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2017年10月26日 第4回 厚生科学審議会 臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成29年10月26日(木)
13:00〜15:00


○場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)


○議事

 ○森光研究開発振興課長 定刻となりましたので、ただいまから第4回厚生科学審議会臨床研究部会を開催します。本日は部会の定数14名に対して、現在11名の委員の方に御出席を頂いておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められている定足数に達していることを御報告します。なお、新谷委員と田島委員におかれましては、欠席されるとの御連絡を頂いております。現在、花井委員は遅れられていますが、定足数には達しています。
 続きまして、本日の会議資料の確認をお願いします。本日、机上に置かせていただいている資料ですが、議事次第、座席表、委員名簿。それから、資料1、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」と結果の概要、資料2、「国内外の臨床研究・治験を取り巻く環境の変化及び今後の課題と対応について」です。参考資料1として「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」の実績、参考資料2、「国内外の臨床研究・治験を取り巻く環境の変化」、参考資料3、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(平成24年、文部科学省・厚生労働省)という資料になっています。お手元の資料で過不足等がありましたら、御連絡いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いします。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 それでは、早速議事に入らせていただきます。今回の臨床研究部会では、臨床研究法の施行に関する事項ではなく、平成28年度までの計画で実施しておりました「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」の結果と、臨床研究・治験の推進に関する課題を議題としています。まず事務局より資料1の説明をお願いします。
○井本治験推進室長 資料1について説明させていただきます。資料1の詳細につきまして、参考資料1という形でタイアップして用意しておりますので、逐次、参考資料1と一緒に合わせて御覧いただきたいと思います。
 それでは、早速ですが資料1から説明させていただきます。委員の方々はこの活性化計画について、必ずしもお耳にされたことがないかもしれませんので、御存じの方は冗長かもしれませんが、そこに立ち戻って説明をさせていただきます。
 2ページ目、「活性化計画 策定の経緯」という所からです。参考資料のほうも合わせて御覧ください。治験活性化計画につきましては、今から20年前に戻るわけですが、参考資料の2ページにありますようにGCPということで、治験の実施計画について、通知で基準を定めていた時代から、平成9年に法的強制力を持つ実施基準の遵守を求める省令化の時代に入りました。それに伴い、治験の件数ががくっと減少しました。参考資料を見ていただくと分かりますように、急激に件数が平成9年頃減少していることが見て取れるかと思います。
 承認申請資料における海外データの受入れや、GCPの省令化によって、国内での「治験の空洞化」が顕著になったということで、治験の空洞化の原因として、我が国における治験が欧米に比べて時間が掛かるであるとか、審査の話であるとか、あるいは治験の質が良くないとか、掛かる費用が高いなどとの指摘が当時ありました。国内の治験を活性化させようということで、平成15年4月30日に「全国治験活性化3か年計画」を策定し、治験の活性化に取り組むこととされましたと。その後1年、計画を延長しましたが、平成19年3月に「新たな治験活性化5か年計画」という後続の計画を作成し、引き続き治験の活性化に取り組んで参りました。その5年後、平成24年3月にそれまでの度重なる活性化計画の集大成として、お手元の参考資料3にあります「臨床研究治験活性化5か年計画2012」を作成してきたものです。
 3、4ページが参考資料3にあります活性化計画の骨子になります。3ページにありますのが、それまで9年間、先行する計画の中で推進してきた観点のフォローアップ項目ですが、全部で6点あります。症例集積性の向上、治験手続きの効率化、医師等の人材育成確保の観点、国民・患者への普及啓発、コストの適正化やIT技術の更なる活用を挙げてきたところです。
 4ページの骨子は、更に治験・臨床研究を活性化することによって、日本発の画期的な医薬品・医療機器等の創出に向けた取組、要するにイノベーションを呼び込むものとして、実行計画で4つの項目を挙げていました。1つ目が臨床研究・治験等の実施体制の整備、2つ目が臨床研究等における倫理性及び質の向上、3つ目が開発が進みにくい未知の分野への取組の強化等、更には当時、大規模な地震、東日本大震災があったこともありまして、大規模災害が発生したときの迅速な対応についても、考えていくという話になっていました。
 5ページ以降が、今申し上げた骨子に基づく細分類についての主なものです。非常に多くのものがありましたので、代表的なものについて説明していきたいと思います。該当する参考資料につきましては、参考資料1の左側の上に該当するページを書いています。逐次、御参照いただければと思います。
 まず最初に9年間の飛躍と自立の部分で、(1)症例集積性の向上です。主に治験ネットワーク、あるいは治験に従事する方々に、最新の規制の情報をフォローアップしていただくような、普及啓発活動等が挙げられています。赤字で書いてあります「臨床研究・治験活性化協議会」、参考資料の3ページになりますが、年2回開催していただいていて、それを通じて最新のレギュレーション、治験や臨床研究に関する規制や、個人情報保護法等の臨床研究を取り巻く最新の規制等の情報交換をさせていただくとともに、関係従事者の普及啓発の場として運用させていただいているものです。
 また、日本医師会の治験促進センターにおきます「治験ネットワークフォーラム」、参考資料の4ページにありますが、こちらのほうで既に治験ネットワークを作っていただいている方々で、その年度、計画年度に当たるものですが、年1回開催していただいて、関係者の情報共有であるとか、あるいはノウハウ、活動のアイディア等の交換、あるいはマッチング等もワークショップのような形でしていただいたという状況です。
 それから昨今の状況ですが、平成28年から着手させていただいた「クリニカル・イノベーション・ネットワーク」という事業です。臨床試験というのは非常に多額の研究資金が掛かりますので、新薬の開発費の高騰やこれに伴う高額薬剤による医療費の圧迫という観点から、より安価で医薬品等を開発するための、いわゆるレジストリーをどうするかということが、国内外でも取り挙げられており、それに着手することによって、症例集積性の改善を図っていこうという取組をさせていただいているところです。これは参考資料の5ページにありますが、後の資料でも説明させていただきます。
 次に資料1の5ページ、治験手続の効率化です。治験や臨床研究をする際に関係する書類等が非常に多くありますので、その手続の簡便化、それらを促進する意味でも効率化の観点で、「統一書式」というものを用意させていただいているところです。参考資料1の6ページにありますが、治験等を効率化するための報告書に記載され、作られた統一書式ですが、直近の平成26年7月に改正されて、医薬・食品局の審査管理課長と研究開発振興課長の連名通知において、このような統一書式を公布させていただいております。また、治験促進センターのほうでも、情報提供をさせていただいて、広く御活用いただいているところです。
 また、参考資料の7〜9ページに日本医師会の治験促進センターにおいて治験や臨床研究の手続き等を電子的にやっていただくためのシステムとして、無料で提供されるドキュメント関係の新システムについても、サービスいただいているところでして、これらを通じて、治験の手続等の簡便化促進を図っているところです。
 また、参考資料の10ページは、治験促進センターで昨年の12月にアンケート調査をやっていただいたものです。米子で開催されました臨床薬理学会において、これらの統一書式の利活用の実態についての調査をしていただいたところによりますと、ここで黒塗りされているように、統一書式のみを完全にお使いになっている機関であるとか、不足の部分を別途追加されている場合とか、あるいは統一書式をベースに、一部独立書式に変更されている等を含めると、約8割近くの医療機関でご活用いただいていると言う状態になっています。
 参考資料1の11ページです。こちらは製薬協の調査結果ですが、治験受託の状況です。定点観測というかアンケート調査によりますが、2012年と2016年を比較した図です。治験の受託率は微増という形で、63.2%から77.1%、客体数が少ないので数字的にはそんな状況ですが、比率としては10%強、増加した形になっています。
 下のページは3年間の治験実績の状況ですが、契約プロトコール数でいきますと、平均値が25.7から22.4、症例数は183.3から139.4で、少しばらつきが大きい形の標準偏差になっていますが、平均値は若干減っている状況になっているということです。
 また、次の13ページは共同IRBやセントラルIRBと言っていますが、倫理審査委員会の効率化の観点から、同一プロトコールに基づく多施設共同研究については、同一の倫理審査委員会で審査していただくのがいいのではないかということを、我々としても推奨してきたところですが、こちらにつきましては2012年は52.9%、2016年23.8%がセントラルIRBのみで親裁しているという御回答を頂いたようです。左側の黄色い部分が2012年から2016年に増加しており登録医療機関でのIRBとセントラルIRBを使い分けて運用されている件数が増加しているということになっています。現状ではセントラルIRBに一本化ができていない状況のようですが、セントラルIRBが一部でも活用されている割合では合計で9割近くに及んでいるとも言えますのである程度セントラルIRBに親和性が出てきたのかなというところです。
 次に資料1の6ページに移ります。(3)医師等の関係者、臨床研究・治験に従事される方の人材育成や確保の観点から、教育研修システムの充実についての項です。
 まずは参考資料の14ページです。AMED発足以降、治験・臨床研究に従事する人材育成研修及び啓発事業で、各種の研究・啓発事業をやっております。参考資料の15ページですが、データマネージャーやCRC、それから倫理審査委員会の委員、あるいは医師等も平成28年から始めましたが、研修事業の積算受講件数を示しております。下の16ページには、臨床研究のコーディネーター(CRC)の養成件数を積算で示させていただいています。毎年、このような研修等を進めることによって、関係者の教育を継続的に行うっています。
 次の17、18ページにつきましては、e-learningシステムで、必ずしも研修会に参加できないような方、お忙しくて講習会等に行けない方についても受講可能な教材として、ホームページで必要な教育が可能となるシステムのソフトウェア等を作っていただいているところです。また、18ページにありますように、標準的なカリキュラム、CRCによって、どういったものを具備すべきかというカリキュラムシラバスも、研究の報告書としていただいています。
 また、平成28年度より生物統計家育成事業ということで、参考資料の19〜21ページ、3ページにわたって参考資料を挙げておりますが、今回の臨床研究法の、ある意味で契機とになったディオバン事件におきまして、生物統計家が非常に不足していることが原因の一つとして挙げられています。企業のほうではある程度生物統計家がいるが、臨床現場には、臨床研究を支えていただける生物統計家が不足しているので、育てるのが急務という報告書も頂きました。業界とのジョイントプロジェクトで生物統計家を育成する事業として、大学院のマスタークラスの人材を育てるために、AMEDのほうで平成28年度からスタートさせていただいた事業です。21ページにありますシステムに基づいて、東京大学と京都大学で、この事業に応札いただいて、現在、この準備が着々と進んでいるところです。
 それから資料1の6ページ、下段、国民・患者への普及啓発になります。治験・臨床研究は被験者になる患者さん、あるいは国民の方々の理解、協力が不可欠ですので、働き掛け、あるいは情報提供といったものに取り組んできた条項になります。
 1つ目は参考資料の22ページですが、こちらは保健医療科学院で、我が国の行っている治験・臨床研究を、一元的にポータルサイトとしてお見せするようなシステムとして、具体的には23ページに仕組みが図示されておりますが、臨床研究の登録を、UMIN、日本医師会、JAPICで行っていただいたものを、保健医療科学院で1つにまとめてお見せするものです。ルートソースについては、それぞれの登録センターとして、具体的なデータについてはリンク先の各登録センターのホームページで見ていただく形になります。WHOには一括的に、日本の全ての治験・臨床研究については、こちらに入れていますという形での登録手続を行ったものになります。
 また、参考資料の24ページですが、厚生労働省のホームページでも治験に関する情報を、定期的にアップデートしている状況です。また、25ページは、平成28年にコンパショネットユース(拡大治験)を治験の一類型として始める際に、我が国における治験の中でピボタル試験、いわゆる検証試験についての一覧表を、医薬品医療機器総合機構のホームページにおいて毎月更新していただいている状況になっています。
 また、26ページにつきましては、日本医師会の治験促進センターのほうで分かりやすく、「治験ってどんなこと?」ということを普及啓発の一環として、ホームページを作っていただいているところです。
 27、28ページは東京大学の武藤先生の研究班ですが、実際、治験・臨床研究に入った方、入らなかった方、途中でやめられた方等も含めた、語りデータベースということで、国際的にもそのような取組が行われているところですが、我が国においても語りのホームページを作っていただいています。
 資料1、7ページ、コストの適正化に進んでいきます。こちらは臨床研究・治験、主に治験ですが、コストをできるだけ安く効率的に進めるという観点で、大きな問題になったものが、参考資料の29ページです。治験については評価療養ということで、いわゆる混合診療が認められているわけですが、医師主導治験についても図にあるように、被験薬と同種同効薬については企業主導治験と同様に保険外になっておりました。ですから、抗がん剤や免疫抑制剤など、いろいろな併用薬があるような治験のときには、かなりの高額な支出が見込まれたわけですが、医師主導治験については、同種同効薬の評価療養の適用範囲にするという改定が行われたということになります。
 また、30〜32ページには治験・臨床研究を行うときの、企業からお支払いいただく費用の、ある意味でフェアなルールということで、ポイント制、掛かった費用に応じた支払いをしていただくというルールの雛型として作っていただきました。31ページにありますが、平成29年度に改定をいただいています。IRBなどの審議費用というのは、どうしても組み入れても組み入れなくても、お金が発生するものについては固定費として、また、費用が発生するが、人数に応じているものについては変動費として、実績ベースでお支払いいただくモデルとして、ルールを作っていただいたところです。
 資料1、7ページの(6)、IT技術の更なる活用等です。治験・臨床研究については多くの関連文書が必要になりますので、紙媒体でやっていると非常に大変ということもありまして、電子化が1つの課題とされてきました。参考資料の33ページにありますが、治験関連文書の電子化については、全て電子化されている所というのはそんなに多くないのですが、一部だけという意味であれば、製薬協の調べにおいても、半分以上が実装化されています。
 参考資料1の33、34ページには、こちらは渡邉研究班で、分担研究は楠岡先生に実施していただいたものですが、実際に一部実装を含めて44%ぐらいが治験関連文書の電子化されておりそのうちSOPで手順を定めているのは21%になりますので、実際には扱っていただいているものの、SOPにまで反映されているのはわずかということになります。
 次の35ページ、関連文書の取扱い状況です。こちらにつきましても、一部でも電子化を実装されている場合のうち、授受については一部も入れると相当程度が電子化されているものの、保存になるとほとんどが「なし」の回答となっており、必ずしも電子化は進んでいないということになります。
 資料1の8ページ以降が、臨床研究・治験の新たな飛躍ということで、イノベーションに結びつける体制整備といったものになります。(1)は実施体制で、参考資料の36ページにありますように、これまでは法律がありませんでしたので、ヒトに初めて適用されるような画期的な新薬のシーズ等を開発する拠点として、早期探索拠点、あるいは橋渡し研究事業として文科省さんのほうの拠点であるとか、あるいは現在法制化されていますが、国際水準での臨床研究を行える機関としての臨床研究中核病院を、予算事業として育成してきたところです。
 その後、参考資料の37〜40ページにもありますように、こちらの臨床研究中核病院につきましては、医療法改正を行いまして、法的に位置付けられる中核病院として、40ページにありますように、現在11病院が認定されたところです。
 資料1の9ページです。臨床研究等における倫理性及び質の向上です。正にこれは治験・臨床研究を行うためのルール、そういった社会的インフラの担保ということですが、まずは参考資料の41ページにありますように、疫学研究指針と臨床指針を1つにした上で、42ページにありますように各種の条項、モニタリング、監査、あるいは利益相反の管理の規定を増強するような形での規定整備を行った改正指針について平成27年4月に施行させていただきました。それから、指針に基づいて臨床研究の審査を行っている倫理審査委員会について確認・認定する事業をAMED研究費の予算事業としてやっていただいたものが43、44ページです。これまでに認めた所として、42機関について倫理審査委員会のルール、指針に基づいてやっていただいていることが確認できたということです。
 また、参考資料の45ページにつきましては、現在この部会でも詳細設計を御検討いただいております、臨床研究法の設計で、この項目は正に法律・規則の整備を通じて、治験に加え臨床研究の倫理性と質の向上を担保する枠組みが、ほぼ整備できたということを物語っています。
 次の資料1、10ページですが、開発が進みにくい分野の取組に関しまして、いわゆるオーファン関係が挙げられます。参考資料の46ページ、オーファンドラッグについては平成5年に制度を導入させていただいた後、国内での患者数5万人以下という基準で統一的に運用させていただいたところですが、難病法の改正に伴い、指定難病について、5万人を超えても指定対象とする省令改正をさせていただいたところです。参考資料の47、48ページ辺りが、その具体的な条項になります。対象人数が47ページの中段辺りの最後のほうからありますが、「五万人とする」とありますが、以降のただし書きとして、指定難病に指定された場合には、5万人を必ずしも守らなくても、オーファンドラッグの指定、優先審査等が得られるという制度変更になっています。
 それから、小児用医薬品の開発の枠組みの創設は、これは正についこの間から進んでいるところですが、海外におきましては、小児の医薬品についての承認取得について、法律でかなりてこ入れされて進められています。EUもアメリカも成人効能を取得した場合には、原則として小児の効能も取得することが法律で義務付けられている状況になっています。我が国についてはそこまでのインフラ、あるいは実績が積めていないことから、関係の学会である日本小児科学会において、海外で開発中の企業からの開発計画を入手した上で、開発の優先順位をつけていただいて、企業と学会が一体となって国内で小児医薬品の開発する枠組みが今年からスタートすることになっています。
 50ページはそのからくりとして、一番どういうところが狙い目かというのを示したものです。現時点では一番右の部分が整備されています。海外で成人効能も取得され、小児効能も取得された場合であって、国内に承認がない場合には、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議のほうでの開発要請によって、事実上開発が進むことになっています。また、既に成人効能の承認が取得されていて、海外でも小児の開発をやっているときというのは、日本も海外も小児についての効能としては変わらない状況ですが、開発のタイミングとしてはやや遅いと言わざるを得ないと思われます。一番の狙い目は国内外同時開発の場合であれば、これからでも国際共同治験として間に合うので、AMEDからの研究資金をうまく御活用いただいて、また、学会もタイアップした開発環境の下で、国内外ともに迅速な小児用薬を提供していただいてはどうかという仕組みになっています。
 それから、AMEDへのライフサイエンス分野の研究資金の一本化につきましては、参考資料の51ページにありますように、新たに法改正をして、研究開発法人AMEDが成立したということをもって、実現化させていただくというところです。
 最後の項目ですが、大規模災害時の治験の扱いということにつきましては、52ページにあるような研究班で御検討いただきまして、東日本大震災のようなことがあった場合には、どうやって被験者の安全を確保したらいいかというガイダンスを、研究班で取りまとめていただいたところです。最後になりますが、53ページにありますように、電子化することによってある程度資料の喪失をバックアップデータ等の御活用をいただくことによって、回避できるのではないかということです。
 足早で長々と説明させていただきましたが、以上が「治験・臨床研究の活性化5か年計画2012」の骨子と、それに対応する主な成果を、各種の所から頂いたものを紹介させてきました。説明は以上です。
○楠岡部会長 「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」は相当膨大な内容を含んでいますし、5年の間にいろいろな変化があったわけですが、それを非常に手短にまとめていただきました。ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして何か御意見、御質問はございますか。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。日本医師会の治験センターとかネットワークの事業を説明していただいて、ありがとうございました。先ほど最初の説明で、日本発の治験の数が少ないとか進行がのろい、治験の質が良くないというお話があったのですが、現場から見たら質が悪いとはとても思えないし、欧米の研究と比べても日本の研究がそれほど劣っているとは思わない。1つ言えることは、欧米とか特に北欧や中国の場合、治験に入った患者さんは全て診療期間は無料になる。そういうこともあるから経済的なメリットで参加する方もあるのだと思います。日本の場合は患者さん一人一人に丁寧に説明して、治験の場合だったらもしかしたらプラセボ群に入る、あるいは対照薬のほうに入るということもあるので、患者さんにしてみれば不要に思ってやめてしまいます。がんの場合と生活習慣病の場合で、だいぶ治験のとらえ方が異なるのかなと思うのですが、あまり日本の治験が良くないというのは強調しないでほしいです。
 もう1つ、特にメーカー発の治験の場合に、ネガティブデータが出たときに発表しないというか、こそこそ隠してしまう習慣があるので、それを強制的に出させるということも大事だと思います。当該薬品が優れているとは言えなかった。あるいは劣っていたという結果が出るとメーカーさんは公表しないか、小さい記事にして見え難くしてしまいます。プロモーションには使えるわけはないですが、何らかの形で普通の医師が見られるような仕組みも作っていただきたい。それをお願いしたいなと思います。ネガティブデータが出たときに、次の研究開発には重要な事と思います。
○井本治験推進室長 ありがとうございます。先生の御指摘はもっともで、実は参考資料2にその部分を少し盛り込ませていただいたところです。説明の順番が逆になってしまいますが、お手元の参考資料2の後ろのほうです。WHOの海外の動きの中で、そこは御紹介させていただこうかと思っていました。参考資料2の58ページ以降に海外の流れということで、WHOが、Public Disclosure of Clinical Trial Resultsの所で正に先生が御指摘のとおり、要するに臨床試験の結果についての公表のスタンスということで、3行目にありますとおり、「making both positive and negative results publicly available」、正に有効性が認められたものも認められていないものも、パブリックに利活用できるようにすべきだとWHOもそちらに舵を切っていて、その結果公表についてのガイダンスとしてWHOのステートメントが出ている状況です。後ほどの資料において御説明しようと思っていました。世界の潮流としてもそういう方向になっていますので、今回、臨床研究法の下位法令を御議論いただくこの場において、我々もその辺を加味して臨床研究の公開、一元的な管理、それを患者さんにお見せする際には、結果までフォローしたものを登載することを考えていきたい。そういうことを御説明して、ここも含めてやっていきたいと思いますので、引き続き御指導いただければと思います。
○楠岡部会長 最初に、羽鳥委員から御指摘がありました治験がスタートしたというか、省令GCPが適用された直後に日本の治験のデータの質が悪い、進みが遅い、費用が非常に高くつく。3つ悪い点があると指摘され、それで最初の全国治験活性化3か年計画がスタートしました。結局、「活性化5か年計画2012」を策定する時点において、スピードに関しては国際的にほとんど引けを取らない。一部の治験では国際治験の中で日本が最初に症例収集を終わるといった、かなり進んだ状況までいっていたということ。質に関しても急速に改善したのですが、今度は逆にオーバークオリティという、言うならば必要以上に質を高めることで、それがある意味、コストを上げてしまっている問題にもつながるということで、質に関してもまずは問題ないであろうと。ただ、治験の費用が非常に高くつくというのは改善ができていません。
 それの1つの大きな理由として症例集積性と言いますか、要するに海外では非常に大きな病院にたくさん患者さんがいらっしゃるので、1か所で1つのプロトコールを完了できるぐらいの所もあるのに対し、日本はどうしても病院の数をたくさん集めないと症例が集まらないということで、結果的にそれが非常にコストを上げる理由になっている。そのため、症例集積性を高めるには、日本ではどうしても病院の規模に上限がありますから、複数の病院を組み合わせてネットワークにして、あたかもバーチャルな巨大病院を作ることでネットワーク化を重点化する。そういう形で、この5年間は進んできたところです。
 ただいま御報告にありましたように、質の高さとかスピードに関しては問題ないのですが、まだ症例集積性には若干残っている問題があり、そのためにネットワークに関しては今後とも引き続き問題になるだろうというのが、現在、関係者の1つの了解事項というか認識と考えています。
○羽鳥委員 3番目の値段が高いということですが、例えば韓国ですと仁川のそばに整形外科だけで1,000床の病院があったり、アメリカだとクリーブランドクリニックみたいに、クリニックでありながら1,500、2,000のベッドを持ったり、容易に患者さんを探したり、多くの患者さんを2つのグループ、3つのグループに分けることも簡単です。日本の医療制度の良いところとしては、患者さんからのアクセスがいいのと、ある意味で中規模クラスの病院でも精度の高い検査ができるというメリットがあるので、ネットワークを活用して国立病院や大病院で、そういう症例を集積する仕組みをきちんと作るのが最もいいと思います。○楠岡部会長 最初に先生が御指摘された、ほかの国では経済的なインセンティブが働いているのではないかということも議論になっていたのですが、御承知のとおり、イギリスやフランス、ヨーロッパも日本と同様の国民皆保険制度に近いものを持っていながら、スピードとかコストの問題がない。そうしますと、日本と欧米の間でどういう違いがあるのかというのは、単に保険制度だけの問題ではないと考えられています。
○国忠委員 今、楠岡先生がまとめられたのでそれで結構なのですが、確かに業界としても治験のスピードあるいは質については、お陰様で随分上がってきたと捉えています。最後に言われたお金がかかるということに関して、症例集積性のことをおっしゃいましたが、もう1つ結構重要というか、我々の頭の痛いところとしてモニタリング費用がすごくかかっているのです。ですから、今後、リスク・ベースド・モニタリングという手法でもう少し簡略化した、全てSDVをやらなくて済むような状態を作っていければ、そこでだいぶお金は減ってくるだろうと考えています。いずれにしても、この5か年計画をやる前と現在を比較してみますと、スピード、質、共にグローバルで遜色ない試験が日本でもできて、以前ですとグローバル治験に日本が参加するというのは、ちょっと難しい面もあったのですが、今はそれが当たり前とまで言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、それをやらないと企業の存亡に関わるような状況にもなりつつあるぐらい、レベルは上がってきていると思います。これも病院施設あるいは当局のお陰かなと我々業界としても感謝しています。
○清水委員 今、御指摘の2つの点についてですが、1つは欧米に比べてコストのインセンティブということは、多分、日本はそれほど大きな差はないと思います。逆に、これはイギリスで聞いた話ですが、イギリスも国民皆保険で全部NHRでカバーされている。逆に普通の疾患ですと指定された医療機関にしか行けない。それに比べて治験とか臨床試験をやっているような所は診療のクオリティーが高いと。プラセボに当たる、要するに通常治療に当たったとしても、周辺の病院で受けるよりはクオリティーの高いものが受けられるので、積極的に参加するのだというお話を何人かの先生から伺いました。日本では、一般のクリニックをはじめ病院での治療水準が高いので、そういうインセンティブが逆にない。これは国民皆保険の非常に良いところだと思いますが、参加しても参加しなくても同じレベルの治療があるので、逆にそれが阻害要因になってしまっているという、皮肉な話だと私は感じて帰って来た記憶があります。
 SDVに関しても、一応、ルール上はリスクベースでやってよろしいと。全例のオンサイトのSDVは必ずしも要らないとなっていても、現場でどこまでそれを緩めていいのかというところの水準が分からないので、なかなかそれが下がってこないだろうなと。一方で、最近、ほとんどの医療機関でカルテ等が電子化されているので、セキュリティの問題さえうまく解決すれば、リモートでそういうSDVができるシステムは構築可能ではないか。そこをうまく活用すれば、モニターが日本中に散らばっている病院を訪問してSDVをかけなければいけないという状況が、現地でやらなければいけない部分は当然残るとは思いますけれども、その頻度やクオリティーを落とすことなく、そういうことができるのではないかと思うので、そういったことのメカニズムも今後の整備の中で考えていただければと思います。
○楠岡部会長 ほかに、ございますか。山口委員。
○山口委員 1つ質問ということでお聞きしたいと思います。生物統計家の講座ができたということで参考資料1の19〜21ページの所に書いてあって、先ほどの御説明では、この生物統計講座を作っているのが東京大学と京都大学というお話がございました。今、日本の中で研究をしていくのに、生物統計家はどれぐらいの人数が必要だと考えられているのか。実際の講座は1講座何年ぐらいで、1年間に何人ぐらいの講座になっているのかということを実態として教えていただきたい。
○井本治験推進室長 全体的な数字の収入見合いがあるところまで、御説明することはできないのですが、事実関係からすると、この生物統計家の育成事業につきましては、1拠点当たり10人以上(合計で20名程度)を、1年当たりで輩出することを想定して作って頂くことをお願いしています。ただ、実際、まだ途上ですと申し上げたのは、いろいろな制度の壁がございまして、寄附講座であっても修士の称号を出すことを条件にしています。そうしないと、その方のキャリアパス的に問題になるので。当該プログラムを履修した場合には、そこの大学院のマスターの称号が得られることを条件にして考えていってくださいということを要件にしたために、実際には今、文科省の認可とか届出や相談が必要になっています。20ページに公開のE-learningとか、あるいは一般大衆にも公開講座を開いていて、大学院も併せて育てる枠組み、前段のほうは進んでいるのですが、修士については文科省の委員会等の敷居をまたいでから、実際に入学という形になっていく。今、どちらかというと時期的にはその準備段階の状況で、講座が立ち上がって教員が配置され、そのための資材とか教育シラバスを整備しているところですから、来年度ぐらいから実際に入学の手続が、今後、整備されていくと考えています。
 全体の人数ですが、生物統計家というのはどこまでを言うのか。なかなか難しい議論がありますけれども、臨床試験に関する生物統計家が多数参加して活動している学会の中では計量生物学会というのがございます。以前、御相談したとき、日本には800人ぐらい登録されている人がいるとお聞きした覚えがあります。
 次に、何人ぐらいいれば生物統計が間に合うかというのは、一人一人が1件にどのぐらい時間を掛けるかなので何とも言えませんが、臨床試験の中でも、特に社会的影響が大きいと考えられる検証試験に該当する臨床研究を、今回、我々は一番心配したところですので、検証にかかるような臨床試験は臨床試験全体の中でもそんなに多くはないはずなので、今後、こういった育成を続けていけば既存の講座もありますから、少なくとも検証試験に従事していただく生物統計家の数という意味では、十分福音になるのではないかとは思っています。
○山口委員 法制化するに当たって、私はこの前の臨床研究のあり方検討会の構成員を務めておりました。そのときに生物統計家の必要性ということが結構言われていました。ただ、国民的には生物統計家という名前すら日本の中では広まっていなくて、欧米では当たり前ということが日本では当たり前でないと。こういう講座を作ることもさることながら、そういう研究に必要な職種があることをもう少し周知していくことも、そういうところを目指す人が出てくる、出てこないということに関係するのかなと思いましたので、それも併せて国としてしていく必要があるのではないかと思います。
○井本治験推進室長 ありがとうございます。正に御指摘いただいた所が、この部会で御検討いただく真骨頂でもあると思っています。というのは、実際には制度があるからこそ、あるいはルールで決められ、そういう人が必要だということが明確にピン止めされるからこそ、そこを目指して将来のキャリアパスとして固定されるところもありますし、そういう専門家がいるからこそ制度化できる。鶏と卵の関係ではありますが、今回、臨床研究法の下位法令を整備する場合において、技術専門員という中で生物統計家であるとか、海外で言うバイオスタティスティシャンですね、あるいは臨床薬理の専門家といった海外では普通に設置されている方々も、こういう中から導入していって見える化していき、こういう人たちの参画がこういう場面で必要だということを、こういう場の議論でもお認めいただいて制度に盛り込むことにより実現できる者だと思います。先ほどご説明させていただいた活性化計画については、研修や養成事業を通じて醸成してきましたが、今になってやっとそういうものを制度化することで具現化できる時代に来たということを次の資料でも御説明したいと思います。そういう中で御議論の中に反映させていただければ有り難いと思っています。
○楠岡部会長 ほかに、ございますか。渡部委員、どうぞ。
○渡部委員 私も5か年計画の骨子の中の人材育成と確保についてお伺いします。参考資料の中で、臨床研究コーディネーターの養成数の推移というデータをお示ししていただきましたが、こちらは、あくまで人材育成をしましたというデータになりますでしょうか。実際にこの中で養成されて、今、現在、どのくらい教育を受けたCRCが確保されているのかといったデータはお持ちでしょうか。
○井本治験推進室長 結局、これも制度化との循環なのでしょうけれども、CRCの必置を義務付ける制度化はされていないので、その方々がどういう所で就労されているか正確な数値は持ち得ていないところです。ただ、実際には、ここで養成された方々が企業のSMOとかCROのほうで従事されていて、そういう方が相当数いることは伺っています。
○渡部委員 ありがとうございます。臨床研究中核病院においては要件で12名設定されていますし、治験活性化協議会に参加している施設に関しても、それぞれの施設で何名いるかといったデータはあるかと思いますが、全国的にどういった教育を受けたコーディネーターがいるかといったデータは、今後、必要なのではないかと感じています。
 リスク・ベースド・モニタリングのお話も出ましたけれども、各施設でそういった教育を受けコーディネーターがしっかりいてこそ、データもしっかりしてくるかと思いますし、私が一番懸念しているのは、臨床研究法下の試験が増えてきますと治験だけではなく、そういったコーディネーターの存在が必要になるかと思います。そういった調査等も、今後、していただける機会があればいいなと思っていますので、是非、よろしくお願いいたします。
○藤原委員 この5か年計画、その前にずっとやっていただいて、確かに形の上ではきれいになってきているとは思いますけれども、まだまだこれから必要なところはたくさんあって、幾つか申し上げたいところがあります。1つは、最初に羽鳥先生がおっしゃったネガティブデータの開示で、米国では既に法制化されて開示の要求がされていますけれども、実際に開示されているパーセンテージは非常に少ないので、むしろ日本が進むべき道として、EMAは、日本では治験、海外では承認申請に使ったデータで不受理ですね、リジェクトしたとか申請を取り上げたというデータに関しても全て報告書を作って公開しているのです。それは昔から日本のPMDA、FDAはやれと言われていますけれども、相変わらず手付かずの状況なので、やるのだったらネガティブデータの個別の試験ではなくて、申請に使われたデータの全体について企業が何で取り下げたか。あるいは、なぜPMDAが承認しなかったかという報告書を、先行するEMAの事例を使って日本でも同じようにすればいいというのが、一番得策かと思います。
 キャリアトラックについて、先ほど渡部委員がCRCの数はどうですかとおっしゃっていました。数も非常に大事ですが、今後、第1世代のCRCさんたちにとって一番問題になってくるのは、その人がちゃんと地位を確立できるかというところです。キャリアトラックは相変わらず整備されていなくて、いろいろな病院を見ても平のCRCか、せいぜい主任で、部長は医師しかなれないし室長には全然CRCはならない。そういうのを是正していないのです。それは文科省の抵抗もあるかもしれないですし、ここにいらっしゃる先生方の大学ではそんなことはないと思いますが、多分、そうだと思います。キャリアトラックをちゃんと整備しないと若い人は絶対入って来ないので、それについては配慮するというか、むしろ文科省と厚労省が指導するほうがいいと思います。
 生物統計家についても、生物統計家の数より、何で生物統計家が我々アカデミアとか臨床で足りないかというと、給料が安いからです。卒業した人はみんな企業の生物統計部門に行ってしまうのです。いくら安い所で働けと言ってもアカデミアには絶対来ませんから、それをするのであればちゃんと給与体系を整備して、生物統計家がリスペクトされる環境を整備しないと無理だと思います。いい例で言えば、PMDAも従前からたくさんの生物統計家を抱えていますけれども、まだ生物統計部というのはないはずです。FDAには生物統計部があります。そういう若い人たちが魅力ある職場と思えるような環境整備をしていかないと、この領域は進んでいかないなと思います。
○井本治験推進室長 ありがとうございます。そういったことも含めて、こういった所で御議論いただいたものを次の5か年というわけではないですが、この臨床研究法の下位法令を詰めていく中でも、そういったものがぽろぽろ出てくるのかなと思います。先ほど渡部委員からもありましたCRCの活用、キャリアパス、キャリアトラックについても、どういう所で、そういう方を優先的にアサインしてくださいというところから必置規定にするのか。そういった中で本当にその分野での優秀な秀いでた方が、座るべき所に座っていくことを実現化していきたいと思っています。また、薬事法に関することについてここでは明言はできないのですが、関係部署とは連携を図って考えていきたいと思います。
 あと、ネガティブデータ全体についてですが、こちらについては資料2のほうで御説明しようと思っていたところです。WHOでもこういったデータの公表ということにかなり舵を切ってきています。今回、臨床研究法においては結果の登録についても、公開データベースの検討の中で反映していきたいという計画ですので、そういった御意見については反映させていただきたいと思っています。
 生物統計家の給料については、直接、私たちはハンドルできませんけれども、そういったものについてどうやったらリスペクトされるかというのは、活躍された方の活躍が分かるような形を作る仕組みが大事だと思っています。そういったものは誰が、どのような形で関与したのかを、そういったメインキャラクターについては分かるような形の仕組みに、この臨床研究法施行に向けて考えていきたいと思っているところです。
○楠岡部会長 まず、清水委員、どうぞ。その次、国忠委員。
○清水委員 今の統計家にしてもCRCにしても、今、ようやく養成して入口が広がって、そういう人材が育ちつつあるところだと思いますが、諸先生方がおっしゃるように、現場へ行って例えば大学病院などで就職口があるのか。CRCは現状、かなりの数を大学病院などは抱えていますけれども、もともとは企業治験などを受託する経費で雇用するスタイルだったものが、臨床研究法のこともありますし、中核病院としては当然、全ての臨床研究に関してCRCのサポートが要ると。ところが、それを雇用するための財源がほとんどないわけです。そういうものが制度的に位置付けられていないということもありますし、仮にそういう事業的な経費で一時的に雇用できたとしても、雇止めの問題等があり、育ってきたところで、経験を積んで常勤になった途端に他へ行ってしまうということでは成り立たない。
 統計家にしても、もちろん臨床試験に関する生物統計がものすごく大事なのは分かりますし、検証試験のところで最も重要だということは分かるのですが、医学的研究あるいは生物学的研究全般に関して統計解析というのはコアの部分で、そういうものがないような研究というのはほとんどあり得ないけれども、大学にそういうものをきちっと研究、教育するメカニズムがない。医学部の講座で医療統計学を持っている所は非常に少ないというのが、こういうものを養成しなければいけないことのもともとのきっかけになっているわけです。欧米では、そういうものは当然のようにあって、大きな医療統計のファカルティがあり、その中の人たちが分担して、そういう実務もサポートしてやってくれるので、統計学の教授が数人いるのは大きなメディカルスクールでは当たり前の状況なのが、日本では1人もいないという状況を何とかしないと。必ずしもマネタリーな部分だけでなく、自分がやりたい研究をするというモチベーションで大学に来る人も、少なからずいるはずなのです。そういう方たちのキャリアが形成できない状況は、厚労省だけの問題でなく文科省もきっちり考えていただかなければいけない問題だと思います。
 現状、国にお金がないということでもって、むしろ定員のほうは減らされる状況なので、その辺、こういうところの議論から一石を投ずる形でどんどん広げていただいて、そういうのを整備していただきたい。どうしても制度上、必要だからというのは非常に説得力がある話なので、こういうのが必要なのだからという議論から始めていただいていいと思いますが、是非、そういうところの整備を考えていただければよろしいかと思います。
○国忠委員 1つ質問ですが、この臨床研究法で認定臨床研究審査委員会が肝だというのは何回も議論してきたことで、いろいろ質問もさせていただいたりしたのですが、今日の資料の中で44ページに倫理審査委員会認定制度というのがあって、既に42機関で倫理審査委員会が認定されている。この倫理委員会と、今度作ろうとしている認定臨床研究審査委員会の要件というのは、ちょっと違うと思います。以前、頂いたお答えでは、間違いなく動き出せば、認定臨床研究審査委員会は動きますよと答えていただいたと思いますが、その根拠となるのは、こういう現実として既に認定した委員会が幾つかあって、こういうのが、そのまま、今回の臨床研究法に絡む委員会に変わっていくことを想定されているのですか。それとも想定以上にほとんどそれは確立されているから、全国で50か所弱の認定倫理委員会ができることを予想されているのでしょうか。
○井本治験推進室長 法律は、御案内のとおり要件さえ満たせば数の上限もありませんし、そういう意味からすると、我々のほうで数をコントロールすることはあり得ないことを冒頭に申し上げさせていただきます。次に、御指摘のように43ページの倫理審査委員会認定制度は、あくまでも指針をちゃんと守っているのかという観点から倫理審査委員会の指針遵守を確認するものとして予算事業として実施したものであり、手順書や実際の議事録、あるいは準備手続や実際のオペレーションを確認させていただいた上で、現状の倫理指針がちゃんと守られて運用できているというものを認定させていただいたものです。要するに実際に倫理指針に基づいて適切に審査が行われている倫理審査委員会はこのぐらいはあったということがわかるというものです。要するに今の倫理審査委員会の登録制度ですと、1,500程度登録されているですけれども、実態が実は把握できない。指針では実態を把握できるような権限もありませんし、それだけの予算も人員もない中で、少なくとも、やる気があって手を挙げていただいたものについて予算事業で確認ができたと言うことです。予算事業の中で、これだけの意欲ある機関が認定することができたということなので、臨床研究法の認定臨床研究審査委員会の設置についても期待できると思われます。また、既に臨床研究中核病院も11あり、多少の重複はありますけれども、こういった医療機関に設置された倫理審査委員会は、ある程度の確率で今回の法律に準拠した認定倫理審査委員会に移行されるのではないか。そのような期待を寄せているのは事実です。ただ、必置規定とかは全然法律でバンドルしていないので、あくまでも自由意思で移っていただく形にはなりますけれども、全く根拠がないものではないと思っているところです。
○楠岡部会長 最後に、この臨床研究部会の位置付けということで確認させてください。今までは、前回の「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」のように5年ごとに検討会を設けて、厚生労働省あるいは文部科学省で、臨床研究や治験をどのように進めるか方向付けを行い、それに基づいていろいろな施策をとってこられたと思います。今回、この臨床研究部会ができたというのは、他のいろいろな審議会の部会の性格を考えますと、厚生労働省が進める臨床研究に関する施策、あるいはそれに必要な法律に関して、この部会で適時検討し、その意見を反映して進めていくという目的で設置されたということで、今まで5か年計画でやっていたのを、言うならば随時検討して随時実施していく。そのための部会というふうに理解してよろしいのでしょうか。
○森光研究開発振興課長 この部会につきましては先生のおっしゃるとおり、最初が臨床研究法の省令内容の検討がほとんど主でしたが、基本的にこの部会が設置されたというのは、その臨床研究法の設置をきっかけに、臨床研究に関する課題を、今後、どうしていくのかに関して検討いただく部会ということです。今後、そういう課題等がありましたら、それをこの場で検討し、そして提言していただくということで考えています。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、また今後、この5か年計画2012に関わらず臨床研究全般に関して、この部会で議論することもあるかと思いますが、本日は、一応、報告いただいて御了解いただいたということで、よろしいですか。ありがとうございました。それでは、議題2のほうに移りたいと思います。資料2につきまして事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○井本治験推進室長 資料2について説明します。資料2に対応する参考資料として、参考資料2を用意しておりますので、随時参照ください。こちらについては、座長からもありましたように、今後、臨床研究法の細部を詰めていただくとき、あるいは、それ以外のときにでも、今後の促進や施策等について御提言を頂くことがあろうかと思います。それを御勘案いただく前に、まず、国内外がどのように変化しているのかということを総ざらいした上で、事務局から、最後にこういう課題が残っているので取り組んでいこうと思っていますという、たたき台を御用意いたしましたので、その順番で紹介していきたいと思います。
 2ページです。我が国における臨床研究・治験を取り巻く環境の変化、その次に海外という話の順番に駒を進めていきたいと思います。我が国においては、ここ数年間でちょうど5か年の総ざらい、集大成という時期に大きな環境の変化を迎えました。1つ目は、制度、法律が相次いで作られているということになります。参考資料の2ページの冒頭にあるように健康・医療戦略推進法が成立しております。この中には、基本的施策、あるいは国の戦略の策定義務、この中に推進本部を設置することも第20〜29条の中で定められていて、その推進体制としては、3ページですが、本部長として内閣総理大臣を頂く健康・医療戦略の推進体制というものまでできております。
 こういうことによって国を挙げて、当時は5か年計画以外にライフサイエンス、取り分け治験の活性化を担うような行動計画をオフィシャルにすることは、なかなかできなかったわけですが、この法律が出来て、この法律に基づいた推進体制として常設の推進本部ができ、そして、閣議決定される健康・医療戦略の策定がセットになり、参考資料の4ページにあるように、AMEDという形で厚労省、文科省、経産省、そういうライフサイエンス分野の予算を共通的に一元的に管理する、ファンディングエージェンシーも設立・運用が開始されるに至っている。こういうところが大きな制度、特に国、法律という観点での整備が進んだということになろうかと思っています。
 参考資料の5、6ページがその中で定められた健康・医療戦略、閣議決定されたものを平成26年当時のものと、あと、今年2月に一部改正されておりますので、参考までにその状況を書いております。5、6ページを見ると分かるように、平成26年7月のときには、一番下の行に、臨床中核病院について、正に医療法上に位置付けられた「検討を進め」とあり、早く実現化しようという状況でしたが、現時点においては、御案内のとおり、11の医療機関を医療法に基づいて指定できるところまで至ったということでも進展をみております。
 また、資料2の2ページの中段です。臨床研究・治験の実施体制の枠組みの変化というソフトウェアの話です。一部、参考資料1と重複します。参考資料2にあるように、既にある指針についても見直して疫学指針とくっつけたこともありますが、その後のディオバン事件以降の検討内容を反映し、倫理審査委員会の委員等の教育、研修の義務化、試料の保存義務、利益相反の管理、モニタリング監査を行うことが指針に盛り込まれて、まずは、先行して施行されている状況にあります。また、臨床研究中核病院については、今、申し上げたように参考資料2の9〜12ページにあるように、既に11の医療機関が指定されるに至っている状況と考えております。
 また、臨床研究法については再掲ですが、今回、成立して来年の4月に向けて制度運用の話を御相談させていただいているところです。また、利益相反については、特出しにさせていただきましたが、この観点については参考資料2の15ページにありますが、実は利益相反とは何なのかを端的に説明するのは難しいものですが、あるべき姿をゆがめさせる可能性があるか、また、人から見てそのように見えてしまうおそれをどのように管理するのかという概念であると考えられます。これまではヘルシンキ宣言や、厚生科学研究費についての管理基準という形でしか規範を定めることができませんでした。今回、臨床指針の改定やこの法律の施行においては、そういうものも条項に盛り込んで進めることができると考えております。16〜18ページについては、正に、一連の事件の反省を踏まえて行動計画的なものを策定されたものと理解しております。
 また、医薬品等の有効性・安全性の評価方法の概念の変化です。海外の大きな変化と連動しておりますが、基本的には臨床試験だけではなくて、安価な医薬品開発等の枠組みを作ろうという動きが国内外ともに盛んになっています。国内については、クリニカルネットワークやイノベーションネットワークと呼ばれる類いのもので、積極的な疾患登録レジストリをうまく使う、利活用するという方向で動いております。
 その最たるものは、21ページに挙げたものです。22ページにあるように、利活用という意味で、これまでにもいろいろな目的で様々な方々が疾患レジストリを作られていたわけですが、それ自身が、どこにどのようなものがあるのか全然分からないため、相互に利用することもできないというアイソレートした形でしたので、これらを見える化して相互活用できる、あるいはできるだけ統合、集積することによって、23ページにあるように国として様々な目的で使えるようなレジストリとして、例えば市販後調査、市場性の調査、患者リクルート、市販後安全対策の調査や最終的には医薬品開発を廉価に実施することができる対照群としてのレジストリの活用に向けて進めていきたいと思っているところです。
 また、MID-NETについて、この場を借りて紹介いたします。参考資料2の24ページにありますが、これは噂によれば平成30年度の4月頃からスタートすると聞いております。一番、問題なのはリアルワールドエビデンスという意味で臨床現場のデータを、いかにバイアスなく比較、可能性のある形で利用するのかというのは、各医療機関のデータの保持した形の自由度を束縛することなく、最終的に統一したデータでゆがみなく使うことが大事ということであり、PMDAで信頼性を調査して中を調整したデータネットワークとして、来年4月に向けて準備が進められているものです。
 25ページです。こちらはMID−NET事業の概要です。各医療機関が下にありますが、この概念は、医療情報システムの中で、いろいろなものが動いており、そこに御参画いただいている所については、共通の窓口であるPMDAからスクリプトという調査のためのプログラムを投げ込んで、統合データベースで抽出や一時処理をして、それを最終的にデータベースに戻して、各施設の情報を全部積み上げて集積報告をするというものです。
 一番、問題なのは下の図にあるように、いかに患者さんの個人情報を流布しないようにするのかという匿名化のシステムです。更に堅牢に作られており、基本的にはHISと言われている病院のシステムからSS-MIXという共通標準のストレージに出すときには実名等がありますが、ここの部分は災害等があったときのデータベースのバックアップ機能として御理解いただければよろしいかと思います。
 その後、匿名化処理を2段階、3段階行い、基本的には実名患者が分からない形、最後にはシーケンスをランダムに割り付ける手続をすることによって、二度とその患者が誰だか分からない形にしてから外部データセンターに吐き出して、それを集積して報告するという形になっています。
 27ページです。こちらはコンセプトです。こういうレジストリのデータベースを利活用いただくためには2つの重要なファクターがあります。ややもすると適切な解析計画さえあれば良いと思われがちなのですが、すごく地道で非常に手間暇の掛かる作業ではあるものの、最も重要なことは信頼性の高いデータとしての基礎として作ることです。
 29ページです。こちらもPMDAから頂いた資料です。実際に電子カルテである資料とSS-MIXサーバーからデータを抜いて比較したときに、どのくらいデータがゆがんでしまうのかということです。実は、診療データ、疾病データについては99%も相同率があるのですが、処方データや検体検査に至っては半分も当たらないのが実態です。これはなぜかというと、例えば、処方後に処方中止を行ったというケースで、処方中止は現場で行われているものの、中止データが正確に反映されていないために、本来は処方を撤回されているのにも拘わらず、処方された情報として扱われてしまうといったものがあったようです。
 また、数字を剥き身で使っていると、1日量、1回量、全量なのか全く分からず、データとして全く使いものにならない状態になってしまうケースも見られます。検体検査分類名と検査名が間違っている等、多分、そこはローカルルールという整合性を誰もチェックすることができないために、全体的なデータとして取り扱うためには、なかなかうまくいかないということをPMDAで実証されています。それが31ページにあるように、クオリティーのマネージメントの作業を通じて1個1個、丁寧に機関間での問題を抽出して整合性を取ることによって、そういうものを乗り越えられたということがあります。
 今後は、こういう地道で丹念なもの、例えば、新薬が出るごとに新しいコードを振るということが医療機関で行われますが、そのときも統一化するという地道なネットワーク管理に医療機関側も丁寧に参画いただかなければいけない。それを横断的に見ていただけるような存在がないと、こういうリアルワールドエビデンスを社会的に活用するということは難しい。何でも現場にあるデータを持ってくれば良いというような乱暴な考え方でリアルワールドを統合利用しようとすると、先ほどあった55%しか一致しないデータ、つまり本当の意味でのリアルワールドのデータではない間違ったデータに基づいて解析することになる危険性があるわけです。もちろん、数値情報としては存在することもあるでしょうか、そのような場合には当然ながら1日量か、1回量か、全量なのか分からないデータのまま数量解析をしてしまうので、全く無茶苦茶なデータになるわけです。
 正に、データが意味のあるものなのか無いものなのかは、データの品質の高いものを維持できるかどうかに掛かっているということから考えると、今後、こういうものが社会インフラとして整備されつつあるということは、大きな状態の変化ではないかと思っております。
 次に、目を海外に移して、資料2の3ページです。先ほど来、先生方から御意見があるように、実は海外においても治験・臨床研究に対する枠組みが急速に変化しております。参考資料2の32ページです。まず、アメリカですが、「21 Century Cures Act」というものがあります。1年ほど前になりますが、昨年の12月、オバマ政権の最後の仕事とも言われておりますけれど、1,000ページにも及ぶような著大な法律で、33ページにあるようなディビジョンAの中では、discovery、development、deliveryということで、まず、発見してそれを開発して、現場にお届けした後、32ページにあるように、これを好循環で回すことこそが、再生可能な効率的な医薬品・医療機器等のイノベーションの創出に必要なのだと位置付けて、いかに廉価で効率的にそういうものを実現するのかという施策を集大成した法律が作られています。
 その中で、34ページですが、1つは制度の統一化です。中ほどにボールドで書いてありますが、アメリカには臨床研究について2つ法律があります。1つはコモンルール、もう1つはIND、治験届みたいなものがあります。アメリカには法律が1個しかないと言われる方もいますが、大別すると実は2個あります。、これについてアメリカでは、この法律で1本化してハーモナイズするのだということを法律に書いています。35ページには、10年以内にこれを実行するということを掲げています。既に、一部IRBの議事録等の共通要件というものもガイダンスが出され始めておりますが、治験・臨床研究に関するルールを更に1本化する方向で、内容の整合化に動き出してきているということになっています。
 我が国についても、今回、臨床研究法を施行するので、アメリカと同様に治験・臨床研究に関して2つの枠組みが整備されることになるわけで、そういう意味では整合化の動きの緒に就いたというところでしょうか。整合化するには、少なくとも共通化するためのルールがまずは存在しないと始まりませんので。その状態において、臨床研究についての枠組みがこれから1つスタートしていくという状況です。36ページです。コモンルールの改正の議論です。コモンルールと言われるのは、ほとんどの省庁、厚労省に対応する保健省がHHSですが、それ以外に総務省や国土交通省等、いろいろな所でも人を対象とした臨床試験をやり得る状況にあって、そこについては共通のルールがあり、それがコモンルールということになっております。
 36ページです。1月19日にコモンルールになってから初めて改正されたという記事です。いろいろな規定がありますが、この中でもアメリカは今までIRB(Institutional Review Board)ということで、臨床研究についてはピアレビューをその施設内ですることを基調にしてきましたが、いわゆるEU型である多施設共同研究は1か所で見るSingle IRBを義務付ける方針に舵を切ったということが、このコモンルールの大きな変更点の1つに上げられると思います。
 38ページです。施行についてです。改正コモンルールの施行日は来年の1月19日ということなので、我々の臨床研究法とかなり近いところでの施行期日を迎えますが、Single IRBに関する改正事項の施行についてはパブコメで反対が多かったこともあり、また、雇用問題という議論もあるようなので、基本的には3年間の移行措置でSingle IRBに収斂していく見通しのようです。これで、欧州、日本、アメリカについて多施設共同研究はSingle IRB、少なくとも自国内についてはSingle IRBで処理するという方向に舵が切られたということになろうかと思います。
 また、参考資料2の39ページです。21 Century Cures Actにいろいろなものが入っておりますが、こちらは先ほど紹介したクリニカルイノベーションネットワーク(CIN)に通じる議論です。ここはホワイトペーパーの中から抜いておりますが、中ほどにありますけれど、多施設、二重盲検プラセボ群間比較試験が全てにおいてベストな方法なのかと記載されています。これはなぜかというと、現状では、失敗率も加味してですが、新薬を1つ作るのに1,000〜3,000億円近くのお金が必要になるので、開発費を回収して継続的な研究開発を行おうとすると薬価を引き上げることにつながり、一方で医療費が逼迫されるということで薬価を引き下げるとなると、とても新薬を安定的に供給できないというジレンマに陥ることになります。
 そういう中で、ここにもありますが、1980年代の2倍以上掛かる開発費を抑えるためには、やはりリアルワールドエビデンスの効率的な利用しかないのだということで40ページにもありますような政策につながっていくものと考えられます。そういう意味からすると、群間比較試験のようなもの以外のリアルワールドエビデンスをどのように使うのか。先ほどMID-NETも参考にしましたが、そういうインフラを国ごとに作っていくしかないのだということで、国内外ともに躍起になって、それをどのようにしたらいけるのかということを考えているところです。
 アメリカについては41ページにあるように、5年を下らない中でやるというような話ですので、リアルワールドエビデンスの利活用の方法について、アメリカは、かなり加速している状況にあると思われます。また、ICHという商業ベースですが、薬事法のルールについては、既に共通ガイダンスを作る上で対象に入れてきたというものを42ページで挙げております。
 もう1つ、羽鳥委員から御指摘がありましたが、臨床研究情報の公開の範囲についても制度の見直しが行われております。21 Century Cures Actにおいてもデータのアップデートポリシーが出ているわけですが、御案内のとおり、44ページにClinicalTrials.govのホームページを挙げております。これは、既に2000年から一般公開されている英語版のデータベースですが、その登録件数は44、45ページにあるとおりです。
 当初、一般公開された2000年のときには5,000件程度しかなかったものですが、2005年のときにICMJEという著名な臨床研究論文をアクセプトする編集委員会の組織が、臨床試験情報を事前に公開データベースに登録しなければ投稿論文を掲載しないというルールを作りました。これをうけて著名な論文に載せるためには、これに事前に載せなければいけないということでアクセルが踏まれ、その後、2007年にはアメリカでもルールを改正して事前登録を義務付けたところ、このような急峻な立ち上がりカーブになって現在に至ります。
 累積データベースですので、年間数ではなくて引き算をしなければ年間登録件数がわからないのですが、2015年、2016年の単純な引き算だと1年間に2万7,000件程度の臨床試験が登録されていることになります。46ページです。実際にアメリカだけでやられているものは全体の36%、アメリカとそれ以外の多施設共同研究が5%なので、合算するとここに載っている約半分の4割ぐらいの臨床試験が、実際にアメリカが関与している臨床研究ということになろうかと思います。
 今、藤原委員からも御指摘の、結果を載せているのはどうかという話のデータを調べたものがこちらです。後のほうで出てきますが、データ公表を義務付けられて間もないこともあり、棒グラフの左軸の数量は臨床試験、ClinicalTrial.govの登録件数を表しています。この折線グラフは、その結果まで載せられたものを表しています。青の棒グラフは登録件数、赤い棒グラフは、そのうち結果まで載せられた件数で、現時点でその約1割までが結果を全部載せられているという状況ですので、アメリカの臨床研究について成果を問わず、結果が載せられるようになったのは全体の10%程度という状況になってきています。
 48ページです。然はさりながら、今回の改正、Clinical Trials Registration and Results Information Submission;Final Ruleでは、こちらの中では、患者が自分の自由な意思で参加可能な臨床研究の情報を見付けやすくするなどの目的が掲げられ、昨年の9月に改正されて、今年の1月18日に施行されたルールがあります。49ページには、そのホームページをそのまま書き抜いております。中ほどのボールドですが、患者さんが自ら臨床試験の適格者である臨床試験を探す一助となるものという記載がされている所があります。こういうものが今年の1月に施行されて、その結果として今ご説明させていただいたように、臨床試験登録されている研究の内10%の臨床試験のリザルトが載っているという状態になっているところです。
 51ページ以降については、該当ページが非常に多いので、何点が気になったことをつまみ食いで抜いております。特徴としては、51ページで言うのであれば使用評価項目、プライマリーアウトカムについてもデータ収集後、1年以内に公表するということが記載されています。治験が終わったとき、結果の登録については主要評価項目、副次評価項目、有害事象、プロトコール解析計画書、そのフル・アナリティカル・セットを出すということも書いてあります。
 53、54ページには、有害事象についての記載ですが、もっと以前から有害事象については、Clinical trial.govはかなり手厚く載せているデータベースでしたが、今回のルール改正で更に一層充実して載せるような制度改正が進み始めました。54ページは、臨床試験の事前登録についてです。本来のグローバルルールでは、ヘルシンキ宣言でも最初の症例を組み入れる前に登録するというルールになっているのですが、法律の強制力をもって運用するルールとしては組み入れてから21日以内とされているようです。今年の1月ぐらいに『New England Jounal』に出ましたが、臨床試験開始後3月以内に登録している件数は7割ぐらいだったと報告されているので、実際の遵守率は非常に低かったために組み入れ後21日以内には必ず登録するようにというルールになったのではないかと思われます。
 続いて簡単にEUの動きを申し上げます。こちらについては、若干、まだ運用されていない所もありますが、medicinal productsという意味で医薬品関係のルールもDirectiveからRegulationということで、EUは一括法という形で公布されているところです。実際にはデータベースの運用開始が難航しているため、まだ運用はされていないのですが、こちらについては既に法律が改正されました。また、今年4月に医療機器もルールが改正されたという状況になっております。
 57ページ以降については、WHO等でも国際的に1か所に公開データベースを作ることを認証するような制度として、ICTRP(International Clinical Trials Registry Platform)があります。この中で日本も登録させていただき、57ページにJapan Primary Registries Network、これが先ほど申し上げた保健医療科学院におけるデータベースコードであり英語で登録しておりますが、これについての運用改善の勧告が58ページと御覧いただければよろしいかと思います。
 58ページ以降、WHOのステートメントが59〜61ページと続きます。その中で59ページを見ていただくと、最初の1行目ですが、臨床試験を始める前にregisterしなければいけない、publicly available,freeでということで、一般の方々がただで御覧になることが必要だとされており、また、次の段落でもアップデートするのだということも書いているところです。
 60ページです。the key outcomesの2ポツです。実際の主要な評価項目についても1年以内に載せる。primary clinical trials registryという先ほど申し上げた公開データベースを想定していると思いますが、そちらに載せるということになっています。61ページは、更に少し踏み込んだ形になっている情報です。先生方の中にはデータシェアリングという話について気にされている方もいらっしゃると思います。
 臨床研究、治験は、人を対象にした研究データですので、何回も同じデータを作り出すために同じ試験を実施すること自身も、ある意味で倫理的に問題だというところまで認識の変化が進んできていて、それについては、データの所有権の問題はあるのだけれど、そろそろデータの利活用を、シェアリングという観点で考えていこうではないかというものがWHOでもこのような形で示されてきています。現時点ではマストではないと書いてありますが、推奨していきたいという方針も書かれております。
 下の62ページについては、一歩進んでいるICMJEの動きです。先ほどの臨床試験に関する編集者の会議です。2行目にもあるように、Date Sharing、シェアデータということを考えていて、段階的に論文を受け付けるときには、こういう管理プラン、シェアリングプランがないと駄目だとか、データシェアリングのステートメントがないと駄目だとしています。こういう国際的な動きも踏まえて、今回の臨床研究の法律の在り方、あるいは施行の在り方も考えていき、今、先生方に御相談させていただいているところです。
 足早ですが、これが資料2、3ページまでの国内外の制度の設計の充実状況です。今後の課題と方針の整理ということで、4ページが、事務局がこの法律の運用において考えた着想です。これまで、数次にわたる活性化計画の中では、当初は治験だけをスコープに入れてきましたが、2012年からは治験だけではなくて臨床研究もスコープに入れる形での行動計画になっておりました。
 当初、治験は空洞化しているという指摘を受けた状況になっておりましたが、関係諸氏の御努力、御協力によって、国際共同治験の実施率の高まり集約化されたこと等もあり、また、症例についても省令化GCPが現場になじんだこともあって、この20年間でかなり充実したのですが、臨床研究については、やはりアカデミアでやられているものについてのてこ入れということで、2012年にスコープに入れたわけです。
 その総括として、我々は2つほど中心に考えていきたいと思っております。概念としては、患者にとって質の高い診療が一番大事だと思っております。この質の高い診療というのは、質の高い研究に根ざすものなので、必ずこういうマインドセットがないと、なかなかいい医療が提供できない、臨床研究は現在の患者さんに対してより良い治療を提供するため、また、将来の患者に対しても質の高い診療を提供するために科学的な検証課題を明らかにしていく、利益相反等も含めてエビデンスの高いものを提供していくというものが臨床研究の在り方であろう。
 また、治験・臨床研究の推進には、医療機関等の協力はもちろんですが、国民、あるいは被験者の方々の理解や協力が不可欠であろうと考えます。特にEmanuelの原則等、藤原委員からも要件に御指摘いただきましたが、基本的には臨床試験の被験者について、「患者に対して」実施するものではなくて、「患者とともに」作るものだという認識で海外は移行しておりますので、そういう観点での見える化、共有化という中でのインフォームドコンセントの推進に努めていくべきではないかと思っております。
 資料2、5ページです。今、申し上げたものも踏まえて、もう一度おさらいいたします。国等の体制整備という観点では、先ほど紹介したとおり、平成26年以降、この数年間で法律、体制、組織を充実させてきたところで、2)にあるように、ソフトウェアという意味でも指針の充実、今回は法律の施行を予定しておりますが、来年の4月の施行に向けて御議論いただいているところです。
 また、治験・臨床研究の実際の現場での体制整備という意味では、医療法改正に基づいて臨床研究中核病院を整備しているところなので、今後、こういう所を通じて、より実効性を上げていく形に舵を切っていく。大きな枠組み自身は法律ということで整備できたので、あとはソフトウェアの改正を踏まえてうまくやっていきたいと思っております。国民・患者への普及という観点も、先ほど来、紹介しているように、いかにデータを開示していき国民・患者とともに治験・臨床研究を盛り立てていくかという環境作りを、今後、精力的にやっていくべきではないかと思っております。
 そういう観点で、6、7ページに事務局として今後の課題について思い当たるところを書いております。6ページは、今回、臨床研究を御議論いただくこの場において、特に先生方から御意見を頂きながら、それを集積して短期的、中期的な目標に据えていくべきだと思っているところは、下位法令を通じた臨床研究の適切な推進の実現だと考えております。被験者の保護と質の高い臨床研究については、そういう枠組み規制が非常にいいものでもあり、その実施基準の履行によって初めて勝ち得るものであるという観点から、GCPに準拠した実施基準の整備、多施設協同研究のセントラルIRBの実装の話、公開データベースを臨床研究実施基準に登録させていただきたいということを御審議いただいたのも、ある意味でこういうところの一環だと考えております。
 また、適切な臨床研究を評価・指導する認定倫理審査委員会は、海外でもSingle IRBへの移行やIRBの整備にある意味で推進しているところですが、我々もこの委員会の設置規定、成立要件、中立・公正性の確保、技術専門員による評価書制度の導入というもので、実効性が担保できて透明性の高いものを生み出していきたいと思っております。
 7ページです。臨床研究・治験の実施体制という意味では、臨床中核病院が主なファンクションを担うと思っておりますが、医療法で認められて今は11病院まで増えてきましたが、ここの病院については公益性の高い、正に日本の治験・臨床研究を支えて引っ張っていっていただく、1人勝ちではなくて、言い方を変えると、みんなのための中核的病院であるべきなので、段階的に公益性の高い認定基準にシフトしていきたいと思っているところです。
 そういう意味では、前回の部会のときにも今回の臨床研究法の施行に伴い、見直しをしなければいけない要件が何点かあるという観点で、認定倫理審査委員会、指針に基づく倫理審査委員会から認定倫理審査委員会、公益性の高いものを設置規定等、そういうものに見直していきたいということをご説明させていただきました。こちらのほうの具体的内容については、しかるべき部会で、今後、検討する予定ですが、こういうところも考えていかなければいけないのかと。
 2については、その内容として、今、具体的に動いているものや検討しているものが並んでおります。既にベンチャー相談、あるいは先進医療の相談窓口を一部の臨床研究中核病院に担っていただいており、今後、ARO機能の見える化と、それについての支援の強化という形で臨床研究中核病院には活躍していただきたいと思っております。先ほど来出ているリアルワールドエビデンスの利活用のための医療情報のデータの在り方、標準化、高い品質管理、MID-NET等医療情報インフラへの参画を通じて基本的には、一丸となった大きなオールジャパン体制のデータベースの構築、あるいは連結をさせて実現していってはどうかと考えております。
 また、国民・患者への普及啓発に関しては、申し上げたとおり、被験者として試験を適用する患者ということではなくて、患者とともに試験、医薬品を作ってあげる社会、そのためには、もちろん信頼性の確保が不可欠で、逆に言うと病歴データの利活用は、ある意味で安くて非常にいいものを作る一番大きな早道でもあります。特にリアルワールドエビデンスを具現化するためには、国民、患者さんがこういうものの利用について、積極的に理解と参画をしていただかないと進まない時代に入ったのではないかという観点で、我々の次の目的というか課題はこの辺りにあるのではないかとまとめさせていただきたいと思います。説明は以上です。
○楠岡部会長 かなり膨大で、かつ、かなり先までのことも含めたお話で、少し付いていくのが大変だったかもしれません。この点に関していろいろ御意見を頂きたいと思います。先ほど課長からもお話がありましたように、本日、ここ1回で話をするだけでなく、今後も機会を捉えて議論をしていく内容ではあるかと思います。ただいまの御説明に関して、何か御意見等がありましたらお願いしたいと思います。
○花井委員 アメリカの動向を初めて説明いただいて、知らないことだらけで咀嚼できないことも多いのですが。かねがねIRBとECという2つがありますね。それは、すなわち治験と臨床研究です。これが患者からすると、ある種一緒なわけです。
 それからもう1つ。患者の立場からすると、窓口というのは自分の診療の現場があって、つまり療養を提供している主治医の先生などは、医療を提供してもらっているのです。その話と、いわゆる臨床研究というところはシームレスにつながっていて、窓口から臨床研究なり、今度こういう薬が出るけれどもということで、治験に誘われたりするわけです。そういうときの理解というか、そこのところで優れた臨床の先生が優れた研究者でない場合もあるわけですよね。患者からすると信頼においてそこへ行くわけで、そこの立て付け自体が、国民としてはほとんど理解不能ではないかと思うのです。患者申出療養とか、いろいろな制度を作ってくれているのですけれども、ますます理解不能な感じになっていると思うのです。
 そういう中で、1つには国民に対してそこをもうちょっと、患者が分かるようにしてほしいのです。その1つの考え方として今、アメリカの制度として、いわば治験と整合していくという基準の話があったのです。日本の場合はどうですか。セントラルIRBという概念と、今度認定の倫理委員会となると、結局そこで必要とされる人材のリソースは共通ですよね。そうすると、そこが今は別の制度で、向こうは薬機法で局も違うじゃないですか。そういった点で今後、そこの整合性はどうやって図られていくのか。今、よくICH-GCPとか言うのですけれども、そこにも結構振れがあって、いろいろな基準も実際上PMDAの動きも、薬機はやはり物ベースの体系になっています。そういう動きの話と、こちらの医政でやられている話は、私のようにちょっと知っている人間からすると、相当ハウスが違うかなと思います。そのことを一般国民は、別に分からないと思うのです。
 しかし現場においては、やはりそこがよく分からないという感じになっていて、それがいわゆる治験に参加するとか、臨床研究に参加するという積極的行為が、自分の診療にとってどうなのかということを理解するのに、非常に障害になっていると思うのです。ですから日本の制度設計上、薬機と今後のIRBと倫理委員会、ECとIRBをどう整合させていくか、若しくは統合するのか、別のものとして人材を考えるか、戦略としてどう考えるのかというのが1点です。あと、先ほどの国民に対するものというのは意見です。もうちょっと何かうまい説明がないかということでお願いします。
○森光研究開発振興課長 最後のところは、なかなか難しいと思います。臨床研究法と薬機法との関係ですが、薬機法と臨床研究法の一番大きな違いは、試験が始まる前にPMDAに治験届をやって、そこで審査をして始まるということと、臨床研究法はそうではなく、認定の臨床研究委員会で審査を受けて、国に届けて始まるというところです。ただ、実際の現場では、実際の臨床研究法の運用においては、どういうように運用されていくかという部分に関しては、先ほど話がありましたように、例えば治験の中で様式を統一するとか、どういう報告様式にしていくかというように、実際の現場においてできるだけ親和性が取れる形を取っていきたいと思います。GCPの基準をにらみながら、今回の実際の臨床研究法の省令も作らせていただいているということです。
 患者さんから見て、治験と臨床研究が分かりにくいということに関して、正直申し上げて、解消するのはなかなか難しいと思います。ただ、今回は逆に窓口がいっぱいあり過ぎても困ると思います。どこに情報があるのか、どういう窓口があるのかということも含めて、できるだけきちんと伝えるように仕組んでいく、中身に埋め込んでいくということは、我々も考えていきたいと思います。あと、運用するところでどういうように動いていくかというところについて、しっかり理解していただくためのツールに関しては、かなりあちらこちらに埋め込んでいきたい。データベースもそうですし、審査委員会のほうにも窓口を設置するとか、そういうところに埋め込んで、それを実際にどう使って理解を求めていくかというところは、更にもう一工夫しなければいけないし、そこが一番大事なところだと思っております。
○花井委員 今のは大体理解できたのですが。前半の議論でもあって、ここで言って済む話か分かりませんが、結局、企業治験というのは、企業治験を受けて収入になるわけです。ところが日本は国立がん研究センターもそうですけれども、研究独法は診療機関でもあるわけです。その療養提供のほうは、病院で保険からお金を稼ぎなさいというようになっていて、研究のファンクションについては、ある程度税金を出しますよとなっていて、それを年々減らしているわけですよね。今まで推進していたがん対策推進計画も、この5年間のうちにその部分をどんどん減らしていて、言っていることとやっていることが違うということがあるわけです。
 それはどこか。病院は保険で食えと言って、もう1つは外部から、民間の企業と連携して金を稼げとなっていて、基本的な研究ができる病院というか、いわゆる臨床研究中核のような所で、今おっしゃったインフラを確保するというのを、基本的病院のファンクションとしてきちんと位置付けて、そこにお金を付けるという発想がないからだと思うのです。保険療養所の施設基準というのは、あくまでも療養提供のための基準だから、研究基準に保険者は払う理由がないので、そこはギリギリ絞るわけです。先ほどキャリアパスの話もあったけれども、この程度の病院には臨床研究のこのくらいのスペシャリストがいるというところがないと、そういう話にはならないと思うのです。
 ここで言っても仕方がないのですが、そのお金がないわけですから、そこはちゃんとここで議論をして、きちんと土台としての機能を。例えば、完全に臨床研究だけをやっているような病院で、AMEDにどこかのNCがくっ付いて、インハウスの研究ばかりやっている療養所があれば見えて分かりやすいのですけれども、日本はみんな病院なので、国民からすると、そこがやはり理解しにくいと思うのです。しかもお金を出す財務省も結局のところ、そこが分からないから、そんなものは企業からもらえばいいという発想になっているのではないかと思うのです。これでは幾ら「旗振れど」という感じになるので、是非ここで議論していただいて、もっと偉い人に言っていただきたいと思います。
○清水委員 花井委員に私の言いたいことを、ほとんど言っていただいたような感じです。まず、IRB(治験審査委員会)と、研究の倫理審査委員会が二本立てだった経緯を、少し御説明したほうがいいかと思って聞いていました。当時はまだ薬事法でしたが、平成13年の前々回の薬機法の改正までは、治験ができるその主体となり得るのは、申請できるメーカーしかできなかったのです。各病院ごとにその治験を受け入れるかどうかの審査をするための委員会として、治験審査委員会(IRB)が作られたわけです。
 そこでは何を審査していたかというと、提示されたプロトコールでその病院で実施することについて、医学的な部分も含めて、何か問題がないかを審査するということだったので、セントライズしようがなかったのです。要するに、その病院でやっていいかどうかを審査するのだから、当然その病院で審査しなければいけないわけで、患者への説明の仕方なども含め、やはりローカルに審査しないといけないということで、それが作られていたのです。
 平成13年当時の薬事法の改正では、医師ないし歯科医師も自ら治験をコンダクトすることができる制度、いわゆる医師主導治験ができました。通常の企業治験だと、届出がされて契約を求められ、IRB審査を経て実施となるのですが、医師主導の場合、制度上は届出前にIRB審査をして、実施について問題がないかどうかを検討し、問題がないことを示した上で届けを出しなさいという制度でした。そうすると、今までプロトコールなどがきちんとできているかどうか、当時の治験審査委員会は審査をしてこなかったものですから、そういう審査能力が充分ではなかったのです。京大病院で初めてこれをやろうとしたとき、仕方がないので、倫理委員会にそれを投げて、倫理委員会から意見を頂いて、きちんと科学的にプロトコールなどができているかどうか、その意見を伺った上で妥当性をきちんとIRBに審査していただいて届けを出すことにしたのです。
 それは別に法律で求められているわけではなくて、そういうことをきちんと審査できる体制が、当時のIRBにはなかったのです。それがだんだん普及して、今、橋渡し研究の拠点となっている機関の病院とか、中核病院になっている病院とか、国立大学病院等においては、何らかの形でプロトコールの内容まで含めて、科学性を持った審査ができるIRBが持たれるようになったのです。その過程で、倫理委員会と統合してきた所もありますが、京大はまだ独立して2つ持っています。それは指針が求める、あるいは今度この臨床研究法が求める設置基準と、GCPで求められている治験倫理審査委員会、いわゆるIRBの設置基準とが違うからです。
 これはヒトを対象とした再生医療の法律になる前から、いわゆる再生医療に関するもので指針ができたときも、倫理委員会なのですが、指針ごとに倫理委員会の要件が違って、バラバラに作らなければいけないのか、両方の指針が求める公倍数を取って、どちらの基準もきちんと満たしている委員会を作るか、現場は大変混乱してきました。
 今回、認定倫理審査委員会が作られるのですけれども、これもまだ薬機法上のIRBの要件と違っています。倫理指針上は今回の認定のものを作ると、同時に満たされる形になっているのです。認定倫理審査委員会ができた後は、通常の指針だけが適用される研究を審査することもできるので、ここでようやく徐々に整合性が取れてきたと。何らかの形でそれを統一していかないと、非常に効率が悪いだろうということも伺われるので、今後、アカデミアなどで臨床研究もする、治験も受け入れるという施設については統一するのか、あるいは別々に運用するとしても、そこはうまくきちんとコーディネートできるようなメカニズムが形成されていくのだろうと思います。
 そうなってくると、初めてヒトに試されるとか、ヒトで試してみようという医薬品や医療機器を使う研究に関しては、こういうように審査されているのですということを患者をはじめとして、国民の皆さんにより分かりやすい形で説明できるようになってくると思います。しかし、そういうことがスラッと説明できる状態にまだなっていないというのが現状だろうと思います。
 確かに研究しようとするときに、企業等から資金が入ってうんぬんというのが、今回の法律でもカテゴライズされています。それをやるとか、企業治験を受けるということをしないと、そういうことをサポートする人間を雇用する術が、今まで大学病院等にはなかったのです。やはりそういうことではいけない。きちんと研究するということが、日本の医療をより良いものにしていくために必須でしょう。そこで国民に対する理解を得なければいけない。
 引き続きそういう努力をしなければいけないことは踏まえた上で、やはりそれをやるための基盤について、一定の経済的措置を考えていただかないと、「やれ、やれ」と言われても誰がやるんだということになると立ち行かない。それが立ち行かない状態で走らされると、では、企業からお金をもらおうかという話になる。最終的に受益者として企業がいるような企業主導治験の場合は、ある意味当然でしょうけれども、そこに持っていくまでの間のところは、何らかの形で企業が利益を上げていただいて、そこから税金を納めていただくという最終構図でもいいと思うのですが、直接的に受益者を特定して、そこからお金をもらいなさいというやり方でやるのは、やはりかなり無理があると思います。
 そこの確固たる基盤が崩れないようにすることに関しては、倫理審査でもそうですし、CRC審査の問題でも、統計家の問題でもそうです。そういうサポートは必ずしも医療そのものではないので、健康保険からいただくのも、ちょっと無理があるということになると、やはり別の枠組みで、それに対して国から何らかの投資をしていただくことが必要ではないでしょうか。
 さらにちょっと拡張して言えば、最終的にそれが国民医療のためにつながるのだから、今の医療費の中から一部上乗せをして、そういう病院には少しコストを払っていただくというのもありかもしれません。ただ、一部の患者だけからたくさん取ればいいのかという議論にもなって、それもおかしな話だろうと思うのです。そこは公的な支援をここでも議論していただいて、在り方を考えていただけたらいいなと思います。
 臨床研究中核病院というのは、この部会の事象ではないのですけれども、先般提示された特定臨床研究と要件の見直しのために、「特定臨床研究」という言葉が両方で使われていて、それが違うものを指していると混乱するので、これを統一しようというのは、制度的にはすっきりしていいのです。しかし、ここでこの議論をしていた臨床研究法の要件というのは、ある意味規制法的な要素があって、きちんとレギュレートしなければいけない対象として、未承認あるいは適用拡大のものを扱う研究と、企業から資金を提供していただいて行う研究ということですが、臨床研究中核病院の責務として支援しなければいけない特定臨床中核病院、もちろん医師主導治験に加えて特定臨床研究という、この法律上の臨床研究法上の特定臨床研究というように整理されるのは、文言上はすっきりしていていいのです。
 しかし内容が違っていて、この中核病院に何をサポートしてほしいのか、サポートすることが望ましいのかということを考えたときに、やはり侵襲・介入を伴う臨床研究、あるいは手術手技とか、そもそもこの臨床研究法の対象でない臨床研究に関しても、やはり医療を良くしていくと。それを通じて国民健康の増進につなげるということを考えたときには、当然活性化して強化しなければいけない対象ですし、そういうものの質を高めていくことが、中核病院に求められる責務だと思うのです。
 ですから要件からそういうものを抜いてしまうと、結局その要件を満たすために、要件に当てはまる研究のみをやらなければいけないということになって、任務が変わってしまう危険性があるのではないかと思える部分もあります。ここは慎重に考えていただいて、ひたすら文言上の整合性を考えるのではなく、文言がいけないのであれば、「特定臨床研究」という言葉のほうをやめてしまって、従来の定義にこの法律上の特定認証研究を加えるとか、カバーしていない部分を加えて、そこもしっかりやってくださいというように作り込んでいただかないと、活性化すべきものの質が変わってしまうのではないかという懸念を持ちました。そこは慎重にお考えいただければと思います。
○井本治験推進室長 長い歴史を御説明いただいたと思います。私も平成14年の薬事法改正に従事していたので、そのいきさつはずっと見てきたわけです。御指摘いただいた2つの話を、ちょっと補足説明させていただきたいと思います。
 アメリカについても先ほど御案内したとおり、法律が2つあって、IND制度とコモンルールの二元化をハーモナイズしようとしています。実際に今御指摘いただいた倫理審査委員会の制度も、OHRP(Office for Human Research Protection)という部門が、倫理審査委員会のハンドルというか、登録データベースを持っていて、数を管理しているのです。実はアメリカも、登録件数が3,000件近くあります。8月に一生懸命コツコツ調べてみたら、3,141件ありました。そのうち活動しているのは1,873件ということで、要するに登録はしてみたものの、アクティブでなかったのが約41%あったという状況です。
 その内訳を見ると、FDAのINDに対応した倫理審査委員会に特化したものが14個しかない。コモンルールだけを提供しているものが928件、両方に適用しているのが931件ということで、半分は治験臨床研究の両方のための要件を具備して運用されていました。そして残りの半分はほぼ臨床研究だけをやり、コモンルールにだけに適用した倫理審査委員会で運用されているというのが、今年8月現在のアメリカの状況のようだというところまでは捕足しております。
 また、方向性については清水委員から御指摘があったように、我々の指針もコモンルールの構成要件、例えば各々のIRBは5人以上のメンバーで作らなければいけないとか、そういった基本規定は、指針を作っていただくときにも参考にしていただきました。また「専門家の存在」とか「一般の立場の人」とか、言葉の使い方については言語によって若干違いますけれども、概念としてはかなり整合性を取ったもので導入していただいたという経緯があります。今回、晴れて法律に格上げになったことをもってアメリカと同じように、INDとコモンルールの整合性という議論も論じられるようになると思いますが。今後はそういったもので、できるだけ現場の皆さん方が繁雑にならないように、様式の統一化とか手続の統一化、要件の統一化、整合を具現化をしていって、より一層分かりやすい形、シュリンクした効率的な時代をもたらされればいいなと思っております。
 もう1つ清水委員から御指摘のあった臨床研究中核病院については、ここの委員会では検討しません。前回の部会において、私が分かりやすくするために、あえて「文言上の整理」としてデフォルメして言ってしまったのですが、本来はそこだけではなく、今回の法律の整備により、特定臨床研究は法律の手続きを踏むことで、手続きについて管理されるし、被験者の保護がきっちりと行われる。データについてもある程度保証もされます。結果についてもしっかり認定臨床研究審査委員会で見ていただけます。「研究は自由だから何でもいいんだ」と言う人も一部にはいますけれども、そうではなく、きちんとレビューボードにおいて、臨床試験の結果の内容までしっかりと確認されたものを、信頼性のあるものとして世の中に出していく。そういう対象となる臨床試験のデータという形で、今回法律で規定された、義務化されたものなので、臨床研究法の特定臨床研究というのが適当ではないかという考え方から、今後議論していただこうと思っております。いずれにしても御指摘の点については、該当の審議会で御審議いただこうと思っております。以上、補足です。
○山口委員 今後の課題ということで大きく3本柱がある中で、「国民・患者への普及啓発」と書いてあります。最近、どの会議に行っても必ず、国民への普及啓発というのが文言として出てくるのですけれども、実際には有名無実化しているような現状があるのではないかと思っています。特に「患者に対して臨床研究は実施するものではなく、患者とともに実施するものである」ということで、正しくそうあっていただきたいと思う中で、「では、どうやって情報提供されていますか」と言ったときに、「ホームページ上に出しています」とか、「国のホームページに知ってほしいことが書いてあります」とおっしゃるのです。ところが、そういう所を見る人はなかなかいないと思うのです。
 かといって、一方でインターネットでいろいろなことを調べようとしても、上位に上がってくるのは決して信頼性の高いものではない。そういうことからしますと、いろいろな情報を知ってもらわないといけないものだらけになっていて、実際にはリテラシーも高まってこない中で、誤った情報を鵜呑みにしている方も増えていて、最終的には国民がきちんと情報を得られていないということがあると思います。
 ここだけで解決する話ではないと思うのですけれども、そろそろ医療や健康についての信頼性のあるサイトが、どこかできちんと作られて、その中で研究に関心のある人が入って行って、ここに入れば研究について必要な情報を得ることができるというシステムを作っていかないといけないのではないでしょうか。「国民・患者への普及啓発」と言葉だけで言っていても、実効性のあるものにするにはどうしたらいいか、そろそろ考えないと、あふれ返ってしまっているという現状ではないかと思いますので、是非、そういったことも具体性を持って考えていく方向で進めていただきたいと思います。
○井本治験推進室長 御指摘ありがとうございます。正にそういう目線で、我々も今回の臨床研究法の施行に向けた準備の中で考えていきたいと思っています。今までは日本医師会とかJAPIC、UMINという、ある意味で国ではない機関に一時的なデータベースの作成を先んじてやっていただきました。そうやって取り組んでいたものを制度化したというか、指針のほうで踏襲するのが精一杯で、国が自らこういったものを蓄積するという形での制度設計は、法律ができて初めて具現化されたのです。
 御指摘のように今回の法律の契機、特定臨床研究については、少なくとも一元的に収集できますし、認定倫理審査委員会でその内容についても吟味いただいて、結果や進捗についても補足できるような制度設計を皆様方にお認めいただければ、そういったものの足掛かりを今回作ることができるのではないかと考えております。将来的にはそういったものを1個見れば、少なくとも全ての研究について一元的に理解できるようにすれば理想的ですが、試験の内容についてまで信頼保証できるようなサイトをつくるというのは、それにかかるインフラや経費が膨大になる恐れがあるので、簡単に作ることはまず無理でしょうけれども、少なくとも患者の目線からしたら、どういう治療があって、それができなくなったら何があるかといったことを知りたいという思いは十分理解しているつもりなので、全体の方向性としては、そのような患者目線での整備を進めていきたいと思っています。患者の立場からすれば主治医に聞かれることもあるかもしれませんが、その肝心の主治医ですら検索できない状態であれば、患者さんに御理解いただくのはとても難しいわけですから。
 そういう御批判は長年いただいてきたことも、今回の法律の施行を契機に、改善していく方向の道筋を付けていきたい。そういう観点で実施基準の第6号で公益データベースへの登録の話等を、WHOの項目になぞらえて登録をお願いしていく方向性について、御相談をさせていただいたという経緯があります。御指摘の点については、我々も何とか進められるように尽力していきたいと考えております。
○羽鳥委員 山口先生のおっしゃることも、もっともです。日本医師会でも国民向け、会社の衛生担当者向けに、こういうことを正しい知識として勉強してほしいということで、健康検定をやって、4回ほど試験が終わっているところです。それで毎年、書き替えていこうということでやっています。
 これは別にして、先ほどの臨床中核病院の話です。今は11あるということですが、この見直しはあるのでしょうか。例えば、今回のディオバン事件あるいはその後の血圧の薬もそうですし、白血病の薬などについても、日本の超一流と言われる大学病院で起こした事件であるからです。もし、そうであるならばそこは臨床中核病院から下りていただいたり、ほかの病院が手挙げしているならそこをリストアップするなりして、常にリフレッシュしていくような仕組みにしていかないと、安住してしまうのではないかと思います。
 MID-NETも同じです。MID-NETも東大とか徳洲会とか、大病院グループなど幾つかの大きな病院グループからデータを集めて、「これが一般的なデータです」「一般的なリアルワールドです」とおっしゃるのですけれども、それもどこかできちんと見直していかないと、やはり偏ったものになると思うので、常に見直すという第三者的な目が必要ではないかというのがお聞きしたいことです。
 もう1つは、医療機関の情報がうまく集められないという話がありましたが、これから医療とITとか、内閣府のほうでもかなり大きな診療のネットワークを企画していると思うのです。それが機能してくれば、データを集めることは不可能ではないと思うのです。あとはその仕組みを上手に生かす。患者のプライバシーを守りつつ、データを取る仕組みは必ずできると思うので、それを是非やってほしいと思います。
 それから、もう1つお聞きしたいことがあります。今まで治験の場合には対照薬を使う、あるいはコントロールプラセボを使うということだったのですけれども、それは39ページにもあるように、非常にお金が掛かる。3,000億円も掛かるようなことをやっていては、新しい薬はできない。リアルワールドデータベースを、リアルワールドのエビデンスを使うということですけれども、具体的にその移行期というか、どういうようにしてそれに移っていくことが可能なのか、なかなか想像が付かないのです。
 最後に、29ページにデータ検証がありますけれども、この処方箋に書く投薬方法の表現の仕方にしましても1日量、1回量、全量というのは、国がきちんと書き方を決めてくれればいいのです。何々大学方式とか、みんな自分たちのやり方で処方箋を書いてきているのですが、それでは駄目です。こういう方式でなければ処方箋として認めないと。1日量をしっかり書くとか、分散をしっかり書くとか、それを法律で書いて、そういう書き方をしていない処方箋は認めないぐらいの強いつもりで。紙はいいのです。電子化になったものはそういうようにしてもらわないと、やはりデータは集められないと思うのです。
 結果的に品質管理をしたら集められたということだったら良かったのですが、このようなところで苦労をしてほしくないと思います。例えば特定検診のデータを今、一生懸命国保データベースで集めていますけれども、片仮名の半角と全角の違いでデータが集められない。こんなみっともないことをやっていて、それと同じようなことだと思うので、国としてもきちんと命令すべきことは命令してもいいのではないかと思います。
○森光研究開発振興課長 まず、臨床研究中核病院のお話です。臨床研究中核病院自身、別に数が決まっているわけではありません。もともと臨床研究中核病院は拠点整備が必要だという話としてありましたけれども、ディオバン事件をやった所はという以前に、ディオバン事件の反省の際には、やはりきちんとした臨床研究を支える人材がいない、支える仕組みがない、いわゆるきちんとした臨床研究をやれる体制が必要だというところが、反省が1つあります。結局、そういういろいろな要請の中でできてきたものなので、今回はディオバン事件の舞台になった病院も、一応臨床研究中核病院となっております。基本的に私どもはその反省を受けて、きちんと対策を見直し、内容を確認した上で承認しております。したがってディオバン事件についてはある意味、それを済ませて、なっていただいているということです。ただ、今後もまた似たようなことが起こるということについては、きちんと病院として責任を持っていただきたいと、私どもも常々、まず承認する際からそういうお話をさせていただいております。
○羽鳥委員 では、ほかの大学病院が手挙げをして、「私もなりたい」と言ったら、一定の条件を満たせばということですか。
○森光研究開発振興課長 そうなります。
○楠岡部会長 追加ですが、年に1回厚生局が、要件を満たしているかフォローアップ調査をしています。ですから認定のときには要件を満たしたけれども、何年か後にその要件を満たさなくなれば取り消します。いきなり取消しにはならないにしても、一応取消しということはありますし、それ以外に倫理的な問題が起こった場合には、特定機能病院の条件はクリアしていたけれども、取り消された所もありますので、そういうことは対応することになると思います。
○井本治験推進室長 補足させていただきます。臨床研究中核病院についてはそのような形で、随時フォローアップもしています。また、私のほうからお答えしていいのか分かりませんけれども、MID-NETについて私が御紹介させていただいた趣旨としては、強制的にどうこうすべきというものではなく、また、これが唯一無二と言っているわけではなく、MID-NETが、PMDAという審査を一元的に扱っている公的機関が主体となって、データ信頼性についてフォローアップをしている所なのです。ややもすると研究や解析にばかりに目がいってしまいがちで、肝心のデータの質についてきっちりと検証したことが少ないのが実情だと思います。自分の医療機関におけるカルテの記載の不統一であるとか、SS-MIXに単純に移しただけでデータのクリーニングがなされてないと、これだけの不整合が起きてしまうという現状を実際に明らかにしたというのも、1つの大きな業績ですし、それを放っておいたら、すぐにばらばらの統一感のないデータの集合になってしまうところを経時的にモニターして、23施設集めてもこれが揺らがない信頼できる一塊のデータ集合体を作ることができるというものを示したことも大変意味があると思っています。一番大事なことはそのような信頼できるデータ集合体であり続けられるように経時観測しているところが重要です。
 医療機関からすると、単にデータだけ取り上げられると思ったら、実は大きな間違いです。医療機関内でデータの質的整合性が担保され後に、施設内で研究を行う場合、データの信頼性が担保されているので、そのデータの信頼性をもう1回チェックしなくても、それだけのものはもう信頼保証ができているというメリットがあるのです。
 私たちがここに着目したのは、今回の臨床研究法を通じて何が大事だったかというと信頼性保証です。ですから認定臨床研究審査委員会できっちりと内容を見ていただく。研究の結果についても公開するというのが大前提ですけれども、その内容も認定臨床研究審査委員会において評価していただくことによって、第三者の目が常に光っているデータが世の中に出ていく仕組むになるということです。先生から御指摘いただいたように、やればやりっぱなしではなく、そういうフィードバックが常に掛かる環境に置く。そういうシステムやデータだからこそ意味がある。だからこそ研究する者も安心して信頼できるデータを元に研究が実施できるという環境になる。
 先ほど御説明させていただいたデータベースで言うと27ページですけれども、適切な解析計画というのは、正に研究プロトコールになぞらえると思うのです。この根っことなるものは、それに用いられるデータ自身が、そもそもでたらめでは意味がないということです。ここは意外に軽視されがちなのです。誰も評価してくれないことになりがちな、すごく地道な作業ですけれども、1個1個データを突合して、これは1日量で1回量の問題であるとか、オーダリングのルールが違うとか、コードが違うとか、多岐にわたっているものを丹念にしらみ潰しにパターン分析し、制度の欠陥なり欠缺を見抜いて、そこをベンダーとの調整を行ってコントロールして、不要なばらつきや不正確なデータを排除していく機能こそが、ここまでたどり着いた1つの大きな成果ではないかと。ですから、MID-NETだけではないのですけれども、こういった取組を各施設でやればいいのですが、相当大変なので、せっかくこういう枠組みができたのであれば、こういうところを皆さんで御利用になられれば、みんなのウインウインの世界が構築できるのではないかということを申し上げたかったのです。
 リアルワールドエビデンスの活用の話ですけれども、私の漏れ聞いているところでは、来年4月には市販後データの1つの類型の調査の形態として受理するそうですし、PMDAが監査をしているものだからこそ、そのようなことができるようになってきました。逆にいい循環ということで言うなら、ここの枠組みをどんどんみんなで作り上げていけば、より早く、より大規模で正確性の高いものが作り上げていけるわけです。
 また、今申し上げたように、実はこの枠組みに参画した場合には、自施設内での利用は全く自由にただで使えるし、協力機関内での御利用については一般利用とは違った、かなり廉価な価格で御利用いただけるという話も聞いています。そういう意味で、実際に臨床研究を頻繁に行われるような大病院においては、こういう枠組みに御参画いただいて、データクリーニングに御参画いただければ、より一層その効率的に・大規模な研究が可能になっていくと考えられます。強制参加ではないのですけれども、御自身の機関の研究のクオリティー自身の向上の一助になるのではないかと考えています。不足があればお願いします。
○鹿野委員 御説明いただいたとおりで、PMDAのMID-NETを御紹介いただいて、こういうものが活用できるということを示していただいたのは、非常に有り難いと思います。ただ、最初に参考資料29ページで御紹介いただいたように、データの一致率が非常に低かったという課題があって、30ページにそのいろいろな課題が書いてあります。この大きな理由の1つが、電子カルテの標準化がなされていないということです。同じ会社のカルテでも、各医療施設でかなりカスタマイズされていますので、結局SS-MIX2に持ってくるときに、こういう問題がいろいろ起こりました。
 先ほどから御紹介いただいているリアルワールドエビデンスの活用は、私もいろいろな所で国際的に大きな流れとして、かなり進むだろうと感じているところです。それから、いわゆるビッグデータの活用ということで、医療ICTの議論もなされていますし、AIの活用なども非常に注目を浴びています。そのときに基本になる医療情報のデータ標準がある程度そろっていないと、なかなか難しい。MID-NETについても、相当時間と労力を費やしました。かなり影響の大きい話ですし、この場ではどうこう言える話ではないのかもしれないのですけれども、御質問として電子カルテ等、そういう基本的な本当のローデータの部分について、今後どうこうしていくというような、もし現時点で御説明いただけるものがありましたら、お願いできればと思います。
○森光研究開発振興課長 電子カルテの標準化というのは、大分前からそういう課題がありました。基本的には電子カルテの標準化ということで、厚生労働省の標準のものを次々と出してきています。そのスピードがどうかという話は当然ありますけれども、各ベンダーが病院の中に入れた、その後のカスタマイズの話もあります。あとは実際の診療の所で、若干のカスタマイズと言うと変ですけれども、いろいろなバラ付きがあるというところも、正直な問題としてあるかと思います。厚生労働省はコードなどのかなりのものは、既に標準のものは出させていただいているという状況です。
○藤原委員 皆さん方に知っておいてほしい問題点を、2点だけ申し上げます。要は、この臨床研究の活性化は、小さな政府か大きな政府か、どちらを選ぶかによって変わってきます。小さな政府だと、民間の力を借りないといけないのです。ここは日本政府がコントロールのしようがないところですけれども、最近の治験を見てみると、企業は日本パッシングといって、日本で治験をしなくなってきています。名前を言ったら悪いのですが、武田さん、アステラスさんなどは、みんな治験は最初にアメリカでやるのです。それは、アメリカが自由薬価制度をしいているからです。高い薬価が付くから向こうで治験をやって、その後に日本に入れる。この大きな潮流は変わらないので、これ以上日本で規制をきつくすると、企業はみんな逃げていきますよ。経済の論理だから薬事政策や研究開発政策ではコントロールできないわけです。そういう大きな背景があることを、まず知っておかないといけないと思います。
 日本の臨床研究に入る公的研究費は、海外に比べて非常に少ないのです。それはこれまで企業のお金が入っていたからです。その企業のお金が外国へ出ていくということは、日本での臨床研究はやらなくてもいい、できないという話になります。これは小さな政府の話とも兼ね合います。治験中核病院は昔、事業仕分けの対象になったことがあります。のです。そのときに財務省の主計官は、「日本で臨床試験なんて必要ないでしょ。アメリカでやればいいじゃないですか」と平気で言いましたから。日本の国民全てに、良い診療は臨床研究によって、あるいは臨床試験によって成り立つという概念がないのです。
 もう1つ、私がアメリカの学会の国際委員会の委員をやっていたときに、向こうの患者団体から責められたのは、「なぜ日本の患者さんは、外国人の臨床試験のデータを使うんですか。私たちの体を使って、あなたたちがなぜそんないい思いをするんですか」という批判を受けたことがあります。そういうことも全然報道されませんよね。将来、大きな政府を目指すののだったら、それらを踏まえて、ここで公的研究費をしっかり増やしていく必要があると思います。
 例えば、臨床試験を1本やるのだったら、アメリカのNCIなら第3相試験で、患者1人当たり3,000ドルぐらいは出しますよね。AMEDの研究費を見ると、年間たかだか1本2,000万〜3,000万円で、「大きな比較試験をやれ」といっても、土台無理な話です。抜本的にそういう研究費を増額することが、みんなのメリットになるという考えを共有しない限り、活性化はできないです。
 最後に、IRBに関して申し上げます。いつも森光課長は「50個ぐらいでいけます」とおっしゃいますけれども、一切予算の話はされません。EUで臨床研究規則が入ったときに、臨床研究のコストが300%増えたのです。3倍です。それで臨床試験はシュリンクしました。ですから、やはり予算立てをしっかり考え、これから臨床研究を規制して、きれいな臨床試験をやるのだったら、それには金も掛かりますし、人手も掛かりますということをはっきりみんなが認識することが大切です。このままだと、来年以降は臨床研究はやれなくなります、その代わり良い診療もできなくなりますということを、あらかじめみんなが共有して理解していないと、臨床研究法が施行されました、臨床研究が進まなくなりました、認定臨床研究審査委員会も数が足りませんでは話にならない。これは研発課の責任ではないと思います。財務省の責任だと思います。是非頑張って年末に交渉してください。
○楠岡部会長 これは御意見を聞いておくだけにします。まだいろいろ御意見があるかと思います。私自身も手法の標準化や電子カルテの標準化に関して、意見を申し上げたいところがあるのですが、時間がありませんので、これからまた機会を設けていただいて、そういう議論をしたいと思います。時間も延長しておりますので、この議題に関しては、ここで終了させていただきたいと思います。
 以上で予定されている議事は全て終了しました。事務局から追加等がありましたら、よろしくお願いいたします。
○森光研究開発振興課長 次の開催は、11月17日を予定しております。開催時間、場所については改めて御連絡申し上げます。
○楠岡部会長 それでは、本日はこれで閉会したいと思います。少し延長いたしまして、申し訳ありませんでした。どうもありがとうございました。


(了)

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