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2017年4月21日 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成29年4月21日(金)13:00〜


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(17名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、○一 色 高 明、 梅 津 光 生、
  北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、
  千 葉 敏 雄、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 配 島 由 二、
  濱 口   功、 菱 田 和 己、  村 上 輝 夫、 桃 井 保 子、
  渡 邉 和 久
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人3名

欠席委員(6名)五十音順

石 井 明 子、 小 西 郁 生、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、
正 田 良 介、 寺 崎 浩 子

行政機関出席者

武 田  俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (医療機器審査管理課長)
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)

○議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりました。少し遅れられている先生もおられるのですが、現時点でこの「医療機器・体外診断薬部会」の委員の先生方の23名のうち15名お見えいただいており、定足数に達しました。定刻でもありますので、お願いできればと思っております。本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いします。

○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1から3については会議を公開で行い、議題4以降については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開といたします。これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 以後の進行を荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、始めさせていただきます。よろしくお願いします。初めに、資料の確認をお願いいたします。

○事務局 本日、配布資料が多くありまして、特に配布資料のうちの1-1から2-4までに関しては、全面的に本日配布した資料に差し替えさせていただいておりますので、御了承ください。配布資料一覧に従って資料名は省略して説明いたします。当日配布資料1-1、当日配布資料1-2、当日配布資料1-3、当日配布資料1-4までが1枚の冊子にまとめられております。当日配布資料2-1から当日配布資料2-4までを一つの冊子にまとめております。その後は基準の話で、資料3-1、資料3-2、資料3-3、資料3-4、資料3-5、資料3-6だけ傍聴者にはお配りしておりませんが、議事に関わる先生方には配布しております。公開案件の資料に関しては以上です。

○荒井部会長 資料の過不足はありませんか。もしお気付きになりましたら、事務局の方におっしゃってください。ただいまより議題1、単回使用医療機器(SUD)の再製造について、審議を始めます。まず、事務局の方から説明をお願いします。

○事務局 当日配布資料1-1、表に諮問書とあるものです。今回御議論いただくのは、再製造単回使用医療機器の基準の制定に関してです。横のプレゼンテーションの紙に沿って、概要を説明いたします。単回使用医療機器(SUD)は、手術などで使われる機器でありますが、その使用済み医療機器を製造販売業者がその責任の下で、収集・分解・洗浄して、再組立て・滅菌の処理を行って、再び使用できるようにすることを「再製造」と呼んでおります。こちらを導入するための新たな仕組みを作ろうと考えているところです。下に絵がありますが、「使用済みSUDを収集」という所の上に医療機器の図があります。こちらは先端が鋏のようになっており、血管をシーリングするデバイスなのですが、これは単回使用で、一度使って捨ててしまうようなものです。医療機関で使った後は通常は捨ててしまうのですが、これを収集して再使用する、そういった動きが世界的な潮流として行われております。既にアメリカでは2000年より、ドイツなどでも同じ頃より再製造をやっており、本来改正になった欧州の医療機器規則でも、再製造に関する規定が設けられたところです。これは医療機関の中で洗浄・再滅菌するのと異なり、専門の事業者が収集して、分解して洗浄して、新たな製品としてまた出すところが違うところです。この使用済みSUDを収集して、製販業者、製造業者の工場に持ち込みます。これは複雑な機器で、単純に洗っただけではなかなか汚れが落ちないということがありますので、まず分解します。洗えるようにした上で、洗浄・滅菌を行って、改めて組み立て直す。ここで必要な試験、オリジナル品との同等性の性能、若しくは安全性が確保されているかどうかを確認の上、最終的に滅菌して出荷するという流れです。こうやって製造される再製造品をオリジナル品とは別の医療機器として承認申請する仕組みを考えております。上の文章の所に三つのポツがあります。一つ目、再製造SUDを製造販売するためには、医薬品医療機器法に基づく製造販売業許可が必要である。二つ目は、オリジナル品とは別製品として製造販売承認を必要とする。最後ですが、再製造SUDに係る医薬品医療機器法上の責任は、再製造を行った製造販売業者が担うということを原則と考えております。三つ目については、諸外国では再製造を行うのがオリジナル品のメーカーとは限らないケースが見られて、A社が作ったオリジナル品をB社が回収して再製造するということも行われております。その場合、再製造されたSUDに関しては、オリジナルメーカーではなくて、再製造を行ったメーカーに責任が生じるということです。こういった仕組みを動かす上では、再製造品の原料となる使用済み品の収集のところから、洗浄、分解、設計の部分とか、様々なところで薬事規制を当てはめなければいけないということがありますので、下の緑の四角にあるような五つの措置を考えております。

 そのうちの1番目の「基準を新設」というのが今回、御議論いただくところです。再製造SUDの品質、有効性及び安全性を確保するために、医薬品医療機器法第42条に基づく基準を新設すると。この基準は医療機器の基準で、これに反したものは販売禁止、回収などの措置が取れる非常に厳しい基準です。こちらを作る。また、品質管理システム(QMS)の追加要求事項を設定することを考えております。例示を三つ書いてありますが、一つ目が国内の医療機関で適切に管理された使用済みSUDを収集回収してくる。国内の医療機関を想定しております。二つ目ですが、一度使ったものですので、血液の付着などが考えられますが、汚染とか病原体が除去・不活化できることを規定しています。三つ目ですが、オリジナル品の構造、原材料の変更、オリジナル品がちょっと変わった場合に原料となる使用済みSUDが変わることになりますので、その変更などをちゃんとモニタリングしておくこと。また、オリジナル品の安全性情報などもモニタリングしていること。こういったところを基準に定めようと思っております。基準については、後ほど細かく説明いたします。

 2番目として、トレーサビリティの確保、3番目として製販業者の定期的な製造工程の確認、安全性に関する評価。4番目ですが、こういった取組をした経験がある事業者は非常に限られており、国内にはほとんどありませんので、機構の相談を活用して、十分に計画した上で開発を進めていただくことを考えております。5番目ですが、再製造SUDを作る場合は、これまでと異なる洗浄工程とか、新たな工程が含まれますので、そういったところも医薬品医療機器法に基づく製造業登録の対象とすることを考えているところです。

 当日配布資料1-4が現在検討中の42条基準です。概要をざっと説明します。この基準は、再製造単回使用医療機器の基準で、単回使用の医療機器のうち再製造を行ったものの基準です。()定義とありますが、ここではオリジナル品を「原型医療機器」と呼び、「再生部品」とは、オリジナル品が使われた後の使用済みのSUDと考えていただければと思います。()原材料です。原材料となる使用済みのSUDに係る要件を規定しております。1.国内の医療機関で使われたもの。2.脳、脊髄、硬膜、脳神経節、脊髄神経節、眼又は視神経に接触したものではないこと、これはプリオンのことを考えて入れているものです。3.人の体内に埋め込まれたものではないこと、これは長期の耐久性などを考えて入れたものです。4.感染症法に定める感染症に罹患した患者さんに使ったものではないこと、これも感染リスクを考えて入れた規定です。

 そのほか多く要件を書いておりますが、かいつまんで説明いたします。5.再生部品、使用済みSUDは、承認書に記載された方法によって、医療機関において収集されたものであること。選別の仕方なども規定するということです。また、6.その収集された使用済みSUDは区分して保管するということ。7.上記に掲げるような、これまで説明したような管理が適切に行われていることを定期的に確認することというのを考えております。9.はちょっと通常の医療機器と違うところですが、再製造の医療機器に関しては、再製造医療機器を使った後に、またそれを原料にして、もう一度作り直すという再製造のサイクルが回ることがあります。ただ、その場合は当然、最大再製造回数を規定して、その回数内であればきちっと使えるということを確認しなければいけませんので、承認書に記載された回数以上、再製造に供されたものではないというのをここで明確にしております。11.収集した医療機関の名称とか収集した年月日をちゃんと記録して保管しておくということを規定しております。さらに、使用済みSUDの運搬については、13.破損とか劣化がないようにしておく、又は専用の密閉性の容器に入れて運ぶことを規定しております。

()製造方法です。ここは非常に重要なところですが、1.病原微生物その他疾病の原因となるものが不活化・除去されていることを求めています。2.と再製造品はオリジナル品と同等の有効性・安全性を有するように製造されなければならないということを定めております。3.トレーサビリティについても規定しているところです。

()性能・安全性に関するところです。1.再生部品、2.交換部品、3.再製造SUDそのものの三つを規定しておりますが、代表して14ページの3.を説明します。ア、再製造品の使用目的・効果は、オリジナル品(原型医療機器)の使用目的・効果の範囲を超えないと。これは当然だと思います。イ、再製造によって、特性とか性能が低下ということが考えられますので、そういったものも加味した上で設計をすること。同等の安全性・有効性が担保されるように設計することを規定しております。ウは、再製造品のメーカー側がオリジナル品の状況をちゃんとモニターしておくべきという規定です。1)はオリジナル品の原材料の変更とか、他の変更がないかを確認すること。2)はオリジナル品の安全性情報・有効性に関する情報をちゃんとモニターしておくことを定めております。

()表示です。1.のア、シリアル番号がちゃんと本体に付されていて、再製造回数などを管理できるようにするという規定。現場で、オリジナル品と再製造品とを混同してしまうことがあるといけませんので、イ、再製造されたものであることを識別する適切な表示があることを義務付けようと考えております。2.直接の容器等の記載事項も同様で、再製造品であることが分かるような表示をすることを考えているところです。

 以上が42条基準の概要で、御議論いただいた上で御了承が得られれば、今後パブリックコメント手続に進み、更に広く御意見を募りたいと考えているところです。

 8ページです。再製造を新たに取り入れるに当たって、42条基準以外の法令についても、いろいろ手当をすることが必要になってまいります。8ページ下の関連法令の改正スケジュール()に書いてあるように、医薬品医療機器法の施行規則の改正により、登録が必要な製造業の範囲を決めるとか、工場に細菌学的知識を有する者を置くなどといった改正を考えております。手数料令とQMS省令の改正も考えているところです。

 スケジュール()ですが、現在、部会に諮っているところですが、この後もし御了承が得られるのであれば、省令案、告示案等のパブリックコメントに進みたいと考えております。その上で、42条基準についてはWTO通報を行って、WTOに貿易に不公正な影響を生じさせるような規則ではないことの確認のために通報する義務がありますが、それを行い、更に新たに42条基準を作る場合は、分科会の審議がありますので、次の分科会、若しくはその次の分科会に諮るという手続があります。

 今、施行規則の改正という話がありましたが、その案は15ページにあります。重複になってしまいますが、施行規則の改正の案の概要ですが、製造業の登録を受ける製造所の工程、3ポツ、製販業者の遵守事項、製造業者の遵守事項といったものを施行規則で定めようと考えているところです。今回、御審議いただくものは42条基準ですが、ほかの法令も変更になる予定です。以上です。

○医療機器審査管理課長 私の方から補足をいたします。内容は今の室長からのお話のとおりなのですが、何でこんな議論を始めたのかという経緯だけを紹介させていただきます。資料の5ページの上の段のスライドです。一番上のポツに、もともと単回使用医療機器の中にいろいろなものがありますが、企業から滅菌して提供されるもので、EPカテーテルの絵が横に書いてあります。かなり高額で、実際にはかなり実質的な耐久性はあると思われるようなものが、企業からの滅菌品ということで単回で、1回1人の患者さんに使ったら、そのまま廃棄に回るというものが結構数多くあります。こういったものに関して、外国でもいろいろ議論があったのですが、上にあるように、院内、病院の中で、実際それを洗浄して消毒・滅菌して、再度、違う患者さんに使うということがかなり行われていた現実があります。特にアメリカの方では、行政を監視する機関の方から、このようなやり方は感染リスクなど、非常に問題が多いということで、FDAに勧告をして、こういうのは薬事承認など、ちゃんと承認を取らせてやるべきだという勧告があって、アメリカの方で2000年から始めてきております。その後もずっとモニターされておりますが、そういうやり方で、このような感染の問題は起こっていないということがありました。

 ヨーロッパは6ページの下の所にあります。アメリカは薬事の承認の仕方ですが、ドイツはどちらかというと委受託サービスで、病院が契約する事業者に渡して、消毒・滅菌して返してもらうといったサービスが非常に発展しており、ヨーロッパの中で大分議論もありまして、これを何とか考えていかなければいけないということです。EUは今、加盟国の数が大変多い中で、いろいろ議論があり、ドイツのこういった委受託サービスモデルも許容されることになったのですが、アメリカと同じ薬事の承認を取らせて管理をしていくことがEU全体では、基本的には採用されたということです。それを受けて、イギリスは早速、既にこういった再製造の推進を進めているという状況です。そういうことで、もともとが院内での再滅菌の問題から、どうやって問題をなくして、適切な管理をしていくのかということから始まった制度であるということを少し補足させていただきたいと思います。以上です。

○荒井部会長 室長、課長のご説明で、全体の骨格とバックグラウンドは御理解いただけたかと思います。この件について審議に入りたいと思いますが、御意見等ありますか。

○鈴木委員 この話はずっと、一部の方が推進を働き掛けていましたし、医療材料におけるジェネリックという位置付けになると思いますが、高い保険医療材料を何回も使えるのは非常にいい話だと思います。価格の話は別のところでするのでしょうけれども、EUの中でも国によって多少違いますね。いろいろな国から入ってきた場合、元の管理がずさんな国が含まれると、再製造と言ってもいろいろ問題が生じる可能性があります。国内の製品のみとは限らず、当然、海外から輸入したものも含まれるわけです。国内で使用したことは、どのようにして担保するつもりですか。

○医療機器審査管理課長 資料の中に入れております。先ほどの資料1-4、11ページですが、原材料の1.国内の医療機関で使用されたものであることは規定しております。最初に、再製造するときのトレーサビリティが非常に大事になっておりますので、それを再製造するところ、つまり医療機関から収集してきます。13ページの()製造方法の3.再製造単回使用医療機器は、再生部品、検査、製造及び作業環境の条件並びに流通に係る記録との追跡可能性が確保されていなければならないとなっています。つまり、まず医療機関から収集してきます。これは国内の医療機関ですが、国内の医療機関から収集されてきたものは、それで1回、シリアル番号など、トレーサビリティが取れるような本体の表示をさせるようにします。それができたものしか再製造に回さないということを確保したいと思います。

 このトレーサビリティは非常に重要になってきますので、それで外国で使われたものが変な所から入ってこないように防止したいと思っております。また、私どもの方では通常の企業の場合には、QMSの更新は5年に1度しか製造所には入らないのですが、ちゃんとそういうことが管理されているかどうかに関して、メーカーには基本的に毎年入ると。毎年チェックを入れて、ちゃんとそれができているかどうかを確認していきたいと思っております。その二つのことにより、国内の医療機関で使われたものが国内に返ってくると。こういうループでちゃんと回っていることを確認して担保していきたいと思っております。

 ちなみに、イギリスも同じようなやり方を取りまして、アメリカはそういう規定はないのですが、イギリスが導入する際には、イギリスの国内で使われたものを使うということでやっており、同様の仕組みが、ほかの国でもあります。

○荒井部会長 そのほか、御意見はいかがですか。

○濱口委員 先ほど御説明いただいた8ページの関連法令の改正スケジュール案の施行規則の所に、「製造業登録の範囲、細菌学的知識を有する者の配置」という文言がありますが、ここはあえて細菌学だけを記載されているのは何か意図があってのことなのか。多分、先ほど御説明がありましたように、病原体の不活化などということが非常に重要だということになりますと、必ずしも細菌だけではないのかと思っておりますが、いかがでしょうか。

○事務局 ここは文言上「細菌学的知識」と書いており、生物由来製品と同じような規定を置くことを考えております。文言は「細菌」と書いてあるのですが、ウイルスなど、ほかを否定しているわけではありませんで、この「細菌学的知識を有する者」の解釈の範囲で、そのほかの方々も読み込めるということで運用していますので、同様のことを考えております。

○荒井部会長 本件は、かなり大きな、ドラスティックと表現しても良い施策と思いますが、その他、よろしいでしょうか。

○千葉委員 実際に話をなさったように、本来は単回使用というものを、余りにも高額な機械であるがゆえに、やむを得ず、時には洗って使っていることはあると思います。そのときに、我々も実際にやろうとして苦労したのは、複雑な医療機械の場合に、それを全部、部品に分解してやるということは、必ずしも実際的ではないですね。その結果、これはほかの病院の医師の話ですが、十分に洗い切れないと、手術の使用中に前の患者さんの組織の切片が一部出てきたとか。これは噂で終わっていれば有り難いのですが、実際にはそれはあり得ると。そうしますと、分解というのは、どこまでできますかと。それを義務付ける定義です。もう一つは、それを完全に分解してやるとしても、それをオリジナルで作った医療機械のメーカーからの秘密保持といいますか、そういった問題も全部は公開したくないと、現実にはそういう機械もあると思うのです。その点に関しては、この法律はどのようになっていくのだろうか。その2点について、お教え願えればと思います。

○医療機器審査管理課長 まず、汚染がどこまでどうなのかということに関して、この問題を考えるとき、大きく二つの課題があると思っております。一つは、誰か患者さんに1回使っていますから、当然、血液や組織で汚染されているということがあります。これは単一の部品だけでできていればまた別ですが、幾つか複数の部品で作っていれば、当然その隙間に入り込んでいるということがあります。基本的にはそれを分解して洗浄することを基本に考えておりますが、それについては個々の製品ごとに、どこまでを見ていって、汚染されている可能性があるところを追い掛けて、全体としての清浄度をどういう形で担保するのかというのは、どちらかというと個別の製品ごとのやり方で見ていこうと思っております。

 資料の6ページは、アメリカの大手のメーカーで実際やられている方策のリバースエンジニアリングという手法だと聞いております。現実にはオリジナルメーカーは情報の開示がありません。それで、市中から実際に販売されているものを買ってきて、それを他社で分解して、どういう構造で、どういう原理で洗われているのかということを確認して、またそれを再組立てして、ちゃんと再現できるのかと。その上で、こういう機械であればどういう性能を持っていればいいのかというのも、実際には添付文書などで公開されているスペックもありますので、そういったことに合わせて、再組立てしたときにちゃんとできるのかといったことのデータも再度取り直して、一度分解して、どうできるのかということを実際には検証して、その結果がオリジナル品と同等の性能が出るとされたものについて、私どもの方に承認申請がきて、そのデータのやり方が適切かどうかを私どもの方で判断することを考えております。

 実際にはこのように分解して、また再組立てできるというのが基本ですので、部品レベルにまで実際に洗浄・消毒・滅菌が適切にできているかということを、まだ感染物が残っているかどうかの確認は、部品にしますと大体多くできますので、そういった形で、どのぐらい細かくかは製品によってちょっと違うと思いますが、個別の審査の中で十分確認していくという形になろうかと思っております。

○千葉委員 そうしますと、医療機械というのは、簡単なものから複雑なものまで、非常に多数の種類がありますね。サイズもいろいろ変わるとか。それを全て、今のような意味で検証して、これは分解・洗浄の定義はこの機械はこれであると。それを非常に多数の種類のあるものに対して、一つ一つちゃんと出していく、検証して公にしていくということなのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 現実にはサイズバリエーションに関して言うと、埋込みの医療機器は対象外です。ですから、あくまでデバイスの補助具になります。そうなってくると、埋込みの場合たくさんありますが、それほどのサイズバリエーションはないだろうと思っております。あと、私どもがちょっと安心感がありますのは、このガイダンスにおいては基本的には欧米で、ある程度の実績があるものを前提にベースに置きたいと思っていますので、アメリカ、ヨーロッパのやり方もよくよく見て、実際それで運用されていて、アメリカの状況を見ておりますと、特に問題は起こっていないということを我々も聞いておりますので、アメリカでやられている方法が適切なのかどうか、もう一度、我々の審査当局の方で確認していくということです。

 確かに悩ましいのが、なるべく標準化していきたいと思っておりますが、我々はアメリカの状況も調べたのですが、結局アメリカも個別対応になっております。一本筋のようにと、この製品がこういうことを満たすのだということは結局、個別の判断しかないというのはFDAも言っております。その中で、実際にはアメリカがやっている方法を我々はかなり勉強もしておりますが、そういったことをベースにして進めていきたいと思っているところです。

○荒井部会長 そのほかの御意見はありますか。医療現場をご存知の方は、いろいろな製品を想像していらっしゃると思いますが、実際の状況はどのような感じになるのか。アメリカの状況などが参考になるのかもしれませんが、医療機器のどの程度の範囲が対象になるのか、本当にごくごく一部なのか、それともシェアがどんどん増えてくるのか、その辺のざっくりとした読みはいかがなものでしょうか。

○事務局 アメリカの調査をしたところ、必ずしも全ての製品が再製造されるわけではないというように伺っています。なぜなら、分解・洗浄などの技術的な問題で再製造ができないケース、これは一つ一つ収集して、ばらして洗って組み立てることをやっていますので、コストもそれなりに掛かりますので、ペイしないものは当然やられないということで、結局は循環器関係の手術器具などが主に再製造されているようで、全体から見るとそこのところが多い。そこの各分野でシェアがどのぐらいあるかというと、それなりに多いシェアを取っているところもありますが、そもそもオリジナル品が流通しないと再製造品もできませんので、シェアの上限はそれなりに限られるというように聞いております。

○荒井部会長 この議論の時に、「もったいない」という表現は適切ではないかもしれませんが、こういう考え方に体し総論とし反対の方はおられないと思います。一方で、医療機器の場合、現在使い捨てされているものの一番の理由は、「もう一度再滅菌して、製品として出すには非常にコストがかかり、捨ててしまったほうが安上がり」ではないかと思われます。ですから、良い方法ではあるのでしょうが、この制度が動き出して本当にどの程度活用されるかについては、注視する必要があると思われ、それで伺わせていただきました。その他に御意見は如何でしょうか。特に御意見がないようでしたら、議決に入らせていただきます。再製造単回使用医療機器基準の制定について、本部会として差し支えないということとしてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、このように議決させていただきます。なお、先ほどお話がありましたように、今後、事務局においてパブリックコメントの募集を行い、次回以降の部会において寄せられた意見を報告していただくことになっております。また、本件については、本部会での審議結果を踏まえ、次の分科会でも審議をすることになっております。よろしければ、これで議題1を終了させていただきます。

 続きまして、議題2に移らせていただきます。「革新的医療機器の早期承認について」、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは当日配布資料2-1、「革新的医療機器の早期承認について」を御覧ください。医療機器の審査においては、リスクとベネフィットのバランスを考えますが、最近はそれに加えて、アクセスのスピードというのが非常に注目されているところです。下にある「検討の背景」を御覧ください。申請の前に臨床試験のデータが必要になることがありますけれども、まれな疾患だったり、患者数がなかなか集まりにくいケースでは、治験症例の収集に非常に長期間を要することがあります。要するに、非常に堅いエビデンスを集めようとすると、開発期間が長期化してしまい、承認申請のタイミングが後ろに遅れていってしまうという事態が生じています。一方で、非常に重篤な疾患であって他に治療法がないようなケースにおいては、その疾患に対処できる可能性のある医療機器へのアクセスを可能な限り早期にすべきであるということになります。

 このため、下の矢印にありますように、医療上の必要性の高い医療機器に関しては、使用条件の厳格化とか市販後のデータ収集などといった、製造販売後のリスク管理を厳密に行うことを前提として、全く臨床データがないのはなかなか難しいと思うのですが、限られた臨床データを基に、承認申請をすることを可能とするような制度を作りたいと考えております。本件は下にありますとおり、ベンチャー懇談会の提言を受けたものです。

 2ページの上にイメージ図を記載しております。医療機器というのは、ライフサイクルの中で改良・改善を繰り返していく製品であると考えております。その中で、市販前と市販後の規制バランスを最適化しようというのが、本制度の趣旨です。

 まず現状です。患者数が少ないケースなどにおいては、どうしても臨床データの収集が長期化してしまう傾向があります。そこで今回御提案しようとしているのが特定の種類の医療機器ですが、左下に要件を書いているような新医療機器相当の品目であって、有効な治療法等がない重篤疾患に対応するもの、評価のための一定の臨床データがあるものの新たな治験の実施が困難と考えられるもの、更にここがポイントですけれども、関係学会と連携をして適正使用基準を作成できて市販後のリスクマネジメントができるもの、つまり市販後のデータ収集や評価の計画を具体的に提示できるもの、こういった三つの要件を兼ね備えている製品に関しては、この図の赤い矢印の部分にあるように、製造販売後のリスク管理を関連学会との連携のもとで検討していただいて、その結果作られる製造販売後のリスク管理計画案を、承認申請資料の一部にしていただくと。この形で承認申請していただくということを考えています。当然、非常に複雑な手続きとなる可能性がありますので、機構の開発前相談とか、臨床試験要否相談などを活用いただいて、リスク管理計画案をまとめるということを考えています。

 右下に吹出しがあります。リスク管理計画の中身ですが、1行目の括弧の部分にありますように、適正使用基準として、実施医や実施施設等の要件を含むほか、市販後のデータ収集・評価を含むリスク管理計画を添付していただくというイメージです。

 これを付していただいた上で、限られた臨床データによって安全性・有効性を評価し、リスク管理計画に定める使用の環境、例えば何かあったときのバックアップ体制がしっかりしている施設において熟練したドクターに使っていただくといった使用環境の下で使うことについて評価を行います。ここで承認されたときに、リスク管理計画の中身を承認条件として義務化し、この条件の下で使うことをきっちり規定するわけです。その上で市販・使用する。ここも関連学会の御協力を得ながら進めていくというイメージです。こういうことによって医療機器を、早期の実用に供することができると考えております。実際の使用において、例えば市販前の段階では分からなかった長期使用成績などが出てきた場合には、一部変更承認申請などを行っていただくという絵姿を考えています。

 まとめますと、2ページの下に三つのポツがあります。まず、有効な治療法等がない重篤疾患に該当する医療機器について、リスク管理計画を承認申請書に付けていただきます。2番目として、そのリスク管理が適切に実施されることを前提として、市販前に入手し得る臨床データを基に、当該医療機器の安全性・有効性等を確認します。最後に、当該リスク管理計画の内容を承認条件として、その実施を担保するという制度を考えています。下に「予定」と書いておりますのは、本件は既に3月末に行われた医薬品医療機器制度部会にも御報告させていただいたところですが、本日御議論いただいて御了承が得られるようであれば、関連の省令改正に関するパブリックコメントなどを始めたいと考えております。

 3ページの下に、想定している省令改正の概要を三つ記載しております。一つ目が施行規則の一部改正です。医療機器の承認申請に必要な資料を、この施行規則で規定しておりますが、承認申請される医療機器が、特に医療上の必要性が高いものであって、臨床試験の実施、特に長期間を要すると認められるときは、承認申請資料の一部としてリスク管理計画を入れていただくことができるような改正を考えております。

 二つ目が、GVP省令という市販後の安全管理の基準を定めた省令がありますので、そちらの方で医療機器の製造販売後リスク管理計画を規定します。さらに、GPSP省令は市販後の調査試験の基準ですが、こちらで使用成績調査などをやる場合は、製造販売後調査基本計画書というのを作ることにしております。もし医療機器製造販売後リスク管理計画ができれば、その基本計画書に替えることができるという内容の省令改正を想定しています。

○荒井部会長 これも大変に重要な議題です。この部会で扱う医療機器について、その根底に流れる考え方を本当にいい方向に持っていこうという試みだと思います。御意見はいかがでしょうか。

○鈴木委員 本件は報告事項に入っていますが、どこで承認されたものを今日報告されているのですか。

○医療機器審査管理課長 特に承認はまだしておりません。厚生労働省としてこういった制度を立ち上げたいということについて、この部会の御意見を伺いたいというものです。各種制度を議論する厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会というのを、最近立ち上げたのですが、そちらでも並行してやらせていただいております。その御議論も併せて御了解いただければ、うちとしてもスタートさせようというものです。

○鈴木委員 それでは、報告ではないのではないですか。審議事項ではないですか。

○医療機器審査管理課長 ただ薬食審の規定上、法定の審議事項というのが決まっております。例えば、新医療機器は薬食審の意見を聞いてやるというのが法律で決まっております。先ほどのSUDの基準に関しても新しく42条基準を作る場合は、薬食審で意見を聞いてというのが法定で決まっております。法定で決まっているものですから、審議事項として諮問答申をいただいてやるということです。

 これは法定でないものですから、私どもとしては実質的には御審議いただくわけですが、諮問答申の手続がないということで、報告事項とさせていただいているのです。似たようなものとして、前にOTCの検査薬も、ずっと報告事項でやらせていただきました。実際に非常にいろいろな所で影響があるようなものに関しては、実質的に薬食審に意見を聞いて、その御意見を踏まえて進めます。法定の審議事項ではないということで、報告事項とさせていただいています。

○鈴木委員 そうすると、新しくできた医薬品医療機器制度部会では審議事項になっているわけですか。

○事務局 それは報告事項になっております。

○鈴木委員 立て付けとして、報告で新しい制度が決まってしまっていいのですか。

○医療機器審査管理課長 実質的には御審議いただくというように思っております。法律上の規定がないのでやっているだけですので、実質的には変わらないと私どもは思っております。そういう意味では、実際によく御意見を伺ってやりたいと思っております。

○鈴木委員 制度部会は、この部会の上ではなく、並列ですか。

○医療機器審査管理課長 並列です。薬食審というのは、個別の品目の審議をするというのが基本になっており、いろいろな制度に関しては、厚生科学審議会の方で議論することになっております。しかし、今までそちらの方で私どもが薬事関係のことを議論できる部会がなかったものですから、新たに立ち上げたという形です。

○鈴木委員 いわゆる制度上からも、審議をする場所がないということですね。

○医療機器審査管理課長 今まで法律上の規定のあるものはないということです。

○鈴木委員 今までそういうことで新しい制度ができてしまったということはあるのですか。

○医療機器審査管理課長 これまでで申し上げますと、薬事法の改正をする場合、法律改正をする場合は、厚生科学審議会に制度改正をする部会を立ち上げて、そこで実質的な御議論を頂いて、その御意見を基に法律改正をしたことがあります。ただ過去の省令とか、こういう関係のものに関しては、厚生科学審議会の部会がなかったものですから、例えばコンパッショネート・ユースの取扱いとか、この中の薬食審の薬事分科会に御報告して、報告という扱いですけれども、実質的に審議をしてやらせていただいたことがあります。そういう意味で、薬食審の中でもこれらの制度の関係を御議論いただいたことはあります。

○鈴木委員 それをずっと続けるのはおかしいので、見直したほうがいいのではないかと思います。報告事項で実質的な審議をすることは、普通から考えると違和感を感じますね。

○医療機器審査管理課長 これは薬食審全体の取扱いの問題になりますので、今日の御意見は受けとめさせていただいて、どういう整理ができるのか、また考えておきたいと思います。

○医薬・生活衛生局長 重要な御指摘、ありがとうございます。審議事項、報告事項という説明がありましたが、法律的には必要的諮問事項かどうかという整理になります。薬事・食品衛生審議会に関しては、新薬の承認その他で必要的審議事項というものがあり、新薬の場合は一つ一つ、厚生労働大臣の名前でこの審議会に諮問をして、その結論を得て私どもが承認するという形になっております。

 一方、制度改正については一般的には必要的諮問事項になっておりません。要するに、処分性のあるものについては必要的諮問事項という整理です。

 制度改正については、平成13年の省庁再編の際に、審議会についての位置付けが変わり、必要に応じて意見を聞く場を設けることになりました。例えば医療部会とか医療保険部会についても、必要的諮問事項ではないのですが、制度について御議論いただいているという整理になっております。私どもの医薬品医療機器法の改正については、必要に応じて臨時に設置していたのですが、制度的なものは常設で議論を頂いたほうがいいのではないかということで、先般、医薬品医療機器制度部会を立ち上げたところです。

 したがって、処分性のないもの、実質的に審議を頂いているものについて、審議事項と報告事項というように分けるのがいいかどうかという御議論はあるかと思います。本薬事・食品衛生審議会については、これまでも諮問事項かどうかで審議事項、報告事項というように分けて諮ってきておりますが、制度部会においては、そもそも諮問事項がない制度です。ですから制度ものについては、私どもは実質的にそちらは議論を頂き、制度の見直しにつなげる場として今後は使っていきたいと考えております。取りあえず補足いたしました。

○鈴木委員 話は、ある程度理解しました。結局、簡単に分ければ今までは審議事項は承認するかしないかだし、報告事項は確認するかしないかで、報告事項をどうこうということは余りなかったと思います。これは報告だけれども審議をして実質的に認める認めないという話になってもいいということになるわけですね。

○医療機器審査管理課長 そのとおりと思っております。

○荒井部会長 今日はあくまでも報告事項に該当しておりますが、内容的にはまさに、この部会の中で協議するべき内容と思われます。審議という言葉は敢えて使用しませんが、自由に御意見を頂ければと思います。

○中島委員 2ページのイメージ()に、いわゆる「一定の臨床データ」という記載があります。この一定の臨床データというのは何を指すのか。例えば、フィージビリティースタディーにフェーズIIがあって、フェーズIIIが前向きなRCTではないけれども、有効性についてはある程度データがあるとか、そういうイメージを考えればいいのか。あと、関連学会との連携ということであれば、関連学会等である程度使用基準のガイドラインがあるとか、もうちょっと具体的にイメージが分かるほうがありがたいかと思います。

○医療機器審査管理課長 私どもがこの制度を設計する上で、イメージしたものが幾つかあります。一つがこの部会でも御議論いただいた、子供への補助人工心臓です。これはEXCORという製品で、非常にいろいろ議論のあった製品です。あの場合は海外のPivotalデータがあります。その上で国内で4例の治験をやりました。これには2年8か月くらい掛かっています。あれは国内治験をやりました。ただ、海外Pivotalのデータがありましたから、一応検証的試験ということになります。その結果があったときに、国内で臨床試験をやらなくても認められる場合があるということを明示するのが、一つの事例です。

 それから、これも部会に掛かりましたが、国内で「胎児シャント」というのがあります。これは胎児治療に使うもので、胎児に胸水がたまったときに抜くシャントです。これは国産でしたけれども、高度先進医療等のデータだけで認めた事例です。外国産の場合、先ほど中島先生がおっしゃったように、多くは海外の臨床試験があって、国内の試験をやるかどうかという問題のときに、こういう場合は国内試験をやらなくてもいいのではないかという判断として使う。国産の場合で、非常にまれな疾患であるけれども医療上の必要性が高く、なかなか臨床試験を組むほどはできない場合、先ほどの胎児治療がそうだと思いますが、その場合は先進医療のデータだけで認めるケースがあると。そういう意味では一定の臨床データというのは、治験の場合であったり、臨床研究のデータであったりすることがあると思っております。

○中島委員 今、例に挙げられたような、いわゆる希少疾患をある程度ターゲットに置いていると考えてよろしいのでしょうか。それとも、もうちょっと幅広く解釈していいのですか。

○医療機器審査管理課長 希少疾患がメインになるのは事実だと思います。別途、医療上のニーズの高い、必要性の高い医療機器の導入の検討会というのがあります。そちらの方で、各学会から、このデバイスはなかなか日本に入ってこないけれども、是非導入してもらいたいという御希望をたくさん受けており、その捌きもしております。多分、あそこにニーズとして上がってくるようなものが、かなり対象になるのではないかと思っております。

 ただ、希少疾病だけに限っているわけではありません。特に医療上の必要性が高いけれども、希少疾病とまでは言えないにしても、治験をやるのが非常に難しいとか、特に救急に入るようなものとか、いろいろなケースがあります。私どもも希少疾病がかなり中心的なものになるとは思っておりますが、基本的にはそれに限らず、少し柔軟に、こういうものであれば、かなりきちんとした治験をやるのは難しいだろう、しかし医療上の必要性が高く、治験をやるためにはかなりの時間が掛かってしまうといったことが満たされる場合については、機構の方でよく見ていただいて、私どもは、この制度に乗せていきたいと思っております。

○中谷委員 今言われた小児の補助人工心臓の導入で、かなり苦労しました。その時の経験を踏まえる意味で言われたら、少しはっきりしてくるのですが、この場合の「一定の臨床データ」というのは、別に国内とは限らず、しっかりとしたものがあれば良いということですね。あの場合でも問題になったのは、国内で追加の検討をするか国外の分だけでやるかということでした。その意味で、ここで機構の活用ということで、まずはその時にあるこれだけのデータでいけるかどうかを相談しなさい。「判定」という言い方をするのが正しいかどうかは分かりませんが、それである程度にしろ、やはり我が国での検討が必要であろうということになれば、それはもう数例で良いと明確にする。今までよりもっと積極的に、その時点にあるデータで特に問題がなければ導入するということも明確にする。補助人工心臓の許可において、実際には成人でも、ある程度のわが国での試験が必要とされてきたと思うのです。それをもう少し明確化するという認識でいいのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 おっしゃるとおりだと思っております。EXCORのケースでいきますと、この制度は私どもも実際に運用しているものだと思っております。ただ、明示して書いたものがなかったということです。EXCORのケースで言うと、こういう制度があって、海外でかなりのデータがあれば認め得るという仕組みがあるということを、もしあの時点で明示されていれば、実際に導入したいと思われている心臓外科の先生方が、どういう判断だったかということがあると思います。市販後によくフォローアップをして、きちんと管理をする中でやっていけるのであれば、国内治験をやらずとも、そちらの方でしっかりやることでリスクマネジメントは十分できるのではないかという判断もあったかと思います。こういうことを明示することで、特に医療上必要性の高いものが、より現実的に入りやすくなるのではないかということを、私どもとしては期待しているわけです。

○中谷委員 その場合に、ここに書いてあるように、いわゆる機構の開発前相談の「活用」という言い方をもう少し明確にしなくてもいいのかなと思います。多分、今言われていることだと、はっきり言ってそこを使うということにしないと、どう取り組んでいいかわかりにくい。明示されたとしても取っ掛かりがどうなのかが分かりにくいのではないでしょうか。あのときの感触を振り返ると確かにこの制度があれば、やり方が変わったと思うのです。あのときもどこに、どう相談すればいいかが分かりませんでした。この概念図を見ると、「活用」と書かれていますが、どう活用したらいいのかが明確ではありません。極端な言い方ですけれども、それだったら、もうそこに相談へ行けというような形にまでしてしまったほうが、もっと明確ではないかと思うのです。

○事務局 御指摘を踏まえて検討したいと思います。

○荒井部会長 そのほかに御意見ありますでしょうか。

○梅津委員 承認をするためのいろいろな臨床試験をやったデータというのは相当慎重にやれると思うのですが、承認してから市販して使用すると、やはりいろいろなケースが出てくる。それで、学会との連携といったところで、多くの場合は臨床の学会なのです、ほとんどが。承認のところまでは何とかそれでいいと思うのですが、同じ学会の団体で市販後になってしまうと、リスクが、想定外のことが起こったり何かしたときに臨床医がなかなか自分たちで解決できないことが、そういうある学会だけでは多いと思うので、やはりそういうときに、非臨床の評価ができるような人が入っている学会が、特に承認後のところは、学会との連携という部分の中に必要なのではないかという気がしました。ですから、学会との連携が承認前と後で、同じ学会である必要はないような気がするので、何かその辺りをいずれ考えていただけたらいいのではないかという気がしました。

○医療機器審査管理課長 基本的には、ここで言う、つまり承認前のこの市販後にこういう学会と一緒に育っていくと言いましょうか、しっかり管理していく、企業と学会とで適切に管理して協力してやっていくことを念頭に置いているので、市販前にいろいろやってきたものは、基本的には同じ学会にはなるだろうと思っています。ただ、やはりいろいろデバイスを考えていくときに、単独の学会でいいのかという議論があります。これはCOIの問題があったりすることもありますし、いろいろな合併症の問題を考えるときに、例えば内科系だけでいいのかとか外科系だけでいいのかとか、特に首の辺りですと、脳外科と整形とか、いろいろなパターンがありまして、医学会の関係の先生方にお聞きすると、できれば複数の学会を関連させたほうがいいのではないかとか、それからもう一つは、もうちょっと親の学会を関連させたほうがいいのではないか。そういう中のバリエーションとして梅津先生がおっしゃった、例えばそういうものの不具合がもし起こったときの評価だとか管理だとか、そういうときにそういうことも考え得るのではないかということだと思いますので、またいろいろお伺いして、しっかり運用していきたいと思います。

○荒川委員 二つ心配なところがあるのです。一つは、やはり安全性情報なのです。先ほどの再製造のケースもそうかもしれませんが、企業間で安全性情報がきちんと共有できるかということは、事実上かなり難しいと思います。そういうことをどう担保していくのかが一つ。本来入ってくるべき情報が入ってこないケースもあると思います。

 それからもう一つは、やはり有効性の問題です。もともとこのベンチャーがうんぬんというところにもありましたように、本来、治療機器とか治療薬がない領域のところにくるので、何らかの形できちんと有効性を確認していく必要がある。医療機器の場合、個々の症例で有効性を確認できる場合も少なくないとは思うのですが、そこがある程度担保できるような形で、verificationという形でもいいですから、きちんと症例を集めていくことができないと、いつまでたっても有効性に関してのエビデンスが積み上がってこないことになりかねないので、ちょっとそこは配慮が必要かとは思っています。

○医療機器審査管理課長 今のところに関して申し上げると、ここで考え得るのは、あくまで、実は再生医療の期限条件付き承認をある程度念頭に置いて、その医療機器の場合はどうするかと考えたのは事実です。今回の場合は、有効性も安全性も確認できた場合に承認するということで、法律改正なく入れようと思っています。そういう意味では、有効性についてもきちんと確認するということです。特にデバイスの場合については、原理が非常にはっきりしていて、例えばある程度の臨床データがあって、これで確かに有効性が見られるとなった場合には、この原理は、この使い方をすればかなりの蓋然性をもってこの効果は言えるというものが、これの対象になってくると思います。それがちょっと疑問符、つまり、専門医集団の間でもちょっと疑問符が付くようなものは、ここにのるようなものではないと思っています。ただ、原理やこれまでの症例ですとか、それが例えば、いろいろな基本的な手技のデバイスなどもあったりもするのです。例えばこの臓器にこう使えるのであればこの臓器にも当然いけるだろうと、この原理から考えてと。そういった蓋然性、つまり有効性の蓋然性が非常に高いものがこれに挙がってきますので、あくまで推定で見ているところではありませんので、その辺はきちっと。しかもまた、実際にこれで新たな治験なく、受け付けた場合については、多くの場合は新医療機器ということですので、この部会で、実際、最終的には御確認を頂くとなると思いますので、その段階でまたいろいろな御指摘も頂いて、より的確な制度になるようにはしていきたいとは思っております。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。

○千葉委員 最初にこの革新的医療機器という名前を読んだときに、私がイメージしたのは、より一般的な、疾患の頻度に関わらず、今までの治療を大きく高めるという医療機器が革新的医療機器、それを早期導入、そういう意図なのかと思ったのですが、これを拝見しますと、やはり難しい病気、なかなかデータの集まりにくい病気が中心になっています。

○医療機器審査管理課長 はい。

○千葉委員 その辺のところは、ですから名前の問題と言えばそうですが、そういうことを狙っているのですよ、ほかのものも否定はしませんけれどもという、ちょっと私の勘違いだったのでしょうが、おっしゃる意図を反映させるような名前に付け替わっていいのではないかと感じておりますが、どうでしょうか。

○医療機器審査管理課長 おっしゃるとおりかと思っております。一応、できればこの名称に関しては、先ほど「ベンチャー懇」の報告書もありまして、いわゆる革新的というのは、確かに先生がおっしゃるように技術シーズから発した言葉だと思うのです。ただ、書いているのは、私どもは、やはり患者を助けたいという気持ちから始めているものでもありますので、医療の現場のニーズから書いたところがありまして、そこがちょっとずれているのではないのですかという御指摘かと思うのです。でき得れば名前は、よく踏まえて、そういうことが分かるようないろいろな解説とかを入れていきたいと思いますので、できればこれで行かせていただけないかとは思っています。すみません、このようなことを申し上げて。

○荒井部会長 ここはいろいろな御苦労が背景にある理解しています。私の口癖なのですが、本当に革新的なものなど10年に一つくらいしか出ないと思っています。ですから、ここでは、ちょっと切り離して御議論いただければと思います。

○中谷委員 先ほどあった学会との連携の件なのです。今、言われたように、使用後の問題点も踏まえ、はっきり関係学会と明らかに複数と分かる形で連携するとされたほうが良いと思います。そうしないと、学会と書かれて1個でもいいのかという話がどうしても出てくるので、極端な言い方ですがもう関係する学会は全部入れておいた方が良いと思います。それで、最初から使用におけるリスクも含めて検討しており判定には、ちゃんと入りますということです。更に言うと、そういうリスク管理がないと駄目ですということを明示する意味でそこは明確にしたほうがいいと思うのです。

 もう一つは、実際使用して問題が起こったときに、またすごく時間が掛かるのかということです。割と小回りよく、それこそこのときにも革新的医療機器になると思うのです。こう変えればいけるよということで、早急に改良案を立てて、検討することになりますが、そこの段階でも臨床データは短時間でいいとかデータ数が少なくてもいいということです。実際導入したものを更に良いものにしていくというイメージを何か書いたほうが良いと思います。そうしないと、通ったけれどちょっと何か不具合があったらもうそれでアウトという感じにならないかと危惧します。そうではなくて、実際に使ってみて少数例のデータだけれど、こうしたほうがいいだろうと分かってくればそのように変えると。そのときは今回の革新的な機器開発の条件付きの2回目になるのですが、それも可能ということも示す。そうすると、良いものが早くできるイメージが明らかになります。今回示されたものだと何か、1回通って始まってしまえば今までと同じような改良を行うには時間がかかるという感じを持ってしまうのです。新たに承認したものにおける改良も同じようにいかに早くやっていくかということも組み込んだら、本当に革新的になると思うのです。

○荒井部会長 ありがとうございます。私も最初、医療機器の「ライフサイクル」とは何のことかと正直思ったのですが、御説明いただきましたように、医療機器は使っているうちにだんだんと用途が変わってくる、できないと思ったらできるようになることもありますし、マイナーチェンジもたくさん出てきます。そこが医薬品と根本的に違う部分だと思います。

 今の御指摘頂いた学会も問題についても、例えば人工心臓などですと関係するのが比較的単一の学会ですが、デバイスによっては結構複数の学会が絡んでいて、そこでは統一性を求めるのは簡単ではない場合もあると思います。よって、今の中谷先生の御意見は非常に重要だと思います。これにつきましては今のような御意見を踏まえて、また事務局で検討していただくということでよろしいでしょうか。

○事務局 はい。

○鈴木委員 関係学会との連携というのは、それが前提になるのか、それとも、申請は申請で別にして、その後に学会を探して連携をさせるのか、どうなのですか。

○医療機器審査管理課長 一応、この仕組みの基本は、申請の段階から学会との協力が前提だと思っています。最終的な適正使用指針ができているまでとは言えないと思うのですが、大体こういった内容のものを、つまりリスクマネジメントのやり方を学会とも協力していく大体のイメージがあって、それで企業が申請してくるというイメージですので、申請の段階から基本的には学会の協力が得られて、どういうリスク管理ができるのかがある程度の目鼻がついているというのが前提だと思っています。

○一色部会長代理 今のことに関連して確認なのです。現在も似たようなシステムで動いていて、かなりのデバイスが学会との連携で適正使用基準を作って運用することになっていると思うのですが、現在は、ここで承認した後にそれを組む、あるいは途中で組み始めて、今、おっしゃったように、最終的にはそれがそろわないと価格の交渉に入れないような体制になっています。別の会議でもちょっと発言したことがあるのですが、ここで承認が早くなっても、そこの部分で時間が掛かってしまうと、結局ずっと先延ばしされるリスクが出てくるので、やはり私が今、感じたのは、ここに持って来る段階で最終的な適正基準が出来上がっていて、承認されたら医薬品のように、3か月なら3か月以内に出すというシステムの方が円滑にいくのではないかと思ったのですが、その辺はいかがでしょうか。

○医療機器審査管理課長 保険局との連携の話になると思います。非常に大事な部分だと思っております。つまり、医療上の必要性の高いものだし、当然、学会の協力も、学会のニーズも非常に強いということは、多くの場合、この制度に乗るものはそういうものが多いのだろうと思っております。そういうものを早く、薬事承認後、保険適用も早く、速やかにやるべきだという御意見だと私は思います。この制度に関しましては、保険局の方にも十分御説明もさせていただいております。実は、別途、次の材料価格の改定の議論の中で、特にデバイスの場合はこの資料の3ページにも書いてありますが、特に埋込の医療機器のような場合に、原理的にはこういうベネフィットがあると思われるのだけれど、原理上はあるのだけれども、本当の意味で、長期に使ったときにどのくらいの有用性があるのかというデータまでは出ていないケースがあります。そういったものに関しては、3番のスライドの所の右側に書いてあります。「原理上期待された長期有用性等が明らかになった場合等」に、例えば私どもとしては、一部変更承認申請を受け付けまして、そのエビデンスが、確かに長期有用性が正しいのかと言えるのかどうかを確認するようなスキームを入れたいと思っております。また、こういったケースについて、現在、中医協でも保険局でもどのように考えたらいいのかという御議論もしていただいております。ただ、今、一色先生がおっしゃった、これに乗っかるものは早く保険適用するのだというような、優先的な保険適用みたいなものまではまだ議論ができておりません。これは私どもから意見をお伝えしたいと思いますが、正直そこまでは何とも保険局の方の御判断もありますので、お伝えはさせていただきたいと思います。

○鈴木委員 何でもかんでも保険適用というわけにはいかないと思います。そこは分けて考えないと、リスクの高いものを保険適用とすることにもなりかねませんので、それは慎重にするべきだと思います。

○北澤委員 すみません、今までの議論や厚生労働省の説明を伺っておりまして、私は率直に、従来の承認というのと、今回御提案のあった承認というのは、やはり質的に違うと思います。ですので、ここもタイトルに「条件付早期承認制度」とありますので、スライドその他にも条件付きの承認なのだということを明確にしてもらいたい。この図で言うと、使用してデータも積み重ねてから一部変更承認と言っていますが、この時点こそが承認なのではないのでしょうか。その点はいかがですか。

○医療機器審査管理課長 これはアメリカもそうなのですが、埋込の医療機器の場合はこういう問題が特に起こります。それで、例えば冠動脈のステントであったり、人工弁であったりいろいろなものがありますが、少なくとも他の国の、特にFDAの承認を見ていても、一定の、例えば数か月間の観察をして十分有効性・安全性が認められれば承認をするというのがほぼ通例です。ただ、本当の意味での、本当の意味というのは長期の、例えば冠動脈ステントを入れて、最近でもあったのは溶けるステントというのがありましたが、それが本当の意味で、実際に体内に何年も入った後に、また次の治療をかけるときに、どういう有用性があるのかとか、先ほどの人工弁ではどうなのかとか、そういうものは何年もたってから分かってくることですので、そこを実際の、そこまでデータがないと承認しないという国までは確かにないのは事実です。そういう意味では、もともと私どもが言っている承認は、これはもうアメリカでも同じようなレベルのものです。これは、いわゆる本承認ということと思っていただいて、ただ、長期的な有用性があるものについての評価を加えて見ていく。こういうことを逆に言えば、承認を取ってから学会との協力の下にそういうデータも取って、そういう意味での長期の本当の有用性をきちっとフォローしていく制度と思っていただければいいかと思います。

○北澤委員 ただ、この現状の承認と、今回御提案いただいている早期承認制度を比べると、早期承認制度では臨床データというのは本当に限られているのです、今までの説明だと。

○医療機器審査管理課長 はい。

○北澤委員 それが、従来の医療機器の承認と同じ承認で本当にいいのですか。

○医療機器審査管理課長 なるほど。現実にはなかなか。先ほど胎児シャントの例を申し上げました。これは、実は胎児治療のシャントがあります。これもここの部会にかかっています。高度医療評価制度、当時の高度先進で23例の結果でやっております。原理ははっきりしていますので、ちゃんと使えるのかどうか、それでちゃんと胸水が出てできるのかどうか確認をするということですが、23例でも十分評価できるということで、これは最初から本承認でやっております。実はデバイスの場合、特に症例数が少なくても、原理がはっきりしていて非臨床で十分な効果が、かなり蓋然性もあって期待できるというもので、確かにそれを人の体に使っても同じように使えたということで、十分有効性が証明できたというものが、医薬品に比べるとかなり多くなってきます。それは最終的には、今の科学技術水準から、専門の先生方が見て適切なのかということになるかと思います。これまでも私どもは、少ない症例でもこの部会にかけさせていただいて、こういったものについて十分な有効性・安全性が確認できるかどうかを確認しております。そういう意味では、これまでやってきたものも、この制度ができたからといって、つまり今まで全く承認できないものが承認されるようになるということではなく、我々がある程度今、実績を積み重ねてきたものを明文化して、もし本当に医療上の必要性が高いものであればこういう仕組みもあるので、今まではまた何症例か取っていたものを、少しでも早く医療現場に届けられるようにする仕組みですので、そういう意味では、これまでやってきた承認の制度と大きく変わるものではないと私は思っております。

○北澤委員 つまり、今までもやってきたけれども、それを明文化して新しい制度にしたという、そういうことですか。

○医療機器審査管理課長 それに近いもの、はい。

○審議官 すみません、御紹介をきちんとしておくべきだったとちょっと思うところがあるのです。実は、もともと薬事法の時代から、承認には条件を付することができるという条文があるのです。これはずっと前からあって、先般の薬事法から医薬品医療機器等法に改正されるときに、再生医療等製品については期限及び条件を付すると、一応、別項を立てて制度を明確にしたということであったのです。それは法律に条文を新たに書いたという改正でした。

 医療機器と医薬品については、もともとの承認に条件を付するという条文がある中で、これまでも個別の審査において、かなり限定的な開発の制約があるとか、あるいは製品の特性から見てなかなかそれほどたくさんのデータが取れないとか、こういった個別事例については、この審議会にもお諮りしながら、どのようなことを市販後にやってもらうかを個別に検討しながら、それを承認条件としてしっかり実行させるというフォローをしてきました。そうしたやり方が、やはりある程度整理されて、こういう考え方のものについてはこういう条件を付し、それをこういう形で履行できるようにするという明確化をするものです。これを制度という呼び方をしているものですから、今までやっていなかったことを突然やるようになっているのかしらと、先生方にそういう印象をお持ちいただいたのかと思いますが、個別の判断としては、これまでやっていたものを、それをこの形にして、今までできなかったことをできるようにしてしまおうということではないと思います。

 これまでやっている個別のケースの中で、共通する考え方として、最大限抽出をして、ここに書かせていただいています。ただ、こういう格好にしたとしても、承認の条件をきちんと付することについて、個別の審査においてきちんとやっていくことが当然必要です。そして、今後こういったケースに該当するものについて、個別の審査の結果としてこちらの部会にもお諮りをしますというお話をしているということです。そうした点が、この資料の中で、もともとの根拠条文、法律にはもうきちんと条文はあるという事と、これだけの数の承認条件を付してきたのですということが明確に示されていなかったので分かりにくかったかと思います。申し訳ないのですが、ちょっとそういう背景があるということです。

○医薬・生活衛生局長 すみません、何か次々に出てきて申し訳ありません。今、審議官から御説明をさせていただいたのは、旧薬事法上の時代から承認に条件を付すことができるということで、この承認に付す条件については、承認書の中に書くのですが様々なパターンがあり得るのです。それについて、今回はある程度定式化しようということで、明文化、ルール化、そして「ベンチャー懇」の話も引用されていますが、ベンチャーは全く分からないので、全く初めての経験なので、ある程度の明文化をしておいたほうが新規事業の事業者さんにもいいのではないか。ただし、全く制度的に何もしないのかということで言えば、スライドの3番の上の図の中に、条件付早期承認制度のイメージとありまして、一番上に「市販前・市販後の規制バランスの最適化を図る」という表現があります。これについては、市販後の情報収集、リスク管理を、より重視をしていこうという考え方が入っております。その件につきましては、製造販売後のリスク管理について新たに省令上の根拠条文も置きまして、市販後のリスク管理を制度的にしっかりやっていただく、そしてその際に学会と連携をする。学会と連携するところは、むしろ運用の話になるかと思います。したがいまして、既存の条文の活用、それから新たな省令上の制度化、そして運用上の措置が、一体のものとして2ページの上の図になっていると御理解いただくのが一番よろしいかと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。本件は形の上では報告事項ですので、ここで議決という形は取りませんが、本当にたくさんのいろいろな御意見を頂きましたので、これに基づいて検討を進めてい頂きたいと思いますが、今後の予定はどうなっているのですか。

○事務局 今後の予定でございます。関連の省令のパブリックコメントを実施しまして、そこの対応を経た上で、一番早ければ7月ぐらいを目途に運用を開始できればということで検討を進めているところです。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは大変貴重な御意見をありがとうございました。これで議題2を終了いたします。

 引き続きまして、議題3に進みます。医療機器の承認基準の制定及び改正並びに認証基準の改正について進ませていただきますので、事務局から説明をお願いします。

○事務局 事務局から議題3について、まず、認証基準の改正から御説明いたします。資料3-3を御覧ください。こちらが、歯科用のハンドピース関連の医療機器です。今回改正しますのは、一番上の「歯科用ガス圧式ハンドピース」を除き、下の五つの認証基準です。ストレート・ギヤードアングルハンドピース、歯科用電動式ハンドピース、歯科用空気駆動式ハンドピース、歯科用空気回転駆動装置、歯科用電気回転駆動装置の5基準を改正します。これらについては、現在、JIS T 59075909までが認証基準として引用されておりますが、これらのJISが、今般、JIS T 5912に統合されました。この統合に伴って、認証基準における引用JISを5912に変更するものが、今回の改正になります。

 次に、承認基準の制定及び改正について御説明いたします。資料3-4を御覧ください。こちらは人工腎臓装置の承認基準になります。今回の改正点の主な点は、オンラインHDF向けの人工腎臓に関する基準、特に補充液の水質に関する要求事項などを設けたところが今回の改正点になります。

 次に資料3-5は、長期的使用経腸栄養キット等の承認基準になります。今回、この基準を新設するものです。経腸栄養カテーテルに関する日本工業規格として、JIS T 3213が現在あります。これに準拠して、経腸栄養カテーテルの強度や生物学的安全性、耐腐食性、コーティング等の要求事項を定めております。認証基準の説明は以上になります。

○荒井部会長 ありがとうございました。ただいまの報告につきまして、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、これで議題3を終了いたします。ありがとうございました。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。それでは、以後の議論に関しましては非公開にさせていただきますので、大変恐縮ですが、傍聴の皆様は御退席いただければと思っております。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。

                                     ( 休憩)

○医療機器審査管理課長 準備整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開したいと思います。では、よろしくお願いします。

○事務局 非公開の議題に係る配布資料の確認をいたします。最初にお配りしました「配布資料一覧」の非公開案件の部分を御覧ください。資料4から資料7-2まであります。資料4医療機器「PRESTIGE LP Cervical Disc システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についての諮問書の付いているものです。もう一つ大きい資料としては資料5が入っており、こちらは、医療機器「SpaceOARシステム」の諮問書が表紙に付いているものです。ほかに、当日配布資料4、当日配布資料5-1、5-2、事前に配布の資料6、資料7-1、資料7-2があります。参考資料1として、「薬事分科会審議参加規程」が入っております。御確認をお願いします。

○荒井部会長 資料はよろしいですか。よろしければ、議題4、医療機器「PRESTIGE LP Cervical Disc システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について審議を始めます。本件の審議に当たり、参考人として医療法人愛仁会新潟脊椎外科センターのセンター長の長谷川和宏先生、並びに稲沢市民病院副院長・脊髄末梢神経センター長、脳神経外科部長の原政人先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。事務局から説明をお願いします。

○事務局 まず、本日の審議事項に関する影響企業について、利益相反の御確認をさせていただきます。委員の皆様から寄附金・契約金等の受け取り状況を伺いましたところ、薬事分科会審議参加規定第12条の審議不参加の基準に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 それでは引き続き、お願いします。

○事務局 議題4について、事務局から御説明いたします。資料4を御覧ください。机上の厚い資料、1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器「PRESTIGE LP Cervical Disc システム」の製造販売承認等について御審議をお願いいたします。審議品目及び審査の概要については、機構担当者からお願いいたします。

○機構 議題4「PRESTIGE LP Cervical Disc システム」について、機構から御説明いたします。本審査にあたり、当日配布資料4に記載しております6名の専門委員の御意見をいただきました。

 初めに、品目の概要を御説明いたします。審査報告書5ページの「審議品目の概要」を御覧ください。本品は、椎間板ヘルニアや骨棘等の圧迫因子の除去後に頚椎の適応椎間の椎間板を本品に置換することで、本来生体に備わっている可動性を維持することを目的とした頚椎人工椎間板です。

 審査報告書6ページの図1にお示ししたとおり、本品はチタン基複合材料製のボール部及びトラフ部から構成され、図2のように、屈曲・伸展、側屈、ねじり等の可動域を有しております。本日、サンプル品を御用意しておりますので、併せて御覧ください。

 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。審査報告書7ページの「開発の経緯」を御覧ください。現在、本邦における神経根症や脊髄症の治療法として、一般的に疼痛が主訴の場合、初期療法として、頚椎カラーなどを用いた装具療法や牽引療法、薬物療法等の保存療法が選択され、保存療法が無効または効果不十分な場合、手術療法が選択されています。神経根症の手術選択としては、頚椎前方除圧固定術(ACDF)又は、後方からの椎間孔拡大術が選択され、脊髄症については後方からの脊柱管拡大術、又はACDFが選択されております。

 ACDFは前方進入により頚椎の椎間板及び圧迫因子を取り除いた後、移植骨や脊椎ケージ、頚椎前方固定プレート等を用いて罹患椎間を固定する手術で、国内外において広く行われており、その有効性及び安全性は確立しています。しかしながら、ACDFは除圧後に適応椎間を固定するため、固定術が行われた椎間に隣接する椎間に代償性に過大な力学的負荷が加わり、椎間板の変性が進行するために生じる隣接椎間障害と呼ばれる合併症を伴うことがあり、再手術が必要になることもあります。そのため、ACDFと同様の前方進入により適応椎間の除圧は行うものの、固定を行わない頚椎人工椎間板の開発が1980年代から進められ、米国において本品の前世代品であるPRESTIGE STが2007年に初めて承認を取得しております。

 本品は、PRESTIGE STを改良し、スクリュー固定から主にレール及びチタンプラズマスプレーコーティングにより椎体に固定させるデザインとするとともに、原材料を変更することで摩耗の低減とMR画像による評価を可能にいたしました。本品は、米国において2014年7月に、1椎間使用、2016年7月に、2椎間使用の承認を取得しております。本邦においては、まずは、1椎間使用を目的として本申請がなされたものです。

 次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は、審査報告書9ページから記載しております。本品の機械的安全性、生物学的安全性、MR装置との相互作用に関する試験成績から本品の非臨床に関する特性を確認し、特段の問題はないと判断しております。

 次に、臨床試験成績について御説明いたします。概略は、審査報告書13ページ中段以降に記載しております。本品の臨床試験に関する資料は、審査報告書14ページに表でお示ししております。本品を用いた1椎間レベルの有効性及び安全性を評価するために実施された米国IDE試験、Pivotal試験、Metal Ion試験及びContinued Access試験に加え、本邦におけるニーズを満たすため、高さ5mmサイズを導入する目的で、2椎間レベルのIDE試験の成績が提出されました。本品の1椎間使用の有効性及び安全性に関する主な評価資料としたPivotal試験はベイズ流統計解析を利用し、対象群としてPivotal試験と同じ基準で組み入れた患者を対象に行いました前世代品PRESTIGE STのIDE試験の対象群であるACDF群をヒストルカルに設定して実施されました。

 使用評価項目は、有効性及び安全性の五つの項目を組み合わせたOverall Successと設定され、術後24か月時点においてSuccessと判断された症例は、審査報告書20ページ下段の表8にお示ししております。本品群で226例中159例で70.4%、固定術群で171例中108例で63.2%であり、本品群のACDF群に対する統計学的な非劣性が認められました。

 また、有効性の副次評価項目として、X線画像評価が行われ、本品群で術後24か月時までの全観察期間を通して、7度から8度の範囲で可動性が維持されていることが示されました。詳細は、審査報告書24ページの表15PRESTIGE LP群の2行目の平均値を御覧ください。そのほかSF-36、疼痛評価、被験者の満足度、治療結果に対する被験者の評価、歩行評価、椎間孔圧迫テストが設定され、本品群とACDF群で、同様の成績が示されております。

 安全性評価については、審査報告書30ページ以降に記載のとおりです。神経学的所見については、30ページ下段の表26に詳細を記載しているとおりです。本品群のACDF群に対する統計学的な非劣性が示され、運動、知覚、反射の各項目においても、本品群のSuccess症例が多い結果が示されています。「重篤かつ機器又は、機器及び手術手技に関連する有害事象」は、審査報告書31ページの表27に、その内訳を、32ページの表28に症例ごとの詳細を記載しております。本品群で280例中14(33)、ACDF群で265例中13(22)発現し、そのうち脊椎に関する事象が本品群で7例(12)で、ACDF群と比較して多く認められました。未回復の症例に対しては、薬物療法、理学療法、除圧術による追加措置がなされ、現在も経過観察中です。また審査報告書42ページ下段から、本品の摺動面はメタルオンメタル構造であることを踏まえ、体内への金属イオンの溶出を評価するためにMetal Ion試験が追加され、血清中のチタン、アルミニウム及びバナジウム濃度が測定されました。43ページの表39のとおり、術前に比べ、術後全ての時点で血清中のチタン濃度の上昇が認められたものの、いずれも文献値を超えてはおらず、金属イオンに起因すると考えられる有害事象は認められませんでした。

 次に、本品の審査における主な論点について御説明いたします。審査報告書65ページ以降を御覧ください。まず一つ目の論点は、本邦における臨床的位置づけです。現在の手術療法の一つとしては、前述のとおりACDFがありますが、隣接椎間障害の発現リスクに加え、若年のヘルニア患者等では疼痛が高度であっても椎間可動性が奪われることを敬遠し、保存療法を選択、継続されるケースが少なくなく、保存療法の長期化には疼痛の慢性化等のリスクがあります。米国臨床試験において、有害事象としての疼痛や脊椎に関する事象の発現率が、本品群でACDF群よりも高い傾向が認められたものの、有効性において本品群のACDF群に対する非劣性が検証できたことを踏まえると、リスクベネフィットを勘案し、可動性を温存することが適当と考えられる患者を適切に選択することにより、当該患者に対し新たに有用な治療法を提供できることから、本品を本邦へ導入する臨床的意義はあると判断いたしました。

 二つ目の論点は、本品の1椎間使用に係る使用目的または効果についてです。本品の使用目的または効果は、審査報告書76ページにお示しするとおり、米国臨床試験の内容や、国内での当該疾患に対する治療実態を踏まえ、原則として保存療法に3か月以上奏効しなかった場合の椎間板ヘルニアまたは骨棘を有する神経根症、または脊髄症とすることが適当と判断いたしました。また、脱転や移動、沈み込み等のリスクを低減するため、本品を適切に設置できない重度の骨脆弱性を有する患者などについては、添付文書上において注意喚起をすることが必要と判断し、申請者により適切に対応がなされております。

 三つ目の論点は、海外臨床試験の外挿性についてです。米国IDE試験の成績を国内成績として外挿するにあたって、米国と本邦において本品の成績に影響を及ぼすと考えられる因子として保存療法の期間、固定術の術式、対象患者の年齢等について検討いたしました。その結果、いずれも成績を大きく左右するものはないと考えられたことから、米国IDE試験の成績により、本邦における本品の有効性及び安全性を評価可能と判断いたしました。

 四つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。Pivotal試験による有効性評価の結果、術後24か月時において、使用評価項目、Overall Success rateについて、本品群のACDF群に対する非劣性が示された一方で、術後84か月時では沈み込みの影響により、Success rateの低下が認められました。しかしながら、沈み込みが長期の埋植期間において、ある程度予測されるものであり、NDIスコア、可動域など、その他の項目の結果も踏まえると、本品の成績に直接影響していないと考えられたことから、本品群の有効性は長期にわたってACDF群と同等と認められると判断いたしました。また、本品の安全性について上肢痛及び頚部痛、並びに脊椎に関する有害事象の発現率が、ACDF群と比較して本品群で高かったものの、本品は若年の患者等に対するベネフィットが高いことを踏まえると、許容可能な範囲と考えられました。更に、添付文書における注意喚起や、講習会による情報提供、関連学会により策定された「適正使用指針」によって適切な患者選択がなされ、実施基準を満たす医師により適切な手術手技がなされれば、当該事象の発現頻度を低減化できると判断いたしました。

 五つ目の論点は、使用成績評価についてです。本品の使用成績等に関する調査の実施計画書()は、審査報告書73ページにお示ししています。本品は、米国をはじめとした諸外国において認証使用されているものの、本邦においては使用経験がなく、本邦において類似する頚椎用人工椎間板も製造販売されていないことから、本邦での使用実態下における安全性及び有効性を確認する必要があると判断いたしました。米国においては、引き続き術後10年までのデータ収集が予定されていますが、米国IDE試験のデータも踏まえると、術後2年時までの成績を評価することで、初期の不具合、有害事象は評価可能であり、その後の経過も一定程度推測できるものと考えられました。そのため本品の使用成績評価における症例追跡期間を2年とし、販売準備、登録期間、解析期間を含めて5年とすることが妥当と判断いたしました。

 六つ目の論点は、製造販売後安全対策についてです。頚椎前方手術における合併症発生リスクを踏まえると、頚椎の神経根症や脊髄症の治療及び頚椎前方手術に対する十分な知識・経験を有する医師が本品を用いた人工椎間板置換術に関する十分な知識を得た上で、本品が使用されるよう講習の受講を義務付けるとともに、関連学会により策定された「適正使用指針」に基づき、実施医及び実施施設の基準を遵守させる必要があると判断し、審査報告書77ページにお示しする承認条件を付した上で承認することが妥当と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また、本品は使用成績評価の対象に指定し、評価期間5年とすることが妥当と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。

 最後に、事前に塩川先生から御質問をいただいておりますので、御紹介いたします。御質問としては、多椎間への適応拡大の見通し、ないしは条件につき言及する必要はありますかということで、御質問を頂いております。こちらについて、多椎間への適応について、本申請の承認後、すぐに2椎間使用への適応拡大のための一部変更承認申請が予定されており、また、2椎間使用への臨床現場における拡大のタイミング及び「適正使用指針」の改定の必要性については、先ほど申し上げた1椎間使用の使用成績調査の成績等を見ながら、引き続き関連学会である日本脊髄外科学会、及び日本脊椎脊髄病学会と御協議させていただく予定です。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 まず、参考人としてお二人の先生においでいただいておりますので、少し追加の御説明をいただければと思います。長谷川先生、お願いできますか。

○長谷川参考人 新潟脊椎外科センターの長谷川と申します。よろしくお願いします。今、概要は御説明いただいたのですが、臨床の立場から、我々が実際に手術をしている立場から少し追加させていただきたいと思います。頚椎の前方からの手術は、重要な臓器(頚部動・静脈など)がたくさんあるところを分けて入り、まず、その奥にある脊髄あるいは神経の枝(神経根)の圧迫されている部分を解除(神経除圧)します。続いて、その動いていた関節を固めてしまうのが従来の「固定術」です。固定術は、半世紀以上世界中で行われており、日本でも同程度の長い歴史があるゴールドスタンダードであります。

 固定術は長期成績も安定しており、安全性も確立された術式と言ってよいでしょう。しかし欠点としては、固定術において必要な移植骨を別の部位から採取(通常は骨盤から)しなければならないこと、

 固めた隣りの関節に変性が進行し狭窄症などを生ずること(隣接椎間障害)、が挙げられます。隣接椎間障害は、動いていた関節が動かなくなことで、隣りの関節にストレスが集中して発生するものです。ただし、これは非常に希で、かなり長期になって初めて出て来る問題でもあります。私の所では年間100例以上の首の手術をやりますが、ほんの1、2%あるぐらいという程度と考えます。

 以上の固定術における欠点を同時に解決するのが人工椎間板ではないかと思います。欧米では1980年代から行われていて、各種の学会で報告されております。概ね、固定術と同等の成績は示されていると思います。ですから、米国臨床試験の結果を外挿するのは許容できると考えます。ただ、本邦における安全使用のための、適用・手術方法・術者/施設基準などについて、本審議会でよく審議していただきたいと思います。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。次に、原先生からも御意見いただけますか。

○原参考人 稲沢市民病院の原と申します。日本の場合、人工椎間板が使えないためにいろいろな方法がされていて。先ほど御紹介にあったのが、後方から可動性を、いわゆる動きを止めないで神経根の減圧をするという方法があるのです。実は我々は、前方からも本当はやっているのです、椎間板を残して、可動性を残すということをやっているのです。ただ、全例にそれができるわけではなくて。特に、若い人の場合で、脊髄を圧迫する場合。脊髄というのは真ん中にあって神経根というのは横にあるのですが、真ん中にある場合、その可動性を残すというやり方をすると首が変形してしまうものですから、やはり、こういう人工の動きを持っているものが必要ではないかということは我々も思っていました。ただ、先ほども言われましたが、可動性を残すことが、実はデメリットになることもあって。例えば、病変部を十分に減圧しないで、圧迫を解除しないで、これを入れてしまうと、動くために生体がまた変化してしまって、骨棘が出て来てしまうのです。ですから、そこら辺の技術ができる、減圧をしっかりできる医者が必要にはなるとは思いますが、基本的には動くことは非常に重要です。生理学的に動くのが当たり前の組織ですので、それを維持するのは非常に重要なことですので、我々としても期待していた製品ではあります。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問等はいかがですか。

○村上委員 固定法に比べますと、可動性が再現できるということで、非常に有用なデバイスだと思います。一つ気になりますのは、その可動部がメタルメタルの負荷を受ける部分があるという、そこで運動するので摩擦が起きるわけです。私、人工関節の方をずっとやっていたので、股関節でメタルメタルの股関節がひどい副作用が生じたといいますか、金属イオンなどの影響で、欧米で、日本でもある程度ありますが、そういうシビアな結果が出た場合があるわけです。頚椎の場合は荷重が非常に低いことと、動きの範囲も狭いということで、人工股関節に比べると、ずっと楽な条件なのです。それで、今回の評価でも、実験室評価がしっかりされています。ただ、一応どこが安全かというのがなかなか基準が難しいところなのですが、今回はアメリカの方の規格のASTMという規格、それから国際規格のISO規格に基づいて運動状態を模擬したような状態で、シミュレータ試験がされているのですが、ちょっとそこのところでどうしても気になるところがありましたので、質問させていただきます。

 この資料ですと、添付資料の180ページ以降に摩耗試験の説明がかなり詳しくされています。最初はオリジナルの試験から始められて、いろいろな実際に近い状態まで評価の詳細について、精度を上げられているので、そこは非常に良い取組だと思うのですが、結果の例も紹介してあり、表面写真が載せられています。この条件ですと、結構摩耗が起こっているわけです。それで、一つは、この試験のときの潤滑液がどういう物を使われたかという記載がなかったようなのですが、それは分かりますか。

○機構 機構から回答させていただきます。こちらの試験についてはASTM等の規格にも規定がありまして。血清液の入った緩衝液の中で実施をするということになっております。

○村上委員 血清の。

○機構 はい。血清入りの緩衝液を使っています。

○村上委員 血清入りの緩衝液ですね。そういう液体が入っていても、摩耗が起きているというところがやはり気になったのですが。ですから、それが生体に害を為すかどうかということで、今回金属イオンですね。溶出イオンの検査もされていて。チタンイオンがちょっと増えているけれど、副作用は出ないレベルかという判断がされていると思いますが、長期的に使っていったとき、そのところで将来対策が必要になるかもしれないと考えられ、その辺が、これはメーカーサイドの対応策が必要かもしれないということだと思うのです。

 今回はメタルメタルの材料としてチタン合金に、炭化チタンを分散させたような、そういう耐摩耗性を上げた材料が使われているのですが、実際に摩耗粉も観察されています。サイズとかの説明はあったのですが、サブミクロンサイズが多くて、ちょっと大きめもある。サイズは示してあるのですが、その成分分析、いわゆる硬い素材の炭化チタンが、どの程度摩耗粉の中に入っているかというところが示されていないため、その後の摩耗に影響するかどうかというところが気になるのです。成分割合とかは報告はありましたか。

○機構 申し訳ございません。そこは一応10%入っているということは分かっているのですが、ただ実際の摩耗のところで、それがどれぐらいの比率であったかということは現状では分からないということですので、また製造元の方に、この結果について分かるようでしたら、問い合わせをしてみたいと思います。

○村上委員 それをお尋ねしたのは、炭化チタンというのは母材のチタン合金の6アルミニウム4バナジウムのチタン合金に比べると、硬いのです。その硬いところが粒子として出て来ると、いわゆる切削性の摩耗という、アブレシブ摩耗というのが発生しますと、普通の凝着摩耗に比べると桁が増える。そういう現象が一般に認められます。ですから、そういうことが起こるようだと、やはり表面処理とか、表面仕上げとか、そういう工夫が必要になったりするということです。そういうところも、メーカー側には押さえていただきたいです。長期使用を考えて、検討していただきたいと思います。

○機構 ありがとうございます。この点についてはメーカーの方にもお伝えさせていただきます。

○村上委員 では、よろしくお願いします。

○荒井部会長 そのほか御意見いかがですか。

○中島委員 73ページの使用成績調査実施計画書()の所の調査項目に、画像所見でCT:術前・術後・24か月と書かれていますが、これは、せっかくMRI対応なのに、なぜMRIと入れていないのかということ、あと、いわゆる骨性の神経根症を評価対象にされているのでCTを選ばれているのか、その辺を教えていただけますか。

○機構 今回CTを追加した背景としては、有害事象の所で、椎間孔狭窄が意外と多かったことがあります。やはり、こちらについてCTで正確に評価していただかないと分からないということで、今回CTを追加しています。

○中島委員 CTは、そのような意味だとは理解できているのですが、MRIで神経そのものを見るようなことは、今回は考えないとしているのですか。

○長谷川参考人 MRI検査はすべきであると私も思います。ただしMRIですと、術後アーチファクトが出て、神経孔など細かい部分は見えにくくなるだろうと思われます。しかし、ある程度脊髄は見えますし、周辺の組織も見えますので、先ほどのメタルメタルの摩耗粉の問題もありますので、周辺組織を含めたMRIによる評価は望ましいと思います。

○中島委員 海外では、かなり実績は多いという話ですので、海外では、本当にMRIで、本当にアーチファクトで全然見えないのかどうかという辺りは、何か検討されているのでしょうか。

○原参考人 そうは多くないんですね、海外の場合は。MRIは日本で非常にたくさん撮るんですね。我々も、もうルーチーンで撮っています。術後2、3か月後にはルーチーンで撮るんですね。で、もし使うなら神経根がしっかり描出されなかったら、何の手術をやっているのかが分からないので、それは当然必要なことですので、やると思います。恐らく海外は、どちらにしても本当に撮らないんですね。余りフォローもされないですので、フォローが違うところがやってしまうことが多いです。なので、そこら辺が難しいことかと思います。

○長谷川参考人 海外ですと、特にFDAの報告でも、細かい画像の資料がありません。そこが大きな問題だと私は思っています。彼らに聞きますと、MRIもCTも両方とも術前に精々1回しか撮らない、術後は全く撮らないというのが普通のようです。保険点数の問題や被曝の問題もあり、CT撮影は欧米では極めて限られています。ただ、この新しいインプラントの成績を明らかにするには、今、原先生がおっしゃったように本当に神経の圧迫が解除されているのか、周辺の組織に悪影響はないのかなどを画像でしっかりと評価する必要があります。

○機構 ありがとうございます。MRIについては、このメーカーとも、追加を検討してもらうように、話をしたいと思います。

○荒井委員 今の摩耗屑に関連することですが、そういったものがマクロファージの活性化や、炎症を誘導して緩みを発生する可能性があるのかということなのですが。そういった緩みの評価をどうしていくのか。長期使用成績等がありましたら、教えていただきたいのですが。

○機構 今回も提出していますが、アメリカで、84か月までフォローアップしたデータが付いています。このフォローしていますが、その間に特別大きな有害事象等の不具合が増加していることもなく、引き続き120か月まで継続して、こちらも見守っている状況です。

○医療機器審査管理課長 ちょっと補足で。確かに金属様の摩耗粉の問題は、ほかの分野でも、ちょっといろいろありましたので、少しケアして、どのような対応が良いか、もう少し考えさせていただきたいと思います。

○荒井部会長 よろしくお願いいたします。そのほか、よろしいですか。

○千葉委員 Success rate24か月と84か月で検討されていますね。この間に大きな違いはないわけですが、その中で術後のリハビリといったものの必要性や、そういったものが、このSuccess rateの評価で、ちょっと読めなかったのですが、どのように入っているか。つまり、海外の事情でしょうが、どのぐらいの期間で普通に近い生活に、社会生活に戻れたのかといったことの評価は、これには含まれているのでしょうか。

○機構 はい。

○長谷川参考人 私が読んだ限りでは、細かい術後の経過観察の仕方の記載はありません。別の英語論文でも、細かいことはほとんど書いていません。我々が前方からの固定術を行う場合は、2か月程度、簡単なカラーで保護します。しかし、もう手術の次の日から立って歩いて普通の生活をしていただきますので、特別のリハビリはありません。ただ、術前に麻痺があった場合は、麻痺を快復させるためのリハビリは行います。

○千葉委員 そうしますと、神経学的な評価として、運動と知覚は結構戻っている気がしますが、余り反射が変わらないですね、高まっていないといいますか。この点に関しては、手術をしても数日以内に反射があるかないか決まってしまうと、恐らく、それはずっと24か月も80か月以上も続くのでしょうか。

○長谷川参考人 私の経験では、その可能性が高いのではないかと思います。

○原参考人 実際に、ACDFでも、腱反射というのは、なかなか戻りませんね。実際のところは。海外の場合は、手術する者とフォローする者が実際は違っていることが多いものですから、結局そこの問題が大きいのではないかと思います。日本の場合は、フォローをしなくてはいけないのでフォローしているのですが、ACDFでも、実は術後の生活指導をするだけで全然変わるんですね。結構、後屈をするように指導すると意外に沈み込みが少なかったりというのは、僕らはデータを出しているのですが。

 ですから、恐らく放置されている場合と、日本での術後にフォローされたデータでは結構、違いが出るのではないかと思います。後弯変形がくるというのは人工椎間板で言われているんですね。要するに、首が前に倒れるということですね。ですから、それを日本で術後指導することによって、どう変わるかは見ていくべきことではないかと思います。

○長谷川参考人 73ページの成績評価の中を見ていただきますと、有効性評価で、JOAスコアとJOA CMEQがあります。これは、日本整形外科学会と、我々日本脊椎脊髄病学会が長年の経験から作ってきた、日常生活動作を含めた簡便な評価方法です。このスコアを見ると単なる神経学的状態と画像だけではなく、日常生活の中で、どれだけ回復しているかを推測することができます。

○千葉委員 そうしますと、海外では、このようなJOA、こういった評価は余りしないで、手術が上手くいった、これはSuccess rateのSuccessに含まれるという評価で論文を発表しているのでしょうか。

○長谷川参考人 海外では、NDI(Neck Disability Index)が使われることが多いと思います。ただ、JOAスコアも使用されており、JOAスコアもインターナショナルな評価方法であろうと思います。

○一色部会長代理 よろしいでしょうか。このデバイスはトライアルなしでの導入だと思うのですが、今まで技術的な側面の話が出なかったので質問ですが。固定術と比べて、このデバイスを入れるということの技術的な難しさというのは、特に安全性試験をやらなくてもいいというだけのレベルのものだという解釈でよろしいのでしょうか。

○原参考人 私自身は、かなり大きめのものというか、横幅のあるものをACDFでも使っているんですね。ですが、実際は日本で使われているのは小さめを使われてしまっているんですね。このデバイス自体は実は横幅が大きいのです。ですから、大きい物を入れることに慣れていない人がやると、ちょっと危ないのかもしれません。それが、ある程度、習熟しているドクターにやってもらうという判断になっています。やはり危険性がないとはいえないと思っています。

○荒井部会長 どうぞ。

○長谷川参考人 今、原先生がおっしゃった大きめの物を入れるわけなので、その展開ですね。展開というのは、骨に達するまでの展開が非常に重要なわけですが。やっと、このような手術ができるようになったレベルの先生ですと、何か問題が起きてくる可能性があります。それで実際の問題として、本当に避けなければいけないのは、血管の損傷と食道の損傷です。これは、結構慣れてきても、本当に希に起こります。そうすると、手術のときに余り血が出なくても、術後に、当日の夜に、大きな血の固まりになって窒息するというのが、最も避けなければならない合併症です。

 このようなことが起きないようにするために、各学会で、しっかりした講習と、術者の条件、そして施設の条件を定めた経緯があろうかと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。最後に私から。これによりどのくらいACDFからこれに変わるのでしょうか。

○原参考人 これは非常に難しいのですが、私たちは実際、固定をしない、実は椎間孔拡大術、摘出、神経根減圧もやっているので、その住み分けをどうしようかと実は思っています。若い人で、やはり可動性を残したい人、若しくは外側の骨を削れば可動性が出そうな人には私は使うので、私は年間に前方手術は50以上やっていますが、ACDFが大体30例ですので、30例のうちの20何例かはいくのではないかと思っています。

○長谷川参考人 原先生は、脳外科出身の脊椎外科医。私は、整形外科出身の脊椎外科医で、両者とも手術適応について多少違いがあります。整形外科では、昔は、圧倒的に前方の手術が多かったのですが、今は後方からの手術が多くなってきています。その理由は、高齢者の手術が多くなってきたことが挙げられます。高齢者は、一箇所ではなく、幾つも多椎間の病変が多いものですから、それを一挙に治す場合には、全体を広げる手術が必要で、これを安全に達成するのは、後方法です。ね。ですから、今の我々の首の手術の78割ぐらいは後方法です。前方の手術そのものが減ってきていることに加えて、人工椎間板手術の適応はさらに限られますので、整形外科関係では、手術件数は少ないであろうと思われます。

○荒井部会長 ありがとうございます。日本に入ってきてから、今後どのような形になるかはまだ分からないところもあるということだと思います。本日はお2人の先生においでいただいていますが、今後、学会としても、適正な使用について議論を進めていただければと思います。

 それでは、ほかに御意見がよろしければ、本品につきましての議決に入りたいと思います。よろしいでしょうか。「PRESTIGE LP Cervial Disc システム」につきまして、本部会として、高度管理医療機器に指定し、承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。

 また、使用成績評価の対象に、期間を5年として指定することとし、特定保守管理医療機器への指定を不要としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで、議題4を終了いたします。原先生、長谷川先生、どうもありがとうございました。

                          ( 参考人退室)

○荒井部会長 それでは、先に進ませていただきます。

 議題5です。医療機器「SpaceOAR システム」の高度管理医療機器、管理医療機器、又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品、又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についての審議を始めます。本議題の審議に当たりましては、参考人として、東京慈恵会医科大学附属第三病院放射線部診療部長教授の關根広先生に御出席いただいております。關根先生、よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは議題5について、事務局から御説明いたします。資料5を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器「SpaceOAR システム」の製造販売承認の可否等について御審議をお願いいたします。

 まず、一般的名称の新設についてというタグをお引きください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を聞いて、一般的名称を新設することとなります。新設を予定する一般的名称は、「放射線治療用吸収性組織スペーサ」です。臓器、組織等の間に留置し、悪性腫瘍と正常組織との間に距離を空けることで、放射線治療における正常組織の放射線被曝を低減するために用いる吸収性の材料になります。1.のとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命、及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、高度管理医療機器に指定し、2.のとおり、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであるとは考えられないため、特定保守管理医療機器としては指定しないことが適切と考えています。

 審議品目及び審査の概要については、機構から説明をお願いいたします。

○機構 議題5、「SpaceOAR システム」について、機構から御説明いたします。まず、当日配付資料5-1、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、6名の専門委員の御意見を頂きました。また、事前にお配りしました審査報告書の一部に誤りがありましたので、当日配付資料5-2の正誤表にてお示しいたします。御迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。

 初めに、本品の概要を審査報告書をもとに御説明いたします。審査報告書5ページ、上段の図1を御覧ください。本品は、前立腺がんの放射線治療のときに、直腸の吸収線量を減少させることを目的に、直腸前壁を前立腺から離すためのスペーサと、それを注入するためのキットです。このスペーサは、吸収性のポリエチレングリコールのハイドロゲルです。図2のように組み立てた後、経直腸的超音波ガイドで、前立腺と直腸との間に会陰部から注入します。スペーサによって、前立腺と直腸との間は、約3か月離れますが、徐々に加水分解で吸収、排泄されます。

 次に本品の開発の経緯について御説明します。審査報告書の5ページの下段から6ページに記載しています。通常、前立腺がんの放射線治療の計画を立てる際は、審査報告書6ページの図3、左側の図のように、濃いピンク色で示した前立腺に臓器の動き等を考慮したマージンを取って、薄いピンク色で囲まれた領域に、高線量の放射線が照射されるように計画を立てます。この際、直腸粘膜の放射線感受性が高く、損傷を受けやすいことから、前立腺の直腸側に加えるマージンを小さくし、直腸の吸収線量を可能な限り低減するように計画が立てられています。しかし、直腸は解剖学的に前立腺と接していることから、放射線が照射される直腸の体積の低減には限度があります。そこで本品は図3の右側の図のように、前立腺と直腸との間にスペーサを注入することで距離を空け、直腸の吸収線量を減らすことを意図して開発されました。

 次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書7ページから16ページに記載しています。本品の物理的、化学的特性、生物学的安全性、安定性及び耐久性に関する試験成績、並びに機器の性能を裏付ける試験成績がそれぞれ提出されました。これらの試験成績から、本品に特段の問題は認められないことが確認されました。

 次に、臨床試験成績について御説明します。概略は審査報告書17ページ以降に記載しています。本品の臨床試験に関する資料として、海外で実施された臨床試験の成績が提出されました。本試験は、強度変調放射線治療(IMRT)の適応となる前立腺がん患者を対象に、本スペーサを用いて治療を行った本品群149例と、本スペーサを用いずに治療を行った対照群73例を比較した試験です。

 有効性の主要評価項目について御説明いたします。審査報告書21ページの表9を御覧ください。本品群における本スペーサ注入前後で、70Gy以上の放射線が照射される直腸の体積率rV7025%以上低下した被験者の割合とされました。

 結果は本スペーサを用いることで、rV7025%以上低下した被験者の割合は、147例中143(97.3)であり、あらかじめ設定された達成基準である70%を上回りました。また、審査報告書22ページを御覧ください。本スペーサの注入後の前立腺と直腸との間の距離は1週間後で平均12.6ミリ、3か月後で平均9ミリでした。本邦の放射線治療計画ガイドラインで推奨されるマージンは、8〜10ミリとされていることから、本スペーサの留置により、臨床的に十分な距離を空けることができると判断しました。

 安全性の主要評価項目について御説明いたします。審査報告書23ページを御覧ください。手技後6か月以内のグレード1以上の全ての直腸有害事象と、手技関連の有害事象が発現した被験者の割合と設定されました。この評価項目は、本品群の発現率が対照群を下回ることを想定して設定されました。結果は、上の段落の中央辺りに記載していますとおり、本品群における有害事象の発現率が149例中51(34.2)、対照群が73例中23(31.5)であり、本品群の優越性は示されませんでした。しかしながら、放射線治療計画ガイドラインによると、急性期の有害事象は可逆的であり、問題となるのは晩期の直腸出血等の有害事象とされています。

  そこで、本試験における晩期の有害事象の発現率を評価しました。審査報告書27ページの表16を御覧ください。表の右側、晩期の結果は、本品群の発現率が2%、対照群の発現率が7%であり、本品群の発現率が統計学的に有意に低いことが示されました。

 また、審査報告書36ページ表19を御覧ください。本品群の結果は前立腺がんの放射線治療に関する文献や、本邦の放射線治療計画ガイドラインに示される直腸有害事象の発現率(2.025)と比較しても低い傾向にありました。以上の結果から、本品の臨床的な有用性は示されたと判断しました。

 次に本品の審査における主な論点について御説明します。審査報告書42ページ下段の5.総合評価を御覧ください。一つ目の論点は、本品の臨床的位置づけについてです。審査報告書42ページ下段の()に記載しています。前立腺がんの放射線治療には、IMRT以外の放射線治療が存在し、海外での本品の適応にはIMRT以外の放射線治療も含まれています。そのため、機構は、海外臨床試験で確認されていないIMRT以外の放射線治療について、本邦においても、本品の適応に含められるかを検討しました。前立腺がんの放射線治療では、どの照射方法であっても、直腸を放射線から保護する必要があり、本スペーサを留置することで放射線が照射される直腸の体積を低減させることが可能と考えられることから、照射方法は限定する必要はないと判断しました。

 ただし、密封小線源を永久挿入する低線量率小線源療法(LDR)は、本品の注入前に治療計画を作成するため、他の照射方式と比べて手技の手順が異なることから、使用成績評価により、実臨床下でのLDRにおける本スペーサの影響を確認する必要があると判断しました。

 なお、炎症性腸疾患がある患者や、直腸を切断した患者など、本品の使用に注意を要する、または本品を使用する必要がない患者が想定されることから、本スペーサの使用にあたっては、患者に対するリスクベネフィットを考慮し、本スペーサの注入が必要と考えられる患者にのみ使用することが適切であると判断し、添付文書の使用上の注意に記載し、注意喚起することとしました。

 二つ目の論点は、海外臨床試験成績の本邦への外挿性についてです。審査報告書43ページ下段の()に記載しています。海外臨床試験の結果から、前立腺と直腸の距離について、海外臨床試験の被験者と日本人で差がなく、また、本スペーサが形成する前立腺と直腸の距離は前立腺の大きさに依存しないと推察されることから、民族の違いが治療効果に影響を与えることはないと判断しました。

 また、前立腺がんの放射線治療の治療方針は、国内外のガイドラインで同等であり、使用可能な医療機器等も国内外で差はないことから、医療環境の違いが、治療効果に影響を与えることもないと判断しました。以上より、海外臨床試験の結果を、日本人集団に外挿することは可能と判断しました。

 三つ目の論点は、有効性及び安全性についてです。審査報告書43ページ下段()に記載しています。先ほど御説明したとおり、放射線治療の実施期間中、本スペーサは臨床的に有用と考えられる程度に直腸前壁を前立腺から離すことができることが示されました。また、本品群の方が、放射線治療に起因する晩期の直腸有害事象の発現率が統計学的に有意に低いことが示されました。これらのことから、本品が臨床的に有用と考えられる有用性が示されたと判断しました。

 四つ目の論点は、製造販売後の適切な使用についてです。審査報告書44ページ中段()に記載しています。海外臨床試験において、被験者ごとに本スペーサの吸収速度が異なっていたことから、患者によってはスペースが想定よりも速く減少することが懸念されました。そのため、本スペーサを使用する際は、治療期間中にスペースが十分に保たれていることをモニタリングする必要がある旨を、添付文書の重要な基本的注意に記載することとしました。

 また、本品の使用者は、海外製造元が行うトレーニングの受講が必須とされていますが、海外臨床試験において、本スペーサの注入位置が適切でない症例があったことから、トレーニングは受講する医師の習熟度を考慮し、医師が適切に注入できるまでトレーニングを実施することとしました。加えて、関連学会と連携して適正使用指針を作成し、本品を使用する上での留意事項について周知することとしました。なお、関連学会の作成した適正使用指針に従い、使用する旨を、添付文書の重要な基本的注意に記載し、注意喚起しました。

 最後の論点は、使用成績評価についてです。審査報告書40ページの表20「実施計画書()」を御覧ください。一つ目の論点で御説明しましたとおり、前立腺から直腸を離すことの必要性から、本品はIMRT以外の照射方法でも使用されることが想定されます。基本的に本スペーサを留置した後の画像を用いて、治療計画を作成するという順番は、IMRT以外の照射方法も同様であり、距離を空けることによって、直腸の被曝を低減できることは明らかであることから、その有効性及び安全性について、製造販売後の調査を行う必要はないと判断しました。

 しかし、LDRでは、治療計画の作成の後に、本スペーサの留置を行うため、IMRTを含む他の照射方法と異なり、本品によるLDRへの影響について、一定数の情報を収集し、本邦での実臨床下における有効性及び安全性を確認する必要があると判断しました。審査報告書41ページ中段を御覧ください。予定症例数はLDRを受ける患者の年間症例数や、実臨床における有害事象の発現率等を考慮し、46症例、準備期間は年、登録期間はか月、追跡調査期間はか月、解析期間をか月とし、計4年を使用成績評価期間とすることが妥当と判断しました。以上の審査に基づき、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で、御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。また、使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は4年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。事前に塩川先生から御意見を頂いておりますので、御紹介いたします。

  術者、施設の基準は承認条件に含める必要はないのでしょうかというコメントを頂いております。こちらに対しまして、機構からは、医薬品医療機器法第79条の第2項にて、承認条件は保健衛生上の危害の発生を防止するため、必要な最小限度のものに限り、承認を受けるものに対して、不当な義務を課すこととなるものであってはならないとされています。海外臨床試験における本品の安全性について、本品を使用したことによる有害事象や不具合に特段の問題となるようなものはございませんでした。このため、承認条件には付しませんが、使用上の注意、適正使用の徹底は通常どおり行います。本品を正確に注入し、前立腺と直腸の間にきちんと距離を空けるために、適正使用の観点からトレーニングを行うほか、関連学会と連携して適正使用指針を作成し、添付文書で適正使用指針に従うように注意喚起を行うこととしていますと、回答させていただきました。

 機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それでは關根先生、長らくお待たせして申し訳ございません。關根先生には参考人として御出席いただいていますので、追加の御説明等ありましたらお願いいたします。

○關根参考人 前立腺というのは膀胱と直腸との間に挟まれている臓器なので、従来は前立腺がんを治すために高線量を入れると、膀胱とか直腸の耐容線量を超えてしまうということで、外部照射の治療では、今一歩というところで治療できなかったのです。それがIMRTという技術が開発されたお蔭で、膀胱や直腸の線量を落としながら前立腺に高線量を入れるという、そういう治療が可能になってきたのです。しかし、思った以上に、たくさん前立腺に入れようと思うと、やはり線量規定というのが直腸と前立腺の間の距離ということになってきて、いかにIMRTでシャープに線量を落としても、直腸と前立線の位置ずれというのが起こることが非常に多いということが分かってきているので、何としても膀胱や直腸の間の距離を保つということが、この治療には重要であるということが分かりました。

 あと、がんの放射線治療で、特に骨盤領域の治療というのは、子宮頸がんで長い歴史があるのですが、これもその外部照射と小線源治療です。アイソトープを使った治療を併用することで、局所に高い線量を入れることで、子宮頸がんは治るということが分かっているのですが、この場合も同じように子宮頸がんにたくさんの線量を入れると、直腸の線量が上がってしまうために、やはり晩期障害が起こるということが分かっているので、これもそういう距離を開けるということが非常に大事だということが分かっています。こういう今回紹介されたような技術が導入されることによって、今までたくさんかけることに躊躇していたような放射線治療は割に安心してできるのではないかと。それから前立腺がんの組織内照射という技術が既に確立していますので、この製品を直腸と前立腺の間に注入するという技術も、既に前立腺の小線源治療をやられている施設では、かなりのところまで実現できるのではないかと、そのように考えています。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。私から一つだけ、今の關根先生の御発言にもあったのですが、今回は一応、前立腺ということで、疾患を限定しているということですね。今後、今お話があった子宮頸がんですとか、その辺も多分似たような状況なのかと思い伺ったのですが、今回の申請に関しては、前立腺がんに限定してということですね。ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○村上委員 今回のスペーサについては非常に有用だということで、臨床に使えるようになればと思うのですが、資料の中で、従来から認可されている□□□□□□という類似のPEG型のゲルと、今回変えてあるのは、□□□と、□□□□を変えられたということなのですが、そこは何か今回の応用目的に合わせて変えられたということでしょうか。

○機構 そうですね、実は、□□□□□□と本品は□□□□□□でして、まず□□□□□□の方を開発されてから、この□□□□□□が本品にも応用できるのではないかということで開発されたのです。□□□□□□□□□に使用するものでして、吸収されるのが本品よりもちょっと速い期間で溶けるようになっておりまして、本品は治療期間に合わせて3か月は保つようにということで、そのあたりを変えております。

○荒井部会長 そのほか、よろしいでしょうか。特に御意見もございませんようですので、議決に入らせていただきます。医療機器「SpaceOAR システム」について、本部会として高度管理医療機器に指定し、承認を与えて差し支えないものとして、また、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。また、使用成績評価の対象として期間を4年として規定させていただき、特定保守管理医療機器への指定を不要としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。結果については、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題5を終了させていただきます。關根先生、どうもありがとうございました。

                               ( 参考人退室)

○荒井部会長 引き続きまして、議題6に進ませていただきます。議題6「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否について」の審議を始めさせていただきます。まず、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題6について、資料6に基づき御説明します。議題5でも説明しましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについてと、またその保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か、この2点について御審議いただいています。今回は、SpaceOAR以外に、一般的名称の新設が必要なものが1品目ありますので、これについて御審議いただきます。

 まず資料6の3ページに、新設する一般的名称()を示していますが、「閉鎖式薬剤移注システム」というものです。定義の所に示していますとおり、抗がん剤等を容器から他の薬液容器に移す際に、容器に接続して環境中への薬剤の飛散・漏出を防止させるために用いるシステムを言います。

 5ページに、この一般的名称が付される予定の品目概要を示しています。下の所に、外観図があるのですが、インジェクタとアダプタによって構成されており、インジェクタの方をシリンジ等に接続し、アダプタの方を薬剤容器と接続します。インジェクタの中に薬液調整用の針が入っていまして、これを出して薬液容器中の薬剤を吸い上げ、また、インジェクタの中に針を戻すという仕組みで、この針の出入れの際に、アダプタとインジェクタに付けられているメンブレンを通すことによって、薬液が外部に漏れないように工夫されている。また、アダプタには容液内外の気圧差を調整する構造を持たせていることで、内圧が高くなったりすることを防止するものとなっています。インジェクタやアダプタ一つ一つについては、今まではクラスIの医療機器として届け出されて製造販売されていたのですが、この度、この製品については□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□に関するデータを取っており、この点について、今後、標榜して、しっかりと販売していきたいということで、抗がん剤を扱うことに特化した機器であるということで、新しくクラスIIで新設が必要であろうと考えています。本品については、クラスIIの管理医療機器に指定すべきものと考えております。また、保守点検を行う必要のある機器ではないため、保守管理医療機器への指定については不要と考えています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。御意見等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは御意見がないようですので、議決に移らせていただきます。今、御紹介いただいた閉鎖式薬剤移注システムは、本部会として管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないということとして、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議ないようですので、このように議決させていただきます。この結果についても、次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題6を終了いたします。

 引き続き、議題7に進ませていただきます。議題7の医療機器の再審査結果について事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題7、医療機器の再審査結果について御報告します。再審査は旧薬事法に基づき、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、有効性及び安全性の再確認を行うことを目的としております。本日は再審査結果の報告が2件あります。資料7-1を御覧ください。1件目は、「Cool−tip RF システム」になります。申請者はコヴィディエンジャパン株式会社とValleylab社となります。シングルニードルの電極からラジオ波帯の高周波電流を発生させ、患部組織や肝悪性腫瘍を凝固する装置となります。688例が評価の対象となり、特段の問題は認められていませんでした。

 資料7-2を御覧ください。2件目は、販売名「デフラックス」についてです。申請者はOceana Therapeutics 株式会社となります。膀胱尿管逆流症治療のためのヒアルロン酸含有の注入剤です。こちらは202例が評価対象となり、特段の問題は認められておりませんでした。このため、再審査の結果の区分を効能効果や、用法・用量などの承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判断しているところです。以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきました。以上、御報告申し上げます。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの報告について御意見、御質問等、よろしいでしょうか。よろしいですか。特に御意見がございませんでしたら、これで議題7を終了させていただきます。

○医療機器審査管理課長 本当に今日は長時間ありがとうございました。次回の部会の予定ですが、ゴールデンウイークが明けの5月12()の午後1時〜3時の予定です。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 それではこれをもちまして、本日の医療機器体外診断薬部会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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