ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会> 第6回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(議事録)(2017年6月21日)




2017年6月21日 第6回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年6月21日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 20階 共用第8会議室


○議題

(1)がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について
(2)循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制に関する議論の進め方について
(3)その他

○議事

○事務局(小野) 定刻となりましたので、ただいまより第6回「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の構成員の出欠状況につきまして御報告いたします。

 本日は、川本構成員、三宅構成員、山田構成員より御欠席の御連絡をいただいております。なお、木原構成員、細川構成員、服部構成員は遅れて到着予定との御連絡をいただいております。

 本日は参考人といたしまして、日本緩和医療学会教育・研修委員会委員長、佐久医療センター緩和ケア内科部長の山本亮参考人に御出席いただいております。

 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 座席表

 議事次第

 資料1   がん対策基本法一部改正と第3期がん対策推進基本計画の検討状況について

 資料2   がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について

 資料3   循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制に関する議論の進め方について

 資料4   「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ(仮称)」開催要項(案)

 参考資料といたしまして、

 参考資料1 開催要綱

 参考資料2 構成員名簿

 参考資料3 がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会における議論の整理

 参考資料4 第3期がん対策推進基本計画案(案)(緩和ケア関連抜粋)

 参考資料5 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針

 参考資料6 がん対策加速化プラン(平成2712月抜粋)

 参考資料7 緩和ケア推進検討会報告書

 参考資料8 平成28年度厚生労働省委託 がん医療に携わる看護師に対する地域緩和ケア等研修事業(川本構成員提出資料)

 以上でございます。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちましてカメラをおおさめいただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 この後の進行は、福井座長にお願いいたします。

○福井座長 おはようございます。本検討会は約7カ月ぶりの開催となります。その間、がん対策基本法の改正がございまして、また、がん対策推進協議会におきましては、第3期がん対策推進基本計画の策定に向けた議論の中で、今、事務局から説明がございました、本検討会でまとめました参考資料3「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会における議論の整理」が参考にされたと伺っております。

 そこで、まず、「がん対策基本法一部改正と第3期がん対策推進基本計画の検討状況について」の報告を事務局からお願いしたいと思います。

○事務局(濱) 事務局より資料1を用いまして、がん対策基本法一部改正と第3期がん対策推進基本計画の検討状況につきまして、御報告申し上げます。

 スライド2でございますが、昨年12月に改正されました、がん対策基本法の概要図になります。主な改正点といたしまして、全体的な構成としましては、基本的施策に第4節、がん患者の就労等、そして第5節にがんに関する教育の推進等が新設されてございます。

 スライド3、4は、改正点の詳細でございます。まず、2.基本理念の追加(第2条)としまして、「がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し」という点、さらに、「がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られること」という点、以下、基本理念には4項も追加されている状況でございます。

 また、3.医療保険者の責務・国民の責務の改正、事業主の責務が新設されております。

 さらに、5.がん対策基本計画等の見直し期間の改正でございまして、現行は「少なくとも5年ごと」でありますが、「少なくとも6年ごと」に改正されております。

 4ページ目になりますが、こちらは基本的施策の拡充について記載してございます。第13条ではがんの予防、また、第14条では、がんの早期発見の推進につきまして改正されております。

 赤字の緩和ケアに関しましては、次ページで御説明させていただきます。

 4ページ目のちょうど真ん中あたりになりますが、第18条では、がん登録等の取り組みの推進が追記されてございます。

 そして、第19条では、研究の推進のところですが、マル1としまして、支持療法につきまして追加されておりますし、マル2といたしまして、罹患している者の少ないがん、いわゆる希少がん、また治癒が特に困難であるがん、いわゆる難治性がんについての研究の促進という項目も追加されてございます。

 (7)、(8)、(9)、(10)は第4節、第5節でございますが、雇用の継続、がん患者における学習と治療の両立、民間団体の活動に関する支援、そしてがんに関する教育などが新設されております。

 スライド5でございますが、こちらは第15条、第17条の緩和ケアに関するところでございます。第15条で緩和ケアの医療従事者の育成が、手術、放射線療法、化学療法に並んで位置づけられておりますし、また、括弧内になりますが、緩和ケアにつきまして、「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為」と定義されております。

 また、第17条では、「緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにすること」という内容が明示されております。

 以上が基本法一部改正についてでございます。

 次に、第3期がん対策推進基本計画の検討状況について、御報告申し上げます。

 まず、スライド6でございますが、この検討会における議論の整理、参考資料3に全文をつけておりますが、この検討会での議論の内容につきまして、昨年1221日に行われました第63回のがん対策推進協議会において、緩和ケアについてもしっかり議論がなされたところでございます。

 スライド7でございますが、がん対策推進基本計画案の(案)の概要でございます。こちらは6月2日に行われました第68回がん対策推進協議会の資料の一部を改変したものでございます。協議会ではこのような形で意見が一致しているところでありまして、現在パブリックコメントに向けて準備をしている状況でございます。

 全体目標といたしましては、がん患者を含めた国民ががんを知り、がんの克服を目指すということを掲げております。そのため、1つ目としまして、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実。2つ目としまして、患者本位のがん医療の実現。そして3つ目といたしまして、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築。このような3本の柱を立ててございます。

 第2の分野別施策では、がんの予防、がん医療の充実、がんとの共生に加えまして、4つ目としまして、これらを支える基盤の整備という形でまとめてございます。

 緩和ケアにつきましては、3.がんとの共生の(1)がんと診断されたときからの緩和ケアとして位置づけられております。

 また、赤字のアンダーラインのところでございますが、緩和ケアの記載がある項目といたしまして、共生の(3)社会連携に基づくがん対策・がん患者支援というところで、在宅緩和ケアについて記載されております。

 (5)ライフステージに応じたがん対策のところでは、小児やAYA世代のがん対策における緩和ケアについても記載してございます。

 また、4.これらを支える基盤の整備の(2)人材育成のところでも、卒前教育について記載されてございます。普及啓発についても、引き続き緩和ケアについて記載があるという状況でございます。

 最後の8枚目、これは参考としてつけさせていただきましたが、この検討会で御議論いただきました議論の整理の内容を左側に記載してございます。その内容につきましては、がん対策推進基本計画案の(案)に内容はおおむね反映いたしましたことを御報告させていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○福井座長 ありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして、構成員の皆様から御質問、御意見等ございましたらお願いします。いかがでしょうか。 最初に私からいいでしょうか。スライド7のところです。緩和ケアはがんとの共生のところだけではなくて、医療とも密接に関係します。随分議論がなされたのだろうと思いますが、両方にまたがっているというような書き方は難しいのでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 座長の御意見も非常にそのとおりだと思っております。緩和ケアというのは、医師、医療者が動くという部分も非常に大事で、やはり位置づけとしては両方にまたがるような概念としてやっていくほうが、医師も緩和ケアが診断時から重要であるということの意識づけをするためにも大変重要なのかなというようには感じております。

 ありがとうございます。

○福井座長 何か事務局のほうからありますか。

○事務局(濱) ありがとうございます。

 協議会での御議論の状況でございますが、緩和ケアについてもしっかり御議論いただきましたところ、御意見のとおり、例えばがん医療の充実のところにも緩和ケアを記載すべきである、あるいは「4.これらを支える基盤の整備」のところに緩和ケアを位置づけるべきであるという意見がたくさんございました。協議会の中ではそれらの議論の中で、がんとの共生の1つ目に緩和ケアを位置づけるということで意見が一致したところでございますので、その点につきましては御報告させていただきます。

○福井座長 こだわるわけではありませんが、診断されたときからの緩和ケアという以上は、多くの病院で今、キャンサーボードで治療の方向性をさまざまな専門分野の職種の者が集まって決めようとなっていますが、例えばそこにも必ず緩和ケアのバックグラウンドを持った医師、ナース、いろいろな職種の人がいると思いますけれども、必ず緩和ケアの専門性を持った方が加わるとか、最初の医療の入り口のところで緩和ケアをうまく導入するということを形式的にも明確にできればいいのではないかと思いました。細かい議論の議事録を読んでいないものですから、ピントが外れていたら恐縮です。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 おはようございます。桜井です。

 私からも、この全体の基本計画案の概要が出る前に何回か提案という形で、矢印をつけた全体構成図を出させていただいたのですけれども、そのときに、やはり診断時からというのはがんと告知されたときからですので、それは医療にかかわることだとからいうことで、医療と共生からの2つ流れを受けるかたちで緩和ケアが位置付けられるような構成を提案していました。 議論がある中で、位置づけは共生におきつつ、言葉としては、がんとして診断されたときの緩和ケアの重要性をしっかり書き込んでいこうということで、医療からの矢印については落ちたのではないかと理解をしています。なので、当然その議論は協議会の中では出て、今、事務局のほうから答弁がありましたけれども、その上でこの形に落ちついたということで、そこの部分の議論が全く無く抜け落ちたということではないということだけ、補足させていただきたいと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 緩和ケアという概念自体が非常に広い範囲で曖昧であるのは仕方ないことだと思いますが、診断時からと言われるとそこに緩和ケア専門の医師やスタッフが必ずしも加われるとは思えません。適切に診断時からということであれば、全ての医師、看護師、薬剤師、かかわる人を教育するというところに焦点がいかざるを得ないと思います。

 法律としてはこれでいいとは思いますが、現場におりてきたときには具体性がない。スライド5のところでも、精神的な苦痛または社会生活上の不安を緩和する療養生活の質の維持向上と書いてあるのですけれども、具体的にどの分野のどの人がどういうときにかかわるかというところが明記されておらず、はっきりしていないというところが、現場の混乱を招いているように思うのです。

 もし、本当に診断時から提供されるようにというのであれば、私は別に緩和ケア研修会を推しているわけではないのですけれども、これを全ての医師、もしくは医学教育の中に徹底して入れるというところに持っていくしかないのではないかという気がしています。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 ありがとうございます。

 今、こういう箇条書きというか、例えば資料1の8番にあるような事項の中で反映されていますということだけ、あるいは参考資料のほうで計画案が書いてありますということが報告されましたが、この後で私ども委員のほうからも、不足部分を幾つか会議の中で申し出を行っております。例えば「検討する」という言葉で終わっていたり、今、服部構成員のほうからもお話がありましたが、具体なところが記載されていないとなかなか現場にはおりてこない部分がありますので、その辺については、これからどういう形で出てくるのかわからないのですけれども、はっきり明示していただきたいということを一つ要望させていただきたいと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 もう一つなのですけれども、スライド5にあるがん対策基本法の中で、赤字の部分は非常に重要なのですが、非常に画期的だと感じたのが、やはり家族も含むということが緩和ケアの大きな特徴だと考えております。ですので、がん対策推進基本計画においても、やはり家族の支援ということも、今後先、具体的な施策の中で強調できるように、がん患者支援のみならず、がん患者の家族の支援という形で進めていただけたらと思っております。

 以上です。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 ありがとうございます。

 生活のことを相談の中で支援するというところも少し盛り込まれているのですけれども、その具体をあらわす言葉として、家族への支援というのは比較的盛り込みやすいと思うのです。家族や暮らしの全体、と言う文言だけではなく「家族」というその文言があるところで、そこが支援のポイントでもあるのだというところを伝えられるのです。多分もう出てきたものを、どこまで何をどう変更するかというと難しい点はあるとは思うのですけれども、せめてそこの部分、池永構成員がおっしゃった「家族」というその文言を書き入れることとして、は意味が大きいというように、相談にいつも携わっている立場から考えております。よろしくお願いしたいと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。もしないようでしたら、議題に入りたいと思いますがよろしいでしょうか。

 議題1「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について」の議論をお願いしたいと思います。最初に資料2の説明を事務局からお願いします。

○事務局(濱) 資料2でございます。「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の改正について」、御議論いただければと思います。

 スライド2は、昨年のこの検討会における資料でございますが、本検討会で検討すべき論点といたしまして、(1)の「イ.全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを身につけるための方策」、この点について御議論をいただいてきたところでございます。

 3枚目以降になりますが、これは現行のがん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会についてまとめたものでございます。

 背景といたしましては、第2期の基本計画におきまして、「がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得する」ことが目標として掲げられております。そういったことを踏まえまして、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会を実施してきたという状況でございます。

 概要でございますが、本日の参考資料5につけさせていただいておりますが、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に基づいて、この研修会は実施されております。

 実施主体は、主にがん診療連携拠点病院でございます。

 対象は、がん診療に携わる全ての医師、そして歯科医師でございますが、なお書きといたしまして、そのほかの医療従事者の参加は現時点でも妨げていない状況であります。

 特にがん診療連携拠点病院では、自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了することを目標としてございます。

 この緩和ケア研修会は、苦痛のスクリーニングとその結果に基づいた症状緩和やがん疼痛、あるいはがん疼痛以外の身体症状に対する緩和ケア、不安や抑鬱及びせん妄などの精神心理的な症状に対する緩和ケア、療養場所の選択、地域連携、そして在宅における緩和ケアの実際について、などを主な内容としております。

 スライド4は、本年3月31日時点における緩和ケア研修会の修了証書の交付枚数の累積になりますが、9万3,250枚という状況でございます。

 また、スライド5、こちらも同じく本年3月31日時点で拠点病院におけるがん診療において、がん患者の主治医、担当医となる者、こちらは6月までに9割以上を目標としてまいりましたが、3月末時点で受講率は82.1%という状況であります。また、参考に都道府県におけます受講率の状況をお示しさせていただいております。

 スライド6は、研修会のプログラムですが、左側に一般型の研修会のプログラム(例)を掲示させていただいております。プログラムの要点が右側になりますが、現行では720分以上、すなわち12時間以上の研修時間で、2日間かけて行ってございます。また、ワークショップ形式も含まれておりまして、その中では事例検討やコミュニケーションのロールプレイ等も行っております。

 スライド7、これも昨年の資料でございますが、研修会の受講状況であります。ホームページに、医師以外の職種の修了者名を公開されている都道府県のデータを事務局で集計しました。8つの県の状況でございますが、平均しますと、医師以外の職種の受講は約40%という状況でございます。

 また、多職種研修という観点では、昨年度からがん医療従事者研究事業の中で緩和ケアチームの実地研修というものを行っておりまして、本年度も継続して実施する予定でございます。

 スライド9、緩和ケア研修会につきましては、がん等における新たな緩和ケア研修等事業を日本緩和医療学会へ委託し、実施しております。委託事業の中では、緩和ケア研修会の開催指針の改正内容に向けて、e-learningシステムの構築を行っていただく予定でございます。

 また、左下ですが、緩和ケア研修会を行うための指導者を養成していただいております。

 普及啓発等もこの事業の中で行っていただいております。

 スライド10は、第3期がん対策基本計画案(案)における緩和ケア研修会における記載についてまとめたものでございます。取り組むべき施策といたしまして、国はチーム医療の観点から看護師、薬剤師等の医療従事者が受講可能となるよう、研修会の内容・体制を検討する。

 そして、2つ目の段落ですが、主治医が自ら緩和ケアを実施する場合の方法、緩和ケアチームへのつなぎ方、コミュニケーションスキル等、演習会の内容の充実を図ること。

 3つ目の段落ですが、座学部分はe-learningを導入すること、1日の集合研修に変更することなど、研修会の実施形式についての見直しを行う。また、がん患者の家族、遺族等に対するグリーフケアの提供に必要な研修プログラムを策定し、緩和ケア研修等の内容に追加するなどが、がん対策推進協議会で議論され、委員の間で認識の一致が得られたところでございます。

 これらの内容を踏まえまして、スライド11、現行の緩和ケア研修会の開催指針の一部改正をしてはどうか。特に以下の点について、追加・充実させてはどうかということで御議論いただければと存じます。

 専門的緩和ケア、これは緩和ケアチームや緩和ケア外来になりますが、そちらへのつなぎ方に関する追加。

 意思決定支援(アドバンス・ケア・プランニングを含む)の内容の充実。

 コミュニケーションスキルに関するプログラムの充実。

 グリーフケアの追加。

 医療用麻薬の使い方に関するプログラムの充実。

 緩和的放射線療法の充実。

 さらに、がん以外の疾患に対する緩和ケアの追加などを行ってはどうかということで、御議論をお願いいたします。

 さらにスライド12、協議会の議論を踏まえまして、研修会の運営方法等につきまして、以下の点について御議論いただければと思います。

 1つ目は、多職種の参加を促すことについて。

e-learning化すべきプログラムについて。

e-learningを導入した際の単位型の研修の要否について。

 さらに集合研修におけるe-learning部分の復習や質疑について。

 最後に、研修修了者について、患者とその家族に対する情報提供の方法(修了者バッジの交付)等について御議論いただければと思います。

 スライド13、最後のスライドになりますが、開催指針の改正に関する今後のスケジュール(案)でございます。本日御議論いただいた内容も踏まえまして、事務局と緩和医療学会で検討させていただいて、次回9月ごろに開催指針の改正案を御提示させていただければと思います。また、そこで御議論いただいた内容を事務局で受けさせていただきまして、目標としましては、年内に研修開催指針を改正したいと存じます。その内容を踏まえまして、緩和医療学会と連携しつつ、e-learningのプログラム化。そして、来年度の4月に新指針の施行開始を予定しております。

 1年の移行期間を経まして、平成31年度の4月からは新しいe-learning型の研修会に完全移行できればという予定で検討してございます。

 事務局からは以上です。御検討、よろしくお願いいたします。

○福井座長 参考資料8については、説明はよろしいですか。

○事務局(小野) 引き続き、事務局より御説明させていただきます。参考資料8をごらんください。こちらは昨年度、平成28年度厚生労働省委託事業として行いました、がん医療に携わる看護師に対する地域緩和ケア等研修事業の資料でございます。こちらは日本看護協会へ委託し実施されました。本日の議論の参考になる点もあるかと思いまして、御参考までに御紹介させていただきます。

 本事業は、病院や訪問看護ステーション等に所属する看護職を対象としまして、地域緩和ケアや看護相談に関する研修を行っていただきました。緩和ケア研修会における講義部分をe-learning化することが挙がっておりますが、こちらの研修も180分の研修プログラムをインターネットのオンデマンドで配信を行ったと報告を受けております。

3,429名の方が受講を申し込まれました。

 次のスライドをごらんください。「3.研修プログラム」にございます内容が、実際に配信されました研修プログラムでございます。こちらはランダム再生も可能でして、上から順番に学習するだけではなく、2回目、3回目と見ることも可能ですし、見逃してしまったところを巻き戻して見ることも可能としたと伺っております。こちらについては講義形式のみで、プログラムを聴講するという形式で行われました。

 3枚目のスライド、配信期間は昨年9月12日~本年2月13日の約5カ月にわたって行われております。

 受講者の93.1%は看護師で、その他、保健師・助産師・准看護師等も受講されております。

 (3)にございます所属施設をごらんください。この研修は拠点病院以外の者も対象者として行いましたので、一般病院も含め広くアナウンスをしていただきました。実際の受講者としましては、拠点以外の病院の方が42%、また、地域緩和ケアという内容ですので、17.9%は訪問看護ステーションの方でした。

 また、所属施設の規模としては、(4)でございますが、300399床の中小病院の方も多く参加しております。また、所属施設に病床なしという方も17.7%おりまして、病院以外の方も受講されました。

 次のスライドをごらんください。受講者のアンケート結果でございます。広大な地域差がある中で、全国どこでも統一した内容をオンデマンドで公平に受けられるということは、アクセスや所属施設にとらわれずに受講できるという点で、好評でした。

 また、訪問看護ステーションに所属している方は、1事業者当たりの人数も少ないため、なかなか研修に出られないということもございますが、こういったインターネットを使ったオンデマンドでの配信ですと、受講しやすいと好評でした。

 次のスライドをごらんください。こちらはオンデマンド研修を終えた後、地域を6ブロックに分けて行った交流集会の開催概要です。こちらは全てのプログラムを修了した方でなくとも参加ができるという条件にしたと伺っております。

 4.にございます参加者数ですが、こちらは425名の方が全国で御参加されました。

 交流集会の結果につきましては、その次のスライドを御参照いただければと思います。

 以上でございます。

○福井座長 ありがとうございます。

それでは、指針の改正につきまして、ただいま事務局から説明がございましたように、特に研修の内容と研修会運営方法などについて、具体的な御意見をいただければと思います。御意見に基づいて、緩和ケア研修開催指針の改正を行っていきたいということですので、構成員の皆様の御意見をぜひ反映していただければと思います。

 いかがでしょうか。

 先に小川構成員からどうぞ。

○小川構成員 コメントの前に簡単に教えていただきたいのですけれども、今回事務局からお示しくださいました、医療に携わる看護師に対する地域緩和ケア等研修事業というのは、今後の緩和ケア研修会、今のPEACEの他職種への改正とあわせると、すみ分けとかそういうのというのは今どのような話で進んでいるのかなど、あらかじめ教えていただけますでしょうか。

○事務局(小野) ありがとうございます。

 こちらは昨年度の委託事業でして、この委託事業自体は単年度で終了しております。今年度は日本看護協会で、このアンケート結果等を踏まえまして、研修を一部見直し、研修は継続して実施すると聞いております。

○小川構成員 わかりました。ありがとうございます。

 その辺は改めての検討となることですので、緩和ケアの研修会の改正指針についてお話を伺って、幾つか今後検討が必要かと思ったところをコメントさせていただきたいと思います。

 前の緩和ケア研修会もそうだったのですけれども、5年で最初は10万人等の目標があって、それで結構10年間来たのですが、今回緩和ケアの研修会の指針の改正をするとなったときに、その対象というのでしょうか、研修会のゴールが何なのかというのは、一度しっかり確認したほうがいいかと思います。恐らく昨年のこの検討会の議論の中で出てきたのでいきますと、拠点病院というよりは拠点病院以外の一般病院、地域における緩和ケアの多分充実という話だったと思いますので、そうなると、対象が拠点病院以外の一般病院、恐らく緩和ケアチームもなくて、医師もしくは看護師等、医療従事者も十分でない中で緩和ケアがまだ提供されていない。そこでどのようにするのか、そこの改正なので、質の向上というのがゴールになるかと思います。

 そうすると、誰が何をするのかというのを考えますと、恐らく拠点病院の緩和ケアチームであったり、今までの緩和ケアの研修会の指導は資格を持った人たちを中心に動員してするとなると、拠点病院中心に動かざるを得ないと思うのです。その人数で地域の一般病院をどのようにしていくのかなど、例えばこの6年間であれば、6年間の達成すべきゴールというのがどこなのかというのを決めていかないと、また結構道に迷ってしまうのではないかと思いました。

 また、今までは拠点病院の中の話でしたので、割にアプローチというのが診療科で具体的に緩和ケアチームが何かというのも見えていたというのもあるのですけれども、今度はそういうのが見えない中で、どのように医師を含めて他職種を動員するのかというのは、現実にはかなり課題になるかと思います。放っておいて、すぐにみんな拠点病院に来て研修を受けるというほど簡単にアプローチできないと思いますので、かなりそこを練り込まないと、それこそe-learningを含めて開くけれども、受講者がいないという状況になって、またそこでどうするのかという議論になりかねないのかなと思いました。

 ですので、目標をはっきりさせるということと、対象をどこにするのか。他職種はよいと思うのですけれども、他職種にすると、医師、看護師で役割が違うと思うのです。現実に例えばオピオイドの処方が少ないというのであれば、やはり処方する医師をターゲットにしなければいけないと思うので、そこをどうするのかというのをかなり明確に練らないと、何となく他職種がいいよというだけで、みんなでやってよかったで終わってしまっては、ゴールは見えないと思います。

 また、実際に誰がするのかというのと、拠点病院が地域にアプローチするのであれば、アプローチの方法も含めて考えないと、人が集まらないという中で拠点病院がまた苦しんでしまうかと思います。

 また、モニタリングも結構必要で、最終的なゴールとあわせて、途中どういうように進捗を見ていくのかなど、そのあたりを練った上で、具体的な内容というのを考えることもあわせて必要かと思います。

 今回提示いただいた追加・充実というのが、専門的緩和ケアのつなぎ方やアドバンス・ケア・プランニングなど、実際に確かに現実に必要なことではありますし、盛り込むのは大事だと思うのですけれども、一方で拠点病院よりもまだ緩和ケアになじみのないという一般病院に提供する上で、いきなりハイレベルの要求をしても、かえってハードルが上がってしまうと思いますので、その辺のハードル、実際にはそこに達成できる目標と求められる内容とのもうちょっとすり合わせというのをした上で、全部盛り込んで盛りだくさんで聞いて終わりみたいにならないような、そこのところのバランスも重要かとは思いました。

 ありがとうございます。

○福井座長 事務局から今の点に関しまして何か説明がありますか。もしありましたら、お願いします。

○がん・疾病対策課長 本当に貴重な御意見をありがとうございました。そのような御意見をもっといただければと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 資料2のスライド10ですが、チーム医療ということを少し取り違えているという気がします。チーム医療というのは、それぞれの専門性を患者さんにいろいろ生かしていくという意味でのチーム医療なのですが、医師、看護師、薬剤師を一緒にして、医療従事者全部が受講可能となるように研修会を開くというのは、先ほど小川構成員のほうからもあったように、ちょっと無理があると思います。医師は医師、看護師は看護師。e-learningには賛成なのですけれども、薬剤師は薬剤師、訪問医師は医師のための研修会というようにして、それぞれの専門性を高めて、それをチーム医療として患者に提供するということが大事なのではないでしょうか。みんな仲よく一緒になって患者さんのところに行くということが第一義ではないということをはっきりさせておかないといけません。医師のための研修会に、看護師さん、薬剤師さんが人数合わせのためにいっぱい入ってきているという現状があります。さらにレベルを専門的ではなくて広い範囲に、たとえば看護師も薬剤師もわかるような範囲にするというのは、研修会を進めていく意味で、先ほど小川先生が言ったように迷走してしまうのではないかと思います。ですから、医師は医師、看護師は看護師、薬剤師は薬剤師、MSWMSWの研修会みたいな形にしておいたほうがいいのではないかというのが、私の意見です。

○福井座長 簡単に言えば、チームで研修すればチーム医療ができるものではないということですね。

○服部構成員 そういうことです。患者さんにとって、みんなが一緒に回ってきたことがうれしいのでしょうか。それよりも専門的なものを提供されるほうがうれしいのではないかということです。

○福井座長 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 今のお話にもつながるものなのですけれども、チーム医療の研修を本当にもし緩和ケアのチームケアの研修として提供するのであれば、いわゆるチームビルディングに関するワークショップですとか、実践的なところをそのことをテーマに学ぶというのは意味が大きいと思うのです。実際にペーパー事例であっても、そういうようなところでそれぞれの職種の専門性が、そこにどう実際に生かされるかディスカッションするとか、そういう意味のチームビルディングに関する研修は意味があると思うのです。が、それは、先生がおっしゃったように、同じものを習ったり学ぶことで、それにつながるというのとまたちょっと違うのではないかと私も考えております。

○福井座長 ありがとうございます。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 私も全く同じ意見です。これは議論の中で出ていたかと思うのです。チームビルディングの部分はものすごく重要です。個別に自分の専門性なりを深めていく部分。それから、基本的に全員が持っておかなくてはいけないベーシックな部分。それから、チームビルディングという3つの柱が重要になるのではないかということは検討会の中でも議論があったかと思いますので、それがきちんとわかるような形の構成にするべきなのではないかと思っています。かつ、それぞれの中での対象が誰なのかということ、ゴールが何なのかということを明確にする必要があると思っています。

 それから、事務局にお聞きしたいのですけれども、小児がんの研修というのはどういうようになっているのでしょうか。

○事務局(濱) 小児がんの研修につきましては、昨年度までは日本小児血液・がん学会に委託事業としてやっておりましたが、今年度からは委託は終了しまして、日本小児血液・がん学会で引き続き実施すると聞いております。

○桜井構成員 わかりました。ありがとうございます。

 その上で、私のほうからこの内容について3点ほどお願いします。1点目は今、チームビルディングというお話でお伝えをしました。

 2点目として、基本的な生活支援に関する制度的な部分を、私はぜひ知っていただきたいと思っています。というのが、患者さんの中で、例えばもう脳転移をしていて、末期がんの状態。相談支援センターに行ったり、先生に介護認定を受けたいのですというお話をすると、主たる治療を受けているからあなたは対象外ですといってはねられるケースがものすごく多いのです。がん拠点病院で実際に起きているのです。

 なぜそういうことが起こるのかというと、生活支援の部分と治療をしていくという部分は、ベクトルとして私たち患者は同じ方向を向いてほしいのですけれども、こういう研修会が進んでいても、医療者の中の感覚として両者はちょっと別な方向を向いているのではないかという認識を、まだ一部で持っていらっしゃる方が実際いて、患者はそのはざまで本当に苦労をしているのです。なので、いわゆる介護認定の部分の話ですとか、ちゃんとそういう制度があって、生活の部分を支えないと、患者は家に戻れないのですという話を私はぜひ入れていただきたいと思っております。

 それからもう一点、最後の3点目の部分ですけれども、いわゆるケーススタディーの部分なのですが、今回基本計画のほうもライフステージというような考え方が出てきました。私も研修会に何回か参加させていただいたことがあるのですけれども、ロールプレイで上がっているモデルというのは、ライフステージに応じていないというか一般的なものが多いのかなと思っていて、ぜひいわゆる若年がんの方たちの緩和ケアの部分ですとか、それから高齢者の方というものもケースモデルの中に少し入れていただきたいと思っています。特に高齢者に関してはこれからふえてくると思いますので、そのときにどういうことが必要なのかということをモデルの中で検討していただいて、地域とどうつなげるかということを考えていただきたいと思っています。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 何か事務局からありますか。いいですか。

 ほかにはいかがでしょうか。

 加賀谷構成員、どうぞ。

○加賀谷構成員 今の資料2のスライド11ですが、この中の「医療用麻薬の使い方に関するプログラムの充実」というのは、もちろん非常に大事なことですが、その前に先ほど資料1の6のところにもございましたけれども、国民は医療用麻薬に対する誤解があるということになっているわけです。医療用麻薬の誤解を解く教育というのが、教科書的には書いていますけれども、もう少し具体的にここに織り込んでいただいたほうがいいのではないか。それに対して、ただ医師のみだけではなくて、看護師、薬剤師等もそれを支援するということをぜひ加えていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

○福井座長 またその方向で考えていきたいと思います。

 木原構成員、どうぞ。

○木原構成員 田村構成員と桜井構成員がおっしゃったチームビルディングというのは、緩和ケアをこれから進めるために、あるいはこれまでの緩和ケアの浸透が十分でないということを考える上で非常に大きな大事なポイントだと思います。

 個別に各職種によって研修会を行う場合、医師でないとできない緩和ケアとそれ以外をはっきりさせる必要があると思います。その結果、本当に全体として分けた研修をする必要があるかどうかというところもしっかり整理をしておく必要があるかと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 前川です。ありがとうございます。

 私は今まで緩和ケア検討会などに最初からかかわってきたのですけれども、最初に緩和ケア検討会が立ち上がったときに、緩和ケアの研修会の受講者数すら厚労省の担当者は把握できていなかった。そのあたりから把握するようになってきて、このような形になりました。いつまでも緩和ケア研修会とか、何か同じようなところでいろいろな検討はされているけれども、きちっとした結果が出ていないような気がします。これだけ長い間緩和ケア研修会をしてきたのに、患者が満足しているかどうかというところに目が向いていないのではないか。ずっと見てきて、あの先生にかかって本当によかったという声が余り聞こえてないのです。ぜひそういう視点でも考えていただきたいと思っております。

○福井座長 ありがとうございます。

 平原構成員、どうぞ。

○平原構成員 平原でございます。

 今回の研修は診断時から生活面も含めて、患者さん、御家族を支えられるようにするということ、また、研修を拠点病院だけではなくて一般病院まで広げるところを目標にすべきだと思います。

私は研修のことについていつも考えるときに、構造と方法と内容というのが大事だと思うのです。

 本研修会をどういう構造にするかということを考えたときに、中小病院のところなどはそういういろいろな職種の方がちゃんといるわけではないですし、その中でやる気のある先生とやる気のある看護師さんが、恐らくチームを組んで頑張ろうということで進んでいくのだろうなと想像するのです。そうすると、今までみたいに個人が手挙げをしていくという形がいいのか、あるいは病院から少なくとも医師、看護師あるいはソーシャルワーカーなどの職種がそのチームとして参加していただいて、チームが病院に帰って何かを変えていくという構造にしたほうがいいのか、そこのところはまずは議論が必要かなと思います。

 方法ですけれども、e-learningを用いるのは非常にいいと思います。知識ベースのところはやはりe-learningで固めていくべきで、参加型の研修のほうが圧倒的に教育効果が高いわけですので、集合研修はやはりワークショップ形式のものにする。内容に関しては、他職種が入ってきた場合に何が共通基盤になるかというと、意思決定支援、意思表明プロセスをどういうように支えていくかというところが基盤になるわけです。そういう意味で言うとACPのところがやはり先にあるべきで、もちろん技術的なこともワークショップでやりますけれども、ACPのワークショップをしっかり持って、それでチームでどう支えていこうという仕組みづくりにまで展開していくというのが、本当に有効な研修会ではないかと思います。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 ありがとうございます。

 ちょっと細かなところで申しわけないのですが、参考資料5にございます緩和ケア研修会の開催指針の2ページ目なのですけれども、これまで研修会においては、患者会を始めとする患者や家族の意向を十分に反映するため、合同検討会議というのを開催するということが指針としてはございましたが、実際何回かそういう検討会をさせていただいて、これは決して研修会だけの問題ではないのだろうと。出てくる意見も病院全体のがん診療に関しての御意見のほうがかなり大きくございまして、それは今後e-learningになり、全国統一の知識ベースの講義になっていく、あとワークショップを加えるということで考えると、患者さんの御意向、御家族の御意向を反映した研修会というよりかは、これをより発展するような形で病院自体のがん診療全体の質を向上させるために、病院幹部を含めた意見交換会みたいな形に発展的にしていくほうが、これは研修会をどうするかというよりも、がん診療全体をどうするかについて、患者会や家族の意向を反映するという形に発展できればと希望しております。

 以上です。

○福井座長 今、研修会で患者さんのお話を聞くといったセッションは設けられているのでしょうか。

○池永構成員 一部、我々のところもそうですが、オプションのプログラムとして患者会の方に話をしてもらっているという研修会が実施されているところもございます。

○福井座長 そうですか。私が受けたときにはそういうセッションはありませんでした。患者さんのナラティブな話を聞くことは最低限必要ではないかと思った次第です。この開催指針にも、特別そのことは書かれていないようです。

 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 何かそのあたりがあやふやで、私もどうなっているのかと思っていました。そして、よくいろいろな会議で患者会という言葉がたびたび出ます。私もたびたび発言していますけれども、患者会はごく一部です。患者会に入っている方だけでは個々の患者さんがいらっしゃる、声を上げることのできない患者さんがいらっしゃるということを、こういう場でもう一度声を大きくして言いたいと思います。患者会が全てではないということを念頭に置いていただくようお願いいたします。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 安斉構成員、どうぞ。

○安斉構成員 スライド11で、がん以外の疾患に対する緩和ケアの追加ということが明記されてはいるのですが、これはがん診療にかかわる医師、あるいは主治医が対象になっているので、前回も議論があったかとは思うのですけれども、できましたら対象として医師であれば、初期研修医などが広く一般にやるようなことが必要ではないかと。あとは、大学においても緩和医療学などそういったものを設置して、学生時代から広くベーシックな部分というのは研修する必要があるのではないかとは思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 遅れまして申しわけありません。

 すでにPEACE研修会を随分多くの方が受講されまして、それはそれなりに結構実績を上げたとは思います。しかし、ここでの議論から、厚労省が国の施策として、今後もさらに緩和ケアを広げていく、それもこれからはがん以外の疾患にも広げていく、つまり緩和ケア精神を医療の中に広げていくということになるのだと思います。その過程で、卒前・卒後教育から、今おっしゃっているような患者さんのお話を聞くことも入れるなど、さまざまな企画が出てきたときに、今後、どうやって行くのかが大きな問題となります。さっきおっしゃったように拠点病院以外では、その病院の中で緩和ケアに興味を持って、頑張ってくれている看護師や頑張ってくれている医師が個々にやっているという状況です。

 今、いろいろな施設で問題になってきているのは、この人たち、特にパイオニアとして、頑張ってくれた方々が、この20年くらいで大分年をとってこられています。この方がやめていかれたら、次に後に続く人が必ずしもその施設におられるとは限らないということです。同じことが緩和病棟でも起こっています。関西でも随分の緩和病棟が閉鎖や、認定施設を返上するなどという状況に追いやられています。以前から機会あるごとに申しておりますが、国の施策として緩和ケアというものをもっと広げていくのであれば、例えば眼科であれ耳鼻科であれ日本でそういったものを広げるなら、大学医学部にそういった科を設置する、教室を設置することからまず開始されたと思います。そうやって、専門科、専門家教育が普及し進んできたわけです。ところが緩和ケアでは、現場の緩和ケアが、まず先に走って、それを下支えするシステムづくりをしなかったので、上は意欲のあるかたたちで大きくなってきたけれども、後に続けられるシステムとなる組織が殆どないのです。この状況で、緩和ケア研修を診療拠点病院以外にも広げれば、さらに人のいないところで今後やることになる。本来なら、そういうところの研修には、大学の講座等から、常時、人を派遣できるような、そういうセッティングと、ある程度の経済的なバックボーンの設定がないと、近い将来は心もとない状況になると思います。現場では、頑張っている人が、心ない院長に、「俺はこのようなことに病院の金を使いたくない」と言われてがっくりしている人たちもたくさんおられます。 こういった問題の解決、施策となると、講座の設立や教育システムの構築と人材育成など、これらは厚労省だけでなく、文科省の管轄にもなります。間もなく始まる第3期のがんプロも、その講座の数と経費が随分減りました。スタッフ一人とせいぜい秘書さんを一人雇うのが精いっぱい程度のところが多いと思います。ですから、本気でやるのなら、文科省とも共同していただきまして、体制つくりを行っていただきたい。先程から言われている今の研修医の受講資格というのもそうですが、依然、これを決めているのは文科省であり、厚労省の方から研修医の必須資格に入れることはできないとお聞きしました。しかし、やる限りはやはりオールジャパンで、その辺を調整していただきたい。そして、5年先、10年先を見つめて、緩和ケア教育の底辺を広げることに尽力していただきたいと考えています。

○福井座長 ありがとうございます。

 卒後2年間の研修については、文科省の所管ではなく、厚生労働省ですね。どういう研修プログラムにするのか、今、ちょうど見直しをしているところではあります。

○細川構成員 研修の中のカリキュラムの中で、研修医の間に何をするかどうかは文科省ですよね。私は前から何回も言っているのですが、返事は厚労省の管轄ではないと聞いています。どうなのでしょう。コアカリキュラムをつくっているのも文科省ですよね。

○福井座長 コアカリキュラムは卒前ですが。

○細川構成員 もちろんそうなのですけれども、卒前のほうには、緩和ケアについてたくさん入れていただいたのですが、卒後の研修医の義務としてPEACE研修会を受けるとするということを、私が厚生労働省の検討会に加わったときからずっと言い続けていますが、未だに回答がありません。同じように緩和医療の講座をつくるという話もなかなか進まないと聞いております。

○がん・疾病対策課長 卒後の臨床研修の2年間のプログラムといいますか内容につきましては、部署は違うのですけれども、医政局の医事課のほうで担当ということになってございます。

○細川構成員 研修医がそれを受講しなければ、研修医の資格が取れないということも厚労省で決められるのですか。

○がん・疾病対策課長 卒業してからの医師臨床研修の件につきましては、全て厚労省の所管の事項ということになってございます。

○細川構成員 そういうことでしたら、ずっと前から言い続けている、「研修医2年目に研修医の全員が緩和ケア研修を修了すべきである」という提案が通らないのは、厚労省がストップをかけておられるということですか。

 がん対策推進協議会でも、第3期がん対策推進基本計画案(案)の中にも、そのようにすることが推奨するという形でしか、書かれず、義務化するという話になっていなかったのですが、それは文科省の仕事だと私は聞きましたが、そうではなくて、厚生労働省がストップをかけているということですか。

○福井座長 よろしいですか。

 私が到達目標見直しの責任者をやっていますが、それは厚生労働省のほうが決めて、ある日突然やるというような仕組みにはなっておりません。ワーキンググループや医道審議会医師臨床研修部会を一つずつクリアしていって決めるシステムになっています。

○細川構成員 それはよく分かりますけれども、今回、ある日突然言い出したことではなく、もう言い始めて4年もたっているのですよ。

○福井座長 以前からそういうシステムになっていますので、恐らく突然これを入れるということは、なかなか難しくて、一つ一つ段階を登って必要があると思います。

○細川構成員 だから、きょう初めてこれを提案したのならその説明は分かりますが、もう4年前から言い続けているのですよ。どこがだめなのですか。何かどこかで反対があるのですか。私は研修医が全員受けるようにすることは、研修医にとっても、彼らが今後働く病院にとっても、患者さんにとっても、オールウィンだと私は思っているので、言い続けているのです。

○福井座長 卒後臨床研修到達目標の中には、当初から緩和ケアは入っています。ただ、ここで言われているような研修会を受講することを求める形にはなっておりません。緩和ケアについてのプリンシプルと症状緩和については学ぶことになっています。2004年の必修化の時から。○細川構成員 その「緩和ケアについてのプリンシプルと症状緩和については学ぶこと」のまず一番の窓口がPEACEの研修会だと思います。以前から言っていますように、車の運転で言えば、まだまだ座学の分野に過ぎないのです。まずこれで、緩和ケアとは何かということを学んでいただいて、次に実際に患者さんに接するところで、それを思い返して、経験を積んでいくという流れになるわけです。何も研修会を受けること自体が目的ではないわけで、今、「緩和ケアについてのプリンシプルと症状緩和については学ぶことになっている」というように到達目標入っているとおっしゃるのであれば、研修医のときに受講していただくことが、必須ではないでしょうか。特にこれからがんだけに限らず、がん以外の疾患にも緩和ケアを広げるというのであれば、最低限研修医が緩和ケア研修を受講することは絶対必要なことになるのでしょう。では、具体的にはどういう手順を踏めば何とかなるものなのですか。ハードルが高いとかいろいろなプロセスを踏まなければいけないというのはわかるのですけれども、これが今言い出したことで、これから始めるという話ならそれでもいいのですが、もう4年前からずっと言っていることで、変わらずに進展がないということは、どこで止まっている、誰が止めているのですか。

○福井座長 よろしいですか。

○事務局(濱) 臨床研修の到達目標に関しましては、今、課長からもありましたように、医政局の医事課で担当しています。卒前教育に関しましては、モデル・コア・カリキュラムですので、文部科学省で担当している状況です。

 緩和ケア研修に関しましては、このがん対策の中でやっておりますので、健康局がん・疾病対策課でやっている状況であります。以前からそういう状況です。

○細川構成員 そのシステムはわかりました。では具体的にどこまで議論が上がって、どこでとまっているのですか。この方向性に何か不備があるのですか。これを進めること自体に誰かが反対されているのですか。常識的に考えれば、研修の間に医療の基本的考え方や姿勢を学んでいただくというのは当然のことです。それを本来やることが教室の仕事になってくると思うのにその教室も整備されない。現状は、もうとりあえず頑張っている人たちが何とかしています、お金もなければ人もいない、時間もないしそれでも頑張っている。こういう人たちが、ぼちぼちやめる時期に当たってきてしまっています。折角できた緩和病棟は潰れていく、研修会の運営はみんな疲弊してきて、おまけに受講する医師がいない。1つのところでできないから、2つ、3つ一緒になってやらなければできない。そのような状況が起こってきているし、今後も起こってくることは、目に見えていることだと思いますが。

○福井座長 各研修病院で緩和ケアの原則と症状緩和について学ぶことになっています。ただ、具体的に学んだ内容や経験を提出して、それを評価するところまで要求はされていません。それらを学ぶうことが必要というプログラムにはなっています。

○細川構成員 それを一番具現化していて、お金も時間もかけて人手もかけてやっているのがPEACE研修会だと思います。それを研修修了の要件として要求して入れてもらうことがどうしてだめなのですか。おっしゃっていることはよくわかるのですけれども、ちっとも前に進まない。

 もう一つ、さっきも池永先生から話が出ましたが、スクリーニングのことです。今は緩和ケアのスクリーニングといわれているのですが、当たり前のことですが、これは実際には、池永先生もおっしゃっているように、治療やICなどがん医療全体の事やまた医療に関わる病院全体の中でスクリーニングが必要なわけで、その中の一つに緩和ケアスクリーニングがあるだけです。でも、何故かしら緩和ケアの部分の一つ一つ、それだけを引っ張り出してしまうものですから継続性がないし、システム化もできないし評価もできないという形になってくるのです。

スクリーニングをすべきということは、何もがんの患者さんだけではないし、緩和ケアだけでもない、病院自体があらゆる疾患の患者さんをどう把握しているのかをスクリーニングすべきだという声がどんどん上がってきているしやるのならそうすべきなのです。もうちょっとシステマティックに考えて、5年単位くらいで何かが片づくような形にしないと、同じ議論の繰り返しを何年もしているような気がして仕方がないのです。

○福井座長 先生の御意見としましては、研修医を対象にしたシステマティックな緩和ケアに関する研修をという。

○細川構成員 いいえPEACE研修でいいのです。PEACE研修会の受講を研修医の2年まで、つまり研修医を修了するときには受けているということをデューティーにしてほしいとずっと言い続けている。

○福井座長 御意見としては伺ったということになります。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 これは私が前の検討会のワーキンググループのときから言っていることで、ずっと言い続けていることです。今、細川先生が突然言ったわけではなくて、後期研修に入る前には絶対にデューティー化するということにすればいいではないか。そうすれば、みんな受けてくれて、何%の受講率などは一切なくなるという意見です。今、健康局の皆さんを見ると、初めて聞いたような顔をしていますけれども、ずっと前から提案されています。何でそれが実現しないのかと細川構成員は今、聞いているのです。そんなに難しいことなのですかというのを聞かれているのです。私もその答えを聞きたい。

○福井座長 それは今後の検討対象になるとしか、今の時点では言えません。緩和ケアに関する研修会の内容を学ぶ時期として、卒後2年間が適切かどうかということ、それに、2年間でやるべきことがたくさんありますので、いろいろなファクターを考え合わせて、2年間で、9,000人近くの研修医に毎年課すべきかどうかを考えなくてはなりません。今後、検討会などで話し合っていきたいと思います。

○服部構成員 でも、研修は2日間ですから。

○福井座長 そんなことを言い始めると、いろいろなところがあるのです。

○服部構成員 それはずっと前から実は言っていて、ほかの前からかかわっている人たちもうんうんと言っていると思うのです。

○桜井構成員 今回の第3期のがん対策推進基本計画の中で、人材育成というのが入っています。きちんと押しなべてできるような人材育成と人材育成の基盤というような考え方も入っています。これを踏まえて、しっかり今後6年間やっていかなければいけないこの言葉が基本計画の中に入っているので、4年前から研修必須化という現場の要望があるのならば、それは進めていかないといけないことだと私は思います。

 また、せっかく基本計画の中にこの言葉が入ったので、これをどうやっていくか。先ほども議論で出ましたけれども、具体的にどうやっていくのかという文言をしっかり明示していくということがすごく必要だと思います。

○福井座長 御意見は伺いました。

 どうぞ。

○がん対策推進官 先ほどから御議論いただいている意見につきましては、当然医政局の医師の育成や需給などに関する部署で議論している内容ですので、どういう形でここで御紹介できるのかということはありますけれども、そこは検討して、先ほど桜井委員からありましたように、計画の中にも人材育成についてきちんと位置づけていますので、御紹介できる範囲でしていこうと思っています。

○服部構成員 その答弁は5年前に聞きました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 道永構成員、どうぞ。

○道永構成員 事務局に確認したいのですが、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会開催指針の一部改正ということが今、議論になっています。がん以外の疾病も入れるとなったときに、この研修会の名称をこのまま残しておくのかどうかということをまず伺いたいと思います。

 最初に小川先生がおっしゃったように、やはり対象者をまずきっちりと決めて、それから内容に入らないと堂々めぐりになるような気がしますので、そこをきっちりとお話を伺えればと思います。

○福井座長 事務局から何かございますか。

○事務局(濱) そこも含めて検討ということなのですけれども、もちろんがんのみならずということになれば、開催指針の名称等は変更になるかと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 今、お話をしているのは、既に研修を受けた9万人の医師は対象にならない話でよろしいですか。確認です。もしそうだとすると、新たに医学部を卒業する人が毎年9,000人近くいて、研修を受ける対象になる人が毎年何人いて、日本中で何回開催すればいいのかという全体の枠も明確にしたほうがいいのではないかと思います。

 重要な論点として、チーム医療の構成員がやはり別々に受けてもいいのではないかという点、それぞれの専門性を持っている人たちがチームとしてどうやって働くべきかについて学んでチームビルディングが必要だという点は非常に重要だと思いますので、ぜひそれも入れていただければと思います。また、私は個人的には患者さんの話を聞くセッションを入れてもらうと、インパクトがあるのではないかと思いました。

 平原構成員、どうぞ。

○平原構成員 余りに専門分化し過ぎた教育というのは、医療の質を改善しないというのはイギリスなんかでも言われていて、多職種で共同してやるべきだというのを基本に置くべきだと私は思っているのです。

 あと、具体的にベースになる部分で、e-learningのところで先ほど知識ベースと言いましたけれども、実はその海外のACPのプログラムなんかは地域向け、住民向けのものがあって、専門職向けのものは、ファーストレベル、セカンドレベル、サードレベルがあるのです。ファーストレベルはそこの医療機関に勤めている人は全員そのプログラムを受けるのです。e-learningを受けて、6時間の集合研修をやるのですけれども、そのe-learningは必ずしも知識だけではなくて、患者さんの実際の映像や生の声がでてくるなどビジュアルの部分が入っていたりするのです。

 本研修会において、e-learning部分を全国共通で見ていくとなると、e-learningのこのような内容をどうつくり込むかというのがかなり大事で、視覚的にも学べる内容を盛り込むことがすごく大事だろうと思います。あと専門職別に分化した研修は最初のファーストレベルで共通した基盤研修があって、そのあとのセカンドレベルや、サードレベルでより専門分化した研修をやったほうが効果的ではないかと私自身は思うわけです。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 前川です。

 余り大きな問題ではないかもしれないのですけれども、スライドの12ページの最後、修了者バッジの交付についてと書いてあるのですが、これはもう廃止しようなんていう話もちらほら聞いていたのですが、またここに来て写真が出たり、バッジの交付という言葉が出ているので、事務局の方にこれはどのようになっているのかお尋ねしたいと思います。

○福井座長 これは以前から出ていたアイデアなのでしょうか。研修者認定バッジですね。

○事務局(濱) これは拠点病院の指定要件にある、緩和ケアの研修会の修了者を患者や家族にわかりやすく提示するということの一つの方策として、このバッジを作成して、修了証書とともにお渡ししているという状況です。

 今回は、この継続も含めて御議論いただきたいということで提示させていただいている次第です。

○福井座長 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 これができた経緯は、患者さんがこの医者は緩和ケア研修を受けたのかというのがわかるようにするというのが目的でした。正直に言うと、患者さんはそんなことは余り気にしていないというか、いちいち見ていないという面があったので、私自身はこれはもう必要ないと考えます。この中で緩和ケア研修会のバッジを白衣につけている方いらっしゃいますか。○福井座長 よろしいですか。

池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 私の病院も、要件にありましたので、絶対つけるようにスタッフ全員に伝えておりました。実際、これが本当に効果があるのかどうかというのは、逆に患者さん方に聞いて、効果があるならばやはり続ける。我々の意欲にもなりますし、違う方法でということであるならば、そういうことを提案していただければ、できるだけ患者さん、御家族がこういう研修会を受けている医師であるということがわかるほうがいいとは思うのです。であれば、何かいい方法を考えていったほうがいいとは思います。

○福井座長 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 患者さんの話を聞いていて、がんの一患者はバッジのことは全然知りません。でも、ひどい目に遭ったという話はよく聞きます。がん医療に携わっている医師からこういうことを言われたとか、意思の疎通がないとか。そういう場合、患者さんに対して緩和ケア研修会というのがあって、それを受けている先生がいらっしゃるということを周知すれば、自分の主治医は受けているのか受けていないのかという判断材料になると思うのです。でも、緩和ケア研修会ということも、患者会の方は御存じかもしれませんけれども、多くの患者さんは御存じないですし、バッジのことも御存じない。それを周知すれば、効果はあると思います。まだ、周知されていない段階。私だったら見ます。でも、病院によっては全くつけていらっしゃらない先生が多いです。

○福井座長 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 私はバッジをつけているドクターを見たことがないです。患者さんと外来に付き添ったりなども私はすることがありますし、自分自身も外来に行きますけれども、つけているのは見たことがないです。かつ、私はそこで判断しようとは思いません。診察室では気持ち的にそれどころではないので、バッジをどこにつけているかを探すよりは、やはり治療の話をしたり、自分の命がどうなるのかの話をしたり、治療の意思決定をどういうようにしていくか、どこまでやるのか、そちらのほうに、もう心が一生懸命で、バッジを見る心の余裕はないです。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 例えば飛行機の免許を取るといったときに、自分の教官が何とか安全講習のバッジをつけているかつけていないかなんて、正直言って余り気にしないでしょう。教えてもらえる人、治してもらえる人 がバッジをつけていれば、患者さんには緩和ケア研修を受けた先生なのだと思ってもらえるのではないかという、こっち側の勝手な判断になってしまっているのではというのが正直な私の今の感想です。もう必要ないのかなという気もします。ただ、指定要件云々を満たすために、これをつけていなければいけないという要件が入ったのであれば、それはつけざるを得ないとは思います。ある意味緩和ケア研修会を受けさせるための一つの施策であったという背景もあるということをお伝えしておきます。

○福井座長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。大分時間も過ぎましたので。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 1点だけ補足です。要は、つけなくてもいい状態になれば一番いいですね。緩和ケア研修の受講修了がデフォルト設定になっていればいい話で、それこそ本当に受講率100%。先ほど話もありました、卒後で全員が授業の中で研修を受けているとか、そういう状態になっていれば一番よくて、そこがそもそもこのバッジ有無の問題なのではないかと思っています。

○福井座長 ありがとうございます。

 申しわけないですけれども、私も最後に一言。

 議論の整理の中にも何カ所か書いていただきましたが、研修を受けるか受けないかというのは、最終的に緩和ケアの質がよくなるかどうかにつながるかどうかが問題なわけですので、どうにかして緩和ケアの質を評価する指標を考えていただきたい。別に研修を受けなくてもすばらしい緩和ケアを提供する人は世の中にいるわけです。受けたか受けないかだけで決まるわけではないと思いますので、ぜひ緩和ケアの質を何で見るかについてシリアスに検討してもらえますよう希望します。

 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 今の御意見もわかるのですけれども、何度も言っているように、2日間の研修で全てがわかるわけでは全然ない。今、おっしゃっている評価というのは、診療拠点病院の緩和ケアがどうなっているのかというものの評価のことで、それはできると思います。しかし研修を受けたか受けてないかだけで緩和ケアの質を評価するというのは、ほとんど意味がないと思います。車の運転の座学をやって、車の運転をしたことがない人に、車の運転が上手かどうかを評価しようと言っているのと似たようことだと思います。それよりも、研修医で受けておけば、10年たてば、現場で直接患者さんに携わる若い先生たちは10年目くらいが多いわけですから全員基本は学んだことになります。その上に経験を積んでがんだけでない緩和ケアもできる。さらに緩和ケア講座もあれば、興味のある医師にはさらに深い奥行きのある緩和ケアが学べるわけです。そうすれば、医師は全員バッジをつける必要もなく、全員が研修を受けていることになるのです。前に進む話でやっていただきたい。検討・検討・検討でもう4年たちましたので、ぼちぼちこのようにするという話にしていただけないでしょうか。

○福井座長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 それでは、議題2「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制に関する議論の進め方について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局(濱) 資料3の御説明をさせていただきます。「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制に関する議論の進め方について」でございます。

 スライド2、これも昨年の資料になりますが、「本検討会で検討すべき論点について」は「ウ.循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方」がございます。昨年緩和ケア研修会や緩和ケアの提供体制の議論の中で、既に循環器のことも出てまいりましたので、参考資料3にこの検討会における議論の整理をつけてございますが、その中の「(4)循環器疾患等の緩和ケアについて」ということで、現状と課題、今後の方向性をまとめております。

 スライド3をごらんください。循環器疾患等の緩和ケアについての現状と課題につきまして、緩和ケアの対象患者は特定の疾病に限定されるものではなく、循環器疾患等の患者も緩和ケアを必要としている。

 我が国の緩和ケアは、がんを主な対象疾患として発展したため、がん以外の疾患を併発したがん患者やがん以外の疾患の患者への緩和ケアが立ちおくれている。

 我が国において、がん以外の疾患に対する緩和ケアの臨床現場における実態が十分把握されていない。

 主治医の多くは、がん以外の疾患に緩和ケアチームが対応できることを認識していない。

 現行の研修会の内容では、慢性心不全等のがん以外の疾患を有するがん患者への対応が難しいという現状と課題を挙げてございました。

 それに対する今後の方向性としまして、2点ございます。がん以外の疾患に対する緩和ケアの実態把握など普及啓発に向けた取り組みを行うべきである。

 2点目としまして、がん以外の疾患の経過ががんと異なることを考慮して、関連学会等の協働を促し、今後の対策についてワーキンググループ等を設置して検討すべきであるということで、議論の整理をしてございました。

 それを受けまして、緩和ケアの対象患者は特定の疾病に限られるものではなく、循環器疾患の患者も緩和ケアを必要としている。そこで、循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方について集中的に議論をするため、ワーキンググループを設置してはどうかということで、御議論いただければと思います。

 なお、資料4にはこのワーキンググループの開催要項の案をつけてございますので、あわせて御議論いただければと思います。

 事務局からは以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 資料4の説明はいいですか。

○事務局(濱) はい。

○福井座長 それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見等ございましたらお願いいたします。

 安斉構成員、どうぞ。

○安斉構成員 今回循環器の緩和ケアを議題に取り上げていただいて、ありがとうございます。確かに循環器の緩和ケアの必要性に関する認識というのはどんどん高まってはいるのですけれども、一部では終末期医療が安易に行われているのではないかとか、循環器疾患の場合には一時的な救命は比較的可能なものですから、救命の努力を放棄しているのではないかという懸念もされておりました。

 そういった意味では、昨年の12月に集中治療医学会のほうからDNARの指示のあり方についての勧告というのが出ているのですけれども、安易にDNARをするべきではない、DNARをとる場合にはこういうようにすべきであるという議論が結構されておりますので、そうした集中治療医学会、あるいは日本循環器学会や心不全学会、それから緩和医療学会、全てが合わさる形のワーキンググループが望ましいのかなと思います。

○福井座長 ACPとも深くかかわりますね。

 ほかにはいかがでしょうか。

 平原構成員、どうぞ。

○平原構成員 昨年、心不全の提言を出していただいたところに書かれているように、超高齢者の心不全というのは、多様な疾患と多様な障害・不全の連鎖の中で亡くなっていらっしゃるのです。その連鎖の中の一つに心不全もあるという認識でおります。

 したがって、在宅地域で我々が診ている心不全の方と循環器専門の病院で診ている方とは、病態も社会的背景も異なるというのが認識でございます。したがって、在宅地域の代表である医師会の先生方や在宅の学会の代表、そして老年分野の先生がそこには入ったほうがいいのかなと思っております。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 安斉構成員がおっしゃったとおり、良性疾患においての緩和ケアやDNARまたACPに関しては、医療者のためのDNARであったり、医療者のためのACPでないようにしないと、我々が都合のいいように判断するということがないように、メンバーの中に患者の方や一般市民の方、そういう受け手側であったり、やはりACPなんていうのは国民を挙げて取り組まないと進まない内容でございますし、そういうメンバーを入れていただくことが大事かなと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 木原構成員、どうぞ。

○木原構成員 循環器疾患に限定するかどうかですが、これで見ると循環器疾患の患者に対する緩和ケアは、循環器限定みたいな感じもいたしますが、実は例えば心不全を例に挙げますと、必ずしも心不全患者は心不全で死ぬわけではないのです。特に肺炎や脳梗塞が多いわけで、そういう意味では、例えば呼吸器のCOPDを診ておられる先生方にもぜひ入っていただきたいと思います。要するに、循環器のということにするか、循環器疾患等のということにするかだと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 今の木原構成員の意見に私も賛成です。やはり呼吸器症状というのは非常につらいので、この部分の話はぜひ入れていただきたいということ。

 それから、ACPの部分は当事者不在でやるのが本当に危険だと思っています。自殺の原因にもなるかもしれないし、グリーフにも、全てにつながってくると思っていますので、ACPに関して患者さんなど当事者の声というのをぜひ私は入れていただきたいなと思っています。

 以上です。

○福井座長 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 ACPのお話が出たのでお話しします。ACPは言葉の響きは非常にすばらしいし、その意図するところは理想的です。しかし、よく御存じのように、日本というのは医療に限らず全ての面で欧米各国と比べ極めて特殊な部分がいくつもあります。

 外国の場合、新約聖書、旧約聖書の「やく」が契約の「約」であるように、医療におきましても医療者と患者の間はすべてではありませんが、契約で成り立ちます。最低限必要な全部の話をし終わって、契約に入るわけなのです。その上で、その最小限必要な説明を全部聞いた患者さんがそれでどうしたいかを言って、それからACPに流れるのです。けれども、今、がんだけではなく、先ほど循環器疾患のことでも話がありましたが、本邦では必ずしも患者さんたちに、必要な話や予後などをきちんと伝えていないし、行っている、この治療で、助かるのか助からないのか、根治療法なのか延命が目的なのかとか、そういったことをまだまだ伝えていないなどの状況があります。

 そこで、外国でやっているACPをこの全然環境の違う本邦に持ち込んでそのままやってしまった場合、今、おっしゃったように患者さん不在となり、またかつてのがんを告知しなかった時代と同じような状態となり、医療者と家族との間のACPみたいになってしまうケースも十分出てきます。きちんとした情報が伝えられていないで、実はこれは現場でたくさん起こってきているのですけれども、いきなりその話を聞いてしまって患者さんが落ち込んでしまって、今、自殺の話も聞きましたが、そこまでいかなくても、家族に要らないことを言って、いったいどうしてくれるのだということで詰め寄られた人たちもいます。あなたがいらないことを言うからだみたいなことも起こっています、ACPという海外の制度を持ち込むのはいいのですけれども、全てが日本と同じ土壌で生まれたものでないということを理解されてやらないと問題が生じます。例えば抗がん剤でも、治る抗がん剤ももちろんありますが、延命効果しかないのが分かっていてもそれを患者さんには伝えてないということがまだまだ本邦では多くあります。ですから患者さんが抗がん剤をやれば治ると思っている状況のときに、ACPは一体どうやっていくのかと、そういう難しい部分がすでに出てきています。ACPには賛成ですが、それなら日本版に焼き直したACPを考えていかないと、海外の制度をそのまま持ち込んでも、宗教的、社会的な背景が全然違うところに同じ制度ではうまく持ち込めないと思います。

○福井座長 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 私も「循環器の疾患に関する」というこのテーマを「循環器疾患等の」というようにして、緩和ケアを広く広げていくというスタイルができたほうがいいかなと思った一人です。

 といいますのは、緩和ケアのずっと相談支援をしてきて、緩和ケアを受けられないのかという相談で、呼吸器というか、COPDの患者さんがすごく多かったことと、難病の患者さんも多かったのです。

 ですので、このプログラムとしてがんのように組み立てていくということを考えると、疾患をやはりきちっと絞り込む必要があるとお考えなのか、そうではなくて、がん以外にそれを広げていく一つの動きとして進めるという考え方であれば、「等の」を入れる意味がすごく大きいかなと、その辺のお考えをお教えいただければと思います。

○福井座長 事務局からよろしいですか。

○がん対策推進官 我々として、がんに対する緩和ケアが随分広く一般にも知られるようになった、対策も進みつつあるという中で、ほかの疾病にも広げていきたいという思いがまずあります。ただ、やみくもにほかの疾患全部に広げてしまうと、対応も急にということでは難しいと思いますし、現在循環器疾患に対してのさまざまな取り組み、法律面ですとか制度面、今、別途我々のほうで循環器疾患の医療提供体制のあり方に関する検討会も開催しております。当然、気持ちとしては「等」ということで、ほかの疾患にも広げていきたいという気持ちはありますけれども、まずは循環器というように考えているところです。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 何かの病気に対しての緩和ケアという前提で話をするから、おかしくなるのではないかという気もするのです。緩和ケアというのは、そもそも医療の原点みたいなところがあるので、ひずみが出ていると思います。例えばがん対策基本法だから、診断時からの緩和ケアというのがあります。循環器は診断時からの緩和ケアという形で進めていくのか、やはり終末期の悪化していく、改善が見込めなくなっていく段階での緩和ケアという観点でやるのか、そこら辺の議論もこのワーキンググループでするべきではないかと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 安斉構成員、どうぞ。

○安斉構成員 服部先生のおっしゃるとおりかと思います。心不全の患者さんは、初期の段階から症状を緩和させるという意味でのQOLを改善するということが大事かと思いますので、いわゆる終末期の最後の1週間、1カ月だけやるような治療ではなくて、早い段階からやっていくことが必要ではないかと思います。

 ただ、やはり良性疾患の場合には、最適化された治療がされているというのが一番大事であって、モルヒネを使えば呼吸苦がとれるわけですけれども、やはり心不全の治療を並行してやっていかなければいけないということもありますので、診療の質をいかに評価するかというのがすごく大事だと思うのです。

 そういう意味では、今、我々の施設でAMED研究でやっているのですけれども、クオリティー・インディケーターをしっかりつくって、心不全の診療をした上で緩和ケアが導入されて、一緒に連動していくという形をつくっていくのが、やはりこういった良性疾患では必要ではないかと思います。

○福井座長 平原構成員、どうぞ。

○平原構成員 本来は、私は非がん全体のことを推進していきたいという立場ではあるのですけれども、非がん疾患の多くは慢性疾患でして、特に臓器不全群の方が非常に苦痛が強いということもわかっています。心不全をCOPDなども含めた慢性疾患のモデルとして緩和ケアの形をつくり上げていくというのは、次のステップにつながると思っているので、そういうほかの疾患も念頭に置きながら、まずは心不全をしっかり考えてみるということでいいのではないかと思います。

 もう一つ、ACPについてですけれども、やはり慢性疾患、非がん疾患においてはACPはかなり鍵となる考え方で、システムではなくて、患者さんと御家族と医療者が納得するまで繰り返し繰り返し話し合って、自分らしい生き方を追求し、貫けるということを保証することがACPだと思います。ACPはそういう観点で、医療にかかった慢性疾患の始まりから、よりクリティカルな問題が起こるとき、そして終末期というように、ステージに分けて考えようという流れになっております。ステージがかわっても患者さんの意志が貫けるような形を医療の連携モデルも含めてどうつくるのかというのが肝でございますので、そこも含めて議論ができればいいと思います。

○福井座長 いただいた御意見の大部分は、設置するワーキンググループの中で検討していただければと思います。

○桜井構成員 私の母は心不全で亡くなったのですけれども、心の支援というのもぜひ入れていただきたいと思っています。やはり、呼吸が苦しくなったりといった症状は、家族も含めてすごく不安になるのです。でも、心のサポートはほとんどなかったです。がんに関しては心のサポートはありますけれども、本当に循環器に関してはないと思っていますので、心のサポートという視点もぜひ加えていただきたいと思っています。

○福井座長 ありがとうございます。

 いろいろな御意見がございましたけれども、循環器疾患を中心とした検討ということで、まず事務局の案で進めていただければと思います。

 よろしいでしょうか。

 大変活発な御議論をありがとうございました。

 最後に事務局から連絡事項等ございましたらお願いします。

 どうぞ。

○池永構成員 初めの報告のところで申し上げないといけなかったのだと思うのですけれども、基本計画の件につきまして、こちらの検討会の意見などたくさん盛り込んでいただきまして、事務局や協議会の方々には感謝申し上げたいと思っているのですが、緩和ケア病棟のことについて、こちらの検討会のほうから上げさせていただいた機能の分化という点におきまして、緊急入院にも対応できる緩和ケア病棟と、基本計画案の中では4ページに従来のみとり中心のホスピス緩和ケア病棟というような機能分化の分け方をしているのですけれども、私が提案させていただいたニュアンスと若干違っておりまして、細川構成員のほうからも、緩和ケア病棟もかなり人材が厳しい状況で、一人の医師が、専従医という要件がございませんので、専任であったり兼任であったり、医師が非常に忙しくやっている中で、緩和ケア病棟の質を高め維持していくために提案した内容は、緊急入院にも対応できる緩和ケアと人材豊富なそういうところと、あと、従来型のそれ以外の病棟というような形で言いました。

 みとりというのは、緊急入院のほうでも非常に重要な役割ではございますので、ここは実は緊急入院にも対応できる緩和ケア病棟とそういうような人材豊富な部分と、従来のそれ以外のホスピス緩和ケア病棟や、療養中心の緩和ケア病棟とか、そういうニュアンスでお話しさせていただいていましたので、その辺誤解のないようにお願いできたら、また、注などに入れていただけるようであれば、そういうような形でお伝えしたいと思って、ここでお話をさせてもらいました。

 お時間をとりまして、済みません。よろしくお願いします。

○福井座長 今の御意見、伺ったということで、事務局のほうはよろしいですか。

 もしよろしければ、参考人の山本先生、何か御意見ございましたらお願いします。

○山本参考人 今後、検討していく方向性が見えてよかったと思っております。

 福井先生のおっしゃっていた患者さんの生の声を聞く研修会というのは、前回のときにもずっと検討されていたのですが、400カ所の拠点病院全部のところで、研修会全てのところで、同じような質で患者さんのお話を聞くことができるかというところで、できるところもあるけれども、もしかするとうまくいかないところもあるかもしれないというところで、全国に展開をしていくというところでは難しいかなということで、セッションの中にビデオを入れ込むという形で実現をしてきた経過がございます。

 今後も、やはり現場で全国で広げるということを考えると、ビデオで撮ってそれをうまく流すようなe-learningの中に組み入れるというような形で検討する必要があるのかなと考えておりました。

 そこだけ1点、お願いします。

○福井座長 ありがとうございます。

 済みません。突然お願いいたしました。

 ほかに何か御意見ございませんでしょうか。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 最後だということなので。循環器もこれから進めていく、先ほど出た呼吸器も進める、恐らく透析患者さんのものも出てくるし、慢性神経疾患の方もこれから出てくる。ものすごく緩和ケアというか症状マネジメントが多様化するのは間違いないと思います。

 今まではがんに特化していたかもしれないですが、これから多様化する中で、各科の医師は緩和ケアの窓口はほしいでしょう。

 だからこそ、細川構成員が言ったように、各大学に緩和ケア講座というものがあればいいと思います。総合病院、大学病院に緩和ケアの講座があれば、そこに緩和ケアの専門家がいる。その専門家が緩和ケアをいろいろな疾患に広げていかないとこの議論は実現しないと思うのです。

 循環器の先生がみんな緩和ケアだけにいってしまって、循環器の仕事自体がおろそかになるよりは、これをどういうようにしたらいいかと聞く窓口、それが緩和医療学講座でも何でもいいですが、講座として全国の大学病院などにあれば、教育もそこに移管することができるし、緩和ケア研修会を受けてくれ受けてくれと声をかける必要もなくなるのではないでしょうか。つまり、全てが解決できるはずなのです。

 それも5年前からずっと、私は2年か3年前からずっと言い続けてきています。確かにこういう細かいところで一個一個進めていくのはいいのですが、もっと根本的なシステムもあわせて検討するということを、ぜひ検討していただけないかなと、今度は真面目に本当に検討してもらえないかと思います。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 池永先生の話から少し出たように、実は緩和救急の話ですが、私の施設は人も今はたくさんいるので、24時間365日対応できるようになっていますし、入院もできますし、外から受けた人も入院させて治療して退院してもらうこともやっています。それは京都府立医科大学には緩和医療の講座があって、医師だけで15人もいてくれるからです。だから、なんとかできていることなのです。でも、全部の拠点病院でそんなことは可能ではない。

 最初にこの緩和ケアにおいて、専従医や専従の看護師をつけようという話がでたのは。忙しい通常勤務をしながら、患者さんや御家族とゆっくり話をすることができないから、それを専属、専従でできる人たちを作って、それでやりましょうという話でやって来たのです。そこへ確かに困っている患者さんがいられるのは分かっています。そのような患者がもし飛び込んできたら、それを救急対応ですぐ診るようにしましょうという話がトントンとでました。最初は、36524時間対応しろという話でしたでしょう。あれを現実にやろうと思ったら、それこそ医師を20人雇わなければできないことです。

 片方で、ゆっくり話をしましょうと言って、病棟で緩和ケアの看護師や医師がそれこそチームで患者さんや御家族と大事な話をしているときに、救急の緩和ケアの患者さんが来たとき、今の人員で一体誰が診るのですか。

 そういう物理的と言ってもいい根本的なところを全然話せずに、玉虫色にこれもあれもできたらいいよ、できたらいいよとそれはすばらしいことだと思うのですけれども、それがどこでも出来るのでしょうか。うちは今、講座をつくってもらって人もたくさんいる。それでも正直言って何とかできるようにしているという状況です。その15人の医師だって、正雇いの医師の枠は3人しかいないのです。あとは全部日当幾らで雇われている専攻医しかいない状況です。これは大学病院だからなんとかできていることで、一般病院では無理です。

 こんなことがこの先10年も同じように続けられるわけがない。やはりちゃんと基盤をつくってどうやっていくかと、それに政策を乗せていく形にしないと、本当に頑張った人たちだけがそこで終わってしまう、疲弊したら終わりという形になってくる。

 また、聖路加病院も労基が入って、救急、土曜日の多くの外来ができなくなったと聞いています。というのも、今まで無理して、労基も無視して、頑張る看医師がやってきたことで何とか回ってきただけです。労基がまともに入ってきたら、もうできないことばかりになります。労基が入ってきて、まともに審査したら、病院は皆ブラック企業で、本当なら医師があと倍くらいいなかったら労基はOKしないと思います。今はまだ過渡期だからそれでもなんとかいいと思いますが、10年先を見越すなら、政策としては、今後無理なく、誰でもできる形というのをつくっていくことが必要になると思います。緩和救急に関してもそういうところももう一回見直してほしい。

 本来、緩和病棟というのはゆっくり時間が流れるところです。そこに救急で来られて看護師さんがばたばた走り回るという姿は、およそ緩和病棟に似つかわしくないのではないでしょうか。現場の声も聞いていただいて、玉虫色のいい話だけではなく、まずできるところから片づけながら将来を見越すということで考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○福井座長 ありがとうございます。

 そろそろ議論を打ち切りたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項等ございましたら、お願いします。

○事務局(小野) 次回の検討会に関しましては、事務局より追って御連絡いたします。お忙しい中、恐縮ですが、日程の御調整、よろしくお願いいたします。

○福井座長 それでは、本日の会議をこれで終了いたします。

 長時間にわたりありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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