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2017年7月12日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第8回)議事録

○日時

平成29年7月12日(水)9:51~12:03


○場所

中央労働委員会労働委員会館講堂(7階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、名里構成員、橋田構成員

○議事

○真野主査

 第8回独立行政法人評価に関する有識者会議(医療・福祉WG)を開催いたします。構成員の皆様、暑い中をありがとうございます。本日は石渡構成員、松原構成員、三田構成員の3名が御欠席です。最初に牧野政策評価官から御挨拶をお願いいたします。

 

○政策評価官

 一言御挨拶申し上げます。昨日付けで政策評価官に着任した牧野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、また暑い中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 開会に当たり、評価の方法について若干御説明させていただきます。独立行政法人の評価方法については、今回は変更されてから3回目の評価になります。1回目の評価は、総務省から厚生労働省も含めて、名指しでA評定以上の割合が高いという指摘を受けたところです。これはお手元の参考資料5に記載しています。さらに2回目の評価に関しては、名指しではなかったのですが、特にA評定やS評定などの高い評価について、きちんと理由や根拠を明確にすべきではないかという指摘を受けております。これらを踏まえて、改めて評価のルールについて御説明いたします。

 参考資料2を御覧ください。B評定を標準として、定量的目標においては目標値の100%以上、120%未満の場合はB評定という原則となっています。目標値の120%以上の場合にA評定となります。それに加えて質的に顕著な成果があった場合に、初めてS評定となります。更に加えて、A評定やS評定になるときは特にですが、なぜA評定やS評定なのかという理由、根拠を明確にしていただきたいと思い、本日も、法人から特に丁寧に御説明いただけると有り難いと思っています。

 さらに申しますと、独立行政法人評価は目標の達成率を基準とする絶対評価を基本とし、目標設定が適切かどうか、過去の実績から見て安易に達成可能な目標となっていないか、あるいは数値目標以外の質的な面で考慮すべき事項があるかどうかにも着目した評価を頂きたいと考えています。

 構成員の皆様には、これらを踏まえて独立行政法人の厳正な評価と、業務の改善に向けて御専門の見地から御知見を賜れば大変有り難いと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事の御説明の前に、昨日の711日付けで事務局に異動がありましたので報告させていただきます。本日は欠席ですが、総合政策・政策評価審議官に本多が参りました。それから、先ほど御挨拶のあった政策評価官の牧野です。

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、医薬品医療機器総合機構の平成28年度業務実績に係る意見聴取です。評価項目ごと、1項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について説明を頂き、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。

 事務局から評価の仕組みについて、確認の御説明をさせていただきます。参考資料3にある「総務大臣が定める独立行政法人の評価に関する指針」に基づいて評価をさせていただきます。非常に長文の指針ですが基本的なことだけを申し上げますと、B評定が標準であること、A評定以上、Sを付すには、定量的指標において120%以上の達成度が求められていること等に御留意いただきますよう、お願いいたします。

 次に、独立行政法人評価のスケジュール全体についてですが、参考資料110ページを御覧ください。業務実績報告を法人側から厚生労働大臣に提出いただき、今の会議というのは次の四角の「外部有識者の皆様からの意見聴取」「法人の長等からのヒアリング」に該当します。今後もこのスケジュールどおり、本日の意見聴取を踏まえ、主務大臣、厚生労働大臣による評価を実施することになります。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 では、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の平成28年度業務実績評価に係る意見について議論していきます。最初に、国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項ということで、1-1「救済制度の情報提供、相談体制の充実」について、PMDAからポイントを絞って御説明をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 私どものほうで、資料1-1で全体の概要を取りまとめていますので、こちらに基づいて個別項目を御説明いたします。個別に入る前に、資料1-11ページが全体の自己評価の一覧表です。23ページがPMDAの概要、4ページがPMDAの人員体制の推移のグラフです。年々、目標の水準が厳しくなっていく中で、こうした増員した要員もいかしつつ、業務改革を進めながら目標を達成してきたということです。その上で、5ページ目からが個別項目です。

 まず、「救済制度の情報提供、相談体制の充実について」です。主な業務実績は1「広報活動の積極的な展開」です。2つ目にあるとおり、昨年度も10月から12月を集中広報期間として、救済制度の特設サイトを運用して積極的に広報を行いました。また、その下の3つ目に「医療機関を訪問し、救済制度の説明」とありますが、これは我々が「出前講座」と言っているものです。昨年度は60か所について行うことができました。医療現場における制度の浸透というのは重要な課題だと思っていますので、これからも引き続き積極的に取り組んでいきたいと思います。

 その点で、1の下から2つ目の「日本医師会長とPMDA理事長との対談記事」を広報で専門誌等に載せましたが、これは医療現場からも大きな反響を頂き、医療現場への制度の浸透に効果があったものと考えています。その結果、医療現場における認知度ということでいくと、昨年度から上昇して8割を超えた状況です。

 右側に移って、給付事例の公表、診断書作成の利便性向上のための記載要領の見直し、更には、総合相談対応窓口における相談対応についても的確に行うことができました。6ページ目以降に広報活動の内容、7ページ目が認知度調査の結果、8ページ目が相談の件数、集中広報期間のアクセスの状況を示しています。5ページに戻ります。以上から、昨年度も様々な広報媒体を活用した広報のほか、医療機関を訪問して説明を実施するなど、積極的に広報活動が展開できました。それから、集中広報期間中の特別サイトのアクセス件数も昨年度に比べて増えたということもあり、請求件数の増加につなげることができましたので、十分な評価を得られたということでB評定としました。以上です。

 

○真野主査

 ただいまの件について、構成員から御意見、御質問があればお願いいたします。

 

○橋田構成員

 救済制度についての認知度が随分上がってきたということで、非常に大事なことをやっていただいていると思っています。ただ、認知度の数字で見ると、例えば7ページにありますが、まだ医療関係者の中でも徹底していないところがあるように思うのです。どうしてこうなのかなという気もしますし、いろいろな意味で努力しておられるのだと思いますので、一層の普及、情報提供をお願いしたいと思っています。

 

○真野主査

 御質問ではなくて御意見ですね。

 

○橋田構成員

 もし分析しておられましたら教えていただけますか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 薬剤師ですと、例えば国家試験の問題に入っているという要素もあり、浸透度があるのですが、看護師、歯科医師はまだ低いと思っています。国家試験の問題に追加して欲しい、ともなかなかいかないところはあるのですが、医療現場の取組、今後は医療現場において好事例を集めて、そういうものを広報していきたいと思っています。そういうところで医療現場の認知度を上げていく努力をしていきたいと思っています。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 大事な御指摘をありがとうございます。医師の現場の方にどれだけ理解していただくかが一番重要なことだと思っています。それについては、日本医師会の先生方の御理解が一番重要だと思っているところです。逆に言うと、ネックが日本医師会の広報活動になると思うわけです。

 しかしながら、今回、横倉会長におかれましては我々に対して非常にしっかりとした対応をしていただき、対談などをしていただきました。この救済制度について、非常に深く御理解を示していただきまして本当に有り難かったと思っているところです。これからも、是非医師会と一緒になって、医療の現場とPMDAとの関係をより深くしていこうと思って努力していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 関連でお伺いしますが、もちろん100%が望ましいと思うのですが、例えば医師に関して言うと、どういう人が知らないのかという分析はあるでしょうか。つまり、インターネット調査なので、常勤で働いていなくて、アルバイトが中心で、健康診断しかやっていないという先生だと、なかなか知らないとか、そういう分析というのはありますか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 医師の内訳までは分析していないと思いますので、現状では分かりかねる状況です。

 

○真野主査

 理屈上は分かるのではないでしょうか、インターネットなどは幅広くいろいろな医師にアクセスしていると思うのです。つまり、病院や医師会に対してアンケートを取れば、もう少し高い数字になって、インターネットだからフリーター的な医師にもアクセスしてしまっているとか、そういうことというのはないですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 そこまで追えてはいないので、アンケートの仕方で工夫できるかどうかは今後考えていきたいと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(井上)

 現状では、病院勤務の医師と診療所勤務の医師という区分までは分析しています。医師全体で92%の認知ですが、病院勤務の医師は90.6%、診療所勤務の医師は93.4%ということで、診療所勤務の医師のほうが若干認知度が高いという結果です。今後さらに認知度調査の分析の仕方を研究したいと思います。

 

○真野主査

 もしかすると今の話ですと、医師会とのタイアップで診療所は上がって、病院が上がっていないかもしれませんね。是非よろしくお願いいたします。

 

○石井構成員

 今のことに関連して、認知されている側の年代、例えば若い人のほうが認知度が高いのかなど、そういった分析はされていらっしゃいますか。と言いますのも、インターネット回答ですので、これを普段お使いになっている方しか回答していないように思います。そういった辺りもしっかりとやっていただかなければいけないということです。それと、こういったWebなどの公的なものにつながっていないと副作用が隠れてしまうケースがあります。その辺りをどうやって把握していくかというのが次の課題になると思うので、よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(井上)

 その辺も今後の認知度調査において検討したいと思います。

 

○真野主査

 ほかはよろしいですか。それでは、1-2に移ります。よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 資料の9ページです。1-2「業務の迅速な処理及び体制整備」で、いわゆる処理期間のタイムクロック目標に関する項目です。数値目標としては、「決定件数全体のうち60%以上を6か月以内に処理する」というのが目標になっており、昨年度の実績は67.4%について6か月以内に処理できたということで、達成率は112.3%です。

 これだけだとA評定にはならないわけですが、資料の11ページを御覧ください。昨年度よりも請求件数が300件近く増加しており、決定件数も平成27年度よりも250件増加しているという状況の下で、この数字を達成したということです。業務の体制は平成27年度と平成28年度ではほぼ同じ体制でやっている中で、目標を大きく上回る水準を達成できたということは、職員が不断の業務改善を行い、厚生労働省と連携しながら様々な工夫を行った成果だと思っています。

10ページにお戻りください。昨年度は1,754件を決定していますが、右側に括弧があります。括弧の314件は、HPV(子宮頸がんワクチン)に関する救済事例です。子宮頸がんワクチンの救済事例については、本来の救済制度ですと入院相当の医療について救済するわけですが、子宮頸がんワクチンについては入院相当だけではなくて、外来医療相当についても審査対象になるので、その分、1件当たりの業務量がかなり増加するということです。これに対し、PMDAでも専門の対応チームを設けるとともに、新たに神経内科の医師を専門委員に委嘱するなど、的確に対応することができました。なお、12ページにあるように昨年度の支給金額は合計22.7億円で、多くの副作用被害を受けた方の生活や医療費をサポートすることができたと思っております。

 その上で9ページの「評価理由」に戻ります。まず、実績は120%を達成していないのですが、請求件数、決定件数ともに大幅に増加する中で達成しています。更には、この中には難易度の高い314件のHPVの事案を処理しています。これを平成27年度と同じ体制で達成したということは、かなり難易度が高い状況で達成したと考えています。ここにあるように、単純に6か月以内に処理できた件数だけを評価すると、平成27年度の915件から平成28年度は1,182件ということで、129%に相当する件数です。そのように考え、非常に困難な状況下でこのパフォーマンスを出したということで、1ランクアップのA評定とさせていただきました。

 

○真野主査

 委員の先生方から御意見、御質問はございますか。

 

○五十嵐構成員

 困難な状況で処理件数も増えたということで、数値は120%までいっていないけれどもA評定という話でした。更にその前提として、体制の職員数が増えていれば処理件数が増えていなければおかしいはずですから、職員の体制が比較のときにどの程度変わったのかも合わせて御説明していただかないと、今の評価の話は腑に落ちないのですが、よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 体制については、平成27年度と平成28年度は同じ体制です。平成29年度については、去年は大幅に増えたので国に定員を増やしていただき、今年度からは体制は増えましたが、平成28年度は平成27年度と同じ体制で達成したということです。

 

○五十嵐構成員

 最後の所で、「平成25年度の標準的事務処理期間と比較すると」ということで根拠になっているので、平成25年度との比較もきちんとしておかないと説得力がないような気がするので。この部分はどうなのでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 救済の定員は今年2人増えるまでは変わっていないと思いますので、平成25年度においても同じ人数でやったということだと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(井上)

若干訂正いたします。平成26年度に職員を3人増やしており、平成27年度、平成28年度はそのままということです。

 それから、平成25年度は前の中期計画の最終年度ですが、この同じ指標の達成率は60.8%でしたが、過去のトレンドから見て、3期の計画では毎年4%ずつぐらい請求が増えてくると見込みました。その中でも、平成26年度に3人増やしましたが、その後は同じ人数で60%以上という目標を達成していこうという目標設定をしたところです。HPVの事案を除けば、過去3年間は平均して4%ぐらいで伸びてきているのですが、そこに更にHPVの事案がオンされてきたという中で、目標は緩めずに60%ということで対応したということも含めて、自己評価はAとさせていただいたということです。

 

○石井構成員

 私自身は非常に早くなったと認識しています。1つ増えたといったところで、増やされた方の専門性のスキルは非常に上がっているのではないかと思うのですが、今後それをいかした形で継続しながら、内部で部署は変わるでしょうから、そういった体制を作るのでしょうか。要は、3年たって非常に増えていて、増える人に対しても対応できたといった場合に、それを継続的に次につなげていく仕組みは考えていますか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(井上)

 そこは経験を重ねていくうちにいろいろとノウハウが蓄積されてきます。ただ、一人一人の職員に関して言いますと、ずっと救済だけというよりは、いろいろな部門を経験することも必要です。だから、そこは組織としてそういう経験を蓄積していくということと、個々人のキャリアをどう考えるかということとの両方のバランスを取りながら、組織としては経験、ノウハウが蓄積されて、より効率的な救済制度の調査なり運営ができるようにしていきたいと考えています。

 

○真野主査

 ほかの委員の方はよろしいですか。Aということですが、有識者からの意見は今のとおりということです。次に1-3をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 先ほど五十嵐構成員の御質問に対して不正確なお答えをして申し訳ございませんでした。

 資料1-313ページ目を御覧ください。ここは救済部門と審査・安全部門との連携、保健福祉事業の実施についての項目です。1「部門間の連携」です。例年どおりですが、支給・不支給決定情報を個人情報に配慮しながら、審査部門や安全対策部門に情報提供し、いかしていくという取組を行いました。冒頭の資料にもあったように、我々は審査、安全、救済の3つを頂点にするトライアングルを「PMDAのセーフティトライアングル」ということで連携に力を入れていまして、その実を上げることができたのではないかと思っています。

 また、2「調査研究事業」については、重篤で希少な健康被害者に対するQOLの向上策、先天性の症病の治療に際し、血液製剤を投与されたC型肝炎ウイルスに感染した患者に対するQOL向上策についての調査研究事業を実施し、報告書を作成しました。

 右側に移ります。「精神面などに関する相談事業の実施」です。福祉の専門家を配置して助言を行う「精神面などに関する相談事業」を実施するとともに、受給者が医療機関で治療に役立てることを目的とし、平成28年度は857名に受給者カードの配布、利用促進を行ったところです。

 以上のとおり、部門間の連携、保健福祉事業も適切に実施できたと思っておりますので、B評定としています。

 

○真野主査

 委員の先生からの御意見はございますか。よろしいですか。次に1-4をお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

14ページです。全体で5つの事業がありますが、副作用被害救済、感染被害救済以外の救済関係3事業の実績です。1つ目が受託支払業務でスモンの患者に対する健康管理手当及び介護費用を支払う業務です。2つ目の受託給付業務は、血液製剤に混入したHIVウイルスにより健康被害を受けた方に対する健康管理費用を給付する業務です。右側に移って、特定救済業務というのは、血液製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給を行う業務で、それぞれここに書いてある人数に対し、これだけの支給を滞りなく行うことができました。業務上も適切に実施できたということで、B評定としています。

 

○真野主査

 これについて、委員の先生からはよろしいですか。それでは、次にS評定の1-5をお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ここからが2つ目の審査業務の関係です。15ページを御覧ください。まず、新薬をはじめとする医薬品関係の審査期間目標の達成状況に関する項目です。1の数値目標の部分です。全ての審査期間に関する項目について目標を達成しました。例えばここにある新医薬品の優先審査品目、すなわち医療上の必要性が高くて迅速に対応すべき品目です。目標は70%の品目について9か月以内に処理するということでしたが、結果は78.9%でした。それから、新医薬品の通常の品目70%の品目について12か月以内にやるというところが、86.5%の品目となっており、達成率は123.6%です。

 このほか、遺伝子組換え生物を利用した医薬品の環境影響を評価するカルタヘナ法関係の事前審査、その下はジェネリック医薬品、医薬部外品についても記載のとおりで、いずれも目標を達成しています。

 なお、品質相談、生物学的同等性相談の申込み全件に対応するという部分については、残念ながら全件には対応することはできませんけれども、体制を強化し、状況は改善してきているということです。

 この数字をもう少し説明いたします。1920ページを御覧ください。これは新医薬品の中でも新規性が高く、新しい有効成分を含有した医薬品の審査期間というものの比較です。ヨーロッパのEMA、アメリカのFDA、日本のPMDA3者を比較したものです。PMDA2016年について、3年連続で、欧州のEMA、アメリカのFDAを押さえて世界最速を達成したということが、国際的な中立的な機関からも発表されているということです。

20ページを御覧いただくと、新有効成分の承認品目数の比較で見ても、2016年はヨーロッパとアメリカが2822だったのに対し、PMDA48ということで、かなり多くの品目を承認しています。国際的に見ても、世界一ということで特筆すべき成果を上げたと理解しています。

 また、16ページですが、審査期間以外の項目についても、1つは4「新しい審査方式の導入」ですが、昨年10月から、これは数年かけて試行錯誤しながら取り組んできたプロジェクトで、新医薬品の申請データ、いわゆる治験データの電子的な受入れをスタートしました。これについては、21ページ目に将来の展望のようなことを含めて御説明を用意しています。当面は個別品目の審査において、これまで統計解析については企業にお願いしていたところがあったのですが、治験の生データを受け取り、我々のほうでできるということになり、企業の負担軽減につなげるということなのですが、更に将来的には、こういう仕組みによってPMDAに膨大な臨床試験のデータが電子的に蓄積されるということになるので、これらをむしろ品目横断的に検討することで、例えば疾患別のガイドラインを作成し、医薬品の開発の向上につなげるとか、あるいは小児の関係のモデルのようなものを作り、小児のものも承認を取りやすくすることを目的とする点で、昨年度は重要な一歩が切れたのかなと思っております。

16ページに戻ります。それ以外にも新しい技術の評価ということで、海外渡航者が接種するトラベラーズワクチンの臨床評価の考え方を整理すること、あるいは昨年度は医療保険財政上も大きな話題になった、抗がん剤のオブジーボ等の革新的な医薬品について、その最適な使用を促進するためのガイドラインの策定に、PMDAとしてもしっかり取り組んだということです。

 以上から、16ページにあるとおり、新医薬品については毎年目標が上がっていく状況にあるし、使われるいろいろな科学的な知識もどんどん更新されていくという極めて厳しい状況の中で、昨年度も目標を上回る達成率でした。通常品目であれば120%を達成したということもあります。さらに、これは単に日本だけということではなくて、世界で最速というところを達成したことは、私どもとしては特筆すべきものだと思っています。それ以外にも、いろいろ先ほど申した新薬の申請データの電子的受付けをはじめとして、より安全な医薬品をより早く医療現場に届けるために多くの改革はできたと思っておりますので、私どもとしては特筆すべき成果を上げたということで、昨年もS評定を頂きましたが、本年度もS評価にさせていただいております。以上です。

 

○真野主査

 重要な項目で、またS評価ということですが、委員から何か御意見はございますか。

 

○石井構成員

 非常に早くなっていて、しかもこれだけの数が挙がっているのは大変な御努力だと思います。一方でドラッグラグがあったときに医療現場では、ドラッグラグがあることは非常によろしくないのですが、むしろ海外のデータが集積されていたという側面で、ちょっと安心して使えた場合がありました。今回は日本が先行する場合に申請データ以外は基本的にはデータがない形で患者に届けられますので、その辺りの懸念というか、データの集積というか、それが今回お示ししていただいた電子システムなどでうまく集積していけるのか、少し教えていただけますか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 お答えいたします。御質問ありがとうございます。ドラッグラグの時代のほうが海外データが豊富だったと、確かにそのとおりですけれども、現在はどうやって私どもが早くしているかと言いますと、国際共同治験を進めております。したがいまして、日本で申請される際には、欧米をはじめとして、最近はアジアでの治験も推進し、アジア地域における国際共同治験を推進するための規制当局の職員を対象にしました研修事業も昨年度からやっております。そうしたことも含めまして、欧米、民族的にも近いアジアという所の治験データをできるだけ同時期に開発していただき、そうしたデータを基に私どもに御提出いただくということですので、そういう意味では決して以前よりもデータが不足しているという状況はないかと思います。

 

○石井構成員

 実は私ども薬剤部で新薬が出るときに、実際にありとあらゆる論文を調査して使うようにはしてございます。ただ、MRさんにヒアリングしますと、どうも都合の悪いことは言わないということがちょっと一般化してございます。医師に彼らが医薬品情報を提供するとき、我々みたいな大学病院であれば薬剤部も提供しますし、このようなことは注意してくださいというような形で医師に提供しているのですが、どうもやはりMRさんだけとお話されるケースの方は、知らないというようなことが多くございます。したがって今のようなデータがあるような場合には、PMDAさんからも会社のほうにしっかりと、きちんと都合の悪いデータも伝えるようにと御指導していただければなと思います。非常に大事なことでございますし、民族性によって副作用の出方が違う、あるいは効果の出方が違うというようなところも、確かに薬によってはございますので、その辺りの御指導を。せっかくこのようなしっかりとしたシステムがございますので、末端のほうまで頂ければなと思います。もちろん私どもも指摘はかなりはいたしてはおるのですが、私どもの病院のみというような形に今現状ございますので、よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御指摘ありがとうございます。私どもとしましても、まず承認する際には、審査報告書を作成しておりまして、それを情報公開しております。審査報告書には、リスクとベネフィットを併記いたしまして、これらを比較衡量して、ベネフィットのほうが上回るということで承認はしています。特にリスクの部分についても、審査報告書では詳述しております。そうしたことを情報公開することにより、医療関係者にはむしろ添付文書もそうですが、審査報告書も併せて御覧いただきまして、私ども情報提供のホームページがありますけれども、その中でもすぐ御覧になれるように、今ホームページも整備しているところでございます。そうした面で医療関係者の方々も含めて情報提供を通じて、医薬品の適正使用というものに努めてまいりたいと思っております。

 

○石井構成員

 もちろん現場ではやっているのですが、やはり届かない相手がいるということだけは御承知おきいただければと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 私どもは、より良い医薬品をより早く医療現場に届けるということで、先駆け指定制度などをやっています。他方、おっしゃられた安全対策が非常に重要ですので、この後の御説明になりますけれども、リアルワールドデータを使ったり、メディナビを活用したりという形で、安全対策につきましても最新の技術を使ってやっていこうと考えております。また後ほど説明させていただきます。

 

○橋田構成員

 審査を非常に迅速に進めておられるということでして、特に医薬品の製造販売承認の審査は、中身が非常にたくさんあるかと思います。それをきちんとやっていただいて、かつ迅速にということで、非常に結構だと思います。特に医薬品の場合は、今も議論になっていましたけれども、やはり安全性と言いますか、副作用と言いますか。そういうものとのバランス、そうした意味では、迅速に、早いというだけではなくて、同一年度で結果は出ないかもしれませんけれども、実際に承認までいったものが、その後特にトラブルがないとか問題が起こっていないとか、そういう分析と言いますか、少し情報も頂けたらと思います。つまり、そちらがきっちり内容ができていて、かつ迅速にやっているという、そういうバランスの中での評価だと思います。その辺につきましては何か、分析というか、フィードバック的に少し解析されているとか、そういうお話はありますでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御指摘ありがとうございます。私ども特に、製造販売後の安全対策の評価指標をそもそもどうするかというのは、いつも悩んでおります。ある意味では、副作用あるいは医療機器の不具合の報告件数が上昇するというのが、単純にいいのかどうかとかいう話もございます。一方では措置件数というものも私どもは大変気にしております。余り大きな措置、回収とかそういう措置に至らずに、できるだけ早い時期に措置をしたほうがいいということもございます。そうした安全対策に対しては、私どもも評価指標を気にしながらと言いますか、いずれにしましても迅速に対応していくという、そのためにも承認審査の段階から、今はリスクマネジメントプランというものを作成いたしまして、それを基に製造販売する企業の方には市販後の安全性情報の収集、あるいは適正使用の医療者関係者への情報提供に努めていただいております。そういうことを通じて、総合的に私どもはやっていくしかないかなと思っております。御指摘の点を踏まえ、更に一層努力させていただきたいと思っております。

 

○橋田構成員

 ありがとうございました。ちょっと言葉が足りませんでしたけれども、そのとおりで、普通に当然、市販後以降でいろいろな副作用が出てきて、それを安全情報として捉えられる。それは本当にそのとおりで、御推進いただくということかと思います。それと同時に、かつては市販後直後でもいろいろな問題が出たりしたこともあったかと思います。今は恐らく全くないと思いますけれども、そういう意味での評価も含めまして、非常に真剣勝負できっちりした評価をしていただいているということと、迅速にしていただいていると、その辺のバランスが1つの評価のポイントかなと思っております。

 あともう1つ、御説明でありましたけれども、例えば最適使用推進ガイドラインを作って、つまり審査で承認したあとも、きちんとそれが正しく安全に使われるようにバックアップするサポートもやっておられるということだと思います。こういうことで業務も増えていると思いますけれども、こういう組合せは非常に大事ではないかと感じております。

 

○真野主査

 ほかにいかがですか。少し私から1つ、事前情報のときも既に話をしていたことですけれども、ちょっと重要なことかもしれないので。20ページの論文で、PMDAが審査の承認品目が一番だったということです。それで、これはほかの所と比較すると、EMAFDA2015年の承認が多くて、PMDA2015年が少なくて2016年が多いのですね。なので、ドラッグラグとかデバイスラグが急速に改善しているのは事実ですし、審査の日数が短くなっている、これは素晴らしいことですね。ただ、PMDAのせいではないかもしれないのですが、国民の立場で見ると、これは海外で製薬企業が申請するタイミングが、アメリカ、ヨーロッパに比べて日本が遅れているということを意味するのでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御指摘ありがとうございます。確かに世界の中で、最初に上市されるという点から言うと、日本が一番早いという状況ではないことは確かです。それはやはりマーケットの大きさで、アメリカ市場は一番大きく、そういう所がどうしても先にはなります。また国際共同治験をやっていても、私どもタイムラグがないようには努めてはいますけれども、やはり英語そのままでお出しいただくというようなところまでは今は至っていないものですから、どうしても翻訳に多少時間が掛かるとか、それで数箇月申請が遅れてしまうとかいうことはあります。私どもとしては、そこの辺は申請していただいた後の審査期間を必要最小限に短縮しまして、そうしたところからも、世界から遅れを取ることのないように努力しているところです。御指摘ありがとうございます。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 審査ラグにつきましては、御説明いたしましたように、今やラグがあるというよりも、欧米より早くなった。問題はその申請についてどのぐらいラグがあるかということです。承認件数についてちょっと見ていただくと、PMDA201648例で多く、その前年はEMAとかFDAは多かったという所を見ますと、もしかしたらそこら辺の所が後追いで2016年に日本に来ているかもしれない。ただ、全体で見ていただくと、日本の申請件数は段々増えてきていますので、申請ラグについても少なくなってきたと思います。そうすると、先ほど委員から御指摘があったように、日本が先駆けて医薬品を審査するところの安全対策はなおさら重要になるという思いでございます。

 

○真野主査

 なかなかこれはここだけで解決する問題ではないですし、むしろ薬価の問題とか市場の問題にも関係すると思うのですが、少しこういう議論があったことを残していただけるかなと思って質問しました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、次にいきたいと思います。次もまたSということです。よろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

23ページになります。こちらは医療機器と再生医療等製品についての数値目標の達成状況です。まず、審査期間の数値目標の関係です。27年度は実は一部未達の項目もあったのですが、医療機器、再生医療いずれも昨年度は目標を達成しております。特に新医療機器の優先品目とか、改良の医療機器の臨床試験がないもの、あとは後発医療機器につきまして、120%を大きく上回る実績を上げております。それから、医薬品同様にカルタヘナの事前審査もここに挙げている数字ですし、再生医療製品につきましても2.7か月ということですが、決してやるべきことをやっていないわけではなくて、申請前の早い時期から開発者側とのコミュニケーションをしっかり取った結果、このような特筆すべき実績になったというように考えております。あとは右側の3の承認基準の策定や、第三者認証機関が行うリスクの低い医療機器の認証基準の策定につきましても着実に成果を上げることができました。

24ページに移ります。新技術の評価として、今後、医療の在り方を大きく変えることにつながるような遺伝子検査のシステムに用いるDNAシークエンサーの製造販売の留意点を策定すること、あるいはiPS細胞の造腫瘍性評価の考え方を取りまとめるということで、革新的な技術、今後大変有望な部分の技術についても、先手を打って積極的に対応して大きな成果を上げることができたと思っております。そのほか、QMSの調査の効率化、第三者認証機関の質の向上などにも取り組むことができました。

28年度は以上です。以上から毎年目標が厳しくなっていく中で、かつ医療機器の分野や再生医療の分野というのは、医薬品に比べて比較的企業規模も小さいこともあり、総審査期間の目標であってもより達成は厳しいのですが、このような状況の中で120%以上の達成項目が大層を占めるなど、高い難易度の下で27年度を大きく上回る実績を上げることができました。更にはDNAシークエンサーやiPS細胞といった最新のトピックについても的確に対応でき、特筆すべき成果を上げることができたのではないかということで、ここにつきましても自己評価としては、Sにさせていただいております。以上でございます。

 

○真野主査

 ありがとうございました。委員の先生方、意見はどうでしょうか。先ほど医薬品については、国際比較みたいなものがありましたが、機器はそういうのはないのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ちょっと機器はそういうものは発表していないようです。

 

○真野主査

 論文はないということですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 はい。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 再生医療等製品につきましては、今年の成長戦略の中でも、安倍政権の目玉、達成できた項目として挙げていただきました。再生医療等製品は正に我が国が先駆けてやっているというところもございますので、そういう国際規格についてはこれから日本がリードしていく分野かなと考えております。

 

○真野主査

S評価のところで何か御意見があると思いますが、よろしいですか。

 

○橋田構成員

 例えば医療機器でいろいろな区分がありますけれども、それぞれ審査期間の短縮が実現されているものが非常に多いわけです。例えば件数とかそういう形で情報を頂きますと、どのような形におおよそなりますでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 件数につきましては、2526ページに内訳がございまして、それぞれの項目の一番下に件数という欄がございます。

 

○橋田構成員

 先ほども出ましたけれども、海外と比べましても当然同じような内容のものが新しく開発され、それはもちろん新しいものだけではなくて、改良医療機器であったりするわけです。全体の動向としては、世界的な動向がほぼ反映している、一致していると考えてよろしいですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 ちょっと世界的な件数までは詳しくは承知しておりません。そういう意味でいうと、デバイスラグと一時期言われていたものについては、ほぼ一巡したということもあって、件数的には落ち着いてきているのが今の状況だと思っておりますので、そのような認識でおります。

 

○橋田構成員

 新医療機器と再生医療等製品もそうだと思いますけれども、まだ品目がどうしても限られているところもあるかと思います。その辺はむしろ件数とか数値というよりは、やはり内容に非常にしっかり対応しておられるということかと思います。ありがとうございます。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 次の項目になりますけれども、薬事戦略相談ということで、申請前の段階におきましては、再生医療等製品などのもかなり増えてきていますので、先ほど森からもお話がありましたように、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

 

○石井構成員

 恐らく医療機器というと、すごい小さいものからピンからキリまでバラエティーにとんだものがあると思います。24ページに載っていますDNAシークエンサーとかiPS、特にDNAシークエンサーというのは今後、がんゲノム医療などそういうところにリンクしてくる戦略的なものだと思います。「厚生労働省より発出」とありますが、これをPMDAで整理して厚生労働省から発出するというような、ちょっと動線が分からなかったのです。国の戦略とどのように絡んできて、PMDAがどう絡んで厚生労働省から発出しているのか教えてください。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 私どもガイドラインを発出するというのは、基本的に規制監督官庁である厚生労働省からするということです。ただ、審査あるいは相談の実務を私どもが担当していますので、そうした審査あるいは開発段階での相談の経験を踏まえ、実際になじむようなガイドライン、ガイダンス、そういったものを作成するという意味において、基本骨格は私どもが作らせていただきます。それを厚生労働省でパブリックコメントなどを求めた上で、最終的に微修正をして、厚生労働省から発出していただくと、基本的にはそういう流れでガイドラインの作成に協力させていただいているということです。

 

○石井構成員

 それでは、この24ページの「考え方を整理して」というのは、ガイドラインを作るための考え方を整理してという表現になるのですか。書きぶりの問題だと思いますけれど、そういうことですね。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 はい、そういうことです。

 

○石井構成員

 はい、分かりました。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)

 今の点、少し補足させていただきます。ガイドラインとして、実際にここに書いてあるようなことで出てきているものは、例えばコンパニオン診断薬についてのガイドライン発出がありますが、これについてはPMDAがいろいろ事前に考え方等々について関与したということがございます。それからiPSに関しては、まだガイドラインのところまではいってないと思いますが、PMDAはレギュラトリーサイエンス推進の観点から、科学委員会を設立して、科学委員会でいわゆるイノベーティブな分野についての知識をキャッチアップするということをやっています。iPS由来の製品についてはその造腫瘍性が一番大きなリスクであろうということで、造腫瘍性についてどこまで調べれば良いのかという、正に石井先生が言われた基本的な考え方を、「iPSに関する造腫瘍性について」という報告書を理事長宛てに提出するという事例で出しています。これを基に再生医療の分野の研究がやられている事例もありまして、例えば高橋政代先生の加齢黄斑変性の、第1例のときのいろいろな条件クリアに関しては、この私どもの報告書が参照されたということもございます。

 あともう1つ、DNAの次世代シークエンサーについては、コンパニオン診断薬の延長上で必ず必要になるという理解で、今これについては調査研究自体を整理しているところであります。

 

○真野主査

 こちらはS評価で自己評価で出されております。その論点でいくと、まず再生医療という、その前の薬のほうは世界一だというところが幾つかあったので、何となく分かりやすいのです。こちらの再生医療に関しては、定量的なものはまだ出ていないけれども、進歩もあって、日本が非常に世界に冠たる立場を築きつつあるというような話があるかと思います。医療機器に関して、論文とかそういうのはないということでしたけれども、これはちょっと伝聞ですが、昔ですと、例えば欧州のCマークが割と取りやすいので、日本企業もそちらから始まってしまうとか、そんな話も聞いたことがあるのです。最近その辺に変化は見られてきているのでしょうか。つまり、日本の会社がPMDAの努力もあるので、何か日本から積極的に開発していくみたいな動きはございますか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)

 直接のお答えになるかどうか分かりませんが、正に日本で最初に開発してほしいということで、先駆け指定制度が始まっております。既に2ラウンド、つまり昨年度とその前年度に、先駆け指定された医療機器というのが既にあって、こういったものは我が国を起点に世界に出ていくという、正に先駆けとなることが期待される状況です。これが起爆剤になることを私どもも期待しつつ、このシステムがきちんと動くように努力していきたいと考えております。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 御指摘の点ですけれども、医療機器につきましても基準の国際標準化の活動が進められておりまして、そういう面から言えば、私どもも国際標準に沿った形でやっている。また、先ほど申しましたけれども、再生医療とか医療機器もそうなのですけれども、国際標準を逆に発出していくというのは重要な活動だと思っていますので、そういう意味からもグローバルスタンダードみたいなものにつきまして鋭意努力しておるところでございます。

 

○真野主査

 ほかの先生はよろしいですか。では次に、A評価になっています1-7のほうをお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

29ページと30ページです。世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の実用化促進のための支援です。革新的な製品を医療現場に届けるためには、臨床開発の早い段階から、開発者とコミュニケーションを取っていかなければいけない。誤解を受けるかもしれませんけれども、PMDAがその部分で目利き的な役割も果たしていくということで、これは大変難しい、幅広い知識がある業務です。そういう意味で、まず本項目というのは非常に難易度が高い重要な項目であることを御理解いただければと思います。

 その上で数値目標についてですが、ここにあるとおり新医薬品とか新医療機器の開発に取り組む方に対して、実際の開発事例を提供するとともに、PMDAの高い専門性を内外に発信するという観点から、新薬とか新医療機器の申請資料の概要と、審査報告書をできるだけ速やかに公表するということで数値目標を定めております。

 平成28年度は、申請資料の概要について、これは知的財産に関わるものですので、企業にマスキングをお願いするということがあります。その対応が1件、企業側のほうがちょっと遅かったものがありました。その1件が達成できなかったのですけれども、それ以外は全て3か月以内に公表することができました。審査報告書については、全て承認後1か月以内に公表することができたということです。

 2は、開発者の開発期間とか、コストの削減に資する新技術に関するガイドラインについても、ここにあるような形で積極的に公表することができました。

 右側に移って、薬事戦略相談の実施については31ページに表を載せております。昨年度も700件近くの相談をこなすことができました。

32ページは、関西地区の皆様の利便性の向上のために、PMDAに関西支部があります。そこに来ていただきますと、東京の本部とテレビ会議システムによって相談が行えるというものを昨年6月に稼働いたしました。

29ページに戻って、先駆けの指定審査品目についても、第1回、第2回と指定されておりますけれども、PMDAのほうで審査パートナーを付けて、適宜・適切に助言を行って進捗管理をするという仕組みをとっております。この審査パートナーについても、関係者から高く評価を頂いています。

 その下の4は、レギュラトリーサイエンスの推進です。1点目は、患者さんを中心とした合理的な医療を基軸とするという、PMDAの基本的な姿勢を明らかにしたRational Medicine Initiativeという、近藤理事長名で発表したものを、全世界に発信しました。

 先ほどの矢守の御説明にもありましたけれども、PMDAはレギュラトリーサイエンスの推進として、科学委員会をやっています。これは、外部の有識者に参集していただいて議論をしていただきます。昨年4月から第3期をスタートさせ、最先端のトピックとして、ここにある人工知能(AI)の関係の専門部会、希少がん対策部会、医薬品開発推進のための専門部会の3つを設置して議論を深めております。

30ページは、アカデミアとの包括連携協定です。これについては38ページと39ページに資料があります。昨年度も3機関と締結をして、利益相反に配慮しながら共同研究や人材育成を進めているところです。そういう意味で、アカデミアの人材育成にも貢献できたものと思っておりますし、また私どもとしても、アカデミアから人材に来ていただき、いろいろな専門性の向上にも資したと思っております。

37ページにある「リアルワールドデータ活用に対する取組」ということで、クリニカル・イノベーション・ネットワークというのがあります。これは政府主導で進めているプロジェクトで、患者のレジストリを作るものですけれども、それを将来的には承認申請のデータとしても活用していこうという取組です。これについても、PMDA内でそれに対するWGを作り、構築への貢献ということも積極的に行うことができました。

30ページに戻ります。申請資料については数値目標を達成したということです。むしろここの部分の取組としては、やはりレギュラトリーサイエンスに基づいて、革新的な医薬品・医療機器等の開発促進事業によって5つのガイドラインを作ったとか、あるいは人工知能というものに対する議論をスタートさせた。それから、アカデミアとの人事交流も積極的にやって、レギュラトリーサイエンスの人材を着実に増やしたということもあります。あとは世界的にも医療上のニーズが高まっているような難病とか希少疾病についても、治療薬開発の土台作りに積極的に貢献したということがありますので、A評価ということにさせていただきました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。委員の方から何か御意見はありますか。

 

○五十嵐構成員

 厳しいようですけれども、数値目標のところで、片方が達成で、片方が未達成という中でAを付けるということであると、達成しなかったところが、単に相手の対応が遅れたということだと、少し説得力がない気がするのです。もうちょっと特異なことがあったとか、そういう事情はあるのでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 この企業自体、医療機器のメーカーで薬事の申請などに不慣れだったということがあったので、ちょっと時間がかかってしまったということだったのです。ただ私どもとして、この項目は確かに数値目標ではあるのですけれども、革新的な開発支援のところで言うと、この項目だけで全体を見ていただくということではなくて、むしろいろいろな新しい技術に対応したとか、薬事戦略相談にも積極的に対応して、世の中のイノベーションに大きく貢献したというところで評価していただきたいと思います。ここだけでということでは見ていないということでA評価にしました。

 

○五十嵐構成員

 私たちが評価するわけではないので、その評価する根拠の情報をたくさん出してもらいたいという話の中での質問なのです。そうすると普通の程度と言いますか、日常的に発生するレベルの話の中で、対応が遅れたから3か月以内にできなかったという理解でよろしいですか。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 この目標に関しては先ほど御説明いたしましたように、我々だけの努力ではありませんで、メーカー等の努力もありますので、そこのところが必ずしもうまくいかなかったということでご理解をよろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 薬事戦略相談について御説明させていただきます。これは、今から6年前に作られたものです。審査のスピードを早くしなければいけないということで、申請前相談をやるとか、相談事業を非常に活発に行った結果、相談業務というのが非常に大きな意義があるということに気が付きました。特にアカデミアに対する相談業務を開始しました。当時、アカデミアはどうしたらイノベーションができるかどうか非常に迷っていたわけです。そういうときに、PMDAは薬事戦略相談という業務を開始したところ、あっという間にこれが全国に広がって、今は間違いなく研究所のシーズはほとんど薬事戦略相談事業に来て、それでシーズに向かってどんどんいっているわけです。延べ件数は今までに4,000ぐらいにいっていると思います。

 こういう流れが日本のオリジナルなもので、初めこれをやるときには利益相反になるのではないかということを疑ってはいたのですけれども、透明性を確保することによって、これができて、つまりどういう相談をしたかをしっかり記録に取ってありますので、今後の進化についてはフォローできます。これが、結局今回はレギュラトリーサイエンス相談になって、企業に対しても提供できるようになってきたということです。こういうことを評価する仕組みはこの中になかったものですから、あえてこれは今申し上げたいと思います。これがあってこそ、初めて日本のアカデミアのイノベーションが活性化したと私たちは信じております。ここで、あえて申し上げたいところは、その流れをしっかり評価していただきたいと思います。以上です。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)

 今、理事長が申し上げたことについて更に補足させていただきます。薬事戦略相談は丸々6年近くになります。時間がかかりながらもその成果が出てきているということの1つの証拠は、先駆け指定制度が一昨年度から始まっておりますが、先駆け指定された品目の中に、実は薬事戦略相談の中で相談を受けながら育ってきたものが幾つも出てきています。ですから、薬事戦略相談は間違いなく、イノベーティブなものを開発することに貢献しているということは言えると思います。

 さらに、AMEDPMDAは連携協定を結んでおります。実際にAMEDがいろいろな事業を立ち上げて、いろいろな研究課題を募集していますが、出口が医薬品なり医療機器という研究課題に対しては、必ずPMDAに相談するということが、研究課題の応募要件、あるいは採択された後の要件として明記されるようになってきています。この薬事戦略相談は、ようやくその成果が目に見える形で出てきています。そういったことを評価していただきたく、このような評点にさせていただきました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは次に行きます。1-8をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

1-840ページになります。先ほど御指摘を頂きましたように、ドラッグラグがなくなるということで、この安全対策業務が大変重要になってきます。この項目は、副作用・不具合情報収集の強化と整理、評価・分析の体系化という項目です。平成27年度の業務実績の評価結果において、医療機関からの直接の報告件数を増やせということで御指摘を頂いています。平成28年度は、医薬品と医療機器を合わせて昨年度より64件増加しました。

 企業からの報告を含めた全体については43ページと44ページに結果を載せております。43ページが、医薬品副作用・感染報告の年次推移ということで医薬品の関係です。平成28年度は、平成27年度から13%増加しました。44ページは、医療機器の不具合報告です。こちらも昨年度から16%増加しています。そういう中で、40ページの2に書きましたように、いずれも原則翌営業日中に精査できるということでできたということです。

 その結果として、その下にあるように、152成分について、添付文書改訂を指示ということをやりました。この中には、ここに書いてありますように、ベンゾジアセピン受容体作動薬、これは向精神薬と言われるもので、鎮静作用とか睡眠薬に使われるものですが、これについて承認の用法・用量の範囲であっても、依存が形成されることがある、ということの改訂指示。その下のセロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害剤は抗鬱薬ですけれども、それについての自動車運転の禁止解除に関する使用上注意の改訂。これは医療現場でも、社会的にも大きな意義を持つ、大変いろいろなところを調整しなければいけなかった難しい案件をできたということが昨年度の実績かと思っております。

 もう一点この項目で大きいのは、右側に移って3の医療情報データベースの構築でMID-NETというものがあります。このプロジェクトについては、我が国でもいろいろ医療情報データベースの構築の取組が行われていますけれども、今のところ多分唯一品質が確保されたデータベースであるということです。全体の中では、フロントランナーというようなことで、政府部内でも評価を頂いております。

 そういうことですので、逆に言うと、これまで誰もやったことがないような所に対する取組ということで、極めてチャレンジングなものです。具体的には46ページと47ページです。現在は全国10拠点、23病院の電子カルテ等のデータをつないで、400万人規模でスタートすべく準備をしているところです。

 スケジュールが47ページにあります。平成30年度からの運用開始ということで取り組んでおります。平成28年度は、そういう意味では大変重要な前進を遂げることができたということです。

 具体的にはいろいろありますけれども、49ページにあるように、10月からMID-NETを試行的に利活用しようという取組をスタートさせております。この中の1番と2番の項目については、既に解析結果をまとめることができました。下にあるように、1番の関係で言うと、小児患者におけるコデインの処方実態及び呼吸抑制発現リスクを、日本人患者で初めて明らかにしたという成果を出すことができました。これは、7月に厚生労働省のほうで、この関係の安全対策措置が取られますけれども、それの根拠の1つになっているということです。そういう意味では、このシステムが安全対策でも使えるということが実証できた重要な1年だったということです。

 それに加えて、データの信頼性の向上ということです。最終的なアウトカムでは200項目の臨床検査結果があります。これについて、当初はいわゆるカルテとの一致率は50%ぐらいにすぎなかったのですけれども、それを100%まで高めるというようなことで成果を上げることができたということです。この200項目という臨床検査結果項目については、アメリカに同様の仕組みでセンチネルという仕組みがあります。これにおける比較可能臨床検査結果は28にすぎないということで、世界有数の医療情報データベースの構築にほぼ成功したというのが去年の実績なのかと思います。

 以上から41ページに戻りまして、副作用・不具合報告が10%以上増加する中で、症例評価や安全対策措置が着実に行えたということです。特に、安全対策措置については、先ほど申しました2点の案件について、多くの関係者で協議をして、これは非常に難しい調整だったのですけれども、医学薬学的な意義の高い措置をとることができたということ。さらにはMID-NETというプロジェクトについて、データの信頼性を高めて、試行的利活用では成果が出てきたということで、今は国内唯一の信頼できるデータベースを構築するのに大きな一歩を踏み出せたということです。その辺りを評価して、我々としてはA評価ということで自己評価をさせていただきました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。御意見はいかがでしょうか。

 

○石井構成員

MID-NETに関しては、私も非常に期待しています。今まで何となくこうかなと思ってきたことが、きちんとデータを持って動機付けられるのではないかと思っておりますので、大きな利活用をされればいいかと思います。もう1つは副作用の情報の所です。非常に報告が上がっているということがあります。これ自体大きなデータベースを作成するとか、今後うまく利活用して、副作用報告が上がっただけでは駄目で、やはりフィードバックをしていかなければいけない。あるいはMID-NETとリンクさせるとか、そういうことは考えているでしょうか。これは、私たち医療現場にとっては非常に重要なことですので、もしアイディアがあれば教えてください。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御指摘をありがとうございます。MID-NET以前の問題として、副作用の報告についてはラインリスト化して、若干時間はかかるのですけれども、それを公開して皆さんに御利用いただけるようにしているということ。

 最近は、措置をする前から具体的にどういう品目について疑いがあるので検討を始めるかということで、検討が始まった疑いの段階で、その品目を公表していくというようなことも始めております。そういう意味での副作用情報の収集・分析・解析、それから情報公開というところがまず基本と考えております。

 その上で、更に分母が明らかになるようなリアルワールドデータと言いますか、相互作用もそのまま自然体での医療現場での状態を把握できるという意味において、こちらから副作用を積極的に見付けていくというデータベースの構築も併せて今後やっていきたいということです。よろしくお願いいたします。

 

○橋田構成員

 副作用・不具合情報収集の強化・整理・評価・分析ということかと思います。そういう意味で入口のところのお話を聞きたいと思うのです。44ページのデータを見ると、情報そのものは企業から入ってくるというのが多いのでしょうか、「医薬関係者」という言葉になっていますけれども、そういうところの報告が少ない。それから、企業も国内と海外という意味で比較すると、海外のほうが多いというようなことになっていますが、これはどういう意味なのかを御説明いただけますか。

 それから、医薬関係者のほうの話では、最近報道も出ていたような気がします。先ほど、副作用被害救済については、認知度の問題とかそういうデータがありました。そちらに関しては、もちろん100%なのかと思いますけれども、その辺も含めて教えていただけますか。背景みたいなものです。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御質問をありがとうございました。副作用の報告件数に関しては、特に医薬品だと医療機器に比べて一層厳しいのだと思いますけれども、やはりグローバルにまず使われているということ。そういう意味では、日本のマーケットサイズに応じた報告件数に近い件数が日本で出てくるということです。そういう意味では、大体海外の報告と、日本の件数を比べると、グローバルの中で10数%が国内報告なのかというところもあります。そういうことを反映しているのかと思っています。

 

○橋田構成員

 そういう意味では、グローバルな全体のマーケットと言いますか、どこでどれだけ患者さんが使われているかということを反映した形で情報が上がってきて、それは世界中からきっちり情報が入ってくるという体制になっているということでよろしいですね。あとは、企業と国内の医薬関係者の割合に関してはどうなのでしょうか。大体企業のルートを使えば、ほぼ必要な情報は全部来ていると考えていいのか、もう少し更に医薬関係者の部分を掘り起こすような余地があるのか、その辺はどうお考えですか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 直接報告を頂ける医療関係者もいるのですけれども、基本的には企業のほうからお出しいただく。あるいは医療関係者から来ても、逆に関係企業にこれはフィードバックする必要がありますので、そういう意味では私ども医療機関からの報告については、銘柄まで分からない場合は、複数の企業にフィードバックさせていただく必要もあります。そういうことで、医療関係者のみならず、関係企業にも情報共有できるような形で私どもは努力させていただいているところです。

 

○橋田構成員

42ページを見ると、この情報が出てからは、もう本当に粛々と対応を取っておられるということかと思います。そういう意味でも、まだ全体を考えてみる余地があるとすれば入口かとちょっと思いましたので、質問させていただきました。

 

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役

 医療関係者の皆様からの報告については、このグラフを見ていただくと分かりますように、企業報告に比べても10分の1程度ということです。この間の学会でも、フロアーの先生から、企業報告そのものが、全て医療の現場の先生方からの発信で出てきているものなので、医療関係者が副作用報告に努力していないということではないのだということで御指摘も頂いたところです。先生方には大変感謝しております。

 また厚生労働省でも、80%後発品という時代を迎えて、いわゆるMRさんをたくさん抱える新薬メーカーだけでなく、市販後の安全対策を講じていかなければならないような時代が目の前に来ておりますので、そういう時代にどうやって市販後の安全対策をやっていくかということが課題とされています。もちろんメーカーを通じて情報を頂いているのも、先生方の御努力ですけれども、直接頂けるようなルートも更に活性化できるようなガイドライン等の策定にも取り組んでいるところです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。次は1-9になります。これもA評価です。よろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

50ページになります。今もありましたが、今度は企業とか医療関係者への情報提供です。数値目標については、ラインリストなどの公表のものは予定どおり、ここに書いたように掲載しております。PMDAのメディナビは52ページに資料がありますが、緊急安全性情報とか、使用上の注意の改訂指示の通知、回収情報等の重要な安全性情報をメールで医療関係者に提供するものです。これについて、目標自体は新規登録を1万件以上増やしていくという目標ですが、昨年度は22,503件ということで、達成率が225%となっております。影響として、1つは診療報酬改定で加算の要件になったということもありますが、私どもとしても業界団体に積極的に働き掛けを行った効果もあったのではないかと思っております。そういうことで、これについては2年後の平成30年度末に154,185件というのが目標だったのですが、153,596件ということで、2年を残して達成できたという状況です。

 また、メディナビの配信回数についても、平成27年度は223件だったのですが、昨年度、平成28年度は557件ということで2.5倍に増えたということです。これは医療現場の要望を踏まえて、こういう情報も流してくれみたいなものを取り込んでいった結果です。

50ページ目の2の個々の副作用症例のラインリストの公表、あるいは後発医薬品の品質に関する情報提供についても、ここにあるような形で着実に実施できたということですし、3になりますが、国民への情報提供として、利用者の御意見を個別にヒアリングした結果を踏まえて、機構ホームページの改修を行うとともに、相談業務についても着実に実施できたということです。

 4の講じた安全対策促進のフォローアップの強化・充実です。医療現場においてRMP、これは医薬品についてリスクとベネフィットを評価して、必要な安全対策を実施することを目的として策定する市販後リスク管理計画というものですが、我々は是非、これを医療現場で積極的に活用していただきたいと思っており、そういう目的も兼ねて、昨年度から機構ホームページでRMPの概要版の公表をスタートさせております。RMPの掲載件数自体についても、2740%増の件数を更新されてきたということです。

51ページになりますが、以上から、副作用ラインリストの公表とか、添付文書の改訂指示のホームページの掲載について、タイムラインを着実に遵守してできたということに加えて、メディナビの登録件数が225%増という特筆すべき成果を上げたということ。さらには、相談業務とか、あるいはRMPの利活用促進について、新たな取組もスタートできたということで、数値目標にも合わせて一応A評価とさせていただきました。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。何か御意見とかどうでしょうか。よろしいですか。次に前半の最後になりますが、1-10の国際化の所、これはS評価です。よろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

54ページを御覧ください。国際化の推進です。ここについては、数値目標自体は審査報告書の英文訳の公表、件数40件という目標でやっており、これについては目標を達成したということです。その上で、達成値100%ということで、なぜSなのかというところですが、これは定性的な部分なのではあるのですが、私どもとしては昨年度、国際関係については幾つか特筆すべき成果を上げたところができたと思っておりますので、それについて2以降で説明させていただきたいと思います。

1点目がアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの設置ということです。これは外国の規制当局の担当者を対象として、国内のみならず、海外にも出ていって、積極的にトレーニングを提供する仕組みで、資料としては55ページになります。規制当局でこういうことをやるのは、世界でも類を見ない初めての取組で、画期的かつ世界初ということで、こういう取組をスタートさせたということです。現在、欧米で承認を受けた製品については、アジア諸国においては簡略の審査で、その国で流通できることになっているのですが、日本の製品はそこまでいっていないということがあります。我々としては日本の承認審査の結果を受けて、欧米と同等の扱いができるようになれば、日本の承認審査の価値も大変高まるということになると、いろいろな企業で、日本で初めて承認を得ようかというところにもつながっていくということもあります。また、今、海外からいろいろな原薬などが入ってきていますが、アジアの規制当局のレベルが上がれば、我が国の医薬品の安全性などにも大変貢献するということで、この取組は今かなり力を入れてやっております。

56ページですが、立上げ初年度については7回の研修を行って、27か国から延べ161人に参加いただきました。平成27年度以前も研修みたいなことをやっていたのですが、平成27年度は受け入れたのは合計で44名でしたので、平成28年の161名は4倍近い増加になっているということです。研修を実施したアンケートの結果からも極めて評価が高くて、9割以上が満足というような御意見も頂いております。

54ページに戻って、2つ目になりますが、この取組は国際的にも高く評価されており、APECのほうから国際共同治験/GCP査察領域と医薬品安全監視領域の2領域で、アジアトレセンが優良研修センターとして承認を受けたということです。これもある意味、この取組が国際的に大変高く評価されているという証左なのかなと思っております。私どもは二国間関係についても積極的に取り組んでおりまして、欧州の規制当局であるEMAをはじめとして、インド、韓国、中国、ブラジル等の国々と協力関係を一層強化することができました。特に中国との関係について言うと、理事長が昨年7月に訪中して、中国の規制当局と会合して、これまで中断していた日中の協力関係を再開できたことについては、国家戦略上も大きな意味があったのかなと思っております。

 さらに特筆すべきものとしては、薬剤耐性アクションプランに基づくAMR感染症治療薬の開発促進ということで、これは世界的に大きな問題になっている薬剤耐性を持つ感染症に対して治療薬の開発を進めていこうということです。これについては、正にPMDAがヨーロッパのEMAとかFDAに対して、率先してガイドラインを作りましょうということで提案して、今現在、3局で合同ガイドラインの作成に向けた取組が進んでいるところです。このほか、国際的な規制調和活動にも積極的に関与しておりますし、GMP査察などについても、相互認証の対象拡大に成功するという成果を上げることができたということです。

 このように中国をはじめとする二国間関係についても、一層、進展強化したということ。世界で初めてですが、アジアの規制当局に対するトレーニングを行うアジアトレセンを新設して、国際的に高い評価を得たということ。薬剤耐性感染症治療薬の開発について、主導的な役割を果たしたということもあり、手前味噌ではありますが、正にPMDAは世界の規制当局をリードするところまで引き上げられたということで、昨年度は国際的な地位をより高める取組ができたということです。ここは定性的な部分ではありますが、私どもとしてはSということで自己評価をさせていただいております。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。数値目標は、そもそもこれしかこの項目がないということですか。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 国際的な交渉の関係などの話でもありますので、数値目標としては、例えば何箇国と協定を結んだとかいう目標もなかなか作りにくいというのがありまして、数値目標としては審査報告書の英訳ということになっておりますが、これだけ評価していただくのはなかなかつらいかなというところがありますので。

 

○真野主査

 こういう言い方は失礼かもしれませんが、これはかなり小さなお話が評価項目になっている感じを受けますね。ちなみに、これが40件しかできなかった理由は何かあるのですかね。達成率が100だからいいのですが、もっと増えなかった。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 これは翻訳のスタッフの確保の問題であるとか、科学的なものなので、審査委員なども細かくチェックするということもあって、今の体制だといろいろな目標別に達成しなければいけない中では、この40件というのがぎりぎりのところなのかなとは思っております。

 

○真野主査

 なるほど。ほかの先生方はいかがでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)

 今の審査報告書の英訳の件について、少し補足させていただいてよろしいでしょうか。審査報告書というのは、品目ごとにかなりページ数も異なっていて、少ないもので50ページ、多いものだと100ページを超えるようなものになります。これらについて、全て我々で英訳できるわけではなくて、外注も含め、英訳スタッフも含め、今できるぎりぎりのところをやっているという状況です。新薬が毎年130件前後ありますが、そのうちの重要なもの40件について、英訳をしています。数年前までは、ほとんど英訳が追い付いておりませんでしたので、全体の審査報告書の中で、英訳できているものが占める割合が一挙に向上したという状況は、御理解いただきたいと思います。これらは海外の規制当局も読めるものとしてホームページに出ておりますので、その点はグローバル化に非常に貢献していると考えております。

 

○石井構成員

 まずアジアのトレーニングセンターといったところで、非常に貢献されているというように拝察いたしました。また、非常に評判もいいものだと思いますし、最近ではアジアにたくさんの原薬工場ができておりますので、こういった日本の規制の在り方、考え方を浸透していただくには非常に良い方法かなと思います。

 それで、日本の場合、皆さん、かなりきっちりやっておられて、きっちり対応できるというのが日本人なのですが、このきっちりを、きちんとアジアで展開できるのかなというのがちょっと疑問に思いました。なぜかと言いますと、彼らの文化というか、民族性というか、ここまで日本人どおりにできるのかなという点が、留学生を見ておりましても、ちょっと感じるところです。もちろん、良いものをきちんと理解していただくことが大前提かなと思いますので、その辺り、ひとつ研修を受けられて、やった感じはいかがでしょうかというのが質問です。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御指摘ありがとうございます。私どもとしましては、アジアの規制当局の方々をお迎えして、いろいろな規制当局がありまして、非常に大らかな規制当局もありますが、ややもすると、日本でこういう形で、例えばマニュアルでやっているということを勉強して帰られると、非常に画一的に書類提出がなされるようになったとか、逆にそういうフィードバックも、関係企業の方から聞く場合もありまして、そういったところをどういった運用をするのか。特にリスクベースドと言いますか、どういったところにそういったリスクの重点を置いて運用すべきなのかといったところも注意して、しかも規制当局同士ですので、パートナーシップが原則ですので、こちらの考え方を押し付けるという形ではなくて、相互に理解して、そういった面で今後も気を付けながら、アジアの皆さんに貢献していきたいと考えております。

 

○石井構成員

 あと、もう一点なのですが、アジアが今すごいなと思うのは、英語教育がもう学生さんに浸透していて、医学薬学フィールドというのは、皆さんほぼ教科書が英語でやっておられますので、基本的に言葉は我々のほうが遅れているのではないかなと感じ取っております。したがって、アジアは英語で教育されていると思いますが、今後PMDAで何かしら英語での申請を受け取っていく体制を作れるかというのが、日本の場合、それが今どのように計画されているのか、ありましたら、その辺りがドラッグラグではないですが、そういったことにつながっていく、申請が日本で行われにくいというところがありますので、その辺りをどのように考えていらっしゃるか教えていただければなと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事(赤川)

 御指摘ありがとうございます。私どもも法律に基づいた申請様式というところでは、やはり日本語ということになっておりますし、また、資料の概要部分といったところも原則日本語ということになっております。その他、実際に新薬で言いますと、申請資料の大半を占める資料、臨床試験の成績などについては、基本は英語そのままでも受け入れる形をしております。ただ、できれば英語の要約を付けてほしい、望ましいということは言っておりますが、特に急ぐようなものについては、例えば抗HIV薬のようなものですと、資料としては英語のままでお出しいただくという対応もしております。ただ、申請書部分は、先ほど申し上げましたように法定様式に基づく部分については、ここは日本語にしていただいていると。このような現状で、今後ますますどういう形にするのかというところは、特に電子データの申請とか、世界的にもグローバルで一定のCDISCとか、そういった基準に準拠した形で電子申請していただいているということもあります。なるべくグローバルな部分については英語のままでという形に、もちろんしていきたいと思っておりますので、そういった割合を増やしていくと。その一方で、研修などを通じて私どもの審査委員の英語能力の向上を高めてまいりたいとは考えております。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 御指摘ありがとうございます。英語はとても大事だと思っております。ただ、各国の規制当局とこういう話をして非常に興味深いことは、例えばスイスの規制当局は何と言っているかというと、スイスとしては、あるものについてはイタリア語で受け付けなければならない、あるものについてはフランス語、あるものについてはドイツ語、あるものについては英語。つまり、4か国語の別々の申請が必要な場合がある。あの小さな国、スイスでもそうです。

 ですから、例えばヨーロッパ28か国のEUの中で、それぞれ母国語をしっかり表へ出してくるような、これがEUの大きな語学の問題点だとも言っています。ですから、必ずしも日本語を英語にすることはないと。日本語にしなければいけないところは日本語でやらなければいけないと思いますが、今、赤川理事がおっしゃられたように、できる限り共用のところは英語にするかもしれませんが、大事なところは日本語が残るかもしれません。それでも多くの新しいものが日本に進出してきていますので、時代はそういう方向になっているのかなとは思っております。以上です。

 

○真野主査

 ちょっと理解が悪かった。EUのスイスの場合は、4か国語書かないと。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

4か国語で、あるものについてはイタリア語だけ、あるものについてはドイツ語だけ、つまり、ものによって受け付ける言語が違うということです。

 

○真野主査

 スイスは、それを対応しているということですか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 そうです。

 

○真野主査

 そうですか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 あの小さな国でも、そういう狭間にあると。ましてEMAで一番の大きな問題点は、28か国語あるということです。

 

○真野主査

 なるほど。よく分かりました。ありがとうございました。ほかはいかがですか。以上ですか。ここをSということで、思いが非常にこもっている項目だということを理解しましたので、是非、良い結果になるとよろしいですね。

 司会の不手際もありまして、前半で大分延びてしまいましたので、後半部といいますか、業務運営の所と財務の所と、この辺は全てBですので、一個一個ではなくて、まとめていってしまおうと思います。ですから、2-1から4-1まで、項目としてもそんなに多くないので、通して説明をお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構審議役

 それでは、59ページ以降で説明いたします。2-1がトップマネジメントの発揮というところです。業務管理体制の強化とマネジメントについては、平成28年度は最高意思決定以下の理事会の開催頻度を増やして、理事長の経営判断を迅速に業務へ反映させたということです。財政見通しが今の中期計画を策定した時点よりもちょっと厳しくなっているということがありますので、今年の1月から財務管理委員会を改組して、今、経営陣が詳細な財務分析に基づき、財務状況や見通しについて突っ込んだ議論を行うようにしたということです。さらには、リスク管理委員会を開催して、法人のリスクのうち、コンプライアンスリスクに関して、情報共有と再発防止を図っているということです。業務の運営の透明性を図るための評議会とか、その下の各種業務委員会についても開催して、御審議いただいたということです。

 国民への情報提供については、PMDAホームページの改修であるとか、各種広報活動、記者懇談会についても実施できたということです。以上から今、説明したところについては十分な成果を上げられたということで、Bとさせていただいております。

 続きまして、60ページの各種経費節減です。ここについては、一応、一般管理費と事業費の削減目標が定まっており、平成30年度に平成26年と比べて15%、5%、それぞれ削減するということです。1点、PMDAについては、収入のかなりの部分を国費以外のいわゆる拠出金とか手数料が占めているということがありますので、全ての経費の経費節減ではなくて、国費である運営費交付金を充当する経費についての目標設定となっております。ここにありますように、平成28年度においても、一般競争入札によるコスト削減、あるいは消耗品等の無駄の削減、システムの最適化等に取り組み、中期計画の中間年度の平成28年ではありますが、15%、5%に対して、一般管理費が41.5、事業費が12.0の削減を達成しているということです。

 それに加えて、昨年度、申請件数の伸びが鈍ったということもあり、一般管理費の削減及び事業費の削減の2つ目にありますように、平成29年度の予算編成()においては、全体経費についてもかなり踏み込んだ、厳しいシーリングを設定しております。具体的には人件費とか家賃とかという、義務的にかかる経費を除いた経費について、平成26年度、平成27年度の平均から20%削減という、厳しい目標を立てて取り組んだということです。

 そのほかには、働き方改革についても取り組み、時間外の勤務の削減、あるいは次期、中期計画を見据えた人員体制の整備の検討などもスタートしており、全体としてみると十分な成果を上げたということで、Bとしております。

 続きまして、61ページ目が拠出金の収納及び管理ということです。これは副作用被害の救済の拠出金、感染被害救済の拠出金、安全対策の拠出金という3つの拠出金を頂いておりますが、一応、収納率99%以上という目標を掲げておりますが、実績としてはいずれも99%達成したということで、B評価としております。

3-1の予算・収支・資金計画です。これは具体的に当初の見通しと差異が合理的に説明できるかということですが、1に書いてあるとおり、いずれ合理的に説明できるということで、合理的なものとなっていると考えております。具体的には副作用救済勘定、審査等勘定の収入の増加については、1つあるのは昨年度、特定のC型肝炎の治療薬が医療現場でかなり使われたということで、出荷が伸びたということがあり、それに伴う拠出金の増があったということで、収入が増えているということです。物件費とか業務経費の不要の発生については、主に一般競争入札による経費の削減効果があったということです。退職金の積立金の引当てを増やしておりますが、これは離職率が下がったということで、それに伴って積立てをすべき額が増えたことに伴うものです。

 特定救済、受託貸付、受託給付については、PMDAはどちらかというと給付業務を受けてやっているということですので、支給対象者が減ったことに伴って、それによって給付額が減ったということで、発生原因は明らかで合理的なものということで、Bにしました。

1点補足させていただくと、63ページですが、PMDAの第3期中期計画、平成30年度までの財政フレームについては、第2期中期計画末に約102億円の積立金が発生したということがあり、まずその積立金の取崩しを優先すべきだということがありました。102億円を期末前に取り崩すことを前提とした財政フレームになっておりますので、当期純利益、審査等勘定については、昨年度も△18億円という形で、△が立つ形になっております。これ自体は、ある意味、今の中期計画上も想定されたものではあったのですが、いずれこの積立金はなくなります。また、なお書きに書いてあるように、実際、平成27年度に申請件数の伸び悩みが見られたということもあります。先ほど安全対策の所でありましたが、不具合報告とか、添付文書相談件数の増加による安全対策業務の増大に伴う要員の確保であるとか、一昨年ありました日本年金機構の情報流出事案を踏まえた、情報セキュリティ強化の緊急対応を行ったということがあって、当初の目標からもちょっとずれてきておりますので、先を見据えて、この4月に審査手数料、安全対策拠出金について引き上げを行ったという、財政上の手当をしております。

 最後に、4-1ですが、人事に関する事項、セキュリティの確保ということです。人事関係については、昨年度も公募により50名の優秀な人材を確保することができたということですし、いろいろな研究機関とか大学病院等との人材交流も活発に行うことができたということです。併せて、PMDAみたいな仕事をやっている所はほかにないものですから、人材の定着を図ることは組織としてのパフォーマンス維持にも重要で、そういう人材を確保していくために、仕事のやりがいに加えて、働きやすさも追求しなければいけないということで、フレックスタイム制の試行、時間勤務削減にも取り組んだということです。

 職員の資質の向上ということで言うと、多様な研修プログラムを実施するであるとか、特に昨年度は、ここにCDPとありますが、Career Development Programの試行的運用を開始して、各職員の強みをいかしながら、職員が成長し、組織としてのパフォーマンスを上げるような人事ローテーション方針を含めた対応をしているということです。情報セキュリティの問題については、ハード・ソフト両面の取組により、企業あるいは個人からお預かりしている大切な情報のセキュリティを確保し、所定の効果を達成したということで、B評価としております。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。以上、御質問とかよろしいですか。

 

○石井構成員

 質問ではなくて、私のほうからお願いといいますか、日常、医療現場にいる者からなのですが、採用に関してです。医系技官というのは、基本的に医療現場を経験してから行く方が多いと思うのですが、薬系技官は新人ですね。卒業してすぐの新卒が多いといったところで、医療現場で、どのように薬が使われていて、どういったニーズがあるかと分からないままPMDAに行くというケースが多いのですね。実際に私どもの卒業生も多いですし、卒業生にとっては非常に魅力的な職場となって希望者が多い所なのですが、是非もうちょっと人事交流、あるいは医療現場を経た者を採用していただくような形ができないでしょうかというのがお願いです。

 なぜかと言うと、我々が新薬を採用するときに、このような形で錠剤の規格が決められているとか、どうしてこんな形のコマーシャルベースに乗っかっているのかなといったところで、分からない、患者のニーズと合致しないときが時々出てくることもありますので、そういった人材を増やしていただければなと思っております。お願いです。

 

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役

 大変ありがとうございます。私どもも現場をよく知って、私どもに任されている仕事をきちんとしていくことが重要だと考えております。もちろん採用に当たって、新卒の人を優先して採るということではないのですが、全体としては新卒の応募者が多いのは事実で、その中から優秀な方を採用させていただいているわけです。数は少ないですが、もちろん病院を経験してPMDAに来るという方も中にはいらっしゃるほか、採用後に包括連携の機関であるとか、又はその他の大学病院などの御協力を頂きながら、例えば一定期間の薬剤業務の研修をさせていただいている所もありますし、また非常に数は少ないですが、薬剤師で医療の現場に週1回、研修ということで、20%のエフォートで現場の実態を見るということをやっている職員も出始めています。

 また、特に6年制の卒業生がどんどん出てきておりますので、現場を少しは見てきているということで、そんな経験も活用していければと思いますし、人事交流という意味では、大学病院とか大きな病院からPMDAに出向で、一定期間ではありますが、来ていただいているような職員の方もいらっしゃいまして、現場でこういうことが困っているとか、現場はこうなのだということの声も身近で聞きながら、仕事ができるような形にもなっているかと思います。先生が御指摘のように、現場をよく知るということは非常に重要ですので、今後引き続き、採用に当たってはそういう点も考慮していきたいと思います。

○真野主査

 ありがとうございました。ほかの先生はよろしいですかね。次に法人理事長・監事からのヒアリングという形です。最初に法人の監事の方から、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、それを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針について、コメントをお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構監事

 監事の疋田です。私から説明をさせていただきます。資料1-4を御覧ください。1-4は平成28事業年度の監事監査報告書になります。先月27日に厚生労働大臣に提出したものです。

1ページ目、2から入ります。監事監査は御存じのとおり業務監査と会計監査から構成されており、当機構の場合は、会計監査は外部の会計監査人による監査をやっております。2の監査結果です。まず、最初の法令遵守の状況及び中期目標の達成状況です。この業務監査の中で主要項目の1つになりますけれども、全部署に対して監査を実施しております。特に主要3業務、救済、審査、安全に加えて国際戦略について重点的に実施をしましたので、その記載となっております。結果としましては、次ページにわたって記載しております。諸課題は当然ありますが、法令面での問題はありませんし、中期目標は今、達成基調で推移しているという状況です。

 次ページ、下のほうに2.PMDAの内部統制システムの整備とその運用状況」といった項目があります。これも、業務監査の主要項目の1つになります。そのすぐ下の(1)の統制環境から、次のページの(2)リスクの評価と対応、(3)の統制活動、(4)の情報と伝達、(6)のモニタリング体制、(6)のICTの対応についての確認になります。

 その結果につきましては5ページになります。5ページの上のほうに結果を書いております。内部統制システムについては、適切に整備され運用されているところです。その2行下、先ほどPMDAの財政の構造の話が稲川からありましたけれども、今、特異な財政構造、収支構造になっております。過去のストックを前提とした経営というのが第3期中期計画の中で行われておりますけれども、来たる4期になりますと、これは単年度フローによる経営への移行が必要になってまいります。ここに書いていますように、変革に向けた諸対策を適時適切に講じることが要請されるといった記載を今回の報告書から追記しております。345につきましては記載のとおりです。4.の会計監査の項目になりますけれども、先ほど言いましたように外部からの会計監査人が入っておりますので、監事としましては、財務諸表の信頼性と会計監査人の適切性といった面についての監査を行っております。結果としては問題なしといったところです。

 それから、3「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針等過去の閣議決定において定められた監査事項についての意見」で、項目が2つあります。1つは、職員の給与水準、もう1つは、2つ目に書いてありますように、随意契約の適正化を含めた入札契約の状況で、記載のとおり、特に2.については改善基調にあるといったところです。

 それから、6ページ目です。4は過年度の監事監査において指摘事項に関わる改善状況についての記載をしております。7ページまでにわたって4項目の指摘事項があったわけですけれども、平成28年度中に改善が完了したものについては、4.の大規模災害時の対応についての1項目になります。残りの3項目につきましては、まだ改善途中といった状況にありますので、平成29年度への継続監査事項という位置付けにしております。

 最終ページ、7ページです。5、それを受けた形での是正又は改善が望まれる事項については、先ほど申し上げました継続する3項目について記載しており、新規の追加はない状況です。この是正又は改善が望まれる事項については報告書の中には記載がありませんけれども、PMDAの場合、今回新規の項目は追加がありませんものの、内部環境変化と外部環境変化ともに非常に大きく起こっています。内部環境変化につきましては、事業領域の拡大、人や組織も増えているという状況です。それから、外部環境につきましては、先ほど説明もありましたけれども、国際協調、その裏返しの競争が進展しているという中で、PMDAのポジショニングというものがかなり変化し、取り巻く環境変化が加速度的に起きてきているといったところがあります。こういった是正又は改善が望まれる事項はないに越したことはないのですけれども、必然的に発生する不可避なものだと認識しております。また、いろいろな項目は、なかなか完成形たるものがなくて、環境変化によってまた違う形での水準を求められるといったことで、不断の努力を要するものだといった認識もしております。というところから、指摘事項があることは一方では残念なことですけれども、この指摘事項が着実に改善に向けて進んでいるかがガバナンスの観点から重要であり、それを監査のポイントとしております。そういった面で着実に進んでいるということを御報告させていただきます。

 最後になりましたけれども、業務監査及び会計監査において特段の問題がなかったことを申し添えます。私の報告は以上です。

 

○真野主査

 それでは、続いて法人理事長から、日々のマネジメントを踏まえて現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等について、コメントを頂ければと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 理事長の近藤と申します。本日は、平成28年度のPMDAの業務実績評価に当たりまして、貴重な御意見を頂き、感謝いたします。発言の機会を頂きましたので、私のほうから3点ほどお話させていただきたいと思います。

 まず1点目ですが、PMDAの国際的なプレゼンスの高まりについてです。本日の資料にありましたとおり、新有効成分含有医薬品の審査機関につきましては、3年連続で世界最速を達成するなど、PMDAは、国内の関係業界は元より、欧米ほか、諸外国からも高い評価を頂いております。今、世界の規制当局の目は、日本に向いていると言っても過言ではございません。このような中、昨年度は規制当局としては国際的にも前例のないアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターを発足させたという、大きな一歩を踏み出すことができました。私は、ある国が医薬品・医療機器の開発の先進国である、そのために何が条件かというと、1つには研究開発能力であると思いますし、もう1つは、企業活動能力があると思います。しかし、もう1つ大事なことは、それを正しく評価して規制する、規制環境が重要だと考えております。この取組によりまして、我が国の薬事規制に対する国際的な評価が高まれば、我が国が革新的な医薬品・医療機器の最初の上市国になり、国民がその恩恵に浴するとともに、途上国の規制レベルが上がることで、我が国に輸入される医薬品・医療機器の安全性、品質の向上にも寄与すると考えております。

2点目は、リアルワールドデータの活用です。PMDAでは、平成30年度から本格稼働に向けて、MID-NETの構築作業を進めております。医薬行政の判断に用いることから、データの品質確保が生命線となりますが、電子カルテの情報等が標準化されていない現状の中で、ほぼ100%のデータの一致率を確保し、日本で初めて信頼できるリアルワールドデータの構築に成功したとの評価を頂いております。昨年度は、5つのテーマにつきまして試行的な利活用をスタートさせ、厚生労働省の安全対策に寄与する成果を得ることができるなど、フロントランナーとしての大きな前進をすることができました。

3点目は、PMDAのセーフティトライアングルの頂点の1つである救済業務についてです。昨年度は、請求件数が増加しまして、HPV案件などの難易度が高い案件が増える中で、平成27年度を大きく上回る事務処理機関の目標達成率となりました。救済制度は、革新的な医薬品や再生医療等製品を迅速に医療現場に届ける上でもその基盤となるもので、私はこの成果を大変誇りに思っております。

 私は本年2月、Rational Medicine Initiative、つまり合理的な医療を目指そうよということを公表しました。これは、全人的な医療実現に向けて、レギュラトリーサイエンスに基づいて医薬品のリスクベネフィットバランスの向上と、リアルワールドデータを活用したエビデンスに基づく医療環境を創出し、患者さんを中心とした合理的な医療を目指すというものです。この考えをPMDA全体に浸透させながら、レギュラトリーサイエンスの基本的な理念に基づき、今後も我々PMDAが、世界を積極的にリードし、何事にも果敢にチャレンジしてまいりたいと思っております。今日はどうもありがとうございました。

 

○真野主査

 何か意見はございますか。よろしいですか。それでは、以上でPMDAの平成28年度の業務実績に関わる話を終わりまして、今後の取扱いについて事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 法人から説明がありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定いたします。本日の法人につきましては、昨年度と比較して自己評価を引き上げた項目、1-61-10にありましたが、数値目標の達成率が120%以上となっていない中での定性的な説明を頂きまして、改めて評価ルールに照らして評価結果を取りまとめていくということになります。その評価結果につきましては、法人に通知しますとともに公表いたします。決定した内容につきましては、後日構成員の皆様にお送りいたします。

 次回の本ワーキンググルーブの開催でございますが、81日火曜日14時からを予定しております。場所は、本日と同様、中央労働委員会7階講堂です。議題としましては、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成28年度業務実績評価について御意見を賜ることとしております。

 最後に事務的なお知らせですが、本日配布した資料、大変大部にわたりますので、構成員の皆様方で送付を御希望される場合は、事務局より送付いたします。机上にそのままにして御退席いただきますよう、お願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、本日は長時間にわたって議論いただきまして、ありがとうございました。また、国際化とか多くの進展を感じることができましたので、今後とも是非頑張っていっていただければと思います。それでは、本日はどうもありがとうございました。


(了)

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