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2017年7月27日 第2回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年7月27日(木)15:00~17:00


○場所

航空会館 5階 501~502会議室(東京都港区新橋1-18-1)


○議題

(1)第1回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ議論の整理
(2)職域におけるがん検診ガイドラインを検討する際に議論すべき項目(案)
(3)その他

○議事

○事務局 定刻となりましたので、ただいまより第2回「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただいて、まことにありがとうございます。

 本日は、中川構成員、那須構成員、吉住構成員から遅れて参加されるとの連絡をいただいております。

 また、小林構成員からは御欠席との連絡をいただいております。

 本ワーキンググループの開会に当たり、がん対策推進官から御挨拶申し上げます。

○がん対策推進官 厚生労働省がん・疾病対策課がん対策推進官の丹藤でございます。

 2回目のこのワーキングの開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 まずは構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、大変ありがとうございます。前回第1回の「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」におきましては、職域におけるがん検診に関する課題、今後の方向性について、さまざまなお立場から幅広い御意見をいただきました。

 今回第2回のワーキンググループでは、その御意見を踏まえつつ、がん対策基本法やがん対策指針基本計画の基本理念に基づいてガイドラインの策定を目指して議論を進めていきたいと考えております。

 本日は、忌憚のない御意見をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

○事務局 初めに、資料の御確認をお願いいたします。

 まず1枚目に座席表。続きまして、議事次第。

 資料1「第1回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ議論のまとめ」

 資料2「職域におけるがん検診ガイドラインを検討する際に議論すべき項目(案)」

 参考資料1「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ開催要綱」

 参考資料2「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ構成員名簿」

 参考資料3「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針 概要」

 参考資料4「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」

 参考資料5「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理」

 以上でございます。資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 この後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 初めに、議題1でございます。7月6日に開催されました本会第1回の「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」の中でさまざまな意見が出されましたが、その議論の整理につきまして、事務局より説明を願います。

○事務局 まず初めに、資料1「第1回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ議論のまとめ」に関して説明いたします。資料1は、第1回目のワーキンググループで各構成員の皆様方からいただいた御意見をまとめたものであります。

 2枚目のスライドに、ガイドラインの位置づけに関する御意見を幾つか挙げさせていただきます。

 1つ目に、職域におけるがん検診に関するガイドラインの策定は、がん対策基本法や第3期がん対策推進基本計画(案)の策定に向けた議論に基づいて行われるものである。

 また、全員が同じ検査を受けるということで、職域におけるがん検診の項目等に関しても対策型の検診に準じたほうがよいという御意見をいただいております。

 また、がん検診を受けた人の約3~6割が職域でがん検診を受けられており、職域におけるがん検診が今後がん対策の主戦場になると考えられ、何かしらの公的な根拠が必要ではないかという意見もいただいております。

 その一方で、職域におけるがん検診は任意型検診ですので、ガイドライン策定によっていたずらに制限を設けることは好ましくないという意見。

 また、対策型がん検診に準じた内容にした場合、現在、保険者が任意型検診の中で実施している検査をやめてしまう可能性があるのではないかという御意見もいただいております。

 また、保険者に対するインセンティブやディスインセンティブに関する議論をしてはどうかという意見もいただいております。

 続いて、3枚目のスライドにはガイドラインに記載する検査項目に関する御意見をまとめております。

 1つ目ですが、市町村に対して国が定めている検査項目というものは、国の検討会におきまして科学的な根拠に基づいて定められたものであると位置づけられております。

 基本的には職域においてガイドラインを決める際にも、こういったものに準拠することが適切ではないかという御意見をいただいております。

 また、事業主におかれましては、財政基盤の大きいもの、また小さいところ、様々ございますので、経済的な負担を考えますと、ガイドラインの中で安易に新たに検査項目を追加するということは好ましくないのではないかという意見もいただきました。

 一方、職域でのがん検診は任意型の検診でありますので、その中で科学的な根拠をどこまで追求すべきかという意見もいただいております。

 また、職域のガイドラインに関しましては、こういった項目は許容できる、また、この程度の検診間隔までは許容してはどうかということを検討してはどうかという意見をいただきました。

 4枚目のスライドにはデータの管理に関する御意見をまとめました。

 1つ目は、がん検診の結果、また、精密検査を受診したか否かなどに関して、事業主もそういった情報を把握すべきではないかという意見。

 一方で、事業主にはがん検診の結果を知られたくない従業員がいること。そうした従業員へ新たに配慮が必要となることなどを考えますと、現状では事業者があえて結果を把握していないのではないかという意見。

 そういったがん検診のデータを企業が把握することで、企業に対しては責任が生じてしまうため、あえて結果を受け取らないのだという意見が挙げられました。

 また、産業医が配置されている企業においては、がん検診の結果を産業医が把握することは可能ですけれども、その一方で、産業医の配置がない企業におきましては、そういったデータの管理を人事の担当者や労務の担当者が行っているということです。

 こういったことを踏まえますと、がん検診のデータの取り扱いをどのようにするかといったことに関して、議論が必要ではないかという意見をいただきました。

 また、データの管理に関しては、統一したデータフォーマットを作成したり、あるいはがん検診の受診データとレセプトのデータを突合することで、がん発見率などが算出できるのではないかという案もいただきました。

 5ページ目には、今、申し上げたもの以外で、その他という位置づけで挙げさせていただいております。がん検診は二次予防でありますけれども、職域ではがん対策という位置づけで一次予防にも焦点を当ててはどうかという御意見や、あるいは企業の財政基盤によって、できるところ、できないところがございますので、そういったことも考えてはどうかといった意見をいただきました。

 6枚目のスライドですけれども、議論すべき点としてここに示す4つの点について挙げさせていただき、議論を終えたというところでございます。

 事務局からは以上です。

○大内座長 事務局から第1回の本ワーキンググループの議論のまとめをいただきました。

 大体皆さんから御意見をいただいたところは入っているかと思いますが、これに関連しまして、実は親の検討会であります「がん検診のあり方に関する検討会」での資料がありまして、参考資料として後ろにつけてあります。この件に関して、祖父江構成員のほうから説明いただければと思います。

○祖父江構成員 では、グラフとか図とかあるもの、7、8、9、10のところについて説明をします。

 対策型、任意型というふうにがん検診を分けるという考え方を打ち出したと。これはオリジナルなものというよりは、むしろ諸外国のほうでOrganize ScreeningOpportunistic Screeningと言われていたものを日本的にアレンジしたというものです。

 対策型というのは、がん対策として対象集団全体の死亡率を下げるためにやると。このために、対象者というものをきちんと定義をして行いますし、費用は公的なところから出して、全体としての利益・不利益バランスで考えるということです。

 一方で、任意型検診というのは、あくまで個人ベースで考えるということであって、なので、対象者とかあるいは受診率というものは余り定義されないものであるわけでして、しかも、費用負担に関しては、原則として自己負担。あくまで個人レベルでの利益・不利益バランスでもって考えるということです。

 職域におけるがん検診がこれのどちらに当たるのかと。今、事務局のほうからは、職域がん検診は任意型検診ですということがありましたが、今の実態、全ての職域におけるがん検診が個人ベースでリスクを考えて、利益・不利益バランスでもって判断しているかといったら、そんなことはないと思います。人間ドック等で自分でメニューを決めるということもあるかもしれませんが、多くのところは会社全体とか健保組合全体でポリシーを決めてやっている。これは純粋な任意型検診ではないと思います。

 ですから、市町村において行っている対策型検診に準ずるような運用がされているというところを取り上げれば、これは対策型検診の側面も持っているがん検診であると言ったほうがいいのではないかと思います。

 利益・不利益バランス。集団レベルで判断。個人レベルで判断。こういうことがあります。

 これがまず第1点の対策型、任意型ということを区別する考え方です。

 その中でも出てきますけれども、不利益、利益のバランスと出てきますが、利益というのは死亡率減少というのが最大のもので、あとQOLの向上とか医療費の削減、真陰性者の安心といったものもありますが、一方で不利益というものは必ず存在するということです。不利益に関しては、まずは偽陰性者、偽陽性者という、判断を間違ったという人に対して何らか不利益が生じると。これは割とわかりやすいところだと思います。

 検診の技法というのはある程度間違いを伴うといいますか、100%正しいものではありませんので、ある一定の確率でこういうことが発生するというのは避けがたいということです。ただ、こういうものもきちんと管理していく、精度管理という意味ですけれども、これを一定レベル以下に抑えるということが精度管理の基本だということだと思います。

 やや難しいのは過剰診断というところです。不利益の一つとしてカウントするわけですが、当事者は不利益という意識はほとんどないものを不利益としてここで挙げると。なので、現場と当事者、受診者、あるいは検診提供者の意識とかなりずれが生じてきます。これは相当丁寧な説明が必要で、これも不利益の一つですということをきちんと理解してもらうには時間がかかるといいますか、丁寧な説明が必要になるのだと思います。

 利益・不利益バランスを決める大きな要素の一つが年齢でありまして、下の図にありますように、年齢によって利益・不利益の量的な関係がかなり変わってくるであろうということです。ただ、きちんと計測されたデータに基づいてこのグラフが書かれているかというと、そんなことはなくて、こんな感じかなというものなのですけれども、利益というのは死亡率減少効果が最大のものであるとすると、死亡率そのものの大きさにかなり依存する。ただ、かなり高齢になってくると、そこの余命というところが関係してきますから、あるところでは頭打ちになるだろうというところで、黒い線のような量的な関係になると思います。

 一方で、不利益は若年者では偽陽性、あるいは放射線被曝等々で不利益の大きさが大きい。高齢に行きますと、今度は過剰診断合併症というところで不利益が大きくなる。

 恐らく利益が不利益を上回るという年齢は至適範囲が限られていて、若年を過ぎるところ、あるいは高齢を過ぎるところではむしろ不利益が利益を上回って、検診を行うべきではない年齢層が存在し、中間のところで利益が不利益を上回るという年齢層に限って検診を行うべきであると。

 その範囲が個人ベースで利益不利益バランスを考えた場合、これが任意型に相当しますけれども、それと集団レベルで考えた場合とで、集団レベルで考えたほうが利益・不利益バランスがプラスになる範囲が狭いだろうということです。お年寄りですと、非常に元気な人もいますけれども、そういう人は検診を受けることでの利益が大きい。そうすると、上限というのは任意型のほうが高くなっていきますし、低年齢でもハイリスクの人はがん検診の対象になるということを個人ベースで考えると、下限は低くなるとか、そういったことがあるはずなので、相対的に言うと、対策型の年齢層、至適年齢というのはやや狭目、任意型のほうはやや広目となるのだろうと考えます。

 こんな感じの解説ですけれども、以上です。

○大内座長 追加的に意見をいただきました。

 では、第1回の議論のまとめについて、皆様から御意見があればいただきますが、いかがでしょうか。

 では、追加資料に関して、祖父江先生への質問として福田構成員から受けます。

○福田構成員 祖父江先生は企業における検診はどちらかというと対策型に近いというお話ですが、任意型の場合、一切公費は入っていませんから、これを対策型に近いとして捉えてしまうことに若干違和感を覚えますことを申し上げておきます。

 教えていただきたい点は、先生の示されました「利益と不利益の大きさの年齢による変化(イメージ)」

 スライド、先生が「こんな感じ」とおっしゃいましたが、そのグラフの科学的根拠はどういうふうになるのでしょうか。

○大内座長 どうぞ。

○祖父江構成員 順番で行きます。費用負担は、職域の検診に対しては公的なお金というのは出ていないということです。

 ただ、100%個人が負担するわけではないですね。だから、ある集団に対しての、全体の費用に対しての至適な負担ではあるにせよ、集団としての負担がある。

 目的とするところは一体何なのかというところは、会社の構成員のがん死亡を下げることにあると。

○福田構成員 がんの死亡率を下げるのは最大の目的ですが、一方でQOLであるとか、労働力の確保であるとか、トータルに見たときの医療費の問題も重要と考えています。例えばEMRで処置された超早期の胃がん、それと腹腔鏡あるいは開腹による胃亜全摘なり全摘の場合を比べますと、医療費はEMRですと約40万。在院期間は大体1週間。片方の開腹の胃全摘になれば、2~3週間の入院。その後の抗がん剤治療等を考えますと、総医療費は少なくとも200万近くになります。 がんの死亡率を下げるというのが最大の目的ですが、健康経営であるとか、あるいはQOL、医療費の削減、労働力の確保という観点に立てば、単に死亡率だけでいい悪いというのはどうなのでしょうか。

○祖父江構成員 利益の構成要素が死亡減少だけだと言っているわけではありません。それは市町村におけるがん検診でも同じであって、QOLの向上、医療費の削減ということも利益の一部として含まれると思います。それは全然同じだと思います。

 ポイントは、集団としての視点があるのか、個人としての視点なのかというところ。それに関して、職域の検診でも、企業全体のそうした利益を最大化するためにやっているという意味では、対策型の視点というのがあるのではないかと思います。

○福田構成員 最大利益を求めているのは確かなのです。A企業というのは集団ですが、考えてみれば個人でもあるわけです。少なくとも国ではない。だから、その辺でどうも釈然としない御説明かなというふうに思ってしまうのです。

○大内座長 羽鳥構成員。

○羽鳥構成員 祖父江先生のおっしゃった任意型検診であっても、必ずしも全額自己負担ではないというのは、僕もその意見に賛成なのですけれども、例えば会社が任意型のがん検診を受けていらっしゃいと言ったときに、完全に個人で全てお金を出しなさいということではなくて、会社に勤めていらっしゃる方が保険として納めたところの中から払っていただくということになると、ある意味で半分公的な意味もあると思うのです。半分公的側面があります。

 もう一つ、任意型検診であれば、個人のレベルで利益・不利益ということでありますけれども、その場合、今、がんで死亡数が一番多いのは肺がん、次が大腸がん、胃がん、その次が、肝がんを抜いて4番目の死因に膵がんなります。そうすると、いわゆる対策型検診の場合には膵がんというのは全く入ってこないわけですが、それは例えば人間ドックや何かですと、超音波なり、あるいは腫瘍マーカーは意味があるかどうかわかりませんけれども、そういうものを追加しながらやっているというので、逆に任意型検診につけられるがんという意味では、また評価を一定程度加えてもいいのかなと思います。そういうことで、またほかのところでも議論したいと思います。

○大内座長 松田構成員。

○松田構成員 祖父江構成員がお話しになった職域の検診が任意型なのか、対策型なのかと言うと、私は極めて対策型に近いと思っています。それは多くの職域による検診が個人ベースすなわち個人が希望して受けているわけではなくて、これは私どもに来られている方を見ていてということなのですが、半ば強制的に受けさせられていると思っています。職域が社員、従業員に対してよかれと思っているがん検診を受けていただいている、受けさせているという観点があるので、多くの場合は個人が考えて個人で自己負担をして受けているわけではないということから言うと、職域におけるがん検診対策型検診に近いと言えると思います。

 では、費用の負担は誰がしているか、これが将来的にははっきりさせないといけないと思うのです。全ての職域におけるがん検診に住民検診のように税金を投入する、あるいは何らか職域に補填するというのでもいいのですが、その辺がはっきりすればもっとわかりやすくなると思います。ただし、今は福利厚生という名のもとにやっていることが多いので、ちょっとわかりにくい面もありますが、やっている中身は極めて対策型検診に近いというふうに理解をしています。

 もう一つ、対策型検診と職域の検診が違う点ですが、職域による年齢の上限は対策型検診で最も検診をたくさん受けている年齢層なので余り問題がないのですが、下限については、やはり議論をすべきだろうと思います。あと、検診間隔というものもあるかと思いますが。

 ですから、職域におけるがん検診は中身的には極めて対策型検診に近く、今後検討していかないといけないものは対象年齢とりわけ下限かなと考えています。

○大内座長 どうぞ。

○那須構成員 松田構成員の福利厚生的な側面については、これまでの検診の歴史を振り返ったら反省しないといけない点だと思います。ただ、死亡率を下げるということは、今の時代では最低限の目標であって、先ほど福田構成員からありましたように、健康経営とか、これからの人口減少社会における貴重な人材確保だとか、早期の職場復帰とか、データヘルス計画とか、医療費削減効果とかそういう新しい科学的根拠の視点が必要だと思います。

 今、羽鳥構成員からお話があった、会社がやる対策型検診の側面というのは、私も認めます。会社が社会に対していろんな貢献をやっていかないという意味からは、それは必要な側面であり、会社の使命として利益を出すだけではなくて、健康を守るとかいう使命があると思うのです。20世紀型の任意型か、対策型かの目的はこれでいいのですが、これから人口減少社会を考えたときは、より早く早期がんを見つけるとか、医療費が下がるとか、術後のQOLという目的をはっきりと任意型にするべきだと思います。

 それから、先ほど述べた福利厚生的目的ではなく、共助の保険制度に自助、自分で適切な検診を受けていくという文化をつくっていくべきだと思います。

○大内座長 小松原委員、どうぞ。

○小松原構成員 祖父江先生、ありがとうございました。非常にわかりやすい説明で頭の中がすっきりしたのですが、先ほど福田先生もおっしゃいましたし、那須先生もおっしゃっていますが、我々健保組合あるいは企業側の目的というのは、先ほど言ったように、死亡リスクを下げるというのが最大の目的ではなくて、生産者、労働者のQOLの向上、あるいは個人の生活の質の向上なのです。そこがまず一義的にあります。では、死亡率がないかといったら、それはなくはないのですが、そこが一番かと言われると、ちょっと違っていて、先ほどから対策型検診なのか、任意型検診なのかという国語的なお話がなされていますが、対策があれば、それは対策型検診で、健保組合が実施するものも企業が実施するものも対策型検診で、国語的には間違いないのだと思うのですが、対策型検診だから集団の死亡率を下げるという話になってきてしまうと、それはちょっと違うのかなと思います。

 羽鳥先生から御意見があった健保組合がある程度お金を出すので、それも公的な費用に近いのではないかという御意見はごもっともだと思いますが、被用者側で実施しているがん検診というのは、健保組合だけが実施しているのではなくて、企業が自主的に費用を出しているものもあるわけです。これを公的なお金と言ってしまうと、全くもって議論がおかしくなってしまいますので、そこは御理解をいただきたいと思います。

 確かに健保組合が出している場合もあります。ただ、健保組合の場合は保険料率を労使折半で出して、どういう事業を実施するか決めますので、全て公ですよねと言われると、私は首をかしげざるを得ない気がしております。

 それと、半ば強制的にがん検診に行かされている人がいるというのは間違いないかもしれませんが、健保組合の保健事業というのは全て任意的な事業になっていて、色々な事業を提供するわけです。その中で、ある健保組合などは、カフェテリアプランという形で、自分が何のために使うかということをポイントで選ぶわけです。それも対策型検診というくくりになるのかというと、そこは違うと思っていまして、人によってポイントを使いたいサービスが違うわけですから、言葉的には対策型検診なのかもしれないですけれども、そこで一つにくくれないという制度上の実態だということを御理解をいただいて議論いただけたらと思います。

○大内座長 皆さん、貴重な意見をありがとうございます。

 では、中川構成員。

○中川構成員 おくれて申しわけございませんでした。

 私も産業医の端くれではあるのですけれども、実務経験はありません。ただ、同じがん・疾病対策課の予算で「がん対策推進企業アクション」などにもかかわっておりまして、会社あるいは健保組合等の現場に行くことは少なくありません。そこでディスカッションする中で、一つは一体誰が費用負担しているのかということ。先ほどからあったわけですが、そこは非常に重要かなと思います。

 これは小松原さんに聞くべきかもしれませんが、全体としてはどれぐらい会社側が負担しているのですか。そこが税金を投入している住民健診と違うところで、前回申し上げましたが、メカニズムを含む科学的な立場に立つということは必須だと思います。ただし、費用負担者というものを無視することはできなくて、そこで死亡率だけなのか、もっと言うならば生産性ということも、仮に会社が100%出していれば、そこに少なくとも結果的に関心が行くのは当然だと思うのです。ですから、その辺が単純に対策型検診にあわせ切ることのできない背景であるということは私も痛感しました。

 この辺が非常に難しくて、どの辺を。少し含みを残さないと難しいということは、私も少なからぬ経験からも感じてはいます。済みません、まとまりのない話で。

○大内座長 小松原構成員、何か答えがありますか。

○小松原構成員 費用負担をどのくらいしているかというのは、正確な統計がございません。ただ、多くの金銭は健保組合あるいは企業が出していることは間違いないです。どちらが負担しているかというのは、保険料として拠出して、健保組合経由で出す場合と、企業が福利厚生の予算の中でがん検診の費用を確保して実施する場合があって、調査がないので何とも言えないですが、御本人が負担されているというのは、そのうちの1割とか2割とか3割とか、それは企業あるいは健保組合の財政力によって変わります。全額健保負担あるいは全額企業負担というところもあることはあります。

○大内座長 協会けんぽのほうはいかがでしょうか。守殿構成員。

○守殿構成員 協会けんぽは、健保組合さんと状況が違いまして、そもそも生活習慣予防健診の中でがん検診をやっていますので、法定健診も兼ねた上でがん検診がプラスアルファでついているという考え方でやっていますので、6割を保険料で補助しているという形で実施をしています。

 もう一点、先ほどからの議論の中で被用者保険というひとくくりなのですが、前回も少し出たのですが、企業規模といいますか、大企業と中小企業に置かれている従業員さんの環境というのは著しく違っているということもありますので、ひとくくりで議論すると間違った方向もあるのかなと。例えば検診の受診環境一つとっても、前回も申し上げましたが、事業規模が小さくなればなるほど受診していないと。これは協会けんぽの検診の性格上、法定健診を受けていないというところへつながっていっているようなところでございますので、そういったところと議論を分けて考える必要性もあるのではないかなと感じております。

○大内座長 議論を分けてということを今、言われました。

 本日、事務局のほうでまとめていただいた6ページの議論すべき点ということで、4点がここに示されています。第1点目について、対策型検診として進められたがん検診検討会での議論を踏まえたことを今、追加として祖父江委員からいただいたわけですけれども、この後に職域に特化したような論点はたくさんあるわけです。今、守殿構成員が言われたとおりに、あるいは福田構成員が言われているように、いろんな問題をはらんでいるわけですので、それをお聞きして、問題点を探りながら、どこまで踏み込むべきなのか。第1回の話し合い、それからきょうのも含めて、第2の議題で議論すべき項目(案)というものを一応皆様に提示いたしますので、その中で再度議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○大内座長 それでは、議事2に入ります。

 では、その前に祖父江構成員。

○祖父江構成員 先ほどの質問の第2番で。

○福田構成員 こんな感じのところ。

○祖父江構成員 こんな感じのでどんな根拠があるのかというところですけれども、根拠は全くないわけではなくて、最近は諸外国ではがん検診の中止年齢というものを、実例というよりはむしろシミュレーションモデル、数理モデルで、いろんな状況の人、大きな合併症を持っておられて余命が限られている方、そうでない方に分けて、どの段階で利益・不利益バランスがプラスからマイナスに転じるかというのを計算の上、求めて、どこで中止すべきかというような論文が幾つか出ています。

 その結果を見てみると、かなり高齢です。ですから、707580ぐらいのところで利益・不利益バランスがプラスからマイナスに転じるというような形になります。高齢者側はそういう検討が行われているということです。

 若年側は、こういう利益・不利益バランスの直接的な比較というよりは、むしろ利益の大きさというところで検討されるということだと思います。死亡率が非常に低いようなところ、あるいは罹患率が低いところではがん検診の対象になりにくいということなのだと思います。ですから、一応イメージと言っていますが、根も葉もないわけではないというところです。

○福田構成員 わかりました。ありがとうございます。

○大内座長 では、続きまして、議題2「職域におけるがん検診ガイドラインを検討する際に議論すべき項目(案)」を事務局より説明願います。

○事務局 資料2「職域におけるがん検診ガイドラインを検討する際に議論すべき項目(案)」について、説明をさせていただきます。

 この資料にはガイドラインの骨組みといいますか、こういった大枠の中で考えてみてはどうかということで、事務局が作成したものであります。順に説明していきます。

 2枚目の構成、どういった内容を盛り込むかということでして、1つ目にこのガイドラインの目的、2つ目に検診の項目や対象年齢、検診の間隔など、どういった方法でやるかという具体的な内容。3つ目が、検診を行うからには精度管理を同時に考えないといけないということですので、それをどうしていくかということ。4つ目は、先ほど座長も少し触れられましたが、検診ならではの問題を加味した取り組みをその他というところに盛り込んでいければと考えております。

 めくっていただきまして、第1の目的を説明させていただきます。ここに書いてあるものは、がん対策基本法、第3期がん対策推進基本計画(案)で、がん対策は科学的知見に基づくものとされております。本ガイドラインでは、その基本理念に基づき、がん検診の項目等を設定し、職域におけるがん検診において参考となることを目指しつつ、職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではないとすると書かせていただきました。

 なお、ここで指しておりますがん検診の項目というのは、市町村で行っております対策型のがん検診に準拠したもの。参考資料3にその抜粋がありますけれども、それに準拠したものであると考えております。

 第2の内容に関してですが、1から5に5つのがん種のがん検診を書いております。これは市町村が行っている検診にも含まれている項目で、多くの方はここの5つに関してはある程度合意の得られるところではないかと考えておりますが、その検査方法とか対象年齢、受診間隔等に関しては、もう少し議論が必要であると考えておりまして、その議論を行う上では、下に囲ってあります部分を念頭に置いて議論していただければと考えております。

 続きまして、5枚目と6枚目の精度管理とその他の取り組みに関してですが、精度管理はどのようにして行うか。検診の受診率、精検の受診率、また、未受診率や未把握率、最終的なその集団でのがん発見率がどれぐらいであったかということ、どのように実施するか。精度管理一つにしましても、誰が行うのかと。事業主なのか、保険者なのか、検診を実施している医療機関、実施機関がそういったものを行うのかということを今後中心に議論していきたいと思います。

 4番に関しては、がん検診に関する普及の啓発や情報提供。つまり、職域で受けていない人に対しては市町村への健診を進める場合もありますし、そういった情報提供をどのように行っていくのか。これに関しても、先ほどと同じように、誰が実施していくのか。事業主なのか、保険者なのか、検診実施機関なのか、こういったことに関して今後話を進めていきたいと考えております。

 最後の1枚は、今、私が申したことをまとめて、簡単な骨組みを示しております。案ですので大枠しか書いておりませんが、こういった中身を詰めていくのが今後の作業の1つではないかと考えております。

 事務局からは以上です。

○大内座長 ただいま事務局から資料に基づいて、「職域におけるがん検診ガイドラインを検討する際に議論すべき項目(案)」ということで、構成から目的、内容、精度管理、その他取り組み。最後に骨子を見据えてということで、詳しく臓器ごとの検査項目とか対象年齢についても書かれているところです。これは順を追って本ワーキンググループで意見をいただきながら取りまとめていくことになりますので、かなり大変な作業になることをまず御理解ください。

 第1の目的のところですが、今、たくさんの意見をいただきましたけれども、基本的なことについて、このような書きぶりについて、私が考えるに、そう異論はないかと思うのですが、参考資料3をごらんいただくと、これが健康局がん・疾病対策課からの資料で、がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(抜粋)で、下に各種がん検診の対象者、方法、間隔等が書かれていまして、次のページに実施体制。これは精度管理にかかわってきます。こういったことが書き込まれています。最後のページは事業評価というところまであって、チェックリストというのも適用されております。そういったことが既に市町村事業におけるがん検診では適用されておりまして、これらの項目に準拠する形でスタートしてはどうかというのが最初の目的になっている。

 しかしながら、現在職域で行われている任意型検診を妨げるものではないというところは、含みを持たせてよいところでして、年齢とか検査の項目とか、その目的とするものが死亡率減少効果のみならず、職域における健康管理であったり、ヘルスチェックであったり、そういったことも含めて幅広く議論してはどうかということが提案というふうに思っております。

 多分第2の内容というのは、各種がん検診において、がん予防重点教育のほうで定めた事項にある程度準拠する形で書き込んだ上で、これに追加することも可能なのですけれども、ただし、事務局が言われましたように、下の枠で囲ってあるように、念頭に置いていただきたいポイントというのは、この上位にある検討会、さらにその上位のがん対策推進協議会での議論がありまして、私は、がん検診のあり方に関する検討会の座長としてこの協議会でこのことを報告し、審議して諮っております。協議会のほうでそれを認める形で進められています。

 その中身というのが参考資料5「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理」です。平成2811月。これは第3期のがん対策基本計画に向けた協議会への報告書です。

 8ページの4に「職域におけるがん検診の質の向上及び市町村との連携」という見出しで、現状と課題が5項目ほど列記されていますが、これがまさに今、問題となっている点です。

 次の9ページに今後の方向性。それぞれに対応した形でこのような点について検討をすることということになっています。これががん対策推進協議会のほうに上がっている項目でして、それを受けて本ワーキンググループが設置されているということをまず御理解いただきたいと思います。

 まず、この点に関しまして、何か御質問がありますでしょうか。どうぞ。

○立道構成員 目的のところでよくわからないところがあるのですが、「職域におけるがん検診において参考となることを目指しつつ、既存の任意型検診を妨げるものではない」という理念であれば、もう答えは出ているような気がするのですけれども、職域は、先ほどあったように、対策型なのか、任意型なのかという2つのくくりでくくれるものではなくて、事業主が実施義務のある法定健康診断プラスがん検診をどう考えていくかというところなのです。事業主が実施している健診は法定で定められていますがこちらは法定で定められていないので、そうすると、どうしてもこれは任意型にならざるを得ないものです。社員の人が半ば強制的にがん検診を受けるということは、特殊な地域ではあるかもしれませんけれども、一般社会ではあり得ないことですので、そうした場合に、我々はどのように社員のリテラシーを高めて、がん検診を推奨していくのかというのが重要なことで、推奨の中身を考えていく必要があると思うのです。ベースラインとして対策型検診の項目があることはもう周知されているので、そのプラスアルファ何が必要なのかというところがここのワーキンググループでというよりも、社会一般の、我々、職域の産業保健を実践している者が欲しい指針であるということはご理解していただきたいなと思います。

○大内座長 職域におけるがん検診の位置づけが、通常のがん検診、がん予防と考えた場合に、一次予防がヘルスチェックのような形で入ってきます。これがまさしくメタボリックシンドローム対策で、これは特定健診となって入っているわけですね。がん検診は二次予防ですので、ここに大きな壁があって、その点の整理がなかなかつかないでいて、法的にも整備されていない。その溝ではないかと私は感じるのですけれども、かといって、保健局の委員もこの会にも関与されているのですが、この検討会は厚生労働省健康局ですので、保健局とは違います。ただし、健康局長の委員会ですが、保健局とも連動しながら今後どうするべきかについて踏み込んだ議論は可能です。

 ですので、例えば今、立道先生が言われたようなことを特定健診へ向けての議論まで深めていくべきなのか。つまり、職域は、ヘルスチェックというふうに考えている立場もおありでしょう。その場合には、今までがんの二次予防としてのがん検診をさらに広げた形で議論すべきかもしれないということです。ただ、そこには法律的なバックは何もないということがあって、悩ましいところです。

 事務局、推進官のほうからこの点について何かアドバイスがありますか。我々が検討すべき中身をある程度幅を広げなければいけませんね。いわゆる一次予防まで入るかもしれませんね。社員の健康を守るためとか、あるいは労働力、そういったことを考えた場合には、ヘルスチェック的ながん検診という見方も必要なわけです。そこまで議論をしていいのかどうか。

○がん対策推進官 今、議論を進めています第3期のがん対策推進基本計画の中でも、職域のガイドラインを速やかに議論して定めるということが必要な施策として挙げており、検討を進めているところでもあります。ただ、ヘルスチェックや一次予防的な観点まで含めての議論になりますと、どうしても時間もかかり、本ワーキンググループで結論をだせるものではありません。まずは職域において、ガイドラインも何もない状態から一歩を踏み出す。そういう意味では、まずは今、市町村に出している、参考資料5で御用意したようなものをベースにして御議論を進めていただきたいという考えでおります。

○大内座長 さて、この目的なのですが、いかがでしょうか。では、羽鳥委員。

○羽鳥構成員 第1の目的で「職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではない」ということが大事なことだと思います。内容として、6はちょっと別にして、1から5は、市町村の対策型検診と対比する意味でもきっちりやらなければいけないことだと思うのですけれども、「妨げるものではない」という第1の目的からすると、例えば第3期のがん対策推進基本計画ということは、この10年の中では、膵臓がんは胃がんを死亡数では抜いてしまう可能性もありますね。今、膵がんは発見されても死亡率九十%を超えるので、見つかったときはもう既に遅いという場合が多いわけですから、ここのところを一つターゲットに絞っておくというのも大事なことなのかもしれないと思うので、新味のあることを提案できるようなことであってもほしいなということが一つ。

 それから、特定健診と同じように、市町村でやる特定健診と健保の健診、その集団によって差があるかどうかを比べるというのはとても大事だと思うので、同じデータベース構造をつくってきちんと比較できるようにということで、次の回で日本医師会からデータベース構造を提案したいと思いますけれども、その2点を座長にしっかり考えていただきたい。

○大内座長 膵臓がんですね。実は前立腺がんでさえ、まだ議論されたことがないのですね。というのは、世界でRCTによる死亡率減少効果がまだ示されていない。膵臓がんもいろんなトライアルはあるのですけれども、いまだかつて根拠はないというのが現状で、す。では、ベースをどこに置くかということから入らなければいけないので、今いろんな抗体薬等の開発によって治療が変わってきていますけれども、なかなか早期の膵臓がん発見というのは難しくて、そこまで拡大するかとなると、これは相当いろんな方の意見をいただかないといけないと思っています。

 では、事務局のほうから何か。

○がん対策推進官 もちろん、羽鳥先生おっしゃるとおり、ここでの先生方の御議論を妨げるものではないのですが、ただ、ガイドラインという意味で、まずは一歩と。先月協議会のほうでお示しさせていただいた第3期の基本計画(案)の中には、個別のものとして、まず1年以内に職域におけるがん検診のガイドラインを定めて、それに基づいて、先ほど御議論のあった膵臓がんですとか、その他のがんについても、これからどんどん科学的な根拠、そういった知見がたまってくれば、当然それに対してもしっかりとした対応が必要と。そうなると、上のがん検診のあり方に関する検討会でも議論していく内容にもなってくるのかなと思っていますので、まさにそういったことを我々として今、考えている。

 ただ、ここでいろいろ御議論していただくということに関して、我々が何か言うべきものではないと考えています。

○大内座長 御意見。

○祖父江構成員 今のと関係なくてもいいですか。

○大内座長 どうぞ。

○祖父江構成員 目的のところの記述の内容ですけれども、最後の2行「となることを目指しつつ」の後を削ってしまって、「目指す」だけで終わるというのはどうでしょう。

○福田構成員 反対。

○大内座長 では、福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 今、祖父江先生が「どうでしょうか」ということでしたので、私は「反対」と申し上げました。祖父江先生の言うように「目指す」で終わってしまうと、これは全く対策型とイコールになってしまう。であれば、これは承認しがたいものだと思います。

 それから、職域では、福利厚生の一環として企業が費用をある程度負担し、また、個人にもある程度負担してもらって総合健診を行っている、その中で安衛法の法定項目のところは事業者に出す、それ以外のところは総合健診として個人に結果をお返ししている。そうなってくると労働基準局と意見のすり合わせが必要になってくるのではないでしょうか。

○がん対策推進官 はい。

○福田構成員 職域は労働基準局の守備範囲だと理解しています。その根拠は安衛法です。しかし、今、問題となっているのは、法的な根拠のないところの論議なのです。「職域」という名前を使うのであれば、当然労働基準局が何かしら関係するのかなとも考えますがその辺の御説明をいただけないでしょうか。

○がん対策推進官 まさに今、御指摘いただいたとおり、安衛法は労働基準局で所管しているということもあって、ただ、今回我々が議論しているがん検診は安衛法に位置づけられていない検診ですので、そういう意味では、この議論に関して労働局が直接関与しているものではありません。ただ、同じ厚生労働省の中で連携をしていくという意味では、当然情報共有はしていきながら進めていく必要があると思っています。お答えになっていますでしょうか。

○大内座長 安衛法の中にがん検診項目が記載されていないということがそもそも問題なのですが、では、そこにかけますかとなると、それも難しいわけです。なので、先ほど言ったように、例えばメタボリックシンドロームのような特定健診というのも一つの選択肢だろう。でも、この件については、もう十数年前に戻りますけれども、やはりがん検診もその俎上に一旦挙がったことがあったのですね。ただ、費用対効果という点で財務省のほうから受け入れられなかったということがあったそうです。詳しくはわかりませんが、そういった歴史を踏まえつつ、市町村事業というのは、健康増進法で定められた中でやっている。このワーキンググループは、あくまでも法的根拠のない中での進め方ですから、非常にグレーゾーンに入っているわけですので、そこの糸口を見つけるというのが皆さんのお知恵だと思います。

 祖父江先生の意見もよくわかりますし、福田構成員の意見もわかります。ですので、これはあくまで事務局のほうで検討されて、私もまずはこの目的で行ってみて、皆さんから意見をいただこうと思って出したわけでして、確かに皆さんに配慮はしています。だけど、本当はどうなのかということを真剣に議論していただきたい。

 松田構成員。

○松田構成員 今、対策型検診のみならず、職域におけるがん検診もエビデンスに基づくということが基本になっていますね。がん検診のエビデンスというのは死亡率減少効果の有無です。先ほどQOL云々もありましたが、それは死亡率減少が達成されて求められる、さらに上位のものだと理解しています。ですから、前回もお話ししましたけれども、誰であろうと、どこに勤務していようと最低限同じものが提供されないといけないのだと私は思っています。繰り返しますが、基本になるのは対策型検診だと思います。それに多少付加されるというものはあるかも知れませんが、基本は対策型検診に置くべきではないでしょうか。

 祖父江構成員がご指摘のように、それを目指すことにするというのは私も賛成ですが、表現としてちょっときついとすると、今回提案された内容が妥当かと思います。それが周知されてくれば、自然と対策型検診という形に収束をすると思いますし、対策型検診の中身としては今後随分変わるでしょうから、基本の考え方は事務局案で良いと思います。

○大内座長 この目的もその内容も最初の項目が案になっていますので、これは全て案で確定ではありません。このワーキンググループは月1回のペースで行う予定でおりますから、皆さん、覚悟を持ってやってください。

 どうぞ。

○小松原構成員 祖父江先生のおっしゃった「参考となることを目指す」、それもやり方としてはあるのかもしれないですけれども、もしそれでとめてしまうと、今、参考となる対策型検診のガイドラインというのはあるわけですから被用者版のガイドラインを新たに作成する必要は全くもってないのかなというのが1つございます。

 あくまでも被用者という冠をつけて作成すると言っているので、被用者なりの特性に合わせたガイドラインが必要だと思います。そのガイドラインの許容範囲はどこまでかということになるのだと思うのですが、1点大事だと思っているのは、受診率向上に被用者側のがん検診を利用できるか、できないかという着眼点が必要なのだと思っています。

 一つ例を挙げると、例えば被用者側で先月ヘリカルCTを実施しました。今月市町村のがん検診で胸部エックス線のクーポンが来ました。このような場合、再度がん検診を受けるのですかというのは純粋なる国民の疑問なわけです。そのときに、対策型検診の中にヘリカルCTががん検診として認められていないのだから、もう一回受けなさいと言うか、言わないか。私は再度受けなさいとは言えないのだと思っていまして、例えば任意型である程度許容できる範囲の検診項目を実施している場合は、がん検診を実施したとみなしてあげますということをガイドラインの中に書いてほしいと思っています。

 対策型検診の中にヘリカルCTを入れようとは毛頭思っていなくて、お金を出してもいい、あるいは高いリスクがある人。1日にたばこを2箱も3箱も吸っていて、気になる人が受けた場合、そのヘリカルCTをなかったことにして、もう一回がん検診を受けなさいというのはナンセンスだと思うので、そういう意味で、任意型検診のところでここまでの検診項目で実施をしていれば、対策型検診をあえて受けなくてもいい。要は、受診率にカウントしてもいいぐらいのものがガイドラインの中に記載してほしいというのが率直な思いとしてあります。

○大内座長 祖父江構成員、いかがですか。

○祖父江構成員 余り考えがまとまっていませんが、そういうことは全然趣旨と反するものではなくて、受診としてカウントするのは全然構わないと思うのですけれども、これを削ったほうがいいと思うのは、今、職域で行われているがん検診を全て肯定するという立場で考えますということがこのガイドラインを出す目的にちょっと反しているのではないかと思うわけです。こうあるべしということを科学的根拠から示すというのがガイドラインの役割であって、現状がそれと違う場合は、それを是正してもらわないといけないというところがあるわけですよ。

○福田構成員 でも、小松原委員の指摘したヘリカルCTを受けているような場合、今の説明はよくわからなくなる。もう一度お願いいたします。

○祖父江構成員 では、ヘリカルCTの例でいきますと、もちろんエビデンスとしてヘリカルCT、喫煙者に対して有効であるというのが米国などで出ています。NSTで。ですから、そのことを考慮して、喫煙者の方がヘリカルCTを受けるというのはある程度合理的な行動ですね。個人のベースでそれを考えて人間ドックを受けた場合に、オプションでヘリカルCTを受ける。これは別に妨げるものでは全然ないと思いますし、そのことをすれば胸部エックス線を受けなくていいというのも非常に合理的だと思います。

○福田構成員 そうですね。

○祖父江構成員 それはそれで全然構わないのですけれども、既存の職域で行われているがん検診のやり方が合理的でない部分もあるので、それを全て妨げるものではないとすると言ってしまうと、一体ガイドラインは何のために出すのかというところです。

 例えば今、協会けんぽで35歳以上にがん検診を一律にやっておられますね。35歳とする根拠は一体どこにあるのか。今、胃がん検診は50歳以上が対象年齢であって、若年のところは、利益の大きさが余りに少な過ぎるので、やめるべきであるというか、そこの利益・不利益バランスから考えると、対象としては不適切であるというところを、ガイドラインとして是正する方向で記述したほうがいいと思うのです。だから、それを言うためには、妨げるものでないとしたら、何を決めたって、どうぞ、やってくださいとなってしまうと思います。

○大内座長 福田構成員に対して申し上げます。必ず挙手した後で、座長からの指名をもって発言願います。議事録で誰の発言かわかりませんので。これは議事録が全て公開されます。ですので、前もって座長の指名を受けてから発言願います。これは議会でも同じです。

○福田構成員 はい。

○大内座長 では、福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 ありがとうございます。

 祖父江先生、例えば合理的でないことは排除しつつ、合理的と考えられるものは妨げないという考えはできませんか。

○祖父江構成員 もう一回言ってください。

○福田構成員 つまり、明らかに意味のないものはやめましょうということです。例えば腫瘍マーカーの一部を全員にやるということは意味がないと思われますから、そういうものはやめましょう。しかしながら、ヘリカルCTスキャンはある程度エビデンスが出ていると思うので、これについては、それは妨げないとするのが合理的だと思うのです。ですから、「目指す」でとめるのでなくて、非合理的なものと合理的なものをきちんと精査して、既存の任意型検診について評価するというのではまずいのでしょうか。

○祖父江構成員 それで修文してもいいですが、あえてそういうことを書かずに、「目指す」だけでも十分に今の意味合いを含んでいるのではないかと思います。

○大内座長 今、福田構成員が言われたのは、例えば評価のガイドラインがあって、こういったがん検診においても、あるいは治療一般にもそうですが、ある程度のエビデンス、複数あった場合、その研究の中身にもよりますけれども、A、B、C、Dとあって、Aは強く勧める。Bは相応な根拠があって、勧める。Cはどちらとも言えない。C1C2があって、C1が大体行われているわけです。

 ヘリカルCTは、多分C1なのか、Bまでまだいかないのだと思うのです。Dは禁忌ですので、そういうことはやってはいけないということになる。この文章は、削除というのはなかなか厳しいでしょうから、私は、「職域で行われている既存の任意型検診の項目も検討の対象とする」とか何か。つまり、申しわけないのですけれども、対案を出していただきたいのです。ただ削るというのと、あるいはこういう言葉ではどうですかということにしないと、前に進みません。

 では、先に小松原委員。

小松原構成員 済みません。対案と言われると非常に厳しいと思っているのですが、確認させていただきたいのですけれども、2行目の「科学的知見に基づく」というところがすごく気になっていまして、基本計画の科学的知見は、多分死亡率の減少ですね。私、先ほど目的が違うとさんざんお話しさせていただいたのですが、死亡率を目的にしていないのに、死亡率の科学的知見を持ってこられても、被用者側としては納得できない部分があって、この科学的知見が、例えばQOL向上とかという科学的知見も入るのか否か、今、議論をしていて全くわからなかった部分でして、そこによって書きぶりが変わる気がしています。

○大内座長 その点は、これこそ上位の法律があって、がん対策基本法、私、前回もお話ししましたが、その基本理念の中に「科学的知見に基づく医療」と書いてあるのですね。そこからは逸脱できないと思っています。では、それは死亡率減少効果だけなのかとは書いていないのです。だから、言葉としてはこれを使わざるを得ないのです。

○小松原構成員 言葉を使う分には全然いいと思っていまして、もしそうであるならば、祖父江先生がおっしゃった後ろ2行はとれないと思います。「その基本理念に基づき」とやってしまうと、QOL向上が一義的にあるにもかかわらず、それとは関係ないエビデンスであったり、理念をもとにガイドラインをつくられてしまうと、それは参考にならないガイドラインになってしまいます。もしそうであるならば、この言葉自体も全てを妨げるものではないので、妨げるものがあってもいいと思います。 前回のWGでも、中川先生などもおっしゃっていましたけれども、性交渉のない女性に本当に子宮頸がんの検診を実施するのかどうかという議論もあると思うので、そこはそれであってもいいのだと思うのですが、全て死亡率減の科学的根拠を中心としたものを念頭に置いたガイドラインのつくり方というのは、なじまないのではないかなと思っています。

○大内座長 那須構成員。

○那須構成員 歴史的に職域の検診イコール任意型検診を振り返ると、胃透視よりは内視鏡のほうがいいのではないかということで、経口内視鏡では検診では苦痛を伴うので、細径の経鼻内視鏡をつくろうというのは、実は私どもの協会が協力して経鼻内視鏡をつくったのですね。それからヘリカルCTもそうですし、乳房の超音波もそうですし、血液で早期がんを発見するとか、今、大学とか研究機関でたくさんやられていると思うのです。それはより早期に不利益の少ない、新しいモダリティーを世の中を挙げて研究しているわけでして、それがフィールドとして生かされていく場は、職域の任意型の検診で、それが実証され、世の中に普及していくだろうと思うので、これからの新しいモダリティーとか、検診のイノベーションを阻害するようなことを、しないでいただきたいなと思います。 もう一点、今、御指摘にあった利益・不利益のインフォームド・コンセントが足りないのではないか、福利厚生的に受けているのではないかという御指摘についてはそのとおりだと思うので、職域の検診の問題点をどう変えていくかというふうに議論していったほうが建設的ではないか。それを対策型に切りかえます、そういうふうに議論されると違和感を覚えます。

○大内座長 中川構成員。

○中川構成員 修文としては、最後の部分「職域で行われている既存の合理性のある任意型検診」ということでいいのではないですか。先ほどヘリカルCTの話が出ていましたが、同じようなこと、例えば大腸がんの全大腸内視鏡を先週やった方が、クーポンが来たら便潜血というのは、やはり。

 ただ、一方で、前回申し上げたように合理性が非常に乏しいようなことが一部行われているというのも事実だと思います。また、何回も申し上げますが、先ほどのバージンの方のこともそうですし、あるいはピロリ菌感染がもともとない方に関して、繰り返し内視鏡をやるのが本当に合理的なのか。ですから、一定の合理性のあるものについては残さざるを得ないのではないのかな。それは目的のところもそうですし、費用負担ということから考えてもそう思うのです。

○大内座長 皆さん、この資料の最後のページに「議論すべき項目(案) ~ガイドライン骨子を見据えて~」と。第1の目的の最後の2行のところが議論が交わされているところですけれども、中川構成員からは「職域で行われている既存の合理性のある任意型検診を妨げるものではないとする」という提案です。祖父江委員からは「目指す」でとめるという意見もあります。いろいろ御意見はあるでしょう。

 もう少しいただきますか。では、立道構成員。

○立道構成員 今、中川先生がおっしゃったように、最後の文というのが非常に重要でありまして、では、合理性のある検診とは何かというところが恐らく職域で知りたいところだと思うのです。ですので、先ほどの繰り返しになりますけれども、対策型検診の項目というのはもう既に公表されていて、我々の中でも落とし込まれている中で、では、合理性のある任意型検診とは何だというところが実際の現場では知りたいところだと思っております。

○大内座長 それが例として推奨グレードなのかなと思ったのです。推奨グレードは各種がん検診で既に出されていますね。それを参考にして多分職域でも使われていると思うのですけれども、世界中である程度認められているものもあれば、そうでないものは項目として入っていない、あるいはDとかC2とされているわけですから、そういうものも意識しながらではどうですか。これはどなたに。松田構成員、いかがですか。

○松田構成員 考え方が異なってしまうので難しいと思いますけれども、私も職域の検診をやっていますが、私どものところに来られるのは協会けんぽの方、あとは共済組合です。ほとんどの方たちが半ば強制的に来られていると考えています。ですから、個人的に何かしら選んでいるのではないのだと思うのです。その項目についても、協会けんぽですと、35歳以上は胃のエックス線検査あるいは内視鏡検査があります。私どもは朝、問診をしてどちらを行うかを決めているのですけれども、30代の方には、まだ対象年齢ではないのではと言ってかなり断っている向きもあります。ただ、最近は若い年齢の人については、一度胃がん検診を行ってみてピロリ感染があるかないかを判断して、次からは対象から除外することも行っています。また、ピロリ感染が疑われる方には除菌治療に関する情報提供も行っていますので、若い年齢については、考える余地があるかなと思いますけれども、行うべき項目としては、従来の私どもの知見で誰もが行うべき検診というものが基本になるべきなのではないかなということです。

 目的で「目指す」でとめてしまうのも、私の意見としてはそれに近いのですが、それだと反対が多いとすれば、少し含みを残すけれども、行く行くはそんな方向に行くと思います。

○大内座長 きょうの議論は、既に第2の内容にも入っておりますが、このワーキンググループで特に重要だと思っていますのは、職域であるからこそ第4のその他の取り組みが重要だと思います。第3の精度管理についても既にいろんな精度管理指標もありますし、チェックリストもあります。そういったことがある程度適用は可能だと思います。実施体制についてもそうです。

 通常の市町村におけるがん検診事業と一番異なるのは、今、例えば中川先生が入っておられるようながん対策への企業アクション等の普及啓発活動とか、あるいはがん検診を行うことによって福利厚生がどの程度よくなっているかとか、そういったことを議論していくのが逆に明るい材料だろうと思っています。

 ですので、広く議論いただきたいのですけれども、どうも最初のところで詰まってしまうのはもったいないという気がします。きょうはほぼ意見をいただきましたので、また精査していただきます。大変恐縮ですけれども、踏み込んで普及啓発の観点から、どこまでこのワーキンググループで議論すべきか、あるいはできるだろうかということを中川構成員から話してもらえますか。

○中川構成員 それはこのガイドラインの中に普及啓発に関してどこまでするかということですか。これはもともと職域の検診のガイドラインですよね。事務局側もそれでアグリーですか。

○がん対策推進官 はい。

○中川構成員 そうすると、基本的なことは書いていく必要があると思いますね。基本的なというのは、一次予防が非常に重要であって、例えばたばこのパッケージに肺がんの原因になると書いてあるわけですが、ほとんど全てのがんをふやしますね。多くの人は誤解がありますし、真っ赤な顔をして何合も飲んで、同時にたばこを吸っている方たちがこの周りにたくさんいるではないですか。あれは見ていられませんし、ただ、全て生活習慣がよくてもがんのリスクというのはかなり残る。だからこそ二次健診が必要だとか、そういう治療法、あるいはサラリーマンががんになると、サラリーマンだけではないですが、1年以内の自殺率が20倍などという話がありますね。

 どれくらい治るかのイメージを持っていくこともとても大事だと思いますし、それは座長が御紹介いただいた「がん対策推進企業アクション」の中で「がん検診のススメ」という小冊子を用意しています。宣伝めきますが、これは既に2300社余りが加入されて、パートナー企業と呼んでいますが、総従業員数は630万近くです。ですから、就業人口全体の1割ぐらいが参加されて、その社員さんには基本的に無償で配っています。これは私が監修して、もう260万部ぐらい出ていまして、なかなかに好評をいただいています。そこの抜粋項目をつくることは私のレベルでできますから、次回にでも御提案することは可能です。

 もう一つ、例えば先ほど合理性がある任意型というか、対策型の指針以外の部分について、もちろん合理性がなければ、それを認めるわけにはいかないと思うのですが、その中で例えば過剰診断の問題はとても重要だと思います。ただ、企業の場合、とりわけ産業医さんが十分に機能しているとすれば、そこは十分説明した上で、過剰診断の問題もリテラシーが高まればそれは防げる話なので、過剰診断ということと、それに対するリテラシーということも含めて書くことはできると思いますし、「がん検診のススメ」には過剰診断の問題も取り上げています。

○大内座長 それでは、取り組みの中で重要と思われる普及啓発、情報提供のあり方については、次回以降に中川構成員から情報提供をいただいてよろしいですか。

○がん対策推進官 次回以降のテーマについては、これから先生と御相談しつつ決めたいと思います。

○大内座長 立道構成員、どうぞ。

○立道構成員 この普及啓発の取り組みの中で職域と言ったら、100%事業主なのです。事業主がこれだと言ったら、職域というのはほとんどそれに従うので、では、事業主にどうやってさせるかということがポイントになると思っています。中川先生のところでこの前も事業主のリテラシーが高ければ高いほど従業員の検診率も高いというようなデータも出されていますし、基本的に事業主にどのようなアクションをしてもらうかというところをこの会でつくっていくかというところがポイントになると思います。

○大内座長 今の件について、推進官、答えられますか。

○立道構成員 普及啓発なので、事業主に一言言ってもらえればいいのですよ。

○がん対策推進官 そうですね。ガイドラインをつくって、それを事業主の方々にお示しして、普及啓発や情報提供の重要性についてお知らせするというのも非常に重要なことだと思います。今、中川先生にお願いして進めていただいている企業アクションもそうした観点で行われているものと思います。そういったものをよりこれから広げていくという意味でもこのガイドラインの意義はあると思います。

○大内座長 ということで、中川先生、よろしくお願いいたします。

○中川構成員 わかりました。

○大内座長 全体像を見た場合に、どうしても目的の中でまだ議論が整理されておりませんが、内容について、参考資料3にある各種がん検診の現状が対策型検診として行われている市町村事業です。これにプラスアルファできるか。先ほど言われたように、肺がん検診においてヘリカルCTもカウントする、しないとか、そういったことについてはある程度チェックできると思うのです。作業量としてそんなに膨大ですか。祖父江構成員、いかがですか。

 これは各種がん検診について、やはり検討せざるを得ないですね。ほかにも例えば大腸がん検診も内視鏡検診のトライアル、今、AMEDで工藤班が動いていますね。肺がん検診では、CTについてAMED佐川班が動いているわけです。それは世界の動きも含めて動いているわけで、日本もそれに向かってAMEDの革新がん、先生はその中のPOをされていますけれども、そういった観点からどういうふうに書き込んでいくかということも少し検討されてはいかがですか。

○祖父江構成員 ですから、平均的なリスクの方よりももうちょっと高いハイリスクの方に対して追加的な検診をどの程度行うべきかについて、興味があるということですか。その場合ですと、国立がんセンターが出している検診評価に関するガイドラインの中で、A、Bのものは今、対策として行われていて、この予防指針の中に含まれていると思いますので、CとかIというところですね。ですから、利益・不利益バランスが近接していて、個人レベルで判断してくださいというのが大腸がんの内視鏡ですね。それから、Iというのが幾つかあります。今、研究の進行段階でエビデンスが十分ではないというもので、ヘリカルCTなどはその例です。

 ですから、そのガイドラインのCとかIというものを記述して、ハイリスクの人に対してはこういうものが考えられますということはできると思います。ただ、AMEDで研究しているものをこの検討会で取り上げて、そこまで記述するというのはちょっとやり過ぎ、行き過ぎだと思います。それをやるには、一部の研究だけではなくて、今、得られている知見というのもきちんと整理した上でないと、こういう一般の人に勧めるガイドラインには不向きですし、その過程をこの検討会で吟味するというのはちょっと重荷だと思います。ですから、ガイドラインを作成する中で、更新される結果をこの検討会では使うという立場で臨むべきではないかと思います。

○大内座長 Iといいますのは、Insufficient EvidenceのIでして、研究は進んでいるけれども、例えばJ-STARTでは、超音波による乳がん検診の上乗せ効果を見ていて、プライマリ・エンドポイントの感度、特異度は出ましたが、死亡率減少効果まで行っていないので、親の検討会でも議論したのですが、中間報告には書きとめてあって、将来的に対策型検診になる可能性がある。ただし、死亡率減少効果あるいは実施体制等を鑑みて、さらに検証を進めることとなっていて、それはIなのです。そういったことが例えば肺がん検診のヘリカルCTもそうですし、大腸がんの内視鏡検診もそうですね。

 胃がんに内視鏡検査が入ったわけですけれども、そういったことの書きぶりというのはもう既にできていまして、それを引用する。今、祖父江委員が言われたように、IとかCになっている項目の中で適切、中川構成員の言葉をかりると、合理性ということでいいのかどうか。そういった枠で進めることも一つの方向性かなという気がしました。

 意見をいただけますか。福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 今の座長の御発言に賛成します。将来的に見込めそうなものであれば、ある程度のアローワンスで、それは財政状況にもよりますでしょうけれども、もしそれが事業主あるいは健保のほうで負担できるのであれば、これを否定するものではないと思います。

 もう一つ祖父江先生がおっしゃった中で大事なポイントは、ハイリスクグループという考えだと思うのです。中川先生がおっしゃったように、バージンの体に子宮頸がん検診を幾らやっても意味がないと思いますし、前も申しましたけれども、原発性肝臓がんは、B型、C型、慢性肝炎、あるいはNASHからの肝硬変がほとんどですから、危険群というのはある程度予知されていますから、危険群に対しては対策型以上のものを加味してもいいのではないかと考えます。先ほど中川先生がおっしゃったように、顔が真っ赤っかで、たばこをお吸いになっていると、食道がんの倍率が恐らく20倍か30倍ぐらいですね。

○中川構成員 100近いのではないですか。

○福田構成員 ですよね。ですから、ざくっとやるのではなく、きちんと危険集団というものを把握し、それに対してはある程度のアローワンスを持って任意型も可とするということが、私も実際産業医を幾つかやっておりますが、感じではそう思います。

○大内長 ほかに御意見はありますか。

 本日は、議論すべき項目(案)ということで、事務局から提案されております。たくさんの御意見をいただきましたので、修正を加えながら、次回の検討会に向けて、また意見をいただきながら、そのときにまた修正した案を出させていただきます。第2の内容については、先ほど申し上げましたが、ある程度進めてはいかがですか。ここは大体皆さん、意見がありましたね。中川構成員からは合理性のあるということですが、であれば、推奨グレードのIとCも含めた項目を一旦整理してはいかがかということ。

 問題は年齢の下限だと思うのです。職域ですから、上限は決まっていまして、下限で、例えば乳がん検診を20歳代からやっているということもあって、超音波単独とかもあって、こういったことは世界的にも例を見ない大変な状況になっています。そういった誤解も生じておりますので、そういった項目を具体的に掲げながら次回以降議論したいと思いますが、いかがでしょうか。きょう、そこまでは決めたいのですが、いいですか。

 あと、企業アクションについては中川先生から。時間の配分で可能であれば、次回なのか、その次なのか。

○中川構成員 いいですか。それは先ほどの啓発のことのまとめですね。日程が決まっておりますか。

○大内座長 では、事務局に一旦マイクを戻しますので、今後の日程等について説明願います。

○がん対策推進官 開催日程については、また追って御案内をしたいと思っています。

○中川構成員 よろしいですか。私、1011日を候補にしろというふうな御指示をいただいた記憶があるのですが、違いましたか。

○がん対策推進官 そこは調整で、また御相談させていただきます。

○中川構成員 そこはだめなのです。それはどうしようもなくて、9月もやられるのですか。

○がん対策推進官 そこは調整させていただいた上で、また御連絡します。

○大内座長 これはまだ決めておりません。候補日について皆さんのスケジュールをいただいておりますが、まだ確定はしておりませんので、調整させていただきます。

○中川構成員 座長、いいですか。

○大内座長 はい。

○中川構成員 仮にそれがそのとおりだとすると、実は9月、10月は難しいです。

○大内座長 わかりました。いずれにしても、この普及啓発等の取り組みについては、中川先生の経験を踏まえてこの中に盛り込んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 どうぞ。

○立道構成員 一次予防のほうにこだわるのですけれども、ピロリと肝炎の検査が、ピロリの抗体は不十分ということで、検診には含まれておりませんが、基本的にピロリ菌からの胃がんというのは、ほぼコンセンサスを得られていると思いますが、ピロリの検査をどうするのかということについてもここで議論いただけるのでしょうか。

○大内座長 リスク層別化に関する研究班もAMEDでもうスタートしております。その前から厚生労働省のがん研究助成金による研究班もかつてありましたし、日本のデータはある程度あるのですが、まだかたい根拠になっていなかったということです。なので、まだIなのです。ですので、Iという項目で書き込むことは可能かと思います。

 ただし、いろいろなただし書きが必要になってきますけれども、おっしゃるとおり、年齢階級別に見ていくと、胃がんの罹患率の減少、それも年齢でピロリ菌感染の率でパラレルに減少しておりますので、そういった先を見据えた提言も必要だと思っています。

○立道構成員 いわゆる感染型のがんに関しては、感染症をコントロールできれば減ることがほぼコンセンサスを得られていますので、できればそれも討論に入れていただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。

○大内座長 どうぞ。

○羽鳥構成員 きょうは精度管理については討議していないのですね。もうやったことになっているのですか。

○大内座長 先ほど申し上げたのは、精度管理に関しては、がん検診のあり方に関する検討会の中で何度か改正を重ねていまして、まずは検診実施機関が守るべきチェックリスト、それから各自治体ですね。これは市町村事業ですから首長さんの責任でやっています。そこでチェックすべきリスト、それから都道府県、それから国がチェックするという段階別になります。

 ここは、それから見ますと、検診実施主体におりていくと思います。あるいは市町村と同じレベルでチェックリストが入ってくると思うのですが、そのひな形もきょうお示ししていませんし、この点については、このようなスケジュール案で行きますというだけで、まだ決まってはいません。これから提示した上で、今、市町村事業で行っているチェックリストはどういうものかを皆さんで知っていただいて、ここに書いてありますように、実施を誰が行うか。事業主か、保険者か、検診実施機関かということです。これは非常に重要なポイントでして、検診実施機関はもう既にやっているのです。それをイコールで事業主、保険者に行ってもらうようにすべきかどうかというのが最大のポイントになります。

 よろしいでしょうか。

○羽鳥構成員 わかりました。

○大内座長 福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 今の羽鳥先生のお話に関連して、がん検診はどこでも受けられる状態になっていると思うのですが、どこで受けても一緒ではなく、精度管理がきちんとできていることが重要、特に第三者評価を受けていることが重要かと思います。例えば乳がんですが、これは少なくとも精中委の施設認定を持っているところで受けていただきたいと思うのですが、ただ、実際問題精、中委の認定施設でないところで受けている方も多いです。このワーキンググループの中で、例えばこのような検診機関が望ましいとか、そういうことは御検討いただけるのでしょうか。

○大内座長 これは事務局に確認したいのですが、参考資料4があって、これはいわゆる健康増進法に基づいて健康局長から通達されている中身でして、まさしく今、福田構成員が言われたことで、精度管理に関する項目も記載されています。各種がん検診で記載されていて、例えば乳がん検診について、撮影、読影に関しても、別紙、17ページ以降にその具体的なことが記載されています。19ページに乳がん検診がありまして、下の部分「エックス線検査の留意点」ということで、日医放の仕様基準を満たすとか、その後ろに精中機構のことも書いてあります。こういったことは各がん検診で制度が整っていれば書き込んでありますし、なければないので、これは仕方ないですね。そういったことも今回盛り込むことはどうか。これはわかりません。これは事務局のほうでどう考えているのか、今、いただけますか。

○がん対策推進官 そういう意味では、まさに精度管理の部分についても、大内座長御懸念のとおり、誰が実施していくのかということが非常に重要な部分だと思っています。市町村ではこうした通知をもとに、それぞれの市町村あるいは検診実施者に対しても、この留意事項に基づいて行うということを入れているわけですが、こうしたガイドライン、いわゆる指針がない職域においては、現状を把握し、それをさらによくしていくためにはどのようなやり方があるのかということも議論していただいきたい。本ワーキンググループでは、職域におけるがん検診の精度管理についてもきちんと御議論いただきたいと思っています。

○大内座長 今、福田構成員から御指摘の部分は、参考資料5の9ページ、先ほど御紹介しましたように、今後の方向性の中のの最後「国は、職域のがん検診の実績をデータヘルス計画へ反映することを検討するとともに」とあって、「精度管理を実施している保険者や事業主を公表するなど、保険者や事業主にインセンティブを導入するための方策について検討するべきである」、この部分がこのワーキンググループになりますと私は理解しています。

 どうぞ。

○福田構成員 ただ、実際にはこのところがあまり保険者や事業主あるいは市町村長にどうも周知ができていないような印象を受けるのですが。

○大内座長 市町村事業によるがん検診については周知していまして、各都道府県ごとにチェックリストの確認をされています。ですので、これは職域にもどうするかということの議論からまた始まるわけでして、既に市町村事業についてはもう確立した仕組みになっています。

○福田構成員 マスコミ情報しかないのですが、青森県のがん検診精度管理モデル事業で、精度管理の件が問題になっていますね。

○大内座長 これは今、本省のほうも精査中なのでしょう。市町村事業におけるがん検診の精度管理の実態は報道されたこともありますが、中身については私も詳しくわかっていません。

○がん対策推進官 報道でもあったように、都道府県や市町村で精度管理の取り組みに差があるということは我々も承知しておりまして、過去何度かこの指針について、あるいはチェックリストについて、しっかり告示に基づいてがん検診を行っていただきたいというお願いをしてきましたし、事実通知のほうでも何度か出させていただいています。また、今回新たに通知を出すことも含めて今、検討しておりますので。

 今回は職域についても精度管理はどうあるべきかということを議論していただきたいということでございます。

○大内座長 よろしいでしょうか。

 活発な御討議、ありがとうございました。本日の議論はここまでとしたいと思います。

 一旦事務局にマイクをお戻しいたします。

○がん対策推進官 長時間にわたり活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。

 次のワーキンググループの日程を含めた詳細につきましては、また追って御連絡をさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上です。

○大内座長 それでは、本日、第2回のワーキンググループをこれで終了いたします。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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