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2017年7月26日 第2回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

平成29年7月26日(水) 10:00~12:00


○場所

田中田村町ビル8F 会議室8E
東京都港区新橋2-12-15


○出席者

出席委員

五十嵐委員、乾委員、小縣委員、柿田委員、笠貫委員
門田委員、黒野委員、佐藤委員、杉山委員、鈴木委員
宗林委員、部坂委員、矢口委員、湯浅委員

出席参考人

田辺参考人、宮崎参考人、村上参考人、矢野参考人

○議題

1.スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について
2.要望品目のスイッチOTC化の妥当性について
3.その他

○議事

○事務局

 それでは定刻になりましたので、ただいまより、第2回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。
 会議に先立ちまして、本検討会議の委員に交代がありましたので、新たに御参画いただくことになった委員を御紹介申し上げます。座席表の裏面に委員名簿があります。日本薬剤師会副会長の乾委員、柿田眼科院長の柿田委員です。どうぞよろしくお願いします。

 本日は上村委員と黒木委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、杉山委員より15分ほど遅れるとの連絡を頂いております。現在のところ13名の先生方に御出席を頂いているところです。

 また、要望品目のスイッチOTC化の妥当性について議論するに当たりまして、本日、関係する学会・医会より参考人として御出席いただいている先生方を御紹介いたします。日本臨床整形外科学会理事長の田辺先生ですが、11時頃に到着の予定と聞いております。日本産婦人科医会常務理事の宮崎先生、順天堂大学大学院医学研究科眼科学講座教授の村上先生、国立国際医療研究センター病院副院長の矢野先生です。座席表との関係で、議事に入りますタイミングで席の入替え作業をさせていただく予定ですので、あらかじめ御承知置きください。

 続いて、事務局にも人事異動がありましたので御報告いたします。医薬・生活衛生局長の宮本です。

 

○医薬・生活衛生局長

 この夏の厚生労働省の人事異動で医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。医薬局は4年半ぶりぐらいで戻ってまいりました。この機会に一言御挨拶させていただきます。

 この検討会議は、大きな目標としましてはセルフメディケーションの推進というものではないかと思っております。これから少子高齢化がますます進んでまいりますので、医療保険制度の持続的で安定的な制度維持という観点では、セルフメディケーションも1つの大きな柱だろうと思っております。何よりも、国民の皆様お一人お一人が健康で健やかに過ごすという意味では、自分の体のことをよく知っていただいて、できる範囲のことはご自身で行っていただくことは、大変重要なことなのだろうと思っております。そういう意味で、そのセルフメディケーションの推進に向けた1つとしましてスイッチOTC、この検討会議でお願いしております促進のための取組というものも重要性は増しているかと思っております。

 前回の会議から間が空いてしまいましたけれども、本日の会合以降、御要望を頂いている成分につきまして議論を本格化してまいりたいと思っております。有意義な会議となりますよう活発な御議論のほどよろしくお願いいたします。

 

○事務局

 続きまして、医薬品審査管理課長の山本でございます。

 

○医薬・生活衛生局医薬審査管理課長

 山本でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○事務局

 それから御挨拶が遅れましたが、私は医薬品審査管理課の大原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、冒頭のカメラ撮影のほうはここまででお願いしたいと思います。

 それでは笠貫座長、以後の議事進行をお願いいたします。

 

○笠貫座長

 それでは、この会議の進行を務めさせていただく笠貫でございます。御協力をよろしくお願いいたします。それではまず、本日の配布資料の確認を事務局からお願いします。

 

○事務局

 それでは配布資料の確認をいたします。

 本日、座席表、委員名簿、議事次第、配布資料一覧がありますので御参考にしてください。資料1「評価検討会議における検討の進め方」、資料2-1「スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について」平成28年度の要望分をまとめたものです。資料2-2は平成29年度の要望の状況をまとめたものです。各要望品目の本日議論を頂く資料として、資料3「ヒアルロン酸ナトリウム」、資料4「レバミピド」、資料5「レボノルゲストレル」、資料6「メロキシカム」、資料7「フルチカゾンプロピオン酸エステル」です。参考資料についてはひとまとめにして配布しております。中に参考資料14までが入っているかと思います。また、当日配布資料1として、本日御議論を頂く各要望成分について、関係の学会・医会から頂いた見解を1枚紙で取りまとめてお配りしております。当日配布資料2、関係する業界として日本OTC医薬品協会より、本日御議論いただく各要望成分の見解を取りまとめた資料を頂いておりますので配布しております。当日配布資料3として、こちらは前回の会議での配布資料からの抜粋です。「日本での医薬品販売の現状」ということで、各医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品の分類に関してどうなっているかの資料を参考として配布しております。

 資料としては以上です。過不足等ありましたら適宜事務局までお申し付けください。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。資料の御確認を頂いて、もし何かありましたらお知らせください。それでは、前回の会議は昨年413日に開催しておりますが、事務局からその後の進捗について説明をお願いします。

 

○事務局

 それでは資料1を御覧ください。

 はじめに、昨年4月の本検討会議で議論の進め方を踏まえて御議論を頂きましたので、その後の状況も含めて説明いたします。前回の会合では、スイッチOTC医薬品の候補となる成分について、広く要望を受け付けるための応募様式、それから議論の流れ等について御議論を頂いたところです。それを踏まえまして、平成288月から、厚労省ホームページでスイッチOTCの候補となる成分の要望の受付を開始しているところです。要望の状況としては資料1の左上を御覧ください。これまでに候補となる成分については、重複した要望をまとますと、平成28年度は18件、平成29年度は4件、計22件の要望を受け付けているところです。こちらは5月末時点の取りまとめです。詳細については後ほど資料2で御説明いたします。22件いただいた要望については、成分情報のシートを作成するために、その下にあるように、厚生労働省から産業界にお願いして医療用医薬品に関する情報等を収集していただいているところです。また、それが取りまとまった段階で、各関係医学会・医会にそうした要望に関する見解を頂いているところです。それから、そういった見解をまとめて本検討会議に諮るための情報収集、資料の作成等を行ってきたところです。本日これらについて、関係医学会・医会から見解を取りまとめることができた5成分について御議論を頂く予定としております。

 具体的な流れとしては資料1の裏面を御覧ください。こちらは先ほど御説明した内容とほぼ同じものですが、各ステップを時系列で上から詳細に記載したものです。本日、資料の中程にありますように、成分シートが取りまとまったものから、評価検討会議でのスイッチOTC化の妥当性の評価(1)を行っていただくこととしております。その後の流れとしては、本日の御議論を踏まえて、各スイッチ成分の妥当性についてパブコメを実施して、次回の検討会議にて再度御議論いただくことを予定しております。検討会議を通じて取りまとめることができたものについては公表して、薬事・食品衛生審議会に結果を報告することとしております。また、本日の会議で準備中である要望成分についても、次回の会合において準備が整い次第、評価(1)という流れで順次進めていくことを予定しております。

 続いて、各個々の要望成分の検討状況に関する進捗状況について説明いたします。資料2-1を御覧ください。こちらは横表の資料です。平成28年度の要望状況を取りまとめたものです。平成28年度は重複対象外を含めて26件要望がきております。表の見方から申し上げます。一番左に通し番号を振っております。左から2番目のカラムに、重複を枝番としてまとめて要望番号という形で、H28-1.1から順に振っております。その次のカラムに、要望者を個人、あるいは個人以外という形で分類しております。個人以外と記載しているものは、学会、団体、企業いずれかからの要望です。また、要望がなされた効能・効果については、左から5つ目のカラムの要望する効能・効果という所で記載しております。要望の主体によって異なる効能・効果を出してきているものについてはそれぞれについて記載しているところです。

 個々の成分については1ページ目から順に説明していきます。ヒアルロン酸ナトリウムから始まって、レバミピド、レボノルゲストレル、それからトリプタン系の片頭痛薬が5つほど続き、クリンダマイシンリン酸エステルといったものがあります。

3ページです。湿疹を要望する効能・効果として、ベタメタゾン酪酸エステル、プロピオン酸エステル、要望番号で言いますとH28-1112、通し番号で言うと12番、13番でございますが、PPIといったものも要望として上がってきているところです。

4ページに進んで、メロキシカム、フルチカゾンプロピオン酸エステル、ヨウ素・ポリビニルアルコール、また、その後にPPIが続く形となっております。17番までについては昨年12月の段階で公表しているものです。18番、19番についてはその後要望があったものでございまして、こちらは今年5月に公表しているものです。カルシポトリオール、レボカバスチン塩酸塩といったものがあります。

5ページ、20番以降は検討の対象外とさせていただく要望です。通し番号20番のorlistatです。こちらは日本では、医療用として承認がなく、ダイレクトOTCに該当することになりますので、こちらの検討の評価の対象外とさせていただきます。23番の自己検査用グルコースキットは体外診断用医薬品ですので、検討の対象外とさせていただきます。それから、その他4成分ほどあります。ジメチルイソプロピルアズレン、ロキソプロフェンナトリウム、トリメブチンマレイン酸塩、L-エチルシステイン、こちらについては既にスイッチOTC化がなされている成分ですので、その旨を要望者にはお伝えした上で議論の対象外とすることを了解いただいているところです。

6ページ、それぞれの要望に関しての進捗状況について取りまとめたものでございます。先ほど申し上げたとおり、各成分については、成分情報の収集を行った後に情報シートを作成して、関係医学会・医会に見解を伺っているところです。本日、見解が取りまとまった5成分、ヒアルロン酸ナトリウム、レバミピド、レボノルゲストレル、メロキシカム、フルチカゾンプロピオン酸エステルについて、本日の会議で御議論いただく予定となっております。

 資料2-2は、こちらは平成29年度に要望されたものを取りまとめたものです。同様に、平成29年度は4件要望がありましたが、こちらについてはいずれも個人からの要望でして、アルツハイマー関係の薬剤となっております。進捗については、現時点では成分情報等の提出をお願いしているところです。こちらについても、今後準備が整い次第、当検討会議で御議論いただく予定でおります。現状については以上です。

 

○笠貫座長

 どうもありがとうございました。それでは資料12についての何か御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。平成28年度で18件、平成29年度で4件と、しかも今回の大きな特徴としては、学会、団体、企業、そして一般消費者からの御要望を受けるという形でありまして、多くの一般消費者の方から御要望があったということは、国民目線から見てもこの制度についての関心が非常に高いということを表しているかなとは思います。どうでしょうか。

 

○矢口委員

1つ質問です。要望者は個人とか個人以外とありますが、皮膚科絡みで、今回、強いステロイド薬が候補として挙げられています。今回の議論には入りませんが。その要望の内容について拝見することは可能なのでしょうか。

 

○事務局

 公開ということはおそらくできないかとは思うのですが、個々の要望について、委員の先生方にどういった背景があるかを御説明することは可能かと思います。

 

○矢口委員

 今回、個人からの要望も受け付けるということは非常に評価できると思うのです。ただ、例えば皮膚科が混んでいるので、使っているステロイドの薬を薬局で買えるようになったらいいのではないかという安易な考えでOTCを要望するということがあっては、非常に強いステロイドがこの中に入っておりましたので気になっておりました。以上です。

 

○鈴木委員

 それでは、各成分の検討が始まる前に、全体について意見を述べさせていただきたいと思います。冒頭に局長からセルフメディケーションの推進というお話がありましたが、それはそのとおりだと思います。ただ、そのセルフメディケーションの定義は何なのかということも考えなければいけないと思います。あくまでも我々は、セルフメディケーションはセルフケアの一環であると考えております。ここのセルフケアには、もちろん自らの取り組みもあるわけですが、医師をはじめいろいろな職種が、薬剤師も含めて関わって御本人を支えていくことが必要になりますので、あくまでも薬剤師のメディケーションではないことをまず前提としていただきたいと思います。

 その上で、今回のいわゆるスイッチOTCですが、これに対する判断基準としては、従来から言われているものですが、安全性を前提とした上で、自覚症状があって比較的短期間の服用でその症状が改善し、自ら服用の終了を判断できるものにすべきであると考えております。従来もそのようになっておりました。今回、5つの成分について、それぞれ学会や医会から御意見を頂き、また参考人も含めて出席していただいておりますので、消費者の利便性のみを追求するのではなく、医薬品としての安全性を最も重視し、医療機関のアクセスが極めて良い我が国の医療制度の特徴も踏まえて検討していくことを、この検討会議の原則としていただきたいと思います。

 それからこの会議の立て付けとして、以前枠組みを決めたわけですが、当初からこの結果については全会一致で進めることになっておりますので、これは改めて最初に確認をさせていただきたいと思います。これは質問です。よろしくお願いします。

 

○医薬品審査管理課長

 会議の運営につきまして、鈴木先生から御質問を頂きましたが、先生の御指摘のとおり、やはりこの場で忌憚なく御議論いただいて、その上で、全会一致をみたところについて、スイッチOTCの候補成分とするという形で進めさせていただければと思います。

 

○鈴木委員

 今、全会一致というお言葉を頂きましたので、真摯にこれから議論に臨みたいと思います。我々としては、学会や医会の御意見を下に、日本の医療、薬事制度の現状も踏まえて、消費者の方の視点からの御指摘も頂いた上で、全会一致で審議を進めていきたいと思います。

 

○笠貫座長

 この会議の意義について、先ほど局長からお話がありましたが、この21世紀の皆保険制度のサスナビリティをどうするかということの背景も考えながら、そこで各ステークホルダーが有効かつ安全に医薬品を使えるという仕組み作りをどう考えていくかということを、この会議はそれぞれの立場の代表の方がいらっしゃいますので、忌憚ない御意見をここで議論していただきたいと考えております。しかも、今回の会議の特徴の1つとして、一度、評価会議で議論してパブコメを経た上でもう一度評価会議を開かせていただき、そこでまたオープンな議論をさせていただき、どこが、今の時点で最適な方法かを御議論いただくということにあると思います。その結果として全会一致で進めていくのだろうと認識しております。今のことを含めまして御質問ございますでしょうか。

 

○五十嵐委員

 要望というか厚生労働省のホームページについてのことなのです。OTC医薬品の候補のホームページがあります。これは昨年私の方には、12月に候補医薬品が公開されましたと連絡が来たので内容を見たのです。この間改めて確認したら、このカルシポトリオールとレボカバスチン塩酸塩等が追加されているのです。ですが、これは全然連絡もなかったし、最初から、ホームページを見ても更新日が平成28129日のままになっているのです。要するに書き加えるのはいいけれど、どこで更新したかも全然分からない状態にあるのです。私は最初自分が見落としたのかと思ったのですが、ここを修正や更新された場合はきちんとその旨が分かるようにホームページに記載していただかないと困るなと思いました。

 

○事務局

 大変申し訳ありません。更新日等についてもしっかりと記載するとともに、先生方にもその都度連絡するようにしたいと思います。

 

○笠貫座長

 他にはございますか。

 

○宗林委員

 宗林です。本日もよろしくお願いします。今日拝見しましたら、想定外に要望者が個人という方が多く、事業者からは少なかったという感想は持ちました。要望された薬剤とか見たところ、社会の状況を鑑みますと、割と偏ったものが出ているかなという印象を持ちました。また、確かに知識のある消費者にとっては関心が高いことだと思いますが、このようなスイッチ化の仕組みがあることについての情報は、なかなか行き渡ってないのではないかということも一方で感じております。ですから、私も消費者の関係の団体に流しましたが、何これというぐらいの感じで、説明し切れるだけの時間がございませんでした。例えば食品とか機能性を謳っているもののところに非常に多くの消費者が殺到していますので、そういうことから考えますと、もう少し幅広に、このような議論をしているのだということをもう少し周知していただけるといいなと思いました。よろしくお願いします。

 

○笠貫座長

 他にはございますでしょうか。この枠組みと言いますか、この制度そのものが、私は新しい、ある意味で挑戦的な制度だと思いますので、今、言った広報のことを含めて、あるいはホームページの充実を含めて、より多くの方々にこの制度と仕組みを理解していただけるようにとしていただければと思います。その中で、先ほど消費者の方の話も出ましたが、やはり全体として国民のリテラシーをどう高めていくか、そのような過程でそれが可能になっていくのではないかと私自身も願っているところです。それでは他に全体としての御質問がなければ次に移らせていただきます。

 それでは事務局から資料3の説明をお願いします。

 

○事務局

 資料3をお手元に御用意いただければと思います。

 ヒアルロン酸ナトリウムに関してのものです。今回初回の検討ということでございますので、資料の中身に入る前に、資料構成から説明させていただきたいと思います。資料構成としては、資料3-1として成分情報を取りまとめたものです。3ページ、1.要望内容に関連する事項では、要望内容、それに対応する医療用医薬品の情報を記載しています。4ページ以降には、スイッチの妥当性の評価を頂くにあたって、インタビューフォーム、添付文書の情報から承認時の情報、開発の経緯、再審査の情報、そういった情報を取りまとめたものを記載しているところです。その後ろの方には推定使用者数、同種同効薬のスイッチOTC化の状況等についても参考として載せるとともに、関係するガイドラインも後ろに添付する形をとっているところです。

6ページを開いていただくと、要望内容に係る欧米等での承認状況といったものも記載しています。7ページに行きますと、医学会・医会から頂いた御見解、論点をまとめています。それ以降は参考資料として、医療用医薬品と一般用医薬品で現時点であるものの比較表が8ページに、9ページ以降に添付文書の写しを添付しています。

11ページ以降ですが、資料3-2として関係の医学会・医会から頂いた御見解を、そのまま載せています。17ページ以降につきましては、成分情報等で引用したりしている参考資料としてインタビューフォーム、診断基準といったものを載せています。全体の構成としてはこういったところです。

 中身に戻りますが、3ページを御覧いただければと思います。本日、御議論いただく最初の成分はヒアルロン酸ナトリウムです。要望された効能・効果は、H28-1.1H28-1.22つがあります。1.1につきまして、要望された効能・効果は「ドライアイ・角膜保護」となっています。1.2につきましては「目の次の症状の緩和:乾き、異物感、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの異物感、疲れ、かすみ、なみだ目、まぶしさ、目やに、充血」となります。こちらは個人と個人以外の方から要望があったもので、1.1は個人から、1.2は個人以外からといったものです。対応する医療用医薬品ですが、3ページの下の段で、ヒアレイン点眼液です。こちらにつきまして、効能・効果は記載されているとおりですが、製剤としては0.1%の製剤と、重症疾患等で効果不十分の場合に使用される0.3%の製剤があります。

4ページですが、スイッチ成分の医療用医薬品としての特徴を示したもので、承認年月日としては、旧販売名のヒアレイン0.1は、1995年に承認されたもので、再審査期間も終了し、再審査結果としては2003年に通知がされています。その結果としては、旧薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないとなっています。その下に開発の経緯、治療学的・製剤学的特性等が記載されていますが、こちらにつきましては説明を省略させていただきます。

5ページを御覧いただくと、安全性に関する情報で特段のものがあるか記載していますが、特段のものは該当なし、それから習慣性、依存性等、あと毒薬、劇薬等の該当性についても、該当なしということで記載しています。推定使用者数ですが、なかなか推定するのは難しいところで不明としています。参考として、一般用医薬品市場の年間販売金額・販売個数を下に記載していて、一般用及び涙液タイプの目薬ですと年間に1600万個出ていて、販売金額としては525億円規模となっています。同種同効薬・類薬のスイッチ状況については、8ページに飛びます。横表になっていますが、候補成分を含有する医療用医薬品、類似の医療用医薬品、類似の一般用医療品について、御参考まで比較表を載せているところです。5ページに戻って、関係するガイドラインとしては、2006年ドライアイ診断基準、こちらは2016年改訂中と聞いていますが、2006年のバージョンを後ろに付けています。

 ヒアルロン酸ナトリウムについては、関係するガイドラインの(2)ですが、52ページです。薬事・食品衛生審議会の一般用医薬品部会において、平成24年に既にスイッチ候補成分として妥当とされている成分で、こちらは52ページより当時の通知結果についてお示ししているものです。一定の条件は付いていますが、ヒアルロン酸ナトリウムについての一般用医薬品への転用は了解されているといったところです。その旨、その他部分にも記載しているところです。

6ページに移りまして、海外での一般用医薬品としての承認状況ですが、特段、そういったものはないということです。7ページで医学会・医会からの見解ですが、詳細につきましては11ページから学会の見解、13ページ及び15ページに医会見解を記載しているところです。

 当日配布資料1においても、分かりやすい形で取りまとめたものを配布していますので、併せて御確認いただければと思います。学会・医会からの見解ですが、OTC化することの可否につきまして、個人から来ている1.1の効能・効果、ドライアイ・角膜保護の要望につきましては、OTC化することは否であるという御意見を頂いています。1.2の効能・効果につきましては、OTCとすることは可、あるいは容認するという見解を頂いているところです。これにあたっての留意事項ですが、点眼薬に一定量の防腐剤、ベンザルコニウム塩酸塩ですけれども、こうしたものが含有されていて、防腐剤による薬剤性障害を回避できるように防腐剤非含有製剤、若しくはベンザルコニウム塩化物を含まない製剤であることが望ましいといった御意見、ソフトコンタクトレンズ又はハードコンタクトレンズを装着しているときの異物感というものは、効能・効果から除外すべきであるといった御意見、1週間程度使用しても改善が認められない場合は、眼科医を受診することを勧奨すべきといった御意見を頂いているところです。

 当日配布資料2ですが、日本OTC医薬品協会からも見解を頂いているところで、1ページから2ページを御覧いただければと思います。OTC医薬品協会からの見解ですが、学会・医会の見解と同様の見解を頂いていて、要望1.1の効能・効果につきましては、OTC化することは適当ではないと。1.2の要望につきましては、OTCとすることは可であると考えるという御意見を頂いています。一方、OTCとする際の留意事項につきましては、当日配布資料22ページですが、特段留意する事項はないということを頂いていて、これまでの一般用点眼薬に防腐剤が用いられている状況を鑑みますと、必ずしも防腐剤を含まない製剤に限定する必要はないのではないかといった御意見、コンタクトレンズ装着時への使用を図る際は、そのコンタクトレンズへの使用が適切であることを立証する資料を添付した上で、個別に判断する必要があるといった御意見を頂いています。防腐剤につきましては、個別の品目ごとに審査の中で評価すべきであるという御意見だと考えられます。説明につきましては以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。それでは、本日、参考人としてお越しいただいております村上参考人、柿田委員から御意見、補足がございましたら、よろしくお願いいたします。

 

○村上参考人

 ただいま日本眼科学会、日本眼科医会からの見解で、ほぼ、十分説明はできるものだと思いますけれども、ドライアイに関しては、私の理解では2016年の診断基準が既に正式なものとして日本眼科学会で公表されていますので、今後、2006年の基準を基に御議論されるのではなくて、2016年のものを基に御議論された方がいいかと思います。大きく変わった事項は、実は涙液層が破壊される、あるいは不安定であることと、自覚症状があることのみでドライアイと診断するという診断基準になっていますので、2006年よりは、むしろ様々な他覚的所見がなくてもということになります。その一方で、ドライアイというのは多因性の疾患と言いますか、単に涙の量が少ないというわけではなくて、涙を構成する油層であったり粘液の層であったり、あるいは眼表面の炎症であったりということで、涙液が不安定になる多因性の疾患であるということが強調されています。そういう意味で、ヒアルロン酸ナトリウムだけの点眼でドライアイを改善しうるものではないし、他の要因が絡まっている疾患と考えると、1.1に関しては容認できないということになるかと思います。1.2に関しては、普段、一般のOTC薬で認められている内容ですし、多数の臨床でヒアルロン酸ナトリウムの点眼を使っていて、ほとんど重篤な合併症はなく、あるいは軽微な合併症を診ることは極まれで、このまま容認していただいても問題ない。それから防腐剤に関して、個々の製剤について防腐剤あるいは安定剤の内容を個別に判断すべきというのは、それは妥当だろうなと私は思っています。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。柿田委員、お願いします。

 

○柿田委員

 日本眼科医会の柿田です。村上先生と意見は大体同じですが、我々が一番危惧しているのは、ヒアルロン酸ナトリウムというのはかなり良い薬なのです。良い代わりに例えば目に病気、有名なのは角膜潰瘍ですが、角膜感染症を起こした場合に付けると痛みは取れます。取れると病気が進行しても気が付きません。受診が遅れます。角膜感染症、角膜潰瘍というのは1週間手遅れになるだけで失明に至るような病気ですので、そういう病気に対しヒアルロン酸ナトリウムを使用して引っ張って、手遅れになる方が出てこないかということが一番危惧されています。

 保水性がある目薬ですのでシェーグレンとか、いわゆる涙液分泌減少型と言って涙が本当に出ない人に付けると、逆に目の表面から水分を外に奪ってしまうのです。目薬が吸い取ってしまう。そういうことがありますのでそれこそ症状が悪化します。そのような負の側面もありますので、良い目薬ですが、その辺りを気を付けて1週間という制限は必ず付けるということ。あと、先ほど村上先生がおっしゃっていたように防腐剤の問題はクリアしていただけることを望みます。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。それでは、この成分のOTC疾患について御意見をいただければと思います。

 

○宗林委員

 仕組みが分からなくて質問ですが、52ページ、53ページの御紹介が先ほどありましたね。薬食審の中の部会でスイッチOTC化が認められている、転用されることが認められているにもかかわらず、今ここにかかっている理由というのは、どういう流れでしたでしょうか。分科会にかからなかったということでしょうか。

 

○笠貫座長

 事務局の方からお願いします。

 

○事務局

51ページで示した審議会での議論で、一般用医薬品への転用について可するという結論が出ておりましたのは、旧スキームでの結論でございます。旧スキームで可とはされていましたが、今回、改めて公募したところ、既に可とされていた成分であるヒアルロン酸ナトリウムにつきまして、改めて募集が来たというところでございますので、今回、改めて御議論いただいているというところです。

 

○大臣官房審議官

 若干、補足をさせていただきます。今回のこのスキームを改めて作ったというのは、旧スキームにおいて、22成分ほど候補として挙げていただいて、可と言っていたのですが、なかなかOTC可が進まないということ。また、旧スキームでの候補の選定に関して、透明性が不十分ではないかという御指摘がありましたので、そのような点を踏まえ、より多様な意見をきちんと頂き、公開の場で議論する新しい仕組みを改めて作らせていただいたということで、この検討会議の開催となっている訳です。今回公募した結果、OTCとなっていないヒアルロン酸ナトリウムがもう1回要望として出てきております。5年前のことですから、いいですよと言っているにもかかわらず、実際にヒアルロン酸ナトリウムのOTCが出てきていないので、そのような状況なのであれば、この場でもう1回議論していただいて、製剤としての要件を改めてご議論いただいて、ヒアルロン酸製剤、OTCの製剤を開発しようと考えている企業の方にも考えていただき、本当に実のある格好で製品を出していただくことで進められるのではないかと思います。そういう意味で、今回のこの新しいスキームで改めて検討いただいていると考えています。

 

○宗林委員

 ありがとうございます。先ほど、もう既に出ているものについては検討しませんと除外していたものがありますが、それは製剤として出ているものがあるからという意味でしょうか。

 

○事務局

 そうです。

 

○宗林委員

 ヒアルロン酸ナトリウムは、製品としては市場にまだ出ていないから議論するという整理でしょうか。

 

○事務局

 そのとおりです。先ほど申し上げたのは、既に製剤として承認されているものは除外したというところです。

 

○鈴木委員

 私は、その頃からずっと薬事担当でこのような委員会にも出ていますけれども、結局、前のスキームというのは、110いくつの学会に何月何日までに回答してくださいと質問を投げて、回答がなければOKと見なすという、ある意味、非常にずさんな仕組みだったのです。実はある薬剤が薬食審に出たときに、事前に学会・医会の意見を聞いているのですかと確認したところ、聞いていませんということになって揉めたことがあるのです。そのようなこともありましたので、今後はきちんとやろうということと、いわゆるセルフメディケーションの推進という流れと併せて、今回のスキームができましたので、今回、改めて仕切り直しという形でやるということだと私は理解しています。


○笠貫座長

 他には、ございませんでしょうか。

 

○柿田委員

 先ほど言い忘れたのですが、最近、眼科関係でコンタクトレンズ眼障害というのは結構問題になっているのです。今、パブコメも募っている最中ですし、コンタクトレンズが原因で角膜感染症が若い子で起こっている。それに関してこれと繋がるのですが、そのような人たちというのは眼科にかからないのです。かからないで自分で何とかしよう、眼科に行くと怒られるからという方々が結構いて、そういう方がこういうのを使い出すとどうなるかと考えると、眼科医の間では本当にぞっとしているのです。その辺りも考えていただけるといいなと思います。私も医療対策部の方でそちらに出ているのですが、現状について非常に憂いている最中ですのでよろしくお願いします。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。

 

○鈴木委員

 このヒアルロン酸ナトリウムの件ですけれども、学会や医会の御指摘のとおり1.2の方はいいと思います。ただし、コンタクトレンズは、この資料を見ても防腐剤を吸着する性質があるということですから、コンタクトレンズ装着中の点眼は認められないということで、コンタクトレンズを装着しているときの異物感は削除すべきと考えます。また、1.1のドライアイ・角膜保護、これは認めるべきではないと思います。なお、学会・医会の先生方もおっしゃっているように、ドライアイというのは病名ですので、一般の方もよく使う言葉にはなっていますけれども、眼球乾燥症候群という医師の診断が必要な疾患であるということですから、OTCになった際の宣伝広告については、消費者が誤解してドライアイ治療を目的に使うことのないよう、十分に注意していただきたいと思います。また、留意事項として防腐剤の含有と1週間前後の受診勧奨という御意見もありましたが、この部分は守った製品になるようにしてほしいと思います。また、転用を認める際に、例えば防腐剤を含まない使い切り製剤として販売するなどの条件を付けると、よろしいのではないかと思います。

 それと、質問ですが、この会議では成分名のみで議論していますけれども、医療用では0.1%だけでなく0.3%もございます。これについて他の成分での議論にも影響してくると思いますが、この量の違いについて、どのように整理すべきか質問させていただきたいと思います。我々としては今回、転用に際しては0.1%に限定してはどうかと考えます。ここを曖昧にしてしまうと、0.1%の製品に対して例えば0.3%の新製品が後から出て、「こちらの方が量が多いから効きますよ」と、そういう宣伝広告が行われる可能性があると思いますし、また、0.1%で効かなかったときには、次は0.3%の商品に切り替えようと考えて受診が遅れてしまう可能性もあると思います。これについての事務局の考えをお聞かせください。

 

○事務局

 医療用からのスイッチ化につきましては、含量を限定してのスイッチ、低い方からのスイッチという形もございますので、条件を付けた上で、この成分については可というところの御結論もあり得ると思っています。また、幾つか御指摘いただいた点ですけれども、個別の製品の審査の中で留意して見ておくべき点があれば、併せてこの場で御指摘いただければ、そのようにするように我々としても準備していくところでございます。

 

○鈴木委員

 どこかに御指摘があったと思いますが、0.1%で駄目なら0.3%でなくて、受診を勧めるということでお願いしたいと思います。

 

○乾委員

 村上参考人、柿田委員からの御指摘、心配されている受診勧奨等につきましては、今は、かかりつけ薬剤師、薬局がしっかりと地域の医療機関と連携を取って、患者のための薬局ビジョンを実現するために進めているところです。ただ、生活者、国民がチェックシート等配布に関しても、しっかりと分かりやすく、角膜感染症について1週間経ったら受診勧奨するようなパンフレット、チェックシートが必要ではないかと思います。薬剤師としては当然ながら、その辺をしっかり確認して、安全・安心を担保できて生活者が適正に使えるように進めていけるのではないかと思いますので、その辺も含め、よろしくお願いしたいと思います。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。他に特にございませんでしたら、これからパブコメを進めさせていただくのですが。どうぞ、佐藤委員。

 

○佐藤委員

 ありがとうございます。佐藤です。一般にはドライアイと目の乾きの違いは判断できないと思いますので、専門の先生方がドライアイについては認められないけれども、目の乾きについてはいいとおっしゃるのであれば、表示であるとか、一般の薬局の販売時にドライアイでないことが確認できるような表示なり、確認できるような売り方なりに御配慮いただければ有り難いと思います。

 

○門田委員

 大分大学の門田です。諸外国の状況が、OTC等の先進国であるアメリカとかで承認なしということが全て載っていますけれども、これが候補に挙がっていなくて承認になっていないのか、候補に挙がったけれども議論の末、承認されていないのか。その状況等はお分かりでしょうか。諸外国等のそのような御意見等も参考にされるとだいぶ違うと思いますけれども、その辺りの御検討はされているのでしょうか。なかなか難しいですか。

 

○事務局

 そこまでの情報は我々の方では持っていません。申し訳ございません。

 

○笠貫座長

 この点について、村上先生どうですか。

 

○村上参考人

 ヒアルロン酸ナトリウムをドライアイに処方するのは、恐らく医療系は日本がほとんどだと理解しています。欧米は少し違う概念で、炎症がドライアイの根本だということがかなり濃厚な意見ですから、ヒアルロン酸をドライアイ等で医療用に使うことは非常に希なのではないかと私は理解しています。

 

○門田委員

 候補にも挙がっていないということですか。

 

○村上参考人

 そうですね。ドライアイに関して有効性が、ある意味、他の国ではむしろ疑問視されているのかもしれない。そのように私は理解しています。

 

○宗林委員

 確認ですが、H28-1.2の方の乾きというところに関しては、コンタクトをはめているときは除外するという意味でしょうか。あるいはコンタクトをはめているときの異物感(張り付き感、コロコロ・チクチクする感じ)は、除外すべきという御意見が学会の方から出ていますが、ただの乾きに関しては、コンタクトをはめているときは使用可ということなのでしょうか。その辺を教えていただければと思います。

 

○柿田委員

 柿田がお答えします。結局、なぜコンタクトレンズを付けると問題なのかというのは防腐剤の問題です。ですから、防腐剤フリーであれば問題ないということで、よろしいですか、村上先生。

 

○村上参考人

 コンタクトレンズ自体が涙液層を不安定にしますので、乾き感が出てくるという意味では、コンタクトレンズによるドライアイ様の症状が出てくるということなので、この辺、確かに混乱してややこしい気はします。ただ、通常のOTC薬がコンタクトレンズの目の乾き感等で認められているものがかなりある。その中に有効成分のものが加わったヒアルロン酸が加わることで心配をするのか、効くからいいとするのか、その辺はなかなか判断が難しい。ちょっと曖昧な答えで申し訳ありません。

 

○宗林委員

 ヒアルロン酸ではないのですが、OTCの目薬の中には、ソフトコンタクトは駄目だけれども、ハードはOKというものがかなり多数あるのではないかと思います。。このコンタクトとの関係をどうしていくのか、明確にしたほうがよろしいかなと思います。

 

○村上参考人

 先ほど、事務局の方でも意見にありましたように、個別のものでそれぞれの成分を見てということで、いかがでしょうか。防腐剤フリーのものもあるし、塩化ベンザルコニウムを含まない安定剤が入っているもの等々で、個別にチェックしていくということであればハードOK、ソフトOK、それぞれ専門家の意見を聞いて区別していくということで、いかがでしょうか。

 

○笠貫座長

 今の御意見を踏まえ、これまで御意見がたくさん出ましたので、パブコメを行うにあたってOTCとする可否について、私の方のまとめで合意が得られるかどうかお諮りしたいと思います。1.1のドライアイ・角膜保護については否と、1.2の症状、目の乾き等々については可とする。ただし、たくさんの留意事項が出されました。その留意事項の中で1週間という数字が出て、薬剤師の方から眼科医の受診を勧奨することが第1です。あとは個別のものとして防腐剤の問題、コンタクトレンズの問題、コンタクトの使用が適切であることを立証する資料も必要だろうと、このような指摘を頂いたと思います。また、一般消費者の方がドライアイとどう区別できるか、12の違いですね。一般消費者のためのパンフレットもあった方が、より安全に使えるのではないかという御指摘を頂いたと思います。もう1つ大きな問題としては、0.1%と0.3%ということで、まず0.1%製剤に限定するという案です。このような留意事項を含めて現段階として、成分としてはOTCが妥当ということでパブコメを進めさせていただく。パブコメに挙げるにあたっては、各専門の先生の御意見をもう少しお聞きした上で、今日の御議論を整理して挙げさせていただくことにしたいと思います。今のような形での合意ということで、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、そのような形でパブコメを実施させていただきたいと思います。村上先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございました。

 続きまして、レバミピトにつきまして、事務局からお願いいたします。

 

○事務局

 それではレバミピドについては資料4です。

3ページを御覧ください。成分としてはレバミピドです。要望された効能・効果としては、3ページにあるように、胃潰瘍、急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変改善といった形で、個人から要望があったものです。対応する医療用医薬品はムコスタ錠となっており、効能・効果もこちらに記載された内容です。

45ページ、本成分ですが、胃粘膜のプロスタグランジン増化作用、フリーラジカル抑制作用を併せ持つ胃炎・胃潰瘍治療薬です。1990年に承認がなされたものです。再審査結果は1998年に通知されておりまして、承認拒否事由のいずれにも該当しないということです。医療用医薬品の特徴・概要については、45ページに記載しているとおりです。5ページの下の「その他」部分についても先ほどのものと同様に平成21年の薬食審でスイッチ候補成分として妥当と判断された経緯があります。こちらについては、73ページに参考資料を添付しております。

6ページ、諸外国での一般用医薬品としての承認状況は特にないということです。7ページ、医会・医学会からの見解です。詳細については、13ページより医学会の見解、15ページより医会の見解を記載しております。当日配付資料1に取りまとめたものを配付しておりますので、併せて御確認ください。OTC等することの可否については、医学会・医会いずれも可といった見解を頂いております。ただOTCとする際の留意事項については、要望された効能・効果に胃潰瘍等が記載されておりますので、こうしたものは効能・効果から除外して、例えば胃もたれ、胸やけ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃部、腹部、膨満感等の一般的な一般用医薬品としての効能・効果にした方がいいのではないかという御意見。また、本薬を服用しても改善しない場合には医療機関を早めに受診するような注意が必要であるという点。若年層の投与については、注意すべきといった点について医学会・医会から見解を頂いております。また、当日配付資料234ページです。

 こちらは日本OTC医薬品協会からの見解です。こちらもOTCとすることの可否については医学会・医会の見解と同様可ではないかという御意見を頂いております。また、留意事項については、要望された効能・効果というのが医療用医薬品の効能・効果であるため、既に同種同効薬でスイッチ化されているようなものと同様に参考として設定すべきではないかといった御意見を頂いております。説明については以上です。

 

○笠貫座長

 本日、上村委員が御欠席ですので、湯浅委員から御意見がありましたら補足をお願いします。

 

○湯浅委員

 日本消化器病学会と日本臨床内科医会から留意事項を含めて御回答を頂いており、このとおりで良いと思います。繰り返しになりますが、胃潰瘍、急性胃炎、慢性胃炎という病名に関しては、自覚症状だけでは当然判断できませんし、最終的には内視鏡が必要となってくるわけです。一般の方々からすると、慢性胃炎と言われても、慢性という意味がどういう意味なのかということで混乱されることも多いと思いますので、日本消化器病学会が、胃部・腹部膨満感、食欲不振、吐き気、嘔吐、胸のつかえと具体的な効能・効果を挙げられていますので、この適応病名でよろしいかと思います。

 日本臨床内科医会のほうで、若年層の投与には注意してほしいということです。そもそもセルフメディケーションを推進するということは、一般の方々、患者さんの自己責任が問われることになります。そういう意味で自己責任が持てる年齢からの服薬が望ましいということになるのではないでしょうか。服薬することによって、症状が一時的に改善したり、実際には重篤な疾患が存在しているにもかかわらず、症状がマスクされてしまうことはままあるわけですから、すべての薬剤に共通して言えることかもしれませんが、自己責任を持てないような年齢での使用というのは控えるべきではないかと考えます。以上です。

○笠貫座長

 それでは、この製品について御意見はありますか。

 

○鈴木委員

 このレバミピドですが、医学会や医会の御意見のように、スイッチOTCはよろしいと思いますが、やはり胃潰瘍は除外すべきだと思います。普通の医師であればこの薬で胃潰瘍を治そうとは思いませんので、誤解を招かないように除外したほうがいいと思います。

 また、病名ではなかなか分かりにくく、さらに慢性胃炎という概念自体が揺らいでおりますので、一般用ですから、症状を主体として学会が指摘している胃もたれ、胸やけ等の表現がよろしいと思います。

 胃潰瘍を除外することで、それに伴って胃痛は除外すべきだと思います。また医会の御意見の若年層の投与については、今、御意見もありましたが、医療用での用法・用量は成人のみですので、転用の際も成人のみに限定するという条件を付けたらよろしいのではないかと思います。

 また、学会より受診勧奨を依頼するという御意見があります。胃粘膜保護のOTCは従来からたくさんありますが、薬局やドラッグストアなどでレバミピドが効かなかったから、次の薬、それが効かなかったら次の薬と転々とするのではなくて、早めの受診勧奨となるように、薬剤師の方や登録販売者の方にお願いしたいと思います。以上です。

 

○笠貫座長

 他にはありませんか。時間の関係もありますので、このパブコメを行うに当たりまして、これまで御指摘を頂いた点を踏まえて、この会議としての方向性をまとめたいと思います。胃潰瘍は除外することは明らかだということです。OTCとして適切な効能・効果とすることを条件に、また改善しない場合の医療機関の早めの受診の話。それから、若年層を先ほど指摘されたように、この意味合いも含めて、こうしたことを条件に成分としてOTC化が妥当と判断して取組を進めることについてお諮りしたいと思います。よろしいですか。

 

○湯浅委員

 成人と言うと、実は定義がはっきりしていなくて、何歳から成人なのかと言われると誰も答えられないと思います。成人に適用というよりは、若年層というか、具体的な年齢がわかるような文言を入れると分かりやすいと思います。

 

○鈴木委員

 今度は、若年層は何歳かという話になると思うのですが。

 

○湯浅委員

 そのとおりですが、服薬する年齢がわかるような工夫がされれば良いと思います。

 

○笠貫座長

 いずれにしても、その意味合いというのは、先ほども言いましたが、自己責任をこの製品の特徴としてきちんと入れておきたいという意味合いで、パブコメには含ませていただきたいと思います。

 

○事務局

 事務局から御参考までですが、一般用医薬品の用法・用量で成人と言った場合、通常15歳以上という形になります。

 

○笠貫座長

 それでは、そのような内容でパブコメを実施していただくようにお願いします。続きまして、レボノルゲストレルについて事務局から御説明をお願いします。

 

○事務局

 レボノルゲストレルについては資料5です。

3ページ、こちらの製剤については、要望された効能・効果は緊急避妊というもので、個人から要望があったものです。対応する医療用医薬品は、ノルレボ錠です。こちらも要望されたものと同じく効能・効果は緊急避妊というもので、医療用として使われているものです。

45ページ、こちらの成分は、本邦で緊急避妊薬として初めて承認された経口の避妊薬です。こちらについては、避妊効果は主として排卵抑制作用によるものと示唆されております。承認については2011年となっております。再審査結果は昨年の2016年に通知されており、医療用として承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されたものです。

 こちらは、特徴・概要等にも記載してあるように、国内の第III相臨床試験においては性交後72時間以内にこの製剤として1.5mgを経口投与すると、妊娠阻止率が81%であったというものです。

5ページの下、安全性に関する情報については、警告・禁忌のところに禁忌として過敏症、肝障害に加えて、妊婦というものがあります。6ページ、妊婦、その他部分です。一番上のカラムです。妊婦・産婦・授乳への投与について、妊婦には投与しないことということで、妊娠初期・中期に投与した場合には、女性胎児の外性器の男性化又は男性胎児の女性化が起こることがあるということと、乳汁中に移行することがあるということです。

 推定使用者数については、日本家族計画協会家族計画研究センターの調査の中で推定されている数字ですが、これまでに42万人が使用されたという推計があります。

7ページ、こちらは海外での承認状況です。欧米を含め6か国です。いずれの国においても処方せんなしで購入される医薬品として承認されております。9ページ、医会・医学会からの見解です。詳細については、13ページの医学会見解、15ページの医会見解に記載しております。当日配付資料1においても取りまとめたものを配付しておりますので、併せて御確認ください。OTCとすることの可否については、医学会・医会とも、いずれも否という御意見を頂いております。ただ、OTC化を仮にする際の留意事項としては、OTCでなく、BPC(bihind the pharmcy Counter)とすべきであるといった意見や、販売時に生殖内分泌や性教育に関して十分な研修を受けて可となった薬剤師のみが対応可能となるような枠組みが必要であるといった御意見を頂いております。

 また当日配付資料256ページ、OTC医薬品協会からの見解です。OTCとすることの可否については、本剤避妊措置を講じなかった場合、又は通常の避妊に失敗した場合が想定されるので、使用可否については薬剤師及び生活者が判断できるということ。生活者自らが使用できること。海外において、OTCに転用されることということで、可ではないかという御意見を頂いております。

 またOTCとする際の留意事項として、様々な観点からの制限を御提案いただいております。また、その他の部分については、従来の要指導医薬品やスイッチOTCとは製品特性が大きく異なるというところで、販売する薬剤師等の技量が必要であること。専門医からの指導や地域の専門医との連携の必要性といった御意見を頂いております。説明としては以上です。

 

○笠貫座長

 本日、参考人としてお越しいただいている宮崎参考人、矢野参考人から御意見、あるいは補足をお願いできればと思います。

 

○矢野参考人

 矢野と申します。よろしくお願いします。資料の53ページにありますように、参考資料3の「緊急避妊法の適正使用に関する指針」を平成232月に作成しました。私もそれに参画していました。ごく最近、改訂版を作成しました。ほとんど内容は一緒ですが、文言を少し修正しました。例えば「緊急避妊ピル」を「緊急避妊薬」に修正しました。緊急避妊薬は、避妊に失敗した一般国民の方や、性犯罪被害に遭われた女性などにとっては非常に重要な、必要な薬剤であるとは思います。妊娠阻止率が100%であればOTCでよいのですが、実際は100%でなく80%程度です。しかも、性交渉から72時間以内に服用しないといけないとなっており、服用が遅ければ遅いほど妊娠阻止率は低くなります。

 次に、性交渉が月経周期のどこの時期であるかということが、実は最も重要なのです。月経は大体28日周期ですが、その真ん中の時期に排卵が起きます。性交渉が排卵の前後なのか、または丁度排卵の時期なのかで成功率が違うことも治験で分かっております。重要なことは、排卵する前であれば大丈夫なのです。排卵後一定時間が経過してから性交渉があっても、もう妊娠はしません。実は、そこで来られて服用する方も多く、全体の妊娠阻止率を上げているのです。実際は、排卵の前に服用することが大事なのです。正に排卵している時に来られた方は、実は妊娠を阻止できないのです。緊急避妊薬は大規模病院ではほとんど置いてなく、一般のクリニックの先生方が使われています。実際には、月経周期のどの時期に当たるかということを余り詳しくチェックしないで処方されていますが、その場合、確実に妊娠は阻止できないということは言っています。そのために同意書を作っているのです。72ページにありますように、「緊急避妊薬の処方をお願いします」という文言で始まり「緊急避妊薬を服用しても必ずしも妊娠を回避できるわけではないことを理解いたしました」という同意書をしっかり頂いて処方しているのです。

 やはり、緊急避妊薬がOTC化されると100%妊娠を阻止できると、一般の方が誤解されるのではないかと危惧します。しかし、そのことを周知することは非常に難しいと思います。しかも、同意書をとって処方しているような薬です。知らない間に妊娠がどんどん進行してしまうとか、いわゆる子宮外妊娠に陥り生命の危険にさらされることなども危惧されます。絶対に安心できる状況にはないわけで、同意書をしっかり頂いて処方しているのが現状です。それがOTC化されると何パーセントかの方々は知らない間に妊娠が継続していくとか、いわゆる子宮外妊娠に陥ったことを見逃されてしまうということを、我々産婦人科医は危惧しているのです。そのことまで薬剤師の方がしっかり説明できるとは思えないのです。薬剤師の方々も患者さんにいらっしゃいますが、そこまでの教育は受けていません。妊娠阻止のメカニズムもまだ完全に分かっていない段階です。排卵前のある時期に服用すれば排卵を阻止するであろうということになっておりますが、完全にはまだ分かっておりません。ですから、そのような薬剤をOTC化するのはまだ難しいと考えます。欧米では確かにOTC化されているようです。欧米では20代の90%以上の方が経口避妊薬を使用している状況にあり、避妊薬に慣れているのです。ある程度避妊に失敗することもあるだろうということも体感しています。

 日本の場合、一般の20代の方が経口避妊薬をどれだけ使用しているかというと5%以下だと思います。実際に緊急避妊薬を求めて来られる方は、経口避妊薬を常用していない方です。ですから、そのようなことに全く慣れておらず、知識も経験もないので、妊娠に気付くのが遅れてしまう恐れがあり、そこが一番心配するところです。以上です。

 

○宮崎参考人

 産婦人科医会の宮崎と申します。基本的には矢野先生の考え方と一緒です。説明を少し加えると、性教育そのものがまだ日本はヨーロッパやアメリカからかなり遅れております。実際現場を見に行った先生方の話を聞くと、変な話ですが、ピルを飲むことがむしろ当たり前の感覚で教育をされているのが現状で、日本がまだまだそこまで行っているとは言えない。うちの娘の高校はかなりしっかり教えてくれたみたいですが、母親の方がびっくりするぐらいのことまで教えてくれたような高校もあるのです。これも個別の問題で、全ての一般の方たちがきちんと分かっているかどうかという問題はあろうかと思います。

 個人の話をして大変申し訳ありませんが、うちの妻は薬剤師ですが、ピルの話になると全くチンプンカンプンです。やはり、対応する患者さんがあまりにも血圧とか糖尿病の患者さんが多過ぎて、そちらの勉強は一生懸命しますが、こういうピル関係のお薬に関しては質問されても答えようがないという現状はあるのではないかと考えます。以上です。

 

○笠貫座長

 この製品についての御意見、御質問はありますか。

 

○宗林委員

 質問ですが、中絶というのは我が国ではどのぐらい行われているのですか。全体的な消費者教育とかリテラシーとか、そういったものが全体に欠けているので、これを可とするにしても否とするにしても、私はその対応は必要だと思います。現状で中絶がどのぐらいにあるのかというのを知りたいと思います。

 

○宮崎参考人

 細かい数字は覚えていないのですが。

 

○事務局

 資料の49ページです。正式な統計かと言われると、そうではないかもしれませんが、こちらに調査として2011年度における人工妊娠中絶の実施件数等がありまして20万件ということです。1955年からのグラフで推移はありますが、減ってはいるとは言え20万件という状況です。

 

○宗林委員

 ありがとうございました。そうしますと、この20万件の方たちを救えるかもしれないという話が1つです。先ほど大きな病院にはもともと処方せん薬も置いていないというお話がありましたが、こういった緊急避妊薬を使えるということの周知度が、一般の方々、若年層が中心でしょうがどのぐらいあるのでしょうか。もしかしたら、そもそも知らないという状況があるのかという全体像を教えていただければと思います。

 

○事務局

 同じ資料の52ページに、緊急避妊法の認知度の調査も併せてあります。調査が少し古くて2012年で、承認直後ですが、「聞いたことがありますか」というところで33.2%ほど認知しているという状況が調査の中では出ております。

 

○鈴木委員

 我々としても医会・医学会の御意見のように、転用は行うべきではないと思います。御意見の中には薬剤師が厳格に管理すべきという記述もありますが、OTCのネット販売を認めている日本の現状を考えますと不十分であると思います。あくまでも緊急の避妊であり、常用を防ぐための仕組みがありません。医療機関であればこの薬の交付時に適切な性教育を行うこともできますが、OTCになってしまいますと、その患者教育の機会を奪うことになります。薬局やドラッグストアの店内で適切な性教育が行えるとは到底思えません。例えば男性が購入して悪用することも考えられ、転用は危険であると思います。

 性に関する医薬品は隠れて買おうとする傾向もありますが、その影響から男性の性機能障害改善薬は偽造の医薬品が氾濫しております。この薬も同じように偽造品の流通が大いに懸念されるところです。また、この医薬品の価格はかなり高いと聞いておりますが、価格は安いが、避妊効果も低いという類似薬もあるそうなので、そうしたものが偽物として出回る危険もあり、現状では転用は行うべきではないと考えます。以上です。

 

○笠貫座長

 他には御意見はありますか。

 

○乾委員

 宮崎先生、矢野先生、鈴木先生の御指摘どうもありがとうございます。ピルは処方せんでも出ていますので、薬剤師として御指摘に対してしっかり解消するようにしたいと思います。

1つだけ先ほど鈴木委員からも御指摘がありましたように、一番懸念するのはしっかりと薬剤師として、薬局としては研修をし、供給できるような体制にしたいとは思います。ただ今の医療用から要指導・一般用へという転用のスキームが、要指導3年、第11年しっかり薬剤師がコントロールしても、その安全性が担保されると第2類へ移行する。一部は第1類のまま止まりますが。そうなると、第1類でもネット販売は可能であれば、その辺は何とか新たな仕組みを検討していただきたいと思っております。患者さん、生活者が適切に医療を受けられるようにファーストアクセスの場としてしっかりと相談に乗り指導して、受診勧奨も含めてですが、そこで止めることが可能なものなのか。それができないのであれば、現状としては難しいのではないかと思っております。以上です。

 

○小縣委員

 この薬が避妊に失敗したときの緊急避妊薬であることは大前提の話ですが、手軽に入るなら女性薬の中でも何人かで話合いをしましたが、いよいよこの薬までもがスイッチOTCになるかという意見に対しては、反対というよりは驚きと、ある意味賛成の意見もありました。ただ、先ほどからお話があるように、この薬の存在自体を、今、国民の3分の1ぐらいしか知らない中で、72時間以内、もっと言うと、本当は24時間以内が一番効果が出てくるとは思いますが、これまで知って、この薬を使っている人たちがどれぐらいいるだろうかというところから考えると、スイッチOTCにして、各薬局に置いたときに、今、病院で115,000円とか16,000円と言われているようですが、これを1錠ずつ売るために各薬局が配備できるだろうか、という問題も1つ出てくると思います。そうすると、緊急避妊薬が薬局へ行ったら買えるということになったから薬局に行きました。ここの薬局は置いていませんでした。あっちへ行ったら置いていませんでしたということになると、現在、排卵日検査薬とか妊娠検査薬もそうですが、メーカーさんが、ここには置いてありますよということをホームページ上に挙げることによって購入することができる状況が多くなっています。それと同じような状況になってしまう。それは薬局薬剤師の努力の部分ではありますが、置くことができるかどうかという心配がまず1つあります。

 そんな中で、これがもしOTCになったら、先ほどから先生方のお話にもありましたが、例えば、この薬品が避妊の目的であることを悪用することによって、避妊を目的としたホルモン剤ではあるが、感染源の効果については文献的には何も見つかっていませんから、性感染症を阻止することはできないですし、これがOTC薬として使われたときに簡単に避妊できることを根拠に、避妊具を使うことが減ったり、性感染症が増えるリスクは非常に多く考えられると思います。5類の感染症、特に梅毒などは増えていますし、女性の罹患率も非常に高くなっていることから考えたり、新規のHIVの感染者も多いということから考えると、悪用という意味ではないかもしれませんが、本来ある避妊の方法の1つの中に数え入れてしまってこれを使うことになると、やはり、この薬をOTCにしておくことは逆に感染症を増やして危険ではないかと考えます。

 ただ、簡単に買えるのは、先ほど鈴木先生もおっしゃったように、ネット販売に行く可能性も今の時代はありますし、常習化した場合の副作用は、今あるのは動物実験と海外での経験数だけですので、果たして、特に使う方が常に同じような方となると、常習したときに本当に子供が欲しかったときにはどうなるかというのは分からないです。男性が購入して、女性に飲ませるという可能性も出てくると思います。ですから、OTCで売るにはどうするかという御意見もありましたが、きちんとした同意書も取らなければいけないでしょうし、その前の薬のときから話があるように、成人になっていない、例えば13歳や14歳でも買う可能性が出てくる時代になっていますから、そういうときにどうするかということから考えると、全部をまとめて見たときには、やはり、薬局で売ることはなかなか難しいのではないか。ただ薬として薬剤師に任せていただきたいという気持ちは大いにありますし、先生方の御心配のように、薬剤師の勉強が足りない部分は、今後きちんと研修も受けなければいけませんし、先生方に教えていただかなければいけないこともたくさんあると思います。今回のこれについては、数量の制限とか、年齢制限、同意書等々、いろいろなことを考えると、現状では難しいかと思います。

 

○笠貫座長

 他に御意見がなければ、この製品についてのパブコメに当たっての方向性をまとめたいと思います。非常に難しいということを感じました。1つは、皆さん、OTC化は否ということで、かなりここは多くの問題が指摘されたようにも思います。特に中絶の問題との関係で、これを救える薬ではないかという御指摘があります。この薬が将来的にどうかということで、欧米ではこれがOTC化されている。ただ欧米と日本と比べた場合、性教育の問題を含めて、大きな文化の問題の違いもあるのだろうと感じました。

 あとは薬剤師の教育の問題です。緊急避妊の話になりますので、特殊な教育をどのようにしていくのか。あるいは先ほど同意書の話等も受けましたので、多くの問題を、ネット販売も含めて存在することがあるという御意見も出ました。2つの考え方があると思いますが、ここで、この製品のOTC化を否としてパブコメに上げないという考え方が1つです。それから、今の製品そのもののOTC化としては、現状としては時期尚早ではあるが、これからこういう問題が解決できたら、将来的には可かもしれないということを含めて御意見を併記した上でパブコメを実施するという考え方です。2つの考え方ができるかなということでお聞きしておりましたが、後者の考え方でパブコメを実施するという形で合意を頂けるかどうかということをお諮りしたいと思います。もし否ですということですと、パブコメにかけることはできないということになってしまいますが。

 

○宗林委員

 先ほど中絶の数をお聞きはしましたが、もしかすると、消費者の方は、皆さんの考えている形ではなくて、常備薬的に自宅に置いておく可能性が出てくるかと思ったのでお聞きしたわけです。私は消費者としても、性教育に関するリテラシー、それと、このような薬をどういったときに使っていいのか、また、同意書が必要なくらい難しい薬であることが、まだまだ理解がされていない状況にあると思いますので、私自身は反対です。

 

○小縣委員

 今、現場で働いていると、初診のアンケートなどのときにピルを飲んでいる方は、若い方で非常に多いのです。産婦人科の先生方に伺いますと、性感染症の方も驚くほどの人数がいらっしゃいます。そこで先ほどの話に戻りますが、この薬もいずれは必要になってくるものかもしれないと考えます。そのときに欧米6か国と同じようなところまで性教育や、こういうことに対する教育がきちんとできるようにならないと、いつまでたっても日本はこの薬を表に出すことはできないのではないかと思います。3分の1しか知らないという薬を、多くの方が全員というのは無理でしょうが、多くの方が知って、本当に困ったときに使えるというところまで認識させることがまずは大事ではないかと思います。パブリックコメント上、確かに載せたくない部分ではありますが、こういう薬があることを行く行くは知っていただくことも大事ではないかと考えます。

 

○鈴木委員

 パブコメに載せることは、前向きに使用を認めることを前提にという印象が強いのですが、そうなると今日の議論とは違うのではないかと思います。学会・医会の先生はどう考えるのか、見解を是非伺いたいと思います。

 

○矢野参考人

 私は、ここがアメリカであればOKだと思います。緊急避妊ピルを常時使用している環境に皆さんがおられますので、これをOTC化しても全く問題はありません。日本では青少年に対してある程度の性教育が行われているにもかかわらず、経口避妊薬を日本人はなかなか使用しないのです。日本はそのような文化・環境にあり、しかも実際に緊急避妊薬を必要とされる方は、経口避妊薬を常用されていないのです。日本でも何年かしたら緊急避妊薬をOTC化しても問題ない環境になるのかもしれませんが、今はまだ早いのではないかと思います。

 

○笠貫座長

OTC化としての時期尚早というのは、多分皆さんも御意見は同じだと思います。

 

○事務局

 現状、否という結論をもってパブコメに掛けるということも1つオプションとしてあることを申し添えさせていただきます。

 

○笠貫座長

 例えばパブコメで、今のようなたくさん御議論が出ました。そういう議論を踏まえてパブコメとして否として結論をここで出しました。これは多分時代の流れの中で、こういうものがどう変わるのか。これからいろいろな条件が変わるかどうか分かりませんが、そういうことでは、ここで時期尚早という形でパブコメを出していただくということで、多種多様な価値観を持つ国民サイドから御意見を頂くということも、ある意味でこれをどう周知していくのかという点にもつながると思います。鈴木委員いかがですか。

 

○鈴木委員

 パブコメの扱いについてです。パブコメを推進するにしろ、よく理解をされていない方の意見が多く寄せられたり、あるいは業界の意見が寄せられたりして偏ってきたときに、どのような扱いになるのか。パブコメの位置付けを明確にしてから議論したいと思いますが、いかがですか。

 

○笠貫座長

 私の理解は、多種多様な御意見を頂きながら、次の評価会議でそこを整理された形で、決して偏った形にならないようなもので、事務局でまとめていただいて、この場で議論していくものと理解していますが、いかがですか。

 

○鈴木委員

 あくまでもパブコメというのは意見であり、国民全員から聞くわけではありませんし、しかもある意味偏っているかもしれない意見です。それは参考にした上でもう一回議論するということであれば、完全に否定するものではないのですが、学会・医会の先生に同調したいと思いますが。

 

○笠貫座長

 どうでしょうか。今は時期尚早で否ですという形でパブコメを行うということでいかがですか。

 

○宮崎参考人

 そういう形であればよろしいかと思います。

 

○笠貫座長

 それから、薬剤師の方もそれでよろしいですか。それでは、非常にこの問題は大変難しく、私も余りまとめがうまくできませんでしたが、そのような形でパブコメを進ませていただけたらと思います。

 

○鈴木委員

 パブコメはあくまでも参考であって、ここで議論をする。あくまでも次回の会でパブコメの意見も参考にして決めるということはよろしいですね。

 

○笠貫座長

 そういうことです。

 

○鈴木委員

 はい、分かりました。

 

○笠貫座長

 基本的には全員が合意という形で進めさせていただきます。それでは、宮崎先生、矢野先生、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございました。続きまして、メロキシカムについて事務局から御説明をお願いします。

 

○事務局

 それでは資料6をお手元に御用意ください。

 資料63ページ、要望番号は平成28-13、成分名はメロキシカムです。要望された効能・効果は関節痛、腰痛、肩こり痛で、個人以外からの要望があったものです。対応する医薬品としてはモービック錠です。効能・効果は要望があった内容とは若干異なりますが、3ページに記載のとおりです。

45ページを御覧ください。本成分は炎症反応に関与するCOX-2を選択的に阻害する消炎鎮痛薬です。承認年月日は2004年、再審査結果は2009年に通知され、承認許否事由に該当しないと判断されているものです。医療用医薬品としての特徴・概要の中で、5ページ目の安全性の部分で、本剤は禁忌として消化性潰瘍のある患者、高血圧症の患者等の設定があります。また、6ページでは劇薬として指定されている製剤です。使用推定者数ですが、厚労科研の研究班や国民生活基礎調査の結果から推定しますと、腰痛持ちの方2,800万人、肩こりを持っている方1,200万人と算出されています。

7ページは海外の状況です。一般用医薬品としての承認状況は、特にありません。

8ページに医学会・医会からの見解を示しています。詳細については15ページに学会の見解、16ページに医会の見解を示しています。当日配布資料1については取りまとめたものですが、OTCとすることの可否については、学会・医会のいずれも可との見解をいただいています。また「留意事項」として、関節リウマチ、要望の中にはありませんが、効能・効果からは除外すべきといった御意見をいただいています。こちらは11回の長く効くものですので、投与日数は1週間程度を限度とし、効果がない場合は医療機関の受診を勧めるべきであるという点、消化性潰瘍やその既往歴のある人は主治医と相談の上で服用すべきであること、同様に、降圧薬・抗凝固薬を服用している方についても医師または薬剤師と相談した上で服用すべきであることについて、御指摘をいただいています。

 当日配布資料278ページに、OTC医薬品協会からの御意見をいただいているところです。こちらについても学会・医会の見解と同様、可ではないかとの御意見をいただいています。留意点として、1週間程度服用しても改善が見られない場合は医療機関に相談を行うよう注意喚起を行うことや、セルフチェックシート等により適正使用を図るといったことが提案されています。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 本日、参考人として御出席の田辺参考人から御意見、補足がありましたらお願いいたします。

 

○田辺参考人

 臨床整形外科学会の田辺です。メロキシカムに関しては学会の日整医会にしても、日本臨床整形外科学会にしても、OTC化は可である。非常に軽微な副作用であることが認められており、効果としては良好であるということです。

 しかし、リウマチについては、今日の資料の42ページで、MTXとの併用に関して慎重投与とあり、これはプロスタグランジンの生成を抑制するということで、リウマチの患者はMTXを飲んでいることが多いので、第一選択薬ですので、リウマチの患者さんに対しては投与には非常に注意が必要です。

 この資料の32ページはラットの実験で、医薬品インタビューフォームです。この時点でジクロフェナクとメロキシカム、上の方に書いてあります。メロキシカムが20で、ジクロフェナク2.2、これは抗炎症作用と胃粘膜障害作用を比較して割ったものです。メロキシカム20ということは、痛みを取るのに非常にたくさん飲まないと効かないということです。なので、たくさん飲むと、胃粘膜障害が起こる。ということは、一般薬にしたときに、痛みを取ろうと思ってたくさん飲んでしまうと、非常に危険な薬であることが分かると思います。

11ページは効能・効果です。11ページの左側の上の(2)では、あくまでも対症療法薬であって、他の薬剤以外のことを考慮すべきであるということです。腰痛や膝関節症に関しては、運動療法や他のことを十分に考慮しながら使っていく薬であるということです。いずれにしても副作用が軽微であり、効果はある程度あるということで、OTC化は可と、学会としては認めます。

 

○笠貫座長

 では、この成分のOTC化について御質問ありますか。

 

○鈴木委員

 まず、この薬は劇薬と聞いておりますが、劇薬の場合はずっと要指導のままということになるわけですか。それを確認させてください。

 

○事務局

 一般的に、要指導医薬品としての承認をする際にデータに基づいて劇薬の解除ができるかどうかというところは議論の余地はあるかと思うのですが、解除できない場合であれば、劇薬については要指導医薬品という形で法令上決まっておりますので、現行法令上それ以上の動かしようがないかというところです。ただ、製剤化によっては含量を少なくすることで、製剤として劇薬に入らないものがあるようであれば、それは一般薬として要指導から移行する形になろうかと思います。

 

○鈴木委員

 そうすると、ここで議論しても決められないということになりませんか。

 

○事務局

 結局、劇薬として最後該当するかしないかというのは個々の製剤レベルで、データに基づいて判断されることになりますので、そちらについては恐らくこの成分としての要指導としての妥当性はともかくとして、実際に個々の製品の承認の際に劇薬なのか、劇薬でないのかという議論になろうかと思います。

 

○鈴木委員

 個々の製品によって変わるということですね。

 

○事務局

 それは、中に入っている含量によっては劇薬にならないケースもあり得るという前提です。

 

○鈴木委員

 では、一応ここでの議論は行い得るということですね。

 

○事務局

 そうです。

 

○鈴木委員

 その劇薬の指定を外す、外さないはどこで議論していますか。

 

○事務局

 劇薬の指定の要否については、薬食審の方になりますので、実際に個々の製品の承認の際に劇薬を外すか外さないかの議論というのは合わせて行います。

 

○鈴木委員

 薬食審というのはどこですか。

 

○事務局

 要指導・一般用医薬品部会です。

 

○鈴木委員

 分かりました。

 

○笠貫座長

 他にはいかがですか。

 

○鈴木委員

 これは両学会ともスイッチOTC化は可としておりますので、私どももよろしいと思いますが、やはり意見の中にも含まれていますように、関節リウマチは除外すべきだと思います。それから、臨床整形外科学会からいろいろコメントが述べられておりますが、1週間程度服用しても改善が見られない場合は医療機関を受診すべきであること、あるいは、消化性潰瘍やその既往歴のある方は、主治医と相談の上で服用すべきであること、また、降圧薬・抗凝固薬を服用している方は、医師または薬剤師と相談した上で服用すること、そうしたことは守っていただく必要があると思います。以上です。

 

○笠貫座長

 他にはありますか。それでは、先ほどの劇薬の問題はこれから解除できるかどうか含めて、個別に決定いただくこととなると思います。パブコメを行うにあたり、本会議としての方向性をまとめたいと思います。関節リウマチは除外すること。それからOTCとして適切な効能・効果とすること、使用期間、消化器性潰瘍や既往歴のある人といった使用者に対する注意喚起を適切に実施すること。先ほど1週間という数値も具体的に出たと思います。医療機関の受診を勧奨するということを含めて条件にし、成分としてはOTC化は可と判断し、パブコメに進めさせていただくということで、よろしいですか。それでは、そのような形でパブコメを実施していただくようお願いいたします。田辺先生、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございました。

 続きまして、フルチカゾンクロピオン酸エステルについて、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 最後の品目です。資料7をお手元に御用意ください。

 資料73ページ、成分名はフルチカゾンプロピオン酸エステル、個人以外からの要望です。要望された効能・効果については、花粉による季節性アレルギーの次のような症状ということで、鼻づまり・鼻みず・くしゃみという形で要望があったものです。対応する医療用医薬品は、下に掲げているフルナーゼ点鼻液等です。こちらについては効能・効果はアレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎です。

45ページでは医療用医薬品として承認されているフルチカゾンプロピオン酸エステルを含有するフルナーゼです。定量噴霧式の点鼻液で、1994年に承認がなされたもので、再審査結果も2005年に出て、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されています。特段、治療学的部分や、安全性について言及するところはありません。6ページを御覧ください。推定使用者数は国民生活基礎調査を基に推定しており、鼻がつまる・鼻水が出るといった方は512万人、一般用医薬品の市場の中での鼻炎用点鼻薬は96億円で、1,286万個が年間出ています。こういった数字を御参考までにお知らせいたします。海外での承認状況ですが、6ページの下の方からです。英国、米国、カナダ、オーストラリアにおいて処方せん無しで購入することができる形になっています。

8ページは医学会・医会からの見解です。詳細については13ページ目から学会の見解、14ページ目に医会の見解を記載しています。また、当日配布資料1においても、取りまとめたものを配布しております。

 まず、OTC化することの可否ですが、こちらについては学会・医会いずれも可との見解をいただいているところです。その際の留意事項として、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量を8噴霧と限定すべきとの意見。長期間使用する際には通年性アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎、それから副鼻腔炎は他疾患の可能性もありますので、鼻腔内の所見が観察できる耳鼻咽喉科専門医の診療が望まれるといったことです。通常のアレルギー性鼻炎等に使われる一般用医薬品での注意喚起等で行われているところですが、こういったところの御指摘があります。その他、先にOTC化されたベクロメタゾンプロピオン酸エステル製剤と同様に、禁忌症例に投与されないように、適正使用のチェックを徹底すべきとの御意見もいただいております。

 また、当日配布資料の2910ページはOTC医薬品協会からの見解ですが、こちらも学会・医会の見解と同様、OTC化することの可否については可との御意見です。OTCとする際の留意事項としては、漫然と使用することがないように、用法・用量の注意として最大使用量や使用間隔等を記載するといった対応が提案されています。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 黒野委員と部坂委員から御意見、補足がありましたらお願いいたします。

 

○黒野委員

 黒野です。本薬剤はアレルギー性鼻炎に対して非常に有効なお薬であり、海外ではアレルギー性鼻炎に対する、第一選択薬になっています。日本では点鼻液がまだ市民権を得ていないためか、それほどの使用量はありません。しかし、非常に有効な薬であることは言うまでもなく、かつ、血中への成分移行が少ないので、安全性にも非常に優れていると考えております。

 本薬剤で一番懸念されるのが漫然と長期間使用されることですが、今回の申請に関しては花粉症に限定していることから、長期間漫然と使用されることはある程度避けることができるのではないかと思っています。長期間使用して効果がない場合には、各学会からの見解にもあるように、通年性のアレルギー性鼻炎あるいは副鼻腔炎などの合併症が懸念されるため耳鼻科を受診することを掲げていますので、安全に使用できるのではないかと思います。これは成人用ですが、一般的には12歳以上の小児も含めた成人が対象になるのではないかと思います。1回噴霧量が50μgであり、小児用は半量噴霧ですので、50μgを使うことによって12歳以下の小児で使用することは避けられると思います。ただ、私の要望として、用法・用量を分かりやすく記載してほしいと思います。鼻噴霧用ステロイド薬の効果が出ない原因に、用法を間違っていることが良く見受けられます。ちなみに、この添付文書の41ページにメーカーから出されている使用法のイラストがあります。これを見てろ薬剤師の方、我々医師も指導しますが、「噴霧するときうつむいて噴霧する」という表記は適切ではありません。このデバイスは真っ直ぐ立てないと必要量が出てこないので、デバイスを真っ直ぐにして噴霧するというのが正しく、そういった指導を薬剤師の方にもしていただければと思っています。以上です。

 

○部坂委員

 部坂です。黒野教授から言われたのとほとんど同じなのですが、私から追加させていただきたいのは、先ほども言われました、1日の最大量は8噴霧を限度として、あまりやり過ぎると鼻出血や鼻症状が出現する場合があるということで、気を付けていただきたいという点です。それと、アレルギー性鼻炎のスギ花粉症の第一選択になっていまして。資料の65ページに、「通年性アレルギー性鼻炎の治療」という、日本アレルギー学会のガイドラインにも書かれていますが、軽症でも鼻噴霧用のステロイドというものが第一選択になっています。今回は、通年性ではなくて花粉症についてということですので、短期間に使用することは非常に効果があると考えております。以上です。

 

○笠貫座長

 他にこの薬について、御意見ありますか。

 

○鈴木委員

 この薬も、学会・医会の先生方と同じように、スイッチOTC化はよろしいと思います。ただし、学会・医会の先生方がおっしゃっているように、最大の投与量は、18噴霧までを限度とすべきだろうと思います。それから長期間使用する、この長期間というのは、詳しく見ますと3か月以上ということなのでしょうか、その際には何らかの疾患の可能性もあるため、耳鼻科専門医の受診が望まれる、あるいは、先にOTC化されたベクロメタゾンプロピオン酸エステル製剤と同様に、禁忌症例に対して投与されないように適正使用のチェックを徹底すべきといったことは、是非守っていただきたいと思います。以上です。

 

○笠貫座長

 他にはありますか。

 

○宗林委員

 確認ですが、処方せん薬としては小児の半量のものが出ていますが、今回の場合は成人用のもののみということで、よろしいですか。

 

○黒野委員

50μgという量で申請していますので、成人用のみと考えます。小児には半量噴霧用のデバイスが必要です。したがって、これは成人用のデバイスを用いてOTC化するものと思われます。

 

○宗林委員

 逆に、そのデバイスが25μgのものがあれば、小児でも可なのですか。

 

○黒野委員

 そういった申請が上がってくれば、可になるのではないかと思います。

 

○笠貫座長

 今回の場合には成人、先ほど12歳以上の容量の話も出ました。12歳というか、小児の場合の用量も出ましたが、今回は成人だけということに限定したOTC化ということで、よろしいですか。

 

○黒野委員

 これは1噴霧50μgのデバイスですので、成人に限定されます。

 

○笠貫座長

 今回は成人に限るという理解ですね。

 

○黒野委員

 そのように理解しています。

 

○宗林委員

 もともとの申し出はそうであったかもしれませんが、もしデバイス自体を用意できて、12歳未満の方も使って、安全性が十分であれば、同様にして検討の俎上に載せることも可なのかと思ったので、お聞きしたのです。専門家の先生方がそれでも大丈夫ということであれば、合わせてということもあり得るかと思ったのですが。

 

○笠貫座長

 要望されてないので、ただ今日議論が出されたということを要望された方にもお話し、事務局の方で検討をしていただく。

 

○黒野委員

 この薬剤を小児に使用する場合は半量噴霧のデバイスが必要です。ただ、最近使用されている鼻噴霧用ステロイド薬は、小児には1回、成人には2回噴霧するようになっています。今後このような薬剤がOTC化されるときには、もっと議論が必要になってくるかと思います。

 

○佐藤委員

 佐藤です。医学会・医会の意見から、1日の最大投与量は8噴霧を限度とすべきと、数字がきちんと入っていることは大変有り難いと思いました。大量投与とか漫然と投与とか若年層とかというように言われると、なかなか分かりにくいものですから、このように数字を入れていただけると大変有り難いと思います。先ほど鈴木委員から御指摘がありましたように、長期間使用というのは多分3か月なのだろうということであれば、「3か月」と書けるのであれば書いていただきたいというのが、お願いです。よろしくお願いします。

 

○乾委員

 医療用は確かにそうですけれども、今回議論している、このスイッチOTC化のものについては、最大投与量を記載するのですか。111噴霧、12回というのが原則だと思ったものですから。

 

○黒野委員

8噴霧は倍量投与になります。11回で、両方に噴霧しますので、12回で4噴霧になります。したがって、それを倍量投与してもよいということです。この記載は是非していただきたいと思います。それ以上投与すると、ステロイドによる鼻粘膜の萎縮等が起こる危険性があります。

 

○笠貫座長

 先ほどから御指摘いただいている用法・用量の話については、8噴霧ということで、よろしいですか。それから、先ほどの漫然投与という使用もありましたが、これも1つの目安は3か月ですか。

 

○黒野委員

 はい。花粉症はスギ花粉症だけではなくて、ヒノキ花粉症も含まれます。そうすると最長で3か月ほど症状が続くことがあります。それゆえ、3か月以上症状が続く場合は花粉症ではないと考えられます。ただし、地域によって違います。

 

○柿田委員

1つ確認なのですが、私は眼科なので花粉症は分かるのですが。花粉症って、イネ科もありますね、夏。秋にはキク科というのがあります。この場合の花粉症というのはスギ、ヒノキに限定した花粉ということで、よろしいのですか。

 

○黒野委員

 それは非常に難しい点で、先生が御指摘されるように花粉症は1年中見られます。しかし、ガイドライン等で対象とする花粉症は、スギ・ヒノキ花粉症です。というのはスギ以外の花粉症で、病院や薬局を訪れる患者さんはそれほど多くはいません。また、スギ・ヒノキ花粉症に限定してしまうと、その診断をどうするのかなど、いろいろな問題が出てきます。先行のベクロメタゾンプロピオン酸エステル製剤の適応も花粉症という記載になっていますので、それに倣った形でいいのではないかと思います。

 

○笠貫座長

 このパブコメにあたりましての、本会議としての方向性についてまとめさせていただきたいと思います。OTC化については妥当ということで判断をするということと、留意事項として用量・用法の話がかなり出ましたということで、これについては整理をしていただきたいと思います。また専門家の先生方の御意見を聞いた上で、一般の人にも分かりやすい形の留意事項としてパブコメには挙げていただきたいと思います。今の25μgのことについては、改めて出た場合にまた御議論をすることとしたいと思います。では、このような形でパブコメを進めるということでよろしいですか。ありがとうございます。今日は5品目ということでしたが、こうしたスキームでの座長は初めてでしたので、大変私の方の不手際で時間が超過したことをお詫びいたします。皆さんの活発な御議論に感謝申し上げます。本日の議題は以上ですので、事務局から何かありましたらお願いいたします。

 

○事務局

 長時間にわたる御議論、ありがとうございました。次回の検討会議ですが、1115日の水曜日、16時から予定しております。場所については、また別途お知らせいたします。本日、御議論いただいた成分について、パブコメを踏まえた2回目の御議論、それから本日できておりません残りの成分で、準備が整ったものについて、御議論いただくことを予定しております。また、次々回以降の日程について、後日、日程調整させていただきますので、御多用のところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○笠貫座長

 それでは、これで第2回医療用要指導・一般への転用に関する評価検討会議を終了させていただきます。どうも長時間にわたりまして、御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

03-5253-1111(内線 2737、2741)

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