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2017年8月3日 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会

医政局

○日時

平成29年8月3日(木)15:30〜17:30


○場所

主婦会館プラザエフ カトレア


○議事

○山口在宅看護専門官 失礼いたします。定刻になりましたので、ただいまから「第1回人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。

 最初に検討会の構成員の皆様の御紹介ですが、お手元の資料1に名簿をつけさせていただいております。本来であれば、お一人お一人御紹介すべきところですが、時間の関係上、この名簿をもって御紹介に替えさせていただきます。

 また、本日は、熊谷構成員、権丈構成員、横田構成員、内田構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 まず、本検討会の開催に当たりまして、医政局長の武田より一言御挨拶を申し上げます。

武田医政局長 医政局長の武田でございます。本日は、皆様大変お忙しい中、本検討会にお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 第1回の検討会の開始ということでございますので、一言だけ御挨拶を申し上げたいと思います。

 本検討会でございますけれども、かなり歴史のある検討会でございまして、これまで昭和62年度以降、おおむね5年ごとにこういった議論をさせていただいております。特に平成4年度からは、国民や医療従事者等に対する意識調査をあわせて実施し、その結果に基づき人生の最終段階における医療について、さまざまな角度から検討してまいりました。

 この調査の過程におきましては、患者・家族の方々のみならず医療従事者にもお伺いをいたしますと、特に医療従事者の方々は、人生の最終段階、かつて終末期とか言われておりましたけれども、そういう段階においては、なるべく医療施設というよりは家庭的なところで最期を過ごしたいという御希望の方が多いとか、さまざま国民の意向を把握し、それを施策に反映させてきたところでございます。

 一方、平成19年度になりまして、人工呼吸器の取り外し事件をきっかけに、意思確認の方法でございますとか医療の決定手続などについて標準的な考え方を整理いたしまして「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」といったものを策定いたしました。また、前回の平成24年度におきましては、人生の最後まで本人の生き方を尊重した医療やケアの提供について検討することが重要であることから「終末期医療」という言葉から「人生の最終段階における医療」ということで、名称の変更についてもこの検討会の御議論を踏まえて行ったところでございます。

 皆様御承知のとおり、現在、我が国は高齢多死社会ということでございまして、こういった高齢化の中で医療介護の提供システムそれ自体についても、さまざまな変革を迫られているところでございます。中でも鍵となる概念は、地域包括ケアシステムの推進になります。地域包括ケアの考え方につきましては、これもさまざま、これまでの議論の蓄積がございますけれども、現時点では住みなれた地域で自分らしい暮らしを営むことができる体制の整備。そして、その実現には本人の選択が最も重視され、それに対して本人、家族の心構えといったことが必須な要素になってきているところでございます。

 一方、医療のあり方そのものにつきましても、社会保障改革国民会議の報告書が平成25年8月に出されておりますけれども、高齢社会の到来、医療のあり方自体が大きく変わりつつある中におきまして、これまでのように治す医療といったところから、治し支える医療への転換ということも提言されているところでございます。

 こういう大きな医療の変革の中にありまして、改めて本日、お集まりの先生方には、人生の最終段階における医療について、先ほど申し上げたような本人の選択、本人、家族の心構え、治し支える医療への転換といった観点で、さまざまな観点から我々の必要な対策などについて、御提言を賜れればと思っている次第でございます。

 本人の意思の尊重といいましても、意思の尊重ということ自体、大変難しい観点がございます。私どもは、場合によっては本人の意思というもの、家族も含めて本人が望む暮らし、望む人生の最終段階の医療とは何かというそれ自体につきましても、寄り添っていく必要があるのかもしれません。

 構成員の皆様方には、早い段階からこういったことについて、本人、家族とも考え、話し合うことができるようにするために、また、本人の意思決定やその意思を家族や関係者の方々と共有していくために、どういったことが必要な情報提供、普及・啓発のあり方なのか。こういう点につきまして、さまざまな観点から幅広い御意見を賜れれば幸いだと思っております。

 本日を皮切りに、また、有意義な議論ができますように、私ども事務局としても努力いたしますので、皆様方の御協力、御支援、闊達な御議論をお願いしたいと思っております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

山口在宅看護専門官 資料の確認をいたします。

 議事次第、座席表、資料1から5までと参考資料1及び2をお配りしております。

 乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。また、机上のみの配付となりますが、川平構成員から「私の想いをつなぐノート」の御提供がございましたので、配付しております。

 続きまして、本検討会の座長の選出についてお諮りしたいと思います。

 開催要綱では、座長は構成員の互選により選出されるとされています。どなたか御推薦いただけますでしょうか。

 木澤構成員、お願いいたします。

木澤構成員 今、御紹介がありました「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の策定時の座長をしていらっしゃいました樋口先生を推薦させていただこうと思います。よろしくお願いします。

○山口在宅看護専門官 ただいま木澤構成員より、樋口構成員を推薦する御意見がございました。皆様方、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山口在宅看護専門官 それでは、皆様方に御賛同いただけましたので、樋口構成員に座長をお願いしたいと思います。樋口構成員におかれましては座長席にお移りいただきまして、以後の議事運営をお願いいたします。

(樋口構成員、座長席へ移動)

○樋口座長 樋口と申します。一言だけ御挨拶申し上げますが、先ほど武田さんがおっしゃったように、どうやらこの会議は30年ぐらい歴史があるのです。5年ごとにこういう会議をやってこられて、それぞれの会議ごとにテーマがあり、30年前と今は、こういう分野でも大違いですし、そのときのそれぞれの力点の置き方が変わってきていて、それをたどりながらということも、非常に重要なことなのではないかと思っているのです。

 今回始まるこの会議において、今日は第1回ですので、一体何を中心に議論するのかをお互いに確認して、その上で、さまざまな現場の見識を持っておられる方に来てもらっているわけですから、その意見を反映しながらこの会議でやれることを達成するように努力していきたいと思っておりますので、皆様、御協力をお願いしたいと思います。

 議事に入る前に、幾つかこういうときの仕事があるらしいのです。それをやります。

 まず、座長がいつ倒れるかわからない。座長代理を決めておこうというのですが、開催要綱では座長が指名できる。唯一の私の特権らしいのです。昔から同僚だったのでよく知っているのですが、座長代理は、そこにおられるのですけれども、佐伯先生にお願いしようと思っているのですが、よろしいでしょうか。

 それでは、佐伯さんにお願いして、とにかく座長代理。佐伯さんさえいれば大丈夫です。

 次に、構成員の方がやむを得ず欠席する場合がある。そのときに、ぜひとも代理出席という形を望みたいという場合があるので、団体を代表して参加している構成員が欠席し、代理出席を希望する場合には、事前に事務局を通じて座長の了解を得た上で当日の会合において承諾を得ることにより、参考人として参加し、発言することをお認めしたいと思いますが、これもよろしいでしょうか。

 3つ目です。開催要綱において、座長は必要に応じて構成員以外の関係者の出席を求めることができるとされているそうです。本日は、前回の検討会の座長、本当はその前もそうだったと私は記憶しておりますが、座長だった上智大学生命倫理研究所教授、上智大学名誉教授の町野先生を参考人としてお呼びしております。そこに鎮座しておられるのですが、きょうだけではなくて、可能であればずっといていただきたいと思っておりますが、この点についてもよろしいでしょうか。

 町野さん、何か一言ありますか。

○町野参考人 いいえ。

○樋口座長 それでは、早速議事に入りたいと思います。

 きょうの議事次第を見ていただくと、1、2、3、4とあって、特に3と4は今後の話ですので、今日の話題は1と2です。今回、この種の会議には初めて出てきていただくという方も相当におられるようなので、30年の歴史を全部振り返ることはできないと思いますけれども、これまでこの会議が一体どういうことをやってきて、今回はこういうことを厚労省としては考えているのだという御説明を伺うことが一つ。

 その上で皆さんの御意見を伺いたいと思いますが、先ほどもありましたけれども、一定の時期から意識調査を広く実施しているのです。非常に興味深い結果も出ているわけなので、今回、平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査の実施ということで、こういう調査をやりたいという素案がありますので、それについて御議論いただく。これが2本の柱になります。

 1番目、事務局から資料1、2を用いて、議題1の人生の最終段階における医療の現状と課題について入りたいと思います。それに関連して、その後、木澤さんからアドバンス・ケア・プランニングについて御説明をいただくことになっておりますので、その2つをお聞きいただいて、少しフリーなディスカッションをしたいと思っております。

 では、事務局からまずはお願いします。

○桑木在宅医療推進室長補佐 事務局でございます。

 資料1に沿って、その後、資料2の説明をいたします。資料1をごらんください。まずは本検討会の目的を再度確認いたします。本検討会の目的としましては、人生の最終段階における医療については、医療従事者から患者・家族に適切な情報の提供とあわせて説明がされた上で、患者本人による意思決定を基本として行われております。本検討会はさらに、そういう患者だけではなく、病気になる前、健康な方を含めた国民に対して情報提供・普及啓発のあり方について御議論いただきたいと思っております。

 資料2をごらんください。事務局でこれまでの経緯と最近の動向をまとめておりますので、紹介いたします。2ページをおめくりください。我が国、日本の人口は人口減少局面を迎えておりまして、将来的には、2060年には総人口が9,000万人を割り込む。一方、高齢化率は40%近くに到達するのではと予想されています。高齢化率のピークは2083年、65歳以上の人口のピークは2042年と推計されております。

 3ページ目ですが、一方で2015年の足元の年間の死亡数は、約120万人前後でございます。死亡数のピークは、2040年前後を予想しておりまして、約167万人から169万人に達するのではないかと予想されております。

 4ページ目は、死亡する場所についての年次推移を示しております。1位は1976年以降、病院が占めております。現在、ピークアウトしている様子を示しておりますが、75%前後を占めている。2位が自宅で12.8%、7%前後で推移しております。最近、3位の老人ホーム、4位の介護老人保健施設等の死亡場所がふえているというのが現状でございます。

 5ページ目は主な疾患別の死亡率の推移でございますけれども、近年、がんが1位を占めております。一方、心疾患、肺炎、脳卒中等の加齢に伴う病気もふえている現状でございます。また、近年は、老衰という死亡診断もふえているのが現状でございます。

 6ページにその割合を示しております。がんが約3分の1。心疾患、肺炎、いわゆる加齢に伴うもの。この3つを合わせると約半数に上る。さらに老衰等を加えますと7割の方が加齢による変化によって亡くなっているのが現状ではないかと考えております。

 8ページは、この20年間の救急搬送の実情を示しております。平成7年のころ、高齢化率が14.6%前後では、高齢者が占める割合が約31.6%でございました。直近の平成27年は高齢化率が26.8%前後ですが、救急搬送に占める割合は半数以上を占めているというのが現状でございます。

 9ページ、10ページ、11ページには、最近の政府の考え方等を示しておりますが、9ページの一番下の点線囲みをごらんください。直近の骨太の方針2017の中で示された方向性ですが、人生の最終段階における医療につきましては、国民全体で議論を深める必要があること、普段から考える機会を設ける必要があることなどが述べられております。

11ページに示しておりますが、この前に行われました財政諮問会議のワーキンググループの中でも、いわゆる人生の最終段階における医療について語られるときに医療費削減の話が持ち上がることが多いのですが、そういった視点ではなく本人のQOLのために議論されるべきだという意見が出ております。その中でも、後に木澤先生から紹介していただきますACP、アドバンス・ケア・プランニングを広めることが重要であるということが示されております。

12ページ以降にこれまでの経緯等を示しております。13ページをおめくりください。昭和62年度から、およそ5年置きにこの検討会を開催しておりまして、主な流れとしましては、平成19年度にガイドラインを国で策定しております。平成24年度開催のときに、今までの「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」という名称の変更を行っております。

14ページは、私たちのほうで示しております「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」のあらましになっております。ガイドラインの概要としましては、医療従事者から適切な情報の提供と説明がされた上で、患者が医療従事者と十分に話し合いまして、患者本人による意思決定を基本とすることを求めております。医療従事者も医師単独とかではなく、医療従事者の看護師、メディカル・ソーシャルワーカーを含めたチームでその対応に当たることを求めております。

15ページは方針決定の大まかなイメージを示しておりますが、患者本人の意思が確認できる場合とできない場合に分かれて決定していく。最終的には御本人の意思を尊重するという考え方に変わりはございません。

16ページには前回の検討会の概要を示しております。

17ページに、前回の検討会で行われました国民向けの意識調査の概要を示しております。この中では、自分の死が近くなった場合に受けたくない医療等について、家族と話し合ったことがあるかという問いに対しましては、全く話し合ったことがないという方が56%を示しております。そういった場合に、どのような治療を受けたいか、どんなことを受けたくないかを書面であらかじめ作成しておくことについては、約7割の方が賛成している。一方で、3%の方が実際に書面を作成しているというギャップがございました。

 人生の最終段階における医療の現状の取り組みにつきまして、18ページ以降に示しております。

19ページをごらんください。今までに出てきました現状と課題を上のほうに示しておりまして、厚生労働省としましては、これまでの厚生労働省の取り組みとしてガイドラインを策定、医師、看護師等に対する研修を行ってまいりました。

 この医師等に関する研修は次のスライドに用意しておりますが、それ以外の課題としましては、本人の意思に反した医療処置や搬送が行われる可能性に考慮しまして、本検討会では、住民向けの普及啓発について議論いただきたいというのが1点目。もう一つ、私たちの本年度の事業としまして、在宅医療・救急医療の連携に関する事業を行っていきたいと考えております。

20ページに医療従事者向けの人生の最終段階における医療体制整備事業について概要を示しております。主にアドバンス・ケア・プランニングを医療従事者のチームで参加していただいて、どのように伝えていったらいいかという研修になっております。この事業は平成26年度から開始しておりまして、平成26年度、平成27年度はモデル事業で計15チーム。昨年度、平成28年度からは全国8ブロックに展開しておりまして、214チーム、751名が研修を終わったところでございます。

 次の21ページに、在宅医療・救急医療連携セミナーの紹介をしております。本人の意思に反した救急搬送が散見される現状に対しまして、先進した自治体では地域でルールをつくり、本当に搬送が必要な方、必要ではない方を、患者本人の意思を反映したルールづくりをしている地域がございます。そういった先進事例の横展開を図るために、幾つかの自治体にこういうルールづくりに参加していただくような事業を、本年の秋口以降に開始したいと思っております。

 また、私たちの厚生労働科学研究費に関しまして22ページに示しておりますが、筑波大学の田宮先生にお願いしまして、海外のこういった分野のガイドラインの状況のレビュー、今、いくつかの自治体で、こういったエンディングノートであったり、アドバンス・ケア・プランニングに対し取り組んでいるところがございますが、一体どれぐらいの自治体が取り組んでいるのかといった全国調査をやっているところでございます。こちらに関しましては、第2回以降に紹介できればと考えております。

 以上を踏まえまして23ページで、具体的に議論していただきたいところを下の論点に示しております。病気の方を含めて広く国民に対する情報提供や普及啓発を進めるために配慮すべき点、工夫すべき点はどのようなものか。本人の意思を地域や関係者等で共有するための仕組みについてどのように考えるかについて御議論いただければ幸いでございます。

 事務局からは、以上です。

○樋口座長 続いて、木澤さん。

○木澤構成員 資料3を皆さんにごらんになっていただきたいのと、もしできましたら資料2の15ページをあわせて見ていただければと思います。ポンチ絵みたいな、こんな黄色い絵のものです。

 私は、アドバンス・ケア・プランニングというところを御説明するようになっていますが、まずは確認ですけれども、樋口先生、何時までにやればいいのですか。大体でお願いします。

○樋口座長 それを私に聞かれてもわからない。

○木澤構成員 わかりました。大丈夫です。

○山口在宅看護専門官 事務局からよろしいでしょうか。先生、30分の予定どおりでお願いいたします。

○木澤構成員 承知しました。

 まず、今回、アドバンス・ケア・プランニングという、初めて聞かれる言葉なのかもしれないのですけれども、どんなことをするのかということを御説明しようと思います。

 「「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」方針決定の流れ(イメージ図)」を見ていただきたいのですが、患者の意思が確認できる場合は、患者御自身と十分な情報提供と説明の上で意思決定をしていくのが大原則になるということが、ガイドラインの流れかと思います。自己決定ができるときには、余り大きな問題にはならないと理解しています。

 問題は、患者の意思が確認できない場合です。そこには「患者の推定意思を尊重し、患者にとって最善の治療方針をとる」となっているのですが、先ほどの国民調査の結果にもあったように、56%が全く話し合ったことがない、もしくは話し合っていても、縁起でもないとか、家族や御本人の心情をおもんばかって十分に話さないということが広くよくあることだと理解しています。

 では、どうしたら御本人の意向をできる限り正確に尊重した意思決定を図れるかということで、前もって患者御自身と人生の最終段階においてどんな医療やケアを受けたいかを話し合っておこうではないかという取り組みがあります。そのことをアドバンス・ケア・プランニングといいます。

 資料3に移らせていただきます。詳しく説明していこうと思います。

 スライドの3を見ていただきたいのですけれども、アドバンス・ケア・プランニングは何のためにあるかといいますと、これは遺族への調査の結果なのですが、終末期において約7割の患者は意思決定が不可能だというデータがあります、さまざまな研究においても、約4分の3で意思決定能力がないと言われています。だったら、事前にさまざまな意向を聞いておいて、それを反映させたらいいのではないかと考えたというのが、発想の原点であります。

 アドバンス・ケア・プランニングの定義が4ページに示してあります。UKの定義です。「今後の治療・療養について、患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス」であると言われています。「自発的な」ということがおおきなポイントになります。強制されないということが大変重要で、話したくない方、場合によっては、自分の最期と直面するのに非常につらい体験をされるので、自発的でなければならないということが書かれています。患者が望めば、できれば御家族や友人とともに行うと、最終的に御家族や友人の方がかわりに決められることが多いので、その方の決定の質が高まるということになります。

 話し合いの内容が最後に4つ書かれていますけれども、御本人の気がかりや意向であるとか、価値観や目標、病気に対しどのように理解していてどのように治療していきたいのか、ケアしていきたいのかを含むということで、治療、ケアのことだけではないということです。人生をこれから、どうやって過ごしていきたいかということが一番メインになると言われています。

 アメリカ合衆国やEUで今、デルファイ・プロセスといいまして、専門家が集まって、みんなでアドバンス・ケア・プランニングの定義を決めようというような取り組みがされています。5ページに紹介するのは、今年出たアドバンス・ケア・プランニングの定義なのですが、詳細はまた読んでいただくとして、5ページに書いてあるところだけ読みあげます。

 年齢と病期にかかわらず、成人患者と、価値、人生の目標、将来の医療に関する望みを理解し共有し合うプロセスのこと。次が重要なのですけれども、ACPの目標は何かといいますと、重篤な疾患並びに慢性疾患において、患者の価値や目標、選好を実際に受ける医療に反映させること。これは特によく言われているのですけれども、今も含むということです。今、話し合っているときには、患者は意思決定能力があるわけです。そこも含み、かつ、自分が意思決定できなくなったときのことも含む。両方を含んで、多くの患者にとっては、自分が意思決定できなかったときに備えて、自分が信頼できる人を選定しておくことを含むことであるとされています。

 6ページに書いてあるのがどんなことかというと、繰り返しやらなければいけないとか、レディネスに応じて行われる。つまり、患者が準備していないのに行われるということ、つまり強制されないことがすごく大切だということが書かれています。

 7ページには特に3段目ですけれども、話し合いの内容は、患者に許可いただければ共有して、地域においてどこでも使えるようにするのが望ましいということが書かれたり、更新しなさいということが書かれています。後で出てきますが、一度アドバンス・ケア・プランニングをとおして決めた患者の意向の内容は、容易に変化します。ですので、それに対応して、更新する必要があるということが書かれています。

 アドバンス・ケア・プランニングは大きく2つに分類できます。1つは健康成人に対するアドバンス・ケア・プランニング。もう一つは、病気を持った患者に対するアドバンス・ケア・プランニングです。それぞれさまざまな研究や実際の事業が行われて知見がたまっていますので、少し御紹介します。

 1つ目は、9ページに書かれています健康成人に対するアドバンス・ケア・プランニングです。一番言わなければいけないことは、健康成人に対するものは曖昧なものになるということです。自分が今は元気なのに病気であることを想定して意思決定をするので、曖昧なのです。意向は曖昧で、その都度変わり、遠い未来に対する仮の選択になる。自分の判断が何をもたらすかはよくわかっていないことが多い。自分が、例えば書面に残したり話し合ったりしても、数年たったら全く覚えていない。そうかなと自分も思ったりするのですけれども、1年たつと違う選択をする。実際に調査があるのですけれども、ナーシングホームの居住者のうち約4割は5年のうちに心肺蘇生に関する意向を変えるということが知られています。

 実際にアドバンス・ディレクティブを書いてから死亡に至る期間が長いので、そのときに使えるかどうかはわからない。意向が変わっているかもしれないことが推定されるということが言われています。

 逆の問題がありまして、10ページは遅過ぎるとどうなるかということが書かれています。生命の危機に直面している患者には行われない。つまり、余りにも全身状態の悪い人には、医師もしゃべりにくいですね。ここで話していいのかと躊躇してしまったりしますし、患者は話し合うことを避ける傾向の人もいます。否認のコーピングをする人もいます。救急や死の前日などに短時間で、「蘇生はしないということでいいでしょうか」とか、そのような形で本当に短時間に行われてしまうことがあって、内容は行われる医療行為に限られてしまい、患者本人が実際にどんな価値を持っているのかとか、どのように過ごしたいかが余り話し合われない傾向があります。かかる時間は平均1分という調査も存在します。

 今のアドバンス・ケア・プランニングの介入の世界的な流れなのですけれども、健康人に対するアドバンス・ケア・プランニングなのですが、実際に自分が病気になったときに使えるかどうかというと、それはちょっと期待ができないかもしれないと言われています。健康関連アウトカムを変えないというのは、そのときに決定したものは、実際には使えないことが多いと言われている。ただ、これを通してアドバンス・ケア・プランニングを知ってもらうとか、こういうことができるのだとわかってもらうのは非常に大きいことであると言われていて、例えば誕生日であるとか、ご家族やご友人のどなたかが入院をされたりとか、そのようなライフイベントに合わせて行うと有効だと言われています。

 もう一つは病気を持った人に対するアドバンス・ケア・プランニングです。これも後で少しお話ししますが、ある程度自分がどうなっていくかを患者が予想できないと現実的ではないので、予後1年を一つの目安として実施していることが、諸外国では多いといわれています。実際に、決めた内容、話し合った内容を医療行為に反映させることが目的で、意向に沿った人生の最終段階のケアの実践と、死の質の改善が大きな目的になることが多いと言われております。

12ページです。また市民の話に戻るのですけれども、市民啓発を行う意義として言われているのは、アドバンス・ケア・プランニングについて話し合う機会があったり、男性であったり高齢であったり、よい健康状態であると、アドバンス・ケア・プランニングに対してポジティブな影響があると言われていますし、家庭医を持っていること、アドバンス・ケア・プランニングに関する知識があると、アドバンス・ケア・プランニングやアドバンス・ディレクティブをしやすいというデータが存在します。要は、アドバンス・ケア・プランニングについて十分知る機会が重要ということを見て取ることができます。

13ページですけれども、病気を持った人に対するアドバンス・ケア・プランニングについては今から御紹介しますが、基本的には予後が限られた疾患、慢性疾患を持つ患者、人生の最終段階にある患者を対象として行われた研究に関する知見がたまっている状況であります。

14ページからは、歴史的な経緯をお話ししようと思います。

15ページのスライドは最初のスライドと重複していますが、終末期においては、約4分の3の患者で意思決定が不可能だから、事前に意向を聞いておけばいいのではないかと考えられて、初めてそれを大規模に検証した研究が、16ページにありますサポート研究という研究です。これは米国で行われた疾患を問わず重篤な疾患で入院した9,000名の患者を対象にして、2つの群に分けまして、4500名の人の患者に対して、看護師が十分に病状理解を確かめた上で、アドバンス・ディレクティブを聴取したのがこの研究の主な介入であります。もう一軍の4500名は対照群としました。

 実際に介入で何をしたかというと、例えば自分が人生の最終段階になったときにICUに入室したいかであるとか、心肺蘇生を受けたいかとか、輸血、抗菌薬の使用など、さまざまな終末期に対するいわゆる医療行為についての選好を聞いて記録に残したわけです。介入の結果はどうだったかと言いますと、普通に考えれば、事前に希望する治療やケア聞いておけばそれが反映されて、患者の意向に沿ったケアが実践されると考えるのが普通なのですが、この研究では、残念ながらそうはなりませんでした。

ICUの利用も変わらなければ、DNR取得から死亡までの日数、疼痛、アドバンス・ディレクティブが遵守されたかどうか、医療コスト、患者・家族満足度にほぼ差がなかったというのがこの研究で、簡単に言うと、入院患者、重症の患者に、機械的にアドバンス・ディレクティブを聴取しても聴取したことは反映されない。患者の希望が反映されないということがわかったというのが、この研究の要点です。

 これを私は勉強会で読んだのですけれども、すごい衝撃を受けました。何でこんなことが起こるのか。なぜ有効でなかったかが17ページで示されているのですけれども、簡単に言いますと、一つは、患者は自分が悪くなったことを想像しにくいという問題がある。あとはその時点の選択が今も同じかがわからないという問題。最大の問題は、人生の最終段階におけるケアの内容を実際に決めることができたのは患者ではなくて代理決定者だったのですけれども、代理決定者は、この文書があること、つまり、アドバンス・ディレクティブがあることすら知らない。書いておいたことに、人工呼吸器をつけたくないとか、ICUに入室したくないと書かれていても、なぜそうなのかがわからないので、内容が反映されないということが起こりました。例えばあなたのご家族が助かる可能性が50%の重症の肺炎になって、ICUの入室が必要ですと言われたとします。患者はアドバンスディレクティブにICUに入室したくないと書いてあったとします。みなさんが御家族だったらどのように判断されますか。かなり割れると思うのですけれども、5割助かるのだったら、ICUに入って治療してもらおうと思うのが普通の御家族かなと私は思うのですが、皆さんどうでしょうか?実際にそのように意思決定すると、患者が書いたことと実際に起こった医療が全く違うということが起こり得ます。

18ページですが、つまり、紙を書いてもらうだけではどうやら難しいのではないか。なぜそう思うのか。自分はどんな医療を希望するのか、どうやって生きていきたいのか、人生を生きていく上で何に重点を置いていきたいのかということを十分に共有しておかないと、複雑な臨床で起きる状況には対応できないのではないかというのが結論になって、紙を書いてもらう介入から、実際に代理決定をする人と事前に話し合っておこうではないか。患者御自身と代理決定をする人、医療従事者がともに話し合っておくことが大切ではないかということが言われて、19ページのアドバンス・ディレクティブという介入から、アドバンス・ケア・プランニングというプロセスの介入に変えようというのが、ここ20年で起こってきたこの領域の大きな変化であります。

 実際、アドバンス・ケア・プランニングがどうして重要なのかをお話ししたいと思います。少し脱線しますが、次の2122ページに書いてあるのは、緩和ケアの重要性の論文です。私は緩和ケアが専門なので、多分に我田引水ぎみのところはあるのですが、お許しください。この論文はどういう論文かといいますと、がんの患者に早期から緩和ケアを実践すると、絵が21ページに描いてありますけれども、QOLが上がって生活の質が上がって、予後が伸びる可能性があると示された、世界で初めて出た論文です。緩和ケアを早期からするとQOLも予後もよくなるかもしれない。では、その緩和ケアで何をやったかが、22ページと23ページに書いてあります。

 特に23ページを見てもらいたいのですけれども、23ページにやった主な介入が7つ書いてあります。皆さんが思っていらっしゃる緩和ケアは黒い字のところだと思うのです。つらい症状を緩和するというところです。体と心のつらさを緩和していくと黒いところに書いてあるのですけれども、赤いところを見てください。診断について話し合う、予後と治癒が可能かについて率直に話し合う、治療のゴールを話し合う、ホスピスプログラムの関与をするという4つになっているのですけれども、最後の4つ目は、これはアメリカの研究なので、アメリカの方、特にがん患者は、人生の最終段階においてホスピスプログラムをかなり多くの方が利用されるのです。

 実際に日本でこれを適用するとすれば、最期はどこでどうやって過ごすかを話し合っておくか、という風に置き換えるといいと思います。つまり赤い字で書いてあるこの4項目は、アドバンス・ケア・プランニングそのものなのです。自分の人生の最終段階において、どんな治療、ケアを受けたいかということを、十分に病状を話し合って、ゴールを共有した上で決めていくことの重要性が言われている。そのことがQOLや予後を向上させる可能性があるというデータが出ているということになります。

 このような流れの中で、24ページですけれども、英国を初め、英国連邦諸国ではアドバンス・ケア・プランニングが保健医療政策の中で重要なものの一つとして位置づけられています。

25ページですが、アドバンス・ケア・プランニングの効用と問題点を少しお話しします。

 まず、問題点が27ページにあります。問題点なのですが、先ほどの繰り返しになりますが、患者が将来を予想すること自体が困難であるとか、実際に話し合いのときは侵襲や有害事象を受け入れられないけれども、いざとなると受け入れる。要は、意向が変わるということです。例えば頭頸部がんのがん患者で、喉や空気の通り道のがんになられると、かなり息が苦しくなってくるのです。実際には気管切開といって、空気の通り道に穴をあけて息を確保することがあるのですけれども、ある割合の患者はそれを嫌がるのです。声を失ってしまうので、それだったら自分の人生は意味がないので、これはもうこのままでいきたいとおっしゃる方もいるのですが、そのうちある割合の患者が、いざ苦しくなって息ができなくなると、救急外来を受診されて結局気管切開を受けられます。

 実際に受けた後、訪室しますと、「先生、気管切開やってもらってよかったよ」とおっしゃったりするのです。つまり、数週間前まで絶対に嫌と言っていた患者が、実際に苦しくなったら処置を受けられて、やはりやってよかったとおっしゃる。そのようなことが実際起こりますので、意思決定ができる間は、御本人に確認をし続けなければいけないということがここからわかるわけです。ただ書いたら終わりとか、一回話し合ったら終わりというわけではないということです。

 もう一つの問題は、患者の不安と否認です。例えば、がんの患者だと約4分の1から2分の1の患者が不安症状を体験すると言われていますし、約4分の1の方は精神医学的な病名がつくといわれています。つまり、不安や抑うつはある程度の割合で持っている。そうなると、医療従事者は、そういう方たちと最期の段階の話をすることを避ける傾向がございます。

 もう一つは、患者の否認です。わかっているけれども、わかりたくないということです。今や患者に病状をしっかり説明されるようになって、治癒が不可能な化学療法中のがん患者は、治ることは難しいのです。そのことを医師が説明して治療しているのだけれども、実際に治療中のがん患者の7〜8割は、アンケートをとると、自分は治癒が不可能だということを理解していないような回答が返ってくる。私は、これは理解していないのではなくて、そう書きたくないという気持ちが存在する、と解釈しています。説明は受けています。わかったけれども、わかりたくない。自分がそういうアドバンス・ケア・プランニングで話し合うということは、ある程度それを認めて損失を確定してしまうことになるので、それに対して心理的なバリアがあると言われているということでございます。

ACPのメリットとデメリットを研究上でお話しします。30ページですが、メリットです。最後の行を見ていただきたいのですけれども、アドバンス・ケア・プランニングを適正に実践すると、より患者の意向が尊重されたケアが実践されて、患者と家族の満足度が向上して、遺族の不安や抑うつが減ると言われています。遺族の不安や抑うつが減る理由はなぜかといいますと、意思決定の葛藤が減ると言われています。患者の人生を自分が決めるような重要な意思決定ですので、患者と事前に話し合っておくとその葛藤が減るために、家族の不安や抑うつが減るということがわかっています。

 次は31ページですが、問題点です。いいことばかりではないということです。やはり全員に強制的にやるなどということをすると、かなり危害が加わる可能性があるので、気をつけてやらないといけないということが最初です。もう一つは、時間がかかるということです。時間と手間がかかる。今までの研究において、平均の介入時間、こういう話し合いに要する時間は30分から1時間と言われています。私は決して長くないと思いますが、日本の医療現場における普通の診察時間から考えると長い。これをどうクリアするかという問題が存在する。

 もう一つ、見直しが必要という問題です。繰り返し言っていますが、これはアドバンス・ケア・プランニングに関する系統的レビューの結果なのですが、見にくいので説明しますけれども、どれぐらいの人が何カ月、何年たった時点でも同じ決定をするかということをグラフであらわしたものです。青いものは健康人のデータです。健康人のデータは、繰り返して評価すると約6割の方が一致する。つまり、逆に言うと4割の方は変わってしまう。

 外来通院患者は3割の方が変わる。入院の患者は2割変わる。ここから、一度決めたケアの内容は繰り返し見直しが必要ということがわかっていただけると思います。特に健常人においては、一回話し合ったからといって終わりというのは、半分変わるわけですから、余りにそれは不適切ではないかと思います。

 実際にどうやってやるかが34ページから書かれているのですけれども、いつ、誰が、誰に行うのかということですが、35ページを見てください。いつという問題です。早過ぎても遅過ぎても適切ではない。今のところからもわかるとおり、早過ぎると不明確、不正確なものになって、遅過ぎると行われない。つまり、タイミングを逃さない実施が必要であり、余命1年前後が一つの目安ということがよく言われています。

 次に、乱暴な人は治癒が不可能と診断されたらすぐにやるのがいいのではないかといって、例えば転移があるがんの患者全員にそのときにやろうとする人もいるのですけれども、患者さんは余りに早いACPは望まないと言われております。つまり、患者は平穏無事に生活することを望んでいるのに、それを知ることで自分の生活に影が差してしまうということを嫌われる方もたくさんいらっしゃる。ですので、病状の悪化や身体機能の低下があって、ひょっとするとまずいかなと御自分で感じられる時期が適切な時期なのではないかということがよく言われています。

 複数に分けて適切な時期に適切な話題を話すことが重要とされています。

次ぎにタイミングです、疾患軌跡という概念があって、37ページから、どのようにそれぞれの病気の病状が進行するかが373839と書かれていますが、がんは比較的最後まで身体機能が保たれていて、最後に急激に増悪することが多いので、割と最期の時期が推定しやすいのです。ところが、心不全や認知症を見ていただくと、実は、いつがその時期なのか。人生の最終段階なのかを判別しにくいという問題があります。

 ですので、どうやってアドバンス・ケア・プランニングをするのに適切な時期を見つけるかということを、世界中の方々がいろいろ考えられています。

 一つの結論が40ページ以降に書いてあるのですけれども、サプライズ・クエスチョンとSPICTというものを今日は御紹介します。41ページにサプライズ・クエスチョンが紹介されているのですけれども、この患者が1年以内に亡くなったら驚くかと自問自答しなさいと。別にびっくりしないと医療従事者が思う場合には、そろそろこの話し合いを始めたほうがいいだろう。そのようなスクリーニングツールとして有用だと言われています。

 もう一つがSPICTというものです。これはエディンバラ大学で開発されたもので、既に日本語版が開発されつつあります。44ページが日本語版のドラフトなのですけれども、43ページに簡単にまとめてあります。このようにある程度クライテリアにしてありまして、こういう条件を2つ以上満たして、各疾患別で1個ずつ満たすと、そろそろACPを始め、緩和ケアを始めたほうがいいのではないかという基準になります。

 がんにおきましては、ある程度、もう少し詳しい目安が決められていまして、それは46ページにお示ししてあります。

47ページは、誰とすることを望むのかということです。これはもう一貫していて、少なくとも医師に切り出してもらいたいと思っている。それをスタートとして、そこから先は他職種で、患者が信頼している方がやっていくべきだろうと言われています。

48ページからは衝撃的なことが書かれていますが、4ただ、アドバンス・ケア・プランニングをしても、その結果をどう扱うかは人それぞれであるということが49ページに書かれています。

 これはアドバンス・ケア・プランニングを実際に受けた患者に対する調査の系統的レビューの結果です。ちょっと読みますが、自分が残した意向、話した意向は病状によって変化し得るので、自分の意向は必ずしも尊重されなくてもいい。家族や医師が、事前意思に従うか否かを決めてもいい。信頼する医師ならば任せてもいいと思う。要は、絶対的なものだと思って話し合ったり書いたりしてはいないということです。むしろ、話し合うことを、自分が話しておけた、伝えておけた、自分というものはどういう人間だということを信頼できる人に話せておけたということ、患者自身の社会的、情緒的なことを伝えておく非常によい機会として考えているということがわかっています。

 一方で、医療従事者は一回話し合うと、錦の御旗のように思うのです。ACPをとったぞ、みたいになってしまうのです。ここに全部患者の意向が書いてあるから、これはもう信用すれば絶対に大丈夫と医療従事者は思うのですけれども、この研究はそうではないことを示唆しています。最期まで患者が話せる限り話し合う必要があるし、それを一つの材料として家族と医療従事者間でどのようにするのが患者の最善になるかを話し合う必要があるということが、ここから見て取れます。

 実際にどのように行うかがそこから先に書いてありますが、これを話し出すと長いので、51ページだけ話させてください。実際に世界中で進められているのですが、どうやって進めるかという指針を示しています。まずは医療従事者のトレーニング、特にCSTと書いてあるのは、コミュニケーションスキルトレーニングのことなのですけれども、これをしてから実施することが重要だということで、日本でも人生の最終段階の事業でされているところです。

 その後は、必要な患者をどうやって同定するかをかなり組織的に決めなければいけないのと、どういうタイミングで行うのかを決めなければいけない。そして話し合いのマニュアルをつくることが必要だと書かれています。

 最後の2つなのですけれども、ここも特に重要で、話し合いの結果をどうやって残すのか。そして、地域包括ケアの中で共有していくのか。実際に介入したら、その結果をどう評価するかを考えていかなければいけないと言われています。

 話し合いの実際については、ざっと見ていただきたいのですが、53ページにどのように進めていくかが書かれています。この順番で進めていくのですけれども、とにかく患者に強制することなく、患者がつらい体験をしないように工夫しながらやることがじゅうようとされています。現在わが国で準備している人生の最終段階における研修会でやっているプログラムもこの点はよく考えられていて、そのように配慮して行うようにしています。後で参考資料に詳しく書いてあるので、もしよろしかったらごらんください。

58ページです。話し合ったことをどうまとめるかということで、話し合ったことをケアに生かすために幾つかの書類が用意されています。その代表的なものが、今、お隣にいらっしゃいますが、宮崎でつくられた「私の想いをつなぐノート」でありますし、

話し合いの結果を、医師がまとめて指示する方法としてPOLSTというものも諸合衆国では使われています。POLSTは結構いろいろなところで話題になったりしているので、ちょっと御紹介しようと思います。

 次の59ページを見ていただきまして、POLSTはどういうものかを御説明しますと「生命維持治療に関する医師指示書」と書かれていますが、重い病気にかかったときの医療に関して、患者の意向がよりよく反映されるようにつくられた医師が指示する用紙です。これはアドバンス・ケア・プランニングの話し合いをもとに医師が作成するものです。アドバンス・ディレクティブとは全く違います。患者に意思決定能力がない場合のみ有効で、患者もしくは代理人の承諾、署名が必要なものであります。

POLSTと事前指示書(AD)の違いなのですけれども、下に書いてあるとおりなのですが、一番決定的な違いは、医師の指示書かどうかという問題。もう一つは、対象者がPOLSTの場合はサプライズ・クエスチョン陽性の人になっているので、1年以内に死亡してもおかしくないと考える患者に医師が指示するものとされていますが、アドバンス・ディレクティブは全ての意思決定能力がある成人がつくっておけるものであります。代理決定者の指名等は、POLSTにはありませんし、内容は特定の医療行為に対するものであります。

 保管が医療記録にされていることがアメリカ合衆国内では多いので、発見がしやすいという利点がありますし、地域で共有されることが多いと言われています。

61ページ以降は、今、私たちが事業を、委託を受けて担当させていただいているのですが、委託事業の取り組みを御紹介したいと思います。

62ページですが、今年の人生の最終段階における医療体制整備事業を紹介します。先ほどお話ししたような内容の意思決定とACPのコミュニケーションに関する研修会をしておりまして、ごらんのスケジュールで今年度中に12回の研修会を開催予定です。医療従事者が対象です。

 その研修の内容が63ページ、64ページに書かれているのですけれども、8から12時間の内容で、倫理と法の基礎、患者自身と話し合う方法、代理決定者と患者にとっての最善を話し合うこと、アドバンス・ケア・プランニングなどがその内容になっています。

 実際、この内容を使って人生の最終段階における相談をした患者御家族の評価を調査しているものが65ページにあるのですが、95%の方が役立ったと評価する一方で、約10%の方が、かえって不安が強くなったと回答しているということがありまして、慎重に実施をする必要があると考えています。

67ページは最後になりますけれども、今年度先ほどの研修会の実施とともに、今、考えておりますのは、患者や御家族が自分で取り組めるアドバンス・ケア・プランニングの資料づくりを用意していまして、実際にはウエブページと書式と紙を両方用意しようと思うのですが、自分で、もしものために備えて用意しておきたいという方がインタラクティブに、患者がつくってウエブページに従ってやっていくと話し合いが促進されたり、書類がつくれたり、ある程度意向が残せたりというホームページはつくれないかと考えています。もう一つは情報提供です。つまり、人生の最終段階におけるそれぞれの医療行為がどんなことを指すのか。例えば介護とか療養の場所もそうなのですけれども、さまざまな療養の場所や介護の方法がどういうものなのかを情報提供できるようなホームページ、プラス、アドバンス・ケア・プランニングを促進できるような資料をつくっていきたいと思っています。

 長くなりましたが、以上です。ありがとうございます。

○樋口座長 木澤さん、ありがとうございました。

 議事1について皆様の御意見を伺おうということなのですが、もう一回議題を読ませていただくと、人生の最終段階における医療の現状と課題について、できればということですが、この検討会では、資料1のところへ帰りますが「2 協議事項」の「(1)国民に対する情報提供・普及啓発の在り方について」は、ちょっと抽象的でよくわかりませんけれども、結局今、我々は、私を含めてですが、木澤さんから懇切丁寧な説明を伺って、アドバンス・ディレクティブとアドバンス・ケア・プランニング、どうしても片仮名語になるのがちょっとなかなかという感じですけれどもね。

 何であれアドバンス・ケア・プランニングが違うものである。別に日本だけの問題ではないので、諸外国の諸研究などを踏まえて考えると、アドバンス・ケア・プランニングということは、いろいろな人がわかっていたほうがいい。それを実践していったほうがいい。それを国民に対するというと、何か上から目線の感じがしますが、我々普通の人がもっと知っていいし、それをどういう形でやっていったらいいか。

 しかし、そもそも今、発表になったことに対して、現場からは疑問とか、いろいろ異論もあってしかるべきなので、ここからは、とにかく今日の目標の協議事項の(1)は、この検討会でこういうところへ焦点を当てたいということは、事務局と木澤さんから相当明確に打ち出してもらえたので、それは理解しましたということかどうか。そうではないということなのか、この検討会で一体何をやるべきなのかということについて、できれば第1回のところで、大筋で合意が得られて次回以降に行くというのがいいと思いますので、まずは抽象的な言い方ですが、どういうことでもいいです。

 今までの御発表について、コメントとか質問とか、何か受け付けたいと思いますが、どなたからでも御自由に、どうぞ。

 木村さん、どうぞ。

○木村構成員 全日病の木村といいますが、木澤先生に伺いたいのですが、こういう理解でいいのかどうかなのですけれども、アドバンス・ディレクティブというものをずっと今まで取り扱ってきたのですが、アドバンス・ディレクティブはどちらかというと1回か、せいぜい2回ぐらいで文書にしたものであって、アドバンス・ケア・プランニング、ACPは何回も話し合いをする、そのプロセスのことを言うわけですか。

○木澤構成員 ありがとうございます。一番重要なところは、アドバンス・ディレクティブは多くの場合、仮想症例に答えたり、そうなったらどうするかという医療行為について書かれていることが多いと思うのですけれども、それだけではなくて、それをどうして望むのか、なぜそうしたいのかとか、自分の人生をこれからどう過ごしていきたいのか、どういう価値を持っているのかという、もう少しナラティブな内容を含んでいる。つまり、書面を残すということではなくて、プロセスを残していくと理解していただければいいかなと思います。

○木村構成員 そうすると、ACP、アドバンス・ケア・プランニングを何回も繰り返していったことの記録が、よりよいアドバンス・ディレクティブになっていくと考えてもいいのですね。

○木澤構成員 そうだと思います。一番大きなところは、決断の背景にあるものを、本当に書き切れないものだと思うので、実際には一緒にやっていくのが一番だと思うのですが、概要は残すということになるだろうと思います。

○木村構成員 わかりました。ただ、相当時間もかけなければいけないので、なかなか臨床の現場でやるのは大変かなという気がするのですけれども、どこまでできるか。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかにどうぞ。

 清水さん、どうぞ。

○清水構成員 清水といいます。今の御質問に乗っかるような形なのですけれども、木澤先生がお答えになったところで、アドバンス・ケア・プランニングは、そういう価値観とか人生観を話し合い、医療側とか周囲の方がわかるような御説明の場合、そして、これから先にどのように生きたいかということについて話し合っていく。その御説明の限りでは、特に死が1年以内とか、そのような限定なしに、例えば今の私だって、そういうことについて心づもりすることができると思うのです。ただ、今度はアドバンス・ディレクティブという従来のアドバンス・ディレクティブの、アメリカなどでつくっているような方式でしたら、死が近くなったときにはこういうことをしてほしくないとか、こういうことはしてほしいとかいう形のアドバンス・ディレクティブが流れとしてはあるわけです。

 これになると、確かに今、そういうときのことを考えていても実効性がないとかいうようなお話が出てくると思うわけです。ですから、アドバンス・ケア・プランニングをそういうADなり、あるいはPOLSTなりを目指している。アメリカ的には大体それを目指すような筋のお話になり、しかし、もっとアドバンス・ケア・プランニングのいいところに目をとめると、そういう具体的にこういうことをしてほしいとか何とかを書くというのが目的というか、大事なのではなくて、一緒に理解してこのようなことをこの方は目指して生きていきたいのだなということを周りの者が理解し、そうしたら、どのようにしたらいいかが考えやすくなるとか、その2つの流れの中で、私はどちらかというと、必ずしもADや何かを目指すような感じではないところで考えましたら、健康な人に対する啓発活動にも使えるのではないかと思います。ただし、そこでどこまで考えるかということが違ってくるかなと思うのです。これは御質問になるのかコメントになるのか。

 もう一点ついでに申しますと、厚労省の方がつくっていただいたような流れで、どうしても患者の意思が強調される言葉遣いになっておりますけれども、木澤さんが最後のほうでおっしゃったような、必ずしも本人は、自分のこうしてほしいということが、そのままやってもらわなければいけないということではなくてというお話があり、アドバンス・ディレクティブのアメリカなどでの改良の過程を見ますと、オプトアウトといいますか、これからは自分がこうしてほしい、ああしてほしいと書くけれども、自分のつらさをとるためだったらそれを超えたことをしていいみたいなオプトアウトを最初に書き込むということからも、おっしゃったことは、そういう様式が発達してきたことからも、そういう様式はわかると思うのです。周りの者が本人にとっての価値観や人生観を知ることがなぜ大切かと言えば、単に本人が意思表明したからという話ではなくて、周りの人も、このようなケアがこの方の人生にとってはいいよねという、周りの人も一緒に考えることになると思うのです。

 そうすると、その結果、本人が意思表明をしている。だから、本人の意思を尊重するというだけではなくて、周りの人も本人のことをよく知って、これがいいと思っているという、そこはそういう合意形成が大事だと思うわけです。

 実際に、樋口先生が座長のときにつくられた厚労省のガイドラインは、例えば15ページでは、患者が意思決定を行うと書いてありますけれども、ガイドラインの本文を見ると、患者と医療従事者との間で意見が一致しない、合意に達しなかったときには、専門家委員会に聞くというような流れが書いてある。ということは、患者が意思決定を行ったのに続いて、それに従って医療ケア従事者、医療・ケアチームが医療方針を決めるというような流れになるには、患者が意思決定をこうしたいと言っていて、医療・ケアチームもそうだ、それがこの人らしくていいとか、アドバンス・ケア・プランニングをちゃんと進めれば医療ケア従事者は患者の人生とか価値観がわかるわけで、そうすると、そういう患者なのだから、このようにこの方はしたいとおっしゃっているけれども、それは確かにこの方にとって最善だとかいう形で、合意が成り立っているわけです。

 だから、ガイドラインをきちんと読んで、合意が大事だというところをあらわしていただくと、今のアドバンス・ケア・プランニングの話に通じることになるかなと思います。

 以上、2点言ったと思いますけれども、意見ということですね。

○樋口座長 木澤さん、何か御意見はありますか。

○木澤構成員 ないです。

○樋口座長 紅谷さん、どうぞ。

○紅谷構成員 在宅医療をやっております、オレンジホームケアクリニックの紅谷といいます。

 今、ACPの重要さであるとか、それをウエブなどでやっていく、気軽にというか、誰でもアクセスできるようにしていくのは、非常に重要だなと思って伺っていました。

 私たちは、人生の最終段階における医療体制整備事業を受託しまして、その中で取り組んだデータの中で、先ほどACPの問題点として、在宅の場合は時間と手間がかかるという問題があったのですが、私たち在宅医療の現場では、日々の診察の中にACP的といいますか、ACPの要素が非常に含まれているということがわかりました。

 実際、診療の中の約6割です。半分以上の診察、ふだんの診察の中で、将来どうしていきたいかとか、悪化した場合はどうしたいかという話が日常の中で行われていて、在宅医療の現場だと、きょうはACPを話し合いますなどというように始まることはなくて、あの写真はお父さんですかとか、この絵を描いたのはお孫さんですかという話から、自然とどう過ごしていきたいかという話をしていって、それがPOLSTとかそういう形で明文化されることはないのですけれども、カルテの中に少しずつ蓄積されていって、いざというときにあなたは御家族のことをこれだけこのように考えていたから、こういう選択がいいのではないかということを、何となくみんながうなずける結論に達するような形の、ACPと言ってはいけないのかもしれないのですが、プロセスを本当にプロセスのまま受け取るという形でやっていて、かつ、そのような活動をやっている中で、体制整備事業のときの事例では、病院から帰るときには、また悪くなったら入院したいと言っていた方の多くが、繰り返し行われる在宅や話し合いの中で、やはり家がいいと選び直すことができて、それをかなえることができたということを経験しました。

 なので、意外と在宅チームにとっては、時間と手間がかかるとは余り思っていないのかもしれない。少なくとも自分はそう思っていたということです。

 もう一つ、私たちは外来もやっていて、外来のほうでも、そう思うとどの段階でACPといいますか、そういうことを考えていくのが大事かということで、早過ぎると曖昧という話もあったのですが、外来で特に、例えば高血圧とかコレステロール血症とか、それほどすぐに生命にかかわるような病気ではない理由で外来に通院されている方に関しても、外来でせっかく出会いますので、そこでそういう話を積極的にしようという取り組みをしています。

 確かに曖昧で、結局本当に病気を発症したときには、ぽろっと言うことが変わることも当然あるのですけれども、ただ、早いか遅いか、ちょうどいいところでやらなければというよりは、常にやっていることでそういうタイミングをつかまえることもできるという実感もありますので、今回は人生の最終段階における医療の普及・啓発ということになっていると思うのですけれども、木澤先生がおっしゃったACPを広げていく。病院のドクターが研修を受けてしっかりわかるということもすごく大事だと思いますし、関心の高い人がウエブなどで参加できるのも当然大事だと思うのですけれども、もっと地域とか生活の現場にそういうものが話題になるような仕掛けがあったほうが、医者としてできる一つとしては、外来の、特に命にかかわると思っていない方に関してもそれを聞くというのは私たちでもできるのですが、もっと広げていくようなことができるといいのかなと感じて聞いておりました。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

 鈴木さん、どうぞ。

○鈴木構成員 初めまして、鈴木と申します。

 私自身、9年前にがんを経験して、当時、自分がどう死んでいきたいかをすごく考えるようなことがあったのですけれども、その経験を踏まえて、本業は記者とキャスターをやりながら、がん患者や御家族が納得のいく情報をどうやって選んで、どうやって生きて、どうやって死んでいくのかということを無償でサポートするセンターを運営しています。

 そういう中で、すごく大事なことは、命が危険な状態になる前に、選択肢を知っておくということだと思います。突然がんになったり、突然命の危険にさらされたときは、目の前が真っ暗になって、そうなってからでは必要な情報にたどり着くことはなかなか難しく、事前に少しでも知識があれば違うと思うのです。つまり、健康な状態の人たちに普及啓発するということはすごく泰治なことだと思います。

 また、患者御本人についてはよく言われるのですが、いろいろな患者や御家族のサポートをしている中で、実は、どうやって亡くなるかは、もしかしたらご本人と同じかそれ以上に、残される御家族にとってもとても大事なことだと思います。自分の大切な家族に何をしてあげられたか、ちゃんと最後まで本人の意思を尊重してあげられかた、どうお見送りすることができたかということは、残される御家族の心にずっと残るからです。 自分にとっては自分ごとではまだ考えられなくても、自分の親だったり大事な人も含めたら、国民全体が考えるべきことだと思うので、本当にそういうことが必要になる前の人たちに、どう伝えられるかを考えなくてはいけないと思います。「人生の最終段階」というのも「終末期」というのも、ちょっと重過ぎる言葉で、普通の人は遠ざけたくなるようなことだと思うのですが、いかに普通にそれを語れるようになるか、環境を整備するかということが大事なのではないかと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。

 斉藤さん。

○斉藤(幸)構成員 斉藤と申します。よろしくお願いいたします。

 私どもは日本難病・疾病団体協議会、患者団体の集まった協議会です。加盟団体の中には小さなお子さん、先天性の、生まれながらに病気を持ったお子さん、後天性で病気になったお子さん、両方おります。先天性のお子さんは、小さいときから死と隣り合わせのお子さんもおり、家族もそれを覚悟して生きていますので、死がとても日常的で、どういう死を迎えるかなどということは考えなくても、日常的にあるのかなと思います。しかし、突如病気になった方につきましては、今、がんの鈴木さんがおっしゃったような、目の前が真っ暗になり、何も考えられなくなるということも随分聞かれております。

 ただ、私自身もまだ整理は全然されていないのですけれども、もっとフランクに死と向き合いながら家族で語り合えるような環境が一般的にあれば、この重たい議論も重たくなくすっきり入るのかなと思います。というのは、私の世代になりますと、お墓の話とかをよくします。それから、この間は自治会で、ちょうど遺産相続のことについて話し合いました。以前は遺産相続も遺言を書くこともなく、いろいろトラブルのもとだったのが、このごろは割合普通に家族で遺言の話ができるようになりました。

 お墓や遺産相続の話とセットにしながら少しずつ話し合っていると、死を迎えるときの自分の医療のあり方、終末期の病院での過ごし方、あるいは在宅での過ごし方が、普通に語れるのかなと思います。余り難しいことを最初に議論していくとハードルが高くて、何か狙いがあるのではないかとか、この委員会は一体何なのだろうとか、思われてしまいます。特に私も患者団体の代表で出てきていますので、発言を慎重にしなくてはいけないようなことも言われておりますので、もっと前段階のところは、日常生活の中にあるほかのものと組み合わせながら話ができる環境があると良いと、思いました。

 以上でございます。

○樋口座長 ありがとうございました。

 金子さん。

○金子構成員 金子でございます。私は、ことしで5年目なのですけれども、夫を5年前に亡くしまして、その亡くなり方が肺カルチノイドという病気だったのですが、わかったときには気道を圧迫する形で9センチの腫瘍がございましたので、次の瞬間に窒息死するかもしれないというリスクを抱えたまま、1年半闘病して亡くなっていきました。

 その間、夫はジャーナリストでありまして、私も一応雑誌とか書籍の編集者だったものですから、患者とその家族、妻でありながら、ジャーナリストとその編集者という形で、結果的に取材をしていったのです。

 夫が亡くなった後に各学会とか、結果的に取材を重ねていって、私たちはACPをやったということがはっきりわかります。だから、医療を選択したわけではなくて、次の瞬間に死ぬということがわかったときに、夫がかなり早い段階で決めたのは、俺は最後のぎりぎりまで仕事をしたいと。これを決めたのです。そこから全ての協力体制が立っていきましたので、最後は医療に関しても、医療用麻薬ですら、亡くなる4〜5時間前まで仕事をしており、がんでしたのでそういうことが可能な病態ではあったのですが、そこまで結局既に入っていますので、在宅に移っていましたけれども、むしろ勉強になると言われました。痛みを抑えるのは医療用麻薬をばんと使えば抑えられるのだけれども、仕事をするにはある程度意識を鮮明にしなければならない。その麻薬の量の調節とかは、非常に我々も勉強になる。そのように医療者からも言っていただいたわけです。

 私はその後、結局お話がありましたように、終活の、死の直前、その前後はお墓とか葬儀とか、宗教家の方もかかわってきますので、今、そのように思うのは、いろいろなところで専門職が分断されているというのが、非常に遺族、本人にとってつらい。医療職から入ったほうがいい方もいるのですけれども、お墓の話から入った方もいて、そういう方もいらっしゃる。なぜなら、死ぬということだけ取り上げてしまうと、非常に特殊なことのように思ってしまうのですが、ここにいる全員が必ず死にます。必ず死ぬわけですので、非常に特別なものではないということが、当たり前のこと過ぎて浸透していないというのが、啓蒙のときに難しいということと、特にACPを思いましたけれども、私どもは非常に特殊な病気で、かかったときには、先ほど医療の転換が起こっていて、治す医療から治し支える医療へ変わっているということなのですが、治す医療の治療医の先生からも、この人は死ぬ人というレッテルをばっと張られたわけです。

 それで、もう緩和ケア外来を受けてください。すぐに亡くなるので、ホスピスが必要だったら緩和ケア外来に行ってくださいと治療医の方からぺたぺたと張られてしまって、それを受け入れるのに、こういう仕事をしていたということもあるのかもしれないのですけれども、非常に早かったと思うのですが、今、私がいろいろ御相談を受けていますが、先ほど鈴木さんがおっしゃったように、そこで立ちどまる方は非常に多い。

 ですので、人生の最終段階に入ったというだけでも大変なのですけれども、はい、今からACPをやりますというのは非常に難しくて、私も結局ACPではないのですが、その前に3時間ぐらい患者のお話を聞いていて、結局価値観を聞いていくという作業、しかもそれを繰り返すということをしておりますので、これは別に医療職だけがやるものではなくて、最初にそういう掘り起こしがあり、そしてうまくつないでいくのがいいのかなと思います。

 もう一つなのですけれども、先ほど鈴木さんがおっしゃったように、これは家族が結構大きい。家族のほうが実は取り乱していて、患者の意思というか、意思さえ聞かないという現実がかなり散見、私が行っているところでは非常に多い感じがします。御高齢の方で言えば、もう40代ぐらいから、働き盛りの方から普通に考えていけるような感じの、終活でこの分野はどうかと思うのですけれども、そのようなもう少しキャンペーン的なものが必要なのかなと思ったりすることもあります。

 以上です。

○樋口座長 瀬戸さん、どうぞ。ちょっと短目に済みません。

○瀬戸構成員 ありがとうございます。私は全国老人福祉施設協議会という、老人ホームの団体から来ています。

 資料2で、最後のページに課題がまとめられていますので、それについてちょっとだけお話しさせていただきたいと思います。2つ目の課題のところで、本人の意思を共有する環境が整備されていないという課題が挙げられていますから、普段から考えるという意味では、先ほどもちょっと出ていました。キャンペーンの他に、教育現場で道徳や倫理といった社会科の中で考えるとか、そんなこともあってもいいのではないかと思います。

 3つ目の課題で、本人の意思に反した医療が行われているという指摘がありますけれども、これは木澤先生がおっしゃるとおり、健康な方と患者とで分けて考えることも必要だと思います。健康の場合で急にそんな状態で、考えてもいなかったということもあると思います。啓発の意味も考えれば、例えば臓器提供の意思に関しては、免許証の裏に書くこともありますので、それと同じような形で、常に何か触れる形で、それが決定ではなくても、常に考えるような仕組みを考えてもいいかなと思います。

 我々の場合は、患者というか利用者の場合が多いのですが、どうしていくのかということを、ACPでやっているかどうかは別としても、本人と家族とでずっと覚悟を決めていきます。実は、これはよくあるのですけれども、最終的には、そこにはかかわっていない家族が来て、そしてひっくり返っていくということがあるのです。ACPの中で、そのような方が来たときにどう対処するかの決まりがあるか、最後は一つだけお聞きしたいと思います。

○樋口座長 木澤さん、どうですか。最後の点はよくある話ではあるのですけれども、突然遠方から遠縁の人が出てきてどうのこうのというのは、ACPの中では何か位置づけはあるのですか。

○木澤構成員 位置づけはないのですけれども、よくあるのは御家族が複雑な場合であるとか、あとは複数重要な人がいる場合には、よく言われているのが、事前に家族全体で話し合っておくことが重要なので、ほかの人もその内容をシェアしてもらうということをよくしています。それでも、その問題は起こり得るのですけれども、できるだけそのような工夫をするようにお話をしています。

○樋口座長 きょうは第1回ということで、時間も限られていて、そろそろ議題1はとりあえずはという話にしたいと思っているのですけれども、座長が座長だから、うまくまとまりませんが、ここで何を考えないといけないかというと、別に、本当に急に新たに起こった話題でもないし、日本だけの問題でもない。どこにでもある普遍的な問題で、先ほど金子さんがおっしゃったように、我々はいずれ死ぬということです。終末期であれ、人生の最終段階でも、どう呼ぼうが同じことですね。しかし、結局それより前からでもいいのですけれども、そこはきょう、残った話になっていると思いますが、よりよく生きるために何か行き当たりばったりでみんなが同じ経験を、ある意味で似たような経験をしているのに、そのたびに慌てて、後で悔やむような話はみんなにとって何とかならないものかということですね。

 一方で、私が小さかったころは、おじいちゃんも私の家で亡くなっていましたし、ああやって亡くなっていくのだということが目に見えていたのだけれども、今、よく言われていることですが、子供にはなかなか死が見えないという話もあって、死に直面するのは高齢者だけの問題ではないのですけれども、とにかく何らかの形で、死の問題についてもどのみち逃げられない問題で、それに対してどう死ぬか。これは言葉の言いかえだと思いますが、基本はどうよりよく限られた時間を生きていくか。限られていないかもしれないのですが、それは本人が限られていないと思っているだけなので、とにかくそういうために、何かやるべきこと、やれることは、まだ現場の声を聞いていろいろあるのではないか。それがこの検討会でもう少し議論が深まればいいし、きょう、御発言の機会をあげられなかった人にも、次回以降、ぜひとも御発言をいただきたいと思います。

 その上で、きょうは議題2で、この検討会では伝統的に意識調査をやることになっていて、こういう意識調査をやろうということになっていますというのが素案としてありますから、それについて説明をお願いしたいと思います。

○桑木在宅医療推進室長補佐 事務局でございます。

 平成29年度の国民における意識調査の案を事務局で作成しております。平成4年以降、5年置き、5回ほど今まで行っております。資料4−1と4−2をごらんになっていただきたいと思っています。5年間の間があいておりますので、一般国民の認識及びニーズの変化がどのようなものなのかを把握した上で、今後の人生の最終段階における医療のあり方の検討に活用していただきたいと考えております。

 調査対象としましては、4−1の2ポツに提示しておりますが、一般国民、医師、看護職員及び介護老人福祉施設の介護職員、各施設長に対する意識調査を実施したいと考えております。さらに今回は、介護老人保健施設の介護職員及び施設長を対象にしてはどうかと考えております。

 具体的なスケジュールのイメージとしましては、資料4−1の3ページに示しておりますが、本検討会を踏まえまして10月以降に調査を開始しまして、集計を行った後に、12月末に本検討会で議論に上げたいと考えております。

 具体的な調査項目に関しまして、資料4−2に提示しております。意識調査の調査票に関しましては、3つ御用意しております。国民票、医師(看護師、介護職員)票、施設票としております。

 2ページ目以降にまずは国民票を示しておりますが、具体的な内容は割愛させていただきます。問2から問4は、人生の最終段階における医療について話し合うことに関連する質問を提示しております。

 問5、問6に関しましては、そういった情報をどうやって手に入れたいか、どのような情報を知りたいかを質問しております。

 問7から問9に関しましては、書面に関すること、法律に関すること、代理意思決定者に関することについてお尋ねしております。

 問10、問11に関しましては、ACPについてお尋ねする形式になっております。

 問121314に関しましては、ケーススタディーのようなものを設定しまして、それについての御意見を聞きたいとしております。設定しましたのが、末期がん、重い心臓病、認知症という場合に分けてお尋ねしております。前回、平成24年度の調査のときには、さらに交通外傷後の遷延性意識障害等についてのお尋ねもございましたが、設問数の関係で、今回は割愛しております。

 どこで最期を過ごしたいか、どこで医療を受けたいかという設問の後に、なぜ自宅以外を選択したのか、なぜ自宅を選択したのかといった観点からの質問をそれぞれ加えております。

 さらに、どういった医療を望むかということで、具体的には抗がん剤の治療をどのくらい望むか。中心静脈栄養、水分の補給に関してどのようなことを望むかということを具体的に尋ねるというものを、3つのケースにそれぞれ質問しております。

 国民票の最後、問15になりますが、どこで最期を迎えたらいいかを考える際に、大切にしたい思いとか条件などについてお尋ねしておりますのが、国民向けの調査票になります。

18ページ以降に、医師(看護師、介護職員)票についての案を示しておりまして、人生の最終段階における医療に対してどのような取り組みをやっているのか、どのような内容を話しているのか、いつ行っているのか、どのような形で職員たちと情報を共有しているかといったことをお尋ねしております。

 続きまして問3に、院内に倫理委員会を具体的に設けているかとか、代理意思の決定についてどのような確認をとっているのかをお尋ねしております。

 問6以降にACPに関する御質問。私たちのガイドラインだけではなく各学会がガイドラインを昨今示しておりますので、それの利用状況、認識状況を尋ねたいと考えております。

26ページ以降が施設長宛てのお尋ねになっておりまして、お尋ねした施設で、人生の最終段階の患者に対してどのような取り組みを行っているのか、いつ行ってるのか、書面に残しているのか、代理決定者のことについてお尋ねしているような状況になっておりまして、これらのことを踏まえて、本日は御議論いただきたいと思っております。

 事務局からは、以上です。

○樋口座長 ことしにやる意識調査の素案について、今、ごく簡単に説明をいただいたので、すぐにはなかなかという感じもあるかもしれませんが、これについてはいかがなものでしょうか。

 早坂さん、どうぞ。

○早坂構成員 ソーシャルワーカーの早坂です。今回、調査票を見せていただいて、3点ほどお伝えしたいことがあります。

 まず、小さなことなのですが、4ページの問6の2の「人生の最終段階に行われる医療」というと医療者側の言い方なので、4と合わせて「受けられる医療」にしたほうがいいというのが1点です。

 あとは問7−1ですが、ここは前回の調査で70%の方が必要と思ったけれども、実際は3%の人しか書面を作成していないという結果が出たところで、もう少し詳しく聞けたらいいのではないかと思いまして、例えば3で「作成したいと思っている」とか「機会があれば作成したい」とか、そういうものをつけたらよいのではないかと思います。データ的には作成していないというほうに入れていいと思うのですが、例えば今回提示されているような「私の想いをつなぐノート」があったりとか、瀬戸先生がおっしゃったように、免許証の裏に臓器移植の意思表示みたいな、機会があれば書こうと思っている人がどのぐらいいるのだろうかというのも、数がとれると今後、経年的に調査したときに、その変化がここでの対策の評価にもつながっていくかなと思うので、そういうものを入れたらどうかというのが2点目です。

 最後は15ページの問15に関してなのですけれども、選択肢の1番が「それまで受診していた病院(施設)の医師」という流れになっています。これは実際に機能分化が進んでいる医療現場では、それまで受診していた病院にはかかれないで移らなければいけないという現状が日々あって、抗がん剤を受けていた病院と療養する病院が別だったりするので、ここの1番を変更するか、もう一つ項目を加えることを提案したいと思います。

 もし1番を変更するのであれば「それまで受診していた病院(施設)の」を削って、医師、看護師、介護職員など、専門職がいるところという表現をするかわからないのですが、そういう人がいるところで診察、介護をしてもらうというように一般的な言葉に変えるか、あるいは1番で「それまで受診していた」ということを残すのであれば、2番にそれまで受診はしていないけれども専門職がいるところで見てほしいという希望があるかというものをつけ加えるか、どちらかに変えたほうが選択肢としては選びやすいかなと思いました。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 川平さん。

○川平構成員 宮崎市の川平です。保健師です。

 先ほど木澤先生のお話を伺っていまして、宮崎市が行っている「わたしの想いをつなぐノート」に非常に近いと思いながら聞かせていただいたところです。

 アンケート調査について2点の御提案があります。1つは6ページから、3つの疾患別の問いが繰り返されています。がんと心疾患と老衰。がんは死亡前12ヶ月で急速に状態が悪化するとか、心疾患は悪化と改善を繰り返しながら徐々に落ちていくとか、その違いが医療従事者等であれば分かりますが、一般の人には違いが非常にわかりにくいのかなと思います。そのため、同じ質問を3回繰り返しても、結局、同じ答えしかきっと得られないのかなと思うのです。

 木澤先生の資料の373839ページにありますように、こういうグラフで示されると、一般の方にも、その3つの疾患の違いがある程度わかって、これをもって回答が書けるのかなと思いますので、それを御提案したいと思います。

 もう一つなのですけれども、15ページの問15なのですが、先ほど言いましたように3つの疾患の同じ問いがずっと繰り返されて、どこで最期を迎えたいかを考えるという問いが最後に来ているのですが、もしかしたら一般の方は、その3つの繰り返しの質問にもうんざりしてといったら悪いのですけれどもちょっと飽きて、最後は見落としてしまうのかなというのが懸念されまして、できたら6ページの問11の下、3つの疾患が始まる前に最終的なものをまず聞いて、それから、3つの種類を聞いていくほうが、答え漏れがないのかなという気がしますので、御提案をさせていただきます。

○樋口座長 わかりました。検討させていただきますが、ほかにいかがですか。

 清水さん、どうぞ。

○清水構成員 ここで言うことではなくて、後でちょっと言えばいいことなのですけれども、21ページの問8の6は、老年学会ではなくて日本老年医学会です。ガイドラインをつくったのは老年学会のワーキンググループなのですけれども、公認は老年医学会がしています。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ちょっと分量もありますし、本当は後で今後の検討会の進め方できっと出てくるのだと思うのですけれども、この調査だけは早目に実施するようにという話があるらしいのですね。だから、調査の案は早目に固めないといけないのですが、それにしても、きょう固めないといけないというほどではない。

 ですから、皆さん本当にお忙しいと思いますけれども、もう一度この調査票の素案を見ていただいて、メール等で事務局へ連絡していただいて、その意見も含んだ上で、勘案した上で最終案を確定するのですが、第2回がいつになるかはまだよくわからないのですけれども、もしかしたら第2回より前に確定する必要があるかもしれません。

 余り早まってはいけないのですけれども、その場合は事務局と座長にお任せいただいて、こういう形で、できるだけお互いの、何らかの形で意思疎通を図るようなことは、これも一種のアドバンス・ケア・プランニングでしょうか。できるだけ事務局としても努力されると思いますが、まずはともかく、どんなことでも、このようなことも入れたらどうかとか、この言い回しはどうだろうかというようなことがあれば、本当に言っていただければ、とにかく調査を始めてからだとどうしようもないので、その意味では、後でどのくらいの時間的余裕があるかについては、事務局で補足していただこうと思っています。

 その上で、私はこの意識調査の案について、何らかの提案というか、いい案を持っているわけではないのですけれども、伝統的に今までやってきたのでしようがないのですが、初めに一般国民6,000人というものがいますね。一般国民6,000人は、もちろん無作為抽出だから、世論調査はこのようなものなのでしょうけれども、一方で、その人がどういう状況で、だから、フェースシートで、後で何十代であるかとか、男性、女性というのは出てきますね。しかし、例えば施設にいる人なのかとか、そのような区別は、今回はきっとできないでしょうね。

 それはきっとできないのではないかと思っているのですけれども、無作為抽出で一般国民の意識を尋ねるということにも意味はなくはないから、それでいいと思うのですが、他方で前回だったと思うのですけれども、介護のところまで広げたのです。これは人生の最終段階における医療と書いてあるのですけれども、やはり医療に限らないですね。それから、初めに局長も地域包括ケアでと強調されていましたが、ケアの中には医療だけではないですね。介護も入っていてというので、こういうところにも介護施設も入っているのです。さらに踏み込むと、最近、私の知り合いでも入っている人がいますが、もう高齢者専用施設みたいなものを国交省、厚労省を中心にして、サ高住というのですか、そういうところへ入っておられる方もいて、あれは施設ではないから施設職員にはならないのかもしれませんけれども、サ高住に入っているような方というか、あるいはサ高住を運営しているところでも、どちらでもいいのですが、そういうところだって、調査対象に含めることはできないのだろうか。

 一方で、国策として、何度も言うように、死の問題は別に高齢者に限ったことではないのですけれども、超高齢社会において重要さを増していることだけは確かなので、それに対応するものとして、国策としてサ高住をまだ、まだなどというと私の批判的含意が含まれるような気がされるかもしれませんが、そこまでの意味はないです。とにかく言葉のあやなのですけれどもね。とにかく、私が言わなくてもサ高住にもいろいろな問題が出てきていることだけは間違いない。そのサ高住で暮らしている人あるいはそれを運営している人たちは、こういう問題についてどういう意識を持っているのだろうかということまで、対象を広げるというようなことは、御無理であればそれでということなのですが、ちょっと考えてみましたということなのです。

 それと先ほどの、これをブラッシュアップというかインプルーブするために、もう少しまだ時間的余裕があるなら、このぐらいはまだ時間がありますと、その間にこの参加者にお読みいただいて、御意見を伺いたいというようなことも明確にしていただけるとありがたいと思いますが、事務局、どうですか。

○桑木在宅医療推進室長補佐 この検討会が終わった後に御意見を集約いただきたい期間を、とりあえずこの検討会後、1週間程度をまずは最初の締め切りにしてはどうかと思っておりますが、よろしいでしょうか。

○樋口座長 私がこだわっているサ高住は。

○久米課長補佐 サ高住は非常に重要な住まいと我々も認識しておりますが、この他にも有料老人ホームをどうするかとか、グループホームをどうするかとか、そういうことも全て含めて入れていくと、対象者数がすごく増えてしまうことになり、予算的な問題もあるので、どうするかはまた御相談をさせていただければと思います。

○樋口座長 わかりました。

 ほかにこの意識調査について、どうぞ、鈴木さん。

○鈴木構成員 

関連するのですけれども、6,000人というのはすごく少ないと思っていて、例えばインターネット調査とかを行えばより多くの人に予算をかけずに調査できると思います。もしインターネット調査の結果を正式な結果として使うことがなかなか難しいのであれば、反映するのはちゃんとしたこの意識調査で、インターネットではこうでしたというのがまた別に出てきてもいいかもしれません。

 

○樋口座長 これは今までずっと郵送調査なのですか。

○鈴木構成員 いろいろ電子化とかされている中で、経産省とかは、紙などはもうやらないと言っている中で、ちょっとそろそろ古いから、インターネットとかもフルに使って、普及啓発をやっていくことをしたらいいのではないかと思いました。

○樋口座長 それも含めて、お考えください。ほかにはいかがですか。

 どうぞ、木澤さん。

○木澤構成員 一つだけ意見なのですけれども、インターネット調査をするのはいいのですけれども、デジタル・ディバイドの問題があるので、高齢者が使えないという問題があるので、同じデータが出るかどうかを同じ調査票を使って検証しておくといいかと思います。

 つまり、インターネット調査をしても、紙をしても、同じ結果が返ってくるのだったら今後はインターネットでオーケーなので、それをやっておかないと、インターネットをやったときに、安価で多数のデータが得られるのだけれども、同じぐらいの安定性があることを証明しておくというのは一つの方法かなと思います。

○樋口座長 そのためにもということはあるかもしれないですね。ほかにはいかがですか。

 では、議題3で、先ほどから重複している部分があるかもしれませんが、今後の検討会の進め方について、これも事務局から、説明をまずはいただきたいと思います。

○桑木在宅医療推進室長補佐 事務局です。第1回を本日は行いまして、本日、いただいた御意見を含めまして、1週間程度で皆様から御意見をいただければ、意識調査票のほうを調整してまいりたいと思います。

 第2回は10月ごろに、いろいろな先進的な取り組みをされている自治体であったり団体の好事例の紹介をしたいと思っております。

10月ごろに調査を開始することができれば、12月に検討会で調査票の結果を公表することができるのではないかと考えております。それにつきまして、また皆様に御議論いただきたいと考えております。

 当面のスケジュール感は以上になります。

○樋口座長 今、資料5を見ていただきながらだったと思うのですけれども、私が聞いているところでは、この前の町野先生が座長をやられていた検討会は、割合のんびりやっていたみたいなのです。予算の関係か何かよくわからないのだけれども、2年ぐらい、2年はかけていないのかな。1年以上かけていたのが、今回は予算の関係か私にはよくわからないのですが、来年3月がもう締め切りでやろうということになっているようなので、そういう意味では先ほどの調査も速やかにして、その結果も出した上で、しかも、それについて一定の評価もつけて、それに関連させてきょうのACPその他についての国民に対する啓発というのか情報提供というのか、そういうところで何が考えられるかもあわせて、何らかの皆さんの御意見を反映したような報告書を2月、3月のところで出したいというわけなので、余り急いでもしようがないような話題ではあると思うのですけれども、しかし、この検討会としてはそういうスケジュール感であるということを意識していただければありがたいと思います。

 進め方について、何か。

 どうぞ、松原さん、お願いします。

○松原構成員 今、問題となっているのは、昔は病院か自宅かが、亡くなる場所でしたが、最近、それが変わってきている。

 その中で、施設に入っておられて、最後の最後に救急車で三次救急に行かされる方が最近すごくふえているのです。三次救急は救命ですから、徹底的に医療をやります。それを望まない人が運び込まれているということについて、十分に対応しておかないと、医療機関はものすごく疲弊しています。その疲弊が今後、どんどんふえることも含めて、どこで亡くなるかを踏まえた上で検討しなければいけない。そこから考えれば、先ほどの施設であろうと座長の言っておられたサ高住であろうと、やはりいろいろなところの考え方を集めないと、国民の皆さんがどう考えているのかわからない。

 さらに言えば、デジタルデバイスがありますから、インターネットで調査すると恐らく若い人が多くなり、恐らく厚生労働省の伝統的な調査とは結果が違ってくると思います。しかし、若い人たちがどう考えているかを把握しないといけないと思いますから、なるべく広く調査をして、その後にデータを分析して、何を意味しているところかを考えるべきだと思います。

 若い人も病気の人と病気ではない人で全く考え方が違います。しかし、いつ病気になるかわからないので、そういった事を考えるきっかけをつくることも含めて、ぜひ国民の皆様に広く対応していただきたいと思います。

 最後にこれまでの総論がいろいろとありましたが、総論だけして話を終わったり、あるいは各論の細かいところに突っ込み過ぎて結論が出なかったりではなくて、スピード感を持ってこれから起きる世界の変化に対して対応できるような結論を座長には出していただき、具体的に役に立つようにしていただきたいと思っています。

 最後に、ACPというと、国民の皆様は一体何かわかりません。日本語訳をきちんとつけて、わかりやすいようにしないと、皆さんにACPをしましょうと言っても恐らく患者の皆さんはわからないと思いますし、元気な人もわからないと思います。そこは概念がきちんとわかっている専門家の先生にきれいな日本語訳をつけていただきたいと思いますが、大変難しいだろうということはわかっております。

 なぜマスコミの皆さんがこれだけこの会議に関心を持っているかというと、やはりこれがかなり喫緊の課題であることを理解されているからだと思います。ぜひスピード感を持って具体的な結果を出していっていただければと思います。

○樋口座長 松原さん、一緒に頑張りましょう。

 ほとんど時間がないのですが、何かございますでしょうか。

 どうぞ、木村さん、お願いします。

○木村構成員 全日病の木村ですが、きのう、地域救急会議といいまして、東京都の二次医療機関の集まりがあるのですが、私どものものは区東北部にあるので、区東北部の会議をやったときに、東京消防庁も来ているのです。消防庁の人に聞いたのは、要するに、消防庁としては、心臓がとまっているとか、とまりそうであるとか、そういう三次救急対応の人がいると、どんなお年寄りの高齢者でも、とりあえず三次対応にするという決まりがあるのです。それで、三次救急に連れていってしまう。さすがに最近はそういうこともなくて、家族に三次に連れていきますか、どうしますかと一応は聞くことになっていますが、聞かれた家族は気が動転していますから、三次救急へと言って、連れていってしまうことが結構まだ残っている。

 ただ、5年前に、私は2回ぐらいここに参加しているのですけれども、昔と比べると随分国民の意識は変わってきているし、東京消防庁でさえその辺は多少変わってきて、何でもかんでも三次に連れていくということはなくなってきているのですが、まだまだあるのでこの辺を、やはり国民に対するあれもそうなのですけれども、省庁とか、総務省、消防庁とか、そういうところにもレクチャーをしなければいけないのかなと思っています。

○樋口座長 ありがとうございます。

 一応予定していた時間になりましたので、本日の議論はここまでにしたいと思いますが、次回以下のことについて、改めて事務局、どうぞ。

○山口在宅看護専門官 事務局でございます。

 次回の会議につきましては、10月ごろを予定しております。日程のほうは改めて御連絡させていただきます。

 一言、局長からございます。

○武田医政局長 大変申しわけございません。

 冒頭の発言に加えて、発言予定がないのですけれども、最後に消防の話が出てきたので私は総務省消防庁に2年出ておりましたので、消防の話が出ると何かちょっと言いたくなるのです。申しわけございません。

 今のお話に出ました高齢者の救急搬送の話は、実は大変大きな問題になっておりまして、特に東京消防庁は年間100万件くらいか、日々2,000件を超える救急搬送コールを受けておりまして、伸びているのはほとんど75歳以上の方で、ほかは伸びていないのです。

 救急搬送で最も時間がかかっているのが東京都であります。東京の場合は東京ルールというものをつくりまして、救急搬送の最適化をずっとやってきているのですけれども、特に高齢者に向けて、さらに東京独自のルールでかなり御苦労をされております。その中で、東京の一部の地域では、地域の医療機関と連携して主治医を明確に決めていただいた上で、搬送に際しては必ず主治医に連絡をとるような取り組みも始まっております。そんなことも、厚生労働省というよりは、総務省、消防庁の話になりますけれども、みとりの話になりますと両省が密接に関係しますので、できれば次回以降、どこかでこの状況と取り組みについての御紹介をさせていただいたらいいかなと、私としては思った次第でございます。

 調査に関しましては、今、出た御意見は可能な限り受けとめたいと思いますが、予算の範囲内で現実的に、できる範囲で皆様の御意見をしっかり受けとめさせていただきたいと思います。

 今の話の中であった、インターネットがどれぐらい可能かは検討したいと思いますけれども、鈴木さんでしたか、調査すること自体が普及になるのではないか、みんなに考えてもらう契機になるのではないかというのはまことにそうだなと思って拝聴させていただきました。

 個別の御説明はありませんでしたけれども、今、席上に配られている宮崎市の「私の想いをつなぐノート」はすごくよくできていて、せっかく調査するならこれも見てほしいと思いますが、これをみんなに配るだけのことになるかどうかをぜひ検討し、もし配れないのだったら、せめて何かのときに、これはネットで見られるのでしたら、アドレスを、無理ですか。

○木澤構成員 見られないです。

○武田医政局長 もし著作権を私どもにいただけると、だめですか。

○川平構成員 帰って検討します。

○武田医政局長 可能であれば、例えば我々の検討会のホームページにこれを上げさせていただいて、リンケージを調査表に書いて。

○樋口座長 この会議で出た資料ということであれば、検討会の資料として掲げることはできますね。

○武田医政局長 宮崎市の了解が要ると思うのです。御了解をいただければ、例えばリンク先を調査票に書いて、見た人、見ていない人にチェックをつけてもらって書いてもらうのも、どんどん事務局の負担をふやしているような、そういうことも含めて、ただ、最終的にはできることしかできないのです。その点は御了解をいただくとして、いろいろ検討させていただきたいと思います。

 予定にない発言でございました。事務局にマイクを戻します。よろしくお願いします。

○樋口座長 事務局、いいですね。

 それでは、時間になりましたので、きょうはここまでといたします。

 本当にどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課 在宅医療推進室
TEL:03-5253-1111(内線2662)

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