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2017年7月31日 (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第2回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成29年7月31日(月)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館(3階)312共用会議室


○出席者

佐藤座長
佐々木構成員
小林構成員
北岡構成員
菊地構成員
石渡構成員
宮原参考人
片桐専門官
遠藤オブザーバー

○議題

(1)事例発表について
(2)前回の議論を踏まえた課題の整理について
(3)その他

○議事

○佐藤座長
 では、まだ定刻前ではありますが、出席を御予定されている皆さんがそろっていらっしゃるようなので、少し早いですが、ただいまから第2回目の会議を開催したいと思います。構成員、オブザーバーの皆さんには、御多忙中のところ、また大変連日暑い中お集まりいただきありがとうございます。
 それでは議事に入る前に、事務局から出席状況、あるいは本日の会議の資料の確認をお願いします。
○渥美施設管理室長補佐
 委員の出席状況です。本日は、大塚構成員、千葉構成員から御都合により欠席との連絡を頂いております。続いて、事務局に人事異動がありましたので御紹介いたします。7月11日付けで就任いたしました宮嵜障害保健福祉部長です。
 続いて、本日の資料の確認をいたします。お手元の資料を御覧ください。資料1「社会福祉法人グロー(GLOW)設立の背景について」、資料2「佐賀県立佐賀コロニーの民間移譲について」、資料3「強度行動障害に取り組む事業所の事例」、資料4「のぞみの園の実践事例」、資料5「前回の議論を踏まえた課題の整理について」以上です。お手元にそれぞれの資料がありますでしょうか。過不足などありましたら事務局にお申し付けください。よろしいでしょうか。
○佐藤座長
 それでは早速議題に入ります。最初に、事例発表について段取りを事務局から説明いただきたいと思います。
○渥美施設管理室長補佐
 今後の議論の参考とするため、他の自治体や社会福祉法人における取組事例及びのぞみの園の実践事例について御紹介したいと思います。このため、本日は参考人として、遠方からはるばる来ていただきました佐賀県産業労働部副部長の宮原様に御出席いただいております。その他、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室の片桐虐待防止専門官も出席しております。事例の順番について、資料の番号のとおり、まずは北岡構成員から「社会福祉法人グロー(GLOW)設立の背景について」、続いて宮原参考人から「佐賀県立佐賀コロニーの民間移譲について」、その次、片桐専門官から「強度行動障害に取り組む事業所の事例」の順番に発表を頂き、最後に遠藤オブザーバーから「のぞみの園の実践事例」を発表いただくこととしております。
○佐藤座長
 では事例発表に入りたいと思います。発表はおよそ10分程度でお願いします。その後、各発表ごとに5分程度の質疑の時間を設けたいと考えております。では、最初に北岡さんからお願いします。どうぞ。
○北岡構成員
 北岡です。どうぞよろしくお願いします。私は、社会福祉法人グロー(GLOW)の理事長を務めていますが、この前身が、実は滋賀県社会福祉事業団という社会福祉法人と、オープンスペースれがーとという社会福祉法人が、この2つの法人が1つになりましてグローという社会福祉法人を新たに創りました。今日ここでは、主に2つが1つになったことについてというよりも、滋賀県社会福祉事業団という県が出資をして作っていた社会福祉法人が民営化したということに、少し時間を置きながら話ができたらと思っております。今日はこういう機会を頂きありがとうございます。
 1枚めくると、社会福祉法人グローの施設の事業概要が載っております。大体、高齢者や救護施設に関しては、旧社会福祉事業団の事業を引き継ぎ行っているものです。ですから、特別養護老人ホーム、また養護老人ホーム、それから老人のデイサービス、又は救護施設などについては旧社会福祉事業団のものです。また、法人本部の中に幾つか、幾つかというか1つ、ちょっと社会福祉法人としては珍しい取組かと思いますが、博物館相当施設、県の教育委員会が認めました博物館相当施設で、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAという美術館を運営しているのがこの法人の1つの特徴になるかと思います。このミュージアムは今年で14年目を迎えておりまして、近江八幡という歴史的な伝統建造物群地域において、その近江商人の家を改造したものです。
 まず、社会福祉事業団という組織の改革の必要性ということです。私も実は滋賀県社会福祉事業団の理事長に9年前に就任をしまして、それ以降、この社会福祉事業団の在り方について検討してまいりました。県が作った社会福祉法人ですので、おおむね入所施設の経営とか運営を中心にやっていました。
 3ページを御覧ください。これは46通知からの脱却を考えねばと思いました。理事長として最初いろいろ関係者の方に意見を聞いたところ、あと、自分たちの理事会で検討してこれをやっていこうと決めたのが、「滋賀県社会福祉事業団が選んだ道」ということで書いております。1つは独自の給与制度を作る。これは県の公務員の給与に準じて作ってありましたので、それを、言わば収入に見合う給与内容にやはり変更すべきではないかという話がありました。それから2つ目が、県の職員の方の出向者が各施設の園長として配置されることがありましたので、できればプロパーの方にそれぞれの施設の施設長になってほしいという希望を持ちましたので、県と協議しながら県職員の出向の廃止を県側に求めていったということがあります。
 それから、2番目の県職員の出向者の廃止みたいなことについては、いろいろ御意見があったのですが、要は県からの出資金を全額県に戻すということが、どうも独自的な道を歩むことにつながるのではないかと思いまして、県から頂いていました出資金、県の社会福祉事業団を設立する際にあったお金と、それから運営のための、言わば指定管理制度に移行した際にその運転資金として頂いていたお金を全額県に返還をすることを、この辺りで決断しました。あと、運営していました県立施設の移管については、他の社会福祉法人も手を挙げるというプロポーザルの形が始まりまして、私どもは当時、県の事業団が運営していた施設を全て手を挙げて、何とかプロポーザルもやり受けることになりました。修繕の改築に関する交渉なども、修繕改築はその前の話でしたが、そのようなことがありました。そういうことで、法人理念の再構築をやると、それから中期経営計画と人材育成の指針の策定を改めてやろうということを、これは同時並行的に県との協議の最中やってきたということです。結果としましては、全て県からの出資金を返金して県からの出向者を受け入れることはせずになりましたし、新たな社会福祉法人オープンスペースれがーととの合併を目指し、そして法人の理念を再構築した。建物に関しては、昭和40年代の、44年、45年代の建物でしたので、その大規模修繕に係る費用については、県と協議をしてある一定額で折り合ったということがあります。
 この辺が3ページまでの話で、4ページ以降は、その理念をどう考えたかということです。5ページが、糸賀一雄さんと田村一二さん、池田太郎さん、この3人の方が、滋賀県が培ってきた障害福祉の思想としてとても重要だということで、こういうことをもう一度勉強しまして、法人として新たな理念作りに頑張ってまいりました。
 時間がないので7ページを御覧ください。そういうことから法人の理念としては、「生きることが光になる」という理念、みんな自分の天寿を全うするという人生において、それは輝くものであるということと、人々は誰もが笑顔を絶やさず生きることができるはずだということから、「ほほえむちから」というものを法人の2つの大きな理念にしまして、3つの経営方針を立て、今、やっています。真ん中の丸で、新しい社会的価値の創出と発信ということもありまして、この辺りが、私たちが美術館を経営することとある種何かリンクしている話でもあると考えています。
 法人合併のメリットはいろいろありましたが、法人の合併のメリットというよりも、私ども県の社会福祉事業団から完全に民営化になったことのメリットとして、メリット、これは私が考えることなのですが、それまでは、県の方が重要なポストに座り、その方の指示に基づいて職員は仕事をやっていましたので、なかなか自分たちで地域のニーズを感じ、それに対して提案を行うことに訓練されていなかったのではないかと思っています。それが完全民営化になり、この中でみんなでやっていくのだということが徐々に浸透することによって、受け身から、ある種提案型の職員が徐々に今、育ちつつあるのかと思っております。また、そのきっかけとしてこの合併もありまして、入所施設の運営だけにとどまらず、社会福祉法人オープンスペースれがーとでは在宅福祉サービスを平成6年からやってまいりました。24時間のホームヘルスサービスをやろうということでやってきたり、今の障害者自立支援協議会の前の形でありますが、サービス調整会議ということを平成6年に地元自治体と協議をしながら進めたという経緯があって、この在宅の生活、地域での生活をどう支えていくのかというチームと、言わば特別養護老人ホームなどで働いてきた職員たちが一緒に議論を進めていくということで、施設でのサービスの在り方と、在宅サービスの在り方を法人全体として共有していくということが起きてきたかと思っております。
 現在は、養護老人ホーム2つを建て直し、それから救護も建て直し、そのために法人が建て直したための借入れも4億円を超えましたが、それは県からの大規模修繕費用に比べるとそれだけの差額はあります。また特別養護老人ホームも近々どうするのかという議論がありまして、これを建て替えとなるとそれなりの費用がまたどんとかかってくるわけです。それにしても、言わば民間に入ってくる収入とこういう返済を行いながらどうやって法人の経営をやっていくのかというように考えております。私どもは、県の社会福祉事業団を民営化したことの結果が今後どう出るのか。本当はあのままのほうが良かったのにと言われる可能性もあるかと、正直言うと、行ったり来たりそこは思いますが、県の経済的なバックアップもないという社会福祉法人として、正に自分たちで経営をやっていくのだという選択肢を我々は選びましたが、この選択肢が正しかったと思えるような取組を今後とも一生懸命やっていきたいと思っております。以上、ちょうど10分になりましたので。
○佐藤座長
 ありがとうございます。今、北岡さんからありましたように、滋賀県では、社会福祉事業団と、それから全く民間の法人が合併して新たな形で今、仕事を展開しているという経過のようです。皆さんのほうから御質問がありましたら、この機会ですので。
○菊地構成員
 2点だけ確認したいと思いました。まず1つは、県の職員、いわゆる地方公務員を受け入れないで民間の社会福祉法人のプロパー職員で運営していくことの価値について、その辺のところをもう一度詳しく説明していただきたいと思います。
 あともう1点は、後半で言われた法人合併の部分です。法人合併には副作用もあるかもしれませんが、効率性や、あるいはいわゆる資金の総合性と考えれば、確かに合併の価値はあるかもしれないのですが、合併するかしないかのラインはどこでどう判断されていたのか、その辺りを少しご説明していただければと思います。
○北岡構成員
 最初の、県の方をという話です。福祉現場で、やはり行政的に福祉の経験を何かされている方もいらっしゃれば、そうでない方が県の人事の都合で回ってくる、回ってくるというか、みえるということもありました。現場に具体的にどうやって、施設長の机に座るわけですが、現場の様々な課題に対してなかなか回答をしていくのも厳しい状況があったこともありました。
 それから、県の事業団で一番私が不思議だと思ったのは、大規模修繕をやりたいというときに、県の来年度の予算に計上して、来年度の議会を通らないと大規模修繕はできませんという類の話が結構ありました。しかしそこで人は暮らしていて、人は大変なので、100万円を超える大規模修繕が必要だという際も、何か県の議会に予算が通らないとそれができないというのは、人をケアするという現場のリアリティと、予算を執行していく仕組みのミスマッチではないのかと思ったことが2つ目です。
 例えば、養護老人ホームですと昭和40年代にできていて、その当時の養護老人ホームは元気老人が暮らすみたいな所ですから、トイレも和式が多かったです。今、ところが要介護3とか4とかという方も結構な、データが今、手元にありませんが、4割以上はそういう方がいて、そういう方に対して、ではトイレを和式から洋式に替えないと大変なのだと言うと、ではトイレを大きくしないといけないですねとかいう話もすると、それは大規模修繕が要るのだという話になり、そうしたら、では簡易のトイレを持ち込んでそういうことでやはりやってもらうようにするかみたいなことなども、全て翌年、そしてまたそれで予算が通らなかったりするとまた翌年になる可能性があるということから、県の議会との関係で福祉サービスを受ける人たちに対していろいろ起きるというのは、これはなじまないのではないかと思いまして、やはりこれは民営化すべきであると私は結論した、決めたということです。
 それから、法人合併のメリット、デメリットについては余りここは悩まなくて、関係者で話したのは、れがーとというのは在宅サービスをとにかくやっていて、事業団はいわゆる入所型をやっていて、これからの社会福祉法人というのはその両方の技術を持った法人になっていかないと、恐らく、今後様々なニーズを受け止めていく上において難しい局面が出てくるのではないかということから、合併については、この辺は余り悩まずさくさくと行きましたが、先ほどの県から民間になるというのは、非常に、例えば職員たちは給料が大きく下がるのではないかという意見もありましたし、その他、働いている側の不安もあったということは事実かと思います。そこは職員たちと話をしながら進めてきたという経緯です。今日は、これは議事録に載ってうちの職員も読むのだろうと思いますが、今日こういう場で我が法人のことをしゃべってくると言ってきましたから。ですから、職員個人個人に聞くと、いや、それはちょっと違うのではないかという意見はあるかもしれませんが、法人を預かる理事長としての見解としてはこういうことになります。以上です。
○石渡構成員
 私も2点ほどあるのです。先ほどの新しい社会的価値という辺りを、もうちょっと具体的にお話を頂ければというのが1点。それから、人材育成指針を作られたということですが、やはり職員養成育成の所で苦労されたようなことがあればちょっと教えていただければ。
○北岡構成員
 最初のほうは、新しい社会的価値というのは、例えば障害のある人にしては、支援を受ける対象としていろいろ法律も整い様々な制度ができてくるわけですが、本来そういうことだけではなくて、障害があるがゆえに輝く部分が恐らくあるのではないのかと。そういうことに取り組んでくると、それは新しい障害のある人の像と。もちろん施設から地域へという流れも、恐らくそういう社会的価値の創造とノーマライゼーションというようなことが深く関わっているのだろうと思います。もう少し言いますと、これはちょっと先ほど申し上げた美術館みたいな話で言うと、自閉症で強度行動障害があり、そして強いこだわりがある人たちのこだわりの強さというものが、例えば絵を描いたり、例えば何かを作ったりするときに、とても美しく見えたり、そこに魅力を感じております。こういう障害のある人たちに、強度行動障害にどういう対応をしなければいけないか、そのためにどういう研修会が必要かみたいなことの議論と、一方で、そういう可能性や能力を十分に備えている人たちなのであるということも同時に知っていくということを社会に紹介していくことで、それは認知症の方もそうだということもあるのですが、そういう新しい社会的な値打ちというか価値を作っていきたいと思いました。
 それともう1個は研修ですか。
○石渡構成員
 はい。
○北岡構成員
 研修については、その研修を1年中組み立てるチームがありまして、これは正に恐らくどこでもおやりかと思いますが、新人職員研修や職階に応じた研修会、管理職や中間職や現場の職員に分けて、それを横断的にやると。それは、恐らく特別養護老人ホームに勤務している職員も障害分野のことをそこで学ぶみたいなことも含めて、少しずつですが、これまでは老人のサービスしかやっていなかった、障害のことしか知らなかった人たちが、同じ支援を受けている人たちとして、そういう方々の共通することを学ぶようになったということがあるのだと思います。例えば、今日はこのテーマと違うのでしょうが、うちは特別養護老人ホームで障害の方の看取りもやっています。病院ではなくてというときにそういう研修が生きてきているのではないかと思っています。
○石渡構成員
 ありがとうございました。
○佐藤座長
 まだほかにもあるかもしれませんが、事例発表を進めて、時間が残りましたらまた全体的な質疑応答、あるいは討論の時間に回したいと思います。では、北岡さん、どうもありがとうございました。
○北岡構成員
 ありがとうございました。
○佐藤座長
 続きまして、佐賀県からおいでいただいている宮原参考人にお願いしたいと思います。
○宮原参考人
 皆さん、こんにちは。佐賀県産業労働部の宮原と申します。私からは県立佐賀コロニーの民間移譲について、事例発表をさせていただきます。当時、障害福祉課長として民間移譲を担当したということで、今回、この場に来させていただいたわけです。話が細かくなることは恐縮ですが、御了解いただければと思います。
 まず、2ページに民間移譲をしたコロニーの概要を書いております。開設されたのが昭和46年。ちょうど国立のぞみの園をはじめ、地方でコロニーが造られた時代に開設されて、知的障害者の総合援護施設として、定員350名という大規模な施設としてスタートしております。平均障害程度区分は3.5ということで、入所施設の程度としては低いかなという状況でした。
 3ページにコロニーの全体図を付けております。全体面積が9万平米と非常に広大な敷地で、県都である佐賀市の北部、田園地帯に位置しております。交通の便が悪く、車でしかなかなかアクセスできないという状況です。生活棟のほか、体育館、プール、レクリエーション広場、作業場、鶏の飼育場があったり、豚を飼っていたり、田畑があったりということで、全てがここで完結して、一生涯をここで過ごすようなイメージで造られていました。
 4ページを見ればイメージできるかと思うのです。居住棟がばらばらと4つ設置されています。残念ながら職員間のそこの間の連携も乏しく、独立した施設が4つあるというイメージでした。食事も給食センターから各棟に軽トラックで運んで、別々に食べていたということです。また、バリアフリーがされておらず、入浴の場合には外気にさらされるという構造上の問題もありました。
 5ページで施設の抱える課題を、3つの面から整理しております。利用者支援の面から申し上げますと、民間への移譲時点で124名と、県内最大規模の施設であったということ、高齢化が進んでいた割には、平均障害程度区分が3.5と低く、経営が民間では成り立たないのではないかと。県費の持ち出しが5億円近くあったこともありました。2つ目として建物の面からは、先ほど申し上げたとおりバリアフリー化がされていないとか、非効率な配置で職員配置が余計に掛かる建物という課題がありました。土地の面から言うと、広大過ぎて使い勝手が悪いということと、ここは市街化調整区域で、建替えをやるにしてもそれが非常に難しいという問題も抱えておりました。
 移譲の経緯・方法について申し上げます。7ページをお開きいただければと思います。平成16年5月に県立福祉施設の在り方検討委員会というのを作り、県立で持っていた14施設の今後の在り方を検討いたしました。その中で佐賀コロニーについては、開設当初は先駆的な役割を果たしてきたものの、民間施設の設備が進む中で、基本的には民間で運営が可能な施設ではないかと。ただし、定員規模が大規模であることから、地域移行の進展も見据えながら、民間での運営を検討することという結論が得られたところです。
 これを受けて8ページですが、県立福祉施設の将来方向というのを、新たに平成18年3月に策定いたしました。この中でコロニーについては320名の定員のうち、地域移行によって入所者を120名まで減らした上で、民間移譲を進めることになりました。この結論を踏まえて、コロニーからの民間移行を進めて、平成23年度末までには135名まで入所者を減らしたというか、民間移行を進めました。
 具体的に民間移譲に向けた検討を始めたのは、平成24年4月からです。ちょうどこの年に、私は障害福祉課長として着任したということです。一番悩んだのは、そもそもこれだけの入所規模で、かつ非効率な施設配置で、民間事業者で引き受け手がいるのかというところです。このため、民間で引き受けてもらうためにはどうしたらいいかということを課内で議論をして、最終的には公募条件として整理をしていったということが1つあります。
 もう1つは保護者会の理解を得ることが、非常に大きかったと思っています。県内の福祉団体からもコロニーの民間移譲については、相当の反対を頂いております。そういうことから、私どもとしては具体的な民間団体に対する公募の前に、平成25年6月、保護者会のほうに民間移譲についての考え方を説明させていただきました。そのときは大変きついお言葉を頂いたわけです。保護者から見れば県立のほうがサービスが良く、民間は信用できないという思い込みがあったと思っています。我々としてはこのまま県立で運営するよりも民間で運営したほうが、利用者にとってより良いサービスが受けられるという信念の下、保護者の理解が得られるよう丁寧に説明を尽くしていったという状況でした。
 9ページです。平成25年7月に選定委員会を立ち上げ、具体的な選定作業をスタートさせたわけです。8月から公募をしたところ、県内から4法人の申込みがありました。11月に選定委員会の審査結果を踏まえ、最終的に社会福祉法人若楠に決定したということです。この民間移譲の決定をした直後に、民間移譲に非常に抵抗されていた保護者会の会長から、「若楠に決まって良かった」というコメントを頂いて、やっと理解をして頂いたというように、我々としては本当にうれしかったことを今でも思い出します。
 民間移譲に当たって課題として考えていたことと、それをクリアするための解決策について、10ページで整理しております。利用者支援の面からは、現在コロニーを利用している利用者については、移譲後も必ず引き続いて利用できることを保証したというのが1つ目です。それから高齢化を考慮して、現在よりもより高いレベルの医療機関との連携を整備するように、条件を設定しました。引継ぎについては、これまでの県立施設の移譲よりも2倍かけて、丁寧にやるようにという条件を付けました。
 建物利用の面からは、実際に運営を始める前までに建物を建て替えるということを条件にさせていただきました。これまでの民間移譲では、引き受けた民間は現有する建物を使い続けて2、3年後に建物を建て替えるというのが通例でしたけれども、先ほども申し上げたとおり非常に非効率的な建物であったことから、移譲する前に法人によって建替えをしてもらうことで、職員配置が余計に掛かる建物であるという問題をクリアすることができたと考えております。
 土地利用の面から申し上げますと、9万平米のうち、土地の利活用がしやすい部分の1万7,000平米について、建替場所として移譲することにいたしました。建替場所についてはこの土地にかかわらず、県内であればどこでもいいという形での条件を新たに付け加えました。それから、先ほどから申し上げているとおり、保護者の皆さんに対する理解が得られるように説明会を複数開催するなど、丁寧な説明を行って課題を解決していったと思っております。
 11ページで斜線を引いている所が、9万平米のうち、移譲する部分として設定した所です。全体の中で最も利活用しやすい稼働の所です。12ページでは佐賀コロニーがもともとあった所と、移転先の若楠の場所をお示ししております。イメージとしては県内の端に移ったような感じがしますが、移転先の鳥栖市は九州における物流交通のネットワークの拠点で、Jリーグのサガン鳥栖やアウトレットモールなどもあり、JR鳥栖駅、九州自動車道と西九州自動車道がクロスしており、県内外からのアクセスが非常にいい所です。移転前は車でなければアクセスが難しいような場所でしたが、移転後は公共交通機関での面会がしやすくなったというメリットがありました。
 13ページが、先ほど説明した選定委員会の概要を示したものです。北岡先生には福祉サービスの実践者ということで、委員として入っていただきました。この選定委員会における選定のポイントは、ここに書いてある5項目です。特に重視したのが、利用者の高齢化に伴う医療との連携体制が取られているかということと、建替場所が現有地なのか敷地外なのかという、この2点を特に重視しました。14ページに選定の流れを書いております。平成25年7月に第1回委員会を開催し、10月の第5回委員会で移譲先を決定しました。この間、4か月ということになります。
 15ページで、運営を引き受けていただいた法人若楠の概要を示しております。ここに書いてあるとおり、若楠の魅力は生活介護から就労系のサービスまで、様々な障害福祉サービス提供の実績と医療機関を持っていることです。こういう実績があることから、就労系を含む魅力的な日中活動の提案をしていただいたということです。また、医療機関を持っているということが、利用者の安全・安心につながる医療面での提案として現れたということです。当然ながら、そういったことが選定委員の皆さんにも高く評価していただいたわけです。
 16ページが若楠の建物の写真です。この写真のうち、上のほうの真ん中の青葉園が、コロニーからの入所者100名が現在生活されている所です。全体の利用者は126名となっております。
 17ページでは、選定委員会で若楠が選定されたポイントをまとめております。具体的な専門性が高い計画である、あるいは重度高齢化に配慮した計画である、全体的にバランスの取れた評価点であるということです。ただ、選定委員の皆さんからも懸念としてあったのが、場所を現有地から鳥栖に移転することについてでした。保護者からも「遠くて面会に来れない」という声もあったのですけれども、実際に移ってみると公共交通機関のアクセスは、山手にあった以前の場所よりも格段に良くなり、「面会しやすくなった」というお声もいただきましたし、利用者の方々からは近くにJ1のサガン鳥栖があったり、アウトレットモールがあったり、そういう都会的な環境に移ることの期待の声も当時は聞かれました。
 18ページです。移譲先が決定した後、運営を引き受けていただいた若楠が主体となって、家族会に対する説明会や90日に及ぶ業務引継ぎ、利用者の不安をなるだけ減らすためにコロニーの職員のうち、7名を再雇用していただきました。新たに施設を建替えていただいたわけですが、その費用については県としても国庫補助基準額を全額補助するということで、約8億円の支援をしました。当時、民間移譲に関心を持った法人が口々におっしゃっていたのが、「コロニー利用者の平均障害程度区分が、数字としては3.5だけれども、実態と合っていないではないか」と再三言われました。なぜかと言いますと、県立施設であったことから余り採算を気にせずに、障害程度区分の認定調査に民間ほど力が入ってなかったという実態があったかと思っております。そういうことから平成28年度の移譲の前に、平均障害程度区分の低さを解消するために、利用者や施設職員に対して事前の説明会を行うなどの対応を取ったわけです。
 2つ目です。保護者会との関係で申し上げますと、預り金の管理の引継ぎというのが大きな課題としてありました。それまでコロニーでは7億円にも及ぶ利用者の貯金を、保護者会がコロニーの中に事務局を置いて通帳管理をしておりました。移譲後は若楠で管理ができるように、2年間かけて丁寧な話合いと引継ぎを行って、移譲までに完了させました。
 20ページが現在、コロニーから移ってこられた利用者がいらっしゃる青葉園の概要です。入所定員140名のうち、100名が利用されているという状況です。21ページをお願いします。青葉園の建物は3階建てで全て個室で、10名単位のユニットケアを実施しています。中庭があり、開放的な空間です。
 最後に、22ページに「利用者、ご家族からの声」ということで書いております。利用者からは「工賃が増えた」とか、「皆と同じ場所で過ごせるようになってとても嬉しい」ということでした。家族の方からは「職員の数が少なくなることが心配だったが、よく対応してもらっている」とか、「外泊後、帰園も嫌がらなくなった」というお声が上がっております。先週、利用者の皆さんに会いに行きました。笑顔で楽しく過ごされている一方、確かに長年過ごしたコロニーに対する思いも語られていることもあり、環境が変わることへの難しさも感じたところです。そういう意味で、民間移譲は100点満点とはいかなかったと思いますが、医療の面も含めて、県立のときよりも充実した支援が得られていると感じております。何より今は街の真ん中で暮らされているという点で、民間移譲はうまくいったのではないかと感じているところです。
○佐藤座長
 どうもありがとうございました。何か御質問があったらお願いします。
○小林構成員
 群馬県の小林です。当時、佐賀県は老人施設や児童養護施設なども直営であったと思うのです。そういった施設も民営化しようといった全体としての流れがあったかというのが、まず1つです。もう1つは、例えば平成18年頃に宮城県で施設解体論ということがありましたが、120人は残そうとした、そこら辺の考え方はどういうことでしょうか。
○宮原参考人
 最初のお話はそのとおりで、全体として民間で福祉サービスが充実していく中で、本当に県立施設で持つ必要があるのかという議論で、佐賀コロニーの民間移譲についても議論されたのです。それから、120名を維持するというところですけれども、先ほどから申し上げているとおり、佐賀コロニーの民間移譲については保護者会、保護者の方々の理解を得られないと、とても進められるような状況ではありませんでした。県内でもいろいろな政治的な動きもあり、やはりみんなが一緒に同じ場所に移っていくことが、どうしても大前提にならざるを得なかったのです。120名全てが同じ所で利用を継続していただくというのが、前提としてやらざるを得なかったのが当時の状況です。
○佐藤座長
 よろしいですか。今合併した青葉園を含めて、業務を開始されたのはいつからですか。
○宮原参考人
 民間移譲をしたのは、平成28年4月です。
○佐藤座長
 そうすると、決定してから2年半ぐらいの時間ですね。
○宮原参考人
 そうです。おっしゃるとおりです。通常はもっと短い期間で民間移譲を決めていたのですけれども、今回の場合は施設を建て替えないといけないというのが大前提にあったので、平成25年に決めて平成26、27年で建替えをして、平成28年から実際の運営をしたという形を取りました。
○佐藤座長
 まだ決定もされていないのに、工事を始めたどこかとは違うということですね。
○宮原参考人
 もう若楠に決めた上でです。
○佐藤座長
 最近はやりの何々ありきではないだろうかと、ちょっと疑問に思ったものですから。
○宮原参考人
 ちなみに今の9万平米の場所は、工業団地として地元の市から、是非整備をしていただきたいという話があり、そちらのほうで検討するということです。
○佐藤座長
 分かりました。もう1つは御利用者や御家族から、こういう大変ポジティブな結果が出ているのですが、これは県営ではできなかったのか。民営化したメリットとしてこういうことになってしまうと、それこそ公立あるいは公設の事業団というのは、ろくに仕事をしていないのではないかというように受けとめられるわけです。その辺りはどのように評価されているのでしょうか。
○宮原参考人
 私は当時、障害福祉課長をしており、当然ながら佐賀コロニーのいわゆる支援者、生活指導員や所長といったいろいろな方々と、いろいろな形でお話をしたり報告を受けたりしたのです。やはり志の高い民間の事業者であれば、公営であるよりもいいサービスが受けられるというのは、私もそのとおりだろうと思いました。1つ例を挙げますと、県立のときは利用者の方々が生活指導員を何と呼ばれていたかというと、「先生」と呼ばれていたのです。それは多分、民間の事業者ではあり得ないと思うのです。そういう考え方が県立の場合だと、それほど福祉に対する気持ちの志の高さというのが、正直言ってちょっと弱かったかなというのもありましたし、虐待事案とまではいかなくても、時々は生活指導員が利用者に対して不適切な対応をすることが何度もありました。
○佐藤座長
 そういうことがあったということは推測できますが、不思議なのは、県が責任を持ってやっている所で、職員を「先生」と呼ばせる習慣を付けるとか、虐待まがいのことが起きてしまうというのは、その施設が県立なのか民営なのか。それで「志」と言われると、佐賀県はそんなに志の低い奴ばかり施設の職員として採用していたのかという話にもなるので、今後いろいろ検討を進めていく上でもあれですけれども、もうちょっと積極的に、なぜ民営化を進めることがというところを。別に公立施設の職員ではありませんでしたが、私もいわゆる現場で長く働いていたものですから、今のお答えだと。
○宮原参考人
 私もいたずらに批判しているわけではないのです。大きな流れの中で、民間施設でできるようなことがあれば、あえて県立でサービスを提供する必要とか、歴史的な役割は終えつつあるという流れはあったと思うのです。
○佐藤座長
 せめて同じレベルのことをやっているのなら、それは県でなくてもいいということだけれども、民営にしたらこんなに良くなりましたというのは。特に職員の関わり方、あるいは職員のモラルに関してこんなに変わりましたという話は。「だから民営化だ」と言われると、総じて公務員、あるいは公的な立場の方々の立場がないですよね。そういう感想を持ちました。また後で議論したいと思います。では3人目、先に片桐さんからお願いします。
○片桐専門官
 厚生労働省で虐待防止専門官をしている片桐と言います。よろしくお願いいたします。私は、障害福祉専門官も兼務しております。知的障害分野なので、強度行動障害の分野も私のほうで担当しており、今回は4つの取組について御紹介したいと思っております。
 資料3を1枚めくって、まず最初に御紹介したいのが、北海道札幌市のはるにれの里という法人です。こちらの法人は設立が昭和62年4月です。北海道の札幌市や石狩市を中心に、主に重度自閉症の方に特化した支援を展開されている法人です。こちらで運営しているサービスについては、後の表を御覧いただければと思います。取組として御紹介したいのが次のページ以降です。はるにれの里のグループホームでの利用者の状況ということで、かなり重い自閉症の方を支援されています。参考資料になりますけれども、今は区分5、6が89.4%を占めており、平均の支援区分が5.61ということで、こういった方々をグループホームで支援されているということです。
 4ページのスライドは、入所施設厚田はまなす園での取組です。行動障害を支援することによってかなり軽減しているということに、熱心に取り組んでいらっしゃいます。こちらの事例の方に関しては、障害特性として脅迫的な行動とか、「常同行動」と言って、同じ行為を繰り返すとか、聴覚過敏があります。自閉症の方は大変感覚の過敏がありますので、声を挙げるとか、周りの声に対して耳をふさぐという、かなり重い行動障害がある方です。他害行動が問題化されていたので、こちらのほうできちんと分析を行って、御自宅に帰るときに、その後の帰省日の確認の反復への対応がフラストレーションになっているので、非常に問題行動が多いということを導き出しました。
 そこで「トークンシステム」と言って、平たく言うと御褒美のような形になります。こういうことができたら、次はこういう良いことが待っているよというようなことで、真ん中の右のほうにありますように、これができたらコカ・コーラを差し上げるとか、ポテトチップスとか、そういうことで他害行為、叩かなかったときの強化子の交換として行っていった場合に、かなり他害行為が軽減したということで、こういった取組を多くやっております。
 資料ではお示しできていないのですが、グループホームの支援で言いますと、入所施設では難しい、更にグルループホームでも難しかったということで、今は独り暮らしをされている強度行動障害で区分6の方への取組も行っており、様々な研修会等でも、大変御活躍していただいている法人です。
 次のページが大阪の事例で、北摂杉の子会という法人です。こちらも利用者の多くの方々が強度行動障害です。こちらもグループホームの事例として御紹介させていただければと思っております。次のページですが、グループホームレジデンスなさはらAという強度行動障害専門のグループホームを開設しております。こちらは7名、7名、6名、計20名のグループホームを運営されていて、激しいこだわりがあったり、生活のリズムの乱れがあったり、自傷行為が激しかったり、著しい感覚の過敏があったり、粗暴行為があったりします。利用者の内容を見ていただきますと、ほとんどが区分5、6で占められています。こちらはハード面においても非常にきめ細かく丁寧に対応されていらっしゃいます。例えば、テレビを壊してしまう方もいらっしゃるのですけれども、きちんと強化ガラスを貼っています。また、このグループホームは7名、7名、6名となっておりますけれども、実質は2名で暮らしているという非常に小さい暮らしの中で、相性の悪い利用者がすれ違わないようにするとか、研修も内部だけで行うのではなく、外部の方々のコンサルテーションを入れていくことによって、専門性を高く保っている法人でした。
 私も実際に見に行かせていただいたことがあります。職員の専門性に関しては、非常に高いレベルを常に維持している法人です。特に研修などについては、大変力を入れていらっしゃるということで、そういったことを行っていった結果、行動障害の軽減についても、かなり軽減することができるということを実際に行っている法人です。
 続いて、岡山県岡山市にある旭川荘です。こちらはかなり規模の大きな法人で、職員数は2,200名です。さらに医療のサービスも持っていらっしゃるということで、岡山県においてもかなり大きな法人だと思いますし、全国的に見ても相当な規模の法人になろうかと思います。こちらは強度行動障害の取組の歴史が大変長くあります。昭和48年に設立されている入所施設において、平成5年から強度行動障害特別処遇事業を開始しており、このモデル事業所になっております。こちらも同様に、かなり高いスコアを呈している方々がいらしたのですが、いづみ寮の中で行動障害の軽減を図る取組を行っております。
 例えば、取組の結果のスライドにある問題行動別に見た改善率で言いますと、「ひどい自傷」や「強い他傷」とか、いろいろな言葉が書いてありますけれども、かなり改善した状態でいっているということが、ここで見て取れるかと思います。はるにれの里も北摂杉の子会も旭川荘も、基本的に行っている支援はいわゆる構造化とか、「ティーチ」と言われるもの、あるいは「応用行動分析」と呼ばれる手法をかなり丁寧に取り入れて、行動障害の軽減に取り組んでいるという事例です。
 最後が福岡県福岡市にある面白い取組で、障がい者行動支援センターか~むという取組です。これはいわゆる「集中支援」と呼ばれている福岡市独自の事業で、今はモデル的に行っているということで、先日視察に行ってきました。こちらでは相談支援のコーディネートを行うというのもあるのですが、注目すべきは「障害者行動支援センターか~むの概要」にありますように、「か~むにおける集中支援」です。グループホーム2名の枠を使い、24時間体制でマン・ツー・マンで支援を行う費用を、福岡市が独自で捻出し、常に行っているということです。
 私が先般見に行かせていただいて、かなり大きな声を挙げる行動障害の方がいらっしゃいましたけれども、それを24時間張り付いて、どの時間帯にどういうきっかけでどういう問題行動を出しているのかということを、全てデータ化します。それは食事や入浴や全ての面において、丁寧にデータを取っていき、その分析を行ってどこの部分に問題行動があるのか、どれがそうなりやすいのかということを分析して、そこを軽減し、また地域に戻していきます。おおむね3か月ぐらいを目安にしているようですけれども、長い方で半年、あるいは1年近く行う方もいらっしゃるようです。おおむね行動障害が軽減した上で地域にお戻りになったり、自宅にお戻りになったりということで、そういう取組を行っておりました。簡単ではありますが、以上です。
○佐藤座長
 ただいま、4か所の報告を頂きましたが、御質問がありましたらどうぞ。
○石渡構成員
 例えば最後の福岡の事業などは、かなり福岡市が手厚い予算も独自に出してというやり方をしているわけですよね。
○片桐専門官
 はい、福岡市が完全に単独でお出ししているそうです。3,500万円ほどお出ししていると聞いております。その中で、2人常勤で、残りの4人を非常勤の方で、あとは24時間365日、夜間部も含めて夜勤を常に貼り付けていると聞いています。
○佐々木構成員
 北摂杉の子会なのですが、定員が7名、7名、6名のところ、先ほど利用者が2名ずつとおっしゃっていたと思うのですが、こちらも運営としては成り立っていらっしゃるのですか。
○片桐専門官
 こちらも、以前は厳しかったとお聞きしました。ただ、こちらは区分6の方が大変多くなり、平成27年度の報酬改定で、グループホームには重度障害者支援加算をかなり手厚く配置させていただきました。その影響で、運営面ではある程度均衡がとれていると伺っています。
○菊地構成員
 確かに事例として結構有名な所で、実績も相当あることは分かりますし、いろいろな所でかなりの実績を上げている所がありますが、そういった所の実態を聞くと、やはり過重労働とは言いませんが、職員のモチベーションでカバーしている、あるいは宿直なり夜勤なりの体制のなかで、その人だけではもたないときに、職員が自主的にカバーしているという、職員の陰の力によって、かなりの成果が見られます。ただ、それがいつまでも続くかというと当然続かないので、それがある程度安定期になればそういう陰の力を弱わめていくので、通常にもっていけるという話はよく聞きます。そういったところに関して、全てそのようになれるかということなのですが。
○片桐専門官
 今御指摘のとおりの状況は、少なからずこちらにお示した法人いずれも抱えているとも感じています。一方、2番目の北摂杉の子会さんは、私も以前から行かせていただいているのですが、こちらは強調して管理者の方がおっしゃっていましたが、労働基準法に関しては相当しっかり遵守しているというようなことを、視察に行ったときにお話されていたのが印象的でした。それは、こういったスケールの中で行われているというのもあると思うのですが、そこはお話されていて印象的でした。
○北岡構成員
 例えば、はるにれも札幌市が単独で財政的な支援をして、事業として立ち上げている側面もあるということだと思ったのですが、違いますか。
○片桐構成員
 そこまでは調べてこられなかったのですが、基本報酬の中でされていると思っています。繰り返しになりますが、平成27年度の報酬改定の中で、グループホームは重度障害者支援加算のところでそれなりに手厚くさせていただいた経緯もありますので、その中でまだまだ運営は厳しいというようなことも伺っておりますが、ここで随分強化をしています。やはり、区分6で行動関連項目が10点以上の方を相当集めることによって、ある程度経営面をこなしているという印象を持っています。
○佐藤座長
 それでも、私が昔理事長をやっていた法人で、医療的ケアが必要な人ばかり、いわゆる重度心身障害者ばかりが7人でグループホームをやっていますが、全然足りないですよ。もちろん、全員6です。立ち上げたときは、重度包括でやったのですが、3年か4年でギブアップです。それで、もう積上げでやったほうが少しでもたくさん報酬が入るということで、それでも法人全体の使い回しで何とかやっていました。にもかかわらず、過重労働の側面は消えないし、ということで、なかなかそこは大変だと思います。
 北岡さんの所に、昔この資料で近江学園は四六時中勤務、耐乏の生活。
○北岡構成員
 不断の研究。
○佐藤座長
 今でもこうですか。
○北岡構成員
 いや、立ち上げたときは、こういう時代が近江学園の中にあったと。
○佐藤座長
 その精神をいまだに引き継いで、職員に過重労働を進めているということはないわけですね。
○北岡構成員
 今は私の時間ではないので、また後ほど議論したいと思います。札幌市は指定管理ではなく、法人の単独事業でしたか。何か、指定管理であったような気がしますが。
○片桐専門官
 すみません、次回までに調べてまいります。
○佐藤座長
 いわゆる公立系、公設系の施設の経費がうんと高くなるのは、その問題が一番大きいと思うのですね。民間は何とか志で頑張ろうというようなことですが、いちいち付き合えないというのは、実際に自分が経営していたときもそう思っていましたし、ですからそこも含めて考えていかないと、なかなか大変なのではないかと思っています。
 それでは、次に進みます。オブザーバーの遠藤理事長から、のぞみの園の現状についてお願いします。
○遠藤オブザーバー
 それでは、資料4を御覧ください。のぞみの園のミッションです。これは、前回も申し上げましたように、独立行政法人であるのぞみの園の役割として重要なことは、全国の関係施設や事業所を常に視野に入れて、支援の質の確保、あるいは底上げに大いに寄与することであると考えています。また、本日事例発表ということで、幾つかの法人のすばらしい取組も御紹介いただきましたが、そのような力のある法人は少なくないとはいえ、少数派であり、実際困難事例を抱えて支援の現場で、最後はのぞみの園に協力を求めればもう一頑張りできるという所があれば、我が法人ができる限りの協力をして、粘り強く取り組んでいただけるようにという方向で取り組んでいるところです。
 2ページに入所利用者の状況がありますが、これは前回も説明したとおりです。ただ、入所利用者224人という旧法人からの数がありますが、これは14年前、独立行政法人に移行したときには499人いたのが、現在は224人です。そして、新規受入れを一時止めていましたが、第2期の中期目標期間、平成20年度からこのような方たちを例外的に受け入れるということで、現在14名入所受入れをしている状況です。
 3ページからは、地域移行の取組を紹介しています。これは個別事例というよりは、まず全般的な取組の方針や特色や、地域移行に向けての流れをまとめておりますが、こちらは省略いたします。私が、のぞみの園の地域移行を14年前から取り組んでいて特に感じているのは、かつて全国から入所利用者を受け入れて、その結果として入所者の出身地は市町村別で見ると、当初は333もあったということです。現在でも158です。このような多数の自治体といろいろと調整しなければいけませんし、受入事業所もこのような多数の市町村別に協議、調整していかなければならないことが、大変な困難でありました。また、地域移行といってもその事例を調査しますと、90%以上というのは同一法人の設置する施設からグループホームへという移行です。かつて、北海道や鹿児島から受け入れたのぞみの園の入所利用者を、北海道や鹿児島のグループホームに受け入れてもらえるかというと、最初はほとんど期待できず、全然相手にされなかった中で、地道に進めてきた地域移行です。その結果は、この数字のとおりです。
 5ページの右半分に、1例取り上げておりますが、これはどちらかというと地域移行事業に取り組んだ初期の事例です。受入先がなかなか確保できなくて2年間を要して、ようやく決まって、受入先の希望でまず施設に入所して、運がよく翌月グループホームに入所できたという事例です。次に事例2として、高齢者の取組です。これも個別事例というよりは、のぞみの園の全体的な取組の説明をしている資料です。
 7ページは、高齢の知的障害のある人たちの支援として、のぞみの園としてどのように取り組んできたかを、左半分に項目別に書いてあります。この中でも、特に職員の専門性の向上を重視しており、障害者支援の専門性にプラスアルファして、高齢者支援の専門性が必要であるということで、特に職員研修に留意しております。右半分に、のぞみの園の高齢者グループの寮について紹介しておりますが、これはあくまでも高齢化だけではなくて、いずれも機能低下が進んでいる入所利用者の人たちです。特に、右端のあかしあ寮は、日常的に医療的なケアが必要な方たちの寮として、運営しています。
 8ページからは、事例3として強度行動障害者への支援を紹介しています。これは、個別の事例を取り上げて紹介しています。かなり激しい自傷行為があって、脛をかきむしって血まみれになるといった行為が顕著であったことから、精神科病院に入院するも、自傷行為が更にひどくなったということで、四肢拘束を受けて褥瘡が進み、拘縮が進みと、精神科医療では対応できないとされた事例について、のぞみの園で受け入れをしたものです。幸い、ある程度意思疎通が可能でしたので、のぞみの園の職員が面会に行き、御本人の退院したい、立ち直りたいという気持ちが伝わってきたということで、受け入れたものです。
 9ページに、写真入りでどのような状況であったかをまとめております。福祉と医療のスタッフの連携によって、段階を踏んで身体的機能の回復から始まり、機能訓練、生活訓練と重点を移して生活を改善し、日中活動の構築に取り組んでということで、のぞみの園として大体成果が上がったと考えておりますし、御本人の生活も安定しているところですが、いざこれを出身地の事業所に移っていただこうといろいろと協議、調整をするのですが、いずれの施設や事業所も消極的で、今、苦慮しているところです。
 10ページからは、矯正施設退所者の支援の関係です。これは平成20年度から取り組んでいる事業で、法務省が非常に協力的です。刑事政策の領域で、福祉政策の有効性が認められて、次第に重要視されるという流れができてきております。のぞみの園としては、あくまでも福祉という立場は守りつつ、困難な事例を受け入れてきています。困難というのは、再犯の可能性が高い対象者を30人以上受け入れて、その半数以上で福祉の支援が功を奏して、現に地域で生活をしているというものです。個別事例としてここで紹介しているのは、刑務所に9回出入りして、のぞみの園で受け入れましたが、当初はなかなか福祉の支援を理解できない。施設というと、更生保護施設ということが頭にすり込まれていて、なかなか福祉の支援を受け入れてくれなかった人であり、隠れてたばこを吸っているところを発見されて、のぞみの園を出て行ってしまったと。そして、地域の住宅に侵入して現行犯逮捕されたという事例です。起訴猶予となりましたので、本人と再度話合いをして、のぞみの園でやり直すことが確認されました。11ページの真ん中に、支援による本人の変化という枠がありますが、このような取組を行い、本人にも福祉サービス、あるいは福祉的な支援を理解してもらい、自立につながったという事例です。
 12ページは、最後の事例です。これは、医療的ケアを必要とする知的障害者の支援ということで、個別事例を紹介いたします。在宅で過食のために体重が180kg近くに達して、横になって寝ることもできないほど肥満で、心肥大、糖尿病などが悪化して生命の危険に関わるような状態になった20代の女性を受け入れた事例です。のぞみの園の診療所には、常勤の内科医、精神科医、歯科医師、臨床心理士などのスタッフがそろっておりますので、13ページにありますように、福祉と医療のスタッフが連携を図りながら、規則正しい生活を送れるように工夫し、カロリーを落とした食事療法を行い、95kgまで体重を落として、健康面でもかなり改善されて退所に至った事例です。退所の際には、自分の服を買いに出かけて、おしゃれにも少し関心を持つようになったという、非常に喜ばしいこともありました。ただ、すぐ家庭に戻してしまうと、リバウンドの可能性が大きいので、しばらくは地元の施設で同じような日常生活支援を行ってということで、引き継ぎが終わっています。以上、事例も含めて紹介いたしました。繰り返しになりますが、全国の施設、事業所には非常に力のある所もありますが、他方で強度行動障害や矯正施設退所者というだけで受入れをためらってしまうような所も少なくありません。のぞみの園としては、そういった課題や対象者の類型ごとに、標準化した支援のプログラムと支援内容、あるいは支援のノウハウなどについて分かりやすくまとめて、全国の関係施設、事業所に発信していきたいと考えております。また、本日は触れることはできませんでしたが、それぞれ有力な民間の施設、事業所とのネットワークを広げて連携しながら、障害福祉の支援の底上げに、さらに貢献していきたいと考えているところです。
 そのような意味も込めて、14ページに紹介したようないろいろな課題について、実際にどういった刊行物なり、養成研修なりで発信しているかという例を挙げさせていただきました。以上です。
○佐藤座長
 そもそも、この検討会自身が、のぞみの園の在り方を考えるということですので、ただいまの遠藤理事長の報告、それから前回のぞみの園の現状についての資料も出ておりますので、それらを参考にしながら、皆さんから御質問や御意見を頂きたいと思います。
○菊地構成員
 これは、質問というのか、何と言っていいのか、分からないのですが、具体的に強度行動障害の人に対する支援を実践されて、それをプログラム化したり、構造化して、環境などを整理したりしていると思うのですが、これは私の捉え方が間違っているのかもしれないのですが、1つの援助方法や技法がそのまま似たようなケースに適用できないということが、強度行動障害の支援の中であると思います。そのプログラムが、例えば受け入れてくれる施設に、プログラム提供という形でやってこられて、それがうまくいった事例はあるのですか。
○遠藤オブザーバー
 その点については、14ページで御紹介しましたように、行動障害については、実際に右側にあります刊行物として、研修会のテキスト、1のほうのテキストを発行していますし、実際に研修会なども開催していますが、あくまでも標準化したというのでしょうか。おおよその目安になるようなプログラムであって、個別事例については全くの応用問題で、これをやれば効果が上がるのだというものはないと考えています。そして、我々は実際にそういう方を受入れして、そしてのぞみの園で1年、2年取り組んで、他の施設、事業所なりに引き継ぐときには、のぞみの園での支援プログラムによってどう改善したか、今後どうやっていったらいいかということについて入念に打ち合わせをして引き継いていくと。それによって、更に改善が図られていくのかなと考えておりますので、そういう意味でこれという1つの決まったプログラム、方法があるとは考えていません。
○菊地構成員
 それに関してですが、例えば相談援助に関して、利用者に対する支援方法や技術を指導することも、相談窓口の役割の中にもあります。そういう人たちが、今、どれだけ現場で有効な手段を使っているかということになると、昔はかなり実践力のあった人が相談援助をやっていたので、こういう方法も、ああいう方法も、あるいはこんな工夫もみたいなことがあったのですが、ここ最近の相談援助関係では、サービス調整と言っても、調整どころではなくて、どこかに押し付けるような。計画もうまく立てていないというようなことも多くなっているのですが、国立のぞみの園の役割として、その辺りのところは、今のプログラムをもっと多様化させるといったことはなかったのでしょうか。
○遠藤オブザーバー
 相談援助については、その事業ものぞみの園として実施はしていますが、相談援助関係は恐らく最近になって重要性が強く認識されて、相談支援の事業所もどんどん増えてきたという意味で、専門性から見たら、なかなかそういう力量を持った方が相談員になっていることが十分でない、足りないというのが現状だと思います。そういう意味で、私どもも相談援助の分野でも、もっともっとのぞみの園で取り組めということになってくればやってまいりたいとは考えていますが、現時点ではいろいろ御紹介したような事業を展開しているというところで、やや手一杯なところがありますので、これからの問題意識としてそういう分野についても、のぞみの園としてもっともっとやっていく必要があるのかなというのが、現在の状況です。
○菊地構成員
 強度行動障害の支援者養成研修は確かやっていらっしゃるのですよね。
○遠藤オブザーバー
 強度行動障害関係で、いわゆる国の事業として強度行動障害支援者養成研修事業というものがあります。これは、都道府県単位で研修会を開いて研修を受けていただいた職員の方が、現場である程度以上配置されていると加算がもらえるというような仕組みが作られています。のぞみの園は、都道府県研修を行うに当たって、中心的な役割を担う方に、都道府県に推薦していただいて、国立リハビリテーションセンターで開催しておりますが、国研修という形で開催し、そこに都道府県の推薦を頂いた方に参加していただいて、今は2日間の基礎研修と実践研修を開催しています。その研修を受けた方が、都道府県に戻って、都道府県研修を開催するに当たっての中心的な役割を担ってもらうというようなことで、取り組んでいます。
○菊地構成員
 そこと、先ほどの事例がリンクしているのか、していないのかが引っ掛かったところなのです。
○遠藤オブザーバー
 事例というのは、個別事例でしょうか。
○菊地構成員
 はい。
○遠藤オブザーバー
 それは、リンクというのでしょうか。要するに、のぞみの園として、そのような国研修を行っているということで、恐らく自治体、あるいは地域の施設、事業所から、のぞみの園にこういう困難事例について何とか受入れしてほしいというような要請が日常的に来ています。その中から、私どもとしてこれは確かに大変だと、地域で限界にきているなということで、それではのぞみの園で受けましょうという事例が、これまで、現在強度行動障害関係でいえば9人の方を受け入れています。
○佐藤座長
 ほかにいかがでしょうか。それでは、次の議題、すなわち前回の議論を踏まえた課題の整理について、事務局から現段階の整理を一応整理していただき、報告を受けて、それに基づいてまた議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
○朝川企画課長
 資料5を御覧ください。既に第1回で、委員の皆様方から有益な御発言を頂いておりますので、それを少しテーマごとにまとめてみたものです。まずは、運営主体についてです。御案内のとおり、のぞみの園は独立行政法人という形で運営をしているわけですが、その運営主体の在り方についての関連発言を、3つほどまとめています。1つは、独立行政法人という立て付けであるからには、それなりの政策的な意味合いがあるのではないか。2つ目は、今後の在り方として、もっと民営化を進めるべきなのか、逆に国立のほうに引き戻してしまうのか、そういったものはゼロベースで議論していいのではないか。3つ目は、一般の社会福祉法人も実力を付けてきている所は結構あるので、その役割は担えるのではないかという御発言がありました。
 事業体系については、法人としてののぞみの園の性格を強く規定しているのは、ブルーの所に書いてありますとおり、原則として新規入所を受入れていないと。これは、独立行政法人である裏腹なのですが、そのような制約がある中、今後どのような事業体系が相応しいのかということです。1つ目の○は、今の新規入所は原則としてゼロでなければいけないというテーゼをいまだ守っていくべきなのかどうか。2つ目は、国の政策的な方針の下で、のぞみの役割をしっかり位置付けられるようにしていったほうがいいのではないか。3つ目は、交付金を国から出している以上、国でしかやれないという一定のものがあるのではないか。4つ目は、国がやるべきことは、全国の知的障害の方の支援のためという前提がなければならない。そうすると、モデル的な実践や難しい人の支援、その情報提供など、我が国の知的障がい者分野の政策の貢献をするという役割があるのではないかという御意見です。
 3ページです。3つ目は、地域移行についてです。この前提として、のぞみの園は地域移行をこの間かなり進めてきているわけですが、直近5年間は非常に高齢化、重度化や、医療が必要とする入所の方が増えてきている中で、地域移行の数自体は少し減ってきている中で、今後の地域移行についてどうするかということを、前回議論をしていただいたものです。1つ目の○は、地域移行が鈍化している状況については、例えばもともとの出身地のほうのキャパの問題があるのではないか。2つ目は、国の政策として、今回も基本指針を3月に新しいものを作りましたが、地域移行を進めている中で、どのような重度の障害の方も引き続いて地域移行を前提にしないといけないのではないか。3つ目は、御本人が重度だから地域移行できないのではなくて、受皿の社会資源が足りないからという考え方が正しいであろう。そうであれば、前向きに地域生活ができるよう行政が支援していくべきだ。4つ目は、地域で支えていこうという基本的な理念は大きな方針であるので、議論の前提にしなければいけない。
 4番目は調査・研究についてです。1つ目の○は、のぞみの園は現在フィールドを持ちながら調査・研究をしていることを踏まえると、最小限のフィールドを持って、しっかりと調査・研究をして発信をしていくべき。2つ目は、例えばということで、最後に研究部門だけを切り離して、独法として引き継きやっていくのも1つのあれではないかという御意見がありました。
 最後のページは、その他ということで、今までテーマに入ってこない意見としては、ある一定の政策目標を達成するためのコストということであれば、目くじらを立てることではなくて、支出すべきものは支出すべきではないかという御意見を頂いています。説明は以上です。
○佐藤座長
 今日は滋賀県と佐賀県における、いわゆる民営化の経過と結果についての報告を頂いたのと、のぞみの園の1つの存在価値、理由とされている強度行動障害について相当の広がりを持って、全国でいろいろな施設、団体がいろいろな取組を、現在しているという専門家からの紹介もありました。それを踏まえて、今、事務局のほうから報告のあった、現在の時点での整理、4つの点にわたって整理が行われましたが、今日のいろいろな事例の発表を含めて、皆さんからどの柱でも結構ですから、残った時間で議論を頂ければと思います。
 その前にワーキンググループが立ち上がっているはずですけれども、今日は大塚さんがお見えになっていないので、事務局から報告を頂けますか。現状どこまで何をしてきたか。次回ぐらいには、ワーキンググループからのいろいろな資料提供も含めて議論できるかと思いますが、現状どうなっているかだけ教えていただけますか。まだ、会議はやっていないのですか。
○池田施設管理室長
 先般、第1回のときに御提案させていただき、ワーキングチームが現在、こちらの構成員の方で2名、それから民間のシンクタンクの方2名で御参画いただいております。6月5日の第1回開催の後に、まずは4人そろっての第1回の会合を開催させていただきました。
 それから、構成員の方でのぞみの園に詳しい方もいらっしゃるのですが、詳しくない方もいらっしゃるということで、のぞみの園のワーキングの場所を、実際にのぞみの園で開催させていただきました。そのときにはシンクタンクの方も現場に行って、まずはいろいろと現場を調査していただいております。
 次回のときに、その提案を踏まえて御議論いただくという予定にしており、今日は第2回の在り方検討会を開催し、構成員の皆様の議論を、まずワーキンググループのほうでもしっかり検証していただいて、次回に間に合うような形で、今、作業はしていただいているところです。その程度の内容でよろしいでしょうか。
○佐藤座長
 結構です。それでは先ほど申し上げたように、あと30分ほどありますが、どなたからでも今日の発表、あるいは、今、事務局から出ました課題の整理、この4点に当たる課題について、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○菊地構成員
 今の話に関して、そして先ほど質問させていただいたことにも関連するのですが、公的な所がやったほうがいいのか、民間がやったほうがいいのかという議論は別としても、どちらがいいか悪いかというのは、やり方次第であると思います。国立のぞみの園の職員の人たちが、自分たちの勤務している所の価値などを、外から見てどうなのかということではなくて、自分たちがやっていることに価値があるということを信じながら、そしてそれらを実践していくということになると思うのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。前もこれらのことはお伺いしたのですけれども、国立のぞみの園の価値というものを、職員の皆さん方がどう考えているのかなと思いました。
○佐藤座長
 代表して理事長、いかがですか。
○遠藤オブザーバー
 これは私どもが職員に対して、いかに士気を高めて、あるいは自分の仕事に誇りを持って取り組んでいただけるか、そのために正に理事者側として、どのように職員を指導し、あるいは研修していかなければいけないかという問題であるかとも思います。
 私が常々言っているのは、1つは法人の運営の基本的な方針、あるいは法人の役割、ミッションという片仮名の言葉もありますけれども、それをよく理解してもらうということで、機会あるごとにのぞみの園の障害福祉行政における役割、それについて職員によく話をしているところです。
 また、単に役割というだけではなくて、理解するだけではなくて、正に独立行政法人あるいは国立という冠を頂いている事業所の職員として、専門性を高めなければいけない。そういう意味で職員に対して、研修体系というものを作って、それぞれがこれからどのように研鑚に励み、専門性を身に付け、いずれのぞみの園を担う、あるいは障害福祉行政のためにどれだけ貢献できるか。そういう話を機会あるごとにし、また、職員向けの広報紙やニュースレターなども刊行しておりますので、そういう中で説明しているところです。
 それに対して、職員へのアンケート調査を、2年あるいは3年ほど前に実施しました。こういった理事長あるいは理事者側の考え方というものが、職員の間に浸透しているかどうか、また、それについて理解しているかどうかというようなことを調査しましたところ、おおむねの職員は理解し、法人の方針に沿って、日頃の業務に励んでいることは確認できました。
 ただ、これは常勤の職員、非常勤の職員も含めて、我々理事者側が期待する意識には少し欠けているのではないかという、アンケートの回答をした職員も一部いました。そういう意味で私どもとしては、職員の士気を高め、専門性を高めていくという中で、それになかなか乗ってこないような職員に対して、いかにきめ細かく対応していくのか。それが課題だと、今、認識しているところです。
○佐藤座長
 ありがとうございます。今は運営主体が独立行政法人ですが、以前は特殊法人として、もっと国立であったわけです。将来もこの形、これは事業をどうするかという話と、それからその事業の運営主体が、財源を含めてどのようにあるべきなのかということとは、似ているようで実際は違う問題だと思います。運営主体についての議論も、いわば取り分けて国立や独法である必要はないと、民間の社会福祉法人もいろいろ力があるのだから、そういう必要はないという意見から、独立行政法人という立て付けが現在、維持されているのは、やはりそれなりの意味があるのだと。
 あるいはもっと国立のほうに引き戻していくようなこともあり得るのではないかと。そのような意見があるということですが、まだ数回、議論の機会がありますけれども、現時点でクライアントについて、コメントがありましたら、皆さんから御意見を伺いたいと思います。
○石渡構成員
 私はのぞみの園に関しては、研究研修部門の評価などをやらせていただいていて、そういう体験などから、国レベルでの成果というものは上げていると。やはり自治体がやっているのとは違う、本当に全国を見通しての成果や実践などがあるかなと感じることがあるのです。
 先ほど強度行動障害の事例なども御紹介していただきましたが、やはりそれらができているのは、研究・調査などを行う部門があって、あとは診療所の機能というものが大きいなと感じます。例えば東京都などでも診療所を持っていて、入所施設も持っているような所に、私はかなり関わらせていただいたこともあるのですが、そういう所と比べると、のぞみの園の成果というのは、やはり格段に大きいなと、私は評価しています。
 ですから、独立行政法人という組織でやっているからこそ、できるところはあるかなと思うのです。群馬県の高崎市にあって、地域に対してもかなり貢献をしていることなどは、独立行政法人ではなくてもいいのかなと思える部分もあって、やはりやっている業務でもって運営主体について考えるようなことは、あり得るのかなという思いを持っています。ちょっと中途半端ですけれども。
○佐藤座長
 どういう事業をどのように成果を出しているかということ、それから運営主体がどこであるべきか、財源がどうあるべきかというのは、似ているようですが違うという問題意識を私は持っているわけです。今日の課題の整理の中でも、いわば3つの立場みたいなことが、現状維持でいいのではないかと。あるいは、もっと国のほうが力を貸したほうがいいのではないか、いや、この際もう思い切って、民間社会福祉法人への委託というのもあるのではないかと。
 言葉は少しずつ違いますが、大きく言えばそういうことで、今、石渡さんが評価された事業は、独立行政法人ないしは国の非常に強いバックアップがあるからできている、それがなければできないという話。
○石渡構成員
 という部分もあるとは思います。
○佐藤座長
 いや、そこはこの委員会のミッションとして、今日明日にどうこうとか、来年にどうしようという話ではなくて、5年10年、あるいはもう少し長いスパンでもいいですけれども、在り方を検討していこうということで、もう少し具体的に御意見があれば、皆さんから伺っていくべきだと思っています。
○菊地構成員
 多分、今、言われたことを考えると、私のスタンスとしては、例えば今までと同じことをやっていて、それを維持したいということであれば、それは果たしてどうなのかなと思っています。先ほど質問した価値というものは、いわゆるイノベーションをどう考えているのかということでして、新しい役割といったものは待っていて来るものではなくて、実際は相当いっぱいあるはずのニーズを見つけて、これから行こうとしているのか。それで違ってくるのではないかと、私は思っています。
 これから時代がどんどん変わってくる。そうすれば当然、対象者や支援内容も変わってくる。そして困難事例というものもどんどん変わってきています。昔から考えれば変わってきていると思うのです。ですから、そういうことに対して、これから先、私はそこの取組の必要性があると思っています。
 しかし、そこは私たちがお願いしたから、それをやるという形ではないと思うのです。そういったニーズをもう少し大切に捉えてやっていくということが、事業の在り方という部分で、やはり国立という冠を持つか持たないかというなかであるのではないかと思っています。
 先ほどの事例の中で言われていた、例えば自傷行為が激しくなったときに、なぜ民間の私たちが余り積極的に受けないかというと、これは今、虐待と相反するような部分があって、できるだけそのように取られたくないということがあったり、あるいは職員が少ないことがあるので、結局は大変な人の受け入れが難しいということが、余り言わないけれども裏にはあります。
○佐藤座長
 ざっくり言えば、金さえあれば民間でもできることはたくさんあるという話と、どういう整合性を付けるかということですよね。現実に運営交付金が、実際の報酬と同額ないしはそれ以上に出ているわけですよね。多分、北岡さんの所も佐賀の施設も、事業団や県が直営でやっていたときは、実際に入ってくる報酬の倍、あるいはそれ以上の予算を掛けて、つまり報酬レベルがそのように、全部イコールフィッティングになれば、できる所がたくさんあるという世界なのか、それともそんなことはできないから、1か所にそれを委託するために、引き続きこの形を残すべきだという議論なのか。私は分かりやすく言えばそういうことだと思うのです。北岡さん、いかがですか。
○北岡構成員
 こういう場で話をすることと少しずれるのかもしれませんが、今、国に何を期待するのか、国の独立行政法人に期待したい障害福祉分野の話みたいなことを、1つは思うのです。
 それは恐らく知的障害の方の入所施設、それで地域移行をやっていきましょうというのは、恐らくこれから徐々に民間で、もっと力を付けてくる所が出てきて、国がわざわざそのことに対して、どこまでやり続けるのかというのは、そのうちのぞみの園も新しい入所者は受け入れないという立場を、今のところは立てておやりになっているわけですから、どこかでそういうことを考えなければいけないのでしょう。
 民営化ないし利用者がいなくなればどうするのかという問題はあるのでしょうけれども、ただ、私は国に何をやってほしいかというと、個人的な意見なのですが、例えば高次脳機能障害の方の社会的行動障害を伴う方へのケア論とか、その方がどこでどのように暮らすかというのは、まだ全く地方においても社会福祉法人においても手付かずです。
 この全体のボリュームからしても、そしてそういうことが、やはり必要だというメッセージや旗振りを、国に是非やっていただきたいと、個人的には思っているのです。このことに対するのぞみの園という枠組みというか、法人ということが、場合によってはそういう役割も次の時代にもし残すということが前提であれば、そういうこともお願いできたらと思います。
 2つ目は、見えなくて聞こえないという盲聾の障がい者の方が、全国で今、2万人程度いらっしゃることが分かっています。この2万人の盲ろう者に対する、例えばアメリカでいうヘレン・ケラーセンターみたいなものは、日本にないわけです。盲ろう者という障がい者に対する情報提供機関であるとか、何かそういう人たちに対するケアの在り方などを、国が独立行政法人として、何かやっていただけたらなと日頃は思っています。
 例えば、我が滋賀県でそのことをやると言っても、県レベルでは非常に人数も少ないということになっていきます。こういう脳外傷友の会、その他いろいろあるわけですが、なかなかがっちりと、このことに腰を据えて、全国で2万人の方に向かって、どうやっていくのかとか、高次脳機能障害の社会的行動障害の方は、ほぼ精神科病院の社会的入院に追い込まれているということから、この2つのケア論や在り方は、是非、国という単位の中で、何かやっていただきたいと思うときに、のぞみの園という、今あるフレームを、もし活用するとしたら、そういうことはどうかなという御提案もしたいと思います。
 今のまま、知的障害の方の強度行動障害などの話で、ずっとやっていっても国の役割としては、どこかでピリオドを打つしかないというのが私の意見です。佐藤座長に怒られるかもしれないですが、その2つの意見があります。
○佐藤座長
 私は皆さんの御意見を調整するのが役割ですから。煎じ詰めれば、独立行政法人なり国が強力に支援をする体制を、今後も維持するとすれば、従来の事業ではなく、今、重要で、しかし手が付いていない事業をやるべきだと、ざっくり言えばそういうことです。
○北岡構成員
 そうですね、これは多分、都道府県の力では難しいと思っているということです。
○石渡構成員
 今の2点目の盲聾のところについては、全国盲ろう者協会がここ5年ぐらい、いろいろな取組をしていて、結構厚労省としても調査の予算を付けてくれるみたいな流れがあるとお聞きしていて、私もその検討会にはちょっと関わっているのですけれども、やはり盲聾の方の支援と、今までのぞみの園が知的障害の方に対してやっていた支援とは、だいぶ質が違う。やはり国立だからというところでお願いしていいのかなと思うものですから。
○佐藤座長
 すみません、そういう細かいことは。独立行政法人という形態をどうするのかという、まだざっくりした話で、個々の事業をどうだというのは、その次の段階で議論しましょう。
○石渡構成員
 分かりました、すみません。
○佐藤座長
 いや、例として、そういう。
○北岡構成員
 石渡先生、そういうセンターを、やはり盲ろう者友の会その他はすごく求めていらっしゃって。
○石渡構成員
 そうですね。
○北岡構成員
 ただ、自分たちではできないと。しかもこれは都道府県では難しいのですよ。
○石渡構成員
 はい。
○北岡構成員
 何か別の話題になってすみません。
○石渡構成員
 すみません。
○佐藤座長
 いやいや、司法との関係の、いわゆる触法障がい者の問題でも、全国的に言えば、まだ全部足しても二桁ですよね。
○北岡構成員
 住むこともそうですね。本当に定着しない。
○佐藤座長
 これはもう本当に国の大問題だと。犯罪を繰り返す当人にとっても、あるいはその被害者になる人にとってもということですから。それは確かに、探せばいろいろな課題はたくさんあると思います。それの多くが厚生労働省が関与して解決すべき課題だということで、それらの具体解決を全部含めて、のぞみの園の将来をどうするかという話には、なかなか行かない。
 単純に言えば主観が違いますからというので、ここの話題にも乗りにくいということもあるでしょうから、差し当たって現状の事業の内容と、それから将来を見越したところで、運営主体をどうやって考えていくか、運営主体の在り方論について、もう少し議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木構成員
 やはり専門家の皆さんも、私たちみたいな保護者の立場の人間も、のぞみの園で今までされてきた研究に対して、大きな成果を確実に評価しています。今後のことも、やはり国立ということで、のぞみの園とは言わないのですが、先日も理事長さんが「のぞみの園だからではない」というようなお話もありましたけれども、やはりお金がたくさん出ているという所では、これから北岡さんがおっしゃったことも、大変に期待しているところだと思うのです。
 ただ、もう1つ、前にのぞみの園に伺ったときもちょっと言われたのですが、研究部門と入所施設の支援のほう、全く別なのだというようなお話も出ていました。入所施設のほうの部門は、今後、新しい入所者は入らないということですけれども、そこはもしかして切り離して考えられるのかなということ。
 もう1つは、あれだけ広大な施設の中に、もう既に入所者は半分近く地域移行されている中で、あの建物などの維持をしていくときに、どれほどのお金が掛かっているのかというのは、ちょっと素人の私では分かりませんけれども、そういうことも含めて、国からかなりの金額が出ているという所では、ほかにも支援を必要としていらっしゃる方たちもたくさんいる所で、やはり考えていかなければいけないのではないかと思っています。あの場所ではなくてもできるかなというところです。
○佐藤座長
 地元としていかがでしょうか。
○小林構成員
 群馬県の市町村で、かなり強度行動障害で、10年間児童の施設に入っている子供がおりました。それを市町村の総合支援法に基づく支給決定をすることになると、市町村ではどうしても無理で、県に相談が行きます。県のほうでも、県内の施設にお願いする場合に、それは先ほどの佐藤さんの話ではないのですけれども、県で加算を付けてくれれば受け入れますというような形になってしまい、どうしても手間がかかるという部分が問題になります。
 そういったことを、例えば、先ほどののぞみの園で強度行動障害の方を短期間の受入れということで、いろいろな支援のノウハウを蓄積していただいているということなのですが、そもそも定員を半減した余りを、20人、30人の強度行動障がい者を受け入れているからということで、それが理由になっているとすると、ちょっと私どもとしては、もう少し国としてもっと取り組んでいただけないものかという気持ちがあります。
 市町村にとって国の施設は敷居が高いので、県を通じてのぞみの園に相談するわけなのですが、例えば、もう10何人でいっぱいですよということになりますと、それはちょっと私どもとしては国に相談しているつもりなのだけれども、果たして、もっと受け入れてもらえないものかという、地元としても要望させていただきたいなと思います。
 もしもそれが国という形態ではなくて、先ほど片桐専門官が御説明してくださいました、民間でできるということであれば、それはそれで佐藤座長がおっしゃるように、運営形態を見直して、例えば都道府県の要望に応えていただけるようなことがあるのだとすると、それも1つの手段かなと、私ども、1つ1つの重たい事例を持っている中で、頼れる所があると有り難いなという気持ちで、ちょっと発言させていただきました。
○佐藤座長
 余りもう時間がないので、次回に譲っていきたいと思います。ほかに御意見がありましたらお願いします。
○遠藤オブザーバー
 議論の整理として、のぞみの園の今の制度的な位置付けということは確認させていただきたいと思います。独立行政法人ということで、正に障害福祉行政を推進していくに当たって、国として独立行政法人を活用していく。そのために中期目標という5年間の目標を厚生労働大臣が設定して、それをのぞみの園に指示するという枠組みになっているわけです。
 したがって、我々のぞみの園としては、その中期目標を達成するためにいろいろと取り組んで、今日に至っているということです。ですから、のぞみの園として全くフリーハンドで、いろいろな事業をできるということではなくて、まず目標ありきで、それを達成するために何をすべきかということが1つです。
 それから、独立行政法人ということで取り組んでおりますが、これは先ほども言ったように、個別の法律に基づいて、そういう役割を担うということで取り組くんでいるわけです。
 先日、総務省の独立行政法人の評価と制度に関する委員会があり、そこの評価を担当する部会長さんと副部会長さんが、のぞみの園を訪れて、いろいろディスカッションをしましょうと。そのディスカッションというのは、行政を推進していくに当たって、いかにして独立行政法人を活用するかという視点から、大いにディスカッションしましょうということで、のぞみの園を視察いただいて、その後、私どもと1時間半以上、いろいろとディスカッションしました。
 そのようなこともあり、独立行政法人という制度が現に法律としてあって、その法律に基づいて厚生労働大臣が中期目標を設定し、それに基づいて私どもが事業を展開しているという現状は、是非、御理解いただきたいと思います。
○佐藤座長
 4時になりましたが、先ほど私が冷やかすように北岡さんの所に、「24時間勤務とか言っていましたよね」と。いろいろな民間が、いわゆる割増がないところで、いろいろと努力している所はあると思うのは、明け公休とか、24時間365日戦いましょうとか、今、思うと、今ほど労働問題が騒がしくなかったので、施設経営に携わる者としては、随分暴言を吐き散らしながらやったなと。
 今もそのようにしてやっている所はあるかもしれません。ただ、それはある意味で言えば、志に基づいて、この仕事をするために自分はここに来たというもので、ようやく現実にかかる人手と経費、それと実際に支給される、かつては措置費、支援費、そして給付金になっても、そのギャップを埋めてきた。
 多分、公的な所は、そこがお金によって埋められるから、職員が突出して何かいいことをやろうという意欲を持たなくても、普通にできてしまうということがあって、士気が必ずしも上がらないというような実態も散見されるようになって、いろいろな所で民営化の動きにも加速してきたと思うのです。
 いろいろな経済学者によって見方があるようですけれども、どちらに転んでも、これから国の人口が減る、生産人口が特に急激に減少することで言えば、今までやってきたような仕組みで財政の維持などできるはずもない。いろいろな方法を考えて、いろいろな事業を持たせるようにしなければいけないという大きな流れの中で、このことは来ています。好むと好まざるとにかかわらず、いろいろな分野でいろいろな仕事の在り方が、税金との絡みの中でどのように位置付け直すのかという話だと思います。
 ですから、私はこの運営主体の話というのは、それぞれが正面から、その風に向かって考えていかないといけない話で、どこかが何とかなるというようなことでもないのではないかという感想を持っています。ですから、今日はその運営主体、特に財源の担保の仕方という意味で、今後どのように考えていくかということを検討していく必要があるのではないかという思いで、皆さんに御意見を求めました。
 次回、引き続きこの課題について議論を進めていくことになると思いますが、ワーキンググループのほうからも、何かしらそれなりのまとめが報告されるかと思います。それでは今日の議論を、ほぼ4時に終了したいと思います。では最後に、事務局のほうから。
○渥美施設管理室長補佐
 本日は御多忙中のところ、御議論いただきましてありがとうございました。次回の開催は9月を予定しておりますが、日程調整の上、追って御連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○佐藤座長
 それでは、本日はこれで閉会します。どうも皆さんありがとうございました。御苦労さまでした。


 


(了)

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