目あったわけですが、これを順次本基準に移行し、平成29年8月2日現在、まだ399品目が暫定基準のままになっています。

 残留基準の設定方法については、72ページのとおり、申請を受け、厚生労働省で必要な資料を確認した上で、食品安全委員会にお諮りし、委員会から評価結果の答申をいただいて、厚生労働省で薬事・食品衛生審議会の議を経て残留基準を設定するという流れになっています。

残留基準の内容ですが、ADI、一日摂取許容量という考え方がとられています。74ページのとおり動物試験で何ら有害作用が認められない最大の投与量を算出しまして、それに安全係数として原則として100とし、を使っ無毒性量を100分の1倍して、一日摂取許容量、人がその物質を生涯にわたって毎日摂取し続けても健康に悪影響を及ぼさないと考えられる摂取量を算出するという形になっています。

75ページですが、日常の食事を通じて農薬が実際に摂取される量を推定するということで、一日摂取許容量を超えないように、毎年度順次マーケットバスケット調査を実施しています。スーパー等で売られている食品について平均的な消費量を算出し、それに基づいて摂取量を確認するということを行っており、平成27年度で43物質について調査実績があります。

一方で、農薬の残留基準については国際的に見ると、一日摂取許容量に加えて、急性参照用量(ARfD)が導入されています。人が24時間またはそれより短時間の間の経口摂取によって健康に悪影響を生じないと推定される摂取量がARfDですが、これも順次設定してきています。77ページのとおり現在26品目について、食品安全委員会に諮問中です。78ページですが、農薬の残留基準については、暫定基準の本基準への移行を促進していくこと、また、ARfDを考慮した残留基準を設定していくこと、残留基準値設定方法について国際的な整合を図っていくことが課題であるとしています。

 次に、79ページから「添加物について」でございます。添加物については、81ページのとおり、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物という種類があります。82ページですが、指定添加物についても、農薬と同様に申請に基づき厚生労働省で資料を確認した上で、食品安全委員会の評価結果を踏まえて指定するという流れになっています。

83ページですが、添加物の指定が円滑に進むようにあらかじめ相談に乗る体制も整えておりまして、平成26年から食品添加物指定等相談センターが開設されています。

85ページですが、既存添加物については、平成7年の制度改正当時、国内で既に使用されていた天然添加物が、平成8年4月の時点で489品目ありましたが、これらについて順次安全性の確認を進めており、87ページにその状況をまとめています。489品目のうち、既に国際的な評価がなされていて、基本的な安全性が確認されているものが159品目、入手した試験成績の評価により安全性の検討を早期に行う必要のないものが41品目、基原、製法、本質から見て現段階で安全性の検討を早急に行う必要がないものが150品目、安全性の確認を迅速かつ効率的に行うことが求められているものが139品目ありました。そのうち既存添加物名簿から消除されたものなどがあり、現在では4品目が未評価という状況になっています。

また、食品衛生法では食品添加物公定書を作成することが規定されており、現在まで第8版の公定書が策定されています。現在、89ページのような流れで、第9版の公定書の作成作業が進められています。

90ページですが、国際汎用添加物ということで、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議、JECFAで安全性評価が終了している等の要件を満たしている添加物45品目については、企業からの要請がなくても、国が主体的に指定に向けて検討することとしており、現在45品目中41品目を指定済みです。

91 ページですが、ポストハーベスト農薬ということで収穫後の農産物に使用される農薬については、食品添加物として規制を行っており、92ページのとおり、8品目が食品添加物として指定されています。

添加物に関する課題ですが、93ページのとおり、添加物の指定や使用基準改正について迅速化を図っていくこと、

 一日摂取許容量調査を着実に実施していくこと、

食品添加物公定書の改定を推進していくこと、

ポストハーベスト農薬の指定を迅速に行っていくことを挙げています。

 次に、「遺伝子組換え食品について」です。遺伝子組換え食品については、安全性審査が行われた上で流通しており、98ページにあるような流れで食品安全委員会で安全性審査を行っています。

 現在、安全性審査を経たものは、100ページのとおり、食品では8作物312品種、添加物では11種類27品目あります。また、101ページのとおり消費者庁で表示制度を実施しています。

103ページですが、近年、従来の遺伝子組換え食品とは異なる動物性食品ということで、遺伝子組換えサケが開発されていて、カナダにおいて販売実績も出てきています。さらに104ページですが、遺伝子組換えの技術が進んで、新たなゲノム編集技術が出てきています。遺伝子組換え食品に関する課題としては、105ページのとおりこれまで審査されていない種の遺伝子組換え食品への対応、あるいは新しい遺伝子組換え技術への対応が求められているということです。

 次に106ページ以降が「健康食品について」です。健康食品については、107ページのとおり、消費者庁所管の保健機能食品のほか、それに当たらないもの「いわゆる健康食品」というようなものを含めてさまざまなものがありますが、108ページのとおり、アマメシバ、コンフリーといった健康食品で健康被害事例も発生しているということですので、安全性確保のため、平成17年に通知を発出し、110ページのとおり原材料の安全性を確保してくださいということや、111ページのとおり製造工程管理をきちんとしてくださいということを示すとともに、それらについての第三者認証の仕組みも設けられています。こういった安全性確保の取り組みに加えて、113ページのとおり被害が発生した場合の消費者からの苦情や医療機関からの情報を収集する体制についても、平成14年に通知を発出しています。

 また、健康食品に対する正しい知識の普及啓発が重要であり、114ページのとおり製造事業者からの情報提供、あるいは行政側からの情報提供も行っています。

115 ページですが、食品安全委員会からは健康食品の安全性等について、「『食品』でも安全とは限りません」「『食品』だからたくさん摂っても大丈夫と考えてはいけません」等の19項目にわたるメッセージが発せられているところです。

健康食品に関する課題については116ページですが、健康食品の適正な製造管理のあり方については、従来通知によって運用しているということですが、事業者の把握、監視指導に関して、より実効性のある仕組みを構築する必要があるのではないかということが1点目です。

2点目として、情報収集についてですが、これも通知に基づいて取り組んでいるところですが、事業者のほうで被害情報の把握を適切に行っていないケースも見受けられ、また自治体や医療機関との情報共有もますます必要になってきているということで、情報収集体制の充実強化が必要ではないかということを課題として挙げています。3点目として、健康食品に関する誤った情報ですとか過大な期待というものについて、誤解を招かないような情報提供についての充実強化を課題としています。

 次に、117ページ以降が、「食品中の汚染物質等について」です。食品中の汚染物質といたしましては、119ページのとおり、重金属、カビ毒、有害化学物質、製造副生成物、放射性物質がありまして、これらについて、120ページですが、実態調査や摂取量調査を行いながら、安全性を検証するという取り組みを進めてきています。

121ページに、汚染物質に関する規格基準設定方法を示しており、国際的な基準に合わせて取り組んでいます。

122ページ以降が放射性物質に関するリスク管理についてですが、放射性物質については、123ページのとおり、一般食品ですと100ベクレル/キログラム以下とすることなどの基準値を設定し、それについては125ページにあるような形で自治体で検査を行っています。実際の検査件数等は126ページにありますが、直近ですと322,563件とありますが、そのうち基準値を超過したものが461件ということで、かつてに比べますとかなり減少しています。

 また、128ページのとおり風評被害対策ということでリスクコミュニケーションに取り組んでおり、関係省庁と地方自治体で連携を図りながら消費者に対する情報提供を行っています。

129ページですが、食品中の汚染物質対策については、継続的に重金属等について取り組んでいく必要があることや、放射性物質については風評被害の払拭、あるいは検査のあり方についての効率化を図っていくことを課題としています。

130ページ以降が「BSEについて」です。BSEは牛の病気ですが、これが人の健康にも影響があるのではないかということが示唆されているということで、133ページのとおり、飼料の中に肉骨粉が混入しないような禁止措置を講ずること、死亡牛の検査、あるいは特定危険部位の除去、そしてBSE検査を行うということで取り組んでいます。

134ページですが、世界のBSE発生件数の推移を見ると、各国が対策に取り組んできた成果として近年では症例報告が大幅に激減している状況にあります。

135ページ以降では、各国のBSE対策等をまとめています。

 課題としては、141ページのとおり国内外のBSEリスクが低下していることから、国際的な基準や動向を踏まえて、現在のリスクに応じたリスク管理措置に見直していく必要があるとしています。

 最後に142ページ以降が「リスクコミュニケーションについて」です。リスクコミュニケーションについては、143ページのとおり食品安全基本法や食品衛生法で規定されており、食品安全を図る上で非常に重要です。

144ページのとおり、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、消費者庁がそれぞれの立場で、各省ごと、あるいは連携しながら取り組んでおり、具体例として、145146ページのとおりホームページ、ツイッター、政府広報、あるいはシンポジウムの開催などを実施しています。

147 ページですが、情報発信について十分に消費者の皆様に届いていると言えない部分もありますので、発信方法、発信内容についてさらなる工夫が必要ではないかということを課題としています。

 事務局からの説明は以上です。○川西座長 ありがとうございます。

 ただいまの説明、資料も含めて、委員の先生方から御意見、御質問などをいただきたいと思うのですけれども、いずれにしても、これはかなりたくさんのことを扱っているので、きょうは3つの段階で御意見を伺おうと思います。全部の範囲について聞くとデビエートして、御意見をまとめにくいかと思いますので、とりあえず3つに区切ってと思っています。

 まず最初は、一番最初のところから「食品衛生行政の全体像について」というところ。その後、各論に入るかと思いますけれども、そこまでのところ。スライド50枚目までのところで皆様方から質問あるいは御意見を伺いたいと思います。ここまではこの資料のバックグラウンドと言っていいような内容かと思います。さて、いかがでしょうか。そこの範囲でしたらどこに関してでも結構ですので、御発言いただきたいと思います。どうぞ。

○片野構成員 日本生協連の片野です。

 食中毒の事件の件数とか患者の数など経年的にグラフになっていて、この間のことがよくわかるなと思いながら見ておりました。ただ、スライドの38を見ますと、食中毒の潜在的な患者数が推定ではかなりいるのではないかということが書かれています。そのようなことを考えると、その後、病原菌別に、例えばカンピロバクターとか腸管出血性大腸菌とか、そういう形で発生状況と対策ということを書いていらっしゃるのですが、それをそのまま受け取っていいのだろうかと疑問に感じました。今後の課題になることかもしれませんが、食中毒統計のとり方自体も今後の課題として考えてもいいのかなと思いました。正確な数字があってこそ、実際の形で対策がよいかどうかというのが検証できるかなと思いましたので、ちょっと御検討いただければと思います。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 今の御質問なのですが、私もいろんなところで聞く質問なのですけれども、こうやったらというアイデアはございますか。特にないですか。そもそもこの資料自体が正確な数字を捉えていないのではないかということだから、何か工夫してもう少し実数を捉えたらということですね。具体的にこうしたらというようなアイデアを。

○片野構成員 いや、私自身はどのようにしてこの数字の積み重ねをしているかの詳細がわからないので、具体的なアイデアはございません。

○川西座長 わかりました。

 重要な御指摘だと思いますけれども、厚労省側から今の段階で答えられることはございますでしょうか。

○道野食品監視安全課長 食品監視安全課長の道野です。よろしくお願いいたします。

 食中毒統計というのを通常厚生労働省のほうで公表していて、後ろの資料でも例えば腸炎ビブリオとかサルモネラの食中毒の減少ということで、これが基本の統計になっています。ただ、この統計につきましては、統計としての限界というのがございます。それはなぜかといいますと、食中毒事件そのものが例えば患者様、またその疑いのある方を診定された医師の方が保健所長に届け出る、もしくは保健所が探知するということによって調査が始まるわけです。

 逆に言うと、医療機関を受診しなかったり、もしくは医療機関を受診しても、結果として届け出がされなかったケースというのも実際にはあるわけです。だから、そこの数字のラグ、差ができてしまうということがあって、では、実際にどれだけ起きているのかということをちゃんと把握する必要があるではないかということで、38番の資料は厚生労働科学研究で研究をかなり長期的にやってきたものでありまして、手法としては、全国ネットの臨床検査機関3機関に御協力をお願いして、医療機関等から送られてくる臨床検体について、どれぐらいの食中毒菌を検出しているかというところから、地域のカバー率を考慮して全国推計しています。これは推計ですので、誤差が非常に多く、数百から数千倍とかなり誤差の幅があります。

 私どもとしては、これは去年あたりから使い始めている数字で、食中毒統計とこの推計をそれぞれうまく組み合わせて、その目的に応じて施策を検討していくという意図で出させていただいているものであります。

 ただ、食中毒統計のほうは、集団事例に関してはおおむね把握できているのではないかと考えています。ただ、小規模とか散発性の事例についてはとりにくいところがあるというのが特性だと考えております。

 以上です。

○川西座長 ということは、今、委員のほうから御指摘があった点については、次は具体的にこういうことを踏もうということは特段にはないと。

○道野食品監視安全課長 そうですね。我々としては、まず食中毒統計としては限界をどうカバーするかということでこの研究をお願いして、こういうデータを出していただいたということです。まずはこの2つのデータを使いながら今後の施策というものを考えていきたいと考えています。その上で、不具合が出てくるということがあれば問題点をどう解決するかというのをまた整理していきたいと考えています。まずはこの2つのデータというものをもとに検討させていただければと考えています。

○川西座長 ありがとうございます。

 片野構成員、よろしいですか。

○片野構成員 はい。

○川西座長 わかりました。

 では、森田構成員、どうぞ。

○森田構成員 今の御説明でわかったのですけれども、1つ、アメリカの食中毒の統計方法は日本の手法とは全然違うやり方で、患者数を一定の割り増しということで、例えば七千何百万とか、そういう数字になっていると思います。そういった統計手法を講じて、毎年毎年アメリカでは公表しているわけですが、日本の場合は、食中毒の発生状況の患者数、数万というほうばかりになってしまって、38ページのような統計手法で、実数はもっと多いのだよということがとても伝わりにくい。例えば今回の資料に関しても、こうやってまとめてやったり、食中毒の病因物質も限られているというところがあると思います。

 私自身の経験ですが、子供たちがサンドイッチを食べた後、2人とも同じような症状で嘔吐・下痢をして、すぐに病院に連れていったのですけれども、これは食中毒だと思うからとお話をしたときに、保健所にちゃんと通知してくれなくて、この付近の飲食店ではよくあるのだよ、どこで食べたのということを聞かれたことがありまして、なかなか数字としては挙がりにくいのかなと思いました。

 今、O157のことで家庭においてもいろいろ注意するようにと言われているのですが、そこがぴんとこないのは、家庭で食中毒という数字の実数が挙がってこないので、そこが自分たちのことというふうになかなかなってこない。

 食中毒統計も若い人の外食が多いということですが、飲食店の利用などである程度数が出てきたときに初めて出てくる統計だと思います。実生活での注意というところとちょっとかけ離れているところがあり、例えば米国の手法のようなやり方で毎年こういう数字もあるということを公表するとか、そういうふうにして情報発信をしていただければ、自分たちの身近な食中毒のリスクというのを感じられるのではないかと思います。

○川西座長 今の御意見に対して、何かございますか。

○道野食品監視安全課長 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、我々は、政府公報などで使っている数字、食中毒患者数2万人という数字を出しておりまして、2桁、3桁違いますよというのをどこでどういう形で使っていくかというのは、我々も今、検討をちょうどしているところであります。

 米国との手法の違いということで言えば、それぞれもとになるデータが違うということはありますけれども、考え方としては、推計の方法は基本的には同様な考え方でやっていますので、人口比を考慮すると、そんなにアメリカと大きな差はないのではないかと計算できるのではないかと思います。この数字の使い方については、おっしゃるとおり、リスクコミュニケーション、特に消費者への注意喚起ということで、我々としても十分活用したいと思っています。

 具体的な使い方については別途検討し、また御意見もいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○川西座長 ありがとうございます。

 ここまでのポイントは、ここの資料に対する質問が多くなろうかと思いますけれども、ほかに何かございますか。聞いておきたいこと。どうぞ。

○花澤構成員 43ページのスライド、地方厚生局というところがどういう業務をやっているのかということですが、最近のO157の事案でも広域的な事案になっていくわけです。一都道府県の一保健所で対応するような案件でなくて、流通も広域化していますし、いろんなチェーン店があったり、いろんな中で都道府県をまたがるというか、たくさんの都道府県を範囲とするような事案に対して、我々消費者、一般国民としてなかなか全体像がよくわからないというときに、地方厚生局というのはどんな働きをするのかなと思って見ると、マル総の承認と監視等と書いてあって、保健行政というのは全部地方自治体がやっていてという感じになっているのか、その辺のことを知りたいと思います。

○道野食品監視安全課長 地方厚生局の主な事務といたしましては、総合衛生管理製造過程の承認とか、関係施設への立入検査とか、登録検査機関の登録、登録後の立入検査。要するに、検査を間違いなくやっているかというチェック。さらに、最近は輸出関係の証明書の発行とか輸出施設の登録ということが主な業務になっています。

 御質問の食中毒の発生時の関係でございますけれども、食中毒、特に広域食中毒という場合は、行政で考えているブロックとは関係なく発生するものですから、広域という場合に、地方厚生局をどう位置づけるかというのは難しいところがあるのですが、例えば1カ所で大規模食中毒が出ているという場合に、地方厚生局から県庁のほう、もしくは保健所のほうに人を派遣いたしまして、厚生労働本省との連絡調整であるとか、地方自治体サイドとの連携作業であるとか、そういったことをやっております。

 広域に関しては、1つの厚生局のブロック、担当範囲内だけとは限らないものですから、基本的にこういったものについては全国データを私どもの食中毒の担当室のほうで集約して、主にメールとか電話会議とか、そういった形で地方自治体との調整をやっている。もちろん、必要なときには実際に集まってもらって会議をするということも現実にはございます。

○川西座長 よろしいですか。

○花澤構成員 はい。ありがとうございます。

○川西座長 ほかにございますか。

 では、ここまでは大体質問になろうかと思いますので、その先に進ませていただきます。次は、資料の51枚目「食中毒について」というあたりから「遺伝子組換え食品について」、105枚目まで、御意見あるいは御質問を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○平沢構成員 産経新聞の平沢です。

 食中毒のところです。先ほどの43ページの表とも絡むとは思うのですけれども、厚労省と都道府県の担当、都道府県と保健所というのがあるのですが、都道府県同士の横の連携がうまくいっていない印象があり、広域で起きている場合は情報が伝わりにくい気がするのですが。横の連携はどういうふうになっているものなのでしょうか。

○川西座長 先ほどの件と関連した質問かと思いますが、いかがでしょうか。

○道野食品監視安全課長 御指摘の都道府県の境界線を越えて患者が発生する食中毒というのはございます。自治体数で言うと144という自治体がそれぞれ食品衛生法の施行をしているという状況ですので、それぞれの管轄区域で起きた食中毒は、それぞれの自治体の保健所が調査するという仕組みになっております。そういったことで、現行の制度の中では、食中毒が発生したときに、例えば今、出ていますようなO157とか、特定の原因によって起こるものであるとか、患者数が50名以上発生したようなものとか、一定の注意を払うべき食中毒に関しては速報するという制度を法令で定めておりまして、私どものほうに速やかに報告していただく。

 報告された情報を今度は全国ネットで、これもシステムで共有していくということで、自治体の数は多いですが、そういったシステムも活用して発生情報の共有ということを図っておるところであります。

○平沢構成員 それは厚労省に報告すると同時に他の自治体にも流すのではなくて、厚労省に上げた後に流すということですか。

○道野食品監視安全課長 ファックスでやっているわけでなくて、システムでやっていますので、上げられたものはこちらでも見られるし、全国の自治体も見られるようになるということです。

○平沢構成員 わかりました。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 食中毒についての関係で、これは資料のつくり方かもしれませんけれども、今のタイミングで乳児ボツリヌス症までが挙がっていて、あと考えなくてはいけないこととしては、ほかにも例えばE型肝炎の話とか、私の記憶だと、食品衛生分科会でもジビエの話が出たりとか、そのあたりは今回の食品衛生法の改正とは直接結びつかないかもしれませんが、その辺をこの資料に入れていないというのはどういうことなのかということを伺いたいのですけれども。

○道野食品監視安全課長 ちゃんとした理由があるかと言われると困るのですけれども、食中毒の一般的な情報として資料は作成させていただいたということです。

 御指摘のE型肝炎、特にこの場合はイノシシの肉とかそういったものが原因になっているという指摘もございますし、もちろん感染症法で患者の把握、さらに食品が関連する場合には食中毒の調査もやっておるわけでございます。また、ジビエに関しても、もともと食肉処理業の許可を受けた施設でなければ解体ができないような制度もございますので、そういった内容について整理させていただいて、次々回に準備をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。どうぞ。

○横田構成員 千葉大の横田です。

 今のタイミングかどうか、むしろ後ろのリスクコミュニケーションの観点なのかと思ったのですけれども、ジビエの問題であるとか、あるいは乳児ボツリヌス症のように、食経験のばらつきによって、ある人にとっては非常に古くからある食品であると。ただ、ある人にとっては新規の食材であると。そうしますと、新規の食材のおいしそうな情報だけが先行して流れてしまい、それに乗って試してみたら、実は危ない情報がくっついてこなかったというタイプのものがあります。

 学生等に教えておりましても、ボツリヌス症であるとかBSEの問題は、歴史の話に属してしまって、まさか新規のリスクだと思っていなかったという例もありますので、この辺はどういう形でここで議論すべきかということも含めまして問題関心を有しているということであります。

 特にカンピロバクターとかアニキサスとか、言葉は知っていても、どういう場合にどういうリスクがあるのかについて全く知らないという方がかなりいらっしゃるように思いますので、それは調理側もかなりあるのではないかということです。

○川西座長 ありがとうございます。

 主体はどちらかというとリスクコミュニケーションという感じですけれども、ただいまの御指摘に対して、厚労省から何かございますでしょうか。

○道野食品監視安全課長 個別の話で申し上げますと、乳児ボツリヌス症につきましては、かなり前に一度そういった問題があって、注意喚起をしていた。業界のほうも自主的に表示をするという対応がとられていたわけですが、時間がたって、御指摘のように、世代が変わっていくことによって、今のお母さんの年代とか、その関係の方々の年代には、余り知られなくなっていた。リマインドが必要な情報だったということを我々も感じておりますし、ことしの5月にそういったことで対応もさせていただいたという経緯でございます。

 ただ、BSEについては、非常に大きな問題だったということもあって、その後の現行のリスクの評価とか、その評価結果に即した対応ということについては、行政課題としてはまだ残っています。ただ、非常に教訓の多かった問題でもありますし、こういったものについて、どういう形で情報として更新していく、伝えていくかということは十分考えなければいけないことだと思います。

 カンピロバクターとかアニサキスとか、いろいろな食中毒の原因が出てきて、我々も情報発信には努力をしているのですが、まだまだ足りないところがあると思います。先ほどの説明にありましたように、政府公報とかホームページとかツイッターということもやっておるのですが、まだまだ足らないところがあると思いますので、その辺については、媒体とか対象というものについての考え方等につきましても御助言いただければありがたいと考えます。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。どうぞ。

○桑崎座長代理 食中毒対策について少しお話しします。これまで対策が非常に進んで効果が上がった例として先ほどサルモネラと腸炎ビブリオの話がございました。両方とも規格基準の設定というのが大変重要なのですが、生産段階との連携を十分確保した対策の強化ということが功を奏したのではないか。腸炎ビブリオも、そういう意味でいくと、海水の使用の制限ということもありましたから、生産段階とその以降の段階との連携を十分に強化するということで対策の効果が上がるのではないかと思います。

 今、カンピロの話もかなり議論になっておりますけれども、なかなか難しいとは思いますが、生産段階との連携を今まで以上に強化するということで、少しずつでも対策を進めていただければいいのではないかと思います。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 ただいまの点について、何かコメントございますか。浦郷委員からどうぞ。

○浦郷構成員 基本的なところをお伺いしたいのですが、けさのニュースでO157で女の子が亡くなったということで、店頭で大皿に盛りつけた総菜のところで、トングがきちんと仕分けされていなかったのではないかという話がありました。食中毒のところで、調理の段階とか原料の段階はすごく規制があるのですけれども、販売の段階での規制というのがよくわからないので、きちんとされているのか教えていただきたいと思います。

○川西座長 いかがでしょうか。

○道野食品監視安全課長 食品衛生法の規制対象ということで申しますと、もちろん製造加工とか運搬とか保管というのもあるわけですが、販売についても営業の範疇として規制の対象になっています。もちろん規格基準等が設けられていたり、それからおっしゃっているような食中毒菌、要するに、病原微生物に汚染された食品の販売というのも当然規制されています。

 実際におっしゃっているようなトングという問題がどうなのかということなのですが、我々のほうでも調べておるのですけれども、かつてO157の食中毒でトングを介した食中毒が過去にあったかということを感染症研究所のほうにも確認していますが、今のところそういった事例は過去には見当たらないというのが現時点のことでございます。

 ただ、前橋市の例も含めまして、発生しておりますO157の食中毒につきましては、原因調査中というのが多くの自治体の対応でございますので、調査結果がまとまり次第、私どもとしても必要な予防策というものについて検討してまいりたいと考えております。

○川西座長 ありがとうございます。

 よろしいですか。

○浦郷構成員 はい。

○川西座長 では、中村構成員。

○中村構成員 農薬、添加物、遺伝子組換え食品に共通の話なのですが、基準をつくっていただくと同時に、それをチェックするための検査法が非常に重要になってくるかと思うのですが、我々自治体としては、できるだけ簡易で、迅速に、欲を言えば安価にできる検査法が望ましいと思っていますが、その辺の開発について国のお考えがあれば、お聞かせ願えればと思います。

○関野食品基準審査課長 食品基準審査課長の関野でございます。御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、基準をつくれば、その基準にきちんと適合している食品あるいは農産物が出回っているかどうかを確認するためには、試験法あるいは分析法がセットでなければ、きちんとした管理ができないということだと承知しています。

 そういう意味では、一般的な試験法ですべからく、例えば農薬であれば汎用性の高い試験法で検査ができるということであればいいのですが、たまにそういうものばかりでもないという中で、個々の試験法の開発に関しては非常に苦慮する場合があるということでございます。

 ただ、基準をつくる過程におきましてさまざまなステップがあるわけでございますが、リスク評価を行い、そして基準を厚労省のほうでつくりという一連のスケジュールの中で、試験法に関しましても基準設定ということを先に見越して、早目早目の試験法あるいは規格づくりといったものに着手しようという気持ちは持ってございますので、そこは今の御要望を踏まえまして、できるだけ基準値の設定と乖離するタイミングではない時期にタイムリーにやっていきたいと、これからも努めていきたいと思っております。

○川西座長 ありがとうございます。

 これは私が勤めている国立衛研のお仕事とも言えることなのですけれども、そのあたりは東京都のほうともいろいろ協力させていただいているところですから、その辺はこれから積極的にやっていくということになろうかなと私個人は思っているところです。

 ほかにございますか。

 食品添加物の関係で93枚目。これも手前みそで大変申しわけないのですが、食品添加物公定書というのがございまして、今、第9版の完成直前ぐらいかと思いますけれども、意外と難航しているように見えているのです。ここで最後に「体制の強化を図る必要がある」というまとめ方をしているのですが、具体的に言うと何をお考えになっているのかなと思って、もしあればお聞きしたい。職場に帰って厚労省はこんなによく考えてくれていると報告できるのですけれども、いかがでしょうか。

○関野食品基準審査課長 ありがとうございます。

 公定書の関係の資料で具体的に申し上げますと、スライド番号8889といったところが関連の資料になるかと思います。

88にありますとおり、公定書というものの中には基準あるいは規格、試験法といったものが示されておりまして、個々にどういった方法で試験すればきちんと規格が守れるかどうかの確認ができる等々、これが添加物が流通する上での標準にもなりますし、またこれがなければきちんとした監視もできないということにもなってくるものでございます。

 つくり方が次の89にありますけれども、今の座長からの御発言は、国立医薬品食品衛生研究所の体制の強化につながるようなことを考えているのではないかというようなことかもしれませんが、この作成に当たっては、国衛研のほうに御協力、御尽力いただいていることになってございまして、体制の強化ということで、今、具体的に空約束は何もできないわけでございますけれども、先ほどの話と同様、基準値の設定と同時に、添加物の場合ですと、この公定書の中に示されます試験法等が基本的に品質の確保にも重要な部分になってございますので、人的あるいは財政的、全ての可能性を視野に入れながら今後相談をさせていただいて、できるだけ速やかに公定書の作成が進むようにしていくということが今の段階で言えることではないかと思っております。

○川西座長 担当している者から聞いていることとしては、公定書の改定作業の作成検討会というのがアドホックに。9版が終わると、10版が始まったときにまた始まるという形をとっているのだけれども、これを恒常的にやっていくようなことにしてもらえないかとう希望が出されていますので、個別具体的になって申しわけないのですが、ちょっとお伝えしておきたいと思います。

○関野食品基準審査課長 ありがとうございます。

 その点に関しましては、第8版から第9版の間の作成に、8版までつくってきたスケジュールのスパンと違って少し時間を要していたという部分がございまして、次なる10版に当たっては、ある程度先を見越して、お願いする国衛研の先生方にもある程度計画的に近い将来を見越してスケジュール管理をしていただく必要もあろうかと思っていまして、準備を整えるという意味も含めて、ある程度見通しを立てて、計画的に恒常的に回していけるような一定のサイクルといったものは決めていければ良いと思っていまして、10版におきましては、それを考えているところでございます。

○川西座長 ありがとうございます。きょうの収穫として伝えることができます。

 どうぞ。

○片野構成員 関連することで意見です。食品添加物というのは食品に意図的に使用する物質ですから、安全性が担保されているという前提で使うというものです。そういう意味ではグレーな部分はできるだけ小さくして整備している、そういう仕組みにしてほしいなと思っています。先ほどのお話にありましたように、規格基準をきちんと整備する、公定書を整えていくということなどもぜひ力を入れてやっていただければと思っております。

 指定添加物についても、かなり古い段階で指定されたものについては、十分安全性審査がされていないというものがあると聞いております。このあたりについてもぜひ検討してほしいと思っております。

 消費者は食品添加物が気になるという人もいますが、きちんと整えることによって信頼性も向上していくのではないかと思います。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

○関野食品基準審査課長 ありがとうございます。

 順不同で申し上げますと、指定添加物に関して、時期が来れば何らかの見直しも含めてというお話だと思いますけれども、指定した後、さまざまな国内外の動きを見ながら、海外であれば、さまざまな基準値の変更、指定の内容の変更があれば、それは随時タイムリーに追っかけまして、それを遅滞のないように国内でも検討していくといったことはこれまでも、あるいはこれからもやっていきたいと思っております。

 公定書等について作成に力を入れてほしいということに関しましては、激励と受けとめさせていただき、頑張っていきたいと思っております。

 国民への理解というお話もございましたが、確かに添加物は、現状の食品に対して必要なものとして、添加量等を守った上で使っているという状況がございますので、そういった正しい理解というものも積極的な機会を通じまして、先生方の協力も得ながらやっていければいいと思っております。

 以上でございます。

○川西座長 よろしいですか。

 ほかにございますか。どうぞ。

○横田構成員 後ろのほうに行くと、私、規制とかの担当なのだと思いますので、関係してくるのですけれども、105ページの「遺伝子組換え食品に関する課題について」を拝見していたのですが、「GMサケ等」とあるのですが、これまで遺伝子組換え作物として規制等がかかっているものについての概要の確認と、GMサケ等が現状ではどういう状況になるのでしょうか。新規に出てきていますけれども、販売できるということなのでしょうか。それとも販売できないから問題だという意識なのか。その辺をもう少し教えていただけますでしょうか。

○森田新開発食品保健対策室長・食中毒被害情報管理室長 新開発食品保健対策室でございます。

 組換え食品の規制につきましては、スライド96のところになります。対象につきましては、この法令上の規制の中では、特に動物とか植物といった形の制限はございませんので、サケについてもこの規制の対象内になるということでございます。

 一方で、サケにつきましては、基準の中では厚生労働大臣が定める安全性の審査の手続を経た旨の公表がなされたものでなければならないとなってございますので、サケについて特に審査を行っているものではございませんので、今、我が国に入ってきた場合には基準違反ということで対応することになるということでございます。

 サケにつきましては、今、米国とカナダで安全の観点から流通は認められているということでございますけれども、米国ではまだ流通をせず、カナダでは流通が認められたという情報があったというところでございます。

 以上でございます。

○川西座長 ありがとうございました。

 よろしいですか。

○横田構成員 はい。

○川西座長 ほかにございますか。

 私からもう一つ。嫌な質問と思われるかもしれませんけれども、農薬関係で何も出なかったようですが、農薬についても一般の方たちも含めて大分理解が深まっていて、このスキームはうまくいっているようには思っているのですけれども、例えばネオニコチノイドなどはまだいろんな意見が出てきて、この前の食品衛生分科会などでも結構長時間の議論になったようなものがありましたが、そのあたりについてどのように考えているかを聞かせていただければと思います。

○関野食品基準審査課長 ありがとうございます。

 今の御質問に関連して、説明の際に見ていただくといいと思いましたのは72番のスライドになるかと思います。72番のスライドのほうで基準設定の流れと書いてございまして、今、御指摘のネオニコチノイド系の農薬に限らず、全ての農薬がこの手順を踏むわけでございますが、国内におきまして、国内の圃場等での農作物別の残留試験の結果を見て、さらにはその農薬を動物等に使った場合の試験成績もあわせ見、そこから毒性が出ない量というものを導き出して、次の何枚かのスライドに書いてありますが、ADI等を導き出しているといった仕事をまずした上で、摂取量を勘案して、あるいは残留量というものを加味した上で基準値を設定しているという流れを踏んでおります。国内におきまして、農作物を含めた食品としての摂取量を勘案した上で、基本的にその基準値を守っていただければ十分安全は担保できるといったところに設定されていると思います。

 ただ、一方で、そういった国内の試験成績、あるいは国内の摂取状況、あるいは残留試験の結果、そういったものに基づいて設定されている基準値というものが、海外と比べた場合に、その値だけ、数字だけ見ると違っていた場合、特に日本国内での基準値が海外のものよりも大きな値になってきた場合には、比較的規制が緩いのではないかという御指摘があるところでございます。それに関しましては、それぞれどういった根拠でその基準値が導き出されているかということをきちんと説明し、さらには動物試験の成績も含めて、どこの所見を重要視するかといったところに関しては、それぞれの国際機関で判断が異なる場合もあるといったことも含めて、中身をきちんと説明することによって、導き出された結果の違いというものに関して御理解いただくということを、厚生労働省のみならず、食品安全委員会も含めてやっているということでございます。消費者庁も含めましてリスコミでも農薬をテーマにした機会を設けておりますので、その中で理解していただくということを続けているところでございます。

○川西座長 ありがとうございます。

 遺伝子組換えの食品のところまででほかに何か。どうぞ。

○平沢構成員 これは課題というか、ゲノム編集のことで懸念があります。というのは、従来の遺伝子組換え作物についてきちんと理解していない人が多い印象があるものですから、ゲノム編集技術については誤解が広がらないような対応が必要かと思います。今回、何かできるということではないと思うのですが、これまでの遺伝子組換え作物と非常に通じるものがあるので、リスクコミュニケーションを間違わないようにしてほしいなという意見です。

○川西座長 今、先生がおっしゃっているのは食品に関してですか。

○平沢構成員 そうです。遺伝子組換え作物は、今、普通に油などでも使っていますが、危ないという印象を持つ人が多いなど正しい理解が進んでいないのが現状です。ゲノム編集についても、出始めのときにきちんとコミュニケーションをやらないことで誤解が生じるのは嫌だなと思ったので、そこだけ言わせていただきました。

○川西座長 いかがでしょうか。何かお答えがありますか。これはひょっとすると食品安全委員会などとも関係する話になるのかもしれないですね。

○関野食品基準審査課長 実際にどういった食品に対してゲノム編集の技術を使うかということを我々もしっかり確実につかんでいきたいと思いまして、編集の仕方というか、使い方をきちんと理解して、その上でリスコミの中で説明等はしていく必要があると思っています。そのあたりの実態、どんな取り組みが現在行われているかということは、部分的には聞いておりますけれども、全て網羅しておりませんので、どこまで踏み込んだ形で遺伝子に対して、あるいは細胞なり組織に対してどういったものがそこからつくり出されてくるかも含めて、把握する時間を少しいただければと思っております。

○食品安全委員会 食品安全委員会の評価第一課長の吉田でございます。

 ただいま食品安全委員会かもという座長からの御指摘がありましたので、お答えさせていただきたいと思います。ゲノム編集技術を応用したものも含めまして、食品安全委員会につきましては、いわゆるリスク管理機関からリスク評価の要請がございましたら、私どものほうで健康評価を行うという形をとっております。ゲノム編集でも同じ対応をするわけでございますが、その際に、これまでの農薬あるいは添加物の食品健康評価と同様に、評価を行った内容につきましては、当然一般に公にいたしますので、そういったものを十分見ていただき、かつそれを踏まえたリスクコミュニケーションを私どもとしてもしっかりやらせていただくという形をとらせていただくことによって、構成員御懸念のようなことがないように私どもとしてもしっかりやらせていただければと思っております。

 以上でございます。

○川西座長 ありがとうございます。

 参考情報ですけれども、私どもの研究所の所員も、ゲノム編集でつくったようものをどうやって検出するかということをテーマにして研究し始めていますから、そういう意味と、あとは恐らく大丈夫だと思うけれども、安全性にどういうインパクトを与えるか。その両面の情報をきちんと整理する必要があるのではないかと思っていますが、いきなり行政で何かはっきりとしたものを出せというのは、まだちょっと早いかもしれないですね。研究レベルでそういう対応をとっておりますので。

 ほかにございますか。

 では、ないようでしたら、残り、健康食品から、最後のリスクコミュニケーションは総論的な部分もありますけれども、ここまで。きょう事務局のほうから御説明いただいたところまでで御質問でも結構ですし、御意見でも結構ですので、いかがでしょうか。どうぞ。

○森田構成員 健康食品についてということで、いろいろな資料があり、最後の116ページのところに今後の課題が示されております。しかし、平成17年の通知とか平成14年の通知ということであるのですが、ガイドラインということでは対策として十分ではないと感じることがあり、この点について規制の見直しを求めたいと思います。

 といいますのは、今、健康食品のリスクということで考えますと、14年前の2003年の食品衛生法のときには農薬がポジティブリスト化になって、化学物質関係でいろいろなリスクアナリシスということで進展したという思いがあるのです。消費者も14年前というのは、食品衛生法改正に関しては、それこそ消費者団体が1,400万通の署名を集めて、食品衛生法改正ということを言ってきたということで、その当時、添加物、農薬に関して懸念が多かったと思います。

 ところが、リスクの研究等が進むにつれて、消費者には健康食品のリスクという懸念が今、大変多いのではないかと思います。先日もプエラリア・ミリフィカを含む健康食品ということで、薬事・食品衛生審議会の新開発食品評価調査会がございましたが、その中でも今後の論点についてということで、116ページと同じスライドが出てきたかと思います。そのときに、プエラリア・ミリフィカについては、国民生活センターのPIO-NETに寄せられたさまざまな健康被害の事例があり、厚労省も調査をして、保健所からいろいろ寄せられた健康被害があるにもかかわらず、指導の強化とか情報収集、処理体制の充実強化というところでの対応ということでまとまったように思っております。

 ところが、事業者にその指導がちゃんときいているかということは、その後の通知もまだ出ていないのでわからないのですけれども、販売自粛という方向に行くのかなと思っていたら、9月に入っても新製品が出てきたりしています。消費者としてプエラリア・ミリフィカについて気をつけるというような知識の普及啓発以上に、情報、通信販売でのいろいろな情報発信とか、健康食品のSNSとか、そういう宣伝とかがさかんです。一般の人はこういった注意喚起よりも、こんなに有効性があるのだというところばかりを見るようなところがあると思います。そういったものに対して、平成17年の通知というものだけではやはり緩いのではないか。

 そもそも平成15年の改正のときに7条で、ノベルフーズということで、新開発食品の販売禁止というところで、販売禁止となったわけですが、その後、アマメシバに関してはそれがあったかと思いますけれども、プエラリアに関しては、そういうこともいまだできません。指導ということですし、プエラリアの場合は、女性ホルモンの高い活性のものでいろいろな健康被害が懸念されるわけですが、ほかにも同様なものがあると思います。その中で、錠剤カプセルに関して、こういったガイドラインとかGMPの話というのは、義務化にするぐらいの強制的なものにしてもいいのではないかと考えております。

 今後、健康食品に関しては消費者に対する新たなリスクということで、規制の強化と法制度の見直しということを求めたいと思っています。

○川西座長 ということですが、いかがでしょうか。

○関野食品基準審査課長 ありがとうございます。

 今、御意見の中にも出ました具体的な事例のプエラリア・ミリフィカに関しては、昨今薬食審の調査会の中でも議論している部分でございまして、そこから我々も感じましたのは、一つは製造段階におきまして事業者も含めて、製品に関する情報を持っていない、あるいは知らないという部分もわかりました。加えて、製品の中に含まれている成分・含量がどのぐらいかといったところも、なかなか情報量が足らない、わからない、調べていないといったことがわかってきたと理解しております。

 加えて、そういった情報自体が不足するわけでございますけれども、限られた情報の中で発信の仕方に関しても十分ではないということも言えますし、また、我々もどういう対策を考えたらいいかと思う場合に、入ってくる情報がどのぐらいきちんとした質を持っていて、確実な内容かどうかも含めて我々としては欲しい部分でございまして、製造される段階での製品に関する情報、含まれる成分自体が持つ性質というものに関する情報、さらにはそれを使用した場合に起こった何らかの体調の変化に関して、それがその物質とどのぐらい関連するのかといった、いわゆる人に関係するような情報。いずれも十分入手しようと思ってもなかなかできないという状況がございますので、この情報の流れに関しまして、収集とか報告のところに関しましては何らかの方法があるといいなと受けとめておりまして、今いただいた御意見を含めて、実際に制度の中でどのような形ができるかということはこれから考えてまいりたいと思います。

○川西座長 どうぞ。

○森田構成員 情報の収集という点においては、健康被害の収集ということで強化するというお話があったかと思いますけれども、情報の収集をして、その質をどういうふうにするのかということに対して、厚労省の調査で保健所、各地方から集まった情報が二百数件あったかと思いますし、国民生活センターのPIO-NETでも健康被害があったかと思いますが、そこをきちんと精査するというところの振り分けができていないので、せっかく集まったいろんな症例も結局、何ら規制に使えないという状況があるのではないかと思います。

 そういった中で、情報収集の仕方ももちろんですけれども、せっかく17年の通知があって、自主点検などもあって、こういうものに対してできていないことがわかっているのに、何もできないという状況というのはどうか。国民の健康ということを考えていくと、食品衛生法の中で、7条のところも含めて、そこの部分は、既にさまざまな被害があるけれども、そこの質がわからないからといってできないのであれば、大きな事例、アマメシバのときのような事例が出るのを待たなければいけないということになるような気もします。因果関係がわからないものもあるかもしれませんので、錠剤やカプセルのようなものに関しては、別途ここの部分で17年のこういう形をもう少し発展させて、GMPの義務化ですとか、自主点検をもう少しきちんとさせるとか、強化してはどうでしょうか。先ほど地方厚生局などの話もありましたけれども、もう少しそこを強化するような仕組みを、今度の改正に関して新たに入れていっていただきたいと思っているのです。

○川西座長 関連ですか。

○横田構成員 関連です。

○川西座長 どうぞ。

○横田構成員 今のやりとりを聞いていて、規制の手法論について少し考えてみたのですが、おっしゃるとおりで、7条の規定が今までどのように使われてきたのか。アマメシバの事例だけでしょうかというのが確認です。

 その上で、これを本当にやろうとすると、今の森田構成員のお話にも2つの観点がありまして、新規でまだ毒性等がよくわかっていないから生じる問題なのか。これは7条がある程度捕捉しているはずですが、そちらの問題なのか、あるいはカプセルや錠剤のような形で加工されてしまうと、それについての製造管理等がきちんとなされていないことによって、摂取量の調査すらできないというような管理の問題の話なのかをある程度切り分けて話をしないと、例えば農家でつくった黒ニンニク、そういう健康食品まで対象なのですかというような誤った印象を与えてしまうと、それはそれでリスクコミュニケーションの失敗がまた起きてしまうと思います。

 ですので、規制強化に動く場合にも、まずプエラリア・ミリフィカの事例について、どのような問題がどのように生じたのかについて一度ここできちんと議論した上で、どのような対策、比例原則にのっとった目的と効果に照らして適切な内容になっているのかということをある程度議論しないと、ちょっと難しいのかなと思うところもあります。こちらは意見です。

○川西座長 ということですが、厚労省側から何かありますか。

○横田構成員 まずは、今までの施行状況、7条関係の状況について少し教えてください。

○森田新開発食品保健対策室長・食中毒被害情報管理室長 食品衛生法第7条で適用された事例といたしましては、この資料にあるとおり、108ページのアマメシバの事例でございます。適用した事例としてはこの1件ということでございます。

○横田構成員 被害が発生したという一報が入ってからこの命令が出るまでどれぐらいかかったか。今、資料はございますか。

○森田新開発食品保健対策室長・食中毒被害情報管理室長 これは調べないと、すぐは。

○横田構成員 健康食品について集中的に審議する段階があれば、7条が機能的に動いているかどうかについて、厚労省の中とできれば保健所関係の観点から、7条についてどのような理解で現場が運用しているかについてお教えいただけると、どれくらいその規制を増す必要があるのか、それとも今ある規定を適切に運用するということで足りるのかについて議論ができるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○川西座長 今の関連ですね。

○森田構成員 今の関連です。

 横田構成員の質問に対して私の理解なのですけれども、プエラリア・ミリフィカは、2つの観点がある。そもそも毒性ということについてどうか。新開発の上での安全性についてどうかということですが、新開発食品の調査会の中では、女性ホルモン様物質の活性が大変高いといところがあったかと思います。

 欧米や韓国などでも新開発食品としては禁止されているように思っていますので、その点でも、日本でどうしてそれが禁止されていないのかなというのが一つあります。

 それから、先ほど関野さんがおっしゃったように、品質が全然管理されていないまま、管理は全くばらばらだと思っています。そういった2つの観点から、これほどのものなのに、アマメシバのように食品安全委員会の評価というところまでは行かないにしても、例えば17年の錠剤やカプセルの通知の中でもう少し規制を強化できて、販売を自粛するような、そういう方向に持っていけないのかなと思うわけです。

 いろいろなレベルはあるかと思うのですけれども、全てアマメシバのようにはならないと思いますが、海外でも問題があって、新開発として認められていない、それから既に日本でも症例とまでは行かないですが、健康被害というものが一部報告されているものについて、何らか対策が出ないと、第二、第三のプエラリアが出てくるのではないかなと思うわけです。なので、ここの部分で何らかの制度の見直しをお願いしたいということを申し上げているのです。

○川西座長 今の段階で厚労省側から何かございますか。

 私が知っている限り、健康食品に関しては、今、どこが本当に規制側の当事者かというのがちょっと明確でないという印象を持っているので、今、厚労省側もすぐに答えにくい部分がきっとあるのだろうなと思いますので、そういう問題意識を持っている委員が大勢おられるということで、とりあえずきょうのところはとどめさせていただいて、5回の懇談会の中でそういうことに関して、厚労省側のほうも委員たちのコンサーンに対して見解などを答えていただけるといいなと思いますので、よろしくお願いします。今、答えると差し支えがある答えになってしまうかもしれない。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 資料を準備しまして、次回以降に御説明させていただきたいと思います。

○川西座長 ありがとうございます。

 今の関係以外の部分と言うと、大変土俵を狭めて申しわけないのですが、それについて。どうぞ。

○平沢構成員 健康食品のことです。今のこととちょっと違う観点なのですけれども、危害事例の情報収集ということで、どんなものでもということではなくて、重篤なものについては、情報収集したものを公表し、一般の人が見られるような形をとっていただけるような何かができないかなと考えています。

 というのは、因果関係がわかるまで待つことで健康被害が拡大する恐れがあります。健康食品が原因かどうかはわからないけれども、重篤な症状が起きているものについて、散らばってぽつぽつ起きている情報を集約して見られるようになると、同じような健康食品を食べていたり、同じような症状があったりする人が早めに問題に気付くことができます。そうした仕組みがあるといいなと前から思っておりました。というのは、食品は消費生活用製品安全法の対象外で重篤な健康被害があっても、迅速に公表するかどうかは企業の判断に任せられています。健康、命にかかわることですので、企業任せでいいのかと思っております。

○川西座長 これはリスクコミュニケーションとリンクする話ですけれども、今のお話に対して何かございますか。

 関連ですか。

○森田構成員 関連です。

○川西座長 では、先に。

○森田構成員 アメリカではMedWatchというシステムがあって、そこに消費者がこういう危害事例があったというのを入れて、それがデータベースで見られるようになっているというのがあるのです。それが公開されるようになって見たのですけれども、例えばリコールされた健康食品のような事例も検索できるようになっているのですが、一方で、一般によく知られている清涼飲料だけ見てもいろんな事例が出てきたりして、余りに膨大なデータなので。

○平沢構成員 重篤な被害も。

○森田構成員 そうですね。

○平沢構成員 1カ月入院とかに限定すればいいと思うのですが。

○森田構成員 そうですね。

○平沢構成員 軽微なものは入れず、1カ月以上の入院とか、重篤なものだけにしぼる。軽微なものまで公表してしまうと、わけがわからなくなるので、どこかで条件をつけて、重篤な状況のものに関しては、MedWatchのように見られるようにするといいのではないでしょうか。重篤を入院1カ月にするか、3カ月にするかは検討する必要がありますが、因果関係はわからないけれども、同じような健康食品を食べていた人に重篤な健康被害が出ていることが分かるようになる。重篤という条件をつければ、混乱しないと思うのですけれども。

○川西座長 今の御指摘に対して、厚労省側から何か。健康食品は、なかなか答えにくいだろうなと思うところがありますが。どうぞ。

○関野食品基準審査課長 今の御意見に対する直接なレスポンスではないかもしれませんが、我々がこの間の薬食審の調査会で議論した際に入手したデータというものは、事業者から都道府県を介していただいたデータでありまして、それが223件あったということでございます。

 ただ、その内容が、ある意味事業者が把握していた中で、使用者から得た情報ということで、それは恐らく自己申告という意味合いになると思いますので、それがどういう形で重篤かどうかというところの見きわめもなかなか難しいレベルのものしか今はないというのが現状だと思います。おっしゃるとおり、数として見たときの一つ一つの情報の質といったところに関しては、より正確な情報がわかると、いろいろなことができるのかなと考えております。

○川西座長 では、食品安全委員会のほうから。

○食品安全委員会 構成員御指摘のいわゆる健康食品を通じた危害情報につきましては、私ども食品安全委員会としましても、健康食品に関する危害情報ということで、一応ホームページに掲載をさせていただいております。ただ、それについて、一般消費者に対する認知度がまだ十分ではないということであろうかと思いますので、そのあたりについては、さらなるコミュニケーションの充実ということも含めまして、私どもの課題としても受けとめさせていただきまして、またこの議論をする際に必要であればその情報を提供させていただきまして、御検討いただければと思っております。

 以上でございます。

○川西座長 ありがとうございます。

 あと、既に御存じだと思いますけれども、健康・栄養研究所に結構その辺の情報、御希望に合ったような形までには行っていないのかもしれないけれども、国内としては結構充実したホームページをつくられているということは私も存じ上げています。

○平沢構成員 リアルタイムの被害状況が公表されることで、同じような食品を食べている人や症状が出た人への注意喚起になる。因果関係がわからない段階でも、重篤なものに関しては、どこかで情報をまとめて公表してほしい。いろいろなものが出てくるので、特定の商品への風評被害にはならないと思う。全体を見られるような形になるといいなと思ったので、そういう考えです。

○川西座長 ありがとうございます。

 多分そういうふうに感じられている方はいるのではないかと思いますけれども。どうぞ。

○浦郷構成員 食の安全ということに関して言えば、健康食品というのはとても問題だと思うのです。消費者にとって、いわゆる健康食品の錠剤とかカプセルを食品とは捉えていないのではないか。かといって、医薬品と捉えているわけでもない。本当にサプリメント、それさえ飲めば自分の気になるところが解消するというような感じで取り入れているのではないかなと思います。

 食品安全委員会のほうでいわゆる健康食品に関するメッセージを出されていますが、これが一般消費者の方にまで伝わっているかというと、申しわけないですけれども、なかなかそうではないのかなと思います。

 先ほどプエラリアのことが出ましたが、これはバストアップということで、すごく宣伝されたようで、その売り方もどうかなというのはあるのですけれども、若い女性などはそこにすごく飛びつくと思うのです。それについて被害がいろいろ出ているという情報は、国民生活センターのほうでも厚労省のほうでも出されていると思いますが、それもなかなか一般の消費者には伝わっていないというところから、情報発信の仕方というのも充実強化を図る必要があるというのですけれども、本当にきちんと今回のところで考えていかなければいけないなと思います。

 食品の安全というところから考えると、先ほど森田さんからありましたように、規制のほうをきちんと強めるということも必要なのかなと思いますので、そこら辺を今回のところできちんと考えていただきたいなと思います。

○川西座長 時間がだんだんきょうの終了予定時間に迫っているので、ここで出た御意見としては、健康食品の規制の体制を少し考えてほしいということと、あと、リスクコミュニケーションといいますか、平沢委員のお話は、言ってみたら、PMDAがやっているような健康食品版ということなのだろうと思うけれども、それがすぐに実現するかはともかくとして、そういう希望があるのだということがきょうの大きな意見として出ましたということにここはまとめさせていただいて、それ以外で。健康食品にかかわることでも結構ですし、残りのBSEとか汚染物質の関係、リスクコミュニケーションのところまでということなのですが、何か。どうぞ。

○花澤構成員 健康食品のことは、今、座長におまとめいただいたので大枠はいいと思うのですけれども、一つは17年なり14年の通知が本当に各事業者に届いているのかどうかということも。全ての健康食品事業者には届いていないと思いますが、その辺をしっかり。というのは、いわゆる健康食品というものを製造販売している人、どこまで事業者をきちんと把握されているのかというのはなかなか難しいと思いますから、そういうことも含めて規制強化を考えていく必要があるのではないかと思います。それが意見です。

 もう一つはお願いなのですが、リスクコミュニケーションにつきまして、今、遺伝子組換え食品の表示の見直しが消費者庁のほうで行われていますけれども、その背景として、例えばTPPの議論のときに、TPP11カ国から遺伝子組換えの食品が野方図に入ってくるのではないかという不信感とか、そういうのも背景にあったようです。そこでお願いなのですが、これだけ遺伝子組換え食品についてはしっかり管理して、安全性についてももう既に十数年間ちゃんとやっているので、リスクコミュニケーション、リスクが顕在化しているようなものについてのリスクコミュニケーションも大事ですが、遺伝子組換え食品については、先ほど将来的な技術の進化に伴ういろんな啓蒙のお話も出ていましたが、食品表示だけで遺伝子組換えか、そうでないかを見きわめて、消費者がそれを選択するということだけでなくて、遺伝子組換え食品というものが科学的に安全であること、それがしっかりと管理されているということをリスクコミュニケーションの場でしっかりと国民にお話をいただきたいと思います。これは要望です。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 前半の御意見は先ほどのことにもちょっと関係しているのですが、後半の御指摘について、厚労省側から何かございますか。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 特にありません。

○川西座長 本質的に言うと、表示の問題まで含めると、食品安全委員会、厚労省、消費者庁にまたがる関連のことかなということがありますね。この辺がなかなか規制上の難しさを生むのかなと見ているところですけれども。どうぞ。

○消費者庁 消費者庁消費者安全課の井河と申します。

 私のところでは、食品安全施策の総合調整という観点から、表示に関しての担当はここにはいないのですけれども、リスクコミュニケーションの総合調整ということで、いろいろな企画等をさせていただいております。実際に遺伝子組換え食品に関しては、各自治体であったり、消費者団体であったり、そういったところからいろいろと御要望いただいて、講師派遣等をさせていただいているような状況でございますので、我々としましても、テーマとしまして企画するというのは一つの選択肢と思っております。できる限り遺伝子組換え食品のリスクというものが国民に広く伝わるように対応していきたいと考えております。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 まだ議論は生煮えの部分があろうかと思いますが、きょうは一応2時間を予定しておりましたので、きょうのところは終わりにしたいと思います。次回は、残りの部分とあわせて、きょう言い足りなかった。とやると健康食品の話になるかもしれませんが、それは置いておいて、この資料で次回も議論をしていただき、食品安全全般に関わる意見としてどんな意見が強いかということをまとめたいと思います。まだ言い足りないことがあるかもしれませんけれども、来週またあろうかと思いますから、そのときによろしくお願いします。

 以上です。

 では、次の日程を事務局のほうからお伝えいただければと思います。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 貴重な御意見、ありがとうございました。

 次回につきましては、9月2010時より開催する予定としておりますので、よろしくお願いいたします。場所につきましては、追って御連絡いたします。

○川西座長 ありがとうございます。

 本日は、以上でとりあえず終了ということにさせていただきます。

 どうも活発な御議論、ありがとうございました。


(了)

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